<射撃ニュース10月>

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(イノシシ突進、3児童軽傷:愛媛)
23日午前7時30分頃、新居浜市西連寺町で、県道脇の歩道を集団登校していた市立角野すみの小の児童約10人の列に、イノシシ1頭が突っ込んだ。3人が足を打撲するなどの軽傷を負い、1年の男児(6)と女児(7)が病院に搬送された。男児は「茶色い大きなイノシシがすごい勢いで走ってきた。逃げようとしたけど、ぶつかって。痛かった」と声を震わせた。新居浜署や同市教委などによると、体長約1メートルのイノシシが県道を突進して横断し、歩道脇の壁に衝突後、慌てて逃げようとした児童にぶつかってきた。小学1年の児童2人は、イノシシの牙でけがをし、3年の女児(8)は逃げる時に左足を打撲した。イノシシはそのまま逃げた。新居浜署や地元の猟友会などが付近を捜したが、同日午後7時までに見つかっていない。近くの主婦(67)は「大きなイノシシがすごいスピードで道路を走っていた。約20年住んでいるけど、イノシシが出たのは初めて」と驚いていた。この日は、教職員や保護者らに付き添われて児童は帰宅した。同署員や地元消防団員らも付近の警戒にあたった。秦はだ博文校長は「今後は、登下校時の野生動物に対する注意も呼びかけていきたい」と話した。現場はJR新居浜駅の南約3キロの山に近い住宅地。市農林水産課によると、市内では今年度、イノシシの目撃情報が6件寄せられているが、現場付近での情報はこれまでなかったという。同課は「秋はイノシシの目撃情報が多い。遭遇しても刺激せずに、そっとその場を離れてほしい」と注意を促している。
(イノシシにかまれ、軽いけが:愛媛)
25日午前、西条市の河原で犬の散歩をしていた男性がイノシシに両腕をかまれ軽いけがをした。25日午前11時ごろ、西条市大保木の河原で、近くに住む60歳代の男性が犬の散歩をしていた所、川からあがってきたイノシシに両腕を数か所かまれ、軽いけがをした。西条警察署によると、イノシシは体長1メートルほどで、犬が吠えたことをきっかけに、突然男性に突進してきたという。イノシシは男性を襲ったあと、山の中に入ったとみられている。現場は黒瀬ダムの近くで、イノシシがよく目撃されているという。
(運動場にイノシシが侵入、署員捕獲:香川)
21日午後3時15分ごろ、香川県丸亀市郡家町の郡家小で、運動場にイノシシが侵入したのを児童が発見。110番通報で駆け付けた丸亀署員約20人が刺股(さすまた)などを使って捕獲した。同校は当時、集団下校中で、児童約20人が学校に残っていたが、校舎に避難してけが人はなかった。パトカー約10台が出動する「大捕物」となり、住宅が立ち並ぶ周辺は一時、騒然となった。同署によると、イノシシは体長約1メートル、体重約30キロのオス。同日午後2時40分ごろ、現場近くの住宅地で出没したのを皮切りに、目撃の通報が相次ぎ、同署が警戒に当たっていた。県内ではイノシシの活動が活発になっており、今月14日にも高松一高(高松市桜町)に1頭が侵入して駆除された。16日には同市牟礼町で琴電志度線の電車と衝突したほか、善通寺市善通寺町の民家にも侵入した。県みどり保全課は「刺激すると反撃される。見かけてもそっと離れてほしい」としている。
(女性の足を噛んだのはサル、ゴミ出し中に被害:大阪)
25日午後0時45分ごろ、大阪府泉南市幡代で、近くの女性(58)がゴミを捨てようと自宅の玄関を出たところ、いきなり飛びかかってきたサル1匹に路上で襲われ、左足のふくらはぎを1回噛まれた。女性が「キャー」と叫ぶと、サルは路上を走って逃げた。女性は軽傷。サルは野生とみられ、大阪府警泉南署は周辺をパトロールして住民らに注意を呼びかけた。同署によると、女性は胸の辺りに飛びかかってきたサルを手で振り払ったが、さらに近づいてきて噛まれた。サルの大きさなどは不明。周辺で逃げたサルの目撃情報はないという。
(「証拠品 実弾お返しします」:青森)
散弾銃の実弾220発をお返しします――。青森地検などが入る青森法務総合庁舎(青森市長島)の掲示板にこんな紙が貼り出されている。何とも物騒な話だが、実は検察庁が不要になった証拠品を持ち主に返すための手続き。「押収物還付公告」と呼ばれ、ちゃんと刑事訴訟法にも規定されている。捜査関係者によると、銃弾が見つかったのは2012年。青森市内の空き地で土地の造成作業中、深さ約30センチの地中から金属製の保管箱と一緒に掘り起こされた。県警が鑑定したところ、一部は腐食していたが、使用可能な状態だったという。銃弾などの火薬類を廃棄する際には県知事の許可が必要とされ、県警は火薬類取締法違反の容疑で持ち主を捜していたが、3年の公訴(起訴)時効が迫ったため、今月初旬に容疑者不詳のまま書類送検した。既に不起訴になったというが、今後、持ち主が現れた場合はどうなるのか。地検幹部は「本当の所有者かどうかも含め、とりあえず事情を聞くことになるだろう」と話している。
(夜のシカ狩り照準ピタリ、芽室で熱感知装置体験:北海道)
環境省は21日、シカとイノシシの夜間銃猟の事業実施に備えた安全管理講習会を十勝管内芽室町の帯広総合射撃場で開催した。事業の受託を目指す道内4法人の11人が参加し、熱感知スコープの付いたモデルガンなどを使って夜間の模擬銃猟を体験した。銃猟はこれまで、日の出から日没までに限られていたが、今年5月施行の改正鳥獣保護法で夜間も可能になった。実施は《1》一定の技能や安全管理体制を持つと都道府県が認めた認定事業者《2》都道府県が認定事業者に委託する《3》安全性が確認できた場合―などの条件を満たした場合に限られる。講習会は全国3カ所で開催し、道内が2カ所目。夜間の体験では射撃は行わず、電気毛布とカイロで温めたシカの模型を射撃場所から約25メートル先に設置。受講者が熱感知スコープの付いたモデルガンで狙い、模型の後ろで人を歩かせて認知できるかを確認した。4法人で唯一、既に認定を受けた事業者の一員として参加した札幌市東区の藤沢正裕さん(53)は「熱感知スコープの性能の良さに驚いた。これなら人もシカもすぐに発見できる」と感心していた。
(イノシシ出没相次ぐ:香川)
香川県内でイノシシの被害が相次いでいる。9月以降の市街地への出没件数は59件で、前年9~10月の38件を大幅に上回っている。2人の負傷者が出たほか、農作物の被害も後を絶たず、2010年度以降、被害額は毎年1億円に上っている。冬に備えるための餌探しを市街地周辺の田畑で行っているのが原因とみられ、県みどり保全課は「『おいしい餌』があると味を占めたと考えられる。人とイノシシの生活圏の境界が極端に近くなっている」と注意を呼び掛けている。同課によると、市街地への出没件数は、最初に統計を取った2010年度は26件だったが、14年度には176件まで増えた。特に餌探しの時季に当たる9~11月に集中し、14年度はこの期間だけで77件に上った。本年度はそれをさらに上回るペースで推移している。イノシシによる農作物への被害も深刻化している。県農業経営課によると、年間被害額は10年度に前年の約2・5倍となる約1億4500万円に急増。約9700万円だった14年度を除き、以降も毎年1億円を超えている。同課は「イノシシの被害を受けたことで、耕作を放棄する人が増えている。実質的な被害はさらに大きいだろう」と指摘する。被害拡大の背景にあるのが10年の猛暑。山間地ではこの年、イノシシの主食となるドングリが早く落ち、秋に山で餌不足に見舞われた。このためイノシシが人里に下り、畑や市街地周辺で放棄果樹などを見つけた。容易に餌にありつけることを知ったイノシシが山に戻らず、人里に住み着いたと推察される。こうした栄養価の高い餌の影響で、個体数も急激に増加。狩猟などによる捕獲数は08年度の約3500頭から右肩上がりの状態で、12年度に過去最高の6979頭にまで増えた。また今月、三豊市内で推定体重150キロ超のイノシシが捕獲されたように、巨大化も懸念される。県みどり保全課は「秋はイノシシが最も活動的になる。今後も市街地への出没が予想され、十分な注意が必要」としている。
(サル、住宅街翻弄:福岡)
行橋市南泉に今月6日から出没したサルが毎日のように住宅街に現れ、犬の餌を食べたり洗濯物を引っ張ったりして住民を驚かせている。18日には猟友会メンバーや市職員らの手でいったん捕獲されたが、網を破って逃走した。
(住民の被害相次ぐ、5月以降サル出没:大分)
佐伯市内で今年5月以降、住宅地にサルが相次いで出没し、住民を襲ってけがを負わせる被害が続いている。県内ではサルが農作物を荒らす被害は多いが、人を襲うケースは少ない。市や学校は会議を開いて対策を練っているものの、今のところ有効な手段がなく頭を抱えている。佐伯市弥生で5月、民家先で女児(5)が指をかまれて以降、弥生と蒲江で計4件の被害が明らかになっている。ただ、把握できていない被害も相当数あるとみられる。今月12日、蒲江丸市尾浦で、散歩中の女性(77)が背後から来たサルに左足のふくらはぎをかまれ、軽傷を負った。周辺の道にはサルがかじったと思われるカキやミカンが散乱していた。住民らは「きょうも、別のおばあさんが背中に乗り掛かられた」と話した。近くの名護屋小学校では女子児童がけがを負った7月から、徒歩で通学する児童5人が集団で登下校し、教員が付き添う。手には護身用の棒を持ち、「いつ姿を現すか内心、冷や冷やしています」。学校によると、サルはほぼ毎日、学校近くに出没し、校舎内に侵入することもあるという。麻生憲彦校長は「わなも効果がない。いかに子どもの安全を守るか悩ましい」と話す。児童が校庭で遊ぶ時も教員が見張りをして警戒する。市や学校、地域住民らが14日に名護屋地区公民館で開いた対策会議で、市職員は同市弥生での捕獲作戦を紹介した。サルの出没情報を集め、花火で山に追い込むなどした結果、民家先の箱わなで1匹を捕獲。その後、人的被害は出ていない。会議翌日から、職員は交代でパトロールを始め、わなも増やした。「有効な手段か分からないが、できることから取り組むしかない」市猟友会蒲江支部長の田嶋義生さん(66)は「人間の反応が面白くてちょっかいを出しているのだろうが…」と話した。
(高山帯にイノシシ:長野)
大町市の北アルプス・後立山連峰の高山帯(標高約2600メートル)に設置したセンサーカメラに今年7月、イノシシが映っていたことが、県の調査でわかった。同連峰の高山帯でイノシシが確認されたのは初めて。県環境保全研究所は「本来イノシシが現れるような場所ではなく、温暖化や生息数の増加が影響しているのでは」としている。県などは今年6月、生態系調査のため、後立山連峰の高山帯の7か所にセンサーカメラを設置した。同研究所によると、イノシシの姿が確認されたのはこのうち、岩小屋沢岳(2630メートル)の山頂に近い標高2610メートルと2590メートルの2地点。7月2日に1枚ずつ1匹のイノシシが撮影されていた。同じイノシシとみられ、性別は不明で、やや若いという。1匹のため、付近での繁殖や定住の可能性も低いとみられる。この地域では、2007年と、11~14年にかけても同様にセンサーカメラを使った調査を実施しているが、イノシシが映り込んでいたことはなかった。イノシシは本来、里山周辺に生息し、ミミズや昆虫の幼虫などを好んで食べるが、今回の地域にはこれらのエサは少なく「エサを求めて来たとは考えにくい」(同研究所)という。ただ、イノシシは土を掘り返して虫などを探す習性があるため、高山植物を傷つけたり、高山帯に住むライチョウのエサとなる植物を食べたりして、生態系への影響が懸念される。今回の調査結果は環境省や林野庁にも報告しているといい、同研究所は「調査や分析を進め、被害対策を検討していく」としている。
(送電線にカラス触れ停電か:福島)
22日午前10時20分ごろ、いわき市のJR常磐線勿来―草野間で停電が発生、上下線で一時運転を見合わせた。車両や線路設備を点検し、安全を確認できたため、約15分後に再開した。JR東日本などによると、いわき駅構内で停車中の列車の屋根でカラスの死骸を発見した。カラスが送電線に触れ、停電したとみられる。この影響で特急を含む上下線5本が最大で39分遅れ、約800人の足が乱れた。
(ライチョウのひな食べるニホンザル、対策急務:静岡)
