<射撃ニュース11月>

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(カモ猟で自分の右足を誤射:滋賀)
15日午前6時50分ごろ、滋賀県野洲市安治の家棟川大橋の近くで、カモ猟をしていた大阪市浪速区湊町1丁目、無職の男性(67)が、持っていた散弾銃で誤って自分の右足を撃ち、重傷を負った。守山署によると、男性は右脇に猟銃を抱え、飛んでいるカモに銃口を向けようとした時、誤って引き金を引いてしまい、右足くるぶしなどを撃ったという。滋賀県ではこの日がカモ猟の解禁日だった。
(カモ猟の男性が猟銃紛失:新潟)
15日午前5時半すぎ、長岡市中之島中条の信濃川で小型ボートが転覆し、カモ猟に来ていた県外の50代男性が猟銃1丁を川に落とした。男性は付近にいた警察官に猟銃を紛失したと届け出た。見附署によると、猟銃に弾は装填(そうてん)されていなかった。15日は狩猟解禁日で、男性は4人で訪れていた。4人はいずれも川に転落したが、自力で岸にはい上がり、けがはなかった。同署などは十数人態勢で2台のボートに乗り川の中を捜索したが見つからず、午後4時ごろ、この日の捜索を打ち切った。
(イノシシに襲われ夫婦死傷:群馬)
群馬県桐生市の民家敷地内で11日夜、体長約1・5メートルのイノシシに60代の夫婦が襲われ、夫が死亡、妻も負傷した。倉庫脇に仕掛けていた捕獲用のわなに掛かったイノシシが、わなが外れた際にかみついたとみられる。晩秋は発情期で興奮しやすく、食料を求めて出没する頻度も高めで、県警や市は注意を呼びかけている。桐生市広沢町3丁目の酪農業、丹羽正雄さん(67)宅から消防に通報があったのは11日午後9時35分ごろ。丹羽さんは両足と左手をイノシシにかまれ、出血性ショックのため約2時間後に死亡が確認された。妻の八重子さん(60)も腰をかまれ、深さ約5センチの傷を負った。桐生署によると、牧草や玄米などを保管する敷地内の倉庫脇に仕掛けたわなに掛かったイノシシを、丹羽さんが長さ約2メートルの牧草用フォークで押さえようとした時、わなが外れた。イノシシは一緒にいた八重子さんも襲い、裏山へ逃げたという。わなはこの日午後4時ごろに仕掛け、ワイヤで獣の脚をくくりつける形状の「くくりわな」だった。現場は桐生市役所から南へ約2・5キロの集落。署と市、地元猟友会は12日、13人態勢で周辺をパトロールして注意を呼びかけた。
(クマ襲撃、男女2人けが:宮城)
仙台、富谷両市で13日夜~14日早朝、クマの出没や目撃情報が計4件あった。仙台市で男女2人が襲われ、それぞれ軽いけがをした。宮城県警などが住民に注意を呼び掛けている。13日午後9時ごろ、仙台市青葉区国見5丁目の無職女性(79)が自宅前で、後ろからクマに襲われ、顔や頭を引っかかれた。仙台北署によると、女性は娘を迎えるため立っていた。現場はJR仙山線国見駅の南東約500メートルの住宅地。同日午後10時ごろには、泉区上谷刈関ノ上の路上で、帰宅途中の団体職員男性(63)がクマに襲われ、脇腹などにすり傷を負った。泉署によると、クマは体長約1・6メートルでクリの実を食べていた。現場はスーパーなどがある住宅地でクマは北西方向に逃げたという。男性の家族によると、クマは男性を押し倒し、男性が大声を上げたところ、畑を横切り近くの林に逃げたという。クマの目撃情報は同日午後10時15分ごろ、富谷市富谷源内の国道4号と仙台北部道路富谷インターチェンジ入り口との交差点付近で、14日午前6時10分ごろには泉区実沢熊野山の市道で、それぞれ1頭あった。泉区はクマの出没、目撃情報が相次いだことを受け、仙台市加茂中、野村小に生徒児童の登下校時に注意するよう呼び掛けた。
(住宅地近く山林で男性けが:宮城)
16日午前9時ごろ、仙台市太白区向山1丁目の山林で、同区の無職男性(78)がクマに襲われ、顔に軽いけがをした。山林は住宅地に近く、仙台南署と市が付近を巡回し、注意を呼び掛けている。同署によると、男性は野生のヤマイモを掘りに訪れたところ、クマが突然、現れ、正面から顔を引っかかれたという。自力で逃げ出し、市内の病院で診療を受けた。現場は向山こども園や向山小、仙台向山高から約1キロ北の山林内。
(狩猟中の58歳、クマに襲われる:三重)
十三日午前十時半ごろ、紀北町十須の山林で、同町島原の男性(58)が狩猟中にクマに襲われ、後頭部に幅四、五センチ、深さ一センチほどの裂傷を負った。町役場によると、男性は県猟友会紀北支部の会員で、支部会員八人で狩猟をしていた。クマは成獣で、近くの木の上にいた子グマに向かって猟犬がほえたことが襲われた原因とみられる。直後に斜面を転がり落ちたためにクマが離れ、軽傷で済んだ。現場は近くに民家がないクマの生息域。同町では今年、クマとの遭遇事案が八件報告されているが、けが人が出たのは初めて。町担当者は「今年は例年に比べて目撃報告が特に多い」と話している。
(40代男性、クマに襲われけが:富山)
14日夜、上市町の住宅の前で、40代の男性がクマに襲われ軽いけがをしました。県内でクマによる人身被害は、今年に入り3件目です。「先日、町の中心部のほうで出たので、みなさん注意はかなりしていたと思うんですけど、こんなに間近で出るとは想像していなかったのでびっくりしました」(近所の人は)上市警察署によりますと、14日午後9時35分ごろ、上市町女川(おながわ)に住む40代の男性が、自宅の勝手口の近くで突然クマに襲われました。男性は、頭と両腕をひっかかれ、軽いけがをしました。クマは逃げたということです。男性の自宅の庭には、クマが食べたとみられるカキも確認できました。上市町では先月4日にも、住宅地で70代の女性がクマに襲われけがをしていて、県内でクマによる人身被害は、今年に入って3件目です。警察と地元猟友会は、15日朝から現場付近をパトロールし、注意を呼びかけています。
(イノシシにかまれ女性けが:兵庫)
9日午後6時半ごろ、兵庫県西宮市苦楽園三番町の住宅街の路上で、近くに住む無職女性(60)がイノシシに右のふくらはぎをかまれ、軽傷を負った。イノシシはそのまま逃げた。西宮署によると、女性は自宅の外で犬がほえているのを不審に思い、外に出た。イノシシ1匹がおり、さらに現れたもう1匹にかまれた。かんだイノシシは成獣とみられる。女性は自ら119番した。
(出勤途中にクマに遭遇、頭や腕かまれ70歳男性けが:兵庫)
7日午前7時ごろ、兵庫県養父市別宮の林道で、近くの男性会社員(70)がクマに襲われた。男性は前頭部や両腕をかまれるけがをしたが、命に別条はないという。
(住宅街から100メートルでクマ出没:兵庫)
3日午前11時55分ごろ、兵庫県姫路市菅生台の県道脇の山をクマがうろついているのを近くに住む男性(68)が目撃し、110番した。兵庫県内ではクマの出没が相次ぎ、宍粟市では10月にかまれた男性が重傷を負ったが、姫路市によると市内での目撃は珍しいという。県警姫路署によると、クマは体長約1メートル。現場は住宅街から100メートルほどで、近くには県立大姫路工学キャンパスもある。通報を受け、署員や地元猟友会のメンバーらが周辺を午後5時ごろまで捜索したが、クマは見つからなかった。姫路署はパトカーで巡回して住民に注意を呼びかけた。
(北陸自動車道に居座ったクマ、猟友会が駆除:新潟)
5日午後、新潟県糸魚川市の北陸自動車道の下り線にクマが1頭現れ、道路脇のスペースに入り込んでその場にとどまり続けたあと、夜になって猟友会に駆除された。
(熊の目撃情報:宮城)
10日午前7時40分頃、登米市津山町柳津字黄牛地内で熊の目撃情報がありました。屋外では音の出るものを身に着けるなどの対策を行い、十分に注意してください。
(サルの群れ、出没相次ぐ:長野)
木曽町福島などの人里で近年、ニホンザルの群れの出没が相次いでいる。人の持ち物を奪い取るといった事態は確認されていないが、県木曽地方事務所は被害の拡大や凶暴化を防ぐ必要があるとし、けがなどをしないことを前提に「サルを見掛けたら積極的に追い払い、興味本位で餌などを与えないでほしい」と呼び掛けている。今月上旬、同町福島に住む七十代男性の自宅敷地内に十匹以上のニホンザルの群れが現れ、庭先の柿の実やネギを食い荒らした。男性は「数匹を見掛けた年はあったが、こんなにたくさんのサルが山から下りてきたのは初めて」と話す。福島小学校の通学路でも十月中旬から今月上旬にかけて二回、ニホンザルの群れの目撃情報が保護者らから学校に寄せられ、職員が現場の見回りなどを実施した。町農林振興課の木山沢和弘係長によると、人里に現れるニホンザルは増加傾向にある。町が把握しているだけでも三十匹単位の群れが十以上あり、休耕地を荒らすだけでなく、子どもや女性を威嚇するなどの報告が増えている。町は、地域おこし協力隊の小野司さん(27)を有害鳥獣対策の専門員とし、町内のパトロールなどを展開している。地元猟友会とともに駆除も行っているが、木山沢係長は「猟友会員が着ているオレンジのベストを見ただけで逃げ出してしまう。なかなかうまくいかない」と現状を説明する。同地方事務所林務課の岡田充宏・鳥獣対策専門員は、ニホンザルの出没増加の一因として「木になったままの柿や栗、収穫しないで放置された野菜はサルにとってごちそう。山の中より栄養豊富なものが簡単に手に入ると知ったサルは、定期的に対象の民家を訪れるようになる」と指摘。その上で、住民らに作物などの管理を徹底するよう求めるとともに、追い払いでは「手をたたいたり、棒を振り回したりして体を大きく見せるようにしてほしい」と話している。
(青梅でクマ出没相次ぐ:東京)
東京都青梅市でツキノワグマが相次いで出没している。8日には、JR青梅線の御嶽駅から約200メートル東の多摩川左岸に、親子と見られるクマ3頭が現れた。翌9日には直線距離で3キロほど多摩川を下ったJR二俣尾駅付近に3頭が出没。10日には同駅の北東約3キロの住宅地近くの道路を横切る1頭の目撃情報があり、同日夕に体重60キロのメスを地元猟友会が殺処分した。8、9両日の3頭が同一のクマか分かっていないが、紅葉狩りや秋のハイキングシーズンの最盛期を迎え、専門家は「非常に危険な状態だ」と注意を呼びかけている。青梅市では、10月下旬にもクマが連日出没する騒ぎがあったばかり。同月22日には120キロのオスが、翌23日には80キロのメスが殺処分された。いずれも住宅地で、青梅市によると、記録が残っている過去10年間で、ここまで民家に近い場所でクマが確認されたのは初めてという。10月に殺処分された1頭目のオスは、同月中旬から近くの飲食店で食材を荒らしたクマとみられる。22日早朝から市職員と地元猟友会のメンバーが捜索にあたり、茂みから出てきたところを射殺した。2頭目のメスは、1頭目を射殺した直後に、現場から約4キロ下流の多摩川河川敷にクマが逃げていった、という通報があった。翌23日朝に発見、射殺した。ツキノワグマの生態に詳しい「日本ツキノワグマ研究所」の米田(まいた)一彦理事長は、1頭目のオスの大きさに注目する。「120キロというと、野生のツキノワグマのほぼ最大級。強いクマは、山奥の最高の場所を占拠するもの」という。そんなクマが住宅地に現れるというのは「ドングリなどの食料がよほど不足しているのだろう」とみる。米田理事長は「雪が降れば、クマは一斉に冬眠に入る。栄養状態が悪い年ほど冬眠は早い。クマの出没は、いずれ終息する」と前置きしつつも、「まだ、いつどこで遭遇するか全く予断は許さないだろう」と話す。クマ対策で最も大切なことは遭遇しないことで、米田理事長によると、市販されている高い音が出る「クマ鈴」を身につけ、人がいることをクマに知らせることが有効だという。万一、遭遇してしまった場合は、背中を向けたり、腕を左右に動かしたりすることが、最も危険だという。クマは動くものに反応し、相手が自分より弱いと判断すると、襲ってくる危険が高まる。「背を向けず、声を上げずにゆっくりと後ずさりして距離をとってください」と注意を呼びかけている。
(牧場でクマ1頭を駆除:北海道)
8日午前8時半ごろ、鹿部町駒見の松田牧場敷地内で、クマ捕獲用の箱わなにクマ1頭が入っているのを、確認に訪れた地元猟友会の男性ハンター(71)が見つけた。クマはその場で駆除された。森署によると、クマは体長約1・9メートル、体重約120キロの雄で、推定8歳。同牧場では9月上旬から、デントコーンの食害があったため、今月2日から箱わなを仕掛けていた。クマの発見場所から人家までは、直線距離で約2キロ。
(クマ出没、三陸道で射殺:宮城)
8日午前2時すぎ、宮城県利府町春日の三陸自動車道上り線に体長約1メートルのクマがいるのを巡回中の県道路公社職員が見つけた。追い越し車線上にうずくまっていたため、午前7時前に猟友会員が射殺した。駆除のため、利府中-鳴瀬奥松島インターチェンジ間の上下線が、午前6時半から7時まで通行止めになった。
(幼稚園にサル侵入、けが人なし:静岡)
15日午前11時すぎから午後3時ごろにかけて、湖西市新居町の市立新居幼稚園にサルが侵入し、園児が屋内に避難する騒ぎがあった。サルは一時は園舎に入り込んだが、すぐ屋外に出た。けが人や被害はなかった。同日は194人が登園していた。園児の避難後に職員が施錠を始めたところ、サルは未施錠だった2階ベランダから無人の保育室に侵入。職員が声を上げると屋外に出た。同幼稚園は西側が山に面し、サルは約4時間にわたって山と園内を往来。通報を受けて市職員や警察官、猟友会員が駆け付け、箱わなを2カ所に設置したが捕獲されていない。幼稚園職員は「安全が確認されなければ、16日以降も園庭を使えない」と困惑していた。
(クマ猟解禁、1頭捕獲:兵庫)
兵庫県で20年ぶりにツキノワグマの狩猟が解禁された15日、県内各地では早朝から猟師が獲物を追った。多くはシカやイノシシなど目当て。初日は佐用町でクマの雌1頭が仕留められたが、現場では手負いにした際の危険性などから狩猟に慎重な声も多く、解禁の効果に対する見通しは立っていない。県内では今年、餌不足などで10月以降にクマの出没が急増し、人がけがをする被害も2件発生。人とクマとの共生の在り方は、狩猟解禁で保護から適正管理へと大きな転機を迎えた。初日は朝から雨でぐずついたが、午後に佐用町で1頭が仕留められた。県鳥獣対策課は「事故や違反もなく初日を終えられて良かった。始まったばかりなので、今後の推移を見守っていく」とする。秋に入ってクマの出没情報が相次ぐ丹波市青垣町では午後、同市猟友会青垣支部のメンバーら約10人が山に入り、猟犬で獲物を追い込む「追い山猟」でシカやイノシシを狙った。クマ猟の許可を得たメンバーもいるが「クマだけを狙った猟はしない」とし、この日はシカ1頭を仕留めた。子どもが通う小学校の近くでクマが目撃されたという同支部最年少の中山祐輔さん(36)は「猟が人への被害の防止につながればと思うが、クマも他の動物も猟は命懸けだ」と指摘。猟歴50年以上でクマ猟の経験がある小谷隆司支部長(75)も「手負いにしてしまうと人里に出てくる可能性があり、確実に仕留める状況でないと撃てない」と話す。豊岡市但東町では、毎年猟に出る男性(67)が県内外の8人と約2時間、シカ猟に臨んだが、成果はなかった。「狩猟中にクマに出くわせば撃つ場合もあるかもしれないが、わざわざ狩るつもりはない」猟の在り方に疑問を呈する猟師も。宍粟市一宮町の男性(76)は「イノシシ用のわななどに誤って入ったクマは放すことになっているが、わなに入ったところを仕留めるのが一番安全で確実なはずだ」と指摘。今回は猟師1人1頭、1カ月の制限付きで140人にクマの狩猟許可が出されたが、猟師の高齢化も進み「誰でも撃てるようにしないと、クマがどんどん増えて被害が広がる」と訴える。
(クマ、北陸道に出没:新潟)
5日午後、新潟県糸魚川市外波の北陸自動車道下り線にクマ1頭が入り込み、射殺されるまで約5時間にわたり、通行止めとなる騒ぎがあった。県警高速隊によると、ツキノワグマとみられ体長約1・5メートル。新潟県の親不知インターチェンジ(IC)と富山県の朝日ICの間を走行中の車から午後2時ごろ、目撃情報が寄せられ、駆け付けた警察官らが路肩にいたクマを見つけた。クマは、かつて非常電話が設置されていた道路脇のスペースでおとなしくしていたが、午後7時半ごろ路上に出てきたため猟友会メンバーが射殺した。
(ヒグマ目撃、看板設置し注意呼び掛け:北海道)
13日午後6時ごろ、白老町日の出町5の白老東高校近くの町道で自転車に乗って通行中の女性が2頭のヒグマを目撃した。町は北海道猟友会苫小牧支部白老部会などと連携し、14日朝から周辺地域の巡回パトロールを行うとともに、地域住民への注意を呼び掛けている。目撃されたヒグマは体長0・7~0・8メートルと1メートル程度。14日朝は猟友会、苫小牧署、町職員の7人が白老東高前の町道沿いで警戒に当たったほか、目撃現場近くに注意を呼び掛ける看板を設置。日の出町および若草町の4町内会に回覧板で情報提供した。午前9時から3回に分けて防災行政無線で周辺住民にも注意喚起した。町によると、現場周辺では18日までの毎日、登下校の時間帯に合わせて猟友会が巡回を行う。白老町では9、10月にかけて白老地区でヒグマも目撃情報が頻発。9月末にポロト自然休養林に箱わなを設置して捕獲を試みたが、捕まらなかった。直近では10月2日に若草町で足跡が見つかって以降、確認情報はなく沈静化すると見られていた。新たな目撃情報を受け、町生活環境課は「事故などが起きないよう対応を進めていく」などとしている。
(特急がシカと2度接触する事故:高知)
11月11日早朝、JR土讃線の高知発高松行き上り特急列車「しまんと2号」(2両編成)が、高知県内と徳島県内でシカと2度接触する“事故”があった。乗客約15人にけがはなかったが、多度津―高松間が運休となった。四国の山中で増え続けるシカ被害はこんなところにも…。JR四国によると、11日午前5時25分ごろ、高知県長岡郡大豊町の大杉―土佐穴内間を走行中、線路付近にシカがいるのに運転士が気付き急ブレーキを踏んだが間に合わず、接触した。列車は現場に停車し、安全点検を行ってから出発したが、約30分後、今度は徳島県三好市の大歩危―小歩危間で再びシカと接触した。この影響で多度津駅到着が26分遅れたため、多度津―高松間が運休になり、上下線計6本に遅れが出た。シカなどの生態に詳しい森林総合研究所四国支所(高知市)の奥村栄朗・研究専門員は「全国的にシカは増えており、高知と徳島も捕獲が追い付いていない。これからも接触事故が起こる可能性は高いのでは」と話している。
(終電がイノシシはねる:長崎)
14日午後11時10分ごろ、JR長崎線の肥前大浦駅(藤津郡太良町)と小長井駅(長崎線諫早市)の間で、上りの普通列車が線路に侵入したイノシシをはねた。乗務員が現地で確認作業を行ったため、この列車が25分遅れ、上りの特急列車にも16分の遅れが出た。JR九州によると、普通列車の走行中に運転士がイノシシをはねたのに気付いて停車した。遅れた2本はいずれも最終電車だった。
(普通列車がイノシシと衝突:福島)
11日午後8時40分ごろ、いわき市のJR磐越東線夏井―川前間で、上り普通列車がイノシシと衝突した。乗客14人にけがはなかった。JR東日本福島支店によると、衝突した車両の点検を行い、異常がなかったため運転を再開した。この影響で、同列車が30分遅れた。
(住宅街でイノシシ目撃が相次ぐ:香川)
高知市のJR高知駅周辺の住宅街で11月4日からイノシシの目撃情報が相次いでいる。高知署員らによって、1頭は捕獲されたが、まだほかのイノシシがいるらしく、各所に出没しては”逃走中”。周辺に何頭いるかはっきりせず、住民は「こんな街中で…」と驚いている。最初の情報は4日午後7時半ごろ。高知市比島町4丁目の住民が「イノシシがいる」と110番通報し、高知署員と高知市職員が出動した。イノシシは体長約70センチで1歳未満のメス。跳びはねるなどの抵抗を見せたが、左前足を骨折していたため、無事保護。一件落着のように思われたが…。翌11月5日には高知市栄田町3丁目、高知駅前町でイノシシの目撃情報が相次ぎ、9日夕方に愛宕町2丁目で帰宅中の県職員もイノシシのような動物を目撃した。10日午後5時半ごろには高知市中水道の農業、賀田義幸さん(63)が自宅庭のビニールハウスの中で体長70センチ程度のイノシシを発見。高知署員が通報で急行した時には既に逃げていた。賀田さんは「こんな街中でイノシシを見たのは初めて。近くには保育園も学校もあるし、子どもたちに危害が及ばないか」と不安そうに話した。高知市教育委員会などは11日、市内の保育園や小中学校などにイノシシの出没情報を提供し、注意を呼び掛けている。
(電車がイノシシと衝突:福島)
6日午後6時ごろ、JR東北線泉崎―久田野間で、上り電車がイノシシと衝突し、停車した。乗客ら約100人にけがはなかった。JR東日本によると、このため福島―黒磯間の上下線で計3本が最大約40分遅れ、乗客約520人に影響した。
(住宅地、イノシシの目撃相次ぐ:長野)
5日朝、長野市北部の住宅街でイノシシの目撃が相次いだ。長野中央署によると、イノシシは1頭で、体長1メートルほどとみられるが、見つかっていない。同署員らがパトカーなどで巡回してイノシシを捜し、住民らに注意を呼び掛けた。被害の連絡はないという。同署によると、午前6時45分ごろ、長野運動公園東側の石渡の住宅街にイノシシがいる―と最初の通報があった。同7時ごろには稲田3のスーパー銭湯「ぶらっと」の北側で、同20分ごろには若槻東条の駒沢橋北側、同40分ごろに徳間の徳間小学校付近で、相次いで目撃された。徳間小では同日朝、PTA行事の準備に訪れていた保護者らが、校庭を横切ったり、敷地の出入り口付近を動き回ったりするイノシシを目撃。同校は保護者向けのメールで注意を呼び掛け、教員が敷地内を巡回した。午前9時ごろには多くの児童や保護者、地域住民らが行事に訪れ、校内放送でも注意を促した。2年生の長女が通う同市稲田のパート従業員中村雪江さん(36)は「子どもがまだ小さいので不安。どこかに隠れていないか心配なので、子ども1人では行動させないようにしたい」。小林寛二校長は「(イノシシ目撃が)朝の早い時間で、人も少なく、子どもがいなくて幸いだった」と話していた。
