<射撃ニュース10月>

10/30
(JOC、クレー射撃協会の仲裁断念)
日本オリンピック委員会(JOC)は29日、東京都内で加盟団体審査委員会を開き、新旧執行部で対立が続く日本クレー射撃協会の仲裁を断念することを決めた。11月2日のJOC理事会に諮り、仲裁を一任されていた文部科学省に、調整が不調に終わったことを伝える。JOCの資格停止処分は継続する。協会は昨年の総会で、会長などの役員人事案をめぐって新旧執行部が対立。JOCは昨年11月、文科省から正常化の調整を要請され、仲裁を続けてきた。JOCは会長の選任方法など問題解決のための手順を両執行部に示したが、新執行部側が同意しなかった。新執行部は11月3日に臨時総会を開き、JOCの仲裁案に合意しなかった執行部の信任を諮る。
(「クマを殺さないで!」批判殺到、猟友会「現実分かっているか」と反発)
野生のクマが山から人里に下りてきて畑や畜舎を荒らすなどの被害が全国で起きている。民家の近くに現れると命の危険があるため周辺の住民は近くの公民館などに避難。町や地元の猟友会メンバーが射殺するなどして難を逃れている。ところが、市町村や猟友会に対し、クマの射殺を知った人達から「クマが可哀想だ」との苦情が大量に寄せられている。関係者は苦情の多さに対し「住民の命を守ろうとこちらも命懸けなのに…」と憮然としている。北海道斜里町の小学校近くの林にヒグマがいるとの目撃情報が2010年10月18日午前11時半頃にあった。その後、市街地に現れ地元猟友会が2頭を射殺した。けが人はなかったが、クマはもう一頭いたとの情報があり、小学校は児童を集団下校させた。射殺されたのは親子だった。このニュースが流れると、斜里町役場には電話とメール合計100件近くの苦情が来た。内容は「どうして殺傷したんだ。他の方法はなかったのか」というものが多かった。斜里町役場によれば、ヒグマ目撃情報は年間で800件ほど寄せられ、畑や畜舎が荒らされたり、人間に危害が出る可能性がある場合など担当者が出動し、威嚇弾を放つなどして山に追い払ってきた。しかし、市街地にクマが出た場合は付近の住民を避難させたうえで射殺する。大きなヒグマは160キロから200キロあり、生け捕りしようにもリスクがあまりにも大きいのだという。富山県朝日町では10月19日から20日にかけ民家近くに3頭の親子クマが現れ、住民は老人福祉センターを避難所として一夜を明かすことになった。20日に町は親クマを射殺、子グマ2頭は山に戻ったという。福島県西会津町では10月23日朝、民家近くの空き地に2頭の親子グマがいるという通報が町役場にあった。町は住民の安全を優先しこの2頭を射殺した。この2つの町役場に取材したところ、苦情が寄せられているという。西会津町では「たくさんの意見や感想、クマの保護に関する提案が来ているが、その数や内容は明かせない」としている。
(74歳男性がクマに襲われる:新潟)
新潟・湯沢町で30日朝、男性(74)がクマに襲われた。通報者は、「(被害者は)顔面から血を出していて、それで車に乗っけて。わたしの方に来て、救急車を呼んだ」と話した。男性が立ち止まったところ、クマは一気に近づき、男性の頭をつめで引っかいたということで、男性は頭にけがを負った。
(クマに襲われ2人けが:滋賀)
29日午後7時20分ごろ、長浜市上野町の民家から「クマに襲われた」と119番通報があった。長浜署と湖北地域消防本部によると、この家に住む主婦(39)が左腕と首を負傷し、救急搬送された。意識はあり、命に別条はないという。自宅近くの市道をウオーキング中、民家の陰から出てきたクマにいきなり襲われたらしい。また、約1時間後には、約4キロ離れた同市法楽寺町の民家敷地内で、この家の女性(64)が玄関を出たところ、クマと出くわした。女性はクマに右手の指をかまれ、救急車で病院に運ばれた。2件ともクマは逃げ去り、同署はパトカーを出して警戒を呼びかけている。
(ツキノワグマ、猟友会員が射殺:神奈川)
29日午前6時ごろ、清川村煤ケ谷の山中で、県の委託事業で作業中だった猟友会会員がツキノワグマ(成獣オス、159センチ)に遭遇し、射殺した。県自然環境保全課によると、会員は県から委託されたニホンジカやイノシシの捕獲効果のモデル事業を行っていた。山中に仕掛けた捕獲用のわなに動物が掛かっており、近づくとクマが急に立ち上がり、危険を感じて発砲したという。
(クマ2頭捕獲:岡山)
ツキノワグマの出没が相次いでいる岡山県美作市の北部地区で29日、子グマと大人のクマがそれぞれ別の捕獲用おりにかかった。子グマはすぐ山に帰したが、大人のクマは地元の猟友会などが捕獲し、識別票を付けたうえで山に放した。同市などでは「クマを発見したら近づかず、すぐに連絡してほしい」と呼び掛けている。同市などによると、子グマは午前7時頃、同市東吉田の山林に設置されたオリ(高さ約1・8メートル、奥行き2・2メートル、幅1・5メートル)に入っているのが見つかった。生後9か月ほどで体長約60センチ、体重約20キロ。通報を受けた猟友会や美作署員らが近づくと、母グマが現れて威嚇したため花火で追い払い、すぐに子グマを放した。午前11時頃には、北に約1キロ離れた野原地区の田んぼに仕掛けたおりに、体長約1・4メートル、体重約90キロで6、7歳とみられるオスのクマがかかっているのが見つかった。民家から約500メートルと近く、「グオー、グオー」とほえて暴れるなどしたため、猟友会が麻酔で眠らせ、4、5人で抱えて移動用の捕獲おりに入れた。美作県民局勝英地域事務所管内(美作市、勝田、英田郡)では今年、クマの目撃情報が100件以上寄せられている。
(クマ捕獲:岐阜)
29日午前6時半ごろ、土岐市鶴里町細野白鳥の山林で、イノシシ捕獲用鉄製オリにツキノワグマが入っているのを有害鳥獣捕獲員の猟友会員が発見。同市は、クマが暴れてオリが壊される危険があるとして、猟銃の使用を認め、クマは同7時半ごろ、射殺された。同市内でクマが捕獲されたのは初めてという。捕殺されたのは体長約135センチ、体重約120キロのオスの成獣。現場は民家の近くで、約1・5キロ先に小中学校もあることから、同市は引き続き警戒を呼びかけている。現場周辺では27日にもクマの足跡情報が寄せられていた。
(住宅街にイノシシ、5時間逃走:大分)
大分市の住宅街に30日朝、イノシシが出没しました。けが人はいませんでしたが、猟友会と警察が追う中、イノシシは5時間にわたり逃走を続けました。30日午前7時ごろ、大分市の住宅街で、体長およそ1メートルのイノシシがいるのを近所の人が見つけました。猟犬を使って、地元の猟友会と警察が、捕獲作業にあたりましたが、イノシシは近くの工場の敷地内や草むらなどを、およそ5時間にわたり逃走。最後は、猟犬がイノシシを囲い込んで、仕留めました。なお、けが人はいませんでした。「やっぱり怖いですね」「あんなイノシシがいるとなると、外で遊ばせられないですよね」(近くの住民)猟友会によりますと、「山にイノシシのえさが少ないため、住宅街に出てきたのではないか」ということです。
(民家内イノシシ突進:奈良)
29日午前5時15分頃、五條市須恵の会社員男性(46)方で、台所にいた妻が、庭の方向でガタガタと音がするのに気づいた。男性が居間の掃き出し窓から外に出ると、イノシシが、高さ約1メートルの柵を飛び越えて庭に入ってきた。男性は居間に逃げ戻り、追い払おうと窓際で左足を突き出したが、イノシシはそのまま室内に突進。男性は左のふくらはぎをかまれて軽傷。イノシシは居間から廊下を抜け、玄関の扉に体当たりし外へ逃げた。五條署の発表では、イノシシは体長約1~1・5メートル、体高約0・8メートル。同署と市職員らが付近を捜索、住民に注意を呼びかけた。男性は6人家族。妻は別室に逃げ込み、無事だった。男性は「驚いた。家族にけががなくてよかった」と話していた。現場はJR五条駅前の商店や住宅が立ち並ぶ一角。同市では近年、イノシシなどによる農作物被害が増え、今年4月に農林商工観光課内に鳥獣対策係を新設。4月1日~10月28日で210頭のイノシシを捕獲し、昨年1年間の90頭を大きく上回っている。夏の猛暑が餌不足につながっていることも考えられるといい、桜井敬三・市生活産業部長は「ここ5年ではイノシシが市街地に出没するのは初めてで驚いている」と話した。奈良市内でも今月、若草山山頂にある国史跡・鶯塚(うぐいすづか)古墳で、周囲の斜面が掘り返される被害が見つかり、イノシシが餌を食べるために掘ったとみられている。
