<射撃ニュース1月>

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(クレー射撃の中山五輪予選1位、枠獲得はならず)
射撃のリオデジャネイロ五輪アジア予選は27日、ニューデリーで始まり、クレーの女子トラップで同五輪代表の中山由起枝(日立建機)が1位になった。中山は既に出場枠を獲得済みのため、日本に新たな枠は与えられない。女子エアピストルは佐藤絹子(警視庁)の21位、男子ライフル伏射は谷島緑(自衛隊)の16位が最高で決勝に進めず、日本勢は五輪出場枠を獲得できなかった。今回のアジア予選は昨年11月にクウェートで開催予定だったアジア選手権がイスラエル関係者の入国問題で予選として認められなかったため、代替大会として開催された。
(鳥獣被害、前年度より8億円減)
農林水産省は26年度の野生鳥獣による農作物被害状況をまとめ1月22日に公表した。被害金額は191億円で前年度にくらべて8億円減少した。対前年比4%減。被害面積は8万1000haで同2000ha増加した。同3%増。被害量は54万tで同9万1000t減少と同14%減。主要な獣種別の被害金額はシカがもっとも多く65億円。ただし、前年度より10億円減少した。次いでイノシシが55億円(同0.1億円減)、サルが13億円(同800万円減)となった。鳥害はカラスがもっとも被害金額が大きく前年度より7900万円減少したものの17億円でサルによる被害額より多い。
(鳥獣保護区でシカ捕獲、道がモデル事業:北海道)
道は2月上旬、道が鳥獣保護区に指定する北見市ワッカ地区で、エゾシカの捕獲事業を初めて行う。本年度、道内5カ所で行うモデル事業の一つ。エゾシカによる農林業被害額は近年減少しているものの、依然高い水準にあるとして、「聖域」での捕獲を試行する。道は本年度ワッカ地区のほか、釧路管内浜中町の霧多布地区など、鳥獣保護区やシカ捕獲禁止区域に指定される全道5カ所で、捕獲事業を実施する。いずれの場所も、これまで道による捕獲は行われていない。捕獲事業は、地元猟友会などに業務を委託して行う。ワッカ地区では2月7、14日の両日に捕獲を予定。サロマ湖とオホーツク海にはさまれた砂丘地帯の第2湖口西側で実施する。手法などについて、猟友会のほかオホーツク総合振興局や林野庁、漁場のある地元漁協など関係者が協議した結果、勢子(せこ)がシカを追い込み、猟銃で撃つ「巻き狩り」と呼ばれる方法を用い、十数人規模で行う予定だ。北海道猟友会北見支部によると、ワッカ地区では昨年11月末、30頭余りのシカが確認された。北見支部の堀江篤支部長は、これまで捕獲が行われてこなかったことで「鳥獣保護区に入ったシカは繁殖率が高く、繁殖したシカが、畑などエサのある場所に移動して、農作物被害につながるのでは」と分析する。道のまとめでは、エゾシカによる道内の農林業被害額は近年減少しているものの、14年度末で46億円余り。うちオホーツク管内は5億円余りに上る。道は「ピーク時は全道で60数億円の被害があり、現在も高水準にある」(エゾシカ対策課)として、全道(渡島など一部を除く)の14年度の推定生息数48万頭を、16年度までに38万頭に減らすよう計画している。
(「第2回日本ジビエサミット」開催:福岡)
日本ジビエ振興協議会では来る2/11(木)~13(土)「第2回日本ジビエサミットin福岡」を開催いたします。環境省の鳥獣保護管理法の施行および厚生労働省が平成26度作成した野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針を踏まえ、食用捕獲した鹿・猪の処理技術や手法、食肉処理施設の衛生管理や品質管理、安定的な需要と供給の実現方法を焦点に、捕獲から流通、消費に係わる関係者による取組みの成果や課題の報告や意見交換の場を提供します。石破茂地方創生担当大臣による基調講演「地方創生とジビエの可能性(仮題)」もあり。
(ニホンジカと衝突、大事故の恐れ:長野)
県内の中央道や長野道で、走行車両とニホンジカとの衝突事故が毎年二十件前後発生していることが分かった。急増するシカが柵を越えて高速道に侵入し、横断している実態が浮かび上がる。中日本高速道路(名古屋市)と東日本高速道路(東京)の県内事務所がまとめた最近五年間の状況を本紙が集計した。成獣の平均体重は約七〇キロといい、乗用車が衝突すれば重大事故につながる可能性が高い。集計したのは、中央道が中津川-小淵沢インターチェンジ(IC)間、長野道が岡谷-更埴ジャンクション(JCT)間で、期間は二〇一一~一五年度。管理は、中央道の中津川-伊北IC間が中日本高速道路飯田保全サービスセンター(SC)、伊北-小淵沢IC間が同松本保全SC、長野道は岡谷JCT-安曇野IC間が同SC、安曇野IC-更埴JCT間が東日本高速道路長野管理事務所となっている。中央道は一二年度が十三件で最も多く、その後も十一~十件で推移。長野道でも一一、一二年度にそれぞれ九件発生し、その後は五~四件となっている。こうした状況に対応し、各事務所は動物の侵入を防ぐために設置している防護柵を、ニホンジカに対応して一・五メートルから二・五メートルにかさ上げしたり、シカの侵入を警告する道路標識を設置してドライバーに注意喚起したりしており、松本保全SCの担当者は「今後も順次、シカの侵入防止対策を進める」と話す。衝突事故の大半は深夜から早朝に集中する。シカは群れで行動するが、夜間の高速走行中に遭遇すれば非常に危険だ。県林務部によると、シカの成獣は平均体重七〇キロほどだが、雄は一〇〇キロを超すものもいるといい、事故の衝撃は大きい。県警高速道路交通警察隊の宮本忠義副隊長は「五年ほど前、シカによる事故が頻発した際にはシカの動向マップ作成や防護柵設置などの対策を取った。しかし、高速道沿線すべてに防護柵を設けるわけにもいかず抜本策は難しい。一方で、大型のシカに衝突すれば大変な事故になる危険がある」と現状を説明。その上で「この五年間では幸いに人身事故になった事例はないが、高速道管理事務所とも連携して安全対策を講じていきたい」と話している。
(「森の番人」養成講座「ビームライフルを撃ってみましょう」:栃木)
狩猟の持つ野生鳥獣管理のための社会的な役割と意義について広く知っていただくとともに、狩猟免許の取得(特に銃猟免許)を促進することを目的として、県民の皆様を対象とした講座を宇都宮で開催します。狩猟免許試験の内容について、実技も含めて解説を行うほか、銃の所持許可のいらない「ビームライフル」を用意しましたので実際に射撃をしてみましょう。
(イノシシ対策、11町内会が連携:岡山)
岡山県内で野生動物による農作物被害が相次いでいるが、岡山市でも南部の光南台地区ではイノシシの出没が急増し、被害が深刻。危機感を募らせた11町内会が連携組織をつくり、対策に本腰を入れている。
(ジビエで地域活性化:愛媛)
ジビエ(野生鳥獣肉)料理を広めて地域を活性化させようと、愛媛県東温市民ら有志が25日、「東温ジビエの会」(永井公一会長)を立ち上げた。同市北方のイタリア料理店OTTOであった発足会には13人が参加し、県産シカ肉などを使った料理を味わいながら意見を交わした。ジビエの観光資源化を目指す四国ジビエ連携(松山市)の呼び掛けで「北条ジビエの会」(同市)に続いて発足し県内で2団体目。東温ジビエの会は今後、定期的に試食会を催して参加者を募る。イベントへの出店なども検討している。発足会では、県産ジビエを使って同料理店が考案した「鹿とキノコのロールキャベツ」「猪(しし)肉のポルケッタ」など4品が並んだ。参加者は笑顔で舌鼓を打ちながら、日ごろ野生鳥獣の農作物被害に頭を悩ませていることや、今後の取り組みへの思いなどを熱く語り合った。
(狩猟体験から知った命の重さ:京都)
農山村と都市をつなぐNPO運営 林利栄子(はやしりえこ)さん(27)。農山村をめぐるツアーを企画したり、産地直送品の市場を開いたりするNPO法人「いのちの里京都村」(京都市上京区)の事務局長を務める。「でも、部下はいません」野生のシカ肉を詰めた肉まん「京都もみじ」は、京都村の目玉商品だ。あるとき、イベント会場で販売していると、小学生に「かわいそう。なんでシカを食べるの」と聞かれた。うまく答えられず、「シカから命をもらっているのに、売っている私が何も知らんって恥ずかしい」と自省した。京都市内に生まれ、遊び場も街の中だった。京都村の運営に携わるようになって、増えすぎた野生動物が田畑を荒らし、農山村の人たちが困っていると知った。「なぜ狩猟が必要か」を自分の言葉で伝えたくて、狩猟免許を取ろうと決めた。「何も特技がない自分が事務局長と名乗るのが重荷だった。街で暮らす私でも、狩猟でなら農山村の人たちに恩返しできる」知り合いのベテラン猟師に教えを請い、一昨年から猟に出ている。自分が撃った弾に倒れたシカをみたときは、涙が止まらなかった。「でも生態系を守るために必要なんです」と、命の重さを受け止める。狩猟体験を通じて食生活について考える活動も始めた。「いまの世の中、選択肢が増えて何でも買える。だからこそ、自分が食べるものについてきちんと知って選んでほしい」と語る。
(シカ肉のサラミ考案:徳島)
那賀町横谷の四季美谷温泉が、シカ肉のサラミを2月1日から販売する。ジビエ料理を家庭で手軽に楽しんでもらえるよう、包装紙にサラミを活用したチャーハンなどのオリジナルレシピも掲載。温泉の新たな土産品に育てたい考えだ。「鹿サラミ」は、シカのすじ肉を塩水に漬けて臭みを取り、丸1日干してから冷凍して熟成させ、ミンチにしている。柔らかい食感に仕上げるために豚肉を20%混ぜた。保存料は使用していない。中田雅之料理長(55)が考案した。レシピはピザやパスタ、サラダなど全部で9種類あり、それぞれ材料や作り方を写真付きで包装紙に載せている。250グラム入りで千円(税別)。電話注文も受け付ける。中田料理長は「サラミは、そのまま食べてもおいしいが、料理を引き立てる力がある。用意したレシピ以外にも挑戦してほしい」と話している。同温泉は県が認定する「うまいよ!ジビエ料理店」。2月3日から東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれる食品見本市に、サラミや、煮込んだシカ肉を赤みそなどと合わせた「鹿味噌(みそ)」など4品を出品し、販路開拓を図る。

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(シカ・イノシシ高速で衝突増:大分)
