<射撃ニュース11月>

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(山スキー男性が熊に襲われる:長野)
26日午前10時55分ごろ、北アルプス白馬乗鞍岳天狗原(標高約2200メートル)付近で、山スキーをしていた岐阜市の会社員鶴巻晃さん(35)が熊1頭に襲われたと、同行の男性から119番通報があった。県警山岳遭難救助隊員らが近くの栂池高原スキー場(北安曇郡小谷村)から現場に向かい、鶴巻さんを救助。鶴巻さんは頭などに大けがを負っており、長野市内の病院に搬送された。天狗原は交通アクセスの良さから山スキー愛好家に人気の場所。この日も十数人が一帯で山スキーを楽しんでいたが、他に被害はなかった。大町署によると、鶴巻さんは同日朝、山スキー仲間の男性と一緒に日帰りの予定で同スキー場から入山。山中で成獣とみられる熊と遭遇し、頭や腕、脚をかまれたという。現場で救助に当たった北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会員らによると、現場は栂池ロープウェイ(冬季運休中)の山頂駅近くの樹林帯。鶴巻さんが、同行男性に続いて雪の斜面を登っていた際、突然、林の中から出てきた熊に襲われた。同行男性がスキーのストックで追い払うと、熊は山中に逃げていったという。同署はヘリコプターでの救助を試みたが、現場付近は雲で覆われていたため断念。山岳遭難救助隊員ら計6人が同スキー場から徒歩で向かい、鶴巻さんを雪山用のストレッチャーに乗せて運んだ。午後5時すぎに同スキー場まで下山し、救急隊が鶴巻さんを病院に搬送した。鶴巻さんは、頭の傷が深いものの、自力で歩いたり会話したりすることができた。大北猟友会南小谷支部副支部長の岡沢照男さん(63)は、12月中旬までは一帯で熊への注意が必要とし、「ラジオなど音が出る物を持ち歩いた方が良い」としている。
(イノシシ、ジョギング男性を襲う:岐阜)
27日午前6時50分ごろ、岐阜市東改田の市道で、ジョギングをしていた岐阜市の非常勤講師の男性(62)がイノシシに襲われ、右すねをかまれるなど負傷した。岐阜北署によると、イノシシは体長1メートルくらい。男性を襲った後、そのまま逃走した。男性は入院した。同署は小学校の下校時間に合わせて付近のパトロールを実施。岐阜市も付近の住民に警戒を呼びかけるとともに地元の猟友会にイノシシの捕獲強化を要請した。現場はJR岐阜駅から北西約5キロの住宅街。
(平安神宮にイノシシ、男性大けが:京都)
27日正午ごろ、観光客でにぎわう京都の平安神宮にイノシシが現れました。京都市内中心部は、文字通り「猪突猛進」するイノシシに一時騒然となりました。イノシシは近くの工事現場で作業をしていた男性に体当りして左腕の骨を折る重傷を負わせました。その後、市街地を逃げ回り、約30分後に約3キロメートル離れた二条城の堀に飛び込んで動けなくなり、死にました。警察などによると、イノシシは全長約1メートルだったそうです。京都市では、今年5~10月にもホテルや京都大学の寮などにイノシシが出没しています。
(人工島“謎”の上陸イノシシ、30分逃走劇の末に御用:兵庫)
神戸市東灘区の人工島・六甲アイランドで今月に入り相次いで目撃されたイノシシが27日までに、市や猟友会によって捕獲された。約30分の逃走劇の末、捕らえられたという。市や東灘署によると、25日午後8時ごろ、同区向洋町東3の「阪九フェリー神戸のりば」敷地近くで、通行人がイノシシを発見し、110番。同署から連絡を受けた市職員や猟友会メンバーら5人が駆けつけた。イノシシは隣の「オレンジフェリーのりば」駐車場に移動。駐車場内で30分ほど追いかけた後の午後10時半ごろ、疲れ切ったイノシシを捕獲したという。イノシシは体長約80センチ、体重18キロほどの雌。今月に入り目撃された個体とみられる。子どもを産んだ様子はなく、市担当者は「島内には恐らくイノシシはもういないと思うが、念のため、今後も警戒する」。海を泳いだのか、橋を渡ったのか、などどうやって島内にやって来たのかについては「分からない」としている。
(突進するイノシシをハンマーで撃退:岐阜)
27日午前9時半ごろ、岐阜県可児市矢戸で、農業の仙田和久さん(61)が畑にイノシシが入らないよう柵を設置していたところ、突然イノシシが現れ、突進してきました。仙田さんはちょうど、手にくい打ちのためのハンマーを持っていて、向かってくるイノシシにとっさに振り下ろしたところ、額に当たり、イノシシは死んだということです。イノシシは、体長がおよそ1メートル80センチと大きく、7歳から8歳くらいだということです。仙田さんは「突然、山のほうからイノシシが突進してきた。逃げようにも体が動かず、持っていたハンマーを振り下ろした。反動で後ろに倒れ、少し腰が痛いが大丈夫」と話していました。
(ごみ袋から散弾銃の弾:岐阜)
岐阜市は29日、東部クリーンセンター(同市芥見)内の粗大ごみ処理施設で、ごみ袋から使用前の散弾銃の弾9発が見つかった、と発表した。岐阜中署が所有者の特定を進めている。市によると、同日午後3時40分ごろ、男性作業員が粗大ごみを選別中、市指定の45リットル入りごみ袋の中から不審な箱を二つ発見。散弾銃の弾が入っていたという。市職員とともに確認したところ、1箱に5発、もう1箱には4発が入っていた。市は近くの交番に通報、同署が施設内を調べた。
(「イノシシ管理よろしく」知事に要望書:栃木)
新聞配達中に野生獣と衝突して死傷する事故が相次いだとして、栃木県新聞販売連合会(佐藤勉会長)は29日、福田富一知事に対してイノシシなどの野生獣の適正管理を求める要望書を提出した。同連合会などによると、先月9日早朝、鹿沼市内で、原付きバイクで新聞配達をしていた男性(当時69歳)が転倒し、死亡した。男性は動物に衝突した可能性があるという。同26日にも鹿沼市内で新聞配達中の60代男性がシカに衝突したとみられ、重体となった。日光市や佐野市などでも野生動物との衝突事故が目立つという。要望書では、県に対して野生獣の捕獲頭数を増やし、管理を強化するよう求めている。県自然環境課は、人身事故防止対策を盛り込んだニホンジカやイノシシの管理計画について、今年度中の策定を目指すとしている。
(9年ぶりクマ猟解禁、目撃・被害が過去最多:秋田)
秋田県が、ツキノワグマの狩猟を2008年以来9年ぶりに解禁した。県内での目撃と人的被害の件数が今年、過去最多となったためだ。猟期は11月15日~来年2月15日。捕獲に加え、人里近くにすみ着いて人を怖がらなくなったクマがハンターに追われ、猟銃を向けられることで、人の怖さを学ばせて被害を減らす狙いもあるという。県警によると、今年1月~11月14日の目撃は1279件。人的被害は、5月に仙北市でタケノコ採りの女性が襲われ死亡した事故をはじめ20人に上った。いずれも、4人が死亡してクマ被害が注目された昨年を既に上回っている。県自然保護課によると、餌になる木の実に豊作と不作の波があるため、クマの出没が多かった年の翌年は減少する傾向があった。ところが、昨年から2年連続の増加。「異常事態で、もう定説は通用しない」(同課)と頭を抱える。県は09年以降、頭数が減りすぎないよう狩猟の自粛を要請。しかし今年は捕獲上限を58頭と定めて解禁に踏み切った。
(クマ目撃、最多110:北海道)
十勝管内でのクマ目撃数(ふんや足跡を含む)が、今年は過去10年間で最多の110件(11月27日現在)に達した。道警釧路方面本部によると、最近5年間は50~70件台で推移しており、今年の増加ぶりが顕著だ。全道的にクマのエサになるドングリが不作で、食べ物を求め人里に現れているとみられる。各警察署ごとの目撃件数では広尾署が36件と最も多く、続いて前年より30件も増えた新得署が35件。帯広署25件、本別署10件、池田署4件となっている。人里での足跡やふんの目撃も多い。7月20日には広尾町豊似小のグラウンドで児童が昼休みにクマの足跡を発見。10月下旬には十勝川温泉の民家の敷地内やホテル大平原の近くでふんが見つかった。音更町農政課の担当者は「ここ2年は温泉街で見つかることはなかった」と話す。毎週、山で猟をする同町の田守一好道猟友会副会長(75)は「今年は確実に足跡やふんを目にすることが多い」と自らの感想を漏らした。道環境生活部が行った今秋の山の実なり調査では、ヒグマが主に食べるミズナラの実(ドングリ)は全道的に「不作~凶作」。管内の全6観測点でも「不作~凶作」という結果だった。「豊作」「並作」に続き3段階で1番悪く「ここまで広範囲にわたる不作は2011年以来」という。生ごみや農作物を外に放っておくとクマを誘う要因になる。同部は「生ものは早めに廃棄してほしい。山に入る際は、断続的に音を発するラジオなどを身につけてクマから身を守って」と呼びかけている。
(ゼイゼイ泳ぐイノシシ:愛媛)
28日午前8時20分頃、愛媛県今治市の今治港沖約300メートルで、イノシシ1頭が泳いでいるのを、今治海上保安部の巡視艇「いまかぜ」の乗組員が発見した。同保安部によると、イノシシは体長約1メートル。同7時30分頃、「イノシシが泳いでいる」と118番があり、港周辺を捜索して見つけた。いまかぜの松浦博行船長(43)は「今治海保に7年いるが、泳ぐイノシシを見たのは初めて。人が歩く程度の速度で、ゼイゼイと息をしながら泳いでいた」と話した。発見から約1時間は監視していたが、イノシシは北東の四阪島方向へ泳いでいったという。
(ドローン獣害対策に、県猟友会が研修:広島)
鳥獣害対策に小型無人機ドローンを活用しようと、県猟友会は25日、尾道市因島大浜町の因島アメニティ公園で研修会を開いた。会員15人が参加し、ドローンの操作方法を学んだ。イノシシや鹿の生息調査や追い払いにドローンを導入するための研修。同様の取り組みは全国各地で進んでいる。
(鹿マップ開発通報呼び掛け:愛知)
愛知県森林・林業技術センターなどが、鹿の目撃情報を収集、蓄積することで、農林業被害対策に役立てるシステム「シカ情報マップ」を開発し、運用を始めた。鹿の出没や食害を目撃した人に情報提供を呼び掛ける取り組み。スマートフォン(スマホ)などで「シカ情報マップ」のウェブサイトにアクセスし、地図上に目撃した場所をマークしてもらう。鹿の分布や被害の広がりを全国的に把握することで、農林業被害や車との衝突事故などの対策に生かす。目撃情報を森林・林業関係者にとどまらず、地域住民や旅行者などから広く収集する。これらの取り組みは、同センターによると全国初だという。提供されたデータはリアルタイムで地図上に更新され、蓄積した情報を確認できる。情報を集計し、各地の行政機関の統計資料に役立てることも可能だ。同県内の鹿による農林業被害はシイタケ、果樹、野菜など約2920万円(2016年度)。同センターは「農業者にも利用してほしい」と呼び掛けている。「シカ情報マップ」は、同センターのホームページや2次元コード(QRコード)を読み込むことでアクセスできる。
(シカのセシウム、全頭基準値未満:長野)
諏訪郡富士見町で今月13日に捕獲された雌のニホンジカ1頭の肉から、国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウム137が検出された問題で、県林務部は27日、諏訪地方で保管されていたニホンジカ316頭の肉全てを調べた結果、セシウムは全て国の基準値未満だったと発表した。314頭は簡易測定で測定下限値(同25ベクレル)未満。富士見町で捕獲された残りの2頭(ともに雄)は測定下限値を超えたため、精密検査をした結果、それぞれ1キログラム当たり29ベクレル、46ベクレルを検出した。316頭の捕獲場所は、78頭が諏訪市、112頭が茅野市、12頭が諏訪郡下諏訪町、114頭が富士見町。県は富士見町で捕獲されたニホンジカの取り扱いや摂取の自粛要請を継続しているが、「富士見町以外の諏訪地方で捕獲されたニホンジカは食べても構わない」(林務部)としている。精密検査をした2頭は、国の基準値を超えた雌と同じ八ケ岳連峰南端の編笠山(2524メートル)南側の麓で、9月19日と10月24日に捕獲された=地図。県林務部は捕獲場所とセシウムが検出されたことの関連は不明としている。同部は、諏訪地方にある七つの食肉処理加工施設にニホンジカの肉の在庫を全て提供するよう要請。このうち在庫があった5施設から提供を受け、今月21から27日に検査した。同部は富士見町で捕獲された雌から国の基準値を超えるセシウムが検出されたことを受け、先行して今月18、19日に緊急で簡易検査を実施。諏訪地方の4施設が保管していた24頭の肉を調べ、いずれも測定下限値未満だった。
(これで被害「サル」?:和歌山)
和歌山県日高地方で最も多い猿による農作物被害の対策にと、軽トラックの荷台と一体型で組み立てたまま移動できるオリを、県日高振興局の職員らが考案した。機動性が高く、遠隔操作で扉を閉める手間も要らないのが特長。12月初めにも日高川町内に設置し、効果が確認されれば管内全域で導入を進めたいという。県によると、県内全体の鳥獣被害は昨年度、約3億2800万円に上る。原因はイノシシが最多52%で、次いで鹿16%、猿14%だった。これに対し、日高地方(被害額約4800万円)では猿が38%を占め、3年連続で原因の1位になっている。これまで、県は据え付け型の捕獲用オリ(幅・奥行き各4~7メートル程度)を各自治体に貸し出してきた。インターネットを活用し、猿がオリに侵入するとメールで通知が届き、遠隔操作で扉を閉める仕組み。しかし、別の場所に設置するには、いったん解体して移動させて再び据え付けるという作業に丸1日かかり、機動性を欠くのが難点だった。考案したオリ(幅1・4メートル、奥行き1・9メートル、重さ約165キロ)は、軽トラックの荷台に載せたまま使え、地面に設置することもできる。天井の中央に侵入口(幅0・8メートル、奥行き1・2メートル)を備え、底から侵入口までの高さは2・5メートルもあることから、いくら猿が跳び上がっても、逃げることはできないという。同振興局農業水産振興課の担当者は「群れの近くに迅速に設置でき、効果が期待できる。車ごと置いて近寄るのかなどを試し、従来の大型オリと併用して少しでも農作物の被害を減らせたら」と話している。
(登山者がクマを目撃:新潟)
