<射撃ニュース2月>

2/15
(ハンターのライフル銃暴発、男性死亡:北海道)
北海道警は15日、北海道北見市留辺蘂町の山にシカ猟に入った際、ライフル銃を暴発させ、仲間を死亡させたとして業務上過失致死の疑いで岩見沢市7条東、会社役員、荒井悦生容疑者(65)を逮捕した。逮捕容疑は14日午後0時半ごろ、林道で車から降りようとした際、誤ってライフル銃の引き金を引き、荷台に乗っていた札幌市厚別区、会社員、諸橋正巳さん(62)の左胸付近に弾1発を当て死亡させたとしている。車で移動中は銃から弾を抜き取るなど暴発を防ぐ注意義務があるのに怠っていた。北見署によると、荒井容疑者や諸橋さんら4人で14日朝からシカ猟をしていた。当時、全員が車で移動中で荒井容疑者は助手席に、諸橋さんは荷台に乗っていた。シカを見つけ、降りようとしたという。
(シカに首輪、GPSで捕捉:群馬)
群馬県林業試験場は全地球測位システム(GPS)を使い、シカの居場所と行動範囲を割り出す首輪を開発した。1年以上連続して観測できる上、イノシシや猿などへの応用も可能。動物による食害が深刻化する中、捕獲や駆除に役立てる。「リアルタイム・シカ行動把握システム」を通信機器開発の数理設計研究所(群馬県太田市)と共同で開発した。GPS装置を取り付けた首輪をシカに装着させ、携帯電話回線を通じて、30分間隔で位置情報を送信する。麻酔を使わずに取り付けることができる。赤城山周辺に電波の受信局を6カ所設置し、赤城山全体を網羅するシステムを構築する。3月までに3頭で開始し、2014年度中に9頭に増やす。群馬県内ではシカやイノシシによる農作物の食害が深刻化しており、猟師の高齢化なども問題になっている。システムを使うことで動物の習性や移動ルートを把握し、効率的な捕獲につなげる。
(猟友会が100万円寄付:長野)
上伊那猟友会は児童養護施設たかずやの里の新築費用に役立ててもらおうと、14日100万円を寄付しました。この日は、上伊郡猟友会の竹入正一会長ら4人が伊那市役所を訪れ、伊那猟友会の牧田文男会長、高遠猟友会の山田勉会長、長谷猟友会の北原幸彦会長の3人が、白鳥孝市長に100万円を手渡しました。上伊那猟友会は、高遠長谷地区を主な拠点に野生の有害鳥獣の駆除活動などを行っています。2年前から、上伊那に10支部ある猟友会の会員600人に声をかけ、寄付を募ってきました。北原会長は「施設が移転しても子ども達が今までと同じような生活が送れるように、少しでも手助けしたいという気持ちです」と話していました。
(射撃センス、マタギの祖父譲り:秋田)
伝統的な狩猟を伝承するマタギの孫娘が、バイアスロンで2度目の五輪に挑んでいる。鈴木芙由子(ふゆこ、25)=自衛隊。祖父譲りの射撃センスと、農家だった父に似た我慢強さで、4年前のバンクーバーの「上」を狙う。距離スキーを滑った後、50メートル先の的をライフルで撃ち、また滑るといった競技。鈴木はソチで、7・5キロスプリントで39位と前回の44位を上回った。日本時間14日夜には15キロに挑む。秋田県北秋田市出身。射撃センスで引き合いに出される存在が、8年前に85歳で亡くなった祖父市蔵さんだ。冬になると、銃を持って雪山に入りタヌキやウサギを仕留めた。猟に臨む祖父の記憶はないが、「『こうしたから当たった、外れた』というのが、理屈ではなく感覚でわかる」。
(米軍、スマートライフルのテストを開始:アメリカ)
米軍は世界レベルの狙撃兵の訓練に多大な時間とお金を費やしている。誰もが射撃の名手になることを可能にする、コンピュータ化されたライフルの利用を米軍が検討し始めたのは、そのことが理由なのかもしれない。米軍は、小規模なライフルメーカーであるTrackingPointからハイテクライフルキット6つを初めて購入したことを発表した。米軍のProgramExecutiveOfficeの広報担当であるAltonStewart氏によると、その狙いは、「主要な目標捕捉および照準テクノロジとされているもののテストを開始する」ことだという。ハンターへの銃器販売が主要な事業であるTrackingPointにとって、自社の武器を米軍に利用してもらうことは、歓迎すべきことであると同時に、自然なことでもある。TrackingPointのマーケティングおよび販売担当バイスプレジデントであるOrenSchauble氏は米CNETに対して、「このテクノロジを提供して、戦争時における米国の有効性を高める機会を得られたことについて、われわれは本当に興奮している。自分たちは平均的な兵士の有効性をどのように高めることができるのか、ということにわれわれは大きな関心がある」と述べた。2013年に発売されたTrackingPointのハイテクライフルには、射撃手が最大1200ヤード(約1097m。アメリカンフットボールのフィールド12個分に相当)離れたところにある目標を狙撃するのを支援するコンピュータが内蔵されている。こうした容易な狙撃を可能にしているのは、ガイド付きのトリガーや、動く標的にロックオンして追跡することができる「NetworkedTrackingScope」などのテクノロジだ。
(カラスのもも肉、ミートパイで:東京)
日本ジビエ振興協議会などは20日、東京都江東区青海1丁目の東京カルチャーカルチャーで、「みんなで美味(おい)しくいただくジビエナイト」を開く。今回で3回目、野生のイノシシやシカなどを使った5品を提供。目玉は諏訪湖周辺で捕れたカラスのもも肉のミートパイ。カラスはフランスでは高級食材だったという。前売り券4500円。
(「ジビエ」を一般消費者向けに販売:富山)
業務用食肉卸のグランマルシェタケダ(富山市)は4月1日、同市問屋町の本社横に増築する工場に初の直営店を開業する。野生鳥獣の食肉「ジビエ」を一般消費者向けに販売する。同社は5年前から、地元の猟友会が捕獲したイノシシやシカ、カモ、クマなどの肉を飲食店向けに販売している。ジビエ料理は一般消費者の関心が高まっており、小売参入を決めた。直営店では、ジビエのほか、地元のブランド牛のギフト商品やハンバーグ、焼き鳥などの加工品も取り扱う。増築中の工場の面積は約1500平方メートル。4月に本格稼働する予定で、精肉の生産力は約4倍に高まる。総投資額は約3億円。竹田善正社長は「富山県内のジビエ需要を全て賄える生産力を備えたい」と話した。