県内の高速道路で、車と野生動物が衝突する事故が増えている。9割以上がシカ、イノシシとの事故。2013年は18件だったが、14年には約2・6倍の47件に増加。15年はさらに4件増え、51件だった。けが人が出るなど重大な事故につながる可能性があるため、県警高速道路交通警察隊はポスターを作成してサービスエリアなどに張り、ドライバーに注意を呼び掛けている。高速隊によると、事故の発生は午後8時~翌日午前4時の間に集中している。過去3年間の件数をみると、5月、8~11月の計5カ月間の発生件数が全体の約6割となっている。事故の多い時間帯、時季は野生動物の習性と関連するとみられる。県森との共生推進室によると、シカなどは臆病で、人や車が少ない夜間に山から降りてくる。秋から冬にかけて繁殖期、春に出産期を迎えるため、体力維持のために餌を探し回るという。道路を管理する西日本高速道路九州支社大分高速道路事務所は、対策に頭を悩ませている。県内の高速道路脇には、人の立ち入りを防ぐ高さ約1・5メートルの柵が延長約330キロで設置されている。このうち、野生動物と車の事故が多い延長約70キロは、シカの侵入を防ぐために有刺鉄線などを使って高さ約2・5メートルにしている。しかし、イノシシや他の小動物が柵に穴を開け、新たな侵入口ができてしまうという。「定期パトロールでは、山あいの柵に開けられた穴を見つけるのは難しい」と話す。県森との共生推進室は、柵を設置した後の点検の重要性を指摘した。「もともと、高速道路を造った場所は野生動物の通り道。点検を欠かせば、すぐに侵入されてしまう」と話した。また県猟友会は、野生動物を狩るハンターの減少と高齢化を問題視している。1978年には約7800人いた県内のハンターは、2012年に3500人を切った。昨年末時点で3405人。平均年齢は64・6歳。「個体数を減らさなければ根本的に解決しない。新たなハンターの育成が急務だ」と焦りをみせる。事故増加を受け、同事務所は柵の増設や取り換えを計画している。「予算が限られているため、事故件数や野生動物の目撃情報を基に優先順位を付ける。早急に着手したい」と話した。列車と野生動物がぶつかる事故も増加している。JR九州によると、昨年10月末時点の九州管内の事故件数は260件で過去最多。約9割がシカ、イノシシとの衝突事故だという。このうち県内で発生した事故は57件だった。シカと列車の事故については、面白い調査結果がある。日鉄住金建材(東京都)は、鉄道向けのシカ侵入防止システムを開発するため生態を調査した。赤外線カメラを線路付近に設置してシカの動きを観察したところ、シカが線路をなめていることが分かった。日鉄住金建材によると、シカは四つの胃を持つ「反すう動物」に分類され、食べた草を分解するために鉄分が必要になる。鉄と塩の固形物を線路から離れた場所に置く実験では、シカは固形物をなめ続け、しばらくすると山へ戻ったという。実験を基に、鉄分を含んだシカ誘引剤を開発した。JR九州は、シカの侵入を防ぐ柵の設置と、誘引剤の活用を決めた。県内でも導入する方針で、実施場所を調査している。
(全国初の夜間銃猟、ニホンジカ捕獲促進:和歌山)
和歌山県内のニホンジカの増加を抑え、深刻な農林業被害の軽減を目指そうと、県は田辺市中辺路町水上地区とすさみ町江住地区、古座川町西川地区の紀南3カ所で、全国初となる「夜間銃猟」を始める。2月中旬からの見込みで、3月末までに各地区で20匹ずつの捕獲を目指す。県は「少しでもシカを減らしたい一心。全国に先駆けた取り組みで、効果の程度は未知数だが、安全確保を徹底して導入したい」としている。
(駐車場にカモ切断死骸:兵庫)
兵庫県伊丹市西野2の駐車場で、駐車中の乗用車の屋根にカモの頭部が置かれていたことが22日、伊丹署への取材で分かった。同署によると、21日午後4時50分ごろ、駐車場の利用者が発見し、届け出た。胴体が車後部の地面にあったという。周辺に血痕などはなく、何者かが遺棄した可能性があるとみて、鳥獣保護法違反容疑で調べている。同市では昨年10~11月、駐車場の東約1・5キロにある昆陽池公園の貯水池(同市昆陽池3)で、頭部などに矢が刺さったカモが複数見つかったほか、頭部のないカラスの死骸も発見されている。
(ニホンジカ捕獲、具体策を検討:秋田)
国と秋田、青森両県でつくる白神山地世界遺産地域連絡会議は、遺産地域周辺でのニホンジカの生息域拡大に対応し、来月8日に科学委員会で捕獲体制構築に向けた具体策を検討する。23日、藤里町藤琴の町総合開発センターで開かれた白神山地世界遺産地域巡視員会議で報告された。巡視員会議では、国や県がシカの目撃情報などを報告した。白神山地周辺の市町村では昨年4〜12月、本県で雄または性別不明の計11頭、青森県で雌1頭を含む計18頭の目撃があった。目撃情報は、2014年度全体に比べても本県で7頭、青森県で13頭増加した。さらに、昨年10月には青森県側の世界遺産緩衝地域で初めて雄の1頭が東北森林管理局のカメラで確認されるなど、シカの生息域が広まっていることを報告した。こうした状況を踏まえ、専門家でつくる科学委で早急に対策を検討するとした。
(「獣害防護柵補助」対象を全農地に:三重)
津市は、獣害対策の防護柵を導入した農家に費用の半額を補助する「防護柵補助制度」について、補助対象をほぼ全ての農地に広げた。新年度の4月から始まる。前葉泰幸市長が18日の定例会見で明らかにした。市は、家庭栽培など小規模な農業を営む農家にも対象を拡大。農業振興区域内で複数の農家が隣接する集団農地についても、補助要件の耕地面積を一ヘクタール以上から〇・五ヘクタール以上に緩和する。制度の拡充に伴い、市は新たに約二千三百万円の獣害対策費を見込んでいる。背景には深刻化する獣害被害がある。津市では、美杉町や美里町など山間部で、シカが稲穂を食べたり、スギやヒノキの皮をはいだりするなどの被害が後を絶たない。市によると、シカやイノシシなどの捕獲頭数は二〇一〇年で約三千頭。一四年の約四千五百頭と比べて約一・五倍に増えた。獣害被害額は一四年で約三千七百万円。捕獲頭数が増えたこともあり、被害額は一〇年の約四千万円と比べて若干減ったものの、県の獣害対策課によると、市の獣害被害額は県内の二十九市町で最も高いという。前葉市長は「丹精した農作物を一晩で食い荒らされる現状がある。支援の範囲を広げて、農家の意欲を駆り立てたい」と述べた。
(エゾシカ死骸、微生物で分解:北海道)
バイオトイレ製造販売の正和電工(旭川)は、おがくずに含まれる微生物の働きを利用してエゾシカの死骸を分解する処理装置を発売した。装置に入れただけで、死骸は1~2週間で骨だけになる。シカの食害が深刻化し、各地で駆除が行われる中、駆除後の処理を省力化できるという。装置は高さ1・4メートル、幅7・2メートル、奥行き1・2メートルの箱型。150キロの大型の死骸もそのまま入れることができる。内部にスクリューがあり、おがくずをかき回して分解を促進する。同社はおがくずに含まれる微生物を利用し、し尿を分解するバイオトイレを製造販売しており、3年前からシカの死骸処理に応用できないか、試験を行ってきた。死骸は微生物の働きで分解されたり、おがくずに吸着したりして最終的に骨だけになる。硬い骨の接触にも耐えられるようスクリューの強度を高めるなど改良を重ねた。希望小売価格は税別で1980万円で、正和電工は市町村などに販売していく考えだ。同社の橘井敏弘社長は「装置は初期投資はかかるが、駆除の手助けになるはず」と話す。
(野生シカ困った、牧草を「横取り」:群馬)
標高千メートルの日没後の山道は静まり返り、左右に揺れながら走る四駆車の駆動音しか聞こえない。葉を落とした木々の間に西毛の夜景がちらつく。午後6時、下仁田町南野牧の神津牧場。一つの牧草地に着くと車を降り、寒さをこらえて息を潜めた。広くなだらかな丘を手持ちライトでぱっと照らす。その瞬間、視界の隅に四本脚の影がうごめき、豆電球のような無数の「目」がこちらを向いた。ニホンジカだ―。野生のシカによる牧草の食害が問題化していると聞き、昨年12月下旬、頭数調査の車に同乗した。「あ、いますね。にー、しー、ろー…」。農研機構(茨城)の主任研究員、竹内正彦が紙に頭数を書き込む。シカは光を浴びて逃げるでもなく、数え終わるのを待っていたかのように、1分ほど後にその場を去った。敷地400ヘクタールに点在する牧草地を全て巡ると、数メートルの近さでも逃げない個体や、20頭以上の群れにも出合った。1時間半に及ぶ調査で、遭遇したシカはおよそ150頭。竹内は「300頭いたこともある」と事もなげだ。ジャージー牛や人間が過ごす牧草地の“主役”の座は、日没とともにシカに替わっていた。シカは10年ほど前から牧場に現れ、年々増えた。頭数調査は2007年から毎月行われている。昨年4月から調査を担う竹内は、冬でも周辺の野山より緑が多い牧草地が、格好の餌場になっていると説明する。調査を見守る場長の須山哲男は「牧場で暮らすウシは230頭。シカの方が多い。我が物顔で牧草を食べてしまう」と嘆息する。数年前に試算した牧草の被害額は年1700万円。目の前の生草が使えず、しぶしぶ外部から干し草を買ってウシの食料を補う。対策はあるのか。電気柵で広大な牧草地を全て囲うのは現実的でない。しかも柵に隙間を見つけたシカはすぐ仲間を引き連れ突破してしまう。調査に同行した日も電気柵の内側にシカのふんを見つけた。だが、正しく設置管理すれば牧草被害を抑え、シカの栄養状態や繁殖にも影響を与えられる。竹内は「できる範囲から地道に拡大するしかない」と効果的な設置方法を研究している。本県全体の推定生息頭数は1万7千頭で、生息地は県北東部と、牧場を含む県南西部に集中。14年度の農林業被害額は約2億3千万円に上った。危機感を強めた県は昨年3月、10年間で半減を目指すとの数値目標を初めて掲げた。本年度、県は環境省の事業で、竹内ら研究者や県猟友会と協力して捕獲による個体数調整に力を入れている。昨年11月には、牧場周辺の鳥獣保護区のほぼ半分を、シカとイノシシだけは狩猟できるよう緩和した。毎年シカは子を産む。須山は電気柵による防御と並行して、継続的に捕獲し続ける必要があると考えている。「今はとにかく、増え過ぎなんです」。自然と人間が共存する難しさを、そのはざまにある牧場で、いくつもの光る目が訴えかけている。
(安全シカ肉、道がお墨付き:北海道)
道は新年度、エゾシカ肉のブランド力を向上させるため、適切な衛生管理を行っている道内の食肉処理施設を対象にした認証制度を導入する。野生肉の安全性を公的機関が保証することで、消費者や流通業界の信頼を高め、消費や販路の拡大につなげる狙いだ。エゾシカの食肉処理施設に対する認証制度は、一般社団法人「エゾシカ協会」(札幌)が2007年度に開始。これまで14施設が認証され、認証マーク付きの生肉や加工品が大手スーパーなどで販売されているが、消費者や流通業者から公的な認証制度を求める声が高まり、道が導入することを決めた。認証施設の要件は《1》道の自主衛生管理システム「北海道HACCP(ハサップ)」で評価段階A以上を取得《2》道が作成したエゾシカ衛生処理マニュアルの順守《3》商品表示や納入伝票から捕獲場所や狩猟者、解体時の状況や製造日を調べられるトレーサビリティー(生産履歴)体制の確立。毎年7~8月に申請を受け付け、保健所などの現地審査を経て認定する。期間は3年ごとの更新制。商品に表示する認証マークも新たなデザインにする。
(県産イノシシ、ジビエ料理に:石川)
