<射撃ニュース12月>

12/31
(イノシシ・シカ被害深刻、車と衝突続出:岡山)
今年、クマの出没が相次いだ美作市では、イノシシやシカもエサを求めて出没した。被害は農作物だけでなく、車道に飛び出して車と衝突するケースも続出した。今月中旬、男性行員が車を運転中、イノシシが道路脇から飛び出し、車体の前部に接触した。行員にけがはなかったが、ナンバープレートが大きく曲がり、衝撃の大きさを物語っていた。男性行員は「突然のことで、急ブレーキをかけることもできなかった」と驚いていた。市内の車整備工場では、シカやイノシシと衝突した車の修理が10月に5台、11月に14台あった。同工場は「店を始めて約40年になるが、こんなに多い年は初めて」と話す。車の修理費は10万~20万円かかり、車両保険に入っていなければ、個人負担も大きい。場合によっては大事故につながる可能性もある。市農業振興課によると、昨年度のイノシシの捕獲数は486頭、シカは1521頭。今年は9月末現在でイノシシは771頭、シカは702頭に上り、ドライバーは注意が必要だ。
(水稲、イノシシ被害倍増:香川)
香川県内で2010年に、イノシシによる被害を受けた水稲の面積が前年の2倍の約80ヘクタールに上ったことが、香川県農業共済組合連合会のまとめで分かった。水稲のイノシシ被害は前年まで横ばいで推移していたが、今年になって急増。今年は住宅街でもイノシシの目撃情報が相次いでおり、イノシシの行動範囲が平野部にまで拡大したことを裏付けた。まとめによると、イノシシの被害を受けた水田は前年の2・2倍の78・3ヘクタール。被害収量は前年比2・1倍の101・3トン、被害額は同1・9倍の1965万円だった。イノシシは、稲穂を食べるほか、水田に入って稲を倒してしまう。イノシシ被害で全滅し、収量がゼロとなった水田も147カ所に上り、前年の1・4倍に達した。イノシシ被害の推移をみると、過去5年間、面積は40ヘクタール前後、減収量は50トン前後で推移しており、今年の急増ぶりが目立つ。同連合会によると、イノシシはこれまで山間部の水田を荒らすのが一般的だったが、今年はこれまでイノシシが出没しなかった平野部でも被害が出ている。被害のまとめは、農家の被害を補償する共済金の支払い実績を元に算出したが、共済金は収量が7割以下になった場合に支払われることから、実際の被害はもっと多いとみられる。香川県東讃農業改良普及センターは「イノシシの数自体が増えているとみられ、今後も同様の被害が続く恐れがある」と分析。農家に対し、これまで対策をしていなかった水田でのイノシシの侵入防止柵の設置など、万全の対応を呼び掛けている。
(オオカミでイノシシ駆除、計画に「危険」指摘も:大分)
畑の作物や植林の樹皮を食い荒らすシカやイノシシ駆除の切り札として、海外から輸入したオオカミを野に放つ計画が、大分県豊後大野市で浮上している。国内での実例はないが、米国の世界自然遺産・イエローストーン国立公園で実績があるという。食害に頭を悩ます市は来年度、手始めにシカの生息数などの調査に乗り出す方針だが、専門家の間では、生態系の崩壊に加え、人や家畜が襲われる危険への懸念が強く、論議を呼んでいる。大分、宮崎県境の祖母・傾山系のふもとに広がり、農林業が盛んな豊後大野市では、シカやイノシシの食害が後を絶たず、サツマイモ、シイタケ、特産のカボス、植林のヒノキやスギを中心に、2009年度の被害額だけで約2300万円に上る。市では地元の猟友会に依頼し、今年、シカ約330頭、イノシシ約500頭を駆除したが、繁殖による増加に追い付かず、食害は一向に減らない。今回浮上したオオカミの投入計画は、獣医師や大学教授らで作る「日本オオカミ協会」(東京、240人)が提案しており、橋本祐輔市長らが今年に入り、「対策の切り札にならないか」と検討を始めた。国内に実例はないが、協会には四国の自治体などから問い合わせが入っているという。かつて国内に生息したニホンオオカミは乱獲などで100年ほど前に絶滅したため、協会は、ニホンオオカミの亜種ハイイロオオカミを中国やロシアから輸入することを勧めている。国内ではすでにペットなどとして個人的に輸入する人がいるという。協会によると、イエローストーン国立公園では、かつて1万3000頭に上るシカが9000平方キロの植樹を荒らしたため、オオカミ31頭を放った。その結果、シカは一挙に6000頭減った。野生生物の保護にも詳しい同協会会長の丸山直樹・東京農工大名誉教授は「オオカミの捕食効果は大きい。習性上、人を襲うことはまずない」と話す。一方で、計画を疑問視する声は強い。大分県環境保全審議会委員のNPO法人・おおいた生物多様性保全センターの足立高行理事長は「元来、生息していない動物を持ち込み、生態系が崩壊した例は数多い」と指摘する。沖縄では、ハブの駆除のため、マングースをインドから持ち込んだところ、天然記念物のヤンバルクイナなどの被害が相次いだ。また、環境省野生生物課も「オオカミが人や家畜を襲わないという証明はされていない」としており、豊後大野市に隣接する竹田市で60頭の肉牛を飼う畜産業釘宮永路さん(50)は「牧草を食べに頻繁に現れるシカやイノシシを追い、オオカミが人里に下ってこないか」と表情を曇らせる。しかし、ほかに有効な対策を見いだせない実情もあり、橋本市長は「十分議論を重ね、計画の実現を模索したい」と話している。
(鳥獣被害対策で防除活動費を支給:岐阜)
県内で急増している農作物などへの鳥獣被害に対応するため、県は対策強化に乗り出す。1月中旬に全庁的な対策本部を立ち上げるとともに、来年度、新たに重点支援地区を設けて防除対策を支援する計画。林業にも被害をもたらすシカについては、初めて生息状況調査を実施する予定で、データに基づく保護管理、防除対策を展開する方針だ。県によると、イノシシ、サル、シカなどの野生動物による農作物の被害は2009(平成21)年は約4億円と、5年前のおよそ3倍に急増。柵の設置に補助金を支給するなどの対策に加え、農作物被害の4割以上を占めるイノシシについては10年3月、特定鳥獣保護管理計画を策定。狩猟期間を延長するなど対策を強化している。来年度はさらに、県内数カ所に重点支援地区を設定するとともに、対策チームを配置。防除対策に取り組む集落に活動費を支給したり、アドバイスを行うことなどを検討している。さらに鳥獣被害対策は、乱獲を防ぐ意味からも、調査と対策を同時に進める必要があるとして、3年前まで雌が非狩猟鳥獣になっていたシカについては、被害や目撃情報の多い地域を中心に生息域、生息数調査を実施する考え。より高い精度で生息数を推定することでより適正な防除対策につなげる。調査の実施は今後、策定するシカの特定鳥獣保護管理計画にも盛り込む予定だ。
(鳥獣被害防止へ捕獲目標:山口)
農作物などの鳥獣被害防止対策を協議する山口県のプロジェクトチームは28日、県庁で会合を開き、来年度の捕獲目標や対策の方針を決めた。2009年度で7億2100万円に上った被害額を5億円以下とする目標を設定。イノシシ1万5千頭▽シカ2800頭▽サル300頭の捕獲数の目標を定めた。被害防止対策は、自衛隊OBや農協職員などの狩猟免許取得費の補助や狩猟期間の2週間延長、野生鳥獣の生息環境や耕作地との緩衝帯の整備などを進める。クマやイノシシなどの出没対策マニュアルも策定する。
(強毒性鳥インフルを検出:韓国)
韓国の農林水産食品省は31日、忠清南道天安市のカモ飼育農場と全羅北道益山市の養鶏場で飼育されているカモと鶏から、強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が検出されたことを明らかにした。同省は鳥インフルエンザに関する危機警報レベルを「関心」から「注意」に引き上げ、対策本部を設置した。同省によると、これを受けて天安の農場のカモ1万羽と益山の農場の鶏9万2000羽が殺処分された。鳥インフルエンザが発生した施設の半径3キロ以内を危険地域に、同3~10キロを警戒地域に指定し、家禽(かきん)の移動を制限するなどの緊急防疫措置を取っている。

