<射撃ニュース12月>

12/31
(原発事故でハンター登録3割減:福島)
東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県の今季の狩猟登録者が昨季より約3割減り、有害鳥獣による農作物被害の懸念が広がっている。自宅が警戒区域などになってハンターが猟銃を持たずに避難したり、放射能による野生鳥獣の汚染が不安視されたりしているためだ。狩猟期間は11月中旬から3か月(イノシシは4か月)。猟をするには毎年、県に銃やワナなど方法別で狩猟者登録を行う必要がある。今季、県内の登録は3291件(11月15日現在)で、昨季の4779件を大きく下回った。いわき市の借り上げ住宅に避難している浪江町の男性(67)は、昨季まで毎年30回は猟に出たが、今季は登録しなかった。警戒区域にある自宅から避難先へ猟銃を持ち出すことは禁じられており、預けた知人の所へ銃を取りに行くのも、お金や時間がかかる。山田さんは「避難生活が長引けば、銃を手放すことも考えなければ」と表情を曇らせる。
(シカ被害、478%の大幅増:鳥取)
昨年、猛威をふるったイノシシなどの有害鳥獣による鳥取県内の被害が、ことしは大きく減少したことが県などの調べで分かった。しかし、シカによる被害は増加しており、農産物などの被害に頭を悩ませる県生産振興課は今後も引き続き対策が必要としている。同課のまとめによると、9月末までの有害鳥獣による農作物被害は5275万円。昨年の8419万円に比べて40%近く減少している。内訳では、イノシシによる被害が3317万円で、1243万円の減少。クマによるものが927万円から46万円となった。捕獲実績でもイノシシは1540頭(昨年同期2326頭)、クマは0頭(同15頭)と大幅に減っている。同課は「ことしはいわゆる『なり年』で、カキなどの食べ物が山中に豊富にあるため、人里に降りて畑を荒らすようなことをしなくてもよく、被害の減少につながったのでは」と推測する一方、「ことしがたまたま被害が出なかったと見るのが妥当。対策を続けていかなければ来年以降もどうなるかはわからない」と警戒をゆるめない。一方、シカによる被害は355万円で、昨年の74万円に比べて478%と大幅に増加。特に東部農林局管内で前年比518%、八頭農林局管内で同479%、西部農林局管内で同128%となるなど、東、西部での増加が目立つ。捕獲頭数も495頭(昨年同期314頭)と増加、被害の出ていない中部農林局管内でも捕獲数は昨年同期比167%で出現数は増加している。シカによる被害は水稲や果樹に多く、梨の木の新芽や木の皮などを食べるため、果樹の生育に大きな影響が出るほか、最悪の場合は木が枯死する可能性もあるという。県生産振興課では、イノシシなどの被害が減少する一方でシカの被害が拡大していることについて、「これまで隣県などでシカの増加が報告されており、それが県内にもやってきたのではないか」と分析。県内でも生息数や分布が拡大しているものとみて、調査を継続するとともに、イノシシ対策用の柵の強化など、有効な被害防止対策の情報提供に務めることにしている。
(イノシシから691ベクレル:栃木)
県環境森林部は27日、26、27の両日に野生鳥獣について行った放射性物質検査の結果を発表した。全9検体から放射性セシウムが検出され、食肉の暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)を上回るものもあった。県は捕獲場所周辺での野生鳥獣の自家消費を控え、他地域でも慎重に対応するよう求めている。検査結果は次の通り。放射性ヨウ素は検出されなかった。表記は、放射性セシウム(単位:ベクレル/1キロ=セシウム134と137の合計値)、捕獲場所・日。▽イノシシ500(鹿沼・18日)、447(那須塩原・9日)、25.9(那珂川・6日)、691(大田原・18日)、131.8(那須烏山・14日)、387(那須・20日)▽シカ262(鹿沼・16日)、133.8(那須塩原・12日)、380(矢板・9日)
(クマ肉からセシウム:栃木)
学校給食や自家消費用の野菜などの放射性物質を自主検査している日光市は、検査したクマ肉の一部から、国の暫定規制値(一キログラム当たり五〇〇ベクレル)を大きく超える九三四ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。二十二日までに、延べ百十九人が、二百四十二件を日光ブランド情報発信センター(同市瀬川)内の放射線量測定室に持ち込んで検査を受けた。うち二百二十件が測定され、獣肉やキノコ類など十三件から、県が示した一定水準(一キログラム当たり二〇〇ベクレル)を超える値が検出され、市が県に報告した。中でも、同市小百地区で四日に捕獲されたクマ肉からは九三四ベクレルを検出。市農林課は、クマ肉を食べるのを控えるように持ち主に指導した。そのほか、シカ肉七件から最大三五一ベクレル、川魚(ニジマスとヤマメの混合)から二三四ベクレル、栽培のシイタケとナメコからも四〇〇ベクレルを超える値を検出した。学校給食三十一件は一〇〇ベクレル以下だった。
(サル専門の捕獲班結成:京都)
ニホンザルが集落に出没したり、農作物を食べるなどの被害が後を絶たないことから、京都府は新年度にサル専門の捕獲班を設ける。学習能力の高いサルは捕獲が難しいため、組織的な対応で被害軽減を目指す。府によると、サルによる農作物被害は2010年度に府内で8600万円に上る。人里に現れて民家の屋根瓦をはがしたり、家の中に入り込んで食べ物をあさるなどの生活被害も出ているが、被害は収まらない。このため、サルの特定鳥獣保護管理計画を来年4月に改定し、捕獲数を増やしていく。ただ、サルはわななどでは簡単に捕まらず、姿が人間に似ているために猟師も撃つのをためらうという。民家近くに出没した場合は銃器の使用も安全面から難しい。府は今後、加害レベルの高い群れがいたり、生息数の多い市町村のうち、4~8の市町村にそれぞれ猟友会員などから選ぶ2人程度の専門員を配置し、専門員を中心に捕獲のための班を結成してもらう。府内では10の群れの計20頭に発信器を取り付けているため、専門班は電波を分析して行動パターンを把握し、待ち伏せして捕獲する。ほかにも餌付けで引きつけ、捕獲柵などで一斉に捕まえる策を講じ、群れを引っ張る雄ザルを優先的に捕獲していく。府森林保全課は「最近はサルが人間を怖がらなくなり、被害がどんどんエスカレートしてきている。必要な捕獲数をしっかり調べて、被害軽減を図りたい」としている。
(竹沢長衛が愛用の猟銃か:長野)
伊那市長谷と山梨県南アルプス市境の北沢峠(標高2032メートル)にある「北沢駒仙小屋」で猟銃が見つかり、現行の銃刀法に基づく所持の許可を受けていない銃だったため、同県警南アルプス署が押収したことが30日、分かった。小屋の建設者で、猟の名手だった旧長谷村出身の竹沢長衛(ちょうえい)(1889~1958年)が使っていた可能性がある。同法施行は長衛の死後で、両市の関係者からは山の文化を伝える資料として保存を求める声が上がっている。小屋は長衛が1930(昭和5)年に建設。「長衛小屋」と親しまれた。96年から山梨県の旧芦安村が、合併後は南アルプス市が運営し、同市の委託でNPO法人芦安ファンクラブが管理。老朽化で建て替えるため今年11月に取り壊しが始まり、工事中に床下から銃が見つかった。明治以降に旧日本陸軍で使われ、猟銃としても一般的だった「村田銃」とみられている。手入れをすれば発砲可能といい、同クラブが南アルプス署に届け出た。銃刀法は長衛が亡くなった後の58年4月に施行。銃の所持に都道府県公安委員会の許可を義務付けた。同署によると、この銃には許可が出ておらず、製造番号の照会や所有者の特定などを進めている。所持許可のない銃は処分するのが一般的という。一方、同法では、国や自治体の職員が研究や展示のために銃砲を所持することを認めている。文化庁美術学芸課によると、都道府県公安委の許可が得られれば、自治体が事実上の所有者となって銃砲を保管、展示できるという。北沢峠では毎年、南ア北部を開拓した長衛をしのび、開山祭「長衛祭」が夏に開かれる。ことしの実行委員長を務めた中山晶計・伊那市長谷地域自治区長(69)は「南アルプス市の関係者と連絡を取り合い、銃の保存に向けて動いていきたい」と話している。
