<射撃ニュース8月>

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(クレー射撃協会、役員人事混乱、改善計画書を提出へ)
役員人事をめぐる混乱からの正常化を目指す日本クレー射撃協会は21日、東京都内で麻生太郎会長らが出席して理事会を開き、9月末に役員改選を実施することなどを盛り込んだ協会運営の改善計画書を日本体協に提出することを決めた。日本体協は同協会に勧告処分を内示し、正常化に向けた具体的な方策の提示を求めている。理事会では、この3年間の協会運営を行いながら役員人事をめぐる裁判で敗れた平井一三理事らに対し、弁護士費用など協会予算から不当に支出した2400万円の返還を求めることも決めた。21人の理事のうち出席者は委任を含めて12人だったが、現在は平井氏ら8人が資格停止処分となっているため、理事会は成立した。
(クマに襲われ、の男性けが:群馬)
23日午前11時20分ごろ、片品村東小川の林道で、自転車で走行中の神戸市、配管工の男性(41)=韓国籍=がクマに襲われ、右腕や右太もも、左胸などをかまれて軽傷を負った。沼田署によると、クマは体長約1・7メートルで、付近に体長約1メートルの子グマ2頭がいたという。男性は知人女性(34)と同村で開催されるトライアスロン大会「エクステラジャパン・チャンピオンシップ丸沼大会」に参加予定で、2人でコース予定の林道を試走中だった。女性にけがはないという。大会事務局によると、同大会は04年から同村で開かれ毎年約600人が参加する。「エクステラ」と呼ばれる自然の中で行うトライアスロンで、世界選手権予選も兼ねているという。大会事務局は「しっかりと安全対策をとり、大会を開催する方針」としている。
(クマ出没、雄1頭を捕殺:長野)
塩尻市贄川地区でクマが出没し、養蜂場や民家に被害が出ている。二十一日には仕掛けたおりに一頭がかかり、市猟友会により射殺された。市農林課によると、市内各地で目撃情報が相次いでおり、注意を呼び掛けている。クマが捕殺されたのは、同地区の漆器製造販売業黒木末蔵さん(77)の養蜂場。黒木さんによると、クマは八月初旬から出没し、これまでに養蜂箱が襲われた他、物置に保管しておいた蜜の付いた道具などが荒らされた。ドラム缶製のおりを仕掛けたが、クマが斜面に落としてしまい、新たに金網製のおりを設置。二十一日朝、体長一・一メートル、体重四〇キロの四歳ぐらいの雄がかかっていた。黒木さんは一昨年も養蜂箱を襲われ、大きな被害を受けた。養蜂場は周りを電気柵で囲み、場所によっては二重に張り巡らせたが、支柱を倒して侵入するという。黒木さんは「クマはずる賢くなる。捕獲後、お仕置きして山に返す放獣では効き目がない」と話す。この養蜂場から北へ一キロ余の国道19号沿いの民家では十九日夜、敷地内のプレハブ小屋が荒らされ、中にあった漬物容器を外に引き出し、食べた跡があった。市農林課によると、クマの目撃情報は四月以降、四十九件。贄川や奈良井の楢川地域以外にも洗馬、宗賀、北小野と広範囲にわたる。人家近くの目撃が多いのが特徴で、市猟友会の塩原基宏会長は「人に危害を及ぼす恐れも高まっている」と警戒している。
(住宅地近くにクマ出没:岩手)
25日午前9時ごろ、奥州市水沢区佐倉河の水田地帯にクマが出没した。目撃情報を受けて水沢署は一時追尾したが、クマは畑に逃げ込むなどして姿をくらましたという。同署や市は引き続き市民に注意を呼び掛けている。同署には同日午前9時すぎから複数の目撃情報が寄せられ、署員が出動。同署によると、一時はクマの姿を確認し追跡したが、クマが畑の農作物の中に逃げ込むなどして午前11時ごろ、姿を見失ったという。現場は水沢インターチェンジ南東側の県道(通称・西環状線)沿いの約1キロにわたる区域。交通量が多い道路沿いには田んぼが広がり、民家が点在。近くには住宅地がある。
(仏間にクマ侵入:岩手)
24日午前0時20分ごろ、岩手県宮古市田老、農業畠山清三さん(79)方の1階の仏間にクマがいるのを妻キクエさん(79)が見つけ、畠山さんが110番した。クマはキクエさんが大声を上げると窓から逃げた。畠山さん宅は2人暮らしで、2人ともけがはなかった。県警宮古署などによると、仏間は当時網戸になっていて、網戸が破られていたことから、クマは網戸を破って侵入したとみられる。仏壇に供えていたリンゴやナシが食べられていた。キクエさんによると、仏間の隣の部屋で寝ていたら物音がしたといい、「クマと目があった時は怖くて思わず叫んだ。自分の体よりも大きかった」と話した。
(ツキノワグマ捕獲、身体計測後に山へ:和歌山)
和歌山県は24日、ツキノワグマを湯浅町山田地区の山林で捕獲したと発表した。同日午前6時50分ごろ、県が仕掛けた捕獲用のおりに掛かっているところを、地元の男性が発見した。専門家らが身体計測をした後、山に返した。県自然環境室によると、捕獲したクマは体長約1・3メートル、体重65キロ、推定10歳の雄。山田地区内では、7月中旬から今月中旬にかけて養蜂箱が荒らされる被害が数回あり、県有田振興局が今月22日に捕獲用のおりを設置していた。本年度のツキノワグマ捕獲は2頭目。6月に紀の川市桃山町で捕獲され、山に返している。
(クマ目撃される:栃木)
26日午前5時ごろ、日光市足尾町神子内の国道122号旧道沿いの山林で、クマ1頭を目撃したと、散歩中の近所の人が日光署に通報した。同署で警戒を呼び掛けている。同署によると、クマは体長約60センチで子グマとみられ、木に登っていたという。
(クマ目撃:栃木)
23日午後1時35分ごろ、日光市中宮祠の木道近くのササやぶでクマ1頭が目撃された。日光署は警戒を呼び掛けている。同署によると、クマは体長約1・5メートル。戦場ケ原から小田代ケ原までの木道を歩いていたハイカーが目撃したという。
(クマ目撃相次ぐ:北海道)
22日午後5時20分ごろ、札幌市中央区盤渓の幌見峠頂上付近の市道で、体長約1メートルのクマ1頭が道路を横切るのを近くにいた男性が目撃。また同日午後6時10分に同区盤渓の道道のバス停付近で道路を横断するクマ1頭を車を運転中の女性が、さらに同6時20分ごろに同じ場所で2頭のクマが横断するのを、運転中の男性が目撃し、それぞれ110番通報した。目撃されたのは市立盤渓小学校や高齢者福祉施設の近く。札幌市などが周辺住民に注意を呼び掛けている。
(月末までのクマの目撃最多:秋田)
秋田県内でことし、7月末までのツキノワグマの目撃数が297件に上り、統計を取り始めた2001年以降、同時期比で過去最多となっている。ブナの実など山の中の餌不足が続き、人里に出てきているためとみられている。8月に入りクマに襲われる人も出ており、県内の自治体は注意を呼び掛けている。県自然保護課によると、7月末までの目撃数として最も多かったのは10年の257件。ことしはそれを40件上回った。この中には、横手市の横手公園内で目撃されたり、秋田市御所野の住宅街近くで目撃された報告もある。8月上旬には、湯沢市の男性が自宅近くの山林でクマに襲われ、頭などにけがをした。クマが多く目撃されるようになった主な原因は、餌となるブナの実やドングリの不作が続いているからだという。県自然保護課の阿部雅弘課長は「加えてことしは、大雪の影響で春の山菜の芽が出るのが遅くなり、冬眠からさめた後、腹をすかせて人里を歩き回ったのではないか」と話す。一方、独立行政法人森林総合研究所東北支所(盛岡市)生物多様性研究グループの堀野真一グループ長は「捕獲が自粛されていて、個体数が多くなっている可能性がある」と推測する。また、クマと人間の境界線になっていた地域で、過疎化や高齢化によって農家の耕作放棄が増えているのも要因の一つだとみる。「クマが山から出てくる通路として好都合になっている」と堀野グループ長。このほか、餌となる柿の実などが放置されていることも目撃数の増加に関係しているという。秋田県警によると、7月末現在、県内の警察署の中で最も目撃数が多いのが大館署管内の59件。大館市比内町では、鶏舎で比内地鶏のひなが約250羽(約7万5000円相当)襲われ、養蜂場では蜂の巣箱計4個(約22万円相当)が荒らされた。このため、同市は7月下旬、庁舎内に市クマ出没警戒対策室を設置。芳賀宰室長は「市内でのクマの目撃数の多さや被害の大きさは例年では考えられず、異常な状態」と言う。「できるだけ畑にクマの餌になるようなものを置かないこと、山に入る時は万一に備えて複数で入ること。クマに遭遇したら、慌てずに距離を取ってほしい」と話している。
(クマに注意、食害・目撃相次ぐ:青森)
大鰐、横浜、むつ、鯵ケ沢、佐井の5市町村で24日夜から25日にかけて、クマに農作物などを食い荒らされたとみられる被害が4件あったほか、クマの目撃情報4件が各警察署などに相次いで寄せられた。各署によると、食害に遭ったのは、大鰐町虹貝の自営業男性(77)方で、養蜂箱1箱の蜂蜜▽横浜町家ノ前川目の大豆田小学校から南約500メートルの畑で、トウモロコシ約30本▽同小学校から南約1キロの畑で、トウモロコシ約100本▽むつ市田名部の早掛沼公園前バス停から北東約300メートルの畑で、トウモロコシ約150本。また、クマの目撃情報は、大鰐町早瀬野の生活体験学習館から北約600メートルの県道(24日午後10時50分ごろ)▽鯵ケ沢町赤石町の旧赤石小学校付近の県道(25日午前0時15分ごろ)▽鯵ケ沢町松代町の土倉橋からミニ白神方向に約100メートルの県道(同午前8時20分ごろ)▽佐井村佐井の磯谷地区公民館から南約700メートルの国道338号(同午前8時15分ごろ)。
(クマの目撃数が倍増:群馬)
