<射撃ニュース10月>

10/31
(日本クレー射撃協会、組織運営見直す改善計画書提出)
日本クレー射撃協会は22日、役員人事をめぐる内紛が長期化した組織運営を見直す改善計画書を日本体協に提出した。今後、文部科学省や日本オリンピック委員会(JOC)にも報告する。改善計画書では、取り崩した約4000万円の基本財産を各都道府県協会による100万円の寄付で穴埋めする方針を示し、来年6月までに財政再建など全項目を履行するとした。民主的な協会運営を目指し、各都道府県の代表である正会員の選出方法や委任行為の制限を明文化することも盛り込んだ。
(クリーンセンターで散弾8発見つかる:愛媛)
22日午後3時半ごろ、松山市市坪西町の同市南クリーンセンターで、粗大ごみの分別作業をしていた委託業者の作業員が、白いビニール袋に入った散弾8発と鋼球1個を発見し、松山南署に通報した。同センターによると、散弾は未使用とみられ、同日午後1時以降に持ち込まれた粗大ごみの中にあったという。同センターには委託業者による回収と市民の直接持ち込みがあり、同市や同署は経緯などを調べている。
(自治体の鳥獣対策、調査・連携を)
野生鳥獣による農作物の被害対策を担う自治体の生息実態調査が不十分で、行政区域を越えた広域連携も不足しているとして、総務省は30日、自治体への支援や助言を改善するよう農林水産、環境両省に勧告した。2010年度の鳥獣被害は全国で約240億円。シカやサルが田畑を荒らす例が増えており、総務省は抽出した9道県を中心に実情を調べた。山形県は予算の制約から十分な生息調査を実施できていなかった。広島県のある自治体は推計の手法が甘く、被害面積を過大に見積もっている可能性があるという。青森県では追い払ったサルの群れが分裂、自治体間の連携不足により移動先で被害を広げたケースがあった。愛知県では各市町村の目標を合計した捕獲目標が、県の数値の約2倍だった。
(駆除のシカから基準超セシウム:埼玉)
県は23日、秩父市浦山で21日に県猟友会員が捕獲したニホンジカの肉から、基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える820ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。県内の鳥獣から基準値を上回る放射性物質が検出されたのは初めて。県によると、このニホンジカは駆除目的で捕獲され、肉は市場に流通していない。県は、業者に捕獲したニホンジカの食肉の出荷・販売自粛を求めるとともに、食用にしないよう注意を呼びかけている。
(熊の目撃情報について:宮城)
10月25日、東和町錦織八ヶ森地内で熊の目撃情報がありました。山に入る時や山の近くで作業をする場合は十分注意してください。
(クマに襲われケガ:山形)
白鷹町と鶴岡市で30日、男女2人がクマに相次いで襲われ、いずれも腕に軽傷を負った。県警によると、今年度に入ってクマによる人への被害は、4人となった。クマは冬眠に入る11月末頃まで栄養をつけようと、餌を求めて人里近くに下りてくることもあるため、県警などは注意を呼びかけている。同日午前6時頃、同町高玉の農道で、散歩中の同所、無職金田佐助さん(89)がクマに左手をかまれ、手のひらや甲の挫創で全治約2週間のけがを負った。長井署の発表などによると、クマは体長約70センチで子グマとみられる。クマは農道脇のやぶの中から出てきて、金田さんを襲った後、元の方向へ去っていったという。現場は山あいの集落の一角。近くでは今夏以降、3頭のクマがわなにかかり、捕獲されたという。周辺には柿や栗の木が自生しており、例年この時期はクマの目撃情報が多い。日課にする散歩のコースだったという金田さんは、「1人で歩いていたら、突然、クマがやぶから飛び出してきた。『わーっ』と大きい声を出したら、逃げていった。親グマに襲われていたら、命がなかっただろう」と振り返る。一方、同日正午頃には鶴岡市松沢の林道沿いの山林で、キノコ採りをしていた同所、無職斎藤みよきさん(75)が、クマに両腕の上腕部をかまれたり、爪でひっかかれたりするなどの軽傷を負った。鶴岡署の発表によると、斎藤さんが目の前に現れた子グマに驚き、立ち上がったところ、近くにいた親グマに襲われた。その後、2頭は山中へ逃げて行ったという。
(セシウム、クマ肉から基準超え:新潟)
県は29日、十日町市で捕獲されたクマの肉から、新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える760ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。県が実施している野生鳥獣の検査では過去最大値。肉は販売されておらず処分する。24日に有害鳥獣として捕獲されたクマを調べた。県は、市町村や猟友会を通じ、同市で捕獲されたクマの食用自粛を呼び掛けている。
(道路脇から突如クマ、女性の顔ひっかいて姿消す:秋田)
28日午前7時半頃、秋田県大仙市協和稲沢の市道で、散歩をしていた近くの女性(57)が体長約1メートルのクマに襲われ、左こめかみに軽傷を負った。大仙署の発表によると、クマは道路脇の茂みから突然現れ、女性の顔面をひっかいた後、山林に姿を消したという。現場から最寄りの民家までは約500メートル。同署は、地元猟友会と協力して周辺の警戒に当たり、付近住民に注意を呼びかけている。
(クマ続々…目撃53件:神奈川)
伊勢原市を中心に、クマの出没が相次いでいる。25日までの目撃情報は53件。過去最多だった2010年度の64件に迫る勢いだ。県は捕獲したクマに唐辛子スプレーをかけ、人の怖さを教えて山に戻しているが、再び人里に現れた例も初めて確認された。地元では「学習効果」に、疑問の声もあがる。大山山麓(さん・ろく)の伊勢原市子易地区。23日、山すそまで広がる柿畑を訪れると、農家の男性(68)が枝ごと折られた柿を拾い集めていた。前夜に侵入したクマの仕業だという。「ほら、ここだよ」。指さした枝跡の直径は10センチもある。食い散らかした実のわきにはオレンジ色の真新しいふんがあった。「ネットを張っても役立たず。毎朝畑を見に行くのがゆううつだ」とため息をついた。近くでは18日にクマが捕獲されたばかりだが、その後も目撃情報が相次ぐ。45人が通う大山小学校では全校児童にクマよけの鈴を配り、教員が付き添って集団下校している。5年生の一舞菜美(はじめ・ま・な・み)さんは「夜に家の外から『ウ~』とうなり声が聞こえて怖い」。県自然環境保全課によると、今年は全国的にクマのえさとなるドングリが少なく、人里に降りてくる要因となっている。今年度の目撃件数は昨年度の15件を大きく上回る。県内一の柿の産地、伊勢原市では9月以降、3頭のクマがわなで捕獲された。ツキノワグマは丹沢での生息数が約30頭とされ、県の絶滅危惧種に指定。原則として殺処分はされない。県は再び人里に来ないよう、爆竹を鳴らしたり、唐辛子入りスプレーをかけたりしてから、山奥に放してきた。しかし、9月29日に子易地区の柿畑のオリわなで捕獲されたオスグマは、2010年に近くで捕獲され、「学習放獣」されたクマと同じ個体だった。耳につけられたタグの番号でわかった。県自然環境保全課によると、一度、捕獲されたクマが再び捕まる初めてのケースという。県のマニュアルでは、殺処分の条件は「放獣しても同じ年に再び戻るなど効果がない場合」と定めており、このクマは再び山に戻された。この対応に、小学生の子どもがいるという主婦(36)は「また戻ってきたらと思うと、安心して寝られない」。地元では「県のやり方は手ぬるい」と不満の声があがる。県は来年度のマニュアルの改定を検討するという。
(クマにかまれ女性重傷:山形)
25日午前10時50分ごろ、山形県川西町下小松の山中で、枝打ち作業をしていた林業小関和子さん(67)=川西町上小松=がクマに両手をかまれ、手の甲や指など7カ所を骨折する重傷を負った。県警米沢署によると、小関さんは仲間2人と作業していた。クマは子グマとみられ、小関さんが抵抗したため逃げた。現場は川西町役場から北東へ約2キロの山中。米沢署が周辺をパトロールし警戒を呼び掛けた。
(クマに顔かまれ男性重傷:長野)
25日午前10時20分ごろ、長野県木曽町福島の山中で、公務員、林俟雄さん(68)=同町福島=がクマに顔の右側をかまれ、重傷を負った。木曽署によると、1人でキノコ採りをしていると、ささやぶからクマが突然現れたという。悲鳴を聞いて駆け付けた男性が119番した。クマは山に逃げた。現場はJR木曽福島駅から約2キロ。
(新幹線、クマと衝突:山形)
22日午前11時ごろ、山形県米沢市の山形新幹線(奥羽線)大沢―峠間で、東京発山形行きつばさ129号がクマと衝突し、緊急停車した。乗客183人にけがはなかった。JR東日本山形支店によると、大沢駅で車両点検し異常がなかったことから、42分遅れで運転を再開した。親子連れとみられる3頭のうち1頭とぶつかったという。
(クマ頭数調査、共存を探る足掛かりに:北海道)
道内全体にヒグマがおよそ何頭いるのか、道が把握調査を始めた。全市町村で実施するのは12年ぶりだ。結果は本年度中にまとめるという。林野庁の協力を得て、今年以降、国有林内の足跡やフンから増減を継続的に見極めていく方針だ。前回の2000年は推定1771~3628頭だった。生息数はその後、どう推移しているのか。調査を人とクマが適度な距離を保ちながら共存する施策に生かす必要がある。札幌市街地での今夏の出没騒動は記憶に新しい。その要因は、頭数が増えているからなのか、人への恐れを失って人里に接近しているためか。最も知りたいのはこの点だ。動き回るヒグマが残した体毛の遺伝子を分析すれば、オス・メスの区別だけでなく、どの個体のものか識別できる。この手法で、道立総合研究機構などは昨年、札幌近郊に少なくとも13頭のヒグマがいたことを突き止めた。見逃せないのは、複数のメスが居着いていることだ。メスは行動範囲が狭く定着性が強い。しかも、成獣になったメスは母グマの周辺を離れない傾向がある。ヒグマは元来、警戒心が強く、人を避けて生活する。しかし、人と遭遇した時や子グマを守る時に攻撃行動を取りやすいとされる。メスグマの定着は、親子グマや、親離れ直後で人との距離感がつかめない若グマとの接触を増やしかねない。事故のリスクが今後、高まる可能性は否定できない。このような現実が、札幌以外の都市近郊でも起きつつあるのか。道には、そこにもスポットを当てて調査を進めてほしい。都市近郊の分布地図を配るだけでも住民への啓発につながるだろう。地域で取り組めることも少なくない。町内会や自治体には、ごみステーションを堅固にしたり、侵入ルートとなるささやぶや林の分断を検討したりすることを提案したい。果樹や農作物に近づけさせないためには電気柵が有効だ。近郊の山野を散策する時には鈴や笛、ラジオ、撃退スプレーの携帯を心がけたい。多人数で行動し、早朝や夕暮れ時は避けるのが望ましい。そうした対策を取ってもなお、専門家がリスクが大きいと判断すれば、個体を選別して駆除することも議論せざるを得ないのではないか。ただし、判断を下すにも、生息数や行動範囲の把握がまず第一だ。道は適正な捕獲数の設定を目的とした「ヒグマ保護管理計画」の策定を目指している。計画を実のあるものにするためにも、データの蓄積を急がねばならない。
(クマ出没:栃木)
26日午前3時55分ごろ、日光市所野の市道で車で通り掛かった人が道を横断するクマを目撃した。日光署は警戒を呼び掛けている。同署によると、体長約1メートル。道を渡った後、草むらに入っていったという。
(住宅街にシカ:熊本)
熊本市東区の住宅街で、29日から30日にかけてシカの目撃情報が相次いだ。熊本東署は30日夕までに9件を受理。被害などは確認されていないが、県自然保護課は「見かけても刺激しないで」と注意を呼び掛けている。署によると目撃情報は29日に6件、30日は3件寄せられた。いずれも同市長嶺南や戸島西を流れる健軍川周辺で、県道(通称・国体道路)の南北に点在。体長1~1・5メートルの雄のシカで大きな角があり、足跡らしい痕跡も見つかった。30日午前は戸島西3丁目で、同署員が畑を走る姿を目撃。警察や市、県の担当者が周辺の警戒を続けている。長嶺小は30日、シカに遭遇したときの注意を呼び掛ける文書を保護者に配布。なるべく集団で登下校するよう児童に促した。県自然保護課によると、旧熊本市域で野生のシカは確認されていない。周辺の旧城南町や益城町で昨年、樹皮がはがされる被害が初めて確認された。「シカは食べ物に困って人里に下りることはなく、野生としたら非常に珍しい」という。同課は、シカと遭遇した場合の注意点として(1)大声を出したり、追い掛けたりしない(2)慌てず、ゆっくり後ずさりする(3)車の運転中は静かに通り過ぎるのを待つ-などを挙げている。
(線路にシカ、電車に衝突死:埼玉)
