<射撃ニュース6月>

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(観光向け品目も鳥獣被害:兵庫)
兵庫県豊岡市で、中山間部の集落がむら興しで取り組む観光用のハス園やブルーベリー園がシカやイノシシに食い荒らされ、関連する夏祭りを中止する事態が相次いでいる。鳥獣被害の広がりに農家の危機感が強まる中、同市を管内に持つ県但馬県民局は、ハンターを一から育てる学校を開いたり、現地に都会のボランティアを派遣したりする“秘策”に乗り出した。「こんなことは初めてだ」。豊岡市出石町奥小野集落の休耕田30アールで、観賞用のハスを地域ぐるみで育ててきた神谷徳一さん(61)はうなだれる。高さ1.2メートルの電気柵をイノシシがくぐり抜け、春先までにレンコンを食べ尽くした。いつもなら一面に咲き乱れるハスの花がほとんど咲いていない。大勢の観光客を見込んでいた「はす祭り」を初めて中止する。
(「亥のちゃんドッグ」で町おこし:静岡
森町薄場(うすば)地区の有志グループ「薄場元気プロジェクト」(中村礼二代表)が、イノシシ肉のソーセージを使ったホットドッグ「亥(い)のちゃんドッグ」を開発した。農作物に被害をもたらすこともあるイノシシだが、「町おこしに生かしたい」(同グループ)と意気込んでいる。森町やグループによると、町内で捕獲されるイノシシは、害獣としての駆除や猟で年間約200頭に上る。しかし、鍋や干し肉として消費される程度で、肉をどう生かすかが課題になっていた。同グループは、浜松市の食肉加工店がイノシシ肉のソーセージを作っているのに着目。袋井市で5月に開かれたB級グルメのイベントで、地元産の米を使った米粉パンに挟んだホットドッグにして300円で販売した。これが好評だったことから本格的に売り出すことにした。今年は15頭分のイノシシ肉を、230キロ分のソーセージに加工した。今後は、地元の夏祭りやイベント会場などで振る舞う予定で、中村代表(63)は「森町のB級グルメとして全国的に知られるようにしたい。地域活性化の起爆剤としても期待している」と話している。
(皇居に向け消火器発射、懲役9年)
皇居に向けて消火器を発射したなどとして、爆発物取締罰則違反などの罪に問われている元自衛官の男に対し、東京地裁は懲役9年の判決を言い渡しました。元自衛官の小川俊之被告(34)は、去年9月、火薬入りの消火器をおよそ140メートル離れた皇居の敷地内に向けて発射したほか、およそ540キロの爆薬が詰まった大型の爆弾を製造し、横浜市金沢区の海で爆発させようとしたとして、爆発物取締罰則違反などの罪に問われています。東京地裁は判決で、「皇居をはじめ我が国の国政・文化に関わる重要な施設がある場所での犯行で、政治的なテロなどの可能性も想起させる」と指摘。そのうえで、「動機は、自分の行動力を世に示したいという浅はかなもので、酌量の余地はない」として、小川被告に懲役9年の判決を言い渡しました。
(シカ捕獲、最多の2312頭:長野)
上伊那地区野生鳥獣保護管理対策協議会は29日に伊那市で開き、昨年度の活動を報告した。特に食害が深刻なニホンジカの上伊那地域での捕獲は目標の2倍近い2312頭で、統計のある2001年以来最多に上った。全体の農林被害は1億7500万円余と前年度より4000万円余減少。「活動により、被害の増大を何とか抑えている状況」と説明した。農地などへの侵入を防ぐ防護柵は延長121・9キロと1年間で36・5キロ増え「設置場所では一定の効果は示している」という。ただ、農業に絞ったシカ被害は前年度から面積が2割、金額は8割超と大きく拡大。中山間地のほぼすべての集落で依然、被害は報告されている。地域ごとの実情をさらに精査し、対策につなげていく。本年度は、獣害や防護策について「山間部と外部では認識に大きな差があり、地域全体の合意形成が重要」として、非農家への周知にも力を入れる方針を決めた。同協議会は上伊那地方事務所や信州大農学部、市町村などで構成している。
(ニホンカモシカ、富山市中心部に出没:富山)
