<射撃ニュース11月>

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(イノシシが店で大暴れ:和歌山)
27日午後2時ごろ、和歌山県白浜町矢田、JR紀伊日置駅前の自転車店(本野富美子さん経営)にイノシシがガラス戸を突き破って侵入した。当時、店内に人はいなかったが、奥の住宅に長女の亜紀子さん(36)がいた。イノシシはすぐに出て行った。その後、行方は分かっていない。亜紀子さんは「店内にイノシシが入ってくるなんて。怖かった」と話している。けが人はなかった。亜紀子さんによると、イノシシの体長は60~70センチ。大きな音がしたため、住宅の玄関戸から店内をのぞいたところ、イノシシが玄関戸に体当たりしてきたという。イノシシは方向転換し、血と泥で足を滑らしながら、入る時に割ったアルミサッシのガラス戸(縦2メートル10センチ、横1メートル30センチ)とは別のガラス戸を割って駅方面に逃げた。店内には工具が散乱し、床にはイノシシの血や泥があちらこちらに付いていた。県猟友会西牟婁支部日置分会によると、当時、駅方面の山から犬の鳴き声がしたという情報があることから、近くで猟が行われていた可能性があるという。富美子さん(64)は「裏の畑を荒らされたことはあった」と話し、近所の住民も驚いていた。日置分会は「今は猟期なので猟犬に追われて出てきたのかもしれない。イノシシは手負いだと凶暴になる」と注意を呼び掛けている。25日午後7時半には、白浜町十九渕の日神社近くの歩道でもイノシシが目撃されている。
(ツキノワグマから微量セシウム検出:新潟)
県は29日、村上市で捕獲された野生のツキノワグマの肉から1キログラム当たり8ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。国の暫定基準値(同500ベクレル)を下回った。検査は野生獣への放射性物質の影響を把握するため実施。ツキノワグマは狩猟目的で捕獲され、一般に流通することはないが、猟友会を通じて食用に回ることがあるという。10月に柏崎市で捕獲された野生のイノシシからは検出されなかった。県が同日実施した県内に流通する農産物などのサンプル検査では、放射性物質は検出されなかった。検査対象は五泉市のサトイモ、長岡市のレンコン、新発田市のブナシメジ、新潟市のトマトとカブ、佐渡市のリンゴ、群馬県のナス、栃木県のニンジン、茨城県のゴボウとサツマイモ、千葉県のサツマイモ、埼玉県のダイコン、千葉県の牛乳、神奈川県の乳製品(チーズ)。また同日に採取した長岡市、阿賀町の河川水、県内5カ所の水道水、国の依頼で28日に採取した新潟市西区の水道水からも検出されなかった。
(「ハナレザル」襲撃多発:山口)
山口県美祢市で野生のサルに散歩中の高齢者らが襲われる被害が相次いでおり、同市や同様の被害が出ている県内の山口、下関各市や県の担当者らが「サル被害対策連絡会議」を開いて対策を協議した。専門家によると、これらの被害は、群れから離れた「ハナレザル」の仕業とみられ、「まだ被害が続く可能性がある」と注意を呼び掛けている。会議が開かれたのは、今月12日から19日にかけ被害が連続5件発生した美祢市の美東町の市総合支所。同町では、クラブ活動中の女子中学生や散歩中の高齢者ら5人が突然背後からサルにとびかかられ、足などをかまれた。いずれも軽傷だった。このほか、下関市では小月地区など4地区で8月から10月にかけて計18件の「かみつきサル被害」が発生したが、10月28日に襲われた男性がサルを捕獲して以降、被害は発生していない。また、山口市小郡などでは11月に3件の被害が発生、サルは捕獲されていない。美祢市では、被害報告を受けて早速箱わなを用意し、発生場所の近辺に設置。会議参加者らは、これらの箱わなを見て回り、同市職員から説明を受けた。会議に参加した山口県農林総合技術センターの鳥獣被害専門研究員、小枝登さん(50)によると、美祢市で出没するサルは、群れから離れたオスで4~5歳の「ハナレザル」の可能性が高いという。小枝さんは「サルは記憶力がよく、一度エサが取れると何度も現れる。追い払わなければ、『人間は危険ではない』と認識して襲いかかるようになる」と指摘する。下関市有害鳥獣対策室は、警察署や支所などと連携して目撃情報に即応して出動する捕獲隊を編成しているが、実際捕獲に至るのは難しいという。また、地域の猟友会による駆除も、街の中では発砲できず、銃保有者も年々減少していることから、あまり有効策とはいえないのが現状だ。小枝さんは対策として、「ロケット花火などで、すぐ追い払うことが重要。エサをやるのは論外。人里に近づけば危ないという意識をサルに持たせることだ」と話している。
(サル・イノシシ被害対策フォーラム:富山)
新川サル・イノシシ被害対策フォーラムが29日、魚津市の新川学びの森天神山交流館で開かれ、滑川市から朝日町までの3市2町の狩猟免許取得者、農家、市町職員ら約150人が有害鳥獣の防除を目指した。県新川農林振興センター管内の3市2町をエリアに昨年発足した「新川サル・イノシシ被害対策研究会」が地域一丸となった対策の展開に向け、開いた。ともに農林水産省の農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーである荒尾穂高さん(朝日町産業課主事)と、間宮寿賴さん(県自然博物園ねいの里野生鳥獣共生管理員)が基調講演し、参加者は生息環境管理、被害防除、捕獲の3分科会で、事例紹介を基に意見交換した。捕獲分科会では県鳥獣保護員の寺田正義さん(朝日町)が2009年度、10年度とイノシシ各30頭を仕留めた朝日町の例を基に、おりの仕掛け方を指導。「おりを獣道に置くと動物は来なくなる」「呼び餌を少しずつ食べさせる」などと根気強さの必要性を強調し、寺田さんの指導を守った魚津市職員が今年のイノシシ捕獲数が10頭に増えた例を報告した。他の分科会では、防除に向けた森林の間伐が強調され、イノシシなべの試食や、各種わなの展示も行われた。
(獣害対策で牛放牧へ:三重)
いなべ市は28日、休耕田に牛を放牧し、イノシシや猿などからの被害を防ぐ獣害対策を来年度から試験的に導入することを、同日開いた12月定例会の議案説明で明らかにした。市によると、自治体が実施する牛の放牧による獣害対策は県内でも珍しいという。獣害ブランド対策室によると、牛が休耕田の草を食べ、山林と農地の間に草の生えない緩衝帯を設けてイノシシなどが人里に近付かないようにするとともに、牛にえさを与える姿を見せることで被害防止につなげるのが目的だという。試行するのは、大安町宇賀地区の休耕田約80アールで、地元の要望で実現した。牛は、県の農業試験場からホルスタイン2頭を無償で借り受ける予定だ。今年度は休耕田の周囲約650メートルに電柵を設置し、来年度から本格的に実施する。事業費は100万円で、同室は「効果が上がれば、放牧を拡大したい」と話している。10年度の市内の農地の被害面積は約1500ヘクタールで、今年度は目標を約840ヘクタールに設定した。このため、市は、同様の獣害対策を実施しいる滋賀県東近江市に職員を派遣し、牛の放牧での被害軽減の実態を調べていた。
(シカ害、肉をジビエ料理に:長野)
信州で捕獲したニホンジカを大消費地の東京や名古屋、大阪などにジビエ(野生鳥獣の肉)料理の食材として売り出そうと、全国組織の「国産ジビエ振興連絡会」が発足しようとしている。県内の料理店や県、旅行会社、情報通信会社などが設立者に加わる。4日、東京都内のビルの一室に、会の設立を目指すメンバー12人が肩を並べた。「観光とも関連させ、ジビエを活用したビジネスモデルを提示したい」「調理方法や流通状況などを伝える窓口になる必要がある」事務局の場所や会費、具体的な活動--などを巡り、議論が白熱した。12月に発足。来年度に県内で全国ジビエサミットを開催する予定だ。設立の背景には、シカ肉の有効活用がある。県内で捕獲されたシカは10年度で2万520頭。うち食肉として流通したのはわずか1%(猟師の自家消費は除く)にとどまり、ほとんどを土に埋めるなど処分している。茅野市のフランス料理レストランの藤木徳彦オーナーシェフは「都内では、ニュージーランドから輸入したシカ肉を使っている所が多い。信州など国内産のシカ肉が流通すれば、求める料理人は多いはずだ」と強調する。県内では、徐々にシカ肉利用が広がっている。下諏訪町内の小学校は給食で、ハンバーグの材料にシカ肉を使う。他に、諏訪大社が昔、シカ肉を食べることを特別に許す免罪符「鹿食免(かじきめん)」を発行していた歴史にちなみ、諏訪地方の商工関係者が08年、鹿食免振興会を設立。加盟41店で空揚げなどのシカ肉料理を提供し、土産品店でもシカ肉ジャーキーや角を利用したアクセサリーを販売している。「利用が拡大し、売れれば捕獲も進む」というのが、連絡会の狙いの一つだ。しかし、捕獲したシカを商品化するまでのハードルは高い。食品衛生法や県のガイドラインでは、シカ肉の品質を守るため「仕留めたらできるだけ早く放血し、速やかに処理施設に運ぶ」と明記する。高齢ハンターや傾斜がきつい山中などでは短時間の作業は困難という事情はあるが、シカ肉に詳しい兵庫県立大の横山真弓准教授は「(死んだ直後に)肉がシカの体温で蒸れると、食肉利用できなくなる」と早期処理の必要性を強調する。現在、県内でシカ肉を引き取る食肉加工処理施設は15カ所に限られる。有効活用に向け、処理や流通体制の整備が急務だ。
(シカ害、増加に捕獲追いつかず:長野)
