<射撃ニュース11月>

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(猟銃発砲、自宅で男自殺:福岡)
8日午前6時10分ごろ、北九州市八幡西区穴生(あのお)4のマンション7階の一室で、住民の男(65)が猟銃で飼い犬を撃ったと110番があった。男と同居していた60代の妻は外に逃げて無事だった。福岡県警は当初、男が猟銃を手に室内に立てこもっているとみて付近住民を避難させるなどしたが、約7時間半後の午後1時35分ごろ、捜査員が室内に入り死亡している男を見つけた。頭から血を流しており、自殺とみられる。県警によると、男は妻と2人暮らし。妻はリビングで突然銃声を聞き、飼っていた小型犬が廊下で倒れているのを見つけ、夫が銃を持っていたため玄関から逃げた。「夫が飼い犬を撃った」と助けを求められた別の階の住人が通報。妻は逃げる際に2発目の銃声を聞いており、県警はこの時に男が自分の頭を撃ったとみている。県警は男の携帯電話などで連絡が取れず、室内から物音もしなかったため死亡している可能性が高いと判断。捜査員数人が無施錠の玄関から室内に立ち入り、寝室のベッドであおむけに倒れている男を確認した。足元に猟銃があったという。妻は県警に「夫は元自衛官で、現在は会社員。仕事で悩んでいたようだ」と説明。男は猟銃所持の許可を受けていた。山口県下関市の下関国際総合射撃場によると、男はクレー射撃が趣味でよく来ていたが、ここ数年は姿を見せていなかった。現場のマンションは筑豊電鉄の萩原駅から西に約500メートルの住宅街の一角。県警は通報直後、マンションから半径150メートル内を立ち入り禁止にし、住民約60人を近くの市立穴生小に避難させるなどした。同じマンションの女性は「町内清掃にも奥さんと参加していたのに、何があったのか」と驚いていた。
(北九州で元自衛官立てこもり、猟銃が全国に17万丁の恐怖)
65歳の男が所持していた猟銃で飼い犬を射殺したあと、自らも頭を撃って……8日に起きた北九州市八幡西区のマンション立てこもり事件。近くの住民を震え上がらせたが、最悪の結末で一件落着、とはいかない。「自殺した男の妻によると、男は元自衛官の会社員で、仕事のことで悩んでいたといいます」(捜査事情通)まともな精神状態だったとは思えないが、男はクレー射撃が趣味で、猟銃所持の許可を受けていた。今年の「警察白書」によると、許可を受けた猟銃は2012年の20万3870丁から減ってはいるが、昨年は17万1313丁。ちなみに、例年8人前後が猟銃自殺をしている。身近に潜んでいる恐怖なのだ。10年前の07年、長崎県佐世保市で8人が死傷した猟銃乱射事件を覚えているだろうか。当時37歳の犯人の男も、立てこもってから自殺した。「この男は事件を起こす数年前から奇行が目立ち始め、近隣住民らが『銃を取り上げてほしい』と警察に頼んだのに、耳を貸してもらえず。それで銃規制強化の声が高まったのですが……」(警察関係者)もちろん、誰でも猟銃を所持できるわけじゃない。未成年や暴力団関係者、住所不定をはじめ、精神疾患や、薬物、アルコール依存は許可されないし、ストーカーやDV男などもダメだ。講習や教習を経て許可されても、3回目の誕生日ごとに許可の更新を受けなければならない。が、裏を返せば、いったん許可されたら3年は“フリー”というわけ。銃器犯罪評論家の津田哲也氏がこう言う。「その間に精神状態が不安定になっても、表立って問題を起こさなければスルーされます。許可の更新には医師の診断書が必要になりますが、許可を取り消されないように“普通”を装う可能性もある。それをどこまで医師が見抜けるか。初診だったりしたら、なおさら難しいでしょう」佐世保の乱射男も、許可が取り消されなかったのは、「医師の診断書に精神疾患の記載がなかったから」(前出の警察関係者)だ。「地方になればなるほど“仕切り役”の地元猟友会と警察の関係は密になりがち、許可も形式的になりがちです」(津田哲也氏)昨年に許可された17万1313丁に対し、取り消されたのは、たったの97丁だった。
(イノシシ捕獲、尾で証明)
農作物を食い荒らすイノシシなどの鳥獣捕獲数を猟師が水増しし、国の交付金をだまし取る不正が相次いだため、農林水産省は2018年4月から運用を厳しくする。支給の窓口となる自治体でばらつきのあった獲物の証明方法を統一し、書類申請の場合には尻尾の提出を義務付けるのが柱だ。農作物の被害を減らそうと、国は13年度から鳥獣駆除への交付金を始めた。イノシシやシカ、クマだと1頭当たり最大8千円を出し、これを元手に市町村が猟師へ報酬を支払う。支給申請は市町村などの職員による現地確認がなくても認められ、約8割の自治体が写真や個体の一部といった証拠品で確認していたが、尻尾や耳などの提出部位や撮影ルールはまちまち。鹿児島県霧島市では1頭のイノシシを違う角度から撮る偽装が横行し、兵庫県佐用町でも確認の緩さを突く不正が発覚した。そこで、現地確認を省略して証拠品で申請する際は、写真と尻尾をそろえて提出することを義務化。写真は頭を右向きにし、スプレーで体に日付などを入れて撮るよう統一する。一方、現地確認の場合は尻尾を着色するか回収し、別の獲物の証拠品に見せ掛ける「使い回し」を封じる。
(宍道湖岸の死骸、陽性反応:島根)
県は8日、松江市の宍道湖北岸で7日に回収したキンクロハジロ1羽の死骸から、簡易検査でA型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応を検出したと発表した。南西9キロの宍道湖の湖岸で5日に発見されたコブハクチョウに続いて今季2例目。鳥取大で確定検査をする。
(車両4台絡む事故、1人重傷:岩手)
北上市飯豊の東北道上りで3日夜、車両4台が絡む交通事故が発生し、1人が重傷とみられる。県警高速隊と花巻中央、北上両消防署によると、同日午後6時55分ごろ「車が止まっている」などと110番通報があった。追い越し車線を走行中の大阪府の40代女性の乗用車がシカをはねて停止し、避けようとした後続の東京都の50代男性のオートバイが、走行車線を走っていた北上市の40代男性のトラックに接触し転倒。その後、追い越し車線を走ってきた宮城県の30代男性のトラックが乗用車に突っ込んだとみられる。オートバイの男性は北上市の県立中部病院に運ばれ骨折などで重傷のもよう。乗用車にぶつかったトラックを運転していた男性と同乗の20代男性が同市の北上済生会病院に搬送された。
(海自基地にクマ、土壌調査の会社員2人けが:青森)
10日午前10時40分頃、青森県八戸市河原木の海上自衛隊八戸航空基地の敷地内で、土壌調査をしていた58歳と48歳の男性会社員がクマに襲われ、頭や腕などを負傷した。さらに、同日午後10時10分頃、同基地の東側に隣接する市道で、近くに住む無職女性(61)がクマに襲われ、頭にけがを負った。3人とも命に別条はないという。八戸署の発表によると、いずれもクマは体長約1・6メートル。同署は、同じクマだった可能性があるとみて調べるとともに、周辺住民に注意を呼びかけている。
(市中心部にツキノワグマ、有害駆除で射殺:岩手)
久慈市中心部に2日出没したツキノワグマは3日も市街地に出没し、県は有害駆除を許可。久慈地方猟友会(下斗米孝喜会長)が同市長内町の長内川右岸で射殺し駆除した。同日の市内は警戒を呼び掛ける防災無線やクマを追い込む花火が鳴り響き、緊張が続いた。同日最初の目撃は午前6時40分ごろ、飲食店などが並ぶ同市川崎町の市民市場周辺。同9時ごろには、北東約400メートルの同市新井田の久慈川左岸で見つかった。午後0時半ごろには対岸で見つかり、クマは長内川との合流地点を通って同川左岸の草むらに隠れた。市の依頼を受けた同猟友会員と久慈署員ら約30人が出動し、草むらに隠れたクマを包囲。花火の音が10回以上鳴り響き、通行人が不安そうな表情で見つめた。
(熊の目撃情報:宮城)
12日17時35分頃、登米市津山町横山字細屋地内で熊の目撃情報がありました。
(熊の目撃情報:宮城)
10日11時45分頃、登米市豊里町竹の沢沼地内で熊の目撃情報がありました。
(イノシシ出没、目撃相次ぐ:広島)
福山市の中心部で8日、イノシシの目撃情報が相次いだ。市や警察は発見できず、けが人もなかったが、市は「もし見かけても威嚇せず、安全な場所に避難して」と注意を呼び掛けている。
(またクマ目撃、警戒続く:青森)
男女3人がクマに襲われた八戸市河原木地区で12日夜、またクマが目撃された。現場近くの日計ヶ丘小学校では13日朝、子どもたちが保護者に付き添われて登校した。
(「天空の城」スポットにクマ、射殺:福井)
6日午前9時10分ごろ、福井県大野市犬山の国道158号わきの茂みから近くの山、通称「犬山」にクマが入っていくのを付近の住民らが目撃した。猟友会が探したところ同日午後2時20分ごろ、山の中で発見し射殺した。市によるとクマは体長70~80センチの成獣で、山の中へ約200メートル入った所で見つかった。後ろ足にけがを負っていたため危険性が高いとして射殺した。犬山は市街地に近く、越前大野城が雲海に囲まれる「天空の城」の撮影スポットがあり、この時季、明け方に大勢の見物客が訪れる。市はクマの目撃の連絡を受け一時、犬山に入らないよう登山口などで呼び掛けた。
(市街地で再びサル出没:愛知)
