<射撃ニュース11月>

11/29
(狩猟中の死傷事故多発)
狩猟中に誤って人を撃つ事故が今年度の解禁期間中、既に5件起き、2人が死亡したことが28日、警察庁のまとめで分かった。多発している上、猟と関係ない一般人も被害に遭っている。同庁は22日、全国の警察に緊急の通達を出し、銃の所持者に対するきめ細かな指導と一般人の被害を防ぐ広報の強化を指示。農水、環境の両省と大日本猟友会など関係団体にも、事故防止の指導徹底を要請した。狩猟できる期間は地域によって異なるが、9~11月に始まり、1~4月に終わる。解禁後から今月26日までの銃による死傷事故を警察庁が集計したところ、北海道や福島など5道県で5件発生。3件は撃つ方向に人がいないかなどの安全を確認しておらず、2件は獲物と間違えていた。栃木県では24日、山菜採りをしていた男性(79)に流れ弾が当たり、死亡した。同じ期間に起きた事故は、昨年度までの3年間は2、3件で、死亡は0件だった。
(奈良のシカ、どう守る?:奈良)
県は28日、奈良市の奈良公園周辺に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」をどう守るのかを検討する有識者7人の委員会を12月17日、奈良市の県新公会堂で初めて開催すると発表した。年に3回程度開催し、「奈良のシカ保護管理計画」を策定する予定。一般の傍聴も可能。委員には、一般財団法人「奈良の鹿愛護会」の指導で保護活動を続ける「鹿サポーターズクラブ」の朝広佳子会長のほか、大学からは、北海道大の立沢史郎助教(保全生態学、野生動物管理学、環境学習論)と山形大の玉手英利教授(生態遺伝学)、奈良教育大の鳥居春己教授(野生動物管理学)と松井淳教授(植物生態学、保全生態学)、京都精華大の村上興正・非常勤講師(保全生態学)、奈良教育大の渡辺伸一教授(公害・環境問題の社会学)が参加する。委員会では、車から鹿を守る方法や、鹿の保護施設「鹿苑(ろくえん)」の改修方法、奈良公園周辺の農家が受けている食害対策など、さまざまな鹿をめぐる課題について議論する。県の担当者は「『鹿の保護管理計画』というと駆除のイメージが先行しがちだが、委員会では、どう守るか、どうすれば鹿が幸せなのかを議論していきたい」と話している。
(試食会でイノシシ肉をPR:長崎)
長崎市は、農作物を食い荒らすイノシシの肉の消費拡大に向け、飲食店へのPRを強化する。28日、長崎市内でイノシシ肉を使った料理の試食会を開き、飲食店関係者らに振る舞った。市農業振興課によると、イノシシによる市内の農作物被害は茂木、東長崎両地区などを中心に年間約5千万円に上る。わななどで年間約1100頭が捕獲されているが、処分法が課題となっている。市は2006年、処理加工所を開設。イノシシ肉を加工したハムなどの販売を始めたが、売れ行きや認知度はいまひとつという。この日のメニューは、NPO法人「長崎の食文化を推進する会」(山下慧理事長)が考案。メンバーの一人、ホテルニュータンダ総料理長の野林健二さんが調理のポイントを紹介しながら赤ワインでじっくり煮込んだ料理など計3品を披露した。試食した佐藤こう治さん(69)は「思ったよりも軟らかくて臭みもない。おいしい」と話した。山下理事長は「調理次第でジューシーさが残り、食感も良い。長崎の新しい食として育てたい」と期待。加工所の溝口博幸さん(63)は「病理検査もクリアし、安心安全」とPRした。市は今後、各種イベント会場などでイノシシ肉をPRしていく。

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11/27
(生徒から没収した銃、教師が誤射:福岡)
福岡県粕屋郡の公立中学校で、生徒から没収し保管していた回転式拳銃を男性教師(25)が誤って発射する事故があったことが2013年11月25日に分かった。県警粕屋署は銃を所持していた生徒の父親で飲食店経営の男(41)を銃刀法違反(拳銃加重所持)容疑で逮捕した。各報道によると、銃と実弾は20日に男子生徒が学校に持ってきていたもので、教師が見つけて没収した。その後、職員室で保管していたが、23日に別の男性教師が弾1発を入れて引き金を引いたところ発射された。弾は職員室の木製椅子の脚に当たり、けが人は出ていない。男子生徒は「自宅から持ってきた。モデルガンだと思っていた」などと話しているという。
(県営団地でイノシシ捕獲:福岡)
18日以降、直方市頓野の県営団地周辺に日中、出没していたイノシシが25日、捕獲された。猟師が近くのブドウ園に仕掛けたわなにかかった。好物の米ぬか目掛けて中に進むと、バタンとオリが閉まる仕組み。イノシシは処分され、猟師のごちそうとなった。イノシシが日中に姿を見せるのは異例。22日には市と直方署が捕獲寸前までいったが逃げられ、同日にわなを仕掛け、近隣住民に警戒を呼び掛けてきた。児童を集団登下校させるなど対応してきた近くの直方東小の塩田朋久主幹教諭は「これで不安がなくなった。明日、児童へ伝える」とホッとした様子。ただ、市は複数頭いる可能性もあるとみて、当面はわなを継続設置する。
(シカ捕獲作戦、自衛隊も出動へ:高知)
シカの林業被害や食害が深刻な高知・徳島県境の三嶺(さんれい)山系で、シカ捕獲作戦に自衛隊が出動する。来春の本番を前に24日、地元猟友会などと予行演習をした。地元ボランティアが尾根からシカを追い、谷で待つ猟師が射撃する作戦。自衛隊は火器を使わず、主にヘリからシカの動きを地上に伝える役目を担う。この日はヘリからシカをうまく見つけられず、追い込めたのは20頭のみ。高知県の担当者は「課題を克服し、本番にはシッカリ結果を出したい」。
(イノシシまぎれ込む:栃木)
26日午後0時20分ごろ、那須塩原市青木の那須疏水に「クマがいる」とダンプで通りかかった男性が那須塩原署に通報した。間もなく駆け付けた同署員が、クマではなく体長約1・2メートルのイノシシが幹線水路(幅2・2メートル)の中にいるのを発見、同3時ごろ、地元の猟友会会員が捕獲した。同署や黒磯猟友会によると、捕獲されたイノシシは3歳ぐらいの雄で、体重約60キロ。現場付近は牧場や民家が点在している。近くの畑にイノシシが土を掘り返した跡があり、餌を探している途中で水路に落ちたらしい。10月31日には同市内中心部の黒磯駅前でイノシシが捕獲されるなど、市街地や市街地周辺でたびたびイノシシが目撃されている。黒磯猟友会駆除隊の人見伊久雄隊長(59)は「こんなことは今までない。間違いなくイノシシは増えている」と話した。
(イノシシ、芝生荒らす:和歌山)
和歌山県上富田町朝来の上富田スポーツセンターで、イノシシが芝生を荒らす被害が相次いでいる。指定管理者の総合型地域スポーツクラブ「くちくまのクラブシーカ」や町教育委員会は、グラウンドが荒らされないか心配している。猟友会員にくくりわなを仕掛けてもらったり、看板を立てたりして利用者に注意を呼び掛けている。イノシシによる被害は10月下旬から出始めた。いずれもスポーツセンター外周のトリムコース沿い。無料で利用できる場所で、雑草を減らしながら芝生を増やす作業をシーカが続けている。日没後から未明にかけてイノシシが入っているという。連絡を受けて町は、夜間でも撮影できるカメラを19~22日に設置。少なくとも8頭のイノシシが確認できた。スポーツセンターは田辺市新庄町との市町境の尾根に沿うように造っている。天然芝と人工芝のグラウンドがある「多目的広場」や「屋内イベント広場」「野球場」の周囲にはフェンスがあるが、「球技場」へはイノシシなら尾根から通れる場所もある。くくりわなは3カ所に設置しているほか、シーカ職員が夜間に見回っている。スポーツセンターは3面の芝グラウンドがある県内屈指の施設で、県内外からの利用がある。トリムコースはウオーキングやランニングで利用する人が多い。
(白神山地、シカ問題や気候変動影響など議論:青森)
来月、白神山地が世界遺産登録20周年を迎えるのを前に、弘前大で24日、記念シンポジウム「白神山地を学びなおす」が開かれた。シカの問題や気候変動の影響などの課題や対応策について議論した。同大白神自然環境研究所などの主催。この日は研究者や市民、行政関係者ら約240人が参加した。白神山地世界自然遺産科学委員会委員長の中静透・東北大学教授は、各地の森で希少植物を食べ尽くしているシカが白神山地近くでも確認され始めていることに触れ、「世界遺産地域だけで解決できる問題ではない。シカの個体数をコントロールするのは難しい」と述べた。また、温暖化で白神山地がブナの生育に適さない気候になる可能性についても指摘した。世界遺産の北海道・知床や鹿児島県・屋久島からもパネリストを招いた。知床や屋久島でも、増えすぎたシカが問題となっており、斜里町立知床博物館の山中正実館長は「少ないうちに対応しないと手遅れになる。危機感を持って対応していかないといけない」と強調した。最後に、白神自然環境研究所の檜垣大助所長が「白神山地の自然を次世代に引き継ぐため、地域や立場の違いを超え、議論を深め協力することが不可欠」との提言をまとめた。
(第4火曜日は「シカの日」:北海道)
