<射撃ニュース11月>

11/12
(銃暴発、検査で隠す:福島)
浪江署が今年4月、管内の住民が所有する散弾銃の検査をした際、男性署員が銃に弾が装てんされていることに気付かずに引き金を引き、暴発させる事故を起こしていたことがわかった。弾は床に当たりけが人はなかったが、検査の責任者だった同署の係長らはこの事故を県警に報告していなかった。銃刀法は銃と弾は使用時以外は分けておくよう定めており、県警監察課は同法(所持携帯制限、発射制限)違反の疑いがあるとみて調べ、関係者の処分を検討している。県警などによると、検査は4月15日午前9時から午後3時ごろまでの予定で、浪江町内の福祉施設「サンシャイン浪江」1階会議室で行われた。浪江署刑事生活安全課の生活安全・少年係長(警部補)を責任者に警察官計4人が検査していたが、このうち1人の男性署員が散弾銃の検査で引き金を引いたところ、本来は抜いてあるはずの弾が装てんされており、1発が暴発。会議室の床のカーペットに当たった。周囲には警察官のほか、検査を受けに来た人が2、3人いたが無事だった。事故後、係長らはカーペットにあいた穴(縦約4センチ、横約2センチ)を液体のりで埋め、ガムテープを張って隠していたという。係長は他の署員らとともに、この事故について同署に報告しなかったが、9月に県警に情報が寄せられて発覚。係長は自宅待機中という。暴発した銃を所有する男性は50年以上、猟銃を所有しているといい、毎日新聞の取材に「私が弾を抜き忘れたが、(署員が)確認すれば起きなかったことだ」と話した。散弾銃の所有者は銃刀法に基づき毎年1回、地元の警察の検査を受ける。自宅での管理状況の確認などのほか、銃に違法改造などがないかチェックされるが、その際は弾は装てんしないよう定められている。また、県警は検査の際に弾の有無をチェックするなどの検査マニュアルを定め、各署に事故防止を指示している。県猟友会の関係者は今回の事故について「基本的なミスとしか思えない」と話している。
(警官、銃で頭撃ち死亡:千葉)
11日午前9時ごろ、千葉県警浦安署内で同署地域課の佐瀬達也巡査長(41)が倒れているのを、同僚の男性警察官(28)が見つけた。拳銃で頭を撃っており、約1時間半後に死亡が確認された。現場の状況から、同署は自殺したとみて調べている。浦安署によると、佐瀬巡査長は同署3階の建物外にある非常階段の踊り場で、壁にもたれて座り、足を伸ばした状態だった。腰とコードでつながれた拳銃が落ちていたという。佐瀬巡査長は地域課舞浜駅前交番勤務で、同日は泊まり勤務のため署に出勤。午前8時40分に拳銃を保管庫から出したが、約10分後の点呼の際に姿が見えなかったため同僚らが署内を探していた。遺書は見つかっておらず、目立った借金や、変わった様子も見られなかったという。
(「吾妻の白猿」2頭をカメラがとらえる:山形)
山形・吾妻連峰に生息する白サル「吾妻の白猿」は、山形・米沢市の特別天然記念物に指定されている。同じ群れで生活する2頭の白サルをカメラがとらえた。今回撮影に成功したのはオスの白サル「白天」と「いく」の2頭で、10日午後2時過ぎ、米沢市関地区で群れの中にいる姿をとらえた。「白天」は母ザルとくっつきながら田んぼを走り回り、「いく」は餌を食べるなどしていた。地元で観察している白猿会によると、「白天」は09年5月に生まれ、「いく」は07年5月に生まれたとみられている。75年から西吾妻で目撃された白サルは、「白天」で19頭目となる。この群れでは、「白天」も含めて7頭の白サルが生まれているが、2頭が一緒に生活しているのは珍しいという。
(エゾシカの皮も活用、札幌で展示・販売会:北海道)
道内各地で個体数が増えて農林業に多大な被害を与え、「害獣」とさえいわれるエゾシカ。食肉向けに利用が広がりつつある一方、シカ皮は大半が廃棄されているのが現状だ。そこで、シカ皮の良さをPRしようと、札幌市内の革製品工房4カ所が連携し、シカ革を使った多彩な製品を集めた初の合同展示・販売会を札幌市内で開いている。札幌市中央区の狸小路8丁目、鞄(かばん)工房「日下公司(くさかこうし)」店内で開催中の展示・販売会には、エゾシカ革を加工したバッグや靴など20点以上が並ぶ。価格は牛革製の類似品よりも3割ほど安く、靴べらやティッシュケースなど小物を中心に売れている。
(駆除されたシカ肉を犬のえさに:三重)
伊賀市山畑の農林業中森秀治さん(55)が、田畑を獣害から守るため、駆除しているシカの肉を使ったドッグフードを開発した。12月に販売を始める予定で、中森さんは「廃棄処分されてきたシカ肉の有効利用につなげたい」と話している。開発したのはシカ肉のジャーキー「えこばんび」。中森さんが経営する有限会社「芭蕉農林」の事業の一環として、市内で駆除されたシカのロースやもも肉を乾燥して作った。地元猟友会に所属し、県の鳥獣保護員も務める中森さんは、駆除したシカが利用されず処分されていることに着目し開発に取り組んだ。犬の健康を考え、味付けせず添加物も使っていない。「シカ肉は脂分が少なくてヘルシー。自分と近所の人が飼う犬に試してもらったらよく食べた」と手応えを話す。妻で元児童相談所職員の律子さん(55)の発案で、伊賀、名張両市の障害者福祉施設で商品の受注や包装などをしてもらうことも計画。1袋100グラム入り5、600円ほどで販売する予定だ。市によると、昨年度に市内で駆除されたシカは246頭。田畑の獣害被害は推計で100ヘクタールに上る。中森さんは「収穫前の農作物や植林した苗木が食べられ、多くの農家が悩んできた。内臓などを活用した肥料作りも目指したい」と話している。
(シカ肉コロッケ人気:三重)
三重県大紀町の野原地区で、農家を悩ますイノシシやシカの肉を活用したメニューが好評だ。イノシシ肉を使った「ぼたん丼(300円)」とシカ肉を使った「鹿ちゃんコロッケ(3個100円)」は、珍しさに加えて獣特有の臭みがないのが特徴。販売日の土曜日には、各100個が数時間で売り切れる人気ぶりだ。むら興しを進める住民組織・野原村元気づくり協議会の女性メンバーが、同地区にある廃校になった旧七保第一小学校の給食室で調理する。販売もその場で行い、教室内で食べることもできる。メニュー開発には、獣害を逆手に取り、地域の特産品を作りたいという願いがあった。ぼたん丼は牛丼風の味付けに、コロッケはプレーンとカボチャ味の2種類を作り、食べやすい商品を目指した。原料の肉は、地元の猟友会が捕獲したものを無償で引き取り、一晩じっくり煮込むことで臭みを取る。丼の米は、メンバーが遊休地で栽培した「コシヒカリ」を使っている。旬の地産食材を盛り込んだ「げんき弁当(400円)」も好評。同協議会の鳥田陽史会長は「新しい特産開発で野原地域のPRにつなげたい」と期待する。
(シカ肉料理、脂少なく赤身に味わい:兵庫)
外見の愛らしい印象から、また食肉としてのなじみのなさから、あるいは宗教的な面から、この素材に違和感を持たれる方もいるかもしれない。筆者はそれに異を唱えるものではない。違う角度から取り上げる。まずはデータを。2007年度、シカが農作物に与えた被害は全国で約47億円。イノシシの約50億円に次ぐ。稲や麦類など、被害は広範囲に及んでいる。深刻な状況を受けて昨年、鳥獣被害防止特措法が施行され、市町村の対策が後押しされることになった。さくの設置や捕獲など、各地で取り組みがなされている。さて、捕獲した鳥獣をどうするか。シカはフランス料理などでジビエとして重宝される食材。国内でも食用に供するため処理施設を作ったり、シカ肉料理の講習会が開かれるなどの動きが出てきた。「ただ埋めるというのでは、猟師さんだって苦痛です。有効利用して初めて、猟師さんもやりがいを持てるのでは」兵庫県伊丹市のイタリア料理店「アントン」オーナーシェフ、中村明さん(58)は今春から何点か、シカ肉料理を出している。実は兵庫県は、シカによる被害額が全国でも有数。1億8000万円を超える。中村さんは兵庫県佐用町の猟師さんと知り合い、佐用町に赴いたり店に招くなどして知識を深めた。作物をやられた、里までシカが降りて来る、などの話を現地の人から聞いた。「調べてみると日本全国でそういう話がある。自給率は低いのに、せっかくの肉を食べないのはもったいない。ニホンジカは脂がなく、さっぱりしておいしい」いま、シカ肉は佐用町のほか、兵庫県丹波市のシカ肉処理加工・販売会社「丹波姫もみじ」から仕入れている。この会社、実は丹波市の元産業経済部長などとして鳥獣被害対策にかかわってきた柳川瀬正夫さん(60)が、役所を早期退職して設立した。「シカによる農作物被害の苦情はどんどん増えました。スギやヒノキの植林で野生のシカのすみかがなくなった。田んぼが耕作放棄地になって荒れ、シカやイノシシの隠れ場所になっています」(柳川瀬さん)。つまり、生態系が乱れているといわなければなるまい。戻すには、方策と時間が必要になる。「シカを焼却すると、1頭2万円ほどかかる。食肉として有効利用できないかと思った」さて、「アントン」に戻って中村さんの料理を。確かに脂がほとんどなく、赤身の味を味わえる。ロースステーキは臭みがなく柔らかい。サンショを入れた中村さんの独創的なソースが、あっさりした肉の味わいを引き立てる。スネ肉など硬い部分を煮込んだシチューは、さくりとナイフが入る。驚きの皿はシカ肉のスモーク。肉のしっとり感とうまみに煙の香りが加わり、やみつきになる。「消費の機会を作りたい」とシェフ。乱れた生態系を戻す機会にもつながるのだろう。
(サルの姿、とらえた:茨城)
