<射撃ニュース6月>

6/30
(クマに襲われ男性けが:新潟)
29日午後1時半ごろ、糸魚川市小滝の山中で、杉林の下草刈り作業をしていた同市の無職男性(83)がクマに頭部をかまれるなどのけがを負った。糸魚川署によると、男性は車で山中に入り、1人で作業をしていた際、体長約1・2メートルのクマに背後から襲われ、頭部をかまれたほか、両手を引っかかれた。男性が持っていた鎌で反撃すると、クマは山中に逃げたという。男性は車で集落まで下り、通りかかった住民が119番通報した。現場は、集落から500~600メートルほど山中に入った地点。
(クマがニワトリを襲う被害:福島)
27日、福島市の養鶏場で、クマが養鶏場のニワトリを襲う被害があった。被害にあったのは、福島市松川町にある松川養鶏の養鶏場。きのうの午前8時半ごろ、養鶏場の金網が壊されて、飼っていたニワトリが死んでいるのを、職員が見つけた。壊された金網の近くには、クマの足跡があり、警察は、クマが金網を破ってニワトリを襲ったと見ている。県内では27日、福島市と喜多方市で、3件のクマの目撃情報が寄せられていて、警察が、注意を呼びかけている。
(宮島のシカ「謎の死」、原因は「人間が捨てたゴミ」か:広島)
年間およそ300万人の観光客が訪れるという宮島。そこで今、ある異変が起きています。観光地宮島のシンボルともいえるシカが、6月に入り、相次いで死亡しているのが見つかったというのです。6月初めから、住民が、路地や空き地に倒れているシカを相次いで発見したといいます。市の記録によると、シカの死骸が見つかるのは、年間平均50頭程度。廿日市市農林水産課の松井祥壮課長によると、6月の4日から15日の間に14頭が死亡しているとのこと。これは、かなり速いペースなのだといいます。シカの死亡原因が調査されましたが、感染症や傷を負うなど虐待された形跡もなかったのだといいます。では、いったいなぜなのでしょう。シカの生態に詳しい、広島フィールドミュージアムの金井塚務代表は、「ゴミを誤飲・誤食した為の餓死というケースが可能性としては高いのではないかと思います。口からも肛門からも排出できない構造になってますから、ゴミが溜まってくると、栄養不良になってくる」と話します。観光客から餌を貰うことに慣れている宮島のシカ。与えたお菓子を容器ごと食べている光景も、珍しくはありません。しかし、見つかった死骸の多くは損傷が激しく、解剖できたのは2頭だけです。廿日市市は、今後も調査を続ける予定です。
(「とらばさみ」小学校付近で見つかる:栃木)
狩猟で使用が禁止されている金属製のわな「とらばさみ」に右前足を挟まれた猫が26日までに、日光市文挟町で見つかった。今市署は動物愛護法や鳥獣保護法違反の疑いで捜査を進める一方、発見場所の近くには、落合東小や通学路もあることから、同校や近隣住民に注意を呼び掛けている。同署などによると、22日午後7時ごろ、同校付近を歩いていた男性から「足にわながかかった状態の猫がいる」と通報があった。とらばさみは直径15センチの鉄製。固定されていなかったため、いつ、どこで仕掛けられたかは不明という。2007年の鳥獣保護法改正で、狩猟目的のとらばさみ使用は全面禁止された。自治体の許可があれば、有害鳥獣の駆除などで使用できるが、同年以降、同市では一切許可していない。猫は、日本動物福祉協会栃木支部に引き渡された。体長約35センチ、体重4キロの若い雄で、動物病院で右前足の切断手術を受けた。同校は「学校周辺にとらばさみがあったという事例は今回が初めて。子どもたちには不審物に近付かないよう伝えるとともに、保護者にも注意を呼び掛けるプリントを出した」としている。
(クマ殺さず捕獲へ転換:三重)
三重県いなべ市で捕獲されたツキノワグマを県が無断で滋賀県多賀町に放した問題で、三重県は29日、クマを猟銃で殺処分するとしていた従来の対応を変更し、ワナなどで生け捕りにする方針を固めた。DNA鑑定で県が放したクマと多賀町で女性を襲ったクマが別であることが判明したためで、30日に岐阜県海津市で開く周辺自治体との協議で提案する。三重県は、クマを放した10日後に、過去10年間でクマの目撃情報が1件しかない多賀町で女性が襲われたことから、「放したクマが襲った可能性がある」などとして猟銃で殺処分することを決めていた。30日の会議には、県といなべ市のほか、クマが行き来しているとみられる岐阜県大垣市や養老町の担当者らが出席。三重県は、ワナによる捕獲を試みることや、クマに取り付けた発信器による位置確認を今後も一定期間、継続することなどを提案する考えだ。方針転換した理由について、県獣害対策課は「殺処分を決めた根拠の一つがなくなった。住民の安全を確保するにはワナによる捕獲が現実的だ。捕獲後の対応については今後、協議したい」と説明している。岐阜県自然環境保全課は、クマが山中にいることから、現時点で人に危害を加える可能性は低いとみており、「人家に近づくなど被害が及ぶ可能性が出れば、殺処分を含めた対応を考える」としている。
(放獣クマ対応“迷い道”:岐阜)
三重県が捕獲後に放したツキノワグマが先月末から養老山地に出没している問題が、新たな局面を迎えている。三重県が捕殺を前提に進めてきた対応をここに来て見直そうとしているためだ。1カ月余にわたり対応に追われてきた岐阜県や周辺自治体からは、発信器をクマに取り付けた三重県に対して主体的な対応を求める意見が上がる。一方、住民は事態を冷静に受け止め、身を守る取り組みが広がっている。「養老山地にクマはいない」と地元ではかねてから認識されてきた。そんな地域に突如、クマの存在が明らかになったのは先月28日。クマの発信器の電波を海津市内の山中で受信した。前日の27日には滋賀県内でクマに人が襲われており、不安が広がった。その後、電波をたどると、クマはこの間、岐阜、三重、滋賀の県境付近をうろうろするように移動し、養老山地を時計回りにほぼ2周した。多い日には約10キロ移動。大垣市上石津町がある養老山地の西側は傾斜が緩く、最長で4日間もほぼ同じ地点に居着いていることも分かった。捕獲活動は難航した。海津市猟友会の竹中孝道会長(71)は「今の時期は茂みが多いため、視界も限られている上、人けを感じ取ると、猛スピードで逃げていく」と難しさを口にする。クマが近付くと、養老公園(養老郡養老町)は一時、臨時閉園。海津市の県さぼう遊学館で予定されていたイベントも中止に追い込まれた。そんな中、今月23日、発信器を付けたクマは滋賀県で女性を襲ったクマとは別であることがDNA鑑定で新たに判明。関係自治体が今後の対応策を話し合ったが、発信器のクマが“シロ”と分かったこともあり、捕獲するのかどうか、位置観測を続けるのかどうか方針は定まらなかった。岐阜県の自治体は三重県に対し「より主体的に住民の不安除去に努めるべき」と要請、県関係者は「(三重県側が)むしろ発信器のせいで住民が不安になっている面もある、と発言していた。無責任すぎる」と厳しく指摘した。岐阜、三重両県の捕獲時の対応がばらばらであったことも、捕獲の難しさに拍車をかけた。今後、滋賀県を加えた3県で協議することが打ち出されているが、開催の見通しはまだ立っていない。一方で、地元では現状を受け入れた上での対策が進んでいる。県はクマの生態や遭遇しないための注意点をまとめ、海津市はこのデータを活用してチラシを作り来月の広報に折り込む予定。また同市では、山沿いの幼稚園と認定こども園計2園の園児や、小中学校5校の児童生徒の計1277人に「クマ鈴」の貸し出しを今月23日から始めた。大垣市上石津町でも南部の時地区を中心に、クマ鈴を配布したり登下校時に保護者が付き添ったりしている。時小学校PTA会長の藤田豊さん(42)=同町下山=は「森の中に入らないとか、外出時は単独行動を避けるなど、子どもたちの自己防衛意識は高く、クマの接近情報も冷静に受け止められている」と語る。岐阜大学野生動物管理学研究センターの森元萌弥特任助教(31)は「ツキノワグマ=(イコール)襲うという固定観念は間違い。入山時には音のするものを着用し、人が管理していない山際のクリや柿の木を切るなど、できる対策はたくさんある」と冷静な対応を呼び掛ける。
(畑でクマ2頭目撃:福島)
29日午後1時ごろ、西会津町の畑にクマがいる、と農作業中の女性から町役場を通じて喜多方署に通報があった。同署によると、畑にいたのは体長約1メートルのクマと、子グマの2頭。畑から南西の林に入っていったという。
(インター付近でクマ目撃:栃木)
今市署によると、28日午後2時20分ごろ、日光市平ケ崎の今市インターチェンジ下りランプ線上でクマ1頭が目撃された。負傷者はない。クマは体長約1メートル。車で通りかかった人が、北へ立ち去るのを目撃し、同署に通報した。
(国立公園にクマ3頭:秋田)
27日午後1時30分頃、小坂町の十和田八幡平国立公園内で、車で通りかかった鹿角市の男性(66)が親子とみられるクマ3頭が国道を横断して雑木林に入るのを目撃し、鹿角署十和田湖駐在所に通報した。鹿角署の発表によると、通報を受けた署員1人と町職員2人が現場に駆けつけたところ、子グマ2頭が樹上におり、親グマが根もと付近にいた。署員らは約15メートルの距離から、パトカーのサイレンや爆竹を鳴らしたが、親グマが子グマを見上げた格好のままで3頭は逃げようとしなかった。親グマは体長1メートル50、子グマは体長50センチほど。住宅街から約4キロ離れた国立公園内であることなどから、署員らは同日午後5時頃、現場を離れた。同署などは注意を呼びかけている。
(クマの目撃情報:長野)
6月25日(木)午前9時頃、西町区大坊天狗地籍で、県道を横切る子グマの目撃情報がありました。付近を移動される住民の方、河川を利用される住民の方は十分注意してください。
(専務理事に及川氏、クレー射撃協会)
日本クレー射撃協会は26日、東京都内で総会を開き、2012年から空席だった専務理事を及川悦郎総務委員長(65)が兼任することが報告された。
(「クマ肉出荷制限の一部解除を」マタギサミット:山形)
狩猟関係者が集い、中山間地の将来などについて考える「マタギサミット」のシンポジウムが27日、山形市の東北芸術工科大で開催され、約150人が参加した。同大東北文化研究センターが主催し、今回で26回目となる。同センターの田口洋美所長ら3人が講演。東京電力福島第一原発事故の影響で、県内のツキノワグマから規制値を超える放射性セシウムが検出され、クマ肉の出荷制限が続いていることなどが話し合われた。田口所長は、出荷制限について、汚染レベルの低い地域などで限定的に解除すべきであると提言。「出荷制限によって狩猟文化が衰退しているのが現状だ」と述べた。
(NPOが獣害対策白書まとめる:岐阜)