第4火曜日の「シ(4)カ(火)の日」にちなみ、コープさっぽろ(札幌市)は26日、エゾシカ肉を販売する道内6店舗で消費拡大イベントを開いた。今後も毎月第4火曜日はエゾシカ肉を割引販売するなどし、道内にシカの日を定着させたい考えだ。札幌市内のルーシー店ではエゾシカのモモやロース肉、缶詰、スープカレーなどを特設コーナーに並べ、加工品以外は30%割引して販売した。店員が目の前でエゾシカ肉を調理する試食コーナーも設け、市内の主婦は「初めて食べたが、さっぱりとしておいしい」と舌鼓を打っていた。コープは先月、道庁とエゾシカ食肉事業協同組合とエゾシカ肉の普及拡大に向けた協力文書に調印。獣医らが検査して安全性を確認したエゾシカ肉の通年販売を始めた。担当者は「エゾシカ肉の供給が増えれば、販売店舗を増やすことも考えたい」と話す。
(捕獲イノシシ、第4の肉に:香川)
イノシシによる農作物被害が深刻化する中、高松市で道の駅などを運営する「四国にぎわいネットワーク」が、捕獲したイノシシを野生鳥獣の肉「ジビエ」として活用する取り組みを進めている。猟師と協力し、捕獲から食肉処理、加工、販売までのシステムを構築し、安全でおいしいイノシシ肉の提供を目指す。同社は「牛、豚、鶏に続く第4の食肉として、新たな地域ブランドに育てたい」と意気込んでいる。同社は、市の指定管理者として道の駅「源平の里むれ」(牟礼町原)や「奥の湯温泉」(塩江町上西)を運営している。イノシシ肉の商品化は、難波広孝常務(48)が発案した。2年前、息子の通う市内の小学校近くにイノシシが出没し、下校を遅らせる事態が起きたのがきっかけだ。イノシシに田畑を荒らされ、耕作意欲を減退させている農家があると知った。肉の販路がないため、狩猟者が自己負担での処分を余儀なくされているとも聞き、捕獲から肉の販売までをビジネスにつなげ、対策を支援しようと考えた。イノシシ肉は低脂肪、低カロリーで、たんぱく質やビタミンB群を多く含み、滋養強壮に良いとされる。ただ捕獲後、素早く血抜きをしないと臭みが残るため、商品化には、きちんとした処理の体制が必要だ。同社は、食肉処理場を持つさぬき市のわな猟の狩猟者に協力を依頼。捕獲と適正な処理を狩猟者に委ね、肉を同社が買い取ることで合意した。肉は取引先や消費者に販売したり、同社が営むレストランでメニュー化したりする。安心・安全を求める消費者ニーズに応えるため、いつどこで捕れたかを明示するトレーサビリティー(履歴管理)も導入する。今月11日、まず冷凍の生肉販売を源平の里むれで始めた。モモやバラ、カレー用などを用意し、店頭では「調理方法は豚肉と同じ感覚で」とアドバイス。来年以降、本格的な販路拡大を進め、2015年には年間50頭分の販売を目指す。9、10月には奥の湯温泉で試食会を開き、肉じゃがやスジのおでん、巻きずしなどを提案。「硬くて、臭みがある」といった先入観を抱いていた参加者からも「軟らかくておいしい」と好評を得たという。難波常務は「食肉として定着させ、将来は県内一円のより多くの人に捕獲や処理へ加わってもらえるようにしたい」と話している。

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11/25
(イノシシと間違え誤射、男性死亡:栃木)
イノシシと間違え、猟銃で撃たれ男性死亡 二十四日午前十時十分ごろ、佐野市船越町の山林で、近くに住む無職阿部義雄さん(79)が、イノシシ猟をしていた宇都宮市針ケ谷一、自動車修理業佐藤和雄さん(62)の撃ったライフル銃の弾に当たり、死亡した。佐野署によると、佐藤さんは「イノシシと間違えて撃った」と話しており、同署は業務上過失致死の疑いで詳しい状況や死因を調べる。佐藤さんは二十四日朝から、ほかの七人と猟をしていた。家族の話では、阿部さんは家の近くに草取りに出掛けていた。
(クマ目撃:新潟)
23日午前6時半ごろ、阿賀町津川の阿賀津川中学校近くで、犬の散歩をしていた男性がクマを目撃し、阿賀町役場を通じて津川署に通報した。同署によると、クマは体長約1メートル。中学校裏手の常浪川の土手を県立津川病院方向に向かったという。現場から約20メートルのところに民家があり、同署と町は注意を呼び掛けている。
(カキをねらいクマ連続出没:京都)
丹波市氷上町鴨内で、山際のカキの木がクマに折られているのが11月21日、見つかった。22日に別の木が折られたほか、20日にもクマのフンが近くで見つかっており、近くにひそんでいたものと見られる。カキをもぎに行った女性が見つけ丹波市に連絡した。21日に食べ残していたカキも22日にきれいに食べられていた。同自治会公民館裏手の山際。山でつながっている同町香良でもクマの目撃情報があった。
(ハチミツ手にワナ脱出:高知)
四国山地に生息するツキノワグマが、ワナの中に置かれたハチミツをまんまと盗み食いする様子を無人カメラがとらえた。四国自然史科学研究センター(高知県須崎市)などが生態調査用に設置したワナで、このクマは過去に2度引っ掛かっており、捕まらないコツを学習したようだ。同センターによると、クマは推定16歳のオスで全長約1・5メートル。「ゴンタ」と名付けられている。ワナはドラム缶(長さ1メートル、直径0・6メートル)2本をつないだ構造で、一番奥に置かれたハチミツ入り容器を引っ張ると、入り口の鉄製扉が閉まる仕組みだ。ゴンタが盗み食いをしたのは9月5日夕。高知県香美市のワナの無人カメラに記録された写真は〈1〉入り口から腹ばいになって侵入、体を伸ばし、扉が落下しても閉じ込められないよう後ろ脚を外側に残す〈2〉ハチミツ入り容器を手に入れると、後ろ脚に落下した扉を、後ずさりしながら持ち上げて脱出。頭を抜く時に左の前脚で扉を押さえている〈3〉脱出後、ハチミツを持ち去る――様子が写っていた。同センターの山田孝樹研究員は「こんなクマは見たことがない」と驚いた様子。今後はクマの体がすっぽり入るドラム缶3本分のワナを作るという。
(鍋料理にいかが、カモ肉出荷盛ん:秋田)
八郎潟町マガモ生産組合が運営する同町字川口の加工販売所で、カモ肉の加工、出荷が盛んだ。年末年始の贈答用や宴会料理用のカモ鍋セットが人気で、県内外から注文が相次いでいる。21日は、組合員ら4人が午前8時からカモの処理作業に追われた。同組合は毎春、大阪の業者からひな約1500羽を仕入れている。5月に大潟村で有機農業に取り組む農家に貸し出し、水田で育てた後、7月から組合員のビニールハウスで飼育する。加工、出荷作業は10月下旬から始まる。スーパーなどの小売店には卸さず、一般家庭や宴会を開く会社などに販売。注文は来年3月まで続くという。カモ鍋セットは7〜8人前4200円、4〜6人前2100円(いずれも送料別)。
(狩猟シーズン到来:鳥取・島根)
本格的な狩猟シーズンを迎え、鳥取、島根両県でもハンターらが各地の池や山林に入っている。両県では農林業被害の対策として、シカとイノシシの猟を今月1日に解禁。同月15日には北海道以外の地域で狩猟が解禁になり、両県では鳥獣46種が狩猟対象に加わった。鳥取市内海中では、日の出とともに4人のハンターが猟場に向かい、池から一斉に飛び立つカモを次々と打ち落とした。ハンターの荻原浩也さん(77)は「待ちに待ったシーズンがやっと来た。楽しみながら、有害鳥獣駆除に一役買いたい」と話していた。両県の猟期は来年2月15日まで(イノシシ、シカは2月末まで)。
(イノシシ急増「外出できない」:富山)
高岡市福岡町沢川(そうごう)地区で、夜間や早朝にイノシシが民家近くに頻繁に出没するようになり、住民たちが恐怖を覚えて外出をためらうほどの状況となっている。同地区は鳥獣保護区内のため狩猟免許を持つ住民でも捕獲ができない。
(4~10月のシカ捕獲、最多の1422頭:栃木)
狩猟期間前の2013年4~10月の県内のシカ捕獲数は1422頭(速報値)と、過去最多だった12年度1年間の1405頭を早くも上回ったことが21日までに、県自然環境課のまとめで分かった。本年度からスタートした県鳥獣被害防止対策推進協議会の報奨金支給がハンターの狩猟意欲の向上につながっているようだ。一方、イノシシは12年4~10月期に比べ24・9%減の2351頭(速報値)だった。4~10月は狩猟期間前となるため、有害鳥獣駆除や個体数調整の捕獲となる。シカとイノシシ捕獲ではシカは猟銃によるケースが多いが、イノシシはエサを用いた箱わな猟が主流。このため本年度から設けられた、成獣1頭当たり6千円の報奨金があっても「主体的な銃猟と、待つ形となるわな猟では捕獲結果に差が出る」(同課)という。シカは独自の報奨金がある日光市が好調。前年実績の762頭を上回る877頭を捕獲し、全体数を押し上げた。鹿沼市も231頭と前年実績の109頭から倍増している。過去最多のシカに対しイノシシの捕獲数が減ったのは、例年捕獲数が多い県南地域で夏から秋にかけて好物のドングリがよく実り、人里に下りて来る数が減ったことで、エサでおびき出す箱わなに掛かりにくくなったためとみられる。
(ニホンジカ捕獲数1000頭超え:長野)
