<射撃ニュース1月>

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(イノシシに襲われ大けが:熊本)
9日正午ごろ、高森町上色見の山中のスギ林で、ハンターの男性(69)=同町色見=がイノシシに襲われた。男性は右脚などに大けがをし、病院に搬送された。イノシシはそのまま逃げた。高森署や阿蘇広域消防本部南部分署などによると、イノシシは体長1メートル以上とみられ、近くの自営業男性(43)が駆除のために仕掛けた「くくりわな」に足を挟まれていた。ハンターの男性とともに、猟銃で息の根を止めようと近づいたところ、1人がイノシシにかみつかれたらしい。わなは金具で獣の足を挟み込む仕組みで、太さ約4ミリの鋼鉄ワイヤで立ち木につながれていた。ワイヤが切れており、イノシシが引き切ったとみられる。地元猟友会は「普通は切れない。かなりの大物。こんな事故は初めて」と話している。イノシシはわなを付けたまま逃げたとみられ、高森町は「手負いで凶暴化の恐れがある」と防災無線で注意を呼び掛けている。町は、イノシシやシカの鳥獣被害の増加に伴い、わな猟の免許取得などを支援している。駆除従事者には高齢者も多く、農林政策課は「高齢者はより重大な被害につながりかねない。油断しないようにしてほしい」と話している。
(駒ケ根でまた熊とみられる足跡:長野)
9日午前9時半ごろ、駒ケ根市中山原の住民から、自宅敷地に熊の足跡があるとの情報が市に寄せられた。市農林課や猟友会が調べたところ、現場周辺の田に積もった雪の上などに熊とみられる足跡が確認された。同市では7日にも、今回の現場から北方に4キロ余り離れた赤穂の県看護大北側で熊とみられる足跡が見つかっている。県鳥獣対策・ジビエ振興室によると、記録が残る2006年度以降、県内で1月に熊が目撃されたのは2006年度と12年度に各1件だけ。今回の足跡が付いた時期ははっきりしていないが、専門家は、1月に付いたものであれば珍しいとしている。市農林課などによると、9日に確認した足跡は長さ約15~20センチで、南割公園アルプス球場北側の広い範囲で見つかった。田を横切るように点々と続いているものもあった。付近には人家もあり、市は防災行政無線やメールで注意を呼び掛けた。同課によると、この時期に足跡の情報が寄せられるのは近年では例がないという。担当者は「人的被害がなければいいが」と心配していた。
(イノシシの目撃相次ぐ:新潟)
9日午後6時半ごろ、柏崎市新道で体長約80センチのイノシシ1頭と小型のイノシシ4頭を目撃したと近くに住む男性から柏崎署に通報があった。目撃したのは柿栽培組合の倉庫近くにある柿畑で、イノシシは山の方向に移動した。近くに民家があることから同署などが注意を呼び掛け、警戒している。倉庫近くにある小学校では、敷地内で4日と8日にもイノシシ2頭が目撃されている。
(イノシシ1頭目撃:新潟)
9日午後2時半ごろ、上越市山屋敷町の上越教育大学の駐車場で、学生がイノシシを1頭目撃したと、同大から上越署に通報があった。イノシシは敷地内の茂みに逃げた。
(「わな」を使いエゾシカ捕獲:北海道)
エゾシカによる農業被害が深刻化していることから町は町内のホテルで、農業者や地元猟友会メンバーらによる意見交換会を開いた。エゾシカ対策の中で「わな」による捕獲について、理解を深めようと初めて開催。町は今後の捕獲体制構築に役立てたいとしている。町は2012年度から3カ年、国の「地域ぐるみの捕獲推進モデル事業」の指定を受けている。わなは銃器捕獲に比べ、免許が取得しやすいことや昼夜問わず設置できることなどから近年関心が高まっている。
(シカは推定2万3600頭:栃木)
県が9日、まとめた県内の有害鳥獣生息状況調査によると、平成25年度末でシカは2万3600頭、イノシシは3万3500頭、クマは26年度末で461頭が生息していると推定している。県自然環境課によると、シカは14年度以降のデータ約15万件を解析。年間4300頭の捕獲を続けると、10年後には9万8700頭に増加すると推定した。そのため、3年間の捕獲目標を7400頭とし、その後10年後に個体数の半減を目指す。イノシシは16年度以降のデータ約13万件を解析。年間6800頭の捕獲を続けた場合、10年後には7万9千頭に増加すると推定した。今後3年間は8千頭の捕獲目標を継続し、その後10年後の半減を目指す。クマは県北、高原、県西、県南の4地域で調査。センサーカメラでクマを撮影、識別した結果、26年度末で461頭と推定した。これは18~20年度の204頭より増えている。27年度から、捕獲数の上限を3年間平均30頭から69頭に増やす予定。
(カモ類大幅減、県内11カ所で生息調査:鳥取)
鳥取県は11日、県内11カ所の野鳥越冬地で、ガンやカモ、ハクチョウ類の生息調査を実施した。県によると、前年比1万2168羽減の1万6280羽を確認した。カモ類の減少が目立った。内訳は、ハクチョウ類308羽(前年比17羽減)▽ガン類20羽(同52羽減)▽カモ類1万5952羽(同1万2099羽減)-。マガモは6311羽で、前年の約3分の1に減った。県緑豊かな自然課は「減少の明確な原因は不明だが、前年はマガモが突出して多かったため、一昨年までの例年並みの傾向に戻った」としている。冬の野鳥の傾向を調べる調査は、毎年全国一斉に行われている。鳥取県は日本野鳥の会県支部に委託し、今年は会員38人が湖山池(鳥取市)や東郷池(湯梨浜町)、中海(米子市)などで実施。このうち中海では、土居克夫支部長(62)ら15人が同日午前7時から約3時間、米子水鳥公園や米子港などの周辺で望遠鏡や双眼鏡を使って個体数を数えた。
(意識高め農作物守る、市職員が狩猟免許:島根)
鹿やイノシシなどによる農作物被害が近年深刻化している。背景には、農林業者の高齢化や、それに伴う耕作放棄地の増加で、害獣の生息域が広がっている実情がある。一方、被害防止に向けて行政や猟友会などが連携する取り組みも効果を上げ始めている。隠岐郡を除く県内は2月末まで鹿やイノシシの猟期に入っている。狩猟には県が実施する試験に合格し、狩猟者登録する必要がある。狩猟者が年々高齢化することに危機感を抱いた各地の猟友会は、2009年から事前講習会を積極的に開催するなど対策を進めた。地域の意識も高まりもあり、昨年の狩猟免許の取得者は県全体で延べ299人。前年より126人増えた。主な狩猟免許には銃、わな、網の3種類がある。わなの取得者が最も多く、学科試験と実技があり、費用は約5000円だ。昨年、松江市の農林基盤整備課の職員4人がわなの免許を取得した。有害鳥獣対策を担当しており、休日を利用して試験勉強を続けた。費用はもちろん自己負担だ。合格した井上雅之課長は「行政として見ているだけでなく、的確な対策やアドバイスをできるよう、知識を深めるために受験した」と話す。市内でのイノシシ被害は深刻だ。捕獲数は12年には322頭だったが、13年には504頭に増加。市猟友会によると、害獣の被害地域は広がっており、島根半島の美保関地区にはかつて鹿やイノシシは生息していないとされてきたが、最近は頻繁に目撃されるという。害獣にとって縄張りがなく、エサも豊富で魅力的なようだ。これに対し、地域住民も農作物を自ら守ろうと意識を高めている。松江市大野町では、地域の10人がわなの免許を一緒に取得。出雲市との市境にあり、鹿やイノシシの通り道となっており、被害が増えているためだ。昨年11月には猟友会のレクチャーを受けながらわなを設置。大野地区の自治振興協議会会長、多久和宣久さん(66)は「自ら守るための第一歩になった。これからも免許取得者を増やせればいい」と話す。県によると、有害鳥獣による昨年の被害額は約8200万円。イノシシによる被害が8割を占める。害獣被害が相次げば生産者の意欲が下がり、耕作放棄地の更なる拡大という負の連鎖も起きかねない。松江市猟友会の細田信男会長(68)は「市の職員が免許を取得するのには驚いた。猟友会だけでなく、住民や行政が連携する体制作りが必要で、被害を防いでいきたい」と話している。
(「若手ハンター確保」考える:長野)
