<射撃ニュース2月>

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(鳥獣保護区、イノシシ猟のみ一時解禁へ:茨城)
イノシシによる農作物などへの被害が後を絶たないため、県は来年度、野生鳥獣の狩猟が禁じられている鳥獣保護区を、イノシシに限って捕獲可能な区域に変更できる新たなルールを導入する。県内のイノシシによる農業被害額は10年前の約2・5倍に膨らみ、近年は高止まり状態。特例制度によって、農業被害の軽減と野生に生息する鳥獣の保護の両立を目指す。県内でイノシシの生息が確認されているのは20市町村。農業被害は県北・県央地域と筑波山麓を中心に広がり、10年前に3千万円台だった被害額は近年、7千万から8千万円台で推移している。2014年度の被害面積は52ヘクタール、被害量は448トンに上り、種類別では稲が最も多い。農業被害が深刻化している背景には、耕作放棄地の増加や里山の荒廃などが挙げられる。県はイノシシの捕獲を進める必要がある地域については鳥獣保護区を一時的に解除し、イノシシに限り捕獲できる「狩猟鳥獣(イノシシを除く)捕獲禁止区域」の指定を検討する。3月中にまとめる第12次鳥獣保護管理事業計画(17から21年度)で位置付ける。同区域に指定するのは地元の自治会長や区長などから要望があったエリアで、期間は最長3年間。イノシシの捕獲が進めば再び鳥獣保護区に戻す方針。イノシシなど野生鳥獣の捕獲には、狩猟のほかに許可捕獲があり、鳥獣保護区内であっても生活や農作物に被害がある場合、「有害鳥獣捕獲」として市町村長の許可を得れば捕獲することができる。有害鳥獣捕獲での銃猟も可能だが、現在はわな猟が中心。このため、鳥獣保護区外で銃声を聞いたイノシシが保護区内に逃げ込むケースも多いとみられ、被害が多い地元からは、銃猟による捕獲が進むよう鳥獣保護区の解除を求める声が県に寄せられていた。県内の鳥獣保護区は現在80カ所(約6万ヘクタール)。イノシシに限って捕獲できる区域の指定に関し、県は有害鳥獣捕獲の実施状況やイノシシによる被害の実態などを踏まえ慎重に検討していく考え。県環境政策課によると、15年度の県内のイノシシ捕獲数は計6069頭で、10年前の約3倍に達している。
(鳥獣被害確認、対策への支援強化要請:福島)
福島県と福島市は12日までに、同市飯坂町の湯野地域で、イノシシなど野生鳥獣による被害状況を確認した。地元農家らでつくる、ふくしま「農」を考える会の要望を受け、職員や会員約20人が現地視察した。会員が、畑に設置したサル対策の電気柵やイノシシ対策の箱わなを見せ「イノシシが電気柵の下を掘って侵入してしまう」などと説明し、支援策の強化を要請。「わな猟免許」を取得した農家に対し、くくりわなや囲いわなを無償で貸し出す制度の創設も求めた。
(鳥獣害防げ、捕獲作戦:和歌山)
農作物被害を減らそうと、県は新年度、有害鳥獣の積極捕獲に乗り出す。これまで、銃やわなによる捕獲や防護柵設置などの対策を講じてきたが、被害額は高止まり。2017~21年度の計画では、狩猟者を増やすなどしてイノシシ、ニホンジカは年間1万7000頭、ニホンザルは1500匹の捕獲を目指している。県によると、2015年度の捕獲実績は、イノシシ約1万4500頭、ニホンジカ約1万3800頭、ニホンザル約1200匹だった。現行計画では、生息数が推計できるニホンジカだけ年間の捕獲目標(1万6000頭)を掲げていたが、新計画では、イノシシとニホンザルについても数値目標を明確に打ち出した。県は狩猟の魅力を体験するツアーを行ったり、狩猟免許取得のための講習費用を補助したりして、有害鳥獣捕獲に従事する狩猟者を増やす方針だ。