<射撃ニュース12月>

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(最終列車、シカと衝突するハプニング:北海道)
1921年(大正10年)に開業した北海道のJR留萌(るもい)線留萌―増毛(ましけ)間(16.7キロ)は4日、最終列車の運行を終え、95年の歴史に幕を下ろした。故高倉健さん主演の映画「駅 STATION」の舞台の終点・増毛駅ではお別れセレモニーが開かれ、沿線住民や鉄道ファンらが別れを告げた。最終列車は廃止区間を過ぎた後、留萌市内を走行中にシカと衝突し約8分間停車。午後9時54分ごろ、約40分遅れで終点の深川駅に到着した。
(クマ1頭を殺処分:山口)
周南市鹿野上で2日、ツキノワグマ1匹がイノシシ用のわなに捕獲され、殺処分された。県自然保護課によると2016年度の捕獲数は31件となり、殺処分数は24匹となった。捕獲されたのは雄の成獣(全長160センチ、体重130キロ)で、付近の住民が2日午前7時10分ごろ、地元猟友会員が設置した箱わなにかかっていた。
(ハクチョウ飛来地の親水公園巡視:福島)
福島市で回収された死んだオオハクチョウから簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出たことを受け、県北地方振興局などは3日、回収現場から約500メートル離れた同市のハクチョウの飛来地・あぶくま親水公園を巡視した。同振興局によると、振興局と福島市職員、県鳥獣保護管理員の計4人で午前9時ごろに巡視し、異常は確認されなかったという。同公園には市が2日、野鳥に近づかないよう促す看板を設置したが、3日もハクチョウやカモなどを見に訪れる人々の姿があった。陽性反応の確認後、回収現場から半径10キロに入る福島、伊達、桑折、川俣の4市町の一部地域は環境省の「野鳥監視重点区域」に指定されている。県によると、鳥獣保護管理員は5日まで毎日、10キロの範囲内外にかかわらず、県北地方の担当地区を巡視する。6日以降はオオハクチョウの生息地を2日に1回巡視する。
(上越の鶏殺処分終える、青森と新潟で計57万羽完了)
新潟県は4日、高病原性のH5型鳥インフルエンザウイルスが検出された上越市の養鶏場で、飼育されていた約23万6千羽の殺処分を終えた。先行して感染が確認された同県関川村の鶏や、青森市の食用アヒル(フランスカモ)と合わせ、二つの県が実施した計約57万羽の殺処分が完了した。新潟県によると、既に約31万羽の殺処分を終えた関川村では、鶏舎の消毒などをしている。上越市では鶏舎に残った卵やふんの処理に取りかかり、両養鶏場の全作業を6日までに終える見込み。また、青森県は4日、鳥インフルエンザウイルスが確認された青森市北部の農場で殺処分した食用アヒル4720羽を、地中に埋める作業を終えた。
(ライフル射撃協会、選手強化委員長に田村氏)
日本ライフル射撃協会は3日、東京都内で理事会を開き、2020年東京五輪に向けた強化体制として、選手強化委員長に田村恒彦専務理事(61)が就任することが報告された。来年1月1日付。
(協力隊員にライフル名手:福岡)
添田町で1日、同町初の地域おこし協力隊員に決まった神戸市出身の神吉能宜(よしなり)さん(28)の着任式があり、寺西明男町長が委嘱状を手渡した。同町は有害鳥獣による農作物や樹木への被害が多く、シカやアライグマ、イノシシなどの駆除や捕獲後の有効活用を図ろうと、9月末~10月下旬にジビエ推進員の隊員を募集。千葉や京都などから8人の応募があり、書類選考と面接を経て、神吉さんが選ばれた。神吉さんは、近畿大在学中にライフル射撃部に所属。主将を務め、関西大会で入賞歴がある。
(シカ食害対策、連携強化:宮崎)
シカによる食害を防ごうと、えびの市と市鳥獣被害対策実施隊、宮崎森林管理署都城支署は11月22日、シカ被害対策協定を結んだ。国有林への入林手続きが簡素化され、効率的な捕獲が可能になるほか、生息や被害状況の情報共有態勢を強化し、農林業被害の防止を目指す。
(ジビエ流通、より安全に:千葉)
千葉県は、野生鳥獣肉(ジビエ)に関する新たな衛生管理指針案を策定した。食肉処理施設で専用の解体室を設置するなど、県独自の衛生基準を盛り込んだ。より安全なジビエの流通を図りたい考えで、今年度内に正式決定する。県によると、2015年度の有害鳥獣による農作物などの被害は3億9256万円で、うち2億1028万円がイノシシによる被害。ハンターの減少や高齢化が一因で、県は食肉として市場に流通させながら、個体数を減らしたい考えだ。県は、厚生労働省が14年に示した指針に、〈1〉皮をはいだり内臓を取ったりする専用の解体室を設置する〈2〉家畜伝染病が疑われた場合は、直ちに関係機関に通報する〈3〉衛生管理者を配置する――などの独自基準を盛り込んだ。野生鳥獣は寄生虫や伝染病などのリスクがあり、「ひとたび重大な感染症などが起きれば、ジビエの需要そのものがなくなる」(衛生指導課)と懸念されている。指針は正式決定後、県内5か所の野生鳥獣処理施設に通達し、適正な処理を指導する。
(ハンター養成学校入校ルポ:長野)