農林業被害の減少に向けて野生鳥獣捕獲の担い手としての若手ハンターの確保対策などを考える「狩猟シンポジウム」が12日、安曇野市の豊科交流学習センターで開かれた。県が今年度開校したハンター養成学校の公開セミナーとして企画。学校参加者や猟友会関係者ら約120人が参加し、ハンター確保に向けた課題などについて意見を交わした。シンポジウムの前半では、県の森林大使を務める作家で環境保護活動家のC・W・ニコルさんと、自らも狩猟者で、中川村大草の自宅工房で鹿肉の燻製を製造、販売している木下直美さん(52)の2人が講演。ニコルさんは、ニホンジカによる森林破壊を憂い、「ハンターが育たないと健康的な森林は維持できない」と指摘した。木下さんは、「獲って・さばいて・食してもらう~捕獲者・獣肉処理販売者の立場から見た狩猟の魅力」と題して、夫に誘われて狩猟を始めたことや、「いただいた命を無駄にせずおいしくいただきたい」と燻製づくりに取り組んできた体験を話した。後半のパネル討議では、講師の2人と猟友会を代表して上伊那猟友会の竹入正一会長らが、「次世代の若手ハンター確保について語ろう」をテーマに意見交換。ニコルさんは、「銃の管理が厳しいので、アパート住まいのような若者が狩猟免許を取ることは難しい」と話し、竹入会長は「若い人たちに憧れの目で見られるような猟友会に」と指摘した。木下さんは、「捕獲したシカをおいしく食べることができれば、食べたいから獲るという形に、狩猟が魅力あるものになるのでは」と話した。
(エゾシカ管理で大臣表彰:北海道)
総務省の「平成26年度ふるさとづくり大賞」で西興部村の特定非営利活動法人・西興部村猟区管理協会が、団体表彰(総務大臣賞)を受けることになった。表彰式は31日、栃木県宇都宮市で行われる。同賞は、「ふるさと」をよりよくしようと頑張る団体や個人を讃えようと、昭和58年度から行っている(昨年度までは「地域づくり総務大臣表彰」として実施)。西興部村猟区管理協会は、エゾシカを狩猟資源として管理する団体。同村ではハンターの高齢化などによりエゾシカの駆除頭数が減少。それにより農業被害や交通事故も増大したことから、平成15年に村全域を鳥獣保護法に基づく猟区に設定するために村内のハンターなど有志が同協会を設立した。北海道の助言・支援のもとに平成16年に北海道より猟区の認可を受けた。独自のガイド付エゾシカハンティングによって村外狩猟者を呼び込み、宿泊飲食などの経済効果をあげている。また、全国の狩猟初心者を対象とした技術講習会の開催、酪農学園大学による狩猟免許取得の資格支援講座などに関する大学生実習の受け入れも行っている。地域が主体となった次世代の野生動物管理システムの構築を目指し、積極的な活動を続けている。26年度のふるさとづくり大賞では、大賞(内閣総理大臣賞)に石川県七尾市で定置網漁を行っている株式会社・鹿渡島定置が選ばれた。また優秀賞(総務大臣賞)に2団体、団体表彰(総務大臣表彰)に18団体が選ばれた。北海道からは西興部村猟区管理協会のみだった。
(鳥猟と環境保全考える:石川)
加賀市の鴨池観察館では開館30周年を記念し、鳥の猟や環境保全を考えるイベントが開かれました。イベントには、およそ70人が参加し、8年をかけて制作されたドキュメンタリー映画、「鳥の道を越えて」が上映されました。映画は戦後、野鳥保護のために禁止された「カスミ網猟」を題材に、その歴史と文化から鳥と人間の関係を見つめ直す内容で、加賀市の伝統的な鴨猟「坂網猟」についても紹介しています。イベントには映画を制作した今井友樹監督も招かれ「坂網猟は商業主義に走ることなく、一定のルールを設けることで今でも存続していて、とても興味深かった」と話していました。
(「狩りガール」期待の星、狩猟人口減少で環境省が魅力発信)
鳥獣を捕獲するハンター人口の減少が止まらない。猟師の高齢化と若者の狩猟離れが最大の要因だ。その影響で鳥獣による農作物などの被害は近年、増加の一途をたどっている。特に若手ハンターの育成が急務だが、一方で、女性ハンターの数はわずかながら増加傾向にある。背景に何があるのか探った。暮れも押し迫った昨年12月27日、寒風が吹きすさぶ茨城県内の山中に一人の若手女性ハンターの姿があった。同県日立市の公務員、柏木未紀さん(27)。地元猟友会の名前が入ったオレンジの帽子とジャンパー、ベストを身に着け、細い山道を分け入っていく。獣道を確認していた柏木さんは、仲間から無線で「獲物が来た」との連絡を受けると表情が変わった。とっさに銃を構え、待った。犬に追われたイノシシが猛スピードで山を下り、柏木さんに近づく。その距離約20メートル。「ドーン」。腹に響くほど大きな銃声がこだましたが、命中しなかった。「あぁ、悔しい。もうちょっとだったのに…」大学時代、農学部で学んだ柏木さんは狩猟のサークルを立ち上げ、狩猟免許を取得。社会人となった今も猟期の間は週に1度は山に入る。「獲物を捕らえたときの充実感もあるが、仲間と一緒に獲物を追う時間が楽しい」と笑顔を見せる。狩猟免許の所持者は、現行制度が導入された昭和54年度には約44万7000人だったが、平成24年度には約18万人と半分以下に減った。さらに免許所持者の6割以上が60歳以上と高齢化が進んでおり、環境省によると、3年に1度の免許更新時に免許を手放す人が増えているという。若者の狩猟に対する関心も低く、ハンターの減少に歯止めがかからない状況が続いていた。そうした背景や生態系の変化などで、増えすぎたイノシシやシカなどが田畑の農作物を荒らす被害は増え続けている。環境省によると、元年度から23年度までの間にイノシシの推定個体数は約25万頭から約88万頭、シカは北海道を除き約29万頭から約260万頭にそれぞれ大幅に増えた。農林水産省によると、野生鳥獣による農作物の被害額は24年度で230億円に上っており、そのうちの6割以上はイノシシとシカによるものだ。このほか環境省の調査で、シカが国立公園の木の皮を食べることで木が枯れたり、生態系が変化したりするケースも明らかになっている。こうした状況を改善するため、環境省はハンターを増やす取り組みを始めた。若者に狩猟の魅力を伝えるフォーラムを24年度から21都道府県で開催。これまでに約4600人が参加している。フォーラムでは20~30代の若手猟師によるパネル討論を行い、ハンターになるきっかけや狩猟の面白さを語る。実際に猟に使う銃に触れることもできる。そうした取り組みの成果もあり、特に女性の狩猟への関心が高まっている。女性の狩猟免許取得者は13年度の953人から、24年度には2037人にまで増えた。最近では女性ハンターたちの愛称として「狩りガール」という言葉まで生まれた。さらに、環境省はこれまで鳥獣の保護に主眼を置いていた鳥獣保護法を、捕獲に力を入れるため鳥獣保護管理法に改正。捕獲を行う事業者に一定の条件の下で、100年以上実現しなかった夜間の銃による猟を認めたり、わなや網による狩猟の免許取得が可能になる年齢を20歳から18歳に引き下げたりするなどしている。また、狩猟にかかる税金の廃止に向けた動きもあるが、必要なハンターの数にはまだまだ足りない。環境省は35年度までに野生のイノシシとシカを半減させるとの目標を掲げており、「フォーラムなどの影響で狩猟への関心は少しずつ高まっている。(狩猟への)敷居を下げ、ハンターの増加につなげたい」(鳥獣保護業務室)と話している。一方、狩猟で捕獲した野生鳥獣を食材として活用する「ジビエ料理」が山間部を中心に全国で広がり、注目を集めている。「町の特産品に」と独自メニューを考案する地域もあり、地域活性化にも一役買っている。日本ジビエ振興協議会によると、ジビエはフランス語で、欧州では貴族の伝統料理として古い歴史がある食文化。国内では5年ほど前からジビエブームが起こり始めたという。福岡県や和歌山県の自治体などではシカ肉を使ったカレーやハンバーガーを考案。島根県や北海道では、ふるさと納税者への特典としてイノシシ肉やシカ肉を贈っている。企業もジビエをメニューに取り入れている。ジェイアール東日本フードビジネスは長野県産のシカ肉でつくったハンバーガーや千葉県産のイノシシ肉を使ったそばを首都圏のJR東日本の駅構内で販売した(現在は販売終了)。だが実際にシカやイノシシなどを食材として活用できているのは、全体の捕獲数のわずか5%ほどだという。同協議会の小谷浩治事務局長(62)は「ジビエを使いたいという声は増えているが、加工や衛生管理をする施設が少ない。施設が整えばジビエは地方創生の鍵になる」と強調する。