富山市中心部で28日朝、国の特別天然記念物のニホンカモシカが出没し、パトカー数台が出動する騒ぎとなった。午前7時40分ごろ、富山市土居原町周辺の路上で「カモシカを見た」との110番通報があった。富山中央署や県などの関係者らが捕獲しようとしたが、同市丸の内の交差点やJR富山駅前などの市中心部を逃げ回った。その後、カモシカは富山北大橋(同市石坂)付近の神通川で河原の茂みに逃げ込み、姿が見えなくなった。同署は午前10時ごろ、捜索を打ち切った。人や車にぶつかるなどの被害はなかった。一方、市中心部から約3キロ南の同市掛尾町でも午前6時10分ごろ、カモシカが走り去るのを新聞販売店従業員が目撃しており、同一のカモシカと見られている。同市内では先月6日にも、婦中町速星周辺でニホンカモシカが走り回った末、用水路に落ちて死ぬ騒ぎがあった。
(クマ、庄原で出没:広島)
27日午後5時50分ごろ、庄原市口和町竹地谷の市道を乗用車で走行中の広島市内の男性会社員(36)が、体長約50センチのクマを見つけ、庄原署へ届けた。会社員の話では、クマは道路の中央にいたが、車に驚き、ガードレールの下から近くの本谷川方面に逃げたという。市口和支所は防災行政無線で住民に注意を呼びかけた。
(畑荒らす猿、犬が退治)
畑を荒らす猿を追い払うよう訓練された犬「モンキードッグ」が山里で活躍中だ。猿をおどかし、山に追い返すのが任務。導入した地域では農作物被害を減らす成果が出ているが、犬の配置が手薄な地域を集中して狙うケースも。「犬猿の仲」といわれる通り、この試みが年10億円超の猿害を食い止める切り札となるか、関係者は注目している。6月下旬、モンキードッグ先進県として知られる長野県の安曇野市。新緑の北アルプスに抱かれた山里で、「ジョン子」と「はな」が猿を探して目を光らせていた。
(全国に広がるカラス被害)
ごみ集積所を散らかしたり、街路樹をフンで汚したりと、全国に広がるカラス被害。富山県では、イネなど農作物が食い荒らされるケースも目立ち、被害は市街地だけでなく農村部へも広がっている。自治体はあの手この手の対策を打っているが、有効な手だてはあるのだろうか。富山県によると、昨年度、県内で確認されたカラスの個体数は、富山城址(じょうし)公園(富山市)が約9300羽、朝日山公園周辺(氷見市)が約3400羽、高岡古城公園(高岡市)が約3300羽。公園に多いのは「サギなどの天敵がおらず、居心地がいいからではないか」と推察されるが、はっきりした理由は分かっていない。富山県内で生息するカラスには、主に都市部を中心に生息するハシブトカラスと、水田や畑を中心に生息するハシボソカラスの2種類がある。昨年度は、おりなどを使った捕獲と、11~2月に行った狩猟で、計6471羽を駆除したが、被害は収まっていない。富山市中心部の生息数は約1万羽。東京都内で最も数が多いとされる明治神宮に匹敵する数だ。市街地では街路樹の根元がカラスのフンで白く汚れるなど、景観にも影響が出ている。市はねぐらとなっている城址公園におりを3基設置するなどしてカラスを捕獲。昨年度は1395羽を駆除した。同時に、生ごみの分別回収を進めたり、ごみ集積所に重り付きのネットを設置するなどの自衛策も講じる。しかしごみ出しマナーが守られないと、すぐ狙われる弱点がある。高岡市は今年度から、職員が高岡古城公園を夜間に巡回。カラスを見つけたらレーザーポインターの光を当てて追い払う「人海戦術」を展開する。カラスにストレスを与え、公園を居心地の悪い場所と認識させるのが狙いだ。しかし「ねぐらが他の場所に移るだけ」との指摘もある。一方、カラスによる農作物被害額は、昨年度だけで約3815万円。最も多かったのはイネで、被害全体の63%を占める。リンゴなどの果樹は29%だった。富山県西部では、カラスが水田をエサ場としているケースが目立ち、東部では果樹園が狙われるケースが目立っている。県は昨年、専門家や各地の担当者らでワーキンググループを設置し、どんな対策が有効か意見交換。その結果、稲刈り後に田おこしをしたり、出荷しなかったリンゴを放置せず、土に埋めることなどが必要と指摘した。また富山市は今年度、水田の被害が目立つ同市大山地区におりを設置。城址公園と同様に「捕獲」で被害を減らそうという考えだ。あの手この手の対策が繰り広げられているが、どの自治体でも「カラスが減った」と住民が実感するほどの成果は上がっていない。県自然保護課によると、カラスの生息数を減らすことに成功した東京都などと違い、富山県など地方では、市街地対策と農作物対策を同時に進めなければならない難しさがあるという。各自治体の担当者らは、一様に「地域ごとの生態に合わせた対策を継続するしかない」と口をそろえる。これからもカラスと人間の知恵比べが続くことになりそうだ。

