<射撃ニュース12月>

12/29
(飼いイノシシ逃走、注意呼び掛け:徳島)
27日午後6時45分ごろ、徳島市八万町千鳥の住宅地にイノシシ2匹が出没した。飼育していたものが逃げ出した。けが人はいない。現場は八万小学校の南西約200メートル。捕獲されておらず、徳島東署などが注意を呼び掛けている。署によると、イノシシは体長約1・5メートルと約60センチで、民家の敷地内で女性が飼っていた。署員が周辺をパトロールしている。徳島市内では、眉山周辺でイノシシに公園などが荒らされる被害が相次いでいる。10月には南庄町で自転車に乗っていた70代女性にイノシシが衝突し、女性がけがを負った。
(“着服”事実確認へ:奈良)
鳥獣保護を目的とした県の放鳥事業で、今年10月に、県猟友会(中川徹会長)ナンバー2の副会長(会計担当)で鳥獣保護管理員の春田長嗣氏=奈良市二名3丁目=が、奈良市内で、県から放鳥委託されたニホンキジ20羽のうち一部しか放たず、着服したことが明らかになった問題で、事態を重視した県農林部は25日、ただちに事実関係の確認をすることと、春田氏および猟友会への法的な対応を含めて検討するよう指示した。内容が刑事事件になることから、告発も視野に入れているとみられる。会員らによって追跡され、“放鳥”した動向のすべてを写真およびビデオ撮影されていた春田氏は、この日も「すべて放鳥した」と話している。また中川会長も「話すことはない」と取材に応じていない。県の担当課によるとこの日午前、本紙報道を受けて春田氏から電話で「きちんと放鳥した」と連絡があったという。しかし、以前から「放鳥用のキジが横流しされていた」との情報が県にも寄せられていたため、会員らによる春田氏の分刻みの動向追跡の内容を重視しており、徹底した事実関係の確認を行い、対応する方針だ。
(イノシシ生息域北へ拡大:岩手)
かつて一度は岩手から姿を消した『野生動物』が今、生息域を拡大して、再び出没するようになっている。その野生動物は『イノシシ』。今月22日と23日、雫石町であわせて7頭捕獲された。雫石町では、ことしイノシシの出没が確認された町内3か所に県の協力を仰ぎながらワナを仕掛けていた。明治時代には、絶滅したとされる岩手のイノシシ、奥州市で目撃された2007年以降、この10年、生息域は北に拡大していて、昨年度は過去最高の94頭が捕獲された。被害を抑えるため、町では電気柵の設置について補助金を用意しているが、今年度は、春の段階で上限に達し、来年度は予算を拡大する方向で進めている。高い繁殖力に加え、警戒心が強く捕獲が難しいというイノシシ。被害防止に向けた対策に岩手も本腰を入れていかなければならない状況となっている。
(ニホンジカ捕獲目指し箱わな設置:青森)
青森県内で目撃が相次ぎ、植生への悪影響が懸念されるニホンジカ対策として、県は25日、本格的な捕獲事業に着手した。同日は深浦町内に箱わなを1基設置した。県が事業主体となって捕獲を行うのは初めてで、来年3月23日にかけ、箱わなや銃を使用し、同町など白神山地周辺で8頭、三八地域で45頭の捕獲を目指す。
(カモシカ見間違え?クマ目撃通報:東京)
カモシカをクマと見間違えたとみられる通報が青梅署に寄せられ、同署員や地元猟友会員が出動する騒ぎが26日あった。“クマ”が目撃されたのは青梅市小曽木の小曽木郵便局や市立第七小学校、第六中学校のそばで、猟友会員らが現場に急行。しかし、クマはおらず、現場付近を調べてもクマの足跡はなく、最も新しいものはカモシカの足跡だった。黒っぽいカモシカをクマだと思うケースは多く、全員が間もなく撤収した。猟友会によると、本物のクマが目撃されるのは山の中がほとんど。9月以降に人里での目撃情報が寄せられた3回とも、カモシカと見間違えた可能性が高いという。
(クマ目撃、5年で最多:北海道)
オホーツク管内でのヒグマの目撃件数が今年、過去5年で最多となる232件に達した。道警北見方面本部によると、地域別では北見署管内(北見、置戸、訓子府)が79件と最多。餌となるドングリなどの木の実が不作で、山から人里に頻繁に降りたことが主な理由とみられる。冬眠の時期に入ったが、同本部はあらためて出没への注意を呼びかけている。目撃数は今月26日現在で、個体のほか足跡やふんを含む。2012年以降は多くても170件台だったが、今年は200件を突破した。地域別では北見署管内に続き、網走署管内(網走、大空)が51件、斜里署管内(斜里、清里、小清水)が30件に上った。月別でみると、7月が最多の58件で前年同月を30件上回った。10月は前年同月比17件増の25件と大幅にアップした。
(サル出没、警察が注意呼びかけ:愛知)
名古屋市名東区の住宅街で28日、サルが出没。多くの人が目撃し、警察は見つけても近づかないよう注意を呼びかけている。警察によると、28日午前11時前、名古屋市名東区牧の里で女性から「サルがいる」と通報があった。近くで働く人は「まさか、こんなところでサルが現れるとは」と話していた。
(カラスの群れ千羽:和歌山)
和歌山県田辺市目良の元島で、カラスが集団で越冬している。日本野鳥の会県支部によると、以前から少しはいたが3年前から急増、今シーズンは800~千羽に膨れ上がっているという。朝は早く日の出前に餌場に飛び出していく。日没前になると元島の周辺に集まって乱舞する姿が見られる。何かに驚いたように一斉に飛び立つこともあるが、落ち着くとすぐに戻ってきて「カー、カー」と鳴き合っている。県支部会員によると、ハシブトガラスが多いという。「元島は2013年からカワウが繁殖地として使っていて最大で300羽ほどが飛来していた。カラスがねぐらに使うようになり、ここ2年は繁殖できていない」と話している。
(ドローン活用してニホンジカの行動調査:山梨)
南アルプス市のNPOがドローンを使ったニホンジカの行動調査に取り組んでいる。ドローンはシカの体温を感知する仕組みで捕獲効率の向上などが期待される。調査は獣害対策に取り組むNPO法人・「甲斐けもの社中」とドローンの販売を手掛ける「スカイリンクジャパン」が行った。ドローンには動物の熱を感知するサーモグラフィカメラが取り付けられていてシカがいれば黒く映る仕組み。気温が下がる夜のほうがより活動を捉えやすくなる。この日の調査では1時間ほどの飛行で5頭のシカを発見することができた。本格的な導入が進み行動が把握できればハンターへのシカの位置情報の提供や罠の設置に役立つと期待されている。甲斐けもの社中は「最新の技術を地域の課題解決につなげたい」としている。
(シカの列車事故減らすには:東京)
列車とシカが接触する事故を防ぐため、走行中の列車からシカと犬の鳴き声を流すと効果があることを鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)が突き止めた。シカは線路から遠ざかり、車内から見えるシカが4割以上減ったといい、新たな事故防止対策として来年度中の実用化を目指している。鉄道総研によると、シカは危険を感じると、「ピャッ」という甲高い声を短く繰り返し、仲間に伝える習性がある。さらにシカが嫌いな犬の「キャンキャン」というほえる声を組み合わせれば、相乗効果でシカを寄せ付けない「忌避(きひ)音」になると考えたという。鉄道総研は、シカが出没する夕方から深夜にかけ、走行中の車両から3秒間のシカの鳴き声と20秒間の犬のほえる声を流す検証実験を実施。その結果、車内から確認できたシカの目撃回数は100キロ当たり7・5件で、何もしなかった時よりも約45%減ったという。今後は長期間の実験で効果を検証するほか、シカの出没地点で自動的に音を発する装置の開発を進め、実用化を目指す。沿線に民家がある地域では騒音にならないように鳴らさないなど配慮するという。鉄道総研の担当者は「効果があれば、侵入を防ぐ設備を多くの場所に置く必要はない。山間部などでも有効で、鉄道会社に導入してもらえるシステムに仕上げたい」と話している。国土交通省によると、シカなどの野生動物との接触事故が原因となった運休や30分以上の遅れは、昨年度に全国で613件(前年度比185件増)あり、過去最多を記録した。シカの線路への侵入を防ぐ対策は、近畿日本鉄道が運行時間帯だけシカが嫌がる超音波を発して侵入させないようにし、終電から始発までは発信せずに自由に線路内に入れる「シカ踏切」で実績を上げている。
(わなにGPSセンサー、猟友会負担軽減:静岡)
ソフトバンクと連携し、低コストで市内広域をカバーする「LPWA」と呼ばれる情報通信網を構築している藤枝市で、通信網を活用した鳥獣害対策の実証実験が今月から実施されている。イノシシなどの捕獲わなに振動などを感知するセンサーをつけることで、高齢化が進む猟友会の見回りの負担を軽減させたい考えだ。22日には藤枝市時ケ谷のイノシシがよく出没する山間部で、志太猟友会藤枝第2支所の久住英樹・有害鳥獣捕獲班長(73)と、実証実験を行うIT企業・フューチャーイン静岡支店の藤本淳也さん(35)がイノシシの箱わなにセンサーを取り付ける作業を行った。実験は今年度末までで、計六つのセンサーを設置する。
(猟師後継、どう育成:岐阜)
「校庭にクマがいる!」。九月六日昼前、高山市栃尾小学校の教員が一一〇番した。高山署員らが駆けつけると、校内の至る所にクマの足跡があった。同署生活安全課の桂川子郎係長(57)は「一時間以上は歩き回っていただろう」と話す。雨のため、幸い校庭に児童はいなかった。署員や猟友会員らが集まってくると、クマは校庭の木の上へ。山へ戻る様子がないため、やむなく猟銃で殺処分した。学校周辺は住宅や商店などがあり、発砲には警察の命令が必要。「木の上にいる状態での発砲が最も安全と判断した」と桂川係長。小谷好広校長は「子どもや職員らに、けががなくてよかった」と振り返る。市によると、二〇〇七~〇九年度、クマの目撃数は年七十件以下だった。しかし、大量出没した一〇年度に二百件近くに達して以降、毎年百件以上の目撃があり、本年度は二十日現在で、既に前年度の三倍近い二百九十五件もあった。人里でのクマ出没が増えたのは、山での餌不足など多くの要因が考えられる。市農務課の大坪達也主査(54)は「狩猟人口の減少もその一つ」と推測する。実際、県内の狩猟免許保有者は昨年が約四千八百人と、一万五千人以上いた一九七六年の約三分の一。このうち約六割は六十歳以上で、高齢化も進む。クマをはじめ、シカやサルなどによる農作物への被害も深刻で対策は待ったなしだ。高山市など飛騨地域の多くの自治体は後継者育成のため、狩猟免許取得者に報奨金などを出す。飛騨猟友会も市街地の射撃場が老朽化したため、来秋完成を目指し、同市久々野町に新築移転を進める。栃尾小に出動した一人、猟師の中川敏雄さん(68)=同市奥飛騨温泉郷笹嶋=は「自分も野菜を作るので、被害を受けた農家の気持ちがよく分かる。少しでも力になりたい」と捕獲に協力する。「仲間は同世代が多いが、最近は女性猟師も数人いる」といい、今後に期待を寄せている。飛騨地域では腕の良い若い猟師が活躍している話や、人気のジビエ料理店の評判も耳にする。長年続いてきた狩猟文化を絶やさず、人と動物が上手に共存していく。そんな良い方法はないものか、知恵を絞ってほしい。
(小島千恵美さん、クレー射撃で育成強化選手に指定:群馬)
クレー射撃選手の小島千恵美さん(38)=桐生市梅田町一丁目=がこのほど、日本クレー射撃協会の育成強化選手に指定された。10月の2017年度全日本女子選手権大会トラップ種目で、リオデジャネイロ五輪出場の中山由起枝さんやアテネ五輪出場の井上恵さんら第一人者を抑え2位に滑り込むと、その勢いを駆って育成強化選手枠を見事に射止めた。狙うは2020年、東京五輪の代表切符。「最初で最後のつもりです」。支えてくれる家族や、職場である群馬デスコの同僚、競技仲間のためにも、年明けの合宿から勝負をかける。小島さんはかつてスノーボード選手だった。伸び盛りだった10代の頃には長野五輪を意識したこともある。だが、大切な時期にけがを負い、夢は早々に断たれる。メーカーと契約し、プロボーダーの仕事を続けたが、五輪は遠い存在だった。結婚し、2児の母となった小島さんの中に、再び五輪への思いが沸き起こったのは2013年。IOC(国際オリンピック委員会)総会で東京五輪の開催が決まった。「どうしても出てみたい」と、幼少時から身近な存在だった散弾銃を手に、クレー射撃を始めた。「父が狩猟をしていたので、家には昔から銃がありましたから」。ただ、実際に撃ったことはなく、文字通りゼロからの出発だった。幸い、クレー射撃場は足利、安中、日光と、桐生市の周辺に3カ所もある。「練習環境という面では恵まれています」。夫や親の理解を得て、仕事、家事、育児をこなしつつ時間をつくり、射撃場に通っては練習を繰り返した。「まずは銃と一体になること。数を撃つよう心掛けました」。銃を調整することの大切さ、上達へのアドバイスは、射撃場を通じて知り合ったベテランに学んだ。結果が出ない中、きっかけは突然訪れる。今年9月、福岡県で行われた秋季本部大会で2位に食い込んだ。翌10月、宮城県クレー射撃場で開かれた全日本女子選手権大会でも2位に。4ラウンド合計85点(満点100点)。オリンピック経験者2人を押しのけての躍進だった。日本クレー射撃協会から育成強化選手の試験を受けるよう誘われ11月に受験。今月7日、認定の合格通知が手元に届いた。全国で5人という狭き門だった。東京五輪への細い糸をようやくつかんだ。「次の段階に入った感じ。これまで以上に目的を明確にして練習に取り組みたい」と小島さん。年明けからは神奈川県伊勢原市で月に1度の合宿が始まる。体幹の強さはスノボで培われたもの。「撃ち方がうまい」といわれる理由も、センスの一言では片づかない。3キロ以上もある銃だが、「子どもを抱えるより全然軽いですから」。競技経験が浅い分、伸びしろはまだ十分。残された時間は2年。国内大会、そして世界大会で成果を出し、東京五輪の切符をつかむつもりだ。
(イノシシ油で地域ブランド:佐賀)
イノシシが大繁殖し、農作物を荒らすなどの被害が出ている佐賀県武雄市で、厄介者の油を使った化粧品がお目見えした。人間の脂質と成分が似ており、肌に浸透しやすく保湿成分を含んでいるとされ、地域の活性化につながる新ブランドとして期待が高まっている。武雄市ではイノシシと車が衝突する事故が相次いでいるほか、農作物の被害額は減少傾向にあるが年約200万~300万円で推移。市は電気柵を設置するなど駆除に力を入れており、2016年度に駆除したイノシシは約3千頭に上る。このうち約9割は鮮度が落ちていることなどから食用に適さず焼却処分されており、市や地元の猟友会が出資した「武雄地域鳥獣加工処理センター」が有効利用法を模索していた。松尾信行取締役は「馬油の製造をしている会社と掛け合い、化粧品開発に至った」と話す。佐賀市の化粧品会社「忠兼総本社」が商品の製造を担当。イノシシの脂肪を搾り出して加工し、レモングラスの抽出液と混ぜて馬油と似たクリームに仕上げ、11月に販売を開始した。「臭みもなく、天然素材で肌に優しい」とPRしている。.