(小学校近くにクマ、警察など警戒:北海道)
16日午後3時ごろ、新冠町大富の新冠川にかかる姉去橋で、橋の補強工事作業をしていた男性が、体長約2メートルのクマが川岸を下流側に走っていくのを目撃し、静内署に通報した。現場は朝日小から200メートルの距離で、同署が同小に連絡。同小は徒歩通学児童の同日の下校、17日の登校について保護者に送迎を要請した。また、町はスクールバス下車地点でクマが目撃された場合は、下車させず自宅前まで送ることを決めた。同署は目撃地点周辺の警戒やパトカーなどでの注意喚起を行っている。
(電車がクマと衝突:宮城)
12日午後6時25分ごろ、仙台市青葉区のJR仙山線熊ケ根-作並間を走行中の仙台発山形行き下り普通列車(4両編成)が走行中、クマと衝突した。乗客113人にけがはなかった。JR東日本仙台支社によると、現場近くでクマが死んでいるのが見つかった。上下4本に最大約40分の遅れが発生し、約350人に影響が出た。
(柿2000個被害、クマか:山形)
鶴岡市荒代の柿畑で柿が食い荒らされたと、収穫に訪れた同市内の農業男性(62)が11日、近くの黒川駐在所を通じ鶴岡署に届け出た。同署によると、同日午後4時ごろ、男性が畑へ行ったところ、栽培している柿の木のうち約30本の実が食べられたり、枝を折られたりしているのを見つけた。木にはクマの爪痕のような引っかき傷が付いていた。約2000個が出荷できなくなり、被害額は約30万円に上るという。男性は4日以降、この畑を訪れていなかった。
(庭にクマ出没:栃木)
鹿沼署は9日、鹿沼市の民家の庭にクマがいるとの目撃を受け、パトカーによる付近の警戒活動を始めた。発表によると、今月7~9日の午前4時半から午前6時頃、同市柏木の柏木公民館近くで、新聞配達中の男性が、民家の庭を徘徊はいかいしたり、柿の木に登ったりしているクマを目撃した。同署によると、クマは体長1メートル以上。食べ物を目当てに人家付近に下りてきている可能性もあるとみて、当分の間、早朝を中心にパトカーでの巡回を実施するとしている。
(多摩川河川敷でクマの新たな目撃情報:東京)
青梅市など西多摩各地で、クマの目撃情報が相次いでいる。同市二俣尾で9日午前8時ごろ、新たな目撃情報があり、地元の猟友会が捜索したが捕獲できなかった。現場は前日に目撃された多摩川河川敷の下流にあたる。けが人はなかった。青梅市によると、昨年度の目撃情報数2件に対し、今年度は既に6件と上回っている。
(洋ナシ食べているクマ目撃:福島)
福島市で8日、クマの目撃が3件相次いだことが福島署への取材で分かった。いずれもけが人はいなかった。同署によると、同市桜本字谷地後の民家で午前6時ごろ、庭でコンテナに入った洋ナシを食べているクマ(体長約1.5メートル)を、住人の女性(68)が目撃した。同市田沢字沼ノ上付近の市道では午後6時ごろ、車で通り掛かった60代男性が道路脇にいるクマ(同約1メートル)を目撃。午後7時20分ごろには、同市田沢字銅屋付近の市道で自宅内にいた30代女性が道路にいるクマ(同約1メートル)を見た。同署は目撃された周辺をパトロールし、注意を呼び掛けた。
(電車がクマと衝突:宮城)
6日午後7時20分ごろ、仙台市青葉区のJR仙山線陸前白沢-熊ケ根間を走行中の仙台発山形行き下り普通列車(4両編成)がクマと衝突した。乗客約160人にけがはなかった。JR東日本仙台支社によると、現場周辺でクマは見つからなかった。この影響で上下2本が運休し、最大で約30分遅れ、約340人に影響が出た。
(クマ出没:神奈川)
弘法山付近、北矢名の柿畑で10月28日、ツキノワグマの痕跡が確認された。翌29日、30日にも自興院奥の柿畑に仕掛けたセンサーカメラにクマの姿が撮影されており、秦野市は登山口などに看板を掲示し、ハイカーなどに向けて注意を呼び掛けている。丹沢山地はツキノワグマの生息地となっており、生息数は40頭前後と推定されている。冬眠を前に、エサを求めて活発に活動しているうちに人里に出没することもあり、県のHPなどで目撃情報等が発信されている。今年4月頃から伊勢原市でツキノワグマの痕跡が確認されており「出没時期が早まっている」として市環境保全課では警戒を強めていたという。秦野市内ではこれまで、2010年に南矢名・蓑毛・西田原地域で、12年に蓑毛地域、14年に堀西地域でツキノワグマの確認がされている。隔年での出没傾向があることから「今年は出没の可能性が高い」として、9月頃から同課職員らが昨年目撃例があった場所を見回っていたという。10月28日、北矢名の土地所有者から通報を受け、市職員のほか県職員、JAはだの職員らが目視によりツキノワグマの糞、爪痕、足跡を確認した。同日、自興院奥の柿畑にセンサーカメラを設置したほか、弘法山への登山道となる場所4カ所に注意喚起の看板を掲示したという。31日にはセンサーカメラを回収。映像を確認したところ、クマ1体が映っているのを確認した。同日、市はさらに4カ所に看板を掲示し、注意を呼び掛けている。「これまでの例からクマは夕方から夜間にかけて行動が活発になるとみられ、その時間帯に危険な場所に行くことは避けて欲しい」と同課。クマに出会わないためには、ハイキングなどの場合には鈴や笛、ラジオなど音のするものを身につけて人の存在を知らせる、朝夕・霧が出ているときの行動を避ける、人里に引き寄せないようエサとなる生ごみなどを野山に捨てない、廃棄果樹や野菜を適切に処理することなどを挙げる。今後は煙火によって山の奥へとの追い払いを行うほか、週2から3回のセンサーカメラでの情報収集をしていくとしている。
(男子児童、クマ目撃:福島)
3日午後5時ごろ、福島市田沢字手代森の畑にクマがいるのを、近くを自転車で通り掛かった男子児童が目撃したと、児童の母親から福島署に通報があった。同署によると、クマの体長は約1.5メートル。クマは道路脇の畑から森の中に入ったという。現場周辺には民家があることから、同署はパトカーで巡回し、注意を呼び掛けた。
(住宅街周辺、サル出没相次ぐ:静岡)
浜松市天竜区二俣町の住宅街周辺でニホンザルの出没が相次いでいる。12日午後、同町の自営業の女性(38)が自宅近くでサルに追い掛けられ、その場で写真撮影した。近隣小学校でも最近目撃されていた。人的被害は出ていない。同日午後0時半ごろ、女性が自宅から約300メートルの二俣城跡がある同町の城山公園前の市道を散歩していた所、サルが威嚇しながら3メートル手前の路上に飛び出してきた。危険を感じた女性が道を戻ると、10メートル以上追い掛けてきたという。出没場所から約300メートルの市立二俣小でも11月上旬に児童がサルを目撃。同校は全校児童に注意を呼び掛け、「近寄らない、目を合わせない、餌を与えない」などの注意事項を記した文書を配布した。配布は今年初めてで、直近の4年間は目撃がなかったという。天竜区役所によるとサルは同一個体の可能性が高い。花火などを使って追い払い、効果がなければ駆除する方針。同区では以前から、緑恵台の住宅地でもサルの群れが頻繁に目撃されている。
(住宅地にサル相次ぎ出没:鹿児島)
鹿児島市の市街地や住宅地に10月下旬から、サルの出没が相次いでいる。専門家は、この時季、サルは繁殖期に当たり、相手を探しに人里に下りることがあると指摘。「威嚇せず冷静に対処すれば安全。ただ餌付けは絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。市生産流通課によると、目撃情報は10月28日に千年団地と伊敷4丁目からあった。以来、鹿児島女子高校や草牟田小学校付近、吉野の住宅地などから寄せられている。いずれも1匹。5日には中心市街地にも出没。新屋敷町や泉町、名山町などを回り、市職員や県警の警察官が捕獲を試みたが、逃げられたという。市内では4月に平川町など南部で目撃され、五ケ別府町では2匹で行動していた。8月は星ケ峯、西陵でも見つかっている。同課は「季節に関係なく人里に来ている。人的被害はないが、市街地で捕り物騒ぎはここ数年なかった」としている。
(中心街にサル1匹:熊本)
熊本県警山鹿署によると、11日午前11時ごろ、熊本県山鹿市の中心街でサル1匹を目撃したとの通報があった。現在のところ、サルに襲われた被害情報はない。同署は「サルには近寄らない」「大声を出したり、物を投げたりして、サルを刺激しない」「サルとは目を合わせない」などを呼びかけている。
(クマの駆除最多に:秋田)
クマが人里に出没するケースが各地で相次いでいる。秋田県内では、人里で発見され駆除されたクマは今年度468頭(先月末時点、県調べ)と過去最多に達した。冬眠前も餌を求めて果樹園や畑に現れる恐れがあり、引き続き注意が必要だ。
(クマ猟でハンター戸惑う、20年ぶり解禁:兵庫)
ツキノワグマの生息数が増加している兵庫県で、15日からクマ猟が20年ぶりに解禁される。県内では今秋、人が襲われる被害も発生しており、保護から適正管理へ方針転換するが、クマ猟の経験がない猟師も多く、「遭遇したことがなく不安」「効果が上がるのか」と戸惑いの声も漏れる。県は狩猟再開を前に、今月2、3両日、クマ猟の安全講習会を神戸市で開催した。県の担当者が140人の参加者に向け、「今年は県内でも人身事故が起きている。(解禁は)人と動物との共生関係を保つための措置」と呼びかけた。猟期は12月14日までの1か月。捕獲・狩猟を認めるのは講習会受講者に限定し、原則1人1頭とした。主にシカやイノシシを狙ってきたハンターにとって、クマ猟はほとんどが初めての経験だ。
(猟銃発砲に注意呼び掛け:北海道)
エゾシカの狩猟シーズンを迎える中、中士別町中心部と弟子屈町美留和を結ぶ全長71・4キロの長距離自然歩道(ロングトレイル)「北根室ランチウェイ」のコース周辺で、同歩道を整備する酪農家らが猟銃発砲に注意を促す看板を設置している。中標津町の酪農家佐伯雅視(まさし)さん(65)は「事故が起きれば歩く道の存続に関わる。ハンターと歩行者の双方が注意を払い、安全に自然歩道を楽しんでもらいたい」と呼びかけている。北根室ランチウェイは舗装道路ではない山道や牧草地、格子状防風林の間を歩き、広大な酪農地帯の景色を楽しめるのが魅力の一つ。そのためコースの多くが狩猟エリアと重なっている。コース整備に携わる酪農家らは流れ弾による事故を防ぐため、10月ごろからコース周辺の道路沿いや放牧地内など約40カ所に「発砲注意」と書いた看板を設置している。佐伯さんは「白い帽子はエゾシカのお尻の白い部分と間違えられやすいなど、歩行者側にも配慮が必要。事故を避けるために歩行者は目立つ服装を心がけてほしい」と話す。ハンターが所持している、鳥獣保護区などを示した狩猟地図には、北根室ランチウェイのコースは記されていない。道猟友会中標津支部の若森勝茂部会長は「町内では周知されているが、歩く道の存在を知らない町外のハンターも多い。ハンター向けに空港で北根室ランチウェイのコースをアピールするなど、対策が必要。コースを狩猟地図に記載するなど、整備する酪農家らと連携して、事故防止に努めたい」と話している。
(クマ猟20年ぶり解禁、安全呼びかけ:兵庫)
兵庫県は15日、ツキノワグマの狩猟を20年ぶりに解禁した。絶滅の恐れがあるとして保護してきたが、生息数が回復し、集落への出没や農作物への影響が懸念されるため解禁に踏み切った。これまで西日本を中心に全国22都府県で狩猟が禁じられてきたが、解除は今回が初めてとなる。解禁初日となった15日早朝。同県豊岡市の山では同市のハンターで県鳥獣保護管理員の川中忠行さん(67)と県職員らがパトロールを始めた。さっそく猟銃を担いだハンターに銃の所持許可証や狩猟免許の確認を行い、安全を呼びかけた。県は平成8年度、県内の推定生息数が100頭を切ったとして狩猟を禁止した。しかし、27年当初の推定生息数が940頭に増加し、「800頭を超えれば狩猟を解禁」とする保護計画の規定を超えたため、解禁を決めた。狩猟期間は1カ月。知事の承認を得たハンター140人に限定し、捕獲数も1人1頭に制限した。解禁前に県が開いた安全講習会では、クマの狩猟経験者が「必ず仕留められる時点まで待て。撃ち損じると自分がやられる」などと注意点を説明した。近年、全国で人里にクマが出没し、人に危害を与える被害が相次いでいる。秋田県では今年5月以降、クマに襲われたとみられる4人の遺体が発見されるなど、危険が高まっている。環境省によると、クマの目撃情報は今年4~9月、全国で1万2820件と前年度1年間の9597件を超えた。クマのエサとなるドングリが不作で、集落近くまで出没しているためとみられる。兵庫県でも今年10月、5年ぶりに人が襲われ、けがをした。目撃情報も4~9月で334件を数え、10月だけで205件(1~25日)と急激に増えた。井戸敏三知事は14日の定例会見で、「全国的にもかなりのクマ被害が続出している」として狩猟解禁に理解を求めた。県の担当者は「県内ではクマ猟の経験がないハンターがほとんどで、どれだけ猟が成功するかは未知数」としている。
(狩猟解禁、県警が取り締まり:岡山)
狩猟が解禁された15日、岡山県警は誤射などの事故防止と、猟銃の適正な取り扱いに向けて違反行為の一斉取り締まりを始めた。一部を除き、狩猟期間の終わる来年2月まで続ける。初日は警察官約300人が出動。鳥獣保護区、休猟区、公道など禁止区域で発砲していないかや、実弾を装填(そうてん)したままの猟銃の携帯などを警戒。ハンターに銃の適切な使用を指導した。玉野市東七区の児島湖畔では、午前6時半すぎから玉野署員、県鳥獣保護管理員ら計9人が巡回。ハンターに声を掛け、狩猟免許や猟銃の所持許可証を確認した。カモ猟に訪れた同市の男性会社員(64)は「誤射をしないよう弾の飛ぶ方向をしっかり目視し、十分に気を付ける」と話していた。県警によると、県内では約2250人が計約4千丁の猟銃を所持(10月末現在)。今年1月には、適正に猟銃を保管していなかったとして、高梁署管内の男1人が銃刀法違反(保管義務違反)の疑いで書類送検された。狩猟期間は来年2月15日まで。農作物に大きな被害を与えるイノシシ、ニホンジカに限り、同3月15日まで延長される。
(イノシシ駆除、わな使用は慎重に:群馬)
桐生市広沢町3で酪農業の男性(67)がイノシシに襲われ死亡した事故で、男性が庭に設置していたわなは市に事前申請がなく、県の許可基準を満たしていなかった。鳥獣被害防止から、こうした「無許可わな」を設置する農家は少なくないとみられ、市や県は適正な申請や、わな免許の取得を呼びかけている。
(狩猟解禁日に合わせて一斉指導:山梨)
15日の狩猟の解禁日に合わせて県警は県内一斉に指導取締りを行い、期間中の事故防止を呼び掛けた。取り締まりは狩猟の解禁に合わせて県内12の警察署の管内で行われた。このうち南アルプス市では警察官らが山に入る猟友会のメンバーに、許可証を携帯しているかや猟銃の登録を済ませているかを確認したほか、期間中の事故防止を呼びかけた。県警によると県内では昨シーズン、狩猟中の事故はゼロだったものの全国では9件起きている。狩猟期間は来年2月15日まででニホンジカとイノシシは、3月15日まで。
(狩猟解禁で事故防止呼び掛け:長野)
県内では15日から狩猟が解禁となり、各地で事故の防止やマナーの徹底を呼び掛けるパトロールが行われた。県警によると、去年は過去5年間で最多の12人が公道から銃を撃つなどの違反で検挙されている。狩猟期間は来年2月15日までで、ニホンジカとイノシシのわな猟は3月15日までとなっている。
(15年前の約2倍3940頭、県内ツキノワグマ推定生息数:長野)
県内の2015年度のツキノワグマの推定生息数(平均値)が3940頭に上り、2000年度の約2倍に増えたとみられることが14日、県のまとめで分かった。県は同日の県環境審議会に、来年度から5年間のツキノワグマの第4期保護管理計画の素案を提示。個体数の管理に向け、出没予測が「平常年」と「出没増加年」で年間の捕獲上限を変える二段構えの新方式を導入すると明らかにした。県は02年にツキノワグマの第1期保護計画を作り、5年ごとに更新。推定生息数は更新前に調査し、全県の推定生息数は2000年度が1913頭、06年度2771頭、11年度3624頭だった。県は14年にツキノワグマが大量出没して人身被害が相次ぎ、対策を検討する十分な時間が必要として、16年度の予定だった生息状況調査を1年前倒しして15年度に実施した。個体群ごとに定めた8地域別では、900頭と最多の北アルプス南部など5地域が11年度から増え、最も少ない120頭の関東山地など3地域は減少した。県鳥獣対策・ジビエ振興室は「年度によって調査方法が異なるのと推定値は幅が広いため単純比較できないが、保護計画の成果が一定程度表れ、緩やかにツキノワグマが増えている」とする。県はこれまで年間160頭前後を捕獲上限と定め猟友会などに協力を求めてきたが、12年度は448頭、14年度は710頭と大量出没時は超過することも認めている。新方式では、出没予測が平年並みの「平常年」は捕獲上限を約160頭と設定。ツキノワグマの餌となるドングリの豊凶調査や目撃情報を基に、大量出没が予測される「出没増加年」はより捕獲数が多い上限に切り替える。具体的には、県が絶滅の恐れのある地域個体群に指定する八ケ岳は捕獲せず、他地域は過去の捕獲状況などから保護に問題ないとされる推定生息数の6%まで引き上げる。15年度の推定生息数から計算すると、捕獲上限は227頭。「県クマ対策員」の後藤光章さん(42)=長野市=は「大量出没時はなし崩し的に捕獲数が増える。二段構えの上限がどれほど効果を発揮するかは未知数」としている。素案は同審議会の意見を参考に修正し、12月8日から1カ月間の意見募集(パブリックコメント)を経て、来年3月に計画をまとめる方針だ。
(オオカミ信仰の山なのに、天敵不在でシカの楽園:東京)
都心から身近なハイキングコースとして人気のある東京都青梅市の御岳山〈みたけさん〉(929メートル)で、シカの食害が広がっている。絶滅したとされるニホンオオカミを守り神としてあがめる信仰の山。地元の人たちは、「天敵の不在でシカの楽園になる」と不安を募らせる。山頂の武蔵御嶽神社に、こま犬よりひと回り大きい獣の像が鎮座する。おいぬ様。犬ではなく、100年ほど前に姿を消したニホンオオカミだ。古来、畑を荒らすシカやイノシシを退治してくれるオオカミは農耕の守り神。御岳山は関東一円の農家らの信仰の対象となり、農閑期には多くの人が訪れた。山頂近くには今も二十数軒の宿坊が残る。そのオオカミ信仰の山で近年、ニホンジカの目撃情報が相次いでいる。「夜中に10頭もの群れが目の前を横切った」「後ろ脚で立ち、イチジクの実を食べていた」。都御岳ビジターセンターには、畑の野菜が荒らされ、希少な植物を食べられたという被害も住民から寄せられた。「3年前から被害が目立ち始めた。おいぬ様に守られている山なのに」。武蔵御嶽神社の神官で、宿坊を営む片柳至弘さん(73)は唇をかむ。急な坂の上に立つ宿坊の周りにはアオキが茂っていたが、シカに食べられて裸地化し、土砂崩れの心配が出てきた。神社で使うサカキや、畑の大根やキャベツも食べられた。「昨年は2軒の農家が畑を手放してしまった」御岳山は、山野草レンゲショウマの全国有数の群生地。約5万株が自生するともいわれ、開花時期の毎年夏に開かれる「レンゲショウマまつり」は観光客ら大勢の人でにぎわう。しかし、センターは昨年4月の調査で430株の食害を確認。その後の5カ月間の調査では、1平方メートルあたり9・8株から6・6株に減少していた。センターが設置した赤外線カメラの映像には、草をはむシカの姿がはっきり映っていた。都多摩環境事務所は昨年12月、住民らの要望を受け、群生地の周囲に高さ約2メートルの防護ネットを設置した。センターによると、ネット柵の内側では今年5月時点で1平方メートルあたり16株まで回復したという。都は西多摩地域にいるシカの個体数管理を始め、捕獲を進めている。ただ、地元の猟友会は人手が足りない上、御岳山では住民や観光客が近くにいるため、むやみに発砲もできない。「オオカミを海外から導入しては」。住民からはそんな声も聞かれる。
(伊那市有害鳥獣対策協、貝付沢にネット設置:長野)
伊那市有害鳥獣対策協議会は12日、ニホンジカなどの侵入を防ぐ防護ネットを中央アルプス山麓の同市西春近諏訪形の貝付沢周辺に設置した。近年、天竜川西側の中アにも鹿の生息域が拡大し、食害などが懸念されていることから、野生鳥獣対策のモデル事業として実施。今後の取り組みに生かしていく考えだ。貝付沢では2006年7月の豪雨で土石流が発生、大きな被害が出た。一帯では、えん堤や谷止め工の設置が進められる一方、地元住民でつくる「諏訪形区を災害から守る委員会」がケヤキなどの広葉樹を植え、災害に強い山づくりに取り組んでいるが、鹿や猿に苗を食べられたり、イノシシに根を掘り起こされるといった被害が出ていた。同協議会が2カ所に設置したセンサーカメラにもニホンジカやイノシシ、ニホンザル、ツキノワグマなどが写っていた。このため、昨年度に続き、西部山麓地域における野生鳥獣対策モデル事業の一環として防護ネットを設置し、効果を検証する。この日は市や地元の西春近自治協議会、同委員会、猟友会、財産区などの関係者約25人が参加。約500メートルにわたり3メートル間隔で打ち込んだ高さ2メートルの支柱にネットを取り付けていった。下からもくぐられないようくいでしっかり地面に固定した。昨年度設置した約1キロと合わせ、沢全体を取り囲む形になった。市耕地林務課は「一帯ではハード事業と合わせ、植林や捕獲など複数の取り組みが協働で行われている。食害対策のモデル的な取り組みとして広がっていくことを期待している」と話していた。