30日午後8時半頃、埼玉県飯能市阿須のJR八高線金子―東飯能駅間で、川越発八王子行きの普通電車(4両編成)が、線路内にいたシカと衝突した。乗客にけがはなかった乗務員が死んだシカを線路の外に運び出す間、電車は現場に停車し、約30分後に運転を再開した。JR東日本によると、上下線4本に最大で約30分の遅れが出て、乗客約500人が影響を受けた。
(動物園から逃げ出したニホンザルを住宅街で捕獲:愛知)
愛知・名古屋市の東山動物園から10月15日に逃げ出したニホンザルが、21日、名古屋市南区の住宅街で、動物園の職員によって捕獲された。サルの目撃情報があったのは、東山動物園から南西におよそ9kmの住宅街で、駐車場や公園などで、「サルを見た」という通報が相次いだ。目撃者は「猫かと思ったら、サルだったのでびっくりした」と話した。通報を受けた動物園の職員が現場に急行し、サルを捕獲し、体内に埋め込まれていたチップから、捕まったサルが逃げ出した「ムコドノ」であることが確認された。
(住宅街でオスのシカ1頭目撃:北海道)
22日朝、北海道・札幌市の住宅街で、オスのシカ1頭が目撃された。その後、シカは森の方に逃げ、区の職員などに捕獲された。22日午前4時半ごろ、札幌市手稲区富丘の国道5号線で、山の方から市街地に向かって歩いているシカ1頭が付近の住民などに目撃された。通報者は「シカが、住宅街の方へ国道を渡って、トラックにひかれそうになって。クラクション鳴らされて、(シカが)渡っているのに気づいた」と語った。シカは、体長およそ1.5メートル、角が60cmほどある成獣とみられるオスで、その後、河川敷を越え、1.2kmほど先の森の方に行った。警察や区役所の職員が22日朝から警戒にあたったが、午前8時40分ごろ、麻酔を打ち、捕獲した。捕獲されたシカは、近くの山に戻されるという。
(イノシシ数頭が列車に衝突:岐阜)
30日午後10時35分頃、岐阜県各務原市のJR高山線で、美濃太田発岐阜行き上り普通列車(2両編成)がイノシシ数頭と衝突した。乗客20人にけがはなかった。同列車は点検のため、鵜沼駅で運転を取りやめた。さらに、線路上に8頭前後のイノシシがいたため、高山線は上下線とも31日午前0時まで運転を見合わせ、1本が運休、3本が最大1時間28分遅れ、約150人に影響が出た。現場は木曽川沿いの山間地域で、JR東海は「一度にこれほど多くのイノシシが出たのは聞いたことがない」としている。
(イノシシがコケ掘る:福井)
福井県勝山市平泉寺町平泉寺の市史跡「平泉寺墓地」で、イノシシがコケを掘り起こしたとみられる跡が多数見つかり、22日、区から連絡を受けた市の担当者が現場を調べた。室町期の石仏などが残る墓地は、近くの平泉寺白山神社の境内と同様に杉木立の中、青々としたコケに覆われた貴重な文化財。区民は「イノシシの被害は、農作物ばかりと思っていた。こんなことは初めて」と驚き、対策に頭を痛めている。5・3ヘクタールの平泉寺墓地は、平泉寺の僧侶たちを供養した室町後期の石仏や五輪塔などの石塔をはじめ、焼き打ち後の平泉寺を再興した顕海(けんかい)僧正の墓、平泉寺白山神社代々の宮司の墓などがある。平泉寺区の墓地でもあり、大正時代に石垣などで区画され、清掃や除草も区民の手で行われてきた。1975年に市史跡に指定された。イノシシの被害は1週間ほど前、墓参りに来た区民が発見。最上部にある「元正天皇御歯髪(おはがみ)塚」周辺では、コケのじゅうたんのあちらこらちが掘り返され、黒い土がむき出しになっていた。鼻先で土中のミミズなどを探した跡とみられる。平泉寺区の松田正道総代(76)は「コケが美しく、区民が一生懸命手入れしてきた大切な場所なのに残念。今後、どう守ったらいいのか、市と相談したい」と話す。さらに墓地から女神川を挟んだ北東約1キロには、平泉寺白山神社がある。このため「境内で被害が出たら大変」と、危機感を強めている。この日は市史蹟整備課、林業振興課の職員が現場を確認。史蹟整備課世界遺産推進室の宝珍伸一郎室長は「市内の史跡で、イノシシ被害は初めて。区の対応を聞き、どういった支援が可能か、考えたい」と話していた。
(クマ出没2件、注意呼び掛け:神奈川)
相模原市緑区で29日、クマの出没が2件相次いだ。市や津久井署によると、目撃されたのは、名倉と小渕の2地区。けが人はなかったが、小渕地区では蜜箱が破壊される被害も出た。名倉では午前6時半ごろ、住民男性が自宅近くの山裾を移動する1メートルほどのクマを発見、市に通報した。間もなく職員が駆けつけたが姿を消していた。小渕では午後3時半ごろ、男性から「クマが蜜箱を壊し、(蜜を)食べているようだ」と市に通報があり、職員が駆けつけると荒らされた蜜箱が見つかった。市水みどり環境課によると、クマ出没に関する市民からの通報は2012年度(9月21日~10月29日)は12件と11年度の4件を大きく上回る。けが人はでていないが、クリ畑など作物被害も一部出ている。同課は、「野外に収穫した作物や生ごみを放置しないでほしい」と注意を呼び掛けている。草むらを刈り取るなどし、クマの隠れ場所を除くのも有効という。
(クマ目撃数急増、過去20年で最多:岩手)
クマの目撃数がこの20年間で過去最高となっている。この4年間で6倍に増えた。有害駆除頭数は最も多かった2006年度の241頭に迫る227頭(9月末現在)だ。エサの不作に加え、猟師の銃が津波で流されたり、仮設住宅で猟銃の保管条件が満たせなかったりすることも影響しているようだ。目撃数を集計しているのは県自然保護課。目撃者が市町村に寄せた件数を集計している。12年度の目撃数は1882件。八幡平市、花巻市など奥羽山系に集中している。クマに襲われた件数も17件ある。目撃数は11年度1046件、10年度531件、09年度294件と急増してきた。ただ、これまで警察署に通報された件数を県警本部が集計していたのを、昨年7月から市町村が受けた通報数を県が集約する方法に変わった。「警察に届けるほどではないが、役場には通報できる」という人たちも少なくないという。有害駆除数も11年度の103頭と比べ、12年度は2倍に増えた。一方、駆除を担う猟師は減っている。今年3月の県猟友会員数は1780人、平均年齢62歳。昨年3月は1946人だった。会員の高齢化に伴い、毎年5~10%ずつ減っているという。震災では8人の猟師が亡くなった。県警によると、10年12月時点で5064丁あった銃のうち、約60丁が津波で流された。銃刀法に従うと、津波で銃が流されてしまった猟師は、許可を取り直さない限り猟ができない。これを機に猟をやめた会員も少なくないという。猟銃の保管も、施錠できるロッカーが固定され、できるだけ弾と銃を別の部屋に保管しなければならない。県猟友会の関係者は「仮設でも条件を満たせば保管場所にはなるが、実際に銃を保管して猟をしている人はごくまれ」という。花巻猟友会の藤沼弘文会長の携帯電話は、多い時で出動を求める連絡が1日5~6回入る。花巻猟友会で現場に向かった回数は、昨年は約30回だったが、今年すでには170回。会員にはサラリーマンも多く、スーツの上に作業着を羽織り、猟銃を背負って現場に向かう会員もいる。クマのエサになるブナの実は、4~5年周期で不作がある。東北森林管理局が7月末に出した今年の結実予測は「皆無」だった。また、猟友会員が駆けつけた目撃現場は、耕作放棄地が目立つ。岩手大学農学部の青井俊樹教授は「過疎と高齢化で中山間地は静まりかえり、クマも人里に下りやすい。今年が多いというより、これからも増えるだろう」と予測する。県自然保護課は、なるべく市街地にクマを近づけないため、収穫していないカキの木などの果樹を倒すことや、生ごみの収集日の厳守を呼びかけている。さらに捕獲頭数の上限を引き上げを検討している。
(クマご用心、相次ぐ被害:栃木)
栃木県内で熊の被害が相次いでいる。19日には紅葉が見ごろの日光市中宮祠の戦場ケ原で、ハイキング中の男性が襲われ、重傷。13日には矢板市長井の牧場でも、男性従業員が出勤直後に出入り口付近で被害に遭い、重傷を負った。県は行楽シーズンで山など熊の生息域を訪れる機会も多いことから、注意を呼びかけている。各自治体などによると、今年度の県内の熊の目撃件数(21日現在)は、那須塩原市で昨年のほぼ倍に当たる89件、那須町で同5倍の25件に上り、日光市(奥日光)でも55件が目撃されている。環境省によると、今年4〜8月の全国の目撃件数(速報値)も昨年同期比6割増の約8400件で、同様の傾向という。全国ではかまれるなどして34人(8月末現在)が負傷した。森林総合研究所東北支所の大西尚樹・主任研究員(動物生態学)は、目撃が増えた根本的な要因として、山間地集落の過疎化や高齢化を挙げる。人里と森林の境界となっていた里山に、手入れが行き届かない耕作放棄地が増加。「雑草が高く生い茂り、人間を怖がるはずの熊が人里に近づけるようになった」と指摘する。熊は9〜11月、冬眠に備えて食欲が旺盛となる。しかし、今秋はドングリが県内をはじめ全国的に不作のため、餌を求めて人里まで降りてきているとみられる。県自然環境課によると、県内もミズナラやコナラが不作だが、毎年不作が多く、例年と比べて特段に少なくはないという。目撃件数も夏ごろに比べると減少している。だが、同課は「熊が人里近くまで出没するようになっており、注意は必要」としている。熊との遭遇を避けるにはどうしたらいいのか。環境省野生生物課は「山に入るときには、熊が近づかないように鈴やラジオなどの音の出る物を持って、自分の存在を知らせて」と話す。熊を呼び寄せないように屋外にゴミを放置しないことも有効だという。万が一遭遇した場合には「あわてずに熊を見ながらゆっくり後退するのが大切」と話す。走って逃げたりすると、熊は追いかける習性があるという。
(クマの目撃が相次ぐ:北海道)
紋別市内の2ヵ所で20日と21日、クマが目撃された。市・紋別警察署では「冬眠をひかえたクマが食糧を求めて活発に活動しているおそれがある」として、付近の住民や通行者に注意を呼び掛けている。このうち大山スキー場では20日午後4時50分ごろ、スキー場左手付近に親クマ1頭、子グマ2頭と思われる計3頭がいるのを、駐車場で休憩中の男性が目撃した。いっぽう小向では21日午前8時30分ごろに体長1メートルほどの小型のクマ1頭が、また午後0時30分ごろには成獣と思われる大型のクマ1頭が、それぞれ通りかかった男性により目撃されている。通報を受け、紋別警察署と紋別市では現場付近でクマを探したが、発見には至らなかったという。
(クマで閉鎖、通行止めきょう解除:栃木)
環境省日光自然環境事務所は22日、ハイカーが熊に襲われ、閉鎖していた奥日光・戦場ケ原の自然研究路を、23日〜11月30日の午前9時〜午後3時の間、通行止めを解除すると発表した。職員が巡視する。戦場ケ原を縦断する木道の研究路。同事務所は、周辺は熊の生息地域と説明。▽1人で歩かない▽鈴を鳴らすなどして人がいることを知らせる−−などして熊と出合わないよう呼びかけている。
(県内のクマ目撃、4~9月46%増:長野)
長野県内でツキノワグマの出没が増えている。県がまとめた4~9月のクマの目撃事例は1451件と前年同期に比べて46%増えた。里山の荒廃などを背景に、市街地への出没も増えている。9月までで3千件を超えた2006年には及ばないが、比較的高い水準。集落内での目撃事例が890件と全体の61%を占める。
(クマ侵入の保育園、普段通りに登園:長野)
熊が21日未明、侵入した佐久穂町立栄保育園(日向冨美子園長)では22日、普段と変わらない通常保育を実施した。午前7時過ぎから園児たちは、父母に抱っこされたり、車に同乗したりして保護者同伴で登園した。町は、児童生徒の集団登下校の徹底を呼び掛けている。22日午前6時半から町こども課や総務課、教育委員会などの職員が通学路に立って警戒し、猟友会関係者らが町内をパトロールしている。町教委は「学級通信を通して集団行動を呼び掛け、被害に遭わないようにしたい」と話した。
(クマ情報:富山)
22日午後4時ごろ、富山市文珠寺(大山)で、農道を横切る子グマ1頭を近くで水道工事をしていた作業員が見つけ、23日午前9時ごろ、市大山総合行政センターに連絡した。市職員が付近をパトロールしたが、雨のため痕跡は確認できなかった。
(夜間の保育園にクマ侵入:長野)
21日午前2時25分ごろ、長野県佐久穂町の町立栄保育園の警報装置が作動した。佐久署員が駆け付けると、入り口のガラス戸の下の部分が割れ、園舎内の廊下にクマとみられる足跡やふん、柱に爪で引っかいた痕が残っていた。猟友会や町職員が早朝から警戒に当たったが、クマは見つからなかった。町こども課によると、クマは保育園敷地のフェンスを乗り越え、ガラス戸を割ってくぐり抜けたとみられる。室内を片付け、22日は平常通り開園するという。栄保育園は、町役場から北西に約400メートルの住宅地にある。
(熊侵入は偶発的か:長野)
