<射撃ニュース1月>

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(73歳男性、イノシシに襲われ全治2週間:愛媛)
愛媛県新居浜市の住宅街で73歳の男性がイノシシに襲われ、全治2週間のけがをしました。現場付近の防犯カメラが捉えたイノシシの映像です。警察によりますと、3日午後4時30分ごろ、イノシシが新居浜市船木の障害者就労支援施設へ侵入し、正面玄関のガラスドアを突き破るなどしたということです。その後、イノシシは近くを通り掛かった石村徳次さんの自転車にぶつかりました。石村徳次さん:「イノシシが(施設を)出る時に自転車が通ったので、ちょうどタイミングが悪かったのか、トーンとひっくり返された。横へ向いて。ほんで暴れ回って、ほうぼうかまれて、にっちもさっちもならなかった」警察は周辺のパトロールを強化し、警戒にあたるということです。
(サル相次いで目撃、捕物帳もつかまらず:兵庫)
兵庫県西宮市内でサルが相次いで目撃され、警察や地元猟友会などが6、7の両日、市立中央体育館(西宮市河原町)の屋根にいるところを捕まえようと餌入りのわなを仕掛けたが、うまくいかなかった。8日も捕獲を試みる。市や西宮署によると、サルは4日から5日にかけて市中心部に現れ、6日午後からは阪急西宮北口駅北西約1キロにある運動公園内の市立中央体育館の屋根と、隣接する武道場の屋根を行き来し始めた。この間に地面に落下して、左足を負傷。7日は体育館の屋根にじっとしていた。サルは市北部の六甲山系から移動してきたとみられる。現場を通りかかった同市大社町の主婦、西潤子さん(37)は「サルは今年のえとだから、子供は喜んでいるが、人に危害を加えないかが心配」と話した。
(犬と思ったらサル:大阪)
大阪府の住宅街で、40代の男性がサルに襲われてけがをしました。4日午前10時すぎ、大阪府泉南市の住宅街で、正月休みで帰省していた40代の男性が車を点検しようと玄関を出たところ、突然、サルに足をかまれました。男性は軽傷です。足をかまれた男性:「犬が来たのかと思って振り向いたらサルが足をかんでいた」また、近くの住宅でも、玄関を掃除していた女性がサルに襲われました。女性にけがはありませんでした。周辺では去年10月ごろから、サルに襲われる被害が相次いでいて、これまでに10人以上がけがをしています。
(年明け早々サル出没:新潟)
弥彦村に4日、サルが出没し、村では注意を呼びかけるとともに、目撃したら情報提供を呼びかけている。弥彦村弥彦地内で温泉街の神社通りの裏手、山側で目撃されたもので午前8時40分ころ、9時5分ころ、午後0時5分ころの3回、観音寺方向へ近づいていくように確認され、同じサルが移動したと思われる。村民からの情報を受けて現場へ向かった職員もサルを確認した。弥彦にはサルが生息しておらず、角田山に住むサルが弥彦に姿をあらわすことがあるとされ、最後にサルが弥彦で確認されてから何年かたつと言う。そのときはサルに引っかかれるなどの被害が出ている。そのため、被害に遭わないよう注意を呼びかけているもので、正午前に防災情報メールを配信するとともに、区長や観光協会などに連絡して注意喚起している。万が一、サルによる被害が発生したら猟友会から威嚇して追い払うなどの対応も検討する。ことしはさる年。それにあわせたかのように年明け早々、久しぶりの弥彦でのサル出没の珍事に「縁起がいいんだか、悪いんだか」との声も聞かれる。
(東海道線の列車シカはねる:静岡)
7日午前5時15分ごろ、静岡県長泉町竹原のJR東海道線沼津-三島間で、高松貨物ターミナル発東京貨物ターミナル行き貨物列車(23両編成)がシカをはねた。JR貨物によると、乗務員にけがはなかった。車両に異常はなく、約40分後に運転を再開した。シカは体の大きさが1メートル以上あり、既に死んでいた。死骸はJR東海が近くに埋めて処分した。現場は住宅や工場が点在する地域。JR東海によると、この事故で下り列車1本が部分運休。高松、出雲市発東京行き寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」など上下5本に最大35分の遅れが生じ、約630人が影響を受けた。