国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されているニホンライチョウの保護について意見交換する専門家会議が静岡市で開かれ、ひなを食べるニホンザルへの対策が急務だとする意見などを研究者が報告した。会議には専門家や市民ら約150人が参加。長野県の東天井岳で8月にニホンザルがひなを食べる姿を確認した中村浩志信州大名誉教授(鳥類生態学)は、ライチョウの親子を夜間ケージに入れて保護する様子を動画で紹介した。中村名誉教授は、ライチョウの生息地にニホンザルの群れが侵入しており対策を急ぐ必要があると強調。「保護を進めるには資金が不足している」と訴えた。温暖化などの影響で日本アルプスの高山帯にシカが侵入し植物を荒らしている実態も報告された。生態系の破壊について参加者からは「登山客の影響もあるのでは。人が与える影響も調べるべきだ」との意見も出た。
(車両との衝突増加、道路横切るエゾシカ:北海道)
道路を横切るエゾシカと、通行車両の衝突事故が苫小牧市内で増加傾向にある。道警本部の調べによると、2014年は116件を数え、自治体別の調査を開始した12年以降、連続して前年を上回った。今年も8月末までに42件に上り、胆振管内の自治体の中でも突出した多さという。エゾシカの移動シーズンを迎え、事故の多発が懸念されることから、関係機関は注意を呼び掛けている。道警によると、市内の国道、道道、市道で起きたエゾシカ関連の交通事故件数は12年に77件、13年100件、14年は116件と右肩上がりで増加している。胆振管内全体で見ると、12年は211件、13年244件、14年274件と増え続け、14年は道内14振興局管内中、釧路管内(411件)に次いで2番目の多さとなった。胆振管内の中でも、特に苫小牧市内での発生が目立つ。今年1~8月末の事故件数は管内全体で121件、このうち市内は42件で、2番目に多い安平町の15件を大きく引き離している。市内での発生場所は国道36号や同234号など東部地区が多い。シカの春や秋の移動ルートを分断する形で道路が存在しているため、市環境生活課は「交通量の多い幹線道路をシカが渡れば、必然的に車と衝突する割合は高くなる。秋の移動期に入り、十分な注意が必要だ」と話す。苫小牧や近郊を走る高速道路でも多発している。ネクスコ東日本北海道支社によると、新千歳空港インターチェンジ(IC)から登別室蘭ICにかけた道央自動車道の路上で車にひかれたシカの処理件数は、11年度に3件と一桁レベルだったが、12年度に17件と急増。その後も13年度18件、14年度17件を数えた。今年度は9月末までに5件。「シカの本格的な移動シーズンを迎えたため、事故の増加が懸念される」と同支社の担当者は言う。胆振管内のJR線路でも事故は多い。今月10日には苫小牧市の千歳線植苗―沼ノ端駅間で特急列車とシカが衝突し、列車のダイヤが乱れた。23日夕も室蘭線大岸―豊浦駅間で貨物列車がシカをはね、普通列車2本に遅れが出た。小幌駅(豊浦町)―岩見沢駅間の室蘭線を見ると、10年度の132件から11年度に217件へ急増。その後も年間200件前後で推移している。近年、苫小牧、胆振全体で事故が増えている理由について、道環境生活部エゾシカ対策課は「生息数の増加が背景にあるのでは」と推測。胆振管内を含む北海道西部地域の推計生息数は00年度に10万頭だったが、10、11年度には30万頭に。捕獲事業の展開で14年度は24万頭にまで減ったが、以前と比べて高水準にある。シカと車の衝突は重大事故を招きかねないことから、室蘭開発建設部はこれまでに、シカの移動ルート上にある市内美沢の国道36号に動物専用のアンダーパスを造ったり、シカの横断歩道を整備するなど対策を打ってきている。今年は、レンタカーを利用する道外からの観光客も意識し、ドライバーに注意を促すマップを作製中。胆振日高管内のシカ出没地点を示した内容で、室蘭開建は「事故の防止につなげたい」と効果を期待している。
(食害が深刻、伊豆半島のシカ:静岡)
伊豆半島でシカやイノシシといった有害鳥獣による農作物の食害が深刻化している。行政が積極的に駆除を後押ししているが、シカは適正とされる頭数の十~二十倍に上る。最も被害が大きい伊豆市などは二十五日、住民の野生シカ肉への抵抗感をやわらげ、消費拡大を狙う「イズシカフェス」を初めて開いた。シカ駆除とシカ肉消費のそれぞれの現場を見て歩いた。伊豆箱根鉄道修善寺駅から車で十分。伊豆市日向の早霧湖の近くで、市が設置したわなを見回る臨時職員の藤井剛輝(まさてる)さん(59)は「水を飲むためか、このあたりはよくシカがかかる」と周囲の山を見渡す。早朝から四カ所回ったが、かかったのはイノシシだけ。車道から山の獣道に一歩踏み出すと、がさっと音がした。くくりわなにかかって、前足一本がワイヤに固定された雄の子ジカがいた。体重五〇キロはありそうだ。つぶらな瞳と目が合う。シカと藤井さんの格闘が始まった。逃げようと土煙を立てながら暴れるシカの後ろ足を別のワイヤで固定。シカは「ピー」と甲高い鳴き声を出し、命乞いをしているよう。「かわいそうだとは思うけど、仕方がないです」。藤井さんは、シカの体に棒で電気を流した。「捕っても捕ってもわなにかかる。せめて肉として食べて、命を無駄にしないようにしたい」と話し、動かなくなったシカを静かに車に運んだ。市によると、伊豆半島で二〇〇三年まで雌のシカを保護し禁猟にしたため、爆発的に増えた。県の一〇年度の調査では、伊豆半島中部を中心に二万一千頭が生息。捕獲を繰り返したものの、一三年度は一万八千八百頭と微減しただけで、適正数の八百~千六百頭には程遠い。同年度の市の獣による食害の被害額は、特産のワサビやシイタケを含め六千七百万円に上った。市は捕獲したシカを有効活用しようと、食肉加工センター「イズシカ問屋」を一一年に開設した。ところが、毎年二千五百頭の捕獲のうち、搬入は六百~七百頭にとどまる。残りは猟師の自家消費か、山にそのまま埋めているという。二十五日に伊豆市内であったイズシカフェスは、九店がシチューなど自慢のシカ料理を販売した。初めて食べた地元の主婦飯田智美さん(36)は「固くて臭い印象だったけど、そんなことはない」と味に満足した様子。記者もシチューを食べたが、脂も少なく肉も柔らかかった。適正な数までシカを減らすには、さらなる捕獲が必要となる。市の担当者は「消費面から盛り上げて捕獲数の増加につなげたい」と話した。
(一体何者と遭遇?クマ目撃情報が相次ぐ:九州)
野生のクマは絶滅したとされている九州――その福岡と佐賀の県境にある脊振山(せふりさん)でクマを目撃したという情報が10月17日と18日に1件ずつ、登山者から地元の警察署へ相次いで寄せられました。警察署はほかの動物との見間違いの可能性が高いとしながら、周辺へ警戒を呼びかけています。脊振山は福岡県福岡市早良区と佐賀県神埼市三ツ瀬の県境にまたがる、標高1054.6メートルの山です。神埼警察署によると、1件目の目撃情報は30代男性が早良区の駐在所へ通報したもの。17日午前に脊振山の九州自然歩道で西側の椎原峠(しいばるとうげ)周辺を歩いていたところ、20〜30メートル先でクマのようなものが走っていくのを見かけたそうです。男性は下山後に駐在所へ連絡しました。2件目は40代男性によるもの。18日朝7時20分ごろ九州自然歩道の東側・気象レーダー観測所あたりで、クマザサの茂みのなかからクマのような動物がヌッと立ち上がってきたとのことです。男性は最初は怖くて動けなかったもののなんとか引き返して逃げ去り、警察へ110番通報しました。環境省によると、九州で野生のツキノワグマが最後に捕獲されたのは1957年。50年以上経過していることからすでに絶滅していると考え、2012年にレッドリストの「絶滅のおそれのある地域個体群」から「九州地方のツキノワグマ」の項目を削除しました。九州にクマはもういないはず。しかし2日間で同じ山での目撃情報が別々の人から相次ぐとなると、クマ出現の信ぴょう性は高いです。通報後に福岡県警は現場近くにあった動物のフンを採取し、九州環境管理協会に調査してもらいましたが、アナグマの種類のフンだったことが判明。また佐賀県警では県庁技術員でクマの生態に詳しい人に現場を調べてもらったところ、木で爪を研いだあとといったクマの生息が確定できる痕跡は見つからず、代わりにイノシシの足跡が見つかったそうです。地元の猟友会のハンターは「イノシシも立ち上がることがあるので見間違いではないか」と推測しています。神埼警察署では、ほかの動物の可能性はあるものの、住民が人に隠して飼っていたクマが外へ逃げ出したケースも万が一に考えられるとして、九州自然歩道に警戒の看板を設置。パトカーでも歩行者へ注意を呼びかけます。果たして目撃者が見たのは一体何だったのか、正体が気になるところです。
(脊振「クマ」はアナグマ?現場周辺のふん分析:九州)
福岡、佐賀県境にある脊振せふり山で17、18日、クマのような動物の目撃情報が相次いだことを受け、九州環境管理協会(福岡市)が目撃現場周辺で採取された動物のふんを分析したところ、ニホンアナグマのものと確認されたことが分かった。福岡県警早良署が18日に山中でふんを採取。動植物の生態などを調査する九州環境管理協会がふんに含まれる細胞などを調べた結果、ニホンアナグマのものだったという。福岡市動物園によると、ニホンアナグマは日本各地に生息するイタチの仲間で、体長は50~70センチほど。
(シカ減少傾向、「捕獲の効果」:長野)
松本、上田市、小県郡長和町にまたがる美ケ原高原で鹿の個体数を調べている上小地方事務所(上田市)が21日、「台上」と呼ばれる最上部に現れるニホンジカが減少傾向にある―と松本市で開かれた「美ケ原シカ捕獲広域調整協議会」で報告した。一帯で行われているニホンジカの捕獲の効果とみられるとしている。同地事所は年に2~4回、台上の牧場管理用道路でライトに反射したニホンジカの目の光で個体数を数える調査「ライトセンサス」を実施している。各年の1回当たりの平均確認数は、12年度の253頭をピークに減少し、昨年度は134頭。本年度は8月と10月の調査で125頭だった=グラフ。同地事所によると、一帯では10年余り前からニホンジカの増加が指摘され、07年前後から、関係機関が捕獲に力を入れている。台上を含む一帯の捕獲数は、09年度の1078頭から12年度は2千頭を超え、昨年度は3861頭まで増えた。ニホンジカは台上にある牧場の牧草を好んで食べているといい、昨年度から台上で銃による捕獲を本格化した。上小地事所林務課の開藤(かいとう)伸明・鳥獣対策専門員は「シカが捕獲を逃れ、別の場所に移ったとも考えられ、美ケ原の個体数に変化が生じたとまでは言えない」としている。同協議会は上小、松本両地方事務所や関係市町、地元猟友会などで構成。美ケ原高原が両地事所の管轄地域にまたがるため連携して対応する狙いで07年に発足した。
(猟犬の訓練成果を競う:徳島)
イノシシ猟の猟犬が日頃の訓練の成果を競う「猪犬競技大会」(県猟友会主催)が、吉野川市鴨島町上浦の吉野川猪犬訓練所で開かれ、猟友会のメンバー18人が飼育する1歳半以上の成犬39匹が出場した。広さ約10アールの競技場に1匹ずつ、体重約50キロのイノシシと一緒に放し、制限時間3分で威嚇する様子や身のこなしなどを審査した。猟犬は飼い主の掛け声で競技場内を走り回るイノシシを猛追。激しくほえながら間合いを詰めるなどした。審査の結果、阿南市新野町海老川の農業佐々木靖司さん(78)の猟犬が優勝した。競技に先立ち、1歳半未満の若い犬の訓練会もあり、11人の21匹が2匹1組などとなってイノシシを追い掛けた。
(ニホンカモシカ撮影、徐々に里へ接近か:栃木)
深程、会社員平野利樹(ひらのとしき)さん(25)自宅の裏山で22日、国の特別天然記念物で県獣のニホンカモシカが目撃された。平野さんによると、しばらく動かず約1時間後、山の中に入っていったという。平野さんは「シカが近くに来たことはあったが、ニホンカモシカは初めて。驚きました」。鹿沼自然観察会会長で環境省自然公園指導員の渡辺知義(わたなべともよし)さんは「角の形などからニホンカモシカの成獣に間違いない」と話す。市内では4年前に上南摩地区で目撃、中粕尾地区でも確認されているという。渡辺さんは「シカ同様、徐々に里に下りてきている」としている。
(シカ食害でカラマツ枯死:長野)