南佐久郡佐久穂町高野町の町立栄保育園に21日未明に熊が侵入した騒ぎを受け、町は22日も職員や猟友会員を動員して警戒を続けた。熊の生態に詳しい専門家は、同保育園への侵入は偶発的で再び現れる可能性は低いとの見方。ただ、町内では22日午後2時半ころにも別の保育園近くで熊らしい動物の目撃情報があり、町は当分の間、職員らが町内3保育園と小中学校5校の周辺を重点的にパトロールすることにしている。熊の生態調査などを手掛けるNPO法人ピッキオ(北佐久郡軽井沢町)職員で、県クマ対策員の田中純平さん(38)は22日に栄保育園を調査。玄関のガラスを破って中に入っているため、「熊にとっても想定外」の出来事に遭遇して飛び込んだのだろうと推測した。その上で、建物内に緊張した熊がするという少量ずつのふんが点在し、壁によじ登ったような跡があることから、「(内部でも)出口を探して怖い思いをしたのだろう。この個体が再び栄保育園に侵入する可能性は少ない」と分析した。さらに、せんべいなどがあった給食室が荒らされておらず、ふんからミズナラかコナラとみられる通常食べている木の実が見つかったため、「食べ物を求めて侵入したのではない」とも話した。町は「高野町近辺で熊を目撃したという話は聞いたことがない」とし、同保育園周辺で熊などによる食害も確認されていないとする。ただ、同園は里山まで数百メートルと近いため、田中さんは「引き続き注意は続けてほしい」としている。一方、22日の目撃情報は、町立八千穂保育園裏手の山に熊がいる―との内容。町職員らが調べたが、熊や熊の足跡は発見されず、同園はこの日、町職員らが正門前に立って帰宅する保護者と園児を見守るなどの対策を取った。
(エゾシカ、集中捕獲へ:北海道)
知床半島に生息するエゾシカの食害対策で、環境省は今冬からシカの生息密度が極めて高い半島西側の斜里町岩尾別地区で集中的な捕獲に乗り出す。今冬の目標頭数は1340頭と、同省では過去に例のない規模の取り組み。3カ年計画でシカの生息密度を現在の4分の1程度にまで下げたい考えだ。同省などで作る知床世界自然遺産地域科学委員会の「エゾシカ・陸上生態系ワーキンググループ」会議で方針が示された。岩尾別地区には開拓跡のササ原が広がり、それを食べるシカが多く越冬することもあり、現在の生息数は約2500頭にもなるという。実際の捕獲作業では、トラックで公道を移動しながら射撃する「流し猟式シャープシューティング(SS)」を中心にするほか、海岸側のササ地では、縦100メートル、横数百メートル規模の仕切り柵による巨大な「囲いわな」を初めて導入。このほか、巻き狩りや自動閉鎖式の小型囲いわなも取り入れ、今後3カ年で03年の生息密度(ヘリ調査、1平方キロ当たり9・8頭)以下の実現を目指す。一方、半島東側のルサ・相泊地区でも今冬、囲いわなや流し猟式SSで300頭を捕獲する計画。釧路自然環境事務所では「捕獲を集中し、一気にたたくことで個体数調整の効果を上げたい」と話している。
(狩猟の魅力まるわかりフォーラム:岩手)
環境省は、平成24年11月10日(土)に狩猟の魅力まるわかりフォーラム(岩手県)を岩手県岩手郡滝沢村の岩手産業文化センター(アピオ)において開催する。このフォーラムは、イノシシやニホンジカ等の鳥獣による生態系及び農林水産業への被害が深刻化する一方、鳥獣保護管理の主たる担い手である狩猟者の減少や高齢化が進んでいることから、将来の鳥獣保護管理の担い手を確保することを目的に開催するもの。滋賀県の日野町有害鳥獣被害対策協議会・日野町猟友会の齊田由紀子氏による基調講演「地域を元気にするハンターの取組み」のほか、パネルディスカッション「鳥獣被害から地域を守るために」を行う予定。なお、このフォーラムには、事前申し込み不要で参加することが可能となっている。
(市が有害鳥獣捕獲で猟友会と調印:大分)
イノシシやシカの鳥獣被害防止にむけて、竹田市は、狩猟組織の連携を進めるための協議書を地元猟友会と締結しました。23日は竹田市市役所で調印式が行われ、首藤勝次市長と竹田市猟友会の河野一二三会長が協議書に調印しました。竹田市では、猟友会のメンバーが、地域ごとに12の班に分かれて活動していますが、イノシシやシカの急増により、体制整備が課題になっています。このため、協議書では12の捕獲班が連携して、狩猟活動ができる体制をつくっていくほか、捕獲技術の指導・継承に取り組むことを確認しています。竹田市では、昨年度、有害鳥獣による農作物の被害額が県内で最も大きい4,300万円に上っています。竹田市では、鳥獣被害が耕作放棄地や農業離れの大きな要因ともなっていて、対策が急がれています。
(猟友会が解体技術伝承へ:滋賀)
県猟友会は、来年度の新事業として、狩猟で捕らえたニホンジカやイノシシを山中で解体する方法の普及に乗り出す。猟銃の扱いや狩猟免許取得の講習会はこれまで年に数回開いてきたが、解体をテーマにした講習会を早ければ来春にも初めて開く。各地で獣害被害が深刻化する中、狩猟の技術を伝承していくことでハンターと捕獲量を増やし、シカ、イノシシ肉の普及拡大を目指す。猟で捕らえたシカやイノシシは、そのまま持ち帰るには大きすぎ、早めに血抜きをしなければ肉に臭みが生じてしまう。このため、山中で手早く解体することが必要とされる。しかし、解体技術を持った人が減少傾向にあることや、獣害の多発に伴ってより多くの捕獲量が求められていることもあり、現状ではほとんどの個体が殺された後、そのまま山中に埋められてしまっている。これらの肉はジビエ(野生鳥獣肉)料理の食材として注目されており、猟の初心者らから「さばき方を教えてもらいたい」という声が上がっていた。県猟友会は、講習会を通じて解体技術を取得してもらえれば新たな収入源が確保され、会員数の減少や高齢化に悩む会の活性化にもつながると期待している。講習会では、熟練のハンターが、シカやイノシシの肉の解体を実演。よりおいしく、調理で使える大きさにまでさばく手順を教える。具体的な開催時期や会場などは今後詰める。県猟友会の担当者は「捕らえた動物の肉がより多く提供できるようになれば、特産品として普及し、狩猟に出る人が増えることが期待できる」と話している。
(女性だけのハンター組織:北海道)
山の頂まで茶畑が広がる京都府和束町。ここで生まれ育った松石三重子さん(65)にとっ 男性が大多数を占める狩猟の世界で、女性だけの組織「The Women in Nature(TWIN)」が9月、北海道で誕生した。設立を呼び掛け、初代会長に就いたのが北海道北広島市の松浦友紀子さん(38)。札幌市にある独立行政法人森林総合研究所北海道支所の職員として鹿の生態を調査する傍ら、週末には猟を楽しむハンターだ。「女性が狩猟に親しみやすい環境づくりを進めて、狩猟の間口を広げたい」と、ハンターの減少という逆境に、女性ならではの視点で立ち向かう。
(若手狩猟者育成へ:長野)
環境省は27日、狩猟に関心ある県民を対象に「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を松本市の松本めいてつショーホールで開く。ニホンジカやツキノワグマなど野生鳥獣による農林業被害、自然環境への影響などが大きな問題となっている一方で、有害鳥獣の捕獲などに携わる狩猟者は高齢化などにより減少しているのが現状だ。フォーラムは若い狩猟者の育成に向けて狩猟の果たす役割や意義について理解を深めるため、県や県猟友会と共催し開催する。午後1時に開会し、鳥獣保護管理コーディネーターの青木豊氏が基調講演し、若手と熟練の狩猟者がそれぞれの立場から意見交換する。また正午からはジビエ(野生獣肉)料理の試食、午前10時半から狩猟模擬体験、狩猟免許相談を行う。参加無料。事前の申し込みは不要。
(業務用食品の商談会にシカ肉展示:長野)
食品卸県内大手のマルイチ産商子会社で業務用食品卸のナガレイ(長野市)は30日、業務用食品の商談会「冬季総合食品フェア」を長野市内で開いた=写真。会場では県産シカのブロック肉や加工品も展示。年内にも飲食店などへ販売を始める考えだ。県内では農産物等へのシカの被害が問題になっているが、食肉として流通するのは一部にとどまる。マルイチ産商が処理業者から買い取り、ナガレイを通じて販売することで流通量を拡大させる。県内外から60社以上が出展した。会場ではこのほか、介護施設などの食材を扱う「老健食コーナー」も拡大。需要増の見込める分野への提案に力を入れた。
(ジビエの新たな味わい堪能:鳥取)
有害鳥獣として捕獲されるイノシシやシカの食肉としての可能性を探ろうと、試食会「いなばのジビエを味わう会」(いなばのジビエ連絡協議会主催)が29日、鳥取市伏野の県立福祉人材研修センターで開かれた。県東部の五つの料理店がジビエ(獣肉)を使ったオリジナル料理を振る舞い、約120人が新たな味わいを堪能した。捕獲獣肉の有効活用を目指して5月に発足した同協議会が企画。臭い、硬いなどマイナスイメージのある獣肉の新たなおいしさをPRし、消費拡大につなげようと開いた。料理を出品したのは、板前亭ちくま▽山紫苑▽対翠閣▽月や栄町店▽ペペネーロイタリア館-の5店。煮込んだシカのモモ肉をジャガイモで包んだ「鹿肉饅頭(まんじゅう)」や柔らかいシカのロース肉を焼き上げた「鹿肉のステーキ香味ソース」など趣向を凝らした計16種のジビエ料理が並び、参加者が舌鼓を打った。同市鹿野町でイノシシ肉の食肉利用に取り組む「シシボタンの会」の伊吹達也会長(48)は「どれもおいしい。肉の質は早く処理することにかかっているので、おいしい肉を提供できるよう頑張りたい」と話していた。
(耕作放棄地に牛を放牧、鳥獣被害が減少:富山)
今年は餌となる木の実の不作でクマが人里に出没するケースが全国的に多発している。こうした鳥獣被害の減少や景観保全を目的に、耕作放棄地などに野草を食べる牛を放牧する事業が各地で行われている。富山県ではこの事業を「カウベルト」と名付け、市民の参加を募っている。クマやイノシシの出没が減少するだけでなく、荒れ果てた土地が牧歌的風景へと変わると好評だが、事業への県の助成が期限付きなため、伸び悩みが懸念されている。カウベルトの現場を訪ねてみた。同県南砺市小院瀬見の市民農園で今月18日、出産間近の牛を励ます会が開かれた。牛に触れられるほどの距離に近付いた保育園児が「里山を守ってくれてありがとう。頑張って」とお礼とエールを送った。「カウベルト」はクマなどの野生動物が牛などの大型動物には近づかない習性を利用して、里山と人里の境界にある耕作放棄地などに牛を放牧し、緩衝帯を形成する事業。この市民農園のカウベルトでは毎年6月ごろから11月ごろまで、2頭の妊娠した雌牛を電気柵で囲った地域に放牧している。牛たちは餌となる緑に囲まれ、雨の日は木陰で休むなど、のびのびと生活している。南砺市の市民農園ではイノシシがジャガイモを荒らすなどの被害が多発。このため、08年から農園付近を管理する同市の住民らでつくる「福光里山カウベルト友好会」(山崎秀信会長)が農園に隣接する約2ヘクタールの耕作放棄地でカウベルトを開始した。これ以降、被害は全く出なくなったという。また、黒部市ではクマが自然道付近に出没するのを防ごうと、里山や自然歩道の整備などに取り組む住民らでつくる「阿古屋野森づくりクラブ」(廣瀬昭元会長)がカウベルトを始めた。「子どもの自然体験に持ってこいの場がクマを恐れて使われないなんて、もったいないと思った」と柴田勝萬事務局長(76)は話した。今ではクマの姿を見ることはほとんど無く、子どもたちの笑い声が響いている。県農業技術課畜産振興班によると、カウベルトの第一の目的は畜産農家の労働や飼料費などの負担軽減だ。しかし、地域振興や鳥獣被害対策の効果も大きいことから、市民団体なども助成の対象とし、鳥獣被害に悩む地域に広げようとしている。今年度は12カ所で31頭が放牧されている。県農業技術課畜産振興班によると、カウベルトの第一の目的は畜産農家の労働や飼料費などの負担軽減だ。しかし、地域振興や鳥獣被害対策の効果も大きいことから、市民団体なども助成の対象とし、鳥獣被害に悩む地域に広げようとしている。今年度は12カ所で31頭が放牧されている。課題は実施団体が年間約50万円に上る費用を負担し続けることができるかどうかだ。現在の県の助成は同一地区に対して3年間まで、1年あたり上限約16万円。市町村レベルで独自に補助をしているところもあるが、今後の県の助成のあり方は未定だ。打ち切られることになれば、住民主体の小さな団体の中には事業終了を検討しなければならなくなる可能性もある。複合的なメリットがあるカウベルト。今後、事業が広がるかどうかは、県などからの助成にかかっている。
(イノシシ保護管理計画案を提示:富山)
被害額が5年ほどで40倍以上に急増しているイノシシ被害から農地を守ろうと、県は29日、保護管理計画案を示しました。29日開かれた県環境審議会の野生生物専門部会で、県は、イノシシ保護管理計画案を提示し専門家らから意見を聞きました。県によりますと、イノシシは10年ほど前から県内で生息域を広げ、現在は舟橋村を除く全ての市と町で確認されています。平成17年度に89万円だった被害額は、22年度に4136万円、23年度は3633万円と、5年ほどで40倍以上に増えました。このため県は計画案に猟の時期を伸ばしたり、防護柵を延長したりして平成28年度の被害額を昨年度の半分以下に減らす目標を掲げています。県は今後、29日の意見を踏まえ、市民からも意見を募って調整し、保護管理計画を来年2月から適用する方針です。