爆発的に増え続けるニホンジカに、どう手を打てばよいのか。県が今年度改定した保護管理計画では、シカは現在、推計で総数約10万5000頭。目標は、雌ジカを重点に1年間で2万5000~3万5000頭捕獲し、5年後に総数を3万5000頭に減らす。最終的には、個体群存続が可能な5000~1万頭に抑える。しかし、捕獲の実動部隊となる猟友会員の減少や高齢化から実現は容易ではない。県も「現状ではシカの増加に捕獲が追いつかない。(目標達成は)なかなか難しい」と頭を抱える。当面、シカ害が深刻な農地や高山植生などの場所を守り、地道に捕獲を続けるしかない状況だ。林野庁南信森林管理署は07年度から職員が国有林で、わな猟を実施。10年度までに計227頭を捕獲した。「業務の一環として行い、シカ減少に貢献する必要がある」と言う。エゾシカの増加に悩む北海道では、道や市町村の職員が職務で捕獲に携わる「ガバメントハンター」制度の導入を検討している。鈴木正嗣・岐阜大教授はプロの捕獲技術者育成を提言する。「もはや趣味の延長の狩猟だけでは対応できない。プロとして専門に取り組む人を育てる必要がある」と訴える。鈴木教授や伊吾田宏正・酪農学園大(北海道)講師によると、欧米では野生動物や狩猟を管理するレンジャーなどの職種がある。ドイツの州有林ではシカの個体数管理と、間引きを担うハンターが雇われ、林産物としての獣肉利用にも取り組んでいる。「日本にも同様のシステム導入の必要がある」という伊吾田講師は、学生に狩猟を教え、専門家の育成に携わる。「北海道でもシカ管理は大変な課題だ。全国で連携して次世代のシカ管理方法を創出したい」と強調した。一方、「天敵」の復活を主張する声もある。研究者らでつくる日本オオカミ協会(会長=丸山直樹・東京農工大名誉教授)は「シカの増え過ぎから生態系を守るには捕食者の復活が必要」と、国内で絶滅したオオカミの再導入を唱えている。想定するのはユーラシア大陸のハイイロオオカミで、ニホンオオカミと同種という。ただ、オオカミが家畜を襲う危険などの懸念から抵抗感を示す人も多く、今のところ、国なども導入に否定的な見解だ。現状ではシカの勢いを止める決め手はない。山林を利用してきた人間社会に、野生鳥獣との共存に向けた知恵が求められている。

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11/28
(二本松のイノシシ肉、規制大幅超セシウム:福島)
政府は25日、福島県二本松市など同県県北の8市町村でとれたイノシシの肉について、摂取制限と出荷停止を行うよう同県知事に指示した。厚生労働省によると、二本松市で捕獲されたイノシシの肉から21日、暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を大幅に上回る1万4600ベクレルの放射性セシウムが検出されたため。このほかにも、同県の他地域や茨城、栃木両県のイノシシ肉などから暫定規制値を超えた例が報告されているため、出荷停止の対象とすることが検討されている。政府は摂取制限の目安を5000ベクレルとしており、福島県では既に、相馬市など原発周辺の12市町村のイノシシ肉に対して摂取制限と出荷停止がかけられている。
(クマが鶏小屋荒らす:秋田)
27日午後8時20分ごろ、鹿角市八幡平の会社員男性(50)宅の庭先で、クマが鶏小屋を荒らしているのを男性が目撃、110番した。駆けつけた鹿角署員がパトカーのサイレンで威嚇、クマは付近の山林に逃げ去った。同署によると、男性が小屋で飼っていたウコッケイの鳴き声がしたため不審に思って確認したところ、母屋から5メートルほど離れた鶏小屋の金網が破られ、中に体長1・5メートルほどのクマが侵入しているのを発見した。小屋ではウコッケイを3羽飼育し、2羽は死骸となって残っていたが、1羽はいなくなっていた。現場はJR花輪線八幡平駅から6キロほど南西方向の山あいにある十数世帯の集落。
(ガラス戸破りシカ侵入:北海道)
24日早朝、稚内市港3、私立稚内鈴蘭幼稚園(根本綾子園長、132人)の建物内にエゾシカ1頭が入り込んでいるのを、出勤した職員が見つけた。登園前でけが人はいなかったが、ガラス戸が破損して危険なため、同幼稚園は臨時休園した。稚内市によると、シカは1歳の雄。体高1・2メートルで、長さ20センチの角が生えていた。同日午前7時ごろ、出勤した職員が入り口のガラス戸のガラス2枚が割れ、建物内に血痕やフンがあるのを発見し、稚内署に通報。署員らが廊下にいるシカを見つけた。建物内でシカを捕獲し、午前8時20分ごろに近くの裏山に放した。園によると、23日午後11時ごろ、近くの人が物音を聞いており、シカは同日夜に侵入したとみられる。園は稚内市中心部にあるが、西側にシカの生息する裏山がある。市内でもシカは増加傾向だが、市によると建物に侵入したのは初めて。
(公園にイノシシが出没:三重)
四日市市は25日、同市貝家町の南部丘陵公園南ゾーンで芝生やのり面がイノシシによって掘り起こされたと発表した。市によると、芝生の管理業者から24日夕、被害が報告され、調査したところ、2か所にわたって約1000平方メートルが掘り起こされていた。目撃情報はないが、イノシシは親子で行動することが多く、3~5頭が木の根や昆虫を食べるために荒らしたらしい。市は園内に看板を設置し、「イノシシの子を見かけても近付かないように。近くには必ず母イノシシがいる」と注意を呼びかけている。
(シカ猟のハンター支援へ:北海道)
エゾシカ猟のハンターを支援する「シカ・ステーション」が22日、釧路市阿寒町西阿寒19線(阿寒広域農道沿い)に開設された。シカによる農林業被害が深刻化する中、ハンターの負担を軽減して捕獲実績を上げるため、道が民間企業に委託して設置した。釧路管内で捕獲したシカの搬出作業の手伝いなどを無料で行う。同ステーションは養鹿(ようろく)事業を行う北泉開発(同市阿寒町)と食肉加工の阿寒グリーンファーム(同)が共同で運営し、担当者5人が交代で常駐。《1》シカの出没場所や林道の除雪状況などの情報提供《2》捕獲したシカの搬出の手伝いと、そりやロープなど搬出器材の貸し出し《3》皮や骨など解体時に出る廃棄物の受け入れ―を無料で行う。出没情報は毎日の巡回や出入りするハンターからの聞き取りなどで入手し、巡回時には違法な行為がないか監視活動も行う。案内責任者の三沢悟さん(63)は「搬出が手間とならないよう手伝いたい。休憩場所としても使ってほしい」と話す。道は今月に入り、日高管内新冠町と根室市にも同様のステーションを開設しており、本年度はモデル事業として効果を検証する。来年度以降は民間による事業化も視野に入れ、利用者には搬出や廃棄物回収を有料にした場合の適切な金額などを問うアンケートへの協力を求めている。阿寒町のステーションの開設期間は来年3月28日までの午前8時~午後5時(月曜定休、祝日の場合は翌日)。
(南アルプスで県境を越えたシカ捕殺が始動:長野)
南アルプスの高山帯や亜高山帯で植物の食害や踏み荒らしが深刻化しているニホンジカ対策で、上伊那、山梨県峡中(きょうちゅう)地区の両猟友会は26日、シカ捕殺を目的に初めて同時に出動した。伊那市と同県南アルプス市境の北沢峠(2032メートル)付近へ双方からシカを追い立てる計画は積雪のため断念。実施時期に課題も残したが、今後も県境を越えて連携していく方針を確認した。長野側は県の、山梨側は環境省の事業。上伊那の19人、峡中地区の72人が12月末まで、互いに相手側県内でもシカを捕殺する許可を両県から得た。随時、南ア林道を車で移動しながら撃っているが、効率よい一斉捕殺を目指して同時に出動することにした。この日は約20人ずつが参加。北沢峠で合流するまでに山梨側では5頭を捕殺した。峠で落ち合った両猟友会は、簡単にあいさつし合い、峡中地区の藤巻光美会長は「シカに県境は関係ない。(山に)上れる限りの間は(捕殺に)取り組みたい」、上伊那の竹入正一会長は「機会あるごとに協調し、互いに信頼関係を築いていきたい」と述べた。8月に連携方針を決めた両県関係者の会議では、南ア林道バスが11月上旬に今季の営業を終了後、速やかに取り組むよう求める声が出ていた。県上伊那地方事務所の市川武二所長は「今後は実施時期を研究したい」と話した。来春にも、林道バスの運行開始前の同時出動を検討する。県境を越えたシカ対策は、南佐久郡川上村と南牧村、両村に接する山梨県北杜市でも、それぞれの地元猟友会が取り組んでいる。
(イノシシに悩まされている人が増加:岡山)
最近、イノシシに悩まされている人に会うことが増えた。県内の捕獲数は昨年度2万617頭と過去10年で最多。過疎化でさびれた山里に生息範囲を広げているという▲先日、倉敷市児島地区の小学校体育館で「イノシシ注意」の張り紙を見つけた。昨年は裏山までだったが、今年は運動場で足跡が見つかり、先生は「児童に何かあるといけない」と心配していた。イノシシに罪はないが、ことは安全に関わる。思い切った対策が求められていると思う。
(サルの目撃情報相次ぐ:神奈川)
相模原市内の市街地などで27日、サルの目撃情報が相次いで相模原北署や市役所に寄せられた。市役所は「サルを刺激しないように」と呼び掛けている。市役所や同署によると、目撃情報は市役所だけで6件。同市緑区橋本台、下九沢、上九沢、大島などから寄せられ、すべて1頭。オスのはぐれザルの可能性があるという。人家の庭先や公園で目撃されており、同署員が確認に向かったが発見できなかった。いまのところ人的被害などはないという。市役所は同日、地域防災無線で注意を呼び掛けた。「サルに出会っても、えさをやらない、近づかない、目を合わせないようにしてほしい」と話している。
(訓練中に実弾発射:東京)
25日、警視庁玉川警察署で実弾を使わずに模擬弾で行われる射撃訓練中に警察官が撃った1発が実弾だったことが分かりました。けが人はいないということで、警視庁は実弾が持ち込まれた経緯などを調べています。警視庁によりますと、25日午後4時半ごろ、玉川警察署の4階にある講堂で36歳の男性の巡査長が模擬の弾を使う射撃訓練をしていたところ、実弾1発が発射されました。弾はおよそ3.5メートル離れた天井のはりを突き抜けたあとコンクリート製の壁で止まり本人や周りにいた2人の警察官にけがはなかったということです。本来、この訓練で使われるのは本物のけん銃と実弾に似せた模擬弾で、引き金を引くと模擬弾からレーザー光線が放たれるため実弾を使わずに訓練ができるということです。訓練を受ける人から2、3メートル離れたスクリーンには刃物を持った犯人や一般人などの映像が写し出されるということで、巡査長は写し出された犯人を見て空中に向けて威嚇射撃をしたところ実弾が発射されたということです。警視庁は訓練で使わない実弾が持ち込まれた経緯などを調べています。玉川警察署の小谷野伸夫署長は「指導を徹底して再発防止に努めたい」としています。

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11/24
(イノシシ襲撃、女性けが:三重)
23日午前7時45分ごろ、津市雲出長常町の市道で、市内の会社員の女性(36)がイノシシに襲われて両足にけがを負った。現場は工業団地の一角で、ほかにも目撃通報を受けた津南署は現場周辺を巡回して注意を呼びかけた。地元猟友会の協力で探したが、見つからなかった。同署によると、女性は駐車場から勤務先のメッキ工場に歩いて向かう途中、背後から突然、襲われたという。女性は両ふとももの裏側を牙で突かれて深さ2~3センチの傷ができ、市内の病院で手当てを受けた。また、約10分前には近くの工場の男性が構内にいたイノシシの様子を見ていたところ、体をぶつけられたという。ほかにも見たという通報が5件、同署に寄せられた。いずれも時間は午前7時半ごろから1時間余りのことで、半径約800メートル以内に集中していた。同署は、何らかの事情で工業団地に迷い込んだものとみて探している。現場は津市南部の海岸に面した平地で、工場のほかに住宅地があるが、近くに山はないという。