(50年続く「月刊GUN」の出版社が事業停止:東京)
銃・射撃の専門誌「月刊GUN」を発行する出版社「國際出版」(本社・東京新宿区、荒井雅治社長)が、事業を停止したことが東京商工リサーチの調べでわかった。負債総額は推定約1億5000万円。12月20日に資金ショートが表面化。会社は12月5日の株主総会で解散を決議しており、主力出版物「月刊GUN」も休刊した。同社は銃・射撃の趣味の専門誌で最も歴史のある月刊誌「月刊GUN」を発行。国内では所持できない銃器について紹介記事や海外レポートを中心に掲載し、昭和38年以来、50年近くにわたり出版し、国内唯一の銃雑誌として知られた。ピーク時の昭和60年頃には発行部数8万部を誇り、会社の売上高も年商8億円近くをあげていた。しかし、出版不況で発行部数の減少に歯止めがかからず、広告収入も減少。直近では年商約3億円と売上が減少していた。
(樹木食害シカ撃退へ、市に捕獲わな13台贈る:宮崎)
シカによる樹木への食害が増加する中、延岡地区森林組合(甲斐斗志也組合長)は、延岡市に捕獲用のわな(13台)をこのほど贈った。林業の低迷に伴い林業従事者が減る一方、シカの個体数は増えており、対策に頭を痛めているのが実情。関係者は「このままでは山で仕事をする意欲もうせてくる。早急な対策が必要だ」と話している。贈ったのは、箱形の鋼鉄製のわな(高さ1・3メートル、幅1メートル、奥行き2メートル)。わなの中に仕掛けた餌に触れると、入り口の格子が閉まる仕組みになっている。
(エゾシカ肉メニュー完売:北海道)
毎月第4火曜の「シカの日」となる27日、渡島総合振興局(函館市美原4)の食堂が管内産エゾシカ肉を使った中華風料理を提供し、1時間ほどで完売した。道などが進めるシカ肉の消費拡大活動の一環。シカ肉はロゼワインやニンニク、魚醤(ぎょしょう)などで臭みを和らげ、軟らかくなるように下処理後、タマネギやタケノコ、京ニンジンなどとオイスター炒めにされた。ご飯、サラダ、みそ汁を添えた定食(480円)36食分が用意された。午前11時の開店前から定食目当ての5人が訪れるなど人気を集め、昼すぎには売り切れに。市内の60代女性は「シカ肉は初めて食べたが軟らかくクセもなく、とてもおいしかった」と話していた。食堂は、次のシカの日にあたる1月24日に洋風メニューを提供する。
(食べよう野生鳥獣:富山)
ジビエ(狩猟による野生獣肉)食材として、富山市問屋町の食肉卸業者「グランマルシェタケダ」は、市内で捕まえたクマなどの肉の予約注文販売を始めた。同社によると、県内業者で初の試みという。クマは大山地域で今月上旬に捕獲した体重約一六〇キログラムの雄。冷凍五百グラム入りが三千五百円。今年は例年より脂が乗り、臭みもなくおいしいという。マガモは山田地域で捕った雄五羽、雌十八羽で、一羽四千円前後。畑の農作物を食い荒らすクマやイノシシなどの有害鳥獣は、捕まえても捨てられることが多かった。不要だった鳥獣を地産地消に役立てジビエを県民に知ってもらおうと、同社は販売を決めた。竹田善正社長は「ジビエ食材が流通して広まれば、新たな観光資源になりうる。将来はジビエ料理を出す店を構えたい」と意欲を見せる。富山県農村振興課によると、県内の昨年度の有害鳥獣による被害額は一億二千四百二十四万円。県は最も被害の多いイノシシを使ったジビエ料理のレシピを募集し、試食会を開くなど有害鳥獣の有効活用を図っている。

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12/26
(知人にナイフ突き付け「銃を出せ」:福岡)
福岡県警南署は23日、知人から猟銃を奪おうとしたとして、福岡市南区井尻2、自称派遣社員安楽時行あんらくときゆき容疑者(50)を強盗未遂容疑で現行犯逮捕した。「猟銃を奪って郵便局強盗に使おうと思った」と供述しているという。発表によると、安楽容疑者は同日午前11時半頃、近くに住む知人の男性運転手(65)方に押し入り、男性にペティナイフ(刃渡り約10センチ)を突き付けて「銃を出せ」と脅し、猟銃を奪おうとした疑い。男性が護身用の木刀でナイフをたたき落とし、取り押さえて110番した。男性は同署に対し「猟銃は約5年前に手放した」と説明。半年ほど前に男性方で保管用のロッカーを見た安楽容疑者が、今も猟銃があると勘違いしていたという。
(野生イノシシから基準値超え:栃木)
県環境森林部は22日、野生鳥獣の放射性物質検査で、宇都宮、日光、茂木の3市町で捕獲したイノシシ計5頭の肉から食肉の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。日光、佐野の2市で捕獲したシカは暫定基準値未満だった。12月7から17日にかけて捕獲した。検出値は、宇都宮市で2356ベクレルと1963ベクレル、日光市で527ベクレルと506ベクレル、茂木町で2022ベクレルだった。
(エゾシカ猟ハンター支援が好評:北海道)
エゾシカ猟を行うハンターを無料で支援する、道の「エゾシカ・ステーション」が町内に開設されて1カ月余り。シカの出没情報を提供したり、捕獲したシカの搬出作業を手伝ったりと、利用者から好評だ。ステーションは道が民間に委託し、道内3カ所に開設した。ハンターの負担を軽減して、エゾシカの捕獲頭数を増やすのが狙い。町内では若園でシカ肉の処理・加工を行う北海道食美楽(相楽正博社長)が受託した。開設期間は11月10日~来年3月25日の午前8時~午後5時。水曜定休、年末年始(29日~3日)は休み。主な業務は《1》シカの出没状況や危険箇所といった各種情報の提供《2》捕獲場所から車両までの搬出の手伝い(距離は同社から30キロ程度までで予約が望ましい)《3》解体後に残った物の受け付け―など。午前と午後に各1回ずつ巡視も行う。同社にはこれまでに管内をはじめ、函館や青森のハンターが訪れ、21日までに搬出12件を含め35件の利用があった。利用者からは「運ぶときの負担が減って助かった」「道路の情報が役立った」などと好評という。相楽社長は「今後も利用は増えそう。積極的に使ってもらいたい」と話している。
(職員による有害鳥獣被害対策の実施隊:熊本)
シカやイノシシによる農作物などの被害を食い止めようと、相良村と多良木町はそれぞれ、職員らによる有害鳥獣被害対策の実施隊を結成した。猟友会メンバーの減少や高齢化にも対応する狙い。相良村の実施隊は産業振興課の8人で編成。うち2人は「わな狩猟」の免許を取得している。13日には、柳瀬の竹やぶなどに鉄製の箱わな(縦約170センチ、横約85センチ、高さ約80センチ)を置いた。多良木町の隊員は農林課の8人。全員がわな狩猟の免許を持っており、公有林を中心とする約40カ所に、ワイヤでシカの足を縛る「くくりわな」を設置する。有害鳥獣による農作物被害は年々増えており、相良村では昨年度、被害額が711万円に達した。多良木町は450万円だったが、「町の8割を占める山林部分は把握できず、実際の被害は数倍になる」という。地元猟友会の高齢化も顕著で、多良木町では約20年前に150人ほどいた会員が90人弱まで減少。60~70歳代が大半となっており、町は「10年後には半分ほどに減るのでは」と心配する。両町村の担当者は「駆除隊と連携して被害を食い止めたい」「動物との共生を目指し、自治体としても積極的に取り組みたい」と話している。
(原発警戒区域の窃盗防げ:福島)
東京電力福島第1原発事故で立ち入りが禁止されている半径20キロ圏内の警戒区域で、空き巣などの被害が続いている。医療用麻薬や散弾銃が盗まれた例もあり、福島県警は「避難直後だけでなく、現在も侵入盗が継続している」とみて、防犯カメラの設置や摘発部隊の配備など、水際での取り締まりを強化。年明けに増員される警察官も、警戒区域内の警備などに配置することにしている。警戒区域では、住民の一時帰宅が始まった5月ごろから窃盗被害が申告され始め、12月上旬に累計800件を超えた。現金ばかりでなく、全域が警戒区域に入る同県富岡町では、薬局の金庫がこじ開けられ医療用麻薬の錠剤など約200点が盗まれた。県薬務課によると、薬局関係者が7月下旬に立ち寄った際に気付いたが、盗まれた時期は特定できていない。窃盗事件の大半は避難で混乱した4月ごろまでに発生したとみられるが、それ以降も継続して起きている。県警によると、同町の銃砲店からは8月、散弾銃など6丁が盗まれたと届け出があった。経営者は6月の一時帰宅時は異常がなかったとしており、県警はこの後8月までの間に盗まれたとみて捜査している。