(シカの皮剥ぎ対策に新手法:岐阜)
県森林研究所(美濃市曽代)は、ニホンジカがスギやヒノキの皮を剥ぎ、木に損害を与えるのを防ぐ方法を新たに開発した。担当者は「金銭面の負担も抑えた方法」として、周知していく考えだ。編み出したのは「枝条巻き付け法」。間伐と同時に、不要になった木の枝を下向きにして、木の根元を覆うように巻き付ける。こうすることでシカは木に近づくのをためらい、被害を防げる。同研究所の岡本卓也主任研究員によると、ニホンジカは近年、降雪量が減って移動しやすくなったことなどが影響し個体数が増加。それに伴い、シカが食用のために木の皮を剥ぐ事例も増えているという。材木としての価値が下がるだけでなく、木が枯死して山の機能が失われる可能性もあり問題視されている。同研究所では二〇一一年四月から三年間、県内でも被害が顕著な郡上市和良町の区有林で研究を実施。従来の対策法では防ぎ切れなかった、木の付け根部分の剥ぎ皮に対する枝条巻き付け法の効果を定期的に観察した。すると、六割ほどの樹木に被害のあった同所の森での被害が無くなった。これまでにも専用のビニールテープを巻いたり、侵入防止柵を設置したりする方法があったが、維持管理に費用がかかるなどの問題があった。枝条巻き付け法なら「安価かつ簡単に対策できる」と岡本研究員は言う。今後は、林業関係者への浸透を図っていく方針で、岡本研究員は「積極的に試してほしい。事例を教えてもらいながら、改良を続けていきたい」と話している。
(カラスの生態知って付き合い方学ぶ:栃木)
生ゴミを食い散らかしたり、農作物を荒らしたりと困った行動を取るカラス。その知られざる生態を知って、うまく付き合う方法を学ぼうという環境講演会が22日、栃木市惣社町の国府公民館で開かれる。誰でも入場でき、定員100人。無料。長いタイトルで、「カラスを知り、己を知れば、百戦危うからず!?カラスの知的行動と知られざる生態」。「カラス博士」の異名を持ち「カラスとかしこく付き合う法」など多数の著書がある杉田昭栄宇都宮大農学部長が講師。カラスは考えているのか、数をかぞえたり、道具を使ったりといった学習能力はあるのか、人の顔を見分けられるのかなど杉田教授が解き明かした謎について解説。教授の監修で、色が黄色でカラスが苦手なカプサイシンを入れたゴミネットなども発売されており、カラスを寄せ付けない対策についても話す予定。
(調理師の卵、ジビエ料理を猟師から学ぶ:熊本)
野生のシカやイノシシなどの肉を使った「ジビエ料理」の普及を図ろうと、猟師らによる「ジビエ特別授業」が10日、熊本市中央区の専修学校常盤学院で行われた。調理師を目指す同校の生徒約80人が解体や精肉の方法を学んだ。ジビエとは、狩猟で捕獲した野生鳥獣の食用肉を意味するフランス語。ヨーロッパでは高級食材として人気が高く、日本でも鳥獣による農作物被害を背景に、広がりを見せている。特別授業は、県産ジビエの消費拡大を目指して県や獣肉の処理加工業者らでつくる「くまもとジビエ研究会」が毎年主催している。県猟友会五木支部の犬童雅之支部長らがシカの解体を実演し、生徒たちが調理用に細かく部位を切り分けた。天草産のイノシシを使ったパスタの試食会もあった。生徒の片岡晋也さん(19)は「シカの肉を初めて切り分けたが、牛肉などより筋が多かった。機会があればまたやってみたい」と話していた。県によると、2013年度の県内の鳥獣による農作物被害額は4億5500万円。県むらづくり課は「食材という形で獣肉が有効活用されることで、鳥獣の捕獲が進んでくれれば」としている。
(害獣駆除から新たな産業:長崎)
対馬市の活性化を目指すNPO法人「對馬次世代協議会」(通称・対馬コノソレ、岸良広大理事長)が、害獣として駆除されたイノシシやシカの革を使った携帯灰皿や本のしおりを販売している。同市の島おこし協働隊員を務めた後、対馬コノソレ職員となった山下遼さん(26)は「自然の恵みを生かした新たな産業に育てたい」と意気込む。市によると近年、イノシシやシカが農作物を食い荒らすなどの被害が急増。昨年度の被害額は約1600万円で、捕獲数は約9千頭に上る。捕獲した後は殺処分し山野に埋めることがほとんどで、資源としての有効活用が課題。山下さんは横浜市出身。4年前に協働隊1期生として対馬に移住。3年間の任期中に革を使った試作品が出来上がり、試験販売にこぎつけた。任期後も「商品化して島の人に利益を還元したい」とし、島に残っている。獲物が捕まったと連絡が入れば、愛車で山中に向かう。「ものづくりには全てを知ることが必要」という信念からだ。自らナイフで皮をはぎ、脂を丁寧にそぎ落とす。専門業者になめし加工をしてもらった後、専門の工具やミシンで一つ一つ仕上げていく。既製品とは違い、革に傷痕があるケースも。「傷はオス同士のけんかや、山中を駆け巡ってできたもの。それぞれの傷に対馬で生きてきた野生動物の物語が詰まっている。命をいただいている以上、余すことなく使う」と力を込める。イノシシの革は張りと独特の風合いが特長。シカの革は柔らかく手触りがいい。一押しは小物入れとしても使える携帯灰皿「Pouch(ポーチ)」(税込み1800円)。ボタンはシカの角を削って作った。このほか本のしおりやコードクリップは400~1500円。
(イノシシ全て活用、流通システム構築へ:石川)
北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市)の学生4人が合同会社を設立し、イノシシの肉や皮、毛を余すところなく有効利用する流通システムの構築に乗り出した。同社が捕獲個体を買い取り、解体と保管を請け負い、飲食店や加工品販売業者などの需要に合わせ、安定的に供給する。代表社員の吉村祐紀さん(25)は「資源を掘り起こし、地域産業を元気にしたい」と展望する。学生起業のきっかけは、所属する研究科の講座で、地域の課題と直面したことだった。近隣の白山市の市民や行政に鳥獣害による農作物の深刻さや捕獲した野生鳥獣のほとんどが廃棄されている現状を聞いた。吉村さんらは有効活用が進まない原因を、安定した供給が難しく、商品の価格が高いと分析。肉だけでなく、皮や毛は皮加工業者、化粧筆加工業者に商品化を発注するビジネスモデルを練り上げた。モデルを実際に動かそうと、起業を目指す同科の学生4人で昨年7月、会社を立ち上げた。現在、販路の確保と食肉加工施設、解体施設の準備を進めている。既に県内や京都府の料理店、北海道のバーテンダー協会などに精肉や食肉加工品を販売する約束を取り付けた。その他、皮はなめして手袋やバックに、毛はヘアブラシや化粧筆に、骨は砕いて陶器の生地に混ぜて使うことで交渉を進めている。15年の夏までに既存の施設を活用した食肉加工所を造り、秋ごろに解体処理場も建設する予定。個体の買い取りは、県の野生獣肉の衛生管理・品質確保のガイドラインに沿ったものとし、70キロ以上の個体で1キロ200円などを検討。15年は100頭を買い取り目標に据えている。社名は「ハタブネコンサルティング合同会社」とした。販路開拓などの営業を担当する藤丸紘樹さん(26)は「人もイノシシも共存共栄できる仕組みにし、地域産業を元気にしたい」と力を込める。
(第3回イノシシ肉料理グランプリ:大阪)
上方落語「池田の猪(しし)買い」で知られる大阪府池田市の阪急池田駅前にある「てるてる広場」で10日、イノシシ肉を使った料理の味を競い、ナンバーワンを選ぶ恒例の食イベント「燃えろ!猪(しし)-1(わん)グランプリ」が開かれた。商店街で落語による町おこしをしているグループ「おたなKAIWAI(界隈)飲食部会」の企画で、3回目。広場には市内の7つの飲食店のブースが並んだ。定番の「猪汁(ししじる)」のほか「猪焼きしゃぶ」などが1人前300~500円で販売され、家族連れらがブースをはしごしながら味わい、お気に入りの料理に「1票」を投じた。開票の結果、「丸一食堂」(同市城南)の「猪しゅうまい」が第3回グランプリに選ばれた。また、池田駅周辺の13店では2月28日まで、イノシシ肉創作メニューの食べ歩きスタンプラリー「『池田の猪買い』はじめました」を開催中。期間中、10店を「制覇」すると1万円の食事券が1人に、また5店「制覇」で2000円の食事券が5人にそれぞれ抽選で当たる。

