<射撃ニュース1月>

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(行方不明のシカ猟男性無事発見:岩手)
28日、遠野市の山林にシカ猟に入ったまま行方不明となっていた男性が、29日朝、無事発見されました。無事発見されたのは、青森市大野の青森市職員、藤林 明さん(62)です。藤林さんは28日午前7時頃から、遠野市土淵町で、仲間の男性と2人でシカ猟を始め、1時間半後、逃げたシカを追って1人で山林に入ったまま、行方が分からなくなっていました。仲間の男性が28日夕方、付近の住民を通じて警察に通報。警察と消防が30人態勢で29日午前7時から捜索を始めた直後、林道を歩いていた藤林さんを捜索隊員が見つけ、保護しました。29日朝の遠野市は-8.3℃まで冷え込みましたが、警察によりますと、藤林さんは偶然見つけた小屋で一夜を明かしたと話していて、ケガはないということです。
(子グマ、新冠で3頭保護:北海道)
日高管内新冠町で28日保護された生後間もない子グマ3頭が30日、登別市の「のぼりべつクマ牧場」に引き取られた。専門家によると、野生の生後間もないクマを施設で飼育するのは珍しい。クマ牧場は、牧場にいる雌グマに子育てを任せる方針。新冠町の林業者が28日、町内で伐採作業中に洞穴から出てきたクマを駆除した際、穴に子グマ3頭が残っているのを発見。クマ牧場に飼育を依頼した。雌2頭と雄1頭で、それぞれ体長約30センチ、体重800グラム~1キロ。生後1カ月未満とみられる。クマ牧場には今月出産したばかりの雌グマ2頭がおり、自分の子と一緒に保護された子グマを育ててもらう。雌グマが子育てを拒否した場合は飼育員が育てる予定。
(サル出没、「近寄らないで」:愛知)
矢作川河口部に近い西尾市中畑町に最近、サルが出没して住民を驚かせている。市は、出合っても刺激せず、静かにその場を離れるよう呼び掛けている。鮮魚店経営の新実直喜さん(53)は二十六日の昼ごろ、自宅でサルに遭遇。「飼い猫が机の下に隠れたので、何事かと外を見たら、塀の上にサルがいた」。大きさは座った状態で五〇センチ以上。カメラを向けると、歯をむき出したり、手で窓ガラスをたたいたりして威嚇してきたという。店の客や近所の人の中には、庭に植えてあるハッサクや野菜を取られたり、生ごみの袋を破られたりした人もいるといい、「子どもやお年寄りが襲われないか心配」と話す。市には昨年末から、サルの出没情報が寄せられている。場所は北東部から中心部、西部へと日を追って移り、今月十日ごろから中畑町周辺に集中。いずれも一頭で、同じ個体の可能性が高いとみているが、複数いるという情報もある。通報を受け、市や西尾署がその都度対応しているが、鳥獣保護法で農作物の著しい被害や人への危害がない限り捕獲は難しい。車のクラクションや爆竹を鳴らして追い払うしかないのが現状だ。市は「サルと出合っても決して近寄らないこと。食べ物を見せたり、大声を出したりすると、襲ってくる可能性がある」と注意を促している。
(野鳥死骸、A型鳥インフル検出:石川)
加賀市の片野鴨池で29日、新たに見つかった野鳥1羽の死骸から県の簡易検査の結果、A型鳥インフルエンザウイルスが検出された。加賀市の片野鴨池で29日、また渡り鳥のヒシクイ1羽が動かなくなっているのを観察館の職員が見つけた。県がその野鳥の簡易検査を行ったところ30日午前、A型鳥インフルエンザウイルスの「陽性」であることが確認された。ただ、毒性の強い「高病原性鳥インフルエンザ」が確認されたわけではなく、確定検査の結果まで1週間程度かかる見込みだ。また、片野鴨池では1月15日に見つかった野鳥1羽の死骸から「高病原性鳥インフルエンザ」が検出されていて、環境省が31日から緊急調査チームを派遣する予定だ。一方、片野鴨池周辺でカモを捕る伝統猟法「坂網猟」を行う猟師たちは30日もいつも通り猟を行うことにしている。県は死んだ野鳥を回収した地点から半径10キロ以内にある11か所の養鶏場で緊急の立ち入り検査を行ったが異常はなかったという。
(クマ増加で、保護から頭数管理へ:兵庫)
兵庫県は、平成29年度から5年間のツキノワグマの対策を盛り込んだ管理計画案をまとめ、県環境審議会鳥獣部会に諮問した。これまで絶滅の恐れがあるとして保護対象としていたが、狩猟解禁の基準である800頭を超えた状態にあるため、シカやイノシシと同様、頭数管理の対象に転換。クマとの共生を目指し、人の生活圏とクマの生息域を分ける「ゾーニング管理」を新たに導入する方針も示された。兵庫県は8年度以降クマを保護してきたが、生息数が回復したとして昨年11月、20年ぶりに狩猟を解禁した。新たな計画案では、集落とクマの生息域、その間の緩衝地帯の3つのゾーンに分けて、それぞれに応じた対策を行う。緩衝地帯は集落の境界からおおむね200メートルとし、花火を使ってクマを追い払ったり、出没ルートの藪を刈り込んだりすることを想定。集落では捕獲や電気柵の設置、耕作放棄地の解消を目指す。クマの生息域では植生回復などでクマの生育環境を整備するとしている。神戸市内で26日に開かれた同部会で、兵庫県は昨年11月15日から1カ月間のクマ猟解禁で4頭が捕獲されたことや、昨年、クマに襲われ3人がけがをしたこと、目撃情報が973件あったことなどを報告した。委員からは保護から管理に変更した理由についての質問があり、兵庫県は「クマの生息域が拡大し、人的被害も出ているのでそれを防ぐ目的だ」などと説明した。計画案では、狩猟の基準についてはこれまでと同じ800頭を超えた場合と設定。28年1月時点で県内のクマの生息数の推計値は約900頭で、このまま推移すると、今年もクマ猟が解禁される見通しとなっている。兵庫県は2月上旬から下旬にかけて県民の意見を聞き、3月に計画を決定する予定。
(イノシシ困った、持久戦覚悟で捕獲倍増狙う:神奈川)
鳥獣被害に直面する箱根町は、2017年度から本格的な対策に乗り出す。新たな計画を策定し、3年間のイノシシとシカの捕獲数を、ここ5年間の平均の最大2倍超に設定。わなの増設や町職員の狩猟免許取得促進など、多様な仕掛けで被害抑制を図る考えだ。ただ、繁殖力が高い上に個体数が把握できない中、持久戦も視野に入れざるを得ないのが実情で、住民らと総掛かりで継続的な取り組みを目指している。町が今月策定した改訂版の町鳥獣被害防止計画(素案)によると、17~19年度の年間捕獲目標はイノシシ70頭、シカ30頭。11~15年度の平均捕獲数はイノシシ51頭、シカ13~14頭で、最も多かったのはイノシシが90頭(15年度)、シカが22頭(14年度)だった。年によって変動があるものの近年は増加傾向で、町はこれらの実績などを踏まえて1・4~2倍に当たる捕獲目標を設定した。対策として掲げるのは、わなの設置数の増加や捕獲に関わる人員の増員だ。わなは、足跡や被害状況をもとにした効果的な設置を目指す。捕獲は県猟友会メンバーを中心に約20人が従事しているが、町職員をはじめとする町民らに狩猟免許の取得を促し、ハンターの育成を図っていく。ただ、「繁殖力が強く、個体数が分からない。生態要素を考えた時に急激に減らすのは難しい」(町環境課)のが実情。町は持久戦を視野に入れた継続的な取り組みの必要性を強調しており、地域との連携が鍵を握るとみている。15年度のイノシシによる農作物被害は、被害面積が0・26ヘクタール、被害額が23万5千円。生活被害は推定50万円以上だった。対策を講じることで、2種による農作物被害、生活被害のそれぞれ1割減を目指しており、町は「被害を通報してもらえるよう、働き掛けていきたい」としている。新たな計画は、鳥獣被害防止特別措置法に基づいて策定した。2月22日まで町民意見を募集し、町有害鳥獣被害防止対策協議会などで協議した上で3月下旬の完成を予定している。
(サル追い払いで協力:富山)
富山市神通峡エリアで農作物被害をもたらすサルを追い払おうと、モンキードッグを使ってパトロールしている中央農業高校(同市東福沢・大山、仲井章校長)は、今春から大沢野猟友会(浦田啓一会長)と協力して活動する。同市大沢野、細入地域で有害鳥獣の駆除を担う同会の指導と助言を受け、見回りの効率を高めたい考えだ。26日は同校で生徒が浦田会長からサルの生態やイヌの習性について学んだ。中央農業高校は、昨年4月から神通川両岸の大沢野、細入地域で本格的に活動を始めた。生物生産科動物科学コースの2年生が科目「課題研究」の一環で取り組む。
(シカの食害対策10年:高知)
シカ食害が深刻化している高知県香美市の三嶺山系で、植生の保護・回復などに取り組む「三嶺の森をまもるみんなの会」が発足10年を迎えた。山のエキスパートたちが集まる環境団体は、活発なフィールドワークと啓発活動で高知県内の食害対策をけん引。さおりが原を中心に進めてきたネット柵の設置などでは、成果も表れ始めている。「シカの捕獲もだんだん増え、植生回復も進んでいるが、まだ課題は多い。気を緩めず取り組みたい」1月28日、香美市で開かれた「三嶺の森をまもるみんなの会」の活動報告シンポジウム。10回目の節目を迎え、代表の依光良三さん(75)が決意を新たにした。「三嶺の森をまもるみんなの会」は2007年、「三嶺を守る会」など物部川流域の環境団体九つで発足した。背景にあった一つが、この直前に初めて官民が三嶺全域で行ったシカの食害被害調査だ。三嶺の森をまもるみんなの会副代表を務める坂本彰さん(68)によると、それまでも登山者から被害は断片的に報告されていたが、樹皮が剥がされて枯れた木、下草が食われてむき出しになった山肌など「変わり果てた山が明らかになった。大変なことだと、危機感が生まれた」。対応には幅広い知識も必要だった。高知県立牧野植物園や森林総合研究所四国支所、各大学などにも呼びかけ、植物やシカの生態に詳しい専門家たちが集まったのが「三嶺の森をまもるみんなの会」だ。三嶺の森をまもるみんなの会は「現場」活動を重視。植生保護へ、植物を囲うネット柵を設けたり、裸地化した部分の土壌流出を防ぐシートを敷設したりしてきた。
(イノシシ、サルに捕獲目標:和歌山)
深刻な農林業への獣害を抑制するため、和歌山県は影響の大きいイノシシとニホンジカ、ニホンザルの生息数を管理する新計画を策定する。現行計画が2016年度で終了するためで、17年度から21年度までの5年間の計画を立てる。計画案ではシカの捕獲目標数を引き上げるほか、イノシシとサルは新たに目標数を設定する。県が示す新計画案では、シカの目標捕獲数を現行の「年間1万6千匹以上」より引き上げ「1万7千匹以上」に設定する。15年度の捕獲実績は過去最多の1万3846匹。法律に定める捕獲上限数や狩猟期間、直径12センチくくりわなについての規制緩和を継続し、15年度に全国初導入した夜間銃猟も推進するほか、随時対策を検討していく。県内生息数は増加し、15年度は5万4千匹と推定されるが、捕獲を促進することで、県内生息数を23年度までに2万2500匹以下程度に減らすとしている。イノシシは年間1万7千匹以上の捕獲を目指す。近年の捕獲数は1万3千~1万4千匹。農作物被害は、イノシシによるものが最も多く、10年度以降1億6千万~1億9千万円を推移し、15年度は1億7千万円。サルは年間1500匹以上を捕獲し、加害レベルの高い群れは大幅に減らしたいとする。近年、年間約1200匹を捕獲し、生息数は減少しているとみられるが、農作物被害額は5千万円前後を推移しており、減っていない。
(獣害、独自対策も効果少なく:京都)
野生動物による農作物への食害が問題になる中、京都府北部の紅葉や花で有名な寺でも境内の樹木や草花へのシカやイノシシの被害が相次いでいる。各寺とも対策を講じているが、有効な手だてはなく、関係者は頭を痛めている。「丹後のもみじ寺」で、紅葉シーズンには多くの参拝者でにぎわう金剛院(舞鶴市鹿原)では、シカがツツジやアジサイなどの新芽や樹皮を食べ、多くが枯れた。松尾義空住職(51)によると、5年前ほどから被害が目立つようになり、毎年、新しくモミジやアジサイの株を植えているが、すぐに食べられてしまうという。寺の周囲の山では下草がなくなり、斜面が崩落した箇所もある。金剛院は600ヘクタールの境内に約3千本のモミジがある。同寺は近畿2府4県の花で有名な寺が1993年に始めた「関西花の寺二十五カ所霊場(花の寺)」の3番札所。松尾住職は「境内は広い上、木を覆うと日光が当たらず、景観も悪くなる。手の打ちようがない」と嘆く。花の寺1番札所で「丹波あじさい寺」の観音寺(福知山市観音寺)では、イノシシの被害を受けている。昨秋にはアジサイの株約50株が掘り起こされた。捕獲用のおりを設置し、イノシシが嫌う臭いをまいているが、目立った効果は出ていない。小籔実英住職(65)は「掘り起こされた株は埋め戻したが、今年の開花がどうなるか」と心配する。花の寺7番札所で、野草やアジサイなど500種が咲き、4月のミツバツツジが名高い如意寺(京丹後市久美浜町)でもシカの被害に悩まされ、境内を囲うように500メートルにわたってナイロンのネットを張る。しかし昨夏は破られ、野草に被害が出た。3月には金属製の柵に変える予定だ。府は年間、シカ約2万頭、イノシシ約7千~1万3500頭を捕獲しているが、野生動物による府内の農作物被害額は2014年度で3億7900万円(府農産課調べ)に上り、うちシカとイノシシで7割近くを占める。府文教課や府教育委員会文化財保護課によると、文化財でない場合は、例外を除き寺関係で野生動物による被害や対策への補助制度はないという。金剛院の松尾住職は「自分たちで対策をするのが第一だが、何らかの支援があるとありがたい」と話す。
(動物衝突事故急増で大幅遅延多発)
シカやイノシシなどの衝突事故が全国各地で急増している。鉄道各社は、あの手この手の対策に追われている。JR東日本八王子支社は昨年末、山梨県甲州市の山間部を走る中央線線路脇に、動物捕獲用のわなを試験的に設置した。縦4メートル、横6メートルの区画がフェンスで囲われ、動物が中に入るとセンサーで感知し入り口を閉鎖する仕組みだ。わなの中にはシカが好む鉄分を含んだ誘引材などを入れている。9月末まで捕獲を行い、効果を見定めたうえで本格設置を検討するという。「中央線が好きだ。」のキャッチコピーを掲げる同支社の管轄は、東京多摩地区や山梨、埼玉にまたがる中央線、青梅線、八高線、五日市線、横浜線、南武線、武蔵野線。管轄内での動物衝突事故件数は2013年度に約60件だったが、14年度は約90件、15年度は約100件と増え続け、16年度も11月末現在で約90件と前年度を上回るペースだ。昨年12月には連続衝突という珍しい事故が発生した。松本発新宿行きの上り特急「あずさ34号」が午後8時59分ごろ大月市内の笹子-初狩駅間を走行中、線路にいたシカ2頭をはねて緊急停止した。事故処理や車両点検のため現場に約26分間停車した。点検が終わり運転を再開したのも束の間、6分後には6キロ先の初狩-大月駅間で、今度は線路を横断しようとしたイノシシと衝突。再び18分間の停車を余儀なくされ、新宿駅到着は定刻よりも49分遅れとなった。最終的に上下線9本が最大49分遅れるなどし、約1200人に影響が出た。14年には都市部の府中市内を走る武蔵野線の電車にイノシシが衝突する事故も発生している。八王子支社ではこれまで、山間部などの線路沿いに動物侵入防止フェンスを設置し、踏切にはライオンの排泄物の成分を含む薬剤を散布するなどの対策を講じてきた。それでも動物との衝突事故が減らないため、わなの設置で対策を強化することになった。北海道では、増え続ける野性動物の衝突事故で、さまざまな動物が犠牲になっている。エゾシカ、ヒグマ、牛、特別天然記念物のタンチョウや天然記念物のオジロワシまでが命を落としている。もっとも多いのがエゾシカだ。北海道庁のエゾシカ対策課がまとめた15年度の「エゾシカが関係するJR列車支障発生状況」によると、道内全体での発生件数は2724件で、前年度比231件増となった。路線別では宗谷本線がもっとも多く515件、次いで花咲線492件、釧網本線286件となっている。昨年12月、JR留萌線の留萌-増毛間の運行が、95年の歴史に幕を下ろした。