茅野市の「鳥獣被害対策実施隊」によるニホンジカの捕獲数が目標の700頭を大幅に上回り、1071頭(速報値)に達していることが21日、市鳥獣被害対策室のまとめで分かった。隊員の増加や捕獲範囲、活動期間の拡大が大きな要因。鹿の農作物被害や目撃報告なども減っており、対策室は「個体数の減少に効果があると思う」と、実施隊の活動に手応えを感じている。捕獲数の確定値は、12月5日の市鳥獣被害対策協議会に報告する。同協議会は今年度、捕獲目標を実施隊700頭、猟友会300頭に設定していた。実施隊だけで茅野市全体の捕獲目標1000頭を達成したことになる。今月15日から狩猟期に入った猟友会の捕獲数を含めると、最終的な数は1300頭に上る見通しだ。実施隊は、銃猟と異なり通年の狩猟が可能な「くくりわな」で捕獲活動を進めようと、昨年7月に発足。諏訪猟友会茅野支部に所属する会員らを隊員に委嘱し、くくりわなを1人につき10個貸し出すとともに、報奨金として捕獲した鹿1頭につき5000円、報酬として日々の見回り業務に日額1000円を支給している。今年度は、隊員1人当たりの月平均捕獲数は約5頭と変わらない。ただ活動期間は、年度途中にスタートした12年度の5カ月から7・5カ月に伸びた。また21人だった隊員が今年7月から25人に増加。さらに別荘管理会社の協力が得られたことで、個体数が多いとされる標高1200~1300メートルにある泉野地区の別荘地周辺で新たに活動を始めることができた。農業への影響にも変化が見られる。水稲の鳥獣被害に伴う南信農業共済組合の支払い件数が11年度14件、12年度11件、今年度1件と減少。防護柵付近で死亡した鹿の処理件数(10月現在)は12年度の14件から今年度7件に半減した。農家からの被害の訴えや猟友会員の目撃情報も「あまりに少ない」という。こうした状況を踏まえ、対策室は「(鹿は)感覚としては減っている」とする。一方で、市全体の生息数が把握できないため、捕獲は手探りの状態。対策室は「捕獲は続けていかなければと思うが、捕り過ぎてもいけない。(新たな問題が発生する心配から)極端な生態系の崩壊は招きたくない」と語り、自然と人間が折り合う形を模索している。
(環境省政務官がシカ被害視察:栃木)
ニホンジカによる植物の食害や表土流出の被害状況を把握するため環境省の牧原秀樹政務官は18日、日光国立公園の奥日光地区を視察した。来年の通常国会に向け、対策を講じるための鳥獣保護法改正案を提出する準備を進める予定だという。同公園は本県と群馬、福島の3県にまたがり、広さは約11・5万ヘクタール。1980年代からシカが増え始め、シラネアオイなどの植物やウラジロモミの樹皮の食害が影響し生態系が変化した。同省日光自然環境事務所などは、対策として戦場ケ原に総延長約17キロに及ぶ侵入防止柵やシカの嫌がる超音波を出す装置を設置。毎年80~100頭のシカを捕獲しているが生態系が安定するほど個体数は減らず、被害は続いているという。牧原政務官はこの日、小田代ケ原と千手ケ浜を視察。同事務所の森川久所長が柵内で繁茂するミヤコザサが柵を1歩越えると食い荒らされてしまっていることや、地面に根を張る植物が消失することで土砂崩れが起きていることなどを説明した。
(イノシシ、サッカーネットで捕獲:福岡)
直方市頓野の県営頓野団地に今週、野生のイノシシ1頭が頻繁に出没している。普通は夜に活動するはずが、いつも昼に人前へ。22日も午前11時ごろ団地の公園に現れ、直方署、市、猟師の計14人が急行。パトカーで入り口を塞ぎ、追い詰めたが、逃げられた。市は同日、近くのブドウ園にわなを仕掛けた。署は捕獲のためサッカーのゴールネット購入を検討中だ。最初に現れたのは18日夕。その後、21日昼に続いて2日連続で出てきた。今のところ凶暴な様子はなく、土を掘り返してはミミズを食べているらしい。しかし市は「興奮して突進してくる可能性がある。目撃しても追いかけず、家の中に入り、侵入されないように」と住民らに注意喚起。ブドウ園に残る果皮などに誘引され近くの山から来ているとみて、園にわなを仕掛けた。イノシシを見た近所の主婦(61)は「30年以上住んでいるが初めて。最初は驚いたが、おとなしく、写真を撮影しても知らん顔。でも、子供が多い地域で心配」と話した。近くの市立直方東小(児童396人)は保護者に文書で警戒を呼び掛け、1年生は集団登下校している。塩田朋久・主幹教諭は「目を合わさず、そっと立ち去るよう指導している」と説明した。直方署の酒井知行副署長は「目の細かい網で確保するのは無理。ゴールネットなら脚が絡まってうまくいくと思う」と話し、値段の照会をしているという。
(通り道」にカメラ:北海道)
札幌市街地でクマの出没が相次ぐ問題で、北大大学院の研究者が23日、クマの「通り道」とみられる札幌市南区の豊平川の河畔林に、自動撮影カメラ3台を取り付け調査を始めた。前面を動物が横切ると赤外線センサーが探知して撮影する。近く15台に増やし、クマの移動状況をつかむ。札幌では初の試みで、札幌市と道は調査結果の提供を申し入れ、河畔林の伐採などクマ対策に活用する。北大大学院農学研究院の博士研究員赤坂卓美さん(35)=森林生態系管理学=ら3人が河畔林に入り、下草が倒れるなど動物が通った跡とみられる場所を選び、カメラを樹木にワイヤなどで巻き付けた。15カ所に増設した後も必要に応じ取り付け場所を増やす。カメラの盗難を防ぐため設置箇所は公表しない。年間30件余りだった札幌のクマ目撃件数は、2011、12の両年度に約120件へ急増。クマは山間部から延びる河畔林を伝って市街地へ進入するとみられている。
(「クマは園外へ」:北海道)
開発局は22日、ヒグマの再出没で10月末に閉園したまま夏季営業を終えた国営滝野すずらん丘陵公園について、12月22日に予定通り冬季営業を始めることを決めた。22日に開かれた専門家らによる検討会議で、クマが園外に出たとの見方が強まったため。園外周にはクマの侵入防止柵が巡らされているが、継ぎ目に幅約20センチの隙間が計561カ所あり、会議ではクマがそこから出入りしていた可能性が高いと指摘された。同公園内では9月下旬以降、クマの痕跡が相次いだ。見つかった足跡はほぼ同じ大きさで、1、2歳の同じ子グマが出入りしたとみられていた。これまでクマの侵入経路は特定されていなかったが、22日の会議では、小動物の出入りのため設けられた柵の隙間について「そこからクマが出入りしたと考えるのが自然」との意見でまとまった。隙間は全て閉鎖したという。開発局は今後、園内での痕跡探しを複数回行い、「安全を十分確認して冬季営業に備えたい」としている。
(野生生物見たら教えて:広島)
広島県内に生息する「有害鳥獣」や絶滅危惧種など17種の野生生物の目撃情報の募集を県が始めた。生息範囲などの実態を正確に把握するとともに、野生生物に対する県民の関心を高めようという取り組み。情報は年度内にまとめ、生物多様性の保全計画や有害種の駆除計画の参考にする。情報を募集している生物は、アライグマなど生息範囲の拡大によって従来の生態系への影響や農産物被害などが懸念される特定外来種▽ゴギ、マシジミ、スナガニ、オオタニシなどの絶滅危惧種▽ホシササノハベラ、アイゴといった水温などの環境変化への反応が顕著な指標種-など。外来種ではないが、生息域が従来の県西部山間部から東部などに拡大しているニホンジカの情報も募っている。目撃情報は、県ホームページの「ecoひろしま生物多様性の保全」サイトから報告する仕組み。同サイトは「広島県民いきもの調査」で検索できる。
(「いのしし課」猪突猛進:佐賀)
田畑を荒らすイノシシの被害防止に向け、武雄市に「いのしし課」が誕生して4年。農林水産省の統計によると、イノシシによる農作物被害は全国で60億円を突破し、各地で被害が深刻化するなか、同市の昨年の被害額は、過去10年で最も少ない310万円まで減り、成果を上げている。2008年、同市での捕獲頭数は2000頭を超え、農作物の被害額は1440万円に上っていた。市内ではイノシシが市街地周辺にまで出没し、住民に不安が広がった。警察や猟友会など相談窓口が分かりづらいとの声も相次ぎ、09年4月、市は専門部署を設置。「いのしし課」という名称の明快さから、今では出没情報や被害などの情報が確実に集まるようになった。現在、5人の職員を配置している。同課では、地元森林組合と協力して「いのししパトロール隊」を結成。パトロール員が、出没や被害の通報を受けると、すぐに現場に向かい、被害状況の聞き取りや出没地の確認などを行う。このほか、地元猟友会が経験豊富な会員らで捕獲隊「トッテクレンジャー」を組織し、市も農地進入防護柵の設置補助を行い、今年度までにイノシシ被害を受けやすい農地の約95%で柵設置を終える予定だ。パトロール隊には、警察犬の訓練施設でイノシシ駆除の訓練を受け、イノシシの臭いを探知して追いかける鳥獣被害対策犬が同行することも。方言で犬(いぬ)を「イン」と呼ぶことから、「公務犬(こうむいん)」と呼ばれ、現在2頭が活躍中。さらに、タブレット端末を利用した「市イノシシ被害・対策システム」を導入。出没地や被害地点、捕獲場所やわなの設置場所などをデータ化し、情報共有や被害対策に速やかに生かせるようにしている。市では、里山整備など被害を生まない環境作りにも力を入れる。例えば人里近くの耕作放棄地は、人気がなく、雑草が茂り、山から下りてきたイノシシにとっては絶好の隠れ場所となる。一方、刺激や香りの強い作物を好まないことから、中山間地の耕作放棄地で市名産「レモングラス」などのハーブやニンニクといった香りの強い作物の栽培を進めている。今年度までに約2ヘクタールの耕作放棄地を再生し終える予定で、樋渡啓祐市長は「被害が起きてからではなく、起きる前にしっかりと対策を行うことが成果につながっている。地域と一体となって“猪突猛進”で取り組んできた結果だ」と胸を張る。同課は「高齢化が進む中、今後は地域の後継者の育成が課題だ。行政だけではなく、地域と一緒になって鳥獣被害に強いまちづくりをしていきたい」と話す。これまで“厄介者”だったイノシシを一転、地元の特産品として売り込む試みにも挑戦している。武雄市が2009年に開設した武雄鳥獣食肉加工センター「やまんくじら」では、捕らえたイノシシを食肉加工して「武雄市産イノシシ肉」として全国に販売している。市によると、年間約300頭を加工し、売り上げは約600万円に上るという。従来、捕獲後は土中に埋めたり、業者に依頼したりして処分費用がかかっていたが、センターを設置後、イノシシは「収入」に変わった。部位や質によるが、1キロ・グラム約3000円から販売。秋口に山でどんぐりをたくさん食べたイノシシの上質な肉を使った「グラン」、冬から春にかけてとれた肉を熟成させた「パルファム」としてブランド化。1キロ・グラム約4000~6000円の高値で取引している。市内では、給食や地元温泉街の旅館でも提供。ソーセージやハンバーグなどの加工品や、カレーなどの具材としての商品開発も行っている。いのしし課の江口和義主任は「自然を無駄なく使い、観光振興やまちづくりにもつなげたい」と話している。
