<射撃ニュース8月>

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(銃の隠し場所は「ぜい肉」:アメリカ)
米テキサス州ハリス郡 (Harris County)で当局に拘禁されていた男が、体のぜい肉のヒダの間に9ミリ拳銃を隠し持っていたことが判明し、矯正施設における銃の不法所持の罪で起訴された。地元紙ヒューストン・クロニクル(Houston Chronicle)が8日報じた。この男はジョージ・ベラ(George Vera)被告。体重は約225キロで、前の週に偽造CDを販売した容疑で逮捕されていた。警察の広報担当者によると、ベラ被告は逮捕の際に身体検査を3回受けてから拘置所に送られた。ところがシャワーを浴びた時、ぜい肉の間に銃を隠していたことが分かったという。ベラ被告は2年から10年の禁固刑を受ける可能性があるが、保釈金1万ドル(約98万円)を支払って保釈された。

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(猟期延長だけで削減無理、道東のエゾシカ対策:北海道)
北海道猟友会の支部協議会と狩猟指導者研修会が5日、釧路市のアクア・ベールで行われた。農業被害が深刻なエゾシカの増加に対応して、道は前年度を1万1000頭上回る雌ジカの捕獲が必要と推計。今年度のシカ狩猟期を道東地区は従来より1カ月延長して3月28日までとする計画で、今月中にも決定する見通しだ。
(秋田新幹線、クマと衝突?:岩手)
7日午後8時半ごろ、岩手県雫石町のJR田沢湖線赤渕―雫石駅間で、秋田発東京行きの上り秋田新幹線こまち32号が、クマらしい動物と衝突した。このため、同列車は雫石駅で車両点検を行い、約20分後に運転を再開した。JR東日本盛岡支社によると、乗客にけがはなかった。事故の影響で上下2本の列車に最大24分の遅れが生じ、約450人に影響が出たという。
(EU、アザラシ製品の取引禁止を決定)
欧州連合(EU)はアザラシ製品の取引を禁止する措置を決めた。近く施行する販売・輸入の禁止は原則、毛皮や化粧品に使う油などすべてのアザラシ製品を対象にする。主要輸出国カナダは反発し、世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を表明。「貿易紛争」に発展する公算が大きくなってきた。動物の幸福や権利を重視する「動物福祉」という考え方が浸透しているEUは、アザラシ猟のやり方が残酷だと主張。アザラシは絶滅の危機がないにもかかわらず、カナダやグリーンランドなど北極圏に住む先住民族イヌイットによる伝統的な製品を除く商業取引を全面禁止とした。
(駆除イノシシ肉を商品化:佐賀)
有害鳥獣として駆除したイノシシの肉を特産品化に取り組んでいる武雄市で、イノシシ肉の加工品が新たにお目見えした。全国に売り出したいと関係者は張り切っている。同市のイノシシ肉加工施設と精肉店が開発した。すでにイノシシ肉100%のスモークハムやソーセージ、ベーコンが発売中で、深みのある味が評判という。市が今年作った武雄鳥獣食肉加工センター「やまんくじら」(同市山内町)では、スモークハムを福岡市内のめんたいこ業者と共同開発。武雄産のレモングラスをブレンドするなどして生臭さを消し、コクのある味わいに仕上げている。価格は1パック(60グラム)500円。同センターでは精肉も直売している。また、市内に工房がある山下精肉店(有田町)では、自家製ソーセージとベーコンの販売を始めた。共に1パック200グラム入りで1000円。同店では、ロースハム(1パック100グラム入り、800円)とハンバーグ(同120グラム入り、500円)を秋から販売する計画もある。工房長の山下圭造さん(45)は「焼くとおいしさが倍増する」とイノシシ肉のうまさをアピールしている。これらの商品は、それぞれの製造元と同市武雄町の武雄温泉「物産館」などで入手できる。
(食害ストップへ広葉樹を植林:山梨)
南部町と県は、同町成島の山林にクリやブナなど広葉樹の植林を進めている。水源かん養機能を高めるとともに、土砂災害を防ぐのが目的で、2カ年で約10ヘクタールを整備する予定。また、木の実が野生動物の餌となるため、農作物の鳥獣被害に悩む農家からは「野生動物による食害防止にもつながる」と“一石二鳥”の効果を期待する声が出ている。広葉樹に整備するのは十枚山付近の町有林。成島地区の財産区が管理しているが、荒廃が進んでいることなどから、町や県が土砂崩落防止や水源保全の役割を担う保安林として整備することを決めた。県は5月、約6・2ヘクタールを間伐し、ブナなど5種類の木の苗を計約1万5千本植林。来年度は約2・6ヘクタールを整備することを計画している。また、町は10月にも、0・8ヘクタールを間伐し、15種類の広葉樹2千本を植え、豊かな植生の森林に“再生”する考えだ。南部町森林組合や町によると、町内ではサルやシカ、イノシシが稲や畑の農作物を荒らす被害が相次いでおり、昨年度の被害面積は333アール、被害金額は約390万円に上ると推計されている。山林の荒廃で餌が不足していることが原因とみられ、被害は年々増加しているという。実を付ける広葉樹を植えることから、南部町森林組合は「山林内に餌が豊富になるため、農作物が荒らされる被害が減ることは十分に考えられる」と推測。町は「自然との共生を目指す取り組みでもあり、将来的に効果を立証することも検討していきたい」としている。