獣害対策に取り組む郡上市大和町のNPO法人「メタセコイアの森の仲間たち」が冊子「獣害対策白書」をまとめた。全国の自治体に独自の意識調査をし、結果をまとめた力作だ。獣害を克服するには何をすればいいのか。白書から、そのヒントが見えてくる。メタセコイアの森の仲間たちは二〇一二年から集落を対象に、獣害対策の支援を始めた。わな、おりを無償で貸し出し、使い方や捕獲の仕方を地元住民に説明する。野生動物がかかったら、メンバーが回収に出向く。現在は郡上市内の五カ所の集落を支援している。代表理事の興膳(こうぜん)健太さん(32)は、獣害に悩む農家の姿を目の当たりにしてきた。ある田んぼは、シカに稲の苗を食べられ、足跡だらけになっていた。イノシシに倒され、特有の臭いが付いてしまった収穫前の稲を見たこともある。だが、農家が効果的な対策を取るのは難しい。「捕獲には免許が必要で、危険も伴う。命を奪うことでもある。捕獲しなければと分かっていても、踏み出しにくい」と興膳さんは指摘する。現場は困っているのに、解決策がなかなか見つからない。興膳さんは、まず自治体の獣害対策の現状をしっかりと調べる必要があると考え、昨年十二月に全国の市区町村を対象に意識調査をした。調査には、獣害対策に関わる山梨県の「甲斐けもの社中」と新潟県の「新潟ワイルドライフリサーチ」、千葉県の「AMAC」の三団体も協力。六百十二の市区町村から回答を得て、A4判二十一ページの「獣害対策白書」にまとめた。主な内容として、獣害対策の費用対効果の検証を尋ねると、57%が「できていない」と回答。「検証の方法が確立していない」「労力と予算の不足」との理由が多かったという。「できている」と答えたのは30%で、無回答が13%あった。獣害対策の担い手育成に関する質問では60%が「できていない」とし、専門機関との連携も78%が「ない」と答えた。その上で、NPOなどの支援組織の必要性を問うと、67%が「必要だ」と回答した。特に防除や捕獲の支援を求める声が多かったという。意識調査の結果から浮き彫りになったのは、獣害対策の現場での支援と、対策の方向性を示せる専門機関の必要性だ。メタセコイアの森の仲間たちは、意識調査で協力した三団体と「ふるさとけものネットワーク」を結成。獣害対策を支援できる人材を育成しようと、各地で研修会の開催を計画している。興膳さんは「農家はお年寄りが多く、行政は人が少ない。機動力のあるNPOなどが動いて、やる気のある集落をどんどんサポートできるようにしたい」と力を込める。
(ヤギの食欲で里山整備:栃木)
佐野市閑馬上地区の住民で組織する「里山を守る会」(星野和雄(ほしのかずお)会長)がヤギやヒツジを放牧して除草を行う里山整備事業がことしも本格化し、地域一体の活動として広がりをみせている。鳥獣害対策の県モデル地区に指定された取り組みは、ことしで3年目。柵で囲んだ約60アールの山の斜面や、閑馬小の斜面などに放牧するヤギやヒツジは当初4頭だったが、現在は13頭に増えた。今月からは、子ヤギ2頭が同小で飼育されるなど、地域、学校、事業者一体の象徴となっている。雑草などを食べることで野生鳥獣の隠れ場所が減少。イノシシやシカなどによる農作物被害の減少につながったという。一方で課題も見えてきた。草が生えない冬季のえさやりに加え、予防接種などの健康管理に多額の費用がかかることだ。
(ミズバショウ食害深刻:石川)
小松市丸山町横谷にあるミズバショウの群生地(市指定文化財)が、イノシシの食害によって危機に瀕ひんしている。10年前には、約13万株が一面に広がっていたが、今年5月には約3390株に激減。市は、イノシシが嫌がる網などを使った対策の検討を始めた。小松市中心部から南東方向に車と徒歩で約2時間。標高880メートル、約1・2ヘクタールの湿地帯では貴重な植物が数多く自生し、2003年に市の文化財に指定された。かつては、5月になるとミズバショウの「仏炎苞ぶつえんほう」と呼ばれる白い花のような葉が一面に広がったが、現在、イノシシが土を掘り起こした跡が無残に広がる。イノシシによる食害が見つかったのは10年頃。サトイモ科のミズバショウは根が深いが、イノシシは土を掘り起こして根を食い荒らす。市が昨春行った調査で大規模な被害が確認され、今年5月に株数を数えたところ、約3390株に急減していた。市自然保護協会の中江実会長(73)は「あれほど美しかったのに、今では見る影もない。このままではミズバショウが全滅してしまう」と肩を落とす。市農林水産課によると、同市内で昨年度に捕獲されたイノシシは292頭で、03年の21頭から約14倍に増えた。イノシシは本来、積雪量が多い標高の高い場所には生息しないが、近年、積雪量が減ったことが湿地帯に進出してきた背景にあるとみられる。市は今年度、約200万円の予算を計上し、対策に乗り出した。当初、電気柵を周囲350メートルに設置する案を検討したが、山奥で管理が難しく、現実的ではないと判断。今月19日には、市の担当者とフェンスなどを製造販売する会社が現地調査を行った。イノシシは網目に足を取られることを嫌うため、現在、群生地の周辺に約4メートル幅で網を敷く手法などを検討している。業者の担当者は「柵だと設置や雪対策が大変だが、網を使えば費用も安く簡単にできる」と話す。市生涯学習課によると、同市布橋町のミズバショウの群生地も、かつて、イノシシの食害で株数が激減したことがある。ここでは11年に電気柵を設置し、群生は回復しつつあるという。同課の担当者は「早急に対策をとって被害を食い止めなければならない。元の美しい群生地を取り戻したい」と話している。
(ツキノワグマに遭遇したら…:三重)
三重県菰野町の御在所岳山上にある「ございしょ自然学校」で27日、NPO法人「三重県自然環境保全センター」の橋本幸彦学芸員が「今こそ知ろう!ツキノワグマとの付き合い方」と題し講演した。県がいなべ市で捕獲し滋賀県で放したことでツキノワグマに関心が集まる中で開いた緊急企画で、登山客ら約30人が熱心に聞き入った。橋本学芸員は、クマの生態を「基本的には人から遠ざかろうとする動物」と指摘し「まず、クマに出合わないようにすることが肝心」と強調。心がけとして「山に入るには鈴をつけたり、手をたたいたりして、人の存在を知らせて」と呼びかけ、遭遇した際は「目を合わさず、ゆっくり後ずさりするのが正しい対処法」と指導した。橋本学芸員によると、滋賀県境の鈴鹿山地では、岐阜県から三重県方面へ生息域が拡大しているという。原因は「狩猟者の減少や人が山に立ち入らなくなったことが要因」と推測している。
(捕獲ジビエ料理披露:熊本)
野生のイノシシ肉を使った「ジビエ」料理の商品開発に取り組む上天草市の食肉加工販売会社「宗政興産」の清田政憲社長(72)が29日、県庁を訪れ、蒲島知事にジビエ総菜を披露した。同社は毎年、天草地域で捕獲されたイノシシ700~800頭を自社工場でロースハムやベーコンなどに加工して商品化。2014年5月、ジビエ料理としては九州で初めて、6次産業化法に基づく事業計画の認定を受けた。ハンバーグやハムを試食した蒲島知事は「全くにおいがなく、おいしい」と絶賛。清田社長は「イノシシ肉は低カロリーで高たんぱく。一般家庭や学校給食でも消費が広がってほしい」と話した。イノシシなど有害鳥獣による農作物被害は、天草地域だけで年間3000万円以上に上っており、知事は「消費が広がることで農作物被害も抑えられるはず」と期待を込めた。

TOPへ

6/26
(山林でクマ2頭と遭遇、山菜採りの男性けが:福島)
24日午前10時40分ごろ、只見町黒谷字玉島の山林で、同町の男性(75)がクマに襲われた。南会津署によると、男性は自力で下山し、病院で手当てを受けた。頭などを引っかかれ軽傷という。同署によると、男性は山菜採りのため1人で山林に入ったところ、体長1メートルと0.5メートルのクマ2頭と遭遇、うち1頭に襲われた。
(温泉近くにクマ:宮城)
24日午後3時ごろ、大崎市三本木坂本青山の坂本運動場付近で、体長約70センチのクマ1頭が歩いているのを近所の人が見つけ、110番した。現場はひまわり温泉花おりの湯の南西約100メートル。民家も多く、古川署は警戒を呼び掛けている。
(相次ぐクマ目撃情報に警戒:広島)
東広島市では、今月、クマの目撃情報が相次ぎ小学校では、児童の登下校に警戒を強めている。半径2、3キロ圏内に集中しているが同じクマかどうかは分からないという。東広島市は、山に入るとき鈴やラジオの音を出すなど十分注意してほしいと呼び掛けている。
(サル出没、被害注意:岩手)
久慈市内で野生のサルの目撃情報が相次いでいる。24日は午前5時40分ごろ、中心部の川崎町にサルが出現。23日には長内町の住宅地などで2度の目撃情報が寄せられた。現時点では人や農作物に被害は出ていないが、市はサルを刺激しないよう呼び掛けている。市林業水産課によると、本年度の目撃情報は4件(昨年同期ゼロ)。内訳は1件が4月上旬で、残り3件がこの2日間のものだ。24日は川崎大橋付近を市文化会館方面に歩くサルを通行人が発見し、市に通報した。いずれの目撃情報も成獣1匹で、体格などから市は同じサルの可能性があるとみている。市によると、市内では数年ほど前からサルが時々見かけられるようになったという。同課の中沢勝己係長は「サルから攻撃をすることもないので、むやみに近づいたり餌を与えたりしないようにしてほしい」としている。
(登別市が昨年度のエゾシカ駆除頭数過去最高に:北海道)
登別市は毎年、農林業被害などを及ぼす有害鳥獣の駆除を進めているが、2014年度(平成26年度)はエゾシカの駆除頭数が過去最高となる191頭を記録した。被害範囲は全市的に広がるほか、交通事故も50件近く発生している。アライグマも100頭を超え減少傾向が見られず、対策に苦慮している。市農林水産グループによると、エゾシカの市内の生息数は不明だが、道などと共同で秋に実施しているライトセンサス調査では「増加している」と推測されている。市内でも頻繁に見られるようになったのは「ここ10年ほど」という。市がまとめた直近7年間の駆除実績では、08~11年度までは2桁で推移していたが、12年度からは3桁の状況が続いており、14年度は過去最高を更新した。農業被害も深刻だ。最新統計となる13年度の農業被害額は約700万円に上り、被害の中心はデントコーンや牧草などの食害という。このほかにも家庭の菜園や花壇を荒らす被害もあるという。増加傾向を受け、市は道猟友会室蘭支部と連携し12年度から、1~3月の毎週日曜日に大規模捕獲を展開し駆除の取り組みを本格化させ、主に幌別ダム周辺や若草地区の山側、中登別町を対象に進めている。銃器で駆除しているため、対策に難しさもはらむ。中でも家畜がいる農家で出没が多くなり、捕獲は困難。さらに、代表的観光地の地獄谷周辺でもエゾシカによる食害が問題となっており、関係者は頭を悩ませる。一方、アライグマの駆除数も多い。近年は100頭前後で推移し「減少が見られない」。こちらは箱わなによる駆除だが、被害が多い春には、毎日のように駆除依頼が市民から寄せられ、わなが足りない状況が続いているという。市の苫米地真一総括主幹は「最近はシカを追い込む勢子(せこ)を多めに配置するなど、工夫して対策に当たっています。今後は捕獲エリアの拡大などを猟友会と協議し、対策に当たっていきたい」と話している。
(ニホンジカ把握にドローン:岩手)
有害獣とされるニホンジカの生息状況調査に小型無人飛行機「ドローン」の導入を模索する動きがある。23日は、県内外の鳥獣保護・管理関係者が花巻市大迫町の市営宇瀬水(うせみず)牧野で小型カメラを搭載したドローンを実際に飛ばし、性能や活用の可能性を探った。関係者によると、有害鳥獣の生息数は目視や捕獲頭数を計算式に当てはめて算出している。ドローン導入は、できるだけ正確な生息数を把握し、生態系の保護・管理に役立てるのが目的だ。大日本猟友会の佐々木洋平会長(一関市)が呼び掛け、県内の猟友会や県、環境省、農林水産省の職員ら約30人が同日の「実験」に参加。ドローンで撮影した動画の編集などを手掛けている盛岡市の印刷・デザイン業東北エヌティエス(佐々木政聡代表取締役)が協力してドローンを操作し、放牧中の牛にどの程度近づけばドローンに気付くかや、地上30~100メートルからの見晴らしなどを確認した。
(クマ接近で養老公園閉鎖:岐阜)
三重県が捕獲したツキノワグマを滋賀県に連絡せずに県境で放した問題で、岐阜県は25日、県営養老公園の近くにクマがいる可能性があるとして、臨時閉園した。県によると、クマに付けた発信器からの電波で、午前7時に公園管理事務所から南に約2・5キロの山中にいるのを確認。このため午前9時の予定だった開園を取りやめた。今後は電波を2時間おきに確認し、クマが管理事務所から4キロ以上離れていると確認できれば開園する。