県北部や西部の山間部を中心に、ツキノワグマの目撃情報が増えている。今年4〜7月の目撃情報は、前年同期比169件増の330件。11年の年間目撃件数251件を早くも上回った。現在は、繁殖時期に重なりクマの活動が活発になるため、県や県警は、注意を呼びかけている。県自然環境課によると、月別の目撃件数の内訳は、4月19件(前年同月比10件増)▽5月58件(同34件増)▽6月106件(同48件増)▽7月147件(同77件増)。いずれの期間も、前年同期比で約2倍ずつの増加だ。また、人間がクマに襲われ、けがをすることも増えている。今月23日には、片品村の林道を自転車で走っていた神戸市の男性(41)が体長約1・7メートルのクマに襲われ、右腕や右太もも、左胸に軽いけがをした。負傷者は、11年は年間で1人だったが、今年はすでに4人いるという。群馬サファリパーク」(富岡市)でツキノワグマの生育などに携わる担当者は、猛暑で、クマの餌となる木の実が減り、えさを探して人間の生活圏に入り込むことが目撃件数増加の要因と分析。ハイキングなどで捨てた弁当の残りを物色するなど、クマが人間に慣れてきてもいるという。この担当者は、山に入る際の注意事項として、「鈴やラジオなどをつけて、人間の存在をアピールすることが大切」と指摘し、クマに遭遇した場合も、「走って逃げたりして刺激せずに、目を見て静かに立ち去ること」と話している。
(クマ出没ご注意を、ブナ大凶作で人里へ:新潟)
今秋、クマの餌となるブナが大凶作となる見込みであることから、ツキノワグマが例年に比べて大量に出没する可能性があることがわかり、十日町市立里山科学館などが注意を呼びかけている。クマを駆除しすぎると絶滅の恐れがあることから、研究者らは「クマと共生しながら被害を防ぐ方策を準備することが重要」と訴えている。県などによると、クマは冬眠に備えて秋に大量の餌を食べる。主食は栄養価の高いブナなどの木の実で、木の実が不作の場合、多くのクマが食べ物を求めて人里に来ると言われている。十日町市立里山科学館「森の学校」キョロロの小林誠研究員(植物生態学)によると、同館近くの森で64本のブナの開花率を調査したところ、開花率は0%で大凶作になると考えられ、クマの出没リスクが非常に高いという。クマが大量に出た2006年度や10年度の開花率はいずれも1割未満だった。06年度は通常より5倍ほど多い1080件の出没情報があり、襲われてけがをした人は例年(1~3人)より多い11人に上り、10年度も1229件の出没が確認され、襲われた人は11人いた。クマの大量出没に備えてもらうため、同館など4団体は7月にパンフレットを作成。県を通じて佐渡市を除く全29市町村の担当課に配った。パンフレットでは、〈1〉鈴などを携帯してクマに出会わないようにする。万一に備えてクマ撃退スプレーを持つ〈2〉畑や果樹園は電気柵で囲って、クマが農作物に近づけないようにする〈3〉農地や集落周辺では、下草ややぶを刈り、見通しを良くしてクマの隠れ場所をなくす――ことなどを呼びかけている。新潟大の箕口秀夫教授(生態学)は「9月以降、人里に出没するクマが急増する恐れがある。集落で餌がとれることを学んでしまうと、追い払っても何度も来てしまう」とし、「カキの早めの収穫、残った作物の処分の徹底、残飯を外に出さないことなどに取り組んでほしい」と話している。県はクマを過剰に捕獲して絶滅させてはならないとして、昨年9月、クマの個体数を維持する責任を盛り込んだ保護管理計画を策定した。県環境企画課は「クマが人里に降りにくく、殺さなくて済むような環境づくりをしたい」として、耕作放棄地の草を刈るなど、人が住む地域との緩衝帯の整備や、クマが生息する山林の保全を進めていくことにしている。
(クマ目撃情報:富山)
25日午前4時35分ごろ、富山市八尾町福島上野の住宅街で、体長約50センチの子グマ1頭が道路を横切るのを通り掛かった人が目撃した。富山西署員や猟友会員、市職員が現場をパトロールしたが、足跡などは見つからなかった。
(クマ目撃情報:富山)
22日午後3時40分ごろ、南砺市利賀村大豆谷の国道471号で、成獣とみられるクマ1頭が道路を横切るのを車で通り掛かった男性が目撃し、南砺署に通報した。連絡を受けた市が地元住民に注意を呼び掛けた。
(クマ目撃情報:富山)
21日午前11時40分ごろ、小矢部市松永の市道倶利伽羅源平ライン沿いの万葉公園付近で、車で通り掛かった男性が親子とみられるクマ2頭を目撃した。2頭は体長約1メートルと30~40センチで、道路脇の山の中へ逃げて行ったという。連絡を受けた市職員が現場を確認したが、足跡は見つからなかった。
(ツキノワグマ学習会:岡山)
保護から有害捕獲へ。人里にやってくるツキノワグマをめぐり、県は今年度から、出没が頻繁な場合は殺処分する新たな方針に切り替えた。住民の安全・安心の確保を第一に掲げた保護管理計画の転換で、多発時期を前に、県内で出現例が最も多い美作市内では住民を対象にした学習会が開かれ、被害防止策などへの理解を求めた。学習会は23日にあり、住民のほか、学校関係者や鳥獣保護員、猟友会、行政関係者ら約100人が参加。県内では人に危害が及ぶ事故は起きていない。しかし、クマの出没で住民の精神的被害が問題化しているのを受け、県は殺処分の基準に関し、従来の再捕獲した時に限る条件から、初めての捕獲時でも場合によっては可能とする-などの変更点を説明。また、兵庫県尼崎市の市民団体「東中国クマ集会」の望月義勝事務局長ら専門家が、クマと人間の棲(す)み分けを図る注意点を解説。クマが人里へ執着してしまうことになる木の実などは放置しない▽農作物保護には電気柵が効果的▽クマは臆病な動物なので鈴やラジオの音で人間の存在を知らせる▽クマに遭遇したらあわてずにゆっくり後ずさりする-ことなどが伝えられ、参加者はクマの生態や被害防止法を学んだ。県など東中国地域に生息するツキノワグマは、環境省のレッドデータブックで絶滅のおそれのある個体群に指定されている。県内では約10頭とされていたが、現在は少なくとも39頭が確認されているという。
(ヒグマも都会好き?:北海道)
札幌市内でこの夏、ヒグマの目撃が相次いでいる。7月5日には南区の芸術の森近くで測量作業員が大型のヒグマを発見、7日に野外ステージで開幕したパシフィック・ミュージック・フェスティバルの売店出店が取りやめになるなど、さまざまな影響が出ている。昨年秋にも住宅地で多くの目撃情報が寄せられたが、札幌のヒグマにいま何が起こっているのか。この夏の札幌市のヒグマ目撃情報は7月3日、南区の藤の沢小学校前の道路を登校時間に横切ったというのが始まりだった。同じ日には近くの果樹園でハスカップの実を食べているヒグマが目撃されたほか、5日には同区の芸術の森近く、7日には中央区盤渓(ばんけい)のウイングばんけいテニスガーデン近くに出没。盤渓付近では22、23、27日、8月3日にも目撃されており、警察官や市職員らが警戒しているほか、住民に注意するよう呼びかけている。同市みどりの推進課の長谷川正彦みどりの活用担当課長(54)によると、今年は例年になくヒグマの出没時期が早いという。昨年は、普通なら目撃されない10月に集中したが、ドングリの不作で餌を求めて市街地近くまで下りてきたのが理由ではないかとされた。「でも今の時期に出てくるのはドングリがないからという理由ではない」と解説するのは、ヒグマの生態に詳しい道立総合研究機構環境・地質研究本部の間野勉企画課長(52)だ。間野さんによると、生まれて2年目になる子グマはこの時期、母グマから自立せざるを得なくなるが、クマの社会の中で最も弱い立場なので、他の雄グマの脅威から逃れようとして人間の生活空間に現れるのだという。「若い個体なので好奇心も強く、そのときに生ゴミや果樹園の果物などを簡単に口にできると、ここはいいところだと勘違いしてしまう。犬のしつけで、人にかみついたりほえたりしてはだめだということを子犬のころに教え込まないと、親犬になってしかっても直らないのと同じです。クマはクマらしく、人は人らしく、お互いわきまえたよそよそしい関係が大事なんです」と強調する。一方、日本クマネットワークの代表を務める北海道大学獣医学研究科の坪田敏男教授(51)は「日本全国、どこもクマの分布が広がっていて、いつでも住宅地に現れる状態」と指摘する。坪田さんによると、北海道は本州ほど顕著ではないものの、人里に近い里山の過疎化が進むことで野生のすみかと化す傾向があるという。ただ札幌市のような人口190万人もの都会にヒグマが出るような都市は世界でも珍しく、「いつ人身事故が起きてもおかしくない。早急に予防策を講じる必要がある」と警鐘を鳴らす。市では現在、目撃情報が相次ぐ地域の果樹園などに電気柵を導入することを進めているほか、小学校などでクマの生態を知る出前講座を開き、子供たちへの啓発に努めているという。だが道立総合研究機構の間野さんは、現在の予防では不十分だと主張する。「たとえばゴミステーションは、クマに壊されないような頑丈な金属製のものにすべきです。生ゴミで餌付けするようなことがあってはならない。さらに現在は危機管理を猟友会など民間に頼っている。アメリカやカナダでは州政府のレンジャーがいて行政が責任を持って対応しているが、そういう仕組みが必要です。啓発教育も不十分で、子供たちはまるでテロリストや凶悪犯人が近所に潜んでいるみたいに思っているのではないか」と間野さん。日本クマネットワークでは、ヒグマの毛皮やふんの模型、クマスプレーなどを詰め込んだトランクキットを学校や環境教育に携わる人に無料で貸し出して、クマの生態を知ってもらうよう活動している。だが、代表を務める北大の坪田教授によると、市の教育委員会にもアプローチはしているものの、あまり関心を示していないという。「過剰に怖がる必要はないが、逆にかわいい動物として扱うのも困る。全く知識もなくクマが出没する可能性のある街に住んでいるのはよくない。小学生のうちに学校教育で学んでおけば、対処できる土壌は生まれるはずです」と強調する。これに対し、市みどりの推進課の長谷川課長は「生ゴミは収集日の朝に出すよう周知しているが、今まではカラス対策というのが大きかった。これからはヒグマ対策も考えなくてはと思っています。教育に関しては、市で環境問題の副読本を作っていますが、そこにヒグマのことも含める必要があるのかもしれない。前向きに検討したい」と話している。
(雑種犬イチロー、体内に散弾20個:栃木)