(イノシシ出没で、通学路など警戒態勢:三重)
23日、三重県津市でイノシシが出没し、襲われた女性がケガをしたことを受け、現場近くでは24日朝、子どもたちが保護者らに付き添われて登校するなど、警戒が続いている。イノシシは23日、津市雲出長常町に出没し、背後から襲われた女性が足に軽いケガをした。その後も、付近の住民が体当たりをされて転倒するなど、被害が相次いだ。このため、現場近くの小学校は24日朝、登校時間に合わせてすべての職員を通学路に配置したほか、子どもたちに保護者らが付き添うなど、警戒態勢が敷かれた。保護者らは「不安ですね」「早く解決して欲しい」「子どもたちに何かあったり、車の事故があったりするのは心配。生きているので逃げてくれればいいなと」などと不安な表情。住民によると、イノシシは23日深夜の目撃を最後に姿を見せていないという。また、津市役所によると、イノシシはケガをしていて、見かけたら警察に通報するよう、呼びかけている。
(騒然、100キロの雄イノシシ出没:香川)
高松市国分寺町国分周辺で22日朝、イノシシ1頭が人里に出没する騒ぎがあった。男性1人がけがをしたほか、県警が付近の住民に外出を控えるよう呼びかけるなど、一帯は騒然となった。イノシシは約5時間後、雑木林で捕獲され、殺処分された。県みどり保全課は「餌のなくなる季節に備え、これから行動範囲が拡大する時期。十分注意してほしい」と呼び掛けている。22日午前6時35分ごろ、通称「橋岡山」ふもとにあるホテル駐車場で、経営者の谷澤忠士さん(64)が、イノシシと鉢合わせになった。イノシシは突進して体当たりし、谷澤さんは左足に軽いけが。その後、通報で駆けつけた警官らが探したところ、約500メートル東の雑木林でイノシシを発見。捕獲用ネットを張るなどしたうえ、正午すぎに猟友会メンバ-らが捕獲した。イノシシは雄の成獣で、体長約130センチ、体重約100キロだった。この間、児童らの登校時間と重なったため、高松東署が約500メートル東の市立国分寺北部小など付近4カ所の小学校や幼稚園、保育所にイノシシ出没を連絡。教員が通学路に立って警戒するなどした。また、市は外出を控えるよう、防災行政無線で住民に呼び掛けた。近くの主婦、福江範子さん(66)は「こんなところでイノシシは見たことがない。近くに通学路もあり、捕まって良かった」と胸をなで下ろしていた。県みどり保全課によると、今年度、県内でのイノシシ目撃情報は、10月中旬に善通寺市中心部に現れたケースなど41件(21日現在)。今年4月から連絡を寄せるよう呼びかけているせいもあり、昨年度同期の13件と比べると、増えている。生態に詳しいイノシシの移動動物園「斉藤ファーム」(静岡県)の斉藤恒蔵オーナー(64)は「11月はサツマイモやミカンの収穫期。餌を求めて畑のあるところまで下りてきたのかもしれない」と分析していた。
(住宅街にイノシシ出没、捕獲作戦を決行も…:熊本)
23日午後、熊本市西部の住宅街にイノシシが出没し、網を使った捕獲作戦が繰り広げられた。熊本市島崎で23日午後2時頃、民家の庭先にイノシシが現れた。突然の珍客に近所の人や警察が集まり、皆一様にその姿を見守るが、イノシシは全く動じずに土を掘っていた。発見から3時間後、熊本市動物愛護センターの職員が到着し、イノシシの捕獲に取りかかった。しかし、網を使って捕まえようとするも、イノシシの素早い動きに振り回されるばかり。その後、イノシシは、人に危害を加えることもなく、包囲網をくぐり抜けて山に帰っていった。
(イノシシ出没、注意呼び掛け:埼玉)
狭山市と入間市で21日夜、イノシシの目撃情報が相次いだ。狭山署によると、5キロ圏内で約2時間に4件の通報があり、住民に注意を呼び掛けている。21日午後7時55分ごろ、狭山市入間川3の商店街の路上で、通行人の男性がイノシシに気付き同署へ連絡。同9時半ごろには、約2キロ離れた入間市河原町の国道16号の交差点付近で車道を歩くイノシシが目撃された。5分後には近くの同市黒須2の路上で、午後10時10分ごろにも約2キロ離れた入間市仏子の路上にいるのがそれぞれ確認された。東武動物公園動物園事業部の須釜勝・課長補佐によると、山中にいるはずのイノシシが人里に下りてくる原因は▽猛暑の影響で食糧となる木の実が少なく空腹のため▽森林が開発され、居場所を追われたため--などが考えられる。遭遇した場合には「追い払おうと攻撃するのは逆効果。冷静に後ずさりして逃げるのがベスト」だという。
(イノシシから放射性セシウム:群馬)
県は22日、東吾妻町で捕獲したイノシシの肉を検査した結果、放射性セシウムが10月31日捕獲分から1キロ当たり249・9ベクレル、11月6日捕獲分から同205・7ベクレル検出されたと発表した。暫定規制値(同500ベクレル)は下回った。
(イノシシ捕獲で助成:茨城)
常陸太田市は22日、狩猟解禁日の15日から来年3月15日までに、イノシシを捕獲して市清掃センターで焼却した人に、1頭当たり1万~1万5000円の助成を行うと発表した。県内で捕獲されたイノシシ肉4検体から暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出されたことから、食用の自粛が進むと農作物への被害が拡大することが懸念されるため。同様の制度は大子町でも導入、県北の他自治体でも検討が進んでいる。市の制度では、県猟友会太田支部の会員約50人が対象。1頭につき重さ5~60キロ未満で1万円、60キロ以上は1万5000円の助成を行う。事業費として345万円を計上し、東京電力に請求する。昨年度は有害鳥獣として市が150頭を駆除、一般狩猟者が350頭を捕獲している。県環境政策課によると、県北、県央の中山間地域と筑波山周辺の地域を中心にイノシシ被害が毎年拡大しており、今年度は16市町で3000頭を有害鳥獣として捕獲する計画。一方で、狩猟者は高齢化などで減少傾向だという。県内では東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、水戸、日立、土浦、高萩市でイノシシ肉1キロ当たり670~1040ベクレルの放射性セシウムが検出された。大子町の担当者は「イノシシに畑が荒らされることで、農家の意欲が下がるのが一番怖い」と話している。
(山中で巨大イノシシ捕獲:栃木)
矢板市内の山中で、重さ150キロを超すイノシシが捕獲された。体長は1・7メートルほどある雄で、県猟友会那須北支部・那須班会員の藤村福美さん(70)=那須町湯本=さんが仕掛けたわなにかかった。普通の2、3倍あり、イノシシ猟歴30年以上という藤村さんも「これほど大きいのは初めて」と驚いていた。今年は放射能問題で「食べられないから」などとイノシシ猟の動きは鈍く、生息範囲の拡大などで農家の被害が懸念されている。矢板市周辺でも牛の飼料が食べられる被害が出ている。
(シカ捕獲の徹底訴え:長野)
中部森林管理局(長野市)は22日、深刻な野生鳥獣による森林や農作物被害の対策を考える講演会を管理局で開き、専門家らからニホンジカ捕獲で広域的な連携や、わなによる捕獲の普及などを求める指摘が出された。林業関係者ら約130人が出席した。独立行政法人森林総合研究所(茨城県つくば市)の小泉透野生動物研究領域長は、ニホンジカの生態を中心に解説。ニホンジカは餌の種類が1000種類を超え、繁殖力もあるとして「年率20%のペースで増え続け、1000頭のシカは10年後に1万頭を超える」と指摘。行政対応の遅れも一因とした上で、捕獲の徹底による個体管理の重要性を訴えた。信州大農学部の竹田謙一准教授(家畜管理学)は、ニホンジカを捕獲するための広域連携のほか、ハンター不足を補うためにわなを使う捕獲の必要性を強調。「間伐で森林に下草が生えると、餌を求めるニホンジカが集まって駆除しやすくなる」と語り、適切な森林管理も求めた。 
(シカ害共存への課題、4~5年で生息数2倍:長野)
ニホンジカは、県内ではいつごろから増え始めたのか。岸元良輔・県環境保全研究所専門研究員は「生息状況は、ここ20年ほどで一変した」と言う。県の保護管理計画によると、推定生息数は01年に約3万頭。それが06年に約6万頭、11年には10万頭以上に急増した。01年以前の生息数は不明だが、捕獲統計から推定すると、増え始めたのは1990年代ごろとみられる。分布も以前は県南部などに限られていたが、徐々に広がったようだ。同じ草食獣でも、個々に縄張りを持つニホンカモシカは、ある範囲には一定の数しか生息できない。一方、群れを作るニホンジカは条件が良いと数を増やす。岸元専門研究員は「繁殖戦略が違う。シカは餌があれば、あるうちにできるだけ増えようとする」と説明する。雄は繁殖期に「一夫多妻」の群れをつくる。栄養状態が良い雌は1歳で子を産み、毎年のように1頭を産む。こうしてシカは4~5年で2倍に増えるという。この勢いを、昔は冬の厳しい気象条件や天敵のオオカミが抑え、生態系のバランスを取った。シカは豪雪で大量死することもある。これらの減少要因に対抗するため、増えやすい繁殖戦略を身に着けたと考えられる。歴史的に見ると、シカの増減には人間社会の要因も大きく作用した。小山泰弘・県林業総合センター主任研究員によると、文献調査で「シカやイノシシは江戸時代にも多く、対策に追われていた」と分かった。明治時代には猟銃の改良が進み、軍用の毛皮需要が増して狩猟が盛んになる。その結果、大正時代にかけて野生動物は激減。その後は保護策が取られるようになる。戦後の高度成長期以降は農山村の過疎化・高齢化が進み、燃料もまきや炭が使われなくなった。人の手が入らずに放置された山林の下層植生はシカの餌となり、増えた耕作放棄地もシカなどが利用しやすくなったという。一方で、狩猟者は減った。温暖化による積雪の減少も、雪が苦手なシカの冬季死亡率低下につながったとみられている。小山主任研究員は「増加原因は狩猟者の減少と生息環境の好転」とみる。シカを減らしたり、増やしたりしたのは人間の側ともいえる。【
(シカ害共存への課題、ハンターがピークの2割弱:長野)