野生鳥獣による農林業被害を食い止めようと長野県が開設した「ハンター(狩猟者)養成学校」の銃猟講習が長野市内で開かれ、生徒の記者もいよいよ「狩り」に“参戦”した。猟銃を携える猟師の後に付き、里山を駆け回りながら学ぶ狩猟の基本。身体能力で人間をはるかに超越する野生鳥獣を仕留めるには、ありったけの知恵と体力、そして何よりも“強運”が必要だった。色とりどりの落ち葉が絨毯(じゅうたん)をなす長野市若穂の里山が講習の舞台だ。鹿やイノシシなど「大物」を相手にする場合、チームによる「巻狩り」が選択される。山の上部から下へ獲物を追い込んでいく「勢子(せこ)」と、上部から逃れてきたそれらを麓で待ち構える「待ち」に分かれて標的を挟み撃ちにする方法だ。19日に行われた講習では地元猟友会の講師と生徒が2つのグループを作り、記者は「勢子」の一員として猟師とともに山の尾根に立った。起立するのもやっとの急斜面を1歩1歩降りていく。辺りに響くのは、落ち葉を踏む音だけだ。「おーい、おーい」。猟師は斜面途中の泥沼の前で突然足を止め、大きな声で周囲に呼びかけた。そこは「沼田場(ぬたば)」と呼ばれる。獣が身体についたダニや寄生虫を洗い落とすための「風呂」で、ついさっきまで使われた形跡があった。夜間に活発に動く鹿やイノシシは昼間、木陰で寝ており、人間が大声で脅かすと、脱兎(だっと)のごとく逃げ出すという。その瞬間を狙って素早く猟銃を放つのだ。「獲物を撃てるかどうかは1秒の勝負。山を知り尽くした彼らを仕留めるのは容易ではないよ」先導する長野市猟友会の徳武袈裟光(けさみつ)さんはそう話し、猟銃を握る手に力を込めた。下り始めて約30分。下る斜面は一層鋭角になる。木々の小枝が顔を引っかき、ツタが足にからまる。もはや何回転んだか覚えていない。全身泥まみれになりつつ、さらに1時間ほど降りたが、結局“手ぶら”のまま、麓で控える「待ち」のメンバーたちと行き会ってしまった。途中、記者を含む生徒たちはガサガサと音を立てながら斜面を転げ落ちた。聴覚が鋭い動物はさっさと逃げてしまったのかもしれない。生徒の一人、会社員の岩本康さん(33)=長野市=は「一度も転ばずに斜面を駆け下りて行くなんて…」と、山に慣れた猟師の足運びに感動していた。しかし徳武さんによれば、ベテラン猟師でも10回の猟で獲物に出合えるのは3回ほど。運良く見つけても銃で的を射なければ万事休すだ。実際に捕獲できる確率はもっと低いという。「四駆(4本足)で突っ走る鹿やイノシシに、2本足の人間はまともに立ち向かえない。それだけに、やっとの思いで捕まえたときの感動は格別。懲りずににまた山に来てください」徳武さんは落ち込む記者をそう励ましてくれた。獣たちは木陰から、悪戦苦闘する記者をしたり顔でながめていたに違いない。この日は、地元猟師が2日前に捕らえた鹿の「解体実習」も行われた。立派な角を携えた推定4歳の雄鹿だ。刃物を入れて皮をはぎ、背ロースやもも肉、あばらの肉など部位別にばらしていく。脂肪はほとんどなく、赤く引き締まった肉が机の上に並んだ。生徒と猟師の計8人が約2時間かけて解体作業を終えた。帰宅後、分け前でいただいた鹿肉を焼いて食べた。猟師が捕獲後、即座に血抜きと内臓処理を施したため臭みはない。牛や豚とは明らかに違うしっかりとした食感があった。野山を悠(ゆう)々(ゆう)と駆け回る獣たちの姿を思い浮かべながら、敬意を表して胃袋に収めた。
(「玄関先にイノシシ」:和歌山)
仕事から帰り、自宅に着いたとたんに「ブヒー」という荒々しい鼻息が聞こえ、ガサガサという音とともに動物が走り去った。暗くて姿は見えなかったがイノシシだろう。裏の山には数年前から好物のミミズを掘り起こす跡が付けられていたが、とうとう玄関先にまで入り込むようになった。近所の園地では、農作物の被害を防止するため柵やネットの設置が始まった。山間部から順に対策が進んできたこともあり、餌を求めるイノシシの生息域が市街地に迫りつつあるように感じる。田辺市街地の周辺で有害捕獲されたイノシシは2014年度には264匹だったが、15年度には479匹に増えた。16年度は11月末現在で369匹である。こうもイノシシが出没すると、おちおち夜の散歩にも出られない。万一に備えて遭遇した際の対処も知っておきたい。そこで、人的被害が出ている神戸市や高知県がまとめた住民向けの手引を読んでみた。元来は臆病な動物なので人を襲うことはめったにないそうだが、興奮している時には突進したりかみついたりすることもある。近くで出くわした時には、急に走って逃げたりせずに前を見たままゆっくり後ろに下がるのがいいそうだ。こちらから脅したり石を投げたりすると逆に襲い掛かってくることがあるという。注意しなければならないのは、生ごみの屋外放置。餌付けをしているに等しいという。まずはそこから対策を立てたい。
(イノシシ対策を科学する:愛媛)
愛媛大准教授 武山絵美さん。島に渡ったイノシシは百頭の隊列を組んで来たわけじゃないんです。数頭が海を泳いで来た。それが農地を脅かすまで増えた。現実を知りましょう」島や山間部の農地をイノシシの害からどう守るか。この12年間、上島町や松山、宇和島市などで生息状況を詳しく調べ、地域の人たちと対策を考えてきた。集落での講習会では「皆さんは戦国武将と一緒です。相手(敵)がどこから入ってくるか。どうすれば守りやすいか。地域全体で作戦を立てましょう」と地図を示しながら意識改革を説く。
(能あるタカ、害鳥退治)
