<射撃ニュース3月>

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(クレー協会、JOC案拒否)
役員人事をめぐって新旧執行部が対立する日本クレー射撃協会の内紛問題で、日本オリンピック委員会(JOC)が提示したJOC主導ですべての役員を選び直す解決案を同協会新執行部が拒否したことが12日、明らかになった。新執行部が、47都道府県協会に対してJOCの解決案に同意するかどうかを諮ったところ、半数近くの反対があったという。文科省から問題解決の要請を受けているJOCは当面、推移を見守る方針。
(巨額投資で高まる不要論、新県立射撃場:山梨)
建設費が想定より4割増の26億円に膨らむことが判明した甲州市への新県立射撃場計画について、必要性を疑問視する声が相次いでいる。県教委はクレー射撃の競技レベル向上などを理由に、コストを縮減した上で建設する方針だが、市民団体は県内4カ所の民間クレー射撃場の稼働状況を踏まえ、「新たに整備する必要はない」と主張。与党県議からも白紙撤回を求める声が上がる。計画見直しで規模が縮小されれば、県教委が地元に説明してきた国際大会の開催基準を満たさなくなる可能性もあり、どちらに転んでも不要論は高まりそうだ。「白紙撤回する考えはないのか」。2日の2月県議会教育厚生委員会。県政与党会派の代表を務める丹沢和平氏が厳しい口調で詰め寄った。松土清県教育長は「どれだけコスト削減できるか検討したい」と計画見直しに理解を求めたが、必要性を疑問視する声は別の県議からも上がった。使用期限を迎え、閉鎖した韮崎市の射撃場に代わる施設として計画されている甲州市の新射撃場。民間のクレー射撃場が県内に4カ所ある中、県は整備する理由として、民間は射場が狭いことを挙げる。「クレーの射出速度が遅く、大規模な大会のスピードに対応できない」。県教委スポーツ健康課の担当者はこう説明する。近年、イノシシやクマなどによる農作物被害が相次ぐことから、「駆除に当たる猟友会会員の練習場所を確保するためにも整備する必要がある」(同課)と強調。元県議で県クレー射撃協会長を務める臼井成夫氏は「財政が厳しく、コスト削減が必要という考えは当然だが、整備は知事が約束したこと。守ってもらわなければ困る」と強調する。一方、昨年7月に韮崎市の県立射撃場が閉鎖されてから、利用者増を見込んでいた、大月市内にある民間クレー射撃場の経営者は「利用者はそれほど増えていない」と首をかしげる。都留市や身延町、忍野村にも民間のクレー射撃場があるが、経営者は「韮崎の県立射撃場閉鎖後も稼働率に余裕がある」と口をそろえる。県や県教委によると、射撃場の利用者であるクレー射撃の競技人口は87人(2008年度)。猟友会の銃猟会員も約2100人(09年度)で、10年間で千人近く減っている。全国では17都道府県(36・2%)が公立の射撃場を設けていないのが実情だ。「県立射撃場建設を考える市民の会」の海老沢璋愿たまよし代表は「費用対効果を考えれば、巨額の建設費がかかる射撃場を新たに造る必要はない」と主張する。県教委が当初立てた計画では、クレー射撃の射場を4面、韮崎の3倍に当たる全長150メートルの大口径ライフル射場も1面整備。県教委は「アジア大会が開催できる規模」とうたい、甲州市議も「大会開催時には多くの人が訪れ、観光振興や地域活性化につながる」と期待を寄せてきた。しかし、県教委は26億円に膨らんだ建設費を大幅に削るため、計画を抜本的に見直す方針。射場の面数が削られ、これまで説明してきたアジア大会開催の基準を満たさなくなる可能性も出てきた。建設を推進してきた、甲州市議はこう強調する。「地域活性化につながると言うから計画を後押ししてきたのに、これでは話が違う。甲州に整備するなら、当初の規模のままとするのが条件だ」
(イノシッ士活躍:鳥取)
イノシシや鹿、カラスなどによる農作物被害を食い止めるため、効率的な侵入防止や捕獲の方法を農家にアドバイスする「イノシッ士」が、成果を挙げている。県の養成講座を修了した1期生34人が活動を始めた2009年4〜12月の被害額は9634万円で、前年同期比16%減少し、ヌートリアや鹿の捕獲数も大幅に増えた。県内では、耕作放棄地の増加などで野生動物の生息範囲が広がる傾向にあり、県の担当者は「地域ぐるみの対策をどんどん引っ張って」と活躍に期待している。イノシッ士は「県鳥獣技術士」が正式名称。民間の専門家として地域で対策のリーダー役を務めてもらうため、県が3年で80人を目標に、08年度から養成に着手した。効果的な侵入防止策のポイントや、鳥獣を寄せ付けない環境作りなどを養成講座で学ぶと、イノシッ士として登録される。農家やJA職員らの1期生は09年、鳥取市の山間部や日野、南部町などで侵入防止柵を計約4000メートル設置、ヌートリアの捕獲にも携わった。県生産振興課によると、同年4〜12月の動物別の被害額は、鹿が前年同期比12%、ヌートリアは13%、カラスは60%、熊は96%も減少。捕獲数は、鹿は2・4倍の420匹、ヌートリアは2・1倍の2143匹、アライグマは64%増の18匹に増えた。ただ、イノシシについては、被害額は17%増の6093万円。湯梨浜町や大山町の平野部など、これまで被害が少なかった地域で梨などが食い荒らされ、被害額を押し上げたという。捕獲数は2103匹で7%減。同課の担当者は「耕作放棄地や竹林の拡大で、イノシシの通り道や隠れ場所が増えた。イノシッ士の指導を通じ、効果的な対策を普及させたい」と話す。一方で、同市鹿野町では、イノシッ士を中心に対策を話し合ううち、捕獲したイノシシの肉の特産化を目指す「シシボタンの会」が発足。南部町でもイノシシの解体処理施設の設置が検討されるなど、まちおこしにつながる動きも出始めた。今月10日には女性2人を含む2期生27人が登録され、計61人に。新たに登録された鳥取市内海中、農業佐々木文仁さん(65)は「自分たちの手で田畑と作物を守る工夫を重ねたい」と張り切っている。
(ラッコ食害、ウニ壊滅:北海道)
根室市の歯舞漁協が納沙布岬沿岸に移植放流していたエゾバフンウニ約3トンがラッコに食べられ、壊滅的な被害を受けていることが分かった。被害額は判明分だけで約500万円に達し、同漁協は頭を悩ませている。ウニは昨年5月に移植された。たも網漁の初出漁となった今月4日、漁業者が海底に殻の割れたウニが大量に堆積(たいせき)しているのを発見、同漁協がダイバーによる潜水調査を行ったところ、ほぼ全滅していたという。食害は同岬近くの別の2カ所でも確認された。市歴史と自然の資料館が殻などを鑑定し、「割り方からみてラッコによる食害」と断定した。同岬沿岸では昨年5月以降、釧路川(釧路市)で人気者になった「クーちゃん」が移りすみ、これを機に年末以降は2〜6頭が生息しているという。ラッコは1日に6〜10キロほど食べ、特にウニやカニなど高価な海産物を好物にしている。02年から2〜3頭が生息している襟裳岬沖(日高管内えりも町)でも03年、ウニが壊滅的な食害を受けたことがある。オホーツク海側のウニのたも網漁は昨年度、約2億3000万円の水揚げがあったが、同漁協は「ラッコが居座っているので、資源が少なくなれば漁業者は生活できなくなる。被害額は3000万円以上になるかもしれない」と懸念する。ラッコは法律で捕獲が禁止されている。同資料館の近藤憲久・学芸主任は「米国では、漁業海域にラッコが現れた場合、麻酔銃で捕獲し、保護区に放獣する取り組みが行われている。(日本も)共生に向けて対策を講じていかなければならないと思う」と話している。
(シカ害防げ、巻き狩り初の大作戦:福井)
深刻さを増す嶺南地方のシカ害対策のため、県と小浜市、若狭町は10日、両市町境界の山林で、大勢で特定の場所に追い込んで捕獲する「巻き狩り」をした。シカが増えすぎて防護柵(さく)などだけでは農林業への被害を防ぐのが難しくなったことから、初の大がかりな捕獲作戦となった。「県特定鳥獣保護管理計画」(計画期間08〜11年度)の一環で、場所は小浜市加茂と若狭町玉置、武生一帯の約100ヘクタール。県猟友会の56人が早朝から安全祈願をして、慎重に準備に入った。シカを追い込む勢子(せこ)と射手に分かれて配置につき、午前10時半の花火を合図に一斉に開始した。勢子が4方向から笛を吹き鳴らして山中を進み、午後2時ごろまでに4頭を捕獲、埋葬するなどして処分した。シカは畑の作物のほか木の幹の皮や芽を食べるため、嶺南地方を中心に農林被害が広がっている。県の調べでは、シカによる県内の被害は08年度が57・4ヘクタール、1315万円にのぼり、大半が小浜市と若狭町内で発生している。嶺南地方のシカの推定生息数(08年度)は1万7500頭。08年度の駆除捕獲と狩猟捕獲の合計数は3388頭で、県内全体の98%を占める。県自然環境課の担当者は「本日の捕獲数は多くないが、巻き狩りを検証するという意味では成功した。今回の記録をもとに猟友会に方法を普及させたい」と話した。
