<射撃ニュース2月>

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(ハンターの指導申し合わせ:北海道)
狩猟の安全や監視強化のための関係者会議が24日、苫小牧市の胆振総合振興局苫小牧合同庁舎で開かれた。4日にライフル弾に当たって林業作業員の死亡(厚真町)、18日の走行車両に弾痕(苫小牧市)と事故続発を受けて開き、現地パトロールもした。苫小牧署や道鳥獣保護指導員、道猟友会苫小牧支部の狩猟指導員ら約20人が出席。総合振興局保健環境部の大脇英敏環境生活課長が「狩猟期間も残り1カ月ほど。皆さんの協力を得て猟銃管理などハンターのマナー指導に努めていきたい」とあいさつし、苫小牧署の東昇生活安全課長は「厚真町の事件は30人体制で現在も捜査している。ご遺族のためにも1日も早く犯人を検挙したい」と話し、情報提供を呼び掛けた。会議の後、狩猟が行われている苫小牧市弁天や厚真町を、3時間かけてパトロールした。
(放牧馬に銃弾か:北海道)
苫小牧市の樽前放牧場で2010年10月、死んだ放牧馬に、銃弾が当たったような傷があったという報告が、所有者から市に寄せられていたことが分かった。市は、猟銃の弾丸に当たった可能性もある、とみている。市によると、死んでいる馬が見つかったのは10月29日。放牧場の管理人が発見し、所有者が確認したところ、馬の体に銃弾が貫通したような傷跡があったという。連絡を受けた市は、苫小牧署に通報。11月1日に所有者立ち会いの下、警察や市が現場を調べたが、銃弾や銃痕は見つからなかった。11月5日にも、腹部にけがをした別の所有者の馬も見つかった。銃弾による傷跡の可能性もあるため、酪農学園大学(江別市)で検査したが、弾丸は確認できなかったという。2頭の馬の傷について、「所有者の話などから銃弾に当たった可能性は否定できない」と市。市内外の畜産農家の牛や馬を受け入れている樽前放牧場周辺の山林に、狩猟のハンターが入ることもある。市は「放牧場に発砲禁止の注意看板を設置するなど対策を考えたい」としている。
(エゾシカ猟中に男性が滑落死か:北海道)
27日午後2時ごろ、美唄市共練町の山林で同市落合町入初、無職岩渕高夫さん(81)が斜面に倒れているのを仲間のハンターの男性が見つけた。岩渕さんは市内の病院に運ばれたが、死亡した。美唄署によると、岩渕さんは仲間と2人でエゾシカ猟に来ていた。同署は、山中でエゾシカを解体後、岩渕さんが1人で肉を車のそばまで運ぶ途中、斜面を滑り落ちたとみており、死因や事故原因を調べている。
(イノシシ対策で公社設立へ:福島)
伊達市はイノシシによる農作物被害に歯止めをかけるため、7月にも「イノシシ公社」(仮称)を設立する。電気柵や追い払い用照明器の設置などを支援するとともに、捕獲後の活用について、食肉加工して販売することなどを調査検討する。市は3月定例議会に提出する平成23年度一般会計当初予算案に鳥獣害対策費として3816万円を計上した。市は3月に国の助成などを活用し、有害鳥獣対策協議会(仮称)を有害鳥獣捕獲隊やJA、住民らで設ける。同時に公社設立に向け、加工場を含む建物の整備を検討する。捕獲した野生のイノシシの食肉加工などの可能性も探るため、保健所など関係機関の助言を受けながら、食品衛生・安全面を十分考慮して進め、地域おこしにもつなげたいとしている。
(サル捕獲へおり設置:青森)
弘前市の住宅街でサルの目撃情報が相次いでいる。24日に富士見町地区周辺で姿が確認されたのに引き続き、25日も周辺での目撃情報が市民から多数寄せられた。市は同日、富士見町内におりを仕掛け捕獲に乗り出した。おりを仕掛けたのは富士見町の住宅敷地内。この住宅では24日もサルの姿が確認されており、市はサルが再び戻ってくる可能性もあるとして設置した。おりは鉄製で、大きさは幅95センチ、高さ95センチ、奥行き1・59メートル。おりの奥に張ってあるワイヤに触れると入り口の扉が閉まる仕組みになっている。おりにおびき寄せるため、中にリンゴを仕掛けた。同日は富士見町や文京町、城南、西ケ丘町での目撃情報が寄せられた後、山崎2丁目で姿が確認されており、徐々に市街地から遠ざかっているもよう。市は今後も広報車などでパトロールをして、サルを市街地から離す対策をとる。
(わな猟具で自己防衛:秋田)
農作物の鳥獣被害に悩む気仙地方の農業関係者が参加し、「わな」猟具を使った有害捕獲法を学ぶ研修会が、24日午後から陸前高田市ふれあいセンターで開かれた。鳥獣被害は耕作放棄地の発生にもつながり、自己防衛のための正しい知識を習得しようと、気仙各地から約120人が集まり熱心に聴講した。大船渡地方農業振興協議会が主催した研修会は、㈳岩手県猟友会の小原正弘専務理事と鈴木英一事務局長を講師に招き、「有害捕獲の実施の仕組みについて」と題して行われた。シカやクマ、ハクビシン、カラスの有害捕獲を安全に行う方法を述べ、シカを捕獲する「くくりわな」や、「はこわな」を使ってハクビシンを捕獲する方法を猟具を使って指導した。県内で生息拡大しているハクビシンは、昨年は陸前高田市で157頭、住田町で86頭が捕獲されている。小原専務理事は「はこわなはネズミ取りの要領で。ただし、取り出す時に指をケガすることもあり注意を。肉は食用になりおいしい」と述べ、県鳥のキジが入っている時は放すよう説明した。鈴木事務局長は、有害鳥獣捕獲許可基準が緩和され、被害の有無にかかわず個人や法人の申請が可能となったこと。狩猟免許がない場合でも垣、柵などで囲まれた住宅敷地内(家庭菜園、畑、小屋、倉庫などで、農地は含まれない)において、わな捕獲ができるようになった点を説明した。「有害捕獲は猟友会と地域が一緒に取り組まないと効果がない」と述べ、両氏は参加者に対して、狩猟免許を取り、猟友会への入会を呼びかけた。同日は、鳥獣被害防止研修会(陸前高田市鳥獣被害防止対策協議会主催)も開催され、独森林総合研究所東北支所の堀野眞一・生物多様性研究グループ長が「岩手のシカ~その過去・現在・未来」と題して講演した。シカの分布について、江戸時代初めの頃は今より広範囲に東北に生息していた歴史的経緯を説明。その後に絶滅が心配されるほど少なくなり、現在はそれからみると回復している状況を説明した。シカ管理については、「個体群管理、被害防除、資源としての利用の3本柱で対処する必要がある」とアドバイスした。
(クマ出没:秋田)
26日午後、由利本荘市鳥海町でクマが県道脇の雪のくぼみを出入りしているのが、発見されました。クマはおよそ2時間半に渡って
その場にとどまりました。クマが発見されたのは、由利本荘市鳥海町才ノ神の県道、鳥海矢島線の道路脇です。由利本荘警察署によりますと26日午後1時半ごろ79歳の男性が、自宅から50メートル離れた場所でクマ1頭が道路脇の雪のくぼみを出入りしているのを発見しました。警察官などが駆け付けた後もクマは防雪柵の近くにできた雪のくぼみで出たり入ったりを繰り返しその場にとどまりました。クマの体長はおよそ1メートルで、発見からおよそ2時間半後、地元猟友会が爆竹をならすとようやく山へと走り去ったということです。
(シカと衝突防ぐには:北海道)
推定で64万頭いるとみられる道内のエゾシカ。数が増えるとともに車との衝突事故も増えているために、事故を防ぐための研究発表会が札幌でありました。会場では、国やネクスコ東日本などがそれぞれ研究したエゾシカと車の衝突事故を防ぐための対策を発表しました。(北海道開発技術センター・原文宏さん)「(対策は)試行段階のものがいっぱいあるので、お互いに持ち合って議論して、よいものを作るのは重要」。道内で64万頭いるといわれるエゾシカ。数が増えるにつれ車との衝突事故が増えています。特に網走地方では、エゾシカとの衝突事故が10年前に比べ4倍近い200件以上起きています。効果がある対策として紹介されたのが、道路に設置する防止フェンスです。防止フェンスがすでに設置されている斜里町です。車の販売会社によると、フェンスが設置された後はエゾシカと衝突して修理される車が減ったといいます。(地元の車の販売会社)「以前は年間5、6台ありましたが、近年は1、2台あるだけです。フェンスの効果はある」。研究発表会では高さが2.5メートルのフェンスがもっとも効果が出ると報告がありました。(ネクスコ東日本北海道支社の発表者)「柵の高さが2.2メートルであれば跳び越えられないことを確認しました」。しかし、防止フェンスでも古くなるとシカがすり抜けてしまうことも指摘されました。費用面からも少ないフェンスで効果をあげるには、出没場所を絞り込むなど解決しなければならない課題は残されています。
(広がるニホンジカ:石川)
農林業に甚大な被害を及ぼすニホンジカの群れが白山麓から金沢市や金沢近郊の山中に進出し、能登でも個体が目撃されるなど生息範囲を広げている。被害が深刻な福井県が昨秋に捕獲数の目標を引き上げるなど対策を強化する一方、石川県は個体数を調整するための保護管理計画すらなく、「早めに対策を講じないと、イノシシ同様手遅れになる」との声もせり出している。ニホンジカは県内では大正期に絶滅して以降、姿を見せなかったが、近年は白山麓で出没が相次ぎ、繁殖期特有の雄の鳴き声も聞かれるようになった。目立った被害は今のところ報告されていないが、今猟期は金沢や近郊の山中で雌の群れや子ジカが目撃され、羽咋市や中能登町などでも雄が姿を見せている。過度な増殖を防ぐには狩猟による間引きが必要だが、県内での捕獲数は09年度が18頭、08年度が5頭、07年度が3頭にとどまる。国の取り決めで一人当たり1日1頭の狩猟制限がある上、肉の利用価値が低いためだ。奥村勝幸県猟友会金沢支部長は「シカを見掛けても猟師は撃ちたがらない。あと数年もすれば山はシカの天下になる」と話し、シカ肉の用途拡大を課題に挙げる。自治体ごとに保護管理計画を立てれば狩猟制限を引き上げることも可能だが、石川県は「現状では被害もささいで、(増殖の動向を)見極めかねている」(自然保護課)とし、計画策定のめどは立っていない。福井県は04年に保護管理計画を策定。「報奨金」を設けるなどしたことで捕獲数が年々増え、09年度は5606頭と10年前の12倍超となった。それでも増殖に歯止めは掛からず、農林業被害は09年度で1642万円と、前年度より25%増えた。昨年10月には年間捕獲目標を4千頭から6千頭に増やし、狩猟制限もさらに緩和したが「(石川県側に)被害が北上している」(鳥獣害対策室)という。09年度に3951頭を捕獲した岐阜県は、4月から実施予定の保護管理計画で、雄ジカの捕獲数を無制限としたり、休猟区でのシカ猟を解禁することを検討している。南アルプスではニホンジカが高山植物を食い荒らすケースが出ており、希少な固有種が自生する白山でも同様の被害が予想される。県白山自然保護センターでは「被害が出始めた後の対症療法では遅い。先手を打つため今は基礎資料の収集に努めたい」としている。
(鳥獣被害対策を強化:山口)
山口県は新年度、農作物の鳥獣被害防止策に力を入れる。狩猟の担い手確保のため、狩猟免許の取得費の一部を補助する制度を新設し、自衛隊OBや農協職員に取得を促す。イノシシやシカの集中捕獲なども展開する。県は新年度、被害額を2009年度比約3割減の5億円以下、捕獲数をイノシシ1万5千匹(09年度実績比35%増)▽シカ2900匹(32%増)▽サル300匹(49%増)―とする目標を設定。関連費として新年度当初予算案に10年度当初比約2・2倍の約4億5500万円を計上した。高齢化で減少傾向にある狩猟の担い手の確保策には約2500万円を充てる。優れた狩猟者を対象とするマイスター認定制度も新設する。このほか、通常の捕獲とは別に、イノシシやシカの集中的な捕獲も計画し、経費に約5千万円を充てる。また、イノシシなどの侵入防止柵整備の費用として約2億円を確保するなどした。
