<射撃ニュース11月>

11/26
(シカ捕獲、シャープシューティング試験実施:北海道)
増えすぎたエゾシカを効果的に駆除するために環境省釧路自然環境事務所は12月から来年3月いっぱいにかけて本格的に羅臼町ルサ・相泊地区で、アメリカなどで効果を上げている駆除方法のシャープシューティングや囲いわなでの捕獲試験を実施する。知床半島では深刻なエゾシカの食害を食い止めようと、2007年度から世界自然遺産登録地域の知床岬で「密度操作実験」と銘打ちエゾシカの駆除を展開。今回の試験は、新たなやり方で効率的な捕獲法を探ることが目的で、科学的なデータ収集が中心となる。
(クマと5分間にらみ合い、68歳女性:山形)
西川町沼山で23日午前11時20分ごろ、クマ1頭を目撃したと、近くに住む無職女性(68)が24日、町役場を通じて寒河江署に届け出た。同署によると、女性が道路を歩いていたところ、道路沿いの草むらにいた体長約1.5メートルのクマと目が合い、5分間ほど向き合った。その後クマは西側の山中に逃げたという。現場から集落までは約200メートル。500メートル北東には沼山小がある。
(「里守犬」、シカに効果大:京都)
農作物を獣害から守る「里守犬」の奮闘が、京都府与謝野町岩屋地区で注目を集めている。シカを追い払い、被害を半減させる一方、出没情報が相次ぐクマやイノシシには相手にされないようで、住民らは「ほえるだけの犬の行動が読まれているのでは」とさらなる対策に知恵を絞っている。同地区の農家でつくる岩屋農業環境対策組合は2008年、府の補助を得て里守犬としてラブラドルレトリバーを府内で初めて飼い始めた。専用施設で訓練させ、現在は2頭が田畑1・3ヘクタールを守っている。同組合によると、この影響で、電気柵を壊して田植え直後の苗や育った稲穂を食べるなどシカによる被害が全くなくなった。住民がシカの足跡を見つけるのも年に1、2度に減り、「一定の効果を上げている」という。しかし、イノシシには効かないようで、今年も6~9月にイモ類の畑を掘り返され、収穫前の実を食べられるなどの被害が相次いだ。被害に遭った農家は「毎晩、イノシシに気付いてほえていたのだが…」と残念がる。畑沿いの柿の木に登るクマの姿もしばしば目撃されているが、犬の威嚇を気にする様子はないという。有吉正組合代表は「相手の動物によって課題は残るが、シカには有効なので全体の被害は半分以下に減った。イノシシやクマに対しては今後の対策を考えたい」と話している。
(クマ目撃、昨年度の15倍の312件に:滋賀)
今年度、県内でツキノワグマが目撃された件数は312件となり、昨年度1年間(21件)の15倍にのぼったことが、県のまとめでわかった。クマに襲われ、けがをしたケースも5件(5人)発生。目撃情報は今月17日以降寄せられておらず、クマはようやく冬眠に入ったとみられているが、県は、来年以降も大量出没する可能性があるとして、クマが人里で食べるカキの実は迅速に収穫するよう求めている。目撃された地域別では、高島市が160件と最も多く、次いで長浜市92件、米原市33件、大津市27件の順。今年度は夏以降急増し、例年数件だった8、9の両月はそれぞれ、28件、42件となり、10月は120件に達した。昨年度まで過去最多は平成18年度の197件だったが、今年度はその1・5倍に及ぶ大量出没年だった。このうち、10月31日には長浜市で寺の本堂の壁をよじ登り、屋根裏にいるクマを発見。このケースを含め見つかったクマは危険なため、9頭が射殺された。5人が実際にけがをし、10月29日には、長浜市の市道でウオーキング中の女性がクマに襲われ、左肩からひじまで切られる重傷を負った。また、同日長浜市の民家敷地内で、住人の女性がクマに右手をかまれ、指を骨折するなどの重傷を負った。住民の安全を守るため、県警も巡回を強化するなど対策をとった。目撃が多発した長浜市の木之本署では、住民に、クマを刺激しないための行動を周知し、「大声を出さない」「クマに背中を見せない」などと呼びかけた。また、駐在所では独自に広報紙を発行し、目撃された地点を図示し注意を喚起した。しかし、どこに出没するかわかないクマ対策は難しく、県警の幹部は「いっそ逮捕できたら楽なのに…」と困惑する声ももれた。今年の大量出没の原因として、県は、餌となるブナやミズナラ、ドングリなどが不作のため、人里に食料を求めて現れているとみている。県の調査では、今年捕まったクマの胃の中に、カキが多く詰まっていたことから、人里に降り農家が植えたカキの実を食べていると推定。来年は、チラシを作成し、ドングリの状況を盛り込むほか、カキの実は迅速に収穫するよう、市町に求める。県自然環境保全課の担当者は「夜も対応に追われ、大変だった。冬眠に入りほっとしているが、クマの行動は予想がつかない」とし、来年以降の対策をさらに検討している。
(クマ?リンゴ被害拡大:広島)
リンゴの産地、庄原市高野町で、クマによるとみられる果樹園被害が相次いでいる。果実が食い荒らされるだけでなく、果樹の枝も折られた。収穫の終盤の今月半ばから被害が拡大。農家は「頭数管理や防護策に行政はもっと力を入れてほしい」と求めている。2・3ヘクタールでリンゴを栽培する大坂秋雄さん(61)方では、果樹約200本のうち半数以上で枝を折られる被害があった。花火で威嚇して自衛したが、収量は昨年の3割減という。「例年5、6本の被害はあるが、これだけひどいのは40年以上リンゴを作ってきて初めて」と肩を落とす。来年の収量は半減し、元に戻るのに2、3年かかるとみる。被害は複数の農家に及び、市高野支所が実態を調べている。同支所によると、町内でのクマとみられる動物の目撃・痕跡情報は5月以降、42件(24日現在)。昨年度の13件を大きく上回っている。同町内のリンゴ農家島津宏さん(56)は「高野にリンゴがないという風評被害も怖い。今年のリンゴは小粒だが甘みがある点をPRし、販売を強化したい」話す。
(クマを救えと山にドングリまき、生態系乱すか否かで議論)
生態系破壊の可能性について、ドングリまきをした日本熊森協会では、森山まり子会長が次のように説明する。「日本の多くの森林では、人の手が入っていないところはほとんどありません。私たちは、原生林ではなく、こうした遺伝子がかく乱されたところにドングリをまいています。また、都市部の公園などにあるドングリは、暖地性のもので、気温が低い山の中で発芽することはほとんどありません。落葉広葉樹のドングリとは、性格が違います。また、山によって遺伝子が違うブナやミズナラのドングリは運ばず、日本の里山に多く植え替えられたコナラやクヌギのを運んでおり、それに付いている虫も固有の遺伝子はないんですよ」。ネズミばかりがドングリを食べているかについては、こう反論した。「それは全部ウソですよ。クマが食べた証拠写真など、うちはいっぱい撮ってあります。農作物を食い荒らすようなネズミは、山にいるネズミと種類が違います。山にいるのは、半径10メートル以内にあるドングリを食べるアカネズミです。まいたドングリは、タヌキやシカなどいろんな動物が食べており、バランスが取れているので、ネズミだけが増えるようなことはありません。批判している人たちは、奥山を歩いていないので、そんなことを全然知らないんですよ」。環境省の担当者は、ドングリまき以外にクマを守る方法として、次のように言う。「ドングリなどがなる同じ植生の木を山に植栽したり、中山間地域の柿や栗を木から落として山から出てこないようにしたりすることが考えられます。人間の生活圏との境を明確にすることが大切でしょう」。これに対し、熊森協会の森山会長は、こう批判している。「動いていないのは環境省であって、うちはどんどんドングリの木などを植えています。中山間地域で、柿や栗などの木を植えていたのは、凶作のときに街中に出てくるのでクマ止め林として必要だったからです。役人は現場を知らないので、柿を落とせなどと、してはならないことを指導しているんですよ」。
(絶滅VS生息、九州クマ論争)
九州ではすでに絶滅したとされる野生のツキノワグマを巡り、論争の兆しが出てきた。12月に発行される学術誌に、宮崎県内で過去10年に少なくとも6回、クマらしき動物が目撃された、という報告と、逆に「最後の野生クマ」の確認時期が従来の1987年より前にさかのぼることを示した調査結果が同時掲載されるのだ。専門家からは、絶滅の確定には広域的な調査が必要、との指摘も出ている。クマの研究者らでつくる「日本クマネットワーク」(事務局・日本大)によると、国内に生息する野生のクマは、北海道のヒグマと本州・四国のツキノワグマだけ。今年は集落や市街地に出没し、騒動を巻き起こしたが、九州では87年に大分県豊後大野市の山中で射殺された4歳のオスを最後に確認されておらず、熊本(98年)、宮崎(2000年)、大分(01年)の順に、各県がレッドデータブックに「絶滅」と記載していた。ところが、ツキノワグマを追って福岡県から宮崎県高千穂町に移り住んだ写真家の栗原智昭さん(45)が、かつて生息が確認された大分・宮崎県境の祖母・傾山系の周辺で聞き取り調査を続けたところ、00年10月~09年4月の間、同町や延岡市、日之影町などで計6回にわたり、住民や猟師からクマとみられる8頭の目撃情報を確認した。写真は残っていないが、大きさや毛の色、動きなどの特徴からクマの可能性が高いという。今月15日にも、高千穂町と豊後大野市の境付近でクマらしき動物を見たという情報が登山者から寄せられたといい、「飼育中に逃げた別種の可能性もあるが、安易にツキノワグマが絶滅したとは言えない」と栗原さんは話す。これに対し、森林総合研究所東北支所の大西尚樹主任研究員らが、87年に射殺された「最後のクマ」について、冷凍保存された横隔膜の組織を遺伝子分析したところ、「九州産ではなく、本州から持ち込まれたか、その子孫」との結果が出た。これに従えば、「最後の野生クマ」の確認時期は一挙に半世紀前の57年までさかのぼることになるという。栗原さん、大西さんらの調査結果は、12月発行の学術誌「哺乳(ほにゅう)類科学」に掲載される。同ネットワーク代表で、茨城県自然博物館首席学芸員の山崎晃司さんは「野生のクマが生存する可能性は低いと言わざるを得ない。ただ広域的な痕跡調査や林業従事者への聞き取りが行われておらず、絶滅を断言するには不十分」と指摘している。
(カラス、ごみを散らかし市民を攻撃:兵庫)
尼崎市は、ごみを散らかしたり、市民が攻撃されて被害が出ているカラスの対策に乗り出した。先月、県内でも珍しい「カラス対策庁内連絡調整会議」を設置。関係する九つの部署の課長らが参加し、横断的に解決策を考えている。きっかけは、今年8月に市議会に出された陳情だった。市内の女性が、後頭部をカラスにつつかれ、けがを負った。女性はカラス対策を要望しようと市役所を訪れたが、担当課がなく、たらい回しにされたという。女性は6000人以上の署名を集め、陳情書では巣の撤去やごみにネットを掛けることの周知徹底などを求めた。カラスは4~6月が産卵期で神経質になるため、苦情はこの時期に集中する。今年4~10月、市に寄せられたカラスの苦情は約190件。うち150件が4~6月のものだ。今後、カラス調整会議で、ごみ収集業務をしている担当課などから聞き取りをして、被害の多い地域を特定する。来年4月までには対策を講じるという。同会議の座長で都市整備局の御崎成亮次長は「市役所だけでは解決できない問題。市民と一緒に取り組んでいきたい」と話す。

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11/25
(イノシシ出没、警官負傷:大分)
24日別府市の中心部で体長およそ1メートルのイノシシが出没しました。警察や市が捕獲にあたりましたが、イノシシは逃走。その際警察官1人が噛み付かれ軽いケガをしました。24日午前7時ごろ別府市西野口町の市道に体長1メートルほどのイノシシが現れました。イノシシは近くのホテル敷地内の駐車場に入り込み、タクシーの運転手が追い払おうとしました。その後通報を受けた警察や市の職員、地元の猟友会がイノシシの捕獲にあたりました。その際、警察官が太ももを噛まれて軽いケガをしました。その後も捕獲作業が続きましたがイノシシは1キロほど離れた川に逃走し、行方がわからなくなりました。警察では付近の住民や小学校などに注意を呼びかけるとともに、パトロールを行い警戒を続けています。
(クマ1頭殺処分:山口)
県は23日、山口市阿東徳佐下の山中で雄のツキノワグマ1頭を捕獲したと発表した。「住民の不安が強い」として殺処分された。県自然保護課によると、午前8時ごろ、イノシシ用のわなにかかっているのを猟友会員が見つけた。今年度のクマの捕獲は53頭目。うち33頭を殺処分した。
(大型動物との衝突急増:広島)
シカやイノシシなどの大型野生動物と乗用車との衝突事故が、県内の道路で急増していることが、広島国道事務所のまとめで分かった。同事務所では事故防止のため、大型動物飛び出しの警戒標識の増設を検討している。同事務所によると、9月と10月の大型動物の死骸(しがい)処理件数は昨年同期の6件から4倍近い計23件になった。広島市の国道54号や竹原市の国道2号、国道185号など、幹線道路沿いでも多くの死骸が見つかっている。衝突で車が大破したり、動物に驚いたドライバーが単独事故を起こすケースも起きており、同事務所では、各地の道路情報板で、「大型動物飛び出し注意」の表示を行うとともに、警戒標識の増設も検討。ドライバーに「動物との衝突に気をつけて」と注意を呼びかけている。
(クマの餌を空輸:富山)
日本熊森協会(本部・兵庫県西宮市)は24日、クマの人里への出没防止や保護、冬ごもりに向け、上市町の奥山にヘリコプターで餌のドングリとクリ計1トンを投下した。ヘリによるクマへの給餌は同協会で初めて、全国でも例がないとみられる。投下先となったのは協会が所有する上市町の森林670ヘクタールのうち、標高1100メートルから1200メートルの尾根3カ所。谷からヘリが3往復し、餌を入れたバケットを遠隔操作で開口し、投入した。ドングリやクリは全国から日本熊森協会に寄せられ、兵庫県から運んだ。空輸作業に立ち会った同協会職員の中本菜々さん(25)は「駆除されるクマの頭数が富山県で多いと聞き、上市町を選んだ。無事に冬眠できるように助けたい」と話した。日本熊森協会は魚津市で実がなるクリやコナラの植樹、金沢市と小松市で山中にドングリをまくなど、クマが生息しやすい森の復元を目指している。
(カラス餌付けに刑事罰:大阪)
箕面市は、カラスによる生活への危害の原因となる餌付けを禁じ、違反者には罰金を科す「カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例」案を発表した。行政罰の「過料」でなく、悪質な行為は刑事告発することで厳しく対応する狙いがある。30日に開会する12月定例市議会に提案する。来年7月1日施行を目指す。条例案はカラスによる被害を、ごみを荒らす▽鳴き声がうるさい▽人やペットを攻撃し物を壊す-などと規定。直接的な餌付けにとどまらず、カラスが食べることを認識しながら犬や猫のエサ、生ごみを放置したり、他の鳥にエサを与えたりする行為を、カラス被害につながる「給餌(きゅうじ)」と定義し、繰り返すことを禁止する。市民は、市の施策に協力しカラスによる被害を発生させない「責務」を負う。市は相談や苦情が寄せられた場合、違反者に立ち入り調査や質問を行い、是正勧告などに従わないケースや調査、質問への回答を拒否した場合は氏名を公表し刑事告発する。罰則は10万円以下の罰金。