名古屋市や愛知県春日井市で13日、再びサルが市街地に出没。同じサルの可能性もあるとみられている。名古屋市の北区役所などによると、13日午前9時すぎ、北区楠で住宅の屋根の上にいる1頭のサルが目撃された。午後になり、春日井市内でも目撃情報が相次いだ。現場から近い中学校では教員が付き添い下校するなどの対応をとったという。サルは今月6日にも名古屋市守山区の住宅街で目撃されており、警察は同じサルの可能性もあるとみて、注意を呼びかけている。
(サルの目撃情報続く:神奈川)
横浜市周辺でサルの目撃情報が相次いでおり、南区でも10月30日、31日と2日続けて六ツ川や大岡で確認されている。これまでに市内での被害報告はないが、横浜市環境創造局ではサルを見かけた場合「エサを与えない」「目を合わせないように慌てず背中を見せずに離れる」「家に侵入されないよう窓の開けっ放しをしない」などの注意点を守り、被害に遭わないよう注意を呼び掛けている。
(住宅街でも、サルの目撃情報:愛知)
6日、名古屋市守山区の中学校にサルが出没したが、3キロ離れた同区内の住宅街でも8日、サルの目撃情報があった。専門家によると、目撃されたのは同一のサルとみられている。サルが目撃されたのは、8日午前9時半ごろ、守山区の住宅街。
(住宅街にサル、電線つたって逃走:愛知)
6日午前7時45分ごろ、名古屋市守山区小幡5丁目の守山東中学校近くで、「サル1匹が屋根の上を歩いている」と110番通報があった。愛知県警の警察官が現場に到着した際、すでにサルの姿はなかったという。今のところけが人は確認されていないが、守山署は「興味本位で近寄らないように」と注意を呼びかけている。守山東中によると、6日午前7時ごろに登校中の生徒が近くの小幡長塚(おばたながつか)古墳でサルを発見。午前8時半ごろには、校舎屋上から電線をつたって民家の屋根に逃げていくサルを、中学の職員らが確認した。中学校の窓と玄関を閉めるなどの対応をし、生徒には、「刺激を与えないように」と注意喚起をした。飯田仁教頭は「けが人はおらず、授業への影響もなかった。サルが襲ってくることもなかった」と話した。現場は名鉄瀬戸線小幡駅から約800メートルの住宅街。
(シカ害深刻、対策急務:岩手)
県内で今季のシカ猟が始まった。近年は生息域が急速に広がり、各地で農作物被害が深刻化。県は2023年度までに県内に4万頭(13年度末時点)生息すると推計されるシカを半減させる目標を立てているが、ここ数年の捕獲数はほぼ横ばい。本県では東日本大震災の東京電力福島第1原発事故の影響で捕獲した獲物の利用が進まず、ハンターの高齢化も進む中、今後も被害拡大が懸念される。解禁日の1日、遠野市土淵町の貞任高原に早朝からハンターが集まった。10人で入山した江刺猟友会(菅野範正会長)は、勢子(せこ)役が大声でシカを追い立て、反対側で待ち伏せるハンターが仕留める「巻き狩り」などで早速5頭を仕留めた。菅野会長は「農作物被害を減らすには、われわれハンターが何とかしなくては」と意気込む。シカの狩猟期は来年3月末まで。県が県猟友会に捕獲を委託する指定管理鳥獣捕獲等事業も1日~2月末に行う。県内の捕獲頭数は、通年行う有害捕獲と合わせ16年度が1万997頭で過去最高となったが、ここ数年は伸び悩んでいる。県によると、シカの自然増加率はおよそ1・25倍で、現在の4万頭を半減させるには毎年継続して1万頭以上捕獲し続ける必要があるとされる。近年は若者の狩猟免許取得が増加傾向にあるが、16年度は60歳以上が61・6%を占め高齢化が顕著だ。引退するベテランハンターも多く、現状の捕獲頭数を維持できるか懸念されている。
(国有林で鹿捕獲拡大:長野)
ニホンジカが樹皮や下草を食べ荒らす国有林の食害拡大を受け、県などは、捕獲推進に向けた相互連携の覚書を締結した。全国に7つある森林管理局が、鳥獣捕獲に関し都道府県と覚書を結ぶのは初めて。各地区の被害対策協議会や猟友会、森林管理署は今後、個体数を調整するための捕獲活動を本格化させる。県が覚書を締結したのは、林野庁中部森林管理局と県猟友会。県の特定鳥獣管理計画や市町村の被害防止計画に基づいて捕獲を行う場合、同管理局が入林手続きの簡便化を図ることを明記。猟友会員が林道の損傷や倒木などの情報を、同管理局に提供することも盛り込まれた。効果的な捕獲を実施するため、ニホンジカの生息調査などの情報共有も行う。国有林の総面積は約37万ヘクタールで、森林面積全域の35%を占めており、食害被害は南信・東信地域で広がっている。国立公園などに接した標高の高い国有林に生息範囲を広げ、捕獲などの対策が急務となっている。同管理局は「ニホンジカはどこにでも出現するので被害は甚大だ。森林育成にとって大きなコストになっている」と話している。
(ツキノワグマ増えすぎ、17年ぶり猟解禁:岡山)
岡山県で15日、ツキノワグマの狩猟が2000年度に全面禁止となって以来17年ぶりに解禁される。これまで絶滅の恐れから保護に重点が置かれてきたが、ここ数年は個体数の増加により人里での捕獲や目撃が相次いだため。
(猟友会、苦悩の「狩猟」:福島)
「良い毛並みだな」「このぐらいの大きさがうまいんだよ」箱わなに体重40キロほどのイノシシが入っていた。富岡町の鳥獣被害対策実施隊の隊員の一人が空気銃で頭を撃ち抜くと、他の隊員がわなから引っ張り出し、記録写真を撮って手早く車の荷台に載せる。「投げてきてくれっか」。坂本正一郎隊長(70)の指示で車は処分場へ走り去った。口数が少なく、淡々とした作業だった。東京電力福島第1原発事故後、避難指示が出た地域で野生動物が街中にも生息域を拡大。被害を恐れ帰還をためらう住民も多く、各自治体は猟友会を中心に捕獲隊を結成し駆除を続けている。しかし、県内は全域で野生鳥獣の出荷が制限され、自家消費の自粛も求められている。「食べてやるのが一番の供養になるんだけどな」。浪江町有害鳥獣捕獲隊の田河晴幸隊長(56)は語る。事故前、イノシシは猟師にとって貴重なごちそうだった。大物が捕れれば友人らを集めて鍋やバーベキューをして盛り上がり、親戚に送り届けた。原発事故後、狩猟は動物を殺すだけの「仕事」になった。イノシシ1頭で2万円ほどの報奨金を出す自治体が多いが、隊員全員で割れば少額だ。富岡町や浪江町では今も大半の隊員が町外で暮らし、片道2時間かけて通う隊員もいる。浪江町では帰還困難区域も含め1日20~30カ所のわなを見回り、餌の掛け直しや重いわなの移動、殺処分など、6時間以上かかることも珍しくない。「みんなが戻ってこられるように頑張るけど、楽しいものじゃない」県は5万頭近くまで増えたと推計されるイノシシを約5200頭まで減らす計画で、13年度以降は県内全域で年1万頭を超えるイノシシを捕獲。人の生活圏で見かける機会は減少しつつある。坂本隊長は「原発事故も、その後の環境を作った原因も人間にある。こんな世の中にして申し訳ない」と話した。
(イノシシ目撃・捕獲が増、県が対策推進へ:秋田)
秋田県は9日、イノシシによる農作物被害が本年度、県内7市で計11件確認されたと発表した。最も多いのはジャガイモの食害で、サツマイモが掘り起こされたり、水田に入って稲穂が食べられたりするなどの被害もあった。県自然保護課によると、県内では2012年2月に湯沢市秋ノ宮で成獣が捕獲されて以降、目撃頭数が徐々に増えている。秋田市山王のルポールみずほで9日開かれたイノシシの農作物被害の拡大防止について考える研修会(県主催)では、隣県の被害が深刻化する中、初期段階で対策を打つ必要性を確認した。
(佐賀に生息しないはずのニホンジカ、オス2頭を確認:佐賀)
佐賀県伊万里市の山林でニホンジカの生息調査をしている佐賀県は設置した監視カメラで、角の生えたオスを確認した。シカによる農作物への影響はイノシシより大きく、県内には生息していないとされてきただけに関係者は困惑する。監視を続け、繁殖の可能性などを調べる。県生産者支援課によると、3月に伊万里市木須町の山あいの採石場でシカのオス2頭が目撃されて写真も撮影されたのを受け、周辺の5地点に計17台の監視カメラを設置した。6月以降、数回にわたってシカのオス1~2頭が撮影され、最初に目撃されたシカと同一とみられる。シカの足跡やふんとみられる形跡も確認されているが、特定には至っていないという。「道路にシカがいる」などの目撃情報も寄せられており、今後監視カメラの設置場所を変えて調査する。メスは確認されておらず、同課は「生息数増加の懸念が生じれば、農業や林業での被害の恐れが出てくるので捕獲などの対応も必要になる」としている。
(クマの捕獲上限引き上げ:滋賀)
滋賀県環境審議会は9日、主に湖西地域に生息するツキノワグマの年間捕獲上限数を3%引き上げる県鳥獣保護計画の答申をまとめた。生息数が増加傾向で、人身被害を未然に防ぐ目的という。県によると、高島や大津市、長浜市西浅井町に生息するクマの個体群は昨年度時点で62~140頭と推定され、微増とみられる。隣接する福井、京都を含めた個体数が増えており、滋賀県内の捕獲の年間上限数を現在の5%から8%(8頭)にする。近年の捕獲数は0~2頭で上限に達していないが、本年度は目撃件数が増え、3頭を捕獲している。また、同審議会はカワウの鳥獣管理計画の答申もまとめた。生息域が内陸部にも分散して一部で被害が増加しており「銃器捕獲や繁殖抑制など、早期の対策が必要」とした。県が今後計画を策定し、来年4月から適用する。
(クマとの共生探る、研究者ら最後の集い:宮城)
