<射撃ニュース3月>

3/14
(クレー射撃、国体は16年以降も実施)
日本体育協会は13日の国体委員会で、クレー射撃を2016年の岩手、17年愛媛、18年福井の各国体で実施することを決めた。日本クレー射撃協会の内紛が改善され、組織運営がほぼ正常化されたと判断した。また、19年茨城国体からの4年間については、当初の方針通り隔年実施とすることを確認した。実施年は未定。15年和歌山国体のクレー射撃の会場を神奈川県伊勢原市とすることも決めた。開催県での競技実施が難しい場合は近隣県で行うことが原則だが、経費などの面で、伊勢原市が最適と判断した。
(印南町に県営射撃場計画:和歌山)
印南町の印南原地内で、鳥獣被害対策としてハンター養成などを目的とした県営の射撃場計画があることがわかった。13日に再開した議会一般質問で、井上孝夫議員の質問に対し、執行部が明らかにした。施設の具体的な内容は決まっていないが、地元印南原は同意しており、町も積極的に推進していく考えを示した。以前から県は射撃場の建設候補地を探しており、高速道路が整備され国道に近いなど交通の利便性、北向きの斜面があるなどの土地的な条件がそろっているとして、印南原地区が名乗りを上げ、昨年県による地元説明会も開かれた。地元では説明を受け、「ハンターの資質向上と新規ハンターの増加が見込めるなどで、鳥獣害対策になる」としてことしの区総会で了承した。また現在開会中の県議会一般質問で仁坂吉伸知事が、建設の条件に挙げていた「地元市町村への応分負担」などを緩和し、「地元の意向があれば前向きに進めていきたい」と答弁していた。質問では井上議員が町の見解を聞き、日裏勝己町長は「ハンターの技術向上、安全対策に貢献できる。地元から要望書が出ており、県へも伝えている」と答弁し、積極的に推進していくことを約束。さらに井上議員は射撃場には国際大会が開かれるAAA、国体が開かれるAAなどのランクがあることを説明し、「AAAは国内に宮城と熊本の2カ所しかなく、AAも少ない。これらのランクにすることで、近畿や周辺の国体などの大会で使われることになり、地域の活性化効果も期待される」とし、日裏町長も「AAやAAAができれば素晴らしい」と理解を示した。このほか井上議員はヘリポートの併設なども求めた。県内では田辺市や那智勝浦町に民間の射撃場はあるが、県営(ライフルを除く)ではない。湯浅町で計画が出ていたが、用地確保や地元合意が得られず平成22年に断念している。今回の印南町での計画について県は「射撃場の必要性は感じているが、まだまだこれから検討段階」と話し、いまのところ名乗りが上がっているのは印南町だけという。
(駆除の奨励金、1頭1万4000円:京都)
シカによる農林作物の被害を食い止めようと、京都市は新年度から、捕獲1頭につき1万4000円の奨励金を独自に交付することを決めた。2013年度から国が1頭につき8000円の交付金を支給しているが、更に効果を高めるため独自の奨励金導入を決めた。ただし一般の狩猟者は除き、対象は猟友会の有害鳥獣捕獲従事者とされた人に限る。市内の山間地域には推計で約8000頭のニホンジカが生息し、水稲や野菜類、植林した苗などの食害が後を絶たない。市は11年度に「市鳥獣被害防止計画」を作り、府猟友会に捕獲を委託するなどの対策を取った。10年度に約8000万円だった被害額を14年度までに3割減らすことを目標としたが、12年度には約9000万円と増加。更なる対策が求められていた。
(シカ駆除支援、「道職員ハンター」派遣へ:北海道)
道は4月から、狩猟免許を持つ道職員で「鳥獣捕獲チーム」を作り、市町村のエゾシカ駆除事業の応援に乗り出す。ハンター不足が深刻になっていることから、狩猟の資格を持っている職員を活用する“人材バンク”を道庁内に作るというユニークな取り組みだ。道によると、狩猟免許を持つ職員は現在、札幌市の本庁舎や道内各地の振興局などに約30人いる。道はこの中から希望者を募り、参加できる地域や時期などを調整し、市町村の要請に応じて派遣する。これまでも、職場に申請をすれば、個々の職員が休日に市町村の駆除事業に参加し、報酬を受け取ることができた。新たな仕組みでは、通常業務に支障の出ない範囲で平日にも派遣できるように、道が調整役を務める。平日の場合、勤務扱いとして報酬は辞退させる。交通費や弾代などは原則、市町村に負担してもらう。道によると、2012年度のエゾシカの推定生息数は約59万頭で、10年前の02年度と比べて約1・6倍に増えている。一方、道内の狩猟免許の取得者は、ピークの1978年には約2万人いたが、現在は約1万人に減っている。特に過疎地では不足が深刻で、地元の猟友会だけでは駆除が追いつかないのが現状だ。道環境局は「平日と休日を組み合わせて遠方の駆除にも職員を出せるようになり、幅広い支援が可能になる」としている。
(シカ逃走などで4職員懲戒処分:熊本)
熊本市動植物園(同市東区)から2月24日にニホンジカ8頭が逃げ出した問題で、市は11日、飼育小屋の扉の施錠を忘れたなどとして、飼育担当の男性副主任(56)と園長(58)を戒告の懲戒処分とした。副主任は同日付で依願退職したという。8頭のうち7頭は捕獲されたが、残る1頭は現在も行方不明で、園は5人態勢で捜索を続けている。また、2009、10年度の同園チンパンジー舎建設工事で、業者への請負金の一部(17万8215円)が未払いになるなど不適切な会計処理をしたとして、当時の修繕・施設整備の担当者で教育委員会事務局の男性技術主幹(49)と前副園長(59)を戒告の懲戒処分にした。市は「市の信頼を著しく損ない、市民生活にまで多大な影響を与えてしまった。申し訳ない」としている。
(列車とニホンカモシカが衝突:静岡)
12日朝、静岡・菊川市のJR東海道線の線路内で、列車が、国の特別天然記念物のニホンカモシカに衝突し、一部区間で運転を見合わせた。午前7時半ごろ、菊川市のJR東海道線で、浜松発静岡行きの上り列車・ホームライナーが、線路内に入ってきたシカに衝突した。列車は緊急停止したが、乗客と乗務員にけがはなかった。菊川市によると、衝突したシカは、国の特別天然記念物に指定されているニホンカモシカのオスで、体長1m10cm、重さ50kgと推定されている。東海道線は、菊川-金谷間の上下線で10分余り運転を見合わせ、通学・通勤客2,400人の足に影響が出た。
(捕獲補助対象にシカを追加:岡山)
岡山市は、有害獣の捕獲に対して支払っている補助金の対象に、2014年度からシカを加える。北区建部地区、東区瀬戸地区などで野生のシカの目撃情報、農作物被害が発生しているため。捕獲を推奨し、被害拡大の抑制を図る。県の有害獣駆除強化月間である7〜9月、市内でシカを捕獲した猟友会の駆除班に、1頭当たり8千円以内の補助金を出す。期間中の捕獲総数を受けて補助単価を決め、10月以降に支払う。市によると、12年度に市内で捕獲されたシカは14頭で、11年度の7頭から倍増。12年度は大豆畑が荒らされるなど、11年度まではなかった具体的な被害報告(被害金額9万5千円)も寄せられたため、捕獲補助の対象にした。市は現在、農作物被害が深刻なイノシシとヌートリアを捕獲した狩猟登録者らに、イノシシは1頭当たり4千円(駆除強化月間は8千円)以内、ヌートリアは1匹につき千円以内の補助金を交付。12年度の交付額は、イノシシ約2700頭、ヌートリア約760匹で計1400万円余りとなっている。市は14年度当初予算案に、シカ、イノシシ、ヌートリアの捕獲補助、進入防止柵や捕獲柵の設置費補助などの対策費として計3530万円を計上している。市農林水産課は「現段階では目撃情報と被害報告があるのは一部の地域だけだが、さまざまな対策を取ることで有害獣による被害拡大を防ぎたい」としている。
(過去最多、シカ89頭捕獲:栃木)
ニホンジカによる山林の食害防止などを目的にした県猟友会日光支部の大規模有害鳥獣駆除が9日、足尾山中で実施され、例年1~3月に行われる同駆除で過去最多の89頭を捕獲・回収した。年々減少していた会員数も、市が本年度から始めた狩猟免許の新規取得・更新時の手数料補助制度などの効果で約30年ぶりに増加した同支部。塚原久夫支部長(76)は「駆除はボランティア的な側面が強い。行政の支援を受けながら食害防止に努めていきたい」と話している。シカやイノシシの通常の狩猟期間は、例年11月中旬~翌年2月中旬までとされている。この狩猟とは別に、市の個体数調整事業の一環として大規模な有害鳥獣駆除が1~3月に足尾地区と日光地区で実施され、9日は足尾町の久蔵、仁田元地区で会員36人が活動した。同支部によると、駆除は2月中旬の予定だったが大雪のため3月に延期。当日も会員は深い雪をかきわけながら山中に入り、ライフル銃や散弾銃でシカを仕留めた。大規模駆除で一度に89頭は過去最多となり、増えているシカの実態が浮き彫りなった。県森林整備課によると、県西地区(日光、鹿沼両市)の民有林で発生したシカとカモシカによる被害(実面積)は2008年度の2・04ヘクタールから12年度は3・64ヘクタールに増加。日光市農林課の調べでは、シカによる農作物被害の金額も08年度の約280万円から12年度は約1670万円に急増している。
(ヒグマ、春のお目覚め:北海道)
羅臼町内の公園で、冬眠から目覚めたヒグマが歩いているのを同町の漁業桜井憲二さん(50)が写真と動画で撮影した。狩猟も手がける桜井さんは12日午前11時半ごろ、エゾシカの有害駆除の下見のため、市街地から知床岬寄りに約3キロ離れた羅臼灯台のある「クジラの見える丘公園」を訪れた。そこで約50メートル離れた地点に体長約1・5メートルのヒグマがいるのを発見。大きな声を出したところ、クマは悠然と雪の上を歩きながら山の方向に立ち去った。この日の羅臼は晴れて午前11時の気温が氷点下2・6度と春の訪れを感じさせる陽気だった。町によると、足の大きさなどから雄の若グマとみられる。町内では冬眠明けのクマの足跡が2月中から確認されていたが、市街地周辺での出没は例年より1カ月以上早いという。桜井さんは「目の前にいて目が合ったので驚いた」と話している。
(シカ、県内全域に2万頭:群馬)
県内全域に生息するシカの個体数は推計で約2万頭に上り、最後に調査した1997年度の7600頭から2倍以上に増えていることが分かった。13日の県議会鳥獣害対策特別委員会で、県が明らかにした。農林業の食害を食い止めようと、県が昨秋、都内の民間企業に算出を委託していた。2000年度以降の狩猟登録者の捕獲頭数、目撃数などのデータを提供して解析した結果、「1万3000頭から2万4000頭の幅があるが、おおむね2万頭前後という推計が出た」(自然環境課)。市町村別の算出にはまだ時間がかかるという。昨年度のシカによる林業被害は、計約3億2000万円と過去最悪。自然環境課では、調査結果を基に市町村別の生息分布図を作るといい、「色の濃淡で生息数を示し、今後の駆除計画に生かしたい」としている。
(シカ食害対策、放送番組で紹介:京都)
京都府京丹波町の旧瑞穂町域8集落でつくる梅田地域振興会はこのほど、町CATVと協力して地域の有害鳥獣対策を紹介する番組を収録した。田畑を守るための捕獲から有効活用としての創作料理づくりまでを放送し、シカ問題の解決法の一つとして提案する。梅田地域振興会ではサルの追い払い隊を組織したり、町の援助で試験的にシカの自動捕獲おりを設置したりと、有害鳥獣対策に力を入れている。また調理グループ「ディアクッキング梅田」がシカ肉を使った創作料理を発案し、町のイベントで発表するなど捕獲後の処理方法も模索している。番組は、身近な環境保全活動を紹介するシリーズの4回目として、有害鳥獣対策と環境との共生を扱った。収録は鎌谷奥地区の山村風景の撮影から始まり、猟銃やおりによる捕獲やその後の処理方法を紹介。おりで捕らえたシカの映像とともに山村の農業を守るための努力を説明した。また梅田振興センター(水原)では春巻きや巻きずしなどのシカ肉料理を試作。捕獲後に廃棄するのではなく、料理にして「命を頂き感謝する」考え方について話し合った。同振興会の上田正さん(68)は「どんな地域も苦労している問題。捕るだけでなく責任を持って処理し、おいしく食べていく供養の仕方を伝えたい」と話した。番組は15日から町CATVで放送予定。