TOPへ

2/14
(鳥獣被害対策ハンターの技能試験免除に県内自治体が危機感:神奈川)
野生動物による農作物の被害対策を進めている県内の自治体が、安全を担保した上で狩猟の担い手を確保する道を模索している。市町村に任命された鳥獣被害対策の「実施隊員」は、猟銃の所持許可を更新する際の技能試験が免除されるため、技術水準や意識の低下が懸念されるからだ。「公益事業を担うハンターだからこそ、技術の保障が必要なはず…」。国が特別措置法で定めた“特典”が関係者を悩ませている。「法で認められているとはいえ、技能試験を受けなかった隊員が事故を起こせば問題は大きくなる」湯河原町の担当者は不安を隠せずにいる。町は2012年、3人の町職員のみで実施隊を結成。捕獲はわな猟に限定し、地元の猟友会員7人は「自己責任」で協力している。伊勢原市も同年、市職員10人による実施隊の活動を始めた。年内にも猟友会員をメンバーに加える方針だが、「事故防止のために技術を磨いてもらう」(市担当者)と、技能試験に代わる講習会の実施を地元猟友会に働き掛けている。有害鳥獣の捕獲は各自治体から依頼を受けた猟友会員が自己責任で行っていたが、国は08年に鳥獣被害防止特別措置法を施行し、市町村の「被害防止計画」に基づく猟友会員らを中心とする実施隊の設置を促進。12年の法改正で、活動実績のある実施隊員に3年ごとの猟銃所持許可更新時の技能試験免除が認められた。県内で被害防止計画を策定しているのは厚木、秦野、南足柄、小田原、大井、山北、中井、松田、開成を含む5市6町。実施隊は伊勢原市と湯河原町で結成したほか厚木市を除く8市町も続く方向で、各市町は狩猟技術の維持に向けた対応策を検討中だ。秦野市は隊員の練習費用を助成し、技能試験を受けるよう求めていく方針。山北、開成両町は伊勢原市同様に講習会の実施を見据えている。中井町などは「技術や経歴を参考に適任者を見極める」としている。一方、市町村の中には特措法の必要性を訴えるケースも。ある町の担当者は「ただでさえ高齢化で猟友会員が減っているのに、特別措置がなければ担い手不足に拍車が掛かってしまう」と危機感を抱く。猟友会の中には狩猟現場と異なる条件での技能試験に不慣れな会員も多く、1回当たり1万2300円の受験料負担が重なることでの更新断念を懸念するからだ。農林水産省の統計によると、シカやイノシシなど野生動物による農作物の被害額は全国で200億円を超え、神奈川県でも年間約1億円(11年)に上る。ハンター育成による鳥獣対策の強化と、狩猟活動の安全確保-。関係者に二つの命題の両立が求められている中、全国では猟友会が技能試験に代わる独自研修を実施(長野県)したり、技能試験の受験料を負担(福岡県)したりする取り組みも広がっている。神奈川県猟友会の熊沢収会長(愛川町)は「技能試験を狩猟に近い方法に変えることで、担い手確保につながる」と指摘。その上で「実施隊員らには技術を維持するため技能試験の受験を勧めたい。少なくとも試験免除の代わりに講習は必要」とし、不公平感が募らないよう全市町村での対応一本化を求めている。
(クレー射撃は年齢不問のスポーツだ)
豪快な発砲音と砕け散るターゲットのクレー(皿)。命中した瞬間はホッとすると同時に、爽快感を味わえるひと時。だが、すぐに次の的を狙わなければならない。心を切り替え、クレーが飛び出すまで無心で待つ――。この繰り返しは持続的な集中力を養い、命中した気分はストレスを発散させる。クレー射撃は、メンタルに最良の競技といえるかもしれない。とにかく現場を見なければ語れない考え、日本クレー射撃協会にお願いして、絶対に都市部にはないだろうななどと思いつつ、山間部にある射撃場への取材を断行した。銃規制が厳しい日本では、手を出しにくいと思える「射撃」。学生時代はパソコンゲームで楽しんだことはあるが、実際に目にするのは初めて。ネットで調べるとライフル射撃や散弾銃を使うクレー射撃などの情報はあふれている。オリンピックの正式競技であることは知っているが、身近で見られないだけに一見の価値あり。その中でクレー射撃に絞って、射撃競技の楽しさ、精神面を鍛えられる副次的効果などを探ってみた。日本クレー射撃協会のホームページを見ると、日本各地に射撃場がある。今回、協会から指定された神奈川県伊勢原市にある県立伊勢原射撃場へと向かう。射撃場は山の斜面を利用して作られている。急な山道を登りだすと、周囲を切り裂くような発砲音が聞こえてくる。いよいよ初体験の瞬間が近づいてきた。「静止している標的ではなく飛んでいる的を破壊するのがクレー射撃の醍醐味です。元々は欧州でハトを飛ばして射撃したのが始まりで、それを皿に置き換えて競技としたのです。その魅力は感覚的なもので言葉にはうまく表せない」と語ってくれたのは、日本クレー射撃協会の副会長で競技委員長の笹田矩史(72)さん。笹田さんは親や親類が射撃をしていた環境で育ったそうで、18歳から自然に射撃の世界に入ったという日本を代表するクレー射撃の大ベテラン。数々の大会での優勝記録など輝かしい成績を持つ。狩猟も若いうちから始めている。「時々、猟銃による事故がありますが、それは日ごろの訓練不足」という。時には1日400発近い射撃訓練を長年続けていれば、獲物が動いた瞬間に何匹いるか、雄か雌かの判断までできるようになるそうだ。そこまで銃の扱い方、精神力を養うのが射撃なのだ。ここまでやれば、事故は起こらないはず。つまり、射撃は剣豪の修行に似ているのでは。多くの経験と訓練からつかむ技量と、集中力や気力など精神面の強さが必要なスポーツ。だから体力勝負の若さは不要。ここが大きな違いだ。むしろ人生経験も積んでいる中高年から始めたほうがいいのではないか、と話を聞いているうちに思うようになった。一般的な競技種目では20代の選手が中心だが、クレー射撃は40代が中心。「ミスをしないことが求められるのです。的を外せば、その失点を取り戻すことはできません。後半戦に奮戦して逆転勝利というわけにはいかない。ゴルフなら前半のミスも、その後の連続バーディーで何とか挽回できますがクレー射撃は違うのです」(笹田さん)。だからこそ、集中力を持続させられるかが勝負を決めるポイント。こうなると年齢は関係ない。基本的な体力が必要なのは当然のことだが、キツイ筋力トレーニングなどはいらない。「普通の体力を維持できるように鍛えていれば、生涯できる数少ないスポーツのひとつです」(笹田さん)という。中高年から始めても全く問題はないようだ。日本クレー射撃協会広報委員長の及川悦郎さんは、「すでに東京オリンピックを視野に入れた選手強化策の検討を始めています。それでもまだ、時間はたっぷりとありますから、今からクレー射撃を始めて、大会などで優秀な成績を積み重ねて行けば、オリンピック選手になれる可能性があります」と、驚くような言葉を発する。これまでガムシャラに働いてきた中高年サラリーマンが、オリンピック候補になれるかもしれない。まるで夢のような話だ。では、どうすればクレー射撃を始められるのだろうか。まずは、管轄の警察署で銃所持のための免許申請をする。提出書類には医師による精神的に問題が無いとの診断書が必要なのが他の免許とは少し違う。講習の案内などは各都道府県警のホームページなどにもあるので、それを見て受講することから始めればいい。協会などでもサポートしてくれるので、それほど敷居が高いことはないようだ。そうして免許が取得できたら、銃砲店で銃を購入する。金額はピンからキリまで。中古ならば3万円台からあるそうだ。散弾は1発、約35円。的になるクレーは射撃場の利用料に含まれているが、推定で1枚50円程度。クレー射撃は、金持ちのぜいたくな競技と思われがちだが、ゴルフよりも確実に安い。時としてストレスをためてしまうゴルフなどとは違い、弾を発射させるだけでも爽快感が味わえる。射撃場はかなり遠いイメージだが、ゴルフ場に行くのと大差がない。銃の持ち運びと保管さえ十分に気を付ければ、意外にも安い費用で大きな効果が得られる。取材するまで知らなかったことばかり。気楽に始めていいのではないだろうか。しかも「銃を所持できることは、国が安全安心を保証した人ということになる。これは自慢できることでしょう」と笹田さんは付け加える。さて、クレー射撃のルールだが、国際競技では「トラップ」「ダブルトラップ」「スキート」の3種類がある。簡単に説明すると「トラップ」とは罠(わな)という意味で、射台前方から飛び出すクレーが右、真中、左のどの方向なのか、高さも分からないという射撃競技。「ダブルトラップ」は、さらにクレーが2枚同時に飛び出してくるものだ。一方、「スキート」はクレーが左右から飛び出す競技。1枚だけ飛び出すシングル、2枚同時に出るダブルの組み合わせになる。それぞれの競技ごとに銃や構え方、射手が声を出してからクレーが飛び出す時間などが違い、クレーの枚数や得点方法なども違う。難しくはないが、文章で説明すると長くなるので大幅に割愛する。ここではイメージを伝えるだけにとどめておこう。冒頭でクレー射撃は身近にない、と書いたが、その一方で多くの人がやってみたいと考えているそうだ。数年前に某清涼飲料水メーカーが実施したアンケート調査では、やってみたい趣味の1位になったこともあるほど。何といっても散弾銃を撃ったときに全身で感じるズシンという衝撃は、やはりクレー射撃の醍醐味ではないだろうか。今回は体験こそできなかったが、許可をもらって射撃場内に入り至近距離で見ていたのでよく分かる。命中した時の射手の顔つきの変化が、面白いように読み取れた。やはり、これは爽快ですね。取材してクレー射撃の敷居は高くないことが分かった。免許取得までに時間を要するのは仕方ないこと。後は、個人競技なので好きな時に一人で行けるので気楽。費用負担も高額ではなく、何よりもストレス解消になるのがいい。銃は触らせてもらえなかったが、黒光りする銃身を見ているだけでも、なぜか気持ちが落ち着くような感じがした。
(エリートアカデミーで五輪へ:福井)
日本オリンピック委員会(JOC)が、五輪で活躍できる選手を発掘・育成するために行っている「エリートアカデミー」事業で、ライフル射撃競技の第1期生4人に福井市松本小6年の大塩勇斗(はやと)君(12)が合格した。4月から東京で合宿生活を始める大塩君は「東京五輪に出たい」と夢を膨らませている。事業は二〇〇八年に始まり、これまではレスリング、卓球、フェンシングの三競技が対象。四月からはライフル射撃と水泳飛び込みの二競技が加わる。県内からはレスリングの白井勝太選手(18)=福井市河合小出身、帝京高校三年=が、第一期生として選ばれている。昨年十二月に行われたライフル射撃競技の第一期生の選定試験には小学六年~高校一年の二十五人が受験。福井県のほか福岡県、徳島県の男女計四人が合格した。合格者の中で大塩君が最年少だった。父親が県ライフル協会の生島賀寿也理事長と知り合いだった縁で、大塩君は小学四年生から福井市杉谷町の県立ライフル射撃場で県協会の教室に参加。昨年八月に東京で開催された全日本小中学生選手権大会小学生の部では立射で優勝、自由姿勢では準優勝を飾り、素質と将来性が高い評価を受けた。日本協会の担当者は「実績はもちろん、視力などの体力面、集団生活に適応できるかの性格面など、さまざまな項目で優秀だった。特に作文で審査した目標意識が高かった」と評価。「競技の本場の欧州では、十二歳ごろから国際大会に出場する選手もいる。ようやく日本も同じ土俵に立てる」と期待した。大塩君は四月から、東京都北区のナショナルトレーニングセンターで寝起きし、近くの区立稲付中学校に通いながら合宿生活を送る。中高生男女約五十人の共同生活だ。「福井から一緒に受けた子の分も頑張る。いろいろなことがあると思うけど、五輪出場を目標に乗り越えたい」と決意を語った。県協会の生島理事長は「福井にはシドニー、アテネと五輪に二大会連続で出場した西本宏美さんという先輩もいる。続いて五輪に出られるよう頑張ってほしい」と期待を込めた。
(サルに首輪、畑に入ると音と電流:青森)
サルによる農作物被害が多発している青森県西目屋村で、弘前大学などとの産学官連携による被害防止の無線センサーシステムの実験が進められている。捕獲したサルに首輪を取り付け、畑に侵入するとセンサーが検知し、首輪から警報音と微弱電流が流れて、サルを撃退する。春頃から村内の畑に本格的に設置し効果を検証する。将来は、イノシシやシカなどサル以外の田畑を荒らす動物にも応用することを目指す。システムは同村と弘前大学と、弘前市のITシステム会社「東北データーサービス」が、産学官の連携で開発した。首輪を付けたサルが畑に侵入しようとすると、畑の周りに立てたポール上の赤外線センサーが検知して首輪の機器に信号を発信、首輪の機器から音響ブザーと微弱電流の2段階の警報を出して、サルを撃退する仕組みだ。昨年12月に行われた公開実験では、サルの代わりに犬を使った。赤外線センサーから10メートルほどに近づくと、首輪から「ブーッ」という甲高い音が鳴り響き、犬は、不安な様子を見せていた。ポールには小型カメラも設置してあり、ネット経由で自宅のパソコンから監視し、遠隔操作で撃退することもできるという。首輪の機器には小型電池のほかに、小型の振動発電装置を搭載した。サルが歩いたり、はねたりする振動で発電し、小型電池に蓄電する。センサーやカメラには太陽光発電を付けた。小型振動発電装置を開発した弘前大の古屋泰文教授は「サルが首輪の警報を学習することで、畑に近づかなくなれば良い。首輪がないサルも、赤外線センサーで感知して追い払うことができる」と話す。同村でのサルの食害は、過去5年で57万~516万円。村では、昨年から捕獲したサルにGPS(全地球測位システム)付きの携帯電話を首輪に取り付け、サルの位置を知る実験を行ってきた。一部の群れの行動範囲がわかり、駆除に役立ったが、携帯電話の電源が長くもたないことが課題だった。3者は、実用化後もさらなる装置の小型化や原価低減を進めながら、将来はサルだけでなく、イノシシやシカ、クマ、ハクビシンなど他の動物の撃退にも使えるようにし、全国にシステムを販売する考えだ。
(サルの群れ出没:富山)
富山市大山、細入地域で今年、ニホンザルの群れが頻繁に出没し、野菜が食い荒らされる被害が出ている。住民を威嚇する個体も確認され、児童が教員に付き添われて集団下校する事態も。住民によると、冬季、とりわけ雪が降り始めてからサルが集団で現れることは珍しく、少雪の影響との推測も広がっている。市は住民に対し、餌を与えない、近づかないなどの注意を呼び掛けている。富山市細入総合行政センターによると、周辺でのサル目撃情報は、2012年はほとんどなかったが、13年は約60件に急増。冬でもサルの出没は収まらず、楡原中、ほそいり保育所の周辺で目撃された。1月24日には福沢小周辺で10匹以上が現れたため、同校は集団下校を実施。30日朝には群れが校庭に入り込んでいるのが確認された。周辺住民によると、サルは多い時で30匹以上。富山市岩稲の本芳弘子さん(78)は1月以降、頻繁にサルを目撃し、自宅車庫に置いてあったカボチャを取られる被害にも遭った。大山地域の文珠寺(もんじゅじ)でも連日のように群れが現れている。柳原信雄さん(65)は「20匹ほどが軒先のカキの木に群がり、残っていた果実を全部持っていった」と話す。隣接する東黒牧でも、雪の少ない畑に入り込み、大根やニンジンを持っていく姿が見られる。住民に向かって威嚇声を発するサルもいるという。谷口敏子さんは「30匹ほどの群れが1日3、4回も畑を荒らしたり、屋根の上を走ったりする。今年は畑で野菜を作れるか不安」と話した。富山市科学博物館の南部久男館長は冬季の出没について、県内に分布が広がっている証しではないかとみる。実際、県の調べでは、県内に生息するサルは04年の78群2100匹に対し、12年は84群3100匹。このうち農作物被害をもたらすサルも、23群700匹から29群1700匹に拡大している。県自然保護課の磯孝行野生生物係長は「野菜は屋外に置かない、果実は樹上から取り除くなど、夏場と同様の対策が必要」と話している。
(イノシシ捕獲隊結成:富山)
富山県の鳥獣保護区に指定されている高岡市福岡町沢川(そうごう)で、市の許可を受けた有害鳥獣捕獲隊が結成されることになった。相次ぐイノシシの出没を受け、昨秋に狩猟免許を取得した住民4人が市から委嘱を受け、捕獲用のおりの設置や見回りを行う。13日に委嘱書が交付される。沢川地区は石川県との県境に位置する中山間地。今年度捕獲されたイノシシは、高岡市内で捕獲された25頭の半数近くに上る12頭で、田畑が荒らされるなどの被害が発生していた。市は電気柵や仕掛けたおりの設置を進めてきたが、鳥獣保護区のため自衛による捕獲が認められておらず、地元住民から緊急の対策を求める要望が挙がっていた。このため、市は唯一捕獲が許可されている小矢部・福岡猟友会の福岡町有害鳥獣捕獲隊の一員として地元住民を委嘱し、被害の防止、軽減を図る。市によると、市内のイノシシ捕獲数は昨年度の8頭から3倍強に増加している。19日も県高岡農林振興センターや氷見、小矢部、射水各市と協力し、被害防止の研修会を開く。高岡市は「地元の人が自分たちの地域を守る一歩になるとうれしい」(農業水産課)としている。
(シカ捕獲、効率アップ:岐阜)
岐阜大の森部絢嗣寄付研究部門教員(34)=野生動物管理学=は、鳥獣被害が問題となっているシカをくくりわなで効率よく捕獲する方法を開発した。シカの行動パターンを分析し、えさと誘導体を使って前足を置きそうな場所を特定するのが特徴で、ほぼ100%成功が期待でき、「初心者でもうまく捕れる」と普及を図っている。米ぬかなどのえさで誘い、倒木や岩などを置いておくと、えさを食べに来た時の経路が限られる。あとは、常に前足を置く場所にわなを仕掛ける。従来は、獣道を見つけてわなを仕掛けていたが、猟をする人の経験と勘に頼る部分が大きかった。一般的にくくりわなの捕獲効率は約3%。わなを100個仕掛けて、その日のうちに成功するのは3個程度。森部さんが開発した方法で、シカの動きを確認するカメラも利用すれば、ほぼ100%成功するという。森部さんは「初心者が早い時期に成功体験をすることで意欲も出てくる」と話している。県内の農作物の鳥獣被害(2012年度)は約4億3300万円で、このうちシカが2割を占める。近年、シカ被害の比率が高まっている。森部さんの鳥獣対策研究部門は、森林・環境税を原資に設置した県の寄付講座。
(植物園にもシカの被害:京都)
福知山市猪崎、三段池公園内の市都市緑化植物園(赤壁景子園長)で、園正面にある花壇スペースに野生のシカがやって来て、花を食い荒らす被害が出ている。シカは夜間に出没するようで、園では被害を食い止めようと、閉園後、囲いを取り付けるなどの対策を取っている。シカの被害が確認されるようになったのは2年ほど前から。山に餌が無くなる冬に出没する。今冬は昨年12月ごろから、花壇に植えられているビオラの花が食べられる被害が出ている。またシカが花壇の土を踏み付けるため、地中のチューリップの球根が傷んでしまうことも心配される。公園内の動物園近くを通って現れるといい、園の職員は、猪崎と川北の境の山地付近から出没していると見ている。囲いは工事用の鉄製フェンス(高さ1・8メートル)を借り、4日に花壇への入り口正面に取り付けた。周囲は糸を張ったりして侵入を防いでいる。囲いを設置してからは、降雪の影響もあり、今のところは被害は出ていない。園ではこのほか、葉ボタンがシカに引き抜かれるなどの被害が出ている「市民の花壇」に、シカが嫌がる糸を張って防御。今後ハーブ園にも麻ひもを張って防ぐことにしている。赤壁園長は「以前は樹木の皮や葉を食べる被害が出ていましたが、今は花壇まで侵入し、被害が広がっています」と心配しており、「春にきれいなチューリップなどの花を見てもらうため、当分の間は囲いを取りつけておきたい」と話している。
(猿とイノシシ、上と下で防ぐ:島根)
島根県西部農林振興センター県央事務所は、既存のイノシシ用ワイヤメッシュ柵の上部に電気柵を設置することで、猿の農地侵入防止に成果を挙げた。ワイヤメッシュ柵をよじ登った猿を電線に接触させる仕組み。イノシシと猿の両方に有効な防護柵を新たに設置するには費用が掛かるが、これなら電気柵の導入だけで済む。研修の場として今年度に設けたモデル圃場(ほじょう)では、現在までに被害は出ていないという。県央事務所管内の川本町や大田市などでは、家庭菜園などに設けたイノシシ用ワイヤメッシュ柵を猿がよじ登り、農作物を食い荒らす被害が出ている。イノシシと猿の両方に有効な防護柵を新設するには費用が掛かり過ぎるため、有効な対策が打ち出せずにいた。被害軽減に着目したのが、ワイヤメッシュ柵と電気柵の組み合わせだ。県央事務所は地元農家のアイデアを参考に2011年度、ワイヤメッシュ柵の10センチ上部に、3段以上の電気柵を設置する方式を考えた。長さ1・5メートル程度の支柱を使う以外は、従来の電気柵を作るのと手間は変わらない。電線の間隔は15センチが目安で、猿を感電させるため(1)上から2番目の電線をマイナスにする(2)金属がいしは外向きに支柱へ取り付け、猿と接触しやすくする――のがポイントだ。ワイヤメッシュ柵は既存の物を利用するため、電気柵の設置コストだけで済む。県央事務所によると、柵の長さ500メートル当たりの費用は発電器が約3万円、支柱と電線が約2万円という。比較的安価に作れるとして、管内JAの広報誌などで導入を呼び掛け、普及に努めている。13年11月には技術指導の場として、大田市に約10アールのモデル圃場を整備した。行政担当者に実技指導し、長さ100メートルの柵を設置。猿とイノシシの侵入は見られないという。県央事務所の堂山宗一郎鳥獣専門指導員は「柵の近くに木などがあると、そこから跳び越えて侵入する恐れがある。場合によっては伐採が必要だ」とみる。放任果樹や野菜くずの片付けなど猿を地域に近付けない対策も大事だと指摘している。
(越冬渡り鳥、次々500羽:岡山)
寒さが一段と厳しくなる中、玉野市田井の深山公園の赤松池に毎冬集まってくる渡り鳥の数がピークを迎えた。家族連れらが餌用のパンくずを持って次々訪れており、今年も同公園での人気ぶりは健在だ。池にはヒドリガモをはじめ、オナガガモ、コガモが越冬のためユーラシア大陸北部などから飛来。同市公園緑化協会によると、今年の一番鳥は9月下旬で、それ以降毎月約100羽のペースで増え現在約500羽。連日、孫を連れたお年寄り、熟年の夫婦、子ども連れの母親らが訪問。子どもたちはパンくずに群がるカモの勢いに驚いたり、「カモさん、カモさん」と呼びながら後を付いて歩いたりしていた。カモは4月ごろ、春の訪れとともに繁殖のため北へ向けて飛び立つ。
(同僚に銃向けた疑い、派遣中の警官書類送検:福岡)
暴力団の警戒活動のために派遣されていた福岡県内の警察署で、休憩中に同僚警察官に拳銃を向けたとして、大阪府警は12日、生野署直轄警察隊の男性巡査部長(33)を銃刀法違反容疑で書類送検し、停職1か月の懲戒処分にした。巡査部長は同日付で依願退職した。府警監察室の発表では、巡査部長は昨年12月13日夜、同県警八幡西署(北九州市)の食堂で、隣席にいた生野署の男性巡査(26)のこめかみに銃口を向け、同21日夜には脇腹に突き付けた疑い。いずれも夕食前の休憩時間だった。巡査が同署の上司に報告して発覚。食堂には巡査以外に福岡県警の警察官らもおり、巡査部長は「(巡査の)リアクションで場を和ませようと思った。軽い気持ちだったが一線を越えてしまった」と話しているという。
(「シカレディース」:和歌山)
シカやイノシシなどによる農作物被害が特に深刻化している日高地方。これらを捕獲しジビエ料理として食べることで頭数を減らそうと、農家でつくる日高地方生活研究グループ連絡協議会が昨年4月に組織した「シカレディース」(約20人)のメンバーだ。日高川町の自宅近くにある山で、クリやシイタケなどを育てている。長年、野生鳥獣の被害に頭を悩ませていた。シカはクリの新芽を食べて木を弱らせる。イノシシは地上に落ちたクリを食べる。また猿による被害にも遭う。由良町で一昨年開かれた「美味(おい)シカ料理コンクール」で、オリジナルの梅酒煮を出品し入賞した。普段作っているサンマの梅酒煮にヒントを得て「どんな肉でもまず臭みを取ること」を思い付いた。ブロックに切り分けたシカ肉を牛乳に30分間漬ける。圧力鍋で梅酒やニンニクなどと一緒に弱火で30分間煮込む。一晩置いてスライスすると完成だ。シカの肉だということをあえて伝えず、家族に試作品を食べてもらった。梅酒の甘みが加わり好評だった。「偏見なしに肉の味を評価してもらえた」と振り返る。同連絡協を構成する日高川町生活研究グループの会長を務める。グループは普段、町立中津ふるさと産品加工所(同町船津)で、お菓子やみそ、ジャムなどの加工品を生産。隣接する道の駅「SanPin中津」で販売している。今月11日に町農村環境改善センターで開かれた第8回町農業祭で、シカ肉を使った梅酒煮100食分と料理冊子を無料で配布した。「昨年はシカと聞いただけで拒否する人が多かった。PRの成果もあり、今年は『おいしい』と言って食べてくれる人が多くなった」と龍田さん。「今後は、道の駅でもシカ肉料理を定期的に食べられる機会ができれば、来客が増えて地域活性化にもつながる」と意気込んでいる。
(タケノコ、イノシシ肉で、ご当地バーガー開発中:和歌山)
和歌山市山東地区にB級グルメを!――。同地区の活性化を促進する市民団体「山東まちづくり会」(湯川正純会長)は、地元のタケノコやイノシシ肉を使ったご当地バーガーの開発を進めている。四季の郷公園で開かれる「四季の郷クラフトフェア」(4月12、13日)での販売を目指しており、11日には河南コミュニティセンターで1回目の試作会が開かれた。開発は管理栄養士の北紀子さん(41)と、若い世代からの意見をもらおうと和歌山大学の学生の協力を得て実施。ハンバーガーのパンは会員の瀬藤嘉史さん(54)が営むパン屋「ベイカーズ」が提供し、上のパンには同会マスコット「たけのこまん」の焼き印が押されている。試作会ではスライスしたタケノコと、みそやぽん酢で味付けしたり、照り焼きにしたイノシシ肉を合わせるなど、さまざまな調理法を試した。同大学観光学部2回生の中村ちひろさん(20)は「イノシシ肉の食べ応えやタケノコの食感は男性に評判がよさそう。女性にはヘルシーさが売りにつながるのでは」と分析した。実際の販売では地元のブルーベリーやミカンを使用したドリンクとセットにして500円で売り出す予定。湯川会長(47)は「山東地区のB級グルメを作ってタケノコの消費が上がれば。ゆくゆくは周辺の店と連携して販売したい」と展望を話した。
(イノシシ料理に“彩り”:石川)
小松商工会議所は、小松市山間部で捕れるイノシシ肉の料理と特産の九谷焼を組み合わせ、全国からの誘客を狙う事業に取り組んでいる。
害獣のイノシシ肉を「ジビエ料理」として活用し、九谷焼の皿に盛って提供。地元の「地」、美味の「美」、九谷の「絵」にちなんで「KOMATSU地美絵(ジビエ)」としてブランド化を目指す。二〇一一年度に事業を始め、一二年度から本格化させた。昨年二月にはジビエ料理の市民向け試食会を開き、94%がアンケートで「また食べたい」と答える好感触を得た。一三年度は、商品化につなげるため市内の飲食店七店が試作を進めてきた。イノシシのローストやロースの西京焼き、もも肉のつみれなどを試作。市内の九谷焼作家八人が作った三十二点の皿から、それぞれ料理のイメージに合った作品をコンペで選んだ。肉の安定供給が難しいという課題は、逆手にとって希少価値をアピール。冬の狩猟期間外に捕れた肉も薫製やソーセージ加工するなど有効活用を目指す。十六日は、飲食や旅行専門家らを招いた試食会を開く。三月中旬には一般有料モニターを募って試食会を開き需要を調べる。商議所の関係者は「小松だけで楽しめるおもてなしの料理を考え、食通も小松を目指すようにしたい」と意気込んでいる。
(キモかわ狙いキャラ、イノシシに名前を:島根)
美郷町の「ゆるキャラ」が誕生した。駆除したイノシシの肉を食用肉や皮革製品などに活用する地域ブランド「おおち山くじら」にちなみ、イノシシをイメージしたデザインを採用。まだ名前がなく、町は「多くの方に親しまれるような、すてきな名前をつけて」と募集している。山を模した帽子の帯には江の川を描き、橋の形をしたバッジを添えた。牙とひづめでイノシシと判別できるが、クジラを連想させる水色のパンツもはいている。デザインした地域おこし協力隊員の山本友紀さん(22)は「気持ち悪いけど、かわいらしく見える<キモかわ>を狙った」と話す。名前が決まれば、キャラの性別や性格などを設定して町の印刷物に利用する。さらに、着ぐるみを作って様々なイベントに参加するなど、町のPRに役立てる予定で、新年度にも“デビュー”するという。名前の公募は20日まで。結果は3月に発表し、採用者には町の特産品を贈る。