人とクマとの共生を目指した有識者による「クマを語る集い」が3日、仙台市太白区の茂庭荘で開かれ、研究者や学生ら約80人が集まった。実行委員会の主催。東北6県で1993年から続けてきた集いは20回を数え、今回で終了した。クマによる人への襲撃や農作物の被害対策、保護について研究者や養蜂家らが発表。最終回を記念し、東京農大地域環境科学部の山崎晃司教授(野生動物管理学)と、東北芸工大芸術学部の田口洋美教授(民俗学)が対談した。山崎教授は「森が広がり、野生動物の分布が拡大している。事故が起きる前に対策を取る必要がある」と指摘。田口教授は「研究などで分かった情報を住民に伝え、事故防止につなげることが肝要だ」と訴えた。実行委員長の富沢保浩さん(52)は「クマとの共生について多くの人に問題意識を持ってほしいと考え、続けてきた。この思いを次の世代が引き継いでくれたらうれしい」と話した。
(県内クマ死傷者20人に、過去最多:秋田)
秋田県内で今年クマに襲われた死傷者が3日、20人に達した。県警に統計が残る2005年以降、最も多かった昨年(19人)を上回り、過去最多を更新した。県自然保護課は「今後も人里へ出没する恐れがあるため、特に山林近くでは1人で行動しないでほしい」と注意を呼び掛けている。
(県境超えて移動するツキノワグマ対策で広域タッグ)
人を襲うなどの被害事例が相次ぐツキノワグマについて、対策に悩む兵庫県が隣接する京都、岡山、鳥取の3府県と共同で広域的な保護管理計画を策定する方針であることが13日、分かった。府県境を越えてクマが移動するため単独での対策が困難なことが背景にあり、今年度中に検討会を立ち上げ作業を始める。クマの目撃情報が相次ぐ大阪府も検討会に参加の方向で、生息地把握や駆除計画などで「広域タッグ」を組む。兵庫県などによると、4府県以上での保護管理計画策定は珍しいという。従来は各府県が個別に保護管理計画を策定しているため、「対策してもクマが県境を越えれば台無しになる」(兵庫県)との側面があった。生息数も各府県で調査方法が異なり、正確に把握できていないという。このため検討会では保護や管理について府県で認識を共有し、共通の方法で生息数を調査。広域的な駆除の方向性などを盛り込んだ保護管理計画の策定を目指す。重点地域としては、クマの目撃情報が多い兵庫北東部から京都などの「近畿北部地域個体群」の西側部分と、兵庫北西部から鳥取、岡山の「東中国地域個体群」を設定する。近年になってクマが住民と遭遇するケースが増加。検討会に参加方針の5府県の昨年度の目撃情報は3214件で過去5年で最も多かった。クマに襲われたとみられる事例も11件発生。クマが生息していないはずの大阪府でも平成26年度以降は毎年目撃されている。こうした現状を受け、保護を続けてきた兵庫県は昨年、20年ぶりにツキノワグマの狩猟を復活。今年も15日から狩猟を解禁する。岡山県も今年、17年ぶりに狩猟を解禁。京都府も解禁に向けた検討を進めるが、鳥取県は現在のところ解禁は考えておらず、各府県の足並みをそろえるためにも広域の保護管理計画が重要な役割を担うことになる。
(紅葉の季節はクマに注意:滋賀)
紅葉シーズンに入り山間部に出かける人が増える中、県は冬眠前のツキノワグマへの注意を呼びかけている。今年はエサとなる木の実が平年よりやや不作で、大量出没こそないものの、これまでに目撃情報が相次いだ湖北、湖西地域などに現れる可能性があると予測している。県内では、平成16、18、22、26年度にクマが大量出没。今年は春先から夏にかけて目撃情報が相次ぎ、4~10月の目撃情報は前年度(76件)を大きく上回る133件に上っている。クマは例年10~11月は冬眠前に栄養を蓄えるため活発に動き回るが、山に十分なエサがない場合、人里に姿を現すこともあるとされる。県などが今年行った木の実の生育調査では、平年よりもやや少なかった。山奥に分布するブナのできが悪く、クマがエサを求めてふもとに出没することも考えられる。このため、県自然環境保全課は、クマを引き寄せる生ゴミなどを出さない▽収穫しないカキやクリ、ハチの巣の撤去▽やぶ刈りによる見通しの確保-などに気をつけるよう求めている。10月の目撃件数は5件にとどまったが、行楽などの際に突然クマと遭遇する可能性もある。担当者は「早朝や夕方の単独行動は避け、ラジオや鈴で音を出すなど遭遇を避けてほしい」としている。また、今年は個体数の増加や農作物の被害から、ニホンジカとイノシシの狩猟期間が例年より2週間前倒しされ、1日から解禁されている。猟期の変更に伴い、流れ弾やわなによる事故を避けるため、同課は「なるべく橙や黄色などの目立つ服を身につけ、登山道を外れて獣道を通るようなことは避けてほしい」と注意を呼びかけている。
(シカ深夜に渡って、超音波で線路内侵入調整:三重)
近鉄が昨年以降、津市などで設置した「シカ踏切」が、列車と鹿の接触事故防止に効果を発揮している。線路をまたぐ形で鹿の生息域が存在していることを重視。生息域内を行き来する鹿の侵入を完全に防ぐのではなく、列車の通らない時間帯に踏切を渡ってもらう「逆転の発想」で事故を急減させた。人間だけでなく、鹿にも安全な踏切が必要。鹿の目線で問題を捉えた」点が評価され、今年度のグッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会の主催)に選ばれた。
(キョンとるず命名者ら表彰:東京)
伊豆大島(大島町)で大量繁殖したシカ科の特定外来生物「キョン」を捕獲するチームの名称「キョンとるず」とロゴマークを決定した都は6日、名称を応募した私立女子学院高3年、大久保美里さん(18)、ロゴを応募した都立大島高2年、金森仁亜(とあ)さん(16)の表彰式を都庁で開催した。小池百合子知事は2人に賞状を贈り、「チームの名称とロゴが決まることにより、対策がさらに進むよう応援していきたい」と話した。表彰式後、大久保さんは「覚えやすいものをと考えた」と話し、金森さんは「キョンがアシタバを食べているところをイメージした」と説明した。大島のキョンは現在1万5000頭が生息しているとみられ、特産のアシタバの食害などが問題となっている。
(クマ狩猟15日解禁、20年ぶりの昨年は4頭:兵庫)
兵庫県内でツキノワグマの狩猟が15日から、再開される。20年ぶりに解禁された昨年、慣れないクマ猟にほとんどの猟師が消極的で、狩猟されたのは4頭。一方で、生息数は増加傾向にあり、隣接の岡山県も今年から17年ぶりに狩猟を解禁。人や農作物への被害が相次ぐ中、関係者らは深刻化するクマ被害に頭を悩ませている。県内のツキノワグマはかつて生息数が減少し、絶滅が危ぐされるとして、県が1996年に狩猟を全面禁止にした。その後、生息数は年々増加し、人が襲われる事案もたびたび発生。15年には「絶滅の恐れは当面ない」とされる800頭を上回ったことから昨年11月、20年ぶりに再開となった。ただ、猟が解禁されても実際にクマ猟に出たハンターはほとんどいなかったといい、捕れたのは4頭。県猟友会の中沢明吉副会長(64)=豊岡市=は「クマを捕ることが多い東北と違い、兵庫はイノシシやシカ専門のハンターがほとんど。猟に使うイヌも違うし、クマのすみかを知っている経験者もいない。偶然、遭遇した時に捕れるかどうかだ」と話す。こうした状況に、県は「(4頭という捕獲数は)予想の範囲内。狩猟者が山に入ることで、クマを人里から離れた奥山に戻す効果もある」と予防効果を強調する。一方、クマ猟をめぐっては、動物保護団体から「植林など環境改善が先」などと反対意見も根強く残っており、県は個体数維持のため、狩猟捕獲数の上限を設定。今年は推定生息数897頭(2016年当初)のうち、15%に当たる134頭を上限とした。クマの狩猟期間は12月14日まで。県鳥獣対策課は「捕獲だけでなく、クマが生息しやすい環境を整えるなどし、人とクマの住み分けを進めていきたい」としている。
(狩猟解禁、例年より半月早く:滋賀)
県内でのシカとイノシシの狩猟が1日、例年より半月早く解禁され、ハンターたちが猟銃を手に野山に繰り出した。個体数が増加する中、生態系の保護や農林業などへの獣害防止が狙いで、その他の鳥類などの狩猟解禁は例年通り今月15日。シカとイノシシは狩猟期間の終了も遅く来年3月15日までで、その他は2月15日まで。
(野生動物、遠隔操作で一掃:愛媛)
