<射撃ニュース9月>

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(クレー射撃協会の元理事ら19人が提訴)
役員人事をめぐる内紛で日本クレー射撃協会から7月20日付で2年間の資格停止処分を受けた平井一三氏ら関係者19人が7日、理事や正会員などの地位確認を求める訴訟を東京地裁に起こした。同協会は役員改選の有効性を争う裁判がこの春に終結し、3年にわたり実質的に協会を運営した平井氏側が敗れた。
(3県のクマ肉など出荷停止)
政府は10日、国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したとして、岩手、山形、群馬の3県のクマ肉と、栃木県の永野川(支流を含む)のヤマメ(養殖を除く)の出荷停止を各県に指示した。厚生労働省によると、市場には流通していない。
(野生のキジから基準超:福島)
県は3日、田村市で捕獲された野生のキジ1羽から基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える150ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。野鳥については、11月15日の狩猟解禁を前に、県が猟友会に捕獲を依頼して検査。野鳥からの検出は今年度初めてで、県中地区で捕獲したキジ肉の自家消費の自粛を呼びかけている。昨年度はいわき市のヤマドリが基準値を超えた。有害駆除した野獣の基準値超えも相次いでおり、イノシシは中通り、浜通りで、ツキノワグマは中通り、会津で国が出荷を制限、県も自家消費の自粛を呼びかけている。
(「九州のクマ」国が絶滅認定)
環境省は九州地方のツキノワグマが絶滅したと認定した。県内で1987年に捕獲されたツキノワグマについては“九州産”ではない―とのDNA鑑定の結果が2年前に発表され、ツキノワグマの生息を証拠づける記録が50年以上ないため。クマ調査を続けている研究者らは、九州での野生種の絶滅認定を冷静に受け止めながらも「探し続ける」としている。環境省は「レッドリスト」を初公表した91年から「絶滅のおそれのある地域個体群」と分類していた。だが今回、5年に1度の見直しに伴い、リストから削除した。豊後大野市緒方町で捕まったツキノワグマをDNA鑑定した独立行政法人森林総合研究所は2010年、「本州から持ち込まれたものか、その子孫だと考えられる」と結論付けていた。それ以前の捕獲は1941年。子グマの死骸が見つかった57年から既に半世紀以上たった。祖母・傾山系のある大分、熊本、宮崎3県は2001年までに野生種の絶滅を認定していた。一方で昨年10月、祖母山付近で具体的な目撃情報が報告された。専門家や猟師らで構成する日本クマネットワークは今年6月、祖母・傾山系に赤外線センサーの自動撮影カメラを設置して調査中。調査隊長の山崎晃司・茨城県自然博物館主席学芸員(51)は「生息の確認が厳しい状況下、国の判断は妥当」としながらも「秋まで調査は続ける」と話す。00年からクマを追っている写真家、栗原智昭さん(46)=宮崎県高千穂町=は「絶滅の認定で、九州でのクマの“目撃者”にうそつきのレッテルが貼られかねない」と心配する。クマへの注意を促す表示板を祖母山登山口に設置している豊後大野市は「環境省の認定を参考にはするが、引き続き情報提供は呼び掛ける」。県山岳連盟参与の神田豊徳さん(75)=同市三重町=も「私はクマがいると思うし、いてほしい」と希望を捨てていない。
(クマに襲われ76歳重傷:長野)
5日午前8時40分頃、生坂村東広津の林道で、散歩をしていた近くの無職宮沢利明さん(76)がクマに襲われ、顔や頭、足などをひっかかれた。命に別条はないが、重傷とみられる。親グマ1頭と子グマ2頭が突然現れたという。安曇野署によると、現場は山あいの林道。同署員や村職員、地元猟友会員が住民に注意を呼び掛けた。南木曽町では4、5両日、クマの目撃情報が4件相次ぎ、町は防災行政無線などで注意を呼びかけ、町職員や木曽署員らが警戒した。4日午後7時頃、同町読書(よみかき)地区の木曽川にかかる高瀬橋付近で、子グマ2頭が目撃された。5日朝から午後にも、木曽川両岸の半径500メートルの範囲で目撃情報があった。いずれも子グマとみられる。付近の南木曽小、南木曽中では職員が通学路で警戒し、保護者に登下校時の車での送迎を要請した。蘇南高では目撃情報があった付近を迂回(うかい)するよう生徒に指示した。町によると、この時期にクマの出没が集中するのは2年ぶり。クリやクルミの実が目当てとみられる。
(ミカン畑にツキノワグマ:神奈川)
9日午前9時ごろ、神奈川県伊勢原市上粕屋のミカン畑で、設置されたイノシシ用のわなにクマ1頭がかかっているのをミカン畑の所有者の男性が発見し、伊勢原市などに連絡した。県によると、捕獲されたクマは体長約1メートル30、体重約46キロで、県の絶滅危惧種に指定されているツキノワグマの雌という。クマは同日午後5時15分ごろ、県の職員や猟友会のメンバーらによって丹沢山地奥山の鳥獣保護区に放された。放獣前、人里に近づくのを自制させるため、唐辛子などクマの嫌がる成分の入ったスプレーを吹きかける措置を施した。県によると、同地区では2010年以降、クマは捕獲されていないという。
(クマ食害、トウモロコシ2400本:青森)
4日午後5時ごろ、七戸町銀杏木の農業男性(63)所有の飼料用トウモロコシ畑で、巡回中の猟友会員の男性(53)が、トウモロコシ約2400本が食い荒らされているのを見付けた。七戸署はクマによる食害とみて調べている。同署によると、所有者の男性は数日間、畑の様子を確認していなかった。その間にクマが複数回食べたとみている。猟友会員の男性が5日に町役場に通報した。
(クマ、車に接触:北海道)
ヒグマの出没が続く札幌市南区で3日未明、幹線道路の国道230号(石山通)で乗用車とクマが接触する事故が起きた。クマはその後、藻岩山方向に逃げたとみられる。札幌市や札幌南署などは警戒を強めており、付近の小学校の児童は同日朝、北海道猟友会札幌支部がパトロールをするなか、保護者らに付き添われて登校した。同署によると、接触事故があったのは午前1時10分ごろ。現場は南39西10で、会社員男性(24)が運転中、藻岩山側から体長1・2~1・3メートルのクマが道路に飛び出し、車の後部にぶつかったという。道路に血痕が残っており、クマはけがをしたとみられる。一方、真駒内桜山、真駒内公園の両小学校では、児童の登校時に猟友会のハンターらが通学路で警戒。4年生の息子と1年生の娘がいる主婦(39)は「クマがこんなに身近とは。下の子は怖がっていて夫が車で送りました」と話した。
(北海道・東北「新世代クマ」出没!)
北海道、東北でクマの目撃が例年になく多い。札幌では今年(2012年)4月から9月4日までに昨年度の2・6倍、東北6県では3・3倍にもなっている。原因としては、クマをめぐってある異変が起きているのだという。北海道札幌市では8月27日から8日間でヒグマの目撃報告が30件もあった。2日夜にNNNカメラマンが市内を流れる真駒内川を渡ろうとしているクマを撮影した。クマはカメラに気づいて振り向いたが、逃げるそぶりも見せず、平然と渡って行った。岩手県盛岡市郊外の農家はクマから農作物を守るための電気柵を設けたが、2、3年前は怖がって近寄らなかったのに、今年は電気柵の下をくぐって畑に入っていく。クマの生態に詳しい岩手大農学部の青井俊樹教授は、「ひとつの理由では説明がつかない状況が中山間地で起きているようです。人間に追われたことがないような、人間の怖さを全く知らないようなクマが増えていることが現状としてあります」と説明する。人里に近づくと銃で追われ、人間は怖い存在としてクマに認識されていたのに、それが崩れつつあるというのだ。青井教授は「ハンターが高齢化で減少し、銃で撃たれる経験のない新世代ベアが出現している」と見ている。また、東北では原発の放射能汚染を恐れて獲物を引き取ってもらえず、山に入るハンターが減っているという。これから9、10月にかけて、越冬準備の栄養補給のためにエサを求めて人里を徘徊するクマがさらに増えそうだという。
(公園にクマ、女児目撃:北海道)
4日午後5時ごろ、札幌市南区真駒内南町7の南町みどり公園で遊んでいた小学生の女児2人が、公園横のやぶから顔を出していたクマ1頭を目撃した。クマはすぐに立ち去り、小学生にけがはなかった。小学生の保護者から連絡を受けた地元の町内会長が同日、札幌南署に届け出た。同署から連絡を受けた札幌市が5日に痕跡調査を行い、公園横にクマに踏まれたと思われる草の跡を確認した。現場の公園は山林に接した住宅街の一角。目撃した小学4年の女児(9)は、乗っていたブランコから約10メートル先のやぶにいるクマを目撃、「びっくりして声が出なかった」と話していた。
(クマ目撃30件、街警戒:北海道)
札幌市南区で8月下旬から相次いでいたヒグマの目撃情報は、3日までに30件を超えた。住宅地や小学校の近くでも出没しており、車との接触事故も起きた。3日午前1時10分ごろ、南39西10の国道230号(石山通)で、道路脇から出てきた体長1・2~1・3メートルのクマが、男性会社員(24)の乗用車と接触。男性にけがはなかった。路上には血痕が残っており、クマは傷を負って藻岩山方面へ逃げたとみられる。真駒内桜山小と真駒内公園小では同日、猟友会メンバーらが見守る中、子どもたちが登下校した。両校とも校外での課外活動を中止。桜山小は登校時に児童に付き添うよう保護者に求めたり、教諭の先導で集団下校したりした。4年生の息子と1年生の娘がいる主婦(39)は「クマの出没は『対岸の火事』と思っていたので、こんなに身近で出るとは……。下の子は怖がって車じゃないと(学校に)行かないと言うので夫が車で送った」。2年生の息子の登校に付き添った男性会社員(36)は、クマが車との接触でけがをしていると知り、「手負いのクマなので怖い」と話した。札幌市ヒグマ対策委員会が3日開かれ、市や道、道警、ヒグマの専門家らが協議した。目撃されたクマは攻撃的な行動がなく、生ごみなども食べておらず、駆除をする状況ではないとした。引き続き市や道警、猟友会などが注意を促し、出没地域周辺をパトロールし、登下校時の児童の安全確保に努める方針だ。また、ごみ出しルールの徹底を呼びかけていく。今年度、市内でヒグマが目撃されたのは3日現在、93件で、昨年度の同期に比べ55件多いという。 札幌市南区で出没が相次いでいるヒグマは、なぜこの時期に人がいる場所に現れ、何を求めて動いているのか――。生態に詳しい道立総合研究機構・環境科学研究センターの間野勉・企画課長は、若いクマが冒険心も手伝って居場所を移し、再び戻りたくなったものの、経験不足でうまく人を避けられないでいるのではないか、と分析した。間野さんによると、体格から昨年か一昨年の生まれで、人に対して攻撃的ではない。人気のない時間帯や川沿いを選んで行動している、とみる。多くても2頭程度、1頭と考えても矛盾はないという。市によると、出没場所周辺ではクルミが食べられ、ヒグマのフンからクルミが見つかった。ただ、人間が出したごみを食べた痕跡はなかった。間野さんは「今は餌の端境期。沢沿いにあるクルミを狙ってきたことは十分に考えられる」。ヒグマの餌が草から木の実に切り替わるのが、ちょうど8月下旬~9月上旬。この時期、草は堅くて旬を過ぎ、木の実は食べ頃に遠い。標的になるのが豊凶の当たり外れが少ないクルミだという。目撃が相次ぐ住宅地も、クルミが豊かな山麓(さんろく)の沢沿いが少なくない。乗用車に接触し、クマは負傷した可能性がある。間野さんは「手負いグマはハンターがけがを負わせた時に逆襲する。今回は車にぶつかったことで、けがが治れば人間は怖いものだと学習するだろう」と話した。