(「ギフジビエ」、住民ら狩猟肉の新ブランド:岐阜)
揖斐郡揖斐川町谷汲地域の住民らが、シカやイノシシ肉を使ったジビエ料理の新ブランド「ギフジビエ」を立ち上げた。地域の農業再生と新たな6次産業創出が狙い。今月15日の狩猟解禁以降、高級ブランドとして、東京などの料理店への精肉販売も始め、同時に地産地消による加工品販売を展開。関係者は「仲間を増やし、将来的には岐阜県を代表する食のブランドにしていきたい」と意気込んでいる。シカやイノシシによる農作物への被害は谷汲地域でも増える一方だが、狩猟者は高齢化し、地域農業存続の危機に直面している。この状況を憂い、同町谷汲長瀬で建設会社所産業を経営する所竜也社長は自ら狩猟免許を取得した。2年前から、子会社でシカの串カツやイノシシのコロッケを販売。今年3月には同社で農林水産省の6次産業化事業の認定を受け、8月に食肉加工施設も新設した。捕獲や加工は、所社長を中心に地域の狩猟免許保持者や農閑期の農家、新たに狩猟免許試験に合格したJA職員など20代の女性数人の7、8人で行っている。より効率のいい捕獲方法の研究のため、岐阜大の野生動物管理学研究センターとも連携している。新ブランド「ギフジビエ」は、シカやイノシシのシルエットを描いたおしゃれなロゴも製作。ジャンパーも作成し、県選出の国会議員や古田肇知事に届けるなどPR。都市部でのフレンチやイタリアン専門店への精肉販売も順調で、「高級食材として付加価値を高めた販売と、カツやコロッケといった地産地消の両面で展開したい」と所社長。ソーセージなどの製造許可を持つ瑞浪市の同業者との連携にも着手している。地域住民にも広く知ってもらおうと、24日まで、同町東横山の道の駅星のふる里ふじはしで「美濃鹿串カツ」や「美濃猪コロッケ」、「イノシシ汁」の販売フェアを行い、PRに取り組んでいる。
(”くまもとジビエ料理フェア2013秋“の開催中:熊本)
熊本県では、熊本のシカやイノシシの肉を使った、フランス料理やイタリア料理、和食など、美味しいジビエ料理を、多くの皆さまに味わっていただくため、「くまもとジビエ料理フェア2013秋」を開催中です。ヨーロッパでは秋、冬の定番メニューとして親しまれている”ジビエ(シカやイノシシなどの肉)料理“。豊かな自然に恵まれた熊本県でも、品質の良いジビエが獲れ、昔から食べられてきた郷土料理にとどまらずフレンチやイタリアン等、季節のおしゃれでおいしいメニューとしてジビエ料理を提供する店も増えてきました。そこで、秋~冬の旬を彩る新たな「熊本名物」を目指してのフェア開催です。目的は、熊本県内で捕獲したシカやイノシシの肉を、熊本の新たな“特産品”「くまもとジビエ」として普及拡大することで、鳥獣被害対策の推進に繋げるものです。

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11/21
(女性を「イノシシと間違えた」、散弾浴びせ重傷:宮崎)
19日午前10時50分頃、宮崎県高千穂町五ヶ所の杉林で、イノシシ狩りをしていた近くの農業男性(66)が誤って近所の女性(84)を散弾銃で撃った。弾は女性の腹部に当たり、女性は重傷を負った。県警高千穂署は業務上過失傷害の疑いがあるとみて調べている。発表によると、男性は自宅近くの山に入り、1人で猟をしていた。イノシシを見つけて追いかけていたところ、杉林で音がしたため射撃したという。女性は買い物から自宅に歩いて帰る途中だった。現場は熊本県境に近い山中。住宅近くにも時々イノシシが現れており、男性は「イノシシと間違えた」と話しているという。
(山本太郎議員に散弾銃の弾入り封筒:東京)
21日午前9時過ぎ、東京都中央区の銀座郵便局から「山本太郎参院議員宛ての封筒の中に、リード線のようなものが見える」と通報があった。警視庁築地署が調べたところ、封筒には散弾銃の銃弾のようなもの1発と「近日中に射殺します」などと書かれた脅迫文が入っていた。封筒の裏には「天誅」と書かれ、差出人とみられる個人名も記されていた。同署は脅迫容疑で調べている。山本議員は秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡したとして、山崎正昭参院議長から厳重注意され、皇室行事への出席禁止処分を受けた。今月13日には、折りたたみ式ナイフが入った山本議員宛ての封筒が参院議員会館で見つかっている。
(エゾシカ捕穫数が増加、農業被害も急増:北海道)
道南地方でエゾシカの捕獲数が増えている。渡島、檜山両管内で、2012年度は過去最多となる1357頭を記録。畑を荒らされるなど農業被害も広がっており、各自治体は電気柵の設置など駆除強化に知恵を絞っている。「これじゃあまるでシカ公園だ」。森町姫川地区の農業宮本秀逸さん(64)は、畑に無数に広がるシカの足跡を見て嘆いた。5年ほど前から、栽培する小豆などがシカに踏みつけられ、芽をかじられるなどの被害に悩まされている。宮本さんが「今年は特にひどかった」と話す通り、畑から近くの沢にかけてシカによる獣道が何本もできていた。森町では、食害防止などを目的とした駆除による捕獲数は昨年度は27頭だったが、本年度は42頭。生息域は今では「町内全域に広がっている」(農林課)という。道南地方全体では、駆除と狩猟による捕獲数の合計は2012年度で1357頭と、06年度の292頭と比べて4倍以上。函館市では、エゾシカによる農業被害額の集計を始めた07年度の700万円(被害面積15・5ヘクタール)から毎年度被害は増え続け、09年度は2941万円(同25ヘクタール)と過去最多を記録。その後、防護柵設置などの対策が功を奏し、被害額は減少に転じたものの、12年度でなお1021万円(同7・6ヘクタール)に上る。同総合振興局によると、道南地方のエゾシカは明治時代中期にいったん絶滅したという。しかし道央圏からの流入に加え、1980年代に狩猟目的のレジャー用に放されたシカが繁殖したことが、急増の背景となっているようだ。道内の他地域と比べると、道南でのエゾシカ捕獲数はまだ少ないが、「著しいペースで増えている」(渡島総合振興局)と警戒を強めている。
(県表彰、クレー射撃選手・中山さんら3人:茨城)
県表彰を受賞した結城市在住のクレー射撃選手、中山由起枝さん(34)ら3人が、同市役所を訪問し、前場文夫市長に受賞報告を行った。中山さんは今年9月、ペルー・リマで行われた世界選手権で、日本人初の銀メダルを獲得。「2014年アジア大会の連覇と五輪でのメダル獲得を目指したい」と抱負を話した。結城市在住で県表彰を受賞したのは中山さんのほか、結城紬(つむぎ)検査協同組合の元理事長、奥沢宗吉さん(78)と桐(きり)タンス職人の秋山利夫さん(70)の計3人。奥沢さんは「これからも紬の良さを広めていきたい」、秋山さんは「中学卒業後、父の元で仕事を学んで54年間仕事一筋だった。表彰を受けて光栄」と喜んだ。
(農家へイノシシ猟講習:香川)
イノシシによる農作物被害が高い水準で続く中、農家の自衛力を高めようと、県は23日から、わな猟の免許を取得して間もない初心者を対象にした初めての講習会を年内に5か所で開く。今春に作った捕獲マニュアルを基に実践的な手順を手ほどきし、農家の技量アップによる被害減少を目指す。わなには、板を踏んだイノシシの脚をワイヤで縛る「くくりわな」、オリに誘い込む「箱わな」、より大型で複数頭をとらえる「囲いわな」がある。講習会では、それぞれの長所と短所、効果的な設置場所の選び方などを、マニュアル作りにもかかわった兵庫県立大の阿部豪特任講師が指導する。県によると、イノシシによる農作物の被害額は、2010年1億4500万円、11年1億1300万円、12年1億2900万円と、3年連続で1億円を超えた。イノシシにとって、人の気配がする障壁となっていた里山が荒れ、耕作放棄地も増えて人里へ近づきやすくなったことが背景とみられている。一方で、捕獲頭数は近年、年間約6000頭で横ばい。銃を使った猟に携わる人が高齢化で減り、今年は750人と、ここ15年でほぼ半減したのが一因という。県内の生息数は不明だが、県の担当者は「減る傾向にはない」とみている。そこで、県は自衛に手頃なわな猟を推奨。10年度から、取得試験を日曜日にも実施して兼業の人が受験しやすくし、高松だけだった会場を近年被害が急増している小豆島にも設けた。11年度からは免許の申請手数料も半額補助。その結果、わな猟の免許所持者は、今年1351人と、5年前に比べて、ほぼ倍増した。今春にはコツを図解したマニュアル「イノシシ捕獲技術プログラム」を作製。それでも「せっかく仕掛けたのに、かからない」といった声が多く寄せられているといい、直接指導に乗り出すことにした。担当者は「イノシシをおびきよせる餌の仕掛け方など、ちょっとしたコツが大切。この機会に効果的な方法を身に着けてもらい、被害を少しでも減らしたい」と話している。