(カワイイ農産物プロデュース:京都)
「カワイイ」イラスト入り容器やキャラクターで農産物をプロデュースするユニークな試みを、NPO法人里山ねっと・あやべ(京都府綾部市)が行っている。乳牛のキュートなイラストをあしらった瓶詰めの「モーモー米」や、マスコットキャラクターが愛らしい鹿肉コロッケ「シカッケ」で、環境への優しさもあって販売も好調だ。里山ねっと・あやべが「カワイイ」農産物のプロデュースを始めたのは3年前のシカッケから。急増で田畑や山林を荒らすため駆除されたシカの肉を入れたコロッケを開発し、親しみやすくと商品名をひらがな書きにした名前のキャラクター「しかっけ」を作ってチラシや包み紙に載せたところ、1個200円ながら3千個以上が売れるヒットとなった。

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12/25
(狩猟で銃暴発か、山中で男性死亡:宮崎)
23日正午ごろ、宮崎県延岡市北川町川内名の山中で無職、橋倉信明さん(69)=同市=が倒れていると、一緒に狩猟をしていた男性から110番があった。頭部には銃で撃たれたような傷があり、死亡していた。延岡署は狩猟中に散弾銃が暴発したとみて調べている。
(カモ猟の銃弾か、対岸の女性軽傷:滋賀)
23日午前9時ごろ、多賀町久徳の芹川河川敷近くで、自宅軒下にいた女性(61)の右足の膝に何かが当たった。赤く腫れており、軽傷。彦根署が調べたところ、約100メートル離れた対岸の河川敷で、大阪府高石市東羽衣5の男性(84)がカモ猟をするため散弾銃を撃っていた。銃弾は見つかっておらず、同署は銃弾か、小石など別の物が跳ねたとみて詳しく調べている。発砲場所は猟区内という。
(副会長キジ“横領”か、放鳥せず持ち帰る?:奈良)
鳥獣保護や狩猟の適正化を目的に県が年2回行っているニホンキジの放鳥だが、今年10月に実施した放鳥事業で、鳥獣保護管理員の春田長嗣・県猟友会副会長(会計担当)=奈良市二名3丁目=が一部しか放鳥せず、残りのキジを自宅に持ち帰っていたことが24日、奈良新聞社の調べで分かった。春田氏は取材に「受け取ったキジはすべて放鳥し、県にも報告した」と否定している。数年前から春田氏の“横領”疑惑が同会内にあったことから、これを問題視した会員らが、当日の春田氏の動向を追跡し、一部を放鳥して残りを自宅に持ち帰っていたことを突き止めた。県は「事実であれば刑事事件だ。告発も視野に入れて事実確認する」と話している。放鳥は、県が委嘱した鳥獣保護管理員が行うが、50人のうち47人が県猟友会会員であることから、実質的に猟友会の事業といえる。秋の放鳥は10月12日に行っており、当日の飛び入り参加を含め8地区8人が担当した。
(長野市が職員2人懲戒処分、準空気銃所持など:長野)
長野市は22日、銃刀法が禁じている威力の高いエアガン(準空気銃)などを所持したとして、地域・市民生活部の職員(48)を停職1カ月、配達先不明で返送された督促状などの処理を怠ったとして、財政部の職員(49)を減給10分の1(1カ月)のそれぞれ懲戒処分にしたと発表した。市職員課によると、地域・市民生活部の職員は、2015年12月ごろと16年6月ごろ、インターネットオークションで個人業者から準空気銃を1丁ずつ購入。16年10月に業者が銃刀法違反容疑で逮捕され、今年1月、購入者と判明した同職員宅などを長野中央署が家宅捜索し、自宅と職場のロッカーから準空気銃を1丁ずつ押収した。自宅では同法が所持を禁じる形のナイフなども見つかった。職員は11月、長野簡裁から罰金20万円の略式命令を受けた。職員課によると、職員は市の調査に、準空気銃は業務で有害鳥獣駆除の現場確認に行く際の動物からの護身用に買ったと説明。購入後に所持が違法だと気付き、「軽率だった」と話しているという。財政部の職員は今年7から9月、市から発送し、配達先不明で返送された督促状33通、催告書39通について、返送された記録を処理していなかった。うち40通は廃棄し、32通は自宅に持ち帰っていた。9月中旬、この職員の業務の遅れを心配した同僚が督促状などの処理状況を尋ね、未処理などが発覚。職員は「自分勝手な対応をしてしまった」と話しているという。市は、この職員2人の直属の上司に当たる課長級職員2人も書面で厳重注意とした。
(イノシシよけようとしタクシーが事故:広島)
23日午前0時20分頃、福山市霞町の駅前大通りで軽自動車が飛び出してきた2匹のイノシシを跳ねた。イノシシをよけようと後続のタクシーが中央分離帯に乗り上げ、運転手が軽傷を負った。イノシシは2匹とも死んでいた。福山市内ではイノシシが度々出没している。
(イノシシ衝突、2万人に影響:静岡)
JR東海道線菊川-金谷間で23日、上り普通電車がイノシシと衝突し、自力走行不能になった事故で、JR東海静岡支社は24日、後続の上下計41本が運休するなど約2万1500人に影響があったと発表した。車両の都合がつかなくなり、24日も島田-静岡間で上り1本が部分運休した。同社によると、イノシシと衝突した衝撃で先頭車両下部にある空気配管が損傷し、走行できなくなったとみられる。静岡市葵区の静岡車両区に車両を移動させ、詳しい原因を調べている。事故の影響で23日午後5時50分ごろから同10時20分まで4時間半にわたり掛川-島田間で運転を見合わせた。
(アライグマ急増、対策会議を設置へ:北海道)
十勝総合振興局は、特定外来生物のアライグマの捕獲数が急増しているとして、来年2月、市町村と連携した対策会議を設置する。十勝地方の捕獲数は2015年度の70匹から16年度には128匹に増加し、今年度は既に270匹を超え、激増傾向にある。生息域も年々拡大し、スイートコーンなどの食害がある。
(ニホンジカ越冬地で試験捕獲:青森)
県内で目撃が相次ぎ、植生への悪影響が懸念されるニホンジカ対策として、環境省は来年1月から、白神山地周辺の青森県深浦町で、シカの越冬地調査に基づく試験捕獲に乗り出す。シカは冬期間行動範囲が狭まり、雪の少ない場所で、群れで越冬するケースもあることから、効率的な捕獲作業が期待できるという。越冬地調査は昨年度から始まっており、同省は試験捕獲を通して効果を検証する方針。
(「ジビエ倍増」モデル地域へ:長野)
二十二日に閣議決定された二〇一八年度政府予算案では、農林業などを成長産業に育てるための新規事業が盛り込まれ、地方大学の振興も地方創生の新たな目玉とされた。県や市町村が今後、国の交付金などを活用した事業展開を目指す。農林水産省は新たな「ジビエ倍増モデル整備事業」として五億五千万円を計上した。イノシシやシカをすぐにさばける移動式解体処理車や保冷車の購入、保冷施設の建設に交付金を出し、ジビエが安定供給されてビジネスとして成り立つのを支援する。全国で十二地区程度をモデル地域にする計画で、県内では長野市が選定を目指している。市は年間六百頭を処理して肉十トンを販売する態勢を計画しており、担当者は「規模の大きな事業になるため、支援に期待したい」と話している。林業では、戦後に植林された木が育ち、木材利用に適した時期を迎えたことから、農水省が新たに「林業成長産業化総合対策」として二百三十四億円を計上した。これまでの林道整備などにとどまらず、製材業者などの加工施設整備や住宅以外の建物への木材利用拡大などを積極的に支援する。安倍政権が進める地方創生では、地方大学の活性化を通じて、地方に若者を定着させる政策が打ち出された。東京と地方の大学が単位交換などで交流する活動に国が補助金を出し、東京の大学が地方にサテライトキャンパスを設けるのを促進する事業も始める。阿部守一知事をはじめ各県知事が要望していた東京二十三区の大学定員抑制も、政府が次の通常国会に関連法案を提出して進める。阿部知事は二十二日の会見で「国の予算も積極的に活用しながら、県の高等教育振興に取り組んでいきたい」と話した。気象庁は、本年度の補正予算案も含めて総額約十億円をかけ、活火山の噴煙などを監視する望遠カメラ四十八台を高性能なものに更新する。県内四火山では、御嶽山の一カ所と浅間山の二カ所を来年三月末までに、乗鞍岳の一カ所を一八年度中に新しくする計画。夜間などに平常の白い噴煙と噴火時の黒い噴煙を見分け、噴石の状況も分析しやすくなる。公共事業では、大町ダム(大町市)などの治水機能を高める「信濃川・大町ダム等再編事業」に二億二千三百万円、伊那市の美和ダムなどを再開発する「天竜川・三峰川総合開発事業」に十億六千三百万円が計上された。いずれも前年度と同額。
(「サルが近くに!」住宅街で目撃情報:兵庫)
24日午前8時すぎ、兵庫県明石市松が丘3で、「サルが近くの木に登っている」などと110番があった。同じようなサルの目撃情報は、同日午後5時までに26件あり、明石署や市が注意を呼び掛けている。同署によると、サルは午前中に同市朝霧東町、太寺、人丸町などの住宅街で、正午ごろには明石公園でも目撃されている。午後には同市貴崎3、藤江などの住民らから通報があり、サルは午前から午後にかけ、同市内を東から西へと移動したとみられる。サルは体長1メートルほど。1匹で行動しているとみられる。住民らへの被害は確認されていないが、同署は「見付けたら目を合わさず、不用意に近づかないで」などと呼び掛けている。
(イノシシ増殖、被害対策が急務:岩手)
本県で生息域を広げ続けているイノシシが23日、雫石町御明神堂前で6頭捕獲され、増殖の実態が明らかになった。警戒心が強いため捕獲は難しく、本県ではこれまで大量捕獲した例が少なかった。明治期に本県から消えたイノシシが、奥州市で再び目撃されてから10年。繁殖力が高く、目撃情報は県北にも及ぶ。各地で農作物被害が報告されており、農業者や自治体は対策に追われている。6頭はセンサーで動きを感知し、閉じ込めるわなで捕獲された。同日朝、住民が見つけ、町職員が確認した。興奮したイノシシは柵に何度も突進。わなは12月上旬、町が目撃情報からイノシシが通りそうな山間部に設置していた。同町内での捕獲は本年度初めて。捕獲された6頭は生後半年程度とみられ、平均で体長85センチ、体重23キロ。半年もすると2倍の大きさになるという。監視カメラには10頭以上のイノシシが映っていた。1頭は県が行動調査のため、衛星利用測位システム(GPS)をつけて放した。同町内では昨年から農作物被害が頻発。同町鶯宿の伊藤信雄さん(73)は収穫前の稲を踏み荒らされたほか、水田を仕切る畦畔(けいはん)の土を崩された。畦畔の被害は農作物の被害額に入らない。伊藤さんは「手作業で直さなければならない。来春の作業が大変だ」と頭を抱える。
(1.5メートル巨体イノシシ捕獲:岩手)
雫石町西安庭の山間部で24日、体長約1・5メートルのイノシシが捕獲された。体重132キロの雄で、同町で23日に捕まったイノシシの約6倍もの巨体だった。捕獲されたイノシシは胴回り約1・4メートル、体高約0・9メートル。24日午前5時すぎに、箱わなに入っていた1頭を町職員が発見した。周辺はイノシシによる農作物被害が深刻な地域で、近くの水田では10頭以上の群れの目撃情報もある。
(専門家招き獣害対策講演会:愛知)
野生動物の農作物への被害を学ぶ新城市獣害対策講演会は来年1月21日午後2時から、JA愛知東本店で開かれる。同市では、各集落でシカやサル、イノシシの被害が増加しており、獣害対策が急務となっている。
(イノシシ捕獲、IoTわなで負担軽減:静岡)