(クマ求めカメラ回収:大分)
祖母・傾山系にクマがいるかどうか調査している民間組織「日本クマネットワーク」(代表・坪田敏男北海道大学教授)は30日、今年6月に山中に設置したカメラの最後の回収作業を始めた。この日は8台を回収。撮影された映像を大まかに確認したが、クマらしき動物は写っていなかった。31日に残った4台を回収して作業を終える。ネットワークの調査隊6人が3班に分かれて山に入り、赤外線センサーで、動くものを自動撮影するカメラを回収。周囲にクマの爪痕などの痕跡があるか調べたが、見つからなかった。回収したカメラにはシカやイノシシ、ニホンカモシカなどが写っていた。同山系では毎年のようにクマの目撃情報があるが、生息を裏付ける明確な証拠は見つかっていない。山系がまたがる大分、熊本、宮崎3県は2001年までに野生種の絶滅を認定。国も今年8月、九州地方のツキノワグマは絶滅したと認定している。
(人里近くにクマの餌「豊作」:岡山)
ツキノワグマの出没を予測するため、岡山県が実施した餌となるドングリ類の生育状況調査で、今年は標高の高い場所では実が少ない一方、麓近くは豊富にあったことが分かった。餌の量は多いものの人里に近づく危険性も高い状況で、本年度の出没件数は29日現在53件と高水準で推移。冬眠を前にクマの動きが活発になる時期を迎え、県は注意を呼び掛けている。調査は、津山、美作市など、県北東部5市町村の35地点で9月上旬に実施した。各地点でドングリ類の樹木10本を抽出し、実の数を計測。標高が比較的高い所に分布するブナとミズナラは「凶作」、標高の低いところにあるコナラは「豊作」とされた。広範囲に分布するコナラが豊作のため、県は2010年度のように記録的な出没件数となる可能性は低く、餌の全体量も初めてドングリ類の生育状況を調査した11年度より多いとみている。ただ、餌の分布が人里に近いため、クマが活発化している11月末ごろまでは里山などでクマと接触する恐れが増すという。県自然環境課は「行楽で山に近づくときには十分警戒し、山間部では家の周りに食べ物を置かないなど、対策を徹底してほしい」としている。
(クマ「分散行動で市街地出没」:長野)
県環境保全研究所など主催のシンポジウム「山のクマ・里のクマ〜信州におけるツキノワグマの生態学」が20日、長野市の同研究所飯綱庁舎であった。近年は里山の放置などから各地で熊の生息域が里近くに広がっており、5日に長野市街地に現れて射殺された雄のツキノワグマについては「分散行動の過程で、たまたま市街地に出た可能性がある」との報告があった。同研究所の岸元良輔・自然環境部長によると、長野市街に現れた熊は性成熟前後の3〜4歳。胃の内容物は河原などにあるヨウシュヤマゴボウの種と植物繊維で、農作物など人に由来するものはなかった。若い雄は出生地を離れて分散する傾向があり、その過程で川伝いに市街地に出た可能性を指摘した。長野市の飯縄山周辺では熊の分布が年々里へ向け広がり、近年は里近くで冬眠・出産した雌も確認。岸元部長は「人里周辺で生まれた熊もおり、何かの拍子に市街地に現れることはありうる」と話した。
(住宅街にサルが出没:大分)
25日午前、大分市の住宅街でサルが相次いで目撃されました。付近の小学校では児童に注意を呼びかけています。25日午前8時前、大分市上宗方の住宅の屋根に「野生のサルがいる」と近くに住む男性から警察に通報がありました。目撃されたサルは1匹、体長がおよそ1メートルほどあったということです。その2時間後、最初の場所からおよそ1.5キロ離れたトキハわさだタウン近くの公園で再びサルが目撃されます。目撃者は「結構大きかった。道路渡ってトキハの方に行った。ゆっくり行ってた」と話しています。目撃者によりますと、サルは公園から道路を渡ってトキハわさだタウンの敷地内へ入っていったということです。警察が出動しましたが、見つけることができず、正午前に捜索を断念しました。サルの出没した場所が校区内となる宗方小学校では、児童に対し、登下校時などにサルを目撃した場合、近づかないよう注意を呼びかけました。
(「耕作放棄が被害拡大」:埼玉)
サルやイノシシなどによる農作物被害を防ぐセミナーが、秩父市大宮のホテルで行われた。被害が農業を続ける意欲を失わせるケースが多いため、耕作放棄対策として県が初めて開いた。セミナーでは、秩父地方のほか、三重、島根両県の対策事例が紹介された。サルなどが田畑を荒らすことで耕作放棄地が増え、人の手が入らなくなった果樹や竹やぶがエサ場や隠れ家となり、被害を拡大する悪循環を招くと説明。対策としては、こうした果樹などを取り除くほか、組織的な追い払いや電気柵の設置で、動物を集落に近づかせないことを呼び掛けた。県農林総合センター(秩父市)によると、秩父地方では今年、サルの行動ルートに変化が見られ、新たに出現する地域も出ている。また、クマがハチの巣を狙って民家近くに現れた跡も見つかっており、養蜂家などに注意を呼び掛けている。
(サルの被害顕著で対策を市長に要望:長野)
飯田市座光寺地域自治会(湯澤英範会長)同地区有害鳥獣対策協議会(長沼豊会長)同地区財産区(下村征夫議長)は22日、同地区で深刻な状況にある有害鳥獣対策を求める要望書を牧野光朗市長に提出した。昨年度、高森町で7キロにわたり電気防護柵を設置したところ、行き場を失ったサルなどが座光寺側にまとまって出没するようになり、リンゴの収穫期を迎えた同町境の原・宮崎地区では、数軒の果樹園のリンゴの実が全滅する被害が発生。最近では、座光寺小学校の周囲にサルの群れが現れバイクを追いかける事例もあり、学校では親の車による登校や集団下校を行うなど対策を講じている。以前は見かけなかったもので、サルの棲息範囲が拡大しているのではと推察している。要望書は「このままの状況が続けば、後継者も育ち市内でも極めて有力な果樹地帯でもある座光寺の農業が深刻な打撃を被ると危惧される。さらに、額に汗して奮励努力している農家の意欲も下がり、耕作放棄地も増えて地域力が著しく低下するのではないか」と懸念。「一刻も早く、高森町に引き続き飯田市側にも同様の施設を設置してもらいたい」と求めている。湯澤会長は「被害は座光寺で顕著。早い時期に何らかの対策をお願いしたい。高森町牛牧区と電気柵の効果と課題を話し合っていきたい。上郷、飯田との3地区協議会でも協力して対応していきたい」、長沼会長は「一般の人に危害を加える心配もあり、地域も一緒になって取り組んでいく方向。市でも有効な対策を考えていただきたい」、下村議長は「針葉樹だけでなく広葉樹も植えることになった。現状は鉄砲を撃つしかない。電気防護柵を設ければ効果がある」とそれぞれ訴えた。これに対し、牧野市長は「どういったやり方が有効か真剣に考える。地域一丸となって取り組む必要があり、行政もしっかりやる」と約束。農業課長は「非常に深刻な被害が生じている。ぜひとも対策を講じて被害がなくなるように努めていくが、抜本的な対策がない。対策協議会と一緒になって有効な対策に力を入れていきたい」と述べた。
(人と「人慣れ」猿、知恵比べ:長野)
北アルプス上高地(松本市安曇)一帯で昨年以降、「人慣れ」が進むニホンザルが観光客を威嚇したり、遊歩道にふんをしたりする被害が目立っている。環境省は、観光客が持つ食べ物を奪うなど人に危害を加えるようになりかねないとして、ことし初めて猿を追い払う定期的な巡回を開始。だが、猿は巡回時間を避けて観光客の前に出てくるようになっている。「人慣れ」が進まないよう対策を強める同省と猿の「知恵比べ」が続いている。17日午後、同省上高地自然保護官事務所の自然保護官補佐、佐々木政喜さん(32)は、猿の目撃情報を受けて約1キロ離れた宿泊施設に急いだ。佐々木さんが着くと、数十匹の群れは一斉にやぶの中へ。観光客と職員をはっきり見分けているようだ。佐々木さんは猿に向かって電動ガンで生分解性の弾を放った。だが、その群れは30分ほどすると少し離れた遊歩道に現れた。ベンチなどに乗った猿を、観光客らは間近で「かわいい」と喜び、写真を撮っていた。佐々木さんが手にした電動ガンは殺傷能力はないが、観光客を驚かせないようごみ袋で覆ってある。「『猿を殺しているのか』という観光客もおり、その都度説明して理解を求めている」と話す。同省によると、上高地には以前から約40匹と約80匹の群れがいたが、2009年に約10匹の群れが新たに確認された。宿泊施設が集まる小梨平から田代橋までの一帯では07年から、自然公園財団上高地支部とともに重点的に追い払いを始めた。ことしは、一部の猿に付けてある発信機の情報を基に群れを追跡して追い払う定期巡回を実施。観光客にも分かるよう「サル追い実施中」と記したベストも用意した。追い払い実施日数は7月末~10月中旬だけで約70日に上り、昨年1年間の5倍となった。その結果、遊歩道上のふんが減るなどの効果は出たが、しばらくすると猿は巡回時間外に現れたり、ベスト姿を見て逃げたりするようになった。最近は定期巡回を減らし、目撃情報を受けて小まめに駆け付けるようにし、ベストもあまり着けなくなった。追い払い指導に当たる民間の環境アセスメントセンター北信越支社(松本市)の市川哲生課長は、猿の行動パターンを変えるには3~5年かかると指摘。「人間の食べ物の味をいったん覚えると、無理をしてでも取りにくる。恐怖心を植え付けるため、観光客に紛れて追い払うのも手段の一つ」と話す。佐々木さんは「間近の人が何もしないと猿は恐怖感を持たなくなる」とし、猿に近づいて写真を撮ったりしないよう、観光客にも理解を求めている。
(キジとヤマドリ放つ:福島)
塙町の高城小で、キジとヤマドリの放鳥があった。県県南地方振興局が生態系保全と狩猟資源の確保、児童への愛鳥思想普及と野鳥保護意識の浸透を目的に毎年行っている。同校は今年度から愛鳥モデル校になっている。4年生以上の児童24人が県鳥獣保護員らと共に「元気に育って」と願いを込めながらキジ12羽とヤマドリ2羽を大空に放した。
(カラス被害防止で新技術)
農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合センターは、徳島県と共同で、ナシなどの果樹園へのカラス被害を防ぐ新技術「くぐれんテグス君」を開発した。釣り糸などに使うテグスと防鳥網を組み合わせた構造で、弾性支柱を用いてテグスを1メートル間隔で果樹園の天井部に張り、テグスと果樹園外周の下側空間を防鳥網でふさぐ。固定型防鳥網の従来法に比べ、設置費用が10分の1以下になるという。同技術の現場普及を図るため、設置方法を詳しく解説したマニュアルを中央農業総合研究センターのホームページで公開。パンフレットも3万5000部作成し、希望農家へ配る。

TOPへ

10/22
(イノシシが、クマが…男女襲われけが:長野)
長野県内各地で15日、イノシシやクマの目撃情報が相次ぎ、安曇野市の市街地では女性1人がイノシシに突進されて重傷を負い、松本市の山中ではキノコ採りの男性がクマに襲われてけがをした。同日午前7時10分頃、安曇野市豊科南穂高、無職斉藤幸子さん(67)が自宅近くの畑で野菜を収穫していたところ、突然、イノシシが現れた。斉藤さんは、突進してきたイノシシに右太ももを牙で突かれて重傷を負った。斉藤さんは家族に助けを求めて病院に運ばれ、命に別条はない。現場は、長野道安曇野インターチェンジから西に約500メートルの飲食店などが並ぶ一角。近くの男性は「この周辺でイノシシが出たという話を聞いたことがなかったので、驚いている」と話していた。安曇野署や市には同日午前6時過ぎから、JR南豊科駅付近や、豊科南中学校付近などでイノシシの目撃情報が計6件寄せられた。午前7時半頃には、斉藤さん方から北に約2キロ離れたドライブイン「安曇野スイス村」付近で体長約1・5メートルのイノシシが車と接触する事故が起きた。車はパンクしたが、けが人はなかった。同署や地元猟友会などが付近を捜索したが、イノシシは見つかっていない。市は防災行政無線を使って住民に警戒を呼びかけた。市教育委は、下校時に注意するよう市内の全小中学校17校に連絡。現場に近い豊科南小、豊科北小の2校は児童が集団下校した。市によると、豊科地区でのイノシシの目撃は2年前にあっただけで、市街地での目撃は珍しいという。佐久市では15日午前6時頃から夕方にかけて、市中心部のJR岩村田駅南側約3キロの範囲でイノシシが相次いで目撃された。けが人はなかった。足跡などから体重約50キロの成獣とみられる。佐久署などによると、同日午前6時頃、佐久市子ども未来館近くで1頭を住民が見つけ、同署に通報。午前10時頃までの間に、岩村田駅付近や若宮八幡神社、一本柳交差点の近くで相次いで目撃された。夕方にも同交差点付近の畑などで1頭が見つかり、同署員や佐久市職員らが捜索したが、捕獲はできなかった。佐久署員がパトカーで巡回し、市は防災行政無線で外出を控えるよう注意を呼びかけた。 一方、同日午後1時30分頃には、松本市安曇の山林で、キノコ採りをしていた同市の男性(70)が体長約1・5メートルのクマに襲われ、顔にけがをした。松本署によると、男性は自ら119番して病院に運ばれた。クマは山中に逃げた。また、午後6時過ぎ、上田市真田町傍陽の県道を車で通りかかった男性から「クマを見かけた」と110番があった。山間部で周辺に民家はないが、上田署や上田市が警戒にあたった。同署や市によると、クマは1頭で、体長1・5メートル前後とみられる。現場は、上田市と長野市を結ぶ県道沿いのチェーン着脱所近く。
