<射撃ニュース2月>

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(カラス被害、倍増3689万円:富山)
県がまとめた2011年の鳥獣による農作物被害額で、カラスの被害が前年に比べて一気に倍増した。10年夏に富山市内の学校給食のナシから散弾銃の弾が見つかったことで、銃を使った駆除を自粛した影響が考えられるという。県農村振興課と富山市環境保全課によると、農業被害の総額は1億1270万円。トップはカラスの3689万円(前年比1841万円増)で、2番目はイノシシの3633万円(同518万円減)、3番目はニホンザルの2115万円(同519万円減)。出没が少なかったツキノワグマの被害報告はなかった。カラスの被害について過去5年間の傾向を見ると、07年の3953万円から10年までの3年間は減少が続いてきたが、V字状に悪化したことになる。これまで富山市は市役所周辺など寝床がある市中心部でカラス駆除に努めてきた。11年の個体数調査では約6千羽と、ピークだった08年前後の約1万2千羽から半減しており、その状態を維持している。市中心部以外の郊外でも猟友会に委託するなどして駆除を進めてきた。だが10年夏に、市内の小学校で給食として出された呉羽ナシから散弾銃の弾が見つかり、カラス撃退のために農場で放ったものが混入したとみられるトラブルが起きた。それ以来は、呉羽ナシの産地では銃器の使用を自粛しているという。11年のカラスによる被害額全体のうち8割近くが富山市西部の呉羽、老田、古沢、池多地区の果樹が占めており、稲などはごく少額だった。県の担当者は「銃を使わずネットや音で追い払いをしているが、抜本的な対策は難しい」と話す。前年比で毎年3倍近いペースで増えていたイノシシの被害は、わずかながらも近年では初めて減少した。電気柵の設置が進んでいる南砺市では急減しているといい、抑止効果が表れている可能性があるという。
(シカ食害、オオカミ導入困難:長野)
シカなどの食害対策として絶滅したオオカミを再導入する是非について、阿部守一知事は27日、2月定例会の一般質問で「県ではオオカミを自然に放って、ニホンジカの頭数をコントロールすることは困難」と答弁し、否定的な考えを示した。無所属改革クラブの永井一雄県議が「オオカミを再び自然に放つことで生態系を修復し、シカの増殖を抑制することを検討してみてはどうか」と質問。ドイツや米国などが実際にオオカミを導入していることに知事は「オオカミの一つの群れが、生息に必要な面積は県の10分の1に当たる広さ。現実として難しい」と答えた。ニホンジカは現在、県推定で10万5000頭おり、南アルプスなどの高山植物など食害被害が拡大している。県は5年後に3万5000頭に減らす計画を進めるが、ハンターの人数の減少などで達成が難しくなっている。
(シカ対策考えるシンポ:宮崎)
森林や農林業に多大な被害を与えているシカの対策を考えるシンポジウムが28日、大分県佐伯市で開かれた。九州森林管理局(熊本市)の主催で、森林や植物の研究者らが参加。増え過ぎたシカによる被害状況が報告されたほか、捕獲方法などを話し合った。シンポジウムで、宮崎県内の状況を報告したのは、県東臼杵農林振興局の日高三男副主幹。県内の鳥獣被害額は約2億7000万円(2010年度)で、シカによる被害額は約9600万円に上る。日高副主幹は「被害は延岡市やえびの市などで目立つ。2010年末現在で6万頭とみられる生息頭数を、13年度には3万8000頭まで減らしたい」と述べた。近年、九州地方では、鹿児島県・屋久島や九州中央山地などでシカが激増。同管理局の調査では、27万頭以上が生息していると推計されている。1平方キロ・メートル当たり3~5頭という適正頭数を大幅に上回っており、農林業だけでなく、森林生態系への影響が懸念されている。
(イノシシ捕獲、被害前でも許可:千葉)
2月千葉県議会は28日、一般質問が行われ、農作物の被害が拡大しているイノシシについて、新年度から被害発生前でも捕獲を許可する方針を示した。
(オオハクチョウ3年ぶり4千羽超え:青森)
日本野鳥の会あおもりと同会弘前は28日、県内100カ所以上で1月8日に行ったガン・カモ・ハクチョウ類調査の結果を公表した。オオハクチョウの飛来数は4201羽と前年を244羽上回り、3年ぶりに4千羽台に乗った。鳥インフルエンザの影響で餌やりが自粛され4年目となるが、同会は「自然の餌を取るようになり飛来数が回復したのでは」と分析している。

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(イノシシ駆除、全集落網羅:石川)
イノシシによる農作物被害を食い止めるため、宝達志水町の農業委員ら29人が27日 までに、「わな猟」の免許を一斉に取得した。石川県農業会議によると、市町の農業委員 がまとまってこうした免許を取得したのは県内で例がない。農業委員は町各地におり、各 集落で「わな」が張り巡らされることになる。同町の農業委員のうち、高齢の2人を除く24人と集落代表者5人が今月20日の試験 に臨み、全員が合格した。取得したのは4種類ある狩猟免許のうち、ワイヤや檻(おり) を仕掛けて捕獲する「わな猟」の免許で、イノシシ駆除に用いられることが多い。県によると、イノシシによる農作物への被害は年々拡大している。2010年度の県内 被害額は3691万円で、06年度の509万円から約7倍に増加。宝達志水町では、稲 やジャガイモなど農作物を食い荒らされる被害が07年ごろから出始め、今年度、初めて 4頭を駆除した。県内のイノシシ被害は、1999年度に旧山中町(現加賀市)で初めて確認された。小 松や白山、能美など南部で多かったが、温暖化による雪不足や耕作放棄地の増加により、 最近は生息域が能登地区にまで広がっている。10年度には珠洲市でも発見された。今回、狩猟免許の一斉取得を呼び掛けた宝達志水町農業委員会の甘池正伸会長(62) は「町の対策を待つのでなく、町と一体となって迅速に被害を防止したい」と話した。県によると、狩猟免許の合格数(10年度)は計1229件。このうち「わな猟」は4 30件で、07年度以降、4年連続で前年実績を上回っている。一般農家が受験するケー スも増えており、県は「駆除のニーズが増えている証拠」(自然環境課)とみている。
(震災後初の鹿猟とらえた写真展:石川)
写真家・田附勝の写真展『その血はまだ赤いのか』が、石川・金沢のSLANTで3月3日から開催される。デコレーションされたトラックを撮影したデビュー写真集『DECOTORA』で注目を浴びた田附。昨年発表された写真集『東北』では、2006年7月から2011年4月までの約5年間にわたって、東北に暮らす人々の生活や習慣、儀式、文化などを力強く撮影し、『第37回木村伊兵衛写真賞』を受賞するなど高い評価を得た。田附が「3.11前後」を初めて意識したという同展では、昨年11月に岩手・釜石の唐丹で震災後初めて行われた鹿猟の様子を捉えた作品を展示。同展の初日となる3月3日には、『DECOTORA』『東北』の編集を手掛けた浅原裕久を招いたトークイベントが開催される。

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(イノシシ初捕獲:秋田)