TOPへ

2/12
(銃猟免許の新規取得者93人:岡山)
ライフル銃や散弾銃を使って狩猟をするための第1種銃猟免許の岡山県内新規取得者が、2013年度に93人と前年度に比べ42人増となり、1989年(平成元年)度以降で最多だった。
(サル撃退無線センサー:青森)
サルによる農作物被害が多発している西目屋村で、弘前大学などとの産学官連携による被害防止の無線センサーシステムの実験が進められている。捕獲したサルに首輪を取り付け、畑に侵入するとセンサーが検知し、首輪から警報音と微弱電流が流れて、サルを撃退する。春頃から村内の畑に本格的に設置し効果を検証する。将来は、イノシシやシカなどサル以外の田畑を荒らす動物にも応用することを目指す。システムは同村と弘前大学と、弘前市のITシステム会社「東北データーサービス」が、産学官の連携で開発した。首輪を付けたサルが畑に侵入しようとすると、畑の周りに立てたポール上の赤外線センサーが検知して首輪の機器に信号を発信、首輪の機器から音響ブザーと微弱電流の2段階の警報を出して、サルを撃退する仕組みだ。昨年12月に行われた公開実験では、サルの代わりに犬を使った。赤外線センサーから10メートルほどに近づくと、首輪から「ブーッ」という甲高い音が鳴り響き、犬は、不安な様子を見せていた。ポールには小型カメラも設置してあり、ネット経由で自宅のパソコンから監視し、遠隔操作で撃退することもできるという。首輪の機器には小型電池のほかに、小型の振動発電装置を搭載した。サルが歩いたり、はねたりする振動で発電し、小型電池に蓄電する。センサーやカメラには太陽光発電を付けた。小型振動発電装置を開発した弘前大の古屋泰文教授は「サルが首輪の警報を学習することで、畑に近づかなくなれば良い。首輪がないサルも、赤外線センサーで感知して追い払うことができる」と話す。同村でのサルの食害は、過去5年で57万~516万円。村では、昨年から捕獲したサルにGPS(全地球測位システム)付きの携帯電話を首輪に取り付け、サルの位置を知る実験を行ってきた。一部の群れの行動範囲がわかり、駆除に役立ったが、携帯電話の電源が長くもたないことが課題だった。3者は、実用化後もさらなる装置の小型化や原価低減を進めながら、将来はサルだけでなく、イノシシやシカ、クマ、ハクビシンなど他の動物の撃退にも使えるようにし、全国にシステムを販売する考えだ。
(イノシシの農作物被害防止へ手引書:富山)
イノシシによる農作物の被害を防ぐため、県高岡農林振興センターなどは11日までに手引書を作成した。「ケモノミクス」と銘打った三つの対策や効果的な事例を紹介。19日に管内4市の各鳥獣被害防止対策協議会と連携して開く大規模な研修会で活用し、集落を挙げた対策を呼び掛ける。手引書はA4判7ページ。「ケモノミクス」では、農業者も狩猟免許を取得してイノシシの捕獲を行うほか、集落全体で里山を整備して生息環境を管理し、電気柵の設置などで被害防除にも取り組むことを挙げている。電気柵は、水稲が出穂する前の7月に圃場(ほじょう)1筆より広範に設置する方が効果が上がることを紹介。国の補助事業で電気柵約23キロを設置して集落の全農地約48キロを囲い込み、さらに住民がわなの免許を取得、おりを置いて集落全体で対策を講じて被害防止に効果を上げた南砺市小又集落の事例なども掲載した。400部を作成し、関係者に配布する。県高岡農林振興センターによると、管内のイノシシによる農作物の被害金額は昨年度1674万円に上った。今年度は、前年度の被害金額が998万円と県内で最も多かった氷見市を中心に捕獲や電気柵の設置をはじめとする各種対策を講じたため、被害額は大幅に減少する見込みとなっている。ただ、新たな被害地も発生していることから、センターは各地域の指導資料を「イノシシ被害防止対策の『手解(ほど)き』」として冊子にまとめた。研修会は管内の農業者や関係機関から約100人が参加する予定で、各集落の特徴的な取り組み事例などを紹介し、被害防止策を話し合う。
(シカ肉に認証制度:長野)
県内の狩猟者や調理師らでつくる「信州ジビエ研究会」と県は、県産シカ肉の認証制度を新たに設ける。シカ肉を適切に処理している施設を認証し、そこから出荷される肉に認証シールを貼って販売できるようにする。ジビエ(野生鳥獣肉)の一種のシカ肉は、牛肉などと比べて消費者になじみが薄いため、安全で安心な食材としての「お墨付き」を与えてブランド化を進め、県産シカ肉の需要の拡大につなげる。同研究会や県でつくる審査委員会が、食肉処理施設の書類審査や現地審査をして認証する。県が2007年度に策定した信州ジビエの「衛生管理ガイドライン・衛生マニュアル」に沿ってシカを解体しているか確認。委員は解体の様子を見学し、施設側の作業手順書などが守られているか調べる。認証期間は1年間。シカ肉処理の記録が適切に保管されていれば1年ごとに更新する。認証を受けた施設から出荷したシカ肉には個体識別番号を与え、同研究会のホームページで捕獲日や産地、雌雄が確認できるようにする。農林業被害を受け、県内で12年度に捕獲されたニホンジカは3万3668頭。そのうち食肉にされたのは約5%の1524頭にとどまり、シカ肉の消費拡大が課題になっている。県は、認証されたシカ肉を県産農産物の統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」の一つと位置付けてPRする。茅野市のフランス料理店のオーナーシェフで、信州ジビエ研究会理事も務める藤木徳彦さん(42)=日本ジビエ振興協議会代表=は、北海道や和歌山県にも同様の認証制度があるとした上で、「長野県でも認証制度はぜひ進めるべきで、ジビエの県外への売り込みにつなげてほしい」と期待している。
(「ジビエフェア」始まる:福岡)
農作物への被害を防ぐために捕獲したイノシシや鹿の肉を料理に活用しようと、県内の飲食店が期間限定で特別料理を提供する「ふくおかジビエフェア」が初めて開催されている。福岡、北九州など9市町の計20店が参加。各店で、独自に開発した料理を提供しており、価格は700~5775円という。23日まで。「ジビエ」は、狩りによって得られた野生鳥獣の肉を指す。欧州では高級食材と重宝されているが、「独特の臭みがある」といった先入観から、日本ではあまり普及していない。県畜産課によると、野生動物による農作物への被害は2012年度、約14億円に上る。一方、捕獲数は同年度でイノシシ約2万2000頭、鹿約4000頭に上ったが、肉はごく一部しか市場に出回っていないという。ジビエの有効活用に向けて、県は昨年2月、飲食店や食肉業者などに呼びかけて「ふくおかジビエ研究会」を発足。料理法の開発や普及などに努めてきた。フェア初日の7日、参加店主ら約10人が県庁に小川知事を訪ね、ジビエ料理を振る舞った。小川知事は「臭みがまったくなくおいしい」と太鼓判を押していた。研究会の西木広幸副会長(64)は「低カロリー、高たんぱくなので、女性にも喜ばれるはず」と話していた。
(シカ肉加工場に改装:山梨)
早川町はハム製造工場として使っていた同町草塩の建物を改装し、シカの食肉加工場として整備する。食害を防ぐため駆除したシカを有効活用し、特産品化を見込む。本年度中に着工し、年内の完成を目指す。工場を町内の猟友会員に貸し出し、シカ肉の生産を行ってもらう予定。町は全体が山間地にあり、シカなどが農作物を荒らしてしまうケースが多い。町には毎年のようにシカに荒らされたという住民からの報告が上がってきている。食害対策の一環として、最近注目を集めているジビエ料理に使うためのシカ肉を製造することを考えた。工場は4年前まではハム製造工場として使用されていたが、工場の移転とともに空き屋となっていた。傷んでいた天井や床などを補修し、肉をつるすためのクレーンや冷蔵庫を設置する。肉をミンチにするミートチョッパーや真空パックにする機械なども設置する予定で、一連の流れをすべて工場内でできるようにするという。町振興課の担当者は「シカは年々増えていき、猟師は高齢化で減っていく現状。シカ肉が特産品となり需要が高まることで、将来猟師の後継者が出てくることも期待したい」と話している。
(食害対策へ鳥獣解体施設開設:鹿児島)
農作物の食害対策として阿久根市の狩猟者らがイノシシやシカを解体処理する施設「いかくら阿久根」を開設し、市内の捕獲頭数の増加に貢献している。民間の同様施設は県内で初めて。自分で解体する手間が省けることなどが、狩猟意欲をかき立てているという。同市の狩猟者でつくる有害鳥獣捕獲協会(牧尾正恒会長、58人)が約1500万円をかけて同市鶴川内に解体処理・冷蔵保管室、包装室、事務所などを備えた施設を建設。食肉処理業、食肉販売業の許可を得て昨年6月に開設した。同協会理事の宮原明さん(77)ら食品衛生責任者の資格を持つメンバー12人が中心となって、狩猟者から捕獲の連絡が入ればすぐに施設に集まり、不定休で朝から夕方まで処理を受け付けている。施設開設の背景には、有害鳥獣による食害がある。特にシカが市特産のボンタンの実や葉、幹の皮を食べ尽くす被害が深刻化。イノシシも竹林のタケノコや畑のイモなどを掘り返すなど農業に打撃を与えている。このような状況を受け、狩猟者らは「有害鳥獣の捕獲促進には解体処理施設の開設が不可欠」として一念発起。市にも掛け合って、食害対策などとして1頭当たり計2万3000円の補助を取り付けた。「施設の開設で自宅で解体したり、山に埋めたりしていた狩猟者の意欲が向上した」と宮原さん。実際、2012年度の1年間に市内で捕獲されたイノシシとシカは計264頭だったが、今年度は1月末現在で約2・4倍の629頭を処理したという。処理した肉は現在、持ち込んだ人が大部分を持ち帰っているが、将来的に販路の開拓を目指している。そのためには、「ジビエ(狩猟肉)料理」の普及が不可欠として、地元のフランス料理店「らぼんじょるね」の奥平博文オーナーシェフ(46)らの協力を得て、市民対象のジビエ料理講習会を開くなどしている。牧尾会長(71)は「一番の目的は増えすぎたイノシシやシカを効率的に駆除し、個体数を適正化すること。だが、その肉をそのまま廃棄しては山の神に申し訳ない。夏はシカ、冬はイノシシが脂が乗っておいしい。資源として有効活用できるよう販売も力を入れていきたい」と話している。県農村振興課によると、12年度の県内農作物の鳥獣被害額は約6億8600万円。うちイノシシとシカによる被害が4億900万円を占め、増加傾向にもある。
(イノシシ・シカ肉の加工場完成:宮崎)
西米良村上米良地区の住民団体、地域資源活用活性化協議会が地元で捕獲されたイノシシやシカの解体・加工施設をつくった。捕獲後、その場で廃棄されるケースも多かった野生動物の肉(ジビエ)を地域資源として活用する試みで、来月にも本格稼働の予定。食肉として販売するほか、チャーシューやコロッケなどに加工して、新たな特産品として売り出す考えだ。上米良地区はユズなどの農産物のほか、サツマイモなどを干した「にぼし」と呼ばれる菓子などの生産が盛ん。イノシシやシカなどによる農林業被害を防ぐため、地元猟友会の協力を得るなどして捕獲を進めている。ジビエは牛や豚などの家畜と違って、と畜や解体にかかわる法規制はないが、解体した肉を食肉として流通させる場合は食品衛生法に基づく許可が要る。このため協議会事務局長の小佐井武憲さん(62)ら3人が食品衛生責任者の資格を取得、解体から食肉としての処理、加工、販売に取り組む態勢を整えた。完成した解体・加工施設は木造平屋、43平方メートル。国や村の支援も得て、1979年に廃校になった上米良小学校の校長宿舎を改築した。解体場で皮をはいだり内臓を取り除いたりした後、精肉にして真空パック処理や加工に回す。原則、村内で捕獲されたイノシシやシカが対象で、解体・加工は主に狩猟期間外の3月から10月にかけて実施する。和歌山、熊本両県などの先進施設を参考に、イノシシはチャーシューやコロッケなど、シカは甘酢あんかけなどにできないか、検討中という。上米良地区の住民は100人余り。65歳以上の高齢者が半数近くを占める。小佐井さんは「住民にも観光客にも『おいしい』と言ってもらえる商品に仕上げ、西米良の新たな特産品にして地区を盛り上げたい」と話している。
(シカ肉の流通促進に力を入れる:北海道)
登別市は2014年度(平成26年度)登別産のエゾアワビとエゾシカ肉の流通を円滑に進めるため「登別産1次産品普及促進事業」を始める。新年度予算に80万円を計上する。高級食材としてブランド力の高いエゾアワビと、これまで焼却処分していたエゾシカ肉の販路開拓、有効活用策を図り新たな「食の魅力」を高める狙いだ。エゾアワビはこれまで日本海沿岸や噴火湾の一部で生息し、室蘭から東側の太平洋海域では分布していないとされていたが、近年登別海域において生息が確認された。漁業関係者からは「新しい資源」との関心が高まっているという。そこで市は11年度からいぶり中央漁業協同組合と連携し、試験的に人工種苗の放流のほか、生息漁場の環境や放流種苗の成長を追跡調査し、「つくり育てる漁業」を推進してきた。市によると、昨年11月の追跡調査の結果、11年7月に放流した人工種苗が漁獲可能サイズの75ミリ以上の平均殻長92ミリとなり、新年度に水揚げする予定。今回は「テストマーケティング事業」として、市内温泉旅館やホテルを対象に食材の使用の有無の調査をする。モニターの宿泊客に料理を提供しアンケートも実施する。エゾシカ肉については、今月札内町に食肉処理場がオープンする予定。安定供給と消費者理解につげるため、「カルルス温泉冬まつり」などのイベントで試食PRを行う。また、市内飲食店を対象に料理研究家やホテル調理人などを講師に、シカ肉の特性や料理に関する講習会の開催も計画している。市は「生産者と使用者を結びつけ、市内での流通を生み出し、地産地消の推進とブランド化に向けた機運を醸成したい」としている。
(くま鍋1300食完売:富山)
上市町の冬の恒例イベント「剱岳雪のフェスティバル」が11日、同町役場駐車場で開かれた。大勢の来場者が名物のくま鍋や姉妹都市・千葉県九十九里町の特産品などを味わい、町のマスコットキャラクターにちなんだ「つるぎくん体操」もお披露目された。

