<射撃ニュース1月>

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(カルガモを狙い公道で 容疑で6人書類送検:栃木)
上三川町の公道で08年11月、カルガモを狙って散弾銃を発砲したとして、下野署は21日までに、下野市の自営業の男性(71)ら6人を銃刀法違反、火薬取締法違反、鳥獣保護法違反容疑で書類送検した。6人とも容疑を認めているという。容疑は、6人は同年11月15日午前10時45分ごろ、同町梁の田川沿いの公道で、カルガモを狙って散弾銃を発砲した、としている。近くで草むしりをしていた女性が「頭に何かが当たった」と110番していた。
(「故人の銃です」…稲川会傘下の総長を逮捕)
故人の自宅の縁の下に拳銃を隠し持っていたとして、警視庁と静岡県警は銃刀法違反(けん銃所持)の疑いで、指定暴力団稲川会七代目大場一家総長、渡辺功二容疑者(68)=静岡県沼津市共栄町=を逮捕した。渡辺容疑者は容疑を否認している。調べでは、渡辺容疑者は傘下の廣瀬組組長(44)=覚せい剤取締法違反で起訴、銃刀法違反で処分保留=ら4人と共謀し、昨年10月31日午後9時40分ごろ、静岡県沼津市の廣瀬組関係者=故人=の自宅の縁の下に、拳銃1丁を隠し持っていた疑い。渡辺容疑者らは、廣瀬組組長が昨年10月に覚醒剤所持で逮捕され、車内から実弾14発が押収されたことを知り、警察の捜索を逃れようと、沼津市内のコンテナに隠してあった拳銃を約4キロ離れた関係者宅に移動させたとみられる。関係者は昨年3月に死亡していたが、タオルにくるまれた拳銃に汚れがなかったため、警視庁などは組長の逮捕後に隠したとみている。渡辺容疑者らは、接見禁止が解けた組長が勾留されていた警視庁池袋署にたびたび足を運び、「押収されたタマ(実弾)は、うちの関係者のものだ。調べてください」と、関係者の実名を警察署に知らせ、死亡した関係者に責任を押しつけようとしていた。警視庁などは、廣瀬組が大場一家の武器担当をしており、他にも拳銃や覚醒剤を隠している可能性があるとみて調べている。
(バージニア工科大でまた事件、中国人死亡)
米バージニア州のバージニア工科大で21日夜、中国から留学している女子大学院生(22)がナイフで首を切られ死亡した。警察は、直前まで一緒にいた中国の男子大学院生(25)を殺人容疑で逮捕した。AP通信などによると、2人は以前からの知り合い。直前まで学内の喫茶店でコーヒーを飲んでいたが、争っている様子はなかったという。大学では2007年4月、韓国出身の男子学生が銃を乱射し、32人が死亡する事件があった。
(佐賀・武雄市が「いのしし課」新設へ)
武雄市は22日、イノシシによる農作物への被害防止やイノシシ肉の特産品化に取り組むため、4月から営業部内に「いのしし課」(仮称)を新設すると発表した。これらの業務は現在、農林商工課とレモングラス課がそれぞれ担当しているが、春の機構改革で一本化する。地元猟友会のメンバーでつくる「武雄地域有害鳥獣等加工処理組合」が国と市の補助金(計約1200万円)を受け、イノシシを食肉用に加工する施設を同市山内町鳥海に建設中で、2月末に完成する。市によると、年間にイノシシ約200頭を加工処理して販売する計画という。樋渡啓祐市長は「東京や大阪のほか、地元での販路づくりを目指す」と話している。市によると、市内で駆除期間中(7〜10月)に捕獲されたイノシシは、2006年に1411頭、07年に797頭、08年に1541頭。一方、06年は水稲と大豆に計約1570万円、07年は水稲に約463万円のイノシシ被害が出ている。
(トキ、福島県入りの可能性も)
魚沼市東部で確認された雌のトキ1羽は、22日もほぼ同じ場所で見つかった。現場は福島県境に約16キロと近く、これまでの行動から県境を越えることも考えられる。飛来する可能性がある福島県は市町村や猟友会に情報提供を呼び掛けるなど準備を始めている。環境省はこのトキが関川村で確認された昨年11月、比較的近い同県と山形県に情報提供を要請。これを受け福島県は全市町村などに発見したら同省新潟事務所に連絡するよう通知するとともに、報道などでこのトキの動きをつかんできた。その後は新潟市秋葉区など本県内陸部にいたが、今月20日に魚沼市で見つかったため、福島県自然保護課は「福島県内に入る可能性が出てきた」とし、「野生のものなので冷静に見守りたい。引き続き県民に情報提供を呼び掛けたい」と話す。同省新潟事務所によると、このトキは21日にはドジョウやカエル、小魚などを取ったという。同事務所は「ちゃんと食べており、新しい餌場を探す必要は当面はなさそうだ」と分析する一方、移動範囲が広いため「福島へ行く可能性はある」とみている。
(ごみ箱から動物の内臓 昭和の住宅展示場:山梨)
昭和町の住宅展示場のごみ箱に動物の内臓が捨てられていたことが22日、分かった。内臓はイノシシなどの動物の可能性が高く、県警は廃棄物処理法違反の疑いで調べている。動物の内臓が見つかったのは、昭和町内の住宅展示場に設置されているごみ箱。21日午後5時ごろ、展示場の従業員が、ビニールと紙袋に入れられた内蔵を見つけて110番通報した。県警で調べたところ、見つかった内臓は血などが洗い流された状態のほぼすべての臓器だった。猫や犬などに比べて大きいことから、イノシシやシカなどの内臓の可能性が高いという。県内は現在、猟の期間中で、県ではハンターらに調理後の骨や臓器については、埋葬するように指導している。県警は内臓が洗われていたことなどから、何者かが動物を調理した後、残った臓器を捨てた可能性が高いとみて、廃棄物処理法違反の疑いで調べている。
(小豆島ふるさと村で「有害鳥獣被害対策講演会」開催)
香川県小豆島町の鳥獣被害防止対策協議会は、拡大する野生のシカやサルなどによる農作物被害の防止対策を推進するため、「有害鳥獣被害対策講演会」を、小豆島ふるさと村で開催。参加した農林業や自治会などの関係者約100人が野生動物の生態や被害対策について学んだ。講演では日本獣医生命科学大野生動物教育機構の羽山伸一機構長(48)が「サルとシカの生態と被害対策」と題して、それぞれの生態や、全国的に被害が顕在化している地域と被害の状況、取られている対策などを紹介した。羽山機構長は「シカは臆病(おくびょう)だが、身の危険性がなくなり“慣れ”を起こすと大胆になり、サルと同様に農地や町中に入り、何でも食べる」と前置き。このため、人里に慣らさない▽農地に依存させない▽適切に捕獲するなどを心がけ、住民が参加して情報の提供・共有、群れの把握−などの戦略づくりが大切などと指摘していた。参加者が「昨今、イノシシが頻繁に目撃される」との不安を話すと、「農地に定着する前に徹底的に捕獲することが大切。ワナ免許所有者や道具の普及を図ることが必要」と提案していた。
(室蘭と登別の国道36号で動物との衝突相次ぐ)
室蘭、登別市内の国道36号に野生動物が進入し、車両と衝突する事故が相次いでいる。19日夜にも登別市富浦町でシカが乗用車にはねられる事故があった。室蘭開発建設部室蘭道路事務所や室蘭署では「道内では過去に動物が道路に飛び出し、運転者が命を落とした事例がある」として、ドライバーに安全運転を呼び掛けている。同署によると、19日午後9時10分ごろ、登別市富浦町の国道36号富浦墓地付近で、白老方向を走行していた乗用車がシカをはねた。警察官が現場に駆け付けると、体長1・2メートルほどのシカ1頭が路肩に倒れており、すでに死んでいた。死んだシカは同事務所で処分した。同事務所によると、昨1年間室蘭・登別市内の国道36号で動物との衝突事故は39件。犬や猫が道路に飛び出してはねられるケースが多かった。「運転者がけがをした事故は発生しなかった」という。同署は「動物はドライバーが予期せぬタイミングで車線に飛び出し、大事故につながる可能性がある」と警鐘を鳴らす。同事務所は、苫小牧市美沢の国道36号で動物への進入防止対策が成果を挙げていることに触れ、「室蘭、登別市内でも事故防止策を考えていきたい」と話している。
(シカ、富士山麓に1万頭)
