<射撃ニュース10月>

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(クマに襲われ2人けが:青森)
29日午後0時半ごろ、鰺ケ沢町の櫛石山(くしいしやま)付近の山中で、鰺ケ沢森林事務所の63歳と31歳の男性非常勤職員2人がクマ2頭に襲われ、頭や顔をひっかかれた。ドクターヘリで弘前市内の病院に搬送されたが、呼びかけには応答しているという。鰺ケ沢署によるとクマは成獣。2人は白神山地巡回中で、休憩のため下山する際に背後から襲われたという。別の巡視員がうずくまる2人を見つけ通報した。
(クマに襲われけが:青森)
24日午前10時35分ごろ、田子町四角岳の国有林内で、同町田子田子上ノ平の無職男性(56)がクマに頭などをかまれ、けがをしたと、三戸署に通報があった。県内でクマによるけが人が出たのは今年初めて。県警地域課によると、男性は母親とキノコ採りをしていた最中に、体長約1メートルのクマに頭などをかまれた。男性は、自力で車を運転し、約4キロ離れた夏坂ダムの管理事務所に駆け込み、同事務所を通じて通報した。男性はドクターヘリで八戸市内の病院に搬送された。頭を縫うなどしたが、命に別条はないという。同課のまとめでは、昨年のクマによるけが人が出たのは2件。また、今年のクマの目撃は24日午後5時現在で192件(前年同期比52件減)、食害は23件(同30件減)。
(道路にクマが飛び出し、車と衝突:北海道)
22日夜、北海道の自動車専用道路にクマが飛び出し、走行中の車と衝突した。事故があったのは、北海道・豊富町の国道で、22日午後11時40分ごろ、男性が運転する軽自動車の前に、対向車線側からクマが飛び出して衝突し、軽自動車は大破した。男性にけがはなかったが、クマは死んだ。クマは、体長2メートル、6歳から7歳のオスのヒグマとみられている。警察は、クマが現場に設置された柵の間から道路に入り込み、出られなくなってしまったとみている。
(中山、予選8位で準決勝ならず)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)ファイナル大会は23日、アブダビで行われ、9月の世界選手権で銀メダルを獲得した女子トラップの中山由起枝(日立建機)は予選で66点の8位にとどまり、上位6人による準決勝に進出できなかった。
(イノシシ生息域拡大、GPS追跡で行動圏調査:福島)
東京電力福島第一原発事故による野生動物への影響などを調べる県と国際原子力機関(IAEA)との共同プロジェクトで、県は、イノシシ2頭に全地球測位システム(GPS)を装着した行動圏調査の中間結果をまとめた。秋から冬にかけて、さらに2頭にGPSを着け、季節ごとの行動範囲の違いなどを調べる。プロジェクトは、イノシシの行動や食性などを通じて自然界の放射性セシウムの動態を探るのが狙い。県内では避難指示区域の設定などでイノシシの生息域が拡大し、農地への被害も確認されている。県によると、2011年度の捕獲頭数は3000頭だったが、12年度は5000頭を超える見通しで、行動パターンを調べることで、効果的な捕獲や防護柵の設置などの対策にも生かすことができる。調査は8月、二本松市東部で捕獲した2頭に首輪型のGPSを装着して山に放った。1キロ・メートルの範囲まで近づいて無線でデータを受信し、行動を調べた。うち1頭はGPSが脱落したため追跡は終えている。その結果、イノシシは二本松市と川俣町山木屋地区などの範囲を1日1・2~3・6キロ・メートル移動。日中に比べ、夜間に活発に動いていることも分かった。人間との接触を避けるためと考えられるという。県などはこのほか、行動圏の土壌や、別のイノシシを使って肉や内臓、胃の内容物などに含まれる放射性物質を分析し、森林から動物の体内への移行メカニズムなどを把握する予定。県自然保護課は「まずは手法がうまくいったということ。調査区域を増やして行動データを集め、放射性物質の動きの解明や効果的なイノシシ対策につなげたい」と話している。
(またヒグマ出没、再び閉園:北海道)
28日午前11時50分ごろ、札幌市南区の国営滝野すずらん丘陵公園で、巡回中の公園職員がクマの足跡とふんを発見した。さらに27日収録分の監視カメラの映像で公園内にクマがいるのを確認できたことなどから、管理者の開発局は公園を臨時閉園にした。開園時期は未定。クマ出没の危険性から約1カ月間閉園とし、19日に開園したばかりだった。開発局によると、今回の足跡とふんは、公園南側のクマ侵入防止柵付近の2カ所で発見。27日の映像も足跡に近い南側の柵付近だった。足跡の幅は約10センチで、9月下旬以降、相次いで見つかった前回のクマのものと同じ大きさだが、開発局は「同一個体かどうかは不明」としている。柵は外周約8・6キロのうち約7・2キロに設置しているが、道道などに面した北側にはない。侵入経路は不明だが、北側から入った可能性があるという。また、監視カメラ映像で今月13日、クマが園外に出るのを確認後、園内に戻った痕跡が無いことなどから、開発局は「クマは園内にとどまっていたのではなく、新たに侵入した」とみる。巡回の増加、園外に逃がすためのゲートの開放などの対策を検討している。
(イノシシ大暴れ:福岡)
うきは市で23日午前、イノシシが市街地で目撃され、バスに衝突したり、小学校校庭に侵入するなど騒動となった。けが人はいなかったが、イノシシは逃げ、うきは署は「また戻る可能性もある」と警戒している。同署などによると、同日午前8時10分ごろ、同市吉井町若宮で住民男性から「イノシシがうろついてる」と通報があった。イノシシはその後、市立千年保育園の金網フェンスなどに激突し、吉井小や千年小の校庭に入り込んだ。同署によると、イノシシは体長約1メートル。交差点付近では、西鉄バスや乗用車3台にぶつかったという。署員が捕獲を試みたが、筑後川を泳いで渡り、朝倉市方面に逃走した。同市農林・観光課によると、農作物を荒らすなどし、昨年度は254頭のイノシシが捕獲された。被害総額は少なくとも約450万円に上るという。
(市街地にシカ出没:北海道)
札幌市中央区の市街地に27日、野生のエゾシカ1頭が現れ、警察などが出動する騒ぎになった。札幌中央署によると、午後0時10分ごろ、北1東16の駐車場でシカが歩いているのを通りかかった女性が目撃し、110番通報。0時45分ごろには北1東14の道路にいるのを男性が目撃。さらに1時ごろ、約800メートル離れた北4東10でJR函館線の踏切を渡る姿が目撃された。同署員らが付近を捜したが、シカは見つからなかった。最初の目撃場所は豊平川の河川敷から約100メートルの距離。シカは体長1・5メートルで雄の成獣とみられるという。踏切を渡るシカを目撃した作業員の男性(39)は「車で休憩していたら、立派な角の生えたシカが見えた。こんな市街地で見かけるとは」と驚いていた。
(大型のシカ出没で市民騒然:北海道)
冬の到来が近づき、エゾシカが市街地に迷い込むケースが増えてくる―。18日には落石町5の住宅街に体長2m近くのオスのシカが出没し、地域を騒然とさせた。市街地や道路へのシカの進入は交通事故などにつながる可能性もあるが、即効性のある対策に乏しいのが現状のようだ。シカは同日午前11時26分頃、山側の住宅地から下りて国道を横切るところを品物を配送中だった市内の青果問屋に勤める男性が見つけた。住宅街に入ったシカは団地周辺をしばらく徘徊し、民家の菜園で草や植物の茎を食した後、南5号線に出てバイパス沿いの茂みへと消えた。珍客の登場に付近を車で通りがかった住民も視線を奪われ、停車して写真におさめていた。シカを発見した男性は「巨体でびっくりした。珍しいと思うのと同時にひやっとした」と話した。シカが市街地に出没した時に市民からの連絡を受ける市農政林務課では「勢力争いに負けたシカが住む地を追われ、人里へ食料を探しに出て来たのではないか」と分析している。本来の生息地である山林から市街地に迷い込むシカは「アーバンディア」と呼ばれ、全道的に多発傾向にある。道が昨年4月に作成した「アーバンディア対処マニュアル」は対処法について、原則として本来の生息地を追いやり、危害や経済損失が見込まれる場合にのみ捕獲するべきだとしている。市もこのマニュアルに基づいた対応をとっているが担当者は「市街地に出没するシカが多いのはそもそも生息数が増えているから。農林業被害の抑制の面からも頭数を減らさないと意味が無い」と話している。
(イノシシ足跡、踏み倒された苗:富山)
高岡市福岡町地域のスゲ田で28日までに、イノシシにスゲが踏み倒される被害が確認された。市によると、イノシシによるスゲ田の被害は初めて。スゲ生産者らの間に不安が広がっており、製作技術が重要無形民俗文化財に指定されている福岡町地域の特産品である菅笠(すげがさ)の材料を守るため、関係者は対策を強化している。イノシシの足跡が見つかったのは、高岡市福岡町上向田(かみむくた)の主婦宮崎光子さん(77)の広さ約3・6アールのスゲ田。10月中旬に植え付けを終えたばかりの苗の一部が踏み倒され、折れ曲がったり泥がついたりして菅笠に使えなくなった。宮崎さんは約50年前からスゲ栽培に携わっているが、イノシシにスゲ田を荒らされるのは初めてという。宮崎さんは「せっかく植えたスゲを台無しにされた。イノシシと鉢合わせしたらどうしようかと思うと怖い」と話した。高岡市によると、今年4月から10月21日までの福岡町地域でのイノシシの捕獲件数は18件で、昨年度の8件の2倍以上になっており、被害が報告される範囲も広がっている。富山県高岡農林振興センターによると、南砺市や石川県などでイノシシ対策が進み、電気柵やわなが設置されるようになったため、比較的対策が進んでいない福岡町地域にイノシシが移動してきたとみられる。福岡町地域の菅笠生産者らでつくる「越中福岡の菅笠製作技術保存会」は富山県や高岡市と連携し、イノシシが通る「獣道」の草刈りや、イノシシが山から下りてくる原因となる耕作放棄田の処分のほか、畑仕事をするときはなるべく一人にならないよう呼び掛けている。保存会は「スゲを栽培する人や田がこれ以上減らないよう、手助けをしていきたい」としている。
(泳いで渡ったか、港付近にイノシシ:愛媛)
28日朝、愛媛・松山市の港付近にイノシシが出没した。イノシシが逃げるために飛び込んだのは、海ではなく砂利運搬船だった。28日午前6時40分頃、松山市の三津浜港の内港付近で「イノシシが走っている」と警察に通報があった。警察官らが捜索したところ、現場近くの港に停泊していた砂利運搬船の中でイノシシを発見した。イノシシは体長120センチ、体重約70キロのオスで、猟友会によって処分された。イノシシには、ダニなどの寄生虫がほとんど付着していなかった。このため、松山市のイノシシ対策を担当している職員は、島から海を泳いで渡り、港付近に現れたのではないかとみて、「逃げるために再び海に飛び込もうとして、誤って砂利運搬船の中に落ちたのではないか」などと話していた。
(イノシシが市街地に出没:石川)
28日、午前6時20分ごろ、小松市今江町のヤマト運輸小松串センターの前で、「イノシシ1頭が建物のガラスにぶつかり、市街地へ逃げていった」と、従業員の男性から110番通報がありました。警察などによりますと、イノシシは体長1.5mほどで、市街地の方へ逃げていったとみられています。けが人はいませんでした。現場は国道305号が走るすぐそばで、住宅密集地でした。目撃者の男性は「車がぶつかるような音がした。ガシャーンと。大きくて、中型犬以上だった」と話していました。警察と猟友会が通学時間帯にあわせ、パトロールを行いましたが、イノシシは見つかりませんでした。小松市では有線放送で注意を呼びかけたほか、付近の小学校では職員が見回りを行いました。小松市では4月以降、318頭のイノシシが捕獲されていて、去年より70頭多くなっています。
(住宅街出没のサル、御用:徳島)
徳島市の住宅地などに出没していたサルが24日夜、電柱の上で動けなくなっているところを捕獲され山に返されました。捕獲されたのは体長およそ50cmのオスのサル。
(クマが人襲う事故、高気圧ピーク前後に多発:秋田)