一方、県内で15年度に野生動物に食べられたり、踏み荒らされたりした農作物の被害は総額約3億4300万円に上っている。このうちイノシシによる被害が約1億7000万円と5割を占め、ニホンジカが約5500万円、ニホンザルは約5000万円。いずれも近年は高止まりしており、対策が追いついていないのが現状だ。そこで、新計画では捕獲目標頭数を引き上げるとともに、被害額抑制も明記。積み上げた統計を基に、21年度の被害額を予測し、その70%に抑えることを目指す。具体的には、イノシシ被害は1億200万円、ニホンザル被害は3800万円にとどめる。ニホンジカについては生息数の管理を強化し、23年度までに11年度(約4万5000頭)から半減させる。啓発を強めて防護柵を設置したり、餌場となっている耕作放棄地の整備を促したりすることで、被害額を抑制する。
(猿に新たな群れ:長野)
富士見町がニホンザルによる農業被害対策として、3年前から行っている猿の群れの動向調査で、新たな群れが生まれて被害域が拡大し、原村方面へ北上する恐れがあることが分かった。無作為な捕獲が群れの分裂を招く可能性もあるとして、町は銃による捕殺を一時中止。猿に位置情報の発信機を装着して群れの構成や動向を詳細につかみ、追い払いで群れの行動範囲を狭めながら、問題個体を選んで捕獲する作戦へと転じた。調査は信大農学部山岳科学研究所、NPO法人甲斐けもの社中(山梨県)と連携して2015年度から実施。その結果、町内には入笠山方面の「花場群」、町南部の県境に面した「蔦木群」、町中心部から瀬沢新田一帯で行動する「瀬沢群」の三つのグループが確認された。新たに生まれたのは「瀬沢群」で30~50匹程度で構成するとみられる。これまでの目撃や被害の状況から行動範囲が徐々に原村方面へと広がっている。昨年度から調査を受託する甲斐けもの社中理事長の山本圭介さん(34)=山梨県南アルプス市=によると、ニホンザルは雌を中心に群れを構成するため、「無作為の捕獲で雌を殺してしまうと、群れ内の雌同士に争いが起きてグループが分裂する。新しい群れが新天地を求めて移動するため被害域が広がる」という。これを防ぎ、持続的に被害を抑制するには、「群れの構成と動きを把握したうえで、好奇心が強く、農業被害を出しやすい子猿や若い雄から捕獲し、群れを縮小させる。この戦略的な捕獲と追い払いの防除を同時に行うのが効果的」(山本さん)とする。この手法は南アルプス市が昨年度から導入し、群れの縮小が効率よく進んでいるという。町は昨年度まで町猟友会の協力で年間100匹を超える猿を無作為に銃で捕獲してきたが、今年度はおりやわなを使って、捕るべき個体を選んで捕殺する手法へと転換した。新年度は、群れの実態調査をさらに進めると同時に、被害を拡大させないよう個人向けに電気柵の資材購入費の補助を新設したり、追い払いの技術講習会を開いたりするなど出没最前線での水際作戦に力を注ぐ方針だ。
(狩猟の世界に若者や女性続々:愛知)
狩猟に魅せられる若者、女性が県内で急増中だ。特に女性は狩猟免許の取得者が5年で3倍以上に増えるなど、人気のレジャーになりつつある。野生動物による農作物への深刻な被害を減らしている「やりがい」も、背景にあるようだ。終盤にさしかかった狩猟シーズン。毎週末、銃を手に山へ向かう理由とは……。「野生動物との駆け引きが求められ、この緊張感は他では味わえない」。豊田市の会社員鈴木誠人(まこと)さん(32)はそう魅力を話す。一昨年秋から地元猟友会の先輩猟師たちと行動を共にしている。動物の足跡を見て、山を知ることが必要だと教えられ、奥深さを実感した。妻と2人の子どもとの晩ご飯で、シカ肉入りカレーやシシ鍋を楽しむようになった。「見つける、捕る、おいしく食べる。