<射撃ニュース4月>

4/15
(市内を逃走のシカ、麻酔銃使い捕獲:静岡)
13日午前8時55分頃、静岡市清水区の国道1号静清バイパスの東名高速清水インターチェンジ付近で、「バイパスの中央分離帯付近にシカがいる」と通行中の男性から110番があった。シカは約4時間半にわたり逃げ回った後、近くの公園で捕獲された。付近の住民にけがはなかった。静岡市中山間地振興課などによるとシカはオスのニホンジカで体長約1メートル20、年齢2歳ほど。午前9時半頃には国道沿いのコンビニエンスストアの駐車場に逃げ込んだため、市の職員や警察官ら約30人が網やパトカーで取り囲んで捕獲しようとしたが、網を飛び越えて逃走。約1キロ・メートル離れた秋葉山公園に逃げ込んだ。午前11時半頃、ツツジ畑に逃げたシカに同課の職員が麻酔銃を2発放つが、「興奮しているのか麻酔が効かない」。3発目を撃ち、ようやくうずくまったシカをサスマタで捕らえようとしたが、公園の端の高台に向かって再び逃走した。「住宅街には逃がすなよ」と警察官らが焦りを見せる。ようやく麻酔が効き始めたのは4発目が命中した午後1時半頃、高台の斜面でゆっくりとひざを曲げ眠ったシカを職員らがすかさず取り囲みロープで縛った。シカはその後殺処分された。市中山間地振興課によると、シカは10年程前から暖冬化で頭数が増え、生息範囲が拡大しているという。同課鳥獣対策係の望月健係長は「殺処分はかわいそうという声もあるが、急増したシカによる食害が問題となっている今、捕らえたシカを逃がすことは出来ない」と事情を説明した。
(リビングにシカ侵入、床に血痕も:福井)
14日午前11時55分ごろ、福井市若杉町、会社員佐々木高浩さん(50)宅に、シカがリビングのガラスを割って侵入したと隣家の女性(67)が110番通報した。佐々木さん宅には誰もおらず、けが人はなかった。現場近くの社北小は、保護者に児童の迎えへの協力を求める緊急メールを出したほか、帰宅後は児童1人で外出しないよう指導した。通報した女性によると、シカは体長約1メートル。ガラス(縦約1・8メートル、横約0・9メートル)が割れた音に気付き、佐々木さん宅のリビングでじっと立つシカと目が合ったという。福井県警福井南署員が駆け付けると、道守高方面へ逃げた。同日午後1時ごろ、同校近くの田んぼで北西へ走るシカの目撃情報もあった。現場は社北小から約200メートル離れた住宅街。佐々木さん宅は道路の突き当たりにあり、割れたガラスは、外からは鏡に見えるミラーガラスだった。シカは前方に道路が続くように見えて突進した可能性がある。リビングの床やじゅうたんには、シカのものとみられる血痕が飛び散っていた。佐々木さんは後始末に追われながら「住宅街でまさかシカに入られるなんて…」と途方に暮れていた。市有害鳥獣対策室によると、これまでに市内の住宅にシカが侵入した被害はないという。現場は日野川へと流れ込む狐川の近くで、同室は「川に沿って来たのでは」とみている。
(イノシシ焼却、東北初の専用炉:福島)
福島県相馬地方で駆除したイノシシの焼却施設が相馬市内に完成した。東京電力福島第1原発事故の影響でイノシシの肉は出荷できない状態が続いており、専用炉で処理の円滑化を図る。年400~500頭の搬入を見込む。駆除したイノシシは各自治体が埋却したり、一般ごみと一緒に燃やしたりしている。東北農政局によると、専用炉の整備は東北で初めてという。完成した施設は福島県新地町、相馬市でつくる相馬方部衛生組合が運営する。120キロまで処理できる燃焼炉、20頭を保管する冷凍庫を整備。バグフィルターで放射性物質の飛散を防ぐ。事業費は約1億6000万円。現地で3月30日にあった火入れ式には約60人が出席。組合管理者の立谷秀清相馬市長が「処理を安全に進めたい」と述べ、関係者と始動ボタンを押した。
(山林30ヘクタール焼く、2年前と同じ場所:大分)
12日午後4時25分ごろ、別府市湯山の山林から火が見えると市消防本部に119番通報があった。火は広範囲に広がり、県と市は災害対策連絡室を設置。陸と空から消火活動し約5時間後に消えた。市によると焼失面積は約30ヘクタール。近くに民家はなく、けが人や建物の被害は確認されていない。同所では2年前にも約61ヘクタールを焼く山火事が起きている。県や市によると、市消防本部と市消防団からは、車両計16台、職員・団員計138人が出動した。県防災ヘリ「とよかぜ」は上空から消火活動。市内の大所(おところ)池から約500リットルを20回くみ上げ散水した。県警ヘリ「ぶんご」は、上空から現場の状況を監視し、撮影した映像を県防災センターなどに伝えた。県知事の要請を受けた自衛隊は別府駐屯地から車両19台、隊員120人を派遣。目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県)からは、夜間の消火活動もできるヘリ3機が別府に到着した。火災現場は陸上自衛隊十文字原演習場の南側にある市有地。市によると、市営湯山クレー射撃場の南側から出火し、西側と北側に燃え広がったとみられる。現場近くでは燃える山を心配そうに見守る人の姿も見られた。由布市湯布院町の女性(42)は「山裾の民家の方に燃え広がらずに良かった」と胸をなで下ろした。別府署によると、6日午後にも、今回の出火場所近くで約30平方メートルを焼くぼやがあった。湯山自治会の草牧徳明会長(75)は「住民の高齢化もあって野焼きができない状態が続いており、山火事を心配していた」と話した。現場の山林では2014年4月にも火災が発生。15時間以上にわたって燃えた。出火原因は現在も分かっていない。近くに住む80代の男性は「まさかまた同じ場所が燃えるとは」。現場入りした長野恭紘別府市長は「今回の出火原因が分かり次第、対策を検討したい」と述べた。大分地方気象台によると、12日の大分の最小湿度は48%。乾燥注意報は出ていないものの「比較的、乾燥した気象条件だった」という。
(スキー場「後ろからクマが追いかけてた」:長野)
森の中で大きなクマと鉢合わせしたら生きた心地がしないだろうが、すぐ後ろにクマが迫っていたのに気付かず、後から知って肝を冷やしたのはケリー・マーフィーさんだ。ケリーさんは4月9日(2016年)、長野県のHakuba47ウインタースポーツパークスキー場で、大きなヘッドホンをつけ、リアーナの曲を口ずさみながらスノーボードで人気のないコースを悠々と滑り降りていた。いわゆる「セルフィー」で自分を撮影していたもだが、映像をチェックして仰天した。滑っているときはまったく気付かなかったが、自分の背後に追いかけてくるクマが何度も写り込んでいたのだ。クマはツキノワグマとみられるが、かなり大型で、北海道のヒグマのような迫力がある。あまりによくできた映像に、視聴者からは「『フェイクではないか』(偽物、やらせ)」といったコメントが殺到。「クマはリアーナの歌が嫌いなのかもしれない」「クマはただ(アカデミー賞の)オスカーを獲りたかっただけだろう」といったコメントが高評価を得ていた。
(シカ生息推計5キロ四方OK:山梨)
ニホンジカによる森林などの生態系や農作物への被害を減らすため、5キロ四方でシカの生息数を計算する推計方法(モデル)を県森林総合研究所の飯島勇人研究員が開発した。シカがどこにどれだけいるかという分布状況の把握は、シカの駆除に不可欠だが、これまでは全県単位でしか把握できなかったという。県は推計方法の一つとして、今年度から利用を始め、シカの生息数削減を目指す。県は毎年、県内全域の数十カ所でシカのサンプル調査を行い、これをもとに県内全体の生息数を推計している。サンプル調査は、県内で2千人以上が活動している狩猟者からの目撃情報、1キロメートル単位の糞塊の量(糞塊密度)などで、こうした基礎データをもとに想定される生息数を割り出している。新しい方法は、データの種類をいくつ増やしても計算できるモデルとなっていることが特徴。従来の方法に加え、発見したシカの数を調査エリアの面積で割った「目撃密度」、狩猟者の数で割った「目撃効率」なども活用できるという。さらに、対象エリアを5キロ四方単位(県全体を216区画に分割)に細分化して、区画ごとに生息数が推計できるようになった。飯島研究員は「森林破壊の低減には、生息数が多いエリアで捕獲力を高める必要がある。新しい方法で、県内で生息数が多いのは牧草地と判明した。前年よりも数を減らすには30%以上の捕獲が必要」と説明する。一方、県みどり自然課によると、平成21年度の県内のニホンジカの生息数は2万9000頭だったが、23年度には4万頭を突破。その後、環境省が計算方法を変え、24年度に関しては同省が6万9917頭と推計した。25年度以降は、県が計算方法の変更などに手間取り未公表だが、今年度内の公表を検討している。環境省の計算方法を基本に、飯島研究員の新しい推計方法も活用するという。一方、県森林整備課によると、ニホンジカによる26年度の森林被害額は2億7900万円、農作物被害は4000万円に達した。被害が「増加傾向」にあるシカの駆除は、喫緊の課題としている。
(剣山系シカ食害、冊子に:徳島)
剣山系での野生のシカによる食害の実態を知ってもらおうと、NPO法人「三嶺みうねの自然を守る会」(暮石洋理事長)は、冊子「剣山・三嶺の食害見て撮り山歩き」を発行した。シカが草木を食い荒らし、山腹の表土がむき出しになる様子などをとらえた写真約190枚を掲載し、被害の深刻さを訴えている。写真は、同会メンバーらが剣山(1955メートル)や三嶺(1894メートル)周辺の尾根や中腹などで撮った。樹皮が食べられて枯死したウラジロモミやダケカンバの木々や、ササが消えて砂漠のようになった山肌などをとらえている。一つの場所を年月を経て撮影した2枚の写真を並べ、食害の前後で環境の変化を見比べられるようにしたページもある。同会によると、剣山系では2000年頃に食害が出始め、06年頃から一気に広がった。近年はシカの侵入を防ぐ保護柵などを設け、回復している場所もあるという。暮石理事長は「山の奥深くでの出来事なので、なかなか目に触れる機会はないと思うが、山が荒廃すると斜面崩落などにつながる恐れがある。多くの人に食害の深刻さに気付いてもらいたい」と話している。
(野生肉に注意、E型肝炎が昨年上回るペース)