(県内でクマの目撃急増:福島)
県内でクマの目撃情報が急増している。県警本部のまとめでは、今年は7月末までに88件の通報があり、昨年1年間の合計を30件近くも上回っている。クマに襲われ、けがをしたケースも昨年1年間の5人に対し、今年はすでに4人。専門家は人里で食物を探す傾向が顕著になっていると分析、秋にかけて活動が活発化するため県警などは一層の注意を促す。クマは本来、積極的に人間に接近してくることはないが、縄張り近くに人間が近づいた際などは襲うケースもある。人の生活圏まで拡大してきている可能性もあるとしている。予防法として、雑木林に近づく際、手をたたき音を鳴らしたり、クマに人間の存在を知らせる「クマ鈴」を身に付けたりするのが有効として注意を呼び掛けている。
(サル、八戸市中心部に出没:青森)
八戸市中心部で5日からサルの目撃情報が相次いでおり、市や八戸署が注意を呼びかけている。市農業振興課によると、5日午前7時55分、同市田面木の田面木保育園の職員から「サルが近くを歩いている」と連絡があり、6日午後5時までに9件の目撃情報が寄せられた。場所は同市根城や内丸、柏崎など市中心部周辺で、時間と経路から同じサル1匹が移動しているとみられる。同市でサルは郊外で目撃されることはあるが、中心部はまれ。同課は「郊外から迷い込んできたのかも。見かけたら近寄らず、びっくりさせないようにして市に連絡を」としている。
(知恵を絞ってカラス対策:長野)
松本市安曇上高地の河童橋近くにあるホテルの売店がカラスの被害に悩まされている。店先の袋入りのパンやせんべいをくわえて飛び去り、河原などで食べ散らかす。上高地の景観にもかかわるとあって、あの手この手で対策を取っている。今年の営業が始まった4月ごろから2、3羽のカラスが姿を見せるようになった。当初は商品に白い布をかぶせたが、めくられてしまい効果はいまひとつ。カラスの子育ての時期と重なった6月は特に被害が増え、月間の被害額は約8千円に上った。「何とかしなければ」と、7月初旬には光を反射する幅広のカラスよけテープを陳列棚に備えた。するとカラスは近寄らなくなったという。ホテル白樺荘販売部長の由井秀文さん(45)は「景観を損なうような被害は出なくなって良かった」。ただ、依然として売店近くの木に姿を見せることから、店員らは警戒を続けている。カラスの被害が始まったのは3、4年前。ハシブトガラスの仕業とみられる。日本野鳥の会主席研究員の安西英明さん(53)は「食べ物、水浴びの場、ねぐらなど諸条件が整えば住みつくことは十分ある」と話している。

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(駆除したニホンジカを活用、大和煮の缶詰に:宮城)
宮城県の牡鹿半島で増えすぎたニホンジカの肉を使った大和煮の缶詰「伊達の黄金鹿」が9日、石巻市の夏祭り会場で売り出される。農作物などを食い荒らすため、県の計画に沿って、2008年度に捕獲されたのは約1340頭。処分されるシカ肉の活用を目指し、地元の加工会社「丸信ワイルドミート」が商品にした。三浦信昭社長によると「臭みはほとんどない。食感はクジラ肉に似ている。石巻の活性化につなげたい」という。1缶(120グラム)500円。
(サルによる農作物被害拡大:長野)
農作物の収穫を目前に控えたこの時期、作物をサルに食べられる被害が広がっている。伊那市高遠町藤沢水上の伊藤実さんの畑では、トウモロコシなどがサルの被害に遭った。伊藤さんによるとここ数日、20頭ほどの群れのサルが山から現れては国道を渡り、ネットを乗り越えて畑に入りこみトウモロコシを全て食べ尽くしてしまったという。被害はすでに水上全域に及んでいて、伊那市では水上地域にサルの捕獲檻を設置することを決めているが、まだ設置には至っていない。市では、被害に遭った農家にとって早急に檻を設置してほしいという気持ちはわかるが、捕まえたサルは許可を受けた猟友会でしか処分できないことから猟友会との調整が必要だとして理解を求めている。
(奈良漬泥棒、実はクマ:秋田)
秋田県大仙市豊岡の無職村上誠良さん(76)方の小屋に、2日から5日にかけて4回にわたってクマが現れた。漬物たるに保存していた甘い奈良漬が目当てとみられ、荒らされた跡があった。“甘党”のクマを捕らえようと、地元猟友会は6日、村上さん自家製の奈良漬を餌に、おりにおびき寄せる作戦に出た。3日朝、たるがひっくり返っているのを発見。午後10時半ごろにも物音がしたので小屋に行くと、クマがたるを踏み台にして窓から逃げた。翌日朝にも出没。さらに5日午前0時ごろにも小屋に侵入したが、村上さんが爆竹を鳴らして追い払った。大仙署によると、同じクマとみられ、体長は約1.2メートル。奈良漬の調味料となる酒かすと砂糖の味が気に入ったとみられる。捕獲作戦が始まった6日午前、猟友会は村上さん宅から100メートル以上離れた杉林で足跡を見つけ、奈良漬を入れたおりを設置した。夕方現在、クマが現れた形跡はない。村上さんは「ネコかと思ったが、クマだと分かって驚いた。奈良漬の甘さに引きつけられ、早く捕まってくれることを願っている」と話した。