三つの技が求められる世界です」1月2日 カラス、ヒヨドリ▽7、8日、シカ▽9日イノシシ……。刈谷市の清水潤子さん(45)の年明けからの獲物だ。3年前、田植え体験で豊田市の足助地区へ通っていた。地元の人に「農作物を荒らすイノシシを駆除して」と頼まれ、狩猟の世界へ。猟師らに獲物の解体方法を教えてもらい、銃の第1種免許も取得。狩猟は夫(46)と共通の趣味になった。猟は恐怖を感じることもあるが面白いという。「この3年、お肉を買ったことがありません。イノシシもキジも、カラスもとってもおいしい。山を歩き回るので健康にもいい」新城市の渡部美緒さん(29)は3年前、名古屋市中村区から移住し、2年前にハンターになった。解体の様子を最初に見た時にはびっくりした。銃を背負って険しい道を歩くことはきつい。「でも、猟友会の人たちが丁寧に教えてくれる。女性だとトイレの心配もあるが気をつかってくれます。ずっと続けられる趣味になりました」県自然環境課によると、県内の狩猟免許の取得者数は大多数を占める50代、60代が減少傾向にある。だが、20代、30代は2009年度に46人、226人だったのが14年度には142人、366人に。女性は26人から91人と3・5倍になった。「レジャーの一つになり、アウトドアブームも追い風になっている。夫婦やカップルで免許を取る人もみられます」と担当者。ハンターにとって悩みの種は、銃所持にかかる手続きの煩雑さと税金や手数料などの費用だ。猟友会関係者によると、猟銃は中古で10万円程度、新品だと30万円以上。銃と弾の専用ロッカーも必要で、総額で30万~40万円はかかる。射撃の練習にも1回1万円弱の費用がかかるという。それでも魅力だという前出の3人。「獣害を減らせるので地元の人たちに喜んでもらえる。人の役に立っていると実感できます」と口をそろえた。
(34歳男性、仕事辞めアイヌの狩猟文化を現代に:北海道)
北海道平取町の門別徳司氏は2015年、10年以上続けた建設関係の仕事を辞め、狩猟の道で生きていくことを決めた。アイヌ民族の血を引いており、「アイヌはもともと狩猟民族。その文化を継承する者として、現代社会でどのような生き方ができるのか、実践してみたい」。子供のころから狩猟者は身近な存在で、仕留めたシカを自宅に持ってくる近所のハンターに憧れていた。30歳で狩猟免許を取得。会社勤めの傍らベテランのハンターからシカ猟を学ぶうち、狩猟で生計を立てたいとの思いが募った。妻に伝えると「3人も子供がいるのに大丈夫なのか」と大反対に遭った。説得して専業のハンターとなり、「子供の頃遊び場だった山が、職場になった」。軽乗用車で山道を回りながら獲物を探す「流し猟」を行う。車中から、シカの新しい足跡に目を凝らす。北海道ではシカの食害が深刻で、自分の仕事が農家に感謝されることもやる気につながっている。ただ、年や季節によって仕留められる頭数は異なり、収入も不安定だ。平取町は、害獣駆除でシカ1頭につき1万2千円を支給。食肉用に卸すと、さらに8千~1万円得られるが、車の燃料や銃弾など経費もかかる。山菜やマツタケを採って生計の足しにするほか、シカの骨や角を使った工芸品を販売。シカの部位で道具を作るイベントも仲間と企画し、食肉以外の活用法を探る。シカ肉はほぼ毎日食卓に並ぶ。「自分の手で仕留めたものを口にするからこそ、動物への感謝の気持ちが湧く」。カムイ(神様)が獲物を贈ってくれるとのアイヌの思想を実感するという。猟の前には、毎回儀式を行う。シラカバの皮に火をくべて目を閉じ、静かに唱えた。「シランパカムイ、エチエネプンケネ(森の神様、見守ってください)」
(シカ肉食べて、森守ろう:兵庫)