午後8時過ぎ、高倉健主演の映画『駅 STATION』(東宝)の舞台となった増毛を最終列車が発車した。だが、よりによってこの最終列車が午後9時過ぎ、廃止区間よりも先の幌糠-峠下間でシカと衝突するアクシデントに見舞われた。このようにエゾシカとの衝突は、北海道では日常茶飯事となってしまっている。昨年3月に開業した北海道新幹線も例外ではない。昨年のゴールデンウィーク中の5月2日夜、東京発函館北斗行きの「はやぶさ29号」が木古内-新函館北斗間を走行中、運転士がおかしな音を感じ緊急停止。車両に異常は見つからなかったが、後日、現場付近でタヌキの死骸が発見され、JR北海道はこのタヌキが衝突したと発表した。防護柵の下の地面を掘って線路内に侵入したとみられている。動物の侵入を防ぐのは極めて困難である。これほど衝突事故が増えると、鉄道会社としても甚大な被害を受ける。事故後の死骸の処理、車両点検によるダイヤの乱れに加え、侵入防止フェンス設置、わなの設置など、事故防止対策に多額の費用や手間がかかるからだ。一般的な対策としては、侵入防止フェンスやシカが嫌うライオンやオオカミの排泄物の成分を含んだ薬剤の散布、シカが好む鉄分を含んだ固形の誘引材などを使う。最近、注目を集めているのは、近鉄が開発した「鹿踏切」というシステムだ。シカの生息域となっている三重県津市内の近鉄大阪線東青山駅近くに設けられたこのシステムは、線路の両脇に約1キロにわたってネットを張り、そのうち5カ所はネットを開けた空間をつくり、シカが線路を横断できるようにした。ネットを開けた場所には踏切にある遮断機の代わりに動物が嫌がる超音波を出す装置を取り付け、電車が走る時間帯はこの装置を作動させてシカの侵入を防止する。最終電車通過後は装置を止めてシカが通れるようにした。近鉄では15年に、路線全体で年間313件のシカとの衝突事故が起こり、対応に苦慮していたが、昨年5月に鹿踏切を設置して以降、この区間では事故がまったく起きていないという。今年3月末には奈良県内の区間にも鹿踏切を設置する予定だ。開発や耕作放棄による環境変化、狩猟者の減少などで野生動物の行動範囲が広がる一方、シカの場合には鉄分補給のために線路をなめる習性があるといった特殊な事情もあり、線路への接近を完全に防ぐのは困難だ。そこで、「排除ではなく共存を」という発想のもとに鹿踏切が開発された。この画期的なシステムに、ほかの鉄道会社や自治体から問い合わせが相次いでいるという。野生動物の行動範囲が広がった原因を考えると、対策をすべて鉄道会社まかせにするのではなく、国交省や環境省など国も一緒になって取り組む必要があるのではないか。
(イノシシ対策強化:福島)
東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た地域で深刻化するイノシシなど野生鳥獣の被害防止対策に努め、安心して住むことができる環境を整えていきたい。イノシシ対策について、県は避難12市町村や国、専門家チームでつくる対策会議を設立した。避難地域では、イノシシが市街地に出没し、民家近くの田畑を掘り起こしたり、窓などを壊して民家に侵入したりしている。イノシシと車の事故も起きており、住民からは早期の対策を求める声が強まっている。住民の生活拠点でのイノシシ対策は喫緊の課題だ。これまでは県と市町村、国が連絡会を設け、担当者が情報共有や対策の検討を進めてきた。対策会議は、さらにイノシシ対策を強力に推進していくため新設された。対策会議は、専門家チームの科学的な助言などに基づき、効果的にイノシシを捕獲したり、追い払ったりする 実証事業を行い、その成果を12市町村での対策に反映させる方針だ。イノシシ対策は、12市町村の将来像を話し合う有識者検討会が2015年7月にまとめた提言でも、広域連携を検討する必要性が指摘されている。12市町村では、避難指示が解除された地域への帰還や、避難指示解除の準備が進んでいる。イノシシが自宅近くに出没することが、住民の帰還意欲をそぐ要因の一つになっている。広域連携を強めることで効果的、効率的な対策を推進し、住民の暮らしの安全を確保する必要がある。対策会議では、小型無人機「ドローン」を使った実証実験も盛り込んだ。この実験は、ドローンの離着陸場が整備される浪江町で行われる。ドローンの開発企業が今後、現地調査などを行い実験エリアを決め、早ければ3月末にも始める。ロボット技術を駆使した対策は住民の負担を減らし、収集されたデータをイノシシの活動範囲の特定に生かすこともできる。開発企業と対策会議が連携して効果的な運用を検証し、確かな技術を確立してもらいたい。イノシシの対策が必要なのは避難区域だけではない。被害は県内の広い区域に及んでいる。野生鳥獣による15年度の農作物被害額(避難区域を除く)は1億2846万円に上る。このうちイノシシによる被害が半分を占める。県は、ドローンを使った新しい試みをはじめとするイノシシ対策を避難区域の実験で確立し、その対策を他地域の被害防止に役立てることが求められる。
(昨年のクマ目撃、最多872件:秋田)
ツキノワグマの県内での目撃件数が昨年、統計がある2005年以降最多の872件に上ったことが、県警のまとめで分かった。全国的にも急増した県が多く、鹿角市十和田の山中で5、6月に男女4人がクマに襲われて命を奪われた衝撃が通報件数を押し上げたとの見方が強い。県警地域課によると、昨年は2~11月に計872件(972頭)の目撃情報が寄せられ、これまで最多だった12年の491件(532頭)の約1・8倍となった。鹿角の被害があってからの6、7月はそれぞれ278件、217件を数え、過去5年間の平均の2~3倍に跳ね上がった。要因としては、個体数の増加や人里近くにクマが出没するようになったことが専門家から指摘されている。加えて、同課は「鹿角の4人死亡など人身被害が相次いだことで、普段はクマを見ても通報していなかった人が注意を呼び掛けようと連絡するようになったこともあるのでは」と指摘する。
(野生鳥獣、減らせるか)
「10年たったら動物王国」。人口減少や過疎化が叫ばれる一方で、人里や農耕地に野生鳥獣が“進出”している。シカ、イノシシの推定生息数はこの25年で数倍~10倍になり、農作物が食い荒らされるなどの被害額は年間200億円前後に及ぶ。日本政府は捕獲対策やその肉を食べるジビエ料理を推進し、2023年までにシカ、イノシシを現状の約半分の210万頭にする目標を立てているが…。東京都最西端の山間部にある檜原村。昨年12月末の週末、猟銃を担いだ約15人が早朝の山道を踏みしめた。慣れた様子の地元の猟師に交じり、都会育ち風の男女数人の姿も。最近は狩猟が静かなブームで免許を取得してほぼ毎週末、狩猟に参加する若者も増えているという。猟法は「巻き狩り」。猟場の山の上手から勢子と呼ばれる猟師と猟犬で獲物を追い立て、下手で待ち構える撃ち手が仕留める。途中で別れた撃ち手から配置に就いたとの連絡を無線で受け、勢子と犬が山道を外れ山の中へ。15分もすると激しい犬の鳴き声が聞こえ、ほどなく山並みに銃声がこだました。通常の猟期は11月から2月まで。しかし近年は猟期終了と同時に、「駆除」期間が始まり1年を通して猟が行われる。全国のシカ、イノシシの捕獲数(わななどによるものも含む)は07年に鳥獣被害防止特別措置法ができてから大きく伸び90万頭を上回る。それでも目標達成には現状の2倍以上の捕獲が必要とされる。野生鳥獣はなぜここまで増えたのか。シカの場合、狩猟資源保護などの名目で1947~94年に雌が禁猟とされていたことがある(その後段階的に解除)。ただ、より深刻なのは猟師の減少だ。全国の狩猟免許保持者数は1970年代の3分の1程度の約18万5千人。檜原村のベテラン猟師、峯岸さんは「昔は村に60~70軒、猟師の家があったが、今は数軒」と嘆く。「昭和40年代ごろまでは山の獲物と畑の作物で自給自足的な生活だったが、今は若い者は猟師にならず街に出るし、肉は牛や豚がスーパーで売っている」と過疎化と生活スタイルの変化を指摘した。増えた動物はえさを求め人里に下りる。親子三代で猟師という平野さんは「畑に柵をしてもこじ開けるし、犬がいても平気で入ってくる」。村内には空き家が増え動物が恐れるもののないエリアが広がっている。「10年で半減? もっと猟師が増えないと無理。このままだと動物の王国だよ」と天を仰いだ。山から下りると解体が始まった。2日前に捕獲し内臓を出して吊っておいたイノシシ。冬場は2日ほどおいた方が肉が引き締まりおいしくなるそうだ。手際の良いナイフさばき。骨はスープに利用する。60~70キロの大物は、ものの1時間半で毛皮一枚を残し食肉に姿を変えた。2012年、鳥獣被害防止特措法にジビエ料理の普及、推進が明記された。ただし現状では捕獲鳥獣の食肉利用は1割で、残りは埋設か焼却。単純計算で約80万頭のシカ、イノシシがただ捨てられている。野生鳥獣を食べるには、獲物が死ぬと素早く血抜きをし、内臓を取り出すことが欠かせない。死後1時間もすれば血や内臓が腐りだし肉に臭いが移るからだ。ところが、厚生労働省が作成したガイドラインには「屋外での内臓摘出はやむを得ない場合に限る」「基準に適合した食肉処理施設での解体」といった「衛生管理」が記されている。平野さん宅の軒先に大きな板を出して解体作業をしていた「この道50年以上」の猟師小林さんは「おいしくないと誰も食べない。役人が机の上で考えても駄目」と、くわえたばこでナイフを振るった。東京・杉並区にあるジビエ料理専門店「猪鹿鳥」。シェフの山内茂樹さん(72)は神奈川県丹沢山地で活動する猟師。自ら仕留めた獲物も提供する。厚労省のガイドラインでは「しない」とされている生食(シカの刺身)もあり、絶品だ。山内さんは「ジビエを食べる人はだいぶ増えたけど、まだ『臭い』との誤解も多い」と話す。日本の猟場は山間部で川が多く、獲物を仕留めてすぐに血抜きと内臓摘出をして流水にさらせば臭さは残らない。逆に本場とされるフランスなどの猟場は主に平野部の森林でそうした作業ができないため臭いが残り、それを消すためソースが発達したという。「うちに来るフランス人なんかの客は臭みのないおいしさにびっくりする」と山内さん。「ジビエを広めたいなら、どうしたら肉がうまくなるかを知らない役人は余計な口を挟まず、おいしいということを普及するしかない」とピシャリと言った。
(狩猟とジビエ知って、狩猟フォーラム:高知)
狩猟とジビエの魅力や鳥獣被害対策について知る「狩猟フォーラム」が、2月4日午前10時~午後4時、高知県香美市土佐山田町の高知工科大学で開かれる。午前中は、野生鳥獣の被害対策や実態調査を行う兵庫県の企業「野生鳥獣対策連携センター」の阿部豪さんが講演し、効果的な捕獲方法について語る。午後は、猟師との座談会やわな猟の体験教室を開催。高知市のジビエ料理店「ヌックスキッチン」によるシカ肉料理教室などのブースが設けられ、しし汁の無料試食やシカ肉の唐揚げの販売もある。
(“狩りガール”雪の中:京都)
“狩りガール”と呼ばれる若い女性の猟師が注目されている。シカやイノシシなどによる農作物被害を防ぐため、猟期(11~3月)の今は雪の中でも山に入って猟銃を握る。猟師の高齢化が進むなか、頼もしい存在なのが京都のNPO職員で猟師の林利栄子さん(28)だ。命の素晴らしさ、動物を食べることのありがたさを子供たちに伝える-。「それが、私たち女性猟師の役割かもしれません」と力を込めた。1月22日の日曜。林さんは、所属する上鴨猟友会の仲間と8人で、雪が積もる京都府南丹市日吉町の猟場に向かった。「勢子(せこ)」と呼ばれる動物を追い込む役目の猟師が猟犬を連れて先に山に登り、林さんたち「待子(まちこ)」は猟銃を担いで決められた場所に待機。ひたすら逃げてくる動物が来るのを待つ。「寒さの中で気配を消すのはたいへんだが、とても気分が落ち着く。忙しい都会暮らしに比べると、自然の中で静かにしている時間はとてもぜいたくにも感じます」と林さん。この日、自身は2発撃ったが命中せず、先輩猟師が1頭を仕留めた。「雪の中を犬が長時間追いかけてくれたので、仕留めることができてよかった」林さんは平成25年、農村と都市を新しい絆で結ぶ目的で誕生したNPO法人「いのちの里 京都村」(京都市)に就職。同府福知山市在住の猟師で野生動物の食肉処理施設を経営している垣内忠正さん(56)と協力して、鹿肉まんじゅう「京都もみじ」を販売していた。ちょうどそのとき、幼い女の子からの言葉にショックを受けた。「鹿を殺すのはかわいそう」思わず、ひるんだ。「女の子に狩猟の必要性を伝えたいと思ったが言えなかった。現場を知らない自分の言葉は説得力がないと痛感したんです」その後、農村の現場に入って何かできないか模索していると、垣内さんから「猟師になったら」と勧められた。垣内さんが開校した猟師の養成学校を手伝いながら勉強に励み、銃を使って猟ができる「第1種銃猟免許」を25年秋に取得した。銃猟免許は比較的容易に取れたが、「猟銃所持許可」のハードルは高かった。「ペーパーテストや実技試験だけでなく、精神面や経済状態も調べられた」という。26年12月に許可がおり、上鴨猟友会に参加。時間がある限り日曜には山に入り、猟の経験を積む。「女性猟師は珍しがられますが、私には合っていると思う」と笑う。林さんが仕留めた中で、忘れられない1頭がいる。27年秋に撃った雌ジカは妊娠していた。「おなかの子供をかばって必死に逃げていたが、見逃すわけにはいかなかった。ひどいことをしたと思って猟師がいやになった」しばらく落ち込んだが、救いとなったのは母親のひと言だった。「農家の人が困っているのなら誰かが駆除しないと」。迷いが吹っ切れた。環境省によると、25年度の「第1種銃猟免許」の交付者は9万6351人。そのうち女性は1049人で全体の1%強にすぎない。全国の猟友会が所属する大日本猟友会(東京)が、「目指せ!狩りガール」というサイトをインターネットで立ちあげて理解に努めるが、まだまだ少数だ。環境省によると、25年度の「第1種銃猟免許」の交付者は9万6351人。そのうち女性は1049人で全体の1%強にすぎない。全国の猟友会が所属する大日本猟友会(東京)が、「目指せ!狩りガール」というサイトをインターネットで立ちあげて理解に努めるが、まだまだ少数だ。
(女子高生が狩猟免許を取得:高知)
「JK(女子高生)猟師」現る??―高知農業高校(高知県南国市東崎)の森林総合科3年、川村藍里(あいり)さん(18)がこのほど、わな猟の狩猟免許を取得した。高知県猟友会によると、男女を問わず現役高校生の免許取得は県内で初めてで、「若い世代が鳥獣被害に関心を持ってくれることは心強い」と歓迎している。狩猟免許は銃、わななど4種類あり、都道府県知事が交付する。裾野拡大などを目的に2015年の法律改正で、わなと網に限って取得可能年齢が満20歳以上から18歳以上に引き下げられた。これにより、高校生の免許取得が可能になった。川村さんは授業で森林管理を学ぶ中、シカの食害に関心を持ち、「自分にできることがあるのかも」と、年齢制限が緩和された狩猟免許に着目した。試験は「事前講習を受け、きちんと復習してもらえればそう難しくない」(高知県猟友会)といい、今月中旬に行われた試験をパスした。
(女性ハンター、腕試し:沖縄)
県猟友会石垣地区(安田喜禮地区長)が15日に開いた有害鳥獣共同駆除(共猟)に、初めて女性ハンターが参加した。市大里の平良五月さん(37)だ。2年ほど前に東京で猟銃の免許を取得し、晴れて銃を所持して共猟に臨んだ。メンバー38人は崎枝公民館に集合。今年初の有害駆除に繰り出した。平良さんは屋良部林道から入った傾斜地のイノシシが通りそうな獣道のそばの一角に陣取り、犬が追い込むイノシシを待ち伏せた。ヒヨドリやシジュウカラの鳴き声だけが響く静かな山中で耳を澄まし、猟犬のほえる声や猟友が発射した銃声が山に響くたび、緊張した面持ちで銃口を構え直した。この日残念ながらイノシシは平良さんの前には出現せず、「初参加ながら役に立とうと思ったのですが…」と苦笑い。「農家にとって有害鳥獣の被害は深刻」と実家の畑の惨状を振り返り、キジの駆除で腕を鍛えたいと抱負を語った。安田地区長は「女性の参加は大歓迎。女性の視点も取り入れ、有害鳥獣駆除への理解も高めたい。より効果的な共猟になっていけば」と平良さんの参加を喜んだ。