古河、坂東両市や境町などで今年5月ごろからサルの目撃情報が相次いでいた騒動で、日本野鳥の会茨城支部幹事の一色安義さん(71)=古河市長谷町=が11日、自宅近所の一向寺付近でこのサルをビデオカメラに収めた。一色さんによると、同日午前7時ごろ、2階の窓から野鳥観察のため樹木を見ていたところ、道路を横断しようとするサルを見かけたという。ニホンザルと見られ、体長は50~60センチ、雄とみられるという。一色さんは「警戒心が強く、30秒ほどで寺境内の樹木に逃げ込み姿を消した」と話している。古河市役所によると、サルの目撃情報は今年5月半ばごろから寄せられ始め、8月にも市内5カ所で情報があった。今月に入ってからは、10日昼すぎ県立古河第二高付近でも目撃されたという。今のところ、人への危害や農作物被害の報告はないが、市は、出没した地域に広報車を出し「危険なのでサルに近づかないように」と呼びかけている。

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11/11
(シカ食害にオオカミの尿、米国製商品が販売好調)
シカやイノシシによる農作物の食害防止用に、オオカミの尿を使った米国製商品「ウルフピー」の販売が好調だ。主に農家が購入。輸入元の「エイアイ企画」(東京)によると、販売は右肩上がりで、月約600本の売れ行きという。哺乳(ほにゅう)類が天敵オオカミのにおいを嫌がる習性を利用。成分はすべてオオカミの尿で、ろ過してある。自然を破壊せず、動物も傷つけないのが特徴だ。長野、山梨両県では、代理店「長野味えさ販売」が平成18年ごろから、農協を通じ農家に販売。担当者は「今年は前年の2倍の売れ行き」と話す。稲作農家ではシカが稲を食べたり、踏みつける被害が多発していたが、側面に穴が開いた10ミリリットル入り容器を農地の周囲に約8メートル間隔でぶら下げると、被害がなくなったという。標準価格は340ミリリットルで8500円、3.8リットル入りは約8万円。
(押収した拳銃は“竜馬愛用”:高知)
その拳銃、捨てたらいかんぜよ―。幕末の志士坂本竜馬が寺田屋事件で難を逃れるのに使ったとされるものと同型の銃を高知地検が11日までに押収。「歴史的価値がある」として廃棄を免れ、歴史博物館「青山文庫」(高知県佐川町)で保管されることになった。米国スミス・アンド・ウェッソン社製のモデルナンバー2。1860~70年代に製造された6連発の回転式で、県内の民家で見つけた住人が2007年、高知県警に届け出た。通常は廃棄処分などになるが、高知地検が青山文庫の松岡司名誉館長(66)に相談。法務省の許可を受け、7月、異例の保管が決まった。目下の悩みはいかに安全性を確保するか。銃には発射能力があり、松岡名誉館長によると「2重の鍵付きガラスケースで厳重に保管することなどを検討中」で、今月20日から29日まで一般に公開される。
(箱形拳銃所持、被告に懲役3年:岡山)
箱形拳銃など特殊銃を隠し持っていたとして銃刀法違反罪に問われた玉野市山田、建築業、小野田敏被告(55)の判決公判が10日、岡山地裁であった。磯貝祐一裁判長は「拳銃への興味や護身目的で所持したいと思った動機に酌量の余地はない」と述べ、懲役3年(求刑同4年)の実刑を言い渡した。判決などによると、小野田被告は08年2月20日、自宅に箱形拳銃2丁とペン型拳銃1丁、実弾5発を隠し持っていた。
(「鴨池」にカモ続々飛来:福井)
朝晩の冷え込みが日ごとに増し、秋から冬へ季節が移ろいゆく中、坂井市三国町加戸の大堤(通称・鴨池)には、例年通りカモが続々と飛来し、越冬の準備をしている。10月上旬に「みくに鴨池を守る会」の阪本周一会長(74)=同町宿2丁目=が、ヒドリガモやオシドリなど約720羽を確認。現在は約12種類1千羽以上が〝投宿〟しているという。10日はマガモやヒドリガモが、のんびりと水面(みなも)を漂ったり、浅瀬で羽の手入れをする姿が見られた。阪本会長によると、カモは夜行性で、夜には坂井平野や九頭竜川で雑草、水生昆虫を食べるという。12月入ると、さらに数が増えてピークの1月には3千羽を超える。繁殖のため、カムチャツカ半島などに渡る来年3月末ごろまで見ることができる。

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11/10
(小豆島で初、野生のイノシシを捕獲:香川)
イノシシは生息していないとされていた小豆島(香川県)で9日、野生のイノシシが初めて捕獲された。これまでの目撃情報が裏付けられたことから、今後、本格的な獣害対策などの取り組みが求められるようになった。イノシシが捕獲されたのは小豆島町赤坂の国道436号沿いで、民家から約20アールの小さなオリーブ畑を挟んだやぶの中。オリーブ栽培者の依頼を受けた、同県猟友会小豆支部が仕掛けたわなに体長113センチで体重は約60キロのメスがかかっていた。オリーブ畑はイノシシが掘り返した跡が一面に確認されており、これまでに6頭の目撃情報があった。近くの国道では今年3月、乗用車とイノシシの衝突事故も発生している。同町農林水産課では農業被害だけでなく人にも危険なイノシシが実際に捕獲されたことから「知識の習得やワナ資格の取得など、具体的な対応をする必要がある」と話している。
(森林荒らすシカ、食肉に:静岡)
伊豆市商工会は狩猟などで捕獲したシカを「イズシカ」と命名し、行政と共同で地場のシカ肉のブランド化を目指している。8日には市内で試食会などを開き、市民の関心を引きつけた。同市の天城山系でシカが急増、シカの食害のため森林の荒廃が進んでいる。市によると伊豆半島全域のシカ生息数は推定2万数千頭。07年までの60年間、雌ジカの捕獲が禁じられ繁殖が進んだことが大きく、生態系のバランスを崩した。県の調査では、同地域のシカの推定生息数は03年には1万4000頭だったが、06年度には2万頭に増加。1平方キロ当たりの生息密度は06年度に26頭になり、環境に影響を与える密度(5頭以上)を大きく上回った。伊豆市の観光名所である達磨山(だるまやま)の散策路沿いの樹林も樹皮を食い荒らされて枯れる被害があった。天城山系を抱える同市商工会天城湯ケ島支部はシカ肉を低カロリーで低脂肪の食材として着目。中小企業庁から800万円の補助を受け「伊豆シカブランド創生委員会」(高山弘次委員長)を5月に発足させた。6月には「イズシカ」と名付け、ブランド化戦略を始動。市は来年度、食肉加工センターを建設する計画だ。同市にある天城ドームで8日開かれた食の祭典「ホリデーイン伊豆」(国文祭実行委員会など主催)では、長野県茅野市のフランス料理店「エスポワール」のオーナーシェフ、藤木徳彦さん(38)を招き、ステーキなどのシカ肉コースを希望者84人に振る舞った。試食した伊豆市門野原、保育士、小森史乃さん(26)は「ソースがしっかりとして食べやすい。伊豆の名物になるのでは」と話した。ハンバーグとステーキの調理を実演した藤木さんは「70度の低温でじっくり焼き上げるとぱさつかない」と、こつを伝授した。
(シカ肉を使った「もみじ丼」:宮崎)
宮崎県のJA延岡と協力してシカ害対策に取り組んでいる延岡地区森林組合は、延岡市であった「第4回のべおか中州まつり」で、シカ肉を使った「もみじ丼」を振る舞った。2時間かけて、じっくり煮込んだシカ肉を砂糖、しょうゆ、酒、塩などで味付けした特製丼。米は、JA延岡が「まいひかり」90キロを提供した。ほとんどの人が初めて食べる「もみじ丼」だったが、「おいしい」を連発。用意した500食は瞬く間になくなった。予想以上の反響に同組合は「シカ料理をもっとPRしていきたい」とシカ害対策活動に積極的な姿勢を示している。まつり会場では、市内小・中学生を対象に公募した「地球環境ポスター」展の表彰式もあり、JA延岡組合長賞に選ばれた岡富小3年の伊藤晃介君ら9人に賞状や記念品が贈られた。また、このほど2日間、中町通りでは県北地区の地場産品を集めた物産展「のぼりざるフェスタTogether2009」が開かれた。JA延岡が米消費拡大アンケートを行った。
(保護難航、サル騒動続く:愛知)
名古屋市内を東から横断し、港区の金城ふ頭にまで行き着いたサルは10日朝、前夜に仕掛けられたワナのサツマイモを食べた上で、追い込まれていた倉庫から脱出。再び保健所員や警察官から逃げ回った。距離からして山まで自力で帰るのは難しそうで、7日の名古屋入りから続く保護活動は難航している。サルは9日午前11時半ごろ、名古屋港管理組合が管理する金城ふ頭の倉庫「A号上屋(うわや)」内に逃げ込んだことが確認された。東山動物園の職員が麻酔銃を持って駆けつけたが、建物の構造の問題で銃が使えず、網に追い込む作戦もうまくいかなかった。夜になり、わなで捕まえる作戦に変更し、港保健所は倉庫内にえさをつるした5つのおりを設置した。しかし10日午前8時に、保健所員らがおりをチェックすると、1カ所のおりでサツマイモが食べられ、大量のふん尿だけが残されていた。おりはえさをつかむと、鉄製の重い扉が閉まる仕掛け。閉じ込められたサルは内側から両手で扉を持ち上げてわずかなすき間をつくり、体をねじ込むなどして逃れたらしい。港保健所生活環境課の伊藤靖之課長は「野生のサルの捕獲にも使えるおりで想定外。相当、力があり、賢いようだ」と頭を悩ます。このサルは7日から天白区や瑞穂区などの住宅街に出没。参拝客が集まる熱田神宮にも姿を見せた。直線距離で約20キロも市街地を移動している。目撃した熱田区の会社員男性(33)は「屋根や電線、陸橋の欄干を器用に伝ってJRの線路を越えていった」と驚いた。サルは10日午前10時ごろ、棒を持った警察官や報道陣らが取り囲む中、屋根の上を走り、はしごをつたってA号上屋から抜け出た。一帯には物流会社の倉庫が密集。頻繁に往来するトラックやフォークリフトをよそに、フェンスを昇り降りして複数の施設や公園を走り回っている。逃走中のサルは、経路からみて愛知県東部の三河山間部にいる野生のニホンザルで、群れから離れた雄の「離れ猿」の可能性が高い。東山動物園(名古屋市千種区)によると、ニホンザルは群れで生活し、子どもを育てる。雄は成熟する4歳くらいになると、近親交配を避けるために群れを出て離れ猿になる。離れ猿は山にいる別の群れを探して仲間入りするのが普通だが、今回は道を間違って名古屋市内へ来てしまったようだ。「今は実りの秋。民家の柿やクリにも誘われたかもしれない」。動物園の小林弘志園長は推測する。しかし、サルは今回の騒ぎで驚いてしまっている状態に。現在は「旅」をしているわけでなく、ひたすら「逃げ回っている」との見方が有力だ。東山動物園では10月にニホンザルが逃走。この時は雌だったうえに、飼育されたサルだったことから、東山動物園の群れに戻りたいという気持ちが強く、遠くへ行ってしまう恐れは少なかった。山のない港へ追い込まれた今、サルが自力で自然に帰るのは難しそうだ。小林園長は「サルと目を合わせたり、大きな声を出したりしないで。おなかがすいているはず。食べ物を持った子どもは特に注意してほしい」と呼びかけている。