(「モンキードッグ」1匹仲間入り:岐阜)
山から下りてくるサルから農作物を守るモンキードッグ。サルによる被害が特に深刻な本巣市根尾地域で昨年12月、新たに1匹のモンキードッグが誕生した。同市根尾水鳥の梅田音彦さん(64)が飼う1歳の雄犬「チー」だ。田畑を覆っていた雪が解け、再びサルが姿を見せ始める季節。梅田さんは「しっかり訓練させて頑張ってもらわないと」と活躍を期待する。現在、同市にはチーを入れて4匹のモンキードッグがいる。モンキードッグは、長野県の訓練所に半年間犬を預け、飼い主も月1回現地でしつけのための訓練を受ける。戻ってからも、日ごろから散歩しながら訓練を重ねて出動に備える。「サルにはいいかげん頭にきてな」。約40アールの畑で野菜などを栽培する梅田さんは、度重なるサルの被害に耐えかねてモンキードッグの導入を決断。梅田さんの友人で、米や野菜を栽培する佐藤一弘さん(64)=同市根尾天神堂=も「30~40匹の群れが何組もやって来れば、畑があっという間に全滅させられることも」と語る。その佐藤さんも1年前にモンキードッグを飼い始め、「被害はかなり減った」と効果を実感する。今月、出動中のモンキードッグが交通事故で死ぬ事例も起きたほか、近隣には犬を嫌う住民もおり、不安もある。しかし、梅田さんは「チーは本当によく言うことを聞いてくれる。自分だけでなく、サルの被害に困っている周辺の人たちのためにも働いてくれるはず」と、新しいパートナーに信頼を寄せている。
(就職は五輪より難しい?JOC、企業に選手売り込み)
日本オリンピック委員会(JOC)は25日、就職先を探す選手と企業の仲介をするため、東京商工会議所に加盟する会社関係者約150人に説明会を開いた。昨秋の経済同友会に続く第2弾。18競技の33選手がエントリーシートを提出し、6選手は会場で直接アピールした。来年のロンドン五輪代表を決めている射撃の森ゆかり(32)は「ロンドンに内定しても就職は内定していない」。昨秋の説明会では4人が就職を決めた。JOCの荒木田裕子理事は「選手の喜ぶ顔を見るとうれしい」。今回は何人に春が訪れるか。

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(ボランティアハンター出番:北海道)
食害が深刻なエゾシカの生息数削減のため、釧路総合振興局は3月1日から、無償のボランティアハンターによる駆除事業を実施する。昨年に続く2回目の今回は、初めてシカ駆除に参加する17人を含む43人のハンターが協力を申し出た。今回は実施場所も拡大しており、同振興局は昨年度実績の367頭と同規模の駆除を目指す。実施期間は1日から27日までで、場所は昨年行った釧路市阿寒町の国有林のほか、釧路町の尻羽(しれぱ)岬の国有林も追加。両エリアとも鳥獣保護区が含まれる。ハンターは計12班に編成され、各班に同振興局が委嘱したガイドハンター12人がリーダー役として加わり、連日の駆除に当たる。エゾシカの頭数削減は、ハンターが趣味で行う狩猟と、市町村が地元のハンターに報酬を払って行う有害鳥獣駆除の2本柱で進められてきた。だが近年はハンター不足のほか、自治体の財政難などで捕獲は伸び悩んでいる。昨年始まった同事業では、シカによる農林業被害の深刻さを訴えて無償協力を求めると同時に、通常は狩猟が認められていない鳥獣保護区も対象エリアに加えて、参加を促してきた。応募したハンターからは「シカの削減に協力したい」「鳥獣保護区での捕獲に興味がある」などの声が聞かれるという。同振興局は「これまで駆除に関わっていなかったハンターにも参加してもらえた」と話し、今年の駆除の成果が挙がることを期待している。
(住宅街にサル出没?:青森)
弘前市の住宅街でサルの目撃情報が相次いでいる。いずれも1匹で、被害は今のところないものの、市は24日、広報車で注意を呼びかけ始めた。目撃場所に近い弘前大も25日からの入試を控え、ホームページで注意を促した。サルは17日に横町で見かけた後、18日には藤崎町に近い中崎、19日は弘前公園そばの紺屋町で目撃。その後、しばらく姿が見えなかったが、24日午前10時半ごろ、桔梗野1丁目で見つかり、それから約3時間後には土淵川をはさんで数百メートル離れた富士見町にいるのが目撃されたという。市環境保全課は野生のサルとみているが、これらの情報が同じサルを指すのかは分からないという。市は危険を避けるため、食べ物を見せたり大きな声を出して驚かせたりしないよう呼びかけている。
(クマ目撃、今年県内初:秋田)
24日午前7時半ごろ、秋田市下北手細谷の市道脇の草地にクマがいるのを登校中の女子中学生が見つけた。県警生活環境課によると、今年に入ってからの目撃は県内初。昨年初めて目撃されたのは大仙市協和の水田で4月13日だった。クマの研究者らは、食べ物となる木の実が不足した翌春に温かい天気が続くと、クマは早く目覚めることもあると指摘する。同課は「目撃情報が例年よりも早いので、注意してほしい」と呼び掛けている。秋田東署によると、クマは体長約70センチ。民家まで約50メートル。クマは市道西側の山林へ去っていた。
(クマ出没、麻酔銃で備え:石川)
金沢市は新年度、ツキノワグマの市街地への出没に対処するため、麻酔銃の取り扱い資格を持つ獣医師を配置する。クマ等野生動物調査研究グループを組織し、迅速な捕獲体制を整備する。クマ等野生動物調査研究費70万円が計上された。調査研究グループは、市職員や市小動物管理センターなどに所属する獣医師、県猟友会金沢支部員を加えた10人程度で構成し、獣医師2人程度が麻酔銃の取り扱い資格を取得する。クマの捕獲は獣医師の立ち会いで、猟友会員が麻酔銃を使用することが想定されている。クマの市街地への出没対策として、クマ侵入防止用電気柵を設置する町会に費用の半額を補助する制度も創設される。サルによる農作物被害が山間部で確認されたことから、サル用防護柵の設置も助成対象に加える。

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(累積赤字が4000万円に、日本クレー射撃協会)
役員人事をめぐる新旧執行部の対立が長期化する日本クレー射撃協会の累積赤字が、4000万円に達する見込みであることが23日の総会で報告された。旧執行部時代の2008年度で既に約1600万円の赤字があり、内紛のため09、10年度は日本オリンピック委員会(JOC)の補助金などが凍結されたため、赤字額が膨らんだ。総会は赤字解消のため、一般企業の資本金にあたる基本財産1億5000万円を取り崩すことを承認。基本財産を約5000万円に縮小する。福城一信専務理事は監督官庁の文部科学省を25日に訪れ、基本財産取り崩しの認可を求める意向で、JOCには補助金の凍結解除を求める公開質問状を提出するという。
(クレー射撃協会、補助金停止でJOCに公開質問状提出へ)
役員人事を巡って新旧執行部の間で対立が続く日本クレー射撃協会の新執行部側が23日、東京都内で理事会と総会を開き、日本オリンピック委員会(JOC)に対して、補助金を停止している理由などを尋ねる公開質問状を提出することを決めた。25日に文部科学省に総会の報告を兼ねて相談する。公開質問状では、強化のための補助金を止めている理由や、JOCの意向として日本ライフル射撃協会との統合案が報道されたことなどを質問する。補助金については、選手から署名を集めることも検討するという。また、今年度は約4000万円の赤字が見込まれるため、1億5000万円の基本財産を取り崩して充当する方針を承認した。ただし、基本財産の取り崩しには文科省の認可が必要になる。
(イノシシが老人2人を襲う:熊本)
23日午後4時半ごろ、熊本県芦北町高岡で、イノシシに突き飛ばされて女性2人がそれぞれ2週間のけがをした。イノシシは間もなく地元猟友会メンバーが射殺した。芦北署や地元消防によると、イノシシは体長約1メートル、体重約80キロ。無職女性(87)は自宅敷地内で、玄関を出た直後に襲われ転倒した。約100メートル離れた畑で農作業をしていた女性(66)もイノシシに突き飛ばされ、約10メートル下の川に転落、頭を打つなどした。
(猟銃管理「厳格に」、特別許可の自覚を:群馬)
1月末から県内で相次いだ猟銃の盗難・紛失事件を受けて、県警が再発防止の呼びかけを強めている。盗んだ猟銃を使った重大事件は県内でも過去に起きており、各猟友会も会員に管理の徹底を求めている。「3度目は絶対にあってはならない」前橋署の井上行雄署長は22日夜、市内の4猟友会の役員37人を署に集めて開いた緊急対策会議で、参加者に強い口調で訴えた。1月29日、同市富士見町のアルバイト男性(当時65)がライフル銃1丁と実弾20発を盗まれる事件が起きた。同月24日朝から、自宅に止めた軽トラックに布袋に入れた銃と実弾を置いていたところ、猟に向かう途中で盗難に気づいたという。今月12日には同市元総社町の無職男性(同67)が、猟をしていた富岡市妙義町の山林に猟銃を置き忘れ、警察の捜査で翌朝発見されるという事態も発生した。県警が懸念しているのは、盗まれた銃が悪用されることだ。県内では2002年、盗んだ猟銃を持った男が前橋市内の民家に押し入り現金を奪ったうえ、住んでいた女性(同19)を誘拐する事件が起きた。1979年には、盗んだ銃ではなかったが、大阪市住吉区の三菱銀行北畠支店に猟銃を持った男が立てこもり、4人を射殺したのち警察に射殺される事件もあった。1月にライフル銃を盗まれた前橋市の男性は、朝日新聞の取材に「銃は車外から見えない場所に置いていた。うかつだった」と話している。県警生活安全企画課によると、猟銃の管理については改正銃刀法で▽堅固な金属製のロッカーに鍵をかけて保管する▽銃と実弾は一緒に管理しない――などが定められており、盗難にあった際の保管方法はそもそも違法だ。県警によると、県内では昨年末で2748人が猟銃所持の許可を得ており、926人がライフル銃、2594人が散弾銃を所持している。県警は15日までに、県内ほぼすべての猟銃保持者の保管場所に警察官が出向き、本人に直接指導したが、違反は見られなかったという。県内では、03年から昨年まで猟銃の盗難・紛失事件の届け出はなかった。ただ昨年、車の上に銃を置いたまま車を発進させ、すぐに見つかったものの銃を一時紛失する事件があった。県警の担当者は「銃の所持者は、特別な許可を受けている自覚を持ってほしい」と指摘する。前橋西部猟友会の岩丸松雄会長は「銃所持者のほとんどが適切に保管していても、不祥事が起きれば連帯責任。会員に注意を促すしかない」と話している。
(羽咋市予算案:石川)
<前略>歳出では、旧散弾銃射撃場の鉛害対策のため約2億6千万円を計上したほか…<後略>
(シカ3頭を捕獲、植生維持に:栃木)
環境省日光自然環境事務所は今年度、日光市の戦場ケ原で、侵入防止柵内に入り込んだシカ3頭を捕獲したと発表した。同事務所は年度内に再度、捕獲を実施する。同省は植生を維持するため、柵内のシカを06年度から捕獲している。最大目撃頭数は06年度の71頭から08、09年度には13頭となり、今年度は15頭とほぼ横ばい状態が続いている。捕獲は18日に行われたが、直前に雪が降り、シカが移動したため、捕獲数が少なくなったこともあると見て、再度、県猟友会日光支部とも調整して実施する予定。植生は回復傾向にあり、捕獲は今後も継続していく。
(竹生島のカワウ、減ってるの?:滋賀)
Q:カワウの被害、大変だね。琵琶湖の竹生島などでは大がかりな駆除を続けているけど、成果は上がっているの?
