<射撃ニュース4月>

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(大日本猟友会、ドローンで生息数調査)
大日本猟友会は、ドローン(小型無人飛行機)を使ったニホンジカやイノシシなどの野生鳥獣の生息調査に乗り出す。上空から個体数を計測するシステムを開発して、より正確な生息調査を行い、現場での鳥獣捕獲対策に生かしていく。27日、大日本猟友会と、世界トップシェアを持つ中国のドローンメーカーの日本法人、DJIJAPAN(東京都港区)、システム開発を行うスカイシーカー(東京都板橋区)の3者が、東京都千代田区で事業連携の調印式を行った。これまでのニホンジカなどの生息状況調査は、目視による個体・群の確認やふんや足跡、捕獲数などによる推計で行っていた。ドローンを使った調査はニホンジカで始め、今後はイノシシや熊、猿などの野生鳥獣や天然記念物など希少鳥獣の調査、被害状況の把握にも活用する。ドローンは、自動で飛行させる。ニホンジカの形状をシステム上に記憶させ、他の動物とを識別する「シカカウンターシステム」も開発する。保護色をした野生鳥獣は目視では見分けにくいことから、赤外線サーモグラフィカメラを搭載。動物の体温と地表との温度差を利用し、草陰などにいる個体も判別する。大日本猟友会は今年度、全国5~10カ所程度で実証試験を行う。6月には、スカイシーカーとDJIが東京都あきる野市に養成所を開設。大日本猟友会が都道府県猟友会の会員から候補者を募り、技術者を養成する。大日本猟友会の佐々木洋平会長は「ドローンを使った野生鳥獣の生息調査は、世界でも珍しい」と話す。調印式に立ち会った自民党の鳥獣捕獲緊急対策議員連盟の鶴保庸介会長代行は「画期的な技術が出てきた」と述べ、全面的に協力していく考えを示した。
(石原は予選敗退、クレー射撃W杯)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は22日、キプロスのニコシアで女子スキートが行われ、リオデジャネイロ五輪代表の石原奈央子(古峯神社)は予選16位で、上位6人による決勝に進めなかった。
(「クマの目撃情報」相次ぐ:福島)
喜多方市と南会津、猪苗代両町で25日、クマの目撃情報が相次いだ。▼午前6時10分ごろ、南会津町の国道121号沿いで住民が1頭を目撃。南会津署によると、クマは体長約1メートル▼午後4時ごろ、猪苗代町の国道115号沿い駐車場で、付近の商店の従業員男性が1頭を目撃。猪苗代署によると、クマは体長約1メートル。現場は農産物直売所などの近く▼午後9時35分ごろ、喜多方市の県道で、車を運転していた男性がクマ3頭を目撃。喜多方署によると親子とみられる。
(大阪環状線停電、カラスの巣が原因:大阪)
27日午前、JR大阪環状線で一時、全線が運転を見合わせた停電事故で、トラブルの原因はカラスの巣だったことがわかった。午前10時40分ごろ、大阪環状線の今宮ー天王寺駅の間で、電力を送る設備の安全装置が作動し停電。電車が一時、線路上で立ち往生するなどした。その停電の原因は意外なもので、線路の上の部分に作られたカラスの巣。カラスが巣を作るために集めたみられる金属片が巣から落下し、架線に触れた際にショートし、停電が起きたという。職員が線路上を歩いて停電の原因箇所を確認。架線を支える柱にあったカラスの巣を撤去した。このトラブルで、大阪環状線全線と大和路線の難波ー天王寺駅間で一時、運転を見合わせたが、午前11時15分ごろに全線で運転を再開した。JR西日本によると、24本の電車が運休するなどし、約1万6000人に影響が出たという。
(「野生生物共生センター」が開所:福島)
大玉村に「野生生物共生センター」が開所した。県の鳥獣保護センターの機能を引継ぎ、野生動物を救うだけでなく放射性物質の影響も研究する。きょうは地元の小学生も招かれたが、今後は環境を学ぶ場としても活用される。センターでは、クマやイノシシなどの追跡調査や、動物間の食物連鎖による放射性物質の移行なども調査し実態を解明する。
(南アルプス、ニホンジカ捕獲頭数494頭減少:長野)
昨年度の南アルプスでのニホンジカの捕獲頭数は、前年度より494頭少ない871頭でした。南信森林管理署によりますと、「捕獲の効果は出ていると思われるが、引き続き進めていく必要がある」としています。南信森林管理署の発表によりますと、昨年度南アルプスで捕獲したニホンジカの頭数は、前年度より494頭少ない871頭でした。八ヶ岳では883頭、霧ヶ峰では535頭で、合計で前年度より1,182頭少ない2,289頭でした。捕獲は、森林管理署の職員や、南アルプス食害対策協議会が委託した猟友会などが行いました。南信森林管理署によりますと、これまでの捕獲や降雪の影響でニホンジカの頭数が減っていることや、捕獲に警戒し人前に出てこなくなったことが捕獲頭数の減少につながったとしています。南信森林管理署では「捕獲の効果は出てきていると思われるが、奥地へ移動しているとも考えられる。手を緩めることなく続けていく必要がある」としています。
(クマ対策会議、猟銃での捕獲手順確認:富山)
クマ対策について話し合う、今年度初めての県の会議が開かれました。中では、住宅密集地に出没した際の、猟銃による捕獲の手順などを確認しました。25日の会議には、市町村や県警、猟友会などから関係者およそ60人が出席しました。県によりますと、今年は2年に1度のドングリの不作の年にあたり、秋頃にエサを求めるクマが平野部にまで出没する恐れがあるということです。会議ではクマが住宅密集地に出没した場合を想定し、警察官や捕獲隊員らがマニュアルに従って猟銃による捕獲の手順を確認しました。鳥獣保護法では、夜間や住宅密集地などでの猟銃の使用が禁止されていますが、警察官職務執行法により緊急時には警察官がハンターに猟銃使用の命令を出すことができます。県では、秋ごろにかけてクマのエサとなる柿の実の除去など、対策が必要だとしています。
(クマとの遭遇に注意:長野)
暖かい季節となり、山菜採りなどで山へ入る機会が多くなりました。この時期はツキノワグマが冬眠から覚め、活動が活発になる季節でもあり、遭遇の危険性が高くなる時期です。山に入る場合には、ラジオ、笛、鈴など音の出るものを携帯し行動しましょう。特に朝夕の薄暗い時間帯や見通しの悪い箇所では、不意の遭遇に十分注意してください。
(猟銃などの検査、前倒しで終了:愛知)
五月下旬に開かれる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の警備対策の一環として、県警は、狩猟や競技で使うライフル銃、散弾銃などの定期検査を例年より前倒しし、全ての所有者への確認作業を終えた。年一回の定期検査は、県公安委員会の許可を得ている銃の所有者が、適正に管理しているかを確認するのが目的。例年は四月を中心に検査しているが、今年はサミットをにらみ、盗難被害に遭った銃がテロなどに悪用されることを防ぐため、一~三月を中心に作業を進めた。ライフル銃や散弾銃、空気銃などを所有する二千百三十七人が対象。検査の結果、銃や弾の紛失・盗難被害、違法な改造などは確認されなかったという。県警保安課の担当者は「万が一、盗難に遭えばテロに使用される可能性もある。サミットを見据え、所有者にはこれまで以上に保管、管理の徹底を図るよう指導した」と話している。