27日、弥彦村の弥彦山登山道でクマを目撃したとの情報があった。独立峰である弥彦山山系では、これまで一度もクマが確認されたことはない。弥彦神社わきから入る登山道を登っていた新潟市西蒲区に住む登山者が、午後2時少し前に五合目付近で登山者を目撃したと弥彦村に連絡した。クマとの距離は5メートルほどしかなく、目と鼻の先で目撃。体は黒く体長は約120センチ。横顔も見たのでクマに間違いないと話していたと言う。弥彦村と西蒲署では、翌28日朝から登山道を登って目撃現場へ行き、クマの痕跡を調査する。痕跡が確認されたらクマの出没に注意を呼びかける立て看板の設置などを検討する。弥彦村では、近隣の新潟市、燕市、長岡市へ弥彦山でのクマ目撃情報を提供した。弥彦村と燕市では、10月30日にイノシシが目撃された。それ以降は目撃情報がないが、たびたび弥彦山へ入っている人によるとイノシシは1、2年前から弥彦山でイノシシが目撃されていると言う。平野部に独立してそびえる弥彦山山系ではクマが入ってくるルートが考えにくく、クマの存在はにわかには信じ難い。関係者はイノシシをクマと見間違えたことを願っている。また同じ27日、長岡市寺泊の海岸で死んでいるイノシシが見つかった。ただ、これは先に死んだイノシシを砂浜に埋めて処分していたものが、砂が表れて再び姿を現したとのことだが、弥彦山周辺でにわかに大型動物の出没情報が増え、物騒な雲行きになっている。
(クマ空腹注意、東北ブナの実凶作)
東北森林管理局(秋田市)は27日、本年度のブナの結実調査結果を発表した。関東森林管理局管内の福島を除く東北5県で凶作、大凶作となった。ブナの実はツキノワグマなど野生動物の餌の一つで、凶作、大凶作により、クマなどの人里への出没が懸念される。10月に143地点を調査。ブナが樹木全体で実っていたのは青森、秋田両県の各1カ所のみで、木の上部に多く実っていた「部分結実」も山形を除く4県の18カ所にとどまった。実がごくわずかだった「一部」は5県の57カ所、全くない「非結実」は5県の66カ所。一部と非結実を合わせると全体の86%に上る。全体結実を5、部分を3、一部を1、非結実を0とした各県の豊凶指数は山形が0.4、宮城と秋田が0.7で、1を下回る大凶作だった。青森と岩手は1.2で凶作だった。昨年度は5県とも大凶作で、豊凶指数に改善の兆しはあるものの、2年連続の凶作となった。
(ミズナラも凶作、クマの出没続く可能性を警戒:秋田)
秋田県で本年度、ブナに加えてミズナラも凶作だったことが27日、県への取材で分かった。ツキノワグマの餌となるブナ類の実(ドングリ)が軒並み不作となったことで、県はクマの出没が続く可能性を警戒する。県林業研究研修センター(秋田市)は8~10月、県内5地点で落下したミズナラの実の数を調査。八峰町八森で0個、仙北市田沢湖で0.2個、最も多かった東成瀬村でも4.8個と、並作となる1平方メートル当たり5個を全て下回った。由利本荘市の鳥海山は、ナラ枯れの影響で調査対象となる木がなかった。センターの担当者は「2002年の調査開始以降、最も悪い」と話す。県警地域課によると、11月のクマの目撃件数は26日までで28件。昨年11月の8件を大きく上回っている。県自然保護課の担当者は「ドングリの不作で、ツキノワグマが遅くまで人里に出没する懸念がある」として、12月20日まで出没警報を発令し、警戒を呼び掛ける。
(クマ被害多発、ご注意を)
東日本の各地でこのところ、冬眠を前にしたクマに襲われる被害が相次いでいる。青森では住宅街を徘徊(はいかい)し、複数の負傷者が出た。長野では山スキー中の被害も。昨年から全国的に被害は多めで、注意が必要だ。青森県八戸市の港にある倉庫内で15日午前、体長約1・6メートルのツキノワグマ1頭が射殺された。周辺の海上自衛隊八戸航空基地や住宅街では、5日前からクマが出没し、住民ら3人が負傷した。近隣の小学校は児童の送迎を保護者に依頼し、警察や猟友会がパトロールしたり、わなをしかけたりする騒ぎになった。射殺されたのは住民を襲ったクマと同一とみられ、周辺で安堵(あんど)の表情が戻った。県内のクマの出没件数は2015年までは年間200件ほどだったが、16年は502件に膨らんだ。今年もすでに400件を超えている。16年の県内での人的被害はなかったが、今年は8件も発生している。青森県自然保護課は、好物のドングリ類が不作で、山に食べ物が少なくなったことが原因とみている。昨年はブナの実が不作となったが、今年はコナラやミズナラの実も不作。食料を求めて山を下りてくる要因になっているようだ。森林総合研究所によると、東北各県で不作は同様の傾向という。「秋は冬ごもりに備えて、えさが必要な時期。なければ活動範囲が広くなり、危険性が増す」と注意を呼びかける。環境省によると、今年4~9月の半年間の負傷者は全国で82人。捕獲数は2818頭にのぼった。15年度の1年間で56人、1950頭だったのと比べて大幅に多く、16年度の105人、3787頭と変わらない水準で今年度も多いという。26日には、北アルプス白馬・乗鞍岳の標高2千メートル前後にある天狗(てんぐ)原付近(長野県小谷〈おたり〉村)で、日帰りの山スキー客がクマに遭遇し、頭をかまれて負傷した。新潟や山梨でも今月中旬、人が襲われる被害があった。山梨県峡北猟友会副会長の水上文広さん(68)は、森林の伐採が進んで生息地が減ったことが一因とみる。「山奥にえさとなる栗やドングリ、シイ、ナラなどの実のなる木が減り、すぐ畑や民家に下りてくる」日本ツキノワグマ研究所(広島県)の米田一彦理事長は「地域の過疎化も原因のひとつ。里山に人が住まなくなり、クマが人里近くまで下りてきている」と話す。
(さまようクマ1:秋田)
いるはずのない獣が、街の真ん中に現れた。7月7日午後2時すぎ、大館市。市役所まで100メートルほどの自宅で、下遠(しもとう)重吉さん(82)は庭を動き回る黒い影を感じた。何だろうと視線を向け、すぐに正体に気付いた。「クマだっ」。家族に叫んで表に出ると、クマは庭木の間を通り抜けて道路に出た。「あらあらあら、といううちに行ってしまった」下遠さんの13代前の祖先は、江戸初期に常陸国から移った大館城代の家臣。一族が400年にわたり暮らしてきたこの地の一帯には、市役所をはじめ裁判所や郵便局、市内最大のホテルが立ち並ぶ。「クマがこんな所まで来たなんて、言い伝えにもない」
(さまようクマ2:秋田)
3連休中日の9月17日夜。列島を北上する台風18号に備え、自宅で待機していた男鹿市農林水産課の武田誠課長(58)の電話に、予想もしない報告が入った。「クマが出たそうです」他地域の山間部とつながっていないため、男鹿にクマはいないというのが定説だった。野生鳥獣による農業被害は「せいぜいスズメやカモ、タヌキぐらい」(武田課長)だった。目撃情報すら1件も扱ったことのないクマに、どう対処したらいいのか。武田課長らは県や他市町村にアドバイスを求め、地元猟友会にも協力を要請。有害駆除に使うおりは五城目町から借りた。「初めての経験だったので職員はみんな緊張状態。私も正直、現場に行くのが怖かった」
(さまようクマ3:秋田)
人里へ姿を現すクマは、新たな性質を見せ始めている。「こんなに近くまでクマが来るなんて。恐ろしかった」。五城目町の会社員伊藤誠さん(58)は、この夏の騒動を振り返って言う。8月9日午後6時半ごろ、伊藤さん方の玄関前にあるクリの木に登っているクマを近くの住民が見つけ、警察に通報した。地元の猟友会員も駆け付けたが、間もなく日が暮れたため発砲はできず、警察官が木をライトで照らし、一晩中監視することになった。
(イノシシ頓死騒動、なぜ市街地に:京都)
上方落語の「池田の猪(しし)買い」は、「冷え」に悩む男が「猪肉がええ」と言われて、池田にやってくる。猟師が鉄砲で撃つと、当たらなかったが、音に驚いたイノシシが気絶する。「これ、新しいか」「目の前で撃ったやないか」。鉄砲の台尻でつつくと、目を覚まして逃げ出し、「どうじゃ、あの通り新しい」。北摂の山間部なら珍しくはないだろうが、観光客でにぎわう京都の市中をイノシシが走り回ったのにはびっくりした。一昨日の正午すぎ、平安神宮で男性に体当たりして左腕骨折の重傷を負わせ、40分にわたる逃走劇の末、約4キロ離れた二条城の堀に飛び込んで昇天した。京都では今年、ホテルや京都大の学生寮にもイノシシが出没している。臆病で警戒心が強いとされるのに、なぜ市街地に現れるのだろう。イノシシだけではない。野生のシカやサルも増加して、農作物などの被害が深刻だ。すみかである自然に何か異変が起きているのか、聞いてみたい。
(シカ、恐るべし:青森)
<奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき>。高校時代、百人一首の歌をすべて暗記するよう先生から言われた。最後まで覚えきれなかったのが悔やまれるが、この歌は今もそらんじることができる。かつては意味を深く理解できなかったが、三村三千代さん(八戸学院短期大学客員教授)が東奥小中学生新聞に連載している「ミムラン先生の百人一首」を読んで、歌に込められた恋のせつなさや鹿の習性まで知ることができた。秋の鹿は、和歌によくよまれる題材なのだそうだ。奥山といっても、世界自然遺産・白神山地でニホンジカに出くわしたら、穏やかな気持ちではいられない。ニホンジカは本県で絶滅したとされてきたが近年、県南地方や白神山地周辺を中心に目撃情報が相次いでいる。三戸町ではリンゴの幼木がかじられる食害が発生した。危機感を抱いた県はニホンジカの具体的な捕獲策を盛り込んだ計画を今月中に決定し、12月から本格的な捕獲に乗り出す。県内にどれだけ生息しているかはっきりしないが、繁殖力について北里大学の岡田あゆみ准教授は「5、6年で倍」と見る。とにかく早急に手を打つべきだ。シカに悩まされているのは東北地方だけではない。奈良県では、国の天然記念物「奈良のシカ」でさえ捕獲対象となった。農林業被害が深刻化しているからだ。シカ、恐るべしだ。
(クマ、人的被害8件:青森)
青森県によると、県内での今年のクマの目撃は、370件(今月20日現在)で前年同期より76件少ない。また、食害も39件で前年同期より13件減となっている。人的被害は前年は0件だったが、今年は8件が報告されており、県は「クマ出没注意報」を出して、注意を呼びかけている。
(違法の模造拳銃所持か、ガンマニア書類送検:秋田)
秋田東署と県警生活環境課は27日、本物の拳銃に似た金属製の模造拳銃を所持していたとして、銃刀法違反の疑いで、秋田市の60代自営業男と横浜市の50代地方公務員の男を秋田区検に書類送致した。秋田市の男の送検容疑は9月19日、同法で所持が禁止されている模造拳銃14丁を自宅で所持した疑い。横浜市の男は同13日、模造拳銃31丁を自宅で所持していた疑いが持たれている。2人とも「銃を集めるのをやめられなかった」などと容疑を認めているという。
(改造拳銃所持で70歳男を逮捕:高知)
高知、福岡両県警は28日までに、殺傷能力がある改造モデルガンと実弾を所持したとして、銃刀法違反(加重所持)などの疑いで、高知市の自営業、北岡政道容疑者(70)を逮捕した。銃は「ダブルデリンジャー」と呼ばれ、「形に愛着があり、男心をくすぐられた」と容疑を認めている。逮捕容疑は9月9日、経営する高知市内の会社の事務所で、改造拳銃1丁と実弾63発を所持したとしている。高知地検は28日に同罪などで起訴した。県警によると、別事件で事務所を家宅捜索した福岡県警が改造拳銃を発見し、高知県警に情報提供。約40年前から所持していたとみられるという。
(動物園のシカ、4カ月の逃亡生活:岡山)
岡山市北区の池田動物園のニホンジカが6月に逃げ出し、10月に捕まった。騒動を起こした「犯鹿」は今、再び園で、何事もなかったかのように暮らしている。4カ月間にわたる逃走の間、何があったのか。鹿と動物園職員の逃走と追跡の軌跡を関係者への取材で再現した。6月13日の朝。飼育係長で、ニホンジカの飼育を担当する鵜島(うのしま)基博さん(48)が餌やりに飼育舎に入った。十数頭いる鹿に干し草をやり終えた鵜島さんが、出ようと体の向きを変えた時、手に持っていた空の餌箱が一番人なれしている雄鹿の尻にぶつかった。「すぐに終わる」という気軽な気持ちから、この作業の時はいつも扉を開けっ放しにしていた。その扉から、鹿は外へ飛び出した。裏山につながる鹿舎横の斜面を駆け上り、有刺鉄線を飛び越えて山中へ姿を消した。園の周りに野生の鹿はいない。園の周りにいるとすれば、うちの鹿だ。「捜そう」。長い鹿捜しの日々が始まった。脱走から数日間、職員や警察官など最大20人ほどで裏山を捜したが、足跡すら見つからない。鹿が、裏山に10匹以上いると言われる野犬の餌食にならないか。職員たちは心配した。6月下旬以降、鵜島さんらは、業務の合間を縫って鹿を追った。時に野犬に追われながら、麻酔銃を手に裏山や周辺を捜した。翌7月になると「鹿が畑の作物を食べている」といった目撃情報が、園の近隣住民から相次いだ。鵜島さんも捜索中に何度か見た。だが、すぐ逃げられたり、木立が邪魔をして銃を撃てなかったり。撃てた時でも、射程の約5メートルより遠く、麻酔薬入りの注射筒が刺さらなかった。8月21日。民家に現れた鹿を3人の職員で囲み、鵜島さんが注射筒を首のあたりに命中させた。近距離で撃てた数少ないチャンスだった。だが、麻酔の効き目は5~10分経たないと表れず、小一時間で切れる。山中へ逃げて眠ったはずの鹿を見つけられなかった。
(カラス糞害対策にタカ:青森)
秋から冬にかけて青森県弘前市中心部に集まり、糞(ふん)害などが出ているカラスに対処するため、弘前市は今年度から天敵のタカを使った追い払いを試験的に始めた。24日も鷹匠がタカ1羽を腕に留めた状態で市内を歩き、カラスの反応などを調べた。市によると、市内には4000から5000羽のカラスが生息していると推測されている。これまで市民に防鳥ネットを配布したり、光や音による追い払いをしたりして、対策を講じてきた。今年度は新たにタカによる追い払いを試験的に実施。今月9日から23日までに同市の南塘町周辺などで計6回行った結果、カラスはほとんど寄りつかなくなったという。24日は弘前大文京キャンパス周辺で行われ、鰺ケ沢町の鷹匠、奈良篤さん(45)がタカ1羽を腕に留めて歩くと、電線に止まっていたカラスの群れが一斉に飛び立ち、別の場所に移動した。市環境管理課の田中孝二主査は「一定の効果が見られる。カラスを分散させて、糞害の防止などにつなげたい」と話していた。タカによる追い払いは今年度はあと5回行われる。
(カラスふん害、観光地守れ:石川)
