<射撃ニュース11月>

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(狩猟用散弾銃『抜き身』で持ち歩く:愛知)
豊橋署は15日、銃刀法違反などの容疑で静岡県静岡市の農業の男性(58)を摘発した。摘発容疑は、15日午前7時ごろ豊橋市杉山町で、狩猟用の散弾銃に覆いをかぶせずに持ち歩き、銃に弾を入れたまま運び、車内に弾を放置して離れたとされる。
(猟友会会員を臨時採用へ、有害鳥獣を駆除:群馬)
前橋市の山本龍市長は、人家周辺に出没するイノシシやシカなどの有害鳥獣の駆除を進めるため、猟友会会員を市の臨時職員として採用する市鳥獣被害対策実施隊員条例案を市議会12月定例会に提出すると発表した。市農林課東部農林事務所によると、猟友会から推薦を受けた約85人を市職員として任期3年で臨時採用。1人年2000円の報酬を支払い、有害鳥獣の生息状況把握や出没した際の駆除作業などを任せる。これまでも猟友会に駆除を委託していたが、狩猟人口の減少や会員の高齢化が進んだため、条例を定めて待遇改善を図ることで、駆除作業の停滞を防ぐという。条例案が制定されれば、来年4月から施行される。
(奈良のシカ、県が駆除検討:奈良)
国の天然記念物に指定される「奈良のシカ」について、奈良県などは、奈良公園を離れて周辺の田畑で農作物に繰り返し被害を与えたり、周辺の山にすみついたりしている鹿の一部を駆除する検討を始めた。手厚く保護されてきたが、農作物の食害が絶えないため、県などは今後有識者を交えた組織を設け、文化庁の許可を得られれば頭数管理に乗り出す。観光名物「奈良のシカ」は野生動物で、公園内には約1千頭が生息する。天然記念物としての生息地は「奈良市一円」と定義される。公園を出て近くの山などにすみついた鹿もいて、県は「その数は公園内より多いだろう」とみる。県は2008年12月、奈良市や、鹿を神の使いとしてきた春日大社、保護活動に取り組む財団法人「奈良の鹿愛護会」、有識者らと「鹿のあり方検討会」を設置。鹿の頭数管理や農業・人身被害対策などを協議してきた。県は13年度中に検討会とは別の有識者ら第三者の委員会で鹿の保護管理計画を作り、早ければ同年度中にも文化庁に許可を求める。
(ツキノワグマ、狩猟自粛要請:宮城)
宮城県は、県内のツキノワグマの有害駆除頭数が県の保護管理計画に定める年間捕獲上限(50頭)を超えたとして、15日の狩猟解禁を前に、県猟友会と市町村に期間中(来年2月15日まで)の狩猟を自粛するよう要請した。目撃件数が昨年度の3倍を超え、駆除頭数が既に85頭に達したことを踏まえた。要請は9日付。ツキノワグマの安定した個体数維持を図るのが目的で、自粛要請は保護管理計画を策定した2010年度以来、2度目になる。有害駆除については、自粛の対象外。県計画で定める捕獲上限頭数は、狩猟と有害駆除の合計頭数。11年度の捕獲は23頭だったが、本年度は狩猟解禁前に年間捕獲上限を超えた。ツキノワグマの目撃情報は10日現在、878件に上り、昨年度1年間(262件)の3.3倍に達した。福島第1原発事故に伴う放射能汚染への懸念から、山菜採りやキノコ狩りで山に入る人が激減。クマが人への警戒心を薄め、人里に下りてくるケースが増えたことが要因とみられる。県は「今後、駆除件数はさらに増加すると想定している。このまま狩猟が始まれば、個体数の維持に影響が出ると判断した」(自然保護課)と説明した。県内のツキノワグマの生息数は推定で401~896頭(08年度調査)。県計画は生態系保護を目的に捕獲制限を強め、個体数が推定頭数の中央値633頭を下回らないことを目標にしている。
(狩猟解禁、ハンター少なく:福島)
今年度の狩猟が15日、一斉に解禁となった。桑折町の阿武隈川伊達崎橋下流などの狩猟ポイントでは、オレンジ色のベストに身を包んだハンターたちが日の出とともに銃声を響かせた。ただ、昨年、今年と狩猟に来るハンターの数は減少している。桑折町から愛犬を連れて訪れた後藤忠郎さん(57)は「原発事故で狩猟をやめる人が多いのかな」と話した。狩猟期間は来年2月15日まで。農作物に被害を及ぼしているイノシシに限り来年の3月15日まで。モニタリング調査で食品衛生法の基準値(放射性セシウムの場合1キロ当たり100ベクレル)を超えた熊、イノシシ、ヤマドリは出荷が制限されている。県警各署は、県内の猟友会らと共に15日未明から735人態勢で違反の取り締まり、事故防止の呼び掛けに当たった。違反者や事故はなかった。
(狩猟解禁、シカ捕獲に「報奨金」:岩手)
県内の狩猟は15日に一斉解禁され、気仙でも猟友会員らが山に入り、シカなどを捕獲した。近年はシカの食害被害が深刻化し、狩猟の重要性が増す一方、国の基準値を超える放射性セシウムが検出。廃棄物の焼却処理を行っている釜石市の沿岸南部クリーンセンターでも、狩猟分は受け入れていない。県は今期から1頭約6000円の報奨金を出すことを決めたが、処理方法への明確な指針や対策は示されておらず、ハンターを悩ませている。快晴に恵まれた同日、大船渡市三陸町の旧三陸地区五葉山猟区では、気仙両市や気仙沼市在住の猟友会員が訪れ、シカなどを狙った。同猟区はハンターが原因とみられる山林火災やシカ猟による人身事故の発生を機に、昭和57年に設定。入猟期日や入猟者数などを管理することで安全確保や鳥獣資源の管理を図ってきたが、ハンター減少などを受けて今年廃止となった。猟区ではこれまで、週末や休日を中心とした狩猟日設定が行われてきたが、廃止により平日の狩猟が可能となった。古くから良好な猟場として知られる地域だが、気仙沼市在住の鈴木善文さん(62)は「平日ということもあるかもしれないが、ハンターは少ない。獲物は多いが、今は処分に困る」と話す。今年4月以降、県内ではシカ肉やクマ肉、ヤマドリ肉から基準値(1㌔当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されている。このため、県全域を対象とした出荷制限指示が続く。気仙をはじめ沿岸5市町の廃棄物焼却処理を担う沿岸南部クリーンセンター(釜石市)では、有害駆除分などは対応してきたが、狩猟で捕獲したシカの処理は受け入れていない。山地での埋設は、周囲への理解など懸念材料も多い。鈴木さんは「狩猟税をはじめ、ハンターもお金を払いながら続けている。このままでは、山に入る人が減ってしまう。きっちりとした対策を考えてもらわないと」と話す。同じく入山した高田猟友会理事の伊藤勝さん(66)=米崎町在住=も「『適正に』と言われているが、早く処理の基準を明確にしてほしい。我々はグループも大きいので私有地の深くに埋設できるが、個人での対応は難しい」と語り、シカによる食害被害拡大などを心配する。放射能問題だけでなく、気仙では津波被災などでハンター数が減少。適正頭数化への難しさも予想される中、県は本年度県猟友会と1頭当たり6150円のシカ捕獲業務委託契約を結んだ。捕獲した顎部分や捕獲票の確認は、県大船渡保健福祉環境センターで担っている。同日、安全に狩猟が行われているかなど、パトロール活動を行った同センター。「ハンターから処理について『どうすればいいか』といった声は多く寄せられている。センターとしては従来通り、衛生上に問題がない形での処理をお願いしている」としている。
(狩猟解禁、県警が猟場巡回:長野)
県内で15日、狩猟が解禁された。各地の猟場には、県警や県の担当者ら計約800人が巡回。猟銃の安全使用や事故防止を訴えた。長野市若穂綿内の千曲川河川敷では、長野地方猟友会若穂支部の6人が集合。日の出の狩猟解禁とともにキジとカモを狙い、「パァーン」と乾いた音を響かせた。同支部の竹内年二三(としふみ)さん(64)は「銃口の向きや着弾場所に気を付けたい」。一方、長野中央署員や県の担当者は「道を歩くときは銃にカバーを。弾を込めるのは射撃直前にして」などと呼び掛けていた。県野生鳥獣対策室によると、ことし10月末現在の狩猟登録者数は、わなと猟銃合わせて延べ5513人(前年同期比68人減)。狩猟期間は来年2月15日までで、ニホンジカとイノシシ用のわな猟のみ同3月15日まで。
(狩猟解禁、ワナ猟今年度も期間延長:長野)
今年度の狩猟期間が15日から始まりました。今年度も、シカとイノシシなど有害鳥獣の捕獲を積極的に進めるため、ワナによる狩猟期間が1か月間延長されます。15日朝は、6時に、伊那市伊那猟友会や伊那警察署の署員が集まり、初日のパトロールを行いました。猟友会会員は、マナー指導などのため西山を中心に車で猟区を見て回りました。以前は、キジや山鳥を狙って他地区からも狩猟に訪れていたということですが、鳥が少なくなったため、他地区からの狩猟者は減っているということです。近年では、シカの食害など有害鳥獣による農作物への被害が増加していることから、猟友会では年間を通して駆除を行っているということで、狩猟の解禁も、手放しでは喜べない状況です。狩猟期間は、通常11月15日から来年2月15日までですが、長野県では、平成20年度から、ニホンジカとイノシシの個体数調整を進めるため、ワナ猟については1か月間延長して、3月15日までとしています。今年度も、ワナ猟については、来年3月15日までとなっています。
(狩猟が解禁:富山)
狩猟が15日解禁となり、富山市ではハンターが獲物を狙って河川敷などへ繰り出しました。富山市の神通川河川敷では15日午前6時29分の日の出とともに岡山県から来たハンター2人が散弾銃を携えて、草むらに猟犬を放ちました。犬に追われてキジが飛び立つと、ハンターはすかさず狙いを定め仕留めていました。狩猟の対象となっているのは鳥が29種、獣が20種で、県が行った生息調査では、タヌキはやや良、キジ、ヤマドリ、カルガモ、キツネは平年並み、ノウサギは不良などとなっています。一方、県内の狩猟登録者は今月12日現在、934人で去年より6人少なく、高齢化や趣味の多様化などの影響で減少傾向にあります。狩猟期間は来年2月15日までで、県は安全とマナーを守るよう呼びかけています。
(イノシシ鍋の季節、猟解禁:兵庫)
北海道を除く全国各地で15日、狩猟が解禁されました。兵庫県では丹波地域の冬の味覚「ぼたん鍋」に欠かせないイノシシなどを求め、ハンターらは夜明けを待ちかねて猟場に入っていきました。狩猟期間は来年春まで。イノシシ肉専門店では早速、イノシシが入荷。従業員たちが、次々に運び込まれるイノシシを手際よく処理し、販売用に加工するなど作業に追われました。今年のイノシシは、脂がのって肉質がよく、おいしいということです。
(身潜めカモ狙う、坂網猟が解禁:石川)
江戸時代から伝わるカモ猟「坂網(さかあみ)猟」が十五日、石川県加賀市片野町のラムサール条約登録湿地・片野鴨池周辺で狩猟解禁日に合わせて始まった。池の周囲の高台をかすめ飛ぶカモを目掛け、高台で待ち構えた猟師が網を投げ上げて捕獲する独特の猟で、同県有形民俗文化財になっている。雨の中、日没とともに大聖寺捕鴨(ほこう)猟区協同組合の猟師約二十人が猟場に身を潜め、餌を求めて飛び立つカモを狙った。カモが上空を通過する瞬間、長さ三・五メートルほどのY字形の網を十メートル以上放り投げた。初日は悪天候でカモの数が少なかったため獲物はなかった。猟期は来年二月十五日まで。カモは高級食材として市内の料理店に卸される。
(狩猟解禁:群馬)
県内は十五日、狩猟が解禁された。県自然環境課によると、狩猟者登録者数は昨年より二百人少ない三千六百四十三人で、初日の入猟者は正午現在で五百四十三人と昨年より四十三人多かった。県や県警、県猟友会などは計三百人態勢で猟場をパトロールした。同課によると、狩猟期間は来年二月十五日まで。イノシシとシカは二月末まで延長される。わな猟のイノシシなどは三月十五日まで。ツキノワグマは捕獲上限頭数(年間百十七頭)を有害捕獲頭数が超えているため狩猟自粛を要請する。安中署は十五日早朝、安中市松井田町入山の遠入川・片地橋付近で検問を行った。狩猟免許やわな猟免許、銃砲の所持状態、わなを確認し、狩猟者に事故防止などの周知を図った。
(狩猟解禁、県警が取り締まり:岡山)
岡山県警は狩猟が解禁された15日、県内各地の猟場で誤射などの事故防止に向けた違反行為の取り締まりを始めた。来年2月まで行う。初日は県内22署の約350人が出動。実弾を装てんしたままでの猟銃の携帯・運搬をはじめ、鳥獣保護区や休猟区など禁止区域での発射を監視、ハンターに適切な銃の取り扱いを指導した。玉野市東七区の児島湖畔では、玉野署員、県鳥獣安全指導員ら計14人が日の出前の午前6時半に出動。カモ猟に訪れたハンターの狩猟免許を確認し、「暴発・誤発がないよう、管理には気を付けて」と呼び掛けた。県猟友会玉野支部のメンバー(64)は「今年はイノシシがよく出没しているので猟の回数が増えそう。安全に留意したい」と話していた。県警生活環境課によると、昨シーズンは猟場に銃を置き忘れた保管義務違反で1人を摘発。今年9月上旬にはイノシシ駆除をしていた玉野市の男性が足を滑らせた弾みで散弾銃を暴発させ、太ももを貫通する重傷を負った。狩猟期間はカモ、ウサギ、キジなどが来年2月15日まで。農作物に被害を与えるイノシシ、ニホンジカに限り、3月15日まで延長する。
(生息把握へ出猟調査始める:広島)
広島県は15日、イノシシとシカの生息状況を把握するための「出猟カレンダー調査」を始める。来年2月末までの狩猟期間中、狩猟者が捕獲頭数や目撃頭数の情報を専用の日誌シート(カレンダー)に記録し、県に提出。県がデータを基に生息状況を分析し、駆除や生息数の将来予測に生かす。県は狩猟免許を持ち、県内で狩猟する約3600人に狩猟者登録証を交付する際、シートを配布する。1枚が15日分で、狩猟者は狩猟に出た日時や場所、捕獲したり目撃したりした際の状況を記入。狩猟期間の終了後に県に提出する。県はデータに基づき生息状況を推定する。鳥獣保護法は狩猟者に、登録証の裏に捕獲した頭数と場所を記入し県に提出するよう義務付ける。狩猟に出た総日数や目撃の記録はないため、生息状況をつかむための資料としては不十分だった。広島県内の農作物の被害額は昨年度、イノシシ5億100万円、シカ6900万円。2002年度に比べてイノシシが1・2倍、シカが1・8倍に増えている。捕獲数もイノシシが1・2倍の7788頭、シカも3・4倍の1998頭に上る。中国地方5県では、鳥取が00年、岡山県が昨年からカレンダー調査に取り組む。広島県自然環境課は「生息密度の濃淡を示す分布図を作り、被害防止に役立つ資料を狩猟者や農家に提供したい」としている。
(狩猟が解禁:富山)
富山県内で15日、狩猟が解禁され、待ちかねた愛好者が日の出とともに狩猟場で銃声 を響かせた。富山市水橋柴草の常願寺川河川敷では、冷たい雨が降る中、愛好者がカモやキジなどに 照準を合わせた。県自然保護課によると、県内の12日現在の狩猟登録者は934人で、昨年より6人減 っている。狩猟期間は2月15日までで、今季の捕獲数はキジ、ヤマドリ、カルガモ、キ ツネが平年並み、ノウサギは不良の見込みとなっている。クマについては、主食のドングリの凶作で出没数が増えたため、狩猟解禁までに23頭 が捕獲されており、今年の捕獲上限が88頭に定められている。
(子グマ、民家の柿の木に登る:山形)
13日午後3時20分ごろ、東根市関山の民家の敷地の柿の木(高さ約10メートル)に登っている熊を近くの男性が発見し、110番通報した。村山署員らが高さ8メートル付近で下りられなくなったとみられる体長1メートルほどの子熊を確認。同5時10分ごろ、熊は地面に落ちて、近くの山に逃げた。けが人はなかった。同署などによると、地元猟友会と協力して、花火で熊を驚かせて下ろそうとしたが、熊は木にしっかりとしがみついて下りなかった。その後、時間が経過すると、熊はずり落ちるように徐々に下がってきた。地上3メートル付近まで来たところで、角材で熊の手をつついたところ落下し山へ逃げいていったという。東根市によると、現場は10軒ほどの民家が並ぶ集落。住民らは外出を控え、家の中で推移を見守った。
(瀬戸内海を悠々と泳ぐイノシシ:愛媛)
9日午前8時10分頃、今治市沖北約4キロの瀬戸内海で、イノシシ1頭が泳いでいるのを、今治海上保安部の監視取締艇「りべら」(全長約8メートル、乗組員3人)で巡回中の横林善秀船長(56)が見つけ、写真に撮影した。同保安部の発表では、イノシシは体長約1メートルで、犬かきのように脚を動かし、北約300メートルの津島(今治市吉海町)へ向かっていた。横林船長は「小走りほどで意外に速かった。今治では2年ほど前に桟橋から上陸してきて大騒ぎになったことがあったが、海を泳ぐのは初めて見た」と驚いているという。自然環境研究センター(東京)によると、イノシシの遊泳は時々目撃され、成獣なら数キロは泳げるという。黒崎敏文・第1研究部長は「餌を求めて移動する習性はないので、たまたま向かった先が海だった、といえる。群れからはぐれたか、狩猟で追われたかなどで、海に飛び込んだのでは」と話している。
(イノシシやシカと電車衝突、事故相次ぐJR身延線:静岡)