農作物を食い荒らす野生動物を効果的に捕獲できるシステムを県などが開発し、効果を上げている。情報通信技術(ICT)を活用し、離れた場所で映像を見ながら捕獲用のおりや自動給餌機を遠隔操作して群れの一網打尽を狙う仕組みだ。見回りなどの労力も省けるとあって、貴重な戦力として関係者の間で期待が高まっている。システムは県が専門業者に依頼し、2014~15年度に開発した。その名も「ハンティングマスター」。業者が16年度に発売開始した。約48万円と高価だが、約20セットを売り上げている。赤外線センサーやビデオカメラ、通信機器などを一式として、おりに取り付けて使う。動物の接近をセンサーが感知すると、利用者のスマートフォンなどに通知メールが送信され、同時に録画が始まる。利用者はスマホ画面で動画を確認でき、おりに群れ全体が入ったところでスマホを操作すれば、入り口の扉が閉まり、一気に捕獲できるという。これまでは動物がおりに入り、仕掛けにかかると自動的に扉が閉まる仕組みが主流だった。ただ、野生のイノシシやシカは群れで行動することが多く、1頭だけ捕まえても残りの群れが警戒心を強め、わなの効果が薄れることが課題だった。新システムの利点は、群れの一掃を狙えるうえ、遠隔監視ができるので、おりを定期的に見回らなくて済むこともある。農作物の被害が増えるのは農繁期と重なることから、労力を軽減できるメリットは大きい。県が16年10月から実施した検証では、県内4か所でイノシシ計50頭を捕獲。おりの中に設置した自動給餌機をスマホで操作するシステムの開発に成功し、今後は人工知能(AI)で動物の行動に応じた操作を自動で行う機能の開発も視野に入れる。システム開発に携わった県農産園芸課の田中秀実担当係長は「イノシシやシカは学習能力が高く、ワンチャンスで一網打尽にする必要がある。技術を進化させて被害を食い止めたい」と意欲を見せる。県主催の「ハンター養成塾」でシステムの説明を聞いた松山市城山町、農業垣本幸二さん(67)は「農作業の合間に見張りや捕獲ができれば、負担が減る。もう少し値段が安くなればいい」と関心を示した。野生動物による農作物被害は深刻さを増し、対策を迫られる農家に重い負担がのしかかる。県内で2016年度に受けた被害は果樹を中心に4億3640万円に上り、前年度から約5000万円増えた。原因の約6割がイノシシとされる。県は対策として、庁内に横断的な組織「県鳥獣害防止対策班」を設置。侵入防止柵の設置などで寄せ付けない「守り」と、効果的に捕獲する「攻め」の両面の取り組みを進める。捕獲数は10年前と比べ、イノシシが約4倍、ニホンジカは約8倍に増えた。しかし、山間部の過疎化で集落が荒廃し、野生動物が生息しやすい地域が広がったためか、捕獲より繁殖のスピードが上回り、被害が一向に減らないのが現状という。
(畑を荒らす「害獣」を捕獲したら怒られた:福岡)
本来は山地や森林地帯に生息するタヌキによく似た『二ホンアナグマ(以下アナグマ)』が、住宅街にまで降りて来て、家庭菜園などを荒らす事例が増えている。今年6月23日、福岡県飯塚市で初めて有害鳥獣に指定されたアナグマが、市内のある家庭の菜園で捕獲されたことが意外な問題に発展している。捕えたのは自宅敷地内にわなを仕掛けた同市民だった。処分を依頼するため市に連絡したところ、逆に叱責されてしまった。駆け付けた農林振興課職員は次のように指摘したのだ。「猟期(11月15日から翌年2月15日)以外の期間は、『わな猟免許』が必要で、いまの時期、無許可で捕獲器の設置は認められていません」鳥獣保護法では、わなを設置するのが自宅の敷地内であっても、厳密には違法行為となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される恐れもある。ただし捕獲器の購入や販売については、猟銃のような厳しい制限はない。この市民は市内のホームセンターで捕獲器を1万円で購入して約半月、設置場所や餌を変えながらようやく捕獲したのだが、わなの設置時期については店側の説明はなかったという。結局、このアナグマは山に帰ることになった。では猟期内ならどうするのだろうか。「有害鳥獣に指定された現在、市に通報があれば有害鳥獣駆除員に連絡して、市から駆除員が派遣されることになります」(飯塚市職員)その駆除員の懐事情もなかなか大変なのだ。現場や殺処分後に搬入する処分場に向かうガソリン代、市に提出する証拠写真代などの経費が掛かる。イノシシとシカの駆除に対しては、国の基準(8000円)に市独自の補助金(7000円)が上乗せされるが、アナグマ駆除に支払われるのは国の基準に沿った1000円のみだ。カラスは1羽200円で、猟銃の弾1発が240円ほどかかるので赤字が出る。そのため、駆除員に声を掛けてもなかなか集まらないのが現実だ。日本の固有種であるアナグマは、アライグマのように外来種でもなければ狂暴でもなく、どちらかというと保護されるべき立場だ。しかし、アナグマを放置することによって人間の生活が脅かされる事態に発展しようとしている。人間の生活環境を保護するのか、それとも固有種であるアナグマを保護するのか。悩ましいところだ。
(小学校でジビエを使った食育授業開催:大阪)
捕獲から料理になるまでの過程を知ることで、命の尊さに対する感謝の心を育てようと、狩猟で捕獲された野生動物の肉「ジビエ」を使った食育授業が大阪市北区の市立豊崎小学校で開かれた。なかには、恐る恐る口にした児童もいたが、うまみがつまった味わいに「おいしい」と笑顔をみせた。授業は5、6年生の児童約40人が参加、学校近くのイタリア料理店経営者で、ハンターの資格を持つ山上忠彦さん(50)が講師を務めた。山上さんは、猟犬が獲物を追い人間が待ち伏せして銃で捕獲する様子を説明。骨付きのシカ肉を実際に切り分ける作業を披露した。その後、児童が山上さんの指導を受けながら調理。風味が失われないよう弱火でじっくりと焼き上げた肉を薄切りにして試食した。シカやイノシシによる農林業の被害が拡大する中、ハンターが駆除した動物の肉を食肉として活用しようという自治体や団体が増加。高級食材としてレストランでの人気も高まっており、山上さんもハンターが捕獲したシカやイノシシを店で提供している。5年生の河野絢香さん(11)は「猟の話を聞いたので、残さずしっかり味わわないといけないと思った」と興味深げ。同校の倉澤保孝校長は、「毎日言っている食前の『いただきます』という言葉の大切さを学べたと思う」と話していた。
(食堂おかみ70歳、猟銃免許に再挑戦:富山)
ライフル銃や散弾銃で狩猟ができる「第1種銃猟免許」。年々、所持者が減少する中で70歳で免許の取得を目指す女性がいる。富山県氷見市熊無の山中でジビエ食堂「まいどはや」を営む川嶋光子さん。元々免許は持っていたが、3年前に病気で更新を諦めた。ただ、「マタギ」の家で育ち、狩猟解禁の時期が近づくと「血が騒ぐ気がする」といい、免許の再取得に挑む。川嶋さんは青森県出身。青函連絡船の乗員をしながら先祖代々の家業の「マタギ」をしていた父親に連れられ、幼い頃から狩猟に親しんだ。夫で氷見市出身の弐英(しきえい)さん(71)も銃猟免許を持つ。地域で捕れるイノシシやカモ、キジなどを食材として親しんでもらおうと、2002年に氷見市の隣の石川県羽咋(はくい)市でジビエ居酒屋「まいどはや」をオープン。店を切り盛りしながら夫の狩猟を手伝ううちに「自分の手で獲物を仕留めたい」との思いが募った。60歳の時に銃猟免許を取得した。「先祖代々のマタギの血が騒ぐのかもしれない」。夫と共に猟犬を連れて獲物を追うことが何よりも楽しかった。しかし、3年前に肩に帯状疱疹(ほうしん)を患って猟銃を持てなくなり、免許の更新を諦めた。「まいどはや」は昨年12月に自宅近くに食堂として移転。厚切りのイノシシ肉をのせたラーメンなどのランチが人気で、夜は予約制でカモやキジの鍋などを振る舞う。「殺生をしているという思いはある。せめておいしく食べてもらうことが供養になるはず」帯状疱疹は完治し、古希の区切りとして来年2月の銃猟免許試験を受けるつもりだ。試験には猟具や法令に関する知識を問う筆記試験や、銃の分解・組み立てを実演する技能試験があるが、「誰もやっていないことに挑戦したい」と意気込んでいる。県によると、イノシシなど鳥獣による昨年度の県内の農作物への被害は総額約1億円。狩猟や駆除のため捕獲されたイノシシは計4360頭で、駆除されたイノシシ3427頭のうち3割以上が氷見市で捕獲された。狩猟免許のうち、網・わな猟の免許所持者は年々増えているが、第1種銃猟免許の所持者は今年3月末現在745人。この10年で100人あまり減った。また所持者の59%は60歳以上。県自然保護課の担当者は「獣害を防ぐには、地域住民が日頃から野生動物を追い払う努力をして、すみ分けを図ることが大切」と話す。
(鹿肉カレー新名物に:静岡)
浜松市天竜区熊の道の駅「くんま水車の里」の食堂で、地元で捕れた鹿を使った「浜松ジビエ 鹿肉カレー」の提供が始まった。道の駅を運営するNPO法人夢未来くんま(同区熊)はレトルトパック入り商品も発売。新名物にして地域おこしにつなげたい考えだ。鹿肉入りのカレーは市の補助金事業として開発した。肉はじっくり煮込んであり、やわらかい。野菜入りで栄養価が高いキクイモの粉末も加え、まろやかな後味に仕上げた。辛さは中辛のみ。口直しの漬物と甘味付きの1人前で千円。レトルトパックは1袋200グラム。価格は650円。まずは区内の道の駅で販売し、高速道路のサービスエリア(SA)などに販路を広げる計画。鹿のイラストが描かれたパッケージのデザインは、浜松山里いきいき応援隊の山本希美栄さんが手掛けた。鹿は地元猟友会が区内で捕獲し、同地区の農家民宿で食肉に加工した。近年、鹿に農作物を食べられる被害が区内で拡大しており、同NPOは猟友会と協力し、鳥獣害対策で捕獲した鹿を有効活用し、地域振興につなげるモデル作りも目指している。
(野生のイノシシを資源に、「狩りガール」奮闘中:茨城)