(犬猿の仲使いサル退治:三重)
里に下りてきて農作物を食い荒らす野生のサルを追い返す「モンキードッグ」の訓練会が9日、名張市で始まった。農作物被害に悩まされている名張市と奈良県宇陀市がつくる「宇陀・名張地域鳥獣害防止広域対策協議会」が実施。両市から11人12頭の講習参加の申し込みがあり、初日は11頭が飼い主とともに参加した。順調にいけば来年度には活動が始まる。名張市と宇陀市には名張A群と名張B群の二つのニホンザルの群れがあり、100頭近くが生息。年間100万円以上の被害が出ているという。人になれてきたこともあってロケット花火などで追い払うのが難しくなってきており、新たな対策が求められていた。同協議会は全国的に導入事例が増えつつあるモンキードッグに注目。今年3月に専門家を招いて研修会を開くと関心が高く、約100人が集まった。モンキードッグは、サルが出てきた時に畑や山に放すため、(1)サルを追いかける(2)飼い主が命令すれば確実に戻ってくる(3)人に絶対に危害を加えない――などの能力が必要で、事前の訓練が重要。そこで協議会が訓練会を企画し、参加を募ったところ両市合わせて11人から申し込みがあった。先月末には、人やにおいへの反応などを調べる適性予測テストを実施。参加した犬は00年生まれから、今年生まれまで、種類もボルゾイ、ダルメシアン、甲斐犬など様々だ。訓練は三重碇警察犬訓練所(伊賀市)の碇良博さんが担当。初日は飼い主が犬を連れて歩き、碇さんが助言した。訓練は毎週1回2時間、来年3月末までの予定で、訓練費は協議会が出し、犬の飼育に日頃必要なお金は飼い主が負担する。所定のテストや実地訓練に合格した犬には、認定式をする。実際に活動する際には住民に理解を広げることも課題になるという。名張市青蓮寺でぶどう園を営む栢本健司さん(47)は、朝夕パトロールをして爆音機や花火で追い払っているといい、訓練を聞いて参加を決めた。「犬でうまくいくなら、やってみたい」と話していた。

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11/9
(コンビニ強盗相次ぐ、銃?や刃物で脅す:福岡)
9日未明、福岡市と福岡県大牟田市のコンビニエンスストアから「強盗にあった」と110番通報が相次ぎ、県警は強盗事件で捜査している。県警によると、9日午前4時ごろ、大牟田市日出町3丁目のローソン大牟田日の出町店で、男が店内にいたアルバイトの男性店員(19)に後ろから近づき、拳銃のようなものを突きつけ「撃つぞ、金を出せ」と脅し、レジから現金2万9千円を奪って逃げた。男は年齢50~60代くらいで、身長約160センチ。灰色の帽子にめがねをかけ、白いマスク、黒いジャンパーと長ズボンを着ていたという。福岡市博多区冷泉町では同日午前4時11分ごろ、セブン―イレブン博多冷泉町店で、男が男性店員(25)にナイフを突きつけ「金を出せ」と脅してもみ合いになり、店員は左手に約8週間のけが、男は逃走した。約20分後に現場から約600メートル離れた路上で緊急配備中の警察官が不審な男(34)を発見し、博多署が強盗致傷容疑で緊急逮捕した。

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11/8
(イノシシ被害、青梅北部の山間部で深刻化:東京)
青梅市北部の山間部で、イノシシによる農作物被害が深刻化している。市は地元の猟友会に駆除を依頼しているが、4~9月の出猟回数は71回で前年同期の2倍近く。農作物の被害額は約29万円に達した。市農林課などによると、イノシシが多数出没しているのは、同市北部の小曽木、成木、富岡、今井の各地区。夜になると山から下りてきたイノシシが民家近くの畑に現れ、カボチャ、ダイコン、サツマイモ、トウモロコシなどの農作物を根こそぎ食い荒らしていくケースが増えている。市では昨秋、人里近くに出没した親子連れのイノシシのうち、親イノシシのみを駆除したことが増加の一因と分析。残された子イノシシが山奥に戻らず、親から人間に対する警戒心を教わらないまま、しきりと人里に出没するようになったと考えられるという。市から駆除を依頼されている東京都猟友会青梅支部のメンバーは月に平均約10回、猟に出る状態が続く。佐々木善松支部長は「安全確保を最優先しながら、事故が起こらないよう慎重に駆除を実施していきたい」と話している。
(住民が鳥獣被害防止の電気柵を設置:富山)
8日、クマやイノシシなど鳥獣による作物被害を未然に防ぐ為に、きょう、朝日町では、地区住民が主体となって管理する電気柵が設置されました。イノシシなどの作物被害が相次ぐ朝日町の山崎地区では、先月から山間部に全長8キロメートル電気柵を住民自らの手で設置していて、8日も住民20人が参加して作業が行われました。全国的に電気柵は自治体が設置するケースが多く、その一方で、設置後の補修や維持管理が十分にされていない事などが問題となっています。山崎地区では、問題を解消するために、地区内の全世帯から毎月100円の協力金を集め、来年1月から地区住民が電気柵の維持管理を行うことにしています。今後、同じく朝日町の宮崎地区と境地区でも、住民が電気柵を設置し維持管理していく予定です。
(立山の登山道でクマの目撃情報:富山)
8日、北アルプス・立山の登山道で、クマ一頭が目撃されました。警察で登山者に注意を呼びかけています。上市町警察署の調べによりますと、8日午前11時30分頃、立山町芦峅寺・千寿ケ原(標高 約620m)、材木坂登山道で、全長およそ1mの成獣と見られるクマ1頭が目撃されました。警察などは、登山道に立て看板を設置し、付近をパトロールして登山者に注意を呼びかけています。
(逃走サル、熱田神宮へ:愛知)
名古屋市東部で7日、住宅街に出没したサルは市内を西へと横断し、午後2時すぎに、七五三でにぎわう熱田神宮(熱田区)に入り込んだ。サルは神宮の本宮付近に姿を見せた後、敷地内の林の中に身を潜めている。この日は午前9時ごろから天白と昭和、瑞穂、熱田で次々と目撃情報が警察に寄せられた。すべて同一のサルとみられる。人を襲ったとの報告はない。最初に目撃された天白区一本松周辺からの移動距離は直線で約7キロ。途中には、河川や幹線道路、名古屋高速道路の高架があったが、サルは電線や橋の欄干、民家の屋根を伝いながら移動していた。熱田区三本松町で目撃した男性会社員(33)は「器用に電線の上を渡ってJRの線路を越えて神宮内に入っていった」と話した。熱田神宮では、熱田署員約10人が捜索を行い、本宮北西の林の中にサルがいることを確認。日没で中断し、8日朝から熱田保健所と共同で捕獲作業に当たる。東山動物園(千種区)の飼育担当者は「三河地区の山間部にいる野生のニホンザルではないか」と推測している。

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11/7
(用水路でイノシシ大暴れ:新潟)
7日午前7時ごろ、新潟県長岡市上富岡の用水路内で、イノシシが暴れているのを近くの人が見つけ、長岡署に通報した。イノシシは約2時間、用水路内を逃げ回ったが、地元猟友会が銃で駆除した。同市危機管理防災本部によると、イノシシは体長約120センチ、体重約60キロのメスの成獣。3~4歳くらいとみられる。
(横浜市街地で組員が発砲、直後に自殺:神奈川)