宇都宮市内の会社員女性(40)が飼っているオスの雑種犬「イチロー」の前足や体に、散弾銃の弾とみられる鉛粒約20個が入ったままになっている。今夏に動物病院を受診し、被弾していたことがエックス線検査で初めて分かった。同市内の鬼怒川河川敷に捨てられていた5年前、女性に保護されたイチロー。その少し前、足を引きずって歩く姿が目撃されていたという。狩猟者らが故意に狙い撃ちした可能性もあり、命の重さをめぐるモラルが問われている。女性によると、イチローの推定年齢は7歳。体調は良好で、体重も約17キロと中型犬としては大きい方という。女性は7月、イチローの右前足に小さな黒いイボのようなものがあることに気づき、宇都宮市清住1丁目の動物病院「アニマルフレンド」を受診。獣医師の赤坂直比古院長(63)が直径約1・5ミリの鉛粒3個を摘出した後、エックス線検査で両前足や腹に約20個の影があることを確認した。散弾銃を使うクレー射撃の経験がある赤坂院長は、「鉛粒は散弾に間違いない。狙って撃たないと、このように体内に残ることはないのではないか」と強調する。赤坂院長は「鉛粒が長期間体内に滞留すると、中毒で体調を崩す可能性がある」と懸念する。女性は近く摘出手術を受けさせるつもりだ。
(シカ目撃情報を教えて、対策連絡協がチラシ配布:長野)
環境省、林野庁と長野、岐阜、富山、新潟4県などでつくる中部山岳国立公園野生鳥獣対策連絡協議会は今月、北アルプスで分布を広げるニホンジカの目撃情報を提供するよう、登山者らにチラシで呼び掛けを始めた。高山植物を大量に食べて壊滅させるなどの影響が懸念されるシカの詳しい分布状況を調べ、対策に生かす。北アでは2010年以降、長野県側の白馬岳中腹や上高地近くの登山道沿いでシカが目撃されたり、岐阜県側の乗鞍岳高山帯でふんが確認されたりしている。これを受け、同連絡協は「白馬岳」「上高地―乗鞍岳」へのシカの侵入対策を急ぐ方針。分布状況を元に、駆除を優先する地域の判断などに活用する。チラシは南アルプスで高山植物群落がシカに食べ尽くされた現状や、シカとカモシカの見分け方を写真で説明。目撃位置を書き込む地図や日時、頭数などの記入欄がある。情報を提供する人は、同連絡協事務局の環境省松本自然環境事務所にファクスなどで送る。同事務所は「調査が美しい自然を守ることにつながる」と協力を呼び掛けている。チラシでは、イノシシの目撃情報も募っている。
(被害相次ぐ戸隠森林植物園、イノシシが荒らす?長野)
長野市戸隠の戸隠森林植物園でことし、野生動物にミズバショウの葉が倒されたり、地面を掘り返されたりする被害が相次いでいることが26日、分かった。一帯の野生動植物を調査している同市のNPO法人ラポーザは、自動撮影カメラでイノシシやツキノワグマなどの姿を撮影。国や県、同市などでつくる戸隠森林植物園管理運営協議会は9月に担当者同士の会合を開き、対応策を話し合う。標高約1200メートルにある同植物園は、広さ約70ヘクタール。ミズバショウの群落をはじめ、コバイケイソウやカタクリなど多様な植物が育つ。しかし、ことし6月以降、ミズバショウの葉が倒されたり、地面が掘り返されて植物の根がむき出しになったりした箇所が相次いで見つかった。ラポーザが5月上旬、もともとツキノワグマの生態を探る目的で園内の遊歩道沿いの計10カ所に自動撮影カメラを取り付けたところ、6月下旬に外周路周辺でイノシシを計3回撮影。7月には植物園中心部を含めて計14回写り、特に7月下旬になって写る回数が増えたという。ラポーザの荒井克人理事長(32)は「7月に入って、掘り返された跡が急に増えた」と説明。調査では他にもツキノワグマを5~7月に計33回、ニホンジカを7月に2回、それぞれ確認しているが、ことしは特にイノシシの活動が目立つという。荒井理事長は「これまでにない被害。景観も損なわれ、植物の生態系にも影響する。どう向き合うかが重要だ」と指摘。県環境保全研究所(長野市)の岸元良輔・自然環境部長(59)は「イノシシは生息分布を広げる可能性があり、早めに対策を講じなければならない。同時に経年的に個体数の変化をつかむため、調査を続けていくことが必要」と話している。
(初めてイノシシ撮影:長崎)
JA壱岐市、同市、県などでつくる壱岐地域鳥獣被害防止対策協議会(会長・江川常博同JA農産園芸部長)は22日までに、同市石田町池田東触の山中に設置したセンサー式カメラでイノシシを初めて撮影した。今後、一帯で餌付けし生息域を確認するほか、目撃情報を求めるビラを配布する。イノシシは生息していないとされてきた同市だが、2010年6月に郷ノ浦町の海岸でイノシシらしき動物が目撃されて以降、島南部から東部にかけて、市民から足跡などの情報が20件以上寄せられた。同協議会は対馬市のハンターの協力を得るなどして捕獲を試みたが発見には至らず、今年2月から7月まで足跡などは見つかっていなかった。池田東触の水田で今月8日と10日の2回、足跡が発見され、同協議会はその周辺に10日、カメラ7台を設置。11日午後8時ごろに体長約1メートルのイノシシ1頭が撮影されたことを17日に確認した。壱岐市の谷村孝臣農林課長は「繁殖すれば農家に多大な被害が出る。早期捕獲を目指す」と話した。
(サザビーズ欧州部門会長、狩猟中に顔に誤射受ける)
競売会社サザビーズの欧州部門、サザビーズ・ヨーロッパのヘンリー・ウィンダム会長は、スコットランドでのライチョウ猟の際に顔に誤射を受けたと、英紙デーリー・テレグラフが報じた。眼鏡をかけていたため、視力の損傷は免れたという。テレグラフによると、ウィンダム会長(58)はヘリコプターで病院に搬送され、散弾による52カ所の傷の手当を受けた後、退院した。同紙が同会長の親族の話を基に報じた。サザビーズは電子メールで、「ヘンリー・ウィンダム氏はライチョウ狩場で事故にあったが、現在では急速に完全な回復に向かっている」とコメントした。
(北極海にイッカクを追う、イヌイットの伝統猟)
北極圏のグリーンランド・カナックでは、イヌイットによる銛(もり)とカヤックを使った伝統的なイッカククジラ猟が行われている。乱獲防止のため銃を使わないこの猟法は現在、カナック以外ではほとんど残っていない。イヌイットと一緒に極北の海にイッカクを追った。学校の校舎ぐらいはある巨大な氷山があちこちに浮かぶ北極海。地元猟師イラングワさん(52)と2人で小型ボートに乗り込み、氷山の間を縫うように進む。「ガン、ガン」。時折、小さな氷山が船底に当たる。イッカクは口から長く突き出た角のようなとがった牙が特徴。架空の動物ユニコーン(一角獣)のモデルとされ、主に北極海に生息する。カナックでは銃の使用を禁じ、捕獲も年80頭に制限している。氷海を進むこと2時間。イラングワさんが、アイスアンカーと呼ばれるいかりをトラックほどの氷山に投げ入れた。後は氷山と一緒に漂うだけ。気温10度。双眼鏡を手にイッカクが現れるのを待つ。8時間粘ったが現れず、ボートを岸に付けて寝袋に潜り込む。翌日も同様、朝からひたすら待つ。イラングワさんは本を読み始めた。5時間後。「プファー、プファー」。イラングワさんの目つきが変わった。指さした方向にいくつかの黒い背中、列をなして泳いでいる。イッカクの呼吸音だった。ボートにくくりつけたカヤックに素早く乗り込んで漕ぎだし、海面を滑るようにイッカク追う。後ろから迫る。セイウチの牙で作った銛を構え、大きく右手を振り抜いた途端、海面が大きく波打った。驚いたイッカクは水中に。ひも付きの銛にはアザラシの皮で作った浮袋がついていて、海面に漂う。これでイッカクが浮かんでくるのを待つ。5分、10分…。浮袋は動かない。イラングワさんが申し訳なさそうな顔でボートに戻ってきた。「うまく刺さらなかった。こんなに大きかったのに」と両手を広げてみせた。晩ご飯は「ナヌッ」。シロクマの肉だ。塩ゆでにする。透明感がある脂が赤身とよく合う。シロクマは絶滅の危機にあるとしてワシントン条約に登録され、毛皮の取引が制限されている。しかしイヌイットにとっては食料であり、毛皮は貴重な収入源。乱獲防止のため、カナック周辺地域ではライセンスを持った漁師たちが年計6頭しか捕ってはいけないルールだ。翌日も待ったがイッカクはついに捕れなかった。港に戻ったイラングワさんは、6月に捕った約2メートルのイッカクの牙を見せてくれた。工芸品の材料として高値で取引されるという。人口約600人の小さな村カナック。伝統的なこの猟をできる人は近年、減ってきている。
(凍らぬ海峡、アザラシ捕れず)
北緯77度、北極圏のグリーンランドで先住民イヌイットと狩猟生活をしながら約40年間暮らしている日本人がいる。大島育雄(おおしま・いくお)さん(65)。かつて氷上を犬ぞりで渡ることができた海峡は近年、凍らなくなり、伝統的なアザラシ猟が難しくなった。極北の地で温暖化を身近に感じてきた大島さんと猟に出た。幅約60キロ。グリーンランドとカナダの間に広がるスミス海峡。「ここらはかつて6月でも凍っていた。カナダに犬ぞりでよく行ったもんだ」。7月、大島さんが船で連れて行ってくれた場所は青い海が広がっていた。冒険家の故植村直己(うえむら・なおみ)さんが1975年に犬ぞりで横断したこの海峡を2005年以降、犬ぞりで渡った人はいないという。パーン。氷河が浮かぶ海に猟銃の音が響く。約200メートル先で海面が赤く染まり、アザラシが浮かんだ。「最近は冬に氷が張らず、猟ができる時期が短くなった」。冬季、太陽が昇らない「極夜」となる。真っ暗な中、イヌイットは氷上にマンホールほどの穴を開け、海中のアザラシの「通り道」に網を仕掛けて捕る。かつて10月から翌年6月まで張っていた氷は、90年代半ばから12月から5月ごろまでになった。大島さんは日本大学で山岳部に所属。日本人で初めて北極点に到達した隊のメンバーだ。初めてシオラパルクを訪れたのは72年。当時、シオラパルクに滞在していた植村さんやイヌイットに犬ぞりや極地での生活方法を教わった。狩猟生活が肌に合い、そのまま居つきイヌイットの女性と結婚。現在9人の孫がいる。「面白いところがあるんですよ」。大島さんが船外機を付けた小さな船で連れて行ってくれたのは氷河の末端。氷河下の海底から湧き水のように水が噴き出し、海面が所々盛り上がる。上空には無数の鳥が舞う。研究者によると、噴き出す水は真水。氷河表面が解けて落ち、末端から出てくるとみられる。アザラシやセイウチなどを捕り、自然とともに暮らしてきた大島さんは、自然の変化に敏感だ。村周辺の海ではかつてはなかった海藻や貝が増えてきたという。風景も変わった。村から見える氷河も40年前は真っ白だったが、海岸から陸に向けて茶色の山肌があらわになってきた。「あの氷河、将来はなくなっちゃうだろうな」。真っ黒に日焼けした大島さんが寂しそうにつぶやいた。

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(クマに襲われ棒で抵抗:秋田)
