<射撃ニュース1月>

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(鳥獣被害対策で農林水産省生産局長賞:佐賀)
農林水産省主催「鳥獣被害対策優良活動表彰」の団体部門において、本県太良町伊福(いふく)集落が、生産局長賞を受賞しましたので、お知らせします。この表彰は、平成21年度に創設され、佐賀県からは初めての受賞です。なお、表彰式は、2月28日(火曜日)、東京都内において開催される予定です。伊福集落は、平成19年度から集落をあげて鳥獣被害対策に取り組まれた結果、当集落のイノシシによる農作物被害が大きく減少していることはもとより、これらの取組が他の集落への模範となっていることを評価されたものです。イノシシ被害マップの作成で集落を再点検。侵入経路や繁殖地となっていた耕作放棄地を解消するため、和牛農家と連携して放牧を開始。イノシシのエサ場となっていた竹林の管理、エサとなっていたみかん等収穫残さの処理に集落の住民総意で徹底して取り組む。また、既に整備された電気柵についても集落役員の年2回の一斉点検により、適正な設置・管理を徹底。さらに、農家のわな免許の取得者を育成するとともに、箱わなのトリガー(扉を閉じるスイッチ)を改良するなど、捕獲活動を強化。この結果、被害は大きく減少し、集落をあげた取組として県の鳥獣被害対策の模範となっている。捕獲したイノシシは、伊福区の行事で振る舞われ、地域の食文化としても定着している。

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(散弾銃積んだ車盗難:千葉)
二十九日午前四時四十分ごろ、千葉県市川市南行徳の木工業の男性(67)から「散弾銃を積んだ車が盗まれた」と一一〇番があった。車には散弾銃一丁と箱入りの散弾四十発が積まれており、行徳署は窃盗事件として捜査している。同署によると盗まれたのは紺色のワンボックスカー。男性は二十八日午後十時ごろ、自宅の駐車場に止めた車の後部に銃と散弾を積み込み、布で覆いをした上でドアをロック。二十九日午前三時半ごろ、狩猟に出かけようとしたところ、車がなくなっていたという。
(エゾシカ一斉捕獲:北海道)
安平・厚真広域鳥獣被害対策協議会は今年度初めて、厚真町のハンターの協力を得て、同町内でエゾシカの一斉捕獲を繰り広げた。道内各地と同様に厚真でもエゾシカの農業被害は深刻で、今回はシカ10頭の捕獲に成功した。厚真町産業経済課によると、町内のシカによる農業被害は2010年度で3625万円に上り、前年度に比べて79万円増。シカの侵入を防ぐため、各農家は田畑の周囲を柵で囲むという対策などを講じているが、全体の頭数を減らすことも必要として一斉捕獲に取り組むことになった。一斉捕獲は22日に行われ、雪がちらつく天候の中で、ハンター約20人が参加した。事前に一斉捕獲を伝える立て看板も設置し、厚真町内の軽舞と厚和地区などで展開。ハンターは幾つかのグループに分かれ、午前8時から午後4時前まで捕獲の作業に当たった。同課の担当者は「シカは全道的にも増加傾向。農業被害を防ぐためには頭数調整も重要な対策。今回は一定の効果があった」と話している。
(常磐道にイノシシ出没、捕獲減影響か:茨城)
常磐自動車道の日立中央-高萩インターチェンジ(IC)間で、イノシシが相次いで目撃されている。東京電力福島第1原発事故によるイノシシの捕獲数減少の影響とみられ、東日本高速道路水戸管理事務所は「イノシシの侵入を100%防ぐことはできない」として、ドライバーに注意を呼び掛ける看板を設置した。看板が設置されたのは、山間部の上下線で計8カ所。車のライトが反射する「高輝度タイプ」で、縦1・4メートル、横0・55メートル。イノシシのイラストとともに「動物注意」と警告が書かれている。同事務所によると、目撃されたイノシシは、本線脇ののり面に生えた木の根などを食べようとフェンス下の地面を掘って侵入。看板を設置した周辺の団地内でも、多くのイノシシが出没し、自然増殖が確認されているという。原発事故の影響で、県内で捕獲されたイノシシの肉の一部から暫定基準値を超える放射性物質が検出され、食用の自粛が広まったことなどで、狩猟者の捕獲数が減少している可能性が高い。
(シカとの衝突防止へ動画配信:北海道)
増え続けるエゾシカと車との衝突事故を防ごうと、釧路開発建設部と道警釧路方面本部は24日から、釧路開建のホームページ上で、エゾシカの飛び出しによる車との衝突状況などを収録した動画配信をスタートした。両機関が連携して動画を配信するのは初の試み。関係者は「エゾシカの行動パターンや事故の衝撃を見ることで、事故防止に役立ててほしい」と話している。
(2月14日からジビエウィーク:和歌山)
野生のシカやイノシシを使ったジビエ料理を和歌山の名物にしようと、2月14日から26日まで、県内の飲食店や宿泊施設計40店がジビエ料理を提供するPR企画「ジビエウィーク」が開催される。昨年11月には紀州南部ロイヤルホテルで試食会が開かれ、各店・施設の関係者がジビエのおいしさを確認。今回の企画には日高地方のイタリア料理店、温泉宿泊施設も参加しており、料理を食べた客がアンケートに答えると、抽選でホテル宿泊券などが当たる。ジビエウィークは、県の委託を受けたJTB西日本和歌山支店の和歌山ジビエプロモーションチームが主催。和歌山市から海南、有田、日高、西牟婁までの各地方から、イタリア料理やフランス料理、韓国料理、和食、お好み焼き、うどんなど幅広いジャンルの飲食店・宿泊施設40店が参加している。11月の試食会では紀州南部ロイヤルホテルの料理したシカのモモ肉の赤ワイン煮、シカの背肉ステーキ、イノシシのバラ肉のカスレなどが出され、参加者は「思ったより違和感がない」「供給が安定し、安く手に入れば食材として使いたい」などと、高たんぱくで低カロリーの肉のおいしさを実感。ジビエウィークには日高地方から日高川町の「道の駅sanPin中津ほろほろ亭」「きのくに中津荘」「美山温泉愛徳荘」「かわべテニス公園」、龍神村の「小又川温泉元湯楽酔舎(らくすいしゃ)」、御坊市のイタリア料理店「BANBU」、みなべ町の「紀州南部ロイヤルホテル」が参加し、ランチやディナーで独自のジビエメニューを提供する。イベント期間中、ジビエ料理を食べた客がアンケートに答えると、抽選でディナー付きホテル宿泊券(ペア)、JTB旅行券(1万円分)、手づくり鹿角ハンガーフック、参加店協賛賞品などが当たる。プロモーションチームは「和歌山のジビエのおいしさ、魅力を伝えたいと、多くの飲食店が立ち上がりました。これまでの概念を覆す奇跡の出合いもあると思います。ぜひご参加ください」と話している。
(渡り鳥飛来警戒強化:宮崎)