(行楽の秋、クマに注意:北海道)
道内各地で行楽や山菜採りが本格化する秋のシーズンを迎え、道は8日から10月31日までを「秋のヒグマ注意特別期間」とし、道民に注意を呼びかける。道環境生活部によると、今年度の道内のヒグマ目撃頭数は6日現在で昨年とほぼ同じ852頭となっている。今年は札幌市南区で目撃が相次ぎ、3日には国道で乗用車にヒグマが衝突する事故も発生、札幌市や警察などが警戒を強めている。ヒグマは秋にかけ、冬眠を前に餌を求めて活発に活動するといい、道は特別期間中、▽1人で野山に入らない▽鈴などで音を出しながら行動する▽生ゴミを放置しない――などの注意を呼びかける。
(人とクマどう共存:北海道)
札幌市南区では8月末からクマ出没が相次ぎ、真駒内など人通りの多い地区でも、人間とクマの距離は決して遠くはないことが浮き彫りになっている。同じ南区内の山間部にある市の野外教育施設「定山渓自然の村」は「クマとの共存」へ向けて、さまざまな取り組みを重ねている。住宅地の住民にも、参考になる部分は少なくない。「定山渓はヒグマの生息地域です」。6日、自然の村を訪れ、真っ先に手渡された利用者向けの注意書きにはこう書かれていた。一瞬ドキッとした。クマの目撃情報もあった市営地下鉄真駒内駅の南西約20キロ。国有林11ヘクタールを切り開き1998年に開業した自然の村は宿泊施設やキャンプ場を備え、年約1万6千人が利用する。 「ここから先の森林がクマ、柵の向こうは人間。いるべき場所をきちんと区分けするのが人間の役割です」。下川原清貴施設長(49)が、両手を大きく広げて話した。約2キロにわたって電気牧柵を張り巡らせたキャンプ場と山の間は、幅1メートル余りがきれいに草刈りされている。クマは草やぶなど、身を隠せる茂みに沿い移動する習性がある。草を刈ることで通路を遮断し、人間の住むエリアにクマが寄りつかないようにしている。住宅地の草むらや、河畔の緑地帯などでも応用できる手法だ。サイト内のごみ箱は頑丈な緑色の鉄製で、密閉するふたが付いていた。クマはごみなどの味を覚えると現場を離れなくなるため、えさになる可能性のあるごみを見せず、においも外に漏らさない。利用者にはバーベキューの残り物などを夜間に出しっぱなしにしないよう繰り返し求めており、焼き肉などが落ちていた場合は周囲の土ごと回収している。職員5人は、オホーツク管内斜里町の知床自然センターでクマの生態や対処方法などを学んでいる。クマと出合ったら「冷静に対処」が基本で、大声を上げ刺激を与えたり背中を向けて走り去ることはご法度。利用者にもそう呼び掛けるという。 自然の村周辺では時折、ツメで樹木を引っかいた跡やふんなど、クマの痕跡が見つかるが、利用者や職員が遭遇することはほとんどない。下川原さんは「臆病な生き物であるクマに人間の存在を分からせ、近づきにくい環境を地域全体で整えることが、クマと共存する上で必要」と話した。話を聞き、4日に真駒内地区の南町みどり公園でクマを目撃した小学生女児の話を思い出した。10メートル先のクマは「立ち上がって一瞬、こちらを見たけど、すぐにやぶの中に去っていった」という。下川原さんの言う通り、「クマは臆病」なのかもしれない。人間の生活圏から遠ざける工夫とともに、正しい対処の仕方を学ぶこと。住民ができることはまだあるようだ。
(クマ出没注意報、目撃84件:石川)
県は6日、県内で今秋、ツキノワグマの大量出没が予想されるとして、関係市町にクマ出没注意情報を発令した。発令は2年ぶり。今年は目撃件数が多かった2006年、10年を上回るペースで目撃されており、県は「里山や市街地で人と遭遇する可能性もある。十分に注意してほしい」と呼びかけている。県は同日、県庁で金沢や七尾など関係9市4町の担当者らと連絡会議を開き、住民への注意喚起などを要請。〈1〉柿や栗、蜂の巣などを除去する〈2〉クマが隠れて移動する草むらを刈る〈3〉外出する際には鈴やラジオを携行する――などの対策を求めた。県自然環境課は8月下旬から9月にかけ、金沢など5市2町でツキノワグマの餌のブナ、ミズナラ、コナラの着果状況を調査し、「大豊作」「豊作」「並作」「凶作」「大凶作」の5段階に分類。ブナは全17か所で「凶作」か「大凶作」だった一方、ミズナラは19か所のうち13か所が「豊作」か「大豊作」、コナラは26か所のうち20か所が「豊作」か「大豊作」だった。今年の着果状況は、過去に大量出没した年に似ているという。ツキノワグマは、ブナが生息する標高700メートル以上の奥山や、里山で生活することが多く、例年12月頃からの冬眠に備え、9月頃から餌を求めて動き回る。ブナが凶作の場合、ブナより低地に生息するミズナラやコナラを求めて移動する。県に統計のある04年以降では、クマの目撃件数は04年の1006件が最高。今年は6日時点で84件と、昨年1年間の60件を上回っている。今年は7月に金沢市の野田山墓地で散歩中の男性が襲われ、顔と太ももを負傷するなど、人身被害も3件起きている。同課は「クマは臆病な動物。遭遇しても慌てず、後ずさりして逃げてほしい」と話している。
(比叡山にクマ出現:京都)
従来「クマはいない」と思われていた比叡山系で、ツキノワグマが初めて捕獲された。5月に京都市左京区の曼殊院近く、8月に大津市の奥比叡ドライブウェイ沿いで異なるオスのクマがイノシシ捕獲用のおりに入った。最も南では銀閣寺近くの大文字山で目撃情報がある。今も周辺にいる可能性があり、秋の行楽シーズンを前に注意が必要だ。スギの幹が無残にえぐられている。奥比叡ドライブウェイ沿いの山林。8月28日朝、1頭のクマが立ち上がっているのを近くの工事作業員が見つけた。クマは昼ごろ、米ぬかが仕掛けられたイノシシ捕獲用おりに入っているのが確認された。希少種のため滋賀県や大津市はクマを奥山へ移して放そうとしたが、クマがおりを破りそうな勢いで顔や手を突き出し、木や地面を爪でえぐって暴れたため、やむなく射殺したという。体長119センチ、推定3~4歳だった。県自然環境保全課は「比叡山でクマの捕獲記録は今までなく、クマは比良山系にはいても、比叡山にはいない認識だった」と驚く。比叡山一帯では今夏、クマらしき目撃情報が相次いだ。曼殊院近くの山林では5月28日、同様のおりに体長130センチのオスのクマが入った。京都府森林保全課は「鞍馬方面とつながる左京区の静市や岩倉で捕獲例はあっても、国道367号(鯖(さば)街道)や白川通以東の比叡山では聞いたことがない」とする。捕獲したクマには個体識別タグを付けた上で、「場所は公表できないが、比叡山とは相当離れた市北部の奥山に放した」という。ただ、その後も6~8月に左京区北白川や山中越えなどで目撃が続いた。大文字山では7月20日に登山者が見たという。奥比叡ドライブウェイ近くで捕まったクマと同一かどうかは不明だが、9月には新たに左京区八瀬で目撃があり、まだ周辺にいる可能性がある。京都大大学院農学研究科の高柳敦講師(森林生物学)は「ツキノワグマはオスの方が広範囲に移動し、移動距離は1日最大4キロ、行動圏は1年で50平方キロメートルを超える例もある」と指摘。今回のクマについて「京滋や福井の山地にまたがって分布する北近畿東部個体群のクマと考えて問題はない」が、どの方角から、どんな要因があって現れたのかは「全く分からない」という。今年はドングリなどクマの餌となる木の実が2年に1度の凶作になるとされ、クマの出没増加が全国的に懸念される。府や県は、鈴の携帯や食べ物の始末など出没防止策の徹底とともに、目撃時は管轄の役所や警察に通報するよう呼び掛ける。
(ツキノワグマ出没注意情報発令:富山)
今年はクマの主食であるドングリが不作で、大量出没があった2年前と似た状況だとして、県は、今年初めてのツキノワグマ出没注意情報を発表しました。山間部だけでなく平野部でもクマが出没するおそれがあるとして、注意を呼びかけています。県によりますと、過去の例からクマの大量出没は、9月下旬から始まることが多く、今後の出没状況を見定めたいとしています。
(クマ注意情報:石川)
今秋、石川県内でツキノワグマが大量出没する恐れがあるとして、県は5日、クマ出没 の注意情報を2年ぶりに出すことを決めた。6日に発令する。今年は大量出没した200 6、10年の同時期と比べ、目撃件数が多く、餌の木の実が標高が高いほど凶作のため、 餌の豊富な市街地近くまでクマが現れる可能性も出てきた。県は警戒を強めるとともに、 被害に遭わないよう呼び掛ける。県自然環境課は8月、クマが出没する金沢、小松、白山、加賀、能美、津幡、宝達志水 の各市町で餌となる木の実の着果状況を調べた。その結果、「大豊作」「豊作」「並作」「凶作」「大凶作」の5段階分類で、標高70 0メートル以上に分布するブナは8カ所で凶作、9カ所で大凶作だった。一方、ブナと比 べて低地にあるミズナラ、コナラは場所によってばらつきはあるが、豊作や並作が多かっ た。県自然環境課によると、高地のブナが凶作の年は、クマが餌を求めて里山に現れるケー スが多くなる傾向がある。さらに低地のミズナラ、コナラが豊作、並作だったことから、 同課は「市街地近くに出没しても不思議ではない」とみている。県内のクマ目撃情報は県主体で統計を取り始めた2005年以降、年間最多は10年3 53件、次いで06年333件。今年の目撃情報は5日現在82件で、10年同時期の8 0件、06年同の53件、昨年1年間の60件を上回った。加えて今年は金沢市の野田山 墓地で7月、散歩中の男性が襲われるなど、人身被害が3件発生している。このため、県 は06、10年同様の大量出没の可能性があるとして注意情報を出すことにした。県は6日、県庁で市町担当者、猟友会関係者らを集めた連絡会議を開く。過去の出没場 所を示した地図を配布し、クマが身を隠しやすい草むらなどの刈り取りや、柿の実の除去 を徹底するよう求める。
(クマが蜂蜜を狙って侵入:富山)
9日午前9時半ごろ、南砺市井波の礼拝堂で、入り口付近の天井板が割られ、天井裏にあった蜂の巣が落ちているのを住民が見つけた。クマが蜂蜜を狙って侵入したとみられる。入り口に花瓶(高さ約40センチ)と蜂の巣が転がっていた。天井までの高さは約2メートル。市は、クマが花瓶を踏み台にして板を割り、中の蜂の巣の蜜をなめたとみている。
(クマ1頭を近くの住民が目撃:富山)
9日午前11時ごろ、富山市小見(大山)で、成獣のクマ1頭を近くの住民が目撃し、富山南署に連絡した。市によると、クマは茂みに姿を消した。同市大山総合行政センターが近くに捕獲用のおりを設置した。現場は集落が近く、約500メートルの距離に小見小学校がある。
(クマ1頭を目撃:富山)
9日午前8時50分ごろ、富山市原(大山)の県道で、クマ1頭を立山国際ホテルの従業員が見つけ、富山南署に通報した。市によると、クマは成獣とみられ、草むらから県道に姿を現し、すぐに草むらに戻った。署員らが付近をパトロールして注意を呼び掛けた。
(クマの足跡発見:富山)
7日午後1時ごろ、立山町日中の畑で、成獣とみられるクマの足跡があるのを住民が見つけ、町に連絡した。町によると、足跡は6日以前のものとみられる。町有害鳥獣捕獲員と町職員が周辺をパトロールし、注意を呼び掛けた。
(クマの出没が相次ぐ:京都)