(イノシシ捕獲へおり2基設置:山梨)
甲府・山梨英和大構内にイノシシが出没したことを受け、警察などは6日、捕獲用のおりを設置した。イノシシは5日夕方、大学構内にいるのを発見され、駆け付けた警察官が足をかまれて軽いけがをした。イノシシは体長1・5メートルでその後、行方が分からなくなり、警察などは昨夜、構内を閉鎖して警戒にあたった。6日朝は警察と市職員、地元猟友会が付近を巡回するとともに、イノシシがいた大学構内に捕獲用の鉄製のおり2基を設置した。巡回の結果、イノシシは大学東側のフェンス下から逃げ、現在、構内にはいないとみられる。警察は引き続き警戒を続けるとともに、市は大学周辺に張り紙などを貼り注意を呼び掛ける方針。
(異常をメール通知、獣害防ぐ電気柵:福井)
イノシシなどの獣害から田んぼや畑の農作物を守る電気柵の異常をメールで知らせるシステムを、福井県などが開発している。2015年度内に同県鯖江市内で実証実験を行い、早ければ新年度にも実用化する見込み。設置者は毎日点検する必要がなくなり、維持管理の負担軽減が期待される。電気柵の電圧は通常6千~9千ボルト程度だが、動物が衝突してたるんだり、伸びた雑草や倒木が接触したりすると大幅に下がる。3千~3500ボルト以上ないと効果が薄れるとされており、定期的に点検していても、その合間に異常が起きるとイノシシなどが侵入する可能性がある。開発中のシステムは、電気柵に電圧の検知器と無線通信機を設置し、電圧の値を県が管理するサーバーに送る。サーバーで異常を確認した場合は、10分以内に登録した人のスマートフォンや携帯電話にメールで知らせる。県地域農業課によると、遠隔監視の仕組みは他にもあるが、サーバーを介したシステムは独自という。電気柵の大手メーカーや県内のコンピューター関連企業と協力して開発している。実証実験は、鯖江市の山ぎわ2カ所に長さ0・8キロと2・6キロの電気柵を張って行い、どんな値で異常と判断するかや、機器が正常に動くかを確認した。実験は順調に進み、おおむね4千~5千ボルトを下回った場合に通知する設定になる見込み。今後も場所を変えて実験を続け、機器の精度や使いやすさを向上させる。県地域農業課の担当者は「獣害が深刻な中山間地域ほど過疎化や高齢化が進み負担が大きい。今は電気柵で何とか獣害を抑えている状態で、維持管理が難しいと耕作放棄の要因になる。できるだけ早くシステムの普及を図りたい」と話している。
(狩猟のパートナー、猟犬激減に危機感:和歌山)
狩猟が解禁された昨年11月、夜明けと同時にハンターの山本弘之さん(40)=上富田町=は8匹の紀州犬を連れ、猟銃を手に同町の山中に入った。イノシシの足跡が残る獣道を探して険しい斜面を歩き回る。「ヒーッ、ヒーッ、ヒーッ」。ボス格の「ダイ」が鳴いた。「近くに寝ぐらがあるはず」。手綱を放した途端、駆け出したダイが茂みに向かってほえ始めた。姿を見せたのは1頭の大きなイノシシ。集まってきた犬たちが次々に飛びかかった。1匹が耳に、他の犬も首や体に牙を立てた。獲物はあっという間に動けなくなり、追い付いた山本さんが銃でとどめを差して仕留めた。銃によるイノシシ猟で、猟犬はハンターにとってなくてはならないパートナー。チームによる狩猟でも、隠れているイノシシをハンターが待ち伏せする獣道まで追い立てる役割を担う。力が強くて勇猛な紀州犬は、伝統的に狩猟に使われてきた犬種だ。山本さんは「体が小さく、小回りの利く日本犬は日本の山での猟にちょうどいい。和歌山の山なら紀州犬が一番」と話す。昔はイノシシなどの狩猟には猟犬がつきものだった。猟師が自ら猟犬を育てた。だが、捕獲の主な目的が有害鳥獣の駆除となった近年は、専門的な技術が不要で人里近くに設置できる箱わなによる猟が人気を集める。猟犬は、飼育場所の確保に毎日の餌代、訓練、散歩など手間がかかり、イノシシにかまれて殺される危険性も高いため、需要が激減した。銃を持っていても猟犬を飼わず、チームによる狩猟で待ち伏せ役の「タツマ」だけを務めるハンターも多い。