A:カワウ被害は90年代に問題化しました。竹生島には人が少なく、餌も豊富なので次々とつがいが飛来し、ピークの04年には4万羽を超えました。営巣のために枝が折られ、県の調査では7割近くの樹木が立ち枯れてしまいました。カワウの食欲は旺盛で、1日に300~500グラムの魚を食べると言われます。好物はアユ。1日350グラムとすると年間の捕食量は2622トン。琵琶湖での年間漁獲量をはるかに超えてしまいます。銃を使った駆除は04年度に始まり、近年は年間2万羽が目標です。09年は前年の6割まで減った一方、過去最多の2万5000羽を駆除した昨年は前年の1割しか減っていません。カワウは秋になると竹生島を巣立って周辺の川などで暮らし、春になると戻ってきます。他地域からの出入りがどの程度あるのか不明で、効果の程がつかめていないのが実情です。
Q:鳥には翼があるからねえ。対策はあるの?
A:昨年12月に滋賀県を含む2府5県が参加して「関西広域連合」が設立されたのを知っていますか。県境を超えた課題に広域で取り組むのが目的で、その事業の一つとして、来年度からカワウの広域調査が始まろうとしています。竹生島でカワウが営巣する5月と巣立ちの9月、数が少なくなる12月の3回にわたり京都府の桂川や宇治川、徳島県の吉野川などアユ食害がみられる地域で一斉に生息数を調べます。幼鳥に標識もつけて追跡し、行動範囲を把握しようという試みです。
Q:どんな効果があるの?
A:琵琶湖の群れが大きく移動する際、周辺府県の河川で同時期に駆除すれば琵琶湖に戻る数も減るし、関西圏域の総数がどう変わるのかを知る手掛かりにもなります。今後、鈴鹿山脈を越えて中部圏との連携も働きかける考えです。環境省によると、都道府県が広域で野生生物の行動を調査しているのは広島、山口、島根の3県が西中国山地でツキノワグマの個体数を調べているくらいです。カワウは70年代に絶滅が心配されるほど激減しており、生息数の変動にどんな原因があるのか、客観的なデータが求められています。身近な生物との共生を図る方法を探るためにも貴重な調査になりそうです。
(イノシシ捕獲用の竹檻が完成:福岡)
有数のタケノコ産地として知られる北九州市小倉南区の合馬(おうま)地区で地元生産者らが22日、イノシシ捕獲用の竹の檻(おり)を完成させた。JA北九東部地区本部によると、今年は裏年で1月に冷え込んだ影響もあり、タケノコの成長が遅い。その上、イノシシ被害が重なり、今年のこれまでの出荷量は月2~4キロにとどまり通常の裏年に比べても特に少ない。区や地元出荷組合などが1月に開いた対策会議で竹の檻を設置し効果を検証することを決めた。檻は愛知県岡崎市の猟友会で考案され、雑誌などで話題になっているという。縦、横各1.2メートルで、奥行きが1.5メートル。中に米ぬかなどの餌を入れ、イノシシが入ると扉が閉まる仕掛け。出荷組合員ら約20人が1日がかりで2個完成させた。山間部に設置する。JA北九合馬たけのこ出荷組合の立石望組合長(53)は「鉄製(約5万円)に比べ1万~2万円とコストが低く、自然の材料でイノシシの警戒心も緩むと思うので捕獲されやすいのでは。効果があれば檻の数を増やして被害を最小限にしたい」と話した。
(福知山市が新年度予算案を発表:京都)
<前略>主な新規事業は、有害鳥獣捕獲事業として、猟期以外に行う実施隊を府内では初めて編成する。隊員は猟友会が推薦する8人。従来の駆除隊の活動のほか、猟期以外の期間に月16回、専従的に捕獲活動を実施し、農家にとって深刻な有害鳥獣による農作物への被害の軽減を図る。<後略>
(鳥獣害対策係を新設:栃木)
深刻化するイノシシなどによる農産物被害を軽減するため、市は新年度、農山村振興課に「鳥獣害対策係」を新設する。市内で本年度(4月~11月14日)捕獲されたイノシシは1100頭で、過去最多だった前年同期(1157頭)とほぼ同じ。新設の同係は、本格化するイノシシ肉加工処理施設の建設事業を担当するほか、農政課所管だった電気柵などの設置も受け持ち、獣害対策を包括的に推進していく。農村整備係は廃止する。政策調整課の北関道沿線開発推進担当は「内陸型コンテナターミナル推進担当」に改称。本年度に調査研究を進めた事業名を冠することで、市内外へのPR効果も狙う。ほかに黒袴地区や佐野田沼インター周辺の開発に合わせ、商工課に「企業誘致係」を新設し、情報収集や分析、企業へのPRに力を入れる。いきいき高齢課では、介護保険に関する事務事業を分割。2008年度まで業務を担っていた「介護保険課」が復活する。
(レンコン栽培で獣害防ぎ受賞:島根)
益田市が本年度に新設した「まちづくり景観賞」の贈呈式がこのほど、同市駅前町の市保健センターであり、遊休農地にレンコンを植える活動を2003年から続ける同市匹見町の住民組織、下道川下組がグランプリを受賞した。福原慎太郎市長が、同組の鼠谷清さん(67)に賞状と記念品を渡した。鼠谷さんは、18アールの遊休農地で12世帯が取り組むレンコン栽培の成果を報告。集まった約100人に「年間を通じて農地に水を張り、イノシシ被害の防止につなげた。レンコンの販売収益は、住民組織の活動資金になっている」と強調した。
(獣害防止へ遠隔操作のおり設置:京都)
野生生物による農業被害が深刻化する中、行政や住民でつくる日野町有害鳥獣被害対策協議会が、わなのおりにカメラと遠隔操作装置を付けてイノシシを捕獲する実験を滋賀県日野町の山中で進めている。高齢化などで銃器による狩猟者が減る中、免許があれば容易に設置できるおりを活用し、獣害の被害軽減を目指す。おりの近くにカメラを設置し、約200メートル離れた場所のモニター画面で映像を映す。おりのふたに受信機を組み込み、離れた場所から開閉できるようにし、映像を見ながら捕獲できるようにした。これまでの実験で、最初はふたを閉めずに餌を食べさせるだけにして餌場であることを認識させると複数のイノシシが訪れるようになることや、一度捕獲した場所でも再度捕獲できることが明らかになった。協議会の岡田文伸さん(55)は「イノシシは警戒心が強いが食欲には負けてしまうのでは」と分析する。通常のわなのおりは餌を食べたらふたが閉まるが、今回は遠隔操作によって閉めるため大量捕獲も可能で、今月10日には7頭の子イノシシが捕獲できた。県自然環境保全課によると、県内の銃器による狩猟者は高齢化などで減少しており、2009年度の第一種銃猟免許保持者数は999人で、10年前に比べ3分の2になった。おりのわなは銃器に比べ捕獲率は低いが、銃器による狩猟は禁止されているが被害の大きい集落の周囲でも、設置できる利点がある。岡田さんは「おりのわなは被害軽減に有効な手段。今後も実験を続け、より確実に捕獲できる設置方法を検討したい」と話している。
(食と猟で環境学ぶ、トヨタ白川郷自然学校がエコツアー:岐阜)
シカやイノシシ料理と伝統猟の見学を通して環境全般に理解を深める「武士の伝統鴨猟『坂網猟』とジビエ料理のエコツアー」が22日まで2泊3日の日程で、大野郡白川村のトヨタ白川郷自然学校と、石川県加賀市の片野鴨池(ラムサール条約登録湿地)などで行われた。同自然学校を運営するNPO法人白川郷自然共生フォーラムが、加賀市鴨池観察館と大聖寺捕鴨猟区協同組合、同市観光交流機構と連携して初めて開催。愛知県を中心に広島県や栃木県などから計約20人が参加した。初日は、トヨタ白川郷自然学校で雪原に残る動物の足跡探しなどを体験し、仏語で野生動物を用いた料理を意味する「ジビエ料理」に舌鼓。併せて、シカやイノシシの増加が山の荒廃の一因になっていることを学んだ。2日目は、加賀市の片野鴨池(ラムサール条約登録湿地)を見学した後、加賀伝統のカモ猟「坂網猟」を行っている大聖寺捕鴨猟区協同組合の池田豊隆副理事長(68)が講話。たも状の大きな網を空中に投げてカモを捕る猟法や、世界的な生息環境の悪化でカモの飛来が減少している現状などを説明した。最終日に伝統カモ料理の治部煮を楽しんだ参加者らは「観察や食を通して自然環境に理解を深めるきっかけになった」と感想を話していた。
(野鳥の鳥インフル、13道県に)
この冬、野鳥への感染が相次いでいる鳥インフルエンザは、21日に初めて関東地方でも確認されるなど、北海道から九州までの13の道と県に広がっていることが分かりました。感染が確認された野鳥の数もこれまでで最も多く、環境省は、渡り鳥が移動する春先にかけて監視を強化するよう、都道府県に呼びかけています。環境省によりますと、この冬に野鳥への感染が確認された鳥インフルエンザは、去年10月に北海道で毒性の強いH5N1型のウイルスを含むカモのふんが見つかって以降、相次いでおり、21日に、関東地方では初めて、宇都宮市でハヤブサ1羽の感染が確認されるなど、北海道から九州までの13の道と県に広がっています。毒性の強いウイルスへの感染が確認された野鳥の数も、これまでは、ひと冬に多くても9羽にとどまっていましたが、この冬は37羽と最も多くなっています。宮崎や鹿児島など、各地の養鶏場でも感染が相次ぎ、専門家は、渡り鳥によって運ばれたウイルスが小動物などを介してニワトリなどに感染した可能性が高いとみています。渡り鳥が大陸などに移動する春先にかけて感染がさらに拡大するおそれもあり、松本環境大臣は、22日の会見で「今まで以上に、都道府県と連携しながら野鳥の監視を強化していきたい」と述べ、野鳥の監視を続ける考えを示しました。

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2/22
(イノシシ被害急増、駆除の狩猟は困難:滋賀)
大津市役所(御陵町)周辺の小学校、公園、道路などで、昨年夏ごろからイノシシが多数出没していることが分かった。近くの古墳「弘文天皇長等山前御陵(ながらのやまさきのみささぎ)」(同町)では敷地内に侵入したイノシシが土を掘り返す被害も出た。住宅市街地で駆除するための狩猟は難しく、同古墳では箱わなを仕掛けることも検討されたが、敷地内の捕獲禁止の規定で断念した。関係者らは「イノシシが活発化する春に向けて被害が増えそう。どうしたものか……」と頭を抱えている。同市によると、今年度の市内のイノシシ捕獲数は例年の約5倍に急増。市役所周辺の小学校や警察学校に侵入し、皇子が丘公園の遊歩道沿いでは根元を掘り返された桜の木が倒れた。今月9日、バイパス道路で車にはねられたイノシシをよけようとしたバイクが転倒する交通事故も起きた。同古墳でイノシシが目立って現れ始めたのは昨年夏から。ネットを張ったり、門に手作りの柵を設けたが、効果はなかった。昨年末には大きな親イノシシと5~6匹の子イノシシが、1列になって門の階段を下りてくるのが目撃された。土手で囲まれた古墳内にも侵入したとみられ、宮内庁の職員は「打つ手がない」と話す。市街地での出没数の増加について、県猟友会の浜崎元弥会長は「ドングリも多い三井寺や近江神宮を目指して山を降りて来たようだが、市街地では狩猟もできない」。昨夏、国宝建物の障子が破られた三井寺では大量の忌避剤を購入したが、殺生はできないという。イノシシの生態に詳しい奈良大学の高橋春成教授(生物地理学)は「イノシシは春に5頭ほど子どもを産み、爆発的に増える。相当駆除しないと減らないだろう」と話している。