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(猟銃誤射事故の初公判:静岡)
2013年、長泉町で猟銃の誤射により男性1人が亡くなった事件で、業務上過失致死罪に問われている長泉町中土狩の農業、山本良策被告(74)の初公判が、地裁沼津支部で開かれた。起訴状によると山本被告は、2013年11月、猟友会員として長泉町の雑木林でシカの駆除中に、山菜採りに来ていた男性をシカと見間違え、散弾銃を発砲。男性の頭を打ち死亡させた、業務上過失致死罪に問われている。8日の初公判で、山本被告は、起訴内容を認め、検察側は、「被害者は持参した笛を吹いて人の存在をアピールしていた」「被告人は違う角度からの確認をしなかった」などとし、禁固2年を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求め、裁判は即日、結審した。
(シカ捕獲目標を初めて設定、年間7400頭:栃木)
県が2014年度の新規事業として取り組んできたイノシシやシカなどの生息数推定の調査結果が8日、分かった。13年度末時点で、イノシシの生息数は3万3500頭、シカは2万3600頭。この結果を受け県は当面の3年間、個体数を増やさないため、イノシシ8千頭、シカ7400頭を年間捕獲目標に据える方針だ。イノシシの捕獲目標は値は2011年度以降のものと同じだが、シカの目標値設定は初めてとなる。この事業は有害鳥獣を捕獲するなどの対策をより効果的に進めることが狙い。5キロ四方の生息状況を把握し、農業集落の被害状況を調べ、わなの設置場所に活用する。
(校庭でイノシシ目撃:新潟)
8日午前7時半前、柏崎市新道の新道小学校グラウンドで、イノシシ2頭を目撃したと職員から柏崎市役所に通報があった。学校や市によると、市内の小中学校では同日、年明け後の授業が再開された。新道小では目撃時、登校していた児童はいなかった。同小では4日にも、駐車場でイノシシ2頭が目撃されていた。
(カラス大量死、専門家「3つの可能性」挙げる:埼玉)
動物学者で、元日本野鳥の会の本間敏弘さんはカラスの死因として、(1)何らかの細菌やウイルスの病気で食べ物が食べられなかった(2)毒物を食べたものの、吐き出してしまったため検出されず胃も空だった(3)急激な寒さで低温ショックを起こした――などを可能性として挙げた。「カラスは悪食なので、食べ物にあたることは少なくない。鳥インフルエンザではなくても、水やバクテリアから病気になった可能性もある」と指摘。カラスの大量死は不吉なイメージもあるが「山などを歩いていると、鳥が死んでいたりすることはよくある。天変地異というようなことではない」と話した。
(厄介者改めブランド猪、白山麓で捕獲:石川)
白山麓で農作物を荒らす厄介者のイノシシを名物に変えようと、白山商工会青年部(白山市)が八日、白山麓で捕獲、解体したシシ肉のブランド「白山麓猪(いのしし)」を発表した。北陸新幹線金沢開業後の首都圏からの誘客に向け、地元企業や関係団体と連携して発信していく。白山麓では、観光振興に取り組む一般社団法人白山ふもと会が三年前から獣肉の処理施設を運営。手早い処理で肉は臭みがなく、脂はかむほど甘い。昨年六月、青年部内に白山麓猪ブランド化委員会を発足し、同会や行政の関係者らをオブザーバーに迎えてブランド化を進めてきた。白山ふもと会は生肉を目方や軟らかさ、脂ののり方などでランク分けし、ロース、バラなど部位ごとに一キロ千~八千円で販売する。薫製など加工品も扱う。ホテルや飲食店など十二店はパスタや丼、鍋など趣向を凝らした料理を提供する。また、地元の観光バス会社ホワイトリングは白山麓猪が味わえるJR金沢駅発の日帰りと一泊二日のツアーを企画した。ほかにも、白山ふもと会はイノシシの牙のアクセサリーをインターネットやイベントで販売する。高木啓介委員長(39)は「ゆくゆくは全国に発信していきたい」と意気込んでいる。白山ふもと会によると、白山麓には十~十五年前に隣県からイノシシが流入。里山の放置や狩猟者の減少などで定着し、有害駆除される数は年々増えている。解体施設では本年度、百二十頭の食肉処理を目指している。

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(東京五輪の射撃会場予定地を視察)
国際射撃連盟のシュライバー事務総長が6日、2020年東京五輪・パラリンピックの射撃会場予定地の陸上自衛隊朝霞訓練場(練馬区)を視察した。印象について「(選手村からの)移動時間は多少問題があるが、会場は非常に素晴らしい物になり得る」と述べた。シュライバー事務総長はこの日、大会組織委員会関係者らと中央区晴海の選手村建設予定地から車で移動。「1時間はかかる。ただ、現時点で他の(会場の)選択肢はない」と述べ、計画に理解を示した。関係者によると、国際連盟側は集客面も懸念していたという。射撃会場をめぐっては、宮城県がクレー射撃会場の誘致を組織委に要望したが、五輪や世界選手権など国際大会ではライフル射撃と同じ会場で実施されるのが通例。運営面の問題からも、競技団体は分離開催に消極的とみられている。
(東京五輪、射撃も会場変更を要望)
2020年東京五輪の射撃会場について、日本クレー射撃協会と日本ライフル射撃協会は6日、現在の予定地である陸上自衛隊朝霞訓練場から都心の湾岸部への変更を大会組織委員会に要望していることを明らかにした。両協会関係者によると、同訓練場は他の競技会場や選手村から離れているため、客足が遠のくことを国際射撃連盟が不安視している。国際連盟のシュライバー事務総長は同日、中央区晴海の選手村の建設予定地と朝霞訓練場を視察した。同行したクレー射撃協会の大江直之事務局長は「朝霞が悪いわけではないが、都心開催はより良い案だ」と話した。
(カラス111羽の死骸見つかる、餓死の可能性も:埼玉)
埼玉県は7日、年末年始に県内4カ所でカラスの死骸が計111羽見つかったと発表した。いずれも外傷はなく、鳥インフルエンザの感染も確認されなかった。大半の死骸の胃に食べ物がなく、県は餓死や細菌性腸炎の可能性があるとみて原因を調べている。県によると、県南部の入間、狭山、所沢の3市にまたがる半径3キロの範囲の3カ所で、昨年12月30日~1月6日に計81羽の死骸が見つかった。いずれも近くに雑木林があり、カラスのねぐら近くとみられる。また、北に約40キロ離れた熊谷市の砂利採取場でも1月5~7日に計30羽の死骸が見つかった。これらの死骸から県が一定数を抽出して鳥インフルエンザの簡易検査をした結果、いずれも陰性だった。埼玉県内ではこれまで、カラスが1カ所で10羽以上死んでいた例はない。全国では秋田県で2011年2月、54羽が細菌性腸炎で死んだ例があるという。
(鳥インフルエンザ、警戒解除:鳥取)
鳥取市で昨年11月27日に採取されたカモ類のふんから高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H5N8亜型)が確認された問題で、環境省は5日、採取地点から半径10キロ圏に設定していた野鳥監視重点区域を3日に解除したと発表した。マニュアルでは鳥インフルエンザウイルスが確認されたふんや死んだ野鳥を回収した日から45日間異常がなければ指定を解除することになっており、3日午前0時で条件を満たした。環境省は11月28〜30日に野鳥緊急調査チームを現地に派遣していた。
(鳥インフル、鶏舎の壁とネットの間に隙間:山口)