(猟犬の管理徹底へ:和歌山)
和歌山県田辺市中辺路町近露で発生した猟犬による高齢女性の死亡事故を受け、県猟友会西牟婁支部と県西牟婁振興局は、猟友会員向けに猟犬の飼い方を啓発するチラシの配布や講習会を開く方針を固めた。市役所別館で9日に開いた再発防止を検討する会議で確認した。会議には猟友会各分会の役員、振興局と市町の担当ら約30人が出席。当地方の狩猟関係者が一堂に集うのは異例という。2時間余り、猟犬の管理を中心に事故防止対策で意見交換した。猟犬管理の注意点を記したチラシは、早急に配布する。人に危害を加えないための訓練の徹底や、狩り場付近に住宅や一般道路がある場合の管理法などを再確認する内容を検討している。また、専門家を招いて、「悪い飼い方」「危険な猟犬のタイプ」などを学ぶ講習会を開く予定。猟犬の飼育法は「我流」の人が多く、情報共有を図る。要望があれば、継続的な開催も考えたいという。県猟友会西牟婁支部の栗原保宏支部長は「最悪の事態が起こった。猟犬の管理を怠ることは許されない。役員が会員の指導、助言をし、一般から信頼される狩猟をしてほしい」と呼び掛けた。田辺・西牟婁の狩猟登録者は627人。うち銃は286人いる。
(イノシシ3万頭、農林業1億円:群馬)
桐生市の酪農業の男性(67)が11日、自宅敷地内のわなにかかったイノシシに襲われ命を落としたが、県内各地でイノシシが人里に表れ、農作物を食い荒らすなどの事態が相次いでいる。これまでは駆除だけだったが、15日から狩猟が解禁された。対応に追われる太田市の現場を取材した。今月8日、「わなにイノシシがかかった」と太田市農業政策課の高田剛志課長補佐から連絡を受け、市北部八王子丘陵に向かった。高田さんは「動物園でしか見たことのないイノシシが、太田でこれほど増えるとは…」とため息をつく。薮塚猟友会のメンバーと市職員らが囲む捕獲用の「箱わな」に大きなイノシシがいた。カメラを向けると、「フーッ」とうなり、わなの鉄格子に飛びかかってきた。猟友会の仲村勝雄会長(73)によると、今年一番の大物で体重は約100キロ、体長約140センチのオス。「撃たれた後も突然起き上がり襲うことがある」と言い、不用意に近づき2カ月入院するけがを負ったハンターもいたという。イノシシは、仲村さんのライフルでとどめを刺され、その後焼却場へ運ばれた-。太田市でイノシシが増え出したのは、藪塚本町など3町と合併した平成17年ごろ。農業被害が出始め、市はわなで駆除を始めた。22年に99頭、23年は183頭と捕獲数は倍増。昨年は526頭に達した。今年は10月末で220頭と昨年を下回るが、高水準にある。市内3カ所に108基のわなを設置、猟友会が毎日見回り、イノシシを確認すると市に連絡している。市は増えすぎたイノシシの個体数を減らすため、子を産まないよう、大人のメスを捕らえることを優先している。ただ、イノシシは臆病な性質で脅かさなければ人を襲うことはないという。太田市の農業被害は24年の約819万円をピークに減少している。これは捕獲に加え、畑などに防護柵を設置したり、耕作放棄地や竹やぶを整理して緩衝地帯を作るなどイノシシ侵入を防ぐ効果が出た結果だ。駆除は進むが、同市東金井町の区長、堀江稔さん(76)は「イノシシは収穫前のコメやカキ、クリ、タケノコなどを食べ、田んぼを荒らしてやりたい放題。最近は昼間に人を見ても怖がらない。もうお手上げです」と、被害の大きさを嘆く。県全体では9月現在、推計約3万1千頭のイノシシがいる。県内農林業への被害は昨年度約1億円で高止まり状態だ。県は来年度のイノシシ捕獲目標を今年度の年7500頭(実績は約5500頭)から1万3千頭に拡大。狩猟期間も2月15日までを、2月末までに延長して対策を強化する。
(狩猟解禁、初日は323人出猟:長野)
狩猟が解禁された15日、諏訪地方の山林にもハンターが繰り出し、個人やチームで対象の鳥獣を狙った。猟期は来年2月15日までだが、農林業被害を出しているニホンジカとイノシシは、引き続きわな猟に限って3月15日まで1カ月間延長する。茅野市米沢の猟場には6人のハンターが集まった。「近年は趣味というより、社会貢献の狩猟という意味合いが強い」とメンバーの1人。シカとイノシシを狙って山に入っていった。県諏訪地方事務所林務課によると、管内の今季の狩猟者登録数は延べ約430人。初日は市町村、警察、県鳥獣保護管理員とともにパトロールを行い、地域住民に狩猟解禁を周知したり、ハンターに安全狩猟と法令順守を呼び掛けたりした。諏訪地方の昨年度のシカの捕獲頭数は、個体数調整と狩猟を合わせて4216頭(速報値)となり、6年ぶりに減少に転じた。県警の15日午後5時現在のまとめだと、解禁初日の県内での出猟者は323人。事故や法令違反はなかった。
(ツキノワグマ目撃情報が増加傾向:福井)
小浜市に寄せられるツキノワグマの目撃情報が今季、増える傾向にある。四月から十月までで十三件の報告があり、近年で最も多かった二〇一四年度(十三件)を上回る勢い。市は十七日に市内で開く出没対策会議で猟友会や警察などと連携を確認する。目撃情報は海沿いの内外海(うちとみ)、山間の松永、口名田、中名田、加斗地区などからあった。若狭町境の宮川地区では一匹を捕殺した。市農林水産課によると、高山にあるブナやミズナラの実が凶作だった〇六、一〇、一四年度に県内で出没が相次いだ。嶺南地方の今季は凶作の予想で、大量出没の可能性が高まっていると見ている。担当者は「クマの個体数が増えているのか、目撃する人の数が多いのか関係ははっきりしない」と話しながらも警戒を強めている。
(銃猟解禁、ルール順守呼び掛け:静岡)
静岡県内で15日、銃猟が解禁され、県警が関係機関と連携して県内一斉の指導、取り締まりを行った。富士市では県警生活保安課と富士署、県富士農林事務所、地元猟友会の関係者8人が午前6時から富士山麓の山林でパトロールを実施した。雨と濃霧のため、ハンターの姿はほとんど見られなかった。天候回復を待っていた「富士大物クラブ」メンバーらに声を掛け、猟銃や火薬を車に置いたままにしないことや、誤射に注意するよう呼び掛けた。同クラブの長谷川邦雄会長(67)=同市今宮=は「狩猟前にはメンバーで必ず注意事項を確認し合ってから山に入っている。ルールを守って安全優先で狩猟したい」と話した。県警生活保安課によると、2015年度の狩猟期間中、県内で猟銃の発射制限違反や保管義務違反など66件、73人の違反が確認された。猟銃に関する受傷事故は死亡事故1件を含む7件が発生した。銃猟は来年2月15日まで。イノシシとシカのわな猟は11月1日に解禁され、来年2月末までの4カ月間。
(広域鳥獣被害防止対策協議会:北海道)
北海道北部で隣接する和寒町と剣淵町では、2012年に両町と猟友会、JA、森林組合による和寒・剣淵広域鳥獣被害防止対策協議会が発足。専任の広域鳥獣対策業務員を設置して捕獲したエゾシカの焼却処理施設を共同で運営するとともに、被害や捕獲場所などの情報を共有。3月と8月のエゾシカ一斉捕獲や特定外来生物であるアライグマの捕獲などを行い、成果を挙げている。
(狩猟解禁、動物による食害深刻:福島)
今年度の県内の狩猟は15日、解禁となった。期間は来年2月15日までの3カ月間で、イノシシとシカは来年3月15日までとなる。警察官と県職員、県猟友会の会員合わせて約700人は初日、県内各地で猟銃の取り扱いを確認する指導取り締まりを実施した。県警本部によると、法令違反は確認されなかった。狩猟に使用する猟銃やわなの免許を取得している県民は年々、減少している。平成10年に8091人いた保有者は25年には約40%減の4698人。免許所持者の高齢化も進んでいる。23年には60歳以上は70%ほどに達し、狩りを行う若年層は少なくなっている。一方、有害鳥獣による農産物への被害は毎年、1億円超に上る。昨年度は約1億2900万円あり、県は免許試験の回数を25年以降、3回から5回に増やし、狩猟者を増やして動物による食害を抑える対策を進めている。若者を狩猟に呼び込むために射撃練習費を補助している。
(獣害、昨年度10年ぶり7億円割る:群馬)
2015年度の野生鳥獣による県内の農林業の被害額は6億9372万円で、前年度と比べ17%減ったことが県の調べでわかった。被害総額は減少傾向にあり、7億円を下回ったのは05年度以来10年ぶり。県は、侵入防止策が進んだことや、ブナやミズナラ、クリなどの山中のエサが平年より豊富だったことを理由に挙げている。ただ、今年はエサが不作のため、クマやイノシシの出没が相次ぎ、県などは注意を呼びかけている。
(鳥獣捕獲数また最多:徳島)
2015年度に徳島県内で捕獲した野生鳥獣(イノシシ、ニホンジカ、ニホンザル)は2万3072匹で、過去最多だった14年度を約2400匹上回ったことが、県のまとめで分かった。人口減や高齢化に伴う里山の荒廃などを背景に、個体数が増加。生息域も広がり、農作物への被害が目立っている。県生活安全課によると、15年度の捕獲数はシカ1万2582匹(前年度比1908匹増)、イノシシ8794匹(554匹増)、サル1696匹(78匹減)。総捕獲数は2年連続で2万匹を超えた。10年前に比べ、シカは6倍、イノシシは2倍、サルは7倍に増えている。生息域は03年の調査でイノシシが県内全体の86・8%、サルが59・3%にわたり、25年前と比べて20~30ポイント拡大していた。シカの生息数は11年時点で推定約2万500匹で、8年前より約8千匹増えている。過疎の進む中山間地では、耕作放棄された果樹畑などが増え、容易に餌が手に入る環境が少なくない。狩猟者の減少も相まって野生鳥獣は増加。餌を求めて生息域を広げており、近年は石井町などの平野部にも出没している。農業機械販売の大野(徳島市)は、ここ5年で捕獲用のおりを300~400基販売した。豊田潤営業部長は「餌場と認識されると被害が続き、周辺にも拡大する。早めの対策が重要」と話す。15年度の県内農作物被害総額は1億2266万円。内訳はイノシシ5173万円、ニホンジカ3839万円、ニホンザル2399万円。総額は10年前の05年度より約6割(約4700万円)増えている。県は15年施行の改正鳥獣保護法を受け、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザルを管理が必要な第2種特定鳥獣に指定。各自治体と連携して狩猟期間の延長やわなによる捕獲の推進、若手狩猟者の育成などを進めているが、個体数の減少にはつながっていない。
(10年前の4倍、霧ケ峰のシカ出現状況:長野)
諏訪、茅野、下諏訪の3市町にまたがる霧ケ峰で、県環境保全研究所と県霧ケ峰自然保護センターが春と秋に行うシカの出現状況調査(ライトセンサス)で、今秋4回の発見数は計390頭となり、1回平均97・5頭だった。前年に比べると減ったものの、10年前の約4倍と依然として高い水準を維持しており、霧ケ峰自然環境保全協議会は「柵による植物群落や湿原の保全対策を継続していく」としている。調査は、茅野市大門峠~諏訪市強清水(16キロ)、踊場湿原~八島ケ原湿原(10キロ)の道路沿いで実施。夜間に車を低速走行させながら両側にライトを照らし、光るシカの目から頭数把握した。今秋は10月31日から今月7日までの間に行い、発見数は順に100頭、77頭、114頭、99頭となった。調査日の視界不良が影響した2014年秋(平均79頭)や、13年4月の霧ケ峰大規模火災に伴ってシカが好む新芽の生育が促された14年春(226頭)を除き、ここ数年は120頭前後で推移してきており=グラフ参照、「一時期より少なくなった」との声もある。協議会事務局の県諏訪地方事務所環境課は「減少傾向は示しているが、一帯の生息密度は依然高いと言える」と分析。「電気柵で囲んだ植生地では、ニッコウキスゲなどの花芽が食害に遭わず、毎年きれいに咲いている。引き続き防護対策に力を入れる」としている。霧ケ峰では今年度、樹木保護に用いられるシカ忌避剤をニッコウキスゲに散布し、花芽を守れるかを検証する実験も始まった。
(中アのシカ、GPSで追跡調査:長野)
増加が懸念される中央アルプスのニホンジカについて、南信森林管理署や県は、全地球測位システム(GPS)を使った鹿の行動追跡調査を始めた。10月から今月にかけ、雄1頭、雌4頭の計5頭にGPS発信器を装着。行動範囲などを調べ、生息状況の把握や食害などの被害防止に活用する。14日に駒ケ根市役所で開いた、上伊那地方の市町村や国、県の関係機関でつくる中ア野生動物対策協議会(会長・杉本幸治駒ケ根市長)の総会で、同署や県の担当者が報告した。説明によると、同署は中ア一帯を対象に、木曽署、東濃署(岐阜県)などと協力し、今年度は7頭の調査を計画。このうち南信森林管理署管内では、10月に駒ケ根市の中田切川上流で捕獲した雄と雌各1頭にGPS発信器を装着して山に放した。県は中ア山麓一帯で5頭の調査を予定。これまでに10月に木曽郡大桑村の浦川上流で捕獲した2頭、塩尻市の奈良井川林道で捕獲した1頭の計3頭(いずれも雌)に発信器を取り付けた。追跡期間は、取り付けた発信器の電池が切れるまでの約2年間。来年度にはまとまったデータを示せそうだという。同署は今年度さらに、中ア一帯に設置しているセンサーカメラを21基から50基に増設。2014年度からは県道駒ケ根駒ケ岳公園線と黒川林道でライトセンサス調査も行っている。この日の報告では今年度、ライトセンサスで雄2頭、雌3頭を確認したことも示された。中アの鹿の多くは南アから移ったとされていたが、木曽郡南部でも増えていることから、同署は「岐阜県などからも入り込んでいる可能性はある」と指摘。「行動範囲が広いとされる雄へのGPS取り付けを増やし、行動を観察したい」としている。総会では実質的に設立初年度となる今年度の取り組みについて、構成団体や南アルプス食害対策協議会と連携して状況の把握や情報共有に努める方針を確認したほか、来年1月20日に同市でシンポジウムを開くことを決めた。杉本会長は「鹿の増加に加え、サルによる被害も課題。関係機関とよく連携して野生動物から自然を守っていきたい」と協力を呼び掛けた。
(箱根・仙石原、シカの食害深刻:神奈川)
神奈川県箱根町仙石原地区でニホンジカによる食害を調査しているNPO小田原山盛の会(小田原市)は、シカの生息域が仙石原地区全域に広がっているとする調査結果をまとめた。会は「爆発的な増加を食い止めるのは今しかない」と警鐘を鳴らし、捕獲や進入防止フェンスの設置を訴えている。調査を指導している古林賢恒・元東京農工大助教授によると、シカは口の届く低い葉を全て食べ尽くし、同地区周辺では木の上だけ葉が残る「ディアライン(鹿の線)」が現れているほか、シカが角を研ぐ際に樹皮を削った跡も見られるという。湿原には希少な植物もあり、古林さんは「いつシカが入ってきてもおかしくない」と危惧する。宅地開発などで平地から山林に追いやられたシカは、足りない餌を補うために栄養価の低いアオキなどの植物を食べ始める。アオキも食べ尽くすと、さらに栄養が少ないスギやヒノキの枝葉や樹皮までも食べるようになり、森林が一気に破壊されるという。丹沢地域は、1960年代に急速に人工林が拡大し、間伐で餌となる下草が増えたためシカが大繁殖して森が荒廃した歴史を持つ。仙石原地区でシカの目撃情報が寄せられ始めたのは2006~08年頃。生息数は明らかになっていないが、古林さんは「このままでは丹沢の二の舞いになる」とし、「アオキが残る程度にシカの頭数を管理すべきだ」と提言。シカの捕獲以外にも、希少植物をフェンスで囲ったり、樹木に竹を巻いて保護したりすることを提案している。町は年間30頭を駆除することを目標にしており、昨年度は18頭、今年度も9月までに12頭を捕獲した。環境省も、多様な植物が生育する箱根湿生花園を含む地域を高さ約1・8メートルの柵で囲う案を検討しているという。ただ、景観への配慮や柵の管理方法といった課題も残されている。
(イノシシ、海を泳いで高松に?:香川)
高松市の市街地でイノシシの出没が相次いでいる。海沿いに現れることから、瀬戸内海の島などから泳いで渡って来たとみられている。香川県によると、食べ物を探すイノシシが山を下り、野犬に追われたり車のライトに驚いたりして海に落ちた可能性があるという。高松海上保安部が、海を泳ぐ姿を捉えたこともある。市内では先月下旬、体長約1メートルの雌が通行人をかんで逃走。私鉄線路内で電車にはねられ死ぬ騒動もあった。県は、猪突(ちょとつ)猛進に海を渡ってくるイノシシを見たら「慌てずに立ち去って」と呼びかけている。
(イノシシ捕獲実地で学ぶ、わな設置など解説:宮城)
農作物へのイノシシによる被害を減らそうと、宮城県は14日、捕獲技術研修会を大和町役場と同町宮床の農地で開いた。被害が大きい内陸部を中心に14市町の担当者ら50人が参加した。役場であった講演では、東北野生動物保護管理センターの鈴木淳研究員が、イノシシの生態や効果的なわなの設置方法などを解説し、「警戒心は個体によって強弱がある。最長1カ月程度の長期戦で臨んでほしい」とアドバイスした。実地研修では、鈴木研究員や県猟友会伊具支部の斎藤謙一さんが「箱わな」「くくりわな」と呼ばれるわなを使い、設置場所やイノシシをおびき寄せるための餌の置き方を紹介した。県自然保護課などによると、野生鳥獣による農作物の県内被害額は増加傾向にあり、2015年度で199ヘクタール、1億3869万円。うちイノシシの被害は96ヘクタール、7428万円に上り、全体の半数を占めている。県の担当者は「農作物被害を減らしていくには、生態を理解した上で、捕獲をしたり侵入防止柵を設置したりと、総合的な対策を取ることが大切」と話した。
(ニホンジカ対策、メス「頭数制限なし」:群馬)
県内の狩猟が15日、解禁された。来年2月15日まで(イノシシとニホンジカは2月28日まで)。食害の深刻なニホンジカは、国の定める「1人1日あたり1頭」の捕獲頭数制限を、昨シーズンに続き「オス1頭、メス制限なし」に緩和する。県自然環境課によると、銃猟の登録者数は減少傾向で、10月末時点で2443人。わな猟は増加傾向で、網猟と合わせた登録者数は934人。
(狩猟解禁、事故防止に向けて検問やパトロール:群馬)
県内では十五日、狩猟解禁となり、県や市町村、県警、県猟友会などが計二百五十人体制で、県内各地で入猟者の検問や猟場のパトロールを行った。県自然環境課のまとめによると同日正午までの県内の入猟者数は四百六人。狩猟者登録者数は十月末現在で、昨年より四十七人少ない三千三百七十七人。網猟・わな猟は九百三十四人で昨年より四十二人増、銃猟は二千四百四十三人で昨年より八十九人減で、この傾向はここ数年続いている。狩猟期間は、来年二月十五日までだが、ニホンジカとイノシシに限っては同二月二十八日まで。ニホンジカは昨年に引き続き県内全域で、国の定める「一人一日あたり一頭」の捕獲頭数制限を「オス一頭、メス制限なし」に緩和した。また、農林業などへの被害が顕著なことから、袈裟丸山、高山、川場、神津の鳥獣保護区でも一時的にニホンジカとイノシシを捕獲可能にした。安中署では、同日早朝から安中市松井田町北野牧で検問を実施。同署員が入猟者の狩猟免許の所持や、銃砲やわなの状態などを確認した。十一日には桐生市で庭のわなから外れたイノシシが居住者の夫妻を襲い、死傷する事故が発生している。担当者はわなの取り扱いや誤射などの事故防止への注意を呼び掛けていた。
(野生獣の農作物被害、5年で6割減:滋賀)
県内の主な野生獣の農作物被害金額が5年間でおよそ6割減少したことが、県農業経営課のまとめで分かった。県は獣の侵入防止柵の設置や出前講座による啓発などの対策が一定の効果をあげていると分析しており、今後5年間でさらに3割の減少を目指す方針。近年、里山の荒廃に伴い、エサを求めて山のふもとに降りてくる野生獣が増え、近隣の農家は深刻な食害に悩まされている。こうした状況を受け、平成23、24年度に国や県などが出資し、田畑の周辺に総延長約840キロの侵入防止柵を設置。獣の農地への侵入が大幅に減ったという。また、県は23年度以降、県内の農村集落を対象に獣害被害を防ぐための出前講座を開催。集落内の意識も高まり、27年度末時点で県内約1700集落のうち383集落が、収穫しないカキの木や出荷しない野菜を放置しないなど、集落ぐるみの取り組みを行っている。この結果、同課がまとめたイノシシ、ニホンザル、ニホンジカなどによる県内の農作物被害状況では、22年度は4億3897万円だった被害金額が、27年度は1億7153万円まで減少した。内訳を見ると、22年度はニホンジカが最も多く、4割程度を占めていたが、その後大きく減少し、27年度はイノシシが半数近くを占めている。同課の担当者は「獣害対策は個人で取り組んでいても、獣が隣家に来てしまったら意味がない。なるべく集落全体で取り組むことが必要だ」と話している。県は今後、柵の設置や出前講座の開催に加え、獣の捕獲や森林の整備などを積極的に行い、33年度末までに27年度の被害金額から30%減少させることを目指している。
(「クマ注意報」!統計取り始めて最多:奈良)
県南部の山間地域でクマの目撃情報が相次いでいる。今年度は10月末までに32件の目撃報告があり、統計を取り始めた平成14年度以降、最多を記録。夏場から冬眠前の11月まで、出没が増える傾向にあるといい、県が注意を呼びかけている。10月17日、野迫川村池津川の山林で、キノコ狩りをしていた男性(55)が成獣のツキノワグマに遭遇した。男性は護身用に持っていた金属バットでクマを撃退したが、左手の親指や右腕をかまれ、けがを負った。また、今月7日午前6時半ごろ、御杖村土屋原の民有林で、管理人の男性が成獣のクマを目撃。男性にけがはなかったが、県職員らが調査したところ、周辺からツキノワグマのものとみられるふんや、捕食した可能性があるニホンジカの死骸が見つかったという。県農業水産振興課のまとめでは、県内のクマの目撃情報は、24年度24件▽25年度31件▽26年度28件▽27年度24件-と推移している。今年度10月末までのクマの地域別出没件数は、十津川村12件▽上北山村11件▽野迫川村7件▽川上村1件▽天川村1件-となっている。ツキノワグマは県の絶滅寸前種に指定されており、現在の県内の推定生息数は100~250頭。県は14年に保護管理計画を策定し、ツキノワグマが恒常的に生息している吉野郡を中心に、「保護管理重点地域」を指定。狩猟による捕獲の禁止や、保護に努めているという。一方で、御杖村など、重点地域以外で目撃されるケースも増えているという。