昨年1~3月、県内で鶏約101万羽が殺処分された鳥インフルエンザの感染が確認されて1年が過ぎた。ウイルスを持ち込む可能性があるカモ類など、渡り鳥の本格的な飛来シーズンを迎え、再発の危険は高まっており、県や養鶏農家は警戒を強めている。「昨シーズンはカモ類が例年より多かったが、今年も同じ程度の数が来ている」冬鳥の飛来地で知られる宮崎市佐土原町の一ツ瀬川河口。14日、調査で訪れた日本野鳥の会県支部長の前田幹雄さん(67)は険しい表情を見せた。水面には羽を休めるカモ類を始め、数十羽の野鳥の群れがいくつも確認され、上流にはオシドリの姿も見られた。昨冬、延岡市などで見つかったオシドリの死骸からはウイルスが確認されている。鳥インフルエンザの感染は千葉県や鹿児島県など9県24農場で見つかり、県内では全国最多の13農場で発生した。ハヤブサやオシドリなど野鳥の感染も7例と多く、県は「渡り鳥を含む野鳥がウイルスを持ち込んだ可能性がある」とみている。県の調査依頼を受けた野鳥の会県支部は昨年11月以降、月2回、一ツ瀬川と大淀川、五ヶ瀬川の流域4か所で野鳥の飛来数を調べている。12月には一ツ瀬川河口で3000羽近いカモ類を確認した日もあった。前田さんは「厳冬になれば、渡り鳥が南下して宮崎まで来る。3月いっぱいは警戒が必要」と強調する。県は昨夏から、鶏100羽以上を飼育する養鶏場999戸を対象に立ち入り調査を実施。国の飼養管理基準に基づき、野鳥の侵入を防ぐ網目2センチ以下の防鳥ネットの設置状況など38項目を調べた。1月4日時点で不備がある農家は38戸あり、県畜産課は「改善を求める」としている。昨年、国の疫学調査チームの一員として発生農場を調べた都城家畜保健衛生所の中嶋倫子・主任技師は「鶏舎近くに茂みや実のなる木があるなど、野鳥が好む環境が多かった。大半は伐採などの改善が施されているが、冬鳥の飛来シーズンは改めて点検を」と注意を呼びかけている。昨年11月、松江市で見つかったコハクチョウの死骸から低病原性の鳥インフルエンザウイルスが検出され、養鶏農家の緊張は高まっている。約40万羽の鶏を殺処分された新富町の児湯養鶏農業協同組合は、敷地内の鶏舎12棟全ての防鳥ネットをかけ替え、鶏舎ごとに消毒室も備え付けた。ネットは1棟あたり約200万円を投じたという。同組合は「防疫には細心の注意を払っていたが感染した。再発を防ぐために、やれるだけのことはやる」と話している。
(新種のハエはシカ肉がお好き)
シカなど大型動物の死体の肉を好んで食べる新種のハエが、熊本、宮崎県境の山の中で見つかった。発見したのは九州大学名誉教授の昆虫学者、三枝豊平(さいぐさ・とよへい)さん(74)のチームで、年内にも学術雑誌で発表する。見つかったのは、死んだ大型動物の骨髄を食べる「チーズバエ科」に属するハエ。胴体の背中からトゲが2本出ているのが特徴で、三枝さんは「フタトゲバエ」と名づけた。体長4~7ミリで、よく見かけるイエバエなどよりも細長い。背中からトゲが出ている同じ仲間のハエはヨーロッパで2種類、中東とシベリアで各1種類見つかっているが、これまで国内での発見例はなかった。2004年2月、三枝さんの研究チームが宮崎県小林市の山中で偶然に採集した。見慣れない姿に、国内外の文献を調べたり、国立感染症研究所などの研究者に問い合わせたりして、新種と突きとめた。その後も熊本、宮崎県境でシカの死体に集まっているのを見つけた。わなで採ったところ、山中に多くいることが確かめられたという。

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(環境省が野生鳥獣害問題をマンガで紹介)
環境省はこのほど、シカやイノシシなど野生鳥獣による農作物被害や生態系破壊が深刻化する中で、その保護管理のあり方をマンガでわかりやすく解説したパンフレット「♪現代日本のイノシシ・シカ大問題♪」を作成した=写真。イラストは環境漫画の第一人者つやまあきひこさんが担当。インターネット(http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5.html)から無料でダウンロードでき、学校での環境学習や地域の説明会などで使われることが期待される。
(紛失実弾テントで発見:群馬)
陸上自衛隊第12旅団(群馬県榛東村)は26日、実弾射撃訓練で紛失していた5・56ミリ機関銃の実弾1発が、訓練場内に設置した隊員の宿泊用テントから見つかったと発表した。隠匿していた可能性があるとみて、隊員から事情を聴いている。陸自によると、射撃訓練は17日、隊員約50人が行い、終了後の点検で用意した弾より1発少ない1167発分の薬きょうしか見つからなかった。このため、訓練場内にテントを設置し、隊員らが泊まり込んで連日周辺を捜索。25日午後にテント内を点検した際、弾が見つかったという。
(鳥獣害対策、集落単位の総合的対策が効果的)
野生鳥獣による農作物被害が深刻なものになっている。2010年度の農作物被害は239億円で前年度から26億円増加。被害量も74万ヘクタールで同11万6千トン増加した。なかでもシカの被害が77億円で最も大きい。北海道のエゾシカの生息域が東部地域から西部地域に拡大し、牧草の被害が増えたことなどが背景にある。イノシシによる被害も68億円と大きく、専門家らは木の実の不作が影響したと見ている。鳥獣被害は、営農意欲の減退や耕作放棄地の増加など、農山村に深刻な影響を与える。それだけに、防止対策に全力を挙げることが欠かせない。取り組みの基本となるのは「捕獲」「侵入防止」「環境整備」を組み合わせた総合的な対策だ。12年度の鳥獣被害防止総合対策交付金では、捕獲や追い払いなどを担う鳥獣被害対策実施隊の取り組みに対して、1市町村当たり原則200万円以内で定額補助する。実施隊への報酬費用などは、特別交付税(交付率8割)で措置が可能だ。侵入防止柵の自力施工を行う場合に資材費への定額補助を行うハード対策も継続する。こうした予算をうまく活用して、防止対策の実効をあげたい。鳥獣の捕獲で留意したいのが猟友会との連携だ。捕獲機の設置は猟友会会員が行い、毎日の見回りは農家が行うなど、会員の負担を軽くすることが、取り組みの継続につながる。また、野生鳥獣を寄せ付けないための環境整備も重要となる。野菜くずや収穫しない果実を放置しておくと集落・農地が野生鳥獣のエサ場と化してしまう。自分の農地ばかりに目を向けるのではなく、集落全体を守るという意識が求められる。野生鳥獣がどこから侵入し、どこが被害を受け、防ぐためにはどうすればよいのか。専門家の意見も聞きながら、集落で話し合うことが対策の第一歩だ。
(イノシシ出没増える可能性、地域ぐるみで対策を:富山)
イノシシの農業被害対策をテーマにした講演会が開かれ、県職員で、国の鳥獣被害対策アドバイザーの間宮寿賴(まみや・かずより)さんが、「被害の防止には電気柵設置など、地域ぐるみの対策が必要」と述べました。県などでは、今年の春先以降、イノシシのエサとなる木の実の凶作が予想されるため、イノシシが大量出没する可能性が高いとして注意を呼びかけています。

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(ニホンジカの群れ、本格的繁殖か:石川)