6日午後2時半ごろ、横浜市南区吉野町3丁目の不動産仲介業「オーダイ住販」の応接室で、指定暴力団稲川会系組員の林賢二容疑者(62)=住所不詳=が、話をしていた職業不詳、原晃一さん(64)=横浜市港南区=ら男性3人に拳銃で発砲し、偶然通りかかった警察官が通報した。原さんら3人は腹や首を撃たれて重軽傷を負った。林容疑者は直後に自分の頭を撃ち、まもなく死亡した。神奈川県警は殺人未遂と銃刀法違反の疑いで、容疑者死亡のまま書類送検する方針。県警によると、撃たれたのは原さんのほか、不動産業加藤利一さん(58)=横浜市南区=と、同加藤一郎さん(69)=横浜市泉区。林容疑者は3人との間で金銭トラブルを抱えており、4人で話し合っていたとみられる。林容疑者と3人は同日午後、「部屋を貸してくれ」とオーダイ住販を訪れたという。4人は事務所の奥にある応接室で話し合っていたが口論となり、林容疑者が持っていた回転式拳銃で発砲。3人が事務所を逃げ出した後、林容疑者が「おれは死んでやる」と叫び、直後に銃声が聞こえたという。同日午後4時すぎ、捜査員が応接室に入ったところ、林容疑者が頭から血を流して倒れていた。事務所内には、ほかに女性1人がいたが無事だった。林容疑者らがいた応接室は、林容疑者がかつて所属していた暴力団の事務所として2年前まで使われていたという。現場は横浜市営地下鉄・吉野町駅に近い住宅密集地。雑居ビルやマンションが立ち並び、小学校や保育園もある。近くに住む女性(64)は同日午後2時半ごろ、外で「ドンドン」と鈍い音がするのを聞いた。外に出ると、肩から胸にかけて血を流した男性2人がぐったりとしゃがみ込み、傷口を押さえるようにしていたという。女性は「怖いばかりです」と振り返った。現場から数十メートルの保育園では事件当時、約30人の園児がおやつの時間だった。園長は「拳銃が使われたなんて怖いです」と声をひそめた。2歳の長男を預けていた男性会社員(42)は、心配でたまらず、終業前に退社して保育園に駆けつけた。「この近くは物騒なところもある。心配でたまらなかった」と話し、子どもの手を握った。
(散弾危険な不法投棄:大分)
国東市武蔵町の山中で10月23日、不法投棄された散弾の実包が202発見つかり、国東署は火薬類取締法違反(無許可廃棄)容疑で捜査している。散弾の処理費が2007年4月から有料になったことが背景にあり、県外でも不法投棄は後を絶たない。散弾は暴発したり、犯罪に悪用されたりする恐れもあるため、散弾所有者のモラルが問われている。同署によると、散弾は県道沿いの山中にばらまかれていた。サビの程度などから、少なくとも1か月は経過していたとみられる。同署から問い合わせを受けた大分市の銃砲店「第一火薬」の三沢博文社長の話では、この散弾は米国の銃器メーカー、レミントン・アームズ社製などの5種類だった。1998~99年に製造され、今は流通していないタイプだという。不法投棄は他県でも相次いでおり、昨年3月に大阪府警豊中署の敷地内でレジ袋に入った98発、同4月には兵庫県で河川敷などから約250発が見つかった。環境省などによると、不用になった散弾は警察署が無料で引き取り、海上自衛隊がコンクリート詰めにして海洋投棄していたが、2007年4月に海洋汚染防止法が改正され、この処理が禁止された。このため、環境相による廃棄物処理法の特例措置で、社団法人「日本火薬銃砲商組合連合会」に加盟する全国の銃砲店が引き取り先となり、焼却処理するよう改められた。この際、依頼者は1発20~100円の廃棄料と、1回2000円の手数料を支払うようになった。大分中央地区銃砲保安協会の宿利知秀理事は「地区によっては猟期が終わると、クレー射撃大会を開いて残弾を処理している。猟をやめた人や、所持者が死亡した家族が処分に困ることが多いのでは」と言う。散弾は屋外に放置すると、実包や火薬が劣化し、わずかな衝撃や熱でも暴発する危険性があるため、末房實・同署副署長は「家庭ごみとは訳が違う。散弾を捨てることがどれだけ危ないか考えてほしい」と呼びかけている。
(支笏湖周辺のエゾシカの捕獲再開へ:北海道)
支笏湖周辺のエゾシカの捕獲が再開されることになった。対策を話し合う千歳市など関係機関の5日の情報交換会で決めた。昨年は休止していた。情報交換会は2005年4月に設置された。生息数の増加で深刻化する交通事故や食害対策を求める地元の声を受け、千歳市が環境省、石狩支庁、石狩森林管理署、千歳署などに呼び掛けて旗揚げした。捕獲は05年冬から。初年度は68頭、06年度は74頭、07年度は13頭の実績があった。07年度が捕獲数、被害とも減少したことから「1年間様子を見て被害が出れば再開したい」と、08年度は休止していた。支笏湖市民センターで開かれた情報交換会で、各機関から食害や交通事故などの状況が報告され、石狩支庁は「03年当時に比べ生息数は3倍以上になっていることが推測される。適正数を話し合っているうちに数が増えてしまった」と駆除再開を要請し、了承された。捕獲方法や内容は、市と市の委嘱を受けて取り組む市クマ防除隊が協議していく。
(イノシシわなにツキノワグマ:山口)
6日午前8時ごろ、山口市徳地島地の山中に設置されたイノシシわなに、ツキノワグマ1頭が入っているのを見回り中の猟師が見つけた。山奥に放される予定だったが、麻酔から目を覚まさず、同午後1時半に死亡が確認された。県によると、オスの成獣で、体長105センチ、体重32キロ。今年度の捕獲は2頭目。わなは、民家から500メートルほど入った山中に設置されていた。自然保護課は「体重に応じて獣医師が麻酔を打った。手順に問題はなく、死因は不明」としている。
(名古屋の街サル逃走:愛知)
名古屋市天白区や昭和区、瑞穂区で7日、サルの目撃情報が相次いだ。この地域の警察署には3時間余で住民から計10件以上の情報が寄せられた。人が襲われたとの通報はない。最初の目撃情報は、天白署に寄せられた。「天白区一本松周辺でサルを見た」との電話が午前9時すぎから約10分間で4、5件あった。その後、目撃情報は昭和区へ移り、午前10時20分ごろに西に約1・5キロ離れた昭和区山手通周辺にいるとの通報が4、5件、昭和署に寄せられた。午前11時30分ごろには、さらに西に約1・5キロ離れた同区汐見町の山崎川に架かる石川橋周辺で目撃された。その後、瑞穂区内でも4件の情報が寄せられ、午後1時20分ごろに同区新開町の堀田小学校グラウンドで目撃された。最初の目撃地点から同校までは、直線距離で約7キロ。途中には、住宅街や幹線道路がある。情報はいずれも1匹。警察は通報を受けて付近を調査しているが、午後1時現在、サルは確認できていないという。目撃情報の推移などから同一のサルとみられ、確認を急いでいる。
(「大きく育って」児童がキジ放鳥:滋賀)
近江八幡市立島小学校の児童が6日、学校近くの田んぼでキジを放鳥した。自然の大切さを知ってもらおうと、県が約30年前から続けている恒例行事。土山鳥獣実験場(甲賀市)で飼育されたニホンキジ30羽を3年生25人が次々と山に放った。子どもたちは最初、キジに怖がっていたが、次第に慣れ、抱きかかえたり、「かわいい」と頭をなでたり。山形彩乃進君(9)は「飛ぶときの力の強さにびっくりした。大きく育った姿を見たい」と声を弾ませていた。

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11/6
(ガンカモ生息18万羽超、過去最多:宮城)
宮城県は5日、今季1回目のガンカモ科鳥類の生息調査を行った。総数は18万2791羽(昨年同期比4万726羽増)で、11月としては過去最多となった。内訳はガン類14万5323羽(3万7768羽増)、カモ類3万2931羽(2434羽増)、ハクチョウ類4537羽(524羽増)。飛来地別では伊豆沼・内沼(登米、栗原市)が7万7385羽でトップ。2位は蕪栗沼(大崎市)で6万9971羽、3位は鳥の海(亘理町)で4059羽だった。県自然保護課は「天候に恵まれ餌が豊富になっている。外敵のいないラムサール条約登録湿地では、ガン類を中心に今後もさらに増えるだろう」とみている。調査は県職員ら107人が、県内の渡り鳥の飛来地約480カ所で実施した。来年1、3月にも調査を予定している。
(片目のサル見かけたら「ご一報を」:山形)
負傷したニホンザルを5年前に保護、飼育していた山形県尾花沢市の男性が「10月上旬に市内の徳良湖周辺で猿を放した」と山形県村山総合支庁に届け出た。猿は片目を失明し、手足や指も不自由だという。同支庁は5日、「冬になり、人に接触することも考えられる」として異例の発表に踏み切り、宮城県を含む隣接する市や町の住民に注意を呼び掛けた。同支庁環境課によると、男性は2004年10月、市内の山中で猿を保護した。発見時は体が小さく、ほかの猿から攻撃されるなどして大けがをしていたという。男性は自宅に連れ帰り、餌をやりながら回復を待った。身体に障害があったため飼育期間は延び、成長するにつれ、故郷の山をじっと見るようなしぐさが増え、男性は山へ帰すことにした。首には鈴を付けていたという。野生猿の飼育には鳥獣保護法に基づく許可が必要。男性は無許可だったが、負傷した猿の救護のため違反にはならないという。環境課は「この猿が人に危害を加えるとは思われないが、目撃したら一報を」と注意を呼び掛けている。
(警官が実弾誤射:兵庫)
5日午前10時10分ごろ、篠山署の2階道場で拳銃の空撃ち訓練をしていた同署地域課の男性警部補(55)が、誤って銃弾1発を発射した。道場にはほかに署員一人がいたが弾は段ボール製の的を貫通後、壁に当たって止まり、けが人はなかった。同署によると、警部補は13日の「兵庫県警察けん銃射撃競技大会」に向けて訓練中。実弾が装てんされていない訓練用と間違え、勤務時に携帯している拳銃を約14メートル離れた的に発射した。警部補は同署の保管庫から訓練用を取り出し、交換しようとしたが、同僚と会話をしているうちに取り違えたという。さらに、規則では引き金を引く前に銃弾の有無を確認することになっていたが、怠っていた。西野拓志副署長は「訓練中とはいえ、誤発射を起こして申し訳ない。署員の指導を徹底し、再発防止に努めたい」と話している。
(イノシシ被害年々増加:広島)