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11/24
(タクシー運転手、散弾銃で自殺?:東京)
23日午後1時ごろ、東京都足立区東和のアパートの一室で、同室に住むタクシー運転手の男性(60)が顔から血を流して死亡しているのを警視庁蔵前署員が見つけた。近くに散弾銃があったことから、綾瀬署は自殺とみて調べている。男性は同日、当て逃げ事故で蔵前署で事情聴取を受ける予定だった。綾瀬署によると、男性は21日夜、台東区の路上で女児(2)と接触事故を起こし、女児の父親と交番を訪れたが、すきをみて立ち去った。
(シカの食害、チョウ類の希少種に影響:長野)
環境省のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)2(II)類に指定されているチョウ「コヒョウモンモドキ」が、シカによる食害のため、南アルプスで激減していることが、信大農学部(上伊那郡南箕輪村)の中村寛志教授(昆虫生態学)らの調査で分かった。同教授が、滋賀県彦根市で23日に始まった日本環境動物昆虫学会で発表した。
(クマ出没、消えた人里との境界:滋賀)
ツキノワグマの出没が頻発している。県内のけが人は5人(22日現在)と、出没が相次いだ04、06年の4人を超えて過去最多。捕獲数も29頭に上る。山に食べ物が少ないのが大きな原因らしいが、田畑の管理など身近な生活にも課題があるようだ。クマの生息域と重なる湖北地域を歩き、人と動物の暮らし方について考えた。8日夕、大谷川沿いに伸びる長浜市木之本町古橋。夕日が山の端に沈む中、市立高時小の児童らが集団下校する。「コロンコロン」。ランドセルからクマよけの鈴が鳴る。玄関前で見送った旧木之本町教育長の谷口久夫さん(69)は「日が暮れると私も出歩くのが怖い。よい方法はないものか」と腕を組んだ。3日前の午後7時前、乗用車で帰宅した家族が自宅ガレージに体長約1メートルのクマがいるのを見つけ大騒ぎに。1週間前には約300メートル離れた龍泉寺に子グマが迷い込み、殺処分された。対応に追われた谷口さんは「胃袋は空っぽでやせ細っていた。背に腹は代えられず餌を探しに出てきたのだろう」と話す。空腹なのはクマだけではない。近くの畑で野菜を作る80代の女性は「収穫前の豆が全部サルにやられた」とぼやく。県によると、昨年度のサルの農作物被害は県全域で約7800万円。イノシシ被害は1億4400万円にも及ぶ。湖北農業農村振興事務所は「今秋はほとんど山に帰らず、田畑を荒らし続けている」と話す。獣害はなぜ深刻化するのか。研究を続ける県立大環境科学部の野間直彦教授は「集落が野生動物を呼び込んでいる」と話す。過疎化した休耕地がやぶに覆われ、人里との境界が消えてしまった、というわけだ。野間教授は「サルやクマは木の実だけでなく、放置した農作物や生ゴミも食べる。無意識に餌付けしているようなものだ」と指摘する。県もユニークな試みを続けている。01年に始めた「放牧ゾーニング」事業。15日、近江八幡市白王地区を訪ねた。田を囲んださくを餌の容器で打ち鳴らすと、山の斜面から大きな雌牛がすごい勢いで駆け寄ってきた。休耕した周囲の棚田は草木が茂り、イノシシが稲を食い荒らしていたが、放牧を始めて被害は減少。湖北地域では発信機を付けたイノシシを追跡したところ、山奥に行動域を移したとの報告もある。クマにも効果があるようで、長浜市木之本町の杉野地区では03年から集落を囲む休耕地1・5ヘクタールに牛2頭を放牧。翌年、各地でクマ出没が相次いだため牛に鈴を付けたところ、集落に寄りつかなかったという。地元の代表で猟師の木下新一さん(67)は「山沿いの柿の木にはクマのつめの跡があったが、今年も姿を見せていない。大きな動物がいると警戒するのだろう」と話す。集落で取り組む課題は、クマもサルもイノシシも同じなのだ。野間教授は「互いが見通せる空間の確保が大切。山との境界を取り戻すことが日本中の獣害を減らすポイントだ」と話している。

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11/23
(カンムリヅル射殺される、「ハンター許せぬ」住民激怒:千葉)
大網白里町神房の農業用調整池付近に生息していたカンムリヅルが、ハンターに射殺されたことが22日までに分かった。東金署は、撃った市原市内居住の男性から任意で事情を聴いている。近隣住民から親しまれていた鳥だっただけに、近隣住民は「絶対に許せない」と激怒。これまでにも民家に弾丸が降ってくるなど被害に悩まされていたことから「禁猟区にしてほしい」と訴えている。東金署に通報した同町神房の倉持利和さん(71)によると、16日午後1時ごろ調整池付近で男性がツルを引きずっていたところを発見。倉持さんが注意すると男性は「撃ってしまったのだから仕方ないだろう。はく製にする」などと話し、名前も名乗らず車で逃走したという。通報を受けた同署は車のナンバーなどから22日までに男性を特定。市原市内のはく製製造店でツルの死体も発見した。男性は撃ったことを認めている。付近住民によると、ツルは1年半ほど前から見かけるようになり地域内だけでなく、町外の愛好家が見に来るなど親しまれていた。射殺されたときにも50歳代の愛好家男性が現場にいた。それだけに「ツルの敵討ちをしたい」と憤っている。住民がハンターに憤るのはツルが殺されたことだけではない。狩猟解禁日の15日には、同地域で約20人ほどのハンターが一斉射撃を行い、池から70メートルほどの自営業、飯田浩一朗さん(63)方の窓ガラスや壁に銃弾が撃ち込まれた。
(行方不明狩猟者を遺体で発見:大分)
玖珠町で狩猟に出かけたまま行方不明になっていた男性が車の見つかった現場近くの川で遺体で発見されました。行方がわからなくなっていたのは玖珠町塚脇の板金工瀧石恒平さんです。警察によりますと瀧石さんは22日正午すぎ町内の店で狩猟用の散弾銃の弾を購入したあと行方がわからなくなっていました。家族からの通報を受けきょう警察や消防などが145人体制で捜索を続けていましたが、23日午後1時半過ぎ瀧石さんの車がみつかった現場近くの玖珠川で、瀧石さんの遺体が発見されました。肩には散弾銃がかけられていたということです。警察の調べによりますと22日の玖珠町は雨のため川の水位が高かったということです。警察では、瀧石さんが狩猟をしていて川で溺れたのではないかとみて死因などを詳しく調べています。
(射撃場で基準値240倍の鉛検出:三重)
県津農林水産商工環境事務所は22日、津市中村町の県営ライフル射撃場で、基準値を240倍上回る有害物質の鉛が検出されたと発表した。周辺環境に影響はないとみられる。射撃場は同日から休場し、土壌の浄化対策工事などを実施する方針という。同事務所によると、10月29日に行われた土壌調査で、50メートル射場の的裏3地点から基準値を超える鉛が検出された。排水口の水質調査では、基準値以下だったため、環境への影響はないとしている。弾丸に含まれる鉛が散乱したためとみられる。
(県と県猟友会が「広域捕獲隊」編成へ:栃木)
イノシシによる農作物被害が県内全域で深刻化する中、県と県猟友会は市町の垣根を越えて狩猟者を派遣する「広域捕獲隊」の編成に向け、準備を進めている。「わな猟」の増加で県内での捕獲頭数は飛躍的に増えているが、銃器での最終対応の役割を担う猟友会員は減少傾向に歯止めが掛かっていない。今後、狩猟者を確保できない地域が広がる可能性があり、対応を急ぐことにした。県内のイノシシによる農作物被害は深刻だ。2006年度に前年度比5・5倍増の1億2千万円台に急増して以降、09年度まで1億円台が続いている。被害額の増加とともに、県内でのイノシシの捕獲頭数も増加傾向にある。09年度は05年度の5倍近い6935頭に上り、この4分の3が、わななどによる捕獲だった。農家らが自衛手段としてわなを設置する動きが急増したためとみられる。県はイノシシの生息数を減少傾向に導くため、本年度から捕獲対策の強化を決めた。14年度までに被害額半減を目指している。目標達成には県猟友会員の協力が欠かせないが、高齢化で担い手不足は深刻化している。09年度の会員数は2751人。ピーク時(1978年度の1万4149人)の19%まで減少している。昨年12月、銃所持の許可要件を厳格化した改正銃刀法が施行されたことも「担い手不足に拍車を掛ける」と心配する関係者もいる。広域捕獲隊は、個体数の調整などに関し、猟友会支部の市町単位で活動している会員を、広域的に有効に活用するのが狙い。県猟友会は会員39人をリストアップ。22日には初の研修会を開いた。今後も技術向上に力を入れ、来年度以降、市町に活用を呼び掛ける予定だ。関係者からは「将来、クマやシカの捕獲でも広域的対応が必要になる」との見方も出ている。
(イノシシ狩りに空挺部隊を投入!?:韓国)
「軍の部隊を動員してでも、イノシシを捕まえなければならないのではないか」。少し前、環境部が各市・道の公務員らと行った「イノシシ管理対策会議」で、いわゆる「空挺部隊イノシシ掃討論」が再び登場した。イノシシの個体数が増える一方で、都心に出没するなどの被害が相次いだことを受け、最後の一手として出たのが、「イノシシ狩りに軍隊を動員しなければならない」というアイデアだった。こうした主張は、2007年の大統領選挙でも話題になった。当時、民主新党の予備選候補だった柳時敏(ユ・シミン)元保健福祉部長官が、「わたしが大統領になったら、初雪が降った日に空挺部隊を動員し、イノシシを捕まえる」と語ったときには、特戦同志会が「特殊戦司令部(特戦司)を卑下した」と反発した。しかし専門家らは、こうしたアイデアを「コメディのような発想」として相手にしなかった。野生動植物保護管理協会のキム・チョルフン副会長は、「猟犬が退路をふさぎ、イノシシがどうにもこうにも動けなくなって初めて、銃を撃って捕まえることができる。猟犬が重要なのであって、人が大勢いれば解決する問題ではない」と語った。国立生態園建立推進企画団のキム・ウォンミョン博士も、「銃を撃ってよく走れば、イノシシ狩りが上手にできるわけではない。専門のハンターの方が、兵士よりはるかにうまく捕まえることができ、1頭の猟犬は100人の人間より役に立つ」と語った。イノシシ狩りに関する限り、犬1頭が「百人力」と言えそうだ。

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11/22
(クマに頭と腕かまれる:京都)
20日午後4時ごろ、京都府京丹波町三ノ宮高尾の山林で、仕掛けたイノシシ猟用のおりを確認していた同町に住む農業の男性(66)が、クマに襲われた。男性は頭と腕をかまれ、全治約10日のけがを負ったが、命に別条ないという。府警南丹署によると、クマは体長約1・5メートル。ツキノワグマとみられ、男性を襲ってすぐに山中に逃げた。男性は約20分かけて歩いて自宅まで戻り、妻が119番。署員らが現場付近を警戒している。京丹波町によると、町内では今年、70件以上のクマの目撃情報などが寄せられている。京都府内では今月15日~来年2月15日が狩猟の期間となっており、町産業振興課は「今年の目撃情報は例年より多い。山に入る際は、クマよけの鈴などを携帯してほしい」と呼びかけている。
(クマで捕獲、4頭殺処分:山口)
県は20日、山口市阿東地福上と徳地三谷の山中でメス4頭のツキノワグマを捕獲したと発表した。「地元住民の不安が強いため」などとして殺処分された。県自然保護課によると、いずれも同日午前8時半~45分ごろ、イノシシ用のわなにかかっているのを猟友会員が発見。今年度のクマの捕獲は52頭。
(民家裏庭にクマの親子3頭出没:秋田)
21日午後6時5分ごろ、北秋田市七日市字菅谷地岱の民家裏庭にクマの親子3頭が出没、北秋田署が警戒を呼び掛けている。同署によると、民家の男性(60)が親1頭と子グマ2頭を裏庭で発見。柿の木に登ったり、揺さぶるなどしていた。木から母屋まで約7メートル。男性が110番している間にクマは姿を消した。19日午後6時ごろにも親子3頭が出没していた。
(イノシシ、民家に猛進:香川)
21日午前2時20分ごろ、香川県三豊市財田町財田上の新聞配達員の男性(69)方にイノシシが突入、たんすを倒すなどして暴れた後、屋外に逃げた。家人にけがはなかった。三豊署によると、イノシシは南向きの玄関ドアのガラスを割って侵入、真っすぐ居間に突き進んでたんすを引き倒した後、北向きの窓のガラスを壊して外に飛び出したらしい。110番通報で駆け付けた同署員が隣接する畑などでイノシシの足跡を発見した。男性方は6人暮らし。当時、出勤するため1人だけ起きていたという男性は「すごい音がして車が突っ込んだのかと思った。農作物の被害は珍しくないが、家の中にイノシシが入ってくるのは近所でも初めて」と驚いた様子だった。同市内では19日夜に県道で一度に6頭が車にはねられるなどイノシシの出没が相次いでおり、同署は「見かけた場合は刺激しないように」と呼び掛けている。
(アカシカ手術後脱走:山口)
秋吉台サファリランド(美祢市)が飼育していた生後4カ月のアカシカが、今月4日に逃げ出し、半月以上見つかっていないことが20日分かった。早期発見に努めるよう山口県から指導を受けたという。同園によると、逃げたシカは7月12日に生まれた雄。体高約60センチ、体重約15キロ。約50頭の群れで育てていたが、角で突かれたとみられるけがを左胸に負い、呼吸がうまくできなくなり、今月1日に園内で手術を受けた。4日午後3時ごろ、居なくなったことに飼育員が気付いた。餌を与えた午後1時ごろには姿を確認していた。柵の金網にほつれができていて、金網をこじ開けて周辺の山に逃げたと同園はみている。その日から飼育員2人が車で付近を捜索しているが、見つかっていない。周囲の約100世帯にも特徴を書いたチラシを配り情報提供を呼び掛けている。
(イノシシ被害急増:広島)
イノシシが公園の芝生やブドウ畑を荒らす被害が、福山市街地と鞆町を結ぶグリーンライン(県道後山公園洗谷線)沿線で相次いでいる。市農林水産課によると、農作物への被害件数は262件(10月末現在)に達し、2009年度1年間の183件を上回っている。同市熊野町のファミリーパークでは今年、芝生をはがされる被害が目立つという。市公園緑地課の職員が芝生を張っても、翌朝には再びはがされる。イノシシは主に夜間現れるが、夕方に6頭の群れを目撃した来園者もいるという。管理する嘱託職員の故山健治さん(62)は「子どもの安全を考えると捕獲機や電気柵は設置できない。対処しようがない」と困惑する。沿道の同市沼隈町中山南のブドウ団地では、9月ごろビニールハウス内の実を食べられる被害が続いた。苗木の周辺も掘り返される。団地内に2年前から仕掛けている箱わなに今年8月、初めてイノシシが掛かった。これまでに計5頭を捕まえている。市内での本年度の捕獲数は約580頭(9月末現在)に上った。
(琵琶湖のアユ産卵量が過去最高、カワウ駆除実る:滋賀)