福知山市内のクマの出没情報が市役所に連日寄せられている。どうもクマの行動が様変わりしているようだ。好物の柿は、昔は熟したものを狙っていたが、今は青いものや渋柿も標的になっている。市は「今年はすでに人家そばに出没しています。柿が不要な場合は早く取って」と注意を呼びかけている。8月31日と2日の未明、福知山市牧の山裾から少し下りたところの人家横の柿の木2本がクマに荒らされた。柿の木には、実を食べるために折った枝を集めた足場「熊棚」が作られ、木の根元には柿を消化した糞があった。実はまだ青かったがお構いなし。市林業振興課は「昔はそうではなかったと思われますが、最近は青くても食べるようです」という。今年は、クマが食べるドングリなど、山の実りが少ない裏年になる。市内の出没情報は7月が12件(昨年11件)、8月が9件(同15件)と、今のところ昨年より多いことはないが、9月以降は注意が必要だ。裏年だった一昨年は、9月が33件(同3件)、10月は62件(同5件)の目撃があり、非常に多い。今年もこれから人里に近づく回数が増える恐れがある。家の近くにクマを引き寄せない方法では(1)家の周りに残飯を捨てない(2)好物の柿や栗は早めに収穫する(3)大好物のハチミツを狙うためハチの巣を取りのぞく-を市は紹介。このほか、木を切る、上りにくいように木にトタンを巻くなどの対策もある。「前進と後退を繰り返して威嚇することがある」「背中を見せると本能的に襲ってくることがある」など、万が一の遭遇時の注意点も喚起する。同課は「餌場と認識すると、同じところに通う傾向があるので早めの対策を」とし、市ホームページにクマの出没地点、対策を載せている。
(クマ出没:栃木)
9日午前5時半ごろ、日光市足尾町の路上で散歩していた人が道路脇から出てきたクマと遭遇し、日光署に届け出た。大声を上げたところ、クマは山中に逃げていったという。同署によると、体長約1メートル。付近は住宅が点在していることから、同署はパトロールを強化するとともに、警戒を呼び掛けている。
(クマ出没地一目で:滋賀)
木之本署は長浜市北部の管内で、今年クマが目撃された箇所を記した地図を作った。九日に同市西浅井町大浦で釣り客らに配布するほか、観光客が立ち寄るレンタルボート店やコンビニなどに貼って注意を促す。長浜市北部の白地図を利用して、目撃情報があった場所にクマの絵と見つかった日付、地名を記して注意場所が一目で分かるようにした。昨年までは山深い場所での目撃が多かったが、今年は六~九月に同市西浅井町大浦の集落周辺で六件相次いだため、制作した。目撃は計十三件あった。奥沢清司地域課長は「注意場所では、鈴を鳴らすなど、人がいることをクマに知らせるよう心掛けて」と呼び掛けている。
(クマ対策会議:富山)
この秋はクマの出没が増えることが懸念される中、砺波市は7日、クマによる被害を防ぐための対策会議を開きました。砺波市役所で開かれた会議には、市内の山沿いの地区の自治振興会長や、消防、有害鳥獣捕獲隊などの代表が出席しました。今年、砺波市内のクマの目撃・痕跡情報は6日までに3件ですが、県によりますとこの秋は山の木の実が凶作で、2年ぶりにクマが多く出没する可能性が高いということです。また、クマの出没は9月後半から急速に増え、早朝から午前中に被害が多い傾向があります。砺波市ではきめ細かいパトロールや広報活動を行うことが被害防止に効果があるとして、7日の会議では、自治振興会や警察に加え、クマが出没しそうな地域の消防団員150人が、連携を密にすることを確認しました。
(シカ駆除で法改正検討:福島)
環境省は、尾瀬国立公園でのニホンジカによる湿原植物の食害対策で駆除について定めた鳥獣保護法などの改正を検討する。4日に檜枝岐村の尾瀬沼ヒュッテで開かれた「尾瀬サミット2012」で同省が示した。サミットは昨年、東日本大震災の影響で中止されたため、開催は2年ぶり。同省は平成21年度から、尾瀬沼周辺など特別保護地区内で銃とわなによる駆除を可能としたが、23年度の見晴・尾瀬沼周辺の駆除数は14頭で目標の100頭を大きく下回っている。ニホンジカは夜間に現れることが多く、地元猟友会などからは銃による夜間駆除をできるよう求める声が上がっている。このため同省は、銃刀法や鳥獣保護法の改正について、関係省庁と協議するとみられる。同省自然環境局の伊藤哲夫局長は「シカによる食害は全国の国立公園で問題になっている。今後の制度を考えていきたい」と述べた。
(シカ捕獲目標、最多2100頭:岩手)
県内に生息するニホンジカの今年度の捕獲目標頭数が前年度比1・5倍の2100頭になることが、盛岡市内で6日に開かれた県のシカ保護管理検討委員会で決まった。県が捕獲目標を決める管理計画を定めた2000年度以降で最多。ニホンジカによる農業被害が増え、生息数が減少していないことから、県は積極的な捕獲に乗り出す。大船渡、釜石、住田3市町にまたがる五葉山(1351メートル)には古くからニホンジカが生息していたとされ、県は陸前高田市を加えた4市町を五葉山地域として捕獲目標を決めている。ここ数年の捕獲目標は1350~1400頭。県猟友会員が入山して駆除する「狩猟」と、監視活動で発見した場合の「有害捕獲」の実績は1200~1400頭台で推移している。ニホンジカによる県内の農業被害額は昨年度、1億5651万円で、前年度より2078万円減った。同地域の被害額は前年度比2250万円減の3213万円だったが、東日本大震災で農地が被災したり、自治体が県に報告できなかったりしたためとみられる。同委員会ではニホンジカによる被害が広がっているとして、目標頭数の引き上げを決定した。県内ではシカ肉から基準値を超える放射性セシウムが検出されており、狩猟による捕獲の減少が見込まれることから、今年度は狩猟と有害捕獲の区分を設けなかった。また、猟を行わない休猟区も12か所(2万8694ヘクタール)と決めた。08年度は105か所(23万5312ヘクタール)だったが、休猟区にニホンジカが逃げ込み、頭数の減少につながらないため前年度の60か所から縮小する。ニホンジカの分布は拡大しており、1999年度に同地域以外で捕獲されたのは2頭だったが、翌年度は24頭に急増。今年2月には県北の洋野町で初めて捕獲された。同地域以外の農業被害額は07年度の828万円から昨年度は1億2438万円にまで増えている。ニホンジカが増え続ける一方、猟を行う県猟友会の会員の減少は深刻だ。県猟友会によると、昨年度末の会員1780人の平均年齢は62・04歳。76年度の9147人をピークに会員の減少傾向が続き、東日本大震災で会員約70人が自宅を失うなど被災し、昨年度の活動が停滞したという。委員会に出席した県猟友会の菅野範正副会長は「猟友会への支援策や猟期延長などの対策を取らなければ、シカの拡大は抑えられない」と訴えた。今季の猟期は11月15日から来年2月末まで。カモシカの保護管理対策を決める委員会も6日、盛岡市内で開かれ、住田町の1地区(約120ヘクタール)で4頭を捕獲する目標を決めた。
(シカ捕獲手詰まり:高知)
県内で深刻な農林業被害をもたらしているニホンジカの捕獲が、シカの「自然増」に追いつかない状況だ。昨年度、猟銃とわな猟で過去最多の1万3468頭を捕獲したが、県が目標とする「年3万頭」には遠く及ばず、被害額は過去最悪の1億2408万円。昨年度に新設した「広域捕獲実施隊」の事業も効果が薄いと単年度で打ち切られ、対策に手詰まり感が漂っている。
(シカ対策に女性結集:北海道)
食害が深刻化しているエゾシカを捕獲する女性ハンターを増やし、シカ肉の活用を進めようと、女性ハンターと管理栄養士らが8日、釧路市内で「女性ハンター等の会(THE Women in Nature-shoot&eat)」を設立する。エゾシカの個体数管理に不可欠なハンターは高齢化で減少。シカ肉消費も進んでおらず、女性の力を結集し事態打開を狙う。同日の設立総会には女性ハンター17人、管理栄養士、研究者、学生、公務員ら道内の計26人が参加する。道によると、道内の第1種狩猟免許所持者はピーク時の1970年代後半に1万8千人を超えたが、2010年度には6918人に減少。女性ハンターは130人ほどで横ばいが続いており、会は女性ハンター増加へ環境整備を進める考えだ。
(ライフル射撃場、南砺に完成:富山)
クマなどの駆除に使われるライフル用の射撃場が県内で初めて南砺市に完成し、4日、落成式が行われた。整備した県猟友会では、ライフルの技能講習や射撃訓練が容易にできるようになり、クマやイノシシが出没した際に必要となる駆除の担い手確保にもつながると期待している。県内には散弾銃などの訓練ができる南砺市クレー射撃場(南砺市才川七)があるが、より威力が強く、射程の長いライフル銃の射撃訓練用施設は無かった。クレー射撃場の隣に新設されたライフル射撃場は100メートル先の標的を狙って、6人同時の訓練が可能。今年4月に工事が始まり、8月に県公安委員会から指定射撃場に認定された。整備費4300万円のうち、3000万円は県などが補助した。県猟友会によると、県内のライフル所有者は高齢者を中心に約250人。ほとんどの所有者がクマなどが出没した際、有害鳥獣捕獲隊として出動しているという。ただ、ライフル所有には、3年ごとに許可証を更新する必要があり、2009年12月から更新の際に技能講習が義務づけられた。このため、県内の所有者はこれまで、長野県の射撃場に出むいて講習を受ける必要があった。猟友会では、練習場所の不備や講習場所の遠さで所有者が減った場合、クマなどの駆除に影響が出ることを懸念していた。猟友会の石黒信二事務局長は「クマやイノシシを有効に駆除できるように、県内の所有者はここでしっかり練習してほしい」と話していた。
(射撃場外河川から環境基準値を超える鉛検出:佐賀)
伊万里市は、同市大川内町の市営散弾銃射撃場外の河川から、水質検査で環境基準値(1リットル中0・01ミリグラム)を超える1リットル中0・019ミリグラムの鉛を検出した。市体育保健課は「早急に対策を検討したい」としている。検査は8月2日に実施。射撃場内外の9地点で採水し、場外の河川1地点と、場内のわき水から1リットル中0・011ミリグラムの鉛を検出した。下流にある耕作田の取水地点からは検出されなかった。同課は「貯水池を設けるなどして、下流に鉛が流れないよう対策を検討している」と話す。水質検査は年数回実施しており、2003年と09年にも同じ河川から環境基準値を超える鉛を検出している。射撃場は昨年、隣接する休耕田から鉛が検出されたため、利用を休止している。
(イノシシの処理加工施設を10月から稼働:千葉)
千葉県君津市は10月、イノシシなどの肉を処理加工する施設を稼働させる。農家などからなる団体に貸し出し、解体して枝肉や薫製にして出荷してもらう。併せて県内の飲食店や食肉加工会社がイノシシ肉を使ったメニューや加工品の開発に取り組む。市と企業が連携して農地に被害をもたらすイノシシの駆除を進め、肉を地元のブランドに育てたい考えだ。施設は床面積が約140平方メートル。解体処理から検査、包装までできる。
(鳥獣害防止有効策学ぶ:愛媛)