ハトやムクドリの糞害(ふんがい)、カラスによるゴミあさりといった害鳥に関するさまざまな問題を、天敵のタカを使って解決する取り組みが注目を集めている。鷹匠(たかじょう)がタカを操り害鳥らを威嚇して追い払い、巣作りなどができない状況に追い込む。日本の伝統文化を活用した新ビジネスが各地で広がりをみせている。関西を拠点に活動するのは平成23年設立の「グリーンフィールド」(大阪市西区)。元経営コンサルトの伊駒啓介さん(37)らが立ち上げた会社だ。タカと、ハトやカラスなどの鳥との間では天敵の関係が成り立っているため、タカの姿を見るとハトなどは本能的に逃げ出す。そうした鳥たちの性質を利用したのが、タカを活用した害鳥対策だ。当初はタカの数も3、4羽程度で実績もなかったため、仕事がなかった。だが、口コミや新聞報道などの効果もあって依頼は次第に増加し、現在では14羽のタカと「諏訪流」を含む5人の鷹匠を抱えるまでになった。依頼は近畿圏だけにとどまらず、埼玉や千葉、福岡まで及び、平均して1人の鷹匠が1日2カ所の現場を回っている。現場は倉庫や工場などが多いが、現在取り組んでいるのが、都市再生機構(UR)が管理する大阪府富田林市の「金剛団地」での駆除作業だ。同団地は賃貸の最も古い建物で昭和42年に入居がスタート。阪神甲子園球場約11個分に相当する約42万4300平方メートルの敷地に5階建ての約190棟(約5千戸)が並ぶ。金剛団地でもハトの糞害は大きな問題だった。60代以上が「団地全体の6割」(金剛団地自治会)に上るといった高齢化などに伴い空き家も増加。無人の家のベランダが巣になり、ハトにとって「すみやすい環境」が整っていたことが大きかった。同時にカラスがゴミを食い散らかすトラブルも発生。対策として袋にネットをかぶせても「頭がいいから、くちばしでネットをめくってゴミをあさるんです」と金剛団地自治会の溝口俊則事務局長(73)は話す。そこでURは害鳥対策を同社に依頼。グリーンフィールドの鷹匠、田中和博さん(44)は、11月から月に4、5回のペースで広大な敷地を回りながらハトやカラスの多い場所を見つけてはハリスホークの「慶」(1歳、メス)を空に飛ばしている。田中さんは「タカを何度も飛ばすことで、ハトやカラスに『ここは安心して過ごせない場所』と思わせることが大事」と説明。「3カ月でハトやカラスをゼロに」と意気込む。タカを使った害鳥駆除がビジネスとして広まったのは「国内ではここ3、4年くらいの話ではないか」と浜松市に本社を持ち、タカで害鳥対策を進める「鷹匠」社長の田中実さん(40)は分析する。自分たちの仕事が定着しつつあることを実感しながら、グリーンフィールドの伊駒さんは「どんな現場でも短期間で害鳥を追い払えるように、タカの能力を上げたい」と強調。「目指すのは全国展開。来年は酉年ということもあり、よい流れに乗っていきたい」と力を込める。
(鉄砲まつり開催:埼玉)
埼玉県小鹿野(おがの)町の飯田八幡神社で10、11両日に「鉄砲まつり」が開かれる。秋の収穫や豊猟を祈願した江戸時代から伝わる祭り。歌舞伎の上演や笠鉾(かさほこ)・屋台の引きまわしがある。11日午後4時から「お立ち」と呼ばれる神事があり、参道両側から約40丁の火縄銃や猟銃が空に向けて放たれる中、神馬が社殿への急階段を駆け上がる。
(捕獲イノシシ、革製品に:福島)
福島県伊達市の農林業振興公社が田畑を荒らすイノシシを捕獲し、皮を靴やネームホルダーなどの製品にして販売している。当初は食肉にしたい考えだったが、東京電力福島第1原発事故で食べることが事実上、禁止され、方向転換を余儀なくされた。「紆余曲折を経た事業。多くの人に魅力を感じてほしい」とPRしている。ブランド名は「ino DATE(イーノダテ)」で、昨年4月から売り出した。目玉は1歳前後の幼児向けの靴。「丈夫で柔らかく、通気性も優れている」(公社の梅津善幸事務局長)という革の特性を生かした。昨年度の売り上げは約420万円。皮をなめすコストがかかり、現在は市の補助金なしでは経営が厳しい。公社の梅津さんは「付加価値を高め、自己資金だけでの経営を実現したい」と意気込んでいる。
(家具のアクタス、食品事業強化:東京)
家具小売りのアクタス(東京・新宿)は食品事業を強化する。今春売り出した「ジビエ」と呼ばれる野生のシカやイノシシ肉を使った料理の缶詰の販売が好調なため、新たにカレー4種類を来年3月に発売するほか、開発チームを部に昇格した。食品を家具・雑貨と一緒にライフスタイルとして提案し、客層の拡大につなげる。ジビエカレーは自社店舗など十数店で販売予定する。大分や長崎で捕獲されたシカ、イノシシを地元猟友会や食品会社などと提携して加工。税別700円前後で初年度に1万食の販売を目指す。今春に発売した6種類のジビエ缶が当初目標の倍以上を販売する人気だったという。余ったシカ皮を使ったエプロンの商品化も予定。国産食材を生かした食品開発を進め、衣食住の総合提案をめざす。
(カモ肉の出荷ピーク:秋田)
秋田県八郎潟町のカモ肉の出荷がピークを迎え、町マガモ生産組合加工販売所(字川口、小野源一所長)では組合員らが肉の加工と販売に追われている。組合は毎年、大阪のふ化場で生まれたひなを購入。大潟村で有機栽培に取り組む農家に5月に貸し出し、水田で約3カ月間放し飼いにした後、組合員のビニールハウスで飼育する。大豆や麦などを与えて太らせ、10月下旬から加工して鍋セットとして出荷。小売店には卸さず、客に直接販売、発送している。小野所長(89)によると、八郎潟が干拓される1960年代までは冬季のカモ猟が盛んだったが、近年は飛来数が減少。懐かしのカモ肉の味を広めて町の特産品に育てようと、89年に組合が発足した。
(ラベンダー芳し:兵庫)