今年の琵琶湖のアユの産卵量が例年の約2倍、過去10年で最高の252億個に上ることが県水産試験場(彦根市)の調査でわかった。昨年度から強化した「天敵」カワウの駆除が奏功。多くのアユが餌食になることなく産卵期を迎えられた。ただ、稚魚が冬の寒さを乗り切り、成魚となれるかどうかは天候次第。関係者は夏の味覚、アユの豊漁に期待を寄せる。試験場は8~10月、姉川や芹川など、アユが琵琶湖から遡上(そじょう)して産卵する11河川を調査。川底の砂利に産みつけられた卵を数え、流域全体の産卵数を試算した。その結果、10月末までに過去10年の平均115億個の2倍強が川に産卵されたと推計した。アユは産卵前の夏になると、湖面近くを群れをなして泳ぎ、カワウの餌食になる。しかし、今年は危機を乗り越え、無事に産卵期を迎えた成魚が例年になく多かった。8月の琵琶湖の魚群探知機による調査では、過去10年間の平均魚群数の5倍近くを数えた。「アユを食べるカワウの駆除が強化されたのが大きい」と、同試験場の酒井明久さん(43)は言う。カワウが1日に食べる魚は300~500グラム。県の試算によると、琵琶湖では2008年度、年間漁獲量1624トンを上回る2397トンが餌食になった。県は昨年度から巣にいるカワウを狙い撃ちしやすいエアライフルを導入し、駆除を強化。今春の琵琶湖の生息数は例年の3万5千~4万羽から2万2千羽に減り、てきめんの効果を上げた。だが、来年のアユ漁の豊漁が約束されたわけではない。稚魚が冬の寒さに耐えられ、春を迎えられるかがカギとなる。2005年の産卵数は例年以上の153億個を記録したが、年末から豪雪となり、翌年の漁獲量は例年以下の441トンだった。
(求む!サル撃退要員:兵庫)
ニホンザルの農作物被害に頭を痛める篠山市は、非常勤嘱託員としてサル対策専門の職員2人を来年1月に採用する。同市には兵庫県内最多の四つの群れが生息し、位置の把握が困難。このため新採用の専門職員が巡回して居場所をつかみ、農家など市民に携帯メールで情報提供するとともにロケット花火で追い払う。同市は県内有数のニホンザルの生息地で、約150頭が出没する。米や野菜が食い荒らされており、近年は特産の山の芋にも被害が拡大するなど問題が深刻化している。四つの群れに対し、丹波市の県森林動物研究センターはそれぞれ1、2頭に発信機を取り付けている。同センター職員が篠山市内を巡回し、受信機を使って群れの位置を確認。市は今夏からこの情報を希望する市民の携帯電話にメール送信している。市は広範囲のサル出没情報を届けるため、専門職員の採用を決めた。受信機を持った専門職員が週2、3回、市内を回り、サル出没情報を市に連絡。市はすみやかに市民にメール配信する。さらに、専門職員はロケット花火や威嚇用モデルガンの有効な利用方法を市民に知らせるという。サル対策専門の職員雇用は珍しいが、同市農林課は「広大な市域をカバーするには必要」と話している。雇用は来年1~3月の期間限定で、この事業は2013年まで続ける。普通自動車免許を持ち、市の地形を理解していることが採用の条件。11月25日までに同市職員課に申し込み、作文と面接試験を経て採用が決まる。
(韓国、メダル量産もクレーは不振)
韓国は広州アジア大会の射撃で金13個、銀6個、銅7個のメダルを獲得したが、クレー射撃に限っては精彩を欠いている。クレー射撃で獲得したメダルは、トラップ女子団体とダブルトラップ女子団体での銀2個にとどまっている。このような現象が起こる原因は、種目別の不均衡にある。今年学生から一般まで、韓国国内の射撃大会に出場した選手はピストル1229人、ライフル1572人だが、クレーは166人に過ぎなかった。そのうち、国際大会に出場できるレベルの選手は男子50人、女子10人ほどにすぎない。韓国代表のピョン・ギョンス監督は、「今回、女子ダブルトラップの選手は3人だが、全国体育大会に出場した女子選手は4人に過ぎない」と話した。クレーは、エリートと生活スポーツ分野が分離されていないことから、実力を育成させる機会が少ない。また、クレーは多くの費用を要する。散弾の価格が1発450-500ウォン(約33-37円)と、エアライフル(50ウォン=約3.7円)やピストル(200ウォン=約15円)に比べ高い。また銃は1丁1000万ウォン(約74万円)以上で、円盤の標的も1個8000ウォン(約590円)を超える。ピョン監督は「教育にカネがかかるため、エリート選手を育成しにくい」と説明した。クレー種目は、2002年と06年のアジア大会でそれぞれ金メダル2個を獲得したが、今大会では優勝を逃した。このため、ロンドン五輪を心配する声も出ている。射撃連盟の関係者は、「韓国には現在、クレーのワールドカップを行える競技場もない。政府や地方自治体の支援が必要だ」と述べた。
(高齢化クマ対策深刻、狩猟者増へ自治体懸命:島根)
農作物を荒らす鳥獣の駆除などを担う狩猟者の高齢化と減少が県内で深刻だ。趣味の多様化や、2009年末の改正銃刀法の施行で狩猟免許の更新手続きが煩雑になったことなどが影響しているようだ。今年は県内各地でクマが出没し、猟友会員らが対応に追われたが、このままだと、近い将来、人手不足に陥る恐れもある。自治体や民間人が狩猟をPRするなど、対策に懸命だ。猟を行うのに必要な狩猟免許は、わな、網、銃(1種、2種)の4種類。県によると、県内の免許所持者は1975年度、延べ6027人いたが、09年度には延べ3261人に減少。年代も、75年度は20~40歳代が約74%、60歳以上が約10%と若者が多かったのに対し、08年度には20~40歳代が約10%、60歳以上が約63%と、ほぼ逆転した。減少の一因とみられる改正銃刀法では、3年ごとの免許更新時、射撃技能の講習が義務付けられ、75歳以上は認知機能検査が必要。県猟友会は「更新が面倒で、銃を手放す人が増えるのではないか」と懸念する。一方で、鳥獣被害は増加傾向。県は「今年は中山間地を中心にクマやイノシシが連日出没し、猟友会の出動回数は例年よりも圧倒的に多いのでは」と推測。狩猟者の減少は死活問題だ。こうした現状に歯止めをかけようと、県内の自治体は対策に苦慮。県は年間7回だった狩猟免許の試験を、10年度から9回にし、免許を取る機会を増やした。津和野町は09年度、「狩猟免許取得費補助金」を導入。申請手数料や射撃教習受講料など、上限4万円で必要経費の半額を補助している。飯南町では、猟友会員を対象に射撃講習会の経費や、損害保険料などを助成。町の会員が今年度、47人から51人に増える成果があった。また、高齢化率39・6%(10月末現在)の邑南町では、数年前に役場の農林振興課の職員8人が、わなの免許を取得。イノシシ被害が深刻な地域にわなを設置しているが、「経験不足のせいか捕獲はなく、技を向上させたい」とする。民間レベルで狩猟をPRする取り組みもある。浜田市で飲食店を営む今田孝志さん(59)は、イノシシの狩猟期間(11月~翌年2月)に体験会を実施。猟犬を伴って山に入り、獲物をしとめる様子を見学してもらう。今田さんは「1人でも猟に関心を持つ人が増え、後継者が育ってくれれば」と話している。
(野生動物の農業被害防げ、発信器で追跡:新潟)
長岡技術科学大学などの産学グループが農業被害が深刻なサルなどの野生動物を24時間監視するシステムを開発した。10月下旬から11月中旬まで、新潟県津南町で野生ニホンザルの群れを追跡する実験があった。無人アンテナ基地局を数カ所設置すれば、パソコンから群れの動きを確認できる。鳥獣被害に悩む地域は多く、実用化が期待されそうだ。このグループは信州大、日本獣医生命科学大、長岡技術科学大と情報通信関連のイートラスト(新潟県長岡市)。総務省が開発や実験を支援した。動物専用に割り当てられた周波数を利用した全国初のシステムという。津南町の実験では約20匹のサルの群れの1匹に発信器を付けた。アンテナ基地局を田んぼなど5カ所に設置した。サルの群れの移動距離は1日1~2キロ程度。これらの動きを観察することでシステムの性能を確かめるのが狙いだった。各基地局にはアンテナが東西南北の4方向に取り付けてある。太陽電池とバッテリーを搭載し、データを24時間送る電源として使った。実験の結果、サルの位置をパソコンや携帯端末などで見ることができた。産学グループはサル以外の野生動物にもシステムは活用できるとみる。例えば発信器をクマに付ければ、同じアンテナを使って受信できる。イートラストは「試したわけではないが、100ぐらいの個体が観測エリアに入っても識別は可能」という。今後、商品化に向けて検討するが、自治体などが顧客になる見通し。システムを購入して野生動物が出没しやすい集落にアンテナを設置し、農家ら地元住民向けに情報提供することを想定している。サル生息数が多い県内の自治体でも商品化への期待は大きいという。山頂など見晴らしのいい場所にアンテナを付けると広い範囲から電波が届く。条件がよければ、5キロぐらい離れた発信器からの電波もキャッチできる。イートラストは「今年を(農業被害などを防ぎながら保護管理する)野生鳥獣の元年にしたい」と意気込む。同社は1本アンテナの簡易タイプの開発にも年内をメドに取り組む。サルが近づいてくるのだけを知らせる近接警戒型だ。位置まで分かる4本アンテナに比べ安価にできる。津南町での実験を担当した長岡技術科学大学の山本麻希助教は「サル対策では集落の住民の協力が欠かせない」と指摘する。サルが近づいたことが分かった時点で、ロケット花火で追い払うなど協力が必要という。鳥獣被害対策を指導するため、山本助教は「地元に根付いた組織をできるだけ早くつくる必要がある」と指摘する。システムの商品化と同時に、これを受け入れる地元の人づくりや自治体の協力も課題となりそうだ。
(クマ処分か放獣か、市町村苦悩:山梨)
保護か殺処分か-。山梨県内でクマの出没が相次ぐ中、市町村がクマ捕獲時の対応に苦慮している。現場に駆け付けた職員の判断に任されているのが現状で、「市民の安全」を優先して殺処分されるケースが多い。ただクマを処分すると、役所に苦情が寄せられることがあるという。県は市町村の要望を受け、クマが出没した際や捕獲後の対応などに関するガイドラインの策定を検討している。「クマを殺処分したら、電話やメールの苦情が殺到した」。今月、県庁で開かれたツキノワグマの保護管理検討会で、市町村代表の委員はこう漏らした。別の委員からも「市町村がその都度判断するのは難しい」と、対応に頭を悩ませている現状が報告された。県みどり自然課によると、今年のクマの目撃情報は10月末時点で134件と、昨年同期の3倍に上る。都留市や上野原市、笛吹市では人がクマに襲われ、けがを負った。捕獲したクマに関し、県は保護管理指針で山に放す「放獣」を原則にしているが、昨年まではほとんどが殺処分されてきた。2007~09年度の3年間で68頭を捕獲し、放獣したのは3頭だけ。今年は昨年同期より多い26頭を捕獲し、放獣も9頭と大幅に増えている。市町村からの要請を受けて放獣を指揮している県環境科学研究所の吉田洋研究員は「人間の怖さを教えて山に返す『学習放獣』をしても、再び人里に下りてきてしまうクマもいる。どの時点で殺処分かはともかく、ガイドラインは必要だ」と言う。一方で、クマの保護を訴える意見もある。日本熊森協会県支部は自治体への要請活動を展開し、今月は県猟友会にクマの狩猟禁止を求める嘆願書を提出した。クマの殺処分に関するガイドラインは、神奈川県などが策定している。同県は状況に応じて5段階の対応を示し、人身被害の危険がある場合は殺処分を検討すると明記している。山梨県は、ガイドラインに目撃情報への対応から、わなにかかった場合の対処、市街地に出没した時の連絡体制、放獣と殺処分の判断基準などを盛り込む方向で検討している。
(クマ被害相次ぐのはなぜ、伝統狩猟者「マタギ」に聞く:秋田)
クマによる人や農作物の被害が相次いでいる。県内では今年度、8人がけがを負い、目撃は400件を超えた。大量出没の背景に何があるのか。「山の専門家」である伝統狩猟者「マタギ」に尋ねた。クマの出没は今も続いている。19日午後1時半ごろ、能代市腹鞁ノ沢の能代市保健センター敷地内に子グマが現れ、捕獲の際、市臨時職員の男性が左手中指をひっかかれ、軽いけがをした。通報を受けた市農林水産課によると、子グマは体長約70センチ。その後、子グマは隣の能代山本医師会病院に入ろうと、ドアをよじ登ったり、センター職員らが捕獲しようとかぶせた網をすり抜けたりした。約20分後に捕獲され、猟友会員の手で山に放された。先月22日にも北秋田市阿仁根子の山中で、キノコ採りをしていた市内の団体職員の男性(63)が、親グマ2頭と子グマ1頭に遭遇。子グマに右足をかまれて重傷を負った。今年度、県内でクマによる人身被害は8人。県警生活環境課のまとめでは、今季の目撃件数は約450件で、昨年同期より約200件増えている。これまでで最も多い2001年の532件に迫る勢いという。県自然保護課によると、猟友会の観察調査で今年度、1052頭が生息していると推計されている。すでに10月末で227頭が捕殺され、特定鳥獣保護管理計画に基づく上限枠(105頭)を大幅に超えたため、県は今月15日に解禁された狩猟を自粛するよう呼びかけている。湯沢市秋ノ宮でマタギ料理「きのこ屋」を経営する菅詔悦さん(66)の話店で提供する山菜やキノコ、川魚や獣を求めて、山にはほぼ毎日入っている。20歳ごろから狩猟を始めたから、庭みたいなもんだ。今年は栗園や果樹園を荒らしたクマを4頭、湯沢市から駆除要請があって仕留めた。クマは1度でも里の味を覚えると、毎年必ず来るから。大量出没は、林業が廃れて里山が荒れ放題になってしまったのが大きい。以前の里山には人が入り、餌にならない針葉樹林が植えられていた。今はクマが住む奥山と、人間が住む集落の境界がなくなった。クマが里を荒らすことなんてめったになかったが、20年ほど前から被害が出るようになった。今は里山に住み着いているクマも少なくない。山登りや山菜採りで食べ物を里山に捨てるから、味を覚えてしまうんだ。原因をたどれば、人間が悪いんだよ。運悪く出会ってしまったら、黙ってクマの目を見つめることだな。騒いでは駄目。昔から「死んだふりがいい」って言うのはそういう意味。クマは臆病(おくびょう)で用心深いから、いずれ去っていく。それでも襲ってきたら、木の棒か何かで、弱点の鼻先を思い切りたたくしかないな。まともに戦って勝てる相手ではないよ。 北秋田市阿仁の比立内集落のマタギを率いるシカリ(頭領)の松橋吉太郎さん(77)の話10代の頃から「巻き狩り」(集団狩猟)をしてきた。仲間からは「親方」って呼ばれる。数え切れねえクマを仕留めてきたっすな。クマは、山の神からの授かりものだ。大量出没のわけは、クマが増えたんでねか。おらが子どもの頃に比べたら、倍はいる。県に頼まれて猟友会で生息数の調査を4月ごろにしているが、ちょうどその時期は子グマが穴さ入っているので親グマも姿を見せね。調査の後に出てくる。調査時期や方法を考え直す必要があるんでねか。クマは雑食で、本来、木の実や虫を食べるけど、最近はカモシカを襲う姿を見かけるな。クマ同士で共食いをしていたって話も聞いたすな。人に後ろから襲いかかってくるようにもなった。臆病な動物だけど、肉食系になってるすな。人間の食べたものを投げる(捨てる)のが一番よくね。味を覚えてしまって、人間を怖がらなくなるから。熊と会ったら、にらみあいっこしながら、ゆっくりと上着やリュックサックをその場に置いて後ずさるのがいい。熊は目が悪いから、人間のにおいがついたものを置いてけば、ごまかされるっすな。