県鳥獣害対策技術指導研修会が3日、伊予市下三谷のウェルピア伊予であり、市町やJAなどの担当職員約100人がイノシシやハクビシンなどへの対策方法を学んだ。近年、深刻化している野生鳥獣による農作物被害を減らそうと県が毎年開催。農林水産省が認定する農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーの平田滋樹長崎県農政課係長が、イノシシ被害対策について講演した。長崎県は愛媛同様にイノシシによる被害が多く、農作物被害の7~8割を占めている。平田係長は防護柵設置について「マニュアル作りやモデル地区指定だけでなく、担当者が設置方法を実演することで農家のやる気を引き出すことが大切」と指摘。設置後の草刈りなど維持管理が省力化できる場所に柵を巡らせるよう説いた。
(鹿捕獲へ、市会一般質問で伊那市長:長野)
伊那市の白鳥孝市長は5日の市議会9月定例会一般質問で、食害などが深刻化しているニホンジカ対策について、中央アルプスでの捕獲に本格的に取り組む意向を示した。上伊那地方のシカの生息域は、南アルプス側で天竜川を挟んだ中ア側は少ないとされてきたが、中ア山ろくの同市西春近で捕獲実績があることなどから、南ア側から移り住んでいる可能性が高いと指摘。その上で「看過すれば爆発的に増える恐れがある」と述べ、地元猟友会と連携して具体的な対策に乗り出す考えを示した。市耕地林務課によると、同市西春近の中ア山ろくで、地元猟友会が今年4月から7月末までに4頭のニホンジカを捕獲した。6月には長野日報が、西春近の春近大橋付近で天竜川を渡るシカの群れを撮影した。白鳥市長はこうした状況を踏まえ、「猟友会を頼りにしながら、移動した鹿を今のうちに捕らえることが大切。イノシシやクマ、ハクビシンなどと合わせ総合的な鳥獣被害対策を講じていく」と答弁。すでに伊那猟友会に捕獲対策を講じるよう協力を要請したことを明らかにした。同課では「中ア側での目撃情報が増えており、高山帯への進出も懸念される。市有害鳥獣対策協議会や猟友会などと具体的な方策を検討するなど、対策を強化したい」としている。白鳥市長はこのほか、市土地開発公社について、国の第三セクター等改革推進債を活用した解散を提言した検討委員会の答申に沿う形で決めるとし、改めて解散に前向きな姿勢を示した。公社保有地が約20万平方メートルに及んだ理由については「産業立地推進のため5万平方メートルを保有する方針があり、同時にいくつか交渉過程にある土地があったところにリーマンショックが起こり、状況が変わってしまった」と説明。市の試算で10年間、毎年2億3000万円余に上るとされる三セク債の償還については「解散が決まれば保有地の売却に努め、一般財源からの投入額を極力抑えたい」と述べた。
(住宅地、サル出没増:三重)
津市の住宅地でサルの目撃通報が多発し、住民が不安を募らせている。市は緊急事態ととらえ、サルなど野生動物の住宅街からの追い払いに専従して取り組むスタッフの雇用を決めた。市農林水産政策課によると、住宅街でのサルの目撃情報を受けた市職員の出動回数は、4~8月だけで45回にのぼる。昨年同時期比の1・6倍だ。2010年度の出動は数回で、急増した昨年度の63回をさらに上回る勢いだ。目撃情報が多いのは渋見町や神戸、観音寺町などの北エリアと、南ケ丘、高茶屋、垂水などの南エリア。それぞれ2~3頭ずつで行動しているらしい。通報を受けて市職員が駆けつけると、サルはすでに姿を消しているケースがほとんど。5月だけで計12日出動し、担当者は「業務にも支障が出る」と嘆く。市は補正予算案に約410万円を盛り込み、サルやイノシシを追い払う専従職員の雇用を決めた。市議会の承認を経て求人募集、採用し、早ければ10月にも活動を始める。車によるパトロールのほか、住民への注意喚起に取り組む計画だ。垂水地区では、サルに家庭菜園を荒らされ、屋根を外される被害が相次いでいる。地元自治会は、市から捕獲用のオリや撃退用の花火の提供を受けているが、1頭も捕獲できず、お手上げの状態だ。自治会長の浅田康功(やすのり)さん(62)は「まさかこんな住宅地で出没するとは……。不安の声も多く、子どもたちがけがをしないように、できることをしていきたい」。県農業研究所の経営・植物工学研究課で、野生動物に詳しい山端直人主任研究員(43)は、住宅地に出没するサルはオスの「はぐれ猿」との見方だ。市街地に定着したはぐれ猿は、人に慣れて横着になるという。津市周辺のサルは、主に片田の山中などで群れで行動し、主食は木の実や果樹、昆虫など。山端さんは「住宅街は山よりも家庭菜園やごみなどのえさを得やすく、味もおいしい。そのうえ、すぐに追い払われないことから『安全な場所』と学習しているのだろう」と指摘する。こうした出没するサルたちへの対応については「これ以上、人に慣れさせないように、複数の男性に石や棒などで追い払ってほしい。ただし、女性や子どもは目を合わせないようにして逃げて」と呼びかける。「しっかり怖い目に遭わせ、最終的には捕獲することが大切です」ただ、市は住民による撃退には否定的な考えだ。農林水産政策課の担当者は「襲われてけがをしないよう、サルを見かけても目を合わせたり威嚇などをしたりせず、すぐに市に通報してほしい」と話す。
(困ったカラスのフン:北海道)
大樹町内の西本通行政区などの地域住民がカラスのふんによる景観悪化に悩まされている。毎日夕方になると、カラスは国道236号沿いの電線を中心に大集結。付近の車道や歩道はカラスの“落とし物”で白く汚れている。清潔な街並みを取り戻そうと、住民は花火や大きな物音を出して威嚇しているが、カラスの心に響いている様子はない。行政も対策を検討し始めている。町や地域住民によると、カラスは10年前から姿を見せるようになった。「ここ2、3年は特にひどい。年々増えている印象」(千葉由一同行政区事務局長)という。街中に現れるのは主に夕方。日中はどこかで羽を伸ばしているとみられる。午後5時半ごろになると徐々に集まり始め、同6時半ごろには一部の電線が、一休みするカラスでびっしりと埋まる。はっきりとした数は分からないが、電線上に数百羽はいると地域住民はみる。ごみをあさったり、人間を襲ったりすることはないが、「ふんの被害がひどい」と西本通地区の清信一士区長。電線に止まったカラスが落とすふんで国道236号沿いの歩道は白い汚れが目立ち、景観を悪くしている。同地区が国道沿いに整備している植樹升(13カ所)の花にもふんが付着し、鮮やかな印象も半減。国道は小学生の通学路にもなっていることから、住民は「子供がふんに触った手を口に入れ、病気にならなければいいが」と懸念している。国道から大樹高校に向かって西に伸びる「高校通線」なども同様の状態。高校生が汚れている歩道を避けて車道を歩くため、「事故が起きないか心配」との声も広がっている。清信区長は4日、町に要望書を提出。「一行政区単独で処理できるものではない。早期に対応してほしい」と訴えた。伏見悦夫町長は「対策を考えたい」と回答。職員が5日から現状把握に乗り出している。清信区長は「煩わしく感じているのは私たちだけではないはず。大樹の顔である道がきれいになってほしい」と話している。
(カラスの農業被害4割増:沖縄)
2011年度鳥獣類による農作物への被害状況(県集計)によると、被害総額は1億9185万円で前年度比14・9%減ったが、そのうちカラスによる被害額は9497万円で37・5%増えた。地区別では北部地区が86%、鳥獣別ではカラスが50%を占め、特にパイナップルやタンカンなど果樹の被害が目立った。台風でエサとなる山の木の実が減ったため、農作物を食い荒らしたことが一因とみられる。県は市町村と連携して施設整備や捕獲箱の設置など対策を進める。被害面積は46%減の191ヘクタール、被害数量は39・8%減の1779トン。面積、数量、総額はいずれも減った。ただ、カラスによるパイナップルとかんきつ類への被害額は、台風の影響で単価が上がったため膨らんだ。かんきつ類は62%増の6318万円、パイナップルは5・5%増の2473万円だった。イノシシやコウモリによる被害も目立った。被害額はイノシシは3883万円で75・2%、コウモリは2285万円で462%増えた。一方、シロガシラは396万円で91・6%減った。南部地区の野菜や果樹などに被害をもたらしていたが、巣立ち直後に相次いだ台風で個体数が減少。捕獲箱を整備したことも奏功したという。カラスの被害が深刻だった北部地区では、市町村ごとに猟銃での捕獲を試みているが、取り組みに濃淡があるのが現状。より効果的に駆除するため、広域での一斉駆除に向け準備を進めている。県と市町村は、イノシシの侵入防止柵の設置やカラスの捕獲箱の設置などの対策を講じている。
(拳銃と実弾を不法所持、陸自三曹らを逮捕:埼玉)
拳銃や実弾を隠し持っていたとして、警視庁組織犯罪対策5課は銃刀法違反の疑いで、さいたま市大宮区三橋、陸上自衛隊三曹、余村(よむら)周作(38)と千葉県松戸市小金原、会社員、長野大輔(37)の両容疑者を逮捕した。同課によると、余村容疑者は容疑を認め、長野容疑者は「6~7年前に、余村容疑者から『嫁さんに見つかるとやばいから』と言われ、銃を預かった。モデルガンだと思った」と供述している。2人は中学の同級生だという。同課は今月2日に長野容疑者方を家宅捜索し、寝室の畳の下から袋に入った拳銃と実弾を発見。自衛隊で使用されている銃器とは別種で、同課は入手経路を調べている。逮捕容疑は、2日に長野容疑者方で中国製の拳銃や実弾9発を所持していたとしている。余村容疑者は平成7年に陸自に入隊し、現在は陸自幹部学校(東京都目黒区)で教官の助手として勤務していた。
(模擬銃器を違法所持、容疑の男性を書類送検:埼玉)
模擬銃器を違法に所持したなどとして、埼玉県警児玉署は5日、銃刀法違反(模造拳銃所持・模擬銃器販売目的所持)の疑いで、前橋市に住む運送業の男性(61)をさいたま地検熊谷支部に書類送検した。児玉署によると、男性は「20歳ごろから趣味でコレクションしていた。他人に売り渡したこともある」と容疑を認めている。児玉署の調べでは、男性は今年4月13日、前橋市内の自宅に止めた軽ワゴン車の車内に、模造拳銃15丁と模擬銃器9丁を所持していた疑いが持たれている。神川町で4月に開かれた骨(こっ)董(とう)市で、男性が銃のような品物を出品しているのを目撃した人が児玉署に届け出た。同署で男性宅を家宅捜索したところ、28点の拳銃のようなものを押収、計24点が違法だったことが判明した。児玉署によると、押収した模擬銃器類はいずれも弾丸を発射できる状態ではなく、殺傷能力はなかった。しかし、模造拳銃は外見上本物の拳銃に酷似しており、模擬銃器も改造を施せば殺傷能力を持たせることが可能な状態だったという。
(都市とクマ:北海道)