昨年11月に今季の狩猟が解禁されて以降、金沢市以南の山間部で十数頭から数十頭の群れで行動するニホンジカが相次いで目撃されている。石川県によると、これまでは福井県から北上してきた個体が多いと考えられていたが、石川の山で本格的な繁殖が始まったことを示している。農林業関係者は「シカが木や作物を食い荒らすようになるのも時間の問題だ」と警戒し、県は個体数を調整する計画の策定を視野に対策の検討に入った。県猟友会に寄せられたハンターからの情報によると、今猟期は白山市月橋町と小柳町で十数頭の群れを確認、今月23日には雄1頭、雌2頭が鳥越地区で見つかった。数十頭規模の群れの目撃情報もあった。目撃場所は広範囲にわたる。金沢市や小松市、加賀市だけでなく、七尾市や穴水町など、大正期以降にいったんシカが絶滅したとされる能登地区でも確認された。昨年11月には珠洲市の住宅街に雄1頭が出没している。県猟友会は「雄と雌が群れをつくっていた。人間が知らないだけで既に相当な数になっているかもしれない」と、県内での繁殖を確実視する。これまで専門家の間では「雌を求める雄が単独で福井など隣県から石川へ入り込んできた」との見方がもっぱらだった。県内のニホンジカの捕獲数は2009年で46頭、10年で11頭にとどまる。県内で一日に狩猟できるシカは雄、雌を問わず1頭までに制限されている。狩猟関係者によると「シカはクマやイノシシと違って用途がなく、狩猟するハンターは少なかった」という事情もある。田畑の作物がシカに食い荒らされるなど被害が深刻化している福井県は、04年に個体数を調整する保護管理計画を策定。狩猟制限を独自に緩和したが、天敵の不在や高い繁殖能力から増殖に歯止めが掛かっていない。石川ではまだ目立った被害は確認されていないが、県森林組合連合会の前越康隆代表理事専務は「被害拡大は時間の問題」と話す。連合会として23日に、保護管理計画の策定を県に要望した。奥村勝幸県猟友会金沢支部長は「被害が出始めてからでは遅い」と話す。野生動物の被害対策をめぐっては、イノシシによる被害対策が後手に回った経緯があり、県は「なるべく早く対策を打ち出したい」(自然環境課)としている。
(ツキノワグマ、5年前の1.3倍:長野)
県は、県内各地で農林業被害と共に人身被害も引き起こすツキノワグマの推定生息数を5年ぶりに公表した。11年度は前回06年度(2771頭)の約1・3倍の3624頭となった。県は「クマは全国的に生息数の減少が心配されるが、県内の生息数は安定している。ただ、人身被害も引き起こすことから、科学的で計画的な保護管理が今後も必要だ」と述べた。推定生息数は、県野生鳥獣対策室が作成したクマの第3期保護管理計画(12~16年度)の素案の中で示した。目撃や痕跡情報、被害状況などを基に算定し、上下限幅は7348~1919頭。5年前の3700~1900頭を上方修正した。生息地を八つに分けた地域別では5年前と比べ、大町市や白馬村などを含む北アルプス北部1・8倍▽長野市や信濃町などを含む長野北部1・7倍▽佐久市や川上村などを含む関東山地1・3倍--など6地域で増加した。県内では94年以降、クマによる人身被害が増え始め、06、10両年度に人里に大量出没した。果樹の食害や樹皮のはぎ取りなど、06年以降の農林業の被害額は毎年1億5000万円を超える。信州ツキノワグマ研究会の林秀剛理事は「里山の過疎化や荒廃で、クマの生息域が人間の生活圏へ広がり、目撃情報が増えているのだろう。里にある農作物など栄養価の高い餌を食べると、一般的に生息数が増えることはある」と話した。
(元警察官が焼身自殺か:大阪)
26日午前0時15分ごろ、大阪市西淀川区姫里2丁目の路上で、通行人から「人が燃えている」と近くの交番に届け出があった。西淀川署によると、銃刀法違反罪で公判中の元箕面署巡査部長池田周史被告(49)で、現場で死亡が確認された。遺体の腹に刺し傷があり、現場にナイフとライターが残されていたことから、西淀川署は自分で腹を刺した後、焼身自殺したとみている。遺書は見つかっていない。池田被告は2010年、自宅で拳銃などを所持したとして逮捕、起訴され、昨年9月に保釈された。懲戒免職になっている。府警は当時、拳銃4丁、モデルガン47丁、空気銃2丁、脇差しや短刀など27本、弾約800発を押収。
(有害獣、皮も活用:愛知)
駆除された有害獣を有効活用しようと、その肉を食材としてレストランや消費者に販売する取り組みが全国各地で進む中、県内ではさらに皮の活用策を探る動きが出てきた。県の委託を受けて、有害獣肉をジビエとして流通ルートに乗せるプロジェクトを進めてきたNPO「ボランタリーネイバーズ」(名古屋市東区、大西光夫理事長)が、シカやイノシシからなめし革を試作し、靴やかばんの加工業者、革工芸のクラフト教室関係者らに27日、披露する。 現在、皮革製品の材料は、飼育されている牛や豚の皮が大半で、野生獣の皮は廃棄されてきた。しかし、同NPOでは資源を有効活用し、利益を捻出しようと、全国に先駆けて皮の利用へも踏み出すことにした。今回試作したのはシカ17頭、イノシシ20頭分のなめし革。日本古来のなめし製法を伝承する兵庫県姫路市の白なめし革保存研究会に依頼し、このほど製品が出来上がった。高級な白なめし革は一部で、残りは黒や茶色に染められた通常のなめし革となっている。同NPOでは、専門家の目でなめし革が使えるか確かめてもらおうと、27日午後2時から東区のウィルあいちで披露会を開催する。今回の取り組みを応援してきた名古屋市西区の注文靴製造販売店「シューズ・ボナンザ」店長で靴職人の鈴木達也さん(33)らは21日、NPO事務所を訪れ、一足早く革の硬さやツヤなど出来具合を確かめた。「野生なのでもっと傷があると思ったが、意外ときれいに仕上がっている。十分に使えそうだ」という。大西理事長は「まずは製品化の可能性を確認したい。コストを下げるには一定量の皮の確保が必要になるので、岐阜や三重県などへの働きかけも必要になる」と話している。
(シカ食害NO作戦:高知)
県内でシカの食害が深刻だ。香美市の徳島県境の三嶺(1893メートル)周辺では、草木が食べられて山肌が崩れ、土砂で物部川が濁る原因にもなっている。シカの生息密度はここ数年で倍以上になったが、狩猟登録者数はピーク時から半減。市民団体や農家は侵入防止ネットでシカに対抗し、県は愛媛、徳島両県と連携して一斉捕獲作戦を展開している。県内のシカの生息密度は、2007年度の1平方キロあたり11・3頭から10年度は27・3頭と倍以上に。スギやヒノキ、米やユズなど10年度の農林業被害は約9500万円に達した。特に皆伐後の植林地はシカの格好の餌場だ。土佐町の林業家浜口幸弘さんは「植林しても苗がシカに食べられてしまう。少しの面積ならともかく、再び植え直すのは困難だ」と頭を抱える。環境面の被害も深刻だ。「三嶺の森をまもるみんなの会」代表の依光良三・高知大名誉教授によると、03年ごろから徳島県境の三嶺周辺で、ウラジロモミやナナカマド、ダケカンバなどが樹皮を食べられて枯死。ササの一種スズタケの群落や希少種のマネキグサなども壊滅的被害を受けている。植物が消えた急斜面では大雨で土砂が崩れ、昨年秋には三嶺付近を水源とする物部川が長期間濁った。