農作物に被害をもたらす里山のシカ、イノシシとの共生を考える催しが11日、兵庫県三田市尼寺の有馬富士共生センターで開かれた。食肉(ジビエ)として消費・流通させる仕組みの構築を専門家が訴え、参加した約40人がシカ肉の煮込み料理を味わった。県の講座OBでつくる「ひょうご森のインストラクター会」が毎年開き、9回目。県森林動物研究センターの畑一志専門員(47)が県内のシカ生息・分布状況を紹介し、対策について講演した。
(給食にジビエいかが:和歌山)
イノシシやシカといったジビエを学校給食に取り入れてもらおうと、和歌山県は2月2日、和歌山市湊通丁北のアバローム紀の国で試食会を開き、和歌山県内小中学校の給食関係者ら約80人が参加した和歌山県は農作物への被害を減らすために捕まえた野生のシカとイノシシの肉を活用するため、2012年から飲食店やホテルで特製料理が味わえるジビエウィークを開いている。今回は給食にジビエを取り入れる学校が少ないことから、試食会を初めて企画した。アバローム紀の国の佐藤喜久一郎総料理長が考案したシカ肉のチンジャオロースにシチューやカレー、ハヤシライス、イノシシ肉のケチャップ焼きなど8品を用意。参加者は味見しながら、調理方法をチェックしていた。試食した根来小学校の稲垣容子教諭は「給食では郷土料理はありますがジビエはありませんでした。ハヤシライスやミートボールなど子どもたちに人気のメニューなら取り入れやすいですね」。和歌山県教委健康体育課の新田圭子さんは「ジビエウィークを通じ、和歌山県内でもジビエの認知度は上がってきています。集まった声をもとに、献立や料理の参考になるリーフレットを作成したい」と話していた。
(イノシシ、革まで愛して:石川)
イノシシの革製品を販売する金沢市寺町の専門店「コレギウム」が十五~十七日、東京都内で開かれるファッション業界のイベントに初めて出展する。石川、富山両県をはじめ、全国的にイノシシの捕獲量は増えているが、肉以外が活用されることは少ない。同店の取り組みは獣害対策の新たな可能性を示すことにもなりそうだ。こぢんまりとした店舗の棚に、赤や茶、黒の財布やバッグが並ぶ。手触りは滑らか。野生動物ならではの傷はあるが、この傷こそ、愛好家に好かれるという。「軽くて丈夫。二十年は使える」。この店を経営する吉村祐紀さん(27)は太鼓判を押す。重さは牛革の三分の一。水にも強い。「『野蛮そう』と思う人もいるが、そんなことはない。一度手にとって見てほしい」北陸先端科学技術大学院大(石川県能美市)で獣害対策を学んだ。三年前、仲間の学生五人でコンサルティング会社を設立。イノシシの捕獲、加工に取り組む同県羽咋市と連携し、食肉の販売に携わった。業績は順調だったが、吉村さんは「県外に販路を広げようと思っても、食肉では目新しさがない」と感じていた。目を付けたのは皮。「これから商品価値を高めて事業を全国展開できる」。食肉販売のかたわらで進めていた革製品作りに本腰を入れた。自社ブランドを開発。昨年九月、店のオープンと同時に商品を並べた。売り上げは安定し、現在は二十五種類の商品を扱う。東京でのイベントには五百のブランドが出展。百貨店や専門店の関係者も足を運ぶ。「日本全国、世界に商品を流すための試金石。多くの人にブランドを知ってほしい」

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(ニホンジカの夜間銃猟スタート:和歌山)