田畑の農作物を荒らし、県内でも問題となっている野生のイノシシ。それを“厄介者”ではなく、山の豊かな“資源”として活用しよう-。そんな思いのもと、城里町で4人の「狩りガール」が活動している。町の補助金を利用して狩猟免許や銃の所持許可を取得した彼女らは、料理や革製品などで、その魅力を生かせないかと日々奮闘している。狩りガールは町臨時職員の鯉渕佳代子さん(46)、町嘱託職員の川和愛里さん(35)、町環境センター嘱託職員の森田篤子さん(36)、町地域おこし協力隊の瀬川礼江さん(25)の4人。所持許可取得中の川和さん以外は「マイ猟銃」を持っている。県によると、県内の獣類による農作物被害額は、平成27年度で1億367万円と深刻な状況になっている。そのうち約86%にあたる8871万円がイノシシによる被害だ。しかし、狩猟者の高齢化が深刻で、後継者を確保するため、若い人や女性にも興味を持ってもらおうと、同町では、26年度に狩猟免許取得費用の全額補助制度を創設した。そして、今回、4人に白羽の矢を立てた。「撃ち取ることにはいまだに抵抗感はある」こう語るのは森田さん。勤めている町環境センターには、駆除されたイノシシがしょっちゅう運ばれ、焼却処分されるという。その一方で「土壌をひっくり返され、農家への被害は本当に深刻。駆除は町には必要なこと」と鯉渕さんは指摘する。だからこそ、せめてイノシシを“資源”として活用したいというのが願いだ。鯉渕さんは「肉をいかに柔らかく食べやすくするか、力をいれて研究したい」と語る。また、昨年11月からは、瀬川さんを中心に革製品の製作にも着手した。すでに町内ではイノシシ革を使ったアクセサリー作りのワークショップの開催を予定しており、瀬川さんは「しっかりブランド化していき、売れるものを作っていきたい」と意気込んでいる。4人は昨季はわなでの捕獲を見学した。15日に始まる今年の狩猟期間では猟銃を使った訓練を始める予定だ。川和さんは「狩猟がうまくなりたい。練習あるのみです」と語った。
(銘柄ジビエ、信頼の証し:島根)
研究機関や食肉販売業者などと連携し、獣害対策と併せてイノシシ肉の出荷を商業ベースに乗せている島根県美郷町は、独自の捕獲奨励金制度で全頭現地確認を徹底している。手間のかかる現地確認を行うことで、生息数を正確に把握して効果的な対策を打ち、資源の有効活用につなげる狙い。不正受給問題で国の補助金の交付ルールが来年4月から厳しくなる中、先進事例として注目される。島根県美郷町は、「おおち山くじら」のブランドイノシシ肉で知られる。同町の狩猟者らで構成する「おおち山くじら生産者組合」は、年間約400頭を生きたまま処理施設に運んで良質な精肉に仕上げ、ジビエ(野生鳥獣の肉)として首都圏にも販路を広げている。2004年に美郷町として合併した旧邑智町ではかつて、捕獲奨励金の不正疑惑が持ち上がっていた。近隣自治体のイノシシ捕獲数が横ばいだった1999年度、同町では捕獲が急増し、過去最高の732頭を記録した。近隣自治体は個体の現地確認をしていたが、同町は尻尾の提出で済ませていた。奨励金を受け取れない狩猟期に捕獲した個体の尻尾を、4月まで冷凍保存して持ち込んでいた可能性が高いという。そこで次年度は現地確認に切り替えたところ、捕獲は299頭に激減。月別頭数で見ると、99年度は4月に89頭、5月に67頭捕獲されていたが、2000年度は4月がゼロ、5月が7頭だった。現場確認に切り替える際は猟友会から反発もあったが、理解を求めた。現在は捕獲した農家らから連絡を受けた町職員が、現地に出向き捕獲を確認する。邑智町時代から確認に携わる美郷町産業振興課の安田亮課長補佐は「負担は増すが、被害を減らすという目的を達成するためには、正確な統計を取って対策や事業に生かす必要がある」と強調する。今年度40頭ほど捕獲した品川光広さん(61)は「不正はあってはならないことで、誰もが現地確認は必要と思っている」と理解を示す。正確な数字を積み重ねることで、獣害対策も講じやすくなった。通常は6、7月に増える子イノシシだが、今年は8月後半から増加していたことが分かった。この時期に農作物被害が出やすくなるため、町はわなの管理などを改めて呼び掛けた。捕獲を進め過ぎたことで、食肉用が足りなくなる事態も他県では起きていることから、有害個体だけを捕獲するよう指導。被害対策と利活用を両立させている。農水省が6月に発表した市町村やJAなどでつくる「地域協議会」を対象とした調査で、全体の15%に当たる140の協議会で「鳥獣被害防止総合対策交付金」を支払う際の捕獲確認が不十分だった。市町村担当者が現地確認までしている協議会は、17%(159)にとどまる。昨年7月、職員が捕獲写真の偽装に気付いて交付金の不正受給が発覚した鹿児島県霧島市。13~16年度の捕獲件数1万1327件のうち、本人も偽装を認めたのは252件、偽装の疑いがあると市が判断したのが9件あった。市は、提出用写真の向きをそろえ撮影し、捕獲獣の胸に数字をペイントするなど厳格化した要領を制定。可能な限り現地確認をして再発防止に努める。同省は交付ルールを来年4月から厳格化する。①現地確認②処理加工施設への持ち込み時の搬入確認③書類確認――のいずれかで捕獲を確認。書類で確認する場合は尻尾と共に写真の提出を義務付け、不正を防ぐ。美郷町の安田課長補佐は、交付金が高額になり過ぎると捕獲の目的が被害防止ではなく、金銭目当てにすり替わってしまうことを危惧する。「捕獲に交付金を上乗せするのではなく、職員が確認するための人件費に充てた方が、正確な統計を取れ、被害防止にもつながる」と提言する。
(イノシシの解体実習:埼玉)
鳥獣害の現状や命の尊さを学ぶため、県立所沢北高校の有志生徒7人がこのほど、イノシシの解体実習を、猟や獲物の販売などをしている飯能市白子の「猟師工房」で行った。生物担当の原田千鶴教諭(28)が「命を頂いて命をつないでいる実感が希薄になっている」と課外授業として企画した。教科担当のつながりで他校の教諭も参加した。
(ジビエフェス楽しんで:奈良)
五條市は11、12両日、捕獲された野生鳥獣の肉を使った「ジビエ料理」に親しむ「第1回ジビエ・フェスタ」を同市上野町の上野公園総合体育館とその周辺で開く。市は2015年に県内自治体では初となるイノシシ、シカ肉の処理加工施設「ジビエール五條」を開設。ジビエの地域資源としての活用を進めている。
(ジビエ試食会:愛知)
ジビエといえば野生のシカやイノシシの肉を使った料理が思い浮かびますが、10日に名古屋市内で開かれた試食会で振る舞われたのは、あの「鳥」の肉でした。愛知産のジビエの魅力を伝えるための料理発表会が、名古屋市中区のアイリス愛知で開かれました。会場には設楽町で捕れたシカのローストや、イノシシの赤ワイン煮込みなど、約20種類の料理が並びました。注目は「ハシボソガラス」を使った「一口 カラス胸肉の蜂蜜焼きに燻製豆腐 実山椒風味」です。料理を担当したアイリス愛知の久永誠料理長によりますと、カラスは筋肉質のため肉をやわらかくするのに工夫が必要だったということです。
(ジビエ料理教室:山口)
地元で解体・処理されたイノシシやシカの肉を使ったジビエ料理教室が下関市で開かれた。料理教室には、主婦など16人が参加した。メニューは、イノシシの肉を使った巻き寿司、イノシシとシカの肉を使った肉だんごのあったかスープなど。
(イケアで「ミート&ジビエ フェア」)
イケア・ジャパンは11月8日から12月3日、「ミート&ジビエ フェア」を全国のイケアストアにて開催する(IKEA長久手とIKEA Touchpoint 熊本を除く)。同フェアでは、ハーブが豚肉の甘みを引き立てる「ポルケッタ(ローストポーク)」(税込1,090円)、クリスピーな「チキン&チップス」(税込999円)、イベリコ豚の生ハムが入った「ミートプレート」(税込599円)など、さまざまな肉料理を提供する。噛(か)むほどに旨みが増す「ローストビーフ」(税込1,090円)は、ニュージーランドの大自然の中で育った放牧牛のフィレ肉を低温でじっくり調理しているため、柔らかな口当たりだという。そのほか、野性味あふれるジビエのソーセージ「イノシシ肉のソーセージ」「鹿肉のソーセージ」(各税込219円)も販売する。ローストビーフ、ポルケッタ、チキン&チップスの3品は、IKEA FAMILYメンバーには税込899円で提供する。フェア開催時間は11:00から20:30(ラストオーダー)。なお、提供するメニューは、数量限定となる。
(“ぎふジビエ”のシーズン到来:岐阜)
野生鳥獣の食肉、ジビエが旬となる狩猟シーズン到来!岐阜県高山市では“ぎふジビエ”として品質の高いジビエを堪能できる。なかでも天然のイノシシ肉は脂身に甘味があるのが特徴だ。岐阜の野山を駆け回り育ったイノシシの旨味を楽しもう。大きなイノシシのハク製が出迎える「飛騨高山中華そば専門店M」では、ジビエを知り尽くしたフレンチシェフが作る「飛騨(いのしし)ジビエラーメン」(1500円)が味わえる。イノシシの骨を2日間かけて煮込んだスープは、コクがありながらも臭みがなくて食べやすい。もちろんトッピングのチャーシューにはイノシシ肉を使用。また、11月中旬には、熊肉のエキスが凝縮した「冬限定熊味噌ラーメン」(2000円予定)も登場する。ジビエを大量に扱うフランス料理店が母体だからできる、上質なジビエラーメンを堪能しよう。さらに、地元の人に愛されるジビエ料理として紹介したいのが、「道の駅ななもり清見」の「レストラン味彩七杜」で食べられる「いのししドン」(1350円)だ。飛騨の山で捕れたイノシシのバラ肉を、キャベツやタマネギ、ニンジンと共に、特製の焼き肉ダレで味付けする。食欲をそそる一品だ。また、最高ランクの飛騨牛を使った炭火焼き料理が評判の「食事処銀風亭」には、今秋からジビエ料理が登場。ゆったりとした雰囲気でジビエ料理が楽しめる。「いのしし肉の朴葉味噌膳」(2000円)は、下処理し、柔らかく仕上げたイノシシ肉のサイコロステーキに、郷土料理の朴葉味噌で味わう。一緒に食べられる秋のキノコや飛騨ネギは、甘味たっぷりだ。
(ジビエ肉活用展、イノシシ料理に列:福岡)