富士山周辺で野生のシカが急増し、生息密度は1平方キロメートル当たり18・4頭、全体で1万頭が生息しているとみられることが、県森林・林業研究センターの研究でわかった。富士山周辺で、シカの生息状況が本格的に調査されたのは初めて。今後、シカに樹皮を食べられて樹木が枯死するなど森林被害の拡大が懸念されるという。21日、富士市の富士総合庁舎で開かれた同センターの研究発表・講演会で、大橋正孝研究員が「富士山周辺におけるニホンジカの生息状況と対策について」と題して発表した。調査は、06年度までの2年間、シカの生息密度をつかむため、富士山周辺の36地点でふんを採取した。全域の生息密度は、1平方キロメートル当たり18・4頭で、国有林では50頭を超えていた。環境省は生息密度とその影響について、3頭以上で作物、5頭以上で自然植生に被害が出るとしており、富士山周辺の生息密度は大幅に上回っていることがわかった。また、地域住民などからシカの目撃情報を集めたところ、生息面積は542平方キロメートルになった。この25年間で1・6倍に拡大していて、御殿場、沼津、富士、富士宮各市などの市街地と海岸沿いを除く広大な地域に生息している。富士山周辺には県内の牧草地の約70%が集中し、自衛隊演習場やゴルフ場などの草地も多い。シカの生息環境に適しているため、成長が早く出生率も高くなる。一方で、シカを駆除するハンターは高齢化などで40年前の4分の1に減っているのが実情だ。このため、生息数が急増しているとみられ、全体の生息数は06年度末の推定で9973頭に達している。すでに国有林で植樹した苗木が食べられて草地化したり、ササが食べられて荒れ地になったりするなどの被害が広がっている。太く成長したヒノキまで、樹皮が食べられているという。大橋研究員は「生息密度が高くなると、樹木の幹が食べられるなどの森林被害が拡大する。放置すると、土砂災害の発生や水源枯渇の心配もある。森林を守るためにシカが入れないように防護柵(さく)を設置したり、捕獲数を増やしたりする対策が急務だ」と指摘している。
(イノシシ君に出会ったら)
最近、『猪猟師・「山の野生動物」を語る』(1月18日)というJanJan記事を書いたら、「近所にイノシシが出る」という人から、「人里に下りてきたイノシシに出会ったら、どうしたらいいんですか?」という問い合わせがありました。大川村の猪猟師・平賀真助さんに電話して、尋ねてみると、こういう回答でした。「出会わないのが一番です。出会いそうな場所では、歌を歌ったり、人と話したり、ラジオを鳴らしたり、鈴を鳴らしたりすることです。人の気配があれば、むこうから避けてくれます。しかし、お互いに気づかないまま、突然、至近距離で出くわすことになると、襲ってきます」「不運にも出会ってしまったら、とにかく無視することです。目を見たり、身構えたりしてはいけません。さりげなく、お互いの距離を広げていくことです」「イノシシは夜行性ですが、エサ不足だと、昼間もうろうろしていることがあります。また、発情期は12月から3月ですが、その時期、牙のあるオスは気が立っていることがあります。メスをめぐってのオス同士の闘争は、かなりのもんですよ。ライバルを殺すところまではいきませんが……。エサ不足が続くと、発情期が7月くらいまで延びることもあります」「おとなのイノシシを生け捕りにすることは不可能です」と平賀さんは言います。私自身の経験で言うと、野生動物のパワーはペット動物とは全然違います。シシ犬に追われたイノシシが、私の体から1mほどのところを疾走したことがあるのですが、地響きがして、一陣の風が起こりました。とても普通の人が闘える相手ではありません。特に、イノシシの牙は、川原の砂などで、カミソリのように研ぎ澄まされているので、注意が必要です。それから、あまり知られていないのですが、イノシシは、噛みつきます。2000年に中国の大興安嶺山脈(かって満州といわれたところ)にオオカミの調査に行ったとき、土地の猟師に「中国の猟師にとって一番恐ろしい動物は何ですか?」と尋ねてみました。私は、クマかトラを予想していたのですが、答えは、「イノシシです。至近距離で撃ち損じたときはどの動物も恐ろしいですが、その時、相手がイノシシだと、こちらが体勢を立て直す時間はないのです」ということでした。中国のイノシシは、カバのように大きいのです。東京、大阪、名古屋のような大都市にイノシシ君が出てくることはまずないでしょうが、平成の大合併の関係で、全国の県庁所在地が多くの限界集落を抱え込んでいることは多いのです。今後、イノシシ君が地方都市の市街地に出没する頻度は多くなっていくと思われます。森林生態系の崩壊が、かなりスリリングな現実を生み出していることに気づいている人はまだ少ないようです。
(武雄特産レモングラス イノシシ駆除にも活用:佐賀)
佐賀県武雄市は22日、農作物を荒らすイノシシの侵入を防ぐため、同市が特産化を進めているハーブの一種、レモングラスの活用を試行すると明らかにした。イノシシが嫌がるレモングラスの成分を畑などにまき、効果を確かめる。新年度に着手し、効果が裏付けられれば、忌避剤として製品化したい考えだ。同市によると、市内には推定3万頭のイノシシが生息。毎年、1000頭前後を捕獲するものの、農作物などへの被害は年々拡大。市は昨春、イノシシを食材として活用する取り組みを始めたが、最近では市中心部まで出没するなど、対策強化を求める声が高まっている。そこで同市は、レモングラスに含まれる成分のシトラールに着目。イノシシが嫌がる強いレモンの香りを持つこの油性液体を抽出し、活用する。対策強化に伴い、現在は同市のレモングラス課内にあるいのしし係を新年度に「いのしし課」(仮称)に格上げする。市レモングラス課の秀島一喜課長は「レモングラスを栽培している畑は荒らされていない。イノシシは犬よりもにおいに敏感といい、効果を研究したい」と話した。樋渡啓祐市長も「市が特産化を目指すレモングラスが、イノシシ対策にも使えることが分かれば『一石二鳥』。新たなビジネスチャンスにもつながる」と意欲的だ。
(掛川のお騒がせザルはキンタロウ:静岡)
掛川市内に19日から出没している首輪付きのサルは、伊東市内のモンキーサーカス業者「アクションモンキープロダクション」が調教中だったオスのニホンザル「キンタロウ」であることが22日までに判明した。同市によると、逃走中のサルは18日朝、興行で愛知県へ向かう途中、東名高速小笠パーキングエリアで休憩中にえさを与えようとした時、逃げたという。昨年9月から飼育され年齢は3、4歳。野生のサルを譲り受け調教中だったという。法律に基づく飼養管理許可は受けていたという。22日夕まで業者らが掛川市内でサルを追っているが、警戒心が強いため、捕獲には時間がかかることも予想される。
(ハシビロガモが越冬 群れでは初めて:和歌山)
田辺市下万呂の天王池に、シャベル状に広がった大きなくちばしを持つ渡り鳥「ハシビロガモ」(カモ科)の群れが飛来している。紀南地方では例年数羽程度で、20羽前後の群れが越冬するのは初めてという。くちばしの色は雄が黒く、雌は茶褐色をしている。そのくちばしを水につけて、首を左右にふりながら、円を描くように泳ぎ、プランクトンをこし取って食べている。全長約50センチ。富栄養化した池や沼を好むため、大阪府などでは多いが、紀南地方ではほとんど見掛けない渡り鳥。今月に入ってから飛来したとみられている。日本野鳥の会県支部会員によると「昨年も富田川に1羽飛来しただけ。寒波のたびに南へ渡り、良い餌場を見つけたのだろう」と話している。
(茅野市の上川に珍客 オオハクチョウの成鳥1羽飛来:長野)
茅野市の上川の白鳥飛来地に22日、オオハクチョウの成鳥1羽が飛来した。観察を続ける「上川白鳥の会」は、幼鳥は2007年1月に確認したが、成鳥は珍しい−と喜んでいる。同会によると、仲間意識の強いオオハクチョウは数羽の群れで行動するため、単独でいるのを目にする機会もまれ。この日はコハクチョウやカモの群れに交じり、川面を悠々と泳いでいた。会長の塩沢恒登さん(68)=諏訪市=は「成鳥の飛来に立ち合えたのは、会長になって6年目で初めて」と感激。「居てもらえるものなら(しばらく)居てもらいたい」と期待を込めた。