多可町は、鳥獣による農産物への被害や農家の高齢化で耕作放棄地が増えていることを受け、今年度から獣害に強いラベンダーの栽培を推奨し、「ラベンダーの町」づくりを進めている。初夏の花の見物客増加や、オイル生産など、町は「一石二鳥、三鳥になれば」と期待している。町などの調査では、シカやイノシシなど野生動物による農作物の被害は2012年度、14・8ヘクタール・1885万円に達した。耕作地や集落に防護柵などを設置してきた効果もあり、やや減少傾向にあるが、農家の高齢化も進み、農業をあきらめる人や耕作放棄地の増加が懸念されている。一方、町内にはラベンダー畑(5ヘクタール)や、西日本最大とされる加美区轟の「ラベンダーパーク多可」がある。毎年春から夏に紫色などのかれんな花を咲かせるが、その香りをシカなどが嫌い、食害を受けにくいという特性に町が着目した。町内62集落のうち、獣害被害の大きい加美区豊部、八千代区下三原、中区奥中など7集落が今年度から栽培事業に参加。同パークを運営するNPO法人と町が指導し、10月に10センチ程度の苗を計約2ヘクタールに植えた。
(シカと見守り安全対策:奈良)
国の天然記念物「奈良のシカ」の動きをパノラマ撮影する「鹿ちゃんカメラ」が、生息地の奈良公園(奈良市)そばの国道沿いに設置された。毎年100頭近い鹿が交通事故で死んでいるため、保護団体「奈良の鹿愛護会」は事故直前の映像で状況を分析し、見守り活動に役立てる。設置されたのは、県庁前の国道369号(大宮通り)沿い。交通量が多く、奈良市内でも昼夜を問わず鹿の交通事故が多発するエリアで、愛護会によると、今年7月までの1年間で20頭がはねられるなどし、うち10頭が死んだ。カメラには国道方向を180度撮影できる魚眼レンズを使用。飲料水の自動販売機の上部に取り付け、24時間作動する。暗闇でも赤外線ライトにより半径20~30メートル先まで映し出せ、謎が残る夜間の動きについて新たな発見につながる可能性もある。愛護会や橿原市の自販機管理会社などが設置し、11月30日から稼働している。愛護会は、鹿が事故に遭った場合、事故前に録画された映像を見て、鹿がどういう経緯で道路に出たのかなどを検証する。事故原因としては、餌場に向かって横断するほか、他の鹿に追い立てられたり、人に驚いたりして車道に飛び出すのではと考えられている。特に繁殖期のオスや出産期のメスは攻撃的になり、近年は観光客も増えている。しかし事故の詳しい状況はわかっていない。負傷した鹿の救助にあたる愛護会職員が現場に駆け付けた時には、目撃情報や「物証」がないことが多く、傷口を見て何があったかを推測するしかなかった。愛護会は、映像を手がかりに事故直前の状況を判断し、効果的な事故防止策を検討。鹿の習性を観光客やドライバーに知らせるなどして、保護につなげる。愛護会の甲斐義明さん(48)は「鹿の行動はわからないことが多く、カメラは事故を減らす方法を考えるための重要なツールになりそうだ。全ての鹿が安全に生息できるようにしたい」と期待する。

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12/2
(県立射撃場建設の是非、5年ぶりに議論再開:山梨)
県立射撃場建設の是非を話し合う委員会が29日、初会合を開き5年前にいったん凍結されていた議論が再開された。新県立射撃場の建設は1998年に旧射撃場の流れ弾が民家にあたったことで議論が始まったものの、事業費が想定を上回るなどして前知事が建設凍結を決定。5年後の2016年以降に改めて議論することを決めていた。委員会は射撃競技や猟友会の関係者、有識者で構成され、まず県から国体の射撃の成績が3年連続で最下位に低迷している一方、鳥獣害の被害に変化がないことが報告された。この中で委員からは「既存の施設では競技用射撃の練習ができない」といった声が上がり、「ハンターの技術向上のためにも建設は必要だ」とする意見が相次いだ。一方、県が、射撃競技や練習に助成している事実を踏まえ、「民間設備の拡充で対応できないか」といった意見も上がった。委員会は年度内に意見を取りまとめる。
(被災家屋から銃刀続々:熊本)
熊本地震で被災した家屋から日本刀などの刀剣類や古式銃砲が見つかり、熊本県警への届け出が急増している。被害が甚大だった地域を中心に、損壊した家屋の片付けや解体作業中に屋根裏や納屋などから発見されるケースが目立つ。昨年の3倍以上の届けを受理した警察署もあり、県警は「県全域で公費解体が進めば、件数はさらに増える」とみている。県警によると、10月末時点の届け出は県内全23署で150件(昨年123件)に上った。とくに、熊本市内で被害が大きかった熊本東署28件(同18件)と熊本南署21件(同12件)、西原村や大津町を管轄する大津署は19件(同10件)、全半壊の家屋数が5700棟を超す益城町を管内に持つ御船署は17件(同5件)と、いずれも昨年1年間の合計を大きく上回る。各署によると「震災で荒れた自宅の片付けをしているときに見つけた」「家の解体作業中に出てきた。先祖が持っていたことを知らなかった」などの届け出が相次いでいる。太刀や脇差しなどの日本刀のほか、火縄銃も。第2次世界大戦中の製造とみられる軍刀が見つかり、処分を求める申し出も複数あった。銃砲刀剣類を所持するために必要な県教育委員会への登録申請件数も増加。県教委によると、新規の届け出と登録書の再交付は4~10月末で316件(昨年同期比59件増)に上った。東日本大震災の被災地、宮城県では津波による銃砲の流失が相次いだという。宮城県警は2011年に散弾銃と空気銃計94丁の遺失届を受理している。銃刀法は、日本刀などの刀剣類や古式銃砲を発見した場合、警察署へ届け出るよう定めている。熊本県警生活環境課の江藤真吾次席は「発見したら速やかに警察に届けを出してほしい」と呼び掛けている。