(シカとの交通事故増加:岩手)
大船渡署(加村茂記署長)管内でホンシュウジカと自動車の交通事故が増加している。4月から9月までに同署によせられたホンシュウジカに関する通報は16件で、うち「シカとの事故」は7件。7月から毎月2、3件発生している。特に山間部での事例が多く、同署は注意を呼び掛けている。16件のうち、交通事故としての通報以外の内容も「道路でシカが死んでいる、負傷している」など明らかに事故と推測されるものがほとんど。同様の通報は10月に入っても既に3件寄せられている。山間部での事例が大半だが、三陸自動車道で交通事故が発生したケースもあった。県環境保健研究センターでホンシュウジカを研究する山内貴義主任専門研究員によると、ホンシュウジカは秋に繁殖期を迎え行動が活発になっているという。「特に雄のシカは大胆になり、人間から逃げない」といい、事故増加の要因の一つに挙げる。同署の吉田孝夫交通課長は「地元の人ならシカに慣れているが、他地域から来た運転者が『車も人も来ない』と油断してしまうケースが多いのでは」と推測。「ガードレールを跳び越えてシカが突然現れることもある。北海道ではエゾシカと衝突して運転者が死亡する事故の例もあり、速度を抑制する、夜間はヘッドライトをハイビームにするなどしてほしい」呼び掛ける。
(シカ害激増、農家苦慮:鳥取)
シカが農作物を荒らす被害が広がる。昨年度の県内の被害額は3500万円を超え、前年度の3倍、5年前の135倍に上った。今年度も昨年度を上回る勢いだ。防獣ネットも飛び越えるので侵入を防ぐ手立てがなく、生産をあきらめる農家まである。県は捕獲頭数の制限をなくしたり、防獣ネットの設置に補助金を出したりして対策を進めている。智頭町で農業を営む寺谷登喜江さん(82)の畑ではキャベツとブロッコリーの茎だけが残った。「こんなことは初めて」。今季は出荷できず、来年に向けてすべての畑を防獣ネットで囲った。同町の寺谷恒雄さん(71)がソバ畑を見に行くと7頭のシカが実を食べていた。人の背丈ほどある防獣ネットも軽々と飛び越えた。10月の収穫で実が採れたのは3反あるうち1反分だけ。「2、3年前からシカが出始めた。今は毎朝、道路を渡るシカを10頭以上見かける」と言う。シカに食べられるので稲作はあきらめた。狩猟できる人は集落に1人しかおらず、駆除が追いつかない。県によると、被害は大根などの野菜類や稲が多い。県内のシカの数は把握できていないが、捕獲数は昨年度1605頭と前年度の591頭から約2・7倍に増えた。大半が県東部という。近年の暖冬で山の積雪が少なく、シカの活動が活発になっているのが一因とみられる。駆除には市町村の許可を得て行う有害捕獲と、定められた期間の狩猟がある。今年度の狩猟期間は全国では11月15日~2月15日だが、県は独自に延長して11月1日~2月28日とした。1日1頭とされている捕獲制限も解除して無制限とした。県によると、農作物の被害防止には数千ボルトの電流が流れる電気さくにワイヤの網を上乗せし、シカが飛び越えられない高さを確保する手法が有効という。県は防獣ネットの設置費の3分の1を補助する施策を打ち出したほか、有害捕獲する場合には1頭にあたり5千~1万円を補助している。
(農産物への鳥獣被害、過去最悪の7億円:熊本)
2009年度の鳥獣による県内農産物被害総額が統計を取り始めた1999年度以降、最高の7億円に上ったことが29日、県農業技術課のまとめで分かった。県内の鳥獣被害は、99年度の3億4千万円から倍増、深刻度を増している。同課よると、09年度の獣種別被害は、イノシシ約4億円、カラスやヒヨドリなど鳥類1億8千万円、シカ6千万円、サル4千万円と続き、宇土半島でのタイワンリスによる果樹被害など1100万円もあった。イノシシ、シカ、サル3獣種による被害はいずれも過去最高。イノシシ被害は全体の6割を占め、果樹の食害やイネを踏み倒すなどほぼ全県で被害が出ている。シカ被害は99年度比で51倍増。飼料作物や野菜への食害が主で、球磨地域での被害が目立つ。サル被害は、阿蘇、球磨地域を中心に果実や野菜など作物全般に及ぶ。鳥獣被害の拡大について、農業技術課は「ねぐらになる耕作放棄地が増えたのが原因ではないか」と分析。イノシシ被害が深刻な南阿蘇村は「被害を報告しない農家もおり、被害額はもっと大きい」、飼料作物などにシカの食害を受けている人吉市は「今年はさらにひどい。エサを求めて集落のそばまでやってくる」と警戒を強めている。
(かみつきサル、愛称を募集:静岡)
三島市は11月10日まで、県東部で8~10月に118人のけが人を出した「かみつきサル」の愛称を募集している。ニホンザルの雌で推定4~5歳。10日の捕獲後、同市立公園「楽寿園」で飼育されている。多数の被害者を出したため、愛称募集に慎重な意見もあったが、来園者からの問い合わせも多いことから募集に踏み切った。飼育開始から1週間は来場者が普段の3倍に増え、入園料収入や園内レストランの売り上げが2倍になるなど、思わぬ“サル効果”をもたらした。現在は少し落ち着いたものの、サルの施設前には常に人垣ができている。市は10月下旬から楽寿園で飼い始めた南米大陸原産の家畜「アルパカ」の雌雄1匹ずつの愛称も同時に募集している。
(稚内で石灰散布、衰弱した個体などは見つからず:北海道)
カモのふんから強毒性の鳥インフルエンザウイルスが検出された稚内市の大沼で、道や市は29日、湖畔にある大沼バードハウス周辺に消毒用の石灰を散布した。ウイルス検出が明らかになった26日以降、天候が悪く石灰の散布作業は見送られてきたが、この日は市やハウスの管理・運営を行っている稚内振興公社、環境省の職員ら計9人が作業を行った。連日、目視による調査が行われているが、今のところ衰弱した個体などは見つかっていない。
(キジの幼鳥32羽放つ:福岡)
久留米猟友会(高山正隆会長)は29日、久留米市御井町の森林つつじ公園など高良山周辺の山林にキジの幼鳥32羽を放った。放鳥は県の委託事業で、鳥類の猟期(11月15日~2月15日)を前に繁殖を図ろうと、毎年行っている。この日は、猟友会のメンバー6人が卵からかえって約4カ月の幼鳥を、狩猟が禁止されている鳥獣保護区内に放った。猟友会メンバーに抱えられたキジは、合図とともに放たれると、全力で羽ばたき、山の茂みに姿を消して行った。狩猟歴50年の高山会長(79)は「昔と比べるとキジは減っている。放鳥によって数を増やしたい」と話していた。
(カラスは人間の男女見分けます)
カラスは人間の男女の顔を見分けられる―。宇都宮大(宇都宮市)農学部の杉田昭栄教授(神経解剖学)と、同大と東京農工大の連合大学院博士課程に在籍するエチオピアの女子留学生ベザワーク・アフェオーク・ボガレさん(32)がこんな研究結果をまとめ、宇都宮大が29日、発表した。詳しい内容は11月1日付の米科学誌電子版に掲載される。杉田教授によると、研究ではカラス4羽を用いた。男女の顔写真がふたになっている容器を置き、2羽は男性を選ぶと中の餌がもらえるよう訓練。残る2羽は女性を選ぶようトレーニングした。その上で、訓練時とは別の男女2組の顔写真で実験すると、男性を選ぶよう訓練された2羽は、完ぺきに男性の顔写真の容器を選んだ。女性を選ぶよう訓練された2羽もすべて正解だった。髪形が影響しないよう、顔写真の男女にはいずれも帽子をかぶってもらった。また訓練時の写真を白黒にしたり、顔の周囲を楕円に切り抜いたりして実験に使うと、4羽は男女の区別ができなかった。顔の色や輪郭で判断しているとみられる。