(山口型放牧でイノシシ出没減:山口)
山口県農林総合技術センターは、耕作放棄地や山林を柵で囲って和牛を放牧する「山口型放牧」について、鳥獣被害の軽減効果に関する2013年度の調査結果をまとめた。イノシシの出没を減らす効果がはっきり表れた、としている。
(鳥獣被害防止には柵設置と捕獲の2本柱:和歌山)
西牟婁振興局農業振興課など主催の「2013年度農作物鳥獣被害防止対策研修会」が12日、和歌山県田辺市秋津町のJA紀南中央購買センターであった。兵庫県立大学自然・環境科学研究所の特任講師、阿部豪さんがイノシシやシカの被害対策を講演。適切に防護柵を張ることと捕獲して減らすことの2本柱で対策をすることが効果につながるとし、その方法を詳しく説明した。生産者やJA営農指導員、猟友会の会員など49人が参加した。はじめに、阿部さんはイノシシやシカの特徴として学習能力と習慣性があり、食物が得られる場所を覚え、繰り返し現れること、音や光などの刺激には慣れてしまうことを映像を見せながら解説した。効果的な被害対策には、守りたい土地に入れないための防護柵の設置、加害動物の数を減らす捕獲の両輪で進めることで効果が上がると強調。一度味をしめると執拗(しつよう)に侵入を試みてくるため、防護柵は、被害に遭う前に張ること、電気が流れない場合があると学習させないために、しびれない電気柵は設置しないことなどの注意点を挙げた。また「はこわな」や「囲いわな」による捕獲では、場所選びから事前の餌付け、餌による誘引など手順を説明。イノシシやシカは非常に警戒心が強いため、餌付けが成功の鍵になるといい、初めはわなが作動しないようにして、毎日餌をまき、少しずつ奥まで入るように慣れさせた上で確実に捕獲することを指導した。阿部さんは「いろいろな商品が開発されているが、技術が動物を捕るのではない。わなに動物を誘因できなければ捕れない。基本手順を徹底できる体制をつくっていくことが重要だ」と語った。また、田辺市ふるさと自然公園センターの鈴木和男さんは、アライグマの調査研究について報告。旧田辺市の捕獲状況として、昨年は136匹で、月別でみると、2010年までは夏期に多く捕獲されたが、11年以降は年明けから4月までの捕獲数が増えていることなどを紹介した。ハクビシンは妊娠雌や幼獣も確認しており、紀南地方に定着して自然繁殖を始めていると考えられることなども伝えた。岐阜大学野生動物医学研究室の木村悟志さんは、旧田辺市のアライグマの個体群特性など分析結果を発表。毎年150匹前後を捕獲してきたが、繁殖力が高く、繁殖期の捕獲数が少ない傾向にあるとし、効率的に個体数を減らすためには、繁殖期(1~4月)に捕獲を行うこと、捕獲に従事する人やわなを増やすことが大切ではないかと提言した。
(イノシシ駆除に959万円:千葉)
睦沢町(人口7410人=3月1日現在)は、一般会計当初予算をまとめた。イノシシ駆除推進のため鳥獣被害対策実施隊を設置するなど被害拡大防止費用に959万円を充てた。
(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案)
「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案」が3月11日(火)に閣議決定された。本法律案は第186回国会に提出する予定。○法改正の背景(1)近年、ニホンジカやイノシシなどの鳥獣においては、急速な生息数の増加や生息地の拡大が起きており、希少な植物の食害等の生態系への影響や、農林水産業・生活環境への被害が、大変深刻な状況となっている。一方、鳥獣捕獲に中心的な役割を果たしてきた狩猟者が減少・高齢化しており、捕獲の担い手の育成や確保が課題である。(2)このため、積極的に鳥獣を管理し、また、将来にわたって適切に機能し得る鳥獣管理体制を構築することが必要な状況になっており、平成26年1月に中央環境審議会より「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」答申を得た。(3)これを踏まえて、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律について、新たに鳥獣の管理を図るための措置を導入するなど、鳥獣の生息状況を適正化するための抜本的な対策を講じるために、所要の改正を行うこととした。○法律案の概要(1)題名及び目的の改正題名を、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に改めるとともに、目的に、鳥獣の管理を図ることを加える。(2)計画体系の再整理都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、[1]その生息数が著しく減少し、又はその生息地の範囲が縮小している鳥獣の保護に関する計画[2]その生息数が著しく増加し、又はその生息地の範囲が拡大している鳥獣の管理に関する計画を定めることができるものとするほか、計画体系の再整理を行う。(3)集中的かつ広域的に管理を図る必要がある鳥獣の捕獲等をする事業の創設都道府県等は、(2)[2]の計画に基づき、環境大臣が指定した集中的かつ広域的に管理を図る必要がある鳥獣の捕獲等をする事業を実施することができるものとする。(4)鳥獣の捕獲等をする事業の認定制度の導入鳥獣の捕獲等をする事業を実施する者は、当該事業が安全管理体制等に係る基準に適合していることにつき、都道府県知事の認定を受けることができるものとする。(5)その他[1]住居集合地域等において、鳥獣による生活環境に係る被害の防止の目的で麻酔銃猟をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないものとする。[2]網猟免許及びわな猟免許を取得できる年齢を、二十歳から十八歳に引き下げる。[3]環境大臣及び都道府県知事は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、公務所等に照会して必要な事項の報告を求めることができるものとする。○施行期日公布の日から1年以内の政令で定める日から施行します。ただし、1(5)[3]については、公布の日から施行する。
(銃器業界が語りたがらない10の事実:アメリカ)
1.「われわれの製品を持てばあなたの健康が害されるかもしれない」米調査会社ピュー・リサーチ・センターによると、米国には現在、2億7000万~3億1000万丁の銃が存在している。つまり、米国民1人当たりにほぼ1丁という計算になる。さまざまな政治的信条を持つ裁判官や議員も合衆国憲法で保障された武器を所持する権利を認めている。また、現在も成長著しい150億ドル近い規模のこの産業にとって、民間人への銃や弾薬の販売は大きな部分を占めている。たとえばスミス・アンド・ウェッソン社は3月4日、第3四半期の利益が前年の1460万ドルから2080万ドルに増加したと発表した。2.「恐怖心はわれわれの利益にプラスとなる」2008年から2013年までは、銃器・弾薬産業の歴史において最も好調な時期の1つだった。調査会社IBISワールドの銃器業界に関する報告書によると、その間の売上高は年率約8.4%拡大し、2013年には推定147億ドルに達した。報告書の著者は、同業界の売上高を後押ししている要因の1つに顧客の恐怖心があると結論付けている。「犯罪が増加する可能性に対する恐怖心がかつてないほどの売上高成長に貢献している」とその報告書は述べている。(FBIのデータによると、全米の窃盗犯罪と暴力犯罪の発生率はこの期間に減少した。)3.「銃器は法の下で特別扱いを受けている」いくつかの点で、米議会は小火器を特別扱いしており、他の大量生産品よりも甘い扱いを受けていると言う声がある。まず、製品に関連した負傷や死への不当なリスクから顧客を守るための政府機関である消費者製品安全委員会(CPSC)には、銃器を規制する権限がない。これは消費者製品安全法が1976年に改正されたためである。専門家はこの法改正が市場からの銃器回収をかなり難しくしたと考えている。ワイドナー大学法科大学院の衛生法研究所所長、ジョン・カルヘーン教授はCPSCについて「芝生ダーツのようなものでさえ、販売禁止にしたり回収したりできるのに、銃器に関してはその権限がない」と話す。銃器はCPSCから規制されていないが、アルコールたばこ火器爆発物取締局(ATF)によって規制されていると全米ライフル協会(NRA)の広報担当者、アンドリュー・アルランアンダム氏は反論する。4.「われわれは子供たちが銃で遊ぶことを望んでいる」ほとんどの場合、18歳未満の少年は合法的に銃を購入することができない。しかし、多くのハンターや射撃手が初めて(安全な)射撃の仕方を学ぶのは子供の頃であり、銃擁護団体も銃器製造業者も少年たちを念頭に置いてメッセージを作成している。5.「銃規制には効果があるかもしれないが、それでもわれわれは賛成できない」2013年に発表された研究のために、ボストン小児病院、ハーバード大学医学部、ハーバード大学公衆衛生学部は自殺や犯罪における銃による死亡率と各州の銃規制法を比較調査した。法律が最も厳しかった州には、身元調査の強化、小火器の違法売買の抑制、襲撃用ライフルの禁止、消費者が公共の場で銃を所持することの防止、子供の安全の確保などを目的とした法令が定められていた。6.「われわれは政治的に負けることはない」銃器を所持する権利は合衆国憲法によって守られている。とはいえ、銃器業界が政治的な戦いに勝つための手助けをしているのは憲法だけではない。銃器の業界団体は毎年、自分たちの利益を守るためにロビー活動に数百万ドルを費やしている。米国政治の資金の流れを監視する非営利団体、責任ある政治センターによると、NRAとその系列団体、NRAInstituteforLegislativeActionは2013年に合わせて340万ドル以上(前年比14%増)を連邦政府へのロビー活動に注ぎ込んだという。銃を所持する権利に影響を及ぼす州法や連邦法に関して、銃の所有者を教育する組織であるTheNationalAssociationofGunRightsは昨年680万ドル近く、火器製造事業者団体の全米競技射撃財団は230万ドル以上を費やした。7.「銃規制に前向きなオバマ政権下でもわれわれは特に追い詰められていない」コネティカット州ニュータウンでの銃乱射事件を受けて、オバマ大統領は身元調査の強化など、銃による暴力を抑制しようとする計画を発表した。そうした対策は1つも議会を通過していない。実際、政策論議で対立することが多いにもかかわらず、銃器業界はオバマ政権下でもほとんど窮地に立たされていない。8.「十分な銃支持派になり切れないときもある」銃を所持する権利を擁護する人々からの圧力に直面し得るのは、銃規制支持派の議員だけではない。銃器業界自体がその痛みを感じることもある。たとえば1990年代、クリントン政権や複数の市長と連携した銃規制支持派の人々が銃器業界を相手取って一連の訴訟を起こした。2000年、銃器メーカーのスミス・アンド・ウェッソンはそのうちのいくつかで和解することにし、さらなる規制を受け入れることで政府と合意した。これを受けて、銃器業界のメンバー数人がスミス・アンド・ウェッソンのボイコットを消費者に呼びかけた。すると同社の売上高は激減し、同社は最終的にそうした和解事案から距離を置かざるを得なくなった。9.「われわれはあなたが売って欲しくない相手にも銃を売る」連邦政府に認可された銃砲店は銃を販売する前にFBIの犯歴照会システムで顧客をチェックすることが義務づけられている。犯歴や精神病歴を持つ人はこれで発見できるだろう。しかし、いわゆるテロリスト監視リストに載っている人物に対して店が銃を売ることを禁止する法律はどこにもない。そのリストにはアルカイダや他のテロ組織のメンバーであることが疑われる人物など、政府がテロリストかもしれないと考えている人々ら、推定87万5000人の名前がある。銃規制を訴える団体、銃による暴力を防止するブレイディ・センターのための法的措置プロジェクトの責任者で弁護士のジョナサン・ロウイー氏は「飛行機に乗せるには危険過ぎると思われるテロ容疑者でさえ、銃の購入は可能だ」と指摘する。10.「弾薬はわれわれの事業の秘密兵器である」銃器と弾薬の関係は、プリンターとインクカートリッジの関係とよく似ている。前者はそれほどでもないが、後者は頻繁に買うことになり、結局、それにかなりの額を費やしてしまう。弾薬はあまり高価ではないように思える(ライフルの弾薬1箱、20発入りを10ドル以下で買える)が、頻繁に狩りや射撃場に行く人たちは生涯で数千発を消費してしまうで、総額はかなり大きくなり得る。