JR身延線で今年に入り、電車とイノシシやシカとの衝突が相次いでいる。昨年度に比べて大幅に増加しており、JR東海静岡支社は徐行運転などの対策を図っている。同支社によると、本年度上半期(4〜9月)の衝突事案は59件(前年同期比26件増)。10月から11月12日までにも富士宮市などで少なくとも4件発生した。12日午後8時5分ごろには、山梨県の同線波高島駅構内で、下り普通電車(富士発甲府行き)とイノシシが衝突した。けが人はいなかった。電車は約5分後に運転を再開したが、台車上部の空気バネに故障が見つかり、乗客は後続の電車に乗り換えた。同支社は対策として、イノシシなどが多数出没する地域で徐行運転を実施。現在、JRでは紀勢線で衝突の際の衝撃を緩和するため実験的に電車にスポンジゴムを装着していて、他路線でも効果を見極めた上で導入を検討する方針という。県自然保護課によると、イノシシやシカと電車の衝突が増えた背景として、シカの絶対数が増えたことや、イノシシが秋から初冬にかけ交尾の時期に入り出回るようになったことなどが考えられるという。
(「餌やりやめて」シカの栄養状態改善:広島)
世界遺産・厳島神社がある宮島(廿日市市)の市街地に生息するニホンジカの肉付きが良くなってきた。過密して生息することによる餌不足や、消化できないごみを食べて栄養不良になり、同市の調査では09年に「やせ形」が約3割いたが、昨年は1割強に減少した。同市はシカに餌を与えないよう観光客に呼びかけて野生に返す取り組みを続けており、シカが自分で餌をとるようになって栄養状態が改善された結果とみられる。同市などによると、島内のシカは推定約500頭で、300頭前後が神社周辺の東西約1・5キロの市街地に集まっている。県によると、宮島に近い山口県内で専門家が行った調査では、成長ぶりに個体差が出てくる1歳のシカの平均体重は雄約40キロ、雌約30キロだった。これに対し、広島県が07〜08年に宮島の1歳シカの体重を調べたところ、雄約21キロ、雌約17キロしかなく、角の生え方などにも遅れが見られた。同市は08年に対策協議会を設置し、09年から5年間で市街地のシカを半減させる取り組みを始めた。餌やりを禁止して人への慣れをなくそうと、島内に看板を設置した。栄養状態のモニタリング調査も実施し、腹部や尾の肉の付き方からA〜Eの5段階に分類。09年は調査した165頭のうち、E(激やせ)が5頭、D(やせ)が49頭で計約33%だった。しかし、昨年は71頭のうち、Eが1頭、Dが9頭で約14%と大幅に減った。同市農林水産課は「シカの栄養状態が改善されてきたのではないか」とみる。宮島の自然保護に詳しい市民団体「広島フィールドミュージアム」の金井塚務代表(61)は、シカが森林に戻り、ごみを食べる機会が減った影響を指摘したうえで、「シカが再び市街地に入らないような工夫が必要。森で暮らすシカを自然の状態で見てもらうことで観光資源にすべきだ」と提案する。
(市街地の川にイノシシ:広島)
11日午前10時40分ごろ、呉市本通5丁目の堺川にイノシシがいるのを住民が見つけ、呉署に通報した。約2時間20分後、市猟友会のメンバーが猟銃で駆除した。けが人はなかった。市農林振興課によると、体長約140センチ、体重約130キロの雄。堺川を約1・2キロ南下し、中通1丁目付近で支流の桧垣川に進入した。川で捕まえるのは難しく、市街地に入る恐れもあることから猟銃での駆除を決め、午後1時ごろ、本通1丁目で射殺した。駆除した現場はJR呉駅の南東約700メートルで、そばには住宅やビルが立ち並ぶ。同課は「かなり大きいイノシシ。餌が不足するなどして上流の方から下りてきたのでは」とみている。
(クマ1頭捕獲:栃木)
12日午後11時ごろ、栃木県塩谷町船生の養鶏場で捕獲用わなにクマ1頭がかかっているのを養鶏場を所有する男性会社員(61)が見つけた。男性は今月9、10日、自宅敷地内の養鶏場2棟で飼っていたウコッケイ87羽のほぼ全てとシャモ19羽の大半が死ぬかいなくなる被害を受けており、栃木県警矢板署はクマが鶏卵かニワトリの餌を狙った可能性もあるとみて調べていた。わなは被害を受けて町が設置。同署によると、捕獲されたのはツキノワグマの雌で体長1・2メートル、体重88キロ。同町産業振興課は「2日前と同じ場所に来ており、養鶏場を襲ったクマの可能性が高い」としている。
(列車にクマが衝突:富山)
12日午後8時40分ごろ、JR高山線猪谷(富山市)-杉原(岐阜県飛騨市)間のトンネル内で、猪谷発高山行きの普通列車(2両編成)にクマが衝突した。乗客2人にけがはなかった。JR東海によると、列車の運転士は線路内にいるクマに気付き急ブレーキをかけたが、間に合わず衝突。列車に目立った損傷はなく、そのまま運転を再開した。約1時間10分後に、反対方面から来た下り普通列車の運転士が徐行運転しながら衝突現場を目視したが、クマの姿は確認できなかったという。当該列車含む上下2本が最大51分遅れ、乗客6人に影響が出た。
(相模原でまたクマ捕獲:神奈川)
10日午前6時20分ごろ、相模原市緑区青根の住宅近くにあるリンゴ畑で、神奈川県が設置した捕獲用のおりにクマ1頭がかかっているのを、近くに住む男性が発見した。県によると、捕獲されたクマは体長155センチ、体重94キロで、県の絶滅危惧種に指定されているツキノワグマの雄。同日午後0時半ごろ、県職員らがクマの嫌がる爆竹と唐辛子成分の入ったスプレーを吹きかけて学習措置をとった上で、丹沢山中の鳥獣保護区に放した。同区内では2日にも別の地区でクマが捕獲されている。
(民家の物置にクマ:埼玉)
先月末からクマが出没、民家の飼い犬が襲われる被害のあった横瀬町内の民家裏側の物置にクマが侵入していたことが8日、分かった。カーペットに足跡がはっきりと残っていた。これまでにクマ1頭が捕獲され、親子グマが目撃されているが、これとは別のクマの可能性があり、町は警戒を呼び掛けている。足跡が残っていたのは宇根地区の民家。4日に飼い犬が襲われた民家から約1キロ離れた町道沿いにある。根古屋地区の里山でクマ1頭が捕獲された5日の昼ごろ気付いた。コンポスト(堆肥)のふたが開いていたため見たところ、入れて置いた腐りかけのカボチャがなくなっていた。さらに裏側に回ると、動物の足跡があり、風呂場裏の物置に入るとカーペットに足跡がくっきりと残っていた。近所の人にも見てもらい「クマの足跡」と分かった。民家の女性(81)は「クマが出没していると聞いていたが『まさか』と思った。びっくりした。物置には食べ物を置いてなかったから、でもおっかないね。こんな所にクマが入るなんて初めてだよ」と話していた。女性は1人暮らしで、購入したラジオを7日から物置に置いており、夕方から朝方までかけっ放しにしている。周辺では、自宅のコンポストを壊されたり、外に置いたぬかどこを食べられたなどの家もあるという。これもクマの仕業と思われる。地元猟友会の関係者は「単独で、親子グマとは別のクマの可能性が高い。これまで野生動物がこんなに地域の人間の生活を脅かす年はなかった」と話している。
(サル被害深刻、4月以降14人負傷:鹿児島)
南さつま市坊津で、野生のニホンザルが住民を襲い、ひどい裂傷を負うなど、被害が深刻化している。今年は4月以降、15日までに14人が負傷し、10年度からの累計も30人に達した。高齢女性の被害が多く、市や猟友会はわなを設置するとともに警戒を呼び掛けているが、捕獲に至っていない。住民らは「このままでは命の危険もある」と早期捕獲を求めている。
(初のサル捕獲駆除:石川)
金沢市は13日、県猟友会金沢支部と共同で、同市の犀川上流周辺で初めてニホンザルの捕獲・駆除作戦を展開した。これまで電気柵の設置を進めてきたが、農作物への被害が 深刻化しており、強制的な対策が必要と判断、同日は4匹を駆除した。猟銃で恐怖感を与 えることで、サルが来なくなる効果もあるという。食害になすすべもなかった地元住民は胸をなで下ろした。捕獲・駆除作戦は午前8時ごろから始まり、散弾銃を手にした約30人が山林に入った 。犀川上流の下鴛原(しもおしはら)町の雑木林で、約50匹の群れを見つけた猟友会員 が発砲すると、サルは四方八方に逃げていった。金沢市によると、以前からサルは市内の奥山で生息していた。2006(平成18)年 ごろから犀川上流域でサルによる食害が目立ちはじめ、年々、下流域へ広がっている。昨 年は新たに湯涌地区でも被害が確認された。収穫期を迎えたダイコンやハクサイ、カキな どがかじられて壊滅状態となることもあり、今年度の被害額は10日までに計約106万 円に上り、09年度の約5倍となっている。市はこれまでに犀川上流域の8集落で電気柵など防護ネットの設置を進めてきたが、被 害に歯止めは掛からず、先月、県が定めるニホンザルの保護管理計画に基づき、年間20 匹を上限とする捕獲申請を県に出した。県自然環境課によると、県内では金沢市のほか、白山、小松両市でサルの生息が確認さ れ、12年3月時点で計31群、約1300匹がいると推定される。最多の29群が生息 するとされる白山市でも食害が問題となり、毎年、約50~60匹が捕獲されている。昔 と比べ里山の手入れが行き届かなくなり、サルの生息範囲は拡大しているという。農作物を食い荒らされる被害を目の当たりにしてきた下鴛原町の農業瀬戸富子さん(7 5)は「大変な思いをして作った野菜が台無しになって、腹が立っとった」と話し、これ まで収穫期を早めるなどの対策を取ってきた同所の農業鍛治美代子さん(78)は「よう やく安心して収穫できる」と話した。市は今後も深刻な食害が起きた場合は捕獲・駆除を検討するとし、「住民が丹精した農 作物を守るために、継続的に対策に取り組んでいく」(農業振興課)としている。
(クマ3頭目撃:新潟)
13日午前6時前、阿賀町日出谷甲の町道で、親子と見られるクマ3頭を目撃したと、バイクで通りかかった男性が町役場に連絡、町は津川署に通報した。同署によると、クマは体長約1メートルが1頭と約60センチが2頭。現場は町道に面した空き家の脇で、最寄りの民家まで約10メートルしか離れていないため、同署と町役場が注意を呼び掛けている。
(クマ情報:富山)
11日午前11時半ごろ、小矢部市安楽寺の県道で、車で通り掛かった男性が体長約1・7メートルのクマを目撃し、市に連絡した。市職員が現場を確認したが、足跡は見つからなかった。市が住民に注意を呼び掛けた。
(果樹畑、サルから守れ:三重)
収穫されないまま残っている果実を取ることで、サルによる農作物被害を防ぐボランティア作業が10日、鈴鹿山脈のふもとの鈴鹿市東庄内町であった。市や農業者らでつくる市鳥獣被害防止対策協議会の主催で、市内の家族連れら10人がミカンを摘み取る手伝いをした。市によると、二〇一一年度に市内で受けた野生鳥獣による農作物の被害額は一千万円。ニホンザル、ニホンジカ、イノシシがそれぞれ三分の一ほどの割合になっている。農家では果樹畑をネットや柵で囲う防護策を施しているものの、被害は後を絶たない。栽培が放棄された農園や、収穫されないままの庭の果樹が餌になり、人里にサルが集まる大きな要因となっている。事業は、果樹の手入れを広く市民に手伝ってもらって獣害対策の理解を深めてもらおうと、一昨年から開いている。十日は、参加者らが庄内公民館に集合。市農林水産課や県四日市農林商工環境事務所の担当者から「人里から餌になるものをなくして、サルとすみ分けを図ることが大切」などと説明を受けてから、近くの果樹畑に移動した。参加者は収穫しきれずに残っていたミカンを、手でもいだりはさみで切ったりして次々と摘み取っていった。家族五人で参加した同市若松西の主婦川上典子さん(41)は「子どもたちが楽しみながら役に立てるし、海の近くに住んでいるので山の様子に触れるだけでも貴重な体験」と話していた。
(丹沢周辺、クマ出没最多:神奈川)
県北西部の丹沢山地周辺の人里で、餌不足などでツキノワグマの出没が相次いでいる。県が集計した今年度の目撃・捕獲件数は今月12日までですでに88件と昨年度(15件)の5・8倍に上り、集計開始以来過去最多だった2010年度(64件)を上回った。丹沢山地のクマは絶滅の恐れがあり、捕獲したクマは山に放しているが、過去に捕獲されたクマが再度捕獲されたケースが今年初めて確認され、対策の強化を迫られている。県によると、丹沢山地周辺でクマの目撃や捕獲、足跡などを発見した件数は8月下旬以降に急増、9月は、10年9月の4倍に達した。例年は秋の深まる10、11月に件数が増えるが、早い時期から件数が増えている。その要因の一つは、猛暑による餌不足とみられる。丹沢山地のクマの生態はよく分かっていないが、ブナなどの木の実を常食としており、NPO法人丹沢自然保護協会の中村道也理事長は「空梅雨と夏の猛暑からか、クマの好むサルナシなどが熟す前に落果しているのが目立つ」と話す。丹沢山地は山際まで開発が進み、クマが人里に出やすい環境になっているとも指摘される。県内有数の柿の産地である伊勢原市では、柿畑で熟していない実が食べられたり、太い枝が折られたりといった深刻な被害が相次いでいる。一方、丹沢山地のクマの生息数は約30頭と推定され、県のレッドデータブックでは絶滅危惧1類に分類されている。県は猟友会などに対し、狩猟を自粛するよう要請。捕獲した際も、殺処分せずに、人里に戻ってこないよう大きな音などで脅してから山中に放す「学習放獣」を行ってきた。しかし、9月29日に伊勢原市で捕獲されたクマは、耳に付けられたタグから10年11月に同市で捕獲後、放獣されたクマであることが判明。再捕獲が確認されたのは初めてで、脅した学習効果が弱まった可能性がある。このため、県は今年放獣したクマが、年内に再捕獲されることがあれば、人命に危険が及ぶとして殺処分を検討するという。周辺市町村では人や農業への被害を防ぐために猟友会に依頼して山中で空砲を撃ったり、夜間に畑で赤色灯をつけたりと対策を強化している。新たな対策も始まった。県は10月18日に捕獲したクマに全地球測位システム(GPS)をとりつけた首輪を付けて放獣した。今後回収してクマの行動範囲やパターンを分析し、出没しそうな場所で対策を取ることが期待できるという。県自然環境保全課は「クマについては保護管理計画がなく、十分な情報もないのが現状。危機感を持って対応するとともに長期的な施策を見いだしたい」としている。
(耕作放棄地、拡大止まらず:岡山)
中国地方最多の農業産出額を誇る岡山で、高齢化や後継者難による耕作放棄地の拡大が止まらない。県内耕作地の2割弱にあたる約1万2000ヘクタールに上り、25年前の2倍以上だ。県は2010年度から、農閑期の11、12月を「耕作放棄地解消強化月間」と定め、今年度からは状況が深刻な市町村を重点地域に指定して解消策を練っている。しかし、効果が出るには時間がかかる模様で、関係者は「現状維持で精いっぱい」と苦しんでいる。放棄地はイノシシや鹿など害獣の隠れる場所や、病害虫のすみかになり、山裾などでは放棄後3~4年で竹が生えて原野化するとされる。国が5年ごとにまとめる農林業センサスによると、県内の耕作放棄地は、1985年で耕地の5・8%にあたる4793ヘクタール。25年後の2010年は18・3%の1万1075ヘクタールまで増えた。県独自の調査では、11年度は1万1922ヘクタールに上り、うち約3割は原野化して耕地への復元が難しい状態。また、同年度は放棄地から耕地に戻った土地が273ヘクタールあったものの、放棄地も新たに1021ヘクタール増えた。中山間地が多い県内では耕地が小規模で新規の就農者も少なく、近年は米価が60キロ1万円程度と低迷していることなどが影響しているとみられる。50アールの田んぼを持ちながら、約65年続けてきた耕作に昨年末で区切りをつけた真庭市の男性(79)は「イノシシや猿など害獣の駆除も大変。周辺も私と同じく年をとり、一人、二人と先にやめていった。米を作っても生活の足しにならないので、3人の息子にも後は継がせなかった」と打ち明ける。県や市町村、農業団体は08年、「県耕作放棄地解消対策協議会」を設置。重点地域には、瀬戸内、赤磐、浅口、真庭各市と矢掛、久米南両町が指定された。鳥獣害が多い赤磐市では、県の農業普及指導員の助言などを受け、各農家で害獣が好まないとされるニンニクや唐辛子の栽培を開始。真庭市では国の交付金を受け、建設業者が重機を使って耕地への復元作業に取り組む。矢掛町でも今月、耕作放棄地に生えた木の根を抜くなどの実地研修会がある。県は今後、新規就農者を募って復元した耕作放棄地に入ってもらったり、作物が高値で売れるようにブランド化したりと、新たな方策を探ることにしている。
(伊にイノシシ加工技術学ぶ:長崎)