(鳥獣害対策の「専門員」委嘱:山梨)
野生動物の農作物への被害を防ぐため、県が25日、鳥獣害対策のスペシャリストを「対策専門員」に委嘱した。県によると県内のサルやシカの食害は2014年度1億8800万円で2年連続減ったものの依然として深刻。こうした中、県は25日、鳥獣害防止対策のスペシャリスト3人を「鳥獣被害対策専門員」に委嘱した。委嘱されたのは環境省鳥獣保護管理捕獲コーディネーターの有泉大さんと特定NPO法人甲斐けもの社中の山本圭介専務理事、NPO法人富士山ネイチャークラブの藏岡登志美さん。県は現在、集落ぐるみの鳥獣害対策を推進中で、3人は地域のリーダーや狩猟免許を持つ人に野生鳥獣の生態や効果的な食害対策をアドバイスする。県は「鳥獣害は農家の意欲をそいでしまう、少しでも減少につなげたい」としている。
(カラスの巣作りピーク、電柱からの撤去依頼相次ぐ :北海道)
カラスの巣作りが盛んなシーズンを迎え、北海道電力苫小牧支店に、電柱に作られた巣の撤去依頼が相次いでいる。今月だけで100件超。今月末にかけてが営巣のピークとみられ、同社の担当者は「巣を見つけたらむやみに近づかず、すぐに連絡を」を注意を呼び掛けている。巣は住宅街の電柱に作られるケースが多く、生ごみが集積されるごみステーションのそばなどが選ばれやすい。同社は、巣の素材などから危険性を見極めながら、撤去作業に当たる。針金製のハンガーや鉄線などで作られた場合は電線の金属部分に接触して停電の原因となることもあるためだ。電柱の点検を行うとともに過去に巣作りの被害が報告されている電柱にテグスや風車などを取り付け、新たな営巣を防ぐ工夫をしている。4月1日から20日までに同社が認知した電柱への営巣は、前年比34件増の101件。今年は2月末から営巣の報告があり、担当者は「昨年に比べ、気温が高いことなどが要因では」とみる。11日には苫小牧市ウトナイ北の住宅街で巣の影響による停電が発生しており、「巣作りは今がピーク。被害予防へ情報提供を」と、呼び掛けている。
(畑守れた!観光ミカン狩り農園:神奈川)
JAかながわ西湘がある神奈川県では、市町村が取り組む鳥獣害対策に対し、さまざまな支援を行っている。鳥獣の出没・被害状況の把握や、市町村が防護柵などを設置した際の交付金や補助金などだ。同JA管内にある観光ミカン狩り農園「田代園」が、電気柵を導入して獣害対策に効果を得ているときき取材した。田代園の田代実氏は、イノシシの被害が深刻になり、1年前に電気柵を導入した。以前は2~3tほどミカンの収穫ができたが、食害などの被害で4分の1の600kg前後にまで減少した。田代氏は「獣害の被害があると、本当に勤労意欲がなくなる」と話す。昔はミカンを苗木から育てられたが、イノシシやシカの食害で枯れたり、噛んで抜かれたりすることが続いた。さらには葉や果実まで食害にあうようになり、電気柵で対応を行うことにした。苗木も伸び始め、収穫量も2tに回復した。「知り合いに、電気柵が低くてシカが入ってしまった人がいる。自分はシカも入らない様に高めにしたので、1年たっても全然問題はない」。導入には15万円ほどかかったが、10年使えると考えれば、1年に1万5000円の経費だ。最初はトタンで対策を行おうと考えたが、「観光農園だから美観も大切」。さらにトタンや網などは、設置の弱い部分から動物が入った事例もある。「フェンスを導入した人は、イノシシが網の下から押し上げて畑に入ったと言っていた。今はフェンスの下に、木で蓋をしているという。そのほうがお金がかかる」と話す。電気柵を施して1年たつ畑の中を見せてもらった。「葉っぱがちがう。下の部分は新しい葉で、上の部分は古い葉だ。動物が届く高さの部分は、全部食べられていた。だから新しい葉は、食べられた部分が新しく芽吹いてきた証拠」と嬉しそうに語った。電気柵はタヌキやハクビシンなどの小動物対策に、1段目は低めにするのが良い。その分、雑草の除草は大変になり手間がかかるが、「その価値はある」と田代氏は断言する。取材に同行したJAかながわ西湘開成営農センターの古谷センター長は「電気柵の下に防草シートをする人がいるけれど、動物の脚が土についていないと電流が流れにくくなるためオススメしない」と話す。田代氏は電気柵だけでなく、猟友会に頼んで罠を仕掛けてもらうことで、鳥獣害対策の効果が上がるという。「一族で移動する動物の一匹が、罠にかかるなどして痛い目にあう。生き残った仲間は『この場所は危険だ』と思って、その地域から離れていく。しばらくたつと、別の一族がくるから、また罠をしかける。それの繰り返し」だ。古谷センター長は、すでに防護柵を設置した人にも電気柵を勧める。「ハクビシンなどの小動物が柵を乗り越えて入ってくることがある。その場合には、食害にあう作物だけを電気柵で囲う対策ができる。簡単に撤去して別の場所に持っていけることが電気柵の利点。収穫が終わったら、また別の作物のために電気柵が使える」と話す。最後に、「電気柵の導入を迷っている人は、費用対効果を考えるのでは」と田代氏はいう。電気柵には経済的な話が持ち上がる一方で、「農業はその人の生きがいだったりするから」と語る。兼業農家は『大した面積ではないから、費用は小額』と割り切るか、専業農家は『これで生活をするからこそ、きちんと守る』ためと考えるか。電気柵導入には、自分が農業で何を大切にするかが決め手となるようだ。
(ジビエ工房紀州に県の認証:和歌山)
県が野生のイノシシやシカの肉の衛生管理ガイドライン順守等を目的に実施しているジビエ処理施設衛生管理認証制度で25日、日高川町船津のジビエ工房紀州に認証書が交付された。県内のジビエ処理施設におけるHACCPの考え方に基づく衛生管理を進める取り組みで、昨年度までに野生鳥獣専門処理業者など5業者が認証を取得。ジビエ工房紀州は7業者、8施設目の認証となり、今後は店頭に県の認証マークを掲示し、商品のジビエ肉に格付表示マークも貼付することができる。日高振興局の田中達也局長から施設の解体処理スタッフ代表の清水俊夫さん(48)に知事の認証書を伝達。ジビエ格付員資格も持つ清水さんは、「私たちはいいものを仕入れ、安全で本当にいいものだけを提供したいと考え、日々、衛生管理には細心の注意を払っています。日高地方では初めての認証となりますので、これからも日高川からおいしいジビエを広め、お客さんに喜んでもらえるように頑張りたい」などと話していた。
(「ジビエバーガー」学校給食で提供:和歌山)