クマが人を襲う事故は高気圧のピークの前後数日間に多発し、特にピーク後の数日間の悪天候前に集中していたことが、NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県廿日市市)の調査で分かった。同研究所が全国で発生したクマによる人的事故と気圧との関係を調べた結果、県内でも同様の傾向が表れており、冬眠を前に活動を活発化させるクマ被害防止の参考となりそうだ。県自然保護課に勤務経験のある研究所の米田(まいた)一彦理事長(65)らがツキノワグマが生息する秋田など18府県を対象に、クマに襲われた事故の日と、気圧データが公開された1961年以降の各地の気圧データと突き合わせ、04年ごろから調査した。確認できた自然遭遇型の人身事故計1553件(死者36人)で、高気圧がピークの日、またはその後数日間に発生した事故件数は全体の約51%にあたる794件。米田理事長によると、ピーク直前の数日間の事故も合わせると全体の8割程度にもなる。県内でもほぼ同じ傾向だという。今年4月5日に大館市の男性(52)がクマに襲われ重傷となった事故の日の気圧は、日平均1016ヘクトパスカル。前後数日間で高気圧がピークの日だった。8月13日に秋田市で男性(54)が襲われた日の翌日に高気圧がピークとなるなど、「事故と気圧の関係がよく当てはまっている」(米田理事長)という。昨年4月に鹿角市の「秋田八幡平クマ牧場」で従業員2人が死亡した事故の日も同様の気象条件だった。米田理事長は「統計的にまだ不十分な部分もある」と科学的根拠は強くないとした上で、「気圧が上がると動物は血圧が上がり、餌を取るための活動が活発になると考えられる」と指摘。さらに良い天候の際に、登山や山菜採りなどで人間も山に入ることから遭遇する確率が高くなるとの見方を強めている。調査は、米田理事長が県自然保護課に勤務していた79年、超大型の台風20号などが日本に接近した数日前に、県内でクマによる事故が多発したことを受け、クマと気圧の関係に着目したのがきっかけ。86年の退職後に本格的なクマの研究を始め、89年に広島県で研究所を設立した。
(クマ対策犬、活動再開へ:長野)
軽井沢町でクマ対策に取り組むNPO法人「ピッキオ」は来年、新たなベアドッグ(クマ対策犬)2頭を、米国の訓練団体から導入する。今春、9年間の活躍の末に急死した「ブレット」の後を継ぐ犬たちだ。人とクマとの住み分けを促す強力なパートナーが再び加わることに関係者の期待は大きい。ベアドッグは、クマ対策の特殊な訓練を受けた犬。米国の団体がカレリア犬を使って育成している。フィンランドとロシア国境のカレリア地方原産の犬種で、勇敢で賢く、独立心が強い。ヒグマ猟にも使われ、飛び掛からずに木の上に追い詰める性質がある。においを元に人里に出没したクマを追跡、ハンドラー(訓練士)とともに森まで追い立てる。クマに、人間との生活圏の境界を認識させ、人里に来ないようにさせるのが狙いだ。軽井沢では1990年代から、ツキノワグマが人が出すゴミを荒らすようになり、別荘地や住宅地に頻繁に出没するようになった。町に対策を委託されたピッキオは、クマを傷つけずに被害を減らす手段を模索。手先が器用で力が強いクマでも開けられないゴミ箱を設置するなどの対策に取り組む一方、2004年にベアドッグ2頭を導入した。ヒグマ対策の経験もあるスタッフの田中純平さん(39)がハンドラーとなり、活動を開始。出没情報があれば24時間対応で駆け付けた。初夏から秋にかけての出没時期は一晩中、町内をパトロール。3年で1頭が引退したが、もう1頭のブレットは9年間にわたって活動し、追い払った回数だけで438回に上った。2000年代前半は100~200件だった被害件数は、最近は50件を下回るまでの実績をあげた。今年4月、ブレットが急性骨髄性白血病で急死。今は花火などを使って追い払っているが、発信器がついていないクマはどこにいるかもわからず、効果は薄いのが現実だ。田中さんは、「ブレットは人に見えないものが見え、確実に追い払う。本当に心強かった」と振り返る。家族同様のブレットの死で自分の引退も頭によぎったが、励ましの声の多さに背中を押されたという。「ここで途切れると、彼が積み上げた物がなくなる。次のベアドッグを育てることが、ブレットへの恩返し」と、新たな活動を心待ちにしている。ピッキオでは、米国での訓練などの費用約300万円に充てるため寄付を募っている。
(新世代グマ、遭遇を回避する対策を:北海道)
クマの出没で小学校は集団下校を余儀なくされ、公園は臨時閉園を繰り返す。札幌市内の今年の出没状況をみると、ヒグマはすでに市街地近郊の山間部に定着しているとみられる。このまま放置すれば、人とクマとの日常的な遭遇が現実味を帯びてくるだろう。札幌市だけではなく、国、道が協力し、中長期的な視点から対策を講じる段階を迎えている。山野との境界に緩衝地帯を設け、電気柵を活用するなど、実効ある施策を早急に検討する必要がある。道内では春先、檜山管内せたな町で山菜採りの女性が亡くなったのをはじめ死傷事故が後を絶たない。札幌にもその危険が迫っている。9月に南区で目撃が相次ぎ、複数の小学校で集団登下校が行われた。同じ南区内の国営滝野すずらん丘陵公園では9月下旬、6千人もの来園者を避難させたうえで閉園し、今月再開したものの28日に再び閉園した。園内で前回と同じ個体とみられるクマの足跡が発見されたからだ。札幌近郊の山間部では複数の雌グマの生息が確認されている。親離れした若い雄は、自分の居場所を確保するため広範囲に動き回るのが習性とされる。市街地に出没しているのはそうした若いクマで、人間を怖がらない新世代の可能性が指摘されている。こうしたクマを生活圏に侵入させないためには、どのような具体策が考えられるだろうか。その一つが、人や人里に接近することがクマにとって危険であることをできるだけ早期に学習させて、山へ押し戻すことだ。果樹園や畑への電気柵設置はその点で効果がある。限られた場所に何度も出没する個体については、箱わなで生け捕りにして奥地に放してやることが可能かどうか、検討の余地がある。訓練に時間はかかるが、クマを見つけて人里を避けることを学ばせるベアドッグ(クマ対策犬)も最近、国内外で注目されている。その活用を視野に入れてほしい。ヒグマは学習能力が高く、残飯や果樹などの味を知ると繰り返し狙うようになる。その行動が高じると人を襲うことにつながる。餌づけなどは最も危険な行為である。家庭や地域でもできることはある。生ごみの当日出しを徹底し、ごみステーションを鉄柵で覆うなどして強化することだ。ヒグマは身を隠しながら移動する性質を持つ。山野と市街地をつなぐささやぶや河畔林から隠れ場所をなくす措置も怠ってはならない。生活者一人一人が知識と知恵を深め、クマとの共存をいかに図るか、真剣に考えるべき時が来ている。
(シカ対策奏功、鳥獣食害8年ぶり減る:北海道)
エゾシカの食害など野生の鳥獣による2012年度の農林水産業被害額は、前年度より2億円余り少ない69億8700万円となり、8年ぶりに前年度を下回ったことが、道のまとめで分かった。被害全体の9割を占めるエゾシカの捕獲を強化したことなどが効果を上げ、被害増に歯止めがかかった。道によると、鳥獣が農作物などを食べたり、樹皮をはがしたりする被害額は、04年度には33億3700万円だった。しかし、エゾシカの生息域が拡大するのに伴い、7年連続で増加し、11年度は72億2200万円と初めて70億円台に達した。被害全体の9割を占めるエゾシカの捕獲頭数は12年度、過去最多となった。道が狩猟期間を延長するなど、エゾシカ対策を強化したためで、12年度の捕獲頭数は11年度を5000頭余り上回り、約14万3000頭となった。被害額は63億円で、11年度より1億円減った。被害全体を地域別にみると、釧路の15億300万円が最大で、日高11億3100万円、十勝11億1100万円、根室9億8400万円と続いた。農林水産業別では、農業被害が67億1700万円と大半を占めた。作物別の被害では、牧草が33億5200万円と全体の約5割を占めた。ビート被害は4億6800万円、水稲は3億9200万円に上った。道環境局は「被害を減らすために、今後もシカの駆除を続ける必要がある。国の補助金などを活用して狩猟者を支援し、頭数を適正な数まで減らしていきたい」としている。
(ニホンジカ捕獲数の上限撤廃:岩手)
県は、今年11月15日から平成28年度末を期間とする「第4次シカ保護管理計画」を公表した。五葉山地域に生息するニホンジカの個体数増加や生息域の全県への拡大に伴い、農業被害も増加していることから作成したもので、地域個体群の健全な維持、農林業被害の低減、生息域拡大の抑制を図り、人とシカとの共生を目指す。目標達成に向け、個体数管理では狩猟期間の延長、捕獲数の上限撤廃など狩猟規制を緩和し、7400~1万1100頭と推定される生息数の適正化に取り組む。気仙3市町と釜石市にまたがる五葉山地域では、昭和60年代からニホンジカによる農林産物への被害が社会問題化。増加した地域個体群による自然植生など生態系への影響も懸念されるようになり、県は平成2年に副知事を委員長とするシカ対策委員会、同6年に学識委員によるシカ保護管理検討会をそれぞれ設置し、総合的な対策に取り組んできた。同12年には気仙3市町などを対象地域とした「五葉山地域のシカ保護管理計画」を策定。保護管理対策を強化した結果、農林業被害額は5年度の6億7500万円をピークに減少してきた。一方で、シカの生息域が五葉山地域からその周辺に拡大してきたことから、14年に計画対象地域を15市町に拡大した「第2次五葉山地域のシカ保護管理計画」を策定。しかし、生息数が適正数を上回り、農業被害が増加傾向を示していたこと、対象区域外でもシカの生息が確認されたことから、19年に計画対象区域を全県に拡大した「第3次五葉山地域のシカ保護管理計画」を作成。計画期間は当初24年3月までだったが、東日本大震災の影響により1年間延長された。こうした経過をたどる中、今年3月に五葉山地域における生息数調査を実施した結果、推定生息数は19年3月調査時の5000~7100頭を2400~4000頭上回ることが判明。生息域もここ数年の間にほぼ県内全域に拡大しているほか、農業被害も増加拡大(24年度で前年度比80・6%増の約2億8000万円)していることから、引き続き保護管理事業を推進するため第4次計画を作成した。計画によると、対象地域は国指定鳥獣保護区の地域を除く県全域。シカの生息数の増加や生息域の拡大により、農林業被害の継続的な発生や被害地域が拡大している現状を踏まえ、計画期間内の目標として▽捕獲の強化による農林業被害の早急な軽減と自然植生被害の抑制▽侵入初期段階における早期の対応による生息域・農林業被害拡大の抑制▽生息域の拡大に対応したモニタリング調査の実施と個体数推定方法の確立──の3項目を掲げた。これらを達成するため、計画では各地域の実態に応じた保護管理を進めるための地域区分や各地域区分ごとの対策目標を設定。具体的な対策として、個体数管理、被害防除、生息環境管理、モニタリング調査などについての項目を盛り込んだ。このうち、個体数管理では、狩猟による捕獲を促進するため、狩猟規制の緩和を行う。具体的に、「11月15日~3月31日まで」となっている狩猟期間を、26年度から「11月1日~3月31日まで」に延長するほか、1日1人当たりの捕獲数の上限を撤廃。さらに、原発事故の影響により、シカ肉から放射能物質が検出され、狩猟意欲の減退につながっていることから、シカ肉の放射能物質検査を実施し、狩猟者らに検出状況についての情報提供を行う。また、有害捕獲については、特に農業被害の軽減、被害発生地の拡大防止のため、農地周辺での有害捕獲を優先的に実施し、シカの定着解消を図るほか、予察捕獲も推進する。一方、被害防除対策では、侵入防止柵の設置を中心とした農林業被害の低減策を推進。生息環境管理では、山林と農地の間に見通しの良い緩衝帯を設置してシカと人のすみ分けを図るのに加え、シカの隠れ場所となる耕作放棄地や農地に隣接したやぶの刈り払いを進める。このほか、モニタリング調査については、これまで五葉山地域で重点的に行ってきたが、生息域の拡大に対応するため、県内全域で実施。計画的な個体数管理の実施に向け、本県に適合する個体数推定手法の確立に取り組む方針も示された。