(子どもにクマよけ鈴貸与:岐阜)
三重県が放したツキノワグマが近づく恐れがあるとして、岐阜県海津市教育委員会は24日、山麓(さんろく)に近い幼稚園や小中学校などに通う子ども1277人にクマよけの鈴を貸与したと発表した。海津市は三重県がクマを捕獲した同県いなべ市と隣接している。クマには発信器が取り付けられており、両県境の山中を行き来していることが確認されている。鈴の貸与は、海津市南濃地区の幼稚園、認定こども園、小中学校が対象。直径約3センチで、ひもの先に金具がつけられ、ランドセルやベルトに引っかけて使用する。1個572円。市はこれまで保護者に登下校時の送迎を要請するなどの対策を取ってきたが、負担軽減の一環として貸与を決めた。横井信雄教育長は「これで安全が担保できたわけではないので、地域の皆さんの見守り活動の継続もお願いしたい」と話している。
(ツキノワグマの生息状況調査へ:滋賀)
多賀町で女性を襲ったクマと、三重県が滋賀県内で放獣したクマは別個体だったことが分かった二十三日、三日月大造知事はクマの生息調査について対象範囲を広げるなどして安全管理に努める考えを示した。同日の定例会見で三日月知事は、三重側が実施したDNA鑑定結果には言及せず、目撃例が珍しい多賀町でクマが人を襲ったことを問題視。山中に設置する監視カメラで生息状況を確認するなど九月まで調査をして結果を公表するとした。県によると、多賀町での目撃情報は二〇一三年に一件あって以降なく、町と協力して警戒も続ける方針。捕獲した場合の対応については「それぞれの地域に取り決めがあり、県として判断する」と述べた。県は人への危険性が極めて高い状況などを除き原則、殺処分しないと規定している。
(放獣クマ、捕殺か否か:岐阜)
三重県がいなべ市で捕獲後、隣接する滋賀県多賀町に無断で放したツキノワグマの対応をめぐり、岐阜と三重両県の関係自治体で二十四日に開かれた協議。多賀町で女性を襲ったクマとは別個体だと判明してなお、捕殺すべきかどうか。住民の安全確保との両立に悩む出席者の間で、意見はまとまらなかった。三重県は二十三日、先月十七日に多賀町で放したクマと、十日後に同町で八十八歳の女性に重傷を負わせたクマが別個体だったとのDNA検査の結果を発表。出席者からは「クマがいる状況に変わりはなく、住民不安を取り除くため捕獲してほしい」との意見が大半を占めたという。ただ、過去二回、銃による捕殺を試みながら、クマが見つかっておらず、「銃で殺すことにこだわらず、おりによる捕獲も考えないといけない」と、別の方法も提案された。クマに対する知識を住民が身に付けることも、不安解消には必要との声もあった。参加した自治体間でも反応は割れた。保護者による児童生徒の送り迎えを実施した海津市の担当者は取材に「クマがいる事実は変わりなく、基本的には殺処分してほしい」と話す。一方、「検討中」と答えたのは三重県いなべ市の担当者。クマの行動パターンを見て、自ら人には近寄らないのではと推測する。クマは二十四日午後五時半時点で、養老町の山中で確認されている。次回の協議日程は決まっておらず、三重県などはその間、クマの行動確認を続ける。
(官邸ドローン、被告を火薬類取締法違反で追起訴:東京)
首相官邸の屋上に小型無人機「ドローン」が侵入した事件で、東京地検は24日、威力業務妨害罪で起訴されている無職山本泰雄被告(40)(福井県小浜市)を火薬類取締法違反(無許可製造)で東京地裁に追起訴した。同法違反(所持)容疑と、自宅で所持していた散弾銃の使用状況に関する銃刀法違反(虚偽記載)容疑は、不起訴(起訴猶予)とした。発表によると、山本被告は今年3月下旬~4月7日頃、ドローンに取り付けた発炎筒2本のうち1本について、遠隔操作で電気着火できる状態に無許可で改造したとしている。
(鳥獣から農作物守れ、捕獲隊出陣式:茨城)
イノシシなど野生の鳥獣から農作物などを守るため、那珂市で「有害鳥獣捕獲隊」(沼田三次隊長)が発足した。9月17日までの3カ月間、市内の常磐自動車道北側の山林に「くくりわな」を仕掛け、朝のパトロールや日中の捕獲活動を実施する。市農政課は「わな設置場所の樹木などには標識を設置しているが、実施期間中は、事故防止のため山林への立入りは控えてほしい」と話している。17日には、同市福田の市役所で有害鳥獣捕獲隊の出陣式が行われた。同隊は県猟友会那珂支部の会員18人で構成され、同市と委託契約を締結。鳥獣被害軽減や捕獲の担い手の育成に取り組む。出陣式の後、沼田隊長と県鳥獣保護員の石川近光さん、隊員の中島久男さんらは早速、同市戸崎の山林にわなを仕掛けた。中島さんは「近くに畑があり、手入れをせずにやぶになっている場所が、イノシシの通り道になっている。昨年度は6カ月間で53頭捕獲した。農作物の被害防止に協力したい」と話した。市農政課によると、猟友会員の高齢化や東京電力福島第1原発事故によるイノシシ肉の出荷制限の影響などから、市内ではイノシシの頭数が年々増加しているという。イノシシの捕獲数も2010年度が20頭、11年度23頭、12年度86頭、13年度131頭、14年度は142頭に上っている。沼田隊長は「農作物の被害金額は小さくとも、農家の気持ちを考えると被害は大きい。市民の安心安全のために駆除に貢献できるように頑張っていきたい」と抱負を述べた。海野徹市長は「イノシシの頭数が増え、農作物の被害だけにとどまらず、人間に対しての危険性も高まっている。けがに注意して活動してほしい」と期待を込めた。
(お寺で獣害防護柵が完成:奈良)
彼岸花の名所だが、球根がイノシシに掘り返されるなどして花が全滅状態になっていた宇陀市榛原赤埴の佛隆寺で、球根や花を守る獣害防護柵が完成した。佛隆寺は平安時代(9世紀)の創建。空海が唐から持ち帰った茶を栽培した、大和茶発祥の地とされる古刹で、山門に続く197段(約90メートル)の石段の参道沿いに咲き誇る彼岸花でも知られていた。ところが、数年前からシカやイノシシが周辺に出没。シカが彼岸花の新芽を食べ、イノシシが餌を求めて参道沿いを掘り返したため、球根が露出し、一昨年には彼岸花が全滅。花が咲く光景が見られなくなった。このため、地元の要請を受けた市が獣害防護柵を設置。柵は鉄製で長さ約380メートル、高さ約1・9メートル。石段の参道を囲むように設置され、夜間は2カ所の扉を閉める。今月13日には地元や市観光協会関係者らボランティア約30人が、県内外の人から贈られた彼岸花の球根約4500個を参道沿いに植えた。球根は今後も植える予定で、今秋には花が咲く可能性があるという。佛隆寺の鈴木隆明住職(77)は「大変ありがたい。花が咲くのを楽しみにしています」と話していた。
(シカ食害被害乗り越え「あじさいまつり」:兵庫)
兵庫県猪名川町の大野山(753メートル)山頂付近で、アジサイが見ごろを迎えている。シカの食害で花数は例年より少ない。来月4、5日の「あじさいまつり」も、一時は開催が危ぶまれたほど。大野山のアジサイは、柏原生産森林組合と地元自治会などが1992年から植えた。3ヘクタールの斜面に約50種、1万6千株がある。数年前からシカの食害が出始め、全域にわたって電気柵を設置した。今年は効果が上がらず、春に出た新芽が食べられ、花数は例年の2割ほどという。

TOPへ

6/24
(三重県が放したクマ、滋賀で女性襲ったクマとは別)
三重県いなべ市で捕獲されたツキノワグマを県職員が滋賀県内に連絡せずに放し、10日後に滋賀県多賀町で女性がクマに襲われた問題で、三重県は23日、DNA鑑定の結果、2頭は別々のクマだと発表した。三重県はこれまで「放獣したクマが襲った可能性がある」としてクマを捕殺する方針だったが、改めて24日に関係自治体と対応を協議する。クマは5月17日、いなべ市北勢町の山中で、イノシシ用のおりに誤捕獲された。三重県職員は発信器をつけ、14キロ西の多賀町の山中に滋賀県の許可を得ないままクマを放した。その6キロ南西で5月27日、女性(88)がクマに襲われて大けがをした。三重県は、放獣したクマの血液と、女性が襲われた場所に落ちていたクマの体毛を使って、2頭が同じクマかどうかを確認するためにDNA鑑定を依頼した。国立研究開発法人・森林総合研究所の鑑定結果によると、二つの個体は遺伝子型が異なり、別個体と判明した。放獣したクマは5月28日以降、いなべ市と岐阜県海津市、養老町、大垣市にまたがる南北約15キロ、東西約5キロの山中を行き来している。6月23日午前9時現在、最初に捕獲された場所から北西約2キロのいなべ市北勢町川原の山中にいる。三重県は24日、各市町と協議して今後の方針を決める。鑑定の結果、放獣したクマは、滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山地にいる「白山奥美濃個体群」のDNA型だった。女性を襲ったクマについては遺伝子型が違うことは判明したが、詳細はわからなかった。
(クマ生息調査、監視カメラ使い9月まで:三重)
多賀町で女性を襲ったクマと、三重県が滋賀県内で放獣したクマは別個体だったことが分かった二十三日、三日月大造知事はクマの生息調査について対象範囲を広げるなどして安全管理に努める考えを示した。同日の定例会見で三日月知事は、三重側が実施したDNA鑑定結果には言及せず、目撃例が珍しい多賀町でクマが人を襲ったことを問題視。山中に設置する監視カメラで生息状況を確認するなど九月まで調査をして結果を公表するとした。県によると、多賀町での目撃情報は二〇一三年に一件あって以降なく、町と協力して警戒も続ける方針。捕獲した場合の対応については「それぞれの地域に取り決めがあり、県として判断する」と述べた。県は人への危険性が極めて高い状況などを除き原則、殺処分しないと規定している。
(捕獲のクマを放獣、23日以降:三重)
三重県は、津市白山町川口の山中で19日に捕獲したオスのツキノワグマを23日以降、同町の山奥に放すと決めた。22日に津市と地元自治会の代表と協議し、このクマが人里で頻繁に目撃されておらず、ヒトに危害を加える恐れは少ないと判断した。集落から2キロほど離れた地点で放ち、クマに取り付ける発信機で行動の確認を続ける。クマは19日、イノシシ用のおりに誤って入った。県は先月17日に同県いなべ市で捕獲したツキノワグマを、隣接する滋賀県多賀町に無断で放した問題を受け、捕獲時のマニュアルの見直しを進めており、対応を慎重に検討していた。ツキノワグマは県の希少野生動植物種に指定され、誤って捕獲された場合は原則、放獣する決まりとなっている。ただ、いなべ市で捕獲したクマは放獣後、岐阜県内にも出没し、住民の不安が高いとして、三重県は捕殺する方針を決めている。
(猛禽類の鉛中毒、各地で発生:北海道)
ライフル銃や散弾銃の鉛製弾丸を口にして起こるオオワシなど猛禽類の鉛中毒が、使用が禁止された後の北海道で依然として多発、規制がない本州や四国でも発生している可能性が高いことが、北海道大や猛禽類医学研究所(釧路市、斉藤慶輔代表)などの研究グループによる23日までの調査で明らかになった。絶滅の危機にある猛禽類の新たな脅威となる恐れがあり、グループは「全国レベルでの鉛弾使用禁止を早急に実施すべき」と訴えている。調査結果は24日から札幌市で開かれる環境化学討論会で発表する。鉛中毒は、銃弾が残ったシカなどの肉を猛禽類が食べ、銃弾を体内に取り込むことなどで起こる。
(ニホンジカ捕獲、餌でおびき出す手法導入へ:長野)