紀南にはかつて猟犬の訓練所が3カ所あったというが、今では、同じハンターだった父親から技術を学んだ山本さんが代表を務める「熊野山本猪犬訓練所」(上富田町岩田)だけとなった。山本さんは2006年から、飼育した巨大なイノシシと訓練した猟犬を戦わせて狩猟の能力を競う「全国猪犬猟能競技大会」をほぼ毎年主催してきた。この大会の参加者も昨秋はわずか18匹と、ここ数年で4分の1に減った。県内からの参加はゼロだった。狩猟をしない人から「戦わせるなんて残酷だ」と抗議を受けることもある。これまで500匹もの猟犬を訓練し、ハンター歴17年の山本さんは「箱わなでは知恵をつけた親世代のイノシシを捕るのは難しく、獣害の根本的な解決にはならない」と指摘する。だからこそ、狩猟の現状に対する危機感は強い。「このまま猟犬が減り続けて技術が失われれば、獣害に悩まされ続けることになるのではないか」。そう危惧している。
(捕獲イノシシの2%、広がらない「ジビエ」:和歌山)
シャッターを下ろしたままの店舗が目立つ和歌山市の北ぶらくり丁商店街に先月、市中心部では初のイノシシ・鹿専門の精肉店が開店した。店名は「ビストロ」。改装中のため当面、営業は土日曜のみだ。店頭に立つのは経営者の北浦順嗣さん(67)=和歌山市。「レストランだけでなく、家庭でいかに食べてもらうかが重要」と今春には店内に飲食設備も整備し、家でできる獣肉食を広める計画だ。ハンターでもある北浦さんは昨年3月、社団法人「和歌山鳥獣保護管理捕獲協会」を設立した。銃猟や箱わなで捕獲されたイノシシと鹿を買い取り、専属の職人が解体して肉に加工し、全国のレストランなどに販売している。ビストロ開店の数日前、和歌山市の京奈和道延伸工事現場近くにある協会の作業場に、ハンターの寺嶋滋さん(66)=同市=が雌のイノシシ3匹を持ち込んだ。箱わなにかかったといい、計54・6キロといずれも小型。食肉にできるのはその半分もない。「自分で解体すれば2時間はかかる。かといって捨てるのももったいない。買い取ってくれるのは本当に助かる」昨年度に県内で捕獲されたイノシシ1万3652匹のうち、肉として売買できるよう食品衛生法に基づく許可を受けた県内17カ所の解体処理場に持ち込まれたのは、わずか2%の315匹。鹿は更に少ない1%、120匹だった。農業者の多くは鳥獣駆除のため仕掛けた箱わなに獲物がかかっても、そのまま捨ててしまう。イノシシならば自分たちで解体して消費するハンターたちも、独特の風味がある鹿は、山中に埋めて処分することが多いという。県などは2009年から仏料理で獣肉を指す「ジビエ」のPRを強化して普及を図っているが、一般の食卓に上る食材にはなっていない。価格相場もイノシシはロース肉で100グラムあたり500円前後、バラ肉でも450円前後と、安定供給できる家畜の豚よりどうしても2倍以上の価格になる。肉の硬さや臭みなど、処理技術が万全でなかった頃のイメージの悪さもある。このため、協会は設立から9カ月間でイノシシ・鹿計約600匹を引き取ったが、売れたのはまだ200匹分ほどにとどまる。販売先の6割は高級レストランなどが多い東京で、県内での消費は2割に満たない。協会とは別に5年前から獣肉販売を手がける北浦さんの冷凍庫も、在庫は9トンに達している。獣肉の消費が少ないままでは、獣害が減るほどの捕獲につながらない。北浦さんはそうみている。「それに、駆除であってもやはり殺生。捨ててしまうよりは少しでも有効に利用したい」
(ネットオークションで準空気銃購入:愛知)
豊川署と蒲郡署は4日、銃刀法違反(準空気銃所持の禁止)の疑いで、静岡県浜松市の自営業、山口勇容疑者(48)を逮捕した。 逮捕容疑は、昨年1月28日に自宅で準空気銃5丁を所持したとされる。
(災害備蓄用に「シカ肉缶」を開発:高知)
高知県など全国で捕獲数が急増中のシカの有効活用を研究している大阪府立大学の黒川通典講師(栄養学)らが、シカ肉を使った災害時の備蓄用缶詰を開発した。食物アレルギーの原因になりにくいシカ肉の特性に着目し、アレルギーを起こしやすい「特定原材料」も一切使っていない。黒川講師は「災害時こそ『誰もが食べられる』非常食が重要。シカ肉活用の一つのモデルとして育てたい」と話している。