(鳥獣保護区でもイノシシ捕獲や駆除へ:富山)
イノシシなどによる農作物への被害が深刻になっていることを受けて、県は鳥獣保護区でも許可を受けて捕獲や駆除を進められることを知らせていく方針を示しました。これは29日富山市で開かれた県環境審議会の部会で猟友会などの質問に県側が答えました。県内には国や県が指定した鳥獣保護区が40か所あり、県の面積のおよそ4分の1を占めています。鳥獣保護区では鳥獣の捕獲が禁止されていますが、イノシシなどによる農作物への被害がある場合には県の許可を受けて駆除することができます。29日の会議では、猟友会や鳥獣保護員から「捕獲や駆除ができることを知らない人が多い」という意見が相次ぎ、県側は「一般の人への周知に力を入れていく」と述べました。県内のイノシシによる農作物への被害額は去年1年間で3600万円あまりにのぼっていて、県は、わなによる狩猟期間を従来より1か月長い11月1日から3月15日までに延長するなどの対策をとっています。
(ナチシダが山間部で増殖、シカの食害免れ勢力拡大:和歌山)
暖地性の大型シダ「ナチシダ」が、和歌山県の紀南各地の山間部などでじわじわと増えている。専門家は「紀南地方にもともとあったシダの一つ。シカが嫌って食べないために勢力を伸ばし、目立つようになってきた」と話している。ナチシダはイノモトソウ科のシダ。『わかやまの生物』(1979年、南紀生物同好会編)などによると、明治期に那智の滝(那智勝浦町)近くで発見され、この名が付いた。シダの中でも比較的明るい環境を好み、道路脇や崩落地でも見られる。普通、葉の形は三角形だが、ナチシダは上から見ると全体の形が五角形なのも特徴。大きくなると人の背丈ほどになり、葉の全長は2メートルを超す。冬の寒さが厳しいと葉は枯れ、春にワラビのような大きな新芽を出す。ただ、葉や茎に毒素成分を含んでいるため、シカや牛などの動物はこのシダを食べないとされている。北限地とされる静岡県河津町では、国の天然記念物に指定されている。植物に詳しい日高高校の土永知子教諭(53)は「温暖化の影響で分布域が北上したというよりは、シカの食害を受けた他の植物に置き換わって増え、目立つようになったといえる」という。紀南では珍しいシダというわけではないそうだ。昭和初期~中期に当時の南部町や白浜町など紀南各地で確認された記録があるほか、古くは南方熊楠が東京帝大教授で植物学者の松村任三(1856~1928)に送った1911年の書簡にもナチシダについて書かれている。白浜町の平草原公園管理事務所職員(62)は「園内にもかなり前からあったが、10年近く前から増えて目立つようになった」。同町市鹿野の農業男性(62)は「見慣れないシダが増えてきたと思っていた。湿り気の多い道沿いで数年前から目立つようになり、大きな葉を広げて群落をつくっている」と話している。
(イノシシ、農業被害1億円超:香川)
香川県内でイノシシの被害が増えている。わなや狩猟による捕獲数は、2007年度から6年連続で過去最高を更新し、農作物の被害も10年度から3年連続で1億円を超えた。餌を求めて山から下りてくるイノシシが増えたのが主な原因とみられる。県は12年度から、被害の多い高松市屋島地区などをモデル地区に指定し、最新式の囲いわなを仕掛けて駆除に乗り出すなど、対策を強化している。県みどり保全課のまとめによると、農業被害額は06年度から09年度まで、約5千~8千万円で落ち着いていたが、10年度に約1億4500万円と急増。11、12年度と3年連続で1億円を突破している。捕獲数も07年度以降、右肩上がりの状態で、12年度は過去最高の6935頭となった。同課によると、10年度は猛暑の影響でイノシシの主食となるドングリの成熟が早く、初秋までに多くが落下した。このため、冬に備えて脂肪を蓄えようとする秋に餌が足りなくなり、畑や市街地に出没、被害が拡大したとみられる。同課は「イノシシは習慣性が強い。10年度に農作物や生ごみなどが得られたことで味をしめ、市街地に餌を求めるようになり、以降の被害が増えているのではないか」とみている。12年度には、高松市の屋島地区など1市2町の4カ所をモデル地区とし、複数を一気に捕獲できる最新式の囲いわなを設置。本格的な駆除に乗り出した。屋島地区では、住民と県が協力して現地調査を行い、被害状況や出没地点をまとめたマップを作成した。本年度には侵入防止柵を設置することも決まっている。同課は「市街地への侵入を防ぐための環境整備と、わななどによる捕獲を効果的に組み合わせることが重要。住民との協力態勢を強化し、被害の軽減に努めたい」としている。
(人里に味を占め、県内で増えるイノシシ被害:香川)
増加傾向にあるイノシシの被害を防ごうと、香川県は住民と連携して対策に乗り出している。最新式のわなを使った捕獲、侵入防止柵の設置といったハード対策がその中心。ただ、イノシシは警戒心が強い上、わなや柵を全域に設置することは不可能だ。効果を高めるには、こうしたハードによる「封じ込め」に加え、イノシシの餌になる生ごみや農作物を放置しない環境づくりも求められている。 県などによると、香川の山は松林が中心だったが、1970年代からの松くい虫被害で松が減り、クヌギやコナラなどが増加。ドングリを好むイノシシがすみやすい環境になり、生息域も広がっていった。近年の被害増加は、2010年の猛暑でドングリが早く落ち、秋に餌不足に見舞われたイノシシが人里に下りたことがきっかけとみられる。生ごみや放棄果樹など、おいしい餌にありついたイノシシは味を占め、以降も山に戻らず、市街地や畑周辺の里山で餌をあさるというわけだ。県に寄せられた目撃情報も増えており、11年度63件、12年度102件、本年度は22日現在で58件。イノシシに襲われてけがをするケースも相次いでいる。県は12年度から、市街地への侵入を防止しようと対策を強化した。目撃情報が多いエリアをモデル地区に指定し、最新式の囲いわなを設置している。県対策事業のアドバイザーを務める阿部豪兵庫県立大学自然・環境科学研究所特任講師によると、イノシシは決まった道を通ることが多いため、習性を利用して捕獲できるという。警戒心が強く、見慣れない物体があるなど、異変を感じてルートを変えることもあるため、茂みの中など目立たない所にわなを仕掛けるのがポイントになる。ただ、わなや狩猟はあくまで「対症療法」。捕獲できるイノシシは一部にすぎず、根本的な解決にはならない。県は住民を対象としたワークショップも開催している。わなや柵の設置に加え、農地の適正管理の重要性などを解説し、複合的な対策を組み合わせた「侵入を許さない環境づくり」を呼び掛けている。阿部特任講師は「ドングリが豊富な年でも、生ごみや農作物などの魅力的な餌に味を占めた個体は、畑や市街地に出没してしまう。収穫後の野菜や果物などを畑に放置するのはやめてほしい」と警告する。イノシシが人里に下りる最大の理由は、容易に餌にありつけるから。餌の少ない環境を維持し、本来のすみかである山に返すことが有効な対策のようだ。
(イノシシ食害、九州離島で相次ぐ)
以前は生息が確認されていなかった離島にイノシシが出現し、農作物を食い荒らすなどの被害が九州で相次いでいる。福岡市の能古島では野菜やイネが被害に遭い、五島列島(長崎県)の一部や佐賀県唐津市沖の島でも捕獲数が急増。イノシシは本土や他の島から泳いで渡ったとみられ、猟銃などによる駆除を逃れて海に飛び込んだとみる専門家もいる。
(餌の豊作でクマの出没減少か:岡山)
ツキノワグマの出没を予測するため、岡山県が実施している餌となるドングリ類の生育状況調査で、今年は実のなり具合が良く、広範囲にわたり「豊作」が見込めることが分かった。県自然環境課は「餌を求めて人里に出没する可能性は低いが、油断せず、山間部では家の周りに食べ物を放置しないなどの対策を徹底してほしい」と呼び掛けている。ツキノワグマ目撃情報が多い県北東部の津山、美作、奈義、勝央、西粟倉の5市町村の35地点で、9月上旬に調査。各地点でドングリ類の樹木10本を抽出し、実の数を基準値と比べたところ、対象となるブナ、ミズナラ、コナラとも「豊作」と判定された。調査は、2010年度にツキノワグマの出没件数が199件と記録的だったことを受け、11年度からスタート。「豊作」「並作」「凶作」に分類しているが、3樹木とも豊作となったのは初めて。県によると、ツキノワグマの出没件数は11年度79件、12年度56件と減少。本年度はクマの繁殖期に当たる6、7月の目撃件数が例年より多く、8月末までに38件(前年同期34件)と高水準で推移していたが、9月末現在では45件(同49件)と落ち着いている。ただ、ブナとミズナラが凶作だった12年度の出没件数が前年度より減少するなど、調査結果と出没件数が一致しないこともあり、同課は「あくまで目安として見てほしい」としている。
(冬眠前、クマ警戒令:東京)
冬眠に備え、餌を求めて行動範囲を広げているクマを警戒しようと、あきる野市では、森林レンジャーが生態調査を行ったり、専門家を招いた研修会を市民に開いたりするなどして、対策に力を入れている。昨年11~12月には、民家でクマの目撃が相次いでおり、同市農林課は、「クマと接触しないよう、最大限の注意が必要だ」と呼びかけている。「この辺りはクマの生息域になっている」。9月下旬、同市養沢の山中で、森林レンジャーの一人、パブロ・アパリシオさん(33)が、クマが縄張りを示したり、甘い樹液をなめたりする時に、樹木の表皮を削る「クマはぎ」を複数発見。近くには、クマの爪痕や足跡もあった。パブロさんらは、市民の目撃情報を基に、クマの痕跡をたどり行動エリアを記した地図を作製。注意を呼びかけるとともに、クマが餌とするドングリや栗のなり具合を調べたり、ヤマグリの木を植えたりしている。パブロさんは、「市内には6頭ぐらい、クマが生息している。ドングリなどは昨年に比べて豊作だが、民家を含め、一度餌を取りに来た場所には、再び姿を現す可能性がある」と警戒を強めている。同市では、昨年11~12月、戸倉や小中野地区などの民家で、生ゴミが入ったバケツや漬物ダルをあさるクマの目撃情報が、13件寄せられた。同市は、人的被害が出ないようにわなを仕掛け、12月下旬に、子グマ1頭を捕獲。殺処分された。今年に入り、民家での目撃はまだないが、注意を呼びかけようと、同市は今月10日、五日市地域交流センター(五日市)で、クマの生態を学ぶ研修会を初めて開催。参加した市民ら約80人に、農作物の収穫を急ぎ、動物が潜みやすい山際と畑の間にあるヤブを撤去するよう、呼びかけた。同市農林課は、「生ゴミや農作物といったクマの餌となる誘引物を庭先に置かないなど、クマと接触しないように、われわれ人間が気をつけていかなければならない」としている。クマの生態に詳しい東京農工大学大学院農学研究院の小池伸介講師の話「近年、クマと人間の世界との境界線の役割を果たしてきた山里が、高齢化などのために荒廃し、平野部にも姿を現しやすくなっている。また、猟師が減り、狩猟犬に追いかけられた経験がないため、人間を恐れないクマも出てきたと言われている。行政はクマに関する情報を、住民に細かく伝えて注意を呼びかけるとともに、住民側は、クマを寄せ付けない工夫をして、クマとの緊張関係を再構築する必要がある」
(鉛除去に向け土壌調査範囲を決定:佐賀)
伊万里市大川内町の市営射撃場(休止中)に約57トンの鉛が放置されている問題で、鉛除去に向けた土壌調査の範囲や方法を検討する委員会の第2回会議が29日、市役所で開かれた。新旧射撃場からの鉛弾の着弾距離を最長223メートルと推定し、着弾範囲内を30メートル間隔のブロックに分けて汚染状況を調べる方針を決めた。調査は新旧射撃場から鉛弾が飛ぶ距離と方向を推測し、その範囲内で行う。30メートル間隔のブロックで土壌と水質を検査するほか、ボーリング調査で地下への浸透についても調べる。射撃場に隣接し、鉛が検出されている民有地(休耕田)は地権者の合意を得ながら、市が全域を調査する。検討委は土壌汚染、水質などを専門とする大学教授ら16人で構成。次回は調査項目や調査方法について検討する。
(射撃競技の魅力知ろう、国体見据え体験教室:愛媛)