農作物の鳥獣被害額に頭を悩ます和歌山県南部の古座川町は、地元の猟師と連携し、捕獲したシカやイノシシを食肉に加工し販売する取り組みを本格化させている。農作物を食べるシカやイノシシなどの対策に頭を悩ます地方は多いが、和歌山県南部の古座川町は地元の猟師と連携し、鳥獣害を逆手にとって、捕獲したシカやイノシシを食肉に加工し販売する取り組みを本格化させている。中でも古座川の豊かな自然の中で成長したシカの肉は、「古座川の清流鹿」と名付けブランド化。東京や大阪などの飲食店に売り込み、町の“厄介者”を古座川の新しい魅力としてアピールしている。和歌山県全体の平成26年度の農作物の鳥獣被害額は約3億2000万円と多い。うち古座川町は約155万円で、毎年平均して約150万円の被害が出ている。同町産業建設課によると、平成27年度のシカの駆除頭数は1177頭で「年々少しずつ増加している」(町産業建設課担当者)。特に高齢化が進む同町では、商売として農業をする人より自分の食料として農作物を育てるお年寄りが多いといい、同課の担当者は「実質的な被害額だけでは計算できない影響もある。農作業を生きがいにしているお年寄りも多く、鳥獣害は長年の課題だった」と話す。そこで同町は、平成26年度から食肉加工処理施設の建設など関連事業に総額6700万円を盛り込み、27年3月末に鳥獣食肉処理加工施設を建設。これまでは駆除したシカやイノシシは山中に埋めて処分していたが、地元猟友会に所属する猟師と協力し、加工施設に搬入して「ジビエ」に加工、売り出す取り組みを始めた。施設が稼働して1年余りになるが、27年はシカ532頭とイノシシ57頭を処理し、約570万円を売り上げた。「初年度としては上々の滑り出しで将来に期待がもてる」と町産業建設課の細井孝哲さん(32)は話す。中でも、「古座川の清流鹿」は町内の山中で地元の猟友会のメンバーが捕獲したシカ肉に名付けられたブランド。全国の飲食店でも絶賛される上質な肉質が特徴だ。牛や豚と異なり、筋肉質で歯応えがあるシカ肉は、野生の獣特有の独特の臭みから敬遠されがちだった。しかし、清流鹿は「全くクセがなく、初めて食べる人でも肉の良さが分かる」と加工施設の職員も自信を見せる。「清流鹿は、アユなどが取れるきれいな川の水を飲み、豊富な食糧がある山で生きている。紀伊半島は気候も温暖で、冬も寒さが厳しくない。他の過酷な環境で生き延びているシカよりも肥えて肉質もいい」という。また、捕獲から2時間以内のもののみ食肉に加工するなど、こだわりも見られる。加工施設の職員は「体内に血液が残ると、嫌な臭味が発生する。すぐに処理することで血抜きも完璧になる。こうして、ブランドの質を落とさないようにしている」と話す。加工後は0~1度に温度管理された熟成室で保管される。シカ肉は筋肉質なため、繊維が硬い。それを熟成させることで肉質を柔らかくする。「口に入れたときに味の魅力が100%出るように心掛けています」。加工施設の責任者を務める深海政也さん(39)はそう話す。加工処理を担当する深海さんら職員4人のうち、3人は宿泊施設などで料理人としても働く。「料理人目線で肉を処理するので、骨の大きさや肉の厚さなど細かい注文を受けられる。そんなことができるのも、ここだけでは。頭の中にお皿に盛られるシカ肉をイメージしながらさばいています」と深海さん。町主導で、全国のジビエ料理のイベントや物産店などで積極的に販促活動も実施している。28年2月には、福岡市で開催された「第2回日本ジビエサミット」で古座川町のジビエの魅力をPRした。こうした販促活動の効果もあり、古座川の清流鹿は3月末現在で、県内だけでなく、東京や大阪などの飲食店計24店舗に出荷している。「知名度も次第に広がってきていると思います」と細井さんも手応えを感じている。東京都武蔵野市でスペイン料理のレストラン「ドス ガトス」を経営する高森敏明シェフ(55)は古座川の清流鹿をコース料理のメーンの肉料理などに使用する。和歌山出身の高森さんは自信を持って提供できる故郷・和歌山の食材を探している際に知人に勧められたという。「今まで使っていたシカ肉はうま味があっても獣臭さがあった。古座川のシカ肉は食べる前に臭いを警戒していたお客さんも『本当にシカ肉ですか』と驚く。肉の純粋なうま味が口の中に広がるんです」と絶賛。「和歌山の食材に誇りが持てました」という。同町では28年1~3月の各月1回、町内の小中学校4校でシカ肉を使用した「ジビエバーガー」を給食で提供した。町教委の担当者は「学校の周りにはイノシシやシカよけのフェンスで囲まれた学校が多く、悪いイメージが定着していたが、新しい村の資源になった今、子供たちにも新しい村の魅力を知ってもらいたい」と話す。細井さんは「ゆくゆくは全国の飲食店で『古座川の清流鹿』が食べられるくらいの人気商品に」と意気込む。村の“厄介者”だったシカが、今や村の新しい資源として期待されている。

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(クマに襲われ3人重軽傷:岩手)
24日午前10時40分ごろ、北上市と西和賀町にまたがる仙人山(882メートル)で登山者3人が子連れの熊に襲われ重軽傷を負った。登山愛好家によると、熊の餌のブナの実が昨秋豊作となり、今春は子連れ熊が多く、入山する際などは注意が必要だ。北上署によると、いずれも秋田市の男性(72)が頭と右腕に重傷、女性(64)が後頭部と右脚に重傷、男性(66)が頭に軽傷を負い、盛岡、北上両市の病院に運ばれた。西和賀町側登山道で成獣にかまれたり爪で引っかかれるなどしたとみられる。救助に携わった紫波町の男性登山者2人によると、3人が襲われたのは7合目付近の尾根でささやぶがあるブナ林。紫波町の2人はヘリが見つけやすいように300メートルほど下った見晴らしの良い雪渓に3人を運び、後から登ってきた登山者の衛星利用測位システム(GPS)で緯度経度を測り警察に連絡。県の防災ヘリが見えると赤いジャンパーをストックにくくりつけ合図を送り、ヘリを待つ間は3人が持っていた爆竹や笛を使い熊を寄せ付けないようにした。北上市は広報車で周辺集落に熊出没を知らせるとともに25日に登山口に注意喚起の看板を設置する。
(住宅の倉庫にクマ出没:長野)
24日午前0時すぎ、長野市松代町豊栄に住む男性が「倉庫にクマが侵入した」と警察に通報した。体長約1メートルの大人のクマと見られ、扉のガラスを割って倉庫に入り、中にあったリンゴをかじっていた。けがをした人はいなかった。地元の猟友会は25日以降、小中学生の登下校を見守るなど警戒を続けることにしている。
(「人格的に問題」散弾銃提出命令を拒否:兵庫)
兵庫県公安委員会から「人格的に問題がある」などの理由で命じられた散弾銃の提出を拒んだとして、兵庫県警は21日、銃刀法違反容疑で、同県西宮市に住む建設会社社長の男(45)を逮捕した。県警によると、同様の事件での摘発は珍しいという。県警西宮署によると、男は平成15年10月、県公安委から射撃用として散弾銃1丁の所持許可を受け、その後も更新を続けていた。今年4月19日に家庭内トラブルが判明し、男が警察官に対して激高するなどしたため、銃を所持するのにふさわしくないと判断した。逮捕容疑は20日午後8時40分ごろ、県公安委から受けた散弾銃の提出命令を拒んだとしている。容疑について「提出する理由をきちんと説明されていない」などと否認しているという。銃刀法は、他人の生命などを害する恐れがある者には、銃の所持を許可してはならないと規定している。
(クマ目撃:岩手)
22日朝早く、花巻市石鳥谷町でクマ1頭が目撃された。警察で警戒を続けている。22日午前4時50分頃、花巻市石鳥谷町の「石鳥谷ふれあい運動公園」から約100メートル北側で「クマが雑木林に入っていった」と付近を通行していた住民から警察に通報があった。クマは1頭で成獣とみられる。通報を受けて、22日午前6時頃、警察と市職員、鳥獣保護員が付近を捜索したが、クマは見つからなかった。今のところ、けが人は出ていない。付近には、花北青雲高校や老人ホームがあって、警察でクマが隠れている可能性が高いと見て、付近をパトカーで巡回するなどして警戒を続けている。
