<射撃ニュース7月>

7/16
(県立射撃場、今月末で閉鎖予定:山梨)
今月末で閉鎖される予定の韮崎市清哲町青木の県立射撃場について県教委は、地元住民に使用期限の延長を求める方針を決めた。甲州市に計画されている新射撃場の完成までの約2年間、クレー射撃の大規模な大会ができなくなるなどの可能性があるためだが、既に一度期限を延長しており、現射撃場周辺の住民からの反発が予想される。98年11月3日の日中、県立射撃場から釜無川を挟んだ同市上祖母石の住宅に、銃弾が誤って撃ち込まれた。「1階で横になっていると、2階の寝室でものすごい音がした。もしも上にいたらと思うとぞっとします」この住宅に住む主婦、小林茂子さん(72)は青ざめた表情で当時を振り返る。銃弾1発は2階の窓から寝室を貫通して隣の衣装部屋まで達した。他にも、外壁に2発、屋根瓦に6発が当たっていた。射撃場利用者の1人が、使用を禁止されている飛距離の長い銃弾を使ったことが原因だったが、地元住民はこの事故を機に射撃場の撤去を要望。県教委は一度は市内の別の場所への移転計画をまとめ、04年3月に射撃場使用を中断したが、移転計画が難航したため、その後の協議で使用を延長した。その期限が今年の7月30日までとなっている。市内移転はその後頓挫し、現在は甲州市塩山上小田原地区への移転計画が進んでいる。しかし、甲州市で今年度に着工したとしても、完成までには約2年を要するため、その間は代替施設がない状態となり、国体クレー射撃競技の県予選会場の確保が困難になる可能性がある。県教委スポーツ健康課によると、県内にはクレー射撃の公式試合ができる民間射撃場が2カ所あるが、規模や設備はいずれも韮崎に及ばず、参加人数を減らすなどの対応が必要になる。また、同課は「有害鳥獣駆除の役割を担う猟友会の技能を維持するためにも、2年間も代替施設がないのは大きな問題」と強調する。新射撃場建設費の一部(約7億円)を盛り込んだ補正予算案が6月県議会で可決されたことを受け、県教委は新射撃場の完成を前提に、現射撃場の11年度末ごろまでの使用期限延長を韮崎市の地元住民に求める方針だ。しかし、県教委と韮崎市の住民の間で04年に結んだ協定は「使用期限の更新はしない」と明記している。同課は「協議のうえ地元の方々の理解を得たい」と話すが、誤射の被害を受けた小林さんは「あれから10年も我慢した。これ以上の延長はやめてほしい」と話す。甲州市での反対運動も根強く、延長が2年で済むかどうかも不透明だ。
(シカ駆除へ大仕掛け:兵庫)
兵庫県朝来市で、捕獲おりを使った大掛かりなシカの駆除が始まった。市が独自で捕獲おり150基を導入し既に50頭以上を捕獲、8月下旬までに225頭の捕獲を目指す。狩猟者の高齢化が進む中、シカによる農業被害に歯止めがかからない状況で、市は銃器中心の駆除ではなく、わな猟に本腰を入れることにした。「市単位で、一度にこれだけ多くの捕獲おりを設置するのは全国でも珍しい」(同市農業振興課)という。県によると、同市は1回の出猟で目撃するシカの頭数が4頭ほどと、県内でもニホンジカが多く生息する地域だ。シカによる農業被害も深刻で、JAたじまは「特産の黒大豆は、定植後すぐに根こそぎ食われる」(和田山営農生活センター)と頭を抱えている。

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7/15
(ヌートリアの農作物被害が深刻:岐阜)
西濃各地の水田や畑で、外来生物・ヌートリアが農作物を荒らし回っている。地元の農家は捕獲用のおりを設置するなどしているが、ヌートリアは水路を移動しながら、あちこちに出没。もともと夜行性ということもあり、農家は見えない敵との戦いに手を焼いている。県によると、被害を受けているのは水路近くの田畑に植えられたイネや野菜。被害は大垣市南部や海津市、養老町で目立つが、ほぼ西濃全域に広がっている。海津市ではナス、キュウリ、カボチャなどの野菜が食い荒らされており、農家は対策に躍起。市農林振興課は「猟友会の協力も受け、昨年は200匹を超すヌートリアを捕獲したが、被害は絶えない。繁殖力が強い動物だから大変です」。大垣市農林課も「捕獲用のおりの貸し出しをしているが、ヌートリアの被害は市内全域でみられる。最近は市街地でも出没しているようだ」と話す。ヌートリアは狩猟獣類に指定されているものの、夜行性のため、銃猟の対象になることはほとんどない。捕獲はおりに頼るしかなく、なかなか駆除できないのが実情だ。被害が目立つ大垣市川口で農園を営む早藤照雄さん(69)は6月下旬、自宅近くの水路でヌートリアを目撃し、写真撮影に成功した。ヌートリアは、水路から近くの畑に入ろうとしたが、岸に上ることができず断念。そのまま、どこかに泳いでいったという。早藤さんは「大切に育てた作物を荒らされ、みんな困っている。なにか、良い対策があればいいのだが」と、頭をひねっていた。すっかり嫌われ者となったヌートリアだが、もともとは養殖のために輸入された動物。住民の間では「人間の都合で連れて来られ、今では悪者として追われている。何だかかわいそうな気がする」という声も聞かれる。