対馬市とイタリア東洋商工会議所日本支所(福岡市)は12日、経済活動で互いに協力する覚書を結んだ。第1弾として、同市は島内で駆除したイノシシを食品や革製品に加工するイタリアの技術を学ぶ。同会議所はイタリア企業との商談会などを通じ国際交流を促進する経済団体で1924年に発足。約千の個人・企業が会員で、同国南部のバーリに本部がある。日本支所はアジアの拠点として昨年設置した。対馬では97年ごろからイノシシが急増。現在は3万匹以上が生息しているとされ、昨年度は約1万匹を捕獲。同市はイノシシの活用を模索しており、加工業が盛んなイタリアと協力するため準備を進めてきた。17日には厳原町の市交流センターでイノシシの生ハムづくり教室を企画しており、同支所から講師派遣を受ける。今後もイタリアから技術者を招くなどして商品開発や販路開拓で連携する。市役所であった調印式には財部能成市長とディサント・ダニエレ支所長(33)が出席。財部市長は「先進地の知恵を借りながら方向性を見いだしたい」、ディサント支所長は「イノシシを皮切りに、対馬の魅力をイタリアに伝えたい」とそれぞれ述べた。
(カラス被害、食べて撃退!?:青森)
フン害やごみの食い荒らしなどカラスの被害に悩む弘前市民が、とうとうカラスを食べる挙に出た。カラスのいたずらを懲らしめようとの悪趣味にはあらず、駆除する以上は命をいただくという思いを込めて企画。さて、「食べて撃退」の作戦は成功なるか。弘前市百石町の屋台村「かだれ横丁」で催された「カラスを食べる会」。集まったのは今薫・百石町会長(59)や阿部精一・茂森町会長(62)ら、中高年の市民有志6人。横丁でインド料理店を営むタパ・ヤム・バハデウさん(32)の調理でドライカレー風と唐揚げの2種類の試作料理に挑んだ。阿部さんは「肉はシナイ(筋張っている)ので、よくかまなくてはだめ。くさみは意外にない。唐揚げは酒のつまみにイケるかも」との食後感。同市向外瀬の加藤博次さん(67)は「カラスだと言われなければ、見た目では何の肉か分からない。ただ、メニューにあっても注文はなあ……」と引き気味だ。結局、試食には4皿が並んだが、箸はあまり進まなかった。料理に供されたカラスは、隣の西目屋村の農業被害で駆除されたもの。弘前市はカラスのフン害やごみの食い荒らしに困った末、7月から捕獲わなを市内2カ所に仕掛け、10月末までに計95羽を処分している。「食べる会」を呼びかけた今さんは「いたずらはカラスの勝手、処分は人間の勝手でしょ、では済まない。命を奪う以上、命をいただくという責任の取り方があるのでは」と神妙な表情。「長野県にはカラス料理が名物のレストランもある。弘前でも、料理のチャレンジャーが現れてほしい」と“続編”に期待する意向だ。
(鳥インフルウイルス侵入リスク地図作製)
国立環境研究所(茨城県つくば市)は16日までに、鳥インフルエンザウイルスが日本に侵入するリスクの高い地域を予測した地図を作製したと発表した。渡り鳥のマガモなどのカモ類の数が多い地域ほどウイルスが侵入するリスクが高くなることがわかった。高リスク地域での監視体制を強化することで、養鶏場などでの被害防止につながると期待される。同研究所の森口紗千子特別研究員らは、標高や土地利用などの環境条件、ウイルスが感染する可能性があるカモ類の数などをもとに、予測地図を作製した。渡り鳥がよく飛来する九州の沿岸部、山陰、近畿地方の平野部、愛知県の平野部、関東平野、東北地方の沿岸部、瀬戸内海の平野部でリスクが高かった。過去5年間に鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥が見つかった地点は、今回のウイルス侵入予測地域に含まれており、予測の信頼性は高いという。
(クマ対策に取り組む:長野)
クマの出没への警戒は、冬眠する12月まで続く。01年から長野県軽井沢町のNPO法人「ピッキオ」スタッフとしてクマの保護管理をしている。今年はクマのすむ森にドングリが少ないといわれるが、「里山が荒廃し、人里に近寄りやすくなった」と話す。愛媛県の大学では経営を学んだ。だが、卒業後は「北海道の大地と大型野生動物に憧れて」畑違いの北海道の知床自然センターに入った。そこでヒグマの生態を研究し、その経験を買われた。軽井沢では90年代後半からクマのゴミ荒らしが頻発していた。町の委託で、手先が器用なクマでも開けられない鉄製のゴミ箱を開発した。10年までに約50台を設置したところ、99年に136件だった公共のゴミ集積所荒らしが昨年はゼロ。クマに電波発信器を付けて動静も追う。「10年かけきめ細かい軽井沢のクマ対策の一つの形ができた」長野県小諸(こもろ)市の自宅では近所の休耕地を借りて野菜や果物を育てる。農業は「趣味ではなく生活の一部」となり、鶏も数十羽飼う。妻と3人の女の子に加えて、「家族で男は犬のブレットと自分だけ」という雄の大型犬がいる。ほえてクマを追い払う日本初のベアドッグ(クマ対策犬)だ。04年に米国から導入し、育てた。全国で、クマ出没の危険性が増している。対策はどうしたらいいのか。「狩猟者が里山に入り、野生動物に人の圧力をかける必要もあります」
(野生動物、農作物に打撃:静岡)
イノシシやサルなど野生動物による農作物への被害が南伊豆地域で深刻化している。収穫直前のトウモロコシやイモ類などが食い荒らされており、「被害が続くと、生産意欲がなくなる。耕作放棄地が増える恐れもある」と農家は訴える。南伊豆町の「野生猿による被害防止の会」(鈴木光雄代表)は、町と県に農作物被害の防止対策を求める要望書を相次いで提出した。同会が9~10月に町内17地区で実施した被害調査によると、141戸が被害を受け、被害件数348件のうち309件が農作物だった。特に一条地区では70戸のうち半数以上の39戸が農作物などの被害に遭ったと答えた。被害を受けた農作物は、トウモロコシやスイカ、カボチャなど34品目にのぼる。このほか「サルが家の中に入った」「屋根の上で暴れた」「雨どいを壊された」などの被害も出ている。裏山のミカンを食べられたうえ、太陽熱温水器や屋根瓦を壊されたり、2階のベランダを荒らされたりしたという一条地区の清水登区長(64)は、ベランダ全体に網を張り、サルの侵入を防いでいる。清水さんは「サルの好物のトウモロコシなどは作らないようにした。安心して作物を作れるようにしないと、農地が荒れてしまう」と話した。同会の鈴木代表(75)は「収穫前に農作物が被害に遭うとがっかりする。これ以上被害が増えると、農家の生産意欲が低下してしまう」と懸念した。下田市では、イノシシの被害が深刻だ。芋類やミカン、シイタケなどが食べられている。市によると、4月~10月に捕獲したイノシシは95頭で、前年度1年間の102頭に迫る勢い。作物の被害だけでなく、「畑の石垣を崩された」「庭を荒らされた」「小学校の近くなど街中にも出没する」などの報告もある。このため市農業委員会は6日、有害鳥獣被害対策事業の当初予算措置の拡大など3項目の要望書を、楠山俊介市長に提出した。同委員会の金崎洋一委員長は「イノシシが人を恐れなくなっている。すぐに対応できるよう年間を見通した予算を願う」と訴えた。これに対し楠山市長は「被害防止は、息の長いテーマ。里山作りを進め、人間と獣の境界線を山へ上げていかなければならない」と話した。南伊豆地域(下田市など1市5町)で活動する住民グループ5団体が9日、野生動物による農林産物の被害を防ぐために、「南伊豆地区鳥獣被害対策研究会」を設立した。野生動物の数を減らすための狩猟規制の緩和策や、広域的な侵入防止策の検討など、抜本的な被害防止対策を調査、研究するとしている。研究会を設立したのは、NPO法人伊豆未来塾、賀茂農林業研究会、野生猿による被害防止の会など5団体。趣旨説明の会合では、賀茂猟友会南伊豆分会や地元農家などが「山にえさがないので、イノシシやサルが里に下りてくる」「サルの群れには見張りがいて、人がいなくなるのを待ってミカンを食べる」など被害の実情を訴えた。研究会は「従来の駆除や狩猟、個別の侵入防止柵の設置などの被害防止策では対処できない」とし、イノシシやサルなどの天敵の動物を導入することについても調査・研究するという。県のまとめによると、南伊豆地域で有害鳥獣として捕獲されたイノシシの頭数は、2008年度から増加傾向が続いている。11年度は483頭で、08年度の270頭から大幅に増えた。サルは、08年度は93頭、10年度は100頭、11年度は73頭とばらつきが見られる。11年度の同地域の農林産物の被害金額は、イノシシによるものが2179万円ともっとも多く、次いでシカ(1309万円)、サル(915万円)の順だった。
(「今すぐ食べたい、エゾシカ料理を教えてください」:北海道)
秋に入るとジビエ(狩猟肉)の季節。その代表格のシカ肉はフランス料理の高級食材としてグルマンな方々の胃袋に幸せを運んでいます。中でも最近注目されているのが、北海道で徐々にファンを増やしているエゾシカ肉。本場欧州のシェフから、「シカ肉の中でもエゾシカは特に肉質が美味」と言われ好まれているそう。とはいえ、野生鳥獣肉に親しみのない方にとっては、ちょっとした味の冒険ですよね。せっかく旬の味を楽しむのなら「おいしい出会い」をお届けしたいもの。そこで、普段からエゾシカ料理を楽しんでいる(舌の肥えた)皆さんに質問してみました。お話を聞いたのは「釧路シカ会」の方々。北海道・釧路在住者を中心としたメンバーは、会社員、公務員、管理栄養士、マスコミ、料理人、研究者、男女ハンター、エゾシカ肉販売業者など、さまざまな職種の男女(20歳~50歳代くらいまで)の集まり。毎月第4火曜日の「シカの日」(ダジャレです)には集まって、エゾシカ料理とお酒をワイワイ楽しんでいます。ただいま35名が在籍中。シカ会の皆さんもはじめから「エゾシカ肉大好き!」だったワケではありません。でも一度そのおいしさを知るととりこになるようで……。「何度も冷凍解凍を繰り返したカタくて臭いシカ肉を食べて嫌いに。その後、適切に処理された、やわらかくてうまみのあるエゾシカ肉を食べて大好物に変わりました。一度でマズいと決めつけ、食わず嫌いしていた自分にバカ!と言いたい」。「もともと赤身肉の臭みが苦手だったんですが、エゾシカ肉の味わいにびっくり!あっさりしているのにコクがあっておいしい」。「天然物なので旬の魚のように味の個体差があるのも楽しい」。「今まで食べた肉の中で一番好き」、との意見が続々。そこまでおいしいのなら食べてみたい。そこで、エゾシカ料理ビギナーに特におすすめのメニューを推薦してもらいました。(回答15名。複数回答あり)1位 カレー 2位 ひき肉料理(ハンバーグ、ミートソース) 3位 ロースト 4位 揚げ物(ザンギ、コロッケ、串カツ) 5位 焼き肉 回答の半数がオススメしたいのがカレーに代表される煮込み料理です。メンバーによると「エゾシカ肉はうまみがしっかりしているので、市販の調味料を多用しなくてもOK。野菜を多めにするのがコツ」。また「最初はポトフ、次の日はトマトソース煮、最後にカレールーを入れて3日楽しむのもよし」との煮込み三段活用のアドバイスも。2位のひき肉はさまざまな部位を使うのでより味わい豊かに。「エゾシカ肉のハンバーグは脂っこくなくて、食後ももたれないんです」なんて意見もありました。より肉の味わいを楽しむならシンプルな味付けのローストや焼き肉で。揚げ物は脂質の少ない部位と好相性。ちなみにザンギとは味付け唐揚げのことです。なかなか自分でエゾシカ肉を調理する機会は少ないと思います。そんな方へのアドバイス、「まず、飲食店で適切に処理されたものを食べてください。フランス料理から味わってみてはいかがでしょう?」 ああ、おなかがすいてきました。この質問、とにかく皆さん回答が多彩。ランキングにできないほどの料理名が並びます。推薦者のコメントとともにどうぞ。● スペアリブ焼き 「骨についた脂身の甘みがしつこくなくておいしい」 ● 赤ワインの煮込み 「エゾシカ肉はフルーティーな味わいと相性がいいのでベリー系のソースでいただきたい」 ● ロースト 「肉の味をやわらげる調理ではなく、肉そのものの風味をシンプルに味わいたい。ジビエらしい個体差の風味も楽しめます」 ● ミートソーススパゲティ 「荒くひいた肉で作るミートソースはクセになります。トマトソースと合わせたい」 ● 揚げ物 「竜田揚げやメンチカツなどにすると油と肉のうまみがジュワ?ッととけ合っておいしい!中でもスネ肉を使ったザンギにやみつきです」 ● 担々麺 「甘辛い味付けとうまみたっぷりのひき肉がめんに絡んで……たまりません」 ● しゃぶしゃぶ 「極薄肉とレタス、ゴボウを一緒にしゃぶしゃぶしてポン酢で。シメは雑炊」 ● 生ハム 「北海道ならではの獣肉を釧路地域ならではの気象条件下で熟成させた逸品」 ● 阿寒やきとり丼 「やきとりと言いつつエゾシカを使った北海道釧路市のご当地グルメ。"焼き、揚げ、こね"の調理法で作ったエゾシカ料理がご飯の上に。イベントでも大人気で、見かけたら絶対に食べます」。そのほかにも、餃子、バラ肉のくし焼き、麻婆豆腐、ガレット(そば粉クレープ包み)など、おいしい話は尽きませんでした。皆さんのお話の中では栄養面の魅力も多く語られました。「とにかく鉄分が豊富!なのに脂質が少ない!」、「少量含まれた脂身も、良質でヘルシーな脂質なんですよ」、「日ごろ食べているお肉の一部をエゾシカ肉に変えたらダイエットになった」と、気になるコメントも。美容と健康のため、特に女性におすすめのエゾシカ料理。これは、食わず嫌いではもったいない食材だということがわかりました。北海道旅行へ行く機会があったら、スキーやドライブだけじゃなく、ぜひエゾシカ料理もプランに組み込んでみてはいかがでしょう。

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11/9
(シカ食害、一網打尽で防げ:三重)
シカの食害を防ごうと、津市片田地区で8日、シカを大量捕獲する「ドロップ・ネット」の実証実験が始まった。市広域獣害対策連絡協議会が、市の委託で来年3月末まで取り組む。地区内の山や水田に囲まれた場所で、18メートル四方に高さ2・5メートルの支柱を設置して上から網をぶら下げ、網の下に野菜や草の塊などのえさをまいてシカをおびき寄せる仕組み。監視カメラで観察し、シカが集まったところで遠隔操作で網を落とすと、一度に多数を捕獲できるという。市農林水産政策課によると、昨年度のシカによる市内の農作物の被害金額は約1900万円にのぼる。同協議会の丹生田(にうだ)高雄会長(67)は「駆除に当たる猟友会の人員が減る中、効率的な方法だが、捕獲後の処理は夜間だと鉄砲が使えないのでやりを使う。シカが暴れればけがをするおそれもある」と課題を挙げた。
(宮島のシカ太る?:広島)
世界遺産の厳島神社がある宮島(広島県)の市街地に生息するニホンジカ(約500頭)の肉付が良くなってきたことがわかりました。ごみを食べて栄養不良になり、09年には約やく3割が「やせ形」でした。野生に戻すために餌やりを禁止したことで、シカが自分で餌をとるようになり栄養状態が改善されたようです。
(「ジビエ振興会」設立:長野)
飯田下伊那地方の旅館や飯伊連合猟友会、食肉処理業者などが七日、シカ、イノシシなど野生鳥獣の肉の販路拡大と観光資源化を目指す「南信州ジビエ振興会」を設立した。松川町や大鹿村などの自治体も含めて十九団体が参加。今後、ジビエ料理の普及活動や料理の講習会などに取り組む。飯田市追手町の飯田合同庁舎で開かれた設立総会には、関係者約十五人が出席。役員の選出に続き、今後の活動方針を決めた、出席者からは「独自のメニューを考案して商品化できないか」という積極的な声のほか、「シカなどの体内に残る銃弾を見つける金属探知機導入に県の補助が受けられないか」などの意見が出た。総会後、会員の観光施設ネバーランド(根羽村)と、土産品の企画、販売を手がけるマツザワ(高森町)が試作したシカの肉まんを試食。五~六ミリ角に切ったシカ肉をトマトソースで味付けしており、参加者からは「臭みが少ないのに、シカ肉の食感が楽しめる」と好評だった。振興会の片町彰会長(62)は「昔から狩猟が盛んなこの地域のジビエを大切にしたい。情報を共有して、さまざまなアイデアを出していきたい」と話した。南信地方では近年ニホンジカが増え、農林業への被害が増加している。このため、猟友会が中心になってシカの駆除に取り組んでいるが、捕獲したシカのうち食肉に利用されるのは一~二割で、ほとんどが埋設処分されているという。振興会は、食肉利用が進めばハンターの捕獲意欲を高め、シカやイノシシの捕獲頭数の増加にもつながると期待している。
(捕獲イノシシ特産に:福岡)
捕獲したイノシシの肉を地域の特産品にしようと、糸島市二丈吉井の「浮嶽くじら処理加工組合」(元村博満組合長)は10日から、同市二丈福井の福吉ふれあい交流センター福ふくの里で、精肉の販売を開始する。市の農村部では、米や野菜、ミカンなどにイノシシによる深刻な被害が出ている。猟友会などが駆除に取り組み、2011年度は約1200頭のイノシシが捕らえられたが、肉は自家消費などにとどまり、一般には流通していなかった。肉を有効活用しようと、地元農家など14人で同組合を立ち上げ、県と市の補助事業で加工施設を建設、10月中旬にオープンした。当面は背ロースや肩ロース、バラなどのブロック肉やスライス肉を売り、ハムやベーコンなどの加工品も今後、販売する予定。価格は極上背ロースのスライスが通常、100グラムで550~700円だが、今月いっぱいは記念価格で3割引きにするという。元村組合長は「極上肉はクセがなく、まろやかで、脂に甘みがあり、幅広い料理に利用できる」と話している。