ウイルスに汚染されたイノシシやシカの肉などを摂取して急性肝炎を起こすE型肝炎の患者が、過去最多を記録した昨年の報告数を上回るペースで増えている。国立感染症研究所がまとめた今年の患者報告数(4月3日時点)は昨年同期の2.3倍で、北海道と首都圏からの報告が全体の約6割を占めている。患者が増加傾向の自治体では、食肉の十分な加熱や、生肉に触れるはしと食べるために使うはしを分けることを呼び掛けている。E型肝炎はウイルス性の急性肝炎で、ウイルスに汚染された食物や水を摂取することで感染。15―50日の潜伏期間の後、腹痛や食欲不振といった消化器症状を伴う急性肝炎を発症する。野生のイノシシやシカ、加熱が不十分な肉が感染源と疑われるケースも少なくない。同研究所によると、今年の患者報告数は106人で、昨年同期よりも59人多かった。都道府県別では、北海道が26人で最も多く、以下は東京(14人)、神奈川(9人)、埼玉(8人)、千葉(6人)、青森と大阪(共に4人)などの順だった。E型肝炎の集団発生も起きている。北海道旭川保健所管内の介護施設で、2月から3月にかけてE型肝炎の集団発生が起き、入所者9人の感染が確認された。保健所が施設に対し、衛生管理の徹底を指導したという。同保健所管内では、昨年の患者報告は1人だったが、今年はすでに15人の患者が報告されている。こうした状況などを踏まえ、旭川市はホームページで、シカやイノシシなどの生肉を食べないといった注意事項を掲載。加熱調理の際は中心部まで火が通るように十分加熱することや、生肉に触れたはしや皿などは、食べるために使うものと分けるよう求めている。野生動物のE型肝炎ウイルスの保有状況も分かってきている。厚生労働科学研究(2011-13年度)で行われた野生鳥獣の病原体保有状況調査では、イノシシとシカからE型肝炎ウイルスの遺伝子を検出。これらの遺伝子は、いずれも患者から検出された遺伝子に類似していたという。国内での感染だけでなく、海外で感染する「輸入症例」も報告されている。国立感染症研究所などによると、食欲低下や胃痛などの症状があった20歳代の女性が帰国後に入院した際、血液からE型肝炎ウイルスを検出。この女性は、昨年8月以降にインドやアフリカなどを訪問していた。発展途上国で最もまん延している遺伝子型であったが、感染国は特定できなかったという。厚生労働省は、イノシシやシカなどの肉や内臓を生で食べてE型肝炎ウイルスに感染して死亡したり、重症となったりした事例があったことを挙げ、「野生鳥獣はどのような病原体を保有しているか分からない。地域によらず、生で食べるのは危険」と注意を促している。
(シカ、イノシシ捕獲へ「新兵器」:静岡)
静岡県内各地でシカやイノシシなどの鳥獣被害が多発する中、県森林・林業研究センター(浜松市浜北区)が新たな捕獲装置2種を開発し、普及を進めている。新装置の特徴は設置が比較的簡単なところ。猟友会員が高齢化していることから、同センターは新装置を紹介したハンドブックを作成し、捕獲の担い手の増加を目指す。野生のシカは全国各地で増加傾向にあるとみられ、13日には静岡市清水区の国道にも出没した。装置はシカとイノシシ兼用の足くくりわな「空はじき知らず」と、シカ用首くくりわな「静鹿(しずか)ちゃん」。「空はじき知らず」は、動物が足くくりわなの端を踏み、作動しても足をくくるワイヤに足が掛からない「空はじき」を防ぐ目的で改良した。ワイヤをセットする上皿部分を下の箱に収納することで、端を踏んでも作動しないようにした。同センターによると、富士山麓で2014~15年に行った実証試験では、これまで6割台だった空はじき率が5%にとどまる効果を上げたという。「静鹿ちゃん」はバケツの開いた部分に円状にワイヤを巻いた上で底に餌を置き、シカが首を入れるとバケツに仕掛けた装置が動いてばねが上がり、ワイヤで首がくくられる仕組み。13~14年に富士山麓で33日間行った試験では、わな1基当たり1晩で平均約0・8頭を捕獲する成果を収めたという。2種類のわなとも、使用には「わな猟免許」が必要。共同開発したメーカーから約6千~8千円程度で購入できる。開発した前同センター森林育成科上席研究員で、県自然保護課の大橋正孝さん(45)は「銃による猟や大掛かりな箱わな以外にも捕獲法があることを知ってもらいたい。多くの人に捕獲に協力してもらい、シカやイノシシの増加に歯止めを掛けたい」と期待する。シカは県内でも生息地域が広がっている。県自然保護課によると、2010年の推計で約4万6千頭がいるとみられる。シカは雑食性のため、農作物への被害以外にも、樹木の樹皮をはぐなど森林被害も広がっている。県や各市町などが、有害鳥獣としての捕獲や管理捕獲を積極的に進め、14年度は県内で1万5553頭(一般狩猟含む)と、10年度の約1・7倍の数が捕獲されている。それでも、明確なシカの減少には至っておらず、「生息状況の実態の調査をさらに進めていきたい」(同課)としている。
(食害対策、ICTでシカ予測システム:神奈川)
食害で農林業に深刻な被害をもたらすニホンジカについて、富士通研究所(川崎市)が、植生や土地用途などの公開データと平均体重からICT(情報通信技術)を使って生息頭数を予測するシステムを開発した。実地調査がいらず効率的な捕獲や対策が立てられ、国も注目している。現在、山梨県森林総合研究所の協力を得て精度を上げる実証実験をしていて、将来はシカ以外の有害ほ乳動物対策や希少動物の保護への転用も視野に入れている。環境省によると、2013年度末で本州以南のニホンジカは約305万頭と推測され、増加傾向が続いて分布域も拡大している。農林水産省の調査では、農作物の被害額は1999年度から200億円前後で推移している。14年度は約191億円で、獣種ではシカが約65億円とトップを占める。また、森林の被害面積は同年度約9000ヘクタールで、シカは8割と突出している。樹木の皮を剥いだり下草を食べたりして森林を衰退させ、生態系へも悪影響を及ぼしている。元々、ニホンジカは繁殖力の強い動物だが、増え過ぎた原因は科学的に十分な検証はされていない。しかし、地球温暖化による積雪量の減少で冬の死亡率が低下した▽山林や草地の造成でエサとなる植物が増えた▽中山間地の過疎化が進み、耕作放棄地などが増えて生息に適した環境になった▽狩猟者の高齢化による減少−−などが考えられている。このままだと23年度には約453万頭にまで増えると予測されていて、国は同年度までに11年度比で半減の目標を掲げた。達成するのためには、独自の個体数推定をしている北海道を除いて、13年度に捕獲した約38万頭の倍以上の捕獲が必要となる。そのためには、正確な生息地域、頭数、将来予測などが重要だ。これまでは現地での目撃例やフンの密度、捕獲数などを調査して生息数を推定していた。しかし、人が立ち入れる領域は限られるうえ、そもそも調査を優先する場所が分からない。また、調査員には何の動物のフンか素早く判断できる知識やスキルが求められる。時間や労力、費用がかかり、実態との誤差やばらつきも大きかった。このため、調査を効率よく広範囲で調べられ、被害が出る前に対策が打てるように予測もできるシステム作りが求められていた。同社が開発した技術は、現地調査が不要で今までに公開されているデータのみで広い範囲の生息数を予測できる。考え方は、ほ乳動物は体重で動ける距離が決まってくるため、その範囲内に生きていけるだけのエサがどれだけあるかということだ。そこで、ニホンジカの平均体重を60キロとし、生息に必要な面積を1頭当たり5.7万平方メートルに設定した。次に、環境省や国土地理院が公表している植生図、土地利用図、地形図(標高と傾斜度)を使った。植生図と土地利用図からは、クヌギ、コナラ、スギ、ヒノキなどの群落のほか畑、水田、住宅地など約1000種類の分布が分かる。これらの情報から広葉樹林、針葉樹林、都市部などの用途別に区分する。そして、落葉するため日が当たってシカの好きな下草がたくさん生える広葉樹林を「生息地」、年中葉を茂らせているため下草が育たずエサがないながら身を隠せる針葉樹林や草地、湿地帯などを「通路」、人が多くエサが少ない果樹園や都市部などを「非生息地」に分類。さらに、シカは傾斜度41度以上の場所ではすめないため、地形図を使ってその情報も加えた。それらの総合情報を10キロ四方のエリアに落とし、その中を1キロ四方に区切った100カ所の区画に分けて、その中に1頭当たり生息に必要な面積がどれくらいあるかを調べることによって生息数を算出する。つまり、対象となる1キロ四方が全て都市部であれば0頭、全て広葉樹林であれば100÷5.7で17頭となる。同社はシステムを一定程度構築した後、森林保全で関係のあった山梨県森林総合研究所が持つ実地調査データと照合した。甲州市のある地域にあてはめたところ、微妙に差が出た。原因として、針葉樹でもアカマツ林では下草が生えていてシカが食べているとか、41度以内の斜面だったとしても普段はシカは平たんな場所を好んでいるなど「生息地」「通路」「非生息地」の区分けが大ざっぱ過ぎていることが分かった。このため、同研究所から土地の利用状況の異なる白州、牧丘、丹波山、甲州、都留、富士山、身延、櫛形山の県内8地区のデータの提供を受け、分析して3区分に分ける条件のデータを細分化し、今年6月までに精度を上げる実証実験を実施。そのうえで9月までに、同研究所からさらに数地区のデータを提供してもらい、システムの正確性を確認する。富士通研究所の尾崎光男・専任研究員は「システムが完成すれば、省力化、低コスト化が実現できる。植生や気温の変化データも入れれば、日本海沿いの雪深い地域など今はシカのいない地域でも、将来の被害を予測して対策が立てられるようになる」と期待している。国は被害を与える野生鳥獣について、さまざまな対策を講じている。14年に鳥獣保護法を改正し、シカとイノシシを指定管理鳥獣に定め、都道府県が主体となって実施する捕獲事業に対し2分の1以上の経費を補助している。今年度予算では5億円を計上している。実際の捕獲事業は認定鳥獣捕獲等事業者として知事の認定を受けた地域猟友会や自然環境コンサルタント、NPO、警備会社などが行う。捕獲者の育成・確保のため、狩猟に関するフォーラムを12年度からこれまでに全国27カ所で開催している。農水省は08年に施行された鳥獣被害防止特別措置法により、市町村が作成する、柵を作ったり捕獲したりする被害防止計画に対して交付金を出している。13年度からは、シカ成獣1頭の捕獲につき8000円を上限とする報奨金を支払っている。最近、出口対策として力を入れているのがジビエ(野生鳥獣肉)だ。シカ肉のバーガーやカレーなど大手流通チェーンやレストランでは人気が出始めているが、取り組みは緒に就いたばかりだ。農水省の資料によると、野生鳥獣の処理加工施設は172カ所(15年6月時点)、交付金整備施設でのシカ肉利用率は14%にとどまる。販売価格もシカ肉は1キロ当たり763〜6094円とまちまちだ。衛生面や流通面など課題も少なくなく、今後、農水省は捕獲から処理加工、供給、消費まで一体となった需要拡大の仕組みづくりや全国的な情報提供、イベントPRなどジビエの普及に取り組んでいく方針だ。
(野生獣捕獲装置開発:福井)