(巨大わなイノシシ捕獲:岡山)
和気町小坂地区の巨大な害獣用わなで4日朝、初めてイノシシが捕獲された。わなは長年イノシシによる農作物荒らしに悩まされてきた住民らが1年半前に手作りで設置。今回の獲物は子どものイノシシだった。わなは周囲約100メートル、高さ3メートルの柵を張り巡らせた巨大なおり。中にはイノシシをおびき寄せるために好物のイモを植えている。2カ所の入り口があり、通常は開いているがおりの中のワイヤに触れると閉じる仕組み。イノシシはこれまでに少なくとも4回は掛かったが、鼻で網の目を広げたり、地面に穴を掘るなどし逃げていた。そこで住民らは今年1月、柵の1カ所にわざと逃げ道を設け、その先に鉄製の小さな捕獲用わな(高さ120センチ、幅60センチ、奥行き250センチ)を設置。子どものイノシシがわなに掛かっているのを住民が見つけた。捕獲されたイノシシは体長約50センチで、生後数カ月とみられる。区長の若林守さん(74)は「子イノシシも成獣同様、水田をほじくり返すなど悪さをする」としながらも「処分するのはかわいそう。住民と相談し、飼育する人を探したい」と話している。

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(野生動物に皮膚病、人にも感染する恐れ:和歌山)
野生動物が発症すると死んだりすることが多い皮膚病「疥癬(かいせん)」が全国で広まっている。和歌山県内では紀ノ川筋や新宮市などで見つかり、田辺市でも7月に感染したタヌキが捕獲された。猫などの疥癬とダニの種類が違い、人にも感染するため、田辺市農業振興課は「見つけても素手で触らないで」と注意を呼び掛けている。野生動物の疥癬は、ヒゼンダニの一種センコウヒゼンダニが皮膚に寄生して発症する。今年6月、田辺市天神崎でアライグマへの寄生が見つかった猫に寄生するショウセンコウヒゼンダニより、症状が重篤化することで知られる。田辺市で捕獲された感染タヌキは雌の成獣(2.45キロ)。7月14日、同市稲成町のふるさと自然公園センターの鈴木和男さんのもとに龍神行政局職員から「何か分からない動物が捕獲された」と連絡があり、調べてみると全身の毛が抜けて衰弱したタヌキだった。疥癬を疑い、山口大学農学部獣医寄生虫病学研究室の佐藤宏准教授に調査してもらった結果、センコウヒゼンダニの寄生が分かった。橋本市では2005年に初めて感染タヌキが確認され、毎年15匹ほどが見つかっている。かつらぎ町では3、4年前から毎年数匹の確認がある。新宮市も今年4月に初めて感染タヌキが確認され、7月下旬までに計3匹が捕獲された。日高川町でも出ている。センコウヒゼンダニは全長0.4ミリほど。皮膚にトンネルをつくって暮らしており、穴を開けるときに唾液(だえき)から毒素を出して激しいかゆみを起こす。絶え間のないかゆみのため、かいたり擦り付けたりして全身に広がる。野生動物の場合は毛が抜け、やがて衰弱して最悪の場合は死んでしまう。十数年前から脱毛して衰弱したタヌキが民家近くで発見される事例が、全国各地で報告されるようになり、イノシシやカモシカなど大型哺乳(ほにゅう)類でも確認された。県自然環境室は「感染して弱った動物を保護した場合は最寄りの市町村に連絡してほしい。また、有害獣として捕獲した場合、病気だからといってそのまま山に放したり、他の場所に移動させたりしないでほしい」と話している。
(北限のサル、夏季調査始まる:青森)
ニホンザルの研究者らでつくる「下北半島のサル調査会」は5日、むつ市脇野沢で、国の天然記念物「北限のサル」の夏季調査をスタートした。10日までの6日間、サルの個体数や群れの構成などを調査・確認するほか、農作物や人への被害が出ないようサルを山に追い払うモンキードッグの効果、個体数調整の影響を合わせて検証する。
(大平マリーナのシカ保護:青森)
むつ市真砂町の「大平マリーナ」内で見つかったシカを保護しようと5日午前、陸から海へと大捕物を繰り広げた。市職員が網を手に迫ったが、シカは縦横無尽に走り回ったあげく、海に飛び込み、隣接する漁港まで約400メートル泳ぐなど必死に抵抗。漁船から縄で保護されたのは作戦開始から約1時間半後で、関係者は「カモシカよりスピードがあった。追うのも大変だった」と、ぐったりしていた。
(農作物被害防ぐ柵設置へ:長野)