生息していないはずの秋田で、イノシシが初めて捕獲され、関係者を驚かせている。イノシシは農作物を荒らすことで知られ、昨年度の被害額は全国で68億円にのぼる。県は2月中にも目撃情報を募り始め、生息状況を調べる。湯沢市の秋ノ宮温泉郷近くの雪山の斜面で、猟師の菅詔悦(すが・しょう・えつ)さん(67)が今月12日、仕留めた。体長120センチ、体重70キロの雄の成獣だ。長い鼻に、とがった牙が生えていた。狩猟歴47年だが、初めて見たという。「カモシカにしては黒っぽい毛。病気だべかと思ってたら、イノシシだった」県自然保護課によると、イノシシが県内に生息していた記録はなく、初めての捕獲という。担当者は「いないものだと考えていた」と驚く。イノシシの生息分布は西日本中心。足が短く、植物の根を好むため、雪の多い地域には住みにくいとみられていた。環境省が1978年と2003年に調べたところ、福島県と宮城県を除き、東北の生息域は空白だった。ところが、山形県で07年、岩手県で昨年9月、相次いで初捕獲され、イノシシの「北進現象」が確認されていた。環境省の担当者は「温暖化で積雪が減って歩きやすくなり、山間部の耕作放棄地が増え、イノシシの通り道ができたのかもしれない」。全国的にも生息域が拡大しているという。また、中央農業総合研究センター(茨城県)の仲谷淳・上席研究員は「人為的に運ばれてきたイノシシが放され、野生化した可能性もある」。イノシシは繁殖力が強く、分布をコントロールするのが難しいという。イノシシは果樹の枝を折り、農作物を掘り起こして食べ、田畑を踏み荒らす。全国の農作物被害は昨年度、過去最多の68億円になった。クマによる被害の13倍近くだ。環境省は「狩猟のノウハウがない東北に広まると、被害を防ぐのは厳しい」としている。山形県では07年の初捕獲以降、増え続け、昨年度は25頭が捕獲され、稲が踏み荒らされるなど、農作物被害は475万円だった。菅さんは、積もった雪をかき分けて進むイノシシは「速いなんてもんでねえ、ラッセル車だ」。車で先回りしても、すでにモミジ型の足跡がついていたという。名人マタギの菅さんだが、目撃してから1カ月後、ようやく仕留めることができた。吹雪で人の気配が消え、イノシシが油断したという。「天候が味方せねば、1年かかっても捕れねかったかもしれね。クマより手ごわい」県自然保護課は来週からイノシシの目撃情報を募り始め、調査に乗り出す。農作物被害の恐れが出れば、有害捕獲も想定している。
(イノシシ通報“猪突激増”:兵庫)
神戸・六甲山と周辺の住宅地や市街地で、イノシシの出没に関する2011年度の神戸市への通報や苦情が、昨年4~12月の9か月間で362件となり、過去最高を記録した10年度の年間件数(280件)をすでに大幅に上回るハイペースで増えていることがわかった。ハイカーや付近住民がイノシシに襲われる事案が相次ぎ、敏感に反応する人が増えたためとみられる。市は対策に力を入れているが、効果は出ていないのが実情だ。六甲山のイノシシは近年、ふもとの住宅地など人目につく場所での出没が常態化。木の実などの餌が減る秋から冬にかけて特に多く、ハイカーや付近住民による餌付けが一因とされる。神戸市農政計画課は「イノシシは学習能力が高く、簡単に餌を得られる方法を習得している」と分析する。同課によると、10年度は年間64件だった繁華街・三宮を含む中央区からの通報・苦情が、11年度は4~12月だけで142件と2倍以上に増加。同課は、「普段イノシシを見ない観光客らが遭遇するケースが増えたようだ」とみる。六甲山では10年9月、同市東灘区でイノシシがハイカーらを襲う被害が相次ぎ、大きく報道された。このため、市は対策を強化し、昨年4~6月に前年同期比の2倍以上となる114頭のイノシシを駆除。さらに、同10月からは餌付けをなくそうと山麓付近の巡回を始めた。だが、同11月に同区で男児2人が襲われるなど、10年度は年間6人だった負傷者が11年度は昨年12月末現在で9人と増えている。野生動物の被害対策が専門の兵庫県森林動物研究センターの三木隆広・森林動物専門員は「イノシシにとって、山を下りると餌があるという情報は世代を超えて受け継がれる。餌付けの禁止を継続的に徹底させるなどしないと、付け焼き刃では状況は改善されない」と指摘している。
(シカ肉、特産化に1億円:岡山)
美作市は23日、新年度の一般会計当初予算案を発表した。前年度比2・6%減の207億5500万円で、4年連続の減額。27日開会の市議会に提案する。年々捕獲が増えるイノシシ、シカの食肉処理センター建設に1億円を計上した。商品化し、特産物に変えるのがねらいだ。2010年度はイノシシ1400頭、シカ2200頭が捕獲されている。ほかに、本格着工するクリーンセンター建設事業に8億4600万円、地域おこし協力隊員の3人増員に1千万円など。サッカー女子日本代表・なでしこジャパンのキャンプ誘致には500万円を盛り込んだ。
(ジビエウィーク、県内40カ所で提供:和歌山)
イノシシやシカの料理を和歌山市など県内40カ所の店舗・ホテルが提供する「ジビエウィーク」が26日まで、開催されている。ジビエとは、フランス語で狩猟によって捕獲された野生鳥獣の肉。イノシシやシカは牛などに比べ低カロリーで高タンパクとされる。フランスでは冬の定番で、国内でも滋味豊かでヘルシーと、人気が高まりつつある。農作物被害防止で県内で駆除した後、食肉に生かすため、県が緊急雇用創出事業を活用し「わかやまジビエプロモーション事業」として、JTB西日本和歌山支店に委託。多くの店の協力を募り、地域おこしにつなげようと「ウィーク」を開催した。各店でステーキや鍋、丼として提供されており、いずれも、臭みがなく食べやすいという。協力店でジビエ料理を食べてアンケートに答えると、ホテルディナー付き宿泊券や旅行券、食事券などが当たる。和歌山ジビエプロモーションチームは「都市部では高級なイメージのあるジビエ料理だが和歌山では手軽に食べられる。ぜひ多くの人に足を運んでもらいたい」と話す。
(粘るカラス、電柱の攻防:岡山)
倉敷市で23日未明、約590戸が停電した。原因はカラスが電柱に作った巣。実はこれから、カラスは巣作りの季節を迎える。中国電力は毎年、見つけ次第撤去し、防止器具も取り付けるのだが、すぐそばにまた巣が現れるとか。対策の妙案もないといい、しばらくはカラスと中電の「いたちごっこ」が続きそうだ。停電は23日午前3時半ごろ、倉敷市児島上の町1丁目と下の町3~5丁目で発生した。作業員が駆けつけると、カラスの巣が電柱のてっぺんに。巣材に使われた針金製ハンガーが高圧配電線に接触して漏電したらしく、巣を取り除いて約2時間半後に復旧した。カラスは4月ごろに産卵期を迎える。もともとは木の上に巣を作るが、中電岡山支社によると、生ゴミなどのエサが多い住宅地や繁華街の電柱に巣を作ることも多いという。木の枝だけでなく針金も拾ってきて巣を作るため、「なかなか壊れない丈夫な巣が多い」と、担当者も感心するほどだ。支社によると、昨年カラスの巣が原因で起きた県内の停電は約10件。しかし、岡山市など県南部を中心に撤去は約2700件に上った。毎年、同じぐらいの巣を撤去しているという。撤去は、巣を発見次第、高所作業車で駆けつけて実施する。ただこの作業も、人件費や作業車の経費が負担となるうえ、撤去してもまたすぐに巣ができるケースが目立つそうだ。中電側も手をこまねいているわけではない。こうした営巣を防ぐため、撤去した後に突起物がついた防止器具を設置し、繁殖期は見回りも強化する。それでも、隣の電柱に巣を作るなど、抜本的な解決につながらないのが実情だ。撤去作業は3~4月がピークで、子育てが一段落する夏ごろまで続く。広報担当は「かわいそうだが、停電防止のためには取らざるをえない」。住民にも協力を呼びかけており、巣を見かけた場合は同社カスタマーセンター(0120・411・669)へ。カラスの生態に詳しい宇都宮大農学部の杉田昭栄教授(動物形態学)は「日当たりなどカラスなりに選び抜いた場所なので、巣を撤去されてもまた作り直す場合が多い。電力会社からよく相談を受けるが、なかなか有効な方策がない」と話す。