TOPへ

2/10
(「巻狩り」、メンバーの連携を確認:福井)
イノシシなどによる農作物への被害も増える中、大野市の猟友会が市内の山で巻狩りを行ない、狩猟技術の向上に加え、メンバー同士の連携をチェックしていました。巻狩りは、大人数で協力しながら狩猟ポイントの四方を囲んで、イノシシやシカといった獣を追い込んで捕獲する猟で、猟友会では、狩猟技術の向上などを目指して毎年取り組んでいます。きょうは、県猟友会大野支部のメンバーあわせて33人が、猟銃を担ぎ「かんじき」を履いて市内の山に入りました。ところで、大野市では、イノシシやシカなどによる農作物被害が年々増加しているということで、猟友会では無線で連絡を取り合いながら事故の防止や、メンバー同士の連携を念入りにチェックしていました。
(クマ、県内に何頭?:福島)
2012年度は最大で1100頭だった県による推定生息数が、13年度は最低でも2千頭になった。調査した地域によって特性が異なることなどが原因とみられる。県は「継続的に調べ、人身事故などクマによる被害の減少につなげたい」としている。
(煙火でサル撃退を:長野)
サルによる農作物の被害を減らそうと、飯田市羽場地区と山本地区で九日、大きな音で驚かせて追い払う「動物駆逐用煙火」の安全講習会があった。市鳥獣被害対策協議会が地区に呼び掛け、今後市内の十会場でも開催する。煙火は講習を受ければ一日に二百本まで無許可で使用できる。山本地区では十三人が参加。DVDで被害対策を学んだ後、県下伊那地方事務所の林務課職員が「サルが下りてきたら自分も山の中まで入って追い返すことと、サル目がけて煙火を発射することが重要」と指導した。実演もあり、煙火を販売するアルプス煙火工業の松下富己夫さん(63)がステンレス製の筒に煙火を差し込み、手に持ったまま発射。五秒間隔で三回火薬が飛び出し、爆発音が響いた。参加者に一人六本ずつ配布され、使い方を確かめた。参加した団体職員山田悟志さん(60)は「この辺りは被害が多いので、煙火を使って地域全体でサルを追い払っていきたい」と話していた。
(カラス急増、生活に暗い影:山形)
酒田市中心部で今冬、カラスの大群による騒音やふん害が深刻化し、住民を悩ませている。市の調査で昨年3月に約4200羽だった市街地での観測数が、今年1月末時点で約7千羽とほぼ倍増。夕方には無数のカラスが上空を飛び回り、住民らは「ふんで道路や車が汚れる」「鳴き声がうるさい」と憤慨する。市は専門家と協力し、対応を検討しているが抜本的な解決策は見いだせない。飲食店が集中する中町では夕方、数百羽のカラスが電線に群がる。真下の道路はびっしりと白や茶色の跡が広がり、ふんで埋め尽くされる。悪臭もひどい。市環境衛生課によると、先月中旬以降、本町や中町、日吉町など中心部の住民らから計6件の苦情、相談が寄せられている。ある女性は「近くのビルの屋上がカラスで真っ黒になることもある」と顔をしかめる。一般的にカラスは夏場、小さな群れで暮らすが、繁殖期ではない冬場は大きな集団で行動するとされる。同課の担当者は「日中は田んぼで餌を探し、ねぐらに帰る前に街なかの電線で一斉に休憩しているようだ」と分析。その後、松林が広がる市街地北部の光ケ丘地区などのねぐらに戻るという。市中心部で冬にカラスの大群が見られるようになったのは、昨季に続いて2年目。昨季は一過性の現象とも考えられていたが、今季も来襲した。カラスの生態を研究する山形大農学部(鶴岡市)の後藤三千代客員教授は「カラスは移動しながら生活する習性がある。それで酒田市街地に来ているのではないか」と話す。市は昨夏以降、後藤客員教授らと対応を検討。昨季、ふん害が報告された清亀園(浜田1丁目)は、光に集まる習性を考慮し夜間のライトアップを中止。今季は被害がほぼなくなった。一方、ふんで汚れた道路は市と県が清掃しているが、すぐに別の場所が汚れ、いたちごっことなっている。群がる場所をなくしても移動するだけで、根本的な対策は難しい。後藤客員教授は駆除に頼らない被害軽減策を検討しているとし、「人がいない所にカラスが定着する方法を探りたい」としている。
(交雑サルを特定外来指定へ)
環境省は、和歌山でも交雑(こうざつ)が確認されているタイワンザルやアカゲザルとニホンザルとの交雑種(こうざつしゅ)を、「生態系に重大な影響を及ぼす」として、特定外来生物(とくてい・がいらいせいぶつ)に指定する方針を明らかにしました。これは、このほど開かれた専門家の会合で示されたもので、交雑が進めば、純粋なニホンザルが消滅する恐れがあるとして、来月(3月)にも正式に指定し、防除を進めるとしています。環境省によりますと、タイワンザルは、和歌山県北部や静岡県南伊豆町(みなみいずちょう)、青森県下北半島(しもきたはんとう)などに定着し、すでに和歌山や青森では、ニホンザルとの交雑が確認され、また、アカゲザルは千葉県の房総半島(ぼうそうはんとう)に生息し、交雑が問題になっています。そして、タイワンザルやアカゲザルは、すでに、特定外来生物に指定されていますが、去年(2013年)成立した改正外来生物法で、交雑種の指定も可能になったもので、指定されると、輸入や飼育が原則禁止となります。
(カモ、プカプカと羽を休め:大分)
佐伯市の番匠川下流域の鳥獣保護区では、冬季に多くのカモ類が越冬のため飛来する。大分市の神矢正教さん(64)は、仕事で訪れた佐伯市池田の住宅街そばの小さな川で仲良く泳ぐカモの姿を写真に収めた。「近所の人たちも『北に帰る春までみんなで見守っているんですよ』と話していました」と神矢さんもニッコリ。日本野鳥の会県支部の武石宣彰(のりあき)・佐伯地区支部長(64)によると、1月12日の観察会で保護区内で10種類、約2500羽のカモ類が確認された。番匠川では最もポピュラーなのがヒドリガモ。3月初めから5月上旬にかけて順次、中国大陸など北へ渡っていくという。
(シカ肉ソーセージ完成:北海道)
足寄町商工会(武藤衛賢会長)が「地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト」の補助金を受け、12、13年度に取り組んできたシカ肉製品2種類が完成した。十勝産を使ったソーセージとドライソーセージで、12日から東京で行われる食品展に出展して販路開拓を狙う。ドライソーセージは1本180グラムで850円(同)と、同100グラムで500円(同)のもので大小に分けた。「臭みが少なく、かめばかむほど深みが出る味」(商工会)といい、計150パックを作った。いずれも製造は、シカ肉の加工を手掛けるELEZO(エレゾ、帯広)が担った。今年度は商工会内で20回ほどの会議を重ねたほか、試食も10回ほど行い、味や量などの試行錯誤を続けた。札幌や東京でのイベント、試食会にも持ち込んで好評を得た。12~14日には、東京ビッグサイトで行われる「第48回スーパーマーケット・トレードショー2014」に出展し、全国の食品業者やバイヤーに売り込む。同商工会は「完成を1つのステップにし、全国に売れるものを発信したい。商談成立まで持っていければ」(佐々木健一事務局長)としている。同プロジェクトは中小企業庁が補助し、全国商工会連合会と日本商工会議所が公募した。全国の商工会や商工会議所が地域の小規模事業者と一体となり、地域資源を生かした新商品や観光資源の開発に取り組む事業を支援する。補助は250万円。
(ジビエ鍋、素朴な味:岐阜)
イノシシやシカなどジビエ肉のおいしさを広く知ってもらうJAいび川(揖斐川町三輪)の「ジビエ鍋試食会」が7日、大野町中之元のファーマーズマーケット大野店で始まり、初日はイノシシの野菜鍋が振る舞われ、来店者が味わった。9日まで。鳥獣被害はJAいび川管内の揖斐郡でも深刻で、昨年から同店で、イノシシ、シカの食肉販売を実施。今年は雪が少ないため例年より出没数は少ないが、生産者が3人に増え、同店で販売している。この日、振る舞われた鍋はみそ仕立てで、全て地元産のニンジン、ネギ、ゴボウ、白菜、ダイコンなど盛りだくさんの野菜で煮込み、100食分を用意。試食した主婦らは「脂身に甘みがあっておいしい」と笑顔で頬張り、早速、イノシシ肉を買い求めていた。8日はシカ肉シチュー、9日はシカ肉のカレー仕立て鍋で、いずれも午前11時から同店の店頭で、先着100人に無料配布する。
(駆除されたイノシシなど活用を「ジビエ」シンポ:愛知)
作物を荒らすため駆除された動物の肉を実際に食べ、活用する道を探る催しが愛知県豊田市で行われました。催しは愛知県が主催したもので、県内で駆除されたイノシシの肉を使ったソーセージや鍋が登場しました。狩猟で得られた肉はフランス語で「ジビエ」とよばれ、ヨーロッパでは高級品とされていることに着目しました。試食した人は「おいしい」「野生的な味がする」と感想を述べました。動物による農作物への被害は愛知県で2012年度、約4億5000万円で、イノシシやシカなど年間1万頭が駆除されています。しかし、食用になっているのは年間600頭です。県の担当者は「駆除するだけでなく肉を活用して命を大切にしたい」と話しています。