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(狩猟免許講習費を助成:兵庫)
農作物を食い荒らすシカなどを駆除するため、宍粟市は本年度から、市民に狩猟免許を取得してもらおうと講習費などの助成を始めた。会員減と高齢化に悩む猟友会宍粟支部の後継者育成が目的で、西播磨では初の試み。8~9月にある免許取得の講習、試験の参加を呼び掛けている。市内では、年間2000頭以上のシカが捕獲されている。肉の有効利用のため料理研究も進められているが、駆除を担当する猟友会宍粟支部の会員は40年前に約800人いたが年々減少し、現在は206人。50歳以上が88%を占め、平均年齢は63・1歳に達し、市は若手会員確保が必要として助成を決めた。シカ駆除には猟銃を扱える第1種、第2種銃猟免許か、わな猟ができる免許が必要。同支部への入会希望者を対象に、講習会や会費などの初年度経費4万2200~3万2400円のうち、半額を市が助成する。県光都農林水産振興事務所によると、西播磨地域で免許取得に助成を行うのは宍粟市だけという。ただし、2年目以降の会費、登録手数料などは実費の自己負担が必要となる。8月に初心者講習会、9月に免許試験がそれぞれ神戸市内であり、市は広報紙などで参加者を募っている。助成は4年間の予定。
(シカ害対策、連携を強めて総合的に:長野)
ニホンジカによる農林業や高山植物への被害が深刻化している。高速道に入り込んで、車と衝突する事故も絶えない。このところ、電気柵の設置や補修が各地で相次いで行われている。県自然保護課が霧ケ峰に電気柵を設置した。ニッコウキスゲなどを守る狙いだ。県や南信地方の市町村などでつくる「南アルプス食害対策協議会」と環境省が、仙丈ケ岳の馬ノ背ヒュッテ近くで、昨年初めて設置した防護柵の補修作業をした。シカに食べられたお花畑の復活を目指している。上下伊那の南アルプス一帯や諏訪地方では林業、佐久では農作物に被害が目立つ。加えて高山植物の食い荒らしだ。地域だけの取り組みでは追いつかない。広域的な対策が欠かせない。環境省と長野、山梨、静岡の各県が「南アルプス高山植物等保全対策連絡会」を発足させたのも、そんな狙いだ。シカの行動を正確にとらえることが大事になる。衛星利用測位システム(GPS)を利用した調査が始まっている。調査を広げ、関係県が情報を共有したい。被害対策の一つは、シカを寄せ付けない技術の確立だ。柵、緩衝帯、幹の防護ネットのほか、追い払うための犬の効果などを検証し、改良も図る必要がある。信州大はじめ研究機関とも連携を深めるときだ。個体数を減らすことも引き続き重要だ。昨年度は、市町村が県の許可で地元猟友会に頼んで実施した駆除が過去最高の9000頭を超えた。大型捕獲おりの設置のほか、シカのわな猟の1カ月延長も行われている。捕りすぎて絶滅させては元も子もない。適度の数に落ち着かせ、人と共存することが望ましい。増えた原因の一つには森の変化が挙げられる。森林を伐採すると、餌になる草や低木が繁茂する。それを食べて動物が増える。植林された針葉樹が成長すると餌が得にくくなり、里に出てくる。追われた一部は高山帯まで進出する-。そんな図式だ。野生動物の本来の生息域である低山帯を、すみやすい環境に変えていくことも視野に入れるべきだ。落葉樹の森を広げることなどが考えられる。シカ肉をジビエ(野生鳥獣肉)料理に使う手もある。県は既に衛生管理ガイドラインを策定した。料理法も各種ある。ジビエによる地域おこしも含め、総合的にシカと向き合いたい。