(クマ目撃情報:山梨)
甲府市でクマの目撃情報が相次ぎ、近くの小学校では、児童の登校時に教職員が巡回するなど、警戒を強めている。甲府市によると、21日午後0時40分ごろ、甲府市の緑が丘スポーツ公園の西側にある山の斜面を、体長1・5mほどのクマが登っていくのを通行人が目撃し、市に通報した。その後、市の職員と警察が付近を確認したがクマは見つからなかった。クマの目撃情報を受けて、近くの相川小学校では22日朝、教職員が目撃現場の近くに立って児童の登校を見守ったほか、自転車やバイクで巡回するなど警戒にあたった。クマは20日の夕方にも近くで目撃されていて、市は防災無線などで住民に注意を呼び掛けている。
(鳥獣対策、防犯で広域連携:福島)
東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た12市町村は5月、鳥獣被害や防犯などの分野で広域連携を進めるための検討会を設置する。既に広域連携の議論を進めている医療や公共交通分野に加え、新たに検討会を設置し、広域連携すべき課題を掘り起こし、解決策を協議していく。23日に県庁で開かれた12市町村の将来像に関する有識者検討会で県が示した。広域連携の検討会は、12市町村の副首長(検討内容により首長)と県、国で構成。イノシシなどの鳥獣被害や防犯・防災、避難者支援、廃棄物処理などの課題解決に向け、広域連携の在り方を考えていく。避難地域の広域連携を巡っては、医療提供体制について双葉郡8町村や福島医大などが昨年9月に検討会を設置し、2次救急医療体制の確保などについて議論を進めている。公共交通のネットワーク構築についても関係市町村や交通事業者が協議会設置に向け準備している。有識者検討会では、各市町村が復興に向けた広域連携の取り組みや課題を報告した。医療や介護の広域連携を進める上で人材確保が課題になることや、行政だけでなく民間の連携も積極的に進めるべきなどの指摘があったという。高木毅復興相は「人口減少などの中長期的な課題を抱える中、復興再生を加速させるため広域的な取り組みを進めていくことは重要。国も一緒になり課題に取り組みたい」と述べた。
(ヒグマ対策講習会:北海道)
のぼりべつ文化交流館カント・レラのヒグマ学習センター(前田奈穂子代表)による「ヒグマ対策講習会」が23日、登別温泉町の同館で行われ、市民らが入山する際の危険防止策などについて理解を深めた。登山や渓流釣り、山菜採りなどが本格化する前に、命を守る対策を徹底してもらおう―と開催。前田代表が講師となり、山と親しむ約10人が参加した。前田代表は家での準備を徹底することで事故を防げるとして、「鈴や高周波の笛、撃退スプレーは必須」「目的地に入る前に一度、笛を鳴らすなどして周囲を観察する」「出掛ける前に市町村や警察に出没状況を問い合わせて」などとアドバイスした。また、子連れのクマが最も危険として「子グマを見つけてしまった場合、周囲50メートルくらい近くに親がいる。決して近付かないで」と強調した。その後、14年前にNPO法人北海道野生動物レンジャーの菊地紀孝理事長が射殺した約370キロの熊の皮の剥製を使いクマの生態について詳しく学んだ。
(カラスの巣で停電、既に10件:山形)
カラスの巣が原因とみられる停電被害の発生が、例年よりも早まっている。3月から今月21日までの停電は10件に上り、すでに昨年1年間の発生件数に並んだ。暖冬の影響でカラスの営巣が早まっているのが原因とみられる。昨年、本県は東北地方で巣の撤去件数が最多となっており、東北電力は今年も撤去作業に追われている。今月15日、山形市立谷川の工業団地の一角で、東北電力の職員が高さ約13メートルの電柱上にある巣と格闘していた。高所作業車に乗り込んだ職員2人は、先端がニッパー状の「ホットスティック」と呼ばれる棒状の器具で、直径約40センチの巣を一気に取り除いた。巣が作られやすいのは、電柱の先端付近にある変圧器の上など、平らで安定した場所。カラスは木の枝のほか、針金やハンガー、綿ぼこりなど様々な材料を見つけてきては、器用に巣作りをする。これらの材料が変圧器などの内部の電線に接触すると漏電し、停電を招く。東北電力は毎年、営巣期の3月上旬~6月末に、県内約28万本の電柱を週2回パトロールしている。山形営業所配電技術サービス課の瀬川晃彦配電技術長によると、1回の見回りで100個以上の巣を見つけることもあり、撤去した翌日に同じ場所に巣が作られるケースもあるという。「カラスは頭が良く、巣作りを妨げる器具を取り付けても、慣れて効果がなくなる。非常に厄介」と頭を抱える。山形支店によると、今年は営巣を初めて確認したのが2月下旬で、例年より約1週間早いという。昨年に県内で撤去された巣の数は7482個で、過去5年で最多となった。東北6県でもトップとなり、「カラスのすみやすい県」(東北電力)との声も上がる。カラスの生態に詳しい山形大農学部の後藤三千代客員教授は、県内にカラスの巣が多い理由として、「餌場となる田畑が多いこと」を指摘する。さらに、カラスは1日の平均気温が約5度を超えると子育てを始め、約15度になるとやめる傾向にあるという特徴を挙げ、「気温の上昇が緩やかな山形は、営巣期間が他県より長いのではないか」と分析する。後藤客員教授によると、巣の撤去が増えた昨年に比べても今年の春はさらに温暖なため、今後もより多くの営巣が見込まれるという。山形支店は「安定した電力供給のため、地道に見回り、巣の撤去を続けていく」としている。電柱に巣を見つけた場合は、同社コールセンター(0120・175・366)で24時間、連絡を受け付けている。
(シカ捕獲、ITで省力化:北海道)
小樽市銭函3の北海道職業能力開発大学校などの研究チームは、新型のエゾシカの囲いわなを開発した。円形でネットを使うことにより、シカを収容する作業が1人で可能となり、遠隔操作で扉を下ろすことで巡回の負担を軽減する。昨年11月~今年3月、オホーツク管内斜里町に囲いわなを設けて24頭を捕獲、食肉活用に向けた低労力の捕獲に道筋をつけた。エゾシカ急増に伴い食害抑制と食肉消費の対策として生け捕りできる囲いわなの需要が高まっている。2013年、日本技術士会北海道本部(札幌)のエゾシカ研究委員会が能開大の安井雄祐准教授にITを使った囲いわなの開発を持ちかけ、食肉加工業の知床エゾシカファーム(斜里町)の協力で14年に設置した。囲いわなは楕円(だえん)が主流だが、開発したのは直径16メートルの円形。能開大の卒業研究の学生6人のアイデアで、わなの中に入ったシカを1頭ずつ搬送用トラックに誘導できるよう「仕分け部」を細長くしたホイッスル型にした=イラスト参照=。円形にすることで勢子(せこ)と呼ばれる作業員が防風ネットを円周に沿って動かし、1人でシカを仕分け部の方に誘導できる。従来は4、5人が横に並び壁をつくって、シカを誘導していた。また、能開大は全方向が映るカメラやセンサーを備えた遠隔監視装置を開発し、囲いわなの中心部の柱に設置。シカが中に入ったら、携帯電話の回線を通じ、知床エゾシカファームに伝わり、パソコンで落とし扉を閉める操作ができる。これまでは定期巡回や現場付近での常駐により閉めていた。14~15年の設置では、わなに入ったシカが豪雪のため柵を越えてしまい捕獲できず、研究チームは除雪の頻度が課題とする。安井准教授は「実用化には遠隔操作の特許を持つ業者との調整といった手続きが必要だが、人件費を抑えた生け捕りの方法として有効なことは確認できた」と述べ、今後は他の地域で効果を検証する。