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12/28
(餌で誘ってシカを待ち伏せ、米国のシャープシューティング:北海道)
道や専門家でつくるエゾシカネットワークは27日、日高管内新ひだか町の北大静内研究牧場で、シカを餌でおびき寄せて効率的に捕獲する米国の捕獲方式「シャープシューティング」の実験を行い、報道関係者に初めて公開した。シャープシューティングは、おびき寄せた群れを待ち伏せして射撃する。公開実験では、牧場内にコーンをまき、繊維強化プラスチック(FRP)製のダミーのシカを設置。この餌場から100メートルほど離れた小屋状の射台に射手が待ち伏せ、茂みの中から姿を現したエゾシカが動きを止めた瞬間を狙って射撃した。約3時間で雄1頭、雌3頭、子ジカ1頭の計5頭を捕獲した。同ネットワークが実験を行うのは今回で3回目。道環境生活部の宮津直倫主幹は「技術的な基礎はある程度習得できた。今後は道内各地で実験したい」と話している。道内のエゾシカは増え続けており、2009年度で約64万頭と推定される。
(奄美5市町村が野ヤギ特区に指定:鹿児島)
奄美市など奄美大島5市町村は、野ヤギを「狩猟鳥獣」に追加する国の構造改革特区に指定された。野ヤギによる食害を防ぎ、駆除を促進する目的で、狩猟期間中は特別な許可を必要とせず捕獲できる。奄美群島が目指す世界自然遺産登録に向けた重要地域の保護策としても期待される。同市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町の5市町村は今年10月、内閣府に特区申請していた。指定は11月30日付。ヤギは化製場法で牛や豚と同様に「獣畜」となっており、有害鳥獣として駆除する際には申請書が必要だった。指定により、狩猟免許保持者が毎年11月15日~2月15日に、生け捕りや銃殺で捕獲できるようになった。生け捕りした野ヤギは、と畜場で処理し食用にできるが、銃殺した場合は保健所に申請し埋却する必要がある。同市環境対策課の山下克蔵主査は「迅速な対応が可能となった。生態系の保全や植生回復につなげたい」と話した。奄美では、放し飼いのヤギが野生化するケースが増え、食害による土砂流出などが頻発していた。
(敵もサルもの捕物劇9時間:佐賀)
27日午前9時ごろ、佐賀市大和町川上の嘉瀬川水門付近に「サルがいる」と110番があった。サルは繁華街に逃走。警察官や市職員計約30人が捕獲作戦を繰り広げ、約9時間後に捕獲された。けが人はいなかった。佐賀署によると、サルはジャスコ佐賀大和店の駐車場、JA高木瀬支所などに逃走。午後1時半ごろ、同市駅前中央2丁目の民家の敷地内に逃げ込んだが、幅25センチ、深さ30センチのU字溝にはまり、身動きがとれなくなった。署員らが保護しようとしたが抵抗するため、佐賀広域消防局の隊員がサルに高圧放水。サルは流されて、イノシシ捕獲用の網で御用となった。サルはニホンザルの雄。体長は約60センチだった。市農業振興課の田中泰治課長(55)は「山に戻すかどうかは明日、県と協議したい」と話している。
(鳥インフル感染、新たにナベヅル3羽:鹿児島)
日本最大のツルの越冬地・鹿児島県出水市で、死んだ野生のナベヅル2羽から強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された問題で、環境省は27日、別のナベヅル3羽の感染が新たに判明した、と発表した。これで国内でのナベヅルの感染は5例になった。新たに感染がわかった3羽は、20~21日に出水市内で死んでいたり、衰弱していたりしたところを回収され、21日までに3羽とも死んだ。いずれも鹿児島県の簡易検査では陽性で、鳥取大の遺伝子検査で27日に強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)が検出された。環境省は27日までに出水市でツルやカモなどのフン計約1200個の採取を終え、感染状況を調べる。また、今秋以降、全国で鳥インフルエンザの確認が相次いでいることを受け、29日に都内で有識者会合を開き、野鳥への感染拡大を防止する方策について意見を聞く。

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12/27
(鳥インフルエンザ、ヤマドリ1羽死ぬ:富山)
死んだコブハクチョウが高病原性鳥インフルエンザに感染していた高岡市の高岡古城公園動物園で25日、キジ科のコシジロヤマドリ1羽が死んでいるのが見つかった。鳥インフルエンザの簡易検査をしたところ陰性だったが、県は詳細なウイルス分離検査で感染の有無を調べる。結果は27日にも判明する。死んだ鳥は雌の成鳥で今月8日に東京の動物園から引き取られた。雄1羽と一緒にキジ舎で飼育され、ハクチョウとの接触はないという。
(JAごとう職員が250万円着服:長崎)
五島市のJAごとう(中尾弘一組合長)の本店に勤めていた40代の男性職員が、市有害鳥獣被害防止対策協議会の活動資金など約250万円を着服し、今月1日付で懲戒解雇されていたことが24日、同JAへの取材で分かった。同JAは監督責任を問い、上司だった担当部長ら3人も1日付で減給処分とした。同JA総務部などによると、元職員は、五島市と同JA、市猟友会でつくりカラスなどの駆除に取り組む同協議会や同JA子会社の事務などを担当。昨年11月から今年10月までに同協議会の活動資金、子会社の運転資金、同JA青年部の活動資金を着服した。資金を資材代など正当な支出に充てたように通帳の摘要欄を虚偽記入したり、上司の決裁を経ないなどし、着服を重ねていたという。11月までの同JA内部の監査と調査で発覚。元職員は着服を認め、親族の借金返済に充てたなどと説明したという。全額弁済しており、同JAは刑事告訴しない考え。同JA総務部は「再発防止のため通帳や届け出印の管理を厳格にし、監査も強化する」としている。
(大阪の警官、自宅で拳銃・実弾所持か)
大阪府警は24日、同府茨木市の自宅で拳銃と実弾を所持したとして銃刀法違反(加重所持)容疑で逮捕した箕面署巡査部長の池田周史(ちかし)容疑者(48)を懲戒免職処分とし、発表した。大阪地検は同日、池田容疑者を同法違反罪で起訴した。起訴状によると、池田容疑者は12月6日、自宅で回転弾倉式拳銃(32口径)1丁と実弾18発を保管・所持したとされる。府警によると、家宅捜索で本物とみられる拳銃計4丁と、実弾約800発、改造銃6丁などを押収。同容疑者は「2月下旬以降に数回、自宅で拳銃の試し撃ちをした。警察官としてあるまじき行為で申し訳ない」と話しているという。
(イノシシ被害頻発、餌求め平野部へ:佐賀)
佐賀県内でイノシシによる被害が頻発している。先月は杵島郡白石町福富の平野部や佐賀市久保田町の住宅地で人を襲い、けがを負わせた。人里にも出没し出した背景には餌場となる里山の荒廃に伴い、生活域が広がっているとの指摘もある。平野部や住宅地に出没する主な要因は餌不足。高齢化や担い手不足で里山が荒廃したことで、餌が減ったためとみられる。さらに、県農業技術防除センター専門技術員の島政勝さんは「平野部にもイノシシが身を隠し生活できる場所がある」と指摘する。イノシシの体高は100キロ級でも約70センチ。草が生い茂っていれば見つかりにくい上、人が捨てる生ごみなどの餌にもありつける。有明海沿岸の福富、久保田は周囲に山はなく、人目に触れず街中を通ってまで下りてきたとは考えにくい。実際に福富の干拓地では2年前、3世代で生息するイノシシも見つかっている。里山ではイノシシ対策が着実に成果を上げている。侵入防止柵を設置するなどした農作物への被害は、02年度の4億1600万円をピークに、昨年度は1億8600万円まで減った。こうした“締め出し”が奏功する半面、イノシシは餌を求めて行動範囲を広げているとみられ、平野部で新たな被害をもたらしている。武雄市武内町の里道脇ののり面では、イノシシによる掘り返し跡が幅3メートル、長さ20メートルほどにわたってみられる。餌になるカズラの根などを掘り返したとみられ、道路の強度に問題が出ると懸念される。また、里に下ろうと、途中の高速道路の侵入防止フェンスをこじ開けた跡も見つかっている。高速道への侵入は交通事故を誘発し、11月末現在で、昨年1年間の8件を上回る10件が発生している。島さんは「行政や猟友会への依存だけでは解決できない。草刈りやごみを減らすなど住民で集落環境を管理し、地域全体で向き合いながら結果的にすみ分けができるようにしなければ」と話している。