(脱走イノシシ、勢力拡大:沖縄)
渡嘉敷村の業者が5年前に食肉用として飼っていたイノシシが小屋から逃げ出して繁殖し、イモやユリの畑を荒らすなど農作物への被害が相次いでいる。20日は渡嘉敷区東集落のイシッピ原の畑で、赤嶺良雄さん(75)のイモ畑が荒らされた。21日までに22匹捕獲され、大きいので体長1メートル、体重100キロはあるという。村役場は村内に約200匹いるとみており、わなを仕掛けたりして対策を取っているが効果は出ていない。イノシシは2年前から島内の山野や林道などで親子で移動するのが目撃された。最近では山から平地へ食料を求めて移動し、畑、農園、ユリの植樹地帯などを荒らしている。民家の近くでも目撃されるなど、人身への被害や生態系への影響を懸念する声が上がっている。役場の担当者は「島の山野の至る所で群れで移動している」と説明。今後の対策を検討中で、住民に夜間の外出や車の運転を注意するよう呼び掛けている。
(GPSでカラス生態調査:岩手)
岩手大は盛岡市や民間企業、他大学などと協力し、同市に生息するカラスの行動実態調査を始めた。小型の衛星利用測位システム(GPS)を背中に取り付けた7羽を放鳥し、ごみ集積所への移動ルートなどを解明。研究成果は市に提供し、カラスの被害対策の基礎データとして役立てる。GPSは数理研究所(本社群馬県)が開発。約20グラムで、約1週間稼働する。衛星から受信した位置情報を岩山にある基地局へ15分おきに無線で発信。携帯端末からリアルタイムでカラスの位置を確認できる。関係者12人が20日、同市東安庭2丁目付近の北上川河川敷でハシブトガラス7羽を放鳥した。調査を指揮する岩手大農学部の東淳樹講師は「身近なカラスだが、都市での生態は意外なほど分かっていない。今回の調査で判明する事実も多いだろう」と力を込める。
(進む「静かな破壊」:長野)
県内外の山野で今、自然環境の「静かな破壊」が進行している。里山も奥山も、高山帯でも、自然植生の改変が少しずつ進んでいるのだ。山林の開発が盛んだった時代のようにブルドーザーがうなる音はしない。担い手は人間ではなく、野生動物のニホンジカだ。11月に長野面で連載した企画「激増シカ害--共存への課題」で被害の現状を報告した。シカの生息条件が好転し、勢いはすさまじい。被害が大きい県中南部の山を歩くと、糞(ふん)や足跡、食害を受けた植物が目につく。植生と共に土壌が破壊され、裸地化した所もある。諏訪地方では、夜間に山間部を車で走る度に道路を横断する姿に出くわす。被害は県東部でも目立つようになった。信州大教育学部で今月あった研究会で、佐久地方の食害状況を報告した中山厚志・小諸市立小諸東小教諭によると、南佐久の茂来山などは「林内の植物が食べ尽くされ、毒草のみが残されている」という。山麓(さんろく)にシカの痕跡が広がり、高山帯侵入と被害が懸念される北アルプス。林野庁中部森林管理局の昨年の乗鞍岳調査では、高山帯で目撃情報が1件あり、侵入と被害は「もはや時間の問題」とみる関係者もいる。ひと昔前まで、シカなどの野生動物は人間による自然破壊から守るべき対象だった。狩猟全盛期の明治以降、人は「最大の天敵」として動物たちを駆逐してきた。しかし、時代が移り変わると共に状況は大きく変わった。山間部で人間の活動が衰退した結果、力関係は逆転した。シカによる被害が深刻さを増す一方、絶滅の恐れがある野生生物は今も多い。生態系は今後、どのように変化していくのだろうか。
(試し撃ちの銃弾、2km先の少女直撃死亡:アメリカ)
米オハイオ州で20日、銃のメンテナンス中に試し撃ちで空に向けて撃たれたとみられる弾丸が2.4キロメートル離れたところにいた少女の頭部を直撃、少女が死亡する事故が起きた。現地警察によれば死亡した少女は15歳。馬車に乗ってクリスマスパーティーから帰宅する途中だった。銃を撃ったのは当時、銃のメンテナンスをしていた男とみられる。

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12/22
(猟銃発砲事件、逃走の男逮捕:大分)
20日に大分・臼杵市の山中で起きた猟銃の発砲事件で、22日未明、逃走していた男が逮捕された。殺人未遂の疑いで逮捕されたのは、宮崎・延岡市の甲斐幸則容疑者(61)。警察によると、甲斐容疑者は20日、臼杵市の山中で男性会社員(36)をナタのようなもので殴りつけ、散弾銃で男性の腕の付け根部分を撃ち、全治1か月のケガをさせた疑いが持たれている。警察の調べに対し、甲斐容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているという。甲斐容疑者は、ワナの仕掛けをめぐって男性から注意を受けたことに腹を立てて犯行に及んだとみられている。
(基準値以下イノシシ肉、出荷認める:茨城)
国の原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)は21日、県に対し、2日付で出荷停止を指示した県産の野生イノシシ肉について、県の放射性物質検査で国の暫定基準値(放射性セシウム1キロ当たり500ベクレル)を下回った肉は出荷できると指示を改めた。県生活衛生課によると、石岡市のイノシシ肉加工施設で全頭検査を行い、基準値以下の肉は出荷できる。基準値を超えた肉は同施設で廃棄する。検査した肉は県が検査結果通知書を発行する。県が21日、同本部に「出荷・検査方針」を示してイノシシ肉の出荷制限解除を申請、認められた。一方、8月から実施されている肉用牛の全頭検査では、累計7867頭分は全て国の暫定基準値(放射性セシウム1キロ当たり500ベクレル)を下回った。同課や県畜産課によると、直近の11~17日の間に検査した682頭の大半はセシウムを「検出せず」で、基準値以下でセシウムが検出されたのは6頭。最高値は水戸市産(15日検査)で同136ベクレルだった。
(国道にクマ:滋賀)
21日午前7時10分ごろ、長浜市余呉町柳ケ瀬の国道365号で、車で出勤途中の男性会社員(30)が道路を横断しているクマ1頭を発見。クマはそのまま山に入っていったという。県警木之本署によると、クマは体長約1メートルで、子供とみられる。長浜市によると、同市内でクマが確認されたのは今年9月以降6回目。
(クマの出没相次ぐ、餌不足原因か:秋田)
厳しい冷え込みが続く県内で、冬眠期を迎えたはずのツキノワグマが相次いで出没している。今月の目撃件数は19日時点で9件に上り、例年に比べて突出。鹿角市、藤里町、大館市ではクマに襲われる被害も発生した。出没多発の原因とみられるのが餌不足。東北森林管理局が今秋、福島を除く東北5県でブナの結実を調べた結果、全ての県で「凶作」だった。県猟友会の鈴木俊平会長は「クリも例年に比べて小粒で、木の実は全体的に見て凶作気味。餌にありつくために、冬眠せずに人里をうろついているのだろう」と推測する。県警生活環境課は「冬眠期でも各地で出没が相次いでいることを認識し、油断しないで過ごしてほしい」と警戒を呼び掛けている。
(むつで北限のサル冬季調査:青森)
「北限のサル」の生息動向を継続的に調べる冬季調査が21日、むつ市大畑町で始まった。NPO法人「ニホンザル・フィールドステーション」が同市内の4地区で実施する。調査はニホンザルの群れや構成を知り、個体数の増加傾向を把握するのが狙い。下北半島のサルの「国勢調査」とも言えるもので、昨年の一斉調査では「56群1923頭+α」を確認した。今年も各地のサル調査会のデータを合わせ、半島全体の生息数を推計する。冬の森は葉が落ちて、見通しがいい。この日は学生や研究者らが、テレメーターで群れの位置を確認したほか、雪の上の足跡を追って、森の中へ繰り出していった。調査は29日まで続けられる。
(カラス駆除大作戦:山梨)