(矢が刺さった奈良公園のシカ、死ぬ:奈良)
奈良市の奈良公園で腹部に矢が刺さった雌シカが見つかった事件で、保護していた「奈良の鹿愛護会」のメンバーが15日朝、同公園内でこのシカが死んでいるのを見つけた。命に別条はないとみられていたが、その後の診察で肺も傷ついていることがわかったという。シカは13日、ボーガン(洋弓銃)で撃ったとみられる鉄製の矢が刺さった状態で発見された。同公園のシカは天然記念物に指定され、奈良署が文化財保護法違反容疑で調べている。
(衰弱オットセイやっと保護:富山)
富山県氷見市の島尾海水浴場にオットセイが打ち上げられているのが11日午前に発見され、約30時間後の12日午後、衰弱した状態で新潟市の水族館にようやく引き取られた。法律で捕獲禁止対象となっているため、氷見市は見守るしか手だてがなく、職員が24時間態勢で見守りながら、国にかけ合ったが、了解をとるまでに時間がかかった。同市の海岸でオットセイが生きたまま打ち上げられた例は過去になく、付近住民は無事でいてほしいと願っている。オットセイが見つかったのは11日午前9時半頃。海岸の波打ち際に横たわっている姿を住民が見つけ、市に届け出た。主にベーリング海やオホーツク海に住むキタオットセイとみられ、体長は約1メートル40、胴回りは約30センチ。10日午前には約1キロ離れた海岸でオットセイが確認されており、同じ個体とみられている。発見当初から衰弱が激しく、臘虎(らっこ)膃肭獣(おっとせい)猟獲取締法(1912年制定。ラッコとオットセイを国の許可なく捕獲することを禁じている。乱獲に伴い、北太平洋のラッコの数が激減したのを受け、前年の11年に周辺国で締結した国際条約に合わせ、定められた。治療などの目的がある場合、捕獲を許可することもある)で、許可のない捕獲が認められていないため、市は対応に苦慮。野犬などに襲われないようにと、職員が交代で夜間もすぐそばで見守った。12日午前11時半頃、自力ではいつくばって、海に戻ろうとしたが、途中で動かなくなった。この後、同市が水産庁との協議で「対応が必要」との返事を得たため、飼育実績のある新潟市水族館「マリンピア日本海」が受け入れることになった。同日午後3時15分頃から、市の職員7人が漁用の網を使って捕まえると、一瞬、体を激しく動かしたが、トレーに載せた後はぐったりとした様子。車内の温度を低く保つため、氷を積み、窓を開けたままの状態の自動車で、獣医師らとともに出発した。夜間も付き添った市の職員の男性は「無事に捕獲することができて良かった。元気になってもらいたい」と話していた。
(泳ぐイノシシ、役場職員らが捕獲:愛媛)
伊方町で11日、集落に現れたイノシシが湾に飛び込み約2時間、海上を逃げ回る捕物があった。町では2日にイノシシによる負傷者が出たばかり。町職員らが小型船で生け捕りにしたが「山に食べ物がないのやろうか」(80歳代男性)と佐田岬半島の環境変化を心配する声も聞かれた。体長1メートル、重さ40キロのメス。八幡浜猟友会伊方支部によると、町内では2009年4月から今年1月にかけ約400頭を捕獲。捕まったイノシシは高知県のイノシシ牧場に送られる。
(イノシシ被害、5年で半減目指す:栃木)
イノシシによる農作物被害が減らないため、県環境森林部は2010年度から5年間、捕獲目標を現状の5千頭から「5千頭以上」に引き上げる方針を決めた。10年度予算案に09年度より1千頭多い6千頭分の予算を計上。14年度までに被害額を08年度の1億1千万円から半減させることを目指す。宇都宮大など研究機関との連携で、人家に近付けさせない被害の未然防止対策にも一層力を入れる。同部は11日、県環境審議会鳥獣部会で農業被害軽減などを目的とする新しいイノシシ保護管理計画案(10〜14年度)の答申を受けた。年間捕獲目標の引き上げは、2500頭から5千頭にした08年4月以来2回目。イノシシによる農作物被害は06年度以降、1億円台が続いており、わずか2年で修正を余儀なくされた。捕獲数を5千頭以上としたのは、生息数を新計画期間内に減少傾向に導くため。同部の試算によると、年間5千頭では生息数は微減にとどまるという。10年度以降、狩猟者の担い手不足に対応し、県猟友会に技術研修会の開催を委託、狩猟者の地域派遣を後押しする。イノシシの被害が減らない要因には、里山の荒廃のほか、人家周辺に野菜くずや果樹が放置され、えさ場となっていることが挙げられる。このため県は、捕獲だけに頼らない対策も強化。昨年9月に協定を結んだ宇大と連携し、地域で被害防止の先頭に立つ人材育成に取り組んでいる。被害地住民の理解を深めるための学習会開催を拡大し、イノシシを寄せ付けない地域づくりに努める。
(イノシシ雪山定住:石川)
脚が短く積雪地での生息が難しいイノシシが、2メートル以上の多雪地帯である白山国立公園内のブナオ山(標高1365メートル)付近に定着していることが12日までに、県白山自然保護センターなどの観察記録で分かった。奥山に生息範囲を広げているとみられ、同センター「ブナオ山観察舎」の累計目撃数は今冬、前年同期比13倍の延べ117頭で過去最多を更新した。同観察舎では1999(平成11)年度に初めてイノシシが目撃されて以降、開設期間(11月から翌年5月)に目撃されたイノシシの累計数は、昨年度(同)の46頭が最多だった。今冬は標高600〜800メートルのブナオ山斜面で、昨年11月の6頭を皮切りに12月に延べ11頭を目撃。1月には同93頭と急増し、2月には7頭となった。累計数は同117頭で、昨年2月末時点の延べ9頭の13倍となり、昨年度累計との比較でも約2・5倍に増えた。イノシシは積雪地での移動が困難で雪の下に埋まっている餌が食べられず、生息が難しいとされる。同センターによると、イノシシの目撃が急増したブナオ山斜面では今冬、雪崩が頻発して地面が露出したため、同山周辺まで生息範囲を広げた特定の群れが、斜面で餌を採る方法を学習した可能性があるという。同観察舎職員によると、今冬は親子など5、6頭の群れが斜面を歩き、地面の中から植物などを掘り起こして食べる姿が目撃されている。鼻を使って巧みに雪をかき分けたり、雪崩の圧力で固まった雪の上を選んで歩く姿も見られ、職員は「イノシシが器用に動き回る姿に驚いた」と話す。国内では昨年5月、立山の標高2340メートル地点でもイノシシ3頭の目撃例が報告されている。県白山自然保護センターは「生息地が広がる水平分布だけでなく、標高が高い場所にもすみ着く垂直分布も拡大しているようだ」と分析している。ブナオ山周辺は白山国立公園内でもあり、同センターは「イノシシがさらに増殖し、公園内の貴重な生態系を乱す事態になるようなら駆除など対策が必要だ」としている。
(モンキードッグ、2頭認定:滋賀)
ニホンザルの獣害に悩む東近江市愛東外町で、軒先に現れるサルを追い払うモンキードッグ(サル追い払い犬)になるべく特訓を受けていた2頭の子犬の認定式がこのほど、愛東外集落センターで行われた。2頭にはユニホームが、オーナー(飼い主)には認定証が市から手渡された。県内のモンキードッグは隣の同市永源寺高野町に次いで2例目で、計4頭となった。モンキードッグに認められたのは、公募に応じた同町の植田義雄さん(70)の「チョコ」(メス、1歳4カ月)と、青山滋さん(43)の「ランボー」(オス、同)。2頭は1年余りの訓練で、ニホンザルの群れを見つけると追い払い、飼い主の元に戻ってくるようになり、東近江市のモンキードッグに合格。植田さんと青山さんも、子犬の特訓とともに、オーナーとしての勉強をしてきた。同町は鈴鹿山ろくに位置する60戸の集落で、水田農業と果樹園芸が盛ん。数年前から「愛東A群」と名づけられた50頭前後のニホンザルが集落内に出没し、住民が大切に育てたブドウや、納屋の野菜などを食べる被害が続出している。このため3年前からモンキードッグの導入を検討。集落周辺の竹やぶ5ヘクタールを整備するなどモンキードッグが活躍できる場所づくりをしていた。今後は「ニホンザル出没」の情報が入ると、オーナーの2人は直ちにモンキードッグと共に、サルを追い払うため走り回ることになる。市農林水産課は「相手は50頭近い群れなので、2頭のモンキードッグでは十分対処できないこともあり、ロケット花火などを併用した住民の支援が必要。サルとの知恵比べには、人と犬との協同作業が重要だ」と話している。
(ガンカモ類生息県「例年並み」:宮城)