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11/8
(クレー射撃を実施、来年の東京国体)
日本体育協会(日体協)は7日に都内で理事会を開き、来年の東京国体でクレー射撃を予定通り実施することを承認した。統括する日本クレー射撃協会の内紛状態が長期化していたため、日体協は9月に事態改善を求める勧告処分を下し、東京国体の実施競技からの除外も検討していた。日体協は、クレー射撃協会から改善計画書を受け取っており、麻生太郎氏を会長とする新執行部が発足するなどで組織運営が整備されつつあると判断。今後は3カ月ごとの報告を求め、協会運営の正常化が認められた場合は勧告処分を解くとしている。
(クマ3頭、男性襲われけが:新潟)
7日午後4時ごろ、五泉市矢津で、同所の男性(65)がクマに襲われたと119番通報があった。男性は頭や頬などを引っかかれるなどのけがを負った。クマは親子3頭いたが、親のクマは現場近くの今年3月に閉校した川内小学校の校舎内にいたところを猟友会員により射殺された。五泉署によると、男性は自宅裏で冬囲いの作業をしていたところ、竹やぶからクマが現れ襲われた。傷は長さ10~15センチで、新潟市内の病院で治療を受けた。同署によると射殺された親は体長約120㌢。2頭の子グマは校舎内にはいなかったという。男性宅と同小は川を挟み約350メートル離れている。市や五泉署が注意を呼び掛けており、8日朝もパトロールを行う。
(クマやイノシシの捕獲、昨年の5倍:群馬)
群馬県内でクマやイノシシなど有害鳥獣の捕獲が急増している。今年度に捕獲されたツキノワグマは昨年の5倍近くに急増、前橋市内で捕獲されたイノシシも9月末で昨年の捕獲頭数を上回った。捕獲の増加に伴い、クマによる人身被害やイノシシの農作物被害も目立ち始めており、条例案提出など行政も対策に乗り出している。県や前橋市によると、今年度に捕獲されたツキノワグマは9月末現在で253頭。前年同期52頭の5倍近くに上る。前橋市内で捕獲されたイノシシも9月末時点で71頭と、昨年一年間の捕獲頭数(43頭)を既に大幅に上回った。特に、ツキノワグマは過去最多だった平成18年度の333頭に迫る勢い。先月15日には、沼田市できのこ狩りをしていた男性がツキノワグマに襲われ負傷したが、こうした人身被害も今年は5件(6日現在)確認されており、18年度の7件に匹敵する。イノシシによる農作物被害も深刻だ。8月上旬、前橋市粕川町のトウモロコシ畑がイノシシに荒らされ、飼料用トウモロコシの実が全て食べ尽くされる被害が起きた。被害総額は約50万円。県や市は詳細な農作物被害について「集計中」としているが、捕獲頭数の増加に伴い、被害額も「例年より多い」(市関係者)状況だという。県自然環境課によると、クマやイノシシの捕獲が増える一因として、エサとなるブナやミズナラなどの木の実(堅果類)の不作が考えられるという。県林業試験場が行った「堅果類の豊凶調査」によると、県内全域の今年の豊凶状況は、ブナは「大凶作」、ミズナラは「不作」となっている。同課は「山の中で、エサとなる木の実が十分に食べられないことから、人里に下りてきているのではないか」と指摘する。前橋市は有害鳥獣対策として来年3月上旬までに、「竹やぶ・篠やぶ大掃除大作戦」を実施。イノシシなどの隠れみのとなる竹やぶや篠やぶを伐採し、見通しを良くすることで出没の抑止に努める。また、同市は有害鳥獣に関する条例案を来月議会に提出、地元猟友会による有害鳥獣の駆除隊を結成する方針だ。隊員に臨時職員の身分保障を与え、猟銃所持の許可を更新する際に必要な技能講習を免除するなどの内容で駆除隊結成の環境整備を進めるのが狙いだ。同市農林課は「現在も猟友会には協力してもらっているが、制度面も整備し、人身、農産物被害が発生しないよう捕獲を進めていきたい」と話している。
(レッドデータブックで「絶滅種」のニホンジカ、なぜ出没?:秋田)
秋田県のレッドデータブックで「絶滅種」とされているニホンジカの県内での目撃情報が、ことしに入って増えている。今は県内に生息していないとされているイノシシについても、ことし2月に初めて捕獲された。専門家は「伐採された隣県の森林が元に戻って動物が住みやすくなったため、生息数が増加して秋田にも入ってきたのではないか」と指摘している。県自然保護課によると、ニホンジカは2002年にレッドデータブックで「絶滅種」に分類された。しかし、09年に秋田県仙北市角館町白岩の田んぼで目撃され、昨年まで年2~3件、情報が寄せられてきた。ことしはさらに増え、10月末までに県内全域の田んぼや道路で計12件に上っている。一方、イノシシはことし2月、湯沢市秋ノ宮の山林で雄の成獣1頭が県内で初めて捕獲された。その後も、3月下旬と9月上旬、同市高松の山林と田んぼで目撃されている。同課は、目撃場所から、ニホンジカが岩手、宮城両県、イノシシが山形県から入ってきたとみている。ただ、いずれも群れではなく個体での目撃のため、「その地で生息しているとまでは言えない」としている。レッドデータブックの選定委員を務めた北海道大北方生物圏フィールド科学センター和歌山研究林(和歌山県古座川町)の揚妻直樹准教授(動物生態学)によると、ニホンジカもイノシシも、江戸時代までは各地に生息していた。しかし、「森林を伐採するなど山林での人間の暮らしが盛んだったことや、狩猟によって減少し、秋田ではいなくなった」という。このところ秋田で目撃されるようになった理由について揚妻准教授は、「山での暮らしが減ったため、隣県などで自然林が回復し、動物には住みやすくなって生息数が増加した」と前置きした上で「生息範囲を広げようとする動物の性質から、秋田にも進出してきた」と話す。懸念されるのがニホンジカとイノシシによる稲やイモ類などの食害。県自然保護課によると、今のところ被害の報告はないというが、阿部雅弘課長は「被害数の多い東北各県に聞きながら、対応策を考えていきたい」と話している。
(独自のクマ生息調査:岡山)
美作市は市独自のツキノワグマ生息実態調査を始めた。人間も通る山道など10地点に無人で撮影できるデジタルカメラを設置し生息数を把握する県内初の取り組み。クマ出没報告は10年をピークに減っているが、市は「住民の不安は深刻で実態を把握したい」と話す。同市湯郷の美作文化センターで16日午後1時から「第2回クマサミット」を開き、クマとの共生策を考える。県内のクマ生息数は従来10頭程度とされ、絶滅の恐れがある個体群として保護されてきた。だが10年に61頭が捕獲されたことから、クマの保護策を見直すためにも、生息数の把握が緊急課題になっている。美作市は、長野県などでツキノワグマを追う写真家、宮崎学さんに調査を委託。先月末、クマの出没が多発している同市東粟倉地区の山中などでクマが通ったとみられるけもの道や山菜を採る山道など10カ所にデジタルカメラを設置した。デジタルカメラは高さ1・5メートルの三脚上に据え付け、三脚はクマに押されても倒れないように木の杭に固定した。赤外線感知器を備えたカメラが、近くを通るクマを感知すれば、自動的に撮影する仕組みだ。クマのメスは2キロ四方が行動範囲とされており、写真で個体を識別し、頭数を推定する。調査期間は3月末まで、事業費750万円をかける。県内のクマ出没報告は10年4〜10月に131件(うち美作市93件)、11年同期59件(同40件)、今年同期53件(同15件)と減っている。だが同市内の民家倉庫で昨年、クマが捕獲され、今年も集落近くにクマが複数回現れ、専用のワナを設置した。同市農業振興課の安東和彦課長は「クマは住民の身近に迫っている。どうしたらいいか現場は悩み続けている」と訴える。クマサミットでは、宮崎さんが調査の途中経過を報告し、クマへの関心を高めてもらう。
(憎きカラス、芝生被害相次ぐ:北海道)
室蘭市内の公園で、カラスが芝生をはがしてしまう被害が相次いでいる。室蘭市入江町の入江運動公園多目的運動広場は被害が拡大したため時期を早め閉鎖、芝生の張り替え準備に入った。カラスによる被害は例年あるが関係者は「ここまでひどいのは初めて」と対策に頭を抱えている。被害が特に目立つ同広場。サッカーのピッチ1面を完備し、大会や練習で利用されている。9月に入り被害が目立ち始めた。芝生がはがされてしまった場所は大小20カ所、計200平方メートル程度に上る見通しという。被害箇所は、土を入れて芝の種をまいてその都度対処したほか、幼虫を駆除する消毒剤を散布したが追い付かず、通常10月いっぱい使用出来るところ、14日を最後に閉鎖。現在はカラスよけのテープを張り巡らし、来季の使用開始に間に合うよう芝生の張り替えを予定している。「芝生の下にいるコガネムシの幼虫を狙っているよう」。同広場を管理する室蘭市体育協会の担当者は説明する。一時期は1平方メートル当たり約100匹の幼虫が確認できたといい、カラスはこの幼虫を餌にしているようだ。陸上競技場内の芝生は、幸い無事だった。宮の森町の中島公園野球場では、外野の芝生に大小50カ所の穴ができた。犯人はやはりカラス。はがされた部分は土で埋め芝の種をまく作業を進めているが、来年のシーズン入りには間に合わない見通し。担当者の1人は「追い払ってもすぐに戻ってくるし、同じ場所ばかりほじくり返す。丹精した芝生が駄目になり本当にやるせない」と肩を落とす。一方で、カラスの駆除処理件数は過去5年間で最少。鳥獣駆除を受け付ける市地域生活課によると、平成24年度のカラス駆除処理件数は40件だった。カラスによる被害は例年、子育て時期になる春先に集中し、夏に入ると数件ある程度。今年は6月を最後に止まっているだけに、秋からの被害拡大に首をかしげる。鳥の生態や自然環境に詳しい、日本野鳥の会室蘭支部の篠原盛雄支部長によると、カラスは子育てが終わった夏ごろから翌年3月ごろまで集団で行動する。「餌のありかを学習し同じ場所をほじくり返すのだろう。人の動きも学習しており、この場所は危険ということを根気強く教え込まなければ追い払うのは難しい」と話している。
(児童がキジを放鳥:三重)
伊賀地域の里山に生息する鳥獣を大切にしようと、伊賀市大内の花之木小学校(山本恵子校長、57人)は11月8日、キジを24羽放鳥した。伊賀市猟友会(内田克宏会長)が、子どもたちに自然に親しんでもらおうと、伊賀、名張両市内の小学校を訪問して行っているもので、同小学校には会員3人が訪問した。この日、全校児童が校庭に集まり、各学年の代表者が猟友会の会員から生後約半年のオスとメスの幼鳥を受け取り放鳥。キジは勢いよく飛び去った。3年生の上田真菜さん(8)は「キジはふわふわして柔らかかった。元気に育ってほしい」と話していた。
(塩だれシカ肉、召し上がれ:北海道)
エゾシカ肉の卸、販売の北海道産ファーム(函館)は、函館市内で捕獲したエゾシカのモモ肉を塩だれに漬け込んだ「函館塩焼き肉」を開発し、札幌や東京などの「どさんこプラザ」で販売を始めた。自家製塩だれで肉の軟らかさを引き出し、臭みを和らげたのが特徴だ。くくりわなを使って捕獲したエゾシカを活用。自社の食肉処理工場で手早く枝肉にして鮮度を保ち、冷温熟成することでうま味を引き出した。自家製塩だれは1年半かけて開発した。渋田孝代表は「エゾシカ肉のおいしさを知ってもらえれば」と話している。

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(おもちゃの銃でいたずら?銃発砲騒ぎ:香川)
香川県警によると、6日午前9時40分ごろ、高松市鹿角町の国道193号を走行中の車の男性(52)から、発砲音のような音がしたと110番があった。県警は銃発砲の可能性があるとみて、付近を通行止めにして鑑識活動などを行ったが、銃や薬きょうは見つからなかった。男性は「並走する車の運転手から銃のようなものを向けられた」と話しており、県警はおもちゃの銃によるいたずらとみて調べている。
(温泉でクマ目撃:新潟)
6日午後5時ごろ、魚沼市大湯温泉の県道で、体長1メートルの子グマ1頭がホテルの敷地内に入るのを見たと、車で通りかかった男性が小出署に通報した。同署によると、その後子グマの姿は確認されていない。
(原発周辺にイノシシやサル…事故後変わる生態系:福島)
東京電力福島第1原子力発電所の事故が起きてから1年7カ月が過ぎた。放射性物質が広がり住民が避難した福島第1原発周辺では生態系に変化が現れつつある。このほど福島大学で開かれた日本生態学会のシンポジウムでは、イノシシやサルなどの生息域が拡大しており、住民帰還に向けて新たな対策が必要になるとの報告が相次いだ。福島県は県土の7割が森林で野生動物の宝庫といわれる。福島第1原発がある福島県東部は西側に阿武隈高原を抱え、原発から放出された放射性物質が広く降り積もった。これまでチョウや鳥などで個体数が減少したという報告はあるものの、詳しい実態は明らかになっていない。シンポジウムの冒頭、主催者の1人である福島大学の黒沢高秀准教授は「(個体数の減少などが)本当なら人間の健康にも影響がある問題だが、住民に向けた啓発などは全く行われていない。長期間にわたる持続的な研究が必要だ」と語った。シンポジウムでは農作物や魚介類などの影響が報告されたが、これまで十分な調査が進んでいなかったイノシシやニホンザルの現状を伝える講演もあった。イノシシの現状を伝えた「福島ニホンザルの会」の大槻晃太さんは「生息域が拡大している」と強調。住民が避難して人がいなくなり、活動範囲が広がっているという。イノシシは夜行性といわれることもあるが、それは人間に見つかるのを恐れていたため。人がいなくなったことで、日中に親子のイノシシが畑などを走り回る様子も見られた。大槻さんは「震災後に生まれたイノシシの子供は人に触れたことがなく、人間を全く怖がらない意識を持った新しい世代がうまれつつある」と指摘。“新世代イノシシ”と名付けた。イノシシの体内から高濃度の放射性物質も見つかっている。地元猟師らが捕獲したイノシシは178頭調べたところ、最も高いもので体重1キログラム当たり25000ベクレルだった。ただ、捕獲した地域の土壌に含まれる放射線量との相関は見られなかった。またイノシシからは放射性物質による遺伝的な変化などは見られていない。大槻さんは「今後も詳しい調査と評価が必要だ」と話す。ニホンザルでは、避難区域にある住宅に侵入して家財を荒らす被害が出ている。福島県内で野生ザルの生息域は主に4カ所あり、このうち避難区域になっているのは南相馬市を中心とした「原町個体群」と呼ばれる生息域。約1990頭の個体数がいると推定され、生息域は南相馬市原町区を中心に浪江町から相馬市まで広がる。文部科学省が測定した放射性セシウムの土壌汚染マップを重ねると、生息域と汚染地域がほぼ一致する。この地域での個体数の調査は震災後、思うようにできていない。JA新ふくしまの今野文治鳥獣害対策センター長は「生息域は高い放射線量の地域にある。早期の調査が大切だ」と語る。ニホンザルの体内でも高いレベルの放射性物質が見つかっている。福島県内の生息域の1つである「南奥羽・飯豊南個体群」のうち福島市で捕獲したサルの内部被曝(ひばく)を調べた。155匹の調査で最も高かったのは昨年4月に捕獲したサルで、放射線量は体重1キログラム当たり25000ベクレルだった。その後、同1000ベクレル程度まで下がったが、今年3月には3000ベクレルまで上がった。1~3月はエサが少なく木の皮などを食べて冬を越す。この皮が放射性物質で汚染され、高レベルの被曝につながったとみられる。同じように事故を起こした旧ソ連・チェルノブイリ原発の周辺ではサルは生息していない。放射性物質が広がった汚染地域における霊長類の調査は初めて。今野センター長は「調査結果は貴重なデータになる」と話す。海外の学術雑誌にも論文を提出する考えだ。福島県内ではクマの目撃情報も相次いでいる。シンポジウムでは住民がいなくなった影響や猟師の減少などで生息域が広がっているとの報告があった。福島第1原発周辺では避難住民の帰還に向けて除染が進む。政府は除染などの効果で放射線量が下がった地域から、避難区域を解除して住民の帰還を促す考え。ただ、イノシシやサルは農作物を荒らし、住民が帰還できても農業が再開できない恐れもある。今野センター長は「住民が集団で帰還してサルなどの被害を防ぐようにしなければいけない」と話す。少人数で帰還してもサルなどが人間と接触する機会がなければ、警戒心がなくなり、畑などを荒らす可能性があるからだ。住民の帰還に向けた課題として除染やインフラの整備などが強調されるが、原発事故で変化した生態系の回復も必要になってきそうだ。
(シカ侵入防止柵内、環境省が10頭確認:栃木)