(シカ休猟区を縮小:岩手)
2009年度シカ保護管理検討委員会(三浦慎悟委員長)は14日、シカによる08年度の農業被害額が過去最高に急増したことを受け、09年度初めて被害地域を休猟区から外す方針を決めた。データ分析の結果、約4千頭と見込んでいた五葉山周辺の推定頭数を適正頭数2千頭のほぼ3倍に当たる5900頭と修正し、捕獲目標も引き上げた。1人当たりの捕獲制限も緩和し、深刻なシカの食害防止へ頭数抑制を強化する。休猟区は県内各地を2年ごとに指定。09年度指定する予定だった岩泉町、遠野市などの約2万5千ヘクタールを指定せず、08年度の約8300ヘクタールは1年間の指定期間を残し解除する。休猟区を設けず、狩猟範囲を広げることで個体数削減を狙う。背景には食害の急速な広がりがある。08年度の農業被害額は約1億4500万円と過去最多。07年度の約5100万円から約9400万円増えた。近年の被害額は4千万~7千万円で推移していた。
(鹿肉調理講習会:滋賀)
農産物の食害などが問題になっているシカの駆除を促進しようと、日野町の有害鳥獣被害対策協議会は24日、京都でクッキングサロンを開いている女性シェフを講師に招き、シカの肉を使った「鹿(しか)レバー」や「鹿肉のこだわりカレー」などを作る「アッと驚く『日野菜』と『鹿肉』調理講習会」を同町鎌掛公民館で開く。講師は京都市岡崎でピットインクッキングサロンの代表を務める赤塚愛さん。シカの肉を使った料理は「鹿肉の実山椒煮」や「鹿レバー・日野菜・ホタテのハーブソテー」「鹿肉のこだわりカレー」など。このほか「日野菜の混ぜご飯」「日野菜の即席漬け」など同町の名産「日野菜」を使った料理も実習。シカの肉は脂肪分やコレステロールが少なく、牛・豚・鶏肉よりタンパク質が多く、健康食とも言われている。カロリーは牛肉の4分の1以下、鉄分は牛肉の7倍、豚肉の10倍以上という。そんなシカ肉の有効活用を進めるのも目的の一つ。広い山林を抱える同町では、シカによる農業・林業の被害が拡大し、深刻な問題となっている。同町では、年間700頭近くのシカを捕獲しないと被害が防げないとされているが、ハンターなどの減少で年間180頭程度しか捕獲できていない。シカを肉を使ったメニューを一つでも多くマスターしてシカの肉を食べる人が増えれば駆除も進むだろうという狙いだ。
(お堂壊される、クマの仕業か:秋田)
秋田市下浜羽川の珠林寺の金比羅堂で、雨戸戸袋下の板が縦20センチ、横30センチにわたって壊されていると14日、住職の男性(65)から秋田中央署に通報があった。同署によると、戸袋下にはミツバチの巣があり半分ほど食い散らかされていた。また付近にはクマらしい足跡があり、同署はクマの仕業とみている。約250メートル離れたところに民家があり、同署は再び金比羅堂付近に現れる可能性があるとみて周辺住民に警戒を呼びかけている。
(2件のクマ目撃情報:福島)
福島市で14日、クマの目撃情報2件が福島署に寄せられた。同署によると、午前9時ごろ、同市湯ケ原で道路を横切って山に入っていく体長約1メートルのクマ1頭を付近の住民が目撃した。午後3時55分ごろには、北東に3キロほど離れた同市小田の県道で別の住民がクマ1頭を目撃した。同署によると、目撃された2頭は親子とみられ、同市農林整備課に連絡した。目撃現場近くの平田、小田、水原の3小学校と信夫中学校に登下校時などの注意を呼び掛けた。
(サルの群れ、住宅地ぶらり:宮城)
仙台市泉区加茂の住宅団地に、ニホンザルの群れが出現し、住民の話題になっている。サルの写真を撮影した泉区加茂3丁目、無職村山勝明さん(64)によると13日午前7時20分ごろ、体長1メートル~70センチのサル4匹、子ザル1匹の計5匹の群れが雑木林から住宅団地に出現した。しばらくガードレールの上を歩き周り、雑木林に戻っていった。「コオー、コオー」と叫ぶ声も聞こえ、子ザルは母親とみられるサルの腹部にしがみついていたという。村山さんは「加茂に住んで26年たつが、初めてサルを見た。住宅地まで来るなんて、何か山に異変があったのかな」と首をかしげていた。泉区によると、七北田ダム方面の山林に住む群れからはぐれた集団とみられる。5月中旬から泉区野村、長命ケ丘などで目撃されている。泉区は「見かけてもエサを与えたり、いたずらしたりしないで」と呼び掛けている。
(カラスが感電、400世帯で停電:兵庫)
14日午前5時すぎ、神戸市長田区重池町1丁目と2丁目の約400世帯で停電があった。同6時半までに順次復旧した。関西電力の調べでは、高圧線にカラスが触れ、ショートしたのが原因とみられるという。長田署などによると、停電による交通事故などはなかった。

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7/14
(シカ捕獲、最多の1万4674頭:長野)