(シカによる森林植生への影響を考える:愛媛)
ニホンジカによる森林植生を考えるシンポジウムが、26日午後1時半から午後5時まで、西条市神拝の市総合福祉センターで開かれた。石鎚山系のニホンジカは明治期に絶滅したとされてきたが、近年は相次いで目撃されるようになった。徳島県などの高地では食害によるササ原の土壌流出が確認されるなどの影響がみられ、シンポジウムでは愛媛での対応策を探るのが狙い。伊予銀行の公益信託環境基金「エバーグリーン」の助成を受け、西条自然学校が主催。NPO法人四国自然史科学研究センターや、独立行政法人森林総合研究所四国支所の専門家がニホンジカの生態や繁殖による植生への影響を事例を交え紹介した。
(人とクマ共生、シンポで探る:広島)
中国山地に生息するツキノワグマの生態保護と住民の安全の両立を探るシンポジウムが26日、広島市中区袋町の市まちづくり市民交流プラザであった。研究者たち約50人が参加し、生息地域の拡大状況や人との共生について話し合った。広島県の担当者たち7人が討議し、増加傾向にある人里へのクマ出没について「世代交代する中で人を恐れない里グマに進化している」と指摘。一方、中国地方のツキノワグマは環境省が絶滅の恐れのある「地域個体群」に登録しているため、「捕獲だけでなく、クマを近づけない環境づくりが必要」と述べた。クマの研究、保護を目的とした非政府組織(NGO)日本クマネットワーク(神奈川県藤沢市)が企画した。山崎晃司代表は「餌不足などから今後も生息地域は拡大しそう。研究者と行政が協力して対策を考えたい」と話していた。

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(銃砲火薬店が全焼、けが人なし:福島)
22日午後3時55分ごろ、南相馬市原町区本町二丁目、木幡銃砲火薬店=木幡祚子社長(78)=の店舗兼住宅から火を出し、木造2階建て建物約200平方メートルを全焼した。けが人はなかった。南相馬署によると、出火当時、店は営業しておらず、建物に居た家族は逃げて無事だった。火災を発見した男性は「閉まったシャッターの内側から煙が出て、数分後に何かが爆発する音が聞こえた」と話していた。現場は市役所に近く、銀行や商店が並ぶ中心市街地。周囲は立ち入りが規制され、一時騒然となった。
(イノシシの駆除頭数3割減:栃木)
原発事故の影響で、県内のイノシシとシカ肉が出荷停止になっている問題で、ハンターの狩猟意欲が減退するなど有害鳥獣として駆除される頭数が例年よりも減っていることが分かった。このままでは農林業への被害が懸念されるとして、県は22日、国に対策を要望した。県内では原発事故後、捕獲されたイノシシやシカの肉から、国の基準(1キロあたり500ベクレル)を超す放射性セシウムが検出され、昨年12月2日に出荷停止措置が取られた。県は野生鳥獣の自家消費を控えるように呼びかけている。この措置により、有害鳥獣として駆除されるイノシシの頭数が例年よりも減る結果となっている。県自然環境課によると、昨年4月から今年1月末に駆除された頭数は2636頭。前年の同じ時期に比べて3割減っているという。同課の担当者は「有害鳥獣の駆除をしてくれていた狩猟者の中には、『食べられないなら捕獲しない』という人もいる」と説明する。このまま駆除が進まなければ、農林業への被害も懸念される。これらの現状を踏まえて県は、「円滑な有害鳥獣駆除の実施方法について、現場に即した基準や指針を示すこと」「駆除従事者へ手厚い支援をするための助成制度の創設」「野生鳥獣に対する放射性物質の影響を広域的、長期的に調査し、公表すること」の3点を国に求めた。また、県猟友会によると、同会の会員数は1978年の1万4千人をピークに減少を続け、今月23日現在で2444人。同会は「この1年の会員数の減少は原発事故の影響とは違う」としたうえで、「狩猟は趣味。震災で本業の収入が減った人が、その分働きに出ていて有害鳥獣駆除や狩猟に出る回数は減っている」としている。
(北アルプスの野生シカ実態調査)
長野、岐阜、富山3県にまたがる北アルプスで拡大する野生シカによる食害と踏み荒らしから高山植物を守るため、3県と環境省などは23日、重点地域を設定してシカの分布や移動経路を調べる方針を決めた。長野県松本市で開いた対策検討会の初会合で合意した。重点地域は専門家の意見を踏まえ、希少な高山植物が群生する白馬岳地域(長野、富山、新潟各県)や、松本市の上高地周辺、長野と岐阜県境の乗鞍岳地域などを選んだ。初会合では環境省の担当者が、標高約1500メートルを超える北アルプス高山帯や亜高山帯にシカの生息範囲が広がりつつあると報告した。泉山茂之信州大教授(動物生態学)は「南アルプスでは1990年代からの10年間で花畑が食べられてなくなった」と指摘。山麓で繁殖したシカが高地に移動しているとして「山麓の生息数を減らしながら、侵入を防ぐ必要がある」と訴えた。調査は4月以降、GPS装置などを使って実施する方針。各県の調査や目撃情報も集約し、北アルプスの一部がかかる新潟県とも連携する。
(シカ被害で借景危機:京都)
自然美の庭園として名高い修学院離宮(京都市左京区)が、深刻なシカの被害を受けている。比叡山とともに借景を成す付属山林でナラ枯れからの植生回復が阻まれ、棚田の作物やツツジなどの生け垣の新芽も食べられてしまった。植生を守るため、今月、従来のシカ防止柵を延長、強化した新たな柵の設置を始めた。管理する宮内庁京都事務所(上京区)は「かつてはありのままの自然の姿が美しい借景になったのに」と苦悩している。被害が大きいのは、離宮の東側にある付属山林。ナラ枯れによって150本近くが枯れてしまったため、実生の苗を育てようとしたが、昨夏、シカがほとんどを食べてしまった。自生の回復はほぼ不可能だという。山に近いこともあって獣害に悩まされてきた。2002年、離宮内の棚田で地元農家が育てる作物を守るため、中・下離宮の周囲に電気柵を設けた。09年ごろ、シカ対策として上離宮にも柵を追加し、現在は計約1・9キロの柵を巡らせている。しかし、職員が山でほぼ毎日、離宮内でも時々シカの姿を目撃するようになったため、草木の新芽が出る季節に間に合うように、山中の柵の増設を決めた。全ての山に柵を張り巡らせることはできないため、上・中・下の各離宮から見える景観の中で特に重要な部分を選んだ。今月中旬に作業を始め、年度内に約1・2キロを新設する予定。高さ約2メートルの柵はナイロン樹脂製で、食いちぎられないよう1メートルの高さまではステンレスワイヤで強化する。同事務所の小林保林園課長は「外交などにも使われる重要な庭。柵の設置が景観を損ねないように注意したい」と話している。対策を助言した京都大大学院農学研究科の高柳敦講師(森林生物学)は「シカ被害は全国的な問題で、自然美を取り込んだ庭園や美観地区のどこでも同じ問題が起きる可能性がある。効果があれば他の被害地でも参考になるだろう」としている。