(阿仁でマタギサミット:秋田)
マタギと呼ばれる東北や中部地方の伝統狩猟者らが交流する「マタギサミット」が27、28の両日、秋田県北秋田市の阿仁地区で開かれた。狩猟技術の伝承をテーマとしたパネル討論などを通じて、約100人の参加者が人とクマとの共生の方策を探った。東北芸術工科大(山形市)の田口洋美教授(民俗学)を中心とする実行委員会が主催し、今年で20回目。27日はパネル討論「狩猟と駆除」で、秋田や山形、長野などの猟友会代表者ら10人が意見を交わした。農作物を荒らしたりして駆除されるクマが増える中、どのように伝統的な狩猟文化を継承していくかが議論の焦点。田口教授は山形県で有害駆除が増え過ぎたため、春のクマ猟が行政の規制を受けた例などを紹介し、「このままでは狩猟技術の継承の場がなくなってしまう」と問題提起した。阿仁猟友会(北秋田市)の松橋光雄会長は「狩猟者が年々減り、高齢化も進む中、春のクマ猟は若い世代を育てるためにも非常に大事な機会だ」と強調した。小国猟友会(山形県小国町)の40代の男性は「今年初めてクマを撃ったが、それまでの7、8年間は(狩猟班内で)役に立てなかった。狩猟を覚えるには時間がかかるが、若い人も興味を持ってほしい」と呼び掛けた。28日は北秋田市の打当地区や比立内地区で、参加者が地元猟友会の狩猟場を視察した。
(サル、農産物狙い群れで出没:静岡)
浜松市北区引佐町で最近、野猿(ニホンザル)が農作物を荒らすなど被害が目立つ。地元住民は畑の周りにネットを張り巡らすなどの対策を講じるが、知恵者の猿にはあまり通じず、人と猿との闘いが繰り広げられている。周辺は新東名高速道路や三遠南信道路が建設中で、住民からは「食べる餌がなく、人家に近づいてきたのでは」との見方も出ている。山に囲まれて自然が豊かな引佐町はかねて、ハクビシンやイノシシなどに農作物が荒らされる被害は日常的。野猿の被害が多くなってきたのは数年前からだ。北区役所によると引佐町では、イノシシが農作物を荒らす件数は地元猟友会の駆除で徐々に影を潜めた。ところが、猿の場合はすばしっこく、人間に近い動物でもあるので駆除はしていない。「目撃情報から猿は、餌を求めて年々、市街地方面へ南下している」と指摘する。4、5年前から猿の集団を見かけるという引佐町の永田保雄さん(69)は「今年も5、6月にビワやアカシアの実を食べられた」と話す。体長60センチ前後の猿の群れは以前は10匹前後だったが、今は20匹を超え、中には生まれたばかりの子猿を連れた親子の姿も見かけた。あまりの猿の多さに水をかけて追い払ったこともあるが、しばらくして再び戻って来ると、実を食べて帰って行った。最近、猿たちが屋根から電話引き込み線を伝わって木の実を狙ったため、電話線の金具が取れてしまい修理した。永田さん宅そばに家庭菜園を開いた北山梅夫さん(78)も、「もう少しで食べられると楽しみにしていたトウモロコシを全部食べられた。これからトマトなど野菜もあるから」と心配する。この一帯の畑は猿の被害防止のため高さ1メートルほどにネットを張っているものの、思うような効果は得られていないようだ。それでも永田さんは「猿が人に危害を加える状況なら深刻だが、今のところそれもないし」と、人と猿との共存に理解も示す。
(駆除のシカで薫製できた:福井)
農作物を荒らすシカ対策の一助にと、小浜市の小浜水産高校食品工業科の3年生がシカ肉の薫製を試作した。25日夜に同校で試食会があり、招かれた猟友会や県、市の担当者が「お酒のつまみには十分」と太鼓判を押した。各自治体は有害鳥獣として猟友会に依頼してシカを駆除、大部分を埋設処理している。現状を知った小浜市羽賀、羽賀寺住職玉川正隆さん(45)が「亡くなる命なら」と同校の知人の教諭に提案。「シカ肉プロジェクト」と題し、貯蔵できる薫製を作ってみることにした。市を通じて県外から肉を取り寄せ、生徒25人が学校で調理。しょうゆ、ワイン、塩などを使って漬け込み液を作り、漬け込んで乾燥。30分から40分程度いぶした。薫製は長さ5センチほどの肉片で、臭みはなく、ほどよい塩加減。生徒たちが考案した「シカくん」のラベルを張り、ビニールで包装した。調理した橋本亮汰君は「一定の厚みを持たせながらスライスするのが難しかった」と振り返り、山田大樹君も「これから改善点を見つけ、改良していきたい」と意欲を話した。境内の若木や新芽がシカの被害に遭うという玉川さんは「薫製を流通させようとすると食品衛生法上の問題などハードルが多いが、駆除対象の肉を商品化できればおもしろい」と話し、引き続き同校とともに可能性を模索していくという。