今年も11月15日、ニホンジカの狩猟が解禁された。猟銃でシカやイノシシを捕る長野市猟友会所属、宮川仁司さん(55)は「今では山へ猟に出る人はめっきり少なくなった」と嘆いた。昔は山に行けば必ず仲間がいて、情報交換などをしたが、今では会う方が珍しいという。要因の一つとして宮川さんは、警察庁の銃刀法改正で、猟銃を所持できる条件が厳しくなったことを挙げる。「3年に1度の技能講習や精神鑑定書の提出。高齢ハンターには認知症の検査も義務づけられ、ベテランは面倒なことを敬遠する。山を知っているベテラン猟師がいなくなれば、山は荒れる一方だ」と、猟の継承に危機感を抱く。県野生鳥獣対策室によると、10年度の県猟友会の会員は4751人で、平均年齢は61・9歳。会員数がピークだった76年度は2万5000人を超えていたが、5分の1以下に減った。県は新規ハンターの確保策や、ベテラン猟師への補助金支給などを導入しているが、減少傾向に歯止めがかからない。猟師が減る中、県は農家らに自衛の「わな猟」を普及させようと、10年度から講習会を各地で開催する。免許取得が比較的簡単で、猟の危険も少ない。わな自体の値段も銃より安いのが利点という。「オーイオイオイ」。伊那市高遠町の山林で8月下旬、ニホンジカをわなに追い込む猟師の声が響いた。8月は狩猟期間外だが、シカによる被害が多い県内では行政の許可を受ければ、時期を問わず、捕獲できる。猟は、シカがわなのワイヤを踏むと、足がくくられ、身動きがとれなくなる。わなを林道沿いに設置し、数十人の猟師がシカが移動する獣道を列になって歩き、掛け声などで脅かしながら、わなに追い込む。しかし、獣道は幅数十センチで、山の斜度も急。参加した70代の男性は「山歩きは慣れているとはいえ、足を取られたりしてきつい」と肩で息をした。更に大きな雄のシカは体重100キロ超。「捕獲後、さばく(解体する)ために運ぶのも、(殺処分して)その場に埋めるのも、どちらも大変だ」といい、銃でもわなでも苦労は多い。この日の結果は、追い込む途中、シカが猟師の前を駆け抜けて逃げてしまい、捕獲数はゼロだった。野生鳥獣被害対策などを研究する民間会社「ゆい工房」(東京都台東区)の小谷浩治代表は「わな猟は仕掛ける場所や仕掛け方などが難しい。県は免許の取得だけでなく、実技講習を更に充実すべきだ」と指摘した。県は「現状で、わな猟は捕獲頭数の約3割を占める。10年後には6割に上げたい」と意気込む。だが、猟師の高齢化と後継者不足、増え続けるシカ害……など、普及には課題が多そうだ。
(大都会襲うイノシシ、“善意”の餌付けが生み出す被害:兵庫)
六甲山系の裾野に広がる神戸市の市街地でイノシシが人を襲う被害が頻発している。今月に入ってからも東灘区内で相次いで男児がイノシシに尻をかまれた。市は都市に野生動物が出没する原因とされる「餌付け行為」を禁止する全国初の条例を施行したが、罰則などがないため効果は不透明。このため市は10月から、餌付けを根絶するため、専従の職員を投入して警戒に乗り出した。神戸市中央区のJR新神戸駅周辺。北野の異人館街にほど近く「神戸の玄関口」として観光客らでにぎわう地で、春以降イノシシの親子の姿が頻繁にみられるようになった。中央区では5月末に市民らが相次ぎイノシシに襲われ、男女4人が軽傷。7月には買い物帰りの女性が食べ物のレジ袋を奪われた。4~8月の市への通報件数は81件で、前年同期(17件)と比べ5倍近くに増加した。市街地に出没するイノシシについては、神戸市が有害と判断した場合に地元の猟友会に駆除を依頼、捕獲したうえで殺処分するという。10月下旬の専従職員による警戒パトロール。イノシシの親子が市街地に降りてくる午後5時ごろ、職員2人が「イノシシ餌付け禁止・巡回中」と書いたのぼりを手に出没スポットに到着した。餌付け行為を発見した場合は証拠写真を撮影し、口頭で注意する。近所の主婦(37)は「レジ袋を狙われた人がいたと聞いたので、特に買い物帰りはびくびくしている」と話した。午後8時すぎ、新神戸駅周辺の山道から、イノシシ3頭が姿を現した。母親とみられる体長約1メートルのイノシシと、やや小ぶりな子供2頭。餌付け行為が目撃されていた周辺を徘徊(はいかい)していた。この日は餌をやる人はおらず、親子は近所のごみ置き場で餌をあさり、15分ほどで山に戻った。近所のアパートを管理する男性(70)は「毎晩のようにごみを荒らされてうんざり。片づける身になってほしい。捕獲や駆除など即効性のある対策をとるべきだ」と憤る。餌付け行為をしている女性に話を聞くと、「もともと自然を破壊したのは人間なのだから、食べる物がなく、山をおりざるえなくなったイノシシに餌をあげないのはかわいそう」と訴えた。これに対し、市農政計画課の桐谷定行課長は「野生のイノシシで2頭も子供が育つのはまれ。かわいそうだからと餌を与えると、結局は自然界のバランスを崩していることを分かってほしい」と強調。市は、できるだけ駆除は避けながら、市民への餌付け禁止の指導で対応する方針だ。イノシシの生態を研究する兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の三木隆弘・森林動物専門員は「イノシシは知能が高く、市街地で楽に餌にありつけることを知ると頻繁に山をおりることになる。対策がなければ山に木の実の減る冬や春先の繁殖期などの出没や被害がさらに増えることもある」と警鐘を鳴らす。
(駆除動物の冥福祈る:千葉)
野生動物による作物被害が多発している鴨川市で、市有害鳥獣対策協議会が、有害鳥獣として駆除された動物の供養祭を行った。今年の供養祭は誕生寺で行われ、同協議会会長の片桐有而市長や市内の捕獲従事者ら関係者が参列し、駆除された動物の冥福と作業の安全を祈願した。片桐市長はあいさつで「有害鳥獣も生を受け、それぞれの尽くすべき天分を分かち合い共存共栄を図りたいが、被害は後を絶たない。営農意欲を低下させており、耕作放棄地が増加している」と甚大な被害状況を説明した。

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11/22
(「クマ出没」仮設に不安:岩手)
岩手県の大槌町や釜石市の仮設住宅近くで、クマの出没情報が相次ぎ、避難する住民らが不安を募らせている。津波で沿岸部が被害を受け、仮設住宅をクマが生息する山間部に建てざるを得なかったためだ。大槌町などは侵入防止柵を設けるなどの対策を始めている。大槌町の吉里吉里(きりきり)第6仮設団地。裏はツキノワグマが1270頭生息するとされる北上山地がそびえる。11月初旬の未明、東谷(あづまや)弘さん(59)は就寝中、枕元の外壁から乾いた音が響くのを聞いた。「ガサガサ、ギシギシ」。隣室の母テルさん(81)をそっと起こし「かあちゃん、クマだ。声出すな」。音は鳴りやまず、玄関先にあったバールを持ち出し、身構えた。外壁や外に置かれたプロパンガスのボンベが引っかかれる音は、10分以上続いた。翌朝に外を見ると、ガスボンベに爪痕のような傷が付いていた。近くに住む男性(63)は「クマにちげえねえ。ここの隣の畑じゃあ、いっつも野菜が荒らされっから」と話す。町社会福祉協議会には8月以降、「ふんや足跡を見つけた」「ごみ捨て場が荒らされた」などクマの出没情報が30件ほど寄せられている。大槌町はクマの通り道に近い仮設住宅付近に侵入防止柵を設置。クマが寄らないよう生ごみは収集日の当日の朝に出すよう要請し、ルールを守るよう各収集所にポスターを張って呼び掛けている。隣の釜石市でも、北上山地近くの仮設住宅付近での出没情報が数件あり、市職員が爆竹を鳴らして追い払ったこともある。岩手県によると、2010年度には県内でツキノワグマ161頭が捕獲された。クマは12月ごろから冬眠に入るが、県は「夜間、明け方、夕方の入山は避ける」などクマの被害に遭わないための八カ条を定め、「出合ったときは背中を見せず、静かにゆっくり後退して」などと呼び掛けている。
(クマ警報基準改定「人身被害」から「大量出没確認」:富山)
県はツキノワグマ保護管理計画の改定案を示しました。中ではクマ出没警報の発令基準を、現在の「人身被害が発生した場合」から「大量出没を確認した場合」に変更するとしています。この改定案は、県野生動物保護管理検討委員会で、県が示したものです。県は、クマの保護管理と被害防止のため、ツキノワグマ保護管理計画を定めていますが、現在の計画の期間が今年度末で終了するため、計画の見直しを進めています。改定案では、「人身被害が発生した場合」となっている現在の警報の発令基準について、「目撃・痕跡情報の急激な増加から、大量出没の発生を確認した場合」に変更するとしています。また、クマが人に慣れることで人身被害につながる可能性があるとして、安易に餌付(えづ)けをしないよう呼びかけることを新たに盛り込んでいます。新しい計画の期間は、来年度から5年間で、県は、年度内にとりまとめをする方針です。
(狩猟登録、放射性物質の検出で減少:茨城)
県内で野生イノシシによる農作物被害を防ぐ取り組みが本格化している。今年はイノシシが急増する恐れがあるとして、県は鳥獣保護区での捕獲推進や休猟区の指定見送りなど新たな対策を打ち出した。常陸太田市などは捕獲した狩猟者に助成金を出す。イノシシ急増の原因の一つとされるのが、狩猟登録者の激減。福島第一原発事故後、イノシシから暫定規制値を超える放射性物質が検出されたことなどが影響したとみられる。イノシシによる農作物被害額は県全体で約六千七百万円(二〇〇九年)。県内では昨年、二千九百五頭が捕獲され、このうち約二千頭を狩猟分が占めた。猟期(十五日~来年三月十五日)に猟をする登録者の主な目的は食用。今年の登録者は十五日現在、過去最低の四千二百九十五人にとどまる。前年比12%減で、減少率もここ五年で最大。高齢化に伴い登録者は減少傾向だが、今年は、高萩、日立、水戸、土浦の四市で捕獲されたイノシシから暫定規制値(一キロ当たり五〇〇ベクレル)を超える一〇四〇~六七〇ベクレルの放射性セシウムを検出。県はイノシシ肉を検査なしに食べないよう県猟友会などに通知した。県では放射性物質の検出が拍車を掛けたとみている。狩猟登録者が減ることで、繁殖力の強いイノシシが急増し、農地被害の拡大が懸念される。このため、県は猟が禁止されている鳥獣保護区での有害捕獲に向け、イノシシが生息する十六市町と個別に協議に入った。保護区での有害捕獲は常陸太田市などが独自に行ったことがあるが県が市町に一斉に要望するのは初めて。県は「農作物を守るためにやるしかない。捕獲のための財政負担は各自治体なので、こちらはお願いする立場」と説明する。また県は、猟を二年限定で禁止する休猟区を来年度は指定しないと決めた。イノシシが区域内で繁殖しても駆除できないためで再来年度中に県内から休猟区はなくなる。昨年の有害捕獲数が百五十七頭で県内最多の常陸太田市では猟を活性化させるため、狩猟者に助成金を払う制度を設けた。県猟友会太田支部の会員が対象で、捕獲したイノシシ一頭に対して五~六〇キロは一万円、六〇キロ以上は一万五千円を支給する。約三百五十万円の経費は東京電力に損害賠償請求する。同支部長の三宅正太郎さん(66)は「イノシシ肉を食べられなくても猟に行こう、というモチベーションにつながる」と助成金を歓迎。同市でサトイモや黒大豆を育てる田所愛子さん(90)は「イノシシには畑を掘り返されて困っている。これで数が減ってくれれば」と期待する。同様の制度は大子町も運用を始めており、日立市や常陸大宮市も検討している。県は独自に定める年三千頭の捕獲目標について「今年はどうなるか分からない」と心配する。一方、「耕作放棄地が増えてイノシシが山から田畑に下りやすくなっている。電気柵を設置するなどして侵入を防がないと被害は減らない」と“守り”の大切さも説く。