(クマ、サルに注意を:大阪)
大阪府は、秋の行楽シーズンに合わせ、ツキノワグマの出没に注意するよう呼び掛けている。府内では4月以降に9件の出没情報が報告されている。山には鈴やラジオなど音の出るものを携帯し、遭遇を避けることが大切だとしている。11月はツキノワグマが冬眠に備え、餌を求めて活発に行動する時期に当たる。ハイキングなどで山に行く際は出没情報の確認や、単独行動を避けることが重要。クマに出合った場合は、刺激しないよう落ち着いてゆっくりと背中を見せずにその場から離れること。子グマを見掛けたら、近くに親グマがいるので、すぐ立ち去ることが必要だという。ニホンザルにも警戒が必要だ。2015年度は引っかかれるなど19件の人身被害が報告された。近づいたり、目を合わせるなどサルが興奮する行動は避け、立ち去るのを待つことが被害防止に有効のようだ。立ち去らない場合はゆっくりと距離を取るようにする。クマやサルを目撃した場合は市役所や役場に連絡するよう呼び掛けている。
(クマとの共存模索、「官民一体の取り組みを」:秋田)
クマが人里に出没するケースが各地で相次いでいる。県内では、人里で発見され駆除されたクマは今年度468頭(先月末時点、県調べ)と過去最多に達した。冬眠前も餌を求めて果樹園や畑に現れる恐れがあり、引き続き注意が必要だ。鹿角市八幡平のキャベツ畑。先月13日夕、農作業中の男性(51)が体長約1メートルのクマに襲われた。男性は近くの軽トラックの荷台に逃げたが、クマは背後から左腰をひとかきして立ち去った。軽傷で済んだものの、もし執拗(しつよう)に攻撃してきたら……。
(クマ出没最多は人為的要因:岩手)
2016年度の県内のツキノワグマの出没件数が9月末時点で2873件に上り、比較可能な12年度以降で最多となった。10月に入っても2件の人身被害が確認され、冬眠する11月末頃までは引き続き警戒が必要。昨年のブナの豊作で個体数が増加したとみられるが、専門家は里山の減少など人為的な要因による近年の生息域拡大が背景にある―と指摘する。餌の豊凶にかかわらず、来春以降も出没数の増加が心配され、人間社会にとってクマとの共生に向けた対応は待ったなしだ。ツキノワグマの大量出没年は近年増えている。ブナ豊作の周期はおおむね7年とされるが、岩手大の青井俊樹名誉教授(野生動物管理学)は「餌の豊凶はずっと昔からあり、出没増加の一つの引き金でしかない。背景には人為的要因がある」と強調する。青井名誉教授によると、近年、クマにとって人里が生息しやすい場所になっている。県内の耕作放棄地が5年間で25%増加するなど、過疎高齢化の進行で山沿いの田畑や里山が手入れされず、クマが下草に身を潜めたまま人里まで近づけるようになった。林業の衰退による奥山の餌不足や、農作物の軒先への放置なども影響している。
(クマ目撃情報205件、10月に入り急増:兵庫)
兵庫県森林動物研究センター(兵庫県丹波市)によると、兵庫県内では10月、クマの目撃件数が205件に上り、4月以降の月平均の約4倍に急増している。今秋はクマのえさとなるドングリの実が不作といい、同センターは山に近い集落などに注意を呼び掛けている。今年4~9月のクマ目撃情報は月平均で約56件だったが、10月は25日までの速報値で205件。1カ月単位では、クマに襲われて5人がけがをした2010年度に次ぐ数字という。今年10月17日早朝には、宍粟市一宮町の集落でも、住民の男性(60)がクマに頭部や左手をかまれて重傷を負った。同センターは、クマと出合った場合は「背中を見せずに静かに後ずさりして逃げてほしい」としている。県は11月15日から1カ月間、20年ぶりにクマの狩猟を解禁する。
(クマ出没最多:島根)
県は4日、県内での今年4~10月のツキノワグマの目撃件数と捕獲頭数が、いずれも過去10年間で最多になったと発表した。クマが活動的になる冬眠前は、紅葉見物などの山間部の行楽シーズンとも重なり、県は注意を呼びかけている。県鳥獣対策室によると、4~10月の目撃件数は952件、過去10年で最多だった2010年同期より119件多い。市町村別では、目撃例のない隠岐4町村と、昨年も多かった益田市以外の14市町で増加。最多の浜田市は昨年同期の3倍の252件。益田市の126件、雲南市の124件、邑南町の110件が続く。4~10月の県全体の捕獲頭数も、10年同期の1・4倍の131頭。そのうち80頭を殺処分した。同室は、増加の理由は特定できていないが、浜田市旭町で6月、釣り客がクマに襲われ負傷したケースなど、人里近くで目撃情報が相次いでいると指摘。今後、民家の庭先のカキの実などを目当てに出没する可能性もあるという。同室は被害の防止策として、▽山林では2人以上で行動する▽クマが行動する早朝や夕暮れ時は、鈴や笛などを身に付け、クマに自分の存在を知らせる▽クマを見つけたら、刺激しないように静かに立ち去る――などと呼びかけている。
(クマに警戒を:滋賀)
県は、今秋のツキノワグマの出没予測を発表した。冬眠を控えたクマが食べる木の実の付き具合が悪く、今後、餌を求めて人里に下りてくる可能性が高くなっているという。県と県立大環境科学部が9~10月、高島、長浜、米原3市の山中5か所で実の付き具合を調べた結果、ブナとコナラは不作、ミズナラは更に少ない凶作だった。今年度の目撃件数は9月末までが63件と例年より少ないが、木の実が不作や凶作の年は、件数が増える傾向にあるという。県自然環境保全課は「クマは早朝や夕方に活発に行動する恐れがある。不要な外出や屋外に食べ物を置くのは避けてほしい」と注意を呼びかけている。
(狩猟解禁、初日の猟果ゼロ:和歌山)
一般狩猟が15日、解禁された。和歌山県は同日、鳥獣保護員や警察官、県猟友会会員、振興局職員、市町村職員で狩猟現場を巡回し、事故防止を呼び掛けたほか法令違反がないかどうか点検した。田辺市内では、関係者8人が上芳養や秋津川、伏菟野などを巡回。狩猟者に猟銃の所持許可証や狩猟登録者証の提示を求め、適正な狩猟を呼び掛けた。県農業環境・鳥獣害対策室によると同日、県内で狩猟に出たハンターは49人と少なく、捕獲獣類はなかった。
(サル、人恐れず間近に:神奈川)
県西部でニホンザルによる農業や生活に及ぶ被害を訴える声が絶えない。10月27日、昨年に引き続き小田原市が猟友会に委託する「追い払い」に一日同行させてもらうと、昨年より人を恐れず人との距離を縮めるサルたちの脅威を、改めて実感した。
(猟友会長、駆除の負担も相当だ:秋田)
藤原信三さん(73)羽後町新町。家業の砂利屋を手伝うために24歳で東京から帰り、鉄砲を持った。農繁期の後や冬場に山に入って野ウサギやキジなどを捕る人が多く、狩猟が暮らしに密着していたぎりぎりの時代だった。俺も自分が捕りたいというよりも、客人をもてなしたくて狩猟を始めたんだ。山で捕ってきた獲物を近所の人と分け合ったりもしたよ。それから半世紀もたたないうちに生活は激変した。今は肉や魚は店で買い、鉄砲撃って手に入れるものではなくなった。狩猟の話をすれば縄文時代のことかと言われるが、たかだか40年ぐらい前のことだよ。今では猟友会員のほぼ全員が勤め人になった。鉄砲撃ちはただの道楽者の印象なんだろうが、クマの被害があれば猟友会に有害駆除の要請が来る。他に銃を持っている人はいないし、何とかしなければと思う。でも簡単なことではねえよ。
(猟友会、若手増える:群馬)
有害鳥獣による被害の続発を受け、長野原町の若手の酪農家や農家が、自分で土地や作物を守ろうと相次いで狩猟免許を取得している。1年半で会員が12人増の41人になった町猟友会の大矢力会長は「若い人が増えてありがたい。しっかり教えて、地域を守る態勢をつくりたい」としている。 県内で狩猟は15日に解禁され、正午までに406人が入猟した。狩猟期間は原則、来年2月15日までだが、ニホンジカとイノシシは同28日まで。10月末時点の狩猟登録者は前年比47人減の3377人。
(児童ら見守りキジ放鳥:兵庫)
兵庫県猟友会三木支部は4日、口吉川小学校(三木市口吉川町殿畑)でキジ7羽を放鳥した。勢いよく飛び立つキジを全校児童54人が「帰ってきてね」と見送った。狩猟期間が始まる15日を前に、保護繁殖のため毎年実施。昨年からは市内の小学校で放鳥している。この日、山に近い校舎北側の駐車場で、支部長の鷲尾吉昭さん(74)ら役員6人が、キジが登場するおとぎ話「桃太郎」について児童に説明した。児童たちは「食べられるの」「なぜ放鳥するの」などと質問。役員が持ったキジに触れて「かわいい」などと歓声を上げた。6年の男児(11)は「キジを近くで見たのは初めて。雄と雌の見分けもできた」と話していた。
(絶滅オオカミ復活を:埼玉)
急増するニホンジカなどによる農林業や自然植生の被害対策として、絶滅したオオカミを復活させることをテーマにした「日・独オオカミフォーラム埼玉2016」が10月31日、鳩山町の山村学園短大で開かれた。自然保護団体の関係者ら約100人が参加した。
(クマがいる、人がいる:秋田)
星崎和彦さん(46)秋田市。樹木や木の実の調査でよく山に入りますが、クマ対策に絶対はないと感じています。私は、笛や鈴は必ずしも効果がないという印象を持っている。今年、鈴を着けていても2度立て続けにクマに会ったことがありました。ただ、クマの生態には地域差がずいぶんあるようにも感じています。4人が犠牲となった十和田湖の周辺では、以前からプラスチックのくいや道標などがよくかじられるが、私が普段通っている森ではそれほどではない。母グマの習性を子グマがまね、それが繰り返されることで狭い地域に特徴的な食性が生じるという研究結果もあります。その意味で、十和田湖の周辺はこれからしばらく要注意エリアと考えるべきでしょう。クマが人間を食物とみなすようになっている可能性がある。秋田、あるいは東北の特徴は、人間の生息域に極めて近い森や林にクマがいること。世界的に見ても先進国ではこのような地域は日本だけです。ただ、人間の暮らしぶりが都市集中型となり、中山間地域が過疎化していく流れの中で、クマと人とのバランスは変わってきている。シカやイノシシもそうですが、彼らの活動エリアが今後さらに人間の側に広がってくる可能性はあります。人間がいるからクマが自制していた動きが、少しずつ解放され始めている局面が今なのかもしれない。
(イノシシ対処法、イラストで説明:香川)
県内でイノシシ被害が相次ぐ中、県は注意喚起パンフレット「イノシシへの正しい対処法」を作製した。イノシシと出合わないための予防策や、遭遇したり襲われたりした時の対処法などを掲載。A4サイズ1枚の両面に被害を防ぐ手立てを簡潔にまとめている。
(イノシシ被害、景観崩され「死活問題」:山口)
山口市宮野下にある国の史跡・名勝の常栄寺庭園「雪舟庭」がイノシシにより荒らされる被害に遭っている。昨年の観光客数約5万6000人のうち約1万人は紅葉シーズンの11月に訪れたといい、18~20日にはライトアップするイベント「夜間鑑賞会」も予定されている。
(餌場根絶、イノシシ被害防げ:神奈川)
鳥獣害対策の専門家として、全国の自治体で「イノシシが寄り付かない里づくり」の実践に取り組む井上雅央(まさてる)さん(67)を招いた鳥獣害対策講習会が、10月30日・31日に大磯町の西小磯西地区で開かれた。町が主催し、農作物生産者や県農業技術センター職員、JA湘南職員など延べ約100人が参加した。井上さんは「なぜイノシシ被害が増えるのか。田畑や集落が餌場になってしまっているからです。住民がこぞって餌付けしているようなものなんです」という考えを出発点に、「悪いのはイノシシだからと駆除するのではなく、餌場を無くしてイノシシを引き寄せない、増やさない、田畑を守るための対策が重要」と指摘。適切な知識を身に付け、住民同士が協力しながら対策を講じることで被害を根絶できると呼びかけた。後半は、井上さんが具体的な対策法を解説しながら地区内の田畑などを見学。イノシシの警戒感を高めるために竹やぶや茂みの下部を刈り込んで見通しを良くする、電気柵から農作物がはみ出さないよう、柵の内側に余裕を持たせて作付けする、落果した柿の実などは放置しないなど、実践的なアドバイスに参加者は耳を傾けていた。栽培するミカンがイノシシの被害に遭っているという鈴木教夫さん(72)=寺坂=は「これからの時期は被害が増えるので、何とかしたいと思い仲間と参加した。学んだことを参考にしたい」と話した。町内では、イノシシが収穫期の農作物を食い荒らす被害が春から秋にかけて多発しており、町では今年度だけで130頭を捕獲した。これまで人的被害が報告された例はないという。来年1月7日の講習会では、やぶの刈り払いや柵の設置について学ぶ。
(クマがいる、人がいる:秋田)
米田一彦さん(68)広島県廿日市市。短期間に4人の命が相次ぎ奪われた鹿角の件は、動物に襲われた被害として過去に類を見ない「事件」です。背景は複雑です。クマは6月ごろに交尾し、年明け2月ごろに出産しますが、実際に出産できるかはその間の栄養状態に左右される。2013年に山の食物が豊作だったため14年2月に多くの子グマが生まれ、さらに昨年も豊作で今年2月も出産が進んだ。今春の時点でクマの個体数が相当増えていたという事情がまずある。さらに、昨冬は雪が少なかったため、クマが早く冬眠から目覚めた。でも山中に食物はまだ少ない。個体数が増えたクマたちは消耗した状態にあったはずです。そしてタケノコのシーズン。クマたちは夢中で食いあさったことでしょう。被害現場の辺りは、沢沿いに細長くタケノコ地帯があり、人間とクマが接触しやすい特徴もある。こうした条件が重なったということがまず言えます。
(クマがいる、人がいる:秋田)
松橋吉太郎さん(83)北秋田市阿仁。山は山神様の場所で、クマは山神様からの授かり物だ。村外れにある社の前を通る時はいつも頭を下げるし、クマを捕る前は「山さ行ぐがら安全に獲物捕らせてください」と祈ってから山さ入る。クマは胆のうだけでねぐ、毛皮も骨も肉も全部に使い道があって、捨てるどごろは全くねがった。捕れたら「マタギ勘定(かんじょう)」といって年齢も役目も関係なく、みんなで均等に分け合う。おらだには宝物だったよ。クマを捕る「巻き狩り」は最低でも10人以上でやる。「勢子(せこ)」が大声を上げてクマを沢から山の上に追い上げ、逃げ込みそうな場所に待機した「ブッパ」と呼ばれる鉄砲撃ちが仕留める。猟場や役割分担を一手に取り仕切る頭領が「シカリ」だ。おらは50代から30年以上も務めだよ。
(クマがいる、人がいる:秋田)
斎藤栄作美さん(67)藤里町。女性が畑仕事をしている最中にクマがすぐ近くの民家の軒下を歩いていたり、白神山地世界遺産センター藤里館前の道路をクマが走っていたり。藤里町でこうした光景をよく見掛けるんです。クマは深い森に生息するタイプと、人里近くにすむタイプへの分化が進んだと思います。環境省が9月に発行した資料には「クマの生息地内の餌が不足するときに、人里近くまで出没することがある」「本来クマは人を避け、森の奥深くに生息している」と書かれてある。でもこの見解は、現実とずれています。木の実の豊凶とは関係なくクマは頻繁に人里に出るし、奥山ではなく里山にすみ着いた個体も相当数いる。クマの暮らしぶりはかつてとは完全に変わったんです。県内の捕獲数が本年度、過去最多の450頭に達したことが何よりの証拠です。大半は里山で捕獲されたクマだったでしょ。
(クマがいる、人がいる:秋田)
県自然保護課長。クマがすみ着くためには広いエリアと多様な環境が必要です。クマが生存できる環境を保てば、さらに多くの種の動植物が生存できる豊かな環境になります。東北や秋田でクマが多いということは、それだけ多くの自然が残っている証拠でもあるんです。だからこそクマを絶滅させるわけにはいきませんが、数が増えすぎると農作物や人間への被害が出てしまう。クマとうまく付き合うためには、人間側に保護も含めてさまざまな工夫が求められます。県は県民の生命と財産を守り、野生生物を管理する立場にもあります。そのために保護管理計画で、絶滅を避ける目安としておよそ千頭を維持すると定め、極端に増減しないよう個体数の調整や保護に取り組んでいます。
(クマがいる、人がいる:秋田)
佐藤隆さん(73)仙北市田沢湖。クマの爪ってすごぐ切れる。ナイフみだいに。3年前の盆。「沢登りに付き合って」と知り合いに頼まれてぶな森(ぶなもり)(仙北市田沢湖玉川)さ入った。2、3キロ登ったば、彼が急に後ろから「わー」って叫んでよ。何だ、と思った瞬間にクマが横から飛びついできて、胸にがぶっとかみついできた。そのまま沢さ押し倒されだ。真っ黒い鼻先が顔に当たるぐらいでな。口開げだ時、とがった牙も赤い舌も見えだ。その直後よ。爪でさーっと顔どこ引っかかれだ。目を閉じても白く空が見えだがら、「まぶた切られだな。んだども、まなぐ(目玉)は大丈夫だ」と思った。たった3秒の出来事でねえべが。なだ(鉈)を抜くひまもねがった。クマは大声で叫ばれで、どでんしたんだべな。崖さ突進して途中まで登った後、ごろごろ転がり落ちて反対の斜面さ逃げだ。右まぶたが二つに切れ、鼻も斜めに裂けだ。軟骨も折れだ。ぼたぼたと血が出るもんだがら、どごがどうなったが分がらねがった。顔洗ったば、沢水がすぐに真っ赤になった。歩けば鼻の傷口が開ぐもんだがら、手で押さえで沢を下りだ。
(クマがいる、人がいる:秋田)
青山真さん(40)鹿角市十和田。熊取平、田代平(いずれも鹿角市十和田大湯)で4人が亡くなった件は、クマの事故の中でも特別な出来事でした。ツキノワグマは草食で臆病(おくびょう)という定説を信じてきましたが、全部のクマがそうじゃないと分かった。2人目の犠牲者の遺体が見つかった場所は、やぶじゃなく牧草地です。おかしくないですか。クマが諦めず、執拗(しつよう)に襲ってきたということですよね。人を積極的に襲うクマが存在することを、私たちは認識する必要がある。私は生まれも育ちも十和田大湯です。山に入ってクマに遭ったという話は何度も聞いてます。中には引っかかれてけがをする人もいるけど、大抵は無事に帰ってくる。武勇伝のように語る人もいるし、「大丈夫なんだろうな」と安心感があった。人が食べられることがあるとは、みじんも思っていなかった。クマは恐ろしい存在です。一生に一度も遭いたくない。マタギの世界で「クマは山の神の授かり物」という言い方をしますよね。本当にそうなんだと思います。逆に言えば、山の中でクマに遭ったら人間の命は神様次第。クマは殺傷能力の高い爪と牙を備えた獣なんだから。
(モンキードッグ、サルから農作物守れ:愛媛)
松山市は15日、小野地区の農業、大川浩一さん(73)の飼い犬「シュン」(雄・11カ月)を、農作物を食い荒らすサルを追い払う「モンキードッグ」に認定した。認定は5匹目。訓練を重ね、来春から本格的に始動する。シュンは雑種。今年4月から、徳島県の訓練所で4カ月間訓練を受けた後、大川さんと生活している。大川さんによると、人に対しては臆病だが、散歩中にイノシシやネコと遭遇した際はすぐに追いかける「仕事熱心ぶり」を早くも見せているという。市によると、2015年度のサルによる市内の農作物被害は199万円に上る。小野地区でもナスや干し柿を食べられる被害が確認されており、シュンへの期待は高い。今後は、地区の農家らから通報があれば山に「出動」し、サルを追い払った後は自分で家に戻れるように訓練する。野志克仁市長から認定証を受け取った大川さんは「しっかり働いてもらいたい」と期待を込め、シュンの頭をなでた。
(ガンカモ類飛来、前年比2.7万羽増:宮城)
宮城県は9日、今季初のガンカモ類生息調査結果(速報値)を公表した。ガン、ハクチョウ、カモ類の総数は18万4212羽で、前年比2万7048羽増だった。内訳はガン類13万2845羽、ハクチョウ類5301羽、カモ類4万6066羽。県自然保護課は「順調に飛来している。北海道などが寒いため、やや南下が早まった」とみている。調査は伊豆沼・内沼(栗原、登米両市)など県内500カ所の飛来地で、県職員や野鳥保護団体会員ら102人が実施した。
(「百獣の王」ライオンの糞、意外な場所での意外な使われ方:和歌山)
ライオンといえば、“百獣の王”の愛称を持つ動物界の王様。動物園でも大変に人気の高い動物ですが、その糞が意外な使われ方をしているそうです。三重県と和歌山県を走るJR西日本の紀勢線は、シカと列車の衝突事故に悩まされていました。それは列車の遅れや運休の原因にもなり、大きな負担になっていたのです。そんなある日、同社の社員が「シカの食害防止に猛獣の糞が有効」という研究を紹介した記事を発見。これを参考に、動物園がある複合施設アドベンチャーワールド(和歌山県)に依頼して、ライオンの糞を譲ってもらい、水に溶いて線路に撒いてみました。すると、シカとの衝突事故が大幅に減ったのです。日本に野生のライオンはいないのに、なぜシカは会ったこともないライオンの糞を避けたのでしょうか? 東武動物公園の飼育員さんに聞いてみました。「天敵の多い草食動物は、嗅いだことのない匂いに敏感です。普段とは違う匂いを感じると、拒否反応を示します」ライオンなら、牙をむいて襲いかかったり、大きな声で吠えたりせず、用を足すだけで周囲は怯えるのです。電車の衝突事故だけでなく、野生動物からの農作物被害を減らすためにも、ライオンの糞を使う研究が報告されています。さすが百獣の王、恐るべし!