(迷いシカ白昼の逃走劇:静岡)
26日午前、富士宮市小泉の住宅密集地に迷い込んだ1頭のシカが、富士宮署員らからの“逃走劇”を繰り広げ、周辺は大騒ぎになった。同署によると、同日午前9時40分ごろ、署員が県立富士宮東高北側の住宅地内にある水田でシカを発見。署員や市職員、地元猟友会員30人余りが駆け付けた。発見現場の南には車通りが多い国道139号があり、事故の危険性があるため、北方向に逃がすようにシカを追い込んだ。住宅街に出没したのはニホンジカの雄とみられ、体長は1・5メートルほど。シカは民家の庭に入ったり、畑を抜けたりするなどして、署員らから逃げ回ったが、午前11時すぎ、発見現場から北に約1・2キロ離れた同市大岩の山林に追い払われた。近年、富士山麓は増加したシカの食害が深刻化している。署員の1人は「えさが多い時季のはずなのに、なぜ住宅街まで下りてきたのか」と困惑顔。住宅街に住む農業の男性(65)は「今までこんな所でシカを見たことはなかった。山から離れているので考えられない」と驚いた様子だった。
(ニホンカモシカ2時間半走り回る:静岡)
富山市で28日朝、国の特別天然記念物ニホンカモシカ1頭が中心部に現れ、2時間半にわたり走り回る騒ぎがあった。けが人はなかった。富山中央署などによると、同日午前7時40分ごろ、同市内で「シカを見かけた」と110番があった。保護のため駆け付けた県職員らを尻目に、カモシカは公園や車道を横切り、県庁周辺やJR富山駅前を走り抜けた。午前10時すぎ、市内の神通川を泳いで対岸の郊外に向かったため、捕獲活動は打ち切られた。同市では5月上旬にも、ニホンカモシカ1頭が出没して約5時間走り回り、最後は用水路でおぼれ死ぬ騒動があった。
(鳥の王、雪氷減って鉛中毒)
白と黒の羽毛と黄色いくちばしのコントラストが美しく、広げた翼が2メートルを超すオオワシは、天然記念物でオホーツク海沿岸に5000羽程度しか生息していない。国際自然保護連合のレッドリストで絶滅危惧(きぐ)II類、日本版レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている希少な鳥だ。このうち1500~2000羽が北海道で越冬するが、猛禽(もうきん)類医学研究所代表の獣医師、斉藤慶輔さんは「1990年代後半以降、オオワシの鉛中毒が深刻化している。分かっているだけで、これまでに100羽近くが死んでおり、ほかにも相当数が重度の中毒で苦しんでいるはずだ」と指摘する。北海道では90年代から雪の減少で越冬しやすくなったエゾシカが急増し、駆除を兼ねた猟が行われている。仕留められたエゾシカは、その場で解体され、食用にならない被弾部は放置されることが多い。「この部分には数ミリ程度の鉛弾の破片が残っている。それをオオワシが肉と一緒に食べて中毒し、重い貧血のほか、中枢神経や肝機能の障害で死に至る」事態を重くみた北海道は2000(平成12)年度から鉛弾の使用を禁止。道内では銅弾しか使えなくなった。だが、「禁止されていない本州から来たハンターによる使用などが後を絶たず、中毒は一時的に減ったが、最近また増えている」という。「オオワシは本来、海で餌を捕る『海ワシ』で、内陸でエゾシカを食べる鳥ではなかった」。東京農業大学生物産業学部講師の白木彩子さん(動物資源管理学研究室)は、こう話す。最初に影響したとみられるのは、オホーツク海の流氷の減少だ。流氷はオオワシの格好の休息場所であると同時に餌を探す場所だった。その流氷が減るにつれて、彼らは徐々に北海道の海岸に移動していった。沿岸ではスケトウダラの刺し網漁が盛んで、付近には網からこぼれた魚がたくさん落ちていた。