ニホンジカが生息域を広げつつある北アルプス山麓地域などで、県や環境省は今年度、餌によってニホンジカを捕獲場所へ誘導して捕獲する「誘因捕獲」の手法を導入することを決めた。中部山岳国立公園周縁の高標高地帯で捕獲を行う県は、主に猟銃での捕獲を想定し、同公園内で捕獲する環境省は捕獲手段を検討中だ。県鳥獣対策・ジビエ振興室は「北ア山麓ではまだ生息密度が低いため、効率的な捕獲が困難な状況にある。そこで複数のニホンジカを特定の場所におびき出すことによって、より多くの頭数の捕獲を図りたい」と期待している。こうした捕獲手法の導入は、5月29日に施行された改正鳥獣保護法に伴い、これまで市町村が行ってきた野生鳥獣の捕獲事業に、都道府県も実施できる仕組みが規定されたことによる。「認定鳥獣捕獲等事業者制度」が創設され、一定基準を満たした法人事業者を知事が認定し、捕獲事業を行うことが可能になったためだ。県はこれまでのニホンジカの管理計画で、生息頭数の増加に歯止めをかけることを目的としたメスジカの捕獲目標を達成できなかったことから、今年度の捕獲目標を当初予定していた2万7千頭から4万頭に大幅に拡大。このうち同制度による捕獲は5千頭を目標に掲げている。県が同制度の中で実施する「シャープシューティング」と呼ばれる高度な捕獲技術は、餌でニホンジカの群れを狙撃しやすい場所に誘導して一斉に補殺する方法。世界遺産の知床半島や富士山麓などで行われ、高い効果が実証されているという。今年度は同技術の実証事業に300万円を計上し、北ア山麓地域を含む地域で秋から冬にかけての実施を計画している。また、環境省は同公園内へのニホンジカの定着化が報告されていることから、誘因捕獲の手法の検討に着手。鹿島槍ケ岳から針ノ木岳地域などでの実施を視野に入れ、地元猟友会などと連携して試験的な捕獲を検討する。同省松本自然環境事務所の西尾治自然保護官は「高山植物がシカの食害で壊滅状態になった南アルプスを教訓に、捕獲圧力を高めていく必要がある」と話す。いずれも安曇野市内で18日に開かれた平成27年度北アルプス山麓ニホンジカ対策連絡会議の中で、県と環境省が明らかにした。また、県は会議の席上、北ア山麓におけるニホンジカ捕獲に向けた保護管理対策基本方針を今年度、検討し、28年度から始まるニホンジカの特定鳥獣管理計画に位置付ける方針を示した。
(女性も狩猟に関心持てる場に:岩手)
女性に狩猟への興味関心を持ってもらおうと、県南広域振興局(堀江淳局長)は21日、奥州市江刺区のホテルで初めてのイベント「『狩りガール』に学ぶ!女子会」を開いた。狩猟者の減少や高齢化を受け、女性ハンターの裾野を広げようと企画。参加者の反応は上々で、こうしたきっかけを生かして仲間を増やし、深刻化する鳥獣被害の軽減を目指す。応募した同市や一関市の女性26人が参加。岩手野生動物研究所の西千秋代表(34)が講義し、江刺猟友会員の小原千春さん(40)、同振興局農村整備室の鹿島佳子さん(32)によるトークセッションも行われた。小原さんは、猟友会員減少を伝える新聞記事をきっかけに狩猟免許を取得。会社勤めをしながら出猟し「初めは動物がかわいそうだと思ったが、農業被害を考えると狩猟は必要。命を頂くことに感謝し、女性が参加することで地域や猟友会が活気づく」と語った。猟をする際の装備や心構えのほか、香りに敏感なシカに気付かれないよう当日は化粧や髪のトリートメントをしないなど、女性ならではの話題もあった。
(イノシシから島を守る、捕獲技術講座開かれる:愛媛)
イノシシから島を守るためにはさらなる技術が必要。イノシシによる農作物への被害が拡大している松山市の中島で狩猟免許を取ったばかりの農家を対象した捕獲技術講座が開かれた。松山市中島で開かれた「有害鳥獣捕獲技術向上講座」には狩猟免許を取ったばかりの農家などおよそ50人が参加した。講座ではイノシシ駆除のための電気を流す槍の使い方が紹介され、槍を使う際にはゴム手袋と長靴を着用することや刃先をイノシシに突き刺すと同時に電流のスイッチを入れることなどが指導された。昨年度、中島本島では830頭のイノシシが捕獲されていて、去年1年間の農作物への被害額はおよそ2600万円に上るという。現在、中島ではおよそ100人が狩猟免許を取っていて、県では引き続き捕獲方法だけではなく食肉としての活用を見据えた解体方法などを指導することにしている。
(鹿肉加工事業が順調:長野)
地元の猟友会員が捕獲したニホンジカやイノシシの精肉加工を手掛ける信州富士見高原ファーム(戸井口裕代表)が、事業を始めて約7カ月。県外飲食店からの引き合いのほか、今月から県内イオンで県産鹿肉の販売を始めたのを追い風に、生産、出荷が軌道に乗りつつある。同社は地元の人たちにも味わってほしいと加工場(富士見町松目)での直売も始めた。駆除後に埋め立て処分していた鹿やイノシシを食肉にして町の特産化を目指そうと、町猟友会の有志が起こした事業。国の6次産業化「総合化事業計画」の認定と交付金を受け、町と同ファームの出資で昨年11月から始めた。先月15日には、県と信州ジビエ研究会から県下で3カ所目となる「信州産シカ肉認定処理施設」の認証も取得。イオンへ精肉を供給している。今月までに鹿約100頭分の加工を手掛け、特に先月からは約1カ月半で45頭と急増。当初計画の3倍になった。鹿の活動が活発な時期でもあり、同社は「わなの数を増やすなど猟友会員の協力のおかげ」と感謝する。商品化に際しては肉質の高さにこだわり、ほぼ全頭、わなで捕獲したものを使用。ロースやモモ、芯玉(太ももの一部)など部位ごと5種類の商品にしている。多い日は1日に5頭、約35キロ分の精肉加工をするが、イオンでの販売数には追いつかず、品不足になりそうな勢いという。加工場での直売は1キロ当たりバラ肉2200円から提供。精肉以外にも、県内の養豚場と連携して鹿肉ソーセージの商品開発、革や角の卸販売を試験的に始めるなど幅広く取り組んでいる。同社の戸井口裕貴さんは、「農業被害を減らし、捕殺後の肉を無駄にしないようにするのが目標。地域の人たちにも今が旬の鹿肉を味わってもらい、販路の拡大につながれば」と話している。

TOPへ

6/22
(林道を散歩中の男性、クマに襲われ大けが:石川)
20日正午頃、石川県小松市大野町の山道を散歩していた同市内の60歳代男性がクマ2頭に襲われた。男性は顔面や左腕をひっかかれるなどして重傷。小松署や小松市農林水産課の発表によると、現場は同市立金野小学校の東約500メートルの山道。男性は1人で散歩に来ていたといい、自力で自宅に帰って家族が119番した。同署などは周辺をパトロールして住民に注意を呼びかけており、21日も警戒を続ける。同市によると、市内でのクマの目撃情報は今年4月以降4件目。
(駐車場でクマに襲われ男性ケガ:群馬)
群馬県沼田市で男性(69)がクマに襲われ、頭や目などにケガをした。警察によると、19日午後7時頃、沼田市利根町で「男性がクマに襲われて顔をケガしている」と通報があった。ケガをしたのは群馬県みどり市に住む男性で、沼田市で釣りをして帰る途中に駐車場で襲われたということで、頭や右目、左手などにケガをしたが、命に別条はないという。付近では16日にも別の男性がクマに襲われていて、警察は注意を呼びかけている。
(ツキノワグマ捕獲:三重)
19日午後4時40分ごろ、津市白山町川口の山林に設置されたイノシシ捕獲用のおりにツキノワグマ1頭が入っていると、津市を通じて三重県津農林水産事務所へ通報があった。県では、いなべ市で捕獲されたクマを滋賀県多賀町で放獣後、滋賀県側に連絡しなかった問題を受け、今月末をめどにクマ捕獲時の対応マニュアルの見直しを進めていた。担当者は「見直し作業の途中で再びクマが捕獲され、対応については未定。地元の津市と十分に協議したい」と話した。県によると、今回見つかったクマは体長1・5メートルの成獣。興奮状態にあるため19日は作業を見送り、20日にクマを麻酔銃で眠らせた上で、強度の高いおりに移し替えて安全を確保するという。
(イノシシ、シカ捕獲数が過去最多:栃木)
県農政部は19日の県議会農林環境常任委員会で、2014年度の野生鳥獣による農作物被害額が、前年度比20%増の3億5400万円と2年ぶりに増加したと明らかにした。7割以上がイノシシなど獣類による被害で、餌となるドングリなど山の木の実が不作だったことが要因の一つとみられる。一方、県環境森林部は同日、同委員会で14年度の県内のイノシシ捕獲数が1万3010頭、シカ捕獲数が6606頭といずれも記録が残る1956年度以降で最多となったと発表した。過去最多の捕獲数となったイノシシは、1月時点で県が予測した10年後の頭数が13年度末に比べ2倍以上の7万9千頭に増加することから、将来の頭数抑制に一歩前進した。14年度のイノシシの捕獲数は前年度より2倍以上増加し、年間8千頭の捕獲目標を大幅に上回った。好物であるドングリなどの不作で、山林から里の近くまで下りてきたことにより餌を用いた箱わな猟で捕獲しやすくなったことが要因の一つとみられる。シカは捕獲報奨金制度が12年度から拡充された日光市で捕獲数が増加。同市の捕獲数が全体の6割を占めた。14年度のクマ捕獲数は101頭、サル捕獲数は1070頭と、いずれも前年度より2倍以上増加した。
(クマ殺処分反対の市長、県のマニュアル案に注文:三重)
三重県がいなべ市で捕獲したツキノワグマを滋賀県多賀町の山中に無断で放した問題で、クマを殺処分するという県の方針に抗議している伊賀市の岡本栄市長は19日、県内の市町に意見を求め、県が策定を進めているツキノワグマ捕獲の対応マニュアルについて、「保護に重点を置いた改正としていただきたい」とする意見を、鈴木英敬知事あてに回答した。従来、鹿やイノシシも含んでいたが、新たなマニュアルは、ツキノワグマに特化。策定に際し県は、ツキノワグマが出没する恐れが小さい木曽岬、朝日、川越、東員の4町を除く県内市町にマニュアル案を示し、意見を求めている。同案では、檻(おり)で捕獲した際も、人身被害が想定されたり、住民の不安の声が多かったりして、放獣が妥当でないとされる場合には、殺処分とする内容が盛り込まれている。岡本市長は取材に「保護が前提になっていない。最後は殺すということではいけない」などと批判した。
(サル対策成果、「囲いわな」で65頭捕獲:長野)
サルによる農作物被害の対策を強化した伊那市は昨年度、159頭を捕獲したことが、市のまとめで分かった。前年度を12頭上回り、中でも横山に設置した囲いわなでは65頭を捕獲。新たに高遠町山室にも同様のわなを設けており、追い払いなどと合わせ、さらなる被害防止への期待を掛けている。市によると、サルによる農作物被害はニホンジカに次いで多く、昨年度の被害は果樹や野菜を中心に38.1トン。被害額は390万円余に上る。運動能力や学習能力が高いため柵などは効果が少なく、「自衛をあきらめて生産意欲をなくしてしまう農家が少なくない」(市農政課)という。こうした状況に対応するため、市は昨年度から対策を強化。前年度に横山に設置した高性能の囲いわなの稼働を本格化させたほか、同様のわなを高遠町山室に設置。長谷には捕獲おりを19基配置した。囲いわなは10メートル四方、高さ3メートルほどの大きさで、上部内側はサルが滑って出られないよう、鉄板をすり鉢上に据えつけているのが特徴。横山のわなには79頭が入り、うち14頭には逃げられたが、65頭の捕獲に成功した。山室のわなはより逃げられにくい構造に改良したという。昨年度はさらに、発信機を取り付けたサルを山に放ち、群れが民家などに近付くと接近を知らせる警報システムも導入。西春近で群れの異なる3頭に発信機を取り付けたといい、こちらも今年度の本格運用を予定している。市は「新たな取り組みが機能すれば、大きな成果が期待できる。近隣市町村とも連携して被害を減らしたい」としている。
(シカのフン害:京都)