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(拳銃射撃競技大会:岩手)
岩手県警の新しい射撃場ができたことを記念して、けん銃射撃競技大会がきょう開かれ、警察官たちが腕を競っています。岩手県警察けん銃競技大会は判断力やけん銃技術の向上のため行われていて、今年で55回を数えます。きょうの大会には県内17の警察署などから109人が参加し、その腕を競い合っています。県警の新しい射撃場は、滝沢村にあった施設の老朽化に伴って、盛岡市青山の警察学校の敷地内に総工費およそ7億2千万円をかけて建設されました。今日の大会が新射撃場の本格的な運用開始で、関係者や競技に参加した警察官は治安維持への気持ちを新たにしていました。
(カモ減り、オオハクチョウは前年度並み:北海道)
環境省が全国一斉に実施した2008年度ガンカモ科鳥類生息調査の、千歳市内分の集計がまとまった。前年度比オオハクチョウはほぼ同数だったものの、カモ類は大幅に減少した。国内に飛来する渡り鳥・ガンカモ科鳥類の生息実態を調べ、保護に役立てる。千歳市内の調査は北海道猟友会千歳支部(多田澄夫支部長)が担当し、15日に、千歳川流域の東雲町から釜加にかけての3地点と第14号幹線排水路の計4地点で行った。まとめによると、ハクチョウ類はオオハクチョウのみで前年度より17羽多い224羽が確認された。千歳川が10羽少ない76羽、排水路は27羽増えて148羽だった。カモ類はマガモ、キンクロハジロなどを中心に583羽。前年度の1337羽に比べ大幅に減少した。いずれも千歳川での確認で、全面結氷している排水路では確認できなかった。同支部は「排水路が結氷していたほか、千歳川では護岸工事が行われていたためではないか」と話している。
(バードストライク:佐賀)
航路上を飛ぶ鳥が飛行機に衝突する「バードストライク」が原因とみられる米国・USエアウェイズ機の不時着事故を受け、県は、佐賀空港(佐賀市川副町)で夜間のバードストライク対策を強化する方針を固めた。県佐賀空港事務所によると、同空港の2007年のバードストライクの発生は、離着陸1万回に換算すると58・07件で全国最多。有明海沿岸に位置する同空港では、シギやツバメなどの小さな鳥が衝突することが多い。鳥が嫌う電子音の発生機やLPガスによる爆音機を使い、数分間隔で音を鳴らしたり、飛行機の離着陸前に滑走路を車で走ったりして鳥を追い払っている。猟友会「佐賀野生鳥獣管理協会」に委託し、散弾銃による威嚇射撃なども行っているが、それでも08年は44件のバードストライクが発生。うち26件(約60%)は日没から日の出までの間に起きており、猟友会の業務時間外だった。現在は、この時間帯に滑走路上などに鳥がいる場合は、同事務所の職員が車のクラクションを鳴らすなどして追い払っているが、県は来年度から、空港の警備会社に委託して離着陸前に必ず巡回することを検討している。「避けられない部分も多く、事故をゼロにすることはできない」(同事務所)が、県空港・交通課は「より安全で安定的な運航につながるのでは」と期待を寄せている。
(老犬ジュンは現役番犬:熊本)
阿蘇市波野の食堂で飼われている雑種の雌犬「ジュン」が3度の大けがを克服し、現役の番犬として頑張っている。人間に換算すれば、古希(70歳)が近い14歳。めげない老犬の話に感心し、励まされる常連客もいる。ジュンが食堂を営む井野豊さん(53)方に迷い込んできたのは13年前。首輪を付けた見知らぬ犬。飼い主が現れるまで預かっておくかと餌をやると、そのまま居ついたので名前を付けた。翌年、ジュンは5匹の子犬を産んだ。最初のけがは初産後、店の前の国道で車にはねられた。巻き込まれ、車体の下でくるくると回るジュンの姿を、井野さんは見た。車は走り去り、ジュンは狂ったように道向こうの丘へ駆け込み、帰って来なかった。井野さんは探し歩いたが、見つからない。4、5日後、井野さんの父千年さん(83)がジュンの「娘」のルーシーと散歩していると、ルーシーが国道の先の牧野に向かってほえ出した。見るとジュンがいる。ジュンは坂を駆け降りたが、事故の恐怖からか、国道を渡れなかった。知らせを受けて店は大騒ぎ。駆けつけた井野さんがジュンを抱き上げ、連れ帰ると、居合わせた客は感動の一幕にうなずき合った。ジュンは頭を打っていた。ジュンの災禍は続く。事故から2年後、ルーシーとともに、顔などに散弾銃の弾を受けたとみられるけがをして戻ってきた。さらに3年後、今度はイノシシの牙にやられて深手を負う。二十数針縫う重傷だった。3度の災難にもめげないジュン。今年に入って大雪の日、一緒に飼っていた「孫」の犬のゴンが突然死した。「悲しみを乗り越えてくれ」。井野さん一家の願いである。
(シカ肉の新メニュー、第1弾「空揚げ」:長野)
根羽村は観光施設ネバーランドにシカ肉処理施設を造り、駆除したシカによる村おこしを進めている。今年から、施設レストランにシカ肉の空揚げが一般メニュー第1号で登場し、「柔らかくて臭みがない」と好評。焼き肉、丼ものと続く予定だ。村内で捕獲されるシカは、2006年度の20頭から急激に増え、本年度は1月21日現在で98頭。農林業被害額も、06年度の450万円が、07年度は1100万円になった。シカ肉を有効活用できないか、07年度から地元猟友会とネバーランド、村が研究し、捕獲から調理まで一貫した処理システムを作り出し、新鮮で良質な肉を提供する。名古屋市内のホテルとも取引があり、料理長の桑原幸一郎さん(40)は「家庭の食卓にも普及させたい。根羽産のシカは市場に少なく、村の顔になれば」と力を入れている。同施設ほか、21−23日に飯田市の県飯田合同庁舎食堂で食べられる。
(父親射殺、息子逮捕「イノシシと思った」:中国)
重慶市豊都県の検察は1月20日、イノシシ狩りの最中に父親を誤って射殺したとして32歳の男に対する逮捕を許可した。1月21日付で重慶晨報が伝えた。調べによると、男は去年12月に浙江省杭州市から帰省。そして同月31日に父親や知人と連れ立って近くの山へイノシシ狩りに出かけた。その際に男は誤って父親を銃撃してしまったという。男は狩りをしていた知人と共に父親を病院へ搬送。しかし父親は間もなく死亡した。これに対して現地の検察は1月20日、過失致死の疑いで男に対する逮捕を許可した。男は「近づくまで撃ってしまったのが父親だとは分からなかった」と述べている。
(コクチョウ仙台・大沼で2羽確認:宮城)
仙台市若林区荒井の大沼で、2羽のコクチョウがいるのが見つかった。近所の人の話では、20日に飛来したという。主に南半球に生息する鳥で、日本で見られるのは珍しい。大沼はハクチョウやカモの飛来地として知られているが、コクチョウは初めて確認されたという。住民によると、2羽は水面を泳いだり、ほとりでカモの群れに交じって羽を休めたりしていた。野生のコクチョウはオーストラリアなどにすむ。ハクチョウと似ているが、全身が黒い。渡り鳥と異なり、一年中同じ場所で過ごす。日本では動物園などで飼育されている。近くに住む無職男性(67)は「カモより大きく黒いのでコクチョウと分かった。大沼で初めて見た」と驚いていた。市八木山動物公園は「飼われていたコクチョウが逃げて飛来してきたのではないか」と話している。
(数字で見る社会:鳥インフルエンザ)
2003〜2008年にかけて鳥インフルエンザ(AI)にかかり世界で248人が死亡している。世界保健機関(WHO)が公式的に集計した統計だ。インドネシアでは同時期に鳥インフルエンザによる感染で113人が死亡したのをはじめ、ベトナム(52人)、エジプト(23人)、中国(21人)を含む12カ国で248人が亡くなった。感染者の数は15カ国で394人と集計され、インドネシアが139人で最も多かった。韓国では鳥インフルエンザの感染による死亡および感染は報告されていない。韓国は昨年、鳥インフルエンザが拡大してカモやニワトリを飼っている農家が被害を受けたが、人体への感染はなかった。哺乳類への感染事例がないところに、昨年7月、死んだ野生のネコから感染力の高い高病原性鳥インフルエンザ(AI)のウィルスが発見され、防疫当局に緊張が走った。疾病管理本部は20日、「旧正月連休の期間に多くの人が国内外を移動することが予想される」とし「海外旅行客の検疫を強化する一方、感染予防の強化に努めたい」と話している。