県野生鳥獣対策室は県議会林務委員会で、2008年度のニホンジカ捕獲頭数が県内で1万4674頭だったことを報告した。前年度比41%増で過去最多。狩猟での捕獲は5150頭、個体数調整は9524頭。年間捕獲目標の8300頭を大きく上回ったほか、雌の年間捕獲目標5500頭を初めて達成。塩原豊室長は、市町村域をまたいだ広域捕獲が広がっていることや、狩猟者への財政的な支援が強化されたことを理由に挙げた。ニホンジカの鳥獣保護管理計画は06~10年度までの5年間。同室は本年度中に06~08年度までの捕獲効果を調査して、11年度以降の計画に反映させる。
(高校生考案のロープ、電気柵より手軽:栃木)
栃木農業高校(栃木市平井町)の生徒が考案した、農作物をイノシシやシカなど野生動物の被害から守る「どうぶつロープ」が好評だ。もともと県特産の麻を研究する途中で生まれたアイデアが、東京都内の農業資材会社の手で商品化され、これまでに約1万本が売れている。ロープに動物が嫌うトウガラシのエキスなどを染みこませた単純なものだが、農家からは「電気柵(さく)より手軽」と喜ばれているという。アイデアは3年前、同校の環境科学部の生徒たちから生まれた。古くから栽培されている特産の野州麻(やしゅうあさ)が、外国産の安い麻に押されるなどして生産が激減する中、麻と農村の生活文化の研究を6年前に開始。野生動物による農作物の被害が深刻さを増していることを知り、「トウガラシエキスをしみこませた麻縄で畑を囲ってみては」と盛り上がったのがきっかけだ。農家が昔から野生動物や虫を防ぐため、家の軒先ににおいのきついトウガラシをぶらさげていたことから思いついた。生徒たちが実験してみたところ、トウガラシやハーブのエキスを染みこませた麻縄を張ると、野生動物がよってこないことが確認できた。また、水分を吸収しやすい麻はエキスを染みこませやすい利点があった。実際に使ってみた農家からも「電気柵は重くて片づけるのが大変だが、ロープは手軽」という好反応を得た。顧問の小森芳次教諭(59)が07年、農業資材を扱う「エンドウ産商」(東京都港区)にアイデアを持ち込み、昨秋から本格的に販売された。1本100メートルで5千円。同社によると、約1万本が売れているという。ただ、同校は教育の一環として同社にアイデアを提供しており、同校の収入にはならない。同校の環境科学部の茂串香里部長(3年)は「実験でトウガラシエキスが目に入ったりして大変だった。先輩の代から研究してきたものが形になってうれしい」と話す。
(エゾシカの食害対策を報告:北海道)
阿寒湖畔の自然環境を守っている前田一歩園財団総務部長の西田力博氏が10日、釧根林活連絡会議で講演し、エゾシカによる森林の食害対策の取り組みを報告した。同財団は囲いわな方式でエゾシカを捕獲しているが「シカは一向に減る気配はない。給餌を止めるとすぐに木が食べられる」とし、森林の枯渇による阿寒湖の水質悪化を懸念。「特区にでもして一気に捕獲しないとマリモが枯渇する」と、保護政策の見直しを指摘している。
(「サル警報」電波で接近検知:富山)
田畑の農作物を食い荒らすニホンザルが集落に近づくと自動的に検知する「接近警報」を受けて、住民がサルを追い払う石川県内初の試みが、白山市若原町で今月末にもスタートする。旧鳥越村の同町は、白山麓(ろく)で拡大するサルの食害の「前線」で、住民が出没現場に急行し、ロケット花火などで撃退する。サルの「接近警報システム」の整備は環境省の事業で、委託を受けた石川県と白山市が最適な地域を検討し、若原町に協力を求めた。同町では2年前からサルの食害が始まっており、市は「食害の前線でサルを食い止めたい」としている。同システムは、サルに装着した首輪型発信器の電波で位置を検知する仕組み。サルが近づくと集落内に設置したアンテナで電波を感知し、自動的に「接近警報」を出す。農家には瞬時に携帯電話のメールを発信する。若原町は23世帯約100人の集落で、村中良和町会長によると、サルが畑のジャガイモやタマネギを掘り起こして食べ尽くす被害が続発している。特に「山すその畑は絶好のえさ場」で、イノシシ被害も続き、耕作放棄にもつながる。住民が畑から離れる昼食時を狙って急襲するサルの群れもいるという。県白山自然保護センターと市は、これまでにサル約20匹に発信器を装着している。群れが異なるサル数匹ずつに付けており、職員が電波を監視し、農家代表に接近情報を連絡してきた。しかし、農家に伝わるまでに時間を要することが課題だった。若原町では50~60代の主婦らが畑をパトロールしているが、情報が届いて畑に急いでも手遅れで悔しい思いが募っていたという。主婦らは今後、接近情報の携帯メールが届き次第、サルの位置を特定するアンテナとトランシーバーを手に出動する。電波の強弱からサルの正確な位置を割り出し、飛距離20~30メートルのロケット花火などでサルを追い払う。村中町会長は「知能が高いサルにはほとほと手を焼いている。集落のみんなが協力し、食害の前線を守りたい」としている。
(天然記念物の片しぼ竹、全滅の危機:兵庫)