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(車でイノシシ搬送中、荷台から83歳転落死:高知)
19日午後5時10分ごろ、高知県宿毛市沖の島町母島の県道で、走行中の近くの無職、谷弘道さん(80)運転の軽ライトバンの荷台から、谷さんの妻、文子さん(83)が転落、後頭部を強く打って20日未明に死亡した。宿毛署によると、事故当時、谷さん夫妻は母島地区の山中で捕獲して死んだイノシシ(重さ約10キロ)を海岸に捨てに行く途中。イノシシはロープに結んで車外に出してゆっくり引きずり、荷台に座る文子さんがロープを持っていた。しかし、現場近くで近所の飼い犬がイノシシを押さえつけたため、その弾みで文子さんが荷台から落ちたらしい。
(シカ駆除へ餌付け作戦:北海道)
閉鎖した道有林道沿いでエゾシカを餌付けして駆除する道の実験が20日、エゾシカ被害が深刻な浜中町で始まった。林道2路線に発酵した牧草などを置き、27日から地元猟友会員が車で移動しながら駆除する。同様の駆除は知床半島などで試みられているが、餌におびき寄せられた群れを残らず駆除している。今回は、群れの一部だけでも駆除する方式を採る。実験では、餌の少ない厳冬期に森林の伐採跡に集まるシカの習性を利用。トドマツの伐採を終えた林道と、効果の比較のため伐採していない林道のそれぞれ7カ所に19日間、毎日牧草約70キロなどのエサを置き、シカを餌付けする。道警の許可を得て27日から3月9日まで、林道に止めた車両内からシカを射撃する。道は監視役3人を林道出入り口などに配置し、一般人の立ち入りを禁止する。浜中町によると、町内のシカ食害による農林業被害は、牧草を中心に2010年度で約8千万円。昨年は1526頭を捕獲したが、被害は治まっていない。地元猟友会の岩松富士麿さん(72)は「安全を確保しながら多く捕ることを期待したい」と話した。
(シカなどから放射性物質検出、登録者数1割減:栃木)
日光市内のシカなどの野生獣肉から放射性物質が検出された問題で、県猟友会日光支部の二〇一一年度の狩猟登録者数が前年度より約一割減った。登録会員からは「肉が食べられないなら、狩猟税を返して」との要望も。塚原久夫支部長(74)は「このままでは駆除をする人がいなくなる。税負担軽減などの対策を考えてほしい」と訴えている。昨年八月下旬、「獣肉の放射性物質はどうなっているのか」との問い合わせが、県内外の会員から相次いだことを受け、同支部は日光市今市地区で捕ったシカ肉を自費で国の検査機関に依頼。国の暫定規制値(一キログラム当たり五〇〇ベクレル)を超えたため、公表した。「猟期(通常十一月十五日から二月十五日)を前に、放射性物質を含んだ獣肉の存在を知らせないわけにはいかなかった」と塚原支部長。公表などの影響で登録者は約三百人に減った。「会員の七割は捕獲した獣の肉を食べており、殺すだけの狩猟はしたくない人が多い。『食べられないと知っていたら、登録しなかった』との声がかなり寄せられた」と話す。県によると、一〇年度の県内の狩猟免許登録者数は三千八百五十三人。〇五年度の四千百十人に比べ一割近く減った。一方、一〇年度の獣類の農業被害額は一億五千八百九十五万円で、〇五年度の五千七百万円から約二・八倍に増えている。猟期以外、自治体から有害鳥獣駆除を要請されるハンターも多い。獣によっては日当や捕獲報償金は出るが、駆除しかしない人でも散弾銃やライフルを使う場合、年間約一万八千円(手数料込み)の狩猟税が必要となり、税を負担と考える人は多い。野生獣肉から放射性物質が検出されたことで、県自然環境課の担当者は「今後さらに登録者が減少するかもしれない」と危機感を強める。税負担の軽減については「県条例の改正が必要な上、減収分をどう補填(ほてん)するかが問題となり、現実的には困難。当面は捕獲報償金の増額で対応していくしかない」と話している。日光市は新年度予算案で、県の補助を受けて野生鳥獣対策事業費を約七百三十万円増額。イノシシの捕獲報償金を一頭五千円から一万円に増額し、無償だったシカにも一頭五千円を新たに払うことを盛ったが、その効果は未知数だ。
(原発事故で狩猟者減:栃木)
東京電力福島第一原発事故の影響で野生のイノシシやシカが出荷停止となり、狩猟者が減少していることを受け、県は22日、農林業への鳥獣被害などが懸念されるとして国に対して有害鳥獣の駆除をした狩猟者への助成制度の創設などを求める要望書を提出した。県内で捕獲されたイノシシやシカから食肉の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたことから出荷停止になっており、自家消費の自粛が呼びかけられている。狩猟者は捕獲後に食べることが出来ない上、焼却場への運搬費用などがかさんでいる。要望書では、〈1〉放射性物質の影響を受けている地域での有害鳥獣駆除の実施方法に関する指針を示すこと〈2〉駆除を担う狩猟者への助成制度の創設〈3〉国による野生鳥獣の調査、公表を求めている。2011年度に登録した県内の狩猟者数は、前年度比約8パーセント減の3518人(1月末現在)。鳥獣被害の防止などを目的に捕獲されたイノシシは11年度、2636頭(同)で、10年度の3681頭(同)に比べ1045頭減少した。農林業への被害に加え、頭数が増えることで生態系のバランスを崩したり、街中に出没し、人に危害を加えたりする可能性があるとされる。
(ハンター射撃練習に新制度:滋賀)
県議会本会議では、川島隆二(自民)大野和三郎(自民)谷康彦(民主)、清水鉄次(対話の会)の4氏が代表質問した。嘉田由紀子知事は、農地や里山を荒らす有害鳥獣を捕獲するハンターの数を維持するため、2012年度から新たに射撃練習への助成制度を設けることを明らかにした。川島氏と谷氏が、急増するニホンジカの対策を質問。嘉田知事は「捕獲に従事する人たちの費用負担は軽減していかなければならない」と語った。銃刀法では、ハンターは3年に1度射撃の実技試験を受けなければならないが、事前に射撃場で訓練してもらい、自信を持って試験に臨んでもらう。射撃場の入場料などを県が負担し、12年度予算案には160人分の助成費用計150万円を盛り込んだ。県内に1100人ほどいる狩猟者の中には、実技試験を負担に感じ、狩猟から身を引こうとする人もいる。
(大雪でシカが民家近くに:北海道)
エゾシカの越冬地となっている町内小谷石地区で、住宅地の民家の庭木などを食べられる食害が多発している。付近住民によると積雪が多くなった1月ごろから特に増えているといい、大雪による食糧不足などが原因とみられる。16日夕方、同地区の民家前で、イチイの木の葉を食べている2頭のシカを発見。19日には住宅地から十数メートルの山の斜面に15頭ものシカが木の皮を食べる姿が見られた。道立林業試験場道南支場の南野一博研究主任によると、同地区と福島町岩部地区にまたがる矢越岬には約300ヘクタールの鳥獣保護区があり、積雪の少ない海岸側がエゾシカの越冬地となっている。住宅地での出現が多い理由としてもう一つ考えられるのは、ハンターからの自己防衛だ。南野主任は「シカは住宅地でハンターが発砲できないことを間違いなく分かっている。住宅地がシカにとって一種の『保護区』になっている可能性もある」と話している。