ニホンジカによる食害とみられるカラマツの枯死が、岡谷市と塩尻市境の鉢伏山(一、九二八メートル)南東部一帯に広がっている。植林されたカラマツが、尾根筋から南斜面にかけて壊滅状態で、県松本地方事務所によると、八ケ岳地域のニホンジカ個体群が美ケ原に向けて北に移動し、途中で西に分岐した一団が鉢伏山周辺に侵入したとみられる。カラマツの大量枯死が確認されるのは、鉢伏山と東の二ツ山(一、八二六メートル)、南西の高ボッチ山(一、六六五メートル)に囲まれた山林一帯。枯死しているカラマツは幹の直径が二十~三十センチ、樹高は二~五メートル。ほとんどが立ち枯れ状態で、周辺では、最近ニホンジカに樹皮を食べられたとみられる木も多数見られる。今でもシカの食害が拡大していることを裏付けている。一帯のカラマツを植林したのは、岡谷市の山林管理団体・横川山運営委員会(山田昌委員長)。松本、塩尻境の山林約千七百五十ヘクタールを管理しており、鉢伏山周辺には四十年ほど前にカラマツを植林したという。しかし、ニホンジカによる食害で最低五ヘクタールのカラマツが壊滅してしまった。山田委員長は「私たちが管理する山林全体だと、一万本を超すカラマツが被害に遭った。捕獲により被害は減っているが、他に逃げただけで抜本策が見つからない。山林の保水力を考えると、これ以上の被害拡大は心配だ」と話す。県松本地方事務所林務課の清水靖久課長補佐は「ニホンジカは捕獲が強化された美ケ原台上を逃れ、南の三峰山(一、八八七メートル)から西の二ツ山や鉢伏山方面に侵入した可能性が高い。高ボッチ高原には牧草地もあり、狙われやすい」と指摘。一団は、さらに鉢伏山北方の松本市中山地区や入山辺地区にも入り込んでいるという。ニホンジカによる県内の農林業被害が年間四億円に上るなか、県は捕獲に力を入れるとともに、広域連携したニホンジカ行動マップ作成に取り組む。シカの衛星利用測位システム(GPS)データや目撃情報、被害情報などを総合して移動ルートを推定した地図だ。清水課長補佐は「シカは徐々に北へ侵入しているため現在は麻績、生坂、筑北地区のマップを作成中。年内をめどに完成させ、捕獲の際の資料にしたい」と話している。
(「北限のニホンザル」も冬支度:青森)
紅葉のピークを迎えている青森県下北半島で、国の天然記念物に指定されている北限のニホンザルが、冬の到来を前に果実や木の実を食べている。NPO法人ニホンザル・フィールドステーションによると、秋はサルにとって豊穣ほうじょうの季節といい、「体重も増える」という。保護に伴う個体数の増加で人里に現れることが多くなり、農業被害が拡大。人間との共存が課題となっている。紅葉の季節が終わると、サルにとっては過酷な雪の季節がやってくる。
(カラス対策で屋上にテグス新設:青森)
中心街のカラス対策として、高層建築物へのテグスの設置を進めてきた弘前市は23日、弘前大学大学院医学研究科と医学部臨床研究棟の屋上に新たにテグスを設置した。羽が傷付くことを恐れたカラスの接近の頻度が減り、ふんなどによる被害が軽減するものと期待される。23日は市職員や市カラス対策連絡協議会委員ら約30人が、地上24メートルの医学研究科屋上に集合。一同は建物北側と南側の手すり約180メートルに沿って、ナイロン素材のテグスを張った後、臨床研究棟の屋上約100メートルにも設置した。
(金網柵の設置点検任せて、後継者が獣害防止へ結束:和歌山)
和歌山県有田川町賢地区の若手農業者が、山間部の獣害防護柵の設置や点検を請け負う活動に取り組み、効果を上げている。地区で話し合って管理.補修の大切さを共有し、報酬を支払うことで活動を後押しする。柵の管理徹底でイノシシの捕獲率が高まる波及効果も出ている。同地区のミカン園は、標高500メートルほどの小高い山の山頂部まで広がる。近年、 イノシシの園地への侵入が増え、食害だけでなく石垣の破壊、掘り起こしによる木の倒伏など生産基盤まで被害が及ぶようになっていた。捕獲を中心に対応していたが、被害は減らなかった。2011年、国庫事業を活用し、急傾斜の園地を囲むように総延長6キロの金網柵を設置した。その維持.管理に結成されたのが、20~40代の担い手18人で構成する中山間点検部だ。「イノシシ被害が大きく、担い手が一致団結することが欠かせない。後継者だからこそ、産地維持への思いは強い」と最年長の徳常保豊副部長(43)。2カ月に1度、4人ずつ4班に分かれて、半日掛けて点検する。柵の管理は継続してこそ効果がある。活動を続けられるように時給1200円の報酬も設けた。地区の集会で、担い手を応援しようと地域住民が話し合って決めた。柵の設置も自主施工で、報酬は中山間地域等直接支払制度から捻出した。柵を守る取り組みは隣接地区にも広がった。計7地区が取り組み、その総延長は20キロにもなる。柵の管理徹底で、うれしい波及効果も表れている。柵をしっかり維持点検し、7地区に張りめぐらせたため、侵入路を失ったイノシシが柵の縁を歩き回る。そこに捕獲檻(おり)を設置したところ、捕獲率が上がったのだ。地域の選果場、マル賢共選組合組合長の三木利行さん(56)は「このままでは農業を続けられなくなるという危機感を地区全体で共有できたことが体制づくりにつながった。イノシシに負けず、高品質な有田みかんの産地を守り続けたい」と力を込める。
(シカ肉の価値向上プロジェクトがグランプリ:東京)
イオン環境財団は10月20日、第4回「生物多様性 日本アワード」の授賞式を国際連合大学(東京・渋谷)で開催した。応募総数126件のなかから、シカ問題に取り組むエゾシカ協会(北海道札幌市)がグランプリに選ばれた。このほか、優秀賞として伊藤園、九州の川の応援団・九州大学島谷研究室(福岡県)、グラウンドワーク三島(静岡県三島市)、気仙沼市立大谷中学校(宮城県気仙沼市)が選ばれた。(オルタナ副編集長=吉田広子)イオン環境財団は、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催に先立ち、生物多様性の保全と持続可能な利用の促進を目的として、2009年に「生物多様性 日本アワード」(国内賞)を創設した。2010年に創設した「生物多様性みどり賞」(国際賞)と隔年で開催している。第4回を迎えた今年は、126件の応募があり、グランプリには表彰状と副賞200万円、優秀賞には表彰状と副賞100万円が与えられた。グランプリを受賞したエゾシカ協会は1999年からシカ問題に取り組み、個体数管理、被害防止、資源利用を合わせた「資源管理」を模索してきた。北海道ではエゾシカによる農林業被害が深刻で、道内の野生鳥獣による被害額約53億円のうち、9割を占めるという。そこで、同協会は、エゾシカを単なる害獣として殺すのではなく、適正に管理することを目指し、衛生管理体制の提案に加え、「シカの日」を設けるなどシカ肉の普及活動にも取り組んできた。毎月第四火曜日をシカ肉の日とすることで、飲食店や販売店でシカ肉の普及が進み、流通量が増加したという。2007年には厳しい衛生基準をクリアしている解体作業場の製品の認証制度を整え、これまでに13の認証処理場が誕生した。2012年からは認証処理場で処理された肉の加工食品の認証制度をスタート。2015年からは、肉の検査者となるシカ捕獲者の認証制度創設にも取り組んでいる。
(大規模化しつつある「獣害対策」への危機感)
近年、イノシシやシカによる「獣害」被害が増加しつつある中、自治体が獣害対策として狩猟に携わる人間を増やすさまざまな施策が行われている。また、狩猟をテーマにした書籍やマンガなども増え、にわかに「狩猟」に注目が集まっている。京大在学中から狩猟を始め、今もなお運送業をしながら自らの食の調達のために狩猟を行っている千松信也氏は、こうした状況をどう見ているのだろうか?「年配の猟師さんがどんどん引退していって、獣害対策のためにも猟師の必要性が増し、行政も狩猟フォーラムみたいな感じでバックアップしていますね。狩猟のハードルの一つに、免許制でかつ狩猟者登録やら狩猟税やらいろいろお金が掛かることや手続きの煩雑さが挙げられるんですが、自治体によってはそれらの経費を半額援助するという施策を行うところもある。また、捕獲された獲物に報奨金を払うところも増えています」そう語る千松氏だが、後進の猟師が増えることを歓迎する反面、必ずしもこうした風潮に賛同できないところもあるという。「獣害が増えている状況の中で、駆除のニーズがあるとか、獲ったら肉として売れるというので、ビジネスチャンスだとして企業が入ってきたらどうなるかということを考えてしまうんです。警備会社からシロアリ駆除業者から農機具メーカーからいろいろなところが今の状況をビジネスチャンスと見ていて、そこが自分たちの持ってきたノウハウをうまく転用してできないかとやろうとしている。しかし、やっぱりそういうビジネスや金儲けが全面に出た場合に、果たしてそれが持続的に自然を利用することと両立しうるのでしょうか」また、個人の猟師にしても「報奨金目当て」の猟師はそもそも獲物に対する姿勢が違うという。千松氏は近著『けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然』(リトルモア刊)の中で、先輩猟師の声としてこんな言葉を引いている。“「ウチの自治体は金があるから、有害駆除の報奨金が結構出る。それで最近、狩猟は金にならないからしないで、駆除だけやるやつがおる。あいつらは猟友会にも入らんし、獲った祥子の前歯だけ引っこ抜いたら、あとはポイや。肉なんかいらんらしい。イノシシの駆除のときも、ちっこいウリボウも平気で殺しよる。一頭いくらでやっとるさかいな」”「そうなんです。猟師は自分の狩場の獲物を獲り尽すということはしない。しかし、そこにカネが絡むと不正も問題になる。道で轢かれていたシカを、自分が駆除したと偽って申請したとか、報奨金が高い町の知り合いに送って多く受け取ったとか、それだけならまだしも、もっと規模の大きなビジネスが入ってきたらどうなるか。ビジネスは冷徹なまでに合理的なので、捕獲効率が悪く、運搬コストのかかるエリアでは猟をやらなくなり、利益をあげるために数が獲れる場所であることになる。こういった偏った捕獲は生態系のバランスをとるということとは正反対になります。何千万もかけて巨大な処理施設を作ったり商品化したら、今はシカやイノシシが増えすぎているからいいものの将来にわたってそれが維持される保証はありません。ビジネスである以上、安定供給されねばならず、捕獲ノルマなどもできてくる。日本は自然が豊かだというけど、僕は脆弱なものだと思っています。どれだけ森林の面積が増えて森林飽和の時代だと言われたとしても、人間が本気になればかつてのニホンオオカミのように野生動物は簡単に絶滅させられてしまう。分断された山塊が多い日本の森では、地域個体群の絶滅ということも容易に起こると思います」そもそもシカやイノシシが里におりて農作物を荒らす「獣害」自体も、人間が引き起こしたものだ。「そもそも、『手付かずの自然』なんていうのは幻想に過ぎません。今の日本の自然の状況というのは人間がさんざん手を入れていびつな状況にしたまま数十年ほったらかしにした状態。これを放置するのは自然破壊の継続でしかない。材木としていくらでも売れるからって奥山にまでスギ・ヒノキ、カラマツなどの針葉樹を植えまくったものの、外材に負けて一切売れなくなり、切れば切るほど赤字ということになってしまった。常緑針葉樹の森は放置されると薄暗くなり動物の餌がなくなってしまう。その結果、これまた放置されたままになっている人里近くのエリア、かつて里山として炭とか薪を取るためにクヌギやコナラが優先的に育成されていたエリアにそれらの木々になるドングリを求めて、イノシシやシカが移動してきた。結果として里山の隣の畑に進出して獣害が増えるということになっている。すべて人間が好き放題に森林を改変してきた結果なんです。こうした状況を動物たちは黙々と受け入れているんです」
(「社畜に甘んじるくらいなら、猟師になる道もある」)