同会は07年から山腹に侵入防止のネット柵を立てたり、木にネットを巻いて保護したりしている。柵内では植生が回復するなど一定の効果はあるが、被害範囲が広すぎて対策は困難だ。依光さんは「1平方キロあたり2~3頭の生息密度になるまで捕獲するべきだ」と訴える。県は6400頭だったシカの捕獲目標を08年度から1万頭以上とし、10年度は1万1364頭を捕獲した。それでも増え続けているため、今年度からは捕獲目標を3万頭にした。だが、1万人近くいた県内の狩猟登録者数は06年度には約4900人に半減。わな猟免許の所持者は増えているが、銃猟ができる人は高齢化で減っている。県は、森林環境税を活用して捕獲隊の編成費用を捻出。昨年10月から今年3月まで、徳島、愛媛両県の捕獲隊と日時や対象山域を合わせて一斉に追い込む捕獲作戦を展開している。来年度も続ける方針だ。大豊町怒田地区では昨年12月末、シカから畑を守ろうと、県の補助金を活用して山際に延長2・4キロのネットフェンスを張った。地区の高齢化率は約60%。これまでは狩猟をする人がいて比較的被害は少なかったが、次第にシカが増え、野菜や豆、ユズの若木の芽を食べられるなどの被害が増加。地区の総会で話し合い、フェンスの設置を決めた。フェンスは高さ約1・7メートル。ポールを850本立ててネットを張り、シカやイノシシに倒されにくいように、下部は鉄製のワイヤメッシュで補強してある。道路沿いだけでなく、山の斜面にも延伸させた。住民のほか、地区で農業や地域づくりを学んでいる高知大や高知工科大生も、フェンスの資材運搬や設置作業を手伝った。設置後はシカが畑に入ってきた形跡は確認されず、効果が出ている。「三嶺の森をまもるみんなの会」は、シカ被害の現状と対策を考えるシンポジウム「どう守る三嶺・剣山系の森と水と土」を29日午後1時半から、香美市香北町の市立保健福祉センター香北で開く。代表の依光さんが「シカ被害対策の全国的動向と三嶺・剣山系の課題」と題して基調講演。「森の回廊四国をつくる会」の坂本彰さんが「防鹿柵設置の効果と希少種の保護」、高知大理学部の石川慎吾教授が「三嶺山系稜線(りょう・せん)部の自然再生の取り組み」のテーマで報告する。わんぱーくこうちアニマルランドの早川大輔さんによる特別報告「獣医師からみたシカの取り方減らし方」もある。

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(農林業被害防止へ、「わな猟」規制緩和検討:北海道)
エゾシカによる農林業被害を減らそうと、道は「わな猟」の規制緩和を検討している。これまでは道の規則で免許所持者だけに限られていたが、来年度から、免許所持者の指導などを条件に、農業団体や農家などがわなを設置できるようにする方向だ。道自然環境課は「エゾシカの捕獲は狩猟シーズンの秋と冬が中心だったが、わな猟を増やすことで、農林業被害が多い夏の捕獲数を増やしたい」と話している。鳥獣保護法に基づく狩猟免許は網猟▽わな猟▽ライフル銃などの第1種銃猟▽空気銃などの第2種銃猟--の4種類。発行事務は都道府県に委託され、狩猟方法も都道府県の鳥獣保護事業計画などで定めることができる。わな猟は「くくりわな猟」と「囲いわな猟」がある。くくりわなは、降雪があると正常に作動しないことが多いことなどから、道内ではあまり普及していない。また、シカがわなにかかった場合、ヒグマを呼び寄せやすいため、免許所持者が毎日、見回りすることが必要で、負担も大きかった。道が先月策定した事業計画素案によると、免許所持者の指導があれば、免許のない人がくくりわなを設置し、餌まきや見回りなどを単独で行えるようにする。対象は農協などの団体を想定している。また、囲いわなも死骸の適切な処理などを条件に、農家などが道から許可を得て、自身の土地に設置できるようにする。道内の狩猟免許所持者は09年度で8718人。うち、わな猟は約20%にとどまっている。道自然環境課は「農家が技術を学び、免許を所得するきっかけにもしたい」と話している。道によると、エゾシカの捕獲数は年々増加し、10年度は約10万9000頭。しかし、10年度のエゾシカによる農林業被害額は過去最高の約59億4400万円(前年度比8億6200万円増)で被害増に歯止めがかかっていない。くくりわな猟は地面に設置し動物が踏むと、バネで輪状のワイヤが締まり脚を固定して捕獲する。1万円程度の安価なわなもあり、誤って人間が踏んでもけがなく、自力で脱出できるようになっている。金属製の板で脚を挟む「とらばさみ」もあるが、他の動物や誤って踏んだ人をけがをさせるため07年に使用が禁止された。囲いわな猟は鉄のおりに餌を置き、おりに入った動物を捕獲する。
(クマ800頭以上で狩猟解禁:兵庫)
兵庫県は「県版レッドリスト」のBランクに指定しているツキノワグマの第3期保護管理計画案を公表し、意見・提案(パブリックコメント)を募集している。改定のポイントは、個体数や人的被害の状況に応じ年度ごとに管理方策を見直す点で、推定生息数が一定の基準を超えれば、有害捕獲個体の原則殺処分、狩猟解禁も行うとしている。ツキノワグマ保護管理計画は2003年に施行され、第3期は12~16年度。県の調査では県内のクマの推定生息数は近年増加傾向にあり、人里への出没や人身事故も増えていることを踏まえ、新計画案をまとめた。現行との相違点は、クマが出没した際の対応など。現行では有害捕獲したクマの殺処分は、再び人里に近づかないよう人への恐怖心を与えてから放つ「学習放獣」を経て、効果が表れない場合などに限っている。これに対し第3期計画案は、推定400頭未満なら現行通り▽400~800頭で有害捕獲個体は原則殺処分▽800頭を超えれば狩猟も解禁-とする内容。推定生息数に応じ柔軟に対応して、400頭以上の維持を目指すとしている。県森林動物研究センター(丹波市)の調査によると、10年度の県内推定生息数は約650頭(300~1650頭の中央値)で、1995年の約100頭から順調に回復。保護政策のほか、クマが実を食べる落葉広葉樹林の広がりなど山の変化も関係しているとみられ、県は昨年8月、ツキノワグマの県版レッドリストランクを絶滅の危機に瀕(ひん)している「A」からやや深刻度の低い「B」に変更した。計画案の詳細は、県のホームページに掲載。パブリックコメントは1月末(必着)まで受け付ける。
(幼稚園の給食でジビエ料理:大分)
佐伯市の佐伯小学校(冨尾久信校長、339人)と佐伯幼稚園(同園長、30人)は23日、初めて給食に市内産のシカ肉を使ったジビエ(狩猟鳥獣肉)料理を出した。積極的な地産地消の取り組みの一つ。24日はイノシシ汁、31日にはイノシシのすき焼きも予定している。給食は、塩こうじを混ぜたシカ肉、ショウガ、糸こんにゃくのしぐれ煮と、添え野菜、みそ汁など。シカ肉は軟らかくて臭みのない仕上がり。2年2組の教室では浜田心結(みゆ)さんらに「とてもおいしい」と好評だった。この日の献立材料の佐伯市産率は57%。ジビエ料理は2月も2回、計画しているという。市内はシカ、イノシシの生息数が多く、2010年度、シカ約8800匹、イノシシ約1600匹が捕獲された。