18日午前6時ごろ、秋田県能代市にある幟山の林道で、近くに住む会社員の男性(68)が、やぶの中から出てきた体長約1メートルのクマに襲われた。男性は肩などに軽いけがをした。県警能代署によると、男性はウオーキング中だった。クマが突然突進してきて倒されたが、男性が持っていた棒で抵抗すると逃げたという。
(ジョギング中にクマに襲われる:長野)
15日午後2時15分頃、長野県南木曽町読書の町道で、ジョギングをしていた近くの無職橋立親夫さん(70)が突然現れたクマに襲われた。橋立さんは頭や首、両腕などをかまれ、重傷とみられる。 木曽署によると、現場は、森林に囲まれた町道。木曽消防署によると、病院に運ばれる際、橋立さんは「ガサガサという物音がして、体長1・5メートルぐらいのクマが突然出てきた」と話したという。 地元の猟友会員が付近にわなを設置したがクマは捕まっておらず、町などは住民に注意を呼びかけている。
(トイレの窓たたく音、見るとそこにはクマが:北海道)
20日午前11時20分頃、北海道羅臼町岬町の民家で、クマが外にいるのを家人(46)が見つけ110番した。家人はトイレで用を足していて、窓ガラスをたたく音を聞き、音のする方を見て、クマに気づいた。通報で駆けつけたハンターが、山に逃げ込んだクマを射殺した。中標津署の発表によると、クマは体長約2メートル、体重約200キロのオスで、3~4歳とみられる。周辺では数日前から、クマが現れ、人に近づくそぶりを見せるなどしていたという。
(300kgのクマが?トウモロコシ500本被害:北海道)
15日午前、北海道小樽市の山あいのトウモロコシ畑で、ヒグマに食い荒らされたとみられる食害や足跡が見つかった。被害は確認されただけで農家2軒の計約500本に上った。小樽署の発表では、小樽市蘭島の畑で約200本が食い荒らされているのを収穫に来た人が気づき、同署に通報した。近くにクマの足跡があった。現場に駆けつけた道猟友会小樽支部理事の男性(71)は「成獣で体重は300キロほどだろう」と推測し、ワナをしかけた。畑を所有する男性は「完熟したトウモロコシだけが狙われた」と肩を落とした。約1・2キロ離れた畑では、約300本が被害を受けた。さらに、別の畑でもクマの足跡が見つかった。
(イノシシ、一関で被害拡大:岩手)
一関市でイノシシによる水田荒らしなどの被害が拡大している。しかし、これまでイノシシは県内には生息していないとされ、生態についてもよく知られていないのが現状で、同市や県は対策に頭を悩ませている。一関市で先日開かれた「一関地方イノシシ被害対策研修会」(一関市鳥獣被害防止対策協議会、県など主催)には、イノシシの生態や、わなのかけ方を専門家から学ぼうと、約100人が集まった。当初参加見込みの4倍にふくれあがり、この問題への関心の高さをうかがわせた。一関市内で被害が出るようになったのは数年前から。今春には、市東部の山間部の水田の被害が多くなった。これまで、わなを仕掛けるなどして対応してきたが、十数カ所仕掛けたのに対し、捕獲頭数は2頭と効果が薄いという。県などによると、これまでの目撃情報などから、市東部を中心に30〜50頭が生息していると見られ、一部は平泉町まで広がっている可能性があるという。土を掘り返して虫を狙ったりするため、畑や水田が被害を受ける。
(シカ肉基準値超える:栃木)
県環境森林部は9日、矢板、日光、鹿沼、那須塩原の4市で捕獲した計5頭のシカの肉から国の暫定基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える110~590ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。捕獲日は6月15日~7月2日。足利、栃木、佐野市で捕獲された3頭は23~72ベクレルで基準値未満だった。6月10日~8月4日に茂木町など9市町で捕獲されたイノシシの肉は、25~88ベクレルで基準値を下回った。シカとイノシシの肉は、2011年12月から県内全域で出荷停止となっている。
(シカ用わなにクマかかるも、自力で脱出逃走:神奈川)
15日午前5時15分ごろ、清川村煤ケ谷の柿ノ木平地区付近の山林でシカ捕獲用のわなにツキノワグマがかかっているのを猟友会メンバーが発見、県県央地域県政総合センターに連絡した。同センターによると、捕まっていたのは体長約1メートルのオスで、わなに足がかかっている状態だったという。同センターが捕獲などのため業者を手配している間、同10時40分ごろに自力でわなを抜け出して山へ入っていったという。シカ用の細いワイヤだったため、しっかりとはかかっていなかったとみられる。同センターの担当者は「シカ用のわなにクマがかかったのは聞いたことがない」と話している。現場は住宅から数十メートルの村道近くで、村は注意喚起の看板設置やパトロールなどを行い、クマを目撃した場合は安全な場所に避難するよう呼び掛けている。
(イノシシはねた衝撃で対向車線へ、6人死傷:山口)
8日午後10時50分頃、山口県山陽小野田市埴生の国道2号で、同県下関市清末東町6、運送業平野好一さん(33)の軽トラックと同県周南市新堤町、アルバイト尾崎光生さん(71)の乗用車が正面衝突した。乗用車に乗っていた妻ヒサヱさん(66)が消化管破裂で死亡し、尾崎さんと、いずれも孫で神奈川県茅ヶ崎市の小学6年松元里央さん(12)、小学3年亮君(9)、小学1年慎君(6)が打撲などのけがを負った。平野さんも右足を骨折するなどの重傷。山陽小野田署の発表によると、現場は片側1車線の見通しの良い直路。軽トラックが道路脇から飛び出したイノシシ(約1・3メートル)をはねた衝撃で、対向車線にはみ出したとみられる。尾崎さんは、夏休みで九州に遊びに来ていた孫3人をJR小倉駅(北九州市)に迎えに行き、周南市の自宅に戻る途中だった。
(ロケット花火でクマ撃退:秋田)
10日午前1時15分ごろ、北秋田市上杉字金沢の畑で、クマがトウモロコシを食い荒らしているのを所有者の男性(77)が発見、町内会を通じて北秋田署に通報した。男性によると、番犬がほえたため畑の様子を見に行き、クマを発見。カラス撃退用のロケット花火を数発発射すると姿を消したという。夜明け後に確認するとトウモロコシがなぎ倒されて約50本が被害に遭い、クマの足跡があちこちに残っていた。10日午前5時半ごろには、大館市比内町谷地中字谷地中の畑でトウモロコシ約30本が食べられているのが見つかった。同じころ、同市比内町扇田字蟹沢の鶏舎でも、外壁に立てかけていた野生動物侵入防止用の金網(高さ約70センチ、幅約120センチ)が引き倒されているのが発見された。鶏や飼料に被害はなかった。
(相次ぎクマ食害:秋田)
17日午前6時ごろ、大館市比内町笹館の畑で、トウモロコシが食い荒らされているのを60代の農業男性が見つけ、大館署に届けた。近くでツキノワグマとみられる長さ15センチの足跡も確認された。現場から約4キロ離れた同市比内町片貝では、比内地鶏の鶏舎のビニールが約1メートルにわたって破れているのを所有者の60代の男性が見つけた。地鶏に直接被害はなかった。近くにはクマとみられる足跡が残っていた。市内では、果実や野菜が食い荒らされる被害が相次いでいる。大館署や同市が付近住民らに注意するよう呼びかけている。
(クマ出没:栃木)
17日午後4時45分ごろ、那須町高久甲の路上でクマ1頭が目撃された。那須塩原署は警戒を呼び掛けている。同署によると、クマは体長約1メートル。山林から出てきたところを、車で通り掛かった人が見つけた。車をみると、山林に戻っていったという。
(ごみ投棄、ヒグマがあさる:北海道)
斜里町岩尾別で16日朝、林の中に不法投棄された生ごみをヒグマがあさっているのが目撃された。行楽客のグループが食事をした残骸とみられ、環境省ウトロ自然保護官事務所は「ヒグマを呼び寄せる危険な行為」と注意を呼び掛けている。斜里署も16日に投棄現場を確認、廃棄物処理法違反の疑いで捜査を始めた。同事務所によると、ごみが捨てられていたのは知床岩尾別ユースホステルに近い林の道路わきの斜面。観光ガイドらがヒグマを見つけ、知床財団の職員が駆けつけたところ、親子2頭と別のクマの計3頭がごみをあさっていた。クマは職員が追い払ったが、現場にはカニの足や白菜の漬物、弁当の空き容器などが残されていた。
(クマ目撃・食害、急増:青森)
県内でクマの目撃や食害が急増している。県警への通報は前年同時期の2倍以上。秋のキノコ狩りシーズンには、さらにクマとの遭遇が増えると見て、注意を呼びかけている。県警地域課によると、今年のクマの目撃件数は、16日午後4時までに194件。昨年1年間の141件をすでに上回っている。地域別では、大間町やむつ市、青森市などが多い。食害は23件で前年同時期の約3倍。クマは雑食なので、被害作物もトウモロコシやブルーベリー、イチゴ、ハチミツなど多岐にわたる。6月中旬には弘前市の山中で70代男性がクマに襲われ、顔や腕にけがをした。なぜ、今年はクマの出没が多いのか。東北地方のクマの生態に詳しい森林総合研究所東北支所(盛岡市)の大西尚樹主任研究員(39)は「クマの好物のブナの実の豊凶と関係している可能性が高い」と話す。大西さんによると、ブナの実の豊凶には数年単位のサイクルがあり、実がたくさんなった翌年は大凶作になり、春からクマの出没が増える経験則があるという。今年は東北一帯で春にブナの花が少なく、専門家の間では秋の凶作が予想されている。大凶作の年に春からクマの出没が増える理由は、はっきりとは分かっていない。ただ、豊作の年に栄養を蓄えた親のクマからたくさんの子が生まれ、1年経って一斉にその子どもたちが里に下りてくるという説もある。実際に今年、下北地方で目撃されているのは、1~2歳前後の若いクマが多い。クマの生息数が県内で増えているかどうかは、調査例が少なく明らかでない。「ハンターの減少で、数が増えている」という説がある一方で、「ニュースなどで大きく取り上げられるので、人里まで下りてきたクマのことを一般の人がこまめに通報するようになっただけ」という説もある。これから迎える実りの秋。食害やクマの目撃はさらに増えると見込まれる。昨年もクマに関する県警への通報は11月まで続いた。 もしクマに遭遇したら、どう対処すればいいのか。大西さんは「クマは臆病な動物。驚かせないのが一番」と話す。山に入る時は、鈴やラジオなど音が鳴るものを携帯し、クマを寄せ付けないようにする。万が一、クマと出合っても、決して騒がず、後ずさりしながら静かに立ち去るのがよいという。