イノシシ肉を使った料理を広めようと「ジビエ肉活用展」が5日、直方市の古町商店街であった。同市の大和青藍高調理科の生徒が振る舞う料理に長い行列ができていた。直方青年会議所が、農作物被害が深刻化しているイノシシの肉を流通させようと開いた。同高で調理実習をして生徒にレシピを考案してもらった。
(天敵のイノシシ食べてしまえ:千葉)
「農作物を荒らす天敵イノシシを食ってしまおう」と、鋸南町が8年前に始めた町おこしイベント「きょなん地美恵(ジビエ)BBQ大会」が5日、同町大崩の佐久間ダム公園の湖畔であった。絶好の行楽日和の下、約700人がイノシシ焼き肉とボタン汁に舌鼓を打った。
(ジビエ安全に提供、プロ向けに料理講習:大阪)
プロ料理人向けの「国産ジビエ料理セミナー」が1日、大阪市阿倍野区の辻調理師専門学校で行われた。国内の鳥獣被害の現状やジビエ(シカ、イノシシ)の栄養的特徴のほか、安全に提供できる加熱調理法を学んだ。野生鳥獣による農林業の食害が毎年200億円を超えており、国はジビエの利活用を推進している。同セミナーは国産ジビエ流通企画検討協議会が主催し、農林水産省の支援を受けて企画。レストランやホテルで働く現役料理人41人が参加した。日本ジビエ振興協会の藤木徳彦さんが、鳥獣被害と食肉利用の現状について報告。続いてジビエの栄養面、衛生管理面について同校講師が講演した。調理実習では、「肉の中心温度が75度1分以上」という厚生労働省の指針に基づいて、シカ肉のポワレを調理した。長野県の蓼科高原のフランス料理店シェフでもある藤木さんは「ジビエは扱いは難しいが、客を引きつける力がある食材。新たな肉として安定供給できるようになればいい」と話した。
(小学生がクマにエサ、理解を深める:秋田)
北秋田市の小学校などでは、子どもたちに身近な動物、クマへの理解を深めてもらおうと、特別授業を行っています。地元の小学生が学校で育てたサツマイモをクマに食べさせる体験をしました。クマへのエサやり体験は、冬眠に入る前のこの時期に毎年行われています。
(人を恐れない「新世代のクマ」注意:秋田)
秋田県内各地で人がクマに襲われたり、農作物が食い荒らされたりする中、北秋田市は6日、同市の「くまくま園」で「クマによる被害防止のための公開講座」を開いた。講座は、研究活動に関する連携協定を結ぶ北海道大大学院との共催。クマの生態に詳しい専門家からは、人間を恐れない「新世代のクマ」の存在などが指摘され、集まった約30人の農林業関係者や自治体の防災担当者、山岳ガイドらは真剣な表情で耳を傾けた。講師を務めた同大学院獣医学研究院の坪田敏男教授は「クマの被害にあわないために」と題し、クマが人里に近い場所に生息域を広げている状況を分析。県内では昨年、今年と続けて大量に出没していることについては「異常事態」とした上で、「森林構造など生息域の変化や、人を気にしない『新世代のクマ』の存在が考えられる」との見方も示した。県立大の星崎和彦准教授は、県内での調査に基づいて「秋田県のクマの生息動向について」をテーマに講演。県内では推定約1000頭とされていた生息数を大きく上回る可能性を指摘し、「出没した地域での情報共有や広域での連携、共同の対策も必要だ」と語った。講座では、人間が廃棄する果物などが、クマを人里へと誘う原因になっていることも取り上げられ、適切な農業廃棄物処理の必要性にも話題が及んだ。講師らからは、「クマと遭ったらどうするではなく、事前に声で人の存在を知らせる対応が効果的」との助言もあった。
(「シカの角」不思議に迫る:神奈川)
麻布大学が地域に向け開放する教育・研究機関「麻布大学いのちの博物館」では、10月31日から新たな企画展示「シカの角のふしぎ」を開催している。前回、好評を得た「フクロウ」に続く新たな企画展のテーマは、古来、温帯を中心に世界中に生息してきた「シカ」。日本にはニホンジカが生息しており、大正時代から昭和中期までに減少、一時は絶滅が懸念される県もあったが、近年ではその個体数が増加。農業被害や自然植生への影響も問題視されている。今回の企画展では、そんなシカについて、世界中の頭骨標本や模型を展示、その生態系を解説しながら保全のあり方などについて迫る。
(シカの角こすり、苗木を守ろう:神奈川)
箱根町と小田原、南足柄両市にまたがる箱根山地でニホンジカの食害が増え、NPO法人「小田原山盛の会」は小田原市久野の植林地で、ヒノキやスギの苗を竹で囲う保護活動を始めた。侵入を防ぐ柵設置の予算がなく、当面は応急策でしのぐことにした。植林地は十一ヘクタールあり、箱根山地の東部斜面に広がる。二〇一四年以降に植えた一万五千本の一割以上で、雄が角を研ぐ「角こすり」や食害が確認された。角こすりで樹皮がはがれると、栄養や水分が木の上部へ届かなくなるだけでなく、木を腐らせる菌が入り枯死する。その結果、シカの活動域は裸地化が進み、大雨のたびに土壌が流出するようになる。シカによる深刻な被害は半世紀前に丹沢山地で表面化し、県の担当者は「数十年単位では回復しないだろう」と話す。箱根と周辺地域では一九八〇年代からシカが目撃されるようになった。DNA型から丹沢や伊豆方面の個体とみられ、シダなどにも被害が出ている。山盛の会は三年前から、丹沢大山学術調査団の副団長を務めたシカの専門家で、元東京農工大助教授の古林賢恒(けんごう)さん(75)と百回近く現地を調査。五日はボランティアの市民四十五人が、古林さんが考案した方法を五百本の苗木で実践した。長さ一・五メートルの割竹四枚を苗木の周りに木づちで打ち込み、横にひもを通す。枝葉は食べられても角こすりは防げる仕組みだ。地元の木材販売業高木大輔さん(45)は「森を守る大切さを体験で伝えたい」と次男庵(いおり)君(8つ)と汗を流した。ただ、これはあくまで応急措置。小田原市森林組合は柵設置に向け、行政と話し合う予定で「丹沢に比べ被害は限定的」とみている県も、本年度から柵の設置区域を箱根山地に広げ、実態把握や対策に乗り出す。「シカはほとんどの植物を食べるため、希少植物の保護も必要」と山盛の会副理事長の川島範子さん(59)。古林さんは「シカは徐々に増えた後、爆発的に増える。個体数が低密度の時期に柵で封じ、捕獲もしないと十年後には丹沢のようになる」と警鐘を鳴らした。
(ジビエの移動加工ユニットを発売:岐阜)
金型の設計や技術者派遣を手掛けるモールデック(岐阜県各務原市)は、イノシシやシカを食肉に加工する「ジビエ一次処理サテライトユニット」を売り出した。車でけん引して移動できる。固定式の処理場を建設するより利用しやすくなり、コストも抑えられるという。岐阜県などの山間部では農林業への動物の食害も増えており、被害を減らすためにも野生の動物や鳥の肉を食材に使うジビエ料理への関心が高まっている。ユニットは作業室、肉を保管する冷蔵室で構成する。トレーラーに脱着して移動できるようにした。1台325万円(税別)で受注生産する。冷蔵機器メーカーのフリーザーシステム(福岡県飯塚市)と共同開発した。今後3年間で100台程度の受注を目指す。
(「猟師のカン」を見える化)
huntech(ハンテック)は11月9日、捕獲時にモバイル端末へ通知を送る狩猟罠用のIoTセンサータグ「スマートトラップ」を発売すると発表した。販売開始は11月15日から。近年、野生鳥獣による農作物への深刻な被害が報告されている。一方で、野生鳥獣の捕獲をしている狩猟者は年々減少し、高齢化も進んでいる。罠猟の場合、罠の設置後は毎日見回りをすることが望ましいとされているが、それが猟師の負担にもなっているのが現状だという。スマートトラップは、市販のくくり罠に設置することで野生鳥獣の捕獲をリアルタイムで管理者に通知し、捕獲情報を独自のデータベースに記録ができるセンサータグだ。罠の設置者に義務付けられている見回りの頻度を、毎日から週1回程度にまで削減でき、猟師の労力を軽減可能としている。捕獲後はすぐに回収できるため、良好な状態で食用肉として流通させることができる。通知メールの送信先は5件まで設定できるため、複数人で罠の管理をすることも可能だ。GPSセンサーを搭載しており、捕獲日時や気象情報などと併せて捕獲場所の位置情報も含めたデータベースを自動で作成。従来はベテラン猟師のカンによるところの多かった野生鳥獣の行動特性などを見える化し、捕獲効率を高めるとしている。スマートトラップは、本体(親機)1機にタグ(子機)5機で構成されており、本体を中心に最大半径100m以内であれば、タグを取り付けた罠5つまで管理できる。本体サイズはおよそ幅160×奥行き260×高さ100mm、子機は直径50mm。通信方式は3G/920MHzで、バッテリー持続時間は最長9日間。価格は8万6184円、システム利用料は月額3218円。
(美容にイノシシ脂を:佐賀)
「イノシシの脂は美容に最適」と、佐賀市高木瀬町の忠兼総本社がスキンクリーム「ぼたん油」を開発した。18日、発売する。有害鳥獣として捕獲後、大半が廃棄されるイノシシの新たな有効活用としても注目される。同社は馬油の製造・販売をしていたが、中国人の爆買いで今春、原料不足と高騰に見舞われた。百田忠兼社長(32)は代替商品の開発を迫られ、イノシシに着目した。「中国で昔からイノシシやクマなどの脂の美容効果が知られていた。
(カラスの侵入防ぐ「畑作テグス君」)