藤枝市で、市内ほぼ全域をカバーするIoT(モノのインターネット)の通信網を活用し、イノシシの捕獲作業をより効率的に行うための実証実験が始まった。センサーによって、わなの捕獲状況をリアルタイムに通知するシステム。猟友会メンバーの高齢化が進む中、わなの見回りの負担軽減などを目指す。実験はIT企業のフューチャーイン静岡支店(静岡市葵区)が志太猟友会藤枝第2支所の協力を得て取り組んでいる。GPS(衛星利用測位システム)と振動検知を備えたセンサーをわなに付け、振動を感知すると登録した猟友会メンバーらのメールアドレスに連絡が届く。22日は関係者が集まり報道機関に仕組みなどを説明した。猟友会藤枝第2支所有害鳥獣捕獲班の久住英樹班長(73)によると、わなは設置した人が毎日、見回るのが原則。第2支所の捕獲班も高齢化の中で見回りは「大変な作業」という。12月上旬からスタートさせた。センサーは現在、第2支所の担当エリア内にある3カ所のわなに設置。設定によって夜中の感知情報を朝にまとめて受け取ることも可能。19日には3匹のイノシシがセンサー付きのわなに入るケースがあり、その際は1時間半ほどで約120回感知したという。フューチャーイン静岡支店によると、実験は2018年1月末までの予定。担当者は「猟友会の負担をどれだけ軽減できるか検証したい。結果的に農作物の被害軽減につながれば」と話している。
(イノシシ捕獲効率的に、ICT活用でわな見回り:栃木)
栃木県が昨年度から取り組んでいる情報通信技術(ICT)を活用した獣害防除対策実証事業で、効率的なイノシシなどの捕獲システムの報告会が21日、栃木県大田原市役所黒羽支所などで開かれた。県内の猟友会や市役所担当者ら約70人が参加。同市雲岩寺地区ではICTを活用したわなにイノシシがかかった様子を見ながら、システムの説明を受けた。県農村振興課によると、約15年前はイノシシによる被害は山間部に集中していたが、近年は県内全域に拡大。狩猟者の高齢化や地域の過疎化が深刻化している事情もあり、県は獣害対策の負担軽減が必要と判断し、ICTによる省エネ捕獲システムを研究している。新システムでは、熱源に反応するセンサーカメラをわなの周囲に設置し、インターネットで写真を確認できる。毎日実施していた見回りは、必要な時のみに省力化できるという。また、捕獲検知センサーも設置し、わなが作動すると登録者にメールが届き、イノシシなどの捕獲をすぐに把握できる。大田原市鳥獣被害対策実施隊の橋本公夫代表は「これまではわなの見回りのため1日80~100キロの距離を移動しなければならなかった。ICTがあればメールが来て心構えをしてから、わなのところに行けるので無駄がない」と話している。同課は「一定の効果がある」と新システムを評価。費用対効果を分析した上で、展示会を開くなどして普及を図るという。
(もしもイノシシに出会ったら:香川)
全国の市街地でイノシシの出没が相次ぐなか、高松市立東植田小学校で22日、イノシシと遭遇した場合の対処法を学ぶ出前授業が行われた。全校児童38人が万が一遭遇した場合は、静かにゆっくりその場を離れたり、棒で叩くなど興奮させないことなどを学んだ。
(シカ活用の商品続々:埼玉)
西秩父商工会や小鹿野町などでつくる「ちちぶのじか活性化協議会」が秩父地域で捕獲された鹿を活用した商品を相次いで開発している。鹿肉を使った缶詰や革製品の販売を道の駅や地域の飲食店などで始めたほか、価格が安い部位を使った新たな加工品も開発中だ。活用する部位を増やすことで1頭あたりの収益を高め、地域経済の活性につなげる。地域の特産物を使った缶詰を販売する旅缶(栃木県益子町)と共同で鹿肉シチューの缶詰を開発した。鹿のもも肉のほか、赤ワイン、シイタケなど秩父産の材料を使った。価格は1450円。すね肉などの価格が安い部位や骨、内臓を材料にした加工食品、鹿の角を使った商品も開発する。まず鹿の背骨でだしを取ったスープや鹿肉カレーといったレトルト商品を2017年度中に新たに販売する。草加市の革職人が集まった「レザータウン草加プロジェクト」と連携して革製品の品ぞろえも広げる。繊維の密度が高い特性を生かし、油分や水分をふき取りやすい汚れ拭きを第1弾として販売した。今後は革の切断や裁縫といった簡単な加工作業を住民に担ってもらうことで、地域内の雇用創出にもつなげる。商品開発と同時に害獣被害の啓発にも取り組む。地元旅館でキーホルダーなど簡単な革の小物づくりを観光客に体験してもらう。体験を通じて、鹿革の魅力や鳥獣被害について発信する。埼玉県によると、秩父地域1市4町で2016年度に狩猟や駆除により捕獲された鹿は約1660頭で、前年度を13%上回った。秩父産の鹿肉はわな猟で捕獲した後、迅速に処理作業に移ることで臭みが肉に移らないようにしている。同協議会はこれまで高品質な肉の特長や部位を紹介するリーフレットを作成するなど、販路促進に取り組んできた。もも肉やロースといった高級部位以外も使う方法を考案し、害獣として捕獲された鹿を無駄にしないようにする。
(シカ肉とフキの缶詰:北海道)
陸別町内の浜田旅館(陸別37)が、混ぜご飯の素(もと)となるシカ肉とフキの缶詰「秘境めし」を商品化した。1月から道の駅オーロラタウン93りくべつ内の観光物産館などで販売され、新たな陸別の特産が1つ加わることになる。食材のシカ肉とフキは陸別産、ゴボウとニンジンは十勝産。しょうゆと砂糖、みりん、酒で煮立てた。ご飯に混ぜて味わい、1缶で米2合分を想定している。考案したのは、これまでもシカ肉を活用した弁当などを手掛けてきた浜田旅館の浜田正志料理長。同旅館では5、6年前から混ぜご飯用にシカ肉とフキを提供しており、客に好評だったことから商品化することにした。総量は1缶200グラム。ごろごろと入ったシカ肉に臭みはなく、フキとの相性も抜群。シンプルな味つけだが、混ぜたご飯と絡み合い、かむほどにうま味が増して箸が進む。シカ肉を使用した陸別の特産は「鹿ジャーキー」や「鹿カレー」など多様にあるが、混ぜご飯用としたアイデアは初めて。日本一寒い町の「秘境めし」と名付けた。浜田料理長は「どこにもないものを考えた。ご飯の素としては日本にここしかない。厳寒で育ったシカ肉のうま味だけを引き出した」と話す。同旅館で調理し、缶詰め作業は釧路の業者に依頼する。
(ジビエ認証、早川の施設に:山梨)
シカ肉の処理施設の衛生管理を保証して需要拡大につなげようと、県は「やまなしジビエ認証制度」をスタートした。シカ肉の流通量を増やすことで、害獣駆除を促進する狙いもある。今月には、第1号として早川町の処理施設が認証を受けた。認証を受けるためには、〈1〉金属探知機の設置〈2〉食肉への放射性物質検査の実施〈3〉出荷した食肉の履歴の管理――などの基準を満たした上で、食肉処理や食品衛生の専門家らによる審査に合格する必要がある。認証の有効期間は3年間で、認証施設は出荷する食肉にシカの絵が入ったロゴマークを使用することができる。認証第1号となったのは、「早川町ジビエ処理加工施設」。施設を運営する「YAMATO」(早川町)によると、シカ肉は主に東京都内のレストランに出荷されるという。県畜産課によると、県内では、2016年度に1万4243頭のシカが駆除され、そのうち食肉として処理されたのは541頭(3・8%)にとどまっている。同課の担当者は「シカ肉の安全性をPRして販路拡大を図れば、駆除数も増えていく。農作物被害の減少にもつなげていきたい」と話している。県内では、富士河口湖町や丹波山村、北杜市の計3施設でも認証取得を目指している。
(仕留めた猪は責任もって処理するのがハンターの義務)
「食べない奴は続かないよ」。猟に参加するにあたり、リーダーのI社長に言われた言葉だ。命に向き合う狩猟は糧を得る行為である。世はジビエブームだという。テレビや雑誌でも見かけることが多い。獣害に苦しむ自治体では、食べることに関心が向き捕獲が進むことを期待し、ワークショップなども開催している。仕留めた動物は、責任をもって処理するのがハンターの義務だ。たとえば山中で仕留めた鹿や猪が大きく簡単に山から下ろせなければ、血抜き処理を施し、その場での解体も珍しくない。まず腹の皮だけをナイフで切り開く。内蔵を傷つけないよう細心の注意を払って外すのは、肉に臭みが回らないようにするためだ。つながったままの腸や胃袋は、冷気に触れ湯気を立てている。レバーや心臓を切り離し、ももやロースを皮からそぎ落としたら、ナイフ1本で関節も外す。「ここが背ロース。うまく外さないと食べるところが減っちまうぞ」「真っ白でキレイだろ、猪はこの脂がうまいんだよ」Sさんはグループの中でも解体の名人。皮と骨だけが残され、やがて見慣れた肉の塊が出現する。「生き物」が「食べ物」に変わる瞬間だ。「怖い」「気持ち悪い」「グロい」。一般的にはそんなイメージだろうか。しかし、大先輩たちの見事な手さばきを初めて見たときは、その高い技術に感動を覚えた。少し手伝わせてもらうが、学ぶことは多い。グループの猟では仕留めた者に権利があるが、全員で追い込んだ共有感もある。たとえばその日、10人で鹿と猪を獲ったならロース、もも、バラ肉など部位ごとに人数分に切り分けられる。猟期は、ほぼ毎週日曜日が狩猟日。17日は後輩の法事で欠席したので、12月24日が年内最後かと期待していたら、Kさんからの電話が鳴った。「年内は終わりです、また新年に。そういえばこの前は50キロ超の鹿を仕留めましたよ」「あ、そうなんですか。おめでとうございます…」うらやましい。年内に1頭は仕留めたかったが、年の瀬だから仕方ないか。前週、100キロ級の猪を逃したことを、まだ引きずっている。「新年最初の猟では」と気を取り直し、銃をロッカーにしまった。

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12/22
(無許可で子グマ2頭を射殺:東京)
東京都青梅市は19日、鳥獣保護管理法に基づく許可頭数を超えるツキノワグマを昨年度、射殺していたことが判明したと発表した。ツキノワグマが民家付近に出没するなどして人に危害が及ぶ恐れがある場合、都の許可を受けた上で、地元猟友会の協力を得て射殺を含む排除にあたるが、許可された頭数を超えて射殺することはできない。市は昨年10月に都の許可を受けて2頭を射殺した。さらに11月、同市成木で新たな目撃情報があり、都から1頭の射殺許可を受けた上で、猟友会会員9人が出動。この際、やぶから飛び出したクマが向かってきたため、会員が散弾を3発発射したところ、親グマ1頭と子グマ2頭の計3頭が被弾して死んだという。猟友会員らは事前に市職員から「できるだけ子グマは撃たないように」と言われていたので、親グマ1頭を射殺したことだけを市に報告。子グマの死体は解体したという。今年秋、都に「射殺したのは3頭だった」との情報が2件寄せられ、市が猟友会員らに事情を聴き、事実が判明。市は「猟友会に対し、厳重注意するとともに再発防止を徹底する」としている。
(ツキノワグマ、25年ぶり捕獲:岡山)
岡山県は19日、17年ぶりに解禁したツキノワグマ猟の狩猟期間(11月15日~12月14日)中に、美作市で1頭が捕獲されていたことを明らかにした。県内でのツキノワグマの狩猟は1992年以来、25年ぶりという。県によると、14日に同市内の山中で、わなに掛かったシカを狙っていた雄のクマ(体長約1・2メートル、体重約80キロ)を見回り中の猟師が発見し、ライフル銃で仕留めた。県は当初、猟期終了時点で報告がなかったため「捕獲ゼロ」としていたが、18日になって同市を通じて連絡があったという。県内では本年度、ツキノワグマの餌となるドングリ類が豊作で、出没件数は118件(15日現在)と過去最多だった前年同期(232件)から半減している。
(今年10頭、市街地でイノシシ出没相次ぐ:京都)