(保育園に熊?:長野)
21日午前2時半ごろ、南佐久郡佐久穂町立栄保育園(高野町)で、警備会社の警報装置が作動した。通報を受けて駆け付けた佐久署員が玄関のガラスが割れ、室内に動物の足跡があるのを発見。地元の猟友会員が確認したところ、熊とみられるという。けが人はなかった。同保育園は、町役場佐久庁舎から北西約400メートルの住宅街にある。同町は同日、防災無線で住民に注意を呼び掛けた他、同署員や猟友会員らが周辺をパトロールをしたが、熊は見つからなかった。町こども課によると、22日は通常通り開園するという。足跡は、同保育園南側の田畑から園内にかけて続き、廊下や一部の部屋の中にはふんも残っていた。玄関近くの空き部屋の戸口には、熊がよじ登ったような汚れや爪の跡もあり、部屋の表示板が壊れていた。日向冨美子園長は「玄関近くの給食室に入ったり、廊下奥の部屋にあったイモなどを食べたりした形跡がなかったので、不可解。日曜日の未明で園児がいなかったことは幸いだった」と話した。
(キノコ採りの男性、クマに襲われけが:長野)
20日午前7時半ごろ、長野県喬木村大島の山林で、キノコ採りをしていた村内の男性(79)が、突然現れたクマに襲われて頭部や顔面、腕に軽傷を負った。喬木村によると、村では10年以上、人がクマに襲われる事例は起きていない。今回、男性が襲われたのは最も近い人家から2時間ほどかかる山中だという。飯田署によると、男性は一人で山に入り、キノコを採っていた。20日午後に地元猟友会が現場付近をパトロールし、注意を促す看板を設置した。
(クマに襲われケガ:栃木)
県北で男性がクマに襲われ、重傷を負う事故が相次いでいる。19日も日光市で男性が襲われ、額や左手などを負傷した。人的被害以外でも県北では目撃・被害情報が急増しており、自衛手段を講じる住民も。猟友会や専門家は、エサのミズナラやコナラの実の不作で、行動範囲が広がっていることなどが背景にあると指摘する。「朝夕などのクマの活動時間の外出を避けたり、手をたたくなどして人間の存在を分からせ、遭遇を避けて」と呼びかけている。19日午前7時半頃、日光市中宮祠のハイキングコースで、散策中の茨城県筑西市の男性会社員(53)が襲われ、額や左手にけがを負った。日光署の発表によると、男性は一人で木道を歩いている際、脇の草むらから体長約1メートル20のクマに突然飛びかかられ、もみ合いになった末、追い払ったという。男性はクマよけの鈴を持っていたという。現場は赤沼車庫から戦場ヶ原を経て湯滝へ抜けるハイキングコース。8月頃から目撃情報が相次でおり、環境省日光自然環境事務所が常設していた「クマ出没注意」の看板を立て直し、より目立つようにしたばかりだった。戦場ヶ原を管理する同事務所は、午前10時すぎからハイキングコース5か所に規制線を張り、終日立ち入り禁止とした。20日からはクマが襲った戦場ヶ原の入り口から湯滝に抜けるコースを閉鎖する。13日にも、矢板市内で牧場職員の男性(58)が午前5時半頃、牧場の門を開けて新聞受けから新聞を取ろうとしたところ、背後から突然襲われ、胸の骨を折る約6週間の重傷を負った。現場の状況などから、クマは男性を襲う前、牧場内で牛舎のエサを食べていたとみられる。現場付近では、猟友会や行政の対応を待っていられないと自衛手段をとる人も。約2キロ離れた地域に住む男性(66)のリンゴ園では今年7月、一夜のうちに多くの実がなくなり、木にはクマが登ったような爪の跡があった。男性はその後、約40万円かけ約1キロの電気柵を周囲の外壁に巡らせ、夜間に立ち入る際には花火を鳴らして警戒する。「例年の20倍くらいクマを見かける。自衛の金額もばかにならない」と嘆く。隣接する那須塩原市では19日までの目撃件数が89件、捕獲数が28頭。それぞれ例年の約3倍、2・5倍。市は「出没時期も例年より1か月ほど早い。クマは保護動物なので、被害後、駆除を許可してから20日以内しか駆除できず、過ぎると放置せざるを得ない」と悩む。日光市などでクマのエサとなる木の実を調べている茨城県立自然博物館の山崎晃司首席学芸員(51)によると、今年はクマの主食のミズナラやコナラがかなり不作だという。遭遇しないようにするほか、「山を手入れしたり不必要な人里の果樹を切り取るなど、人間とクマの領域を区別する工夫が必要」という。那須塩原市内の猟友会も「今年のクマは、家畜の飼料を狙って人里まで降りてくる。人家などで楽にエサを得られると学習してきている」と懸念している。
(イノシシが人襲い2人けが:長崎)
21日午前8時ごろ、長崎市木鉢町2丁目の農道で、近くの夫婦がイノシシに襲われ、両手をかまれるなどの軽傷を負った。市によると、捕獲用のわなにかかったイノシシが逃げ出して、人を襲ったのは市内で初めてという。市農業振興課などによると、負傷したのは60代の男性と50代の妻。2人で散歩していたところイノシシが現れ、突進してきた。男性が両手をかまれ、妻も左腕や左足に擦り傷を負った。悲鳴を聞き駆けつけた付近の農業者が仕留めた。イノシシは体長約80センチ、体重約42キロの雌。後ろ左足のひづめが付け根からとれていた。市が現場から約20メートル離れた地点に設けた「くくりわな」にイノシシがかかっているのを、約2時間前に住民が見ており、同課は「ひづめをはがし脱走したイノシシが人の気配に興奮して突進した」とみている。昨年度の市内のイノシシによる農作物被害額は約5400万円。市は各地にわなを設け、今回の現場付近には今月中旬に6個のくくりわなを仕掛けたばかりだった。人への被害が出たことから「わなのかけ方を再確認し、設置場所の巡回も強化する」としている。
(イノシシに襲われ小4男児らけが:愛媛)
愛媛県今治市で、小学4年の男の子らがイノシシに襲われてけがをしました。イノシシを目撃した男性:「向こうから猪突猛進(ちょとつもうしん)で来て、向こうでお遍路さんの女性の方が腰を抜かしていた」。21日午前、今治市の路上で、小学4年の男の子がイノシシに体当たりされて転倒し、頭などに軽いけがをしました。少し離れた畑でも、農作業をしていた67歳の男性が左足をかまれて軽いけがをしました。逃げたイノシシは体長1メートル前後で、警察は注意を呼びかけています。
(小豆島でイノシシにかまれ男性けが:香川)
9日午前8時ごろ、小豆島町安田の山林で、60代の男性がイノシシに襲われ、手足など十数カ所をかまれ負傷した。町農林水産課によると、男性は自宅から農作業に向かう途中だったという。近くに住民が設置していたわなのワイヤが切れていたことから、捕まったイノシシがワイヤを食いちぎって逃走した可能性もあるとみているが、男性を襲ったイノシシと同一かどうかは不明。
(キノコ狩り男性、クマにかまれ軽傷:静岡)
16日午前11時45分ごろ、小山町須走の山中で、1人でキノコ狩りをしていた御殿場市東田中の病院職員、室伏昌さん(57)が熊と遭遇した。室伏さんは熊に右手をかまれ軽傷を負ったが、自力で逃げて119番した。御殿場署によると、室伏さんは県道「ふじあざみライン」に車を止め、北に約400メートル入った林の中で熊と鉢合わせしたという。同町中島の金時山付近でも今年6月と9月に熊が目撃されているといい、同署は、「秋はキノコ狩りなどで山に入る人が多いので、注意してほしい」と話している。
(男性襲われ負傷:群馬)
沼田市佐山町の山林で、十五日にキノコ狩りをしていた桐生市内の土建業の男性(54)がクマに襲われ、負傷したことを受け、沼田市農林課は十六日、入山者にクマへの注意を呼び掛ける看板を現場近くの林道の三カ所に設置した。同市では、市民に対しても今年、クマの目撃情報が多いことなどから、クマに警戒するよう促す回覧板を既に二回、全戸に回している。今回の事案の概要を記して注意を喚起する三回目の回覧板を十一月一日に各区長を通じて全戸に回す予定という。 
(牧場にクマ、男性襲われ骨折:栃木)
13日午前5時35分頃、栃木県矢板市長井の牧場で、牧場職員の男性(58)が野生のクマに襲われ、胸の骨を折るなどのけがを負った。矢板署の発表によると、クマは体長約1メートル50。男性が牧場の門を開けようとしたところ、背後から襲いかかってきたという。付近には民家はなく、以前からクマの目撃情報が寄せられていた。
(イノシシ用のわなにツキノワグマがかかり捕獲:神奈川)
神奈川・伊勢原市の農家で、イノシシ用のわなにクマがかかり、捕獲された。伊勢原市によると、捕獲されたのは体長125cm、体重55kgのメスのツキノワグマで、農家の柿畑に仕掛けられたイノシシ用のわなにかかっていたという。現場付近では、クマの目撃情報が相次いでいて、人里に下りてきたクマが捕獲されたのは、2012年で3頭目だという。
(イノシシから基準値超セシウム:千葉)
千葉県は11日、印西市の山林で9月に捕獲されたイノシシの肉から、放射性セシウムが食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える1キロ当たり120ベクレル検出されたと発表した。同市では、昨年10月にもイノシシ肉から同242ベクレルを検出しており、基準値超の検出は今回で2度目となる。県によると、今年9月に君津市内で捕獲されたイノシシから同210ベクレル検出されたため、県内4つの処理加工施設はすべて肉の出荷自粛を継続している。今回、県内8市町で9月に捕獲したイノシシとカルガモの肉を調べたが、印西市以外で基準値超は確認されなかったという。
(イノシシ肉などで、基準値超セシウム:群馬)
県は十九日、有害鳥獣駆除により捕獲した野生のイノシシなどの肉から基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。基準値を超えたのは、前橋市、昭和村、みなかみ町、みどり市のツキノワグマと渋川市、安中市のイノシシの計六検体。
(イノシシが出没、逃走:群馬)
十八日午前九時半ごろ、沼田市横塚町の「横塚町こども広場」付近でイノシシが出没しているとの連絡が地元住民から同市農林課に入った。担当職員や沼田署員、地元猟友会のメンバーら計七人が現場に急行。近くの民家の庭に潜んでいたイノシシを発見し、市職員は網を使い、警察官は刺股(さすまた)で捕獲を試みたが、逃げられた。沼田署のパトカーも出動して巡回するなど現場周辺は一時緊張感に包まれた。同広場はブランコや滑り台、ゲートボール場などがあり、子どもやお年寄りが利用。沼田東中学校にも近く、周囲には住宅も多い。イノシシが出没するような地域ではないため、市は防犯メールで市民に注意を呼び掛ける一方、市教育委員会も市内全小中学校にファクスで連絡した。同町の区長を務める富岡新一郎さん(62)によると、同日午前八時すぎ、自宅の前でイノシシを発見。イノシシは裏のリンゴ畑に逃げ、西に一キロほど離れた同広場の方向に向かったという。富岡さんは「イノシシは一頭で、大きな犬くらいに見えた。仕事に行くため外に出たら家の前にいたので驚いた。すぐに猟友会に連絡した」と話していた。
(稲穂食べるクマ撮影:長野)
クマが里に下りて人を襲う被害が各地で相次ぐなか、長野県栄村で、この秋、野生のクマが水田の稲を食べる姿を捉えた映像が撮影されました。専門家は「農作物を食べる癖がついたクマは非常に危険で、早めに対策を取る必要がある」と指摘しています。この映像は、野生動物の生態を観察して人や作物の被害への対策を立てるため、長野県の栄村が住宅に近い水田に小型の赤外線カメラを設置して撮影しました。このほど回収された映像には、先月6日の午後8時半ごろ、体長が1メートル20センチほどある野生のツキノワグマが水田に現れてあぜ道に座り込み、実った稲穂をゆっくりと食べている様子が鮮明に捉えられています。2時間余りたって同じ場所で撮影された映像には、体じゅうにもみ殻がついたクマがカメラをのぞき込んだり、臭いをかいだりしている様子が写っています。長野県内では、今月5日に長野市内の中心部にクマが現れて射殺される騒ぎがあったばかりで、県によりますとクマの目撃情報も去年より大幅に増えているということです。クマの生態に詳しい長野県環境保全研究所の岸元良輔さんは、「クマが稲を食べることは知られていたが映像で捉えたのは珍しい。エサ不足で代わりに米を食べている可能性がある」と分析しています。そのうえで「農作物に餌付いてだんだん人に慣れたクマは人の姿に頓着しなくなり、そういう癖がついてしまったクマは非常に危険で、早めに対策を取る必要がある」と指摘しています。別の日に長野県山ノ内町で撮影された映像には、電気を流して動物を追い払う柵に触れたとみられる子グマが走って逃げ出す姿が捉えられています。岸元さんは具体的な対策として、「農作物の周りを電気の柵などで守ってクマが寄りつかなくなるようにすることが重要だ」と指摘しています。
