<射撃ニュース10月>

10/31
(ヒグマに襲われ男性けが:北海道)
30日午後4時ごろ、北海道苫前町三渓の林道で、散歩をしていた近くの農業、林健志さん(66)が、ヒグマに襲われた。林さんは後頭部を強く殴られ病院に運ばれたが、命に別条ないという。ヒグマはそのまま逃げた。道警羽幌署によると、林さんは襲われた後、自力で約2キロ歩き、自宅付近で家族に発見された。ヒグマの体長は1・6メートルほどだったという。同署は31日朝から地元猟友会とともにわなを仕掛けるなどし、逃げたヒグマを捕獲する予定。現場から約7キロ離れた場所では大正4年、開拓民の集落をヒグマが襲い7人が犠牲となる惨事があり、吉村昭さんの小説「羆嵐(くまあらし)」の題材にもなった。
(知床シカ駆除、ヘリでハンター投入:北海道)
知床世界自然遺産地域科学委員会のエゾシカワーキンググループ(WG)の会議が30日、札幌市であった。知床半島先端部の知床岬で行うシカ駆除(密度操作実験)の効率アップのため、厳冬期にヘリコプターでハンターを投入するなど、新たな試みを始めることを決めた。知床岬での駆除は今冬が3年目。前回(08年11月27日~12月24日、09年4月14日~5月22日)は成獣の雌の駆除が目標の63%の120頭にしか達しなかったことを踏まえ、より効率的な駆除方法を検討。具体的には、流氷などのため海上から知床岬に近づけない厳冬期にヘリコプターでハンターを搬送する。また、知床岬先端部をフェンスで仕切り、入ってくるシカを追い込んで捕獲する方法も検討された。本年度中に設置工事などの予算確保のめどがつかず、仕切り柵での方式は来年度以降に持ち越されたが、引き続き検討していくという。
(電車内でクマ撃退スプレー誤噴射:山梨)
30日午前8時15分ごろ、JR中央線大月駅に停車中の高尾発小淵沢行き普通電車(6両編成)で、前から3両目に乗っていた男性客が、誤って車内でクマ撃退スプレーを噴射した。乗客2人が気分の悪さを訴えたが、深刻な被害はなかった。JR東日本八王子支社によると、窓を開けて換気する間、乗客約80人が一度下車するなどしたため、電車は9分遅れで発車した。誤噴射した男性も、気分が悪くなった2人も再び乗車した。大月署によると、男性は仲間と共に甲州市に登山に向かう途中。噴射したのは、登山者らがクマに襲われた時に使う米国製スプレー「カウンターアソールト」だった。カウンターアソールト社のホームページによると、唐辛子成分を主成分としたエキスが4~9メートル噴射され、浴びると強烈な刺激と痛みがある。米国では、国立公園のレンジャーのほか、多くの警察でも採用されている。
(国後に「白いヒグマ」)
北方4島の専門家交流で、日本人の研究者らが国後島で白いヒグマとみられる動物の撮影に成功したと29日、発表した。日本人調査団としては初めてという。調査団は大泰司紀之・北大名誉教授や佐藤喜和・日大専任講師ら10人で構成。4島在住のロシア人専門家と22~26日の5日間、調査した。写真は現地時間で23日午前6時頃、自動撮影装置を用いて撮影したという。佐藤専任講師は、国後島のヒグマの約1割が白いと推測し、「天敵のオオカミがいないため、本来はみつかりやすい白いクマが生存できたのではないか」としている。大泰司名誉教授は「白い毛だと魚に把握されにくく捕獲率を高められるため、生存率も高まるのでは」と指摘。今後、毛を採取して遺伝的研究を進める考えという。
(人への被害続出でサル捕獲へ:山口)
萩市大井湊と馬場地区でニホンザルによる人などへの被害が続出し、市は31日、「サル捕獲大作戦」を展開する。午前6時半から約2時間半を予定し、地元住民たち約200人が参加する。市農政課によると、計約300世帯の両地区には、群れから離れたサルが少なくとも3匹住みついているという。8月以降、お年寄りの女性たち20人以上がかみつかれたり、引っかかれたりして病院で手当てを受けた。腕を縫った人もいるという。農作物を食い荒らしたり、墓石や地蔵石を引き倒して壊したりする被害も相次いでいる。捕獲には、地元住民のほか、市や県職員、萩署員、猟友会員たちが加わり、網などで生け捕りにする方針。
(課題山積、"害獣"エゾシカ:北海道)
10月26日、札幌市中央区にまでエゾシカが出没した。繁殖力が強く増える一方のエゾシカは深刻な農林業被害を及ぼしている。道は狩猟期間を延長したり、メスの捕獲を無制限にするなどの規制緩和策を進めているが、増加の勢いはいっこうに止まらない。今季も10月24日からエゾシカ猟が解禁となったものの、ハンターの減少で捕獲目標数を達成するのは難しい情勢だ。加えて食肉としての流通拡大もうまくいっていない。「アイヌ新法(仮称)」制定が視野に入る中、エゾシカ対策には狩猟民族である先住民族・アイヌの知恵に学ぶ必要があるのではないか。現状と問題点をリポートする。現在、道は「エゾシカ保護管理計画」で、全道を東部(網走、釧路、根室、十勝支庁管内)、西部(石狩、空知、上川、留萌、宗谷、日高、胆振支庁管内)、南部(渡島、檜山、後志支庁管内)の3地域に分け、生息数などを把握している。これ自体、大変大雑把なエリア分けであるが、東部で26万頭、西部でもほぼ同数、南部でもかなり増加しているとされ、52万頭以上は生息していると見られている。農林業被害額は、1996年度にピークの50億円に達した。98年度に8万4000頭(メスは4万頭)を捕獲してから被害額は減少傾向が続いたが、ここ数年は増加して40億円のレベルになっているようだ。エゾシカによる被害は約半分が牧草。ほかはビート、水稲など。牧草は家畜の飼料になるため、農家は被害に遭った分、高い輸入飼料を購入しなければならなくなる。食べるものがなくなると樹皮まで食べ、樹木が枯れ死することになる。さて、捕獲対策の柱はハンターによる銃殺である。ところが、銃殺はハンターの高齢化や免許所有者の減少からうまく進んでいない。最近の捕獲数は7万8000頭ほどだ。道の自然環境課は「少なくとも1年間に7万6000頭(東部、西部地区で各3万8000頭)のメスを捕獲しないと、全体の個体数は減らないと考えている」と話す。対策の2つ目の柱は、主に東部地域の山間部と平野部の間に敷設された柵。300キロメートルに及ぶ柵は、ある程度の被害防止になっているはずだ。銃殺頭数の増加が期待できない現状で注目されているのが、前田一歩園財団(釧路市阿寒町)の罠捕獲だ。前田一歩園財団の罠捕獲について、道自然環境課は「多い年は罠によって600頭を捕獲している。用心深いエゾシカは、たやすく罠には近寄らない。だが、長いこと餌付けをしていたこともあり、警戒心を緩めたエゾシカは、仕掛けた罠に入るようだ」と説明する。