(野鳥に餌を与えないで:北海道)
苫小牧市は、水鳥の渡り中継地・ウトナイ湖の野鳥に餌を与えないよう観光客などに訴えている。生態をゆがめるほか、鳥インフルエンザウイルス感染拡大の恐れを懸念、湖畔に啓発看板も設置した。渡りのハクチョウが越冬する本州の水鳥飛来地でも、鳥インフルエンザ警戒から給餌中止の対策を取り始めた。湖畔では、ハクチョウやカモとの触れ合いを求める人々の餌やりが日常的に続いている。こうした給餌行為は、野鳥が人間の餌に依存し自分で食物を探さなくなるほか、給餌場所の狭い範囲に野鳥の過度な集中を招き、渡り鳥が病気を持ち込んだ場合、他の野鳥に感染が一気に広がる心配もある。ウイルスに感染した鳥のふんを人が踏み、他の地域の養鶏場などに感染を広げてしまう恐れもある。市の取り組みに、ウトナイ湖で昨年秋から水鳥のふん便調査を続ける環境省の苫小牧自然保護官事務所も「給餌行為を見た際は、やめるよう呼び掛けたい」と協力姿勢。日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリの原田修チーフレンジャーは「環境教育などの観点から野鳥への給餌がすべて悪いと言えない」としながらも、「湖畔での無秩序な餌やりは、特定の種を不自然に湖畔に増やしてしまうなどデメリットも多く、やめても影響は出ないと考えている」と話している。

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(銃部品輸入に無罪判決:大阪)
米国から拳銃の部品を密輸したとして関税法違反(拳銃部品輸入)などの罪に問われた会社役員、和田晃三被告(50)=大阪府八尾市=の控訴審で、大阪高裁(古川博裁判長)は20日、懲役10年、罰金200万円とした昨年2月の一審・神戸地裁判決を破棄し、関税法違反の罪について無罪とする判決を言い渡した。一方、拳銃など7丁を所持したとされる銃刀法違反などの罪について有罪と認定し、懲役7年とした。拳銃の部品は輸入が禁じられているが、判決は、和田被告が輸入前に警察に問い合わせて指導を受け、部品を加工したと認定。「違法性を認識していたとは認められない」と述べた。さらに、この事例で刑事責任を問うのは「捜査機関の落ち度を被告に転嫁するものだ」と批判した。和田被告は拳銃を加工して発射できなくし、「無可動銃」として販売する事業を展開。02年8〜11月、拳銃の部品を米国から8回にわたって輸入したなどとして、06年に起訴された。
(ハンター6人書類送検 公道で発砲の疑い:栃木)
上三川町内の狩猟禁止地区で発砲したなどとして、下野署は二十日までに、銃刀法違反、鳥獣保護法違反、火薬取締法違反の疑いで下野市と日光市の男六人を書類送検した。書類送検されたのは、五十代後半から七十代後半の下野市に住む自営業、農業、運転手の男四人と日光市の無職男二人。調べによると、男六人は狩猟解禁日の昨年十一月十五日午前十時四十五分ごろ、同町梁の狩猟が禁止されている公道であるサイクリングロードから田川のカルガモを狙い、散弾銃を発砲した疑い。狩猟仲間九人で現場を訪れたという。同日、同町川中子の田川沿いの畑で、草むしりをしていた農業女性(56)が、発砲音を聞くと同時に頭頂部に何かが当たりけがをした、と一一〇番。同署は現場付近にいたハンターに事情聴取するなど捜査していた。「禁止されていると知っていたが、解禁日だったため獲物が欲しくて発砲した」などと、男六人は容疑を認めているという。
(シカ食害で山野草ピンチ:山梨)
山梨市牧丘町にある乙女高原で、シカの食害により山野草の個体数が減少している。オオバギボウシなど一部の山野草では激減しているものもある一方、シカが食べない山野草が増加するなど高原の生態系に変化が出始めている。高原の自然環境維持活動などに取り組む「乙女高原ファンクラブ」(植原彰代表世話人)によると、高原内の草原エリア約5ヘクタールでは、春から秋にかけてサクラスミレやクガイソウなど100種類を超える山野草が見られる。草原に広がる「花畑」を一目見ようと、毎年多くのハイカーらが訪れている。しかし、10年前には高原内でほとんど見られなかったシカが近年急増。5年ほど前から花を食べられている山野草が見受けられるようになったという。中でもオオバギボウシやアマドコロは「見つけるのが困難」(同クラブ)になるほど激減している。
(県が新開発 侵入防止柵「獣塀くん」:山梨)
シカやイノシシなどによる農作物被害を防ごうと、県総合農業技術センターが新型の侵入防止柵「獣塀(じゅうべえ)くん」を考案した。電気の流れる金網を使って獣が飛び越えられないようにし、これまでの電線の弱点を克服したのが特徴。作製費用も安価に抑えた。完成品の販売はしていないが作製方法をホームページで公開している。獣塀くんの開発は、同センター鳥獣害対策科研究員の宮川芳樹さん(28)らが2年前から着手した。これまでの獣害防止柵は支柱と支柱の間に横に電線を張り巡らせたものが主流で、シカなどが柵を跳び越えたり、イノシシなどが電線の間をくぐり抜けてしまうなどの弱点があった。金網を使うことを考えたが、地面と接触すると電流が逃げるのが難点だった。そこで絶縁用の板を金網の下に敷くことで克服。さらに獣の習性に応じて3種類の柵を考案した。〈1〉下からくぐり抜ける動きをするイノシシ、タヌキ、ハクビシンなどに対しては金網を使用〈2〉飛び越える動きをするシカ用には電線と金網を併用して柵を高くする〈3〉よじ登るサル用には、〈2〉をベースにさらに高い位置に電線を張る――。こうして昨年10月までに完成させた。材料は金網や支柱、絶縁用の板などで費用は1メートル当たり544〜1100円と安い。同センターではホームページに加えて、今後は獣塀くんの作製方法を職員が説明する講習会なども行う予定。20日には甲斐市下今井の同センターで市町村関係者を対象とした説明会を開き、参加者は画期的な仕組みに、感心した様子だった。宮川さんは「安くて簡単にできる獣害対策。農家が安心して作物作りに励める一助になれば」と話している。
(北上するサル?「刺激しないで」:埼玉)
春日部市など県東部の5市1町で、昨年暮れからニホンザルが相次いで目撃されている。サルは1匹とみられ、北上している模様。県東部環境管理事務所(杉戸町)の担当者は「一体どこから来たのか」と首をかしげている。同事務所などによると、最初に目撃されたのは昨年12月23日昼。草加市稲荷の住宅街で複数の近隣住人が見た。その後も約40件の目撃情報が寄せられた。サルは今月14日まで越谷、吉川両市を行き来した後、15日に春日部市、19日には杉戸町へと北上。春日部市内では、民家の庭で柿を食べている姿が目撃され、20日朝は、幸手市惣新田の工場の屋根上(高さ約5メートル)に座っていた。目撃した春日部市の獣医師の男性(80)は「サルはシバ犬ほどの大きさで、体重は4〜5キロぐらい。高さ約5メートルのケヤキの木の上に丸まっているのを見たが、こちらの存在に気付いたのか、すぐに姿を消してしまった」と話す。これまでのところ人や農作物への被害はなく、苦情も出ていないため、同事務所はしばらく動向を見守る方針。ただ、「攻撃してくる可能性があるので、見かけても刺激したり餌を与えたりしないでほしい」と呼びかけている。東京都動物愛護相談センター(世田谷区)によると、草加市と隣接する足立区内でも昨年12月22日、ニホンザルと思われるサルが目撃されている。
(メーンはキジとカモ肉 オバマ大統領就任後初の昼食はリンカーンと同じ)
オバマ米大統領は20日昼(日本時間21日早朝)、就任後初の昼食を議会指導者らとともにした。昼食は、オバマ氏が敬愛するリンカーン第16代大統領が1861年の就任式後に食べたメニューが再現された。米メディアによると、前菜がシーフード・シチュー、メーンコースがキジとカモの肉料理。デザートはリンカーンがアップルケーキを好物にしていたことから、アップルシナモンスポンジケーキが出された。皿はリンカーン大統領時代に使われた陶磁器の複製が使われた。連邦議事堂内で行われた昼食会には、オバマ氏と大統領選を戦ったマケイン上院議員夫妻をはじめ議会関係者など約200人が出席した。オバマ氏と同じイリノイ州選出だったリンカーンは、今年生誕200周年を迎える。オバマ氏の就任式典の公式テーマもリンカーンの演説から「自由の新たな誕生」となった。