(ヘラジカ救って節税も:カナダ)
カナダの自然保護団体が税務当局と手を組み、寂しい独り者のヘラジカたちを救おうという運動を進めている。 環境保護団体ネイチャー・コンサーバンシー・カナダ(Nature Conservancy of Canada)はカナダ東部のノバスコシア(Nova Scotia)州とニューブランズウィック(New Brunswick)州の州境沿いに、野生動物たちが行き来できる、いわば野生の回廊を作ろうと計画している。ニューブランズウィックのヘラジカが、個体数の激減が危惧されるノバスコシアのヘラジカたちと出会って繁殖する機会を作るのが狙いだ。「ニューブランズウィックのヘラジカがノバスコシアに行けば遺伝子プールが増えノバスコシアでもヘラジカが存続できる」と、ネイチャー・コンサーバンシー・カナダのアンドルー・ホランド(Andrew Holland)氏はAFPに語った。 ニューブランズウィックに生息する健康なヘラジカは2万9000頭を超えるが、ノバスコシアのヘラジカは、寄生虫感染症の流行で約1000頭にまで減った。そこで2013年、その名も「ヘラジカ・セックス・プロジェクト」が立ち上げられた。もっとも、オオヤマネコ、ボブキャット、カモ、クマ、シカなどの野生動物も計画中の「ヘラジカ回廊」を往来することになりそうだ。 これまでにネイチャー・コンサーバンシーは、寄贈や買い上げなどでシグネクト地狭(Chignecto Isthmus)の2060エーカー(約8.3平方キロメートル)以上の土地を確保した。ここには沼地や湖、湿原が含まれている。回廊の完成を目指して同団体は、さらに1730エーカー(約7平方キロ)の土地の確保を目指している。 カナダには生態系の多様性や環境保護を目的とした「エコロジカル・ギフトプログラム(Ecological Gifts Program)」という制度があり、これに適合する土地の贈与は減税対象となる。 この制度の下、これまでにカナダ各地で計1054件、6億3500万カナダドル(約590億円)相当の土地寄贈があり、野生動物の生息地15万ヘクタールの保護につながった。
(伊那公園七色弁当お披露目:長野)
毎年お花見の時期に販売される、伊那谷の珍味を集めた伊那公園七色弁当が13日、お披露目されました。今年は新たに寒ぶなが加わり味のバリエーションが広がりました。七色弁当には猪肉煮、熊肉の甘味噌あえ、鹿肉の唐揚げ、鹿肉入りのローメン、蜂の子ご飯、イナゴとザザムシの佃煮、寒ぶなの甘露煮が入っています。13日は伊那市中央の飲食店竜門に七色弁当の販売を企画している伊那公園桜愛護会会員が集まり出来栄えを確認しました。弁当は桜の時期に伊那谷の珍味を味わってもらおうと始まったもので今年で4年目です。食材は桜愛護会会員で上伊那猟友会伊那支部所属の竜門社長小阪洋治さんらが調達したもので伊那谷ならではのごちそうを味わえます。今年は見た目の楽しさと味のバリエーションを広げようと新たに寒ぶなを加えました。桜愛護会ではこの弁当を伊那公園の桜祭りイベントが行われる4月13日日曜日午前11時から1食1,500円、150食限定で販売する計画です。
(イノシシ汁でジビエ料理PR:岡山)
田畑を荒らす有害鳥獣を駆除し、食肉として有効活用する「ジビエ料理」をPRしようと、岡山県備前県民局(岡山市北区弓之町)が11日、食堂で野生のイノシシ肉を使った料理を提供する「備前ジビエDay」を行った。今回は、吉備中央町内で駆除され、地元の住民グループが加工したイノシシ肉を使い、イノシシ汁を調理。みそ味の汁にハクサイやサトイモ、すりおろしたショウガなどを入れ、炊き込みご飯と漬物を添えて1食500円で販売した。この日は、午前11時半から40食限定で用意され、同県民局職員のほか、訪れた夫婦やお年寄りらが次々に注文し、舌鼓を打っていた。同県民局は鳥獣被害の拡大を受け、2011年度からジビエ料理の普及を推進。イノシシ汁は14日にも販売される。
(料理教室、ジビエカレーなど腕振るう:大分)
日田市の昭和学園高で11日、ジビエ料理教室があり、調理科2年生40人がイノシシ肉の薬膳ジビエカレーや、シカ肉とシイタケのしぐれ煮など野趣あふれる春の味覚づくりに腕を振るった。2012年の県内の鳥獣被害額は2億8700万円と例年よりやや少なかったが、その8割がイノシシ、シカによる農林業被害だ。捕獲頭数はイノシシ約2万2500頭、シカ約3万頭と年々増加。日田地方でも深刻で、県西部振興局が獣肉の有効活用を図ろうと教室を企画した。指導したのは野菜ソムリエでフードコーディネーターの原田京子さん(52)。臭み消しや調理法を丁寧に教え、うまい料理に仕立てた。玖珠町から通学する矢野優朋さん(17)は「獣肉は好き。今度は家で作ってみます」。
(柔らかくて好評シカ肉グルメ:北海道)
西興部村特産のエゾシカ肉の美味しさを多くの人に知ってもらおうと、料理人が腕をふるった創作料理を提供する「鹿肉パーティー」が8日、村内のホテル森夢(りむ)で開かれた。シカ肉グルメを味わおうと村内外から170人近くが集まり、山の幸を堪能した。パーティーは村内で鹿牧場を運営しながらエゾシカを食用として活かす方法の研究に取り組む、西興部村養鹿研究会(中原慎一会長)が毎年開いているもので、今年で19回目。参加者は西紋管内のほか関東や札幌など遠方からも集まり、リピーターが大半だという。テーブルにはホテルの鈴木智郎料理長らが趣向を凝らして調理したシカ肉グルメがズラリ…。定番の薄切りした首肉を使ったしゃぶしゃぶのほか、特製のデミグラスソースでバラ肉を煮込んだシチュー、少し赤みが残るようにローストしたモモ肉など6品が並べられた。料理はどれも好評で、シチューに使用したバラ肉は口の中ですぐにほぐれる柔らかさ。参加者は新たな味との出会いを楽しみながら、料理を堪能していた。シカ肉は高たんぱく・低脂肪で鉄分も多く含まれているヘルシーな肉質が特徴だが、適切な血抜きが行われていないと生ぐさいため敬遠する人も少なくない。そこで同研究会ではホテルの協力で様々な食べやすい調理法を提案して村民らに味わってもらい、消費拡大につなげようとパーティーを続けてきた。主催した同研究会の中原会長は「毎年、遠方から多くの方に来て頂いてありがたい。伝統を受け継ぎつつ、常に新しい食べ方を提案してくれる料理長の努力のおかげ」と喜び、「最近、スーパーにシカ肉が並ぶようになってきた。ここで出会った料理を家庭でも取り組んでもらえたら」とエゾシカ肉の普及に期待を寄せた。村では昨年7月、近隣の滝上町・下川町と合同で「オホーツク山の幸活用推進協議会」を立ち上げ、地域一体となったエゾシカなど野生鳥獣対策や自然資源の有効利用による産業振興に努めているところ。
(イノシシ肉使った新商品「ししマン」:鳥取)
ぼたん鍋や定食などイノシシ料理を提供している宿泊施設「緑水園」(南部町下中谷)が、町内で捕獲されたイノシシを使った新商品「ししマン」を開発し、施設内のレストランで販売を始めた。新たな町の土産物として売り込んでいきたい、としている。同園は山菜料理が楽しめる施設として親しまれてきたが、町内で年間約200頭も捕獲されるイノシシに目をつけ、一昨年から定食や焼き肉、カレーなどにして提供。ぼたん鍋セットは県や町のふるさと納税のプレゼント品としても採用され、年間約1300セット販売されるなど新たな町の産物として定着してきた。そこで、もっと安価で子どもから大人まで手軽に味わえる商品として開発したのが「ししマン」だ。1個130グラムで300円(税別)。2月中旬からレストランで土曜、日曜限定販売を始めた。今月20日から、お土産用(冷凍、3個入り)を900円(税別)で売り出す予定だ。

TOPへ

3/11
(有害鳥獣の捕獲を促進、鳥獣保護法改正案を閣議決定)
政府は11日、猟銃の夜間使用の一部解禁や集団で組織的に捕獲する業者の認定制度を創設するとした鳥獣保護法の改正案を閣議決定した。法律名と目的に鳥獣の「管理」を加え、農作物に深刻な被害を与えているニホンジカやイノシシなど有害鳥獣の捕獲を促進する。都道府県は、生息数が著しく増加したり、生息地が拡大したりしている鳥獣の管理計画を定める。また、都道府県知事の許可があれば、住宅地でも麻酔銃による捕獲が可能になる。都道府県が実施する捕獲事業の場合は、夜間(日没から日の出まで)の猟銃の使用も認める。わなや網で捕獲するための免許も、取得年齢を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げる。環境省は、2025年度のニホンジカの生息数は捕獲率が現状と変わらない場合、北海道を除く全国で11年度の2倍近い500万頭まで増えると推計している。
(ジビエ衛生指針検討)
田村憲久厚生労働相は7日の参院予算委員会で、鹿やイノシシなど野生鳥獣肉(ジビエ)の安全性確保に向け、「野生生物の衛生管理に関するガイドラインを作っていきたい」と述べ、国の基準を策定していくことに前向きな考えを示した。公明党の谷合正明氏(比例)が全国統一の衛生管理ガイドライン作りを求めたのに答えた。田村厚労相はガイドラインについて、同省が厚生科学研究で取り組んでいる野生動物の病原微生物の汚染実態調査の結果を踏まえて策定する考えを示した。安全性に対する消費者の信頼をより高めていく上で、国としてガイドライン作りが重要と判断したとみられる。
(インフルエンザ、県内厳戒態勢:福井)
京都府で鳥インフルエンザの感染が拡大し続けている問題で、県の対策本部は八日、県境からの侵入を防ぐため、十日から愛玩(がん)系も含めた県内すべての鳥の飼育施設周辺を一斉消毒することを決定。鶏を大量に扱う養鶏、食鳥処理業者などに対しては死亡羽数を毎日調査するなど国の対策を超えた厳戒態勢で臨む方針を決め、各施設に通知した。農水省は先に千羽以上を飼育している全養鶏場に対し、週に一度死亡羽数と異常の有無を報告するよう義務付ける方針を示した。本県では三十二養鶏場と坂井農業高、福井農林高が該当。さらに対策を強化するため、千羽未満も含めた全四十一養鶏場と十一の食鳥処理業者、若狭東も加えた三高校、県畜産試験場に対して今後毎日、県職員が電話などで連絡を取り、現状把握を行うことを決めた。八日午後四時までのまとめでは、特に異常は見られなかった。消毒は十六日までの一週間を設定。この間に消石灰などの粉剤や液剤をまくよう各養鶏施設に指導。インコなどを含めた愛玩用の鳥類は、三月一日現在で一般家庭や農家二百七十八戸と百十二の幼稚園、小学校、県立学校で飼育されていることが分かっており、市町村や教育委員会を通じて一斉消毒への協力を求めていく。カラスへの感染が確定したことについては、京都府の方針に追随して県内で移動制限などの措置は取らないことを決めた。また同日、府内での消毒など対策を進めるため県畜産試験場の獣医師一人を府へ派遣した。