福山市内で、野生のイノシシによる農作物の被害が年々増加している。農家は、わなや柵を設置するなどの自衛策を講じているが、効果は限定的で、〈いたちごっこ〉の状態が続いているという。市も2008年度に鳥獣被害防止計画を立て対策に本腰を入れている。現状と課題を追った。「1年かけて育ててこれでは、やる気もでまぁ(出ない)」。10月27日、福山市山野町の約10アールの田んぼで、同町のイノシシ対策の中心メンバー妹尾勝美さん(73)が、収穫を前に無残になぎ倒され全滅した稲を見つめて、つぶやいた。同町では、約15年前から農作物被害が深刻化。電流が流れる電気柵を設けたり、毎年の町内会費と一緒に対策費500円を集めて猟やわなによる駆除を行ったりしてきたが、被害は減らず、今年も「水稲が全滅した」という声を何度も聞いた。「高齢化が進む農家に出来る対策は限られており、あきらめて農業をやめる人もいる」と妹尾さんは言う。市農政課によると、市内のイノシシによる農作物の被害額は、03年の約770万円から08年は約1300万円に急増。度重なる被害で作付けをあきらめた耕作放棄地が、新たな隠れ場所となって被害を広げているとの見方もあり、今秋も多い日で1日5、6件の被害報告が市に寄せられた。担当者は「報告のないケースも含めれば、被害はもっとあるはず」とみる。被害増加を受けて市は、猟友会による駆除に加え、06年度から電気柵や鉄製の柵を設置する団体(5世帯以上)への資材費の半額補助をスタート。08年度には、被害額を3年以内に800万円にまで減らすことなどを目標に掲げた市鳥獣被害防止計画を策定した。イノシシの排除に成功した地区もある。福山市熊野町の寺迫下地区では、06年秋に市の補助を受け、全17世帯が集落の周囲約2キロを鉄製の格子柵(高さ約1メートル)で囲い、柵の上部を外側に反らせて跳び越えにくくしたところ、被害がゼロになった。07年度にはイノシシが住み着きにくい環境を作るため、県の「ひろしまの森づくり事業」を活用し、柵沿いに30メートル幅で森林を伐採し、緩衝地帯を設けた。地区の門田茂伸さん(55)は「安心して農業が出来るようになった」と話す。だが、最近は新たな課題も出てきた。柵は設置から3年が経過し、接合部分がさびてはずれだしたため、住民が定期的に点検と修復を行わねばならないのだ。緩衝地帯の維持管理も問題で、「年寄りが多い小集落で、広い範囲の森林を手入れするのは難しい」という。イノシシ被害に詳しい独立行政法人近畿中国四国農業研究センターの井上雅央・鳥獣害研究チーム長(60)は「イノシシが人に慣れてきたことに加え、農家が収穫時に畑に放置した野菜の葉や、田のあぜの草刈り後に生えた新芽が冬場の餌になるなど人のミスによる〈餌付け〉の進行が被害増加の原因。この仕組みを理解し、畑の管理方法を見直すなどの対策を講じることが大切」としている。

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11/5
(猟銃3丁、実弾74発盗まれる:神奈川)
4日午後1時20分ごろ、神奈川県伊勢原市下谷の不動産管理業の男性(63)から「猟銃や現金が盗まれた」と伊勢原署に届け出があった。同署によると、男性宅はガラスが割られるなど侵入された形跡があり、物置に保管していたライフル銃2丁と散弾銃1丁、実弾計74発のほか、現金3万4千円が盗まれた。窃盗容疑で捜査している。男性は4日午前に近くの畑に出かけ、昼すぎに帰宅して被害に気付いた。10年以上前から地元の猟友会に所属し、猟銃を所有。銃と実弾をそれぞれ専用の鉄製ロッカーに保管していたが、今月15日の狩猟解禁日に備えて数日前に銃の手入れをした際、ロッカーの施錠を忘れたという。
(県立総合射撃場、再開には8億〜9・5億:秋田)
場内の鉛散弾や鉛を含む土壌回収のため2007年11月から利用を見合わせている県立総合射撃場(由利本荘市)について、再開する場合には回収工事費と汚染防止対策工事費に計約8億円から約9億5千万円を要することが4日、明らかになった。県庁第2庁舎で開かれた県立総合射撃場の在り方検討委員会で、県教育庁が工事費の概算を示した。同庁保健体育課の概算によると、回収工事費は約4億円。土壌汚染を防ぐ平地部分(約6200平方メートル)のアスファルト舗装、斜面部分(約8500平方メートル)のモルタル吹き付け、湿地帯(約6千平方メートル)のコンクリート舗装の各工事に計約2億2千万円かかる計算。斜面上部と森林部分(約3万7800平方メートル)の汚染防止対策については、この日の検討委で工事方法の結論が出なかったものの、森林の樹木伐採のほか、斜面へのモルタル吹き付けを行う場合は約3億3千万円、土壌汚染を防ぐシートを敷設する場合は約1億6千万円の工事費がそれぞれ必要になるという。同検討委は、総合射撃場の土壌汚染対策や運営主体や費用負担などについて提言を年内にもまとめ、根岸均県教育長あてに提出する予定。
(無許可でクマ捕獲:北海道)
釧路管内浜中町の牧草地で、無許可の箱ワナを使ってヒグマが捕獲されていたことが4日までに分かった。厚岸警察署と釧路支庁は銃刀法と鳥獣保護法違反の疑いで、箱ワナを設置した牧場主から事情を聴いている。同町姉別の牧草地で2日午後1時ごろ、箱ワナにヒグマ1頭が捕獲されているのを、シカ猟に来たハンターが見つけ、根室支庁を通じて釧路支庁と厚岸署に通報した。箱ワナはこの牧場主の男性(72)が昨年設置したもので、ヒグマは小柄な成獣とみられ、牧場主が射殺した。釧路支庁によると、この牧場主は猟銃の狩猟許可はあるが、ワナの資格と許可(登録)は取得していなかった。鳥獣保護法では、狩猟鳥獣をワナで捕獲する場合は、ワナの資格と許可を道知事から受けなければならない。また、危険性の高いヒグマはくくりワナ、箱ワナを含め、狩猟でのワナ捕獲を禁じている。使用する場合は市町村を通じて道から有害駆除の許可を受ける必要がある。牧場主はいずれも許可を受けていなかった。牧場主は約50年の猟銃歴を持つベテランハンターで、町の有害駆除捕獲員を務めている。取材に対し「許可が必要なことは分かっていた。3年前から放牧の乳牛がヒグマに襲われるので、ワナを設置した」と話している。同支庁と同署は4日、箱ワナの現地調査を行った。
(キジ8羽「元気に育て」:静岡)
三島市立坂小の3年生児童が4日、同校近くの学校農園でキジ8羽を放鳥した。田方猟友会三島分会(斉藤勝好分会長)の会員が手ほどきした。同猟友会が用意したキジの若鳥で、メンバーはキジが国鳥であることや生態、オスとメスの違い、有害鳥獣駆除など猟友会の活動について説明。児童は会員に手伝ってもらい2人で1羽を持ち「元気に育てよ」とキジを空に放った。同校の放鳥は鳥獣愛護の気持ちや自然への理解を深めようと、3年目になる。
(シカ食害で昆虫減少:京都)
京都大芦生研究林(南丹市)でハチやチョウ、ガなどの昆虫が大幅に減少していることが、京大農学研究科の藤崎憲治教授(昆虫生態学)らの調査で分かった。シカが背の低い植物を食べ尽くし昆虫が生息できなくなっているためだ。シカの食害の影響は農作物だけでなく、生態系全体に広く及んでいる実態が浮かび上がってきた。調査は2006年春から夏にかけて実施。特定のエリアで昆虫採集を繰り返し、1984~87年に京大の研究者が同じ場所で実施した調査結果と比較した。その結果、ハチやチョウなど花粉を求める昆虫は一回の採集で84~87年には平均75匹捕れたが、06年は5分の1の15匹にとどまった。また、誘蛾(ゆうが)灯を使ったガの採集調査では、平均的な自然状態では草を食べるガが全体の34%を占めるのに対し、芦生研究林ではわずか4%だった。いずれの結果も、シカが低い位置にある草木を食べてしまい、昆虫が生息できなくなっているためとみられる。ガの調査では、背の高い木をエサにするガの割合が平均的自然より増え、生態系の変化が顕著なことを裏付けた。藤崎教授は「芦生の食害は想像を超えており、背の低い植物ではトリカブトなど毒草ばかりの状態になっている。植生の変化で花粉を媒介するハチやチョウなどの昆虫が減れば農業にもダメージを与える」と警告。シカの個体数を減らす取り組みが急務と指摘する。シカ害の深刻化の背景には▽天敵の不在▽積雪の減少▽スギ、ヒノキなど人工林の増加▽狩猟の減少-の四つの要因がある。中でも近年の積雪の減少で冬を超せる子ジカが増加。生息域も急速に広げている。専門家はこうした事態について「地球温暖化の間接的影響の典型」と指摘する。昆虫への影響は各地で確認されている。10月に大阪市内で開かれた日本鱗翅(りんし)学会の研究会では、九州や西日本各地でシカ害によってチョウが植物群とともに姿を消したという報告が相次いだ。同学会長の石井実・大阪府立大教授は「これ以上放置すれば絶滅する種類も出てくる」と警告する。
(カモ鍋への誘い:秋田)
9月下旬、秋田地裁の廊下で携帯電話が鳴った。由利本荘市で知り合った男性(62)からだった。「おう、カモ鍋しようや」。ずうずうしくもひそかに待ちわびていた連絡だった。男性はアイガモを使った稲作を行う農家。とれたての新米と、その成長を助けたアイガモをまとめていただこうという、鍋パーティーへの誘いだった。一羽500円ほどで購入できるひなは、毎年5月下旬から活躍する。苗を植えた後の田んぼを駆け回っては、雑草を根無し草にし、稲に付く害虫を食べる。管理に手間がかかるため、農薬の普及とともにあまり使われなくなったらしい。男性は1994年、消費者のニーズが食の安全にあると感じ、なるべく農薬を使うまいと、アイガモ農法を取り入れた。だが、その分、手間は増えた。今年は特にキツネやイタチに大半のアイガモを食べられてしまった。食い荒らされたアイガモの残骸(ざんがい)に、ぼう然としたというが、残ったアイガモの配置を工夫したりして、今秋も無事に稲穂を実らせた。しかし考えてみれば、アイガモは稲作の補助をさせられた上、体が大きくなったら「もう用済み」と食べられてしまう。電話の際、その話題を男性としていると、「そりゃ鳥さんはかなわんだろうよ」と笑った。でも、こう続けた。「自分でつぶさねば(殺さなければ)わからないかもな。本当の感謝というか申し訳なさというか。おめは今どきの子だから想像するしかねえべ。『グェ~』っていう最期の声とかよ」スーパーやコンビニで購入した肉などの食材に感謝して食べた記憶はないが、しばらくは、「ついこの前まで生きていた動物を食べているんだ」と想像力を働かせてみようと思った。