アイヌの人たちが07年に設立させたウタリ共同養鹿加工組合(大川勝組合長)は、エゾシカを罠捕獲し、食肉を処理・加工する施設を建設、かなりの実績を上げている。大川組合長によると施設の総工費は1億円。国から3分の2が融資され、道も20分の1を拠出、残りは自己資金だという。組合では罠捕獲で常時60頭から100頭を養鹿し、処理・加工・流通の体制を整えている。大川組合長は「道は掛け声だけで、なかなかエゾシカの流通は拡大していかない。消費が拡大すれば、さらに罠捕獲の実績を上げることは可能なのに、たくさん捕獲してもさばけないのが実情だ」と嘆く。組合が用いる罠は網囲い。エゾシカの搾餌行動の生態を熟知するアイヌ民族独特の仕掛けだ。誘引するための餌を置き、網囲いに群れが入ると電波センサーによって囲いが閉じられる。その後は囲いの奥部に設置されている輸送用の檻にエゾシカを追い込む、というものだ。大川組合長が「道が掛け声だけ」と言う背景には、40億円もの被害が生じているにもかかわらず、被害対策の予算はせいぜい6000万円程度という実情があるためだ。もっとエゾシカを知ってもらおうと、さまざまなPRを続けているエゾシカ協会の井田宏之事務局長は「昔から日本人はエゾシカを食べていたのに、いったん絶滅の危機に瀕したため、保護政策がとられて食べる文化が廃れてしまった歴史がある。復活させるにはまだまだ時間がかかる」と消費が拡大しない理由を話す。自治体は総じて財政難。「本腰を入れたエゾシカ対策を」と唱えても、先立つ物が不足しているのが現状だ。となれば、狩猟民族・アイヌの知恵を借りるのが、懸命な策ではないか。アイヌ民族に罠免許を広く与えるための法改正、使用場所は公有地はもちろん、私有地の許可を緩やかにすることも必要だろう。新法がアイヌ民族の生活と地位向上を目標とする以上、こうした具体的項目の審議を早急に進めてもらいたいものだ。後編は、消費拡大に関してレポートする。

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10/30
(11月1日、イノシシとニホンジカ狩猟解禁:和歌山)
来月15日から全国的に狩猟が解禁されますが、これに先立って和歌山県では、来月1日からイノシシとニホンジカの狩猟が解禁されます。ゴイサギ、マガモなどの鳥類29種類やノウサギ、アライグマなどのケモノ20種類の狩猟期間は来月15日から来年の2月15日までとなっています。また、イノシシとニホンジカは、来年の3月15日までとなっています。ウズラ、ヤマドリ(メス)、キジ(メス)及びツキワグマは、平成24年9月14日まで捕獲禁止です。今月19日現在、和歌山県で狩猟者登録証の交付を受けている人は、3,241人で去年に比べて111人少なくなっています。また、県では、狩猟に伴う事故防止の徹底や法令遵守、それに狩猟マナーの向上を図るため、狩猟取締りや指導を行うことにしています。
(JR福知山線で快速電車がシカと衝突:兵庫)
29日午後9時45分ごろ、兵庫県三田市のJR福知山線道場-三田間で、木津発新三田行きの快速電車が線路内にいたシカと衝突した。乗客約200人にけがはなかった。電車は一時停車し、運転士が車両に異常がないことを確認、約15分後に運転を再開した。シカは付近で死んでいた。上下12本が最大で23分遅れ、約1600人に影響が出た。
(実弾同封し「ころす」と近所脅迫:大阪)
自宅周辺の民家にライフル銃の実弾を同封した脅迫文を届けたとして、大阪府警捜査1課と松原署は29日、脅迫と火薬類取締法違反の疑いで、同府松原市東新町、無職緒方邦友容疑者(65)=傷害罪で起訴=を再逮捕した。逮捕容疑は7月31日~8月6日、松原市東新町にある民家3軒の玄関前に、雑誌の文字を切り抜き「ころす」などとした文書と実弾計4発を入れた封筒を置き、脅迫した疑い。捜査1課によると「警察の書類にはサインしない」と供述し、容疑を否認。同課は緒方容疑者の自宅からライフル銃の実弾約100発を押収、詳しい動機を調べている。緒方容疑者が住む地区では昨年7月以降、放火とみられる火災のほか、玄関や壁に黒いペンキが塗られるなどの被害が約15件相次いでおり、捜査1課は関連の有無についても調べる。緒方容疑者は今月5日、脅迫文を置かれた民家の1軒に住む男性(71)を殴った暴行容疑で府警に現行犯逮捕され、26日に傷害罪で起訴された。
(クマ、山間地の県道で目撃:静岡)
28日午前10時ごろ、掛川市上西郷の山間地でクマ1頭(体長約1メートル)が県道を横切って立ち去るのを住民が目撃した。連絡を受けた市は同報無線で注意を呼びかけた。市農業振興課によると、現場の東約3キロの同市倉真でも25日朝、クマ2頭が目撃されたという。猟友会関係者や自治会役員らが対応を検討している。現場はJR掛川駅の北約10キロ。住宅や小学校などが点在している。
(思わぬ「大猟」に対応苦慮:愛知)
山中での出没情報が頻繁に寄せられたため仕掛けた囲いわなにたくさんのイノシシがかかり、ノウハウや予算のない蒲郡市が対応に追われている。同市神ノ郷町の山林で最初に体重80キロのオスのイノシシ1頭が捕獲されたのが、今月18日。以来、同町や清田町、坂本町などに仕掛けたわな5基に8頭が28日までにかかった。同市にイノシシの目撃情報や被害報告が寄せられたのは2007年末ごろから。それ以前はほとんどなかった。同市に隣接する岡崎市の山間部では、年間200―300頭をわなで捕獲したり猟友会メンバーが撃ち殺している。ところが、両市の境を東西に平行して山間部を国道1号が通っているため、それまでイノシシの進入が阻止されていた。イノシシは通常、捕獲したり撃ち殺したした数の最低3倍程度は生息しているとみられ、地元住民は対策を強化するよう求めている。ところが、畑が荒らされるなどの食害は少ないことから国などの補助対象にならず、協力してもらう地元猟友会メンバーにも限りがあり、対応を求められる市は四苦八苦している。
(キジ、幼稚園児ら放鳥:熊本)
阿蘇市・あそひかり幼稚園の園児10人が29日、同市永草の乙姫鳥獣保護区でキジ15羽を放した。狩猟で減少しているキジを増やそうという県の事業の一環。園児らは、草原の見渡せる高台に立ち、先生や県猟友会会員に手を添えてもらいながら、カゴに入った生後5、6か月の幼鳥を抱えるように取り出して一斉に放すと、キジは青空に元気よく飛び立っていった。園児らは「キジは温かかった」「飛んでいく様子がすごかった」と喜んでいた。阿蘇地域の計16か所でこの日、計150羽が放鳥された。
(迷惑カラス撃退へ本腰:山形)