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10/29
(お手上げです クレー射撃協会の内紛問題、JOCが仲裁断念)
1年以上にわたり新旧執行部が対立する日本クレー射撃協会の内紛問題で、日本オリンピック委員会(JOC)の加盟団体審査委員会は29日、仲裁を断念し、同協会を管轄する文部科学省に問題解決の役割を返上することを決めた。11月2日のJOC理事会で正式決定する。これまでJOCが提示した解決案に双方が同意しては新執行部側が翻意することが繰り返され、29日開かれた7度目の審査委で仲裁は無理との結論に達した。JOCの市原則之専務理事は「このままいっては収拾がつかない。限界だと思う」と語った。開幕目前の広州アジア大会に関しては、女子トラップの中山由起枝と鈴慶子(ともに日立建機)の2人をJOCが派遣する方針。
(親子グマ射殺に抗議相次ぐ:福島)
全国でクマの出没が相次ぐ中、親子グマ2頭を射殺した福島県西会津町に「かわいそう」と抗議する電話やメールが相次いでいることが28日、町への取材で分かった。町はクマよけ装置設置など対策を進めているが、入り込むのを防ぎきれない。住民の安全確保と野生動物保護の間で山あいの町は困惑するばかりだ。西会津町では18日夕、住宅の庭にある柿の木で親子グマ3頭が見つかった。人の出入りが少ない夜間という事情も考慮し、町は山へ逃がすことを最優先。柿を食べ、19日未明に木から下りた3頭を誘導して山林に追い返した。町には「良かった」と対応を評価する声が寄せられた。23日朝には住宅近くの空き地で、18日とは別とみられる親子グマが柿の木にいるのを住民が発見。町は住民の安全を優先し、地元猟友会会員が2頭を射殺した。町には23日から抗議が相次いでいる。件数は明らかにしていない。
(子グマの行き先決まらず困った:岐阜)
関ケ原町の山林で26日、イノシシ用の箱おりで捕獲された子どものツキノワグマの扱いをめぐり、同町が頭を悩ませている。町は町外での放獣先や引き受け施設を探しているが、28日になっても行き先は決まっていない。環境保護団体からは「自然の状態を保つためにも、地元の山に放すべきだ」との声が出ている。子グマ捕獲を受け、「日本熊森協会」県支部は、関ケ原町に町内での放獣を求めた。協会は「町外で探しても、現実的に放獣が受け入れ可能な場所は少ない。町内で捕獲した子グマなら、慣れた場所に放すのが一番」と主張する。これに対し、町側は子グマ捕獲後に地元住民に放獣を打診した際、「日常生活が不安」「また下りてくるのでは」など難色を示す声が出たことを指摘。担当者は「子グマを早く自由にしてやりたいが、地元の理解を得るのは今のところ困難な状況」と話している。子グマは現在、町役場に置かれたおりで飼育されている。町は放獣に備え、人との接触を減らし、ドングリなど自然の食べ物を与えている。同町では今月、既に2頭のクマが箱わなにかかって殺処分された。全国的にクマ出没が続いた2006年度には、箱わなに掛かるなどして過去最多の12頭が捕獲されている。
(オリにかったクマ2頭射殺:富山)
29日朝、黒部市内の2か所に仕掛けられていたオリにクマがかかっていたため、市の有害鳥獣捕獲隊員が2頭のクマを射殺しました。クマを捕獲するオリは、黒部市宇奈月町中谷の林道近くと黒部市山田の竹やぶに仕掛けられていました。宇奈月町中谷のオリには体長150センチ、体重130キロ、推定年齢8歳のオスのツキノワグマが、山田のオリには体長120センチ、体重65キロ、推定年齢5歳のオスのツキノワグマがかかっていたということです。2頭とも、黒部市の有害鳥獣捕獲隊が住民の安全面からその場で射殺しました。
(クマ出没で臨時休館3週間:富山)
相次ぐツキノワグマの出没で、富山市三熊の同市天文台が7日以降、臨時休館を約3週間続けている。28日に再開予定だったが、東へ約1キロ離れた場所で24日に子グマが目撃されたため、4度目の休館延長に。すでに予約済みの5団体を断っており、学芸員は「せっかく木星をきれいに観測できる時期なのに」と嘆いている。市天文台は、天体観測がしやすいように夜間に明かりのない山中に立地している。駐車場から建物までは、茂みに囲まれた約800メートルの遊歩道を歩く必要があり、クマの行動が活発化する夕方以降に来館者が多く訪れることから、危険と判断された。クマの影響で休館するのは2006年以来2度目。市天文台は、南へ約2キロ離れた同市婦中町蓮花寺でクマの痕跡が見つかった7日から休館。当初は約1週間休む予定だったが、17日に東へ約1キロの自然公園内で子グマ2頭が目撃されるなど出没が相次いだ。布村克志・主幹学芸員(53)によると、10~11月は、秋の星座として代表的なペガサス座、アンドロメダ座、カシオペア座が並ぶ様子が美しい。木星も見頃で、9日からは、写真や手作りの模型を用意したイベント「木星への旅2010」も行う予定だったが、見送られた。
(クマ対策、補助金倍増:富山)
ツキノワグマの大量出没を受け県は26日、県内15市町村のクマ対策経費に対する補助金の上限を、今年度に限り2倍の60万円に引き上げると発表した。県は05年から30万円を上限に補助金を支出してきたが、今月13日に開いた「ツキノワグマ緊急対策会議」で額の引き上げ方針を示していた。補助金の対象も、捕獲隊による緊急パトロール実施への謝礼や、捕獲おりの購入などに広げる。県によると、パトロールへの謝礼を対象とするのは全国でも珍しい。石井隆一知事は「県民の安心、安全を確保するために努力したい」と述べた。県はこの他、住宅地や夜間でも状況に応じて銃を使用できるよう鳥獣保護法を改正することなどについて、国に働きかける方針。
(クマ人身被害、岩手県が全国最多:岩手)
クマの出没・目撃が全国的に相次ぐ中、今年4月から9月までの人身被害件数は本県が12件12人(速報値)で、長野県と並び全国で最も多くなっている。最近5年間の累計総数も全国最多で、山あいでの被害が目立つ。冬ごもり前にクマの行動範囲が広がる可能性があり、県は鈴や笛など予防策を講じて入山することを呼び掛ける。環境省の統計(2006年度~)によると、本県の被害件数は各年度7~15件、負傷者数は同7~16人で、毎年のように全国1、2位を争う多さ。今年9月までの累計総数では被害件数(57件)、負傷者数(60人)ともに1番多かった。今年4月から9月まででは本県、長野のほか、福島(7件7人)や秋田(6件6人)、群馬(同)が多い。県自然保護課によると、県内の今年の被害件数は昨年を若干下回るペースで推移する。ドングリなど奥山の餌不足からクマが市街地まで下りてきているのではないかと指摘されるが、本県の人里での被害は全12件中5件にとどまる。久慈市では7月にイベントに参加して休息していた同市の男性(29)、奥州市江刺区では8月、墓参り中の同市の女性(84)が襲われた。盛岡市では6月、明治橋のたもとに現れた成獣が、猟友会によって駆除された。猟友会幹部も「(これまでで)初めて」と市中心部近くでの出没に驚いた。一方、キノコ採りや渓流釣りなどで山奥に入ってクマに遭遇し、けがをするケースが依然として多いのが実情だ。今年のけが人には、ラジオを携帯していても鳴らさず襲われた人もいた。同課野生生物担当の金子和華子主任(獣医師)は「出没状況などを確認してから入山してほしい」と呼び掛けた上で、「山や森に入ることはクマの生活場所に行くこと。鈴やラジオを鳴らすなど、まずはクマに遭遇しない工夫をしてほしい」と自己防衛を求める。