(クマ大量出没、住宅街にも:石川)
全国的に九~十一月にかけて、クマの出没が相次いだ。県内でも今年の年間出没情報が約四百八十件と、昨年の約八倍に。金沢市では、住宅密集地にも出没して計四人がけがを負うなど、住民らは不安を抱きながらの生活を強いられた。十月二日にクマが出没した西大桑町も、近くに中学校や公園がある住宅密集地。男性が襲われた現場に駆け付けると、路上には生々しい血痕が残っていた。横のグラウンドで開かれていた幼稚園の運動会は急きょ中止。近くの女性が「犬の散歩もできない」とおびえる声を聞き、静かな町がクマと“ニアミス”する恐怖にさらされていると痛感した。クマ出没時に麻酔銃を使用できる人が少ないことも問題になった。県内では、県白山自然保護センター(白山市)といしかわ動物園(能美市)に計五人だけ。金沢市東長江町での出没時にも、到着するまで二時間近くかかり、住民らの不安を増大させた。麻酔銃を扱える人材の育成は急務だ。さらに、捕獲したクマの「処理」についてもさまざまな声が上がった。「射殺してほしい」と求める住民に対し、市や県はクマの生態系を守るため、「再び山へ返す」姿勢を崩さなかった。実際、西日本ではツキノワグマが激減。全国の自治体の大半がクマの保護を前提に対策に取り組んでおり、石川でも個体数管理は必須だ。今後は、長野県のように、山へ放つ際にはクマの耳にタグを付け、再び戻った場合だけ射殺するなどの工夫も必要だろう。来年以降も、クマの出没は避けられない。自治体は説明会を頻繁に開くなどして、住民の理解を十分に得た上で、クマとの共存を目指してほしい。
(ツキノワグマ、人里に出没しない環境を:岐阜)
「あんな体験はこりごり」。高山市農務課職員、大坪達也さん(46)がつぶやいた。県内各地でツキノワグマの出没件数が激増した今年。大坪さんは8月18日、イノシシ用のオリにかかったクマを放す際に襲われ、足や腕、首など十数カ所をかまれて重傷を負った。だが、「襲われたのは十分な安全を確保しなかった自分のミス」と言い、今でも「クマの保護管理上、できる限り安全を確保して住民の理解を得た上で放獣すべきだ」と主張する。襲われた場所は同市滝町の山林。民家から約50メートル離れた裏山に仕掛けていたイノシシ捕獲用のオリにクマが入った。連絡を受けた大坪さんは、オリの後方約20メートルの杉の木に隠れてロープを引いて扉を開けたところ、オリから出たクマがUターンして襲ってきた。クマ撃退用スプレーをポケットに入れていたが、「なぜか噴射できなかった」。その後、「どうやって逃げたか記憶がない」という。大坪さんを襲ったクマは山に逃げ込んだ。すぐに町内の山3カ所にクマ捕獲用のオリが仕掛けられ、3頭が捕まった。この中に大坪さんを襲ったクマがいたかどうかは分からないが、3頭は猟友会員によって射殺された。県内でクマの出没例が多いのは飛騨地方。高山市内では12月上旬までに昨年の67頭を大きく上回る195頭が目撃された。捕獲頭数は86頭。うち54頭は8、9月に捕獲された。高山猟友会の中垣倉造会長(66)は「地元の人はクマを見ても『いたぞ』と話す程度。市に報告するのは、人に危険が及びそうな場所で見たときだけ。実際の目撃数はもっと多い」と話す。大坪さんは「野生動物の保護は大切。そのためにもクマが人里に出没しない環境づくりが必要」と話す。「昔は里山で人が活動し、山と民家の間に境があった。改めて境を作るためにも、やぶを刈ってクマが身を隠す場所を無くし、収穫しない野菜などは処分してほしい。音を出してクマと出合わないことも大切」大坪さんの話を聞きながら思った。みんなで危険を回避する努力をして自然動物と共存し、自然とうまく付き合っていかなければ。それは一部の鳥獣の保護だけではなく、自然環境全体の保護にもつながっていくのではないだろうか。
(クマ出没多発:富山)
「振り向いたときには『ガオー』とものすごい鳴き声を出し、目の前に迫っていた」富山市の海岸で十月十九日早朝、海に入って釣りをしていてクマに襲われた男性(36)=当時=は、数時間後に恐怖の瞬間を語ってくれた。男性は右腕に約五センチのひっかき傷を負い、一週間のけが。生々しい体験談に思わず鳥肌が立った。県内では今秋、クマの目撃が相次いだ。県自然保護課によると、今年の目撃と痕跡の数は約千百四十件。二〇〇六年の九百二十二件を超え、観測を始めた〇七年以降、最多となった。出没は山間部に限らず、JR魚津駅近くのような市街地や、海岸にまで現れたのが今年の特徴だ。人身被害は海で襲われた男性のほか、魚津市や南砺市で九人が襲われて重軽傷を負った。クマの捕殺数は百八十三頭。昨年の四十頭から大幅に増えた。多数出没の背景に、ブナやミズナラなどクマの餌不足がある。県森林研究所の八月の調査で結実状況は、出没が多かった〇六年と同様、おおむね不作-凶作だった。人里に現れたクマへの対処では、課題も表面化した。一つが、クマが移動するやぶや里山の管理。行き届いていないとの指摘があるが、同課は「すべて刈り取ってしまうと、野鳥の居場所を奪うなど生態系の破壊にもつながる恐れがある」と予防対策の難しさも指摘する。もう一つが、有害鳥獣捕獲隊員の後継者不足。県警によると、近年の猟銃所持者は八百七十五人(十一月末現在)。〇八年末の九百六十八人と比べて、百人近く減った。立山町有害鳥獣捕獲隊員で現在最年少の山下正さん(30)は「動物を捕まえるのには技術がいるが、このままでは技術を継承していくことが難しい」と不安を口にする。出没・痕跡情報は十二月に入ると大幅に減少し、魚津市が十日に出没警報を解除するなどした。クマは人里に何度も出てくることで、われわれに動物と共生する方法の再検討を強く迫ったのかもしれない。

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12/24
(アジア大会クレー射撃Vの中山選手祝賀会:茨城)
11月に行われた広州アジア大会で射撃女子クレー・トラップ個人で金メダルを獲得した結城市在住の中山由起枝選手(31)=日立建機=をたたえる祝賀会が23日、地元の同市民情報センター(同市国府町)で開かれた。中山選手は、2000年のシドニー五輪、08年の北京五輪に出場。北京五輪では日本女子史上最高の4位に入賞。広州アジア大会では、予選からトップを走り、強豪が立ち並ぶ中、頂点に輝いた。祝賀会は地元の同市や市議会、市教委、スポーツ各種団体などで実行委員会を組織し、開催。中山選手の活躍をたたえようと約160人が集まった。実行委員長の小西栄造市長は「市民に夢と感動を与えた」と中山選手の活躍に感謝。その上で、「可能性あふれた選手。挑戦はこれからで、温かく見守りたい」とエールを送った。また、永岡桂子衆院議員や臼井平八郎県議、日本クレー射撃協会強化副委員長の伊東総一郎理事らが激励の言葉を述べた。愛(まな)娘の芽生さん(9)をはじめ参加者から花束を贈られた中山選手は「今回はファイナル一枚一枚を撃つごとに、絶対金を取るという強い気持ちで戦った。これからもご支援をいただき、しっかり前を向き、くじけずにやっていきたい」と力強く抱負を述べた。
(特急がイノシシと衝突:滋賀)
22日午後8時15分ごろ、長浜市木之本町木之本のJR北陸線木ノ本-余呉間で、米原発金沢行きの特急電車「しらさぎ61号」(5両編成、乗客約300人)が、イノシシと衝突した。停車して車両点検、異常がなかったため約15分遅れで発車した。けが人はなかった。JR西日本によると、この事故の影響で、上下7本に最大31分の遅れが生じ、約1000人に影響した。