(シカ猟、今年も陸自と連携:北海道)
北海道と釧路管内白糠町が陸上自衛隊などと連携して実施するエゾシカ捕獲事業が7日、同町内の山林で始まった。4回目の今年は、ヘリコプターを使わず、地上のハンターだけでシカを探す捕獲法を初めて試す。ヘリを併用した場合と比較して、短時間で効率的に捕獲する手法を探り、道内の他地域に広げる狙い。北海道猟友会白糠郡支部、陸自第5旅団第27普通科連隊(釧路管内釧路町)など5機関129人が参加した。初日はヘリでシカの群れを探しながら、ハンター34人が、追い込み役と撃ち手になる「巻き狩り」と、車で移動しながら撃つ「流し猟」の二手に分かれた。約2時間で1頭を捕獲。昨年初日の28頭を下回った。
(エゾシカ捕獲、過去最低の14頭:北海道)
道が陸上自衛隊などの協力を得て白糠町右股地区の山林で行ったエゾシカ捕獲事業が9日に終了した。今年は積雪が少なく、例年に比べシカが分散傾向にあったことから、捕獲数は3日間で14頭(雄3頭、雌11頭)と過去最低となった。事業は今年で4回目。7日から9日までの日程で行われ、道、町の職員、陸自第5旅団隊員、道森林管理局、北海道猟友会白糠郡支部のハンターなど延べ390人が参加。自衛隊からヘリやスノーモービルを投入し、短期間で大量のエゾシカ捕獲を目指した。
(迷いザル捕獲:愛媛)
6日午後2時50分ごろ、愛媛県伊予市双海町上灘の事業所2階に、成獣のサルが入り込んでいるのを同社の女性事務員(65)が発見、通報を受けた伊予署員と伊予市職員らが捕獲した。けが人はなかった。市農業振興課によると、ニホンザルの雌とみられ、食料を探して同社内に入った可能性が高い。捕獲後は人に危害の及ばない場所で放すのが一般的だが、同課は「サルは近づくと威嚇し、今後も人家へ侵入する危険性がある。鳥獣保護法に基づき、やむを得ず有害鳥獣として処分を検討中」としている。
(遺産地域に7キロ、ニホンジカ目撃:秋田)
若木を食い尽くすなどして植生に影響を与える恐れのあるニホンジカが昨年9月、藤里町粕毛の上長場内地区で目撃されていたことが7日、分かった。白神山地の世界遺産登録地域から南に約7キロの地点で、これまでの目撃例の中では遺産地域に最も近かった。ニホンジカの生息域が白神山地に及べば、貴重な生態系に影響が出る懸念も広がるとして、秋田、青森両県と国でつくる「白神山地世界遺産地域連絡会議」は8日、学識者との会合で対策を協議する。同町の飲食店従業員男性(42)が昨年9月中旬の夜、車で森林基幹道「米代線」を走行中、道路脇の山林から路上に現れた1頭を目撃。白神山地世界遺産センター藤里館などを通じ、同11月に県に報告した。白神山地周辺でのニホンジカの目撃情報は、2009年まで1件もなかったが、10〜12年は秋田、青森両県で計4件に上った。13年には藤里町のほか、遺産地域から北東に約10キロの青森県西目屋村など3カ所でも確認された。環境省が同年秋、遺産地域内外に設置した12台のカメラでシカは撮影されていない。シカは岩手県から奥羽山脈を越えてきているとみられ、本県は14年度、県境の鹿角、仙北、横手、湯沢の4市で、シカの生息調査を初めて行う。林野庁も遺産地域周辺にカメラ25台を設置し、生息状況の特定を急ぐ。
(トドの漁業被害広がる:北海道)
近年、シカやイノシシ、クマによる農作物被害がしばしば報告されているが、海にも漁師を困らせる動物がいる。トドだ。北海道では年間の被害額が16億円に上る。大食漢のトドは貴重な魚を大量に消費するが、かつて絶滅危惧種に指定されていたこともあり、今日でも駆除数には制限がある。北海道が発表した2013年度の海獣類による漁業被害は23億円と、過去5年間で最悪を記録した。中でもトドの被害額が16億円と圧倒的に多く、前年度比でも1億円以上増えている。2014年2月28日放送の「Nスタ」(TBS系)では、ニシン漁で知られる北海道石狩市の漁港を訪ね、被害の大きさに焦点を当てた。漁獲のため沖に網が仕掛けられるのだが、トドが網を食い破ってまんまと獲物をさらってしまう。映像では、1匹もニシンがとれなかったうえ網を壊された漁師が何人も登場し、現状を嘆いていた。トドは、自ら泳いで捕まえるよりも網にかかっている魚を「拝借」した方がずっと楽だと学習したようだという。水産総合研究センターが実施したトドの食性調査資料を見ると、石狩市の被害全体の9割はニシンとみられる。道内でも場所によってはトドに食べ荒らされる水産物の種類が異なり、北部の宗谷ではイカ類がほぼ100%、利尻ではイカナゴ、知床半島・羅臼ではカレイやスケトウダラの被害が大きいと推察される。体重300キロ、なかには1トンにも及ぶ巨漢で、1日50キロもの魚を食べると言われている。北太平洋沿岸に生息し、11月ごろに北海道近海まで南下して5月ごろまで過ごす。「Nスタ」では、石狩市の漁港から少し離れた沖に浮かぶ岩の上に、数えきれないほどのトドがひしめき合っている様子を映し出した。専門家によると、近年ロシアで保護政策が奏功して数が倍増し、2万頭ほどにまで達しているという。その4分の1が北海道にやって来て、半年余り居座るのだ。岩に上らせないために漁師が鉄の棒を何本も打ち込んで柵をつくったが、その巨体で体当たりすると棒はひとたまりもなく、ぐにゃりと曲がってバリケードの用を足さなくなってしまった。トドが嫌いな色を岩肌に塗り、大型スピーカーを設置して大音量で追い払おうとしても、効果はゼロ。漁師たちの悩みは深まるばかりだ。これほどトドが「我が物顔」でふるまっているのには事情がある。環境省によると、かつては絶滅危惧種に指定されていた。1990年代から徐々に数が回復し始めたため現在では「準絶滅危惧」となり、以前に比べると滅びる危険性は後退したが、今も保護対象であることに変わりはない。このため年間に捕獲、駆除できる数が制限されているのだ。水産庁が提示する捕獲可能数は、最新データが出ている2012年度で253頭。4年前と比べると100頭以上拡大している。ではこれで十分かと言えば、そうでもなさそうだ。「Nスタ」で取り上げられた羅臼の沖では、ハンターが海面に漂うトドに向けて威嚇射撃を繰り返した。だが射殺するのはご法度だという。その年に羅臼の海域に割り当てられた数はわずか十数頭で、テレビ撮影時にはすでに制限枠に達していたため威嚇するしか方法がなかったのだ。一方で石狩の海では、トドの頭数が岩の表面を埋め尽くすほどだったことを考えると、年間250頭ほどの捕獲枠では「焼け石に水」と言えよう。北海道では2013年7月に、オットセイやアザラシを含めた「海獣被害対策本部」を設置し、漁業被害を食い止める総合的な対策を進めている。駆除や追い払いを強化する一方、国に対して漁具被害への補償制度など漁業従事者に対する支援を求める。2014年2月1日には、札幌市で「日本海トド漁業被害対策緊急集会」が開かれ、道内の漁協関係者や高橋はるみ知事、道内選出の国会議員、また水産庁担当者や農林水産省の政務官が出席した。この席で自民党の中村裕之衆院議員は「絶滅危惧種は漁師だ」と、早急な対策の必要性を訴えた。しかし国が駆除数の枠を広げた場合、トドが今も準絶滅危惧に指定されている点を考えると国際的な非難を浴びる恐れがある。ロシアは保護を継続していることから、日本の姿勢に世界が厳しい目を向けるかもしれず、難しい対応が迫られそうだ。
(洞爺湖生物多様性フォーラム:北海道)
洞爺湖や周辺の生態系について理解を深める「洞爺湖生物多様性フォーラム」(洞爺湖町、壮瞥町、酪農学園大学共催)が8日、洞爺湖町洞爺町の洞爺総合センターで開かれ、同大の学生らによる調査報告を通して、来場者らは身近な自然の現状と今後の在り方について知識を深めた。プログラムは2部構成。第1部は洞爺湖町と地域総合交流協定を結ぶ同大環境システム学部の学生・大学院生ら9人が、湖と中島で行った研究調査の結果を報告した。内容は、洞爺湖町におけるエゾシカによる農業被害の実態やウチダザリガニ捕獲体験ツアープログラムの提案。さらに洞爺湖周辺地域における霧形成の特徴など多岐にわたった。第2部では、同学部の吉田剛司教授が「支笏洞爺国立公園をモデルとした生態系保全のためのニホンジカ捕獲の技術開発」と題し研究の成果を披露した。囲い罠(わな)やくくり罠など技術の確立とともに、地域と連携して取り組んだ結果、洞爺湖中島にいたシカ約220頭が現在80頭余りに減少したことを報告。吉田教授は今後は減らす努力と同時に「生物の生態系維持にも努めていく姿勢も重要」と強調した。
(シカ対策、定点カメラ設置へ:秋田)
白神山地の保護や管理計画を協議する地域科学委員会が8日、秋田市で開かれた。将来的に懸念されるニホンジカの食害について、東北森林管理局などから定点カメラの設置や目撃情報の収集でニホンジカの侵入を把握する対策案が提示され、了承された。白神山地に近い西目屋村と秋田県藤里町で昨年9月にニホンジカが目撃されたとの報告もあり、委員からは早期の対策を求める声が上がった。委員会は植物生態学や狩猟文化の専門家7人で構成し、今回が8回目の会合。昨年10月の前回会議で、岩手県側からのニホンジカ流入による食害発生が懸案事項とされたことから、同管理局や青森、秋田両県などでつくる地域連絡会議が対策を協議していた。対策案では、ニホンジカが侵入してきた場合、「世界遺産の価値を損なう恐れがある」と指摘し、青森、秋田、岩手の3県の広域的な対応が必要としている。新年度からの対策は、状況の把握に力点を置き、カメラ約45台を遺産区域や周辺に設置してニホンジカ、アライグマなどの侵入を監視するほか、目撃情報の提供を促すポスターやパンフレットを作成する。このほか、青森、秋田両県でニホンジカの生態に関する説明会を開催する方針だ。
(獣害対策フェンス設置へ:栃木)
佐野市の花でもあるカタクリの群生地を獣害から守ろうと、市は新年度、町谷町の「万葉自然公園かたくりの里」に防除用ネットフェンスを設置する方針を固めた。実害はまだないが、周辺でイノシシとシカの足跡が相次いで見つかったため、対策に乗り出すことにした。カタクリは三毳山北側の斜面約1・5ヘクタールに約150万株が群生。市は1987年に群生を市天然記念物に指定し、散策路などを設け「かたくりの里」として整備した。見ごろとなる3月中旬~4月上旬には、毎年多くの観光客が訪れる。市観光課によると、昨年5月、群生地から北に約200メートルの山すそでイノシシの足跡が見つかり、同9月には駐車場東側の田んぼでシカの足跡も発見された。これまで県道桐生岩舟線の北側では目撃情報もあったが、かたくりの里に近い南側で生息が確認されたのは初めてだったという。市は新年度予算案に対策費として3300万円を計上。6~7月に着工し、年内には完了する見込み。遊歩道を含む群生地全体を囲むため、フェンス越しにカタクリを見ることにはならないという。
(鳥獣害対策検討:滋賀)