観光地でのカラスの“ふん害”を防ごうと、金沢市は、同市大手町のお堀通り周辺の建物や樹木にテグスを張る実験を始めた。昨年度までに兼六園周辺で実施した同様の実験では、効果はてきめん。果たして今回は-。今回実験を実施したのは、お堀通り沿いの金沢健康プラザ大手町など建物五棟と、マツとサクラ計五本。健康プラザの屋上では、業者が手すりやコンクリートブロックの上に細い棒を設置し、太さ約〇・七ミリのナイロン製テグスを張り巡らせた。来年一月中旬まで設置し、期間中と撤去後、定期的に止まったカラスの数を調べる。市環境政策課によると、近くの金沢城公園周辺にカラスのねぐらがあるという。夕方に市内外からカラスが一斉に集まり、ねぐらが安全か見張るため、日没までは近くの建物の縁や樹木に止まる。そのため、周辺ではたびたび市民から「路上がふんだらけになっている」「景観対策を取って」と苦情が寄せられてきた。カラスは樹木などに止まろうとする際に足に物が触れるのを嫌うため、一度テグスに接触すると同じ場所には戻らなくなるという。市は二〇一五年度から兼六園周辺で同じ実験を実施。昨年度は、一日で平均百八十七羽の姿が確認されていた建物二棟では、テグスの設置中は一日平均九羽にとどまった。一日で計百羽近く集まることもあった樹木六本では、設置中も撤去後の約一カ月間もゼロ羽と、効果がみられた。健康プラザで市が事前に調査をしたところ、西館と東館では、それぞれ多い時で七十羽近くが確認されている。同課の東俊幸・自然保護係長は「市民や観光客が安心して町を歩けるようになってほしい」と期待している。
(ジビエ調理や皮革工芸実習、今月から小中学校で:和歌山)
イノシシやシカなどの鳥獣による農林業被害を子供らに知ってもらおうと、県は今月末から、野生獣の皮革を使ったレザークラフト教室やジビエの調理実習を県内の小中学校で始める。特産の果実を使った調理実習は毎年続けられてきたが、駆除対象である有害獣の皮革や肉を活用する授業は小中学校では初めて。県畜産課の担当者は「県内の被害状況を知ってもらうとともに、捕獲後の活用についても理解が広まれば」と話している。
(命と向き合うハンター:北海道)
ターンッ。高い猟銃の音が奈井江町の山野に響く。エゾシカの体が地面をたたく低い「ドン」という音が続いた。ハンターの岩間勝さん(38)が駆け寄り、血抜きのため首にナイフを入れた。「首の急所を一発で撃ち抜くと苦しまない。臭みが回らず肉質も良い」と、88キロの若いオスを車に積み込んだ。1時間離れた当別町の解体場。脚からぶら下げ、皮をはぎ始めた。内臓を取り出すと湯気が立つ。素早く丁寧に処理するため、内臓が破れず周辺に生臭さはない。30分弱の作業で枝肉になった。「命をおいしく食べるのは時間勝負」。額の汗を気にせず岩間さんは枝肉をさすった。
(「モンスターウルフ」は効果があるか?:千葉)
イノシシなど野生動物による農作物被害を抑える“秘密兵器”として、オオカミ型ロボット「スーパーモンスターウルフ」が本州以南で初めて、千葉県木更津市の山間地にある水田に試験配備されて4カ月が過ぎた。この間にも、千葉ウルフの“兄弟”たちは東北や甲信など千葉県境を越えて各地で活躍。今回のウルフ効果検証取材で、クマやシカが仰天して逃げる衝(笑)撃画像を入手した。ウルフ効果バッチリ!木更津市内の水田耕作エリアの一つ、矢那地区。雑木の生い茂る小山に挟まれるように開けた田んぼの南角に、スーパーモンスターウルフが据え付けられたのが7月11日。8月下旬には稲刈りも終わり、9月11日からは同地区内にある栗畑に活躍の場を移していた。「ほぼ毎日、イノシシが田んぼで泥浴びをした跡を残していたが、ウルフの近くではなくなり、稲を倒したり稲穂を囓ったりの被害は減った。ただ、田んぼは広く、1頭で全域は守れない」と水田所有者の竹内和雄さん(70)。ウルフ導入をサポートしたJA木更津市(梅澤千加夫代表理事組合長)では設置以来連日、ウルフ周辺のイノシシほか野生動物の出没状況や農作物被害の有無をチェックした。担当者は「ウルフが動くものを感知する、中心角約60度・半径約20メートルの扇形の範囲ではイノシシ侵入が減った。範囲外では出没の跡がある」と話し、「ウルフの動物撃退効果はあると思うが、電気柵やわななどを組み合わせた防御策が農家には必要では」との考えを示す。.木更津市内のウルフ設置場所では、動物撃退効果を見るために夜間も撮影できる監視カメラを併置した。残念ながらこの4カ月間、ウルフに驚いて逃げる動物の姿を捉えられていない。だが今回、サル対策で青森県内の果樹園に置かれたウルフの後ろのカメラがついに、クマやシカなどが、頭を左右に振って音と真っ赤な目の色で威嚇するウルフに仰天して逃げ去る姿を収めた。ウルフが雄たけびをあげた途端に草むらに飛び込むクマ。一瞬凍り付いて後ずさりし、われに返って飛ぶように逃げるシカ、木の幹から果樹園に入ろうとするところ、ウルフに驚愕(きょうがく)して飛び退くサル。動物が恐怖する瞬間を捉えた初の映像がリアルだ。ウルフの試験的導入は千葉以外でも進む。青森県のほか、栃木県足利市内のゴルフ場では、コースを掘り起こすイノシシへの抑止力としてティーグラウンド付近に1頭が置かれ、「掘り起こし被害が減った」(ゴルフ場支配人)。長野県王滝村では、稲作終了まで田んぼにウルフを置き、その後は赤カブ畑などに場所を移してイノシシやサル被害に備えた。同村担当者は「設置場所が民家や道路に近く、歩く住民から驚きの声が聞かれ、消音して置いたことも。目が光るだけでもイノシシが出なくなった」と話す。山梨県南アルプス市では「効果あり」と判断し、再来年度に向けて導入の予算取りをする方針という。京都や岐阜、愛媛、福岡など西日本各地からも、制作者の太田精器(北海道、太田裕治社長)に問い合わせが続々と入っている。さらにカナダやフランス、ベルギー、ドイツ、ブルガリアからも「現地生産できないか」との問い合わせが入り、千葉・木更津から火が付いたウルフ人気は国際的な広がりをみせる。太田社長は「ヨーロッパではワイン用のブドウ畑でイノシシ被害が多いようだ。日本のモノ作りへの信頼度が高いから連絡が来るのだろう」と話し、増産につなげたい考えだ。スーパーモンスターウルフ 本物のオオカミそっくりの外観で体長65センチ、体高50センチ。真夜中でも赤外線センサーで動くものを感知(感知範囲は約20メートル先まで)すれば、体内に埋め込まれたスピーカーからオオカミのほえ声は無論、猟銃発砲音や猟犬の鳴き声、動物が不快に感じる金属的な音など(約90デシベル)を発し、同時に両眼にはめ込まれたLED(発光ダイオード)ランプが炎の色にらんらんと光る。バッテリーにソーラーパネルをつなげて電源とする。首は左右に振るが、四肢は鉄パイプで地面に固定されている。
(獣害防止柵で農業守る:滋賀)
国土の約7割を占める中山間地域で、シカ、イノシシ、サルなどによる農作物被害が続いている。獣害対策として侵入防止柵の導入が進む中、「キャムズ」(本店・湖南市)は、自社開発の金属フェンス「WM(ワイヤメッシュ)パネルシステム」で業績を伸ばしてきた。過疎化や高齢化が進行する実情に合わせ、「据え付けが簡単で、丈夫」とうたう。「『フェンスのおかげで、夜も被害を心配せず、安心して寝られる』。農家の方にそう喜んでいただけるのが、何よりうれしい」。社長の太田雅章さん(57)は顔をほころばせる。
(獣害対策の自走式ロボ:神奈川)
アサイ・エンジニアリング(横浜市磯子区、浅井伸一社長、045・773・3225)は、新陽冷熱工業(神奈川県小田原市)、知能機械研究所(東京都世田谷区)と、農家などでの鳥獣被害を防ぐロボット「でん助」の試作品を共同開発した。発光ダイオード(LED)ライトのフラッシュや「鳴き声」を発し、鳥獣を脅かす。自動走行など改良を進め、2018年をめどに販売する。ソーラーパネルなどを手がける新陽冷熱工業からの委託でロボットを開発した。神奈川工科大学の兵頭和人教授が制御部を監修した。試作品はスマートフォンなどの端末にコントローラーをつないで操作する。鳥獣に近付き、頭のドーム部分に搭載した青と白のLEDライトが発光する。ライトは照射対象に向けて回転できる。スピーカーから猛獣の鳴き声を模した音声を発するほか、空気を放出したり、頭部が伸びるといった仕掛けもある。新陽冷熱工業はソーラーパネルの設置場や周辺農家の農作物がイノシシやカラスなどの被害に遭っていたことからロボット開発を依頼。高齢化や人手不足が深刻な農家などを対象に販売する。商品化に向け、畑など広範囲に設置したセンサーに反応して自動でターゲットまで走行し、仕掛けを発動できるようにするなど改良する。
(イノシシ革、特産に:茨城)
イノシシが多数駆除される城里町で、地域おこし協力隊の女性(25)が有効活用しようと、革製品の特産化に挑んでいる。農作物の被害が後を絶たないため一定量駆除されるが、福島第1原発事故後は肉の出荷制限が続き、廃棄されていることから、「命を無駄にしたくない」と始めた。既に多くの小物を試作し、「城里が誇るブランドにしたい」と意気込んでいる。小銭入れ、ブレスレット、首から下げるネームケース、耳元で揺れるタッセルピアス…。いずれもイノシシ革で作った実用品やアクセサリーだ。取り組むのは、同町地域おこし協力隊の瀬川礼江(ゆきえ)さん。「豚に近い柔らかさで、豚より丈夫。牛より乾燥しにくく、手入れが簡単」とイノシシ革の魅力を語る。生皮は地元のハンターから入手する。解体後、瀬川さん自ら2から3時間かけ、皮下脂肪をナイフで削り落とす。なめしは都内の専門業者に委託する。小物作りは今春始めた。布より厚い革は手縫いできないため、当初はしおりなどの単純な小物に限られていた。「幅を広げたい」と革職人の講習を受講。革に穴を開け、糸を通す特殊な縫い方を習った。都内で会社勤めをしていた瀬川さん。「家と会社の往復。もっと人生経験を積みたい」と昨年4月、同隊員となった。獣害対策担当の町職員に勧められ、狩猟に必要な免許を取った。多くのイノシシが焼却処分されていることを知り、「命を粗末にしたくない」と革製品の生産を思い付いた。福島第1原発事故による放射性物質の影響で、県内のイノシシ肉は一部を除いて出荷制限が今も続く。同町では昨年度、180頭が駆除されたが、猟犬の餌など自家消費分以外は焼却された。肉と違い、皮革に出荷制限はないが、県内では活用が進んでいない。県外では福島県伊達市、長野県泰阜村など各地で革製品の特産化が図られている。瀬川さんは今月、横浜市で開かれた手工芸品の展示会で、イノシシ革の小物を試験的に販売。町民まつりにも出展し、多くの来場者から注目を浴びた。手応えをつかむ一方、本格販売にはいくつもの壁が残る。同隊の活動をしながら、1人での量産化は難しく、協力者のハンターが4人にとどまることから生皮の入手量が限られる。今後、革製品作りの体験講座を開くなどして仲間を増やすほか、ハンターの協力拡大にも力を入れる。瀬川さんは「来年度には産業として確立したい」と、特産化へ意欲を見せる。

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(報奨金目的で駆除のイノシシ20頭を山中に投棄:佐賀)
駆除したイノシシ約20頭を山中に捨てたとして、佐賀県警伊万里署が、同県伊万里市の男(69)を廃棄物処理法違反(不法投棄)の容疑で佐賀地検武雄支部に書類送検していたことが、捜査関係者への取材で分かった。男は市に対し、有害鳥獣の捕獲報奨金を申請しており、「捨てるのに適した場所がなかった」などと供述しているという。送検は8日付。捜査関係者らによると、男は10月、餌でおびきよせる箱わなを使って捕獲、駆除したイノシシ約20頭を、他人が所有する市内の山中に不法投棄した疑い。10月末に付近を巡回していた同署の警察官が異臭に気づき、発覚した。男はイノシシ(成獣)1頭につき1万3000円が支給される報奨金目的で駆除。申請に必要な死骸の写真、切断した尾、耳を市に提出していた。市の指導では、駆除したイノシシは申請者が埋葬処理することになっている。
(国体で5回目V、折原さんに市長特別賞:栃木)
那須塩原市は14日、10月に開催された愛媛国体のクレー射撃成年スキート個人で優勝した同市春日町の射撃場経営、折原研二さん(44)に対し、スポーツ振興に寄与したとして「市長特別賞」を授与した。愛媛国体のクレー射撃は高知県の射撃場で行われ、96選手が出場。折原さんは5回目の優勝を果たした。全日本選手権では8回優勝している。
(ニホンジカ増加、捕獲目標53頭:青森)
青森県内でニホンジカが増加していることを受け、県捕獲対策協議会は22日、本年度内の捕獲目標を計53頭とする実施計画案を発表した。県の計画策定は初めて。正式決定後の12月から実施する。計画案は三八地域の7市町村、白神山地周辺の3町村が対象。猟友会などに委託して来年3月末までに三八地域で45頭、白神山地周辺で8頭の目標を掲げた。自治体からは「目標頭数はもっと多くていい」「わなはどう用意するのか」などの意見や質問が出た。ニホンジカは明治時代末期の1910年代に県内では絶滅したとされるが、目撃情報が近年相次ぐ。本年度は11月2日現在で105件、146頭に上り、最多だった昨年度のペースを上回る。岩手、秋田両県から流入しているとみられる。2015年度に農業被害が発生したほか、今年8月には鯵ケ沢町の白神山地の世界遺産核心地域で初めて生息が確認された。農林業への被害の拡大や生態系への影響が懸念され、県は9月に「第2種特定鳥獣管理計画」を策定するなど対策を検討してきた。
(ツキノワグマを広域管理へ、5府県で連携:兵庫)
野生動物による農作物被害などが深刻化する中、兵庫県や京都、岡山、鳥取の4府県は共同で、ツキノワグマの保護管理計画を策定する方針を固めた。早ければ本年度中にも検討会を設置する。大阪府も検討会に参加の意向を示しており、近接する5府県で連携してクマ対策に当たる。兵庫県によると、県内には円山川を境に、兵庫県北西部から鳥取、岡山両県にまたがる「東中国地域個体群」と、兵庫県北東部から京都府北西部にかけた「近畿北部地域個体群(西側)」がいる。群れの規模について、各府県によって調査方法が異なるため、正確につかめていなかったという。そこで、検討会ではまず調査方法を統一化し、生息実態を把握。2022年をめどに広域的な保護管理計画の策定を目指し、保護や駆除の方向性などを示す。今年9月に担当者による初会合を実施し、来年1月にも規約作成などに着手する予定。かつて県内で絶滅が危ぐされていたツキノワグマは近年、繁殖が進んで急増。生息していなかったとみられていた大阪府でも、毎年目撃情報が寄せられている。16年度には5府県全体での目撃情報が計3214件と過去5年間で最多を記録した。農作物被害とともに人家近くで人が襲われる事例も続出しており、兵庫県は昨年11月、20年ぶりにクマの狩猟を解禁。今年も15日から実施している。岡山県も今年、17年ぶりにクマ猟を解禁し、京都府も検討中。ただ、鳥取県は禁猟を続けており、対応が分かれている。検討会設立を呼び掛けた兵庫県鳥獣対策課は「個体群調査などで実態を把握できれば、対策について各府県の足並みもそろえられるのではないか」と期待する。
(獣害、進む広域対策:兵庫)