福井市のIT企業「ナチュラルスタイル」(福井市和田東1、TEL 0776-58-3380)が4月1日、野生獣捕獲装置「亥(とざす)」の販売を始めた。大きさは、縦16センチ・横23.6センチ・高さ12センチ。重さは約850グラム(電池除く)。動体センサーや距離センサーなどを搭載し、単3電池8本で動作する。市販の捕獲用おりと組み合わせることで、イノシシ、シカ、サル、タヌキ、アナグマ、アライグマ、ハクビシンなど、中~大型獣の捕獲を可能にする。開発に当たったのは、福井県勝山市のIT企業「地理情報センター」(勝山市片瀬町1)社長の谷川一男さん。日ごろ農作物の獣害に悩まされていたことから、昨年5月、「勝山市ものづくり技術・研究開発支援事業」の認定を受け、ITを活用した装置の開発に取り掛かった。しかし、捕獲用おりの扉を閉めるハードウエア・ソフトウエアの開発に難航。「農家の一人として、とにかく獣害を無くしたい思いで取り掛かったが、あるメーカーに開発費を見積もってもらったら、とても農家に普及しそうにない金額が返ってきた」窮地を救ったのが、県内のIT企業有志でつくる団体「プログラミング クラブ ネットワーク」(PCN)主催の子ども向け講座「PCN勝山」だった。「当社が入居するビルが講座の会場で興味半分にのぞいてみた」ところ、福井発のプログラミング学習用パソコン「IchigoJam」に出合い、同講座で子どもたちに交じり制御ソフトを作ることにした。ソフトはプログラミング言語「BASIC」で書かれており、実質わずか7行。「プログラムよりも省電力化に苦労した。距離センサーだけでは消費電力量が大きく、電池が3日ほどしか持たなかった」。動体センサーと組み合わせて通電時間を細かく制御し、駆動時間を最短約3カ月まで伸ばすことができた。昨年11月から12月にかけ、猟友会の仲間に呼び掛けて試作機5台での捕獲テストを行ったところ、イノシシ、ハクビシン、アナグマなど9頭の捕獲に成功した。今年1月31日に行われた「勝山年の市」の展示でも注目を集め、用意していたフライヤー100枚が無くなるほどの反響を得たという。販売開始以来すでに21セットを出荷し、初年度50セットの販売を目指す。「IchigoJamで開発したことで、相場の2分の1から3分の1という販売価格を実現できた。捕獲実績が口コミで広がり、さらなる普及につながれば」と谷川さん。ナチュラルスタイルの齋藤万優子さんも「今後、IchigoJamを応用した商品が次々と出ることに期待したい。いいアイデアがあれば相談を」と呼び掛ける。価格は3万2,400円(おりは別途)。

TOPへ

4/12
(男性襲ったクマか?足跡たどり1頭を駆除:山形)
山形県西川町で9日、釣りをしていた男性がクマに襲われ顔や腕にけがをした。猟友会のメンバーが10日、足跡をたどってクマ1頭を駆除した。西川町の水沢川上流で9日午後1時ごろ、1人で渓流釣りをしていた西川町の無職・山田栄二さん(64)がクマに襲われた。山田さんは自力で自宅に戻って119番通報し病院に運ばれたが、顔や腕をかまれるなど全治2週間以上のけがをして入院している。10日午前8時から、地元の猟友会が現場に向かい足跡などをたどって、正午ごろ、成獣のクマ1頭を駆除したという。猟友会では「山田さんを襲ったクマの可能性が高い」としている。クマに襲われた被害は山形県内で今年初めて。
(クマに襲われけが:山形)
西川町水沢の水沢川上流で、9日午後1時ごろ、1人で渓流釣りをしていた西川町間沢の無職山田栄二さん(64)がクマに襲われ、顔や腕などに全治2週間以上のけがをした。山田さんを襲ったとみられるクマは10日、地元の猟友会によって駆除された。県警によると、クマによる人への被害は県内でことし初めてで、去年より1か月以上早くなっている。担当者は、「ことしは雪解けが例年より早いため、渓流釣りや山菜採りで山に入る人も増えてきている」とし、「鈴を鳴らしたり、ラジオをつけるなどしてクマを近づけさせない対策が必要だ」と呼びかけている。また西川町では、現場付近に向かう道路や周辺の集落などにのぼり旗を設置し、住民らへの周知を図っている。
(女子中学生「クマ」目撃:福島)
8日午後6時15分ごろ、福島市桜本の県道でクマ2頭を目撃したと、下校中の女子中学生(14)から福島署に通報があった。同署によると、1頭は体長約1メートルの親グマで、もう1頭の体長は不明だが、子グマとみられる。付近に民家があることから、同署はパトカーで巡回し注意を呼び掛けた。
(ブナ大豊作でクマ出産ラッシュ?:福島)
福島県内で今月以降のツキノワグマの大量出没が予想されている。県によると、昨秋に主食のブナが大豊作だったため、冬眠中に「出産ラッシュ」を迎えた可能性が高いらしい。子と行動を共にする母グマは攻撃的になるため、山に入る際は一層の注意が必要という。県内でクマの生息地は主に阿武隈川から西側とされる。8日には福島市桜本でクマ2頭の目撃情報があった。県が昨秋、会津や中通りの山林でブナの実の付き具合を調べたところ、14地点のうち9地点で「大豊作」と判断された。とりわけ、会津では「6、7年に一度の大豊作だった」(県会津地方振興局)という。県自然保護課によると、雌グマは脂肪分の多いブナの実を大量に食べると、体調がよくなって冬眠中に出産しやすくなる。冬眠明けは親子で行動し、子を守るために神経質になって人間を襲うこともあるという。また、クマが冬眠を終えて活動期に入るのは、例年だと4月半ばごろだが、少雪の影響で早まっている可能性があるという。同課の担当者は「登山や山菜採りの際は、鈴やラジオなど音が出るものを身につけて存在を知らせ、クマが人間から遠ざかるよう留意して欲しい」と呼びかける。
(サル目撃また相次ぐ:長崎)
長崎市の中心部で相次いでいたサルの目撃情報が、11日にも長崎市役所や西日本新聞社に寄せられた。長崎市上西山町の諏訪神社周辺では数回にわたって目撃された。市によると、サルは野生とみられるという。けが人などの情報はないが、市は見掛けても近づかないよう注意を呼び掛けている。西日本新聞社や市に寄せられた情報では、3~11日に同市古町の路上や県立図書館(同市立山1丁目)などでサルが目撃されている。市によると、体長70~80センチの雄ザル。目撃現場の一つ、長崎公園(同市上西山町)にはサルが飼育されているが、尻やしっぽの特徴から、公園のサルが逃げたものではないという。友達と目撃した桜町小5年太田結希君(10)は「頭の上で葉っぱのこすれる音がして、見たらサルが木から木に飛び移っていた」と興奮気味に話した。市農業振興課によると、野生動物が市街地に出没するケースが近年増えているといい、餌を求めて山を下りてきたとみている。隣接する時津町の長崎外国語大付近でも10日午後、サルが目撃されたという。
(カラスが落とした針金で?架線支柱から火花:千葉)
9日午後1時15分ごろ、千葉県君津市東坂田のJR内房線君津駅で、架線の支柱から火花が出ているのを駅員が発見。通報で駆けつけた消防が約30分後に火を消し止めた。けが人はいなかった。JR東日本千葉支社などによると、架線にはアルミ製の針金が引っかかっていた。周囲の目撃情報などから、上空を飛んでいたカラスが巣作りのために運んでいた針金を落とした可能性があるといい、火花はこの針金が架線と接触してショートしたことが原因とみられる。このトラブルで、JR内房線は上下線計8本が運休するなど、約2800人に影響が出た。
(イノシシ、ゴルフ場泣かせ)
全国のゴルフ場で、コースがイノシシに荒らされる被害が広がっている。ゴルファーや従業員が襲われた事例もある。電気柵で進入を防いだり、超音波で追い払ったりと、ゴルフ場側も対策に躍起だが、その費用にも頭を悩ませている。千葉県北東部のゴルフ場では今年、フェアウェーやラフが広範囲に掘り返される被害が続いている。進入したイノシシが地中のミミズなどを食べるために掘り返したとみられる。支配人は「去年まで被害はなかった。(南の)房総半島のゴルフ場でよく出ると聞いていたが、北上してきたのかも」と気をもむ。「利用者に危害があってはいけない」と、18ホールの外周を高さ約50センチの電気柵で囲う対策を取った。日本ゴルフ場支配人会連合会は昨年、全国のゴルフ場のイノシシ被害を初めて調べた。北海道と青森、秋田、岩手をのぞく各都府県で被害が確認された。その後、岩手でも被害が報告され、現在は44都府県にのぼる。田村和男会長は「温暖化の影響もあってか、近年は岩手や山形など北に被害が広がっており、対策に決定打がない」とこぼす。宮城県名取市の仙台空港カントリークラブでは昨年2月、グリーン近くで利用者がイノシシを見つけた。従業員が追い払おうとしたところ、突進してきたイノシシに尻を突かれ、深さ数センチの傷を負った。東京電力福島第一原発事故の後、福島県内の広い範囲でイノシシが捕獲されなくなり、頭数が増えて周辺の県に広がった影響もあるとみられている。従来の電気柵に加え、金網を補強したり、今年に入ってイノシシが嫌がる超音波を出す装置を買ったりと、追加の対策を迫られた。津市の鈴鹿カンツリークラブでも3年前、プレー中の男性2人が襲われてけがをした。現在は業者に頼んで夜間、猟犬を定期的にコースに放ち、イノシシが来ないよう警戒させている。有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)の谷光高社長は「ゴルフ場の保全と動植物の生息環境をどう調和していくか、考える必要がある」と話す。イノシシの対策費で経営を圧迫されているゴルフ場も少なくない。氷見カントリークラブ(富山県氷見市)では一昨年秋からイノシシの被害が続き、18ホールすべてでフェアウェーやグリーン近くが掘り起こされた。そこで周囲約5キロに電気柵や金網を張った。被害はなくなったが、対策費に1500万円以上かかった。昨年夏から、ゴルファーに1日利用あたり100円の募金をお願いしている。集まった募金は百数十万円。高道利光支配人は「100円でもありがたい」。市や地元の猟友会の協力でコース周辺の5カ所に捕獲用のおりを設置したほか、イノシシが嫌うとされる人の髪の毛を近所の理髪店に譲ってもらい、袋に入れて金網につるすといった対策を今も続ける。イノシシやシカなどから農作物の被害を防ぐ柵の設置には、国から自治体に交付金が出るが、ゴルフ場に対しては、一部の市町村をのぞき、自治体から財政的な支援はない。富山県ゴルフ連盟は昨年6月、ゴルフ場利用者が負担する「ゴルフ場利用税」の税収からイノシシの対策費や駆除費を拠出してほしいと県に要望した。利用税の標準は1日800円で、都道府県がゴルフ場の規模やプレー料金などに応じて税額を決めている。税収は都道府県や市町村が通常の予算の支出に充てている。富山県は「被害にばらつきがあり、一律の支援は難しい」(税務課の担当者)という。
(新星集うクレー射撃場:神奈川)
神奈川県のほぼ中央にある伊勢原市の山中に、「神奈川県立伊勢原射撃場」がある。五輪へ向け競技力向上を図る競技別ナショナルトレーニングセンター(NTC)を紹介するシリーズ2回目。拠点とするクレー射撃選手が初の五輪切符をつかみ、2020年東京五輪を見据えた新星たちも集まる、同射撃場を訪ねた。新宿駅から小田急線の急行で約1時間。伊勢原駅で降り射撃場へ向かうと、人家の途絶えた丹沢山地のふもとに、無機質な灰色の建物が並んでいた。スポーツ施設であることを示す目立つ看板もない。クレー射撃は銃刀法の規制があるため、市民がふらりと訪れて楽しむ施設ではない。だが昨年、県内に基準を満たす射撃場を持たなかった和歌山国体のクレー射撃会場として使用されるなど、最新鋭の設備を持つ同射撃場は、国内のクレー射撃競技の拠点として重要な役割を果たしている。散弾銃を用いて、クレーと呼ばれる直径11センチの素焼き皿を撃つクレー射撃は、大きく分けてトラップとスキートの2種目がある。伊勢原は両種目の射場がある。ここを拠点にしているのが、2月にリオデジャネイロ五輪アジア予選女子スキートで1位となり、五輪出場が内定した石原奈央子選手(41)=古峯神社=だ。石原選手が1位になったことで、日本は同種目の国・地域別出場枠を獲得。日本協会によると、スキートで日本女子が五輪に出場するのは史上初だ。父敬士さんも射撃の選手で、1980年モスクワ五輪代表に選ばれたが、日本が参加をボイコットしたため出場できなかった。石原選手は「初めてなので、できる限りを尽くして五輪に臨みたい」と話す。東京五輪を見据えた若手選手の合宿も積極的に行われている。取材に訪れた日も、日本協会が主催する3泊4日の新人発掘育成強化合宿が行われていた。全国から競技歴半年〜8年の12人が集まり、将来性に重きを置いた指導を受ける。石原選手も将来の五輪候補を手ほどきした。競技歴半年余りの折原梨花さん(19)=文星芸大=もその一人。父研二さんも射撃選手で、全日本選手権を8回制した腕前だ。銃刀法の規制で高校まではクレー射撃ができないため、ビームライフルで国体も制した。「父の優勝する姿がかっこいいと憧れていた。東京五輪に出場してメダルを取り、射撃競技を有名にしたい」と折原さん。伊勢原をホームに、4年後の東京五輪に向けて若手のホープたちが鍛錬を続けている。