(農家の天敵イノシシ、鍋でおいしく:福井)
福井県内のイノシシのわな猟が1日解禁になり、越前市安養寺町の猟師らでつくる「しし家グループ」は猟をスタートした。農家の天敵の駆除も兼ね、4日朝には13頭を捕獲した。3日までに市内外の約20カ所に鉄製のおり(高さ約2メートル、横幅約3メートル、奥行き約3メートル)を設置。毎朝巡回している。グループによると、今年は30~40キロの小さめの個体が多く肉が軟らかい。昨冬の積雪が少なく、子どもが多く生まれた影響という。猟は12月末まで続け、200~300頭の捕獲を見込む。メンバーの大村進治郎さんは「イノシシの肉は硬くて臭いイメージだが、きちんと処理すればおいしく食べられる」と話していた。シシ肉は、越前市の「しし家」で焼き肉やぼたん鍋として提供する(完全予約制)。
(イノシシのジビエは「害獣ビジネス」か「天からの恵み」か:福井)
「害獣ビジネス」という言葉があります。田畑を荒らすイノシシや樹木の樹皮を食べるシカを駆除するだけでなく、それを売って販路を広げようという試みです。山や川の自然に恵まれた福井市では2015年度に駆除されたイノシシは1322頭、ジビエとして地域活性化を図ろうとしています。12日から東京都内61の飲食店で展開される同市産の食材フェア「福井市フェア」(30日まで)でもイノシシ肉が提供されることになっています。イノシシ肉をチンゲンサイと一緒に豆板醤などで炒めた「辣炒猪肉(ラーチャオジューロウ)」を提供するのは東京・神楽坂にある中華料理店「芝蘭」です。料理長の中洞新司さんは「中華はいろんな食材を使いますが、イノシシを使った料理は聞いたことがありません。常連さんがおっと思う新しいものになりえます」と話します。中洞さんが用意したイノシシ肉は、豚肉と違って血の色が濃い肩ロースの部分で、きれいにスライスされていました。この肉を中華鍋を使って手早く炒めていきます。調味のポイントとして味噌を使っているといい、甘辛い香りが厨房に漂ったかと思う間もなく、あっという間に出来上がりました。湯気が立つ目の前の料理は、チンゲンサイの緑とソースのオレンジ色が色鮮やかです。そこからまずイノシシ肉をつまんで口に入れてみると、歯ごたえのある、そして肉厚な、豚肉とは違う旨味が感じられました。ジビエは強い野性味がするものかと思っていましたが、意外とクセのない食味です。そう感想を話すと、中洞さんは「本当はもっとけものの感じがあった方がいいのですよ」と言います。そもそもイノシシを家畜として飼いならしたのが豚です。豚のように野生の風味がないイノシシの肉は、豚と差別化がしにくいのだと中洞さんは説明します。イノシシの肉は1キロ4000円と豚肉の4倍の値段がするので、それに見合う豚とは違った価値が必要だということなのです。このイノシシの肉を生産しているのは福井市西部の殿下地区にある「ふくいウエストサイドジビエの会」です。代表の渡辺高義さん(69)は、家業の畜産を営むかたわら、仲間約10人とともにイノシシ猟に携わってきました。殿下地区は越前海岸に近い山中にあり、ほかの地方と同じくイノシシの害に悩んできました。福井市の事業としてジビエ施設が整備されたのが2008年。ここを拠点に渡辺さんらがイノシシやシカの駆除を行うとともに食肉を生産する活動をしています。「害獣ビジネス」という言葉のイメージとは違って、渡辺さんにはがつがつとした様子がありません。「いくら利益をあげたかって? あまり考えたことがないな」。渡辺さんのイノシシ猟の8割は檻(おり)を使って捕獲するのだそうです。「鉄砲を使うこともありますが、追い込みや何やらで一頭を追うのに4、5人がかりになります。また弾が背中に当たると肉の大部分が使えなくなってしまいますので」と話しました。イノシシ一頭あたり、体重の3割くらいの重さの肉が確保できるのだそうです。豚は脂が乗り、サシも入っているため、体重の7割の肉ができるのに対して、イノシシは半分ほどの重さしか確保できません。「イノシシは筋肉質なんですよ。豚足のようなゼラチン質もありません」と渡辺さん。狩猟期間に捕れたイノシシ肉は「脂が乗っており、柔らかくておいしい」とのことですが、害獣の駆除期間(4月~10月)をのぞき、イノシシ1頭あたり1万4000円の報償費(成獣の場合)は支払われません。また、解体の手間賃として1頭1万円の費用がかかるといいます。確保した肉は福井県内のぼたん鍋屋さんやフランス料理店に卸されますが、採算は厳しいと言います。イノシシ肉をビジネスにしようと考えた場合、芝蘭の料理長は、3つの課題を挙げます。まずは、安定供給できるか、次に小ロットでこまめに調達できるか、そして最後に送料の問題です。「それさえできれば、売り方は私たちの工夫しだいです」と中洞さん。また、精肉の美しさにも課題感を持っています。料理店としては、ブロック肉をスライスするのは手間なので、スライス肉の方が楽なわけですが、端がボロボロになっていたのでは商品として売りにくくなります。ジビエは安定供給が課題というものの渡辺さんは「最近はイノシシの駆除ができてきたので数が減ってきたが、逆にシカの数が増えてきた」と話します。害獣としてのイノシシ・ジビエは、駆除されてはじめて食肉になるのであって、決して人間の思い通りにはならず、計画的に確保できる食肉ではないということなのです。「害獣ビジネス」は、販路を広げることを最大の目的に、大量消費社会に組み込む類の商売ではないのでしょう。福井市の有害鳥獣対策室でも「有効活用が目的ですので、ビジネス性までは求めていません」と話します。自然を中心にした生き方に思いをはせる食材として、あるときにおいしくいただく。きっと、そんな「天からの恵み」なのです。
(映画撮影で知った「野生シカ駆除」の実態:徳島)
甲子園で春夏通じて3度の優勝を果たした徳島県立池田高校の元監督、故蔦文也さんの孫で映画監督の蔦哲一朗さん(32)が、山林を荒らす有害鳥獣として駆除された野生のシカの皮を使って財布やかばんの商品化に取り組んでいる。映画の撮影を通して山に放棄されるシカのことを知ったという蔦さんは「シカ皮を地域の新たな産品として蘇らせ、産業振興につなげたい。有害駆除の実態を知るきっかけにもなれば」と話す。現在、試作品の改良を重ねており、12月にも商品化にこぎつけそうだ。同県三好市出身の蔦さんがシカ皮の商品作りを始めたのは、三好市祖谷(いや)地区を舞台に自然と人間の共存を描いた映画「祖谷物語-おくのひと」の撮影がきっかけだった。脚本を書く際に地元の猟師から話しを聞く中で、農作物や山林を荒らす害獣としてシカが年間千頭以上も駆除されていることを知ったという。狩猟や駆除のため捕獲されたイノシシやシカなど有害鳥獣の肉は近年、ジビエ料理として注目を浴び、徳島県西部の山間部で駆除されたシカも近くの解体施設「祖谷の地美栄(じびえ)」で処理され、食肉として出回っている。しかし、蔦さんによると、三好市周辺で駆除して解体場に持ち込まれるシカは1割程度で、ほとんどが山に放棄されているのが実情だ。徳島県県民くらし安全局生活安全課の調べでは、平成27年度に県内でわなや猟銃で捕獲したイノシシ、ニホンジカ、ニホンザルは計2万3072頭。内訳はイノシシ8794頭、シカ1万2582頭、サル1696頭でイノシシとシカが全体の93%を占める。捕獲は狩猟と駆除に分けられ、狩猟が5273頭に対し、農作物の被害などを理由に県と市町村の許可を得て駆除したのは1万7799頭。大量の駆除の背景には深刻な農作物被害があり、27年度のイノシシ、シカ、サルによる被害は約1億1400万円に上った。一方で捕獲の担い手である猟師は高齢化が進み減少している。徳島県での猟師の登録は昭和53年度の6577人をピークに減り続け、27年度は約2400人だった。そんな実情を知り、蔦さんは映画「祖谷物語」の公開(平成26年)が終わった後にシカ皮の有効活用を考えるようになったといい、約1年前に同県吉野川市で革工房を営む三木直人さん(41)に試作品の製作を依頼した。三木さんによると、これまで牛や豚、ヤギ、馬の皮を使って革製品を作ってきたが、皮の価格や強度、耐水性、環境に適応しやすいなどの条件を考えると、牛の皮がトータルバランスで一番よいという。ただ、それぞれ特性があり、豚は牛に比べてこすれにくく通気性がいい。ヤギの皮は傷が多いが伸びに強い。馬は尻の部分から採られ、コードバンと呼ばれる皮は強度が強く、高級な紳士靴やかばんに利用されている。野生のシカはヤギと同じく体が小さくて伸びが強く、耐水性や通気性がよいものの傷が多いのが難点。皮を薄くする作業や裁断の際の力加減が難しく、他の皮より加工が大変という。また、シカの皮は体の場所によって伸びやすかったり、伸びにくかったりし、使用できる部分が限られ、皮の大きさもまちまち。シカ1頭の皮から長財布なら1つしか作れず、かばんなら3頭分の皮が必要で、かなり手間のかかる素材だ。徳島では県西部を中心に6つの解体施設がある。平成28年3月に開設した1施設を除き、27年度に5施設に運ばれて解体したシカは375頭、イノシシは139頭だった。しかし先述の通り、猟師らが捕獲後に解体施設に運ばず、山に放棄するケースは多い。県は衛生面も考慮し、捕獲後1時間以内に解体施設に運ぶよう呼びかけているが、山の中は道がなく運搬が大変で、射殺後に回収しにくい場所に転がるケースもある。また病気だったり食肉として適さなかったりするものもあり、そうした場合、現場に放棄せざるを得ないという。蔦さんが取り組むシカ皮製品の試作品は、撮影で知り合った地元の猟師らから購入した皮を使用。購入後は和歌山の業者に依頼して皮をなめし、徳島産の阿波藍を使った染色を京都の専門業者に行ってもらっている。「阿波藍は徳島の伝統産業で、藍色は東京五輪のエンブレムにも使用される日本の伝統色。この藍染めの商品を全国に広めたい」と蔦さん。商品はかばんと長財布、小銭入れ、名刺入れの4種類で、12月にお披露目し、来年1月から数量限定でインターネットなどで予約を受け付ける予定だ。加工に手間が掛かるシカ皮を使い、藍染めを特別に依頼していることなどから、価格はかばんは8万円から、長財布は4~5万円、名刺入れは1万5千円、小銭入れは1万円以内を予定。これとは別に無色や他の色を使った低価格の商品も用意したいという。蔦さんは「(シカなどは)できるだけ山に放棄せず、人手を使ってでも解体施設に運べば、肉はジビエ料理に使えるし、皮は新たな産品として生まれ変わる。人手を使うことで雇用創出にもつながれば」と話し、将来は東京や大阪、神戸、京都などの百貨店にも売り込みたいとしている。
(野生鳥獣の肉を使った「ジビエ料理」、食べて有効活用)
一般家庭ではなじみの薄い野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理。シカなどによる農作物への被害が深刻化する中、国は捕獲した有害野生鳥獣の有効活用を図ろうと、食品衛生上の対策や調理法の普及活動に乗り出している。「脂身の少ないシカ肉は硬くなりやすいので、弱火でゆっくり火を入れるようにしてください」今月初旬、兵庫県宝塚市で開かれたシカ肉を使った料理教室。「愛deer料理教室」代表の林真理さん(52)が参加者に調理の際のコツを説明していた。ジビエはフランス語で、欧州では貴族の伝統料理として古い歴史のある食文化だ。この日の教室で参加者は、シカ肉のだしを使ったおでんやシカ肉のカツレツの作り方を学んだ。京都府の猟師、林利栄子さん(28)は都市部の人たちに里山の魅力を伝えるNPO法人の職員としてジビエ料理などを紹介。「人に伝えるためには、もっとジビエのことを知らなければ」と料理教室に参加した。「教わったメニューはどれも臭みがなくておいしい。これなら自信を持って一般の人に薦められます」と笑みを浮かべた。野生鳥獣による農作物被害は深刻だ。農林水産省によると、平成26年度の被害金額は約191億円に上り、シカが34%、イノシシが29%を占めた。山間部の開発により生息域が人里まで広がる一方、高齢化による猟師の減少などが要因とされる。近年は被害金額が毎年200億円前後で推移。25年の狩猟免許所持者は昭和50年の約3分の1の18万5千人にまで減少した。26年度の被害額が5億6200万円と近畿地方最多の兵庫県では19年、全国に先駆けて「兵庫県森林動物研究センター」を設立。有害野生鳥獣の捕獲数などを分析して生息数を推定、適正規模に減らす取り組みを始めている。調理法の普及にも積極的で、同センターの横山真弓研究部長が24年、林代表に料理教室開催を依頼したことがきっかけでシカ料理のレシピを紹介する「愛deer料理教室」が誕生。各地で開催されるようになった。同県では26年度、4万5千頭のシカを捕獲したが、食肉利用は1割程度。そのうちの半分以上はペットフード向けという。横山さんは「イノシシ肉はボタン鍋などとして一定の食文化があるが、シカを食べる文化はあまりない」と指摘する。食品栄養が専門の兵庫県立大の吉村美紀教授によると、シカ肉は牛肉と比べて脂質が20分の1、鉄分は約1・7倍で、ストレス軽減に効果があるとされる機能性アミノ酸を約2倍含んでいる。「アレルギーを引き起こす物質も少なくヘルシー」と太鼓判を押す。じっくりと弱火で火を通すと軟らかく仕上がり、スパイスを利かせた調理法などでおいしく食べられるという。都市部ではジビエ料理を提供する飲食店が増えつつある。ただ、野生鳥獣の肉には、寄生虫やE型肝炎ウイルスを保有している可能性など食品衛生上のリスクがある。このため厚生労働省は26年、安心安全な食材提供へ、食肉処理の指針を作成し、10度以下での保存などを規定した。農水省も今年度から、ジビエ料理の普及促進に向け、移動式解体処理車の開発支援などを始めた。鳥獣対策室の担当者は「捕獲した野生鳥獣を食肉として有効利用することは地域振興にもつながる」と話し、対策の重要性を強調している。
(ホームページでシカ肉紹介:和歌山)
和歌山県古座川町の古座川ジビエ振興協議会(会長=西前啓市町長)は、町産シカ肉をPRするホームページ(HP)やロゴマーク、包装用の紙や容器、パンフレットを作った。同町月野瀬の町鳥獣食肉処理加工施設「古座川ジビエ 山の光工房」で処理加工したシカ肉を「金もみじ」と名付け、県内外に売り出していく。
(奥三河産のジビエを使ったメニュー:愛知)
東海エリアの食材を中心に使うイタリア料理店「ペル アデッソ東海 KITTE名古屋店」(名古屋市中村区名駅1、TEL 052-433-2401)で現在、奥三河で育ったジビエなどを使った秋の限定メニューを提供している。運営はイタリアンを中心に全国で167店舗、56ブランドを展開するジローレストランシステム(東京都渋谷区)。同店の席数は68席。客層は女性客が6~7割で、仕事帰りの20~30代女性や女子大生グループ、女子会などの利用が多いという。今回の秋限定メニューで使うジビエは、奥三河産のイノシシやシカなど鳥獣類を加工する施設「奥三河高原 ジビエの森」から仕入れる。夏のメニュー企画で、奥三河高原にある村松農園のカラフルトマトを使ったことをきっかけに、「農園の村松さんから『奥三河に昨年、ジビエの森という解体処理施設を設立し、安心、安全にジビエを供給することができるようになった』という話を聞いた」と同社総調理長の鶴岡さん。一般的に狩猟が解禁になる秋~冬にかけてジビエの旬とされているこの時期に合わせて企画した。「ジビエは最近少しずつ認知されてきているが、まだまだおいしさを知らないお客さまに伝えるべくメニューに取り入れた」とも。同メニューは全7品。イノシシ肉、シカ肉といったジビエのほか、東海エリア産のキノコなど、魚介を使い、前菜、ピザ、パスタなどを用意。イノシシ肉を赤ワインで煮込みラグーソースにしたパスタ料理「イノシシのラグーソース」(1,380円)、シカ肉のコンフィを盛り付けた「鹿肉のコンフィと柿のサラダ仕立て」(980円)、「幻のエリンギ」と呼ばれるキノコ「とっとき」、「黄金たもぎ茸(たけ)」、生のキクラゲ、シイタケをフリットにした「東海産いろいろきのこのフリット」(650円)、ほとんど市場では流通しないという「すだれ貝」を使った「低温調理すだれ貝のカルパッチョ ペルアデッソ風」(780円)など(価格は全て税別)。
(外国人が喜ぶエゾシカ料理を:北海道)
エゾシカ料理を外国人観光客のおもてなしに活用しようと、飲食店検索サイト運営大手「ぐるなび」(東京)と道は28日午後2時から、札幌全日空ホテル(中央区北3西1)で、調理のコツなどを学ぶセミナーを初めて開く。ジビエ(野生鳥獣肉)料理になじみのある外国人客を引きつけ、シカ肉の消費拡大につなげる狙いだ。ぐるなびと道は昨年、観光や食文化の振興で協力する連携協定を結んでおり、その活動の一環。セミナーでは、シカなどの解体から、加工品の製造・販売まで手がける「エレゾ社」(帯広)の佐々木章太代表が、エゾシカの特性を生かした調理法を講演。奈良市の高級イタリア料理店「イ・ルンガ」の堀江純一郎シェフが、外国人が喜ぶエゾシカ料理やエゾシカの食材としての魅力を紹介。料理や加工品の試食会なども行う。道エゾシカ対策課によると、昨年度のエゾシカによる農林業被害額は約43億円で、駆除や食肉活用を進めている。ぐるなびは「外国人客は地元ならではの食を目的に訪れる人が多い。エゾシカ料理もPR次第で大きな魅力になる」(広報グループ)としている。
(ジビエフェスタ、今年は3ヵ月:和歌山)
野生のイノシシやシカの肉を調理したジビエ料理で地域を元気にする県の「わかやまジビエフェスタ」が28日(月)~来年2月28日(火)に開かれる。2012年から毎年1ヵ月実施してきたが、11月の日本ジビエサミットを控え、3ヵ月に大幅延長し、県内65店が協力する。県畜産課は「毎年、店を回りきれないと聞きますので、この機会に親しむ人を増やしたい」とねらう。フェスタは40店でスタート。当初は、ぼたん鍋やフレンチが大半だったが、定着するにつれ居酒屋や中華料理店、パン店が加わり、カレーやコロッケ、ソーセージ、釜飯と調理法が広がった。同課は「ジビエはカロリーが牛肉の4分の1ほどで、ヘルシー志向の女性に人気が高まった」と話す。今年は鳥取で開かれたご当地バーガーコンテストで、和歌山のジビエバーガーがグランプリを獲得したことで、さらに認知度が上がった。なお、ジビエサミットは11月29日(火)、30日(水)に和歌山市手平のビッグ愛で開かれ、ジビエ料理販売やシカ革細工のワークショップがある。詳細は日本ジビエ振興協議会HP。
(小中学校給食にシカ肉カレー:和歌山)
和歌山県古座川町の小中学校で11月、地元産シカ肉の入った新たな給食メニューとして、カレーライスが登場した。町教育委員会が、子どもたちに地元の産物であるジビエ料理に親しんでもらおうと進めている取り組み。12月はシチューの予定で、今後も学期に1回以上、ジビエ料理を出していく。
(ジビエ直営施設、利用広げ料理普及:長野)
シカやイノシシによる農作物被害を減らしつつ、その有効利用を促そうと、長野市は直営のジビエ肉の解体処理・加工施設を建設する方針を決めた。捕獲されたシカなどの肉は現在、ほとんど活用されておらず、施設を整備して安定的に流通させ、ジビエ料理普及につなげる。市によると、市内の解体処理施設は若穂地区の民間1施設のみ。郊外で流通の便が悪く、解体できる人手も不足がちで、捕獲される年間約1000頭のシカとイノシシのうち、食肉処理されているのは30頭程度にとどまる。
(シカ肉でウインナーとハム:福井)
シカ肉をプレスハムやウインナーに加工する調理法を紹介する「若狭ジビエでおもてなし講習会」が九日、若狭町のパレア若狭で開かれた。美浜町から高浜町にかけての飲食店主や地産地消グループの会員約二十人が受講。四種類のウインナーとハムの作り方を学んだ。若狭町瓜生で食肉加工食品を製造する香川政彦さん(52)=小浜市大手町=が講師となって説明。製造と提供に絡んだ法律の問題や食中毒への対処法も紹介した。県嶺南振興局農業経営支援部と若狭町が講習会を企画した。管内では十軒余りの飲食店がシカやイノシシの肉を提供しており、担当者は一層の普及を目指している。自ら経営する飲食店で、低温調理したシカ肉を提供する上山明良さん(40)=小浜市駅前町=は「興味を示す女性客もいる。コース料理に加えてもいいかもしれない」と話した。
(「ジビエ」普及へ:宮崎)
シカやイノシシ肉など「ジビエ」の普及拡大を図るための調理法の講習会が8日、宮崎市の九州電力宮崎支社であった。飲食店関係者ら約40人が参加。絶品料理の作り方を学んだ。法令など基礎知識の講義を受けた後、日本ジビエ振興協議会の藤木徳彦理事長が調理を実演。シカ肉を使ったトマトシチューや、イノシシのソーセージなど4品が完成した。試食した参加者の感想は「あっさりして食べやすい」。藤木理事長によると「高タンパク低脂肪」で栄養価も高いという。県内にジビエ料理店が猪突(ちょとつ)猛進の勢いで増えるかも。
(ジビエ1グランプリ、シカ肉ロースト人気:高知)
シカやイノシシなどのジビエ料理を楽しむ「第5回四国ジビエグルメフェスタ」が6日、高知県長岡郡大豊町中村大王の「ゆとりすとパークおおとよ」で開かれ、県内外約1300人の来場客でにぎわった。高知大学の学生が初めて企画した「ジビエ1グランプリ」では、来場者の投票でジビエ肉専門店「猪鹿(いのしか)工房おおとよ」(高知県長岡郡大豊町大久保)が初代グランプリに輝いた。四国ジビエグルメフェスタはジビエ料理に親しんでもらおうと、嶺北ジビエ実行委員会が4年前から開いている。2016年は「ゆとりすとパークおおとよ」で地域実習をしている高知大学地域協働学部の学生たちが企画や運営に携わった。
(ジビエグルメフェスタで「ジビエ1グランプリ」:高知)
高知県長岡郡大豊町中村大王の「ゆとりすとパークおおとよ」で11月6日に開かれる「第5回四国ジビエグルメフェスタ2016」で、ジビエ料理のおいしい店を来場者の投票で決める「ジビエ1グランプリ」が初開催される。ゆとりすとパークおおとよで地域実習をしている高知大学地域協働学部の学生が企画した。高知県内外の13店が参加する予定で、学生は「ジビエを食べたことのない人にも足を運んでほしい」と来場を呼び掛けている。四国ジビエグルメフェスタは鳥獣被害対策にもなるシカやイノシシ肉などのジビエ料理に親しんでもらおうと、嶺北ジビエ実行委員会が4年前から毎年開いている。ただ、第1回の来場者2千人が第4回には約850人になるなど、回を重ねるごとに減っていた。そこで2015年から地域実習を行っている地域協働学部の学生が、内容を充実させて集客増を図ろうと、2年生6人を中心に企画段階から実行委との打ち合わせに加わった。これまでの四国ジビエグルメフェスタはジビエ料理を提供する飲食店などが出店するだけだったが、人気イベント「土佐の食1グランプリ」のように人気投票を行い、“ジビエ料理の祭典”にしようと、「ジビエ1グランプリ」開催を学生が提案した。当日は高知県内外の13店舗がイノシシ肉のカレーや焼きそば、シカ肉のハンバーグ、スペアリブなどを販売。来場者の投票で“ナンバーワン店”を決める。ステージでは高知大学吹奏楽団や学生ジャズ団体が演奏するほか、同時開催のジビエ勉強会では地域協働学部の教員が講演するなど、大学が全面的に関わるイベントとなった。大豊実習班代表の上山亜里佳さん(20)=2年=は「美しい景色とともに多くの人にジビエを味わってもらいたい」と話している。
(イノシシ活用、いの骨らーめん:島根)
地区住民でつくる「みはた特産品研究会」が主催する3日間限定のラーメン店が開店した。提供するのはイノシシの骨でスープを作り、イノシシの肉をチャーシューにした「みはた いの骨(こつ)らーめん」。毎年、春と秋の数日だけ提供される“幻のラーメン”だ。