府県を越えてニホンザルによる農業被害に対応しようと、兵庫、京都の5市町で3月に発足した「大丹波地域サル対策広域協議会」(事務局・篠山市)の取り組みが、本格化してきた。専門家が出向いて対策を伝授する「出前講座」が、10月から京都府でもスタート。被害に悩む篠山市で培われた先進的な取り組みに、期待が寄せられている。5群、190匹(県森林動物研究センター調べ)がいる篠山市では、群れの動向を事前に察知して農家にメールで毎日知らせ、電気防護柵の普及で効果を上げている。しかし、追い払われたサルの一部が周辺自治体に移動しており、広域連携で山に封じ込める必要があると、同市が協議会の結成を提案。丹波市と京都府福知山市、南丹市、京丹波町が参加した。「出前講座」は10月27日夕、県外では初めて南丹市で開講。同市園部町の天引公民館に農家の人ら7人が集まり、篠山市の獣害対策NPO「里地里山問題研究所(さともん)」代表の鈴木克哉さんが映像や写真を示して説明した。南丹市には「篠山B群」(京都側の呼称は「園部A群」)の45匹が出没。鈴木さんは、電気防護柵で守れることや集落全体で追い払いに取り組む必要性を訴えた。「サルは高さ3メートルは跳ぶ」といい、防護柵は樹木や建物から3メートル以上離して設置し、電柱などの近くには置かず、農閑期でも柵に慣れさせないよう通電を保つようアドバイスした。「おいしいものが楽に食べられ、長居できる集落には繰り返しやって来る」と説明。天引地区の住民らがロケット花火の発射装置を自作し、3か月ごとに対策会議を開くなどの取り組みを出席者らから聞いて評価、「人の姿を見せることが大事」と訴えた。大塚克幸さん(63)は「電気柵はサルに効果がないと思っていたが、いろんな守り方があると分かった」。協議会は今後、他の自治体でも出前講座を開く予定で、鈴木さんは「優良な取り組みをモデルケースにして広げたい」としている。
(特定外来生物「タイワンザル」、根絶宣言へ:和歌山)
国が特定外来生物に指定している「タイワンザル」の根絶宣言が、近く和歌山県で出る見通しになった。同県を含む紀伊半島はニホンザルの最も重要な生息地の一つで、交雑に歯止めをかけるのが緊急の課題だった。長年の地道な捕獲作戦が奏功し、環境省は「和歌山でのタイワンザル根絶が確認できれば、全国での根絶につながる成果」と評価している。タイワンザルは台湾原産で、国内では1940~70年代に動物園から逃げ出すなどして野生化した。環境省は2005年に特定外来生物に指定し、輸入や飼育は原則禁止されている。和歌山県では、50年代に閉園した同県北部の動物園で飼育されていた十数匹が野生化し、03年には約300匹に増えた。ミカンやタケノコなどの農業被害も目立つようになった。和歌山県は駆除計画を策定し、03年から日本霊長類学会などの専門家と全頭捕獲に乗り出した。大型のおりなどを設置し、最初の約1年間で189匹を駆除した。08年に公表された遺伝子検査では、調査したタイワンザルの約9割がニホンザルとの交雑種と判明。ニホンザルの種の保全の観点から深刻な状況が浮き彫りになった。発信器による追跡や自動撮影カメラなどを活用してさらに捕獲を続け、12年4月までに、タイワンザルとその交雑種計366匹を駆除した。15年にわたる捕獲作戦に投じられた費用は約5千万円。最近5年余り、目撃例がなくなった。このため、和歌山県は「根絶できた可能性が高い」として、来月の検討会で専門家と協議し、根絶宣言の判断を行う。国内のタイワンザルをめぐっては、今後、伊豆大島での駆除をどう進めるかが焦点となる。同島では約80年前に動物園から20匹が逃げて繁殖。毎年数百匹の駆除を進めているが、なお約4千匹が生息する。また、ニホンザルの種の保全という観点からは、同じく特定外来生物の「アカゲザル」の駆除も課題となっている。千葉県ではこれまでに2千匹以上を駆除したが、地元のニホンザルの群れの中に交雑個体が見つかっている。国内各地で外来種のサルの調査に取り組む野生動物保護管理事務所(東京都町田市)の白井啓・獣医師は「和歌山では行政と市民、研究者が協力し、地道に調査と捕獲を進めた。交雑の危機からニホンザルを守る取り組みとして、モデルケースになる」と話す。
(止まらぬ獣害:和歌山)
田辺市で、野生動物による農産物の被害額が年間約4千万円に上るという。ミカン畑では、熟した果実を狙ったイノシシがミカンの木を倒し、山間部に出没するサルは、収穫期に入った野菜を片っ端から食い散らす。シカは植林地のスギやヒノキの皮をはいで枯らしてしまう。被害は山間部だけでなく、市街地の畑や果樹園にも及んでいる。もちろん、人間の側も対策を立てている。手っ取り早いのは、畑の周辺に張り巡らせるイノシシよけの電気柵。そこに弱い電流を流して近づけないようにする。しかし、3年もすれば相手にも知恵がつく。電流に鼻先を直撃されないように柵に背中を向け、後ろ向きに侵入してくるという。この話をしてくれた田辺市上秋津の農家は「市街地はイノシシ、山間部はサルとシカの被害が多い。龍神村の奥地では家の周囲をネットで囲い、午後の4時には家の出入り口のネットも閉じると聞いた。油断していると家の中にまで入り込んでくるからだ」と付け加えた。せっかく育てたミカンや農作物が収穫前に台無しにされるのはつらい。有害動物として県などが駆除に努めているが、被害額は県全体で年間約3億3千万円。駆除しても駆除しても追い付かない。こうなれば、野生動物対策を地域の産業につなげる仕組みをつくるしかないのではないか。ジビエ料理の普及とか狩猟で生計が立つように補助制度を設けるとか。方策を考えたい。
(イノシシ、県内全域に生息の可能性:秋田)
イノシシによる農作物被害が増えつつある。県内では近年まで確認されていなかったが、現在は全域に生息しているとみられる。県は事態を重視し、今年度新たに有害駆除対象に加え、被害拡大防止に乗り出した。中山間部に広がる三種町上岩川小新沢地区。昨年6月、飯塚晴彦さん(83)方の畑で、収穫前のジャガイモが掘り返され、約10キロ分がかじられていた。畑に残された足跡は、後にイノシシと判明。飯塚さんは「ここに住んで80年以上になるが、イノシシに荒らされるなんて一度もなかった」と驚いた様子だった。県内で確認された初の被害だった。県自然保護課によると、県内で初めてイノシシが目撃されたのは2012年2月。その後、毎年1桁台で推移していたが、昨年度は過去最多の42頭と急増。今年度は10月末時点で18頭にとどまっているものの、同課の担当者は「実際の数はさらに多いとみられる」と懸念する。農作物被害は昨年度は三種町の1件のみだったが、今年度は大館市、能代市など7市で計11件に及び、イモ類や水稲が食い荒らされた。ではなぜ県内にイノシシが生息するようになったのか。農研機構・中央農業研究センター(茨城県つくば市)の仲谷淳専門員は、東北地方の南部から北上してきた可能性を指摘。「イノシシは雑食系でイモや果物などを好む。エサとなる農作物が豊富にあるなど、イノシシはよりよい生活環境を求めて入ってきた可能性がある」と説明する。さらに「繁殖力が高いので、(生息数が少ない)初期段階で対策を講じなければ、繁殖が猛スピードで進む」と警鐘を鳴らす。また、岩手県や青森県には江戸時代などにイノシシの存在を示す文献などがあるため、秋田でも過去に生息していた可能性が考えられるという。効果的な予防策はあるのだろうか。イノシシ対策に詳しい福島県農業総合センターの木幡(こはた)栄子主任研究員によると、同県猪苗代町では複数の集落でイノシシの出没ポイントを地図上に示した。例えばイノシシが好む生ごみの放棄や身を隠しすいヤブなど、イノシシが寄りつく要因を取り除き、電気柵の導入なども実施した。「行政と住民の両方がイノシシについての知識を持つ必要がある」という。木幡研究員は被害が出ていない地域も注意が必要だと指摘する。「これまで目撃されなかったから大丈夫だと対策を打たないままだと、イノシシがやってくる可能性は十分ある」と強調した。県は食害に加え、人的被害や生態系への影響も考慮し、目撃されたイノシシはすべて捕獲する方針という。
(ドローンの獣害調査、大磯でも:神奈川)
神奈川県は22日、ドローンを活用した獣害現場の調査を大磯町で実施する。起伏の多い丘陵地帯2カ所の計6ヘクタールを対象に、イノシシやシカなどの隠れ場所になりそうな茂みややぶなどを上空から把握するのに役立てる。調査には大小2台のドローンを使う予定で、機器の持ち込みや操作はドローン調査を手がけるスカイシーカー(東京・千代田)に委託する。1回15分の飛行を複数回実施し、3ヘクタールの現場2カ所について3時間かけて把握する。同町内ではイノシシによる農作物の被害が多い。調査で動物の隠れ場所を発見した場合は草や木を刈り取るなどして対応し、獣害の拡大を防ぐ。ドローンを使った県の獣害対策の取り組みとしては、9月に相模原市緑区で実施したものに続き2例目。県内には丹沢山地の周辺などで近年被害が拡大傾向にあり、県は「今後も調査に適した場所など条件が整った現場で優先的に進める」(環境農政局)考えだ。
(県道でクマ目撃:和歌山)
和歌山県田辺市龍神行政局は21日、同市龍神村柳瀬の県道田辺龍神線沿い、虎ケ峰公衆トイレから700メートルほど龍神村寄りの道路脇でツキノワグマが目撃された、と発表した。
(クマ出没で再開できず、遺跡が冬季閉鎖へ:秋田)
クマの目撃が相次ぎ、けが人も出た北秋田市の伊勢堂岱遺跡は、安全を確保するため、6月以降全面閉鎖されていました。電気柵や監視カメラの設置など市が対策を講じたものの再開にいたらないまま冬季閉鎖に入りました。北秋田市の職員などが遺跡のストーンサークルを保護するため、専用のシートをかける作業を行いました。伊勢堂岱遺跡では、6月にクマ1頭が目撃され全面閉鎖となりました。1か月後の7月15日から部分的に公開を再開する方針でしたが、その前の日に市の男性職員がクマに襲われけがをしました。このため北秋田市は全面閉鎖の継続を決めました。北秋田市はクマ対策として、遺跡内に5台の監視カメラを設置。出没時間や移動ルートの把握が目的で、画像を市役所に自動で送信する機能もつけました。また、継続して開館している史料館の周囲500メートルにクマよけの電気柵を設置したほか、クマが身を隠せないように周辺の木々を伐採する対策も行いました。しかし、その後も周辺でクマが目撃されたことなどから再開にはいたらず、そのまま冬季の閉鎖に入る事態となりました。北秋田市の榎本剛治さんは「遺跡の中に侵入してくるクマがどういうルートで歩いているのか、それをまず我々が知ることが対策の第一番目だと考えています。」「出来るだけ早く早期の再開を目指していきたいなと思ってます。」と話しました。伊勢堂岱遺跡を含め、縄文遺跡群として世界遺産登録を目指すなか、北秋田市は来年4月下旬には遺跡を再開したい考えです。
(信州ジビエ研究会、「農山漁村の宝」に選定:長野)
県は、内閣官房と農林水産省が選定する「ディスカバー農山漁村の宝」に、生坂村農業公社(生坂村)と信州ジビエ研究会(長野市)の2地区が選ばれたと発表した。信州ジビエ研究会は、県内産シカ肉の処理や加工、販売を行う施設の認証制度を県と創設し、大手スーパーなどへの流通ルートを確立。大手食品企業と連携した新商品開発や商談会の開催などにより、需要の拡大を図っていることなどが認められた。「ディスカバー農山漁村の宝」は、地域の活性化や所得向上に取り組む市町村の事例を公募し、優良事例を選定する。今年度で4回目となり、選定された県内の2地区は、全国844地区の取り組みの中から、有識者懇談会の審議を経て選ばれた。
(けがをした名古屋城のシカが堀に放される:愛知)
名古屋城の内堀で放し飼いされていた雌のホンシュウジカ1匹は、両前脚のひづめ周辺に炎症があったほか左前脚の関節が脱臼し、9月から専用の小屋で獣医師による治療を受けてきました。10月には左前脚を骨折しましたが、治療の結果脱臼以外は治ったため、22日堀に放されました。名古屋城のシカは1970年代には50匹以上いましたが現在は治療したシカを含め2匹だけです。

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(イノシシ猟の男性、クマに襲われ顔など負傷:山梨)
18日午前9時ごろ、山梨県都留市鹿留の山中で、イノシシ猟をしていた同市の男性(63)がクマに襲われ、顔などを負傷した。自力で下山し、意識はあるという。大月署によると、男性は午前8時ごろから親族2人と山に入り、別々にイノシシ猟をしていた。無線で「クマに襲われた」と2人に助けを求め、先に下山した親族が近くの川にいた釣り人を通じて119番通報した。
(小3女児、イノシシにかまれけが:群馬)
20日午前7時50分頃、群馬県大泉町朝日で、「娘がイノシシにかまれた」と男性から119番があった。大泉署によると、登校するため自宅を出ようとした小学3年の女児(8)が、自宅の敷地内でイノシシに左手の親指と人さし指、左の尻をかまれた。病院に搬送されたが、軽傷という。イノシシは町内を約30分逃げ回った後、現場から100メートルほど離れた農道で署員や地元の猟友会メンバーらに捕獲され、殺処分された。同署などによると、イノシシは体長約1・3メートルのメス。
(イノシシ出没、男性負傷:栃木)
15日午前6時40分ごろ、栃木市大平町下皆川の山林で、近くの無職男性(71)がイノシシに襲われ、手や頭などをかまれ、左手小指を骨折するなどのけがをした。栃木署によると、男性は散歩のために山林に入ったところ、体長約1メートルのイノシシに襲われたという。現場はJR大平下駅の北西約1・5キロの山林。
(自宅を出たらクマ現る、50代男性けが:福井)
19日午後6時10分ごろ、福井市大宮町で、50代の男性が自宅から出たところ、近くの木の陰から現れたクマに襲われ、顔や手をかまれた。男性は病院に運ばれたが、命に別条はないという。福井市によると、クマは成獣とみられる。男性は襲われた後、近くの母親宅に逃げ込み、母親が119番した。現場は山あいの集落で、市などが注意を呼び掛けている。
(クマとみられる動物に襲われ男性ケガ:新潟)
15日夜、糸魚川市で、男性が車に乗り込もうとしたところをクマとみられる動物に襲われ、顔の骨を折る大ケガをした。男性がクマとみられる動物に襲われたのは、糸魚川市須沢にある鉄鋼関連の会社の駐車場だ。
(人を襲ったクマ、初特定:秋田)
秋田県五城目町内川湯ノ又で今月3日に男性(68)を襲ったクマが、DNA鑑定で、近くの山林で捕獲・駆除されたクマと同じだったことが20日、県への取材で分かった。DNA鑑定により、人に危害を加えた個体と駆除された個体が一致したのは県内で初めて。
(倉庫にクマ、猟友会が駆除:青森)