県自然保護課は11日、今月のガンカモ類の県内生息調査結果(速報値)を発表した。確認された個体は前年同期を35%も下回る1万9379羽だったが、「生息数はおおむね例年並みとみられる」という。調査は昨年11月、今年1月に続いて今冬3回目。10日に県職員や「日本雁を保護する会」の会員など100人が約440か所で行った。大崎市の蕪栗沼や、栗原、登米両市の伊豆沼・内沼などで、ガン類775羽、ハクチョウ類702羽、カモ類1万7902羽を確認した。いずれも前年同期比で32〜40%の減少となる。ただ、9日からの大雪で調査を見送った地点が約40か所あったほか、激しい風雪で目視では確認しづらい状況だったこと、1月には過去最多の飛来数を確認したことを踏まえ、県は「おおむね例年通りの生息数」と総合判断している。

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3/11
(狩猟文化伝承へ:福島)
南会津町の猟友会員らが今年、「マタギ文化体験ツアー」を再開させた。エコブームで自然体験ツアーが人気を得るなか、まちおこしとともに、古くからの伝統を残していきたいという思いがある。人口約2100人の南会津町館岩地区(旧館岩村)。先月に1泊2日(参加費2万9800円)で行われたツアーは、中心部の湯ノ花温泉から車で約20分の峠で行われた。客は、22〜68歳の首都圏などの男女9人。地元の猟友会員19人が案内役を務めた。2メートルもの積雪の中、ウサギの足跡を見つけ、「巻き狩り」と呼ばれる集団猟のウサギ狩りから始まった。追い手である「勢子(せこ)」が、声をあげながら獲物を囲い込むように追い上げ、「たつ」という銃で仕留める人が上方で待つ。参加者は二手に分かれ、たつ側になった記者は、参加者と横一列に並び、息を潜め、林の奥に目をこらした。「エーイッ」「ほっ、ほう」。勢子の声が次第に近くに聞こえてくると、自分が追いつめられているような感覚になった。右手の方から一発の銃声。しかし、ウサギの逃げ足は速かった。正午から約3時間、雪上を歩き、ブナの木に残る熊の爪跡や逃げるウサギは見たものの、獲物は得られなかった。夕飯は、熊や鹿の料理が振る舞われた。「山の神様からの頂き物だと思って食べております」。猟友会長の平野隆一さん(68)は、猟の前には必ずお神酒をささげ、山の神様に感謝する習慣があると説明した。その言葉に、記者は「いただきます」の意味を実感。参加者の男性は「料理って、こんなにありがたいものなんだな」とつぶやいた。館岩地区では1970年頃まで、農業に不向きな山が多い集落を中心に、多くの家が猟で生計を立てていたという。平野さんも、子供の時から父に付いていき、勢子として手伝った。「たつはベテランの仕事。自分も早く鉄砲を撃てるようになりたいと思っていた」と振り返る。当時、ムササビやテンの毛皮は1匹で米1〜2俵に相当する貴重なもの。だが、猟では生活できないようになり、平野さんも今は漬物店の経営で生計を立てる。文化を伝える手段として1990年から体験ツアーを行っていたが、補助金が打ち切られて2005年に中止。今年度、町主催の地域おこし事業が始まったのを契機に、「館岩といえば猟文化だ」と補助金なしで定員を区切って復活させた。翌日の午前中も約3時間、山を歩いたが、獲物は得られずに終わった。それでも、川崎市の会社員藤尾健二朗さん(26)は「マタギはもっと怖い人かと想像していたけど、良い人たちばかりで、猟のことや普段の暮らし方までいろいろな話が聞けた」と満足げ。横浜市の女性会社員(36)も「森の専門家の目を通して見る山は面白いだろうと思って参加したが、クマの爪跡に気付くようになり、同じ雪山でも見え方が全然違った」と感想を語った。同様のツアーは、秋田や青森などでも行われているが、最近は20〜30代の女性が増え、リピーターも増える傾向にあるという。人気の秘密は、大自然の中で新たな知識を得られ、非日常の空間を楽しめることにあるようだ。迎える側の平野さんは「昔ながらの暮らしを多くの人に知ってもらい、それで伝統が大切にされ、文化が代々守られていけばありがたい」と話している。
(イノシッ士、県の鳥獣・里山塾受講:鳥取)
鳥獣による農作物などの被害を防ぐため、県が養成した鳥獣技術士(通称イノシッ士)が10日、27人誕生する。約8カ月にわたって鳥獣対策の指導を受けたイノシッ士は今後、市町村や農協と連携して農家の鳥獣対策に当たる。県生産振興課によると、昨年4月から12月末までの県内の鳥獣被害額は9634万円。内訳はイノシシ6094万円▽カラス1713万円▽ヌートリア1143万円▽シカ80万円▽アライグマ35万円▽クマ7万円。深刻化している鳥獣被害対策として県は昨年度、イノシッ士の育成を始めた。鳥獣の侵入防止柵(さく)の設置や捕獲の方法を学ぶ「鳥獣・里山塾」を開講し、年間10講座を終えた受講生にはイノシッ士の登録証が交付される。今年度は農家や狩猟者、農協や市町村の職員らが受講。初の女性イノシッ士も2人誕生する。専門分野別ではイノシシが最も多く24人。ヌートリア14人▽カラス10人▽シカ8人(複数取得者も)。10日に登録証が授与される。

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3/10
(キジ、園児22人が放鳥:滋賀)
多賀町久徳の同町立多賀幼稚園の5歳の園児22人がこのほど、近くの久徳グラウンドで県中部森林整備事務所の職員2人が行ったキジの放鳥を楽しんだ。キジは、甲賀市土山町の県猟友会の施設で育った生後8カ月前後、体長35〜40センチ。3羽ずつ入った段ボール箱から職員が1羽ずつ取り出して大空に向けて放した。初めは恐る恐る見守っていた園児も、すぐに慣れて職員が持つキジに触れるなどして大喜び。職員の手から勢いよく飛び立ち、鳥獣保護区内の森に消えるキジを、園児たちは「元気でね」と見送っていた。同事務所は、鳥獣保護区の彦根市の荒神山にもキジ45羽を放した。
(シカ料理、商品化へ試食会:岩手)
気仙地方のシカ肉を陸前高田市米崎町のリンゴなどで漬けた「鹿肉の味噌(みそ)・林檎(りんご)漬け」の試食会は8日、大船渡市盛町のイタリア料理店ポルコ・ロッソ(山崎純代表)で開かれた。シカ肉特有の臭みや硬い肉質を改善したもので、住田町世田米の菓子製造業紺野妃呂実(ひろみ)さん(30)を中心としたグループが商品化を目指す。大船渡地方振興局(高橋克雅局長)の「発掘!けせんの逸品販路拡大プロジェクト」の一環。生産者や料理人、住田町内の女性、振興局職員ら約15人が東京都のフードプロデューサー井上譲さんから説明を受けた。「鹿肉の味噌・林檎漬け」は陸前高田市米崎町の農業熊谷和人さん(41)が生産するリンゴ「サンふじ」と同市の八木澤商店のみそで、気仙地方のシカ肉を漬けた食品。リンゴが持つ成分がシカ肉の臭みを消し、肉を軟らかくしている。参加者は「臭みがなくておいしい」「軟らかくて疲れない味」などと絶賛。東京都の有名シェフが、熊谷さんのリンゴにほれ込んで誕生した焼きリンゴの商品も説明した。育てるリンゴの酸味と甘さのバランスを絶賛された熊谷さんは「反響に驚きと感動の連続。とにかくいいリンゴをつくらなければ」と気合十分。紺野さんは「リンゴをベースにした商品を手掛ける会社を設立したい。秋ごろまでには体制を整えたい」としている。
(スズメ激減、50年で10分の1に)
スズメのお宿はどこへ? 環境省は、かつてどこででも見かけたスズメが1960年ごろに比べ10分の1に激減しているとの調査結果をまとめた。4月から国民に呼び掛けスズメの目撃情報を収集する。生物多様性保全活動の一環として取り組む。同省は動植物の分布を調べた「自然環境保全基礎調査」や「農作物被害の経年推移」などからスズメの国内生息数を分析。現在のスズメの個体数は1960年ごろに比べ10分の1になったと推定している。東京都東久留米市の自由学園では生徒が1963年から月に1回、学校敷地内の鳥の種類や数を観察している。このデータを研究した立教大理学部の三上修特別研究員によると、1963〜98年の観察調査で最も多くスズメが観察された月を比較すると、60年代は約300羽観察された月もあったが、近年は十数羽にまで減少しているという。同省はスズメの減少の原因として高層マンションの増加に伴い、スズメが巣作りできる木造住宅の減少、都市部での空き地や草原の減少を指摘。農村部でもコンバインの普及で餌となる落ちモミが少なくなるなど生息環境の変化も一因に挙げている。同省生物多様性センターはインターネットを使って身近な生物の観察記録を集める「いきものみっけ」サイトを開設。「ウグイスのさえずり」など30種類の情報を掲げているが、4月からは「その他のいきもの」の項目の中でスズメの観察記録を募集する。生息数を細かく把握し、どうすれば減少を食い止められるかを検討する。東京など都市部で生息する鳥類を調査している都市鳥研究会の唐沢孝一代表は、「スズメの生息域は減少し、日比谷公園(東京都千代田区)でもヒナはすぐにカラスの餌食になってしまう。いったん減り出すと絶滅へと転げ落ちていくので、今のうちに警戒し、スズメと人が共生できる街づくりへ、建築物の在り方から注意することが重要だ」と話す。