長浜、米原両市の境界に連なる横山丘陵周辺で頻発する鳥獣害を減らそうと、行政関係者や住民らが対策を話し合う「横山獣害対策集落会議」が8日、長浜市常喜町の西黒田公民館で開かれた。山周辺の33集落の住民や県、両市の関係者ら約100人が参加。まず、防護柵を設置している住民が設置の経緯を説明し、「山を柵で囲んでから被害は激減した。設置を進めることで地域の絆も深まるので、一緒にやりましょう」と呼びかけた。続いて、山と田畑や集落との境界に緩衝帯を設け、動物とすみ分ける方法や効果などを検討した。県などによると、両市では昨年、イノシシやシカなどが食べたイネや麦など農作物の被害が約1200万円にのぼった。県内でも有数の多さで、22集落がすでに柵を設置し、今年中に5集落が設置予定という。県の担当者は「被害は実りの秋に集中する。今から対策を立てれば確実に被害を減らせることを周知したい」と話していた。
(サカツラガン24年ぶり:富山)
日本への飛来が珍しくなったサカツラガンを、県鳥類生態研究会の会員山田啓祐さん(40)=富山市婦中町下坂倉=が、魚津市内の片貝川河口で写真に収めた。
研究会によると、県内では一九八九年十月に黒部市の黒部川河口で確認されて以来二十四年ぶり。富山市科学博物館の南部久男館長によると、サカツラガンはカモ科マガン属で、中国東北部からサハリンで繁殖し、日本ではまれな冬鳥だという。山田さんは九日午前十時ごろ、片貝川でバードウオッチングしていたところ、サカツラガンに気付きカメラで撮影した。画像を見た研究会の松木鴻諮(ひろし)代表は「額から首の部分が茶褐色で、首から腹部にかけて白色なので、サカツラガンだ。群れから離れて飛来したのではないか」と話している。
(特定外来生物、交雑種サルなど指定へ)
環境省の専門家会合は7日、国内の生態系などに影響を与える可能性がある「特定外来生物」に、サルなどの交雑種3種を指定することを決めた。飼育や輸入などを原則禁止し、生息域が拡大するのを防ぐ。指定するのは、中国などが原産地のアカゲザルと台湾が原産地のタイワンザルが、それぞれ在来のニホンザルと交雑した種。アカゲザルは千葉県に、タイワンザルは和歌山県などに定着している。釣り堀などに放流されている、ともに特定外来生物であるストライプトバスとホワイトバスの交雑種「サンシャインバス」も指定する。6月に施行する改正外来生物法で、特定外来生物が在来種や他の特定外来生物と交雑して生まれた種を規制対象にできることに対応した。交雑種以外では、北米原産の水鳥「カナダガン」なども新たに特定外来生物に加える。合計では112種類になる見通し。
(野生動物との関わり考えよう:兵庫)
シカやイノシシなど農林業被害を及ぼす野生動物と人との関わりを考える企画展が、兵庫県三田市布木、高平ふるさと交流センターで開かれている。動物の剝製、被害や対策に関するパネルを展示している。無料。県森林動物研究センター(丹波市)が県内各地で開く。会場には、ツキノワグマやニホンジカ、アライグマなど11種類の剥製が並ぶ。パネル展示では、これらの野生動物の生息状況や農作物被害、ヌートリアをはじめとする外来生物がもたらす生態系の問題について説明している。県内における2011年度農林業被害額は、シカが最多で4億3600万円、イノシシが2億5500万円と深刻な状況にあるという。被害防止法をまとめたパンフレットも置いている。10日まで。午前9時~午後5時(10日は午後3時)。同様の展示を、11~18日にふれあいと創造の里「本庄ふれあいセンター」(四ツ辻)で開催する。
(シェフや旅館経営者らがシカの解体作業を見学:高知)
農林業に深刻な被害をもたらすシカやイノシシを食材に生かすジビエ(野生鳥獣)料理が注目されるなか、県内にあるレストランのシェフや民宿経営者ら約20人が大豊町の解体処理施設を訪れ、作業を見学した。ジビエ料理の普及を進める県が企画。作業では臭みを防いだり、衛生状態を保ったりする手法が披露され、試食では「おいしくてびっくり」との声が上がった。参加したのは、土佐市の総合結婚式場「グランディール」総料理長の島田和幸さんや、梼原町の紙すき体験民宿「かみこや」経営のアウテンボーガルト千賀子さんら。訪問先は、ジビエ料理用の肉を製造販売する「猪鹿工房おおとよ」。地元の郵便局長だった北窪博章さん(66)が、農林業への鳥獣被害の軽減に少しでも役立とうと、2年前に保健所の許可を取って専用施設を設立した。これまで100頭余りのシカやイノシシを猟師から購入し、処理してきたという。
(アスリートに適したジビエ料理:愛知)
ジビエ料理を流通させる仕組みづくりに取り組んでいるNPO法人ボランタリーネイバーズ(大西光夫代表)が10日、名古屋国際ホテル(名古屋市中区)で、アスリート向けジビエ料理の発表会を開いた。ボランタリーネイバーズでは、牛・豚肉に比べて脂質が少なく、たんぱく質やミネラル分が多いイノシシやシカの肉はアスリートに適した食材だと判断し、レシピ開発に着手。椙山女学園大学の石原健吾准教授(スポーツ栄養学)から「植物性油を使うと、加熱で失われる栄養分は減り、吸収はよくなる」などと助言を受け、同ホテルの日高幸哉総料理長(51)が「まず食べてもらうために、なじみの多い料理をアレンジしたものにしよう」とメニューを考えた。発表会には競技団体関係者や管理栄養士ら12人が参加。「イノシシ肉のしゃぶしゃぶ(名古屋みそソース)」「シカの照り焼きひつまぶし風」など20品が披露された。しゃぶしゃぶを食べた名古屋グランパスの栄養アドバイザー、森裕子さん(42)は「アスリート向きの、高たんぱく・低脂肪の肉は通常、固くさっぱりし過ぎるが、ジビエ料理は柔らかく食べ応えがある。シェフに柔らかく臭みを感じさせなくする食材の扱い方を学び、いつか選手に提供できれば」と話した。
(ジビエの調理法学ぶ:岐阜)
農作物被害対策で捕獲量の増える鳥獣の肉を活用しようと、県が初めて企画した「ぎふジビエ料理教室」が10日、岐阜市細畑の城南高校で開かれ、市民ら31人がシカ肉料理づくりに挑戦した。ジビエとは、フランス語で食用に捕獲した野生鳥獣という意味。県によると、シカの捕獲頭数は昨年度8715頭に上ったが、その多くは廃棄されているという。教室では、岐阜都ホテルのシェフ長尾正憲さん(37)が「ロース肉のロースト・マーマレード風味」「ミネストラ(スープ)」の作り方を披露。「森のものが合う。キノコは相性が良く、果実は臭みを消してくれる」とアドバイスした。参加者が調理を体験。市内のバースタッフ中根大介さん(35)=同市石長町=は「シカ肉は料理の仕方次第でおいしくなる。地産地消のメニューとして出したい」と意欲を語った。
(「ししドッグ」試作:富山)
高岡市商工会青年部は10日、イノシシ肉の試作メニューの第4弾となる「ししドッグ」の試作会を市内で開いた。イノシシ肉100%のソーセージをパンに挟んだ一品で、試食した部員の評価は上々。害獣の肉を有効利用する高岡発B級グルメの販売に期待が膨らんだ。業者に製造を依頼した、調味料だけで仕上げたプレーン、ニンニクを練り込んだスパイシーの2タイプのソーセージを用意した。サニーレタスやタマネギ、トマトを挟み込んだパンにソーセージを載せ、ケチャップやマスタードなどをかけて仕上げた。ソーセージを焼いたり、野菜の量やトッピングを変えて試食。部員からは「肉汁たっぷりでおいしい」「野菜とよく合う」「ケチャップを多く掛けた方が良い」などの意見が出た。高岡市によると、市内の今年度のイノシシ捕獲数は、昨年度の8頭から25頭に増加している。青年部は肉の活用を図るため、これまで煮込みハンバーグ、スープギョーザ、鍋を試作している。ししドッグは市内のイベントでの提供を計画しており、開発委員会の山口克次委員長は「イノシシ肉の独特の匂いも魅力。一度食べてほしい」と話した。

TOPへ

3/7
(小学生がサルにひっかかれ軽傷:山口)
6日朝、下関市で登校中の男子児童が、サルにひっかかれ、軽いケガをした。警察などによると、午前7時過ぎ、下関市の長府小学校近くの路上で1人で登校していた1年生の男子児童が道路脇の木から下りてきたサルに足をひっかかれ、軽いケガをした。下関市では、去年10月にも別の小学校で女子児童がサルに足を引っかかれる被害があり、その後も、JR下関駅付近などで目撃情報が相次いでいた。長府小学校付近でもここ数日、小学生がサルに手提げカバンを引っ張られたり、女子中学生がスカートを引っ張られたりしていて、いずれも同じサルとみられている。市ではサルに出くわしても目を合わせたり、威嚇したりしないよう注意を促している。
(迷いザル捕獲:愛媛)
6日午後2時50分ごろ、愛媛県伊予市双海町上灘の事業所2階に、成獣のサルが入り込んでいるのを同社の女性事務員(65)が発見、通報を受けた伊予署員と伊予市職員らが捕獲した。けが人はなかった。市農業振興課によると、ニホンザルの雌とみられ、食料を探して同社内に入った可能性が高い。捕獲後は人に危害の及ばない場所で放すのが一般的だが、同課は「サルは近づくと威嚇し、今後も人家へ侵入する危険性がある。鳥獣保護法に基づき、やむを得ず有害鳥獣として処分を検討中」としている。
(旧警戒区域でイノシシ204頭捕獲:福島)
環境省は7日、東京電力福島第1原発事故の旧警戒区域内で増えているイノシシについて、イノブタ73頭を含む計204頭を捕獲したと発表した。昨年11月中旬から2月末にかけ、福島県浪江、双葉、大熊、富岡4町でわなを仕掛け、捕獲した。同区域内は人の立ち入りが原則禁止されているためイノシシが人里に出没し、田畑を掘り返したり、家屋を荒らしたりする被害が広がっている。同省は住民の帰還に向け、わなの数を増やし実施範囲も広げるなど、今後も捕獲を継続する。
(イノシシ対策強化、22頭捕獲:岩手)
一関市は5日の庁議で、今年度に市内で捕獲されたイノシシが22頭に上ると報告した。昨年度は1頭だけで、「生息数が増えていることが予想され、対策を強化したい」としている。同市にイノシシはいないとされていたが、7年ほど前から目撃情報や農業被害が出始めた。昨年度は、同市萩荘地区で水田が掘り返されるなどして被害額は約200万円に上った。市は水田を電気柵で囲うなどの対策を取ったほか、わなを仕掛けたが捕獲は1頭にとどまった。今年度はわなを倍の21基に増やし、猟友会の協力も得た結果、22頭捕まえた。同市は「被害は従来からある市内の萩荘、厳美町地区を越えて平泉町にも広がっている」と警戒を強めている。
(白神山地をシカから守れ)
青森、秋田両県にまたがる世界自然遺産の白神山地周辺で、生息しないとされてきたニホンジカの目撃情報が相次いでいる。貴重な原生林が荒らされるとの懸念から国や両県は監視強化に乗り出したが、専門家は「遺産地域に入り込んでしまってからでは手遅れだ」と早期駆除を求めている。昨年4月、遺産地域から約25キロ離れた青森県弘前市の山林で、つがいとみられるシカ2頭を住民が目撃。同9月には、さらに近い同県西目屋村の山中に設置した定点カメラが、2頭の雄の姿をとらえた。秋田県藤里町でも昨年秋ごろ目撃情報が寄せられた。青森県自然保護課によると、同県内のニホンジカは明治時代ごろに乱獲で絶滅。しかし2010年ごろから県中部や西部で目撃が相次ぎ、白神周辺では昨年初めて目撃された。生息数の多い岩手県内から山沿いに移動してきたとみられる。シカは繁殖率が高く、数頭の目撃情報から短期間で爆発的に増える可能性がある。餌がなくなると樹木の皮を食い荒らし、枯死させるなどの被害が全国各地の山林で報告されているという。国や地元自治体は昨年10月に改定した白神山地の管理計画で、有害鳥獣侵入などの環境変化にすぐ対応できるよう、監視強化を盛り込んだ。しかし実際にシカを確認した場合にどうやって駆除するかは決まっていない。青森県は「広い範囲にいる少数のシカを捕獲するのは技術的に難しい。被害報告がない今の段階では本格的な対策が取りにくい」と頭を抱える。弘前大白神自然環境研究所の石川幸男教授(森林生態学)は「行政が事態を見守っているうちに、気付いたら遺産地域全体に入り込んで、山が丸坊主になる可能性もある。有効な対策が打てなければ、世界遺産登録の取り消しもあり得る」と警鐘を鳴らしている。