たつの市龍野町下霞城の旧龍野藩家老屋敷跡に生える国天然記念物「片しぼ竹(カタシボダケ)」が、イノシシにタケノコを食い尽くされる深刻な食害にさらされている。調査に訪れた専門家は「新竹が全くなく、この状態が数年続けば全滅する」と警告している。片しぼ竹はマダケの変種。表面の半面だけにしわが寄り、それが節ごとに交互に現れるのが特徴。江戸時代末期、洲本(淡路島)にあった竹が龍野藩主脇坂安宅に贈られ、この場所に移植されたと伝わっている。全国的にも珍しく、1958年に国の天然記念物に指定された。家老屋敷跡は明治以降旅館として利用され、代々「このタケノコを食べると腹が痛くなる」と言い伝えて竹林を守ってきた。しかし、同市新宮町などの山間部に播磨科学公園都市ができた1997年ごろから、竹林裏の山からイノシシが現れるようになったという。当初は電気が流れる網で防いでいたが、最近は電気に慣れたのか、網を破られることが多くなった。今年はほとんどのタケノコが食い荒らされたという。竹の寿命は9年程度で、このまま新しい竹が生えてこないと竹林が全滅する恐れもある。ただ、今秋から県が裏山の斜面をコンクリートで覆う崩壊対策工事を予定しており、コンクリート斜面がイノシシを妨げる期待もある。県の依頼で工事の影響調査に訪れた竹文化振興協会専門員、渡辺政俊さん(76)=京都市左京区=は「工事が竹に与える影響はほとんどないと思われるが、イノシシの食害は深刻。来春はタケノコを守るため、対策の強化が必要ではないか」と話していた。
(クマの親子撮った!:広島)
広島県北広島町橋山の県道で、バードウオッチングをしていた竹原市下野町、会社員岡崎賢二さん(61)が、ツキノワグマと遭遇し、写真に収めた。岡崎さんは11日午後4時ごろ、バードウオッチングをしていた際、県道から50~60メートル奥まった山中で、クマを見つけた。体長は1メートルを超えており、シバイヌほどの子グマ2頭も一緒にいたという。岡崎さんは「少し怖かったが、思わずカメラを向けていた」と振り返る。広島市安佐動物公園(安佐北区)によると、ツキノワグマの成獣という。
(ニホンザル、個体数調査:山梨)
県は13日、甲府・県民情報プラザでニホンザル保護管理検討会を開き、本年度の県特定鳥獣保護管理計画実施案を承認した。本年度はサルの行動域調査を実施していない早川町で、群れの状況や個体数、行動域を把握する調査を実施するほか、鳥獣被害防除技術指導員などの知見を深めるため、研修会を開くこととした。委員とオブザーバー約10人が出席。接近警報装置やサルを追い回すようにしつけたモンキードッグを活用した対策を、昨年度から継続実施することも確認した。委員からは「稼働可能なモンキードッグの頭数を、県が把握しておく必要がある」「追い払いの方法によって、サルの群れを分裂させてしまい、被害地域を拡大させる可能性がある」といった意見が出た。県によると、ニホンザルによる2008年度の県内農業被害は、45ヘクタール(前年度比5ヘクタール減)。被害量は347トン(同14トン減)、被害額6300万円(同400万円減)だった。県は、対策の強化が被害減少の理由とみている。
(宮島シカ減らし計画:広島)
シカが増えて困る。世界遺産の島・宮島で、そんな声が聞かれるようになって久しい。街中から少しずつ減らしていこうと、廿日市市が初の保護管理計画をつくった。「神鹿(しんろく)」と人間の良い関係をどう築くか、時間をかけて答えを出す必要がある。餌は与えず野生動物とみなす。頭数は管理しつつ過度の関与はしない。それが基本方針だ。当面は5年計画。厳島神社への参道をはじめ市街地のシカを、今の200頭から100頭にするのが目標だ。まず観光客や住民に対して、餌やり禁止やごみの管理の徹底を求める。行動範囲などの科学的な調査も進めるという。島にはシカと共生する伝統があった。寝る前に残飯を入れて家の前に置く「鹿桶(しかおけ)」。町家には侵入を防ぐ「鹿戸」。住民は終戦後、狩猟などで激減した時には囲って保護し、数を増やしたという。「野生」との境目があいまいなまま保たれていたバランス。それを崩したのは高度成長期の観光ブームである。商店街で餌を売りだし、観光客が与える。今は島全体で450~500頭に増えたまま、頭打ち状態とみられる。山の中で野生状態のシカがいる一方、市街地では人間に依存したまま過密化した。桟橋での出迎えはいいとしても観光客に群がって大事な切符を食べたり、けがをさせたり。ごみあさりも日常的だ。「餌をやらないで」との呼び掛けも続いたが、さほど守られないまま。新芽や樹皮を食べて植生への影響も心配され始めた。もはや放っておける段階ではなく、餌やり禁止はやむを得まい。桟橋前でのシカせんべいの販売もおととし中止。それだけで一帯にたむろする数はぐっと減った。ただシカがすぐに山で野生に戻るのは難しい。市の計画づくりの段階でも、動物愛護団体から「飢えたシカが死んでしまう」などとして「禁止」の見直しを求める要請が相次いだ。餌がなくなって衰弱したシカへの配慮も必要だろう。市は島内に保護場所を設けるほか、餌場となる芝草地をつくるための調査に乗りだすという。相手は動物だ。うまくいくとは限らない。植物を食い荒らす被害がかえって広がる恐れもある。場合によっては限定的に餌を与える方法もあろう。「半減」にこだわらない柔軟さも要る。観光資源としては今のままでいい、との声もあろう。ただ事故死したシカの胃を市が調べたら、ビニール類などの異物が3キロ以上も見つかった。こうした現状もあってか、島のシカは小さくて、栄養状態が悪い。街中にはいなくても、山際にちょっと足を運べば姿が見える。それぐらいの距離感が観光地として魅力的ではなかろうか。島のシカの生態はまだ分からないことが多い。世代交代を見守りながら試行錯誤する覚悟が必要だろう。費用も人手もかかる。住民やボランティアも交えた体制づくりを急ぐべきだ。