(伝統の坂網猟、エコツアーで紹介:石川)
岐阜県の自然学校が募集したエコツアーの参加者が21日、加賀市片野町の市鴨池観察館を訪れ、江戸時代から鴨池で続く坂網猟について学んだ。現役猟師の一人も講師を務め、独特の形をした坂網を手に、伝統猟を守る苦労や喜びを語った。「武士の伝統鴨(かも)猟『坂網猟』とジビエ料理のエコツアー」と銘打たれた今回のツアーは、岐阜県白川村のトヨタ白川郷自然学校が鴨池観察館に協力を呼びかけて初企画。定員18人を上回る20人が参加し、20日から2泊3日で白川村と加賀市を訪れている。同観察館のレンジャー田尻浩伸さんは「坂網猟の猟師は、湿地の寿命を延ばすのに欠かせない草刈りや監視を続け、鴨池の環境を守り続けてきた。自然の『賢い利用』の例として専門家からも評価が高い」と解説。鴨池で越冬中のガンやカモの観察会も開かれ、参加者はカメラや望遠鏡で水辺の野鳥観察を楽しんでいた。

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2/21
(シカ猟、自粛ムード:北海道)
厚真町で林業作業員がライフル銃と見られる弾丸に当たって死亡した事故。ハンターによる誤射の可能性が高いが、「撃った人物が名乗り出ない中、猟をするのはどうか」などと道猟友会会員の間に自粛の動きが広がっている。昨年はシカによる農林業被害が過去最悪になった道内。「狩猟頭数が昨年を下回り、農林業被害が拡大する恐れも」と危惧する声も聞かれる。「会員から『あんな事故があったら猟に出られない』との声が相次いでいる」と話すのは道猟友会札幌支部の田子一雄支部長だ。猟とは無関係の林業作業員が被害に遭ったという点だけでなく、会員が猟をする時の服装も「ネック」という。道を含む全国の猟友会では、山林でも目立ちやすいオレンジ色のベストを会員に無料配布し、着用を求めてきた。今回の事故では直前に現場近くでオレンジ色の上着を着た2人連れのハンターが目撃されており、「事故に関わったのではないかと思われる。当分は猟ができない」と訴える会員も多い。こうした動きは、事故現場から離れた釧路市など道東地区にも広がっているという。一方、今回の事故を「下火になっているシカ狩猟に冷や水を浴びせた」と嘆くのは道自然環境課だ。道内で、推定生息数が約64万頭にのぼるエゾシカによる昨年の農林業被害額は約50億8000万円。被害抑止や生態系保護の観点から、年8万頭の雌の狩猟が必要とされるが、昨年の狩猟や自治体による捕獲数は約5万6000頭にとどまる。同課は「ただでさえ目標数に達していない。シカの頭数が増加すれば被害が深刻化する」と自粛の広がりを心配する。シカの猟期は10月から3月下旬まで。同会によると、最盛期は1月下旬ごろまでだが、2月にも猟に出るハンターは多い。現在、道警が現場で見つかっていない弾丸の検索を続ける一方、道内のライフル所持者約4300人を対象に聞き取り調査を続けている。同会の天崎弘会長は「所持を許可された人は万一の事故に誠実に対応する責任を負っている。一刻も早く名乗り出て、道民の不安を払しょくしてほしい」と訴えている。
(走行中に銃弾?貫通:北海道)
苫小牧署は20日、苫小牧市弁天付近で18日午後3時半ごろ、市道を走っていた千歳市の会社役員男性(52)のRV車の後部のはしごに、銃弾による可能性のある穴が開いていたのが見つかったと発表した。現場付近はシカなどの狩猟ができる地域で、同署で損傷箇所の鑑定を進めている。同署によると、現場は同市の弁天沼の東側の道路。男性が1人で車を走らせていた際、金属音のような音を聞いたという。翌日、車を調べたところ、車両後部の備え付けのステンレス製はしご(縦86センチ、横40センチ)の左側の縦棒に銃弾が貫通したような穴が開いており、同日夕、千歳署に届けたという。車両本体には、穴やへこみなどはなかった。当時、ほかの車などは走っていなかったという。隣の厚真町の山林では今月4日、林業作業員(45)がライフル銃とみられる銃弾を腹部に受けて死亡する事故が起きている。
(イノシシにぶつかられて男性入院:新潟)
20日午前10時50分ごろ、上越市西城町3丁目の路上で、近所を歩いていた男性(77)がイノシシに衝突され、転んで頭を打った。男性は市内の病院で側頭部の擦り傷の治療を受けて自宅に戻ったが、その後、容体が悪化し病院で検査したところ脳内出血がありそのまま入院した。上越署によると、イノシシは男性にぶつかった約30分後、高田城跡の高田公園近くにある上越教育大学・学校教育実践研究センターに入り、ガラス戸1枚を破った。警察官が建物の外に追い出し警棒でたたいたところ、イノシシは死んだという。最初の通報は午前10時半ごろ。JR高田駅近くの同市仲町6丁目の路上で、体長約1メートルのイノシシ1頭がいるのを通行人が目撃し、110番通報した。同署と市役所はパトロールなどで注意を呼びかけていた。イノシシは市街地を動き回ったとみられる。
(イノシシ対策、警備会社に委託:和歌山)
市街地へのイノシシの出没が相次いでいる和歌山市が、獣害対策として、イノシシが現れた際の市民の保護を警備会社に委託する事業を新年度当初予算案に計上した。23日に開会する定例市議会に提案される。市は4月から事業を始める予定。市と警備会社(未定)が契約を結ぶ。市職員が対応しにくい夜間や土、日、祝日に通報があれば、警備員が駆けつけ、住民を安全な場所へ避難させたり、付き添って保護したりする。捕獲はしない。イノシシは一昨年12月に南海和歌山市駅に現れ、会社員2人がかまれるなどでけがを負った。昨年10月にも市北部の住宅街でイノシシ1匹が住民の足をかむトラブルがあった。市農林水産課へは多いときで1日5、6件の出没情報があり、不安を訴える住民が増えているという。同課の担当者は委託について「夜間などの業務時間外に警備員にいち早く駆けつけてもらい、住民に安心してもらうのが目的」と話した。同課によると、昨年4月から12月末までの9カ月間に市内で捕獲されたイノシシは約650匹。年間の捕獲数は例年、約600匹なので、増加傾向という。市はイノシシとアライグマを捕獲した場合に報奨金を出している。
(クマ出没、射殺:富山)
十九日午前十時二十分ごろ、富山県魚津市鉢の養豚場の豚舎に入り込んだクマ一頭を、男性従業員(29)が発見、市有害鳥獣捕獲隊が豚舎からクマを追い出して射殺した。豚舎の豚五十六頭に被害はなかった。捕獲隊によると、クマは体長七〇センチ、二歳ぐらいの雌。豚舎の中を歩き回り、豚の餌を食べていたとみられる。養豚場の関係者は「びっくりしたが、豚や豚舎に被害がなくて良かった」と話した。同市では昨年秋にクマが多数出没。クマ出没非常事態警報が出ている間に人身事故も四件起き、射殺されたクマは十九頭に上った。養豚場近くでも一頭がおりで捕獲されていた。今年一月初めにも同市大海寺野で子グマが目撃されている。捕獲隊員は「親グマが射殺されて残った子グマが冬眠できずにいる。冬眠から目覚めるのは四月ごろだが、暖かくなると、冬眠していないクマが早く動きだす」と話し、注意を呼び掛けている。
(エゾシカ駆除支援、偵察ヘリから情報:北海道)
陸自北部方面隊(総監・千葉徳次郎陸将)と北海道が1月28日、道内の農林業に年間50億円以上の被害をもたらしているエゾシカの駆除に関する支援協定を締結し、全国で初めての大規模エゾジカ捕獲事業「白糠の夜明け作戦」が2月8日から10日まで道東の白糠町で行われた。北方から5旅団隷下の27普連(連隊長・福永正之1佐、釧路)と5飛行隊(隊長・樋口康伸2佐、帯広)が参加、観測ヘリなどを使いシカの位置や動きを捕獲チームに伝え、捕獲されたシカを車両で運搬した。北海道には21年10月現在約64万頭のエゾシカが生息すると推定され、食害を中心とした農林業への被害総額は年間約51億円(21年度)に及ぶ。市町村の駆除と猟友会会員のシカ猟で毎年約9万2000頭が捕獲されているが、エゾシカの自然増加率は約20%(約13万頭)と捕獲数を上回る。対策を検討してきた道は22年春に捕獲事業への協力を陸自北方に打診。北方は地方公共団体からの「土木工事等の受託」を定めた自衛隊法第100条に基づき協力する方針で調整を重ね、1月28日、捕獲事業に関する協定を結んだ。道の捕獲事業の内容は、エゾシカの大量生息が想定される地域で道職員や猟友会会員を乗せた陸自ヘリがシカの位置と移動方向を把握、地上で待機した猟友会会員に伝え、飛行音に驚き森を出たシカをハンターが射撃、処理済みのシカを陸自隊員が所定の集積地まで運ぶというもので、協定に盛り込まれた陸自の協力事項は、捕獲時のヘリによるエゾシカ監視、車両での個体運搬、道東のエゾシカ生息状況調査の三つ。捕獲実施区域は地元猟友会などからの情報に基づき白糠郡白糠町右股地区、期間は2月8日から10日までとされ、道が全体調整や報道対応など、白糠町と猟友会白糠支部が捕獲部隊編成とシカの処理、森林管理局が道路除雪を担当。北方は27普連(釧路)の福永正之連隊長以下、隊員約40人と高機動車11、資材運搬車2、スノーモービル3など車両約20両、5飛行隊(帯広)のUH1多用途ヘリとOH6観測ヘリ各1機が参加し、道、町、自衛隊、管理局の合同チーム約120人が「白糠の夜明け作戦」としたエゾシカ捕獲作戦に臨んだ。8日朝、白糠町二股の学校跡地の仮設へリポートに待機した5飛のヘリが道職員らを乗せ離陸。捕獲区域内で最も地形が急峻な森林の上空を低空で飛び偵察を行った。森林内にエゾシカの姿は確認されたが、飛行音を聞いても森から出ず、この日の捕獲数はゼロ。9日は捕獲場所を道道ゲート付近に変え、猟友会会員7人が森の奥に入りシカを追いたて3頭を捕獲。最終の10日は2日目と同じ地域でハンターの射撃待機位置を道道付近から森外縁部と山中に進め、ヘリからシカの位置情報を受け移動させた結果25頭を捕獲。3日間の総捕獲数は28頭だった。捕獲されたシカは陸自隊員がスノーモービルや資材運搬車で集積場に集め、最終的に釧路市内のペットフード工場に運ばれた。また、道東のシカ生息状況調査が行われ、道職員を乗せたヘリが釧路湿原、走古丹(はしりこたん)、別寒辺牛湿原(べかんべうししつげん)に飛び、エゾシカ990頭を確認した。今回の捕獲事業を支援した福永連隊長は「自治体との連携要領や資材運搬車での運搬要領などを演練でき、十分な成果があった」と話し、道環境生活部も「エゾジカの生息状況調査は今後の捕獲事業立案などにも役立つ。陸自にはこれからも事業への協力を要望していきたい」と話した。