(イノシシ、日常風景:兵庫)
午後9時ごろ、神戸市中央区の北野地区を歩いていると、通りの反対側のごみステーションに何やら動く黒い影があった。猫にしては大きく、よく見るとなんとイノシシだ。そういえば神戸の人はイノシシを見慣れていると聞くが、驚かないのか。なぜ山から街に下りてくるのか。イノシシと神戸の関係を探った。出没エリアとして知られる神戸市東灘区。阪急神戸線岡本駅近辺の住宅街を通行する20人ほどに「見かけたことはありますか」と聞いたところ、ほとんどが「ある」と答えた。20年ほど前から同区に住む50代女性は夕方、スーパーからの帰り道でよく遭遇すると語る。「何十回も見ているので『あ、またか』という感じ」。スーパーのレジ袋は狙われやすいためかばんにしまい、目を合わせず去るようにしている。大阪府豊中市から引っ越してきた40代男性は2016年夏に3度遭遇した。「小ぶりだったが怖くて毎回道を引き返す。周囲が冷静なことに驚いた」。北区から甲南大学に通う2年生の当山鎮也さん(19)は入学後、大学近辺で5~6回見かけた。「最初は緊張したが先輩が気に留めない様子を見て慣れた」と話す。市によると16年4~8月に住民から受けたイノシシ関連の問い合わせは東灘区が63件と市内トップだった。岡本駅のそばを流れる天上川の川床には15年秋まで10頭以上がすみ着き、その後も早朝や夜に道路を歩く姿が目撃されている。筆者が遭遇した中央区も問い合わせは35件と2番目に多い。灘区を含む多くの市民にとってイノシシが日常的な光景なのは確かなようだ。こうした市街地が六甲山に近いため出没しやすいことは分かるが、なぜわざわざ街に下りてくるのか。もしかして山で餌がとれにくいのか。兵庫県森林動物研究センターでイノシシを研究する横山真弓研究部長に尋ねると「今の六甲山にはミミズや木の根など餌が豊富にあり、快適にすめるはず」と答えてくれた。六甲山は長年の植林活動によって1960年代から緑化が進み、現在のような森林が育った。98年ごろまで4千頭前後だった県内のイノシシの推定頭数は近年、1万5千~2万頭に増えたとされる。それでも街に下りてくる本当の理由は「人間が餌を与えているから」(横山氏)らしい。イノシシは賢い動物で、パンなど栄養価が高い食べ物を人間から与えられると「山で餌を探さなくても人間から楽にもらえる」と学習してしまう。緑化前の六甲山を知る人の中にはイノシシが林地開発の影響で餌を見つけられず街に下りてくると誤解する例があり、動物愛護のつもりで餌付けする人もいるという。指定時間外にごみを出すのも餌付けと同じ結果となる。街でのトラブルは多い。「レジ袋を持つ人を小突いたりごみステーションを荒らしたりする被害が多い」(市経済観光局農政部調整担当課長の岡田敦氏)。かまれたり衝突されたりする事故も油断できない。そういえば東灘区で話を聞いた49歳女性は「14年春にお尻をかまれたアザが1年とれなかった」と話していた。市は問題が深刻化し始めた02年にイノシシへの餌付けを禁止する条例を制定し、違反者に中止や是正を勧告するなど対策を進めてきた。だが思うように効果が出ず、被害がピークとなった14年に市内の掲示板やホームページで違反者の氏名を公表できるよう条例を改めた。15年には夜間や休日も対応する「市鳥獣相談ダイヤル」を設けた。こうした対策により、市民の苦情に伴う捕獲頭数は15年度で588頭と前年度比約3割減った。市は出没が減少したとみている。「餌付け禁止やごみ出しの時間を守れば人間は街、イノシシは山で平和に暮らせる」と岡田氏は強調する。誤解を持たず生態やルールを正しく知ることが共存への第一歩といえそうだ。
(野生動物に理解を:兵庫)
身近な野生動物について理解を深めるための学習会が29日、丹波市青垣町、青垣いきものふれあいの里で開かれた。シカやイノシシなどによる農業被害対策や、昨年、県が20年ぶりに狩猟を解禁したツキノワグマへの関心の高まりなどを背景に約90人が参加した。野生動物との共存や適正管理に取り組んでいる同町の県森林動物研究センターの横山真弓研究部長が講師を務め、クイズ形式や、映像や剥製などの資料を用いて親しみやすく解説した。「イノシシは頭で約70キロの重さを持ち上げられる」「シカはジャンプ力だけでなく、低い姿勢でくぐる能力も優れている」と話し、獣害対策の柵は掘り返されないよう十分な管理が必要だとした。さらに「ツキノワグマは冬眠中もあまり体温が下がらず、すぐに動ける」と、冬も危険性は変わらないと警告した。野生動物増加の背景について「明治時代までは燃料用などのために森林が伐採されて県内の山は大変荒れていた。その後、植林が進み、森が豊かになったため、動物が増えすぎた側面もある」と指摘。「人間が動物を山に押し返す努力が必要になった」と訴えた。
(「オオカミを知る」セミナー:岡山)
岡山市内のカフェで2月3日・4日、日本オオカミ協会会長の丸山直樹さんがセミナー「オオカミが日本を救う!」を行う。オオカミの役割を知り、獣害被害や環境問題を考える機会として開かれる同セミナー。日本ではオオカミを家畜を襲う「害獣」とみなし、約100年前に絶滅させられたとされる。シカやイノシシを捕らえる「天敵」として存在し、生態系のバランスをとっていたオオカミがいなくなったことで、シカやイノシシなどが増加。畑などが荒らされる現在の獣害被害につながっていると考えられている。同イベントのコーディネートをしたNPO法人「MagMell(マグメル)」の渡辺雅之さんは、千葉県から瀬戸内市に移住し農業を営んでおり、イノシシ被害を最近よく聞くようになったという。渡辺さんは「増加し続けるイノシシを捕獲するのは追い付かず、根本的な問題があると感じた。調べていくうちに日本オオカミ協会に出合った。自然の中でオオカミが果たす役割や現状を知ってもらいたい」と呼び掛ける。3日は「THE COFFEE BAR」(岡山市北区駅元町)で、丸山さんと同協会副会長の岩堀弘明さんが講演を行う。4日は「OKAYAMA GARDEN」(東区寺山)で、丸山さんが「アメリカ・イエローストーン国立公園にオオカミが再導入された事例」についてセミナーを行う。スタッフの佐藤朋子さんは「オオカミは怖い存在と思っている人が多いが、オオカミを『大神(オオカミ)』として神社にまつっている地域もあるほど、人間にもっと身近な動物だった。オオカミについて客観的に知る機会になれば」と話す。
(柿の実の有効活用法は?:兵庫)
サルを里に呼び寄せる原因の一つである柿の実の有効活用について紹介する「獣害対策現地研修会」が2月6日、兵庫県篠山市矢代の矢代公民館で開かれる。柿の多様な活用事例を紹介し、地域資源として生かす方法を考える。同市や同市猟友会などでつくる「同市有害鳥獣対策推進協議会」の主催。同市内では、神戸大学が関わり、地域と共に柿を収穫するイベントを開催。都市部から多くの人を呼び込んでいる。さらに柿酢を作って、山の芋栽培に役立てる研究活動も進めている。研修会では活用事例を紹介するほか、丹波農業改良普及センターの職員が柿の資源価値について解説し、柿の木のせん定の実習をする。参加者同士の意見交換も行う。同市の「獣害に強い集落づくり支援員」の男性は「放置された柿は野生動物の餌だが同時に地域資源でもある。ぜひ有効活用のヒントを探しに来てほしい」と話す。
(カラスやハト追い払え、タカ飛ばし上空から威嚇:大阪)
住宅地でのカラスやハトの被害を減らそうと、タカ狩りの技で鳥を追い払う取り組みが、大阪府富田林市で行われている。従来の侵入防止ネットだけでは防ぎきれず、イタチごっこが続いていたといい、住民らは「タカがにらみを利かせて、少しでも被害が減れば」と期待を寄せている。取り組みを始めたのは、同市西部にある金剛団地周辺。都市再生機構(UR)の集合住宅約280棟があり、ごみの集積場でカラスがごみを食べ散らかしたり、ハトのフンでベランダを汚されたりする被害に悩まされてきた。対策として防護ネットを張るなどしてきたが、鳥たちはくちばしでネットを外し、被害減少の決め手にはならなかった。そこでURと自治会が注目したのが、タカによる害鳥駆除。これまでにも堺市内などの集合住宅で効果があったことから、大阪市西区の専門会社「グリーンフィールド」に委ねることにした。同社は、長い歴史をもつ「諏訪流」の技を伝承する鷹匠たかじょうに認定された岡村憲一さん(55)らが2011年に設立。全国各地の寺社や遊園地などでの害鳥駆除の実績があるという。鳥を傷つけたり、捕まえたりせず、タカを飛ばすことで「天敵がいる」と認識させて付近から追い払うのが目的。カラスやハトが出没する時間帯など行動パターンを調べたうえでタカを放つのがポイントで、金剛団地周辺では昨年11月から週1、2回、約3時間のパトロールをしている。周辺に飛来するカラスなどの数は少しずつ減ってきているという。一方、住宅地の上空をタカが飛び回ることに不安を覚える住民もいることから、タカに親しんでもらおうと15日、富田林市内のグラウンドで鷹匠との交流イベントを開催。参加した市立小3年の男児(8)は「手に止まったタカがズッシリと重くて、格好良かった」と大喜び。URの担当者も「各戸にネットを張るよりもコストを抑えることができる」と評価する。同社の伊駒啓介社長(37)は「タカはしっかりと調教してあるので、人に危害を加えることもない。タカを活用して、住みよい街になれば」と話していた。
(全国V3狙う若き鷹匠:群馬)
群馬県の榛東中3年の小川涼輔さん(榛東村山子田)は、相棒のタカと狩りをしたり、害鳥を駆除する「鷹匠たかじょう」だ。学校から帰宅すると、毎日のようにハリスホーク2羽とオオタカ1羽を調教している。保育園児のころから鳥好きだった小川さんは、中学入学と同時にハリスホークの「ルギー」を飼い始めた。2カ月に1回のペースで茨城県在住のベテラン鷹匠に指導を受け、カラスやウサギなどを捕獲する技を身に付けた。昨年11月に鷹匠と名乗ることを認められた。昨年行われた国内最大級の競技大会「フライトフェスタ」のハリスホークの部門で連覇し、3月の大会で3連覇を目指す。小川さんは「まだまだ見習い。もっと訓練を積んで立派な鷹匠として活躍していきたい」と目を輝かせている。
(ぼたん鍋ワイワイ食べて:福井)
イノシシ肉を使ったぼたん鍋がシーズンを迎えている。紅白の鮮やかな彩りでボタンの花のように盛り付けられたイノシシ肉を囲み、仲間たちと鍋を楽しみながら親睦を深める姿も見られる。越前町下糸生(しもいとう)の「魚竹別館牡丹(ぼたん)」では、年間を通じてぼたん鍋(一人前三千五百円)を扱っているが、猟期と重なる忘・新年会シーズンは特に人気が高い。肩と背中のロースを中心に使用。コラーゲンなど美肌や健康の効果があるとされる成分が豊富で、大量の野菜と煮込む。別注文で、クマ肉やおいしいだしが出るシカ肉と一緒に食べるのも人気だ。おかみの竹原智恵子さん(75)は「脂ののった良い肉を厳選して使っている」と話す。
(シカ肉を特産化へ:山梨)
県内産のシカのモモ肉を使った「骨付きハム」が開発された。シカ肉ハムは、環境省の鳥獣保護管理捕獲コーディネーターを務める有泉大さんが、北杜市の食品会社と共同で考案した。これまで製品化したカレーやソーセージに使われるシカ肉は、使える部位が限られたが、ハムにすると、骨に近い部分の肉まで使え、資源の有効活用につながるという。有泉さんは、特産品として、200g・1000円ほどの価格で販売したいと話している。
(返礼品にイノシシ人気:石川)
羽咋市が今年度から、ふるさと納税の返礼品として新たに導入したイノシシ肉関連品の申し込み件数がランキングトップになっている。昨年12月末までの寄付件数9383件のうち、返礼品トップは「イノシシ肉スライス焼き肉用」の620件で、5種類あるイノシシ肉関連品全体では約1割に当たる約900件を占める。市は羽咋の新たな特産品として周知が進んでいるとみて、さらにPRを強化する。
(都内にマタギ文化テーマの居酒屋:東京)
東京都内に阿仁マタギ文化をテーマにしたアンテナショップ居酒屋の出店を予定している外食チェーンのドリームリンク(秋田市、村上雅彦社長)と北秋田市は30日、開店準備や店舗運営に協力して取り組むための「パートナー市町村連携協定」を締結した。同社は昨春派遣された県職員と共に県産品の知名度向上や郷土料理の開発に取り組んでおり、「阿仁マタギのブランド化とジビエ流通」を目的とする居酒屋のオープンはその一環。店舗を運営する同社が、ジビエ料理提供や観光PRなどを担い、市がそのために必要な食材や観光情報の紹介などを行う。新橋の既存店舗を改修するか新店舗にするかを現在、検討している。店舗や食材調達のめどが立ち次第オープンさせる計画で、早ければ3~4月ごろになるという。クマ肉などを使ったジビエ料理のほか、北秋田市内の農産物や山菜を使った料理をメインに提供する。
(シカの皮なめし工場稼働へ:北海道)
中川町は今春から、札幌の企業2社と連携し、捕獲したエゾシカを食肉や革製品などに有効利用する「イノチヲツナグ・プロジェクト」を始める。旧佐久保育所(町内安川2)を再利用し、シカの解体やペットフード加工のほか、道内初の皮なめしも行える工場を整備。町は捕獲したシカの焼却処分に年間500万円を費やしてきたが、2社との協力により、シカの解体から製品加工までの事業化と、「自然との共生」を目指す。プロジェクトの主体は、犬のしつけ・訓練を行う「フォーシーズンアカデミー」(札幌)と、エゾシカ革製品製造の「エゾプロダクト」(同)。旧保育所に建設中の工場は「中川リプロベース」という名称で、広さは100平方メートル。狩猟期(11~1月)は食肉を真空パックの「ジビエ」として地元や首都圏の高級料理店に販売するほか、その他の期間はペットフードに加工する。皮はなめし加工し、作家に製作を委託する。町内と周辺で捕獲したシカを年間300頭処理する計画。このうち200頭は道が町内で実証実験を行う「囲いわな」で捕獲することを想定しており、傷が少ない皮原料の確保が可能になる。事業化では札幌大谷大の指導を受ける。

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(イノシシ排除にドローン活用:福島)
東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の避難区域で深刻化するイノシシなど野生鳥獣の被害防止に向け、国や県、地元12市町村などは24日、専門家を交えた対策会議を設置した。住民の帰還環境改善を目指し、小型無人機「ドローン」を活用したイノシシ排除の実証実験などに乗り出す。対策会議はイノシシ排除を念頭に、住宅地に追い払いエリアを設定するなど四つの基本対策を柱に据えた。実現に向けた緊急プログラムとして、衛星利用測位システム(GPS)を用いた行動追跡調査や人身事故防止マニュアルの作成、人材育成などを専門家チームと連携して進める。その一つがドローンの活用だ。県ロボット産業推進室によると、県内企業の協力を得て、早ければ3月末までに浪江町内で技術開発に向けた実証実験に入る。最終的には、ドローンに取り付ける赤外線センサーで群れを把握したり、音や光で威嚇して追い払ったりすることを目指す。排除情報はインターネットを通して自治体や猟友会と共有できるようにする。福島県三春町であった24日の初会合には国や県、南相馬市や富岡町などの担当者らが出席。今後の取り組み方針などを確認した。終了後、専門家チームの溝口俊夫県野生動物調査専門官は「イノシシが住宅の中にねぐらを作るなど厳しい状況。人身事故のリスクが非常に高いことが考えられ、早く対策を打つことが大切だ」と話した。
(伊万里市射撃場、大型沈砂池設置へ:佐賀)