伊那市有害鳥獣対策協議会は、長谷非持など市内3カ所に国の支援を受けてシカなどから農作物の被害を防ぐための大規模な柵を設置する。これは4日夜、長谷非持の集落館で開かれた地区懇談会で報告された。協議会では鳥獣被害防止特措法に基づき、国からの補助を受けることができる鳥獣害防止総合対策事業に申請していて、このほど内定を受けた。事業は非持のほか高遠町、手良の3カ所に柵を設置するもので、このうち非持の柵は延長約6.1キロ、高さ約2.5メートルとなっている。柵の上部は電気が走るようになっていて、イノシシやシカのほかサル除けにも効果があるという。事業費は約6100万円となっていて、そのうち約50%を国の補助でまかなう。伊那市内の平成20年度の有害鳥獣による農作物の被害額は約4200万円に上っている。新しい柵の設置は、盆明けから順備を始め年内中の完成を予定している。

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(大平マリーナに謎のシカ:青森)
3日夕方と4日朝、むつ市真砂町の「大平マリーナ」付近を散歩していた男性がシカ1頭を見つけ、同市役所に連絡した。県内のシカは絶滅したとされているが、昨年下北地方などでシカの目撃情報が相次ぎ、「北上したホンシュウジカ」「海峡を渡ったエゾシカ」「飼育され、逃げ出したシカ」などさまざまな説が飛び交った。市は安全のため、「シカを見つけても近づかないように」と呼びかけている。
(はねられ?クマ死亡:長野)
4日午後2時半ごろ、上松町の国道19号を車で通行した男性から、「クマが路肩に倒れている」と、110番があった。木曽署や県木曽地方事務所林務課の職員らが確認したところ、雄のツキノワグマ(体長約1メートル)1頭が死んでいた。同林務課によると、クマは、親離れをした2歳ぐらいの子グマ。トラックなどの大型車両にはねられ、即死したとみられる。現場近くに住む沢木喜久夫さん(76)は、国道沿いの畑をクマが歩いているのを数10メートル離れた縁側から目撃、家族に知らせようとした直後に車のブレーキ音を聞いた。「この近くではクマやイノシシの足跡が畑に残されているのをよく見るが、クマの姿を間近で見るのは初めて」と驚いていた。
(クマ、2日続け小屋荒らし:秋田)
漬物好きのクマ?3日午後10時半ごろ、秋田県大仙市豊岡の無職村上誠良さん(76)が小屋にクマがいるのを発見、翌朝、知人を通じて大仙署に通報した。同署によると、村上さんが母屋と棟続きの小屋からガタガタという物音に気づいて電気を付けたところ、体長約1.2メートルのクマがおり、開いていたサッシ戸から出て行ったという。戸にはカギがかかっていなかったという。村上さんによると、2日夜にも同じ小屋が何者かに荒らされた跡があり、うりの奈良漬けが入ったかめが倒され、中身が床に転がっていたという。奈良漬けには酒かすや砂糖が入っており、村上さんは「飼い猫かと思った。クマは甘い香りに誘われてやってきたのでは」と驚いていた。
(「鳥獣害から農作物を守る会」発足:和歌山)
和歌山県串本町潮岬でイノシシやアライグマ、タヌキなどによる農作物被害が増えている問題で、地元住民らが「鳥獣害から農作物を守る会」(会長=平松恒喜・東地区長)を発足させた。地元では相次ぐ被害で耕作意欲を失い、荒れ地も増えてきているといい、町や猟友会と連携し、地域ぐるみで対策に乗り出す。6月末から地元の12人が守る会への参加を呼び掛け、7月23日までに59人の会員が集まった。潮岬の住民だけでなく、潮岬で畑を作っている同町姫や同町串本の人も参加している。守る会は、農作物に害を与える鳥獣を駆除することを目的とし、法令や県の「鳥獣保護事業計画」などを順守しながら、被害防止に向け、町や猟友会と緊密な連携を図っていく。情報を共有するため、被害や捕獲状況などを知らせる会員向けのニュースも定期的に発行する。潮岬地区を中心に、出雲を含めた潮岬の半島全体に活動を広げていく方針。平松さんによると、イノシシやタヌキによる被害は昔からあったが、特にアライグマによる被害がここ3年ぐらいの間に増えてきているという。町農林水産課によると、アライグマの有害捕獲は2008年に出雲3匹、潮岬19匹だったが、今年は7月24日時点で出雲6匹、潮岬14匹になっている。潮岬ではビワやナシ、カキ、スイカ、ブドウ、トウモロコシ、イモなどさまざまな作物を栽培している。一部は出荷している人もいるが、自家消費の人が多い。被害に遭うため、耕作することをやめて、荒れ地も増えてきているという。地元の人らは、防御柵や電気柵を設置するなど対策に頭を悩ませている。会の役員で、スイカやイモなどを作っている松並包さん(57)も、被害が相次いだため、2年ほど前から電気柵を設置した。「柵を設置したことで自分ところの被害はなくなったが、よそへ行っている。最終的に地域全体で有害捕獲して減らしていかなければいけない」と話す。7月31日には、会員の10人が田嶋勝正町長に獣害の実情を訴えた。イノシシやアライグマ、タヌキなどの有害捕獲に行政が力を入れることや、アライグマの有害捕獲の報奨金2000円を引き上げること、タヌキを有害捕獲の対象とし、報奨金が出るようにすること、捕獲免許取得希望者の奨励と受験費用の補助など7項目について陳情した。潮崎寿子さん(67)も「150~180本植えたイモがイノシシに1本残らずやられた。借りている畑だし広いので電気柵ができない。漁網で囲いをしているが、イノシシに破られて補修するのに大変」などと実情を訴えた。田嶋町長は「積極的な対応が必要だと思う。担当課とも話をつめ、できる限り取り組みたい」と答えた。9月4日には、アライグマの生態に詳しいふるさと自然公園センター(田辺市稲成町)の鈴木和男さんを招き、町主催の講演会を潮岬で開く予定。平松さんは「毎日のように潮岬のどこかで被害がある。会を立ち上げる中で、いかに地域で困っている人が多いか実感した。町や猟友会との連携を密にし、作りがいのある農業を大事にしたい」と話している。