(桜川の射撃場をモンゴルが視察:茨城)
モンゴルから来日中の保健スポーツ省のD・ジャルガルサイハン体育スポーツ開発センター長とD・エルデネスレンスポーツ局専門官が21日、2020年東京五輪・パラリンピックの事前キャンプ候補地として、桜川市真壁町桜井の県営ライフル射撃場を視察した。同市在住で、県ライフル射撃協会理事の多田尚克氏(74)がかつてモンゴルのライフル射撃ナショナルチームのアドバイザーコーチを務めたことが縁となった。ジャルガルサイハン氏らは射撃場の状況について熱心に耳を傾けていた。その後、県庁に楠田幹人副知事を表敬訪問。ジャルガルサイハン氏らは射撃場の改修が今年度いっぱいで終わることを踏まえ、「来年4月頃からのキャンプの開催を検討している。東京五輪まで毎年来県し、日本に親しんでいきたい」と選定に前向きな姿勢を示した。「茨城県は自然が豊かでモンゴルと大変よく似ており、和みます」とも語った。
(「ビリリッ!」電気柵で退散:神奈川)
農水省が公表している野生鳥獣による全国の農作物被害額は、平成11年から200億円前後で推移している。うち約7割はシカ、イノシシ、サルによるもの。全県のほとんどが、この3種の動物によって合計1000万円以上の被害額を出している。そこで生産者が鳥獣害から農作物を守るにはどうすればいいのかを探った。神奈川県足柄上郡のJAかながわ西湘開成営農経済センターは3月22日、併設する直売所「フレッシュセンターあしがら」の生産者がメーカー担当者から話を聞く会合を開いた。会合は毎月開催しており、今回はJA全農かながわの提案でJAモデルの電気柵を販売するアポロも説明を行った。この地域は、ハクビシンやイノシシ、シカなどの被害がある。JA全農かながわの生産資材担当者は、鳥獣害対策について「地域農業振興政策の一環として大切だと認識している」と話す。参加者の中で、10aのハウスみかんに3年前から電気柵を導入した組合員は、「ハクビシンに困っていたが、電気柵を使うと、全く来なくなった」と効果に満足していた。電気柵の説明を聞き、大きくうなずく参加者が多い中、「なかなか電気柵に乗り出せない」と話す組合員もいた。その理由を聞くと「1種類の獣害対策に電気柵を設置しても、他のシカ、カラス、イノシシなどの対策が必要となってきりがない。他の獣害対策のために電気柵の高さを高くすれば、費用もかかる。柵設置の費用と収益の差が上手く掴めなくて不安。購入まで至らない」と話した。そのほか「兼業のため管理を行う時間がとれない」など不安は絶えない。鳥獣害が深刻化している要因として、積雪が減少し動物が移動しやすくなったことや狩猟者の高齢化と狩猟免許所持者が昭和50年から現在までの間に約3分の1にまで減少している(環境省調べ)こと、耕作放棄地の増加などがあげられる。鳥獣害対策は「農作物を守る」対策、「獣を減らす」対策、そして双方を複合的に行う3つの選択肢がある。「獣を減らす」場合、猟友会など狩猟免許所有者に動物の殺処分を依頼する。これには、補殺した動物の処理などで課題がある。地面に埋めるなら土地の所有者の許可が必要。また、焼却施設まで持っていくには、何十キロもある動物を運ばなければならず、難しい。平成19年12月には鳥獣被害防止特措法が成立。現場に最も近い行政である市町村の約9割が被害防止計画などを提出している。また農水省は20年から、特措法の趣旨を受けて、鳥獣被害防止総合対策交付金による支援を行っている。個人助成は難しいが、地域の市町村の計画にそって、侵入防止柵などの被害防止施設やジビエなど処理加工施設、焼却施設などに対して助成を行っている。実際にこの助成金を使い、焼却施設が4道県で8施設建設された。しかし、猟友会に頼んで動物の殺処分を依頼するには限界がある。今、農作物の被害に困っている生産者には、「自分の農作物は自分で守る」という考え方が必要なのではないか。そう考えたJA全農生産資材部は、生産者が「農作物を守る」上で一番扱いやすく効果が出やすい、"電気柵"の普及に力を入れている。鳥獣害について、JA全農は平成25年度の3か年計画から対策を盛り込んでいる。JA全農生産資材部で電気柵を担当する藤江和晴氏は鳥獣害について「離農の原因にもなる深刻な問題だ」と認識。「農地のまわりに鉄柵をつくればいいという人もいるが、その土地がずっと農地であるのかは分からないし、堆肥散布などの作業管理の障害になるなど課題は多い。その点、電気柵は撤去が可能なので、作業性を大きく落とすことはない。そういう面でも農業での利用に向いていると思う」という。また、電気柵の導入に踏み切れない組合員については、「ほ場を確認しないとなんともいえないが、どうしても電気柵を使いたくないという人であれば、動物の嗜好性が低い作物などに作付を変えてみることを1つの方法として勧めるだろう。トータル的な提案をしていくことが大事だ」と語る。畑の広さや地域などによってアドバイスは変わっていく。しかしながら、多くの農家がいる中で1人1人を満足させることは難しい。そこで「全国組織のJA全農ができること」として「100点はとれないが、80点をとることができる『電気柵』の啓蒙活動に力を入れている」という。電気柵の設置は比較的容易であり、設置の経験がない人でも、教えれば簡単にできるようになる。JA全農では県本部で研修を行い、各地域で指導ができるようにしている。ただ、「課題はメンテナンスである」と強調した。電気柵を使う際には、雑草の処理が必要。電気が流れる部分に雑草が当たると漏電の原因となり、効果が減少するためだ。27年7月に静岡県で発生した感電事故では7人が死傷した。このときに使用されていた柵は、家庭用のAC100Vを変圧器を通してAC200Vに上げ、柵線に電流を流しっぱなしにするものだった。JAモデルの電気柵を発売する(株)アポロの山本部長は、この事故について「手作りの設備で安全対策が構じられていない。連続して電流が流れたために感電事故につながった」と指摘。市販の電気柵は事故を起こした電気柵とは全く違う。同社などが販売している電気柵はパルス電流で、一瞬電気が流れて動物を驚かす仕組みになっており、感電して死亡する事は無い。「雑草管理が大事だが、動物が近寄らなくなる。お客様からの評判はとても良く、売り上げは伸びている。安心してご利用頂きたい」と話す。また注意点として「イノシシは、一度電気柵の中に入ることができると、食べ物のために電気柵で体が傷ついても、畑に入ってくる。絶対に電気を通しつづけないといけない」という。JA全農生産資材部は26年から(株)アポロとともにJAモデルの電気柵を販売する他、罠(わな)などの販売も行っている。また全農県本部や経済連などを対象に研修会を開き、対策を続けている。
(鳥獣被害防止へ鹿肉で佃煮:京都)