(屋根裏住み着くハクビシンに注意を:福井)
農作物を荒らす外来種ハクビシンが、福井市中心部の住宅でも確認され始めている。特に冬場、暖かい屋根裏に住み着くとされ、ふんや尿の被害で天井の張り替えが必要になることも。人にかみつくなど凶暴で、感染症を媒介することもあるため、県内の消毒・清掃業者は「農村部だけでなく、県内どこにでもいる動物との認識を」と注意を呼び掛けている。ハクビシンはジャコウネコ科で体長40~60センチ、体重3~5キロ。大きさはタヌキに近い。鼻から額にかけラインのように白い模様が入っているのが特徴で、タヌキと違い木登りが得意という。このため樹木を伝い住宅の屋根裏にも入り込める。県によると、昨年度に有害鳥獣として捕獲されたハクビシンは、県内のほぼ全域で計681頭に上る。5年前(07年度)の27頭に比べ、25倍と急増している。県内の消毒・清掃業5社でつくる県ペストコントロール協会(福井市)によると、同市中心部で被害が目立ちだしたのも5年ほど前から。同協会事務局の八田真毅・日本防疫常務は「住民から『屋根裏や壁の中で音がする』との依頼を受けて調べると、ハクビシンであるケースが毎年10件程度ある」と話す。同市の順化、松本、湊地区といった街中でも被害が出ており「頭が入る5センチ程度の穴があれば侵入し、1年間住み着くと山盛りのふんとともに、尿で天井に雨漏りのようなシミができる」と八田常務。ふんは甘いような独特の臭いという。ただ、ハクビシンは野生動物のため無許可で駆除できない。市町が狩猟免許所持者で捕獲隊を組織しており、業者としては依頼住民に、市町に駆除を頼むよう伝えるしかないのが実情だ。昨年度150頭近くを捕獲した福井市では「山際の住宅に侵入するケースが大半」(有害鳥獣対策室)と、市街地全域で増殖しているわけではないと説明する。ただ、昨年秋には社北地区の住宅で住民がハクビシンに指をかまれ、医療機関で診察を受けた。同室によると、近年降雪が少なく、人里には栄養価の高いえさも豊富にあるなど、弱い個体でも生き残りやすい状況にある。「疥癬(かいせん)症を媒介する怖い面があり、イヌやネコのように接すると反撃に遭うので、見つけたらすぐに市町に通報してほしい」としている。
(「いのしし等対策課」を新設:富山)
氷見市は4日、4月からの組織・機構再編案を明らかにした。2年目に入る本川祐治郎市長が、能越自動車道延伸や北陸新幹線開業に備え都市景観や空き家対策関連部署を統合するほか、鳥獣被害への「いのしし等対策課」などを新設する。機構再編は都市間競争対応や市民参加、マーケティングによる行政運営などが狙いという。企画振興部では建設農林部から都市計画課を移設して商工観光戦略課の一部と統合。さらに、基幹交通や都市景観、定住・空き家対策に関する業務を再編し「商工・定住・都市のデザイン課」とする。企画政策課の市民の声・広報担当などを統合し「市民情報・つぶやき受発信担当」を設置、同課の名称を「総合政策課」に改める。市民部は、少子化対策や子育て支援のため福祉課こども支援班を昇格、「子育て支援課」を新設する。建設農林部は、水田などで急増するイノシシや竹林の被害に対応する「いのしし等対策課」を新設、企画振興部から水産振興課を移設し、部の名称を「建設農林水産部」に改称する。
(「狩りガール」、職員2人誕生:北海道)
遠軽町農政林務課で嘱託職員として働く金子恵美(めぐみ)さん(36)と、住民生活課の鶴尾絵美さん(21)が2月、網走市で行われた狩猟免許試験に合格した。町などによると、町内の女性ハンターの誕生は数年ぶり。晴れて「狩りガール」となった2人は、「来シーズンから、経験者に教わりながら技術を身に付けていきたい」と話している。町内では女性ハンターがいた時期もあったが、現在は不在となっている。金子さんはわな猟、鶴尾さんはライフルや散弾銃などの第1種銃猟と、わな猟の免許をそれぞれ取得した。金子さんはエゾシカによる農林業被害が道内で広がる一方、ハンターのなり手が減っていることから、「手助けになれれば」とハンターを志望。鶴尾さんは、町生田原清里にある母親の実家の庭木がシカに荒らされた経験があり、「高校生の時から免許を取れればと思っていた」という。試験では、鳥獣保護法や動物の生態などに関する筆記試験に加え、わなや模擬銃を扱う技能試験も実施。試験に向け、数人で勉強会を開いて「一緒に頑張ってきた」(鶴尾さん)結果、見事に合格を果たした。2人は「経験のある人に教わりたい」と、地元猟友会に加わりたい考え。金子さんは「できれば鉄砲の免許も取りたい。きちんと勉強して一人前になりシカを捕らえてさばけるようになりたい」と意気込む。鶴尾さんも「シカ肉の活用法も考えていきたい」と話している。(
(福島第1原発事故、基準値超は3件:福島)
南相馬市は5日、自家消費用食品の放射能簡易分析結果を公表した。市内9施設で35件を検査し、21件から放射性セシウムを検出、うち3件が基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えた。3件は、イノシシ肉(原町区深野)1キロ当たり107ベクレル▽ユズ(同区江井)同106ベクレル▽ユズ(同区泉)同101ベクレル。同分析は、市民が山や川、家庭菜園などで採取・栽培した農水畜産物が対象。一般に流通していない。担当者は、2月は採取・栽培時期から外れていることや大雪の影響などもあり、持ち込み件数が減ったとみている。
(鳥獣被害防止、60キロの柵:山口)
シカやイノシシなどが田畑などで農作物を食い荒らす被害を防ごうと、県は2014年度から山林と集落・田畑を遮断する「鳥獣侵入防護柵」を、長門市に初めて設置する。東西の延長は約60キロ。野生動物に対する「万里の長城」で、江戸時代に食害防止用として作られた「猪垣」「鹿垣」の現代版だ。設置は15年度までの2カ年で行われ、今年は秋にも着工する予定。事業費は総額で約6億円。計画によると、柵は延長約60キロで、市域のほぼ全てに及ぶ。具体的には、油谷湾の向津具油谷伊上地区−広域農道、深川湯本地区、三隅トンネル付近−滝坂地区。既存分(13キロ)も活用する。柵は高さ1・8メートル、幅2・5メートルで、連続して設置する。耐久性は約30年という。長門市では、鳥獣被害対策として毎年、イノシシ1000頭、シカ300頭以上を有害駆除として捕獲している。また、国の補助を受けたり市の単独とするなどして、電気柵や侵入防止用の金網を設置するため、約1700万円を費やしている。動物の捕獲数と金網の設置数のいずれも増えているが、動物の増加ペースが速く、農作物被害額は毎年5000万円を超えている。被害防止柵はこれまで、設置負担金の補助を受け、被害が予想される田畑を囲むように各農家が設置していた。しかし、被害は絶えず、農家の高齢化も相まって対応は限界状態だったという。同市の山間地に住む農家の男性(78)は「イノシシもシカも頻繁に畑に出てきて我が物顔をしているが、地域も高齢化して退治する意欲もない」とため息をつく。長門農林事務所の伊藤信助事業課長は「農地全体を鳥獣被害から守らないと耕作放棄地が増え、そこがイノシシなどの“出撃基地”になるといった悪循環につながる」と話す。昨年12月から対象地域で約20回の説明会を実施しており、農家の期待も大きいという。
(小水力発電、獣害対策に活用:京都)
京都市は2014年度から、農業用水路や河川の多い右京区京北地域で小水力発電によるエネルギー地産地消に取り組む。市は小水力発電を「採算性が低い」として導入を断念した経緯があるが、原発依存度を下げるためあらゆるエネルギーの可能性を探ることが必要と判断。京北出張所を中心に獣害対策用電気柵への電力供給を用途に検討を始めた。市は10~11年度、市内約30カ所で小水力発電の導入可能性調査を実施。いずれも河川の流量や水の落差が不足して発電量を確保できず「初期投資の回収に100年かかる」として、売電による事業化は困難と判断、施設整備や助成制度創設を断念していた。京北地域は川の流量は多くはないが、延長2キロ以上の河川が43本あり、農業用水路も張り巡らされる。用水路から田畑への引水のため以前より水車も活用されている。京北出張所がこれに注目し、地域の消費電力の一部を水力でまかなう可能性を探ってきた。電力の用途は獣害対策として田畑を囲う電気柵を想定する。京北ではシカやイノシシの農業被害が深刻で、05年度以降農地に設置された電気柵は延べ50キロ以上に及ぶ。電源は自宅コンセントや発電機で充電した蓄電池が主流で、小水力発電の導入で各農家の負担も減り地元での環境教育への活用も期待できるという。一方、導入には設置コストと維持管理に課題がある。発電施設は水路や川の深さと幅に合わせて1台ずつ設計するため高価で、落ち葉やごみなどが詰まらないよう管理も不可欠だ。京北出張所の片山博昭所長は「小水力活用に前向きな住民もおり、今後は運営主体をどこが担うかなど検討を重ねたい。川と向き合い暮らしてきた山間地から、エネルギー地産地消のモデルを示したい」としている。
(イノシシ被害、石垣崩れる:福井)
福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡で、イノシシの被害が相次いでいる。土が掘り起こされ石垣が崩れるなど、確認されているだけでも十数カ所に及ぶ。冬季にこれだけの被害が出るのは珍しく、関係者らは「雪が少ないことが影響しているのか。抜本的な対応が必要」と話し、頭を悩ませている。同遺跡保存協会によると、昨年12月から今年2月にかけ、義景館跡の石垣が約20メートルにわたり土が掘り起こされ、いくつもの大きな石がむき出しになった。唐門広場周辺の斜面も同様で、雨が降るとさらに崩れる可能性があることから、同遺跡管理事務所がシートをかぶせ保護した。特別名勝の朝倉館跡庭園は今のところ被害は出ていない。同保存協会は昨春、イノシシ対策に効果があるとされるオオカミの尿を遺跡周辺に置いたが、効果は長続きしなかったという。岸田清会長は「この先も暖冬が続けば、春に修復をしてもいたちごっこになる。周囲に電気柵を設置するなどの対策が必要になっている」と話す。ただ、多額の費用がかかることから容易ではなく、同遺跡管理事務所と県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館が連携して対応を検討していく。
(がれき集積場から不発弾:岩手)
4日午前9時ごろ、陸前高田市高田町のがれき集積場で、砲弾のような物を発見したと、建設業者から大船渡署高田幹部交番に通報があった。同署から不発弾の処理を要請された陸上自衛隊八戸駐屯地の隊員が午後5時前に回収したが、国道45号を含む現場付近の半径100メートルが約5時間にわたり立ち入り禁止となった。不発弾は3日午後1時ごろ、がれき選別中の作業員が発見した。自衛隊によると、見つかったのは金属製の不発弾で全長約30センチ、直径7・5センチ。信管(起爆装置)は付いていたが、腐食が進み、中に火薬は入っておらず、危険性はなかった。大きさなどから旧日本軍が使用していた砲弾とみられる。現場は津波が押し寄せた旧市街地で、ショッピングセンターリプル跡地。4日は作業員約50人が作業を中止し、退避した。
(不発弾、砲弾型の金属277本掘り出す:静岡)