ヒグマが夏のまちを歩き回る。驚きの事態だ。しかも、目撃地点は札幌市南区の地下鉄真駒内駅周辺など、市民生活圏のまっただ中である。地域の不安はいかばかりか。子供たちや住民の安全を最優先で守らなければならない。札幌では昨年秋も中央区の円山公園や、近隣の住宅地にクマが出没して大騒ぎになった。研究者の中には、人を恐れなくなった新世代グマの行動範囲が都市圏と重なってきたとの見方もある。しかし、都市に出没するクマの実態は未解明のままだ。札幌市や道はその解明に全力を挙げるべきだ。行動範囲に加え、食性の変化も指摘されている。開発で野生動物との緩衝帯が失われていないか、個体数は増えていないか。早急な調査を求めたい。札幌市は住宅地の縁辺部分にクマが生息している。約200万人の人口を抱えながら野生動物の領域と隣接する、世界的にも例のない大都市といっていい。だからこそ、市は道や北大などの研究機関と連携を図りながら、都市と野生動物が一定の距離を保ちつつ、共存していく環境づくりについて知恵を絞る必要がある。都心近くへのクマ出没を踏まえ、札幌市は今春から、環境局にクマ対策の専門係を開設した。出没時の対応だけではなく、中長期的なまちづくりの視点も欠かせない。出没が相次ぐ南区では、南沢地区のまちづくり協議会が今年、専門家から話を聴取して予防策をまとめた啓発冊子を作った。住民の自発的活動は心強い。ぜひ他地域にも浸透させたい。クマの都市への進入を食い止め、事故を未然に防ぐために、ぜひ注意喚起したいことがある。ごみ出しの方法である。クマが市街地に出没する要因のひとつとして、いったん生ごみの味を覚えると人との距離感を失ってしまう問題がある。ごみは収集日当日に出し、生ごみは決して放置しない。こうした基本の実践を忘れてはならない。家庭菜園や庭のコンポストがクマを誘引するとの指摘もある。これも今後の研究課題だ。今回のクマは、目撃情報などから、3歳ぐらいの若グマとみられている。好奇心や自分の縄張りを求めてまちに出て来た可能性もある。札幌市などの対策委員会は、攻撃行動が見られないため、当面は駆除せずに山に戻す方向だという。ヒグマの行動が活発化するのは、むしろこれからの季節だ。備えを万全にしたい。
(狩りの魅力に取りつかれた猟師たち:スイス)
グラウビュンデン州を始めとするスイスの山岳地方では、狩猟解禁が一年のハイライトだ。部外者にとって狩猟は野蛮なスポーツかもしれないが、地元の猟師と自然保護団体の見解はほぼ一致している。ロニー・フランクさんは自分には猟師の血が流れていると確信する。「これはもう病(やまい)だ。情熱そのもので、もうやめることなどできない。狩猟は3週間だけ許された大自然との共存なのだ」ロニーさんとレビさん兄弟はライン川の源流が流れるドムレシュグ(Domleschg)の谷に住む狩猟一家の出身だ。「(私の家系は)みんな狩りをする」とレビさんは言う。祖父も猟師だった。狩猟の技術も知識も幼いころ父と山中に出かけたときに身につけたものだ、とレビさんは振り返る。そして彼自身も20年も狩りを続けている。レビさんは床を張る仕事を本職にしており、休暇のほとんどを狩猟のために費やしている。大工のロニーさんも21年間狩りをしている。兄弟共に、毎年9月に行われる鹿やシャモアなどの大きな獲物を狩猟対象とするいわゆる「大物狩り」に参加するのが時間的に精一杯だ(小さな哺乳動物や猟鳥などを対象とした「小物狩り」は10月から11月にかけて行われる)。レビさんは、狩猟そのものを楽しむ、いわば娯楽のために狩りをするという。しかし、同時に大自然を満喫し動物を観察することも目的だ。そして、もちろんその肉を食べることも。ロニーさんは息子に狩猟への情熱を伝えていくつもりだ。10歳になる彼の息子は、すでに家族のメンバーと連れ立って狩りへ出かけることもある。グラウビュンデン州では狩猟は伝統であり名物でもある。狩猟は1526年以来合法化されており、州は、狩猟は生態学的に見ても必要不可欠だという公式の立場をとっている。理由の一つとして、例えば、鹿の数は年々増えており、狩猟によってその数を管理しなければ環境破壊問題が生じる可能性が挙げられている。毎年秋に行われる狩猟に参加するために、何千人もの猟師が狩猟免許を取得する。免許所持者は厳しい試験を受け、さらに環境保護に関わる労働を何時間もこなさなくてはならない。こうして取得した免許は毎年更新する必要がある。ヘルベルト・シェーンハルトさんも熱心な猟師の1人だ。特殊学級の教師を本職とし、グラウビュンデン州とザンクトガレン州に住む。オーストリア生まれのシェーンハルトさんは、チェコやドイツの狩猟区でも狩りをする。父も彼が生まれたスティリア(Styria)の猟師であり、明らかに狩猟一家だ。「今日、狩猟にはさまざまな関心が絡み合っている。狩猟そのものだけでなく、自然保護そして森林管理も関係している」とシェーンハルトさんは考える。狩猟というよりはむしろ、狩られる動物と狩られない動物がいることが自然界に何らかの影響を与えることは今や周知の事実だ。そこで野生動物の生息数を管理するため、猟師はかつて狩猟対象としていなかった動物の捕獲も行わなければならなくなった。「雌や幼い動物を躊躇(ちゅうちょ)なく撃てるようになるには、時間がかかる。父は雄しか撃たなかった」。しかし「グラウビュンデン州の猟師はさらに厳しい状況にいる。狩猟期間が短いため、どんな天候でも出かけて行くのだ」短い期間に集中して行われるため、その分気分が高揚し多くの感情が入り乱れる。シェーンハルトさんはこう続ける。「狩猟や射撃は人を最高の気分にする。それはサッカーでゴールを決めたときや登山家が頂上にたどり着いたときの気分に似ている。もしくは給料日に、これで家族が養える、と感じるときの心情にも似ている」狩猟が始まる直前、レビさんは「ワクワクする。それが恐らく最高の時だろう」と言う。狩猟期間中は大自然の中で気が張り詰めているからだ。「獲物の様子を伺っているだけで気持ちが高まる。それはまさに体験なのだ。少々ストレスではあるけれど」ロニーさんも同意見だ。狩猟の直前は「興奮して夜も眠れない」と言う。「この時期狩猟場には6000人もの猟師がやってくる。つまりプレッシャーも大きい。それでも獲物を仕留めるために出かける。さもなければライフルを持っていく意味がない。代わりにカメラを持っていけばいいのだ」そして次のように付け加える。「生き物を殺すことに変わりはない。しかし、生命の営みは続き、新しい命が育まれる空間が作られる」。しかし、「スイス狩猟動物を守る会」などの動物福祉擁護団体は狩猟を批判し、非人道的であるという道徳的理由からその廃止を主張している。さらに、狩猟区を外れた場所で銃が使用される危険性についても警告する。また、個体数を管理するために狩猟は必要であるという見解を否認し、ジュネーブ州では1974年以来狩猟は基本的に廃止されていることを指摘する。一方でグラウビュンデン州の環境擁護者の主流は、狩猟に対して反対はしていない。彼らは猟師と協力し合い、自然保護のために各方面で共通した戦略を推し進める方針だ。一つの例として、猟鳥保護のための「グランビュンデン州バードウォッチャー協会」との提携が挙げられる。「グラウビュンデン州の状況は、個人的には理想的な状況だと思っているが、特殊でもある」と言うのはバードウォッチャー協会長のクリストフ・マイヤー氏だ。「会員には猟師も含まれている。さらに我々は州の狩猟・漁業局とも協力しあっている。狩猟区管理人の多くは協会主催のコースに通い、我々が持つ知識から多くを学んでいる。その代わり彼らは猛禽類やふくろうなどの観察データを定期的に提供してくれる。狩猟区管理人は常に現場にいるため、とても優れた観察者なのだ」従って「基本的に狩猟に関しては特に問題視していない」ロニー・フランクさんは地元の狩猟協会で活動しているが、このスポーツの政治的意味は承知の上だ。彼は狩猟に対する批判に対し、地元にも反対者はいるものの、ほとんどは都会に住んでおり現実を知らない人々だ、と反論する。かつては人々が生計を立てるために狩猟は必要だとされていたが、今日、狩猟を擁護する主な論拠は自然保護だ。「一般の人々は射撃という行為だけを見ている」とロニー・フランクさんは言う。「しかし、動物の生息数を管理し自然を保護するためには、成長した動物同様に幼い動物も捕獲しなくてはならないのだ」。

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(散弾銃暴発、脚にけが:岡山)
2日午前9時40分ごろ、岡山県玉野市槌ケ原の薬師池公園近くの山中で、イノシシの駆除をしていた玉野市、同市職員の男性(58)が足を滑らせた際に誤って散弾銃を暴発させた。男性は弾が左太ももを貫通する大けがを負った。玉野署によると、男性は狩猟仲間5人と山に入っていたが、他にけが人はなかった。
(イノシシのわなにクマ:和歌山)
和歌山県は27日、有田川町宇井苔地区で、ツキノワグマがイノシシの箱わなで錯誤捕獲されたと発表した。県内での本年度のツキノワグマ捕獲は3頭目となった。県自然環境室によると、26日午後4時ごろ、箱わなにクマが掛かっているのを、地元猟友会の男性が発見し、27日午前8時すぎに町役場へ連絡した。同日午後5時40分ごろ、専門家らが身体計測後、クマが嫌がるトウガラシスプレーを噴射するなど再び人里に近づかないように学習させて山に返した。捕獲されたクマは体長1・13メートル、体重32キロ、推定4~5歳の成獣の雌。本年度は、6月19日に紀の川市桃山町、今月24日に湯浅町山田地区でそれぞれ1頭ずつ捕獲されている。和歌山県ではツキノワグマを「絶滅危惧1類」に分類し保護している。2002年度から11年度までに計11頭が捕獲され、自力で逃げた1頭を含め、すべて山に返している。
(イノシシ捕獲用のわなにツキノワグマ:神奈川)
山北町皆瀬川の山間地で29日、イノシシ捕獲用のわなにツキノワグマ1頭がかかった。近くには養蜂場があり、保護した県の担当者は「大好物の蜂蜜につられて来たのではないか」と話している。県によると、クマはオスで体長144・3センチ、体重80キロ。推定10歳の成獣とみられる。再び人里に出没しないよう、爆竹を鳴らしたり、クマが嫌う唐辛子スプレーをかけたりして、30日午後に山に帰した。ツキノワグマは県内で30頭ほどしか生息していないとみられ、県の絶滅危惧種に指定されている。
(クマ、乗用車と衝突:山形)
東根市で29日から30日にかけて、熊の目撃と熊によるとみられる農作物被害があった。村山署によると、29日午後9時ごろ、同市観音寺の市道で、男性が運転する乗用車と、左前方から来た成獣とみられる熊が衝突。男性にけがはなかった。熊はそのまま逃げた。この熊の衝突場所から西約500メートル離れた果樹園で30日午前7時ごろ、持ち主の男性(52)が、モモ約100個を食い荒らされたのに気づき同署に届け出た。29日午前7時ごろに畑を訪れた際は被害はなかったという。近くに熊のものとみられるフンが落ちており、同署はパトカーで付近を巡回し注意を呼びかけている。
(玄関ガラス突き破りイノシシ珍入?:福井)
夏休み明けでイノシシも初登校?29日午前5時50分ごろ、イノシシとみられる動物が福井県福井市春山小の児童玄関のガラスを突き破り校舎内に侵入した。校舎内をうろついた後、別の窓ガラスを突き破って外に出たとみられる。けが人などはなかった。学校側は「街中の学校でこんなことは初めて。児童がいない時間帯で良かった」と胸をなで下ろしていた。同校によると、午前7時ごろに出勤した教職員が、北校舎に点々と落ちている血を発見した。血痕は児童玄関から北校舎の東側まで約80メートルにわたって続き、途中、理科室のドアに当たったり、階段を途中まで上ったりした形跡があった。北校舎東側の手洗い場の上にある窓ガラスが割れ、痕跡が途切れていた。床からガラスまでの高さは約140センチあった。間もなく近くの住民から学校に「(動物が侵入した時間帯に)イノシシが学校へ向かうのを見た。ガラスが割れる音がした」と電話があった。児童玄関前の防犯カメラを確認すると、校門から玄関まで一直線に駆け抜ける動物が写っていた。同日午前5時55分ごろには、同市文京6丁目の公園付近で、体長1メートルほどのイノシシの目撃情報が福井署に寄せられた。春山小は福井署に通報するとともに、児童が登校してくる午前7時45分までに、割れたガラスに新聞紙を貼り、血痕を掃除した。同校の坂田薫校長は「猪突(ちょとつ)猛進というが、どうしてガラス扉に突っ込んだのか」と不思議がっていた。
(特急列車とイノシシ衝突:香川)