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7/13
(民家にクマ走り回る:岩手)
10日午後8時頃、川井村田代、農業盛越幸雄さん(62)方に、体長1メートルほどの成獣のクマが玄関のガラス戸を割って侵入した。クマは居間や寝室などを走り回った後、裏口から山に逃げていった。当時、家には盛越さんの妻(52)と母がいたが、けがはなかった。妻は「いつ飛びかかってくるかわからず、生きた心地がしなかった。無事だったことが信じられない」と約1分間の恐怖の体験に声を震わせていた。宮古署の発表などによると、車で帰宅した盛越さんが、玄関から5メートルほど離れたところにクマがいるのに気付いた。クラクションを鳴らすと、クマは突然走り出し、玄関のガラス戸を割って家の中に侵入。土間のアルミ戸に衝突して壊したり、「ガシャガシャ」と音をたてながら室内をうろついたりした後、土間のまきストーブや長いすをなぎ倒し、裏口のガラス戸から外に出て行った。現場は国道106号から200メートルほど離れた山間部。数日前には子グマ2頭を連れた親グマが付近で目撃されていた。
(サル対策へ、県モデル地域:島根)
田畑がサルに荒らされる被害が目立つ県内の中山間地域で、集落にサルが出没しにくい環境を作ろうと、県がモデル地域で住民と一緒に対策を講じる事業を計画している。現状では野菜くずが田畑に捨てられ、耕作放棄地で実がなったままの果樹が放置されるなど、集落が格好の餌場と化しており、県は「住民主導で問題点を洗い出し、サルに集落が餌場ではないことを教えていきたい」としている。県がモデル地域に指定したのは、川本町中倉地区と浜田市旭町本郷地区、吉賀町抜月地区の3か所。いずれもサルが民家近くまで現れ、農作物や家庭菜園を荒らすなどしている。被害を軽減するためには駆除が有効と考えがちだが、被害対策などを研究する県中山間地域研究センター(飯南町)によると、「集落で結果的に餌付け行為をしていることを、住民が気付いて改善しなければ根本的な解決にはならない」と言う。県の事業計画では、まず住民らが細かく集落内を巡回し、サルが出没した田畑や、餌となる野菜くずや果樹がどこにあるかなど、これまでの目撃情報を出し合いながら確認する。巡回後、住民らは集まって、出没スポットや餌場になっている場所などを集落全体の地図に書き込み、問題の全容を把握する。複数の所有者による土地に放置されている果樹があれば、切り倒すか、実を取るかなど、対策を話し合ってもらう。サルが刈り取った稲から出た芽を食べているようであれば、稲刈り後にトラクターですき込むような対策を立ててもらう。巡回には農家や猟友会のメンバーのほか、非農家にも参加してもらう。集落内に一か所でも徹底されていないところがあれば、サルにとって餌場であることは変わりないからだ。また、ロケット花火や鍋釜をたたいて音を出すなど、「出没時には住民ができる範囲で威嚇することが大切となる」と県中山間地域研究センター担当者。事業は住民の合意を得た上で、今秋頃から4年間かけて実施する予定。同センターは「高齢化や人口減などで耕作放棄地が増える一方、人手が減って難しい問題も多いが、地域住民がスクラムを組むことで、被害をなくしていきたい」と話している。
(シカ肉料理はヘルシー:滋賀)
高島市朽木の森林公園施設「グリーンパーク想(おも)い出の森」内の「里山レストラン天空」は今月1日から、地元で捕獲されたニホンジカの肉を使った料理をメニューに取り入れている。ヘルシーとされるシカ肉を、野生鳥獣が素材のジビエ料理として売り出し地産地消を促進する。また、野生ジカによる農産物の食害被害に困っている同市は捕獲に力を入れており、シカ肉料理への利用で一石二鳥の効果を期待している。「グリーンパーク想い出の森」は同市の施設で財団法人朽木むらおこし公社(岡本義弘理事長)が指定管理者として経営にあたっている。施設内のレストラン「お食事処山女魚(やまめ)」を「里山レストラン天空」と改名して1日、リニューアルオープンしたのに合わせ、ジビエ料理としてシカ肉メニューを登場させた。シカ肉料理は3種類で、鹿カツカレープレート(税込み1300円)▽鹿カツプレート(同1000円)▽鹿ハンバーグプレート(同)。料理長の宮本知昭さん(53)は「香辛料を使うなど食べやすく工夫した」と話している。一方、市はシカによる食害を抑止するため、捕獲による個体数調整に乗り出している。朽木猟友会の木村隆さん(64)と松井昭男さん(74)がシカを捕獲し、地元の施設で食肉に処理し、出荷している。木村さんらは「ジビエ料理には鮮度が大切で、仕留めてから1時間以内に肉にしている」と話していた。