(ジビエ、食べてみて:長野)
長野市役所内の食堂「ししとう」で8日、イノシシや鹿のジビエ(野生鳥獣肉)を使った料理の提供が始まった。市内唯一の食肉処理加工施設がある若穂地区の住民でつくる実行委員会と食堂が企画した。狩猟期間(15日から来年2月15日)に合わせ、捕獲したイノシシや鹿の肉を使い、ジビエの魅力を発信する。8日夜は、口コミでジビエの魅力を広めてもらおうと、地元住民らを対象に、開始のイベントを市役所第1庁舎8階にあるししとうで開いた。参加者はイノシシ肉と若穂地区の旬の野菜をふんだんに使った「ぼたん鍋」や、鹿やイノシシの肉を赤ワインなどに一晩漬け込んで焼き上げたロースト、鹿肉のホワイトカレーなどを味わった。市によると、鹿肉は高タンパク低カロリーで鉄分が豊富。脂肪燃焼を促し、疲労を和らげる効果があるという。支所ごとに住民と連携し、本年度から3年間で地域活性化や課題解決に取り組む市の「地域発きらめき事業」の一環。中山間地域の若穂地区をはじめ、市内ではイノシシや鹿による農作物被害が深刻で、消費までの流れをつくることで捕獲を進めやすくする狙いがある。ししとうで提供するジビエ料理は、ランチタイム(午前11時から午後2時)では狩猟期間中の毎月第2、4火曜日に「若穂ジビエの日」を設け、限定20食を販売。ホワイトカレーのほか、「若穂シカ漬け丼」「若穂いのしし丼すき焼き風」「若穂いのしかそぼろ丼」のいずれかを日替わりで提供する。600円から。ディナータイム(午後5時から9時半)は、ぼたん鍋や鹿肉のローストなどで、飲み放題付き(2時間)の「いのしかコース」(4千円から)を提供。1週間前までに、ししとう(電話026・228・6852)に予約する。実行委員長の綿内剛美・若穂地区住民自治協議会長(71)=長野市若穂綿内=は「まだ食べたことのない人にぜひそのおいしさを伝えてほしい」と参加者に呼び掛けていた。
(不採算、ぼたん鍋ラストシーズン:青森)
青森県むつ市脇野沢地区で飼育したイノシシを使った名物のぼたん鍋がラストシーズンを迎えた。不採算を理由に飼育事業への市の補助金廃止が決まり、鍋を提供する宿泊業者らが存続を断念した。脇野沢地区の民宿栄屋では今月初めから、宿泊や昼食向けに1人前2700円でぼたん鍋を提供。脂の乗った肉のジューシーさが好評で、週末の宿泊は来年2月ごろまで予約が入っているという。青森県東通村の無職二本柳勝助さん(65)は「最後のシーズンと聞いて家族と訪れた。おいしい肉が食べられなくなるのは残念」と惜しむ。飼育する市脇野沢農業振興公社によると、現在五十数頭のイノシシがおり、年内に食肉処理を終える予定。地域の飲食店では来年2~3月ごろまで、鍋が食べられる見込みだという。
(イノシシ肉を堪能、BBQ大会:千葉)
捕獲したイノシシの焼き肉やボタン汁を無料で振る舞う「地美恵(ジビエ)BBQ大会」が6日、鋸南町大崩の佐久間ダム湖畔で開かれ、家族連れやジビエ(野生鳥獣肉)ファンでにぎわった。イノシシの急増を逆手にとったイベントで、町などが主催した。イノシシの肉は、認可を得た食肉処理場を経ないと販売できないため、町は安全を期して3頭分の肉を検査した上、焼き肉やボタン汁に加工して先着600人に無料提供した。同町はかつて捕鯨の町でもあったことから、会場ではクジラ肉弁当などの特産品も販売され、山クジラの別名を持つイノシシと、海のクジラの味を楽しむバーベキューファンもいた。
(米大手銃器メーカーS&W、「アメリカン・アウトドア・ブランズ」へ社名を変更:アメリカ)
100年以上の歴史を持つ米大手銃器メーカースミス&ウェッソンが、社名を「アメリカン・アウトドア・ブランズ」に変更することを計画しているそうだ。ブランド名は維持する見込み。同社のジェームズ・デブニーCEOは今年1月に「レクリエーション市場」への参入を表明しており、アウトドア用品メーカーなどを傘下にする計画を明らかにしている。「過酷な自然環境での狩猟、魚釣りなど野外活動に使われるアウトドア用品市場」への進出を進めているという。同社の業績は今のところ好調とのことだが、昨今の銃規制強化に対応する社名変更のようだ。
(米で銃器類販売が急増:アメリカ)
米国の銃器メーカー大手「スターム・ルガー」は5日までに、今年9月30日までの第3四半期における銃器類の販売が急増したと報告した。今月8日に実施される米大統領選の投票との関連性を指摘している。米国の銃器メーカーは、米大統領選候補2人のうち民主党のヒラリー・クリントン前国務長官の当選により強い警戒心を募らせている。クリントン氏は銃規制問題で、攻撃銃などの禁止を再度主張し、銃購入の際に義務付ける身元調査の拡大や銃関連事件が発生した際の銃器メーカーや販売業者の法的責任の追及などを提案している。スターム・ルガー社によると、第3四半期における販売額は前年同期比で約3割増の1億6140万ドルに達し、利益は66%増を記録した。同社の次期最高経営責任者(CEO)のクリス・キルロイ氏は最近の電話会議で「販売は米大統領選の選挙戦の影響で増えた」との判断を示した。現CEOのマイケル・ファイファー氏は今年8月のCNNMoneyの取材で、クリントン氏に触れ、合法的な武器商取引への反対運動を活発に進めていると批判。今月2日には、大統領選の当選者や連邦議会選で勝利した政党がどうであれ同社は作成済みの計画に従って事業を進めると主張した。その上で、同社の顧客や米国国民全員に自らの意見を反映させるため大統領選で投票するよう促した。「大統領選にかかっているものは非常に大きい」とも訴えた。同社は今年の第3四半期の業績が非常に好調だった背景要因として、市場に投入した半自動式軍用ライフル銃「AR556」や小型の半自動式短銃「LCPⅡ」や同「LC9」などの新型モデルの効果に言及。これらの銃は近年人気を集めていた。小型短銃は隠しての携行に好都合なため護身用として重宝がられている。AR15などのいわゆる突撃ライフル銃も愛好者がより厳しい銃規制の実施を見越しての調達に動いたことから好調な売れ行きを示していた。AR15は米国内で過去に起きた一部の銃乱射事件の凶器ともなっていた。2012年に米コネティカット州ニュートンの小学校で、今年6月に米フロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブ「パルス」で発生した銃乱射事件でも用いられていた。銃愛好者や全米ライフル協会(NRA)は大統領選の投票結果だけではなく、今年2月に死去した米連邦最高裁判事のアントニン・スカリア氏の後任人事にも気をもんでいる。同氏は首都ワシントンで銃所持を認める判決に賛成票を投じる保守派として知られていた。次期大統領が同氏の後継者を決める予定となっている。

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11/4
(列車と動物の衝突、1年ごと増減の怪)
列車が野生動物とぶつかる事故が後を絶たない。なぜか1年ごとに増減を繰り返しながら、じわじわと増えている。例年の傾向通りだと、偶数年度の今年度は「当たり年」。実際に、JR東海では昨年度より6割増のペースで増えている。鉄道会社はあの手この手で対策をとるが、決め手はない。10月31日午後5時40分ごろ、山形県内を走行中の山形新幹線がカモシカとぶつかった。車両点検などで列車2本が最大52分遅れた。野生動物と列車の衝突は多く、JR東日本管内に限っても「25日午後、八戸線が青森県内で鹿と」「24日夜、磐越東線が福島県内でイノシシと」「24日夜、東北線が宮城県内で小動物と」「23日夜、山形線が山形県内で熊と」といった具合だ。列車を止めて点検し、死骸をどけたり、穴を掘って埋めたり。ダイヤは乱れ、車両の修理が必要になる時もある。第一、乗客にとって衝突は危険だ。そこで国土交通省は、2009年度分から全国の鉄道会社の列車が動物との衝突が原因で運休・遅延(30分以上)した件数を集計、公表し始めた。その結果、1年ごとに増加と減少を繰り返している傾向が浮かび上がった。国交省の担当者は「なぜそうなるのか分からない」と首をかしげる。JR東海で例年の傾向通り、昨年度の4~8月の衝突は20件だったのに対し、今年度の同時期は32件。6割増のペースで増えている。だがやはり、「理由は不明」(広報)だ。
(箱根の森に鹿角ガード:神奈川)
仙石原の片平地区にこのほど、小田原の竹を使った鹿角除けが設置された。箱根町内ではここ数年鹿が増えつつあり、仙石原ではアオキなどの植物が食べられている。雄のシカは角を研ぐ習性があり、町制50周年で植えられた木々がへし折られたり、ヒノキなども幹の皮がえぐられ、立ち枯れの危機にさらされている。箱根は観光地で猟銃捕獲や罠捕獲には課題もあり、環境省は植物を守るため湿原を高さ2mほどの柵で囲う方針も示している。角研ぎから幹を守るため、小田原山盛の会が注目したのが、竹だった。人工林に広がりやすく、同会では小田原市早川などで伐採を続けている。厄介者だが、乾燥させると長持ちするうえ、柵状にしても見た目が上品なのが売り。従来の柵は金属網や樹脂製が主流だが、箱根の森では壊れてゴミのように散らばっている所も多い。同会では「高齢化も影響しているのか、市内には竹林がジャングル化している所や伐採の要望もある。腐らせるより、シカ防護柵で活用できれば。この試作品でモニタリングを続けたい」と話している。

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(クマに襲われ84歳男性けが:岩手)
26日午前9時半ごろ、八幡平市瀬ノ沢の山林で、同市沢口の無職、安保勝雄さん(84)が成獣とみられるクマに遭遇して襲われた。爪で顔をひっかかれてけがをしたが、命に別条はないという。 岩手署によると、安保さんはキノコ採りのため、1人で山林に入っていた。襲われた後、自力で下山し119番通報したという。
(クマに襲われ60代女性けが:福島)
29日午後2時20分ごろ、福島市土湯温泉町字天沼の荒川河川敷で同市の60代女性がクマに襲われたと、知人女性から119番通報があった。女性は頭にけがをして病院に運ばれたが、命に別条はないという。福島署によると、女性は河川敷を散歩中に親子とみられるクマ3頭に遭遇し、親グマとみられる1頭に頭部をかまれたという。女性は車で逃げ、電話で知人女性に助けを求めた。現場は国道115号沿いの林道の先で、女性は林道に駐車し周囲を散策していたという。同署と県猟友会は現場周辺をパトロールしたが、クマは見つからなかった。
(高齢男性、クマに襲われ大けが:山梨)
2日午前、大月市七保町の山林で蜂蜜を採る作業をしていた79歳の男性がクマに襲われ大けがをした。大月警察署によると、2日午前9時15分ごろ、大月市七保町瀬戸の山林で、親戚の男性と2人で蜂蜜を採る作業をしていた、梅屋一布さん(79)がクマに突然、襲われた。梅屋さんは頭などを引っかかれ、病院で手当てを受けているが、頭の骨を折る大けが。クマは体長1mほどで、梅屋さんを襲った後山のほうへ逃げていったという。大月市内では、2日の一日だけで3件のクマの目撃情報があり、猟友会が付近をパトロールするなど、警戒を強めている。クマの生態に詳しい専門家は「この時期は冬眠に入る前で、栄養を蓄えようと餌を求めて人里に降りてくる恐れがあるので、注意してほしい」と話している。
(クマに襲われ男性けが:京都)
31日午前0時半ごろ、京都府福知山市石場で、自宅外にあるトイレに行こうとした40代の会社員男性が、家の敷地に隣接する畑でクマに襲われた。同市によると、男性は右太ももをかまれたり、腹や胸を引っかかれたりするなどのけが。病院に運ばれたが、命に別条はないという。同市によると、家の外に出た男性は、自分の畑にある柿の木で柿を食べている子グマを2頭発見。持っていたライトを向けたところ、横から突然、親グマとみられる別のクマに襲われたという。男性は抵抗して自宅に逃げ込み、自ら救急車を呼んだ。3頭のクマは逃げたとみられる。現場はJR福知山駅から南西に8キロほどで、住宅や畑が混在する集落。
(イノシシに襲われ山の斜面滑落:東京)
29日午後4時ごろ、青梅市友田町で、「男性がイノシシにやられた」と近くにいた別の男性から119番通報がありました。消防が駆けつけたところ、近くに住む59歳の男性が手足から血を流した状態で倒れているのが見つかりました。男性は、イノシシに手を噛まれるなどしていて全治1週間の軽傷です。警視庁によりますと、男性は散歩をしていたところ、イノシシに遭遇し、手を噛まれるなど襲われ、山の斜面を20メートル滑落したということです。青梅市内では今月、クマも目撃されていて、警視庁は付近の住民に注意を呼びかけています。
(自宅の玄関先にクマ、男性襲われけが:鳥取)
鳥取県や警察などによりますと、27日午後9時前、鳥取市国府町の森原喜久さん(70)の住宅の近くにクマが現れ、玄関先で森原さんが襲われて顔や腕などを引っかかれるけがをしました。クマは大人のツキノワグマと見られ、森原さんを襲ったあと逃げたということです。森原さんは「5秒くらいの出来事で、怖いというよりびっくりした。最近クマが出ていると聞いていたが、まさか自分が襲われるとは思っていなかった。命があってよかった」と話していました。現場は鳥取市の中心部から東に15キロほど離れた山あいの地域です。鳥取市内では今月17日にも、別の地域でツキノワグマのものとみられる爪痕などが見つかっていて、鳥取県は冬眠前のクマが山を降りてきている可能性があるとして、餌となる柿の実などを取り除くなどの対策をとるよう呼びかけています。
(クマ、住宅地で男性襲う:新潟)
26日午前6時20分ごろ、糸魚川市青海の住宅街で、同市の80代男性がクマに襲われ、顔や左腕を爪でひっかかれる軽傷を負った。命に別条はない。男性が車から荷物を降ろそうとしていたところ、突然道路を走ってきたクマに襲われたという。
(駅構内にクマ:新潟)
28日午前2時すぎ、糸魚川市青海のえちごトキめき鉄道青海駅構内の線路上をクマ1頭が歩いていると、同鉄道の保線作業員から糸魚川署に通報があった。同署によると、クマは体長約1メートルで、線路から住宅街の方向へいった。糸魚川市青海では26日、男性がクマに襲われけがをしている。
(またクマ出没、住宅地で目撃:新潟)
27日午前6時半前、糸魚川市青海の民家の柿の木に、クマ1頭がいるのを住民が目撃し、糸魚川署に通報した。同署によると、クマは体長約1メートル。民家の南側にあるデンカ青海工場駐車場の方へ逃げていったという。周辺は住宅地で、付近には北陸道や北陸新幹線も通っている。糸魚川市青海では26日、住宅地で男性がクマに襲われ、けがをしている。27日の目撃場所は26日の現場から約500メートル。糸魚川署は「同じクマかどうかは分からない」としている。
(イノシシ出没、2人ケガ:香川)
31日午前6時半過ぎ高松市香西本町で、イノシシを目撃したと警察に通報があった。イノシシは逃げながら次々と人に襲いかかり、男性(43)と女性(74)が軽傷。その後、イノシシは香西南町まで移動し、民家の庭で駆けつけた猟友会に捕獲・処分された。
(イノシシ、3人襲う:香川)
26日午後9時ごろ、高松市北浜町の市街地にイノシシ1頭が出没し、市内の小学6年の女児が両手をかまれるなど通行していた3人が軽傷を負った。イノシシは約20分後、500メートルほど南にある高松琴平電鉄の線路上で電車にはねられて死んだ。乗客約60人にけがはなく、運行への影響もなかった。
(駅前にイノシシ、立体駐車場から落下:群馬)
29日午前7時ごろ、群馬県高崎市八島町のJR高崎駅西口周辺で「イノシシを見た」との情報が高崎署などに寄せられた。署員や猟友会員、市職員ら約20人が駆け付け、追跡したところ、イノシシは約1時間後の同8時すぎ、立体駐車場の屋上から落下して死んだ。けが人はいなかった。関係者によると、イノシシが最初に見つかったのは、立体駐車場の1階付近。その後、ペデストリアンデッキなどを渡って、400メートルほど離れた別の立体駐車場に移動した。車の通り道を使って屋上(地上8階相当)まで上り、その後、落下したという。イノシシは体長1メートルほどだった。イノシシを目撃した男性(66)は「空き缶のにおいを嗅いでいたり、食べ物をあさっていたので、おなかが空いていたのではという印象を持った。最初に見た時にはまさかと思った」と驚いていた。高崎署は「イノシシを見かけても近づかないで」と呼び掛けている。
(軽ワゴン車が転落、動物さけようとしたか:北海道)
1日夜、北海道安平町の国道で軽ワゴン車が路肩に転落し、運転していた女性が死亡しました。午後9時前、安平町の国道で苫小牧方面へ向かっていた軽ワゴン車が対向車線にはみ出し、そのまま3メートルほど下の路肩に転落しているのを近くを通った車が見つけました。この事故で、軽ワゴン車を運転していた北海道岩見沢市の沼田美津子さん(42)が病院に搬送されましたが、約2時間後に死亡しました。現場は片側1車線の見通しの良い直線道路で、野生のシカが度々、現れる場所だということです。現場にはスリップした跡はなく、警察が事故の原因を調べています。
(住宅地にイノシシ出没、4時間後に捕獲:宮城)
31日午前6時45分ごろ、宮城県多賀城市高橋1丁目の民家の敷地に体長約1・4メートルのイノシシがいると、塩釜署に通報があった。署員や市役所職員ら約20人が駆けつけ、約4時間後に捕獲された。市などによると、イノシシはJR仙石線中野栄―多賀城駅間で、あおば通発石巻行きの下り列車と接触後、現場まで来たという。イノシシは雄で、捕獲後は殺処分される。現場は中野栄駅から約1・5キロの住宅地。近くの主婦鈴木恵理さん(58)は「近所でイノシシは見たことがない。どうやってここまで来たのか」と驚いていた。
(車が熊と衝突、5m吹き飛ぶも足を引きずり草むらに逃げる:兵庫)
29日午後6時15分ごろ、兵庫県丹波市市島町中竹田の国道175号で、走行中の乗用車の前をクマが横切ろうとし、そのまま衝突した。クマは衝撃で約5メートル吹き飛んだが、足を引きずるように国道を横断し、草むらに逃げたという。車はバンパー部分が大破したが、運転していた同市の会社員男性(58)と同乗の妻(52)にけがはなかった。県警丹波署によると、クマは体長1・5メートルぐらい。同署は付近を捜索し、地域住民に警戒を呼びかけている。
(クマと乗用車が衝突:新潟)
29日午後6時半ごろ、南魚沼市深沢の市道で、乗用車がクマと衝突したと、車を運転していた男性が南魚沼署に通報した。車のナンバープレート付近に傷がついたが、男性にけがはなかった。南魚沼署によると、クマは体長約1・5メートル。衝突後、山中へ逃げて行ったという。現場は民家まで約200メートルで、同署は注意を呼び掛けている。
(クマ出没、東北6200件超)
東北6県で今年4~9月にあったツキノワグマの出没、目撃件数が6269件に達したことが分かった。既に2015年度1年間の約2.2倍となるハイペース。冬前まではクマによる被害が起きやすいとされ、関係機関は注意を呼び掛けている。環境省によると、県別では岩手が2873件で最多となった。宮城1217件、秋田832件、山形528件、青森468件、福島351件。各県の月別推移グラフをみると、6月が計1759件で最も多く、7月が計1600件、8月が1238件だった。岩手県は6月下旬、初のクマ出没警報を発令した。「もともとクマの出没が多かったことに加え、秋田県内で死亡事故があったこともあり、住民が敏感になって市町村への通報数が増えたのではないか」(自然保護課)とみる。過去3年の東北の件数は13年度が3345件、14年度が4420件、15年度が2889件。本年度は6カ月だけで過去3年の1年分の件数を超えたことになり、各県とも過去最高のペースに警戒を強める。人身被害(暫定値)は37件で、40人が被害を受けた。前年度比では8件、9人の増加。秋田県内の山林で5~6月、クマに襲われて死亡したとみられる男女4人の被害も含まれる。東北農政局が10月末に開いた会合で、各県の担当者が対応策などを報告した。冬眠に入るまでは餌を求めるクマと、キノコ採りなどで山に入ることが多くなる人との接触機会が増えるため、住民への注意喚起を強化することを確認した。環境省はクマを人里に寄せ付けない方策として生ごみや廃棄農作物の除去、耕作放棄地の整備、やぶの刈り払いなどを提唱。「冬眠が進むまでは油断できない。住民に十分な注意を促す必要がある」(野生生物課)と強調している。
(捕獲エゾシカ肉、消費拡大へ:北海道)
道によるエゾシカ肉処理施設の認証制度が今年度スタートし、近く初の認証施設が公表される。対象施設で生産した肉や加工品にはロゴマークの表示が可能で、道が安全性を保証し積極的にPRすることで、農作物被害対策などで捕獲されるシカ肉の消費拡大を図る。認証されるのは、道の衛生処理マニュアルを守り、製品のトレーサビリティーが可能などの条件を満たした施設。7~8月に申請を受け付けたところ12業者から申請があった。ロゴマークはシカのシルエットや樹木が入ったデザイン。これまでは一般社団法人「エゾシカ協会」(札幌市)が認証業務を担ってきたが、飲食業界などから公的な制度を求める声が上がっていた。エゾシカは明治期の大雪と乱獲で一時は絶滅寸前となったが、その後の保護政策などの結果、分布域を拡大して生息数も増加。ピークとみられる2010年度には推計生息数が66万頭(道南部などを除く)に達し、農作物の被害も深刻になった。道は10~14年度に年間10万~14万頭を捕獲するなど対策を強化し、15年度の推定生息数は47万頭に減った。一方、食肉として利用されたのは十数%にとどまり、活用が課題となっている。道の担当者は「エゾシカ肉はおいしく、栄養成分も優れている。多くの人に食べてもらいたい」と呼びかけている。
(列車がクマと衝突:京都)
31日午後8時50分ごろ、京都府舞鶴市真倉(まぐら)のJR舞鶴線真倉駅近くの線路内にクマが立ち入り、東舞鶴発綾部行き普通列車(2両編成)と衝突した。乗客約20人にけがはなかった。JR西日本によると、この列車は車両点検後、まもなく運転を再開した。しかし線路上にクマが横たわっていたため、次に現場にさしかかった京都発東舞鶴行き特急「まいづる13号」(3両編成)が現場近くで停車。地元の猟友会がクマが死んでいることを確認し、線路の外へ移した。特急は30~40人の乗客を乗せたまま約2時間立ち往生した後、午後10時45分ごろに運転を再開し、午後11時15分に東舞鶴駅に着いた。一方、兵庫県姫路市のJR山陽線英賀保(あがほ)―姫路間では1日午前5時半ごろ、上郡発米原行き普通電車(6両編成)がシカとみられる動物と接触。約30分後には同県丹波市のJR福知山線柏原―谷川間で、福知山発篠山口行き普通電車(4両編成)がシカと接触した。両線は最大で30~15分の遅れが出たが、車両に大きな損傷はなく、乗客にけがはなかった。
(熊の目撃情報:宮城)
30日午後4時頃、登米市津山町横山峠付近で熊の目撃情報がありました。屋外では音の出るものを身に着けるなどの対策を行い、十分に注意してください。
(サル2匹、目撃情報相次ぐ:岡山)
岡山市内で今月に入り、野生のサルの目撃情報が相次いでいる。県警や市によると、26日には北区で、ニホンザルの親子と見られる2匹のサルの目撃情報が複数あった。人への危害や物が壊されるなどの被害は確認されていないが、市は「見かけても、近付いたりしないように」と注意を呼び掛けている。
(鳥獣被害が続出、狩猟免許取得増加:秋田)