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(岡山市で初のイノシシ対策講演会:岡山)
岡山市内でイノシシの捕獲頭数が増えているのを受け、市や県狩猟会岡山支部など6団体で組織する「市地域鳥獣被害防止対策協議会」は3日、北ふれあいセンター(北区谷万成)で被害に遭わないための対策講演会を初めて開いた。市の担当者が2008年度の市内のイノシシ捕獲数が1694頭と、データのある03年度以降で最高を記録したことを報告。捕獲柵や農作物への防護施設整備の補助金概要などを説明した。講演では近畿中国四国農業研究センターの江口祐輔主任研究員が「知らないうちに出荷しない農作物を田畑に置き去りにするなど、人がイノシシをおびき寄せる環境をつくっている」と指摘。捕獲についても「子どもやメスは、逆に被害が増える原因になる」など行動特性を元にイノシシが田畑に近寄らない環境づくりについてアドバイスした。同御津勝尾の農業藤山光克さん(72)は「毎年稲が被害を受ける。イノシシの特性を理解すれば防げると分かった」と話していた。
(ペストで3人死亡、草原地帯での狩猟で感染か:中国)
中国新聞社電によると、青海省海南チベット族自治州興海県で発生したペストで、同省衛生庁は3日午後8時までに12人が感染し、うち3人が死亡したと発表した。死亡者は2日午後8時時点よりも1人増えた。現在治療中の9人のうち2人は重体で、特に1人の症状が重いという。7人の症状は比較的安定している。青海省は2001年、04年にもペストが発生しており、今回(09年)は過去10年間で3回目。発生したのはいずれも草原地帯で、今回の死亡者もすべて牧畜民という。現地の牧畜民は、チベット族やモンゴル族など、いわゆる少数民族が多い。ペストは、ネズミやリスなど齧歯類(げっしるい)に流行する病気で、ノミが媒介する。中国北部やモンゴルの草原ではリス科マーモット属で、モンゴルマーモットやタルバガンと呼ばれる動物が生息しており、狩猟の対象になっている。青海省でのペスト発生も、タルバガン猟によるものが多いとされている。ペストの原因となる病原体はペスト菌と呼ばれる細菌の1種。通常は腺ペストと呼ばれる病状で、リンパ節や肝臓などが冒される。死亡率は50%-70%程度とされる。腺ペストが流行すると、患者のせきにより飛散したペスト菌を吸い込み、肺炎などを発症する人-人感染の肺ペストが発生することがある。肺ペストは感染率が高く、死亡率も100%近いとされる。青海省のペスト発生で、興海県は封鎖され、ネズミ類やノミの駆除が実施された。専門家は現地住民に発熱やせきの症状が出た場合には、ただちに保健機関で診察を受けるよう呼びかけた。
(3知事尾瀬サミット:群馬)
群馬、福島、新潟3県の知事らが尾瀬国立公園の保護や利用について話し合う「尾瀬サミット2009」が3日、尾瀬ヶ原の北端にある新潟県魚沼市の東電小屋で開かれた。環境省から、今年5~6月の入山者数が新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の影響で関西方面からの団体客にキャンセルが出たことなどから、昨年同期比24%減となったことや、深刻化しているニホンジカによる食害に関し、先月27日までに特別保護地区の尾瀬沼などで9頭が捕獲されたことなどが報告された。(中略)シカについては、環境省から、頭数、植生への食害ともに増加傾向にあるとして、昨年度は食害や頭数の調査を行うとともに、計約40頭を捕獲したことや、今年度は特別保護地区での捕獲を開始し、7月27日までに9頭を捕獲したことが報告された。同省は今年、同公園内で100頭の捕獲を目指している。会合では、シカの捕獲について自然保護団体などからの反対の声はなく、引き続き調査を行うとともに、捕獲を進め、「最終的に尾瀬からシカを排除することを目指す」ことが了承された。
(サギ類の集団営巣に住民困った:兵庫)