児童科学館やスポーツ施設が集まる福知山市猪崎、三段池公園内にある全面芝生張りの大はらっぱ(面積4・3ヘクタール)にシカのフンがたくさん落ちていて、管理する市都市緑化協会が対応に苦慮している。大はらっぱは、天気が良い平日や土、日曜日を中心に多くの利用があり、家族連れらがビニールシートを敷いて弁当を広げる憩いの場。近くには子どもが遊具で遊べるわんぱく広場もあり、人気スポットとなっている。緑化協会によると、シカのフンが目立ち始めたのは今年4月初めからだという。5月連休ぐらいまでは特に多く、職員が清掃しているものの、「取っても取っても完全には拾い切れない」状況だったという。ピーク時に比べると最近はやや減ってきたが、6月上旬に訪れた利用者は「至るところに落ちていて、座る場所を探すのも一苦労でした」と話していた。同じ三段池公園内では、市植物園が花を食い荒らすシカの被害を防ごうと、今年4月に園に柵を設置したばかり。しかし、動物園に向かう通路にある市民の花壇などは被害を受けているほか、近隣の田畑の被害も深刻だという。緑化協会では看板を設置し、利用者に注意を促しているが、「夜間に入っていると思いますが、植物園のように柵で囲うことはできません。気が付いたら職員が清掃するしかない」と話している。 
(マグロ網でイノシシ撃退:石川)
北陸随一のミズバショウの群生地、小松市丸山町のミズバショウがイノシシの食害で激減した問題で、市職員や市自然保護協会員らが19日、現地で対策を検討し、イノシシの侵入を防ぐため群生地の周りに網を地面に敷く方針を固めた。
網はマグロ養殖で使われているものを活用。六角形の格子状で、イノシシが上に乗ると編み目がひづめの間に挟まるため近づかなくなるという。計画では群生地の周囲に四メートルほどの幅で地面に敷いて侵入を防ぐ。素材はポリエステル系の合成繊維のため腐りにくい。海中に設置する網として六十年以上使え、耐久力があるという。これまで市は、電気柵などでの対策を検討していた。しかし群生地が標高八八〇メートルにあり、歩いて片道三十分ほどかかるため、設置作業や維持管理、ミズバショウの観賞のしやすさを重視して柵の設置でなく、網を敷く方針にした。市は、本年度予算に二百万円の対策費を計上しており、設置業者の入札を経て秋までに対策を講じる方針。群生地は「横谷のミズバショウ」と呼ばれている。五月に実施した市の現地調査で、ミズバショウの株数が十三万株から一割未満の三千三百株ほどに激減していることが分かり、対策を協議していた。
(クマの生態、中学生に講:栃木)
本県に生息するツキノワグマの生態を理解して身を守ってもらおうと、県は19日、久次良町の日光中で「クマレクチャー」を行った。宇都宮大農学部研究員で鳥獣管理士の竹田努(たけだつとむ)さん(48)が講師を務め、全校生徒48人が参加した。竹田さんはツキノワグマの毛皮や骨などを使って大きさや特徴、食べ物などを紹介。本来はおとなしい性格であるはずのクマが人を襲うのは、驚いたときや子グマを守ろうとしたときが多いことを説明し、至近距離でクマに遭遇した場合は大声を出さずにゆっくり離れるよう呼び掛けた。さらに、登下校時はできるだけ集団で行動することを推奨。万が一襲われた際は致命傷を避けるため、うつぶせに体を丸めて両手で首の後ろを守るよう教えた。
(議会は「ライフル協会が掌握」、銃規制強化に悲観的:アメリカ)
オバマ米大統領は19日、サウスカロライナ州の教会で白人の男が黒人9人を射殺した事件に絡み、全米ライフル協会(NRA)が議会を掌握しているため、銃規制強化の法整備は望めないと改めて認めた。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が、22日に配信されるインターネットラジオの一種「ポッドキャスト」の大統領インタビューの一部をサイト上で公開した。大統領はインタビューで「不幸なことに、議会でのNRAの支配力は極めて強い」と指摘。「今の議会で何らかの法的措置が取られるとは予見していない。国民が切迫した感覚を十分抱くまで、確かな措置を講じることができるとは思えない」と述べた。

TOPへ

6/19
(クマに襲われ67歳男性けが:島根)
17日午前11時ごろ、島根県飯南町小田の町道で、近くの男性(67)がクマに襲われた。クマはそのまま逃走した。島根県警雲南署などによると、クマは全長約1メートルで、男性は顔や手などにすり傷を負った。現場は町役場の北東約6キロで、警察でパトロールを強化しているほか、町も有線放送で注意を呼びかけている。
(クマに襲われ男性が負傷:群馬)
十七日午前七時四十分ごろ、みなかみ町粟沢の国有林で、同町の男性(76)がクマに襲われ、右腕などを負傷した。沼田署によると、男性は登山道の草刈り中で、突然現れたクマ一頭に襲われた。クマは成獣とみられ、男性の右腕や背中をかんだりひっかいたりして逃げた。現場付近に住宅はなく、東京電力の送電線を点検する登山道だった。ゲートがあり、一般の人は通常立ち入れないという。
(クマが民家のガラス割る:新潟)
19日午前6時半前、村上市関口の畑で作業中の女性がクマと鉢合わせ、逃げたクマが民家の玄関にある風除室のガラス戸2枚を割ったと、付近住民が村上署に通報した。クマは山側の同市高根方向に逃げた。けが人はいなかった。村上署によると、クマは体長約60センチ。民家は女性がクマと鉢合わせた現場から約150メートル離れている。市朝日支所が同日夕にクマを捕獲するおりを設置する予定。同署や市が、看板の設置やパトロールをするなどして注意を呼び掛けている。ガラス戸を割られた民家に住む男性(75)は「最初は犬だと思った。体当たりでガラスを割り、その後玄関先の鉢植えをひっくり返して逃げていった」と話した。
(ハチミツ狙いクマが石扉破壊:福井)
福井市徳尾町の曹洞宗禅林寺の県文化財(史跡)に指定されている儒学者・清原宣賢(のぶかた)(1475~1550年)の墓の石扉が破壊されたことが18日、分かった。墓の内部にあった巨大なハチの巣も壊されていた。住民らによると、ハチミツを狙ったクマの仕業とみられるという。被害に遭ったのは、室町期を代表する儒学者で、越前朝倉氏とゆかりがある宣賢の墓。禅林寺東側の橋立山の麓にある墓地の一角にあり、高さ約2メートルの墓の正面には両開きの石扉が備わっている。中に五輪塔が納められ、傍らには墓碑が建つ。17日午後1時ごろ、墓地の草刈りの準備のため訪れた地元の男性が、向かって右側の扉が外され、地面に落ちているのを見つけた。扉は重さ10キロ前後で、金具部分には無理やり引きちぎったような跡があった。扉の内側には、ミツバチが大きな巣をつくっていたが、ばらばらに壊され、辺りに散らばっていた。墓の内壁や巣の残骸にはクマとみられる爪跡も残されていた。今月7日に地元住民が寺の掃除で訪れたときには異常はなかったという。同寺の総代を務める熊田悟司さん(74)らによると、宣賢の墓は2001年にもクマに扉を壊され修理した。その際も、墓の中にあったハチの巣が壊されたという。熊田さんは「クマを寄せつけないよう、こまめにハチの巣を取り除いていくしかない」と頭を抱える。県生涯学習・文化財課の担当者は「ハチが墓の中に入らないように隙間をなくす必要がある。県文化財審議委員と対応を検討していく」と話している。当面は応急処置として、壊れた石扉部分にふたをする対応をとる。
(ショッピングセンターにサル:滋賀)
17日午前10時40分ごろ、大津市月輪のショッピングセンター「平和堂アルプラザ瀬田」で、サル1匹が立体駐車場に入っていくのを従業員の女性(63)がみつけ、同店が滋賀県警大津署に届けた。署員が駆けつけ、立体駐車場や隣接する事業所など、一帯の捜索に当たったが、サルはみつからなかった。同店周辺は国道1号が通り、JR瀬田駅にも近い繁華街。車や人の通りも多いが、けが人などはなかった。大津市南部では、今年4月上旬以降、サルの出没が相次いでおり、同署が関係機関と連携して目撃情報のあった付近の住民や事業所などに注意を呼びかけている。
(尾瀬のシカ、わなの場所覚えた?:群馬)
群馬県は18日、ニホンジカによる尾瀬ヶ原湿原と尾瀬沼を含めた尾瀬の植生の荒廃を防ぐため、今年度春に行った個体数調整で35頭を捕獲したと発表した。捕獲は、食害を減らすため2013年度から春と夏に実施している。シカが日光方面と尾瀬ヶ原を行き来することから、その経路上にくくりわなを設置する方法で行われている。13年度は年間148頭、14年度は年間205頭を捕獲。今春の35頭は、13年度春の73頭、14年度春の151頭を大きく下回った。県自然環境課は「雪解けが早かったため、日光方面から尾瀬へのシカの移動時期が早かったことや、シカがくくりわなの場所を学習して避けて通り、かからなくなった可能性もある」と指摘。今秋の捕獲状況も見て、くくりわなの設置場所を変えることも検討するという。ニホンジカは現在、尾瀬に500~800頭いるとされ、県は全頭排除を目指している。
(生け捕りエゾシカ、長距離輸送:北海道)
道は本年度、囲いわなで捕獲したエゾシカを200キロ以上離れた食用肉加工施設まで生きたまま長距離輸送するモデル事業に取り組む。ジビエ(野生鳥獣の肉)人気の影響で、加工直前まで生かしておく養鹿(ようろく)場の肉は「臭みがない」と需要が高まっている。近隣に加工施設がない道央圏などの自治体で捕獲するシカを食肉加工に充てることで、廃棄処分の負担も減らしたい考えだ。モデル事業の受け入れ先は釧路市や十勝管内新得町、オホーツク管内斜里町、宗谷管内豊富町の養鹿場がある加工施設を想定。釧路市などには道央圏から、斜里町にはオホーツク管内北部からエゾシカをトラックで運ぶ。約200~約300キロを4~6時間程度かけて移動させる見通しだ。事業は囲いわなの設置ができる積雪期に行う。道は定例道議会に提出した本年度一般会計補正予算案に、関連経費360万円を盛り込んだ。加工施設が周辺にない自治体は駆除したシカを食肉加工せず、廃棄処分する場合が多い。道は長距離輸送を事業者と自治体間で定着させたい考えで、実現すれば処理費の軽減にもつながる。シカ肉は近年、ジビエ人気で首都圏のレストランや道内の大手スーパーの取り扱いが増加。2013年度の道内のシカ捕獲数は約13万頭だが、食肉に加工されたのは約2万頭。一般社団法人「エゾシカ協会」(札幌)が認証する養鹿場のある加工施設は、道内でも道東を中心に5カ所のみ。加工施設「知床エゾシカファーム」(斜里町)の富田勝将社長は「需要に供給が追いついていない。シカの増えている地域から輸送できれば有効活用につながる」と話す。
(食害、原状には戻らず:長野)
南アルプスの静岡県側でのニホンジカの食害への取り組みについての講演会が、17日伊那市役所で開かれ、防護柵を設置して5~6年経過しても、元の状態には回復していないことなどが報告されました。17日は、南アルプス食害対策協議会の総会が開かれ、静岡県の南ア高山植物保護ボランティアネットワークの鵜飼一博さんが講演しました。この組織は、静岡県側の聖平や、塩見岳などに、シカの食害から高山植物を守るため防護柵を設置しているほか、土砂流出防止のためヤシ繊維のマットを敷設しています。防護柵を設置したところ、翌年には、かなり回復し、原状回復への期待が高まりましたが、それ以降は、草の丈も伸びず大きな回復がない状態が続いているということです。鵜飼さんは「長く食害の影響を受けた場所は回復にも時間がかかる。元の植生に戻るかどうかもわからない」と話していました。それでも、何も活動しなければ、土砂流出が進んでしまうとして、効果を検証しながら、活動を続けていきたいと話していました。
(山中で「クマの皮はぎ」:福井)