(銃器で竹生島のカワウ駆除:滋賀)
樹木の枯死被害などが深刻な竹生島のカワウ対策で、長浜市は、エアライフルと散弾銃による駆除を、10日から10月30日までのうち34日間程度実施する。生息数の4分の1程度にあたる1万5000羽の駆除を目指す。駆除は県猟友会に委託。10日から8月13日はエアライフルを、同月17日から10月30日は散弾銃を使って、それぞれの期間中、17日間程度を作業に充てる。エアライフルによる駆除は、島内を4区域に分け、猟友会会員4人が樹木に止まっているカワウを狙う。散弾銃は、島周囲の湖に配置した3隻の船から、それぞれ3人が飛んでいるカワウを撃つ。事業費1650万円。市農林水産課は「竹生島の景観を守るため努力したい」と話す。昨秋の県の調査によると、竹生島におけるカワウの生息数は、5万8000羽余りと前年から倍増。市は3月、2007年7月以来の銃器による駆除を実施、16日間にわたりエアライフルで計792羽を捕殺した。
(迷いカモシカ無事〝帰宅〟:山梨)
富士河口湖町河口の旧変電所で10日、国の特別天然記念物に指定されているニホンカモシカが確認された。富士吉田署の署員らが逃げ回るカモシカを国道に出ないよう囲い込みながら追走。約1時間半かけて山に戻した。現場は新御坂トンネル入り口の約30メートル東側。同町河口の竜備玄さん(66)や同署によると、今月始めごろ、竜さんが散歩中に、現在は使用していない変電所のフェンス(高さ1・5メートル)内で、山から迷い込んだとみられる体長約1メートルのカモシカを発見した。1週間以上たってもフェンス内にとどまっていたことから町や同署に連絡。カモシカに目立ったけがはないため、署員らは自然に返す作戦を実行。フェンスを開け、縦横無尽に逃げ回るカモシカに四苦八苦しながら山の方向へ誘導した。最後は山道を約400メートル追走。カモシカは無事、東方の山へ姿を消した。竜さんは「最初はただのシカだと思っていた。自然に戻ってくれてよかった」とひと安心。署員は「カモシカを追い掛けたのは初めて。なかなか言うことを聞いてくれなかった」と汗をぬぐっていた。
(里守り犬育成説明会:長野)
佐久穂町は9日、農作物に被害を与えるシカやサルを追い払う「里守(さとも)り犬」の育成説明会を町役場八千穂庁舎で開いた。同町を含め長野、山梨両県の9市町村でつくる中部西関東市町村地域連携軸協議会の獣害対策の一環。住民10人が参加し、里守り犬の役割や訓練方法について説明を聞いた。参加者からは「実際にどうやって犬を使うのか」などと質問が出たほか、シカに対する効果を疑問視する声もあった。
(シカ被害、浅間山にも:長野)
県中南部を中心に農林業や高山植物への被害を広げているニホンジカが、群馬県境の浅間山(2568メートル)周辺にも生息域を拡大、ふもとの農地や牧場が荒らされ、車との衝突事故も急増している。標高約2千メートル前後の森林限界付近でも目撃情報があり、生態系への影響を懸念する声も。浅間山一帯は国指定の鳥獣保護区のため、環境省は近く実態調査を始め、頭数管理などの対策を探るとしている。標高約1200メートル、小諸市の山腹にある佐久浅間農協乳牛育成農場。今季、まだ牛を放牧していない区画でも牧草が所々短くなっている。周囲にある高さ1メートル余の鉄条網の外に獣道があり、内側にはシカのふん。シカが侵入したとみられ、同農協畜産課は「シカに付いていたダニから牛へ病気が広がらないか」と危惧(きぐ)する。北佐久郡軽井沢町でも、標高1100メートルほどにある大日向のキャベツ畑で数年前から食害や踏み荒らしが頻発。御代田町ではレタスやブロッコリーに被害が出ている。軽井沢町内の国道18号などで起きた衝突事故は2004年度に1件だったが、昨年度は16件に増え、本年度は既に10件。しなの鉄道でも6月、信濃追分駅近くでシカ2頭をはねる事故が発生した。環境省長野自然環境事務所(長野市)によると、群馬県側でも群れの目撃が増加。キャベツ畑の近くではふんが多く見つかっているという。同事務所が鳥獣保護区管理員らに聞き取ったところ、シカは15年ほど前に浅間山南側のふもとで数頭目撃されていたが、よく見るようになったのは5年ほど前から。ふもとの3市町のまとめでは、いずれも農林業被害額に目立った変化はないが、小諸市農林課は「被害に遭っても連絡がない人は少なくない」とみる。一方、標高約2千メートルにある同市火山館によると、近くの湯の平で3年前から登山者がシカを目撃するようになった。多くて3頭だが、一帯では初夏にハクサンイチゲが咲き、クロマメノキやコケモモなどは熊やカモシカの餌にもなる。館長の神田恵介さん(58)は「まだ集団で荒らされてはいないが、ふもとで頭数が増えればここにももっと上がってくる」と懸念する。軽井沢町などで野生動物の生態を調べている麻布大獣医学部講師の南正人さん(52)によると、一帯のシカは関東山地や八ケ岳から北上した可能性があるほか、群馬県側から入り込んだ個体も少なくないとみられる。「繁殖力が旺盛で群れで移動するシカは生態系へのインパクトが大きいが、被害が大きい地域では後追いの対策が目立つ」と指摘。被害拡大を防ぐため、シカの分布や植生への影響などを調べた上で、関係者が連携する必要性を訴えている。