(クマ目撃相次ぐ:栃木)
6~8月にかけて日光市などでクマの目撃情報が相次いでいる。夏は、発情期でクマの行動範囲が広くなっているといい、餌を求めてクマが人里に出没する頻度が増える秋に向けて、県警や行政は警戒を強めている。一方、耕作放棄地や放置林の増加によって山と人里の境界線がなくなりつつあることが背景にあるとみられ、自然環境への配慮も求められている。近くでクマが出ましたので、注意してください――。7月16日、日光市足尾町の中心地。日光署員3人が、「騒がない」「近くに母グマがいるので、子グマに注意する」などクマと遭遇した際の対処策を書いたビラを配布した。同署管内では、6月からクマの目撃情報が12件寄せられた。日光市教育委員会によると、クマが目撃された地区の小、中学校では、夏休み前の終業式で注意を促した。夏休みに首都圏などから多くの人が訪れる別荘地付近での情報もあり、同署は危機感を持って啓発に躍起となっている。クマの生態に詳しい兵庫県立大学の横山真弓准教授(野生動物保護管理学)は「6、7月は、発情期で、人里に下りてくるのは雄のクマが多い」と説明する。クマが餌を求めて人里に出没するのは、主に8月終わりから秋にかけて。一昨年は、全国的な餌不足により、人里で目撃される頻度が高かったという。横山准教授は「夏に、クマがゴミ置き場や収穫されないで放置された柿の木があることを知ってしまうと、9月以降、頻繁に出没する」と指摘し、クマを引き寄せない環境づくりの必要性を強調する。一方で、クマの目撃情報が増えた背景には、耕作放棄地や放置林の拡大もある。日光市農林課によると、2011年度の市内の耕作放棄地は約233ヘクタール。市は10年度から耕作放棄地について本格的な調査を実施。10年度は207ヘクタールで、高齢化や後継者不足によって農業が営む家庭が減少しており、耕作放棄地は年々増加傾向にあるという。また、輸入木材の増加による、木材価格の下落で、建材用の木がそのまま放置林になってしまうことも多い。耕作放棄地や放置林の拡大は、クマなどが住む森と人里を分けていた境界線をあいまいにし、人家周辺に出没する頻度が高くなる。同市は、2008年度から里山林整備事業を実施。地元自治会と共に、草刈りなどを行い、今年度までに28か所を整備した。県内一の広さをを誇る日光市では、手つかずの土地も多く、市担当者は「数が多くなかなか手が回らない」とため息をもらす。耕作放棄地や放置林の拡大で、クマなどの野生動物の人里への出没増加は全国的な問題になっている。横山准教授は、「野生動物と共生できる環境づくりをしていかないといけない」と話している。
(墓地にクマ:福島)
お供えは持ち帰りを−−。お盆で墓参りの人が多い、福島県喜多方市岩月町の「上の山墓地公園」(約11ヘクタール)で体長約1メートルのクマ1頭が目撃され、市は供え物の持ち帰りを呼びかけている。クマが目撃されたのは14日午前8時半ごろ。墓参りに来た男性が発見し、同市に通報した。市や喜多方署の職員が駆けつけると、クマは逃げており、墓地内には供え物のスイカなどが食い荒らされた跡があったという。けが人はいなかった。市生活環境課によると、クマはスイカやトウモロコシが好物。公園を管理する市は、対策のため供え物を持ち帰るよう呼び掛ける看板を設置していたが、効果がなかった。市の担当者は「エサがあると分かれば定期的に出没してしまう。お盆期間中で人出も多いため気をつけてほしい」と話した。同所を訪れたいわき市内郷町御台境町、パート従業員、鈴木美奈子さん(44)は「今年はあちこちでクマが出没している。おちおち墓参りもできないです」と話した。県警総合運用指令課によると、1〜7月に寄せられた県内のクマ目撃情報は266件で、前年同期70件の約4倍。年間では11年が123件、10年が264件だった。
(クマ大量出没の恐れ:岩手)
県内でこれから秋にかけ、ツキノワグマの大量出没が懸念されている。山は向こう1カ月がクマにとって最も餌が少ない上に、今年は秋も主食の一つのブナの実が不作と予想されているためだ。今年は春から夏にかけても出没が相次いでおり、県は入山時や、山の近くで作業をする時の十分な警戒を呼び掛けている。専門家によると、山は8月中旬からの1カ月がクマにとって最も餌のない時期。一方、里ではリンゴなど多くの作物が実り、人里への出没が増える。東北森林管理局が7月末に発表した、初夏の開花に基づく今年のブナの結実予測によると、本県は「凶作」をも下回る「皆無」の予測。秋も山の餌不足が続く可能性がある。
(シカ食害に対策隊:岩手)
ニホンジカによる食害に悩む遠野市は、農作物への被害対策を組織的に進めるため「市鳥獣被害対策実施隊」(太田代雅敏隊長、隊員62人)を発足させた。本県では岩泉町と一関市に同様の組織があるが、ニホンジカ対策を主とした設置は県内で初めて。有害鳥獣駆除期間を延長して駆除に当たるほか、担い手育成にも取り組む。周辺自治体と連携した広域駆除も目指す。実施隊は市猟友会メンバーや市職員ら狩猟免許を持つ62人で今月結成された。立場は市の非常勤職員とし、狩猟税の軽減や公務災害の適用、有害捕獲活動への補助などが受けられる。組織的な駆除・防除や生息調査に加え、捕獲技術の向上、担い手育成も目指す。従来10月だけだった有害駆除期間を、7~9月と3月を加え5カ月間に拡大。各種わなの活用や一斉捕獲活動、パトロールを展開する。本年度の捕獲目標は隊員1人につき3頭以上で、計270頭。
(シカ食害対策、柵の設置開始:群馬)
尾瀬国立公園のシカの食害問題で、山小屋経営者らで組織する尾瀬保護協会は二十日、片品村戸倉の大清水入山口にある大清水湿原にシカの侵入防止ネット柵を設置する作業を始めた。尾瀬で特定の区域を柵で囲うのは初めてという。同湿原の面積は約二ヘクタールで、約二万株のミズバショウが自生しているが、今春は八割がシカに食い荒らされ、壊滅状態となった。このため、同協会では早期に対策を講じる必要があると判断。長さ約八百メートル、高さ約二メートルのネットで湿原を囲むように仕切ることにした。作業は二十一日までかかる見通し。冬の間は湿原が雪に埋もれるためネットを外し、シカの動きが活発になる来春に再度、設置するという。
(千枚田近くで被害:石川)
輪島市白米(しろよね)町の名勝千枚田周辺で18日までに、棚田の稲がイノシシかシカとみられる動物に踏み荒らされる被害が確認された。千枚田から200メートルほどの距離で、地元農家は「このあたりで動物による被害は聞いたことがない。千枚田も危うい」と驚きを隠さない。近年の暖冬と耕作放棄地拡大で石川県内でもイノシシやシカが北上しており、世界農業遺産「能登の里山里海」を代表する千枚田に鳥獣被害の危機が迫っている。被害に遭ったのは同町出身の県職員川口喜仙(よしのり)さん(47)所有の水田。16日朝に約40平方メートルの田の中ほどで、収穫を間近に控えたコシヒカリの稲が無残になぎ倒されているのが見つかった。田には動物の足跡が無数に残っており、川口さんは「荒らされた稲はこのまま枯らすしかない」と肩を落とす。付近にはタヌキなどが生息しているが、被害状況や足跡の写真を確認したいしかわ動物園(能美市)の松村初男副園長は「被害が広範囲で、足跡は爪の先が二つに分かれている。イノシシかシカとみて間違いない」と推定する。鳥獣対策には電流柵や罠の設置が効果的とされているが、地元関係者によると、世界農業遺産のシンボルである千枚田ではそうした対策を講じるのが難しい面がある。地元のボランティアグループ「白米千枚田愛耕会」の堂前助之新代表(68)は「千枚田周辺の景観保全を第一に考えているので、柵の設置は考えられない」と腕組みする。水稲を中心とするイノシシの農作物被害は増加の一途をたどっており、県内の被害額は2011年度に過去最高の約4500万円に達した。能登方面で被害が拡大しており、ニホンジカの繁殖、北上も指摘されている。千枚田は昨年6月の世界農業遺産認定を追い風に連日、客足が絶えない。鳥獣被害の懸念は、千枚田で誘客を図る輪島市にも難題を突き付けており、市幹部は「千枚田を守りたいのはもちろんだが、鳥獣がいつ来るか分からず、手の打ちようがない」と表情を曇らせている。
(”獣”激減、3カ月間で40頭捕獲:長野)
伊那市高遠町黒沢の伊藤俊成さん(22)は、同町板山で農作物に深刻な被害を与える野生動物を捕獲し成果を上げている。特にニホンジカは3カ月間で40頭を有害鳥獣として駆除した。板山では農作物の被害がほとんどなくなり、シカが姿を現さなくなった。伊藤さんに捕獲を依頼した伊東忠康さん(77)は「田畑の周囲に柵を張る必要がなくなり、頭数が確実に減ったと実感する」と喜んでいる。猟銃、わな免許20歳で取得 伊藤さんは、狩猟をする祖父と父親の背中を小さな頃から見て育った。野生動物を捕獲して解体し、調理して食べるのは「全く抵抗なく自然に受け入れられた」と、二十歳になると同時に猟銃とわなの免許を取得。射撃場に毎週通って腕を磨き、安全な射撃の仕方を身に付けた。高遠町猟友会に所属し、主に子どもの頃に遊び場にしていた黒沢の広大な山をフィールドに活動する。経験を積み、狩猟には射撃だけでなく、わなを設置する場所の地権者との交渉や、わなの見回り、捕殺した固体の後処理などが大切な要素になっている実情を学んだ。板山では、伊東さんから話を聞いた翌日の4月7日にわなを12カ所に設置。翌8日から6日連続でシカがかかった。7月7日までの3カ月間でシカ40頭、イノシシ2頭、タヌキ5匹、キツネ2匹、アナグマ3匹、ハクビシン1匹を獲った。現在では出没する動物が激減した。地域全体の理解が大事 伊藤さんの活動の成果は、伊東さんが広報にまとめて板山全戸に配布するか回覧する。わなの近くへの注意看板設置や通報、わなにかかっていたイノシシが壊した土手の補修などには板山住民が協力を惜しまない。伊藤さんは「地域全体の理解があって初めて大掛かりな捕獲ができる」と振り返る。捕獲したシカは、宮田村と富士見町のレストランで引き取ってもらう。肉へのダメージとストレスが少ない状態でとどめを刺し、その場で血抜きをして良質な肉を確保する。「せっかく獲ったシカを捨てるのはかわいそう」(伊藤さん)と肉は必ず有効利用している。獣の生態など知識も豊富 「シカは柵を突破するためにものすごい努力をする。あきらめずに人間が予想をしない方法で柵を抜けてくる」と伊藤さん。その対策について「同じ世代が猟友会に入って活動すればほかの地域でも数を減らせる。シカは数が増えすぎ、山に食べ物がないので里に下りてくる」と予想する。伊東さんは、「伊藤さんは猟友会で最年少なのに獣の生態、習性、 行動学などに非常に詳しく一流の域。どの地域でも獣害が共通の話題だが、板山ではたった4カ月で動物が出なくなった。とてもありがたい」と感謝している。市は狩猟免許を取る人を募り、支援している。