農林水産省は5日、高病原性鳥インフルエンザが発生した山口県長門市の養鶏場での調査結果を発表した。鶏舎の壁と鶏舎に取り付けた防鳥ネットや金網との間に、ウイルスを運ぶ可能性のあるネズミや小鳥が入れる隙間があったという。また、業者ら数人分の入場記録に、出入りの際に行う車両や靴底の消毒を実施したという記載がなかった。養鶏農家は「必ず消毒している。記載漏れだと思う」と話しているという。このほか、養鶏場の隣や周辺にあるため池で、数羽~数十羽の渡り鳥のカモ類が確認された。渡り鳥が大陸から国内にウイルスを持ち込んだ可能性が指摘されており、同省は「水場には野鳥が飛来しやすく、周辺の養鶏場は感染リスクが高い」と注意を呼びかけた。
(草花食害に殺生禁止の壁、寺院のシカ対策:滋賀)
大津市内の寺や神社で、野生のシカが観賞用の花の若芽を食べたり庭園の木の枝を折ったりする被害が相次いでいる。通常であれば駆除や捕獲をするところだが、寺や神社には「殺生禁止」の教えがあるため、関係者は頭を抱えている。紫式部が「源氏物語」をしたためたとされる石山寺では十年ほど前から、境内に水を飲みに来るシカによる食害が目立つように。一面に咲き誇ったアジサイは枯れ、他の木も低い部分の葉がなくなった。寺はオオカミや虎の臭いがする薬剤をまくなどしたが、三百平方メートルのハナショウブ園を電気柵で囲った以外、効果があったとは言いがたい。石山寺などで剪定(せんてい)を手掛ける庭師の遠江(とおのえ)隆行さん(56)は「若い芽はほとんどやられてしまい、元通りになるには時間がかかる」と嘆く。境内の木々を見ようと関東から訪れた人が、がっかりしていたのを見たこともある。食害を止めるには狩猟が最も効果的だが、寺に伝わる「縁起絵巻」は、寺周辺で猟をした人が罰せられる様子を描き、殺生禁止を明示。シカに手をかけるのは教えに反する。市鳥獣害対策室によると、シカは山間部を中心に各所に出没。山間部の開発が進み、えさが減ったのが一因らしく、観光地として知られる比叡山延暦寺や三井寺など他でも似たような問題がある。通常は市がハンターに猟を依頼したり、わなにかけて処分するが、神社仏閣の敷地や周辺では「難しい」(担当者)。三井寺のある僧侶は「供え物のキクなどを食べる被害もある。何とかしたいが、どうにもできない」と打ち明ける。市は神社仏閣と無関係な土地での捕獲に力を入れたり、防護ネットを張って被害を食い止めたり。市内で駆除したシカは二〇一二年度には六百四十三頭だったが、一三年度には千四百頭程度まで増えた。それでも根本的な解決には至らず、いたちごっこは続く。「シカは生きるためにやっているので仕方がない部分もある」と遠江さん。石山寺では今後、電気柵のほかに金網を設置したり、植える位置を工夫していくつもりだ。奈良市の有名な観光地、奈良公園もシカの食害はある。市内のシカは国の天然記念物で、傷つけることはできない。県の「奈良公園の鹿相談室」によると、観葉植物の周辺に防護ネットを張ったり、シカが好まないナンキンハゼを多く植えるなどしているという。
(若い世代に狩猟の魅力を:長野)
ニホンジカやイノシシなど野生鳥獣狩猟の意義や必要性などについて考える狩猟シンポジウムが12日、県森林大使のC・W・ニコルさんを招いて、安曇野市の豊科交流学習センター「きぼう」多目的交流ホールで開かれる。県が今年度に新たに開設した県ハンター養成学校の公開セミナーとして開催。カリキュラム受講者のほか、狩猟に関心を持つ若者らを広く対象とする。午後1時に開会し、信濃町のアファンの森で里山再生活動に取り組むニコルさんらによる講話を通じ、狩猟の意義や重要性などについて理解を広める。またパネルディスカッションでは、「次世代の若手ハンター確保について語ろう」と題し、ニコルさんをアドバイザーに県内の猟友会関係者らが狩猟の将来について意見を交わす。このほか会場では、射撃シミュレーターによる狩猟体験や信州産ジビエ(野生鳥獣肉)製品の試食などを行い、狩猟を身近な営みとして感じてもらう。ハンター養成学校は、里山周辺で農林業を野生鳥獣被害から守るために活躍する人材の養成を狙いに開設された。わな猟や銃猟について初歩から狩猟免許取得までの実技講習を中心に行うことで、狩猟に触れる機会がなかった若い世代に狩猟の魅力や重要性を伝え、新たな狩猟者の確保に結び付ける。
(150キロ大イノシシ仕留めた:三重)
三重県伊賀市山出の櫻田常男さん(71)らの狩猟グループ5人が5日、同市内の山中で、体長1・6メートル、体重約150キロのイノシシを仕留めた。半世紀の狩猟歴でも記憶にない大物だといい、6日朝から解体して精肉にし、それぞれが持ち帰った。櫻田さんのほか、中川正憲さん(67)(伊賀市沖)、中西定夫さん(67)(同市比土)、稲本九一郎さん(73)(同市下神戸)、中越健安さん(72)(同市山出)の4人で、いずれも20歳頃から狩猟を始めたベテラン。狩猟期間中は毎日のように山に入り、グループで20~30頭のイノシシを捕獲するという。5日は、午前9時頃から同市の阿山地区の山に入って狩猟を開始。午後2時頃、中川さんの犬が何度も中川さんのもとへ戻って来たため、「(犬の)動きがおかしい」と無線で他の4人に知らせた。直後、犬を追ってイノシシが出現。長い狩猟歴でも見たことのない大きさで、距離は約20メートル。慌てて銃を構え、5メートルほどの距離で仕留めたという。イノシシは、10歳までとみられる雄。協力して運び出したが、あまりの重さに少しずつしか運べず、車に乗せた時には、午後5時を回っていたという。これまでは120キロ前後が最大といい、5人は「こんな大物は記憶にない。10年に1頭捕れるかどうかだろう」と口をそろえる。中川さんは「目の前に出てきたので驚いた。今考えてみると、この大きさのイノシシに襲われていたら、危なかった。うまく仕留められた」と笑顔。櫻田さんは「このあたりで、犬(狩猟犬)が何頭もイノシシにけがをさせられている。こいつの仕業なのかも」と話していた。
(シカやイノシシを缶詰に:長野)
長野県阿智村内で捕獲されたシカやイノシシの肉を使った大和煮の缶詰が好評だ。昨年作った約2000個はほぼ完売。製造・販売元の阿智村ジビエ加工施設管理組合は今年、3000個を売り出す計画だ。これらの動物による農林業の被害は同村でも絶えない。村などは継続的な捕獲で被害軽減を図っているが、「命は無駄にできない」と、猟友会関係者らでつくる同組合が2013年、シカやイノシシのバラ肉やすねの肉を使い、しょうゆや砂糖、みりんなどで味付けした大和煮を作り、商品化した。この年は370個を完売。14年はその5倍以上を生産し、中央自動車道の阿智パーキングエリアや県飯田合同庁舎(飯田市)の売店で販売した。珍しさに加え、肉のくさみを抑えた食べやすさで人気があるという。シカ肉もイノシシ肉も、1缶160グラム入りで税込み700円。県飯田合同庁舎にはシカ肉の缶詰なら昨年製造分の在庫がわずかにあるという。
(野生獣の肉「ジビエ」料理、安全性と味全国屈指:三重)
シカやイノシシなどによる農作物の食害が問題となる中、県内では野生獣の肉(ジビエ)を食材にした「ジビエ料理」の普及に向けた取り組みが進む。同様の活動は全国各地で行われているが、三重県では全国一厳しいと言われる解体処理マニュアルを制定するなど、衛生面に特に気を配り、新たなブランド化を目指す。県獣害対策課によると、2013年度の野生獣による食害被害額は約6億2900万円。県は駆除した野生獣を利活用するため13年12月に「みえジビエ登録制度」を設け、これまでにマニュアルを順守した加工業者や飲食店など21事業者35施設を登録し、料理の消費拡大に努めている。その一つ、県立美術館(津市大谷町)内のフレンチレストラン「ミュゼ ボンヴィヴァン」ではシカ肉のローストを提供する。昨年は約60頭のシカ肉を使い、欧米の大手ワイナリー関係者が「三重県のシカは美味」とのうわさを聞いて、店を訪れたこともあったという。出口直希シェフ(37)は「地元食材の料理で、ちょっとした非日常を味わってほしい」とジビエ料理に力を入れる理由を話す。同店にシカ肉を提供するのが、猟師の古田洋隆さん(59)だ。津市美杉町の山あいで生まれ育ち、名刺の肩書は「罠(わな)師」。多くの猟師が銃やおりで獲物を仕留める中、古田さんは足をワイヤで固定する「足罠」で獣を捕らえる。「獣を傷付けず、一番良い状態で仕留められる」という。古田さんの猟に同行した。獲物がかかると発信器が作動する仕組みで、山中の獣道に、足を罠に取られたシカがいた。ナイフを使って現場で手早く絶命させ、軽トラックで自宅隣の解体場へ運ぶ。140度の水蒸気でダニを駆除した後、バラ肉に切り分ける。生きていた時に流れ弾に当たっていないか、金属探知機で確かめる。刃物はシカに触れる度に熱して消毒し、バラ肉に切り分ける際には使い捨ての白衣と帽子で全身を包む。「山の恵みに感謝の気持ちを込め、いただいた命は無駄にしたくない」。古田さんはそう話し、丁寧に作業を進めた。