(これぞ狩猟系女子!奈良女子大学のハンティングサークル:奈良)
ここ数年注目されているイノシシやシカなど、野生の鳥獣の肉「ジビエ」。それに伴い、猟師の免許を取得する人も増えているそうです。そんな「猟師」の活動を行うサークルが、奈良女子大学に設立され、2016年4月から活動を開始しました。珍しい女子大の狩猟サークルについて、代表である奈良女子大学大学院・人間文化研究科住環境学専攻1年の竹村優希さんにお話を伺いました。―女子学生の「ハンティングサークル」は非常に珍しいかと思いますが、どういった経緯で発足したのでしょうか?竹村さん 以前から大学の研究室で奈良県南部にある野迫川村の活性化に携わってきました。そして2015年の5月ごろに村を訪れた際、村の主産業である林業が害獣による被害を受けているということを知りました。また、村の民宿ではジビエ料理をいただきましたが、その肉は村でとれたものではなく和歌山から購入しているということを知りました。そこで、「狩猟」を切り口として村の振興事業もできるのではないかと思い、サークルを立ち上げました。―狩猟をすることで獣害も減り、また料理にも生かせるということですね。4月からサークルとしての活動が始まりましたが、現在は何人が所属していますか?竹村さん 現在は8名です。メンバーは随時募集中です。―ハンティングサークルでは具体的にどういった活動をしていますか?竹村さん 実際に山に入り、猟友会の方からわな猟を教わります。また、今後はジビエ料理の創作と地域イベントでの出店を予定しております。―4月の活動開始前にも、講習会などに参加されたそうですが……。竹村さん 奈良県が主催している「止めさし講習会」に参加させていただきました。そこで実際に解体の一部を体験しました。 ―サークルの活動の中で面白い、また魅力的だと思う点を教えてください。竹村さん やはり狩猟に限らず、1次産業に携わる学生や大人とのつながりがあるところだと思います。―お薦めのジビエはありますか?竹村さん 活動の中で扱うジビエは主にシシ肉とシカ肉です。脂身が少なく、栄養価が高いというヘルシーな点が魅力だと思います。―今後の展望、また代表者の方ご自身での将来の展望があれば教えてください。竹村さん 4月から活動を開始していますが、来年度(2017年)に卒業するメンバーが多いので、活動と同時に来年度以降もサークルとして機能するような環境と人脈づくりを行っていきたいです。また、狩猟やジビエに対して関心を持つ若者や協力者を増やすことはもちろんですが、活動を通して拠点である野迫川村の現状にも目を向けてもらえればと思います。―読者には大学生の他に大学入学前の高校生、中学生も多くいます。彼らにメッセージをお願いします。竹村さん 生き物の命を扱う活動に対して良い印象を抱かない人もいるかもしれません。ですが、農作物も含め食べ物が店に陳列されるまでのプロセスを知れば、狩猟や屠(と)殺に関わる職に対する感謝の気持ちや理解も深まるのではないかと思います。―ありがとうございました。近年は数が少なかった女性猟師の数も増えているそうです。竹村さんたちのこうした活動に刺激を受けて、さらに「狩りガール」の数も増えるかもしれませんね。
(教師からプロ猟師へ:兵庫)
篠山市住山556―1の西村大二郎さん(33)が、シカやイノシシなどの狩猟肉を販売するジビエ専門店「山大」を自宅の一角にオープンした。猟師歴10年の西村さん。この春、9年間の教師生活にピリオドを打ち、自分で仕留めた獲物を自分でさばき、その肉を売るという、長年の夢だったプロ猟師に転身した。ジビエは、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉という意味のフランス語。店名は、「山が好きな大二郎」から命名した。自宅脇の約20平方㍍の土地に、解体室、肉のカット室、梱包室の3部屋からなる店舗をつくった。精肉価格は、いずれも100㌘税抜きで、鹿肉は背ロース300円、もも200円。猪肉は成獣500円、幼獣400円。鍋用スライス(味噌付き)は500㌘3000円。このほか、これらのホルモン(臓器類)や、シカの角なども販売している。冬には鴨肉なども扱うという。西村家は、4代続く丹波猟師の家系。24歳の時に猟銃の免許を取得し、父親で山の師匠でもある二三男さん(63)と、9匹の猟犬とともに山に分け入り、狩猟に励んでいる。

TOPへ

4/8
(親子グマ出没増の恐れ:福井)
クマの冬眠明けの時期を迎え、県は7日に県庁で開いたツキノワグマ出没対策連絡会で、今春はクマの親子の出没が増えるとの見通しを示した。近年クマが増加傾向にあるうえ、昨年木の実が豊作だった影響で子グマが多数生まれた可能性があるため。市町の担当者や県の関係部局、県猟友会などに対して、クマが出没する春の大型連休を中心に県民に注意を呼びかけるよう求めた。県によると、平成27年度の出没件数は280件で前年度(653件)より減少したものの、23年以降2番目に多く、増加傾向。捕獲頭数は38頭(前年度172頭)、人身被害が1件あった。とくに4~8月の出没件数は206件(前年度222件)と増える傾向にあり、市町別では福井市が前年度より7件増の65件。高浜町も18件で、23年度以降毎年12~29件で推移、町全域で出没しているという。さらに、「昨年秋に餌となるドングリ(木の実)の実りの状況が非常によかったため、冬場に子グマがたくさん生まれた可能性がある」(県自然環境課)としており、親子のクマの出没が増えるとみている。クマは夏に交尾し、冬にかけて受精卵が着床、冬眠中の2月ごろに出産するが、餌となる木の実が多いと皮下脂肪を多く蓄えるため着床しやすくなり、乳がたくさん出るため子供が生まれ育つという。また、人身被害(元年~27年度状況)は3~7月に山菜採りや山林移動中、山林作業中に、クマがいる山に入って被害が発生している。県は市町に対して出没情報の収集、速やかな地域住民への出没情報の提供、捕獲の実施など予防対策を求めており、チラシだけでなく、今春からは個人へのメールマガジンによる配信も本格化させる。
(イノシシ被害で警戒強化、夜間パトロールも:兵庫)
5日深夜に神戸市東灘区で散歩中の女性がイノシシにかまれて軽傷を負ったことを受け、神戸市は6日、担当職員による周辺のパトロール強化を始めた。7日からは警備会社による夜間の見回りも開始。2週間程度続ける方針。イノシシに人が襲われたのは、灘や東灘区で被害が相次いだ昨年9月以来。5日の被害者の目撃では、約10頭が確認された。
(鳥獣被害対策実施隊が発足:新潟)
クマやイノシシなど鳥獣による農作物への被害が、県内各地で問題となっている。長岡市は6日、被害を防止するため、女性4人を含む猟友会のメンバーを新たに組織する「鳥獣被害対策実施隊」に任命した。「鳥獣被害対策実施隊」は、鳥獣の捕獲や駆除について、これまではその都度、猟友会を通して依頼していたものを、特別公務員として任命し、より迅速な対応を目指すもの。6日は隊員の代表に森市長から任命書が交付された。長岡市では去年、住宅街を流れる栖吉川にクマが出没した。平成26年度のクマ・イノシシ・ニホンザルの目撃、あるいはその痕跡の報告件数は120件で、農作物の被害は1700万円あまりに及んだ。隊員は猟友会の会員140人が任命され、このうち4人は女性だ。阿部里奈さんはその一人。去年、狩猟免許を取ったばかりの29歳だ。猟友会は全国的に高齢化が進んでいて、若手として貴重な存在だ。長岡市の鳥獣被害対策実施隊は、今後1年間の任期で、野生動物から市民の生活や農地を守っていく。
(鳥獣対策隊に猟友会10人:岡山)
イノシシなどの野生動物による農作物被害の深刻化を受け、玉野市は「市鳥獣被害対策実施隊」の隊員に、新たに岡山県岡山地区猟友会玉野分会のメンバー10人を任命した。隊員はこれまで、市職員(22人)のみだった。
(捕獲鳥獣の処理加工施設が運営1年:和歌山)
和歌山県古座川町月野瀬にある町鳥獣食肉処理加工施設の運営が始まって1年が経過した。町内で昨年度(2月末まで)捕獲されたシカ1045匹のうち、施設で処理加工したのは472匹(食肉用409匹、ペットフード用63匹)。処理加工の目標は捕獲数の約2割に設定したが、45%と大幅に上回っている。本年度は新たにハムなどの食肉加工や皮の加工を進める。
(シカ肉をペットフードに:山梨)
シカによる食害が深刻となる中、甲州市に県内で初めてシカの肉をペットフードにする加工施設が完成した。6日は完成を祝う式典が開かれ、施設を運営する合同会社や市の関係者らが事業の開始を祝った。施設では、猟師から運び込まれたシカを解体、冷凍、乾燥させ、主に犬用のジャーキーなどに加工する。この施設建設の背景には、シカによる深刻な食害とともに、捕獲に当たる猟師の負担増加がある。県内では2014年度、10年前の10倍となる1万1749頭のシカを捕獲したが、その多くは猟師が穴を掘って処分しているのが現状だった。るこうした中シカを有効活用し、猟師の負担も減らそうというのがこの施設だ。施設で加工されたペットフードは今月末からインターネットなどで販売される。

TOPへ

4/6
(クマ出没、小学校の窓ガラス割る:北海道)
北海道十勝管内の広尾町紋別にある豊似小学校で5日午前、窓ガラス1枚が割られているのが見つかった。付近にはクマのものとみられる足跡があり、豊似小学校から約1キロ離れた場所では、散歩中の男性(80)がクマ1頭を目撃していることから、警察はクマが窓ガラスを割ったとみて調べている。男性は5日午前8時ごろ、広尾町紋別内の林で体長約150センチのクマを目撃。午前10時ごろには別の目撃情報も寄せられているという。割られたのは、豊似小学校の1階にある教室の窓ガラスで、近くにはクマのものとみられる大きさ14、15センチの足跡があった。教頭が午前7時半ごろに見回った際には異常はなかったが、教諭が午前10時20分ごろに通りがかった際に割られているのを見つけたという。現在、警察や町役場の職員、猟友会のハンターなどが出動しているほか、警察のヘリコプターなども出して警戒に当たるとともに、クマの捜索をしている。環境省が出しているクマに関する注意文書によると、日本にはヒグマとツキノワグマが生息しており、体長2・2〜2・3メートル、体重150〜250キロになるヒグマは北海道に生息しており、体長1・1〜1・5メートル、体重80〜120キロになるツキノワグマは本州と四国に生息している。