奥日光・戦場ケ原に環境省が設置したシカの侵入防止柵内に、シカ10頭がいることを同省が確認、発表した。昨年度より2頭減り、06年度の調査開始以来、最少となった。調査は10月17、18の両日に実施。柵は国道をまたぎ開放部があるため、侵入が確認されており、06年度から柵内でシカを捕獲している。
(食害防ぐ狩人、激減:山口)
農作物を荒らすイノシシやシカといった有害鳥獣の駆除を担ってきた県猟友会の会員減少に歯止めが掛からない。30年で3分の1になった一方、高齢化も進んでいて、近い将来、駆除に協力できなくなる可能性も出てきている。県によると、2011年度の鳥獣類による農作物被害は約6億8千万円。県内の各市町は有害捕獲としてイノシシ8700頭、シカ1500頭を捕獲した。そのほとんどを猟友会員が担っている。担当者は「農家の高齢化が進み、荒れ地が増えたことで、イノシシやシカの頭数や生息エリアは広がっている。今後さらに対策が必要になる」と話す。だが、県猟友会の11年の会員数は2520人。ピークだった1978年の7534人から激減した。平均年齢は60歳を超える。中柴和夫事務局長は「スーパーに行けば肉が買える時代。趣味も多様化し若い人が猟をやらなくなった」と話す。09年の銃刀法の改正で、狩猟免許の更新時の技能講習や認知症の検査が義務化され手続きが煩雑になったことで、銃を手放す人も増えた。「今は何とか駆除に協力できているが、このままだと10年後はできなくなる」と言う。県は、駆除できる会員確保のため、昨年度、狩猟免許を取る際の助成制度を本格的に始めた。わなの免許は2万円、銃の免許は6万7千円を補助する。駆除隊員の射撃訓練の経費の一部も負担し、有害駆除に貢献した捕獲隊員を「マイスター」として表彰することも始めた。昨年度の狩猟免許取得者は463人と前年度を295人上回った。
(駆除のシカ、多角活用始動:山梨)
ニホンジカを適正な生息数に近づけ、農作物や高山植物を食い荒らす食害に歯止めを掛けようと、射殺後のシカを有効活用する事業が県内で動き出している。既に、シカ肉がフルーツパーク富士屋ホテル(山梨市)でフランス料理の材料になっているほか、今後は皮革を印伝製品に、角などを漢方薬に利用する計画だ。事業は、甲府商工会議所がまとめ役となり、県内猟友会の協力で実施する。既に丹波山村猟友会と連携し、フルーツパーク富士屋ホテルがシカ肉を安価で購入。10月中旬頃からジビエ料理としてメニューに載せている。ジビエは、野生鳥獣の肉を意味するフランス語。同猟友会によると、食用に使えるシカ肉は、体全体の約2割だけで、射殺後、2時間以内に血抜きや内臓処理をしないと食肉として利用できない。これまでは、狩りをしても山を下るのに時間がかかり、食肉として利用できないケースが多かったが、小型冷凍庫を備えた軽トラックを山間部で走らせ、肉を収納して冷凍し、長期保存を可能にする。皮革の利用は肉に比べて難しい。猟では散弾銃が使われることが多いが、印伝製造大手「印伝屋上原勇七」(甲府市川田町)などによると、弾が腹など広範囲に当たり皮膚に穴が開けば利用範囲は減る。撃った際にシカが沢に落ちたり、山から下ろしたりする際に皮膚を傷めることも多い。更に革の染色は約100頭分をまとめて行うため、捕獲頭数が少ないと染色に回しづらい。同社は「県産革を利用するには、大量入手できるかがポイント」と指摘する。現在、多くの印伝製品は中国や北米から輸入したシカ革を使っている。同社は「県産を使わない手はない。利用したい気持ちは強い」としており、今後、事業に参入する方針。肉や皮革以外にも、シカの角やこう丸を漢方薬に利用する動きもある。医薬品開発会社「シミック」(東京都品川区)が、製品化できるかを検討していく。これまでは、産業廃棄物として処分されてきたため、丹波山村の猟友会は「有効活用できるのは素晴らしい」としている。県みどり自然課によると、県内のニホンジカ適正生息数はおよそ4700頭。しかし近年、分布を拡大させながら生息数を増やしており、2010年の推定生息数は3万6110頭に上った。県は捕獲頭数を1日2頭に制限してきたが、増殖を食い止めようと、今年度の狩猟期(11月15日~3月15日)から無制限とした。甲府商工会議所は、11月15日の狩猟解禁日までに準備会を開き、今後の事業展開を検討する。
(獣害対策、地域をサポート:茨城)
本年度始まった茨城猪塾の閉講式がきのう、笠間市安居の県農業総合センターであった。全6回の講義と実習を終えた受講生37人が修了証を受け取り、「獣害対策サポーター」として、地域の獣害対策の取り組みを支援していくことを誓った。茨城猪塾はイノシシなどによる農作物被害の防止に向け、地域をサポートする人材育成が目的。県が初めて開講し、行政や農業関係団体の関係者が受講した。受講生の一人、かすみがうら市農林水産課の広原正則さんは「捕獲ありきの対策の考え方が変わった。『みんなで勉強、守れる集落づくり、囲いで守る、追い払い、捕獲』の順序を基本に、集落の指導、支援をしたい」と抱負を述べた。
(イノシシ猟解禁でぼたん鍋開始:福井)
1日のイノシシ猟解禁を受けて、おおい町名田庄地区で名物の「ぼたん鍋」の提供が始まった。町内の料理旅館の軒先には、猟師が持ち寄ったイノシシの成獣が1体丸ごとつるされ、暦より一足早く冬の訪れを告げている。猟は山中に鉄製のおりを仕掛ける。ドングリなどの木の実を食べて育った成獣は独特の赤身にほどよく脂が乗り、野菜と一緒に煮込んだ鍋は嶺南を代表する冬の味覚として人気が高い。同町名田庄久坂の料理旅館「新佐」では、3日午前に今期最初の2頭を丸ごと猟師から仕入れた。内臓を取り除き洗浄するなどの下処理をした成獣は1頭が体長約120センチ、重さは50~60キロある。2代目支配人の栗原正夫さん(64)と長男清孝さん(37)が前脚を縄で縛り、軒先につるして乾燥させた後、同日夜からみそ仕立ての鍋にして宿泊客に振る舞った。栗原さんは「柔らかくて深みのある味わいは今年も健在。これから寒くなるにつれて身の脂が増し、よりまろやかな味になる」とほほえむ。イノシシ猟は15日に鉄砲猟が解禁された後、来年の2~3月までがシーズン。同町ではほかに料理旅館「南川荘」=名田庄三重=や町営ホテル「流星館」=名田庄納田終=でも、今月中旬から下旬にかけてそれぞれ提供を始める。
(イノシシ肉使い、ギョーザ考案:栃木)
原発事故の影響で消費が落ち込んだ那珂川町のイノシシ肉を多くの人に食べてもらおうと、宇都宮白楊高校の女子生徒4人がイノシシ肉を使ったイタリア風ギョーザを考案した。うまみたっぷりの肉やトマトを皮で包み、臭みもなく、濃厚な味わいで好評を得ている。考案したのは、食品の成分などを学ぶ食品科学科3年の笹川真緒さん、鈴木祐美さん、高橋由夏莉さん、葉安理さんの4人。昨年3月の原発事故による放射能汚染で、那珂川町では特産品化を目指していたイノシシ肉が昨年12月に出荷停止になり、約600キロが廃棄処分された。町営の加工施設で扱う肉は、すぐに出荷停止が解除されたが、基準値未満にもかかわらず売れ行きは現在でも伸び悩んでいるという。そんな現状を知った4人は、「県外に住む人に安心・安全と伝え、食べてもらいたい」と、イノシシ肉の消費拡大を課題研究のテーマにした。加工施設を見学し、近年の捕獲頭数や放射能検査の状況、調理方法などを学んだ。町も女子高生の発想に期待して肉を無料で提供し、4人は新しいレシピ作りに挑戦した。イノシシ肉は、脂質が少なく栄養分も豊富だが、硬さや臭みが課題という。まずはミートソースや肉団子を試作してみたが、肉のうまみが生かせなかったり、臭みが出てしまったりして、しっくりこなかった。たどり着いたのが宇都宮名物のギョーザだ。肉をミンチにしたところ、歯ごたえがあって、うまみが口の中に広がった。「より目を引くように」と、イタリア風に仕立てるアイデアも出した。トマトやチーズ、バジルを具材に混ぜ、皮はトマトを練り込んで赤色にして、見た目にインパクトを与えた。これまでに市内のイベントなどに出品して評判は上々。リーダーの笹川さんは「イノシシとトマトは相性が良い。さっぱりして肉の味が濃厚。皮も赤くて珍しいと思ってくれるのでは」と話す。

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(イノシシに足かまれ児童軽傷:広島)
5日午前7時45分ごろ、広島市東区牛田新町1丁目の牛田中の敷地内で、近くの牛田新町小に登校中の1年男児(7)がイノシシに右足のすねをかまれ、軽いけがをした。近くの別の場所でもイノシシの目撃情報があった。市教委などが注意を呼び掛けている。東区や目撃した人によると、牛田中に出没したイノシシは体長50~60センチ。子どもとみられる。牛田新町小の児童約30人が同中の敷地内の階段を歩いて登校中に遭遇。驚いて逃げようとした男児がかまれたという。同小は、この階段を通学路として利用している。イノシシは同中グラウンドを横切り、隣接する市立広島商業高の方向に逃げた。同時刻ごろ、同高の正門付近や近くの団地の路上でもイノシシの目撃情報があった。東区は、近くの牛田山から下りてきた同じイノシシではないかとみている。
(ワナにかかったクマ、立ち木ごと引きちぎり襲う:岐阜)
4日午前10時頃、岐阜県高山市高根町中之宿の山林で、同町黍生、農業下西亀次郎さん(71)がクマに襲われ、顔や両手に重傷を負った。高山署の発表などによると、下西さんは、見回り中にイノシシ用のわなにクマがかかっているのを見つけ、近づいたところ、襲われたという。クマは体長1メートル30、体重約100キロのオスの成獣で、下西さんからの連絡で駆けつけた別の男性(71)がライフル銃で射殺した。わなの先端部分には金属製の仕掛けがあり、クマは仕掛けに足を挟まれていたという。ワイヤで結ばれたもう一方の先は立ち木につながれていたが、暴れた際に木ごと引きちぎり、下西さんを襲ったらしい。
(民家にクマ、犬を襲う?:埼玉)
横瀬町根古屋地区と宇根地区で10月下旬以降、クマが出没し、2軒の民家の庭先から飼い犬が姿を消した。襲われた可能性もあるが、専門家は「犬を食べたということは聞いたことがない」と指摘しており、真相は不明のまま。5日朝にはツキノワグマ1頭が捕殺されており、町は「クマよけの鈴やラジオをつけて」と注意を呼びかけている。捕まったのは大型のオスで、体重100キロ体長1・7メートル。猟友会が仕掛けたわなにかかっているのが見つかり、その場で射殺された。体格や大きさなどから、10月29~30日に民家に出没したあと、近くの雑木林の崖の下にいたクマと同じという。この時、町職員が大声で叫び、クマはそのまま逃げていた。この民家では、29日午後10時ごろ、12歳の雑種の中型犬が激しく鳴いた。30日午前8時ごろ、家の人が庭先を見ると、犬小屋の場所が動いており、周辺には首輪や折れた庭木が散乱し、犬の毛や肉が落ちていた。クマのような足跡もあったという。この家の小泉信江さん(57)は「前日まで犬と一緒に散歩していたのに……。姿形がなくなってしまうとは信じられない」。武甲猟友会の新井勝之会長は「山中でクマと遭遇することはあるが、こんな大きなクマが庭先に入ってきたことはなかった」と話す。また、今月4日には別の民家で犬小屋から中型の飼い犬がいなくなった。庭には血痕が残っていたほか、近くで親子のクマが目撃されていた。生まれも育ちも地元というこの家の男性(68)は「近くに来たのは初めて」と話していた。町は4日に防災行政無線などを通じ、「犬などのペットは屋内に入れて」と呼びかけをした。観光客らが利用する西武線芦ケ久保、横瀬両駅に注意を呼びかける看板を設置した。5日に現場を訪れた加藤嘉郎町長は「犬がほえてクマが逃げたことはあるが、襲われたのは聞いたことがない」と驚いていた。冬眠前のクマは、脂肪や炭水化物を多く取る必要がある。今年は主食のブナなどの木の実が不作で、えさを求めて人里近くに出没している。ツキノワグマは雑食だが「食肉目」に属する。新潟県では養鶏場が襲われた。雪崩に巻き込まれたシカやカモシカなどの死体を食べていた例はあるが、犬を食べたというのは聞いたことがない。事実ならば、非常にまれなケースではないか。
(イノシシ2頭はねて停車:佐賀)
3日午後10時半ごろ、唐津市厳木町のJR唐津線厳木-岩屋駅間で、下り普通列車がイノシシ2頭をはねて停車した。乗客5人にけがはなかった。イノシシの撤去作業のため、普通列車2本が最大54分遅れ、約15人に影響が出た。
(猪突猛進?八王子駅近くの空きテナント襲う:東京)
八王子駅近くの空きテナントがイノシシに襲われる「珍事件」が起きたことを11月2日、八王子で不動産業を展開するタイズホーム(八王子市明神町4)がブログに掲載し、ネットで話題を呼んでいる。イノシシに襲われたのは、八王子駅から徒歩8分の距離にある国道20号(甲州街道)に面した空きテナント。「八王子珍事件」と名付けられた記事では、イノシシがガラスを破って侵入した様子を写真で紹介。「窓ガラスをぶち破り中に入り、店内を走り回り、また窓ガラスをぶち破いて外に出たよう」としたうえで、「黄色の外観でひときわ目立つからイノシシも思わず飛び込んでみたくなってしまったのかも」とまとめている。今回の事件について、「八王子駅前でのイノシシ騒動はめったにない」と同社社長の鈴木卓さん。警察にもイノシシの目撃情報が寄せられたほか、侵入された店内には毛や血痕などが残されていたことから、「警察もイノシシに間違いないと判断した」という。鈴木さんによると、イノシシによる被害を受けたのは同所だけだという。「近所の80歳を超えたおばあさんも、『私の知る限りでこんな事はない』とびっくりしているほど」と鈴木さん。八王子経済新聞編集部のツイッターで紹介したところ、40回以上リツイートされたほか、「まじか」「八王子にイノシシいるんだ」など数多くのコメントも寄せられた。ブログではこの事件を逆手に取り、「イノシシも来店するくらいツイてる物件」とこのテナントを推している。「ホームページのアクセス状況も今日は普段より増えている」と鈴木さん。「電話での問い合わせもあり、今日案内させていただいた方も」と意外なイノシシ効果が現れているという。
(イノシシ殺処分虚偽申請、猟友会2人を告発:兵庫)
三田市所有の檻(おり)で捕獲されたイノシシの殺処分を巡り、県猟友会三田支部が報償費を虚偽申請していた問題で、同市は2日、同支部のメンバー2人を鳥獣保護法違反の疑いで三田署に告発した。告発状によると、実際には10年8月に捕獲したイノシシ19頭を、同支部が9月分として虚偽報告した▽捕獲許可を得たイノシシは殺処分後に埋葬か焼却しなければならないが、同年7月に2頭を自宅に持ち帰った−−としている。一方、申請時に提出された写真が虚偽だったなどとして市が返還請求していたイノシシ45頭分の報償費45万円について、同支部は2日までに返還した。
(ツキノワグマ捕獲上限数超え、県が猟友会に自粛要請:山形)
県みどり自然課は29日、県内のツキノワグマの捕獲数が今年度の上限230頭を超えたとして、県猟友会に狩猟自粛を要請した。ツキノワグマの生態系維持を安定的に図ることが目的。県は「ツキノワグマ保護管理計画」で、上限の範囲内で捕獲頭数を管理することなどを定めている。一方、人的被害の恐れなど緊急時の場合は、「速やかに捕獲態勢を敷いてもらう」(同課)としている。
(かみつき野生ザルが御用:静岡)
磐田市内で高齢の女性に次々とかみついてけがをさせた野生のサルが五日、同市中泉に市が設置したおりにかかった。一カ月に及ぶ逃走の末の捕獲に、市の担当者は「ようやく捕まった」と胸をなで下ろしている。同日午後一時五十分ごろ、近隣住民がおりの入り口でわなのエサを食べているサルに気付いた。サルはそのままおりの中に進み、お縄となった。市によると、ニホンザルで、体長五〇センチほどのメスとみられる。目撃されていた右胸の傷が一致したため、危害を加えたサルと断定した。逃走中に屋根から転落して左足を負傷しており、治療のため浜松市動物園に移した。完治後は山奥に戻すことを検討する。サルは九月二十九日から十月五日にかけて、六十一~九十三歳の女性七人にかみつき、足を八針縫うなどのけがを負わせた。市は十月五日に野生ザル危機管理対策本部を設置。おりを空き地など六カ所設置するなど対策を進めてきた。同日には麻酔銃が命中し、林に逃げ込んだサルを三十人で捜索したが、取り逃がした。その後サルの目撃情報は激減したが、十月末から再び住宅地に頻繁に姿を見せていた。市の担当者は「サルは身が軽く素早かった」と捕獲までの苦労を振り返った。危害を加えたサルは「複数」との説もあり、市は引き続き警戒する。
(脱走から2日、サルを無事捕獲:沖縄)
沖縄・うるま市で動物園からサルが脱走し、住宅街を逃げ回ったが、31日午後、無事に捕獲された。動物園から脱走したのは、オスのフサオマキザル「マイキー」。29日夕方、うるま市で個人が経営する動物園からオリを自分で広げて脱走した。通報を受けた警察や市役所の職員らが30日から捜索を始めたが、マイキーは住宅街や林の中を逃げ回り、なかなか捕らえることができない。脱走から約2日後の31日午後4時前、ついに民家の庭先で捕獲された。捕獲直後は興奮していたマイキーだが、飼育員からリンゴをもらうと、ようやく少し落ち着いた様子だった。