(オットセイ、松前で捕獲調査:北海道)
渡島管内松前町沿岸にオットセイの来遊が増え、漁業被害が深刻化していることから、道はオットセイの食性解明のため、今月下旬にも同海域で猟銃での捕獲調査に着手する。また北大は同海域で網で生け捕りにし、衛星発信器を装着し回遊ルート解明を目指す。オットセイ捕獲は「ラッコ・オットセイ猟獲取締法」(1912年施行)で禁止されているが、学術研究目的の例外として水産庁が両調査を許可した。同庁によると猟銃捕獲は全国で5例目。道水産振興課によると、北海道の沿岸で行われるのは「今回が初めてではないか」という。網での捕獲は全国で28例目。道の調査は6頭を上限に猟銃で捕殺し、胃の内容物や肝臓を分析し、何を食べているか調べることで具体的な対策につなげる。一方、北大は10頭を上限に流し網で生け捕りにし、小型衛星発信器を装着して海に放し、未解明な生態を調べる。いずれも松前町と松前さくら漁協、道漁連などが協力し、同町沖約20キロ以内の沿岸で行う。
(細菌性腸炎でカラス大量死:秋田)
にかほ市象潟町の象潟海水浴場キャンプ場で、今月5〜16日に計54羽のカラスが大量死していたことが18日、分かった。県が病理検査した結果、細菌性の腸炎が原因と判明。鳥インフルエンザの簡易検査では抽出した検体16羽すべてが陰性だった。県自然保護課によると、死骸の大半がハシボソガラス。同課は「簡易検査で大量の検体を調べたが陰性だった。鳥インフルエンザへの感染の可能性は低い」とみている。国立環境研究所(茨城県つくば市)に詳細検査を依頼した。一方、県食肉衛生検査所(鹿角市)で病理検査を実施。細菌により腸が壊死(えし)する腸炎にかかって死んだことが18日判明し、同所で細菌の特定を進めている。キャンプ場は松林で覆われ、カラスのねぐらとなっていた。
(建設会社会長宅に発砲:福岡)
19日未明、川崎町の建設会社会長宅に散弾銃が撃ち込まれる事件が発生しました。 発砲されたのは、川崎町の建設会社会長の自宅で、警察が調べたところ、アルミ製玄関のドアなどに散弾数発が撃ち込まれているのが発見されました。 当時家にいた家族4人に、怪我はありません。
(貸し切り電車で日本酒とシカ肉:静岡)
貸し切り電車で伊豆の日本酒とシカ肉料理を味わう「日本酒電車『イズシカトレイン』」が18日夜、伊豆箱根鉄道駿豆線(19・8キロ)で運行された。昨年のビール、ワインに続く同線3回目の企画。満員の約90人を乗せた3両編成の電車が約2時間半かけて三島-修善寺駅間を往復した。乗客は、車両の通路に固定した長テーブルをはさんで乾杯。地元の酒蔵「万大醸造」が提供した日本酒を酌み交わしながら、シカの食害対策グループ「イズシカ問屋」が準備したシカ肉のローストやメンチカツなどを味わった。修善寺駅を折り返すころ、車内の盛り上がりはピークに。職場の同僚8人と参加した沼津市大平の団体職員、原國夫さん(55)は「お酒はおいしいし、シカ肉も臭みがなくて絶品です」と話していた。イズシカトレインは25日も運行予定で、伊豆市主催の婚活サークル「i-リーグ」のメンバーも参加する予定。
(住民がシカ食害対策組織:岩手)
ホンシュウジカの食害対策を目的とした大船渡市日頃市町の住民組織「五葉山麓鹿対策日頃市地区協議会」の設立総会は17日夜、日頃市地区コミュニティセンターで開かれた。地域住民によるシカ対策組織の設立は県内初。農地の適正管理などシカの適正頭数実現に向け、地域を挙げて取り組む。地域公民館長や農業委員、農協、森林組合、市議ら地元関係者の会員27人で構成。会長に設立準備会長の佐藤善士同地区公民館長を選出した。協議会の活動は▽農地周辺の耕作放棄地の解消▽水稲作業終了後の農地管理▽シカ防護用ネットの設置・管理のボランティア参加―など、シカ食害防止のために住民ができることを実施。地元の視点を生かした要望活動も行う。県内全域に生息域が拡散しているホンシュウジカだが、五葉山地区の農林業被害は依然として深刻だ。食害は農業者の意欲も奪う問題となっている。佐藤会長は「要望もしていくが、他力に頼るだけでは成果に限界がある。なんとか解決するよう地域の力と知恵の結集が必要だ」と力を込める。
(鳥獣被害対策優良活動表彰:岐阜)
郡上市和良町宮地の農家団体「宮地集落協定」(大野高芳代表)が国の10年度「鳥獣被害対策優良活動表彰」の生産局長賞に選ばれ、17日、東京で表彰式が行われた。イノシシやサル、シカなどの被害に頭を悩ませてきた同集落だが、模索の末に編み出した対策は県内他市町村にも波及しており、受賞は雪深い山里に明るいプレゼントとなった。農林水産省が、鳥獣被害対策活動に貢献している人と団体を表彰し、その取り組みを紹介することで被害軽減を図る。昨年度から始まり、今回が2回目。宮地集落は全51戸のうち46戸が農家で、耕地面積は約20ヘクタール。稲作が中心で、残る5戸も家の近くの畑で自宅用の野菜などを作っている。電気柵からワイヤメッシュ柵へ転換したイノシシ対策や、共同で追い払うサル対策など、獣害対策に創意工夫をこらしてきた。
(わな猟、初めて一般も対象:長野)
佐久市猟友会や市などは20日、同市臼田運動公園で、わな猟の講習会とジビエ(野生鳥獣肉)料理の試食会を開いた。これまでも猟友会が会員向けに同様の催しを開いたことはあったが、会の活動を周知し、わなを使う人も増やそうと、初めて一般市民も対象に開催。約30人の参加者の大部分は猟友会員以外で、わなの設置方法などを会員から学んだ。猟友会員は脚などを縛り付けるワイヤ製のわなや、小型のおりなどを紹介。林の中で、実際にイノシシやシカを捕らえるわなを設置し、「動物に気付かれないように、カムフラージュして」などと呼び掛けていた。講習会後は、会員が捕獲したシカ肉を使ったカレーを味わった。参加した佐久市の農業小林瑶樹(たまき)さん(66)は「畑が山の近くにあり、サルやイノシシの食害がある。免許取得の講習を受けたい」。市猟友会の重田元一会長(63)は「狩猟免許を取り、工夫を重ねて成果を挙げてほしい。動物に蹴られたりすると危ないので猟友会に入り、保険に加入して活動を」と話していた。
(芸備線でシカはねる事故多発:広島)
広島市安佐北区白木町や周辺のJR芸備線で、今年に入り列車がシカをはねる事故が相次いでいる。20日朝も同じ列車が2頭に衝突。同日現在、運休に至った事故は4件に上る。現場はいずれも田畑が広がる山の麓。専門家は昨夏の猛暑の影響で山に餌がなく、人里に下りているためとみている。20日午前5時55分ごろ、同町の向原―井原市間で三次発広島行き普通列車がシカをはねた。約15分後に運転を再開したが、同6時15分ごろ、今度は井原市―志和口間で別のシカをはねた。JR西日本広島支社によると、後続の1本が運休。計3本が27~10分遅れ、約600人に影響が出た。2回目の現場近くに住む会社員男性(61)は「ここ2、3年、よくシカを見かけるが、今年は多い。作物が荒らされて困る」と話す。JR西日本広島支社によると、同町一帯では1月6日、同20日、2月1日にもシカをはね、後続列車が運休する事故が起きた。昨年の同時期は1件もなかったという。同社は「発見すれば警笛を鳴らすなどしているが、飛び出してくるので避けるのは難しい」と対応に苦慮している。
(「シカ対策にオオカミ」の議論を:大分)
イノシシやシカなどが農作物や樹皮を食い荒らす被害が各地で後を絶たない。大分県豊後大野市(4万600人)の橋本祐輔市長(はしもと・ゆうすけ=56)は、かつて森の食物連鎖の頂点に君臨したオオカミを導入し、有害な動物を駆除することを「選択肢の一つとして議論すべきだ」と異色の提案をしている。食害対策が手詰まりで、「このままでは生態系が破壊される」との強い危機感が背景にある。原生林の生い茂る祖母傾(そぼかたむき)国定公園が一角にある同市。近年はイノシシとシカの食害が山あいの住民の悩みの種。「シイタケ、水稲、野菜とあらゆる農作物のほか、クヌギの芽や植林したスギ、ヒノキの皮も食べられてしまう」と、橋本市長はため息をつく。被害額は2009年度までの4年間で約1億6500万円で、動物の侵入を防ぐための電気柵への市補助は10年度まで5年間で約1100件に上った。「生活できなくなる、何とかしてほしいとの声も寄せられている」というから切実だ。猟友会によって今年度は計840頭のイノシシとシカが駆除されたが、効果は限定的。市は1月から狩猟期間中であってもシカ1頭につき6000円の報奨金を出す制度を始めた。その猟友会はメンバーの減少に加えて平均年齢が65歳前後と高齢化しており、駆除は「あと10年で危機的状況になる」と心配されている。ニホンオオカミは約100年前に絶滅したため、市長の構想はモンゴルなどから輸入した亜種のハイイロオオカミの群れを山奥に放つというもの。米イエローストン国立公園ではオオカミの導入で、増え続けていたシカが減った実績がある。構想のヒントとなったのが、オオカミの復活を唱える「日本オオカミ協会」の丸山直樹東京農工大名誉教授らの提言。昨年8月には同教授らを招き、講演会や猟師らへの聞き取り調査を行った。「西洋の童話の影響でオオカミは怖いという先入観が人々にある。しかし、明治以前まで日本人は尊敬の念を持ってオオカミと接してきた。人を襲わないと専門家は指摘している」と理解を求める。ただ、住民や関係機関の合意に向けてのハードルは高い。実際、環境省は「オオカミが増え過ぎたらどうするのか。狩猟者を増やすなど先にやることがあるはず」(自然環境局)と否定的だ。市長は「異論も賛成意見もある。法のすき間を縫ってまで導入しようとは思わない」として、まずは導入に関する議論を喚起したい意向だ。「食害で樹木が駄目になったら植生が変わり、山が削られていく。生態系破壊のリスクと、オオカミ導入のリスクをどう考えるか。他の自治体関係者と情報を共有していきたい」と市長。解決策を模索しながら、食害との闘いはこれからも続く。
(イノシシ食害、トウガラシ縄に予防効果:徳島)