人間が森林を改変した結果起きた「獣害」と、その対策が大規模化・システム化することへの警鐘を鳴らした『けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然』(リトルモア刊)の著者である猟師・千松信也氏。彼は、それゆえに、カネのためでなく「自らの食べる分を獲る」ことを考える猟師の必要性を訴える。「現状の自然を見るならば、人間が自然をコントロールできるという発想はもはや現実味がないと思っています。だからこそ、現状の自然の変化を受け入れながら、実際に森に入り野生動物と同じようにそこからの糧を得るために狩猟をすることでいろいろな生き物との繋がりを意識し、自然と向き合うことが必要だと思います」しかし、都市部在住で猟師をやるとなるとなかなか難しい。「わな猟は仕掛けても見回りをしないと、獲物がかかっていても気付かずに放置されると死んでしまい食べられなくなってしまうので、毎日見回りの時間を確保できないと難しいと思います。となると銃を使った狩猟になる。わなが作動したらセンサーを経由して携帯に連絡が来るシステムも最近あるので、どうしてもわなをやりたい人はそういう手もありますが、やはり初心者の内は獲物がかかっているか否かにかかわらず、実際に山に入る事でいろいろなことを習得するので、最初からそれだとあまり上達しないかもしれません」また、仮に獲物が取れたとすれば解体も一仕事だ。「地元の猟友会に入って馴染めたらだいたいそこの解体場所を使えるので、そこを使えばいいと思います。そうでない場合は自前で用意することになります。僕が借りている京都の小屋は家賃が2万3000円なんですが、それくらいのカネがかかる趣味って普通にあるし、そういう解体小屋兼別宅兼家の物置のような感じで借りてしまうのがいいと思う。あとは獲った獲物の肉の保管です。初心者の内なら、100リットルくらいの冷凍庫で家庭用のなら2万円程度なのでそれを買えばいいと思います」また、最近では業者もさまざまな狩猟者育成の施策を行っているのでハードルは確実に低くなっているが、千松氏はやや懐疑的だ。「もちろんそれも狩猟者を増やすためにはよい試みなんですが、個人的には地域ごとの多様性だったり、猟師個々人が持つ特異なキャラクターに狩猟の魅力を感じたので、ちょっと面白さを感じない面も否めません。先輩猟師に非常に個性的な面々が多いのは、ある意味お金と無縁な世界だったからなんですね。むしろ狩猟税を払って好きにやっていたがために、変わり者が自分の道をひたすら行けた。これが狩猟がお金になるとか、国から補助金貰ってとかなるとどうしても従順にならざるを得なくなるし、多様性も失われる。そもそも猟師なんて育てられるものなのかと。猟師はそもそも自然界で動物取って暮らす野生動物みたいなものなのだから、育てようとする発想自体が野生動物でなく家畜の発想なんじゃないかとは思います(笑)」その意味で、千松氏はあまり頭でっかちにならずにシンプルに狩猟の世界に飛び込んで欲しいと考えている。「獣害対策とか、自然と向き合うとか使命感に燃える以前に、まずは狩猟の醍醐味として“タダで美味しい食べ物が手に入る”というくらいに考えてもらいたいですね。普通なら賃労働で稼いだカネで買う食べ物を、自分が体を動かしたことで得られるというのは、ある意味自分の暮らしを自分でコントロールしている、能動的に選択していけているということ。このことは、人間の生き方や暮らし方、働き方という面でもプラスに動くところが多いと思う。ブラック企業とか働くことも苦痛で時間ばかり長くやりたいこともやれなかったり、非正規雇用などが増え、雇用不安がある世の中で、自分のペースで獲りたいだけ獲物を取ってはい終わりという暮らし方は、意外とそこに組み込むとうまいこと回るんじゃないかなと思っています。やりたいこともできずに、嫌な仕事を“生活できないから”という怯えの中で続けるくらいなら、働く日を一日減らして山に入って狩猟すれば、とりあえず美味しい肉はタダでたらふく食えますよと。僕にとって狩猟は趣味でもないし職業でもない。言ってみれば、スーパーに食べ物を買いに行くような『生活の一部』なんです。いろいろ問題はあるし、しんどいこともあるけど、それでも変わりゆく自然に対して、直接的に捕獲という形で関われて、動物たちと向き合える猟師という立場というのはすごく魅力的でやりがいがあることだと思う。そういうものに興味を持つ人が潜在的には僕はもっといると思っているんで、そういった人たちに狩猟の世界に入ってもらいたいなと思っています」
(「シカと人間」:和歌山)
宮崎駿監督の映画「もののけ姫」が封切られたのは1997年。鉄を生産するタタラ場を主な舞台に、文明の発達と環境破壊の問題に切り込み、差別、憎悪、闘争などを過激なまでに映像化した秀作だった。そこで描かれる森林破壊、それによってすみかを奪われたシカやイノシシの逆襲。スタジオジブリ作品ならではの鮮明な映像と、描かれたテーマの重さ。主人公の「生きろ」という強いメッセージとともに、いまも記憶に残っている。それから18年。紀南の各地ではいま、シカやイノシシが年々勢力を拡大。いまや白昼、市街地にまで出没している。先週はすさみ町でシカが線路内に入って電車と接触する事故が2件発生。串本町ではイノシシが特急電車にはねられた。田辺の市街地でも、稲成町の大型スーパーに近い田んぼや紀伊民報前の会津川で人慣れした親子連れが遊んでいる姿が目撃された。県の推定では、シカの生息数は約5万3千匹。農作物への被害は増え続け、シカだけで年間4千万円を超える。林業被害も近年、右肩上がりで増えており、両者を合計すると農林被害は1億円近い。県は今年から捕獲目標を年間9千匹から「1万6千匹以上」に引き上げたが、想定通りには捕獲が進まないそうだ。高齢化で山間部の人口が減っていることも影響しているのだろう。山里の暮らしを支える仕組みづくりと、シカと人間が共存できる環境づくりは表裏一体である。
(クマ無許可飼育、前議長罰金納付:新潟)
ツキノワグマ5頭を無許可で飼育していたとして、動物愛護法違反の罪に問われた村上市大毎の板垣一徳・前市議長(72)と長男が22日、村上簡裁の略式命令に従い、それぞれ罰金20万円と同10万円を納付した。
(クロスボウで殺人未遂容疑、37歳男を再逮捕:茨城)
茨城県取手市内の路上で4月、自転車で帰宅途中の男性の右足にクロスボウ(洋弓銃)用とみられる矢が刺さった事件で、県警は27日、取手市井野1丁目、無職河野俊文容疑者(37)=傷害罪などで公判中=を殺人未遂の疑いで再逮捕し、発表した。「私ではありません」と容疑を否認しているという。捜査1課によると、河野容疑者は4月15日午前2時ごろ、取手市東2丁目の路上で、自転車に乗っていた市内の会社員男性(48)にクロスボウで金属製の矢を放ち、男性の右足に命中させ、約2カ月のけがを負わせた疑いがある。矢は長さ約40センチ。男性の右足のくるぶしの上あたりに刺さり、矢の約半分が体外に飛び出していたという。県警は、河野容疑者がクロスボウの殺傷能力が高いことを認識していたとして、「未必の故意」があったと判断し、殺人未遂容疑で逮捕した。県警は事件と同日、知人に鎖骨骨折などのけがを負わせたとされる別の傷害容疑事件で、河野容疑者を逮捕。自宅からはクロスボウと矢が見つかり、県警が関与を調べていた。被害男性は「白いセダンが通り過ぎて同時に激痛が走った」と話し、河野容疑者も白いセダンを使用していたという。県警は、河野容疑者が車を運転し、男性と並走しながら助手席側の窓から矢を放ったとみて調べている。
(サル対策で新兵器、ICT活用の捕獲おり:和歌山)
和歌山県みなべ町の岩代地区と熊瀬川地区に、ニホンザルなどを捕獲するための大型のおりが21日までに設置された。県の事業で、ICT(情報通信技術)を活用して状況を見ながら遠隔操作で入り口の扉を閉めることができる他、設置場所を移動することも可能。日高地方は県内でも特にサルによる農業被害の割合が高く、町内初導入の「新兵器」に住民から「効果を期待したい」との声が聞かれた。
(害獣撃退装置モニター機を発売へ:広島)
県立広島大生命環境学部(庄原市)の三苫(みとま)好治准教授(45)=環境化学=と広島県内の企業が開発した超音波を使った害獣撃退装置のモニター機が今月末、発売される。  三苫准教授と庄原市の長岡鉄工建設が共同開発し、広島市佐伯区のラボテックが製造する特許申請中の商品。幅28センチ、高さ39センチ、奥行き30センチ、重さ7キロで、表面はステンレスで覆われている。温度、動体センサーが前方7メートル以内に入った動物を感知すると、人には聞こえない2万ヘルツの超音波を90デシベルの音量で発信する。
(イズシカフェス2015:静岡)
県内では唯一、自治体が運営するシカ、イノシシの食肉処理施設、伊豆市食肉加工センターのシカ肉「イズシカ」の需要が県内外で高まっています。10月25日には、「イズシカ」を食べて、学んで、体験できるイベントを伊豆市役所天城湯ケ島支所で開催します。当日は、8店が独自のシカ肉料理を提供し、内臓などの料理の食べ方の新提案を行います。また、普段は一般公開していないイズシカ問屋の見学、パネルディスカッション、猟を体験できるバーチャルゲームやシカ鳴きコンテスト、シカの角・皮を使った手作り体験工房などもあります。
(イノシシ処理施設稼働、首都圏に売り込み図る:長崎)
田畑を荒らす有害鳥獣のイノシシを駆除し、その肉を有効活用して地元の特産品にする一石二鳥の取り組みが、島原市で始まった。9月には市内にイノシシ肉の食肉処理施設が稼働。全国的にジビエ(野生鳥獣の肉)料理への関心が高まる中、首都圏市場を中心に売り込みを図り、島原ブランドの確立を目指している。市などによると、地元の猟友会などが毎年4500~5000匹のイノシシなどの有害鳥獣を捕獲し、そのまま廃棄処分してきたという。島原半島の昨年度の有害鳥獣による農業被害額は約5000万円。だが、その“厄介者”も適切に解体処理すれば、高級食材のジビエになることから、市が有効活用に乗り出した。市は国の交付金を活用した補助金制度で、イノシシ肉を東京などのレストランに卸している大分市の椿説屋ちんぜいやを誘致。同社は地元金融機関の支援も受け、約2800万円をかけて食肉処理施設「ももんじファクトリー」を島原市上折橋町に開設した。施設は約95平方メートル。冷凍庫や冷蔵室、解体室などを備えている。年間の処理能力は約2000匹。従業員6人は地元で雇用し、うち1人は獣医師を置いて病変個体の選別などの衛生管理を徹底する。施設は9月から稼働を開始。島原半島3市の猟友会などが捕獲したイノシシを処理しており、枝肉1キロ当たり150円で買い取るほか、有害鳥獣駆除に対し、市が狩猟者に支払う報奨金(1万6000円)受け取りに必要な事務処理も無償で代行している。県内では、長崎市、佐世保市、対馬市などに計6か所の同種の施設があり、今回で7施設目となる。9月18日に行われた施設公開には、島原半島3市の市長ら約40人が出席。イノシシ肉を使った料理の試食会が行われ、同社の河野広介社長(36)が「高級食材として流通できるよう、島原ブランドとして売り込んでいく。イノシシ肉の加工食品の開発も手がけ、島原半島の新たな魅力を発信していきたい」と意気込みを語った。島原市の古川隆三郎市長は「獣の臭みもなく、おいしい。流通の仕組みもできており、駆除と特産品化の道が一度に開けた」と語り、今回の取り組みに期待を寄せていた。
(ヘルシーな天然鹿肉、おいしい新名物に:埼玉)
秩父地域で捕獲したシカの肉を気軽に味わってもらおうと、小鹿野町や秩父市吉田地区の西秩父地域で「天然鹿のみそ漬け丼」の販売が始まった。有害鳥獣による農作物などへの被害が深刻化する中、シカを地域資源として活用する「ちちぶのじかプロジェクト」の一環。野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理は「硬くて臭い」といったイメージも付きまとうが、プロジェクトを推進する西秩父商工会は「しっかりと処理した鹿肉は本当においしい。西秩父の新たな名物にしていきたい」と意気込んでいる。県農業支援課などによると、県内の昨年度の有害鳥獣による農作物被害額は1億4248万円。そのうちシカによる被害額は1664万円で、過去5年間の平均額も約1600万円に上る。シカは昨年度に県内で約1500頭が捕獲され、捕獲数は増加傾向にある。同会は2006年度から有害鳥獣として駆除されていたシカの商用化に着手。12年4月から商用化が可能になったが、東京電力福島第1原発事故の影響で、同年10月に秩父市浦山で捕獲されたニホンジカから基準値を上回る放射性セシウムが検出。鹿肉の出荷や販売は自粛となったものの、2回の検査を行うことで昨年10月から町周辺では自粛が解除された。これまで同会は「鹿肉のロースト」を開発したが、値段が高く、取扱店も少なかった。手ごろな価格で鹿肉を食べてもらおうと、みそ漬け丼を考案。協力店を募集し、9月中旬から飲食店や旅館など14店舗で提供を開始することに。価格は900~1200円で、各店が独自に工夫を凝らした形で提供している。小鹿野町下小鹿野の「元六小鹿野店」では「元鹿丼」として1200円で提供。みそ漬けの鹿肉を焼いたものと揚げてカツにしたものが入り、2種類の味が楽しめる。「軟らかくて臭みもない」と来店客の評判は上々だ。店主の久津田順一さん(43)も「癖がなく、幅広い世代が楽しめる味」と自信を見せる。提供されるシカは全て捕獲から1時間以内に同町の食肉卸販売会社「肉の宝屋」に持ち込まれたもの。処理した鹿肉は地酒「秩父錦」の酒かすと一緒にみそで漬け込むため、野生肉特有の臭みがない。鹿肉は牛肉や豚肉に比べカロリーや脂質が少なく、タンパク質や鉄分を豊富に含んでいる。同会の担当者は「鹿肉はヘルシーなので、女性や高齢者、子どもにもぜひ味わってほしい。一度食べてもらえれば、ジビエ料理のイメージも変わるはず」と話していた。
(厳選シカ肉を東京へ:北海道)
