<射撃ニュース3月>

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(猟銃人身事故は1件、法令違反も8件:長野)
2010年度の狩猟期間(昨年11月15日~今年3月15日)に猟銃による人身事故は県内で1件発生し、法令違反は8件あったことが29日、県警生活環境課のまとめで分かった。猟銃による事故でけが人が出たのは07年度以来。事故は今年1月31日正午ごろ、茅野市の男性(61)が伊那市高遠町を走行中の車内で、実弾を装てんしたままのライフル銃をケースに収納しようとした際、銃が暴発。男性は左足に弾を受け、重傷を負った。法令違反は銃刀法違反が7件、火薬類取締法違反が1件。発射するつもりがないのに猟銃に実弾を装てんしていたり、猟銃や実弾を室内に放置したりした例があった。
(カワウ食害やまず:山口)
岩国市の錦川中流域で、カワウによる被害が広がっている。放流魚などを食い荒らす一方で、駆除は困難。漁業権を持つ玖北漁協が頭を抱えている。漁協は昨年7月、ヤマメ約3万匹を放流した。しかし2、3年前から管内に飛来するようになったカワウが、ハヤやウグイなども含め、1羽あたり1日計約150匹も食い荒らしているという。玖北漁協は2009年、地元猟友会に協賛金を出してカワウ駆除を試みた。野鳥であるカワウの根絶は困難なうえ、人家の多い流域では猟銃を撃てる範囲が限られ、協賛金自体の負担も重いため、継続を断念。ロケット花火による追い払いが対策の中心になった。同漁協の梶山和也さん(72)は、「6月1日のアユ釣り解禁までに、何とか解決してほしい」と頭を抱えている。
(キジ60羽を放鳥:三重)
県猟友会松阪支部は28日、鳥獣保護区の松阪市伊勢寺町堀坂の「松阪創造の森」でキジ60羽を放鳥した。放鳥は狩猟野鳥の繁殖を目的に県環境森林部の委託を受けた県猟友会が毎年、続けている。キジは熊野市の財団法人・紀和町ふるさと公社で人工繁殖した成鳥。今年も禁猟期間に県内約50カ所で計1300羽を放鳥する。この日は同支部の村田幹治さん(73)ら3人が、段ボール箱に入れた雄雌各30羽のキジを山中へ放った。

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(クマ捕獲上限84頭に:富山)
昨年のツキノワグマの大量出没を受け、石川県は県内の年間捕獲数の上限を70頭から84頭に引き上げる。2011(平成23)年度まで5年間としていた「第2期県ツキノワグマ保護管理計画」を見直し、実施期間も24年度まで延長。対象市町は現行の11市町から、川北、野々市、内灘の3町を新たに加えた七尾市以南の14市町とし生息域拡大に対応する。29日に県庁で県環境審議会自然共生部会が開かれ、同計画の見直し案が了承された。新しい上限数は石川、富山、福井、岐阜、滋賀の5県で09年度に策定した広域管理指針で定めた「捕獲頭数12%」に準じた。現在の年間捕獲数の上限は県内のツキノワグマの推定生息数700頭の10%に当たる。県によると、07~09年度(クマ年度=5月1日~翌年4月30日)の放獣を除くクマ捕獲数の平均は約55頭。今年度の捕獲数は上限に迫る66頭に上った。
(鳥インフル感染、調査レベル3に:香川)
徳島県は28日、同県東みよし町昼間の公園で2月17日に見つかった野鳥のオシドリ1羽について、国立環境研究所(茨城県つくば市)の遺伝子検査でA型鳥インフルエンザの感染が確認されたと発表した。県の簡易検査では陰性だった。鳥取大が確定検査をする。これまでに県内の養鶏場などで異常は確認されていない。県は半径10キロ圏にある19の養鶏場を立ち入り調査する。同研究所によると、通常は3週間程度で検査結果が出るが、東日本大震災の影響で時間がかかったという。これを受け、香川県は同日、香川県三豊市財田町と香川県まんのう町の一部も半径10キロ圏に入るため、野鳥調査をレベル3相当に引き上げて対応すると発表した。カモやサギなど感染リスクの高い種は1羽でも異常が見られれば簡易検査を行う。同地域に養鶏農家はない。四国内での野鳥の鳥インフルエンザ感染は今回を含め高知と徳島で3件確認。県内では2月下旬に香川県観音寺市内で発見されたチョウゲンボウ(簡易検査陰性)を同研究所に送っており、現在検査待ちの状態となっている。

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(シカ9千匹の管理捕獲開始:和歌山)
農林業に深刻な被害を及ぼしているニホンジカの生息数を減らすため、和歌山県は4月1日から初めての管理捕獲を始める。期間は5月20日(連休除く)まで。現在、県内で3万匹超のシカが生息していると推測されており、被害の少なかった1995年ごろの8700匹まで減らしたいという。県農業環境保全室は「これから出産期に入るため、特に雌ジカを多く捕獲してほしい」と話している。従来の有害捕獲は、農作物や人の生活に被害が出た場合に行っていたが、管理捕獲は被害が出ていなくても生息実態に応じて数を減らす。管理捕獲の報奨金は、銃の場合1匹1万5千円、わなの場合は1匹6千円。振興局単位で捕獲数を割り当て、有害捕獲に関わるハンターや農家らに参加してもらうよう市町村を通じて依頼している。捕獲場所は市町村によって異なり、田辺市や上富田町、白浜町などでは有害捕獲区域と同じで、鳥獣保護区でも捕獲する。各振興局の割り当ては、西牟婁が534匹で最も多く、東牟婁384匹、日高253匹、有田157匹、伊都136匹、海草24匹の計1488匹。これに狩猟4千匹、有害捕獲3500匹を加え、年間約9千匹を目標としている。市町村別で最も割り当ての多い田辺市(338匹)は「準備を進めているが、初めての試みなので、結果を見ながら対応していきたい」と話している。これまで県は、狩猟期間を11月1日~翌年3月15日に延期したり、雄雌ともに何匹でも捕獲できるように捕獲制限を撤廃したりして、捕獲を強化してきたが、一向に被害が減らなかった。県内の野生鳥獣による農作物被害は年間2億3千万~4億円で推移している。09年度の被害額は2億7800万円で、シカによる被害は4600万円だった。これ以外に森林被害も2300万円ある。同保全室は「とにかく生息密度の高い所を減らしていく。管理捕獲を3年ほど続ければ、かなりの効果が望める」と期待している。
(外来ネズミ「ヌートリア」県内繁殖:福井)
特定外来生物のヌートリアの捕獲が嶺南で増えていることから、福井県は2011年度から市町が行う有害捕獲経費の補助対象に加え、対策を強化する。現状の捕獲頭数や農作物被害はまだ少ないが繁殖力は強く、県は「今後拡大する可能性があり、早期に対応して被害を食い止めたい」としている。ヌートリアは南米原産のネズミの一種で、体長50~70センチ。草食性で水辺に生息している。日本には第二次世界大戦中に毛皮用などとして輸入され、次第に野生化した。県鳥獣害対策室のまとめでは、各市町からの捕獲報告は、08年度までほとんどなかったが、09年度はおおい、高浜両町で計6頭が捕獲された。トウモロコシやイネが食い荒らされる被害も報告されているという。おおい町農林水産振興課によると、同町内の捕獲頭数は09年度の4頭から、10年度は12月末時点で20頭に急増している。担当者は「猟友会に要請して捕獲を強化しているが、実際の生息数はかなり多いのではないか。イネが1~2メートルの範囲で倒されて食べられている場所が見受けられる。これから農繁期に入るので心配」と話す。ヌートリアは年2、3回出産し、数匹ずつ生まれる。一度定着すると生息域が広がり、農作物の被害も拡大する恐れがある。中部以西を中心に生息が確認されており、特に兵庫県など関西で被害が深刻化し、野菜で大きな被害が出ている。捕獲はおりで行うが、県内ではまだ実績が少なく、設置場所や餌の置き方など有効な方法を周知できていないという。11年度から県の補助対象とすることで、ヌートリアの場合は1頭当たり3千円を上限に、市町の捕獲経費の半分を補助する。県鳥獣害対策室は「財政的な支援により、各市町が積極的に捕獲に当たってほしい」としている。
(電気柵「獣塀くん」、コストも設置労力も減:山梨)
イノシシなどによる農作物への被害を防止するため、県はこのほど電気柵「獣塀くん」を改良し、コストを2割、設置労力を約半分に削減した。里山の荒廃などで農作物への獣被害が相次ぐ中、個人農家でも簡単に設置できる柵の普及を目指す。柵は2008年に県が開発。畑の周囲に張り巡らし、獣が触れると電気が流れる仕組みだが、コストや労力の負担が大きく、低いトタン板の柵などで対応している農家も多く、猿や鹿などは柵を跳び越えて畑に侵入してしまうという。特効薬がない中、09年の県内の農作物への獣の被害は、138ヘクタール、1億5100万円にのぼるなど、農家が頭を抱えているのが現状だ。改良された柵は、約170センチの高さの支柱に、約20センチ間隔で通電用の針金が張られている。電気を通すために金網を使用するこれまでの柵に比べ、設置コストは100メートル当たり8割減の1万8千円、設置労力は約半分の100メートル当たり12時間に削減された。県では今後、県普及センターなどを通じて農家に周知し、有効な対策の一つとしたい考えだ。

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(冬眠せぬクマ、人里に出没:秋田)
本来なら冬眠しているはずのクマが冬季に、相次いで人里に近い地域に姿を現した。1、2月の目撃情報は4年ぶりだ。なぜ、この時期に。クマの眠りを妨げる原因は何なのか。要因は、「大量捕獲」と「記録的な大雪」にありそうだ。秋田市下北手古野で16日午後4時半ごろ、近所の女性が、猿田川沿いを上流へ歩いていく体長約1メートルのクマを見つけた。同市下北手細谷沢では2月24日午前7時半ごろ、中学2年の女子生徒が、草むらからの「ガサ、ガサ」という音を聞き、目をやると、体長約70センチのクマがいた。25日には同市下北手松崎で小学生が約250メートル先の橋の下で動くクマを、26日にも由利本荘市鳥海町才ノ神で、近くの男性が体長約1メートルのクマが目撃している。いずれも、大きさから、親から離れたばかりの子グマとみられる。クマの冬眠期間は一般的に12~4月ごろ。県自然保護課によると、1、2月の過去の目撃は03、04年に1頭ずつ、05年に2頭、07年に5頭に目撃があった。いずれも、前年に有害駆除、狩猟、個体数調整を理由に計100頭以上のクマが捕獲された年だった。02年は146頭、03年は102頭、04年は323頭、06年は324頭。昨年は狩猟分を除き、241頭だった。人間とクマの共生をめざす日本クマネットワーク代表の山崎晃司・茨城県自然博物館首席学芸員は「昨年のクマの大量捕獲」をこの時期の出没の理由に挙げる。「親グマを駆除で失った子グマが、十分なエサをとれないまま冬眠し、早くに目覚めた可能性がある」と話す。今年は秋田以外の地域でも冬に目撃されているという。また、湯沢市秋ノ宮の伝統狩猟者「マタギ」の菅詔悦さん(66)は「今冬の記録的な大雪」を原因に挙げる。昨秋のエサ不足で年末まで里山を歩き回っていたクマたちが、大雪で、本来眠るはずの奥山の穴に帰ることができなかった。人の生活圏に近い場所に見つけた仮の穴で眠ったが、穴が小さく浅かったり、十分な脂肪が蓄えられなかったりしたため、早くに目が覚めたとみている。菅さんは「この時期のクマは腹が減っているので気性が荒い」と注意を呼びかけている。県警生活環境課によると、昨年のクマの目撃件数は463件で、これまでで最も多い01年の532件に次ぐ数だった。ピークは7月の114件、6月が86件、8月が85件と続く。10人がクマに襲われ、重軽傷を負っている。