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(射撃女子クレー・トラップ個人、中山が金)
広州アジア大会は19日、射撃の女子クレー・トラップ個人で中山由起枝(日立建機)が金メダルに輝いた。この種目での日本勢の優勝は初めて。予選は第1ラウンドで満点をマークするなど2位に3ポイント差を付けて71点で首位。決勝も勢いを保ち、集中を切らすことなく逃げ切った。予選、決勝合計89点をマーク。自らのよりどころとなるべき日本クレー射撃協会は、役員人事をめぐって内紛状態にある。直前まで大会に出場できるかさえ分からず、日本オリンピック委員会(JOC)に直接派遣してもらった経緯がある。そのJOC幹部がそろって応援に駆けつけた。中山は「悪いニュースばかりだったから、本当に明るいニュースを提供したかった」と、安堵(あんど)の言葉で振り返った。鈴慶子(同)は予選上位6人による決勝に進めず、19位。
(クマに襲われ78歳男性重傷:石川)
19日午前11時ごろ、加賀市熊坂町の山林で、近くの無職男性(78)が山仕事を終えて戻る途中、飛び出してきたツキノワグマに襲われ、顔面にけがを負った。男性は自力で軽トラックを運転して自宅に戻り、家族が119番通報して病院に搬送された。加賀市消防本部や大聖寺署によると、男性は命に別条はないものの、左ほおなどを縫う重傷。同市では15日朝にJR大聖寺駅構内で列車にはねられたと見られるクマの死体が見つかるなど、クマの出没が相次いでいたが、けが人が出たのは初めて。市農林水産課などが市民に注意を呼びかけている。
(いたずら子グマ「捕物劇」:秋田)
19日午後1時半ごろ、能代市腹鞁(はらがい)ノ沢の能代市保健センター付近に体長約70センチの子グマが出没、隣接する能代山本医師会病院裏手のドアによじ登るなどして暴れたが、約30分後にネットで捕獲され、地元猟友会により市内の山に放された。センターと同市によると、子グマは高台にあるセンターの裏の土手をよじ登って敷地内に侵入。病院の調理場につながるドアによじ登ったり、ガラス越しに中をのぞくなどしていた。センター職員や市臨時職員ら10人ほどが、ネットで捕獲を試みた。子グマは暴れ、かぶせられたネットをいったんすり抜け逃げたが、病院の外壁に追い詰められ捕まった。捕獲の際、市臨時職員の男性(53)が左手中指をひっかかれ、軽傷を負った。
(住宅地にイノシシ、主婦襲われ軽傷:佐賀)
20日午前9時25分ごろ、佐賀市久保田町久富の女性(45)から「自宅敷地内でイノシシにかまれた」と110番があった。女性は左足太ももに軽いケガ。イノシシは近くの嘉瀬川河川敷に逃走したが、午後1時すぎ、佐賀市猟友会が協力し、猟銃で仕留めた。 佐賀署によると、女性は飼い犬がほえていたので、小屋に行ったところ突然イノシシが飛び出して突進してきたという。女性が襲われたのは国道444号沿いの住宅地で、イノシシはメスで体長120センチ、体重60キロだった。
(イノシシに襲われ男性けが:佐賀)
19日午前7時ごろ、杵島郡白石町福富の六角川河口付近の桟橋で、同町内の農業男性(71)が、イノシシ1頭に襲われ、左手人さし指をかみつかれるなどし、けがを負った。白石署によると、男性は襲われた後、約150メートル先の有明海機動警ら隊に駆けこみ、救助を依頼した。約20分後には、現場近くのコンビニエンスストアの駐車場付近で、イノシシがうろついているのを通行人が見つけ、同署に通報した。同署は県猟友会白石支部員に駆除を要請。支部員は同日午前8時半ごろ、男性が襲われた現場から約1・5キロ離れた同町福富下分の六角川の河川敷で、男性を襲ったとみられるイノシシを見つけ、2発目が命中し射殺した。イノシシは体長約60センチ、体重約30キロで、成獣になる前とみられる。白石町産業課によると、10月末までに同町内で捕獲したイノシシは254頭。昨年1年間は133頭で、ほぼ倍増している。山沿いではコメやミカンなど農作物が食い荒らされる被害が報告されている。有明海沿岸の平野部で出没が確認されたのは、今年はほかに2件ある。同課は「山から遠く離れた海沿いまで現れるのはここ数年なかったことで珍しい。六角川を下ってきたのかも」と話す。猟友会支部員によると、近くの牛津川周辺では4~5年前から目撃情報があるという。
(イノシシ6頭、乗用車と衝突して死ぬ:香川)
香川・三豊市の県道で19日夜、親子とみられるイノシシ6頭が車と衝突し、6頭とも死んだ。車の運転手にケガはなかった。三豊市高瀬町の県道で19日午後9時45分ごろ、道路中央にいたイノシシ6頭に、29歳の男性が運転する普通乗用車が衝突した。車は前方部を大破したが、男性にケガはなかった。イノシシは親子とみられる幼獣4頭と成獣2頭で、6頭とも死んだ。香川県内では今年、イノシシが民家近くへ出没し、被害が相次いでいる。獣医師の話では、イノシシは餌を探して一家で移動する習性があり、今回も餌を求めて親子で移動していたのではないかとみられている。
(捕獲母グマ山へ帰す:和歌山)
県は19日、16日に紀美野町中田でわなにかかった雌のツキノワグマ(体長1メートル18、推定6~8歳)を山奥に放した。わなの近くにいた子グマ2頭と一緒に放す予定だったが、子グマが山に逃げたため、母グマだけを放した。クマは声やにおいでお互いを見つけられるといい、県自然環境室の担当者は「どうか山で親子が出会えるように」と願っている。母グマは16日午前11時頃、畑に仕掛けられたイノシシ用の箱わなにかかっているのが見つかり、近くにはシバ犬ぐらいの大きさの子グマ2頭が眠っていた。しかし、県職員が近付いたところ子グマは山に逃げた。子グマは、今年初めに生まれたとみられ、県は3日間、発見場所近くにオリを置いて母グマを入れ、ハチミツを入れたわなを用意。しかし、子グマは現れず、母グマだけを放すことになった。現在、県内には約20頭のツキノワグマが生息しているとされ、県のレッドデータブックでは絶滅危惧(ぐ)1類に指定されている。
(シカ捕獲実施で入山者に注意を:徳島)
徳島、高知両県にまたがる「国指定剣山山系鳥獣保護区」でニホンジカが増加し、希少な植物や自然林などへの食害が深刻化していることから、環境省中国四国地方環境事務所は今月から来年3月15日まで、計画的なシカの捕獲を実施する。期間中に入山する人には目立つ服装にしたり、捕獲従事者から指示があれば従うよう注意を呼びかけている。同事務所によると、美馬市、三好市、つるぎ町、那賀町の同保護区と周辺地域で目標頭数は170頭。県猟友会に委託し、銃器や囲いわなで捕獲するが、銃器使用は日曜のみに限る。捕獲の際には、標識やのぼり旗で注意を喚起する。同事務所が08年度に実施した生息密度調査によると、保護区には1平方キロメートルあたり7・2頭のシカが生息、「適正値」とされる3~5頭を上回った。降雪の少なさから越冬が容易なことなどが増加の一因とみられる。同事務所は昨年度からシカの捕獲による個体数管理を開始。昨年度は40頭を捕獲したという。
(JR千歳線、特急とシカ衝突:北海道)
19日午後5時25分ごろ、JR千歳線の美々駅(千歳市)―植苗駅(苫小牧市)間で、札幌発函館行きの「特急スーパー北斗18号」(7両編成)がシカと衝突し、緊急停車した。乗客331人にけがはなかった。JR北海道によると、特急は42分遅れで運転を再開。この事故で快速列車など2本が部分運休し、計約1千人に影響が出た。

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(住宅街で2匹のイノシシ:熊本)
熊本市の住宅街で2匹のイノシシが確認され1匹が捕獲されました。近くには小学校もあり、熊本市や警察などでは注意を呼びかけています。午後3時すぎ熊本市島崎の住宅街にいるところを発見されました。すぐそばにある城西小学校が警察に連絡、警察官や熊本市動物愛護センターの職員計14人で2匹のうち1匹を捕獲しましたが、1匹は逃げたということです。城西小学校では多くの児童が通る通学路でもあることから注意を呼びかけています。市動物愛護センターでは「ウリボウだからかわいいと思って近付いたり、エサを与えたりすることは絶対にしないでください。本来イノシシというのは夜中に行動する動物ですごく臆病なんです。イノシシがいたらこちらに人がいるということを教えてやることも必要」と話しています。
(特産カキの木、クマ荒らす:富山)
砺波市栴檀山地区で、特産の「ふく福柿」のカキ園がクマに荒らされ、3割近くの木が折られるなどの被害に遭っていることが、18日までに分かった。同市では今年、クマの目撃・痕跡情報が、大量出没年の2006年に比べて7割近くも増えており、今後も被害の拡大が予想されることから、ふく福柿出荷組合は来年の大幅な収量減を懸念している。ふく福柿は「刀根早生(とねわせ)」という品種の渋柿で、栴檀山地区の農家約20軒が約5・2ヘクタールで約2000本を栽培しており、今年は昨年より3トン多い約15トンを収穫した。宮木文夫組合長によると、今年はクマの大量出没が予想されたことから、各農家に呼び掛けて早期の収穫に取り組んだ。このため、カキの実の被害はほとんどなかったが、同市井栗谷などで、クマが一部残ったカキの実を食べにきて枝を折る被害が多発した。宮木組合長らが剪定(せんてい)の準備などのためカキ園を回っているが、3割近くの木が被害に遭ったとみられる。砺波市では18日現在、駆除5件、目撃17件、痕跡52件の計74件のクマ情報があり、06年の44件を大きく上回っている。市農業振興課は「まだ奥山に戻らないクマが何頭かいる」としており、今後も冬眠前のクマによるカキの木の被害が拡大する恐れもある。ふく福柿出荷組合によると、これまでもクマによるカキの木の被害はあったが、3割近くが被害に遭うのは初めてで、宮木組合長は「このままでは来年の収穫に大きな影響が出る」と表情を曇らせている。
(住宅街にクマ出没で大捕物:福井)
勝山市中心部の住宅街に18日朝、体長60~70センチの子グマが現れ、勝山署員や市職員ら約20人が1時間にわたって追跡する“捕物”となった。子グマは追跡を振り切って500メートル北にある長山公園に逃げた。けが人はなかった。午前7時10分ごろ、同市昭和町2丁目の市営体育館付近に子グマがいるのを住民が見つけ、市に通報した。間もなく、市から連絡を受けた同署員が駆け付け、民家の庭にいる子グマを発見した。「そっち行ったぞー」「まだこの家にいる」などと大声が飛び交う中、住民への被害を防ぐため網やさすまたで捕獲しようと試みたが、逃げ足が速く振り切られた。現場は勝山南高、勝山高、成器西小に近く、追跡時はちょうど高校生の通学時間帯。勝山南高では教員らが周辺に立ち、生徒の登校を見守った。近くをウオーキングしていた女性(75)は「最近、クマの出没が少し収まったと思っていたのに…。朝の8時ごろなら人や車の通りがあって大丈夫だと思ったけど怖い」と不安げに話していた。
(ツキノワグマ大量捕獲に揺れる町:鳥取)
鳥取県東部を中心にツキノワグマの捕獲が相次ぎ、県内の今年の捕獲頭数は延べ120頭(17日現在)に達し、過去最多だった2004年の73頭を大きく上回った。捕獲頭数の約6割を占める八頭町は、10月下旬に緊急対策会議を開き、対応を余儀なくされてきた。これからクマは冬眠期に入るが、住民や行政は対応に苦慮している。約2キロにわたり集落を囲うように張り巡らせた電気柵。梨や柿の果樹園を抱える八頭町皆原地区に広がる。かねて住民を悩ませていたシカやイノシシなどの害獣対策にと、電気柵は8月上旬に設置が始まり、10月下旬に設置が完了した。同地区で今年捕獲されたクマは町内最多の延べ16頭にも上る。電気柵設置以降は集落での目撃情報はなく、クマ対策用としてではなかった電気柵が、今年は大量出没に効果を発揮している。「電機柵設置で集落内の目撃情報はなくなったが、いつ飛び越えて来ないとも限らない。例年はイノシシなどの被害に悩まされているが、クマとは…」。加藤祥教地区長(64)は胸の内を語る。集落では「今日はどこそこで捕獲されたらしい」「来年も同じような状況が続くのではないか」などと不安の声。殺処分に対しては「かわいそうだが、人間に被害が出てからでは遅い」と、複雑な心境も聞こえてくる。近隣の地区でも捕獲は相次ぐ。同町日下部地区では民家に近い果樹園と目と鼻の先に仕掛けられたおりに捕獲され、生活圏内にクマが入り込んだ状況に気をもむ。今月15日には狩猟解禁を迎えたが、県猟友会(柴垣信司会長)はクマの狩猟を自粛している。行政からの依頼を受け、ボランティアで殺処分を引き受けているが、関係者は「依頼を受けて地元のために取り組んでいるが、一部で猟友会が率先して殺処分をしているかのような誤解が生じているようだ」と困惑する。農業被害が拡大するのに伴い、農業を本業とする会員からは、狩猟自粛に反対する意見も出てくるなど、同会も保護と被害予防の間でジレンマを抱えているという。県自然公園課の西信介副主幹によると、例年は6~7月に目撃、8~9月に捕獲ピークを迎えるが、今年は山の餌不足でサイクルが変化し、10~11月に全体の約7割が捕獲されている。ただ冬眠地への移動は始まっており、懸念されている「冬眠が遅くなるのでは」という心配はあまりないと分析。過去の統計からも、餌が不足することで、逆に早めに冬眠をする傾向にあるとしている。保護の観点などからクマ対策はさまざまな議論を呼んでいるが、餌不足の原因の一つとされる「ナラ枯れ」などの里山荒廃の問題や、人里にまで出没しなければならなかった背景などの究明も求められる。クマが冬眠している時間に、人間が考えなければならないことは山積みだ。
(シカ・イノシシの飛び出し注意:大分)
豊後大野市内の幹線道路で、シカやイノシシと衝突する交通事故が増えている。今のところ大事故には至っていないが、豊後大野署は注意を呼び掛けている。同署によると、動物が原因となる交通事故は10月に集中。事故処理したものだけで8件あり、昨年10月の1件と比べると大幅に増加している。先月の8件は国道326、502、57号など。極端な山中ではなく、通行車両の多い幹線道路で発生している。ほとんどがシカで、イノシシ1件、種類の分からない小動物1件。夜間から未明にかけての時間帯が多い。突然、飛び出してきたシカと衝突したり、避けようとして縁石やガードレールにぶつかっている。市などによると、ことしは山に餌が少ないことが影響しているとの見方もある。同署は「夜間の事故が多く、対向車がなければハイビームにしていち早く動物を見つけることが大切。できるだけスピードを抑えてほしい」と呼び掛けている。
(ハンター減、若手なり手少なく:北海道)