(市中心部でイノシシ目撃:広島)
29日夜から30日朝にかけ、福山市中心部でイノシシの目撃情報が相次いだ。市と福山東署が付近を捜索したものの捕獲できなかった。市は、イノシシを見掛けても近寄らないでその場を離れるよう呼び掛けている。市によると、最初の目撃は29日午後10時40分ごろ、芦田川大橋近くの芦田川東岸。体長は約1メートルとみられる。その後北進したとみられ、30日朝までに同市松浜町のリーデンローズ付近など市中心部4カ所で目撃された。4カ所のうち最後の目撃は午前8時45分ごろ、東深津町6丁目。市は周辺の小中学校に注意を呼び掛け、下校時はパトロールした。新たな目撃情報があれば捜索を再開する。市農林水産部は「こんなに街中に出没したのは初めて。芦田川西岸の山から下りてきたとみられる。車の運転中の衝突にも気をつけてほしい」としている。
(奥日光でクマ出没相次ぐ:栃木)
紅葉が見頃の奥日光・戦場ケ原(日光市)でこの秋、クマの目撃情報が相次いでいる。10月にはハイキングコースで男性が襲われて重傷を負った。今年は好物のドングリが不作で餌を探して活発に活動しているとみられ、県警や関係機関は警戒を強め、観光客らに注意を呼びかけている。10月19日朝、額を20針縫うなどの重傷を負った茨城県の男性(53)がクマに襲われたのは、国道120号沿いの観光バス発着地点から数百メートル入ったハイキングコースの入り口付近。この時期、日中は観光客でにぎわい、紅葉をバックにした撮影スポットもほど近い。コース上で観光客がクマに襲われるのは初めてといい、コースを管理する環境省はただちに現場へつながるルートを封鎖。翌日夕、現場付近を捜索していた猟友会のメンバーらがツキノワグマの雄2頭を駆除した。これを受け、コース封鎖は解除されたが、今月30日まで開放時間を午前9時~午後3時としている。クマが活発に動く早朝と夜を避けるためだ。環境省日光湯元ビジターセンターによると、男性が襲われた10月19日まで、今年のクマの目撃情報は57件と例年より多いペース。その後は朝夕の封鎖もあって1件と落ち着いている。森林総合研究所(茨城県つくば市)によると、今年はブナやミズナラのドングリの実りが悪く、冬眠を前に栄養を蓄えるため餌を探して活発に動いているとみられる。全国的にクマが多く出没した平成16、18、22年もドングリが不作だった。同研究所鳥獣生態研究室の大井徹室長は「人家周辺のカキやクリが収穫されないまま放置され、手入れされないヤブや耕作放棄地などがクマを呼び寄せている」と話す。また、「観光客がジュースの空き缶や弁当の食べ残しを放置すれば、クマと遭遇する危険は高まる」と指摘する。この地域ではクマは12月初旬ごろまで活動する。県警は、ラジオやクマ避けの鈴を持ち歩き、遭遇しても走って逃げないよう注意を呼びかけている。
(住宅地でクマ捕獲:神奈川)
2日午前6時ごろ、相模原市緑区小渕の住宅の敷地に設置された捕獲用のおりにクマ1頭がかかっているのを、この家に住む男性が発見した。神奈川県によると、捕獲されたのは体長約140センチ、体重約50キロのツキノワグマの雌。人里に近付かないよう、クマの嫌がる爆竹音を聞かせた上で丹沢山地の鳥獣保護区に放された。現場は住宅街のはずれで、10月29日にハチの巣箱が壊されて以降、クマの目撃や痕跡情報が相次いでいた。県内で今年度に捕獲されたクマは5頭目。
(捕獲クマに県境の壁、「やむを得ず」県内に放つ:神奈川)
神奈川県は2日、相模原市緑区小渕地区の民家周辺でメスのツキノワグマ1頭を捕獲した。県県央地域県政総合センターは捕獲場所から、このクマは山梨県で生息する個体の可能性が高いとみているが、「県内で捕獲した以上、山梨県に依頼するのは難しい」として、丹沢山地の鳥獣保護区に放った。同センターによると、丹沢山地の個体群は他地域の個体群からほぼ孤立。生息数は推定30頭と少なく絶滅の恐れがある上、遺伝子の特徴も他地域と異なるとする研究報告があるという。センターは今回、クマを丹沢山地に放したことについて、「遺伝子かく乱を懸念する声はあると思うが、県内には他に放す場所がなく、やむを得ない選択だった」としている。捕獲されたクマは体長約140センチ、体重約50キロ・グラム。養蜂箱を狙い、10月29日から連日、捕獲現場付近で目撃されていた。県は1日に捕獲用のおりを仕掛け、2日午前6時頃、おりにかかっているのを見つけた。放す際には、再び近づかないように爆竹を鳴らして脅す処置をとった。
(クマ情報:富山)
2日午前6時20分ごろ、小矢部市埴生の田んぼのあぜ道で、近くの男性が成獣のクマ1頭を目撃した。クマは田の北側の山の茂みに入っていったという。市職員が現場を確認したが、足跡などは見つからなかった。近くには住宅密集地があり、市が広報車で周辺に注意を呼び掛けた。
(クマ出没急増中:神奈川)
伊勢原市を中心に県西、県央地域で相次いでいるクマの出没情報が県の集計で本年度に入り67件となり、統計を開始した2006年度以降で最多となったことが分かった。背景について、県立生命の星・地球博物館(小田原市入生田)の小坂井千夏学芸員(30)は「主食であるドングリの実りが悪く、餌を求めて広範囲を移動しているためではないか」と分析している。クマの目撃・痕跡情報や捕獲事例は、9月に伊勢原市内のミカン畑で雌のツキノワグマがイノシシ用のわなに掛かっているのが見つかったころから急増。県自然環境保全課によると、10月30日までに同市を中心に相模原市緑区や山北町などで計67件報告され、農作物が荒らされるなどしている。11年度は15件、10年度は64件だった。ツキノワグマの行動とドングリの関係について研究している小坂井学芸員によると、ドングリは冬眠前のクマにとって欠かせない食べ物。通常の行動範囲に日ごろ食べているドングリがなければ、クマが広い範囲を移動し低地も含めて別の種のドングリを探すことが、同学芸員らの調査などで分かっている。ドングリの実り具合は年によって変動するとされており、「今年は実り具合が悪いことが考えられる」としている。柿畑などは栄養源が豊富で、繰り返し現れる可能性があるため、「可能なら対策を」と小坂井学芸員。クマが出没しそうな場所に近づく際は、手をたたくなどして音を出すよう注意を促している。
(ツキノワグマ目撃急増:福島)
目撃件数が急増するツキノワグマによる被害を防ごうと、県は鳥獣保護法施行条例を改正する方針を決めた。改正案は、緊急時の捕獲(射殺を含む)の許可権限を、県から希望する市町村に移譲する内容。対応の迅速化が期待される一方、繁殖力の弱いツキノワグマの乱獲につながるとの意見もある。県は来年2月の県議会に提出する予定だが、慎重な議論が求められる。県自然保護課によると、今年4〜9月の目撃情報は前年同期比225件増の372件。07〜10年度と比較しても今年度は特に多いが、03、04年度から増加傾向にある。今年5月、団地の多い福島市蓬莱町でクマが目撃されるなど、市街地への出没も確認されている。里山の荒廃や耕作放棄地の増加で人里との緩衝地帯がなくなり、クマが出没しやすい環境になっているのが原因として挙げられる。今の条例では、クマが人を襲ったり、民家の中で暴れるなどの緊急事態を除き、捕獲には知事の許可が必要。通報を受けた市町村が県に電話で状況説明し、許可を得てから、猟友会などに捕獲を依頼するなど手間が掛かっていた。ツキノワグマは何度も同じ場所に出没する傾向があり、逃がすとまた戻って住民を脅かす恐れがある。県の全市町村を対象にしたアンケートでは、ツキノワグマの生息域である阿武隈川以西の32市町村のうち、6割以上の21市町村が権限移譲を希望した。ところが、一部の自治体には反対意見もある。福島市農林整備課の担当者は「県と市町村のダブルチェック機能が失われる。市町村が独自で判断すると、通報即射殺として乱獲につながるのではないか」と心配する。一方、改正案の権限移譲は「緊急を要すると認められる場合」に限っていることにも市町村は困惑する。県は、(1)市街地や周辺に出没した場合(2)集落周辺に出没し、人身に対し急迫する加害の恐れがある場合−−を提示している。喜多方市生活環境課は「どこまで近づけば『緊急』なのか判断が難しい。完全移譲にしてもらいたい」と話した。県の担当者は「改正案は骨子。さらに議論し内容を深めたい」としている。県は11月21日まで県民の意見を募集している。
(二本松市で捕獲のイノシシ1300ベクレル:福島)
2012年11月2日、厚生労働省は「食品中の放射性物質の検査結果について(第513報) (東京電力福島原子力発電所事故関連) 」で福島県二本松市で10月13日に捕獲されたイノシシから1キログラム当たり1300ベクレルの放射性セシウムが検出されたことを発表した。福島市で捕獲された別の1頭からも同900ベクレルの放射性セシウムが検出されている。また、ツキノワグマも福島市で捕獲された1頭から同1100ベクレルの放射性セシウムが検出されるなど、野生鳥獣の放射性セシウム汚染が進んでいる状況が分かる。今回の1300ベクレルは、10月29日に同省から発表された、新潟県十日町市で捕獲されたツキノワグマの同760ベクレルを超え、野生鳥獣では最も高濃度の放射性セシウムとなる。
(クマ肉の出荷制限を要請:新潟)
新潟県は5日、市町村や猟友会などを通し、県内で捕獲されたツキノワグマの肉の出荷を当分の間、行わないようにクマの捕獲者らに要請した。魚沼市と十日町市で捕獲されたクマの肉をそれぞれ5月14日と10月29日に検査した結果、放射性セシウムが食品衛生法の基準(1キログラム当たり100ベクレル)を超える134ベクレルと760グラム検出。国から出荷制限の指示が出た。県内でクマ肉の出荷は行われていないが、捕獲されたクマは食用として自家消費されている。県は検査後、両市で捕獲されたクマは食べないように既に自粛要請を行っている。
(有害鳥獣対策、銃器駆除へ:沖縄)
竹富町(川満栄長町長)はこのほど、県猟友会八重山支部内の分会「竹富町猟友会」(河合正憲会長)の会員35人を町鳥獣被害対策実施隊に委嘱し、そのうち3年以上、継続的に狩猟登録を行っている29人に対し鳥獣捕獲員の辞令を交付した。11月8日から小浜島では初めて、銃器を使ったインドクジャクの駆除作業も行う予定でインドクジャクやカラス、イノシシなどの駆除作業を強化する。町内ではクジャクやカラス、イノシシなどの有害鳥獣による農作物への被害が相次いでいることから、駆除に向けて町では昨年度、町有害鳥獣対策協議会と町クジャク防除対策協議会を設置。西表島の猪垣整備や黒島で箱ワナによるクジャクの駆除作業を実施してきた。パインの収穫期には西表島でカラスによる被害が相次ぎ、農家から猟友会員への駆除依頼も多い。有害鳥獣駆除申請も毎月更新しなければならず、町猟友会の高田見誠副会長も「駆除してもなかなか追いつかない」と嘆く。その中で、町は猟友会員を支援することで有害鳥獣による被害低減を図ろうと、農林水産省の2012年度鳥獣被害防止総合対策事業を活用し、町鳥獣被害対策実施隊を設置、対象鳥獣捕獲員の辞令を交付した。対象鳥獣捕獲員となることで猟友会員らは▽狩猟税の軽減▽公務災害の適用▽活動経費に対する特別交付措置▽ライフル銃の所持許可の特例などの優遇措置が適用される。これに河合会長は「農家の悲鳴は大きく、それこそ手弁当で依頼に応えてきた。組織立って対策に乗り出すこともこれまでになかったが、法令順守と安全確保を肝に銘じて駆除に取り組みたい」と意気込む。また、町では年度内にも西表島ヤッサ地区に約3キロの猪垣を整備するほか、11月8日から来年1月11日まで、小浜島の6地区で銃器を使用したクジャク駆除を実施する。白保隆男自然環境課長は「クジャク対策にはこれまでワナだけで取り組んできたが、猟友会に依頼して銃器を使った効果も確認し、黒島での活用も視野に入れ検証したい」という。畜産業の盛んな黒島で銃器を使った駆除作業も検討していく考えで、猟友会と連携した有害鳥獣駆除事業に農家の関心は高く、期待が寄せられている。
(イノシシ被害でパイン農家ショック:沖縄)
石垣市嵩田地区のパイン畑約60アール余りで4日、苗の芯がイノシシに食べられていることに生産農家2人が気付き、5日、市に被害を届け出た。嵩田地区では現在、猟銃を使ったイノシシの駆除は行われていない。東金三さん(60)は、今年9月以降に苗を植え付けた畑3筆合わせて約50アールがほぼ一面にわたって被害に遭っており、「イノシシに少しずつ食べられることはあったが、畑全体が被害を受けるのは初めて」と話す。隣接する畑約30アールは植え付けに備えて整地を済ませた状態だが、「イノシシがいるため、苗を植えても被害が繰り返されるのではないか。しかし、植え付けが遅れれば遅れるほど、根付きが悪くなってしまう」と苦慮。約15アールが被害を受けた廣田和男さん(53)は、去年植え付けたあと、1年以上育ててきたパインが被害を受け、「このショックは、被害に遭った農家にしか分からない」と肩を落とした。
(増えるシカついに熊本市に:熊本)
熊本市などで起きた“シカ騒動”は、目撃情報のシカとみられるニホンジカが1日、列車にはねられて事故死したことで幕が下りた。なぜシカは住宅街に現れたのか。専門家は、繁殖期の生態や生息地域の広がりを指摘する。独立行政法人「森林総合研究所九州支所」(熊本市中央区黒髪)の森林動物研究グループ長で、シカの生態に詳しい矢部恒晶さん(51)によると、9~11月はニホンジカの繁殖期。雄はこの時期、雌を探して遠くへ移動するという。今回のシカも、大きな角を持った成熟した雄だった。矢部さんは「餌不足で住宅街に出て来たのではなく、雌を探して河川敷や緑地帯伝いに迷い込んだのではないか」とみている。例年、秋はシカが高速道路に現れるケースも目立つ。県警高速隊によると、今年も10月末現在、県内の九州自動車道で6件が確認されており、うち4件は9、10月だった。6件中2件は衝突事故。宇城市小川町では10月4日深夜、上り車線で乗用車がシカとぶつかり、運転者にけがはなかったが、バンパーが大破した。「繁殖期だからか、例年、秋はシカの侵入が多い」と同隊。ほとんどが夜間に確認されている。一方、熊本野生生物研究会の塚原和之さん(47)=益城町=は、増え過ぎたニホンジカの生息分布が広がっていることに注目する。九州中央山地では、ニホンジカの食害でササなど地表の植物が激減。生態系や水源涵養[かんよう]に大きな影響が出ているほか、表土が流出するなど防災面での懸念も高まっている。かつてはいなかった阿蘇の南外輪山にも生息するようになり、熊本市に近い西原村でも食害が目立つという。塚原さんは「ついに熊本市にも出たか、という感じ。シカを減らす対策を強化すべきだ」と話している。
(シカ新聞、交通事故減少へ:岐阜)
急増するニホンジカとの交通事故を減らすため郡上署と郡上市などが「シカ新聞」を発行した。事故は同市南東部の山間や川沿いの国道で多発しており、新聞の配布や回覧により注意を呼びかける。新聞はA4判で事故件数や多発地点のデータを盛り込み、「危険場所や時間帯はスピードを落とし走行して」「シカを見たらまず徐行。2匹目、3匹目にも警戒を」との注意点を記している。同署によると、ニホンジカの増加に伴って事故件数も増加傾向にあり、管内の今年の認知件数は39件と、34件だった昨年を上回っている。午後6時から午前2時ごろまでの発生が多いという。市内には1万2000頭のシカが生息するとみられ、県内最多。同署は「シカ横断 衝突注意」と書かれた看板を年内に多発地点4カ所に設置する予定。同署の土川孝則交通課長は「100キロほどあるシカにぶつかれば、大事故につながりかねない。十分に注意して走行してほしい」と話している。
(イノシシの捕獲多数:岐阜)
イノシシやシカなどによる農作物被害が、県内でも目立ってきている。昨年の猛暑の影響で今年はドングリなどが不作とみられ、餌不足で山間地から人里に現れるケースも。昨年度の有害鳥獣捕獲頭数をすでに上回った自治体もあり、農業関係者らは被害の増加を危惧している。また自治体関係者は、2009年に海津市で50代の男性がイノシシに突かれて死亡したとみられる事故が起きていることから、人里に下りたイノシシやクマによる人的被害も警戒している。県によると、鳥獣による昨年度の農作物の被害総額は約3億4416万円。約4億8336万円だった10年度に比べて減少したのは、餌が比較的豊富だったことに加え、集落ぐるみで実施した防護柵設置などの対策が奏功したと見る。有害鳥獣としてのイノシシの捕獲数は、昨年度は4827頭で、10年度より2794頭減少した。だが今年は、東濃や飛騨地域でドングリが不作といい、県農業共済組合連合会によると、すでに県内全域でイノシシなどによる被害が多発しているという。高山市では、本年度のイノシシの有害捕獲頭数が、9月末時点で昨年度の捕獲頭数536頭を超えた。特に丹生川地域での捕獲増加が目立つという。中津川市でも捕獲頭数が多い地域があり、本年度は「昨年度に比べ若干増えるかも」(農業振興課)と予測する。一方、鳥獣被害に悩まされてきた大野郡白川村では昨年度、危機感を抱いた農家らが集落ぐるみで、延べ17キロにわたってメッシュ状のワイヤ防護柵を設置。農作物被害額は9万円と、10年度に比べ約96%減少した。今年も柵の効果に期待し、「被害額は昨年度並みに抑えられるのでは」(産業課)とする。中津川市も電気で動物の侵入を防ぐ電気柵の導入を進めている。10年度は延べ4キロだった柵を、昨年度は国の補助もあって同126キロに拡大した。同市でも農家が集落ごとに柵の設置を進めており、「今後も地域ぐるみの取り組みを活性化させて被害を抑制できれば」(農業振興課)と話す。県は今年、11月を「鳥獣被害対策推進月間」に設定。各自治体での成功事例を伝えるなど、集落ぐるみの対策を後押しする。県農村振興課は同月間を「鳥獣被害対策の目玉の一つ」として力を入れ、8日に郡上市美並町の日本まん真ん中センターでフォーラムを開き、防護柵設置実演などを行う。「鳥獣被害対策に特効薬はない。月間が地域の連携が進む契機になれば」と期待を寄せている。