(住宅地でクマ出没:東京)
20日午後2時半ごろ、東京都青梅市長淵で、住民から「ベランダから、山に親子らしいクマが3匹いるのが見え、山奥へ歩いていった」と青梅署に通報があった。駆け付けた同署員は確認できなかったが、その後、市職員と青梅猟友会がクマのものとみられる足跡を発見した。市によると、現場は住宅地と山が接しており、近くにある明星大に連絡したほか、墓地公園、ハイキングコースに注意看板を掲示した。
(陸自演習場にクマ2頭:石川)
16日午前10時半頃、金沢市の陸上自衛隊三小牛山演習場にクマ2頭がいるのを訓練中の女性自衛官が発見した。連絡を受けた金沢中署によると、クマは親子とみられるという。同署は付近の住民に注意を呼びかけた。捜索した県猟友会金沢支部によると、演習場内でクマ1頭の足跡が見つかった。
(クマ情報:富山)
21日午前11時半ごろ、小矢部市安楽寺の国道8号交差点付近で、近くの男性が体長約1メートルのクマを目撃した。市職員が確認したところ、現場周辺には草が倒れている場所があったが、クマの足跡などは見つからなかった。
(クマ情報:富山)
20日午後4時50分ごろ、魚津市湯上の北陸自動車道下り線有磯海サービスエリアから山側に約300メートル離れた所で、成獣とみられるクマ1頭が山の方向に歩いているのを、車で通り掛かった男性が見つけた。同5時10分ごろには、同市島尻の北陸電力片貝谷発電所近くで、親子とみられるクマ3頭が山の方向へ歩いていくのを住民が見つけた。それぞれ別のクマとみられ、通報を受けた魚津署がパトカーで周辺を警戒した。
(クマ情報:富山)
魚津市石垣平で19日、柿の木の枝が折られ、畑にクマのものとみられる足跡やふんがあるのを住民が見つけ、市に連絡した。同日朝の痕跡とみられる。市有害鳥獣捕獲隊が20日にパトロールする。
(クマ情報:富山)
16日午後5時10分ごろ、富山市大野(大沢野)の県道で、道路を横断する成獣のクマ1頭を中学生が目撃し、付近住民を通じて市大沢野総合行政センターに連絡した。クマは近くの林に逃げた。現場は旧大沢野工業高校の近く。17日朝、猟友会員や市職員が付近をパトロールし注意を呼び掛けた。
(クマ1頭目撃:新潟)
21日午後8時半すぎ、長岡市本津川の男性が自宅近くにクマ1頭がいると長岡署に通報した。目撃されたのは栃尾地域の山間部。同署によると、クマは体長約1・5メートルで、山の方向へ逃げた。
(クマ3頭目撃:秋田)
17日午前1時25分ごろ、大仙市大神成字前田の市道に親子とみられるクマ3頭がいるのを近くに住む男性(29)が目撃し、110番した。大仙署によると、飼い犬の鳴き声を聞いた男性が自宅の外に出たところ、約30メートル先の市道上に親グマと子グマ2頭が寝転がっていたという。男性が懐中電灯を照らすと、クマは近くの畑へ逃げた。現場は住宅地に近いため、同署が付近住民に注意を呼び掛けている。
(2頭のクマの目撃情報:石川)
16日午前、金沢市三小牛町の陸上自衛隊の演習場で親子と見られる2頭のクマが目撃されました。16日・午前10時30分ごろ、金沢市三小牛町の陸上自衛隊金沢駐屯地の演習場で、訓練中の隊員が80メートルほど離れた草むらに、2頭のクマがいるのを目撃しました。自衛隊は一部の訓練を中止し、警察とともに現場を調べたところ、クマのものとみられる足跡が数カ所、見つかりました。1頭の大きさは体長1メートルほどと見られています。現場から1キロほど離れた竹林では、前日クマが目撃されており、金沢市と猟友会が周辺をパトロールし、警戒を強めています。
(シカ被害、最高の64億円:北海道)
道は16日、エゾシカ緊急対策本部会議を開き、2011年度のエゾシカによる道内農林業被害額が前年度比約5億円増の64億円となり、過去最高を更新したと報告した。生息数は64万頭で1万頭減ったものの、被害額増加に歯止めがかからないことから、本年度までの3年間としていた「緊急対策期間」を当面2年間延長することを決めた。被害の内訳は、農業が62億3300万円(10年度59億2100万円)、林業が1億7600万円(同2300万円)だった。林業はこれまで、被害報告があった事例のみを集計していたが、11年度から道内全域での被害調査に変更したため被害額が大幅に増えた。農作物別では、牧草の34億300万円が最高。以下、ビート5億1700万円、水稲4億7200万円、バレイショ3億1200万円などとなっている。
(農作物の食害、シカ駆除:香川)
野生のシカによる農作物の食害を受け、香川県・小豆島で27日から11月14日まで、地元の県猟友会小豆支部の17人が散弾銃やライフルでシカの駆除を行う。被害を受けた農林業関係者らからの駆除依頼を土庄、小豆島両町長が許可。近年、春と秋に駆除しているが、今回は山中や山すそなど被害地域を重点に実施し、期間中に200頭を捕獲する。両町は危険防止のため行政防災無線などで周知する。
(シカ捕獲へ数値目標:福井)
福井県は18日、嶺南を中心に近年、生態系や農林業に大きな被害が出ているニホンジカについて、第3期(2012年11月~17年3月)の保護管理計画を決定した。生息分布の拡大を受け、嶺北で初めて年間捕獲数の数値目標を定めた。県庁で同日、県環境審議会野生生物部会(部会長・柳町邦光日本野鳥の会前県支部長)が開かれ、ニホンジカの特定鳥獣保護管理計画が承認された。嶺北の年間捕獲計画数は、第1期(04~07年度)と第2期(08~11年度)は具体的に示していなかったが、今回1600頭以上(雄600頭以上、雌1千頭以上)と定めた。嶺北ではこれまでシカによる大きな被害は出てないが、未然防止のため数値目標を設定した。嶺南は10年度以降6千頭以上としていたが、8千頭以上(雄3千頭以上、雌5千頭以上)と増やした。農林業被害については11年に大麦やソバ、ウメなど約105ヘクタールの農作物被害があった嶺南で、被害面積を約半分の50ヘクタール以下にするよう目標を定めた。嶺北は11年の水準(0・2ヘクタール)以下とした。11年の推定生息数は嶺南で2万2千頭(1平方キロメートル当たり約25頭)、嶺北は1万頭(同約5頭)。分布域を拡大し、生息密度も上昇傾向にある。農業被害面積はイノシシに次いで2番目に大きい。県によると、目標に掲げた捕獲数を確保するため今後、市町ごとの捕獲割当数を明示することも検討していく。狩猟期間は11月1日~3月15日。
(シカ侵入、希少種への影響懸念:兵庫)
貴重な海浜植物の宝庫として知られる兵庫県洲本市由良沖の無人島・成ケ島にシカが侵入し、住民や自然愛好家らが気をもんでいる。対岸の同市・生石公園周辺からえさを求めて泳いで渡ったと見られる。環境省は2010、11年にシカの生息状況と食害を調べた結果、ハマボウ、ハママツナなど希少植物に深刻な被害は及んでいないため様子見をしているが、住民からは対策を求める声が上がる。地元住民グループ「成ケ島を美しくする会」によると、成ケ島は約30ヘクタールで約300種の植生が観察できる。生石からは50メートル程度で、干潮なら子どもでも泳げるという。シカの目撃情報が観光客らから同会に寄せられ始めたのは4年ほど前。足跡や角の研ぎ跡も相次いで見つかった。10年11月、市や地元猟友会が協力してわなを仕掛けたが、捕獲できなかった。環境省は同年11月、11年1月に調査。赤外線カメラを設置するなどして、少なくとも3匹を確認した。同8、10月にも調べたが、「植生への被害は限定的」として対策を見送った。しかし、同会の生嶋史朗さん(50)は「本土はえさ不足だが、成ケ島は人が少なく、ごちそうがたくさんある。定住している可能性が高い」と指摘。生え替わった角や研究者が撮影した映像などから「少なくともオス5匹はいる。しかも足跡も大きくなり、徐々に被害が広がっている」と分析し、今後を危ぐする。「全国的にもシカの食害で、貴重な植生が失われた例が相次いでおり、成ケ島も同じ道をたどりかねない」と同会の花野晃一会長(68)。環境省神戸自然保護官事務所は「シカが増えて被害が拡大しているならば、駆除や柵をするなど対策を考えたい」と話している。
(ライチョウ保護へ、シカ対策提案:長野)
国の特別天然記念物で絶滅危惧種に指定されているライチョウの保護を専門家らが岐阜県高山市で意見交換した「第13回ライチョウ会議」は15日、北アルプス・乗鞍岳(3026メートル)の生息地を視察し3日間の日程を終えた。生息地での保護、飼育技術の確立、シカ対策で具体的な提案が上がった。信大の中村浩志名誉教授(鳥類生態学)は14日の講演で、温暖化の影響で新潟県・火打山(2462メートル)の植生変化を「絶滅が危ぶまれる状況」と報告。来年度から同教授らが乗鞍岳で本格実施する、ひなが大きくなるまで生息地に置いたかごで守る保護策を説明した。トキなどを念頭に「野生個体群が健全なうちに手を打たないと、その後はいくらお金と労力をかけても救えない」と訴えた。近縁亜種のスバールバルライチョウを飼育し、日本で初めて自然繁殖によるふ化に成功した富山市の「富山市ファミリーパーク」の山本茂行園長は、研究発表で「環境省や研究者、動物園などが対等な立場で協議する機関の設置が不可欠」と強調した。日本獣医生命科学大学(東京)の羽山伸一教授(野生動物学)は、ライチョウの生息環境を脅かすニホンジカ対策について講演。高山帯や人里に生息域を広げるシカに対し「中腹の人工林を間伐し、餌になる植生を回復させて戻ってきてもらう取り組みを、捕獲と一体的に進める必要がある」と提案した。
(冬眠前、クマに注意:新潟)
県内でもクマに住民が襲われる被害が相次いでいることを受け、県は19日、自治体の担当者や専門家による検討会で対策を話し合った。会長を務める新潟大学農学部の箕口秀夫教授は会議後、「クマの出没は12月まで続く。冬眠前は神経質なので注意をしてほしい」と呼びかけた。この秋は餌のブナが不作で人里で目撃されるクマが多い。今年に入って過去5年間で2番目に多い6人が襲われている。早朝や夕方の山中で被害に遭うケースが多いが、今月6日には上越市の平地でも男女2人が襲われた。箕口教授は「川や水路で茂みが続いている場合、平地に出没することもある」と指摘する。検討会では、南魚沼市で餌となるクルミや柿の木を間伐し、見通しを良くしたところ、クマを含めた動物による被害が減ったという事例が報告された。
(人里にクマ、けが人増加:岩手)
今年度、県内でツキノワグマに襲われてけがをした人が18日現在で17人になり、2011年度の16人を上回って過去10年間で最多となったことが県自然保護課のまとめで分かった。住宅地など山以外の里での被害が多いのが特徴だ。専門家は「山と人里との境界の消失や猟をする人の減少など複合的な要因がある」と指摘する。今年は冬眠前のクマにとって重要な餌のブナの実が不作とみられ、県はクマ出没に注意を呼びかけている。「すごい力だった。なすすべがなく、死ぬかと思った」花巻市中心部の市役所から約1キロ離れた豊沢川河川敷で8日早朝、アユ釣りの準備中にクマに襲われた無職男性(65)は、傷だらけの顔を痛そうにしながら話した。男性は、河川敷で朝食のパンを食べながら新聞を読んでいた時、突然、背中を誰かにつつかれた感じがした。物音がしなかったので不思議に思って振り返ると、それと同時にクマの巨大な爪が背中を引っかいた。とっさに前かがみになって腕で顔を隠したが、隙間から顔を7、8回引っかかれた。「何とかしなければ、このままでは殺される」と思った男性が思い切って立ち上がると、クマは驚いた様子で5、6メートル離れた。男性が石を拾って投げつけると、茂みのほうに逃げていったという。環境省によると4~8月のクマ出没件数は前年同期より945件多い1718件で、都道府県別で全国最多だった。クマの出没は他県でも増えていて、隣の宮城県は438件増の642件だった。こうした状況について、岩手大農学部の青井俊樹教授は「人の手入れがされずに里が荒れ、クマの住む山との境がなくなったことや、猟友会員の減少など複合的な要因がある」と指摘する。クマの秋の主食はブナの実やドングリ、クリなどの堅果類。東北森林管理局の予測では、今年のブナの実は「皆無」であり、餌を求めてクマが人里に出没する危険性が例年より高くなっているという。山林の麓にある盛岡市猪去地区では、地元自治会が1997年に約20ヘクタールの農園にクマよけ電気柵(高さ約50センチ)の設置を始めた。当初は800メートル程だったが、現在は約2キロに延びた。草が電気柵に触れると漏電して電圧が弱まるため、岩手大の学生の協力を得て、年に3回草刈りをしている。電気柵の効果は徐々に出て、全国的にクマが大量出没した06年は地区で13頭を駆除したが、今年は1頭だけ。自治会の佐々木一弥会長(70)は「最初は半信半疑だったが、効果は抜群だ」と胸を張る。遠野市や花巻市などは、クマの出没情報が役所や警察に寄せられると、防災無線で広報して住民に注意を呼びかけている。県は、クマを捕る猟友会員の減少を受け、11月10日に滝沢村の岩手産業文化センターで若者を対象に狩猟免許の説明会を行う予定だ。次世代の猟師を育てることで、クマが増えすぎるのを防ごうという考えだ。鈴やラジオで大きな音を出し、複数人で行動することがクマと出会わないための基本だが、万が一、遭遇した場合の対応について県自然保護課は、「出会ったらクマに背中を向けず、ゆっくり後ずさりをしながら逃げる。襲われそうになったら、アウトドアショップなどで手に入るクマ用の催涙スプレーを使うと効果的だ」としている。