(大物100キロ級イノシシ:兵庫)
丹波市氷上町新郷でイノシシ肉の精肉店を営むわな猟師、泉喜代一さん(80)が18日、店頭に約100キロ、1・3メートルある大物のイノシシを吊るした。車で通りかかった人たちはスピードを緩め、地元産のイノシシに目をやっていた。前日の17日に同町小野でワナにかかった。オスで、3歳程度と見られる。330人前ほどの肉が取れるという。「店の宣伝に」と、毎年店頭にフォークリフトで獲物を吊っている。40年の狩猟歴がある泉さん。100キロ級は、4頭目。「シカはいるが、イノシシは減っている印象。まさかこんな大物がまだ残っていたとは。うれしい、しかない」と笑顔を弾けさせた。氷上地域を中心に15カ所にワナを設置しており、同日は1日で6頭かかったという。
(野生イノシシ・シカ肉、畑荒らし対策で値下げ拡販)
シカやイノシシなど野生鳥獣を食材にするジビエ料理を出す外食店が増えている。フランスでは秋冬の伝統料理として知られるが、日本でも「日本ジビエ振興協議会」が昨春に発足するなど、料理人などが普及に力を入れ始めた。卸価格を下げて販売する動きもあり、販路拡大につながっている。
(駆除イノシシでご当地グルメ:富山)
高岡市商工会青年部は、今夏から県内で増加しているイノシシを食材にしたご当地グルメの開発に取り組んでいる。今や街の中まで出没するイノシシ。その農作物への食害を抑えるとともに、まちおこしの相乗効果を狙った試みに関係者は期待を寄せている。高岡市内では西部や南部の丘陵地、山間部にイノシシが生息しており、今月七日には中心部で捕獲された。市によると、昨年度の駆除数は八頭だったのが、本年度は十月末で二十二頭。県高岡農林振興センターのまとめでは、高岡、氷見、小矢部、射水の四市での農産物被害は昨年度は千六百七十万円だった。青年部はこれらを踏まえ、開発委員会(山口克次委員長)が七月から、駆除したイノシシの肉を活用したご当地グルメ作りを始めた。先進地の岐阜県郡上市を見学に訪れた。その成果の第一弾として、九月に高岡市中田地区であった中田かかし祭と同市福岡町であったつくりもんまつりで「子どもから大人まで食べやすい」と考えた煮込みハンバーグと、「肉のうま味を味わう」ことを狙ったスープギョーザを無料提供。今月三日のふくおか産業フェスティバルでもピリ辛のみそとこうじみそで味付けしたしし鍋をだした。特に、しし鍋は硬くなりやすいイノシシ肉を薄切りにし、最後に鍋に入れたところ、百食分がわずか三十分足らずでなくなり、好評だった。いずれの会場でも、イノシシの食害やしし肉料理の目的をPRしながら、試食した人にアンケートし、料理開発に生かしている。青年部は「今後も住民の皆さんを巻き込んで、一緒にイノシシを使ったご当地グルメを開発していきたい」と意気込んでいる。

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11/20
(キジ猟中の事故、散弾銃が歩行者に当たる)
19日朝、福島市で、キジ猟をしていた福島市内の64歳の男性が散弾銃を撃った所、100メートル離れた所を散歩中だった65歳の男性の右足に当たった。男性の右足は少し腫れただけで大きなケガはなかった。現場は猟の禁止区域ではないが、警察は、猟をしていた男性の安全管理に問題があったと見て、銃刀法違反の疑いで詳しく話しを聞いている。
(総会での委任は認めず、日本クレー射撃協会)
日本クレー射撃協会は18日の理事会と総会で、一般社団法人移行後の新定款案を承認し、正会員が総会を欠席する場合に、これまで容認していた他の正会員への委任と書面による議決権行使を原則認めないことにした。両制度が、協会の役員人事をめぐる混乱の一因となったため。新法人移行は来年4月を目指し、今月中に内閣府に手続きをとる。新たな定款では、正会員が総会を欠席する場合は、同じ出身都道府県協会で事前登録した代理人が出席する。大江直之事務局長は「47都道府県一帯となった運営を目指したい」と語った。
(シカ捕獲で虚偽報告:滋賀)
東近江市は18日、蒲生猟友会の男性会員(64)が2011年度、長浜市でニホンジカを捕獲していたのに「東近江市で捕獲した」と虚偽の報告をしていたと発表した。同猟友会は、男性が同年度に捕獲した58頭分の委託料87万円を全額市へ返還した。市によると、男性が虚偽報告をしているという情報があったことから調査したところ、不正を認めたという。増え続けるシカを駆除するため、同市などでは、地元の猟友会に捕獲業務を委託し、捕獲頭数に合わせて委託料を支払っている。不正防止のため、市は昨年度から尾の提出を義務付けていたが、今回の不正は見抜けなかった。市は緊急に市内猟友会長を集め、尾と共に、捕獲状況を示す写真の提出を徹底するよう指示した。
(イノシシ、住宅地横切る:栃木)
那須塩原署によると、18日午後6時55分ごろ、那須塩原市埼玉で、体長約1メートルのイノシシが住宅地を横切るのを付近の住民が目撃し、同署に通報した。現場は稲村小から西方約100メートルの住宅地という。同署で警戒する一方、注意を呼び掛けている。
(侵入のクマ、園外移動か:北海道)
開発局は18日、国営滝野すずらん丘陵公園(札幌市南区)の外周に巡らせたクマ侵入防止柵の外側で、ヒグマの足跡を16日に発見したと明らかにした。10月下旬に園内で確認されたクマの足跡の大きさとほぼ同じで、このクマは園外に出た可能性がある。開発局によると、今回足跡を発見した場所は公園南側の柵の外側で、合わせて12個あった。15日に撮影された監視カメラ映像に、柵外側でクマが映っていることが確認された。見つかった足跡の幅は、10月28日に園内で見つかったものと同じ約10センチ。開発局は、「まだ同一個体とは断定できないが、園内にいたクマが外へ出た可能性もある」とみている。クマの足跡が見つかった10月28日に閉園された滝野すずらん丘陵公園は、再開されないままで夏季営業期限の今月10日を迎えていた。開発局は近く専門家を交えた検討会議を開き、冬季の営業開始日(12月22日)に合わせて開園するかどうかなどを検討する。
(檻・電気柵、効果ばっちり:富山)
イノシシによる農作物被害が相次ぐ氷見市で、本年度の檻(おり)や狩猟によるイノシシの捕獲数が11月上旬までに100頭に上った。檻に加え、総延長では県内最大級となる電気柵を田んぼに設置するなど対策を強化。田んぼに柵を初めて設置し被害を防いだ。
(竹島にかつて生息、人気集めた「絶滅」動物:島根)
島根県・竹島にかつて生息し、絶滅したとされるニホンアシカが関西の遊園地などで人気を集めた様子を記した1940年頃の観光パンフレット3枚が、県の調査で見つかった。ニホンアシカの飼育に関する記録は珍しく、当時の社会への竹島の関わりがうかがえる。県などによると、竹島では江戸時代から猟が行われていた記録があり、明治政府が1905年に竹島を県に編入した際、県は猟を許可制にした。年間2000頭近く捕獲された時期もあるが、戦後、韓国の実効支配で猟は途絶えた。県の竹島問題研究会(座長・下條正男拓殖大教授)が昨年末~今年7月、パンフを九州の古書店で発見。2枚は兵庫県西宮市の遊園地・阪神パーク(2003年閉園)のパンフで、うち1枚には水面から顔を出すアシカの写真があり、もう1枚には「曲藝きょくげいの中でも至難とされてゐる逆立ちまで見事御覧ごらんに入れます」と書かれていた。残る1枚は大阪市立動物園(現・天王寺動物園)のパンフで、「海驢あしか舎」のイラストがある。阪神パークのアシカは神戸の動物商を介して運ばれ、大阪市立動物園のアシカは職員らが捕獲するなどして連れて来たとみられる。
(関心高まるジビエ、浸透させたい「食材」活用)
ジビエ(野生鳥獣の肉)への関心が高まっている。ジビエの消費は、生息数が激増し農林業に被害を及ぼすイノシシやシカを減らす手段の一つとなる。一方で捕獲の担い手となる狩猟者の減少、高齢化に加え、ジビエを食することへの消費者の抵抗感など課題もある。日本ジビエ振興協議会によると、シカ、イノシシなどによる全国の農作物被害額は年200億円にも上る。収穫直前の作物を根こそぎ食べられてしまったり、畑を荒らされたりと農家を苦しめる。本県の昨年の被害額は約9500万円に達し、イノシシとシカで8割を占める。シカによる樹木の食害は深刻で、特に嶺南では枝葉などが食べ尽くされ、専門家は森林生態系への影響を懸念する。県内のシカの推定生息数は3万2千頭。生息密度を下げるため県は有害捕獲による年間の捕獲計画数を定める。2011年度の捕獲数は5千頭を超え10年前の約14倍にもなるが、計画数に届いていない。有害捕獲が全捕獲数の9割を占め、狩猟対象として人気のあるイノシシも有害捕獲の割合が高まっている。捕獲数増加とは裏腹に狩猟者は減少の一途だ。ライフル銃や散弾銃が使える第1種銃猟登録者は2012年度470人余りで、20年ほど前に比べ半減。狩猟免許所有者も60歳以上が6割と高齢化は否めない。環境省は、狩猟者の育成を目的とするフォーラムを全国で開催。本県では若手ハンターのトークやジビエ試食を実施し、若者らの姿が目立ったという。獣害対策を維持するうえで欠かせないだけに育成は急務だ。欧州ではジビエを使った伝統料理が発展し、食文化として定着している。日本では捕獲されたイノシシの多くは埋設処分。猟師らが消費しているものの市場に出回るほどではない。シカは食材という意識が浸透していない。有効活用する機運は高まっており、自治体などがジビエの消費拡大に取り組む。消費拡大にはまず、ジビエを知ってもらうことだ。試食会や学校での調理実習などでジビエを味わってもらい、「食材」として活用できることを浸透させたい。調理次第でおいしく味わえるというからレシピ開発など、ソフト面での普及策も必要だろう。皮や角は加工することで商品化も可能という。ジビエが市場に流通するには、年間を通じて一定量の確保が欠かせない。鳥獣被害が深刻な嶺南6市町は、若狭町に食肉処理加工施設「若狭ジビエ工房」を建設した。シカ、イノシシ合わせて年間220頭加工し、注文販売も手掛けるという。販路開拓も含め期待は大きい。15日に狩猟が解禁され、ジビエのシーズンとなった。農作物や林業への被害防止とともに生態系の維持、地産地消と、ジビエの果たす役割は大きい。もちろん動物の尊い生命と引き換えにするだけに、感謝の気持ちを忘れてはならない。