自治会や農家組合などと一緒に地域協議会を立ち上げ、地域課題の解決を目指している社会福祉法人がある。京都府亀岡市の亀岡福祉会(西村直理事長)だ。その第一弾で始まった鹿肉を使った佃煮「丹亀」(たんかめ)ブランドは、有害鳥獣の被害防止に役立つ農福連携事業としてだけでなく、地域・経済活性化などにつながる活動として大きな期待が寄せられている。養護学校卒業後の居場所がほしいという障害児をもつ親の願いと、その願いをかなえてあげたいという市民の支援を受けて、1978年に開所した亀岡共同作業所を母体とする同会。「障害者が地域の一員として共に暮らせる地域づくり」を目指し、通所施設3カ所、グループホーム7カ所などを運営している。同会が地域課題と向き合うきっかけは、定員50人のかめおか作業所(石田將人所長)が2012年に府の障害者就労支援モデル事業の指定を受け、工賃増のため売れる商品の開発に着手したことだった。同作業所は漬物などの食品加工をしており、地元の亀岡牛に目を付けて佃煮をつくった。しかし、モデル事業のコンサルタントからは「地元の食材を使うだけでは売れない」とダメ出し。「これからは地域課題を解決するような付加価値のある商品をつくらないといけない」とアドバイスされ、自治会や農家、猟友会、森林組合の関係者から地域の歴史や困っていることを聞くことにした。すると、少子高齢化などで休耕田が増えたり、鹿や猪など有害鳥獣の被害が広がったり、亀岡祭山鉾行事で鉾の引き手がいなかったりする中山間地ならではの課題が分かった。特に鹿は死後30分以内に加工しないと食肉として使えず、猪肉のように流通ルートも確立していないため、猟師も捕ろうとせず被害が深刻化していた。市民の支援で作業所を開設した経緯がある同会は「地域に貢献することが法人の役割」と考え、14年4月に三つの自治会や農家組合、しょうゆ会社、NPOと「自然豊かな亀岡の未来をつなぐ地域協議会」を結成。地域・経済の活性化や、雇用・生きがいの創出、有害鳥獣の有効活用、工賃向上に取り組むことにした。開発を進めていた商品は、鹿肉の佃煮に変更。市内に食肉加工場がなく同市で捕獲した鹿肉が使えないため、隣の南丹市美山町で捕獲された鹿の前足の肉を使い、圧力釜で炊いた後、利用者が手作業でそぎ落とし、地元産のしょうゆやハチミツを入れ丁寧に煮込むことで完成させた。サンショウ味とショウガ味の佃煮は、地域協議会の「丹亀」ブランド商品として同会に委託され製造する形を取り、「丹乃鹿(たんのしか)の生ふりかけ」として、50㌘入り1250円(税込)で販売。市内の温泉旅館や京都市内の土産物店などで販売しており、多い月で100個ほど売れるという。「まだ収益が出ない状況。鹿の捕獲は営利目的でなく、個体数を適正に保つために行うもの。市内に食品加工場ができれば、雇用創出できるし、猟師の収入も増え、農家の被害も減る。生ふりかけはその一歩。都市部での販路を探したい」と話す石田所長。土産物として購入しやすい20㌘入り500円の鹿肉を使った「ごちそう味噌」や、ニンニク味の生ふりかけの販売を4月から開始するなど「丹亀」のブランド力向上を目指すという。山鉾の引き手に利用者や職員が参加したり、「おらがまち・すごいところ大発見ツアー」を企画したりするなど、住民と一緒に地域課題の解決に向けた活動を行う同会。その取り組みは、地域社会における社会福祉法人のあるべき姿を示している。

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(鳥獣被害対策やまちの活性化に:広島)
東広島市の猟師、和泉川健太郎さん(46)が、イノシシやシカの肉の卸売会社「東広島ジビエセンター」(同市豊栄町乃美)を今月10日、設立した。地元産の肉を処理・販売し、鳥獣被害対策やまちの活性化につなげたい考えだ。ジビエブームを追い風に、フレンチやイタリア料理店に売り込み、今後は近くの牧場カフェでも提供してもらう。和泉川さんは「東広島の肉のおいしさを広めたい」と意気込んでいる。和泉川さんは広島市出身で、猟師歴20年。会社勤めをしながら豊栄地区で狩猟をしていたが、自然にほれ込み2年半前に移住した。狩猟をするうちに、市の鳥獣対策が追いついていないと危機感を抱くようになったという。市によると、2014年度は市内でイノシシとシカが計2603頭捕獲され、10年前に比べ約6倍に増加。和泉川さんは、高齢の農家がわなで仕留めたイノシシを土に埋めている現状などを見て、何とかしたいと考えていたという。そんな時に出会ったのが、若手猟師の中山浩彰さん(31)ら。ジビエ料理は高たんぱくで低脂肪のため近年人気があり、イノシシ肉やシカ肉の需要は高い。都心のレストランなどにつてのある中山さんらと相談しながら、「販路を作れば、鳥獣対策にも貢献できる」と、卸売会社の設立を決めた。経営メンバーは、和泉川さんや中山さんら30〜40代の猟師4人。自分たちで捕ったり、農家が駆除したりしたイノシシやシカをセンターで解体する。最年長の和泉川さんの指導のもと、臭みを残さないように血抜きなどの処理を徹底する。販売先は広島市内、東京、大阪のフランスやイタリア料理店、居酒屋など。煮込みやフライなどに使われるという。5月以降、センターの近くにある牧場「トムミルクファーム」のカフェでも、センターから仕入れた肉でジビエ料理を提供する予定。市などによると、猟師が卸売会社を運営するのは珍しいという。和泉川さんは「他県から仕入れていた店などに『広島の肉の方がいい』と言われ、うれしかった。本物の『野生の肉』を多くの人に味わってほしい」と話している。
(ドイツ人らが洋風シカ料理の講習会:高知)
新しいシカ肉の活用法を探ろうとこのほど、高知県香美市物部町大栃の奥物部ふれあいプラザで、ドイツ人男性らが香美市林業婦人部にシカ料理を教える講習会が開かれ、香美市職員ら約20人が参加した。2016年2月から香美市土佐山田町大平の高知県森林技術センターにインターンシップをしている、ドイツ出身のジグマー・シェーンヘルさん(29)の両親が来日するのを機に、洋風のシカ料理を教えてもらおうと婦人部が呼び掛けた。ジグマーさんによると、ドイツではイノシシやシカなど野生鳥獣の肉は高価で、親族が集まるときなど特別な日に食べるものだという。この日はジグマーさんや母親のイルマさん(58)が調理を指導。市内で捕れたシカを使い、ローストとシチュー風の煮込み料理「グラーシュ」を協力して作った。ローリエの葉やクローブなどの調味料を使う料理に、婦人部のメンバーらは興味津々だった。イルマさんは「ここのシカ肉は本当においしい。みんなが手伝ってくれてよかった」。婦人部の公文康枝部長(68)は「今日の料理は臭くなくておいしかった。地元にはシカ肉を好まん人もおるけど、おいしく食べられるもんやと教えていけたら」と話していた。

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(山菜採りの60代女性、クマに襲われけが:石川)
16日午前8時ごろ、石川県白山市河内町金間の山中で、山菜を採っていた同市の60代女性がクマに襲われ、頭などに軽傷を負った。女性の悲鳴で、近くにいた夫が駆け付けると既にクマは逃げていた。白山署によると、女性の後頭部にかまれた痕、左腕と左脚には引っかかれた痕があった。襲ったクマは体長約1・5メートルで、子グマを1頭連れていたという。同署と市は、周辺住民らに入山しないよう呼び掛けている。
(クレー射撃場、改修工事が完了:岩手)