(鹿の角アクセサリー:北海道)
北海道苫小牧市の鹿の角で作ったアクセサリーで、森を守って??。府中市の元ジュエリーデザイナー、和久紗枝さん(34)が、苫小牧の森で捕獲された鹿の角を使ったアクセサリー「YUKU」を制作し、17日、国立市内のコミュニティスペースで販売する。売り上げの1割は苫小牧で森の保全活動に取り組む「苫東・和みの森運営協議会」に寄付される。苫小牧市緑地公園課によると、市内では森に生息する鹿により農作物被害があり、地元の猟友会に駆除を依頼してきた。一方で、2009年には市や土地所有者、民間企業などによって同運営協議会が設立され、森の保全啓発のためのワークショップや、子ども向けのキャンプなどが開かれてきた。一昨年9月、和久さんは所属する育児団体のツアーで苫小牧を訪れ、同協議会の活動を知った。共感した和久さんは「森を守るためお手伝いができれば」と森の素材を使ったオリジナルアクセサリーの制作販売を思いついた。鹿の角は、地元から贈ってもらった段ボール1箱分の素材の中に、松ぼっくりなどと一緒に入っていた。「人の介入で環境が変わり、本来共存していた鹿が駆除されている現実を知ってもらいたい」と採用を決めた。アクセサリーは、角の断面のごつごつした曲線や側面の色や質感はあえて残し、中央にガラスビーズを配置。気軽に身につけられるよう一見すると角と分からないシンプルなデザインにし、アイヌ語で鹿を意味する「YUKU」と名付けた。

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(クマ出没:宮城)
30日午前7時40分ごろ、宮城県名取市ゆりが丘5丁目の山林で、体長約1.5メートルのクマ1頭を目撃したと通行人から通報があった。岩沼署によると、現場は「海の見える丘公園」の東側。同署が注意を呼び掛けている。
(冬に「クマ」目撃、周辺住民に注意呼び掛け:福島)
31日午後3時30分ごろ、喜多方市の田んぼでクマが目撃されたと、同市の男性から喜多方署に通報があった。同署によると、クマは体長約1メートル。同市に帰省中だった別の男性(48)が車で市道を走っていたところ、クマが走り去ったという。この時期にクマが目撃されるのは珍しいといい、同署は「暖冬の影響で冬眠していなかったのでは」としている。周辺住民に注意を呼び掛けている。
(神社にサル出現:徳島)
鳴門市の大麻比古神社ではことしのえとのサルが姿を現しました。毎年25万人の初詣客でにぎわう鳴門市の大麻比古神社。元日の参拝客の前に姿を現したのは・・境内にある高さ10メートルを超える木の上に現れたのは、ことしのえとであるサル。全部で3匹いました。参拝客は、足をとめ、思わぬえとの登場に驚いていました。神社の人によりますと、ここ数年、裏山から降りてきたサルを見かけることはよくあるということです。県内は穏やかな元旦を迎え、午前7時7分頃、雲の間から太陽が姿を現しました。徳島市の眉山山頂には大勢の人が訪れ、初日の出に手を合わせていました。
(狩猟免許者を職員に:三重)
シカなどによる獣害を減らそうと、津市は二〇一六年度から、狩猟の免許を持つ市民を臨時職員として採用する方針を固めた。市町が独自に雇用するのは、東海地方では愛知県新城市や、いなべ市などわずか。獣害撲滅に向け、対策を強化する。津市内では、美杉町や美里町など山間部で獣害の被害が特に多い。シカがスギやヒノキの皮をはいだり、サルが農作物を食べたりするなど、主要産業の林業や農業に深刻な影響を与えている。同市によると、市内の獣害被害額は年間四千万円にも上るという。県獣害対策課によると、シカの繁殖が進み、県内の推定生息数はここ十年間で五割ほど増えた。津市は、これまで地元の猟友会の協力で駆除していたが、より捕獲量を増やすため、臨時職員として狩猟の免許を持つ市民を雇うことを検討。新年度当初予算案に盛り込む。臨時職員の採用数は一人の予定。津市役所本庁に勤務し、市民から獣害被害の情報があれば、現地で調査にあたる。シカなどを捕獲するためのおりの管理も行う。臨時職員の他に、狩猟の免許を持たない再任用の職員四人も同じチームで活動する。山間地を中心に見回りを強化し、獣害撲滅につなげる考えだ。