(イノシシ食害相次ぐ:徳島)
住宅密集地に近い徳島市の眉山山麓でイノシシが出没し、農作物を食い荒らすなどの被害が相次いでいる。タケノコが掘り返されたり、墓地を荒らされたりといった報告が2010年度から増え、市は県猟友会に依頼してこれまでに150頭を捕獲した。被害は眉山南側の八万町が最も多く、北側の佐古地区や西側の名東町など広範囲にわたる。八万町ではサル1匹がすみ着いているのも確認されており、市は注意を呼び掛けている。市農林水産課によると、眉山周辺でのイノシシによる被害報告は09年度までは多くても年数件だったが、10年度は10件、11年度は15件に増えた。市は対策としておりを設置。捕獲の成果もあって12年度の被害報告は減っているが、10月には佐古、八万、名東の3地区で各1件の被害報告が寄せられた。八万町上福万のシイタケ農家、福本繁さん(76)は11年5~12月、山中に置いていた菌床シイタケのブロックを壊された。被害金額は200万円。「昭和40年代にはイノシシが出たことがあったが、近年は見掛けなかった。こんなに人がたくさんいる所に現れるとは」と驚きを隠さない。眉山で約60年前から猟をしている県猟友会の下原利夫さん(81)=名東町3=は「昔から眉山にイノシシはいるが、11年は今までにないくらい多かった」と話す。市農林水産課によると、イノシシが増えた理由として、鳥獣保護区のため捕獲を制限してきたことと、市の郊外で増えたイノシシが移動してきたことが考えられる。サルが生息しているのは八万町宮ノ谷付近。群れからはぐれたとみられ、民家の屋根伝いに移動し、墓の供え物や犬の餌などを荒らしている。9月にはサルに殺されたとみられる猫の死体が見つかった。市はおりを設置したが捕獲に至っていない。市の担当者は「農地を囲って動物が入れないようにし、管理できない場所の果樹は切るなど、自衛策を取ってほしい」と呼び掛けている。
(ツキノワグマここにきっと)
九州のツキノワグマが最後に捕獲されたのは71年前。環境省は8月、「半世紀以上、生息が確認されていない」と「絶滅宣言」したが、いまだに地元の猟師や登山客には「クマ生息説」が根強い。いるのか、いないのか-。謎を追って目撃情報が相次いでいる大分、宮崎県境の祖母・傾山系に出掛けてみた。九州随一の長大な尾根まで幾重にも山々が連なる。「木や砂防ダムの壁に熊が爪で引っかいた跡を見たという仲間がおるもんな。この山なら、どこかにおっても不思議じゃなかろ」。大分県豊後大野市の山裾で旅館を経営する地元猟友会の工藤和広会長(75)も生息を信じる一人だ。2泊3日で傾山-祖母山を縦走した。登山口からいきなり急峻(きゅうしゅん)だ。沢を渡り、深い谷沿いを登る。息が上がる。標高1100メートル付近から落葉広葉樹ブナの原生林が続く。クマの好物ドングリが無数に落ちていた。尾根までたどり着くとシカ2頭と出合った。背丈ほどのササをかき分けながら進む。見渡すと裾野まで人間を簡単に寄せ付けない領域が広がっている。一帯では江戸時代中期からクマを狩猟していた。1950年代の捕獲記録も残る。激減の原因は薬として重宝された熊の胆(い)のための乱獲などとされる。障子岳頂上には猟師の子孫がたたりを恐れ、建立した熊塚があった。住民がクマと暮らしてきた証しだ。最終日、登山客2人が昨秋、相次いでクマを目撃したという池の原に向かう。この辺りは陽光も差し込み、シカの食害で枯れたササだけで見通しが随分いい。静寂の森で待ってみたが、結局、クマとは出合えなかった。下山後、昨秋クマを見た登山客の一人、福岡県宗像市の男性(65)を訪ねた。「百パーセント間違いない。体つきや走り方からクマ以外の何物でもない」と話す。証言は具体的だ。昨年10月17日午後2時半ごろ、子牛くらいの黒い動物が右側の斜面を重たそうに走っていくのが見えた。そして木の根元に座り込んだ。「クマだ」と伝えた妻が慌てて非常用の笛を吹いたのに驚き、斜面を下って逃げたという。その間約2分。ずっと目を凝らしていた。登山歴10年。イノシシやシカの素早さとは明らかに違ったという。男性は「事実は事実だ。他の登山客にも気を付けてもらいたいだけだ」と環境省の絶滅宣言は意に介さない。祖母・傾山系で生態調査するNGO「日本クマネットワーク」の小池伸介事務局長は「別の女性登山客は立ち上がったのを見たらしいが、いずれも確実な物証がないのが残念」と話す。6月に山中に設置したカメラを回収したばかり。明らかにクマと分かる姿は確認できなかったが今後、詳しく映像を分析する。独自に生態調査する宮崎県高千穂町の写真家栗原智昭さんは「信ぴょう性の高い証言が多く、クマはいるはず。国の絶滅宣言は早計で『情報不足』が妥当だ」と指摘する。クマはあの豊かな山の奥地できっと生きている…。保護に向けた研究や調査は九州の豊かな自然を守ることにもつながるはずだ。
(冬はすぐそこカモ飛来:三重)
紀北町紀伊長島区の片上池に、カモが越冬のために飛来し、冬の訪れが近いことを知らせている。片上池では毎年この時期、シベリアなどからヒドリガモやマガモが飛来する。同町で最低気温が9・7度と冷え込んだ2日、周囲に整備された遊歩道から、親子連れが池にパンくずをまくと、数十羽のカモが鳴き声を上げながらついばんでいた。
(中山由起枝選手とその関係者の知事表敬訪問:茨城)
11月1日(木曜日)、ロンドンオリンピッククレー射撃競技女子トラップ出場の中山由起枝選手とその関係者が県庁を訪れ、知事を表敬訪問しました。中山選手は知事にオリンピックの感想を尋ねられ、「調子が良くて、メダルが取れると思っていた。本番ではまったく緊張しないで臨み、かえってそれが悪い結果(予選15位)につながってしまった。その教訓が、その後の国体(団体3位、個人成績1位)や全日本選手権(個人優勝)にいかせた」と振り返りました。知事は「国内のクレー射撃選手の中では、中山選手はまだまだ若い方なので、ぜひ次のオリンピックを目指して頑張ってください」とエールを送りました。中山選手の今後ますますのご活躍を期待いたします。
(国体施設、ライフルは撤去クレーは継続:岐阜)
「ぎふ清流国体・大会」の開催で高まったスポーツ振興の機運を持続させようとする動きが広まっている。国体を目指して設立された女子ソフトボールチーム「大垣ミナモソフトボールクラブ」や女子ハンドボールチーム「HC高山」が来季からそれぞれ日本リーグに加盟すると発表し、県は活動費の一部の補助を継続することを検討。県議会でも振興に関する条例作りを進めている。そんな中、国体会場となった施設は今後どうなるんだろう。気になって取材した。「施設を残すことで優秀な選手の確保につながり、将来のオリンピック選手の育成にも貢献できる」。県ライフル射撃協会の大野泰正会長は9月の県議会でこう陳情した。県内には01年に多治見市総合射撃場が閉鎖されて以来、国体などの大会基準を満たしたライフル射撃場がなかった。そこで、約1億4000万円を投じ、廃校となった旧県立白川高校(白川町)グラウンドに特設射撃場が設置された。同協会によると、県内のライフル射撃の選手は普段、片道約2時間かけて愛知県豊田市の射撃場で練習している。県営ライフル射撃場がないのは岐阜と奈良だけといい、同協会は「国体を契機に仕事などを抱える成人選手の練習環境を良くしたい」と施設の継続使用や移転しての活用を求めていた。しかし、施設はあくまで国体用の「仮設」で、当初の予定通り11月中にも撤去されるという。白川町の担当者は「町では莫大(ばくだい)な維持管理費の負担は難しい。町内の競技人口自体が少なく、残すにも管理者がいない。どうしようもない」と話す。同じ町内でもクレー射撃は事情が違う。町営白川射撃場が国体会場に選ばれ、山を切り開くなどして大幅に改修した。費用は約4億5000万円。既に継続使用が決まっており、今後は従来より大規模な大会の誘致などを進め、競技力の向上に努めるという。中山間地に位置する白川町はイノシシやシカなどが農作物を荒らす被害が深刻。クレー射撃をする猟師も多いといい、町は「技術の向上は鳥獣被害の減少にもつながるはず」と期待している。この射撃場は地元猟友会が指定管理者となり、一定の利用頻度も見込めるという。県は財政難から今回の国体を「簡素な大会」として位置づけ、国体のために新たに造られた施設はゼロ。大部分は既存施設の改修で対応し、13施設は仮設とした。それでも開催経費は計165億円に上り、うち施設改修費が約半分を占めた。そこには税金が投入された。改修は「国体後」の活用も目的の一つになっている。後に「国体だけのための改修だった」と揶揄(やゆ)されないような工夫が求められる。
(狩猟シーズン到来、滋味あふれるジビエに注目)
11月1日、栃木県、静岡県、三重県などでイノシシとシカの狩猟が解禁になった。こういった野生の鳥獣はジビエ(Gibier)と呼ばれ、レストランなどでメニューに活用されている。先ごろ復元工事が完成したJR東京駅のエキナカにある「エキュート」でも、10月から信州のシカ肉を使ったカレーが提供されている。昨年初めて登場して好評だったことから、今年も2013年1月上旬までの期間限定でお目見えした。ものは試しとエキュート内にある、ブック&カフェ「HINT INDEX CAFE」に食べに行ってみた。本屋の中にあるカフェコーナーでカレーを食べるというのも不思議な気分だけれど、駅の構内に面したカウンター席は一人でも利用しやすい。もちろん、メニューからシカ肉が入っている「信州ジビエカレー」を選んだ。シカ肉は脂身が少なくてさっぱりした味だから、煮込み料理だと影が薄くなるのではと思っていたが、そこは野生のシカの力強さ。ひとくち目から存在感を放っている。カレールーはかなりスパイシーだが、すっきりした辛さに淡白な肉の味がなじんでとても食べやすい。販売元のジェイアール東日本フードビジネス(株)が、日本ジビエ振興会代表の藤木徳彦シェフらとコラボしたこのカレーは、昨年に比べて、よりマイルドで香り高い味に仕上げたと聞いて納得。たまたま先日、神戸フレンチの有名シェフが郊外に出した店でもシカ肉のステーキを食べた。地元でとれた無農薬野菜の濃い味に、淡白な旨みのシカ肉がマッチしていた。ヨーロッパでは高級食材として使われているが、実は日本でも案外多く食べられていて「もみじ」と呼ばれて郷土料理のメニューになっている。最近では、ハンバーガーやソーセージに加工して、まちおこしの目玉として活用されている例もある。低脂肪、高タンパク、ミネラルが豊富という理由と共に、有害鳥獣として駆除されるシカの有効利用というのもあるのだろう。実は東京駅でシカ肉のカレーを食べた数日後、郊外で催された仲間とのバーベキュー会場に猟師さんが来ていた。「もしや・・・」と予感が当たり、自分で獲ったというシカ肉をお土産に持ってきてくれていた。バーベキューの一品として、炭火でシンプルに焼き上げた肉はやわらかくてあっさりしていて、あっという間になくなってしまった。一般的にはまだ珍しいシカ肉なのに、短期間に3回も食べる機会を得た。新しいもの好きとしては嬉しい限りだ。通販でシカ肉を売る店があるようなので、家庭でも利用しやすいものになりつつあるのかもしれない。これからジビエが美味しい季節。シカ肉の他にもイノシシ、地鶏とますます楽しみが増える。
(イノシシ、シカ猟解禁:和歌山)
和歌山県内で1日、イノシシとニホンジカの狩猟が解禁された。同日正午現在、西牟婁振興局管内の出猟者は25人で、昨年に比べて12人多かった。猟果はなかった。猟期は来年3月15日まで。県農業環境・鳥獣害対策室によると、県内の狩猟登録者数(10月19日現在)は昨年同期と比べて65人多い3127人。内訳は1種(猟銃)1696人、わな1415人、2種(空気銃)15人、網1人。うち田辺市の狩猟登録者数は、旧田辺市163人▽中辺路町45人▽大塔地域52人▽本宮町44人▽龍神村24人。解禁に当たり、県はこの日、鳥獣保護員や警察官、猟友会員、市町村職員らと県内各地で一斉取り締まりや指導啓発を行った。西牟婁振興局管内では、早朝から市や町の役場職員、警察署員、県猟友会員、鳥獣保護員約40人が9地域に分かれてパトロール。ハンターに狩猟登録証の提示を求め、わなに登録証を付けているかなどを確認した。違反はなかった。県によると、狩猟期間中ではないが、昨年6月に串本町内でヤマモモ採りをしていた男性が、サルと間違われて散弾銃で撃たれて死亡する事故が発生している。県は、ハンターに周囲の安全確認を徹底し、撃つ時以外は弾を抜いておくこと、服装は迷彩色を避けてオレンジ色のベストや帽子を着用することなどを呼び掛けている。鳥類やアライグマなどの狩猟は15日~来年2月15日。
(80キロのイノシシ捕獲:和歌山)
イノシシとニホンジカの狩猟が解禁された1日、和歌山県田辺市秋津川の山中で前田グループ(前田千代次代表)が雄のイノシシを射止めた。秋津川地区の梅畑や水田などを荒らしていたイノシシとみられ、関係者を喜ばせた。この日、前田さん(74)=同市秋津町=は寺本一さん(62)=同市下三栖、北川久夫さん(72)=同市秋津川=と一緒に雑種の猟犬トラ(雌5歳)を伴って午前10時から猟を開始。午後3時半ごろ、イノシシを見つけ、前田さんが散弾銃で仕留めた。体長は約1・4メートル、体重約80キロだった。前田さんによると、秋津川地区内でイノシシによる農作物被害が出ており、有害駆除の申請を受けてわなを仕掛けていたが、なかなか捕獲できなかったという。狩猟歴54年の前田さんも「やっと仕留められた」と安堵(あんど)の表情をみせた。県のまとめでは、解禁初日の1日、出猟者は昨年度より79人少ない130人だった。猟果は御坊日高地方でイノシシとシカ各1匹、田辺西牟婁地方でイノシシ2匹。事故や違反はなかった。
(「ジビエフェスタ」始まる:長野)
根羽村内の飲食店全9店がシカ肉料理を提供する「ジビエフェスタ」が1日、始まった。秋の観光シーズンに合わせて、村を挙げてシカ肉の消費拡大を図ろうと村商工会が初めて企画。各店は30日までの期間中、独自に考案したシカ肉料理を提供する。村中心部にある飲食店は、シカ肉の串カツを用意。肉を薄く切って柔らかい食感になるよう工夫した。店主の原伸一さん(63)は「シカ肉を食べて、根羽村をもっと知ってほしい。村を盛り上げるためにメニューの定番化も検討したい」と話す。村中心部の他の店はお好み焼き、村北部の村複合観光施設「ネバーランド」はカレーなど、村西部の愛知県境に近い店は肉まんを用意。村内各地でさまざまなシカ肉料理を楽しめる。村内でシカ肉を通年で提供しているのはネバーランドだけで、村商工会はフェスタを通じ、提供店が増えるよう期待している。地域づくりで村と連携している岐阜女子大(岐阜市)は近く、根羽村産のシカ肉を使ったカレーライスを学生食堂のメニューに加える予定だ。村商工会の経営指導員、宮下隆幸さん(36)は「村産のシカ肉を使う取り組みが県外に広がり、盛り上がってきている。村の魅力の発信するためにもフェスタを続けていきたい」と話している。
(シカ肉をペットフードに活用:三重)
獣害対策として県内で捕獲されたシカ肉を活用したペットフードを民間企業が開発し、発売した。農林業の被害軽減を目的に、獣肉の活用をすすめる県が“売り込んで”実現した。シカやイノシシなどによる農林業への被害は年間七億円を超える深刻な現状だ。鈴木英敬知事は「流通する出口の利用を広げていけば、獣害対策の刺激になる」と意気込む。県は昨年二月、無添加のペットフードを製造するビッグウッド(東京都)にシカ肉の利用を依頼。同社はシカ肉とハーブを混ぜて乾燥させたドライフードや肉を煮込んだシチューを開発。今月一日からインターネットなどで販売を始めた。シカ肉は高タンパク、低脂肪で、ペットの健康を気にかける飼い主に人気。今回の商品もダイエットが必要だったり、アレルギーがあったりする犬向けという。県獣害対策課によると、原料は津と伊賀市内の民間の食肉解体業者二社に持ち込まれたシカ肉を活用。食用になりにくい内臓部分やすじ肉を同社に一キロ三百円ほどで提供する。当面、月当たり二百キロほどを供給し、三年後には千キロ程度を目標にする。県はこれまで「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(愛知県一宮市)と連携して、シカ肉入りのカレーを提供するなど、獣肉の利用促進に取り組んでいる。シカによる農林業被害は二〇一〇年度が三億七千万円と全国で七番目に多い。イノシシやサルなどを合わせた被害額は七億一千万円に及び、年々増加する傾向にあるという。県内では年間一万五千頭のシカが捕獲されているが、肉の活用は年間八百頭程度にとどまる。獣害対策課は「流通先が拡大し、肉がお金になれば、捕獲がより進み、獣害対策につながると期待している」と話している。