2017年の愛媛国体を見据え、ライフル射撃の魅力に触れてもらおうと、内子町寺村の小田高校の文化祭で22日、体験教室が行われ、生徒や保護者らが指導者から銃の構え方や的の定め方を教わった。同町が愛媛国体でライフル射撃の会場になったことから、開催地域内で競技の普及を目的に県協会と同校が開催した。会場の同校武道場には、ビームピストルとビームライフルが計6セット用意され、参加者は、3人の講師から手ほどきを受け、真剣な表情で的を狙っていた。
(イノシシ退治、市街地も住民団結:長崎)
長崎県平戸市で、市民によるイノシシ退治作戦が始まった。田畑だけでなく、商店街近くや民家にも出没するケースが目立つようになったためだ。一般の市民がイノシシの生態を学び、獣害マップを作ったり草刈りをしたりして、農家と共に被害拡大防止を目指す。農水省によると、農家以外の市民が鳥獣害対策に乗り出すのは全国的に珍しい。対策を担うのは、市内中心部の繁華街や観光地付近などの自治会だ。同市では、15年前にイノシシの生息が初めて確認されて以降、年々、農産物被害が深刻化し、現在は水稲を中心に年間4000万円前後の被害が農家から報告されている。最近では、市中心部の観光地や住宅地などにもイノシシが出没するようになった。そのため、これまでは農家や猟友会が鳥獣害対策に取り組んできたが、市全域で意識を高めようと、市街地自治会の住民らが今年度から「イノシシ被害まちなか対策」をスタート。市の獣害対策の担当者に助言をもらい、商店街や観光地近くの住民らが10月から、市街地に隣接する荒れ地の草刈りやイノシシが出没した場所を落とし込んだ地図を作っている。11月には市が鳥獣害対策の専門家を招いて、繁殖力や学習能力、脚力、生息範囲などを幅広く学べる「イノシシ大学」を開く。対象は主に市街地の住民で、定期的に開くという。ワイヤメッシュを使った柵作りにも着手する予定だ。対策を始めた商店街近くに住む松永靖さん(55)は、若手の仲間20人とイノシシ退治に乗り出した。「高齢者が怖くて夜中に外を歩けないと嘆いている。早いうちに手を打ちたい」と張り切る。これまで市街地の住民からは「子どものイノシシを殺すなんてかわいそう」といった声が上がり、農家がイノシシの被害に困っている実態は知られていなかった。市は「市街地の住民にも獣害を学んでほしい。農家による対策と連動させて、地域ぐるみで被害を防いでいきたい」(農林課)と意気込んでいる。
(尾瀬保護財団の財政危機深刻、運用益減にシカ食害追い打ち:群馬)
尾瀬の保全活動に取り組む公益財団法人「尾瀬保護財団」の財政が苦境に立たされている。金利低下により運用益が大きく減少するなか、深刻化するシカの食害対策にも追われているためだ。収入は平成15年のピーク時の5~6割にまで低下。これまで取り組んできた事業が実施できなくなる恐れもあり、財団は県内外の企業や個人に懸命に寄付を呼びかけている。尾瀬保護財団は平成7年に設立され、今年4月に公益財団法人に移行した。基本財産は尾瀬国立公園のある群馬、福島、新潟の3県や東京電力などが出資した約15億円。資金を元に財団が国債を購入し、その運用益を活動費に充てている。しかし財団設立から18年たち、国債の買い替えが必要な時期になったものの、金利が大きく低下したため、運用益はピーク時の約3500万円から、昨年度は約2千万円まで減少した。こうした状況に追い打ちをかけているのがシカによる被害だ。ミズバショウの食害や湿原の掘り起こしなどが近年急増。財団は対策に乗り出した県にわな購入費として約100万円を支出し今後、福島県側にも約30万円を支出する予定だ。財団では、国や県からの委託事業のほか、自主事業として、ツキノワグマの追い払いやごみ持ち帰りの啓発活動などに取り組んでいる。しかし財政が厳しい現状では、こうした重要な活動も今後見直しが迫られる可能性があるという。財団は活動資金を捻出するため、県内外の企業への寄付呼びかけを強化しており、9月以降約90社にアプローチし、実際に半数程度の社に職員が足を運んだが企業経営も厳しい昨今、「色よい返事は片手で数えられる程度」だという。担当者は「東日本大震災に関する寄付に協力している企業が多く、なかなか尾瀬にまで回していただけないのが実情だ」と苦しい胸のうちを明かし、「財源の確保は喫緊の課題。企業の継続的な支援をお願いしたい」と呼びかけている。財団はシカ害対策など特定事業への寄付も受け付けている。
(石動山ユリを守れ、イノシシ被害で協力:石川)
中能登町は29日、希少植物「石動山ユリ」がイノシシに食い荒らされる被害が深刻化している石動山で、食害防止用の電気柵を設置した。今後、株の全滅を防ぐため、能登國(のとのくに)石動山を護(まも)る会と協力し、数カ所に捕獲用のおりを設置し、約50株が失われた大宮坊(ぼう)裏に苗を植えるなど、保護に力を注いでいく。いしかわレッドデータブック絶滅危惧Ⅰ類の石動山ユリは、標高約470メートルにある大宮坊周辺の5カ所に約300株が群生していたが、9月中旬に約200株がイノシシによって掘り起こされた。町は全滅の恐れがあるとみて、50株ほどが残る大宮坊裏の斜面約200平方メートルに幅60メートルの電気柵を取り付けることにした。29日は職員が1メートル間隔でプラスチック製の支柱を打ち込んだ後、高さ20、40センチの位置に電線を通した。町が石動山ユリの群生地付近を調べた結果、道任(どうにん)坊跡や戒定(かいじょう)院(いん)跡などの芝生広場ではイノシシがミミズなどの小動物を食べるために土を掘った跡も見つかった。町は11月に、鉄製のおり1基を大宮坊周辺に設置するほか、来年度以降、増設し、史跡全体が荒らされないよう対策を強める。能登國石動山を護る会は今年残された花から採取した種約5千粒を来春、大宮坊裏の斜面にまくほか、来年6月には苗100本を植えることを決めた。同会理事として23年間保全活動を続ける奥村章さん(66)=同町在江=は「町花であり、石動山の名を持つ大切な花を絶やさないよう、くじけずに活動を続けたい」と話した。
(「シカを知る、食べるツアー」:鳥取)
鳥取県若桜町の「氷ノ山自然ふれあい館 響の森」は、11月9日に開く「シカを知る、食べるツアー」の参加者を募集している。定員12人になり次第締め切る。シカによる農林業への被害が後を絶たない同町で被害状況や対策を学び、捕獲したシカ肉の有効活用を考える。当日は午前10時過ぎから同町の森林で地元猟師の説明を受けながら、シカの生息域を散策。仕掛けたわなも見学する。午後からはスライドなどで被害状況を学び、鳥獣肉の加工場を視察する。シカ肉料理がメーンの昼食付き。参加費は一般3500円、中学生以下3千円。
(イノシシやシカ、模型的狙い競う:石川)
能登町アーチェリー協会主催の「ささゆりカップアーチェリー大会」が二十七日、町柳田植物公園で開かれた。北信越の大会では唯一、狩猟さながらにイノシシやシカなど野生動物の模型の的を狙う種目「3D」を採用。県内の高校生から社会人までの計四十三人が出場し、三十二射の合計得点を競った。選手たちは、的との高低差があったり、茂みに入って矢を放つなど野趣味あふれるコースで熱戦を展開した。
(深まる秋、カモ飛来:三重)
紀北町紀伊長島区の片上池にヒドリガモが飛来し、秋の深まりを告げている。池には毎年、シベリア方面からヒドリガモやマガモなど約100羽が越冬のために飛来し、4月頃まで過ごす。今年は今月中旬から姿が見え始めた。26日には30羽ほどが水辺を泳ぎ、同町の70歳代の女性は「カモを見ると冬が近いと感じる。カモを題材に俳句を詠もうと思って」と遊歩道から池を眺めていた。
(キジ27羽、野に放つ:愛知)
瀬戸猟友会(若杉納会長)は23日、瀬戸市川平町の「定光寺ほたるの里」などで、キジの幼鳥27羽を野山に放った。同猟友会は毎年秋、生後90日ほどになったキジの幼鳥を、鳥獣保護区に指定された同市近郊の野山に放鳥している。今回は、キジの生態を詳しく調べるため、雄の足に生まれた時期や管理番号などを記した足輪をはめて放鳥した。ほたるの里ではこの日、猟友会の会員ら10人が、掛け声とともに放鳥すると、幼鳥は一斉に勢いよく林の中へ飛び立った。若杉会長は「元気に育ってほしい」と話し、幼鳥が飛んでいく姿を見つめていた。
(猟友会がキジの放鳥:長野)
飯伊連合猟友会(塩澤久一会長、会員765人)は25日、鳥類の保護・増殖と狩猟鳥類を確保するため、日本キジ216羽の放鳥を実施した。上田市の養殖場から運ばれた大日本猟友会助成事業による90日令キジ112羽、狩猟環境整備支援事業(県補助事業)による90日令キジ104羽の計216羽を飯伊8ブロックに割り当て、それぞれの地域で各ブロックの責任者と支部役員が放鳥した。県飯田合同庁舎の正面駐車場で割り当てられたキジは各ブロック長が引き取り、それぞれの地域に持ち帰った。大鹿、喬木、豊丘の竜東ブロックには40羽が割り当てられ、うち12羽を塩澤会長ら喬木支部の役員4人が同村小川上平のもろはら公園で放鳥した。塩澤会長は「キジの自然繁殖が減ってきている。人家近くに生息し、地面で生活したり営巣しているので、天敵のキツネやタヌキ、ハクビシン、野良猫などにやられてしまう。中山間地域が過疎化し農業が行われなくなっているため、キジが増える状況ではなく、長生きするのは少ない。なんとか元気に育ってほしい」と願っていた。事務局(県下伊那地方事務所林務課内)によると、キジはオスだけが狩猟の対象となり、目印として足輪がついている。狩猟したオスの足輪を事務局へ提出すると大日本猟友会から金バッジが記念品として贈られるが、年間3、4個にとどまっているという。
(クマ剥ぎ防止に新兵器:石川)
白山市はこのほど、ツキノワグマが樹皮を剥(は)ぎ取る「クマ剥ぎ」対策として、生分解性プラスチックの帯をスギに巻き付ける取り組みを始めた。作業が簡単で、木の成長を妨げないことから、効果を検証した上で森林所有者らに紹介し、普及を進める。クマ剥ぎは昔から白山麓で見られていたが、平成元年ごろから木の回復が不可能なほど激しい被害が加賀市や小松市、白山麓地区のスギ林で多発し、腐る木も出てきた。これまでの対策は、ビニールテープや網を幹に巻き付ける方法が主流だった。ただし、木が成長するとテープなどが木に食い込み、木材を傷つけるため、白山市は木の成長と共に伸び、7年後には分解されて土になる生分解性プラスチックの帯の試験採用を決めた。10月内に、白山市野地町と白峰の計13ヘクタールに生えているスギに長野市の業者が開発した帯を巻く。県によると、昨年度のクマ剥ぎは計471アールで見られ、被害額は約500万円相当だったという。県に届け出ていないケースも多いため、被害の氷山の一角だとしている。白山市林業水産課は「効果をしっかり確かめたい」としている。
(マタギの伝統学ぶ、ツアーなど提案も:秋田)
廃業した秋田八幡平クマ牧場(鹿角市)の熊を受け入れている北秋田市の「阿仁熊牧場」の活用策を話し合う阿仁熊牧場利活用推進協議会の専門部会が23日、開かれた。出席した有識者や地元猟友会の代表者が、周辺の環境を生かしてマタギの伝統を学ぶ場にする案などを出し合った。北秋田市の担当者は、熊牧場を森吉山の観光振興プロジェクトの一環として位置づけ、「観光経済」「研究・支援」といった四つのコンセプトで運営することを提案した。出席者からは、観光客を猟場に案内してマタギが猟の方法を説明するツアーの提案や、牧場をクマの生態研究拠点にするなどのプランが挙がった。作業部会は提案をもとに熊牧場の活用策をまとめ、来年1月ごろに協議会に提案する。熊牧場では、八幡平クマ牧場のヒグマを受け入れるための飼育舎を建設しており、年内に移送する予定。
(クマ侵入防止電気柵に手応え:広島)