(霧ケ峰のシカ発見数前年の2.1倍:長野)
県環境保全研究所と県霧ケ峰自然保護センターは、諏訪、茅野、下諏訪の3市町にまたがる霧ケ峰で、5~7月に3回実施したニホンジカの出現状況調査(ライトセンサス)の結果をまとめた。1回当たりの発見数は120頭で、55.6頭だった前年調査の2.1倍に増加。大きな群れも確認し、「一段と生息密度が高まったとの印象を受けた」としている。ただ、主要調査地点でもある国天然記念物・八島ケ原湿原(下諏訪町、諏訪市)では7月中旬から、猟友会員12人で編成する諏訪地域広域捕獲隊が、防護柵の外側などでくくりわなを用いた捕獲対策を開始。今後、鹿の行動や発見数にどのような変化が出るのか注目される。調査は2004年から毎年春夏と秋にそれぞれ実施。ボランティアの協力を得て、夜間に草原や森林帯にライトを照らし、光る鹿の目から頭数把握している。ビーナスラインなどの道路沿いで続けてきたが、春夏調査に関しては昨年から登山道沿い(計3ルート)に切り替えた。5月8日に行った初回は、168頭だったことが分かっている。センターによると、同14日の2回目は106頭、7月19日の3回目は86頭。ルート別では沢渡―八島が239頭と最も多く、車山湿原―外輪山の91頭、車山肩―ゴマ石山の30頭と続いた。初回は、八島湿原東側の柵外に広がる牧草地で大きな群れを確認したが、3回目調査では車山湿原―外輪山が最多の59頭に上り、八島のルートは16頭にとどまった。「春は八島湿原周辺が餌場として好まれていたが、夏になって外輪山周辺の採食環境が良くなったことが考えられる」と分析している。調査に当たる同研究所(長野市)の岸元良輔・自然環境部長は「秋の調査も右肩上がりを続けている。密度がさらに高まると心配だ」。広域捕獲隊は、わなの設置で鹿に警戒心を与え、湿原周辺への出没個体を減らすことも狙っている。
(シカ食害による裸地化箇所で土砂流出:長野)
ニホンジカが植物を食べて裸地化し、その後の大雨で土砂流出が起きた現場を、南信森林管理署(伊那市)が八ケ岳山麓で写真に収めた。「ニホンジカ被害が、これまでの食害から次のステップに進んだことを示す」と同署。県上伊那地方事務所林務課は「上伊那では同様の事例は確認されていない」としつつ、「食害が進めば管内でも起こりうる」と警戒を強めている。同署によると、現場は茅野市の硫黄岳南側斜面の標高2400メートル付近。以前は花畑が広がっていたが、近年は鹿の群れが現れるようになり、食害が深刻化。「草が生えてくると食べられる。その繰り返し」で植生が薄まり、1年前の時点で斜面の一部は表土がむき出しになっていた。大雨が降った後の今年7月18日、同署の関係者が現地に赴くと、裸地化した場所が土砂崩れを起こしていた。高山帯の土砂流出の影響は登山者の安全や観光面だけに留まらない。同署は「土石流発生の可能性が高まり、被害も大きくなることから、里にも影響する」と指摘する。これまで県内の鹿被害は高山植物や樹皮、農作物など1次的な食害が脚光を浴び、対策もそちらに集中。裸地化により、2次的な土砂流出の危険性が高まることは指摘されていたが、実際に被害が確認されるのは珍しく、対策が取られていないのが現状だ。県によると、南アルプスの塩見岳でも鹿食害で裸地化が進んだ場所がある。「雨の降り方にもよるが、土砂流出が起こることも想定される」と同課。同署は「原因が特定できずに山肌が崩れている場所はまだある。実際はもっと深刻なのでは」と推測する。対策も難しい面がある。例えば、治山工事で斜面を回復して緑化を施しても、鹿が食べ続ければ再び土砂流出の危険性は高まる。両機関は「鹿を捕って数を減らしていくしかない」と口をそろえる。
(イノシシによる農作物被害、対策を強化:茨城)
近年、増加の一途をたどるイノシシによる農作物被害。イノシシを引き寄せない地域づくりを目指そうと、県は、リーダーとなる人材育成に乗り出した。5月に開講した「茨城猪塾」では、獣害対策の中心だった狩猟者による捕獲だけでなく、防護と環境整備を加えた総合的な対策を実践しようと、講義を重ねる。ただ、こうした人材育成の一方で、獣害対策の鍵を握るのは地域住民。獣害から集落を守るには住民一人一人の発想の転換や地域力が求められそうだ。「手入れをしないでやぶになっている場所が、イノシシの通り道になっています」那珂市田崎の集落で7月17日に開かれた茨城猪塾の現地実習。県病害虫防除所の担当者が、農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)の竹内正彦氏とともに、受講者に説明する。同塾は、獣害対策の専門的知識を持ち、地域の支援者となる人材を育成しようと、行政や農業団体の担当者らを対象に5月に開講。全6回の講義と現地実習で、イノシシなどの生態をはじめとした基礎知識から追跡調査、防護柵の設置などを実践的に学ぶ。この日は痕跡調査を行うため、竹やぶにセンサーカメラを設置。集落を歩くと、畑でイノシシが掘り返したと見られる跡や足跡などが容易に見つかった。■収穫困難に イノシシによる農業被害は増加を続けている。県によると、2010年度の農作物被害は前年度比17・9%増の7951万円に上り、5年前に比べ2・4倍になった。県はイノシシ保護管理計画で、狩猟者による年間捕獲目標を増やすなど対策を練るが、狩猟者の高齢化など課題もあり、どこまで被害を抑えられるかは未知数だ。那珂市田崎の集落に住む80代の農家の男性は「イノシシは田んぼに入って転がっちゃう。臭いにおいを残して、ベタベタにしちゃうから収穫ができない」と水田を見詰め、ため息をつく。5年ほど前からイノシシによる被害が目立つようになったという。被害を防ごうと、約10万円を掛けて水田に電気柵を設置するなど対策を練る。それでもイノシシは畑のジャガイモなども掘り返してしまうといい「イノシシ暇なしだから」と、諦め顔だ。■住民が主体 支援者となる人材育成は動き出した。ただ竹内氏は「獣害対策は地域住民が主体的、自衛的にするもの」と強調。「対策として捕獲は最後でいい。イノシシを寄せ付けない環境づくりが抜けている」と話す。集落に落ちている柿やクリなどの果樹や残さ、家庭菜園の未収穫物などが餌となるため、竹内氏は「集落や里山でイノシシに餌やりをしているようなもの」と指摘する。山に餌がない厳しい冬に集落に餌があることで、生存率が高まり頭数が増えたとの指摘だ。今後は「地域住民がいかに、自分のことと捉えてくれるかが課題」(同防除所)。同塾のような取り組みも地域で実践されなければ意味は薄れる。竹内氏は「餌を食わせない、集落に入らせない、人に慣れさせない。集落に住んでいる人全員が自分たちの問題として捉え、できることを考えなければならない」と話している。
(集落囲むイノシシ柵に効果:広島)
庄原市比和町三河内の小和田南集落が、イノシシによる農作物被害を食い止めるため集落全体を囲む防護柵を張り巡らせ、効果を挙げている。総延長6・5キロ。3月に柵をして以降、農作物の被害は出ていない。36戸、85人でつくる小和田南中山間組合が実施した。農地だけでなく集落約50ヘクタールを丸ごと柵で囲った。同集落では昨年まで、民家の庭先まで来るイノシシに米などの農作物を荒らされていた。点在する小さな田畑を個々に囲うより経費がかからず、管理も全体で取り組めて負担が少ないため実行した。今後は年に1度、草刈りすれば柵の機能を維持できるという。岩山泰憲組合長(60)は「作物への被害が減れば、生産意欲が増す。力を合わせて被害防止をしようとの全員の思いが成功につながった」と胸を張っている。
(捕獲イノシシ、食材に:石川)
小松、能美、加賀3市の猟友会や生産組合などが「ジビエ利用推進協議会」を結成し、農作物への被害を防ぐために捕獲したイノシシの肉を食用として流通させる取り組みに乗り出した。これまでは廃棄処分されることがほとんどだった肉を、県内の飲食店に提供することを目指す。計画では、県や県立大、小松市のこまつSATOYAMA協議会などと連携し、フランス、イタリア料理を中心に、料理人が求める肉を提供できる解体処理技術を猟師に教える。シェフによるイノシシ料理の試食会や食肉加工施設の整備も検討する。協議会は、今年度中にブランド開発体制を構築し、来年度から県内の飲食店への提供を始めたいとしている。県によると、イノシシによる農作物被害額は2011年度、県内で過去最高となった。南加賀の3市が特に目立ち、被害額の合計は2722万円と、県全体の約6割を占めた。県は今年5月に食肉としてのイノシシ肉を取り扱うガイドラインを策定し、食材としての活用を図っている。イノシシの肉は、フランスでは狩猟シーズンに食べるジビエ(野鳥獣の肉)の一種として、多彩に料理されている。桂木夏彦協議会長は「県内だけでなく首都圏にも、イノシシの肉を石川産のジビエとして発信していきたい」と話した。
(貴重な植物がイノシシ被害:愛知)