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(かみつきサル逃走で職員処分:静岡)
かみつき被害を出したサルが、三島市の「楽寿園」から逃げ出した問題で、市は25日付けで職員の処分を発表した。この問題は、ことし1月三島市の楽寿園で飼育員が二重のドアを開けたまま小屋の清掃をしていたところニホンザル「らっきー」が逃げ出したもの。サルは、翌日捕獲されたが、新たに1人がかみつかれる被害が出た。事態を重く見た三島市は、25日付けで、担当していた飼育員を戒告処分としたほか、飼育員の上司3人を文書訓告とした。
(エゾシカ出没、注意を:北海道)
雪解けが進むと、早めに雪が溶ける道路沿いでエゾシカの出没が目立つようになる。国道で「ドスン…」とばかり自動車に衝突するケースも増えてくるが、24日朝には弁天町の市営船揚場周辺に2頭が出没し、道路沿いの枯れ草を食べ漁っていた。近くを通った市民も「こんな所に出没するなんて…」と驚いていた。毎年、市街地にシカが出没して「騒動(?)」が起きる。民家の庭を横断したりするケースも見られ、紋別港内を泳いでいるのが見つかった年もあった。海の周辺に出没するシカは塩分の補給も兼ねるようだが、市営船揚場の斜路は海に下りるのに具合の良い場所でもある。おまけに周辺の道周は雑草が刈られることも滅多にない。枯れたままで生い茂っている。この雑草に目をつけたのか、2頭の若い個体のシカが24日にも船揚場周辺に出没した。車やトラックが往来しても、まるで「知らんふり」。草を食べるのが忙しいようで、幼いためか警戒心も薄い。近づいても逃げないので、観察した市民は「たっぷり食べたら、交通事故に合わないように山に帰るんだよ」と見守っていた。
(捕獲動物の試食会:愛知)
獣害防止のため捕獲されたイノシシや鹿を精肉にして流通する仕組みづくりに取り組んでいるNPO法人ボランタリーネイバーズ(大西光夫代表)が、名古屋市内のレストランで、ジビエ(野生動物の肉)料理の試食会を開いた。この運動を支える「ジビエとマタギを学ぶ会」のメンバーら約20人が、イノシシと鹿肉を使った9種類の料理に舌鼓を打った。県内でも農作物への獣害は増加しており、2004年度に約1億円だった被害額は08年度に約1億9000万円へと倍増した。このため県では防護柵と捕獲に補助金を出しているが、被害に追いついていない。一方、せっかく捕獲された鹿なども捨てられるようなケースが大半だった。このためボランタリーネイバーズでは、猟師たちでつくるNPO法人中部猟踊会(日浅一理事長)と連携し、ジビエが食材として流通するルートづくりに着手。同会が岡崎市夏山町に解体処理施設を完成させる一方、ボランタリーネイバーズは、地産地消に熱心なレストラン「クリーム」(名古屋市中区)にレシピの作成を依頼した。同店店主の島崎敏樹さんは、「欧米では食材としてジビエが高く評価されており、試食会で人気のメニューは店でも出していきたい」と話している。また、完成した解体処理施設はすでに保健所の許可も受けており、26日に現地で開所式が開かれる。
(ユタでブローニング短銃を「州の銃」に:アメリカ)
米西部ユタ州のゲーリー・ハーバート知事(共和党)は24日までに、短銃のブローニングM1911型を「州の銃」に指定する法案に書名した。この種の法律が州レベルで発効したのは全米で初めて。同州では樹木、昆虫、料理鍋などを含む計24分野で同州のシンボルが指定されている。今回の法案の起草者は警察特殊部隊の隊長だった共和党所属のカール・ウィマー議員(35)で、東部ペンシルベニア州の議員が昨年、銃身が長いライフル銃を同州の銃に指定する活動を始めたことを聞き、思い付いたという。ライフル銃は結局、指定されなかった。ウィマー議員がM1911型を選んだのは、短銃、ライフル銃などの製造企業を興した故ジョン・モーゼス・ブローニングがユタ州オグデンで生まれ育ったのが理由の1つ。また、今年は、米軍がM1911を兵士の標準装備品に指定してから100周年となることを祝う意味もある。ただ、この指定は約15年前に解除されている。M1911の名称は軍の「M」と標準装備品に指定された「1911年」にちなむ。同議員も同型銃を保持しているという。

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(銃刀法違反容疑、自殺の男を書類送検:東京)
警視庁は去年7月、東京・町田市で拳銃自殺をした会社員の男(43)が、自宅などに小銃3丁や実弾およそ5000発を隠し持っていたとして、被疑者死亡のまま銃刀法違反の疑いで書類送検しました。警視庁によりますと、男の自宅には銃の改造や実弾の製造をしていたとみられる作業場があり、男は改造銃などをインターネット上で公開していたということです。男は、警視庁などが進めていた機関銃の部品密輸事件の捜査で浮上し、去年7月、家宅捜索中に自宅で拳銃自殺していました。
(外来魚、シカから深泥池守れ:京都)
国の天然記念物・深泥池(京都市北区)の生態系が外来魚やシカの影響で危機にあるとして、日本生態学会近畿地区会は23日、市と京都府に対策を求める要望書を提出した。同会によると、外来魚の駆除対策の遅れから希少魚のカワバタモロコが絶滅、周囲の山でシカが増え、希少植物を食べ荒らす被害が確認されたという。要望書は、外来魚の密放流防止やシカ食害の低減、泥抜きによる環境改善▽生物多様性の重要地を保全する予算措置▽池の保全活用に向けた公的組織の設置-の3点を求めた。同会の竹門康弘京都大防災研究所准教授らが市文化財保護課などを訪れ、担当者に現状を説明した。竹門准教授は「市民の取り組みには限界がある。状況は危機的で、関係機関の早急な対策を求めたい」と話していた。
(モンキードッグ、サル駆逐に期待:山口)
野生ザルの農作物被害対策として、萩阿武地域鳥獣被害防止対策協議会(金子栄一会長)が進めていたサルを追い払う「モンキードッグ」の養成訓練が終わり、訓練を受けた10匹のうち、テストに合格した6匹に22日、認定書が与えられた。認定式は萩市福井下の阿武萩森林組合であり、金子会長が「被害は深刻だが、サルは人間より賢く、なかなか対策が難しい。モンキードッグの活躍に期待したい」とあいさつ。野村興児市長も「サル駆逐のため、市もできることは何でもやる」と述べた。モンキードッグの養成訓練は昨年10月から始まり、中村明子訓練士の指導で、2時間ずつ計20回、服従などの訓練が続けられた。今後、各飼い主の周辺で出没するサルに目を光らす。

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3/23
(鳥獣害対策で農家のわな免許取得支援:鹿児島)
鹿児島県は2011年度、農家のわな猟免許取得を支援する新規事業を始める。県内各地で農作物への鳥獣害が深刻さを増す中、自衛によって被害軽減を図る。イノシシやシカなど野生鳥獣の捕獲は従来、猟友会会員の狩猟に頼る面が大きかった。だが、会員は減少傾向で高齢化も進み「捕獲が追いつかない状態」(県農村振興課)。わなによる駆除は原則、鳥獣保護法に基づいた免許が要る。県は11年度一般会計当初予算に628万円を計上。免許試験に向けた講習や、免許取得者向け実践講習の開催を、猟友会に委託する。年間約200人の免許取得を目指す。また、10年度に続き、「鳥獣被害対策実践活動促進事業」も実施。農家らが自ら据え付け管理する、侵入防止柵の設置などを補助する。当初予算額は1億261万円。鳥獣害対策の必要箇所を地図に書き込む「集落点検」をするなど、先進的な取り組みをする薩摩川内市入来の朝陽地区では、電気柵や発光ダイオード(LED)ライトなどさまざまな対策を、集落として導入し効果を確かめている。3月初め、県が10年度補正予算で購入した箱わな70基のうち1基を借り受け、被害の著しい水田近くに試験設置した。集落営農の役員を務める中木場修さん(64)は「田畑1枚が守れても別の場所に出る。みんなで取り組まないと農地は守れない」と強調した。県内の09年度の鳥獣による農作物被害額は、前年度比12%増の4億8000万円に上る。
(イノシシ、ニホンジカの勢力拡大:石川)
県林業試験場と白山自然保護センターは22日、野々市町の県立大で開かれた研究発表会で、ニホンジカとイノシシが県内で数を増やしながら北上し続けていることを説明し、実態把握と対策強化が必要であると報告した。「農業用水を核とした健全な水循環に関する研究」の全体発表会で、研究の一つとしてニホンジカとイノシシの現状が報告された。県林業試験場の八神徳彦森林環境部長は2009(平成21)年度に県内で捕獲されたニホンジカが18頭で前年の3頭から大幅に増えたことを報告。生息地は白山麓から金沢市へと広がり、昨年10月には中能登町でも目撃されたとした。ニホンジカは樹木の皮を食べ、原生林が枯死した例もあることから、八神部長は「個体数が少ない今のうちから駆除が必要」と述べた。白山自然保護センターの林哲研究主幹はイノシシの生態について報告。04年度から急激に数が増え、09年度は前年比67・8%増の1698頭が捕獲された。生息範囲は15年前の加賀市一帯から北に向けて拡大。昨年は能登半島先端の珠洲市でも痕跡が確認されたことを説明した。林研究主幹によると、いずれも雪に弱い動物で、近年の暖冬と山間地の耕作地放棄で数と生息範囲が広まったという。同主幹は、大雪となった今冬の天候が生態にどのような影響をもたらしたか調べる考えを示した。
(シカ対策3カ年計画:北海道)
むかわ町は、エゾシカによる深刻な農作物被害の対策として、町内全域に防護柵を設置することにした。めぐらす柵は電柵と金網約400キロ。2011年度から3カ年計画で、総事業費を7億円と見込んでいる。町は10年3月に鳥獣被害防止対策協議会を設置し、エゾシカ対策の強化策を検討してきた。防護柵はこの中にもあり、試験的に、11月から穂別地区の仁和と茂別・キウスに金網(計40キロ)を設置した。穂別総合支所は「エゾシカがフェンス前で引き返している痕跡があり、効果が出てくると思う」と説明し、手応えを感じているよう。11年度は、国の防護柵整備に係る補助事業費が増額する見通しのため、町も設置地域の拡大を決めた。頭数調整も視野に、囲い込めるような場所も数カ所設けて捕獲しやすい工夫をしたい、とも。エゾシカ駆除奨励金(1頭3000円)枠も500頭から、11年度は900頭としている。町農政課によると、エゾシカによる農作物被害は09年度は1億5600万円に達している。特に水稲の被害が大きく約9300万円という。「エゾシカは集団で動く習性があるため、被害に遭うと壊滅的になってしまう場合も」と指摘、防護と捕獲の両面作戦で農業被害を軽減させたい、という。
(誤って床に落とし弾薬が破裂:神奈川)
20日午前10時ごろ、横須賀市田浦港町の横須賀海上保安部で、弾薬1発の薬きょう内の火薬が破裂して金属片が四散し、男性職員(23)が足首に切り傷を負った。同保安部によると、職員は当直室でほかの男性職員と2人で弾薬を10発ずつ封筒内に収め封印する作業をしていたが、誤って封筒ごと約80センチの高さから床に落としてしまい、直後に破裂が起きたという。同保安部は「落としただけで薬きょうが破裂した事例は聞いたことがない」とし、原因を調べている。