胆振管内で猟銃使用の免許を持つハンターが、昨年度末で379人となり5年前に比べて100人以上減少したことが、胆振総合振興局のまとめで分かった。一方で、エゾシカの食害は深刻化しており、駆除の担い手の減少に各自治体は危機感を強めている。ハンター減少の主な要因は、高齢化と経済的な負担の重さ。「若者のなり手がなく高齢化は進む一方」(道猟友会伊達支部)という状況に加え、ライフル銃の銃弾は1発700円~800円と高額なことから、「勤め人には負担が重く免許更新を断念する人が多い」(同支部)という。昨年の銃刀法改正による規制強化も逆風になっている。3年に1度の狩猟免許試験で、新たに精神科医の診断書が必要になり、免許更新をためらう人が増えているという。室蘭市と登別市を管轄する道猟友会室蘭支部では、本年度10人以上が免許を更新せず、会員数は60人を割り込んだ。これに対し、エゾシカの増加などで自治体が地元猟友会に出動を依頼するケースは増えている。室蘭市では昨年度の86回から、本年度は既に141回に達している。登別市も8月末までに延べ134人のハンターに出動を要請した。両市の担当者は「人に危害を加える動物の駆除はハンターにしか頼れない。減少に歯止めがかかれば」と頭を痛める。胆振総合振興局はハンター養成のため、年2回だった室蘭での狩猟免許試験を、本年度から3回に増やした。農閑期の2月に実施し農業者の免許取得を促す狙い。ただ、猟友会関係者は「規制の厳しさは変わっておらず、大幅に人数が増えることはないのでは」と厳しい見方をしている。
(ドアに体当たりする凶暴なサル:佐賀)
武雄市山内町の山すその民家の敷地に18日、野生のサルが現れた。ドアに体当たりするなど凶暴さもみせたため、山内西小は集団下校、市も防災行政無線などで注意を呼び掛けている。午前9時ごろ大野地区、午後2時半ごろ今山地区の住民が自宅敷地にいるのを目撃、山内支所に電話した。今山地区では通報者が自宅内に逃げた後、ドアに体当たりしてきたという。午後4時ごろにはパトロール中の警察官が大野地区の農道で目撃した。体長1メートルほどあったという。市によると、武雄市では中山間地でサルが出没するという。人への被害の報告はないが「目を合わせたり、近寄ったり、大声を出したりしないでほしい」と注意を呼び掛けている。

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(散弾銃誤射、34歳男性軽傷:秋田)
15日午前11時ごろ、にかほ市前川合田の山林で、キジ猟をしていた同市の男性(34)が同市伊勢居地南野、にかほ市職員、須藤重信さん(53)の撃った散弾銃の弾に当たり、頭や胸などに軽いけがをした。にかほ署の調べでは、2人は狩猟仲間。須藤さんがキジを見つけて撃った際、正面方向にいた男性に散弾の一部が当たった。須藤さんは「気付かずに撃ってしまった」と話している。この日はキジ猟の解禁日だった。
(銃弾民家に、誤射か:長野)
15日午後3時35分ごろ、坂城町南条の30代の会社員男性から「自宅に戻ると、玄関にドリルで開けられたような穴があった」と、千曲署に通報があった。同署によると、玄関のドア上部に銃弾が貫通したとみられる穴が開いており、署員が室内から銃弾とみられる金属片を発見した。けが人はなかった。同日は今年の狩猟解禁日で、男性宅から数百メートル離れた山林でも猟が行われていたという。同署は、ハンターの誤射で銃弾が民家に撃ち込まれたとみて調べている。この日、県内の山や河川敷などではハンター約700人が狩猟を行い、猟友会員らが約780人態勢で、事故防止のための指導や取り締まりを実施していた。県内で狩猟の対象になるのはシカやイノシシ、キジなどの野生鳥獣47種。期間は来年2月15日までで、シカとイノシシのわな猟は同3月15日まで。近年、野生鳥獣の農作物などへの被害が増加する一方、高齢化などで猟師の減少も懸念されている。
(県内の狩猟解禁:福島)
今年度の福島県内の狩猟が15日、解禁された。桑折町と伊達市にまたがる阿武隈川の伊達崎橋河川敷では、日の出とともに鮮やかなオレンジ色のベストに身を包んだハンターがキジなどの獲物に素早く照準を合わせていた。県警はこの日、各地の猟友会などと連携し約820人態勢で違反取り締まりに当たった。県内で事故の発生はなかったが、実弾を装てんした猟銃にカバーを付けずに公道を歩いたとして銃刀法違反(安全措置義務違反)の疑いで1人を任意で取り調べた。狩猟期間は来年2月15日までの3カ月で、農作物などに被害を及ぼしているイノシシは来年3月15日まで。
(狩猟解禁:滋賀)
今季の狩猟が15日、解禁された。対象はカモなど鳥類29種類とイノシシやシカなど獣類20種類の計49種類で、来年2月15日まで。県内ではシカの食害が深刻化しており、シカに限っては09年度から狩猟期間を1カ月延長し、来年3月15日までとしている。シカについて県は、現在生息する約2万9000頭を来年度末までに1万頭まで減らしたい考えで、禁猟期の有害鳥獣駆除事業として1頭あたり1万~1万4000円を市町を通じて補助してきた。今季の助成は15日で終わるが、来年度は狩猟期間中も補助の対象とすることを検討している。
(猟解禁日にクマ捕殺:岐阜)
県内で狩猟が解禁された15日早朝、垂井町市之尾の山林に仕掛けられたイノシシ猟用の箱わなにツキノワグマ1頭が入り、町の判断で射殺された。鳥獣保護法では、狩猟でのクマに対するわなの使用は禁止されているが、クマの脱出穴を備えた箱おりはまだ少ない。県は猟期前、クマの捕殺数急増を受けて銃猟の自粛を要請していたが、解禁初日で獲物を選べないわな猟の問題点が浮き彫りになる形となった。垂井署によると、同日午前6時20分ごろ、地元住民が箱わなにクマが入っているのを見つけ、町役場に通報。町や猟友会などが協議したが、おりが壊される危険があるとして、約2時間20分後にクマを射殺した。箱わなは、大垣市の男性が狩猟のために仕掛けたもので、クマの脱出口はなかった。この日は、隣接の関ケ原町でもクマ1頭が有害鳥獣駆除用の箱わなにかかり、射殺された。県によると、4月から今月11日までに県内で捕獲されたクマは計205頭。そのうち192頭が射殺された。県内のクマの推定生息数は約1300頭とされ、狩猟解禁とともに急激な頭数の減少が心配される。県猟友会によると、2009年度のわな猟会員は全体の2割を超える508人で、農業関係者の狩猟免許取得が増えているという。箱わなには米ぬかなどのえさを入れるため、冬眠前に食べ物を求めるクマの被害が増える可能性が高い。県は「垂井町の対応は適切」とコメント。今後は、本年度に捕獲されたクマの性別や年齢、捕獲場所などのデータ分析を進め、クマの捕獲上限数などを定める特定鳥獣保護管理計画見直しの検討などに活用するという。環境団体「日本熊森協会」は、一連の対応を「その場しのぎに過ぎない」と批判。「このままでは、絶滅の危機が現実になる。クマが生息できる環境の整備が必要」と危機感を強めている。
(クマ捕獲、県内出没は今年度74件目:和歌山)
紀美野町中田地区で16日午前11時ごろ、成獣のツキノワグマが鉄製のイノシシ用の箱わなにかかっているのが発見され、午後6時すぎに役場職員らによって捕獲された。捕獲されたのはまだ若いクマで、わなの近くで子グマとみられる2頭も目撃されており、今後は子グマも捕獲し、一緒に山の奥に放すという。見つかったのは生石山近く。地元住民男性(52)が山椒を栽培している畑にイノシシ用の箱わなを仕掛けておいたところ、クマがかかった。同町では先月21日、ハチミツを集める養蜂箱6箱が荒らされており、クマによる被害と見られている。今回捕獲されたクマは若いメスで、全長約118・5センチ、体重38キロ。この時期の個体に比べてやややせぎみで、冬眠に向けたえさ探しのためにふもとまで下りてきたようだ。体に個体識別のマイクロチップなどが埋め込まれていないことから、今回初めて捕獲されたクマと分かった。子グマはまだ近くにいると考えられ、この日は箱わなに入ったクマの近くに子グマをつかまえるためのわなを2基設置、クマにはハチミツなどをえさとして与えた。クマを調査した獣医師の加藤洋さん(30)は「現れたクマをむやみに殺すのではなく、人里に出没した原因を減らすなど人間が環境づくりをしなければいけない」と話していた。今年度の県内のクマ出没件数は今回を含めて74件。うち目撃数51件。紀伊半島のツキノワグマ生息数は約180頭(うち県内には約20頭)と推定され、環境省レッドリストでは「絶滅のおそれのある地域個体群」、県レッドデータブックでは「絶滅危惧I類」とされている。和歌山、三重、奈良では保護の必要から狩猟が禁止されている。
(過去10年分を超える、ツキノワグマ捕獲数:和歌山)
和歌山県印南町以北で、保護動物のツキノワグマが相次いで捕獲されている。16日には紀美野町で見つかった。自力でわなをこじ開けて逃げたものを含めると本年度は5匹目となり、過去10年分を超える捕獲数となった。県自然環境室は今後も増える可能性があり、警戒を強めている。16日午前11時ごろ、紀美野町のサンショウ畑で、イノシシ対策の箱わなに成獣のクマが掛かっているのを畑の所有者が発見、町役場に連絡した。箱わなの周囲にいた子グマ2匹の姿が見えなくなっており、子グマ用の箱わなを設置して2、3日様子を見る。捕獲したクマは、できるかぎり親子で山奥に放したいという。同町では10月21日に養蜂箱6箱が壊されているのが見つかっている。本年度はこれまで、6月3日(日高川町猪谷地区)、10月10日(印南町川又地区)、11月7日(九度山町丹生川地区)にそれぞれ1匹ずつ捕獲され山に放たれている。10月21日には、同町北又地区で箱わなに入った1匹が逃げている。2000年度から09年度までの10年間では計4匹が捕獲(許可捕獲3匹、錯誤捕獲1匹)されているだけ。本年度はクマの出没情報も田辺市龍神村や旧美山村(日高川町)などを中心に急増しており、昨年度の10倍以上となる74件(うち目撃51件)となっている。県自然環境室は「捕獲されたクマは体が小さくて痩せているようだ。ドングリなど山中の餌が不足している可能性がある」と分析している。
(男性がクマに腕をかまれけが:富山)
16日午前、魚津市で82歳の男性がクマに襲われ腕にけがをしました。16日午前11時20分ごろ、魚津市布施爪で、自宅裏の斜面で草刈りをしていた畠山唯一さん82歳がクマに襲われ左腕をかまれました。畠山さんはすぐに病院で手当てを受けましたが左腕に2週間程度の軽いけがをしました。クマは子グマと見られていて、畠山さんを襲った後、山のほうへ逃げました。市のほうでは職員がクマが逃げ込んだと見られる山に向かって爆竹を鳴らし人家に近づかないようにしているほか猟友会が警戒にあたっています。また、警察や消防では現場周辺にパトカーや広報車を出して付近の住民に警戒を呼びかけています。県内で今年、クマに襲われてけがをした人は、これで10人となりました。
(クマ射殺、今年度4頭目:愛知)
16日午前6時45分ごろ、豊田市東郷町の林で、イノシシ捕獲用のおりに入ったツキノワグマが見つかった。クマが暴れておりがもたないなどとして約5時間後に射殺された。5歳のオスで、体長115センチ、体重約80キロ。市内の今年度の射殺は10月30日以来4頭目。
(クマが車と並走、体当たり:山形)
17日午後7時ごろ、飯豊町小白川で、軽乗用車で走行中にクマと衝突したと、運転していた男性会社員(26)が家族を通じ長井署に届け出た。同署によると、男性が町道を走行中、体長約1.2メートルのクマが左側から飛び出し、車の左前方部とぶつかった。クマは西の山に逃げたという。男性の話では、クマは突然車の左側に現れ、数メートル並走した後、急に前方に飛び出したという。環境省は、ツキノワグマの走る速さは時速40キロに達するとしている。地元消防団などが付近をパトロールしたところ、現場から約100メートル北の同町椿の道路で同じクマとみられる足跡を発見した。衝突した場所の約300メートル東に飯豊二小があり、同署はパトロールを強化している。
(クマ、就寝中に住居侵入:山形)
17日午前6時ごろ、飯豊町上屋地の農業、渡部忠市さん(67)方で、住宅南側和室のガラス窓が割られ、和室の衣服が散乱し、台所の漬物樽がひっくり返され、ナスやキュウリの漬物が食べ散らかされているのを渡部さんが発見した。勝手口の木のドアにツメでひっかいたような跡があり、近くの畑にクマの足跡が残っていたことなどから長井署はクマが室内を荒らしたとみている。渡部さんは、妻と母の3人暮らしだが、別の部屋で寝ていて全員無事だった。同署によると、和室の外側には、2階から干し柿がつるされており、クマは柿につられて住宅に入った可能性が高いという。渡部さんは「クマが人の家に入るなんて聞いたことがない。家の中にクマがいたと思うと怖い」と話した。一方、鶴岡市温海でも、17日午前8時ごろ、農作業小屋につるしてあった干し柿約200個が食い荒らされているのを所有者が発見した。鶴岡署によると、現場にクマのものと思われる約20センチの足跡があり、同署はクマが荒らしたとみている。
(電線で宙吊り、クマ感電死:岩手)
雫石町長山の山林で、電線をくわえたまま宙づりになった状態で感電死しているクマが16日発見された。東北電力盛岡営業所によると、9月にも宮古市田老の山林で同様の事故が発生している。電柱を登り事故に遭ったとみられるが、なぜ登り、どうして電線をくわえていたのか、理由は謎に包まれている。同営業所は16日午前、雫石町の玄武温泉から北方約1キロ付近で、電柱(高さ約11メートル)から延びる電線をくわえ、ぶら下がった状態で感電死しているクマを発見。体長約1・4メートルの雌だった。15日午後5時44分ごろ、同町西根、長山の41戸で数十秒の停電が発生。この時、クマが電線に接触したとみられる。9月に発生した宮古市田老での事故は、電線下で感電死したクマが発見された。電線にはクマのかみ跡があり、感電して落下したとみられる。
(クマが油飲む?:石川)
白山市白峰の林業作業現場付近で16日までに、チェーンソーの燃料タンクやプラスチック製の燃料保管容器がクマに壊されているのが見つかった。周辺に燃料が流れ出た形跡がないため、「クマが飲んだのではないか」と関係者の憶測を呼んでいる。石川県林業試験場によると、クマは揮発性がある油のにおいを好み、ペンキ塗り立ての標識がかじられた例がある。ただし、「飲んだという話は初めて聞く」(同試験場)といい、クマの健康被害は分からないという。チェーンソーと容器は、かが森林組合(小松市)の作業員2人が10日ごろ、作業後にビニールシートで覆い地面に置いて帰宅した。翌日、チェーンソーのタンク部分と容器が壊され、計約1リットルの燃料がなくなっていた。クマがつめなどで穴をあけたとみられる。被害に遭った村田謙二さん(63)=小松市串町=は「チェーンソーを毎日持ち帰るようにしたが、重くて困る」と話した。
(ナ大凶作でクマ出没続く:岩手)
県内では今秋、クマの好物のブナの実が大凶作となっている。今年は平年に比べクマの出没件数が急増しているが、冬眠前の餌の減少で今後も出没が続く可能性が高い。林野庁東北森林管理局が、10月に県内の24地点で実施した調査では、ブナの実は豊作時の2割未満しか結実していない。一般的にブナの実は5~7年の周期で豊作、凶作を繰り返しており、担当者は「今秋の凶作も周期的なものと考えられる」という。県警地域課によると、今年同様に大凶作だった06年には10月に52件、11月に入っても14件の出没が確認されている。野生動物の生態に詳しい独立行政法人・森林総合研究所東北支所の大西尚樹主任研究員は「ブナの実が凶作の年には、クマが山から人里に下りる傾向が強い」と指摘する。今年も10月の出没件数は19件となっており、大西研究員は「クマが冬眠する前の11月いっぱいは注意が必要だ」と話している。
(住宅街にイノシシの群れ:福岡)