青森県八戸市で15日、八戸港にある倉庫にクマが入り込み、約5時間後に駆除された。港周辺では、10日に3人がクマに襲われてけがをしており、市などが警戒を強めていた。市は、3人が襲われた現場に倉庫が近く、大きさが同じことなどから、駆除されたのは3人を襲ったクマとみている。15日午前6時半頃、八戸市河原木の八戸通運の倉庫で、同社の社員がクマ1頭が入ってくるのを発見し、入り口のシャッターを下ろして閉じこめた。社員は脱出し、連絡を受けた上司が110番した。約5時間後、地元猟友会メンバーらが倉庫内にいるクマを射殺した。市農林畜産課によると、クマは体長約1・6メートルのオス。倉庫は八戸港にあり、付近では10日に男女3人がクマに襲われてけがをしていた。市は、駆除したのはこのクマだとみている。警察官や市職員らが駆けつけたが、クマは倉庫の奥に入ったため見えず、倉庫内でドローンを飛ばしても確認できなかった。午前11時30分頃に爆竹を倉庫内に投げ入れたところ、クマが姿を見せたため、同45分頃に窓の外から撃ったという。遭遇したクマを倉庫内に閉じこめた八戸通運の男性(52)は、「クマと目が合い、こちらに近づいて来た。クマまでわずか3~4メートルになった時は怖かった」と語った。倉庫は高い天井の平屋建てで、身長ほどの大きな製紙ロールが保管されており、男性は1人で作業していた。フォークリフトをバックさせるため右後方を振り返った瞬間、入り口から黒い大きな生き物が入ってくるのが視界に入った。「大きな犬かな」と思ったがクマで、ジリジリとフォークリフトに近づいてきた。近づいた時にエンジンを吹かすと、驚いて倉庫の奥へ逃げていったという。男性は「(外に)逃がすとさらに被害が出る」と倉庫のシャッターを下ろし、ドアから脱出した。同社の海運営業所長(58)は駆除後、クマが撃たれて倒れていた場所を指さし、「近くに出没していたが、まさかここに入ってくるなんて」と話していた。市農林畜産課は10日以降、市の安全・安心情報システムで市民に出没情報のメールを送信してきた。同課の担当者は「駆除まで時間がかかったため、不安を覚えた市民も多かったと思う。対策を考えていきたい」としている。
(クマ、窓ガラス割る?:秋田)
16日午後7時半ごろ、秋田県能代市二ツ井町濁川字濁川の民家でトイレの窓ガラスが割られ、この家に住む60代男性が能代署二ツ井交番に届け出た。同署はクマによる被害とみている。けが人はいなかった。同署によると、家の中にいた男性が物音に気付き、外に出たところ、窓ガラスが割れていた。窓には獣の毛が付着し、周辺の外壁には爪で引っかかれたような跡があった。現場は二ツ井町中心部から南へ約12キロの山間部。
(捕獲ニホンジカ、基準超すセシウム:長野)
県林務部は17日、諏訪郡富士見町で捕獲された雌のニホンジカ1頭の肉を調べた結果、国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウム137を156ベクレル(1キログラム当たり)検出したと発表した。林務部は同日、県内に30ある食肉加工処理施設に、富士見町で捕獲されたニホンジカの取り扱い自粛を要請。飲食店や県民にも販売、摂取の自粛を求めている。県内のニホンジカから国の基準値を超える放射性セシウムが検出されたのは、2012年6月に北佐久郡軽井沢町で捕獲された雄1頭以来で2例目。自粛要請に法的根拠はないが、県は今後、政府の原子力災害対策本部が原子力災害対策特別措置法に基づき、取り扱いの制限を指示する可能性があるとみている。県は年40頭のニホンジカやイノシシの肉に含まれる放射性セシウムを調べている。富士見町のニホンジカは今月13日に捕獲されたうちの1頭で、16日に県環境保全研究所(長野市)が検査した。町産業課によると、町内では有害鳥獣駆除と野生鳥獣肉「ジビエ」として販売する目的で年間700から800頭のニホンジカが捕獲され、半数近くは、県内外のスーパーやレストランなどにジビエとして出荷されている。ニホンジカの肉の加工、販売を手掛ける町内の関係者は、県の要請を受けて当面販売を中止するとし、「シカは自由に動き回る。八ケ岳山麓一帯のジビエにマイナスイメージが持たれてしまうかもしれない」と不安そうに話した。また、軽井沢プリンスホテル(北佐久郡軽井沢町)は17日、17から19日に軽井沢町内2施設で開く計画だった県産ジビエ料理を提供する「信州ジビエフェア」の中止を決めた。検出個体の肉は流通していないが、念のため見合わせるとしている。1施設では17日昼から料理提供を始めたが、食べた客はいないという。もう一つの施設では夕食時からの提供を予定していたが、発表を受けて取りやめた。
(イノシシ7頭を駆除:沖縄)
県猟友会石垣地区(石垣克治地区長、101人)は19日、伊原間地域の山林一帯で2017年度第1回有害鳥獣共同駆除を行い、95㌔の超大型を含むイノシシ7頭を仕留めた。伊原間以北ではイノシシの生息数の増加がみられることから、猟友会は年度内4回の共同駆除を同地域で実施する予定。イノシシ対策では、石垣島製糖が15日から捕獲に対する助成を開始しているが、猟友会では被害が出ている地域に限定するよう求めている。第1回共同駆除には42人が参加。午前8時半から山に入り、猟犬を使いながら猟銃による駆除を試みた。伊原間牧場内の山林で95㌔の大型を仕留めた山村勝紀さん(61)は「12年前から参加しているが、これだけの大物は初めて。犬を含めたチームワークのおかげ」と話し、約30年のベテラン安田喜禮さん(75)は「これまでは僕が駆除したものが1番大きかったが、それよりも大きいかもしれない」と目を丸くした。猟友会では猟期(11月15日~来年2月15日)に限らず、農家の被害申告を受けた石垣市から依頼を受けた駆除を実施しており、猟銃のほかワナも使用している。ことしは、イノシシ被害に悩まされているさとうきび農家の声を受け石垣島製糖が1頭の捕獲につき1万円を助成したり、農家の電気柵の購入に対して30%を補助したりするなど対策をとっている。石垣地区長は「農作物の被害が出ている地域を対象に助成してもらいたい。被害が出ていない地域で実施してイノシシが少なくなれば、山が荒れ生態系が崩れるため、適正頭数を保つことも必要だ。イノシシ対策は猟銃、ワナ、農家の柵設置など総合的な対策が必要になる」と話している。
(イノシシ目撃情報相次ぐ:広島)
福山市中心部の住宅街で14日夜、イノシシの目撃情報が相次いだ。15日夕まで市や福山東署が周辺をパトロールしたが、発見できなかった。イノシシは今月8日にもJR福山駅近くで目撃され、市は注意喚起している。目撃されたのは、1頭で体長は不明。
(イノシシ目撃情報、姿は確認できず:石川)
13日夕方、金沢市の中心部でイノシシの目撃情報があり、14日朝も市と警察が近くを探したが、姿を確認することはできなかった。イノシシの目撃情報があったのは、金沢市千日町の犀川河川敷。
(街なかにサルが出没:石川)
輪島市内に出没した1頭のサル。17日午後1時ごろ、付近の住民から警察に「みなと橋でサルを見かけた」と通報があった。サルは、近くで朝市が行われている「いろは橋」や「みなと橋」で目撃されたのを皮切りに観音町や輪島高校稲舟校舎の体育館でも目撃。
(住宅街でサルの目撃相次ぐ:愛知)
今月5日の愛知県尾張旭市を皮切りに、1頭のサルの目撃が相次いでいる。14日に目撃されたのは、10キロほど離れた同県春日井市の住宅街。警察には13日から、春日井市内の数か所でサルの目撃情報が寄せられている。14日午後3時半すぎにも同市で目撃情報があった。
(公園の広い範囲に掘り返した跡、イノシシ被害か:千葉)
ことし9月末、千葉県木更津市にある鎌足さくら公園で、芝生が張られたおよそ6000平方メートルの広場の3分の2近くが、何者かに掘り返されているのを市の職員が見つけました。付近にはイノシシの足跡や動物が通った獣道のような跡が残されていることから、市は、夜間にイノシシがやってきてミミズなどを取るために掘り返したと見ています。この公園は桜の名所としても親しまれ、動物の侵入を防ぐ電気柵を設置したり、イノシシよけの薬を使うことは難しいことから、市は看板を設置してイノシシに気をつけるよう利用者に呼びかけています。農林水産省の農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーで、イノシシの生態に詳しい植松清次さんは「イノシシの母親と子ども数頭の仕業と見られる。公園でこれだけ大きな被害が出るのは珍しく、餌もとれて遊べる場所として気に入ったのだろう」と話しています。木更津市市街地整備課の齋藤公孝課長は「このままでは公園として使えず困っている。これまでは被害はなかったので戸惑うばかりだが、なんとか対策を考えたい」と話しています。日本ゴルフ場支配人会連合会がおととし、初めて全国のゴルフ場を対象に調査したところ、北海道と東北の一部を除く広い範囲で、イノシシのものと見られる被害が確認されたということです。千葉県市原市のゴルフ場でも10年ほど前からイノシシの被害に悩み、18ホールの外周をすべて囲むように電気柵を張り巡らせたということです。しかし、その後も被害は止まらず、車両などの出入り口にイノシシが嫌う音を出す設置したところ、被害は収まったということです。結局、イノシシへの対策費としては数百万円が必要だったということです。今回、広場が被害にあった木更津市の公園の広さは全体でおよそ8ヘクタールに及ぶため、周囲をすべて柵で囲むことも難しく、木更津市では頭を抱えています。
(狩猟免許、過去10年最多:大分)
大分県内で本年度、狩猟免許を新規に取得した人が過去10年間で最も多かったことが県の調べで分かった。有害鳥獣駆除に従事する狩猟者の負担を軽減するため県は本年度、全国の都道府県で初めて、狩猟免許の新規取得・更新にかかる手数料などの免除を制度化。制度の成果が表れたとみている。県内の2016年の狩猟免許所持者は5250人。ほぼ横ばいで推移しているものの、17年3月時点で60歳以上は72・5%、30歳未満は1・4%と高齢化が進んでいる。今後、有害鳥獣駆除を安定的に続けていくには新規参入者の確保が課題となっている。鳥獣被害対策の一環として県は本年度から、新規取得者の免許申請手数料(5200円)と狩猟者登録手数料(1800円)を免除。既取得者で、前年に有害鳥獣捕獲に従事した人の免許更新申請手数料(3年に1度・2900円)と狩猟者登録手数料も免除とした。県によると、本年度の狩猟免許新規取得者は336人で、昨年度より37人(12・4%)増加した。手数料免除制度の広報を兼ねて、県内の大学や県立農業大学校の学生、元自衛官や元警察官へのPRを強化。無料のハンター体験バスツアーを実施するなどしたことが功を奏したと分析している。狩猟を始めるには手数料の他に、わなや猟銃などの道具が必要で、猟銃は一式で50万円程度することもある。「費用が新規参入者を阻む壁になっている」との猟友会などからの声を受けて、県が手数料免除を制度化した。手数料免除は来年度以降も継続する計画。県猟友会の冨田能範(よしのり)会長は「現在、狩猟の主体となっているのは60歳以上の人で、年金生活者も多い。更新料の減免はベテランのハンターが活動を続けるという面でも効果がある」と評価した。一方で、新規免許取得者にいかに狩猟技術を継承させ、実際に有害鳥獣捕獲ができるハンターになってもらうかが課題。県は「免許保有者に狩猟技術を実地で教えるスキルアップセミナーの開催に力を入れたい」、冨田会長は「ベテランハンターに先生になってもらうと上達が早い。会でも、技術を後進に伝えていくようにと呼び掛けを続ける」としている。
(イノシシ退治は「わな」で、増える狩猟免許取得者:富山)
県内の狩猟免許所持者の数が昨年度は千二百三十二人で、四年連続で増えていることが県のまとめで分かった。イノシシによる獣害対策として、わな猟の免許取得者が増えているのが主な要因。ただ、銃猟免許は緩やかな減少傾向にあり、県自然保護課の担当者は「まだ足りていない。獲物を捕った後に、最後にとどめを刺すには銃の方が安全」と銃猟免許の取得も呼び掛けている。イノシシによる昨年度の農作物への被害金額は三千八百八十五万円で、鳥獣被害の約四割を占める。前年度より七百万円ほど減ったものの依然として高止まりしており、農家にとっては大きな課題となっている。狩猟免許はわな猟や銃猟など、四種に分かれている。このうち農業者を中心に「はこわな」など、わな猟を扱える免許の取得が急増。昨年度は八百三十七人となり、鳥獣保護法が改正された二〇〇七年の二百二十三人から九年連続で増えている。昨年度のイノシシの捕獲頭数は四千三百六十頭で、五年前の八倍以上に伸びた。免許取得者の増加には、試験回数を年三回に増やすなどの県の施策が後押ししていることも背景にある。県内は十五日に狩猟が解禁された。県自然保護課の担当者は「安全確認を徹底してほしい。わなで捕まえた獲物は、暴れる恐れがあるので最後まで油断しないで」と注意喚起。狩猟以外で山に入る人には、獲物に間違えられないように、目立つ服装を勧めている。狩猟期間は来年二月十五日(シカ、イノシシ猟は三月三十一日)まで。
(野生鳥獣の農林業被害、過去10年で最少:群馬)
平成28年度の野生鳥獣による群馬県内の農林業被害額が6億993万3千円で、過去10年間で最少額だったことが県のまとめでわかった。24年度の12億2429万円をピークに、4年連続で減少。27年度より7876万円減った。16日開催の県鳥獣被害対策会議で報告された。加害鳥獣別でみると、カモシカが2億191万円と最も多く、次いで▽シカ1億6671万円▽クマ8801万円▽イノシシ7302万円-など。県では、農地侵入防止柵設置の普及などとともに、鳥獣捕獲を推進。被害額減少について「各農林事業者の対策が進んだことや、鳥獣の捕獲が強化されたことが大きいのでは」と分析している。28年度のイノシシ捕獲頭数は前年度から3千頭ほど増加して約8600頭、シカの捕獲頭数も2千頭増え、約8300頭だった。ただ、農家などからは「額には表われていなくても、被害はある」との声も根強いという。反町敦副知事は会議冒頭、「今までに(鳥獣が)出なかった地域での出現もあり、被害地域のさらなる拡大も懸念されている。対策の強化を継続していきたい」と話した。
(悩み多き「狩りの季節」、狩猟者の高齢化など課題山積:福島)