徳島県三好市池田町のボランティアグループ会長、久保進さん(70)が製作した「トウガラシ縄」が、イノシシ被害を防ぐのに効果があることがわかった。しかし、鹿にトウガラシを食べられるなどしたため、4月から、鹿が嫌がるミツマタのエキスも散布して効果アップを目指す。久保さんは毎年、黒沢(くろぞう)湿原にサギソウを移植しているが、イノシシに荒らされ対策に頭を悩ませていた。中国四国農政局の資料で、トウガラシのエキスをしみこませたロープを畑に張ると、イノシシが寄ってこない――という栃木県内の高校生の活動報告を読んで挑戦することにした。昨年6月20日、サギソウの移植と同時にトウガラシを等間隔に挟み込んだ縄を黒沢湿原内のサギソウ園に張り巡らして実験を始めた。12日目までは園は荒らされていなかった。19日目に1頭が侵入した形跡があり、少し荒らされていた。その後、トウガラシの一部がなくなったため、8月29日に縄を新しいものに取り換えた。10月になって園の泥地を渡る板橋から侵入したのか足跡はあったが、一昨年まで見られた“開墾”されたようにはなっていなかった。久保さんは「他の野生動物の対策は必要だが、イノシシよけに効果があることが分かった」と話す。この結果を、今月16日に開かれた県の会合で報告、各方面から注目された。今年はミツマタのエキスを園の周囲に散布するなどして、4月からトウガラシ縄を設置する。さらに、昨年、イノシシの被害を受けて収穫量が大幅に減少したソバ畑の周囲にトウガラシを植えて試すことにしている。久保さんは「イノシシ対策に少し光が見えた。今年はさまざまな工夫をして、サギソウの花を咲かせたい」と意気込んでいる。
(ハヤブサから鳥インフルエンザ:京都)
全国に広がる高病原性鳥インフルエンザ。府内でも野鳥のハヤブサからH5型ウイルスが確認される非常事態になった。旧丹波町(現・京丹波町)の養鶏農場で発生した04年以来の確認となったが、当時、農場の発生の無届けでまん延させた苦い経験もあり、府や関係者らは敏速な初期対応に追われた。ハヤブサの死骸が見つかった精華町の「けいはんな記念公園(府立関西文化学術研究都市記念公園)」は町役場から約2キロ離れた住宅街の一角。約24ヘクタールの広大な敷地に森林や日本庭園などがある。池周辺は秋~冬にかけてカモをはじめとする野鳥40~50種類が集まることで知られ、地域住民の憩いの場にもなっている。同公園によると、16日夕、遊歩道近くで利用客がハヤブサの死骸を発見した。直ちに園内の有料エリアを閉鎖して消毒するとともに、発見場所が無料エリアにも近いことから周辺の人や車の通行も制限している。職員が園内の巡回を続けているが、今のところ他に異常はなく、18日午後から通常営業に戻る見込み。府は遺伝子検査(PCR検査)で高病原性が判明した後、半径10キロ以内を監視区域に設定した。区域内の養鶏農家6戸(飼育100羽以上)に立ち入り調査した上、野鳥が集まる水辺などを巡視したがいずれも異常はなかったという。1週間以内に府内全96農家に消毒用の消石灰を配布する予定。17日午前、府庁で緊急に開いた警戒本部会議で本部長の山内修一副知事は、野鳥監視の徹底▽農家に対する人や車両の通行制限▽鶏舎などへの野生動物の侵入防止--を指示。府民にも、死亡野鳥を見つけた場合は素手で触らず、府や市町村に連絡するように呼び掛けるという。

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2/18
(カワウ対策へ連携、予算案1878万円:徳島)
徳島など2府5県でつくる関西広域連合の広域環境保全局(事務局・滋賀県)は、府県を越えて移動し、アユの稚魚を食べるなど漁業被害を起こしているカワウの対策に取り組む。20日の連合議会2月定例会に提案される2011年度予算案に、計画策定費など1878万円を盛り込んだ。鳥取を除く2府4県のカワウの生息数や漁業被害状況などを調べ、被害防除に関する研究を進める。12年度に広域での対策や保護管理策を盛り込んだ計画を策定する。カワウによる漁業被害は、大規模な営巣地がある滋賀県の琵琶湖をはじめ、徳島県の吉野川流域や和歌山、奈良両県の紀ノ川などでも深刻化している。営巣地では、大量のふんで樹木が枯死する被害も出ている。徳島県は3、7、12月の年3回、カワウの生息状況を調査。昨年12月の調査では、河口や沿岸部など25カ所の営巣地に1234羽が生息していた。生息数を基に試算したオイカワやアユなどの漁業被害は、09年度で約1億3900万円に上っている。アユの遡(そ)上(じょう)期には、県内の各漁協が猟友会にカワウの駆除を依頼しているほか、花火で追い払ったり、川に糸を張ったりしている。県も対策に補助しているが、いたちごっこが続いている。
(有害鳥獣駆除の捕獲計画数承認:長野)
大町市の有害鳥獣被害防止対策協議会が17日、市役所で開かれ、来年度の捕獲計画数を承認した。農産物などの被害が拡大しているサル、シカ、イノシシは本年度の約2~3倍の捕獲数を掲げたが、駆除に当たる猟友会側は、従事者の減少や高齢化などで「非現実的」と指摘。市は捕獲に対する「報償金」の追加も今後検討するとした。
(イノシシ捕獲へ竹製おりを設置:福岡)
春先に収穫の最盛期を迎える北九州市の特産品「合馬のたけのこ」をイノシシによる被害から守るため、小倉南区の生産者や地元住民が、合馬地区の放置竹林の竹などを活用した捕獲用おりを試作し、設置する。区役所は「竹製のおりは九州で初めての試みではないか。放置竹林の竹を使い環境にも優しい取り組み」と、期待している。北九州市ではイノシシによる水稲や野菜などの農作物の被害が相次いでいる。収穫前のタケノコが食べられるケースもあるという。22日に市森林組合合馬作業所(同区辻三)で試作する竹製のおりは、岡崎市(愛知)の猟友会メンバーが考案したもので、鉄製に比べて費用が半分以下と安く、大人2人で持ち運べる軽さが特徴。竹のほかに間伐材や金具などを使って補強し、大きさは縦1・9メートル、横1・2メートル、高さ1・3メートルの「コ」の字型。イノシシが中で餌を食べると出口がふさがる仕掛けになっている。先月中旬に区役所や生産者などがイノシシ被害の対策会議を開き、試作品の設置を決定。22日は約10人がボランティアで製作し、地元猟師が選定したポイントに設置する。区役所は「効果があれば区内で設置を広げたい」と話している。
(シカ列車事故増困った:京都)
シカによる農作物被害が全国で深刻化するなか、京都府北部や中部でシカと電車の衝突事故が増えている。事故が多いJR山陰線や舞鶴線では本年度、過去最多となる約300件発生。JR西日本福知山支社は、防護柵を設けるなどあの手この手の対策に追われるが、「抜本的な解決は難しい」と頭を悩ませている。府北部・中部や兵庫県を結ぶ福知山線や播但線を管轄する同支社によると、管内では、動物が原因でダイヤに影響が出る件数は毎年500件近くに上る。しかし、本年度はすでに600件を超える勢い。中でも、山間部を走る園部駅以北の山陰線と舞鶴線ではここ数年右肩上がりに増加。本年度は昨年末時点で計293件と、すでに昨年度(282件)を上回っている。両線での発生場所は、福知山市の上川口-下夜久野駅間が64件と最も多く、次いで南丹市日吉町と京丹波町にかけての胡麻-下山駅間が52件。全体の8割以上をシカが占め、事故処理や車体の修復に数十分かかる例もあったという。同支社はこれまでに、オオカミの尿のにおい成分を入れた容器をつるすなどの対策を講じてきたが、目立った効果はなかった。そこで、本年度は多発区間に500メートルから2キロの防護柵を順次設置。昨年3月からは、上川口-下夜久野駅間の一部で夜間の上下計4本を徐行運転する試みも始めた。シカの個体数増と生息域の拡大に伴い、電車との衝突事故は全国的に増えており、ここ数年は府南部でも確認されている。鉄道各社はライオンのふんをまくなどの策を試しているが、被害に歯止めはかかっていない。同支社は「影響を最小限に抑えられるよう、今後も有効な対策を考えたい」としている。京都府立大の田中和博教授(森林計画学)の話 動物によっては特定のほえ声や周波数を嫌う場合があるので、それを応用する手も考えられる。行政と鉄道会社、大学が情報を共有して、連携を図っていくことが大切だ。
(クマ捕獲上限229頭に:山形)
県は16日、特定鳥獣保護管理検討委員会を開き、2011年度のツキノワグマの捕獲数の上限を、今年度より11頭多い229頭とする方針を明らかにした。昨年クマの出没が相次いだことなどを考慮した。3月中に正式決定する。県はクマの個体数維持と人や農作物への被害防止を目的に、09年度から3カ年の保護管理計画を策定し、捕獲上限数を毎年定めている。11年度は県内のクマの生息数を1985頭と試算し、人里への出没状況や市町村の要望などを踏まえて、今年度を上回る上限数を設定した。マタギの技術継承や生息状況の調査のため、例年4~5月に行う「春季捕獲」は前年より3頭多い86頭とした。委員会は専門家や自然保護団体、行政などで構成。「民家に出没した場合、放獣だけでは住民の理解を得にくい」といった意見の一方、「殺さずに済む方法を考えるべきだ」「居住区への出没を減らすための議論が必要」との意見もあり、自然保護と住民の安全安心の両立の難しさが改めて浮き彫りになった。県によると、今年度はクマの目撃情報が前年度の4倍以上の287件で、計11人が襲われるなどして負傷した。これまでに上限を2頭上回る220頭が捕殺されたという。
(シカ調査中に人骨見つける:千葉)
17日午後1時15分ごろ、千葉県南房総市千倉町川戸の山林内で、人骨のようなものが黒色のジャンパーに包まれて、枯れ葉の間に埋まっているのを、シカの生息調査をしていた民間野生動物調査会社のアルバイト職員の男性(27)が、発見した。館山署が調べたところ、人骨の一部と判明。頭部や、大腿骨(だいたいこつ)以外の下半身は見つかっていないという。白骨化していることなどから死後数カ月以上経っているとみられ、ジャンパー内にあった運転免許証から県外の男性とみられる。現金はなかったが、クレジットカード3枚を所持していた。同署で身元の確認を急いでいる。
(環境省、野鳥3種の強毒性確認)
環境省は17日、徳島、大分、宮崎の3県で回収された野鳥について、確定検査の結果、強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が確認されたと発表した。北海道稚内市で野生のカモのふんから見つかったウイルスと「極めて近縁」という。判明したのは▽徳島県那賀町で見つかったフクロウ1羽(8日に回収)▽大分県中津市耶馬渓町で見つかったオシドリ3羽(7、8日に回収)▽宮崎県諸塚村で見つかったカイツブリ1羽(8日に回収)。いずれも鳥取大で検査していた。環境省は発生地周辺10キロの警戒レベルを最高度の「3」に引き上げ監視を強化。今後、発生地周辺の野鳥の感染状況を把握するためふん便調査を実施する。
(鳥インフル強毒性:徳島)