飯塚市の住宅街にイノシシの群れが毎晩現れ、ごみをあさっている。人間が捨てた菓子やジュースなどのごみを餌と認識しているとみられる。筑豊地区ではイノシシの捕獲数が急増。大阪府では13日にイノシシが暴れて小学生ら5人がけがをした。専門家は「子イノシシのそばには親がいることが多い。興奮して人間に危害を加える恐れもある」と注意を呼び掛けている。15日午後6時ごろ、飯塚市川津の市道脇。雑木林からガサガサと草を踏む音が響き、体長約60センチの子イノシシ8匹が姿を現した。人や車、カメラのフラッシュにおびえる様子はなく、捨てられた菓子などを食べ始めた。背後から2匹の親イノシシが周囲をうかがい、目が不気味に光った。近くの主婦によると、イノシシの群れは9月から毎日出現している。市の中心部から北西へ約2キロの住宅街。道を隔ててスーパー、50メートル先には九州工業大があり、通学路にもなっている。道路脇には数年前から食べ物のごみが捨てられ、最初は野良猫が集まり、今年からイノシシが来るようになった。住民は「ごみと一緒に子も増えた」と困り顔だ。飯塚市内野では今月初旬、住民グループが育てたソバ畑約4千平方メートルがイノシシに襲われ、2-3日で全滅。23日に予定していたそば打ち体験などのまちおこしイベントが中止に追い込まれた。県嘉穂・鞍手保健福祉環境事務所によると、筑豊地区の2005年度のイノシシ捕獲数は514匹だったが、09年度は約2・5倍の1278匹に増加。県全体では05年が9272匹、08年が15426匹と約1・7倍に増えている。九州歯科大の荒井秋晴准教授(動物生態学)は、狩猟人口が減る中で捕獲数が増加しているのは、人家に近づくイノシシが増えているためだと指摘。「放置ごみや農作物など安易にありつける餌の味を覚えると、何度でも人里に下りてくる」として「餌場を覚えさせないことが大切。見かけても決して近づかないように」と話している。
(イノシシ衝突、女性がけが:愛媛)
14日午後4時45分ごろ、松山市朝生田町の小野川を1メートルほどのイノシシの子どもが泳いでいるとの通報が松山南署に相次ぎ、同5時15分ごろには、同市西石井4丁目の路上で、50代女性の自転車にイノシシが衝突、女性はひざに打撲などのけがを負った。同署によると、イノシシは川から土手を登って路上に出て女性に衝突したとみられる。署員が付近を捜索したが、見つからなかった。15日朝には、近隣の小学校で教員らが登校時の見守りを実施。警察関係者は「市街地での目撃は珍しい。小野川を下がってきたのだろうか」と驚いていた。
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(野生動物の適正管理で円卓会議:東京)
シカやクマによる農林業などへの被害が深刻化する中、野生動物の適正管理の在り方について考えようと、狩猟者や自然保護の団体などが円卓会議を創設し17日、東京都内で初会合を開いた。会議創設の背景には、各種被害を防ぐ担い手となる狩猟免許取得者が年々減少、高齢化が進んでいる現状がある。円卓会議は来年6月をめどに提言をまとめる予定。
(シカ衝突、対策苦闘)
山間部を走るJRの線路で毎晩のように動物と列車との接触事故が起きている。大半はニホンジカで、同じ日に同じ列車が3匹はねることもあった。事故は5年前から急増。10、11月に特に多いが、確実な防止策は見つかっていない。JR東海によると、事故が最も多いのは三重県の紀勢線で、岐阜県の高山線、愛知、長野県を結ぶ飯田線が続く。いずれも夜遅くか早朝に発生している。紀勢線でシカが衝突した件数は、2005年度が160件だったが、06年度198件、07年度204件、08年度267件と急増。JR東海は昨年6月から、事故の起きやすい場所で時速30~40キロに減速する「注意運転」をするようになった。シカは列車に驚いて動けなくなる習性があるため、速度を落として警笛を鳴らし、逃がす方法を試みた。この結果、09年度は193件と減った。本年度は11月17日現在で145件と昨年並みのペースだ。これまでにさまざまな対策を取ってきた。シカが線路に入らないよう10年ほど前から線路脇にナイロン製ネットを張り、3年前からは高さ1・8メートルの金網に強化。現在、紀勢線のネットと金網の総延長は18・3キロあり、1億5000万円以上の費用をかけた。それ以前はシカが嫌がるといわれたライオンのふんをまいたり、コールタールを線路に塗り付けたりしたこともあったが、あまり効果はなかった。金網も踏切部分は設置できず、線路に迷い込んだ動物が逃げられるようにすき間を作ってあるため、完全な防護策とはいえない。三重県自然環境室によると、県内のシカの生息数は06年度調査で5万3000匹で、その後も増えているとみられる。JR東海は国や自治体にも協力を呼び掛けている。
(クマ射殺への反発ヒートアップ)
クマの駆除に対する抗議がヒートアップしている。SNS「ミクシィ(mixi)」では、人里に現れたクマを射殺したことについて、自治体に抗議の電話やメールを送ろうという呼び掛けが始まった。コメント欄には「あいつらが嫌になるくらい電話してやります」「山に入る人間も片っ端から殺せばいいじゃん」などという過激なものまで出ている。畑や畜舎を荒らすクマの被害が2010年は全国的に続出し、人里に現れる例も後を絶たない。そうした中で、「ミクシィ」内にある2010年11月10日付けの日記がネットで話題になっている。鳥取県内の熊が容赦なく殺され始めていて、それを阻止しよう、という内容だ。「動物の命を命とも思っていない」として該当の町役場の電話番号とメールアドレスを掲載。また、この抗議の文章をコピーし、ネットで広めて欲しいと訴えている。熊が人里に降りてこないよう山に餌を撒き、針葉樹を間伐し広葉樹を植える努力を行政はすべきだ、というのだ。ターゲットにされているのは八頭町。鳥取県は07年から捕獲したクマを人間への恐怖心を植え付けて放す「学習放獣」を進めてきたが、2010年8月にはツキノワグマに襲われた男性の死亡事故が起きた。また、「学習放獣」をしていないものが殆どのため、県内捕獲の6割を占めるという八頭町は射殺に踏み切った。町役場は取材に対し、「出没するクマがあまりに多く、町民の命が奪われる前に射殺するのはやむをえない」と説明する。しかし、同町がクマを射殺したというニュースが流れると、全国から100近い電話やメールの抗議が殺到。「クマがかわいそう」というものから「ツキノワグマは絶滅種だ」というものまで様々だった。「ミクシィ」の呼び掛けにコメント欄には、「抗議の電話します。転載だけでなく自分がまず行動ですね」「殺される熊さん達を想うと俺が泣きそうになった」という賛同のカキコミのほか、「人里に下りてくるから殺す?だったら山に入る人間も片っ端から殺せばいいじゃん」「手を変え品を変えあいつらが嫌になるくらい電話してやります」「吠え殺すのではなく、褒め殺すくらいの方が、相手は聞いてくれます」などといった物騒なものまである。まるで人命よりクマの命が大切だ、と読めるようなコメントに対し、ネットの掲示板やブログには「異常ではないか」という意見が多数出ている。どうして彼らはこれほどまでにクマの命に執着しているのだろうか。東京にある動物愛護団体に話を聞いてみると、愛護団体や動物を守ろうとする人の思いや立場は様々で一概には言えないが、過激な言動をする人達がいるために、動物愛護の本来の姿が歪んで伝わってしまうことを恐れている、と嘆いた。「クマに限らず犬、猫に関しても、人間関係が上手く築けない人達が動物に拠り所を求め、どっぷりはまってしまう。その結果、人間が大切か、動物が大切かの後先がわからなくなってしまい、過激な発言や行動に走るということが、たまに見受けられます」と打ち明ける。また、動物に関する知識の無い人もいて、人里に来ないように「クマさんのためにドングリを集めよう」と活動したが、集まったドングリはクマが食べない種類のものだった、ということもあった。結局は人間同士のコミュニケーションと理解が重要で、クマはどんなに危険なのか、住民はどれほど不安なのか、クマを射殺しない方法はないのかなど、話し合いの場を多く設けることが必要だと愛護団体の職員は話している。
(クリスマス向けにトナカイ肉販売したスーパー、動物愛護団体から集中砲火:英国)
英国で、クリスマス商戦の目玉商品としてトナカイ肉を販売したスーパーマーケットが、動物愛護団体から集中砲火を浴びている。英全土に530店舗を展開する独スーパーマーケットチェーン「リドル(Lidl)」は、クリスマス向け高級食材シリーズとして、英国内の店舗でシベリア産トナカイ肉を1パック350グラム、6ポンド(約800円)で売り出した。サンタクロースがプレゼントを配るソリをひくトナカイは、伝統的にクリスマスのイメージと深く結びついた動物だ。そのトナカイたちを劣悪な環境下に置いていると、動物保護団体がリドルにかみついた。菜食主義者の動物保護団体「Vegetarians International Voice for Animal」のジャスティン・カースウェル(Justin Kerswell)氏は「死んだトナカイの肉を売り、クリスマスの魔法を台無しにした」とリドルを糾弾。「高級食材の名のもとに、野生動物の搾取で成り立っている業界の真実を覆い隠している」と、業界誌「グローサー(The Grocer)」に語った。シベリアのトナカイ飼育では、囲い込みにスノーモービルが用いられるが、カーズウェル氏はヘリコプターやオートバイで追い立てることもあると主張。こうした飼育方法はトナカイに多大なストレスとなり、混乱したトナカイは筋肉を消耗させてしまうと語った。過激なキャンペーンで知られる国際動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals、PETA)」も、「ルドルフ(赤鼻のトナカイ)を食肉処理場で薄切りにし、ステーキ肉としてクリスマスの食卓に出そうなどという考え方に、ぞっとする」との声明を発表した。 一方、リドル側は、こうした批判に対し、トナカイたちは、自然の生息環境下で香草や野草を食し、動き回るスペースも十分にあると反論している。リドルでは、クリスマス向け高級食材としてトナカイのほか、キジ、シカ、スプリングボック(アフリカに生息するウシ科の動物)などの肉を取り揃えている。
(狩猟解禁「マナー守って」:千葉)
禁止地域を除く千葉県内全域で、15日、狩猟が解禁された。期間は来年2月15日までの3カ月間。ハンターにとっては待ちに待った季節の到来だが、近年は狩猟をめぐる事故や、周辺住民からの苦情などのトラブルが後を絶たず、県警などは今シーズンから狩猟場の強力な警戒を実施している。県も「マナーを守って、気持ちよく狩猟を楽しんでほしい」と、ハンターに呼びかけている。県内で狩猟が許可されている鳥獣は時期によって異なるが、イノシシやアライグマ、スズメ、カルガモなど全部で49種類あり、毎年多くのハンターが豊かな大自然の中で狩りを楽しんでいる。イノシシなどの獣類は南房総の丘陵地が狩猟場で、鳥類は九十九里、北総の川や沼が、人気の狩り場となっているという。一方で、狩猟中の事故も毎年起こっている。昨年度は3件が発生した。昨年11月には市原市の山中で、イノシシなどの狩猟のために入山していた、地元猟友会の男性=当時(59)=が、倒木につまずいたはずみで猟銃の引き金を引いてしまい、同僚メンバーの男性=当時(61)=に弾が命中する事故が起きている。この事故で男性は腹部に重傷を負った。担当する県警風俗保安課では「猟銃の引き金に指を入れて歩いていたため、事故が起きた。マナーを守れば事故は必ず減る」と指摘して、基本的な安全対策を常に心がけるようハンターに呼びかけている。狩猟に関する苦情も多い。県に昨年寄せられた苦情件数は約40件だった。多くは「(猟銃を持った)ハンターが歩いていて怖い」、「近くで銃声がして怖い」など、狩猟に関係した違反行為ではなく、狩猟行為自体に対する不安だ。こうした苦情は、各市町村や県警にも寄せられている。県警などは、市民の不安を和らげようと、今年からシーズン開幕の15~17日の3日間だけで、延べ1万7860人を動員して、狩猟場となる山林を警戒している。狩猟にはハンター個人の楽しみだけでなく、農作物を食い荒らし、農地を荒らす獣害など、農林水産業への被害を予防する役割もある。県農村振興課によると、昨年度の県内のサルやイノシシなどによる農作物への被害は3億8千万円にも上っている。鳥獣を駆除するハンターは、被害の軽減に、なくてはならない存在とされる。「ハンターのマナーが向上すれば、市民の不安感も薄れるのではないか」。県警では、ハンターのマナー改善こそがトラブル減少の鍵だと、強く訴えている。
(環境省が初のシカ捕殺:長野)
南アルプスの高山帯でのニホンジカによる植物の食害や踏み荒らしの深刻化を受け、環境省は17日、伊那市長谷と山梨県南アルプス市芦安(あしやす)を結ぶ南ア林道沿いの山梨県側でシカの捕殺を始めた。同県は昨年度から捕殺しているが、環境省としては初めて。同省南ア自然保護官事務所は「国立公園内の生態系保全に力を入れる。状況を見て長野県側などへ範囲の拡大を検討したい」としている。同事務所などは、衛星利用測位システム(GPS)機能を使ってシカの行動範囲を調査。仙丈ケ岳などで夏場を過ごしたシカが秋から県境の北沢峠付近を下り、芦安広河原周辺の林道沿いなどで越冬していることを確認した。固有種キタダケソウが分布する山梨県側の北岳で植生保護を優先する方針もあり、今季の林道バス営業終了(9日)を待って同県側で捕殺を始めた。同県が定めたニホンジカ保護管理計画の個体数調整の枠内で、同県の許可を得た。この日は、委託を受けた山梨県猟友会の峡中地区猟友会員ら30人ほどが参加、計3頭を捕殺した。来年3月末まで毎週3回、入山する計画。藤巻光美・同地区会長は「山深く難しい猟場だが、実績を挙げていきたい」と話した。南アの高山帯のシカ被害対策で同省はこれまで仙丈ケ岳や北岳、荒川岳のお花畑に防護柵を設置。山梨県は昨年度、約30頭を捕殺した。長野県野生鳥獣対策室は、捕殺は当面しない方針としている。
(県の鳥獣害対策、国応じず:兵庫)
シカやイノシシなどによる農作物被害の対策を巡り、県と環境省がさや当てを演じている。県は、「鳥獣保護区」でのわなの使用や夜間の銃を使った狩猟などを可能にする構造改革特区の認定を求めるのに対し、環境省は、野生動物の生息環境保護や狩猟の安全を理由に応じない構え。県内の農作物被害は昨年度約6億円。猛暑の影響で山の餌が減った今年度は被害がさらに深刻化しており、県は働きかけを続ける方針だ。県によると、特区として要望しているのは、〈1〉特定の鳥獣保護区で、冬場に限ってシカとイノシシをわなで捕獲できるようにする〈2〉銃の所持許可を持つ人を対象に、狩猟免許試験の技能試験の一部を免除する〈3〉シカの被害が大きな場所では、夜間に銃を使った猟ができるようにする――の3項目。このうち〈1〉は、2008年から4回にわたり要望。県内には97か所の鳥獣保護区があり、申請に手間のかかる「有害捕獲」を除いて狩猟が禁止されている。県は「保護区に逃げ込まれてはお手上げ。せめて、わなを仕掛けることだけでも認めてほしい」と要望するが、環境省は「たとえ対象や方法を限定しても、生息環境のかく乱につながる恐れがある」と拒み続ける。同じく4回にわたり要望してきた〈2〉については、狩猟者の減少を踏まえ、狩猟免許試験の受験者の負担軽減策が必要と訴えた。しかし、同省は「銃を使った重大事故が発生しており、試験科目から除外できない」と突っぱねたままだ。また、今年6月に初めて提案した〈3〉についても、同省は「夜間は野生動物をはっきりと判別することが困難で、人間に危害が及ぶ恐れがある」と応じない考えという。これに対し、県は今後、夜間に大量捕獲用のわなで捕らえたシカの殺処分時に限り、夜間の銃使用を認めるよう再度求める方針だ。県自然環境課は「シカやイノシシによる農産物被害は大きく、生産者の意欲にも影響しかねない。国には粘り強く提案を続けたい」としている。