エゾシカ肉の加工販売業「poro wacca(ポロワッカ)」が北見市内に開業した。仕留めた直後の厳選したシカを仕入れ、徹底した管理で熟成させたブランド肉を東京の高級飲食店に販売する狙い。社長の林徹さん(40)は「質の高いシカ肉を売り込み、東京から北見に利益をもたらす仕組みをつくりたい」と意気込む。同社は9月に市内北進町1で開業。市内上ところにあるシカ肉加工業の施設を間借りして加工場とした。東京出身の林さんは、妻の実家のある北見市に2012年に移住。狩猟免許を取得しハンター活動をする中、適切に処理されたシカ肉のおいしさを知った。一方で捕獲後の食肉利用が進んでいない現状やシカ食害の深刻さを実感。日ごろから「地域の経済活性化に貢献したい」との思いも強く、シカ肉の需要が増しているとされる東京圏で高値販売して有効活用しようと起業を決意した。シカ肉の加工技術は帯広市の事業者の助言を受け、徹底的に鮮度にこだわった。加工場での受け入れ条件は《1》頭などを1発で仕留める《2》捕獲時に腹を割かず血抜きのみを行う《3》死後硬直が始まる前の2時間以内に搬入―と厳しく設定。解体後は専用の冷蔵設備でつるし、風を送りながら20日以上ゆっくりと熟成させる管理法でうま味を引き出す。出荷前は肉の組織破壊を防ぐために急速凍結を行う。夫婦2人で手がけ、現在は銀座のレストランなどへの営業を始め、複数店舗と交渉中。販売価格は一般的なシカ肉の倍以上を想定する。8月~2月ごろをシカの受け入れ期間とし、初年度は1カ月約45頭の加工を計画。販売は通年で行う。林さんは「手間が掛かり大量生産はできないが、シカ肉はこれだけおいしい高級食材だと広めたい」と語る。今後、事業を軌道に乗せて生産量を増やし、地域の雇用拡大も目指す。肉の地元販売は予定していない。
(「山の幸」、ジビエの魅力知って:長野)
長野市は20日、シカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)を用いた料理を振る舞う「いのしか料理と地酒の饗宴(きょうえん)」を同市内のホテルで開いた。野生鳥獣による農作物被害が深刻なため、市は駆除や個体数の調整に取り組んでいるが、捕獲された鳥獣の大半が焼却され、地中に埋められているのが現状。ジビエの有効活用につなげようというわけだ。市民や飲食店関係者ら約90人が参加した。地元産のリンゴやラフランスも食材としたジビエ料理に加え、県内の蔵元が用意した地酒も提供された。レシピを作成したシェフはジビエ料理の魅力を語り、「イノシシ肉は口の中でうま味が広がる。よく噛(か)んで召し上がってください」と呼びかけていた。野生鳥獣対策は同市に限らず全県的な課題だ。平成25年度の野生鳥獣による県内での農林業被害額は11億4815万円。捕獲や防除対策の強化で被害額は漸減(ぜんげん)しているが、なおも高い水準にあり、計画的な捕獲による個体数の管理が急がれている。一方で食肉処理施設の不足などから、捕獲した個体を活用し切れていない。県鳥獣対策・ジビエ振興室によると24年度に捕獲されたニホンジカ3万3668頭のうち、食肉処理されたのは1564頭にとどまった。出席した加藤久雄長野市長は「ジビエは長野の山の幸。中山間地域の活性化につながるような活用策を考えていきたい」と話していた。
(県産食材おいしく生かせ:島根)
美郷町で捕獲したイノシシを出荷している「おおち山くじら生産者組合」(品川光広組合長)のイノシシ肉で作ったミートボールカレーが11月9日から、カレーチェーン「CoCo壱番屋」(愛知県一宮市)の松江、出雲両市の3店舗で登場する。昨冬、初めて出したイノシシ肉カレーが好評だったことから、ミートボールにして再び提供する。同社は地域ごとに地産地消メニューを企画し、前回、ブランドジビエ(獣肉)を生産している「おおち山くじら」に着目。昨年12月から3200食を提供したところ、想定の2倍以上の売れ行きで、販売期間を2月までと1か月前倒しした。今回はひき肉をタマネギや赤ワインで調理したミートボールを使い、4000食を用意する。同組合の広報担当、長浜世奈さん(25)は「うま味があってクセがない、意外にあっさりしたミートボールをぜひ食べて」とPRしている。
(ジビエ料理、腕競う逸品:福井)
イノシシや鹿などのジビエ(野生鳥獣肉)料理を広めようと、鯖江、越前両市など丹南地域の料理店による審査会が21日、越前市内であり、アイデア豊かにピザやすしなどに仕上げた逸品が並んだ。料理は来年1月8~17日に参加各店で提供される。県によると、畑を荒らされるなどして、県内では昨年度に約1億3000万円の鳥獣被害があり、約1万5000頭が捕獲された。しかし、その肉は数%しか活用されず、ジビエ料理の推進は猟師らの意欲向上につながるという。審査会には郷土料理やイタリア料理、フランス料理など11店が参加。1000円で食べられるメニューをテーマに、イノシシ肉にショウガや大葉を合わせた「しし肉寿司ずし」など、食べやすくする工夫を凝らしていた。イノシシ肉のハンバーグに鹿肉の串カツなどのプレートを出品した南越前町の郷土料理店「鴨平」の関豊子さん(60)は、「福井のジビエは臭みも少ない。気軽に食べてほしい」と話していた。
(高校生のジビエ料理を商品化:熊本)
天草市五和町御領の「天草オリーブ園AVILO(アビーロ)」で、イノシシ肉のハンバーグなど加工食品を販売している。同市の県立苓明・天草拓心高の生徒たちが、害獣駆除されたイノシシを調理する。
(特産の「ジャンボきじ鍋」登場:愛媛)
愛媛県鬼北町で行われたイベント「でちこんか2015」の会場で、町特産のきじ肉を直径約2メートルの特大の鍋で煮込んだ恒例の「ジャンボきじ鍋」が登場、来場者に無料で振る舞われた。きじ鍋は、町内で加工された特産のきじ肉を、白菜や大根、ニンジン、油揚げ、豆腐などとともに、きじのだし汁としょうゆで煮込む。鶏肉より高たんぱく低カロリーで、味がいいことから人気があり、鍋の前には開始前から長い行列ができた。約2650食分あった鍋は1時間半後には空になり、サービス終了となった。同町内に昔からキジが生息していたことから、農林業以外の新しい産業を模索、検討していた町はきじ肉を特産品として売り出すことを決め、1992年から農家によるキジの飼育が始まった。飼育しているのは高麗キジで、現在は農家8戸で約1万5000羽を飼育しており、第三セクターの農業公社が肉の生産、加工、流通まで一貫して行っている。「鬼北熟成雉(きじ)」としてブランド化にも成功、主に業務用として関東を中心に、販路は全国へ広がっている。「でちこんか」は「出てきませんか」を意味する方言で、町役場裏の河川敷で毎年開催している町内最大のイベント。きじ鍋は95年から登場、イベントの目玉となっており、これを目当てに遠方から訪れる人も多い。今年は10日の前夜祭に続き、11日にはきじ鍋のほか、町内外の特産品などが100以上のブースに並ぶ「びっくり市」、アユのつかみ取り、ステージショー、地元高校馬術部による乗馬体験コーナーなどが設けられ、2日間で約2万5000人が来場した。甲岡秀文町長は「家族中で楽しめるイベントで、きじ肉のPRにも役立っている」と話している。
(犬の「トリガー」が踏んだ銃が暴発、飼い主が負傷:アメリカ)
米インディアナ州北部で、水鳥の狩猟中に飼い犬の踏んだ銃が暴発し、ハンターの女性が足に負傷する事故があった。犬は11歳のラブラドールで、名前は「トリガー(引き金という意味)」だった。州の当局者によると、女性が身づくろいのため銃を地面においたところ、トリガーが銃を踏み、安全装置がはずれていたことから銃が暴発、女性は左足に被弾した。命に別状はなく、病院で治療を受けた後に退院したという。女性はハンターの免許取得に必要な訓練を修了していなかった。インディアナ州では免許保有者が同行すれば訓練を終えていなくても仮免許を3回まで取得できるため、女性は罪に問われない。当局は「狩猟に出る前に正式な訓練を受講するよう勧める」と述べている。

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10/20
(シカ死骸放置、猟友会員を書類送検:岐阜)
岐阜県養老郡養老町の山中にシカの死骸や骨が大量に放置されていた問題で、県警生活環境課と養老署は19日、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、同町の60代猟友会員を書類送検した。書類送検容疑は、今年7月2日午前5時30分ごろ、同町柏尾の柏尾谷で、一般廃棄物にあたるシカ1頭の死骸約40キロを不法投棄した疑い。同課によると、現場は林道脇の崖下約20メートルの谷。町の依頼を受けて、町内の県道で車にひかれて死んだとみられるシカを処分する際、トラックに積んで約3キロ離れた谷に捨てたという。死骸は土に埋めるか、焼却施設に持ち込むことになっている。会員は「手間がかかるので人目につかない谷に捨てた」と容疑を認めているという。現場には、シカ2頭の死骸のほか、21頭分の頭蓋骨が放置されていた。会員は「2013年7月以降に5、6頭捨てた」と話しているという。岐阜県養老郡養老町の山中にシカの死骸や骨が大量に放置されていた問題は、激増するシカに対して処分に多大な労力が必要であることや請け負う猟友会員の不足など、対応が追い付かない現状をあらわにした。ただ町は、12月から町の焼却施設で死骸を受け付けるよう調整しており、一定の対策が進むとみられる。地元の猟友会は町から依頼を受け、有害鳥獣の捕獲と処分を引き受けている。死骸の処理は、鳥獣保護法に基づき焼却施設に持ち込むか、穴を掘って埋めなければいけない。だが廃棄物処理法違反の疑いで19日に書類送検された猟友会員は、これまでの岐阜新聞の取材に「町には大型動物の焼却施設がない。埋設するにも労力がかかる」と語っていた。県内では近年、シカが激増し、昨年の捕獲数は10年前の10倍以上となる1万7千頭を超えた。養老町でも昨年の捕獲数は、前年比30%増の555頭。地元の猟友会は町に大型動物の焼却施設を要請していたが実現の見通しはなかった。さらに猟友会員は高齢化と担い手不足が深刻化。会員は「仲間が年々減り、今や8年前の半数」と嘆く。町が捕獲と処理を猟友会に任せすぎたという側面もある。市町村は猟師に報償金を支払うが、半数以上の市町村は死骸の処理を確認していない。養老町も尻尾の提出だけで確認が取れたことにしていた。担当者は「管理が甘かった」と話す。町は確認方法について捕獲した有害鳥獣と埋設現場の写真の提出を義務付けた。12月からは、町のごみ焼却施設でも大型動物の焼却を受け入れる方向で調整中だ。ただ、ある自治体担当者は「行政は捕れ捕れ、農家も捕ってくれ捕ってくれだけでは、今後も起きる。農家から埋設場所を提供してもらうなど、やり方は他にもある」と指摘する。
(シカ捕獲に民間の力、北海道が3法人認定:北海道)
国は本年度、エゾシカやイノシシなど鳥獣を捕獲する事業者を都道府県が認定する制度を導入し、道内では石狩管内当別町で林業を営む会社など3法人が認定を受けた。いずれも道などが発注するシカの捕獲事業の受注を目指している。現状のシカの生息数管理は、市町村が猟友会に依頼する許可捕獲とハンターの狩猟に頼っており、民間の力を活用する新たな認定制度が「第3の矢」になると期待されている。認定制度は、野生鳥獣の食害防止のため管理を強化する目的で、5月施行の改正鳥獣保護法に盛り込まれた。一定数以上の狩猟免許取得者や安全管理体制、捕獲実績などの条件を満たした企業や団体が、都道府県に申請し認定を受ける。改正鳥獣保護法は、都道府県が捕獲事業を実施できるとしており、国は本年度、都道府県向けの交付金18億円を予算措置した。道は近く捕獲事業を発注する。認定事業者になると、こうした捕獲事業を受託しやすくなるとされる。道の認定を受けたのは、当別町を拠点に林業を営む「シンカン」(札幌)、NPO法人「ファーミングサポート北海道」(岩見沢)、銃砲店などを経営する「ケーゼスト」(札幌)の3法人。
(ヒグマ、釣り人のリュックあさる:北海道)
18日午前5時35分ごろ、オホーツク管内斜里町ウトロ東の幌別川河口付近で、ヒグマ1頭がリュックサックをあさっているのを、釣りをしていた男性が見つけ、知床財団(斜里町)に通報した。駆けつけたハンターがクマを射殺、駆除した。斜里署などによると、現場には釣り人が10人以上いた。リュックは通報した男性のもので、クマはおにぎりや釣り用のエサを食べたという。クマは推定年齢4歳で、体長1・2メートル、体重約120キロの雌だった。
(イノシシに男性が襲われけが:香川)
16日午後7時半ごろ、香川県善通寺市善通寺町の民家で、玄関内にイノシシが侵入し、住人の男性(55)が襲われて両脚などにけが。イノシシは逃げた。当時この家は夕食の準備中で、丸亀署は匂いに誘われたとみて、周囲の民家に注意を呼び掛けている。同署によると、イノシシは体長約1メートル。直前に、この家の玄関横のガラス戸を突き破り、台所まで侵入していた。男性が追い払ったところ、玄関から再び侵入したという。現場は、三豊市との市境近くの県道沿い。
(山中でクマ目撃情報相次ぐ:佐賀)