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11/21
(表装店にイノシシ侵入、1人軽傷:栃木)
20日午後1時5分ごろ、茂木町茂木の真岡鉄道茂木駅前の表装店にイノシシが侵入。店の男性(36)が追い出そうとして、突進してきたイノシシが足にぶつかり、両足打撲の軽傷を負った。イノシシはそのまま逃げたため、茂木署と地元猟友会が行方を捜したが、見つからなかった。同署では付近に注意を呼びかけている。同署によると、イノシシは体長1・2メートルぐらいで、雌雄や成獣かなどは不明。猟友会は「こんな町中にイノシシが出るのは珍しい」と話しているという。
(ツキノワグマ1頭捕殺:山口)
20日午前7時20分ごろ、周南市大向の休耕田で、ツキノワグマ1頭がイノシシ捕獲用の箱わなにかかっているのを猟友会員が見つけた。山口県自然保護課によると、雌の成獣で体長110センチ、体重30キロ。大向地区周辺では昨年も3頭が捕獲されており、住民の不安が強いと判断。県が殺処分した。県内の本年度のクマの捕獲は4頭目。
(カラスの捕獲作戦:山形)
(県全域でシカ駆除へ:静岡)
県全域を対象にした野生シカの駆除が来年4月から本格的に行われることが分かった。県内では被害が目立つ伊豆地域を中心に、ワサビやシイタケなどの農林産物の被害は年1億円以上出ており、地元農家が対応に苦慮している。南アルプスでも貴重な高山植物が食べ荒らされる被害が報告されており、県は県全域での駆除に乗り出すことを決めた。県自然保護課によると、県内全域のシカの生息数は毎年増加傾向にあり現在は約4万1千頭。増加の理由については、山の管理が行われなくなり、シカが住みやすくなった▽エサが増え、出産できる雌シカの成長が早い▽温暖化で越冬するシカが出現した-などを挙げる。現在、伊豆地域山間部では1平方キロあたりのシカの生息数が27頭と、生態系に影響がないとされる3~5頭を大幅に上回る事態に陥っているという。こうした実態を把握するため、今月3日には、伊豆市の山間部を鹿野道彦農林水産相が訪れ、農作物や樹木の被害状況を視察。対策にあたる市の職員が、鹿野農水相に対し、シカが樹皮を食べることで木々が枯れてしまうことや、木が枯れることで山の土砂が流出する危険性が高まることなどを説明した。このほか最近では、生息数の増加とともに、シカが市街地に入り込む事態も発生。先月下旬には静岡市内の住宅街にシカが突如現れ、警察官や市職員40人が駆けつけ捕獲する騒ぎがあったばかりだ。県や市による捕獲は、被害が顕在化した平成16年度から伊豆地方で開始。年7千頭の捕獲を目指し、狩猟時には1頭1万円を捕獲者に支払うなどして削減に努めてきたが、「狩猟者の減少で、捕獲数は目標に届かない」という。昨年度は5846頭と目標を1千頭以上下回った。県自然保護課は、シカの学習能力の高さも削減できない理由のひとつに挙げる。同課によると、「車や洋服がこすれるなど自然界にない音や犬が近づくと、動かずじっとするため、捕獲は年々難航を極めている」と話す。同課は、「雌シカの捕獲を呼びかけるなどして、どうにか生息数の減少につなげたい」としている。
(ツキノワグマ出没激減:島根)
県内でツキノワグマの出没件数が、大量出没した昨年の半分にとどまっている。餌となるコナラやシバグリの実が豊富にあることなどが要因とされているが、人的被害件数は昨年と同じペースで推移。冬眠直前の栄養の大量摂取期が最も危険で、県中山間地域研究センターでは「クマを人里に引き寄せてしまわないよう、生ゴミの放置や餌付けなどは絶対しないでほしい」と呼びかけている。県鳥獣対策室によると、今年4~9月のクマの目撃、痕跡情報は282件。2004年に次いで大量出没した昨年の同時期(514件)と比べて激減。捕獲数も昨年同期より35頭少ない13頭にとどまった。同室は「今年はドングリが豊作で、クマが人里まで下りてくる必要がなかったのではないか」と分析している。同センターの澤田誠吾主任研究員によると、クマの出没件数は、餌となるドングリなどの着果状況によって変動するとされる。西中国山地では近年、ドングリの豊作、凶作が隔年で推移しており、クマの出没もそれに合わせて隔年で増減する傾向が続いている。ところが、クマによる人的被害は昨年同期と同数。8月22日には、益田市匹見町落合の市道で通りがかった男性1人がクマにかまれるなど、今年に入って2件の被害が発生。澤田研究員によると、クマは人里の柿の木や残飯などの場所をいったん知ると、何度もそこを訪れる習性がある。このため、出没件数が減っても人的被害が減らないこともあり、住民側の注意や警戒が必要だという。益田市匹見町の主婦柴田民江さん(86)は「昨年はこの時期、近くの柿の木に登るクマをよく見た。減ったとはいえ、夜出歩くのはまだ少し怖い。用心しないといけない」と警戒している。
(農作物の獣害防止策、電気柵に簡易版:山梨)
イノシシやシカなど獣による農作物被害防止策として、県は、田畑の周囲に設ける簡易版電気柵「獣塀(じゅうべい)くんライト」を実用化した。今夏から県内7カ所で農家らを対象に設置実習会を開き、改善点があれば修正を加えて、来年度末までに完成品にする予定だ。「ライト」は、これまでの「獣塀くん」に比べ、手軽に設置できるため、普及を図りやすいのが特徴。ライト開発を通して、県の獣害防止への取り組みを取材した。獣塀くんは県総合農業技術センター(甲斐市下今井)が08年度に開発した。1~3号(高さ60~180センチ)があり、動物が金網に触れると通電する仕組み。効果はあるものの、設置の費用と手間がかかるのが普及への難点となっていた。3号を100メートルにわたって設置する場合にはコストは1100円、2人がかりで平均13時間半必要。難点を解決しようと開発されたのがライトだ。約170センチの支柱に約20センチ間隔で電線を張り、ナイロン製防鳥ネットで覆う。最下段の電線は、動物がくぐれないよう地面から5センチの位置に張った。防鳥ネットは金網よりも購入費が安い。また、金網よりも軽く、支柱に頑丈さがそれほど必要でなくなった。このため、中身が空洞で弾性のあるポールを採用。四隅以外の支柱にこのポールを設置することで、コストをさらに軽減。しなるために着雪しても折れなくなった。これらの結果、電気発生器購入費を除く設置の費用は8割減、手間も半減した。簡易版でも効果は絶大だ。同センターは今夏までの1年半、北杜市内4カ所で試験的に設置し、柵内外に取り付けたカメラで効果を調べた。結果、柵外では動物が計1028回撮影された一方、柵内では計4回だった。同センターの本田剛研究員は「気負わずに試しに使ってほしい」と設置を呼びかけている。県農業技術課によると、県内の昨年度の農作物への獣害の被害額は127ヘクタールで1億5600万円に上る。一方、県耕地課によると、県や市町村は昨年度末までに獣害防止柵を延長475キロ設けたが、川や市町村境界で途切れてしまう箇所もある。そこで、県は今年度中に「獣害防止柵整備計画」の策定を進めている。防止柵の普及に安く設置できるライトの活用を盛り込み、ソフト面での対策も進めている。獣害防止のための基礎知識を身につけた「集落リーダー」を養成するため、先月27日に第1回研修会を開催し、集落代表者約100人が参加した。県耕地課によると、県挙げて獣害防止柵の普及を図るのは珍しいという。県は今後も、柵設置普及のハード面と人材養成のソフト面から対策を進めていく方針だ。
(鳥獣被害、対策協設立:宮崎)
野生のシカ、イノシシ、サルなどによる農林業被害を県境を越えて食い止めようと大分、宮崎県境の6市町が、対策協議会を設立した。大分県津久見市の呼び掛けに佐伯、臼杵、豊後大野、延岡市、日之影町が応じた。11日の設立総会で津久見市の吉本幸司市長は「長年猟友会の駆除活動などをしてきたが、鳥獣は県境を越えて移動し、1自治体の対策で被害を軽減させることは難しい」と趣旨を説明。来年1月に6市町一斉に駆除することなどを決めた。両県によると、10年度の6市町の鳥獣被害額は約1億2400万円で両県被害額の2割を占める。延岡市の首藤(すどう)正治市長は「捕獲作戦をしても鳥獣は戻ってくる。広域的な枠組みに期待したい」と話す。同様に「大分県竹田市、高千穂町、熊本県高森町」「大分県中津、宇佐、豊後高田市、福岡県京築地区の自治体」が広域組織を作っている。
(イノシシ肉のドッグフード開発:岡山)
岡山県吉備中央町の農家らでつくる「加茂川有害獣利用促進協議会」(三谷健会長、14人)が、イノシシ肉を使ったドッグフードを開発し20日、発売する。農作物を食い荒らす天敵の駆除と特産品開発を兼ねた“一石二鳥”ならぬ“一石二獣”の取り組み。脂の乗りが悪く食肉として売りづらい夏場に駆除されたイノシシの肉を利用。会員宅の乾燥機で干し肉にする。スライス肉で作った「ジャーキー」と、約1センチの厚切り肉を使った「ロックジャーキー」の2種類。商品名は「吉備高原どんぐりイノシシ」。1袋50〜150グラムで、希望小売価格は100グラム=1500円。岡山市北区東古松のペットショップ「ラビータ」で販売する。三谷会長(70)=同町円城=は「添加物、着色料を使わずに仕上げた。高タンパク・低脂肪のイノシシ肉の特徴を生かし、愛犬家に売り込みたい」と話している。

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11/18