(シカ駆除効率化模索:北海道)
深刻な食害をもたらすエゾシカを効率的に駆除しようと、新たな手法を模索する動きが広がっている。環境省は知床半島で道路をトラックで移動しながら銃を撃てないか、検討を始めた。道などは来年1月から、餌でおびき寄せる手法を日高管内新ひだか町など3カ所で実施する予定。従来型の駆除ではシカの急増に対応できないためだ。知床半島では1万頭以上に急増。このままでは世界自然遺産に指定された生態系が破壊される恐れも出てきたことから、環境省釧路自然環境事務所は2007年から知床岬で駆除の取り組みを強め、成果を挙げつつある。同事務所は岬以外でさらに駆除の効率を上げようと、米国とドイツの専門家から助言を得て、根室管内羅臼町のルサ-相泊(あいどまり)間の道道8キロでトラックから駆除できるか検討に着手。道路管理者の道や道警などと鳥獣保護法や道路交通法上の問題点や安全性などを協議し、その可能性を探っている。主に検討されているのは、荷台に乗ったハンターが道路沿いの上方の斜面に出てきたシカを銃で撃つ方法。道東では道路沿いに出てくるシカが多いが公道からの発砲は法律で原則禁じられており、可能になれば山林に分け入ることなく駆除できる。道路を通行止めにした上で斜面に向かって撃てば、流れ弾による危険は小さくなる。一方、道や専門家でつくるエゾシカネットワークは来年1月から、米国の駆除方式「シャープシューティング」を、新ひだか町や釧路管内標茶町、上川管内占冠村で本格導入する方向だ。シャープシューティングは牧草などで5~15頭の群れをおびき寄せ、銃声に似た爆発音を聞かせて大きな音に慣れさせた上で、ハンター数人が一斉に撃つ方法。音に慣れたシカは銃声を聞いても、逃げないため、群れ全体を一度に駆除できる。現在は北大教授らが新ひだか町の北大静内研究牧場内で試験的に行っているが、今回は規模が拡大される。道内の昨年度のエゾシカ生息数は推定64万頭、農林業の被害額は約51億円で、いずれも過去最多。道の本年度(見込み)の捕獲数は11万5千頭にとどまっているが来年度は増加抑制に必要な13万4千頭以上の捕獲を目指す。道は「ハンターが高齢化などで減少し、これまでの方法では限界がある。より効率的な方法を模索したい」(環境生活部)と説明。酪農学園大の伊吾田(いごた)宏正講師(狩猟管理学)は「現状のエゾシカ数は異常で、放置すれば、農林業被害どころか生態系も壊してしまう。短期集中的に捕獲を増やすことはやむを得ない」と話している。
(3年後にはエゾシカ生息数減少へ:北海道)
エゾシカの食害問題に官民で取り組む全道エゾシカ対策協議会が16日、道庁赤れんが庁舎で開かれ、道は本年度から捕獲頭数を増やすなどして、3年後にはシカの生息数を減少させる方針を示した。道内のエゾシカは増え続けており、09年度で約64万頭いると推定。来年度から、シカをエサでおびき寄せて群れごと駆除する「シャープシューティング」などを拡大し、13年度以降は生息数を減少させられるとしている。また、駆除で陸上自衛隊の支援を受ける地域として、釧路管内白糠町内にする方向で町と協議していると報告した。
(シカ被害,
広域で把握へ:北海道)
道は民有林(道有林、市町村有林、私有林)内でのエゾシカによる林業被害の正確な把握へ向けて、過去10年以内に植林された約7万ヘクタール全域で来年度から調査を行う方針を固めた。従来は被害報告があった場合に報告数値の集計を行ってきたため被害面積は千ヘクタール程度にとどまっており、林業関係者から「林業被害が少なく見積もられている」と広範な調査を望む声が出ていた。エゾシカによる林業被害はオンコやトドマツの新芽や樹皮を食べたり、雄ジカが角を研ぐ際に樹皮を傷つけるなど。道のまとめでは民有林での被害額は年々膨らみ、昨年度は約千ヘクタールで約2200万円と、被害額は前年度から7割増えた。ただ、この額は昨年度の道内の農林業被害総額約50億8千万円のうち0・4%。広域的な調査をせず、被害報告の集計のみ行っているためで、林業者を中心に「被害実態が反映されてない」として調査地拡大の要望が上がっていた。来年度からは民有林内の植林地約80万ヘクタールのうち10年以内に植林され、新芽が食べられれば木材としての価値が著しく低下する7万2千ヘクタールを調査対象とする方針。道有林は道が目視で調査し、市町村有林は市町村、私有林は森林組合や所有者に調査を要請する。
(ツキノワグマまた捕獲:和歌山)
16日午前11時ごろ、紀美野町中田の山椒畑で、イノシシ捕獲のために設けられた鉄製の箱わなにツキノワグマがかかっているのを、わなを仕掛けた農業の男性(52)が発見、町役場に通報した。県や県の委託を受ける野生動物保護管理事務所(神戸市)は17日にも麻酔銃で眠らせるなどして山へ放す方針。県自然環境室によると、わなにかかったのは体長1メートル数十センチの成獣。周囲には当初、体長60センチ程度の子グマ2頭がうろついていたが、山へ逃げたという。成獣は落ち着いておりけが人はいない。海南署などが付近の民家で警戒に当たる。今年県内でのクマの目撃件数は51件で、捕獲されたクマはすでに5頭。平成12~21年の10年間の捕獲頭数(4頭)を上回った。紀伊半島に生息するツキノワグマは約180頭(県内には20頭)と推定されており、狩猟禁止となっている。
(狂暴猿、住宅街に出没の1頭を殺処分:大分)
大分市けやき台の住宅街に猿が出没し、飼い犬がかみつかれるなどの被害が発生していた問題で、同市は15日、目撃されていた猿2頭のうち1頭を捕獲し、殺処分したと発表した。猿は7月ごろから出没し、飼い犬に噛みついたり、児童を追いかけるなどの被害が十数件あり、「どうにかしてほしい」と依頼があったため、市はわなを設置して捕獲を試みたが失敗が続いていた。市は地元猟友会に駆除を依頼。11日、けやき台周辺の山中で、銃で猿を撃ち、12日捕獲。負傷したため殺処分した。今後、もう1頭も駆除するという。
(狩猟者減少の一途、農作物被害の拡大懸念:岡山)
全国で15日、一斉に狩猟解禁(来年2月まで)となった。高齢化などを要因に狩猟者の減少が、県内でも深刻化している。昨年12月施行の改正銃刀法で銃所持資格が厳格化され、今後狩猟離れが加速する可能性も指摘される中、行政の要請でイノシシやシカといった有害鳥獣駆除を行う猟銃使用者もいるだけに、鳥獣被害の増加を懸念する声が上がっている。県猟友会の会員数は2009年度3407人。1978年度の1万2879人をピークに年々減少し、4分の1近くにまで落ち込んでいる。県警によると、県内の猟銃所持者も10月末現在2907人と、ここ5年間で2割以上減っている。背景にあるのは、全国的に進む狩猟者の高齢化。環境省の統計では60歳以上が過半数を占め、同会事務局も「県内のハンターの平均年齢は60歳以上」と話す。娯楽の多様化などもあり近年、狩猟を始める若者はほとんどいないという。改正銃刀法も狩猟者の“引退”に拍車を掛ける。改正で3年に一度の猟銃所持許可の更新時に精神科医の診断書提出や技能講習の受講が義務付けられた。同会の梅川博会長(75)=美咲町大戸上=は「講習受講などに費用がかかる上、手続きを面倒に思って更新しない会員が大幅に増える」とみている。同会は行政の依頼で猟銃使用者が有害鳥獣駆除に当たる「駆除班」を設けているが、梅川会長は「いずれ班が編成できない状況が出てくる」。県自然環境課は「狩猟者が減ると有害鳥獣が増え、農作物被害の拡大や人里への出没増加につながりかねない」としている。一方、銃を使わない「わな猟」「網猟」の狩猟者登録は増加傾向。農作物の被害対策に取り組む農家が多いという。
(クマ、2度捕獲で殺処分:岡山)
県北で相次ぐツキノワグマの出没を受け、津山市で17日、緊急対策会議が開かれた。県は殺処分について、これまでの慎重姿勢を転換し、集落近くで2度捕獲された場合は認める方針を打ち出した。県自然環境課が2007年4月に作成した保護管理計画書でも、再捕獲されたクマの殺処分を決めているが、絶滅が心配されることから、あまり実施されていなかった。この日の会議では、緊急時の対応として、集落近くに出没した▽暴れたり逃亡したりして人に害を及ぼす恐れがある、などの場合、現場の判断で殺処分できるとした。今年度(17日現在)、県内で捕獲されたクマは42頭、うち再捕獲は4頭。出没件数は153件で、昨年度の28件を大幅に超えている。会議には美作、津山、真庭市など10市町村、警察、猟友会などが出席した。
(クマ捕獲、猟期中自粛を:岐阜)
県内でツキノワグマの捕殺が相次いでいることを受け、県が猟友会に対し、狩猟期間中のクマの捕獲自粛を求めていることが分かった。本年度の捕獲数は205頭(11日現在)で、県が特定鳥獣保護管理計画で定める上限109頭の約2倍にも達している。県内のクマの推定生息数は約1300頭とされ、県は「予想を超える数の捕殺が続いている。クマの減少を食い止めるために自粛を依頼した」と話している。猟期は15日から来年2月15日までの3カ月間。イノシシは、本年度から5カ年の特例で1カ月期間が延長されるが、箱わなはクマの脱出口を設けたものに限定される。県は今月4日付で、県猟友会にクマ捕獲の自粛を要請。猟期前の講習会でも、会員に協力を求めている。本年度に捕獲されたクマは、大部分が9月以降に出てきた。農作物の被害を防ぐイノシシ用の箱わなにかかったクマが多く、ドングリなど山の食べ物が少ないことが原因の1つとみられる。クマ205頭のうち、放獣したのはわずか12頭。残りは飼育施設に引き取られた1頭を除き、すべて射殺された。県内の推定生息数のほぼ6分の1にも達する捕殺に、環境団体からは「このままだと絶滅する」との声が出ている。県は捕殺以外の対応を基本方針としているが、実際にクマを捕獲する市町村は放獣先の確保や費用の問題などから、放獣したくてもできないのが現状。また、県から市町村への有害鳥獣の捕獲許可の権限移譲が進んでおり、6月の殺処分が11月に入っても報告されていない例があった。放獣のためのシステムが整わず、対応が市町村任せになっていることが、大量捕殺につながっているようだ。県によると、今年9月にあったクマ対策の検討会では、多くの市町村から放獣先の確保を要望する声が上がった。現在は、国有林での放獣に向けて国との協議を進めているという。
(クマ猟解禁でも、駆除しすぎて自粛要請:富山)
クマの大量出没が例年にない規模で続くなか、県内でも15日、狩猟が解禁された。行政側は今季、里に下りてきたツキノワグマを年間計画以上に捕殺したため、クマ猟の自粛を求めている。これに対し、クマの駆除にかり出されたハンター側には、楽しみの猟を制限されたことに「都合が良すぎる」と不満も渦巻いている。午前6時25分すぎ。日の出とともに、クマやカモといった鳥獣の狩猟が解禁された。この日を待ちわびたハンターが野に繰り出すなか、自粛要請を受け入れて静かに迎えた人もいる。魚津市の松本好雄さん(75)は、毎年クマ猟を楽しみにしているが、「駆除した数が多かったから、仕方ない」と割り切った表情だ。クマ猟では、山中で1週間でもじっと待ち受ける。仕留めるのが難しいからこそ、「成果」の喜びは、ひとしおなのだという。松本さんは、実は魚津市の有害鳥獣捕獲隊の隊長を務めている。クマが大量に出没した今年、多い日で150キロ近く車を運転して現場に駆けつけた。「射殺するのは残酷。山に放せばいい」「また人里に戻ってくる。処分して」保護団体と地元住民の板挟みになる捕獲隊員こそ、クマの「生」への執念を間近に見ていると松本さんは思う。「何とか逃げようと、歯が折れるまで一晩でもオリをかみ続ける。子熊がオリに入れば親は見捨てず、守ろうとするんだよ」駆除は、オリに捕らわれたクマを至近距離で撃つことが多く、猟とは全く違う。駆除に携わりながら、松本さんは「しのびなさ」を募らせたという。そんな折の「自粛要請」。別のあるハンターは、ため込んだ不満を打ち明ける。「駆除はやってくれ、とどんどん頼んでくるくせに。こっちは地元のために、自己責任で発砲もする。こき使うだけ使って『猟はしないで』とは納得がいかない」県内のある猟友会幹部は「駆除で出動すると、警察はわれわれの後方に控えているが、彼らがピストルにクマ用の弾をこめ、撃ったらいい」という。来年以降、駆除要請があっても「自粛」したいくらいだと皮肉交じりに話している。県自然保護課が発表した2010年度の狩猟者登録状況によると、網猟、わな猟、銃猟を県内でする人は959人で、統計が残っている1977年以降で、初めて1千人台を割った。特に狩猟者の高齢化と銃刀法改正による銃所持の規制強化の影響により、銃猟者の減少が目立っている。県が狩猟解禁に伴って発表した11日現在の狩猟者登録状況は、ライフルや散弾銃などを扱う「第一種銃猟」の登録者は748人で、前年度比で91人減った。空気銃のみを使う「第二種銃猟」は24人(前年度比2人増)、「網猟」は64人(同2人増)、「わな猟」は123人(同25人増)で、一種の減少が際立っている。背景には、07年に長崎県で男が猟銃を乱射して8人を殺傷した事件などを受けた銃刀法の改正がある。住民らからの求めがあれば警察が所持許可を取り消すかどうかを調査したり免許更新時に75歳以上は認知症の検査を受ける条件が追加されたりした。県内の猟友会員も、約50%が60歳以上、約15%が70歳以上と高齢化が急速に進んでおり、法改正を機に免許を更新しない人が増えているという。
(クマに続きイノシシやシカも出没増、異例の猟期延長:兵庫)
イノシシやシカによる農林業被害が相次いでいる問題で、兵庫県は通常ならば2月15日までだったイノシシとニホンジカの狩猟期間を1カ月延長すると発表した。イノシシの狩猟期間延長は今回が初めて。県自然環境課によると、動物による農作物の被害額は約8億9千万円にのぼり、約7割がシカやイノシシによるものだという。イノシシの生息数は県内で把握していないが、今年度に入って生息域が拡大。9月には六甲山でハイカーが続けてイノシシに襲われる事態もあった。同課はイノシシの生息域の拡大に歯止めをかけるため、県の保護管理計画に基づきイノシシの猟期を3月15日までに延長することを決定した。ニホンジカは昨年、淡路島で局地的に増加し、昨年度の県内でのニホンジカ生息数は約14万頭に。このため、淡路地域限定で猟期を延長していたが、今年度は対象区域を県土全域に広げた。県内での狩猟期間は鳥獣保護法で11月15日から翌年2月15日までと決まっていたが、今回の異例の措置で同課は「よりたくさん捕ってもらうことで、安全確保につなげたい」と話している。
(ヒトツトゲマダニ、県内で初確認:富山)