(民家にイノシシ侵入、足かまれ軽傷:奈良)
29日午前5時15分頃、奈良県五條市須恵の会社員男性(46)が自宅室内でイノシシに左足のふくらはぎをかまれ、軽傷を負った。庭でガタガタという音が聞こえたため男性が居間から外に出ると、イノシシがおり、男性が慌てて居間に逃げ戻ったところ、イノシシも家の中まで追ってきたという。イノシシは玄関から屋外に出て南東方向に逃げたとみられ、五條署員と五條市職員らが付近を捜索、住民に注意を呼びかけている。同署の発表では、イノシシは体長約1~1・5メートル、体高約0・8メートル。男性方は6人家族で、居間にいたほかの家族は無事だった。
(イノシシ3頭はねて、電車4分間停止:奈良)
28日午後11時15分ごろ、奈良県香芝市の近鉄大阪線関屋―二上駅間で、大阪上本町発五位堂行き普通電車(6両編成)がイノシシをはねた。電車は現場で約4分間停止し、運行を再開した。乗客にけがはなく、後続電車への影響もなかった。近鉄によると、3頭のイノシシがはねられ、死んでいたという。
(ハクビシン被害防げ、「箱わな」実技に100人超:岩手)
県内で急速に生息域を拡大しているハクビシンの被害対策研修会(県主催)が28日、陸前高田市総合営農センターで開かれ、手強いその生態の周知と「箱わな」を使った有害捕獲法の普及を図った。県内初開催で、農業被害の深刻さを示すように気仙はじめ奥州、盛岡、宮古などから113人もの参加者で会場が埋まった。県農林水産部の千田牧夫課長が「防除に向けて取り組んでもらうため研修会を開催した」と述べ、続いて埼玉県農林総合研究センター鳥獣害防除担当部長の古谷益朗氏が「ハクビシンの生態と被害対策」について講義し、乾電池式電気柵などによる被害回避技術を紹介した。同氏によると、ハクビシンは江戸時代から存在する在来動物で、雑食性で特に果樹など甘いものを好み、廃屋や家屋の天井裏などをねぐらにして繁殖し、楽々と柵を登る身体能力を持つ。動画で映し出されたその脅威の生態に参加者から驚きの声が上がった。埼玉県では9年前から被害対策に取り組み、その結果、電気柵と防風網を組み合わせた乾電池式電気柵を開発。農家にあるもので作る方法を紹介した。増殖を防ぐ方法として、ねぐらにしないために家屋への侵入を防ぐ、餌となる果樹の収穫残滓や生ゴミ管理の徹底を述べ、「住民一体となってすぐにやってほしい」と呼びかけた。ハクビシンは食用にもなるという。県では、ハクビシン対策で今月、第10次鳥獣保護事業計画を変更し、一定の要件のもとで狩猟免許を持たない人も、ワナなどによる有害捕獲ができるようにした。研修会は農家、猟友会、行政など農業関係者が参加し、午前10時から午後3時まで行われた。住田町の農業・佐々木信一さんは「3、4年前からトマト、ナスが被害に遭い、今年7月に箱わなの免許を取り4頭捕獲した。ハクビシンの生態を知って勉強になった」と被害を訴え防除策を熱心に学んだ。昼食をはさんで午後は、県猟友会の小原正弘専務理事、高田猟友会の戸羽茂夫会長、石川和見副会長らの指導で、箱わな、くくりわなの実技指導が行われ、参加者たちはさっそく効果的な捕獲法を習得した。
(小田原城址にサルの群れ:神奈川)
小田原城址(じょうし)(小田原市城内)に緊張が走った-。十匹ほどの野生ザルの群れが二十八日朝、天守閣広場に現れた。市によると、城址内の動物園に唯一残るニホンザル(計十四匹)のボスザルが高台から目を光らせたという。午前八時ころ、天守閣に通じる階段や売店周辺に、サルの群れがいるのを、出勤してきた売店職員が発見、市に連絡した。市は県猟友会小田原支部の協力で、隣の二宮神社境内の樹林に逃げ込んだサルを花火などで追い出した。ボスザル以外のサルは穴に避難し、人的被害もなかった。支部によると、野生ザルは箱根町湯本地区に本拠を置き、隣接の小田原市入生田、大窪地区などを行動範囲とするS群と呼ばれる群れと確認された。
(シカ電気柵で太陽光パネルなど盗難:長野)
シカの食害を防ぐため、諏訪市郊外の霧ケ峰に設置された電気柵用の太陽光発電パネルなど送電装置4点(計11万2100円相当)が盗まれていたことが28日、分かった。諏訪署が盗みの疑いで調べている。設置者の霧ケ峰自然環境保全協議会が諏訪市内で同日開いた会合で報告された。事務局の県諏訪地方事務所環境課によると、20日午前9時ごろ、県霧ケ峰自然保護センター職員が、ビーナスライン沿いの車山肩から富士見台にかけて設置した電気柵を巡回中、40センチ四方の太陽光発電パネルやバッテリーなどの装置一式がないのに気付いて同課に連絡した。装置を支柱に固定する留め金が金属カッターのようなもので切られ、現場に残されていたという。同課は別の電気柵の送電装置も盗難の恐れがあるとして、撤去した。装置は5月に設置。圧雪による損壊を避けるため、柵とともに11月上旬に取り外す予定だった。同課は再び柵を張る来年5月ごろまでに装置を購入し、「盗難に遭いにくい設置方法などを検討したい」としている。
(オオカミ輸入構想:大分)
農作物を食い荒らすシカやイノシシなどの有害鳥獣を駆除するため、大分県豊後大野市が外国からオオカミを輸入し、山林に放つ構想を進めている。オオカミの習性や適性を調べようと、来年度予算に研究機関設置の調査費を盛り込む方針。被害に苦しむ農家の期待は高いものの、大胆なアイデアに「オオカミを山に放して大丈夫か」と、安全性や生態系に及ぼす影響を危ぶむ声もあり、論議を呼びそうだ。同市内の推定生息数はシカ約8千匹、イノシシ約3万匹、サル約5千匹。シカはシイタケの原木の新芽やヒノキの皮を、イノシシやサルは収穫前のコメや野菜、山菜を食べ、損害額は年約3千万円にのぼるという。害獣駆除を請け負ってきた猟友会会員も高齢化で近年減り、農家は窮状を訴える。九州地方知事会長の広瀬勝貞大分県知事は28日、鹿野道彦農相と会い、有害鳥獣の被害対策を重点的に要望した。「オオカミ構想」はこうした厳しい現状を踏まえて、橋本祐輔市長が提唱する。輸入候補のハイイロオオカミは、絶滅したニホンオオカミと遺伝的に近い。中国北部から内モンゴルにかけて生息しており、成獣は体長1・2メートル前後という。市は、オオカミ研究者らによるプロジェクトチームの設置を来年度予算に計上する方針。当面は「オオカミ研究センター」を開設して研究を進めながら、市民に構想の理解を促す。橋本市長は「オオカミは人を襲わないと聞くし、農家の被害は待ったなしの対応を迫られている」と話す。オオカミによる害獣駆除で知られるのは、米国のイエローストン国立公園。オオカミ絶滅によって急増したシカが森林を荒らしたため、外部からオオカミを導入したところ、シカが減り森林が再生したという。国内では、過去に北海道東部の斜里町などで検討されたが実現例はない。日本オオカミ協会会長の丸山直樹・東京農工大名誉教授は、基本的にオオカミが人を襲うことはない、としており「有害鳥獣を減らす効果が大いに期待できる」と強調する。ただ、外国産オオカミの導入は生態系への悪影響や、家畜などが襲われる危険性も伴う。東京海洋大の弥永健一名誉教授は「野生生物の管理は難しく、新たな生物を違った環境に導入することを簡単に考えるべきではない」と忠告する。環境省野生生物課は、飼育や研究用の輸入は問題ないとするものの、生態系保全の観点から山野に放すことは「現時点では基本的に考えられない」と否定的な見解を示す。
(鳥インフルエンザウイルスで湖沼、河川をパトロール:北海道)