(ニホンジカ効率的捕獲へ、毎年の行動調査検討:長野)
県林務部は、管理計画策定のため5年に1度実施するニホンジカの生息状況調査とは別に、行動調査を毎年行うことを検討している。GPS(全地球測位システム)発信器付きの首輪を取り付ける行動追跡調査と、夜間の林道などで光源に反射した個体を調べるライトセンサス調査の2手法を想定。ふんを数えて生息頭数の推定に役立てる従来の調査と異なり、ニホンジカの行動を把握して効率的な捕獲方法を探る考えだ。GPSを使う行動追跡調査は、近年、行動区域の拡大が指摘されながら「シカの行動が十分に分かっていない」(鳥獣対策・ジビエ振興室)という北アルプスや木曽地域での調査(20頭程度)を想定。詳細な動向把握を期待でき、「越冬地が分かれば冬場の集中的な捕獲も可能になる」(同)とみている。諏訪など一部の地方事務所がゼロ予算で限定的に試行してきたライトセンサス調査は全県に拡大。同じ時期、区間で継続調査するため、業者委託を検討している。県内のニホンジカ捕獲頭数は増加基調で推移してきたが、2013、14年の3万9千頭台で頭打ちとなり、15年も同程度の見通し。同室は「猟友会員の高齢化もあり、これからは捕獲効率を上げていくことが必要」としている。綿密な調査に基づく効率的な捕獲を求める意見は県環境審議会専門部会でも上がっている。同部は来年度から実施したい考えで、経費2500万円を予算要求している。
(サル食害深刻:岩手)
申(さる)年の「主役」ではあるけれど…。釜石市甲子(かっし)町の山間部でニホンザルによる農作物の食害が後を絶たず、住民を悩ませている。サルは特産の「甲子柿」を狙ったり、窓から住宅に侵入して仏壇のお供え物を食べたり、家庭菜園で収穫前の野菜を食い荒らしたりと傍若無人。特殊な電気柵の導入など、住民や行政は「共存」の対策を試行錯誤している。付近でサルが頻繁に目撃されるようになったのは10年ほど前から。特に同市甲子町西部の大橋・洞泉地区で多く、現在は30~40匹が生息するとみられる。市によると2014年度、サルによる農作物被害額は約120万円だった。ニホンジカやハクビシンを下回るものの、年々深刻さを増している。周辺はニホンジカの食害も深刻で、畑を網や電気柵で囲う住民も多いが、サルは電気柵を設置しても電流が通らない支柱を器用に登る。このため、市は支柱にも電流が流れる特殊な柵を実証実験として県内で初めて導入した。設置した2カ所では一定の成果が出ているが、設置費用が高いのがネックで、住民は追い払うために威嚇用ロケット花火に頼っているのが現状だ。
(農業被害、正しい対策で共存:新潟)
県内でサルは有害鳥獣とみられることが少なくない。しかし「害獣ではなく、産業や観光など地域の資源と考えて共存していくべきだ」と訴え、獣害対策に奔走しているのが、長岡技術科学大技学研究院(長岡市上富岡町)の山本麻希准教授(44)だ。県によると、サルによる県内の農作物被害は平成22年に1億円を超え、その年に1400匹が捕獲された。被害に遭うのは自家用の作物が中心で、届け出がないケースも多い。生息地域も年々拡大している。「かつては人間と山の野生動物のすみ分けができていたのだが、集落近くの山里が手入れされず茂った森となったことで、動物が安心して人里近くまで下りて来るようになった」被害拡大の背景を山本さんはこう説明する。自然環境の厳しい山中だと子ザルが死ぬ割合は半分程度なのに対し、栄養満点の餌を得られる人里近くでは10~20%に下がるという。さらに明治から昭和初期の乱獲で野生動物が減ったことから国が40~50年前に保護政策を取り、動物の数が増えたことも要因の一つだ。しかし、やみくもな駆除は逆効果をもたらす。サルは子育て経験が豊富な数頭の雌が群を率いており、このリーダーを撃ってしまうと群が分裂し、その結果、サルの数は増えてしまう。こうした事態は、県内でも新発田市で実際に起きた。では、どうすればいいのか。