篠山市黒田の人工林でサギ類が集団営巣し、鳴き声やふんが周辺住民を悩ませている。巣は100個以上あり、200羽ほどが一斉に鳴いたり、窓が開けられないほどの悪臭がしたりと、住民は「ゆっくり眠れない。毎日、屋根や車の上にふんを落とされる」と訴える。市は「木を伐採しても巣が移動するだけ。根本的な解決にはならない」と頭を悩ませている。サギ類は川や水田で魚類やカエル、貝類などのエサを捕り、エサ場から近い森や林に集団で営巣する。黒田地域では約8年前から繁殖期の4~8月、篠山川沿いの竹やぶや人工林約1ヘクタールで子育てするシラサギやアオサギの姿が見られるようになった。竹やぶから道路を挟んだ住宅に11年前引っ越してきた女性(51)は「空気の良い所で暮らしたくて篠山に来た。さわやかな季節に窓が開けられないなんて」と嘆く。バルコニーの手すりにはふんが落ち、網戸には細かな羽毛がささっているという。約200メートル離れた住宅の男性(66)は「田んぼでカラスがひなを食べたり、卵の殻が10個ほど置いてあったりする。林の上で100羽以上が一斉に羽ばたきながら騒いでいることもある」と苦々しげだ。市農林政策課によると、5年ほど前、同市河原町の王地山でも騒音被害があり、木を切ったところ、サギは約1キロ西の同市南新町に巣を移した。ここでもエノキを切り、竹やぶを整備すると、ほかの場所に移動したという。市は「巣の下でバケツの音を鳴らして、安心して住めない所と教えると、出ていくことがあるが、別の場所に移動するだけなので、解決にはならない」。人と自然の博物館(三田市)の遠藤菜緒子研究員は「昔は集落近くに大きな森があったので、サギが集団でいても、住民の迷惑にならなかった。宅地開発が進み、サギのすみかが限られてきている」と指摘する。

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8/3
(キジ2000羽圧死:佐賀)
県は30日、今月24日からの豪雨で、神埼市尾崎にあるキジ鶏舎に土砂が流入し、キジ2000羽が圧死したと発表した。被害額は1260万円。県畜産課によると、鶏舎は530平方メートル。山間部にあり、大雨で崩れてきた土砂が中に流れ込んできたという。キジは2500羽がいたが、500羽程度しか残らなかった。また、豪雨の被害額(速報値)はこの日、総額で22億3572万円になった。
(イノシシ、畑作に打撃:石川)
金沢市の山間部で農業を営む人たちが、イノシシによる農作物被害に頭を抱えている。住民の要請を受け、市は捕獲用のオリの増設に乗り出した。住民たちは「少しでも捕獲して被害の軽減につながれば」と効果に期待する。「こりゃイノシシの仕業や」。金沢市東原町の田中宗六さん(82)は、昨年7月中旬の朝、サツマイモ畑の“惨状”を見て肩を落とした。畑は20メートルに渡って掘り返され、葉とツルは器用によけ、地面に埋まったイモの部分がすべて平らげられていた。「ここまで育ててきたのにショックだ」市によると、イノシシなど「害獣」による農作物被害は、2007年は約300万円、08年は約88万円。休耕地や手入れ不足の森林が増え、イノシシの活動範囲が人里近くにまで広がったためだ。生息数が増えているとの見方もあり、今年も収穫期に向けて被害拡大が懸念されている。住民は、今まで電気柵を設置するなどの対応をしてきたが、一時的に追い払うだけで、抜本的な解決にはなっていなかった。そこで市は、07年に捕獲用のオリ2基を設置。08年は8基に増設し、7頭を捕獲した。今年は更に7基を加え、山間部の10集落に計15基を設置する計画だ。1日は市の委託を受けた県猟友会金沢支部の会員が、オリ12基を仕掛けた。東原町の休耕田には、縦横2メートル、奥行き3メートルのオリを設置。好物の米ぬかでおびき寄せ、イノシシが中の糸に触れるとワイヤが緩み、扉が落ちて閉じ込める。費用の半分は市が補助するが、同町生産組合長の宮田外茂治さん(60)は「金ばかりかかって採算がとれないが、誰も耕さなくなれば山が荒れ、ますます被害が広がってしまう」と胸の内を明かす。市は、10日に生産組合や農協などを対象に、イノシシ対策の研修会を開く。市農業センターの高勉担当所長補佐は「生産者のためにも被害拡大を防ぎたい」と話している。
(わな猟免許取得者、府北部で増加:京都)
野生動物による農作物被害が深刻化する中、わな猟の狩猟免許をとる農家の人が京都府北部で増えている。8月には綾部市や与謝野町などで免許取得のための講習会が予定されており、定員を上回る人気という。わな猟は野生の動物をエサでおびき寄せ、おりに閉じこめたり、輪状のワイヤで足を引っかけるなどして捕まえる。仕掛けるためには実技と知識を問う試験を受け、免許を取る必要がある。府中丹、丹後広域振興局によると、府北部の2008年度のわな猟の狩猟登録者数は506人で、07年度の463人、06年度の390人に比べ増えている。府によると、増加分は被害に悩む農業関係者が中心という。綾部市八津合町の農業井上昭司さん(67)は昨年9月にわな猟の免許を取得した。今年6月からヌートリアなどをとらえるおりを畑に設置している。井上さんは「野菜をつくっても収穫間近にイノシシやシカに食べられてしまっては、生産者は意欲を無くすし、農村を求めて移住した人も出ていってしまう。柵で囲うにも限界がある」と話す。8月には与謝野町(2日)と綾部市(9日)で行政や農林業関係団体などによる、わな猟の講習会がある。いずれも定員を上回る応募があり、計130人が参加する予定。綾部市農林課は「自分の農地は自分で守るという積極的な動きだ。市内の農村部で狩猟者が減少・高齢化する中、比較的取得が容易なわな猟で狩猟者の確保が図れれば」としている。
(獣害対策の柵、効果大:三重)