京都市で今年イノシシの出没が相次ぎ、市街地で10頭が確認された。6月には京都大の学生寮「熊野寮」に出現。11月には平安神宮近くで体当たりされた男性が腕の骨を折る重傷を負い、今月には紅葉の名所のライトアップが中止される事態に。市の担当者は生息域と市街地が近接する地理的要因を指摘する。4日、京都市左京区の東山中学・高校に2頭が乱入。中間試験真っ最中の校内は大騒ぎになった。いずれも捕獲され体長約1メートル、体重は60~70キロ。成獣の体つきだった。この日は紅葉の名所として知られる近くの永観堂禅林寺の境内でも1頭が確認され、同日夜のライトアップが中止に追い込まれた。さらに周辺でも2頭を確認した。市内でイノシシなどの駆除を行う猟師は約290人と「他の自治体に比べて恵まれている」(市担当者)。駆除の担い手が不足しているわけでもないのに、なぜ警戒心が強いとされるイノシシがたびたび街に現れるのか。個体数が増えている可能性を指摘するのは、京都市動物園の坂本英房副園長。「一般論として、イノシシの個体数そのものが増えている場合、餌が足りなくなって人間の生活圏に入ってきた可能性がある」と話す。一方、京都市の担当者は「食料を求めてというより、街中に迷い込んでしまっただけかもしれない」と語る。目撃例が多い市街地は山間部とほぼ隣接。イノシシと人間の生活圏の緩衝地帯となる農地が少なく、自分たちの生息域と勘違いして街中に現れやすいというのだ。相次ぐ出没を受け、市は防護柵や捕獲のためのおりを増やすなどの対策に追われている。
(市街地でイノシシ出没相次ぐ:新潟)
新潟県上越市では今年8月以降、直江津や高田などの市街地でイノシシが相次いで目撃されている。本年度の目撃件数は、2017年12月12日時点で60件。昨年度は1年間で計21件で、すでに前年の3倍弱となっている。市は「目撃情報のほとんどが、街中や人が生活している場所でのもの。十分注意してほしい」と呼び掛けている。市環境保全課によると、イノシシは中央3や五智1などの直江津地区、大豆の春日山城史跡広場を中心とした春日山地区、大貫や中田原など高田地区などの住宅地で出没している。特に8月以降は51件の目撃情報が市に寄せられた。9から10月には、国府1の蓮池公園に体長約60cmのイノシシ2頭が住み着いたと、近隣住民から通報があった。市は公園内に罠を設置し、10月22日に1頭を捕獲。もう1頭は間もなく姿を見せなくなったという。11月12日午後1時頃には、同市南本町3のいずみ幼稚園付近で、女子中学生(13)がイノシシ1頭を目撃。女子中学生によると、大きさは大人のイノシシよりも一回りほど小さく、南方向へ走っていったという。12月5日午前7時頃には、直江津駅北側の中央3や中央5などに体長約1mのイノシシ1頭が出没。午前10時過ぎには、西本町3のイトーヨーカドー直江津店の駐車場でも目撃された。市職員が正午頃まで捜索にあたったが、発見には至らなかった。付近の直江津小や直江津南小では同日、集団下校の措置が取られた。同課によるとイノシシは雑食で雑草やミミズなどを食べるため、木の実などの収穫具合により出没地が変化することはない。市街地での目撃件数が多くなっている理由は不明だという。同課の平野亨副課長は「もしもイノシシを見かけた時には、刺激を与えず、物陰や建物に隠れて安全を確保してほしい」と呼び掛けている。
(住宅地でサル目撃相次ぐ:兵庫)
神戸市内の住宅地などで今月10日以降、ニホンザルの目撃が相次いでいる。1匹が移動しているとみられ、西区で見つかって以降、山沿いに市街地を西から東へと反時計回りに移動。人への危害は報告されていないが、市は「見つけても近寄らず、通報してほしい」と呼び掛ける。市によると、最初の目撃は10日午後2時15分ごろ、神戸電鉄粟生線沿いの西区押部谷町木幡。11日以降は、須磨、長田、兵庫区で見掛けられ、12日午後1時45分ごろには、中央区諏訪山町の民家庭先でナンテンの木で実を頬張る姿が目撃された。サルは20日までの間に、六甲山系に沿って市街地を東へと移動し、再び北部に戻ったとみられる。いずれもサルは1匹で、「雄のサルを見た」という通報が複数ある。個体の大きさなどから、同一のサルが相次いで目撃されたとみられ、市の担当者は「単に群れからはぐれたのか。それとも、雄ザルのボス争いに負けたのか」と話す。東京都大田区などでも今月、ニホンザルが見つかり、警察官らが追う騒動になった。市は人などへの被害が確認されず、捕獲しようとすれば人に危害を加えかねないため様子を見守るとしている。21日にも北区で2件の目撃があり、市農政部計画課の岡田敦課長は「家の近くでサルを見つけたら、近付かず窓や出入り口の鍵を閉めてほしい」と話す。
(ニホンザル県内横断、注意呼び掛け:千葉)
13日の市川に始まり、船橋~習志野~千葉~佐倉の各市で目撃された同一個体とみられる野生のニホンザル。19日正午過ぎには、酒々井町の西隣り付近の佐倉市八木に達した。目撃情報が住宅街で相次ぐほどの大胆さ? で本県内を東に移動し続けている。今のところ人への危害はないが、越境を受けた各市は住民に注意を呼び掛け、県警は「発見次第捕まえる」とスクランブル体制で臨む。せわしい師走に人騒がせな…。各市などによると、サルの“本県初上陸”が確認されたのは13日午前9時25分ごろ、東京都との境に近い市川市市川の春日神社で。それ以前には、本県と都の間に横たわる江戸川の対岸、東京都江戸川区で12日に目撃された。それまでにも神奈川県や都内などで目撃が相次いでいたサルともみられる。サルの生態に詳しい日本モンキーセンター(愛知県犬山市)によると、「深夜や早朝など人の少ない時間帯に橋を歩いて渡ってくることはある。泳げもするが、真冬の寒さの中、そこまでしてやってくる可能性は低い」という。サルはその後、14日に船橋、15日に船橋と習志野、千葉の各市に進出。16日も千葉市で目撃された後、17日に佐倉市入りした。「サルの食料は主に果実や葉っぱ。市街地でも木の葉などを食べている可能性がある」(同センター)。19日午前6時50分ごろ、佐倉市藤治台で目撃され、同日午後0時10分ごろ、同市八木の和田ふるさと館での目撃情報を最後に行方不明に。いまだに潜伏の可能性が高い佐倉市や、住民の安全を守る佐倉署では、目撃情報があった付近で職員や署員がパトロールにあたり、市の防災無線や防災メールで注意を呼び掛ける。佐倉市の隣り、酒々井町でも、経済環境課を中心にサルの越境に警戒態勢を取り始めた。同町教育委員会は19日午後、児童・生徒に注意を呼び掛けるよう、町内の小中学校を指導した。県警地域課では「通報が来次第、捕獲するように」と、出没エリア周辺各署に指示している。千葉市動物公園のサル飼育担当、伴野修一さん(55)は「若い雄のニホンザルは生まれ育った群れから別の群れに移っていく習性があり、目撃されているのはたぶん雄。移動中に間違って山から市街地に出てしまったのかも」と推測し、「基本的に群れで動く動物なので、1頭で動くときは神経質になっているのでは」と分析している。
(タイワンザル根絶を発表:和歌山)
国が特定外来生物に指定している「タイワンザル」について、捕獲事業を行ってきた和歌山県は21日、県内での根絶宣言を出した。「この5年間、新たなサルは確認されず、根絶できたと判断した」としている。県によると、県北部の山林でタイワンザルが野生化し、2003年には推計で約300匹に増えたという。県は02年度から捕獲事業を実施し、12年度までに計366匹を捕獲。これまでにかかった費用は約5千万円という。県によると、タイワンザルは台湾原産でしっぽが長い。国内で飼育されていたものの野生化するなどし、ニホンザルと交雑して生態系を乱すことが問題になっていた。05年に特定外来生物に指定され、輸入や飼育は原則禁止になっている。
(耕作放棄地を子ヤギが除草:三重)
子ヤギが救世主に-。菰野町は、耕作放棄地の除草に子ヤギの力を借りることにし20日、効果を検証する事業を始めた。耕作放棄地の解消、獣害防止、排泄物の堆肥化、地域交流の活性化、という“一石四鳥”を狙う。この日、町立千種幼保園近くの耕作放棄地に、ヤギをレンタルする奈良県の業者から連れてきた子ヤギ2頭を放った。園児らが見守る中、育ち盛りの子ヤギたちはさっそく草を食み期待に応えた。周辺はイノシシやシカなどの獣害もあり、子ヤギの飼育地として管理することで防止できるとみている。子供たちにとっても動物との触れ合いの場にできることから、同町は、地域活性化にも貢献すると期待している。来年1月19日まで実施し、効果をみながらほかの耕作放棄地での活用を検討する。
(さまようクマ、杉林に現れ民家襲う:秋田)
11月16日午後7時半ごろ、家の外壁を激しく引っかく音がした。「ガリガリーって。これはやべえなど思って、警察さ連絡したんだ」。能代市二ツ井町の濁川集落に1人で暮らす藤田昇さん(67)は、クマが現れた夜を振り返った。通報を受けて到着した警察官が辺りを調べると、クマのものとみられる獣の毛が壁に付着していた。壊された壁の内側にはミツバチが巣を作っていて、その蜂蜜を狙ったようだった。クマにおびえた藤田さんはその夜、自宅から15キロ余り離れた道の駅まで移動し、車中泊した。
(さまようクマ、林業の浮き沈み直面:秋田)
能代市二ツ井町の国有林にある1万7千本余りの立木がきょう20日、公売にかけられる。「何とか売れてければいいどもな」。林に近い濁川集落の町内会長を長く務めてきた藤田政秀さん(86)は期待を寄せる。国有林の伐採跡地に住民がスギを植え、60年たったら販売収益を国と分け合う契約を結んだのが1957年。満期を迎えた今年、2度の公売が行われたが、入札はいずれも不調に終わった。「うぢの人が一生懸命世話した木なんだ」。妻ヒデさん(81)が、夫の労をねぎらうように言葉を添えた。国道7号から米代川を南に渡り、人家のない山あいの県道を10キロ余り進んだ先に、隠れ里のように家々が現れる。そこが濁川集落だ。
(さまようクマ、人を追い里に近づく:秋田)
由利本荘市矢島町の上野平(うえのたい)集落で、たびたびクマが目撃されるようになったのは、数年前からだ。その上野平から子吉川を挟んで南西に約5キロ。上野平の人々が、クマが元々いたエリアではないかと推測する鳥海山の北麓に、クマの名を冠した集落がある。「熊之子沢(くまのこざわ)」という。熊之子沢の歴史は古い。言い伝えでは、起源は鳥海山の修験者の子孫が住み着いた平安時代にさかのぼる。集落で生まれ育った佐藤永吉さん(68)=農業=は「鳥海山麓に暮らす人にとって、クマは特段珍しい存在ではなかった」と言う。祖父は山仕事や農作業の傍ら、狩猟も業としていた。主な獲物は川魚や野ウサギ。そしてクマも捕った。
(ハト、タカで追い払える?:長野)
松本市笹賀の市公設地方卸売市場で21日、タカ科のハリスホークでハトを追い払えるかを検証する取り組みが始まった。ハトのふんが問題になっており、市の委託を受けた鷹匠(たかじょう)、笹谷良一さん(57)=松本市=がハトの群れに向かってタカを放った。市は来年1月末まで計8日間検証し、効果を確かめる。市によると、市場に集まるハトは約130羽。備品がふんで汚れるなどの被害に悩まされ、建物に止まるのを防ぐネットを張るといった対策を講じており、より安価で効果的な方法を探っている。今回の取り組みは、タカを飼育して約30年になる笹谷さんが市に持ち掛けた。21日はハトが集まる午前7時半ごろから、水産冷蔵庫棟などの屋根に止まっているハトの群れに3歳のメス1羽を勢いよく放った。ハトは驚いたように飛び立ち、一時的に姿を消した。ただ、追い払ったハトが再び戻るなど課題も見えてきた。ハトを捕獲するわなの仕掛けも含めて事業費は約50万円。笹谷さんは「ハトに『安心できない場所』と思わせるため、タカを放つ時間や場所を変えていきたい」と話した。諏訪市も今月、市街地でふんを落としたり、ごみをあさったりして住民から苦情が出ているカラスの群れを、ハリスホークで追い払う実験をした。
(カラス追い払い、タカの力「有望」:長野)