県内産のイノシシ肉を用いた料理を提供する「いしかわジビエ料理フェア」が19日、金沢市昭和町のANAクラウンプラザホテル金沢で始まった。2月19日まで、ランチビュッフェのメニューの一部としてジビエ料理が並ぶ。オープニングイベントではジビエ料理コンテストの結果発表があり、羽咋市の高田順治さん(38)が最優秀賞に輝いた。フェアは、県がジビエ料理を広めようと初めて企画。県内の和洋中の料理人が開発したメニューとコンテスト入賞作品の中から、10日おきに3種類のジビエ料理が提供される。イノシシ肉は、白山市と羽咋市にある獣肉処理施設で精肉加工されたものを使う。コンテストには58人から計72点の応募があり、最優秀賞を受けた高田さんの作品「里山・里海の恵み」は、イノシシのばら肉をリゾットと合わせて里山を、澄んだスープで里海を表現した。七尾市和倉温泉の旅館「加賀屋」で洋食の料理人を務める高田さんは「堅くて臭いといった獣肉のマイナスイメージにどう立ち向かうかが問われている。よりよいものを作れるように頑張りたい」と話した。オープニングイベントではジビエ料理が大皿で並び、関係者は変化に富んだ味わいを確かめていた。

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(肉処理加工施設フル稼働:奈良)
五條市が昨秋にオープンさせたイノシシ肉や鹿肉の処理加工施設「ジビエール五條」(同市阪合部新田町)がフル稼働状態だ。料理店や道の駅などに卸しているが、ジビエ(野生鳥獣の肉)ブームもあって「供給が追いつかない」と市担当者もうれしい悲鳴。
(鳥インフルから1年、警戒続く:佐賀)
養鶏場の周辺は鶏の声だけが響き、1年前の喧噪(けんそう)が想像できないように穏やかだった。道路のアスファルトにこびりついて固まった消石灰だけが痕跡をとどめている。西松浦郡有田町で佐賀県内初の高病原性鳥インフルエンザが確認されて18日で1年。約7万3千羽を殺処分した養鶏場は再建し、当時の経営者(65)は「2度目を出すことは絶対にできない。細心の注意で管理していく」。今も2週間ごとに消毒し、野鳥を追い払う新たな対策も取り入れ、警戒を続けている。「この1年間さまざまなことがあり、5年くらい過ぎたような感じ。ほかの養鶏場にも大きな迷惑を掛けたが、責められることもなく、逆に励まされたことで何とか再建できた」。養鶏場の経営を長男(37)に譲り、サポート役に回った男性は鶏舎を眺めながら、同業者ら周囲の協力への感謝を口にした。養鶏場は入念な消毒やウイルス検査、鶏舎の改修などを経て昨年5月、鶏の飼育を再開した。飼育数は現在約7万3千羽と発生前の状態まで戻り、出荷も順調に進む。再開後も油断せず、発生前はひなを入れ替えた時などに実施していた消石灰による消毒を、2週間に1回は実施する。周囲に集まる野鳥を追い払うロケット花火を常備し、見つけるたびに打ち上げる。カラスなどが嫌がるタカの鳴き声を発生する機器も試験的に導入した。効果があれば、養鶏場全体に配備するつもりだ。男性は「凍える寒さの中、三日三晩、鶏舎の管理棟から出られなかった。あんな思いはもうしたくない」と言い、「ウイルスの侵入を完全に防ぐことは不可能だが、できる限りの対策をしている」と気を引き締める。心配された経営は、国などの支援に加え、若い後継者がいたこともあり融資なども円滑に受けられた。鶏舎を2棟建て替えた。国の緊急融資1千万円を受けたが、3割の利用にとどめ、残りは返済した。鳥インフルエンザの発生が懸念される時期を迎え、県なども態勢を整える。今季は、山口県で採取された野鳥のふんから国内6例目となる低病原性インフルエンザウイルスを検出。海外では高病原性へ変異した例も確認されており、警戒している。県畜産課は昨年の防疫作業の際、情報伝達が滞ったことや現場責任者に情報と業務が集中しすぎたことを挙げ「スムーズな情報伝達ができ、負担を分散させる態勢に見直した」と説明する。昨年10月の訓練から反映させた。鶏の埋却地を掘る際にトラブルがあったことから、各養鶏業者に埋却予定地の再確認を要請するなど態勢強化に努める。防疫作業に268人が参加したJAも、教訓を生かそうとしている。発生が土曜日の夜だったこともあり、県から依頼された消石灰やトラック、フォークリフトの手配に苦労した。24時間や72時間といった時間制限がある中、必要な資材を集める大変さを思い知った。JA佐賀中央会の担当者は「どんな状況でも用意できる準備が必要。他県との連携なども考える必要がある」と指摘し、消石灰の確保などを進めている。
(島民自らイノシシ撃退必読本:広島)
かんきつ栽培が盛んな広島県三原市の佐木島(鷺浦町)で、島民自らが作ったイノシシ撃退マニュアルが関心を集めている。島民全員に獣害を防ごうという意識が芽生え、被害をゼロに食い止めた農家が現れたり、住民同士でノウハウを共有したりと、マニュアルの効果がじわりと現れてきた。タイトルは『鷺浦町イノシシ被害対策必読本』。島の活性化に取り組む「元気さぎしま協議会」が2015年2月に発行した。島では10年ほど前からイノシシによる被害が相次ぎ、同県の鳥獣被害対策アドバイザーを務める井上雅央さんの指導で、捕獲ありきではなく全島民が農地を守る方法を学んだことが、発行のきっかけとなった。内容は、収穫物が柵の外にはみ出していたり、廃棄する作物を畑の外に捨てることでイノシシの格好の餌となる「餌付け」の認識や、有効な柵の設置方法などの他、被害に遭った島内の畑や地域ぐるみで対策をとった後の畑を写真で載せ、ポイントや注意点を明記した。高齢者も見やすいようカラーで字を大きくし、全10ページと読みやすさにこだわった。農家で町内会長を務める西原一成(65)さんは「以前は対策を漠然と話し合っていたが、本を作ったことで島民全員が学習できた」と評価。島外からも「見せてほしい」といった問い合わせもあるという。農研機構・近畿中国四国農業研究センターの上田弘則主任研究員は「情報を共有する上で他の地域の参考にもなるはず」と強調する。
(ジビエ料理で地域活性化:愛知)
設楽町津具地区の若手農林業者らで構成する奥三河つぐ高原グリーンツーリズム推進協議会では、獣害対策で捕獲したイノシシやニホンシカを食肉加工しジビエ料理の食材として提供する施設「奥三河高原ジビエの森」を昨年4月に始動。地元資源を有効活用して町内外へ販路を広げ、地域の活性化を目指している。奥三河3町村では毎年、約1300頭のイノシシやシカが捕獲されているが、食肉加工施設はまだ少なく、ほとんどを埋設処分している。地域資源を生かすため、同協議会では地元住民寄付や国・町の助成など1500万円をかけ旧農協建物を改修し、施設内に電動ホイストやスライサー、冷凍冷蔵庫、真空包装機などを設置。昨春から操業を開始した。現在、ジビエの森には常勤の従業員がなく、捕獲後に会員らが運搬や解体などを行っている。昨年9月からは、名古屋市在住の小野有紀さん(22)が研修生として参加。施設では食肉の解体やパック詰め、事務処理などを行いイベントで販売やPRを実施。2月には狩猟免許取得に挑戦する予定となっている。協議会では、経営を軌道に乗せ知名度の向上を図ろうと、加工品の空揚げや肉まんを販売中。新城市道の駅もっくる新城や奥三河地域の飲食店、宿泊施設に食材を供給しながら、昨秋の収穫祭などで試験販売して好評を得た特製ハムやジャーキーも売り出し、奥三河ジビエ料理のブランド化と地域活性化を目指す。
(ジビエ料理の普及の試みを応援:和歌山)
ジビエとは、狩猟で捕獲された野生鳥獣を意味するフランス語。イノシシやシカなど地元で捕れた野生鳥獣の肉を使うのがジビエ料理である。収穫前の野菜や果実を食い荒らす野生動物の駆除と新たな特産品づくりを目的に、この料理を普及させる取り組みがいま、県内各地で始まっている。中でも古座川町は、ジビエの普及に力を入れてきた。昨年3月、同町月野瀬に県内最大規模の鳥獣食肉処理加工施設を建設。地元猟友会の協力でシカ肉を安定的に確保し、シカやイノシシを施設で処理加工して各地に販売している。高タンパク質で低脂肪、栄養価も高いというジビエの魅力をアピールして町内だけでなく東京や大阪の飲食店にも販路を開拓し、順調なスタートを切っている。武田丈夫町長は「ジビエを都会に売り出し、産業として成り立たせる一方で、住民にも産物として認識してもらう必要がある」という。町はそのための試みの一つとして、今年から月1回のペースで小中学校の給食にジビエ料理を提供する取り組みを始める。県内では学校給食にジビエ料理を提供している自治体はなく、全国的にも珍しいという。ジビエを使うことで、材料費が割高になるが、その分については、町が補助を出して対応することにし、保護者にも理解を求めた。まずは3月まで、町とパン店が協力して開発した、町産シカ肉を材料にした「ジビエバーガー」を給食のメニューに導入。4月以降は、アンケートで希望を聞いたうえで、どのようなジビエ料理を出すか決める。田辺市でも、本宮町の小中学校で給食へのジビエ導入を検討する動きがある。本年度中に保護者も含めた試食会を開き、児童生徒の反応やコスト面の課題を検証したいという。こうした動きに県も協力。食肉の格付け制度や解体処理施設の衛生管理認証制度を設け、ジビエの特産化や給食への導入を推奨している。有害鳥獣の駆除につながる動きであり、応援したい。だが、課題もある。かつてはジビエの解体や処理、調理手法などが確立されておらず、肉そのものを「獣臭い」と敬遠する人がいたこと、他の食肉と比べると価格が高いこと、野生鳥獣の肉を食べることに消費者がなじんでいないことなどである。価格を下げるためには供給量を増やさなければならないが、消費者の支持がないと供給量が増えず、価格も下がらないというジレンマである。実際、先進地の日高川町では2011~13年に1、2回、給食にジビエ料理を出したが、続かなかった。町教育委員会によると、価格の問題やジビエそのものに抵抗感があったという。そうした教訓も含めて、ジビエ料理の普及に努める古座川町の試みを応援したい。農産物を荒らす厄介者を地域資源に――。この旗印を掲げた過疎の町の挑戦は、各地に広がる過疎地の人たちを勇気づける試みでもある。
(ミロクは底堅い相場続く)
ショットガン、ライフル銃などのミロク<7983>(東2・売買単位千株)は20日の後場、全体相場の一段安にもかかわらず282円(前日比変わらず)で始まり、今年の初値285円からもほとんど下げない相場となっている。米ブローニング社向けのOEM供給(相手先ブランドでの生産供給)も行い、米国の銃規制を巡って次期大統領候補は現職のオバマ大統領ほど規制に厳しくないとの見方が出ている。日頃は薄商いで値のつかない日もあるが、今期・2016年10月期の業績見通しは純利益10%増、1株利益39円39銭とし、株価水準はPER7倍台。またPBRは0.4倍前後のため割安放置と言えそうだ。
(世界最大級「銃の見本市」:アメリカ)
ラスベガスで、世界最大級の銃の見本市=ショットショーが開幕しました。今回のショットショーには世界28ヵ国6万人以上の参加者が見込まれています。ただ入場できるのは銃メーカーなどの関連業者と軍や警察関係者などの買い手、そしてメディアだけで一般の人は入ることができません。会場には拳銃からライフル、ハンティング用品まで実に様々なものが。アメリカの銃関連市場はおよそ2兆円に上ると言われ、実は、規制の強化が叫ばれる中でも活況です。拡大する銃関連市場を日本メーカーも無視できなくなっています。ヤマハ発動機は、ハンティング用のバギーを出展。ニコンもブースを出しています。またNISSANもハンティング愛好家向けにピックアップトラックをアピール。今年はこのショットショー全体の協賛企業にもなっています。