(北限のいのしし鍋:青森)
「北限のいのしし鍋」。下北半島の西端、青森県むつ市脇野沢に独特の名物料理がある。生息の北限が宮城県とされるイノシシが、なぜ下北半島で……。「旧脇野沢村農協の組合長が80年代に関西で食べたのが飼育の発端」という。1996年に飼育が脇野沢農業振興公社に引き継がれた。

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11/18
(待望の初撃ち、県内の狩猟解禁:石川)
石川県内で15日、クマやカモ類などの狩猟が一斉に解禁された。今年は県内のクマの推定生息数が6年ぶりに見直され、捕獲上限が84頭から96頭に引き上げられた。同日は降雨やもやで視界が悪い状態だったが、猟師が日の出とともに初撃ちに狩猟場に繰り出し、山野に銃声が響いた。津幡町では、県猟友会河北支部の辻森金市支部長(61)ら4人が、ため池などにいるカモに狙いを定めた。辻森支部長は「待ちに待った解禁日。収穫に期待したい」と飛び立つ瞬間を狙って照準を合わせた。クマの生息数は昨年までの600~800頭に対し、700~900頭と推定され、増加傾向にある。今期のクマの駆除数は8頭と例年よりも少なく、期間を通して猟が可能となる見通しとなっている。狩猟期間は来年2月15日までで、カワウやマガモの鳥類28種類と、イノシシやキツネの獣類20種類の狩猟が日の出から日の入りまで可能となる。県内ではバンとクロガモの捕獲が禁止されている。2週間前に始まったイノシシとニホンジカの「箱わな」による猟は3月末までとなっている。県内12署では、署員ら約130人が違法な狩猟を取り締まり、安全指導を行った。
(狩猟解禁、シシ・シカは3月15日まで:京都)
狩猟期間が15日から始まった。関係機関は「誤射を防ぐため、山に入る際は目立つ服装で、ラジオを携行して鳴らすなど注意を」と促している。初日は雨の平日となったため、全体にハンターの姿は少ないよう。猟期は来年2月15日まで。農林業被害が大きいイノシシ、ニホンジカについては3月15日までとなっている。京都府は狩猟解禁に合わせ、早朝から各地で一斉パトロールを行った。府職員と緑の指導員、猟友会の会員、警察官の計166人が36班に分かれて巡回した。福知山市内では3班がパトロール。うち1班は午前6時に河守の市大江町総合会館前に集合し、打ち合わせを済ませてから車2台で出発した。南山西部・東部や由良川筋などで、解禁時刻となっている日の出(福知山市は午前6時34分)より早くに猟を始める人がいないか、銃器事故が起きるような状態にないかを監視。適正なわなの設置がしてあるかといったことも点検して回った。これまで狩猟禁止区域となっていたものの、鳥獣被害が深刻化しているため今期から保護区指定が解除された大江山(780ヘクタール)もパトロールした。府内の狩猟者登録数は昨年度2650件。高齢化などで年々減っている。
(県内の狩猟解禁、2月15日まで:福島)
県内の狩猟が15日、解禁された。桑折町の阿武隈川では、同町の後藤忠郎さん(58)ら狩猟者が獲物に狙いを定めて銃口を向けた。狩猟期間は来年2月15日まで。イノシシは個体数調整のため、同3月15日まで。後藤さんは猟犬を伴いながら「猟をする人が少なくなり、高齢化も進んでいる」と話し、「狩猟者が減れば、イノシシなどが増え、里山が荒らされる」と危機感を募らせた。県によると、10月末現在の狩猟者登録件数は3316件で、前年同期比77件の増。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を契機に、2011(平成23)年は登録件数が約3割減少したものの、12年から微増している。ただ、長期的には狩猟者は減少しているという。さらに、イノシシなどの野生鳥獣6種は、食品の基準値を上回る放射性物質が検出、国の出荷制限が県内で継続され、県も自家消費の自粛を呼び掛けている。制限されている野生鳥獣はイノシシのほか、ツキノワグマ、キジ、ヤマドリ、カルガモ、ノウサギ。
(狩猟解禁、県内各地でパトロール:群馬)
県内で十五日、狩猟が解禁された。県自然環境課によると、狩猟者の登録数は前年比百十五人減の三千五百二十八人で、初日の入猟者数は正午現在で同百六十九人減の三百七十四人だった。県や県警、県猟友会などは計二百五十人体制で猟場をパトロールした。狩猟期間は来年二月十五日まで。これまで鳥獣や狩猟方法によって狩猟期間が異なっていたが、事故防止の観点などから、今年から全てで期間を統一した。ツキノワグマはここ二年の捕獲上限を有害捕獲数が上回り、昨年に続き狩猟自粛を要請。シカは昨年から国の定める「一人一日一頭」を「雄一頭、雌制限なし」に緩和した。安中署は十五日早朝、安中市松井田町入山の遠入川・片地橋付近で検問を実施。署員が入猟者の狩猟免許や銃の所持状況などを確認し、誤射などの事故防止を呼び掛けた。
(狩猟解禁で一斉取り締まり:静岡)
県内でのシカやイノシシなどの狩猟が15日、解禁となった。今月3日には、長泉町でシカと間違えられて猟銃で撃たれた男性が死亡した事故もあり、県農林事務所などは県内各地で猟銃の一斉取り締まりを実施し、安全確認の徹底を狩猟者に強く要望した。一方で、県は野生鳥獣の食害問題を抱えており「狩猟者への規制が進むと、狩猟人口が一層減少するのでは」と懸念する声がある。県は今後、狩猟関連イベントを開催するなど、若手育成と安全対策の両立を図っていく方針だ。この日、約120人の職員らが、早朝から県内約40区域を巡回した。「パーン」。明るくなり始めた同日午前6時過ぎ、静岡市葵区足久保の狩猟区域に、銃声が何発も鳴り響く。県職員らは鳥撃ちやイノシシ猟の狩猟者に「猟銃死亡事故発生!」と書かれた紙を手渡し、猟銃の取り扱いについて指導、狩猟免許などの確認を行った。仲間8人でイノシシ猟に来ていた、猟友会美和支部の栗田正勝支部長(68)は「仲間と無線で連絡を取り合い、十分に注意している」と話す。カルガモ2匹を仕留めた、葵区の会社員、成岡駿さん(29)は「獲物をしっかり目視するのが大事。人に向けなきゃ事故にはならない」と話した。一方、県内では狩猟の後継者不足が問題に。県自然保護課によると、有害鳥獣駆除を請け負う県猟友会の会員数は、昭和44年の約1万7千人をピークに激減。今年は約3600人にまで落ち込んだ。高齢化も進み、現在は狩猟免許を持つ約7割が60歳以上だという。同課は「銃の所持規制の強化が要因の一つ。長年培った技術や知識が途絶えてしまう」と漏らす。狩猟者が減少する半面、シカやイノシシなどによる食害は深刻化。野生鳥獣による24年の県内の農林業被害額は4億6千万円にのぼった。市町から猟友会への有害鳥獣駆除の依頼件数も増加傾向にあり、狩猟者が疲弊しているのが実情だという。県はこうした事態を打開するため、来月、静岡市内で若い世代を対象にした狩猟関連イベントを初めて開催する。狩猟の魅力や社会的意義を若者に訴えるのが狙いだという。同課の馬塚雅敏野生生物保護班長は「多くの若者に狩猟免許を取得してもらい後継者の育成に努め、猟銃事故を起こさないよう安全対策にも万全を期したい」と話した。
(狩猟解禁、獣害深刻化で捕獲数を緩和:滋賀)
滋賀県など全国の大半で15日、狩猟が一斉に解禁され、狩猟者が銃やわなを手に野山で獲物を追った。県内ではイノシシやニホンジカが増えて獣害が深刻化しており、県はニホンジカの1日上限捕獲数を緩和した。日野町では銃器免許を持つ狩猟者たちが、鳥獣保護区などを除く各地でイノシシやニホンジカを狩った。銃の狩猟者は年々高齢化しているが、この日は30歳の若手も参加した。猟期は来年2月15日までだが、ニホンジカとイノシシは獣害対策で3月15日まで延長する。ニホンジカの銃器の1日上限はこれまでメスは5頭、オスは1頭だったが、今期からメスは無制限、オスは2頭に緩和した。県内の各種狩猟登録者は延べ1652人。対象は獣類20種、鳥類28種で、今期からウズラを外した。
(狩猟解禁、篠山でイノシシ猟始まる:兵庫)