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(正月飾り用の植物採集中、イノシシと間違われ:熊本)
30日午後2時10分頃、熊本県小国町宮原の山中で、イノシシ猟をしていた同町の農業男性(60)が撃った猟銃の弾が、近くで正月飾り用の植物を採集していた農業男性(58)の腹部に当たった。撃たれた男性の意識はあるという。同県警小国署の発表によると、現場は雑木林で見通しが悪く、2人は十数メートル離れていた。撃った男性は「イノシシと間違えて撃った」と話しており、同署は業務上過失致傷容疑で調べている。
(シカと電車衝突、乗客が3時間缶詰:岐阜)
4日午後10時半ごろ、岐阜県下呂市小坂町のJR高山線で、高山発美濃太田行き上り普通列車がシカと衝突し、橋の上で停車した。橋の上で危険なうえ雪が積もっており、運転士が車両から降りて点検できなかったため、乗客5人が3時間にわたり車内に取り残された。JR東海によると、停車中も車内の電源は確保され、乗客にけがはなかった。現場に駆け付けた作業員が除雪作業を行い、運転士が安全確認をして運転を再開した。この事故で、高山線は渚―飛騨小坂間で運転を見合わせ、下りの普通列車2本の乗客数人が上呂駅からタクシーに乗り換えた。
(鳥インフル、環境省が野鳥調査:宮崎)
宮崎市高岡町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたことを受け、環境省は30日、現地で野鳥の緊急調査を始めた。この日の調査で異常は見つからなかった。来年1月1日まで続ける予定。同省の委託を受けた一般財団法人・自然環境研究センター(東京)、同省九州地方環境事務所、県の職員ら5人が現地入り。発生養鶏場から半径10キロ圏内の川や湖、ダムなどの水辺を中心に10か所で野鳥の数や種類、死んだ鳥の有無などを調べる。30日は小林市の野尻湖周辺でカモ類やオオタカを目視したという。同事務所の中村陽子・野生鳥獣感染症対策専門官は「渡り鳥が飛来する間は、どこでも感染の恐れがある。一般の人を含めて不用意に養鶏場に立ち入らないなど警戒を強めてほしい」と話していた。
(鳥インフル渡り鳥が運ぶ?)
宮崎市と山口県長門市の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、農林水産省は31日、ウイルスはいずれも「H5N8型」だったと発表した。韓国で大流行し、中国やロシアのほか、今季1例目の宮崎県延岡市で検出されたウイルスと同じ型で、同省は「渡り鳥が大陸からウイルスを持ち込んだ可能性がある」と説明している。また、同省は、宮崎市の養鶏場で疫学調査チームが行った調査の概要も公表した。鶏舎の金網の一部が破れていたほか、排気用ファンのシャッターが開いており、ウイルスを運ぶ可能性のあるネズミが入れる隙間があったという。約1・5キロ離れたダムに渡り鳥のカモ類が飛来しているのも確認されており、同省は今後、感染経路を詳しく調べる。
(札幌のクマ出没、15%減の89件:北海道)
札幌市内で2014年度、市民に目撃されたり、足跡やふんなどの痕跡が発見されたりしたクマの出没件数が減っている。昨年4~12月(26日現在)の計89件は、13年度の105件から15%減となり、過去10年間で最多だった2011年度の257件に比べ65%少ない。餌となる山のドングリが豊作だったことに加え、同市などはごみの始末の徹底を市民に呼びかける啓発活動などが効果を上げたとみる一方、クマは市街地から離れたわけではなく、引き続き警戒は必要だとしている。市みどりの推進課によると、月別で最も多かったのは昨年6月の26件。札幌市西区の五天山公園でクマの足跡が確認され、閉園するなどした。一方、冬眠に備えたクマが餌を求めて行動範囲を広げることが多い9、10月は出没件数が増える傾向にあるが、昨年は両月で計10件。13年の計51件、12年の計42件、11年の127件より大幅に少なかった。減少の要因として同課が挙げるのが、市民への啓発活動だ。クマを寄せ付けないために、ごみの始末を徹底するようホームページなどで呼びかけ、出没件数の多い地域の小学校ではクマに遭遇した場合の対処法などを指導している。同課は「クマに対する警戒や対策が市民に浸透している。住宅街への出没も、今年はほとんどなかった」と話す。果樹園や畑への電気柵の設置も進んでおり、市は12年度から設置費用の8割を助成。助成制度を利用し柵を設置した農家は12年度以降、南区や西区を中心に43軒に上る。市農業支援センターは「トウモロコシやリンゴが被害に遭った農家でも、電気柵を設置して被害がなくなるなど効果はある」と話す。ただ、出没件数が減っても、クマがいなくなったわけではなく、引き続き警戒は必要だ。クマが潜む雑草をなくす取り組みとして、南区石山地区の豊平川河畔林で昨年8月、地元住民と一緒に雑草刈りを行った市民団体「浦幌ヒグマ調査会」(事務局・十勝管内浦幌町)の事務局長で、酪農学園大の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は「今年は山のドングリなど餌が豊富で、クマが人里に降りてくることが少なかったと分析できる。今年1年の出没件数が減ったからといって、クマが市街地の近くに住んでいる状況に変わりはない」と指摘。「冬眠中のクマが市街地に出没することは考えにくいが、春以降、また出没する可能性はある。クマは近くにいると常に意識し、クマと共に暮らすための注意を忘れないでほしい」と提言する。
(熊の生息調査実施へ、出没相次ぎ前倒し:長野)
県内で昨年、ツキノワグマが大量出没して人身被害が相次いだ事態を受け、県林務部は2015年度、予定より1年前倒しして熊の生息状況調査を実施する方針を固めた。分布や推定生息数、生息状況などを調べるほか、人里付近への出没状況や理由を科学的に調査するため、体毛を調べて食べた餌の傾向を分析する手法にも着目し、被害防止や保護管理に結び付ける。調査結果は、計画的な個体数管理を図る熊の第4期特定鳥獣保護管理計画(17~21年度)に反映させる。熊の体毛を分析し、食性履歴を調べている森林総合研究所(茨城県つくば市)鳥獣生態研究室の中下(なかした)留美子主任研究員によると、熊の体毛に含まれる炭素と窒素の「安定同位体」の比率は、食べたものの安定同位体の比率と密接に関連する。そのため、体毛を分析すれば、山の動植物を摂取している個体、トウモロコシなど里の農作物を食べている個体、残飯などに依存している個体といったように、食べている餌の種類や行動傾向が推定できるという。県の調査では、捕獲した熊の体毛を採取し、ふだんは山にいる個体か、人里近くに居ついている個体かなど、傾向を分析することを想定している。県林務部鳥獣対策・ジビエ振興室の宮宣敏室長は「奥山から移動して里に近いところに熊が出没していると言われているが、科学的な裏付けは乏しい。体毛調査などの手法で科学的に状況の変化を探りたい」とする。このほか、木の間に有刺鉄線を張って採取した熊の体毛をDNA分析し、一定範囲の頭数を割り出す「ヘアートラップ法」と呼ばれる現地調査を、これまで実施していた木曽地域に加え、大北、松本地域で実施。市町村担当者や猟友会員らを対象に、熊の目撃地点などを聞き取るアンケートも引き続き行い、分布状況や生息数を推計する方針だ。同室は15年度当初予算案編成に向け、調査事業費として1600万円余を要求している。当初は保護管理計画策定のため、16年度に調査する予定だった。宮室長は「熊をめぐる状況が大きく変化していることが予想されるので、状況を早く把握したい」としている。同室によると、14年度に県内で熊が目撃された件数は11月までの時点で2833件となり、13年度1年間の1060件の2・7倍となった。14年度に熊と遭遇してけがをした人はこれまでに32人で、大量出没した06年度以降で最多となっている。