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(サルにかまれて60代女性が軽傷:佐賀)
8日午前10時20分ごろ、嬉野市嬉野町吉田の畑で、同市内の60歳代女性がサルに背中をかまれて軽傷を負った。鹿島署によると、女性は畑の中で野菜を食べているサルを目撃。視線が合った途端に飛びかかってきたという。サルは2匹おり、体格差から親とみられるサルが女性の服の上からかみついた。現場は横竹ダムから北西約500メートル。同署は「サルに遭遇した場合は目を合わせず、落ち着いてその場を離れてほしい」と注意を呼びかけている。
(リオ五輪内定、中山選手が知事表敬:茨城)
八月に開催されるリオデジャネイロ五輪のクレー射撃女子トラップ競技に出場が内定した中山由起枝選手(36)=日立建機、結城市=が十二日、県庁を訪れ、橋本昌知事に健闘を誓った。中山選手は二〇〇〇年のシドニー、〇八年の北京、一二年のロンドンと三回の五輪に出場。北京では四位と、惜しくもメダルを逃した。昨年八月のワールドカップ(W杯)女子トラップで優勝し、リオ五輪の国別出場枠を獲得、昨年十二月の日本クレー射撃協会の理事会で出場が内定した。現在の世界ランキングは六位。中山選手は、予選敗退に終わったロンドン五輪を機に、イタリア人の五輪メダリストと共に、技術や精神面を磨いてきたことなどを橋本知事に説明、「四度目の大会なので、今年はすべてにおいて全力で当たりたい」と抱負を述べた。あと八カ月と迫り「しっかりとスキルアップしたい」と大会を見据えた。橋本知事は「W杯で金メダルということなら、五輪でも取れる可能性がある。みんな応援しているので、頑張ってほしい」と激励した。県教育委員会によると、現時点でリオ五輪に出場が内定している県内選手は中山選手のみ。 
(真冬にクマの足跡:北海道)
8日午前10時ごろ、幕別町新川の無職紺野隆幸さん(70)が自宅そばの道でクマの足跡(縦18センチ、横15センチ)を目撃したと帯広署に通報した。同署などによると、現場には東方向へ約8メートルにわたってクマの足跡が点々と残っていた。人畜被害はない。専門家は冬眠から目覚めたか失敗したクマとみており、「餌に困って、空腹でいら立っている可能性がある」と注意を呼び掛けている。紺野さんによると、クマの足跡は5日正午ごろ、妻スミ子さん(68)が自宅玄関から約10メートル先のごみステーションの南側にクマの足跡があるのを見つけた。最初は周囲に伝えなかったが、気になって8日に隆幸さんに相談した。紺野さん夫妻によると、数年前に自宅周辺の高台や川沿いにクマが出没したことはあった。ただ、今回のように自宅そばに出てきたことはなく、真冬という例もなかった。昨年末にはクマの姿を見たのか、愛犬が2時間以上にわたってほえ続けたこともあった。クマの生態に詳しい帯広畜産大の柳川久教授=野生動物管理学研究室=は真冬のクマ出没について、「1年で最も寒いこの時期にクマが出てくることは普通はない。少雪などの影響による何らかのアクシデントで冬眠から目覚めてしまった可能性がある。最初から冬眠できていない個体なのかもしれない」とみる。柳川教授によると、現場はクマの出没があまりない地域。足の大きさから、若いクマとみられる。同署などは近隣住民に注意を呼び掛け、ハンターらが警戒している。
(ハクチョウ類39%減:宮城)
県自然保護課は15日、県内のガンカモ類の生息調査結果(速報値)を発表した。ハクチョウ類は前年同期より39%少ない1万2974羽だった。同課は「暖冬の影響で、宮城まで南下していないため」とみている。調査は14~15日に県職員や自然保護団体のメンバーら115人が、伊豆沼・内沼(栗原、登米両市)や蕪栗沼(大崎市)など約500か所の飛来地で実施。ガン類17万5089羽(前年同期比6%減)、カモ類5万1345羽(同18%減)、全体では23万9408羽(同12%減)を確認した。
(イノシシ被害、雪なく“わが物顔”:石川)
石川県小松市の山間地域で、田んぼのあぜをイノシシに荒らされる被害が急増している。例年ならこの時期は数十センチの積雪に覆われていて、足が短いイノシシをよせつけず、被害があってもごく一部で済んでいたが、今冬は暖冬で雪がないのがあだとなった。わが物顔で方々の田に出没してあぜに穴を開け続けるイノシシに、農家からは「異常事態」と悲鳴が上がっている。市やJA小松市によると、イノシシはミミズなどの餌を探すため、鼻であぜの上部や側面の土を掘り返す習性がある。例年なら積雪に行く手を阻まれ、大きな被害を生むことはないが、今冬は積雪がほとんどないため、同市西尾地区や大杉地区といった山に近いエリアを荒らし回るようになった。西尾地区の松岡町では、町内の至る所で田んぼのあぜが荒らされている。岡嶋基麿町内会長(73)によると「毎年被害はあるが、今年は特にひどい」。上部の草がなくなり、土が露出して多くの穴ができ、長さ約五十メートル、幅三メートルにわたって荒らされたところも。稲作のための水が外に漏れ出さないように田んぼの周囲に土を盛るのがあぜだが「これでは水を張れない」と岡嶋さん。「四月ごろまでには直さなければならないが、手間も費用もかかる」と頭を抱える。掘り返された大きな石が田んぼの中に転がり、所々で用水路が土で埋まっている場所もある。周囲に金網を張って対策をしても、飛び越えたり、地面に穴を掘ってくぐり抜けたりして効果がないという。県によると、県内では近年、イノシシの被害が増えており、二〇一四年の農作物の被害額は過去最悪の約九千百五十万円。捕獲用のおりを設置するなどし、昨年四~十月に捕獲されたイノシシは二千四百二十五頭と、前年同期比の二倍以上になっている。松岡町を担当する猟友会の男性(61)は「猟期(十一月以降)に入っても多く見るので、イノシシの子どもがさらに増えるのも心配」と深刻な表情だ。市担当者は「さらなるフェンスやおりの設置を農家に促していく」と話す。JA白山によると、同県白山市でも吉野など山手で田のあぜや林道の被害が見られる。営農部担当者は「今のところ被害の報告はあまりないが、二月末ごろから田植えの準備で田んぼに出始めたときに気付くのではないか」と懸念している。
(冬眠期のクマ、各地で目撃)
昨年12月以降、本来なら冬眠期に入っているはずのツキノワグマが全国で相次いで目撃されている。暖冬の影響で、冬眠せずにエサを探して活動をしているクマが多いとみられる。今後も例年より気温が高い傾向が続くことが予想され、専門家は「冬眠しない個体がいる可能性がある。生息地域では注意が必要だ」と指摘している。今月2日午前、岩手県宮古市の山中で、狩猟中の60代の男性がツキノワグマに襲われ、顔などを爪でひっかかれて重傷を負った。県自然保護課によると、男性は猟銃で撃ったものの、仕留めきれなかったという。男性はクマが冬眠する穴の近くで倒れていた。同課の担当者は「暖冬の影響で、クマの眠りが浅く、反撃されたのではないか」とみる。岩手県ではツキノワグマの昨年12月の目撃件数が12件に上り、同11月を5件上回った。野生生物の担当者は「いつもなら12月に入ると目撃情報は急減するのだが、逆に増えるとは」と驚く。ツキノワグマは一般的に12月から翌年4月まで冬眠するとされる。だが今冬は各地で昨年12月以降も目撃が相次ぐ。福島県郡山市で今月4日、車を運転中だった女性が体長約1メートルのクマを見つけた。福井県では「民家の柿の木にクマがいる」「工事現場に現れた」など人間の生活域への出没が目立つという。鳥取県では昨年12月に8頭のツキノワグマが捕獲された。積雪がほとんどなく、冬眠時期を迎えても山中を動き回るクマがシカやイノシシ用のわなにかかった。今年に入ってから目撃情報はないが、同県緑豊かな自然課は「油断せずに注意喚起したい」としている。森林の生態系を研究する東京農工大の小池伸介講師によると、ツキノワグマは気温低下やエサの減少を感じると冬眠に入る。「一定の寒さが持続することも冬眠の条件」だという。昨年12月の平均気温は東日本で平年より1.9度高く、1946年の統計開始以来、過去最高。西日本も同1.7度高かくなり、全国的に記録的な暖かさとなった。雪が少なく、冬場も好物のドングリを拾い歩くことができることも冬眠が遅れる一因になっている。昨秋はドングリが豊作だった地域が多かったという。小池講師は「東南アジアに生息するツキノワグマは冬眠しないので、このまま眠らない個体がいたとしても不思議ではない。既に冬眠を始めたクマも暖冬が続けば早く起きる可能性がある」と指摘。「冬眠期間といえども油断せずに、山に入る際には気をつけてほしい」と話している。
(警察官、男に銃を奪われ撃たれて重傷:神奈川)
14日午後2時25分頃、神奈川県横須賀市の市営団地で、男性から「母親に殺される」と110番があった。浦賀署の駐在所の男性巡査部長が駆けつけたところ、男が暴れており、巡査部長の拳銃を奪って発砲した。拳銃は4発発砲され、うち3発が巡査部長の腕や太ももに命中。巡査部長は重傷で、病院に搬送された。同県警によると、男は、応援に駆けつけた同署員に殺人未遂と公務執行妨害の両容疑で現行犯逮捕された。同署で経緯を調べている。
(ニホンジカ生息数、地形などから予測:神奈川)
日本各地の山で増加し、農作物などへの食害が深刻な問題になっているニホンジカを効率的に捕獲するため、公開されている植物の種類や地形などのデータから生息数を予測する技術を、富士通研究所(川崎市)が18日までに開発した。これまでは目撃数やふんの密度など、現地調査で得たデータから捕獲する場所を選んできたが、調査できる場所が限られ、費用がかかることが難点だった。予測により、調査を優先する場所を選ぶことができ、効率的な対策につながるという。植生や地形情報からシカの生息可能地域を抽出。1頭が生息するのに必要な面積を5.7万平方メートルと見積もり、1平方キロ当たりの生息可能数を予測した。山梨県甲州市でこの手法を使った予測と、現場の調査データを比べると、ほぼ予測が信頼できることが確認できた。ただ予測と合わない場所もあり、山梨県森林総合研究所の協力を得て、細かい植物の種類や積雪などの季節変化も予測条件に加え、今年9月までプログラムの改良を進める。高齢化でハンターが減ったことや、地球温暖化で積雪量が減り、子ジカが冬を越すのが容易になったなどの理由で近年、ニホンジカは全国で急増。環境省は捕獲促進などの対策に乗り出しており、富士通研究所の尾崎光男専任研究員は「予測精度を高め、各地のニホンジカ対策に役立てたい」と話している。
(エゾシカ捕獲の囲いわな、風力+太陽光発電活用:北海道)