駆除しても群の分裂を招かないリーダー以外のサルを捕獲し、数を減らす。さらに、リーダーに発信機を取り付けて群の行動を監視・予測し、被害に遭いそうな集落で事前に防除対策をとることが重要になる。こうした知識や適切な対策は浸透していない。そこで山本さんは学識者らとともに、科学的データを蓄積して正しい対策を行い、野生動物と人間の共存を目指す活動型シンクタンク「新潟ワイルドライフリサーチ」を23年に立ち上げ、26年にNPO法人化した。山本さんが会長を務め、会員数は約60人。住民による地域の現状点検や獣害対策の講習会、野生動物の行動を把握・分析する調査に取り組み、被害防止計画の策定も支援している。千葉や山梨、岐阜の各県で活動する団体とも連携し「ふるさとけものネットワーク」を結成。山本さんは「全国規模で展開し獣害対策を根底から変えていきたい」と意欲をみせている。
(シカに感謝、アイヌ文化知って:北海道)
アイヌ民族の暮らしに欠かせない存在だったシカを通じ、狩猟に関わる民族の精神文化への理解を深めるワークショップが来年1月9日、日高管内平取町で開かれる。北海道アイヌ協会によると、サケをテーマに民族の狩猟文化を紹介するイベントは各地で行われているが、シカを通じた取り組みは珍しい。町内のハンター、門別徳司(あつし)さん(33)ら5人でつくる実行委主催。口承文芸や古式舞踊の体験イベントに比べ、アイヌ民族の生活を支えてきた狩猟、特にシカ猟に関する精神文化に触れる機会が少ないとして企画した。「マタギキャンプinアイヌモシリ」と銘打ち、1月9日午前10時に二風谷アイヌ文化博物館に集合。伝統的なシカ猟の道具などを見学した後、午後から旧荷負(におい)小でシカの角や皮を使ってボーンナイフを作る。シカをさばいてバーベキューを楽しむ。門別さんらは「ボーンナイフは民族の伝統的な道具ではないが、普段は捨てられるすねの部分を活用することで、いただき物である動物の命を大切にしてきた民族の精神文化を共有したい。今後も継続的に開ければ」と話している。
(狩猟の魅力を実感、環境省が開催:島根)
「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が、松江市内で開かれた。県内のハンターによるトーク、イノシシ料理の振る舞いがあり、狩猟の魅力や社会的役割を参加者に伝えた。環境省が全国各地で開催しており、県内では初めて。シカやイノシシによる農業被害が深刻化する一方で、狩猟者は減少・高齢化していることが背景にある。川瀬翼・環境省狩猟係長は「この20年でニホンジカは約9倍、イノシシは約3倍に増えている。全国の農業被害は200億円前後で高止まりし、このうちシカやイノシシの被害が約6割を占める」と説明する。兵庫県職員で狩猟免許を持つ上田剛平さん(38)は「狩猟のイロハ」をテーマに、ワナによる捕獲のポイント、銃による猟の手順を解説。県内のハンターも「私がハンターになった理由」と題してトーク。「命と向き合うハンターがかっこよく見えた」「父も猟をしていた。幼い頃から猟について行った」などと話した。
(秋山郷のマタギ、掟を固く守り続け:長野)
パーン。栄村と新潟県津南町にまたがる秋山郷の谷に銃声が響いた。25年前の春、冬眠明けの熊を集団で狙う猟の初日だった。猟を始めて3年目だった福原和人さん(53)=栄村・小赤沢地区=は残雪の山を下ってくる熊と不意に出くわした。散弾銃に弾2発を詰め、約20メートル先の熊目がけ、夢中で引き金を引いた。初めて熊を仕留めた晩、米をサワグルミの枝で潰し、12個の団子にして山小屋の神棚に供えた。「山の神」に謝意を示す熊が捕れた日のしきたりだ。「運良く捕れたのは神様のお陰」と祝詞をあげた。解体後に集落に下ろした体重約130キロの雄は仲間と平等に肉を分けた。「皮は毛皮に骨は薬に、頂いた命は無駄にしない」。これまで捕らえた熊20頭以上の猟を今も鮮明に覚えている。福原さんの先祖は山で獲物を捕る伝統的な狩猟集団で秋田県にルーツがある「阿仁マタギ」。江戸時代後期、猟場を求めた「渡りマタギ」が秋山郷に住み着き、狩猟技術をもたらした。