福島県内は15日、狩猟が解禁された。東京電力福島第1原発事故の影響で、県内で狩猟を行う登録者数は大幅に減少した一方、イノシシなどの有害鳥獣が避難区域を中心に急増。農作物などへの被害は深刻で、県は狩猟者の確保を急いできた。県によると、登録者は震災前と同様に4千人台を見込めるほど回復傾向にあるが、免許所持者の高齢化など狩猟を巡る課題は山積している。友人と狩猟に出掛けた川俣町の男性(73)はキジやイノシシを捕獲した。「原発事故直後は食べられなかったので無駄な狩猟と思い自粛していた。6年が過ぎ放射線量が落ち着いた種類の動物もいる。徐々にだが『食べる』という楽しみも出てきた」と話す。ただ、依然として出荷制限や摂取制限されている野生動物は多く、趣味として楽しめる範囲は限定的だ。県によると、15年度に県内で捕獲されたイノシシは約1万5千頭。このうち狩猟で捕獲されたのは全体の3分の1の約5千頭に上る。有害鳥獣駆除に次ぐ多さで、狩猟による捕獲は、農作物などの被害軽減に不可欠な状況だ。ただ狩猟者の高齢化は著しい。県内で狩猟免許を所持する人の約7割は60歳以上。有害鳥獣の駆除も担う狩猟者の確保のため、若手狩猟者の増加も欠かせない。県はワナを使う狩猟免許の試験を年3回から5回に拡大し新規取得者を対象とした技術講習会を開催するなど対策を急いでいるが、効果が表れるのにはまだ時間がかかりそうだ。県猟友会の阿部多一会長(85)=相馬市=は「狩猟者の高齢化に歯止めがかかっていない。狩猟免許試験の簡略化など、制度面の改革も必要ではないか。われわれも知恵を絞りたい」と話す。県内で銃やワナ、網を使って狩猟するには、毎年、県への登録申請が必要だ。県によると、2011(平成23)年度に3328人まで落ち込んだ登録者数は、16年度に3895人まで持ち直した。県自然保護課は回復要因について「農業者が鳥獣被害を防止するため、必要に迫られ狩猟登録する人もいるのではないか」と分析する。
(クマ猟9年ぶりに解禁:秋田)
秋田県内で15日、9年ぶりにクマ猟が解禁され、ハンターが早朝から山に入った。県は2009年度から生態系保全を目的に、県猟友会にクマ猟の自粛を求めてきたが、人里への出没が相次いでいることを受けて解禁した。猟期は来年2月15日まで。北秋田市の森吉山では、午前7時すぎに地元猟友会の男性3人が猟場に入った。弾薬や無線機などの装備を点検した後、ライフル銃を背負い、物音を立てないように気を配りながらクマの姿や痕跡を探し歩いた。
(狩りガール始動、題材マンガ人気で倍増:兵庫)
狩猟解禁日の15日、兵庫県内でも猟銃を持ったハンターが日の出とともに山や川、ため池などに繰り出した。姫路市では狩猟免許を昨年取得したばかりの女性狩猟者「狩りガール」が出猟。ため池のほとりでカモを狙い、真剣な表情で猟銃の照準を合わせた。姫路市の給食サービス会社に管理栄養士として勤める秋陽子さん(32)は免許取得後、この日が初めての猟だ。テレビや雑誌を見て興味を持ち、鳥や動物の解体が仕事に役立つと考えて免許を取得したという。この日は男性ハンターにまじって出猟。獲物がいるため池に近づくと、獲物のカモに気づかれないよう身をかがめ接近し、飛び立った獲物に猟銃を向けた。秋さんが参加したグループの解禁日の成果はマガモやカルガモ、ヨシガモなど約10羽だった。秋さんは「射撃場以外で猟銃を撃ったのは初めてで緊張した。慣れたら鳥以外にもシカやイノシシなどの大物猟に挑戦したい」と話していた。環境省の統計によると、2014年度の全国の狩猟免許保有者は19万3762人。うち女性は3184人だ。09年度に比べると全体の人数は横ばいだが、女性は倍増している。猟を題材にした書籍やマンガが人気になったことや、ジビエ(野生鳥獣肉)ブームが影響しているとみられる。免許保有者の高齢化が進む中、女性は有害鳥獣駆除の担い手としても期待されている。狩猟期間は来年2月15日まで。ただし自治体によって変動があり、兵庫県ではイノシシとシカに限り3月15日までとなっている。
(入猟者の検問・パトロール、280人体制で:群馬)
県内で十五日、狩猟が解禁となった。解禁初日の入猟者(正午現在)は昨年より十五人多い四百二十一人。県や市町村、県警、猟友会などが計約二百八十人体制で、各地で入猟者の検問やパトロールを行った。狩猟期間は、来年二月十五日までだが、ニホンジカとイノシシに限り同二月二十八日まで。ニホンジカは国の定める「一人一日あたり一頭」が解除されたため、昨年までの「オス一頭、メス制限なし」から「オス、メス制限なし」となった。農林業などへの被害が顕著なことから、昨年に引き続き、袈裟丸山、高山、川場、神津の四つの狩猟鳥獣捕獲禁止区域では、ニホンジカとイノシシを捕獲可能としている。県自然環境課によると、県狩猟者登録者数は十四日現在で、昨年より十三人少ない三千四百二人。この日、安中署では狩猟解禁となる日の出の前から、同市松井田町北野牧地区で検問を実施。入猟者の狩猟免許の所持確認、銃砲所持状態やわなを確認するとともに、県・市職員、鳥獣保護管理員らと猟野でのパトロールを行い、誤射などの事故防止への注意を呼び掛けた。
(狩猟解禁:京都)
近畿地方でも15日が狩猟の解禁日です。待ちわびたハンターたちが銃声を鳴り響かせました。京都府舞鶴市ではため池で羽根を休めているカモを狙って、ハンターがその時を待ちます。午前6時33分、解禁時刻の日の出とともに一斉に引き金を引きました。京都府で狩猟解禁の対象となるのはマガモやカワウなど鳥類26種とイノシシやシカなど獣類19種です。「たいしたもんやな。アオクビ(マガモの雄)やな」(ハンター)今年の初日はまずまずの滑り出しで、ハンターは猟の感触を確かめていました。狩猟は来年2月15日まで行われます。
(クマ猟解禁「恐怖心あるが心の準備」:兵庫)
北海道を除く全国一斉に狩猟が解禁された15日、兵庫県内でもツキノワグマの猟が再開された。生息数の増加で20年ぶりに解禁された昨年度は4頭を捕獲。兵庫はイノシシやシカを主に狙うハンターが多いが、クマに遭遇しても確実に仕留められるようにと気を引き締めて山へと向かった。クマ猟は絶滅の恐れから県が禁止したが、生息数が増えて人や農業への影響が広がったため再開。今年4~9月の目撃・痕跡情報は423件と昨年度の同時期より多く、人身被害も2件発生している。丹波市青垣町の同市猟友会青垣支部の猟師たちは午前8時ごろから事務所に集合し、地図を広げて入山ルートを確認したり猟銃を手入れしたりして準備。クマ猟の許可バッジを胸に着け、猟犬3匹を連れて山へ入った。猟歴50年以上という小谷隆司支部長(76)は「クマの捕獲は20年以上間隔が空いて恐怖心もあるが、心の準備はしておきたい」と話した。クマの狩猟期間は12月14日まで。県は昨年度より14人多い154人にクマ猟を許可。1人1頭までで、推定生息数の15%に当たる134頭を上限としている。
(狩猟技術継承急ぐ、農作物被害続出:岐阜)
狩猟が15日、解禁された。92歳にして岐阜県内最高齢の猟師鷲見米二(よねじ)さん=中津川市蛭川=はイノシシ捕りの名人だ。野生鳥獣による農作物被害が続く中、大きな役割を担う狩猟者だが、高齢化が進み、深刻な後継者不足に猟師の将来を憂う。「後に続くもんをつくらんと」。培った狩猟技術を次世代に継承すべく、猟を続ける。鷲見さんの狩猟歴は半世紀以上。今は一人でもできるわな猟「くくりわな」がもっぱら。山の地形、けもの道、イノシシの習性を熟知し、確実な場所にわなを仕掛ける。「他の人なら数日かかる猟も、米二さんなら1日」と中津川猟友会蛭川班事務局の小川正義さん(78)はその腕前に舌を巻く。有害鳥獣の捕獲依頼を受ける鷲見さんは生態系の変化を実感している。「昔は奥山にしかおらんかったイノシシが、餌がなくなったのか山を下りてきて、数も増えた」狩猟者の減少、高齢化は全国的な傾向。県内の狩猟免許所持者は、1970年度の1万5293人から、2016年度には3分の1の4797人まで減った。背景は「若い人の趣向が変わり、金と時間をかけてまで狩猟を楽しもうという人が減った」(県猟友会)ためとみられる。蛭川地区も例外ではない。かつては山仕事をする人が多く、70人ほどの猟友会員がいたが、現在は16人まで減り、60、70代が中心。技術を受け継ごうと鷲見さんからわなのかけ方を学ぶ勉強会を毎年開くが、若手の参加は少ない。「狩猟のこつは経験者に習うのが一番なんだが」と小川さん。「わな猟は手間がかかり、時間の融通が利く高齢世代が主力にならざるを得ない」と話す。行政も対策に乗り出した。鳥獣の捕獲体制が整わない地域では、市町村役場の職員が自ら狩猟免許を取る動きが出ている。県も有害鳥獣捕獲に従事する市町村職員の育成事業で後押しする。農作物被害の対策を講じるため近年、わな猟の免許を取る人が増え、狩猟免許所持者全体では4千人台で推移。田畑への柵設置も進み、県内の農作物被害は10年度の約4億8千万円から、16年度は約2億8千万円に減った。だが、イノシシやニホンジカの生息域が拡大し、新たな懸念も出始めた。岐阜大野生動物管理学研究センターの森部絢嗣准教授は「農作物対策は柵の設置で解決するが、個体数が増えれば交通事故や人を襲うなど生活被害も出てくる」と指摘。「狩猟者の確保は数だけでなく、捕り逃がさない狩猟技術の質も重要」と強調する。いかに技術を継承するかが課題となる中、明るい兆しも。蛭川では今年、40代の会員が新たに第一種の銃猟免許を取得した。鷲見さんは実践で技術を伝えようと、今季も山に入る。
(狩猟シーズンが本格化:滋賀)
鳥類の狩猟が十五日始まり、琵琶湖周辺では散弾銃でカモを狙うハンターの姿が見られた。シカとイノシシ猟は前倒しで一日に解禁されており、狩猟シーズンが本格化した。野洲市安治の家棟川には、夜明け前から十数人が集結。午前六時半の日の出とともに、上空を飛ぶカモに向けて発砲を繰り返した。昨年に比べると飛来数が少ないといい、猟果はいまひとつ。ハンターたちは「追われたカモは高く飛び、なかなか撃てない。ちょっと寂しい解禁日ですね」と、浮かない表情を見せていた。琵琶湖はかつて全国的に有名なカモ猟場だったが、一九七一年十一月に全面鳥獣保護区に指定され、狩猟はできなくなった。現在の猟場は湖近くの川筋などに限られている。家棟川で猟をしていた京都市の男性(60)は中学生のころ、父に連れられて琵琶湖のカモ猟に通った。男性は「前夜から宿に泊まり、舟に乗って湖に出た。当時はカモが多く、一斉に飛び立つと黒い竜巻のようだった。今思えばいい時代でした」と話し、散弾銃を手に遠くを見つめた。鳥類の猟期は来年二月十五日まで。シカ、イノシシ猟は三月十五日まで続く。
(ツキノワグマ狩猟開始日前倒し検討:岩手)
岩手県は平成30年度からツキノワグマの狩猟開始日を現行の11月15日からニホンジカやイノシシと同じ11月1日に前倒しすることを検討している。ツキノワグマに人間の存在や怖さを改めて学習させ、28年度に17件19人を数えた人身被害、45・4ヘクタール、3467万円に及んだ農業被害を減らそうという狙いで、実現すれば東北6県で初めてとなる。ツキノワグマの狩猟開始日の前倒しは今年6月に開かれた県環境審議会自然・鳥獣部会で県猟友会の菅野範正専務理事が提案した。野生鳥獣の狩猟期間は国の鳥獣保護管理法で基本的には11月15日~翌年2月15日と定められている。東北6県は同法に準拠し、ツキノワグマの狩猟期間を11月15日~翌年2月15日としてきた。野生鳥獣の狩猟期間は都道府県の判断で変更することができる。急速な個体数増加と生息域拡大で農業被害が深刻なニホンジカやイノシシはその典型だ。国も平成35年までに半減させたい方針で、東北6県も秋田を除く5県が狩猟期間を延長しており、岩手はニホンジカ、イノシシとも最長の11月1日~翌年3月31日だ。菅野専務理事の提案はニホンジカやイノシシの狩猟現場で生息域が重複するツキノワグマと遭遇するケースが増えたことがきっかけだった。厄介なのは11月1~14日にツキノワグマと遭遇した場合。狩猟期間前のため発砲できず、何度か危険な場面があったという報告が県猟友会に届いていた。解禁直後だった昨年11月20日、ニホンジカの四方を取り囲み、追い込んでから仕留める巻狩でツキノワグマが突然現われ、狩猟者1人が負傷した例もあり、ツキノワグマの狩猟解禁前の11月1~14日の間、狩猟者の安全をどう確保するかが急務にもなっていた。しかし、狩猟開始日前倒しの本来の目的はツキノワグマによる人身被害の予防だ。菅野専務理事はいう。「最近は人間を恐れないクマが増えている。人身被害を予防するには人間の怖さを改めて学習させる必要がある。すべて獲るのではなく、クマを追って人間の声や銃声を聞かせれば、人間の怖さを知りクマも人里に下りてこなくなる。クマに学習させるには現在の狩猟期間は短すぎる」県内のツキノワグマの生息数は3400頭という。個体数管理を担う平成29年度ツキノワグマ管理検討委員会が10月24日に開かれ、狩猟開始日の半月前倒しが議題となった。ほとんどの委員が狩猟期間の前倒しがクマに警戒心を与え、人里への出没抑制につながるとして支持、実現に向けて大きく動き出した。ただし、県側の提案が11月15日~翌年2月15日を11月1日~翌年1月31日に前倒しする内容で、委員から11月1日~翌年2月15日に狩猟期間を実質的に延長する意見が多かった。狩猟期間を変更できるのは県環境審議会自然・鳥獣部会で、来年6月か9月に開かれる部会で最終決定する。県自然保護課の小笠原誠総括課長は「狩猟期間の前倒しにはほとんどの専門家に同意をいただいている。関係機関と協議、調整を進めたい」としている。お隣の秋田は11年続いたツキノワグマの狩猟自粛を解除した。クマによる死者が出て不安が広がる県民感情に配慮したためだった。岩手の狩猟開始日の半月前倒しを含め、ツキノワグマの人身被害や農業被害を抑制するため、狩猟が個体数管理に果たす役割がいよいよ重要になってきた。
(クマ来ぬよう早期収穫呼びかけ:京都)
京都府南丹市と京丹波町は、冬眠に備えるクマを集落に寄せ付けないように対策を取るよう呼び掛けている。秋が深まり、食べ物を求めて活発に活動するシーズンに入っており、クマの目撃情報が寄せられているという。南丹市では5月から美山、日吉、八木の各町で「車から見かけた」「柿の木に登っていた」との目撃情報が17件あった。京丹波町では今年に入り30件の目撃があり、1日に和知地区のバス停付近でクマが府道を渡っていたとの報告もあった。人的被害は出てないが、今後、集落付近への出没が増えることが予想される。クマにできるだけ遭遇しないために、クマの活動時間帯である夕方から朝の外出は控え、出掛ける時は鈴など音の出るものを身につけることを呼び掛けている。他にクマを寄せ付けない対策として、家の回りのカキやクリは早期に収穫し、地面に落ちたものも除去する▽収穫しない野菜はそのままにしない▽生ゴミは野外に放置しない▽養蜂箱は撤去する▽山と集落の間にやぶや草むらは刈り取って見通しを良くする-などが挙げられている。
(帰還困難区域、無人の街を歩くイノシシ:福島)
東京電力福島第一原発事故から6年半余り。夜間は立ち入り禁止となる福島県双葉町の帰還困難区域は今も、震災当日の姿をとどめる。10月、同町の協力のもと、同区域内に複数の無人カメラを設置。月夜に照らされる町の様子を撮影した。時折、月が雲に隠れる中、わずかな光を頼りに長時間露光で撮影された写真は1万6166枚。写真には薄明かりの中に浮かび上がる無人の商店街を、自由に歩き回るイノシシの姿などが写し込まれていた。政府は9月、商店街を含む帰還困難区域の一部を「特定復興再生拠点」に認定。2022年には、拠点全域の避難指示解除を目指しているが、町に住民が戻るかはわからない。