福井県の山中で、「クマの皮はぎ」と呼ばれる行動をカメラが捉えた。太い木を激しくひっかいたりかみついたりするツキノワグマ。15日午後、福井県越前市の山中で山仕事をしていた男性が偶然出くわし、撮影した。この行動は何なのか? クマの生態に詳しい専門家に聞いた。県自然保護センター・加藤幸洋主査「“クマの皮はぎ”と言われている」「樹皮をめくって、中の甘皮をかんで食べている」「本当に貴重(な映像)ですね。普通見られないシーンで、通常だと現場の痕跡だけが見られる」クマの皮はぎが撮影された地区の周辺では、先月からクマの目撃情報が多く寄せられ、住民は不安を募らせている。住民「(近くの)服間小学校周辺で、最近2回続けてクマが出ている。小学校から緊急メールが来ていて、こわい」木が水を多く吸い上げるこの時期に、スギやヒノキなどをかんで木の汁をなめる「皮はぎ」。今はクマの行動が活発な時期で専門家は1人では山菜取りや山歩きに出掛けず山の中では十分に注意するよう呼びかけている。
(コウノトリの保護区、指定へ:徳島)
コウノトリが鳴門市に巣を作ったことで定着や保護に向けて様々な取組みが行われています。飯泉知事は17日、鳴門市の生息地周辺を鳥獣保護区に指定する考えを明らかにしました。これは17日開かれた県議会で、明政会の岡田理絵議員の質問に飯泉知事が答えたものです。指定されるのはコウノトリの巣がある鳴門市大麻町周辺の約500ヘクタールです。11月の狩猟解禁までに指定する方針です。コウノトリは絶滅のおそれがある野生動物として法律で保護されていますが、さらに鳥獣保護区に指定することで、この区域での狩猟が禁止され、銃の音でコウノトリが逃げてしまうことを防ぎます。希少生物の保護を目的とした保護区の指定は県内では初めてです。
(ニホンオオカミ復活を阻むのは“赤ずきんちゃん幻想”)
日本にオオカミが復活する?日本オオカミ協会が先日まで全国各地で「日・米・独 オオカミシンポジウム2015 復活と保護」と題されたイベントを開いた。すでに日本では絶滅したオオカミだが、いなくなったことでシカが増え、獣害を引き起こしている。そこで日本もオオカミを復活させようというのだ。同協会の丸山直樹会長は「赤ずきんちゃんの影響で日本人はオオカミを怖がっている」と思わぬ障害を挙げた。日本でオオカミが絶滅したのは明治時代の終わりごろ。乱獲や駆除でいなくなったとされる。同協会は1993年に設立され、オオカミの復活を目指して、研究や啓発を行っている。とはいえ、今なぜオオカミの復活なのか。丸山会長は「生態系を守り、生物多様性を回復して、獣害を軽減しようと。オオカミは日本の生態系を守り育ててきたのです」と理由を話す。オオカミは自然界において食物連鎖の上位に君臨した。その動物がいなくなったことで、シカやイノシシ、サルが増加した。特にシカは木の幹の皮をはいで「剥皮被害」を招く。皮をはがれた木は枯れてしまう。さらに、数が増えたことで高山帯にまで進出したシカは、高山植物を食い荒らす。猟師による駆除も追いつかない。そこでオオカミを復活させ、食物連鎖のピラミッドを正常に戻し、シカなどの数をコントロールしようというのだ。同協会によれば、日本にいたニホンオオカミは固有種ではなく、北半球に広く分布するハイイロオオカミと同じ種類だという。ロシアや中国からハイイロオオカミを連れてくることで、復活させることができると説く。理にかなっているように聞こえる話だが、なかなか進まない。丸山会長は「オオカミを猛獣と思っている人はたくさんいる。それはなぜかというと、グリム童話の赤ずきんちゃんのせいじゃないか」と、オオカミ復活の障害は赤ずきんちゃんだと指摘する。赤ずきんちゃんはおばあさんの家へ向かう。先回りしたオオカミがおばあさんを食べてしまい、さらに赤ずきんちゃんまで食べてしまう。結末はいくつか種類があるが、とにかくオオカミは人を襲う怖い動物として印象に残るようになった。復活を怖がる人がいるのも不思議ではない。どうすれば赤ずきんちゃんの呪縛を解くことができるのか。丸山会長は本紙に「赤ずきんちゃんに対抗する童話を作って、啓蒙していく」と秘策を明かした。オオカミが主人公になるそうだが、歴史ある童話に対抗するのは並大抵のことではない。しかし、丸山会長は本気である。オオカミ復活には人間への被害の心配もあり、国民的議論が必要。オオカミの雄姿が日本で見られるのはいつになることやら。
(「鹿バーグ」販売:北海道)
障害者就労支援施設のフロンティア登別(中登別町、山田大樹施設長)が、白老産エゾシカ肉を使ったハンバーグ「鹿(ユク)バーグ」の販売を開始した。シカ肉の風味が楽しめる味に加え、つなぎにこんにゃく由来のマンナンを使用しているのが特徴。利用者たちは業務本格化に張り切っている。約1年間かけて開発に取り組んできた。運営する社会福祉法人ホープ(白老)は、数年前から地元猟友会と連携し、エゾシカ肉の大和煮缶詰などを製造している。フロンティア登別が今春開設されるに当たり、シカ肉ハンバーグ製造を利用者の業務に位置付け、開発を進めてきた。一番苦労したのは肉質だった。「肉質が柔らかく水分も多い」ため、ひき肉にしたとき「べちゃっとした感じになり、成形が難しく、食べたときの肉質感もなくなってしまった」。特殊な加工方法を生み出し、しっかりとした肉質感が出るよう仕上げた。つなぎにも一工夫を加えた。アレルギー物質への配慮のため、通常はハンバーグに使用する小麦粉や卵、牛乳などは一切使わないようにした。代用品としてマンナンやうるち米を使った。原材料の主原料はシカ肉、タマネギ、ニンジン、いわし魚醤などが並ぶ。ハンバーグは、焼いて真空パックした形で提供している。味はシカ肉の臭みを取りつつも風味を残し「らしさ」を楽しめるように調整。ソースをかけて食べることを前提にしており、薄味にした。煮込みハンバーグやスパイシーな味付けがお薦めという。名称の「ユク」はアイヌ語でシカの意味。1個100グラムで税込み280円。同施設売店のカフェ「ウポポ」でのみ購入可能。利用者のうち6人が同作業に携わっている。今後はハンバーガー用のパテ作りも検討している。山田施設長は「おいしいと言われる雌の若い個体を選別し利用しています。今後は販路拡大も目指していく方針ですが、まずは認知度を高めていきたい。安心安全でおいしいシカ肉ハンバーグをぜひ多くの人に食べていただければ」とPRしている。
(「ジビエ」で長崎の食堪能:長崎)
長崎市内で捕獲されたイノシシやシカの肉を味わう「長崎ジビエ料理晩餐(ばんさん)会」が16日夜、同市常盤町のホテルニュータンダであり、市民ら約50人がジビエと夏野菜を使ったフランス料理のフルコースを楽しんだ。「ジビエ」は、狩猟された鳥獣の肉を意味するフランス語。有害鳥獣として捕獲されたシカやイノシシの肉を身近な食材として活用しようと、食に関わる市民団体と市水産農林政策課が連携。ジビエ料理の提供店や肉の販売所、レシピなどを掲載したガイドブックを4月に発行するなど、ジビエ料理の普及、啓発活動に取り組んでいる。晩餐会では主催者を代表し、NPO法人「長崎の食文化を推進する会」の山下慧理事長が「多くの人にジビエ料理を味わってもらい、長崎の食文化、経済の発展へつなげたい」とあいさつ。料理研究家の脇山順子さんが「長崎の食文化」をテーマに講演し、ホテルニュータンダの野林健二・総支配人兼総料理長のメニュー紹介に続き、和やかに会食した。ポルトガルから伝わった長崎の伝統料理「ヒカド」をイメージしたイノシシ肉と根菜を煮込んだスープや、ドライフルーツをのせたシカ肉のステーキなど趣向を凝らしたメニューに、参加者は感動しきり。長崎市大浜町の主婦、野崎敏子さん(59)は「シカ肉を初めて食べた。くせがなくて、とてもおいしかった」と満足そうに話した。

TOPへ

6/17
(登山の男性、クマに襲われ大けが:秋田)
16日、鹿角市の山で登山をしていた男性がクマに襲われ、頭や腕など大けがをしました。命に別状はないということです。大けがをしたのは大館市字相染沢中岱の会社員、工藤勝宏さん56歳です。大館警察署の調べによりますと工藤さんは16日、岩手との県境にある中岳に登山のため山に入り、下山途中の午前11時ごろ鹿角市花輪の瀬ノ沢林道の駐車場付近で成獣とみられるクマ1頭に襲われました。工藤さんは頭や顔をひっかかれ、右腕をかまれましたが、自力で車を運転して大館市内の病院に行き、現在も手当てを受けています。工藤さんは頭や顔に傷を負い、腕の骨を折るなどして重傷です。命に別状はないということです。県内では各地でクマの目撃が相次いでいます。山には入る際は十分な注意が必要です。
(サルの群れに襲われ高校生軽傷:長野)
十五日午前八時二十五分ごろ、飯島町田切の歩道で、通学途中の町内の男子高校生がサルの群れにおそわれ、左手の甲に軽傷を負った。町によると、一帯はサルがよく出没するが、人に危害が及んだ事例は「聞いたことがない」という。町産業振興課によると、高校生が自転車で走行中、一匹のサルと出くわし、停車した直後に近くの茂みから約二十匹が現れた。高校生は持ち物を振って追い払おうとしてサルに引っかかれたという。現場は駒ケ根市境に近い久根平工業団地の南西角。町は防災無線で付近の林や茂みに近づかないよう注意を呼び掛けた。駒ケ根署は通学時間帯に付近のパトロールを強化する。
(シカが車と衝突:栃木)
15日午後8時30分ごろ、栃木市都賀町家中の県道で、同市、会社員男性(42)のワゴン車に道路右側から飛び出してきたシカが衝突した。シカは死に、男性にけがはなかった。栃木署によると、シカは体長約1メートル。現場は同市郊外で、北関東自動車道都賀インターチェンジから西に約1キロの田園地帯。
(捕獲強化期間の初日、シカ4頭駆除:北海道)
食害などの増加を受け市が今年初めて設けたエゾシカ捕獲強化期間が15日始まり、初日は約2時間半の巡回で4頭を駆除した。猟友会砂川支部歌志内部会員3人と市職員4人の計7人が午前4時に道の駅うたしないチロルの湯に集合し、3班に分かれて神威、中村、文珠の3地区を回った。終了の午前6時半までに10頭以上を確認したが、規制区域で銃器が使えなかった場面もあったという。4頭はいずれも被害が目立つ文珠地区で駆除した。捕獲強化期間は15~19日と22~26日の計10日間。同部会の太田勝昭部会長は「山菜採りの時季でもあるので、とにかく安全を最優先に取り組みたい」と話した。
(イノシシ目撃情報:山梨)
甲府市緑が丘2丁目の緑が丘スポーツ公園北西側の遊歩道付近で、イノシシの目撃情報が相次ぎ、市や甲府署が注意を呼び掛けている。
(イノシシ食害、窮状訴える:栃木)
自民党の高橋克法(たかはしかつのり)参院議員は16日の環境委員会で、県内でも深刻化しているイノシシの食害について質問し「那珂川町では直売所でタケノコがあまり並ばなくなった。(タケノコを食べ尽くすほど)頭数が増えているからだ」と窮状を訴えた。これに対し環境省幹部は10年間でイノシシの頭数を半減させる目標を掲げた上で、「(新制度を活用し)本年度には栃木県で捕獲事業を実施する予定だ」と答弁した。
(ワイパー40件破壊、「逮捕できない」:島根)
松江市東出雲町の住宅街で今春、車のワイパーが壊される被害が約40件相次いだ。被害届を受けた島根県警松江署が延べ約50人の捜査員を投入するなど捜査。警戒のため設置した防犯カメラに映っていた“犯人”は、カラスだった。巣作りに利用した可能性があり、松江署も「カラスじゃ逮捕もできない」と困惑気味だ。被害は今年2月頃に始まり、約300メートル四方の住宅街で、車に取り付けられたワイパーのゴムが引きちぎられるなどの被害が続いた。松江署は、日中には住宅街で覆面パトカーを頻繁に走らせ、夜間も警察官が張り込むなど、万全の警戒体制で犯人を待ちかまえ、防犯カメラも設置した。5月下旬、防犯カメラが、車のボンネットにとまり、ワイパーをつつく黒い姿を捉えた。目撃情報などの証拠もそろい、同署はカラスの仕業と断定した。その後、被害は沈静化したが、地元自治会では来年の繁殖期も警戒するという。カラスの生態に詳しい杉田昭栄・宇都宮大教授(動物形態学)は「カラスはクッションとして軟らかい素材を巣作りに使うことがある。しかし、これほど狭い地域に集中的に被害が発生するのは珍しい」と話している。