(シリア人、カモ飼育施設を見学:長野)
福祉関係の仕事に携わるシリア人11人が23日、東筑摩郡山形村にあるフランスガモ飼育施設や宅老所などを見学した。国際協力機構(JICA)の研修事業で日本に来ている一行で、地方の福祉現場を学ぶため、同村の事業を視察した。フランスガモは食用で、同村社会福祉協議会と松本大(松本市)などが協力し、地域のブランド食材開発と障害者の安定収入確保を目的に飼っている。この日は飼育施設の前で、同大観光ホスピタリティ学科の尻無浜(しりなしはま)博幸准教授が概要を説明。「商売と福祉のどちらに重点があるのか」など盛んに質問が出た。フマン・ウマリさん(29)は「福祉との両立を考えた趣旨は素晴らしい」と評価していた。見学に先立ち、松本大キャンパスで尻無浜准教授のゼミの学生が、日本の福祉などについて説明。2年生の岡村寿秀さん(20)は「(電車の優先席を譲らないなど)モラルが低い部分もあることを伝えると、熱心に聞いてくれた」と話していた。松本大は昨年度からシリアの福祉関係者の見学を受け入れている。一行は19日に来日し、東京などで研修を受け、2月4日に帰国する予定。

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(クレー女子・中山が五輪代表)
射撃のロンドン五輪最終予選を兼ねたアジア選手権は20日、ドーハで行われ、女子トラップで北京五輪4位の中山由起枝(32)=日立建機=が89点で3位に入り、五輪出場枠を獲得した。日本クレー射撃協会の規定により中山は3度目の五輪代表に決まった。中山は2000年シドニー五輪でダブルトラップに出場して13位。一度は現役を退き、結婚、出産を経て復帰した。10年広州アジア大会ではトラップで日本選手初の金メダルを獲得した。
(男子トラップで五輪枠逃す、射撃のアジア選手権)
射撃のロンドン五輪最終予選を兼ねたアジア選手権は21日、ドーハで行われ、男子トラップ予選で柿原康晴(コーエーテクモホールディングス)は41位で上位6人による決勝に進めず、五輪出場枠を逃した。
(冬山登山、クマに襲われけが:岩手)
21日午後、遠野市で冬山登山の男性がクマに襲われ、頭にケガをしました。きょう午後2時頃、遠野市綾織町の石上山で仲間5人と一緒に登山をしていた遠野市松崎町の細越弦二郎さん・64歳が中腹を下山中、クマに襲われ、頭をかまれるなどのけがをしました。命に別条はなく自力で下山しました。クマは通常、この時期、冬眠をしていますが、警察では襲ったクマが、体長110センチ程の小熊と見られることから、上手く冬眠ができなかったか、冬眠から起きた可能性があると見て、念のため注意を呼びかけています。
(電車にまたイノシシ衝突:福岡)
21日午後7時50分ごろ、福岡県糸島市のJR筑肥線加布里(かふり)-一貴山(いきさん)駅間で、線路に進入したイノシシが、西唐津発福岡空港行き普通電車(6両編成)にはねられた。電車は衝撃でドア開閉部分に不具合が出たが、約30分後に運転を再開した。けが人はなかった。JR九州によると、下り1本が運休、上下計3本が最大27分遅れ、約300人に影響した。同線では元日にも、一貴山駅近くでイノシシがはねられ、電車が止まる事故が発生している。
(住宅街に雄ジカ、5時間後に捕獲:北海道)
22日朝、北海道・小樽市で、雄のシカが住宅街を約5時間逃げ回った後、警察や消防に捕獲された。シカが現れたのは小樽運河の近くで、22日午前8時頃、「シカが道路を走っている」と警察に通報があり、警察や消防など20人が駆けつけた。シカは南小樽駅周辺の住宅街を逃げ回り、約5時間後、マンションの駐車場に追い詰められ、山に戻すための麻酔を打たれて捕獲された。住民や捕獲作業に当たった警察官らにケガはなかった。小樽市によると、体長約1メートル50センチ、体重130キロの成獣で、川沿いに山から下りてきたとみられている。
(道道からシカ射撃、開始:北海道)
環境省釧路自然環境事務所は世界自然遺産・知床で増えすぎたエゾシカを捕獲するため、道道2か所を通行止めにして車の荷台から射撃する「流し猟式シャープシューティング(SS)」を始めた。SSは道路沿いに餌場を設けてシカをおびき寄せ、ハンターがトラックの荷台から狙い撃ちする捕獲方法で、斜里町側では4月20日まで、羅臼町側では3月末まで行う。知床半島には1万頭以上のエゾシカが生息していて、食害や交通事故が後を絶たない。このため、斜里町側の幌別~岩尾別地区4・2キロと、羅臼町側のルサ~相泊地区8キロで16日以降、射撃を始めた。公道からの発砲は道路交通法で禁じられているため、同省が道路管理者の道などと調整し、道路を通行止めにして実施している。斜里町側では19日に2回目のSSが行われ、オス10頭、メス1頭、子鹿2頭の計13頭を捕獲した。同事務所ではほかの駆除方法とも組み合わせ、捕獲を進めていく。
(里山にクマ定住、自動カメラに複数枚:石川)
石川県がツキノワグマの生息調査のため、金沢市角間、夕日寺地区にまたがる里山に設 置した自動カメラに、クマの姿が複数回、写っていたことが20日までに確認された。こ の里山近くの住宅地では近年、クマの出没が相次いでおり、県は同市東部の里山にクマが 定住していることを裏付ける証拠として、分析を急ぎ、被害防止対策に生かす。ツキノワグマが近年、市街地に大量出没していることを受け、県は昨年7月から金沢市 角間、夕日寺地区にまたがる約18平方キロの里山をモデル地区に指定し、生息調査を進 めていた。調査は、自動カメラを使ってクマの里山への定着度合いを調べる初の試み。同地区に昼 夜問わず野生動物が近づくと自動でシャッターを切るカメラ18台を設けた。県が昨年11月にカメラを回収したところ、移動するクマが鮮明に写っている写真が複 数枚あった。県は現在、県白山自然保護センター(白山市)で分析を進めているが、「同 じ個体の場合、里山に住み着いている可能性が大きい。白山や医王山から山伝いに移動し てきたのだろう」(自然環境課)としている。モデル地区に近い金沢市御所町の住宅街で2010(平成22)年9月、クマが出没し たのをはじめ、同地区周辺の夕日寺健民自然園や田上などでは近年、クマの目撃情報が相 次いでいる。県担当者は「分析の結果を待たなければならないが、住宅地に出没していたクマはこの 里山にすみ着いていたといえる」と指摘する。県は分析結果を年度内にまとめ、新年度以 降も自動カメラの調査を継続し、住宅地に出没するクマ対策などに活用する方針である。
(山麓部にシカ入り込みの可能性:長野)
中央アルプスに分布するニホンジカが、飯島町の中田切川や与田切川の森林帯を移動して山麓部まで入り込んでいるとみられる調査結果が21日、報告されました。これは、上伊那教育会郷土研究部が開いた研究発表会で、飯島小学校の吉田保晴教諭が報告したものです。吉田教諭は、中央アルプス一帯で絶滅したと言われるほど激減したニホンジカが増えていることから、中田切川など河川沿いに発達する森林帯に生息しているかどうかを調査しました。一昨年の9月から去年の10月までセンサーカメラを森林帯のけもの道に設置し、1週間で0.4頭を撮影しました。吉田教諭は、「今回の調査で中田切川や与田切川沿いの森林帯にニホンジカが生息していることがはっきりした。森林帯を移動し、中央アルプス山麓部まで入りこんでいると思われる」と説明し、継続調査をしていきたいと話していました。