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(有害鳥獣駆除、報奨金に格差:和歌山)
先月14日に日高地域鳥獣害被害対策本部(本部長・玉置俊久日高川町長)が設立されて広域的な取り組みが推進されている中、各市町で鳥獣を駆除したときの報奨金に、最大で1頭当たり2倍という格差が出ていることが問題視されている。ハンターの捕獲意欲の低下が懸念されるためで、最も低額設定の市では16日の議会産業厚生常任委員会で引き上げを求める要望が出され、執行部側も「各市町で調整する必要がある」などと答弁した。平成22年度の報奨金をみると、銃で駆除した場合は1頭当たりイノシシが市、美浜、日高町5000円、由良、印南、みなべ、日高川町1万円。シカは美浜が県で生息数ゼロと推定されているため補助金なし、市、日高5000円、由良、印南、みなべ、日高川1万円。サルは御坊、美浜1万円、日高川1万5000円、日高、由良、印南、みなべ2万円。それぞれ被害状況などをもとに金額を設定している。さらに新年度になると、みなべ町はイノシシとシカをそれぞれ1万5000円、サルを3万円に引き上げる方針。他市町も県の補助金アップをにらんで引き上げを検討しているが、例えば市はイノシシ、シカを1万2500円、サルを1万5000円にする考えで、みなべ町と2倍の格差は埋まらないまま。こういった状況でハンターたちのモチベーションにかかわることが心配されている。同様にわなで捕獲した場合の報奨金もそれぞれ設定しているが、やはり格差が出ている。市議会産業厚生常任委員会では新年度一般会計予算の審査に関連して田端卓司委員が「周辺町では御坊より報奨金が高いところがある。なんで市の報奨金は安いのか。引き上げはできないのか」と質問。農林水産課の内田譲課長は「一概に報奨金を引き上げても鳥獣の捕獲が増えるのかどうかという問題がある」と説明しながらも、「広域で対策を進めるための組織も立ち上がっており、バラバラな報奨金の額をどうするのか検討する必要がある」と前向きな姿勢をみせた。日高地方のイノシシやシカ、サルなど鳥獣の被害額は平成21年度で5600万円にものぼっている。日高振興局によると、各市町ごとの被害額は公表していないが、周辺町の鳥獣害対策が進む中でイノシシなどが逃げてくるのか、市内での被害も年々深刻化。郡市で統一した金額設定が必要となりそうだ。このほか、執行部は「新年度で箱わなを40基用意する」と説明。平井俊哉委員は「昨年、議会側から要請した対策が順調に進んでおり、評価したい」と述べた。向井孝行委員は「執行部は地域にしっかり足を運び、被害状況を把握してもらいたい」と要請した。
(狩猟免許、合格最多91人:富山)
県は、二〇一〇年度に二回あった狩猟免許試験の合格者が計九十一人となり、試験を年二回実施するようになった〇七年度から最多になったと発表した。自然保護課によると、〇六年度の合格者数は二十八人にとどまっていたが、クマやイノシシなどの有害鳥獣を捕獲する担い手を増やそうと〇七年度から試験を年二回にしたところ、八十九人に急増した。〇八年度も八十人、〇九年度も五十六人が合格している。一〇年度の試験は昨年九月と二月にあり、計百人が受験した。猟の種別ごとの合格者は網猟が五人、わな猟が七十七人、第一種銃猟(火薬銃など)が二十七人、第二種銃猟(空気銃)が三人。これらの合格者を足した延べ人数も百十二人となり、〇七年度以降で最も多くなった。近年は、イノシシ、ハクビシンによる農作物への被害を食い止めようとわな猟の受験者が増えているという。合格者のうち二十~四十歳代が四十八人と全体の52・8%を占めたため、同課は「ハンターの減少や高齢化が進んでおり、有害鳥獣を捕獲する新しい担い手につながる」と期待している。
(連携お見事!イノシシ御用:岡山)
15日午前8時ごろ、高梁市津川町今津の路上で、散歩していた近くの女性(73)がイノシシに襲われた。女性はズボンの裾をかまれ、抵抗中に手に軽いけが。住民と高梁署員が数分後に捕獲した。犬の散歩中に被害を目撃した元副市長安田義紘さん(63)から知らせを受け、会社員藤井実さん(49)が自宅からロープを持ち出して捕獲した。近くで起きたJR伯備線の列車と軽ワゴン車の接触事故現場にいた署員も駆け付け、刺股などで取り押さえた。体長約80センチ。地元の猟友会員が処分した。
(石巻市のライフル射撃全日本選手権中止:宮城)
日本ライフル射撃協会は11日、地震の影響で12、13の両日に宮城県ライフル射撃場で予定されていた全日本選手権を中止することを決めた。代替開催については今後検討する。同協会によると、石巻市にある同射撃場では天井が落ちるなどの被害があった。
(格安ワナでシカ捕獲:大分)
食害が深刻化している野生シカ対策で、日田市有田の県農林水産研究指導センター林業研究部が、数万円で設置できる囲いワナの研究を進め、一定の成果を上げている。このほどあった研究発表会で北岡和彦研究員(26)が、昨年度から玖珠町に2基設置している「囲いワナによるニホンジカの捕獲に関する研究」を報告した。囲いワナは、佐伯市など県南地域に金網製10基以上が設置されている。入り口に電子制御方式などを採用しているがあまり成果が上がっていないため、北岡さんが改良に取り組んだ。玖珠町古後のシカがよく通るスギ林に、立ち木と中古漁網を利用したワナ2基を設けた。入り口の漁網をたくし上げ、シカがエサ場に仕掛けた糸に触れると入り口の網が閉まるしくみ。ワナが金網で電子制御方式だと1基約150万円かかるものもあるが、北岡さんのワナは約4万5500円と6万5千円だった。1号基(周囲40メートル)は2010年1月18日から10頭を、2号基(同27メートル)は同年11月5日から3頭を捕獲した。オス5頭、メス8頭。成獣は5頭で警戒心の強い成獣オスは1頭だった。山に若葉が多い4、5月は捕まらなかった。ワナの中に置くエサは、米ぬかなどの単体より、固形配合飼料の方がよく食べられていた。さらに、ワナの設置前に十分に餌付けした方が早く捕獲することができた。北岡さんは「囲いワナのシカ捕獲は九州でも珍しい。一度に大量捕獲は難しいが、定期的な捕獲が可能なので集落で取り組むのに有効」と話した。
(鳥獣被害対策チーム会議開く:長野)
下伊那地方事務所や下伊那農業改良普及センターなど県の現地機関でつくる飯伊野生鳥獣被害対策チーム会議の本年度第2回が9日、飯田市追手町の県飯田合同庁舎であり、本年度の管内のニホンジカの捕獲数は過去最多を更新した前年度を下回る見込みが報告された。同地事所林務課は「近年の個体数調整の成果が一因」とみている。一方、本年度のイノシシの捕獲数は前年度同期間比で2倍以上と目立っている。同課によると、本年度のニホンジカの捕獲数(個体数調整分)は昨年4月1日~11月14日の期間で2702頭。3207頭だった前年同期間の84%にとどまる。前年度の最終的な捕獲数は狩猟分と合わせて過去最多の5353頭。同課は「07年度以降は年々約1000頭ずつ増加していたが、本年度は4000頭台に一段落するのでは」と推計している。要因としては、近年の捕獲対策の強化に伴う個体数調整の効果を指摘する。捕獲報奨金を手厚くしたり、捕獲わなを大量導入したりと、各市町村の従事者支援の充実なども後押ししたとみている。一方、本年度の飯伊のイノシシの捕獲数は昨年11月14日現在で1791頭に上り、09年度の同期間の762頭を大きく上回っている。同課は「年度を通じては、調査開始以降で最多だった06年度の2858頭に迫る」と見込んだ。山中の木の実が不作で、人里近くに出没するケースが増えたことが要因に考えられるという。会議では本年度の鳥獣被害対策の成果や課題も報告。平谷村のサルの追い払い事業や、同市上久堅地区から隣接村への延伸設置が進む大規模防護柵などが紹介された。参加者からは「防護柵の設置効果や沿線先の遠山郷への影響を分析すべき」「捕獲報奨金は各市町村で大きな差がある。広域的な協議が必要では」などの意見が出た。来年度の関連活動計画によると、国は来年度予算案で鳥獣被害防止総合対策交付金を本年度の約5倍に当たる113億円に増額。県はメスジカの捕獲対策に力を入れ、個体数調整捕獲報奨金の拡充などを図る。近年目立つアライグマやハクビシン、カラスなどの被害対策の研究も新たに実施する。
(カラス急増で被害、捕獲実績ゼロ:山梨)
甲府市中心街に一昨年秋からカラスの大群が目立ち始め、目抜き通りはフンで真っ白になる被害が出ている。対策を迫られた甲府市は先月中旬、試しに捕獲用のおりを設置したが、捕獲実績はまだゼロ。おとりとしておりに入れたカラスにも逃げられてしまった。専門家は、駆除に成功した東京都心からカラスが流入した可能性を挙げ、「都のように、生ごみ集積所の防鳥ネットの設置を徹底するなど、街全体で取り組む必要がある」と話している。夕暮れ時、甲府市丸の内1の新市庁舎建設現場近くの空を見上げると、点々と連なる黒い影が目につく。数百羽にのぼるカラスの群れだ。目線を落とすと、甲府駅から南に延びる「平和通り」がフンだらけだ。カラスは特に秋から冬は群れで行動する。日中に市街地のごみをあさって食事とし、夕方にビルなど高い場所に集まる。県や市によると、急激に増えたのは09年秋から。歩道やビルの窓がフンで汚され、駆除を求める声が寄せられ始めた。捕獲用のおりは、甲府市が先月14日に試験的に設置した。縦横が180センチ、高さ190センチ。市職員が角材や金網を使って手作りした。カラスが餌につられて中に入ると、出られなくなる仕組みだ。今月3、4両日には、おとりとなるカラス計4羽を中に入れた。カラスの警戒を解き、おびき寄せる作戦だった。ところが、仕掛けが不十分だったためか、3羽に逃げられてしまった。所管する市森林整備課の飯島敬良課長は「本業は森林の維持管理で、カラスについては素人。勉強しながら試行錯誤するしかない」とため息をつく。県道路管理課も昨シーズンから2週間に1度の清掃を実施。通りの街路樹にカラスよけのワイヤを張るなどしてきた。今年は新たに、カラスが嫌うにおいのハーブの抽出液をペットボトルに入れ、5本の街路樹に試験的に巻きつけている。同課は「5本にはカラスが近寄っていない。効果が続けば数を増やしたい」と意気込む。カラスはなぜ増えたのか。野鳥の生態に詳しい山梨大名誉教授の中村司さんは「対策が徹底された東京から流入した可能性がある」と指摘する。東京都は01年から、ごみ集積所への防鳥ネット設置や捕獲おりを使った駆除など対策を徹底。都環境局によると、01年度に3万6400羽いたカラスが、06年度には1万6600羽に減少した。中村さんは「おりは、予算が許せばもっと大型が望ましい。一番効果的なのは、生ごみなどの食料源を一斉に絶つことだ」と話している。
(渡り鳥5年ぶり増:福島)
県は10日、ハクチョウなど水辺の渡り鳥の10年度の飛来数調査の結果を発表した。339カ所の飛来地で前年度より5498羽多い計6万639羽が確認され、5年ぶりに増加した。鳥インフルエンザの感染拡大を防ぐため、数年前から各地で餌付けが自粛され、減少傾向が続いていた。県自然保護課は「餌付け場所の急減で飛来先が県外に分散したが、下げ止まったのではないか」とみている。調査は1月3~15日、ハクチョウ類、カモ類、ガン類を対象に、県職員や日本野鳥の会会員らが数えた。内訳はハクチョウ類6044羽(前年度比651羽増)、カモ類5万4593羽(同4845羽増)、ガン類2羽(同2羽増)。オオハクチョウやオナガガモ、クロガモを中心に増えた。ただピークの05年度に比べると、全体で3割以上少ない水準にとどまっている。飛来地で多かったのは▽二本松市の水原川と境川合流地点3411羽▽南相馬市の蛭沢ため池3158羽▽郡山市の阿武隈川(西田堂坂)2895羽--など。