三次市君田町の茂田自治区と、NPO法人の生物多様性研究所あーすわーむ(長野県)が、柿を目当てに茂田地区に出没するツキノワグマの侵入を防ぐ電気柵を山際に張った。共同での実証試験は3年目で、ことしが最終年となる。来年からは、地元住民が蓄積したノウハウを基に中心となって取り組む。電気柵は、茂田地区の集落を囲んでいるイノシシよけの常設の柵(高さ1・2メートル)を基礎に使い、鉄製ポールの上に長さ33センチのポールを追加。ポール間に通電用の線を張り渡した。柵をよじ登ろうとした熊の鼻先が触れるようにし、山へと追い返す仕組み。住民と同法人の会員たち約20人が19日に作業した。電気柵は、熊が通るとみられる場所を選んで4カ所に分けて計約1300メートル張った。電気柵の効果確認などのため、一帯には10台の自動撮影装置も近く設ける。電気柵の設置期間は熊の出没の可能性が減る12月半ばまで。広島県自然環境課のまとめでは、ことしの熊の県内での目撃は4~9月に212件とほぼ平年並み。茂田地区での目撃はないという。2011、12年は柿やクリを食べに熊が集落に入ったが、電気柵を張った部分からの侵入はなかった。ことしは集落に熊を引き寄せる柿の実が豊作で、住民たちは今後の出没を警戒している。茂田自治区の小田勝久区長(69)は「柵の効果は間違いなくある。来年以降もNPO法人の助言を受けながら設置を続けていきたい」と話す。3年間の検証を踏まえて、今後は住民グループの「茂田クマネットワーク」が取り組みを引き継ぐ。
(ジビエ肉特産化へ格付け制度導入:和歌山)
農林業に被害を及ぼす野生のシカとイノシシの肉の消費を拡大し、捕獲促進につなげようと、和歌山県は11月からそれら(ジビエ)の肉の格付け制度や解体処理施設の「衛生管理認証制度」を導入する。いずれも全国的にみて先進的な取り組み。県外へのPR活動も進めており、ジビエ肉特産化を目指している。県は2008年度から、イノシシとシカを「わかやまジビエ」として需給拡大に取り組んでいる。食肉処理数は08年度225匹、09年度285匹、10年度377匹、11年度574匹、12年度657匹と右肩上がりに増えている。一方で、イノシシの農林業への被害金額は12年度で1億9100万円、シカは4700万円で、前年度よりそれぞれ増加し、深刻化している。取り組みを一層加速させようと導入するジビエ肉の格付け制度や解体処理施設の認証制度は、民間組織による導入例はあるが、都道府県では初めてという。格付け制度は、購入者が目的に応じて選べるようにすることや品質を明確にすることで、取り引きしやすくすることが狙い。審査項目は主に(1)脂肪の厚さ(2)肉色(3)肉の締まり(4)肉のきめの四つで、牛や豚を参考にした。県が処理施設ごとに認定した「格付け員」が基準に照らし、シカを2段階、イノシシを3段階に格付けする。正しく格付けできているかは、県が定期的にチェックする。「衛生管理認証制度」では処理施設が08年度は8カ所、10年度13カ所、12年度15カ所と増えていく中、衛生管理の水準を保つ。県がお墨付きを与えることで、安全性をアピールする狙いもある。家畜の衛生管理は法律で定められているが、ジビエ肉は適用外のため、県は09年3月、衛生管理ガイドラインを作成していた。今回の制度では、これを順守しているかどうかを県が検査し、合格すれば「ジビエ認証施設」に認める。認証期間は3年だが、立ち入り検査は1年ごとにする。処理施設は認定証や認証マークを掲示したり、商品に添付したりできるようにする。さらに今回、処理施設対象の解体マニュアルDVDを作製。今後、解体講習会で利用したり、希望施設に配布したりする。県は販路拡大にも取り組んでいる。ジビエ肉を使ったレシピコンテストや親子料理教室、県内の飲食店や宿泊施設が参加し期間限定で料理を提供する「ジビエウイーク」を開催。ジビエ肉を扱う県内の料理店や宿泊施設の数は、08年度は17だったが、12年度には76に、精肉販売は08年度14だったのが、12年度は32に増えた。しかし、ほとんどが県内での消費にとどまっており、今後は東京や大阪方面への販路拡大を狙う。県畜産課は「ジビエ肉の消費を増やし特産化することで、猟師が捕獲する意欲を高めたい。これが、うまくサイクルできるようにしていきたい」と意気込んでいる。
(ジビエを名物に:長野)
長野市若穂地区で捕獲、解体したイノシシやニホンジカなどをジビエ(野生鳥獣肉)として活用し、農作物被害を減らしながら誘客に生かそうと、地元猟友会が加わる団体やグリーン長野農協(長野市)、市中心部の飲食店などが「若穂食のモデル地域実行協議会」を設立した。店側はジビエ料理を名物として売り出す。捕獲、加工側は、供給先を安定的に確保したい考えだ。日本ジビエ振興協議会(事務局・埼玉県)によると、全国で野生鳥獣の解体処理施設は増えているが、販路確保が課題。複数の事業者などが連携して、捕獲から販売まで一体的に進める試みは珍しいという。農林水産省が本年度創設した補助事業に、ジビエ関連では全国66計画で唯一、若穂の協議会の4年間の計画が認められた。本年度分として約600万円の補助が決まり、イノシシ50頭分、計約1トンの肉の利用を予定している。イノシシなどは、若穂地区の区長会や猟友会などでつくる「若穂ジビエ振興会」が若穂保科に5月に建てた食肉加工施設で解体する。同農協女性部のほか、長野駅近くの「しまんりょ小路」にある飲食など26店の「長野しまんりょ会」が居酒屋やスナックなど加盟各店の業態に合わせて主食、副食、つまみなどの商品を開発する。上田市の社会福祉法人「まるこ福祉会」の障害者通所施設が、各メニュー向けに肉を加工する。市によると、野生鳥獣による昨年度の市内の農業被害額は7239万円で、このうちイノシシが1822万円、シカが1127万円だった。長野しまんりょ会は、ジビエ料理で通りに客を呼び込む構想を描く。4月に料理専門家を招いて講習会を開き、これまでに「鹿肉のロースト」など4種類のメニューを試作した。26日の市農業フェアでイノシシ肉の汁物や串焼きを販売した。会長の斎藤幸代さん(44)は「結果を出せるよう、協議会に加わる各団体がそれぞれの役割を果たしていけるといい」と話している。
(駆除シカを保存食に:高知)
害獣として駆除されるニホンジカの肉を災害時の保存食に活用しようとこのほど、高岡郡四万十町十和川口の十川小学校の児童らがジャーキー作りを体験した。防災教育に力を入れる同校は、災害時の孤立化に備え、住民と炊き出し訓練などを実施している。今回は食料の確保を学ぶため、保存食作りに挑戦した。
(「害獣」を「食材」に:大分)
県内の農林業に年間約3億円の被害を与えているシカやイノシシなどの鳥獣を捕獲し、「食材」として生かすため、県がジビエ(狩猟肉)の消費拡大を進めている。ジビエ料理は、「害獣の駆除」という発想を変え、料理として「命」をいただき、地域の振興にもつなげようという考え方だ。来月から猟期が始まり、ジビエが増える時期に入る。だが、食習慣として定着していないうえ、獣肉処理の能力が低いなどの課題も多い。「おいしい」「柔らかいですね」。由布市庄内町の市立阿南小で22日あったジビエの食育体験教室では、参加した親子らがシカ肉のドライカレーや塩麹(こうじ)につけ込んだイノシシ肉のステーキなどに挑戦し、舌鼓を打った。講師役の県職員は「子供たちや母親に味を知ってもらって消費の底辺を広げたい」と話す。日本ではジビエはなじみが薄い。ボタン鍋で知られるイノシシも猟師らによる自家消費が多く市場には出回りにくい。シカはさらに食習慣が浸透しておらず、大半が消費されずに処理されている。これを積極的に活用する動きも出ている。大分市の卸売業者「大分地域資源振興機構」(地域資源機構)は、大分、福岡両県産のイノシシ肉を業務用卸大手の「西原商会」(鹿児島市)を通じて首都圏のレストランなどに販売開始。「ジビエの市場ニーズは高まっている。シカ肉も年明けをめどに販売したい」と意気込む。県が消費拡大に取り組むのは鳥獣被害対策の面がある。昨年度の被害額は2億8700万円。半数以上はイノシシで1億5000万円。次いでシカ7200万円、サル2800万円など。昨年度のイノシシ捕獲数は2万2584頭と横ばい傾向だったが、シカは2005年度の4倍以上の3万597頭だった。数字以上に県が懸念しているのは、世界農業遺産に認定を受けた国東半島宇佐地域の鳥獣被害。地元では20日、豊後高田市の猟友会が集中捕獲を実施するなど対策強化に乗り出した。だが、捕獲した獣肉処理の態勢は十分ではない。県内24施設で処理できるのはいずれも1日数頭程度。そこで、地域資源機構が中心となって今年1月、「大分狩猟肉文化振興協議会」を設立。関係業者は処理施設の技術・品質向上、衛生管理強化、統一規格化品生産−−などで連携。県も狩猟促進につながると支援する。
(関東4都県で販売、信州鹿肉ジビエバーガー:長野)
県産のシカ肉を使ったハンバーガー「信州鹿肉ジビエバーガー」が十一月の一カ月間限定で、東京都など関東の四都県のハンバーガーチェーン「ベッカーズ」の十九店舗で販売される。県産シカ肉を円盤状にしたパティ(肉)が主役。焼いたマッシュルームとタマネギを合わせ、シカ肉のだしと赤ワインで作ったソースを加えた。価格は一個五百五十円。販売されるのは他に千葉、埼玉、神奈川県。信州ジビエを地域の活性化につなげようと、ベッカーズを運営するジェイアール東日本フードビジネス(東京都)が企画。開発には茅野市のフランス料理店のシェフ藤木徳彦さんが協力した。同社は二〇一一年から、信州のシカ肉を使ったカレーやシチューを都内などのレストランで販売。好評だったため、「シカ肉の味をストレートに伝えたい」(担当者)とハンバーガーを考案した。
(シカ肉ふりかけいかが:北海道)
エゾシカの肉を使ったふりかけを、札幌市内の日本茶専門店、玉木商店玉翠園が製品化した。フリーズドライにした道産野菜と合わせ、味のバランスを整えたという。4年前にはつくだ煮も発売しており、今回は第2弾。原料は、道内の食肉卸大手から仕入れた新鮮な肉で、エゾシカ肉に特有の臭みを抑えるため、ほうじ茶で煮込んだのがミソ。食害が深刻になったため、駆除されたエゾシカ肉は、さまざまな料理に使われるようになった。肉の有効活用にお茶も一役―。
(みのりの丘ジビエセンター、開設から半年:山口)
下関市が今年4月、有害獣として捕獲されたシカやイノシシの食肉加工施設「みのりの丘ジビエセンター」を同市豊田町に開設して半年が過ぎた。「ジビエ」はフランス語で野生鳥獣の意味で、加工施設の開設は県内初の試みだ。処理されたシカ、イノシシは計219頭(9月末時点)で、ほぼ当初の計画通りに推移する一方、加工食品や料理の認知度はまだ低く、販売面での課題も浮かんでいる。処理頭数の内訳はシカが157頭、イノシシは62頭。市が設定した今年度の処理頭数の目標は600頭で、目標を若干下回るペースだが、狩猟のピークはこれからで、今後は処理頭数が加速する可能性がある。同市豊田町の豊菊地区猟友会の橋村健治会長(60)は「イノシシやシカを捕獲した後の処理の負担が格段に減った」と、施設の効果を話す。一方で、課題は販売面。ジビエが市民に浸透しておらず、販売に結びつきにくいためだ。ジビエセンターの指定管理者の静食品(下関市椋野町)は「シカウインナー」「イノシシフランクフルト」といった加工食品を開発し、市内の道の駅などが販売を始めた。しかし、認知度が低く、売り上げはいま一歩。在庫がたまり、有害獣を持ち込んだ猟友会に代金を支払えない時期もあった。それでも販路は徐々に広がりつつある。ジビエ食品を取り扱う小売店やホテル、飲食店は下関を中心に15店舗にまで増え、11月からは山口市の湯田温泉の旅館などもジビエ料理を扱う予定だ。関係者も売り込みに懸命だ。今月9日には下関市の東京第一ホテル下関でジビエ料理の試食会が開かれた。振る舞われたのは、ジビエを使った和食と洋食。「あっさりしていて食べやすい」「思っていたより臭みがなくてびっくりした」。招待された参加者約80人の反応は上々だった。ジビエ食品を扱う道の駅「蛍街道西ノ市」の岡藤泰之駅長は「ジビエの肉は臭みがあるという先入観がまだ多くの人にある。地元の人にこそジビエ料理のおいしさを知ってもらいたい」と話す。静食品の小野康行社長は「下関は魚ありきの街。ジビエ文化はまだまだ育っていないが、ようやく手応えを感じられるようになってきた。今後は関東方面にも販路を拡大し、ジビエ料理を下関の新たな名物として育てていきたい」と意気込んでいる。
(試験的「イノシシ肉」加工品を販売:福岡)