福岡、佐賀県境の脊振山でクマのような動物が目撃され、自治体が登山者に注意を呼び掛けている。ただ、九州では野生のクマは絶滅したとされ、目撃者が別の動物と間違えたり、飼われたクマが逃げ出した可能性を指摘する声もある。両県警によると、目撃現場は佐賀県神埼市の脊振山山頂から北西2・5キロと西約1キロの地点。17日に登山中の男女が体長約1メートルの動物を目撃し、18日には別の男性からも目撃通報があった。これを受け神埼市が登山道の入り口4カ所に注意を呼び掛ける看板を設置するなど対応に追われた。環境省は平成24年、最後の確実な捕獲記録から半世紀以上経過したとして「九州のツキノワグマは絶滅したと考えられる」と発表。クマの生態に詳しい東京農工大学の小池伸介講師も「生息しているとは考えにくい」と指摘する。佐賀県農業技術防除センターは目撃現場からクマの足跡やふんは見つからなかったとし、「イノシシを見間違えたのでは」と推測する。一方、宮崎県高千穂町の写真家、栗原智昭氏は「大分や宮崎では目撃情報があり、生き残っていてもおかしくないが、脊振山の森は生息するには狭すぎる。飼われていたクマが逃げ出した可能性もある」と話す。
(クレー射撃W杯、中山は6位)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は19日、キプロスの首都ニコシアで女子トラップが行われ、中山由起枝(日立建機)は6位だった。
(工場地帯でシカの大捕物:愛媛)
愛媛・西条市の工場地帯で、シカの大捕物が繰り広げられた。軽快に警察官を振り切りながら逃げ回っていたのは、1頭のニホンジカ。18日午前、西条市の住宅地で発見され、19日昼前にも、再び目撃情報があったため、警察や猟友会が捕獲に乗り出した。警察は「シカがずっと逃走中です。角が30cmくらい生えているんですけど、なかなか捕まらないので、困っています」と話した。ニホンジカは、近くの山から降りてきたとみられ、付近の公園などを逃げ回り、運送会社の敷地内に侵入した。まだ幼いシカのようだが、角は鋭く尖っていて、1つ間違えば、大けがの危険性もあった。目撃した人は「ちょっと怖かったですね。この子も慌てて、びっくりしていたんですけど」と話した。およそ3時間の大捕物の末、シカはようやく確保された。
(カラスと衝突、窓にひび:栃木)
JR東日本によると、17日午前7時4分ごろ、JR日光線下野大沢-今市駅区間の日光市室瀬付近で、宇都宮発日光行き普通電車の運転士側前面ガラスにカラスが衝突、ガラスに蜘蛛の巣状のひびが入った。この電車は今市駅に約8分停車し、係員が点検して7時13分に運転を再開。日光まで運転後、電車を車両基地に収容した。乗客、乗務員にけがはなかった。このため宇都宮-鹿沼駅間でも上下2本が運休し、約160人に影響した。
(住宅地などでイノシシ目撃相次ぐ:富山)
19日未明、高岡市の住宅地などでイノシシが相次いで目撃され、警察などでパトロールを強化し、警戒にあたっています。高岡警察署によりますと、イノシシは19日午前1時半ごろから午前2時半ごろに、高岡市中心部の西側の瑞穂町と西町、宮田町で、また、午前3時ごろから午前4時ごろまでの間、駅南の清水町と京田、上関町で相次いで目撃されました。イノシシは成獣とみられ、体長はおよそ1.3メートルあり、通行人からの通報を受けた警察官が発見し、追跡したものの、捕獲できませんでした。警察や消防などでは19日朝、目撃された周辺の小学校の通学路などを見まわり、警戒にあたりました。高岡警察署では相次いで目撃されたイノシシは同じイノシシであるとみて、パトロールを行い、注意を呼びかけています。
(大きなサルが目撃される:福岡)
19日午前8時ごろ、福岡市博多区下月隈73番付近で、大きなサルがうろついているのが目撃された。このあたりでは、18日にもサルの目撃情報があった。福岡県警博多署は「サルを目撃しても、絶対に近づかないで」と呼びかけている。
(鳥獣食害3年連続減:北海道)
道は、2014年度に道内で発生した野生鳥獣(海獣類を除く)による農林水産被害額が、前年度比約15%減の約52億9000万円で、3年連続で減ったと発表した。被害の9割を占めるエゾシカ被害の減少が影響した。道によると、被害額はエゾシカ46億1000万円、カラス類2億4000万円、ヒグマ1億3000万円、キツネ9000万円、アライグマ7000万円。振興局別では、釧路が約14億8000万円と最も多く、十勝8億700万円、日高7億円、根室約6億5000万円と続いた。エゾシカの被害額は前年度比で約17・1%減。道は10~14年度を緊急対策期間に設定し、エゾシカの捕獲を強化した結果、推定生息数は10年度の約63万頭から48万頭に削減。被害額も11年度の約64億1000万円をピークに減り続けている。エゾシカ被害を振興局別に見ると、ほとんどの管内で前年度を下回っているが、道央部(石狩、空知、後志)は増加した。道エゾシカ対策課の担当者は「被害が増えた原因は分からないが、市町村の枠組みを超えた広域的な捕獲活動などで対応を強化したい」と話している。
(コウノトリを守る保護区を指定:徳島)
飯泉知事は、コウノトリが巣を作って生息している鳴門市大麻町の周辺を来月から狩猟を禁じる鳥獣保護区に指定すると発表しました。これは19日の定例会見で明らかにしました。鳥獣保護区に指定されるのはコウノトリの巣がある鳴門市大麻町周辺の約490ヘクタールで、期間は来月1日から10年間です。鳥獣保護区に指定することでこの区域での狩猟が禁止され、銃の音でコウノトリが逃げてしまうことを防ぎます。希少生物の保護を目的とした保護区の指定は、県内では初めてですまた、県は県内の生態系の維持や絶滅する恐れのある生物の保護などを目的に、「とくしま生物多様性センター」を15日、庁内に開設します。センターでは、コウノトリなど希少生物の情報収集や発信、保護活動に取り組む個人や団体への支援を行います。
(獣害防止ネット設置:長野)
中央アルプスの麓伊那西部山麓地域で増加するニホンジカなどの野生鳥獣対策として、西春近の住民らは、17日、諏訪形区の貝付沢に獣害防止ネットを設置しました。今後は、その成果を検証し、他地域へ広げていく考えです。17日は、西春近自治協議会や諏訪形区を災害から守る委員会、市の職員などおよそ50人が4つの班に分かれて作業にあたりました。伊那市では、伊那西部山麓地域での野生鳥獣による食害などの影響を食い止めようと、今年諏訪形区を生息調査や捕獲を推進するモデル事業の実施箇所に選定しています。諏訪形区では、平成18年の豪雨災害を機に、根がはりやすくて倒れにくい広葉樹の植栽を行ってきました。しかし、諏訪形区を始めとする西部山麓地域では人が住んでいるところにもニホンジカが出没するなど、天竜川西側へ生息域が拡大している他、現地ではイノシシによる土の掘り起こしなど植栽への影響も確認されていて、対策が必要となっています。今回は、貝付沢を囲むような形でおよそ1キロメートルにわたり獣害防止ネットを設置しました。今後は、猟友会と協力して獣の通り道に罠を設置します。市では、諏訪形区での結果を参考に、今後隣接地域へ広げていくとしています。
(カラス捕獲おり増設:佐賀)
佐賀市は市中心部のカラス対策を強化し、2カ所だった捕獲おりを3カ所に増設した。昨年度は9月~3月の7カ月間で541羽を捕獲したが、「被害軽減の実感はない」(市環境部)のが実情。市中心部では、カラスがごみステーションで生ごみを荒らす状況が続いており、わなを増やして被害軽減を目指す。市は昨年9月、城内1丁目の旧若楠会館に捕獲おりを設置した。おりは、縦3メートル、横4メートル、高さ3・5メートルで、中に食パンなどカラスのえさを入れている。一度おりに入ると、外に飛び立てない仕掛け。市街地での活動が目立つ非繁殖期の秋から冬にかけてわなを設けた。2月には城内2丁目の市村記念体育館近くにも増やした。昨年度の捕獲実績は、旧若楠会館のわなが7カ月間で373羽。内訳はハシブトガラスが57羽、ハシボソガラスが316羽だった。体育館近くのわなは2カ月間で168羽だった。ハシブトガラスが16羽、ハシボソガラスが152羽。市は、目視調査や県調査から、城内をねぐらにしているハシボソガラス、ハシブトガラスは多くなる冬季で計3千~4千羽に上るとみている。昨年度捕獲した541羽は、「増殖の歯止めにはなっている」としつつ、「被害の軽減には至っていない」と受け止めている。被害軽減には捕獲数を増やす必要があると判断し、県庁北側のくすかぜ広場にわなを1カ所備えた。本年度の事業費は、猟友会への委託費、わな設置費で計366万円。野鳥であるカラスは、鳥獣保護法で許可なく捕獲や処分ができないため、市農林水産部の許可を受けて成鳥を捕獲している。市環境部は「3カ所で1千羽を捕獲し、カラス被害軽減につなげたい」と話す。
(関空、バードストライク半減)
関西国際空港が鷹匠(たかじょう)の協力を得て野鳥が飛行機に衝突する「バードストライク」の新たな対策に乗り出したところ、今年4〜8月の発生件数が13件と昨年同期比で半減した。海上を埋め立てた関西空港は渡り鳥のコアジサシの営巣の適地で、一時は数千羽が確認されたが、絶滅危惧種として保護の対象になっているため捕獲ができないでいた。今回、鷹匠がタカやハヤブサを飛ばし、営巣させない作戦が功を奏した。コアジサシは、餌の小魚がとれる海辺の空き地を好む。広大な未利用地がある関空島はコアジサシの格好のすみかで、1994年の開港当時から生息が確認された。越冬でいったん離れても、再び生まれた場所に戻る習性もあり、徐々に増えたという。国土交通省によると、全国のバードストライクの発生件数は2010年は1745件だったが、14年は1967件で増加傾向だ。関西空港では13年度が31件(4〜8月は27件)、14年度は43件(同31件)。コアジサシとの衝突は半数を占めていた。エンジン故障など重大事故につながる可能性があり、天敵のカラスの模型を置くなど対策を試みてきた。ただ、卵やひなを見つけても撤去できないなど抜本的な解決法がなかった。そこで、新関空会社が頼みにしたのが大阪府猟友会の鷹匠だ。今年4〜5月、未利用地の多い2期島を中心に、1日6〜10羽のタカやハヤブサを飛ばした。猟犬も毎日20頭前後を出動させ、滑走路脇の空き地などを歩かせた。営巣しようとするコアジサシの成鳥に「ここは危険」と認識させるのが狙いだ。その結果、昨年、関空では多い時期で1日約3000羽のコアジサシを確認したが、今年は数十羽程度に減った。4〜8月のバードストライクは13件で、コアジサシが原因となったのは、わずか2件に。新関空会社運用部管理グループの直木正佳さんは「効果はてきめんで、来年以降も続けたい。コアジサシには可哀そうだが、空の安全のため空港以外で営巣してもらえれば」と話す。野鳥に詳しい、きしわだ自然資料館(大阪府岸和田市)の風間美穂・学芸員は「バードストライク対策は必要だが、コアジサシがそれとは別に安心して繁殖できる環境作りも考えていかなければならない」と語る。
(「犬に拳銃、効果低い」:千葉)
千葉県松戸市で9月、通行人を襲った犬を射殺するのに警察官3人が拳銃を13発撃ち、銃弾が付近の民家を傷つけたことを受け、県警が「犬への拳銃使用は効果が低く、跳弾により危険性が高まる」と判断、捕獲器具を全署に備えるなど発砲以外の方法で捕まえるための対応策をまとめたことが19日、関係者への取材で分かった。県警によると、撃った13発中、6発しか命中せず、外れたり犬を貫通したりした銃弾が民家の壁や塀などを損傷させたため、全国から「撃ち過ぎだ」と批判が殺到。付近の住民からも不安の声が上がっていた。県警は今後、県内全署に対応策を周知する方針。
(警部補、部下に銃押し付け容疑:群馬)
群馬県警は16日、拳銃を部下に押し付けるなどしたとして、県警高速隊の男性警部補(48)を停職3カ月の懲戒処分にし、銃刀法違反の疑いで書類送検した。警部補は同日付で依願退職した。県警によると、2013年12月ごろから今年4月ごろ、勤務時に高速隊庁舎の拳銃庫内で、実弾の入った拳銃を部下に手渡す際、6人に計30回以上銃口を向け、うち1人には腹部に押し付けた。警部補は「コミュニケーションを深めるつもりだった」などと話しているという。県警の田中秀幸首席監察官は「警察官が拳銃をもてあそんだことは極めて遺憾。職員への指導を徹底する」とコメントした。
(ジビエ料理:山口)