(クレー協会内紛で現執行部、控訴審も敗訴)
日本クレー射撃協会の役員改選をめぐり、当時首相だった麻生太郎前会長の再選を支持していた旧執行部メンバーが、現執行部役員を選出した2009年3月の総会決議が存在しないことの確認を協会に対して求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は17日、請求を認めた一審東京地裁判決を支持し、現執行部側の控訴を棄却した。判決理由で大橋寛明裁判長は一審と同様に、総会の議長の散会宣言後に残った一部の会員で新役員を選んだことを「散会宣言後は総会の定足数を下回っており、決議は不存在」と判断した。福城一信専務理事は上告する考えを示し「文部科学省の仲介や指導に従って解決策を見いだしたい」と話した。
(サルに引っ掻かれて女性がケガ:山口)
17日午前、美祢市の民家にサルが出没し、62歳の女性が手足を引っ掻かれ、軽い怪我をした。現場近くでは、12日にも女子中学生がサルに引っ掻かれてケガをしていて、警察では住民に注意を呼び掛けている。美祢警察署によると、サルが出没したのは、美祢市美東町大田の民家で、午前9時40分頃、62歳の女性が自宅の庭で水遣りをしていたところ、突然サルが現れ、背後から女性を引っ掻いた。サルは、50センチから60センチ程の大きさだったということで、女性は、両足と左ひじに軽い怪我をした。現場近くにある美東中学校でも今月12日、クラブ活動中の女子生徒が体長60センチ程のサルに左腕を引っ掻かれ、軽い怪我をしている。近所の人の話では、2人を襲ったのは、同じ「はぐれザル」と見られ、他にも襲われてケガをした人がいるという。美祢警察署では、付近の住民に注意するよう呼び掛けている。
(獣害封じ、学生一役:京都)
伊根町で今秋、新たに始まった獣害防止対策に、立命館大(京都市)の学生約30人が助っ人を買って出る。山沿いに立て、イノシシなどの侵入を防ぐ金網を町が国の補助で用意したが設置は農家任せで、高齢化率41・6%(今年3月末)と、府内で最も高齢化が進む同町では設置がはかどっていない。手伝いを申し出た学生たちは「真に求められているボランティアがしたい」と意気込んでいる。町地域整備課によると、昨年度、野生鳥獣による町内の農産物への被害は、水稲が1・6ヘクタール(被害額182万円)、ソバが3ヘクタール(同38万円)など。被害は年々、増加しているといい、町は今年度初めて、国の補助金約2700万円を利用し、町内11地区に張る、高さ約2メートルの金網を延長約15キロ分購入した。ところが、設置は地元の農家任せで、過疎高齢化による人手不足のため、思うように進んでいない。こんな話を立命館大文学部3年久保田理沙さん(20)が聞いたのは、所属する自主ゼミ「地域観光学研究会」で、伊根町を訪れた10月中旬。農業や漁業を町づくりにどう生かしているかを、同町本庄宇治の農業岩井龍也さん(38)らに聞き取る調査で知った。11地区で農地が最も多い本庄地区は、約7・2キロにわたって金網を張る計画だが、少人数で広範囲に設置するのは簡単ではない。「高齢者が運搬するのはきついだろう」と話す岩井さんから、「金網を張るボランティアに来てほしい」と持ちかけられた久保田さんは、一肌脱ぐことにした。大学に戻って学生に参加を呼びかけたところ、文学部を中心に約30人が集まった。一行は12月10、11日の2日間、金網設置を手伝う一方、町民が振る舞うイノシシや伊根ブリ、丹後コシヒカリなど、地元特産を生かした鍋料理などを味わい、舟屋群なども見学する。久保田さんは「今回のボランティアを通して、私たち街中の学生が伊根町のことをよく知り、過疎や高齢化の問題を考えるきっかけにできれば」と話している。
(シカ害、共存への課題)
国内有数のニッコウキスゲの大群落がある中信高原の霧ケ峰高原。開花期の7月には「車山(1925メートル)の肩」などの群生地で草原が黄色く染まり、観光客でにぎわう。ところが昨年、異変が起きた。花が異常に少なく、ちらほら咲く程度。訪れた観光客は「どうしたのだろう」と残念がった。ニッコウキスゲの開花数は年により増減があるものの、車山の肩で山小屋を営む手塚宗求さん(79)が「60年間見てきた中で最悪」と嘆くほどの激減ぶり。自然保護関係者は要因の一つに「ニホンジカの食害」を挙げた。県環境保全研究所によると、霧ケ峰でシカが目立つようになったのは1990年代から。近年は開花前のニッコウキスゲの花芽が食われる被害が増え、09年の調査では高原のほぼ全域で食害が確認された。シカの高原進出は環境や観光の面で大きな問題となり、県や関係市町・団体でつくる霧ケ峰自然環境保全協議会は08年、シカの侵入を防ぐ防護柵の設置を開始。今夏までに5カ所に設け、総延長は約13キロに及ぶ。 ニッコウキスゲが多い車山一帯には複数の電気柵などを設置。キリガミネヒオウギアヤメなどの固有種が食害を受けた国の天然記念物・八島ケ原湿原でも、全周4キロの金属製防護柵が完成した。電気柵ができた車山の肩では7月、ニッコウキスゲが食害を受けず開花し、関係者を安心させた。協議会によると、八島ケ原湿原でも柵完成後は「シカ侵入の形跡は認められず、効果がある」という。中信高原では他にも、美ケ原高原でシカの群れによる牧草被害が続いている。シカの進出と被害は八ケ岳連峰でも近年、急増した。林野庁中部森林管理局の09年の全域調査では、植物365種のうち、食害や踏み荒らしを受けたのは182種。うち希少種も17種あり、絶滅したとみられる種もあった。関係団体でつくる南北八ケ岳保護管理運営協議会は昨年から今年、ヤナギランやクロユリ、コマクサに被害が出た麦草峠や天狗岳、横岳周辺など5カ所に防護柵を設置した。麦草ヒュッテの島立健太郎さん(54)は「植生は少しずつ回復し始めたが、以前の姿に戻るにはかなり時間がかかる」と話し、シカを寄せ付けない地道な防衛策の効果を期待する。

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11/17
(クマが国道を横断:北海道)
16日午後4時20分ごろ、清水町御影南2線の国道38号を、クマ1頭が横断しているのを運転中の女性が発見し、110番通報した。新得署によると、現場は御影中学校から約700メートル清水市街地側。クマの体長は2メートルほどで、国道を御影地区側から羽帯地区側に横断していったという。同署では付近住民に注意を呼び掛けている。クマの目撃情報を受け、御影中(程野仁校長、生徒52人)では同日、教員らが部活動の生徒に付き添って下校した他、17日の登校時には同校と御影小学校(浅川佳孝校長、児童121人)が教員らが通学路を巡回して警戒した。
(原発事故でイノシシ猟敬遠:茨城)
イノシシの狩猟(15日~来年3月15日)が県内で始まった。今年は福島第一原発事故の影響で、イノシシの肉から暫定規制値を超える放射性物質が検出され、県が食用を控えるよう呼びかけたことから、ハンターの間で狩猟を控える動きが出始めている。農作物被害が広がりかねないと、生息が確認されている県内16市町の中には、敬遠ムードを払拭するため対策に乗り出す自治体もある。県のこれまでの検査で、日立、高萩、土浦、水戸の4市で捕獲されたイノシシの肉から暫定規制値(1キロ・グラム当たり500ベクレル)を超える1040~670ベクレルの放射性セシウムが検出された。この影響で、捕獲頭数の減少と農作物被害の拡大を心配する大子町は、捕獲1頭につき1万円を狩猟者に助成することに決めた。県猟友会大子支部会員を対象に、焼却施設への運搬費用などの名目で支払う県内初の試みだ。町内では昨年度、狩猟期間中に235頭、期間外に73頭が有害駆除されたが、同町農林課は「今まで通りイノシシ猟が行われないと、農作物被害が増える恐れがある」としている。北茨城市は今年に限り、市の有害鳥獣捕獲隊17人に狩猟期間中、駆除を特別に要請する方針を決めた。高萩市も「鳥獣保護区内で捕獲隊による駆除を認める可能性がある」としている。農作物の被害拡大を懸念する自治体は多く、常陸太田市は猟の減少により、被害が例年の4~5倍に増えると見積もる。日立、常陸大宮両市も地元猟友会や関係機関と協議し、対策を検討。かすみがうら、土浦両市は地元猟友会と協力し、年明けに大規模な駆除を行う計画を立てイノシシの“猛進”を抑え込む算段だ。今年度から野菜や果樹栽培の盛んな八郷地区で、人体に影響のない微量の電流を流す「電気牧柵」の設置範囲を拡大していた石岡市も「放射能問題を想定していたわけではないが、タイミングが良かった。捕獲など対策をさらに強化していきたい」と気を引き締める。食用を認めるため、独自検査を行う動きもある。城里町は9月の県調査で暫定規制値を下回ったことから、捕獲された最初の数頭を検査し、安定して規制値を下回った場合、食用を認める。「しし鍋」でまちおこしを目指す石岡市八郷商工会は、民間検査機関で全頭検査を実施。暫定規制値を下回った肉のみを提供するとして安全性をPRしている。一方、県は2005年度、イノシシ保護管理計画を策定。06年度から毎年2000頭以上を捕獲しているが、00年度に1万頭だった県内のイノシシの推定生息数は、10年度に1万5000頭に増えた。農作物被害額は10年度に7951万円に上り、06年度と比べ倍増した。その半面、狩猟登録者数は高齢化などで減少。10年度に5000人台を割り、11年度(10月25日現在)は4183人となっている。
(シカ捕獲制限撤廃:京都)
15日、府内でも鳥獣保護法に基づく狩猟の解禁を迎えた。近年は、鳥獣による農産物被害が急増しており、府は今季から、これまで1日3頭までとしていたシカの捕獲制限を撤廃、イノシシについては猟期を従来より1か月長く設定し、農産物被害の軽減に役立てたい考えだ。鳥獣保護法では、キジや野ウサギなど49種類の動物について、ハンターが猟をできる期間を定めており、また、猟期外でも、農作物被害が目立つ場合は特別に許可を出して有害鳥獣を駆除できると定めている。一方、府内では鳥獣による農作物被害額が近年、急増。2000年度以降、おおむね4~5億円台で推移してきたが08年度から6億円超となり、昨年度は6億9500万円に達した。地域別にみると、〈1〉綾部市9970万円〈2〉京丹後市7996万円〈3〉京都市7554万円〈4〉城陽市6098万円――などだった。特に、イノシシとシカによる稲や野菜の被害が目立ち、この2種類で全体の約5割の被害額を占める。本来、鳥獣保護法で認められた狩猟は11月15日~2月15日だが、こうした事態を受け、府は昨年度、シカの猟期を3月15日までと1か月延長。今シーズンはイノシシについても3月15日まで延長し、シカの狩猟頭数制限を撤廃した。昨年度の捕獲数はイノシシ1万3488頭、シカ1万2982頭だったが、今季はイノシシ2万6000頭、シカ1万9000頭の目標を立てている。府は「イノシシとシカについては生態系を維持させる目的の範囲を超え、大幅に増殖しているとみられる。猟期には捕獲鳥獣を食用するといった活用法もあり、この機を有効に生かしたい」としている。