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(高齢者ハンターの啓発急ぐ、新たに猟犬トラブル警戒:千葉)
千葉県警生活安全部が平成22年度の狩猟期間(昨年11月15日~今年2月15日)における鳥獣保護法や銃刀法など銃にかかわる違反の摘発件数をまとめ、前年度に比べて2件増の5件だったと発表した。このうち3件は公道上や使用禁止区域で銃を発砲するなど危険な違反行為で、県警では「猟銃歴30年以上のベテランハンターによる違反がほとんど。改めてルールを徹底するよう呼びかけたい」(風営課)としている。猟銃の取り扱いについては、平成19年の長崎県佐世保市のスポーツクラブで起きた銃乱射事件を受けて銃刀法が改正され、21年12月4日から、75歳以上の高齢者は猟銃許可を新たに受ける場合(申請時)と3年に1度の免許更新講習会時(更新時)に認知機能検査が義務づけられた。また、実弾の所持状況の記録を徹底させるため、罰則を伴う義務化に改正するなど規制の強化が進んでいる。摘発内容のうち、誤射などによる人身事故は0件。県に寄せられた狩猟に関する苦情は31件(前年度比7件減)で、違反に関する通報も17件(前年度比2件減)だった。県自然保護課は「ハンターのマナー向上や周辺住民の理解などが理由ではないか」とし、鳥獣保護法改正などにより可猟地域が狭まっていることも要因の一つとみている。一方で、県警や県が警戒を強めているのは猟犬に関するトラブル。県自然保護課によると、館山市でハンターの猟犬が飼いネコと飼い主の高齢者女性にかみつき、けがを負わせたほか、大多喜町では猟犬が誤って飼育されているヤギを襲ったといったトラブルが計3件発生した。同課では来年度以降、注意喚起を図るとしている。ハンター歴40年の千葉市猟友会の松山平(ひとし)会長(70)は「農作物を食い荒らす獣害など、農林水産業への被害を予防するハンターの役割は大きい。市民の理解が得られるよう、ハンター全体のマナー意識向上を図り、社会の役に立ちたい」と話している。
(休耕田から鉛検出、基準値の13倍:佐賀)
伊万里市大川内町にある市営散弾銃(クレー)射撃場に隣接する休耕田から、土壌汚染対策法の基準を最大13倍上回る鉛が検出されていたことが9日、わかった。市議会一般質問で、下平美代議員が明らかにした。下平議員によると、地元住民の要請で佐賀大理工学部の宮島徹教授(環境化学)らが2月9日に調査。休耕田の4カ所から採取したサンプルを分析し、1カ所から基準値(1キログラム中150ミリグラム)の13倍にあたる1946ミリグラムを検出。他の3カ所も基準値を1・7~3・9倍上回った。宮島教授は「雨で射撃場の土砂が流れてきたケースも考えられる。周辺を広範囲に調査する必要がある」と話す。下平議員は「有害な鉛が民有地に放置されているのは問題。射撃場は市民の利用も少なく、住民も閉鎖を求めている。直ちに閉鎖すべき」と訴えた。2009年3月議会で、本年度末をめどに閉鎖を検討するとしていた塚部芳和市長は「閉鎖の方向は変わってない。地元と話し合って閉鎖時期を検討したい」と答弁。崎田洋一郎教育部長は「来年度早々に土壌調査したい」と述べた。射撃場は1984年、腰岳に開設。昨年度の利用者は延べ990人で、伊万里市民は118人だった。鉛弾を回収したことはなく、場内には57トン以上が堆積しているとみられる。市体育保健課は県立射撃場のケースを参考に「鉛の回収費用を約3億円」と見積もる。市は毎年、周辺の水質を調べており、03年度と09年度に環境基準値を上回る鉛を検出した。
(オオカミ導入先送り、イノシシの食害対策:大分)
豊後大野市が農作物などを食い荒らすシカやイノシシの駆除対策として、海外からオオカミを輸入して野に放つ構想を描いている問題で、橋本祐輔市長は9日、結論を先送りする考えを示した。市議会の一般質問に答え、「社会的な同意が得られておらず、一自治体として実施できる段階ではない。国が議論し、結論を出すべきだ」と述べた。同市では、シカやイノシシの食害が後を絶たず、2009年度の被害額は約2380万円に上った。地元の猟友会に依頼し、駆除しているが、食害が一向に減らないことから、橋本市長が昨年、オオカミを野に放つ構想を打ち出した。一般質問では、赤嶺謙二議員が「市民の間には安全が確保できるのか、心配する声が多い。本来は国の政策として取り組むべき問題ではないか」と質問。橋本市長は「市民はもちろん、国、県、近隣自治体の同意がないと導入できない。農作物の被害は深刻で、シカやイノシシの自然減も見込めない」と述べた。市は新年度予算案に鳥獣害対策のため、シカの個体調査委託料71万円を計上したが、「現状把握が目的で、オオカミ導入を前提にした予算ではない」と説明している。一方、市は国に議論を働きかけるための「オオカミ再導入に向けた市町村連絡協議会(仮称)」の設立を計画。農作物の食害に悩む全国の11自治体に1月、参加を呼び掛ける文書を送ったが、「賛同し、参加する」と答えたのは2自治体にとどまった。8自治体が回答を保留し、1自治体が不参加を表明したという。橋本市長は、この結果を踏まえて、「今すぐの設立は難しいが、興味がある自治体があるので、引き続き参加を呼び掛けたい」としている。
(野鳥、鳥インフル疑い:青森)
県は10日、三沢市の米軍基地で見つかった「ハヤブサ」1羽から簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出たと発表した。11日以降、基地から約10キロ・メートル圏内で、ニワトリ100羽以上を飼育する養鶏場など27か所に緊急の立ち入り調査を実施する。精密検査の結果を待たずに、感染の拡大防止に全力を挙げる構えだ。県の発表によると、ハヤブサは今月8日、基地内の住宅付近で子どもが発見した。基地の防疫施設に移されたが、翌日に死んでいるのが確認された。連絡を受けた県が10日に回収し、十和田家畜保健衛生所で簡易検査したところ、陽性反応が出た。県は詳しい検査のため、ハヤブサの死骸の一部を北海道大学に送っており、約1週間程度で結果が判明する。県は同日午後5時半から、関係部局による連絡会議を開き、情報の共有化と今後の対応を協議。同日中に基地から約10キロ圏内にある三沢市、おいらせ町、六戸町の養鶏場など27か所から聞き取った結果、約200万羽の家禽(かきん)に異常はなかった。11日以降は立ち入り調査で確認を強化する。県自然保護課の岡田稔課長は、「現在は簡易検査の段階なので、県民の皆さまには冷静な対応をお願いしたい」と呼びかけている。
(野鳥6万羽生息確認:福島)
今年1月に確認された県内の野鳥の生息数は、昨年より約5000羽多い約6万羽だったことが県の調査でわかった。県は「今シーズンはシベリア方面の寒さが厳しく、全国的に多くの野鳥が飛来したためではないか」と推測している。調査は1月3日~15日に、県内の野鳥の生息地339か所で実施。オナガガモやマガモなどのカモ類が5万4593羽で全体の9割を占め、ハクチョウ類は6044羽だった。生息数が最も多かったのは二本松市の水原川と境川の合流地で3411羽、次いで南相馬市の蛭沢溜池(ためいけ)3158羽、郡山市の阿武隈川西田堂坂地点2895羽と続いた。鳥インフルエンザ問題の影響で08年度に多くの生息地で野鳥への餌付けが禁止・自粛されたこともあり、生息数は05年度の9万2000羽から毎年減少していたが、今年度は5年ぶりに増加に転じた。県自然保護課では「鳥インフルエンザの問題もあり、生息数の多い場所では引き続き、野鳥に異状がないかを監視していく」としている。

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(トラップ男子、日本勢は予選落ち)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)チリ大会は8日、チリのコンセプシオンで行われ、トラップ男子予選で日本勢は大山重隆(オオヤマ商事)が119点で17位になったのが最高で、上位6選手による決勝進出を逃した。柿原康晴(コーエーテクモホールディングス)は111点で54位、川井正巳(奈良県協会)は110点で59位だった。
(牡鹿半島でシカの生息数調査:宮城)
ニホンジカによる農作物被害などが問題となっている宮城県石巻市の牡鹿半島で4日夜、地区ごとの生息数を確かめる調査があった。県と石巻市、女川町などでつくる牡鹿半島ニホンジカ対策協議会(会長・亀山紘石巻市長)が実施。職員12人が4班に分かれて林道を車でゆっくり移動し、林をライトで照らしながら個体数を数えた。協議会が7日にまとめた調査結果によると、4日は雄29頭、雌259頭、子76頭を確認。牡鹿半島の生息数は1平方キロ当たり89頭と推定され、自然への影響が少ないとされる同3~5頭を大きく上回った。農作物の食害や車両の接触事故など、牡鹿半島のシカによる被害額は2009年度、過去最高の5325万円だった。県は年間1000頭だった捕獲目標を1500頭に引き上げるなどし、生息数の適正化を目指している。協議会は「生息域は、徐々に市街地に拡大している。現在実施している有害駆除の効果に期待したい」と話した。
(イノシシ被害抑止へ、捕獲奨励金を1頭1万円に:香川)
イノシシなどによる農作物被害を抑止しようと、香川県は新年度から、有害鳥獣捕獲の奨励金を現行の1頭当たり上限6千円から同1万円(市町、県で各2分の1負担)に引き上げるとともに、捕獲対象期間を現行の7~9月の3カ月間から4~10月の7カ月間に延長する。8日にあった2月定例県議会経済委員会(山田正芳委員長)で、西原義一農政水産部長が明らかにした。2011年度県一般会計当初予算案に、鳥獣捕獲助成事業として600万円を計上。このほか、有害鳥獣の農地への侵入防止柵や捕獲おりの設置補助費、狩猟免許申請手数料の補助金として500万円余を盛り込んだ。香川県は有害鳥獣捕獲奨励金制度を01年に制定。昨年度は被害面積が減少傾向にあったことなどから補助金を年間90万円に圧縮していたが、イノシシ被害が県内各地で続発していることから、新年度は6倍超を計上した。県農業経営課によると、09年度のイノシシによる農作物被害は水稲や果樹を中心に約160ヘクタールで、被害金額は約5700万円に及んでいる。
(農作物被害や捕獲の現状確認:和歌山)
県鳥獣被害対策本部(本部長、下宏副知事)の第1回会議が8日、和歌山市の県庁で開かれた。県猟友会、県JA中央会の幹部も加わり、農作物などへの被害と捕獲の現状を確認し合った。県によると、イノシシ、シカ、猿、アライグマによる農作物の被害金額は年約3億円に上る。一方で、散弾銃やライフルなどを使える県猟友会の会員数は97年度の3288人から、09年度には2038人と約4割減っている。高齢化に加え、若い人が猟銃の免許を取らないことが原因で、免許を更新しない人もいるという。今後は、県農業生産局長を幹事長とする幹事会を開いて実務作業を進め、その後の本部会議で12年度の新政策に向けた議論を重ねる。
(ツキノワグマ今年初の目撃:福井)
8日午後2時55分ごろ、敦賀市樫曲の山すそで、市の委託で付近の防犯パトロールをしていた警備会社の職員が、ツキノワグマ1頭が山に入っていくのを見つけ、市に通報した。市にクマの目撃情報が寄せられたのは今年初めて。市農務課によると、子グマでそのまま山の奥に入っていった。現場は住宅地の外れで、同課の担当者は「近くに親グマがいる可能性もあり、十分注意してほしい」と呼び掛けている。同課によると、ツキノワグマの出没が本格化するのは例年4月ごろから。3月上旬に目撃情報が寄せられるのは珍しい。
(オオハクチョウ飛来数4千羽割れ:青森)
日本野鳥の会あおもりと同弘前は8日までに、県内の湖沼や河川などの「ガン・カモ・ハクチョウ類調査」(1月9日実施)の結果をまとめた。オオハクチョウの飛来数は2000年の調査開始以来過去最少だった前年より513羽増え、3957羽となったが、同会は「鳥インフルエンザの影響で餌やりの自粛が始まった09年以前に比べると、まだ少ない」としている。
(イノシシ、全力で食べる:福岡)
消防士で北九州市立大文学部4年の中村幸介さん(31)が、イノシシのわな猟に取り組んでいる。昨冬と今冬で計10頭を捕獲し、加工肉や料理用に販売もした。「畑を荒らされる農家や猟師の収入につながれば」と、猟の方法や食肉にする方法を1冊の本にまとめる計画だ。中村さんは消防署に勤務する傍ら、「心理学を学びたい」と同大に入学。一昨年、人類学の講義で「命を食べるとはどういうことか」「残酷とは何か」という問題を考える機会があり、「本を読むだけでなく、実際に捕ってみる必要がある」と思い立った。猟師を訪ね、本を読みあさって情報を集めて、わな猟の免許を取得。昨冬、同市小倉南区の山にイノシシの脚をワイヤでくくって捕まえる「くくりわな」を仕掛けた。1週間ほどで最初のイノシシがかかった。うれしさと罪悪感が半々だった。棒で殴って気絶させ、頸動脈(けい・どう・みゃく)を切って失血死させた。「殺したからには無駄にはできない。全力でおいしく食べなくてはいけない」と思った。血抜きをして近くの川で冷やしながら内臓を取り除く。作業場に持ち込んだ後、皮をはいで肉をとる。専門書に書かれた手順通りに作業を進めた。焼き肉や鍋にして食べてみると、「想像以上においしくて驚いた」という。命を奪う後ろめたさがなくなったわけではない。一方で「生活として肉を食べるのはこういうもの。初めてありがたさが分かった気がする」。猟をするうちに、イノシシ肉は臭みがあるという理由で敬遠され、害獣駆除で捕獲された後、多くは焼却や埋めて処分されることを知った。だが、中村さんは血抜きなどの処理をうまくすれば十分に売れると考える。肉の一部は同市八幡西区のソーセージ職人、河原一貴さん(42)がソーセージに加工して販売。中村さんも今年2月中旬に同市小倉北区であった食のイベントで「ぼたん鍋」を売り、好評だったからだ。「わな猟や解体の方法を公開し、肉が収入につながるようになれば、猟師のなり手不足や農家の役に立つかもしれない」と、さらに研究を進めている。北九州市内では今年度、イノシシ出没に関する市民からの相談や捕獲頭数が急増している。市によると、捕獲頭数は1月14日までに847頭に上り、昨年度の519頭を大幅に上回った。年度内に過去最多の1千頭に達すると見られている。市街地への侵入や農業被害などの相談も1月末までに813件に上り、過去最多となった。昨年度は209件だった。市は「気候の影響で山にえさが少なく、人のいる場所に下りてきているようだ」と話す。2月には有害野生鳥獣被害対策調整会議を開催。これまでは市内を2地区に分けて被害防止策を立てていたが、今後は区ごとに対策を練り、相談窓口の拡大も検討する。市や猟友会で作る「イノシシ駆除協議会」に今年度は125万8千円の負担金を支出したが、新年度は増額する方向で調整中だ。農家の防護柵購入のために国の助成金も要望している。