(御在所岳でシカ食害深刻:三重)
鈴鹿国定公園内にあり、ツツジ科の木々が多い三重県菰野町の御在所岳(1,212メートル)の山上(さんじょう)公園で、ニホンジカの食害が広がり始めている。山頂近くのツツジなどの林では、一部で木の数が減少。被害防止は難しく、関係者を悩ませている。公園とふもとを結ぶ御在所ロープウエイに32年勤める森豊さん(50)は、国定公園記念碑の南西の斜面を見て目を疑った。100平方メートル余り、ツツジなどの木々が少なくなっている所があった。被害はまだ観光客が気付くほどではない。しかし関係者には、被害が誰の目にも明らかになってからでは遅いという危機感がある。御在所岳では10年ほど前から、シカが樹皮をはいだとみられる木々が目立ち始めた。被害は幹が滑らかなドウダンツツジを中心に、徐々に拡大。樹皮がはがされて光合成の養分が根まで行き渡らなかったり、水を吸い上げる機能が低下したりして立ち枯れた木もある。最近は、御在所岳を代表するツツジ科の花「シロヤシオ」も樹皮がはがされている。シカの食害に詳しい県林業研究所主幹研究員の佐野明さん(51)は「県内のシカは木の皮を好んで食べている」と指摘。苗木の若葉が食べられる被害もあり、「正常に次の世代が育たないと、森林の様相が変わりかねない」と警告する。被害は、山上でシカが増えるにつれて広がった。積雪や狩猟者の減少でシカが減りにくくなり、生息地はふもとから山頂近くへと拡大。スキー場があり、シカがすみやすい草原に似た山上公園に集まったとみられる。御在所ロープウエイなどの地元有志は昨年7~11月、被害が目立つスキー場周辺を中心に、100本の木の幹を緑色の網で保護した。今年も100本ほど網を巻く予定だが、2キロ四方の公園には木が数万本あり、すべては保護できない。有害鳥獣対策を担当する町観光産業課はふもとの農林業被害への対応で忙しく、山上公園周辺での抜本的な頭数制限は難しい状況だ。食害が広がれば、ツツジなどの植物と気軽に親しめる公園の魅力は失われてしまう。森さんは「むやみにシカは減らせないが、うまくバランスを取れないか」と悩んでいる。
(田畑荒らすイノシシで新メニュー:)
佐賀県唐津市相知町の陶芸兼パン工房「我楽房(がらくぼう)」(藤田幹敏さん経営)で12日、イノシシの肉と地元の野菜を使ったスープ料理「ボルシシ」の試食会があり、集まった藤田さんの友人ら約20人が味わった。藤田さんが、田畑を荒らすイノシシの駆除促進と名物づくりを目指し、10年ほど前から試作を重ねてきた。数種類のハーブとイノシシの肉を煮込んで独特の臭みを除き、「シシ16」をもじってニンジンやアスパラなど16種類の野菜を入れた。参加者からは「肉が軟らかく、味もさっぱりしていて、あのイノシシとは思えない」と好評。イノシシ肉の確保にめどがつけば「唐津の名物料理として売り出したい」という。
(県内でクマの目撃が相次ぐ:秋田)
県内で10日、クマの目撃が4件相次いだ。三種町では午前11時半ごろ、森岳字木戸沢の別荘の庭に体長約1メートルのクマがいるのを所有者の60代男性が見つけ、能代署に届け出た。クマは、別荘内にいた男性が窓ガラスをたたいた音に気付き、裏手の沢に逃げた。町山本総合支所地域整備課によると、森岳温泉郷の一角で別荘約100棟がある。木戸沢地区では今月1日にも、県道でクマが目撃されている。
(キジ放鳥、卵から育てた野生の4羽を:宮城)
大崎市田尻のビオトープ園「メダカの郷」主宰者の高橋孝憲さん(61)は10日、卵の時から育てた野生のキジ4羽を近くの雑木林に放鳥した。いずれも元気に約20メートル羽ばたいて林内に消えた。4羽は5月中旬に高橋さんの知人が同市古川の田のあぜで雑草の刈り払い中、雌の親鳥を誤って死なせてしまい、高橋さんの所に持ち込んだ卵9個の一部。高橋さんが飼育している雌のナゴヤコーチンが抱卵し6羽がふ化。2羽は死んだが、4羽が育った。
(側溝に落ちたカルガモのひな救え:北海道)
カルガモのひなを救え―。室蘭市寿町のマツダレンタカー室蘭支店前で10日午後、カルガモのひな4羽が側溝に落ち、消防車が救急出動し救出する珍事が起きた。同店の従業員が“行進中”のカルガモの親子を発見。「珍しいな」と見入っていると、親の後を歩いていたひなが消えた。よく見ると側溝の穴の中に転落していた。「側溝のカモを助けて」と119番通報した。駆け付けた消防隊員は従業員らと連係し、側溝を開けて中をのぞき込むと中にはひな4羽が。手を伸ばすが届かない。そこで、隊員は中の一部をせき止めて水を流してひなを集め、バケツですくい上げ“全員”を無事救出、見守っていた住民らから歓声が上がった。ひなは無事、親ガモの元へ戻った。
(バイアスロン大高友美選手、民間から五輪挑戦)