(深刻シカ食害、わなで防げ:長野)
南アルプスの高山帯や亜高山帯でニホンジカによる植物の食害や踏み荒らしが深刻化する中、南ア食害対策協議会(事務局・伊那市)は16日、長野県側の高山・亜高山帯では初めてとなる捕殺に向け、伊那市長谷の南ア林道沿いの山林に「くくりわな」と「囲いわな」を仕掛けた。県も、山梨県と連携した捕殺への取り組みに着手した。対策協は伊那市、飯田市、諏訪郡富士見町、下伊那郡大鹿村や南信森林管理署などで構成。この日は長谷猟友会員ら約20人が、板を踏むとワイヤの輪が締まり、脚が抜けなくなるくくりわな22個を標高1800メートル付近に設置した。本格的な降雪までの間、会員が連日見回り、掛かったシカを処分して麓まで下ろす。囲いわなの設置は信大農学部に委託。同1600メートル付近に、立ち木を利用して高さ2メートルのネットを20メートル四方ほどに張った。内側に塩を置き、なめに来たシカがワイヤに触れると落とし扉が下りる。竹田謙一准教授(応用動物行動学)によると、シカは寒さとともに里側へ移動し、大平山荘(1960メートル)付近では既に確認しにくくなっている。今回の設置の箇所や時期で、どの程度の効果があるか確かめたい考えだ。一方、長野、山梨両県は12日から12月末まで、互いに相手側の地元猟友会員にシカ捕殺許可を出し、県境を越えて活動できるようにした。山梨側では2009年度から捕殺を始めているが、長野側に逃げ込むと手が出せなかった。それぞれ猟友会員が随時、南ア林道を車で移動しながらシカを撃つほか、期間内に複数回、県境の北沢峠付近へ同時にシカを追い立てる計画だ。長谷猟友会の北原幸彦会長は「それぞれの活動を組み合わせ、効果的な対応につなげられるといい」と話している。
(寒地牧草、更新地に被害集中)
冬枯れしない寒地型牧草地を更新した直後には、イノシシによる牧草の食害が深刻になることを、農研機構・近畿中国四国農業研究センターが実証した。更新してから翌年3月までの1平方メートル当たりの被害量は、非更新地の2カ所では15グラムと34グラム。これに対して更新地では173グラムだった。牧草を目当てにイノシシが来ると、近隣の農作物まで荒らす可能性がある。このため更新地では侵入防止柵で囲うことを提案している。
(鳥獣被害防止対策会議:山口)
野生動物による農林業の被害防止対策を検討する会議が県庁で開かれ、上半期の捕獲対策の状況などが報告された。会議には関係する部局の課長ら15人が出席し、上半期に取り組んだ被害防止対策の実施状況が報告された。イノシシやシカ、サル等による農林業への被害額は、昨年度、県内でおよそ8億円に上り、県では捕獲の担い手の確保育成や緊急的な捕獲の強化に取り組んでいる。県の説明によると、イノシシ対策として稲の収穫期を前に、箱わな200基を新たに設置し122頭を捕獲した他、シカ対策に編成した広域捕獲隊が190頭を捕獲した。上半期のイノシシとシカの捕獲数は、例年になく多かった昨年度とほぼ同じペースだが、サルは6割に届いていない。一方、担い手対策として狩猟免許の受験機会を年3回から5回に拡大するなどした結果、新たに免許を取得した人は463人と、前の年度に比べ大幅に増加した。県では今後、遅れているサル対策として、被害の多い自治体と協議し、新たに編成した広域捕獲班制度の活用を呼び掛けるなどして、被害の縮小を目指す方針。

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11/16
(猟銃暴発、仲間けがさせた疑い:千葉)
散弾銃を暴発させ、狩猟仲間にけがをさせたとして、銚子署は15日、千葉市若葉区小倉町、食肉販売業、高橋正年容疑者(45)を業務上過失傷害容疑で逮捕した。逮捕容疑は、15日午前8時5分ごろ、銚子市野尻町の利根川河川敷で、持っていた散弾銃を暴発させ、約9メートル先でカモ猟をしていた千葉市緑区の建築業、田中敏幸さん(52)の肺などに重傷を負わせたとしている。田中さんの命に別条はない。銚子署によると、高橋容疑者と田中さんは狩猟仲間で、午前6時ごろから仲間5人で猟をしていた。高橋容疑者は免許を取って約20年のベテラン。「散弾銃の不具合を調整していたところ暴発した」と話しているという。この日は狩猟の解禁日だった。
(震災で猟銃流失、狩猟者減り鹿の食害懸念:岩手)
鹿猟が15日、県内で解禁されたが、狩猟者が減ったことから農作物の食害の拡大が懸念されている。高齢化に加え、津波で狩猟者の銃が流されるなどしたためだ。鹿の駆除は大半を狩猟に頼っているだけに、行政は頭を抱えている。県猟友会によると、会員数は高齢化で減少傾向にあり、今年は昨年の1946人から200人以上減る見通し。東北地方有数の鹿の生息地「五葉山」を狩猟場とする「釜石大槌猟友会」も、128人いた会員が98人に減った。さらに、津波でライフル銃と散弾銃を失った同猟友会の会員は20人おり、猟に出られるのは昨年の6割程度。大船渡市の二つの猟友会でも、計6人が銃を失って退会した。鹿猟では主にライフル銃を使うが、双方を失った場合は、まず散弾銃の所持許可を再取得することが必要。威力の強いライフル銃は、散弾銃を10年以上所持してからでないと再取得できない。「メンバーのほとんどは60歳代以上。10年も待てない」と同猟友会の石川保文会長(65)。県警によると、県内で登録されているライフル銃は震災前に比べ約50丁、散弾銃は300丁近く減っている。県によると、五葉山周辺に生息する鹿は5000~7000頭で、適正頭数の2000頭をはるかに上回る。釜石市の鹿による農産物の被害額は昨年度、沿岸自治体で最多の約2780万円で、前年より約700万円増えた。同市で昨年度に駆除された鹿は328頭で、うち289頭が約3か月の狩猟期間中だった。それだけに、市水産農林課は「釜石には3000頭以上の鹿がおり、狩猟者が減るのは本当に困る」と苦悩する。県沿岸広域振興局は今年、これまで地元自治体に任せてきた駆除を釜石市などで初めて行ったが、50頭のみ。同局は「狩猟者が減れば、大根など野菜への今年の被害が増える可能性が高い」と懸念している。
(狩猟解禁、県警などが事故防止呼び掛け:長野)
県内で15日、狩猟が解禁された。各地の猟場には昨年並みの約700人が出猟し、県警や県鳥獣保護員ら約800人が巡回して危険な違反がないかなどを確認、事故防止を呼び掛けた。長野市若穂綿内の犀川河川敷では、日の出の午前6時半ごろから猟友会員約10人が集まり、カモやキジを狙って猟を始めた。長野射場管理者で若穂猟友会長の小山英雄さん(72)は「ルールを守り、ずっと続いている猟の伝統を守りたい」と呼び掛けた。県野生鳥獣対策室によると、今季の猟銃やわななどの狩猟登録者数は10月31日現在延べ5581人(前年同期比59人増)。同室によると、銃猟の登録者が減っている一方、わな猟は農作物を守るために新たに始める人もおり、増加傾向にあるという。県警によると、この日の取り締まりで違反はなかった。狩猟期間は来年2月15日までで、ニホンジカとイノシシのわな猟のみ同3月15日まで延長する。
(ニホンジカ・イノシシ、県内一斉に解禁:徳島)
イノシシとニホンジカを対象にした狩猟が15日、県内一斉に解禁された。狩猟登録者が減少する中、シカの急増で農作物被害が拡大していることから、県は今年度、狩猟が可能な区域の大部分で猟期を1カ月延長して3月15日までにするなど対策を強化している。神山町ではこの日午前9時ごろ、神領地区の猟友会メンバー6人が猟銃を手に猟犬と山林に入った。夕方までに体重約80キロのイノシシ1頭を仕留めた。同町で約40年間、狩猟をしている阿部昇さん(63)は「昔は山の奥まで行かないとシカはいなかったが、今は民家のすぐ裏まで来て畑を荒らすようになった。できるだけ多く捕獲したい」と話した。県猟友会によると、昨年度の狩猟登録者数は、猟銃1272人、空気銃24人、わな427人の計1723人。今年度はハンターの高齢化などで猟銃登録が100人程度減る見込みという。県は今年度の年間捕獲数をシカ3800頭、イノシシ6000頭を目標に掲げており、シカについては県内5区域のうち、新たに吉野川沿いの2区域で猟期を1カ月延長。従来1日2頭までとしていた狩猟制限を、4区域で無制限にした。
(伝統の「坂網猟」解禁:石川)
石川県で狩猟解禁となった十五日、空を飛ぶカモをめがけて網を投げる県有形民俗文化財の伝統猟「坂網猟(さかあみりょう)」も解禁となり、加賀市の鴨池周辺で猟が行われた。日没後、高台に陣取った地元の猟師たち。Y字形の木枠上部に網を張った長さ約四メートルの猟具ハザオを手に、息を潜めて待ちかまえる。池をたったマガモは「ヒーヒー」と次々と飛んでくるが、あいにく向かい風が強く、猟師の頭上ではいつも以上に高い位置に。一部の人はハザオを投げたが届かず、多くは構えたままカモを眺めるだけだった。猟は夜行性のカモがエサを食べに飛び立つ習性を利用。生け捕りにするため肉に臭みがない。猟期は一般の狩猟期間と同じ来年二月十五日まで。獲物は加賀市の料理店などに卸されるという。
(狩猟が解禁、クマ猟期間中可能に:富山)
富山県内で15日、狩猟が解禁となり、各地の狩猟場では、夜明けとともにハンターが銃声を響かせた。富山市牛島本町の神通川河川敷では、小雨が降る中、猟犬を連れたハンターがキジやカモなどに狙いを定め、猟銃の感触を確かめた。県自然保護課によると、県内の狩猟登録者は940人で、昨年より19人減った。今年はキジ、ヤマドリ、カルガモ、タヌキ、キツネは平年並み、ノウサギは不良となっている。クマが大量出没した昨年は、狩猟解禁前に県が定めるクマの捕獲上限を上回ったため、期間中のクマ猟を自粛した。今年は期間を通じて可能だが、上限数は引き下げている。富山地方気象台によると、15日の県内は冬型の気圧配置の影響で気温が上がらず、最高気温は富山市で12・5度(平年15・2度)、高岡市伏木で12・2度(同15・1度)だった。16日の県内は曇りで、朝晩に雨が降る見込み。
(狩猟シーズン、響く“号砲”:岐阜)