稚内市の大沼で採取されたカモのふんから強毒性の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受け、苫小牧市は26日、対策会議を開くなど警戒を強めている。水鳥が集まる市内の湖沼や河川を対象に、26日午後から巡視活動を始めた。会議は環境衛生部や市民生活部など5つの関係部局で構成。各部局の連携でウイルス対策や市民への注意喚起を講じることにした。26日夕、渡りのガンカモ類が集まっているウトナイ湖の道の駅出入り口など7カ所に消毒マットを置いた。27日からは市職員が2班態勢で弁天沼、美々川など約10カ所の水鳥飛来地を回り、異常な野鳥を監視する。(1)鳥の死骸(しがい)に触らない(2)鳥の排せつ物に触れた場合は手洗いやうがいをする(3)野鳥に餌を与えない―などを求めた注意看板を、錦大沼公園や金太郎の池、苫小牧川に設置した。環境衛生部は「鳥インフルは通常、人に感染しないとされており、過度に心配することはない」と冷静な対応を呼び掛けている。環境省北海道地方環境事務所は27日午前、ウトナイ湖で野鳥のウイルス保有状況調査を行った。同事務所や胆振総合振興局の職員などが湖畔でカモ、ハクチョウなどのふんを採取し、今後、専門機関でふんにウイルスが含まれているかどうか調べる。坂本真一総括自然保護企画官は「渡りの季節だけに巡視の頻度を高め、異常の監視に努めていきたい」としている。

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10/28
(クマに襲われてけが:福島)
27日午後1時55分頃、喜多方市慶徳町豊岡のそば畑で、農作業をしていた男性(58)がクマに襲われ、右腕や手の甲などをひっかかれるけがを負った。喜多方署の発表では、クマは体長約1・2メートル。そば畑の中から突然現れ、男性に向かってきたという。男性は近くの民家に逃げ込んだ。現場は市役所から約5キロ離れた山間部。
(木の上のクマ射殺:山口)
県は26日、岩国市錦町須川の林で、クリの木に登ったまま動けなくなったツキノワグマを25日夕に見つけ、近づけず危険なため射殺したと発表した。イノシシ用とみられるワイヤが足と木の枝に絡まっていた。体長150センチ、体重82キロのオス。今シーズンの捕獲は32頭目。
(団地内に出没、子グマ殺処分:兵庫)
25日午後7時25分ごろ、朝来市和田山町林垣の緑ヶ丘団地内のカキの木にクマが登り、実を食べているのを住民が見つけた。駆けつけた朝来署員がネットやごみ収集コンテナを使い、約2時間後に捕まえた。体長66センチ、体重9・6キロの雄の子グマ。近辺では今月に入って親子2頭のクマが頻繁に目撃されており、県朝来農林振興事務所は26日、殺処分にした。同市内では今年5頭のクマを捕獲したが、いずれも野生生物保護のため山に放っており、殺処分は初めて。親グマが近くにいる可能性があり、県や市は餌となる木の実や残飯を処分するよう呼び掛けている。
(「クマ狩猟自粛」に反発:富山)
県がツキノワグマ保護管理計画に基づき、狩猟の自粛を要請する方針を固めたことを巡って、県内の猟友会員からは疑問や反発の声が上がっている。会員の減少に悩む県猟友会は、「クマの駆除にあたる担い手もいなくなるのではないか」と懸念を強めている。同会の前田誠副会長は「今年のように異常出没のときは、例外を認めてほしい。狩猟ができないと、免許を取る意味がなくなってしまう」と話す。狩猟期は来月15日から3か月間認められており、冬眠に向けて脂身を蓄えた肉や、冬眠明けできれいな熊胆が取れるため、クマ狩りを楽しみにしている会員が多いという。県の保護管理計画は今年度からスタートした。県内のクマの生息数を740頭と推計し、12%にあたる88頭を、駆除の上限とした。石川、福井両県でも、生息数の約1割を基準に上限を設けている。計画に対しても、会員から「柔軟に対応すべき」「そもそも生息数が推計値に過ぎない」と反発が根強い。こうした会員からは、有害捕獲や狩猟を合わせて40頭にとどまった昨年度の分も考慮すべきとし、「1年ごとではなく、長期的に計画を立てるべきではないか」という指摘も出ている。秋以降の大量出没で、駆除隊に加わる猟友会員の負担は大きい。富山市の大沢野猟友会の浦田啓一会長は、9月中旬から毎日のように市から連絡を受け、パトロールに出動しているという。今月15日には、近くの中学校周辺でクマが目撃され、6時間半にわたる捜索の末、100キロの成獣を射殺した。浦田会長は「緊急時には、仕事を休んでもらって、隊員を集めることもある。銃を持っているとはいえ、危険も伴う」と負担の重さを訴える。県猟友会によると、会員数は1978年度の2175人をピークに下降し続け、昨年度は767人に落ち込んだ。昨年の銃刀法改正で、3年ごとの技能講習が義務づけられるなど、免許の更新が複雑になったこともあり、さらに免許取得を敬遠する動きも懸念されている。石黒信二事務局長は、「狩猟期に撃てなかったら免許を取った意味がない。いざというとき、駆除にあたる人がいなくなってしまうのでは」と県の狩猟自粛の方針に疑問を唱えている。
(生け捕りクマ3頭、秋田の観光牧場が引き取り:愛知)
愛知県豊田市で捕獲されたツキノワグマの親1頭、子2頭が、秋田県鹿角市八幡平の民間の観光牧場「八幡平クマ牧場」に引き取られることになり、3頭を乗せたトラックが27日夜、現地に向けて出発した。3頭は26日に檻(おり)に入っていた。市環境政策課によると、全国の動物園107カ所、クマ牧場7カ所に問い合わせて、ようやく受け入れ先が決まった。八幡平クマ牧場には、現在、ヒグマなど56頭のクマが飼育されており、ツキノワグマは4頭いるという。昨年は同県で捕獲された2歳のメス1頭を受け入れた実績があるという。豊田市の依頼に対し「困っているだろうし、何とかクマを助けたい」と、受け入れたという。病気の感染を心配して、野生動物の受け入れを断る施設が多く、「(人気のある)子グマだけなら受け入れる」という施設もあったが、親子一緒に受け入れてくれる施設を探し続けたという。
(アライグマ駆除30倍:兵庫)
野生化した外来生物のアライグマの駆除数が、宝塚、三田両市で2004年度からの6年間で30倍前後に急増している。各自治体では農作物だけでなく、人的被害の報告もあり、生息域も尼崎市などの市街地に拡大中だ。外来生物法で捕獲対象となっているため、各自治体が駆除を進めているが、繁殖の勢いに追いついておらず、専門家は「驚異的な増え方。小さくても凶暴なため、いつか人間に大きな危害を加えないか心配だ」としている。アライグマは北米に生息し、体長40~60センチ。テレビアニメの影響でペットとして人気が出たが、飼育放棄された個体が繁殖し、急増しているとみられる。宝塚市では、04年度の駆除数は4匹だったが、今年度(4~9月)は33倍の132匹、三田市は04年度の5匹が今年度(4~8月)で、29倍の144匹に。宝塚市では、スイカやイチゴなどの被害額が少なくとも210万円に上るという。同市では2年前、猟友会の前会長が捕獲の際、革の手袋を突き破るほど強く指をかまれ、負傷した。アライグマは市街地にも出没しており、尼崎市では今年度、4匹、芦屋市では21匹を捕獲した。民家のゴミをあさったり、屋根裏でふんをするケースもある。宝塚、三田の両市などは猟友会に委託し、駆除を続けるが、依頼件数に追いつかないのが現状。宝塚市は、イノシシ対策を兼ね、畑の周囲に電気柵を置くが、担当者は「わずかなすき間から侵入し、穴も掘るので意味がない」と嘆く。アライグマは県内全域でも増加傾向にあり、捕獲件数は、2005年度361匹から09年度に9倍の3281匹に増加している。県森林動物研究センター(丹波市)によると、県内では30年以上前、神戸市北区で初めて確認。1995年以降に増え始め、同区や三田、三木両市などで増加が目立つという。同センターによると、「アライグマは雑食性で適応力、繁殖力が強く、天敵もいないため、加速度的に増えている」という。1匹にかかる捕獲処分費6000円は、県と市町で折半しており、捕獲処分の関連予算は昨年度の1200万円から、今年度は1800万円に増額。同センターは「捕獲したときは威嚇してくることもある。六甲山のイノシシのように人を襲えば、えさを確保できることを学ぶ可能性もある」としている。