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11/4
(セーム皮ブランド化へ:北海道)
高品質なセーム皮を北海道ブランドにしよう!。北海道猟友会は、これまで廃棄処分してきたエゾシカ皮を北海道の特産品として有効活用するため、道東管内の猟友会支部を通じて狩猟者に捕獲したシカ皮の出荷を呼び掛けている。 シカ皮は「セーム皮」と呼ばれ、細かな繊維細胞によりしなやかで傷を付けずにクリーニングできることから自動車の洗車をはじめ、貴金属や洗顔のクレンジングなど幅広く利用できる。しかし、狩猟者にしてみると、丁寧に皮をはぐ作業が繁雑なため、大半は廃棄処分されてきた。 道はエゾシカの頭数適正化計画の中で、捕獲したシカ資源の有効利用を推進。道猟友会も呼応し、このほど東京農業大学、奈良県毛皮革協同組合との3者でNPO法人を設立。狩猟者からシカ皮の提供を受け、「北海道ブランド」の高級なセーム皮に仕上げる有効活用事業を今年度から本格的に動き出した。特にエゾシカ猟のメッカである、道東・釧路地方の各猟友会支部に協力を求めている。道猟友会は年間1万5000枚程度の出荷を見込んでいる。
(イノシシとシカ狩猟解禁、ハンター443人が出猟:和歌山)
イノシシとニホンジカの狩猟が1日、県内一斉に解禁された。県によると、日曜だったこともあり、昨シーズンより99人多い443人のハンターが出猟した。西牟婁振興局管内の出猟は89人だった。県農業環境保全室に報告のあった初日の捕獲数はイノシシ5匹、シカ2匹だった。紀南地方では白浜町で80キロのイノシシが仕留められた。紀の川市では110キロという大物の報告があった。この日、各地域では狩猟事故防止と違反取り締まりのパトロールがあった。県や各市町村の職員、県鳥獣保護員、猟友会員、警察官270人が出て猟場を見回った。事故や違反はなかった。イノシシとシカは、生息数が増えて農林業へ深刻な被害を与えていることから、県は開始を半月前倒しし、終了も1カ月延ばして3月15日にした。このほかのカモやキジなどの鳥類と、野ウサギやタヌキ、アライグマなどの獣類の猟期は11月15日~2月15日。今シーズンの狩猟登録者は3528人。このうち、わな猟は年々増加しており、全体の3分の1の1116人となっている。
(福島でアメリカミンク増殖、宮城も危険)
野生化した外来生物のアメリカミンクが、福島県内で生息域を広げている。魚や水鳥を捕食するため、在来の生態系を崩す恐れが強く、被害の多い長野県や北海道では駆除が大きな課題になっている。川を経由して隣県に拡大する恐れも強い。研究者は「東北は危機意識がまだ低い。早めの対策が必要だ」と警戒を呼び掛けている。奥羽大(郡山市)の伊原禎雄助教(生態学)は、9月中旬から郡山市周辺でアメリカミンクの捕獲調査を行っている。阿武隈川支流の五百川と藤田川にわなを仕掛けたところ、約1カ月間で7匹を捕獲した。捕獲場所は幅数メートルの小川で、近くに人家も多い。伊原助教は「短期で小規模の調査としては異常に多い。ほかの川にも同じように生息しているだろう」と話す。ミンクはかつて毛皮のために国内で養殖され、福島県内でも各地で飼われていた。それが野生化したとみられる。環境省によると、2006年度には新潟県と長野県、北海道で捕獲されている。福島県が06年に行った文献調査やアンケートで、阿武隈川流域を中心に福島市や郡山市など10市町村で生息が確認された。伊原助教らの今年の調査では南相馬市や相馬市でも目撃例がある。宮城県自然保護課によると、同県ではまだ野生ミンクの目撃例はないが、水辺に生息域を拡大するため、阿武隈川に沿って侵入する可能性は極めて高い。ミンクと競合する日本固有の肉食獣にニホンイタチがいるが、ミンクの方が体が大きく、食欲も旺盛。伊原助教によると、郡山市周辺の河川ではイタチがほとんど見られなくなったという。ミンクによる食害で、希少な両生類(トウキョウサンショウウオなど)やガン、カモの減少も心配される。長野県の千曲川では漁業被害が深刻化し、県の補助で04~08年度に202匹のミンクを捕獲した。佐久漁協の中沢重和組合長は「ミンクが川を荒らしてアユやヤマメがおびえてしまい、釣り客からの苦情が多い。駆除しているが、減らすのは難しい」と言う。被害が深刻化する前の早期対策が必要になるが、福島では全県的な実地調査が行われていない。県自然保護課は「何らかの対策は必要だが、調査や防除計画策定の予定はない」と話している。10月末、学術目的として福島県の許可を得ている奥羽大の伊原禎雄助教のミンク調査に同行してみた。捕獲用の小型の箱わなを郡山市の藤田川、本宮市との境を流れる五百川に計6カ所設置した。餌は鶏皮やシシャモ。「水辺ぎりぎりに、人のにおいや足跡がつかないように仕掛けるのがこつ。深みの近くがいい」と伊原さん。「今、日本で最も多くミンクを捕まえているのがわたしかも。逆に言えば、それだけ増加が深刻なんです」28日早朝、五百川からわなを見回る。一つにはアカネズミが入っていた。もう一つはカラだが、周囲には点々とミンクの足跡。「かかっています」。伊原さんが声を上げた。藤田川のおりの中で漆黒のミンクが動き回っている。鋭い歯とつめで、おりを食い破ろうと必死だ。体長約50センチの雌だった。郡山市郊外の普通の小川なのに、ミンクがどこにでもいるといった印象だ。伊原さんは偶然、この二つの川から調査を始めたが、「こんなにいるとは、想像をはるかに超えている。ミンクは国内に天敵もなく、ほっておけば増え続けるだけ」と訴える。
(止まらぬイノシシ被害)
北陸3県で、イノシシによる農業被害が止まらない。福井県では沈静化したとみられた被害が「V字悪化」し、富山県では毎年3倍のペースで増えている。石川県では七尾湾を泳いで北上するイノシシの姿も目撃される始末。近年は、さらに手ごわいニホンジカの脅威も迫りつつあり、人間との知恵比べは続きそうだ。98年に敦賀市など嶺南が中心だったイノシシの生息域が、01年には特別豪雪地帯の池田町や嶺北の大部分に拡大した福井県。06年には、ついに全市町に広がった。農業被害は03年度に1億円を突破。06年度は5100万円に減ったが、08年度は7900万円と再び増加した。石川県でも、10年ほど前に福井県境でイノシシ被害が確認されてから年を追って北上。07年には能登半島南部の宝達志水町に達し、08年は能登中部の七尾市に広がった。県自然保護課によると、今年3月末、同市内の七尾湾を泳ぐイノシシが目撃されたという。その後しばらくすると対岸にも出没するようになった。同課の担当者は「海を泳がれてはお手上げ。移動を食い止めるのは不可能だ」。05年度以降、毎年3倍のペースで被害が増えたのは富山県。08年度はニホンザルを抜いて獣類として被害額に占める割合が1位になり、総額でも石川県を抜いた。各県は対策に力を入れる。福井県は、04年度から電気さくの普及に本腰を入れている。総延長は、四国霊場八十八カ所の遍路道に相当する全長1400キロを突破した。嶺南地方の美浜町では、若狭牛を「番人」として山ぎわの休耕田に放牧し、イノシシを寄せ付けない試験も始め、今年度は4市町の16カ所計17・5ヘクタールに広がる。富山県でも猟友会などが知恵を絞る。「先進県」の福井県や石川県の猟友会と連携を図り始めた。福井県永平寺町と交流するのは、大沢野猟友会。山内敏康会長(66)は捕獲おりの設置方法など「イロハから教わっている」。助言も受け、イノシシの個体を捕獲するのでは解決にはならないとし、「家族」ごと一網打尽にする3メートル四方の巨大おりを開発した。被害拡大の背景には、里山の荒廃に象徴されるマンパワーの衰退が挙げられる。例えば富山県の猟友会の会員数は78年度の2175人をピークに30年連続で減少した。08年度は最盛期の35%程度にすぎない。07年の鳥獣被害防止特措法により、都道府県知事の一部の許可権限が市町村長に移譲され、免許取得者の増員を図ろうと市町村職員や農業者への働きかけを強めた。その結果、合格者の数も倍増した。だが「それ以上に取得者が減り、急減を抑えている程度」(富山県自然保護課)と、現実は厳しいようだ。3年に一度の免許更新を見合わせる狩猟者が増え、登録数の減少に悩むのは福井県も同じ。県は急増する被害対策として、07年度から「網・わな」共通免許を網猟とわな猟に分割し、従来は年1回だった狩猟免許試験を年2回に増やした。今年度の合格者数は昨年度の延べ32人から延べ115人と3倍増になった。こうしたなか、ニホンジカが、新たな敵として浮上してきた。福井県の奥越地方・勝山市では最近、目撃情報が出始めた。イノシシの場合は120センチの高さまで「垂直跳び」できる能力があるため、電気さくは普通、120センチ程度の高さ。一方のシカは、高さ2メートル近くまで跳び越える。「山中で見かける程度だが、里に下りてくるのは時間の問題だ」と担当者の表情は険しい。環境省の1978年の調査で、石川、富山両県は空白県とされた。だが03年の調査で、わずかながら生息が確認され始めた。「母集団が北陸を通過中で、イノシシと同じく上越へ北上している」と、富山県自然保護課職員で野生動物の研究もしている赤座久明さん(56)。南アルプスで食害が問題になるなど、03年以降の生息状況も激変しており、09年度中にも県内分布の報告書を作る予定だという。