畑のカラス対策として農研機構中央農業研究センターが開発した「畑作テグス君」が評判を呼んでいる。圃場にテグスを張ってカラスの侵入を防ぐ手法で、大きな利点は設置コストが約1万7千円(10アール当たり・別表)と安く、設置と撤去の作業がともに楽な点だ。収穫期のカラス対策には農作物を完全に覆うことのできる固定式防鳥網が確実とされるが、設置コストの高さや維持管理の負担が普及のネックになっている。そこを踏まえ、「テグス君は対策が必要なときに誰でも簡単に設置ができる」と同センターの吉田保志子さんは開発の狙いを話す。

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(銃弾で本に穴、脅迫容疑で僧侶逮捕:愛知)
銃弾で穴を開けたとみられる本を寺院に投函(とうかん)し、住職らを脅したとして、愛知県警中村署は1日、脅迫容疑で北海道帯広市東十条南、僧侶谷川智昭容疑者(49)を逮捕した。容疑を認めているという。逮捕容疑は10月19日午後2時25分ごろ、名古屋市中村区の寺院の郵便受けに、銃弾のようなものを貫通させた男性住職(72)の著書1冊を投函し、住職らを脅迫した疑い。中村署によると、住職は2000年に所属宗派を離脱して以降、宗派を批判する内容の書籍を13冊出版し、全国数千の寺などに送付していた。この間、住職の寺には脅迫文や生ごみが届くなどの嫌がらせが繰り返されたという。谷川容疑者は調べに対し、「宗派に対する嫌がらせをやめさせるためで、ライフルで本を撃ち抜いた」と供述。同容疑者は許可を得てライフル銃2丁や実弾などを所持しており、同署が押収した。
(クマ、農作業小屋の米袋荒らす:秋田)
31日午前6時ごろ、秋田県鹿角市尾去沢字中綱出口の民家敷地内の農作業小屋で、米袋が食い荒らされているのを所有者の60代男性が見つけ、鹿角署に届け出た。小屋周辺に残された足跡から、同署はクマによる食害とみている。
(市街地4カ所でイノシシ目撃:長野)
2日午前0時から同3時15分ごろにかけ、長野市街地の4カ所でイノシシが相次いで目撃された。長野中央署によると、いずれも体長約1・5メートルの成獣とみられ、目撃された時間や場所から同じイノシシの可能性があるという。同署によると、午前0時ごろ、同市稲田でイノシシがいるのを見た―と通行人から110番通報があった。同2時半ごろには、三輪の柳町中学校グラウンドにイノシシがいるのを警戒中の同署員が見つけたが、その後見失った。同3時ごろにも西鶴賀町で通行人がイノシシを見つけ、110番通報した。同15分ごろには桜枝町で警戒中の同署員が目撃したが、西部中学校付近で行方が分からなくなった。いずれもけが人は出ていない。市教育委員会は、最後にイノシシが目撃された桜枝町周辺の加茂、山王両小学校と西部中学校の保護者向けに「イノシシが現れた」との内容のメールを送った。加茂小では職員と近くの交番署員が登校時間に合わせて学校近くを巡回。山王小も職員が裾花川付近などを巡回した。柳町中近くに住む無職女性(76)は「家には小さい孫もいるので不安。山の方に逃げていってくれればいいと思う」と話していた。
(イノシシ、衝突注意:富山)
県内の道路で、走行中の車とイノシシが衝突する交通事故が相次いでいる。10月だけで少なくとも4件発生した。県警は、衝突で車が大きな被害を受けたり、大事故につながったりする恐れがあるとして注意を呼びかけている。「国道の歩道をイノシシが走っている」。24日午後8時15分頃、富山市金山新の国道8号を通りかかった女性から110番があった。5分後の同8時20分頃、70歳代女性が運転する軽乗用車が道路を横切ろうとしたイノシシと衝突。女性にけがはなかったが、車の左前部が破損した。翌25日、車と衝突したとみられるイノシシは事故現場から約50メートル南東の民家で、動けなくなった状態で見つかった。体長1メートル20ほどのメスの成獣だった。富山北署の盛永章祥副署長は「運転手にけがはなかったが、あの大きさのイノシシとの衝突は危険。交通量の多い国道では大事故になってもおかしくなかった」と語る。同署管内では、10日にも県道を横切ったイノシシ3頭のうち1頭と乗用車が衝突。南砺署管内の南砺市では、7日午後2時台の約20分間に、イノシシと車の衝突事故が2件相次いだ。10月の事故でけが人は出ていないが、8月に氷見市の能越道で起きた事故では、イノシシと衝突した車がのり面に乗り上げて炎上し、運転手の男性がけがを負っている。県自然保護課によると、県内のイノシシ捕獲数は1999年度は18頭だったが、2013年度には1015頭、15年度には2591頭と急激に増加した。狩猟者が徐々に減り、生息地となる耕作放棄地が増えたことなどから、生息数が爆発的に増えているとみられる。県は16年3月末現在、イノシシの県内生息数を4872頭と推定している。同課によると、イノシシは臆病な性格で、日中は人間のいる場所では活動しないが、人の少ない夜間に餌を求めて人里に入ってくることがあるという。10月の事故も、4件のうち2件は夜間の発生だった。県警交通企画課の担当者は「動物が道路に飛び出してきた時、急にハンドルを切ると、対向車や道路脇の電柱などに衝突して重大事故につながる恐れがある」とし、「夜間はライトを上向きにするなどして前方に注意し、早めに動物を見つけて回避してほしい」と呼びかけている。
(狩猟ルール一斉指導:静岡)
静岡県内で1日、イノシシとニホンジカの狩猟が解禁され、県警が関係機関と連携して県内一斉の指導、取り締まりを実施した。静岡市清水区では県警生活保安課と清水署、鳥獣保護管理員、県、市の担当者8人が山林をパトロールした。猟銃を携帯していた清水猟友会員の狩猟許可証や登録証を確認し、発砲時の矢先の確認や移動時に銃から弾を抜くなど事故防止対策の徹底を呼び掛けた。猟場の下見をしていた同会理事の青嶋誠次さん(75)は「山に入る前には必ず注意事項を唱和している。ルールやマナーを守り、今期も無事故で狩猟したい」と話した。この日解禁されたのはイノシシとニホンジカの銃猟とわな猟で、来年3月15日まで。通常の狩猟期間は今月15日から来年2年15日まで。
(国有林の鹿捕獲覚書:長野)
中部森林管理局と県猟友会、県の3者は2日、林野で増加するニホンジカなどの食害を食い止めるため、国有林での捕獲を促進する覚書を、県庁で取り交わした。捕獲が円滑にできるよう連携する。今後、地域ごとに協定を結んで、これまで制限のあった国有林内での猟友会の活動が、幅広く展開できるようにする。3者が鳥獣被害対策に連携し、国有林内での捕獲活動を持続的、効果的に実施する。具体的な取り決めは、地域ごとで森林管理署、被害対策協議会、地区猟友会が協定を結ぶ。すでに木曽地域で締結されており、覚書により同様の取り組みを他地域へ拡大したい考え。3者で情報を共有しながら、▽同管理局は捕獲が効果的、効率的に行えるよう可能な限り配慮する▽猟友会は活動に当たり法令を順守し、管理に協力する▽県は、ニホンジカの行動などの情報を提供し、各地域での捕獲対策促進のための支援をする│としている。同管理局の新島俊哉局長は取材に、「南アルプスや八ケ岳の高山帯でも食害は広がっている。林業から捉えると、柵がない場所は全滅する脅威的な状況。花畑も放置すると全部食べられてしまう」と、深刻な状況を話した。
(「しまシシ捕獲隊」結成:石川)
イノシシが急増している七尾市の能登島で、農作物への被害を防ごうと、住民たちが立ち上がり、「しまシシ捕獲隊」を結成した。十一月一日の狩猟期間解禁を前に、三十一日、島内二カ所でおりの使用方法を確認した。島内では五年ほど前からイノシシが出始め、捕獲数は昨年度八十三頭、今年は八月末現在で六十三頭と、増加傾向にある。島内には二十四基のおりが設置されているが、農作物が荒らされる被害も出ており、住民の生活に影響を及ぼしている。おりを設置する閨町のクリ林では、二年ほど前から実が食べられる被害が出始め、管理する菅野伸悟さん(38)によると、今年は約二十本の木からポリ袋一袋分くらいしか収穫できなかったという。そうした中、被害を食い止めようと、島内の農家や民宿経営者ら十一人が今年、狩猟免許を取得。地域づくり協議会の事業で、市の補助を受けながら、捕獲者の育成やイノシシ肉の活用方法を模索する。今回用意したおりは五基で、設置が決まっている二カ所に一基ずつ置き、残りは今後置き場所を検討するという。わなの位置や捕獲に関する情報を集約してデータ化することで、捕獲力の向上にも努めたいとしている。隊長で、能登島地区コミュニティセンター職員の菊地明暢さん(28)は「いままでは町会が捕獲を担っていたが、負担が大きかった。隊を結成することで、負担を減らしてわなの稼働率を上げ、捕獲から加工、消費までの一連の流れをつくっていきたい」と話した。
(「シカ踏切」でグッドデザイン賞を受賞:三重)