伊万里市大川内町の市営散弾銃射撃場に大量の鉛散弾が放置されている問題で、市の散弾銃射撃場環境対策検討委員会は24日、大型沈砂池を設置し、水質汚染を防ぐことを最優先する方針を確認した。汚染土壌の対策は、財源の課題と併せて検討を進める。委員会の開催は約2年ぶりで、市側は2015、16年度の表流水と地下水の水質調査結果を説明した。表流水は雨期と乾期の年2回調べ、環境基準値の1.7~3.2倍だった地点が延べ3カ所あったが、その下流は基準値を下回り「流出は少ないと思われる」とした。深度10メートルの地下水調査は両年度とも基準値を下回った。今後の対策では、隣接する民有地に大型沈砂池を設け、水質を基準値内で安定させることを優先し、財源確保を踏まえた上で土壌汚染対策に着手するアクションプランを了承した。新年度に沈砂池設置に向けた民有地の買収交渉に入り、委員会では汚染土壌の撤去や場内での封じ込めなど手法の検討を始める予定だが、着手時期の見通しは立っていない。委員長の樋口壮太郎福岡大大学院教授は委員会終了後、「(汚染土壌の)全量撤去ならば恐らく数十億円のコストがかかる。表土をはぎ取ると(鉛の)流出が激しくなることも十分に考えられるので、いろんな中からベストの方法を決めていくことになる」と話した。
(立ち上がる若手ハンター:長野)
飯伊連合猟友会(飯田市)の若手会員たちが「次世代の会南信州hunter,s(ハンターズ)」をつくり、活動を本格化させている。野生鳥獣による農林業被害が全県の3分の1以上を占める飯田下伊那地方。狩猟者の減少や高齢化が進む中、若手会員同士で交流を深め、技術継承や新たな仲間の参入を進めようとしている。1975(昭和50)年度に2475人いた同猟友会の会員数は、2015年度には738人と3分の1以下にまで減少。平均年齢も62・8歳と高齢化している。一方、野生鳥獣の農林業被害は、畑などに柵を設置するなどして近年減少傾向とはいえ、15年度の飯伊地方の被害額は3億3279万円余に上る。全県の34・4%を占め、栽培を諦める果樹農家も出ているという。こうした状況を背景に、ハンターズは昨年11月に発足。現在、若手30人が所属し、平均年齢は34・6歳だ。22日には初めての活動となる狩猟体験会を下伊那郡大鹿村で開催。飯田市、松川町、阿智村などから5人が参加し、大鹿支部大河原班のベテラン会員8人とともに山に入って鹿5頭を仕留めた。「せっかく興味を持って(猟友会に)入ってもなじめずに辞めていく人を見てきた」。同猟友会事務局を長年務め、発足の中心となった木下あざみさん(下條村)は、猟友会員減少の要因の一つに若手の孤立を挙げる。同猟友会は地域ごとに計37支部があるが、加入支部が異なると会員同士の交流はほとんどなかったという。若手で悩みを共有する機会はなく、どこにどんな仲間がいるのかさえ分からなかった。22日の狩猟体験会に参加したハンターズ代表の下岡直輝さん(37)=喬木村=は「地元以外での狩猟はほとんどないので、地形もいつもと違って新鮮」。仲間がベテランから鹿のさばき方も教えてもらい、「実りある一日だった」と手応えを口にした。今後は、ジビエ(野生鳥獣肉)活用に向けた料理の試作会や、若手だけの射撃大会、わな猟の講習会なども自分たちで開く予定。木下さんは「若手が楽しめる開放的な雰囲気をつくり、もっと会員を増やしていきたい」と意気込んでいる。
(猟犬飼い主を書類送検、3匹放置して女性かみ死なせた容疑:和歌山)
和歌山県警田辺署は24日、同県田辺市で昨年10月、放した猟犬3匹が女性=当時(93)=の全身をかんで死なせたとして、業務上過失致死の疑いで、飼い主の同市の無職男性(75)を書類送検した。また、男性が猟犬を市に登録をせず狂犬病の予防注射を受けさせていなかったとして、狂犬病予防法違反の疑いでも書類送検した。送検容疑は昨年10月19日、同市中辺路町近露で、猟をするため飼育している猟犬3匹を山中に放して放置した結果、山の近くの空き地にいた近所の無職横堀正枝さんの頭部や両腕などを3匹がかみ、出血性ショックで死なせた疑い。同署によると、3匹は雑種の成犬で体長約1メートル。
(伊勢原射撃場指定管理者募集開始:神奈川)
神奈川県スポーツ局は伊勢原射撃場の指定管理者を23日に募集開始した。3月21日まで申請を受け付ける。5月ごろに指定管理者候補を選定。6月議会に指定議案を提出し、18年4月から新たな指定管理者による管理を開始する。
(鳥獣対策にドローン活用へ:山口)
年間5億円を超える県内の鳥獣被害の対策のため、小型無人機ドローンの活用を検討する県の作業部会が24日発足した。作業部会は、小型無人機ドローンを活用して、深刻な課題となっているシカやイノシシ、サルなどの鳥獣被害対策を検討していくことが目的だ。県の関係部署と農林総合技術センターの担当者で構成されている。初会合に合わせ、県産業ドローン協会ではドローンの実演飛行を行い、どのような利用の仕方があるのかを説明した。鳥獣被害対策として検討されるのは温度を感知するカメラをドローンに設置し鳥獣の生息状況を調査したりドローンから発する光や音波で鳥獣を追い払ったりするなどの方法だ。県農林水産政策課岩井浩昭課長「ドローンの持つ可能性はまだなかなかはっきり分からないけれど、大きな総合対策のひとつとして活用していければ」と話していた。年間5億円を超える鳥獣被害をどう抑えていくのかは大きな県の課題で作業部会では今年5月中旬を目標に、具体的な対策案を示せるよう会議を重ねていくことにしている。
(クマ対策、人間の領域主張が有効:秋田)
秋田県内で昨年、ツキノワグマの出没が多発したことを受け、秋田市河辺の県森林学習交流館は21日、クマ対策などを学ぶ「クマ等の生態と被害防止対策講座」を同館で開いた。定員60人の2倍に上る約120人の市民らが参加したため、会場を急きょ変更。あきた森づくりサポートセンターの菅原徳蔵所長(64)が講演した。菅原さんは「狩猟者の減少や高齢化、耕作放棄地の拡大などにより、人を恐れない『新世代のクマ』が増え、近年は奥山から人里へと生息域を拡大している」と注意を喚起した。クマを里山におびき寄せないための対策として、「クマは餌がある場所を一度認識すると何度もやってくる習性がある」と指摘。「残飯などの誘因物を除去することや、荒廃した里山を整備して緩衝帯を設けて人のテリトリーを主張することなどが有効だ」と話した。
(不老園の梅、苗木にシカ食害:山梨)
甲府市の梅の名所・不老園で、梅の苗木がシカに食べられる被害が相次いでいることが分かった。柵を高くするなど、対策を取っているが、効果は薄く、関係者が頭を悩ませている。管理人などによると、去年11月末に、近くの住民から「シカが夜に飛び回っている」と情報が寄せられたため、園内を巡回したところ、シカのふんや足跡があるのを発見した。その後、梅の苗木5本ほどで、木の皮が食べられる被害が確認された。皮が食べられる被害は、カエデでも確認されていて、いずれも2、3年前に植えた若い苗木だった。約120年の歴史を持つ不老園だが、シカによる食害は今年が初めてだという。園では対策として、柵の高さを50cmから、倍以上の120cmに変えたが、効果は薄く、シカの園内への侵入は続いているという。柵をこれ以上高くすると、景観に問題が生じることや、約5ヘクタールに及ぶ敷地全体を柵で囲うことは難しく、対策に手をこまねいているのが現状だ。不老園では食害から守るため、梅のシーズンが終わる4月頃から、苗木にネットをかぶせるなどの対策を講じる予定だという。
(シカ肉カレーでジビエ堪能:福井)
若狭町井ノ口の町立三宅小学校で25日、学校給食にシカ肉を使ったカレーライスが提供された。野生鳥獣肉(ジビエ)を食材に使う取り組みで、児童たちは「おいしかった」などと話していた。地産地消を通じて身近な環境や命の大切さを学ぶ食育の一環で、同町が平成26年度から実施している。同町内の食肉処理加工施設から運ばれたシカ肉約3キロを使用。調理員がしょうがやニンニクと炒め、カレーの食材に利用した。同校のランチルームで児童97人がジビエ給食を味わった。6年の辻本莉央君(12)は「普段食べる肉と同じでおいしかった。シカ肉を使った料理でも大丈夫だった」。5年の緩詰夕陽さん(11)は「いつも食べるカレーと少し味が違ったが、おいしかった。シカは怖いイメージがあったが、自然の命に感謝しながら食べた」と話した。
(給食にジビエ登場:大分)
由布市内の小中学校と幼稚園で25日、ジビエを使った給食が提供された。子どもたちに地産地消や命の大切さ、自然とのつながりを感じてもらうのが目的。子どもたちはおいしそうに味わっていた。ジビエはフランス語で、狩猟で得たイノシシやシカなど野生動物の肉を指す。今回は県内で取れたシカ肉を、市内湯布院町の業者が長さ約20センチのウインナーソーセージに加工した。この日は市内の20校・園で実施。庄内町の東庄内小学校(小玉照泰校長、93人)では、子どもたちがウインナーソーセージをパンに挟み、ホットドッグにして頬張った。シカ肉はさっぱりとした味で、タンパク質や鉄分が豊富な上、低カロリーという。2年の小原陽翔(はると)君(7)は「初めて食べた。硬かったけどおいしかった」と喜んでいた。今後の実施については子どもらの反応を見て検討するという。市学校給食センターの衛藤哲男所長は「給食を通して児童にジビエや有害鳥獣について知ってほしい。地元の業者を利用することで地域経済への貢献にもなれば」と話した。由布市農政課によると、市内で昨年度に捕獲した有害鳥獣は▽イノシシ 1144頭▽シカ 738頭▽タヌキなどの小動物 23匹―だった。捕獲数は増加傾向にあり、点在する猟ができない場所が繁殖地になっている可能性があるという。同市湯布院町塚原の牧草地にはシカの群れが現れている。同所で酪農を営む竹内正敏さん(64)によると、10年ほど前にはあまり見かけなかったが、ここ5~6年ほどで増加した。「シカが牧草の新芽を食べるため、昨年は牧草が全く取れなかった。餌を買って余分な経費が生じ、死活問題」と説明する。市は猟友会に捕獲を委託したり、農地に設ける柵の現物支給、補助金を出すなどの対策を進めている。
(海道イノシシ肉日本一:愛媛)
愛媛県今治市の大三島と伯方島の農家や猟友会員らでつくる「しまなみイノシシ活用隊」のイノシシ肉が、全国17府県29産地が参加した「第1回日本猪(いのしし)祭り」で日本一に輝いた。渡辺秀典隊長(40)は「肉自体の味と処理技術が評価され、今後の弾みになる」と喜んでいる。猪祭りは20日に岐阜県郡上市で、地元猟師らで構成する実行委員会が開いた。各地で処理したもも肉を同じ厚さで焼き、塩こしょうだけで味付け。産地を伏せ、来場者らが最もおいしいものに投票する方法で行われた。活用隊のイノシシ肉は、4、5産地ずつ6グループに分けられた中で1位のみが通過する予選を突破。料理人や猟師ら10人が選ぶ決勝でも支持を集め、見事グランプリを獲得した。

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(ライフル誤射、女性宅の窓に穴あきベッドに実弾:徳島)
21日夜、徳島市国府町の徳島県営団地の住宅棟1階に住む60歳代の女性から「パンと音がして、寝室の窓ガラスに穴が開いた」と110番があった。寝室のベッドの上に実弾1発が落ちており、県警徳島西署の捜査で、近くの60歳代の男が狩猟用ライフル銃を誤って発射させていたことが判明。けが人はなかったが、同署は、男が銃を不適切に取り扱ったとして銃刀法違反容疑で書類送検する方針。発表では、女性は一人暮らしで、当時、寝室の隣の居間で食事中だった。男は同日午後7時50分頃、狩猟目的で所持の許可を得ているライフル銃に、使用時以外には禁じられている実弾の装填そうてんを行った疑いがある。同署は当初、発砲事件として調べていたが、22日になって、男による誤射がわかった。男は調べに、「弾を込める操作をしていたら暴発した」などと説明しているという。
(スキー場にクマ、猟友会が駆除:北海道)
25日午前9時35分ごろ、北海道富良野市の新富良野プリンスホテルに隣接する「富良野スキー場」で、コースにクマが出たと従業員から富良野署に通報があり、午後0時50分ごろ、コース外の山林で猟友会がクマを駆除した。けが人はいなかった。同署などによると、スキーをしていた男性がコースを横断するクマを目撃した。現場にあった足跡をたどり、猟友会員が見つけて駆除したクマは体長約1.1メートルの雄で、2歳くらいという。富良野スキー場は雪が降っていたものの、午前10時の時点で約1200人が訪れ、にぎわっていた。クマの目撃により、23本あるコースの約3分の1が閉鎖された。
(猟犬2匹が一時不明、その後発見し手配解除:熊本)
熊本県警玉名署によると、18日、熊本県玉名市岱明町開田地区で、住民が猟に行った際、連れていた猟犬2匹が行方不明になった。同署では「逃走した猟犬が、人などにかみつく恐れがある」として捜索し、周囲に注意を呼びかけていたが、19日午前9時25分までに2匹とも発見され、捜索手配を解除した。
(イノシシ、薬局に突入:佐賀)
16日午後2時10分ごろ、三養基郡上峰町坊所の溝上薬局上峰店に、体長約1・5メートルのイノシシ1頭が、入り口の自動ドアのガラスを突き破って侵入した。イノシシは店内を2分ほどうろついた後、近くの丘の林に逃げ込み、捕獲されていない。けが人はいなかった。鳥栖署によると、薬局と道を挟んで向かい側にある飲食店の男性店員が「イノシシが徘徊(はいかい)している」と110番した。署員や猟友会会員が駆け付けると、薬局に突進し自動ドアを突き破った。ガラスは縦110センチ、横100センチにわたって割れ、散乱した。田原光義店長(32)は「イノシシの姿が見え、しばらくすると急に猛ダッシュで一直線にこちらへ突っ込んできた。一発でガラスを割って入ってきたので、慌てて従業員2人と外に逃げた」と振り返る。店内に客はいなかった。現場は県道沿いのビルの1階。敷地内には病院があり、周辺には大型商業施設もある。病院帰りに薬局を訪れた女性(85)は「家が近くだから怖い。病院でも『イノシシに合わないように気をつけて』って言われた」と不安げだった。
(道立公園内でシカ駆除:北海道)
函館市の恵山道立自然公園内で、道と地元ハンターが初のエゾシカ捕獲事業に連携して取り組んでいる。車両との衝突事故が増え、昨夏に市内中心部を走り回る騒動が発生するなど、生息数の増加が指摘されているエゾシカ。通常は駆除対象地域にはならない道立公園内に「囲いわな」を仕掛け、個体数の調整を目指す。鳥獣保護区や住民らに危険が及ぶため、銃を使えない地域などを対象にした道の「エゾシカ指定管理鳥獣モデル捕獲事業」。2015年度から始まり、16年度は函館、苫小牧、根室の各市などが対象とされた。函館では、同公園内の市有地のうち約400平方メートルを建設用の単管と漁網で囲い、シカの出入りに反応するセンサーと監視カメラを出入り口などに配置。餌を求めて複数のシカが囲いの中に入ると、扉が自動的に下りて閉じ込める仕組みで、実施期間は昨年12月~3月上旬を予定している。
(イノシシ被害増、初めて防止柵設置:神奈川)
平塚市西部の高根地区でイノシシ出没が相次ぎ、農作物被害防止に向けて市などが中心となり、侵入防止柵を市内で初めて設置した。平塚市では数年前からイノシシの被害が増え始め、県内では三浦半島など、これまであまりイノシシの出没が確認されていなかった地域でも被害が出ている。自治体は対策強化に苦慮しそうだ。平塚市では7、8年前からイノシシが出没し、以降イモ類やハクサイなどの野菜が食い荒らされる被害が激増した。平成27年度の市内の捕獲頭数は27頭だったが、今年度は12月末の時点で昨年度と同じ捕獲頭数を数え、昨年度を上回るのは必至だ。特に被害が大きいのが市西部の山間部に位置する高根地区だ。今年度の同地区の捕獲頭数はすでに12頭で、昨年度の9頭を上回っている。被害拡大防止に向け、昨年11~12月にかけて、市や住民ら延べ106人が鉄製ワイヤによる高さ1メートルの防止柵を、約800メートルにわたって張り巡らせた。事業費は約86万円で、国の交付金でまかなわれる。市では、柵設置による効果を検証したうえで、来年度以降の対策を検討する考えだ。イノシシはこれまで目撃例がほとんどなかった横須賀市や葉山町といった三浦半島でも25年ごろから目撃されるようになり、農作物被害も報告されるようになった。県横須賀三浦地域県政総合センターによると、イノシシがどこからやってきたかは不明で、「イノシシは移動能力が高く、茅ケ崎方面から海を渡って移動してきたか、飼育者が放った可能性もある」という。葉山町では農家が中心となり、「鳥獣被害対策実施隊」が結成され、捕獲に乗り出しているが、全頭駆除は困難で、「雑草を刈り込むなど生息地をなくすことも必要」(同センター)としている。