(シシ肉、自衛隊昼食に:福岡)
福岡県遠賀郡の航空自衛隊芦屋基地は21日、県内で駆除・加工した野生のイノシシ肉を使った給食を初めて提供した。県が力を入れる野生鳥獣の駆除と活用に協力し、自衛隊の取り組みとしても「全国で初めて」という。同基地ではこれまでに東日本大震災の復興支援として東北の食材を使った郷土料理なども提供しており、「決められた予算の中ではあるが、食べることでも、できる限りの地域貢献をしていきたい」と、ご当地メニューとして継続的な利用も検討する。
(ガン・カモ類、20年で生息数半減:山梨)
県みどり自然課が21日発表した「平成23年度ガンカモ類生息調査」結果によると、県内に生息するガン・カモ・ハクチョウ3類の合計は4088羽。前年度(4094羽)と比較すると微減だが、平成元年度調査(3類計8417羽)と比べると約51%も減少。同課では「長期的にみると温暖化が影響していると思われる」とした。調査は1月10日に笛吹川、釜無川、河口湖、山中湖など県内主要河川・湖沼103地点で実施した。3類のうちカモ類は4020羽。中でもマガモは1514羽と最も多かった。生息地別では湖は山中湖(3類計546羽)が最も多く、次いで河口湖(409羽)。河川では笛吹川桃林橋上流(264羽)、笛吹川三郡橋上流(129羽)の順。
(大学生がシカ肉まんを開発:鳥取)
駆除されたシカの肉を使った肉まんの開発に取り組んでいた鳥取大学の学生たちが22日鳥取県庁で活動報告した。鳥取県庁を訪れたのは鳥取大学の学生たちでつくる「食鹿椛隊」だ。活動報告会では、メンバーたちが約半年かけて開発したシカ肉まんを鳥取県の藤井副知事に試食してもらった。藤井副知事は「あっさりしてるね。お年寄り向けかわからないけど。ありがとう。」と話した。食鹿椛隊リーダー金髙伸悟さんは「けっこう美味しく召し上がってもらったのでとてもうれしい。作った甲斐があった。」と話した。シカ肉まんの商品化はまだ未定だが、食鹿椛隊は今後も食を通した地域貢献活動を行うことにしている。

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(「シカと間違え発砲」で76歳男性が重傷:静岡)
18日午前、富士市の山中でシカの駆除を行っていた男性が、仲間に誤って猟銃で撃たれ両足に重傷を負った。警察によると、18日午前8時ごろ富士市大淵の山中で、近くに住む農業秋山寅雄さん(76)が地元猟友会のメンバー16人でシカの駆除を行っていたところ、仲間の猟師が、誤って散弾銃を秋山さんに向け発砲。弾は秋山さんの両足ふくらはぎを貫通し、重傷。秋山さんはドクターヘリで病院に運ばれ手術を受けたが、命に別状はないという。警察の調べに対し銃を発砲した猟師は「シカと間違えてしまった」と話している。警察では、猟の仕方に問題ががなかったかなど、事故の詳しい状況を調べている。
(シカ食害防止へ狩猟制限緩和:静岡)
ニホンジカの増加による農作物や樹木への食害といった農林業被害を防ぐため、県は2012年度から、県内全域のわな猟に限り、狩猟期間を現在(11月15日~2月15日)より1か月拡大して11月1日から2月末とする。従来はオス・メス合わせて1日1頭としていた捕獲頭数制限はオス・メスとも無制限とする。わな猟以外はメスのみ無制限とする。有害鳥獣駆除の基準も緩和し、1回の申請で許可する駆除期間を延ばし、捕獲頭数の増加を図る。伊豆半島だけを対象にしていたニホンジカの特定鳥獣保護管理計画を、12年度から県内全域に拡大するのに合わせて実施する。策定中の保護管理計画(2012年度からの5年間)では、県内の生息数を推計約4万1000頭に上ると初めて試算した。伊豆地域は約2万1000頭と最も多く、近年増加が著しい富士地域は約1万3000頭、富士川以西の南アルプス地域は約7000頭と推計した。県によると、ニホンジカが増えすぎるのを防ぐには、メスの数を一定に保つことが重要だとして、メスの生息数に目標数を設けた。伊豆地域は、2009年度の約1万5000頭を16年度に約7000頭に減らす。富士地域は約8000頭のまま増やさない。南アルプス地域は、詳細な生息状況調査ができていないため目標頭数を定めなかった。また、県は知事や市町長が許可する有害鳥獣駆除の基準も12年度から緩和する。保護管理計画の上位計画にあたる次期鳥獣保護事業計画(12年度から5年間)に盛り込む。農林業被害をもたらす野生動物の捕獲数増を図るとともに、農林業者の申請の手間を省く。1回の申請で許可する捕獲頭数を、例えばニホンジカは50頭から300頭に、イノシシは20頭から100頭に、カワウは100羽から300羽にそれぞれ大幅に増やす。駆除期間も2か月から6か月に延長する。また、アライグマやタイワンリスなど外来生物法で指定された特定外来生物は、日本固有の生態系に大きな影響を与えるとして、保護された場合でも安楽死させることを初めて明文化した。
(イノシシ市街地侵入防げ:香川)
香川県内の住宅地などでイノシシの出没が相次いでいることを受け、県は2012年度から目撃情報が多い地域をモデル地区に指定し、市街地への侵入防止策を強化する。市街地周辺の裏山などに最新式の囲いわな計5基を設置するほか、人里とイノシシの生息地帯を分離する緩衝地帯の整備を進める。今後、各市町と協議し、モデル地区として5地域を選定する。2012年度県一般会計当初予算案に「市街地イノシシ対策事業」として2000万円を盛り込んだ。導入予定の囲いわなは、複数のイノシシを一気に捕獲できるのが特徴。高さ2メートル、幅2メートル、奥行き4メートルのわな内で一定期間餌付けし、センサーで頭数をチェック、設定の頭数に達すると出入り口の扉が自動で閉まる仕組みになっている。警戒心の強い親イノシシも捕獲できるという。わなの設置場所は市街地から200メートル以上離れた裏山などの生息地帯とし、山間部で餌が不足する7月ごろまでに捕獲体制を整える。モデル地区では、イノシシの餌場となっている農地の管理方法や放置されたままの果樹の削減などを呼び掛けるワークショップを開催する。新年度当初予算案には、人里とイノシシの生息地帯を分離する緩衝地帯を整備する市町に対し、費用の2分の1を補助することも盛り込んだ。県みどり保全課は「わなの周辺に放置された果樹などの餌場があったのでは効果がない。地域ぐるみで取り組むことが重要」としている。県は昨年5月にイノシシ出没時の対応マニュアルを作成し、各市町などに目撃情報を提供するよう依頼。本年度は前年度の約2倍となる60件(17日現在)の情報が寄せられ、11頭を捕獲している。
(シカ、好き嫌い植物図鑑:熊本)