甲府市の「平和通り」で、冬に入ってからカラスのフンが目立つようになった。通り沿いのケヤキをねぐらにするカラスは約1000羽(甲府市森林整備課調査)。市や県などは、甲府の目抜き通りを「フン害」から守って美しく保とうと、あの手この手でカラスの追い払いに取り組んでいる。鳥の生態に詳しい山梨大の中村司名誉教授によると、平和通り周辺にカラスが集まり始めたのは数年前で、群れで飛来する11月から1月にかけてはフンの被害が深刻化する。日中は餌を求めて甲府盆地の各地で過ごし、夕方になると戻って来るらしい。平和通りの歩道では白い汚れが街路樹の下に集中しており、踏まないよう歩くのに苦労する。東京都内から移動してきたカラスと甲府市北部から移動して来たカラスがいるとみられており、「東京組」は少数だが、人に慣れているため先に住むようになった。それに続いて「甲府北部組」も住み着くようになったと考えられている。甲府市森林整備課は2月、カラス捕獲用の箱形わな2台を、同市丸の内の市役所新庁舎建設現場に設置した。しかし、1羽も捕まえられず、3月末までに撤去。4~5月には国土交通省甲府河川国道事務所が、通り沿いのケヤキ2本に、カラスが嫌がるとされる長さ約1メートルの金色テープを50枚ずつ設置した。10月には、県中北建設事務所が約2週間をかけ、ケヤキ70本に同じ金色テープ計1750枚をぶら下げた。だが、フンの減少という目に見える効果は今のところない。市森林整備課は15日夕、甲府市中央の甲府警察署や、同市丸の内にある9階建てビルなどの屋上5か所で、ハンドマイクのサイレンを鳴らして追い払う作戦を展開した。いったん集まった後でねぐらに移動するカラスに、「先手」を打つ狙いだった。2人ずつ配置された職員は、無線で連絡を取り合い、カラスが集まり始めた午後4時半頃、5か所の屋上に一斉に飛び出して「ウォーン」という音で威嚇。群れは飛び立って平和通り上空を旋回したが、数分後には別のビルの上に集まる結果に終わった。同課は同日、ケヤキにライトを当てて威嚇する作戦も試したが、カラスは別の木に飛び移るだけだった。効果を上げた作戦もある。同課は14日、平和通り近くにある同市中央のホテル屋上に、カラスには炎を上げて燃えているように見えるとされる特殊な素材36個を設置。加えてカラスが嫌う臭いの忌避剤、カラスの羽などで作ったカラスよけを置いた。20日までに同ホテルに飛来したカラスは確認されていない。今後、効果を分析し、カラスが集まるビルの管理者に提案していく方針。中村名誉教授は「カラスが慣れてしまって効果がなくなることもある。東京都のように、餌となるゴミの管理を徹底したり、巣を落としたりと、個体数を減らすことも必要だ」と提案している。
(イノシシ捕獲に新兵器:静岡)
イノシシによる人や農作物への被害が県内で多発する中、熱海市の男性が開発した「くくり罠(わな)」が威力を発揮している。20日には、同市内の山中で男性自ら仕掛けた罠に体重約80キロの中型イノシシが掛かり、効果を証明した。開発したのは熱海市桜木町にある建具製造会社「イシモク」の社長、石川竹良さん(75)。従来の罠と比べ、仕掛けをセットする際の誤作動によるバネの跳ね返りでけがをする心配がなく、初心者でも安全・簡単に扱えるという。大型獣類だけを捕らえるように踏み板を調節でき、地形が複雑な獣道にも対応可能だ。銃猟歴50年、罠猟歴40年という石川さんは、全国で農作物がイノシシに荒らされている実態をテレビで知り、「手軽な罠を広められないか」と考案。昨年末に第1号を開発し、改良を重ねた。独特の「押しバネ式締め付け装置」は、今年11月24日付で実用新案登録されている。県内では11月から今月にかけて農作業中の人などがイノシシに襲われる被害が続出している。県によると、猟友会員の高齢化などで銃によるイノシシ捕獲は横ばいだが、「罠での捕獲は増加傾向にある」という。罠の免許取得申請者は2009年度409人から、10年度は536人と増え、今年度も同程度の受験者を見込んでいる。特に伊豆地域で急増しているという。石川さんは「罠猟を始めたばかりの人でも扱いやすいので、試してほしい」と話している。

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12/21
(狩猟用ワナ巡り口論、男が散弾銃で撃つ:大分)
20日午後2時40分ごろ、大分県臼杵市佐志生の山中で、狩猟中の同県津久見市の男性(36)から「撃たれた」と通報があった。男性は、持っていた散弾銃を男に奪われ、いきなり撃たれたという。男性は左肩などにけがをした。男は銃を現場に置いたまま逃げたといい、県警が行方を追っている。県警臼杵署などによると、男性は1人で猟に来ていた。狩猟用のわなを仕掛けている男を見つけ、注意したところトラブルになり、男が男性の散弾銃を奪って1発発砲したという。
(住宅街でクマを駆除:秋田)
秋田市の泉地区で体重が100キロを超える大型のツキノワグマが駆除されました。駆除されたツキノワグマは体長およそ1メートル30センチのメスで、体重は100キロを超えています。19日午前10時半頃、秋田市泉の平和公園の斜面にいたところを警戒中の猟友会が発見し、駆除しました。その10時間前、クマは平和公園の入口近くの住宅街で目撃されていました。道路を横切るところを通りがかりのドライバーが見つけたもので平和公園の裏側の道路でも同じものと見られるクマが目撃されています。駆除した猟友会によりますと、クマは空腹の状態で、冬眠前にエサを求めて住宅街に降りてきたのではないかと見られています。県内では今月に入ってきょうまでに8件のクマの目撃情報が寄せられていて警察で注意を呼び掛けています。
(イノシシ肉から400ベクレルセシウム:山形)
県は19日、山形市の西蔵王で採取したイノシシの肉を検査した結果、放射性セシウムが1キロ・グラムあたり400ベクレル検出されたと発表した。暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)を下回り、食べても人体に影響はないという。県内での野生鳥獣からの放射性物質検出は、ツキノワグマの肉の230ベクレルがこれまでで最も高かったが、それを上回った。
(眠らぬクマ、道内出没:北海道)
20日午前9時ごろ、小樽市塩谷1の小樽市産業廃棄物最終処分場敷地内に、ヒグマの足跡が約1キロにわたって続いているのを市職員が発見した。処分場から約1キロ離れた公営住宅周辺でも同じクマと見られる足跡が多数見つかり、同市や小樽署は警戒している。道内は冬に入ってもヒグマの出没が相次いでおり、専門家は「餌が足りず冬眠できないクマが人里に近づいている」と警鐘を鳴らしている。
(市街地に100kgイノシシ、猟友会が刺殺:愛媛)
20日午前7時20分頃、松山市文京町で、「イノシシが愛媛大キャンパスに入った」と、住民から110番があった。愛媛県警松山東署員や松山猟友会メンバーら計約40人が捜索。約8時間後に西2キロの同市萱町のマンション敷地内で捕獲、殺処分された。けが人はなかった。市街地を逃げ回ったのは体長1・2メートル、体重約100キロの雌。同署によると、イノシシは市立勝山中学校付近の水路を伝い、伊予鉄道の線路を渡るなどして松山城北側の住宅街を逃走。午後3時前に同署員が民家敷地で見つけて追跡し、猟友会員がナイフを使って仕留めた。付近の小学校3校では、児童の下校時刻に合わせて署員が配置された。猟友会の川本柾弘さん(65)は、「大きなイノシシが街中に出るのは珍しい。県護国神社の裏山から下りてきたのだろうか」と話していた。
(クマの目撃相次ぐ、専門家も注意呼びかけ:秋田)
県内では12月に入ってクマの目撃が相次いでいます。冬眠するはずのクマが寝付かないワケ。住宅街の近くに潜むクマに専門家も注意を呼び掛けています。19日、秋田市で駆除されたツキノワグマ。体長およそ1.3メートル、体重100キロを超える大物でした。このクマが目撃されたのは秋田市泉地区の住宅街。駆除されるまでおよそ10時間、近くの公園や住宅街をうろついていたものと見られています。しかし、猟友会の人がこのクマを調べたところ、胃の中は空っぽ。何も食べずに、徘徊していたものと見られています。ツキノワグマの生態について研究している大森山動物園。毎年、クマの冬眠実験を行っていて、ことしも12月10日までに2頭が、人工の巣穴で冬眠に入りました。クマが冬眠に入るにはいくつかの条件があります。ひとつが十分に餌を食べること。夏の終わりから秋にかけて木の実などを大量に食べて、それを脂肪にかえることで冬の間何も食べなくても眠ったままで過ごすことが出来ます。そして、もう一つが静かな環境。冬眠といっても完全に熟睡しているわけではなく、物音に敏感なクマは、わずかな音にも反応して起きてしまうといいます。生息域が人里近くにまで下がってきていると言われるツキノワグマ。12月17日には、鹿角市で、民家の小屋にクマが現れ、この家の女性と駆け付けた警察官2人が顔や足をかまれる被害も起きています。クマは一度エサのありかを覚えると、度々現れる習性もあり、警察では、過去にクマが目撃された地域では、寒くなっても屋外に食べ物や生ごみを放置しないよう呼びかけています。