宗谷森林管理署は14日、町清明の国有林に設置している、風力、太陽光発電を活用したエゾシカの「囲いわな」の現地検討会を開いた。同管理署によると、風力、太陽光発電を組み合わせた囲いわなは国内初という。囲いわなはエゾシカの越冬地となっている稚咲内海岸砂丘林の一角に昨年12月から設置。合板とネットなどで周囲46・8メートルを囲い、中に牧草サイレージを置いてシカをおびき寄せる。入り口にセンサーを備え、シカが中に入ると受託事業者に電子メールで通知。わなに備え付けたカメラで画像を確認し、スマートフォンから遠隔操作で、落とし扉を閉めることができる。今月5日に3頭を捕獲し、食肉加工業者に搬出した。同管理署がこの場所に囲いわなを設置するのは昨年度に続いて2回目で、昨年度は計31頭を捕獲。センサーやカメラなどに電力を供給するため、前回は軽油式の発電機を使ったが、多額の燃料費がかかったため、本年度は自然エネルギーを活用した。道内の他地域では太陽光発電を使った囲いわなを設置しているが、この地域は日照が少ない一方で風が強いため、風力と太陽光のハイブリッド発電を導入した。検討会には宗谷総合振興局や地元自治体、環境省などの関係者約20人が参加。シカはわなにかかっていなかったが、風力発電設備や遠隔操作で落とし扉が閉まる様子などを見学した。同管理署の担当者は「風力、太陽光が不安定で、捕獲装置の稼働時間を短縮したり、バッテリーを充電、交換したりして運用している。まだ試行錯誤の段階だが、うまくいけば、電力が確保できない地域でも囲いわなを設置できるようになる」と意義を説明した。わなは3月中旬まで設置する。
(イノシシ被害最悪:石川)
金沢市内のイノシシによる農作物の被害総額が二〇一五年度、千五百五十五万四千円に上り、過去最悪を記録した一四年度を上回った。暖冬の影響でイノシシの個体数が増加したことが理由とみられる。市農業振興課によると、イノシシがのり面やあぜを掘り起こし、タケノコやイネを食べるといった被害が多発している。被害総額の内訳を見ると、タケノコは千二百万円で前の年度より二百七万八千円増えたが、水稲は田んぼを囲う電気柵の設置が効果を発揮したとみられ、六十九万八千円減の三百五十五万四千円だった。捕獲体制が強化されたことで、捕獲数は四百五十五頭(昨年十一月二十日現在)で、前年同期(百六頭)の約四倍になっている。市内でイノシシの生息が初めて確認されたのは〇四年。温暖化により市内で越冬するようになり、個体数が増加し、生息区域も北上してきている。被害の深刻化を受け、市の補助を受けながら捕獲おりや電気柵を設置する農家が増えている。昨年十一月二十日現在、捕獲おりは百二十八基、電気柵は五百六十三キロ分設置されており、それぞれ一五年度に四十基、六十五キロ増えている。市も一五年度から、狩猟免許を持たない地元住民百十二人を「補助者」に認定し、わなの見回りや餌やりができる制度を県内で初めて導入するなど、捕獲体制を強化している。
(同一サル?が出没:新潟)
弥彦村にサルが出没しているが、今度は燕市の国上地区にもサルが現れ、その姿が動画で撮影された。撮影したのはホームページや映像の制作を手掛ける燕市吉田、自営業丸山稔智さん(52)。国上地区へ動画撮影に出掛けてサルに遭遇した。17日午後2時前、県道2号新潟寺泊線から国上山ふもとの国上の集落へ向かう道を入って間もなく、道路にたたずんでいるサルを見つけた。車内にiPhoneをセットして動画撮影しながら近づいた。車が近づくとサルは横道に入り、用水路に架かる橋の細い金属パイプの上に器用に座って小さな赤い実を食べ始めた。丸山さんはサルからわずか1.5メートルほどの手が届きそうな距離まで近づいたが、サルはまるで逃げるようすがなかった。地元では昔から国上山にサルが住んでいるといううわさがあるが、若い人は知らない。丸山さんは弥彦神社で撮影された写真と比較して「同じサルと思う。逃げるような感じがなく、人慣れしているようで、野性という感じはしなかった」と言う。サルの危険性が心配されているが、「丸々とふとっていてかわいかった」と率直な感想。「温泉地もあるのでサルが増えたら心配だが、国上山、弥彦山、角田山はほかの山とつながっていないので繁殖することはないだろう」と話している。
(白いサルが出没:長野)
阿智村の智里と清内路の境あたりに、白いサルが出没している。干支(えと)にちなんで縁起の良いものだが、サルは農作物などに被害をもたらす有害獣のため、複雑な思いで見守られている。白いサルは下伊那郡西部衛生施設組合が運営するクリーンヒル西部や火葬場の周辺に出没している。30匹ほどの集団の中に真っ白なサルが1匹、白みがかったサルが1匹交じっている。昨年の秋ごろからたびたび目撃されるようになり、ことしに入ってもたびたび訪れている。サルの集団は近くの国道沿いなどでもよく見られるという。クリーンヒル西部の職員は「このあたりに畑はないので農作物への被害はないと思うが、移動していけば害になるかもしれない。誰かに捕獲してもらえるとありがたいのだが」と話していた。
(サル被害相次ぐ:大阪)
「災いが去る」として、縁起の良い「申(さる)年」だが、大阪府泉南市の住宅街でサルの被害が相次いでいる。住宅街近くの竹やぶに数年前からすみついているとみられ、当初は家庭菜園の野菜や果物を食べる程度だったが、家の中に入って食料をあさるように。昨秋からは人に飛びかかったり、かんだりするようになり、市が把握しているだけでも13人が負傷した。思わぬ災難に、住民らはサルにおびえる生活を余儀なくされており、市は本格的な捕獲作戦に乗り出した。「一瞬、犬かと思ったら、サルがふくらはぎにかみついていた」。泉南市の実家に帰省していた会社員、高岡正治さん(47)は、今月4日朝の驚きの出来事を振り返った。神奈川県の自宅に戻ろうと車の中を整理していたときに突然、右足に痛みを覚えた。足下を見ると、サルが自分の足をかんでいた。「コラッ!」。大きな声で怒鳴ると、逃げ去ったという。ズボンをめくるとかまれた跡があり、血が滲んでいた。「今年は年男なんですが、新年早々からとんでもない災難でした…」。被害は、JR和泉鳥取駅近くの戸建て住宅が並ぶ住宅街で相次いでいる。住民らによると、5年ほど前からサルが目撃されるようになった。当初は家庭菜園を荒らされる程度だったが、次第に家の中にも入り込むようになり、仏壇のお供え物や台所の食材を食べられる被害も相次いだ。昨秋からは人に危害を加えるようになり、10月25日にゴミ出しをしていた女性がかまれて以降、これまでに少なくとも13人が負傷。ほとんどは軽傷だが、飛びつかれて転倒し腰椎を骨折した女性もいるという。けがに至らなくても、「背中に乗られた」といったケースは毎日のように発生。住民の女性(67)は「まさかサルにおびえながら生活するなんて考えもしなかった。怖くて外出する回数が減った」。別の女性(82)は防犯ベルを持ち歩くようにしたという。「効果は分からないけど不安でね」と表情を曇らせた。市が確認しているのは2匹。市では、平成24年から竹やぶにワナを仕掛けているが捕獲できていない。先月、人的被害が発生している事態を受けて、市は積極的に捕獲する方針を決めた。サルの生態や捕獲に詳しい専門家らを招いて対策を協議し、昨年末から竹やぶの中にえさ場を作っておびき寄せ、ビデオ撮影している。一定期間観察し、生態を把握した上で麻酔銃を使って捕獲する方針だ。市街地にサルが出没する事例は府内でも各地で相次いでいる。専門家によるとオスザルは4~6歳になると、生まれ育った群れを離れて他の群れに入るために移動し、途中で市街地に迷いこむことがあるという。ただ、泉南市のサルの場合は2匹のうち1匹はメスとみられ、ペットとして飼われていたサルが捨てられた可能性も考えられる。野生動物の被害防止に詳しい「自然環境研究センター」(東京)の滝口正明さんによると、野生のサルは人を警戒するが、エサをもらって人に慣れると、徐々に行動が大胆になっていくという。「一度、家の中に入り、怖い思いもせず簡単に食べ物を手に入れられると、それを学習して繰り返していくようになる」。人を攻撃するようになった理由は分からないものの「そうした状態になれば、殺処分を検討せざるを得ないだろう」と話している。
(サル対策に住民名乗り:千葉)
サルによる農作物の被害を食い止めようと、君津市は、市民2人と市職員5人からなる「鳥獣被害対策実施隊」を発足させた。
(「少ない」カモ類:長野)
諏訪湖と周辺の13河川で15日朝、県諏訪地方事務所職員と県鳥獣保護員がカモ類の数を調べたところ、確認個体は2074羽となり、前年同期より700羽ほど少ない結果になった。湖面に全く氷が張っていない状況下での調査は2007年1月以来8季ぶりで、この時の確認数(5439羽)に比べると半数以下の水準。一部の保護員からは暖冬で渡り鳥が南下してこないことや、船による追い払いの影響が要因として挙がった。潜水してワカサギを食べるとして、漁業関係者が追い払うカワアイサは722羽と半減した。湖面が氷で覆われると都合が悪くなるため、広範囲が結氷していると数は減るが、今回は逆転現象が起きた形だ。07年1月の確認数は2333羽に上っていた。確認した10種のうち、カワアイサを含む7種が前年より減少。また、コハクチョウは13羽にとどまり、1993年以降で最少となった。水鳥が集まる岡谷市の横河川河口を含め、湖の東岸を回った高橋桂さん=下諏訪町=は「保護員をやって10年以上になるが、今年は非常に少なくてびっくりした」と話した。日本野鳥の会諏訪の会長でもある保護員の林正敏さん=岡谷市=によると、要因の一つは暖冬で、日本海側の雪が少なかったり、凍るべき湖が凍らず餌を取れる環境にあるため、諏訪湖周辺に飛来してこないという。ただ、個人的見解と前置きした上で「主要因は船による湖面での追い払い。対象種以外にも影響を与えている」と指摘。「諏訪湖は水鳥が多く『鵞湖』と呼ばれたが、その名を返上しなくてはならないぐらい環境が変わった」とした。同じく保護員の篠崎知明さん=諏訪市=は「カワアイサは貴重な鳥」と述べ、追い払いに疑問を投げかけた。諏訪湖漁協の藤森貫治組合長は「カワアイサについては追い払い効果が出ているかもしれないが、その他の種には重圧を掛けないように追っており、数の少なさは気象的要因だ」と反論。「ワカサギが食べられて採卵事業が2年連続で失敗すれば、組合員の生活のほか、諏訪湖産の卵を頼りにしている全国140湖沼に影響が出る。理解してほしい」と話した。調査は毎年6、10、1月に実施。1月は環境省の全国調査を兼ねている。
(狩猟エコツアーが人気:千葉)