TOPへ

2/8
(旧韮崎射撃場、鉛汚染土壌撤去に22億円:山梨)
旧山梨県立韮崎射撃場(韮崎市清哲町青木)で鉛弾が河川敷などに放置され、土壌から環境基準を上回る濃度の鉛が検出された問題で、鉛弾を含む汚染土壌の撤去に必要な工事費(概算)が最大22・1億円に上ることが7日、県の推計で分かった。工事費は全額県費負担で、多額の税金が投入される。放置された鉛の総量は503・2トンと推計。法規制の関係で撤去できる土壌は表層だけとなり、除去できる鉛は総量の8割程度にとどまるという。
(散弾銃発砲男、隣の住宅屋根裏から弾丸発見:愛知)
愛知県春日井市のアパートで散弾銃を発砲したとして男が逮捕された事件で、隣の住宅の屋根裏から弾丸が見つかったことが分かった。警察は7日、男を現場に立ち会わせて当時の状況を調べた。この事件は先月24日、春日井市の会社員・黒木豊容疑者(55)が春日井市出川町の自宅アパートの部屋に約14時間立てこもり、散弾銃1発を発砲したとして逮捕されたもの。黒木容疑者は容疑を認めているという。弾丸は部屋の窓ガラスと隣の住宅の壁を貫通していて、その後の取材で隣の住宅の屋根裏から弾丸が見つかったことが分かった。警察は7日、黒木容疑者を現場に立ち会わせて当時の状況を調べた。
(「いのしし課」設置へ:富山)
氷見市は7日までに、イノシシによる農作物被害を防ぐため新年度、「いのしし等対策課」を設置する方針を決めた。市によると、イノシシ専門の課は佐賀県武雄市の「いのしし課」に次いで全国2例目。氷見市内のイノシシによる農作物被害額は富山県内で最も多く、捕獲数も倍増しており、専門部署の新設で被害対策に本腰を入れる。計画によると、いのしし等対策課には鳥獣と竹林の対策担当をそれぞれ設け、職員数人を配置する。イノシシと竹林対策の各種事業や調査研究などを行う。イノシシ対策では電気柵や捕獲檻(おり)の設置に関する補助金の事務手続きを担当。このほか、猟友会や新年度に設置する「いのししパトロール隊」とも連携して電気柵や捕獲檻のある集落を見回り、農作物の被害状況を調査したり、住民に出没情報を提供する。竹林対策では穂先タケノコの普及など市外の事例を参考にし、市内で浸食拡大が進む竹林の面積を減らす対策に取り組む。市などによると、市内のイノシシによる2012年の農作物被害額は998万円と県内で最も多く、今年度の捕獲数も150頭と前年度の2倍以上となっている。竹林面積は667ヘクタールと県全体の1124ヘクタールの半数以上を占め、近年は放置竹林が増加傾向にあり、対策が急務となっていた。武雄市の「いのしし課」は09年に設置され、職員5人が所属。13年度は12月末で2200頭を捕獲し、食肉として販売する。
(ハブのかかしでカラスよけ:沖縄)
パパイアの木に、にょろにょろ―。名護市二見区の照屋林一さん(62)が、カラスから果実を守ろうとハブのかかしを作った。樹上で赤い舌を出して威嚇を始めてから1カ月余り。「全く被害がない。効果があるのでは」と照屋さんは満足そう。照屋さん宅の垣根の外にあるパパイアの木に「体長」約180センチのハブのかかしの姿がある。製作に約3時間。綿で作った体に針金を通して、曲げやすいように工夫した。8本の木になる約50個の果実を見守っている。照屋さんは「鳥はハブを怖がる。ある日、畳の縁を何げなく見ていたら、六角形の模様がハブのうろこに似ていたので作って木に縛ったら、来なくなった」と力説する。でも子どもたちは「気持ちわる~い」「こわい」。残念ながら人気はいまひとつ。
(厄介者、高級ジビエで特産に)
農作物被害が問題になっている鹿やイノシシを、欧州でジビエ(狩猟鳥獣肉)と呼ばれる高級食材として売りだそうという取り組みが増えるなか、産地間競争が激しくなっている。肉が十分活用されず、個体数の増加を食い止めるほど捕獲されない状況は変わるだろうか。もも肉のローストや首肉の煮込み――。東京・三軒茶屋のレストランで1月下旬、鳥取県産の鹿肉を使った料理が披露された。駆けつけた平井伸治知事は「本当においしい肉を提供するように努力している」とアピールした。参加者からは「臭みがない」と好評だった。県とNPO法人ビーグッドカフェが手がけた鹿肉普及キャンペーンの一環。16日まで都内6カ所のレストランで鹿肉料理が提供される。おいしく食べるためには高級魚と同じように前処理が欠かせない。鳥取県では、狩猟者から飲食店までの関係者で協議会をつくり、研修会などで解体や衛生管理の技術向上に努めてきたという。
(よさこいジビエフェア:高知)
県内の飲食店20店が、ジビエ(野生鳥獣の肉)を使った創作料理を提供する「よさこいジビエフェア」(県主催)が初めて開催されている。28日まで。県内でのシカやイノシシなどによる農作物の食害は、被害額が年間で2億円に上る。一方、シカは猟友会などにより年間で1万頭以上が捕獲されているが肉は大半が廃棄されている。これらジビエを、低カロリーで高たんぱく質の食材として活用することを目指して飲食店に呼び掛けた。20店の創作料理を案内するガイドブックを作成し、1000円以上の食事を2店ですればジビエセットなどが当たるスタンプラリーを開催中。昨年12月に開いた家庭でも作れるシカ肉料理コンテストのレシピや、ジビエの取扱店も紹介する。北川村産のシカ肉のコンフィを提供している高知市のレストラン「ス・ルラクセ」オーナーシェフ、山本巧さん(41)は「これまではジビエといえば冒険のイメージが強かったが、普通の食材として普及して消費が増えるのはいいことだ」と話す。
(ふくおかジビエフェア:福岡)
農作物に大きな被害を与えるとして、県内で年間およそ2万頭が捕獲されるイノシシ。「ジビエ」と呼ばれるこうした野生動物の肉を活用しようという食のキャンペーンが始まり、福岡県の料理人たちが小川知事に、渾身のメニューをPRしました。試食した小川知事は「獣の肉って臭みやにおいがあるんじゃないかという先入観があるが、全くありませんね」と満足気な様子でした。この「ふくおかジビエフェア」では、イノシシやシカの肉を使った和洋中の料理が23日まで県内20の店で提供されます。参加する店の料理人たちは「1人でも多くの人にジビエのおいしさを知ってもらいたい」と話していました。