(人とシカ、冬の攻防:北海道)
世界自然遺産・知床の貴重な植物や樹木をエゾシカの食害から守るため、環境省は今冬、主要越冬地の知床岬で新たな駆除作戦を展開する。知床岬での駆除は今冬で5年目。これまで先端部のササ原に集まったシカを銃で撃っていたが、多くが山側の林に逃げ込み、効率が悪かった。このため今冬は林とササ原との境に長大な仕切り柵を築き、シカを逃がさないようにして銃で撃つ作戦だ。これに加え、環境省は羅臼側に続き、斜里側の知床五湖周辺でも銃やわなによる捕獲・駆除を試す。同省の今年2月の調査ではこの地域で約1200頭が越冬しており、岬をしのぐ最大の越冬地になっている。岬での駆除は効果が出始めているが、知床全体では増加傾向で、1万頭前後が生息しているとみられている。

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12/19
(イノシシと間違う?散弾銃で撃たれ死亡:愛媛)
18日午後4時15分ごろ、内子町大久喜の山中で、イノシシ猟をしていた大洲市成能、無職宮田義冨見さん(65)が、狩猟仲間の同市菅田町宇津、同橋本久徳さん(66)を誤って散弾銃で撃ち、橋本さんは出血多量で死亡した。大洲署は業務上過失致死容疑で宮田さんから事情を聴いている。同署によると、同市の男性4人が同日午前8時半から猟を開始。神南山の東斜面でイノシシを見つけ、互いに離れて追っていたところ、宮田さんが約50メートル先の斜面上方にいた橋本さんを誤射、散弾が肩から腰に当たった。「イノシシの脚が見えたので撃った」と話しているという。現場は麓の県道から約3キロ入った山中の雑木林で、見通しが悪い。同行していた男性は「誤射防止用のオレンジ色の上着と帽子を着けていたが、上半身が見えず事故につながったのではないか」と話した。
(3人襲ったクマ捕まらず:秋田)
17日の夕方、鹿角市で住人や警察官がクマに襲われ、けがをした事件を受けて猟友会などが18日、捕獲に乗り出しましたが、クマはまだ捕まっていません。3人が襲われた現場は鹿角市八幡平の民家の敷地内にある物置小屋です。鹿角警察署の調べによりますと、17日の午後5時ごろ鹿角市八幡平の農業、藤原しげるさん65歳が自宅の敷地内にある小屋に入ったところ、中にいたクマに襲われました。通報を受けて駆け付けた2人の警察官もクマに顔や足をかまれましたが、3人の命に別条はありませんでした。現場付近では11月27日にも鶏がクマの被害にあっていて、きょう、猟友会などが捕獲に乗り出しました。猟友会のメンバーは、人がいるところに何かあると学習したクマが来ているのではないかと話していました。クマはまだ捕まっていないため、警察では付近の住民に注意を呼び掛けています。
(イノシシと電車が衝突:和歌山)
17日午後11時20分ごろ、串本町のJR紀勢線和深駅付近で、紀伊田辺発串本行き上り普通電車(2両編成)が、線路上にいたイノシシと衝突した。電車は空気管に亀裂が入るなど損傷したが、運転士が現場で応急措置をし、約2時間半遅れで運転を再開した。乗客は2人でいずれもけがはなく、終電だったため他の電車にも影響はなかった。
(九州のツキノワグマ本当に絶滅?)
九州では絶滅したとされるツキノワグマについて、クマの専門家らでつくる「日本クマネットワーク」(神奈川県藤沢市)が来年春から、大分、宮崎両県にまたがる祖母・傾山系で本格的な生息調査を実施することになった。今年10月に登山中の人が目撃情報を寄せたことがきっかけで、冬眠から目覚める時期を見計らい、無人カメラを設置したり猟師らから聞き取りをしたりする。17、18日にはメンバーが目撃現場を確認した。九州のツキノワグマを巡っては、大分、宮崎両県が2000~01年、レッドデータブックに「絶滅」と記載し、全域で絶滅したとされていた。今回、目撃情報を寄せたのは、10月14日早朝に同山系を縦走していた福岡市の会社員女性(37)で、大分県豊後大野、竹田両市の境付近(標高約1400メートル)の登山道でクマとみられる動物が四つんばいになり、女性の方をみると一度立ちあがった後に逃げたという内容。同ネットワークは、環境省所管の独立行政法人「環境再生保全機構」(川崎市)から助成金を受け、今年度から全国で野生クマの調査を始めており、九州ではツキノワグマの絶滅原因を探る予定だったが、目撃情報を受けて生息の有無を調べる内容に切り替えた。「立ちあがるのはクマ独特の動作で、クマの可能性が高い」と判断したという。
(鳥獣被害をマンガに)
シカやイノシシなどの鳥獣による農作物被害や生態系破壊が深刻化している問題で、環境省はマンガ冊子「♪現代日本のイノシシ・シカ大問題♪」を作成した。サイト(http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5.html)から無料でダウンロードできる。A4判20ページ。作・画は環境漫画家のつやまあきひこさん。全国で貴重な植物が鳥獣に食い荒らされる一方、特定の動物が増え、生態系のバランスが崩れている。ハンターの減少や捕獲に対する理解不足で、対策は遅れ、農作物被害は全国で年間200億円に上るという。マンガでは、都会から山間部の町を訪ねた中学生のきょうだいが、鳥獣被害の現実に触れ、農家から「放置すれば、被害が都市にまで及ぶ」と教えられる様子を描いている。
(火縄銃、専門家が修繕作業:静岡)
静岡市駿河区の久能山東照宮が保管する江戸時代の火縄銃をよみがえらせようと、大阪市東成区の歴史研究家沢田平さん(76)が18日、東照宮で修繕作業に取り組んだ。お色直しされた銃は来年1月1日から、隣接する博物館で公開される。火縄銃は3年前、境内の「神庫」と呼ばれる建物から見つかった。11丁あり、いずれも17世紀前半に製造された軍用銃。徳川家康が祭られた東照宮を警備するため、幕末期まで使われたと考えられる。手つかずの状態が長かったため、銃身にはさびがこびりつき、カビによる汚れも目立っていた。相談を受けた沢田さんは「貴重な銃を後世に残そう」と無償の修繕を快諾。この日は、主宰する「堺鉄砲研究会」の3人と訪れ、ヤスリやブラシで磨き上げた。沢田さんらはまず、銃を部品ごとに分解。金属部分をヤスリでこすったり、工具で削ったりして、丁寧にさびや汚れを落とした。外れた金具を接着剤で取り付け、仕上げに機械油を塗ると、黒色の銃が輝きを取り戻した。東照宮の落合偉洲宮司(64)は「きれいになった貴重な史料を、多くの人に見てもらいたい」と話していた。

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12/17
(日本クレー射撃協会、正常化へ向け会合)
内紛が続く日本クレー射撃協会の新旧執行部が、文部科学省の仲介による正常化に向けた会合を27日に開くことが15日、分かった。会合には新旧執行部から各5人の代表が出席するほか、加盟都道府県連盟からもそれぞれ2人ずつ参加することができる。クレー射撃協会は2009年の総会での役員選任決議をめぐり、新旧執行部が対立。日本オリンピック委員会(JOC)も一時期、仲介役を買って出たが、断念した。裁判では一、二審とも決議不存在の確認を求めた旧執行部が勝訴し、現執行部は最高裁に上告している。
(クマに襲われ男性けが:秋田)
16日午前7時20分ごろ、大館市上代野の大館樹海ドームの周囲を散歩していた近くの男性(79)がクマに襲われ、左手の小指周辺をかまれた。男性は軍手と革手袋を重ねて着けていたため、軽いかすり傷で済んだ。市農林課などによると、男性が気配を感じて振り返ると背後にクマがいて、突然襲われた。大声を上げて脇腹を蹴るとクマはドーム裏の林に逃亡。地元猟友会員が木によじ登っているところを発見し、同8時40分ごろに駆除した。体長1・3メートル、体重約90キロの雌のツキノワグマで推定6歳。解体したところ、胃の中は空っぽだったという。現場は住宅街で、約600メートル東には長木小学校がある。ちょうど登校時間帯と重なったため、同校が保護者や各町内会などに注意を呼び掛け、迂回(うかい)登校させた。市内では、同日午前4時35分ごろ、東台7丁目の住宅街でタクシー運転手が市道を横切るクマを目撃している。このクマが長木川を渡って約2・3キロ北上し、男性を襲ったとみられる。