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(井川が最高の66位横内は71位)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)チリ大会は7日、チリのコンセプシオンで行われ、スキート男子で井川寛之(横浜商大)は113点で66位、横内誠(横内商店)は111点で71位、増田隆(マスセイ)は104点で79位で、上位6人による決勝に進めなかった。
(伊万里市射撃場そば、基準超す鉛:佐賀)
伊万里市大川内町にある市散弾銃射撃場そばの民有地から、土壌汚染対策法に基づく含有量基準を最大約13倍上回る鉛が検出された。地元住民の求めで佐賀大理工学部の宮島徹教授(環境化学)らが分析していた。場外の土壌から基準を超える鉛が検出されたのは初めてで、射撃場の早期閉鎖を求める声が高まりそうだ。鉛は土壌汚染対策法の特定有害物質に指定され、含有量基準は1キロ・グラム当たり150ミリ・グラム以下。民有地は射撃場直下の休耕田で、地権者の了解をとって4か所の土壌を採取、このうち1か所から1キロ・グラム当たり1946ミリ・グラムの鉛を検出した。他の3か所の土壌も基準を1・7~3・9倍上回った。射撃場は腰岳の東南斜面にあり、1984年に近隣地から移転・開設。鉛弾は一度も回収していない。市は射撃場閉鎖の方針だが、約57トンと見積もる鉛の回収に約3億円かかると推計、今年度末がめどだった閉鎖時期を先送りしている。休耕田付近には場内外を分けるフェンスらしきものはなく、クレー(標的として飛ばす素焼きの皿)などが散乱した状態。市は2003年度と09年度に場外の河川水から環境基準を上回る鉛を検出した。土壌検査は04年度に実施し、場外汚染はなかったが、その後は検査していない。射撃場の運営は、市が同市クレー射撃協会へ委託。昨年度の利用者は延べ990人で、うち市内利用者はわずか118人。地元の大川内町区長会などは昨夏、「人体や水稲など農作物への影響を心配し、不安を感じている」として、塚部芳和市長へ射撃場閉鎖と鉛の回収を求める要望書を提出している。環境省の「射撃場に係る鉛汚染調査・対策ガイドライン」は、鉛の健康被害について、食欲不振、貧血、筋肉の虚弱などをあげ、発がん性にも触れている。
(オオカミ導入案に異論続出:大分)
鳥獣被害対策として豊後大野市の橋本祐輔市長がオオカミによる駆除に注目していることに対し、7日の市議会代表質問で、2会派の代表が反対の立場から質問した。橋本市長は、ハンターやわなによる狩猟、防護柵などの対策だけではシカ、イノシシなどの被害を防げないとして、国外からオオカミを輸入する方法を選択肢の一つに挙げている。小野泰秀氏(清風ク)は「米国の国立公園で導入例はあるが、四国の半分という広大な土地。オオカミの行動範囲は広い。国も否定的な見解を示しており、再導入の可能性が残されていると思うのか」と質問。小野栄利氏(緑政会)は「議会で議論するなら予算化はいつなのか。オオカミ議論は鳥獣被害の実態を示した効果はあると思うが、市民の立場を考えると反対せざるを得ない」と述べた。橋本市長は「一自治体でできることとは考えておらず、社会的なコンセンサスが必要」「全国にオオカミ再導入に関心がある自治体があり、協議する組織ができれば議会に相談したい。大規模な予算化は考えていない」と理解を求めた。
(イノシシ対策、60人が技術研修:宮城)
仙南地域でイノシシによる農作物被害が拡大していることを受け、県大河原地方振興事務所は4日、角田市小田地区の斗蔵山で、イノシシ被害対策現地技術研修会を開いた。仙南2市7町をはじめ、大崎市や栗原市などの自治体と有害鳥獣捕獲隊、農業など防除対策に従事している関係者約60人が参加。「箱わな」「足くくりわな」「電気防護柵」など捕獲用具を使う防除技術向上をテーマに話し合った。イノシシによる仙南地域の農作物被害は年々増加し、年間約3000万円を超えている。移動範囲が広く被害は仙台地域にも拡大しているほか、自治体ごとの対策では限界があるため、関係者が連携することにした。最初に角田市のオークプラザで、NPO法人東日本野生鳥獣被害防除センターの荒蒔(あらまき)敏夫理事(農林水産省農産物野生鳥獣被害対策アドバイザー)が「イノシシの生態と被害対策」をテーマに講演した。参加者はその後、斗蔵山に移動。「箱わな」や、「足くくりわな」などの効果的な設置法などを学ぶ現地技術研修会に臨んだ。参加者からは「餌の置き場所は」「捕獲効果を上げるには扉を片側だけ開けておくのがいいのか、両側がいいか」など実体験を踏まえたさまざまな意見が出された。
(狩猟期間延長を検討:山梨)
県は7日、新年度に改訂する特定鳥獣保護管理計画で、農作物に大きな被害を与えているニホンジカとイノシシについて狩猟期間の延長を検討する方針を明らかにした。2月定例県議会の一般質問で、石井脩徳県議(県民クラブ)の質問に答えた。次期計画は2012年度からの5年間。11年度までの現計画では、ニホンジカとイノシシによる農作物への被害が特に多いことから、ほかの獣と比べて狩猟期間の終了を1か月延長し、11月15日から3月15日としている。県全体のニホンジカとイノシシによる農作物被害は約8000万円でここ数年横ばい状態。狩猟期間を拡大することで捕獲頭数を増やし、被害を縮小させるのが狙いだ。県みどり自然課はニホンジカやイノシシを捕獲するわなの研究も進めており、「わなの実証実験の進展や、狩猟関係者の反応を見ながら延長期間を検討したい」としている。
(ニホンジカ捕獲に力:和歌山)
東牟婁地域鳥獣被害対策本部の設立総会が7日、新宮市の県東牟婁振興局で開かれた。本部長に武田丈夫・古座川町長、副本部長に田嶋勝正・串本町長を選び、新年度はニホンジカの捕獲に力を入れる方針などを確認した。県内全域で鳥獣による被害が拡大し、東牟婁地区内でも深刻な農家が増えていることから、市町村の枠組みを超えて効果的な対策を行う。平成23年度は県がニホンジカの管理捕獲に力を入れ、県内で生息する約3万頭のうち約1500頭を捕獲する計画が示され、同地区では約400頭の捕獲を目指す。サルやアライグマ、イノシシなどの捕獲対策にも取り組む。