(口蹄疫、全国拡散の懸念高まる:韓国)
仁川市は24日、江華郡の養豚農家で口蹄疫(こうていえき)感染が確認されたと明らかにした。これを受け防疫当局が23日午後9時から、この農家と周辺農家、6戸で飼育しているブタとウシ4300頭の殺処分を進めている。仁川市関係者は、殺処分を進めると同時に、口蹄疫発生地域付近の移動路を中心に防疫移動統制所と詰め所を設置するなど、感染拡大を防ぐため防疫に全力を尽くしていると話した。仁川市では4月にも江華郡で口蹄駅が7件発生し、227戸の農家で韓牛(韓国在来種のウシ)、肉牛、乳牛、ブタ、シカ、ヤギなど3万1345頭を殺処分した。補償金と防疫費用などを合わせ569億ウォン(約41億円)の財産被害を出した。先月29日に慶尚北道・安東で発生した口蹄疫は、当局の防疫網を突破し、島地域の江華郡まで拡散した。今後、首都圏に続き全国にも広がる可能性が高まった。
(悪さをするカラス撃退:京都)
耕作放棄地の再生をめざす福知山市三和町下川合の農業生産法人「みわ・ダッシュ村」の清水三雄理事長が、カラス撃退機を試作した。カラスをセンサーで感知し、忌避音で退散させる装置。11月中旬に生ごみを置いて実験したところ成功し、寄りつかなくなった。カラスが嫌がり退散する様子をビデオに収めて効果を実証するため、カラスの被害で悩んでいる人に調査への協力を呼びかけている。ダッシュ村は06年に約4・5ヘクタールのまとまった耕作放棄地を取得し、復元した畑でタマネギ、ジャガイモもなどを無農薬で栽培している。ところが近年、イノシシ、カラスなど鳥獣による被害に悩まされている。農場統括責任者の豊田清さん(41)は「カラスの場合、植えてやっと芽を出し始めた豆類をくちばしでつつく。ネットを張っても効果がなく、たまりかねている」と嘆く。この現状を知った清水理事長が、当初は長さ5メートルの巨大なシシ脅しを作る計画を立てたが、それでは無理と判断。いろんな京都市内の開発技術者に依頼し、約2カ月後にカラス撃退機の試作機が完成した。撃退機は、幅約20センチ、高さ、奥行き15センチほどの箱形で、両面に感知センサー、4面にそれぞれスピーカーを取り付けている。12ボルトで作動。畑や生ごみの付近に置き、カラスの接近を感知するごとに、カラスが嫌がる5種類の音を順番に鳴らす仕組み。ダッシュ村で実験し、生ごみに10羽程度のカラスの群れを寄せつけ、撃退機を作動させたところ、音に恐怖を感じたカラスが退散。それ以来、全く寄り付かなくなった。このため、計画していたビデオへの収録ができず、効果実証でカラスの行動を映像に残すための協力者を求めている。清水理事長は「センサーの照射角度など課題はありますが、ダッシュ村では効果が得られました。ごみステーションの生ごみを入れた袋をつつくカラスの防御策などとして重宝されると思います。商品化をするには少なくとも2、3カ月ほど実験を続け、効果を実証する必要がある」と話している。

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12/23
(鳥インフルエンザ、今冬5件目の検出:鹿児島)
環境省は22日、鹿児島県出水(いずみ)市の出水平野で死んだ野生のナベヅル1羽から検出された高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が強毒性だったと発表した。環境省は現場周辺半径10キロ圏内で警戒レベルを最高に引き上げ、野鳥の監視を強化し、近く現地調査を実施する。また、鹿児島県は22日までに、発生地の周囲10キロ圏内の161農場に立ち入り検査したが、異常は見つかっていない。環境省によると、鳥取大で調べた結果、北海道稚内市のカモのふんや、鳥取県米子市のコハクチョウから検出された強毒性ウイルスの遺伝子と極めて近縁と判明した。出水市のナベヅルは21日に新たに1羽の死が確認され、死んだ個体は計7羽となった。このうち、簡易検査で4羽が陽性となり、詳細検査の結果、1羽の感染が判明。これで今冬、強毒性の鳥インフルエンザウイルスの検出は5件目となった。一方、県によると、検査対象の鶏約520万羽の中に、鳥インフルエンザの症状は確認されなかった。
(オオカミで獣害対策、前向き:大分)
シカ、イノシシなどによる鳥獣被害が全国的に拡大する中、国内で絶滅したオオカミを海外から導入して駆除するアイデアが浮かび上がっている。日本オオカミ協会(会長・丸山直樹東京農工大名誉教授)は、オオカミの研究や情報交換をする市町村連絡協議会の組織化に向け、全国の自治体に働き掛けており、県内では豊後大野市が前向きな姿勢。同協会は同様に関心を示す自治体と来年中の組織立ち上げを目指している。日本オオカミ協会は1993年に発足。捕食者としてのオオカミが絶滅したことによりシカ、イノシシが増え過ぎ、森林生態系が破壊されているとして、オオカミの“復活”を目指している。豊後大野市の場合、鳥獣被害額は過去4年間、2千万~5千万円で推移。有害鳥獣の捕獲頭数は増加傾向で、本年度は10月末までにイノシシ504頭、シカ336頭に上る。市は鳥獣被害対策協議会を発足させ、囲いわなの設置、箱わなの貸し出し、狩猟期間中の報償金導入などをしているが、「根本的な対応は難しい」としており、オオカミによる駆除に注目した。オオカミの導入によりシカを削減した事例として、米国のイエローストン国立公園が知られている。国内での実現例はないが、北海道、四国などの自治体も関心を寄せており、超党派の国会議員による「オオカミの復活を考える勉強会」も開かれている。丸山会長は「基本的にオオカミは人を襲わない。オオカミへの抵抗感を持つ人も、説明を重ねると理解を示してくれる」と説明。橋本祐輔市長は「課題は多いが、自治体による組織をつくり、協議することが重要。住民の理解を得ながら対応したい」としている。一方、環境省野生生物課は人や家畜、ペットへの被害、感染症などの課題を指摘し、「獣害対策としてオオカミ導入を具体的に検討する状況にはない」と否定的だ。
(昨年度の動物による被害、過去最悪7億円:静岡)
県は09年度のイノシシやシカなどの野生動物による農林作物の被害状況をまとめた。被害は総額で約7億円に上り、記録がある1987年度以降、最悪だった。とりわけイノシシによる被害額は5年間で約3倍に急増した。県は耕作放棄地が増えたり、ハンターが減ったことを背景に挙げている。県自然保護課によると、09年度の被害総額は6億9618万円。県内の果実や野菜などの産出総額の0・64%にあたる。内訳は、イノシシ3億3946万円▽シカ1億6456万円▽サル1億1564万円--などとなっている。とりわけ深刻なのはイノシシによる被害。県内全域に広がり、全体の半数に上った。「一晩ですべてのトウモロコシがなぎ倒された」「ワサビ田で転がって体に泥をなすりつけていた。水が濁り、取り返しがつかない」--。県農山村共生課にはさまざまな声が寄せられている。同課はその原因について「耕作放棄地が増え、山と里の境界があいまいになった。その分、里に下りやすくなった」。「猟離れ」も一因だ。狩猟に必要なハンターの登録者数は78年、県内に約1万8000人いたが、08年には約4分の1の4265人に減った。県内では、こうした事情を踏まえ、銃を持たない農家に自治体が捕獲用のおりの購入費を助成したり、イノシシ肉の加工でまちおこしにつなげる試みなど、被害拡大を防ぐ取り組みを始めている。同課の沢田元則課長は「苦労して育てた作物が一瞬にして荒らされ、農業への意欲を失う人も少なくない。特効薬はないが、柵を設けたり、生ごみを外に置かないなど地道な努力が必要だ」と話している。
(イノシシ・シカ絡む事故多発:広島)
広島県内の主要国道や高速道路で9月以降、イノシシなどと絡む交通事故が多発している。11月末までに昨年同期の2倍以上の事故が発生。20日には尾道市の瀬戸内しまなみ海道で死亡事故も起きており、道路を管理する国などは注意を呼び掛けている。国土交通省の各国道事務所によると、県内の国道2号や54号などの直轄道路では9~11月、衝突事故で死んだイノシシとシカが計98頭確認された。昨年同期の38頭の2・5倍となった。県北部の国道54号などで目立っている。広島国道事務所は「猛暑で餌が不足し、食べ物を求めて広い範囲で移動している可能性がある」とみる。道路情報板での注意喚起に加え、警戒標識の増設などの対策を検討している。