(イノシシ、市街地突進:山口)
13日午後4時35分ごろ、周南市富田の市立富田中学校付近で、「イノシシ1頭が西へ走っていった」との110番通報が女性から周南署にあった。イノシシは近くの周南西幹部交番、スーパー「アルク新南陽店」付近でも目撃され、その後、姿を消した。黒っぽい色で、体長は約1メートルと大型だったという。現場はJR新南陽駅から西に約1キロ離れた市街地。同署などは付近を巡回し、注意を呼びかけている。目撃した男女3人によると、イノシシは富田中付近から、西に向かい海側へ走り抜けたとみられ、少なくとも約500メートルの市街地を突っ走った。人や農作物への被害は確認されていない。「市街地での目撃は近年は聞いたことがない」と市職員も驚いた様子。市農林課によると、農作物の被害などを防ぐために10年度(11月~3月15日を除く)に、猟師などで編成された捕獲隊により879頭のイノシシを捕獲。11年度も約700頭が捕獲されている。
(トンネルにシカ、トラックと衝突:福岡)
13日午後2時10分頃、福岡市城南区西片江1、福岡都市高速5号下り線の福大トンネル内にシカが入り込み、同市博多区の自営業男性(40)のトラックと衝突する事故があった。県警高速隊などによると、シカは体長約1・5メートルで、事故後、まもなく死んだ。付近の山から下りてきた野生のシカではないかとみられる。男性にケガはなかったという。
(日光のシカ肉基準値超え:栃木)
県環境森林部は15日、日光市で捕獲した2頭のシカの肉から国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える551ベクレルと531ベクレルの放射性セシウムをそれぞれ検出した、と発表した。本県のシカ肉は県内全域で出荷停止となっており、県はあらためて捕獲場所周辺での自家消費を控えるよう呼び掛けている。基準値を超えたシカの捕獲日は今月3、4の両日。4日に捕獲した別のシカの肉は160・2ベクレル、11日に捕獲したシカの肉は127ベクレルと、いずれも基準値を下回った。県が行った放射性物質のモニタリング検査では、これまで矢板市、塩谷町、鹿沼市のシカ肉から基準値を上回る1069~540ベクレルを検出。日光市では、県猟友会日光支部の独自調査で最高2037ベクレルが検出されている。
(“聖域”日光でもシカ猟:栃木)
県内で増えすぎたニホンジカによる農林業被害を防ぎ、日光国立公園などの自然植生を回復させるため、県は14日までに、5期目となるニホンジカ保護管理計画(2012~16年度)の素案をまとめた。県内でシカの生息密度が最も高いものの、狩猟が認められていなかった日光鳥獣保護区の一部を狩猟可能とする規制緩和が柱。個体数維持の観点が強い従来計画を見直し、捕獲を強化する。計画の対象地域は日光市など県北部、西部の10市町。県によると、戦場ケ原や中禅寺湖周辺を含む日光鳥獣保護区(旧日光市と足尾町の一部)内では、希少な植物がシカの食害に遭っている。シカの好まない草木が多くなり、本来の植生は回復していない。5期計画では、日光鳥獣保護区の一部を「狩猟鳥獣捕獲禁止区域」とし、特例としてシカ猟を認める方針。県は、これまでに鹿沼市の西大芦区域など県内7カ所でシカとイノシシの猟だけ可能とする規制緩和を行ってきたが、今回初めて、手つかずだった日光保護区で狩猟を認める。県内の10年度のシカ駆除頭数は過去15年で最高の863頭を数え、狩猟による捕獲は02年度以降、1100~1900頭で推移しているが、県は一層の対策が必要と判断した。素案では、狩猟による捕獲数の減少が予想されるとして、捕獲だけでなく防護柵の設置など総合的な対策が必要とした。来月12日まで素案に対するパブリックコメント(意見公募)を行い、年度内に計画を策定する。
(シカ衝突事故防止へ、先頭車両にスポンジ製装置)
JR東海は15日、線路に迷い込んだシカが列車に衝突してダイヤが乱れるトラブルを減らすため、シカを線路外にはね飛ばす新型装置を開発、来年5月、被害が多い紀勢線に試験導入すると発表した。効果を調べたうえで高山線や飯田線にも利用を広げる考えだ。新型装置はスポンジゴム製の「く」の字形で、13日に特許申請された。はね飛ばすシカをできるだけ死なせないようにするため、軟らかい素材を選んだという。計1000万円の費用をかけて、特急「ワイドビュー南紀」の先頭車両4両に装着する。JR東海では、シカが列車に衝突する事故が昨年度は571件と、2005年度(271件)からの5年間でほぼ倍増した。このため、同社は2500万円をかけ、シカをはね飛ばす装置を開発していた。
(本年度のツキノワグマ初捕獲:和歌山)
和歌山県は14日、ツキノワグマが有田川町の日物川地区の谷沿いで捕獲されたと発表した。14日午前8時ごろ、イノシシ用の箱わなに掛かっていたところを、わなを設置した地元男性が発見した。専門家らが身体計測をした後、山に返した。県自然環境室によると、捕獲されたクマは体長約1・3メートル、体重53キロ、推定10歳以上の雄。本年度のツキノワグマの捕獲は今回が初めて。和歌山県ではツキノワグマを「絶滅危惧1類」に分類し保護している。2000~10年度の捕獲頭数は11頭。10年度には7頭が捕獲され、自力で脱出した1頭を含め、いずれも山に返した。
(大島にイノシシ急増:和歌山)
和歌山県串本町の紀伊大島で、イノシシによる農作物被害が増えている。猟友会と地区、同町須江の京都大学フィールド科学教育研究センター紀伊大島実験所が協力して、実験所の敷地内におりを設置して捕獲作戦を展開しており、効果が出ている。紀伊大島では、くしもと大橋が開通した1999年ごろからイノシシが見られるようになった。イノシシが増えたのは、大橋を渡ったり、台風による古座川の氾濫で流されて島に泳ぎ着いたりしたためではないかと言われている。島民はキンカンなどのかんきつ類や花などを栽培しているが、ここ数年、イノシシによって畑が荒らされるなどの被害が急増している。同実験所の敷地約12ヘクタールは県の鳥獣保護区に指定されている。敷地内にイノシシが頻繁に出没し、木の根元が掘り起こされるなどの被害が増えてきたことから、ことしは地元の猟友会が県から狩猟許可を受けて敷地内に捕獲おり3基を設置。11月9日から12月2日までの間に体長70~90センチ、体重20~25キロのイノシシ7匹を捕獲した。餌が少ないためか、どの個体も小さめだという。捕獲おりの設置期間は来年1月31日までだが、猟友会は被害が大きければ延長することも考えているという。梅本信也所長は「イノシシは生後1年で繁殖可能となるため、島内全体では昨年よりかなり増えているのではないか」と話している。
(イノシシ捕獲減で農産物被害拡大も:新潟)
東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県などで野生のイノシシの肉から、国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されるケースが相次いでいる。例年なら狩猟が本格化する時季だが、肉を食べられなければ捕獲減も予想され、動物による農作物被害の拡大を心配する声も出ている。イノシシの肉の検査では、8月に宮城県角田市で1キログラム当たり2200ベクレル、11月に福島県二本松市で同1万4600ベクレル、茨城県日立市でも9月に同1040ベクレルなど暫定基準値を上回るセシウムが検出された。政府は11月以降、原子力災害対策特別措置法に基づき、福島県の一部や茨城県で捕獲されたイノシシの肉を食べたり、出荷したりしないよう指示を出している。本県では基準値を超えた例はない。県が今月6日に行った調査では、上越市で捕獲されたイノシシ肉は同68ベクレルだった。県猟友会新井支部(妙高市)の田中英雄支部長(68)は例年30頭近く捕獲する。ほとんど食用にするというが「仮に県内でも高い値が検出され食べられなくなると、狩猟をする人や捕獲数が減る可能性もある」と語る。狩猟者は動物が田畑を荒らす被害を食い止める有害駆除の担い手でもある。県環境企画課などによると、駆除によるイノシシの捕獲数は2006年は3頭だったが、10年は201頭に上った。妙高市環境生活課は「捕獲数が減れば農産物への被害が増えることも考えられる」と懸念。田中さんは「食用にできなくても農産物を守るために猟は続ける必要がある」と話している。