(「笛」で避けるシカ衝突:北海道)
ニッポンレンタカー北海道(札幌)はエゾシカとの衝突事故を減らすため、走行中の車両にシカが近づきにくくなるとされる笛を、道内の全レンタカー4400台に搭載する。北海道地区レンタカー協会連合会(札幌)によると、レンタカー会社がシカよけの笛を導入するのは全国初という。カー用品メーカーのクレトム(堺市)が市販している「自動車用鹿避(よ)け笛」で、車体前部の左右に1個ずつ取り付ける。時速50キロを超えて走行すると、人間には聞こえない周波数の音を発し、シカが立ち止まるため道路への飛び出しを抑制できるという。エゾシカが絡んだ交通事故は全道で年間2千件近くも発生し、ニッポンレンタカー北海道でも同30件前後に上る。このため同社は昨年度、350台に試験的に笛を取り付けたところ、年間24件あった衝突事故のうち笛を付けた車両の事故は1台だけだった。
(犯人はカラス?原因はミカン?:愛知)
4日午前7時半ごろ、西尾市と幸田町内の計1050戸が最長で約2時間半、停電した。中部電力は同日、同町内の電柱に設置した変圧器にカラスが運び込んだとみられるミカンが付着しており、これが原因とみられると発表した。同社では「これからカラスの営巣時期を迎える。対策を検討したい」と話している。同社岡崎支店によると、停電した地域の電柱の状態を調査したところ、このうちの1本で、変圧器の充電部分にミカンの実や皮が付着しているのがみつかった。営巣の形跡はなかった。従業員が実や皮を取り除いて復旧した。しかしこの作業の際、操作を誤り、周辺の蒲郡市と幸田町の計1090戸が約1分間停電するトラブルも起こったという。
(春の陽気で?迷いザル:秋田)
春の陽気に誘われてか、由利本荘市西大鍬町の住宅地に5日、1匹のサルが現れ、由利本荘署員や市職員ら10人が、捕獲用の網や輪を手に追跡劇を繰り広げた。最初の110番は午前8時頃。畑で大根を食べる体長約50センチのサルが目撃された。サルは市道を歩いて民家の屋根で日なたぼっこした後、道路沿いの雑木林へ。爆竹やスターターピストルを鳴らしても、一瞬、体をびくっと震わせるだけで効果なし。元高校球児の若手署員が石つぶてで威嚇しようとしたが、枝葉が邪魔して届かなかった。近くには温泉旅館の露天風呂や大型スーパーもあって混乱が懸念されたものの、サルは2時間半ほどして悠然と裏山へ姿を消した。市内では3日からサルが目撃され、市農山漁村振興課は「山で暮らす群れからはぐれた迷いザルではないか」とみて、住民に注意を呼び掛けている。
(市街地にサル出没:長崎)
3日正午前後にかけて、長崎市古町など市中心部計5カ所でサルが相次いで目撃され、長崎署に通報があった。署によると、サルは野生とみられ市中心部での出没は珍しいという。けが人などの情報はないが、署は見かけても近づかないよう呼び掛けている。目撃されたのは、同市立山1丁目の長崎歴史文化博物館付近や中小島1丁目の中小島公園付近、鍛冶屋町の崇福寺付近など。古町の路上で目撃した女性(53)によると体長は70~80センチほどで、人を襲ったり逃げたりせず、電車通りを悠然と渡っていたという。
(迷惑カラスピーク時1万羽:佐賀)
佐賀市の県庁周辺が、大陸などから越冬のために飛来するカラスのねぐらになり、県や市、住民を長年悩ませている。今季もピーク時に約1万羽が確認され、フンや鳴き声への苦情が相次いだ。市は捕獲おりを使った駆除などに力を入れるが、今後に向けた抜本的な解決策は見つかっていない。対策に取り組む県生産者支援課の担当者は「駆除しても減らない。そもそも、なぜここに集まるのだろう」と頭を抱える。日本野鳥の会県支部が今季行った調査では、県庁周辺をねぐらにするカラスは約1万羽。約7割が大陸から渡ってくる小型のミヤマガラスで、他は国内でみられるハシブトガラスやハシボソガラスだ。カラスが佐賀平野に集まり始めたのは1990年代頃からとみられ、ここ数年は県庁付近で大群を形成。10月頃から集まり始め、冬場にピークを迎え、春になると徐々に減っていく。ピーク時は県庁や市村記念体育館、県立図書館の上空を乱舞し、電線や県庁舎の屋根にびっしりと並び、県天然記念物のクスノキ群を占拠。この時期は市民や観光客から「県中心地の景観を損ねる」「歩道がフンまみれ」「鳴き声がうるさく不気味」などの苦情が相次いでいる。県は2012年、武雄市の鷹匠たかじょうの協力を得て、タカやミミズクで追い払う実験を行ったが、群れが住宅街などに移動して被害地域が広がるのではという声が上がり、断念。木の伐採や、電線の地中化といった意見も出たが、同様の懸念で実行できていない。カラスは鳥獣保護管理法で、農業被害や市街地で増えすぎた場合に有害鳥獣として駆除は可能。佐賀市は14年秋、県庁周辺のねぐらでの駆除に乗り出し、餌を入れたおりを県庁周辺に設置。県猟友会に委託して、14年度は2基で541羽、3基に増やした昨年度は911羽を捕獲したが、まだ試験的な段階だ。県の担当者は「現在できるのはあくまで個体数の抑制。国外で繁殖して戻ってくるカラスへの効果は薄い」と話す。市は来季、おりを1基増やす方針。県はフン対策として、歩道そばの電線にカラスが止まらないような方法を考えたい、としている。カラスの生態に詳しい宇都宮大の杉田昭栄教授(動物形態学)は「九州で、ここまで集まるのは佐賀以外で聞いたことがない。人里に近く、風が通りにくく暖かい場所がねぐらになる。農地が広がり、餌も豊富な佐賀平野の中心部にあり、高い建物と木々に囲まれた県庁周辺が好まれるのでは」と推測する。解決策として、杉田教授は「数が少ない秋のうちに追い払うと、群れごと別の場所に移動することもない。根気よく対策を続けるしかない」と指摘する。
(コウノトリの卵、カラスがパクリ?:徳島)
徳島県鳴門市で営巣する国の特別天然記念物・コウノトリの巣が5日午後3時過ぎ、カラスに襲われた。先月、兵庫県豊岡市周辺以外で初めて野外で産卵したとみられていたが、県によるとカラスが巣の中の卵を食べ、1個をくわえ飛び去った様子が目撃されたという。コウノトリのペアは抱卵をやめており、県はヒナがかえる可能性はないと判断した。ペアは2月ごろから巣作りを始め、3月19日に卵を産んだと推定されていた。周辺では日本野鳥の会県支部などのチームが観察を続け、カラスに襲われた様子も目撃した。県立農林水産総合技術支援センターの柴折史昭(しばおりふみあき)所長は「残念な結果になる可能性が高いが、1度失敗しても再び産卵した例もある」と話した。
(カラス駆除に天敵タカ:山形)
山形市は、市街地で年々増えるカラスに対処するため、天敵のタカを使った追い払いを試験的に実施する。県内外から多くの観光客が集まる8月の山形花笠はながさまつりの前の3日間程度、繁華街で実施し、効果を検証する。県内自治体では初めての取り組みで、早朝から響くカラスの鳴き声に頭を悩ませてきた住民からも期待の声が聞かれる。市環境課によると、市内には4000羽程度のカラスが生息すると推測される。2015年度に同課へ寄せられた苦情・相談件数は64件。14年度の51件を大幅に上回り、この5年間で3倍以上に増えている。特に、JR山形駅前や同市七日町などの繁華街に大挙して押し寄せる傾向があるという。同課は、生息数の1割にあたる400羽を捕獲する目標を掲げている。市中心部の霞城公園などに箱わなを設置しているが、14年度の捕獲数は188羽で、目標の半分にも満たなかった。これまで、同課の職員が深夜までレーザーポインターを片手に、住民と協力してカラスの追い払いに奔走するなど、試行錯誤を続けてきた。同市木の実1区自治会役員の石川隆士さん(60)も、自宅の屋根や玄関などがカラスのフンで汚される被害に頭を悩ませてきた一人だ。昨年夏に市と協力してレーザーポインターを使って追い払いを試みた。一時的にカラスは去ったが、しばらくして舞い戻ってきたという。このため、市は打開策として、西日本で実施して効果があったとされる猛禽もうきん類による追い払いを計画した。山形花笠まつりの前を狙い、電線に群れをなして止まるカラスに向け、鷹匠たかじょうがタカを差し向けて追い払う。一般にカラスは学習能力が高いと言われ、「この場所にいるとタカが来る」と理解し、警戒することを期待している。同課は、光や音による追い払いよりも効果が広範囲に及び、長続きするとみる。市は今年度の予算で対策関連の経費43万円を計上している。今回の取り組みは実験との位置づけだが、石川さんは「周りの住民もみな困っている。タカの効果に期待したい」と語る。同課の担当者は「複数回、タカによる追い払いを実施すれば、効果があるとの意見もある。まずはデータをとって検証していきたい」としている。
(滋賀サファリ博物館、希少動物剥製の宝庫:滋賀)
陶都信楽の出入り口、新名神信楽インターチェンジを降りてすぐに位置する「滋賀サファリ博物館」は、希少動物の剥製が集められた、日本でもまれにみる自然博物館です。ここに展示されている数々の動物は買い集めた物ではなく、一人のハンターが、各国政府の許可を得て猟獲したものです。ワシントン条約を批准する日本に、現在では持ち込めない動物もたくさんいて貴重な存在となっています。館名が冠している「サファリ」とは、もともとスワヒリ語で「旅」を意味します。昔、人々が生きるために獲物を求めて狩りに旅立ったので「狩猟の旅」に転化し、また近年動物保護や自然動物公園及びそれらを観察する事にも使われるようになりました。当館では最初に転化した「狩猟」の意味としてつかっています。本館に入ると真っ先に目に飛び込んでくるのが、一番奥で立っているホッキョクグマです。真っ白い毛と持ち上げた両手が周りの氷原に映えて、一気に見る人を驚かせます。これからが感動の始まりです。世界三大(獲物)ゲームと言ってハンターにとっていちばん捕獲の難しい獲物。それは、アルタイアルガリとマルコポーロシープそしてアジアアイベックスです。これらは生息数が極端に少なく、生息地が断崖絶壁の高地であり、俊敏な行動をとり人をも寄せ付けない性格から、なかなか捕獲するのが難しくハンターにとっては羨望(せんぼう)の獲物であります。この3頭が1カ所にそろって見られる所は世界でもここだけです。渡り廊下を奥に進むと、アフリカ館があります。シマウマを追いかけ獲物にする瞬間のライオンは迫力満点。背の高過ぎるキリンは建物の天井に頭がつかえるため、首をかしげるポーズにして展示する工夫がされています。今は絶滅危惧種に挙げられているシロサイもいます。4メートルもある体長は、何と3トンもの体重があり圧巻です。世界4大珍獣とはジャイアントパンダ、コビトカバ、オカピー、そしてボンゴですが意外と知られていない動物です。アフリカの密林に生息する偶蹄目(ぐうていもく)ウシ科ボンゴ属の動物です。ボンゴは別名「森の魔術師」と呼ばれています。これはハンターが狙っても物音に気付いてサッと消えるからだと言われています。ボンゴを展示しているのは日本ではここだけです。しかも雄・雌2頭もいます。生きているボンゴは以前名古屋の東山動物園で飼われていたようですが、今はもういないようです。アフリカ象のあごと象牙、国内の鹿や猪、総展示数は140点にも及びます。これら貴重な動物を、ぜひ一度ご覧になってください。