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(クレー射撃W杯)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は4日、チリのコンセプシオンで行われ、女子スキートの石原奈央子(古峯神社)は予選65点の20位で、上位6人の決勝に進めなかった。また5日、トラップ女子を行い、井上恵(ナスタジャパン)は59点で31位となり、上位6人による決勝に進めなかった。
(北部3市町で初、イノシシ駆除へ:宮城)
北上を続けるイノシシの被害を最小限に抑えようと、県は平成23年度に創設する「みやぎ環境税」を財源に栗原市と大和町、加美町でイノシシの駆除に初めて取り組む。3市町はイノシシの北限とされてきた仙台市泉区の北側に位置し、昨年、イノシシの目撃情報が複数あった。一度に3~5頭が生まれるイノシシは繁殖力が旺盛で、定着すると瞬く間に農業被害が拡大する傾向があるとされる。イノシシは農業被害を受けて市町村が有害鳥獣として駆除するのが一般的。県自然保護課は「被害が出てからでは手遅れになる」として、個体数調整を名目に初めてイノシシ駆除に取り組むことを決めた。予算は環境税を財源に新規に盛り込まれた野生鳥獣適正保護管理費1千万円のうちの300万円。地元の自治体と猟友会の協力でイノシシの所在を特定、一気に駆除したい考えで、4月以降に具体策を詰める。管理費には牡鹿半島(石巻市、女川町)のニホンジカの年間捕獲頭数が1千頭から1500頭に増えたのを受け、県が年間400頭を捕獲する費用400万円、野生動物が人里に出ないよう緩衝地帯の見通しを良くする費用300万円も計上されている。
(ハンター誤射?作業員死亡から1カ月:北海道)
厚真町の山林で安平町早来栄町の林業作業員新渡戸勝彦さん(45)がハンターの誤射とみられる銃弾を受けて死亡した事故から4日で1カ月が経った。事故当時、現場付近を立ち去るのが目撃されたハンターらしい2人組はいまも名乗り出ず、新渡戸さんの体を貫通した銃弾も発見されていない。道警は、道内のライフル所有者に一人ずつ会うローラー作戦を実施すると同時に、銃弾の発見を急いでいる。「当時はどこにいたのか。いつもはどんな車に乗っているのか」――。道警は現在、各警察署員らが札幌、函館両方面本部管内のライフル銃を含む猟銃の免許所持者約3200人と面談して、事故当時の所在確認などを進めている。発生から1カ月でこのうち約半数との面談を終え、さらに聞き取りを続ける。北海道猟友会の天崎弘会長は「誤射であれば自分で分かるはずだし、一緒にいて黙っているのも同罪だ。早く名乗り出て欲しい」と呼びかける。木材の運搬作業をしていた新渡戸さんが倒れているのが発見されたのは4日午前10時前。司法解剖の結果、銃弾は1発で、右脇腹から左胸にかけて斜めに貫通、大動脈が破断されていたという。道警は傷口の状態から、銃弾がライフル銃から発射されたとみている。事故当時、別の作業員が約200メートル離れた町道で、山側に向かって発砲するハンターとみられる2人組を目撃。危険を感じたため「コラ」と叫んだところ、青いRV車に乗って立ち去ったという。公道からの発射は銃刀法で禁じられている。ライフル銃は、散弾銃を所持して10年間、無事故無違反でないと所持できないため、ハンターはベテランの域にあるはずだが、札幌市内の銃砲店店主は「林業の作業現場近くで、しかも道路から撃つことや、救護をしないで逃げるのは非常識だ」と首をかしげる。新渡戸さんと町道との間にはシカの足跡はなく、シカと見間違えられた可能性が高い。薬莢(やっきょう)が落ちていなかったため、ハンターが持ち去った可能性もあるという。発射された銃弾から銃の所有者が特定できる可能性が高いため、これまでに警察官延べ約750人が現場周辺の土を掘り起こしたり、金属探知機を使ったりして銃弾の捜索を続けている。事故のあった厚真町などでは事故後、道猟友会苫小牧支部などがパトロールを実施し、ハンターらに注意を呼びかけた。新渡戸さんの母勝子さん(68)は「いまでも信じられない気持ち。いつものように『ただいま』と帰ってくるような気がしてならない。逃げ得は絶対に許せないです」と声を詰まらせた。
(禁猟区域で銃弾装填した容疑で男を書類送検:長野)
坂城町の民家で昨年11月に銃弾とみられる金属片が見つかった事件で、千曲署は3日、狩猟禁止区域で銃に弾丸を込めたとして、同町の無職の男(68)を銃刀法違反(実包の装填(そうてん))容疑で長野地検上田支部に書類送検した。容疑を認めている。同署によると、男が弾を込めた銃を持って歩いている途中に暴発したという。男は、周辺が銃による猟の禁止区域だと認識していたという。送検容疑は、昨年11月15日午前、同町南条の民家近くで、住宅が集まる地域のため銃猟が禁止されているにもかかわらず、ライフル銃に実弾1発を込めたとしている。男が誤射した弾は民家の玄関などに撃ち込まれたが、けが人はなかった。この日は県内の狩猟解禁日で、民家から数百メートル離れた山林でも猟が行われ、男は午前中から猟に出ていたという。
(エゾライチョウ、「希少種」指定したのに「食べ方」紹介:北海道)
北海道のホームページ(HP)に、道が希少種に指定しているエゾライチョウの食べ方が紹介されていたことが、3日の道議会で明らかになった。北海道猟友会が作成した小冊子をそのまま転載していたものだったが、道は不適切だったとしてHPから削除した。転載したのは、狩猟入門用に道が監修し作成された「北海道的狩猟ライフのすすめ」。野生鳥獣の食べ方を紹介したページで、エゾシカなどの調理例などとともに「蝦夷雷鳥(エゾライチョウ)の蕎麦(そば)」が挙げられ、「上品で良い出汁(だし)がでます。蕎麦やお雑煮、もち米と炊いてサムゲタン風にしてもおいしいです」と記載。道自然環境課が昨年6月、そのまま転載した。エゾライチョウは、ライチョウ科の小型の野鳥。日本では北海道にだけ生息するが、かつては食用としても一般的で、現在でも鳥獣保護法では狩猟が認められている。しかし、近年、生息数は減少傾向とみられ、道は01年作成の「北海道レッドデータブック」で「希少種」に指定していた。同課は「食べることを奨励するようで誤解を与えかねない」とし、道猟友会に対しても記述を修正するよう求める。
(エゾシカ駆除4万4000頭:北海道)
道は3日の道議会予算特別委員会で、本年度のエゾシカの有害駆除頭数が1月末現在で前年度より8千頭多い、約4万4千頭に上り、過去最多となったことを明らかにした。最多は釧路管内白糠町の2290頭で、前年度の年間駆除数2016頭(速報値)を既に上回っている。次いで、同管内鶴居村の2268頭、日高管内平取町の1944頭。
(県境越え有害鳥獣捕獲:長野)
南佐久郡川上村や南牧村などと、両村に隣接する山梨県北杜市で5日、それぞれの猟友会員計約100人が参加して、ニホンジカなどの有害鳥獣一斉捕獲が行われた。呼び掛けた県佐久地方事務所によると、県境を越えた一斉捕獲は県内初の試み。広域で連携して逃げた先で迎え撃ち、効率良く捕獲する狙いで、15日までに同郡や北佐久郡、上田、東御市も含め14市町村で実施する予定だ。川上村と北杜市の県境では、同村猟友会と、同市の須玉町猟友会増富分会の計約30人が協力。両側から鳥獣を囲むよう、動きについて事前に打ち合わせた。車で林道を上って森に入り、犬を使って鳥獣を追い、この日はシカ15頭を捕獲した。佐久地方の2009年度の野生鳥獣による農業被害額は約2億5900万円と県内で最も多い。佐久地事所は15日までの1カ月を捕獲強調月間に設定、対策に力を入れている。昨年度も管内11市町村で一斉捕獲をし、一日でシカとイノシシ計82頭を捕獲した。シカは縄張りを持たずに長野・山梨間を広く移動していることが多いといい、今回初めて北杜市に参加を呼び掛けた。川上村猟友会の井出静也会長(63)は「一定の区域を囲む形になるので、いつもより成果が出た」としながらも、「ハンターが高齢化しているため、効率的に猟をするには道路の整備などにも力を入れる必要がある」と話した。
(狩猟免許の取得費全額補助:和歌山)
みなべ町は農作物に被害を与えるイノシシなどの有害鳥獣対策として、来年度から狩猟免許取得費用の補助を行う。新規取得する場合には1万5200円(受講料1万円、手数料5200円)が必要だが、取得者に対しては全額を補助する。執行部は事業費として37万8000円を開会中の議会に上程。担当の産業課では「免許取得者を増やして有害鳥獣の個体数を減らしたい」と話している。町内では有害鳥獣による農業被害が深刻で、 町がまとめた平成21年度の被害額は375万円となっている。 農家からは 「シカに梅の苗木を食べられた」 「収穫前の稲がイノシシに倒された」 「以前は山間部だけだったが、 近年は海岸部でもイノシシが出没するようになった」 などという声が聞かれている。 有害鳥獣の個体数の増加に伴って捕獲数も年々増加し、 昨年はイノシシが266頭 (前年166頭)、 サルが42頭 (同18頭)、 シカが74頭 (同62頭)、 アライグマが91頭 (同115頭) となった。 4年前の平成18年と比べるとイノシシが81頭から266頭と3倍以上にはね上がり、シカも31頭から74頭と2倍以上に増えた。 こうした状況に対応するため、 町は鳥獣免許取得にかかる費用を助成するほか、 有害鳥獣捕獲補助も来年度から引き上げる方針。 これまで銃器でイノシシやシカを捕獲した場合は1頭につき1万円の補助だったが、 5000円を上乗せして1万5000円とする。 サルについても2万円から3万円に増額する。 イノシシの捕獲おりも5個購入、 町内の狩猟会の5分団へ貸し出しも行う。 町では 「有害鳥獣の個体数を減らし、 農作物被害を軽減させたい」 と話している。
(野生動物による農業被害防げ:大阪)
シカやイノシシ、国の天然記念物のニホンザルなどの野生動物による農業被害を減らそうと、箕面市は国の緊急雇用創出事業を利用して「鳥獣害対策チーム」を発足させた。山すその農地や集落のそばを連日巡回し、シカなどがいたらエアガンを使って追い払う。府内初の試みで、これまでよく分かっていない鳥獣被害の実態解明にも努める。2月21日午前。背中に「鳥獣害対策チーム」の文字が書かれたオレンジ色のベストを着た対策チームの3人が、市北部の止々呂美地区を巡回していた。幹の皮を食べられた木が点在する急斜面に獣道を見つけ、単眼鏡などで丹念に調べた。警察の指導で、エアガンはテニスラケットのカバーに収納して持ち歩く。対策チーム事業を市から委託された建設会社の木村長男主任(64)は、市の鳥獣対策に関わって20年以上になる。この日も3人を案内し、「ここらはビワ、イモ、タケノコ、ありとあらゆるものが被害に遭う。夏の被害が一番多いので、巡回はこれからが忙しい」と気合を込める。箕面市によると、2009年度の市内の鳥獣被害額は約1280万円にも及んだ。約580アールの畑や水田で、特産のユズの樹皮をシカがかじったり、サルがビワやクリの実を食べたり。被害額はここ数年横ばいだが「被害を申告しない農家が多く、実際の被害はもっと大きいはずだ」と市の担当者は話す。市はこれまで、侵入防止柵設置費の助成や捕獲オリの貸し出しなどを実施。農家も爆音器や爆竹などで追い払っていたが「サルなどは賢くてすぐに慣れてしまう」(市の担当者)ため効果が乏しかった。そこで、エアガンで動物を追い払っている兵庫県篠山市の取り組みをヒントに、対策チームをつくることにした。ハローワークなどで募集して雇った24~37歳の男性5人が2班に分かれ、農業被害の多い山すその3地区をバイクで巡回。野生動物を見つけたらエアガンを発射して威嚇する。エアガンに殺傷能力はないが、弾を警戒して必ず山に戻るという。チームの活動は今年2月から来年3月まで。動物を追い払った日時を記録したり、農家から被害を聞き取ったりして被害傾向をデータ化し、今後の対策にも役立てるという。市の担当者は「被害データがあれば効果的な予防策につなげられる。何が有効なのかいろいろと試しながら被害を防ぐ手立てを考えたい」と話した。
(シカ駆除支援へ林道除雪:北海道)
網走中部森林管理署(阿部知行署長)は1月と3月、エゾシカの駆除のため置戸と佐呂間の国有林の林道を除雪している。ハンターが林道に入りやすくすることで近年急増しているエゾシカの農林業被害を減らそうという試みだ。エゾシカは農作物への被害のほか、植えたばかりのミズナラやシラカバなど広葉樹の芽や葉を食べたり角をこすって樹木の皮をはいだりして森林への被害も深刻だ。国有林の林道は本来の作業の際に一部を除雪することはあるが、エゾシカ対策として実施するのはオホーツク管内で初めて。対象は地元自治体から要望があった区間。1月14~31日に置戸町常元のオンネアンジ林道と同勝山の春日林道の合計12キロを除雪し、地元の猟友会員がエゾシカ42頭を捕獲した。3月1日~31日は佐呂間町知来の富武士林道と幌岩林道の合計6キロでも作業する。阿部署長は「要望がある区間の除雪を続けていきたい」と話している。道猟友会北見支部の堀江篤支部長は「雪が積もっていると林道に徒歩やスキーで入らなければいけないため駆除に手間がかかる。捕獲したエゾシカを車で回収しやすくなるなどの効果がある」と歓迎している。
(大規模防護柵が次々、鳥獣被害防止に期待:長野)
イノシシやシカなどの農作物被害に悩む飯田下伊那地域で、全長10キロを超える大規模な防護柵の設置例が増えている。飯田市上久堅で約11キロの柵が2009年に建設されたのに続き、隣の喬木村でも今月下旬の完成を目指して工事が進む。高森町、豊丘村も新年度予算案に事業費を盛った。柵の効果に期待する一方で、完成後の維持管理が課題になる。農林業をどう守っていくか、“地域力”が試されている。飯田市では「竜東」と呼ばれる天竜川東側の上久堅の山ぎわに高さ2メートルの防護柵が張られた。耐久性に優れた金網で、シカなどの食害から農作物を守る。同じく竜東の喬木村では、村東部の同市境から豊丘村境まで南北に縦断する全長16・5キロを建設中。豊丘村は新年度、喬木村境から北へ約8キロ設置し、他の一部地域でも2キロの柵を張る。天竜川を挟んで西側の高森町も設置に乗り出す。新年度予算案に工事費7400万円を計上した。全長は飯田市境から松川町境までの約10キロ。柵の上部にサル対策用の電線も取り付ける。飯田下伊那で大規模な柵の導入が相次いでいるのはなぜか。喬木村ふるさと振興課の吉川慎太郎さん(30)は、被害の増大による農林業離れへの危機感があるという。下伊那地方事務所によると、飯田下伊那地域の09年度の獣類による農業被害は1億2000万円。ここ10年では06年度の1億7000万円を最高に、毎年大きな被害が出ている。吉川さんは「被害が拡大すれば農家の生産意欲が衰え、離農者が増える。柵に対する期待は大きい」と話す。先駆けて設置した同市上久堅では設置効果が出始めている。市農業課によると、全市的に被害が多かった07年度の上久堅の農業被害額は1640万円だったが、設置後の09年度は80万円に激減した。獣害対策に詳しい信州大農学部の竹田謙一准教授(39)は「柵の効果があることは間違いない。シカなどは柵伝いに移動する習性がある。柵沿いにワナを仕掛ければ捕獲しやすくなり、猟友会による追い込みも楽になる」とメリットを話す。一方で柵設置後の点検、補修の重要性を指摘。「せっかく柵を作っても補修しなければシカなどが侵入し、すぐに元の状態に戻ってしまう」と強調する。飯田市上久堅や喬木村は、地元住民による有害鳥獣被害対策協議会を組織し、定期的に巡回や補修を行う。同村では柵の管理費として一世帯あたり300円を徴収し、村を挙げて取り組むという。「山ぎわの農村部がシカやイノシシを食い止めてくれている。農村部が廃れると必ず住宅街などに現れるようになり、住民生活を脅かすことになる。全ての人が応分の負担をするのは正しい在り方」と竹田准教授。獣害防止にどれだけ真剣に取り組めるか。「最後は地域力がカギになる」と話した。
(植生へのシカの悪影響、48%の地域に)
植生学会(会長・福嶋司・東京農工大大学院教授)が、森林や草原など植生へのシカの影響を全国で調査した結果、48%の地域で食害などの影響が出ていることが6日までに分かった。関東以西の太平洋側で被害が大きく、重度の影響が認められた地域の3割以上が近畿地方に集中していた。学会によると、シカの影響に関する全国調査は初めて。学会は「多くの森林や草原は姿を根本的に変えつつある。日本の生態系や生物多様性の保全上、重大な脅威だ」と指摘している。結果は、11日に札幌市で開かれる日本生態学会の大会で、植生への影響度を5段階で示した「シカ影響度マップ」とともに報告される。調査は2009年春~11年1月、学会メンバーや大学の研究者ら約150人が、森林や草原などで直接実施。沖縄を除く46都道府県の約1130地域で有効なサンプルを得た。その結果、北海道から九州まで全国でシカによる何らかの影響が見つかり、調査地域全体の約20%で林床の草木の著しい減少や土壌の流出など、重度の影響が出ていることが判明。回復が困難なほど植生が衰退しているところもあった。深刻な被害は知床(北海道)や奥日光(栃木)、大台ケ原(三重、奈良)、屋久島(鹿児島)など、日本の代表的な自然植生地域でも確認。影響は森林と草原、自然林と植林などの区別なく、あらゆる植生に見られ、海岸から高山帯まで幅広く及んでいた。植生学会は「国に警鐘を鳴らしたい。これだけの影響が出ていると、自治体で対応できない。国は早急に対策を打ち出してほしい」としている。
(シカの植生被害、札幌で11日に全国調査報告)
植生学会の調査で、シカによる植生への影響が全国的に確認されたが、生態系保全に向けた「有効な手だてはない」(専門家)のが現状だ。国の対応が不十分との指摘もあり、解決への道筋は見えていない。麻布大獣医学部の高槻成紀教授(動物生態学)によると、日本に生息するシカは1980年代以降、暖冬やハンターの減少で増加。生息域も広がり、90年代に目立ち始めた植生被害は、2000年代に入って急速に全国へ拡大した。林野庁のまとめでは、09年度のシカによる森林被害は4050ヘクタールで、鳥獣類の約7割を占める。環境省などは、ハンターによる駆除や防護柵の設置といった対策をしているが、数の増加や生息域の変化に十分な対応ができず、問題解決に至っていない。高槻教授は、国が主導して取るべき方策として《1》全国的なシカ被害のモニタリング《2》専門的な狩猟集団の育成-を列挙。「環境省は人材育成や予算面などの態勢が不十分。急いで対策に取り掛からないと後手に回っていく」と指摘している。
(“おとり”でカラス捕獲へ:山梨)
甲府・平和通り沿いでカラスの群れが増え、ふんなどの被害が出ている問題で、甲府市は3日、旧市庁舎跡地に設置した二つのおりにカラス3羽を放した。飛来するカラスの“おとり”として捕獲につなげることなどを狙っている。市森林整備課の職員3人が、甲府市中央卸売市場で廃棄される食材やドッグフードなどの餌をまいた後、体長30センチほどのカラスをおりに放した。4月13日まで捕獲の試みを続ける予定。同課は「知恵のあるカラスが安心感を持ったり、逆になわばり争いをしたりしておりに近づくことや、警戒心から生息地を移すことにつながればいい」と効果に期待している。市は先月中旬から旧市庁舎跡地におりを設置している。しかし、これまでに捕獲はなく、目立った効果は出ていない。
(巡査部長、寝る前に暴発:岐阜)
4日午前4時45分ごろ、岐阜県本巣市文殊、北方署本巣交番で、地域課の男性巡査部長(60)が仮眠前に保管庫に拳銃を入れようとした際、銃弾1発を暴発させた。弾は窓ガラスを破って外に出たが、けが人はなかった。北方署によると、巡査部長は弾の数の確認をした際、引き金に入れた指に力が入り暴発。「誤って指が掛かってしまった」と話しているという。交番には巡査部長のほか、勤務中の巡査(20)がいた。交番の周囲には住宅や病院があった。国家公安委員会の規則は、射撃時を除き引き金に指を入れてはいけないとしており、北方署の真鍋博文副署長は「拳銃の取り扱いについてさらに指導を徹底し再発防止に努めたい」としている。