国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約に登録された豊田市の「東海丘陵湧水湿地群」が、イノシシの被害に悩まされている。市中心部から北東約4〜6キロの山中にある3湿地のうち、矢並湿地では既に電気柵が長さ約320メートルにわたって設置されている。上高湿地(同市上高町)でもこのほど、地元の「上高湿地を守る会」(鈴木敏朗会長)が市の補助で湿地の周りにワイヤーメッシュ(溶接金網)柵を長さ約200メートルにわたって設置し、対策に懸命だ。イノシシはダニやノミを落とすため泥浴びをする習性があり、その場所「ぬた場」に湿地は格好の存在だ。さらに、ミミズなどの餌を求めて土を掘り返す。掘り返した跡は「トラクターで耕したように見える」(市環境政策課)ほどすさまじく、この地域にしかない貴重な植物で国の絶滅危惧種のミカワシオガマやシラタマホシクサの群生地が被害に遭っている。上高湿地周辺ではこの10年余り、イノシシの出没が目立つ。鈴木会長によると、毎年20〜30頭のイノシシがわなにかかる。会長も数年前、自宅近くにある畑のサツマイモが全滅した。侵入を防ぐため、触れると感電する電気柵を設置した。上高湿地は、ため池の周囲に三つの湿地がある。被害のひどい南西の湿地(約1400平方メートル)に6月末、守る会が金網の柵を設置。以来、イノシシの被害はないという。鈴木会長は「ラムサール条約に登録されたとの報道で湿地を見に来る人が出始めた。今後も市と協力して保護に努めたい」と話している。市は「どの湿地もイノシシ対策が必要」としており、ほかの湿地についても遊歩道の整備など、一般公開の準備に合わせイノシシ対策を実施する方針だ。
(ヒグマも都会好き?:北海道)
札幌市内でこの夏、ヒグマの目撃が相次いでいる。7月5日には南区の芸術の森近くで測量作業員が大型のヒグマを発見、7日に野外ステージで開幕したパシフィック・ミュージック・フェスティバルの売店出店が取りやめになるなど、さまざまな影響が出ている。昨年秋にも住宅地で多くの目撃情報が寄せられたが、札幌のヒグマにいま何が起こっているのか。この夏の札幌市のヒグマ目撃情報は7月3日、南区の藤の沢小学校前の道路を登校時間に横切ったというのが始まりだった。同じ日には近くの果樹園でハスカップの実を食べているヒグマが目撃されたほか、5日には同区の芸術の森近く、7日には中央区盤渓(ばんけい)のウイングばんけいテニスガーデン近くに出没。盤渓付近では22、23、27日、8月3日にも目撃されており、警察官や市職員らが警戒しているほか、住民に注意するよう呼びかけている。同市みどりの推進課の長谷川正彦みどりの活用担当課長(54)によると、今年は例年になくヒグマの出没時期が早いという。昨年は、普通なら目撃されない10月に集中したが、ドングリの不作で餌を求めて市街地近くまで下りてきたのが理由ではないかとされた。「でも今の時期に出てくるのはドングリがないからという理由ではない」と解説するのは、ヒグマの生態に詳しい道立総合研究機構環境・地質研究本部の間野勉企画課長(52)だ。間野さんによると、生まれて2年目になる子グマはこの時期、母グマから自立せざるを得なくなるが、クマの社会の中で最も弱い立場なので、他の雄グマの脅威から逃れようとして人間の生活空間に現れるのだという。「若い個体なので好奇心も強く、そのときに生ゴミや果樹園の果物などを簡単に口にできると、ここはいいところだと勘違いしてしまう。犬のしつけで、人にかみついたりほえたりしてはだめだということを子犬のころに教え込まないと、親犬になってしかっても直らないのと同じです。クマはクマらしく、人は人らしく、お互いわきまえたよそよそしい関係が大事なんです」と強調する。一方、日本クマネットワークの代表を務める北海道大学獣医学研究科の坪田敏男教授(51)は「日本全国、どこもクマの分布が広がっていて、いつでも住宅地に現れる状態」と指摘する。坪田さんによると、北海道は本州ほど顕著ではないものの、人里に近い里山の過疎化が進むことで野生のすみかと化す傾向があるという。ただ札幌市のような人口190万人もの都会にヒグマが出るような都市は世界でも珍しく、「いつ人身事故が起きてもおかしくない。早急に予防策を講じる必要がある」と警鐘を鳴らす。市では現在、目撃情報が相次ぐ地域の果樹園などに電気柵を導入することを進めているほか、小学校などでクマの生態を知る出前講座を開き、子供たちへの啓発に努めているという。だが道立総合研究機構の間野さんは、現在の予防では不十分だと主張する。「たとえばゴミステーションは、クマに壊されないような頑丈な金属製のものにすべきです。生ゴミで餌付けするようなことがあってはならない。さらに現在は危機管理を猟友会など民間に頼っている。アメリカやカナダでは州政府のレンジャーがいて行政が責任を持って対応しているが、そういう仕組みが必要です。啓発教育も不十分で、子供たちはまるでテロリストや凶悪犯人が近所に潜んでいるみたいに思っているのではないか」と間野さん。日本クマネットワークでは、ヒグマの毛皮やふんの模型、クマスプレーなどを詰め込んだトランクキットを学校や環境教育に携わる人に無料で貸し出して、クマの生態を知ってもらうよう活動している。だが、代表を務める北大の坪田教授によると、市の教育委員会にもアプローチはしているものの、あまり関心を示していないという。「過剰に怖がる必要はないが、逆にかわいい動物として扱うのも困る。全く知識もなくクマが出没する可能性のある街に住んでいるのはよくない。小学生のうちに学校教育で学んでおけば、対処できる土壌は生まれるはずです」と強調する。これに対し、市みどりの推進課の長谷川課長は「生ゴミは収集日の朝に出すよう周知しているが、今まではカラス対策というのが大きかった。これからはヒグマ対策も考えなくてはと思っています。教育に関しては、市で環境問題の副読本を作っていますが、そこにヒグマのことも含める必要があるのかもしれない。前向きに検討したい」と話している。
(クマに注意を:東京)
あきる野市と日の出町の山間部で6月と7月に、ツキノワグマが相次いで目撃されていたことが分かった。クマは通常、冬眠前の11月ごろから動きが活発になるため、夏場に目撃されるのは珍しいという。けが人などは出ておらず、両市町は登山客や地元住民に注意を呼び掛けている。五日市署やあきる野市によると、日の出町の麻生山の山中で6月19日、森林伐採業者が大人のツキノワグマを見つけ、署に通報した。7月22日にはあきる野市養沢の道路沿いで、登山客が子グマを見かけた。いずれも地元猟友会が周辺を探し、クマとみられる足跡が見つかったという。あきる野市は、現場周辺の登山道入り口などに、クマが目撃されたことを知らせる看板を設置。担当者は「クマは音が出る物を嫌がる習性がある。山に入る際には鈴やラジオを持って行ってほしい」と呼び掛けている。
(クマ出没警戒:京都)
今年はクマの出没が多くなると予想され、京都府が注意を呼び掛けている。ドングリなど餌の凶作が見込まれているためで、7月末までの目撃情報はすでに250件を超えている。京都市では昨年を上回る目撃があり、クマによるけが人も発生している。府は出没が本格化する秋に向けて警戒を強めている。府によると、本年度7月末までに寄せられた府内の目撃情報は255件。京丹後市(70件)や福知山市(43件)、舞鶴市(37件)など府北部が目立つ。年度末で560件だった昨年同期(259件)と同程度だが、クマの餌となるクリやブナなどの堅果が2年に1度の凶作の年を迎えるため、9月、10月は急増が予想されている。凶作だった2010年度は過去最高の1976件の目撃情報があった。府は「この秋も餌が減り、人里に下りてくる恐れがある」と懸念している。中でも京都市は、右京区や左京区などで10年度の9件を上回る11件の目撃情報(7月末)があった。今月4日には住宅街に近い京都市左京区岩倉上蔵町で60代の男性が手をかまれ、指を骨折するなどの被害も発生している。府は、出没状況を紹介する府のホームページを確認したり、鈴などで人の存在を知らせるほか、クマを人里に引き寄せないよう、餌になる物を民家近くに残さないように求めている。
(クマ目撃:栃木)
12日午後0時30分ごろ、日光市湯元の山林内の山道で、クマ2頭を同市から委託を受けた「猿パトロール隊」が目撃した。日光署によると、2頭は親子連れとみられる。目撃したパトロール隊が所持していた爆竹を鳴らしたところ、山林内に立ち去ったという。現場の山林周辺には、ホテルや旅館が点在していことから、同署や同市が警戒するとともに、観光客や住民に注意を呼び掛けている。
(クマ目撃情報:富山)
10日午前8時50分ごろ、南砺市小又(福光)の県道で、車とクマが接触するのを、通り掛かった自転車の男性が目撃し、110番した。市や南砺署によると、車はそのまま金沢市方面へ走っていったという。クマは成獣とみられ、山林へ逃げた。
(サル撃退電気柵が好評:兵庫)
農作物を荒らすサルを撃退するため、兵庫県香美町の職員が考案・開発した電気柵が「効果的」と評判を呼んでいる。豊岡市や篠山市で試験設置され、三重県など県外にも広がる。開発に協力した県森林動物研究センター(丹波市)にも問い合わせが相次いでおり、普及がさらに進みそうだ。新型電気柵は柵の支柱に、電気を通すアルミテープを巻き、つかんで乗り越えようとするサルを感電させる仕組み。香美町で獣害対策担当だった職員田中利彦さん(42)が、電気柵の支柱をつかむサルを目撃したことから2008年に考案した。従来の電気柵は金網は通電するが、支柱には電気が通っていないタイプが多かった。そこで同センターの協力を得て塩化ビニール製のパイプに通電するアルミテープを巻き、金属製のフックで金網をつなぐシステムを完成させた。製品名はサルの監視地区名の小代から「おじろ用心棒」と名付けた。09年度に香美町で設置。11年度に農家に聞いたところ、被害の「解消」が76%、「減少」が20%などと効果があることが分かった。評判は県内外に広がり、篠山市や豊岡市でも試験設置され、三重県や京都府など他府県でも導入が始まった。県内に生息するサルは450頭と推定され、生息地は香美町をはじめ豊岡市、朝来市、篠山市、神河町の3市2町。農作物の被害額は10年度は1960万円だったが、設置が進んだおじろ用心棒効果もあって11年度は880万円に急減した。同センターへの問い合わせは近畿だけでなく、九州からもあるという。鈴木克哉研究員は「サルの対策を進める中で、おじろ用心棒は心強い味方になる」としている。
(サル去らず、農業被害拡大:富山)