和歌山県が全国に先駆けて昨年実施したニホンジカの夜間銃猟が、今年も今月中旬から田辺市や紀美野町など4市町で順次始まる。全国一の生産量を誇るミカンなどの農作物を食べるなどの被害は深刻化し、平成27年度のシカやイノシシなど鳥獣害による農作物被害額は約3億4300万円。3年ぶりに増加に転じた。県農業環境・鳥獣害対策室の担当者は「夜間銃猟で農産物を守る一助になれば」と期待を寄せている。同室によると、全体の鳥獣害被害のうち、シカは約5400万円を占め、ミカンなどの柑橘(かんきつ)類の葉や皮を好んで食べ、木を枯らしてしまうこともある。シカが多く目撃されている田辺市では同年度約1200万円、紀美野町では約150万円の被害となったほか、紀南地方では線路内に入ったシカと列車が接触する事故も多発し、JR西日本和歌山支社によると昨年は約400件発生したという。県は昨年の2月と3月、全国で初めてニホンジカを対象とした夜間銃猟を開始。田辺市、すさみ町、古座川町の指定区域の山間部で実施し、猟師4人が従事した。今年は田辺市と古座川町のほか、日高と紀美野の両町の指定区域でも実施。一般社団法人「県猟友会」に委託し、所属する猟師が駆除する。シカの習性として、冬場の夜間は食事のため動きが活発化し、より多く捕獲できるメリットがある。周囲に民家や人がいない山中で、近くの林道などを交通規制し、餌で誘い込んだシカを約30~50メートル離れた場所からライフルや散弾銃で狙撃する。昨年は、初めての夜間銃猟に猟師が慣れていないこともあり、捕獲頭数は6頭にとどまったが、今年は猟師を6人に増やして臨む。県の年間の目標捕獲頭数は1万6千頭で、夜間銃猟では期間中に計120頭の捕獲を目指している。同室の担当者は「昨年の教訓を生かし、全体の捕獲数を増やせるように努めたい」としている。
(ニホンジカ対策に本腰:青森)
青森県は新年度から、県内で目撃頭数が増加しているニホンジカについて個体数を管理する対策に本腰を入れる。鳥獣の生息数を回復させるために狩猟を3年間禁止する「休猟区」を県南地域で減らすほか、効果的な捕獲技術の調査研究などにも取り組む。ニホンジカは繁殖力が強く、食害による農作物や生態系への影響が懸念されるためだ。
(市街地にイノシシの親子出没:石川)
9日夜から10日の未明にかけて金沢の市街地でイノシシが相次いで目撃された。市では、見かけても刺激しないよう呼びかけている。イノシシが目撃されたのは金沢市の笠舞本町2丁目で、9日夜11時半ごろ「親子のイノシシ2頭がいる」と警察に通報があった。また、そのおよそ1時間後には、金沢市若草町でもイノシシ2頭が目撃され、警察や猟友会などは朝からパトロールを行った。パトロール中に警察官がイノシシ2頭を確認したが、捕獲には至らなかった。金沢市では、去年10月に大野町新町や出雲町などにイノシシが出没していて、市街地での目撃情報はことし初めてだ。市では、イノシシを見かけたら刺激せず、ゆっくりと後ずさりをするよう注意を呼びかけている。
(琵琶湖水源の森、シカから守れ:滋賀)
滋賀県北端の福井県境に近い野坂山地に位置し、琵琶湖の貴重な水源となっている滋賀県長浜市の「山門(やまかど)水源の森」(63・5ヘクタール)で、獣害が深刻になっている。森林には希少な植物も自生し、林野庁の「水源の森百選」にも選ばれているが、近年はシカなどに食い荒らされて無残な姿に。事態を重く見た滋賀県は、来年度から対策に乗り出す方針を固めた。山門水源の森には、県内最大となる約5・6ヘクタールの湿原が広がる。環境省のレッドリストで絶滅危惧II類に指定されているヒメミクリや準絶滅危惧のトキソウ、ヒメタヌキモなど希少な植物が自生している。また、森林内で浄化した水を琵琶湖に供給する水源の役割も果たしており、同省の「日本の重要湿地500」にも選ばれている。だが、近年は、シカやイノシシなどがこうした植物の芽や周辺の樹木の皮を食い荒らしている。