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3/9
(エゾシカ対策で計画的駆除の実証実験:北海道)
道は2010年度予算の中で釧路・根室管内にかかわりの深いエゾシカの管理対策や鳥獣被害防止総合対策事業を積極的に展開する。釧路支庁管内でも検討されている鳥獣保護区などの規制地域でのカリング(計画的駆除)の実証実験を行うほか、農林業被害を防止するためのシカ柵の整備やシカ肉を有効利用する処理加工施設への補助など、生息環境を壊すことなく安定的に捕獲できるシステムの開発を進める。
(いたずらザル捕まる:茨城)
鹿嶋市内で出没し小学生女児らにかみついてけがを負わせたサルが8日、同市光の高松緑地公園で捕獲された。同市環境課が午前11時半、猟友会の協力で捕獲。東筑波ユートピア(石岡市)へ搬送した。捕獲されたサルはオスで今年1月22日、同市粟生で市立高松小の女児や女性会社員を相次ぎ襲い、軽傷を負わせた野生のニホンザルとみられる。同課によると、市内では4頭の出没情報が寄せられており、うち大野地区と神宮地区にいた2頭は情報が途絶えたことから、同課は「すでに市内にはいない」と見ているが、同公園内に捕獲されたサルより大きい1頭がいるという。引き続き注意と情報提供を呼びかけている。県環境政策課のまとめでは県内に野生のニホンザルの定住は確認されていないが、飼育されたサルが逃げだしたり、群れから離れたサルが移動したりすることはあるという。
(野生動物への町民の意識調べ報告会:長野)
軽井沢町の住民有志らで作る「軽井沢野生動物問題研究会クロス」が町内で野生動物についての意識調査を行い、結果をまとめた。野生動物による被害を経験したとの回答が57・5%に上るなど、猿やイノシシに悩まされる町民の現状が浮き彫りになり、今後の参考にと報告会を町内各地で開いている。研究会は「住民同士が野生動物問題を考える橋渡しに」と昨年発足。打越綾子理事長は「地区で野生動物対策が必要な場所を確認するなど、調査結果の報告が今後の活動につながってほしい」と話した。
(光と音でカラス撃退:富山)
富山市が夜間、中心部で懐中電灯の光を当てたり、竹ざおで音を立てたりして、カラスを追い払う独自の実験に取り組み、先月末に終了した。超音波や電流を使う自治体もあるが、6年越しで研究を重ねた末、懐中電灯と竹ざおという身近な“武器”に行き着いた。今後、効果があったかどうかを検証し、6月をめどに結論を出す。実験期間は昨年9月〜今年2月末の午後10時〜翌午前4時(年末年始など除く)。今年度の政府緊急雇用対策を活用し、市が委託した男性作業員4人が担当した。研究を始めたのは2004年度、カラスのふん害がきっかけだった。日中は近隣の田んぼなどで餌を探し、夜は中心部のねぐらに戻るという地方都市のカラスの生態から調べた。ホースで放水したり、ロケット花火を打ち上げたりする方法も検討したが、近所迷惑などとして断念。最終的に光と音の組み合わせが「現実的かつ効果的」(環境保全課)として、06年度に懐中電灯とアラームコールなどを使って初の実験に着手した。しかし、職員が夜間に交代で取り組んだこともあり、十分なデータが集まらないまま中断。07、08年度と予算化が見送られたが、3年ぶりに今年度の政府緊急雇用対策を活用して再挑戦することになった。当初は、懐中電灯だけを使っていたが、作業員が先端を細かく割った竹ざおで地面をこすって音を出す方法を試したところ、効果があったとして提案し、市側が採用。懐中電灯に加え、レーザーポインターによる光も試してきた。今回の実験開始前の09年2月、市中心部で一晩9300羽が確認されたが、実験中の今年2月には6100羽に減少したことが判明。環境保全課は「カラスは頭がいいので、慣れるとうまくかわされる。時間をかけて検証したい」とし、検証結果を今後の対策に生かしたいとしている。
(カナダの議会食堂にアザラシ肉登場、EUの禁輸措置に反発)
カナダ議会議事堂内のレストランで、10日からアザラシの肉がメニューに登場することになった。欧州連合(EU)が行うアザラシ製品の禁輸措置に反発する動きだという。カナダでは毎年3─4月、東岸沖でアザラシ猟が行われるが、EUはこれを残酷で非人道的として、昨年7月にアザラシ製品の禁輸に踏み切った。アザラシは銃で撃たれるか、くぎ付きのこん棒で頭を打たれるという。一方、カナダ政府は、アザラシ猟が地元住民にとって重要な収入となっているとして、EUと争う考えを示している。
(イルカ漁盗撮でアカデミー賞、地元住民激怒)
撮影の際に古式捕鯨発祥の地、和歌山県太地町でイルカ漁を隠し撮りし波紋を呼んだ米映画「ザ・コーヴ」(ルイ・シホヨス監督)が第82回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を7日(日本時間8日)、受賞した。映画の配給元は、今夏の日本上映に向け、立ち入り禁止地域での盗撮など一方的な表現部分を修正するよう製作会社に要請していることが分かった。東京都、大阪府、和歌山県など約20〜30館での公開を予定しているというが、太地町では反発の声が広がっている。「ザ・コーヴ」は「誰も知らなかった衝撃のイルカ“猟”の実態を描く」というドキュメント作品。ルイ・シホヨス監督は「今回の受賞は大いに助かる。(日本での公開の)問題を解決する上での担保になる」と受賞を喜んでいるが、次のような問題点も指摘されている。〈1〉撮影方法 製作スタッフが無断で太地町内の立ち入り禁止区域に侵入し、模型の岩の内部に隠したカメラで撮影。漁師が鉄の棒で次々と突き、海面が真っ赤に染まった場面を映し出している。地元住民が撮影中止を求めるプラカードを持って抗議する場面なども撮影されている。「鯨肉として偽装販売している」「イルカの肉には大量の水銀が含まれている」との表現もある。〈2〉地元住民の反応 和歌山県太地町は古式捕鯨発祥地として知られている。地元住民は映画の製作中も撮影を拒否していたため、顔をスクリーンに映されたのは名誉棄損と肖像権の侵害と主張。「商品偽装、水銀汚染の事実はない」と反論している。昨秋に東京国際映画祭で上映された際も事前に上映中止を申し入れたが、「表現の自由」を理由に拒否された。〈3〉演出 同映画は各国で数多くの映画賞を受賞している。「人間とイルカの接点」をテーマに取材を続けてきたジャーナリストの坂野正人さんは「映画は単にイルカ漁に反対するだけでなく、イルカ肉の危険性や国際捕鯨委員会(IWC)の在り方なども問題提起している」と指摘。米メディアでも「007やアクション映画のようなドラマチックな展開とサスペンス」「現実のスパイスリラー」と娯楽性、演出などを評価する声がある。〈4〉日本上映は… 国内配給元「アンプラグド」(加藤武史代表)によると、今夏にも東京、大阪、和歌山など20〜30館で公開予定という。ただ、日本上映には“ボカシ”が必要と判断。盗撮部分や漁師の顔が撮影された50〜60か所には修整を加え、作品の最後に示されているイルカの体内水銀濃度のデータについては「すべてのイルカに当てはまる数値ではない」との注釈を入れることを製作側に打診している。08年に公開されたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」は終戦記念日の靖国神社の情景を描いたが、右翼団体の抗議などで上映を中止する映画館が続出。表現の自由について議論を呼んだことがある。「ザ・コーヴ」も日本上映の際には波紋が広がりそうだ。

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(猟銃誤射で男性死亡:長崎)
7日午後1時10分ごろ、南島原市北有馬町の山中で、イノシシ狩りをしていた同市有家町、農業、末吉昌彦さん(62)が誤って撃った猟銃の弾が、一緒に猟に来ていた同町、無職、小川英昭さん(66)の胸に当たった。小川さんは即死状態だった。南島原署は業務上過失致死容疑で詳しい状況を調べている。同署によると、発砲時の2人の距離は約5メートル。末吉さんは「イノシシを撃とうとしたら、小川さんが(前に)出てきた」などと供述しているという。末吉さんと小川さんは猟仲間。2人で午前中に同市加津佐町周辺の山中で猟をした後、午後から現場付近に移ったという。
(駆除したシカ、9頭は対象外:北海道)