福岡県嘉麻市観光まちづくり協議会は26日、商工業者らが独自に開発したイノシシ肉のハム、ソーセージの販売を同市上臼井の道の駅うすいで始めた。来年1月下旬までの試験的な取り組みで、売り上げをみながら、その後も販売を続けるかどうか、検討する。有害鳥獣として駆除されるイノシシを市の特産品として売り出す可能性を探ろうと企画。協議会は特別チームを編成し、臭みが少なくなる独自の加工法を考案、ロースハム、ボンレスハム、ベーコン、ソーセージの4種類を作った。この日、道の駅で試食した中間市通谷の会社員野口毅晴さん(39)は「とても食べやすい。イノシシ肉は臭みがあるというイメージがありましたが、それが変わりました」と話した。現在、市内に食肉処理施設がないため、当面は市外で処理された肉を使うが、市産業振興課の末永康洋係長は「ビジネスモデルを構築することに意味がある。反応を見ながら、将来的には市内に施設を作り、特産品として育てていければ」と意気込みを語った。価格はロースハム、ボンレスハム、ベーコンが1パック各525円、ソーセージが1本945円。
(イノシシ肉「市原ブランド」に:千葉)
市原市農業委員会(野城治助会長)は25日、「農業行政に関する建議書」を市に提出した。建議書で同委は農業被害が拡大する有害鳥獣への対策、耕作放棄地解消に向けた取り組みの2点を要請。イノシシ肉を「市原ブランド」の地域資源として活用する考えを、新たな視点として示した。建議書提出は、来年度予算の編成時期を前に毎年実施。有害鳥獣対策はここ数年続いて要望している。前年度は農業の担い手確保策を求めたが、今年は広く耕作放棄地対策を盛り込んだ。有害鳥獣対策では、特に被害が顕著なイノシシに言及。被害は市北部にも拡大する深刻な状況にあり、被害が収益減少や耕作意欲の低下を招き、これが耕作放棄地の増大につながり、鳥獣の新たな生息域を生む-という悪循環を指摘。その上で、(1)猟友会らとの連携による効果的な捕獲体制確立(2)駆除成果を挙げている自治体の事例研究(3)捕獲補助事業の拡大と周知(4)複数農家での広域的な電気柵設置(5)鳥獣との棲(す)み分けに欠かせない里山再生への支援制度創設(6)イノシシの食肉利用を進め「市原ブランド」としての確立を図る-の6点を求めた。
(鹿、イノシシで「ジビエ」料理:徳島)
有害鳥獣として捕獲駆除された鹿やイノシシの肉を食材「ジビエ」として活用するため、三好市は同市東祖谷の旧栃之瀬保育所で処理施設の建設を進めている。11月中には完成する予定で、関係者が29日に販路の開拓を目指して同市池田町で試食会を開く。同市によると、市内では昨年度、鹿は約1250頭、イノシシは約450頭捕獲されている。農作物への被害が深刻化していることから、食材として生かそうと、約980万円かけて、9月中旬に着工した。約100平方メートルの施設には、県のガイドラインに沿って、洗浄、解体、肉を袋詰めにする3室を設ける。年間で鹿120頭、イノシシ20頭の処理能力を備え、運営は市の外郭団体「市鳥獣被害防止対策協議会」が担う。まだ一般にはなじみの薄い鹿肉の販路を探るために、市職員らが完成前に、先進地に視察に出かけたり、試食会を開いたりして各方面にアピールしていく。販売に力を入れている大阪市内の企業によると、鹿肉はヘルシーで注目の食材という。市の担当者は「迷惑動物だった鹿などを食肉にすることで新たな地域資源として活用できれば」と話している。ジビエの活用には、県も積極的に取り組んでいる。今年3月には、鹿やイノシシの肉を、地元産の野菜などと合わせた料理を「阿波地美栄(ジビエ)」と名付け、提供する飲食店5店を「うまいよ! ジビエ料理店」として認定。県のホームページでも紹介している。県によると、昨年度の県内全体の農作物への鳥獣被害額は1億3188万円に上る。このうち、鹿とイノシシによる被害が半分以上を占めているという。県内では、ほかに那賀町や美馬市、阿波市に処理施設があるといい、県農村振興課は「処理施設が増えることで、食材の安定供給につながる。消費量の増加に期待したい」としている。
(イノシシの肉、お鍋でいかが:青森)
イノシシ飼育の北限というむつ市脇野沢で24日、観光関係者ら80人余りを集めた試食会「いのしし感謝会」が開かれた。イノシシ肉の販売が11月から始まるのを前にした恒例の催しで脂身がほどよくのったぼたん鍋には行列も出来た。イノシシ肉は脂身がおいしさのこつ。焼き肉では肝心の脂身が焦げるため、冬場の鍋料理での需要が高い。飼育から販売まで手がける市脇野沢農業振興公社によると、現在の飼育数はイノブタ60頭、イノシシ170頭。「肥育のイノシシ肉販売は全国でも数少ない30年近く続く地域の名産です」と同公社業務課主任の赤坂清正さんは語る。肉の販売は3月末までで、イノシシ鍋は期間中、地元の民宿でも提供している。肉の販売価格はロースが250グラムで2200円(税込み)。
(「キジ肉スパカツ」食べて:北海道)
岩見沢高等養護学校商業科の長沼昂汰(こうた)君(3年)が、岩見沢特産のキジ肉を使った「スパカツ」を考案した。市内の障害者就労支援事業所「ワークつかさ」が運営する食堂で11月8日から提供される。釧路出身の長沼君は「小さい頃から親しんだ釧路名物のスパカツを岩見沢の人にも食べてほしい」と、故郷の味を思い出しながらメニュー化した。「スパカツ」は釧路発祥のB級グルメ。熱々の鉄板にトンカツを載せたミートソーススパゲティが乗ったボリューム満点のひと皿だ。同校は毎年、課題研究の一環で地産地消をテーマにした商品開発に挑戦。今回は4月から準備に取り組んだ。長沼君が考案した「きじがっつり!スパカツ」は、スライスしたキジ肉を重ねて揚げたカツと岩見沢産小麦のキタノカオリを練り込んだ三島製麺(岩見沢)のスパゲティを使用。「つかさ」が運営する食堂「喜地丸燻(きじまるくん)」が全面協力し、シェフの小山賢典(よしのり)さん(46)とカツの大きさや盛りつけ方などを話し合ってきた。小山さんは「見た目のインパクトなど、長沼君のイメージに近づけられた」。長沼君は「イメージ以上の完成度。ぜひ食べに来て」と呼びかけている。850円で、1日10食限定。

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10/23
(クマに襲われ男性けが:秋田)
19日午後5時20分ごろ、秋田県五城目町富津内中津又のクリ林で、近くに住む会社員伊藤秀夫さん(61)がクマに襲われ、頭や腕をかまれるなどのけがをした。五城目署によると、クマは体長約1・5メートルで、町内会で管理するクリ林の見回りをしていた伊藤さんを後ろから襲って逃げた。伊藤さんは携帯電話で近くに住む知人に救助を求め、秋田市内の病院に搬送された。
(大学隣にクマ、学生まで7~8メートル:秋田)
20日午前1時10分ごろ、秋田市雄和椿川の国際教養大に隣接する空き地に体長約1メートルのクマがいるのを学生宿舎に住む男子学生(22)が目撃し、秋田県警秋田東署に届け出た。大学によると、学生は大学敷地内にある学生宿舎の自転車置き場付近におり、道を隔てたクマとは7~8メートルの距離だったが、逃げて無事だった。同署はパトカーで周辺を警戒、学生や住民に注意を呼び掛けた。国際教養大は1年間の学生寮生活が義務付けられ、その後も敷地内の学生宿舎に住む学生が多い。
(道路横切るクマ3頭目撃:栃木)
20日午前5時ごろ、那須町高久丙の県道湯本大島線で、道路を横切るクマ3頭を乗用車で通行中の男性が目撃し、110番した。那須塩原署によると、クマは1頭が体長1メートル以上、2頭が50~60センチ程度。県道を西から東に横切っていったという。同署で付近を検索するとともに、注意を呼び掛けている。
(クマ、道路に寝転がる:栃木)
那須塩原署によると、18日午前10時55分ごろ、那須塩原市青木で、道路を横断したクマを車で通行中の男性が目撃し、同署に通報した。クマは体長約1メートルで、道路を横断後、用水路のフェンス沿いに寝転がっていたという。現場は青木小学校にほど近く、付近の山林内では同日朝、体長約1メートルのクマが目撃されていた。同署は引き続き警戒するとともに、注意を呼び掛けている。
(クマ出没:栃木)
18日午前6時10分ごろ、那須塩原市青木の青木小学校西方の山林内で、クマが歩いているのを散歩中の男性が目撃し、那須塩原署に通報した。同署によると、クマは体長約1メートル。同署は付近を警戒するとともに、注意を呼び掛けている。
(クマ目撃情報、警戒つづく:北海道)
20日夜にクマの目撃が相次いだ札幌市南区石山地区で21日朝、北海道猟友会札幌支部の会員や市職員、地元小学校の教職員らが、新たな出没に備え付近の巡視を行った。周辺では9月下旬にも子グマの目撃が相次いでおり、一帯は警戒感に包まれた。このうち20日に目撃情報があった南区石山1の4の国道230号に近い豊平川河川敷などでは、21日午前6時から猟友会の会員4人と市職員が、クマが近くにいないか注意深く巡回。現場に近い石山小、石山南小の2校でも午前7時半すぎから、教職員や猟友会会員らが登校する児童を見守った。
(クマ去ってやっと再開:北海道)
ヒグマが出没して休園していた札幌市南区の国営滝野すずらん丘陵公園が19日、約1か月ぶりに営業を再開した。この日、市内は朝から青空が広がり、公園は家族連れなど約3000人でにぎわった。同公園は9月23日にクマの足跡などが見つかり、来園者を退避させる騒ぎとなった。それ以来、クマが園内にとどまり休園が続いたが、今月13日、園外に出るクマを監視カメラが撮影。公園を管理する国土交通省札幌開発建設部が安全を確認し、再開を決めた。コスモスの見頃は終わったが、来園者たちは、葉が赤く色づいた球状の「コキア」やシラカバ、カエデなどの紅葉写真を撮ったり、散策を楽しんだりしていた。同市厚別区の無職成田定嘉さん(77)は「コスモスが見られず残念だが、クマがすむ山に整備された公園だから、クマを責めても仕方ない」と話した。同園は、夏季営業が終わる11月10日まで、従来は週1回の巡回を毎日行うなど安全対策を取る。
(サル出没、目撃情報が急増:長崎)
佐々町でサルの目撃情報が急増している。目立った被害はないものの、町は「見ても近寄ったり、騒いだりしないでほしい」と注意を呼びかけている。同町保健環境課によると、町に寄せられたサルの目撃情報は、4月以降の半年で40件近く。昨年度1年間の倍以上という。ほとんどが単独だが、親子と思われる6頭を目撃したとの情報もあった。目撃されたのは早朝から夕方で、場所は広範囲。人通りが多い役場付近の商店街や文化会館などの公共施設でも発見され、家の庭で野菜や果物を食べていたサルもいたという。西海国立公園九十九島動植物園「森きらら」のサル担当の真崎由夏飼育員によると、ニホンザルは県内では定着していないという。「1頭で行動することが多く、一度に6頭というのは正直びっくり。安定したエサがある場合はドンドン拡大して定着する可能性もある」と指摘。雑食で、性格は荒いため「特に子供やお年寄りは気をつけてほしい。目を合わせないようにし、絶対に餌付けをしないでほしい」と話している。
(迷惑ザル、捕獲作戦振り切る:静岡)
サルによる被害が相次ぐ富士市で20日朝、追い込み捕獲作戦が行われ、市職員や地元住民、猟友会員ら約500人が参加した。しかし敵もさるもの、3時間にわたる作戦は失敗した。同市北東部の比奈地区など南北2・5キロ、東西1キロが捜索範囲。爆竹を鳴らし、バットや棒などを手にした人を道に配置し、目撃情報などを集めている。
(「クマの足跡!」実はシカ:富山)
クマの足跡かと思いきや-。18日朝、富山市池多の畑でクマのような動物の足跡が見つかり、近くの同市天文台(同市三熊)が同日夕から臨時休館した。ところが、18日夕になって足跡はニホンジカのものであることが判明した。
(神社がイノシシ被害:奈良)
大神神社(桜井市三輪)の神饌(しんせん)田(でん)がイノシシの被害に遭い、大切に育てられていた稲穂が食い荒らされた。神社は予定通り20日、恒例の「抜穂(ぬきほ)祭」を営むが、収穫量は例年に比べて半減する見込み。神社の関係者は「たわわに実っていただけに残念です」と話している。神社によると、被害に遭ったのは今月1、2日の2日間とみられ、神饌田の東側が特に被害が大きかった。面積のほぼ半分近くの稲が倒され、食害に遭っていたという。周囲にはイノシシの侵入を防ぐ金網の防護柵を設置していたが、押し倒して侵入していた。抜穂祭を控え、これ以上の被害を食い止めるため、3日に急きょ、電流が流れる電気柵を設置した。その効果で、侵入はなくなった。神饌田は神社北西側の「大美和の杜(もり)」にあり、神社を信仰する農家団体「豊年講」の人たちが、面積約200平方メートルの水田で神様に供える米を育てている。播種(はしゅ)祭(5月)▽お田植え祭(6月)に続いて今月20日に今年最後の祭りになる抜穂祭があり、豊年講役員が稲穂を鎌で刈り取る「抜き穂」の神事が予定されている。米は年間の祭事に、稲わらは新年のしめ縄に使われる。神社は「例年は約80キロの収穫が見込まれるが、イノシシ被害で2分の1に減りそう」とみている。