(研究者らの協会、オオカミ復活を提言:長野)
急増するニホンジカやイノシシによる農林業と自然植生の被害対策として、研究者らでつくる「日本オオカミ協会」(会長=丸山直樹・東京農工大名誉教授)が、絶滅したオオカミを復活させる「再導入」を提言している。国は復活に否定的だが、農山村の過疎化や狩猟者の減少で獣害に打開策が見いだせない中、「最後の切り札」と関心を寄せる人もいる。協会が昨年10月に松本市で開いたシンポジウムの内容を報告し、オオカミ復活論に対する関係者の見方や、再導入・検討事例を紹介する。協会が松本市で開き、約80人が参加したシンポジウム「ドイツに見るオオカミとの共生」では、ヨーロッパの現状についてドイツ人専門家が講演した。日本と似た人間の土地利用の中で生息する実態を紹介し「オオカミは怖くない」と訴えた。報告したドイツ最大の自然保護団体「自然・生物多様性保護連合」のマグヌス・ベッセルさんによると、かつて欧州各地で駆除されたオオカミは、この30年間で保護されるようになり、東欧と南欧を起点に生息数が回復。現在は欧州全域で約2万頭がいるという。ドイツでは98年から定着し、東部に九つの群れがいる。生息地は里山や農地が広がる地域で「農村地帯にすんでいる」と説明。適応力が高いオオカミに原生的自然は必ずしも必要でなく「人がいる環境の中で暮らすことができる」と話した。最大8頭の家族でつくる群れは、300平方キロと広い縄張りを持つ。移動能力が高く、1日30~75キロも移動できる。ただ、交通事故や密猟に遭うリスクがあるという。獲物は7割以上がシカ類で、次いでイノシシ。家畜を襲うこともあるが、電気柵の設置や家畜を守る犬を置くことで「牧畜が盛んな地域でも共存は十分可能」と強調。家畜が襲われた場合、州が補償金を支払う制度があることも紹介した。欧州では過去に人を襲った事例もあるが、理由はオオカミが狂犬病にかかったか、人慣れした個体によるもので「人間は餌ではない。人を襲うのはまれな例」と述べた。協会は、シカなどの被害が増えた根本的な原因は「頂点捕食者として生態系のバランスを取っていたオオカミを絶滅させたことにある」と強調。問題の解決には、狩猟者の確保や農林地の防護策だけではなく「オオカミを再導入して食物連鎖を復活させ、生態系を修復することが不可欠」と主張する。日本では昔から、農作物に害を及ぼすシカなどを捕食するオオカミを尊重してきたが、明治時代の文明開化策で「人畜を襲う害獣」と誤ったレッテルを張られ、駆除で絶滅に追い込まれたという。協会は、ニホンオオカミと同一種とされる大陸産ハイイロオオカミの再導入を目指し、国に要望する署名運動を展開中だ。だが、国や県は否定的な見解だ。環境省野生生物課は「今のところ検討していない」と言う。理由は「生態系への影響など何が起こるか分からない。試験的な導入でも、縄張りの広いオオカミを決めた場所に閉じ込められる保証はない」と説明する。長野県環境保全研究所の岸元良輔専門研究員は「生態系維持に必要な存在」しながらも「ツキノワグマの人身被害が社会問題になる状況を見ると、似たようなことが起きるのではないか」と懸念する。一方で、復活を期待する関係者もいる。長野県議会の質疑で取り上げた永井一雄県議は「シカ害解決に現状では他に方法がない。地域から声を上げる」と話し、2月に静岡県などの議員とも連携して勉強会を開く予定だ。イヌ科のオオカミはユーラシア大陸や北米大陸など北半球に広く分布する。普通はハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)1種を指し、生息地によって亜種に分かれる。絶滅したニホンオオカミは別種とする意見もあるが、ハイイロオオカミの亜種とする見方が有力で、北海道にいたエゾオオカミも亜種とされる。環境省のレッドデータブックによると、ニホンオオカミは日本固有亜種で絶滅種。1905(明治38)年に奈良県で捕獲された雄を最後に記録がない。絶滅原因は狂犬病の流行に伴う捕殺の奨励、開発や狩猟による餌動物の減少などが指摘されている。エゾオオカミも駆除により1900年ごろを境に激減したとされ、絶滅種。県内でも江戸時代の古文書などから、ニホンオオカミが生息していたとされる。オオカミ再導入は、国外で米国のイエローストン国立公園に事例がある。1940年代に駆除によりオオカミが姿を消し、シカ類が増加。食害で公園の植生が損なわれたため、94~95年にカナダから31頭を導入。その後は順調に増えて公園周辺にも分布を広げ、03年には公園内で推定174頭に増加。植生も回復したという。国内では、北海道斜里町が知床国立公園の森林生態系を再生するトラスト運動でオオカミやカワウソの復活を目指している。ただ、これまでの専門家の検討では、オオカミは導入後の分布拡大による個体管理の困難さや、家畜の被害補償などの問題があり、町は「長い目で取り組む課題」とする。獣害に悩む大分県豊後大野市の橋本祐輔市長が再導入を検討している。オオカミ復活には、関係機関の合意や地域住民の理解、法的手続き面も含め、多くのハードルがある。

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(サル出没「見ない、撮らない、与えないで」:京都)
伏見稲荷大社のある稲荷山(京都市伏見区)にニホンザルが出没し、参拝者が相次いで飛びつかれたりかまれたりしている。人に慣れてしまったとみられ、大社は貼り紙や放送を通じて注意を呼び掛けている。通訳業安井玲子さん(42)=同区=は3日、「お山めぐり」の人でにぎわう山中の「四ツ辻」付近で、サルが女性の背中に飛びついているのを見かけた。1週間後には男性らの膝のあたりに後ろからへばりついていた。「手を振ったら襲われた中国人もいた」サルの出没が増えたのは昨年末。区深草支所によると最大で4匹が目撃された。ここ数日は出ていないが、同大社の警備員の原正志さん(59)は「半日で被害の情報が4、5件寄せられた日もあった。例年は現れても数日で、悪さはしなかったのに」と話す。昨年は秋にも1カ月ほど居続けて追い払われた。参道にはあちこちに「サルの目を見ない。カメラをかまえない。食べ物をやらない」などと記した紙が貼られている。放送も繰り返されている。四ツ辻の近くの茶店「三徳亭」を切り盛りする蜂須賀和子さん(74)は「せっかく楽しくお山に来た人が大けがでもしたら大変」と心配する。山は鳥獣保護区で、追い払うのが基本。16日に支所職員らと見回った市東部農業振興センターの内藤光夫係長(49)は「東山区から山科区にかけて10匹前後が生息している。春先まで山に餌がなく、人のそばまで出やすいので、かまわないことを基本にしてほしい」と話している。
(演習場で実弾紛失:群馬)