山形市は11月、市民からふん害などの苦情が出ているカラスについて、飛来数などの調査を本格的に開始する。今後の対策に役立てるのが目的で、来年の2、3月ごろに、カラスの生態に詳しい専門家を招いて講演会を開き、調査結果を報告する。市環境課によると、カラスに関した市民からの相談は、2006年度が5件、07年度が18件、08年度が27件と年々増加。本年度は数件の相談が寄せられただけだが、同課は「被害は恒常化している」と説明する。主な内容は「ふんが多い」「鳴き声がうるさい」「不気味」など。06年ごろは市東部の千歳山周辺で群れをつくっていたが、昨秋ごろに市中心部の霞城公園にねぐらを移したとみられる。周辺ではごみ袋を散乱させるなどの被害が多くなり、地元町内会からは駆除を求める要望書も出された。こうした事態を受け、市は霞城公園をねぐらにするカラスの調査を実施することを決め、業務を日本野鳥の会山形県支部に委託。カラスが集団化する11月から2月まで月2回、同公園周辺で夕方の飛来数や飛行コースを調べて実態を把握し、対策を練る。市環境課は「カラスはカラスよけなどの道具を使っても、頭がいいのですぐに慣れてしまう。確実に効果が上がるという方法はない」と指摘。その上で「カラスの主食は自然の中に生息する虫や小動物。人間が出すごみはデザートのようなもので、食べなくても生きていける。カラスを、ねぐらから直接自然の中に誘導する方法を考えたい」と話している。
(ツキノワグマ激減の理由分かった。東・西・南日本で異なるDNA進化)
国内のツキノワグマが、独自に進化し、東、西、南日本でそれぞれ異なる遺伝的特徴を持つことが、独立行政法人森林総合研究所(茨城県つくば市)などの研究グループの調査で分かった。絶滅のおそれがある西、南のクマは東に比べ遺伝子タイプが極端に少なく、森林伐採などで個体数が少なくなった結果、遺伝的多様性も乏しくなったとみられる。研究グループは「多様性が乏しいほど、病気にも弱くなる。遺伝的にも絶滅の危機」としている。研究グループは、各地で捕獲されるなどした本州と四国の697体のDNAの中の遺伝子を比較。朝鮮半島や中国などとの違いを確認したほか、国内のツキノワグマは、滋賀県の琵琶湖より東側の東日本グループ▽琵琶湖の西側から中国地方にかけての西日本グループ▽紀伊半島と四国の南日本グループ-の3種類の遺伝的特徴に分かれることを突き止めた。東日本では38種類の遺伝子タイプがあったが、西日本は16タイプ、南日本は4タイプしかなかった。東日本を除くと個体数も少なく、国内に生息するとみられる1万5千頭のうち、西日本は千頭、南日本では2、300頭でうち四国は20~30頭程度。生息域も東日本に対し限定的だった。西、南が東に比べて遺伝子タイプが少ないことについては、土地の開墾や森林伐採が早くから進み、生息場所が狭められたため、とみている。山形大学や慶応大学とともに共同研究を行った森林総合研究所東北支所の大西尚樹研究員は「遺伝的な特徴が乏しいほど病気には弱くなり、個体群の絶滅の可能性が高くなる。西、南日本では遺伝子レベルでも危機的状況にあることが分かった。個体数を増やす施策が必要」と話している。

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10/29
(鈴、男子抑え日本一:東京)
クレー射撃の鈴慶子(日立建機)が歴史的な快挙を遂げた。18日まで岡山県クレー射撃場で行われた第62回全日本選手権のトラップで熟練の名だたる男子を抑え、女子選手として初めて頂点に立った。優勝の瞬間、30歳は「言葉にならなかった」と感涙にむせんだ。83選手が出場し、決勝の6人には北京五輪女子トラップで4位入賞の中山由起枝(日立建機)らも残れなかった。鈴のほかは全員が男子。「これまでは参加するだけで男子の戦いというのが自分の中にあった」と言うものの、決勝で粘りの射撃を貫き、指導する元全日本覇者の小幡哲コーチらも抑えて200点(225個)で逃げ切った。射撃歴は12年。中高生時代はハンドボールに打ち込み、大阪・四天王寺高のGKとして全国高校総体で優勝した実力者。反射神経と動体視力を買われ、中山とともに日立建機にスカウトされた。五輪には縁がなく、昨年の北京大会を逃して「引退も考えた」という苦境を乗り越え、一気に飛躍した。今季は甘えを捨て、普段の生活から見直した。道具の手入れも欠かさないようになった。「銃が輝いている。ようやく体の一部みたいになってきた」と笑う。自己啓発に関する本を熱心に読み「集中力が足りない」という弱点も克服した。3年後のロンドン五輪へ思いは強い。「日本一は自信になる。五輪出場権を勝ち取り、メダルを取りにいきたい」。遅咲きのヒロインは目を輝かせた。
(わな猟で農家が自衛:和歌山)
イノシシやシカなどの鳥獣害対策で、わな猟免許を取得する人が増えている。和歌山県内の農作物の年間被害は約3億円。猟銃の狩猟免許を持つ人の高齢化が進む中、農家が自衛に力を入れだした。県も試験料補助などで免許取得を支援している。11月1日に狩猟が解禁される。わな狩猟は県知事の許認可事項。県は年2回、合計5会場で試験をしている。県農業環境保全室によると、2009年度は前年度より73人多い179人が免許を取得した。大半が農家で、50、60代が中心。親子そろってや、高齢の受験者も増えているという。第1種銃猟(散弾銃)免許所持者は約2600人。60代以上が多く、今後数年で急減の見込み。運用の規制が厳しく、一から始めると費用も掛かる。一方、わな猟は銃猟より簡単に取得でき、費用負担も小さい。免許所有者は約1500人で、銃猟より少ないが、イノシシの捕獲割合はわな猟が57%で逆転している。わな猟には、鉄柵などで扉の開いた箱をつくり、餌でおびき寄せる「箱わな」、獣の通り道に仕掛け、足を踏み入れると、バネの力で縛る「くくりわな」などがある。県農業環境保全室によると、わな猟は銃猟より効率がよく、安全性が高い。箱わなの餌を米ぬかで隠しておけば、嗅覚(きゅうかく)の鋭いイノシシだけを捕獲しやすいという。箱わなの費用は約10万円だが、県はグループで設置する農家に半額を補助。市町村によっては独自の補助を加えたり、貸し出したりしている。同室は「鳥獣害対策も地震と同じで、自助、共助、公助が必要。自衛し、集落で協力してこそ効果が上がる。行政も後押ししたい」と話している。県内の野生鳥獣による農作物被害は08年度で3億2665万円。うち約50%をイノシシが占める。県の対策費は年々上昇し、09年度は約5000万円になっている。
(クマ目撃今度は民家前:)