(鳥獣被害対策実施隊設置へ:沖縄)
農作物に被害を与えているクジャク、キジなどの鳥獣駆除対策で石垣市は、鳥獣被害防止特措法に基づく「鳥獣被害対策実施隊」を11月をメドに設置する予定だ。県猟友会八重山地区(砂川勝美地区長代行)のメンバーらを隊員に任命し、報酬や補償措置を明確にする考え。砂川地区長代行は「猟友会にとってもメリットがある」と歓迎している。市農政課は現在、農家からの被害申請を受け、猟友会に駆除を依頼、駆除範囲の許可を与えている。駆除に当たるのは猟友会の5班(計56人)のメンバーがボランティア的に行っているのが現状だ。同課によると、2012年度は98件を許可し、イノシシ135頭、キジ522羽、クジャク291羽、カラス360羽を駆除してもらった。担当者は「これは氷山の一角」という。現在の駆除体制を特措法に基づく組織に移行するには、民間隊員の報酬や補償措置を条例などで定める必要があるため、同課は規則を準備している。規則に基づいて指名あるいは任命される隊員は、非常勤の特別職扱い。報酬や公務災害に対する補償措置のほか、狩猟税の2分の1減免(半額)、技能講習の免除などの優遇措置を受けることができる。市実施隊の活動に伴う経費も、8割が特別交付税として措置される。銃刀法で定める猟銃所持許可の更新は3年に1度あり、技能講習を受けるには鹿児島県まで行かなければならず、猟友会によると、講習料4万円に航空運賃や宿泊費が加わるため10万円以上の経済的負担になるという。砂川地区長代行は「一番のメリットは更新時の講習会が免除されること。お金もかかるし、仕事も休んでいかなければならないので、免除されると助かる」と話し、実施隊の設立に協力する考えを示している。竹富町ではすでに設置している。
(ヒグマ、撮影で近づかないで:北海道)
知床国立公園内の岩尾別川(オホーツク管内斜里町)で、観光客が撮影のためヒグマに至近距離まで近づく危険な状況が続いているとして、知床世界自然遺産地域科学委員会(委員長・大泰司紀之北大名誉教授)は18日、クマに近づきすぎないよう協力を求める声明を発表した。同委員会によると、8月下旬以降、2歳のヒグマ2頭がサケマスを捕るために岩尾別川に出没。撮影に熱中した観光客やカメラマンが数十メートルの距離までクマに近づいたり、取り囲んだりする状況が起きていた。同委員会は、観光客らによる接近について「不必要にヒグマに人をなれされることにつながる」と指摘。「状況を放置すれば、人を攻撃したり、市街地に出没して人身事故を引き起こす可能性がある」と訴え、関係機関が協力して対策を講じるよう求めている。岩尾別川では9月中旬に餌付けとみられる、頭と内臓が取られたサケ15匹が放置されるなど悪質な行為も見つかっている。
(アイヌ民族猟師・姉崎さん死去:北海道)
「父はクマですね。本当にクマを知り尽くしたハンターだった」。14日に90歳で亡くなったアイヌ民族の猟師姉崎等さんについて、長女の渡部さゆりさん(55)は振り返る。「クマは私の師匠」と生前語っていた姉崎さんは、クマを追う一方、広葉樹の少なくなった山を憂えて、クマが暮らしやすい自然環境を守ることを訴え続けていた。胆振管内鵡川村(現むかわ町)出身の姉崎さんは、1920年代後半に千歳へ移り、アイヌ民族の集落で暮らした。母親がアイヌ民族で、父が屯田兵。12歳からイタチや野ウサギを捕って家を支え、戦後も結核で体の弱かった妻の治療費などをつくるため、米軍基地で働きながらクマなどを追い、90年頃まで猟を続けた。「私は、クマを自分の師匠だと本気で思っています」。著書「クマにあったらどうするか」(木楽舎、2002年)の書き出しで、姉崎さんはこう語った。山の歩き方は、クマの跡を追うことで学び、そのうちにクマの行動を知ったという。40年来の付き合いがあるヒグマ学習センターの前田菜穂子代表(65)は「発信器を付けたクマの行動監視に協力してくれた時には、発信器では分からない細かい場所を当ててくれた。神業に近かった」と話す。クマや自然への感謝も忘れない。渡部さんは40年前、自宅の裏で行った儀式を覚えている。捕らえたクマの毛皮と頭蓋骨をまつり、近所のお年寄りが踊る。「肉は絶対に売らず、分けて食べた。感謝を込めて、命をいただいていた」と語る。姉崎さんは、請われれば講演なども行った。そこで訴えたのは、人工林で木の実がならない針葉樹が増えることの弊害と、クマが暮らせる山の自然を守ることの大切さだ。「動物と人間の境界線が大事と考えていた」と渡部さん。クマを知り尽くしたからこそ、クマの立場で考えて環境保護を語っていた。
(「若者よ、狩りに出よう」:福井)
狩猟免許を持つ人が高齢化し減少する中、獣害対策の担い手でもある狩猟者育成を目指した「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が20日、福井県のサンドーム福井で開かれた。約350人が、若手ハンターらのトークやジビエ(野生鳥獣の肉)試食を通し、狩猟の楽しさや社会的意義を学んだ。環境省が昨年度から企画し、本年度は本県を含め9カ所で開かれる。一般企業の営業職を経て狩猟免許を取得した齊田由紀子さん(30)=三重県在住=が司会者とのトーク形式で講演した。鳥獣害対策を担う自治体外郭団体への就職を契機に狩猟の世界に入った齊田さんは「週末の朝、猟に出掛けるのは他のレジャーと変わらない感覚」と説明。その上で「不安に思う人もいるかもしれないが、有害捕獲では農業者から感謝してもらえる。ぜひ捕獲に参加して」と呼び掛けた。齊田さんと県内外の若手ハンターの計5人のトークセッションもあった。狩猟の魅力について岐阜県の永吉剛さん(30)は「暮らしに直結している。食卓に天然の肉が並ぶこと」、長野県の専業猟師、加藤尚さん(49)は「子どもが探検に行くような感覚を大人が毎回味わえる」と説明した。一方、獲物の命を奪うことについて福井市の男性(42)は「(今は専ら有害捕獲で)集落のバックアップあってのこと」と述べ、別の同市の男性(36)は「肉を得られることに感謝し、責任感を持ち最後まで食べることが大事」と述べた。会場では、模擬銃やくくりわななどの展示に加え、シカの骨でだしをとったラーメンなどジビエ関連で3団体が出展。美浜町の猟師らでつくる「自然と共に生きる会サンガ」によるシカの角を使ったアクセサリー作りも人気を集めていた。狩猟フォーラム会場には20~30代の若い世代の姿が目立った。模擬銃を構えたり、シカの角のアクセサリー作りなど多彩な企画を楽しみながらハンティングの魅力に触れた。「狩猟の意義をもっとアピールすべき」との声もあった。小浜市と県猟友会小浜支部が無料提供した「OBAMAジビエラーメン」。シカの骨でだしをとり、イノシシの肉が入った風変わりなラーメンのブースの前に長蛇の列ができた。初めて獣肉を食べた大野市の会社員中島嵩さん(23)は「想像と違って臭くない」と驚き、「ジビエを食べれば増えすぎた獣を減らすことにつながると学んだ。友達に勧めたい」と話した。女性の姿も見られた。福井市の梅田実生子さん(23)は環境省への就職が決まっており、里山保全に役立つ狩猟免許の取得を目指している。“主婦ハンター”齊田由紀子さんの講演を聞き「女性でもやれるんだ」と親近感を深めていた。獣害を食い止めるため、今年わな猟の免許を取った越前市の会社員酒井辰典さん(37)は「命を奪う狩猟には『怖い』という先入観がつきまとう。意義や魅力をもっと伝えるべき。猟友会や行政は今回のようなフォーラムをどんどん開いて」と話していた。
(目指せ未来の射撃五輪代表:神奈川)
県立伊勢原射撃場(伊勢原市上粕屋)で、ビームライフル射撃の体験教室が開かれ、小中学生五十八人を含む約百十人が参加した。同射撃場は鉛弾による土壌汚染で2002年4月に休場。県が環境対策工事を行い、今年4月、11年ぶりに再開した。今回、伊勢原市が地元の施設を利用して新たなスポーツに興味を持ってもらおうと、体験教室を企画した。ビームライフルは光線を発射し、10メートル先の的に当てる。資格や許可がいらず、年齢や体力を問わない。国体では高校生の正式種目になっている。小学生たちはすぐに表示される得点に笑みをこぼしたり、首をかしげたり。伊勢原小学校4年の鈴木渓斗(けいと)君(9つ)は「楽しかった。それほど難しくなかった。またやってみたい」と話した。指導に当たった県射撃協会の葛谷寛一(くずたにかんいち)事務局長は「ここは国内有数の施設。子どもたちが興味を持ってくれれば競技の普及につながる。射撃の五輪代表が生まれるきっかけになれば」と期待していた。
(小学生、クマのフンを調査:長野)
熊対策や調査に取り組むピッキオは10月15日、特別講座「“ウンチ”から見えるクマと森とのつながり」を軽井沢西部小学校で開いた。ピッキオのメンバー、田中純平さんと玉谷宏夫さんとともに、4年生の43人がフンの内容物を調べ、熊がどういう食べ物のある森を好むか学んだ。児童は8つのグループに分かれ、田中さんらが5月から10月にかけ、町内各地で採取した別々のフンを調査した。フンを入れたザルに水をかけてほぐし、残った内容物をピンセットで拾い上げ分類。熊の食べ物リストの写真と照らし合わせ、特定した内容物を黒板に書き出した。4〜5月のフンからは葉っぱや枝、虫、7〜8月はミズキやチョウセンゴミシ、10月はクリやドングリ、種子などが見つかった。田中さんは「フンの中の種から芽が出て木に育つ。熊には種や木の実を運んで、森を作る役割もある」と、熊と森が密接に関わっていることを伝え、最後には熊のフンから見つかった種子を、グループごと植木鉢の土に植えて講座を終えた。児童の児玉夏陽君は講座終了後「種や草をピンセットで拾い上げる作業は大変だった。植えた種から芽が生えてきたら嬉しい」と話した。講座を受けた4年生は18日に、小学校近くの森の中で熊の痕跡探しや食べ物の調査も行う。
(坂網猟を児童ら体験:石川)
ラムサール条約湿地の加賀市・片野鴨池で17日、地元の分校(ぶんぎょう)、黒崎両小学校の児童27人が、江戸時代から伝わる坂網猟を体験した。伝統のカモ猟師はいま、大聖寺捕鴨猟区協同組合の26人。「後継者育成を」と昨年に続いて、市が教室を開いた。児童たちは手製の網を投げ、カモに見立てたワラ玉を捕らえる体験を6人の猟師から習った。分校小6年の嶋田悠雅君は「網が重くて難しかったけど、興味がわいた」。池田豊孝理事長によると、風や月の明るさ、タカなどの猛禽(もうきん)類の居場所によって飛ぶ方向が変わるカモの習性を熟知することが重要という。児童らに「カモと人の知恵比べ」と面白さを説明した。捕鴨猟区は鴨池周辺の約100ヘクタール。猟期は11月15日~2月15日。
(児童らキジ30羽放つ:熊本)
人吉市立大畑小(生田敏男校長)の5、6年生26人と県猟友会人吉支部の会員2人が22日、同小近くの大畑鳥獣保護区で国鳥のキジ30羽を放った。放鳥は、キジの繁殖を促すための県の事業。委託を受けた県猟友会が毎秋、人工飼育した雌雄のキジ計約1000羽を県内11地域で放っている。この日は、人吉球磨地域の4地区で計120羽を放った。猟友会員は「両手で羽を押さえて」と助言しながら児童にキジを手渡した。恐る恐る受け取った子どもたちが、担任の先生の合図で手を離すと、キジは勢いよく羽ばたき、山野に飛んでいった。6年生の横瀬華恋(かれん)さん(12)は「大きくなって、学校の近くにまた来てほしい」と期待していた。
(児童、キジ20羽を放鳥:大分)
竹田市荻町の荻小(和田三成校長)の6年生15人が17日、キジ20羽を野に放った。大日本猟友会(東京)の野鳥愛護校に指定されたことを受け、県猟友会(冨田能範会長)からキジと助成費(5万円)を受け取った。学校近くの畑でキジを放った菅晴菜さん(11)は「羽がふわふわしていてかわいかった。元気に暮らしてくれたらいいな」と話していた。同校は、助成費で図鑑などを購入し、野鳥についての学習に取り組む。