森の楽しみ方を市民にガイドする「九州森林インストラクター会」の会長、安楽行雄さん(70)(熊本市)が、植物を見て食害の程度を判断するための手引書「シカの被害が分かる図鑑」を出版した。シカにも好き嫌いがあり、嫌いな植物が茂っている森は緑豊かでも、好物がすでに食べ尽くされ被害が深刻なことに目を付けた。自治体などが行う食害対策の参考となるだけでなく、広く森の現状を伝える1冊になりそうだ。安楽さんは、熊本営林局(現九州森林管理局)の元職員で、国有林の管理に携わる中で植物やシカの食性に詳しくなった。シカが好物を食べ尽した場所に、今度は嫌いな植物が群生することから、図鑑では計105点の植物を「好き」と「嫌い」に分類し、カラー写真で紹介した。クズ(マメ科)やクヌギ(ブナ科)など、好きな植物が食べられていなければ、その一帯にシカは少なく、食害の心配は少ない。逆にマツカゼソウ(ミカン科)、ユズリハ(ユズリハ科)といった嫌いな植物が繁茂していれば、好きな植物はすでに食い尽くされており、「深刻」と判断する。また、嫌いな植物まで食べた痕跡があれば、生息数が過剰と考えられ、食害が一層進んでいる状態だ。九州には、森林面積から割り出した適正頭数の7倍を超える27万頭以上が生息していると推定され、農作物や人工林の被害が深刻化。希少種を含む草や樹皮が食い荒らされ、若木が育たなくなったり虫がすめなくなったりして、生態系も脅かされている。
(金嬉老事件、寸又峡温泉の旅館閉館へ:静岡)
ライフル片手にダイナマイトを抱えた殺人犯が、宿泊客らを人質に旅館に立てこもった金嬉老事件から20日でちょうど44年。昭和史に残る事件の舞台となった川根本町寸又峡温泉の「ふじみや旅館」が、近く閉館する。全国のお茶の間にテレビ中継され、劇場型犯罪の走りとされた壮絶な事件。人質だった女将の望月英子さん(73)は「元気なうちがいい」と廃業を決意した。静かな山あいの秘境温泉で、老舗旅館がひっそりと幕を閉じる。
ふじみや旅館は1950年、発電ダム建設に従事する技師や作業員らの簡易旅館として寸又峡で一番古い開業。62年に寸又峡温泉の開湯で温泉旅館となった。静かな温泉街と旅館を一躍、全国に広めた籠城(ろうじょう)事件は68年2月20日深夜、金嬉老元受刑者がたどり着いて始まった。望月さんは、寝たきりの義母を看病し、子ども3人と母屋で寝ていた。突然、夫和幸さんに起こされ、旅館2階「藤の間」に連れて行かれると、金元受刑者にすごまれた。「最初は、何がなんだか分からなかった。でも、コンロ2つを近くに置いて、どんどん炭を燃やして、炎はわあって上がってて。近くにダイナマイトはあるし、ライフルだって撃つし。子どもだけは助けたいって」事件は4日後の夕、金元受刑者が逮捕されようやく終わった。望月さんは少し早く22日朝、子どもと解放されたが、生きた心地がしなかったという。「あらためて聞かれると、嫌な記憶を思い出すけど、時間が解決したというか」。金元受刑者が一昨年、亡くなったこともあり、事件を静かに振り返ることができるようになった。18年前、和幸さんは病死。3人の子どもも独立した。旅館を手伝ってもらった妹も県外に去り、最近は事実上、廃業状態だった。望月さんは既に旅館と土地を売りに出しており、近く廃業届を出す。「18歳で嫁いで。こんな人生を送った人なんていないよ。未練がないといえばうそになる。ここでほとんど生きてきたんだから」と、半世紀の女将人生を振り返った望月さん。「私はもうできないから。やりたい人があれば、譲りたい。そういうのは元気なうちがいいのよ。だって、ここは温泉がいいでしょ」と寂しさを振り払うように言い切った。
(里のあばれん坊で町おこし:愛媛)
西予市が、農作物を荒らすイノシシなど有害鳥獣を駆除する「捕獲隊」を結成し、その肉や肉製品を一般向けに売り出している。商品名は「里のあばれん坊」で、商標登録済み。農家が頭を抱えてきた被害の軽減にとどまらず、「新たな食材による街おこしになる」として、イノシシ肉料理の提案にも取り組んでいる。同市によると、2010年度の有害鳥獣によるコメやミカンなど農作物の被害は約4500万円。うち、イノシシの被害は3年前と比べ800万円増の2450万円に上っている。同年度の有害鳥獣駆除期間中(4~10月)に捕獲されたイノシシは1018頭、年間では1500頭になるとみられるという。シカの被害も07年から徐々に増え、286万円と目立つようになった。しかし、猟友会などが駆除申請を市に提出してから許可が出るまでに約2週間かかり、ハンターが山に入った段階ではイノシシなどを見つけられないことも多かった。このため、市は昨年3月、猟友会メンバーを中心に「西予市有害鳥獣捕獲隊」を結成。すぐに駆除できるよう、捕獲計画に基づいてあらかじめ許可を出しておく仕組みに改めた。その上で、捕獲したイノシシなどの精肉加工を企画し、市内に処理加工施設「ししの里せいよ」(木造平屋70平方メートル)を約3000万円かけて建設した。30キロ以上の成体だけを処理し、これまでに約70頭を解体。産直市で精肉やソーセージとして販売されている。今月14日には試食会を開催。市内の料理店や加工業者など5団体から、「ぼたん鍋」のほかシチュー、ハム、コロッケ、ハンバーグなど11品が出品された。参加した旅館や飲食店、観光協会などの関係者ら約100人は、食べ比べながら「臭いがなくて食べやすい」「イノシシ肉の特徴があるほうが良い」などと感想を挙げていた。「ししの里せいよ」の舟本健施設長は「うまく処理すれば、最高級の食材になる」と言い、農家の主婦らでつくる「生活研究協議会」の西田美恵子さん(64)は「地域振興のため、おいしい食べ方を考えたい」と話していた。三好幹二市長は「天然の牧場にいるイノシシの肉を販売する、というような発想だ。〈猪(しし)料理が食べられる西予〉として全国に発信したい」と意気込んでいる。
(11年前放鳥のカモ捕獲:島根)
2001年3月に米子市彦名町の米子水鳥公園から標識の足環(あしわ)を付けて放たれた雄のオナガガモを安来市清瀬町の安原孝三さん(68)が猟で捕獲して飼育した後、17日に自宅前の安田川にこのカモを放した。渡り鳥の標識調査をしている山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)は「10年10カ月以上生存していることが実証され、貴重なデータとなった」としている。このカモは、張り網による狩猟を趣味にしている安原さんが、1月28日の夕方、安来市内に借りている休耕田の狩猟場で捕獲。足環が付いており、けがもなく元気だったため、自宅の専用の池で他のカモ十数羽と一緒にコメや白菜などを与えて飼育していた。足環については、島根県を通じて山階鳥類研究所と連絡を取り、このカモが11年ほど前に米子水鳥公園から放たれた幼鳥が成長したものと分かった。同公園と捕獲場所の距離は約4キロ。同研究所から安原さんに送られた礼状に貴重なデータとなったことが記されていた。今シーズンの狩猟期間が15日に終わり、安原さんと幸枝さん(67)夫婦は、カモを再び自然に返すことにした。夫妻はオナガガモが、毎年冬になると安来市周辺へ渡って来たとみており「元気に北へ帰り、また戻って来てほしい」と願いながら、姿を見送った。
(多彩なきじ料理満喫:愛媛)
鬼北町のきじ料理や農産物が並ぶ「きじ鍋まつり」が19日、同町岩谷の町農業公社であった。きじ肉を使った鍋のほか、串焼きやカレー、バーガーなどが販売され、大勢の家族連れでにぎわった。キジは町内の8農家が年間10~15トンを生産しており、特産品をアピールしようと2009年から同まつりを開いている。会場にはバーガーのソースやカレーの芳しい香りが漂い、来場者は屋台をのぞいて好みの料理を手に取っていた。寒風が吹く中、きじ鍋コーナーには行列ができ、料理で暖を取り笑顔で頰張った。ほかに地元産の野菜やどぶろくなども販売され、ちんどんクラブが演奏を披露した。