(政治と狩猟ハードル下げる存在に:福井)
濃紺のパンツスーツを着こなし、茶髪のショートヘアにピアスにまつげエクステ。年配の議員が居並ぶ議場にあって、児玉千明(27)=福井県高浜町=のルックスが際立つ。一般質問に立ち、背筋を伸ばして理事者を見据え、獣害対策や町の広報戦略をただす姿には1年生議員の初々しさも漂う。ファッションをたしなめる人もいるとか。「『あなた議員でしょ』って。でも、いつもの私でいたい」。議場から出ると緊張がほぐれたのか、屈託のない笑顔を見せた。昨年4月の町議選に初当選し、同町議会史上最年少の議員となった児玉は、美容師であり、狩猟免許を持つ“狩りガール”でもある。とりわけ議員と猟師には共通点を感じるという。「『なろうと思えば誰でもなれる』ということ。なのに『ハードルが高い世界』と思われていること」高浜生まれだが、父親の転勤で幼いころから大阪、名古屋、兵庫を転々とした。中学生のとき高浜に戻ったが「娯楽のない田舎が嫌で」京都の大学に進学。でも2年で中退し「自由な生活を楽しんだ」。そんな孫を見かねたのか、美容師の祖母の勧めで美容師免許を取ったのが22歳。大阪の美容室で働き始めた。頑張った分だけ腕が上がる世界。やりがいはあったが、仕事場と一人暮らしのアパートを往復するだけの日々。「コンクリートジャングルの中の暮らしに疲れちゃった」ある日、友人の引っ越しを手伝っていたら「無性に帰りたくなった。高浜の山が『帰って来い』って言っているようで」。子どものころ、里帰りのたびに幼なじみと遊んだ山が恋しくなった。1カ月後にUターン。2013年、25歳の秋だった。実家に戻って間もなく、狩りガールの活躍を伝えるテレビを偶然見た。嶺南の女性猟師も出ていた。「女でもなれるんだ」。猟師の高齢化や担い手不足、シカやイノシシによる農林業被害も知った。そういえば幼いころ猟師は身近な存在だった。山で遊んだ幼なじみの父親が猟師で、檻(おり)にかかったイノシシを見せてもらったこともある。「どうやったら猟師になれるの? 猟師に会ってみたい」。地元で開かれた狩猟講習会に参加。年配の男性たちに交じり「髪を緑色に染めた私はめっちゃ浮いてた」。掛けられた言葉は「冷やかしに来たんか」。「本気なんです。手続き教えてください」猛勉強をして銃猟とわな猟の免許を取得。ベテランの猟に同行して場数を踏み、銃で仕留めて解体して食べるまでの一通りは経験した。獣害対策の駆除目的でも山に入る。「命の重みを実感するし、獣害に悩む農家の役に立てる。スリルがあって奥深い」朝早く狩りをして、午前10時から実家の美容室で働く生活は張りがあった。娯楽がないのが嫌でいったんは都会に出たけれど、音楽イベントの企画など「娯楽をつくれる年代になった」から退屈しない。そんな日々に「政治」というキーワードはなかった。転機は思いがけず訪れた。三つ年上の兄や友人と雑談をしていたら、兄が数カ月後に迫った町議選を話題にした。「このままじゃ無投票になってしまう」。選挙活動を手伝った経験のある兄は、政治に少なからず関心があった。「出てみなよ」。水を向けられ戸惑ったけれど「じゃあ私やる」という言葉が出た。「ノリでしたね」ベテラン議員が居並ぶ議場のイメージから「45歳ぐらいかな」と思っていた被選挙権が25歳以上と知ったことも大きい。「なんだ、誰でも出られるじゃん。だったら若い議員がいないのはおかしくない? 若い人の声を届ける人がいないのはおかしいよ」「全力で助けて」。その声に友達やイベント仲間ら十数人が応え、選挙スタッフを買って出る。定数14人に対し15人が出馬した少数激戦で4位当選をもぎ取った。まだ議員1年生。至らないところもある。議場に入る前、役場の課長から「シャツが出てるよ」と身だしなみを注意された。フェイスブックで議員活動を報告しているが、一部の町民から「年寄りには伝わらん。紙に印刷してもらわんと」の声。一方で手応えも感じる。原発や人口減の問題に関心がなさそうな同世代から「千明の話なら聞くよ」と言ってもらえた。「こんな私でも、なろうと思えば議員になれた。狩猟だってそう。私の存在が政治や狩猟へのハードルを下げることにつながるといいな」。茶髪にピアスにまつげエクステ。負けん気が強くて、人懐こくて少しおちゃめ。普段はたばこも吸う。「身近に感じてほしい」から、ファッションも性格も「いつも通りの私でいたい」。
(害獣を生かし切る:愛媛)
瀬戸内海に浮かぶ大三島(今治市)で、農作物に甚大な被害を及ぼすイノシシの活用が進んでいる。捕獲するだけでなく、利益を還元しながら余すことなく生かし切る取り組みは地域に新たな風を起こした。地元の農家や猟友会会員を中心に2010年に結成された「しまなみイノシシ活用隊」。捕獲されたイノシシを解体し、食肉業者やジビエ(野生鳥獣肉)料理を扱う県内外のレストランなどに販売し、見込み価格の3割を持ち込んだ人に還元する仕組みだ。大三島では農家の高齢化が進んで耕作放棄地が拡大し、05年ごろからイノシシが急増。現在は年間約800頭が捕獲される。これに伴い、活用隊による解体・販売実績も初年度が10頭前後だったのが、15年度は178頭にまで伸びた。結成した隊長の渡辺秀典さん(39)は元ミカン農家。深刻化する食害を目の当たりにし、「農業に打ち込め、捕獲したイノシシの売り上げを手に入れられる仕組みが必要」と立ち上がった。「猟師は害獣を仕留めて解体する技術はあっても、ご近所に配るのが精いっぱいだった」。レストランなどに売り込み、独自に販路を築いた。大三島産のイノシシはかんきつ類を食べて太り、脂身と甘さが特徴。東京や大阪方面にも肉を卸し「品質が抜群に高い」とシェフからも好評だ。利用するのは肉だけではない。東京から昨年移住した活用隊メンバーの吉井涼さん(34)は、解体後の骨でだしを取った「猪骨(ししこつ)ラーメン」を開発。各地のイベントに出品し、数年以内に島内に専門店を開くのが目標だ。砕いたイノシシの骨を6時間以上煮込んで作る白濁したスープは、さっぱりした味わい。イノシシのチャーシューに大三島産のレモンを合わせ、さらに爽やかな風味に仕上げたラーメンは「女性でもスープまで完食するお客さんが多い」。四国を中心に同じ問題を抱える他地域から問い合わせや視察も増えているといい、渡辺さんは「ノウハウを伝え、イノシシ肉の流通を拡大させたい」と意気込む。
(シカ肉ソーセージに試験販売:北海道)
栗山町のエゾシカ食肉加工施設を管理運営する食品加工のアルデバラン(札幌)は9、10の両日午前10時~午後3時、町内で捕獲したエゾシカの肉を使った「栗山町・熟成鹿肉ソーセージ」を、まちの駅・栗夢プラザ(中央2)で試験販売する。施設稼働から5年目で初の商品化。試験販売では購入者アンケートを行い、今後の本格販売や商品開発に生かす。鹿肉ソーセージは1袋100グラム、650円(税込み)。2日間で限定150袋を用意する。同社は地元の猟友会が今冬に町内で捕まえたエゾシカを加工施設で解体し、肉を2~3週間熟成させた。その後、町内の加工会社に委託しソーセージに仕上げた。防腐剤などを使わない無添加が特徴。町内では、10年以上前からエゾシカの農業被害が増加。2010年度は約9100万円(被害面積約110ヘクタール)と過去最多を記録した。町は11年度に町内農地を囲むように総延長約100キロにわたり高さ2・5メートルの侵入防止柵を設置。これと併せ同年度末、捕獲したエゾシカを食肉にする加工施設を約5千万円かけて建設した。当初、従業員が確保できないなどの理由で委託企業2社が相次ぎ撤退したが、13年春からアルデバランが管理運営している。同社は町内で捕まえたエゾシカの肉による商品開発を目指していたが、捕獲数が少なく実現できなかった。このため、これまで道内各地で捕獲されたエゾシカを食肉にして札幌のレストランなどに販売していた。同社の飯田大起(たいき)会長は「熟成具合が良くおいしく仕上がった。購入者アンケートを参考にして本格販売を目指したい」と話している。
(マックスバリュ九州、イノシシ肉「商品化」:福岡)
ジビエ(野生鳥獣の肉)ブームに乗り、農作物の害獣として捕獲したイノシシなどの肉の販路が、流通大手に広がる。これまで土中に埋めるケースが大半で、その労力が大きな負担だった。取り扱い店舗が増え、「商品」として流通することで、新たなビジネスチャンスが生まれ、害獣対策にも寄与すると、関係者は期待する。イオングループのマックスバリュ九州(福岡市博多区)は3月9日、福岡県内6店舗で、冷凍イノシシ肉の販売を始めた。大手スーパーとしてジビエ食材を取り扱うのは、同県内で初めてという。肩ロース200グラムで税抜き980円程度と、豚肉に比べればかなり高い設定だが、売り切れる店舗もあるという。同社の担当者は「特産品を販売することで、地域の活性化につなげようと考えた。売れ行きの様子を見て、拡大も検討する」と語った。イオングループはこれまでも、ジビエを積極的に取り扱ってきた。平成25年8月に三重県で、下味を付けたシカ肉を発売した。県や地元企業との共同プロジェクトだった。27年6月からは長野県でシカ肉の販売を始めた。行政がジビエ商品化を後押しするのは、野生鳥獣による農作物への被害が深刻だからだ。全国の被害額は年間約200億円に上る。九州でみると、福岡県の農業被害額が年10億円を超えた。北海道や長野県などと並び、全国最悪クラスとなっている。中でもイノシシの被害は、多い年は6億円に迫るほどだ。福岡県はまず、電気柵の設置など農作物を「守る」対策を進め、24年からは、狩猟頭数を増やす「攻め」の被害軽減策を目指した。この中で、狩猟者の確保とイノシシやシカ肉の処理が、課題として浮上した。ジビエは独特の風味がある。食肉とするには、速やかな血抜きや解体作業、その後の低温熟成を適切に行う必要がある。福岡県内では、添田町や糸島市など計7カ所のジビエ食材用の食肉加工施設があり、食肉商品化を進める。県は「ふくおかジビエ研究会」を25年に設立し、肉の処理方法の講習や、料理法開発に取り組む。それでも、流通経路は限られる。狩猟場所近くの直売所などで売る「地産地消」がメインだ。県内では年間2万頭ほどのイノシシが捕獲されるが、肉として消費されるのはごくわずかだ。農林水産省や県は、助成金で捕獲を後押しするが、狩猟者を増やすには、狩猟の産業化とジビエブームの継続が欠かせない。それだけに、イオンなど大手スーパーでの販売が軌道に乗ることへの期待は大きい。
(ジビエ専門店、消費流通の拡大に期待:大分)