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(狩猟免許取得最多1200人:北海道)
エゾシカによる食害が広がる中、本年度の銃やわなを使う狩猟免許の新規取得者は過去最多の1200人近くにのぼったことが、道のまとめでわかった。このうち約700人がわな猟の取得者で、道は、安価で手軽なわな猟の免許を取得する農家の急増が背景にあるとみている。
(クマと共生ドングリ基金:岡山)
昨年秋にツキノワグマの出没や捕獲が相次いだ美作市は、クマとの共生や自然環境の保全を目的にした「ドングリの森基金」を創設する条例案を、2日開会した市議会に提案した。市内の山林を針葉樹から広葉樹に転換することで、熊の餌ドングリを増やし、二酸化炭素の吸収を促して地球温暖化防止にも一役買う。基金の財源は、県内外から寄せられた寄付金39万円と市の予算1000万円。同市真殿の市有林(約10ヘクタール)の杉やヒノキを伐採後、基金の利子や伐採した木材の売却益を活用しながら広葉樹に転換していく計画だ。同市では、北部を中心に昨年10月頃から熊の目撃が相次ぎ、昨年11月末までに45頭が捕獲された。同情した久米南町の女性が13万円を寄付したのをきっかけに、市内や大阪市の主婦ら計11人が「保護に役立てて」と寄付金を寄せていた。安東美孝市長は「保護を願う熱い思いの寄付をいただいた。基金を希少動物との共生、山林の再整備に向けての第一歩にしたい」と提案理由を説明した。
(鳥獣被害に広域で対応:和歌山)
深刻化する農作物の鳥獣被害に広域で対応しようと、和歌山県田辺西牟婁の市町や県、関係機関が参加して1日、「西牟婁地域鳥獣被害対策本部」を設置した。今後、有害捕獲の許可に関する要件の統一や効率的な捕獲情報の共有化など、連携して捕獲を軸にした対策を進める。県内の七つの振興局単位で対策本部(地域本部)を立ち上げる。2月14日に県庁で総合的な調整を行う県本部を設置し、振興局ではすでに日高地方で対策本部を設けている。西牟婁地域対策本部は、田辺、白浜、上富田、すさみの各市町長とJA紀南組合長、県猟友会西牟婁支部長、西牟婁振興局長で構成。事務局は西牟婁振興局農業振興課に置く。この日、田辺市の西牟婁総合庁舎であった設置会議では対策本部の役割や設置要綱を承認した上で意見交換した。対策本部の役割として挙げたのは、有害捕獲許可期間や捕獲報奨金の地域内での統一▽シカの管理捕獲の強力な推進▽発信器装着による生態調査や囲いわなの設置など行動範囲の広い加害サル群の広域的捕獲対策―など。アライグマについても、外来生物法による防除計画を策定し、絶滅のための計画的捕獲を推進していくこととしている。対策本部長の古谷利男西牟婁振興局長は「皆さんと一緒に対策に取り組み、効果のある会にしていきたい」と述べ、振興局担当課職員が県の新年度予算で大幅に増額している鳥獣害対策の概要を説明した。中家徹JA紀南組合長が「捕獲が第一だが、農家は捕った後の処理に頭を痛めている。例えば猟友会との協力体制とか受け皿を考えてほしい」と要望。真砂充敏田辺市長は「(野生鳥獣)食肉処理施設設置の支援に関する新年度予算を計上しており、そこで流通にのせていくなど、有効利用につながればと考えている」などと語った。西牟婁振興局管内の鳥獣被害額(2009年度)は4634万円。内訳はシカ1484万円、サル1355万円、イノシシ979万円など。相次ぐ被害による生産意欲の減退から耕作放棄地につながるケースもあるという。
(小学生が彦根城で放鳥:滋賀)
彦根市金亀町の彦根城山崎郭(やまざきぐるわ)で2日、市立城北小学校の6年生37人が、キジの幼鳥30羽を空に放った。県の野生鳥獣保護・増殖事業の一環。毎年、春と秋に県内の鳥獣保護区などで催され、今春は計17カ所で約600羽を放つ予定。キジは、甲賀市土山町の県猟友会が運営する施設で卵から育てられた生後6~8カ月の幼鳥。段ボール箱から1羽ずつ取り出された後、子どもたちに手渡され、順番に2、3人で一斉に放つと、バタバタッと激しく羽ばたいて、城山の林の奥に飛んで行った。初めて放鳥を体験した谷島悠斗君は「持つときはドキドキしたけど、手を離すとパーッと飛んでいって気持ちがよかった」と話していた。
(ハクビシン、アライグマ被害防止柵「白落くん」:埼玉)
埼玉県農林総合研究センターは、ハクビシンとアライグマを感電させて、侵入を防ぐ被害防止柵「白落くん」を開発した。小規模農地に向き、市販の安価な直管パイプと防風ネットを使い簡単に組み立てできるのが特徴だ。高さ90センチ以上の直管パイプを縦支柱に、約1.5~2メートル間隔で配置し、横支柱をフックバンドで固定する。縦支柱に弾性ポールを差し込み、接合部にはビニールテープをまいて、水が入るのを防ぐ。防風ネットを横支柱の下から垂らしたら、プラス導線を横支柱の上部5センチに張る。鳥害を防ぐため、防鳥ネットを張ると効果的だ。
(部下に銃突き付けた警部補を停職:大阪)
勤務中に交番や警察署内で部下に拳銃を突き付けたとして、大阪府警は2日、泉大津署地域課の男性警部補(47)を停職6カ月の懲戒処分にした。府警は同日、銃刀法違反容疑で警部補を書類送検し、警部補は依願退職した。監察室によると、警部補は泉大津署で交番所長をしていた昨年6~10月、部下の20~30代の男性警察官4人に計6回、「おい」「こら」などと言いながら、頭や脇腹に向けて、実弾5発が入っている職務用の拳銃を突き付けた。監察室によると、警部補は「ミスをした部下への叱責や、部下を驚かせようと冗談半分でやった」と供述している。