秋田県内の狩猟免許の取得者が増えている。本年度は108人が試験に合格し、統計を取り始めた1992年度以降最少だった2010年度の28人の4倍近くになった。増加の背景には、試験の土日開催や自治体の補助制度などに加え、ツキノワグマをはじめ鳥獣被害の増加で狩猟の役割が見直されていることもあるようだ。県内の狩猟免許試験合格者数の推移はグラフの通り。県内の合格者は02年度の115人以降、趣味の多様化や、受験費用と銃の購入に金がかかるといった経済的問題などから減少傾向が続いた。危機感を抱いた県は13年度から、試験の開催日を会社員でも受けやすい土日にし、回数も年3回から4回に増やした。14年には、県猟友会会員の体験談などを通して若者に狩猟の魅力を伝えるフォーラムの開催も始めた。免許の取得にかかる費用の一部を市町村が補助する動きも広がりつつある。鹿角市は13年度から、第1種とわな猟免許を取得しようとする市内の20歳以上を対象に、受験に必要な講習料など費用の9割を助成している。制度を利用して15年度までに11人が免許を取得した。「第1種免許の取得には約13万円かかるため、負担が減ったと好評だ」(市農林課の担当者)という。補助制度は北秋田市や羽後町など5市町村でも設けている。受験を促すこうした取り組みに加え、クマなどによる人や農作物への被害が増えたことで、駆除の手段として狩猟の社会的要請が高まったことも免許取得者増加の要因とみられる。県内では鹿角市で5~6月、クマに襲われたとみられる男女4人が相次いで死亡。県によると、今年のクマの捕獲数は15日現在で450頭と、統計が残る76年以降最多だった01年の年間420頭を既に上回った。450頭のうち、個体数を調整するため春先に計画的に行う捕獲を除いた有害駆除は431頭で、猟友会が駆除に当たる出番も増えている。県猟友会副会長の虻川信一さん(71)=大館市=は「以前の狩猟は趣味として楽しむ人が多く、免許を持つことはステータスの一つだった。近年は免許取得の目的が多様化し、中でも駆除など社会貢献のため、という人が増えてきた」と指摘する。
(狩猟免許所持者数が回復傾向:岐阜)
イノシシやシカなどを捕らえる狩猟免許の所持者数が県内で回復傾向にある。底を打った2006年度から15年度までの10年間で1.2倍に増えた。11月から今季の狩猟期間が始まるのを前に、県の担当者は「農林被害の防止に向け、今後も免許の啓発を続けたい」としている。県自然環境保全課によると、一九七〇年代に一万五千人前後で推移していた免許所持者数は徐々に減少。二〇〇六年度は三千七百四十五人だったが、一五年度は四千五百二十五人に持ち直した。若い世代の取得者も少しずつ増えている。一五年度は六十代以上の取得者が約六割を占め高齢化が目立つが、二十~四十代はこの十年で初めて二割を超えた。「数年前から平日のみだった試験日を土曜日にも設定し、無料の講習会を催した効果」(同課の担当者)という。もともと狩猟を趣味の一環で取り組む人が多かったが、農林被害を防ぐ意識が加わってきたのも、狩猟免許所持の増加の一因とみられる。免許を取得しても、狩猟するには、県に登録して狩猟税を払うなどの手続きをしなければならない。県内の免許所持者が県内で登録する数は一五年度までの五年間で、三千人前後を行き来し、全体の七割程度にとどまっているのが現状だ。狩猟免許の試験では技能も問われるが、試験に受かり免許を取得したとしても技術の習得には経験も要る。実践を重ねるのが難しそうだと、免許を取ったばかりの人が登録をためらう場合があるという。こうした実情を解決しようと、県は県猟友会と連携し、経験豊富なベテランが初心者らに現場でノウハウを教える研修の開催を検討している。県の担当者は「狩猟者の活動があってこそ、農作物などの被害が防げる面もある。登録者になってもらった上で、いかに定着してもらうかが鍵になる」と話す。
(イノシシ、シカの農業被害防げ:石川)
県内のイノシシとニホンジカの狩猟が一日、始まった。通常は十一月十五日から認められるが、県は七年前から農林業被害の抑制のために期間を拡大している。有害鳥獣対策を含むイノシシの二〇一五年度の捕獲数は四千九百五十二頭で十年前の五倍近くに達し、農作物被害は七千万円余りに上った。県によると、イノシシの捕獲数は昭和には一桁ほどで推移し、一九九〇年以降に急激に増えた。近年は積雪の少ない冬が多かったためにイノシシの生息数が増え、生息域も拡大したとみられる。農作物被害は十六市町で確認され、被害額は増加傾向が続いて一四年度に九千万円を突破。一五年度は七千三十二万円で、二割ほど減ったものの、担当者は「高い水準が続いている」と警戒する。これまで県内の生息数は分からなかったが、国が算定方法を示したことを受け、県は初めて推計値を計算。一四年度の捕獲数や目撃情報を基にした暫定値は一万二千~一万八千頭に上り、ニホンジカの推計値千五百~二千八百頭に比べて一万頭以上多かった。推計値は今後、一五年度の情報も加えて精度を高める。専門家の意見を踏まえて一六年度末で更新するイノシシの管理計画に反映する。イノシシとニホンジカの狩猟期間は通常が十五日から翌年二月十五日までの三カ月間。期間が延びている現在は来年三月まで認められている。その他の狩猟鳥獣の猟期は通常と変わっていない。
(イノシシが川泳ぐ:石川)
30日夕、七尾市中心部を流れる御祓(みそぎ)川を泳ぐイノシシが目撃された。イノシシは陸に上がり、住宅街へ逃げた。市職員や七尾署員が捜索したが、見つからなかった。けが人はいなかった。午後5時ごろ、会社員角間健治さん(48)と妻裕美さん(46)=同市石崎町香島2丁目=が、能登食祭市場近くの七尾湾河口付近を泳ぐ体長約1メートルのイノシシを見つけた。イノシシは上流へ泳いだ後、JR七尾駅から約500メートル離れた同市生駒町の川べりから道路に上がり、西側の住宅街へ走り去った。
(イノシシ出没、沿岸部でも目撃情報:千葉)
長生村でイノシシの目撃情報が相次ぎ、村では学校などを通じて注意を呼び掛けるとともに、捕獲にも乗り出している。村下水環境課によると、今月12日に内陸部の金田地区で3頭の目撃情報が寄せられた。金田地区はイノシシの生息が確認されている睦沢町に隣接している。その後、信友地区、沿岸部の一松地区でも目撃情報があった。一松丙の狩野佳方さん(71)は21日夕方、海岸から直線で約1キロ離れた自宅近くの路上で1頭を目撃した。「70年住んでいるが、イノシシが出たのは初めて」と驚き「小学校も近くにあるので、行政には早急に対策を取ってほしい」と話した。村は平地が多く大規模な山林がないため、これまでイノシシの目撃情報は少なく「海岸近くで確認されたのは初めて」(同課)という。一方、長生地域の内陸部にある4市町(茂原、長柄、長南、睦沢)では、イノシシによる農業被害が深刻化している。一宮町でも本年度10頭(26日現在)を捕獲しており、本格的な駆除を始める方針だ。村では、捕獲実績のある内陸部の自治体から指導を受け、村内4カ所に初めて箱わなを設置した。現在、村内には2頭のイノシシがいるとみられ、同課の担当者は「見つけても刺激せずにその場を離れてほしい」と話している。
(イノシシ注意、防災無線などで呼び掛け:埼玉)
26日午後5時10分ごろ、熊谷市塩でイノシシを目撃したという情報1件が市に寄せられた。市環境政策課によると、イノシシは嵐山町寄りの県道11号付近で目撃された。市は防災無線とメール配信サービス「メルくま」で注意と情報提供を呼び掛けた。同課は「見かけても近寄らずに、連絡してください」と話している。
(ブナのドングリ類が凶作、クマ出没に注意を:岡山)
県はツキノワグマの出没予測に役立てようと、県北部のクマの餌となるドングリ類の調査結果を発表した。今年はブナのドングリ類が凶作といい、「冬眠前のクマが餌を求めて人里へ出没する可能性があり、注意が必要だ」と呼びかけている。県によると、ツキノワグマは秋から12月上旬にかけて冬眠に備えて食べ物を求めて人家近くに出没する可能性が高まるといい、津山地域(津山市)と勝英地域(美作市、西粟倉村、奈義町、勝央町)を対象に、8月下旬~9月上旬に調査を行った。調査結果によると、クマが生息する高山地帯に多く分布するブナが凶作だった一方で、人里のある低地まで広く分布するコナラが豊作だったことから、高山地帯からクマが人里近くまで餌を求めて下りてくる可能性があるという。県によると、県内のツキノワグマは年々増加していて、推定で79~377頭(平成27年度末・中央値171頭)に上り、24年度末の58~257頭(中央値120頭)から増加しているという。県はツキノワグマの出没予測に役立てようと、県北部のクマの餌となるドングリ類の調査結果を発表した。今年はブナのドングリ類が凶作といい、「冬眠前のクマが餌を求めて人里へ出没する可能性があり、注意が必要だ」と呼びかけている。県によると、ツキノワグマは秋から12月上旬にかけて冬眠に備えて食べ物を求めて人家近くに出没する可能性が高まるといい、津山地域(津山市)と勝英地域(美作市、西粟倉村、奈義町、勝央町)を対象に、8月下旬~9月上旬に調査を行った。調査結果によると、クマが生息する高山地帯に多く分布するブナが凶作だった一方で、人里のある低地まで広く分布するコナラが豊作だったことから、高山地帯からクマが人里近くまで餌を求めて下りてくる可能性があるという。県によると、県内のツキノワグマは年々増加していて、推定で79~377頭(平成27年度末・中央値171頭)に上り、24年度末の58~257頭(中央値120頭)から増加しているという。
(イノシシ海渡る、離島で繁殖確認:三重)
三重県鳥羽市の離島の坂手島と菅島でイノシシによる農作物被害が深刻化していることが分かった。海岸でイノシシが上陸する姿が漁師らに目撃されており、1キロ近く海を泳いで渡ったとみられる。伊勢湾口に浮かぶ同市の有人離島4島では、答志島でも2010年に繁殖が確認されており、4島のうち3島がイノシシに“占拠”された。市では1日の狩猟解禁を機に、猟友会への駆除の依頼などを検討している。関係者によると、本土から約500メートル離れた坂手島(人口約350人)への上陸は8月と10月、漁師に目撃された。イノシシが1頭ずつ海を泳ぎ岸壁に上がっていったという。本土から約1キロの菅島(同約600人)では約2年前から、畑のハクサイや大根、サツマイモなどがイノシシに荒らされ始めている。菅島住民で、市からワナによる有害鳥獣駆除を許可された木下隆司さん(54)によると、島内では墓地でも供え物の米を狙って出没し、仏具が壊されるなどの被害が出ているという。2年前に3頭、昨年は31頭を捕獲。今年は5基のワナを仕掛け、8月から10月に44頭を捕獲したという。木下さんは「昨年は島内に200から300頭がいたとされるが、島民の話を総合すると、今年は500頭ほどに増えた」と明かす。島民からは「何もこんな遠くまできて、畑を荒らさなくても……」と嘆き節が聞こえてきているという。鳥羽市によると、本土から約1キロの答志島(同約2200人)では6年前から被害が続き、昨年は人家にイノシシが飛び込み、玄関ドアが壊れる被害も出ていた。最も近い愛知県・伊良湖岬からでも3.5キロ離れている神島(同約400人)では、まだ目撃されていないという。
(クマ狩猟解禁前に安全講習会:兵庫)
兵庫県内で15日から20年ぶりにツキノワグマの狩猟が解禁されるのを前に、兵庫県庁で2日、猟師向けの安全講習会が始まった。捕獲頭数の上限に当たる140人が抽選で選ばれ、クマの生態や狩猟経験者のアドバイスを聞いた。3日まで。狩猟は「一人1頭」「1カ月間」などの制限付きで許可されており、初日は90人が受講し、承認証とバッジを受け取った。講習会では、県職員が「県内でも5年ぶりに人身被害が発生し、危険が続いている。解禁は人と動物が共生関係を保つ上で適切な措置」と話し、クマを撃った場合の手続きなども説明された。
(イノシシ駆除はじまる:沖縄)
サトウキビやイモに食害を与えているとみられるイノシシの駆除が、27日から城辺の長北や福北地区の海岸沿い林野帯で実施される。28日まで。県猟友会の石垣地区、竹富両地区のメンバー14人が散弾銃を使って駆除する。狩猟犬も10頭投入する。期間中は午前7時から日没まで駆除に当たる。市は周辺住民に注意を喚起。一周道路より海岸側の農道や林野に入らないよう呼び掛けている。イノシシは、長北や福北の海岸沿いの林野に生息しているとみられる。市が設置したカメラでイノシシらしき生物が映っているのが確認された。イノシシは、サトウキビやイモを食べ、海岸ではカニを捕食している。ウミガメの卵も食べているという情報もある。特に長北や福北での被害が大きい。今回の駆除は3度目になる。猟友会とともにイノシシの行動範囲などを詳しく分析しており、より効果的な駆除が期待される。駆除対象区間は、浦底漁港から平良向け約2㌔ほどの畑や林野帯。一周道路より海岸側で実施する。狩猟犬を使ってイノシシを探し出し、散弾銃で仕留める。猟友会のメンバーは26日に宮古入りし、午後から市役所上野庁舎で打ち合わせを行った。市が設置したカメラの映像も確認。ゆっくり歩く複数のイノシシらしき生物がくっきりと映し出された。クジャクを含め昼夜を問わず映っている。打ち合わせの後は、実際の駆除現場を視察して具体的な駆除計画を立てた。市は一周道路に駆除の実施期間と時間を示す立て看板を設置したり、周辺自治体にチラシを配ったりして注意を喚起している。市農政課は「駆除を実施している期間は、一周道路より海岸側の農道や畑等には入らないようにしてほしい」と呼び掛けている。
(イノシシ駆除、初日は雄5頭を駆除:沖縄)
サトウキビなどを食害するイノシシの駆除が27日から城辺の長北、福北両地区で始まった。宮古島市、県猟友会石垣、竹富両地区のメンバーら総勢約40人が林野帯で実施し、初日はイノシシとみられる雄の5頭を駆除した。このうち1頭は100㌔を超えていた。駆除は28日まで。市では引き続き城辺長北、福北の海岸線には近付かないよう注意を呼び掛けている。駆除活動は午前7時に開始した。イノシシの行動範囲を分析し、事前に市が仕掛けた網が奏功。狩猟犬で追い込み、散弾銃を使って5頭を仕留めた。最も大きいものは体長140㌢で重さは100㌔を超えた。ほか60㌔1頭、30㌔1頭、20㌔2頭。この5頭がイノシシなのか、イノブタなのかは今後のDNA鑑定で確定させる。駆除は28日にも行う。駆除対象区間は浦底漁港から平良向け約2㌔ほどの畑や林野の一帯で、一周道路より海岸側で実施する。市は、引き続き対象区間の海岸側の農道や畑、林野に近付かないよう注意を呼び掛けている。市農政課の福里匡課長は「農作物に大きな被害を与えているイノシシの駆除につき農家や市民の皆さんの理解をいただきたい。駆除が終わるまで海岸側には近付かないようお願いしたい」と述べた。28日の駆除も午前7時から日没まで行う。
(ツキノワグマ被害うけ会議:富山)
今月、黒部市でツキノワグマによる人身被害が発生したことをうけ、黒部市などが緊急の対策会議を開きました。中では、野生生物の専門家が、『来月中旬まで継続的にクマが出没する可能性がある』との見方を示しました。会議には地元自治会や猟友会、野生生物の専門家などが参加し、最近のクマの出没傾向などについて情報共有しました。黒部市では、今月20日、住宅地で犬の散歩をしていた女性がツキノワグマに襲われ、軽いケガをしました。また、今月、県内全域から寄せられたクマの目撃や痕跡に関する情報のうち、4分の3にあたる50件が、黒部市など県東部です。市などは、クマのえさとなるドングリが、県西部より県東部で不足していることが要因とみています。また、野生生物の専門家は、過去10年間のツキノワグマの目撃情報の推移を踏まえ、来月中旬までは継続的にクマが出没し、来月中旬以降も断続的に出没する可能性があると説明しました。黒部市では、引き続き防災無線を活用するなどして注意を呼びかける方針です。
(安全・効果的な電気柵設置法、県が農家に伝授:静岡)
中山間地での農作物の鳥獣被害を防ぐ担い手を育てようと、県中部農林事務所は26日、静岡市内の農家約30人を対象に電気柵の設置研修会を開催した。県内では昨年7月、西伊豆町で違法に設置された電気柵を原因とする死亡事故が発生しており、同事務所では「自己流で電気柵を設置すると、危険な上に効果も薄くなる」として正しい設置を呼びかけている。今回電気柵が設置されたのは、山あいに位置する同市葵区大原地区の面積1300平方メートルほどの田んぼ。周辺では今年もイネやサトイモがイノシシに食い荒らされる被害があり、最近は昼間に集落内にイノシシが現れることもあるという。参加した農家の田中輝夫さん(69)は「イノシシは子連れで来ることが多く、一晩で田んぼがぐちゃぐちゃになる」と嘆く。電気柵は電線が草などに触れると電圧が低下するため、高さ1メートルほどのワイヤメッシュの防護柵の上に設置する方式を採用。二段構えの「複合型」にすることで、イノシシだけでなく、柵を乗り越えて農作物を狙うサルなどにも有効だという。電気柵設置のポイントとなるのは、柵の支柱が倒されないよう内側に立てる▽漏電防止のため電線とワイヤは5センチほどの間隔を空ける▽電気柵には24時間通電する-の3点だ。指導に当たった市中山間地振興課の萩原出主査は「日中は通電をやめてしまう農家も多いが、動物に『ここは危険だ』と学習させることが大事」と強調する。昨年度の静岡市内の農林産物の鳥獣被害金額は約8千万円に達しており、同事務所地域振興課の曽根克巳課長は「電気柵の誤使用は事故を招くだけでなく、被害の防止にもつながらない。より安全で効果的な設置方法を学んでほしい」と話した。
(クマ対策、軽井沢に学ぶ:北海道)
クマ対策の先進地、長野県軽井沢町の取り組みについて学ぶ講演会「軽井沢のクマ事情を変えた2つの秘策」が29日、知床博物館で開かれた。現地で対策に取り組むNPO法人「ピッキオ」の田中純平さんが、ベアドッグ(クマ対策犬)導入などの事例を紹介し、ベアドッグのタマも登場した。同町は1990年代後半からゴミをあさるツキノワグマが問題になっていた。ピッキオはクマが開閉できないゴミステーションを開発しゴミの管理を徹底。また、ベアドッグを導入してクマの追い払いを強化した。2009年にゴミ被害ゼロを達成。小学生への普及啓発などでクマに対する正しい理解も浸透しているという。田中さんは「クマも人間も世代が替わるので、(対策を)続ける必要がある。体制をどう維持していくかが重要だ」と話した。同席したタマは普段、田中さんとクマの探査業務やパトロールに従事。会場では田中さんの指示でほえたりボールを追いかけたりと、きびびとした動きを披露。約60人の聴衆を驚かせていた。
(イノシシ対策学ぶ:神奈川)
イノシシによる被害防止に向け、地域ぐるみで対応を学ぶ大磯町の鳥獣害対策講習会が、10月30日(日)から西小磯農業センターで始まる。西小磯西地区を対象にした全4回のプログラムで、初回は午後1時から4時30分。講師に『女性がやればずんずんすすむ獣害対策』を執筆した元近畿中国四国農業研究センターの井上雅央さんを迎え、座学と地区内の金龍寺周辺で見られる生活被害の現場を点検する。第2回は31日(月)午前9時から午後0時30分。座学の内容は第1回と同一で、現場点検では農業被害の様子を見学する。どちらか1回の参加でも可。来年1月7日(土)の第3回では、対策の実践について学ぶ。最終回は2月11日(土)で、今後に向けた話し合いを行う。
(ニホンジカの白神山地侵入防げ:秋田)
白神山地世界遺産地域へのニホンジカの侵入を防ぐため、東北森林管理局は25日、捕獲用の囲いわな1台を秋田県能代市二ツ井町字麻生の国有林に設置した。餌で誘引する仕掛けで、捕獲した個体のDNAを鑑定して生息範囲も調べる。積雪期までわなの効果を観察し、浮かび上がった課題を来年度以降の対策に生かす。シカの警戒心を解くため囲い部分のみ今月7日に設置。25日は同管理局藤里森林生態系保全センターの職員3人が、扉が閉まる仕掛けをセットしたほか、わな周辺の監視カメラを1台新設し計3台とした。7日以降、タヌキが囲いに入る姿が確認されている。設置場所は遺産地域から南へ約19キロ、国道7号から南へ約1・5キロの地点。
(野生サル救助へ捜索開始:静岡)
有害な動物などを駆除する道具「くくりわな」のワイヤがまとわりついた野生のニホンザルを救助しようと、熱海市が委託した業者が31日、捜索に着手した。一方、サルが人間を恐れなくなると、住民に危害を与える可能性があり、住宅地や市街地から遠ざけるため、市や専門家は餌を与えないよう呼びかけている。ワイヤが左手にまとわりついた推定年齢15~20歳(人間なら80歳程度)の高齢のメスザル「テツコ」の捜索は同日朝、同市桃山町の住宅街で始まった。保護業者の社員がアンテナと受信機を使って、テツコの首に付けられた発信機から出る電波を探して歩く。テツコの居場所がわかれば、住宅地なら箱型のわなに餌を仕掛け、山間地なら麻酔銃などで捕獲する。その後、ワイヤを外し、けががあれば消毒などの手当てをして群れに戻す計画だ。一方、市には、テツコがバナナを持つ姿を見たとの情報が寄せられている。サルが人家から餌を持ち出すことはあるが、目撃情報では、テツコはバナナを房の状態でなく、両手に1本ずつ持っていた。このため、市農林水産室では「かわいそう」という思いから人間が与えたとみている。また、市内には、ネコ用でベランダなどにペットフードを置いている住宅もあり、それが結果としてサルの餌になっているケースもあるという。同市山間部のサルの群れは、かつて神奈川県湯河原町の有料道路「湯河原パークウェイ」周辺で餌付けされていた群れから派生した。生来、人間に慣れており、餌を与えれば、なおさら警戒心が薄れてしまう。人間がサルに餌を与えた結果、多くの被害が生じた栃木県日光市や大阪府箕面市などの自治体では、サルへの餌やりを条例で禁じたほどだ。サルの生態に詳しい京大霊長類研究所の半谷はんや吾郎准教授は「人間から何度も餌を与えられたサルは、人里から離れなくなる」と警告している。半谷准教授は「人間とサルが不必要に接触するようになると、食べ物欲しさにヒトの服を引っ張ったり、威嚇したりするようになり、かまれるなどの事故が起きるかもしれない」と指摘。その上で、「人里に出てきたサルは山に追い返すべきだ。その方がサルにとっても人間にとっても幸せ」と呼びかけている。
(市街地にシカが現れる:新潟)
ことし春は県内各地でクマの出没が相次ぎ、冬眠前の秋はさらにクマの出没が多発すると心配された。しかし少なくとも三条市内では心配されたほどクマは出没せず、胸をなでおろしていたところへ28日朝、三条市の市街地でシカが姿を現し、窓ガラスを割って逃走する珍事があった。午前9時過ぎに三条署へ北入蔵地内でシカを目撃したという人が訪れた。続いて塚野目のカーディーラー「ホンダカーズ新潟県央三条店」からシカが窓ガラスを割って逃走したと連絡があり、さらに北入蔵のパン店「サンフォーレット」でシカを目撃したと付近住民から110番通報があった。三条署は10時過ぎに目撃された地域周辺をパトロールしたがシカは見つからず、その後もシカの目撃情報はなかった。ホンダカーズ新潟県央三条店によると、9時前に駐車場にシカが入ってきて板金工場へ移動した後、窓ガラスを割って外へ出て塚野目診療所の方へ向かって逃走したらしい。目撃した住民によると、シカは諏訪神社からサンフォーレット方向へ向かった。クマのような危険性はないが、県の環境センターでは念のため県猟友会三条支部へ情報提供し、三条市から三条市教育委員会や北入蔵1、2の自治会へシカの出没の情報を提供。地元の小学校の保護者への連絡もあったようだ。それにしても三条市の山手の下田地区ならともかく、平場の三条地区にシカが姿を現すのは極めて珍しい。しかもホンダカーズ新潟県央三条店前は交通量の多い国道403号だ。シカが割った窓ガラスは、窓ガラスのいちばん低いところでも1メートル以上の高さがあり、その力にも驚かされる。