駆除したエゾシカの尾と交換に1頭8千円の委託料を支払う伊達市の制度に対し、市議会から「確認方法が甘い」と指摘されていた問題で、市から駆除を委託された道猟友会伊達支部伊達分会が、2月に提出した68頭中9頭は市外のシカだったとして、申請を取り下げたことが5日わかった。市は、同分会に過去にさかのぼって再確認を求める方針だ。上山重信同支部長は「市外の元ハンターが市の報酬制度を知って持ち込んだ。これ以上の持ち込みはない」と話している。市は、エゾシカの食害が広がったために昨年12月、狩猟期の有害鳥獣駆除許可を道から得て3月末までの期間で実施。1月分までで計100頭の尾が提出され、委託料計80万円を支払った。2月22日の臨時市議会で「市内にそんなにシカが多いのか。シッポでは、市外のシカが持ち込まれても区別ができないのでは」などと、論議になっていた。
(爆発火災、現場から鉄パイプや“火薬”の粉:東京)
5日、東京・大田区の住宅で男性が意識不明の重体となった爆発火災で、男性の家から火薬のような粉や鉄パイプが見つかっていたことが新たにわかった。この火事は5日、大田区新蒲田にある3階建て住宅の2階部分で爆発があり、この家に住む29歳の男性が左手と左足に大ケガをして、意識不明の重体となっているもの。警視庁は6日朝から、爆発のあった家で現場検証を行っている。 その後の調べで、現場から火薬のような粉や、火薬をふるいにかけるために使ったとみられるザル、両端にふたがついた鉄パイプが見つかっていたことが新たにわかった。警視庁は、男性が鉄パイプ爆弾を作ろうとして誤って爆発がおきた可能性もあるとみて、慎重に調べを進めている。
(里山再生へ研究者ら語る:栃木)
荒廃が続く里山のあり方などについて話し合うシンポジウム「野生鳥獣との共生を考える」が七日、宇都宮市峰町の宇都宮大で開かれた。第一線で研究を続けている同大農学部の四人が壇上に立ち、里山保全のためにこれから取り組むべきことなどを訴えた。環境省自然環境局が一昨年度から続けている「里なび研修会」の一環。本年度はこれまでに全国の大学などで九回開催し、この日のシンポが最終回となった。まず、小金澤正昭教授が「里山で何が起きているのか」と題して県内の事例を報告。人が里山で活動しなくなったことで野生動物が繁殖し、分布が広がっている現状を紹介した。さらに、個体数の調整に大きな役割を担うハンターが減っている上に高齢化しているデータを示し、「ピーク時の三分の一ぐらいになっている。二十年後は、このままいけば極めて厳しい状況になる」と話した。その後、小寺祐二特任助教と江成広斗特任助教がイノシシとサルについてそれぞれ説明し、高橋俊守特任准教授は「里山科学センターの挑戦−鳥獣管理の人材育成と里山再生」と題して講演。最後は、一般参加者を交えて討論した。
(“一網打尽”シカ捕獲装置:兵庫)
野生動物の研究機関、兵庫県森林動物研究センター(丹波市)は、農作物を荒らすシカを大量に捕獲する新型装置を開発した。餌を仕掛けた檻(おり)の中にシカが入ると、網を落として“一網打尽”にするのが特長。しかし狩猟免許の分類上、新装置が網に当たるのか、わなに該当するのかが確定しておらず、環境省の判断によっては普及の足かせになる恐れもあり、県は気をもんでいる。新装置は、檻に仕掛けた餌を求めてシカが入ると、監視員が遠隔操作で天井にワイヤで張った網を落とし、捕獲する仕組み。檻は幅・奥行き18メートルと12メートル(高さ各3メートル)の2種類。試作器では同時に最大17頭を捕獲したという。従来は、餌にワイヤを結んで柵につなげ、シカが食べた際にワイヤが引っ張られて柵が閉まるタイプが多く、一度に1頭しか捕獲できなかった。シカの捕獲は銃猟が大半を占めるが、銃猟免許の所持者は高齢化が進み、2008年度は約3900人と20年前からほぼ半減。県は銃猟以外で大量にシカを捕獲する方法を模索していた。一方、新装置を扱うには狩猟免許がいるが、どの免許に分類されるかによって普及に影響する可能性も浮上している。網猟の免許所持者は県内で約1300人(08年度)。わな猟の所持者に比べて約700人も少なく、新装置が免許上で「網猟」と分類されれば、利用する人が減ることになる。県自然環境課は「新装置はどちらとも解釈でき、判断が難しい」とし、同省と協議をしている。県内のシカによる農林業被害は年々増加し、08年度は約4億円。県は10年度の捕獲目標も09年度比1・5倍増の3万頭としており、同課は「わなの方が、より広く普及しやすいのだが」と悩ましげだ。新装置は約102万円と84万円。県は10年度に計20基を購入して、各市町に無料で貸し出す。
(シカ捕獲数3倍超:三重)
津市で2009年度のシカ捕獲頭数が例年の3倍を超える1393頭に増えたことが、4日までに分かった。市が同年度当初予算で、猟友会への委託料などを前年度比3倍の3000万円余りに大幅増額したため。10年度当初予算案では、さらに27%多い4181万円を計上。津市農業最大の敵となったシカに反撃を仕掛ける。同市は、08年度から11年度までの鳥獣害防止計画を策定。シカや猿を捕獲した猟友会へ捕獲頭数に応じ補助金を交付するなどして、農作物被害額の約2割軽減を目指す。
(イノシシ、焼却処分:愛知)
豊田市は4月から、有害鳥獣として駆除したイノシシについて、条件付きで一部をごみ焼却施設・渡刈クリーンセンターで焼却する。土の中に埋めることになっているが、駆除数の増加に加え、駆除を委託されている猟友会員の高齢化で埋める作業が大変になり、苦肉の策として焼却処分も認めることにした。豊田市では市東部の中山間地域を中心にイノシシによる農作物の被害が増加。07年度は1386件、08年度は1925件で、08年度の被害面積は約40ヘクタール、被害額は約3300万円に上る。コメを筆頭に野菜や果物が食べられ、農道やあぜを掘り起こすなどの被害も年間を通して出ている。市は農家の依頼で地元猟友会に駆除を委託している。おりで捕獲したり射殺したりした数は07年度399頭、08年度791頭で、今年度は10月までの半年ですでに893頭に達した。市は、イノシシは原則として捕獲現場周辺に埋めるよう指導している。だが豊田市猟友会の梶忠義会長によると、会員約300人の約7割が65歳以上。「やぶに約1メートルの深さの穴を掘って埋めている。イノシシの大半は30〜40キロ。最近は100〜150キロの大型もいて、2トンのレッカーを使わないと持ち上がらないこともある。何とか他に方法がないかと市にお願いしていた」と話す。こうした要請を受けて市農政課は、やむを得ない場合に限り焼却施設で処分することを決めた。2日に1頭の制限付き。1カ月間埋めて腐敗させたうえで焼却炉に入れる。
(天然記念物植物群、シカの食害で危機:兵庫)
氷ノ山(1510メートル)など兵庫の高地に自生する県天然記念物の植物群が、シカの食害で危機にひんしていることが専門家の調査で分かった。いずれも約1万年前に終わった氷河期以降も湿地などに奇跡的に生き残ってきた西日本でも貴重な植物だが、シカが近年食い荒らし、絶滅寸前に追い込まれているものもあるという。「天然記念物は食害を受けている植物の一部、シカが森の姿を激変させている」と専門家は指摘している。但馬などで40年以上研究を続けている兵庫県生物学会副会長の前田常雄さん(72)が調査。氷ノ山山頂に近い「古生(こせ)沼」「千本・古千本湿原」では、千島列島など亜寒帯で見られるヤチスゲなどの植物群が県天然記念物に指定されているが、2002年ごろからシカの食害が始まったという。食害は氷ノ山周辺から但馬北部にも拡大。蘇武(そぶ)岳(1074メートル)の香美町側にある県天然記念物「銚子ケ谷(ちょうしがたに)カキツバタ群落」は07年から食害がひどくなり、絶滅寸前の状態という。また、周辺の森林ではシカの食害による荒廃が急速に進んでおり、シカが食べない植物だけが残った荒涼とした広葉樹林や草地が増加。県森林動物研究センターの調査でも、朝来、養父、宍粟市、神河町にまたがる地域を中心に森林内のシカ害が深刻化していることが確認されている。シカは温暖化などで増加しており、県は4万3300〜6万2400頭程度が県内に生息しているとみている。前田さんは「草と低木を失った森では、雨で大量の土砂が流出しやすくなっており、県は防災面からも調査を急ぐべきだ」と訴えている。
(ヤギが畑の獣害“監視”:三重)