TOPへ

2/7
(公安委の認定ない生徒がライフル大会に出場:香川)
香川県立高瀬高校ライフル射撃部の顧問の男性教諭(46)が、県公安委員会の認定を受けていない生徒をエアライフルの大会に出場させて撃たせていたと、同県教育委員会が5日発表した。教諭は3日付で銃刀法違反容疑で書類送検された。県教委によると、教諭は、認定を受けていない1、2年生数人を昨年10月に同校であった県高校新人ライフル射撃競技大会に出場させ、教諭所有のエアライフルを貸し与えて撃たせていたという。銃刀法では、指定射撃場などでエアライフルを撃つ場合、14歳以上18歳未満は競技の場合でも、都道府県公安委員会の講習を受け、修了証明書を受け取って認定を受ける必要があると定めている。教諭は生徒らが認定を受けていないと知りながらエアライフルを撃たせたとして、書類送検された。
(有害鳥獣駆除、最多の1211頭:福井)
今年度の敦賀市での有害鳥獣の駆除数が昨年12月末までに1211頭となり、これまでで最多となった。2000年度前後には100頭ほどだったが近年急増しており、駆除の見返りとなる報償費の増額などで、猟に取り組みやすい環境整備が効果を上げている以上に、近年シカが急増していることが要因とみられている。市農林水産振興課によるとイノシシやシカ、ハクビシンなど8種の鳥獣駆除数は1998年度は32頭だった。しかし、2010年度には過去最多の1159頭となり、13年度は14年1~3月を残して1200頭を超えた。最近増加しているのがシカで、駆除数は5年で15倍近く増えた。約10年前まではシカによる食害はなかったものの09年頃から急増し、昨年度は野菜や果樹の畑など76アールが被害にあった。市は12年10~11月に市内11か所にセンサーカメラを設置し、シカの出没状況を調査したところ、滋賀県境の市南部で多く見られた。北西部ではほとんど確認されなかったが、北東部では南部の半分程度の頻度で出没していた。市は、シカの被害が多い滋賀県からシカが入り、市北東部に生息域を広げていると推測する。シカに先立ち、イノシシは10年以上前から増加しているといい、駆除数はこの10年で3倍以上に。積雪の減少で冬季にイノシシの子どもが死ななくなったことなどが原因とみられている。市は11年6月、同課内に有害鳥獣対策室を設置。高さ2メートル前後の柵を計16キロ設置し、モニターを見ながらつるした18メートル四方の網を落として捕獲する装置を導入するなどしてきた。さらにシカの駆除を進めるため、昨年7月にシカ1頭あたりの報償費を3000~4000円値上げし1万4000~1万6000円にした。しかし、駆除を担う県猟友会敦賀支部の会員は10年前の87人から58人に減少。負担は増加し、駆除ができる猟師の育成が課題となっている。市は「自分の畑は自分で守ってもらう」ために、農業者に対しては狩猟免許取得のために猟友会が行う予備講習の受講料9000円を全額補助している。同課は「敦賀ではそこまでシカの被害はないが、このまま増え続けたら、農業の衰退だけでなく、山が荒れて山崩れが起こりやすくなったり、道路での交通事故が増えたりする。これからも効果的な対策を考えたい」としている。
(シカ推定生息数減少傾向:島根)
島根半島西部の出雲市の住民らでつくる「北山地域シカ被害者の会」の会合が5日、市内であった。県と市が昨年実施した生息調査に基づくシカの推定生息数や捕獲数、今後の対策を説明した。県は、旧平田市から旧大社町の北山山地(約6130ヘクタール)の生息数を297~976頭と推定し、減る傾向だとした。昨年4~12月の捕獲頭数は558頭(前年同期371頭)だった。
(奥能登初、イノシシわなに掛かった:石川)
珠洲市宝立町の山中に仕掛けられた鉄製のわなに六日、イノシシ一頭が掛かっているのが発見された。市産業振興課によると、わなによってイノシシが捕獲されたのは、奥能登では初めてという。捕獲されたイノシシは体長一メートル、体重は推定三五キロで雌雄は不明。この日午後三時ごろ、山の様子を見に来た付近の住民が、イノシシが掛かっているのを見つけた。市内には、市とJAすずしなどで構成する市有害鳥獣対策協議会が貸し出したわなが、十基仕掛けられている。今回のわなは、わなの狩猟免許を持つJAすずし宝立支店職員の前根一貴さん(22)が、イノシシの被害が出ている田んぼの裏山で足跡を見つけ、通り道であることを確認。米ぬかを餌にして一月中旬に仕掛けた。前根さんは「捕獲できてほっとしている。これからも協議会を手助けし、イノシシの被害を減らしたい」と話した。
(中心街でカラスのふん害が増加:青森)
八戸市中心街で昨年11月から、夜間にカラスが集まりだし、道路やビルをふんで汚される被害が相次いでいる。八戸野鳥の会は、広域的に捉えた市中心部へのカラスの流入は大幅に減少した―との見方を示す一方、追い払い対策でカラスが止まる場所が少なくなり、商業施設が密集する街なかがねぐらとなった可能性を指摘する。中心街関係者は「ふんの掃除が大変」「街の景観が損なわれる」と対応に苦慮している。
(地域一体でサル被害軽減:三重)
農水省は1月31日、平成25年度の鳥獣被害対策優良活動表彰の受賞者を発表した。この表彰は、全国的に拡大傾向にある鳥獣害被害を防止するため、各地のすぐれた取り組みを全国に広く紹介するために行っているもの。今年度は、農林水産大臣賞に三重県伊賀市の安房地域住民自治協議会が選ばれたほか、5団体・個人が受賞した。安房地域住民自治協議会は、学習能力が高く人慣れするため対策が難しいサルの被害を軽減させためずらしい事例だ。地域住民全員が一体となり追い払い手順を決め、山頂付近まで徹底的に追い払ったことでサルの餌場にされにくい集落をつくった。また、被害を受けて耕作できなくなった畑で営農を再開する等、地域の活性化に貢献したことも高く評価された。
(シカに注意!カラー舗装:奈良)
奈良公園(奈良市)の鹿を交通事故から守るため、鹿の走る姿を描いたカラー舗装(縦9メートル、横2・5メートル)が5日、公園内を通る国道に登場した。奈良県が3月中旬までに計25か所に整備する。一帯の鹿は国の天然記念物で、愛護団体によると、約1100頭が生息。年間約400頭が交通事故に遭い、うち約100頭が死ぬといわれる。愛護団体が事故の多発箇所を載せた地図を配ってドライバーに注意を呼びかけていたが、目立った効果がなかった。飛び出し注意を促すアルミ製の看板10基も今月下旬に置く。
(絶滅危機、ライチョウ守れ)
高山帯だけに生息する国の特別天然記念物「ライチョウ」が絶滅の危機にひんしている。本来高山帯にいなかった野生動物が侵入。ライチョウの餌となる高山植物を食い荒らしたり、ライチョウ自体を食べたりしているためだ。背景には地球温暖化の影響もあるという。地元研究者らが絶滅回避に向けた対策に乗り出した。標高3000メートル級の山が連なる南北アルプス。標高2400メートルを超え、高山帯に入ると、そこはライチョウの生息地だ。夏にはヒナを連れた雌が愛くるしい姿で登山客を魅了する。人が近づいても逃げず、悠然と餌をついばむ。ライチョウは、約2万年前の氷河期に、日本列島と地続きだった大陸から日本に入ったが、その後、海で隔てられ、北へ戻ることができなくなった。日本に取り残されたライチョウは、気温の低い高山帯で独自の進化を遂げた。世界では北極圏を中心に分布し、日本は生息域の南限だ。感染症や寄生虫に弱く、低地では生息できない。中村浩志・信州大名誉教授(鳥類生態学)によると、国内のライチョウの生息数は、1980年代前半の調査で約3000羽だったが、2000年代には、2000羽以下に減少。約30年間で4割以上が姿を消した。特に顕著なのが南アルプス北部だ。北岳−間ノ岳で確認された縄張りは、81年の63カ所から、13年には9カ所に減った。個体数も南アルプス全体で半数以下に落ち込んだとみられる。減少の大きな要因は、高山帯に天敵となるテンなどが多く侵入していることや、餌となる高山植物を荒らすシカやイノシシも入ったことがあげられる。林野庁中部森林管理局による06、07年の調査では、南アルプスほぼ全域でシカの食害を確認。「高山植物は壊滅的な被害を受けている」と報告した。最近では北アルプスでもシカの生息域の拡大が確認されている。シカは繁殖力が強く、劇的に数を増やす。特に近年は温暖化の影響で雪が減り、冬を越せる個体が増えたとの指摘がある。餌を求めて本来の生息域ではない高山帯で希少な高山植物を荒らす。小さな黄色い花を咲かせるシナノキンバイなどの高山植物は、過酷な環境で少しずつ成長する。シカが大規模に食べればたちまち絶滅してしまう。環境省は、13年9月に南アルプスの高山帯で、銃器を使ってシカの駆除を試みたが、一頭も捕獲できなかった。同省の担当者は「天候不順があった。来年度は実施を含め検討中」と話す。温暖化の影響は北の地域ほど、標高が高いほど影響が大きいともいわれる。高山帯上部に生えるハイマツはライチョウにとって、テンなどからの避難場所であり、営巣場所にもなる。温暖化が進行するとハイマツの生育できる場所が減る可能性がある。信州大などの研究によると、年平均気温が2度上昇すると、ライチョウの6割強の縄張りが減少。また、3度上昇するとほぼ絶滅状態になるという。ライチョウを保護するためには、温暖化を食い止めることが必要だ。しかし、短時間にそれを実現するのは困難だ。そこで、将来の絶滅にあらかじめ備えた取り組みが始まっている。ライチョウがふ化するのは7月上旬から中旬。この時期に梅雨が明けていないと、ヒナが衰弱しやすく、ふ化後1カ月で死ぬ確率が高い。このため、信州大などのチームは、この時期の親鳥とヒナをふ化後1カ月間ケージで囲って保護する方法を確立した。チームは「この時期の死ぬ確率を減らせば個体数の回復につながる」と期待。来年から南アルプスで本格的に取り組む。高山帯に生息する野生のライチョウは人工飼育が極めて難しい。長野県大町市立大町山岳博物館は、ノルウェーに生息する近縁種スバールバルライチョウの飼育を15年春にも始め、飼育技術を確立し、日本のライチョウの人工飼育を目指す。同館は04年まで約40年間にわたる日本のライチョウの飼育歴があり、経験を生かした取り組みに期待がかかる。中村名誉教授は「本来生息していなかった地域に入った野生獣は全て排除すべきだ。国や県は、ライチョウをはじめ、高山植物など高山環境が脅かされているとの現状認識が不足している。失われてからでは遅すぎる」と早急な対策を求めている。
(「冬のカモ」紹介:兵庫)
NPO法人コウノトリ市民研究所の企画展「冬のカモ」が、兵庫県豊岡市祥雲寺のコウノトリ文化館で開かれている。写真とはく製計49点を展示し、生態などについて解説している。コウノトリをはじめ、但馬地域に暮らす生き物をテーマに開催する企画展の第10弾。この寒い時期に豊岡盆地に飛来する淡水ガモ、海ガモ計22種を紹介している。かつて円山川河口の楽々浦湾(豊岡市城崎町)に集中していたカモは、冬季たん水田の広がりとともに、市街地近くでも頻繁に見られるようになってきたという。本展では、遠目では同じように見えるカモの色味や鳴き声、くちばしなどの特徴の違いに写真パネルで言及。はく製と合わせて見ると体格の違いが鮮明で、ハシビロガモは名の通りくちばしが横に広く、オシドリやヨシガモなど、雌雄で見た目が大きく異なることがよく分かる。
(坂網鴨、著名人ら絶賛:東京)
北陸新幹線金沢開業と二〇二〇年東京オリンピックを見据え、著名人を招待して石川県加賀市の食材をPRする「加賀の晩餐(ばんさん)会」が三日、東京・南青山のレストランで開かれ、名産の「坂網鴨(がも)」の料理が披露された。坂網鴨は同市の片野鴨池周辺で、空中に三角網を投げ上げる伝統的な猟法で捕獲した天然カモ。晩餐会は坂網鴨のブランド化を進め、市内の旅館・飲食店に鴨料理文化として定着させるのが目的で、成沢由浩シェフの店で料理してもらい提供した。同五輪大会組織委員会会長の森喜朗元首相、安倍首相夫人の昭恵さん、女優の菊川怜さんや剛力彩芽さん、料理人の道場六三郎さん、宮元陸加賀市長ら約二十人が参加。安倍昭恵さんは「生き物を感謝の気持ちでいただきたい」と乾杯の音頭を取り、菊川さんは「鴨でもとり方によってこんなにも違うのかとびっくりした」と笑顔で話した。「橋立のかに」「三谷の山野草」「アイガモ有機米」など加賀の食材や地酒も市の伝統工芸品の九谷焼、山中漆器の器で出された。会に先立ち、県大聖寺捕鴨猟区協同組合の池田豊隆理事長が坂網猟を説明した。
(ジビエ〝味力〟たっぷり:岐阜)
県内で捕獲したイノシシやシカを食肉として普及させようと、獣肉の料理を味わう「ぎふジビエフェア」(県主催)が岐阜、関市の料理店3店舗で開かれている。28日まで。県は、捕獲した獣を地域資源として活用できるよう、イノシシとシカの衛生的な処理法を定めた「ぎふジビエ衛生ガイドライン」を昨年11月に施行。食肉事業者への普及を進めている。フェアでは、食肉処理施設を持つ所産業(揖斐郡揖斐川町)が、同町で捕獲されたイノシシとシカをガイドラインに従って処理。全日本司厨士協会県本部会員の3店舗がそれぞれメニューを考案した。関市のフランス料理店「欧風懐石 膳」では、シカ肉をリンゴなどと煮込んだペーストをバジル風味のスポンジで包み、コース料理のオードブルとして提供している。オーナーシェフの宮原貴志さん(45)は「ジビエの『くせがある』との印象が変わるはず。厳しいガイドラインなので、安心していろいろな挑戦ができる」と笑みを見せた。また「鵜匠の家すぎ山」(岐阜市)では、いのしし鍋のコースとぼたん鍋懐石(いずれも要予約)、フランス料理店「ビストロMijoter」(同市)は、シカ肉のローストとワイン煮込みの盛り合わせと、パスタの2種が楽しめる。期間中、各店舗で実施するアンケート回答者の中から抽選で10人に、シカ肉の加工品が贈られる。
(郷土料理「猪鹿鳥料理」味わって:兵庫)
イノシシやシカなどを使った兵庫県宍粟市の郷土料理「猪鹿鳥料理」を味わう試食会が6日、宍粟防災センター(同市山崎町鹿沢)で開かれた。市内の飲食店が工夫を凝らした料理を振る舞い、主婦らが舌鼓を打った。臭みが強いと敬遠されがちなイノシシやシカ肉の調理方法や味を知ってもらおうと、市内の食品業者らで作る宍粟衛生協会が企画した。テーブルに並んだのは、主にシカ肉を使った6種類の料理。和洋の飲食店5店の店主らが肉じゃがや、肉団子をミートソースであえたパスタ、串カツなどをその場で調理した。意見交換会もあり、「仕留めた後の血抜きをしっかりすれば臭みが出ない」など精肉店による解説や、市内の小中学校給食で出されるハンバーグなどの紹介もあった。料理を試食した食生活改善グループ「宍粟市いずみ会」の川崎節子会長(70)は「全く臭みがなく自然に食べられた。家庭料理でも生かせると思う」と話していた。