鋸南町が開いている「狩猟エコツアー」が、県内外からの参加者で盛況だ。町として初めての試みは、観光振興とともに、鳥獣対策への関心を高める狙いがある。エコツアーのコースは「けもの道トレッキング」と「ジビエ料理ワークショップ」「解体ワークショップ」の三種類。各コースで、毎回定員は二十人程度。トレッキングは、山間部の横根地区で横根ワナ組合の案内で険しい山道に入り、イノシシ捕獲用のワナや監視用カメラなどを見て回る。昨年十一月の第一回は八十九人、十二月の第二回には二百二十六人の応募があった。抽選で第一回三十二人(県内二十人、県外十二人)、第二回二十七人(県内十七人、県外十人)が参加。応募が多いことから今月十一日予定の第三回後も、実施を検討している。料理のワークショップは、昨年十二月の第一回を保田地区の町保健福祉総合センターすこやかの調理実習室で実施。長野県茅野市にあるフランス料理店のオーナーシェフで、NPO法人日本ジビエ振興協議会理事長、藤木徳彦さん(44)を講師に招き、イノシシやシカ肉を食材にした料理づくりをした。これも五十七人の応募があり、十九人(県内十二人、県外七人)が参加した。第二回は今月二十四日に予定。解体のワークショップは、宇都宮大から専門家を招いて二月七日に開く。これまでの参加者もそれぞれ満足した様子。トレッキングに参加した銚子市の大学生の女性(21)は「将来ワナや猟銃の免許を取ることに興味がある。大変な山道を歩いたが、実際にワナなどを見て、よい経験になった」と話した。料理のワークショップに出た神奈川県の大学院生の女性(27)は「イノシシやシカ肉は臭いが強いと思ったけれど、それほどでもなく親しめる」と話す。ツーリングなどで房総半島を度々訪れ、廃校を改修して昨年十二月に開業したばかりの会場近くにある道の駅「保田小学校」を訪れることも目的だったという。白石治和町長は「鳥獣を悪者扱いするだけではなく、捕獲したイノシシやシカなどの肉を使う料理がもっと一般に広がれば、観光振興などで町の活性化にもつながる」と期待。町内のハンターの平均年齢は六十代半ばと高齢化していることから「鳥獣対策に多くの人が関心を持ってほしい」と話す。
(人と獣の戦い、勝負は紙一重:福井)
「パン、パン、パン」。爆竹の音が山中にこだまする。「そっちへ逃げたはずや」。ベテランハンターが無線で仲間に伝える。だが、いくら待っても銃声は響かない。「獣も賢いもんだ」と苦笑い。増えすぎたニホンジカやイノシシが、県内でも農林業に被害を及ぼしている。昨年12月中旬に福井市で行われた巻き狩りに同行し、人と獣がせめぎ合う現場を見た。巻き狩りは、多くの狩猟者で獲物を取り囲み、勢子(せこ)と呼ばれる追い込み役が囲いを縮めながら追いつめ、山ぎわで待ち構える射手が仕留める伝統的な猟法だ。この日は同市東天田町の山中で行われ、午前8時に県猟友会高志支部の会員12人が集まった。勢子を率いる同市有害鳥獣捕獲隊長の黒川光行さん(74)に同行をお願いすると、「別にええけど、ついてこれるかな」。黒川さんは事前に調べた山の状況や獣がいる場所を伝え、勢子が進む方向と射手の位置をてきぱきと指示した。普段は4、5人で巻き狩りを行っている。「お互いの技量が分かっていて、意思も通じやすいからな」。多人数になるほど誤射などの事故が起こりやすい。何度も注意を促した。巻き狩りは本来、雪が積もった時が効果的だ。ニホンジカやイノシシが目立ち、逃げた足跡を追いやすいからだ。この日は所々に雪がうっすらと残る程度だったが、道がない山林の斜面はずるずると滑る。標高200~300メートルの尾根をすいすい進む黒川さんらの後ろで、記者は何度も足を取られ、地面に手をついた。すぐに息が上がった。「ちょっと前までシカが休んでいた跡や」。副隊長の小林信行さん(66)が指さした場所は、下草が凹状に倒れていた。獣が通った茂みの細い筋、下草が食べられて全くない場所、皮を剥がれて白い地肌がむき出しになった木があちこちに点在していた。「獣を爆竹で脅かしても、射手がいる方まで逃げず、人間が通り過ぎるのを待って元の場所に戻るんや」と小林さん。いてつく寒さの中、汗だくになって2時間ほど山中を歩き回ったが、一度も銃声は聞けなかった。周囲は霧が立ちこめ、麓の様子もよく見えない。尾根は複雑に入り組み、ベテランでも道に迷う時がある。この日もやむを得ず予定と違うルートを探し、林の中を下山した。他の勢子や射手と合流すると、「ほんの2、3メートル先にイノシシがいた。銃を持っていれば」と悔しがる人や、ニホンジカの甲高い鳴き声を聞いたという人がいた。“勝負”は紙一重だ。巻き狩りでは仕留められなかったが、小林さんが仕掛けたくくりわなにニホンジカが掛かっていた。小林さんは「福井市内ではこの3、4年でニホンジカは爆発的に増えた。イノシシと違って利用価値がなかったから、以前は見ても捕らなかった」と話す。捕獲をさらに増やすには、ジビエ(獣肉)の利用拡大も不可欠だ。猟友会では若手の北和展さん(44)は、同市内で料理店を営んでいる。自分で捕まえたり、先輩からもらったりしたイノシシやニホンジカの料理を店で出している。「獣の肉は臭いというイメージがあるが、その場で血抜きしたものは新鮮で気にならない。お客さんにも喜ばれますよ」
(富士山にはサルがいない、なぜ?)
今年の干支(えと)は申(さる)。サルは「富士山の神様の使い」ともされている。だが、何度も富士山を訪れたことがあるが、その姿を見たことがない。地元の人から「富士山にサルはいない」とも聞く。なぜ富士山にサルはいないの?御坂山系や足和田山周辺など、富士山を取り巻く山には多くのニホンザルが住んでいる。山梨県富士吉田市新倉や鳴沢村の国道139号沿いにある畑では、野菜の被害も出ている。だが、富士山5合目で冬季も宿泊者があれば営業する山小屋「佐藤小屋」の4代目、佐藤保さん(57)は「シカやカモシカ、イノシシは頻繁に小屋の近くに出てくるけれど、サルは1回も見たことがない」と話す。山中湖村職員で、狩猟や有害獣駆除で年間50日以上富士山を駆け回っている羽田健志さん(43)も「山中湖周辺では、桂川より西のエリアでサルはいないとされている。実際、見たことがない」と話す。特定非営利活動法人「富士山自然保護センター」理事で、「富士山の自然」などの著書がある渡辺通人さん(62)は5年前、東京農工大や現在の県富士山科学研究所と協力し、御坂山系に住むサルの分布調査を始めた。数頭のサルに電波発信機を着け、3年間にわたって行動範囲を調べた。その結果、御坂峠から富士吉田市新倉あたりまで、周回移動する約90頭の群れがいることが分かった。だが、富士山麓(さんろく)には行かなかったという。渡辺さんによると、群れと別行動する「離れザル」がおり、アケビや山グリなどの好物にひかれて富士河口湖町船津の河口湖フィールドセンターあたりに現れることもあるが、長くとどまることはないそうだ。調査で、サルの行動範囲には沢や水たまりなど四季を通じて表層を流れる水が存在することが分かった。水飲み場が必要なようだ。県富士山科学研究所でシカの生態を調べている小平真佐夫研究員(53)は「サルは日常的に水面に顔を近づけ、直接ごくごくと水を飲むけれど、シカなどの草食動物は、エサからの水分補給だけでも生きていけます」と話す。渡辺さんは「火山性土壌の富士山では雨水は地下に浸透してしまい、沢水として湧き出ている場所がない。それに、山麓に広がるアカマツの人工林にサルのエサは少ない」と話す。サルの姿が見られないのは、富士山の静岡県側でも同じだ。この春、静岡市に開館する「ふじのくに地球環境史ミュージアム」の岸本年郎准教授(44)は「サルは愛鷹山や裾野市などの外輪山地には住んでいますが、富士山本体には定着していません」。理由として、山梨県側と同様に水場がないことと、5合目以下の森林にサルの好むエサが少ないことを挙げた。では、なぜ、サルが住んでいない富士山で、「神様の使い」とされているのだろか。富士吉田市上吉田のふじさんミュージアムで、新春特別展「富士山と猿」が開かれている。ここでは、申年のなかでも60年に一度巡ってくる「庚申(かのえさる)」の年に、富士山が誕生したという伝説が紹介されている。江戸時代の富士講登山者が白装束に刷り込んだり、身につけたりしたというサルと富士山の神様が描かれた「絵札」も展示されている。布施光敏学芸員(48)は「昔も今も富士山にサルはいないと聞いています。シカやイノシシなど実際に住んでいる動物は、一度も『神の使い』として描かれたことはありません。富士山で、サルは神話や信仰の世界で生きています」と話している。
(鳥獣被害の防除策学ぶ:神奈川)
湘南地域鳥獣害被害対策支援チーム(県湘南地域県政総合センター)主催による鳥獣害対策講習会「生活被害対策地域点検」が1月8日、大磯町の東小磯防災館とその周辺で行われた。イノシシやシカ・カラス・ハクビシンなどの鳥獣が引き起こす生活被害の原因を点検し、住民の手でできる対策を検討するために実施されたこの講習会。同防災館内での座学では、大磯町職員や県職員が東小磯地域内の善兵衛池周辺における取り組みを紹介。イノシシなどが近寄れない環境づくりに向け、餌場や潜み場所を無くすための雑草・木々の剪定が大切として住民の協力を呼びかけた。また、講師として招かれた元近畿中国四国農業研究センター鳥獣害研究センター長の井上雅央さんは「イノシシは”暑がり”で”怖がり”で”怠け者”。餌場がある涼しい場所に棲みたがる。駆除するというよりも、被害に遭わない対策を講じてほしい」と話した。座学の後は実際にイノシシが出没した現場を視察しながら、井上さんから防護柵の設置方法や木の剪定方法などを学んでいた。
(シカ食害のパネルを展示:高知)
高知県香美市の三嶺山系のシカ食害の状況を記録した写真パネル展が、香美市土佐山田町の香美市役所1階ロビーで開かれている。被害が顕在化する2000年代初めからの山の変化や被害の現状、植生回復に向けた活動などを紹介している。20日まで。地元住民らでつくる「三嶺の森をまもるみんなの会」(依光良三代表)が主催。写真は三嶺の森をまもるみんなの会メンバーらが撮影し、食害で変貌していく山の様子を、約40枚のパネルにまとめた。ササが枯れた尾根や樹皮を剥がされた木々、緑を失った土壌などが被害の深刻さを伝えている。また、地元の小学生らが防護用の柵やネットを設置する様子など、森林の保護と再生に向けた取り組みも紹介している。
(松阪にニホンオオカミ?早大探検部OBら調査へ:三重)
110年前に絶滅したとされるニホンオオカミだが、その生存を信じ、調査を続けている民間グループ「ニホンオオカミ倶楽部(くらぶ)」(東京)が、新たに三重県松阪市の山中で調査を開始することが分かった。メンバーの石田哲郎(てつお)さん(70)は「わずかだが、期待を持っている」とロマンを追い求める。倶楽部は早稲田大探検部OBが五年前に設立。目撃情報があった山梨、埼玉県などにまたがる秩父地域で二〇一〇年二月からカメラを設置するなどし、調べている。今回、調査対象とするのは松阪市飯高、飯南両町の山中。飯高町に住むデザイナー野田享敬(たかのり)さん(58)が自宅近くの山林や飯南町の谷沿いで、四年ほど前から獣に襲われたシカの死骸やイヌのような足跡を発見。昨年十二月四日にも新たな死骸を見つけた。知人の石田さんにこれまでに撮影した死骸の写真を送るなどして、調査を依頼した。死骸は鼻先や腹、尻などを食われていたが「イヌ科の動物しかあり得ない襲い方。地元に野犬はいないと聞いている」と石田さん。ニホンオオカミが最後に捕獲されたのは飯高町に隣接する奈良県東吉野村ということもあり、生存可能性があると判断した。両町ではまず十、十一の両日、倶楽部のメンバーらと野田さんの計六人が山中に入り、野田さんが死骸を見つけた現場などを調べる。状況次第では今後、カメラの設置なども検討する。石田さんは「わずかとはいえ期待を持っている。可能性がないなら調べない」といちるの望みを託す。野田さんは「絶滅したはずのニホンオオカミがいたら面白い。夢がある」と話している。ニホンオオカミに詳しい東京農工大の丸山直樹名誉教授(野生動物保護学)は「ニホンオオカミの足裏は長さ約一二、三センチ、横一〇センチと一般的な犬に比べて大きい。足跡を測ればすぐ分かる」と、両町での生存に否定的な見方を示した。