「メェ〜」と周囲ににらみを利かせるのは温和な顔だ。サルやイノシシに農作物が食い荒らされてきた三重県大台町の山あいの集落に、番犬ならぬ“番ヤギ”が現れた。飼われ始めてからピタッとサルなどが近寄らなくなったといい、強烈な存在感を発揮している。大台町長ケ(なが)の運送業浮田耕作さん(68)が、昨年8月から自宅近くの畑で飼っている「タロウ」と「ハナコ」の夫婦。タロウは体長が160センチで、体高が70センチ。ハナコは一回り小さい。浮田さんと妻のさつ子さん(63)によると、10年以上、サルなどに畑で育てているトウモロコシなどを盗まれてきた。周りを電気柵で囲っても、通電していない柱の部分から入られるなど、いたちごっこが続いたという。業を煮やしていたところ、町職員の仲介で、同県鳥羽市のミニ動物園から、獣害対策に効果があるというヤギをもらった。柵で囲んだ畑の周りの敷地7アールにさらに柵を張り巡らせて間に放つと、一帯からサルの姿が消えた。「タロウたちの動きか、鳴き声を嫌がるのかもしれない」と分析する浮田さん。さつ子さんは、夕食時にエサをしばらくやらずにじらして、大声で鳴かせる工夫も凝らす。隣のクリ林の被害もなくなったという。タロウは遊び道具の廃タイヤに頭突きをして、自己鍛錬に余念がない。浮田さんの悩みは大量に必要とするエサだ。「以前はサルと競争するように柿などを収穫していた」という隣家の浮田なをさん(80)ら住民から、余ったクリやダイコンの葉などをもらってしのいでいる。2月には、赤ちゃん3匹が誕生。浮田さんは喜びつつも、大きく育つ数カ月後には別の場所にある畑で、一役買ってもらう考えだ。三重県農山漁村室によると、同県熊野市などでもヤギを使った対策例がある。担当者は「ヤギがサルを寄せ付けないというより、野生動物は警戒心が強いため、タロウたちの周りに飼い主らが集まることが、近寄らない要因になっているのだろう」とみている。
(イノシシとゴツン、電車20分停止:群馬)
東吾妻町岩下のJR吾妻線で4日午後8時50分ごろ、万座・鹿沢口発高崎行き上り普通電車(乗客3人)の運転士が何かにぶつかったような異常な音に気づいて電車を停止させた。線路を調べたところ、死んだイノシシを発見した。応援を要請してイノシシを搬出し、約20分後に運転を再開した。この影響で、下り普通電車1本に55分の遅れが出た。JR東日本高崎支社によると、イノシシは体重約200キロ。現場は山の中で線路わきにフェンスなどはなかった。同支社は「電車がイノシシと衝突することはほとんどない」と話している。
(ハクチョウ飛来数が過去最多:富山)
この冬、富山県内で確認されたハクチョウの飛来数は、生息調査が始まって以来、過去40年間で最多となりました。地球温暖化が原因ではないかと推測されています。国や富山県は、野生の鳥類を保護しようとハクチョウやカモなどの生息調査を毎年行っていて、今年は1月10日に県内112ケ所で、2万7000羽余りが確認されました。このうち、オオハクチョウやコハクチョウなどのハクチョウ類は、富山市婦中町河原町や富山市野中新などであわせて614羽が確認されました。これは、去年に比べて201羽増え、昭和45年に生息調査を始めてから過去40年間で最も多い数です。ハクチョウの飛来数過去最多となった理由について、富山県は、地球温暖化の影響でロシアでハクチョウの生息数が増えていると言われている事や、県内各地でも餌付けによって飛来地として選ばれる場所が増えた為ではないかとみています。
(ハクチョウ最多5199羽飛来:岩手)
県は5日、ハクチョウ類などの2009年度生息調査結果を公表した。調査開始(1970年度)以来最多となる5199羽の飛来が確認された。飛来数増加は全国的な傾向だが、原因は分かっていない。調査は1月9〜24日に県内322カ所で実施。オオハクチョウやコハクチョウなどハクチョウ類は5199羽(08年度3723羽)だった。飛来が最も多かったのは平泉町・北上川小島の1070羽(同362羽)。2番目の平泉町・太田川平泉(590羽)と4番目の矢巾町・北上川長徳橋(216羽)は、08年度には飛来が確認されていない。鳥インフルエンザによる餌付け自粛前の07年度までは、県内で餌付け場所として報告されていたのは約50カ所。自粛で08年度は10カ所に減り、07年度比で飛来数は1千羽近く減少した。09年度に餌付けが報告されたのは18カ所。08年度比では増えたが、県内の田畑では秋まきの麦や落ち穂をついばむハクチョウが多く見られた。飛来数増加は全国的な傾向。長年続く餌付けや保護政策、国内で凍る湖沼が減ったことなどが原因とみられる。県環境保健研究センターの前田琢主任専門研究員は飛来数が最多となった理由について、「調査時にたまたま多くいたなど偶然性もある。原因は分からない」と話す。
(カラスの巣などで停電:愛知)
中部電力は5日、愛知県豊橋市の東部と南部の2地域で4日午後11時過ぎから5日未明にかけ、計3千世帯が最大1時間21分停電したと発表した。このうち東部地域の停電は、カラスの巣が電線に接触したことが原因という。豊橋営業所(同市)によると、東部地域では、同市西岩田6丁目の高さ13メートルの電柱に、カラスが針金やハンガーなどの金属で巣を作っていた。4日夜の雨や風で巣が崩れ、電線に接触してショートし、約810世帯が停電した。また南部地域では、電線を支える金具と電柱上の電線が接触し、約2170世帯が停電した。同営業所は「この時期になるとカラスが巣を作り始め、昨年2月から6月、230個の巣を撤去した。電柱に巣を見かけたら、中部電力に連絡してほしい」と話す。

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(イノシシ駆除で負傷の猟友会員、保険の申請困難:石川)
金沢市内で1月、住宅街に出没したイノシシを駆除する際、けがをした石川県猟友会金沢支部の男性2人の補償手続きが進んでいないことが4日、分かった。当初、軽傷とされた2人は重傷を主張。うち1人は駆除資格がなく、現場が公道だったことから狩猟法に抵触する可能性があり、その場合は猟友会員対象の保険が適用されない。想定外だった市街地でのイノシシ出没騒動は補償問題として今も続いている。イノシシに襲われたのは同市窪1丁目の会社役員山口吐夢彦さん(73)と同市高尾南2丁目の会社員亀正治さん(67)。金沢中署が当初、軽傷と発表したけがについて、山口さんは指や睾丸(こうがん)をかまれ、現在も通院中で、両足負傷の亀さんは今月1日に治療が終わったとして、2人はいずれも重傷だったと主張している。2人は1月11日、同市伏見台1丁目の市道で乗用車にはねられたイノシシの駆除を知り合いの付近住民に頼まれ、猟銃を持たず現場に駆け付けた。2人がハンマーで殴ったところ、イノシシが暴れ出し逃走。金沢中署員2人が計6発発砲し、イノシシを射殺した。同市によると、イノシシなどの有害鳥獣を捕獲・駆除する場合は、市から要請を受けた同支部が捕獲隊員を出動させる。同支部会員161人のうち山口さんを含む80人が捕獲隊員に指定されているが、亀さんは捕獲隊員ではなかった。同支部によると、全国の猟友会員はけがの治療費などを補償する大日本猟友会(東京)の共済保険の加入が義務付けられているほか、ほとんどが任意で民間保険会社のハンター保険に加入している。一般的に狩猟事故を対象にした保険はこの二つに限られているという。けがをした2人はいずれも両保険に加入していた。金沢市は1月11日、捕獲隊員の山口さんに緊急駆除の証明書を発行したが、捕獲隊員ではない亀さんについては緊急駆除に当たらないとして、証明書を出していない。狩猟免許の交付を担当する県自然保護課によると、亀さんの行為を駆除ではなく狩猟と解釈した場合でも、公道での狩猟を禁じた狩猟法に抵触し狩猟免許取り消しの恐れがある。このため、同支部は亀さんの行為は駆除にも狩猟にもあたらず、保険申請は困難とみている。2人は傷害保険に加入しておらず、共済保険やハンター保険が適用されない場合は医療費は全額実費となる。山口さんは「2人で住民に危害が及ぶのを防ごうとしてけがをした。片方が補償を受けられないのはおかしい」とし、自分の申請手続きを控えている。大日本猟友会は「共済保険は街中での野生動物の出没、駆除自体を想定しておらず、保険を適用するのは難しい」としている。
(農作物食害、県内で拡大:沖縄)
台湾、中国全土に生息する野鳥で、1970年代に県内で確認されたタイワンシロガシラによる作物被害が県内各地の畑で相次いでいる。タイワンシロガシラは県自然保護課が有害鳥獣に指定している。県営農支援課によると被害は、1980年代から冬の時期に主にレタス畑で発生したが、昨年辺りからキャベツやスイートコーンの生産農家からも報告が増えている。2008年度の被害量は379トン、被害総額は県全体で4370万円に上る。糸満市内では昨年12月ごろから、スイートコーンやレタス、キャベツ畑などで被害が確認されている。スイートコーン畑では、雌花が食いちぎられたため受粉できず、実が形成されない被害が発生している。スイートコーンの畑を持つ農家の男性(55)=同市宇江城=は「この状態では出荷できない。牛の餌にするしかない」と肩を落とした。損失額は約20万円の見通し。県内では近年、被害が特に多かった南部地区の市町村やJAなどが07年度から国の交付金を利用してわなの設置や駆除などの対策をしている。同年度は一定の効果が見られ、県全体の農作物被害量は178トンと06年度の1000トンから大幅に減少した。だが、08年度は379トンと増加に転じた。同課は「わなに慣れて効果が薄れたのか、被害作物の種類が広がり、全体の被害量が増えたのか定かではない」と話している。09年度の被害は未集計だが、同課には市町村やJA、農家から「中部のキャベツ畑で被害があった」「北部でも被害が目立っている」などの報告が寄せられている。