28日午後9時15分ごろ、香川県さぬき市津田町のJR高徳線讃岐津田―鶴羽駅間で、徳島発高松行き特急うずしお30号(2両編成、乗客約40人)が、線路内に侵入してきたイノシシと衝突。列車は部品の一部が破損、けが人はなかった。イノシシは死んだ。列車は修理のため、現場に約40分間停車。後続の4本が最大35分遅れ、計約250人に影響が出た。JR四国によると、高知や徳島の山間部ではイノシシやシカなどと列車の衝突事故は1年間に数件発生しているが、県内では珍しいという。同社は「餌を求めて山から下りて来たのだろうか」と話していた。
(住宅街でクマ目撃:北海道)
8月29日夜から30日夜にかけて札幌市南区の藻岩山山麓(さんろく)の住宅街などでクマの目撃情報が相次ぎ、札幌市は31日、藻岩山の登山道となっている自然歩道などを立ち入り禁止にした。周辺の四つの小学校は30日と31日に一斉下校を実施。札幌南署や猟友会のメンバーが付近を警戒し、登下校時には通学路をパトロールした。最初に目撃されたのは29日午後8時ごろで、南区藻岩下2丁目の市道だった。30日午前0時半ごろには、同区川沿2条2丁目の北の沢橋付近で見たとの情報があり、駆けつけた札幌南署員もクマを確認した。午後5時前後には数百メートル離れた住宅街でも目撃され、南区役所によると、30日だけで5カ所で目撃された。札幌市が立ち入り禁止にしたのは、藻岩山の自然歩道や市民スキー場付近の踏み分け道で、9月14日ごろまで続ける予定だ。一斉下校したのは北の沢、藻岩北、藻岩、南の各小学校。31日、車で北の沢小に2年生の長男を迎えにきた主婦(47)は「昨年もクマの目撃で一斉下校はあったが、猟友会までは出てきてなかったので怖い。年々(クマが人里に)近づいてきてるんだな、と思わされる」。南小は授業参観日で児童が登校する1日も、一斉下校を続ける予定だ。
(クマ目撃続く:北海道)
クマの目撃が相次ぐ札幌市南区で、2日も同区真駒内で目撃したとの情報が相次いだ。いずれも体長1~1・5メートルという。市は8月31日夜から1日夜に藻岩山山麓(さんろく)などで相次いだ目撃情報と特徴が似ていることなどから、すべて同じクマの可能性が高いと見ている。札幌南署などによると、2日午前0時25分ごろ、真駒内上町5丁目の平岸通りで目撃された。ここは1日夜に目撃された真駒内南町3丁目から、北に約2キロ離れた場所だった。約10分後には、近くの山に入っていく姿が見られたという。さらに、午後4時40分ごろには真駒内南町5丁目の真駒内川で目撃されたという。川のそばのアパートに住む女性(49)は「ミシミシと音がしたので見てみるとクマがゆっくりと歩いていった。行ったり来たりしている様子で最後は川の方に転がり落ちていった」と話していた。市は3日、警察官や猟友会のメンバーらとともに、目撃場所から近い真駒内公園小と真駒内桜山小の通学路を登下校時にパトロールするという。
(目撃のクマ?車と衝突:北海道)
8月31日夜からクマの目撃情報が続いた札幌市南区では、2日夕から夜にかけても、真駒内地区で目撃情報が寄せられ、3日未明には同区内でクマと車両が衝突する事故も発生した。真駒内地区では2日、札幌市が注意を呼びかける看板を2カ所に設置。市は近く道や道警、猟友会などと緊急対策会議を開く。札幌南署によると、2日午後4時40分ごろ、真駒内南町5の真駒内川の河川敷で、体長約1・5メートルのクマが北方向に歩いているのを通りかかった女性が目撃し、110番通報した。また午後11時5分ごろには、現場から約500メートル北の真駒内柏丘10の河川敷で、クマが南方向に歩いていると通報があった。この河川敷では「動物がガサガサと動いている」との通報もあった。さらに、3日午前0時15分ごろには、南区南39西11の国道230号(石山通)でクマと車両が衝突する事故も発生した。運転していた男性にけがはなく、クマはそのまま豊平川の方向に逃げたという。
(クマ目撃で立ち入り禁止:北海道)
根室市は1日から当面の間、ラムサール登録湿地「春国岱」の立ち入りを禁止する。同地への唯一の出入り口だった春国岱橋の補修工事が8月31日で終了、立ち入り制限を解除する予定だったが、春国岱周辺でヒグマの目撃情報が相次いでいることから、関係者以外の入域を禁止することにした。禁止措置は約2週間の見込み。
(クマの目撃・食害が急増:秋田)
県内のクマの目撃件数や食害が例年に比べ増加している。県警によると、今年は8月25日までに381件411頭が目撃され、昨年同期比で78件92頭も増えており、統計の残る04年以降最多となった。県警はホームページで、15署ごとの出没件数を公表し、注意を呼びかけている。中でも被害が急増しているのが大館市だ。比内地鶏のひなやトウモロコシ、リンゴなど畜産・農作物が狙われており、クマによる食害も含んだ出没件数は今月20日までに183件と、昨年8月末までの84件の倍以上に達した。市は相次ぐ食害を受け7月にクマ出没警戒対策室を初設置し、大館署や地元猟友会と目撃情報を共有するなど連携し、市民へ注意を呼びかけている。市が所有する捕獲用オリ5基では足りないため、新たに2基を発注しているという。実は、ここ数年で県内のツキノワグマの生息数(推定)は減少している。県自然保護課によると、09年の1126頭が12年は915頭となっているが、なぜ目撃件数は増えているのだろうか。
(クマ目撃情報急増:岐阜)
高山市内でクマの目撃情報が急増。8月末現在、前年同期と比べほぼ倍増しており、クマの捕獲数の減少や生息域の拡大などが要因に挙げられている。山菜採りの男性が襲われる事例や、クマによるとみられるスギの立ち枯れなど被害も拡大。市農務課は8月末からラジオ放送での啓発を開始したほか、各町内会にチラシを配布、警戒を呼び掛けている。同課によると、市内での今年のクマの目撃情報は171件(8月末現在)。5月下旬ごろから急増し、前年同期の92件を大きく上回った。中でも丹生川地域の出没状況は突出しており、市内最多の53件を数える。担当者は「山にクマの餌が少なくなり、人里へ出てくるようになったからでは」と推測する。また、背景にはクマの捕獲数の減少がある。県清流の国ぎふづくり推進課によると、1987年に129頭が捕獲されたのを最後に、年間の捕獲数は100頭未満に留まる。高齢化による狩猟者の減少が一因とみられ、岐阜大学野生動物管理学研究センターの森元萌弥さん(28)は「クマへの圧力が緩和されたことで、増えやすい傾向にある」と話している。目撃件数の増加に伴って、クマによる被害も出ている。7月には丹生川地域の山林で山菜採りをしていた男性がクマに襲われ、顔などにけがを負った。また、同地域の山林ではスギの立ち枯れが目立つ。スギの木が茂る山中に点々と、赤く染まったままの木や、葉が抜け落ちて枯れた木が見られる。飛騨農林事務所林業課の水谷嘉宏課長は「点々と枯れている状況から、クマによる樹皮はぎの可能性が高い」と話す。市農務課は、コミュニティーFMの番組内でクマへの注意を呼び掛けるコーナーをスタートさせた。1日3回、クマの目撃情報を速報する市のメール配信サービスへの登録の呼び掛けや、クマに遭遇した際の対処法などを伝えている。また、町内会の回覧板を利用し、クマの出没注意を呼び掛けるチラシの配布を始めた。担当者は「目撃情報があった場所にはなるべく近付かないようにするなど、十分に注意してほしい」と呼び掛けている。
(クマ目撃情報:富山)
31日午前8時ごろ、魚津市大海寺新のスーパー農道で、親子とみられるクマ3頭が山側から市街地方向に道路を横断するのを出勤途中の会社員が目撃し、通報した。魚津署と市有害鳥獣捕獲隊員が現場周辺をパトロールしている。1日午後5時ごろ、富山市八尾町保内の市道で、クマ1頭が道路を横切るのをバスの運転手が目撃し、八尾総合行政センターに通報した。市によると、体長約1・2メートルで成獣とみられる。現場は富山八尾中核工業団地の近くで、富山西署員と八尾猟友会員、市職員が周辺をパトロールしたが、足跡などは見つからなかった。
(サル目撃相次ぐ:青森)
八戸市中心部で29日、サルの目撃情報が相次いだ。市農林畜産課によると、この日、同課に寄せられた目撃情報は、午前9時すぎから午後2時すぎまでに計5件で、同一のサル1匹の可能性が高いという。同日午後1時半ごろにはサルが根城小学校の敷地内に侵入したため、同校は下校時に教員が児童に付き添う措置を取った。
(イノシシ被害4年ぶり増:栃木)
2011年度のイノシシによる県内農作物被害額は9656万円で、4年ぶりに増えたことが県のまとめで分かった。一方、被害防止のために捕獲された数は5746頭で、前年度比7%減。特に銃などを使った狩猟による捕獲が14%減少した。福島第1原発事故に伴う野生鳥獣の放射能汚染などでハンターが減ったことが影響したとみられる。県はわななどを使った駆除の数を増やして被害を減らしたい考えだが、本県農家は放射能による風評被害と獣害の両面で打撃を受けている。農作物被害をもたらすイノシシやシカの捕獲には、「狩猟」と「駆除」の二つの方法がある。県や市町が捕獲を進めた結果、10年度の被害額はイノシシが3年連続、シカが3年ぶりにそれぞれ減り、対策の効果が出ていた。11年度は、捕獲する狩猟者の登録数が前年度比で8%減少。登録しても狩猟に出向く回数を減らす人が出て、農作物の獣害拡大が懸念されていたが、実際に被害額が増加した。ハンターの減少は、11年3月の原発事故の影響が指摘されている。県内で捕獲したイノシシやシカの肉から放射性物質が検出され、政府は同年12月、出荷停止を指示。那珂川町のイノシシ肉加工施設は解除されたが、ハンターはイノシシやシカを仕留めても食べられない状態が続いており、狩猟離れにつながっているとみられる。
(イノシシが水田荒らす:富山)
小矢部市宮島地区で、イノシシが水田に入り込み、約10カ所で収穫を目前に控えた稲が出荷できなくなる被害が確認された。同地区自治振興会によると、大規模被害は初めて。隣接する南砺市は電気柵の設置が進み、被害が急減しており、宮島地区の関係者は「イノシシが南砺市から『転進』してきた可能性がある」と警戒を強め、電気柵の増設などに取り組む。被害が確認されたのは26日。早生品種「てんたかく」と「コシヒカリ」を植えた水田約10カ所で稲が四方八方に倒伏しているのが見つかった。JAいなばはいずれも、泥に体をこすりつけてダニなどの虫を取り除く「ぬたうち」と呼ばれる習性を持つイノシシの仕業とみている。イノシシが水田に入ると、強烈なにおいが稲に付着し、周辺2メートル程度までのコメは買い取り対象にならなくなる。このため、「ぬたうち」が確認された場合は、草刈り機で周辺を借り倒すのが一般的とされる。一方の南砺市では、2009年から電気柵の設置を進め、被害面積は09年の11ヘクタールから11年には2ヘクタールにまで減少。今年は「田んぼ数枚の被害」(市農政課)にとどまっている。県内のイノシシ被害は06年ごろから目立ち初め、10年の被害は74・2ヘクタール、4151万円に上った。昨年は南砺市の減少もあって53・3ヘクタール、3633万円に減ったが、根雪が多く、子どもが育たなかったことも要因として考えられる。宮島地区自治振興会長の水野光夫さんは「山伝いにイノシシが移動し、ここまで来るようになったのだろう」と話している。
(登山シーズン「クマにご注意」:神奈川)