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(イノシシ猟期2週間延長:群馬)
県は、イノシシの保護管理計画を策定し、来年度から計画的な頭数調整に乗り出すことを決めた。野生のイノシシによる農作物被害が後を絶たないためで、猟期を通常より約2週間延長することなどを検討し、狩猟による捕獲増を促す。県自然環境課によると、計画には、例年11月15日~翌2月15日の猟期を、2月いっぱいに延ばすことや、わなの大きさの規制緩和などを盛り込む方針。来年11月の猟期開始までの策定を目指している。イノシシによる農作物被害はほぼ県内全域であり、2008年度の被害額は総額1億296万円に上る。前年より12%減ったが、06年度以降、高水準で推移している。ただ、有害鳥獣として捕獲する手法の場合、県から市町村に権限が移り、地元猟友会に依頼するケースが増えるため、駆除費用を支払うことになる。県は今回、猟期を延長する手法を取ることで、支出を抑えたい考えだ。シカの場合、08年度に猟期を約2週間延長して2月末までとし、被害の多いみどり市の鳥獣保護区でシカを保護対象から外したところ、捕獲頭数は1・5倍に増えたという。同課は「保護の観点も考慮しながら、捕獲増に取り組みたい」と話している。
(イノシシ、シカ限定。県内で狩猟解禁:大分)
イノシシとシカの狩猟が1日、県内で解禁され、ハンターが獲物を求めて早朝から山野に入った。猟期は来年3月15日まで。ほかの鳥獣は11月15日から来年2月25日まで。大分市八幡地区では午前8時すぎ、同市や別府市、由布市の猟仲間でつくるグループ9人が、猟犬5匹を連れて山に入った。石川政勝さん(63)=同市八幡、造園土木業=は「近隣の畑がイノシシに荒らされる被害が増えているので、今シーズンはイノシシを重点的に狙いたい」と話した。この日は県職員と警察官、鳥獣保護員合わせて約200人が県内各地をパトロール。休猟区で狩猟していないか―などを監視した。県森との共生推進室によると、2008年度の鳥獣による農林業の被害額は約3億2千万円。前年度から約2千万円減少したが、被害額は依然として高額で推移している。県は有害鳥獣対策の強化に伴い、07年度からイノシシとシカに限り、解禁日を半月早めて狩猟期間を長く設定している。
(「絶滅の恐れ」クマ保護へ、山林680ha買収計画:三重)
絶滅の恐れがある紀伊半島のツキノワグマの生息地を守ろうと、自然保護団体「日本熊森(くまもり)協会」(兵庫県西宮市、森山まり子会長)が、市民の寄付でまかなうナショナル・トラスト運動で、三重県大台町にある約680ヘクタールの山林の買い取りに乗り出す。皇居の約6倍という広さで、募金目標は9000万円。天然のうっそうとした広葉樹の森が、市民の手で守られることになる。同協会が買収を目指すのは、三重県大台町の父ヶ谷(268ヘクタール)と池ノ谷(408ヘクタール)の山林で、清流として知られる宮川の上流域。古来、伊勢神宮に材木を供給する神聖な山林ともいわれてきた。環境省などによると、ツキノワグマはかつて本州に広く生息したが、西日本ではスギ、ヒノキなど人工林が増えるに伴い激減。九州では絶滅、四国でも数十頭を残すのみになっている。餌となるドングリの実を付けるミズナラ、シイなどの広葉樹が減ったことが主な原因とみられている。紀伊半島は全体で180頭と推定され、西日本では希少な生息地だが、目撃情報が少なくなっており、同省は1991年、「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定した。紀伊半島の森は都市や道路などの境界線で隔絶され、他の地域のツキノワグマと交雑できないため、保護なしには存続できない恐れがあるという。買い取りを目指す土地は私有林で、同協会は今年7月、地主が手放す意向であることを知り現地を視察したところ、広葉樹が数多く残ることが確認された。同協会は天然林を保全することで、ツキノワグマを絶滅から救いたいとしている。同協会は97年結成、会員約2万3500人。資金集めは同協会のトラスト部門であるNPO法人「奥山保全トラスト」で行う。まずは募金で9000万円を集め、残りは従来の会員の寄付などで蓄えた資金を充てるという。同協会はこれまで動物や生態系の保護を目的に、富山県上市町や浜松市など9か所で計1266ヘクタールの山林をトラスト運動で購入した実績がある。来年10月には名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が予定されており、同協会は「日本の森林の多様性と保護の重要性を世界にアピールしたい」と意気込んでいる。

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11/1
(ホームセンターの敷地にイノシシが出没:新潟)
新潟・上越市で10月31日夜、営業中のホームセンターの敷地にイノシシが出没した。防犯カメラがその瞬間を撮影していた。31日午後7時20分ごろ、新潟・上越市五智国分のホームセンターの駐車場に、イノシシが現れたと警察に通報があった。イノシシは体長およそ1m25cm、体重80kgの雌で、店の人がシャッターを閉めて倉庫の中に閉じ込めたため、けがをした人はいなかった。イノシシは、猟友会の人が捕獲した。店の人は「何があったかと思いました」と話した。上越市では、2008年10月にも国道18号の近くでイノシシが見つかっている。
(カモ類の狩猟が解禁:山形)
県内でカモ類を対象とした狩猟が1日、解禁された。ヤマドリやキジ、ノウサギなどの鳥獣類は15日に解禁となる。期間はカモ類が来年1月31日まで、鳥獣類が同2月15日まで。山形市の須川河川敷では、早朝から多くのハンターが茂みに待機し、午前6時4分の日の出とともに、上空のカモに向けて次々と散弾銃を発射した。仲間と猟場を訪れた天童市の会社員柴田哲夫さん(63)は「解禁が待ち遠しかった。40年以上狩猟をやっているが、事故には十分気をつけたい」と話していた。県警と県内全署は、約150人態勢で猟場の一斉取り締まりに当たった。県警生活環境課によると、県内では昨年度、村山市の最上川で舟に乗ってカモ猟をしていた男性が発射した散弾が同乗の男性2人に当たり、腕などに重軽傷を負う事故があった。事故防止のために同課は▽発射する際は周囲の安全を確認する▽猟銃を携帯、運搬する場合は覆いなどをする▽発射する時以外は実包を装てんしない-などを挙げている。
(獲物求めハンター繰り出す:秋田)
狩猟シーズンの幕開けとなるカモ猟が1日、解禁された。県内の猟場には夜明け前から獲物を狙うハンターたちが集まり、日の出とともに久々の狩りを楽しんだ。秋田市四ツ小屋の岩見川堤には、同市西部、港、河辺の3猟友会のメンバー計7人が午前4時半ごろから集結。茂みの中で息を潜め、解禁の日の出を待った。解禁時刻の午前6時8分、ハンターたちは川から飛び立つカモに狙いを定め、一斉に引き金を引いた。周辺には猟の解禁を高らかに宣言するかのように、大きな発砲音がこだました。
(住民ら300人がサル捕獲作戦:山口)
萩市大井地区の住宅地付近に野生のサルが住みつき、人に危害を加えるため、市は31日、住民や市、県職員、萩署員、猟友会員(総勢300人)によるサル捕獲大作戦を展開した。夜明け前から約3時間にわたって探し、2匹を見つけて1匹を廃屋に追い込んだが、捕獲寸前で取り逃がした。山間部の群れからはぐれたらしい3匹が、海岸の松林などをねぐらにしているとみられ、8月頃から農作物を食い荒らし、墓石を倒すほか、ペットを威嚇したり、高齢の女性らに飛びついて腕をひっかき、かみついたりし始めた。20人以上がけがをしたという。作戦は、3匹の活動は早朝が盛んという住民の情報に基づいて実施。出没が多い約3ヘクタールに、捕獲用の漁網を張り巡らし、参加者は手網やバット、ゴルフクラブ、ゴム銃などを手に、爆竹を鳴らしたり、笛を吹いたりして脅し、包囲網を狭めた。1匹が廃屋に逃げ込み、網を持った人たちが取り囲んで捕獲を試みたが、サルはすり抜けて逃げ去った。参加者たちは「網をかけようとしたが素早すぎた」と悔しがっていた。付近には約300戸の住宅や特別養護老人ホームなどがあり、保育園は屋外保育が出来ない状態が続いている。市農林水産部の大田直志部長は「必ず捕まえて、人は住みやすく、サルには住みにくい地区にする」と、今後も作戦を続ける方針。市内に生息するサルは、山間部を中心に五つ以上の群れに数百匹いるという。
(北海道犬による野生動物の追払い、来年度から本格化:長野)
北海道犬による野生動物の追払い事業を進める伊那市は、来年度から委託農家を中心とした野生動物の追払いを本格化させる。伊那市高遠町三義で31日、今年最後となる北海道犬の合同訓練が行われ、伊那市から委託を受けた「追払い実施者の会」のメンバー7人が参加した。伊那市では、増加する野生動物による被害を防ごうと、平成19年から北海道犬による野生動物の追払い事業を進めている。1年目は事業の第1段階として専門家によるリーダー犬の養成を行い、2年目となる今年は第2段階として市内各地域の協力農家に犬を貸し付け、養成と追払いを実施してきた。これまでに、西春近のリンゴ園でサルの群れを追い払い、その後サルが現れなくなるなどの実績が報告されている。来年度以降は第3段階として、地域ごと複数頭のチームを編成し、要望のあった地域の追払い体制を強化する。伊那市では、各地域から協力者を募り、今後生まれる北海道犬の子どもを配置していきたい―としている。