(「牡丹鍋」も風評被害:群馬)
栃木など近隣県で野生動物の肉から暫定基準値を超える放射性物質が検出され、県内で鳥獣肉を提供している料理店が風評被害に頭を悩ませている。県内ではイノシシ鍋の注文客や入猟者が減少し、野生動物を敬遠する動きが拡大。県内の鳥獣肉から暫定基準値以上の放射性物質は検出されていないため、飲食店関係者らは安全性のアピールに躍起になっている。野生のイノシシやシカの肉から国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える放射性物質が確認されたのは栃木、茨城、宮城、福島の一部自治体。県内では10月、前橋市のニホンジカから1キログラム当たり482ベクレル、沼田市のイノシシから同337ベクレルが検出され、基準値は下回った。だが、中之条町のイノシシ料理専門店「大家」の店主、茂木義一さんは「今が旬のイノシシ料理だが、客が来ない…」と肩を落とす。ボタンの花のような赤紫色をしたイノシシ肉は、臭みが少なく、淡泊でほのかな甘みがある。例年、寒くなる冬に「牡丹(ぼたん)鍋」を食べに県内外から多くの客が訪れていた。しかし、今年の冬の客数は例年の半分以下に落ち込んでいるという。同店では牧場で育てたイノシシの肉を客に提供している。このため、茂木さんは「放射性物質に汚染された木の実を食べた野生のイノシシの肉ではないので、安全なのだが…」と悔しがる。「風評被害が収束するのを待つしかない」と諦めムードだ。先月15日には県内で狩猟が解禁されたが、入猟者の動きは鈍い。県自然環境課によると、解禁日の入猟者数は500人で、昨年より242人も減少。さらに、今年の県内狩猟登録者数(11月末現在)は、昨年より343人少ない3763人だった。減少数は過去5年間で最多となった。同課は「放射能の影響があるのかもしれない」と分析。また、猟友会関係者は「狩猟が減れば、有害鳥獣が増える可能性がある」と危機感を募らせている。
(イノシシよけに効果、アオノクマタケラン)
和歌山県串本町須江の京都大学フィールド科学教育研究センター紀伊大島実験所は、県のレッドデータブックで絶滅危惧2類に分類されているアオノクマタケラン(ショウガ科)をイノシシよけに使う実験をしている。イノシシの通り道に葉を敷いたところ、イノシシが寄り付かなくなった。新たな獣害対策として期待されている。紀伊大島でここ数年、イノシシによる農作物被害が急増している。かんきつ類などの畑が荒らされ、実験所の敷地内でも木の根元が掘り起こされるなどの被害が出ている。アオノクマタケランは島内に自生しているほか、住民が出荷用に栽培している。実験所の梅本信也所長は、敷地内でアオノクマタケランが自生する所の周囲がイノシシに荒らされていなかったことから、アオノクマタケランのイノシシよけ効果に注目。10月8~23日と11月3~16日にそれぞれ、イノシシが出没する敷地内の各所にアオノクマタケランの葉を敷いて実験した。10月の2週間はまだイノシシが出没する日が少なかったが、イノシシは葉の敷いた場所を荒らしていなかった。11月の2週間はほぼ毎日イノシシが出没したにもかかわらず、葉の敷いた場所を荒らした形跡はなく、引き返していた。梅本所長は「イノシシは目がほとんど見えず、嗅覚を頼りにしている。アオノクマタケランの葉には、土壌中の餌のにおいを中和する働きがあるのではないか。イノシシにとって葉を敷いた所では暗闇同然になるため、それ以上は近寄れないのだろう」と分析する。さらに、消臭効果があるといわれる木炭を使って同様の実験をしたところ、同じようにイノシシは寄り付かなかった。梅本所長は「実験所を拠点にしてイノシシ対策を考えていけたら」と話している。
(クマへの不安、消えず:岡山)
県内で今年、捕獲されたツキノワグマは11月末で11頭と昨年の約6分の1だが、県北ではクマが民家の間近に現れ、住民の不安は続いている。県は昨年、クマ殺処分を認める方針に転換したが、地元自治体では対策の強化を求める声が強まる。第1回クマサミット(美作市など主催)が16日、美作市の美作文化センターで開かれ、全国で出没が問題となっているツキノワグマとの共生が討論される。11月中旬の午前0時過ぎ、自宅でテレビを見ていた西粟倉村坂根、無職、草刈昇さん(53)はトタン屋根にボタボタとものが落ちる音を聞いた。窓から見ると2メートル先の柿の木が大きく揺れていた。「クマだ」と直感し、20連発の爆竹を鳴らして山へ追い払ったが、1日おいて2日連続で姿を見せた。草刈さんは「年寄りの1人暮らしが多く、何かがあるといかん。柿の木を切るしかない」と顔をこわばらせた。西粟倉村で今年、捕獲されたクマは2頭で昨年の3分の1。目撃件数は12件だ。だが、猟師の山田栄さん(64)は県が昨年、クマを捕獲しても山に放してきたことを指摘。「実際はもっと出ているが、行政が何もしてくれないから通報しないだけ」と話す。民家そばの柿の木にはクマが枝を折って座れるようにした「クマ棚」が至るところにあるという。クマ対策に追われた前村長の道上正寿さん(61)も「クマは人との境界線ぎりぎりで踏みとどまっている」と話す。50年代に山の頂上まで杉やヒノキの植林が進んでドングリなど広葉樹が減った。さらに過疎化で里山も荒れて、クマが出やすくなったという。今年も村中心部の小学校から2、300メートル離れた場所でも、クマの痕跡が見つかった。クマは臆病で人を見ると逃げることが多い。道上さんは「村民に何かあってからでは遅い。隣の鳥取県や兵庫県は殺処分も含めた態勢を整えた。岡山もそうすべきだ。県南の方は現場を知っているのか」と危機感を募らせている。
(第1回クマサミット:岡山)
ツキノワグマの被害を防ぎ、共生を考えるには――。美作市など県内外の15市町村の首長でつくる実行委員会は16日、美作文化センター(同市湯郷)で第1回クマサミットを開いた。クマの生息数の調査や、住民に正確な情報を伝えることなどを課題として盛り込んだサミット宣言を発表した。自治体関係者や市民団体など北海道から九州までの約400人が参加した。シンポジウムでは、動物写真家の宮崎学さんが「中国山地のクマは公式には200頭とされるが、驚くべき数がいると予測する」と課題を提起した。これを受け、パネリストらは「東中国地域とされる兵庫県北西部、鳥取・岡山県東部にクマが何頭生息しているかの実態調査にまず取り組み、その上で保護管理策を考えるべきだ」などと指摘した。森林総合研究所の大井徹・鳥獣生態研究室長は「被害がある地域の実態を調査し、それに基づく対策が必要」と話した。サミット宣言は「クマの対策は永遠に試行錯誤を続けなければいけない課題であると認識し、取り組んでいく」と表明した。
(モンキードッグ募集:長野)
全国に先駆けて、畑などに出没するサルを追い払う「モンキードッグ」に取り組んでいる大町市が、モンキードッグにする候補犬を市民から募っている。効果を上げるには市内全域で最低でも45頭程度が必要というが、現在活動しているのは半分以下の19頭にとどまっているためだ。市のモンキードッグ事業は、2004年ごろ常盤地区の農家で飼っていた雑種犬「クロ」が、サルが近くに現れると追い払ったことなどがヒントとなった。今では県内外に広がりを見せ始めている。このクロを含めて3頭がドッグスクール(安曇野市)で猛訓練を受け、モンキードッグとして05年にデビューした。スクールでは、(1)人間やほかの犬・動物に危害を加えない(2)サルを見たら追い払う(3)追い払ったら戻ってくる、といったことを徹底的に仕込まれる。07年度までは3~5頭が訓練を受けたが、08~10年度は1~3頭に減り、今年度は現在1頭。訓練を受けた後に死亡したり、高齢になったりするので、年間4頭の育成が必要だという。大町市の野生鳥獣による農業被害の約3割をサルが占める。07年度は2100万円に達し、その後も高止まり状態が続いている。08年度の調査では、群数が31群から46群、個体数も1651頭から2391頭に増加。このうち農作物に被害を与えているのは13群約700頭という。モンキードッグを導入した地域では、常に40~50匹の群れで出没していたサルが、何回も追い払いをすることで約2カ月後から出没が激減。農作物の被害もほとんどなくなった。サルによる被害をなくすには、モンキードッグを増やすとともに、サルが近寄れない環境整備など複合的な対策が急がれる。市の担当者は「収穫しない野菜や果樹、野菜くずを放置するのは無意識にサルを餌付けしているのと同じ。人間の側に責任がある」と指摘する。モンキードッグの訓練期間は5カ月。1カ月5万2500円かかるが、4カ月分は市が助成し、飼い主の負担は1カ月分(訓練期間が延びた場合は飼い主負担)。