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2/17
(銃積んだ車盗難で所有者を書類送検:千葉)
市川市で先月、散弾銃1丁と実弾を積んだ車が盗まれた事件で、県警風俗保安課は16日、銃の所有者である市川市の自営業男性(67)を銃刀法違反(保管義務)と火薬類取締法違反(貯蔵)容疑で千葉地検に書類送検したと発表した。容疑は、1月28日午後9時半ごろ、法律に定められた基準に反して、自宅敷地内に止めたワゴン車内に散弾銃1丁と実弾121発を保管したとしている。男性は「翌朝、狩猟に行く予定だったが、朝早く銃を組み立てるのが面倒で前日、車に積み込んでしまった」と話し、容疑を認めているという。県警はこのワゴン車を盗んだとして、同31日までに男2人を窃盗容疑で逮捕しており、散弾銃と弾はすべて押収している。
(「わな特区」全国展開へ)
狩猟免許を持たない人でも講習を受ければ、わなによる有害鳥獣捕獲の補助者となることができる「わな特区」が4月から全国展開される。狩猟者が減り、高齢化が進む中、地域ぐるみによる自衛的な捕獲を進め、野生鳥獣による農業被害を防ぐのが狙いだ。だが、特区認定を受けた全国65市町村のうち、実際に活動までこぎつけたのはわずか。行政、猟友会、農家の合意形成が取り組みの成否のカギを握る。特区解禁は鳥獣被害対策の決め手になるのか。

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2/16
(シカに突かれ、女性けが:富山)
16日午前6時10分ごろ、富山県黒部市宇奈月町下立の無職、此川直美さん(62)が自宅前で、野生のシカに角で脚を突かれ、軽いけがをした。黒部署などによると、体長約1.5メートルのニホンカモシカとみられる。此川さんは車庫前で、飼い犬に近づいてきたシカを追い払おうとして突かれた。シカは逃げ、同署などが警戒を呼び掛けている。市の担当者は「ニホンカモシカは臆病。人を襲うことは珍しい」と話している。
(ウグイスの営巣場、シカ食害:北海道)
北海道内で普通に見られるウグイスが、洞爺湖に浮かぶ中島では確認できないことが道立総合研究機構・環境科学研究センターの玉田克巳主査と酪農学園大学生の研究グループの調査で分かった。営巣場所のササヤブがエゾシカに食い尽くされたのが理由とみられる。ウグイスの巣に托卵(たくらん)するツツドリも、道内では珍しい鳥ではないのにいない。鳥へのエゾシカの影響が明らかになったのは初めてだ。中島は5万年前の火山活動による溶岩ででき、直径は3キロ近い。1957~65年にシカ3頭が持ち込まれた後に急増。植物が大打撃を受けた。一時期より減ったが、現在も300頭余りいる。その影響を調べるため07~10年、繁殖期の5~7月に調査。岸辺と中央部の遊歩道各2キロを5回ずつ歩き、左右25メートルにいる鳥を姿と鳴き声で数えた。比較のため、目立った食害がない湖の西側の湖岸と林内も調査した。その結果、島内でウグイスを確認したのは、本格的繁殖期前の5月前半にたまたま飛来したとみられる1回のみ。密生したササヤブの中で、茎数本を支えに巣を作る習性があり、営巣できないのが理由と考えられる。一方、島外は68回に上った。ササヤブで営巣するコルリやエゾムシクイ、アオジも島外では再三確認したのに、島内ではそれぞれ3回以下だった。ササヤブをすみかとしないヒヨドリとアカゲラも確認できなかった。ただ、普通はササヤブからほとんど出ないヤブサメは島外と同じ20回確認。シカが食べずに残っているハンゴンソウとフッキソウの草むらにいた。玉田さんは「いるいないは、エゾシカの食害による直接的影響のほかにも個別に理由があると思う。今後の調査で迫りたい」と話している。
(イノシシカレー商品化したけれど…:福岡)
みやこ町は、農産物を食い荒らすイノシシやシカの肉を加工処理する「町有害鳥獣加工施設」で、4月から行橋市と苅田町で捕獲した分も受け入れる計画を進めている。これまでは町内分のみを加工していたが、イノシシ肉を使ったカレーの商品化などで需要が高まっている。供給が追いつかないため、十分な量を確保するのが狙いだ。解体処理室や冷凍保存室を備えた施設は、2010年4月から稼働。地元猟友会や農家でつくる「町鳥獣害防止対策協議会」が運営している。県に狩猟登録した町在住者が持ち込んだイノシシを1キロあたり500-千円、シカ件を同100-200円で買い取っている。町は肉をハムやベーコンに加工して「みやこ肉」の名前で販売。10年度には主力のイノシシ肉約160頭を処理し、うち120頭分の約330万円を売り上げた。昨年9月にはイノシシ肉を使った「みやこ肉カレー」を販売したところ、売れ行きも好調で肉の認知度も上昇。11年度は昨年度よりも消費量増加を見込んでいたが、2月までのイノシシの捕獲数は約50頭で昨年度の3分の1以下に減少。飲食店からのまとまった注文にも対応できず、品切れで個人客に提供できないこともある。山中の餌が豊富で、イノシシがワナを仕掛けているふもとまで下りて来ないためという。町は、町内での捕獲分を優先して処理するが、行橋市と苅田町からの受け入れ態勢を整える方針。「より多くの人にこの特産品を届けられるように、安定的に供給したい」としている。
(カモの飛来、今年は微増:神奈川)
県央地域県政総合センターは、1月8日から17日まで行った県央地域54ヵ所のガンカモ類の生息調査の結果をこの程発表した。確認された飛来個体数は37ヵ所でカモ類9種・3329羽と昨年に比べ367羽増えた。県全体では12011羽で昨年比97羽の減少。この調査は環境省からの依頼による全国一斉調査の一環として毎年1月中旬に行われているもの。今年で43回目。調査は宮ヶ瀬湖、津久井湖、相模湖、城山湖、相模原沈澱池、相模川など54ヵ所で行われた。個別の飛来種を見ると(カッコ内は昨年の結果)、オシドリ844羽(642羽)、カルガモ634羽(907羽)、マガモ564羽(357羽)、コガモ450羽(459羽)。オシドリとマガモの飛来が増え、カルガモが大幅に減っているのが目立つ。相模原区域の調査所では、宮ヶ瀬湖[清川村含む]が892羽(429羽)、相模川〔調査地点9カ所〕が488羽(757羽)、相模湖が380羽(350羽)、津久井湖が316羽(410羽)、相模原沈殿池が307羽(256羽)と多く、管内全体でも上位を占めている。調査結果について同センター環境部では「今年は昨年に続く寒波と、鳥の餌となる木の実などが豊富だったので、多くの飛来数を予想していましたが、思ったほどではありませんでした。県内全体でも昨年とほぼ同数だったので、寒波の影響はほとんどなかったものと推測できます」と分析している。
(「職場でいじめられた」猟銃乱射し1人死亡:韓国)