県内で今シーズンの狩猟が解禁された15日、各地の山林や河川敷では、ハンターが早朝から銃声を響かせた。狩猟の対象は、カモやキジなど鳥類29種と、シカなどの獣類20種。揖斐郡池田町沓井の粕川河川敷では、ハンターが日の出とともに一斉に繰り出した。揖斐郡猟友会の中橋昇さん(71)は「冬は毎週のように仲間と山でイノシシやシカを狙います。獲物を捕らえた時の喜びは格別です」と語っていた。この日は県西濃振興局揖斐事務所や揖斐署、揖斐郡猟友会などの約40人がパトロールを実施。10班に分かれてハンターに安全と事故防止を呼び掛け、鳥獣保護区や休猟区で狩猟が行われていないか見回った。猟期は来年2月15日まで(イノシシとニホンジカは同3月15日まで)。
(ハンターら勇んで山へ:兵庫)
イノシシの狩猟が15日、解禁され、ぼたん鍋で知られる兵庫県篠山市でも、午前中からハンターが山に入り獲物を追った。同市猟友会の有志グループ「篠山狩猟クラブ」のメンバー11人は、同市奥畑周辺で午前9時ごろから、猟犬でイノシシ追い込み、逃走路で待ち構えて撃つ「追い山猟」を開始。山すそで待機していたハンターが同10時半ごろ、重さ約50キロの雄を仕留めた。「たくさん捕獲できればうれしいが、何より無事故を心掛けたい」と同猟友会長の古屋定繁会長(73)。毎年約2千頭を取り扱う同市乾新町の食肉販売店「おゝみや」は「今シーズンは餌となる木の実が多く、例年より高品質なシシ肉が手に入りそう」と期待している。猟期はニホンジカとともに来年3月15日まで。マガモなどは2月15日まで。
(獲物狙いハンター野へ山へ:熊本)
県内の狩猟が15日、解禁され、県内各地の猟区ではハンターが猟銃を肩に獲物を求め、野山へ分け入った。猟期は来年2月15日まで。シカ(一部市町除く)とイノシシは3月15日まで。熊本市の植村伊佐男さん(72)は早朝から仲間8人とシカを撃ちに高森町東部の原野へ向かった。「シカを捕ったら刺し身やたたきで食べるのが楽しみ」と植村さん。林道ではイノシシ3頭を発見、足跡や水浴びの形跡を注意深くたどった。解禁に合わせ、事故や違反防止のため県や県警、市町村の職員や鳥獣保護員の計143人が一斉パトロールを実施した。県によると県内の狩猟登録者は4147人。猟は日の出から日没までに限られる。
(狩猟事故防止へ取り締まり:岡山)
狩猟が解禁された15日、岡山県警は県内各地の猟場で、誤射などの事故防止に向けた違反行為の取り締まりを始めた。猟期が終わる来年2月まで行う。初日は県内22署の約330人が出動。実弾を装てんしたままでの猟銃の携帯・運搬をはじめ、鳥獣保護区や休猟区など禁止区域での発射を監視、ハンターたちに適切な猟銃の取り扱いを指導した。玉野市東七区の児島湖畔の猟場では、玉野署員や猟銃安全指導委員ら計8人が日の出前の午前6時半に集合。カモ猟に訪れたハンターに声をかけ、狩猟免許を確認するなどした。狩猟期間はカモ、ウサギ、キジなどが来年2月15日まで。農作物に被害を与えるイノシシ、ニホンジカに限り、県内の一部地域で同29日まで延長する。
(狩猟解禁、来年2月15日まで:京都)
15日から狩猟が解禁となった。期間は来年の2月15日までだが、農作物を荒らすイノシシとニホンジカだけは1ヶ月延長される。解禁となったのは国が定めたカモやキジなど29種の鳥類とイノシシやニホンジカなどの獣類20種。京都府ではそのうち生息数が減っているツキノワグマとヤマシギは狩猟を禁止している。京都府ではイノシシとニホンジカだけは1ヶ月延長し、3月15日まで猟が許される。
(野生動物も放射性物質汚染か:群馬)
11年度の狩猟が15日解禁された。県によると、初日の入猟者は500人で、昨年の解禁日(月曜日)よりも242人減少した。今年は東京電力福島第1原発事故による放射性物質汚染が「野生動物にも及んでいるのでは」と懸念する声もあり、一部の狩猟者が猟を自粛することも想定される。ただし、イノシシ猟などの自粛は農作物被害を拡大させる恐れもあり、県は今後の狩猟動向を注視する方針だ。狩猟関係者が危惧するのは捕獲したイノシシなどの肉の利用だ。食肉の放射性セシウムは暫定規制値が1キロ当たり500ベクレルで、県内では今のところ上回った例はないが、前橋市で捕獲されたニホンジカから同482ベクレル検出されている。県猟友会は、ホームページなどで「県内では暫定規制値を超えるものはありません」と呼びかけるなど不安払拭(ふっしょく)に懸命だ。一方、県内ではニホンジカやイノシシなどによる農林業被害が年間数億円に達している。特に生息域が広がりを見せているニホンジカは捕獲頭数制限が年々緩和されている。1人1日の捕獲頭数はオス1頭に制限されているものの、メスは「制限なし」。イノシシは県の適正管理計画で年7500頭の捕獲目標が掲げられているが、10年度の捕獲は6300頭前後にとどまっている。ニホンジカ、イノシシともに捕獲が減少すれば、生息数が増えて田畑が荒らされる被害の増加が懸念される。県は「野生動物の食害対策は、総合的な管理が求められており、狩猟による捕獲も含めたバランスが図られるのが望ましい。今後の推移をみていきたい」と話している。狩猟期間は来年2月15日まで。ニホンジカとイノシシ猟は銃と網による猟が2月29日まで、わな猟は3月15日までになっている。
(イノシシ2頭、路上で目撃:神奈川)
15日午後0時半ごろ、小田原市荻窪の路上で、イノシシ2頭を目撃したとの情報が同市に寄せられた。市は「今のところ被害は確認されていない。見つけても近づかず、すぐに市へ連絡を」と呼び掛けている。市環境保護課によると、情報を寄せてきたのは農作業をしていた男性。「2頭とも体長は1メートル弱ぐらい。路上脇の草むらに20分ほどいた後、山の方へ逃げた」と話していたという。周辺では例年、イノシシの目撃情報が寄せられている。
(芝生席無残、イノシシ被害:長崎)
長崎市の「稲佐山公園野外ステージ」の芝生席が、まれにみるイノシシ被害に遭っている。約1万5000平方メートルの芝生席のうち約4000平方メートルが、まるで耕運機で耕したようにデコボコに掘り返され無残な姿に。稲佐山は古くからイノシシの生息地として知られ、野外ステージの芝生席も例年被害を受けているが、市の担当者は「こんなにひどいのは初めて」と困惑している。野外ステージは、市が89年12月~90年7月に約5億円かけて整備した。鉄筋コンクリート一部2階建てのステージと芝生席(1万5000人収容)がある。芝生席のイノシシ被害は、毎年約10~20平方メートルあり、市は箱わなや柵を設けて対策を取ってきたが、賢いイノシシは侵入を繰り返してきた。特に、今年は春先から被害が続き、整地など補修費用は例年(約50万円)を上回る約100万円に膨らむ見通しという。イノシシが狙うのは、芝生の裏に生息するコガネムシの幼虫とみられ、市は幼虫駆除のための農薬散布も検討している。担当者は「11月15日はイノシシ猟の解禁日だが、公園で不特定多数の人が立ち入るので発砲できない。今後は、猟犬を使った追い払いも考えたい」という。イノシシなどの鳥獣被害対策専門員を九州で初めて置いた県は「柵を設けて侵入を防ぎ、見つけやすいようにやぶを払うなどの対策が大切」と話している。イノシシ被害は県内各地で相次いでおり、同市では収穫期のミカンや稲、サツマイモが食べられる被害が出ている。10年度の市内の被害相談は390件で、被害額は約4800万円。今年も相談は収まらず、10月末時点で236件に上る。
(今冬にカラス行動調査へ:青森)
ふん害などが問題となっている弘前市中心部のカラス対策をめぐり、同市は今冬、カラスの餌場を探るための行動パターン調査を行う。8日、市立観光館で開かれた市カラス対策連絡協議会で市担当者が説明した。調査により餌場を見つけ、餌を取り除いて個体数減につなげる考え。来年度は捕獲の必要性についても検討する方針。
(シカ害、共存への課題:長野)
南アルプスの山々の傾斜地に広がる約3ヘクタールの田畑。10月中旬、収穫目前の大豆の枝々の周りを、物々しい金属製の電気柵が取り囲む。背丈以上の支柱(高さ約2メートル)が約5メートル間隔で立ち並び、支柱の間に細い電線が垂れる。「10年くらい前はシカの被害なんて珍しいくらいだったんだに。でも今では、囲わなきゃ耕作ができないよ」大鹿村鹿塩で農業を営む大久保智夫さん(74)が苦笑する。畑に入ろうとした野生のニホンジカが電線に触れると「パチン」と弱い電気ショックを与え、撃退する。死ぬようなことはないが、人間は電線のない2カ所のゲートから出入りする。村ではシカの被害が出始めた2000年ごろから、各農家がシカよけの柵を巡らすなどの対策に乗り出した。村産業建設課によると、10年度、シカによる野菜の食害面積は約3ヘクタール、被害額938万円。それでも柵の効果で10年前から半減した。「柵が普及したお陰。柵がない農地ではシカの餌を作っているようなもの……」と村職員は防衛策を誇る。村は農家に10年度までは柵の材料費の半額を補助。11年度からは材料費と工事費の8割補助に拡充した。村の対策に感謝しつつ、大久保さんは「補助があっても、高齢者の農家には支出する額(数十万円)は大きい。毎年の修理や管理にも手間が掛かり、耕作をやめた人もいる」と表情を曇らす。シカの食害に加え、柵の費用や手間の負担が、山間地の零細な農家に重くのしかかる。シカ対策で大きな効果を上げているのが、国内有数のレタス産地、川上村。村は09~10年度、国の補助金を使い村内(面積約210平方キロ)の集落全体を金属製のシカ防護柵(高さ2メートル)で取り囲む「万里の長城作戦」を始めた。総延長は150キロ超。シカを集落から完全排除する効果で、被害額は09年度の約1億7000万円から、10年度は約7分の1の約2500万円に激減した。村産業建設課は「柵を完全に張り終えた11年度は、もっと被害が減るはずだ」と自信を込める。村では、農家が特別に柵の維持管理費を支出することはない。村内の各8集落にある住民組織が年間数千円の会費の中で、山の管理や農道整備などの他、柵の管理費も賄っているためだ。県によると、県全体の野生鳥獣による農林業被害額は06年から毎年15億~17億円で高止まりの状態。うち、葉物野菜や樹皮を食うシカの食害が約4割を占め、イノシシやカラスなど他の害獣をしのぎ、最多だ。県は07年、野生鳥獣被害対策本部を設置し「野生鳥獣に負けない集落づくり」を目指し、28市町村で集落ぐるみの対策支援を続ける。

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