28日午前11時40分ごろ、掛川市上西郷の県道掛川川根線で、車を運転中の同所に住む女性が体長約1メートルのクマを目撃した。市北部での目撃情報は10月に入り3度目。今回の現場は民家が目の前にあり西郷小の通学路も通る。掛川市は29日以降、地区巡回を強化する。近く関係区長や県、猟友会などと対策会議も開く。現場は西郷小から北方約2キロの地点で近くに果樹や畑もある。女性によると、クマは県道を横断し、滝ノ谷川の土手沿いを小走りし、小さな山の方へ消えたという。同市北部では15日に原里、25日に倉真でも、それぞれクマが目撃されている。3カ所の共通点は新東名高速道路の建設現場に近いこと。現場で市職員の説明を受けた西郷地区区長会長の石山勝一さん(64)は「通学路の目の前で心配。道路建設がクマの生息地に影響を与えているのかもしれない」と28日、児童下校の安全確保に努めた。県中遠農林事務所によると、ツキノワグマは絶滅の恐れがあるため県は狩猟自粛を呼び掛けている。ただし、人命に危険が及ぶと判断した場合は有害捕獲許可を出し、猟友会の協力などを得て駆除できる。夜間や、住宅付近で発砲するなどの場合は警察の発砲許可も必要という。県によると、山でクマに遭遇しないためには鈴やラジオ、笛などで人の存在をアピールするなどの対処法がある。近い距離で出合ってしまったら、刺激せず落ち着いて、背中を見せずに後ずさりするなど対処法がある。
(イノシシ集中捕獲へ囲いわな:広島)
大竹市は、イノシシによる農作物の被害を防ぐため、小方地区の山林に「囲いわな」を設置した。繁殖前後のイノシシが移動するルートに当たり、親子連れなどを集中的に捕獲し、イノシシの増加を食い止める狙い。わなは市中心部から西へ約2キロ離れた小方地区の山中に設けた。鉄柵製で縦5メートル、横7メートル、高さ2メートル。イノシシが柵の中でワイヤに触れると扉が落下して閉じこめる。わなから東西へ約100メートルのフェンスをそれぞれ張り、周囲を歩くイノシシを鉄柵へと誘導する。大竹猟友会に運用を委託し、11月から捕獲を始める。猟友会によると、イノシシは1~2月に沿岸部で繁殖し、本来の生息地である山間部とを往復する。わなの設置場所は、その移動ルートに当たる。市は「繁殖前後のイノシシを集中的に捕獲し、個体数の増加を抑えたい」とする。今後4年間、捕獲数や周辺での農業被害などから、わなの効果を検証する。
(通学路にクマ?:広島)
27日午前9時5分ごろ、庄原市立庄原中学校教頭が「通学途中の女子生徒(15)がクマらしいものを目撃した」と市へ届けた。発見したのは同7時半ごろ。同市濁川町の県道バス停付近で、北側の山中を南東から北西へ移動する体長1、2メートルくらいのクマらしい動物を目撃した。県と市、猟友会員らが現地を探したが、足跡などは見つからなかった。市は地元自治会や庄原小学校、庄原北保育所、庄原中学へ注意するよう文書を配布した。

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10/28
(好評!シカの鳴き声鑑賞ツアー:北海道)
千歳市支笏湖温泉の休暇村支笏湖で、道央地域では珍しい体験プログラム「夜のエゾシカ鳴き声鑑賞ツアー」が行われている。暗闇で鳴き声を聞くだけのツアーだが、参加者の評判は「感動的」と上々だ。雄ジカの声に聞き耳をたてるツアー。10~11月の繁殖期だけに縄張りを誇示したり、雌を誘ったりするために独特な鳴き声を響かせるといい、支笏湖ビジターセンター職員がガイドを引き受けている。10月からスタートし、26日までに7回開かれている。25日にも、江別と札幌からの宿泊客14人が参加した。訪ねたのは通称・中モラップ。到着してすぐに「ブフィーヨー」と牛のような鳴き声が響いてきた。低音だ。続いて「ヒィーヨー」。こちらは、かん高い。「牛のような声は縄張りに別の雄が近づいたとき、かん高いのは雌を呼ぶ声です」とガイドが説明した。真っ暗な中での1時間もあっという間。札幌の女性は「すごかった。感動しました」と興奮し、江別の女性は「機会があればまた来たい」と話していた。エゾシカ観察は、道東地域で行われているが、道央ではまだ珍しい。休暇村支笏湖は「参加者はまだ少ないが、予想以上の反響に喜んでいます」と話している。
(増殖するエゾシカを地域の資源に:北海道)
26日早朝、札幌市中央区の中島公園に、1頭のエゾシカが出没した。住民から通報を受けた警察官や札幌市の職員、獣医らが捕獲を試みたが、シカは民家の庭先に侵入するなどして逃走し、付近は一時、騒然となった。シカは昼過ぎに、豊平川河川敷まで移動。河川敷では別のシカ1頭も発見されたが、2頭とも河川敷の林の中に逃げ込み、行方がわからなくなったため、捕獲を断念した。道自然環境課は「エゾシカは豊平川の川沿いをつたって市街地まで来たと考えられる。市街地では猟銃はもちろんのこと、麻酔銃も使用できない。捕獲するには麻酔注射を吹き矢で飛ばすしかないが、射程は5メートル程度で、野生動物にそこまで近づくのは困難だ。10年前までは、札幌近郊でシカを見ることがなかったが、近年は定山渓や野幌森林公園などで見られるようになった。全道で増殖しているエゾシカが札幌まで生息地域を拡大してきている」と分析する。エゾシカは明治初期の乱獲と豪雪により、一度は絶滅の危機に瀕した。ところが、その後の保護政策と天敵だったニホンオオカミの絶滅などを背景に個体数を徐々に回復させ、1990年代に入ると、北海道東部を中心に急増し、93年には道東4管内(釧路・根室・網走・十勝)で生息数は20万頭前後と推定された。エゾシカの増加に伴い、道内では毎年約30億円前後の農林業被害が発生している。近年は、毎年6~7万頭のエゾシカが狩猟や有害駆除によって仕留められているが、狩猟の手間やハンターの減少、暖冬などを要因に、その数は減少するどころか増加の一途を辿っている。現在の推定生息数は全道で52万頭以上とされている。こうした中で、網走市の東京農業大学・オホーツク実学センターは、来月7、8日の両日、紀伊国屋書店札幌本店(中央区北5条西5丁目)1階インナーガーデンで、「エゾシカから学ぶ環境共生と地域産業の連携」と題したパネル展を開く。パネル展は、同センターが取り組むエゾシカ肉や皮の製品化の流れや今後の課題などについて紹介、エゾシカの観光資源としての魅力や増殖による自然環境への影響を訴える。会場では、エゾシカの皮から作った「エゾシカセーム」の販売や、試作中の「エゾシカソーゼージ」の試食も行われる。
(集落最後のマタギ引退:秋田)