(イノシシ衝突で路肩停車中の高速バスに大型トラック追突:広島)
2日午前0時50分ごろ、広島県安芸高田市甲田町深瀬の中国自動車道上り線で、イノシシと衝突して路肩に止まっていた阪神バスと大型トラック2台の追突事故が起きた。最後に追突したトラック運転手の男性(43)=長崎県佐世保市=が重傷、バスの乗客ら5人が軽傷を負った。軽傷はバス運転手の男性(45)=兵庫県伊丹市=と交代要員の運転手、乗客の女性2人、最初に追突したトラック運転手の男性(53)=島根県浜田市。広島県警によると、イノシシにぶつかったバスが路肩に停車中、後方を走ってきたトラックがバスに追突。さらに走行車線に止まっていたトラックに、別のトラックが追突した。現場は片側2車線の左カーブ。バスの乗客は8人で、島根県津和野町から大阪市に向かっていた。阪神バス(兵庫県尼崎市)によると、イノシシとの衝突によるバスの損傷状況を確認するため、ハザードランプを点灯して路肩に停車していたという。事故の影響で高田インターチェンジ(IC)-三次ICの上り線が約8時間にわたって通行止めとなった。
(小4男児らサルに襲われ軽傷:岐阜)
30日午前7時40分ごろ、岐阜県恵那市上矢作町の国道418号沿いで、登校中の小学4年の男児が、背後からサルに飛び付かれ、両足にすり傷を負った。同日午後4時半ごろには、300メートルほど離れた寺の庭で、3歳の男児がサルに背中をかまれた。いずれも軽傷とみられる。市によると、同町内では11月19日から29日にかけ、庭や畑にいた児童2人と金融機関の屋外の現金自動預払機(ATM)を使っていた60代女性がサルに襲われけがをした。計5人が襲われたいずれの目撃証言も体長50~60センチのサルで、市は同じサルではないかとみている。上矢作町は愛知県境の山間部。付近ではサルの目撃が多く、市が昨年10月に大型のおりを設置し、これまでに37匹を捕獲した。相次ぐ被害を受け、市などは11月29日以降、新たなおり3基とわな7カ所を設置し、警察や猟友会が巡回を始めた。
(鳥インフル検出:兵庫)
環境省は1日、兵庫県小野市で採取したカモ類のふんから、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)が検出されたと発表した。野鳥やふんなどからのウイルス検出は全国で今季7カ所目。
(鳥インフル、県厳戒:島根)
鳥取県米子市の米子水鳥公園の池で野生のコハクチョウ2羽から鳥インフルエンザウイルスが検出された問題で、島根県は11月30日、検査の結果、同ウイルスは高病原性の「H5N6亜型」だったと発表した。県は1日、県内の養鶏業者らに養鶏場で野鳥の侵入を防ぐ対策を強化するよう促し、県東部で緊急のパトロールを実施した。1日夕現在、異常は見つかっていないという。鳥取県内で11月以降、同型のウイルスが確認されたのは5件目。同県によると、これまでに養鶏場などで大量死などの異常は見つかっていないという。環境省は、既に池の半径10キロを野鳥監視重点区域に指定しており、近く野鳥の生息状況などを調査する専門チームを派遣する。半径10キロ以内の島根県内には、養鶏場などが19戸ある。県によると、県内では2014年11月、安来市でコハクチョウのフンから同ウイルスが検出されて以降、確認されていない。今年11月以降は松江、出雲、安来の3市で死骸などで見つかった野鳥計5羽を検査し、3羽は遺伝子検査で陰性と確認。残る2羽は未確認だが、簡易検査では陰性だった。県は11月30日夜、関係課による連絡会議を開き、岸川慎一防災部長が「どこで検出されてもおかしくないと思って対策をしてほしい。野鳥監視重点区域でなくても安心せず、野鳥も家禽かきんも警戒してほしい」と念を押した。県畜産課は1日、100羽以上の鶏やアイガモ、キジを飼う養鶏場など36か所に農林水産省から届いた注意文書をファクスなどで送った。特に注意する点として、野鳥の侵入を防ぐネットの点検と修繕▽ウイルスを持ち込まないよう服や靴の消毒▽鳥の健康観察――を挙げている。弱った鳥が増えた場合、県家畜保健衛生所に連絡するよう求めた。緊急パトロールは松江、出雲、安来の3市の河川や水田で実施。出雲市の新建川では、県東部農林振興センターの嘱託職員が双眼鏡で、マガンやオオバンなどの野鳥が弱っていないか観察した。職員は「米子と出雲地方の水系はつながっている。厳重にチェックしていきたい」と話した。県は県民に「死んだり弱ったりした鳥を見つけたら素手で触らず、県や市町村に連絡してほしい」と呼びかけている。
(鳥インフル、韓国と同型)
新潟県の2つの養鶏場や青森市の農場で高病原性鳥インフルエンザウイルスが相次ぎ検出された問題で、農林水産省は1日、新潟県関川村と青森市で検出されたウイルスが韓国で食用などのため飼育されている鳥や日本の野鳥に広がっているのと同型の「H5N6型」と判明したと発表した。国外から飛来した渡り鳥がウイルスを運んだ可能性があり、さらに詳しい遺伝子の解析を進め感染ルートの特定を急ぐ。新潟県は同日、関川村と上越市の2つの養鶏場で鶏計約54万羽の殺処分を続けた。殺処分後の鶏などを地中に埋める作業を4日までに終えたいとしている。青森県は1日、青森市北部の農場の食用アヒル1万8千羽余りを埋め終え、一連の処分を完了した。環境省は関川村や青森市に調査チームを派遣、野鳥への感染がないか調査を始めた。一方、兵庫県は1日、同県小野市の池で11月14日に採取した野鳥のふんを京都産業大で確定検査した結果、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6型)を検出したと発表した。県によると、池の周辺で野鳥の死骸は見つかっておらず、大量死の報告もない。付近の家禽(かきん)農場でも異常は確認されていない。ふんを採取した野鳥はカモ類。11月28日に簡易検査で陽性反応が出ていた。