近畿日本鉄道(近鉄)が、2016年5月に近鉄大阪線・東青山駅(三重県津市)付近に導入した鹿の侵入防止システム「シカ踏切」が、グッドデザイン賞を受賞した。1日、都内で授賞式が行われた。シカ踏切は、近鉄が事業主体となり京三製作所、モハラテクニカと共同開発したもの。線路周辺に侵入防止ネットを張り、鹿が線路内に侵入するのを防ぎつつ、獣道に通じる一部区間だけは鹿が通れるようにしておく。通れるようにした場所に、鹿が嫌う超音波を発する装置を設置し、列車の運行時間内は、超音波を発信することで、鹿の通行を抑止する。列車の運転がない時間帯は、超音波の発信を止めることで、鹿は自由に線路を安全に横断できる。2017年3月には、大阪線・室生口大野駅付近(奈良県宇陀市)にも追加で導入している。鹿や猪が線路内に侵入し、電車と接触する事故が各地で多発しており、鉄道会社にとって深刻な問題となっている。JR西日本は、鹿などが嫌うオオカミの尿を使用した薬剤を線路付近に散布することで、動物が線路内に立ち入らないようにする対策を行っている。その一方、JR東海は衝突を前提に、山間部の区間で特急電車の先頭に緩衝装置を取り付けている。列車の損傷を防ぎ、運転再開までの時間を短縮することを目的としているが、抜本的な解決とはなっていない。鹿が線路に近づくのは、鉄分を補給するために線路をなめる習性もあるとされる。近年は、狩猟者の減少や、過疎化による里山の荒廃の影響で野生動物の行動範囲が拡大しており、接触事故はどの鉄道会社も急増傾向にある。東青山駅周辺における鹿との接触事故は、2004年は1件のみであったが、2015年には年間17件まで増加。近鉄全線でも、2008年の事故件数は129件であったものが、2015年には288件まで増加している。2007年以降、東青山駅周辺の線路脇に侵入防止ロープを設置したり、赤色LED灯や通過する車両に鹿避け笛を取り付けるなどの対策を行ってきたが、どれも実効が認められなかった。シカ踏切の導入により、接触事故の件数は年間1、2件と激減している。「人間が安全な踏切を必要なように、鹿にも安全な踏切が必要」であり、「鹿の目線で問題をとらえることができたという、デザインにおける視点の重要性を示唆する好例」と、グッドデザイン賞の審査委員も評価しており、今後、年間10件以上の接触事故が起きている地点へ、順次展開を検討するとしている。
(高校生、鹿肉活用で最優秀賞:長野)
第68回日本学校農業クラブ全国大会に北信越代表として出場し、鹿肉活用のプロジェクト発表で最優秀賞の文部科学大臣賞を受けた上伊那農業高校畜産班が10月31日、南箕輪村の同校で受賞の喜びを語った。プロジェクトを始動させた先輩や、支援してくれた伊那市新山地区の住民らの存在を挙げ、「多くの力添えがあってこその活動が大舞台で認められてうれしい」とメンバー。鹿肉の有効活用と特産品化による、さらなる地域貢献へ決意を新たにした。農業系の高校で学ぶ生徒が研究発表や技術競技を行う大会で、今年度は10月24、25日に岡山県で開かれた。畜産班は、動植物や地域資源の活用などに関するプロジェクト発表III類に出場。プロジェクト発表部門での最優秀賞は同校関係では初めてで、県勢としても富士見高校に次ぐ2校目の快挙となった。駆除個体の約8割が埋設処理されていることを知った生徒たち。新山地区の住民と交流する中で地域資源として活用できないかと考え、鹿肉ジャーキーを考案。必要な許可を取得して解体から精肉、加工まで手掛け、親愛なる鹿を意味する「でぃあでぃあ」という商品名で販売している。班員は18人。大会には班長の金井智靖さん=生物科学科3年=ら9人が参加し、これまでの5年間の活動を「Dear Deer~鹿が結んだ地域の輪」と題して発表。自分たちで栽培したニンニクや山椒を味付けに用いていることや、地域特産品として新山の農家民宿やパン屋に商品が置かれるようになり、地域貢献への一歩を踏み出せたことなどを10分間の発表時間内に伝えた。「助成をしてくれた行政や団体、民間の方々にも感謝したい」と金井さん。後輩に対しては「今回の受賞を大きな自信にして、地域やさまざまな場所で活動の幅を広げていってほしい」とエールを送っていた。
(ジビエ広がれ、解体施設オープン:神奈川)
湯河原を一望する熱海市泉で10月下旬、野生動物解体処理施設「山の恵」がオープンした。イノシシの捕獲数が増える一方で、ハンターは高齢化。こうした状況に危機感を募らせた若手狩猟者たちが、後進育成のために資金を出し合って整備した。「山の恵」のメンバーは主婦を含む6人で、千歳川から熱海側で活動している。農業被害を防ぐため市内で捕獲されるイノシシは昨年が300頭で年々増える一方だ。「わな猟」は獲物にとどめを刺す作業に危険がともない、解体も手間と体力が要るため土に埋められるケースもある。こうした負担を和らげ「ジビエ」の活用を促す事が目標だ。資金は仲間同士で出し合い、冷蔵庫以外の備品は中古品を寄贈してもらうなどして低予算で抑えた。保健所の許可もとってある。「オープンから10頭ほどを処理しました。使いやすいですよ」という錦織悦子代表(47)=写真右=は自宅で飼っていた烏骨鶏が野生動物に荒らされたり、しし鍋を味わった事がきっかけでこの道に入った。主婦の狩猟仲間は複数いるが、ここには重い獲物を吊り上げるウインチもある。獲物はまず洗浄して内臓や皮を取り、冷蔵庫で熟成させ、部位ごとに切り分ける「精肉」までを行う。会は儲けが目的ではないが、運営資金をまかなうために肉の販売も検討中だ。すでに外部委託でジャーキーに加工、「ししまん」なども作っており「いつかは地元の野生動物の肉を地元の温泉街で味わってもらえたら」という願いもある。今後、山の恵では1年で約50頭を処理する予定だ。ハンターの高齢化は湯河原も同様で、地元猟友会には80歳代のメンバーもいる。60年代には100人を超える猟師がいたとされるが、現在の猟友会員は19人で若手の数はわずか。イノシシの数は熱海同様に増えつつあり「現役が引退した後にこの町がどうなるか」と懸念する会員もいる。イノシシの生息域は着々と住宅街に近づいており、わな猟でとどめを刺すための銃が使えない事もあるという。神奈川県は処理負担軽減のため、今年度トラック型の移動解体処理車「ジビエカー」を県西地区に導入する予定だ。処理施設のない山などに出向き、獲物が新鮮なうちに処理できるメリットがある。1500万円の車両購入補助をつけて民間による運用を目指しており、今は課題の洗い出しを進めている。
(イノシシ肉の味PR:福岡)
イノシシ肉を食用として広めていこうという「ジビエ肉活用展」が11月5日、直方市の古町商店街内もち吉ビルコミュニティスペースで開かれる。同市の大和青藍高調理科の生徒が作ったしし鍋とイノシシ肉のメンチカツ各200食を無料で振る舞う。直方青年会議所が、農作物被害が深刻化しているイノシシを肉として活用しようと開く。
(ジビエを店の名物に:富山)
砺波市徳万の飲食店「お食事処うえの」は六日から、猪(しし)肉を使ったうどん、丼、焼き肉、なべ料理を提供する。一日、地元の関係者らを招き、試食会があった。店の若主人、上野忠幸さん(52)は「猪肉を手始めにジビエ(狩猟の野生鳥獣やその肉)を手掛け、名物に育てたい」と話している。
同店は上野さんの祖父が創業。丼物や定食、うどんの店として営業してきた。父親の平介さん(78)が手掛ける客が持ち込むクマ肉や猪肉の料理がおいしいと評判だったが、十年以上途絶えていたという。今年六月、店のレベルアップを砺波商工会議所に相談したところ、外部指導員で料理教室などの総合カレッジSEO(本校・砺波市)の学校長・瀬尾和子さんが中山間地の立地条件などを踏まえ、ジビエ料理を提案。県西部では珍しいこともあり、試作を重ね店のメニューに加えることにした。猪肉は県産を使っている。十月に店で試験的に出した丼、うどんは「においもなく、おいしい」と好評。この日の焼き肉やなべの試食では「精がつきそう」「豚肉に似た食感。香ばしい」などの感想が聞かれた。うどんは七百八十円程度、丼は千円未満、焼き肉、なべは一人前(定食も)各千二百円前後を予定している。上野さんは「寒い冬に猪肉は美味。軌道に乗れば、鹿肉なども試したい」と話している。
(クラウドファンディングで柵購入費調達へ:大阪)
農林水産省の「日本の棚田百選」にも選ばれた「下赤阪の棚田」(大阪府千早赤阪村)をイノシシによる食害被害から守ろうと、地元農家らでつくる「下赤阪棚田の会」と府や村は、クラウドファンディングを活用した被害防止用柵の購入費調達に乗り出した。期間は12月22日まで。目標額は50万円以上で、関係者は協力を呼びかけている。傾斜地に田んぼが階段状に並ぶ「下赤阪の棚田」は景観の美しさで知られるが、農家の高齢化に伴い放棄された田もあらわれるなど、現状を維持できるか懸念されている。そのうえ、イノシシによる食害も指摘され、今回の計画に協力している「府南河内農と緑の総合事務所」(富田林市)によると、「今年は特に被害がひどい」という。イノシシが田に踏み入って収穫前の稲を倒したり、糞(ふん)をしたりといった被害が目立ち、農家の耕作意欲にも大きなダメージを与えている。同会と府、村は共同で「農の活性化プロジェクト」を展開しており、来春からは都市部に住む人たちが田植えや稲刈りを体験できる棚田オーナー制度をスタート。そうした経緯もあり、棚田を守るためにインターネットで小口の出資者を募るクラウドファンディングを活用し、新しい防護柵を購入することにした。現在もイノシシなどの動物の侵入を防ぐために柵は設置されているが、高さは30~50センチ程度。飛び越えるイノシシもいるほか、わずかな隙間から田に入り込むこともある。計画では、柵の高さを約70センチに上げたうえで棚田の周囲(総延長約1キロ)を囲むように設置し、イノシシの侵入を防ぐ。出資者には、ごま豆腐や棚田で収穫された米などの返礼品を贈呈。金額に応じて、棚田での田植えイベントの際に着用する「早乙女」の衣装も贈られる。「下赤阪棚田の会」の千福(せんぶく)清英会長(67)は「この美しい棚田を残し、多くの方に素晴らしい日本の原風景を見ていただきたい」と話している。

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