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12/22
(イノシシ衝突死:栃木)
20日午後9時50分頃、佐野市田島町の県道で、佐野市内の男性会社員(36)の軽乗用車とイノシシが衝突した。男性と同乗の妻にけがはなく、イノシシは即死した。佐野署などによると体長1メートル20、体高80センチ、体重約80キロのメスの成獣。佐野市街地では8日と10日にもトラックと衝突したり、精米店の店内に突っ込んだりするなど目撃されており、同市農山村振興課は「体格などから、8日や10日に市街地で目撃されたイノシシだと思う」と話している。事故現場は10日に店内に突っ込んだ精米店の約500メートル西側。同課は、20日にはねられた現場から東に約100メートル離れた秋山川沿いに潜んでいたと見ている。車の右前方から飛び出してきたという。男性は「最近市街地で出たとは聞いていたが、まさか自分の目の前に出るとは思わなかった」と驚いた様子で話した。
(イノシシ被害、最悪ペース:広島)
福山市内で今年度、イノシシによる農作物被害が過去にないペースで増え続けている。市は、生態や被害防止策などを紹介する「イノシシ被害防止対策マニュアル」(A4判、8ページ)を5000部作成、市役所などで配布している。市農林水産課によると、4月~10月末、市内のイノシシの捕獲頭数は796頭で、農作物の被害額は約1200万円。2009年度は1年間で775頭、1280万円だったといい、捕獲頭数、被害額ともに今年度は過去最悪を更新する見通し。以前は被害を受けるのは山すその農地が中心だったが、今年は三吉町や瀬戸町、御幸町など、市中心部や郊外の住宅地でも捕獲や目撃情報が相次いだ。マニュアルでは、イノシシが、2メートルの高さをよじ登る運動能力や、20センチのすき間をくぐり抜ける柔軟さを兼ね備えていることを紹介。田畑に餌となる野菜くずを残さず、周辺の草刈りを行って隠れ場所を減らすなど、環境を改善すれば効果が大きいとしている。音や臭気による撃退法の効果は「一時的」で、防護柵は「二重にすれば効果大」などと具体的に説明し、複数の対策を組み合わせるよう呼び掛けている。市農林水産課は「地域住民と行政が一体となり、対策に取り組むための教材として活用していきたい」としている。
(イノシシの親子、市街地を逃げ回る:長野)
松本市で21日、親子4頭の野生のイノシシが出没し、川や住宅街を逃げ回った。住民に被害はないが、警察や市の職員が捕獲に追われている。松本市によると、21日午前7時半ごろ、松本市宮渕のスーパーマーケットの駐車場で、親子とみられるイノシシ4頭の目撃情報が警察に寄せられたという。午前9時ごろには、JR松本駅付近で親とみられるイノシシが目撃されるなど、市街地のあちこちから情報が寄せられた。市の職員や警察官20人が網やさすまたなどで捕獲を試みたが、母親とみられるイノシシは昼前に市街地東側の山沿いで姿が見えなくなってしまった。警察は、3頭の子供のイノシシはまだ市内にいるとみて捜している。
(有害鳥獣捕獲者の高齢化進む:広島)
農作物に被害を及ぼす有害鳥獣の駆除従事者が、県北3市で高齢化している。一方で、有害鳥獣の出没件数は増加傾向。従事者の間では、将来の駆除体制を危ぶむ声も出ている。本年度、三次市の有害鳥獣駆除従事者は126人いる。庄原市は134人、安芸高田市は108人。いずれも平均年齢は60歳代前半と、高齢化が目立つ。一方、2009年度、各市に報告のあったイノシシとシカの捕獲数は、県北3市合計で3928匹(前年度比307匹増)。本年度も11月末現在、三次市が前年度を既に331匹上回る1058匹を駆除するなど、捕獲数は3市とも増加傾向だ。同市吉舎町の吉舎班19人は09年度、77日出動。イノシシとシカ計124匹を捕獲した。県自然環境課によると、県内では09年度、散弾銃などを扱う第1種免許取得者の狩猟者登録数は1735人。年々少なくなり、01年度に比べて498人減った。1種免許は昨年度は71人が取得したが、高齢化もあり、減少分をカバーするのに追いつかないのが実情だ。安芸高田市は本年度、新規1種免許取得者への補助制度を始めた。市内の猟友会に所属して有害鳥獣の捕獲に従事するのを条件に、免許取得と猟銃の所持に必要な講習会受講料などをほぼ全額支給する。19日現在で2人が申請予定という。同市農林水産課は「後継者不足の解消につなげたい」と期待を込めている。
(線路にシカ、接触事故多発172件:山梨)
県内で電車や列車がシカをはねる事故が相次いでいる。県内を走るJR3路線で本年度(11月末時点)、シカなどの動物をはねる事故は172件で、既に昨年度実績を上回っている。中央線は5年前の2倍以上だ。事故の発生でダイヤが大幅に乱れるケースもあり、JR各社は事故多発エリアにフェンスを設けたり、徐行運転をしたりしている。動物のほとんどがシカといい、専門家は「暖冬などで繁殖しやすい環境になっていることが要因」と指摘している。JR各社によると、11月末時点で動物をはねる事故は、小海線(長野県内区間含む)が82件、身延線(静岡県内区間含む)が68件、中央線(上野原-小淵沢駅間)が22件。昨年度1年間の実績と比較すると、小海線は8件、身延線は16件それぞれ多い。中央線は11件少ないが、2005年度(9件)より13件の大幅増となっている。6月には身延町のJR身延線塩之沢-波高島駅間で、普通電車が線路内にいたシカをはね、1時間以上運転がストップした。ダイヤが乱れることがあるため、各社は事故防止策を講じている。中央線は甲斐大和-勝沼ぶどう郷駅間の3カ所で、高さ1・7メートルのフェンスを30~60メートル設置し、今後長坂-小淵沢駅間でも検討。ただJR東日本は「設置費用がかかるため全てにフェンスを設けることは厳しい」との見解を示す。身延線は昨年10月から1カ所で徐行運転を始めた。今年4月と8月にエリアを拡大、現在は5カ所になった。ダイヤに影響が出ないよう10~30キロ減速、「シカの出没を早めに確認するようにしている」(JR東海)という。小海線は以前、シカがにおいを嫌うというライオンのふんをまいた。しかし「近隣住民から苦情が出て、効果も上がらなかったので取りやめた」(JR東日本)経過がある。JR東海も県外路線で、線路脇にオオカミの尿を散布したり、くぎを打ち付けた侵入防止マットを設置したりしたが、効果はいまひとつだったという。線路上にシカが出没する理由について、県環境科学研究所の吉田洋研究員は、シカの繁殖を挙げる。「冬場でも雪が少ないためエサが捕れ、生命力の弱い子シカも越冬できるようになった」と説明している。狩猟従事者の減少も要因とされる。県は5年前から雌シカの狩猟を許可したり、禁猟期間中も駆除目的の場合は認めたりしてきたが、「従事者が少なく、シカの繁殖に駆除が追い付いていない」(みどり自然課)という。
(「オオカミで獣害対策」:和歌山)