菊川市は6日、同市堀之内の元工場敷地内で砲弾型金属277本が掘り出されたと発表した。いずれも火薬は入っておらず信管もついていなかった。自衛隊の不発弾処理班に写真データなどを送った結果、爆発の危険性はないと判断。自衛隊が後日回収し、詳しく調べる。同敷地はJR菊川駅近くの再開発予定地。整地作業などが行われている。1月27日にも信管のない旧日本軍の50キロ砲弾などがみつかった。同市安全課は「第二次大戦時に旧軍の砲弾を製造していたという話はあるが、砲兵工廠(こうしょう)などの正式な施設があったという記録はみつからない」と説明している。
(発砲事件で組長に無罪:福岡)
福岡県飯塚市で2011年に建設会社が銃撃された事件で、実行役と共謀したとして建造物損壊と銃刀法違反の罪に問われた指定暴力団太州会(本部・同県田川市)系組長山本修二被告(44)に、福岡地裁は5日、無罪判決(求刑懲役7年)を言い渡した。松藤和博裁判長は「被告が指示した疑いは濃厚であるものの、被告以外が指示した合理的な疑いを払拭(ふっしょく)することができない」と述べた。同じ罪に問われた組幹部の山本竜輔被告(33)に対しては、共謀を認め懲役4年6カ月(求刑懲役6年)を言い渡した。判決によると、竜輔被告は実行役の元組幹部(40)=両罪で懲役3年6カ月の判決を受け上告中=と共謀して、11年9月6、7両日の未明、飯塚市の建設会社事務所に散弾銃で計4発を発砲し、壁や倉庫のシャッターを損壊した。実行役との共謀が成立するかどうかが争点だった。検察は、犯行に使われた車のタイヤ代が組の経費から支出されていたことや太州会の意向を受けたとみられることなどから「組長である修二被告が、竜輔被告を介して実行役に指示した以外考えられない」と主張。修二被告の弁護人は「犯行を共謀した事実は存在しない」と無罪を訴えていた。判決は「修二被告の具体的な指示や関与の存在を明らかにする証拠は見当たらない」と指摘した。
(拳銃1丁不明、点検で3回見落とし:島根)
島根県警安来署で2月、拳銃1丁が一時所在不明となっていたことが6日、わかった。拳銃は翌日、署内で見つかったが、ずさんな管理体制に、県警監察課は「各署に再発防止を徹底させる」としている。同課によると、2月6日午前2時頃、当直の男性署員が仮眠前、署内の保管庫で所定の場所に置いたと勘違い。実際には抜き取った弾だけを戻し、銃はベルトごと自分の机の引き出しに入れて施錠していた。同日の朝夕2回と翌7日朝に行われた保管庫の点検でも見落とされ、同日午後の点検で1丁足りないことが判明したという。県警は、この署員の処分を検討している。
(イノシシの侵入ストップ、可動式柵考案:大分)
大分県日出町の中山地区では、農業用水路からイノシシの侵入を防ぐ方法を開発、成果を挙げている。せっかく山際に柵をぐるりと設置しても、水路の隙間から入り込むイノシシが多いことから、独自に廃材の鋼管と金網で可動式の柵を設置した。柵の維持管理には全住民参加などの地域力を活用する。水路から侵入する獣害に悩む集落は多いだけに、県は「中山方式」として同地区の手法を広げている。
(シカ肉活用講座、飲食店など対象:京都)
丹波市(観光振興課0795・74・1149)は、市内小売店や飲食店などを対象に3月19日午後2時から丹波の森公苑で開く「丹波シカ肉活用講座」の参加者を募集している。商業や観光振興、シカ肉のブランド化や普及を目的に、シカ肉の栄養素と、おいしく食べるコツを学ぶ。参加無料。兵庫県立大学特任教授の中村幸子さんが「シカ肉の特徴・栄養素について」と題して講義を行った後、シカ肉専門店「無鹿」のオーナーシェフ、鴻谷佳彦さんがシカ肉の扱い方や調理法などについてアドバイスする。試食もある。
(シカ肉レトルトカレーいかが:岡山)
ニホンジカやイノシシをジビエ(狩猟肉)料理に活用する美作市営の食肉処理施設のシカ肉を使ったレトルトカレー「美作鹿カリー」が同市内の道の駅などで販売されている。大阪市の業者が1個420円(200グラム)で昨年12月から販売。味はスパイスを利かせた中辛で、肉の存在感を味わってもらおうと、1〜2センチ角のサイコロ状の肉を50グラム程度入れている。取り扱いは、市の第三セクターが運営する農産物直売所の道の駅・彩菜茶屋(美作市明見)や産直ショップ「彩菜みまさか」(大阪府箕面市)など。美作市は昨年、食肉処理施設の運営を始め、消費拡大を目指す中でレトルトカレーの販売につながった。違う味付けのカレーやシチューの販売も検討されている。同市農業振興課は「今後は他の加工品にも肉の提供を広げていきたい」としている。
(ジビエ売り出せ:石川)
白山麓で捕れたイノシシや熊などジビエ(野生鳥獣)料理の試食会が五日夜、白山市白峰の白山セミナーハウス望岳苑(えん)であった。白山ろく観光連絡協議会の会員や県、市の職員ら二十三人が来春の北陸新幹線の金沢開業を見据えて「白山ジビエ」のアピール戦略を練った。白山麓のジビエは、臭みがなく食べやすいのが特徴。この一年で、山菜や川魚を織り交ぜた白山麓らしいジビエのコース料理を各店で提供できるようにすることや、イベント会場で販売できる薫製など特産品の開発を進めることを確認した。この日は一例として望岳苑の料理人白川充さんが、日ごろ宿泊客に提供しているシシ肉の角煮やベーコン、熊汁などジビエ五品を交えたコース料理を披露。会員たちは調理の工夫や酒との相性を確かめながら味わい、分厚い脂身をほおばって「臭みがなく、かめばかむほど甘い」と話した。白山麓では農作物に深刻な被害をもたらすとして毎年、イノシシや熊を捕獲している。かつては土に埋めて捨てていたが、一昨年に県内で初めて食肉加工のための施設(東二口)ができた。肉の臭みなど品質は処理の仕方で変わるといい、「白山ジビエ」を浸透させるには解体技術を持つ職人の育成が課題となる。
(シカ革でバッグ、小物:北海道)
函館市内の会社「ILikeIT(アイ・ライク・イット)」(荒木明美代表)が、ファッション業界で注目を集めるエゾシカ革を使ってバッグや小物を製作する新ブランド「MaW(マウ)」を立ち上げた。既に商品の販売をスタートさせている。荒木代表は「エゾシカを有効活用しながら、働く女性の技術や、やる気を生かす企業を目指していきたい」と話している。荒木さんは「はばたきの会~道南 女性の自己実現を支援する会~」の代表を務める。女性の新しい働き方を提案し、就労の場につなげたいと、2012年度の函館市のチャレンジ計画に応募。認定を受けて、昨年3月に「ILikeIT」を設立した。荒木さんは、道内に生息するエゾシカによる農林業被害が拡大していることから、エゾシカの活用に着目。「北海道に焦点をあてたブランドにしたい」という思いから、ブランド名はアイヌ語で「ハマナスの実」という意味を持ち、愛らしい響きを伴う「マウ」と名付けた。古来、シカは国内では皮、角、肉を余すことなく活用されてきた歴史がある。革は軽くてしなやかで丈夫なのが特徴だ。マウでは、エゾシカの革を東京の問屋経由で購入し、函館、北斗、七飯の和洋裁経験者やハンターらの女性5人がチームを結成し、製作に当たっている。デザインは荒木さんの友人で、東京のデザイナー依田綾さんが手がけている。荒木さんは「エゾシカは野生で生きる。森を走り抜けるときに擦れた傷や、銃痕が残る革もあり、一枚一枚の表情が違うので、面白いと思ってもらえたら」と話す。2種類の大きさのトートバッグ(グレー、チョコレート、黒の3色)やポーチ、ストラップ、小銭入れを商品化。革バッグが3万円代から、ストラップが2千円から。2月には名古屋のデパートで開かれた「大北海道展 職人・工芸まつり」に出店し、初めてトートバッグやストラップなどの小物を販売した。まだ珍しいシカ革に興味を持ってくれた人もおり、荒木さんは「直接お客さまの声を聞き、勉強になった」。函館空港国内線旅客ターミナルビル内の工芸品店「ラプ」で商品の取り扱いも始まった。荒木さんは「品数を増やし、マウブランドを函館、北海道から発信していきたい」と張り切っている。

TOPへ

3/5
(クマから避難したスノボ男性、自力で下山:新潟)
新潟県警妙高署は3日、同県妙高市の「妙高杉ノ原スキー場」でスノーボード中に行方不明となった三重県松阪市の歯科医師、吉田貴光さん(42)が自力で下山したと明らかにした。けがはない。吉田さんはコース外を滑走中、クマに遭遇しスキー場と反対方向に逃げた。日が暮れたため、約7キロ離れたキャンプ場の公衆トイレで夜を明かしたという。3日午前8時10分ごろ、スキー場付近の集落に下山して110番した。
(シカ51頭を捕獲:北海道)
森林施業地でのエゾシカの効率的な捕獲を行うため、道が道有林釧路管理区で実施していたモバイルカリング(管理捕獲)が3日で終了した。今年は雄14頭雌37頭の計51頭を捕獲。道は「この結果を報告して道内の森林管理者が取り組めるようモバイルカリングの普及を進めたい」としている。実施区域は従来から行われていた3路線9・2㌔。また、昨年試行的に行ったサンデーモバイルカリングを2路線増やし3路線6・6㌔で行った。
(カラス、クルマでクルミ割り:秋田)
大仙市北楢岡の日本野鳥の会会員、鈴木三郎さん(67)が大仙市の交差点で、カラスが車にひかせて割ったクルミを食べている瞬間を撮影した。このカラスを見つけたのは大仙市大曲金谷町の交差点。鈴木さんは、講師を務める野鳥講座の観察会の帰路、交差点の上からクルミを落としているカラスに気付いた。早速、2月27、28日と3月2日に3日間かけて観察したところ、カラスが電線の上から車の通過しそうなところを狙って繰り返しクルミを落としていることや、落とした位置が気に入らない時はクルミをくわえて交差点の中を歩き、タイヤの通過ラインに近づけていることがわかった。車にひかせたクルミを満足そうに食べている様子まで撮影できている。鈴木さんは「カラスが交差点で左右の車を確認しながらクルミの位置を直している姿がユーモラス。悠然としていて、自分がひかれないとわかっているようだ」と感心していた。
(19人に「ジビエマイスター」:長野)
ジビエ(野生鳥獣肉)料理の普及を図るため、県は3日、調理師や栄養士を対象に、シカ肉に関する知識を持ち、おいしい料理を提供できる「信州ジビエマイスター」養成講座を長野市で開いた。県内のホテルやレストランのシェフら19人が、多彩なシカ肉料理の試作に腕を振るった。県は、農業被害を防ぐために駆除したニホンジカなどの肉を有効活用しようと、2007年に加工処理のガイドラインを整備。食品関係者や研究者らと「信州ジビエ研究会」を作るなど、ジビエ振興を図ってきた。シカ肉は脂質が少なく、たんぱく質の多い赤身肉でヘルシーとされるが、加工施設が少なく、販路も確立されていないのが難点。昨年は駆除したシカ3万4000頭のうち消費されたのは推定1500頭だった。講座は、信州ジビエ研究会との共催で、シカ肉などを「信州ジビエ」としてブランド化し、普及拡大につなげようと取り組む新規事業の一環。1月の第1回講座で解体技術や肉質について学んだ参加者がこの日、基礎知識を問う筆記試験を受けた後、実際にシカ肉料理を試作した。ハンバーガーやプロバンス風煮込みなどのほか、シュウマイや吸い物など和洋中のメニューが並び、県調理師会の草間民安専務理事らの審査で全員が「マイスター」に認定された。たたいたシカ肉に生ハムを重ねてソテーした「サルティンボッカ」を作った、小布施町の料理店「傘風楼」料理長の宮崎夕樹さんは、「シカ肉にハムの脂分を添えることで食べやすくした。食材として魅力を感じた」と話していた。各マイスターのシカ肉料理のレシピは近く、信州ジビエ研究会のホームページ(http://www.shinshu‐gibier.net/)で披露される。養成講座は新年度も、県内5会場で開かれる予定。
(園児らジビエ料理体験:大分)