(高円宮家絢子さま、新浜鴨場で接待:千葉)
伝統のカモ猟で外国大使らをもてなす皇室の冬の恒例行事「外交団鴨場(かもば)接待」が16日、千葉県市川市の宮内庁新浜鴨場であった。今回は高円宮家の三女絢子さまが、ドミニカ共和国やエクアドル、ナイジェリアなど8カ国の大使や大使夫妻らの接待にあたった。絢子さまらは網でカモ猟を行い、計146羽を捕獲。その後、カモの足に飛来調査用の標識を付けて放鳥した。絢子さまは放鳥後、「4~5羽捕れました。緊張しました」と笑顔で報道陣に話した。鴨場接待は毎年11~2月、約5回にわたって日本駐在の外国大使らを招いて実施されている。
(ここらへんの主とちゃうかの:和歌山)
日高川町山野の市川地内で16日、約130㌔あると見られる大物イノシシが捕獲された。捕まえたのは同地内の山際などにおりやくくりわなを仕掛けている地元の上田惇さん(74)=農業=。16日朝、いつものようにくくりわなをチェックしたところ、いままでに見たことのない大物が捕まっており、知り合いの猟師に依頼し散弾銃で仕留めた。体長1・4㍍の雄。猟師の見立てでは120㌔か130㌔はあるという。わな歴8年で、これまで200頭のイノシシやシカを捕まえてきた上田さんは「あまりの大きさに驚きました。周辺の畑を荒らしていたここら辺の主かもしれません」と話し、知り合いの猟師らも「こんな大きいのはめったにない」と目を丸くしていた。
(平安前期の幻の山岳寺院跡か、シカが草食べ発見:京都)
京都市左京区の山林で、平安時代前期とみられる建物2棟の遺構が17日までに確認された。周辺では、平安時代中期-室町時代の山岳寺院、如意寺跡が見つかっている。今回の建物跡は、如意寺の境内を描いた古絵図と一致せず、平安時代前期以前にあったとされる幻の「檜尾古寺」の可能性があるという。調査地は、大文字山(如意ケ嶽)の南約250メートルに位置する尾根の南向き斜面。昨冬、シカが広範囲に草を食べたことで複数の礎石が見つかった。元京都市考古資料館長で京都女子大非常勤講師の梶川敏夫さんと同大学考古学研究会の学生が8月に測量・調査した。尾根の一部を削り、2段の平たん地が造成されていた。それぞれの礎石の配置から、上段に東西15メートル、南北2・7メートル、下段の東部に東西14・4メートル、南北8・1メートルの建物があったとみられる。現場は1985年以降の継続的な調査で、園城寺(三井寺、大津市)の別院如意寺の大慈院跡と推定されていた。ところが、確認された地形と建物の配置は、室町時代前期の「園城寺境内古図」(重要文化財)で描かれた、一つの大きな平たん地に多くの建物が密集する大慈院の様子と大きく異なっていた。今回の調査では、平安時代前期の9世紀の土器や瓦ばかりが見つかった。調査地南部の山中では平安時代前期の安祥寺上寺跡の遺構が見つかっている。同寺創建に携わった僧の恵運(798~869年)が記した「安祥寺資財帳」には、寺域の北側が「檜尾古寺所」だとある。梶川さんは「今回の建物跡は、9世紀前半以前に設けられた檜尾古寺に関連する遺構ではないか」と指摘している。
(「テグス」を使ってカラス対策:石川)
金沢城公園周辺の地域でカラスによるふんの被害などが出ていることを受け、「テグス」を使ったカラス対策の実験が20日から始まった。カラスは、金沢城をねぐらにしていて、その周辺では、ふんの被害や観光地としての景観が損なわれるといった苦情が寄せられている。これを受け、金沢市では2年前からテグスによるカラス対策を行っていて、この日は大手町のビルの屋上にカラスが近づかないようテグスを張り巡らせた。市によると同じような実験を去年、兼六園下で行ったところ、9割以上のカラスが建物や木にとまらなくなったという。今回の実験は来年1月中旬まで行われる。
(シカ捕獲→メール、わなの「達人」参加し実験:北海道)
食害をもたらすエゾシカを効率的に駆除するため、NTTグループの情報通信業者が新型「くくりわな」システムの開発に乗り出している。わな普及に取り組むNPO法人ファーミングサポート北海道(岩見沢)と連携し、わなに付けたセンサーがエゾシカの捕獲場所をメールで知らせる仕組みをつくり、多数のわなを見回る手間を省く。20日に岩見沢市内で始める実証実験には地元のくくりわなの「達人」が参加し、その高い捕獲技術をシステムに生かす。ワイヤと踏み板から成るくくりわなは、エゾシカが板を踏むと木に固定したワイヤが脚を締め上げる仕組み。NTTPCコミュニケーションズ(東京)が5月、わなに付けるセンサーの開発に着手した。わなに獲物が掛かるとセンサーが携帯電話に位置情報メールを送り、どのわなか伝える。エゾシカ駆除は普通、銃を使い、くくりわなを使うハンターは少ないが、道エゾシカ対策課は「猟銃は規制が多く、危険もあり山中で使わざるを得ない」と言う。これに対し、わなは免許があれば広範囲に容易に設置できるが、効果的な捕獲にはエゾシカの通り道を把握するなど高い技術が必要だ。そこで、NTTインフラネット(東京)は、独自のくくりわなを使い年間150頭近いシカを捕らえる同NPOの原田勝男代表(77)と協力。実験を通じ原田さんのわな設置場所や捕獲成果をデータで蓄積してノウハウをまとめる。
(エゾシカから守る、サケの定置網を再利用:北海道)
白老町内の萩の里自然公園内に自生するキンポウゲ科の野草シラネアオイをエゾシカによる食害から守ろうと、同公園管理運営協議会のメンバーが15日、不要となったサケの定置網を再利用し、群落地を囲う保全作業を行った。かつて萩野の山林では、薪炭用材の伐採や木炭生産が盛んに行われていたが、石油などの化石燃料の普及により荒廃。約200ヘクタールある丘陵地の雑木林をふるさと創生事業で町のシンボルとなる公園にしようと町民が提案し、萩の里自然公園と名付け、町民による里山保全の取り組みが行われてきた。同公園内には道央圏の市街地の近くでは数少なくなっているシラネアオイの群落地があり、毎年5月下旬になると開花し、多くの人が足を運ぶ名所となっている。ただ、近年はエゾシカの生息数の増加によりシラネアオイなどの食害が懸念され、今年に入ってからは被害が多発。今後、こうした植物群落を維持できるかどうかが重要になっている。こうした危機的状況を踏まえ、同協議会が食害被害が激しいシラネアオイの群落地を守ろうと、地元漁協から不要となったサケの定置網を分けてもらい、群落地にシカが侵入しないよう保全する取り組みを始めた。この日は、メンバー8人が作業に当たり、山の斜面で高さ2メートルある網を木にくくりつけながら群落地を囲むように網を張る作業を実施。群落地の周囲約320メートルにわたって網を張る作業は、足元の悪い山の斜面のため3日間ほどかけて行った。同協議会は「これでシカが群落地に入らなければ、来年の5月にはシラネアオイが開花するだろう。ぜひ来年の開花時期を楽しみにしていてほしい」と話している。
(シカと犬の声で列車衝突防止:東京)
鉄道総合技術研究所(東京)は14日、走行中の列車からシカと犬の鳴き声を使った「忌避音」を響かせ、線路に侵入したシカを追い払って衝突事故を防ぐ手法を開発したと発表した。道内の実験ではシカの目撃件数が約45%減った。2019年度の実用化を目指す。シカが仲間に危険を知らせる「ピャッ ピャッ」という警戒声を3秒間流した後、シカが嫌う犬の「キャン キャン」という咆哮(ほうこう)音を20秒間流し、これを繰り返す。列車の先頭にスピーカーを設置し、実際の鳴き声に近い約90デシベルの音量で響かせる。接触事故が多い1~2月の夜に道内で行った実験では、走行距離100キロあたりのシカの目撃件数が通常時の13・6件から、忌避音を鳴らした場合は7・5件まで減った。
(携帯電波圏外も繋ぐ独自LPWA製品「オリワナ通信」:東京)
ICTを活用し、地方インフラ構築支援を行う株式会社フォレストシー(本社:東京都中央区、代表取締役:時田義明、以下フォレストシー)は、ワナ猟における有害獣の捕獲を通知するシステム「オリワナ通信(おりわなつうしん)」を2017年11月30日より販売の受付を開始致します。近年、全国で野生獣における農林業の被害が深刻化しています。そこで日本の森・里山・川・海全てが再び活力と豊かさを取り戻すために先ずは増え過ぎた野生動物の問題を解決すべく、最新の独自無線技術LP-WAVEとIoTシステムを駆使した新サービス「オリワナ通信」を開発するに至りました。「オリワナ通信」は通信範囲の広さ・省電力性に優れたLPWA無線技術を用いて、携帯電波が届かない山間部でも通信を可能にする独自規格LP-WAVE(えるぴーうぇいぶ)によりくくり罠・囲い罠・はこ罠の作動状況をリアルタイムに監視するシステムです。罠が作動すると利用者の端末へ通知が届き、迅速な後処理を実現。ワナ猟従事者の見回り負担を大幅に軽減できます。最大の特徴は250mWの高い電波出力と中継機能により、携帯電波も届かないような農地・林業・高山などでも簡単にインフラを構築できることです。さらにこの度、岐阜大学野生動物管理学研究センター森部准教授との共同研究により160kmの通信が確認されたことにより中継機能を活かせば最大640kmの通信が実現します。高齢者・農林業従事者の見守り、地滑り感知システム、野性動物を適正な状態に管理・保護を行う管理用端末も同じLP-WAVEを使用したインフラを応用して現在も開発を進めています。さらに野生動物捕獲の見廻り軽減と早期通知支援だけにとどまらず、捕獲したからには命を食として大切に頂く為の安全・安心を担保するトレーサビリティーシステム「ジビエド・タグ」の開発も進んでおります。また、学術研究機関と連携し、野生動物管理へも貢献します。
(ジビエ急成長:鳥取)
県は、県内のシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)を「とっとりジビエ」としてブランド化し、売り込みを図っている。県内でのシカとイノシシの処理頭数は2016年度で計2948頭となり、5年前の5倍。全国的にジビエを生かす取り組みが広がる中、食肉の品質確保や販路開拓を支援し、新たな県産ブランドとしての地位確保を目指す。高齢化や過疎化に伴い、全国的に地方でシカやイノシシの個体数が増え、田畑を荒らす有害鳥獣として問題化している。県は12年度から、捕獲した鳥獣を食材として活用する取り組みを本格化させた。県東部1市4町の狩猟者や食肉処理業者などと連携し、北海道から技術者を招いて食肉解体処理の講習会を開いたほか、販路開拓などを支援する専門のコーディネーターを配置するなどしてきた。県内のジビエ解体処理施設は12施設(16年度)にのぼる。うち、若桜町の処理施設「わかさ29(にく)工房」は6月、ジビエ処理施設として初めて県版「HACCP(ハサップ=危険度分析に基づく重点衛生管理)」の適合施設に認定された。県が同施設の食肉衛生管理に“お墨付き”を与え、商品の安全性を消費者や外食産業に印象づけるのが狙いだ。同施設は、首都圏や関西などのホテルやレストラン約100店舗と取引がある。10月には、農林水産物などによる地域活性化の成功事例を選ぶ農林水産省の「ディスカバー農山漁村の宝」で優良事例に選定された。施設管理責任者、河戸建樹さん(44)は「高級レストランやホテルは、衛生管理や安全性を特に重視する。県の認定により、新たに問い合わせが入っており、効果は大きい」と語る。また、県は約5年前から、首都圏の有名レストランやホテルで年1、2回、県産ジビエを食材として使ってもらう取り組みを開始。3年前からはイタリア料理の食材イベントに出展するなどし、PRを図る。県食のみやこ推進課は、「全国各地でジビエが食材として注目されるようになり、すでに競争が始まっている。いち早く『とっとりジビエ』を売り出し、新たな特産品として定着させたい」と話す。
(「ジビエ給食」、20小中と支援学校:大分)
有害鳥獣として捕獲後に加工されたイノシシ肉の消費を進めようと、日田市は市内の20小中学校と日田支援学校に「ジビエ給食」を初めて取り入れた。有害鳥獣の有効活用と、地産地消につなげる狙い。猟友会や肉の販売業者などでつくる市ジビエ推進協議会が費用の一部を助成して実現した。メニューは「イノシシ肉と根菜のみそ煮」。同市上津江町にある市獣肉処理施設で加工されたシシ肉150キロ(52万円相当)を使い、ニンジン、ゴボウ、こんにゃくなどとじっくり煮込んだ。調理を担当した栄養教諭の三宅祐子さん(35)は肉を薄めにスライスし、みそで臭みを消すように工夫したという。13日に中学校と支援学校、15日には小学校で実施し計5500食を提供した。光岡小6年の手嶋日向さん(11)は「初めて食べたけど、軟らかくておいしかった」と笑顔。三宅さんは「想像以上に好評だった。今後は、子どもたちの食育にもつなげていきたい」と話した。市学校給食センターは、同協議会の協力が得られれば、ジビエ給食を続けていきたいという。市によると、2016年度に捕獲されたイノシシは約1800頭で、年々増加傾向。農作物などの被害額は1122万9千円に上る。
(イノシシと「おいしく」共生を:愛媛)
「野生鳥獣の今を知ろう」と題した秋の読書週間企画展が今治市立大三島図書館(大三島町宮浦)で開かれている。16日まで。イノシシなどの地域特有の被害を知り、鳥獣との共存を探ろうという企画。記念講演では大三島の「しまなみイノシシ活用隊」隊長、渡辺秀典さん(40)が、島のイノシシを食材や皮革の「資源」として活用するまでの道のりを報告した。
(「信州ジビエフェア」始まる:長野)