花巻市湯口の市クレー射撃場で進められていた施設改修工事が完了した。今秋に本県で開催される岩手国体に向けた会場整備で、関係者は「県民総意の国体をぜひ成功させたい」と決意を新たにしている。市クレー射撃場は1970年の岩手国体に合わせて整備。県内はもとより国内大会も開かれてきたが、建設から40年以上が経過して老朽化が進んでいることから、2回目となる国体に向けて施設が再整備された。今回の改修工事では、トラップ、スキートそれぞれ2面に、クレーの的を供給するプーラーハウスとスコアボードが改修、備えられたほか、各射台の屋根も改修された。このほか、約400メートルにわたって通路との仕切りフェンスが設置された。国体開催の際には選手控室の仮設テントが設置される。施設改修工事が3月末までに完了したことから、15日にはNPO法人市射撃場・施設管理総合支援機構による神事が同射撃場で行われた。県内各地から約30人の関係者が参列し、祭壇に玉串をささげるなどして、国体の成功をはじめ無事故を祈った。同法人理事長で、県クレー射撃協会の藤沼弘文会長は「東日本大震災を乗り越えて開催される国体。大変な時期に県民の総意で開催されることは感無量。事故なく、国体が成功することを願っている」と期待を寄せている。
(リオで銃撃戦遭遇「震えた」)
クレー射撃のリオデジャネイロ五輪代表、中山由起枝(日立建機)が16日、リオ五輪のテスト大会を兼ねたワールドカップ(W杯)が開かれているリオ市内で銃撃戦に遭遇し「脚が震えた」と生々しく語った。選手用のバスで宿舎から大会会場に向かう途中、前を走る乗用車の窓から体を乗り出した男が発砲したという。銃撃音は続いたが、やがて事態が落ち着いたため、無事に会場にたどり着いた。「ママさんアスリート」として知られる中山はリオで五輪は4度目。「(治安が悪く)危ないだろうなと思っていたけど、追い打ちになった。絶対に駄目」と話し、大会中に14歳になる長女をリオへ招くのは断念したようだった。
(中山は予選8位、W杯クレー女子トラップ)
リオデジャネイロ五輪テスト大会を兼ねた射撃のワールドカップ(W杯)は15日、リオデジャネイロで開幕し、クレーの女子トラップ予選でリオ五輪代表の中山由起枝(日立建機)は8位につけた。
(イノシシ出没、住民に注意呼び掛け:山梨)
17日昼過ぎ、甲府市の住宅街に体長60cmほどのイノシシが出没、警察や市が住民に注意を呼び掛けている。甲府警察署によると17日午後0時過ぎ、甲府市古府中町の大泉寺付近で、体長約60cmのイノシシがうろついているのを通行人が見つけた。通報を受けた警察が10数人で周辺を捜索したが、捕獲できなかった。白っぽい色をしたこのイノシシは16日昼ごろも、甲府市武田の住宅街で2度にわたって目撃されている。警察や市は周辺の住民に注意を促すとともに、地元猟友会と協力して捕獲を検討している。
(イノシシ出没、注意促す:山梨)
甲府署によると、16日午前11時50分ごろ、甲府市武田4丁目の要法寺付近で、体長約60センチのイノシシ1頭が通行人に目撃された。同署は周辺住民に注意喚起を促すとともに、地元猟友会と協力して、捕獲に向け対応している。
(桃太郎線で遅れ、列車がイノシシと接触:岡山)
JR西日本によると18日午後7時42分、桃太郎線の吉備津駅(岡山市)―備中高松駅(同市)間で列車がイノシシと接触したため、車両と線路を確認した。このため、同線の岡山駅(同市)―総社駅(総社市)間の一部列車に約15分の遅れが出ている。
(サル1匹目撃情報:福岡)
20日午前10時ごろ、福岡市城南区南片江2丁目付近で、中型のサル1匹の目撃情報があった。福岡県警早良署は「サルを目撃したら絶対に近づかないで」と呼びかけている。
(発砲事件、窓ガラスに傷痕2カ所:長野)
上田市中央4の神戸山口組傘下の暴力団石沢組事務所で12日未明にあった発砲容疑事件で、2階窓ガラスに付いた弾によるとみられる傷痕は2カ所だったことが13日、上田署の調べで分かった。当時、事務所内には組関係者が複数人いた。けが人はなかった。同署は拳銃や空気銃などが使われた可能性があるとみて調べている。捜査関係者によると、現場でエアガンなどに使うプラスチック製の弾が見つかっており、同署などは関連を慎重に調べている。上田署によると、傷痕のうち1カ所は中央部、もう1カ所は事務所に向かって右側に付いていた。同署には住民から不審な人物や車、バイクを見た―との情報が寄せられており、関連を調べている。現場近くの70代男性によると、国道を挟んだ事務所向かい側近くを歩く不審な3人組の男を「ここ数週間で3、4回は見た」。いずれも中背の丸刈りで、昼すぎから夕にかけて事務所が見える交差点などをうろついていたという。地元の新田自治会は事件後に開いた役員会で子どもがいる家庭に注意を促すよう確認した。役員の男性(75)は「住民が巻き込まれる事件があったら大変だ。自治会で対策を話し合わないといけない」と話した。
(巣除去、停電防止で:山形)
繁殖期を迎えたカラスが電柱や鉄塔に巣を作ることで発生する停電を防ぐため、東北電力が管内(東北6県と新潟県)で実施している巣の除去作業で、過去5年とも山形県の除去数が最多となったことが分かった。2015年で比べると、山形は2位の新潟県を約1300個上回り、最少の福島県の約8倍に上った。関係者は「果樹農家が多く、巣作りの材料となる小枝が多く排出される環境のためかもしれない」と推測している。東北電力が15年に管内で除去したカラスの巣の個数は、(1)山形(7482個)(2)新潟(6181個)(3)宮城(2543個)(4)青森(2311個)(5)秋田(1837個)(6)岩手(966個)(7)福島(914個)の順。5年間とも山形は6000〜7000台で推移し、山形が最多、新潟が2位の状況は変わっていない。パトロール回数や人数など各県の対策に大きな違いはないという。
(クマにご注意!行楽シーズンへ注意点紹介:石川)
クマが出没しやすい春の行楽シーズンに合わせ、県は注意点をまとめたリーフレット「クマにご注意!!」を作成した。昨年は2人がクマに襲われて負傷しており、各市町や猟友会に配布して注意を促す。県によると、例年クマは4月上旬から出没するが、今年は暖冬の影響で冬眠期間が短かく、3月下旬には活動を始めたことが確認されている。また、昨秋はクマが食べるブナが豊作で栄養状態も良いとみられ、冬眠中に生まれた子グマも例年より多いと見込まれている。子グマ連れのクマは警戒心が強く、人にも凶暴になるという。リーフレットでは、クマとの遭遇を避けるため、林に入る時は鈴やラジオを身につける▽暗くなる前に山から出る▽ゴミを持ち帰る−−などの注意点を列記。遭遇した際は、慌てずに静かに立ち去るよう呼びかけている。県自然環境課は「これから山菜採りのシーズンが始まるが、クマと遭遇する前提で備えてほしい」としている。
(避難区域、野生動物に苦慮:福島)