情報技術を活用した地域づくりに取り組む「古座川電脳塾」は20日、和歌山県古座川町明神の明神生活改善センターで、東京農工大学名誉教授で日本オオカミ協会会長の丸山直樹さんによる講演会を開いた。丸山さんはニホンジカによる獣害防止のためにオオカミ復活の必要性を説いた。丸山さんは、日本でオオカミが絶滅したのは明治時代末で、本州では奈良県で1905年に捕獲されたものが最後と言われていることなどを紹介した。日本オオカミ協会は93年設立。現在約250人の会員が、頂点捕食者がいない森林生態系をオオカミを復活させることによって保護し、獣を適正密度に抑えて農林業被害を抑えることを目的に活動しているという。日本でオオカミが絶滅したと判断される根拠について、オオカミは毎日ほえるので、生きていれば声を聞くはずだが、そんな話はないということを挙げた。子だくさんで6、7匹生み、現在は餌となるシカやイノシシがたくさんいるので、オオカミが生き残っていればあっという間に増えて目にするはずだが、それがないことも根拠の一つと話した。農作物などへの被害が相次いでいるシカについても解説。シカは自然植生に大きな影響を及ぼし、シカが増えるとカモシカが減ることなどを説明した。シカは胃が四つで一つ目の胃にたくさんの微生物がいて、食べたものを分解できることから「シカは植物があれば何でも食べ、いつでも増える」と、脅威を示した。米国のイエローストン国立公園で95年と96年に計31匹、カナダからオオカミを連れてきて放し、それ以外の地域でも35匹放した事例などを紹介。この結果、2009年には公園の中で96匹に増え、公園の外まで含めると約200匹近くに増えた。それ以外の地域に放したオオカミはロッキー山脈で2500匹ほどに増えたという。この結果、同国立公園に1万6千匹いたエルクジカが7千匹に減少。開放的な環境にいたエルクジカはオオカミが怖いことから、栄養状態の悪い林の中へ隠れ、死亡率が高まり、雌の妊娠率が下がった。食べられて減っただけでなく、オオカミがいつ襲ってくるか分からないという恐怖心がストレスになったことが、エルクジカが減った原因と考えられている。日本にオオカミを復活させる話については「イノシシやサルなど、シカ以外の動物を減らすにも効果があるだろう」と話した。外来種を入れるのは心配だという声も聞かれるが、世界にはハイイロオオカミ1種しかいないことや、オオカミは世界中で15万~16万匹生息しているにもかかわらず、人を襲う事例が報告されていないことを話した。現在、シカに行っている獣害対策に対する提言として(1)オオカミの復活(2)若いハンターの自治体雇用による常勤体制化(3)広域的侵入防止柵(壁)の建設―を挙げ「三つを並行して実現してもらいたい」と締めくくった。

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12/21
(無許可クマわなに有罪、「緊急避難」主張認めず:北海道)
飼育する牛をヒグマから守るため、許可を得ずに自分の牧場に箱わなを仕掛けたとして、鳥獣保護法違反の罪に問われた釧路管内浜中町の牧畜業の男性被告(73)に対する判決公判が20日、釧路簡裁(青木忠儀(ただよし)裁判官)で開かれた。青木裁判官は「犯行は独善的で、箱わなの免許制度を無視しており、酌量の余地はない」として、求刑通り罰金30万円を言い渡した。男性側は事実関係を認めた上で「家族や牛を守るためにやむを得ず行ったもので、刑法上の緊急避難が成立する。罰を加えるほどの違法性はない」として無罪を主張していた。判決理由で、青木裁判官は「箱わなの状況を見回るなど、危険防止策を講じておらず、違法性が明らか」と指摘。「被告がヒグマ対策を考えてから、わなを設置するまで3カ月あり、差し迫った危険があったとは言えない。わなを仕掛けるための試験を受ける機会もあった」とした。判決によると、男性は牛130頭、馬13頭を飼育。毎年1頭くらいの牛がいなくなるのをヒグマの仕業と思い、2007年10月に箱わなを購入、道知事に無許可で牧場に設置、09年11月に1頭を捕獲した。男性は今年4月、同法違反の罪で略式起訴され、釧路簡裁から罰金30万円の略式命令を受けたが、命令を不服として、正式裁判を請求した。
(キジが死ぬ、鳥インフル?:富山)
富山県によると20日午前、高岡市の高岡古城公園内で飼育されているキジの仲間のキンケイのオス1羽が死んでいるのが見つかりました。詳しいことはわかっていませんが、富山県では、高病原性鳥インフルエンザの可能性もあるとみて原因を調べています。高岡古城公園では、今月17日、堀で放し飼いにされていたコブハクチョウが高病原性鳥インフルエンザで死んでいます。この問題を受け富山県は、養鶏農家に対し、消毒用の消石灰の配布を始めました。県内全ての養鶏農家28戸に消石灰を無料配布します。養鶏農家に対するこれまでの立ち入り検査で異常はありませんが消石灰配布で消毒の徹底を図りたいとしています。一方、石川県によると県内の養鶏場などで今のところ、異常は見つかっていません。鳥の死がいが見つかれば検査をするなどの対策をとるとしています。
(イノシシ対策指導者育成:長崎)
今年に入ってイノシシ上陸の痕跡が見つかっている壱岐市で、市や県などでつくる壱岐地域鳥獣被害防止対策協議会が、来年1月からイノシシ対策の地域指導者を育成する「壱岐地域イノシシ大学」を開講する。「イノシシ大学」は県内各地でイノシシによる農業被害が拡大したことを受け、2008年度に県やJAが始めた。これまで佐世保市や諫早市などで開講し、4カ月間の講習を経て約250人がイノシシ対策インストラクターとなっている。壱岐市にはイノシシはいないとされてきたが、夏ごろから、イノシシのものと見られる足跡や田んぼの土に体をこすり付けた跡などが市南部で10カ所以上で確認された。16日にも郷ノ浦町初山東触の山中で足跡が確認されている。同協議会は箱型わなを設置したり、対馬市などから猟友会員を招いて調査を行ったりしている。講習は3月までに計7回、同市芦辺町の県壱岐振興局国分庁舎で行われイノシシの生態や被害対策、捕獲方法などを学ぶ。市内在住者を対象に受講者を募集している。

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12/20
(「競技専念の環境を」選手が協会内紛で注文)
会長などの役員人事をめぐって、新旧執行部の内紛状態が続く日本クレー射撃協会に対し、広州アジア大会の女子トラップで金メダルを獲得した中山由起枝(日立建機)が「選手が競技に専念できる環境をつくって」と切実に訴えた。アジア大会には協会からの派遣が認められず、日本オリンピック委員会(JOC)が選手を推薦する形で中山と鈴慶子(日立建機)の2人が派遣された。しかし、新執行部側が祝勝会を開くなどチグハグな状態に、選手自身が声を上げた。今月8日に東京都内のホテルで開かれた祝勝会。あいさつに立った中山は、お礼を述べた後に切り出した。「12人の代表が決まっていたのに、2人しか派遣されなかったのは内紛問題があるから。代表チームでも納得いかない選考や、競技に集中できない状況がある。このメダルでいい方向に行くように切に願っている」現在、新執行部が運営する協会はJOCの正常化に向けた解決案に応じていないため、JOCからの強化費などが止まっている。平井一三会長は「JOCからは100円の強化費ももらっていない中での金メダルは、ほかの人のメダルよりも価値がある」と自らの手柄であるかのようにたたえた。だが、限られた資金では派遣される海外の試合は限られており、中山も5、6月と所属先の費用で欧州遠征に出た。中山は08年の北京五輪では4位とメダルに手が届かなかったが、広州アジア大会では、世界ランキング1位の選手を破り、この競技で日本女子初の金メダルを獲得した。「選手にとっては執行部が新旧どちらでも関係ない。現状をしっかり把握してもらい、この金メダルが何のためなのかを考えてもらいたい」。中山の必死の思いは協会幹部に届くのか。
(バイク便の男性がイノシシに衝突し転倒、車にひかれ死亡:広島)
20日午前5時10分ごろ、広島県尾道市因島重井町の瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)上り線で、大阪市旭区中宮4、バイク便運転手、入江伸幸さん(35)のオートバイが、路上に横たわっていたイノシシに衝突し、転倒。後ろから来た東広島市の会社員男性(28)運転の軽乗用車にひかれ、入江さんはまもなく死亡が確認された。県警高速隊が詳しい死因を調べている。同隊によると、現場は因島北インターチェンジの南約1キロ。事故と同時刻ごろ、現場付近でイノシシをはねたと、愛媛県東温市の会社員男性(35)が申し出ていた。入江さんは愛媛県内の配達先から、大阪に戻る途中。事故で、因島北IC-因島南IC間は一時、上下線とも通行止めになった。瀬戸内しまなみ海道では、イノシシと車の衝突事故が頻発している。