(諏訪湖畔にミコアイサ1羽居着く:長野)
岡谷市長地権現町の横河川河口付近の諏訪湖畔に、白い体で目の周りが黒く「パンダガモ」とも呼ばれる水鳥ミコアイサの雄1羽が居着いている。日本野鳥の会諏訪支部によると、カモ科のミコアイサは魚食性で、数十羽の群れで沖の方にいることが多く、単独で岸辺にいるのは珍しいという。
(トキ3羽“危機一髪”カラスと空中戦)
新潟県佐渡市で放鳥され生息が確認されているトキ8羽のうち、今月初旬から約2週間にわたって同一行動をとっていた3羽が20日、ハシブトカラスの大群に威嚇される場面があった。同日午前10時過ぎ、3羽が加茂湖周辺で餌を食べていたところに、10羽以上のハシブトガラスが次々に飛来。カラスはトキに直接襲いかかることはなかったが、声を上げながら逃げまどうトキと“空中戦”を演じた。日本野鳥の会佐渡支部の土屋正起副支部長(58)は「カラスは自分の縄張りからトキを追い出そうとしたのではないか」と話している。
(中国・湖南省で16歳少年が鳥インフルで死亡、1か月で3人目)
中国・湖南(Hunan)省の懐化(Huaihua)で20日朝、鳥インフルエンザウイルスに感染した16歳の少年が死亡した。国営新華社(Xinhua)通信が、同省衛生局の話として伝えた。同インフルエンザによる死者は1か月で3人目。前日の衛生省発表によると、この少年は貴州(Guizhou)省で8日に発病。症状が悪化したため16日に懐化の病院に搬送され、強毒性の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)ウイルスに感染していることが確認された後、重体が続いていた。少年は発病する前に、死んだニワトリに触れていたという。中国では過去1か月の間に、少年を含めて3人が鳥インフルエンザで死亡しており、2003年に1人目の死亡者が出て以来、鳥インフルエンザによる死者数の合計は23人となった。

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(猟銃の正しい扱い方再確認:山形)
村山市土生田の最上川で9日に発生した猟銃事故を受け、尾花沢地区と大石田地区の猟友会、尾花沢署は18日、尾花沢市のサルナートで臨時安全講習会を開き、猟友会メンバーが猟銃の適正な取り扱い方を再確認した。事故は木造の通称・ささ舟(全長約8メートル)に乗った3人がカモ猟中、一番後ろに乗って船外機を操作していた男性の発射した散弾が、同乗の男性2人に誤って当たった。2人は頭や腕に重軽傷を負い、一歩間違えば死亡事故になりかねないケースだった。猟友会員など約65人が出席。それぞれの経験に基づき「銃口は決して人に向けない」「舟撃ちで、船長は銃を持たない」「水平発射をしない」など初心に帰って真剣に意見交換していた。
(8割に日本脳炎感染の痕跡 田辺市周辺の野生イノシシ:和歌山)
田辺市とその周辺で捕獲された野生イノシシの8割強が、発病すると重篤な症状になることがある日本脳炎ウイルス(JEV)に過去に感染していたことが、山口大学農学部獣医微生物学教室の前田健准教授(40)らのウイルス抗体調査で分かった。特定外来生物のアライグマも7割近くで感染の痕跡があった。前田准教授は「いまも多くの野生動物が感染しているようだ。昔の病気ではないということを認識してほしい」と話している。日本脳炎は、感染したヒトのうち数百人に一人が発症すると考えられている。ヒトへの感染は、媒介するコガタアカイエカが感染したブタや野生動物などの血を吸い、その後ヒトを刺すことで起こる。肉を食べても感染はしない。前田准教授は、田辺市稲成町のふるさと自然公園センターの鈴木和男さん(52)の協力で、2007年11月から08年2月にかけて、狩猟で捕獲されたイノシシ36匹を調べた。この結果、30匹(83・3%)が抗体陽性となった。アライグマは68匹(07年6月〜08年1月)を調べ、47匹(69・1%)が陽性だった。イノシシの陽性率は広島県(04年11月〜05年2月、68%)での調査より高かった。近年のヒトの発症状況は、全国的にみると、2003年は1人だったが、04年5人、05年7人、06年7人と推移し、07年は10人になった。08年は12月14日までに3人。県内での発生はゼロだった。死者は出ていない。05年からは、日本脳炎予防接種の後に発症した重症の急性散在性脳脊髄(せきずい)炎=ADEM=について、現行の日本脳炎ワクチンとの因果関係を否定できないと厚生労働省が認定。このため、予防接種の積極的勧奨を差し控えている。前田准教授は「広島県などと比べて陽性率が高いのは、本州最南にあるため、媒介カの分布・生息域などが関与していると考えられる」と指摘している。
(ヒシクイ観察会、予想以上の70人参加:宮城)
ラムサール条約に昨秋、湿地登録された大崎市古川の化女沼で17日、ヒシクイのねぐら入り観察会が行われた。同沼が登録される決め手になった多数の越冬ヒシクイを見ようと、予想を大幅に上回る約70人が参加。ヒシクイ観察歴25年で、ガイド役を務めた「雁の里親友の会」事務局長の池内俊雄さん(48)=同市三本木=は「参加者は20人程度とみていた。ヒシクイがこんなに人気を集めたことはなかった」とびっくりしていた。観察会は、大崎の自然財産を実感しようと市民団体の「大崎市生き活(い)きまちづくり21委員会」が主催した。昨秋、別団体が観察会を開いたが、その際はヒシクイの飛来数が数えるほどで、今回が実質的な「登録後の初観察会」。池内さんは「ロシア・カムチャツカ半島から日本に飛来・越冬するヒシクイの9割に当たる6000羽以上が化女沼をねぐらに周辺の田の落ちもみや雑草の新芽を採餌する」と説明した。午後5時過ぎ、マガンの大半が沼に降りた後、ヒシクイが数百羽から10羽単位でさみだれ式にねぐら入り。マガンより一回り大型の体で、ゆったりした羽ばたきのヒシクイに、参加者たちは生き物の多様さの一端を感じ取っていた。ヒシクイはカモ科の野鳥で、オオヒシクイやヒシクイなど4亜種に分かれ、化女沼に集まっているのは、このうち「亜種ヒシクイ」。池内さんによると、日本では狩猟禁止で、餌になる落ちもみや雑草の新芽が豊富なため、狩猟圧力を受ける北朝鮮などに渡る群れよりカムチャツカに戻った後の繁殖率が良い。また、以前は関東に多数飛来していたが、開発が進むとともに、本拠地が化女沼と周辺の水田地帯に移ったのだという。
(サル被害対策を紹介:京都)
京都府舞鶴市の田畑で農作物へ大きな被害を与えているサルの被害対策を考えるシンポジウムが2月21日、同市浜の市商工観光センターで開かれる。市内には、7群330−430頭のサルがいるとされ、2007年の農作物の被害額は約1000万円に上った。府や市でつくる市有害鳥獣被害防止対策検討委員会は、群れで行動するメスに発信器を取り付け、接近すると自動的に住民に通報するシステムを試験導入するなど対策を練っているが、サルは学習能力が高く、追い払いが難しいという。シンポでは、サルの出没調査を続ける市農業委員の松岡秀雄さんが基調報告する。その後、被害の大きい大浦地区など3地区の住民、猟友会の代表者が取り組みを紹介する。質問や意見交換の時間もある。午後1時半から4時まで。実行委の松浦盈雅委員長は「農業と工業の関係者が一緒になり、効果的な対策を考える契機になれば」と話している。通報システムを開発した市内の機械・金属関連業者でつくる「舞鶴工業集積協議会」や大浦振興協議会など五団体からなる実行委が企画した。
(スズメの焼き鳥100年の名物ピンチ:京都)