豪雪地帯・秋山郷の人々にとって、温泉地などで高値で取り引きされる熊の胆(い)や肉は貴重な現金収入となり、狩猟を生業とするマタギが根付いた。「マタギは獲物を捕ることだけが目的のハンターとは違う」と福原さんは言う。「山の恵みで命をつないできた」との畏敬(いけい)の念から、マタギは掟(おきて)を固く守り続ける。例えば、山で縁起の悪い言葉は使わない。猟前は女性と話してはならない。山の神は女神で嫉妬されるからだ。「迷信と言われるかもしれない。ただ猟がうまくいかなければ、『山の神様の機嫌を損ねたからだ』と思う。掟を破れば、出直しだ」隔絶された環境は独特の文化を築いた。かつてトチの木のむやみな伐採は禁じられた。不作時などの貴重な食料としてトチの実を保存するためだ。トチ餅などを作り続ける福原さんの母かずさん(78)は「アク抜きだけで2週間以上かかるが、子どものころは頻繁に食べた。食べ物が豊かじゃなかったから」山間部の衰退や狩猟の規制でマタギを生業とする人は既にいない。戦後約70人いた秋山郷のマタギは昨年、福原さん含め3人に減少し、熊猟は人手不足で難しくなった。秋山郷に30年以上通う東北芸術工科大(山形市)の田口洋美教授(民俗学)は「人々は自然を畏れ、慈しむ中で生きてきた。楽な暮らしを求めた結果、命を頂くことの厳しさを忘れ、自然を軽視するようになっている」と憂う。福原さんは一度は神奈川県の会社で働いたが故郷に戻り、マタギの父直市さん(享年79歳)の後を継いだ。「大雪は大変だけれど、水をもたらし、山菜を育む。豊かな木々で暖もとれる」。民宿を営みながら、山の変化に合わせて暮らす文化を守り続ける。狩猟は「有害鳥獣駆除」と見なされつつある。だが「マタギの精神を絶やしたくない」と思う。
(町育ちの若者、迷い抱え猟銃手に:和歌山)
森と人の距離が、かつてないほど近くなっている。中間にあってその二つを隔ててきた里山が、林業の衰退などで次々と姿を消し、森にすむ野生動物が人里に下りて来る。各地で鳥獣害が増え、特にイノシシや鹿、猿は農業に深刻な被害をもたらしている。だが、被害拡大を食い止めるすべは乏しい。車や電車と獣との衝突事故が起きているように、影響は今後、一般の市民生活に及ぶだろう。獣害の実情はどうなのか。有効な手が打てない原因は何か−−。森と人と獣が交わる現場を追った。「ここに走って来いという気持ちと、来たらどうしようという気持ちが半々。最初は皆そうですよね」狩猟最盛期の昨年11月下旬。かつらぎ町の山林で初めてイノシシ猟に参加した新米ハンターの浅見風さん(28)はつぶやいた。昨夏に銃での狩猟免許を得たばかり。落ち着かない様子で、まだ手になじまない散弾銃の装填(そうてん)口を開けた。手元が狂い、枯れ葉の上に落ちた薬きょうが音にならないほどの音を立てた。本業は森林組合の技術職員。故郷は神戸市の新興住宅地で、山林とは無縁だ。大学を卒業後、農業や青果市場での配達など職を転々としてきた。「自然と関わる仕事がしたい」と2013年に今の仕事に就き、山奥のスギ・ヒノキ林での間伐や植林に従事している。仕事場である山中では、毎日のように鹿と出合う。せっかく植林しても苗はすぐに食べられ、商品になる樹木も、皮がはがされたり角で傷が付けられたりする。県によると、林業の獣害は県内で少なくとも年間1000万円に上る。森に住む動物による農地への食害は、さらに多い。「森が人だけのものとは思わないが、維持するには番人が必要。イノシシや鹿は多すぎても少なすぎてもいけない」。そう感じて銃をとった。初の猟では山中の獣道で息を潜め、猟犬に追い立てられたイノシシが現れるのを待った。約1時間半後、ベテランが1匹仕留めた。「ちょっと安心しました」。血を流して軽トラックの荷台に横たえられた獲物を見て漏らした。昨年3月に森林組合に入った和知昌平さん(26)も昨夏、銃の狩猟免許を取った。今年は銃刀法の所持許可も申請し、秋にはハンターの一人として山に入るつもりだ。「大学まではいわゆるオタク系。山を歩き回るタイプではなかったが、ここに来て良かった」。冬の山中は冷え込みがきつい。泥だらけの作業着や道具に目をやり、白い息とともに笑顔を見せた。