イノシシ、シカなど長野県の野生鳥獣の活用を観光や鳥獣被害対策に生かす「信州ジビエフェア」が11月15日から県内や東京などで始まり、飲食店やホテルがジビエ・メニューを展開しています。16日のボージョレ・ヌーボーの解禁に合わせたイノシシ汁の提供など設定は多彩で、「信州ならではの料理を楽しんで」と、女性や観光客の関心の高まりに期待しています。信州ジビエフェアは今年で3回目。長野県内で増え続けているシカやイノシシなど野生鳥獣を駆除するだけでなく活用し、信州の独自のメニューとして観光客にも楽しんでもらおうとの狙い。11月15日の狩猟解禁に合わせてスタートし、各地で11月中の開催か、イベントにより来年2月末まで続けます。主なイベントのうち「信州ジビエ食べ歩き」は、県内外の飲食店32店舗が自慢のジビエ・メニューを用意し、それぞれ一定期間提供します。軽井沢では特別料理の「王様のジビエ」(2万3000円)を要予約で12月から1月にかけて提供するホテルレストランも。他のホテルでは「イノシシ肉と栗の軽い煮込み」(3000円)や、ジビエのディナーコース(1万6000円)なども。県内各地では長野市のレストランの「信州ジビエ鹿カレー」(1850円)、「鹿ロースのロースト」(2900円)、飯田市の「鹿肉のハンバーグセット」(1300円)、諏訪市の「鹿肉のステーキ」(2100円)のほか、東京・渋谷の店は「軽く薫製した信州鹿とフォアグラのテリーヌ」(3240円)を用意するなど多彩。変わり種では、かつ丼専門店の数量限定「鹿肉ソースかつ丼」(長野市・1750円)や「鹿の焼きギョーザ」(同・525円)、「鹿肉のみそ唐揚げ」(同・720円)、「鹿ロースの炭火焼き」(飯綱町・4200円)など店主が知恵を絞ったメニューが並びます。軽井沢の老舗ホテルは11月20日から来年2月28日までジビエディナー付き宿泊プランを予定。ほかに来年2月、都内で信州ジビエと長野のワインの特別講座を中心にした晩餐(さん)会も県などが企画しています。16日には、長野市の飲食店やブティックなどが集まる街路「しまんりょ小路」の店主らが「肉&ボージョレ・ヌーボーNight」と銘打ったジビエフェアの開幕イベントを街区の駐車場で開催。イノシシ汁で体を温めながらボージョレ・ヌーボーで乾杯しました。県林務部によると長野県がジビエ振興に取り組んで10年になり、この間、法律に基づくジビエの食肉処理施設は5か所から30か所まで増やしてきました。山野に増え続けるシカなどの駆除に加えて「消費者にジビエ料理に親しんでもらうことでシカ対策も進むことになる」と林務部。同時に観光の面では「宿泊プランと、県内で食べることができる豊かなジビエをセットにして誘客の有力なコンテンツに育てていきたい」としています。
(ジビエ料理、ハンバーガー開発・販売へ:埼玉)
皆野町の県立皆野高と小鹿野町の町立小鹿野中が、秩父地方で増えるシカやイノシシなどの野生動物の肉を使った「秩父ジビエ料理」の普及を図る活動を始め、地域活性化に一役買っている。小鹿野町などによると、秩父地域にはシカが1万頭以上、生息し、繁殖を防ぐため捕獲した数は2016年度で約3000頭に上る。野生動物による農作物や森林の被害は年々増え、夜間に車がシカやイノシシと衝突する事故も頻発している。
(ジビエ料理を実習、食べて命の大切さ学んで:和歌山)
地域の自然環境に対する理解を深め、命の大切さを学んでもらおうと、和歌山県海南市下津町丸田の市立海南下津高校で、シカとイノシシの肉を使ったジビエ料理の調理実習が行われた。同校食物科の3年生34人が参加し、腕によりをかけて調理に取り組んだ。同校の食物科は県内の高校で唯一、国家資格の調理師免許を取得できる学科で、生徒はホテルやレストランでの調理実習や年間2千食以上の弁当を作る給食実習に取り組む。その中でも3年生には総合調理実習で「専門調理師講習会」が年10回ほど設けられ、海南海草調理師会(中岡勲会長)に所属するプロの調理師らによる日本料理や西洋料理、洋菓子などの実技指導が行われている。今回の調理実習は同校で初めてジビエ料理を扱うため、県もシカとイノシシの肉各1・5キロを提供。県では、駆除して食べることで野生鳥獣による被害を減らす取り組みを学んでもらおうと、今月から県内の希望した小中学校などの給食用にイノシシやシカの肉を提供している。実習では、海南海草調理師会の調理師らがジビエ料理の作り方を指導した。献立はイノシシとシカの肉を炒めてご飯に盛りつけ、焼き肉のタレなどをかける「ジビエ丼」と、イノシシ肉をだし汁で煮立て、みそで味を調えた「猪汁」の2品。生徒は初めて扱う野生動物の肉の独特なにおいや固さにとまどいつつも、一口大に切ったり、汁のあくを丁寧に取ったりと、約50食分を手際よく調理。完成すると早速、なかなか味わう機会のないジビエ料理に舌鼓を打った。実習に参加した小原麻由さん(17)は「けものっぽいにおいに驚いたが、何とか調理できた。味も臭みが全然なくておいしかった。ジビエを食べて(野生鳥獣の被害を)減らす取り組みがもっと広がればいいと思う」と話した。
(来月からジビエフェスタ:和歌山)
腕自慢のシェフらが、狩猟などで駆除された野生鳥獣の肉「ジビエ」を用いた料理を提供するイベント「わかやまジビエフェスタ」(県主催)が、12月1日から来年2月28日まで県内の飲食店などで開催される。平成23年度から毎年開催されており、今回は県内のレストランや居酒屋、宿泊施設など50店舗が参加。県内で捕獲された野生のイノシシやシカ肉を提供する。各店舗では本格的なフレンチやイタリアン、ぼたん鍋、焼き肉などの趣向を凝らしたメニューが並ぶ。県内では近年、野生鳥獣による被害が深刻化。県全体での28年度の被害金額は約3億2800万円に上っている。このため、県では駆除したイノシシなどをジビエとして有効活用していくことを推奨。ジビエフェスタもその一環として実施している。今回のフェスタでは、各店舗を訪れてジビエ料理を食べた20人に抽選で5千円相当の「ジビエ詰め合わせ」がプレゼントされる企画もある。県畜産課の担当者は「この機会に、シェフたちが腕をふるったジビエ料理の数々をぜひ堪能してほしい」と話している。
(カモ肉出荷ピーク:秋田)
秋田県八郎潟町のカモ肉の出荷がピークを迎えている。同町字川口のマガモ生産組合加工販売所では20日、組合員とパート従業員の計8人が朝から肉をさばく作業に追われた。組合では毎年春に大阪の業者からひなを購入。有機栽培をしている大潟村の水田で約3カ月間育てた後、組合員が飼育し10月下旬から直接販売している。組合には現在、2人と1団体が加盟し、カモの飼育と加工に従事。鍋セットはお歳暮向けの需要が多く、近年は全国から注文がある。
(にぎわいフェスタ、「イズシカ」もPR:静岡)
伊豆市商工会修善寺支部は19日、同市の修善寺駅のにぎわいづくりを目指したイベント「い~ずらフェスタ2017」(市産業振興協議会共催)を同駅西口広場で開いた。同市の鹿肉やイノシシ肉をPRする「イズシカフェス」も同時開催され、大勢の来場者が楽しんだ。イズシカフェスは地元の飲食店や旅館8軒がイノシシ肉を使った独自の料理を販売し、人気を集めた。ステージでは鹿の鳴き声コンテストや音楽演奏などがあり、盛り上がりを見せた。猪鹿餃子は土肥分校商業科の生徒がイノシシと鹿の肉を使った水ギョーザとして授業で開発した。
(ジビエ売り場常設:京都)
京都市郊外の洛西ニュータウン中心部の商業エリア「ラクセーヌ」にある洛西高島屋は、郊外型百貨店だ。最近ブームのジビエ商品の常設コーナーがあり、政府関係者や自治体関係者の視察が相次いでいるという。同店の取り組みからジビエを一過性のブームで終わらせない方策が見えてくる。視察者の目的は1階の食料品売り場だ。何の変哲もないデパートの食料品売り場だが、多くの客が注目するコーナーがある。「ジビエ」コーナーだ。横幅120センチの冷凍ショーケースに、鹿やイノシシの肉、ソーセージなど14種類の商品が並ぶ。
(期間限定「ぼたん鍋」販売:三重)
松阪市飯高町宮前にある道の駅飯高駅の「レストランいいたか」は十六日、地元産イノシシ肉を使った冬の味覚「ぼたん鍋」の販売を始めた。毎年恒例の一人鍋。白菜やシメジ、長ネギといった地元産野菜などが具材に入り、国内産の原材料を使った特産のみそと香辛料で作ったスープで、ピリ辛に仕上げてある。田中正一駅長(55)は「期間限定の人気メニューでリピーターも多い。素朴な味を楽しんでほしい」と話している。
(“神の使い”「奈良のシカ」捕殺に賛否:奈良)
観光客が多く訪れる奈良公園(奈良市)の象徴として知られる「奈良のシカ」をめぐり、いま大きな論争が巻き起こっている。古来神の使い「神鹿(しんろく)」としてあがめられ、国の天然記念物にも指定されているが、手厚く保護されてきたがゆえに頭数が増加。市東部の山間部では農作物を食い荒らす被害が深刻化し、奈良県が7月、ついに捕獲・処分に乗り出したのだ。どこまでシカを守り、どうやってシカから人の生活を守るのか。今回の対象は奈良公園のシカではないが、捕獲をめぐっては賛否の議論が噴出し、シカと人との共生を改めて考えさせられることとなった。つぶらな瞳と人懐こいしぐさが愛らしい奈良公園の人気者。「奈良といえばシカ」。誰もがそうイメージするほどシンボリックな存在であるが、歴史をひもとけば、起源は奈良時代にさかのぼる。同市の春日大社には大社創建の伝説として、武甕槌命(タケミカヅチノミコト)(本殿第一殿の祭神)が白鹿に乗って鹿島神宮(茨城県)から奈良の御蓋山(みかさやま)に降り立ったという神話が伝わる。このため、春日大社境内や奈良公園一帯に生息する野生のシカは「神鹿」として信仰を集め、昭和32年には天然記念物に指定されるなど手厚く保護されてきた。だが、あまり知られていないのは、この天然記念物の指定範囲が「奈良市一円(旧都祁(つげ)村と旧月ケ瀬村を除く)に生息するニホンジカ」と極めて広範囲であることだ。奈良公園一帯で生息する人慣れしたシカと、公園から遠く離れた山間部で生まれ育った野生のシカは、その性格、行動範囲ともに違う。それでも、同じ「奈良のシカ」としてひとくくりに保護対象となっている。このことが奈良公園の内と外とでシカと人間との複雑な軋轢(あつれき)を生んでいるわけだが、この問題を考えるにあたり、まずは奈良公園のシカについてその生態を紹介したい。奈良公園一帯には現在、約1200頭のシカが生息しているとされる。これらは「野生」でありながらも、「奈良の鹿愛護会」(同市)によって24時間体制で見守られ、保護されている。出産期の春、妊娠した雌ジカは同会によって、奈良公園から春日大社境内のシカ保護施設「鹿苑」へと隔離される。獣医で同会事務局長の吉岡豊さんはその理由について、「自然な場所で出産するのが一番だが、(観光客の多い公園内で)子ジカに人のにおいが付くと、母ジカが育児放棄をしてしまうため」と説明。母ジカが子ジカを守るため、近寄ってくる人間を攻撃する恐れもあり、被害防止の意味もあるという。雄ジカが発情期を迎える秋になれば、鹿苑では雄ジカの角を落とす「角切り」が行われる。江戸時代から続く伝統行事で、雌ジカをめぐる雄同士のケンカに市民や観光客が巻き込まれるのを防ぐのが目的だ。人とシカが共生を続けてきた奈良ならではの、象徴的な行事といえる。人の保護下にある奈良公園のシカは、食生活も一般の野生のシカと異なる。奈良のシカが食べているもので、真っ先に思い浮かぶのが「鹿せんべい」だろう。シカが首を上下に振る“お辞儀”をして観光客に鹿せんべいをねだる姿は、おなじみの光景だ。だが、シカの主食は公園内のシバやススキ、イネ科の植物。鹿せんべいは小腹を満たす「おやつ」なのだという。鹿せんべいについて知ろうと、大正6年創業の鹿せんべい製造所「武田俊男商店」(同市)を訪ねた。原料はシンプルで、米ぬかと小麦粉のみ。それらを水で溶いて混ぜ合わせ、機械でどんどん焼いていく。焼き上がった鹿せんべいは10枚1セット(150円)で各販売所で売られる。同社では一日1万~1万5千枚を焼くという。店主の武田豊さんの了解を得て、焼きたての鹿せんべいを食べてみた。ほのかに香ばしいが、味がないのでなかなか飲み込めない。ちなみに販売所で売っているものは衛生上の問題から「食べないで」と念押しされた。この鹿せんべいは、愛護会の貴重な収入源でもある。資金は活動費となり、シカの保護にも使われる。一方、奈良公園から離れた山間部に生息するシカは人に慣れておらず、人里に下りては農作物を食い荒らす「害獣」としての存在感を際立たせる。農林水産省によると、平成27年度の野生鳥獣による農作物被害は全国で約176億円に上り、うちシカによるものが約59億円で最多だった。シカによる食害はそれほど脅威なのだ。実は奈良でも農作物被害をめぐるシカとの攻防の歴史は古く、江戸時代にはシカの侵入を防ぐ「鹿垣」が作られたとされる。明治11年には保護を目的に「神鹿殺傷禁止区域」が設定されたが、農作物被害を理由に、23年には区域が春日大社境内と奈良公園内に縮小されている。ところが、天然記念物指定時に保護区域が奈良市全域に拡大。再び被害が急増し、昭和50年代には農家による「鹿害訴訟」に発展した。訴訟の和解条項により、文化庁は同60年、シカの生息区域を保護の必要度順にA~Dの4地区に分類し、D地区は「天然記念物の保護上支障を及ぼす恐れがない場合」には捕獲を可能とした。だが、保護に重きが置かれていたため、これまで実際に捕獲した例はなかったという。転機となったのは昨年3月。市内での被害拡大を受け、県がシカの生息地域を奈良公園を中心とした「保護エリア」と、その外側の「管理エリア」に再編成し、文化庁の許可を得て、今年7月末から管理エリア内でのシカの捕獲・処分に初めて乗り出したのだ。捕獲場所は特に農作物被害の多い奈良市東部の東里、田原両地区に設定され、捕獲頭数は来年3月までに上限120頭と定められた。対象地域は奈良公園からは5キロメートル以上離れており、県は「距離的に奈良公園内のシカとの行き来はなく、公園のシカとは別の野生のシカだ」とする。だが、「県が天然記念物である奈良のシカを捕獲した」というニュースは衝撃を持って受け止められ、県内外で賛否が分かれている。自然保護団体「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は8月、荒井正吾知事に対し、「シカの捕殺を中止し、防鹿柵の普及と強化に予算を使うべきだ」とする要望書を提出した。要望書では、「天然記念物である奈良のシカの問題を、捕殺という生命軽視思想で解決しようとするなど恥ずべき行為。この大地は人間だけのものではなく、すべての生き物に生きる権利がある」と批判している。一方、奈良市の農家約400戸でつくる鹿害阻止農家組合の担当者は「田植え直後に苗を食べられ、稲が実っても稲穂をやられる。被害は深刻だ」と訴える。組合では市からの補助を受けて防鹿柵の設置を進めるが、担当者は「集落一面を完全に柵で囲まなければ意味がないが、金銭的な問題もあり難しい」と頭を抱える。新しい柵を設置する間に他の柵が老朽化し、さびたり穴が開いたりした部分からシカが侵入するといい、「いたちごっこが続く現状では、捕獲はやむなし。県は捕獲とともに、柵の設置費用の補助を国に強く要望してほしい」と求めた。捕獲は始まったものの、県によると11月6日までに捕獲されたのは10頭。このままのスローペースでは、3月までに目に見える効果を上げられるかは不透明だが、県は市内の農家を対象に農作物被害の増減に関するアンケートを配布しており、年度内には調査結果をまとめる予定という。来年度以降の捕獲地域や規模については、アンケートの結果などを踏まえて文化庁と再協議する方針で、県の担当者は「当面は捕獲を続けながら、人とシカとが奈良で共生を続けられる方法を考えたい」と話している。

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