(列車がシカと衝突、特急に遅れ:北海道)
4日午後6時35分ごろ、胆振管内豊浦町のJR室蘭線の大岸―礼文駅間で、東室蘭駅発の普通列車がシカと衝突した。けが人などはなかった。この事故の影響で、この列車と特急スーパー北斗18号に約30分の遅れが出た。
(鳥獣被害で広域対策求める要望書:神奈川)
相模原、厚木、伊勢原、秦野4市と愛川町、清川村の地方議員でつくる「大山丹沢山系鳥獣等問題市町村議員連絡協議会」(会長・大神田日本(やまと)相模原市議)は4日までに、鳥獣などの被害対策に関する要望書を県と県議会に提出した。県が主体となって広域的な対策を実施するよう求めている。同協議会によると、大山丹沢山系周辺の市町村では、ニホンザル、ニホンジカ、イノシシ、ヤマビルによる農作物の被害などが拡大しているという。各市町村がそれぞれ対策を実施しているが、より実効性のある施策を実施するには、県が主体となった取り組みが必要とし、要望書を提出した。県議会では、国吉一夫議長が要望書を受け取り、「広域的な対策を実施することは重要」とし、議会局を通じて、県議会全会派に要望書を閲覧するよう指示したという。大神田会長は「今後は東京都や山梨県と連携した対策も求められる。早急に神奈川県が主体となった取り組みを期待したい」と話していた。
(イノシシとシカ肉活用の新商品:三重)
獣害対策で駆除したイノシシとシカの肉を利用した加工食品8品を、度会町商工会が中心となってつくった推進協議会が開発した。今後、価格や販路を検討し、特産品として売り出す考えだ。同町では2007年度、田畑114ヘクタールで480万円の損害が出るなど獣害被害が深刻化。そこで「マイナスをプラス資源に」と昨年5月に協議会を設立した。町商工会女性部や地元を中心にした料理人、大学教授らが、これまで焼却処分してきた肉を使って特産品開発を進めてきた。試作品を大都市圏での見本市に出品するなど、市場調査も重ねた。開発した商品は、煮こごり▽肉みそ▽シカカレー▽ミートボール▽コロッケ▽肉そぼろ(ごぼう風味、しょうが風味)▽肉まん−。それぞれレトルトや冷凍食品として店頭での販売や、町内の飲食店、給食での提供を目指す。いずれの商品もイノシシとシカ肉の持つ独特の臭みを抑えるように工夫。また牛肉や豚肉に比べ、高タンパク、低カロリー、低脂肪といい、担当者は「ヘルシーな食品」と自信を見せる。

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(猿害被害防止へモンキードッグ:滋賀)
猿害被害が深刻な東近江市愛東外町は、飼い犬を訓練して田畑に出没したサルを追い払う「モンキードッグ」による撃退に取り組む。3日は活動を支援する市から飼い犬2頭がモンキードッグに認定され、住民の通報に備え待機を始めた。同町は鈴鹿山ろくに位置する60戸の集落。稲作や果樹の兼業農家が多く、4年前は50匹ほどのニホンザルの群れが集落近くに年間200日ほど出没。麦の新芽やブドウを食べたり、納屋に侵入して収穫した野菜を食べたりしたという。栽培意欲を失うほどの被害に、同町は3年前から県、市の補助で猿害対策に取り組んでいる。1年目はサルが潜む雑木林や竹やぶを伐採する里山整備、2年目は下草管理を目的にヒツジの放牧、そして対策第3弾として先進地の長野県で導入されているモンキードッグを参考に、1年前から2頭の犬の訓練を始めた。犬は雑種のオスとメスで、県動物管理センターから譲り受けた生後間もない犬。1年間、竜王町のドッグスクールで、サルを追い掛ける闘争心や、飼い主の元にしっかり戻ることなどの訓練を受け、飼い主に応募した同町の植田義雄さん、青山滋さんに引き渡した。地元の公民館で開かれた認定式で、植田さんは「私もブドウ農家なので、サルの被害に悩まされてきた。しっかりサルを追い払いたい」と意気込みを話した。相手は野生のサルの群れだけに、市農林水産課の浜中亮成さんは「すべて犬まかせではなく、人間もロケット花火などでサルを威嚇するなど撃退には人と犬の共同作業が重要」と話していた。
(ニホンジカ侵入防止で防護柵設置へ:長野)
霧ケ峰高原にかかわる機関・団体でつくる「霧ケ峰自然環境保全協議会」(座長・土田勝義信州大名誉教授)は3日の会合で、日本を代表する高層湿原として国の天然記念物に指定されている八島ケ原湿原にニホンジカの侵入を防止するため、湿原の周囲すべてを防護柵で囲う方針を決めた。延長数キロにわたるとみられ、県内の山岳部では最大規模の防護柵となる。10年度中に設置する予定。同湿原では近年、シカによる踏み荒らしや湿原植物の食害が確認され、県は08、09の両年度、湿原北側の約800メートルに電気柵を設置した。しかしシカは電気柵を避けて湿原に入り、十分な効果が上がらなかったという。今回設置する防護柵は南信森林管理署が資材を提供し、同協議会が設置作業と維持管理を担当する。管理に手間がかかる電気柵ではなく、金網製フェンスとする計画だが、詳細はさらに検討する。会合では、大規模な柵の設置がもたらす景観や観光への影響、また湿原の環境に与える負荷の面から「慎重に取り組むべきだ」とする意見も出たが、基本的に了承された。下諏訪町と諏訪市にまたがる標高1630メートルの同湿原は、南北1キロ、東西800メートルで面積は72ヘクタール。ミズゴケがたまった泥炭層は厚さ8メートルで、1万年以上かけて形成された。キリガミネヒオウギアヤメなどの希少な植物が生育している。県内の山岳部のシカ防護柵は、南アルプス仙丈ケ岳(延長920メートル)や八ケ岳連峰の麦草峠(同700メートル)にあるが、数キロにわたるものは前例がない。

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(イノシシ暴れ男女3人けが:愛媛)
2日午後4時半ごろ、伊方町湊浦の県道にイノシシが現れ、歩行中の農業女性(78)の指にかみついて、女性を助けようとした会社員男性(56)に体当たりし逃走。約300メートル離れた美容店の前にいた美容師女性(63)にもぶつかった後、店のドアに衝突。ドアガラスを割って逃げた。イノシシは約10分後に近くの駐車場で地元の猟友会員が射殺した。指をかまれた女性は転倒して顔にもけがをし、病院に運ばれた。美容師女性は足に打撲、会社員男性は足に擦過傷を負った。八幡浜署によると、イノシシは体長約1・2メートル、体重約60キロのメス。近くの山から出てきたらしい。
(イノシシ退治の強い味方:愛知)
竹と間伐材で作るイノシシの捕獲おりが、東海地方で注目を集めている。愛知県岡崎市の農家、成瀬勇夫さん(69)が考案した。おりの製作に手間は掛かるが、実費は7000円程度でできる。成瀬さんは2008年に25カ所に設置し、約200頭の捕獲に成功した実績を持つ。岐阜県関市の山間部、中之保地区。2月中旬に成瀬さんから、おり作りを学ぶ研修会が開かれ、農家や猟師ら100人が集まった。約5時間で8基を製作。「地元ではみんなイノシシ被害で困っている。早く設置して効果をみたい」と、農家の江川知明さん(70)は期待する。
(「熊はぎ」の実態と対策を報告:青森)
ツキノワグマがスギの樹皮をはぐ「熊はぎ」被害が、下北半島を中心に近年、急速に広がっている。2月26日にむつ市役所であった報告会では、下北地域県民局がその実態と被害防止の方法について説明。会場には山林の所有者や森林組合の関係者らも集まり、長年かけて育てた木が一晩の被害で枯死してしまう深刻さを訴えた。クマはスギの根元近くにかみつき、上へ向かって樹皮をはぐ。むき出しになった幹の形成層の表面を歯でこそぎ落とすようにして、甘みや香りを味わうらしい。被害は5〜7月で、何本ものスギを集中的に狙うのが特徴だ。同県民局地域農林水産部が被害を受けた11地点で調べたところ、スギ林の11%から多いところでは92%のスギが熊はぎに遭っていた。また、直径が平均より太い「優良木」が被害の75%を占めた。熊はぎの半数が3年以内に起き、「近年になって急速に増えている」という。県民局では昨年、熊はぎを防ぐ実験フィールドとして、むつ市城ケ沢と同市川内町高野川の被害地2カ所を選定。幹の周囲にポリエチレンテープを巻きつけるなどの防除対策を500本近くのスギに施したが、効果はまだ確認されておらず、5年程度の観察期間が必要という。報告会では岐阜県森林研究所などが提唱するこうした防除方法を写真で紹介した。会場からはスギ林の所有者たちも発言した。「30年かけた木が収穫を前にやられてしまう。対策が間に合わない。保険の対象として欲しい」「クマはおいしい木を知っている。テープを巻いてもあまり効果はなかった」「頭数が増えているのではないか。天然記念物のサルでさえ捕獲されているのに、クマも積極的に駆除すべきだ」。高齢化した山主たちの切実な声が相次いだ。