繁殖期をむかえ動きが活発になる鹿や猪が、列車やクルマと衝突したり、街に出現するなどトラブルを頻発させているなか、増加傾向にある鹿や猪を“ご当地ジビエ”として地域資源化する自治体がある。山口県下関市の例を、40枚の料理写真などとともに見ていこう。山口県下関市豊田町。国道491号が貫く静かな山あいに「みのりの丘ジビエセンター」がある。ここでは年間、猪310頭、鹿290頭が処理され、指定管理者に登録された食肉加工工場でロースやモモ肉、ウインナー、フランクフルトなどに加工。センターのとなりに建つ「みのりの丘」でジビエメニュー(400円~)として味わうことができる。この「みのりの丘」では、シカ味付焼肉用200g(680円)、イノシシ味付焼肉用200g(864円)、いのしし肉ロース200g(1058円)、しか肉ロースブロック250g(950円)などが売られていた。市などが開いた9月の試食会では、ウインナーやコロッケ、甘辛炒めなどがテーブルに並び、「意外とうまい」「臭みがなくて歯ごたえが楽しい」といった声を多く集めた。文部科学省の資料によると、鹿肉に含まれる鉄分は豚肉の10倍、ビタミンB2は牛肉の3倍、B6は2倍。脂質は牛肉の30分の1ほどで、「身体にいいグルメとしてももっと広めていきたい。ドライブの途中にぜひ立ち寄ってほしい」と市関係者はいう。下関市のデータによると、こうした野生獣による被害額は増加傾向にあり、鹿による被害額は2007年に2000万円だったのが、2014年になると8000万円へとふくらみ、最近の被害額全体は約1億5000万円にのぼる。日鐵住金建材は10月9日、農業・林業・鉄道などの鹿被害低減を目指した新システムをリリースしたが、「鹿や猪の数を減らすことも重要」とJR関係者はもらす。愛知県は10月16日、「ジビエの魅力を広く発信し消費拡大を図る」という観点から、同県のジビエを使ったオリジナルメニューを競う「ジビエ・グルメ・グランプリ2015」の概要を発表。道の駅「どんぐりの里いなぶ」で11月7・8日に「いのしかドッグ」や「猪肉まぜきしめん」「バンビーカレー」「イノシシからあげ」など17種類のジビエ料理が販売され、コンテスト形式で順位をつける。いっぽう、みのりの丘からクルマで北へ50分ほど走ると、長門市にはブランド鶏肉「長州黒かしわ」を楽しめる焼き鳥屋が点在している。山口県関係者は「室蘭(北海道)や東松山(埼玉)、今治(愛媛)などと並ぶ焼き鳥激戦区。山口に来たらぜひ、鹿・猪・鶏と、そして海の幸を体感して」と話していた。

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10/16
(流れ弾?住宅に金属片:北海道)
15日早朝、根室市穂香(ほにおい)の調理師男性宅で狩猟用ライフル銃の弾丸とみられる金属片が見つかったことに対し、地元住民などから不安を訴える声が上がっている。原因は明らかになっていないが、住民によると、現場近くではエゾシカの姿がよく目撃されていた。根室署は有害鳥獣駆除のハンターによる流れ弾の可能性もあるとみて、鳥獣保護法違反と銃刀法違反の疑いで引き続き調べている。同署によると、同日午前6時35分ごろ、男性方から「『パン』という音がした後、窓ガラスが割れ、居間に猟銃の弾頭のようなものが落ちていた」と、110番通報があった。金属片は1階居間の窓ガラスを貫通し、室内のドアのガラスも割っていた。男性方は3人暮らしで、金属片は1階で食事中だった男性の長女から1メートルほどの至近距離を通過したとみている。付近住民らからは「このあたりでは考えられない事故。聞いた時はひざががくがく震えた」などと不安を訴える声のほか、エゾシカの目撃証言も。飲食店を経営する男性は、親子で歩くエゾシカを現場北側の国道で最近も見たとし、「もし(狩猟の)流れ弾だったらと考えると恐ろしいし、原因がはっきりしないから気持ち悪い」と話していた。根室振興局によると、根室市のエゾシカの狩猟解禁日は24日だが、クマやカモなどエゾシカ以外の鳥獣の狩猟は今月1日から解禁されている。また、市によると、駆除を目的としたエゾシカの捕獲は、市が地元猟友会に委託する形でほぼ通年実施している。ただ、市は20日までを予定していた今年中期(9月17日~10月20日)の駆除期間を15日で終えることとした。「事実関係や原因がはっきり分かるまでは中止する」(市農林課)としている。
(女性にかみついたイノシシ、高校に侵入:香川)
14日朝、高松市内の高校や住宅街にイノシシが現れて女性にけがを負わせ、警官らが出動する騒ぎがあった。午前9時15分頃、同市桜町の市立高松第一高校にイノシシ(体長約1メートル)が侵入したところを、警戒中の高松北署や高松南署員らが発見。パトカーの拡声機で「外に出ないで下さい」と呼びかけながら、校内に入った。警官や県職員ら10人以上が校庭に駆けつけて網で捕獲し、殺処分した。当時、同校は中間試験中で生徒らは教室などにおり、けが人はなかった。同校の中條敏雄教頭(57)は、「学校にイノシシが入り込んでくるなんて。生徒にけががなくてよかった」と驚いていた。この約15分前、同校から約600メートル北東の同市花園町で、自宅前で花に水やりをしていた女性(84)にイノシシが突進。転倒したところを左足にかみつき、約3週間のけがを負わせて逃走していた。高松北署は、同じイノシシとみている。
(70代女性サルにかまれる:大分)
散歩中の女性が突然、サルにふくらはぎをかまれました。警察によりますと、大分県佐伯市で12日、77歳の女性がサルに左のふくらはぎをかまれました。この女性は2日続けて襲われたということです。近くの小学校では、今月に入ってほぼ毎日、出没していて、集団下校をするなど警戒しています。児童がかまれる被害も出ていることから、敷地内に捕獲用の罠を仕掛けるなど対応に追われています。
(救急車、イノシシと衝突しパンク:静岡)
13日午前0時40分頃、静岡県南伊豆町下小野の県道で、緊急走行していた下田消防署の救急車が、右から飛び出してきたイノシシと衝突した。救急車に乗っていた救急隊員3人と男性患者の計4人にけがはなかった。この事故で救急車の左側の後輪タイヤがパンクし、約40分後に代わりの救急車が到着し、男性を搬送した。下田署の発表などによると、イノシシは救急車の左前方バンパーや後輪タイヤにぶつかった。ドライブレコーダーにイノシシが映っていた。イノシシは現場から走り去ったという。男性は南伊豆町から、西伊豆町の病院に搬送途中だった。付近は畑に囲まれる農村地帯で、イノシシは日没後、頻繁に出没していたという。下田地区消防組合の担当者は「患者の容体に影響はない。運転には問題はなかったが、今後はより安全に注意して再発防止に努めたい」とコメントした。
(同じクマに特急が相次ぎ衝突:北海道)
13日午前7時35分ごろ、北海道南富良野町のJR石勝線トマム-新得間で、帯広発札幌行き特急スーパーとかち2号(5両編成)がクマに衝突した。午前8時45分ごろにも同じ場所で、札幌発釧路行き特急スーパーおおぞら1号(6両編成)が同一とみられるクマに衝突、クマの除去に伴い約1時間の遅れが出た。JR北海道によると、1回目の衝突ではクマが運行に影響のない場所で動かなくなったため、特急は7分遅れで運転再開。しかし、クマは生きていたとみられ、線路上に移動して2回目の衝突につながったという。クマはヒグマの子どもだった。後続の普通列車や特急に約70~80分の遅れが出て、約480人に影響が出た。
(列車とシカ、イノシシが衝突:和歌山)
13日夜、紀南地方のJR紀勢線で列車が野生動物と衝突する事故が2件起きた。いずれもけが人はなかった。すさみ町では午後7時23分ごろ、新宮発紀伊田辺行き普通列車がシカと衝突。
(イノシシ1匹が目撃される:長崎)
11日午後6時40分ごろ、佐賀県唐津市東唐津3丁目付近で、イノシシ1匹が出没。しばらくして、行方が分からなくなった。佐賀県警唐津署は「外出する際は、十分に注意し、見かけても近付かないように」と注意を呼びかけている。
(イノシシ発見されず「山に戻ったかも」:茨城)
今月6日と8日に土浦市上坂田・藤沢地区でイノシシの目撃情報が相次いだが、13日時点でまだイノシシが発見されていない。市生活安全課と土浦署によると「8日以降新たな目撃情報は入っていない」という。
(野生のサルの出没多発:佐賀)
三養基郡基山町内で野生のサルの目撃情報が相次いでいる。民家の庭先で旬の柿をもいで食べたり、親子連れとみられる3匹一緒で出没したり。サルはいずれも体長50~60センチ。山手の園部地区を皮切りに、住宅団地のあるけやき台、小倉地区神の浦、高島団地などで目撃されており、町は広報車を出して周辺住民に注意を呼び掛けている。福岡都市圏に近い地の利から大規模な宅地開発に沸いた同町も、近年は若い世代の流出で高齢化と空き家の増加が進む。そんな地域の現実を見透かしたように出没するサルたち。どちらも対策に「決め手」を欠くだけに、住民のため息は深い。
(サルが目撃される:熊本)
11日午後6時ごろ、帰宅途中の小学生が、熊本市北区の龍田小学校周辺の民家敷地内で、野生のサルを目撃した。熊本北署は「近づいたり、走ったり、大声をあげたりしてサルを刺激しないように」と注意を呼びかけている。
(ニホンジカ、食害要注意地域が歴然)
農林業や生態系に深刻な被害をもたらしているニホンジカの生息密度分布地図を、環境省が初めて作製・公表した。関東山地や近畿北部、九州で密度が高く、環境省は「捕獲を強化すべき地域の選定などに役立ててほしい」と、地元自治体などに呼び掛けている。ニホンジカは、イノシシとともに指定管理鳥獣に指定され、都道府県主体で捕獲を行う。環境省はこれまで目撃情報を基にした分布状況や都道府県別の推計生息数を公表していたが、フンの調査結果なども合わせて、初めて2014年度時点の5キロ四方(25平方キロ)当たりの生息数を統計学的に推計した。その結果、甚大な被害をもたらす目安とされる40頭以上の地点は、関東山地から南アルプスや八ケ岳にかけて▽近畿北部の但馬地域▽九州山地の一部や屋久島−−などに広がっていた。特に、特別名勝・特別天然記念物の上高地(長野県)を抱える北アルプスでは生息域の拡大が懸念されるという。地元が独自にエゾシカの調査をしている北海道や、食害が少ない青森、茨城など計7道県はデータがない。環境省によると、北海道を除く全国のシカ生息数は261万頭(11年度)と推定され、25年度に500万頭に増えると予測される。同省は23年度までに現状から半減させることを目指しており、担当者は「ハンターが減少する中、都道府県と協力し、効果的な捕獲に取り組みたい」と話す。
(わな増強で駆除本格化:北海道)
有害鳥獣による農業被害を防ごうと、市や農家などが今春設立した市鳥獣被害防止対策協議会が、活動を本格化させている。エゾシカ、アライグマの捕獲数は近年増加傾向にあり、エゾシカ用のくくりわな15個、アライグマ用の箱わな5個を新たに導入。特にエゾシカの動きが活発になる10、11月に集中的に駆除したい考えだ。市内ではエゾシカやアライグマ、キツネ、カラスなどがカボチャやジャガイモなどの農作物を食べ、畑を踏み荒らすなどの農業被害が続発。2014年度の被害面積は計約1ヘクタール、被害額は約400万円だった。市環境課などが駆除に取り組み、エゾシカは14年度に過去最多の49頭、本年度は9月までに11頭を捕獲。アライグマは14年度に61頭、本年度は9月までに62頭を捕獲、過去最多を更新した。農家は電気柵などで自衛しているが、エゾシカは柵を跳び越えることがあるなど、被害はなくならない。今年3月、農業関係者らが同協議会を設立し、対策を強化することにした。会員は市や道央農協恵庭・北広島営農センター、農家、猟友会など。国の補助金200万円を受け、本年度の協議会独自の駆除目標をエゾシカ35頭、キツネ20頭、鳥類1500羽と定めた。外来種のアライグマは「可能な限り捕獲する」としている。被害に応じて農地にわなを設置するほか、猟友会にパトロールを要請。わな猟は8月に開始し、これまでにエゾシカ7頭を捕獲した。今後も出没情報のある農地を中心にわなを仕掛ける。同協議会事務局の市農政課は「春の繁殖期の前に個体数を減らせるよう、この時期にできるだけ多く駆除したい」としている。会員の農家高藤昌志さん(71)=島松=は、トウモロコシなどで何度も被害に遭い、3年前にわな猟免許を取得した。「私たち農家も自分でわなを仕掛けるなど協力していきたい」と話している。
(ジビエ料理試食会を開催:東京)
近年、野生動物が異常繁殖して里山の生態系も変化し、田畑の農産物が鳥獣に食い荒らされる被害が増加しているが、野生動物の個体数管理の名目で狩猟や駆除が行われている。日本では仏教の流布により殺生・肉食を禁じる制度が広がったが、一方、マタギ達による狩猟や、武士階級による狩りは、古くから現代まで連綿と続いてきた。奪った動物の命を尊重するためにも、人の命の糧として無駄なく食することは、世界的にも普遍の思考のようだ。ジビエとは、狩猟で得た野生鳥獣の肉を意味するフランス語であり、欧州貴族の伝統料理として継承されてきた食文化そのものだという。2015年2月、自民党の国会議員により、捕獲鳥獣の食肉を有効活用することで、農林水産物の被害や生活環境被害などの軽減を図ることを目的に、鳥獣食肉利活用推進議員連盟(ジビエ議連)が結成され、会長に石破茂地方創生担当大臣、幹事長に小里泰弘環境副大臣が選任された。当日は石破会長をはじめ、ジビエ議連メンバー約30名がジビエ料理試食会に参加し、JR東日本エキナカで販売されているシカ肉バーガーや、ジビエ弁当などを味わった。