(シカ衝突事故28件:滋賀)
県北部の国道や県道などで、車と野生のシカの衝突事故が多発している。長浜市北部を管轄する木之本署が管内の事故をまとめたところ、11月末現在で28件と、既に昨年1年間(15件)を上回っている。長浜、米原両署でも事故の報告があるという。一歩間違えば重大事故につながるだけに、各署は早めにライトを点灯するなどして事故の防止を呼び掛けている。木之本署によると、現場は長浜市内の木之本町や余呉町などの山あいを走る道路で、ほとんどが夜間に起きている。春と秋に多く、今年は2、3月と10、11月に計20件が発生している。11月7日深夜に同市西浅井町大浦の国道303号であった事故では、運転手にけがはなかったが、車はシカとぶつかった衝撃でヘッドライトが割れ、バンパーも大きくへこむなどした。県自然環境保全課などによると、県内全域に「ニホンジカ」が生息しており、大きい個体では体長1・5メートル、体重90キロにもなるという。中には、車と衝突した後、平気な様子で走り去る姿も目撃されている。事故が頻発している要因の一つに個体数の増加がある。高齢化などによるハンター不足や、暖冬が影響しているとみられ、昨年度の県の調査では約7万1100頭が生息していると推測。活動範囲が広がり、捕獲の進まない湖北地域では、特に増加傾向が顕著だという。なぜ今の時期に事故が多くなるのか。シカと車の衝突事故が、年間2000件近く発生する北海道の道立総合研究機構環境科学研究センターによると、シカは夏と冬で過ごす場所を変えるので、移動期の春と秋はどうしても事故に遭いやすくなるという。また、寝床や餌場へ行く際に道路や線路を頻繁に横断する。このため、道内では事故の多い場所を記したマップを配布し、防止に努めている。野生動物の実態調査などを行っている民間会社「野生動物保護管理事務所」関西分室(兵庫県)は、交尾期との関係を指摘する。秋はオスが出会いを求めて広範囲を移動するといい、「メスに夢中になったオスが車への警戒を怠り、“飛び出し事故”に遭うこともあるのでは」と話す。ほかにも、シカのひづめが道路では滑りやすいことや、車のライトに驚いて立ち止まってしまうことなどが、事故の一因として考えられるという。木之本署は「山間部の道路では徐行運転をしたり、ヘッドライトをハイビームにしたりするなどして、日頃から安全運転を心がけてほしい」としている。
(クマ出没、最多220件:岡山)
県内でツキノワグマの目撃や痕跡、捕獲などの「出没件数」が急増している。今年度はすでに220件(11月28日現在の速報値)を数え、全国で大量に出没した2010年度の199件を上回り、過去最多となっている。生息数の増加などが背景にあり、県は来年度から17年ぶりに狩猟を一部解禁する方針を決めた。岡山、兵庫、鳥取の3県にまたがる東中国地域に生息するクマは、1991年に環境省のレッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定され、岡山県では92年から猟友会が狩猟を自粛。2000年からは県の保護管理計画で禁止された。この結果、クマは増加傾向にあり、92年には3県で計約150~200頭だった推定生息数は、昨年には岡山県だけで79~377頭まで増えたとみられ、出没地域も拡大。県北東部の森林が主な生息地だが、近年では新見市や高梁市でも出没するようになったほか、今年5月には記録が残る2000年以降で初めて吉備中央町でも確認された。また、7月には美作市の中国自動車道で1頭が車にはねられて死ぬ事故もあった。今年度の出没は4月に始まり、9月以降に急増。県自然環境課によると、クマが秋にかけて主食とするドングリは、標高500メートル以上に分布するブナが凶作、ミズナラは並作だったのに対し、低地にもあるコナラでは豊作だった。また、今年は人里にある柿の木を狙って出没するケースが増えており、担当者は「クマは餌に執着する動物で、餌があると分かると繰り返し出る」と指摘する。県内での負傷事案は、03年に登山中に男性(当時51歳)がクマの親子に遭遇して顔などをひっかかれた1件だけだが、今年は住宅近くに現れるなど人身被害の危険があるとして、これまでに10頭を殺処分。美作市や西粟倉村の一部地域では、相次ぐ出没に不安を感じた住民が夜間の外出を自粛したり、通学にスクールバスを使うようになったり、日常生活に影響が出ているという。県は、住民の安全を確保するため、次期保護計画(17~21年度)では11月15日から1か月間に限り、狩猟を解禁する方針を決定。捕獲頭数の上限については、今秋に一部解禁した兵庫県の状況などを見ながら、今年度末までに決める。クマが冬眠する12月中旬までは出没する可能性があり、岡山県の担当者は「クマは臆病だが、鉢合わせした場合には本能的に攻撃してくる。鈴をつけたり、ラジオを流したりして、クマの方に気づかせることが大事」と注意を呼び掛けている。