(カラスの巣で1200戸停電:愛知)
2日午前0時ごろ、豊川市の国府町と新栄町の一部計約1200戸が最大約1時間40分にわたり停電した。中部電力豊川営業所は、電柱に作られたカラスの巣が電線と接触し、雨でぬれたために漏電したとみている。

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(禁猟区で発砲?:栃木)
28日午前11時ごろ、日光市萩垣面の女性(49)から、「シカが死んでいる」と日光署に通報があった。同署員が駆け付けたところ、女性方敷地内の雑木林でシカ1頭が死んでおり、後頭部に銃弾が貫通した跡があった。同署によると、現場付近は住宅街で、禁猟区域。現場付近で猟銃を所持していた男性2人から事情を聴き、狩猟法違反の疑いで調べている。通報した女性によると、同日午前9時半ごろ、自宅付近で銃声を聞いたという。女性は「以前にも猟銃の音を聞いたことがあるが、こんなに大きな銃声を聞いたのは初めて」と話していた。
(建設会社に散弾銃:佐賀)
1日午前5時20分ごろ、佐賀市八幡小路の九州大手ゼネコン「松尾建設」本店が入居するビルの玄関ドアガラスが割れているのを警備員が見つけた。110番を受けた佐賀署が、建物の床から散弾銃の弾とみられる多数の鉛弾を確認。同署は何者かが散弾銃を撃ち込んだとみて、器物損壊容疑で捜査している。同署によると、ガラスは縦20センチ、横13センチの大きさで割れていた。駆け付けた署員が最初に被害を確認した時は現場が暗かったため鉛弾には気づかなかった。同7時30分ごろ、出社した同社員がドアから約10メートル内側の床に弾が散乱しているのを発見。佐賀署に再度通報した。警備員が午前3時半ごろに見回ったときは異常がなかったという。ビルには同社本店を含め約10社が入居。同社は「心当たりがない」としている。
(新射撃場完成に遅れ:山梨)
2月定例山梨県議会は1日、本会議を再開し、4氏が一般質問した。甲州市塩山上小田原への県立射撃場移転計画に関し、松土清県教育長は「2011年度中としてきた完成時期の遅れは避けられない」との見通しを明らかにした。移転計画の遅れに県教委側が言及するのは初めて。松土教育長は「現計画地での整備を基本とする考えに変更はない」と述べ、コスト削減のめどが立った段階で事業費を予算化し、甲州市塩山上小田原に整備を進める考えをあらためて強調。完成時期については「予算を計上し、工事に着手してから3年程度を見込んでいる」と述べるにとどめた。県立射撃場をめぐっては、総事業費が当初見込みより約7億円膨らみ、県教委はコストを縮減するため、計画の見直しを決めている。
(エゾシカ増えた理由は:北海道)
エゾシカの生態や対応を学ぶ博物館フォーラム「エゾシカを知ろう」(札幌市主催)が28日、札幌エルプラザで開かれ、道内の専門家4人がシカ急増の原因などについて講演した。同市博物館活動センターが昨年10月に市内中心部にシカが出没した問題をうけて企画。道環境科学研究センター主任研究員の宇野裕之さん(動物生態学)が急増する理由について「温暖化で雪が少なく越冬しやすい。出産率も高く、自然増加率は15〜20%」と話した。さっぽろ自然調査館主任の丹羽真一さん(植物生態学)は「エゾシカが市街地に出没するのを防ぐのは無理。市民は冷静に対応してほしい」と訴えた。このほか、2人の専門家が洞爺湖の中島の状況などを解説。来場した市民約120人は興味深げに講師の話に聞き入っていた。
(光・揺れ・音でカラス対策:栃木)
栃木県鹿沼市に生産拠点を持つ精密バネ製造の鎌田スプリング(さいたま市、鎌田敏也社長)は宇都宮大学の杉田昭栄教授と共同で、カラスよけの新製品「いやがらす」を開発した。表面加工したステンレス製の細いバネを使い、日光の乱反射や不規則な揺れでカラスを近付けにくくする。農作物被害やごみ荒らしに悩む自治体、農家、企業などに売り込む。ステンレスの板材を長さ約1.5メートルのらせん構造に加工し、両側にフックを付けた。表面は光沢が長持ちするよう特殊な保護材で覆っている。軽いバネ構造のためわずかな風で揺れ動き、日光が乱反射する。バネが周囲に当たってこすれる時は金属音も出る。揺れと光、音でカラスに警戒させる仕組みだ。価格は1本1350円。果樹園やごみ置き場などに試験設置した際にはカラスが1年以上寄り付かない状態になったという。カラス博士として知られる宇都宮大農学部の杉田教授に協力を求め、条件を変えて数種類の実験をして一定の効果が確認できたという。「いやがらす」の商標と実用新案の登録も済ませた。

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(あす捕獲開始、釧路で初のボランティアハンター:北海道)
エゾシカによる農林業被害の防止を目的に釧路支庁が道内で初めて阿寒地区の国有林で行うボランティアハンター捕獲活動が3月1日からスタートする。同支庁がエゾシカの個体数削減を目的に鳥獣保護法の鳥獣捕獲許可(有害駆除)を取得して実施する独自事業。一部鳥獣保護区を含めた国有林内の駆除活動は道内で初めてで、モデル事業ともなる。捕獲者は登録制で地元の猟友会の協力を得て、公募や審査、事前説明会を経て、最終的に42人の参加が決まった。捕獲活動期間は31日までの1カ月間。期間中、計200頭の捕獲を見込んでいる。
(北限のサル、国が捕獲許可:青森)
文化庁は、国の天然記念物「北限のニホンザル」の農作物被害対策のため、青森県むつ市や大間町、風間浦村、佐井村が文化財保護法に基づいて申請していたサルの捕獲を許可した。4市町村は2月19日から1年間の期限で、187匹の捕獲を目指す。4市町村は文化財保護法に基づく現状変更(捕獲)を1月に文化庁に申請。文化審議会文化財分科会で議論され、承認された。申請の承認は2回目。県の第2次特定鳥獣保護管理計画(2008〜11年度)に基づき、4市町村は08年12月に1回目の承認を受け、09年1月から12月末までにハナレザル7匹を含む計99匹を捕獲した。11年度までに計270匹の捕獲を行う。
(シカ食害防止へ協議会:徳島)
徳島県議会2月定例会は26日午後、本会議を再開し、森田正博(明政会)喜田義明(自民交友会)臼木春夫(新風民主)の3氏が代表質問に立った。桑村公三県民環境部長は、剣山山系で深刻化しているシカの食害防止対策として、国や地元市町、自然保護団体などでつくる「剣山地域ニホンジカ被害対策推進協議会(仮称)」を設置する方針を明らかにした。臼木氏の質問に対し、桑村部長は2010年度に環境省によるシカの捕獲が剣山山系で初めて実施されることや、三嶺に樹木ガードや防護柵を設ける県の対策を紹介。新たに協議会を設置することで「連携を強化し、個体数調整など効果的な対策に取り組む」とした。森田氏は防災力向上の観点から、消防団員確保や人材育成の必要性を指摘。飯泉嘉門知事は、地域の「少年消防クラブ」に所属する子供や指導者に実技講習などを行う消防教室の開催計画を挙げ「少年少女を未来の消防団員として育成する取り組みを展開する」と述べた。喜田氏は「四国八十八カ所霊場と遍路道」の世界文化遺産登録に向けた取り組みについて質問。里見光一郎副知事が、10年度は20番札所・鶴林寺(勝浦町)から22番・平等寺(阿南市)までの一帯をモデル地域と位置付け、各寺の調査や遍路道の測量などを実施する考えを明らかにした。
(ハクチョウ、昨冬に比べ3000羽減:山形)
県内で先月確認されたハクチョウ類が1万3060羽と、昨冬より3000羽減ったことが、県みどり自然課の調査で分かった。08年にラムサール条約に登録された鶴岡市の大山下池は約30%減だった。ハクチョウ類は、オオハクチョウが6197羽、コハクチョウが6860羽。調査地点別では、酒田市のスワンパーク9700羽(昨冬9900羽)▽鶴岡市大山上池1564羽(1536羽)▽大山下池607羽(863羽)。カモ類は7万4785羽。昨冬より2万8237羽少ない。スワンパークが昨冬の1万5800羽から380羽に激減し、他の地点でも軒並み減った。内訳は、マガモ2万7622羽▽カルガモ2万465羽▽オナガガモ1万3872羽▽コガモ1万968羽など。調査は1月9〜17日に、368地点で実施した。

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