上小阿仁村の八木沢集落で暮らす「マタギ」の佐藤良蔵さん(84)が今春、地元の警察署に猟銃を返納し、引退した。村で200年続いた伝統的な狩猟文化の最後の継承者だった。県内のマタギ集落がまたひとつ姿を消す。「証しを残したい」と秋田市で働く息子の良美さん(54)は八木沢マタギを語り継ぐ活動を始めた。上小阿仁村にある萩形ダムから約10キロ、山あいの八木沢集落を訪ねた。良蔵さんが住む木造の家には、クマ、テン、ムササビなどの獣のはくせい、毛皮が飾られていた。毛深く太い指が印象的な良蔵さんは「大物を仕留めると、仲間とバンザイをしたっすな。山の神様からの授かり物だから、神棚にお神酒を供え、肉は集落で分け合った。お祭り騒ぎだった」と振り返る。10代から狩りを始め、これまでの獲物は百を超す。八木沢マタギの始まりは1813年。マタギ発祥の地とされる阿仁根子集落(現在の北秋田市)から若者3人が移り住んだ、と集落に伝わる古文書「先祖代々記」にある。以来、狩猟を生活の中心にしてきた。寒冷地に毛皮を売り、「金の値段」と言われたクマの胆(い)は、貴重な薬として取引された。5代目の良蔵さんには、忘れられない狩りがある。1969年12月中旬、小雪が降る中、良蔵さんは山の頂上付近に7寸(約21センチ)超の大きなクマの足跡を見つけた。翌朝、長男ら若者2人を引き連れ、クマの眠る穴に猟銃の狙いを定めた。待つこと10分、クマが頭を持ち上げた瞬間を見逃さず、発射した。「ウオォォォッ」。クマのうなり声が響き渡った。若者は驚き、近くの松の木に登ったほどだ。実弾は眉間(み・けん)に命中していた。クマは雄で、通常の2倍はある体長約2メートル、体重200キロ超の大物だった。60~70年代には約30戸200人前後が住み、猟や林業で栄えた八木沢も、9戸20人の静かな集落になった。近くの萩形集落にも大勢のマタギがいたが、60年代のダム建設で消えた。上小阿仁村猟友会によると、現在の会員は40年前の1割の15人。伝統的な狩猟者は良蔵さんで最後だ。今年4月、その良蔵さんも渦模様が刻まれた黒い二連発銃を北秋田署に返納した。所持許可証を更新せずに銃を持っていると、銃刀法違反に問われてしまうためだ。目や耳が衰え、重い銃を持って山を歩く足腰ではなくなった。間違えて人を撃ったり、急斜面の山歩きでケガをしたりして、迷惑をかけたくなかった。引退から半年、良蔵さんはときどき、山が恋しくなる。近くでクマを見かけることがあるが、半世紀以上背負った猟銃はもうない。良蔵さんの三男、良美さんは秋田市のタクシー会社で働く。休日は黒いピッケルを背負い、絶滅にひんしている鳥獣の生態を調べている。林業会社を営む長男、次男もマタギにはならなかった。今夏に帰省したとき、良蔵さんの引退を知った。猟の時期は集落が活気づき、子どもは大人から山の豊かさ、怖さを教わった。良美さんは、解体した獣の肉を各戸に配る役目をしていた。「狩りを通して、自然の恵みに感謝して、集落で支え合うことを学んだ。消えるのは時代の流れかもしれないが、何一つ残らずに終わらせるのはさびしい」良美さんは今月15日、良蔵さんが使っていた狩りの道具や毛皮を並べ、秋田市の公民館で「八木沢マタギを語る会」を初めて開いた。今後も定期的に語る会を催し、ゆくゆくは記録集をまとめたいと話している。県猟友会によると、08年度の会員数は2393人。レジャー目的や里山に下りてきたクマの有害駆除が主で、マタギのような信仰や文化としての伝統狩猟者は、北秋田市阿仁地方など、わずかな地域に残るのみだという。

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10/27
(住宅内でライフル弾発見:北海道)
美唄市美唄の市営住宅の一室で、室内にライフル銃の銃弾(長さ3・3センチ、直径7・6ミリ)が1発落ちているのを、住人の無職男性(74)が見つけ、26日に道警美唄署に届け出た。屋根に銃弾が貫通したとみられる穴が開いていたことや、住宅から約2キロ離れた山中でエゾシカ猟が行われていたことから、美唄署はハンターが撃ったライフル銃の弾が外れ、遠く離れた市営住宅の屋根にあたったとみている。発表によると、銃弾が見つかったのは25日午前9時半頃。男性が寝室に入ると、ベッドの上に銃弾が落ちていたという。けが人はいなかった。男性宅は、1棟に2世帯が並ぶ平屋建ての市営住宅。寝室の部屋は、貫通部分の石こうボードが崩れていたという。この住宅から東に約2キロ離れた山中では、24日にエゾシカ猟が解禁されたばかりだった。同署は、住宅がある方向への銃の使用を禁じた狩猟法に違反する可能性があるとみて調べている。
(鳥獣保護区でニホンジカ捕獲:長野)
松塩筑猟友会は25日、増えすぎたニホンジカの農林業への被害を防ぐため、松本市の美ケ原鳥獣保護区でニホンジカの合同捕獲をした。ここ数年、毎年実施しており、今回は会員43人が参加。みな目立つオレンジ色の帽子とベストを着用して、数人でグループをつくり、保護区内の森の中でニホンジカを待ち伏せた。午前9時ごろから始め、昼すぎまでに13頭を捕まえた。大きいものでは100キロを超えるものも。同猟友会は来月8日にも、同じ場所で合同捕獲を行う。
(札幌市街、シカ大捕物:北海道)
札幌市中心部の中島公園に26日早朝、長い角を持った成獣とみられるオスのエゾシカが現れた。警察官や同市職員らが捕獲を試みたが、シカは人や車が行き交う市街地を走って逃走。豊平川河川敷の茂みに追い込むと、そこには別のシカ1頭もいた。午後5時前に辺りが暗くなり、大捕物は終了。今後は、シカが山へ帰るのを見届けるという。札幌南署などによると、最初に見つかったエゾシカは体長約3メートル、角の長さ約50センチ。別のシカはこれより小さいが、いずれも3歳ほどのオスの成獣とみられるという。捕獲活動にあたった獣医師は、2頭が逃げた茂みには新しいフンしかなく、定住しているわけではないとみる。だが、「市街地に慣れていると思われるので注意は必要。自ら川伝いに山に戻るのではないか」と話す。逃げるシカを目撃した同市中央区の主婦(34)は「こんな街中でシカを見るなんて。自然環境の変化で山から下りてきたのでしょうか」と驚いていた。道内のエゾシカは増加の一途だ。道自然環境課によると、全道の推定生息数は52万頭以上で、昨年より約2万頭増えたという。繁殖力が強く年間で2割増える一方、有害鳥獣駆除や狩猟で捕獲されるシカは年7万頭程度にとどまっているためで、各地で農業被害などが相次いでいる。捕獲頭数が伸び悩む背景にはハンターの減少もあり、昨年度、道に狩猟者登録したのは約8600人とピークだった78年の約4割しかいないという。
(シカの飛び出し注意!車との衝突相次ぐ:兵庫)