まだまだ見習いだが、黙々と木にチェーンソーの刃を当てる日々だ。横浜市出身。大学では林業を専攻したが、就職氷河期で就活はすぐにギブアップした。実家で暮らし、警備員のアルバイトをして過ごす中、生きがいは音声合成による二次元の動画作品の制作と、それによってネット上でつながった仲間との会話だった。「自作の動画が同じ趣味を持つ人々から注目を集めると『認めてもらいたい』という欲求が満たされたように思えた。だが、結局は仮想現実だった」。突然むなしくなり、思い立ってあえて厳しい職場を選んだ。就職後、狩猟に関心を持ったのも「現実世界へのあこがれから」という。だが、例え害獣であっても、圧倒的な力を持つ銃で野生動物を撃つ行為を、まだうまく飲み込めずにいる。「必要なことだが、遊びや駆除のためだけに命を奪うことはしたくない。生き物を捕るからには、きちんと食べないといけないんじゃないか」それぞれ迷いを抱えながら、若者たちは獣害に立ち向かおうとしている。
(膨らむ鳥獣害、地域で異なる実像:和歌山)
しっかりとした対策をとれば大丈夫だと思っていた。海南市の山間部・九品寺地区。2013年に脱サラして就農し、借りた畑約20アールでショウガを栽培する本田拓司さん(46)=紀美野町下佐々=は繰り返し畑のミミズを目当てにやって来るイノシシの被害に遭ってきた。周囲に巡らせた鉄製の網は破られ、電気柵は壊された。「もうどうしようもない」網を張り直しても簡単に網を壊して入ってくる。ショウガも茎が折られたり、掘り返されて乾燥したりして2年連続で3分の1以上がだめになった。箱わなで2匹を捕獲したが被害は収まらず、3年目の今年度は完全に赤字だ。「被害は年々ひどくなるが、言っても補償してくれるわけではないし、役所には報告もしていない」県内の農作物の鳥獣害は2014年度で総額3億2124万円。内訳はイノシシ1億6295万円、鹿が4452万円、猿が5178万円など。ここ10年近く高止まりしているが、被害分布や有害鳥獣対策の捕獲数は公表されていない。県内全30市町村に取材し、初めて被害の全体像と地域によって異なる獣害の実像が判明した。最も深刻な被害をもたらしているのはイノシシだ。特に県内の果樹や水田でのイノシシ被害は、柿や桃が特産の県北部に集中。昨年度も海南市以北の9市町で被害額の6割以上を占め、紀の川市は3693万円、かつらぎ町は2021万円に上った。農家が設置する箱わななどで捕獲数は増え、防護柵の設置も広がったが、対策を上回るペースで繁殖しているとみられる。面積あたりの被害額はミカン栽培の盛んな有田市や湯浅町、海南市などが高く、1アールあたり3万円以上。10年まで農業被害が年間4000万円を超えていた海南市では数字上の被害額こそ減ったが、非農業者が多く景観を損ねる柵の設置などに理解が得にくく、対策が進まない地域に被害が集中するなど別の問題も起きている。全県に分布しているとみられる鹿の被害は田辺市以南の10市町村で全体の5割弱、御坊市などの県中部の11市町で4割と県南に偏る。被害額が最大なのは田辺市で、昨年度も1078万円。高さ1メートルほどの通常の柵は飛び越えられてしまい、ミカンやコメ、花などで被害が出ている。さらに、田辺市や新宮市などでイノシシや鹿よりも問題となっているのが猿だ。田辺市で昨年度のミカンなどの被害が1644万円となるなど、7市町村で農業被害の最大の要因となった。木を伝って移動できるため柵で防げず、銃での駆除も困難で打つ手がないのが現状だ。この5年で被害額が1・5倍に膨らんだ日高川町の担当者は「確実に数が増えている。今後最大の課題になるのでは」と危ぶむ。畑を荒らされ続けた本田さんは「別の農地を借りるよ」と、恨めしそうにこぼした。海南市と紀美野町を管轄するJAながみね(同市)の山下実・営農企画課長は「実際の被害は数字よりはるかに多いはず。回復不能な被害を受けて離農する人も多く、対策をするか農業を辞めるかというところまで追い詰められている」と話す。

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