(イノシシ捕獲協力に感謝状:佐賀)
唐津市は14日、市中心部に出没して4人にけがを負わせたイノシシの捕獲に協力した市内の自営業・原田正明さん(55)と、多久市の病院職員・野方徳浩さん(54)に感謝状を贈った。野方さんは6日夕、自転車で職場からJR唐津駅に向かっていた時、西寺町の近松寺付近でイノシシに遭遇した。近くでサッカーの練習をしていた小学生の親子連れに逃げるよう促し、塀に囲まれた境内に入り込んだイノシシが外に逃げないよう、自転車で行く手をふさいだ。野方さんは左足をかまれて治療中だが、「子どもたちにけがなかったのが一番」と語った。近くに住む原田さんは騒ぎを聞いて寺に駆け付けた。市職員や警察官とともに捜索中、イノシシと鉢合わせになり「何度も飛びかかって来るので、逃げられず立ち向かうしかないと思った」。高校、社会人でのラグビー経験を生かしてタックルで倒し、そのまま押さえ込んだ。その際に右足と左すねを計5針縫うけがを負った。イノシシはその後も市中心部に現れ、14日も船宮町で目撃されたばかり。原田さんは「また(捕まえに)行かなきゃいけないと思った」と冗談を言いつつ、「足をかまれても歯が刺さらないガードを用意するなど、捕獲に当たる職員の安全を第一に考えて」と市に注文した。
(「三毛別ヒグマ事件」100年、苫前で追悼法要:北海道)
留萌管内苫前町で1915年(大正4年)に起きた道内最大の獣害事件とされる「三毛別(さんけべつ)ヒグマ事件」から今年で100年となるのを機に、地元の有志らが15日、同町三渓(さんけい)の事件現場近くで百回忌追悼法要を行った。参列者は被害者7人の冥福を祈り、クマとの共生に思いをはせた。苫前町史などによると、事件は同町三毛別六線沢(現三渓)で15年12月9、10日に発生した。開拓農家が暮らす集落をヒグマが襲い、妊婦や子供を含む7人が死亡、3人が重傷を負った。クマは体重340キロ、体長2・7メートルの巨体で、同14日に射殺された。冬眠できなかった「穴持たず」だったという。 惨劇をテーマに、作家の吉村昭が77年に小説「羆嵐(くまあらし)」を発表し、テレビドラマ化もされた。百回忌法要は、約40年前に事件を題材に地元に創設された郷土芸能「くま獅子舞」の保存会が主催した。会員の高齢化や後継者不足で2007年以降、くま獅子舞は上演されていないが、節目の年に「郷土の歴史を見直すきっかけにしたい」との思いも込めた。法要が行われたのは苫前市街から約25キロ離れた山あいの事件現場近くで、わらぶき小屋や巨大なヒグマを模型で再現した場所。森利男苫前町長(74)や保存会の川森光治会長(69)ら約30人が参列し、静かな雰囲気の中で焼香し、犠牲者を悼んだ。
(クマ出没予測:滋賀)
県は、今秋のツキノワグマの出没予測を発表した。一部の木のドングリが不作だったため、生息域付近の集落は出没する可能性があるが、昨年ほどの大量出没にはならないとしている。県自然環境保全課と県立大環境科学部が協力して、クマの生息域の中心となる湖北や高島地方のドングリの観察結果や聞き取り状況から予測。今年はブナの実が少なく、コナラも不作。山奥に分布するブナは特に実の付きが悪かった。ミズナラは例年並み。全体としては、不作だった昨年よりはドングリの実なりは上回っている。同課の担当者は「クマは夜行性のため、早朝、夕方の一人での外出は特に注意が必要。鈴を付けるなどして自分の存在を知らせながら行動してほしい」と呼び掛けている。県によると、昨年度は県内で百六十八件のクマの目撃情報があり、そのうち百十九件が十、十一月に集中。三人が重軽傷を負った。
(イノシシ猟体験ツアー:千葉)
鋸南町は、農作物に深刻な被害を与えているイノシシの急増を逆手に取り、若者らに狩猟に関心を持ってもらい、ハンターを増やそうという「狩猟エコツアー」を来月からスタートさせる。獣道のトレッキングからワナ猟の見学、解体やジビエ(野生鳥獣肉)料理のワークショップまで、地元猟師らが教える。自治体によるこうした取り組みは珍しいという。第1弾「けもの道トレッキング」は11月から3回。野生獣の生態や被害などの講義を専門家から受けた後、地元猟師の案内で山里を歩く。イノシシの足跡を追跡し、ワナ猟を見学したり、手伝ったりする。第2弾「解体ワークショップ・ジビエ料理」は12月から2回。シカなどの解体を学ぶほか、ジビエ料理のプロに手ほどきを受ける。南房総には元々、イノシシはいなかったが、稲を踏み倒されたり、野菜や球根などを掘り返されたりする被害が2002年頃から出始めた。同町の14年度の被害額は1134万円で、捕獲数は13年度は562頭、14年度は680頭にのぼった。白石治和町長は「増え過ぎた害獣は断固排除する。そのために狩猟技術を伝承し、山の神に感謝して獣肉をいただく。昔ながらの営みを、都会の若者らに知ってもらいたい」と話す。この新たな取り組みは、有害鳥獣対策に手を焼く県や環境省から、狩猟の担い手を確保する試みとして注目されている。9月下旬、習志野市の大学で開かれた同省の狩猟イベントでツアーのチラシを置いたところ、その場で11人が参加を申し込んだという。日程はトレッキングが11月3日、12月12日、1月11日で各20人を募集。参加費は弁当、保険などで1000円。解体・ジビエ料理は12月と1月の予定。
(クマ対策、県が冊子:石川)
県内で出没が相次いでいるツキノワグマについて、県は遭遇した際の対応や捕獲の手順をまとめたマニュアル冊子「里山周辺クマ対策マニュアル」(A4判42ページ)を作成した。
(イノシシの生け捕りにこだわる猟師:和歌山)
野生のイノシシをワナにかけて生きたまま捕獲し、血抜きの処理をする。通常のイノシシ猟は、銃で撃って息絶えてから血抜きするが、それでは血がまわって抜け切らず、臭みが残るためだ。「イノシシ肉は臭いというのは間違い。食肉処理と同時に血を出し切れば塩だけで食べることができる」。肉は高級食材としてフランス料理店などに卸している。生け捕りは命がけだ。ワナにかかった暴れるイノシシの首根っこをにぎり、瞬時に足をつかんでひもでくくる。生きたまま家に持ち帰るためだが、ワナから逃れたイノシシに激突されかけたことも。それでも生け捕りにこだわるのは、同じ食べるのなら、おいしく食べてほしいとの思いだ。「多くの人がジビエの本当の味を知らない。だから熟成肉がブームになる」。新鮮さへのこだわりは、直接販売しかしない姿勢にも表れている。「本物」の味を求める県内外の客がひっきりなしに訪れる。ガソリンスタンドを経営していた約40年前、客に誘われたのがきっかけで、イノシシ猟に魅せられた。しかし、重い鉄砲をかついでの猟は大変だと生け捕りを試みたところ、風味豊かな肉の味に驚いた。味への追求がはじまり、肉屋に肉の解体方法も学んだ。皮や血、骨は、ミカン畑の肥料にするなどして、全てを無駄なく使う。今年5月に胃がんが見つかり、胃を全摘出した。医者にはイノシシ猟を止められたが、「うちのイノシシ肉がよいという人がいる。弱った自分がどう捕るのか考えている」と話し、11月からの本格的な狩猟解禁を見据える。獣害に悩む農家からも「捕ってほしい」と懇願されている。「あと3年は頑張るよ」と孫と約束した。「最後まで猟師として生きる」。気力を振り絞りながら、力強く言い切る。
(シカと列車の衝突防ぎます:東京)
日鉄住金建材(東京都江東区)が野生のシカの生態研究から、列車との衝突を防ぐユニークな商品「ユクリッド」を開発し、発売した。あえてシカが飛び越えられるよう低くした防護柵「ユカエル」と、鉄分でシカをおびき寄せる固形塩「ユクル」を組み合わせたもの。年間約5000件発生するという衝突事故を大幅に削減できると自信をみせている。「シカが鉄分を摂取するため、線路に侵入しているという研究報告は世界中どこにもなかった」。広岡成則常務はこう言って商品化までの苦労を振り返る。シカはほかの野生生物に比べて鉄分が多い。レールと車輪の摩擦で発生する鉄粉を目当てに、防護柵に開いた穴を抜けたり、柵のない場所から回り込んだりして線路内に侵入していた。シカの生態を研究した商品開発センターの梶村典彦開発企画グループ長も「餌もないのに、なぜ線路に入ってくるのか不思議だった」と語る。北海道から京都まで大学や研究所に足を運び、専門家の意見を聞いて回ったが、「それぞれの専門の知見は分かっても、核心の理由は究明できなかった」(梶村グループ長)という。鉄分を摂取しに来る生態が「他の動物にはなく、シカだけ」(同)だったことも解決を難しくした。そうした中、シカがレールに沿って同じ場所を行ったり来たりしていることに着目。実際に鉄粉をまいて確認するなどして、開発着手から約1年後、ついに世界で初めてその生態を突き止めた。これを基に、塩に鉄分とシカが好むミネラル分を多めに混ぜたユクルを開発。岐阜県と北海道で実地試験を行ったところ、効果はてきめん。シカの生息地内に一定数を置くことでシカの鉄分を満たし、まずは線路まで来させないようにする。一方、防護柵の開発では「シカは下を向いて歩き、むやみやたらに飛び跳ねない。柵は低くても中に入ってこない」(同)という発見が生きた。危険を感じれば、柵も跳び越えて逃げるため、柵を既存品の約半分の約1メートルまで低くした。従来の高さでは侵入したシカが逃げられず、列車事故につながっていたためだ。さらに、柵を鉄道の盛り土の斜面に設置。柵の角度も平面に対し垂直にではなく、斜面に対して垂直にした。こうすることで線路のある盛り土の上からは飛び越えやすくなり、逆に下からは侵入しにくくなる。2013年から14年にかけ、岐阜県内で実証実験を行ったところ、侵入件数はその前の同じ月の半年間で171件が4件に激減。1年で3件あった鉄道事故はゼロになった。こうした成果を受け、本格的に営業を開始。「世界初の商品なのでどれくらい売れるか分からないが、行政も巻き込み、まずは認知度を上げていきたい」(広岡常務)と意気込んでいる。
(ジビエ処理、狩猟者の技磨く:和歌山)
全国の狩猟者や食肉流通業者らが、イノシシや鹿の止め刺し(殺処理)や解体の方法などを指導する「和歌山鳥獣保護管理捕獲協会」を発足し、今秋の狩猟期から本格的な活動を始める。ジビエ(野生鳥獣肉)の人気が高まる一方で狩猟者が自己流で放血や内蔵処理をしているケースがあるためで、初の全国規模の試み。特定非営利活動法人(NPO法人)日本ジビエ振興協議会の藤木徳彦代表は「野生動物は肉質にばらつきがあり、狩猟者の教育体制を整えなければ活用は広がらない」と意義を強調する。食材にジビエを扱うレストランが増える中で、ジビエに適した捕獲や解体、調理の方法が地域によってばらつきが多いのが課題だった。そこで全国でジビエの普及活動に励む狩猟者らが今春、協会を立ち上げ、狩猟期の11月(北海道は10月)から活動を本格化する。ジビエの衛生基準は、2014年11月に厚生労働省が全国初の統一ガイドラインを作成したが、農水省によると、ガイドラインを取り入れたジビエの加工施設は全国の7割にとどまる。そこで同協会はガイドラインを守り、しかも食味を損なわない狩猟方法のカリキュラムをつくって指導し、イノシシや鹿の捕獲から消費するまでのノウハウを伝授する。狩猟免許を取得する農家が増えてきたものの、「捕獲の方法が分からない」「どうやって肉に加工すればいいか分からない」という声は多く、需要は高いとみる。受講する狩猟者の状況に配慮し、講座も1日から数日間、数週間単位を用意。和歌山市の解体施設で、基礎編から能力に応じた講座まで幅広く実施する。指導料は1日コースは1人当たり1万5000円、2日コースは同2万8000円など。年間通して狩猟者200人程度を指導する計画だ。講師は主に、全国で食肉解体の指導に当たる和歌山市の北岡悟さん(57)が担う。「国のガイドラインができても、文言だけでは具体的にどうしたらいいか分からない。ジビエをブームで終わらせず、食文化として定着する仕組みをつくれば鳥獣害は減る」と希望を見いだす。同協会の会長を務め、同市でイノシシ.鹿肉の処理販売を手掛ける北浦順嗣さん(67)も「基本的な知識から、肉に加工して売り込む技術までを指導し、ジビエの可能性を広げ、農山村ビジネスにつなげたい」と意気込む。

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