(ドローン、サル誘導に:長野)
人里に下りてきたニホンザルを小型無人機「ドローン」で威嚇して山林に追い返すシステムを、安曇野市の無線機器製造会社「サーキットデザイン」が横浜市の電子機器商社と共同で開発している。12月初旬に安曇野市で実施する初の飛行実験に向けて準備中で、開発担当者は「里山の人口が減少する中、人と獣のすみ分けを維持する新たな手段になれば」と期待している。農林水産省によると、猿によるリンゴなどの農作物被害額は全国で約13億円に上り、長野県は約1億円でワースト1位(いずれも2014年)。県鳥獣対策・ジビエ振興室によると、里山地域での人口減少によって猿が人里に下りやすくなっている上、追い払う人手の確保が難しいのが現状だ。計画されるドローンは直径約1メートル。最高時速約70キロであらかじめ指定されたコースを自動で飛行し、ニホンザルの群れをセンサーで感知すると、威嚇して人里を離れた山林へと誘導する。威嚇手段は「音波や低空飛行での接近など、なるべく猿がかわいそうでない方法」(開発担当者)を検討しているという。この計画はサーキットデザインが考案した。全地球測位システム(GPS)と捕獲されたことのある猿に付けられた首輪型発信機を使用して群れの位置を特定するシステムを開発した同社が「さまざまなセンサーを組み合わせれば有害鳥獣対策に使えるのでは」と、高性能センサーなどの開発に携わる横浜市の電子機器商社「明光電子」に提案。今年度、明光電子が神奈川県から補助金1000万円を得て共同開発が始まった。「期待は大きいが、技術的ハードルも高い」と開発担当者。離合集散を繰り返す群れの動きに合わせて飛行する難しさだけでなく、学習能力の高い猿は一度、反応した仕掛けにも慣れてしまう可能性がある。明光電子営業促進課・根本敬継(たかつぐ)課長(51)は「頭の良い猿に使えるなら、他の動物にも使えるはず。あえて最も手ごわい相手を選んだ」と話す。ドローンは既に本体部分の組み立てを終え、12月初旬に安曇野市の河川敷で初の飛行実験を実施。来年2月には、神奈川県内で猿の群れを威嚇する実証実験を予定しているという。根本課長はニホンザルの出没で知られる静岡県の伊豆半島出身で「猿はミカン畑を食い荒らす害獣であると同時に、豊かな自然を象徴する身近な存在でもある。技術を駆使して人と猿が共存する道を見つけたい」。
(鷹匠、カラス撃退に一役:福島)
都市部でカラスなど害鳥によるフン害や鳴き声が問題となる中、タカを飼育・訓練する専門家「鷹匠(たかじょう)」が撃退に一役買っている。郡山市で猛禽(もうきん)カフェ「ファルコン」を営む鷹匠の菊地誠一さん(56)は今年2月、ハトやカラスを追い払う「タカ飛ばし」を始め、県内外へ、タカと"飛び回って"いる。菊地さんが最初に「タカ飛ばし」をしたのは、長年カラスのフン害に悩まされてきた郡山市中央商店街。電柱や木々にとどまるところを狙って、タカを夕空に放つと、カラスがあわてたように鳴き声を上げて退散。効果を実感し、山形県の花笠祭りへも出向くなど活動の幅を広げている。タカ飛ばしは通常、週3日のペースで数週間続ける。すると、カラスが「なわばりが奪われた」と認識し、近寄らなくなるという。タカを使った害鳥駆除について菊地さんは「タカ飛ばしは無駄な命を落とさずに済むやり方」と説明。一方で、害鳥被害については「生ごみを夜中に捨てたり、ごみ集積所に防護ネットを付けていなかったり、人間側にも問題はある」と指摘した。
(人里にクマ、東京の住宅地にも)
クマが人の生活圏に出没するケースが各地で相次いでいる。秋は冬眠に備えて栄養を蓄える時期だが、今年は餌となる木の実が足りないためとみられ、今月、東京の住宅地にまで現れて住民を驚かせた。襲われてけがをした人もおり、環境省は警戒を呼び掛けている。冷凍庫の扉を開け、顔を突っ込んで中をあさるクマ。東京都青梅市の飲食店で10月中旬、調理場裏に設置したカメラがとらえた映像だ。その数日前にも倉庫の梅約15キロが食べられる被害があり、店長の相沢誠一さん(90)は「最初は人間がやったのかと思った」と驚く。店は国道沿いで、一帯は住宅が立ち並ぶ。22日朝、近くの茂みで猟友会がクマを発見、駆除した。住民の男性(77)は「子供の時から住んでいるが、こんなことは初めて」と不安そうだ。約3キロ離れた川では水を飲む別のクマが目撃された。環境省によると、餌となるブナやミズナラなどの実はこの秋、地域差はあるものの全国的に平年並みか凶作。そのためか8月までの出没・目撃件数は約1万1000件ですでに昨年度1年分の約9600件を上回った。兵庫県宍粟市では10月17日、男性が自宅を出た直後に襲われ、同月4日には長野県飯山市の精米会社敷地内で女性が頭を引っかかれた。山中でも被害が多発し、秋田県で5~6月、襲われたとみられる4人が死亡した。環境省は10月、被害防止策を公表。(1)山林に入る時は鈴やラジオなど音の出る物を携帯する(2)万一出合ったらゆっくりと静かに立ち去る(3)住宅地では廃棄農作物や生ごみを適切に処理する-などの注意点を挙げた。警戒は冬眠前の秋だけでなく、来春も必要だ。日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦理事長は「昨年はドングリなどが豊作だったため、今年の春は子グマがたくさん生まれたはず。親と別れる来年4~6月は攻撃的になっていて、事故が多くなるだろう」と警告している。
(若手狩猟グループ・ギャートルズ、捕獲でジビエ肉確保:和歌山)
イノシシやシカによる農作物被害が大きくなり、対策として県が狩猟免許取得者を増やそうとする中、ジビエ肉の自給に向け捕獲に力を入れるグループがある。20代から40代の10人でつくるギャートルズだ。リーダーの溝部名緒子さんは鳥獣や魚の捕獲経験を生かし、和歌山市加太に5月、「自然体験・冒険セミナーハウス・ハンターズイン」をオープン。11月には猟師養成セミナーを始める。耕作放棄地の増加や山間部の開発、狩猟者減により、イノシシやシカが人家近くに出没し農作物を食い荒らす被害が増えている。県内では10年前に2億9000万円だった被害額が、昨年は3億4000万円を超えた。県は今年7月に狩猟の魅力研修、11月からは狩猟体験研修を初めて開き、有害鳥獣駆除に当たる狩猟者確保に力を入れる。イノシシ肉をさばいたことや猟への同行経験がある溝部さんは、「食糧は自分で」と昨年、銃とわなの免許を取得した。同じころに免許を取った人たちと昨秋、ギャートルズを結成。わなの勉強会を開いては自分たちで作り、仕掛けてきた。「ホームセンターで手に入る材料で組み立てます。メンバーのうち、わなにかかったイノシシの凶暴さ、力強さを知っているのは私だけだったので、気づいた点をアドバイスします」。わなはより強固に改良し、数ヵ所に設置。10頭ほど捕獲し、徐々に成果を上げてきた。田畑の被害対策に、わな免許を昨年取得した紀の川市の吉田安葵子(あきこ)さんは「猟に同行した時、イノシシを追い出した人から『そっちへ行ったぞ』と声が聞こえ、猟を実感できました」。和歌山市の津田真宏さんはイノシシ料理を食べた経験から、自分で捕獲するためにわな免許を取った。「足跡を探してわなを仕掛けます。イノシシとの知恵比べ」と話す。こうした活動に県農業環境・鳥獣害対策室は「狩猟者の高齢化で銃を持つ人は年々減少し、それにつれ農作物被害が増加しています。若い人が積極的に活動してくれれば、被害を減らせる」と期待をかける。一方、溝部さんは、イノシシやシカ、また、海や川で魚やイカ、エビなどを捕ってきた経験を生かそうと、5月にハンターズインを開設し、海や森を満喫するアウトドアセミナーを実施。イノシシ猟が解禁される11月には、ハンター養成セミナー「マタギ体験・猟師見習い」を始める。狩猟者でつくる猟友会メンバーの協力を得て、けもの道を歩き、イノシシやタヌキの足跡から大きさや進んだ方向を予測。鳥獣解体もメニューに入れる。溝部さんは「海、山を体験するセミナーは、家族連れが興味を持って自然とのふれあいを楽しんでくれます」と満足そう。ギャートルズでは女性メンバーとの交流から、食が話題になることも多い。ジビエ肉は部位に応じてミンチにするなど、無駄にならないよう工夫する。今後も若手を増やし、「猟友会メンバーから指導を受けたり、こちらから新しい食べ方を提案したりと交流を深めたい」考えだ。
(獣害防止へ農家が狩猟チーム:和歌山)
和歌山県田辺市上芳養日向地区の若手農家5人が、鳥獣による農作物の被害防止のため、狩猟団体「チームひなた」を結成した。猟友会に頼るだけでなく、農家自らの手で地域の農地を守るのが目的。イノシシとニホンジカの狩猟が解禁された1日から活動を始めた。
(20年ぶり猟友会に新人:北海道)
中頓別町の地域おこし協力隊員の中野巧都(たくと)さん(20)が、高齢化が進む地元の猟友会部会で約20年ぶりの新人として活躍している。6月までに銃猟免許と猟銃所持許可を取得し、9月には有害鳥獣の駆除で初めてエゾシカを仕留めた。「地域の同世代の人たちに狩猟の文化を伝えたい」と意気込んでいる。中野さんは札幌出身。高校を卒業後、地域おこし協力隊の活動に興味を持ち、2015年4月に中頓別町で採用された。当時19歳。ほとんどの自治体の募集対象は20歳以上だったが、「おおむね20歳以上」と募集していた中頓別に応募したという。町役場で観光振興や移住定住の促進などに取り組んでいる。狩猟を始めたきっかけは、町内で車の運転中にシカと衝突したことと、シカの解体を見学し「文化として残したい」と思ったこと。今年1月に第一種銃猟免許、その後、猟銃所持許可をそれぞれ取得した。北海道猟友会南宗谷支部中頓別部会のメンバーは現在7人。中野さんが加わるまで50代が最年少だった。中野さんは9月下旬、町から有害鳥獣駆除の依頼を受けて、先輩ハンターと2人で出掛け、初めてエゾシカを捕獲した。「スコープ越しにシカと目が合って、一瞬ちゅうちょしましたが、思い切って撃ちました」と振り返る。10月上旬にはヒグマの解体も初めて体験した。「町内の40代ぐらいまでの若い人たちに声をかけて、猟友会活動に関心を持ってもらえれば」と話している。
(カモ捕り名人:千葉)
古来、カモ猟が盛んな手賀沼畔に、15日の狩猟解禁を待ち望む「現代のハンター」が住んでいる。柏市泉でかき餅の製造販売店を営む石井幸男さん(59)。周辺は都市化が進み、カモ捕りが沼の風物詩だったことを知る人は少なくなってきた。石井さんは「自然豊かな手賀沼で鳥獣と人が共存していた歴史を伝えたい」と話す。石井さんの祖父と父は漁師。冬場には網や鉄砲でカモをとらえ、特に歳暮の贈答品として重宝されてきたという。子どものころをこう振り返る。「父の猟仲間が庭に集まり、捕ってきたばかりのカモを丸焼きにしていた。父に同行し、舟の先端で寝ていたこともありますよ」沼にはカモをはじめとする水鳥が飛来し、猟を副業にする近辺の農家、漁師は多かったとされる。安土桃山時代に、地元住民が豊臣秀吉に水鳥を献上した記録が残り、我孫子、印西、白井市境の香取鳥見神社には、一九四二年建立の「鴨(かも)猟記念碑」がたたずむ。父の姿を目の当たりにしてきた石井さんは「先人たちのようにカモ捕りをしたい」と狩猟免許を取得。三十年近くにわたって、冬場の猟にいそしんでいる。安定供給のためカモとアヒルを掛け合わせたアイガモと比べ、天然のカモは「肉の味わいが違う。天然モノは脂がさらっとしている」という。さらに「水藻を主なエサにする“ウミガモ”と異なり、稲などの落ち穂を好んで食べる“リクガモ”は臭みが全くない」と力を込める。カモの味を広めようと、石井さんは鳥獣を食肉処理したり、販売したりする資格を取り、猟仲間から仕入れた獲物を料理店などに卸す仕事もしている。十年ほど前からは、県南部を中心に大量繁殖が問題になっているイノシシ狩りにも乗りだした。「大多喜町の養老渓谷に主に出掛ける。イノシシは農作物を荒らすため、感謝されることが多い」と石井さんは笑う。半面、地元の手賀沼の周囲では敬遠されることもあるという。柏猟友会の監視員も務める石井さんは「沼自体は保護区でカモを捕れないし、銃や網の仕掛けの種類によって、使用禁止のエリアが設けられるなど規制もある。一方的に危ないと誤解されるのは残念」と明かした。
(「元気に育って」ニホンキジ放鳥:山口)
山口県の愛鳥モデル校に指定されている美祢市東厚保町川東の川東小学校(三輪和明校長)で27日、全校児童11人がニホンキジ20羽を放鳥した。 児童らが合図とともに箱のふたを開けると、生後5カ月のニホンキジが一斉に空に飛び立った。美祢猟友会から提供された巣箱の取り付けも行った。 将来は野鳥のカメラマンを目指しているという5年の河村琥太朗君(11)は「どきどきした。元気よく育って増えていってほしい」と話した。
(元気に育って、キジ放鳥:三重)
生き物や自然を大切にする心をはぐくもうと、名張市薦生の薦原小学校(谷戸実校長)の6年生15人が10月25日、同校グラウンドでキジ20羽を放鳥した。名張猟友会(藤森俊一会長)の協力で実施し、同校では4度目。児童たちは同会の鳥獣保護員、川合大助さんから雄と雌とで鳴き声が違うことや同小付近の自然環境が野生に適していることなど生態について説明を受けた。放ったキジは岐阜県で人口飼育して育った生後約120日の雄雌それぞれ10羽ずつで、児童らは羽ばたくキジを見送った。若山晴佳さん(11)は「近くで見るキジは迫力があって、雄よりメスの方が軽かった。元気に育ってほしい」と話していた。また、この日は同市下比奈知の比奈知小学校の5、6年生児童でつくる「緑の少年隊」も、近くの東山ふれあいの森公園で放鳥した。
(初日から大物ゲット:和歌山)
イノシシとニホンジカの狩猟が解禁された1日、稲原平野班(平野勇班長)は100㌔超の大物を含むイノシシ2頭を仕留めた。メンバー11人で昼ごろから印南原の山に入り、白河で80㌔、雨乞山で120㌔のいずれもオスをゲット。2頭ともそれぞれ猟犬が追いたてたところを平野班長(57)がライフルで撃った。初日から120㌔の大物ゲットにメンバーも興奮。幸先のいいスタートに平野班長は「絶好調」と笑顔を見せ、「みんなで協力してけがなく安全なシーズンを送りたい」と話していた。
(オオカミ復活でシカ食害食い止め考える:埼玉)
シカなどの食害を食い止めるために、日本では絶滅したオオカミの復活や活用を考える「日・独オオカミフォーラム埼玉」(日本オオカミ協会県支部主催)が、31日午後3時、鳩山町石坂の山村学園短大で開かれる。オオカミ保護の調査研究に取り組むドイツ自然・生物多様性保護連合政策責任者マーカス・バーテン氏が参加、自国での事例を紹介する。日本オオカミ協会副会長で同県支部長の岩堀弘明氏、同協会監事の藤井潔氏、駿河台大客員教授の岡部素明氏とオオカミの生態系、生物多様性の回復などを議論する。
(冬支度のクマ、人里に接近)
全国各地でクマによる被害や目撃情報が多発している。今年は冬眠前の餌となるドングリが不作で、住宅街に餌を求めて出没するケースも目立つ。まきなどを得る場所として管理されてきた里山が荒廃したことも、クマが人の生活域に侵入する原因になっているという。里山の再整備が対策の一つだが、手間がかかり難しいのが実情だ。
(召しませ!いしかわジビエ:石川)
県内産イノシシ肉のブランド化に取り組む県は二十七日、金沢市内のホテルで、加賀地区の料理人を対象にした調理技術研修会を開き、「いしかわジビエ」の魅力をアピールした。県によると、捕獲されたイノシシの利活用率は二〇一五年度で9%。捕獲頭数が増加傾向にある中、県は個人や飲食店での消費を拡大し、二〇年度に10%を目指す考えだ。研修会には金沢市以南の飲食店や旅館業関係者ら四十人余りが参加。プロの料理人を対象とした研修会は本年度初めてで、今月中旬には能登地区でも開いた。いしかわジビエ利用促進研究会アドバイザーの點田(てんだ)賢司さんが、獣肉の衛生面や解体所での作業を解説。主要部位だけでなく、骨も含め余すところなく活用する考えで、イノシシ肉をペースト状にした「リエット」を振る舞った。続いて、ANAクラウンプラザホテル金沢総料理長の川上清さん、つば甚料理長の川村浩司さんが調理を実演。シシ肉のチャーシューや、五郎島金時とシシ肉の炊き込みご飯などのオリジナルレシピを紹介し、調理方法などを助言した。関係者によると、イノシシは降雪時、餌が獲得できず痩せる傾向があるが、積雪が少ない地区では一定した味が“担保”できる利点もある。県内ではイノシシを扱う処理施設が徐々に増えており、県は研究会が作成した料理レシピ集の普及などを踏まえ「消費を促したい」と強調。十一月十日には地場産業振興センターで「地産地消 受注懇談会」を催し、食品業界のバイヤーらにも石川発のジビエを売り込む。
(ジビエ料理を手軽に駅ナカで)
ジビエ料理の専門店に行くほどではないけれど、どんな味なのかちょっと気になっていたという人。ベッカーズ(ジェイアール東日本フードビジネス)のジビエバーガーが、パワーアップして今年も登場するよ。11月1日(火)に限定発売されるのが、長野産の鹿肉を使った「別格 信州ジビエ ザ★鹿肉バーガー」(税込み720円)。クセの少ないミートパティと、長野産あわび茸に鹿肉のうまみを加えた特製デミグラスソースを合わせ、自家焼成のバンズで挟んだ限定のバーガーだ。「別格」シリーズは、注文を受けてからパティを焼き、アツアツで提供するのが特徴。好評に付き、昨年よりも数量を3割増しにした。販売は、2017年1月末までの予定。
(ジビエ料理コンテスト:岡山)
一般社団法人水辺のユニオンが主催する同コンテスト。各店が提供するジビエ料理から、応募用紙またはフェイスブックページの料理写真にいいねを押すことで投票できる。使われるシシ肉は、新見市の猟師長尾一三さんが仕留めたもの。同団体代表理事の岡野智博さんは「シシ肉料理といえば、ぼたん鍋や大和煮を思い浮かべる人が多いが、部位や料理方法によって幅広い料理が楽しめる。ジビエは養殖と違い山、川、里、木の実や根など大地を頂くことと同義。命を感じてほしい」と話す。
(害獣として駆除した鹿肉でペットフード:長野)
ニホンジカによる農作物の食害が全国で相次ぐ中、長野県小諸市は駆除した鹿肉をペットフード用に加工する自前の解体、加工施設を整備した。いわば農村地域の厄介者を地域の特産品に変えようとする試みで、市は鹿肉の有効活用で地域の活性化につなげたい考えだ。近く近隣自治体からもシカを受け入れ、本格稼働させる。鹿肉のペットフード化は北海道などで例があるが、長野県では初めて。鹿肉は低脂肪で、高たんぱくのため、ペットフード業者らの関心を集めているという。小諸市の解体加工施設は「市野生鳥獣食品化施設」と名づけられ、旧県施設の一部を改修して4月に設けられた。持ち込まれたシカをさばく解体室と、肉を真空パックに詰める加工室、商品保管の冷凍庫、シカ個体収集コンテナなどがある。安全性を重視し、精肉用の金属探知機や放射線検知器も備えた。事業費は約6000万円で、国の地方創生交付金などを充てた。稼働から10月末までの半年で、市内で捕獲されたシカ約170頭を処理し、ペット用の食肉としてメーカーに販売している。施設稼働でパートなども含め、約10人の新規雇用も生まれた。年間の処理能力は約1500頭。現在は市内で捕獲したシカだけを受け入れているが、近く佐久市など県内の近隣自治体から受け入れを開始し、本格稼働に入る。さらにペット用食肉の供給だけでなく、独自の商品も開発し、小諸ブランドとして売り出す計画も進めている。小諸市は長野県の東部、浅間山のふもとに位置し、果樹や高原野菜の産地として知られる。しかし、シカを中心とした鳥獣被害が相次ぎ、2014年度に136頭、2015年度に220頭のシカが駆除された。駆除したシカは地中に埋めるか、動物園のライオンのえさにしてきた。捕獲数の増加を受けて焼却処分もするようになったが、1頭当たりの焼却費用は約1万5000円。文字通り地域にとって厄介者となっている。小諸市農林課は「処分費用の負担を軽減する一方、駆除したシカを有効活用するためにペットフード化を考えた。近隣からも鹿肉を集めて処理頭数を増やし、新しい地域産業に育てたい」と意気込んでいる。山に囲まれた長野県はシカの生息に適した山林が多く、農作物や林業被害が後を絶たない。県がまとめた2015年度の農林業被害額は野生鳥獣全体で約9億7000万円。このうち、全体のざっと4割をシカが占めている。捕獲頭数の増加や防除対策の強化などから、被害額自体は緩やかに減少しているが、依然として高い水準の被害が続いていることに変わりない。特に小諸市がある佐久地方は、県南部の上伊那地方とともに、シカの食害が深刻な場所だ。県は2011年から5年間で毎年、2万7000~4万頭のシカを駆除してきた。このうち、半数以上をメスジカとし、繁殖を抑えようと躍起になっている。2015年度はメスジカ約1万9000頭を含む約3万2000頭を駆除した。しかし、駆除されたシカのうち、ジビエ料理など食肉に有効活用されているのは、2000頭程度に過ぎない。食肉とするには駆除後、短時間で処理しなければならないこともあり、ほとんどが山中に埋設処分されるなどしている。長野県鳥獣対策・ジビエ振興室は「鹿肉を有効活用すれば、地域に新たな雇用や収入を生む可能性がある。ペットフードとしての活用については、農水省とともに地元を支援していきたい」と期待する。近年のシカの食害は長野県だけの問題ではない。中山間地を抱える全国各地の自治体が共通して頭を痛めていることだ。これまであまり見られなかった高山域にも進出、高山植物を食い荒らすなど生態系にも影響を与え始めた。シカの食害に詳しい依光良三高知大名誉教授(森林環境学)は「中山間地域の衰退と耕作放棄地の増加、森林の荒廃、ハンターの減少、地球温暖化などさまざまな影響が重なり、今の状況を招いた」とみている。各地の自治体はICTを活用した罠の導入などあの手この手の対策に力を入れている。だが、ハンターの数は1970年に全国で50万人以上いたのに、いまや20万人を割っている。このため、思うように駆除できない地域も増えてきた。各自治体はジビエ料理の普及にも熱心で、地元の鹿肉を売り物にするレストランが各地にオープンしている。駆除した鹿肉を有効利用するとともに、ジビエ料理に注目を集め、中山間地域の苦境を広く知ってもらおうとしているわけだ。ハンター確保につなげようとする思惑もある。しかし、ジビエ料理用に活用できる鹿肉は里山や集落の近くに出現したシカだけ。里山や集落周辺以外でも並行して駆除を進めなければ、里山や集落周辺から追い払ったシカが深い山に逃れて繁殖する。結局、シカの増加を抑えられず、いたちごっこが続くことになる。駆除した鹿肉をペットフードにする小諸市の試みはユニークで、注目すべきことだが、各自治体はハンターの確保を積極的に進め、より計画的な駆除を進めることにももっと目を向ける必要がありそうだ。
(部下に実弾入り銃突きつける、36歳警部補:和歌山)
銃刀法違反の疑いで書類送検されるのは、和歌山県警有田警察署に勤務していた36歳の男性警部補です。4月ごろから3カ月の間に、部下4人に対し、会議室やロッカーで実弾が入った拳銃をいきなり突き付けるなどした疑いが持たれていて、防犯カメラなどを調べた結果、事実が確認されたということです。調べに対し、警部補は「悪ふざけだった」「謝罪してもしきれない」と話していて、31日付で辞職しています。

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