人から吸血する際に感染症の日本紅斑熱(こうはんねつ)を媒介する恐れのあるヒトツトゲマダニが17日までに、富山県衛生研究所研究員、山内健生博士の調査チームによって県内で初めて確認され、標高400メートルから800メートルの区域に主に生息することが分かった。県内でも感染の危険性が示され、山間部の草むらや林では注意が求められそうだ。調査は1991年から始められ、県内の山野33地点で約4千個体のマダニを採集し、11種類を確認した。このうち、県東部で採集した中にヒトツトゲマダニ4個体を初確認し、このうち、遺伝子検査で2個体から日本紅斑熱の病原体であるリケッチアが検出された。マダニは日本各地の草むらや森林に生息し、体長は約2ミリ~約10ミリ。動物や人に付着して吸血する。国内に約50種類が分布する。県内に生息するマダニの種類や分布についてこれまで詳しいことは分かってはいなかったが、今回の調査で標高の違いで生息種類がある程度分けられることが判明した。調査では高標高の800メートルから1600メートルの区域でシュルツェマダニ、400メートルまでの低標高では主に動物に寄生するキチマダニが多かった。人を好んで吸血するが、感染症媒介の危険性が低いヤマトマダニは標高に関係なく確認された。日本紅斑熱はこれまで県内で患者は確認されていないが、福井県のほか、西日本を中心に患者が増えており、2年前には宮崎県、今年は広島県で死者が出ている。山内博士によると、県内でイノシシの個体数が増えており、それに寄生するマダニも分布を拡大すれば今後、マダニの吸血被害が増える可能性がある。山内博士は「野山に行った際は足元を露出せずに、虫除けスプレーなどを使って防除してほしい」と注意を呼び掛けている。
(サル被害防止、モンキードッグ導入へ:静岡)
浜松市北区引佐町で、野生鳥獣による農作物への被害が深刻化している。年々増加する被害を防ごうと同町三岳では、地元住民が一体となって対策に乗り出した。特にサルの被害が急増しているため、市内で初めてとなるモンキードッグの導入を進めている。市によると、市内の野生鳥獣による農作物などの被害額は2008年度が約6300万円、09年度が約6850万円と年々増加。同市北区の引佐地域自治センターへの被害相談も増えているという。同地区では数年前までは、サルを見掛ける程度だったが、一昨年あたりから50匹くらいの群れや農産物を持って逃げるサルの姿が見掛けられるようになった。地元住民が協力して追い払ってきたが、被害は後を絶たない。同地区で開かれた勉強会には、地区内の大半の世帯が出席し「サルを追っても逃げていかない」など深刻な悩みを打ち明ける声が相次いだ。モンキードッグの導入は行政や農林業関係者などによって設立された浜松地域鳥獣被害対策協議会が手掛ける被害対策の一環。同地区の農家が飼う生後約5カ月のサスケ(雄)が現在、新城市の豊橋警察犬訓練所で訓練を受けている。このほど訓練所を訪問した安間利和自治会長は「随分成長していて元気だった。サルとのすみ分けにつながってほしい」と効果を期待した。
(鳥インフルエンザウイルス確認されず:北海道)
環境省北海道地方環境事務所は16日、道内の湖沼で採取されたハクチョウ、カモ類のふんから、高病原性鳥インフルエンザウイルスは確認されなかった、と発表した。10月27日のウトナイ湖の定期ふん便調査で、ハクチョウ、カモ類のふん各100個を採取した。高病原性鳥インフルエンザウイルスは確認されず、宗谷管内浜頓別町のクッチャロ湖でも同様の結果だった。ウイルスが検出された稚内市大沼でも確認されなかった(260個)という。大沼では18日にも調査を実施、北大で検査する。
(ミヤマガラス、糞害に憤慨:福岡)
柳川市中心部の樹木が生い茂った寺院境内などに、冬の渡り鳥・ミヤマガラスなどの群れが夕暮れとともに集まり、ねぐらにしている。約2千羽を数えたこともあるほど大きな群れで、電線や大きな木の枝で羽を休める。ときには路面が白い糞で汚れることもあり、頭を悩ませる住民もいる。ミヤマガラスは、体長45センチ前後。晩秋から冬にかけて中国大陸から飛来し、昼間は主に田んぼで昆虫などのえさを取っている。夕暮れになると、どこからともなく群れがやってきて、電線などで羽を休める。ミヤマガラスがねぐらとして利用しているのは、イチョウやマツなどの大木がある寺の境内が多い。童謡「夕焼小焼」では「カラスといっしょに……」と歌われているが、「共生」には悩みも多い。市内のある寺院では、カラスが飼い犬のえさを横取りしたり糞を落としたりするのが悩みの種。また別の寺では、追い払ってもまた戻ってくるため、もうあきらめているという。日本野鳥の会筑後の松富士将和会長によると、柳川市中心部をカラスの群れがねぐらとして利用するようになったのは10年ほど前から。日本野鳥の会(本部・東京)の安西英明・主席研究員によると、秋冬にカラスの仲間が群れでねぐらをつくる場合、都市部の緑が多い場所も利用される。ミヤマガラスは以前は主に九州に多く飛来していたが、最近は全国各地で見られる。糞の害などトラブルが報告されるケースもあるが、種によって暮らしなどが異なり、よく調べて対策を取る必要があるという。
(シカ肉、雑穀原料の麹で熟成:兵庫)
県立大は、アワやヒエなど雑穀を原料にした麹(こうじ)を用い、シカ肉のうまみや柔らかさを増す技術の開発に成功した。シカ肉は牛肉と比べて脂肪分が少なく、一般的にパサパサした食感やうまみの感じにくさから、消費者に敬遠されることが少なくなかった。今回の開発で熟成されたシカ肉は「熟味シカ肉」と名付けられたが、全国各地でシカによる農作物被害が深刻化していることから、駆除したシカ肉の有効活用にも道が開けそうだ。使用する多穀麹は▽アワ▽ヒエ▽キビ▽タカキビ▽大麦▽古代米の一種「紫黒米」--の6種類の穀物と米粉が原料。たんぱく質をうまみのもととなるアミノ酸に分解する能力が高いことから、シカ肉の熟成に最適と着目された。食品研究メーカー「ヤヱガキ醗酵技研」(姫路市)などが開発に携わり、昨夏から研究を重ねてきた。その結果、ミンチしたシカのもも肉に多穀麹を加え、4度の低温で数日間熟成したところ、アミノ酸の量が熟成前の5倍まで増加。肉の柔らかさや肉汁を閉じこめる性質も格段に向上した。さらに、血圧の抑制などに効果があるとされるアミノ酸の一種「ギャバ(GABA)」が、熟成後に新たに生成されたことが確認された。シカ肉と牛肉の成分を比較すると、たんぱく質の割合はシカ肉が牛肉よりも高い一方、脂肪分は牛肉の30%に対しシカ肉は1%未満と極めて少ない。そのため、肉汁の量が少なく、肉の柔らかさに欠け、うまみを感じにくい難点があった。また、牛肉は1週間から10日熟成してうまみを引き出すが、シカ肉は熟成すると数日で臭くなる欠点もあった。今回開発された手法では、シカ肉のうまみを引き出す熟成が可能になるため、従来は商品にならないスネ肉やミンチ肉などの有効活用も期待されるようになった。シカは1頭平均40キロのうち、ロースなど市場に流通する部位は15キロ程度しか取れず、残りはほとんど捨てられるという。県自然環境課によると、県内のニホンジカの頭数は推定で約14万7000頭とされ、毎年2万頭程度、増えているという。09年度の野生生物による県内の農作物被害は約8億4200万円だが、うちシカによる被害は約4億3300万円。県は今年度補正予算でシカ捕獲の緊急対策を盛り込んだり、シカの狩猟解禁の期間を延ばすなど、駆除対策に苦慮している。もともと高たんぱくのシカ肉が、今回の技術開発で肉質も柔らかくできるため、消化力の弱い高齢者にも向いているという。開発にかかわった同大自然・環境科学研究所の横山真弓准教授(野生動物管理学)は「シカが増えすぎて森林生態系の破壊にまで及ぶ深刻な事態になっている。シカをただ捕獲するだけでなく、自然の恵みとして利用することができれば」と期待を寄せる。
(獣害と地域経済、脱「負の連鎖」へ展望示せ:京都)
名古屋市で先月開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は政府提唱の国際モデル「里山イニシアチブ」を採択したが、身近な里山への関心が広まらなかった点は残念だ。地方では野生鳥獣による農業被害が200億円に上り、地域経済を脅かしている。農家や自治体にのし掛かる対策費や労力。地方の現場から見えるのは、農山村の衰退で荒廃した里山が獣害を招き、さらに農山村が疲弊する「負の連鎖」の惨状だ。まず獣害の深刻さを知ってほしい。農業被害額(2008年度)は全国199億円で前年度比14億円、8%増加。うち7億4千万円でワースト5位の京都府はこの5年で5割も増えた。綾部市では特産小豆へのイノシシ害が激化、舞鶴市ではサルが野菜を食い荒らした。「収穫寸前に食べ尽くされて営農意欲もなくなった」と無力感に落ち込む農家の嘆きを何度も聞いた。実際、獣害は離農や耕作放棄地の拡大要因でもある。農林水産省が昨年行ったアンケートでは、中山間地の放棄地の発生理由で高齢化や後継ぎ不足などに次ぐ4位に挙がった。林業でもシカやクマによる樹皮への食害が森林の1割に及び、林業家を悩ませる。農家らは防御に苦闘している。金網や電流を流した防除柵を各自の田畑に巡らせ、さらに集落全体も囲う。府の補助で敷設された柵だけで総延長は3千キロ。主客逆転で人間が囲われている感すらある。それでも動物の攻勢は続き、猟銃やわなでの駆除に迫られるが、問題はあまりに多い。第一に野生鳥獣は法的には保護対象で、例外扱いの駆除は即応性に乏しい。待つ間に作物が全滅することもある。第二に担い手が高齢化し、府の狩猟登録者も7割が60歳を超える。6月には福知山市の山中で駆除作業中の67歳と65歳の猟友会員2人が誤射などで死亡した。第三に駆除参加への奨励金が地方財政を圧迫する。例えば同市の経費は年額3千万円だが、国の支援予算は「事業仕分け」で昨年度の32億円(補正含む)から23億円に縮減となった。効率化は無論必要だが、地方の惨状を見ず対策の道筋も示さないのは「切り捨て」にも映る。そもそも獣害の拡大原因は何か。実は行政は対象動物の個体数を把握していない。急増しているのか、正確な実態調査が対策の前提として不可欠だ。その上で重要な点に、人間との緩衝地帯だった入会地や田を含む里山の荒廃が挙げられる。農山村は過疎・高齢化で労働力が低下し、放棄地の割合はこの20年で3倍に増加。荒れた里山を隠れ家に動物が人里へ侵入するのだ。この荒廃の要因を突き詰めれば、これまでの農政の混迷も考えざるを得ない。世界有数の食糧輸入国となる傍ら減反を進め、国内の農業は弱まり農山村の空洞化が進んできた。注目を集める政府の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加問題への農家の反発は既得権死守と映りがちだが、こうして積み重なった憤りと先の見えない不安という側面もある。危うい日本の食の源と、警告のような動物たちの出没。地方を脅かす「負の連鎖」を断つため、政府には農山村の展望を早急に示した上で、獣害抑止と地域の活力につながる里山保全策が求められる。
(仙谷官房長官あてに銃弾入り封筒:東京)
「仙谷由人殿」のあて名で、ライフル銃の銃弾とみられる金属弾1個と脅迫文が入った封筒が、2010年11月15日に首相官邸に送られていたことが明らかになった。警視庁麹町署が、仙谷由人官房長官に対する脅迫の疑いで調べている。封筒を開けた官邸の職員が金属弾を見つけた。消印は11日付だった。広告チラシに黒マジックで脅迫文言が書かれていたという。

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11/15
(狩猟解禁、違反行為を取り締まり:岡山)
狩猟解禁の15日、岡山県警は県内各地の猟場で、誤射につながりかねない危険な違反行為の取り締まりをスタートさせた。猟期の終わる来年2月まで実施する。初日は県内22署の約310人が出動。鳥獣保護区、休猟区など禁止区域での発射や、実弾を装てんしたままの猟銃の携帯・運搬を監視、ハンターに適切な取り扱いを指導した。玉野市では日の出時刻(午前6時37分)に合わせ、玉野署員や県鳥獣保護員ら計9人が鳥獣保護区のある児島湖や、隣接し狩猟可能な鴨川周辺を巡回した。県警生活安全企画課によると、昨季は誤射事故などによる死傷者はなかったが、公道上から発砲したなどとして銃刀法違反容疑で3人が摘発された。狩猟期間はカモ、ウサギ、キジなどが来年2月15日まで。農作物などに大きな被害を与えるイノシシ、ニホンジカに限り、同28日まで延長する。
(狩猟解禁もクマ捕獲上限間近:石川)
15日の石川県内は冬型の気圧配置となり、雨模様となった。正午までの最高気温は金沢12・6度、輪島11・6度と平年より3度ほど低く、11月下旬並みとなった。同日、狩猟が一斉解禁となり、シーズン到来を心待ちにしていたハンターが日の出とともに狩猟場に繰り出した。金沢市の戸室山では、県猟友会金沢支部の島田健一理事ら支部員14人が、捕獲数が年間上限の70頭に迫っているクマに照準を合わせ、斜面や沢沿いを探し回った。小雨模様で、もやがかかるあいにくの天候となったが、昨晩、付近集落のカキが被害に遭ったこともあり、ハンターたちは獲物との遭遇を期待しながら歩みを進めた。島田理事によると、今年は例年に比べ山林の紅葉が遅く、木の葉で視界が遮られるため、解禁初日の狩猟条件はあまりよくないという。14日現在、クマは50頭が駆除され、上限まであと20頭となっており、同理事は「制限までは狩猟を楽しみたい」と話した。クマの狩猟に関して県は「狩猟自粛は現段階で求めないが、状況を見ながら判断したい」(自然保護課)としている。同課によると、狩猟期間は来年2月15日までで、イノシシに限り同3月31日となっている。オスキジ、マガモなど鳥類29種とイノシシ、キツネなど獣類20種の狩猟が日の出から日の入りまで可能となる。県内ではバン、クロガモの2種が捕獲禁止となっている。各警察署は同日、禁猟区や民家周辺で取り締まりに当たった。金沢地方気象台は15日午前、県内に雷、強風、波浪の注意報を発令した。同気象台によると、県内は能登の一部を除き、同日午後から16日にかけて引き続き雨となる見込み。
(クマ1頭捕殺:新潟)
三条署の発表によると、15日午前8時ころ、三条市から同署に「本日午前6時40分ころ、三条市荒沢大字朴の倉地内に設置していた箱わなに、オスのクマ(体長約1.45メートル、体重約150キロ)1頭が入り捕殺した」との連絡があった。三条市によると、クマの活動状況が例年より1、2週間遅れているようだと話している。また、今年度、初めて設置したツキノワグマ被害防止対策本部と現地対策本部は14日に解散しているが、通常の体制で対応しており、市民や観光客にも引き続き注意をしてほしいと呼びかけている。
(列車にはねられクマ死ぬ:石川)
15日午前7時半ごろ、石川県加賀市熊坂町、JR北陸線の大聖寺駅構内の線路脇で、クマが死んでいるのを出発直後の敦賀発富山行き普通電車の運転士が見つけた。JR西日本は、クマが電車にはねられたとみて調べている。運行に支障はなく、乗客乗員にけがはなかった。大聖寺署やJR西日本金沢支社によると、クマはツキノワグマの成獣とみられ、体長約1.5メートル。駅ホームから約150メートル離れた下り線と待避線の間に、あおむけの状態で倒れていた。大聖寺駅はすぐ近くに市役所やホテル、住宅街があるが、数百メートル離れると森林や田園地帯が広がっている。

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