別府市の別府大学短期大学部食物栄養科で2月28日、ジビエ(猟肉)を使った料理教室があり、保育園児がシカ肉を使った料理を体験した。春木保育園年長組の園児と保護者、学生ら約50人が参加。オードブルや蒸し魚などのほか、シカ肉を煮込んだボルシチを作った。市鳥獣害対策協議会の冨田能範副会長が「シカ肉は栄養価が高く、鉄分は牛肉の5倍含まれている」などと説明。園児らはおいしそうに平らげた。親子で参加した石川千恵美さん(39)と大貴ちゃん(5)は「シカ肉は初めて。臭みもないですね」と話した。幼児期からジビエに慣れてもらおうと開いた。市によると市内では昨年度、シカとイノシシ約千頭を捕獲した。

TOPへ

3/3
(列車がシカと衝突:北海道)
1日午後1時55分ごろ、十勝管内新得町内のJR根室線新得―トマム駅間で、釧路発札幌行き特急スーパーおおぞら6号(6両編成、乗客250人)がエゾシカと衝突した。乗客、乗員にけがはなかった。JR北海道によると、車両下に巻き込まれたシカと線路上で動けなくなった別のシカを移動させた。この特急と後続の特急など計3本の列車に最大1時間12分の遅れが生じ、乗客約390人に影響が出た。
(線路にシカ、両毛線止まる:群馬)
一日午前五時五十五分ごろ、伊勢崎市のJR両毛線伊勢崎駅で、線路内にシカ二頭がいるのを高崎発黒磯行きの普通電車(四両編成)の運転士が見つけた。JR東日本高崎支社は、各電車に速度を落として運転するよう指示。駅員らが追い払おうとしたが逃げないため、前橋-桐生間で約二十分間、運転を見合わせた。同九時二十分ごろ、駅員が線路に下りて追い払い、敷地外に出たという。支社によると、両毛線は上下六本が運休、十五本が最大一時間二十四分遅れ、約三千人に影響が出た。
(若手ハンター育成塾:神奈川)
県は新年度から3年間、集中的な野生鳥獣の被害対策に乗り出す。銃の狩猟免許を持つ人の高齢化や減少が進む中、若手ハンターを育成する「かながわハンター塾」を開くことが目玉。射撃体験やベテランハンターから話を聞く機会を通じ、若い世代の関心を高めることが狙いだ。「年寄りばかりになっちゃって、このままでは猟友会じゃなくて老遊会だよ」。県猟友会の熊沢收(おさむ)会長(71)(愛川町)がぼやく。同会の会員は昨年11月現在で2316人。高齢化が進み、60歳以上が8割を占める。近年は毎年100人ペースで減っているという。県自然環境保全課によると、銃の狩猟免許の所持者は2012年度で3023人と、10年間で2000人以上減少。一方で、県内の鳥獣による農作物被害額は12年度、過去10年間で最高の計約2億2500万円に上った。かながわハンター塾は、県が新年度から3年間、猟友会の協力を得て、県立伊勢原射撃場(伊勢原市上粕屋)で開く。1日かけてビームライフルの射撃体験や猟友会員から狩猟の体験談を聞く内容。農業大学の学生や若手農家などに呼びかけ、年3回、1回あたり20人の参加を見込む。また、わなの仕掛け方や優れた事例を教える研修会も新年度から県内5か所で始める。地域でリーダーとなる人材を育てる目的で、3年間で450人の育成を目指す。銃の狩猟免許試験も年2回から3回に増やし、免許取得者を増やしたい考えだ。県猟友会は「ハンター塾でプロの姿を見て、狩猟をやってみたいなと興味を持ってもらえれば」と期待する。県によると、鳥獣対策は元々、丹沢山地周辺でのサルやシカ対策が主だったが、近年は特定外来生物のアライグマやタイワンリスによる被害が増えており、12年度の捕獲数はタイワンリスが4842匹で最多。シカは2207頭、イノシシは1477頭、アライグマは1451頭だった。被害のあった22市町村で最高の被害額も、アライグマなどの被害が深刻な横須賀市の4678万円だった。そのため、県は新年度、わなの仕掛け方などの技術指導を行う「鳥獣被害防除対策専門員」を5人から6人に増員し、新たに横須賀・三浦地域(5市町)に配置する。わなの購入や捕獲した鳥獣の処分、防護柵の購入や改良にかかる費用などを補助する市町村への交付金も前年度の7000万円から1億800万円へ1・5倍に増額する。
(シカ食害、住民が手伝い:山梨)
シカによる農作物の食害などが深刻な南アルプス市曲輪田地区の住民有志が、地元猟友会と連携しニホンジカを駆除する「曲輪田捕獲班」を結成し、成果を上げている。わなの見回りや捕獲したシカの処理を手伝い、ハンターの負担を軽減させる。昨年9月に発足後、2月27日までに25頭を捕獲した。3月1日には市内で、市民らに活動成果などの報告会を開く。市みどり自然課によると、シカによる被害は、作物が食べられるなど農林業が中心だったが、近年は車との衝突事故が報告されるなど市街地にシカが侵入するケースも出ている。地元猟友会が捕獲数の増加に取り組むが、会員の高齢化が進み負担が大きくなっていることから、昨年9月に地元農家が中心となって曲輪田捕獲班を結成した。メンバーは8人で、このうち狩猟免許を持たないメンバーは5人いる。猟友会が設置したくくりわなの見回りや捕獲したシカの処理の手伝いを行っている。免許を持っていないメンバーは「農家だけでなく、一般の生活にも被害が出ている。少しでも役に立てればうれしい」と話す。昨年9月から今年2月27日までに捕獲した25頭は、見込みを10頭以上上回る成果という。2012年10月から翌3月までに行ったモデル事業では捕獲したのは5頭のみだった。一方、予想以上の数を捕獲したことで、捕獲したシカの運搬や処理などの負担が大きいことが新たな課題となっている。3月1日には市櫛形生涯学習センターで、捕獲班の活動成果などを報告する「鳥獣被害を考えるつどい」を開く。曲輪田捕獲班の活動状況やシカの行動調査の結果などを報告する。
(イノシシ捕獲のおり設置研修会:愛知)
イノシシなどによる農作物への被害を食い止めようと1日、愛知県豊田市の上冷田集会所で、おりの設置の実技研修会が開かれた。この研修会は、豊田市をはじめ農林業関係者や学術研究者などで構成された団体が開いたもので、講師は岡崎猟友会のアドバイザーが務めた。イノシシは、臆病で警戒心が強く、学習する能力があるため、捕獲するのは難しいと言われているが、講師を務めたアドバイザーは、竹を使ったおりで効果的に捕獲することができると話していた。豊田市では2012年に2557頭のイノシシが捕獲された。農作物の被害は、約5000万円となっている。研修会には13人が参加し、イノシシの生態や捕獲するおりの仕掛け方を熱心に聞いていた。
(クマ「ゴンタ」、ワナ抜け:高知)
県内の山中で生態調査用のワナに置かれたハチミツを、盗み食いしたツキノワグマ「ゴンタ」が、昨年8月に、徳島県内でも同じようにワナをすり抜けていたことがわかった。四国自然史科学研究センター(須崎市)が設置した2台のワナは作動していたが、その中にゴンタの姿はなく、ハチミツを入れた容器はどちらも元の場所から動かされていた。ワナはドラム缶(長さ1メートル、直径0・6メートル)2本をつないだ構造で、高知も徳島も同様のもの。奥に置かれたハチミツを引っ張ると、入り口の鉄製扉が閉まる仕組みで、隣り合わせに2台あった。昨年8月29日、徳島山中で撮影された写真では、うち1台のワナで、ゴンタが腹ばいになり、落ちてきた扉を胴体で受け止めていた。その後、後ずさりで脱出したとみられる。このワナでは、ハチミツが残されていたが、もう1台では容器ごと持ち出されていた。数日後には、高知のワナでも成功しており、同センターの山田孝樹研究員は「ツキノワグマは頭がいい動物。失敗を次に生かしたのではないか」と話す。現在、四国のツキノワグマは数十頭に減少。同センターは、2005年から世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)と共同で、行動範囲や性別、年齢を調べるため、いったん捕まえて、全地球測位システム(GPS)を利用した発信器を取り付けた後に放している。発信器のバッテリー交換のため、2、3年に1度は捕らえる必要があり、ゴンタは05年と09年にワナにかかったが、今はバッテリーが切れており、行方がつかめていない。
(食害シカ、おいしい資源に:京都)
田畑を荒らし、農作物に深刻な被害を与えるシカ。シカ肉をおいしく食べることで、「厄介者」を「資源」として見直す取り組みが中丹地域で本格的に始まった。「獣臭そう」「肉質が固いのでは」。何かと抵抗感を持たれがちなジビエ(狩猟肉)は、果たして普及するだろうか?「思ったより食べやすい」「シカと言われなければ気付かないかも」。京都府福知山市長田野町の環境試験機器・装置メーカー「エスペック」福知山工場。昨年12月、社員食堂に地元で捕獲されたシカ肉を使ったカレーがお目見えした。昼食時、作業服姿の男性が行列を作り、次々と注文する。食堂いっぱいにスパイスの香りが漂った。シカ肉カレーは、府内のNPO法人などが催す「社員食堂で地産地消=温暖化防止キャンペーン」の一環で提供。同社が社会貢献として取り組む森林保全活動の中で、地域のシカ肉に着目した。ジビエに注目が集まる背景には、深刻な獣害がある。一昨年のシカやイノシシなどによる府内の農業被害は約5億3千万円。狩猟者の高齢化や天敵のキツネの減少などで年々増えている。捕獲数もシカは約1万3千頭にのぼり、ここ10年間で2・2倍になった。シカの捕獲数が府内で最も多いのは福知山市だ。綾部、舞鶴市を含む中丹地域は府内総捕獲数の3分の1を占め、獣害も毎年1億円以上に及ぶ。府中丹広域振興局農林商工部の高橋政志さんは「中丹は生息に適した中山間地が多い。特に、兵庫県境から福知山市夜久野町に餌を求めてシカやイノシシが移動してくる」と頭を抱える。廃棄して粗末にするのでなく、資源として見直そう-。昨年3月、福知山市に中丹地域で初の民間のジビエ専用食肉加工処理場が完成したのを機に、地域を挙げてシカ肉の活用に乗り出した。1月末、中丹振興局が開いたセミナーには、市内の焼き肉店やレストランなどから定員を上回る54人が参加した。欧州では高級食材として知られるシカ肉。近年、話題になった「鹿カツサンド」(京丹後市)や「鹿すき焼き丼」(南丹市)とは違った欧風料理で、先入観を拭ってもらうのが狙いだ。並んだのは、地元ホテルのフレンチのシェフたちによる「シカ肉上モモの生ハムトスタディータ」や「シカ肉のロースト」など4品。赤身のうま味を引き出した逸品に参加者が舌鼓を打った。焼き肉店店長の蓮見順一さん(40)は「シカ肉も調理次第でおいしいと分かった。価格や処理法に課題もあるが、地域貢献のためにも提供を考えたい」と話す。中丹振興局は今後、プロジェクトチームを立ちあげ、新たなメニュー開発や安定したシカ肉の流通に向けて知恵を絞る。シカ肉を食べることで、獣害の現状を考えるきっかけになれば、少しでも地域貢献につながる。
(シカ食害対策、皮を使って名刺入れやきんちゃく山梨)
小菅村のNPO法人「多摩源流こすげ」は、シカの皮を使った製品作りをしている。がま口財布などの小物で、獣害対策で狩猟したシカを活用するための取り組み。担当者は「地域の魅力を発信する製品として、商品化につなげたい」と話している。多摩源流こすげの青柳博樹さん(39)を中心に1月からスタート。青柳さんが革製品作り体験に参加した経験を基に、シカ1頭の皮を使い、名刺入れや眼鏡ケースのほか、がま口財布やきんちゃく袋などを試作した。見える部分はすべて手縫いにし、手作り感を出した。2月21日にはNPO法人や、革製品を扱う業者らでつくる「MATAGIプロジェクト実行委員会」が都内で開いたシンポジウム会場で、ブースを設け試作品を展示。シンポジウムには約180人が来場し、「ターゲットとした女性や学生の評価も良かった」という。多摩源流こすげは今後、デザインなどを変えながら販売できる製品づくりを目指す。そのため、県内全域を対象に獣害対策で狩猟されたシカの皮を求める。青柳さんは「狩るだけでなくシカの有効活用につながればいい。小菅村や山梨県ならではの商品として売り出したい」と話している。

TOPへ