野生動物の被害や目撃などが増えている。東京電力福島第一原発事故で全域が避難指示区域の双葉町では、アライグマやハクビシンによる家屋被害が目立ち始め、町は今年度から無料で貸し出す箱わなの数を倍以上に増やした。県によるとツキノワグマの目撃なども増えており、活動が活発になる時期に入るため注意を呼びかけている。避難者の留守宅が野生動物に荒らされる被害は各地で問題になっている。双葉町によると、これまではネズミがほとんどだったが昨年以降、アライグマやハクビシンによるとみられる被害が目立ち始めた。一時帰宅した住民に目撃されるなどしており、民家の内部に入り込んでふんを残したり、天井裏など屋内を壊したりすることもあるという。町には昨年度から、JR常磐線双葉駅に近い長塚地区を中心に被害の申し出が数件寄せられ、4月以降も複数の苦情があった。貸し出し用の箱わなは2個だったが今年から5個に増やした。2個は既に貸与され、ハクビシン1頭が捕獲された。町の担当者は「これ以上、増えないように早めに捕獲したい」と話す。県はアライグマを2020年度までに完全駆除する計画を作っている。クマも増えている。県の推計では、2015年度の生息数は2970頭で、14年度の2796頭から約6%増えた。原発事故による避難や山菜の出荷制限などで森に入る人が減り、クマの生息域が拡大した可能性がある。県が一部地域に設置したカメラでは昨年7~11月、中通り地方では22頭、会津地方では58頭、南会津地方では22頭が確認された。県はこうしたデータを基に生息数を推計している。相馬地方では撮影されなかったが南相馬市でクマの毛が採取された。相馬地方から双葉郡にかけての阿武隈高地での目撃は、10年度までの3年間の計15件から、原発事故後の12~14年度は37件に倍増。県の担当者は「クマの活動期に入っており、以前はいなかった地域でも十分に気をつける必要がある」と話している。
(福島で爆発的に増加する汚染イノシシ)
原発事故後、福島でイノシシの数が爆発的に増加しており、農作物などを荒らすなどの被害が深刻になっている。人がいなくなった避難指示区域で、繁殖が進んでいると見られており、地元は対策に頭を悩ませている。海外メディアは、同じく原発事故が起こったチェルノブイリの例をあげ、事故がもたらした野生動物への影響を報じている。ワシントン・ポスト紙(WP)は、2011年の原発事故以来、福島県のイノシシによる農作物への被害は2倍に増加し、2014年度は金額にして9800万円を超えたという読売新聞の数字を紹介し、被害の深刻さを伝えている。町をうろつくイノシシに攻撃され負傷したという事件も、ここ数年増加しており、イノシシの増加は、市民の安全にも深刻な脅威となっている。県はイノシシの駆除をハンターに奨励してきており、14年度に駆除されたイノシシの数は11年度の4倍以上に増え、約1万3000頭に達したという。ところが、駆除したイノシシをめぐり、問題が起こっている。ロシアのニュース専門局RT(電子版) は、日本ではイノシシの肉は人気があるが、放射能に汚染された避難区域の植物、木の実、小動物を食べているイノシシたちからは、基準の300倍という高いレベルのセシウム137が検出されており、食用には向かないと説明する。結局、廃棄するしかないのが実情だ。RTによると、二本松市では死骸を埋めるため、各600頭を収容できる3ヶ所のスペースを確保したものの、ほぼ満杯になっているという。WPは、仕方なく自宅の庭に埋めたハンターもいたが、犬に掘り起こされるなどして、処分に困っていると報じている。最良の処理方法は焼却してしまうことだが、放射性物質の拡散を防ぐ機能を持つ、特別な施設が必要だとWPは指摘する。相馬市の焼却場はその一つだが、イノシシ1頭の重さは100キロ近くにもなり、1日に3頭の処理が限度で、解決には程遠いと同紙は説明し、農民たちにとっては、イノシシの害がまさに経済的サバイバルの問題に発展していると述べている。フィナンシャル・タイムズ紙は、1986年にチェルノブイリの原発事故を経験した、ベラルーシとウクライナの立ち入り禁止区域について報じている。科学雑誌『Current Biology』に発表された研究によれば、かつて10万人以上が暮らしていた4200平方キロメートルのエリアには、イノシシ、シカ、オオカミやクマから、小動物や鳥まで、様々な動物が生息しており、いずれも事故直後には個体数は減少したものの、現在では事故前を大きく上回る数が確認されているという。この結果に対し、研究を率いたポーツマス大学のジム・スミス氏は、「放射能が野生動物に良いということではなく、狩猟、農耕といった人間の営みのほうが動物にもっと悪影響を与えるということだ」と述べ、人がいなくなることによる恩恵のほうが、放射能による害よりも大きいとした。もっとも、最新の調査では、立ち入り禁止区域における動物への放射能の目に見える影響は確認されていないとのことだ。これは福島の場合でも同じで、研究に参加した福島大学環境放射能研究所のトム・ヒルトン氏は、福島の野生動物の被ばくは、チェルノブイリに比べ相当低く、動物の死亡は確認されていないと述べている(FT)。一方、英テレグラフ紙は、ドイツのイノシシに関し、2014年に気になるニュースを伝えてる。同紙によれば、ドイツのザクセン地方で検査されたイノシシの3頭に1頭が食用に適さない高い放射能レベルを示したらしい。ザクセン地方はチェルノブイリから1100キロほど離れているが、雨風によって土壌の放射能汚染がもたらされたようだ。イノシシたちが好んで食べるきのこ類は、人間の食用には適さないとされている。放射能に汚染されたイノシシは売買できないため、廃棄用の補償金は出るが、イノシシを売ることで得る利益までは補填されず、仕留めたハンターたちは迷惑顔だ。事故から28年経った今も汚染は続いており、今後50年は影響が残る、とドイツの専門家は指摘している(テレグラフ紙)。
(ジビエの魅力:山口)
仏語で野生鳥獣の肉を示す「ジビエ」。シカやイノシシ、ウサギなどは欧州で貴族の伝統料理として発展してきた。東京の料理店では、シカ肉が栄養価の高い食材として使われている。そんな中、下関はジビエを特産物として売り出している。下関市有害鳥獣対策室によると、シカやイノシシの農作物被害は、2014年度だけで年間1億6000万円に上る。箱罠(わな)などで捕獲しやすいイノシシの被害は年々減っているが、木の葉や芽を食べる雑食のシカは猟銃による捕獲のほかに有効な手立てはない。シカは県西部のみに生息し下関、長門、美祢市に推定2万頭がいる。下関市は狩猟者の意欲向上と資源利用のため13年4月、豊田町に処理施設「ジビエセンター」を開設した。処理された肉は、同市椋野町の静食品で加工される。大半は首都圏に出荷され、特にクリスマスの時期はシカ肉のローストが人気だ。下関市内でもジビエ料理を提供するホテルやレストランがあり、ウインナーやハムなどは「道の駅」などで販売されている。昨年11月にはインターネットによる通信販売も始まった。下関が特産物とするのは全国に例がない利点があるためだ。京都府や滋賀県などに比べ、年間を通して気候が温暖で、食料となる木の葉が不足しない。このため、1年を通して肉質が安定している。また、他と比べて山地が緩やかで、捕獲から処理場に運ぶまで時間がかからない。新鮮な状態で処理された肉に、首都圏の料理店からは「下関のシカ肉が欲しい」という声が根強い。静食品の小野康行代表は「牛やブタより高たんぱくで低カロリー、ビタミンを多く含む健康的な食材」と強調する。シカ肉のウインナーを食べてみた。あっさりとした味の中にうまみがあり、臭みもない。下関発で全国に誇れるジビエがあることを、多くの人に知ってほしい。

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