(住宅地にイノシシ出没:広島)
広島市西区高須台など住宅地にイノシシが頻繁に出没し、地域では警戒を強めている。エサを求めて出てきたとみられる。周辺の小学校では集団での登下校を呼びかけている。また各家庭でもエサになるようなゴミは、ぎりぎりまで家の外に出さないなど対策が求められる。
(「イノシシ」対策へ連携強化:福島)
東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た地域で深刻化するイノシシなど野生鳥獣の被害防止について、県は24日、避難12市町村や専門家チームなどでつくる対策会議を設立する。避難指示が解除された地域への帰還や、避難指示解除への準備が進む中、広域連携を強化することで効果的、効率的な対策を推進し、住民の安全を確保する。県によると、対策会議は県と避難12市町村の副市町村長、双葉地方広域市町村圏組合事務局長、野生鳥獣やイノシシの被害防止対策に精通した専門家チーム、国で構成する。第1回会議は同日、三春町の県環境創造センターで開かれる。これまでは県と市町村、国の担当者による情報連絡会で情報共有や対策の検討が図られてきたが、急務となっているイノシシ対策を推進するため、対策会議を新設。専門家チームの科学的なアドバイスなどに基づきイノシシを効果的に駆除する実証事業を展開し、対策の普及促進に当たる。原発事故による避難地域では、イノシシが市街地に進出。人家周辺を掘り起こしているほか、食べ物が残っている人家の窓などを壊して侵入しているという。イノシシと車の事故も起き、住民からさらなるイノシシ対策を求める声が強まっている。12市町村の将来像を話し合う有識者検討会が2015(平成27)年7月にまとめた提言でも、鳥獣被害対策の広域連携を検討する必要性が指摘されている。
(鳥獣被害防止へ、野生動物の管理計画を検討:新潟)
県内では毎年、クマやサル、イノシシなどの野生動物による人や農作物への被害が出ている。19日の会議では、野生動物の生息状況の管理などについて、今後5年間の計画案が示された。
(シカの列車衝突、わなで防止:山梨)
JR東日本八王子支社は、シカ、イノシシなどと列車の衝突事故を防ぐため、囲いわなを設置して線路に近づくシカなどの捕獲に乗り出した。昨年末には同社で初めて、甲州市の中央線沿線に囲いわなを設置した。9月末まで運用し、効果を判断するという。囲いわなは20日、報道陣に公開された。幅4メートル、奥行き6メートル、高さ2メートルの金属製の檻(おり)のような形状。内部に干し草やシカが好んでなめる鉄分を含む誘引剤などを置き、線路近くに現れた動物が入り込むとセンサーで感知して入り口を閉め、閉じ込める仕組みだ。まだ捕獲実績はないものの、わな周辺でシカのフンが確認されており、「有効性が認められれば他地域にも広げていきたい」(内田海基夫支社長)と期待をかけている。同社は動物の出没頻度が高い区間を中心に、線路への侵入防止フェンスを設置したり、フェンスが設置できない踏切などにはライオンの糞尿(ふんにょう)を原料にした動物が嫌がるにおいのする忌避剤を散布したりと、さまざまな対策を続けてきた。しかし、八王子支社管内で平成25年度に約60件だった衝突事故は、26年度に約90件、27年度に約100件、28年度は11月までで約90件と増加の一途。昨年12月19日には大月市内の中央線(笹子-初狩駅間)で上り特急がシカと衝突して約26分停止。運転再開の6分後にイノシシと衝突して約18分停止し、後続列車なども含め約1200人の乗客に影響が出た。
(ニホンザル8グループ確認:愛知)
農作物へ被害を及ぼし、人への危害も懸念されるニホンザルへの対策のため、メスの首輪に取り付けた発信器から出る電波を受信して位置を特定する「テレメトリー調査」を実施している豊川市は、市内に8つの群れがあることを確認。各群が採食や遊動をするそれぞれの行動範囲をほぼ確定した。今後の適切な個体数調整などに有効なデータになる。合併後の豊川市では2011年度、サルによる農作物の被害金額が219万円だったのが、翌12年度718万円と急増した。そこで13年12月から、群れの行動範囲の把握や追い払いのための位置確認を目的にしたテレメトリー調査を、県内では珍しく市独自で開始。専門の調査会社に委託して15年度までのデータを積み上げた結果、西部の山間部を中心に、A=長沢、赤坂台▽B=赤坂、赤坂台、萩、旧額田▽C=萩、旧額田▽D=萩、平尾、財賀▽E=赤坂、御油▽F=財賀、千両▽G=千両、大木、足山田、上長山、東上▽H=東上―の8つの地域を行動範囲とするグループに分かれ、約450頭のサルを確認することができた。さらに大型捕獲檻(おり)の設置や、銃免許所持者によるサル駆除隊が活発に活動して駆除の効果をあげている。捕獲檻は現在、平尾町や萩町、上長山町などに合わせて5基を設置。13年12月から今月19日現在で、累計283頭を駆除した。1度に20頭以上を一斉捕獲した例もあった。今月に入り、1年間捕獲実績がなかった千両町の檻を平尾町に移動。今後もテレメトリーの結果などを見て、効率的に捕獲できる場所に檻を移して対応する。サル駆除隊はペアで4班を編成。4月から10月の平日に山裾を中心にパトロール。追い払いや駆除を実施している。これらの成果もあり、15年度には農作物被害額は205万円に減少。17年度は125万円を目指す。愛知県は駆除の拡大を盛り込んだ17年度から5カ年で進める第二種特定鳥獣管理計画案の中で、豊川市内のサルの分布域について「増加傾向あるいは横ばいの市町村が多い中、旧豊川市と旧一宮町では減少傾向となっている」と評価。市が行ってきた取り組みの成果が大きい。とはいえ1月に入り、市内2カ所のゴルフ場内で20頭以上の群れが目撃されることが相次ぎ、一部人なれしたサルが人に危害を加える可能性も否めない。今後も注視が必要だ。農務課の杉江孝氏農政係長は「ある群れを消滅させても、結局他の群れの行動範囲が広がってしまう。テレメトリーで群れの頭数を把握して多いところは捕獲して個体数を調整することが大切。しばらくは調査を続けたい」とした。
(イノシシの出没相次ぎ、自治体が対応苦慮:神奈川)
湘南・西湘エリアをはじめ、県内各地でイノシシの出没が相次いでいる。丘陵地が広がる大磯町では、すでに昨年度の2倍を超す163頭が殺処分され、小田原市や足柄下地域でも増加傾向だ。人的被害は報告されていないものの、出没エリアは児童らの通学路にまで及んでいる。水田や畑が荒らされる被害も後を絶たず、自治体は対応に追われている。「里山の実りが豊かで、イノシシが順調に育ってしまったのか…」。年度末まで約3カ月を残す時点で、昨年度(70頭)の2倍を超すイノシシが殺処分された大磯町。担当者はその要因をこう分析し、表情を曇らせる。頭数の増加に伴う農作物の被害も深刻さを増す。2014年度は1・26ヘクタールの耕作地で被害総額は106万円だったのに対し、15年度は1・49ヘクタール、150万円に拡大。町は町内28カ所に捕獲わなを設置し、昨年12月には猟友会に依頼する捕獲手数料100万円を補正予算に計上した。こうした状況は、西湘地域も同様だ。真鶴町の本年度の捕獲頭数は21頭(1月10日現在)と昨年度の10頭から倍増し、集計を取り始めた13年度以降の最多を記録。箱根町も昨年12月末現在で51頭捕獲しており、同期比で近年最も多かった昨年度(90頭)に迫る勢いだ。小田原市の捕獲頭数も13年度63頭、14年度98頭、15年度143頭と増加傾向にある。本年度は集計途中ではあるものの、担当者は「個体数の増加により捕獲頭数は増えている」とみる。今月8日には市街地の小田原城址公園(同市城内)にも1頭が出没。近年の農作物被害は、届け出があるだけで1千万円以上に上るとされる。いずれの自治体も被害への危機感を示し、「早急な対策が必要」との認識で一致しており、わなを増設するなどして対応している。ただ有効な打開策は見いだせておらず、「捕獲を継続的に続けていくしかない」(真鶴町)のが実情だ。環境省の鳥獣関係統計などによると、県内でここ10年間の有害鳥獣としての捕獲数は400~1150頭程度で推移しており、農作物の食い荒らしなど「被害状況は深刻」(県自然環境保全課)という。同課は対策について、「捕獲と防護、近づきにくい環境整備をバランス良く組み合わせて取り組んでいくことが大切」としている。
(クマ保護・人の安全両立、県がゾーニング管理導入へ:鳥取)
ツキノワグマの出没が相次ぎ、けが人や農業への被害が増えていることを受け、県は住民の生活圏とクマの生息区域を明確に分ける「ゾーニング管理」を導入し、クマの保護と人の安全の両立を目指すことを決めた。年度内に野生動物の生活環境整備や獣害対策を盛り込んだ保護・管理計画を改定し、共存を図りたい考えだ。
(シカ捕獲へ夜間銃猟:和歌山)
農林業に被害を及ぼすニホンジカの生息数増を抑えようと、和歌山県は2月から3月末まで、紀南を中心に県内6カ所で夜間銃猟を実施する。2015年度に全国で初めて導入。実績は少なかったが、本年度は地域を増やすなど捕獲機会増や効率化を図り、新たな捕獲方法の確立を目指す。事業は県が「県猟友会」に委託し、夜間銃猟の認定を受けた会員が猟に従事する。期間中の出猟は1カ所当たり2週間に1、2回で、時間は15年度は日没から1時間程度だったが、午後10時まで延長した。効率化も図る。1地域に1カ所だけだった餌場を最大10カ所程度に増加し、猟師が車で巡回する形にする。また、事前に監視カメラで調べた出没しやすい時間帯を狙う。実施場所も15年度の2倍の6カ所に増やす。生息数が多く、安全が確保される田辺市中辺路町水上地区、同市龍神村北東地区、同市本宮町三越地区、古座川町池野山地区、日高町原谷地区、紀美野町旧美里地区。捕獲目標は1カ所当たり20匹の計120匹。15年度は田辺市中辺路町水上地区、すさみ町江住地区、古座川町西川地区で実施。2月中旬から3月末まで、1カ所当たり20匹の捕獲を目標にしていたが、実績は合計で6匹だった。
(20年ぶり解禁のクマ猟継続へ:兵庫)
兵庫県が、2016年度に20年ぶりに解禁したツキノワグマの狩猟を、17年度も認める方針であることが分かった。生息個体数が高止まりし、16年度は餌となるドングリ類の不作の影響などで、4~12月の出没情報は973件と15年度の約2倍に上る。人身被害も県内で5年ぶりに起き、住民の安全確保のため必要と判断した。ツキノワグマは県内で絶滅の恐れがあるとして、県が1996年度に狩猟を禁止。その後、生息個体数が増え、2015年には、県の保護管理計画で解禁基準とする800頭を超えて約940頭に上った。このため県は16年11月15日~12月14日の1カ月間、1人1頭に限り狩猟を認めた。県は16年度中に今後5年間の方針を定めた管理計画を新たに策定するが、800頭以上という解禁基準は変えない方針。今回の狩猟期間中に仕留められたのは4頭にとどまり、16年の推定生息数は発表されていないが、800頭以上になるのが確実となっている。ツキノワグマを巡っては、16年10月に宍粟市で男性が襲われて重傷を負うなど、16年度の県内の人身被害は3件に。北播磨地域で15年度の10倍を超える出没情報が寄せられるなど、以前はあまり姿を見せなかった地域でも目撃されている。17年度は、これまで集落内に仕掛けていたわなを集落周辺の裏山に広げるなど、狩猟以外の対策も強化する方針。
(中ア鹿流入ルート把握必要:長野)
上伊那地方の市町村や国、県の関係機関でつくる中央アルプス野生動物対策協議会(会長・杉本幸治駒ケ根市長)は20日、増殖が懸念される中アのニホンジカ対策に関するシンポジウムを駒ケ根市東町のアイパルで開いた。関係者ら約150人が参加。講演や事例報告、パネルディスカッションを通じ現状への理解を深め、今後の対策について考えた。参加者からは行動追跡調査を活用した捕獲や、南アルプスから流入するルート把握の必要性などが指摘された。事例報告で南信森林管理署は、センサーカメラや全地球測位システム(GPS)による調査結果を報告。下伊那郡松川町の片桐ダム上流や飯島町の与田切川上流で多くの鹿が確認されていることや、駒ケ根市の中田切川上流にすみ付いている鹿が里山近くまで移動している様子を示した。県も中ア北部や木曽側南部で行っている行動追跡調査の状況を紹介し、木曽側で捕獲を計画していることを説明した。パネルディスカッションでは、基調講演も行った国立研究開発法人森林総合研究所研究ディレクターの小泉透さんが、鹿の繁殖率の高さなどから「これから拡大スピードに拍車がかかる」と予測。行動追跡調査を活用した効率の良い捕獲方法を検討すべきとした。同署の久保芳文署長も「中アでの行動把握だけでなく、南アからの流入ルートを見つけてシャットアウトしたい」と話した。捕獲体制については、南ア食害対策協議会でも活動する信州大学農学部の竹田謙一准教授が「南アの協議会のように、団体の枠を超えてざっくばらんに意見交換できる雰囲気づくりを」と注文。杉本会長は「猟友会を中心に関係機関で連携したい」と述べた。協議会は昨年2月に設立し、シンポジウムは初めての事業。今後は構成団体や南ア食害対策協議会と連携して状況の把握や情報共有に努め、来年度から本格的な事業に着手していく。
(芝生ボコボコ、各地で被害:兵庫)
来園客の憩いの場だった芝生が夜な夜な荒らされ、穴ぼこだらけになる珍事が昨年11月、兵庫県姫路市豊富町神谷の姫路セントラルパークで起きた。“犯人”は周辺に出没するイノシシとみられ、市によると、餌を求めて人里に姿を現す事例が増えているという。芝生の再生には時間と費用を要するため、同園は頭を抱えている。同パークによると、芝生は遊園地内にあり、広さは約600平方メートル。同月上旬の3日間ほどで、全体が掘り起こされた状態で見つかったという。
(角の先端が3方向に:和歌山)
和歌山県すさみ町周参見の上山輝男さん(73)はこのほど、先端で3方向に分かれた角を持つシカを町内の山中で捕獲した。めったに見られないといい、知人らの間で話題になっている。角は右側が長さ46センチ、左側は50センチ。どちらも三つまたになっているが、右側は先端部分がさらに3方向に分かれている。最も太いところで14センチある。シカは昨年12月上旬、設置していたおりに入っていた。体重は約60キロ、体長は約110センチだった。捕獲した日のうちに解体し、頭部だけを残した。
(体長1.5メートルのイノシシ:佐賀)
佐賀県警鳥栖署によると、16日午後2時10分ごろ、佐賀県上峰町の井手口交差点付近で、イノシシ1頭(体長約1.5メートル)がうろついているのが確認された。同署は「不用意に近づかず、刺激しないように」と呼びかけている。
(死んだヒシクイから鳥インフル陽性反応:石川)
石川県は18日、加賀市の片野鴨池(かもいけ)で死んでいたヒシクイ1羽の遺伝子検査でA型鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。今後、環境省が鳥取大で確定検査を行い、毒性が強い高病原性鳥インフルエンザかどうかを調べる。県内の野鳥から陽性反応が出たのは初めてとなる。県によると、養鶏場の家禽(かきん)から高病原性と低病原性のウイルスが確認された場合、殺処分などが行われるが、今回は野鳥のため、監視強化などの対応となる。15日に加賀市鴨池観察館の職員が水際の湿地でヒシクイが死んでいるのを見つけた。県南部家畜保健衛生所で行った簡易検査では陰性だったが、国立環境研究所での遺伝子検査で陽性反応が出た。環境省は18日に県に報告し、片野鴨池の半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定した。報告を受け、県は県庁で鳥インフルエンザ対策警戒本部の会議を開き、19日以降、野鳥監視重点区域内を監視パトロールし、野鳥が死んでいないかなどを調べる。18日には獣医師の資格を持つ職員計4人が区域内の養鶏場など11カ所で緊急立入検査を行い、家禽に異常がないことを確認した。区域内で鳥類を飼育している学校はないという。確定検査の結果で陰性となるケースもあり、県の担当者は「日常生活で鳥の排せつ物などに触れた後は手洗いやうがいをすれば、過度に心配する必要はない」と話した。死んでいる野鳥などを見つけた場合は県や市町などに連絡するよう呼び掛けている。