(道北・道央、シカ急増、道東に匹敵)
エゾシカが、道央などの「西部地域」で急増している。道によると2008年度の推定生息数は26万頭に上り、もともと生息数が多かった「東部地域」を上回る勢いだ。東部に比べ対策が遅れていることが背景にあり、食害は過去10年で倍増。10月26日には札幌市中心部に雄ジカが出没する騒動も起き、専門家からは対策強化を求める声が出ている。道は「西部」(石狩、空知、上川、留萌、宗谷、胆振、日高管内)、「東部」(網走、十勝、釧路、根室管内)、「南部」(後志、渡島、檜山管内)の3地域に分けて食害などのデータをまとめている。西部の00年度の推定生息数は約8万7千頭で、東部の3分の1程度だった。しかし、その後は右肩上がりで増加。08年度には東部と並ぶ約26万頭になり、データがない南部を除く道内の推定生息数は過去最多の約52万頭になった。来年度にまとまる本年度の推定頭数は、西部が東部を上回るとみられる。
(課題山積、"害獣"エゾシカ)
成獣の妊娠率が極めて高く、自然死亡率が非常に低いエゾシカは、個体数が増え続け、農林業被害を増大させている。道が掲げる今年度の捕獲目標は、全道でメス7万6000頭以上。これを達成しなければ、エゾシカは減らない。現在、食肉として流通するエゾシカはせいぜい1万頭にすぎない。捕獲した大半は自家消費と廃棄処分。エゾシカ肉はフランス料理でこそ高級食材だが、国内ではまだまだ不人気。いかに消費拡大策を推進させるかは、行政も頭を悩ませる課題だ。後編は消費拡大の展望などをレポートする。エゾシカの体重は50~60キロ。可食部分は多ければ約50キロになる。それでも、「美味しい部分のロースやもも肉は多くても20キロ」(食肉関係者)だ。それ以外の肉は使われず、流通しないため、勢い価格は高くなる。未利用部分を加工し、利用率をアップさせれば、流通価格は下がる。消費が拡大すれば、さらに価格もダウンするのが、市場経済の原則だ。エゾシカ肉の消費量が増えない限り、エゾシカの捕獲数増加は望めず、農林業被害も収まらない。道はこれまで農林業被害の対処療法として柵づくりや捕獲対策に取り組んできた。しかし、前編で報じたようにハンターによる銃殺捕獲が増えることは望めず、今後は罠捕獲に対する依存度は高まるはずだ。罠捕獲を普及させる上では、アイヌの人たちが伝統的に培ってきた知恵を学ぶことが欠かせない。準備が進む「アイヌ新法(仮称)」には、狩猟民族の「特技」を生かす仕組みを盛り込む必要もあるだろう。効率的な罠捕獲を普及させるためには、行政の消費拡大策が急務。これからのエゾシカ対策は、ハード(柵敷設)からソフト(消費拡大のためのPR)への転換が不可欠になる。エゾシカ協会は、これまでに「エゾシカ料理試食会」や「エゾシカ料理まつり」などを開催し、料理方法や食材としてのシカ肉の魅力をPRしてきた。道が06年にエゾシカ衛生処理マニュアルを発表したことを受け、翌年、マニュアルに準拠した処理施設とそこで処理された食肉に対する「推奨」制度を設けた。こうした取り組みが実り、札幌市内ではシカ肉を使った料理を提供するそば屋やスープカレー屋が約10店舗に増えているという。ただ食材となる部位の大半は、味の良いロースやもも肉に限られ、ほかの可食部分を利用するには加工製品の開発が重要となる。協会は、食肉以外の部位である皮革と角の利用拡大のため、調査研究とPRを進めている。セーム皮は衣服、角は漢方薬としての利用促進に取り組んでいるが、やすやすとは進んでいないのが現状だ。食品加工分野には、ウタリ共同養鹿加工組合が力を注ぎ、もみじ丼、3種類の味の缶詰、ジンギスカンを製造・販売している。エゾシカ肉に関心を持つ人たちに集まってもらい、試食会を開いたが、味は「いまいち」との反応が多かったという。ところが加工製品と生肉を和食の調理人とフランス人シェフの2人に調理してもらったところ、いずれも評価は「美味しい」に一変。エゾシカ料理を広めるためには、旨みや食べやすさを引き出す調理方法が欠かせない。組合でのエゾシカ肉の「利用率は約80%」(大川勝組合長)。利用率を上げるためにハムやジャーキー、ミンチなどの加工施設の建設を計画し、従来は捨てられていた内臓部分も「ホルモン」として利用することを検討している。現在、組合で販売する生肉は、もも肉が200グラム3570円、ステーキは同1200円。大川組合長は、「消費さえ拡大できれば、いくらでも供給できる体制をつくることは可能」と話す。大川組合長らの取り組みはまだ始まったばかり。アイヌの人たちの知恵を生かし、その生活と地位向上を図るためには、道がエゾシカ問題を足がかりとして積極的に連携することが望まれる。
(イノシシによる農業被害「V字悪化」:福井)
北陸3県で、イノシシによる農業被害が止まらない。福井県では沈静化したとみられた被害が「V字悪化」し、富山県では毎年3倍のペースで増えている。石川県では七尾湾を泳いで北上するイノシシの姿も目撃される始末。近年は、さらに手ごわいニホンジカの脅威も迫りつつあり、人間との知恵比べは続きそうだ。98年に敦賀市など嶺南が中心だったイノシシの生息域が、01年には特別豪雪地帯の池田町や嶺北の大部分に拡大した福井県。06年には、ついに全市町に広がった。農業被害は03年度に1億円を突破。06年度は5100万円に減ったが、08年度は7900万円と再び増加した。石川県でも、10年ほど前に福井県境でイノシシ被害が確認されてから年を追って北上。07年には能登半島南部の宝達志水町に達し、08年は能登中部の七尾市に広がった。県自然保護課によると、今年3月末、同市内の七尾湾を泳ぐイノシシが目撃されたという。その後しばらくすると対岸にも出没するようになった。同課の担当者は「海を泳がれてはお手上げ。移動を食い止めるのは不可能だ」。05年度以降、毎年3倍のペースで被害が増えたのは富山県。08年度はニホンザルを抜いて獣類として被害額に占める割合が1位になり、総額でも石川県を抜いた。各県は対策に力を入れる。福井県は、04年度から電気さくの普及に本腰を入れている。総延長は、四国霊場八十八カ所の遍路道に相当する全長1400キロを突破した。嶺南地方の美浜町では、若狭牛を「番人」として山ぎわの休耕田に放牧し、イノシシを寄せ付けない試験も始め、今年度は4市町の16カ所計17・5ヘクタールに広がる。富山県でも猟友会などが知恵を絞る。「先進県」の福井県や石川県の猟友会と連携を図り始めた。福井県永平寺町と交流するのは、大沢野猟友会。山内敏康会長(66)は捕獲おりの設置方法など「イロハから教わっている」。助言も受け、イノシシの個体を捕獲するのでは解決にはならないとし、「家族」ごと一網打尽にする3メートル四方の巨大おりを開発した。電気さく設置も急ピッチで進む。09年度は富山市内で総延長が前年比27倍の約8キロに、南砺市で前年比79倍の約16キロに延びた。設置地域での被害は、ほぼゼロだった。県も「低密度管理がキーワード。他県のように密度が増えてからでは遅く、警戒心の強いうちはエサ(作物)に近づけないことが重要だ」と語る。後発県として、水際対策に向けた試行錯誤が続く。被害拡大の背景には、里山の荒廃に象徴されるマンパワーの衰退が挙げられる。例えば富山県の猟友会の会員数は78年度の2175人をピークに30年連続で減少した。08年度は最盛期の35%程度にすぎない。狩猟者の年齢構成も最多は60代の45・0%。50代25・5%、70代13・5%と続く。逆に40代8・1%、30代6・2%で、20代は1%に過ぎないという。07年の鳥獣被害防止特措法により、都道府県知事の一部の許可権限が市町村長に移譲され、免許取得者の増員を図ろうと市町村職員や農業者への働きかけを強めた。その結果、合格者の数も倍増した。だが「それ以上に取得者が減り、急減を抑えている程度」(富山県自然保護課)と、現実は厳しいようだ。3年に一度の免許更新を見合わせる狩猟者が増え、登録数の減少に悩むのは福井県も同じ。県は急増する被害対策として、07年度から「網・わな」共通免許を網猟とわな猟に分割し、従来は年1回だった狩猟免許試験を年2回に増やした。今年度の合格者数は昨年度の延べ32人から延べ115人と3倍増になった。こうしたなか、ニホンジカが、新たな敵として浮上してきた。福井県の奥越地方・勝山市では最近、目撃情報が出始めた。イノシシの場合は120センチの高さまで「垂直跳び」できる能力があるため、電気さくは普通、120センチ程度の高さ。一方のシカは、高さ2メートル近くまで跳び越える。「山中で見かける程度だが、里に下りてくるのは時間の問題だ」と担当者の表情は険しい。環境省の1978年の調査で、石川、富山両県は空白県とされた。だが03年の調査で、わずかながら生息が確認され始めた。「母集団が北陸を通過中で、イノシシと同じく上越へ北上している」と、富山県自然保護課職員で野生動物の研究もしている赤座久明さん(56)。南アルプスで食害が問題になるなど、03年以降の生息状況も激変しており、09年度中にも県内分布の報告書を作る予定だという。

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