これが格好の餌となった。「けれど、1990年代半ばからスケトウの漁獲が急減し、海岸もいい餌場でなくなりました」やがてオオワシは、産卵後に死んだサケを食べながら、河川をたどって山へと向かっていった。こうしてどんどん内陸へ入り込み、やがて銃で撃たれたエゾシカの肉を食べるようになったらしい。野鳥愛好家などでつくる「オジロワシ・オオワシ合同調査グループ」(事務局・斜里町立知床博物館)の一斉調査によると、北海道や東北の一部で越冬するオオワシの数は、80年代半ばから減少が始まったが90年代から増加に転じ、2004(平成16)年以降は、不安定な状態が続いている。知床博物館館長の中川元さんは「オオワシは食物連鎖の頂点に位置しており、その行動や生息数が変化すれば、生態系全体に与える影響は計り知れなく大きいだろう」とみる。そして「北の豊かな生態系を守るためには、まずは鉛中毒をなくして生息数を安定させることが必要だ」と訴える。オオワシの鉛中毒は、流氷やスケトウダラが減ったこと、エゾシカが増えたことなど、さまざまな要因がからみ合って発生した。諸要因は、すべて温暖化の影響が指摘されている現象ばかり。「まるでオオワシは、温暖化に翻弄(ほんろう)されているかのようだ」と中川さんは、ため息をつく。
(防護柵でイノシシを撃退:神奈川)
南足柄市矢倉沢地区(菊池勇自治会長・89戸)で、農作物を食い荒らすイノシシから集落を守ろうと、4月初旬から設置していた約3kmにおよぶ防護柵の取り付け作業が、このほど完了した。同地区は、昔からイノシシ等の獣害に悩まされてきた。トタンなどで畑を自己防衛する農家もあったが、度重なる被害で農業をあきらめざるをえない状況に追い込まれた農家もあるという。「被害は仕方がない」というあきらめムードが地区内に広がるなか、昨年6月、市より「北足柄3地域(内山・地蔵堂・矢倉沢)を活性化させるために、住民に意見を聞きたい」と説明会が開かれた。そこで、地場産品を売ってはどうだ等の意見が出るなか、イノシシ被害を懸念した声も多く出た。説明会終了後、矢倉沢地区では「せっかくの機会だから、前向きに取り組もう」と、当時の植田勇次自治会長を中心に地域活性化推進委員会(地域交通、地域おこし、有害鳥獣対策の3委員会で構成)を設立した。有害鳥獣対策委員会では、捕獲方法や防止策の検討、出没や被害状況の把握などを一元化。迅速な捕獲ができるよう、猟友会や市との連携も強化した。このような地域を中心とした活動が引き金となり、県が推奨する“耕作放棄地再生利用推進事業”の補助金が平成21年度に下りた。補助金を利用しての防護柵の設置には、3カ月の工事期間に、延べ250人以上の住民が参加。登山道や傾斜30度を超す山間に、3kmの防護柵を設置した。菊池勇自治会長は「将来的には集落全体を囲いたい。被害が減れば農業も再開でき、地域活性化につながる」と期待を寄せている。矢倉沢地区でイノシシ被害の対策が進むなか、同地区と隣接する内山地区で6月17日、民家脇にイノシシが出没し、駆除しようとした住民男性2人が襲われ、足に怪我を負う騒ぎがあった。怪我はいずれも軽傷。南足柄市内では、イノシシによる初の人的被害となる。2人を襲ったのは、体長80cm、体重50kgの雄。イノシシは夜行性のため、通常昼間には姿を見せない。出没地区付近を巡回パトロールしている市環境課では、「イノシシと鉢合わせたら、目を合わせるなど刺激をせずに避難すること」と注意を呼びかけている。イノシシ被害は広域的な問題でもあり、今後の取り組みが注目される。
(肥薩線、シカ衝突急増:熊本)