(野鳥1羽の鳥インフル確定:山口)
山口県は17日、山口市で見つかったカモ科のホシハジロ1羽の死骸を鳥取大で確定検査した結果、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6型)が検出されたと発表した。県によると、野鳥は9日に見つかった。10日から発見場所周辺の監視を実施しており、異常は確認されていない。
(高病原性鳥インフル検出:兵庫)
兵庫県は13日、西宮市の池で12月28日に回収した野鳥キンクロハジロ(カモ科)の死骸から高病原性鳥インフルエンザウイルス「H5N6亜型」が検出されたと発表した。環境省は6日時点で、周辺10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定、周辺の消毒を行っている。同県伊丹市の昆陽池公園でも13日、飼育するコブハクチョウが死に、A型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出た。今後、確定検査を行う。
(鳥インフル陽性反応、野鳥の死骸から:島根)
島根県は11日、同県浜田市の浅井川で回収されたカモ科の野鳥ホシハジロ1羽の死骸から、簡易検査でA型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たと発表した。鳥取大で確定検査を行う。これを受け、環境省は同日、回収地点の半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定した。
(ハンター育成へ、猟友会と自治体がタッグ)
「ベテランの技、教えます」。ハンター(狩猟者)の育成を目指して、各地の猟友会が自治体と連携し、狩猟免許を取ったばかりの初心者向け講座を開く動きが広がっている。「どこで何から始めていいか分からない」と、免許があるのに山に行かない人が増えているからだ。「イノシシの新しい糞(ふん)がある。構えて」。平成28年11月、鳥取県三朝(みささ)町の山間地。茂みに体を忍ばせていた若手猟師たちは、トランシーバーから獲物の手掛かりを伝えられると、散弾銃を握り締めて息を潜めた。同県が猟友会と同年から始めた「ハンター養成スクール」。シカなどの獲物を谷間に追い込み、待ち伏せていた別のハンターが仕留める伝統的手法「巻き狩り」をベテラン猟師が教える講座だ。小雨で辺りはぬかるみ、参加者の顔や服は泥まみれ。「手はずは覚えられたので、これからは積極的に狩りに参加したい」。獲物は捕れなかったが、初めて狩猟に来た会社員、寺尾正さんは充実した表情で語った。大阪府でも同年4月、狩猟免許を取得して一度も現場経験がない「ペーパーハンター」向けの講座を猟友会が開設。60人余りが参加し、上半期は狩猟に関連する法律や、わなの使い方などの座学をし、下半期から山で狩猟の手ほどきを受ける。同年12月現在で、岩手や栃木、神奈川、兵庫、広島、福岡などの県でも講座や研修があり、福島や群馬、埼玉、千葉の各県ではわなの使い方を教えている。被害が年間200億円近くに上る農作物への獣害防止にも役立つ狩猟だが、愛好家の数は減少。各地の猟友会を統括する「大日本猟友会」(東京都)の会員は昭和53年度の約42万人をピークに約10万人にまで減った。同会の浅野能昭専務理事は「門外不出だった技を伝え、少しでも楽しむ人が増えれば、獣害の抑止にもつながる」と期待を込めている。
(美しき「狩りガール」続々と)
全国各地の大学で狩猟サークルが相次いで誕生している。ハンターの高齢化が進み、ハンターが減少するなか、イノシシやシカなどの野生動物による農作物被害が拡大していることが背景にあるという。サークルはこうした問題を打開するためで、若者たちが“農村の危機”に立ち向かっている。奈良女子大(奈良市)で住環境学を専攻する竹村優希さん(24)は、過疎地活性化の研究で奈良県野迫川村を視察した際、野生動物による農作物の被害を知った。昨年4月、「地域住民の一助になれば」と、ハンティングサークルを立ち上げ、代表に就いた。山では、猟銃は使わず、免許を持つ竹村さんら4人を中心にワイヤロープやハコなどを使って捕獲する「わな猟」を試みる。竹村さんは「害獣の行動を考え、捕獲に効果的なポイントに先回りしてわなを仕掛けるのが奥深い」と話す。メンバーは学外2人を含む16人。農作物を食い荒らすイノシシやシカの狩猟技術の習得に励み、ジビエ料理の研究にも取り組む。「私たちの代わりに殺生をしてくれる人がいるおかげで肉が食べられるんだ」竹村さんらはハンターが獲物を無駄なくさばく様子をみて以来、駆除で仕留めた「命」に対して無駄なく食べることを心がけているという。「足跡を見れば、イノシシやシカが何日前に何頭くらい来たか分かります。それらを参考にわなの場所を決めています」兵庫県で狩猟が解禁となった昨年11月下旬、同県南あわじ市内の山林を訪れた吉備国際大地域創成農学部(南あわじ市)の2年、神田颯大さん(20)は動物の足跡を指さし説明した。神田さんが代表を務める「チーム追山『狩部』」は平成26年秋に結成した狩猟サークル。メンバー13人が大学近くの雑木林などに6基のわなを仕掛け、毎朝車で見回っている。11月はシカ3頭とイノシシ8頭を捕獲。毎月10~15頭のペースの捕獲を目指す。島根県の農家育ちという神田さんは、実家のキャベツ畑がイノシシに荒らされた経験から「農作物の被害を減らしたい」と狩猟に興味を持つようになった。サークルでは捕獲したイノシシなどの解体も自分たちでこなし、ソーセージや薫製などの料理も。神田さんは「最初は血抜きがしっかりできず肉がかたかったが、今ではだいぶおいしい肉にできるようになりました」と話す。学内の試食会も好評で、地元の特産品として販売する計画もあるという。農林水産省の26年度の統計によると、シカによる農作物被害は全国で65億円、イノシシが55億円と巨額だ。一方で、ハンターの高齢化と後継者不足は進んでおり、兵庫県では猟友会の会員約3千人のうち、60歳以上の高齢者が約7割を占め、奈良県も、猟友会のハンターの平均年齢は63歳。農作物被害を減らすためにも、若者が参加する大学のサークル活動に期待が集まっているという。奈良女子大の竹村さんも、吉備国際大の神田さんも見据えるのは農村の将来だ。竹村さんは「狩猟を通して地域再生を図る県外の団体との交流にも力を注いでいきたい」と言い、神田さんは「ひよっこでも真剣に取り組みたい。そして早く立派な猟師になりたい」と話している。
(目指すは“狩りガール”:茨城)
城里町の地域おこし協力隊員として活動している土浦市出身の瀬川礼江(ゆきえ)さん(24)が昨年、狩猟と散弾銃の免許を取得し、女性ハンターとして訓練を開始した。里に現れては農作物を荒らすイノシシやハクビシンを退治することで、地元への貢献を目指す。合わせて「イノシシの皮など、自然の恵みを活用する方法も考えていきたい」と張り切っている。瀬川さんは大学卒業後、東京都内の公共施設管理会社に就職。世田谷区で暮らしていたが、「地域や人とつながりを持ち、自分の人生の実になる仕事がしたい」と、城里町地域おこし協力隊員に応募した。昨年四月、里山が残り、農業が盛んな町に移り住んだ。「テッポウ、やってみない?」。狩猟の免許を取るきっかけは、昨年五月ごろ、町役場の食堂で他の隊員たちとランチの最中、獣害対策担当の町職員に誘われたことだった。「町にとけ込み、町の人に近い目線で暮らしたい」と思っていた瀬川さん。良い機会と考え、「やってみます」と手を挙げたという。学科試験をへて昨年九月、県狩猟者研修センター射撃場(笠間市)の実技試験で初めて散弾銃を手にした。「想像以上に重く、撃ったときの反動がすごかった」と振り返る。昨年六月に第一種狩猟免許、十月には猟銃所持許可と、銃による狩りに必要な二つの免許を取得した。協力隊ではイベントを運営したり、SNSなどで町の情報を発信したりするのが主な仕事。休日をハンターとしての訓練に充てる。射撃訓練に加え、イノシシの解体も何度か体験した。実際の狩りの戦力になるには、ある程度の経験が必要なため、新年度、町が結成する「鳥獣害対策実施隊」に参加し、実地経験を積む予定だ。瀬川さんを狩猟の道に誘った町農業政策課の興野(きゅうの)隆喜さん(51)によると、町内で駆除したイノシシの数は、過去十年間で三倍ほどに増えた。一方で、駆除の中心を担う猟友会員は、高齢化などのため三分の一まで減っている。「女性が入れば男性も入る。“狩りガール”を育て、猟友会を盛り上げたい」と興野さん。瀬川さんの他にも町内の女性二人をスカウトし、免許を取ってもらったという。瀬川さんが今、注目しているのは、イノシシの皮の活用。福島県伊達市では、財布などの革製品に加工して販売する取り組みも始まっている。瀬川さんは「加工体験の催しを開くなど、自然の恵みや生き物について考えてもらう入り口になる生かし方をしたい」と計画を温めている。
(農山村の再生へ向けて、ALSOKの鳥獣害対策に向けた取り組み)
“191億円”。この数字は平成26年度の鳥獣被害による作物被害額です。これは、耕作放棄地は対象外になるため、実際にはこの金額を上回る被害が出ているのです。山本農林水産大臣は、2017年初に「農業・農村の多面的機能の維持・発揮を図るため、地域の共同活動、中山間地域等における農業生産活動、自然環境の保全に資する農業生産活動を支援するとともに、改正された鳥獣被害防止特措法に基づき、ジビエ利活用の推進等、鳥獣被害対策の内容を充実させていく」と、農業・農村の多面的機能の維持・発揮を狙いに、鳥獣被害対策を拡充すると言及しています。先の被害額が示す通り、鳥獣被害対策は、農業生産という産業面と、農村という社会生活面において重要な課題となっています。全国の野生鳥獣による作物被害は191億円(前年度比7億円減)のうち、8割は獣類によるものです。被害額が多いほうから、シカ(65億円)、イノシシ(55億円)、サル(13億円)で被害総額の7割を占めています。2008年2月に「鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律」が施行され、市町村への捕獲許可権限が委譲されました。その後、自治体や民間企業が対策に乗り出しています。最近では、日本ジビエ学会が発足する等、捕獲した鳥獣の活用への本格的な取り組みも出てきています。民間の取り組みとしては、ALSOKが2013年からICTを活用した鳥獣害対策を開始しています。本稿では民間企業の農業再生への取り組みとして、ALSOKの鳥獣害対策をとり上げ、その効果と、鳥獣害対策の課題と今後を展望します。ALSOKでは、2013年から罠が作動したときにメールでお知らせする装置「鳥獣わな監視装置」の取扱を開始しました。監視装置を罠につけて使います。これにより、見回りにかかる労力の低減(見回り頻度の低下)、錯誤捕獲の早期発見等の効果がでています。この装置を利用することにより、見回り頻度を減少でき、高齢化が進展する農家の負担軽減につながっています。「鳥獣わな監視装置」のターゲット層は、主に自治体です。実際に利用するのは農家ですが、自治体が導入し、農家に貸出しています。現在の導入台数は全国各地で100台以上導入されています。当初は、監視装置の機器の販売をしていましたが、利用者の要望に応じて、監視装置を活用して有害鳥獣を捕獲するサービスの提供を始めました。要望のあった自治体(千葉県茂原市)や民間企業から委託を受けて実施しています。被害の状況に合わせ、自治体、地元住民、地元猟友会等と協力体制を築き捕獲業務を実施しています。捕獲業務では、「鳥獣わな監視装置」を利用して、効率的に捕獲業務を行うことで、捕獲頭数が倍以上に増えるケースもありました。ただ、ICTを導入すれば、簡単に駆除ができるのかというとそうではありません。「駆除のノウハウはマニュアルのみでは伝授できません。同じイノシシでも、地域が変われば、エサや生態が変化するので地域のごとの状況を聞かないと対策が打てない部分があります」(ALSOK営業推進部 機械整備営業室 小塚氏)と、ICTを手段として活用しつつも、駆除業務の人的ノウハウは必要であることが指摘されています。これまで鳥獣の捕獲は、ボランティアが行ったり、自治体が捕獲報奨金を提供したりすることにより、行われてきました。つまり、自治体で捕獲業務に対して予算化が行われていません。また、狩猟を行う人が高齢化してきており、狩猟出来る人が減少しています。5年後には狩猟できる人材がいなくなると言われています。このような現状に対し、国は、新たな捕獲の担い手を育成・確保する目的で、鳥獣の捕獲等に係る安全管理体制や適正かつ効率的に鳥獣の捕獲等をするために必要な従事者の技能及び知識が一定の基準に適合している法人を認定する「認定鳥獣捕獲等事業者制度」を導入しました(2015年5月「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」施行)。法整備が進み、以前より民間企業が鳥獣害対策事業に進出しやすくなりましたが、民間企業である以上、事業の持続可能性が課題となります。ALSOK営業推進部 機械整備営業室 課長 福田氏は「現状、鳥獣わな監視装置の販売と有害鳥獣駆除業務で十分な収益を確保出来ているとは言えないが、ALSOKとしてはCSRの観点からもこの取り組みを推進している。今後は、駆除業務を実施している周辺エリアの自治体等への提案を加速させ、受注件数を増やし、コストを圧縮することで適正な収益が得られるようにして行きたい。」と述べており、将来的に継続していくためには採算性をクリアしないといけないとしています。鳥獣わな監視装置の市場性については、届け出のない鳥獣被害も含めると、鳥獣被害の金額面での大きさは明らかであり、潜在需要は確かに存在しているということになります。鳥獣被害を軽減していく上では、鳥獣被害対策のサービスを活用する自治体での予算化等、このビジネスにかかわるステークホルダが課題を解決していく必要があるでしょう。さらに、「『捕獲した鳥獣を何とかしてほしい』という相談を直接農家からうけることもある」(小塚氏)と、現場では捕獲した鳥獣の処理が課題になっています。「捕獲したシカやイノシシの処分は、多くは土の中に埋めたり、有償で(焼却等の)処理をしている。ジビエ用もあるが、ごくわずか。ジビエは衛生基準もあるので、それほど簡単には実現できていない。最近では、捕獲した鳥獣の肉をペットフードとして活用している例もある。」(福田氏)と、捕獲した鳥獣の活用という新市場の可能性もあります。地域貢献として、耕作放棄を止めるために、鳥獣被害対策は重要です。鳥獣被害により、「農業から退きたい」と辞めていく農業従事者も後を絶たないそうです。これは国内農業において最も深刻な問題です。さらに、鳥獣被害を食い止めないと、それによる田畑の被害やそれに伴う耕作放棄地の拡大ばかりでなく、農村地域の生活空間にも鳥獣が現れるようになり、われわれ住民の生活の安全安心が担保出来ない状況をもたらすことになります。シカ、イノシシは年々増加しており、シカの個体数は10年後には2倍になると言われており、捕獲量を増やさないと、人間社会に大きな影響がでてくる可能性があります。最近では、農地ばかりでなく、市街地において車とシカやイノシシの衝突事故が増えており、自治体で問題となるケースがでてきているのです。ALSOKの取り組みは、ICTを活用することにより、農家の安全安心と豊かな里山の自然保護に貢献しています。ICTが手段となり、地域社会の安全安心、農業の活性化に向けた環境整備において、役立っています。鳥獣被害の現状・社会的な意味、その問題の解決の必要性についての認知度向上や、対策を持続可能に実施できるような財政的な支援も求められています。加えて、有害捕獲されたシカやイノシシを野山に廃棄することなく、食肉として飲食店でのジビエ料理の提供、加工品開発と販売などを通じて有効活用を図り、鳥獣被害対策や地域活性化に貢献できる取り組みにもつながっていく可能性を秘めているのです。