(クマの隠れ場所除去:石川)
金沢市内の市街地で相次ぐクマ出没の緊急対策として県は27日までに、犀川と金腐川の河川敷の下草を除去した。クマの隠れ場所をなくすことで里山に定住するクマを市街地に寄せ付けず、住民の安全を確保する狙いで、県としては異例の取り組み。市内では住民が襲われてけがを負うケースも発生しており、引き続き「警戒情報」を発信し、注意を呼び掛ける。除草作業は、犀川の大桑橋周辺約8300平方メートルと金腐川の貴船橋周辺の約千平方メートルで行われ、河川を管理する県県央土木総合事務所が担当した。金腐川が流れる御所町では9月15日、カキの木に登っていたクマ1匹が捕獲された。大桑橋付近の犀川緑地公園では今月2日、男性がクマに頭や肩をかまれて大けがを負う事例が発生したため、住民を守る対策が必要と判断。クマの隠れ場所となる草むらを完全に除去する「緊急処置」を実施したという。県自然保護課によると、クマは冬眠前、11月ごろまで人里に出没する可能性ある。「カキやクリなど餌となる果実をもぎ取ることや生ごみをしっかり処理するなどクマを寄せ付けない工夫をしてほしい」(同課)としている。クマ出没が多発している富山県では、滑川市の早月川や魚津市の片貝川などで下草や雑木の除去作業が行われている。
(鳥インフル、各地で監視:北海道)
稚内市の湖沼「大沼」でカモのフンから強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)がみつかった問題で、環境省稚内自然保護官事務所などは27日、大沼周辺で監視活動を行った。オオハクチョウの飛来地で知られる根室市の風蓮湖などでも同日、根室振興局の職員が巡視を始めた。大沼の監視活動は、同事務所、宗谷総合振興局、稚内市の担当職員が行い、コハクチョウ、カモ類を調査したが、異常はみつからなかった。常に観察をしている野鳥観察館「大沼バードハウス」の管理人遠島幸吉さん(63)によると、異常と見られる個体は、これまで1羽も見ていないという。道の警戒区分が引き上げられた根室振興局管内では、巡視を週1回以上に強化。この日は、職員3人が対応マニュアルに基づき、風蓮湖の木道などから、野鳥の個体数と状況を双眼鏡で調べた。異常な個体は確認されなかったという。
(サル追い払う犬育成:奈良)
田畑や集落に出没するサルを追い払う「モンキードッグ」を育成する講習会が25日、奈良県宇陀市の室生オートキャンプ場で始まり、三重県名張、宇陀両市の住民計11人が11頭の飼い犬とともに参加した。講座は来年3月まで続けられる。モンキードッグは嗅覚(きゅうかく)や威嚇行動など犬の習性を利用した新しい獣害対策。両市の農業担当者でつくる「宇陀・名張地域鳥獣害防止広域対策協議会」が昨年度に続いて講座を開設。伊賀市沖、日本警察犬協会公認訓練士の碇良博さん(62)らが講師を務め、14人14頭が申し込んだ。飼い犬は、ゴールデンレトリバーやシェパード、雑種犬などで、初日は、リードを握った飼い主に寄り添って歩く練習から始めた。期間中、週1回の割合で訓練を行う。名張市内の主婦(66)は「畑が荒らされるだけでなく、屋根に乗られて瓦がひび割れする被害も出ている。モンキードッグとして地域の役に立てれば」と話していた。
(交通事故で年間7万4000頭の野生シカが犠牲に:イギリス)
英ロードサービス会社オートナショナル・レスキュー(Autonational Rescue)は26日、英国内で毎年、野生のシカ約7万4000頭が交通事故で死んでいるとの統計を発表した。同社のローナン・ハート(Ronan Hart)マーケティング部長によると、シカを巻き込んだ交通事故が1日に200件発生している計算になるという。車両とシカとの衝突事故では人間も約700人が負傷して死者も出ており、年間損害額は約2100万ポンド(約27億円)に上る。シカの問題については、イングランド南西部デボン(Devon)州の道路近くで雄のアカシカが死んでいるのが見つかったばかりだ。このアカシカは同州内の国立公園エクスムーア(Exmoor)で何度も目撃されていたことから、「エクスムーアの皇帝(Exmoor Emperor)」と呼ばれていた。角を含む全長は2.75メートルで英国内に生息する最大の野生動物とみられていた。狩猟の許可を得ていたハンターが角目当てに撃ち殺したものとみられている。

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10/27
(JOC、総務委員会常任委員会)
日本オリンピック委員会(JOC)の市原則之専務理事は26日の総務委員会常任委員会で、11月の広州アジア大会に日本から向かう応援団に対し、日中関係を配慮した行動や応援をするよう各競技団体を通じて注意喚起することを明かした。市原専務理事は9月の東アジア競技大会連合の評議会について報告し、将来的に中国、韓国と日本が歩調を合わせ、ジュニア選手を中心に派遣することを確認した。役員改選で内紛が続く日本クレー射撃協会については29日に最後の加盟団体審査委員会を開いて、対応を協議する。
(クレー射撃の中山と鈴を派遣へ)
日本オリンピック委員会(JOC)は26日の総務常任委員会で、クレー射撃の女子2選手を11月のアジア大会(中国・広州)に派遣することを報告した。トラップで北京五輪4位入賞の中山由起枝と、同種目の鈴慶子(ともに日立建機)が代表となり日本選手団に追加される。JOCは3人目の派遣を認めなかったため、3人で編成する団体には出場できない。男子の派遣は見送られた。日本クレー射撃協会が役員人事をめぐって内紛状態にあるため、JOCはアジア大会への選手派遣を保留していた。選手の立場を考慮して認めたが、同協会内の混乱が未解決のため競技団体の推薦を受けずにJOCが直接派遣する形を取る。JOCは29日に加盟団体審査委員会を開き、問題解決に向け討議する。
(強毒性鳥インフルエンザをカモのふんから検出:北海道)
26日、北海道稚内市のカモのふんから強毒性の鳥インフルエンザウィルスが検出された。北海道内の関係機関は感染が拡大しないように監視を強めている。北海道の関係機関は速やかに高病原性鳥インフルエンザ連絡会議を立ち上げ、環境省と共に市内の大沼周辺で野鳥の移動状況、死んだ鳥の有無などを確認するなど、強毒性鳥インフルエンザの感染が拡大していないかの確認を実施することを決めた。現在のところ、鳥の死骸はみつかっておらず拡大の感染は確認されていない。道内では、強毒性鳥インフルエンザの感染拡大の心配と共に、風評被害を危惧しており、一刻も早い収束を期待している。
(エアガンで知人にけが:栃木)
栃木県警宇都宮中央署は26日までに、ソフトエアガンで知人にけがを負わせたとして、傷害の疑いで、宇都宮市上戸祭町、飲食店従業員、下妻勇樹(20)と、同市石井町、会社員、大橋雅一(20)の両容疑者を逮捕した。容疑を認めている。調べによると、下妻容疑者らは13日夕、大橋容疑者の自宅で、鹿沼市の飲食店店員の男性(20)にソフトエアガンを発射し、頭部打撲のけがを負わせた疑いが持たれている。下妻容疑者らは男性の全身に十数発、発射したとみられる。ソフトエアガンは、圧縮空気などでプラスチック製の弾丸を発射する遊戯銃。事件や事故を防ぐためパワーに規制が設けられている。
(クマ、民家敷地で捕獲:宮城)
大崎市鹿島台広長の里山地帯で、県が民家敷地にハチミツを餌に箱わなを仕掛けたところ、24日朝にクマ1頭が入っており、殺処分にした。クマは体長140センチ、体重135キロの雄の成獣。胃の内容物は畑のカボチャや家庭ごみの残飯が主で、木の実は少なかったという。周辺では14日以来、クマが出没していた。