(72歳男性、自宅敷地内でクマに襲われ重傷:秋田)
17日午後3時ごろ、秋田市太平黒沢稲荷、無職、利部金男さん(72)が自宅敷地内でクマに襲われた。利部さんは頭などをっひっかかれ重傷を負った。秋田東署の調べでは、利部さんが自宅前の道路で除雪作業をしていて、気付いたときにはすぐ近くに体長約1メートルのクマ1頭がいた。利部さんは自宅に向かって逃げたが、クマは追いかけてきて敷地内でひっかかれた。クマはその後、近くの山に去ったという。現場は山あいの集落。
(鳥インフルで回収死骸23羽検査へ:鳥取)
鳥取県米子市安部の民家で保護され、その後死んだコハクチョウから高病原性鳥インフルエンザウイルスを検出した問題で、鳥取県と日本野鳥の会鳥取県支部は19日、周辺の海岸などで監視調査を実施。県は死骸など計30羽を回収した。検査が可能な23羽について、今後、鳥取大学で感染の有無を調べる。県によると、調査は約20人態勢で、半径10キロ圏内を中心に行った。その結果、カラスやマガモ、ユリカモメなど死骸28羽と傷病野鳥2羽を見つけて回収した。このうち、鳥インフルエンザの症状がなかった傷病の2羽と、死後の期間が長くて検査不能の5羽を除く23羽について調べる。また、平井伸治知事も同日、米子市西町の中海を確認。「肉や卵に影響はないので、安心して地元の食を楽しんでほしい」と呼び掛けた。一方、野鳥の会も同日、20人態勢で日野川や湖山池など県内8カ所についてガンやカモなどを中心に調査。71種24808羽を確認したが、衰弱または死んだ鳥はいなかったという。調査について、野鳥の会の土居克夫事務局長は「鳥は日常と変わらない様子だった。(鳥インフルエンザは)人には感染しないということなので、大騒ぎしないようにすることと、水鳥を見るときは、水辺に近づかないようにすること。もし近づいたら、靴底と手を消毒するようにしてほしい」と話していた。
(住宅街にシカ出没で大捕物:福岡)
17日午前10過ぎ、福岡市の住宅街から「シカ1頭が道路の中央をはいかいしている」という通報がありました。警察官がシカを取り囲み、1時間以上にらみ合いが続きました。シカはバリケードを飛び越えようとしますが惜しくも届かず、顔面を直撃。網に絡まりながらさらに逃走を試みますが、警察官約10人がかりに取り押さえられ、あえなく御用となりました。このシカは体長150センチの雄のシカで、この後、近くの山に帰されたということです。けが人はありませんでした。
(エゾシカ捕獲増へ連携強化:北海道)
道は、深刻なエゾシカ被害を受けて、捕獲頭数を増やすため、各総合振興局と振興局に対策チームを設置し、市町村や猟友会など捕獲に関係する団体との連携強化を図る。また、ハンターを非常勤の公務員にしたり、市町村職員の狩猟免許取得を進めたりして、捕獲の担い手確保にも取り組む。道によると、道内には推定約64万頭のエゾシカが生息。昨年度のエゾシカによる農林業の被害額は過去最高の50億8200万円に達した。こうした被害を減らすため、道は今年度、過去最多の約11万5千頭を目標に捕獲を進めているが、エゾシカの増加を食い止めるには至っていない。そこで、道は新たに各総合振興局と振興局に環境・農業・林業分野の職員で構成する対策チームを設置し、関係者との連携強化を図る。エゾシカが私有林に生息している場合、土地所有者に駆除の許可を得るのに時間がかかるなどの問題もあったが、行政と猟友会が連携することで、土地所有者に協力を求めやすくなるという。また、農家を対象にエゾシカを生け捕りにする「くくりワナ」の普及も図る。一方で、捕獲作業の担い手確保にも努める。民間のハンターを鳥獣被害防止特措法に基づいて、非常勤の市町村職員に任用。捕獲作業中のけがを公務災害として補償できるほか、通常は10年間の散弾銃による経験がなければ使えないライフルも使用が認められるようになる。市町村職員を対象に捕獲研修を開き、狩猟免許の取得も進める方針だ。道の担当者は「市町村職員が狩猟免許を取得すれば、ヒグマが人里に出た時も即応できる。今後も捕獲体制の整備を進める」としている。
(クマ目撃、前年度2.6倍の2569件で人身被害14件:長野)
県野生鳥獣対策室は、4月~11月末のツキノワグマの目撃件数が、前年度の約2・6倍にあたる2569件に上ったと明らかにした。記録を取り始めた05年度以降、クマの大量出没があった06年度の4574件に次いで多い。ここのところ出没は終息に向かっており、同室は「例年通り、クマは冬眠に入ったようだ」としている。県の野生鳥獣被害対策本部会議で報告された。同室によると、けがなどの人身被害は14件14人(同)で、死者はゼロだった。今年の大量出没について、同室は「えさになるドングリなどの凶作や、里山の荒廃が主な原因だろう」と分析する。また、今年度のシカやイノシシなどの被害対策については、防護柵、電気柵は25市町村で総延長142キロ▽樹皮はぎ防止の金属ネットなどの設置180ヘクタール▽ワナ・オリ購入支援2100基▽ジビエ料理の販路開拓支援--などを実施している。県農業技術課によると、野生鳥獣の被害を受けている集落を3年ぶりに調べたところ、07年10月比で、佐久や上伊那地方を中心に61カ所増の1341集落(同)に上った。県内の全集落の45%にあたり、ほぼ半数で被害が生じている。
(JR東海、シカと列車の接触急増)
列車がシカと接触する事故が相次いでいる。JR東海によると管内では今年度、12日までに412件起きている。同じ列車が終点までに2度、3度とぶつかることも。その度に列車を止めて安全確認をしなければならず、遅れにつながる。全国的な傾向とみられ、17日には全国のJRグループの関係者が名古屋市に集まって対策会議を開いた。JR東海によると、同社管内のシカの接触事故は08年度がピークで514件。紀勢線が267件と半数以上を占めた。以下は高山線、飯田線と山間部を走る路線が続く。シカは夜行性で、夜や早朝の接触事故が多い。線路上にいたシカが列車のライトでパニックになって動けなくなる▽線路沿いに逃げていたシカが列車に飛び込む--などで、はねられるという。JR東海は、シカの接触事故が毎年管内最多の紀勢線に、延べ18.3キロにわたり、高さ1.8メートル以上のシカ侵入防止柵を設置した。シカが嫌がるライオンのふんを線路にまいたりもしたが、すぐに雨でにおいが消えて効かなかった。
(わなにエゾタヌキ、困惑アライグマ捕獲作戦:北海道)
苫小牧市が仕掛けたアライグマ捕獲の箱わなに、掛かった動物の8割以上がエゾタヌキなど在来種だったことが分かった。市は、見つけ次第、放しているものの、衰弱などで死ぬケースもあるという。在来生態系を外来種から守る取り組みが、逆に野生動物を傷つけてしまう皮肉な問題が起きている。アライグマ捕獲は国の緊急雇用対策事業費を活用して、8月10日~11月12日の日程で行われた。仕掛けた金属製の箱わな120基。苫小牧市高丘、錦岡などほぼ市全域の森林に設置した。事業成果は、目的のアライグマ140匹、同じく外来種のアメリカミンクも2匹捕獲した。わなに掛かったのはこれだけではない。タヌキ713匹、ネコ93匹、キツネ7匹、カラス6羽など目的外鳥獣が831匹・羽にも。混獲率は85.4%に達した。10月、森林の川沿いの箱わな3基にエゾタヌキ。中で暴れて傷ついたのか、1匹は顔から血を流し、死んでいるタヌキもいた。「毎日チェックし、タヌキなどがいれば、すぐに放している。しかし、混獲を防ぐのは困難」と市は困惑する。道自然環境課によると、道央圏の昨年4~8月の捕獲作戦では、箱わなに入った1098匹のうち、735匹がアライグマとは別の動物だった。混獲率67%。「捕獲方法として箱わなが便利で有効だが、タヌキやカラス、ネコを混獲してしまうことが多い。しっかり見回りするなど対策を取っているが、防止するのは難しい」と言う。混獲は、わなに掛かった野生動物が熱中症や低体温症などで死んだり、強いストレスでダメージを与えてしまう問題を抱えている。在来生態系への影響から外来種対策を進める環境省北海道地方環境事務所は、「混獲は好ましくなく、防止するわなの開発や利用が急がれる」と話している。工夫で混獲を減らせると指摘する専門家もいる。兵庫県立大学自然・環境科学研究所の阿部豪特任教授は「箱わなに入ってしまう動物の多くはエゾタヌキ。その生態に基づく対策が混獲率を下げることに有効」と話す。札幌市郊外の野幌森林公園でアライグマを研究した経験がある。