陸上自衛隊第12旅団(榛東村・相馬原駐屯地)は18日、榛東村の相馬原演習場で、機関銃(口径5・56ミリ)の実弾1発を紛失した、と発表した。17日の射撃訓練後の確認作業で判明した。演習場内で紛失した可能性が高いとみて隊員50人が捜索している。第12旅団広報室によると、旅団の施設中隊が17日朝、訓練に使う実弾1168発を高崎市の新町駐屯地から、相馬原演習場に運搬。演習場で弾数を再確認し、約50人が射撃訓練を始め、午後1時半までに用意した実弾を撃ち尽くした。しかし、確認された使用弾数は1167発だった。薬きょうも、1167発分しか見つかっていない。弾の長さは約5・7センチ、直径は弾丸部分が5・7ミリ、薬きょう部分は9・6ミリ。実弾は、梱包(こんぽう)されて運搬されたため、広報室は「運搬中の紛失は考えられない」としている。紛失した実弾は、発射能力があるとみられ、同旅団は演習場近くに人が立ち入らないよう、警戒している。同旅団は「住民に不安を与えて大変申し訳ない。全力で発見し、再発防止に努めます」とのコメントを出した。
(ツキノワグマ出没減らそう、30ヘクタールを広葉樹林に:岡山)
ツキノワグマが人里に出没するのを防ごうと、美作市はスギやヒノキの市有林30ヘクタールをブナなどの広葉樹林に変える大がかりな取り組みを始める。岡山後楽園の2・3倍の広さの森林で樹木の種類を転換させるのは県内最大の規模で全国でも珍しい。同市は4月22日に開く最初の植樹祭の参加者を募集している。クマのえさとなるドングリなど木の実を増やす狙い。同市真殿の山中にある市有林でスギやヒノキを3年かけて伐採して木材を売却。代金1000万円などで、クヌギやコナラ、ブナなど6万~9万本を植える。4月の植樹祭では2ヘクタールに6000本を植える。美作市では全国でクマが大量出没した10年に47頭(09年は1頭)が捕獲され、駆除か保護かで論争が起きた。同年12月には「山に木の実がないから出没する」として、市有林にブナなどを400本植樹。昨年、広葉樹を植えるため「どんぐりの森基金」を創設した。4月の植樹祭には市外からも参加申し込みが相次ぎ、既に70人が集まっているという。同市農業振興課は「木の実がなるには長い時間が必要だが、少しでも広葉樹を増やして、人里に出没するクマを減らしたい」と話している。
(カラスの位置、刻々把握:岩手)
岩手大学は、カラスの害に悩む盛岡市と共同で、全地球測位システム(GPS)を使ったカラスの行動調査に乗り出した。同大によると、GPSを使った鳥の追跡調査はこれまで、GPSを一定期間装着し回収後に確認する方法が主流で、今回の調査のように鳥の位置情報が瞬時に把握できるのは国内では初という。盛岡市によると、市内でカラスのねぐらが確認されたのは1981年頃。カラスは市街地に近い愛宕山(196メートル)にねぐらを作り、現在、市内に約4000羽(推定)が生息、ゴミを食い散らかしフンを落とす。東北電力岩手支店によると、春には市内の電柱に、ハンガーの針金や木の枝を使って巣を作り、電線と接触し停電の原因になるため、巣の撤去に追われるという。愛宕山付近の町内会でカッコウの鳴き声やベートーベンの交響曲を流したり、ねぐらの森を間伐したりしたが、カラスが一時、ねぐらを移しただけに終わった。調査では、市内で捕獲したカラス6羽の背中にGPSと無線を組み合わせた約30グラムの送信機を装着。市内2か所に設置した受信局に、GPSで得たカラスの位置情報を無線で飛ばし、インターネットに接続したパソコンや多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」で把握できるようにした。昨年12月20~27日、岩手大農学部の東淳樹講師らがこの装置を使って突き止めたカラスの居場所に移動し、調査対象のカラスを探し、行動を確認。東講師は、記憶力の良いカラスが市内のゴミ集積所の位置や生ゴミの収集日を記憶し、ゴミ集積所で餌を得ていると仮説を立てて調査に臨んだが、6羽は市内の養鶏場や養豚場、雫石町の小岩井農場などに向かい、ゴミ集積所には行かなかった。例えば、1羽は同26日午前6時頃、愛宕山のねぐらを飛び立ち、30分後に同市大慈寺町の寺に到着。墓に供えられた菊の花をついばんだり、ゴミ袋の端切れをくわえたりした後、9時頃、市内のリンゴ園に舞い降り、100羽ほどのカラスの群れに交じり、落ちたリンゴをついばんだ。11時前、豚舎に移動し、他のカラスと豚の餌を食べた。東講師は今回の調査結果について、「カラスは冬、農作物にありつけないため、ゴミに依存すると考えていたが、そうではなかった。今後はゴミに集まるカラスを捕獲し、行動を確かめたい」と話す。雫石町出身でカラス研究の第一人者、宇都宮大農学部の杉田昭栄教授は「カラスは、大脳がニワトリの3倍ほどの重さがある、非常に記憶力の良い鳥。盛岡市のように大学と連携してカラスの生態を調べ、根本的な対策を模索するのは珍しく、意義がある」と評価している。

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(獣害対策補助金見直し:三重)
イノシシによる被害が増え続けていることから津市は新年度から獣害対策を強化する。山間部では農作物が荒らされ、住宅地では昨年11月に住民が襲われる被害も発生。イノシシの捕獲数に応じて支給している補助金の制度を見直す方針だ。同市では鹿、猿などの獣から農作物を守るため、2007年度から4年かけて延長205キロに及ぶ防護柵を設置。市内7地域にある獣害対策協議会の活動を支援してきた。その結果、獣害全体の被害額は08年度の5700万円から10年度は4000万円に減少した。しかし、収穫間際の農作物を荒らされるなど、イノシシによる被害は500万円から1700万円に増加。昨年11月23日には同市雲出長常町で女性がイノシシに襲われ、足にけがをしたこともあり、「被害は深刻化している」(市農林水産政策課)という。このため、これまで年間10頭以上のイノシシを捕獲した場合、一律10万円を支給していた補助金について、来年度から1頭ずつに支給する方式に変更する。市農林水産政策課では、定額から1頭あたりの単価にすることで、捕獲活動に対する猟友会の意欲の高まりを期待する。同課では「受給額のアップにもつながるのでは」と話す。1頭あたりの単価は、新年度予算に盛り込むため検討中だ。また、市内に七つある対策協議会の連携を強化するため広域連絡協議会を設け、合同研修で捕獲技術や意見を交換するほか、共同で駆除にあたるなどして対策に取り組む。複数の鹿を一度に捕獲できる「ドロップネット」の導入も進める。
(有害鳥獣捕獲に「補助者」も参加:岐阜)