TOPへ

2/5
(死体遺棄、息子は昨年11月に銃の所持許可:神奈川)
横浜市神奈川区金港町の会社役員、佐藤秀延さん(55)の遺体が自宅から運び出された死体遺棄事件で、県警は3日、佐藤さんの死因は腹部銃創による失血死だったと発表した。死体遺棄容疑で逮捕された息子の無職、亘容疑者(23)=高松市庵治町=が、遺体を入れた木製の棺おけを1月中旬にインターネットで購入していたことも新たに判明し、県警は計画的だった可能性もあるとみて、慎重に調べている。亘容疑者と母親のパート、典子容疑者(59)=同所=は1月31日正午ごろ、香川県さぬき市のコンビニエンスストア駐車場に止めたトラックに、佐藤さんの遺体を載せていた同容疑で現行犯逮捕された。県警によると、亘容疑者は昨年11月中旬に銃の所持許可を取得して散弾銃を購入。1月下旬に銃を持ちワゴン車で高松市から横浜市に向かい「30日午前2時ごろ、(佐藤さんの自宅で)散弾銃で撃ち殺した」などと供述している。殺害後、高松市にいた典子容疑者に電話し、航空機とレンタカーで棺おけを運んで来た典子容疑者と遺体を運び出したという。一方、亘容疑者は動機について「仕送りが途絶えるなどの金銭問題があった」「子供のころから暴力を振るわれていた」などあいまいな説明をしており、県警が解明を進めている。
(県ライフル射撃場再開へ、新年度に土壌調査:栃木)
鉛害防止のため2004年から一時休業している県ライフル射撃場(宇都宮市新里町)の再開に向け、県教委は4日までに、同射撃場の土壌調査に乗り出す方針を固めた。14年度の一般会計当初予算案に事業費約1億9600万円を盛り込む。22年の本県開催が事実上内定した第77回国民体育大会を見据え、同射撃場の再開を目指す。同射撃場は1979年にオープンしたが、鉛弾による射撃場の鉛害が全国的な問題となり、04年10月から同射撃場も一時休業している。当時、敷地内の10カ所で行った地下水と表流水の水質調査で環境省の基準値(1リットル当たり0・01ミリグラム)を超えていなかったが、安全面に配慮したという。現在も毎月1回、水質のモニタリングを実施。基準値は上回っていないという。これまで県は鉛害対策の検討を進めていたが、多額の費用などが課題となり本格的な対応は進んでいなかった。
(イノシシ猛進、高速道ご用心:福島)
県内の高速道路で、車と野生のイノシシが衝突する事故が相次いでいる。今年に入り、すでに3件発生し、昨年は11件の事故があった。いずれも物損事故だが、県警は「一歩間違えれば深刻な事故になりかねない」と注意を呼びかけている。県警高速隊によると、1月21日午後8時半ごろ、いわき市四倉町の常磐道を走っていた大型トラックが、路肩から飛び出してきたイノシシを避けられず衝突した。男性運転手にけがはなかった。同月12日、16日にも南相馬市内の常磐道で乗用車とイノシシの衝突事故があった。さらに同月25日深夜には、イノシシの親子と見られる5頭が東北道の宮城県境付近で死んでいるのが見つかった。事故の届け出はなく、大型トラックなどにはねられた可能性が高いという。県内の高速道路では昨年8月、猪苗代町の磐越道でクマが車両にはねられる事故が起きた。キツネやタヌキといった小動物が目撃されることもあるが、県警として動物との衝突事故をまとめた統計はなかった。事故が相次いでいることから、県警は昨年12月、過去の高速道路上の事故を調査した。昨年、イノシシとの衝突事故は11件確認。そのうち12月に4件と、ここ2カ月での増加傾向が顕著だった。県自然環境課によると、野生のイノシシは温暖な気候を好み、県内では浜通りから阿武隈川沿いにかけて多く生息する。県警が把握した昨年からの計14件の事故も、いわき市に8件が集中している。今年1月の高速道路における事故件数は99件と、昨年1月の211件から大幅に減っている。気象庁によると、今年に入っての積雪量は平年より少なめの地域が多いという。県警は事故の減少傾向について、穏やかな天候や路面状況の良さが影響しているとみている。一方、住民の出入りがほとんどない旧警戒区域周辺ではイノシシやサルが増えている可能性も指摘されており、新たな悩みとなっている。双葉署管内の一般道では11年以降、車と野生動物との衝突事故は53件あった。当初は牛との事故が目立ったが、昨年は全16件のうち、イノシシとの事故が12件と大部分を占めているという。これまでの事故で、けが人や死者が出たケースはないが、すべての事故が夜間に集中していることが気がかりだ。県警は「イノシシに突然気づいてハンドルを切り、他の車両と衝突するなど、大事故につながりかねない」と警戒している。速度を控え、前照灯をこまめに切り替えて早期発見につとめるよう、呼びかけている。
(暖かさのせい?シカ5頭現れる:岩手)
立春を前に、岩手県では2日夜から気温が上がり、3日も沿岸では4月並み、内陸でも3月並みの暖かい一日だった。この暖かさで山から迷い込んだのか、釜石市の中心部にシカの群れが現れ、通行人を驚かせた。3日午後3時頃、釜石市役所にほど近い市内中心部で車の前を突然、シカの群れが横切った。シカは親子か、全部で5頭いて、あっという間に近くにある工場の敷地に入った。3日の釜石は最高気温が15、3℃と4月中旬の暖かさだった。陽気に誘われて山から町中に迷い込んだのか?シカは人におびえた様子もなく、のんびりと草を食んでいた。
(イノシシ被害防止へ、パト隊発足:富山)
イノシシによる農作物被害を防ぐため、氷見市は新年度、「いのししパトロール隊」を発足させる。隊員は市が雇用する専門家2人と市職員で組織し、定期的に集落を巡回して電気柵や捕獲檻(おり)が破損してないかを点検する。市によると、富山県内の各市町村にある捕獲隊とは別に、市独自でパトロール隊を設けるのは珍しい。市内のイノシシの捕獲数は4日現在、前年度の2倍以上の150頭に上っており、監視活動を強化する。計画では、パトロール隊は2班に分かれ、市内41カ所にある捕獲檻や電気柵が設置された集落を見回る。檻内の餌の仕掛け方などを住民に指導するほか、最新の出没情報も提供する。市との橋渡し役として研修会開催なども案内する。新たに雇用するのは、イノシシの習性や行動に詳しい専門家で、雇用期間は狩猟期終了後の3月中旬から10月末まで。隊は今年4月以降に発足させる。県内の今年度のイノシシ捕獲数は昨年11月末現在、前年同期比177頭増の382頭。このうち氷見市は94頭で南砺市に次いで2番目に多い。狩猟期間に入っていることから、捕獲数は今後、大幅に増える見込み。前年度の氷見市の捕獲数は70頭だった。12年の県内の農作物被害額は3612万円で、氷見市が998万円と最も多かった。捕獲数が増えたことについて、市は捕獲檻の設置数が17カ所増えたことや暖冬で餌を探しに集落近くまでイノシシが下りてきているためとみている。市猟友会の川嶋弐英さん(67)は「檻の仕掛けが上達し、会員の腕が向上したことも捕獲増の理由の一つ」と指摘する。市農林課は「氷見でイノシシが繁殖しているのは確実。パトロール隊の監視、指導を通じて被害防止につなげる」としている。
(ハクチョウなど減少、カモ類増加:新潟)
県は3日、今冬のハクチョウ、ガン、カモ類の生息調査の結果を発表した。ハクチョウ類、ガン類は昨冬より減った一方、カモ類は増えた。県環境企画課は「大きな変動ではなく、おおむね例年通りといえる」としている。調査は県野鳥愛護会に委託し、県内22カ所で、1月12日午前を中心に約1時間ずつ観察した。オオハクチョウなどハクチョウ類3種は、17地点で計1万6664羽(昨冬比2835羽減)。最多は阿賀野市の瓢湖で3571羽(同13羽減)だった。マガンなどガン類3種は5地点で計9123羽(同1595羽減)。新潟市北区の福島潟が5194羽(同791羽減)で最も多かった。マガモなどカモ類17種は、19地点で計8万1441羽(同1万6678羽増)。最多は小千谷市の山本山調整池の1万1796羽で、昨冬の240羽から49倍に急増したが、同課は「1カ所だけを見ると、観察した時間帯などにより大きく変動することもある。特に異常な現象ではない」とみている。
(坂網猟に特訓場:石川)
加賀市の片野鴨池で藩政期から続く伝統猟法「坂網猟」で猟師の技能を高めるため、同市は片野町に特訓場を新設する。猟師の詰め所である「番小屋」も45年ぶりに改修する。同市は坂網猟の国重要無形文化財指定をにらんでおり、北陸新幹線金沢開業を機に、カモ料理の最高食材「坂網鴨」を全国ブランドに育てていく。坂網猟は銃と違い、無傷で捕らえるため、カモの肉に血が回らず、臭みがないのが特徴。年間に200羽程度しか捕れず、市外にはほぼ出回らない。最盛期には300人以上いた猟師は20人程度に減った。高齢化も進んでいるが、近年は市が支援に取り組み、過去3年間で新人6人が仲間入りするなど徐々に後継者の芽が育ってきている。特訓場は、鴨池観察館駐車場に隣接する県有地で3月中にも完成する。約120平方メートルで、2、3人が同時に練習できる。地元の児童ら見学者の体験スペースとしても活用する。現在は練習場所がなく、「坂場」と呼ばれる猟場で練習すると、カモに気付かれるため、猟師は「ぶっつけ本番」で猟に臨んでいる。坂網猟師でつくる大聖寺捕鴨(ほこう)猟区協同組合の池田豊孝理事長は「3回投げて1羽捕れれば『名人』と言われる。イチロー選手も素振りなしでは3割は打てないだろう。猟の前に試し投げができるのはありがたい」と喜ぶ。番小屋も1969年の完成以来、初めて改修される。木造2階建てで、網の保管場所や猟師の休憩所として使われているが、老朽化している。完成は来年の夏ごろで、2階にベテランが若手に網の作り方などを手ほどきする「教室」の機能も持たせる。3日に加賀市が都内のレストランで開いた晩餐(ばんさん)会で特別に坂網鴨を食べた稲田朋美クールジャパン戦略担当相は「加賀のクールをぜひ発信したい」と述べており、同市は「クール加賀」の重要な要素として坂網猟と坂網鴨の保存・継承に力を入れる。市は「坂網鴨は原則、加賀市でしか味わえない最高食材。新幹線で増える観光客に対応するため、猟師には多くのカモを捕らえられるよう技を磨いてもらいたい」としている。
(料理人向けにジビエ料理講習会:鳥取)
鳥取県は、野生のイノシシやシカなどの肉を利用した「ジビエ料理」普及策の一環として、県内の飲食店を対象に講習会を開催した。県が主催してプロの料理人を相手に講習会を開くのは初めて。東京のジビエ料理に定評があるフレンチのシェフが、温度、肉の弾力などに関する説明をしながら、県産シカ肉でステーキやテリーヌを調理。「シカ肉の赤身には鉄分が多い」「ブルーベリーやラズベリーなど甘酸っぱいソースが合う」などのアドバイスも行った。試食では、「臭みがなくて驚いた」「柔らかくておいしい」といった声が上がった。募集後約1週間で定員を超える盛況ぶりで、当日は23店舗の30人が参加。食のみやこ推進課は「調理の仕方を実際に見てもらって、飲食店の現場で使ってもらいたい」と期待を示す。市内でレストランを経営する清水美沙子さんは「調理法以外に、どうやってお客さんに提供するか、その伝え方も勉強になった」と振り返った。店で応用できるかを研究するため、料理を持ち帰る中華料理店の経営者の姿もあった。
(食べてぽかぽか、ジビエ薬膳火鍋を開発:鳥取)
野生のシカ、イノシシの肉に、県産地鶏を合わせた新作薬膳料理が完成した。スパイスの利いた薬膳鍋で、体を内側から温めるという。1月31日に鳥取市の県立博物館内のレストラン「カフェ・ダール ミュゼ」で試食会があった。商品名は「鳥取どれ『里山のめぐみ』ジビエ薬膳火鍋セット」。同市鹿野町で観光施設を運営する「ふるさと鹿野」が開発した。スライスしたイノシシ肉とシカ肉の団子に加え、県が開発した地鶏「鳥取地どりピヨ」を組み合わせた。シナモンや八角、ナツメなど7種類の生薬を入れ、ピリ辛味。蒸し焼きにして熟成させたラッキョウを使った「黒らっきょう中華醬(ジャン)」を調味料に加えた。監修したフードコーディネーターの河崎妙子さんは「美容に効果があり、女性にもぜひ食べてもらいたい」と話した。
(害獣イノシシ、味くらべ:福岡)
農作物を食い荒らすイノシシの肉を有効に活用し、消費者にもっと身近に「ジビエ(狩猟肉)料理」を食べてもらおうと、八女商工会議所が7~16日の10日間、八女ジビエウイークを開催する。地元八女市と福岡市の計13店舗が、八女産イノシシ肉を使った料理を提供する。昨年度に続き2回目の試み。新年度以降、八女茶を練り込んだ熟成肉やミートボールなどの加工品の販売も計画する。八女市によると、市内の野生鳥獣による農作物の被害額は、2012年度で推定約1億3500万円。うち、イノシシが約8200万円を占める。市は地元猟友会に依頼して駆除を進めるが、イノシシ肉の消費は猟友会員らに限られていた。そこで八女商工会議所は、駆除した肉の活用を進めて、新たな産業創出にもつなげようと、12年度に「イノシシプロジェクト」を発足。市外のシェフを招いてジビエ料理の講習会を開いたり、先進地を視察したりした。同年12月には福岡市内の8店舗が参加し、10日間にわたって八女産イノシシ肉を使った料理を提供した。今回は規模を拡大して実施する。