(保育園横でクマ発見、射殺:福井)
福井県の大野市は27日午前6時25分ごろ、大野市清水の義景保育園横の空き地に26日夕からいた親グマ1頭を射殺。子グマ2頭を捕獲した。26日午後5時15分ごろ、保育園職員が空き地でクルミを食べているクマに気付いて市に連絡。市は近くに捕獲おりを仕掛け、夜通しクマの動きを監視した。大野署員も周囲のパトロールに当たった。現場は市役所から約100メートル離れた住宅街。午前6時に地元猟友会でつくる捕獲隊員や市職員ら約40人が集まり、親グマ1頭を射殺した。捕獲した子グマ2頭を放獣しようと奥山に運んだが、既に死んでいた。市は、捕獲されたストレスなどによるショック死ではないかとみている。
(クマ10頭目捕獲:新潟)
加茂市クマ対策本部によると、25日午前11時半ころ、加茂市下条長福寺地内でクマ1頭を捕獲した。加茂市内での捕獲数はことし10頭目。クマは同地内に仕掛けた箱わなにかかったもので、体長160センチ、体重120キロだった。同本部では、クマの痕跡などが引き続き発見されていることから、さらなる対策を講じるとともに注意を呼びかけている。
(住宅の庭木に登ったクマを捕獲:兵庫)
24日に男性がクマに襲われて重傷を負った兵庫県朝来市で、住宅の庭の木に登っているクマが見つかり、警察に捕獲されました。25日午後7時半ごろ、朝来市和田山町の住民から「ガサガサした音がして庭を見るとクマがいる」と110番通報がありました。警察が駆けつけると、住宅の庭にある高さ5メートルほどの柿の木にクマが登っていて、柿の実を食べていました。警察官約30人が出動し、近くのゴミ捨て場にあったゴミ収集用のコンテナを檻(おり)として用意し、カラスよけネットやさすまたを使って約2時間後にクマを捕獲しました。けが人はありませんでした。朝来農林振興事務所・瀬尾裕久課長:「親グマは子グマを探す可能性がある。引き続き警戒が必要」捕獲されたクマは体長約70センチのツキノワグマで、県が山の中で殺処分するということです。朝来市では、この1カ月でクマの目撃情報が去年の倍以上の約40件寄せられていて、24日に男性がクマに襲われて重傷を負ったばかりでした。
(クマ対策費急増、捕獲隊補助も増額:北陸)
北陸の自治体がクマ対策に本腰を入れ始めた。富山県は市町村への補助金の上限額を従来の2倍に引き上げる。福井県は9月補正で関連予算を上積みした。それぞれ過去最大の予算規模だ。ただクマによる被害が増えたのは耕作放棄地の拡大や猟友会員の減少が影響しているとされ、長期的な対応が求められそうだ。富山県は2010年度に限り、捕獲隊によるパトロールや対策会議費への補助金の1自治体当たり上限額を30万円から60万円に増やす。石井隆一知事は「冬眠するとみられる11月下旬までが勝負だ」と述べた。総枠では10年度当初予算で前年度当初予算比33%減の200万円を計上していたが、増額後は400万円程度まで拡大する見通し。財源は「予備費を使うか、12月補正予算を組むか検討したい」(自然保護課)という。福井県は9月補正予算でクマなど有害鳥獣の捕獲費として820万円を計上した。10年度当初予算と合わせ総額は5500万円になった。福井県は10月、市町をまじえて緊急対策会議を開催。各自治体の担当者間の連絡体制を見直したほか、県と市町の担当者が合同で現場視察を実施するようにした。石川県は今のところ、予算枠の増額の計画はないが「検討したい」(自然保護課)という。今年はクマの目撃情報が各地で増えている。山に餌となる木の実が減り、人里まで近づいていることが一因とみられている。富山県の石井知事は捕獲隊が活動しやすくするため、状況に応じた夜間での銃の使用を可能にすることなどを「国に働き掛けたい」とした。
(メスのクマ1頭捕獲:新潟)
27日午前6時、三条市荒沢地内で出没していたクマが同所に設置された箱わなで捕獲されているのがわかった。新潟県猟友会三条支部下田分会が確認したもので、すぐに射殺した。捕まったクマは体長110センチ、体高70センチ、体重80キロのメスのツキノワグマ。これでことしに入って三条市内で捕獲されたクマは6頭目。
(親子グマ3頭捕獲:愛知)
26日午前9時過ぎ、豊田市大野瀬町池ケ平(稲武地区)で、クマ用の捕獲檻(おり)にツキノワグマの親子1頭ずつが入っているのを市や地元猟友会などが確認した。目撃情報から子グマがさらにもう1頭いる可能性があり、隣に別の檻を設置したところ、同日午後4時ごろ、別の子グマ1頭が入った。22、24日に同所にある鶏舎のビニール製覆いがクマに破られ、24日には、鶏舎内にいる親1頭、子2頭が目撃された。これを受け、市が25日にクマ捕獲用の檻1基を設置。同日夕、従業員が檻のふたが閉まっているのを見つけて通報していた。あとから入った子グマは、従業員が檻の近くで見つけ、数人で近づくと、檻の中に入ったという。捕獲は同市内で今年3例目だが、前の2例のイノシシ用捕獲檻と異なり、クマ用はドラム缶を二つつないだ形状で、クマは傷つきにくい。市環境政策課は全国の動物園などの施設に受け入れを依頼しているが、「檻がない」「すでにいる」などの理由で難航している。カラシスプレーで「人間はこわい」と学習させて放獣するにも、同所がすでに市内の外れにあたり、近隣県も放獣先が見つからずに捕殺している現状から、難しい状況という。豊田市教育委員会は26日、クマの出没が心配される地区の小中学校に安全確保のための鈴の配布を始めた。合計で約6600個になる予定。存在を知らせる鳴り物を持つことで、クマ対策になるという。クマに関する目撃情報が多かった2006年に約1万個を配布して以来の大規模な配布。業者の鈴の在庫が不足しており、順次配布になるという。
(子グマを捕獲、民家から300メートル:岐阜)
26日午前6時55分ごろ、関ケ原町関ケ原の山すそに仕掛けてあったイノシシ捕獲用の鉄製オリ(縦、横1メートル、奥行き1・5メートル)の中にツキノワグマが入っているのを見回りの猟友会員が見つけた。同町や垂井署によるとクマは体長約50センチで推定1歳。子グマのため、町は、山に放すか、牧場に引き取ってもらうか、処分方法について県などと相談している。現場は伊吹山ドライブウェイ料金所から東へ約200メートル。民家から約300メートル離れている。同町でのクマの捕獲は今年に入って今月11日、21日に続いて3頭目。同町は「ドングリなどクマのえさが山に少なく山すそに下りてきたのではないか」とみている。
(クマの出没が各地で急増、「ベビーブーム」も影響か)
全国各地でクマが人里に現れ人間が襲われるケースが多発している。天候の影響によるエサ不足が直接の原因と見られるが、根本的には人間と野生動物の共存が一段と難しくなってきている事情がある。折りしも生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)で生物の多用性を守るための方策が検討されているが、クマに限らず、サルやシカを含め、人間の知恵が問われている。2010年度のクマによる死者・負傷者は9月末で、全国で84人(環境省調べ)。10月に入っても10人以上が負傷し、被害者145人を記録した2006年度以来のハイペースだ。出没が増えている要因が、エサのドングリ類の不作。2010年は作柄が周期的に変わるブナの実の不作の年であるのに加え、春先の低温と夏の猛暑の影響でミズナラの実も少なく、越冬前に食べ物を求めて人里へ出てきている、という。これに、ベビーブームが影響しているという指摘もある。マスコミでも紹介されているNPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県廿日市市)の米田一彦理事長の説。