県は17日、那賀町臼ケ谷の那賀川支流の谷で見つかり、高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されたフクロウから、鳥取大の検査で強毒性ウイルス(H5N1亜型)が検出されたと発表した。環境省は発生地の半径10キロ圏内について、警戒レベルを最高の「3」に指定。県と連携して19、20両日、野鳥のフン便調査を行う。県は感染を確認した9日以降、独自に同圏内を監視区域に定め、環境省の警戒レベル「3」と同等に臨んで養鶏農家への立ち入り検査を実施。異状がないのを確認した。さらに県内全域で死んだ野鳥を調べ、44羽(17日現在)を簡易検査したが、感染はなかったという。今回の検査結果により、環境省は同圏内の警戒レベルをこれまでの「2」から「3」に引き上げた。発生地周辺の野鳥の感染状況を把握するため、同省職員が中心になって圏内でフン便100~300個を採取し、遺伝子検査を行う。一方、県はフン便調査への協力とともに、引き続き死んだ野鳥の調査を行い、感染リスクの高い33種以外のフクロウ類、カモ類も検査対象に追加する。感染したのが野鳥のため、これまで通り、飼育されている鶏の移動制限は行わない。
(オオハクチョウ陽性:北海道)
環境省は17日、北海道厚岸町で死んだオオハクチョウ1羽を回収、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性反応が出たと発表した。北海道大で確定検査する。道内では、今回の発見場所から東に十数キロ離れた浜中町で、1月12日~2月7日に回収したカモなど野鳥8羽から強毒性ウイルスが確認されている。
(クマの冬眠は超省エネ、代謝活動4分の1に)
冬眠中のアメリカクロクマは、生命を維持するための代謝活動が通常時の4分の1のレベルにまで低下していたと、米アラスカ大フェアバンクス校などのチームが、18日付の米科学誌サイエンスに発表した。体温の低下は6度ほどにとどまっており、動物は体温が10度下がると代謝が半分程度に低下するとの通説を上回る結果。厳しい自然環境で暮らすクロクマの、驚くほどの“省エネ”が示された。5~7カ月に及ぶ冬眠中には筋肉や骨の量は減らないことが分かっており、チームは今回のデータを骨粗しょう症防止の薬や、将来の宇宙旅行などの分野に応用できるのではないかとしている。研究対象は、アラスカ中南部などで人里に近づき捕獲された5頭。人工の巣に入れ食べ物や飲み物は与えずに、赤外線カメラや体内に埋め込んだ無線送信機で冬眠中の生態を調べた。クロクマの通常の体温は37~38度。冬眠中は30度を下回ることはなく、数日間隔で30~36度の範囲を上下していた。冬眠から覚める前には36~37度に上昇した。一方、代謝活動は大幅に低下したまま推移。心拍数も、通常時の1分間55回程度から14回程度に減っていた。冬眠から覚めて2~3週間は、体温が上がっても代謝活動レベルは半分ほどだった。ただ、妊娠中の体温は冬眠中でも高いままだった。胎児の成長には、体温の低下や変動は望ましくないとみられる。

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2/17
(新燃岳噴火、シカ大量死の可能性:宮崎)
九州森林管理局は15日、宮崎県小林市で、霧島連山で増えたシカが及ぼす影響について考える「九州森林環境シンポジウム」を開いた。この中で、宮崎大学の岩本俊孝教授(動物生態学)が、新燃岳の噴火に絡み、「灰にエサが埋もれ(シカが)大量死する可能性がある」と指摘した。岩本教授によると、シカは春先まで雪が残るような寒さが厳しい冬の後にはエサが少なくなるため、大量死することがあるという。今回の新燃岳の噴火では、場所によっては大量の火山灰にエサが埋もれた可能性があり、岩本教授は「同じように大量死することもあり得る」と説明した。一方、九州森林管理局は、この地域の一部のシカに全地球測位システム(GPS)を装着し行動確認をしている。爆発的噴火前の1月20日と、爆発的噴火が始まった後の2月3日の行動を比べたところ、降灰の多い新燃岳の火口から南東約5キロ付近にいるメスは、火口から離れるように活動域を広げ、降灰のほとんどない東北東約8キロにいたオスは、さらに約1.5キロ遠ざかったという。石神智生指導普及課長は「調査個体が少なく、降灰の影響かどうかは明確ではないが、今後も活動域の変化に、注目していきたい」と話した。
(鳥獣被害で防止対策連絡会:岩手)
県は、増加する鳥獣による農作物被害を防ぐため、市町村や農協、猟友会など関係31団体・機関と「鳥獣被害防止対策連絡会」を設け、14日、盛岡市で初会合を開いた。09年度の被害総額は2億8159万円に上るという。面積は5964ヘクタール、被害作物は8069トンだった。県は、参加者が連携し被害や生息など実態調査や地域一体となった防除環境づくり、人材育成などに取り組む素案を示した。被害の大きいニホンジカ、ツキノワグマ、カモシカ、ハクビシン、カワウなど8種類の鳥獣に重点的に取り組む方針も盛り込んだ。参加者からは、対策を急ぐよう求める意見などが出た。県猟友会の担当者は、会員が2000人を割るなど減少している現状を紹介した。「地域でもやれることをやってほしい。銃はお金もかかるが、わなならかからない。農家も免許を取ってほしい」と訴えた。
(ニホンジカ農業被害、初の全県生息調査へ:岩手)
県は14日、ニホンジカの農林業被害拡大を受け、11年度に初めて全県域で生息分布調査を検討していることを明らかにした。県は08年度から目撃情報を収集していたが、農業被害増加に歯止めがかからず、耕作放棄する農家すら出ていた。県鳥獣被害防止対策連絡会で説明した。会議で県は、生息、移動状況などの情報収集に努め、効率的な有害鳥獣捕獲を進めると説明した。質疑では、自然保護課担当者が「生息分布を確認したい。データを元に個体数を管理したい」と述べた。生息分布調査は、糞(ふん)や足跡などを調べて生息場所や数を推測する方法を検討しているという。県はこれまで、大船渡、釜石、陸前高田3市と住田町にかかる五葉山区域のみで、保護を目的に頭数を調査していた。ニホンジカによる農業被害は、02年度以降増加傾向となり、08年度に1億円を突破した。09年度1億5392万円と鳥獣別で最も多い。このうち、遠野市が最多の9582万円で、大船渡市2075万円、釜石市2062万円と続く。シカの捕獲数は有害鳥獣の駆除目的と狩猟を合わせて1938頭だった。
(ハンター減少深刻化、進む高齢化で7割が60代以上:三重)
ニホンジカとイノシシの農作物への被害が続くため、県は15日までの狩猟期間を、初めて1カ月間延長する。だが、頼みの綱のハンターは、高齢化で減り続けている。「動物と共生って言うけど、これだけ被害に遭うと、もうどうしたらいいんだか」前掛けのポケットに「サルやシカを追い払うため」という爆竹とライターを忘れない亀山市関町久我の女性(70)は、そうこぼす。山あいの家のそばで、四方を網で囲ってダイコンやキャベツを栽培するが、シカが角で網をたぐり上げて中に入るため、地面から数十センチほどの高さまでトタン板を張り巡らした。「被害はこの3、4年がひどい」と話す。県自然環境室によると、野生動物による被害は2009年度、県内で7億8千万円を超えたが、このうち約5億円がシカとイノシシだった。シカの被害は3億4605万円で、1987年以降で最悪だった08年(3億5039万円)に迫った。イノシシの被害も00年以降で最悪の1億5100万円にのぼった。イノシシは田畑を掘り返し、イネや野菜を荒らす。シカは植えた木の芽をかじり、最近では成長した木の皮をはぐ被害も相次いでいる。森林被害で、オオミネヒメハナカミキリなど昆虫の希少種8種も減っていることが「県レッドデータブック2005」に報告されている。09年の捕獲数は、シカが80年以降で最多の1万979頭で、初めて1万頭を突破。イノシシは7434頭で、75年以降で最多の08年に次ぐ多さだった。県は07年から、雌ジカに限り、1頭につき1万円を上限に市町に補助金を出し、捕獲数を増やそうと躍起だが、被害が減らないため、県は昨年11月15日から始まった狩猟期間を、シカとイノシシに限り、今年度と来年度は1カ月間延長して3月15日までにすることにした。だが、カギを握る狩猟登録者は80年には9192人いたが、09年は3527人。高齢化も進んでいる。県猟友会(津市)によると、会員は60代が最も多く、60~80代が7割近くを占める。田山弘恵事務局長は「年代が若くなるほど会員は減る一方。銃の規制が厳しくなったことと、趣味の多様化などが原因ではないか」と話す。猟銃を扱うには、県の狩猟免許試験に合格し、公安委員会の鉄砲所持許可を取る必要があるが、07年の長崎県での散弾銃乱射事件を受けて銃刀法が改正され、銃の所持が厳しくなった。実包1発ごとに細かく帳簿につけることが義務化されたほか、3年に1度の免許更新で射撃技能がチェックされ、狩猟前には狩猟期間ごとの射撃練習が義務づけられた。
(農林水産省「鳥獣被害対策優良活動表彰」受賞:滋賀)
集落をあげてシカなどの獣害対策に取り組んだ高島市今津町の角川(つのかわ)農業組合が農林水産省の「鳥獣被害対策優良活動表彰」団体に選ばれた。組合長の池田計巳(かずみ)さん(57)は「獣害を減らすには地道にやるしかない」と、雪解けとともに新たな気持ちで取り組むことにしている。同表彰は獣害の被害防止に貢献した個人や団体に贈られるもの。同組合は、団体部門で最優秀の農水大臣賞に次ぐ生産局長賞を受賞した。17日に東京で表彰式がある。福井県境に近い角川地区は63世帯110人で、65歳以上の高齢者が6割を占める山あいの集落。17.4ヘクタールの耕地が点在し、サルやシカが畑だけでなく、庭先にも出没し、野菜や果物を食い荒らしていた。「行政に頼るだけではだめだ」と池田組合長と中河宏さん(54)、沢田常三さん(58)ら集落の「若手」5人で3年前、「わな猟」の免許状を取得した。ヤブに分け入り、獣道の周辺に箱形や囲み式のわなを8基仕掛け、シカの好物の米ぬかをまいた。朝夕の見回りも欠かさなかった。一方で、被害防止のため、耕地一帯を電気柵で囲むことにした。延長約5600メートルの柵が必要となり、業者に頼んだ場合、約6千万円の費用がかかる計算になった。県と市から1メートル当たり4千円の補助金が出るが、半分以上足らない。会合を重ねた結果、組合の積立金などを充てるほか、耕地の地権者約50戸に1反(約10アール)当たり2万9千円を拠出してもらうことにした。さらに、設置費を安くするため、自分たちで柵を作ることにし、一昨年に約3200メートル、昨年約2400メートルを設け、2年で仕上げた。取り組みの成果はすぐに出た。一昨年はシカ53頭、イノシシは22頭を捕獲。昨年は、捕獲後の処分を猟友会に委託したため、記録はないが、ほぼ同じぐらいだったという。池田組合長は「柵作りのときも、女性陣が食事の用意をしてくれるなど、集落一体で取り組んだ。現在もシカなどが寄ってこないよう、生ゴミの処理や、稲を刈った後に生えてくるヒコバエの除去などを徹底してやっている」と胸を張る。今では周辺の集落から「教えてほしい」と見学に訪れるほどで、それが地区の自慢になっている。県内のシカによる被害は2009年度で231ヘクタール、約9600万円に上り、前年度から101ヘクタール、約5150万円増えた。これに対し、高島市では09年度は24ヘクタール、約2350万円で、前年度よりも15ヘクタール、約480万円減った。被害減少の背景として、同市では、鳥獣被害防止特措法に基づいて09年4月に、猟友会の会員らによる駆除隊を県内で初めて編成。シカの捕獲数は08年度の約1700頭から09年度は約3千頭に増えた。また、獣害防止柵の普及にも取り組み、市内110集落を合わせた総延長は琵琶湖の周囲(241キロ)よりも長い248キロにもなった。市の担当者は捕獲と防止柵の両面での対策が功を奏したとみる。ただ、市内での推計生息数は適正数の4倍と依然高いレベルにあるとされ、「まだ気を緩めることは出来ない状況」という。