(イノシシ捕獲数、1万頭超え過去最多:栃木)
2014年度の県内イノシシ捕獲数は1万頭を超え、過去最多となったことが16日、分かった。県に記録が残る1956年度以降、1万頭超は初めて。原因を県は分析中とした上で、山林で好物のドングリなど木の実が不作となりイノシシが里の近くまで下りてきたことや、猟友会など狩猟者の尽力を挙げている。同日の県議会一般質問で、山形修治(やまがたしゅうじ)氏(とちぎ自民党)が質問した。県環境森林部の金田尊男(かねだたかお)部長は「2014年度の捕獲数は目標の8千頭を大きく上回り1万頭を超え、過去最多となる見込み」と答えた。県が14年度に実施したイノシシなどの推定生息数調査結果によると、13年度末で、県内イノシシの生息数は3万3500頭。これを受け、県は15年度以降の3年間、個体数を増やさないため、イノシシ8千頭を年間捕獲目標に据えている。13年度のイノシシ捕獲数は前年度比27%減の5792頭。12年度は前年度比37%増の7893頭とこれまでの過去最多を記録したが、14年度はこの数字を上回ることが確実という。
(イノシシ被害、早期対策を:新潟)
下越地方でイノシシの出没が相次いでいる。生息がほとんど確認されていなかった新発田市でも目撃されるようになり、昨年末には駆除も行われた。農作物被害が拡大する恐れがある中、専門家は早期の対策を呼びかけている。「狩猟歴は30年以上になるが、大半が山鳥だった。まさかイノシシを撃つことになるとは……」5月20日に新発田市に発足した鳥獣被害対策実施隊のメンバー、荒井俊明さん(62)は、近年の里山の異変に驚きを隠さない。昨年12月18日、荒井さんが通報を受けて聖籠町との境界付近に駆け付けると、田んぼのあぜでイノシシが一塊になっていた。近くには住宅や商業施設があったため、5頭を駆除した。新発田市内ではその8日後にも4頭が駆除された。実施隊は、市内の猟友会員ら102人が市の非常勤職員として出動し、大型の野生動物やサルなどの駆除を担う。県内最大規模となる隊発足の機運を高めたのは、2年ほど前から目撃情報が寄せられるようになったイノシシの存在だった。これまで鳥獣駆除を猟友会のボランティアに頼ってきたが、市は「大型動物の捕獲は危険を伴う。少しでも有償で対応したい」(農林整備課)と発足に至った理由を説明する。県によると、イノシシによる2014年度の農作物被害(速報値)は面積で39ヘクタール、額は2300万円。土に体をこすりつけて寄生虫を取り除く「ぬたうち」という行為により田んぼに臭いが残り、稲は出荷できないほど品質が劣化する。さらに、土中の生き物を捕まえようとあぜなどを掘り起こす習性による土木施設の被害も重なり、農地のダメージは甚大となる。野生鳥獣の生息調査を続ける長岡技術科学大の山本麻希准教授によると、イノシシは、大正時代までは東北や北陸地方にも分布していたが、その後、乱獲や感染症などでいなくなった。しかし、10年ほど前から魚沼地域や柏崎市で生息が確認され始めた。県の統計でも、駆除した数は05年度の2頭から13年度は155頭へと急増している。県は、イノシシやサルから農作物を守る電気柵や侵入防止柵の設置を進めており、交付金を利用した整備は14年度までに640キロ・メートルに達した。今後は集落単位での整備を強化し、イノシシが里山に下りてこない環境作りを進める。しかし、山本准教授は、「雪を嫌うイノシシは、積雪の少ない下越地方で爆発的に拡大する」と警鐘を鳴らし、駆除の強化による生息数の調整が不可欠だと指摘する。イノシシは1頭の雌が一度に4~5頭を出産するため、頭数調整には、現時点で生息数の7割を捕獲する必要があるという。「100頭のうちに調整するか、1000頭に増えてから調整するか、どちらの負担が大きいかは明らかだ」と、県や市町村に早期の対応を求めている。
(クマ被害、今世紀急増)
ツキノワグマに人が襲われる被害が近年急増し、2000年以降は数年おきに年間死傷者が100人を超えている。中山間地域の人口減少に伴い、クマの分布域が人の生活圏にまで拡大していることが一因とみられる。5月には、三重県が捕獲したクマを隣の滋賀県多賀町に連絡しないまま放し、同じクマかは不明だが10日後に女性(88)が襲われ重傷を負う被害が発生。専門家は都道府県単位にとどまらない情報共有の重要性を訴えている。環境省などによると、1980年代の平均年間被害者数は12人、90年代は21人だったが、2000年代は66人、10年代は94人に増えた。ドングリなどの餌が不作になるサイクルに合わせて数年おきに大量出没しており、その年に当たった10年度は死傷者が過去最悪の147人、14年度も118人に上った。クマ研究者らで作る「日本クマネットワーク」代表の坪田敏男・北海道大獣医学研究科教授によると、里山で人間の活動が減り、クマの分布域が人の生活圏のすぐ近くまで迫っている。これまでいないと思われていた場所に出没する例が全国で増えている。5月に三重県で捕まったクマは、北陸や岐阜、滋賀に生息する「白山・奥美濃地域個体群」に属するとみられ、分布域の拡大を典型的に示しているという。坪田教授は「生息が確認されていなかった自治体でも、クマに対する知識や対策が必要」と警告する。三重県のクマと多賀町で女性を襲ったクマが同一かどうかは、同県と同町がDNA鑑定を進めている。ツキノワグマの生息数の詳細なデータはないが、個体数増加の背景には、西日本で一時絶滅が危惧されたことなどから、各自治体が約20年前から射殺しない傾向が強まったことがあると指摘する研究者もいる。捕獲したクマは、再び人に近付かないよう唐辛子成分入りのスプレーや爆竹でおびえさせてから放す「学習放獣」や「お仕置き放獣」が一般的になっている。「地域個体群」と呼ばれるクマの群れは複数県にまたがって生息するが、環境省によると、共通の保護管理計画を運用し連携しているのは広島、島根、山口の3県だけという。野生動物のコンサルタント会社「野生動物保護管理事務所」(東京都)の片山敦司・関西分室長は「地域個体群の実情を把握して自治体が連携し、情報共有することが被害防止や保護につながる」と話している。
(ハッカでイノシシ対策:茨城)
イノシシ被害に悩む桜川市の国史跡で、香草のハッカ類を使った対策が進められている。まだ実験段階だが、効果が上がれば侵入防止用のネットに比べて経費や人件費を抑えられ、景観にも良いとあって期待されている。同市農林課によると、市内ではイノシシ被害が拡大し続けており、昨年度は水稲だけで約1300万円の被害が確認されたという。同市真壁地区の国史跡真壁城跡でも4年前から、発掘場所や復元工事をした場所をイノシシに掘り返される被害が出てきた。ミミズを食べるためとみられる。真壁城は15世紀中頃から、真壁氏によって築かれた城で、1994年に国史跡となった。昨年度は、茶の湯に関連した優雅な池泉庭園の発掘成果が発表された。だが、山に近い外曲輪そとぐるわには、深さ30センチ程度で大きく掘り返された跡がある。一晩で約10アールが掘り返されたこともあるという。臭いの強い防腐剤をまいても、数日で臭いが薄れ効果なし。現在、ネットを張り巡らせて被害を防いでいるが、経費はかかる。発掘作業員の松本雅春さん(56)は2013年、ハッカが自生している周辺にイノシシが来ないことに気づいた。同市教育委員会生涯学習課の宇留野主税副主査も常陸大宮市の実家で、イノシシの好物であるユリ根があっても、ハッカがあると寄って来ないと聞いた。そこで昨夏から、真壁城跡周辺に生えているハッカ類を集め、史跡の中ほどで2メートル四方のミニハーブ園を設けた。自生とみられるハッカのほか、近くの民家から広がったらしいものもある。時間はかかるが、ミニハーブ園で増やした香草を史跡周辺に植え、自然の力で被害を防ぎたい考えだ。ミニハーブ園周辺には根が食べられるユリも実験的に植えているが、今のところイノシシは近寄っていない。宇留野副主査は「こうした植物でイノシシの侵入を防ぐことができれば、掘り返した跡の修復やネットの経費が節減でき、景観もずっと良くなる。ハッカなどが増えれば雑草対策にもなりそうです」と効果を期待している。
(小水力発電で電気柵:山口)
農業用水路の高低差を利用した小水力発電設備が、周南市四熊地区に設けられた。発電した電気は、アジサイをイノシシ被害から守るための電気柵などに利用する。設けたのは地元農家らでつくる四熊農地保全会。アジサイは、農家の峯重昭政さん(70)が水田の周りに植え、約2500株に増やした。2年前から有志が花の咲く時期に「アジサイ祭り」を開いている。しかし、周辺にはイノシシが出没し、アジサイを踏み荒らす被害が続出。対策として電気柵を設置することを決めたが、電源を確保できないため、近くを流れる用水路に目を付け、小水力発電を導入した。設備は、用水路の水を木の配管を使って約1メートルの高さから落とし、水車(直径35センチ)を回して発電する仕組み。電気柵はアジサイの周りに、触れれば電流が流れる線を1・5キロにわたって巡らせた。夜は電気を発光ダイオード(LED)照明1基に利用する。設置費は約100万円で、県の補助を受けた。同会の井上秀男代表(68)は「電気柵の設置でイノシシ被害の心配がなくなったので、囲んだ範囲のアジサイをさらに増やせそうだ」と話している。今年のアジサイ祭りは20日午前10時からで、オカリナ演奏などを予定している。
(電気牧柵へ補助金交付:岩手)
北上市鳥獣被害対策連絡協議会(会長・髙橋敏彦市長)は16日、市役所で総会を開き、2015年度事業計画を決めた。有害獣による農畜産物被害防止のため、電気牧柵を設置する農家らを支援することとし、補助金交付要領を制定した。農業団体や漁協、猟友会など構成団体代表ら10人余りが出席。髙橋市長は「クマの出没情報が多く、幸い人的被害はないが警戒すべきだ。農作物、人的被害をいかに未然に防止するか、協力をお願いしたい」とあいさつした。事業計画では、クマの出没時期に合わせた広報活動や多発地域住民を交えた対策会議、県鳥獣被害防止総合支援事業補助金を活用したカワウの被害対策、ハクビシンの捕獲方法の講習会開催、捕獲わなや追い払いなど被害防止資器材貸し出しなどを推進する。電気牧柵は、12~14年度に県補助金などを活用してクマ、ハクビシン、ニホンジカ、イノシシのいずれにも効果のあることを確認。今回、同協議会事業として支援するため電気牧柵設置事業費補助金交付要領を定めた。同補助金は、対象経費の半額以内で上限を4万5000円に設定。初年度事業費として22万5000円、5農家分の予算を確保した。また営巣時期に通行人を威嚇するカラスの追い払い資材の実証実験で昨年度に効果を確認したことを踏まえ、同資材購入費として6万5000円、20個分を予算化。鳥獣駆逐用煙火購入費も前年度の2倍以上に当たる8万3000円を予算計上した。昨年度は、ブナの実がならずに餌を求めて人里に降りてきたクマの目撃情報が相次ぎ、通報件数194件は前年度比99件増とほぼ倍増した。
(多賀町、三重県に抗議文:滋賀)