2007年はドングリが豊作で、2008年2月ごろの出産が多かったというのだ。根本的には、様々な要因でクマと人間の生活圏の境界がはっきりしなくなっている影響が大きい。中山間地、里山の森や林の手入れが過疎化や林業の衰退で行き届かなくなり、耕作放棄地も増えたほか、河川敷にやぶが茂るなど、クマがエサを取れ、身も隠せる場所が市街地近辺まで広がった――専門家はそう指摘する。狩猟人口の減少もある。高齢化と規制強化で散弾銃などを扱える第1種免許を持つ猟友会の会員は、最盛期の40万人から、10万人を割るところまで減っている。ハンターの減少で人間の怖さを知らないクマが増えているというのだ。 クマだけではない。静岡県東部で2010年8月以降、100人以上の住民がサルにかみつかれる騒ぎがあったのは記憶に新しいところ。人的被害はなくても、伊豆半島でのワサビの食害も深刻だ。世界自然遺産に登録されている屋久島(鹿児島県)ではヤクシカによる食害が拡大している。かつて「ヒト2万、サル2万、シカ2万」が共存していたといわれるが、農作物を荒らすほか、ツルランやヤクシマタニイヌワラビなど、環境省レッドリストに指定する希少種のランやシダ類を根こそぎ食べるなどの被害も懸念される。ヤクシカの生息頭数は現在1万2000~1万6000頭(08~09年調査)とされ、地元では年1000~2000頭の駆除が必要との声があり、環境省や林野庁などがヤクシカ問題に絞ったワーキンググループ(WG)を発足し対策に着手した。さらに、やはり世界自然遺産である北海道・知床でもエゾシカが激増して植物の芽が食い尽くされ、巨木は樹皮をはがされて枯れていく事態になっている。さらに春先の主要な餌をエゾシカに奪われたヒグマが、逆に本来はめったに襲うことがなかったエゾシカを捕食し始めるという珍現象も現れているという。明治期の豪雪で知床から姿を消したエゾシカが戻ってきたのはほんの40年前といい、国指定鳥獣保護区としてハンターに狙われることがないため、エゾシカの楽園になったようだ。北海道庁の推計では、09年度の全道の生息数は64万頭以上で、知床は越冬地として増加が著しいといい、本格的な駆除が進められようとしている。ただ、こうした駆除頼みは、所詮は緊急避難の対症療法。森林の下草を刈るなどきちんと管理して、クマが隠れる場所をなくし、人里との緩衝地帯にするほか、山奥にドングリなどの実がなる木を植えてエサを増やすなどの対策を地道に進めることが必要だ。
(動物と列車接触急増、1年で507件:和歌山)
2009年度に、JR紀勢線で発生したシカやイノシシと列車との接触事故は前年度を81件上回る507件に上り、05年度の2倍以上になっていることが、JR西日本のまとめでわかった。10年度に入っても、25日までに294件と09年度を上回るペース。捕獲制限やハンターの減少などでシカやイノシシが急増しているためとみられ、JRは事故多発地点に柵を設け、警笛を鳴らすなどしているが効果は薄く、対策に頭を痛めている。JR紀勢線でのシカやイノシシとの接触事故は、05年度は207件だったが、06年度は263件、07年度は425件と年々増え、09年度は500件を超えた。主に和歌山県の紀南地方で発生し、江住(すさみ町)―和深(串本町)間の63件が最多で、紀伊田原(串本町)―紀伊浦神(那智勝浦町)間の48件、双子山信号場(すさみ町)―見老津(すさみ町)間の47件が続く。過去5年間で、けが人が出る事故にはつながっていないが、列車の遅れが頻発。今年8月20日には、阪和線の山中渓(大阪府阪南市)―紀伊(和歌山市)間でイノシシと電車が接触する事故が起き、県北部でも発生が増えつつあるという。原因は、野生動物の増加や人里近くに出てくる頻度が上がったためとみられる。県内のニホンジカの推計生息数は、1994年度は約8700頭だったが、09年度の調査では約3万1000頭となり、15年で3倍に増えた計算となる。開発などのためシカの生息数が減ってきたため、鳥獣保護法で捕獲頭数を1日1人1頭に制限してきたことなどの影響で、急増した可能性が高いという。また、イノシシの推計生息数は出ていないが、09年度の捕獲数は8977頭で、03年度の4967頭から2倍近くに増加。県内のハンターは09年度3491人で01年度より221人減っているにもかかわらず、捕獲数が増えており、生息数は増加しているという。JRは、事故頻発地点で警笛を鳴らすように運転士に指示しているほか、山中のトンネルや線路へ侵入防止柵を設けるなど対策を実施。02年には、白浜町のアドベンチャーワールドからライオンのふんを譲ってもらい、水に溶かして線路にまくことでシカなどを遠ざけようとしたが、効果は一時的だったという。シカが急増したことで、杉などの樹皮をシカに食べられるなどの被害が出ており、県は今年、シカを4分の1程度に減らすことを目標に設定。11月1日に始まる今年度の狩猟期から制限を撤廃し、1日に何頭でもしとめることができるように県ニホンジカ保護管理計画を改正した。JR西日本は「シカなどの数が減らなければ、事故多発は解決しないだろう」とお手上げの状態。県農業環境保全室は「自然環境のためにも、県内のシカは8700頭程度が妥当。ハンターにたくさん捕獲してもらいたい」としている。
(オオカミの尿でクマ対策:福井)
県内で相次ぐクマの出没を受け、県森林組合連合会(福井市)がクマ避けの新商品をPRしている。クマやイノシシが避けるオオカミの尿を粉末化した商品で、9月以降は問い合わせも多いという。商品はオオカミを避ける動物の習性を利用し、海外から輸入したオオカミの尿を特殊な技術で粉末化。粉からは鼻を突く刺激臭がする。粉末入りの袋(30グラム)を獣の目線の高さにつるして使う。販売元は東京のウッド・ランド社で、連合会は8月中旬に販売代理店となった。クマの出没情報が増えた9月以降、県内で40箱(1箱10袋入り)が売れたという。県内での効果は調査中といい、連合会では「学校や福祉施設の周囲につるしては」と勧めている。商品は1箱1万290円。
(カラスの置き石防ぐ:岩手)
JR東日本盛岡支社(盛岡市)は26日、カラスの置き石防除のため、仲間の悲鳴をスピーカーで流す実験を、花巻市内の東北線花巻空港-石鳥谷駅間で始めた。昨年10~12月の別区間での実験は効果があったと見ており、今回はカラスが営巣する森が近い場所で、効果を試す。防止の仕組みは、駅間の100メートルに設置した赤外線センサーがカラスを感知すると、音声が流れる。昨年は花巻-花巻空港間で、100メートルの設置区間で置き石はなかった。今回は、センサー設置場所を、列車通過の振動で誤作動を起こす枕木から、線路脇の電架柱に変えた。また、昨年は音声と同時にフラッシュを発光させたが、昼間は意味がないため今回はやめた。26日は動作試験を行った。カラスが線路に近寄ると、センサーが感知して大音量でカラスの悲鳴が流れた。悲鳴を仲間の危険ととらえ、たちまち立ち去った。積雪が始まる12月上旬まで試験を続ける。同支社によると、カラスは、線路下に餌を隠す時やいたずらで、レール上に石を置くという。事故は起きていないが、置き石をはねた際は安全確認のためダイヤが乱れる。同支社設備部の村上卓男部長は「線路は嫌だなと思わせたいが、知恵比べはまだまだ続くだろう」と話す。
(キジとヤマドリを放鳥:福島)
塙町の片貝小で25日、キジとヤマドリの放鳥が行われた。放鳥事業は県県南地方振興局が自然体系の保全と狩猟資源の確保、児童の愛鳥思想の普及を目的に毎年、各地で行っている。同校と同校矢塚分校の児童合わせて18人が参加。冨田重和県民環境部長や木村隆校長、県鳥獣保護員らと「元気に育って」などと願いを込めてキジ16羽とヤマドリ2羽を大空に放した。

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