バイアスロンで日本初の民間からの五輪代表入りを目指す選手がいる。留萌市出身の大高友美選手(32)=太陽グループ。銃を使う特殊性から、過去、自衛官しか五輪代表となっていない競技で、厚い壁を破ろうと奮闘中だ。7月初旬、富山県の福光射撃場に、乾いた発砲音が響いた。「いかに力まず、リズムよく撃つか」。課題を意識しながら、大高選手は射撃の精度向上に励んでいる。日大4年の98年にスキー距離で長野五輪に出場し、卒業後、陸上自衛隊に入隊。札幌市の冬季戦技教育隊(冬戦教)に所属し、02年ソルトレークシティー五輪にも出場。03年にバイアスロンへ転向し、06年トリノ五輪では7・5キロで69位となった。転機は07年春。コーチでもある上官から引退を勧告された。「続けたい気持ちが強く、やれる自信もあった」。迷わず現役続行を決断し、その年の6月に自衛隊を辞め、富山県に拠点を移した。しかし、民間からの挑戦は険しい道だった。距離と射撃が同時に練習できる施設は国内では自衛隊にしかなく、一日中練習できた自衛隊とは環境が激変。ゴルフ場でキャディーとして働きながら競技を続けたが、「オフの練習はほとんどできなかった」。銃の所持許可が出たのも、退職から半年後だった。再び転機が訪れたのは今年3月。冬季競技の支援に理解があるパチンコ業界大手、太陽グループ(札幌市)へ入社し、十分な支援が受けられるようになった。今は午前中は歌志内市にある同社所有の農場で働き、午後は練習にいそしむ。日本では知名度の低いバイアスロン。民間から代表選手が出れば、競技のすそ野を広げることにも通じる。大高選手は「民間人でもやれることを示したい。できることを精いっぱいやりたい」と意気込んでいる。
(予備役スナイパー6000人養成へ:韓国)
狙撃手現役の軍人だけがなるものではない。予備役軍人の中でも、多数の狙撃手が養成されている。陸軍首都防衛司令部(首防司)=司令官:パク・ジョンイ中将=は、昨年から隷下各部隊の予備軍の中から、現役時代に狙撃手の経験があったり射撃訓練の成績が良かった人を選抜し、狙撃手としての訓練を別に受けさせている。首防司予備軍のうち、狙撃手訓練を受けたのは計2500人余り。首防司動員処は、「都市部で特殊な状況が発生したときには、狙撃手が大勢必要になる。現役軍人だけでは十分ではなく、予備軍を別途訓練して役割を分担するため、こうした制度を導入した」と説明した。首防司は、予備軍の狙撃手を約6000人にまで増やす方針だ。このため、狙撃手用の小銃と20万-30万ウォン(約1万4500-2万1700円)する照準器も合わせて調達するという。照準器の場合、予備軍用として昨年149個の補給を受け、今年も362個を導入する計画が固まっている。予備軍の狙撃手はほかの予備軍とは異なり、8時間の狙撃訓練を別途受ける。訓練の構成が違うだけで、予備軍としての訓練時間そのものは同じだ。教育の質を高めるため、特殊戦司令部の専門教官が講義を受け持つこともあるという。これらの狙撃手は予備軍の訓練の際、近接射撃ではなく、小銃に狙撃手用の照準器を付けて200-250メートル離れた標的を段階別に撃ち抜く訓練を行う。今年4月に陸軍第56師団の予備軍訓練で狙撃手課程を履修し、命中率95%を記録したカン・ジュヒョンさん(29)=ソウル市麻浦区=は、「ほかの零点規正射撃(銃の照準点と実際の弾着を一致させるための射撃)訓練のときとは違い、緊張感があった。これからさまざまなプログラムを整え、成果ある予備軍訓練が定着すればいいと思う」と語った。陸軍のほかの部隊でも、首防司の訓練を見守った後、成果が良ければこれを導入する方針だという。
(ピストルなどの小型武器取引、米国の需要大で25%増加)
ピストルなどの小型武器の国際取引が、米国での需要増大とピストル人気の高まりで、2000年-06年に25%以上増加したことが、9日公表された09年版「小型武器実態調査(Small Arms Survey)」で明らかになった。民間人、治安部隊、武装勢力が紛争や犯罪において使用した小型武器によって、6年間で45万人が死亡。また、国際紛争における死者の6割が、ピストル、回転式拳銃、ライフル、重機関銃によるものだった。小型武器および軽火器の合法的市場の売り上げは、06年に計29億ドル(約2700億円)相当に達し、6年前から6.5億ドル以上も急拡大した。背景には、米国で需要が増大している点が指摘されている。全世界での輸入拡大の48%を米国が担っているほか、ピストルと回転式拳銃の輸入額は6年間で1億7300万ドル(約160億円)に達し、他国を突きはなして世界一だった。武器の管理体制に欠陥があって所有状況が不透明な一部の国・地域を含めた場合、世界市場で取り引きされる小型武器の数は、実際には40億丁を超える可能性があるという。06年の小型武器および軽武器、部品、銃弾の輸出国としては、米国、ドイツ、ブラジル、オーストリア、ベルギーが上位を占めている。なお、調査は53か国を対象に行われた。

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