京都市伏見区の伏見稲荷大社の参道で、大正時代から続く名物「スズメの焼き鳥」を売る店が今年の三が日でまた一つ姿を消し、2店だけになった。スズメを捕る猟師の高齢化や禁輸による中国産の在庫切れなどで、原料が手に入りにくくなったのが原因。参拝客からは惜しむ声も出ているが、販売を中止した料理屋は「ないもんはしゃあない」とため息をつくばかり。伏見稲荷大社は商売繁盛と五穀豊穣(ごこくほうじょう)の神様。名物の焼き鳥は、穀物を食い荒らすスズメ退治のために始まったとされ、参道で販売されてきた。材料は中国産スズメが多用され、参道やその周辺の飲食店6、7店で売られていたという。しかし、中国政府が99年12月に食用の加工品も含めた野鳥の輸出を禁止。店の関係者によると、在庫の中国産冷凍スズメに頼るか、国産への切り替えを余儀なくされた。その冷凍モノも昨春ついに在庫が切れ、2店が撤退。別の1店もこの正月三が日をもって販売を終了した。国産もピンチだ。スズメの生態に詳しい立教大理学部の三上修・特別研究員によると、町中で営巣する緑地の減少などから近年急減している。国産で販売を続けている食事処(どころ)「稲福」は京都、兵庫、香川県などの猟師から仕入れているが、確保できる量はピーク時の3分の1にすぎない。値段も1本450円と中国産の約2倍。スズメ猟の後継者は少なく、今後も先細りしそうだという。稲福の本城忠宏社長は「国産スズメのおいしさを知ってほしいが、猟の技術が受け継がれなければ息子の代にはスズメの焼き鳥がなくなっているかもしれない」と危惧(きぐ)している。
(世田谷の工事現場に不発弾)
17日午前11時半ごろ、東京都世田谷区北沢のアパート解体工事現場で、地中に不発弾が埋まっているのを作業員が発見し、110番通報した。同署が陸上自衛隊に撤去作業を依頼している。同署によると、不発弾は長さ約1メートル、直径約20センチ。火薬、信管の有無は不明だという。同署が現場から周辺300メートル以内の住民に避難を呼びかけ、道路を通行止めにした。
(与那原町で事故後初の不発弾処理:沖縄)
与那原町港区と板良敷で18日、不発弾2発の処理作業が実施された。不発弾から半径約150メートル以内に住む68世帯219人が避難し、処理は無事に終了した。2人が重軽傷を負った糸満市不発弾爆発事故後、初めての処理作業で、住民は不安を抱えながらの避難となった。また那覇市首里大名町の若夏学院でも工事中に不発弾1発が見つかり、現場から運び出された。与那原町で処理された2発は米国製5インチ艦砲弾。板良敷のものは4月に民間人が畑をショベルカーで耕していた際に見つけた。港区のものは5月の道路工事中に発見された。2発とも発見場所で保管していた。避難場所の港区コミュニティーセンターには3人が訪れ、不安な表情を見せた。屋比久静子さん(74)は「びっくりしている。発見場所はウオーキングする人が多いのでびっくりした。糸満で事故があったばかりなので、とても怖い」と話した。一方、若夏学院では午前10時半ごろ、改修工事中に不発弾1発が見つかった。火薬が抜けて爆発の危険性がなかったため、不発弾処理隊がすぐに現場から運び出した。見つかったのは5インチ艦砲弾とみられる。ショベルカーで不発弾を掘り出した男性は「この工事中に5、6発は見つかっている。磁気探査をしたのにどんどん出てくるので、心配だ」と話した。
(シカの生態知って 県立博物館企画展:鹿児島)
県内に生息するシカの生態などを紹介した県立博物館の企画展「かごしま鹿物語」が鹿児島市城山町の同館で開かれている。2月1日まで。エゾシカやキュウシュウジカなど日本にいる7種のニホンジカのうち、県内には3種が生息。シカを通して環境保全のあり方についても考えてもらおうと企画した。県内に生息するキュウシュウジカやヤクシカ、マゲシカのはく製7体や国の天然記念物ケラマジカなどの頭骨を展示。パネル展示「暮らしの中のシカ」コーナーでは、角が漢方薬、皮がよろいや防具の一部、骨が釣り針やかんざしなどに利用されてきたことも紹介している。天敵だったニホンオオカミの絶滅や狩猟の減少、観光地などで人が餌を与えることなどによってシカが増え、農作物などに大きな影響を及ぼしている現状も説明。同館の中間弘学芸主事は「動物の生態を正しく理解するきっかけにしてほしい」と話している。
(エゾシカ肉おいしさ多彩に 来月1日から)
エゾシカ肉の新しい食べ方を提案するキャンペーン「2009エゾシカ料理まつりin札幌」(実行委主催)が、二月一日から十五日まで、札幌市と江別市内の飲食店で開かれる。二回目となる今回は前回のほぼ倍の三十三店が参加し、フレンチや和食など多彩なメニューを提供する。シカ肉の消費を拡大し、農林業に多大な被害を与えているエゾシカの捕獲を促そうと、道、エゾシカ協会、エゾシカ食肉事業協同組合が企画、二〇〇七年十一月に一回目を実施した。今回は「さっぽろ雪まつり」(二月五−十一日)期間に合わせて開催し、観光客にも北海道の食材としてPRする狙い。低脂肪のシカ肉はヨーロッパでは健康的な高級食材として普及しており、料理もフレンチやイタリアンが主流だが、今回は、みそ煮込み、コロッケ、中華まんやピロシキなど珍しい料理も登場。注文してアンケートに答えた人には抽選でエゾシカ肉加工品が当たる趣向もある。参加店は、エゾシカ協会のホームページで参照できる。
(霧ケ峰のシカ、昨秋最多に 高山植物の食害懸念:長野)
県環境保全研究所と県霧ケ峰自然保護センターが、霧ケ峰高原で毎年春と秋に「ライトセンサス」という方法で実施しているニホンジカの頭数調査で、昨年秋に過去最多を記録し、増加傾向が著しいことが分かった。高山植物ニッコウキスゲの被食も進んでおり、影響が懸念されている。ライトセンサス調査は、ここ10数年の間に霧ケ峰でシカが目立つようになったことから、2004年に開始。夜間に車の両脇をライトで照らしながら走り、光るシカの目を探して頭数を数える。春と秋の4、5日間、大門峠−強清水の16キロと、踊場湿原−八島ケ原湿原の10キロで行い、平均頭数を算出している。06年までは平均20頭前後で安定していたが、07年春から増加傾向で、08年秋は53頭と過去最高に。八島ケ原湿原への入り込みも確認したほか、幼獣も発見されており、今後も増加が予想されるという。ニッコウキスゲの被食調査は昨年7、8月、登山道沿いの65地点で実施。87・7%に当たる57地点で、花茎が食べられていた。特に被食率が高かったのは、南の耳−車山高原スキー場周辺で、78・3−96・8%。普段人が立ち入らない場所ほど高くなる傾向にあるという。県環境保全研究所は「霧ケ峰は観光地なのでシカを捕獲するのは難しい。ライトセンサス調査を続けながら、ふもとで行う一斉捕獲の効果を見ていきたい」としている。
(まるで重機の仕事 山の斜面崩すイノシシ:京都)
一晩のうちに、道路脇の山の斜面が崩れ、土砂に交じって大きな石がころげ落ちている。まるで、重機を使って崩したようなありさまだ。大雨が降ったわけではなく、大風が吹いたわけでもない。これは、イノシシによるもの。岩盤と土の間に伸びたヤマイモを食べようと、がむしゃらに掘り出した跡だ。餌にありつくためとはいえ、すさまじい力。人間がやろうと思えば、どれほどの労力が必要か。田に稲はなく、畑にも空きスペースが目立つ時期だが、わずかに残る野菜を守るため、福知山市の山間部の農家では、今も網、トタンなどを張り巡らしている。野生動物たちは、食べ物に困っている。そのことは分かっていても、獣は、山間地域の人々にとって、生活を守るために闘わなければならない相手。冬場も続く。
(地産地消 猪肉おでん:静岡)