TOPへ

2/3
(十勝のエゾシカ駆除、過去10年で最多:北海道)
エゾシカの十勝管内での捕獲数が2012年度、過去10年間で最多の1万9545頭となったことが道の集計で分かった。11年度から道内全域で狩猟期間が延長されたことに加え、12年度は初めて管内別の捕獲目標が設定されたことが奏功した。道は、現在シカ猟が本格期を迎えた13年度も捕獲数上積みを期待するが、管内は記録的な少雪のため平野部に現れるシカが少ないといい、ハンターは苦慮している。道によると、管内のエゾシカ捕獲数は03年度の7153頭から11年度は1万7217頭まで増加。12年度はさらに約2千頭上積みした。12年度の内訳は、ハンターの「狩猟」が1万1814頭、市町村などが猟友会に駆除を依頼して行われる「許可捕獲」が7731頭となっている。増加の要因は、農林業被害が増えたことを背景にした捕獲対策の強化にある。道は「第4期エゾシカ保護管理計画」(12年4月~17年3月)で、道内全体のエゾシカを11年時点の64万頭から16年度までに38万頭に減らすとの目標を掲げている。併せて、道内各地で林道の除雪回数を増やしてハンターがスムーズに移動できるようにしたほか、11年度からは狩猟期間を拡大した。さらに昨年1月には「エゾシカ捕獲推進プラン」を策定。初めて管内別の捕獲目標を明示し、市町村が猟友会に許可捕獲を依頼する際、駆除計画を立てやすいようにした。しかし、道内全体の被害額は高止まりで、管内でも減少には至っていない。昨年度は前年度比7300万円増の9億3700万円で過去最悪となった。釧路(14億3300万円)、日高(10億8500万円)に続き、道内全体の被害額約63億円の15%を占める。このため道は13年度、政府の「鳥獣被害防止総合対策交付金」を活用。ハンターに対し、エゾシカ1頭当たり最大で8千円の補助金を支払うなどして、捕獲数上積みを目指している。ただ、今冬の十勝管内は記録的な少雪。シカが雪を避けて山から平野部に下りる必要がなくなったため、ハンターにとっては猟が難しいという。道猟友会音更支部の田守一好支部長は「今年はほとんどシカの姿を見かけない。山奥まで行けば群れがいるが、それでも例年の6、7割しか捕獲できていない」と話している。
(シカのセシウム濃度、詳細を調査:埼玉)
東京電力福島第一原発事故後、食品に含まれる放射性物質の濃度などを調べている「みんなの測定所in秩父」(秩父市黒谷)を運営する市民団体が、市内で捕獲された野生シカ二頭の部位ごとの放射性物質量を調べた結果をまとめた。福島県内では家畜で同様の調査が行われた例はあるが、県内でのデータは珍しいという。同団体は「今後の対策を考える資料にしてほしい」と話している。秩父市内の野生シカからは一般食品の基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超える放射性セシウムが昨年も検出されており、県内全域で捕獲されたシカの肉の出荷・販売の自粛が続いている。市民団体が調査したのは、昨年十一~十二月に秩父市大滝で捕獲された三歳前後のメス(体重四八キロ)と、七~八カ月のオス(同三〇キロ)。捕獲場所付近の空間放射線量は、毎時〇・〇五~〇・〇七マイクロシーベルトだった。モモ肉や内臓など約三十の部位のセシウム濃度を調べたところ、モモ肉から一キログラム当たり一八九・四ベクレルが検出された。他の家畜調査の結果と同じく、骨格筋にセシウムがたまりやすい性質が確認できたという。また、メスの肺からは比較的高い五四・九ベクレルが検出された。市民団体の関根一昭代表は「セシウム濃度が高い腐葉土が風などで巻き上げられ、シカが吸い込んだ可能性がある」と分析している。
(サルの群れ、雪のない田で餌探し:石川)
白山市佐良の会社員中村孝栄さん(45)は2日、同市吉野の田んぼで餌を探すサルの 群れを見つけ、カメラに収めた。例年ならこの時期、田は約1メートルの雪に覆われてい るが、今冬は積雪がほとんどなく、中村さんは「サルたちにとって今冬は恵まれた環境だ 」と話した。中村さんによると、サルは5匹ほどで、田の泥を器用にかき分けながら餌を探していた 。地元住民の話では、サルがこの時期、山から田まで下りてくるのは珍しいという。
(カラスよけに効果:長野)
諏訪市の茶臼山区は、カラスの食い荒らしの被害防止策を強化しようと、区内のごみステーションのうち1カ所をネットからふた付きの箱型に切り替え、カラスよけに効果を上げている。折り畳み式のため、週2回の収集日以外はコンパクトに収納できるなど機能性も高くなっている。昨年区長だった宮坂文明さん(61)によると、昨年春ごろ、ごみステーションでカラスがあさったごみが散らかっているのを目にするなどカラス対策は課題だった。対策を強化しようと、市が地域の美観向上へ今年度新設したまちかどブラッシュアップ補助事業に申請。区民がインターネットで見つけて富山市の製作所から取り寄せ、昨年7月に設置した。アルミ製で大きさは高さ最大1メートル、幅2メートル、奥行き80センチほど。天井部分に観音開きのふたが付き、ごみを入れて閉めるとカラスの侵入を防ぐことができる。使用しないときはワンタッチでその場に畳める。盗まれないよう固定した。薄茶の色を塗装し、金属調を少し和らげた。取り付けたのは、区内3カ所の置き場のうち湯の脇に近い1カ所。経費は設置費用を含め27万8000円。区や町内会などを対象に古くなった掲示板やごみステーションの美化や機能向上などに上限100万円(補助率6分の5)で助成する同補助事業を活用して23万円余を賄った。市衛生自治連合会の補助も充て、区の負担は数千円に抑えられたという。宮坂さんは「使わないときは 折り畳むので障害物にならず、本当に優れもの」と喜ぶ。他の置き場2カ所は設置すると市道にかかってしまうため取り付けられなかったが、「(他地域でも)広さなど条 件が合う場所なら使えるのではないか」と話している。
(高級「坂網鴨」に感激:石川)
加賀市片野町のラムサール条約登録湿地、片野鴨池周辺に江戸時代から伝わる坂網猟で捕った「坂網鴨(がも)」を味わう今年三回目の食談会が一日夜、市内の料亭であった。食談会は、高級食材の坂網鴨の魅力を知ってもらおうと、市が一昨年から始め、今年は一、二月に計四回を計画。今回は、応募した県内の九人が坂網猟を見学した後、日本ソムリエ協会長の岡昌治さんとカモ料理に舌鼓を打った。岡さんが坂網鴨の料理に合うワインについて解説。参加者たちは、炭火焼きや包み焼きなどの創作料理とワインを味わい「とてもおいしい」と感激していた。四回目の募集は、既に定員に達したため締め切った。
(命かけ、命いただく:兵庫)
城下町を抱く丹波の山並みは乳色の冬霧に包まれていた。兵庫県篠山市。盆地の外れに車を止め、3人の猟師と里山に踏み入った。ぬれた落ち葉が埋める斜面を、はうようによじ登る。裸木が寒風に揺れていた。「おるか」そばに立つ猟師が聞いた。「おる」先を登る猟師が答える。見上げた山腹。ちらつく雪の中にイノシシが立っていた。「メンタや」。メスだ。「14貫」。52・5キロ。猟師たちの目算は内臓抜きの重さだ。息を荒らげた獣がいきなり飛びかかってきた。が、すぐつんのめって転げ回る。左前脚を締めつけた直径4ミリのワイヤが、山肌の木の根に結ばれていた。「猪(しし)は怖いで。わなのワイヤもバチンと切られる。命をいただくには、私らも命かけな」猟師たちが手首の太さほどの立ち木を身の丈に切り出した。両手で頭上に構え、じわりと近づく。雪は、やんでいた。ふと獣の動きが止まる。その瞬間、生木の先端が弧を描いた――。じんと冷え込む時季。猪肉のぼたん鍋に心を引かれ、発祥地のここ丹波篠山に来た。近ごろ多いという飼育肉が目当てではない。名産地の野山が鍛えた肉をカッとかみしめたい。天然肉だけを追い求める猟人と、山駆ける命に向き合った。山陰道の要所「笹山」に城を築かせたのは徳川家康である。関ケ原の戦いから9年後。大坂城攻略の拠点だった。JR大阪駅から快速電車で1時間余り。この盆地を取りまく山影は高くない。だが険しい。丹波篠山の猪肉はその固い山肌にたくましく鍛えられるのだ。「いい猪(しし)や」村上義一さん(84)がナイフを取り出し、突っ伏した獲物に近づいた。血抜きをした後、内臓を取り出す。この道60余年。名手で知られる鉄砲撃ちは、今はもっぱらわなを使う。銃弾を放つより肉を傷めないからだ。丹波栗に山の芋。幸豊かな野山を駆けた美食の獣は冬の猟期を前にぐっと肥える。明治の末ごろ、この地で猪肉の鍋が生まれたことが必然に思えてくる。ぽっかり空いたあばらの内側に触れてみた。温かい。生きてきた命だと実感する。獣の体温が残っていると蒸し焼き状態になり、肉に臭みが出る。だから山中の凍える池に獲物を浸す。「おいしく食べてもらうことが猪たちの供養になる」息子の昌広さん(54)が静かに言った。食べるための命は育てない。自然が生み育てた命をいただけることに感謝して、丁寧な作業で命を抜いてゆく。人間の食の原点を自覚した。猪肉の多くは猟師が専門店に持ち込み、飲食店や消費者に売られていく。だが、村上さん父子が捕獲、解体した猪肉を直接仕入れる和食店があるという。篠山市内、里山近くの「(八)(まるはち、○の中に八)たにがわ」。予約客を迎え入れる時だけのれんを出す店だった。「やっぱ猟師の顔が見える正真正銘の天然もんが一番やろ」と店主の谷川隆司さん(60)。もちろん、ぼたん鍋を頼む。大皿に咲いた紅白の大輪。ロース肉の濃い紅色が鮮やかだ。秘伝のだしを張った土鍋に赤みそを溶かし、肉と野菜を放り込む。煮立つまで、じっと待つ。まずは、野菜。みその甘辛い風味が脳の奥へと駆け上がる。さあ、肉だ。一片をかみしだく。口いっぱいに広がるコク。甘みがすっと寄り添う。湯気の中で踊る肉たちは煮込むほどに柔らかくなり、脂身はくずれない。粉山椒(こなざんしょう)を振ってほおばる。うなるほど甘みが引き立った。「おいしい言うてもらわな」目尻が下がる。肌が火照る。鍋をつつく手を止められない。体が、返事をしてくれた。丹波篠山の朝は寒かった。手元の温度計の表示は1度。だが体感では零下の寒さである。立ちこめる霧のせいだろうか。鍋をつつき、体の芯から温まりたい。それも先人たちが滋養強壮源と重宝してきた猪(しし)肉を、名産地で知られる篠山で。この地でぼたん鍋が生まれた必然を感じながら、猟師たちと山へ入った。道なき斜面を登り下りするうち、ぬれた落ち葉や朽ち木に覆われた山腹に幾筋かの細い線が見えるようになった。「それが『かよい』や」と村上昌広さん(54)。イノシシや鹿が行き交う獣道だ。ワイヤで獲物の脚を絡め取る「くくりわな」やエサで誘う「おりわな」は、かよいの足跡を追って仕掛けるのだ。新しい足跡なら、獲物が再びそこを通る可能性が高い。父の義一さん(84)が腰をかがめて足跡を探す。「猪は賢いで。雪が10センチ積もっていても地中のわなに気づかれる。知恵比べや」。昌広さんも「そう簡単には捕まらん」と言う。犬に追われ山から出てきた獲物を銃で撃つのとは違って、わなを使う猟は人と動物の神経戦。生きた獣に向き合いたいと同行取材を申し込んだが、厳しいのか――。予想は外れた。3日間同行し、計6頭の野生の命にめぐりあえた。1日に3頭がわなに掛かっていた日も。「こんなに掛かるのは数年に1回や。おたくら、運がええな」。猟師たちも驚く幸運に恵まれたのである。わなに掛かったイノシシは逃げようと必死だ。猟師たちの姿を見て、はじかれたように跳ね出した。鼻先で土を掘り返す。歯をカチカチ鳴らす。突き出した鼻先から肺の空気をにわかにはき出す。いずれも威嚇行動だそうだ。ワイヤを固く結んだ木の根を中心に半径2メートルほどの斜面がえぐれている。一晩中暴れ回ったか、それとも二晩か。ワイヤが脚を締めていると分かっていても、跳んでこようとするイノシシに何度ものけぞり、斜面を転げ落ちそうになった。オスのイノシシに近づきすぎて、牙で太ももを裂かれて命を落とす猟師もいるという。気を失った獲物の血抜きも危険だ。首にナイフを刺し入れた瞬間、正気を取り戻して暴れ出すこともあるらしい。冬枯れの森で、人とイノシシの、いや生き物と生き物の命をかけた戦いを見せつけられた。捕獲したイノシシを自宅で解体、成形するのは昌広さんの妻悦子さん。皮を少しずつナイフではぎ、あばら骨や背骨から肉を切り離してゆく。1頭の処理に5~6時間かかる根気のいる作業だ。「生きているイノシシは怖いけど、解体するのはお魚をさばくのと同じ感じ」。なるほど。美しくロールされた紅白鮮やかな猪肉にしばし見とれてしまった。

TOPへ

2/1
(「散弾銃で父親を殺害した」遺体を横浜から香川に:神奈川)
男性の遺体をトラックのコンテナに遺棄したとして、香川県警は31日、死体遺棄の現行犯で高松市庵治町のパート店員、佐藤典子容疑者(59)と息子の無職、亘容疑者(23)を逮捕した。いずれも「横浜市から遺体を運んだ」と容疑を認めているという。遺体は佐藤容疑者の夫の秀延さん(55)とみられる。横浜市内の秀延さんが住む高級マンションを訪れた知人女性から1月30日夜、神奈川県警に「男性が倒れており、亘容疑者が銃を持って立っていた」と通報があり事件が発覚。神奈川県警からの手配を受けた香川県警の捜査員らが2人を約500キロ離れた香川県さぬき市で発見した。遺体は布にくるまれ、棺おけに入っていた。両容疑者はトラックとワゴン車に分乗して横浜市から香川県まで移動したとみられる。ワゴン車から散弾銃が見つかった。亘容疑者は殺害をほのめかす供述をしているといい、神奈川県警で今後、殺人の疑いもあるとみて調べる。逮捕容疑は、同日午後0時5分ごろ、さぬき市のコンビニエンスストアの駐車場で、トラックのコンテナに男性の遺体を遺棄したとしている。
(狩りの男性クマに襲われ大けが:福井)
31日午後1時10分ごろ、福井県勝山市野向町横倉の林道付近で、イノシシ狩りをしていた市内の60代男性がクマに顔と左腕をかまれたり、引っかかれたりして大けがをした。同市などによると、男性は病院で治療を受け、意識はあるという。現場は国道416号から林道を約1キロ登った付近。男性は仲間と3人で狩りに出掛け、穴から出てきた体長約1メートルのクマに襲われた。クマは南方向へ逃げ、他の2人にけがはなかった。市は横倉区と隣の北野津又区の区長に、クマの出没を報告。国道沿いや林道の入り口に看板を立てて注意を呼び掛けている。県内の本年度のクマによる人身被害は3件目。昨年12月26日には大野市の民家で男性が子グマに両腕をかまれた。県自然保護課によると、ツキノワグマの冬眠期間は、おおむね12月中・下旬から3月上旬。ただ今冬のように降雪が少ないと、冬眠期間でも餌を求めて活動することがある。「2月は出産期に当たるため、母グマの活動も増える」という。
(クレー射撃協会、前執行部10人を除名処分)
日本クレー射撃協会は31日、東京都内で総会を開き、必要な手続きを経ず基本財産を取り崩していた前執行部の平井一三前会長ら10人の除名処分を決めた。昨年の理事会で除名処分となるのは14人とされたが、3人が退会し、1人が死亡した。協会は取り崩し分を加盟各都道府県協会からの寄付などで補い、前執行部には訴訟で損害賠償を求めている。
(国が捕獲目標設定を、シカ食害対策で答申)
中央環境審議会(環境相の諮問機関)は31日、農林業に被害をもたらすニホンジカやイノシシなどの捕獲強化策を石原伸晃環境相に答申した。国が具体的な捕獲目標を盛り込んだ基本指針を定め、都道府県による取り組みを促すことなどが柱。答申を受け、環境省は今国会に鳥獣保護法改正案を提出する方針だ。近年、国内ではニホンジカの急増で、樹皮を食べられ樹木が枯れるなどの被害が拡大。捕獲を担う狩猟免許保持者は年々減少、高齢化している。同省の推計によると、ニホンジカの個体数(北海道を除く)は、2011年度の261万頭から25年度には500万頭に達する見通し。被害が広域化していることも踏まえ、「都道府県による個別の対応では追い付かなくなっている。国が指導力を発揮することが不可欠」と、国の取り組み強化を促した。
(とらわれのイノシシ捕獲、山中に放す:兵庫)
兵庫県と神戸市は31日、同市中央区の宇治川えん堤内で、コンクリート塀に囲まれた場所から出られなくなっていたイノシシの捕獲に成功した。イノシシは六甲山中の鳥獣保護区に放された。イノシシは体長約1メートル。2012年冬ごろえん堤内にいるのを近隣住民が見つけ、パンなどを与えてきた。捕獲は昨年末、同地を管理する県が市に要請した。市の依頼を受けた地元猟友会が今月20日、餌を仕掛けたおりを設置していた。だがおりに入らないため、市と県などが31日朝から捕獲作業を開始。麻酔銃を使って眠らせ、おりに入れて六甲山中の鳥獣保護区に運んだ。イノシシは自らおりを出て、しっかりした足取りで森林に入っていったという。近くで菓子店を営む女性(71)は「ウリ坊のときから地域のみんなで見守ってきたので寂しいけど、無事に帰ったと聞いてほっとした。山で元気に過ごしてほしい」と話した。
(遺跡がイノシシ被害、少雪が影響か:福井)
国の重要文化財、特別史跡、特別名勝に指定されている福井市の一乗谷朝倉氏遺跡内で、イノシシが石垣を掘り返して崩す被害が出ている。関係者は今年の少雪が影響しているとみて、頭を悩ませている。被害が大きいのは、遺跡内の復原町並(ふくげんまちなみ)の道を挟んで対面にある斜面。石垣が上下から掘り返され、茶色の土が露出して崩れた石が散らばっている。朝倉氏遺跡保存協会の岸田清会長(66)は「イノシシが土を掘って、ミミズや自然薯(じねんじょ)を食べているんでしょう。隙間から雨水が入り込むと、石垣が本格的に崩れるかもしれない」と心配する。石垣だけでなく、遺跡の各所で土が掘り返されている。周辺の田畑には獣害を防ぐ柵が巡らされているが、遺跡は景観上の問題で柵を設置するのは難しい。2012年秋からは、イノシシが嫌がるとされる海外のオオカミの尿をインターネットで購入し、袋に入れて遺跡内にぶら下げているが、効果が薄れつつある。
(カラス転々、対策に苦慮:岩手)
盛岡市中心部に近い山をねぐらにするカラス被害の対策で、市が今月行った撃退実験の後、カラスが市街地を転々としている。2、3日すると場所を変え、夕方から夜間に市街地の電線に千羽以上が飛来する。ふんの被害がひどく、これまで経験のない地域の住民は対応に苦慮。カラスの動きは予測できず、市は事後対策に頭を抱えている。市は7~15日の平日、同市愛宕町の愛宕山にカラスとトンビの鳴き声が出るスピーカーを2カ所に設置。5500羽ともいわれるカラスの分散を狙った。10日ごろから千羽単位で大群が、市街地に飛来し始めた。29日までに、山岸小周辺や神明町などこれまで被害のなかった地区から、ふん害などの苦情が計22件、市に寄せられた。28日午後6時すぎには本町通3丁目の電線約200メートルにぎっしりと止まり、気味悪がる市民もいた。市環境企画課の桜正伸課長は「森など緑のある場所に移動する予測だったが、毎日の状況把握と清掃対策で精いっぱい。徐々に山間部に移動してほしいが今は打つ手がない」と頭を抱える。当分、予測不可能な厄介者に翻弄(ほんろう)されそうだ。

TOPへ