鳥獣類の狩猟が15日、兵庫県内でも一斉に解禁された。ぼたん鍋で有名な篠山市では、地元ハンターがイノシシを求めて山々を回った。未明からの雨が小降りなった午前10時すぎ、同市猟友会の11人が、猟犬を放してイノシシを追い込む「追い山猟」を開始。犬の鳴き声とともに、乾いた銃声が響いた。初日の収穫は最大で約30キロのイノシシ4頭とシカ1頭。同猟友会の古屋定繁会長(75)は「誤射などの事故がないよう十分に気を付けて、たくさん捕獲できれば」と話した。毎年約2千頭を扱う篠山市の食肉販売店「おゝみや」には、福井県など既に解禁となった地域からもシシ肉が入荷している。「今シーズンは昨年よりも高品質が期待できる」という。
(狩猟解禁にあわせパトロール:石川)
11月15日は狩猟の解禁日です。これにあわせ県内各地では、警察官が違法な狩猟を取り締まるパトロールを行いました。狩猟は北海道を除く全国各地で、毎年11月15日に解禁となり、解禁日には、県内でも警察などがパトロールを行っています。金沢市の犀川ダム付近では、金沢中警察署の警察官3人が▼日の出を迎える前に発砲してないか、▼鳥獣保護区や休猟区で猟をしていないかなどを監視しました。県内では、おととし、中能登町でキジ猟をしていた男性が発砲した弾が通りがかりの男性にあたり、軽傷を負う事故が起きています。こうしたことから警察などでは、事故が起きないよう今後もパトロールを行うとしています。
(ハンター繰り出す、県内狩猟解禁:富山)
県内で鳥獣類の狩猟が15日解禁され、ハンターたちが早朝から河川敷などに繰り出し、獲物を追った。狩猟期間は来年2月15日までで、農作物の被害が増えているイノシシに限って同3月15日まで。富山市町袋の常願寺川左岸の河川敷では、あいにくの雨の中、午前6時29分の日の出とともに猟犬を連れたハンターが次々と茂みに入り、銃声を響かせた。大阪府羽曳野市の塚本典世さん(35)は、仲間と共に早速カモ4羽を仕留めた。「成果は上々。これからはキジを狙いたい」と話していた。狩猟の対象になるのは鳥類28種と獣類20種。県自然保護課によると、今シーズンの生息数はキジ、ヤマドリ、カルガモ、タヌキ、キツネが平年並みで、ノウサギは少ないという。狩猟者の登録数は昨シーズンより2人少ない932人だった。解禁日に合わせて、同課と県警はルール違反がないかパトロールした。
(列車がシカをはねる:福岡)
18日午前5時半すぎ、福岡県添田町でJR日田彦山線西添田駅から豊前川崎駅に向かっていた普通列車が、線路に飛び出してきたシカ1頭をはねました。運転士1人と乗客6人にケガはありませんでした。シカは死んだということです。JR九州では車体や線路に異常がないことを確認し、30分後に運転を再開しました。この事故で列車3本に最大30分程度の遅れが出て、約200人に影響が出たということです。
(複数のイノシシ目撃情報:岐阜)
十五日午後三時ごろ、大野町相羽の町不燃物処理場で男性管理人から「イノシシを見た。やぶの中にいる」と町役場に連絡があった。被害はこれまで確認されていない。町は「イノシシを見かけたら、刺激しないよう注意してほしい」と呼び掛けている。揖斐署によると、体長一メートル、体重一一〇キロほど。これまで複数の目撃情報があり、午後五時二十五分ごろには同町松山の西小学校付近で男性が見つけて同署に通報した。同署と大野町、町猟友会が行方を追っている。
(雑木林でクマ目撃:栃木)
栃木署は16日、同日午後2時半ごろ栃木市細堀町の雑木林でクマが目撃されたと発表した。警戒を呼び掛けている。同署によると、クマは1頭で体長約1・5メートル。うなり声を上げながら雑木林の中に入っていったという。
(養豚場にクマ出没:福井)
14日午前9時半ごろ、大野市吉の養豚場敷地内で、地面にクマの足跡があるのを経営者が発見し市に通報した。市職員が付近を調べたところ、親子とみられる大小2種類のクマが残した足跡や爪痕、柿の食べ跡、ふんがあった。クマの姿は確認できなかった。市は同日、周辺4カ所にわなを仕掛け、15日も早朝からパトロールを行う。今年度、市内でクマの目撃・痕跡の情報が寄せられたのは4件目。
(猟銃事故防止、周知に課題:静岡)
長泉町の雑木林で今月3日、山菜採りに訪れた沼津市の男性がシカと間違われて撃たれ死亡した。事故の背景にはハンターの確認不足だけでなく、町の広報体制の不備や、猟友会との情報交換不足があったとみられる。全国では今年に入り、今回の事故も含め4件の死亡事故が発生。県内では2009年に浜松市天竜区で狩猟中の散弾銃弾が当たる死亡事故も起きた。今月15日には県内で鳥撃ちやイノシシ狩りなどが解禁されたこともあり、県警をはじめとする関係者は例年以上に注意を呼びかけている。長泉町東野の雑木林で3日午前に起きた事故では、発砲したのは地元の駿東猟友会長泉支部の会員で、経験39年のベテランハンター(73)。町から有害鳥獣駆除許可を得て、仲間とシカの駆除中だった。裾野署の調べに、死亡した男性が山菜採り中、日焼け防止のために帽子から首に垂らしていた白い布を「シカの尻だと思って撃った」と話しているという。今回の事故現場の雑木林は、住宅地から約150メートルしか離れていなかった。同署幹部は「新興住宅地の多い長泉町では生活区域と山林が混在しているうえ、新たに移ってきた若い住民には、近くで狩猟が行われていることを知らない人も多い」と指摘する。長泉町では、シカやサルが田畑を荒らしたり、木の樹皮を食べたりする被害が深刻化しており、有害鳥獣駆除の必要性は増している。猟友会に鳥獣駆除を委託している同町は、各区長に年2回、文書で期間を通知し、区ごとに回覧板や同報無線で周知を図っていた。だが、狩猟を行う山林は、獲物がいるかどうかという状況に応じて、猟友会が狩猟当日の朝に決定するため「町として把握しておらず、現場での注意喚起も含め猟友会側に任せきりだった」(産業振興課)という。一方、猟友会側の注意喚起も、当日、現場近くにとめた会員の車のダッシュボードに猟を行っていることを知らせる紙を置くなどするだけだった。近くに住む60代の女性は「回覧板を見ていない人や、町外の人には伝わらない。旗や看板でも設置してくれればいいのに」と語気を強める。今回の事故を受け、12日に裾野署で行われた猟銃事故防止検討会では、近隣市町の猟友会で実施する〈1〉駆除中はのぼり旗を設置する〈2〉山林の入り口に係員を配置して呼びかける――といった取り組みが紹介された。駿東猟友会長泉支部の土屋正之支部長は「今後はのぼり旗の設置をはじめとする安全対策に取り組みたい」との考えだ。長泉町産業振興課の川口正晴課長も「事故は重く受け止めているが、鳥獣被害に困っている人がいるのも事実。安全性と駆除を両立させなければならない」と話している。
(早池峰山、シカ群れ迫る:岩手)
花巻、遠野、宮古3市にまたがる早池峰山(1917メートル)にニホンジカが侵入し、貴重な高山植物を食い荒らすと懸念されている問題で、山麓南側の公共牧場付近に今季、多くのシカが出没していたことが、自然公園保護管理員の星野邦彦さん(73)(遠野市)の記録で分かった。最も多かった9月は累計で少なくとも151頭が目撃され、国定公園を管理する県などは警戒を強めている。星野さんは早池峰山に魅せられ、定年後、遠野市に移住し、6年前から管理員をしている。高山帯の植生への影響を懸念し、今季から出勤時に目視したシカをカウンターで数えようと発案。6月以降の明朝、遠野市附馬牛町上附馬牛の自宅から、市道を通って小田越山荘に至るまでの目撃数を日ごとにまとめた。記録によると、目撃数は累計で、6月(出勤日数23日)が延べ47頭、7月(同24日)99頭、9月(同20日)が少なくとも151頭、10月(同23日)80頭となった。大雨による道路被害で東側の別の道を通った8月(同30日)は53頭だった。6月は1日当たり1、2頭の目撃日が多く、最高でも6頭だったが、7月に入ると5頭以上の日が増えた。9月から10月上旬にかけては目撃数が一気に増え、10頭以上の日が9日もあった。同一ルートを通った90日間中、目撃しなかったのは8日間だけ。9月は出勤した20日の毎日、姿を確認した。本県では、大船渡市や釜石市にまたがる五葉山一帯にいたシカが1970年代から年々、生息域を拡大。早池峰山周辺でも目撃情報が相次ぎ、林野庁東北森林管理局が行ったフンによる調査でも、高山植物が多い核心部を囲むように広範囲にシカが生息していることが分かっており、今回の記録は、その危機的な状況を裏付けた格好だ。星野さんの目撃場所の多くは遠野市の市営大出牧場(放射性物質の除染が必要なため現在は未利用)周辺で、9月5日にはメスや子供とみられるシカの大群を発見。数えられただけで38頭に上り、実際は50頭以上はいたという。早池峰山周辺森林生態系保護地域の境から南東に約3キロ・メートルほどの距離で、星野さんは「シカが増えているとは感じていたが、大出牧場で見た数には驚いた。早池峰山がどうなってしまうのかと考え、ゾッとした」と不安を隠さない。栄養価が高い草が育つ山あいの牧草地は人の出入りも少なく、シカの絶好の餌場となる可能性が指摘され、各地での被害も多い。今季、大出牧場の南東にある市営荒川牧場は除染のため、草地の天地返しが行われており、そばを通った8月の目撃が少なかったことから、「餌を求めて集まってきたのではないか」と星野さんは推測する。農作物被害も多い遠野市では、有害駆除期間の拡大や夏場のわな猟の推進、捕獲補助金の引き上げなど様々な対策を実施しているが、広大な牧草地を全て電気柵で囲い、漏電しないよう管理していくのは不可能といい、効果的な対策を見いだせていないのが現状だ。県自然保護課は「この地域は、今年策定した『第4次シカ保護管理計画』でも早急な個体数の低減を目標に掲げており、県でも危機感を持っている。計画に沿って関係市町村と連携しながら捕獲による圧力を強めていきたい」としている。