静岡市北西部の葵区清沢地区の住民らが、同地区で捕獲したイノシシの肉を使った「清沢猪肉(ししにく)おでん」を開発した。2月1日に同区東深草町の静岡農政事務所で開かれる「静岡食文化祭」でお披露目する。住民らは「『静岡おでん』の新しい具材として定着すれば」と期待している。開発したのは清沢地区の活性化を目指す「NPO法人フロンティア清沢」。同法人や協力した「静岡市葵生涯学習センター」によると、清沢地区では以前からイノシシに農作物を食い荒らされる被害に悩まされており、捕獲したイノシシの処分にも困っていたという。同法人では、これまでにもイノシシの肉を使った「猪焼肉定食」を地区の農作物直売所「きよさわ里の駅」で販売するなどしていたが、他の利用法はないか模索していた。そんな中、「静岡おでん」の普及を目指す「静岡おでんの会」や、同センターから「イノシシの肉をおでんの新しい具材にしないか」と誘いがあり、昨年2月から共同で「猪肉おでん」の開発を始めた。開発に当たっては、栄養士と相談しながら試作を繰り返した。「固い」「臭い」というイノシシ肉独特の風味の課題を克服するため、下味に清沢地区で生産したみそを使用。イノシシ肉をさっとゆで、みそを入れたつゆでしっかり煮込んだ。イノシシ肉のほか、ゴボウやこんにゃくなども清沢で生産したものをなるべく使用し、地産地消のおでんを目指した。柔らかくなったイノシシ肉をゴボウ、こんにゃくとともに串に刺し、みそだれをかけて完成。上品ながら、どこか野性味のある味に仕上がった。同法人事務局長の青島富雄さん(57)は「好評であれば、今後、本格的に売り出すことも検討したい。これで地区を盛り上げることができれば」と話している。
(クマ保護管理計画、素案まとまる:福島)
人里に出るなどし、県内で07年までの5年間に1000頭以上が駆除、捕獲されたツキノワグマについて、県は初の保護管理計画の素案をまとめた。他県の先行事例では年間捕殺数の上限を示すケースもあるが、県は「個体数調整のための捕獲はしない」として明示しなかった。パブリックコメントの募集、自然保護審議会への諮問を経て、年度内に成案化する。99年の鳥獣保護法改正に基づく特定鳥獣保護計画で、県内ではニホンザル、カワウに次いで3種目。クマと人間の適正なすみ分けを通じ、人的被害や農業被害の軽減と保護を図る。県によると、素案はクマの生息域について、捕獲実績のある会津地域など「阿武隈川西域」に加え、目撃事例が相次ぐ「阿武隈高地」を加えた。クマが生息する森林と人が暮らす集落周辺について(1)クマの生息ゾーン(2)人の生活ゾーン(3)緩衝地帯−−に区分し、各地域・ゾーンの対策を定める。また、計画に則し捕殺による個体数調整が可能になるが、「捕獲は補完的な対応」と位置付け、目標数は明示しなかった。正確な生息数が把握できず適正個体数が推定できないことや、捕殺調整の実効性が確認できないことなどが理由という。他方、絶滅を危惧(きぐ)する自然保護関係者らが求める「捕獲自粛」には踏み込まず、「不必要な捕獲は禁じる」との表現にとどめた。また、有害駆除を担う狩猟者について「減少傾向にある」とし、「狩猟技術の活用・継承が不可欠の課題」として「経験知」の継承を課題としてあげた。県の「レッドデータブックふくしま」では、ツキノワグマは県内では一般的だが、全国レベルでは貴重と評価され、「注意種」に位置付けられている。計画素案では、県内の生息数を推定855〜1600頭(88〜08年平均)とした。03〜07年の5年間で1094頭が有害駆除や狩猟で殺され、特に06年は456頭と多く、一部の自然保護団体は「県内のツキノワグマは想像以上に激減している」と指摘している。
(足利にハクチョウ飛来「毎年来てね」と地元住民:栃木)
足利市南部の小曽根町の矢場川に初めてハクチョウのつがいが飛来し地元で話題になっている。初めて確認されたのは昨年12月。以後、地元自治会の人らが足利市立協和中の協力を得て、給食で残ったパンを与えており、今ではエサの時間になると手が届くほど距離まで近寄るようになった。2、3キロ先にハクチョウの飛来地で知られる群馬県館林市の多々良沼があり、地元では「迷ってきたのではないか」とみているが、「これからは毎年来てほしい」と願っている。小曽根町自治会の飯田邦彦会長(66)は、「矢場川がきれいになった証拠。最近いろんな事件が起こっているが、ハクチョウを見習ってみな仲良くしてほしいものです」などと話していた。
(ハクチョウ飛来地でカモ増加:栃木)
ハクチョウの飛来地として知られる羽田の羽田沼。今季は地元住民団体が給餌を休止していることもあってか、ハクチョウの居付くペースが遅れ気味だった一方、カモ類が昨年同時期より増加するなど沼の様子に変化が見える。今季の初飛来は昨年十月十九日で、例年と同じ時期だった。しかし、昨年中はなかなか"定住"せず、昨シーズンからいる羽根を痛めた一羽だけが遊泳する状態が続いていた。白鳥を守る会の長島昭夫会長も「給餌禁止の影響で、全く来ないのではないかと心配し、胃が痛かった」と振り返る。今月に入ってからは、寒さが厳しくなったことも手伝い、数が安定。二、三十羽が羽を休め、訪れる人々を楽しませている。一方でなぜかカモ類が増加。十三日に県北環境森林事務所が行った調査では、ハクチョウ七十一羽に対し、カモ類が約四千四百羽。カモ類は昨年同時期の調査に比べ約千八百羽増加している。同事務所は「調査する日時によって、ばらつきがあるので要因特定は難しい」と話す。ハクチョウ飛来のピークは今月下旬以降とみられ、今後増加することも予想される。長島会長は「見に来てくれる人もハクチョウを静かに見守ってほしい」と話している。
(サルはヤギが嫌い!?果樹園で実証実験:福島)
サルはヤギが嫌い?−−。ニホンザルによる食害が深刻な果樹園でヤギをつなぎ飼いしたところ、サルが近付かなくなる効果があることが、福島県の南会津農林事務所の実証実験で分かった。ヤギの体臭が関係しているともみられ、同事務所は新年度も実験を続け、猿害防止に役立てたい考えだ。実験は昨年、下郷町音金と南会津町耻風(はじかぜ)の2カ所のリンゴ園で「過疎・中山間地域連携事業」として実施された。両地区とも近年、ニホンザルによる農業被害が目立っていた。音金地区では昨年9月、ザーネン種のメスの母子2頭を導入。サルが侵入する三方のうち、二方を防鳥ネットでふさぎ、残る北西側をヤギに見張らせた。北西辺約160メートルにワイヤを張り、ワイヤに沿ってヤギが移動するようつなぎ飼いした。その結果、付近にサルの群れが現れてもヤギの守備範囲には近付かず、約2カ月間、園内へのサル侵入は1度もなかった。ヤギを帰すと、翌日には約30匹の群れが侵入し、収穫し残したリンゴを食べられたという。リンゴ園を営む星由夫さん(61)は「サルの鳴き声がすると、ヤギはサルをじっと凝視していた。ヤギが威嚇するというより、サルがヤギを嫌っているようだった」と話す。星さんは約1ヘクタールの園内で、つがるなどを栽培しており、毎年収穫期にサルに襲われ、年間100〜200キロの被害があったという。「被害ゼロは10年ぶり。ただ、サルは学習能力が高いので、こちらも工夫しないと」と気を引き締めていた。
(猪猟師「山の野生動物」を語る)
四国のど真ん中の高知県大川村は、離島を除けば人口が日本最少の自治体である。猪猟師の平賀真助さんによると、今の村人口は480人くらいだろうという。私が初めて訪れた18年前には750人いたはずだった。大川村で何が起こっているのか? 野生動物を追いながら、軽トラの中で、平賀さんに「山の野生動物」を語ってもらった。1月12日、朝5時に起き、6時前には車に乗って、四国のど真ん中にある高知県大川村に向かいました。自宅からは北に片道70kmほどの行程です。家を出たときの小雨は、行程半ばで雪に変わりました。積雪と降りしきる雪のために、チェーンを巻かねばならず、予想以上に時間がかかりました。しかし、山から県道17号まで軽トラで下りてきた猪猟師の平賀真助さんは、「今日は寒いから止めよう。」とおっしゃるのです。私が、(えっ、2時間半もかけて来たんですよ。)と言いたそうな顔をすると、「朝の雪は、イノシシの足跡を消しよるきに。イノシシは夜行性ですからね。ま、家で暖まりなさいや。」とおっしゃるのです。平賀真助さんは、現在71歳ですが、14歳のときから父親に連れられて山に入り、ずっと猪猟に生きてきた人です。私とは、かれこれ20年近い付き合いなのですが、だいたいいつも猟犬を30頭、猪を30頭飼っています。本格的な猪猟師です。鍛えられた猟犬は、もちろんシシ犬で、自らの猪猟に使うのですが、それ以外に他の猟師に売ったりもするのです。また、大きな猪小屋があって、猪の繁殖や飼育も手がけています。「山の猪よりわしの猪のほうがうまい。」と本人は言います。猪だけでは食えないので、農業と林業にも携わっていますが、生まれてからずっと過疎最前線の大川村で暮らしてきた人です。