稲作が盛んな伊賀市小杉地区の住民が、水田をイノシシやシカの被害から守ろうと集落を丸ごと取り囲むように総延長12キロの鉄柵を設けた結果、被害がほとんどなくなった。県内でも例のない大規模な対策が有効だとして、県も普及を進め始めた。設置は、農業を営む西尾幸彦さん(67)らが中心となり、地区の全80世帯に呼び掛けて計画。国や県、市から受けた補助金650万円と地元負担50万円で高さ1メートルの柵を購入し昨年6月から2カ月がかりで住民が総出で集落の水田と山林などの境に設置した。獣害対策の柵は、水田や畑ごとに周囲に設けるのが一般的だが、小杉地区では集落全体を輪のように囲んでいるのが特徴。水田55ヘクタールがある小杉地区では、5年前からイノシシやシカに稲が食べられる被害が相次ぎ、2007年度には2・5ヘクタール、250万円分の被害があった。しかし、柵を設置した昨年は被害はほとんどなかったという。取り組みを調査している県伊賀地域農業改良普及センターは「水田や畑ごとに設置するより距離が短くて済み、より有効に被害を減らせる」と高く評価。県内初の先進例として、県内各地で開いている獣害対策講習会で紹介している。市内では小杉地区をモデルに、ほか8地区で設置を計画。西尾さんは「住民が危機感を共有できたからこそ、これだけの規模で設置できた」と話している。
(クレー射撃に親しんで:青森)
青森市久須志のイベント会社代表、小倉慶栄(けいえい)さん(62)はクレー射撃歴が20年を超すベテランだ。30代後半から15年余り、選手として国体に出て活躍し、引退後の今も市内の散弾銃射撃場で管理者として新人の育成にあたっている。銃を使った事件事故で規制が強まり、銃の所持者数も減っている現状で、小倉さんは「正しい使い方を身に着け、競技としての射撃に慣れ親しんでほしい」と話している。小倉さんは狩猟をしていた父慶心(けいしん)さん(故人)の影響で20代後半に試験を受け、散弾銃所持の許可を受けた。だが仕事が忙しいうえに興味もわかず、散弾銃を撃つ練習から遠ざかっていた。しかし30代後半で仕事に余裕が生まれ、同時に当時弘前に住んでいた射撃の元プロの男性と知り合ったのが転機となった。男性から「青森は雪が降るため、半年間は射撃場が閉鎖される。春に2000~3000発撃たないと前年のスコアにならない」と言われ、触発されて選手を目指すようになった。30代後半にプロになった翌年、国体に出場。公式戦の自己最高記録は100発中97発の的中率で、「東北総体では個人戦で2回優勝した」という。55歳ごろ、動体視力の衰えなどを感じて引退。今は青森市野沢川部の青森散弾銃射撃場の管理者を務めて新人を育てている。一方、8人が死傷した長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件(07年12月)などを見て「鉄砲を持つ人が自分の首を絞めている状況だ」と危惧(きぐ)している。今年12月に施行される改正銃刀法で、銃の所持許可を更新する際は、3年間有効の技能講習修了証明書の添付が義務付けられる見込みだ。県警生活環境課によると、08年12月現在の県内の散弾銃所持許可数は3539丁で、10年前(98年、5798丁)の約6割になっている。小倉さんは「集中力と反射神経が養われる」として射撃への参加を訴えている。
(キツネ狩り禁止法論争:イギリス)
英国で来年6月までに行われる総選挙で、キツネ狩り(狩猟)禁止法をめぐる論争が再燃しそうな雲行きだ。同禁止法は労働党のブレア前政権下にイングランド、ウェールズ両地方で施行されたもの。しかし、13年ぶりに政権を奪還する可能性が強い最大野党、保守党のキャメロン党首が「見直すつもりだ」と公言している。赤いジャケットを着て馬にまたがり、猟犬にアカギツネを追わせる「キツネ狩り」は16世紀に始まったとされ、貴族の娯楽として人気を集めた。家畜を襲い、農作物を荒らす害獣のアカギツネを駆除するためだったが、「猟犬にかみ殺させるのは残酷」との批判が高まり、第二次世界大戦後、早くも禁止法案が議会に提出された。キツネ狩り禁止を支持したのは労働党議員、動物愛護団体、都市住民…。存続派は保守党議員、狩猟愛好家、猟区の地主、猟犬や馬の飼育係ら。論争は“階級闘争”の様相を呈し、労働党と保守党の間で延々と続けられた。しかし、キツネ狩り禁止を選挙公約に掲げたブレア政権は、世襲貴族中心の上院の反対を押し切って2004年11月、同禁止法を成立させた。キツネ狩りを「上流階級の象徴」と見立てて保守党を攻撃した労働党の政略、ブレア政権に置き去りにされた地方の反発、狩猟習慣をやり玉に挙げられた不満が複雑に絡み、英国会議事堂前に存続派が集結し、警察との衝突や英議会史上異例の議場乱入事件に発展する騒ぎになった。警察は「キツネ狩りを取り締まる優先順位は低い」とそっけないが、2007年に62人が起訴され、48人が最大で5000ポンド(約77万円)の有罪判決を受けた。保守党が政権に返り咲けば存続派が息を吹き返すのは必至とみられている。
(クマが人の生活領域に:長野)