秋の丹沢登山シーズンを目前に、環境保全課がクマなどの野生動物に対する注意を呼び掛けている。現在丹沢地域では、30〜50頭ほどのツキノワグマの生息が推測されている。クマは通常厚木市、秦野市、伊勢原市、清川村にまたがる山奥に生息しているが、冬眠前の9月〜12月にかけて食糧を求めて人里まで下りてくることが多い。秦野市の地理特性として山と住宅地の距離が比較的近いことから、登山客に限らず野生動物との遭遇率が高いと言われる。中でも特に山と接する寺山など東部の市境で目撃例が多い。今年は既に8月14日に蓑毛浅間山林道の山中でツキノワグマ1頭の目撃情報が出ている。目撃されたクマは現在山奥に戻ったと報告されたが、8月中にクマの目撃例が出ることは、秦野市に限らず県内でも稀なケースだという。同課は、ハイカーの残したゴミや、家庭菜園の収穫残しなど「予測しない餌付け」によってクマが里の味を覚える危険を指摘。「登山のゴミは必ず持ち帰り、鈴やラジオの音などでクマとの遭遇を避けて」と協力を呼び掛けている。
(ブナ凶作、注意呼び掛け:石川)
今年に入り、石川県小松市内でのクマの目撃件数が三十日現在、二十二件と前年同期の五件を上回り、既に四倍を超えていることが分かった。県の調査で九月以降にクマの餌となるブナの実が大凶作となることが判明。秋の行楽シーズンを前に人里へ下りてくるクマへの注意を呼び掛けている。県内では、過去に比較的出没件数が減る八月も目撃情報は続いているが、冬眠に備えてクマが本格的に餌を探し始める九月以降に出没が急増する可能性がある。二十五日時点の集計で県内の八月の目撃は十三件。内訳は金沢市が最も多い五件で、次いで加賀、小松、七尾三市が各二件、能美と羽咋両市が各一件。年間累計は八十二件となっており、出没件数が多かった二〇一〇年の八月末現在の七十八件をすでに上回っている。大量出没した一〇年や〇六年も九月以降に目撃件数が急増。今年は山間部で餌となるブナなどの実が大凶作となる可能性が高く、クマが市街地まで下りてくる恐れがある。〇八年は金沢市の犀川沿いの住宅地近くで出没が多く負傷者も出た。県担当者は「クマは姿を隠せる草木の茂みをたどって平野部へ来る可能性が高い。刈り取りで見通しを良くするなどの対策が重要だ」と呼び掛ける。小松市では今年、四月に赤瀬町で目撃情報が初めてあり、五月に四件、六月に五件、七月に九件、八月に三件あった。大杉町や滝ケ原町などの山の麓では、道路を横断するところを目撃されている。市によると、過去六年間のうち、ブナの実が少なかった〇六年に六十五件、一〇年に五十八件とクマの目撃情報が多くなっていることが分かっている。対策として市は、町内の有線放送を利用し、夕暮れ時に山に近づかないことや、人家の周りにむやみに生ごみを置いたり、捨てたりしないなどの注意を呼び掛ける。今後も出没が増えれば、パトロール車で巡回し警戒するとしている。
(サル食害深刻:青森)
本県西海岸の鯵ケ沢町、深浦町でサルの食害が深刻だ。決め手となる被害対策はなく関係者は頭を抱える。住民は「町に届け出てもどうにもならない」と話すなど泣き寝入りに近いケースもあり、実際の被害額は統計を上回るとみられる。食害は畑作農家の経営だけでなく、作物の成長を張り合いに毎日を送る高齢者にも精神的な打撃を与えている。有効な対策を見いだせない現状で、農家、住民らはサル食害に耐え続けている。
(カラス、畜舎で我が物顔)
農村地域のカラスが畜舎を中心に活動していることが、宇都宮大の全地球測位システム(GPS)を使った行動調査で分かった。エサが豊富なため個体数が増えるほか、病原菌を拡散させることも懸念されており、調査結果は防除対策にいかされそうだ。調査を行ったのは、カラス研究の第一人者として知られる杉田昭栄・農学部長の研究室のメンバー。栃木県真岡市と長野県飯田市を舞台に、GPSを使って移動状況を記録、分析した。2011年4月から12年2月に実施。天井に穴を開けた縦3・5メートル、奥行き4・6メートル、高さ2・5メートルのワナの小屋を設置し、カラスを捕獲。体重650~800グラムの成鳥のハシブトガラス54羽の背中に約25グラムのGPSを装着して放鳥した。再捕獲した38羽のうち、22羽に延べ50~350キロの飛行が記録されていた。記録された2万地点を地図上で「水辺」「木立」「畑地」「建物敷地」に区別したところ、日中の多くの時間を「建物敷地」で過ごし、それぞれ大半が決まった畜産農家だった。さらに、牛や豚に餌を与える早朝や昼食時をピークに畜舎への侵入を繰り返していたことも明らかになった。畜舎の水飲み場で水浴びをし、排せつ物で感染症などの病原体を広げる恐れがある。また、畜舎の餌は栄養分が豊富なため、数が増えることも懸念される。研究を行った竹田努研究員は「畜産農家での防除対策が大切になってくる」と指摘する。農林水産省の統計によると、10年度の国内の鳥による農作物への被害約53億円のうち、カラスによる被害が23億円とほぼ半分を占める。また、全国の畜産現場でカラスに子牛がかまれて死んだり、飼料のトウモロコシが食べられて計画的な管理ができなくなったりする深刻な被害が出ている。畜舎に侵入する場合、多くが窓枠にいったんとまって、様子を見てから奥に入ってくることが多い。窓にネットや透明な糸を張ったり、ラジオを流して人の気配を作ることが効果的という。竹田研究員は「こまめに見回ったり、外からカラスが侵入できないような畜舎の構造にしたりすることが必要」と話している。
(宮島シカ、市街地海側で半減:広島)
廿日市市は29日、宮島地域シカ対策協議会を開き、宮島島内のシカの生息調査結果を報告した。市街地の海側で確認された頭数は3年間で半減。餌やり禁止などで生息地を分散させる取り組みに、一定の成果が出ている。調査は昨年11月に実施した。厳島神社や表参道商店街などを含む、宮島桟橋から水族館までの市街地海側では、2010年同月に比べて22頭少ない39頭を確認。79頭だった08年からは半減となった。紅葉谷公園などの山側を含む市街地全体では、10年より23頭少ない168頭だった。市は、住民や観光客に呼び掛ける餌やり禁止や、ごみ管理の徹底などの効果と分析する。一方で、山側の一部では頭数が増加。「市街地全体では減少傾向とはいえない」として、掲示やイベントでの呼び掛けを続けるという。餌場となる島北東部の包ケ浦自然公園の草地への施肥や、衰弱した個体の保護場所として使う入浜への芝の植え付けの継続も報告した。シカによる観光客や植生への被害軽減のため、市が13年度までの5年計画で定める「宮島地域シカ保護管理計画」では、市街地での頭数半減などの目標を掲げる。
(シカ食害防止の柵設置:長野)
佐久市の北佐久農業高校の生徒が2日、同市東立科の山林で、住民と一緒にシカによる食害を防ぐ柵を設置した。住民でつくる東立科鳥獣被害防止対策協議会が、同校に協力を呼び掛けた。生物サイエンス科1~3年生の有志10人と住民ら計約20人が、作業に汗を流した。同地区では34戸中約3割が酪農や畜産を営んでおり、餌の3~4割を畑で育てたトウモロコシなどで自給している。食害は3年ほど前から深刻になり、作物が全滅した畑もあった。昨年11月、住民で協議会を発足させ対策を検討。地区のほとんどを囲む約6・5キロの柵を設けることになった。7月から週末を中心に数人ずつで作業をしてきたが、作業量が多いため、同校に協力を求めた。柵は、2メートル間隔に立てた支柱に、高さ2メートルほどの金網を掛けて作る。雨が降る中、生徒たちは分担して金網を運んだり、針金を巻いて固定したり、くいを打ったりした。3年の甘利圭吾君(17)は「何か将来の役に立つかなと思って参加した。疲れたけれどやりがいがある。これで被害が防げるといい」と話していた。協議会長の大井幸夫さん(57)は「住民だけでははかどらかなった。(高校生が加わって)とても助かります」と笑顔で話した。同校は今後も設置を手伝う予定だ。
(シカ確認へ、センサーカメラ設置:長野)
中央アルプスの高山帯にニホンジカが進出しているか調べるため、南信森林管理署(伊那市)は29、30日、駒ケ岳(2956メートル)付近の登山道沿いにセンサーカメラを仕掛けた。これまで明確なシカの痕跡や目撃情報はないが、南アの高山帯では目撃が増え始めて数年で高山植物のお花畑が消滅・衰退。中アでもシカが写るかどうか関係者は関心を寄せている。カメラは駒飼(こまがい)ノ池(約2700メートル)周辺を中心に、その北側の濃ケ池、将棊頭(しょうぎがしら)山の「遭難記念碑」付近など、登山道約2キロに沿って計10台を設置。10月中旬ごろに回収する。上伊那教育会は昨年夏、駒飼ノ池近くで植物が広範囲で根元からなくなっているのを確認している。シカの生態を調べている吉田保晴・飯島町飯島小教諭は6月、伊勢滝(約1900メートル)近くに仕掛けたカメラでシカを撮影。滝近くから駒ケ岳方面は沢沿いになだらかな登山道が続いており、同管理署の菊池洋二・流域管理調整官は「シカが入りだしたら被害が広がるのは早いのではないか」と警戒する。南ア側で激増したシカは天竜川を渡り、支流沿いに中ア側へ生息域を広げているとみられる。県上伊那地方事務所林務課は本年度、市町村担当者や鳥獣保護員らの連絡会を設け、中ア側でのシカ目撃情報の取りまとめを開始。昨年度は辰野町川島や中川村片桐などで捕獲が目立ち、中アにかかる7市町村の山裾で目撃や捕獲の情報があった。将棊頭山直下にある西駒山荘の宮下拓也管理人によると、稜線(りょうせん)付近での目撃情報はまだ聞かないというが「麓では被害が広がりつつあり、いつ来てもおかしくない」とする。駒ケ根市は県天然記念物の千畳敷(約2600メートル)の保存管理計画を策定中で「動物による被害の可能性があれば、どう対処するかが(計画の)中身に入ってくる」(商工観光課)。同管理署は計画策定委員会に加わっており、担当者は「カメラを仕掛けた位置とはやや外れるが、結果は提供したい」としている。
(柿の実採ってクマ対策:富山)
クマを誘引しないための柿の実の除去やサル、イノシシなどの有害鳥獣の被害防止に竹林に緩衝帯を設ける現地研修が31日、魚津市鹿熊で行われた。県は民家近くを優先し、今月から柿の実を採るよう呼び掛けている。県新川農林振興センターの管内となる滑川以東3市2町をエリアに一昨年発足した新川サル・イノシシ被害対策研究会が実施した。柿の実対策では、各市町の担当者や有害鳥獣捕獲隊員、住民らが水田や山際に点在する木の位置を確かめ、庭先などの木を優先して実をもぎ取る必要性を県自然保護課の間宮寿頼主任が指摘した。タヌキとクマが残す排せつ物の見分け方も写真とサンプルを使って説明。間宮主任は「柿の木に枝折れや爪跡があればクマと考えられる」と話した。集落の山側では、研究会などの委託を受けた新川森林組合が、約1ヘクタールの大規模な竹林の伐採を始めており、現地を視察した。伐採による緩衝帯は今月10日ごろに整備が終わる。県職員らは「山の上まで竹林をなくし、有害鳥獣の出没を抑えたい」と話した。
(地域ぐるみでイノシシ封じ:香川)