三重県内で捕獲されたツキノワグマを同県が連絡なく多賀町に放していた問題で、同町は十五日、久保久良町長名で鈴木英敬知事に抗議文を提出したと発表した。抗議文は、十二日夕に謝罪のために同町役場を訪れた三重県の吉仲繁樹農林水産部長に久保町長が手渡した。同県の経過説明に対し、町長は「常識では考えられない」と厳重に抗議した。この問題は、五月十七日に同県いなべ市でイノシシ用のおりに捕獲されたクマを、同県職員らが、無断で多賀町の山中に逃がしていた。また、放獣場所から約六キロ離れた同町内で二十七日早朝、クマとみられる動物に高齢女性が襲われ重傷を負った。同一個体かは不明だが、同県がクマに取り付けた発信機の電波を追って捜索を続けている。
(鳥海マタギ文化、後世に:秋田)
鳥海山麓で狩猟を生業なりわいとしていた「鳥海マタギ」の歴史と文化を伝えるDVDを、由利本荘市鳥海町地区に暮らすマタギの子孫たちが制作した。クマの解体作業やマタギの生活、狩猟用具、四季折々の山の風景などが1時間の映像に収められている。制作したのは鳥海射撃協会(佐藤源一会長・会員32人)で、「マタギの伝統」「作法と食文化」「寒マタギ」など9編で構成している。丸太や石で造った「オッチョウ」という独特のワナや「一足二犬三鉄砲」と伝わる猟犬や猟銃を大切にした習慣、多彩なクマ肉料理などを紹介している。圧巻なのは、クマの解体シーンだ。神事に続いて黒い毛皮を剥ぎ取ると、真っ白な脂肪で覆われた五体が現れ、これに毛皮を掛けて、再び山の神に感謝の祈りを捧げる。神秘的な雰囲気が漂う伝統の作法だ。同協会はメンバーの多くがマタギの子孫といい、射撃の技術を先祖代々、受け継いできた。今も市の駆除要請に応じてクマの捕獲に出る。ただ、現役のマタギは、百宅ももやけ地区に住む最後の一人が5年ほど前に引退して途絶えたため、「このままでは忘れ去られてしまう」と、市の補助を得て昨年春から撮影してきた。鳥海マタギは、百宅、橇連きゃんじきづら、皿川の三つの系統に大別される。皿川マタギの流れをくむという同協会の三浦俊雄副会長は「マタギの文化を後世に伝えるのは、我々に課せられた義務。DVDの次は小冊子を作りたい」と話している。
(「ジビエ料理」に関心、安全性には注意)
シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を使った「ジビエ料理」の人気が高まっている。立ち食いスタイルでステーキを提供する新業態の店が増えたり、「熟成肉」の引き合いが強まるなど「肉ブーム」が広がる中、脂肪が少なく、栄養価が高いことなどジビエの特徴が健康に関心の高い人などに受けているようだ。ただ、安全に食べるためには注意も必要で、厚生労働省も指針をまとめ、取り扱う際の衛生管理の徹底などを呼び掛けている。ジビエは、狩猟で得た野生鳥獣の肉を意味するフランス語。ジビエ料理は元々、欧州で貴族が楽しんできた高級な伝統料理だ。日本ではここ数年、そんなジビエ料理への関心が高まってきた。背景にあるのは、シカやイノシシなどが農作物を食い荒らす「食害」被害の全国的な拡大だ。北海道を除く全国で生息しているニホンジカなどは2011年度で261万頭と推定されており、食害の被害額は200億円を上回るとされる。そんな中、おいしく食べることで被害対策につなげようと、「国産ジビエ」の活用が注目されるようになった。野山を駆け回る野生鳥獣は元々、脂肪分が少なく、シカの場合ならカロリーは牛の4分の1、イノシシでも半分程度という。そのうえ、たんぱく質や鉄分は牛よりも豊富で、美容を気にする若い女性らの間でも関心が広がっている。こうした状況の中、ジビエ料理を出す飲食店はここ数年急増しているという。飲食店のインターネット検索サービスを提供する「ぐるなび」によると、ジビエ料理を提供する全国の飲食店はここ数年、年間2倍程度に増えているといい、同社は2014年末、その年の世相を象徴する「今年の一皿」にジビエ料理を選び、「2014年は、コンビニエンスストアやファストフードなどでもシカなどが食材として使用され、急速に一般消費者の間に浸透した『ジビエ元年』だ」と謳った。今年もさらにジビエ人気が高まると予想している。ただ、課題もある。狩猟でシカなどを捕獲する際、狙いどころを誤ったりすれば、調理に適さないこともある。病気のシカなどを捕獲して調理した場合は安全上も危険だ。このため、厚労省は2014年10月、ジビエ料理を安心して食べるための指針を初めてまとめた。「食べても安全だと判断できない肉は破棄する」ことを原則としたほか、銃で狩猟する場合は、胃や腸の内容物が拡散して、肉が汚れる危険があるため、頭や首を狙うことなどを求めている。ジビエ料理を提供する飲食店に対しても、肉を食肉処理業者から仕入れ、生肉は決して提供しないことなどを定めた。安全に調理して食べれば、食い荒らし被害も減るうえ、消費者にとっては健康面でメリットも大きいジビエ料理。賢く活用することが必要といえる。
(ジビエは日本に定着するか?獣肉利用の現状)
日本では一部の地域を除き、猟期は11月15日から2月15日までとなっています。現在は禁猟期間なので、僕は業務用冷凍庫に保存してある獲物の肉を少しずつ利用する日々です。今期はイノシシ6頭、シカ10頭の猟果だったので、1年を通して家族や友人と分けあって利用するのに十分な肉がストックしてあります。しかし、最近はこういった猟期だけの狩猟をしている猟師は少数派になりつつあります。鳥獣害の増加を受け、年間を通して有害鳥獣駆除による捕獲が行われているのが一般的になってきています。「シカやイノシシの肉をもらったんだけど、どうやって食べたらいいんやろう?」などと聞かれることもずいぶん増えました。それもそのはずです。全国で捕獲されるシカやイノシシの捕獲数は以前と比べると格段に増加しているからです。僕が猟を始めたのは2001年ですが、その当時の全国での捕獲数(狩猟と有害捕獲等の合算)を見ると、シカは14万1千頭、イノシシは18万4千頭ですが、最新のデータ(2012年)では、シカが46万6千頭、イノシシが42万6千頭となっており、わずか10年程度で数倍にも増えています。さらに10年遡った1990年のデータを見てみると、シカが4万2千頭、イノシシが7万頭でした。この何十年かでいかに急激に捕獲頭数が増えたか、わかるでしょう。これだけの数が捕獲されるようになっているのだから、その肉が日本中であふれているのは当然です。近頃は狩猟で捕獲した野生鳥獣やその肉を指すジビエという言葉もすっかり定着しました。また、自治体レベルでもこれらの獣肉を有効利用しようという取り組みが活発です。地域おこしのイベントでは、シカ肉ハンバーガーや串かつ、イノシシ汁などの獣肉料理を目にしないことはないというくらいメジャーですし、学校給食での利用なども始まっています。ただ、これだけ目立っていても、実際に捕獲された獲物の肉がしっかり食べられているかというとそうではありません。狩猟により捕獲された獲物の肉は猟師が有効活用することが多いのですが、有害駆除で捕獲された獲物の肉は、その大半がいまだ廃棄物として焼却・埋設処分されています。急激な捕獲数の増加に対して、それを流通させる仕組みの整備や有効利用の方法の定着がまだまだ追い付いていないというのが実情です。最近は各地で獣肉処理場の建設が相次いでいます。個人経営のものから自治体による大掛かりなものまで様々です。自治体レベルで特産品にしようという取り組みも増えています。島根県美郷町の「おおち山くじら」などはその先駆けとして有名ですし、北海道のエゾシカ肉は道庁をあげてその利活用に取り組んでいます。また、ペットフードへの加工などへも利用が広がっています。こうした状況を受け、各地で獣肉処理の仕組みも整備されてきています。獣肉利用の一つの問題点として、獲った猟師によって捕獲後の処理の仕方に大きなバラツキが見られる点があげられます。基本的には丁寧に処理する人が多いのですが、なかには血抜きも不十分で毛や土などが肉に少々付いても全然気にしないという人がいたのも事実です。近年は獣肉処理のマニュアルを作成する自治体も増えてきました。その先駆けとして有名な北海道庁の「エゾシカ衛生処理マニュアル」も今年10年ぶりに改訂されました。興味のある人は北海道庁のホームページからダウンロードが可能です。これらのマニュアルには、捕獲・運搬時の注意事項から食肉処理の作業工程、加工・販売時の衛生管理まで細かく解説されています。こうしてみると、日本における獣肉利用は徐々に状況が整いつつあるのは間違いありません。ただ、流通の仕組みの整備以外にも様々な課題があります。例えば、猟師の食文化との兼ね合いです。代表的なのはシカ肉の生食です。近年は牛や豚など家畜の肉や内臓の生食用の提供が禁止されたことなどもあり、注目が集まるようになってきました。過去には、シカ肉によるE型肝炎の発症例も何件か報告されており、住肉胞子虫という寄生虫がかなりの割合で存在することもわかってきています(ただしシカは他の動物と比較するとE型肝炎の罹患率はかなり低い)。猟師の間でもだいぶ生食は減りましたが、それでもまだまだ「鹿刺し」がシカの代表的な食べ方のひとつであるのは現実です。安易な一般への提供は問題ですが、家畜の肉と違って猟師の自家消費まで規制できるかというとなかなか難しく、今後議論を呼ぶ可能性もあります。また、野生鳥獣肉は家畜の肉と違い、安定供給の面での不安が常にあります。現状はシカやイノシシを筆頭に捕獲数が増えているため問題ないように思えますが、有害駆除の報奨金の増額などにより捕獲数が頭打ちになっている地域もあります。今後、想定された捕獲数が常に確保できるという保障はありません。捕獲以外でも豪雪などの気象条件などで生息数を急激に減らすことがあるのが野生動物です。また、2011年の福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の拡散で、獣肉の出荷が制限されている地域もあります。家畜の肉は飼育環境や餌を改善することにより放射性物質を減らすことができますが、野生動物ではコントロールできません。福島県では、実際に閉鎖に追い込まれた獣肉処理施設もあります。日本の獣肉利用の今後を考えると、やはり野生動物の生息数の安定的な管理や捕獲者・処理施設の従業員の労働・雇用環境も含めた持続可能な仕組みづくりが課題であると言えます。
(黒テグス、カラス撃退:福岡)
福岡県桂川町の古野隆雄さん(64)は、黒いテグスを使った安価なカラス撃退法を考案した。角度によってテグスが見えたり見えなかったりするため、カラスが慣れることがない。網の目のように張り巡らす必要がないため、費用は30アールの圃場(ほじょう)で460円程度と格安だ。水稲や野菜などの露地栽培全般に活用できる。農水省によると、カラスによる農作物被害額(2013年度)は全国で18億1100万円。野生鳥獣による被害額の1割を占め、被害に悩む農家が多い。かかしや音で驚かせたり、透明なテグスを張ったりしても、学習能力の高いカラスはすぐ慣れてしまい、効果が薄いのが現状だ。そこで古野さんは、光って見えてしまう透明テグスと違い、角度によって全く見えなくなる黒テグスに着目し、圃場に設置した。「黒テグスを使い始めた09年以降、カラスの被害は全くない」と古野さんは抜群の効果を強調する。網の目のように細かく張り巡らす必要はなく、コストが安く済むのが特徴だ。古野さんは横10メートル間隔で張る。黒テグスを張る距離が長くなる場合には、必要に応じて支えるための太糸を張って黒テグスがたるまないようにする。古野さんが使用したのは、鳥獣害防止資材メーカーの末松電子製作所(熊本県八代市)が販売する0.3ミリの極細黒テグス。価格は1メートル当たり1円で、古野さんと同じ間隔で張った場合、費用は30アール当たり460円に抑えられるという。ワイヤと違って、生産者がぶつかっても傷つく恐れがないため、安全性も兼ね備えている。古野さんは「細かく張らなくても効果が期待できる。心配なら部分的に密に張ればいい。ぜひ試してほしい」と提案する。

TOPへ