(野生生物に脅かされる米国)
ニュージャージー州プリンストン市は今年、市内に生息する550頭のシカのうち250頭を冬の間に殺処分するために射撃手を雇った。かかった費用は5万8700ドル(約470万円)だった。サウスカロライナ州コロンビア市は100万ドルをかけて、市内の下水道からビーバーやビーバーが作ったダムを除去する作業を行っている。2009年に起きた「ハドソン川の奇跡」。USエアウェイズ1549便のエンジンにカナダガンの群れが吸い込まれ、同機はハドソン川に不時着した。155人の乗客乗員は全員救助されたが、6000万ドルしたエアバスA320の機体は使い物にならなくなった。ユタ州立大学のマイケル・コノバー氏によると、米国では、野生生物が作物や緑地、インフラに与えた被害の総額は年間280億ドルを超えている(シカと自動車の衝突だけで被害額は15億ドルに上る)。コノバー氏は人間と野生生物の間に起きる対立を研究している。こうした衝突はときに、隣人同士の対立を引き起こす。イリノイ州ウィートンで小型犬が1頭のコヨーテに襲われ、安楽死を余儀なくされた。市の職員が業者を依頼し、この業者が4匹のコヨーテを殺処分した。すると、この業者の元に、殺人予告のボイスメールが複数送られてきた。ある市役所職員の家にレンガが投げつけられ、窓が割れた。市議会議員に電子メールや郵便で脅迫状が送りつけられ、米連邦捜査局(FBI)に通報する騒ぎとなった。プリンストン市では12年前にシカの殺処分を始めたとき、何者かが市長の車にシカの内臓をまき散らす事件が起きた。自然との戦いへようこそ。米国では自然保護活動や環境保護活動が成功を収め、野生生物の生息数は増加したが、増えすぎた野生生物をめぐって人間同士が争う事態が起きている。私たちは今、野鳥や野生の動物をごく普通に見かけるが、私たちの両親や祖父母はそうした生物に出会うことはほとんどなかった。野生生物は生息数が増加すると、これまでの生息域を超えて新たなすみかを求める。そこには私たち人間が住む地域も含まれている。米国東部地域では現在、これまで地球上のどの地域も経験したことがないほど、多くの人が多くの野生生物の近くで暮らしている。種の絶滅など生態系が苦しめられてきたことを思えば、素晴らしいニュースのはずだ。もしあなたが今日、車でシカをはねる4000人以上の1人でなければ。あるいは、子どもが使うサッカーグランドがガンのふんだらけになったり、あなたの置いた鳥の餌箱の餌を野良猫が勝手に食べたり、野生の七面鳥に植えたばかりの種トウモロコシが食い散らかされたり、ビーバーが私道を水浸しにしたり、クマがごみ箱を荒らしたりするようなことがなければ。こうしたことはまだ序の口だ。私たちは奇跡的に野生生物を取り戻したが、たった数十年の間に、その奇跡に振り回されるようになった。今は混乱にますます拍車がかかり、金もかかるようになった。どうしてこんなことになってしまったのか。答えは簡単。過去2世紀の間に森が再び育ち、過去1世紀の間に野生生物が戻り、過去半世紀の間に人間が郊外に住むようになったからだ。森林の再生は19世紀のニューイングランドで始まった。当時は、農業従事者は狭い放牧地を放棄して、開通したばかりのエリー運河の先にある肥沃で比較的平らな土地でできた安価な飼料用穀物を買い始めたところだった。その後、石油由来の肥料やガソリンで動く機械が導入され、米国中西部の農業の生産性が高まった。農耕や運搬に家畜を使うことは時代遅れとなった。その結果、家畜を養うために使われていた7000万エーカー(約28万平方キロメートル)もの土地が自由になった。一方で、多くの農業従事者が都会で働くことを選んだ。そうした土地の多くに再び木が育ち、第2次世界大戦後に、今度は非農業従事者がその土地に移り住み始めた。現在、米国の東側3分の1に米国最大の森があり、人口の3分の2が住んでいる。19世紀以降、森が再生し、この地域の土地の60%を覆うまでになった。米国森林局によると、ニューイングランドでは、1630年の時点で木が生えていた土地の86.7%で森林が再生した。ハーバード・フォレストのディレクター、デービッド・フォスター氏によると、1200年前にマヤ文明が衰退して以降、南北アメリカを通じてこれほどの規模で森林が再生したことはないという。ハーバード・フォレストはハーバード大学の生態系研究ユニットだ。マサチューセッツ州とコネティカット州は米国で3番目と4番目に人口密度の高い州だが、2007年には、マサチューセッツ州の63.2%が、コネチティット州は58%が森林で覆われるようになった。これには木が植えられた郊外や準郊外と呼ばれる居住地は含まれていない(しかし、こうした地域の多くに、人間やインフラがなければ本物の森林と呼んでいいほど多くの木がある)。営利目的のハンターや開拓者が羽や毛皮、皮革や肉を狙って野鳥や野生動物を制限なく捕まえる時代がおよそ350年続いた。それがエスカレートして、19世紀後半には乱獲が行われ、野生生物の生息数は激減した。全ての始まりは重さ50ポンド(約22.6キログラム)の野ネズミだった。「毛皮交易」とは、米国で初めて商取引の対象となった動物、ビーバーの大量殺りくを遠回しに指しているにすぎない。かつては4億匹といたされるビーバーだが、その生息数は19世紀後半までに約10万匹に落ち込んだ。生き残ったビーバーのほとんどがカナダの奥地にいた。1894年までには、米国東部に残された最大の森アディロンダック山地にいたビーバーは1家族5匹だけとなった。ビーバー以外にも、オジロジカの生息数はコロンブスのアメリカ大陸到達以前には3000万匹いたと推定されるが、1890年までに約35万匹に減ったとみられている。七面鳥の生息数は1000万匹から1920年までにたったの3万匹にまで激減した。渡り鳥のガンやカモも減った。熊やオオカミなどの「害獣」と呼ばれる動物はほぼ絶滅した。リョコウバトは絶滅間近だった。ハチドリの羽がついた皮は女性の帽子の飾り用に1つ2セントで売られていた。取り締まる法律はあったが実効性に欠け、厳しい取り締まりも行われなかったため、大殺りくはなかなか止まらなかった。しかし、自然保護活動家が徐々に力を付けた。1898年にニューヨーク州知事に選出されたセオドア・ルーズベルトは羽を狙うハンターが女性の帽子の飾りとしてシラサギやアメリカシロヅルなどの珍しい浜鳥を殺していることに激怒して、ニューヨーク州でのこうした羽の販売を非合法化した。大統領になると、ルーズベルトは米国初の野生生物の保護区と国有林を定めた。野生生物の生息数は増えたが、いいことばかりではなかった。1907年には、ミシガン州のオジロジカ50匹がペンシルベニア州に送られた。11年後には、ペンシルベニア州の森林監督官や野菜栽培業者が「シカが多すぎる」と苦情を言っていた。今でもそう言われている。しかし、多くの土地では1950年代や1960年代にはシカ(またはガン)を見かけることは非常に珍しく、見かけたことが地元紙で報じられるほどだった。1901年から1907年までの間に、カナダから持ち込まれた34匹のビーバーがアディロンダック山地に放たれた。天敵もなく、わなも仕掛けられなかったため、ビーバーの生息数は1915年までに1万5000匹に増えた。現在、ビーバーは水流と木があるところならほぼ、どこにでもいる。ビーバーは環境に優しい素晴らしい技術者だ。ビーバーはいわゆるキーストーン種で、ビーバーが作るダムによって湿地が形成され、数えきれないほどの他の種がその恩恵を受けている。ダムは汚染物質も濾過するし、浸食を低減したり季節ごとに起きる洪水を抑制したりする効果もある。問題は、ビーバーが私たち人間と同じように水辺に住むのを好むが、人間とは違って景観に関心がないことだ。人間が私道を設置すると、ビーバーはそれを水浸しにする。人間が高価な木を植えると、ビーバーはそれをかんで倒してしまう。米農務省の推計では、ビーバーによる被害の総額は他の野生種による被害の総額を超える可能性があるという。カモやガンの復活はなかなか進まなかった。長い間、営利目的やスポーツを目的としたハンターが鳥を生かしておいて、渡り鳥の水鳥を引き付けるためのおとりに使っていた(おとりには木でできた複製も使われた)。生きた鳥の使用は1935年まで法律で禁じられていなかった。カモやガンは何世代にも飛来してこなかった。法律で捕獲が禁じられた鳥は新しく設置された保護区に放たれた。そうした鳥が渡り鳥の群れに加われば、生息数が増えると期待されていた。しかし、放鳥された鳥はその場にとどまった。ゴルフコースや公園、運動場、会社の敷地内にある芝生、航空機の航路を占拠している、400万羽ともいわれる定住性のカナダガンはその子孫だ。2000年の国勢調査によると、米国人の過半数が都市部や農場に住んでおらず、その間にある広大な土地で暮らしていると知ったら、環境保護運動を始めた人たちは驚いただろう。初期の環境保護活動家は人間の住まいが郊外に広がることも、人間と野生生物の間で衝突が起きることも想像していなかった。野生生物の保護活動家は、衝突が起きているのは人間のせいだ、人間が野生生物の生息地に侵入したからだと言うが、それだけではない。人の数が増えて、住む場所が広がる一方で、多くの野生生物も人間が住む地域に侵入している。人間を怖がると考えられていた七面鳥やコヨーテさえも、だ(シカゴだけでも、推定2000匹のコヨーテがいる)。なぜかといえば、人間の住んでいるところは野生生物の生息地よりもいいからだ。人間が住んでいる場所には食料や水、すみかや身を守る場所が豊富にある。人間は草木や低木を植え、庭を作る。鳥の餌を置いたり、植物の根に覆いをかぶせたり、ゴミを出したりする。郊外の住宅地は人のいない森よりはるかに多くの生物を養っている。多くの種にとって、郊外の住宅地の生物学的収容能力(食料や住まいの点で支えられる人口の上限)は森林の収容能力よりもはるかに大きい。生態学上の収容能力(ある種が生息地やそこに住む他の動植物に悪影響を与える限界)の点では、郊外の住宅地は必ずしも森林よりも大きいとは言えない。多くの種にとって難しいのは社会的な収容能力で、これは主観的なものだ。社会的な収容能力とは、ある生物が引き起こす被害と恩恵を比べ、世間的に見て、被害のほうが大きくなる限界点を指す。現在の野生生物との戦いの多くはここから始まっている。どうしたらいいのか?野生生物と共に生きる方法を学ぶべきか。野生生物を移動させたほうがいいのか。人に近づかないような手立てを打つのか。不妊化か。それとも殺処分か。どの手段、どの生物にも支持者がいる。鳥好きもいれば、猫愛好家もいる。残酷なわなからビーバーを助ける人もいれば、ビーバーの氾濫から庭や道路を救おうとする人もいる。子鹿を助ける人は森や庭を守る人と対立する。野生生物学者によると、私たち人間は人間を含めた全ての住民の利益のために生態系を管理すべきだという。そうしたくない人や方法がわからないという人が大勢いる。私たちは祖先が行った破壊的な自然へのアプローチだけでなく、自然と付き合うための実践的なノウハウの多くと縁を切ってしまった。自然についての知識は今ではテレビの画面が教えてくれる。テレビが野生生物を抱きしめたくなるような小さな人間のように映し出すことは珍しいことではない。そして、地球環境を守らなければならないという本能が私たちにそうした野生生物を保護するよう命じるのだ。動物愛護運動家は、殺処分、間引き、致死処分、婉曲表現を使って言うなら「人間の指示による死」は残酷で、空白が生まれてもさらに多くの動物がやってきて埋めることになるだけだ、と指摘している。同じ理屈で言えば、なぜ私たちは庭の雑草を抜いたり、地下室にいるネズミを捕まえたりするのだろうか。殺処分に反対する人は大抵、野生生物に避妊を行うべきだと主張する。シカ向けの実用的かつ手頃な価格の避妊薬が間もなく開発されると言われたのが30年前だ。今でも状況は変わっていない。閉鎖された場所(フェンスで囲われた場所や島など)に住むメスのシカにはPZP(ブタ透明帯)の注射をすることができるが、注射1回につき25ドルかかり、その上、シカに注射をするためのプログラムを立ち上げて運営するには1匹につき1年で数百ドルの費用が必要になる。放し飼いのシカについては、考えるのはやめておこう。カナダガンに避妊薬「オボコントロール」を与えて、卵が孵化しないようにすることはできるが、1シーズンごとに1羽につき12ドルかかる。あとの計算は皆さんにお任せする。野良猫については、TNRが有効だと言われている。野良猫を捕獲して(容易ではない)、不妊手術を行い、捕獲した場所に返すのがTNRだ。ほら、もう野良の子猫は生まれてこない!米獣医学協会はこの手法を幻想だと言う。野良猫は常に6000万匹から9000万匹いて、野良猫の総数を減らすには不妊手術を受ける猫の割合が少なすぎるからだという。こうした猫を元の場所に戻せば、鳥の保護団体を激怒させることになる。住宅地をオオカミやクーガーがうろついても構わないかのように、天敵を連れてくる方法を提案する人もいる。しかし、こうした人たちはシカの天敵がすでに存在していることを見逃している。シカの天敵は私たち人間だ。実際、最終氷河期以来、シカの最大の天敵は人間だったことが研究によって示されている。だが、私たちは安全という名の下で、住宅地で銃の使用を制限し、猟を禁じて、たった数十年の間に天敵としての仕事から手を引いてしまった。突然、1万1000年間で初めて、私たちはオジロシが昔から住んでいた場所の中に最大の天敵が手を出せない何十万平方マイルもの聖域を作ってしまったのだ。マサチューセッツ州では、舗装道路から150フィート(約46メートル)以内、または占有されている住宅から500フィート以内の場所で所有者の書面による許可がないまま、小火器を発射することは違法とされている。この制限だけで、州の約60%の土地で銃を使った猟ができなくなっている。また、同州の351の自治体の半数近くが弓による狩猟の制限などさらに多くの規制を定めている。多くの州や町も同様の規制を実施している。地方政府が射撃手を雇ってシカを殺処分するケースは増え続け、住宅の所有者はビーバーやガン、コヨーテなどを殺すための害獣捕獲機などを屋根裏に置いている。町や企業、土地所有者が抱えるシカ問題についてコンサルティングを行うナチュラル・リソーシズ・コンサルタンツ(ペンシルバニア州フォート・ヒル)の社長を務めるブライオン・シスラー氏はシカを殺処分するのに射撃手を依頼するように勧めることがある。町が地元のハンター(警官や消防士など)をシカを射止められるように訓練して、そのシカ肉を地元の市場で売って費用を回収することもできる、ともシスラー氏は考えている。純粋な野生動物の肉を売ることは現在、米国では違法とされているが、この法律は変わるかもしれない。米国魚類野生生物局の調査によると、米国のハンターの数は数十年間減り続けてきたが、2006年から2011年にかけて9%増加した。しかし、最も必要とされる場所でもハンターは活用されていない。安全ではないと思われているからだ。だが、そういった認識も変わりつつあるのかもしれない。一部の町では、シカよりもハンターに対して寛大になりつつある。米国で銃によって殺される人間は年間3万1000人もいるが、ハンターによって殺される人間は約100人で、そのほとんどが互いに撃ちによるものであることが指摘されている。一方で、シカが原因で死亡した人は年間250人以上で、犠牲者は車を運転しているか車に同乗している人だ。入院した人は3万人に上る。一部のコミュニティーでは、ハンターの選抜を行い、弓か矢、射程の短い猟銃のみの使用を認めている。マサチューセッツ州ウェストン市の事例は心強い。ウェストン市はボストンの郊外にあり、深刻なシカの被害に悩んでいる。ブランダイス大学の環境学准教授、ブライアン・ドナヒュー氏は市の自然保護委員会の委員を務めている。同委員会はこの秋、制限つきで弓による狩猟を試験的に認めることを決定した。ドナヒュー氏はリベラルな近隣住民の一部が「狩りはいいことだ。自然を管理する上で最良で最も責任のある方法の一つだ」と考えるようになると予想している、と話した。「私が夢見ているだけかもしれないが、ハンターは郊外の新たなヒーローだ」

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