諏訪市は19日、市街地でふんを落としたり、ごみをあさったりして住民から苦情が出ているカラスの群れを、タカ科のハリスホークで追い払う実験を始めた。鷹匠(たかじょう)2人が3羽を操り、諏訪湖畔のホテル屋上などに止まるカラスに向けて放った。20分ほどでカラスは姿を消し、市農林課は「効果があったと思う。さらに効果を見極めて本格導入を検討する」とした。委託を受けた大阪市の企業の鷹匠、佐藤稔さん(48)ら2人が午後4時すぎから、諏訪市湖畔公園や近くのホテルの屋根などに集まったカラスの群れにハリスホークを放った。カモの羽根を付けた偽の獲物をハリスホークが捕まえて、いたぶる様子も見せつけた。佐藤さんによると、諏訪湖畔からJR上諏訪駅の一帯に集まったカラスは千羽前後。若いカラスがハリスホークに近寄って鳴き声を上げて威嚇する一方、年を取ったカラスはホテルの屋根で静観していたという。佐藤さんらはこの日、ハリスホークと一緒に市街地を歩き、カラスを威嚇する実験もした。佐藤さんは「これまで経験した中で最もカラスが多かった。繰り返し追い払うことで寄り付かなくなったり、すぐに逃げたりするようになる」と話した。実験は20日も行う。市は、他県でタカを使った追い払いが効果を上げていることから初めて実験した。
(増える鳥獣害、進む高齢化)
農林業被害を及ぼす野生鳥獣を捕獲する担い手の確保と育成が急務となっている。農村では、捕獲従事者の高齢化などで被害防止対策が進みにくいのが実態。こうした中、雇用側と求職者の“マッチング”により人材を確保する動きが出てきた。東京都内で今月に開かれた求職イベントには、人材を求める団体や、捕獲に従事したい人が参集。女性の姿も目立った。就業相談や情報交換などが活発に交わされ、民間、自治体、地域を挙げた人材の育成を求める声が多く挙がった。日本獣医生命科学大学(東京都武蔵野市)が12月上旬、初の全国規模のイベントとして開催。各地で鳥獣害対策を行う団体でつくる「ふるさとけものネットワーク」が共催した。捕獲対策や資材開発、ジビエ(野生鳥獣の肉)加工などを行う14団体と、学生や社会人111人が参加し、会場は熱気がこもった。来場した山形大学大学院1年生の豊川春香さん(23)は、大学院では野生動物の保全について研究しており、学んだことを生かしたいと調査などを手掛ける企業のブースを回った。豊川さんは「多くの団体を知ることができた。農家と一緒に対策を考えていきたい」と、将来を見据えていた。佐賀県嬉野市の猟師、太田政信さん(29)は各地の取り組みを学ぼうと参加した。太田さんは、地域のイノシシ被害を見かねて農家から転身し、現在は地域の捕獲と箱わなの製造を手掛ける。「地域の人に喜んでもらうという捕獲のやりがいを教わった」と意欲を新たにしていた。担い手を求める団体側は一様に、目的意識を持った大勢の来場者に驚きを見せる。情報通信技術(ICT)を活用した捕獲システムを開発するアイエスイー(三重県伊勢市)の高橋完常務は「地域貢献という要素が、参加者が企業を選ぶ上で重要なようだ」と実感。「システムを活用してもらえるよう、企業と地域を結び付けてくれる人材に来てほしい」と期待する。長野県富士見町は、ジビエ加工を担う企業と連携し、地域おこし協力隊を募集する。「地域の猟友会と加工業のつなぎ役を探している」と、来場者と積極的に交流していた。農水省は、昨年12月の鳥獣被害防止特措法の改正を踏まえ、農作物の鳥獣被害の防止に向けた基本指針を見直した。鹿やイノシシの捕獲など鳥獣害対策の実務を担う「鳥獣被害対策実施隊」の機能強化へ、市町村が実施隊の人材育成に努めることや、国や都道府県も必要な支援に努めることを掲げた。行政への獣害対策支援を行う千葉県佐倉市のAMAC(エーマック)の浅田正彦代表社員は「金や物、ノウハウは成熟している。問題は使いこなす人間の育成だ。各地で対策を支援する組織や人材の育成を急速に整備していかなければならない」と話す。同大学の羽山伸一教授は「現時点で都道府県で鳥獣行政の職員のうち、専門的に関わるのはわずか100人ほどにすぎない。専門技術者を育成しなければ対策にいくら金をつぎ込んでも税金の無駄遣いだ」とし、「人づくりには時間がかかる。各自治体が自覚し、鳥獣害を政策課題にしていくべきだ」と指摘する。農水省によると、野生鳥獣による農作物被害は2015年度で176億円。環境省の調査では、北海道を除くニホンジカの個体数は約304万頭(前年度315万頭)、イノシシは約94万頭(同109万頭)で、増加傾向に歯止めがかかっている。全国的な捕獲対策の強化により一定の成果が上がってきたが、国は23年度までの10年間で生息頭数を半減する目標を掲げ、今後も捕獲を大幅に増やす必要がある。狩猟者数は高齢化などで減少してきたが、わな猟免許所持者の増加や新規の狩猟免許取得者は増加傾向にある。免許所持者の39歳未満の占める割合も増加傾向で、「免許保持者が活動する場を広げ、さらなる捕獲強化を進めたい」(環境省野生生物課)としている。
(渡り鳥行動範囲解明へ、GPSで追跡調査:宮城)
衛星利用測位システム(GPS)を活用して渡り鳥の行動範囲を解明しようと、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団とNPO法人バードリサーチ(東京)は、オオハクチョウとカモ類にGPS送信機を装着した追跡調査を始めた。渡り鳥の行動パターンを知ることで、鳥インフルエンザ対策の基礎情報を得たい考えだ。伊豆沼・内沼(登米市、栗原市)に飛来したオオハクチョウ5羽、オナガガモ3羽、マガモ2羽に送信機を装着。13日から調査を開始した。財団がマガモに送信機を付けるのは初めて。オオハクチョウ、オナガガモは主に餌付け場周辺で暮らすが、マガモは夜行性で行動範囲がほとんど分かっていない。財団の嶋田哲郎総括研究員は「マガモは鳥インフルエンザに感染してもほぼ発症しないため、ウイルスのキャリアー(運び屋)になっている可能性が高い。マガモの行動をしっかり追跡したい」と狙いを語る。伊豆沼・内沼には毎年、オオハクチョウ5000羽、カモ類6000羽、ガン類が8万~10万羽飛来する。今年3月には栗原市の養鶏場で、死んだニワトリからH5型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出され、約21万羽が殺処分された。
(カラス対策、研究羽ばたく:栃木)
宇都宮大学出身の研究者がカラス対策のベンチャー企業を宇都宮市で立ち上げる。2018年1月からカラスの被害に悩む自治体や農家、企業向けにコンサルティングをするほか、カラスの生理・生態を踏まえた駆除製品の開発・販売に乗り出す。同大学も支援する方針で、実効的な対策の実現を目指す。新会社名はCrowLab(クロウラボ)。総合研究大学院大学助教の塚原直樹氏が代表に就き、12月中の設立登記を目指している。宇都宮市の官民による起業支援組織「宇都宮ベンチャーズ」のインキュベーション施設に入居。市や県内の企業経営者から支援を受ける予定だ。塚原氏は日本のカラス研究の第一人者で宇都宮大農学部の杉田昭栄教授の下で学び、論文「ハシブトガラスの発声に関する研究」で博士(農学)を取得。15年にわたるカラス研究の経験・ノウハウを社会に還元するため、起業することにした。捕獲したカラスの料理も研究している。農林水産省によると、カラスによる農作物の被害金額は15年度で16億円と、シカ、イノシシに次ぐ水準。東京都はカラス対策費用として年間5000万円弱を計上しているほか、電力会社も年数億円かけて鉄塔や電柱などのカラスの営巣を撤去している。カラスの脳は思考や学習・感情をつかさどる大脳がきわめて大きく、知能はチンパンジー並みともいわれる。塚原氏はカラスが41種類の異なる鳴き声でコミュニケーションしていることを突きとめた。これまでも対策商品は発売されているが、しばらくするとカラスに見破られたり慣れられたりして、決定打がないのが現状。塚原氏は「大学での研究成果を生かし、科学的な根拠に基づいた対策を研究者自身が実行することで、カラス問題の解決につなげたい」としている。新会社では短期、中長期と2つに分けた対策メニューを用意。人工知能(AI)などを組み込んだ新型のかかしの開発を進めるほか、ごみや廃棄農作物など餌資源を減らす取り組みを効果的に広範囲で進める方法などを自治体に提案する。杉田教授が新会社の顧問に就くほか、宇都宮大は保有するカラス関連の特許使用権を格安で新会社に提供するなど事業化を支援する。
(「ジビエフェスタ」開催:和歌山)
和歌山県内の飲食店で現在、「わかやまジビエフェスタ」が開催されている。県内で捕れた野生のイノシシとシカの肉を、飲食店や宿泊施設でジビエメニューとして提供する同イベント。2011年から始まり今年で7回目。和歌山県の野生鳥獣による昨年の農作物被害は3億2824万円相当。過去10年の平均被害額が3億2000円と深刻な被害が続き、県はイノシシやニホンジカの捕獲に取り組んでいる。捕獲したイノシシやシカを地域の食資源として飲食店での活用や観光に生かそうと、解体処理施設や食肉流通システムの整備も進めている。事業者の衛生管理の取り組みを評価・認証する「わかやまジビエ処理施設衛生管理認証制度」や、脂肪の厚さや色の具合で肉質のランク付けを行う「わかやまジビエ肉質等級制度」を導入し、安全で高品質なジビエの提供に取り組んでいる。同フェスタでは県内の飲食店・宿泊施設50店舗が、和食・洋食・フレンチ・イタリアンなど、さまざまなジャンルのジビエ料理を提供。フランス料理ではシカ肉、日本料理ではイノシシ肉などが一般的だが、和食にシカ肉を取り入れるなど新メニューにも挑戦する。県庁畜産課の近藤早央里さんは「ジビエフェスタが始まった当初は40%程度だったジビエの認知度も、2015年には80%を超えるまでになった」と話す。「いきなり家で食べるのは難しいので、まずは飲食店で食べるきっかけにしてもらえれば。50軒の飲食店が工夫を凝らしたメニューを提供しているので、おいしいジビエを味わってほしい」とも。
(シカ肉料理、新たに2品:徳島)
シカ肉料理の開発に取り組んでいる徳島文理大短期大学部の学生が20日、新たに考えた「シカ南蛮」と「中華つくねスープ」のセットメニューを徳島市の同大学生食堂で販売した。南蛮はシカ肉独特の臭いをヨーグルトやショウガなどに漬け込んで消し、つくねは鶏肉や豚肉のミンチと合わせるなどしてシカ肉の硬さを解消するよう工夫した。生活科学科食物専攻の2年生17人が9月に那賀町の加工所で解体したシカ肉を使って、試作を重ねた。午前11時半から販売を始め、用意した100食を1時間ほどで完売した。価格は1食440円に設定し、このうち20円をアフリカの学校給食の支援に充てる。初めてシカ肉料理を食べた山城汐里さん(24)=保健福祉学部助産学専攻科1年=は「臭みはなく、軟らかくておいしかった。また食べたい」と話した。来年1月24日にはシカ肉を使ったドライカレーとトマト煮の新メニューを販売する。同大ではシカによる食害の軽減を目指し、2015年度からシカ肉を使った料理の開発と普及に力を入れている。
(猟師ユーチューバーの背中追う:山口)