県は今年度、新たなイノシシ対策に乗り出した。これまで中心だった農地への食害防止から一歩踏み出し、市街地への接近と人との接触も防ぐのが狙い。四つのモデル地区を設け、集中的な捕獲を進めるほか、パトロールや放置果樹の撤去など地域ぐるみの対策を促す。新たに進めているのは「市街地イノシシ等侵入防止モデル事業」。市街地や集落近くでの目撃が多い高松市・屋島、琴平町中心部と、土庄町内の2地区をモデル地区に設定した。それぞれの自治会などで対策組織を結成。目撃情報を基に出没マップ作りやパトロールを進める。県は住宅地との境界に侵入防止柵を設置したり、放置果樹を撤去したりする費用を財政支援。住宅地に近い雑木林などにわなを仕掛け、捕獲作戦も展開する。屋島地区では、県の担当者を講師に住民が勉強会を開催。柿や梨など放置果樹の果実や、家庭菜園に残した野菜が結果的に「餌付け」になり、イノシシの進出を招いていることを学んだ。佐々木正隆・屋島地区連合自治会長は「これまでは田畑に個別に柵を設けてきたが、去年秋にはイノシシが小学校の校門前に出没し、保護者を心配させた。住民同士の連携を強化し、生活環境を守りたい」。目撃情報が多い場所を記した地図を集会場などに掲示し、今後は防止柵の設置も検討する。県によると、1990年以前には、イノシシの捕獲情報は徳島、愛媛両県との県境の山間部に限られていた。しかし年々、平野部に拡大。90年度まで年間10頭未満だった捕獲頭数は、2010年度には5500頭と急増した。農業被害も、98年度には約3200万円だったが、10年度には稲を中心に1億4500万円に上った。本来は人に対する警戒心が強いイノシシだが、山仕事にする人が減る一方、人里近くで隠れ家となる耕作放棄地が増加。難なく農作物を摂取できる機会が増えたことで、急速に生息域を広げているという。6月には三豊市仁尾町で、山に近い農地の草刈りをしていた男性がイノシシと遭遇し、突進を受けて足に軽いけが。7月には高松市牟礼町の漁港で捕獲作業にあたった警察官2人が軽傷を負うなど、人的被害も報告されている。県みどり保全課は「パトロールなどでイノシシにプレッシャーをかけ続けることが大事。住民の力を借り、今以上の生息域の拡大を防ぎたい」としている。
(湖を泳ぐヒグマ撮影:北海道)
国道44号沿いの道の駅「スワン44ねむろ」で、28日午前9時30分ごろ、ヒグマが風蓮湖を泳ぐ姿を同駅を運営する市観光開発公社の職員が目撃、40分間にわたり撮影した。駅に隣接する遊歩道を散策していた観光客が約400メートル離れた風蓮湖で、体長2メートルのヒグマが泳いでいるのを発見。知らせを受けた同社の新浜菜生(なお)さん(21)らが、館外に設置されたカメラが風蓮湖の様子をモニターで映し出す「テレビ望遠鏡」の画面をデジタルカメラで撮影した。クマは風蓮湖を泳ぎきり、サケをくわえて約800メートル離れた対岸に上がり、茂みに逃げていった。同社では「周辺でクマの目撃情報はあっても、エサを捕る自然のままの姿が見られるとは思わなかった」と話している。市農林課などによると、同道の駅周辺では7月以降クマの目撃が6件寄せられ、市や根室署などで注意を呼びけている。
(九州のツキノワグマ絶滅)
環境省が九州のツキノワグマを絶滅と認定した28日、生息域を調査していた民間組織「日本クマネットワーク」(事務局・東京)の調査隊員は「客観的に考えて妥当な判断。仕方がない」と述べ、残念がった。ツキノワグマは、九州では1987年に豊後大野市の山中で射殺された4歳のオスを最後に確認されておらず、宮崎県は2000年、県は01年、レッドデータブックに「絶滅」と記載した。その後も、大分、宮崎県にまたがる祖母・傾山系ではクマのような動物の目撃情報が相次いだため、ネットワークは6月から無人カメラを設置するなどして調査を進めているが、現時点で手がかりは見つかっていない。調査隊の隊長を務めている茨城県自然博物館の山崎晃司・首席学芸員は「これまでの現地調査で、(生息は)厳しいという感触を持っていた。無人カメラを回収し終える今秋までは調査を続けたい」と話した。豊後大野市の橋本祐輔市長は「非常に残念な報告。私自身は、今でも祖母・傾山系にツキノワグマが生存していると信じている」と話していた。
(「エサやりがクマを殺す」:北海道)
「エサやりがクマを殺す」。知床財団(事務局・斜里町)は、世界自然遺産の知床で、刺激的な文言と写真を使って観光客らにヒグマに餌を与えないよう訴えるキャンペーンを始めた。野生動物への人間の過剰な干渉や善意が、野生のクマを死に追いやる現実を強く訴え、観光客らに自制を促す戦略だ。クマは人の食べ物の味を覚えると、ごみ置き場を荒らしたり、キャンプ場や車に寄ってきたりする。地元住民や観光客に危険が及ぶと判断されると、クマが駆除される場合がある。同財団はこれまで、クマと人との遭遇による事故を避けるため、人前に現れたクマに、花火で大きな音を立てたり、ゴム弾を撃って痛みを覚えさせたりして、クマが人間を嫌うように学習させてきた。その一方で以前から、知床を訪れた観光客が、人里や道路に現れたクマに車中から餌をやる迷惑行為の情報が、同財団に寄せられていた。さらに今年はクマの出没数が多く、人がクマに餌やりをする場面が、初めて撮影された。8月には、不法投棄された生ごみをあさるクマの姿を、同財団の職員が確認した。このため財団は、野生動物とふれあおうとして餌をやるなどの行為は、個人のマナーの悪さという問題にとどまらず「日本人として一般的な行為と再認識した」。これまでも看板などで自制を促してきたが、「人間側への強い対応も必要で、ショッキングな表現で訴えるしかない」と、キャンペーンを張ることを決めた。同財団は8月下旬、クマへの餌やりをやめるよう訴える縦約10センチ、横約15センチのカード1万5000枚を印刷した。カードには、実際に駆除されたクマの写真と、ソーセージを与えられた知床のクマが小学校に近づき、射殺された実話などを掲載した。カードは、道の駅や知床自然センターなどの施設のトイレの個室に貼るほか、観光案内の窓口などでも配布している。
(ナシ園のカラス食害大幅減:徳島)
徳島県とJA大津(鳴門市)、農研機構・中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)などは、カラスによるナシの食害を防ごうと、テグスと防鳥網を組み合わせた対策技術を考案した。防鳥網でナシ園全体を覆う方法よりも経費が大幅に抑えられ、設備を簡単に設置できるのが特徴。実証実験では、対策を講じない場合に比べて食害が10分の1に減ったとの結果も出ており、県は本格導入を目指している。名称は「くぐれんテグス君」。1メートル間隔で地面に差し込んだ弾性ポール(長さ4メートル)の先端にテグスを結び付け、ナシ園の上に並行に張る。さらに園の外周を囲う防風ネットに重ねて防鳥網を張り、防鳥網の上部とテグスとの距離が30~70センチとなるようにし、上空や横からのカラスの侵入を防ぐ。県によると、食害を防ぐには防鳥網で園を上から覆う方法が最も効果が高い。しかし防鳥網の費用が高額になる上、高所への設置も難しく、強風で飛ばされる恐れもあって県内ではあまり普及していない。一方、考案した技術は弾性ポールを使うことでテグスを簡単に高所へ張ることができ、強風にも耐えられる。30アールの園に設置する資材費は約12万円と、防鳥網で全て覆う場合の10分の1以下になる。県内ではカラスによるナシの食害が2008年度に337万円、09年度も215万円に上ったことから、県は10年度に国の補助金220万円を受け、中央農業総合研究センターなどと共同で食害対策の研究に着手。11年3月からJA大津の組合員の協力を得て、鳴門市大津町のナシ園2カ所(計67アール)で実証実験を続けている。JA大津の聞き取り調査では、10年度は収穫量の10%程度あった食害が、11年度は1%に減少。効果が表れたため、12年度から対策を始めた組合員もいる。研究を担当した県高度技術支援センターの松家義克主任班長は「容易に食害を防ぐ方法が確立できた。引き続き効果や設備の耐久性を検証し、普及に努めたい」と話している。
(代議士が県猟友会と意見交換:和歌山)
自民党の二階俊博代議士は26日、御坊市内の後援会事務所で元代議士の佐々木洋平・全日本猟友会長とともに県猟友会メンバー約30人と鳥獣害対策などについて意見交換した。二階代議士は深刻化する被害に「災害と同じだ。総力戦でやらないといけない」と国を挙げて対策を強化すべきとの考えを示すとともに、有害駆除を担っている猟友会の協力に感謝し、優遇措置など支援策検討を約束した。二階代議士は「シカやイノシシに追われ、農業を捨て、ふるさとから離れる人たちの嘆きの声に対し、政治が無力では何の言い訳もできない。今のところ対策の決め手はないが、みんなが本気になって立ち向かわなければ日本、和歌山の農業は持たない」と警鐘を鳴らした上で「鳥獣害は災害と同じだ。総力戦で鳥獣に負けない対策をとらないといけない。今の民主党政権では一向に進まず、一日も早く政権を奪い返し、皆さんの期待に応えられるようがんばる」と述べた。地元でのイノシシ肉のカレーなどジビエ料理の取り組みを紹介しながら「イノシシやシカの肉が高く売れるように料理家に料理を研究してもらうことも必要」、有害駆除に当たっては「災害と同じように外国から支援を受けることを考えてもいい」と提案したほか、二階代議士が国に働きかけて県内への設置が進められていたライフル射撃場計画が用地買収が進まないなどを理由にとん挫したことに不快感を示した。猟友会に対しては「有害駆除に参加していただいていることに感謝するとともに、何からの優遇措置を考えないといけない」と支援を約束。二階代議士が中心となって有害駆除に1回以上参加すれば銃刀法の技能講習を当分の間免除する議員立法を成立させた後、警察庁通達で要件が「1回以上参加」から「1人1頭以上捕獲」になったことに二階代議士が「常識から外れている。現場を知らない」と激怒し、撤回させたことも紹介した。佐々木会長は議員立法成立の経緯などを報告し「すべて二階先生のお力でここまで来られた」、冨安民浩県議は「鳥獣被害が深刻化し、猟友会の皆さんの存在の大きさが増している。今の民主党政権は都会中心の考え方で地方の痛みが分かっていない。一日も早く政権を奪回し、皆さんの期待に応えていきたい」と述べ、次期総選挙での支援を呼びかけた。
(サル威嚇に猟友会員風衣装のマネキン:秋田)
ニホンザルの食害対策に頭を悩ます秋田県藤里町は今春から、マネキン人形に猟友会員風の衣装を着せて田畑に設置し、サルを威嚇する「マネキン作戦」を展開している。賢いサルなら、普段は猟銃を手にしている“敵”がいれば近寄らないだろう、との発想だが、今のところ効果ははかばかしくないという。町のサル害は1990年代半ばから。6~10月、ジャガイモやトウモロコシ、トマトなどが被害に遭うようになった。2001年度から花火やゴム弾で追い払い始めたが、耕作放棄地が増えて集落付近まで生息域が拡大し、11年度は約7ヘクタールの畑で365万円相当の被害が確認された。マネキン作戦は、今春設立した町鳥獣被害対策協議会で、「猟友会員の姿のかかしでサルを追い払った」という住民の体験談を基に、猟友会員の意見も踏まえて決めた。町は約6万円で中古のマネキン人形30体を購入。誤射防止のために目立つ服装をしている猟友会員を模して、オレンジ色のウインドブレーカーと帽子の姿で、5月28日から、被害が出ている地域を中心に二十数体を設置した。町林業振興係の桐越陽介主事によると、効果は場所によって異なり、「サルが来なくなった」「何の役にも立たない」と住民の声は半々に分かれた。人形の横で堂々と畑の作物を味わうサルも目撃されたという。町は、人形の首に猟銃の使用済みの薬きょうをぶら下げて火薬臭で威嚇したり、一定間隔で犬のほえ声を発する装置を組み合わせたりもしているが、決定的な対策にはなっていない。桐越主事は「何もしないよりは、試してみることが大切。引き続き、様子を見守りたい」と話し、殺処分以外での解決を模索している。

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