豊岡市出石町や但東町などの市南東部で9月以降、繁殖期を迎えたシカと車が衝突する事故が相次いでいる。豊岡南署によると、負傷者の報告はないが、車のバンパーやボンネット、ドアが壊れる事故が25日現在で43件起きており、事故が多かった昨年とほぼ同じペース。同署は「山林近くではスピードをあまり出さず、特に夜はシカが飛び出してくることが多いので注意して運転を」と呼び掛けている。同署によると、シカと車の事故は9月に23件、今月も20件あった。国道426号や同482号、県道宮津養父線など幹線道路での事故が目立ち、時間帯は午後7時から午前0時がほとんど。豊岡農林水産振興事務所によると、繁殖期を迎えた雄は行動が活発になり、夕暮れや夜間に出没するのは「人間による駆除や狩猟から逃れるためと考えられる」という。シカの繁殖期は9月以降で、例年10~12月に事故が多発するという。同署のまとめでは、この時期に2007年は59件、昨年も68件の事故があり、年間発生件数の半数近くを占めた。昨年の事故多発を受けて同署は、豊岡土木事務所に注意標識の増設を要請した。同事務所は事故多発地点の出石町暮坂など4カ所に「動物注意」の標識を設置。今後はさらに但東町正法寺など2カ所に増設し、注意喚起を図るという。
(アライグマ県内で野生化?:大分)
全国各地で野生化したアライグマによる農業被害が問題となっている。県内では、昨年度まで野生化したアライグマは確認されておらず、県は西部地域での“水際対策”に力を入れてきた。ところが、今夏以降、臼杵市と由布市の道路で見つかったアライグマの死骸(しがい)は、ペットが野生化して繁殖した可能性があることが分かり、県は警戒を強めている。県によると、死骸は8月3日、臼杵市岳谷の山あいを通る県道臼杵坂ノ市線で見つかった。2匹目は今月16日、由布市庄内町渕の農業地域の市道。いずれも車にひかれたとみている。県景観自然室は「周辺の状況などから、ペットとして飼われていたものが逃げたり、飼い主が捨てたりして野生化し、自然繁殖した可能性がある」と話す。アライグマは北米原産で、ペットなどとして国内に持ち込まれた。1962年、野生化して繁殖しているのが愛知県で初めて確認された。以後、全国で増えている。雑食性で、北海道では2007年、トウモロコシやメロンなどが食い荒らされ、3688万円の被害を受けた。一方、捕獲数も約2300匹に上った。近年は兵庫、神奈川両県などでも多数捕獲されている。九州では、長崎や佐賀、福岡各県で野生化が確認されており、スイカや果樹などが被害を受けている。県は県民にアライグマの情報提供を呼び掛ける一方、西部地域からの侵入を警戒して、昨年は日田市で行政担当者を交えた被害防止対策会議を開催。本年度は同市内のナシ園の近くなどに5台の監視カメラを設置。現在、監視カメラの画像分析を進めている。県は「これまでイノシシやタヌキによる農業被害と考えていたものが、実はアライグマの食害だったという可能性もある。分析や調査結果に基づいて対策を考えたい」と話している。
(イノシシわな、サイズ拡大で自衛)
農作物を食い荒らすイノシシを捕獲するための「くくりわな」の規制を緩和する自治体が増えていることが、日本農業新聞の調べで分かった。現行の鳥獣保護法の定める直径12センチ以内の仕掛けでは、小さ過ぎてイノシシがわなにかからないからだ。直径を広げると、クマが誤ってかかる恐れがあるため、地域や期間を限定して規制を緩めるケースも出ている。わなの直径は、クマの錯誤捕獲を防ぐため、2007年の法改正で12センチ以内と決められた。緩和するには、都道府県が獣種別につくる「特定鳥獣保護管理計画」で変更を定めなければならない。
(上野の下北サル、年度内にも公開:青森)
むつ市脇野沢で捕獲され、4月に上野動物園(東京都台東区)に譲渡されたニホンザル24匹が、本年度内にもサル山で一般公開される見通しとなった。当初、動物園側は公開まで数年を要するとみていたが、現在サル山で暮らしている南方系のサルの群れの移転場所を確保できたため、入れ替えが可能になった。同動物園の伊東員義飼育展示課長は「来年3月までには、下北のサルをサル山に移して展示を始めたい」と話している。

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10/25
(エゾシカ猟が解禁:北海道)
道東地域のエゾシカ猟が24日解禁された。シカの食害による農業被害の抑止を狙いとしたもので、今季は地域によって狩猟期間を来年3月28日まで1カ月延長している。道が見込む適正頭数に抑えるまで捕獲数を確保するのが目的。捕獲効率を上げるため、知事許可の有害駆除を活用し、ベテランハンターをガイドに委嘱して、若いハンターの狩猟教育を兼ねて来年3月に阿寒地区で登録制のボランティアハンターを試行する。今季も雌は無制限だが、雄は1人当たり1日1頭に制限されている。初日の24日は大勢のハンターたちが各地域の山林や牧草地などの猟場に4輪駆動車を走らせ、日の出時刻の午前5時47分(釧路)に合わせて猟銃を取り出し、銃声を響かせていた。
(県立博物館で開催中の企画展:岩手)
県立博物館(盛岡市、菊池慧館長)で好評開催中の企画展「野生動物と生きる~岩手のシカとクマ~」に、気仙から貴重な資料が多数展示されている。この中には、マタギの特徴を示す秘伝の巻物や、実際に使われた火縄銃、鹿皮なめし機なども公開され、五葉山山麓のマタギの風習や生業を知るうえで注目される。同展は十二月上旬まで。マタギは、東北地方で狩猟を主な生業としていた地域集団。山立(やまだち)とも呼ばれ、冬山にクマやシカなどの獣を追った。企画展では、野生動物の生態とともに、それらと深くかかわり暮らしてきたマタギたちの生活と文化にもスポットライトを当てている。展示資料のうち、『山立根本之巻』は、住田町上有住檜山の紺野茂忠さんが所蔵していたマタギの特徴を示す秘伝の巻物。マタギが狩りに行く際に守護として持参し、山の神に対して入山の許可を得ていることを証明する〝免状〟で、マタギだけが所有するものとされている。この巻物には、明治八年(一八七五)に四代前の紺野直治が北海道に渡った時、鈴木増蔵より伝授されたことが記されている。同館の藤井忠志学芸第三課長は「マタギの由来は日光派と高野派に分けられるが、この巻物は両者を合体した内容になっており興味深い」としている。大船渡市日頃市町の休石昭一さん所蔵の「鹿皮なめし機」は、トチノキを土台に使い、垂直に立てた板の先端に金属の刃をはめ込み、獣皮を左右交互に強く引いて皮をやわらかくする道具。今回初めての公開で、関係者は「おそらく県内唯一のものではないか」と話す。同じく休石さん方に伝わる巻物『鹿革故事伝来』は、鹿革にまつわるさまざまな出来事や伝承が記され、鹿革は決して不浄なものではないことが強調されている。実際に火縄銃まつりなどで使われている火縄銃(住田町・紺野一郎さん所蔵)、銃の火薬を携行するのに用いたカヤクイレ、鹿革の財布なども展示され、マタギの暮らしぶりを知る貴重な資料として注目を集めている。このほか、日頃市町の伊藤悦次さんが二十年間にわたって飼育したシカ(ピー太)の落角標本、明治の早期に絶滅したニホンオオカミのはく製(岩手県産のメス、東京大学農学部蔵)をはじめ、シカやクマの迫力あるはく製、骨格標本も展示されている。同館では「人と野生動物との関係について改めて考えるキッカケにしてほしい」と話している。企画展は十二月六日(日)まで。