本来は山間部に生息するニホンザルが、富山市南部の旧大山、旧大沢野地域の平野部に も出没し、住民が農業被害などの対応に苦慮している。これまでサルの「空白地帯」とさ れてきた同市万願寺地区にも出没するようになり、周辺の農家や学校などは電気柵や撃退 用の犬を使い、被害の拡大に歯止めをかけようと躍起になっている。富山市東福沢の農業五十嵐昭美さん(74)によると、サルは20~30匹の群れで現 れ、畑の野菜を奪っていく。最近では爆竹を鳴らしても動じる様子がなく、五十嵐さんは 「いたちごっこで、手の打ちようがない」と話す。近くの富山中央農高では、生徒が育てたトマトやナスなどの夏野菜がサルの被害に遭っ ている。このため、同校では校内で飼っている柴犬にサルの撃退役を担ってもらおうと訓 練を始めた。東福沢に隣接する万願寺地区は、これまでサルの目撃情報が少なかったが、2週間前に は市大沢野総合行政センターの要請で猟友会が出動し、空砲でサルの群れを追い払う一幕 もあった。35年にわたってサルの研究を続けている八尾高の赤座久明教頭(59)によると、里 山の荒廃のため、サルの群れの生息範囲が徐々に西へと拡大している。里山の荒廃で民家 近くに下りてきたサルが畑の農作物の味を覚え、西へと活動の範囲を広げているとみられ る。サルの被害に悩む農家にとって、旧盆の時期も頭痛の種だ。墓前に供えられた食べ物を 狙ってサルが出没するためで、こうしたサルが近くの畑で農作物を荒らすケースも少なく ない。電気ネットを張ってもネットの下から畑に侵入するため、野菜づくりをあきらめた 農家もいる。赤座教頭はサル対策として、里山の手入れなどサルの生息環境を管理するとともに、電 気柵などの防衛策を徹底し、「サルに近寄ってはいけないと分からせることが大事」と呼 び掛けている。
(今年はクマの目撃情報が多い、東北では例年の3~5倍)
クマの目撃件数が東北を中心に急増している。青森や岩手、福島など、昨年の3~5倍に達しているところもあるという。農作業中の男性が襲われてけがをした例のほか、秋田で地鶏が被害にあったり、農作物が食い荒らされたりする食害が頻発、授業中の小学校敷地内に侵入したケースもある。理由はよくわからないが、環境省などは夏から秋にかけて、さらに増える可能性もあるとみて、警戒している。各県警などのまとめによると、5、6月の2カ月間に、クマの目撃件数(主に人里)が多かったのは、宮城243件(前年同期64件)、秋田154件(同133件)、山形144件(同43件)、福島132件(同33件)など、東北では前年同期比で3倍以上になった県が多い。北関東でも、前年ゼロだった栃木で14件目撃されている。環境省の調査でも、4、5月の目撃件数は岩手324件(同60件)、宮城105件(同33件)、福島64件(同15件)青森31件(同7件)など、4~5倍に増え、東北6県の合計は628件と前年の3.3倍という。クマは通常、冬の冬眠を終えて春先から活動。本州に生息するのはツキノワグマで、環境省などによると、本来は臆病な動物だが、急に人が出くわすと、暴れる可能性もあるという。同省の担当者は「人里まで下りるのは周囲にエサが少ないことが影響しているのでは」と推測する。昨冬の大雪で、山菜の生育が遅れたとの指摘もある。クマの目撃が多いのは、例年は冬眠に向け体を太らせる夏の終わりから秋にかけてで、5、6月に急増するのは異例。このため、8月から秋以降、どれだけクマが出没するか、関係者は今からやきもきしている。
(捕獲シカ・イノシシで地獄蒸し:大分)
別府市鉄輪地区のホテル風月HAMMOND(甲斐賢一社長)が敷地内で経営する「里の駅 かんなわ 蒸de喜屋」が、イノシシとシカの肉を使った地獄蒸し「わっぱ飯」を開発し、販売を始めた。肉のかたまりを低温の蒸気で数時間蒸した後、ミンチにしてしょうゆベースで味付けしてフライパンで火を通す。ご飯の上にそぼろと夏野菜をのせて蒸し釜で蒸気をあてて味をなじませる。温泉の蒸気で低温で蒸すことで、イノシシやシカの独特の臭みをなくすと同時に、軟らかく食べやすくなるという。7月にあった試食会で、参加者から「(イノシシとシカの肉は)思ったより臭みがなかった」「そぼろは食べやすく、いいアイデアだ」など、全般的に好意的な意見が多かったという。わっぱ飯は鶏肉も含めて3種類あり、価格はイノシシとシカが480円、鳥450円。肉の薄切りを使った丼はイノシシとシカが580円、鳥550円。県森との共生推進室によると、2011年度の捕獲頭数はイノシシ2万1315頭、シカ2万7811頭。県が有害獣として捕獲期間の延長など規制を緩和していることもあり、捕獲頭数は増える傾向にある。しかし、捕獲したイノシシやシカの肉が食用として市場に出回るのは全体の1割にも満たないという。春から商品化に向けて工夫を重ねてきたという甲斐社長は「くせのある味のため家庭で食べる機会の少ないイノシシやシカの肉を安く手軽に味わってもらい、少しでも地域の活性化に役立てば」と話している。
(「鉛撤去、合意確立を」:千葉)
県射撃場(市原市)の再開に反対する地元住民が10日夜、市原市立富山小で住民集会を開き、地元合意の確立や鉛散弾の全撤去、防音対策を県に求めていく方針をあらためて確認した。同射撃場は、場内で使用した散弾の鉛害で水路から環境基準値を超える鉛が検出され2001年に使用禁止となったが、県は有害鳥獣による農作物被害防止へ、来春に再開する方針。ただ地元の富山地区などは同意取り付けや、鉛や騒音への対策が十分でないとして再開に反対している。集会には同地区住民のほか隣接する不入地区、両地区を含む加茂地区の町会関係者ら65人が参加。冒頭、小宮仁富山地区町会長がこれまでの経緯を説明した。意見交換では、鉛対策では「地表をセメントで覆うというが、地下浸透を防止する対策がない」「処理に使った23億円の使い道を公開すべき」、また再開に向けた改修については「基本設計がなぜ示されなかったのか」「建物を完全に覆ってほしい」と県への批判や注文が相次いだ。
(突然怒りだし水中銃でもり発射:茨城)
茨城県警鹿嶋署は13日、男性に向けて水中銃でもりを発射したとして、殺人未遂の疑いで、同県神栖市波崎の職業不詳、越川俊雄容疑者(60)を現行犯逮捕した。もりは当たらず、男性にけがはない。逮捕容疑は12日午後11時55分ごろ、神栖市波崎の駐車場の管理事務所で、埼玉県鶴ケ島市の男性会社員(38)に向けて水中銃でもりを発射した疑い。鹿嶋署によると、越川容疑者は「威嚇するために撃った」と供述。当時、酒に酔っていたという。男性は友人らと、越川容疑者が管理する駐車場に車を止めバーベキューをしていた。越川容疑者が「一緒に酒を飲もう」と駐車場を訪れ、男性の友人がビールをつぐと突然怒りだし、男性を連れて事務所に入った後、発射した。
(凍らぬ海峡アザラシ捕れず)
北緯77度、北極圏のグリーンランドで先住民イヌイットと狩猟生活をしながら約40年間暮らしている日本人がいる。大島育雄さん(65)。かつて氷上を犬ぞりで渡ることができた海峡は近年、凍らなくなり、伝統的なアザラシ猟が難しくなった。極北の地で温暖化を身近に感じてきた大島さんと猟に出た。幅約60キロ。グリーンランドとカナダの間に広がるスミス海峡。「ここらはかつて6月でも凍っていた。カナダに犬ぞりでよく行ったもんだ」。7月、大島さんが船で連れて行ってくれた場所は青い海が広がっていた。冒険家の故植村直己さんが1975年に犬ぞりで横断したこの海峡を2005年以降、犬ぞりで渡った人はいないという。パーン。氷河が浮かぶ海に猟銃の音が響く。約200メートル先で海面が赤く染まり、アザラシが浮かんだ。「最近は冬に氷が張らず、猟ができる時期が短くなった」。冬季、太陽が昇らない「極夜」となる。真っ暗な中、イヌイットは氷上にマンホールほどの穴を開け、海中のアザラシの「通り道」に網を仕掛けて捕る。かつて10月から翌年6月まで張っていた氷は、90年代半ばから12月から5月ごろまでになった。大島さんは日本大学で山岳部に所属。日本人で初めて北極点に到達した隊のメンバーだ。初めてシオラパルクを訪れたのは72年。当時、シオラパルクに滞在していた植村さんやイヌイットに犬ぞりや極地での生活方法を教わった。狩猟生活が肌に合い、そのまま居つきイヌイットの女性と結婚。現在9人の孫がいる。「面白いところがあるんですよ」。大島さんが船外機を付けた小さな船で連れて行ってくれたのは氷河の末端。氷河下の海底から湧き水のように水が噴き出し、海面が所々盛り上がる。上空には無数の鳥が舞う。研究者によると、噴き出す水は真水。氷河表面が解けて落ち、末端から出てくるとみられる。アザラシやセイウチなどを捕り、自然とともに暮らしてきた大島さんは、自然の変化に敏感だ。村周辺の海ではかつてはなかった海藻や貝が増えてきたという。風景も変わった。村から見える氷河も40年前は真っ白だったが、海岸から陸に向けて茶色の山肌があらわになってきた。「あの氷河、将来はなくなっちゃうだろうな」。真っ黒に日焼けした大島さんが寂しそうにつぶやいた。
(銃所有の規制反対が50%、制限支持は48%:アメリカ)
銃乱射事件が最近相次いだ米国で、国民の50%が銃所有に対する規制を望まない、または、軽微な制限なら賛成すると考えていることが最新世論調査で11日までにわかった。警官や携帯が許可された者を除き、銃保持に対する大幅規制や全面禁止を支持したのは48%だった。ウィスコンシン州やコロラド州で最近、多数が殺害される銃乱射事件が起き米社会を震かんさせたが、今回調査での規制反対、賛成両派の比率は昨年実施した同様調査時とほぼ変わらなかった。調査はCNNと世論調査機関ORCが共同実施した。銃所有に関する大幅規制や全面禁止を求める比率は過去10年以上、48~50%の範囲で推移している。性別などで見た場合、女性10人のうち6人以上が大幅規制などを支持。リベラル派とする国民の3分の2も同様意見だった。男性と保守派で大幅規制などに賛成したのはそれぞれ34%と36%だった。調査結果によると、米国民の96%が銃の購入者の身元などの背景調査を支持。91%は犯罪者や精神的な疾患を抱えている人物による銃所有を防ぐための法律に賛成した。また、4分の3は地方政府による銃登録制度を支持し、10人のうちの約6人は半自動式小銃などの兵器や高性能の弾薬保持や販売の禁止に賛成した。ただ、54%は個人が所有出来る銃の数への規制に反対した。全ての米国民の銃所有が禁止されるべきだとしたのは10人のうち1人だけだった。今回調査は今月7、8両日、米国人成人1010人を対象に電話で実施した。

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