県産を中心とした野生鳥獣肉(ジビエ)専門の炭火焼き店が大分市にオープンした。運営する東京都の会社は、仕入れた肉を飲食店向けに加工する供給拠点を由布市に設置する。県内では農作物の被害防止のためイノシシやシカが年間7万頭近く捕獲されているが、大半が未利用で、関係者は流通の拡大に期待を寄せている。大分市都町で3月に開店した「焼山(やきやま)本店」は、イノシシやシカのロース、モモ肉を中心に提供する。ヒヨドリなどの鳥の肉もあり、珍しさもあってカラスの注文が多いという。全皿480円(税込み)の価格設定で手ごろ感を出す戦略だ。東京都を中心にカフェなど約25店舗を展開する「LD&K」が運営。ジビエ専門は中目黒に次ぎ2店目。大谷秀政社長は「消費者の抵抗は薄くなり、都市部ではトレンドになりつつある」。都内でアナグマ肉のすき焼き店も開いている。由布市湯布院町に4月下旬に開設する「九州狩猟肉加工センター」は、大分市でジビエ卸業を営む椿説(ちんぜい)屋が運営する。県内外から仕入れた肉を飲食店の使いやすい形にして出荷。河野広介社長は「消費が増えるにつれて規格のそろった肉が求められる」。オリジナルの加工品製造も計画している。県内では狩猟肉の加工業者など9社でつくる「大分狩猟肉文化振興協議会」が需要拡大のための販売促進活動や、解体作業のマニュアル作成など需給両面の向上に取り組んできた。協議会によると県内のイノシシ、シカの取扱量は2012年度の358キロから14年度は10トン超に増えた。一方で流通が課題。イノシシ、シカの年間捕獲頭数(14年度)は計約6万8千頭。県内26カ所に食肉処理施設があるが、流通量は数%に満たない。県森との共生推進室は「消費の拡大で供給量が増えることが理想」として、都市圏での売り込みを後押しする方針だ。
(シカ料理店を冊子に:北海道)
宗谷総合振興局は宗谷管内でエゾシカ料理を食べられる飲食店を紹介する冊子を発行し、同振興局やJR稚内駅前ビル「キタカラ」などで配布している。低カロリーで栄養豊富なシカ肉の魅力を一冊にまとめ、観光客らに伝えている。冊子はA5判22ページで、オールカラー。エゾシカを観光に活用しようと、同振興局環境生活課が製作した。ニュー温泉閣ホテル(豊富町)のもみじ鍋、稚内市のカフェ「めぐり逢(あ)い」のシカ肉を使った「ベニソンカレー」など5施設から、1品ずつ紹介している。めぐり逢いの盛田妙織オーナーによると、ベニソンカレーを食べた客が、店内に置かれた冊子を手にして、「シカ肉料理って他の所でも食べられるのか」と驚くという。盛田さんは「エゾシカ料理に興味を持った人の多くが冊子を持ち帰ってくれる。シカ肉の消費拡大につながると思う」と期待している。

TOPへ

4/4
(誘引狙撃でニホンジカ11頭捕獲:長野)
ニホンジカの効率的な捕獲を目的に、県松本地方事務所(松本市)が筑北村坂井で二月から続けてきた「シャープシューティング」(誘引狙撃)の実証事業が三十一日、終了した。捕獲実績は十一頭。シカの群れが中信地域から北信地域へ動く中で、同地方事務所は農林業被害の拡大防止に向け、捕獲時期や範囲、方法を見直して二〇一六年度も実証事業を継続する計画だ。誘引狙撃は、定期的な給餌でシカをおびき寄せ、ハンターがスコープ付のライフル銃で遠距離から仕留める捕獲方法。獲物を大勢で追い立てて捕獲する巻き狩りより数倍効率が良いといい、同地方事務所が実証事業として初めて取り組んだ。実際の捕獲は、県が認定した茅野市内の専門業者に委託。二月十六日から土、日曜を除いて三月末まで、毎回四人ほどのハンターが出動して計十一頭を捕獲した。しかし、狩猟期終了直後のシカがハンターの動向に敏感になっていたため、捕獲実績は期待ほど上がらなかった。同地方事務所林務課の竹内玉来・鳥獣対策専門員は「シカは非常に神経質。捕獲段階でセンサーカメラに映らなくなった」と話し、捕獲時期を見直す必要性を指摘した。捕獲場所についても今回は集落に近い山林にしたが、シカの警戒心が強いため「次回からは、もっと山の奥に事業エリアを拡大したい」とし、捕獲方法では誘引狙撃と囲いワナ猟の併用も検討する考えだ。事業を受託した近藤重さん(42)は「シカが姿を見せず、捕獲は難しかった。誘引餌の配合など研究の余地は十分ある」と話し、次回への意気込みを見せた。
(ハクチョウ12羽死ぬ、高濃度の鉛検出:茨城)
小美玉市の池でハクチョウが相次いで死んでいるのが見つかった問題で、県環境政策課は1日、死んだハクチョウの一部から高濃度の鉛を検出したと発表した。桜川市でも同様のケースがあり、同課はハクチョウが散弾銃の弾丸を誤って飲み込んだ可能性もあるとみて調べている。同課によると、見つかったのは小美玉市部室の池花池で8羽(1月10日〜2月17日)、桜川市友部の桝箕ケ池(ますみがいけ)で4羽(1月23日〜2月18日)の計12羽。いずれも鳥インフルエンザウイルス検査は陰性で、外傷もなかった。このうち5羽を北海道大で分析したところ、うち3羽の肝臓から鉛中毒とされる基準値(1キロ当たり2ミリグラム)を超える3・18〜25・22ミリグラムの鉛が検出された。両池は鳥獣保護区に指定されているため、狩猟は禁止されている。散弾銃のほか、釣りで使用する重りの可能性もあるが、ハクチョウの胃からは検出されていないという。県は今後も同大や野鳥の会などと協力し、生態調査などを行って原因究明に努めるという。
(イノシシ、分布や被害拡大:岩手)
イノシシの生息域が広がっている。かつては宮城県が北限とされ、近年になって本県南部で農作物の被害報告があったが、昨年以降は盛岡市や雫石町で生息確認されるなど分布は北上。県は分布調査を急ぐ方針で、専門家は「予想以上に分布が拡大した。県内の農家はイノシシ被害の知識がないだけに、早めの対策が必要」と警鐘を鳴らす。盛岡市猪去で昨年10月、岩手大農学部の青井俊樹教授=今春退職=と盛岡市、地元自治会がクマ被害防除のため共同で設置した無人カメラ(静止画)に、子連れイノシシが写った。雫石町の御所湖周辺では今年2月、県自然保護課が設置したカメラに4、5頭が写り、生息が徐々に広がっている状況が明らかになった。県によると、本県のイノシシ捕獲は2011~14年度は一関市のみで計87頭だった。15年度は奥州市でも捕獲。一方、農作物被害額は一関市中心に奥州、北上、花巻の3市なども含めて10年度67万円、11年度107万円と徐々に増え、13年度は250万円に上った。
(ツキノワグマ、出没に注意呼びかけ:岩手)
県は春先以降、ツキノワグマによる人身被害などが増加する恐れがあるとして、県内全域に出没に関する注意報を出している。クマの人里への出没は、エサとなるブナの豊作・凶作に関係することが経験的に明らかになっているが、去年はブナが大豊作でメスの栄養状態が良く、子グマの出産数が増えたと見られている。このことから、春先は子連れのクマの出没が多くなる可能性が高く、さらにことしはブナが凶作と見込まれることから、夏以降はエサ不足で多くのクマが人里周辺に降りてくることが予想されている。クマの出没に関する注意報は、2014年に続き、2年ぶり3度目で、2014年には13件16人の人身被害が発生した。県では、山に入る際は鈴やラジオで音を出すなど、警戒するよう呼びかけている。
(食肉用に出荷できず、イノシシ処分に困る自治体:福島)
東京電力福島第一原発事故に見舞われた福島県で、捕獲されたイノシシの処分に自治体が頭を悩ませている。農作物を荒らす被害が深刻なため捕獲数は増えているが、高濃度の放射性物質を含むため食肉用に出荷できない。埋め立てに使える土地は限られ、焼却には解体の手間がかかる。こうした中、有害鳥獣専用の焼却施設を建設する自治体も出てきた。県内のイノシシによる農作物被害は、2011年度の4933万円から、14年度は9812万円に倍増。市町村は地元猟友会に委託して捕獲を強化しており、14年度の捕獲数は1万3090頭と11年度(3021頭)の約4倍に増えた。今春の県の調査ではイノシシの肉から、最高で国の規制値(1キロ・グラムあたり100ベクレル)の300倍の放射性セシウムを検出しており、県は捕獲イノシシの焼却か埋却処分を求めている。
(家族3人襲撃の犬、飼い主を書類送検へ:群馬)
群馬県高崎市吉井町多比良の牛伏山で1月上旬、家族連れが猟犬とみられる2匹の犬に襲われ、3人が重軽傷を負った事故で、高崎署が業務上過失傷害と狂犬病予防法違反(無登録、無注射)の疑いで、地元猟友会に所属する飼い主の男性を近く書類送検する方針を固めたことが31日、捜査関係者への取材で分かった。捜査関係者によると、この男性は1月9日、補助役と2人で牛伏山に入り、イノシシ猟をしていた。その際に少なくとも猟犬2匹を一時見失い、同市の女性=当時(67)=、孫の男児と女児の2人=いずれも当時(5)=の計3人に重軽傷を負わせた疑いが持たれている。また、男性は犬の所在登録を行政機関に申請していなかった上、法定期間内に狂犬病の予防注射をしなかった疑いもある。狂犬病予防法は飼い犬の所在登録を居住地の市町村長に申請するよう定めているほか、年1回の予防注射を義務付けている。事故は1月9日午後0時15分ごろに発生。牛伏山の登山道でハイキングしていた市内の家族4人が休憩しようとしたところ、2匹の猟犬とみられる犬と遭遇し、うち3人が襲われた。女性が右腕に全治約1カ月の重傷を負ったほか、男児と女児が尻に軽いけがをした。
(鳥獣害対策で捕獲の補助金増額:和歌山)
農作物の被害防止のため、和歌山県田辺市は2016年度からイノシシとシカのわな捕獲、カラスの銃捕獲の補助金を増額する。狩猟者の負担を軽減して、捕獲数増加につなげるのが狙い。新年度予算に補助金4986万円を計上した。
(住宅街、サル目撃相次ぐ:秋田)
秋田県由利本荘市西目町の住宅街で3日午前、サルが相次いで目撃され、由利本荘署などが注意を呼び掛けている。人的被害や物的被害はなかった。
(春グマにご用心、もう目撃情報:北海道)
道の「春のヒグマ注意特別期間」が1日、始まった。市内では3月末に今年初めての目撃情報があったばかり。昨年より1カ月以上早かった。今年は雪解けが早い影響で、冬眠から目覚めたヒグマがすでに活動し始めている可能性がある。これからは山菜採りや登山で山に入る人も増えることから、市などが注意を呼びかけている。市内では、28日午前8時57分ごろ、泉沢の道道支笏湖公園線沿いで体長約1・5メートルのクマ1頭が目撃された。現場は水産総合研究センター千歳さけます事業所付近で、蘭越の住宅街から東に約2キロの地点。市は付近に注意看板を設置したほか、千歳署などがパトロールを行った。市によると、過去5年間のヒグマの目撃件数は2011年が20件、12年が11件、13年が23件、14年が10件、15年が26件。14年にはキノコ採りをしていた市内の男性会社員がクマに襲われ、けがをした。目撃場所は道道支笏湖公園線沿いや向陽台地区が多く、時期は4~6月や、9~11月に集中している。昨年の最初の目撃情報は5月1日で、例年も4月下旬から5月初旬が多い。市農業振興課は「今年は雪どけが早く、ヒグマが活動を始める時期も早くなっている可能性がある。今後は山菜採りの時期とも重なるため、山に入るときは万全の注意を」と呼びかける。道の注意特別期間は5月31日まで。道環境生活部は注意点として《1》事前に出没情報を確認する《2》1人では野山に入らない《3》野山では音を出しながら歩く《4》薄暗い時に行動しない《5》フンや足跡を見たら引き返す《6》食べ物やゴミは必ず持ち帰る―などを挙げている。