(「ツキノワグマ」を追いかけ28年、知られざる「子殺し」の瞬間を記録)
『NHKスペシャル 森の王者ツキノワグマ』。生態系の頂点に君臨するツキノワグマ。しかし、警戒心が強く森の奥深くで暮らしているため、その生態はこれまでほとんど知られていなかった。その謎に満ちた暮らしぶりを、カメラマン・横田博さんは28年に渡り栃木県足尾の地で追いかけ続け、膨大な映像に記録してきた。1000時間を超す映像には、落石に巻き込まれ、崖を転げ落ちた子グマが九死に一生を得る瞬間や、小熊を襲って食べる「子殺し」という驚きの生態まで記録されている。横田さんが12年前に「次郎」と名付けて長く追い続けるクマを中心に、いま、明らかになりつつあるツキノワグマの素顔を描く。
(野生動物を殺さず森へ追い返す『ベアドッグ』に期待:長野)
2016年は全国的にクマの出没件数が増加しており、秋田県鹿角市十和田大湯では、オスのツキノワグマがタケノコ採りをしていた人々を次々と襲い、4人が死亡するという戦後最悪の被害も起きています。実は、2015年はドングリが豊富な年であり、その関係でクマの個体数が増えたと考えられるそうです。翌年の2016年は凶作だったため、エサを求めて人里に来る個体が増えた可能性があります。日本には、北海道に生息するヒグマと、本州・四国に生息するツキノワグマがいます。(九州のクマは50年以上前に絶滅)実は、ヒグマ・ツキノワグマは雑食性。木の実などや昆虫、生き物の死肉は食べますが、あまり積極的に哺乳類などを襲うことはないそうです。しかし、偶然遭遇した人間に驚いて攻撃したことが切っ掛けで、獲物と認識してしまう可能性はあるとのこと。そんな中、軽井沢町ではクマ対策に有効な『ベアドッグ』という犬を採用しています。人とクマを守るため活躍する『ベアドッグ』とは カレリアン・ベアドッグ(カレリア犬)とは、ヒグマ猟のために改良されてきたカレリア地方出身の犬種で、クマのにおいを察知する特別な訓練を受けています。他の猟犬とは違い、獲物に襲いかからずその場にとどめるような性質のため、人・犬・クマの安全に適した犬種なのだそうです。かつては、ヒグマ被害が深刻化した北海道に輸入されたこともあったとのこと。人里からのクマの追い払い、捕獲と発信機の装着、学習放獣などを行っている軽井沢町のNPO法人『ピッキオ』は、2004年よりアメリカの育成機関からカレリア犬を導入。クマは基本的に臆病な性格なので、ゴミを求めて人里に現れた際に驚かせることで「人里には近付かない方がいい」「人間はこわい」などの学習をさせることが可能です。カレリア犬は、人とクマとの共存を目指す軽井沢町で、大変重要な役割を担ってくれているそうです。現在いるのは雄と雌のきょうだい犬「ナヌック」と「タマ」の2頭。各々専任の訓練士と共に、クマの出没が多い夜間から早朝の間パトロールを行っています。カレリア犬は主人に忠実で勇敢、家族への愛情が深い犬であり、訓練士と深い信頼関係を築くそうです。クマ被害が起きている地域によっては、カレリア犬の導入で事態が好転する所もあるかもしれませんね。クマが住んでいるということは、森に豊かな自然が残っているという証拠でもあります。人間とクマは古来より共存関係にあり、人の方もクマの生息域に配慮して行動する必要があります。クマと適切な距離を保てるよう、すべての人が努力していく必要があるのではないでしょうか。
(イノシシ潜み場に監視の目:神奈川)
イノシシによる農作物への被害をなくそうと、大磯町西小磯西地区で7日に鳥獣害対策講習会が開かれた。全国各地で講習会を行っている井上雅央(まさてる)さんを招き、昨年10月から全4回のプログラムで開催している。7日は城山トンネル近くの田畑周辺を会場に、やぶを刈り払い、田んぼに電気柵を設置した。井上さんは、田畑に隣接する竹林がイノシシの侵入経路になる可能性があると指摘。朽ちた竹が積み重なることで見通しが悪くなり、イノシシが潜みやすくなっていることから、参加者は倒竹の運び出しと林のへりに生えた竹の伐採に汗を流した。1時間半ほどの作業で、うっそうと茂っていた竹林に光が入るようになった。後半は、イノシシ被害に遭っている田んぼで電気柵の張り方を学んだ。井上さんはイノシシの侵入を防ぐため、電流が流れるワイヤを地面から20cmと40cmの高さでやや弛めに張る▽ワイヤは支柱の外側を通す▽農閑期も柵を撤去せず、24時間通電しておく、などの鉄則を参加者に指導した。会場の田んぼを所有する女性によると、昨年からイノシシを目撃するようになり、集団で田んぼに寄り付かれたこともあったという。「今年度は米の収穫量が3分の1に減った。すぐ近くでは農作物が全滅した人もいる」と話し、張り巡らされた電気柵を念入りに確認していた。井上さんは「講習会で学んだことを地域で共有し、ここに餌場はないということをイノシシに分からせることが重要だ」と訴えた。
(何を狩る?タカと触れ合い:大阪)
鷹匠(たかじょう)による訓練を受けたタカとの触れ合いイベントが15日、大阪府富田林市の金剛中央公園で開かれ、勇壮なタカの姿に歓声が上がった。公園周辺の「金剛団地」で、鷹匠を抱える「グリーンフィールド」(大阪市)が、ハトやカラスを追い払う取り組みを進めていることから企画された。イベントでは飛ばした鷹を腕にとまらせる実体験も。富田林市の小学1年、隅野風(ふう)さん(7)は「タカはずしっと重かった」と話していた。
(野生動物管理クラウドサービス:北海道)
ファームキャプチャーは、赤外線式カメラで検知した画像をクラウドで管理し、地図による確認・グラフ化などが瞬時に行われ、野生動物管理のツールとして自治体、交通関係、研究機関が簡単に生かすことができる日本発のサービスです。利用者としては主に野生動物管理に携わる自治体、交通機関、地域捕獲従事者になり、全国で問題となっているイノシシ、シカ、クマやアライグマ、ハクビシンなどの野生動物の管理・対策に利用することができます。
(坂網鴨、伝統の味:石川)
加賀市内の伝統的なカモ猟法「坂網猟」で捕獲したカモを味わう食談会が二十一日夜、同市大聖寺東町の料亭「山ぎし」であった。食談会は坂網猟の普及に取り組む坂網鴨ブランド化事業推進実行委員会が主催したツアーの一環。今回は東京都や愛知、三重県など県内外から応募のあった十七人が参加し、食談会前には市鴨池観察館や猟を見学していた。参加者は、かも肝のしぐれ煮や胸肉の朴葉焼き、メイン料理の治部すきなど二万円のコース料理を堪能。ゲストとして現役の若手猟師稲手彰穂(あきほ)さん(46)と乾浩人さん(46)の猟法や猟の体験談の話に耳を傾けながら坂網鴨を味わった。市内では今月、鳥インフルエンザの陽性反応が出た野鳥が見つかったが、担当者によると、全体に熱を通せば安全に食べられる。
(過疎地に滞在し、新規事業を:京都)
京都府福知山市は2月に、過疎高齢化が進む同市三和町で、都市部のビジネスマンにワーキングスペースを無償で提供する事業を行う。IT関係の企業などに短期間滞在してもらい、通常の仕事をしながら、農作物や食品を製造する地元企業に足を運んでもらう。府によると、府内では珍しい取り組みという。スペースは三和支所に隣接する三和町農業振興センター(同町千束)に設け、インターネットが利用できるよう整備する。企業は2月14日から5日間、同町寺尾の三和荘に実費で宿泊する。この間、市は、ジビエ(野生鳥獣肉)料理に携わる猟師や農事組合法人への訪問、地元の郷土食や寺社巡りツアーを用意し、企業側に新規事業の模索のヒントにしてもらう。三和支所は「三和町での経験をビジネスチャンスとしてもらいたい。参加者から地域の課題解決のアイデアをもらい、魅力の発信につなげたい」としている。
(熊肉の美味しさをマタギが語る:山形)
昨年、日本各地でツキノワグマによる人身被害が続出。兵庫県は20年ぶりにツキノワグマの狩猟を解禁した。今のところ、西日本で猟が許されているのは兵庫県だけだが、全国では東北を中心に17県(北海道はヒグマ)で認められている。全国有数のマタギの里、山形県小国町でマタギ歴40年以上の遠藤春男さん(67)がこう言う。「昨年はちょっと少なかったけど、小国町だけで27頭仕留めた。山に入り、2時間ほど歩いたところが猟場。1時間半くらいかけて回り道をしながら、獲物を囲い込み、尾根の陰からそっと顔を出して獲物を待つ。『ムカダテ』と呼ばれる司令塔の指示に従って、ライフル銃で撃つ。心臓と肺を撃ち抜くと、大量出血して1発で仕留められる。半矢(致命傷でない)だと襲い掛かってくるので続けて2発目、3発目を撃ちます」捕った熊は、その場ですぐに解体。きれいに洗えば臭みもない。肉はタンパク源で骨は湿布薬、胆のうは胃腸薬、目薬として、脂は軟膏として、あかぎれややけど、痔などに効くという。捨てるところはほとんどないそうだ。熊の旬は秋、冬眠直前、冬眠明けの春の3回。秋の肉はサシが入って軟らかく、冬眠前は皮下脂肪をつけるためにブナとドングリの実を食べているので、脂が乗って一番おいしい。ただ脂分が強過ぎて、たくさん食べるとお腹をこわす人もいるそうだ。春先は体重が30%ほど減り、脂も3分の1程度になる。遠藤さんは、年間30回以上は食べるという。「味噌をベースに醤油を隠し味にして、酒、大根、ネギを入れ、ぐつぐつと煮込む。スジ肉は圧力鍋で煮ると、中までトロトロになる。熊の手はコラーゲンたっぷりで、ショウガ醤油につけて骨ごとしゃぶりつく。あんなにうまいものはないから、仲間で奪い合い(笑い)。心臓、肝臓を串に刺して焼けば、ハツとレバー。肺は網焼きにする。大きな熊のハツは脂が乗ってマグロのトロのよう。脳みそは酢味噌で食べるんだけど、タラの白子より濃厚。子どもの頃から食べてるから、ごちそうだよ」東京・西麻布で熊の焼き肉と鍋が食べられる店「またぎ」を営む元マタギの大島衛さんも、「牛肉よりもガツンと味が濃い。いい熊肉は硬くもなく、臭くもない」と言う。ただし、旋毛虫の幼虫を含んだ肉を未加熱や加熱不十分で食べると、旋毛虫感染症になる危険があるので、くれぐれも信用できるお店で食べることをオススメしたい。
(シシ肉ハンバーグ、開発へ:岐阜)
野生鳥獣対策で捕獲されたイノシシの肉(シシ肉)を使ったハンバーグを開発しようと、中津川市坂下の「やさか観光協会」と地元の猟友会や料理飲食店組合が連携した取り組みを始めた。協会の吉村俊広会長(67)は「街おこしにつなげたい」と話す。野生鳥獣による農産物被害は市内でも深刻で、有害鳥獣として捕獲されたイノシシは一昨年で七百三十八頭に上り、ここ数年、増加傾向にある。今回の取り組みは捕獲しても市から報償金が出ない猟期(十一月十五日~三月十五日)の捕獲数を増やすのと、話題のジビエ(野生鳥獣)料理を猟期限定の特産品としてPRし、観光誘客を図るのが狙い。昨秋から協会などが準備を始めた。食肉処理は県保健所の許可を得た市内の精肉店で行うことも決まっている。シシ肉は牛や豚より低カロリーで健康的だが、独特の風味が苦手な人もいる。吉村会長は「ハンバーグはタマネギや牛乳などが入ってクセがなくなり、食べやすい」と話す。十六日に道の駅きりら坂下で関係者向け試食会があり、地元の料理店ごとに商品化を検討することになった。カフェ経営の女性(53)は「初めてシシ肉を食べたけど、やわらかくおいしい。店で出せるか考えたい」と話した。吉村会長は「各店でレシピを考えてもらい、観光客などに食べ比べしてもらえるようになれば」と期待した。
(ジビエテーマに:埼玉)
「野生動物との共存と利用-被害防除から食肉利用まで」と題した市民公開講座が2月19日、さいたま市の「ラフレさいたま」で開かれる。麻布大が実施している教育セミナーの一環。同大の研究者がニホンジカを中心とした野生動物問題の現状と課題、農業被害の実態などについて解説する。
(家庭でもジビエ料理を:鳥取)
ジビエの和食料理教室が21日、鳥取市湖山町東2丁目のサンマート本部で開かれ、親子連れら約25人が家庭でも簡単にできるシカ肉を使った「ハンバーグのきのこあんかけ」作りに挑戦した。鳥取県やいなばのジビエ推進協議会、同社が連携して昨年秋に実施したジビエの試験販売などが好評だったことから、日常の食卓にジビエ料理を定着させようと開かれた。同市で日本料理店を営む竹内淳一郎さんがシカやイノシシなど肉の特徴を説明し、「弱火で熱をしっかり通して」などと助言。親子2人で参加した同市田島のパート従業員、酒井ゆみさん(45)は「高タンパクで低カロリーのジビエ料理のバリエーションを増やしたいので、家でも実践したい」と話した。
(害獣シカの資源化提案:宮崎)
環境保全の取り組みをPRする意見発表会「日本の環境を守る若武者育成塾」で、えびの市・飯野高(塚本讓二校長、271人)の3年生3人が取り組んだシカの資源化プロジェクトが、全国2位に当たる優秀賞を獲得した。本県では7年ぶりとなる優秀賞獲得で、3人は「活動を通じて住民と出会い、つながることで地域の課題と可能性を学べた」と喜んでいる。
(下関市役所食堂で「鹿肉イノシシ肉」:山口)
下関市役所(下関市南部町1)新館4階の食堂で現在、鹿肉やイノシシ肉のジビエを使ったメニュー「ぽかぽか!そぼろの温そうめん」が提供されている。「体が温まるものを食べて、暖房時の室温設定20度を推奨する」ことや「地元食材を使い、長距離輸送を避けることでCO2排出の削減」を狙った同市の企画「ウォームビズランチメニュー」コンテストに寄せられた32メニューのうちの一つで、市内の高校生・矢野結菜さんが考案したもの。近年、シカやイノシシによる農作物への影響が著しく、駆除後の「ジビエ肉」を使っていることや、「菊川そうめん」、市内産の水菜やオクラ、玉ネギなど農産物を多く使っていることがコンテストで評価され「市食堂賞」も得た。募集のテーマに掲げられた「家庭だんらん」にも配慮し「そぼろを使うことで、子どもからお年寄りまで食べやすくした。ショウガを入れて体の芯から温まるように工夫した」(矢野さん)という。
(ジビエ食品、高校生開発:鹿児島)
阿久根市の県立鶴翔高の生徒らがシカ肉などを利用した「旨鹿GIBIER(うんまかジビエ)」を開発した。JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」で提供されており、18日に同高で引き渡し式があった。
(ジビエギョーザいかが:富山)
県産ジビエ(野生鳥獣の肉)のギョーザはいかが-。黒部市中新に21日、県内で捕獲されたイノシシやシカ肉を使ったギョーザのテークアウト専門店「ジビエぎょうざ家(や)」がお目見えする。店主の村井康城さん(57)は東京都出身で、昨年12月に同市に家族と移り住んだ。「富山の皆さんに気軽にジビエを味わってほしい」と話している。村井さんは昨年春まで医療機器製造販売会社の営業マンとして全国を駆け回っていた。何度も県内を訪れ、立山連峰の美しさや水のおいしさから「富山で第二の人生を送りたい」と考えていたという。
(ジビエ元年、家庭で作れるジビエ料理コンテスト)