職場でいじめにあったという30代の男が15日、元同僚らに恨みを抱いて猟銃を乱射し1人を殺害した。西部劇のような事件が起きた。この日午前9時40分ごろ、忠清南道瑞山市(チュンチョンナムド・ソサンシ)の寿石(スソク)農工団地内の自動車シート製造会社で、3年前にこの工場に務めていた31歳の男が自身の乗用車に乗って猟銃を乱射し、同社従業員1人が死亡、2人が負傷した。肩と腹部に銃弾を受けた1人は近くの病院で救急治療を受けた後ヘリコプターで仁川(インチョン)の病院に移されたが重態だ。警察の調査の結果、男はこの日午前8時50分ごろに忠清南道唐津(タンジン)の交番に立ち寄り自身の所有になっている猟銃と実弾258発(散弾2580発)を受け取ったことが明らかになった。男彼は警察に「提川(チェチョン)に狩猟に行く」と話し、警察も特に疑うことなく銃と実弾を渡したという。唐津は今月20日まで狩猟が解禁されていた。銃はイノシシとシカを狩る狩猟用だ。男はすぐに工場に移動し、猟銃に実弾を装填した。当時駐車場にはこの会社の従業員6人がたばこを吸いながら談笑していた。男は車の窓を開け、従業員らに猟銃10発(散弾100発)を乱射した。男は銃を乱射した後ソウル方向に逃走した。警察も事件直後に工場からの通報を受け男の車両を追撃した。男は逃走しながら警察車両に向かって猟銃3発(散弾30発)を撃った。弾丸1発がパトカーの側面ガラスを貫通した。警察はテーザー銃(スタンガン)を発射して犯人を検挙した。男は検挙直前に除草剤を飲んだが命に別状はない状態だ。男は警察で「職場でいじめられ報復しようとした」と述べた。警察の調査の結果、男は2009年2月から3カ月にわたりこの会社に勤め、この日死亡した従業員は当時の部署責任者だった。男の電子メールには「工場勤務の時は苦しく大変だった」という文もあった。工場長は、「男は性格が小心で内省的なので職場生活できるか心配だった」と話した。警察は男が自分をいじめた職場の同僚らに恨みを持って犯行に及んだとみている。男が普段から被害妄想の症状を見せており、猟銃での射撃場面が出てくるコンピューターゲームを楽しんでいたという周辺の人たちの陳述もあり、正確な犯行動機を調べている。警察関係者は、「男の治療が終わり次第詳しい犯行経緯を追及し会社関係者たちも呼んで調査する方針だ」と話している。

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(シカ駆除頭数水増しで2男性を書類送検:滋賀)
滋賀県猟友会の一部の会員が有害鳥獣駆除事業で捕獲したニホンジカの頭数を水増しし委託料をだまし取ったとして、大津北署は14日、詐欺の疑いで会員の60代の男性2人を書類送検した。書類送検容疑は、2人は2010年秋、大津市が県猟友会に委託している有害鳥獣駆除事業に絡み、駆除した2頭のシカを4頭として市にうその報告をし、委託料3万5千円をだまし取った疑い。同事業は農作物の食害を防ぐため、県特定鳥獣保護管理計画に基づき各市町が、猟友会に委託して駆除している。シカ1頭につき、1万7500円が支払われている。大津市では昨年、シカを使い回して複数の写真に撮影する手口で、188頭分が過大に報告された疑いが発覚した。
(イノシシ基準値超え、廃棄処分に:茨城)
茨城県は14日、同県石岡市で捕獲したイノシシの肉から、国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したと発表した。出荷されておらず、廃棄処分にする。県によると、6~11日に捕獲した4頭のうち1頭から850ベクレルを検出。残る3頭は162~490ベクレルと基準値を下回った。政府は昨年12月、茨城県内のイノシシ肉の出荷停止を指示したが、石岡市で捕獲したものに限り、全頭検査を条件に出荷を認めていた。これまで20頭を検査、今回を含め4頭が基準値を超えた。
(サルの群れ行動域を調査:福岡)
小倉南区でサルによる食害が相次ぐことから、同区役所はサルの群れの行動域の調査に乗り出した。捕獲したサルに発信器を付けて放し、群れの位置や行動ルートを特定し、出没する前に対策を講じやすくする。区役所によると、市内のサルの目撃情報は同区に集中し、ここ数年は年間150~200件に上り、タマネギ、ダイコン、スイカなどの農作物が食い荒らされる被害が出ている。調査では、首につけた発信器から電波を受信して群れの位置を把握。毎日記録を取ることで、出没する可能性が高い地域を予測。事前に餌となる農作物を隠したり、追い払う準備をしたりして被害の軽減を図る。発信器を付けるサルを捕獲するため、小倉南区役所職員や地元住民らは同区井手浦の畑と休耕田の隣接地の計2か所にオリ(高さ70センチ、横60センチ、奥行き1メートル35)を設置。好物のサツマイモを仕掛けた。井手浦町内自治会の篠原政美会長(67)は「60匹くらいの群れで出没したこともあり、追い払うのも大変。今回の調査で少しでも被害が抑えられれば」と期待する。同区役所は「サルの群れの行動範囲を調べることで有効な対策を打ち出していきたい」としている。
(イノシシ、海越えて離島に襲来:山口)
これまでイノシシのいなかった山口県東部の柳井市の離島、平郡島(へいぐんとう)で、イノシシの目撃情報とイノシシによるとみられる農作物被害が相次いでいる。4キロ以上離れた周防大島などから泳いで渡って来たらしい。柳井市の平郡出張所によると、目撃情報は一昨年ごろから寄せられ、昨春から一気に増えたという。昨秋には特産のミカンやサツマイモを食べられる被害が続出した。子連れの姿を見た人も複数おり、島内で繁殖しているらしい。市農林水産課は、周防大島から海を渡って上陸したとみている。平郡島の海岸ではここ数年、周防大島対岸の北側を中心に死骸が見つかっていた。平郡東連合自治会長の境幸伸さん(68)は「泳いで来て力尽きたんじゃろう」と言う。
(ミツマタを新産業に:徳島)
シカなどによるスギの食害が深刻な那賀町木沢地区の林業グループが、スギを間伐した後の山林に自生する紙幣の原料となるミツマタの活用に取り組んでいる。ミツマタが食害に遭わずに成長していることに着目し、山間部での新たな産業に育てようと栽培方法などを研究。ミツマタを食害防止に役立てることも検討している。取り組んでいるのは、同地区の林業従事者でつくる木沢林業研究会。2011年夏ごろから、日本一のミツマタ生産地である三好市内の栽培地や加工場を視察して栽培や収穫、加工方法を学んでいる。研究会はこれまで、スギを伐採した後にスギの苗木を植えて、シカが入らないように防護ネットを張り巡らしてきた。しかし、苗木が食べられる被害が後を絶たず、いたちごっこが続いていた。同地区では、スギを間伐した後の山林でミツマタが食害に遭わずに群生しており、研究会は経費や手間を掛けずに育てられると着目。すでに同町出羽の民有林で約750キロを収穫し、加工業者に納入している。今後、約1・5ヘクタールの栽培地を作り、今春には2千本を挿し木して栽培する予定。スギの苗木と一緒に植えるなどして、食害防止効果も確かめる。研究会会長の亀井廣吉さん(63)は「ミツマタはシカと共生できる作物。軌道に乗せて雇用につなげ、地域を活性化したい」と話している。
(白イノシシ捕獲:大分)
豊後大野市の祖母山のふもとである白い動物が、捕獲されました。檻の中を暴れまわるイノシシ。このイノシシは豊後大野市緒方町の児玉容一さんがきのう祖母山のふもとで捕獲したものです。NPO法人おおいた生態多様性保全センターによりますと、生まれながらに毛の色素を失った個体「アルビノ」ではないかということです。ポーズ祖母山の麓ではここ数年、白イノシシの目撃が相次いでいました。今回、捕獲された白イノシシはメスで、児玉さんは希望者がいれば譲りたいと話しています。

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