(ドングリ不作、空腹で冬眠できないクマ:岐阜)
ツキノワグマにとっても人間にとっても、不幸な遭遇が続いた年だった。特に深刻だったのが岐阜県高山市だ。県によると今年度、県内でクマに襲われて1人が死亡、9人が重軽傷を負い、死傷者の5人を高山市での事故が占めた。県内での死者は統計がある1999年度以降で初めてだ。えさとなるドングリがほぼ4年に1度の少ない年に当たり、大発生したマイマイガの幼虫が森の葉を食い荒らして拍車をかけた。県のまとめでは、今年度のクマの出没は17日までに22市町村で1406件。記録がある2002年度以降で飛び抜けて多い。
(異常に多かったクマの出没:岐阜)
クマの出没が多い年だった。高山通信部に赴任して4年9カ月。昨年までの4年間、取材以外でクマを目撃したのは1度だけだったが、今年は4度もクマに遭遇した。最初に出合ったのは7月。高山市朝日町の鈴蘭高原で取材を終えて次の取材に向かう途中、道路を横切るクマの親子に2回続けて遭遇した。次は夏のある日のこと。車から降りて谷川を眺め、3分ほど後に車に戻りエンジンをかけると突然、車の影からクマが飛び出した。車を挟んで数メートルの所にクマがいたと思うと、ゾッとした。4回目は秋の気配が色濃くなった9月。山小屋で友人らとバーベキューをしていた時、遠くの山中で木の枝をバキバキ折ってエサを食べる音がした。「クマ?」。見ると20メートルほど離れた空き地で木に登ろうとしている大きなクマ。全員立ち上がり、「クマだ!」「カメラ!カメラ!」と騒ぐ声にクマが気付いて一目散に走り出し、30メートルほど先の山に姿を消した。晩秋の11月になっても高山市内ではクマの出没が相次いだ。市街地にある「アルプス展望公園スカイパーク」では、親とはぐれたと思われる子グマ1頭が2週間ほど出没した。子グマは関係者の間で「マルコ」と呼ばれるようになった。「母を訪ねて三千里」の主人公にちなんだ名前だ。マルコを母クマのいるであろう山へ戻すため、関係者が捕獲を試みたが捕まらず、11月27日を最後に姿が見えなくなった。「街中を抜けて無事に山に帰っていればいいが」。ある関係者はマルコを心配していた。クマ出没の原因は、山でエサのドングリが不作だったためだ。県内の目撃件数は今月25日現在、1410件で過去5年間の年平均401・8件の3・5倍。高山市内では年平均150件の約3倍に上る473件の目撃情報が寄せられた。捕獲件数も大幅に増えた。高山市は今年、クマ148頭を捕獲。市街地に近い城山で11月20日に猟友会員が仕留めたクマは体長140センチ、約100キロだった。狩猟免許を持つ市農務課主査の大坪達也さん(51)は「やせ気味だった」と話す。同12日に夫婦がクマに襲われた同市丹生川町では、クマがエサを食べた痕跡が国道脇や山のあちこちの木に見られた。人里近くまで下りてきてエサを探さねばならないのは、エサが足りないのか、頭数が増えすぎたのか。考え込んでしまった。県内でクマの目撃情報は今月11日を最後に途絶えた。一気に降った雪の影響でクマも動けなくなったのかもしれない。高山市農務課によると、「過去には空腹のまま冬眠して死んだクマが見つかったり、やせ細って瀕死(ひんし)の子グマが保護されたりしたこともあった」という。自然は厳しい。そのことを改めて感じさせられた。
(生息数を10年間で半減、公約実現を:秋田)
ハンターが都道府県に納めている狩猟税が、有害鳥獣駆除に従事する人に限って新年度から非課税扱いとなる。税額は銃や網、わななど狩猟方法に応じて年5500円から1万6500円だった。野生鳥獣による農作物被害は全国で年200億円を超えているが、駆除するにもハンターが高齢化し、計画数を達成できないでいる。シカの出没が相次ぐ本県でも駆除が必要になるかもしれないが、ハンターがいなくてはどうにもならない。税の軽減は駆除の実働部隊となるハンターの確保策であり、自民党が掲げた「シカ・イノシシ・サルの生息数等を10年間で半減させる」という政権公約の一環でもある。この公約を小欄が取り上げるのは3回目となる。われながらしつこいと思うが、290項目ある公約の中で珍しく数値目標を示し、秋田にとって意味ある政策だ。政権の本気度を測る指標としたい。
(里の思いつなぐ女性ハンター:大分)
里の恵みを街や食卓へ―。地域の産物を自らの手で集めて消費者とつなぐ仕事を、気負いなくやってのける女性がいる。臼杵市野津町の衛藤千晴さん(29)。地元の高齢者らが手塩にかけた野菜を都市部へと橋渡しする一方、昨年、第1種銃猟免許を取得。野山に交じって野生の生き物を追い、命を頂く。朝もやの中、日の出と共に車を走らせる。オレンジ色のベストと帽子を身に着け、手には手製の布袋に包まれた銃。ぴんと張り詰めた空気をまとい、カモなどの鳥を探す。目を凝らし、時折「ワッ」と声を上げ、獲物の羽ばたきを待つ。「きょうはいませんね」。残念そうに頭をかいた。市猟友会野津支部会長を務める父清春さん(56)の背を見てきた。生活の中で山、川、海に親しみ、自然と共に育った。銃を手にしたのは「野生の生き物を自分で捕ってさばいて食べる。それができるかどうか試したかった」からだ。“デビュー”は11月。狩猟解禁日に清春さんと出掛け、カモ1羽を仕留めた。「捕れた!」とは思ったが、特別な感慨はなかった。「死んだら肉になる」という、命を食べ物に変えるシビアな過程を知っている。実家は4年前にガソリンスタンドから事業転換し、獣肉を加工販売する「山川屋」を始めた。イノシシ・シカ肉の他、母恵子さん(57)が料理し普段から食卓に上っていた「猪飯(ししめし)の素」を開発。その後、切れ端をミンチにした「猪みそ」も売り出した。1匹を無駄なく大事にしたいと、骨まで販売している。千晴さんは2年前、地域の新鮮な農産物を扱う生産者直売所を開いた。広い畑に残された野菜や、傷があり行き場のない野菜を見てきたから。直売所の存在は人づてに広まり、今では80人ほどの生産者が登録する。「今日はこんなのがあるよ」と思い思いの時間に軽トラックで乗り付け、その時々の実りを手渡す。ふらりと様子を見に寄り、雑談を交わしていく人もいる。家庭菜園などで育てられた野菜は大分市内の飲食店にも卸している。千晴さんはニーズを伝えたり、新しい野菜栽培のアドバイスもする。「農協に出すには気が引ける野菜でも、飲食店に直接持ち込めば見栄えは関係ない。ミニ野菜の需要もある。店は安く手に入る上、地産地消をアピールできるし、生産者は自分の野菜が使われていると楽しくなる。次の種や苗代、肥料代がまかなえる程度でいい。うまく循環していけたら」人口減少、限界集落、里山の荒廃、後継者不足…。先行きが不安視されるキーワードばかりが強調されがちな合併自治体の周辺部。だが千晴さんは「田舎が好き。街に住もうとは全然思わない」ときっぱり。肩肘張った決意は感じさせない。だが、受け継いだものや地域の思いを、確かにつないできている。
(避難区域で「野生動物と人」共存探る:福島)