国産ジビエ流通規格検討協議会は1月17日、東京都内で「第1回ジビエ料理コンテスト」の上位入賞者5人を発表した。飲食店などに従事するプロの料理人を対象としたコンテストで、160のレシピの応募があり、50が入賞した。コンテストは「プロが教える、家庭で作れるジビエ料理」がテーマ。ジェイアール東日本フードビジネス(株)が経営するベックスコーヒーショップなど60店舗では、今年度ジビエを使った料理が2万食販売されるなど認知が広がっている。農林水産大臣賞に輝いたのは天池大造氏の猪肉で切り餅を包んで揚げた「猪舞(ししまい)ふりっと(猪肉のグージョネットフライ)」。天池氏はこれまで様々な料理の経験を積み、現在は創作料理を手掛けているという。レシピ作成に1か月ほどかけた。「レシピの構想が終わった後、家庭の調理器具や調味料でも作れるよう、落とし込むところに時間がかかった」と話した。他の受賞者も、ワインの勉強をしたり中華の技法と日本の調味料でアレンジしたり工夫を凝らした(各入賞者は文末)。コンテストは平成28年農林水産省「鳥獣利活用推進支援事業」の一環。礒崎陽輔農林水産副大臣は挨拶で「シカやイノシシなどを地域の資源ととらえ、ジビエとして活用する前向きな動きが全国でみられる。農水省としても、本年をジビエ元年としたい」と語った。主催の国産ジビエ流通規格検討協議会の藤木徳彦会長は、「ジビエが"ブーム"で終わらず、食文化として定着してほしい。次の目標は家庭での利活用。トレーサビリティなど小売への整理をしていきたい」と次の目標を語った。入賞した50のレシピはホームページで公開されるほか、レシピ集としてもまとめられる予定。
(ジビエ料理「よさこいジビエフェア」:高知)
高知県内の34店舗で野生鳥獣の肉(ジビエ)を使ったこだわり料理が味わえる「よさこいジビエフェア2017」が1月15日に始まる。3月13日まで。よさこいジビエフェアは高知県が2014年から毎年企画。シカやイノシシなどの鳥獣を地域の資源として生かすことが狙い。安芸郡東洋町や四万十市など5市6町にある飲食店が参加。「鹿のロースト木の子ソース」(高知市のバッフォーネ)、「シカ肉の竜田揚げ」(長岡郡大豊町の燈(ひ)ので家(や))など多彩な料理を提供する。参加店舗を紹介したパンフレットは各市町村役場や道の駅などで入手できる。料理の感想を書けば「鹿ソーセージセット」などが当たる応募はがきも付いている。高知県鳥獣対策課は「イノシシは脂が乗る時季。ぜひ参加店舗に足を運んでほしい」と呼び掛けている。高知県鳥獣対策課によると、鳥獣による県内の農林業被害額は2015年度、約2億7千万円。シカとイノシシの捕獲数は約3万9千頭に上っている。
(よさこいジビエ活用推進セミナー:高知)
有害鳥獣として捕獲したシカやイノシシの有効活用を目指し、高知県と高岡郡梼原町は1月12日、梼原町で「よさこいジビエ活用推進セミナー」を開催。ジビエ利活用の推進や、解体処理設備を搭載した車「ジビエカー」について学んだ。高知県内自治体の担当者や住民ら約110人が、車両の見学や講演を通じてジビエの可能性について理解を深めた。ジビエカーは、NPO法人「日本ジビエ振興協議会」(東京都)と長野トヨタ自動車が共同開発し、2016年7月に完成した。現在、導入に向けて全国各地で実証調査を行っている。車体は2トントラックがベースで、全長は約6・5メートル。箱形の荷台の中に衛生管理された解体室や保冷室を備えている。捕獲場所の近くまで移動して迅速に処理できるため、運搬の負担を軽減し、良質な食肉の利用が期待されるという。見学会は梼原町総合庁舎の駐車場で行われ、日本ジビエ振興協議会の担当者が「処理で出た汚水は全て持ち帰れる」「コンパクトで清掃がしやすい」などのメリットを説明した。見学会に先立ち、農林水産省鳥獣対策室の秋葉一彦室長が講演。ジビエを取り扱う飲食店が全国的に増えていることを紹介し、「需要は増えている。捕獲鳥獣を有効活用し、地域の新たな食資源、ブランドとして創出を」などと話した。
(「調理師の卵」のジビエ料理教室:大分)
日田市の昭和学園高の調理実習室で12日、ジビエ料理教室があった。「調理師の卵」の調理科3年生31人が、フードコーディネーターで野菜ソムリエの原田京子さん(55)の手ほどきを受け、イノシシやシカ肉を使った4品に挑戦した。大分西部流域林業活性化センターや県西部振興局が主催。
(「房総ジビエフェア2017冬」を開催:千葉)
千葉県は、県の新たな食ブランド“房総ジビエ”を県内外のフェア参加飲食店で楽しめる「房総ジビエフェア2017冬」を1月27日(金)~2月26日(日)に開催します。昨今、注目が集まる“ジビエ”。県内で捕れた新鮮なイノシシや鹿の肉を使ったメニューを県内外の飲食店で味わえる「房総ジビエフェア」は、夏に続いて2回目の開催となります。参加店舗も前回から11店舗増え、50店舗での展開となります。参加店は、フレンチ、イタリアンをはじめ、和食、中華など幅広いジャンルとなっており、房総ジビエの新たな美味しさを発見できる絶好の機会です。フェア期間中、房総ジビエメニューを注文した方にその場でオリジナルグッズが当たるプレゼント企画や、参加店に設置したアンケートに答えると、抽選で千葉県産品が当たるプレント企画も実施します。
(猪肉で日本一競う、食べ比べイベント:岐阜)
全国各地のイノシシの肉を食べ比べる「日本猪(いのしし)祭り」が、岐阜県郡上市で初めて開催された。料理コンテストとは違い、肉自体のおいしさを競う催しは全国で初という。ジビエに関心の高い約150人が参加し、初回のグランプリには愛媛県今治市の団体が選ばれた。郡上市の猟師らでつくる「里山めぐり利き猪(しし)実行委員会」が主催。保健所から営業許可を受けた食肉処理施設が出品する規定で、全国17府県29地域からエントリーがあり、県内では同市大和町、和良町、明宝、加茂郡八百津町から出品があった。肉そのものを味わってもらおうと、主催者は出品団体に、食肉処理したモモ肉約1・5キロを送ってもらい、当日は約1・5ミリにスライスして、参加者に地域名を伏せて提供。参加者は肉を陶板で焼いて塩コショウで味わい、投票し、予選で6品に絞った。決勝では審査員10人が食べ比べて投票でグランプリを決めた。グランプリを獲得した今治市の「しまなみイノシシ活用隊」の渡邉秀典代表(40)は「まさか取れると思わずびっくりした」と喜んだ。また、決勝に進んだほかの5団体が準グランプリとなり、県内では八百津町の食肉処理施設「五宝の滝」が入った。実行委員長の興膳健太さん(34)は「肉は捕獲の方法、解体技術でこんなにもおいしく味わえることを知ってほしいと思った」と趣旨を話し、「フェイスブックなどでも反響が大きく、今後も年1回続けていきたい」と意欲を見せた。
(シシ肉使って「角煮丼」:兵庫)
大正時代の町役場を改装した観光拠点施設「大正ロマン館」(篠山市北新町)内のレストラン「ろまんてい」に1月20日から、シシ肉を使った「猪角煮丼」が登場した。ぼたん鍋の味噌とデミグラスソースを使った和洋折衷の味わい。器には丹波焼を用いるなど、篠山の伝統と味覚を詰め込んだ。1日10食、3月末までの限定メニューで、同施設を運営する株式会社「アクト篠山」は、「大正の“ハイカラ”を感じる店内で、観光客をはじめ、地元の人にもシシ肉と丹波焼という篠山の魅力を発信していきたい」と話している。同レストランの料理長で、阪神間などで修業を積んだ髙山俊二さんが考案した。イノシシの骨から取った出汁に味噌を入れ、隠し味としてデミグラスソースを合わせたもので、シシ肉を煮込んだ。篠山産コシヒカリの上に角煮と揚げたゴボウのスライス、パプリカを添えた。器は丹波焼窯元「丹文窯」の陶器を使用。丹波焼ならではの重厚さと斬新さを合わせ持つ作風の器に盛りつける。同施設は冬季限定でシシ肉を使った料理を提供しており、大正時代の洋館の中で、より「篠山らしい味わい」を楽しんでもらおうと企画した。髙山さんは、「シシ肉は鍋という印象があるが、こういう食べ方もあると知ってもらえたら」と笑顔で話している。
(前歯はストラップ、骨はだし汁に:島根)
県立〓摩高校(大田市仁摩町仁万)の3年生が地域の課題などの調査結果を披露する「課題研究発表会」が19日、市内の市民会館であった。害獣とされるイノシシの活用法を研究したグループは、前歯をストラップにしたり、骨からだし汁を取ったりする商品化のアイデアを発表した。発表会には在校生や保護者ら計約400人が出席。同校総合学科の農業など各系列の代表グループがそれぞれ発表した。
(イノシシ捕獲、ジビエ売り出しで後押し:富山)
農作物に被害をもたらすイノシシの捕獲を後押ししようと、富山県はイノシシ肉をジビエ(獣肉)として売り出そうとしている。ジビエ料理が食べられるレストランや調理法を紹介するガイドブックを作成したり、企業の社員食堂にジビエを提供したりして、「獣臭い」というイメージを払拭し、需要を掘り起こしたい考えだ。YKK黒部事業所(黒部市)の社員食堂で19日昼、イノシシと牛の合いびき肉を使った「ジビエハンバーグ」がメニューに並んだ。昨年10月のガイドブック作成に続く普及策で、1日限定だが、県の事業として民間の社員食堂でジビエ料理を提供するのは初めてといい、用意した約200食は完売した。ただ、好評とまではならなかった。男性従業員(47)は「あっさりしていて、思っていたよりも臭いはない」と話し、ジビエを初めて食べたという女性従業員(24)は「食べたことがない味。おいしいけれど、ちょっと生臭い」と正直だった。イノシシが稲や芋などを食べる農作物被害額は、2012年度以降増え続け、14年度には4109万円、15年度には4600万円になっている。捕獲数も増えており、11年度に501頭だったのが、15年度には2591頭に急増している。捕獲したイノシシは、狩猟者が自分たちで食べるほかは、自治体などによって埋却や焼却処分されている。ジビエとして販売できれば、処理費用の負担減になると期待されるが、実績は伸びていない。県内では12年5月に上市町に初の獣肉処理加工施設ができ、現在は4施設がある。食肉として処理したイノシシは、12年度が15頭、13年度が8頭、14年度は74頭にまで増えたが、15年度が26頭で、16年度は19頭(昨年12月末現在)にとどまっている。「もともと需要が少なく、14年度に大量に処理したが、多くの在庫を抱えてしまった」(県農村振興課)のが理由だという。全国には、主に東京や大阪などに向けて15年度に170頭のイノシシを食肉処理した岡山県美作市のような成功例もあり、富山県農村振興課は「認知度不足を解消し、『ジビエ肉は臭い』といったイメージを払拭していくところから始めていく。地道にやっていくしかない」としている。
(野生イノシシ肉の新メニュー:栃木)
農作物の被害防止と野生イノシシ肉「八溝ししまる」の販路拡大を目指す町は、冬季の特産品として新たに「八溝ししまる汁」を売り出す。地元野菜とイノシシ肉が絶妙に絡むメニュー。町は、イノシシの脂が乗っておいしい2月まで毎週日曜日午前11時から、北向田の「道の駅ばとう」で来場者に限定200食を無料で振る舞いPRする。八溝ししまるは、原発事故の影響などで販売が頭打ちとなった。町は販売拡大に向けて昨年、供給量確保のため町内加工施設などで働く臨時職員を2人増員。事故後に制限した町外からのイノシシ肉搬入を再開した。現在は猟友会などの協力を得て、全頭検査で安全を確認し茂木、益子、市貝町、那須烏山市から受け入れている。冬季にドングリやクリなどを食べて脂が乗るイノシシ肉を味わってもらおうと、八溝ししまる汁の無料提供を決めた。具材はモモ肉をメインにハクサイ、ダイコン、ゴボウ、長ネギ、ニンジンなど地元野菜を鍋で煮立てた温かメニュー。町観光協会は「北風が吹き抜ける冬の八溝地域に似合う郷土料理」と胸を張る。
(緑茶とジビエ、新製品開発へ:静岡)
藤枝市で緑茶と野生鳥獣肉(ジビエ)を生かした新たな製品の開発が進んでいる。中小企業が成長する環境づくりを目指す「藤枝エコノミックガーデニング」の一環で食の新製品作りにモデル的に取り組む3社を選定。専門家による戦略立案から製品化までの伴走型支援を行っている。小さくても持続可能なブランド作りを目指す。取り組んでいるのはすべて市内の業者で茶製造販売店「松田商店」と無農薬茶などを生産する「人と農・自然をつなぐ会」、静岡県産シカ・イノシシ肉を使用した加工品販売店「尾州真味屋総本舗」。松田商店と同会は「365日水出し緑茶生活」をテーマに食生活に寄り添った4分野の新製品を開発中。同本舗は「ジビエを楽しむ食生活」を題材に手軽に食べられる加圧調理商品を検討している。具体的には「シカのロース煮」など、こだわりのソースを使った煮込み料理を考えている。同本舗店長の真味屋恵美さんは「ジビエ料理とジビエに合うお茶と相乗効果を狙いたい」と話している。16日には市民会館に関係者が集まり、パッケージデザインなどを話し合った。取り組みを支援する静岡県経営支援アドバイザーや食品ブランドプロデューサーとして活動する望月聖司さんは「お茶は食事をおいしくすることができる飲み物。これまで行き届かなかった企業支援をしたい」と話す。完成発表会は3月7日に行う。
(京都丹波ジビエフェア:京都)
有害鳥獣として捕獲したシカとイノシシの肉を、飲食店・精肉店が名物料理として提供する「京都丹波ジビエフェア」が14日から始まる。2月26日までの期間中、福知山市内の専用施設で食肉処理されたジビエ(野生獣の肉)が舞鶴、福知山、綾部3市の29店と東京都内の13店で、和食、フレンチ、イタリアンなどのメニューとして味わえる。
(打当温泉マタギの湯:秋田)
北秋田市の打当温泉マタギの湯は、狩猟の民「マタギ」の里として知られる阿仁打当集落にある。建物は山奥のしゃれた温泉旅館といった雰囲気。自慢の温泉は、体の芯から温まり、湯冷めしにくいと好評だ。明るく清潔な雰囲気の大浴場は、源泉掛け流しのたっぷりのお湯をたたえる内風呂と、外の景色を楽しめる露天風呂を備える。行楽シーズンには、森吉山麓のトレッキングを楽しみに来た大勢の観光客が旅の汗を流しに訪れる。資料館併設し、クマ鍋も楽しめる。
(拳銃18丁所持で逮捕:兵庫)
拳銃18丁を所持したとして、警視庁組織犯罪対策5課などは18日までに、銃刀法違反容疑で神戸市西区押部谷町福住、無職金沢泰之容疑者(57)を逮捕した。同課によると、「間違いありません」と容疑を認めている。趣味で集めたとみられるが、暴力団とのつながりも調べる。逮捕容疑は2016年8月26日、真正拳銃16丁と模造拳銃2丁の計18丁を所持した疑い。真正拳銃はマカロフ、コルト・ガバメントのほか、ペンシル型もあった。組対5課によると、インターネット上をパトロールしていた東京空港署員が同年4月、ペンシル型拳銃の売買が行われているのを発見。購入者の1人が金沢容疑者だった。金沢容疑者は「ペンシル型以外の拳銃は15年以上前に古物商から買った」と供述。組対5課は、ペンシル型を売った大阪府の60代の男を銃刀法違反容疑で19日に書類送検する予定で、古物商についても調べる。
(筋金入りの銃マニア、自宅に銃14丁:愛媛)
石川、愛媛両県警は18日までに、火薬を詰めて弾を発射できる空気銃など14丁を不法に所持していたとして、銃刀法違反の疑いで愛媛県大洲市八多喜町の無職男(63)を逮捕した。インターネットで海外から購入したと説明しており、両県警はマニアが大量に収集したとみて入手経路を詳しく調べる。金沢東署によると、空気銃は外国製で、火薬を詰めても発射でき殺傷能力があるため、両県警は銃刀法の拳銃に該当すると判断した。男は「ガスガンだと思っていた」と容疑を否認している。銃に興味があり、子供の頃から収集していたという。逮捕容疑は昨年9月22日、自宅に拳銃12丁、模造拳銃1丁など計14丁と、拳銃の銃身1本を自宅に隠し持っていたとしている。同20日、金沢東署員がサイバーパトロールで、ネットオークションにモデルガンとして模造拳銃が出品されているのを発見。22日に自宅を捜索し、拳銃や模造拳銃のほか拳銃用の直径約5ミリの金属弾約300発を押収した。
(警察学校で拳銃暴発:千葉)
14日午後0時55分ごろ、千葉県警察学校(東金市士農田)の拳銃射撃場内で、千葉西署の男性巡査長(30)が拳銃を手入れしていた際に銃弾1発を暴発させた。けが人はなかった。県警教養課によると、巡査長は20日に開かれる拳銃射撃競技大会の訓練のため、1人で射撃場内の手入れ室に入り、手入れをしていたところ、誤って引き金を引いたという。銃弾は木製の壁にめり込んだ。巡査長は「弾が入っていることを忘れていた」などと話しているという。同課は「拳銃の適正な使用について、指導・教養の徹底に努めます」とコメントした。

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