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(エゾシカ駆除、登録ハンターがボランティアで:北海道)
食害による農林業被害が深刻なエゾシカ駆除のため、通常は認められない鳥獣保護区内での狩猟のモデル事業が1日、釧路市阿寒町地区の国有林で始まった。釧路総合振興局が昨冬から始めた取り組みで、登録したハンターが無償で協力する。環境省が指定する鳥獣保護区内では、一般ハンターによる狩猟が禁じられているが、今回のモデル事業は、道が狩猟許可を得たうえでボランティアのハンターが班単位で狩猟に当たる。これまで手も足も出なかった鳥獣保護区に逃げ込んだシカを狙い、駆除頭数を上積みするのが目的だ。昨年度は3月の1カ月間で、保護区外を含む阿寒町地区の約1万4600ヘクタールで計47人のハンターが計367頭を捕獲した。2回目の今年度は、釧路町尻羽岬地区の国有林約483ヘクタールも対象に加え、38~79歳のハンター43人が集まった。この日は阿寒町地区で朝から18人のハンターが4班に分かれて出動し、雄2頭、雌1頭を捕獲。道猟友会釧路支部の花田実支部長(79)は「雪が少ないのでシカがなかなか出て来ないけど、個体数を減らすため頑張りたい」と話した。猟期は今月27日までで、2日からは尻羽岬地区での猟も始まる。
(捕獲で被害軽減、イノシシ対策の講演:和歌山)
農林水産省農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーの須永重夫さん(67)=栃木県足利市=が2月27日、和歌山県田辺市高雄のJA紀南営農生活本部で講演し、箱わなを使用したイノシシの効果的な捕獲方法を説明した。鳥獣害に悩まされている農家ら農業関係者や猟友会関係者が実践に役立てようと、熱心に聞いた。田辺市鳥獣害対策協議会と西牟婁地域鳥獣害防止対策関係機関連絡会、西牟婁農業プロジェクト協議会、JA紀南主催の鳥獣被害防止対策講演会。約100人が聞いた。須永さんは、全国で有害鳥獣捕獲の技術指導や講演をしている。栃木県猟友会足利和支部にも所属している。須永さんは全国的にイノシシによる農業被害が多いことを紹介し「いくら防御しても、捕獲しないと被害は減っていかない」と強調。その上で効果的な箱わなの仕掛け方を紹介した。仕掛ける場所は、安心して餌を食べられるよう、明るすぎず暗すぎない所がいいという。聴覚が人間の7倍優れているといわれるほど音に敏感なので、沢の水の音がする所や送電線の下は避け、山際に沿って歩く習性を利用し、斜面にくっつけて設置することを勧めた。餌については「イノシシは美食家」として「人間がおいしいと感じるものが好き。残飯や賞味期限が切れたせんべいやラーメンなど何でもいい。また、シカとは違い、動物性タンパク質を好むので魚に味付けをしても効果的。日本酒やワイン、焼酎などの酒も好物」と説明した。注意点としては「イノシシの口は小さいので細かくして。また、何種類か混ぜてやることも重要。泥付きのイモを使う人が多いが、毒のある新芽が出てしまい、一切食べない。外にも餌を置く人がいるが、それだと中に入らない」と話した。一度捕獲できた場所では仲間の体臭が残り、安心して箱わなに入るので、洗う必要はない。臭いが付きやすい土を敷き、箱わなの入り口の段差をなくすこともポイントとして説明した。ふるさと自然公園センターの鈴木和夫さん(54)による「2010年田辺市でのアライグマ捕獲について」の調査報告もあった。鈴木さんは昨年1年間の旧市内での捕獲数は158匹で、旧4町村では27匹であるとし「捕獲によって増加にブレーキはかかっていると思うが、程度は分からない。ただ、捕獲数からは生息数が減ったとは読み取れない。わながない空白の場所を作らないなど、一層の捕獲を進めることが必要」と話した。
(高知側から侵入か、剣山で急増ニホンジカ:徳島)
剣山で急増するニホンジカは高知県側から集団で侵入した可能性が高いことが、徳島大学大学院先端技術科学教育部の山城明日香特別研究員らの調査で分かった。DNA解析で、剣山と高知県側の両シカの遺伝的構造に類似点があることを突き止めた。山城特別研究員は「侵入ルートで重点的な駆除を行えば増加に歯止めをかけることができる」としている。山城特別研究員は同大総合科学部系統分類学研究室と合同で、2009年から剣山や三嶺、美馬市木屋平谷口カケ、那賀町と高知県香美市の県境周辺など9地点で現地調査を実施。各地点で有害駆除された個体の組織やふんのサンプル計181頭分を採取した。母方からのみ受け継ぐミトコンドリアDNAなどを解析した結果、剣山のシカは三好市東祖谷の祖谷川南部や高知県香美市物部町周辺など3地点の個体と似通った遺伝的構造を持つことが分かった。那賀町の長安口ダム周辺など残りの5地点の個体とは類似点がほぼなく、剣山のシカは、高知県側から剣山山系北西部の麓伝いに集団移動し、分布した可能性が高いとしている。調査結果は18日に美馬市の県西部県民局美馬庁舎で行われる剣山地域ニホンジカ被害対策協議会の会合で専門家らに報告する。山城特別研究員は「シカの移動ルートが分かれば剣山への侵入が防げるのではと思っていた。結果が今後の効果的な駆除につながれば」と話している。剣山では03年ごろから樹皮剥ぎなどシカの食害が確認され始め、以降希少な高山植物が次々と被害を受けている。県が行った調査では1平方キロメートル当たりの生息密度は06年度21頭だったが、09年度には38頭となり増え続けている。
(「狩猟」から命を考えよう:長野)
「狩猟は良いことでしょうか、悪いことでしょうか」。県クマ対策員の後藤光章さん(37)の問いかけに、首をかしげる生徒たち。後藤さんは「祖先は狩猟で命をつないできた。狩猟の一部を担うことで、命を考えるきっかけにしてほしい」と続けた。狩猟を題材に命を考えるこんな授業に県内外で取り組んでいる。長野市立長野高校でこのほどあった「ノーマライゼーション講座」には講師として招かれた。自らが猟に出て撃ったニホンジカ3頭を教材にと持参した。「狩猟は撃って解体し、胃袋に入るまで」と話す。生徒は実際にシカの皮をはぎ、解体した肉で作った料理を味わうなどした。最初は瞳が開いたままの親子のシカを見つめ、おそるおそるナイフを握っていた高校生も、次第に慣れた手つきで肉をさばく。2年生の市川実季さんは「普段はパックで売っている肉を料理するだけ。でも、自分で解体してみて、命をもらって食べているのを実感した」と話した。後藤さんは、信州大農学部の学生時代にクマの調査・研究をしていた。その中で、野生動物が増えすぎることなく人間と野生動物の共存関係を保っていくためにも「人間の生活に狩猟は欠かすことができないと気づいた」という。各地で食害が問題になっているシカの場合、2009年度には県内で約1万8700頭が捕獲されたが、そのうち食肉として流通しているのは約1300頭にとどまるという。多くは猟師が自家消費するか、土に埋められる。「動物の命を奪う行為と食べることがかつては一致していた。その重みを教えることで獲物も生きてくる」と後藤さん。猟で捕獲した動物を教材に、小学校や大学でも授業をしている。

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(エゾシカ駆除、成果3頭:北海道)
新冠町は27日、道猟友会日高中部支部新冠分会(山藤雄一分会長)の協力を得て山間部の高江周辺でエゾシカの一斉駆除を行った。同分会のハンター11人が参加し、雄1頭、雌2頭の計3頭を駆除した。新年度に予定されている日高管内一斉のエゾシカ駆除に向けた試行として行い、手順や安全を確認した。今回のような大規模な駆除は町内では初めて。この日は午前6時半から約3時間半かけて駆除を行った。3人が勢子(せこ)となって南西からエゾシカを追い、北東で待機した8人がライフルで撃った。町産業課は「安全面の問題はなかった」とし、山藤分会長は「管内一斉駆除に向け準備を重ねていきたい」と話していた。
(緊迫のエゾシカ捕獲作戦:北海道)
道内でエゾシカの増加に伴い農・林業への被害が拡大する中、胆振総合振興局など3団体による初の大規模・組織的な捕獲作戦が27日、登別市川上町の幌別ダム鳥獣保護区で展開された。山中を駆けるシカに悪戦苦闘するハンターの闘いをルポする。 午前8時、氷点下のなか川上町に設けられた本部に同振興局、登別市、猟友会室蘭支部(伊奈信也支部長)メンバー計約50人が集結した。猟は道に許可申請し2年目。昨年は猟友会が単独実施し、今回は振興局と登別市が連携した。「これほどの人数でやるのは胆振管内では初めて」とメンバー。振興局によると、管内のシカによる農・林業被害は平成20年度2億1千万円、21年度2億7千万円と増加している。猟友会の事前調査で保護地区には約200頭が生息。昨年は猟友会15人が11回出動し60頭捕獲。今回は20頭前後を目指す。捕獲は追い出し猟。27人の勢子(せこ)が来馬川方面で爆竹や笛、大声でシカを驚かせ幌別川方面に追い込む。川沿い3キロにわたり「待ち撃」12人がライフルを構え待機、逃げて来たシカを仕留める作戦だ。30年以上のベテランハンター(69)は「勢子は約2時間掛け雪の中でスノーシューを履いて配置に付く。動くと気付かれるのでじっと現れるのを待つ」と言う。9時には各自が持ち場へ散った。「見てごらん。大きなシカがこっちを見ている。ボスかな。仲間に知らせるかもな」とハンター同士でささやく。シカは学習能力が高く、一度覚えた行動は仲間にも教えるという。道東では牧草のロールを破り草を食べる。「ここではまだ被害はないが、1頭がすると別のシカも次々とやる」と習性を話す。利口なシカに対し、けもの道であらかじめ逃走経路を把握して捕獲する。猟開始から30分後、本部前の急斜面の谷に8頭の群が現れた。待ち撃から「発砲許可を」と無線。本部は慌ただしくなる。発砲許可とともに川のせせらぎと風の音だけの山中に「パーン、パーン」と乾いた音。「やった」「倒れた」と声が上がった。「面白い猟になる」とハンターたち。8日、道東で自衛隊が協力したシカの大規模な駆除が行われ、初日はゼロに終わっているだけに、関係者の期待が高まる。しかし後半、勢子が配置に付き、遠くで爆竹や発砲の音が聞こえるが、本部からはシカの目立った動きが見られない。「ササに隠れているのか。警戒しているな」。群れを確認できず結局、この日は前半の4頭を含めて捕獲数は5頭。札幌のペットフード業者に運ばれた。振興局の大脇英敏保健環境部環境生活課長は「目撃頭数は75頭だが、ハンターは指示があるまで撃てず、シカが想定した方向に逃げないなど思っていたより利口。今回を参考によりよい方法を検証したい」と話した。
(山林でわな猟の実地講習会:長野)
諏訪地域森林(もり)づくり・林業振興会は28日、有害鳥獣を捕獲するわなの実地講習会を、諏訪市郊外の人工池「蓼の海」近くの山林で開いた。諏訪地方を中心に東信地方、伊那市などから、ことしのわなの狩猟免許取得者ら22人が参加。諏訪猟友会員3人を講師に、わなの仕掛け方を学んだ。
(獣害対策に唐辛子縄、シシ去りてシカ来る:徳島)
三好市池田町漆川の黒沢湿原の貴重なサギソウをイノシシの被害から守るべく、自然保護団体が昨年、唐辛子を差し込んだワラ縄を湿原に張り巡らせた。狙い通りイノシシは臭いを嫌がってほとんど近づかなくなったが、唐辛子につられてニホンジカがやってきてしまった。一筋縄ではいかない獣害対策。メンバーは改善策を講じて今春に臨む。三好市を拠点とする「ルネサンスの会」「林業研究クラブ・馬路『夢いっぱい』会」は11年前から地元の中高生と連携し、絶滅の恐れがあるサギソウの保護に取り組んでいる。近年、ミミズ目当てに湿地を掘り返すイノシシのせいで、移植した根が定着しなかったり、苗が踏みつけられたりする被害が続いていた。両団体の代表を務める久保進さん(70)は昨春、栃木県の農業高校がイノシシよけに唐辛子を活用して効果を上げていることを文献で知り、黒沢湿原でも試してみようと思いついた。県の「ふるさと水と土指導員」として得た活動補助金をもとに、作りだしたのが約180メートルに及ぶ唐辛子縄。ワラ縄に唐辛子を差し込んで煮込み、辛み成分を染みこませた特製のものだ。「すべて自然の材料なので、環境にもいい」と久保さん。昨年6月、県立三好高校のバイオ施設で培養したサギソウの苗を地元の子どもたちと共に湿原に植えたのにあわせて、2団体の会員たちで移植範囲をその縄でぐるりと囲んだ。縄がちょうどイノシシの鼻先になるよう、竹の棒で高さ20センチの位置にそろえた。会員がその後、数日おきに湿原を訪れ、イノシシが地面を掘り返す跡が縄の3メートル手前で止まっていることを確認した。7月と10月に1度ずつ、縄の中まで進入された形跡があったが、土を掘り返されることはなかった。ところが、夏ごろから時々、縄に挟んだ唐辛子がなくなることが続いた。足跡から見て犯人はシカ。唐辛子の地元栽培農家が過去にシカの被害にあったとの証言もあり、臭いを気にせず唐辛子を食べに寄ってきたらしい。シカが背丈の低いサギソウを食べることは今のところないという。でも、黒沢湿原は「四国の尾瀬」と呼ばれるほど湿地植物群落の宝庫。唐辛子というエサを与えて呼び寄せる格好になれば他の植物に被害を及ぼしかねない。2月16日に徳島市内であった県の指導員の研修会で、久保さんが一連の取り組みについて「シカが生息しない場所では、イノシシ対策として唐辛子縄は一定の効果がある」と発表したところ、他地域の指導員から「参考にしたい」と評価の声が上がった。久保さんは「あとは何とかシカが嫌がるものを組みあわせ、完璧な対策にしたい」と話す。様々な木の皮を食べるシカも和紙の原料になるミツマタは食べないことから、ミツマタの樹液を散布することなどを検討している。

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