「ギャン、ギャン、ギャン」。静寂に包まれた森に犬の咆吼が響く。「あっちだ」。倒れた十数メートルの竹をかき分けながら竹林を進むと、2匹の猟犬がイノシシを囲んでいる。猟師中谷慎太朗さん(31)=山口県周南市=は猟銃を構えるが、イノシシは周囲の土を赤く染め既に絶命していた。オレンジ色の帽子をかぶった頭にウエアラブルカメラを固定する。中谷さんは狩猟の様子を撮影し、動画投稿サイトで公開している「ユーチューバー」。9月下旬、相棒の猟犬リクとアルとともに同県下松市の里山に入る背中を追った。Tシャツ1枚で過ごせる心地よい秋晴れ。住宅地から数キロだが、空気は突如ねっとりとした湿り気を帯び始める。視界に黒い点がちらつき、気付けばおびただしい数の蚊が顔の周りを飛び交う。「とんでもないところに来てしまった…」。身長183センチの記者の体がすっぽり隠れるほど生い茂った草むらを突き進み、むき出しの木の根を素手でつかみ崖をよじ登る。クモの巣が顔にひっつき、長靴が取られる沼を抜ける。気付けばカメラとノートは泥だらけ、ペンはどこかで落とした。中谷さんと2匹は涼しい顔で約50メートル先を進み、情けないことに記者は底なし沼に長靴がはまり、動けなくなった。2匹がにおいを頼りに山中を駆け巡り、獲物を探す。力強くほえて立ち止まらせ、猟師が銃で仕留める「巻き狩り猟」。木々の陰など山のあちこちには仲間猟師が息を潜め、獲物を待ち伏せている。猟犬や他の猟師との共同作業だ。枯れ草に隠れたイノシシの足跡を見つけた。「30キロだな」。木に付いた泥からも大きさが推測できる。実が食べられた栗の殻、水たまり、山の中には猟のヒントがたくさんあり、頭の中で仮説を立てながら山を縦横無尽に走る。猟友会が自治体から委託を受ける有害鳥獣駆除として入ったこの日の収穫は、約10キロのイノシシ1匹のみ。犬が先に仕留めてしまい「こういうこともある」と苦笑い。運動不足の記者は、息を切らしながらシャッターを切った。後日、中谷さんは超大型の130キロのイノシシを仕留め、「重すぎて腰が壊れそう」と誇らしげに語った。猟の後は撮影した動画を自宅で編集する。トリミングしてテロップを入れ、1時間足らずで1本の動画に仕立てる。猟師目線で現場を疑似体験できると人気を呼び、動画を見られるユーチューブのチャンネル「中谷さんちの猟犬日誌」への登録者は7千人を超えた。高齢化で指導者不足のなか、動画は全国の若手の手本になっている。特に猟犬の育成は費用と手間が掛かることから、飼育をやめた猟師が多く、中谷さんの動画やブログには質問が集まる。響く銃声、流れ出す血潮―。「残酷だ」「命をなんだと思っている」。生々しい瞬間を捉えた動画には当初、ネット上で批判が殺到。「好きにさせておけばいい」と笑うが、「実は寝られない日もあった」。各地の若手から「動画を見て捕れるようになった」と報告があるのが救いだった。次第にファンが増え、代わりに反論してくれるように。「決して命を軽んじてはいないがこれが狩猟の現実。猟をそんなに難しいものだと思ってほしくない」高校卒業後に上京。通販会社、新橋の居酒屋店長、池袋のホストクラブ、巣鴨のキャバクラのボーイ。職を転々としたが、東京で初めて食べた鹿肉のたたきの味が忘れられず、2013年に地元山口で猟を始めた。「自分で獣を捕ってみたかったんよね」。ちょうど都会での生活に飽きてきた頃だった。猟師としての収入は微々たるもの。通販会社時代に学んだホームページの制作などで収入を得つつ猟を続ける。10月には東京で、ベテラン猟師や猟に興味がある人たちが集まって懇談する「オフ会」を開いた。今後は大阪や福岡でも開く予定。「猟を知るきっかけになれば」11月から初春は待ちわびた猟期。シーズン初めは巨大なイノシシと遭遇することが多い。死の危険もあり足は震えるが、体は自然と動いている。「怖さよりワクワクかな」。鋭い眼光は山に向けられていた。
(丹波布とシカ皮でお守り:兵庫)
兵庫県丹波市青垣町で受け継がれる国選択無形文化財「丹波布」にシカ革をあしらったお守りを、高座神社(同市青垣町東芦田)が1月1日から販売する。地元女性たちの手作りで、独特のしま模様の丹波布と、白くなめしたシカ革が柔らかな風合いを織り成している。養蚕の神様を祭ることから「蚕の宮」とも呼ばれる同神社。お守りは「地域のシンボルの丹波布を盛り上げたい」と梅只敏幸宮司(72)が発案した。革は有害獣として駆除されるシカを有効活用し、毎年生え替わる雄の角にちなみ「1年のスタートを無事に切れるように」との願いも込めた。お守りを手掛けたのは、地元の女性約10人でつくる「シカヤ」。シカ革と丹波布を組み合わせたもの作りに趣味で取り組んでいる。丹波布伝承館で製法を学んだメンバーが、糸紡ぎや草木染、織りまで全て手作業で仕上げた丹波布と、シカ革をミシンでこつこつと縫い合わせた。21日には、完成したお守りに神様を宿すための入魂式が執り行われた。梅只宮司は「一つ一つに真心がこもっていて、世界に一つだけのお守りです」と話している。
(トンボ公園イノシシ被害、鉄製柵設置へ寄付募る:高知)
高知県四万十市具同のトンボ自然公園の湿地が、1年を通してイノシシに荒らされている。公園を整備する「トンボと自然を考える会」は、池の環境悪化はトンボに影響が大きいとして、防護柵設置を計画。必要な資金の寄付を呼び掛けている。

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(競技用ライフルと弾80発積んだ車盗まれる:茨城)
14日午後9時45分ごろ、茨城県筑西市玉戸のパチンコ店で、栃木県小山市の無職男性(64)から「車が盗まれた」と、110番通報があった。男性は「競技用ライフル銃1丁と弾を積んでいた」と話しており、県警筑西署は窃盗事件として調べている。署によると、男性は14日午後3時ごろ、ケースに入れた競技用ライフル銃と約80発の弾を乗用車内に置いたまま、パチンコ店に入店。パチンコを終えて同9時45分ごろに駐車場へ戻ったところ、乗用車ごとなくなっていたという。男性は栃木県公安委員会から銃の所持許可を受けており、14日は午前中に茨城県桜川市の射撃場で練習をしたという。銃と弾を目の届く場所で保管していなかったことから、署は銃刀法(保管義務)や火薬類取締法(運搬基準)に違反していた疑いがないかも調べる方針。射撃競技の関係者によると、競技用ライフルの弾頭は鉛製で、直径が5・6ミリ。人に向けて撃つと、大けがをする可能性があるという。
(盗難ライフル銃所持、疑いで男逮捕:茨城)
筑西市玉戸のパチンコ店で14日夜、競技用ライフル銃や実包を積んだ乗用車が盗まれた事件で、県警捜査3課や筑西署などの合同捜査班は15日、乗用車とライフル銃を保管していたとして、土浦市神立中央3、自称会社員、佐々木純容疑者(43)を盗品等保管と銃刀法違反の両容疑で現行犯逮捕した。容疑を否認している。逮捕容疑は15日午後1時50分ごろ、かすみがうら市宍倉の有限会社「トラスト」所有のヤードで、パチンコ店で盗難被害に遭った小山市の無職男性(64)の乗用車(時価約100万円相当)を盗品と知りながら保管し、積んであったライフル銃1丁を事務所で所持していたとしている。県警は実包全約80発も押収した。同課によると、14日深夜から15日未明にかけて、つくば市内で乗用車が走っていることを確認。パチンコ店の防犯カメラに映っていた車も土浦市内で発見し、あとを追っていた。15日には筑西署や土浦署など12署でヤードの一斉立ち入りを実施し、トラスト所有のヤードで乗用車を発見したという。
(シカを避けたか、男性死亡:北海道)
釧路市の自動車専用道路で15日未明、軽乗用車とトレーラーが正面衝突する事故があり、軽乗用車を運転していた男性が死亡しました。警察では、男性はシカを避けようとしたとみて調べています。事故があったのは、釧路市広里の「釧路外環状道路」です。午前3時40分ごろ、厚岸方向に走っていたトレーラーと白糠方向に走っていた軽乗用車が正面衝突しました。この事故で軽乗用車を運転していた釧路町の難波正昭さん(33)が死亡しました。一方、トレーラーの男性運転手にけがはないということです。当時、路面は凍結していたとみられ、警察は軽乗用車が道路上のシカを避けようと対向車線にはみ出した可能性が高いとみて調べています。
(イノシシが猟友会の男性襲う、男性は大けが:広島)
16日午前11時ごろ、広島市安佐南区の住宅地近くの山の斜面で、猟友会の男性がイノシシに襲われました。目撃者によりますと、転がり落ちた男性は、顔を強く打つなどして大けがをしました。男性は、前足がわなにかかったイノシシの様子を確認するため、近づいていましたが、わなが外れたということです。
(イノシシにかまれ2人けが、警察が捕獲:兵庫)
17日午前8時25分ごろ、神戸市東灘区の路上で、歩いていた同区の男性(70)がイノシシに尻をかまれた。約5分後、西に約500メートル離れた路上で、通勤途中の同区の男性(44)が左太ももをかまれた。いずれも軽傷。 目撃情報から、東灘署が同じイノシシとみて捜索。午前11時前、現場近くの住民から「イノシシが歩いている」と通報があり、署員が捕獲、地元猟友会に引き渡した。同署は、体長や発見場所から、2人を襲ったイノシシの可能性が高いとみている。同署によると、捕獲されたイノシシは体長約1メートル。2人とも後ろから襲われた。2人目の男性はかまれた後、再び襲いかかってきたイノシシの顔を蹴って追い払った。
(県内捕獲の鹿肉、全面出荷禁止:宮城)
国の原子力災害対策本部は13日、同災害対策特別措置法に基づき、石巻地方を含む宮城県内で捕獲されたニホンジカの出荷・販売を全面禁止とする制限指示を出した。先月の国のモニタリング調査において、栗原市で捕獲された個体から基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたことによるもの。一方で、石巻市内での同様の調査で基準値超過はこれまで出ていない。そのためニホンジカによる食害の解決と鹿肉のブランド化を推進する県は、検査体制を強化するとともに国に対して規制の部分解除を求めていく。県内では平成25年に気仙沼市内で捕獲された個体から基準値を超える放射性セシウムを検出し、県独自で同市内における出荷自粛を要請。今回、新たに栗原市内でも同様の事案があったことから、国が全県での規制を指示した。石巻市内では近年、ニホンジカの生息域拡大による農作物被害が拡大していることに加え、有害駆除を行う猟友会会員の高齢化と減少も深刻化。それらの解決へ食用肉としての普及に注目が集まっている。また、市場に出荷するための解体処理施設は県内2カ所で、いずれも石巻市内にあることから産業への影響も懸念される。県では現在、これまでの調査で同市内での基準値超過が一切ないことから、規制の部分的解除へ向け、国と調整を進めているという。鹿肉の出荷制限指示の一部解除に関しては、ジビエ(野生鳥獣を食材として狩猟で捕獲)振興を進める長野県で前例があり、今月7日の指示当日に富士見町で放射性物質検査の体制を整えたことで解除に至っている。宮城県でもこれらを参考に検査体制を強化し、早急な解除申請に向けたい考えだ。地域課題解決と資源の活用を目的に、石巻市小積浜の鹿肉処理加工施設建設に関わった一般社団法人リボーンアート・フェスティバルの松村豪太事務局長は出荷制限指示について「率直にショックだが他地域とは言え、基準値を超えたのは事実」と受け止めつつ、「石巻では一切問題がないのも事実。食の安全を第一に関係機関と調整し、これまで通り牡鹿の食のブランド発信へ力を注ぎたい」と話した。同法に基づく指示は主に県内で生産・捕獲される農水産物に関する出荷や、県外への移動を規制するもの。石巻市と東松島市にはこれまでの指示で、露地において原木を用いて栽培されたシイタケなどに出荷規制がかけられている。
(ダニ媒介脳炎ウイルス、全国に広く存在か)