(女性の力でサル撃退へ:神奈川)
サルによる農作物被害に苦慮する神奈川県伊勢原市が、県内で初めて、農家の主婦ら女性を対象にしたサル撃退講習会を開く。2012年以降、シルバー人材センターの協力を得て対策を講じているが、男性が少ない時間帯に出没するようになるなど「敵もサル者」。市は被害抑止に向け、ウーマンパワーを切り札にする考えだ。市内では現在、北部地域に40~50頭の「群」が四つ、10頭前後の「集団」が一つ確認されており、生息するサルの総数は約200頭とみられている。動物園のサル山と違い、ボスはメス。市はこのうち7頭に発信器を装着し、動きを監視するなどしている。農作物被害が目立ち始めたのは5年ほど前から。耕作放棄地などに放置された野菜や果実が狙われたのがきっかけだった。市は12年、農業振興課に「サル追い払い隊」を発足。職員2人とシルバー人材センターから派遣された6人が、ロケット花火や爆竹などを駆使して、サルを山へ追い返す活動を展開してきた。しかし、農作物の被害額は、市への報告分だけで600万~1000万円ほどで推移し、なかなか減らない。最近は、サルが女性や高齢者ばかりになる時間帯を見計らったように人里に現れる傾向も出始めた。農家以外の一般住宅で台所や仏壇が荒らされることもしばしば。もはや同隊だけでは人手も足りず、農業振興課職員で同隊副隊長の山口友理さん(29)は「主婦部隊」が立ち上がる時だと力説する。女性向け第1回撃退講習会は3月1日に日向地区の集会所で開催。周辺のミカン農家の主婦ら約20人を対象に、座学編と実践編の2本立てで実施する。座学編では「サルと遭遇した際、背を向けて立ち去るのではなく、声やアクションで威嚇する」などの基本を映像を交えて学ぶ。一人でも甘い態度を見せると、地域全体がなめられることにつながるため、全員で行動を統一、徹底することも大切だという。実践編では▽ロケット花火を群れの方向へ傾斜45度を目安に発射する▽爆竹を缶の中に入れ、より大きな音で威嚇する――など撃退法を学習。アンテナを用いた群れの位置検索も行う。都内の野生動物調査会社から招く講師陣も全員女性。山口さんは「ボスのメスザルに対抗するわけではありませんが、他県でも、有害鳥獣対策で女性が力を発揮するケースが増えています。この家は怖い、この集落は危険だと、サルに思わせることが肝心です」と話す。市は、第1回講習会で出た課題や要望を新年度以降の講習会に反映させながら、より多くの女性に協力を求めていく方針だ。
(スマホ使ってサル捕獲:三重)
今年の干支(えと)と言われても、もうこりごり。山から下りてきたサルなどの襲来が増え、防戦一方だった集落の住民らが攻めに転じた。ヒトの英知を結集した新装置の数々で、平穏は取り戻せるのか。どこを向いても山また山の三重県伊賀市、子延(ねのび)集落。約100戸の外れで先月上旬、スーツに革靴の約30人がオリを囲んだ。獣害に悩む佐賀や島根、徳島などの自治体職員、農林水産省の官僚らが捕獲用の新装置「まる三重(みえ)ホカクン」を見学に来たのだ。「柵はスマホで落とせます。ぜひ」。三重県農業研究所の山端直人さん(46)に勧められ、記者もスマホを持った。オリのライブ映像を画面で見ながら「捕獲する」ボタンを押す。ガチャン。柵が落ち、周りからオーッと声が上がった。子延がある阿波地区では古くから、人は里、動物は山とすみ分けて共生してきた。伊賀出身の松尾芭蕉が詠んだ「初しぐれ 猿も小蓑(こみの)を ほしげ也」の句にちなんで名付けられた「さるびの」という温浴施設もある。だが、20年ほど前からサルやシカが餌を求めて里に下り、狼藉(ろうぜき)を働きだした。100匹近いサルの群れが屋根を伝い、時に室内へ。「もう農作物は何も作れない」と嘆く人も出始めた。山端さんは「里に人の気配が薄くなったのが一因。動物が田畑に来れば、簡単においしい農作物が手に入ると学習してしまった」とみる。2004年に1366人だった住民はいま約1100人。65歳以上の割合は36%から44%になった。こうした獣害は全国の中山間地で起きており、最近の被害額は年200億円に及ぶ。国は防護柵の設置に力を入れ、三重県も国の交付金を使ってこの5年で32億円を投じてきた。阿波地区では10年から国の3800万円、市の1050万円に、住民らも540万円を負担して五つの集落それぞれをすっぽり囲む計15キロの柵を巡らせた。それでもサルやシカは、林道や水路といったすき間を見つけて入ってきた。そこで登場したのが「まる三重ホカクン」だ。14年9月、政府の「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業」に採択され、獣害対策の実験の地に伊賀市が選ばれた。三重県農業研究所を中心に、鳥羽商船高専や民間会社などが連携、阿波地区は子延など4集落で研究が進む。太陽光発電で動くカメラがオリを向き、闇夜の動物を赤外線で捉える。映像が送られるパソコンやスマホの画面とにらめっこしている必要はない。動物を検知するとメールで知らせてくれるからだ。動物がよく出る場所へすぐ運べる大型オリや、動物を効率的に処理する電気ショッカーも開発。これらの導入から1年あまりで、子延ではシカ60頭とサル50匹を捕まえた。獣害被害はほぼゼロになった。シカの一部は食肉処理され、地区の名にちなむ農園食堂「あわてんぼう」で主婦らがジビエ料理として提供する。サルはめったに悪さをしなくなり、「もう捕獲しなくてもいいのでは」と同情する声や、「柿がサルに取られなくなった」と喜ぶ声が上がった。地区の住民自治協議会の東出直美さん(66)は「シカに食われて草一本なかった道ばたに草が生え、草刈りしなきゃならんなという話も出ております」。動物たちとの戦いに神経をすり減らせてきた日々を振り返り、安堵(あんど)の笑顔を見せた。
(イノシシ駆除で実績、県内認定1号:岡山)
有害鳥獣の駆除を進めるために創設された認定事業者制度で、岡山県内第1号として登録されたNPO法人「ももたろう有害鳥獣対策協議会」(岡山市中区八幡)が活動を本格化させている。
(獣肉加工施設開業、名称は「猪鹿工房」に:愛知)
豊田市足助地区の獣肉加工処理施設が十日、営業を始めた。十二日までの三日間に、小原や足助地区などで捕獲されたイノシシ八頭が運ばれ解体。早速、生肉としてや、肉まん、ソーセージに加工して販売した。施設は、これまで廃棄されていた地元で捕獲されたイノシシの肉を有効活用し地域活性化につなげようと、地元の猟師らでつくる会社「山恵(やまけい)」が市の補助を受けて昨年十二月下旬に建てた。仮称だった施設名は「猪鹿工房」に決まった。営業開始後は、イノシシの捕獲の連絡が入ると、狩猟免許を持った同社社員らが現場に向かい、市の衛生管理ガイドラインに沿って殺処理し施設へ運んだ。安全性や肉質を保つため、捕獲現場では外傷などを、施設では内臓や血液など三十項目をチェック。全てクリアしたものだけを食肉として流通させる。捕獲された八頭のうち一頭は対象から外れた。十日にはオープニングイベントもあり、早速、鍋用のシシ肉を買い求める客もいた。山恵の担当者は「イノシシ肉は臭いというイメージが根強いが、正しく処理すれば臭みも出ない。消費者の認識を変えていきたい」と話した。安全性とともに、継続的に出荷できるかが今後の問題。既に猟友会から「暖冬で山中に食料が豊富なため里山までイノシシが降りてこず捕獲が難しい」という声も。山恵では「課題を一つずつクリアしながら、軌道に乗せていきたい。各地区の猟師と捕獲や連携をしながら、効率が良い流通の仕組みを確立していきたい」と話した。
(ジビエBBQに舌鼓:兵庫)
兵庫県佐用町光都のひょうご環境体験館で16日、野生動物との共生を考える催しがあった。西播磨各地から約35人が参加し、シカとイノシシの肉を使った「ジビエバーベキュー」に舌鼓を打った。同館で1月末まで開催している特別展「里山の動物たち」の関連行事。県内でもシカやイノシシによる農林業の被害は深刻で、食材としての利用を広めて生息数の減少につなげようと企画した。参加者らは、講演会で野生動物による被害の実態を学んだ後、屋外で鉄板を囲んだ。脂がのったイノシシ肉はあっさりとした味で、シカ肉には臭みもなく、「うまいなあ」と驚きの声があがった。シカによる山林の荒廃が気になって参加したという宍粟市山崎町の男性(66)は「バーベキューで食べるのは初めてだが、どちらも予想以上においしかった」と驚いていた。
(愛犬に「鹿ジャーキー」を:北海道)
町内振内の主婦、畠山夏子さん(41)が、エゾシカ肉を使った犬用のおやつ「鹿ジャーキー」を販売している。添加物は一切使っておらず、注文を受けてからの手作り。ペットの体を気遣う愛犬家の集まるドッグカフェなどから注文が寄せられている。畠山さんは2014年4月、町の地域おこし協力隊員になった夫の隆之さん(41)と共に苫小牧から転居。旭川でペット用品店を営む友人から「犬や猫に安全なものを食べさせたい」と相談を受け、商品化を思い立った。材料のシカ肉は町内在住のハンターから購入している。部位は、1頭から1キロ弱しか取れないという背中のロース肉。冷凍状態で仕入れたものを半解凍させてスライスし、食品用の乾燥機で乾かして25グラムと50グラム入りの袋詰めにする。夏子さんは昨年1月、ペット食品製造会社「なちゅらる・ていすと」を立ち上げ、同年3月から販売を始めた。すべて手作業のため量産は難しいが、多いときは2種類合わせて月に50袋ほど売り上げるという。現在はドッグカフェなど業者からの注文が中心だが、希望があれば個人にも販売する。夏子さんは「無添加品を求めるペットに少しでも行き届いてほしい」と話す。
(県内34店できょうからジビエフェア:高知)
野生鳥獣の肉(ジビエ)の消費拡大を図る「よさこいジビエフェア2016」が1月15日から高知県内で始まる。県内の参加店舗でジビエ料理を食べて応募すると、抽選でプレゼントがもらえる企画。高知県の主催で3月13日まで。シカやイノシシなどによる高知県内の農林業被害は年間約3億円。捕獲した鳥獣の肉を地域資源として活用しようと、高知県は一昨年からフェアを主催している。今回はこれまでで最多の34店が参加。安芸郡東洋町から四万十市まで5市7町の飲食店や宿泊施設が「猪肉のビール煮込」(高知市のオステリアビベール)、「イノシシのベーコン」(高岡郡四万十町の笑美)、「鹿バーガー」(長岡郡大豊町の大田口カフェ)などを提供する。料理の感想などアンケートに答えると、シカ肉のソーセージやイノシシの脂を使ったせっけんが抽選で当たる。高知県は参加店舗の情報をまとめたガイドブックを2万部製作し、県内のコンビニや道の駅などで配っている。高知県鳥獣対策課は「イノシシはコラーゲンたっぷり、シカは鉄分が豊富。ジビエは女性がうれしい栄養素を含むので、この機会にぜひ試してほしい」と呼び掛けている。
(給食にジビエバーガー:和歌山)