(シカ食害、新島で深刻:東京)
伊豆諸島・新島で、人間とシカとの攻防が繰り広げられている。約40年前に村が観光目的で、近くの無人島に持ち込んだニホンジカが泳いで新島にたどりつき、農作物を荒らす被害が深刻になった。村は、小さい島ゆえに猟銃を使わず、ワナでの捕獲作戦を展開中。今年も300頭以上を捕獲するものの根絶は難しく、新島村は頭を抱える。奥深い山中、幅約2メートルのけものみちを軽自動車が突き進む。シカのふんにょうのにおいなどから割り出して作った捕獲専用のでこぼこの道だ。車は掘り起こされたワナを発見し、止まった。運転していた猟友会のメンバー、青沼甚彌(じんや)さん(73)がワナを埋め戻す。落とし穴のようになっていて、脚を入れたらワイヤがしまる仕組みだ。が、シカは逃げてしまったらしい。青沼さんは「シカの力は強いからね。一度脚にワナがかかってももがいているうちにとれてしまうんだよ」と残念そう。元々、新島でシカは確認されていなかった。新島から西へ約1.5キロにある地内島。村は1969年以降、この無人島に、観光目的でシカ計約20頭を放った。多摩動物公園などから持ち運び、離島ブームにわく新島周辺の観光の目玉になると考えていた。だが、シカが泳いで渡って来ることまでは想定していなかった。青沼さんは、息も絶え絶えに泳いでいるシカを見たという。村の担当課は「まさか、ここまでたどりつくとは思わなかった」と語る。上陸したシカは、新島で繁殖。畑ではトマトやかぼちゃ、サツマイモなど野菜の新芽が食べられる被害が増えた。新島では16年前から、本格的に捕獲を始めた。島の面積は24平方キロと小さく、村は「島民の安全が一番」と、近年は銃を使った捕獲ではなく、ワナを仕掛けている。シカ肉を食べる案も出た。同じようにシカの被害に悩まされている奥多摩町では2006年、猟師らが捕獲したシカの肉を加工する処理施設を作って町の特産品として売り出した。だが、島での人気はいま一つ。シカ肉を食べた島民の女性は「ぱさぱさしていて、脂身が無かった」。捕まえたシカは処分している。山林ではシカが抱えるダニの広がりも懸念され、冬場の観光客を呼び込もうと計画されているトレッキングツアーの障害にもなっている。捕獲頭数は08年度に548、昨年度は446頭。村の担当者は「シカは山奥にいて、何頭いるか想定すらできない。根絶を目指すが、正直難しい。だが、捕獲しなくなれば増えてしまう。続けるしかない」と話す。
(大型わな効果なく、タイワンリス防除作戦:熊本)
農作物に被害をもたらす特定外来生物のタイワンリスが宇土半島西部で生息域を拡大している問題で、大量捕獲のために設置した大型わなが不調で、効果を挙げていないことが分かった。調べてみると構造的な欠陥が判明し、県宇城地域振興局は関係機関で組織する連絡協議会を24日に開催、新たな対策を検討する。同局によると、大型わなは約2メートル四方の金網製で、9月8日に宇城市三角町大田尾、同9日に宇土市赤瀬町の山中に1基ずつ設置した。しばらく様子を見ても1匹も捕獲できないため「雌をおとりにしたら、雄がおびき寄せられるかも」と“おとり作戦”を展開。しかし数度試みても、おとりのリスが逃げ出し、失敗に終わった。調べたところ、一度金網の中に入ると外に出られないはずが、入り口のふたと壁の間にわずかな隙間があり、リスがその隙間に頭を突っ込んでふたを開け、逃げた可能性があることが分かった。10月に入り、入り口の隙間をふさぐ板を張り付けて改良。赤瀬町に仕掛けた大型わなに監視カメラを設置、様子を見た。ところが11月になって、中に入ったリスがほかの動物に襲われて死んでいるのを発見。現場に落ちていたふんや、その後の監視カメラの画像から、テンがリスを襲った犯人らしいことが分かった。しかも、そのテンらしき小動物は入り口の隙間をふさいだ板をかじって外し、脱出したとみられるという。同局は、タイワンリス対策に先行的に取り組んできた神奈川県三浦半島を9月下旬に視察した結果を踏まえ、大型わなのさらなる改良など新たな対策を検討中という。地元猟友会に依頼して仕掛けた小型わなは、4月から11月末までに2127匹を捕獲し好調なため、同局林務課の中薗育一郎課長は「当面は来年3月まで、大型の改良型と小型を併用して捕獲実績を上げたい。仕掛ける餌にも工夫を加えたい」と話している。
(元ペット?のサル捕獲:青森)
8月から青森市内に出没していたとみられるサルを、市が先月27日に捕獲した。ペットとして飼われていた可能性が高いことから、市は山へ放すことを断念。同市合浦の合浦公園内にあるサル舎で飼育しながら、飼い主が名乗り出るのを待っている。市によると、市東部では8月下旬から目撃情報が112件相次いだ。畑の果物や野菜などが食い荒らされる被害もあったため、市は目撃情報が寄せられた畑などにオリを設置していた。県動物愛護センターによると、捕獲されたのは雌の成獣で、職員が近付いても威嚇などせず人慣れしている様子という。市は目撃情報と特徴が似ていることから、同一と判断した。市環境政策課の能代谷正志課長は「冬になり餌が少なくなれば、人へのかみつき被害もあるのではと心配していた。捕獲できてほっとしている」と話した。
(酪農学園大が「野生動物学コース」新設:北海道)
酪農学園大(江別市、谷山弘行学長)は来年度、野生動物の保護管理を専門的に教える「野生動物学コース」を新設する。専門知識と捕獲などの技術を併せ持ち、エゾシカ対策などに当たる人材を養成する。1学年60~80人程度を見込んでおり、日本野生動物医学会の村田浩一会長(日大教授)によると、大学の野生動物保護管理専門のコースとしては全国最大規模。現在の3学部8学科を「2学群5学類」に再編する機構改革の一環。同コースは農食環境学群(学群は学部に相当)に設け、エゾシカなどの生態やアライグマといった移入動物が在来生態系に及ぼす影響、個体数管理の手法を講義で学ぶ。また、本年度まで希望者を対象に実施していたエゾシカの捕獲と解体などの野外実習を必修化。猟銃の使用免許取得のための知識や技術も教え、動物の捕獲、希少種の保護などを現場で実践する力を身につけさせる。卒業後の進路は環境省や都道府県、全国の市町村、民間の調査会社の専門職員、一般職員を想定。同大の金子正美教授(環境情報学)は「クマやイノシシ、シカなどと人とのあつれきは全国で深刻化しており、即戦力になる人材を育てたい」と話している。
(餌やり、サルに続きカラスも禁止へ:大阪)
大阪府箕面市は二十日、開催中の十二月議会で、カラスへの餌やりを禁止した「箕面市カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例」案を採決する。可決する見通しで、二〇一一年七月から施行する方針。市によると、カラスの餌やりを禁止した条例は東京都荒川区が定めている例があるものの、全国でも珍しい。条例案では、餌目当てにカラスが集まってくることを認識しながら餌を放置することを禁止し、餌の回収を義務付ける。市の立ち入り調査を拒否したり、是正命令に従わなかったりした場合、市は警察などに告発し十万円以下の罰金を科す。箕面市によると、市南部で住民がネコにやった餌を狙ってカラスが集まり、ふん尿や鳴き声などの被害が広がった。協力を求めてもなかなか応じない住民もいたため、市は条例を定めてカラスが集まる原因そのものの排除を目指すことにした。箕面市では今年四月からサルへの餌やりを禁止した「箕面市サル餌やり禁止条例」が施行したばかり。

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