(ツキノワグマ目撃が前年比20件増:三重)
県内のツキノワグマの出没数が激増している。県のまとめでは、今年度は十一月までに、前年同期比二十件増の二十八件の目撃情報が寄せられた。県獣害対策課の担当者は「個体数が増加している恐れもある」と分析している。同課によると、情報は東紀州地域から多く寄せられた。山中での目撃がほとんど。エサを求めて人里に頻繁には現れてはいないため、人慣れは進んでいない状況と見ている。例年、この時期の目撃情報は十件程度で推移しており、同課の担当者は「昨年はドングリなどのクマのエサが豊作で、個体数が増えている可能性が高い。今季は昨年よりエサが減っている状況で、活動エリアが広まったのではないか」との見方も示す。同課は、山に入る際は複数人で行動し、鈴やラジオなどで、クマに存在を知らせるよう呼び掛けている。
(シカ事故防止にカメラの目:奈良)
奈良公園(奈良市)一帯に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」を守ろうと、近鉄奈良駅近くにカメラが付いた自動販売機が設置され、30日から稼働を始めた。その名も「鹿ちゃんカメラ」。シカと車の交通事故などがあった際には、カメラが記録した映像データが保護団体「奈良の鹿愛護会」に提供される仕組みで、事故状況の分析に役立てるという。自販機は交通量の多い国道369号(大宮通り)沿いにあり、鹿ちゃんカメラは自販機の上部、高さ約2メートルの位置に設置されている。前方180度撮影可能で、夜間でも赤外線照射により20~30メートル先まで撮影できるという。撮影した映像は自動販売機管理会社「奈良ベンダー」(橿原市)が管理。交通事故などシカが関係するトラブルが発生すれば、愛護会に映像が提供され、原因究明に活用する。発案したのは、愛護会の大川靖則会長。同会によると、今年7月までの1年間で、シカが被害に遭った交通事故は131件あり、81頭が死亡した。鹿ちゃんカメラが設置されたのは、県内で2番目に事故が多かった場所で、20件発生し、10頭が命を落としたという。カメラ付き自販機の設置は、この場所を管理する不動産会社「大東興産」(奈良市)の協力で実現した。自販機の売り上げの一部は、大東興産と奈良ベンダーから、愛護会に寄付される。同会の担当者は「協力してもらえる人がいれば、カメラの設置場所を増やしたい。シカを守る一助になれば」と話している。
(鳥獣被害防止へ習性や対策学ぶ:愛媛)
鳥獣害対策の指導者を育成する研修会が1日、松山市上難波の県農林水産研究所であり、自治体やJAの担当者ら約100人が野生鳥獣の習性や防護柵設置の必要性などを学んだ。地域が一体となった対策を普及推進しようと、県が研修会を毎年実施。今回は野生鳥獣対策連携センター(兵庫県)の阿部豪専務が「獣害の総合対策について」と題して講演した。阿部氏は、学習能力が高く、音や光、においなどの仕掛けに慣れてしまうといったイノシシやシカの特徴を紹介。「群れで行動するので深刻な被害が発生するが、一網打尽に捕獲できるメリットもある」とも付け加えた。防護柵は被害に遭ってから設置したのでは遅く、動物に「跳び越せる」「潜り込める」と思わせないような仕掛けが大切と強調。「保守点検の頻度が高いほど、効果は高い。柵の状態を常に監視できる場所に設置すれば、管理もしやすい」と述べた。県職員による実証実験の発表もあり、会員制交流サイト(SNS)を活用した捕獲活動や、遠隔監視装置の導入事例などを報告した。
(猟友会に女性会員「狩猟技術引き継ぎたい」:長野)
元筑北村地域おこし協力隊員で同村本城の農業田村清香(さやか)さん(36)が狩猟免許を取得し、村猟友会本城支部会員として今シーズンから狩猟に加わった。支部の女性会員は初めて。昨年から村猟友会で活動している夫で山岳ガイドの茂樹さん(33)と共に、後継者が不足している猟友会を盛り上げようとしている。清香さんは千葉県市川市出身。2011年の東日本大震災の影響で物流が止まったり、食品の買い占めがあったりした経験から、食や農業に関心を持ち、13年に長野県東筑摩郡筑北村に移住して農業を始めた。食肉ができる過程にも興味が湧き、ニホンジカの解体や狩猟を見学した。これらを通じて猟友会員と知り合い、後継者不足や農作物被害などの現状を知った。「狩猟の技術を学び、引き継ぎたい」と思い立ち、昨冬に猟銃を扱う狩猟免許を取得した。11月下旬には本城支部会員らでつくる「ボアークラブ」のメンバーと初めての狩猟に。狙う動物を猟犬で追い込み、猟銃で仕留める「巻き狩り猟」に挑戦した。猟銃を携え、茂樹さんと共に山の麓で待ったが、この日は獲物を仕留めることはできなかった。清香さんは「土地勘がなく、無線でやり取りされた獲物の位置が分からなかった。まだまだ勉強しないといけない」とし、「先輩方は獣の足跡だけで山にいる頭数が分かる。技術を引き継いで、村を悩ませる農作物被害の減少に貢献したい」と話している。
(古式猟法、坂網鴨食談会:石川)
江戸時代より伝わる加賀の伝統猟「坂網猟」。猟期は冬のわずか3ヶ月間。坂網猟で捕獲された鴨は「坂網鴨」と呼ばれ、年間200~300羽程度しか世に出回りません。この希少性から「幻」の鴨肉ともされる坂網鴨を、加賀市内の取扱店にご協力いただき、この日のために創作した最上級坂網鴨コース料理を提供いたします。また、普段は決して足を踏み入れることのできない坂網猟の猟場に入り、猟師の「技」を見学することができます。今年度は2回の開催で、第1回『猟を知る』は2017年1月21日(土)、第2回『鴨を知る』は2017年2月4日(土)となっております。各回とも、定員は20名です。