(ニホンカモシカが民家近くに出没:和歌山)
3日午前7時35分ごろ、浜松市浜北区上善地の民家近くの畑で、ニホンカモシカがいるのを住民が見つけ、110番した。浜北署員や、市と静岡県の職員らが周囲を探したところ、近くの林で見つかった。警察が周囲を規制した上で、同日午前11時40分ごろ、県の職員が麻酔銃で撃って捕獲した。けが人はいなかった。県西部農林事務所によると、ニホンカモシカは体長約80センチ、体重約30キロで性別は不明。ニホンカモシカは国の特別天然記念物のため、捕獲から約2時間後、浜松市内の山に放した。現場は田畑や住宅、工場がある地域で、市が同報無線を通じて注意を呼び掛けた。
(イノシシ大繁殖、人口の3倍300頭:佐賀)
九州に、イノシシが大繁殖し、農作物を荒らすなど島民の生活が脅かされている島がある。佐賀県唐津市の加唐(かから)島だ。人口約100人に少なくとも300頭が生息している。人への危害はないが、捕獲が難しく、「このままでは人間が島から追い出されかねない」と懸念する声も出てきた。「でかいイノシシが、わなにかかった。手伝ってくれ」。島の緒方正善区長(66)に、島民から連絡が入った。草やぶに仕掛けたわなに、体長約140センチの雄が横たわる。まん丸と肥えた姿に「こいつらが畑を食い荒らしよったのか」と、怒りがこみ上げた。玄界灘に浮かぶ加唐島は面積約2・8平方キロ。古代朝鮮の百済国王「武寧王(ぶねいおう)」が誕生した伝説がある。島民によると、15年ほど前、約3キロ離れた九州本土から泳いで渡ったとみられるイノシシが棲み着いた。周辺の海で泳ぐ様子も目撃されている。唐津海上保安部の河崎輝希さん(27)は、犬かきのように泳ぐ2頭を、巡視船から見た。「水しぶきを上げ、慣れた様子でぐんぐん進んでいた」と振り返る。唐津市によると、外敵がおらず、農作物などの餌も豊富なため繁殖した。島には群生するツバキを使い、化粧品を開発する構想があるが、木の根を荒らされる被害が増加し、ままならない。イノシシが斜面を掘り起こし、岩石が土砂崩れのように道路に落ちる被害も相次ぐ。島は切り立った崖が多く、猟犬を使った捕獲は困難だ。そこで、島民は対抗し、茂みにおりを仕掛けた。1年で50頭はわなにかかるが、年に数回、5頭は産む繁殖力には追いつかない。夜になると民家の近くに寄ってくる。そこで、金属製の網で二重三重に畑を覆い、住宅を敷地ごとフェンスで囲うケースもある。市立加唐小学校は、花壇への侵入防止用にフェンスを設置する計画を立てた。児童は現在3人だけだが、福田浩一郎教頭は「万一でも、襲われてはいけない」と不安を隠せない。同校の登下校時には、保護者が車で送迎している。イノシシといえば、全国的にはその肉を特産品として売り出すケースもあるが、加唐島は猟師ではなく、漁師が多い。イカ漁で生計を立てる徳村敏勇樹さん(66)は「漁師が猟師になるのは難しい。魚をさばけても、獣肉はさばけない。どうしようもない」とため息をついた。
(停電525戸、原因はカラスの巣:新潟)
2日午後1時10分ごろ、JR新潟駅南口近くの新潟市中央区南笹口で、最大で525戸が停電するトラブルが起きた。東北電力新潟営業所が調べたところ、停電発生区域の電柱にカラスの巣があり、巣の材料の金属製ハンガーと高圧線とが接触してショートしたとみられる。社員が巣を撤去し、50分後に完全復旧した。同営業所によると、人里に住むカラスは営巣期に、廃棄された金属製ハンガーなどを材料に電柱などに営巣することが多いという。先月26日には同市西蒲区でも、カラスの巣が原因で約700戸が停電した。社員が巡回して巣を見つけ次第撤去しているが、すぐに別の巣を作るといい、いたちごっこの状態だという。
(猪豚カレー、一番人気:群馬)
イノシシと豚をかけ合わせたイノブタの生産地、群馬県上野村勝山にある「JA上野村琴平センター」。一番人気はレトルトの「猪豚(いのぶた)カレー」だ。同村産のイノブタ肉がゴロゴロ入って食べ応え十分。同村のイノブタ生産には40年以上の歴史があり、通常の豚の餌に大麦を混ぜ脂身に甘みとうまみを出すなど工夫を凝らす。1袋入り432円と3袋入り1080円があり、昨年「JAグループ6次産業化商品コンテスト」ご飯のおとも部門で優秀賞を受賞した。ジンギスカンと、シシ肉を使った「ぼたん鍋」にちなんで名付けたジンギスぼたんは、橋本市内の精肉店で処理した市産のシシ肉を使用している。
(不思議なコラボ料理「ジンギスぼたん」:北海道)
和歌山県北東部に位置する橋本市は、捕獲数が増えているイノシシの肉を使って、新しい料理の提案に乗り出した。ジンギスカンのタレにシシ肉を漬けた、その名も「ジンギスぼたん」。ジンギスカンの本場・北海道生まれの職員が何度も道内へ足を運び、シシ肉に合うタレを吟味した上で、ようやくたどりついた味だという。市は北海道の企業などと連携し商品化。道内を皮切りに全国で販売を計画しており、不思議なコラボ料理「ジンギスぼたん」で橋本の名を売り出したいという。ジンギスカンと、シシ肉を使った「ぼたん鍋」にちなんで名付けたジンギスぼたんは、橋本市内の精肉店で処理した市産のシシ肉を使用している。そのシシ肉を北海道の企業へ運び、ショウガやニンニク、甘みのある市産の柿などを加えたタレに漬けて臭みを消し、パックに入れたもので、価格は500グラム入りで800~1000円(税別)を予定している。北海道では、真ん中がドーム状に盛り上がった鉄板のジンギスカン鍋でラム肉などのヒツジ肉を焼きダレにつける食べ方と、タレに漬け込んであるヒツジ肉を焼く食べ方(味付ジンギスカン)があるが、開発に当たっては後者をヒントにした。ジンギスカンといえば、ヒツジがメーンだが、タレにブタ肉を漬け込んだ商品もあり、市ではシシ肉も受け入れられると判断。4、5月をめどに留萌市のスーパーをはじめ、旭川、恵庭の道内3市で販売を予定している。橋本市農林振興課によると、平成27年度の有害鳥獣捕獲期間(4月1日~10月24日)におけるイノシシの捕獲数は482頭。昨年度(501頭)に比べると減少したが、52頭だった21年度と比較すると、9倍以上にも増えた。山間部の過疎化が進み、餌となる柿の実などがそのまま放置されるなど“放任園”が増えたことが、イノシシ増加の主な理由とみられる。地域によっては捕獲したイノシシを食べているが、ジンギスカンのタレでシシ肉を味わったらおいしいのではないか-。市はしもとブランド推進室の梅本利樹室長補佐は、こう思い立った。北海道生まれの梅本さんは中学卒業まで道内で過ごし、ジンギスカンを好んで食べた。「子供のころは『ご飯の友』で、大人になった今では『酒の友』。関西ではなかなか食べられないのが残念」と、“ジンギスカン愛”は止まない。シシ肉は臭みが強いため、しっかりと血抜きなどをした上で、みそ仕立てで味わうことが多い。そこで、「味付ジンギスカンとして食べるなら、シシ肉も合うのでは」と考えた。昨年春からしばしば北海道へ出張し、市産のシシ肉を、北海道小樽市内の企業が作ったジンギスカンのタレに合わせて商品作りを研究。1度目は甘く濃すぎて失敗。2度目は有名チェーン店っぽい味にはなったが、まだ納得がいかず、再度試行錯誤し、「3度目でようやく『おっ、イケる』と思いました」と振り返る。梅本さんは「『ジンギスぼたん』を味わってシシ肉のおいしさをわかってもらえれば、需要は見込める」とみる。ぼたん鍋の本場といえば、兵庫県丹波地方。丹波県民局丹波農林振興事務所森林林業課(丹波市)によると、管内の狩猟期間(11月15日~3月15日)におけるイノシシの捕獲数は24年度が189頭、25年度は667頭、26年度は518頭。一方、有害鳥獣捕獲期間(3月16日~11月14日)の捕獲数は24年度が191頭、25年度が324頭、26年度が480頭だった。狩猟期間外にも、害獣駆除でかなりの数のイノシシが捕獲されていることが分かる。また狩猟期間中の捕獲数は、猟師がどこで捕獲したかを報告するようにはなっていないため、他地域で捕獲されたイノシシが含まれている可能性もあるという。丹波地方にあり、ぼたん鍋で知られる同県篠山市。市内の狩猟期間中における年度別捕獲数のデータはないが、有害鳥獣捕獲期間の捕獲数は24年度が116頭、25年度は186頭、26年度は340頭で、一気に増えた。市では山と農地を隔てるため、高さ約2メートルの金網の柵を設置し、対策を講じている。「イノシシは迷惑な動物ですが、特産品でもある」。市農都環境課の細見英志係長は苦笑いし、「肉付きの良くない夏場よりも冬場の方がドングリを食べて肥っているので、脂がのってうまい」とPRする。市は26年、「ささやまジビエ」というパンフレットを作った。ジビエとは食材として捕獲された野生の鳥獣のこと。シシ肉は高タンパク・低カロリーでヘルシーな肉として知られ、パンフレットは特に女性向けに作ったそうで、丹波篠山観光協会のホームページでも公開。ぼたん鍋などシシ肉の料理が味わえる店舗も掲載している。市商工観光課の波部正司係長は「市内の店舗が安定してシシ肉を出せるのは、伝統的に大きなブローカー2社が市内にあることが大きい」と説明する。そんなぼたん鍋の本場も、ジンギスぼたんに関心を示す。「『ジンギスぼたん』はグッドアイデア。イノシシは北海道に生息していないし、シシ肉を広める上でチャンス。しかし橋本産のイノシシだけで一年間供給するのは難しいでしょう」。篠山市内で年間を通じてシシ肉を販売する専門店「おゝみや」の大見春樹社長はそうみる。実際、橋本市を悩ませているのが、一年を通じた安定供給の問題だ。これにどう対処するか。「おゝみや」では、篠山市など丹波地方で捕獲されたイノシシだけでは足りず、福井県や島根県などからも仕入れており、年間約2千~2500頭を扱っている。シシ肉は、狩猟期の11月から3月までは生で提供。その一方、短時間で肉を芯まで凍結させてうまみを流出させない2種類の凍結庫で管理し、夏に焼肉用で提供している。冷凍するのも狩猟期間中に獲れた肉が大半だ。大見社長は「夏場のイノシシはやせているし、肉質が硬いので商品価値がないから仕入れ値は安い。安定供給を目指している上、味付けにするのならば、そちらの肉を使えばいい。うちでも夏場のシシ肉をソーセージなどに加工しているし、いろいろなノウハウを持っているので求められれば協力したい」と話す。橋本市でも、仕入れやすい有害鳥獣捕獲期間中に捕獲したイノシシを扱うことを検討中だ。販売は道内でスタートするが、全国へ広め、「橋本」の名をアピールするには年間を通じての販売が必要だ。いったい一日に何頭仕入れ、さばくことができるのか。今回は市内の精肉店が協力したが、1店だけでは限界がある。市外の業者への依頼も考えているが、先行きは不透明だ。一方、ジンギスぼたんの販路開拓や宣伝などについては、市と業務提携した留萌市の漬物製造販売会社「丸タ田中青果」と、特産品企画会社「インダレート」(橋本市)が協力する。市はしもとブランド推進室の東山俊也室長は「市内で捕獲されるイノシシの肉を使って『ジンギスぼたん』を売りたいが、どれだけ可能か。実際にやってみた上で、他地域のシシ肉を含めるかなど課題解決に向けて取り組みたい」と話す。不思議なコラボ料理は、和歌山・橋本発の新たな名物となるか。

TOPへ