北海道特有の病気と考えられてきた「ダニ媒介脳炎」という感染症について、北海道大学などの研究グループが調査を行ったところ、本州などでも野生のイノシシなどが、原因となるウイルスに感染していた可能性があることがわかりました。研究グループはウイルスが全国に広く存在するおそれがあることを示す結果だとして、さらに詳しい調査を行うことにしています。国立感染症研究所によりますと、ダニ媒介脳炎は、ウイルスを持ったマダニにかまれることで発症するウイルス性の感染症で、重症化すると脳に炎症がおき、発症した患者の死亡率はおよそ30%とされています。国内ではこれまでに4人の患者が確認されていますが、いずれも北海道に住んでいたことなどから、これまでは北海道特有の感染症と考えられてきました。北海道大学と国立感染症研究所の研究グループは、去年までの過去16年間に愛媛県や京都府など西日本を中心とする19の府県で捕獲された野生のイノシシやクマ合わせて299頭から採取した血液サンプルを分析したところ、全体の13%余りに当たる合わせて40頭から、ダニ媒介脳炎のウイルスに感染した可能性を示す抗体が検出されたということです。抗体が検出されたのは10の府県のサンプルで、このうちイノシシについて都道府県別で見ると、広島県で4頭中3頭、愛媛県で41頭中16頭、高知県で6頭中2頭でした。研究グループはダニ媒介脳炎のウイルスが全国に広く存在するおそれを示す結果だとしてさらに詳しい調査を行うことにしています。北海道大学の好井健太朗准教授は「北海道からウイルスが拡大しているというよりも、本州に古くから存在することにいま気付いているということかもしれず、さらに精度を高めた調査を行っていきたい」と話しています。また、国立感染症研究所の林昌宏室長は、「原因不明の感染症にこうした病気が含まれている可能性もあり、実態の解明を進める必要がある」と話しています。ダニ媒介脳炎は、原因となるウイルスを持つマダニにかまれることで感染するウイルス性の感染症です。感染すると1週間から2週間程度の潜伏期のあと、発熱や頭痛、それに筋肉痛などのインフルエンザのような症状が現れ、その後、症状はいったんなくなります。そして、2日から3日ほどして脳に炎症が起きて、マヒやけいれん、それに知覚異常などの症状が出て死亡するケースもあり、発症した患者の死亡率は30%余りとされています。有効な治療法はなく、患者は痛みや炎症を抑える対症療法を受けることになりますが、脳炎が起きた場合には回復してもおよそ半数の患者に手足のマヒなどの重い後遺症が残るということです。厚生労働省と北海道によりますと、国内では平成5年以降、去年8月とことし7月にいずれも北海道に住む40代と70代の男性が相次いで死亡するなど、北海道で合わせて4人の患者が確認されています。ダニ媒介脳炎は確認された患者がいずれも北海道在住であったことなどから、国内では北海道特有の感染症ではないかと考えてきました。一方、同じウイルスによる感染症は海外では知られていて、ロシアからヨーロッパまで広い範囲で患者が確認されています。海外では、ワクチンが製造されていて感染前に接種することで感染や重症化を予防することが可能だとされています。
(列車とシカの接触相次ぐ:北海道)
14日夜と15日朝、道内のJRで列車とシカの接触が2件発生し、運休や遅れが相次いだ。14日午後9時半ごろ、オホーツク管内遠軽町のJR石北線生田原駅構内で、札幌発網走行きの特急オホーツク(4両編成)がシカと衝突。乗客29人にけがはなかった。列車は17分遅れで運行を再開したが、運行後の点検で車輪に基準値を超える傷が3カ所見つかった。修理のため、15日午前の網走発旭川行き特急大雪1本を運休、約60人に影響が出た。JR北海道によると、車輪の傷は非常ブレーキをかけた際にできたとみられる。15日午前6時半ごろには、胆振管内白老町の室蘭線萩野―北吉原間で苫小牧発室蘭行き普通列車(1両編成)がシカと接触。乗客らにけがはなかった。特急1本と普通列車3本が最大2時間遅れ、計約400人に影響が出た。
(常磐道でイノシシと軽ワゴン2台衝突:福島)
16日午後4時30分ごろ、富岡町の常磐道で、上下線を走っていた軽ワゴン車2台がそれぞれ同じイノシシ1頭に衝突した。けが人はなかった。県警高速隊によると、イノシシは上り線で軽ワゴン車とぶつかった後、中央分離帯を乗り越えて下り線に侵入、別の軽ワゴン車とも衝突した。イノシシはその場で死んだという。事故の影響で、常磐道広野―常磐富岡インターチェンジ間下り線が午後4時40分ごろから約1時間55分に渡り通行止めになった。
(クマ猟捕獲1頭のみ、ハンターが敬遠:兵庫)
兵庫県内でのツキノワグマの狩猟期間が14日、終了した。狩猟頭数は昨年の4頭からさらに減り1頭。クマ猟の経験があるハンターがほとんどおらず、多くが敬遠したとみられる。県は絶滅の恐れがあるとして1996年以来、全面禁止にしていたクマ猟を昨年、20年ぶりに解禁。解禁後2年目となる今年は、昨年より14人多い154人にクマ猟を許可し、11月15日から1カ月間の捕獲上限数を134頭と設定した。しかし、実際にはクマを追う猟犬や装備が整っている人が少なく、多くが「偶然、出会ってしまった時のため」などの理由で許可を取得。捕獲された1頭も朝来市の山中で偶然、ハンターが遭遇した雌のクマだった。県は来年度以降も狩猟を継続する方針だが、井戸敏三知事は14日の会見で「(ハンターが)慎重になりすぎている。クマは適正生息数をオーバーしており、さらに、どういう対応を進めていくか考えないといけない」と話した。
(狩猟期間のツキノワグマ捕獲ゼロ:岡山)
岡山県は15日、17年ぶりに解禁されたツキノワグマ猟について、狩猟期間(11月15日~12月14日)の捕獲がゼロだったことを明らかにした。クマを捕獲したハンターに速やかな報告を求めているが、15日までに連絡がなかったという。県によると、クマ猟の経験者が少ないことや、主食のドングリ類が豊作でクマの行動範囲が狭かったことなどが理由という。同じ生息エリアの兵庫県は1頭だった。この日の県議会一般質問で、青野氏が「捕獲頭数はゼロで、狩猟による対策の効果はなかった」と指摘。狩猟者の育成策を問われた知事は、本年度からクマ猟の安全講習会を開いているとした上で「今後、より実践的な事例の紹介など講習会の充実を図るとともに、各種セミナーの機会を活用して啓発し、狩猟者の確保に努める」と答えた。知事はまた、集落近くに繰り返し出没する個体を殺処分する「有害捕獲」について、迅速な対応を可能にするため、要望する市町村に許可権限の移譲を検討する考えを示した。ツキノワグマ猟は2000年度に全面禁止したが、ここ数年で生息数が増えたこともあり、人的被害防止の観点から再開した。
(住民とイノシシ「すみ分け」、集落丸ごと囲む:福島)
福島第1原発事故に伴う避難指示が出ていた間に、街中にすみ着いたイノシシから住民や農地を守るため、浪江町は来年2月にも約5ヘクタールの集落を防護柵で丸ごと囲む事業を試験的に始める。柵の総延長は約2キロに及ぶ。住民とイノシシの“すみ分け”を進め、避難先から戻った住民が日常生活や畑仕事を安心してできるようにする。町の担当者は「専門家の助言を仰ぎながら、住民と一緒に対策を進めたい」と話しており、設置後は効果を検証する。
(サル、千葉に移動か:千葉)
千葉市花見川区で15日、サルの目撃情報があった。13日以降、市川、船橋、習志野の各市で姿が確認されており、千葉市は同じサルが移動してきたとみている。同市環境保全課によると、15日午後3時頃、同区長作町の長作小学校近くで、下校中の児童がサルを目撃。その後、数百メートル離れた住宅街でも「サルを見た」との情報があったという。この日は、午前8時~11時25分頃に船橋市内の路上や民家の屋根で、午後0時半以降は習志野市内で目撃が続き、千葉市花見川区と隣接する地区でも姿が確認された。各市は警察署と連携し、職員が現場で情報収集したり、ホームページで注意を呼びかけたりしている。
(カラス駆除、11年で3000羽:栃木)
県猟友会日光支部大沢地区会に所属する土沢、不動産業小林啓二(こばやしけいじ)さん(61)が11年前から市内で本格的に始めた有害鳥獣のカラスの駆除で、累計数がこのほど約3千羽に上った。1人で年平均280羽ほどを散弾銃で仕留めており、市内のカラス駆除数の約半数を占めるという。市や支部によると、個人としては異例の多さだという。市農林課と支部によると本年度は7日現在、市内で174人のハンターがカラス計522羽を駆除。このうち小林さんは半分以上の275羽を仕留めている。小林さんは1994年に狩猟免許を取得。鳥猟をメインに農家や自治会からの要望で駆除し、ビニールハウスの破損や農作物被害の防止などに努めている。2006年ごろから針谷の養鶏所周辺の雑木林を本格的な狩り場とし、ニワトリの排せつ物に含まれる餌を目的に集まるカラスを木陰で待ち伏せる。早朝から3、4時間ほど身を潜め、時には鳴き声をまねておびき寄せ、頭上を通過した瞬間、枝葉の合間を縫うように散弾銃を撃つ方法で駆除するという。08年度は個人で過去最多の315羽を駆除した。
(県のジビエ品質保証制度の運用始まる:山梨)
捕獲されたシカ肉の消費拡大を促すため県が品質を保証する制度の運用が始まった。認証第1号となったのは、早川町の処理加工施設で、今後はシカ肉や加工品に「やまなしジビエ」の認証マークをつけて販売できる。富士河口湖町や丹波山村の施設も認証を目指していて早ければ来月には第2号が認証される見通し。
(模擬狩猟で魅力発信:京都)
狩猟の楽しさや社会的役割を紹介する「狩猟セミナーin丹後」が17日、京都府京丹後市弥栄町鳥取の丹後王国「食のみやこ」で開かれた。参加者はハンターによる講演や射撃シミュレーターの体験などを通じて狩猟の魅力に触れた。鳥獣管理の担い手の確保などを目的に、丹後ブロック猟友会と府丹後広域振興局が初めて開いた。現役猟師約50人も参加。府猟友会の奥田定雄会長が狩猟の様子を撮影したスライドを示しながら講演し、若手狩猟者はハンターになったきっかけなどを話し合った。狩猟で使用されるわなや道具、模擬猟銃の展示や体験もあり、参加者は興味深そうに見入ったり扱い方を聞いたりした。イノシシ汁の振る舞いもあった。娘と参加した与謝野町明石の番栄里さん(43)は「わな猟を始めたいと思っており、仕掛けのこつなどが分かって良かった」と話した。
(地域挙げカラス対策、生ごみ適切廃棄呼び掛け:長野)
飯田下伊那地方で目立つカラスによる農業被害を受けて、飯田市は来年1月、カラスの餌になっている外に放置された果実や家庭からの生ごみの適切な廃棄を呼び掛けるキャンペーンに初めて取り組む。リンゴや柿といった放置された果実などが餌となり、繁殖につながっていることから、餌が乏しくなる冬場に実施することで個体数減につなげる狙いだ。16日、カラスの生態や対策を研究している総合研究大学院大学(神奈川県葉山町)の塚原直樹助教を同市に招き、農家らが対応の説明を受けた。塚原助教によると、地域を挙げてカラスの餌を断とうという取り組みは珍しいという。飯田市農業課によると、2016年度の市内のカラスによる農作物被害額は781万円余。スズメやヒヨドリといった他の鳥も含めた鳥類による被害総額の5割以上を占めた。カラスは収穫前の桃やリンゴなどを落としたり、傷つけたりするため、出荷できなくなるケースが多いという。地元猟友会が個体数調整(駆除)を進めているが、被害額は減らない。飯田市からカラスの被害対策の相談を受けてきた塚原助教は、わなを使った捕獲による駆除は繁殖期を迎えていない若いカラスが掛かる場合が多いと説明。音やかかしで追い払う対策も「群れが地域を移動するだけで根本的な解決になりにくい」とする。カラスの増加は、餌が不足する冬場に収穫されずに残った柿や外に放置されたリンゴ、人が廃棄した生ごみなどを食べ、冬を越していることが一因と指摘。放置された果実を片付けたり、家庭ごみをカラスがあされないようにすることで、早ければ数日で餓死するカラスも出て、繁殖を抑えられると予測する。飯田市は1月15から21日の1週間をキャンペーン期間とし、果実の徹底廃棄や適切なごみ出しを市民に呼び掛ける。同市農業課は、市の1月号の広報紙で市民に周知を図る。広域的な取り組みが有効とみられ、同市の呼び掛けで下伊那郡豊丘村、喬木村も参加する。同課は「果樹農家が多い周辺町村と一緒に対策を進める必要がある。数年取り組むことで、効果を検証していきたい」としている。
(GPSでシカ追跡:長野)