(銃を持ったまま失踪の巡査長、宇都宮で発見:神奈川)
警視庁は18日、交番勤務中に拳銃を持ったまま、15日から失踪していた綾瀬署の男性巡査長を宇都宮市内で発見、業務外で拳銃を所持したとして、銃刀法違反容疑で逮捕した。拳銃も確保した。警視庁によると、巡査長は綾瀬署地域課の小林英正容疑者(24)。拳銃は実弾5発が入ったままで発射した形跡はなく、警視庁は失踪の動機や詳しい経緯を調べている。小林容疑者は15日夜、同僚に「騒音の苦情があり、現場に向かう」と告げて自転車で勤務先の交番を出た後、行方が分からなくなっていた。
(シカ肉、コープが販売:北海道)
エゾシカの頭数が増加して道内の農林業被害が深刻化する中、スーパー道内大手「コープさっぽろ」(本部・札幌市西区)は22日、道内6店舗でエゾシカ肉の販売を始めた。全道展開のスーパーがシカ肉販売に参入したことで販路拡大が期待される一方、価格面などで課題がなお残っている。同市白石区の「ルーシー店」にはこの日、ステーキ用ロース肉など生肉7種類、ソーセージなど加工品8種類が並んだ。ロース肉を購入した同市豊平区、パート従業員中村真希さん(39)は「あっさりした味がいい。日頃から利用したい」と話した。シカ肉は牛肉と比べて脂質が少なく、鉄分などを多く含む。生産は「エゾシカ食肉事業協同組合」が受け持ち、「生け捕りした上で牧場内にとどめておいた雌のみ」という基準で、組合傘下の9社が出荷する。道内でシカ肉を扱う店舗は約40店あるといわれる。道エゾシカ対策課はコープの参入を受けて「大口の販売先を確保でき、ブランドイメージも高まる」と歓迎する。コープは当面、札幌市内の2店、旭川、釧路、北見、遠軽の4市町の各1店で販売する予定だが、中長期的には全108店の販売を見込む。コープは衛生管理面が充実されてきたことでシカ肉販売に踏み切った。道はエゾシカの食肉処理場を獣医師が検査する基準を独自に策定し、今月5日、斜里町の食肉処理会社で道内初の検査が行われた。検査は月1回の頻度で行われる予定で、コープは検査を通過した施設の肉を販売する。普及に際しての課題は、安定供給体制の確立と割高な価格面への消費者理解だ。エゾシカは1頭(約80キロ)から約20キロしか肉が取れないため、生肉の価格はモモ100グラム298円、ロース同598円と、道産牛肉並みと高水準。この日、売り場を訪れた札幌市白石区、主婦森慶子さん(38)は「ちょっと高い。豚肉並みならもっと良いのだが……」と渋い表情をみせていた。コープの中島則裕常務は「食べ方の提案を強め、シカ肉を北海道の食文化へと高めたい」と意欲をみせた。
(厄介者の猪と鹿、新商品食べよう:福岡)
厄介者扱いのイノシシやシカの加工品を販売している、みやこ町農林産物直売所「よってこ四季犀館(しきさいかん)」が20日、感謝イベント「猪(いのしし)・鹿ジビエまつり」を開く。新商品の試食のほか、イノシシやシカ肉の料理法なども紹介する。みやこ町はイノシシやシカによる農作物被害が多く、駆除に力を入れている。3年半前に有害鳥獣加工施設をつくり、四季犀館がレトルトのシカ肉カレーやイノシシ肉カレー、ジャーキーを商品化している。当日はイノシシの丸焼き200食分、イノシシのチゲ鍋300食分を無料で振る舞うほか、料理研究家によるイノシシやシカ肉の料理レシピの紹介、飯塚市の料理店「有門亭」によるイノシシ肉のジンギスカンの試食もある。

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(イノシシ7検体からセシウム基準値超え:茨城)
県は15日、水戸市などで捕獲されたイノシシの肉7検体から、国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したと発表した。県によると、6月から今月にかけて捕獲されたイノシシ27検体の検査を実施。その結果、水戸市田野町▽日立市十王町高原▽高萩市秋山▽北茨城市関南町▽同市関本町▽那珂市田崎▽城里町上入野-で捕獲されたイノシシの肉から、1キロ当たり110~250ベクレルの放射性セシウムが検出された。来月15日から県内で狩猟が解禁となるため、県は今回の数値をホームページ上で公表する。
(札幌近郊、クマ増加か:北海道)
札幌市街地に近い山間部で、昨年までの7年間に少なくとも11頭の雌グマが生息し、繁殖を繰り返していたとみられることが、道立総合研究機構環境・地質研究本部(札幌)などの調査で分かった。1980年代までの積極的な駆除で減少した札幌のクマが、市街地の近くで再び繁殖している可能性が分かったのは初めて。2011年以降相次いでいる札幌市街地への出没は、周辺に居着いた雌によって生息数が増えたためと専門家はみている。道総研と札幌市は03年から中央、南、手稲の各区にまたがる市街地近くの山間部で「ヘアトラップ」と呼ぶ調査用の有刺鉄線に絡んだり、出没場所に残されたりしたクマの体毛を採取。これらをDNA鑑定し、生息するクマを特定している。分析が終わった12年までに確認した30頭のうち雄は18頭、雌は11頭、性別不明は1頭。大半は藻岩山から西―南側の山林で体毛が採取された。雌が初めて確認されたのは06年で、中央区の盤渓(08年)や南区の藤野(10年)、手稲区の手稲本町(11年)など市街地近くで次々と見つかった。雌グマは生息域を広げる際、中心的な役割を果たす。行動範囲が100キロに及ぶ雄と異なり、雌は数キロ四方内に居座り、2~3年に1度、1~2頭を産む。生後1~2年で親と離れた子のうち雌は、母グマから数キロ離れた場所に移動。雄は近親交配を防ぐため、遠隔地へ移るという。30頭のうち、雄5頭、雌3頭が駆除などで死んだ。クマの寿命は約30年とされ、残りは生存している可能性がある。
(イノシシ、シカ「指名手配」:長崎)
「WANTED イノシシ」。長崎県壱岐市は県などと西部劇風のポスター=写真=を作り、海を泳ぐイノシシの情報提供を呼び掛けている。壱岐にイノシシはいないとみられていたが、3年前に海から上陸する1頭が目撃されて以来、稲やサツマイモに被害が出ている。市などは捕獲と新たな上陸防止のため、壱岐の島民向けにポスターを作製。県北部で撮影された沖合を泳ぐイノシシの写真を載せ、西部劇風のデザインで情報を求めた。上陸した1頭はいまだ捕獲されておらず、島内に何頭いるかも正確なところは不明。県や市の担当者は「いったん繁殖されたら被害は甚大。水際で防ぎたい」と警戒を強める。果たして「指名手配」の効果のほどは?
(遭難の72歳ハンター、ヘビ食べ18日後救助:アメリカ)
米カリフォルニア州北部の森林でシカ狩り中に遭難した72歳の男性ハンターが、18日後に救助された。落ち葉をかぶって眠り、リスやヘビを食べて生き延びた。体重は6キロ減り、切り傷はあるが、元気だという。15日付のロサンゼルス・タイムズ紙などによると、この男性は狩猟歴約30年のジーン・ペナフローさん。友人と2人でメンドシノの国有林に入ったが、9月24日、二手に分かれてシカを追ううちに行方不明になった。ペナフローさんは転落して頭を打ち、しばらく気を失っていた。さらに濃い霧のため自分の居場所が分からなくなった。ペナフローさんは持っていたライターで火をおこし、捕まえた小動物を焼いて食べてしのいだ。雪が降った日や、捜索が中止されるほどの嵐の日もあったが、持っていたゴミ袋で体がぬれないようにしたという。ほかのハンターのグループが今月12日、ペナフローさんを発見して救助した。
(イノシシをスマホで捕獲!?:福岡)
福岡猟友会で活動してきたベテラン猟師の村上雅昭氏と九州大学の研究者の丸居篤准教授が、スマートフォンの遠隔操作で扉を閉め、野生動物を効果的に捕獲する箱わなのシステム(ソフト面)を4年がかりで開発した。この新型の箱わな開発のハード面に協力した福岡金網工業(株)の若宮工場長の高取修氏、それを支持した同社代表取締役の山本健重氏、そして発案者である村上氏に、この商品についての可能性を聞いた。農作物を食い荒らす野生鳥獣による被害額は、2011年度で約226億円に上る。そのうち、九州におけるイノシシなどによる農作物の被害額は約19億円と決して少なくない。そんな現状を打破するために開発された、遠隔操作で野生動物を傷つけることなく捕獲できる新型箱わな・野生動物保護捕獲システム「プロテクション・キャッチャー」が、実用に向けて製品化を急いでいる。「プロテクション・キャッチャー」は、イノシシがわなに入るとセンサーが感知し、登録しているスマホにメールで知らせる。また、スマホではわな上部に設置されたカメラの映像を受信し、内部の様子をリアルタイムで把握することができる。従来の箱わなだと、侵入した動物が踏み板を踏むと侵入口の扉が落ち、扉には返しが付いていて中からは開けることはできないものが一般的だ。それゆえ、仮に子どもなどが間違って入った場合にも作動してしまうことがある。しかし、「プロテクション・キャッチャー」では、箱わな設置者がタイミングをリアルタイムで確認しながら作動できるため、そういったケースもなくなる。また、野生動物が複数匹入ったのを見計らって一網打尽にすることも可能だ。現地までの移動に時間がかかる山奥に設置しても、別の場所から安全に捕獲できるうえ、野生動物にケガを負わせることもない。村上氏は、「これまで、野生動物の多くは箱わなにかかると暴れてケガを負ったり、閉じ込める際に板が挟まって、そのケガがもとで死んだりしてしまいます。そういったことをなくすため、本製品の発案に至りました」と語る。現在も改良中のこの「プロテクション・キャッチャー」だが、製品化に行き着くまでには、さまざまな苦難があった。まず、野生動物が警戒しないよう、自然に非常に近い状態で設置しなければならない。「檻という観念を外してつくっていくのが基本姿勢です。檻のなかに入ってくるのは100頭中1頭くらいで、ほかは警戒して寄り付くこともしません。そのくらい近年のイノシシは学習しているのです。くくりわなにしても、においで嗅ぎ取ってしまうくらいです。そのくらいイノシシの嗅覚はすごいんです。檻に塗装をしてしまうと、においが取れるまで絶対に寄り付きません。だから檻をつくる金網にはこだわるわけです。金網の価格、強度、技術などが必要不可欠です。檻の良さと高取工場長を筆頭とした福岡金網工業さんの社員努力がなければ、この商品はここまでの仕上がりにならなかったでしょう」(村上氏)。
(害獣を逆手に特産メニュー:福岡)
農作物を荒らす害獣として「厄介者」扱いのイノシシとシカの肉に、鶏肉を組み合わせたハンバーガーを福岡県嘉麻市屏(へい)の宿泊施設・ペンションりんご村が売り出し、話題になっている。その名も「猪鹿鳥(いのしかちょう)バーガー」。イノシシとシカだけでは油分が少なくミンチにできなかったため、鶏のもも肉を一緒に混ぜる工夫を凝らした。ソースもパン生地と肉に合うよう、ケチャップとマヨネーズにマスタード、牛乳を混ぜ合わせて「シシ肉特有の臭みをなくした」(オーナーの園田浩さん)という。ペンション内のレストランで今夏から販売を始めたところ、女性客などから「これが本当にイノシシ?」と評判に。イノシシやシカによる農作物被害が年々深刻化する中、園田さんはシシ肉を使ったカレーやペペロンチーノ、シカ肉のミートパイなどを次々と考案しており、「ジビエ(野生肉)料理を嘉麻の特産品に育てて地域に貢献したい」と話している。猪鹿鳥バーガーは1個700円。
(シカ肉うまいで!:大阪)
プロの料理人らにエゾシカ肉の魅力をPRする北海道エゾシカミーティングが16日、JR大阪駅近くの商業ビルで開かれた。ホテルやレストラン20社から36人が参加し、枝肉解体や調理の実演に強い関心を示した。ミーティングはエゾシカ肉の普及を狙いに道エゾシカ対策課が企画。2年目の東京に続き今年は、名古屋と大阪でも初めて開いた。釧路市阿寒町で仕留めたエゾシカの冷蔵肉を、札幌の処理業者が部位を説明しながら解体。参加者たちはカメラを手に熱心に見入った。

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