古座川町教育委員会(和歌山県)は町内にある小中学校の給食に、地元産のジビエ料理を出す取り組みを始める。第1弾として25日、シカ肉を使ったジビエバーガーが登場する。提供を前に、同町高池の町中央公民館で8日、各学校の給食調理員らを対象にした調理講習会が行われた。
(“ジビエ節”高校生ら開発へ:大分)
イノシシやシカの肉を使った、カツオ節ならぬ「ジビエ節」の商品化に、県立三重総合高久住校(竹田市)の生徒6人が挑戦している。食品加工会社「成美」(豊後大野市)との共同開発で、今春の販売開始に向け、2月に東京で開かれる食品の見本市で売り込む予定。企画したのは、ジビエを使ったレトルト食品を製造、販売する同社の岩切知美社長(44)。ジビエ肉をカツオ節のように加工して保存食にしている欧州の一部地域の食文化からヒントを得た。イノシシやシカ肉からは濃厚なうま味が出ることから、「日本の家庭やレストランなどでも、カツオ節のように日常的に使ってもらえるはず」と岩切社長。県内で唯一、農業を専門とする同校の生徒に、商品の開発から販売までを経験させたいと、共同開発を持ちかけた。昨年11月から週4日、学校の食品加工室に集まり、仕込みから乾燥、試食、レシピの改善までの一連の過程を繰り返した。約30種類のレシピの中から「ジビエ肉本来の味を楽しめる」と、塩と白ワイン、大分特産のカボスの風味を加えたシンプルな味付けを採用。ご飯や冷ややっこにかけて楽しめるよう、イノシシ肉にはみそやサンショウなどを足した味付けのレシピも作った。レストランなどの業務店向けに棒状のジビエ節、家庭用に削り節の販売を目指している。1月中にレシピを完成させ、2月10~12日にかけて東京で開かれる「こだわり食品フェア」に出展し、バイヤーに売り込むという。岩切社長は「予想以上の出来栄えになっている。今回の経験を生かして、地域を引っ張る生産者になってほしい」と期待している。
(ジビエ料理味わって:岐阜)
岐阜県高山市清見町牧ケ洞の道の駅ななもり清見のレストランで、地元産のイノシシ肉を使ったジビエ料理の新メニューが登場した。新メニューは野生鳥獣肉の解体処理、販売を行う飛騨ジビエ清見(同市清見町牧ケ洞)から仕入れたイノシシ肉を使った丼「いのししドン」とイノシシ鍋。丼は、道の駅を経営する「七杜」特製の焼き肉のたれで野菜と肉を炒めた。鍋のつゆにも自家製のみそを使うなど、同駅でしか味わえない逸品。滝上耕平社長は「新鮮な肉を使っており、臭みがない。イノシシの甘みを味わってほしい」とPRしている。
(東京でジビエフェア、鳥取と岡山が合同で)
鳥取県と岡山県は15日、東京都港区のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」でジビエ(野生鳥獣肉)フェアを開いた。2県が協力して行うのは初めて。ジビエ料理を通して農家を困らせる鳥獣害の実態を広くPRするのが狙い。来場者からは鹿やイノシシ肉のおいしさ、革製品の滑らかさに驚きの声が上がった。17日まで。フェアの一角には、岡山県美作市で雑貨店を営む高山雅子さん(46)が鹿革を使って小物を作るクラフト体験コーナーを設け、キーホルダーや小銭入れなどが並んだ。高山さんは「単なるクラフト体験でなく、訪れた人には、美作市では年間1500頭の鹿などが駆除されている実態を伝え、心を込めた物作り体験をしてほしい」と期待を込めた。高山さんは鹿革でマフラーも制作。マフラーを試した東京都在住の原田幸子さん(64)は「鹿革の柔らかさと滑らかさが良い。捕獲された鹿にこんなにおしゃれな使い方があるなんて」と驚いていた。鹿肉のミネストローネやスモーク、イノシシ鍋などを試食するコーナーも人気。横浜市から来た佐藤仁子さん(63)は「ジビエ料理はちょっと抵抗があったが、臭みなどは全くなく食べやすい。想像以上においしかった」と話していた。
(しし肉料理を食べ尽くせ:岡山)
「しし祭り」は10、11日にあり、温泉街の旅館や飲食店のオリジナルイノシシ料理を食べ歩くイベントです。串焼き、カレー、しょうが焼き、カツサンド、坦々麺など14種類を提供。料理は現金でも買えますが、前売り券もあります(湯原観光情報センターなどで9日まで)。前売り券と、当日千円から販売されるチケットには、旅館の浴場の半額券と、湯原温泉のお土産物などが当たる抽選券が付いています。さらに前売り券は千円で1100円分使え、お得です。時間は各日午前10時~午後3時。10日午前11時から、温泉ミュージアム(同市湯原温泉)でもちつきがあり、つきたての餅を100円(限定50食)で販売。11日午前10時からは、白菜や大根など鍋料理に最適な野菜が並ぶ「温泉あさ市」も開かれます。「イノシシ肉は豚肉より歯ごたえがあり味が濃い。特に冬場は脂がのっておいしいですよ」と湯原観光協会。
(いい肌触り、鹿革手袋:東京)
環境省のレポートによると、国内で捕獲されるシカは年々増加し、二〇一三年度で年間五十万頭を超えている。革製品ブランド「INOCHIKA」の「ウエストディアスキングローブ」は、そんな駆除された動物の命を「できる限り無駄にしたくない」という思いから作られた鹿革の手袋だ。企画したのは俳優の伊勢谷友介さんが代表を務めるリバースプロジェクト(港区)。捕獲されたシカの皮が、肉と異なり、ほとんど廃棄されていることに目を向けた。担当者の牛山翔太さん(24)は「今は牛革の方が多用されているが、鹿革は古来、日本で重用されてきた素材。耐久性が高いなどの特徴を生かした商品を作って、有効に活用したかった」と振り返る。動物の解体現場や、なめし工場を訪ねて素材についての理解を深めつつ、安定供給される道筋をつけた。「きめが細かいので肌触りが良い。さらに伸縮性に富んでいるので手の形にもフィットしやすいはず」と手袋を作ることを考え、バイク用の革製品などを手がける工房に話を持ち込んだ。「技術の高さで知られるところで、縫製もしっかりしている」と牛山さんは胸を張る。男女問わず使えるよう、色展開などにも気を配り「上品な雰囲気」を醸し出したデザインにした。昨年の発売以来「温かいし、手にだんだんなじんでくる」と使い手たちからの評判も上々だ。好評を受け、環境への負荷を減らしたなめし革の製作もはじめた。「鹿革の質感を味わうことで、環境問題や、後継者不足に悩む皮革産業の現状に目を向けてもらうきっかけになれば」と牛山さんは力を込める。
(銃大国アメリカの鍵を握る企業「スミス・アンド・ウェッソン」とは?)
2015年1月5日。この日はアメリカ史年表に永遠に記録されることになるだろう。バラク・オバマ大統領が単独権限を行使し、銃規制を厳格化させると発表したのだ。ところが、この発表により巨額の利益を得た企業が存在する。銃器販売大手スミス・アンド・ウェッソン・ホールディングス(以下S&W)だ。5日の終値は、何と前日比11パーセント高という数字に終わった。これは銃規制を警戒した市民による駆け込み需要がもたらしたものだが、同時にS&Wという企業の存在感を改めて世界に知らしめた。ここで我々は、考えなければならない。S&Wとは、一体何なのだろうか?1836年、発明家のサミュエル・コルトが、新型のリボルバー銃に関する特許を取得した。これは、銃の撃鉄とシリンダーが連動する機構についてのものだが、実はコルトの発明はその部分のみである。レンコンのような形のシリンダーに弾丸を込め、連続して撃つというリボルバー式拳銃そのものは以前から存在した。コルトのやったことは、“新開発”というよりも“改良”だ。そして、その機構に目をつけていたガンスミス(銃整備士)はコルトだけではなかった。一つの発明を巡って特許争いが泥沼化するということは、アメリカではよくある。だがコルトはその泥沼で勝ち抜いた。彼の発明は丸々20年間、独占が保証されることになる。S&Wは、1856年にホーレス・スミスとダニエル・ウェッソンが共同で始めた企業である。平たく言えば、コルトとの特許争いに負けたガンスミスたちが作った会社なのだ。だからこそ、S&Wは創業当初から、他人の特許を買収することを前提にしている。リムファイア式金属薬莢や貫通式シリンダーなど、「斬新だが誰も見向きしなかった特許」に対して札束を積んだ。それぞれつながりのなかった、複数の特許技術を結合させて一つの製品を作る、というのは今では当たり前の企業戦略である。だがこれは19世紀中葉の話だ。当時としては斬新な手法だったことは言うまでもない。こうして開発された製品は、ホーレスとダニエルに巨利をもたらした。創業からわずか5年後に南北戦争が勃発したからである。S&Wは、この戦争でライバルのコルト・ファイアアームズ以上の印象を軍関係者にアピールした。32口径のリボルバー銃『No.2』は、北軍兵士の良き相棒になっただけではなく、世界中に輸出された。坂本龍馬もこの『No.2』を使用していたほどだ。S&Wは、浮き沈みの激しい会社としても知られている。戦争特需に支えられている会社は、世の中が平和になった時が一番危うい。南北戦争終了後、ホーレス・スミスが隠居するとS&Wの経営権はダニエル・ウェッソンと彼の3人の息子に分割された。だが最初に次男が早逝し、そして創業者である父が息を引き取ると、長男と三男とで内紛が発生した。この辺り、毛利元就の「三本の矢」のようにはいかなかったようだ。その後、世界は二度の大戦争を経験するが、S&Wは世界大戦が勃発する度に生産拡大を打ち出した。そしてそれが終わると、やはり経営難に陥り内紛が発生するという事態に見舞われた。銃産業は、決して安定した業種ではないのだ。近年も、S&Wは重大な局面に遭遇した。ヨーロッパメーカーの台頭である。アメリカの銃市場は、自動車のそれに似ている。今や国内企業の影は薄くなり、外国企業の製品が幅を利かせている状態だ。アメリカ軍ですらも、自国製品を捨てヨーロッパメーカーの銃を採用するという有様だ。ならば、頼るべきは国内の一般市民からの需要である。株価を支えるもの銃器メーカーや全米ライフル協会が、声高に「銃規制反対!」を唱え、子飼いの政治家に何度も演説をさせているには訳がある。銃の潜在需要を呼び起こすためだ。その試みは成功しつつある。アメリカ国内で相次ぐ乱射事件は、同時に銃の駆け込み需要を発生させる大きなきっかけとなった。S&Wの株価も、2015年の間に堅調な伸びを見せている。「銃がなければ我々は殺される」と、全米ライフル協会や保守派の政治家が何度も訴えかけた結果である。そして話は最初に戻る。2015年1月5日、S&Wの株価は、この日だけで11パーセントも高騰した。「銃がなくなることへの危機感」を最大限に利用し、平時でも安定した会社経営を確立させつつある。政治家にとって、銃器メーカーからの支援は非常にありがたいものだ。選挙が近づいた候補者は、企業から直接献金を受けなくてもいい。「銃規制に断固反対」と言っていれば、あとは全米ライフル協会がテレビコマーシャルを作ってくれる。広告費用という、議員事務所の経理担当が、最も苦悩する課題が解消されるのだ。あの時オバマ大統領が流した涙は、そんな構図に半ば絶望する悔し涙でもあるのではないか。

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