(音と光でカラス追い払い:山梨)
カラスよ、山へ帰れ-。今春から夕方に甲府市中心街のビルの屋上に集結して、街路樹で夜を越すカラスが増え続けている。糞(ふん)害問題から甲府市が15日夕、音と光でカラスの一斉追い払い作戦を遂行した。不意をつかれたカラスは逃げ惑い空を飛び交ったが、作戦はしばしの効果にすぎなかった。専門家は「一度ではそう効果が表れるものではない」として、人の怖さを繰り返して教え込むことが重要としている。JR甲府駅南側の平和通り近くのビルの屋上にはこの時期、午後4時を過ぎたころからカラスが群れで集まる。カラスは数十羽単位の群れで行動し、さらにいくつもの群れが集まり、夕方には大群を構成する習性があるという。市森林整備課によると、カラスが夕方に中心市街地に集まるようになったのは3月ごろ。当初は山に帰る群れもあったが、しだいに街路樹のケヤキの枝で夜を明かす群れが増え、11月中旬に数を調べたところ、約1千羽に達した。「街路樹に天敵がいないことがカラスにとって寝心地をよくしたようだ」という。しかし、カラスはねぐらのケヤキの枝から糞を落とし、歩道が汚れるたびに道路管理者が清掃する。一方で、臭いを嫌う性質から樹木にハーブエキスを入れたペットボトルを取り付けたり、長さ1メートル、幅5センチの金色のテープを付けたりして脅してみたが思う効果がでない。同課で研究して音と光で脅かし、追い払う作戦を計画した。作戦は遂行された。カラスが集結するビルのうち5つのビルの屋上出口に職員が待機。周辺ビルでは最高層の市街地再開発ビルの屋上から総括班がカラスの集結状況を見極め、待機していた職員に指令を発した。職員は屋上に出てハンドマイクのサイレン機能を使ってカラスを脅し、驚いて逃げるカラスが向かったケヤキに今度はライトを照らして二重の戦法を取った。飛び去ったカラスは逃げ惑いながら、別のビルに再集結した。一時的ながら音と光の効果が確認できた。野鳥の生態に詳しい日本野鳥の会の依田正直甲府支部長は、カラスが市街地に集結した理由を「盆地周辺の餌場の真ん中に夜でも明るい市街地があり、日没ぎりぎりまで餌を取っていても集まりやすいことをカラスが学習したためだ」と説明する。今回の甲府市の作戦遂行に関しては「繰り返すことで効果が表れるだろうが、脅すだけではいずれ効果が薄れる」と話し、人間の怖さを教え込む次の作戦が必要だとした。
(カラス、初の実数調査:佐賀)
街中で増えているカラスの実数調査を、佐賀県が今秋から始めている。10月から約2カ月、県内各地で夜のねぐらを調査。現時点で把握できた主なねぐらは県内に11カ所で、総数は約1万7400羽に上ることが分かった。1~2月にも調べ、実態に迫る。「年々カラスが増えている」「カラスが増えてカチガラスが減っている」「ごみをあさって困る」-県民からの苦情や不安、疑問を受け、県生産者支援課が日本野鳥の会県支部に委託して調査している。カラスは繁殖期には群れない習性があるため、繁殖期ではない10~3月、ねぐらに集まってくる夕方に数を調べることにした。同県支部がこのほどまとめた10~11月調査の中間報告によると、県内の主なねぐらは、佐賀市の城内公園(約5400羽)、唐津市の大島(約3150羽)、鹿島市の祐徳稲荷神社(約1250羽)など11カ所。裏山など人家から離れず、安全な場所を好む傾向がみられるという。県内最大のねぐらとみられる佐賀市の城内公園は約5400羽のうち、約1800羽が10~3月まで訪れる渡りガラスの「ミヤマガラス」。夕暮れ時に県庁近くの電線などに集まった後、市村記念体育館周辺のクスノキなどで眠る。そのほか「ハシブトガラス」「ハシボソガラス」などがいるが、眠る木は同じ種別ですみ分けているという。城内公園のカラスは昼間は餌場に出かける。雑食性のハシブトガラスとハシボソガラスはごみあさりが主流。「近隣のごみ収集日を把握し、曜日に合わせて餌場を変えているようだ」と野鳥の会のメンバー。“田園型”のミヤマガラスは、畑や水田跡地で昆虫や穀物をついばんでいる。カラス件は3日間、何も食べないと死んでしまうという。県生産者支援課は「カラスが増えていると心配する県民の声も多い。データを集計して現状を把握し、今後の対策につなげていきたい」と話す。
(佐世保・銃乱射事件から4年、犠牲者悼み花束:長崎)
佐世保散弾銃乱射事件から4年たった14日、現場となった佐世保市名切町のスポーツクラブ、ルネサンス佐世保で、従業員が犠牲者の水泳インストラクター、倉本舞衣さん=当時(26)=と漁網製造業、藤本勇司さん=当時(36)=を追悼した。営業開始前、従業員10人が事務室の一角に花束を供え1分間の黙とう。クラブを運営するルネサンス(東京)は「お二人に対し哀悼の意を表します」とのコメントを出した。事件後、この日を同社の「安全の日」としており、佐世保を含め全国のクラブで防犯カメラや非常ボタンの動作確認などをした。事件で馬込政義容疑者=当時(37)、犯行後自殺=が撃った散弾で足を負傷した同市内の男性は取材に「事件のことはいつでも頭から離れない。あんな凄惨(せいさん)な事件があったことを忘れてはならない。警察には銃所持者の管理や警戒など、許可後のフォローをより徹底してほしい」と語った。ルネサンス佐世保には同日午後、女性1人が花束を持参し、スタッフに渡したという。
(平成23年度「森の名手・名人」に選出:神奈川)
公益社団法人国土緑化推進機構が、森に関わる生業や地域生活に密着した営みにおいて優れた技を極め、他の模範となっている人を対象に認定している「森の名手・名人」に、山北町からは初となる認定を受けた。「猪獲りの名人は猪を逃がさないと思うが、私はたびたび逃げられることがある。名人の域には一生かかっても届きませんよ」。これまでに2千頭近くの猪を仕留めてきた狩猟の名手は謙遜する。地元猟友会の会長を務めていた父親についていくなど、若い頃から猟に親しんでいた。父親が亡くなった後は猟銃を受け継ぎ、昼夜を問わず山へ入った。高校卒業後、農薬会社などに勤務したこともあったが、心の底には「プロの猟師になりたい」という想いが強く、温泉旅館などから注文が入るようになると、母親の反対を押し切り猟師が本業になった。「当時、農薬会社の初任給が4500円だったのに対し、60kgの猪1頭が数万円にもなった」。狩猟を始めて数年が経った頃、6頭卸した猪の中に二度撃ちして仕留めた獲物が入っていて、取引先から値引きを頼まれたことがあった。「プロを名乗る以上、傷物の猪を提供することはできない」と強く思い、近県の射撃クラブに通い射撃訓練をするように。現在では地域の猟人の技術向上と安全性の向上を目指して『西丹沢ライフル・スラッグ射撃協会』を設立し後進の育成にも力を入れている。「最近では若い選手が腕を上げている。私を負かした選手と握手することを楽しみにしています」。実のなる木を植え、豊かな森を育て、そこに集まる獲物を捕らえるという”栽培狩猟”。このスタイルは、60年も前に父親に教えてもらったもの。「多くの獲物を得るためには豊かな森を創る努力が必要。このことが下流に住む人たちに豊かな水を届けることにもつながる」。山に生きる猟師として、これからも豊かな森と共に歩んでいく。
(ネットでの銃販売の問題点に脚光:アメリカ)
不法銃器の取り締まりに熱心なニューヨーク市長が驚きの発表をしました。インターネットによる銃の売買ではチェックなしに銃を売っていることがおとり調査で判明したというのです。現在、アメリカの法律では、店で銃の売買をする際に義務付けられている身辺調査をパスできない可能性のある人物と知って銃を売った場合は、売り手もきびしい罪に問われます。

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