県は18日、新年度からニホンジカやイノシシなどの有害鳥獣捕獲に、狩猟免許を持たない「補助者」も参加できるようにする方針を明らかにした。向こう5年間の鳥獣保護事業計画案に捕獲の許可基準の緩和を盛り込んだ。意見募集を経て3月末までに策定する。猟銃や網、わなを使える狩猟免許の所持者が減って高齢化する中、有害鳥獣の捕獲を促し、拡大している農林業被害を軽減する狙い。補助者は所持者の指導のもとでわなの見回りや、わなの中へのえさの補充などにたずさわる。補助者が従事できるのは市町村などの団体が行う捕獲に限定。各団体が開く捕獲従事者の役割や、安全性確保に関する講習会の受講が条件。補助者の参加は現在、構造改革特区に認定された愛知県豊根村など岐阜県外の65市町村のみで認められているが、昨年9月の環境省指針の改定により、都道府県が基準を改め市町村が決定すれば導入できるようになった。イノシシによる昨年度の県内の農作物被害は2億2770万円で5年前の4.5倍、ニホンジカも2909万円と、同4.7倍に増えた。一方、狩猟免許所持者は2969人で、10年前の3365人から12%減少。60歳以上の所持者は66%で、同41%だった10年前より高齢化も進んでいる。このほか計画案によると、市町村などの団体が有害捕獲の許可を申請する場合、許可頭数をニホンジカは20頭以内としている現行の制約をなくし、猟銃による捕獲期間も、イノシシを含め30日以内から90日以内へと3倍に延長する。個人の申請についてはイノシシは現在5頭以内で、シカは捕獲を認めていないが、10頭までは可能とする。
(イノシシ注意、市街地で出没相次ぐ:群馬)
沼田市の市街地で十六日からイノシシの出没が相次ぎ、市農林課は十八日、市内の防災・防犯情報を提供する「ホッとメールぬまた」を使い、利用登録している市民に警戒を呼び掛けるメールを配信した。同課によると、十六日午後五時ごろ、同市高橋場町の住宅街にある沼田北小学校周辺で体長約一メートルのイノシシが住民に目撃されたとの情報が、通報を受けた沼田署から寄せられた。さらに、翌十七日午後五時ごろ、同校から五百メートルほどしか離れていない県道・上発知材木町線の木田坂で、軽乗用車とイノシシの接触事故があった。市の中心街からも遠くない場所での連日のイノシシ出没に同課では「注意が必要」と判断し、緊急のメール配信を決めたという。市教育委員会でも十七日、市内全小中学校と幼稚園に沼田北小周辺での目撃情報を文書でファクス送信した。市農林課では「家の周囲に生ごみを捨てない。イノシシを見たらそっと立ち去り、警察や市役所に連絡してほしい」と市民に協力を求めている。
(推定10頭のクマが年199件出没する:岡山)
岡山県北部で出没が相次いでいるツキノワグマについて、県は新年度、生息頭数の再調査を行う方針を決めた。東中国山地のツキノワグマは環境省のレッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されている。県内には10頭前後生息すると推定されていたが、2010年度の出没情報は過去最多の199件で、県は「もっと生息しているのは明らか」と見ており、正確な頭数把握が求められている。県自然環境課によると、10頭と推定されたのは00年度の「(第1期)ツキノワグマ保護管理計画」策定時。県の委託を受けた県環境保全事業団(岡山市南区内尾)職員が、出没情報の度に現地で足跡などを確認して割り出した。頭数は第2期、第3期の同管理計画策定時にも引き継がれた。兵庫、鳥取両県を含む東中国山地全体では、約200頭と推定されている。しかし、10年度に199件、11年度も12月31日までに79件の出没情報が寄せられた。11年度の捕獲頭数は12頭で、うち8頭には過去に捕まったことを示す耳標が付けられていなかった。今回の調査は「標識再捕法」と呼ばれる方法で実施。山中などで捕らえたクマをいったん放し、再捕獲された割合などから生息頭数を推定する。兵庫、鳥取両県ではすでに実施しており、3県が同じ手法で調査することで東中国山地全体の生息頭数の再調査にもつなげる。同課は「人との共存のためにも、クマの個体数の把握は必要。速やかに行いたい」としている。ツキノワグマを巡っては、岡山県は今年度、餌となるドングリなどの豊凶調査を新たに行ったほか、同事業団職員の美作市駐在も開始。新年度から適用する第4期の同管理計画は、クマの殺処分の手順を簡略化し、人里で捕獲されたクマは原則として山に返さず処分する方向で検討している。
(サル市内去らず?:神奈川)
昨年暮れから1月16日現在までに、市内各地でサルの目撃情報が30件あまり寄せられている。市の担当課職員は、「恐らく群れを離れた丹沢のサルではないか。サルの発見は例年、数回報告されるが、これだけ長い間市内を移動するのは珍しい」と困惑している。初めて発見されたのは12月19日、大神の会社敷地内。その後、四之宮や東中原、榎木町などで目撃され、12月30日に夕陽ヶ丘、31日に松風町や錦町でも報告された。今年に入ると、立野町や豊原町、御殿、小鍋島などに移り、16日には富士見小学校や大久保公園付近、厚木市温水の工場で目撃されている。庭のみかんを食べられたケースがあったが、他の危害の報告はないという。2匹見たとの情報も寄せられている。平塚市では、サルを脅かして山へ帰るように追い払いをかけるとしているが、広範に移動するサルの足取りをつかむのに苦慮しているという。担当課では、「エサをやらない」「近づかない」「目を見つめない」「からかわない」「大声を出さない」など、見つけた際の冷静な対応を周知し、市環境政策課や警察への連絡を呼びかけている。
(浅間山周辺のシカ生息数調査、柵設置へ:長野)
北佐久郡軽井沢町のNPO法人「生物多様性研究所あーすわーむ」は、21日から2日間かけ、ニホンジカの生息調査用の柵を小諸市甲の私有林に設置する。浅間山麓でもニホンジカの目撃情報が増えており、現状を把握するのが目的。シカが好んで食べるササを柵で囲い、柵の内外でササの食べられ方を比較して、生息頭数を推測する。柵は、シカが飛び越せない高さ2メートル弱、2メートル四方の大きさで、4カ所に設置する。同様の柵を一昨年は軽井沢町に4カ所、昨年12月までに群馬県嬬恋村に4カ所設けてあり、今回小諸市に設置することで、浅間山麓の広い範囲を比較してシカの分布を調べられるようになる。5年ほど定期観測を続ける予定だ。「公益信託 自然保護ボランティアファンド」の助成を受ける。全県で増加中のニホンジカだが、浅間山麓に重点を置いた調査はまだない。県のニホンジカ保護管理計画で浅間山麓は、地域ごとに保護管理目標が定められた八ケ岳地域などと違い、比較的生息密度が低い「その他の地域」に含まれる。同NPO法人は、ササの比較によって、シカの頭数変化を目に見える形で示したい考えだ。代表理事の南正人さん(55)=東京都青梅市=は、目撃情報や樹木の枯死の状況、山中に仕掛けたカメラの映像などから「浅間山麓でシカが増えているのは間違いない」。今後も増加が予測され「農業に加え、植物や昆虫など生態系への影響が心配される。現状を把握し、駆除などの対策に役立てたい」とする。同NPO法人は2008年度からシカの調査を開始。捕獲したシカに発信機を付けて放し、衛星利用測位システム(GPS)を利用して行動範囲も調べている。結果は麻布大学などと共同で報告書にまとめる予定。シカの増加がカモシカに与えている影響にも研究を広げる予定だ。

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