増加が懸念される中央アルプスのニホンジカについて、南信森林管理署が昨年から行っている全地球測位システム(GPS)による行動追跡調査で、シカは冬期に標高の高い山奥に入り込む一方、春から秋にかけては里山や市街地近くまで移動していることが分かった。天竜川の支流に沿って頻繁に移動しており、南アからの流入ルートになっている可能性も明らかになった。15日に駒ケ根市役所で開いた、上伊那地方の市町村や国、県の関係機関でつくる中央アルプス野生動物対策協議会(会長・杉本幸治駒ケ根市長)の総会で報告。協議会は調査結果などを活用して生息移動実態をまとめ、今年度中に捕獲方法を含めた対策方針案を作成する。同署は昨年10月、中アの中田切川上流域で捕獲したオスとメス各1頭にGPS発信機を装着し山に放した。報告によると、オスは放獣以降、中ア山麓の簫ノ笛山(1761メートル)の北側に滞在。春になると中田切川に沿って頻繁に下流まで移動し、JR飯田線付近まで行くこともあった。10月に入ると飯島町の与田切川上流部に移動した。メスは同じ山の南側に滞在。やはり春から秋にかけて中田切川に沿って里山近くまで下りてきたが、オスと比べると1年を通じて広範囲の移動はみられなかった。同署は「冬は猟期を察して山奥に逃げ込んでいる可能性がある。4月以降に川に下りてくる時に捕獲するのが効果的では」と提言。「移動ルートになっている渓畔林は対策のポイントになる」と指摘した。このほか中ア山麓一帯に50台設置しているセンサーカメラによる調査で、3年ぶりに高山帯の中ア駒飼ノ池―濃ケ池間の登山道付近(2650メートル)でオスのシカ1頭を撮影。下伊那郡阿智村や松川町で頻繁に出没している状況も分かった。
(地域一丸で獣害対策を:三重)
イノシシやシカなどによる獣害の解決策を考える「獣害につよい三重づくりフォーラム」が16日、津市の県総合文化センターで開かれた。元三重県農業研究所研究員の山端直人・兵庫県立大教授が講演し、地域一丸となって電気柵の設置や追い払いなどを行った結果、獣害が激減した事例を紹介。農業をあきらめていた高齢者が再び畑に通うようになったといい、「獣害を減らすことは人間の生きがいを取り戻し、地域の結びつきも強くする」と強調した。県によると、野生鳥獣による2016年度の農林水産物の被害額は約4億6000万円。ピークだった11年度(約8億2000万円)から減少が続いている。同日は同所で、農業関係者らが交流を図る「みえのつどい」も開かれ、休耕田での米作りやコスモス栽培などを手掛ける県内の団体が活動成果を発表。「子供や大学生と取り組むことで地域の活性化につながっている」と報告した。
(「林業女子会」、で狩猟・ジビエの情報発信:栃木)
栃木県で女性らに林業への理解を深めてもらおうと情報発信などに取り組む団体「林業女子会@栃木」は14日、狩猟やジビエ(野生鳥獣肉)料理の普及促進を目指したイベントを宇都宮大学峰キャンパスで開いた。獣害対策での狩猟の必要性やジビエへの理解を深めてもらうため、鹿肉料理の試食や鹿革の工芸体験を実施した。「食べるシカない!」と名付けたイベントには、学生ら約40人が参加した。林業や狩猟、県の鳥獣害対策などを説明した後、工芸体験と試食会を開いた。林業女子会に所属する宇都宮大学1年の渡辺圭菜さんは「林業はあまりなじみがない産業。少しでも森林や林業について興味をもってもらえれば」と話した。林業女子会は林業の活性化に向け京都で発足し、全国に広まった。栃木では2012年に立ち上げ、同大学の女子学生15人ほどが活動している。
(無断で銃弾持ち出し茂みに、自衛隊員を懲戒免職「鬱憤を晴らすため」:岐阜)
航空自衛隊は14日、20日以上の無断欠勤をしたとして、航空自衛隊岐阜基地(岐阜県各務原市)の40代の男性1等空曹を、射撃訓練中に無断で射場から銃弾を持ち出したとして、同基地の29歳の男性空士長をそれぞれ懲戒免職にした。同基地によると、1等空曹は8月30日から無断欠勤し、11月19日に警察に保護されるまで所在不明となり、空士長は3月30日の射撃訓練中、銃弾10発を射場の外に持ち出し、基地内の茂みに投げ入れるなどしたとしている。1等空曹は「月末の業務ができておらず、出勤したくなくなった」、空士長は「日頃の鬱憤を晴らすため、衝動的にやった」と説明している。基地司令の平元和哉空将補は「誠に遺憾で、指導を徹底し再発防止に努める」とのコメントを出した。
(豪快ジビエ丼:福井)
イノシシの焼き肉や、シカのソースカツ-。池田町のジビエ料理店「酔虎 夢」には、豪快に具をのせた丼が味わえると聞きつけた客が関西や中部地方から訪れている。店主の粕谷典生さん(61)が「地元の山の幸をてんこ盛りにして、お客さんに食べさせたい」と、1人で店を切り盛りする。福井市中心部から車で約1時間、曲がりくねった山道の先にロッジ風の店が現れた。福井市内で27年間、割烹(かっぽう)店を経営していた粕谷さんは、客の紹介で2002年に別荘を建設。自然豊かな町が気に入り、7年前に店をオープンした。
(ジビエお試しシカ肉カレー:鳥取)
子どもたちに地元のジビエ料理に親しんでもらおう、と鳥取県調理師連合会「惣和会」(宮崎博士会長)は15日、三朝町内の小中学校で県産のジビエを使った給食メニューを提供した。
(マタギ見習い、汗かき歩き経験生かす:秋田)
秋田県湯沢市秋ノ宮地区でマタギ修業中の橋本明賢さん(30)はクマ駆除のほか、カモやヤマドリ、ウサギなどの狩猟、アユ釣りや山菜採りを通して自然との共生を体現する。マタギを志した経緯や、クマが人里を脅かす現状への考えなどを聞いた。-マタギを目指したきっかけは。「大学院を修了した2013年の秋、自分の力で捕った肉を食べてみたいと本能的に思い狩猟免許を取りました。ちょうどそのころ、友人からマタギの師匠となる菅詔悦さん(73)のことを教えてもらいました。弟子入りしたのは14年2月です」-湯沢市の湯ノ岱マタギは集団で行動せず1人で山に入ります。怖くはありませんか。「怖かったのは一度だけ、今年4月にクマと1対1で遭遇した時です。普通は黙ってじっとしてさえいれば、クマの方から逃げていくものです」-やりがいを感じるのはどんな時でしょう。「ウサギを撃つ時に足跡を見分け、回り込んでから仕留めるなど経験をうまく生かせた時です」-山での活動で大変なことは。「足場の悪い雪山での活動です。ひたすら歩き続けるため、厳寒なのに顔から塩が吹くほど汗をかくこともあります」-修業を始める前に予想したことと違った点は。「マタギの仕事は特別な時だけにするものではなく、日常生活の一部であることです。山で活動を始めてから分かったことでした」-マタギの立場から、クマが人間の集落に出没するケースが増えている現状をどう考えますか。「クマの数が増え、餌場を求めて人里に下りてきているのだと思います。クマは賢く、学習するので、このような状態は今後も続く恐れがあり心配です」「クマの目撃が増えている理由の一つに、マタギが減っていることも関係していると感じています。マタギを目指す若手が増えるような環境づくりも大切になってくると思います」-山で活動する以外の仕事はありますか。「マタギの修業は主に日が昇っている早朝から昼すぎまで。夕方からは横手市の学習塾で講師として中高生に英語、数学、理科を教えています。塾ではマタギの仕事の話をする機会はあまりないですね」
(地元最年少の“新米猟師”:広島)
広島県北広島町の束元理恵さん(23)は、約30人が所属する芸北猟友会で、最年少にして紅一点の新米猟師だ。生き方に悩んでいたとき、「捕った命を食べる」という猟師のシンプルな考えに魅せられ、今年の3月に狩猟の世界に飛び込んだ。今秋、初の猟期を迎え獲物を仕留める日を心待ちにしている。普段は、地元の農事組合法人芸北おおさなどで働く。農業で生計を立てながら、週1回ほど先輩猟師について猟に向かう。これまでイノシシの解体に立ち会ったりカラスをさばいたりと、猟のいろはを教わってきた。11月には先輩と念願のカモ猟に出掛けたが、「命を取ることに緊張し、初めは銃を持つ手が震えた」と言う。先輩猟師が撃った弾が当たり必死に逃げようとするカモを目の当たりにし、「せっかく頂いた命だから、おいしく食べよう」と感謝して食べた。同県熊野町出身の束元さんは、狩猟や農業とは関わりのない生活を送っていた。一時は保育士として勤めたが、体調を崩して退職。やりたいことが見つからず、同県尾道市のゲストハウスで働いていたとき、転機が訪れた。狩猟経験がある外国人宿泊者から話を聞くうちに、「命を取って食べる」という単純なことを、これまで考えていなかったことに気付かされた。「食べることは生きる上で一番大事。命と向き合ってみたい」。人生の新たな目標が見つかった。猟ができる場所を求め、野生動物が多い北広島町へ移住した。「ここでは生きる力を学べ、毎日発見があり、季節を感じられる」と束元さん。猟師として生き、骨を埋める覚悟を固めている。
(ついに100キロ超の猪が出現、引き金を絞ったが)
猟に出て4度目の12月10日。ここまで猟果なし。釣り師は「逃がした魚は大きい」というが、あれは本当に大物だった…。配置について息をひそめる。ほどなくして無線が飛び込んできた。「デカイぞ、猪だ!」にわかに緊張が走る。10分ほどたっただろうか。小さな川を挟んだ対岸の藪がガサガサと鳴る。「この道を通るから」と教えられたあたり。「ついに、この瞬間が来たぞ」。わくわくで胸が高まり、自分の鼓動が聞こえる。その瞬間…100キロはあろうかという巨体が姿を現した。距離は約25メートル。悠然と走り抜ける猪に向け照準を合わせ、引き金を絞った。「ドーン!!」。轟音(ごうおん)が森に響く。しかし、相手は垂直な崖を一気に駆け下り、川の上流に向け猛スピードで駆け上がる。逆光の中、水しぶきを立てて走り去った。「あ~当たらなかった」、そして「こんなに足が速いのか」。それが正直な感想だった。「どうした?」と無線の声。「すみません、デカイ猪、外しました」。川伝いに血痕を探してみたが見つからない。やはり失中(外れ)か…。リーダーI社長のはからいと、この狩猟グループを紹介していただいたKさん親子の「なるべく撃てそうな場所に」との特別な配慮で、鹿や猪が多く通る場所に立たせてもらっている。だからこそ、自分のエリアで外すと申し訳ない気持ちになる。しかも今回は100キロ超(多分)の大物だ。しばらくして「タツ解除」の連絡。集合場所に戻る前に自分が狙ったあたりを調べてみると、川に向かって数滴の血痕を見つけた。仕留めきれない状態を「半矢」といい、獣にとってはかわいそうな状態だ。ただ、血痕の量から推察すると、かすり傷程度だろう。「まあ、そんなもんだ。最初は興奮して狙いなんかつけられない。かすっただけでも立派なもんだよ」とベテランHさんに慰められた。50歳オッサン記者、いや新人猟師はため息が漏れた。
(高専生支援プロジェクト、イノシシ狩り用IoT罠)
クラウドファンディングのCAMPFIREが、若手のプロダクト開発を支援するHello world projectを開始します。その第1弾となるイノシシ狩り用IoT罠を実施中。Hello world projectは、高専キャリア教育研究所とともに、高等専門学校生いわゆる高専生の支援を目的とした取り組みです。高専生が開発にかかる製作資金をクラウドファンディングで募ります。第1弾のイノシシ狩り用IoT罠では、合計20台作る予定のプロトタイプの開発費用の一部捻出をクラウドファンディングで実施。このため、プロジェクトのリターンはプロジェクト報告会への招待や検証実験への招待となっています。なお、イノシシ狩り用IoT罠は、第16回ベンチャー・カップCHIBAの学生部門グランプリ。高専生の祖父である猟師を支援するためのIoT罠の製品化を目指しています。現在、クラウドファンディングはさまざまな分野で活用されています。なかでも今回の取り組みは高専生の支援を目的としたもの。仮にストレッチゴールがあるならば、IoT罠で捕ったイノシシをふるまう会も嬉しいかもしれません。

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