(クレー射撃の女子会:岩手)
銃を所持する県内の女性によるクレー射撃女子会が17日、花巻市湯口の市クレー射撃場で開かれた。男性に比べ競技者が少なく、つながりもないことから金ケ崎町西根の県職員鹿島佳子さん(30)が初めて企画。仲間づくりを通じて、競技振興や鳥獣被害対策の強化につなげたい考えだ。いずれも30代の5人が参加。初対面が多かったが、会話はすぐに弾んだ。競技練習も行い、男性がいない光景が注目を集めた。大船渡市日頃市町の市非常勤職員(32)は「20歳から銃を所持しているが、周囲に女性がおらず心細さを感じていた。同性の仲間ができて心強い」と喜んだ。鹿島さんによると、県クレー射撃協会(藤沼弘文会長、87人)に加盟していない女性銃所持者は多いが、交流どころか人数の把握すらできていないのが実態という。
(坂網猟に新人デビュー:石川)
狩猟解禁日の15日、加賀市の片野鴨池周辺で「坂網猟」が始まり、27歳の新人猟師がデビューした。地元で農業に携わる山根大和(まさかず)さん=同市小菅波町2丁目=で、精進を誓う新星に先輩猟師も期待を寄せる。初日から獲物を捕らえる快挙はならなかったが、「プロフェッショナルになりたい」と、伝統猟法の担い手に意欲を燃やしている。猟を行う大聖寺捕(ほ)鴨(こう)猟区協同組合の組合員は27人に増え、山根さんは最年少となる。この日、組合員と猟場に身を潜めた山根さんの頭上には運良くカモが飛んできたが、網を真上に投げられず獲物を逃した。山根さんは「チャンスは本当に一瞬だった」と悔しがった。幼い頃から昆虫採集など、自然に親しむのが好きだった山根さん。今年4月に渓流釣りをしているときに組合員の河本一男さん(50)と出会い、猟に誘われた。坂網猟は存在を知る程度で、300年以上続く猟法の奥深さを聞くうち興味がわき、9月に狩猟免許を取得した。「実際に捕った者にしか分からんよ」。ベテラン猟師たちが自慢する「感動」を体験したいという山根さんは、河本さんや昨年から猟を始めた先輩4人の手ほどきで練習に励んできた。解禁日を心待ちにし、毎日、風向きや天気予報もチェックしてきた。獲物を捕れるようになるまで5、6年掛かることもあるが、池田豊孝理事長(71)は「若者は反射神経や動体視力が良い。練習を重ねれば捕まえる日も遠くない」とエールを送る。山根さんは「風や気温でカモが飛ぶ方向を判断したり、羽音で種類が分かるようになりたい」と前を見据えた。
(カラス追い出し作戦が成果:青森)
八戸市の長者山など市中心街で近年、カラスによる被害が相次いでいる問題で、今秋は昨年同期に比べ個体数が大幅に減少したことが17日、八戸野鳥の会(髙橋清法会長)の調べで分かった。本年度、市森林組合(赤澤榮治組合長)が初めて行っているカラスの追い出し作戦が一定の成果を挙げているとみられる。今後は渡り鳥であるミヤマガラスの飛来が本格化することから、同会はさらに効果的な対策が必要だと指摘する。
(カラスの群れの食害広がる:沖縄)
名護市二見の畑や干潟などにリュウキュウハシブトガラスの群れが現れ、集落での食害が広がっている。護岸付近ではふんの被害も広範囲で確認された。屋我地鳥獣保護区管理員の渡久地豊さん(51)は「個体数が増えて餌場が広がっている。一日の行動やねぐらとの行き来など、正確な個体調査が必要」と指摘している。二見区の宜寿次聰区長は「4、5年前から集団でカラスが海岸にやって来る。以前はこんなことはなかったので珍しい光景」と首をかしげる。野菜を栽培している上里和子さん(75)は「山に食べ物がないのか、野菜まで食べる」と困惑。安部区のミカン農家の宮里武市さん(71)も「収穫時期に食害があった。食べ物がなくなると浜に移動し、打ち上げられた小魚を食べている」と話す。天仁屋区では、新芽の食害があった。渡久地さんは「羽地、屋我地周辺は2008年の調査で約2千羽が確認されている。二見干潟の群れはカニを餌にしていて、ねぐらは辺野古方面だと考えられる」と指摘。「カラスは害鳥でもあるが、ある意味益鳥でもある。駆除する場合は個体数に占める割合を考えることが大切」と話している。
(イノシシ猟解禁、冬の味覚「ぼたん鍋」登場:兵庫)
兵庫県内のイノシシ猟が解禁された15日、宍粟市内の温泉施設や飲食店で早速、冬の味覚「ぼたん鍋」がメニューに登場した。しそう観光協会は「寒い冬は地元の味で体を温めて」とPRしている。同市波賀町原の温泉・宿泊施設「楓香荘」では、地元猟師が仕留めたイノシシを材料に「特選ぼたん鍋」(1人4980円から)の提供を始めた。新鮮なため臭みはなく、ほどよく脂の乗った肉を味わえるという。18日からは「ぼたん鍋定食」(1800円)も始める。
(関心高まるジビエ、浸透させたい「食材」活用:福井)
ジビエ(野生鳥獣の肉)への関心が高まっている。ジビエの消費は、生息数が激増し農林業に被害を及ぼすイノシシやシカを減らす手段の一つとなる。一方で捕獲の担い手となる狩猟者の減少、高齢化に加え、ジビエを食することへの消費者の抵抗感など課題もある。日本ジビエ振興協議会によると、シカ、イノシシなどによる全国の農作物被害額は年200億円にも上る。収穫直前の作物を根こそぎ食べられてしまったり、畑を荒らされたりと農家を苦しめる。本県の昨年の被害額は約9500万円に達し、イノシシとシカで8割を占める。シカによる樹木の食害は深刻で、特に嶺南では枝葉などが食べ尽くされ、専門家は森林生態系への影響を懸念する。県内のシカの推定生息数は3万2千頭。生息密度を下げるため県は有害捕獲による年間の捕獲計画数を定める。2011年度の捕獲数は5千頭を超え10年前の約14倍にもなるが、計画数に届いていない。有害捕獲が全捕獲数の9割を占め、狩猟対象として人気のあるイノシシも有害捕獲の割合が高まっている。捕獲数増加とは裏腹に狩猟者は減少の一途だ。ライフル銃や散弾銃が使える第1種銃猟登録者は2012年度470人余りで、20年ほど前に比べ半減。狩猟免許所有者も60歳以上が6割と高齢化は否めない。環境省は、狩猟者の育成を目的とするフォーラムを全国で開催。本県では若手ハンターのトークやジビエ試食を実施し、若者らの姿が目立ったという。獣害対策を維持するうえで欠かせないだけに育成は急務だ。欧州ではジビエを使った伝統料理が発展し、食文化として定着している。日本では捕獲されたイノシシの多くは埋設処分。猟師らが消費しているものの市場に出回るほどではない。シカは食材という意識が浸透していない。有効活用する機運は高まっており、自治体などがジビエの消費拡大に取り組む。消費拡大にはまず、ジビエを知ってもらうことだ。試食会や学校での調理実習などでジビエを味わってもらい、「食材」として活用できることを浸透させたい。調理次第でおいしく味わえるというからレシピ開発など、ソフト面での普及策も必要だろう。皮や角は加工することで商品化も可能という。ジビエが市場に流通するには、年間を通じて一定量の確保が欠かせない。鳥獣被害が深刻な嶺南6市町は、若狭町に食肉処理加工施設「若狭ジビエ工房」を建設した。シカ、イノシシ合わせて年間220頭加工し、注文販売も手掛けるという。販路開拓も含め期待は大きい。15日に狩猟が解禁され、ジビエのシーズンとなった。農作物や林業への被害防止とともに生態系の維持、地産地消と、ジビエの果たす役割は大きい。もちろん動物の尊い生命と引き換えにするだけに、感謝の気持ちを忘れてはならない。
(ジビエ、食欲の秋)
食欲の秋、ジビエと呼ばれる野生シカの肉がハンバーガーなどの手軽なメニューで登場し、人気を呼んでいる。増えすぎて農産物被害が出ている野生シカを食材に使い、地域振興に結びつけようという取り組みも各地で始まっている。〈ジビエ〉 フランス語で狩猟の獲物となった野生の鳥獣やその肉の意味。シカやイノシシ、野ウサギ、カモ、キジ、ヤマバトなどがあり、高級食材とされる。シカ肉は高たんぱく低脂肪のヘルシー食材として日本でも人気が出始めている。長野県産の野生シカ肉を使ったハンバーガー「信州ジビエ鹿肉バーガー」が人気だ。ジェイアール東日本フードビジネスが首都圏で展開するファストフード店「ベッカーズ」の19店舗で1日から発売。10日までに5919食を売り上げた。90グラムのパティの60%が粗びきのシカ肉。焼いて香ばしさを出したシカの骨を赤ワインで煮込んだソースを合わせた。1個550円。ほおばると、野生の肉の存在感が口中にあふれた。当初は1カ月限定で8000食の予定だった。急きょ、2000食分の追加を決めたが、11月末を待たずに終了しそうだという。同社の担当者は「ジビエらしさを手軽に味わえる形にしたのがよかったのではないか」と分析する。「鹿肉バーガー」を監修したのは長野県茅野市でレストランを経営する藤木徳彦シェフ。日本ジビエ振興協議会の代表も務める。今月上旬、東京駅前などであった食のイベントに同協議会員の入江洋仁さんがキッチンカーを出した。シカ肉を使ったソーセージドッグを買った千葉県船橋市の男性会社員(48)は「おいしい。抵抗感はない」。一緒に食べた母親(82)は「しつこくなくてヘルシーな感じ」と満足そうだった。

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