(ジビエの活用促進:和歌山)
シカやイノシシなどの狩猟肉を活用したジビエ料理について、関係者が意見交換する「第3回日本ジビエサミット」が11月29、30の両日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で開かれた。捕獲者や流通業者など、全国から約200人が来場。取り組みの成果発表や講演などで、地域資源としてのジビエの活用や魅力発信、課題について考えた。ジビエサミットはNPO法人日本ジビエ振興協議会が主催。狩猟者や解体処理業者、自治体の関係者らが活動報告や意見交換を通して情報を共有し、ジビエ振興の課題を解決しようと、これまで鳥取、福岡で開催されてきた。29日には会場で、一般を含め、気軽にジビエを味わえるフェアも開催。地元飲食店やホテルなど6店がブース出店し、1食500円程度で自慢のジビエ料理を提供した。サンドイッチやソーセージ、パスタなどが販売され、中でもバーガーは30~40分で売り切れるほどの人気ぶりだった。また一般社団法人日本フードサービス協会顧問・理事の加藤一隆氏が「ジビエの魅力と課題 流通サイドからの提案」を演題に基調講演。「外食産業の再生、次世代の展望を開く食材として、ジビエは極めて魅力がある」とし、海外展開への期待や、生産者や地域行政、消費者、メディアを含めたネットワークづくりの重要性について話した。衛生管理や商品開発などテーマごとのセミナーも行われ、福祉と健康をテーマに、まちづくり活動に携わっているという富山から参加した男性(68)は「地域ではイノシシに畑を荒らされ被害は深刻。捕獲したものをいかに処理・加工して人に食べてもらうか、今回聞いたことを生かしたい」と話していた。
(シカ革工芸、ネットで資金募り支援:北海道)
信用組合の中央機関である全国信用協同組合連合会(全信組連、東京)は1日、インターネットを通じて出資を募るクラウドファンディング(CF)事業に参入する。信組の取引先が資金を集められるよう、専用サイトで紹介する。全国の第1号は、エゾシカの革を使ってかばんなどを作る「24K」(札幌市白石区)に決まった。全信組連は、CFサイトの運営会社や総合商社などと連携し、サイト「MOTTAINAIもっと」を立ち上げる。2004年にノーベル平和賞を受賞したケニアの環境問題活動家が広めた日本語「もったいない」の考え方を基に、地域で挑戦する人をもっと応援しようとの趣旨だという。
(「シカ食い寄生虫」、40年ぶりにフロリダに発生:アメリカ)
小さな傷口から入り込み、生体組織を食い荒らす「新世界ラセンウジバエ」。1970年代に根絶されたこの寄生虫が、フロリダ州で再び見つかった。絶滅危惧種のシカや家畜に被害が出ている。肉食で、死を招くこともある寄生虫が、フロリダ州南部で再び広がっている。多くの動物が被害を受けており、地元では畜産業の非常事態宣言が出されている。「新世界ラセンウジバエ」(New World screwworm)の幼虫は、むき出しの傷口に群がり、生体組織を食い荒らす。「ラセンウジ」という名前は、幼虫の身体にネジ山のような突起があることから来ている。孵化した幼虫は、傷口の穴に頭から入り込み、ネジが食い込んでいくかのように生体組織を食い荒らしていく(壊死した組織しか食べない)。成虫のメスは、むき出しになった(動物の)傷口の端に卵を産み付けるが、その傷は、ダニに噛まれた跡から、家畜の去勢手術によるものに至るまでさまざまだ。新世界ラセンウジバエが米国で最後に確認されたのは1970年代。それまでの半世紀にわたり、米国南東部と中米では、被害を根絶するための懸命の努力が続けられた。しかし、2016年に入り、フロリダキーズ(フロリダ州の列島)の州当局者は、北米最小のオジロジカで、絶滅危惧種に指定されている「キーディア」に、奇妙な傷を見かけるようになった。7月以来、キーディアの個体数の約15パーセントに上る132頭がこのウジの寄生によって死亡しており、この地域のほかの動物たち(主にペット)にも寄生が広がっていることがわかった。新世界ラセンウジバエはもともと中南米原産だ。当局では、フロリダキーズに上陸することが多いハイチやキューバからの移民や動物、積荷に紛れて新世界ラセンウジバエが入ってきたと考えている。新世界ラセンウジバエの幼虫は、人間を含めたすべての恒温動物に寄生するが、特に被害が大きくなるのはウシなどの家畜だ。米国におけるこのハエによる被害の最後のピークは1930年代で、家畜生産者がこうむった損害は年間数百万ドルに上った。被害が再び広がった場合、年間の損害額は10億ドルを超える可能性があると米国農務省は概算している。連邦および州の当局は、数十年前の根絶戦略を復活させ、被害地域を通って移動するすべての動物を対象に、検疫と検査区画を設け、シカに抗寄生虫薬を与えたり、不妊化したオスのハエを毎週放したりした。メスのハエは一生に一度しか交尾しないので、不妊化した大量のオスたちを放せば、個体数の増加を効果的に抑制できる。これらの対策はうまく行っているようだ。米魚類野生生物局は11月24日の時点で、死亡する動物の数は横ばいだと発表している。

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