(ため池から銃弾53発を発見:兵庫)
24日午前10時ごろ、兵庫県多可町中区牧野で、水を抜いたため池の底に弾のようなものが落ちているのを近くの男性(64)が見つけ、西脇署に届け出た。同署員が駆けつけ、散弾銃用とみられる未使用の銃弾53発を確認した。同署の調べでは、銃弾は直径2センチ、長さ6センチの円筒形。この池は農業用で毎年秋に水抜きされるが、昨年は見つからなかったという。同署はこの1年間に不法投棄された銃弾とみて、廃棄物処理法違反容疑で捜査している。
(エゾシカ激増、甚大な農林業被害、急がれる抜本的対策:北海道)
エゾシカが再び激増している。主な生息地の道東では、93年に20万頭と推定されていたが、道が頭数削減に乗り出し、いったんは減少した。しかし再び増加に転じ、さらに大雪山系西側へも生息域を広げ、全道で推定52万頭以上にまで膨れ上がった。「このままでは3~4年で倍増」という推計もある。24日にはエゾシカ猟が解禁され、道東各地では日の出とともにハンターが山へと入っていったが、道は「ハンター頼みの個体数調整では間に合わない」と待ったなしの対応を迫られている。「道東で130プラスマイナス20。02年ごろから増加に転じ、過去最高だった98年と同等に達した。西部地域では300プラスマイナス60。00年の3倍」。5月に札幌で開かれた「エゾシカ保護管理検討会」で示された昨年度の個体数指数に関係者は頭をかかえた。道東地区で被害が増え始めた93年を100とした場合の推定指数。過去最大だった97年(26万頭)の水準に戻っただけでなく、道北と道央の一部を含む「西部地域」は同程度かそれ以上と推定された。さらに道南と道央の一部を含む「南部地域」へも生息域を広げつつあることが示された。雌は2歳から約10年間、毎年1頭の子を産む。減少させるには雌を年間7・6万頭以上捕獲する必要があるが、昨年度は約4・5万頭。捕獲できなかった約3・1万頭など毎年計画通りに捕獲できない分が複利の利子として雪だるま式に膨れ上がり、「利子の決済に追われ、元本返済に手がまわっていない状況」。北海道環境科学研究センターの車田利夫・道東地区野生生物室長は、高利貸に借金した状況にたとえる。21日から3日間、釧路管内白糠町で行われた生息調査でも、初日夜から前年の3倍を超える個体数が確認された。道は24日に解禁された今年度の狩猟で、終期を1カ月延長、3月28日(一部地域を除く)まで繰り下げたが、この程度では農作物被害や森林被害の甚大な自治体にとっては「生ぬるい」としか見えないのが実情だ。昨年度の農林業被害は40億円強。いずれ、かつての年間50億円以上の水準に膨れ上がると言われる。「現行制度にのっとってハンターに個体数調整をお願いし一時的には減少に転じたが、限界がある」。宇野裕之・同研究センター野生動物科長は野生動物対策の難しさを痛感する。抜本的対策に迫られた道はワーキンググループをつくり、新たな方策を探り始めた。最も有力な方策として挙げられているのが個体数調整に携わるプロフェッショナル・チームの創設だ。捕獲に携わる数人の専門家チームが、主に狩猟や駆除を制限されている保護区などで個体数調整をする手法。米国では、野生生物管理と調査研究を行う非営利団体が、オジロジカの個体数管理から繁殖抑制、効果検証も含めて請け負い、ミネソタ州やアイオワ州などで効果を上げているという。具体的には「ナイター」と呼ばれる夜間駆除の実施と消音器の使用が大きい。夜間はシカ類でも至近距離まで接近が可能なため、欧米では合法的に行われている。日本では鳥獣保護法で夜間は撃てないが、今後予定される法改正で動きがあれば大きな前進になりそうだ。また、消音器の使用を禁止されている銃刀法の規制も緩和されるなら、銃声に驚いたエゾシカの分散を防ぐことが可能になり、効率的な捕獲と回収が期待される。専門家チーム創設が急がれる。道は「最低限の費用で最大の効果を上げなくてはならない時期に来ている」という。専門家チームがスタートすれば、国立公園や自然保護区などで個体数調整を主に担当することになるだろうが、他の地域で狩猟を行ってきたハンターの課題も残る。「すみ分け」の調整はもちろんのこと、ハンター養成も重要な問題の一つだ。道内のエゾシカ猟などに参加するハンター登録数は激減しており、04年にはピークだった78年に比べて57%の8847人。年齢も60代以上が4割を占め、高齢化が著しい。新規の狩猟免許取得者は年間300人前後。ヒグマ対策に駆り出されるハンターの減少も深刻で、道は「担い手部会」を創設しハンターの養成を急いでいる。その一方で、可能性も広がる。欧米ではシカなどの狩猟鳥獣肉は「ジビエ」と呼ばれ、特別な日のお祝いの料理として食べられている。シカ肉は脂肪が豚肉の約3割しかなく、鉄分はラム肉の約3倍。健康食としても注目されており、道でも社団法人「エゾシカ協会」が中心となって、ハンティングマニュアルや衛生処理マニュアルを作成し、安全で安心なシカ肉を供給することで「害獣管理」から「資源管理」への転換を急いでいる。
(熊野の住宅地にサル:三重)
熊野市金山町の住宅地で、今月中旬からオスとみられるニホンザル1匹(体長約70センチ)が出没し、保育所に侵入したり、民家の柿を食い荒らしたりと、“乱暴狼藉(ろうぜき)”を働いている。同市は住民に危害を加える恐れもあるとして、今月20日から2か所にオリを設置、熊野署も協力して監視を強化している。同市などによると、サルは今月13日頃から連日、民家の屋根に登り、窓ガラスをたたくなどしているところを目撃されている。人の姿を見てもひるむ様子はなく、爆竹や棒などで脅かさないと逃げないという。20日午後には、金山保育所に窓から侵入。園児を別の部屋に移動させる一方、職員がほうきで追い払ったが、窓越しに園児らに向かって歯をむき出しするなど、十数分間にわたって敷地内にとどまった。威嚇用のエアガンを撃つと、ようやく逃げたという。ほかに、庭先に実った柿が食べられるなどの被害も出ている。同市では、10月に「有害鳥獣追い払い隊」を設置。臨時職員4人が、児童の登下校時にパトロールしたり、出没回数の多い民家などにエアガンを貸し出したりしている。同市が庭にオリを設置した無職久保十九生さん(65)は「爆竹で追い払った翌日、窓ガラスを何度もたたいてにらんできた。脅した報復だろうか。怖かった」と話していた。野生のニホンザルの餌付けで有名な高崎山自然動物園(大分市)の下村忠俊主任は「群れから離れて暮らしているオスとみられ、屋内に餌となる食料があるのを学習したと考えられる。大きな音を出して追い払うのが効果的」としている。