東京電力福島第1原発事故の避難区域で、生息域が拡大しているイノシシなどの野生動物と人が共存できる関係を探ろうと、福島県鮫川村のNPO法人職員伊藤千陽さん(30)はおととし、神奈川県箱根町から移住してきた。昨年10月には狩猟免許を取得し、先輩のハンターから技術を学ぶ日々を送っている。伊藤さんは三重県東員町出身。少女時代は野生動物を救う獣医師に憧れていた。富山大大学院で水中の微生物などを研究、修了後は環境省の箱根自然環境事務所で自然保護官を補佐する非常勤の「アクティブレンジャー」となった。転機となったのは原発事故後の野生動物をめぐる報道。避難して住民がいなくなった町をウシやイノシシが闊歩(かっぽ)し、餌を求め留守中の住宅に入り込み荒らし回っていた。悪者扱いされる動物に心を痛めた伊藤さんは「人と動物が対立しないよう何かできないか」と福島への移住を決心。鮫川村で自然学校を運営するNPO法人に就職し、住み込みで働くようになった。その傍ら、狩猟免許の試験会場で出会った先輩猟師らから、わな猟のこつや野生動物の生態を学んでいる。近い将来、避難区域などでイノシシの駆除に乗り出す予定だ。福島県によると、イノシシは放射性物質の基準値を上回っているため県内全域で出荷制限されている。その一方で狩猟者登録数は減少しており、害獣駆除のめどが立たず、避難住民の帰還の足かせとなりかねない。伊藤さんは根っからの動物好き。「イノシシを駆除する瞬間はどんな気持ちになるか想像できないが、生態系を維持しながら人が共存するためには大切なことでは」と心に言い聞かせている。
(縁起良し!白イノシシ捕獲:熊本)
山鹿市鹿北町で体全体が白色の幼いイノシシが捕まり、鹿北町岩野で自動車整備工場を営む野中秀幸さん(58)がペットとして飼うことになった。12月18日、山林に仕掛けられた箱わなに通常の茶色のイノシシと2匹で入っていた。ともに体長約40センチで、歯も生えていなかったため、生後間もない、きょうだいではないかという。雌雄は不明。野中さんは本業の傍ら箱わなを製作・販売しており、まれに目撃情報があった白いイノシシを飼いたいと、2年前から顧客の猟友会メンバーに相談していた。「普段は厄介者のイノシシだが、えとのひつじのような真っ白い毛で縁起がいい」と野中さん。白には「モモ」、茶には「ウリ」と名付け、愛犬と一緒に散歩するのが夢という。
(模索の末、たどり着いた地:山梨)
オレンジ色のジャケットを着た網倉勇太さん(37)が、山梨市周辺の山間部の集落を軽トラックで走る。時折、トラックを止め、アンテナを山に向けて、発信器の電波を捉える受信器の反応を確かめる。野生のサルを追っているのだ。道沿いの民家で、女性が皮をむいたカキを庭に並べて干していた。すぐ近くの山にアンテナを向けると、受信器に「ザーザー」と強い反応があった。サルがいるようだ。網倉さんはサルを追い払うために花火を打ち上げ、女性に「サルが近くにいるから気を付けて下さい」と笑顔で呼び掛けた。
(広がるジビエ料理、地域資源活用)
シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を使った「ジビエ」料理が身近になりつつある。自治体や企業が普及に本腰を入れ始め、提供する飲食店も増加。国も地域資源として活用を推進しており、狩猟に関心を持つ女性や若者も目立つようになった。食に関する調査研究を行う「ぐるなび総研」(東京都千代田区)は昨年12月、世相を反映する「今年の一皿」にジビエ料理を選んだ。関連の飲食店情報サイトでメニューに載せるなどした加盟店が前年から倍増し、コンビニでも食材に使われるなど急速に広まったと評価した。国も後押しする。厚生労働省は同年11月、ジビエ料理の衛生管理指針を初めて策定。狩猟や解体など段階ごとに処理方法を定め、飲食店で提供する際は必ず加熱するよう求めた。背景には、野生鳥獣による農作物被害の深刻化がある。農林水産省によると、被害額は年200億円を超え、シカとイノシシが約6割を占める。環境省は両者の生息数を10年間で半減させる方針で、自治体などは駆除した野生鳥獣を活用しようと、ジビエ料理を提供する店の紹介など振興を図っている。一方、狩猟免許の保持者は高齢化が進み、1970年の約53万人から約20万人まで減少した。長野県は狩猟人口を増やそうと、昨年度から「ハンター養成学校」を開校。受講生70人のうち39人は20~30代で、女性も16人いるという。都内の女性会社員(33)はジビエ料理を食べたことがきっかけで免許を取得し、昨年2月に初めて銃でシカを仕留めた。目の前で息絶える姿に、「かわいそうと思う感情と獲物を手に入れた高揚感の両方があった。体が熱くなり涙が出た」と振り返る。今では毎週のように猟に出て、解体も自分でこなす。「狩りガール」としてインターネットや著書で活動を報告しており、「ジビエ料理を食べることは山のためにもなる。ハンターにならなくても興味を持つ人が増えてくれれば」と話す。国も狩猟促進を法制面でサポートする。昨年5月の鳥獣保護法改正で、認定を受けた事業者に自治体などが狩猟を委託できる制度が創設された。NPO法人「日本ジビエ振興協議会」(埼玉県三郷市)の小谷浩治事務局長は「利益が出れば企業が参入し、食肉の利用も進む」と期待を寄せる。
(高校畜産班、鹿肉料理を研究:長野)
上伊那農業高校(南箕輪村)の畜産班が、鹿肉料理研究に力を入れている。有害獣として駆除され、多くは山中に埋められている鹿の肉を地域の資源として活用する取り組み。「いただいた命」を大切に考え、おいしく食べるレシピを次々と開発している。同班には生物科学科1、2年生の10人が所属。担任の境久雄教諭の指導の下、猟友会から提供を受けた鹿肉でスモークやギョーザ、ピザなどを作る。9月に伊那市で開いた日本ジオパーク全国大会では鹿肉と雑穀を重ねて地層を表現した丼を提供し、人気を集めた。宮田村の割烹(かっぽう)青葉は、生徒の鹿肉料理研究の場として専用の肉処理施設を提供している。店主で村猟友会員でもある石沢幸雄さんが皮のはぎ方から脱骨、肉のさばき方までを指導し、部位による料理法を教えている。石沢さんは「処理施設で解体した鹿肉なら販売許可が下り、お客さんの安心安全にもつながる。早く、きれいに、肉を無駄にしないよう解体ができるよう、生徒さんの勉強の場になれば」と期待を寄せる。猟友会から同班に持ち込まれる鹿肉は野生のため、大きさや肉の付き方、筋の量などに個体差が大きい。特に足は筋が多く、処理には牛よりも技術が要る。生徒たちは石沢さんの下に繰り返し通い、技術を高めている。生徒は週2回、放課後集まり、料理を研究する。ロースやヒレ、筋など、それぞれの部位に適した献立を、試行錯誤と試食を繰り返して研究を重ねている。脂分が少ないため、豚の背脂を加えるなど、工夫の成果が表れてきた。独自に開発した「中鹿饅頭(まんじゅう)」の具は、鹿肉3に対して豚背脂1を加え、オイスターソースやしょうゆ、砂糖などで味付ける。濃いめの味付けの具はピザにも合うことが分かった。固い筋はジャーキーに加工して歯ごたえを楽しめるよう工夫した。班長の毛利日向子さんは「鹿からいただいた命を無駄にせず、多くの人に食べてほしい。だからなるべく肉も捨てずに料理にできないかを考えている」、3年の川上翔平さんは「猟友会の方は『捕っても毎日埋めるだけだから』と、鹿を喜んで持ってきてくれる。持続的な活動で地域に広めていければ」とそれぞれ意気込みを話す。境教諭は「最初は法律や許可などが分からず、途方にくれていたが、多くの地域の皆さんの助力で活動が成り立っている。生徒たちはかなりの知識と技術が身に付いてきた。活動を通じて『鹿肉はおいしい』ということを広めていきたい」と展望する。
(みえジビエフェア、県内13店で:三重)
ジビエのコース料理はいかが? 獣害対策の一環として、捕獲した鹿やイノシシの肉の有効活用を進める県は、来年1月末まで「みえジビエフェア シーズンワン」を開いている。県内8市町にある13店が参加し、県内産の鹿肉とイノシシ肉を使った店ごとのフェア限定メニューを楽しめる。好評ならフェア開催を定着させたい考えだ。県は、捕獲した野生動物の解体処理から加工、流通までのすべての過程で適切に処理されたと保証する「みえジビエ登録制度」を昨年12月に立ち上げ、今年5月から登録を始めた。13店はいずれも飲食店として登録されている。シーズンワンは「森の恵みと楽しむみえジビエ」がテーマだ。店ごとにコース料理やカレー、鹿ハンバーグシチュー、イノシシ肉の自家製ソーセージ、鹿背肉のロースト森林風といった限定メニューを出す。料金は単品で880~2800円、コースで3400~1万800円。

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