(ドングリ不作、クマ出没注意:滋賀)
県は十九日、ツキノワグマの主食となり少ないと人里へのクマ出没につながるドングリの実り具合を発表した。ドングリの実を付けるブナ、ミズナラ、コナラともに今年は実りが悪く、クマ出没が多発する可能性があるとして注意を促している。クマの出没が多い長浜、高島市の山林計五地点で、県職員が県立大の間野直彦准教授とともに調査し、それぞれの樹種の実り具合を判定した。ブナは100%実が付いていない凶作、ミズナラやコナラは全体に密に実がなった木々は全体の5%程度しかなく、不作だった。ドングリの実りが悪い年にはクマの出没が多発しており、過去に不作だった二〇〇四、〇六、一〇年度には、それぞれ百五十七、百九十七、三百二十二件の出没があった。今年の実り具合はこれらの年に近く、十八日までに昨年の二倍近い八十件の出没が報告されているほか、毎年十月には目撃例が多いことから、今後も出没が続く可能性がある。県は、人家付近には生ごみなどクマを誘引する物を置かないことや、山やその周辺を歩く際にはクマに存在を知らせて遭遇を避けるためラジオや鈴といった音の出る物を携行することなどを呼び掛けている。
(クマ対策グッズ、売れ行き急上昇:新潟)
今秋、県内ではツキノワグマの目撃情報が相次ぐ。クマの餌となるブナの実が凶作で、冬眠を控えた多くのクマが餌の少ない山奥から人里に下りて餌を探し回っている可能性が高い。上越地域では男女2人が襲われて負傷するなどの被害が出たこともあり、鈴や笛などクマ対策用品の売れ行きが急上昇。アウトドア用品を扱う店の中には完売したり、品薄状態のところもある。上越市環境保全課によると、市内の12年度のクマの目撃情報は28件(15日現在)で、前年同日比で8件多い。一方、県環境企画課によると、県内の目撃・痕跡報告件数は390件(16日現在)で、すでに11年度(182件)の倍以上。けが人も5件6人に上っている。上越市のある大型スポーツ用品店では、クマよけ用の鈴と笛が先週末で完売した。市内の住宅街で6日、男女2人がクマに襲われて負傷して以降、急速に売れ行きが伸びたという。同店は15日、本社に再入荷を手配した。行楽やキノコ採りで山に入る人が増えるこの季節。店員によると、電話でクマ対策用品が置いてあるかとの問い合わせや、登山に生徒を連れて行くという学校関係者からの照会もあったという。妙高市朝日町の大原スポーツ新井店では、鈴と笛が音の大きなものから売れていくという。先週末にはほぼ売り切れ。急いでメーカに追加を注文した。同店では、登山者だけではなく、山に近い地域に住む人が日常の警戒用として購入するケースもあるという。男性店長は「クマの多い年はよく売れる傾向があるが、今年は街に近い所でも目撃されているようなので、例年以上に住民の間に不安が広がっているのだろう」と推し量る。クマ対策用品の売れ行きアップは上越地域だけではないようだ。大手ホームセンター「コメリ」(本社・新潟市)によると、全県で品薄気味になっているという。県環境企画課では「クマが冬眠に入る12月ごろまでは注意が必要」と呼びかけている。
(クマに注意を:静岡)
長野市の市街地でツキノワグマが出没するなど全国各地でクマの目撃や被害が相次いでいる。県内でも十六日、小山町須走の山林で、キノコ狩りをしていた御殿場市の男性(57)がツキノワグマに右手をかまれて負傷した。多くのハイカーらが山を訪れる紅葉シーズンを前に、県は「入山時は鈴やラジオ、笛で自分の存在を知らせるように」と呼び掛けている。県によると、クマによる県内の人的被害は二〇〇八年十月に富士市の山中で、キノコ狩りをしていた神奈川県の男性が襲われ重傷を負って以来四年ぶり。
今年は四月から今月十五日までに、南アルプスや富士山周辺の山間部を中心に十七件の目撃情報が寄せられた。八月に川根本町の大井川鉄道沢間-土本間の林道で目撃されたほか、九月には静岡市清水区高部地区の山中で、地元住民が柿の木に登っているツキノワグマに遭遇した。環境省野生生物課の集計では、一二年度は八月までに全国で八千三百八十二件(ヒグマ含む)の目撃情報があった。前年同期を三千件以上上回るハイペースだ。野生生物課の担当者は「春から夏にかけて、こんなに多くクマが目撃されたのは初めて」と指摘。クマの生態に詳しいNPO法人「信州ツキノワグマ研究会」(長野県松本市)の林秀剛理事は「温暖化などの気候変動が餌となる植物の生育に影響し、クマが里山や市街地に餌を探しに下りてきた可能性がある」と推測する。県内では、ツキノワグマの個体数が減少していることもあり、〇七年以降、狩猟での捕獲はゼロだが、スギやヒノキの植林被害のため、毎年二十頭弱が有害捕獲されている。これから冬にかけ、冬眠前に餌を求めてツキノワグマが里山などに出没することも予想され、県は市町を通じて注意を促している。
(イノシシ防除へ「協働」:栃木)
上板荷地区で15日、イノシシなどの獣害を防ぐ柵作りが始まった。県の「中山間地域における集落と企業による協働活動」事業の一環。上板荷地区自治会の住民のほか、市内に本社のあるスーパー「ヤオハン」の従業員も加わって作業を進め、12月ごろまでに山際に柵を張り巡らせる。柵は国から現物支給を受け、高さ1メートル、幅2メートルの鉄製の柵計2100枚が板荷コミュニティセンターに用意された。板荷全体でのイノシシ捕獲は2010年度に30頭、11年度に18頭。地元住民の一人は「(板荷の)中心部であるこのセンターの隣の畑にまでイノシシは来る」と話す。県「協働活動」事業の活用は市内で初の試みで、ヤオハンからは藤沢秀雄常務ら7人が参加。パイプに1枚ずつ挟んだ柵に体重を掛けて湾曲させ、イノシシが侵入しにくくなる「かえし」を入れる作業で、住民とともに汗を流した。柵は25日ごろから、板荷の各区ごとに設置予定。最終的に張り巡らせる距離は、総計で約6キロにも及ぶという。
(シカ肉、本格流通を:長野)
マルイチ産商(長野市)グループは11月にも、県内の飲食店や宿泊業者向けに、県産シカ肉の販売に乗り出す。有害鳥獣としてニホンジカの駆除頭数が増える一方、県産のシカ肉は処理業者と飲食店などとの小規模な個別取引が主流で、食肉としての消費拡大が課題だ。グループは食品卸売のノウハウを生かして取扱量や品質、価格を安定化、信州ジビエ(野生鳥獣肉)としてのブランド化も視野に本格的な流通を目指す。マルイチ産商は、県産ジビエの需要拡大に向けて県や狩猟者、加工業者、調理師らがことし3月に立ち上げた「信州ジビエ研究会」(事務局・県林務部)に加わり、食肉処理や加工を手掛ける会員業者などと事業化を検討していた。流通形態は、業務用食品卸売の子会社ナガレイ(長野市)が、処理・加工業者からブロック肉や加工品を買い取って飲食や宿泊業者に直接販売するか、取引を仲介する手法を検討する。ブロック肉は食肉処理後、処理業者が速やかに真空パックにして冷凍。ラベルには原産地を地域単位で表示する。県が衛生面で定めたマニュアルに沿って処理した肉のみを流通させ、出荷時に金属探知機で異物を検査するなど安全管理も徹底する。ナガレイは今月23日に安曇野市、同30日に長野市で飲食・宿泊業者向けの展示会を開き、部位ごとのブロック肉や、加工したジャーキー、サラミなど10品目程度を提案する予定で、本格的な流通に向けた周知を図る。マルイチ産商は「地域資源としてシカ肉を活用したい」(フードサービス事業部)としている。県野生鳥獣対策室によると、県内で2011年度に捕獲されたニホンジカは2万7167頭。このうち食肉として消費された割合は5%ほどにとどまっているという。信州ジビエ研究会は今後、安全性や品質が高いシカ肉を流通させる認証制度の仕組みづくりなどを進め、流通拡大を後押しする方針だ。
(シカ肉活用を探る:滋賀)
地域住民やNPO、企業との協働のあり方を考える「第2回協働推進セミナー」(主催、県経営企画・協働推進室)が17日、長浜市内で開かれ、県市職員24人が参加した。参加者らはカレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」で県内10店舗を経営する「株式会社アドバンス」(長浜市)が運営するシカ肉の前処理工場などを見学。県湖北合同庁舎(同市平方町)では、シカ肉の販路開拓に取り組む県湖北農業農村事務所の松井賢一・副主幹が、シカ肉活用の現状や獣害対策、同社とのタイアップなどについて話した。川森慶子・アドバンス総務課長が、地産地消で地元のシカ肉を活用した新カレーの開発と課題について説明。参加者らが「近江日野産 鹿カレー」を味わった。
(猟友会が射撃訓練:富山)
今年は山の実りが不作で、クマの出没が多くなると予想されるなか、魚津市の猟友会が18日、射撃訓練を行いました。南砺市クレー射撃場で行われた射撃訓練には18日、魚津市猟友会のメンバーおよそ20人が参加しました。こうした訓練は、来月15日の狩猟解禁を前にクマの出没に備えて県内にある18すべての猟友会が毎年行っています。魚津市ではおととし10月の夜、JR魚津駅前の住宅密集地に成獣のクマが出没し、魚津市猟友会が銃でクマを射殺しました。しかし、当時の制度では日の出前、日没後の暗い時間帯や住宅が集合している地域などでは発砲できず、駆除は有害鳥獣捕獲隊員の「個人の判断」として行われたことになっています。このため今年4月、警察庁が全国の警察本部に通達し、「警察官の判断で場所、時間を問わず発砲できる」ようになりました。さらに、高齢化に伴う人材不足も深刻です。県内では魚津市、黒部市、上市町の職員が、有害鳥獣捕獲隊員として活動しています。18日も、魚津市の職員9人のうち、4人が参加し、指導を受けながら訓練しました。今年のクマの目撃・痕跡情報は17日現在、魚津市では41件、県全体では216件と、大量に出没したおととしを下回っているものの、去年を上回っています。クマが冬眠に入る12月末ごろまでは引き続き注意が必要です。制度が変わった今年は、猟友会の位置付けがより高まりました。
(ジビエ料理をエキナカで:東京)
JR東日本グループのジェイアール東日本フードビジネス(東京)は今月から、東京駅内(直営)と長野駅内(フランチャイズ)の2飲食店で県産シカ肉を使ったメニューの提供を始めた。地域独自の農畜産加工商品の開発などを進める同グループの「地域再発見プロジェクト」の一環。今後、首都圏の駅構内の他店舗に広げ、信州ジビエ(野生鳥獣肉)料理をPRする。メニューは県産シカ肉を使ったカレーとシチュー、ミートソーススパゲティの3品で店舗によって異なる。県内で食肉処理されたシカ肉を使い、日本ジビエ振興協議会代表で、茅野市でフランス料理店を経営するシェフの藤木徳彦さん(41)が監修した。長野駅では構内の「ベックスコーヒーショップ長野店」でカレーを提供。上野駅と渋谷駅、西船橋駅の直営計4店舗でも12月から販売する。提供期間も店舗により異なり、最長で来年3月末まで。
(クマ対応策、周知へ:新潟)
県内でクマの目撃情報や人身被害が相次いでいることを受け、県は19日、今年度の第1回県ツキノワグマ保護管理対策検討会(会長=箕口秀夫・新潟大農学部教授)を開き、人身被害防止のための対策を話し合った。今後、早急に県内の市町村に周知する。今年は山林でブナの実など餌が不足し、クマが里地や平野部まで下りて来ているためか、クマの目撃情報が急増。県によると、11年度は182件だった目撃・痕跡情報件数は、今年度は今月17日までに既に404件と倍以上。上越、村上市などで高齢者ら計6人がクマに襲われ負傷した。山中のみならず、民家周辺での被害もあった。会議では、クマが出没した市町の担当職員や専門家らが被害内容を報告。「特に柿を狙ってくる」「田んぼや平野部でも近くに川ややぶがあると出没する」「大型犬を連れて歩いていても襲われた」などの例が示された。これらの報告や対策例を基に、クマが活発に動く早朝や夕刻は、山中に近づかないこと▽鈴、ラジオ、爆竹などで音を鳴らすこと▽場合によっては地域で協力しながら、柿などの果実や農産物は早期に収穫すること▽草刈りをすること−−などをまとめた。クマに遭遇した場合の防御策も付け加え、市町村に周知する。また県は来年度はツキノワグマの生息状況を調査することも明らかにした。箕口会長は「クマは12月くらいまで出没するので、今後も気をつけてほしい」と呼び掛けている。
(クマ脱走想定し訓練:北海道)