県南部の球磨川沿いを走る路線として人気があるJR肥薩線で、鹿と列車が衝突する事故が急増している。昨年度は166件発生し、統計のある1999年度以降で最も多かった。過疎化などで鹿の生息に適した環境が広がって数が増え、線路近くまで生息域が広がっていることが原因とみられる。JR九州は「衝突回避は困難」とお手上げ状態。対策の見直しを進めている。同社などによると、同線での鹿との衝突は、この10年間で10倍以上に増加。月別では、行動範囲が広がる繁殖期の9~11月が多く、区間は段(八代市)―一勝地(球磨村)駅間に集中している。昨年4月に八代市の段―坂本駅間で起きた事故では一度に3頭と衝突。このうち、1頭が車軸に巻き込まれ、取り除くのに手間取り、45分の遅れが出た。鹿は運転士が警笛を鳴らしても、線路から逃げようとせず、はねられるケースもあるという。九州内の鹿と列車の衝突について調査している独立行政法人・森林総合研究所九州支所(熊本市)によると、沿線は急斜面で、山道もないところもあるなど地形的な理由で駆除が遅れている。また、過疎化で農村の耕作放棄地が増え、餌場が多くなっていることなどが繁殖増につながっているという。JR九州は、06年度から鹿の進入が目立つ線路沿いに高さ約1・5メートルの柵を設置したり、鹿が嫌うにおいを発する木酢液を散布したりしてきた。だが、事故は減らず、「衝突を防ぐための決定的な対策にはならない」として、列車の遅れにつながる巻き込み対策に重点を変更。昨年度から先頭車両の下部に金属製の板を取り付けて巻き込みを防ぐ改良を本格的に始めた。同社安全推進部は「野生動物が相手で、対策も一筋縄ではいかない。観光路線でもあり、利用客が安心して乗車できるよう取り組んでいく」としている。
(土管にスステン、すってん1ヶ月:徳島)
鳴門市大麻町の田村農園の土管の中にテンが転落して、もう1カ月近くになる。県環境協力員の谷川光秋さんの観察によるとスステンらしい。土管(直径60センチ、長さ2メートル)は、田村農園の入り口付近の地面へ縦に埋められて、ふたのないマンホールのような状態になっている。土管の上には樹木の枝が茂り、枝を伝っていて誤って落ち込んだようだ。農園経営者の田村邦一さんによると、野生のスステンは農園周辺でちょくちょく見かける。土管から救い出してやりたいが、かみ付く凶暴なところがあり、すんなりとはいかない。そこで、おがくずを土管の底に入れ、バケツにひもをつけて餌を与え、なつくのを待つことにした。今では、近づくと鳴き声を出して餌をねだる。樋殿谷川沿いの山間地にある園では、ヤギやウサギ、アヒル、イノシシが放牧されて飼われている。田村さんは愛着をおぼえてきたところだが、「そろそろ仲間の元へ戻そう」と思っている。
(クマ、また目撃:青森)
26日午前5時10分ごろ、平内町口広の町立東小学校から約150メートル先にある畑で、1人で農作業をしていた女性(76)が、体長約1・5メートルのクマ1頭が松林から出てくるのを目撃した。青森署によると、クマは女性との距離約20メートルまで近付いたが、女性に気づいて松林に戻ったという。同小では、教諭たちが通学路に立ち、現場近くを集団登校する児童たちに、回り道をしたり、近くにある町立東平内中学校の生徒たちと一緒に登校するよう呼びかけた。現場周辺では25日夕も体長約1・5メートルのクマが目撃されている。
(サル撃退犬、大活躍:愛知)
県が昨年、農作物を守るためにサルを追い払う訓練を受けた「モンキードッグ」を活用したモデル事業を豊田、新城両市で行ったところ、農作物の被害が激減したことが26日、県議会農林水産委員会で明らかになった。モンキードッグは、サルを見たら山に追い返すようにする訓練を受けた犬で、県は昨年、訓練費を全額負担し、農家の飼い犬3頭と、動物保護管理センターから譲り受けた犬3頭の計6頭を警察犬訓練所で5か月以上訓練した。県の認定を受けた後、4月から豊田市稲武町と新城市の農家宅にそれぞれ配置した。その結果、1日4~5回サルが出没し、年間約60万円の被害が出ていた豊田市のシイタケ農家では、サルが畑にほとんど姿を見せなくなった。このほか、新城市でも、犬の姿を見ただけでサルが逃げるようになり、効果てきめんだという。県の事業は昨年度だけのモデル事業だが、豊田市や設楽町が導入を検討しているといい、今後、導入する自治体は、国から育成費の補助が受けられる。県農業経営課では「農産物の被害防止だけでなく、被害多発による生産意欲の減退防止にもつながる。今後も、継続して活用して欲しい」としている。

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