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10/24
(増えるエゾシカ、狩猟解禁:北海道)
今季のエゾシカ猟が24日、一部地域を除き全道で解禁された。生息数の多い道東では、道内外から集まったハンターが日の出とともに山林に入り、獲物を狙った。釧路管内鶴居村では、釧路市内の自営業吉永忠司さん(56)と友人の男性(64)が車で林道を走り、1時間半余りで2、3歳の雄1頭を仕留めた。男性は「3頭を見つけ、そのうちの1頭を狙った。20年近く猟をやっているが、シカはここ数年増えてきている」と話した。道によると、道内のエゾシカ生息数は50万頭以上で、農林業被害額は道東を中心に全道で30億円を超す。食害の深刻化に危機感を抱いた道は今季、一部地域を除き猟期を1カ月間延長し3月28日までとした。捕獲頭数は雄は1日につき1人1頭、雌は2004年度から無制限になっている。
(宇大の里山科学センター開講、鳥獣害対策のプロ養成:栃木)
深刻さを増す鳥獣害の解消を目指して7月に発足した宇都宮大の里山科学センターは23日、同大で「里山野生鳥獣管理技術者養成プログラム」を開講した。40人の受講者は1~2年の履修期間を経て、"鳥獣害対策のプロ"として地域で活躍する予定。プログラムは、文部科学省の科学技術振興調整費事業として県と共同で実施。地域の総合的な鳥獣害対策を計画する「地域鳥獣管理プランナー」と現場指導を行う「地域鳥獣管理専門員」の2種類の技術者を養成する。この日は「野生鳥獣管理の基本」「栃木県の里山の特色」といった講義が行われた。開講に先立ち、同大の進村武男学長は「プログラムの成功は全国のモデルになる。理論・実践両面を学び、対策を実践してほしい」とあいさつした。募集に応じて集まった受講者は、大学院生、市町の鳥獣害担当者や一般県民など。森林インストラクターを務める矢板市の小川知可子さん(56)は「通学路にクマが出るなど、野生鳥獣は身近になっている。専門知識を得たい」と話していた。
(クマ生息地整備へ:福井)
福井県は2010年度、ツキノワグマの生息地を広げるため、点在する保護林をつなぐ「緑の回廊」の創出事業をスタートさせる。保護林間にある荒れた山林を整備することで、ツキノワグマが広域に移動して、餌を確保しやすいようにする。ツキノワグマの生息地環境を整えることで人里への出没が抑えられ、人身や農作物の被害防止につながる。都府県の取り組みとしては初めてという。
(猪突「北進」、イノシシ目撃情報:石川)
23日午前9時ごろ、輪島市熊野町の山林でイノシシとみられる動物を農業男性(53)が目撃した。石川県自然保護課などによると、イノシシが生息する県内の北限はこれまで七尾市とされていたが、今年度は穴水町での目撃情報もある。専門家は生息域拡大の背景として温暖化や里山荒廃を指摘しており、農作物の被害が拡大する中、県は市町との連絡共有を進め、イノシシ撃退法の周知を図る。イノシシらしい動物が目撃された場所は輪島市街地から穴水町方向へ約7キロの山間部。男性が市道を車で走行中、体高が人間の腰ほどで大型犬より大きな動物を見つけた。イノシシとみられる動物はしばらく男性と目を合わせた後、林の奥へ走り去ったという。男性は「とにかく驚いた。とうとう輪島にも来たかという感じだ」と話し、同町の区長を通じて住民に注意を呼び掛けた。県などによると、温暖地に生息するイノシシは積雪に弱いため、寒冷地では大半が淘汰(とうた)される。かつては日本海側の北限は福井県とされ、20年ほど前から石川県内でも捕獲が目立つようになった。今年6月には穴水町で「イノシシを見た」との情報が寄せられており、県では「予想以上のスピードで北上している」(同課)と驚きを隠せない。県内の水稲を中心とするイノシシの被害額は旧山中町(現加賀市)で被害が初確認された1999年度に44万円(被害面積99アール)だったが、2007年度には1191万円(同1984アール)と過去最高となった。捕獲数も年々増加し、昨年度は10年前と比べて約20倍の1013頭(駆除302頭)を数える。県白山自然保護センターの林哲研究主幹によると、農林業の衰退で人の手が入らなくなった中山間地はイノシシにとって絶好の生息場所となる。近年の温暖化で降雪量が減り、幼いイノシシでも容易に越冬できるようになり、個体数増加も分布拡大に拍車を掛けているという。林氏は「イノシシの北上を止めることは難しい。中山間地の農林業を重視する政策を実施する必要がある」と指摘する。23日に金沢市の県農業総合研究センターで県が開いた鳥獣被害防止対策研修会では、イノシシ対策がテーマとなり、関係者約90人が生態と効果的な対策法に理解を深めた。県では猟友会や各市町との連携を強化し、農家に電気柵や中古漁網の設置による自衛策などを周知していく。
(有害鳥獣駆除、県から市に権限委譲:沖縄)
石垣市病害虫防除協議会(会長・大浜義明市農政経済課長)は、23日午前10時30分から市さとうきび生産振興対策室で第4回協議会を開き、今月26日から11月末までの間に野その共同防除を行うことを決めた。また、県から市に有害鳥獣駆除の権限委譲が行われ、イノシシやカラスなどの駆除が迅速に出来るようになったことが報告された。有害鳥獣駆除の権限委譲は、県が市の有害鳥獣被害防止計画を認め、ハシブトガラス、イノシシ、カモ類、キジ、キジバト、バン、インドクジャクの駆除に限り権限を委譲した。これまで、これら有害鳥獣の駆除は、市で駆除申請を受け、県八重山事務所、本庁と書類が回り、許可までかなりの時間を要していた。だが、許可権限が市に委譲されたことで、市長の決定で駆除が出来ることから被害農家などからの駆除申請を受け、最短で同日中に駆除が可能となった。駆除には、市鳥獣被害対策実施隊として市職員や県猟友会八重山支部が当たることになる。一方、野その一斉防除は、これまでのヤソジオンに代わりクマリンを使用。購入はJA購買窓口で行い、石垣市が15%、石垣島製糖が10%補助する。対象は、畜産や水稲などを含めた全農家となっている。協議会では、このほかに、平野、平久保地域を中心にイノシシ被害が拡大していることが報告され「野その駆除剤を投薬する際に、しっかりほ場の回りを見てほしい」と要望された。また、「自分のサトウキビは商品だということを自覚し、自分自身でしっかり肥培管理してほしい」との要望も出された。

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