(鳥獣対策で全国表彰:福井)
福井県鯖江市の「河和田東部美しい山里の会」(土田厚代表)が農水省の本年度鳥獣被害対策優良活動団体として表彰されることになった。イノシシ対策に集落が連携して電気柵の設置を行うなどの活動が評価され、県内の団体として初の全国受賞となった。この表彰は昨年度から始まり、今回は全国で4団体の受賞が決まった。同会は農水大臣賞に次ぐ農水省生産局長賞に選ばれた。山際の農家が個々に設けていた電気柵を集落ごとの設置に変えたが、イノシシは山際を回って隣接する集落から侵入した。このため、2007年に河和田地区のうち東清水、尾花、沢、上河内の4集落で同会を設立、地域を超えて柵を設置した。このほか、山際の遊休地に若狭牛を放牧して緩衝地帯とした。牛が草を食べるため、草刈りの省力化や、イノシシのえさになる収穫後の田んぼの二番穂の削減につながった。子どもからお年寄りまでが牛の見学に訪れるなど、鳥獣被害に関心のなかった住民への理解増進に役立った。土田代表は「みんなの協力のおかげで、イノシシの出没はなくなった。約30人の会員で組織しており、牛の放牧など今後も続けたい」と話している。17日に東京で表彰式がある。
(農林業食害対策にエゾシカ駆除:北海道)
様似町冬似、西様似の2地区で13日、エゾシカの一斉駆除が実施され、ハンター26人が出て24頭を射止めた。エゾシカ駆除は、農林業被害対策。日高管内各町長と猟友会支部長で構成する日高鳥獣被害防止対策広域協議会が、2013年まで取り組む。11年度からの駆除に向け、今回は町補助金を活用して様似町鳥獣被害防止対策協議会と道猟友会浦河支部様似分区が実施した。ハンター26人と町から3人が出動し、西様似山中では、東からエゾシカを追い込み、待機していたハンターが狙い撃つ作戦。当初目標(5頭以上)を上回る成果に、猟友会様似分区も手応えを感じたよう。事故防止のため、地域の軽種馬牧場に町や農協が事前に呼び掛け、牧場も放牧中の軽種馬を厩舎(きゅうしゃ)に戻すなどして協力した。2月下旬に新冠町でも計画されている。
(「農作物の獣害減らす」県対策本部が発足:和歌山)
県鳥獣被害対策本部が14日発足し、和歌山市小松原通1の県庁東別館農業環境保全室に看板が設置された。野生鳥獣の農作物被害を減らすため、県は11年度当初予算案で前年度比約2倍となる3億円を計上しており、対策を強化する方針。本部は副知事を本部長に、農林水産部、環境生活部、企画部、県警生活安全部、県猟友会、JA県中央会で構成する。7振興局にもそれぞれ地域本部を設置し、市町村と連携を図る。09年度の県内の農作物被害金額は約2億7850万円。内訳は、イノシシ=約1億3100万円▽サル=約4400万円▽シカ=約4600万円▽アライグマ=約2700万円▽カラス=約1400万円--となっている。事務局を務める同室は「体制を作り、困っている農家のために被害を減らしたい」としている。
(繁華街にイノシシ出没:兵庫)
15日午後8時半すぎ、兵庫・神戸市の繁華街にイノシシが現れた。体長およそ1メートルのイノシシが現れたのは、神戸市の繁華街。警察官は、警棒などを使って、イノシシを徐々に山の方へ追いやった。イノシシは40分ほど、街中を走り回ったあと、山に帰って行った。
(カラス捕獲おり登場:山梨)
甲府市の平和通りにカラスが集結し、歩道や道路標識が大量のフンで汚されている問題で、市は、同市丸の内の新市庁舎の建設現場に捕獲用おりの「1号機」を設置した。おりは縦約80センチ、横約160センチ、高さ約90センチ。市森林整備課が鉄骨や角材、金網などを使って独自に作り、14日に置いた。中にチキンナゲットやポップコーンのエサを置き、カラスが中に入ると外に出られなくなる仕組みだ。同課では近く、縦約180センチ、横180センチ、高さ190センチで、「1号機」より大型の「2号機」も設置予定。カラスはおりの中に別のカラスがいると寄ってくる習性があるといい、おとり用のカラスを捕獲して、おりに入れることも検討している。同課によると、おりは建設現場のうちカラスが集まっている場所に設置した。カラスに警戒感を抱かせて、平和通りから遠ざける計画だ。飯島敬良課長(55)は「カラスの好むエサや、より効果的な捕獲方法を検討したい」と話している。
(鳥インフル、6万7千羽の殺処分始まる:三重)
三重県紀宝町の養鶏場で鶏が大量に死んだ問題で、同県は16日、遺伝子検査の結果、高病原性のH5亜型鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表した。あわせて発生農場の鶏約6万7千羽の殺処分や、半径10キロ以内で鶏や卵の移動制限を始めた。鳥インフルの発生は昨年11月以降で全国18例目、同県では初めて。県の発表によると、15日の簡易検査で鶏10羽のうち6羽で鳥インフルの陽性反応が出たため、県中央家畜保健衛生所(津市)で、鶏の検体を遺伝子検査し、16日未明、H5亜型と確認した。県は16日午前3時50分、職員104人態勢で、この養鶏場の鶏約6万7千羽の殺処分を開始した。午前6時までに、大量死が発生した1棟の4300羽を処分。17日までにすべての鶏を殺処分する方針だ。この養鶏場の半径10キロ以内で、鶏や卵などの移動が制限され、消毒地点が設けられた。感染拡大がないかを調べるため、周辺農場への立ち入り検査も始めた。10キロ以内には6戸の農場があり、すべて三重県内。鶏やキジ、アヒル計約5万7千羽を飼育しているという。県によると、養鶏場では鶏の大量死が13日から始まっていたが、経営者が県紀州家畜保健衛生所(熊野市)に異常を連絡したのは15日朝だった。この間、鶏肉処理場への出荷も続けていて、県はこうした対応に問題がなかったかについても調査する予定。
(鳥インフルエンザ強毒性確認、新たに監視区域設定:福島)
県内で見つかった野鳥では6羽目、場所で2カ所目の強毒性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が確認された15日、県は新たに感染が分かったコハクチョウの発見現場から半径10キロ圏内の福島市、伊達市、桑折町、川俣町の一部を監視区域に設定。最初の郡山市で取ったのと同様の態勢で、16日から養鶏場や野鳥の監視に当たる。対策本部会議で佐藤雄平知事は「市町村と連携して正しい情報を県民に提供し、不安を解消するように」と指示した。コハクチョウが発見された県立橘高校は、福島市役所の西500メートルの市街地にある。県は監視区域内の警戒レベルを従来の2から最高の3に上げ、コハクチョウの飛来地を中心に、野鳥の異常死がないか調査する。現時点で最大の注意点は養鶏の感染の有無。今冬の宮崎県や愛知県のように、確認されれば同一施設内の養鶏はすべて殺処分され、経済的損失が大きい。県によると、福島市の監視区域内には63の養鶏関連施設がある。今回のコハクチョウから鳥インフルエンザの陽性反応が出た10日以降、まだ毒性が不明な段階で県が行った電話調査では、感染が疑われる大量死や産卵数低下はなかったという。県は16日から63施設を立ち入り検査して、防鳥ネットや消毒機器が整っているかを確認する。一方、同校は10日に屋上を消毒し、立ち入り禁止にしている。県内では1月、郡山市豊田町の市豊田浄水場貯水池で渡り鳥のキンクロハジロ(カモ科)の死骸5羽から強毒性ウイルスが検出された。県は半径10キロ圏内を監視区域に設定して、現在も監視を続けている。
(イケ面猟師と行く、冬の郡上若者猟師エコツアー:岐阜)
食の根源を知るエコツアーが登場!猟師が森を案内するツアー。半農半Xならぬ、半インタープリター半猟師を目指す若者たちが、狩猟免許をとり、この冬初めて猪を捕まえました。猟師ってどんなことをやるの? 郡上では何がとれるの?彼らの猟師としての冬の生活をのぞいてみます。お申込みは日本エコツーリズムセンター事務局。
(エアガンが体験できる「ザ・シューティングバー」:福岡)
今泉に2月2日、エアガン・シューティングバー「The Shooting Bar and Dining(ザ・シューティングバー アンド ダイニング)」(福岡市中央区今泉1、TEL 092-717-5018)がオープンした。店舗面積は約30坪。席数は約30席。実射距離6メートルの射撃ブース2レーンを設けた。コアターゲットは20~30代に据える。ハンドガン(25~31発=250円~)、ライフル(74発=900円~)、サブマシンガン(30発450円~)など約30モデルをそろえる。映画「レオン」でレオン(ジャン・レノ)が使用したモデル「ベレッタM92FSレオン」(25発=550円)や「M16A2ゴルゴ13カスタム」(75発=1,200円)などのほか、「生産が終了した貴重なモデルもある」と佐伯政治店長。フードメニューは「ニューヨークスタイル」をコンセプトにした料理を提供。自家製ローストビーフ「NYスタイル」(800円)や「シューティング・バーガー」(600円)、ピザ、パスタ、ライトフードなど。客単価は約1,300円。「初心者にも使いやすいモデルのアドバイスも行う」と佐伯店長。「女性も気軽に体験していただければ」とも。

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