おびひろ動物園で17日、ホッキョクグマが脱走したという想定の「危険動物脱出訓練」が行われた。同様の訓練は2007年以来5年ぶり。同園の職員約20人は捕獲方法や避難誘導、帯広市消防署などとの連携を確認した。訓練では、着ぐるみを着た職員がクマ役となり、獣舎から脱走。園内放送で入園者に脱走を知らせた後、2カ所ある門を封鎖、歩き回るクマ役をトラックなどで徐々に追い詰めていった。獣医師が「麻酔銃」で撃った後、横になったところを網やシートで捕獲。脱走から約30分後、獣舎に戻された。入園者を実際に避難させることはしなかったが、職員が声をかけて園内を巡回する訓練を行った。消防とは負傷者の搬送方法を確認した。柚原和敏副園長は「実際には避難誘導などにもっと時間がかかることもあり得るので訓練を隔年で実施していきたい」とした。また、静岡県のサファリパークで16日に飼育員がゾウに襲われて死亡した事故については「動物の精神状態を知るのは難しいので、万が一の時に被害を最小限に抑える対策を考えたい」と話した。
(「クマ出没注意」、農作物被害など市民生活に影響も:神奈川)
伊勢原市内でクマの出没に関する情報が相次いでいる。昨年はゼロだったが、今年は9月以降に急増し、既に約40件を数える。今のところ、人に危害が及んだ事例は報告されていないものの、収穫間近の農作物が食べられたほか、小学生の下校に教職員が付き添うなど、市民生活への影響が徐々に大きくなっている。県や市によると、同市上粕屋のミカン畑で、イノシシ捕獲用のわなにかかったツキノワグマ1頭が発見されたのは、9月9日。体長131センチ、体重46キロで雌の成獣とみられ、県職員が丹沢山地奥山の鳥獣保護区に放した。この日を境に、それまで2件にとどまっていた出没情報が急増。大山のふもとに位置する同市子易地区を中心に、クマを目撃したり、ふんが落ちていたり、木に爪痕があったりといった情報が多数寄せられており、今月15日現在で43件に上っている。県が子易地区の柿畑に設置した捕獲用のおりに、体長149センチ、体重86キロの雄の成獣が捕獲され、クマが嫌う唐辛子成分の入ったスプレーを吹き掛けるなどした上で放獣されたケースもある。県自然環境保全課の担当者は「今年は県内の他地域でもクマの出没情報が多い。ドングリの実は隔年でなり具合が悪いが、今年はそれに当たるため、餌を求めてクマが人里まで出てきている」と推測する。ただ市によると、2年前と比べても出没情報が寄せられる時期が早く、数も多いという。市内の出没地点でほぼ共通しているのは柿畑周辺。栽培していた柿畑を荒らされた農家の男性(63)は「1年間じっくり育ててきた柿を収穫間近にして荒らされるのは残念。実だけならともかく、枝を折られるとどうしようもない」と嘆く。対策として夜中に大きな音でラジオをかけたりしているが、10月に入ってからも住宅のすぐ裏までクマが来ており「効果がない」と悩んでいる。市では9月18日以降、クマを人里から追い払うため、銃声に似た音の花火を毎日打ち上げているが、「慣れてしまっているようだ」(担当職員)とし、出没が途絶えていない。周辺住民の不安も高まっている。近隣の市立大山小学校では児童に対し、クマよけの鈴の携行や集団での下校を呼び掛けている。さらに10月以降は状況に応じて教職員が下校に付き添うなど、児童の安全確保に努めている。小学生の息子がいる母親(39)は「子どもたちには暗くならないうちに帰宅するよう注意している」と心配そうな表情を浮かべていた。
(クマスプレーで防犯訓練:広島)
クマ撃退用のスプレーと、刺股を使った防犯訓練が16日、岩国市錦町のひろせ保育園であった。町内では8~9月にかけて、ツキノワグマ3頭が捕殺されていることなどから、岩国署広瀬幹部交番がクマと不審者対策を兼ね、企画した。交番に配備されている刺股に、目や喉に強力な刺激と痛みを与えるトウガラシエキス入りクマスプレーを吹き付けて使用。1~6歳の園児48人が見守る中、マスクとゴーグルで身を固めた保育士の藤永恵里さん(23)が、犯人役の野村剛志巡査(32)を刺股で突き伏せた。藤永さんは「スプレーは、クマだけでなく不審者にも効きそう」と防犯効果を実感していた。
(熊の生態知り共存探ろう:長野)
県環境保全研究所(長野市)と熊の研究者らでつくる民間団体「日本クマネットワーク」(事務局・東京)は20日、長野市の同研究所飯綱庁舎で、「山のクマ・里のクマ~信州におけるツキノワグマの生態学」と題したシンポジウムを開いた=写真。信大農学部(上伊那郡南箕輪村)やNPO法人などが熊の生態について研究成果を発表。10月5日に同市街地に現れ、射殺されたツキノワグマの胃の内容物に関する調査結果も示された。同研究所の岸元良輔自然環境部長が、市街地に出没し射殺された熊は歯から3~4歳と分かり、胃の内容物から人が育てた農作物は見つからなかった―と報告。熊の生息域が年々山奥から人里へと広がっているとして、「共存するためには、まず熊が身近にいるということを認識する必要がある」と話した。熊の生態を知り、どう共存するかを考える目的で開催し、市民や研究者ら約100人が参加。他に、伊那谷での熊の行動範囲と冬眠場所に関する調査結果や、長野市戸隠の戸隠森林植物園周辺に生息する熊の食べ物に関する研究結果なども発表された。
(ツキノワグマ、なぜ人里に出没?:神奈川)
全国でクマの目撃情報が増える中、県立生命の星・地球博物館(小田原市入生田)で企画展「ツキノワグマ出没の理由を探る」が開かれている。十一月三十日まで。展示では、ツキノワグマが、食料を求めて人里に移動する現象を図表で分かりやすく説明。主食のミズナラのどんぐりが多い年は、クマの移動範囲が狭いのに対し、少ない年は百平方キロメートルと広範囲に及ぶという。展示は、農学博士で同館非常勤学芸員の小坂井千夏さん(30)が、野生のツキノワグマを追跡した研究結果をもとにまとめた。小坂井さんは「一度食べた柿などの味を覚え、おいしい食べ物があると人里に下りてくることもある」と解説する。県によると、県内でのクマの目撃情報・捕獲は四~九月末現在で二十件と、例年の倍近くある。小坂井さんは「出没理由はまだ完全には解明できていないが、展示を見てツキノワグマについての理解を少しでも多くの人に深めてほしい」と話す。
(クマ出没今後も警戒を:栃木)
県北部を中心にクマの目撃、捕獲が相次ぐ県内で13日、矢板市の牧場で働く男性がクマに襲われ重傷を負う今シーズン初めての人身被害が発生した。専門家はクマの食糧が急増するシカに食べ尽くされた結果、里山に下りてきている可能性を指摘する。クマは冬眠に向け、これから大量の食糧摂取が必要で、行動も活発になる。秋山登山、キノコ採りなどで遭遇することも予測され、例年以上の警戒が必要だ。県環境森林部が本年度から県出先機関、市町、鳥獣保護員などの情報を収集しまとめた「野生獣出没情報記録簿」によると、クマの目撃は9月末現在で32件。那須塩原17件、日光7件、那須5件、鹿沼2件、矢板1件となっている。有害獣として捕獲した年間頭数は10月中旬で48頭。過去10年間では2006年の93頭、10年の56頭に次ぎ3番目に多く、今後も捕獲数が増える可能性がある。県に集約されていない目撃も多く、県南でも佐野市内で市役所や佐野署に計38回の目撃情報が寄せられている。また、これまで年間1、2件しか目撃がなかった足利市内でも道路やゴルフ場で10件の情報が市農務課に寄せられた。那須塩原市内でも目撃情報は例年の1・5倍で同市農林整備課は「例年より出没時期が早く、行動範囲が広い」と分析する。宇都宮大農学部の小金沢正昭教授(野生鳥獣管理学)によると、ことしはブナなどの生育は順調でドングリなどクマの食糧は少なくない。ただ、シカの個体数が急激に増えており、クマの食糧をシカが奪っている可能性があるという。今後、紅葉狩りやキノコ採りで山に入る機会が増えるが「鈴やラジオを必ず携行して、複数で行動してほしい」と人身被害防止策の徹底を呼び掛けている。
(人里にクマ出没多発:長野)
県内でツキノワグマの人里への出没が増えている。里山の荒廃が一因とみられるが、クマは人と出合うとパニックを起こして暴れる可能性があり、専門家は十分に注意するよう呼び掛けている。
県の推定では、県内全域に約三千六百頭のツキノワグマが生息している。県野生鳥獣対策室によると、県内で今年四~八月、クマの目撃例は計千七十九件と、昨年同期より二百二十件増えた。うち58%は人が住む集落内だった。今月五日には、JR長野駅や周辺市街地に体長約一メートルの若いツキノワグマが現れ、市民を驚かせた。クマは駅ホームや市街地に近い裾花川の河川敷などを移動した後、県庁近くで猟友会員に射殺された。十五日には松本市内でキノコ採りをしていた男性が襲われて負傷し、上田市郊外でも目撃報告があった。臆病な性質のツキノワグマが、山を出て人里へ現れるのはなぜか。クマの生態を研究する県環境保全研究所(長野市)の岸元良輔自然環境部長は「かつては薪などを取るために手入れされていた里山が放置され、住宅地のすぐ近くの山まで、クマが生息しやすい自然林環境ができた」と指摘する。クマは普段、人を避けて行動するため住民は気付かないことが多いが、住宅地近くの山には相当数のクマがいるという。長野市街地に出没したクマも、裾花川上流から川沿いに出てきたとみられている。キノコ採りなど山に入る機会の多い季節となり、もしクマに出合った場合は、どう対処したらいいか。岸元部長は「お互いに姿を見つけた瞬間は、クマにまだ余裕がある。そっと離れるのが一番で、落ち着いて行動してほしい」と話す。クマは足が速く、木登りもできる。大声を出したり、走って逃げたりして刺激するのは危険という。さらに、山に近い集落に住む人は、クマに近づかれないための対策も必要。岸元部長は「家の外に干し柿などクマが好む食べ物や、生ごみを出さないようにしてほしい。クマは意外と民家近くにいる」と注意している。
(アマナガトウガラシ、イノシシ食害を防護:福岡)
イモ畑の周囲にアマナガトウガラシを植えてイノシシの食害を防ぐ実験を行っていた、みやこ町勝山浦河内に実りの秋が訪れた。イノシシは実験場のすぐ近くに来たものの、畑に植えたイモに被害はなく、町関係者らは実験は成功したとみている。約7アールのイモ畑の周辺に植えられたトウガラシは、高さ1メートルに育ち、青くて細長い実を次々とつけた。鼻を近づけるとツンとしたにおいがほのかに漂う。これが、嗅覚の敏感なイノシシが嫌うとされる「カプサイシン」という成分だ。イモ畑から5、6メートル離れた場所に、クリの木が自生している。畑を育てている女性によると9月の初めごろ、クリをねらったらしいイノシシの足跡が現場に残っていたが、イモ畑に入った跡はなかった。女性は「近くの田にも出没しているけれど、好物のイモには触らずじまい」という。町産業課農政係は「2年連続で成功したのでおそらく効果があると思う」と話した。念のための来年の実験も検討している。今後は生産者にこの方法を広める方針だが、課題は、生産増が見込まれるアマナガトウガラシの販路を広げること。辛そうに見えるがピーマンより食べやすく、「炒めるとおいしく、消費者に味を知ってもらうことが大切」とJA福岡みやこは話している。
(イノシシ撃退装置:福島)
熊の出没が相次ぐ中、福島市の電子機器組み立てメーカー「アサマ技研」(浅間好次社長)が開発した夜間にイノシシを撃退する装置「シシバイバイ」(6500円)が、熊にも効果があると評判だ。青色LED(発光ダイオード)ライトが点滅する仕組みで、熊を嫌がらせるという。シシバイバイは、円柱のガラスケース(直径10センチ、高さ10センチ)内に青色LEDライト6個を備え、暗くなると自動点滅。畑や水田に設置することで、夜行性動物を寄せ付けない。04年に販売した当初はイノシシやタヌキの被害防止が目的だったが、「熊にも効き目がある」と評判になり、今年7、8月の注文は例年の2倍以上の約400個に上った。日本獣医生命科学大の羽山伸一教授(野生動物管理学)によると、青色LEDライトには動物を遠ざける「忌避効果」があると報告されている。「動物は学習能力があり効果は長続きしないことが多い。熊の出没期間に合わせて設置すれば効果的かもしれない」と指摘する。環境省野生生物課がまとめた今年4〜8月末の全国の熊の目撃件数は、前年同期に比べ1.6倍の8382件。冬眠を控えたこれからの時期は、餌を求める熊の目撃が増える。浅間社長は「熊の被害を少しでも減らすことに役立てば」と話している。
(米軍の銃?3丁発見:埼玉)
朝霞市の元国家公務員宿舎予定地の地中から、機銃の形をした金属が三丁分見つかったことが二十一日、分かった。予定地は旧米軍朝霞基地の跡地。いずれも、さびていて長期間地中に埋まっていたとみられ、かつて米軍が使用していた軍用品の可能性もある。市は元宿舎予定地に広場を整備し、来月四日にオープンする予定。この日は、市民ら約百三十人が敷地で石やコンクリート片を拾う清掃作業を行った。参加者によると、金属の棒のようなものがあったため土を掘り返したところ、約二十センチの深さに「機銃」が埋まっていたという。長さは約一メートルで引き金が付いている。市は三丁ともいったん預かり、今後取り扱いを検討する。

TOPへ