大川村は、人口480人、離島を除くと、日本一人口の少ない地方自治体で、いわゆる限界集落の集合体です。学問的なことを言うと、限界集落の次は、消滅集落なのです。私が初めて真助さんと会ったころは、750人の人口があったのです。今は、小中学生合わせても20人いないといいます。子供がいないということは、若い大人もいないということです。山中にある真助さんの家は、隣の家から300m離れています。息子さんが2人いますが、今は、2人とも村外に出ていて、奥さんと2人で暮らしています。家の近くに大きな犬小屋、猪小屋、鶏小屋があり、飼っている動物たちの世話だけでも毎日たいへんだろうと想像されます。私の息子は小学校5年生のとき大川村に山村留学し、真助さんの家で1年間お世話になりました。猪猟はもちろん、猪の解体などもやらせてもらったようです。私が吾北村に「成川自然農園」を開いたときには、真助さんは、何度も開墾を手伝いに来てくれました。真助さんとは、それ以来の付き合いです。コタツに足を突っ込んで、山の話をいろいろ聞いているうちに、昼になりました。奥さんが、炊き込みご飯をご馳走してくれました。「雪が止んだき、シカ狩りに行こう。」と真助さんが言うので、ビーグル犬を3頭、軽トラの荷台に乗せて、山中の一軒家を出発しました。これまでシカを見かけることのなかった大川村にも、北部と東部から縄張り争いに負けたシカが移動してきているといいます。9年前に私が新聞で警告したとおりのことが日本国中で進行しており、とうとう四国山地の奥地にも及んできたということです。雪は止んでいましたが、林道にも30cmほどの積雪があり、真助さんは、ゆっくりと軽トラを走らせます。平らな雪上に動物の気配はほとんどありません。「沈黙の冬」です。時々、突風がスギやヒノキに積もっていた粉雪を撒き散らし、運転席の真助さんの視界を遮ります。平家平(1,693m)の頂上を見上げるところまで上って来て、真助さんは軽トラを止めました。そして、ビーグル犬に発信機をつけて植林に放しました。喜んだ犬たちは、まず小便をして、雪上を行ったり来たり、やたらと走り回ります。しばらくして、シカの臭いに気づいたのか、雪を蹴散らして山を上り始めました。3頭は、スギの植林の中を頂上に向かってほえながら、私たちの視界から消えていきました。軽トラの中で待機している間に、私は真助さんから山の野生動物たちの消息を聞きました。(私)「最近、イノシシは増えていますか?」(真助)「増えて困るという人がおるが、実は、減っとります。山にエサがないので、山の上のほうにはおりません。昔は山にしかいなかったはずのイノシシが、最近は、人里に住んどるのですよ。それで、人目につく。増えた、増えた、と人は言うが、総数は減っとると思いますよ。山で、山芋やワラビやミミズやサワガニなどいろいろなものを食べておるイノシシがうまいのです。人里のイノシシなんかうまくないですよ。」(私)「野生動物では、シカとサルが増えているんでしょうか?」(真助)「数も増えとるんでしょうね。野生動物というのは、もともと山におったんですよ。ところが、最近は、植林や土木工事の関係で山が荒れてしもうて、シカもサルも人里に下りてきて、畑を荒らしたりして、悪さをしよります。この農業被害がばかにならんのです。」「駆除の申請をすれば、大川村では、いつでも許可がおります。有害鳥獣で、奨金が出ております。オスジカは5千円、メスジカは1万円です。サルは、どんなサルでも1万円です。しかし、撃ち落としたサルの赤い顔が青ざめていくのを見ると、わしら、人を殺したような気持ちになりますね。昔から、サルを殺すのを嫌がる猟師は多いんですよ。」(私)「さっき、ヤマドリのメスが飛び立ちましたが、メスなのにきれいですね。ヤマドリはどうですか?」(真助)「昔は、どっさりおりました。今の時期には群れでおりましたよ。植林の山にはエサがありません。それに、植林は、間伐もろくにしていないので、林に光が入らず、下草が育っていません。それで、ヤマドリの隠れるところがなくなりました。丸見えですから、キツネ、タヌキ、ハクビシンなどの恰好のエサですよ。」「キジは、ほとんどゼロですね。キジは放鳥したときだけしばらくはおります。しかし、人間に育てられたキジというのは、トロいのですよ。あんなもん、猫でも捕まえますよ。危険が迫っても逃げずに、じっとすくんでいるだけなんですよ。」(私)「キツネやタヌキはどうですか?」(真助)「5年くらい前までは、キツネはいっぱいおりましたよ。そこら中に、キツネの足跡がありました。ここらのキツネは、もともと愛媛の営林署が、野ウサギと野ネズミ対策として放したもので、そのため生態系がだいぶ狂いましたわね。野ウサギ、野ネズミ以外に、ヤマドリ、キジ、タヌキなんかも被害に遭いましたわね。」(私)「キツネは、タヌキを食べるんですか?」(真助)「キツネはタヌキをかみ殺しますよ。ライバルですから。殺すだけでしょうが、よっぽど腹が減ってたら食べもするでしょうね。あまり喜んでは食べんとは思うけんど、……」(私)「シカとサル以外の野生動物は、山の荒廃が原因で、激減していると考えていいのですね?」(真助)「そういうことです。」(筆者の感想)動物は、植物のように自分の体を自分で作れないので、食べなければなりません。そのためには、動かなければなりません。現在、人間のあくなき経済活動のために、自然環境が著しく劣化し、地球上の野生動物の中には、エサ不足のため絶滅に向かっているものが多くいます。日本の野生動物などは、ほとんど絶滅に向かっているといっても過言ではないと思います。彼らは、生存をかけて、山から人里に移動を始めています。そんな彼らに「有害鳥獣」の汚名が着せられ、地球温暖化が追い討ちをかけています。しかし、陸上の移動には自ずから限界があります。そういう問題を最も敏感に感じているのは、山の猟師たちです。大川村の猪猟師・平賀真助さんは、60年近くも四国山地の山の野生動物たちを見守ってきた人です。どんな足跡でも、彼は瞬時に何者なのかを言うことができます。何頭いるのか、子供を連れているのか、どこに向かっているのか、彼には分かるのです。彼は、山の自然の劣化を深く憂えています。そんな彼の現状分析は、動物学者たちの分析とは異なっているかも知れません。しかし、半世紀以上の狩猟経験に裏打ちされた彼の現状分析は、傾聴に値すると思うのです。
(児童書『マタギに育てられたクマ』)
東北の各地に「マタギ」と呼ばれる狩猟を行う人たちがいた。クマやウサギやカモシカ、ムササビなどをとって暮らしを支えていた人たちだ。銃も装備も今のようにすぐれたものではなかった。鉄砲はごく近くまで行かなければ威力を発揮せず、タテという槍(やり)を使ってクマに立ち向かっていたのだ。粗末な装備だったから彼らは、知恵と経験を蓄え、山を知ることにつとめた。山には神が住み、恵みをくださるものと考えたし、意に反すればなだれや吹雪の災難、苦難を与えられると信じていた。それは山をおそれうやまう心となり、山では決して里の言葉を使わなかったし、さまざまな掟(おきて)をつくってそれを守っていた。仕留めたクマの胆のうは薬になったし、毛皮も肉もすべて役立てた。しかし、装備が変わり、銃は高性能になった。山は切り開かれ、人の手が奥まで届くようになった。それとともに人々の山に対する考え方が変わった。山言葉は消え、山の神に対するうやまいもなくなり、掟も忘れられた。マタギは消え、猟は楽しむものになった。そんななかで今も昔のしきたりを守るマタギがいる。白神山地のふもとに住む吉川隆さんだ。ある日、吉川さんは母グマを撃ってしまった。側には2頭の子グマが。放っておけば子グマは生きていけない。家で飼うことにした。大きくなり、山に帰そうとするが、戻ってきてしまう。再び放しても人に危害を加えるかもしれない。吉川さんはあることを選択する。野生のツキノワグマの生態、マタギが守ってきた山の知恵や掟、狩りの方法はどんなものだったのか。吉川さんというマタギの生き方を通して、自然と人の関係を考えていく。

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