松本市東部の美ケ原を中心とした中信高原・八ケ岳地域。6月下旬、市街地から軽四輪駆動車を走らせ、細い林道に入って約1時間。ツキノワグマの行動を把握する調査捕獲のため、ドラム缶を改造したわなの仕掛け場所にたどり着いた。調査しているのは、特定非営利活動法人(NPO法人)「信州ツキノワグマ研究会」代表で、元信州大教授の林秀剛さん(73)。同研究会は1995年に発足し、林さんはツキノワグマが行動するシーズンは毎日のように野山を駆け回る。「あー、食べられちゃったな」。わな近くに置かれたはちみつが入った缶がひっくり返り、クマが訪れた形跡はあるものの、わなの中は空っぽ。わなに掛かっていれば、発信器を付けて奥山に放し、追跡調査する予定だった。「よくあるんだよ」。林さんは苦笑いを浮かべた。行動を調査するのは、ツキノワグマと人間の共存策を検討するのが目的だ。中信高原・八ケ岳地域のツキノワグマの個体群は絶滅の恐れがあるとされ、行動のほか、農作物や林業などの被害の状況も把握して対策を考える。林さんは今、「クマと人間の『すみ分け』が成り立たなくなっている」との思いを強くしている。「本来は、適度な緊張関係を保つ必要があるのに、人間の生活領域に野生動物をおびき寄せてしまっている実態がある」と。それは、民家の外に出される生ごみや、森林と隣接する畑に植えられるトウモロコシなどの作物が格好のえさになっているからだという。「クマにとって生ごみは“高タンパクのエサ”。夜間に出せば夜行性のクマが近づくのは当然。クマをおびき寄せてしまう人間の無作為は、意図しない餌付けと同じなんです」ツキノワグマと人間の緊張関係が崩壊しつつある背景には、人々の暮らし方の変化もある。昭和30年代以降、木炭や薪が中心だった家庭燃料が石油などに切り替わり、人が里山などに入らなくなった。ツキノワグマの生態に詳しい県環境保全研究所の岸元良輔さんは「クマの分布域が広がっているのは、中山間地域の過疎化や、森林の荒廃もある」と指摘。そして、「昔は中山間地にもたくさんの人が住み、クマは人を警戒して近づかなかった。いわばバリアーの役割だったが、今はそれがなくなりつつある」と懸念を示す。同研究会は、各地の小中学校などで学習会も開いている。6月、長野市内の山間の中学校で開かれた学習会では、若手のメンバーが「クマが生きている環境がどうなっているのか。そのことにも思いをめぐらせてほしい」と呼び掛けた。林さんは考え続けている。「クマなどの野生動物がたくさんいるのが本来の自然の姿。自然や野生動物たちとどうやれば共に生きていけるのか。それを学ぶことが、私たちの未来にもつながるんです」
(サル餌やり禁止条例制定へ:大阪)
大阪府箕面市の「箕面大滝」周辺に生息するニホンザルの増加に伴い、箕面市はサルへの餌やりを禁止する「サル餌やり禁止条例」を制定することを決めた。悪質なケースには3千円程度の過料支払いを求める厳しい内容で、9月議会に提案する方針。観光客らの餌やりが原因で、数が増え、頻繁に市街地に出没したり、農作物被害が増えるなどトラブルが多発しているためだという。国の天然記念物でもあり、安易な捕獲や駆除もできないため、全国的にも珍しい禁止条例の制定に踏み切ることにした。市は適正の数を200匹としているが、現在は4つの群れで約600匹が生息。住宅の屋根のアンテナが壊されたり、農作物が荒らされる被害も年間30~50件確認されており、市は山奥に餌場を設けてサルを移動させる対策も行っているが、根本的解決にはつながっていないという。条例では、警戒中の職員の指導を無視する悪質な違反者に対し、3千円程度の過料を科す方針で、現在は市民から寄せられた意見などを検討中。9月議会に提案し、来年4月の施行を目指しているという。もともと、箕面のサルは観光目的で市が昭和29年から餌付けを開始。大都市近郊で野生のニホンザルの生態や行動を観察できるのは貴重な存在として、31年には府営箕面公園を生息地とするニホンザルが天然記念物に指定された。ところが、餌付けが進み、観光客から与えられたカロリーの高い餌を食べるうちに、生息状況が変化。体力をつけはじめ、2~3年に一度の出産が毎年になったり、高齢出産も確認されたほか、急速に数が増えたことで、農作物被害などが社会問題になった。市は一転して観光客に餌付けをしないように求めるよう方針転換したが、観光客への餌やりは後を絶たず、トラブルも収まらないことから、条例制定に踏み切ることにしたという。農林水産省などによると、サルによる農作物被害は全国で年間約16億円にのぼり、約1万頭のサルが捕獲、処分されている。各自治体も対策に乗り出しており、20年度に約300万円の農作物被害が出た大分県津久見市では、畑を荒らすサルを訓練した犬で追い払う「モンキードック」事業を実施。大津市では捕獲したサルを雄雌に分けて飼育し、繁殖を防止している。また、箕面と同じ天然記念物指定されている「高崎山」(大分市)でも適正数を400頭も超える約1200匹にまで数が増えており、市の担当者は「避妊薬を投薬して、なんとか増加を食い止めている」と話している。

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