平成13年には、当時、高校の理科の教員だった藤本秀弘さん(74)=大津市=らが、ボランティアグループ「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」を立ち上げて網を張るなどの防止策を取ってきた。しかし、標高約200~500メートルの森に資材を運ぶには労力や資金面で限界があり、被害の拡大に追い付いていないという。そこで県が対策に乗り出し、29年度から新たに森に獣害防止柵の設置を計画。まずは4500平方メートルを囲う予定で、当初予算案に150万円の事業費を計上している。藤本さんは「貴重な生物が多数生息するこの森を、県と協力しながら何とか次世代に残していきたい」と話している。琵琶湖周辺の森林を調査研究している滋賀県立大環境科学部の野間直彦准教授は「多様な生態系という点では、全国的にも価値がある森。このまま放置すれば水源としての機能も落ち、琵琶湖の水質への影響も懸念される。早急な対策が必要だ」としている。
(来たれ若者ハンター:千葉)
シカやイノシシなど食害を及ぼす有害鳥獣捕獲の担い手となるハンター(狩猟者)の減少や高齢化を背景に、若手ハンターを育成・確保しようと、千葉県は9日から「県新人ハンター入門セミナー」の参加者の募集を始めた。県単独では初となるセミナーは来月開催。猟銃の実射見学やベテランハンターによる狩猟講座、房州ジビエの試食などを通じ“ハンター生活”の魅力を伝え、若手不足の解消を目指す。県自然保護課によると、県内の狩猟免許交付件数は、1978年度の2万653件をピークに年々減少。過去5年間では、2011年度7115件、12年度6015件、13年度6048件、14年度6138件、15年度5852件。このうち60歳以上の比率は、1978年度で9・4%だったが、2011年度64・8%、12年度66・3%、13年度69・3%、14年度70・2%、15年度66・6%とここ5年は6~7割を占め、高齢化が顕著となっているという。高齢化による認知能力低下に伴う事故への懸念もある。警察庁のまとめによると、猟銃による死亡事故は06~15年に全国で52件。うち銃の暴発が25件、獲物との誤認が16件、弾の到達先の不確認は11件だった。全国的にもハンターの若手不足は顕著で、徳島県那賀町では昨年12月、小型無人機ドローンを使ってハンターを支援する実験も行われている。同県の担当者は「昔は食料調達や革製品の製造など趣味と実益を兼ねたハンターも多かったが、費用対効果や免許更新などの手間が敬遠の一因かもしれない」と分析し、後継者育成や負担軽減を図る。若手ハンター育成に携わる徳島大の内藤直樹准教授(文化人類学)は「なり手不足と高齢化は誤射事故にもつながる。ベテランが若い世代に技術を継承できる環境づくりが急務だ」と話す。千葉県のセミナーは、狩猟に興味があるが、どのように始めたら良いのか分からない-といった若者や女性が主な“ターゲット”。県自然保護課によると、狩猟期間(11月15日~2月15日)があるため、ハンターだけで生計を立てるのは難しいが、狩猟した獲物を使った房州ジビエ料理や有害鳥獣駆除といった社会的貢献などの魅力もある。一方で、住宅付近での銃猟、猟犬や狩猟者のマナーへの苦情、建物等への被弾、禁止区域での狩猟などハンターへの苦情もあり、ルールやマナーの順守も大切。セミナーは、職員によるルールと免許試験などの説明のほか、ベテランハンターによる狩猟講座、猟銃の取り扱い講座、猟銃の実射見学などのワークショップ、房州ジビエの試食、狩猟免許取得相談など多彩に行う。同課では「狩猟を知らなくても気楽に参加してもらい、少しでも興味を持ってもらえれば。その中から1人でも狩猟免許を取得してハンターになろうという方が出てきてほしい」と話している。
(カラス襲撃「完全には防げない」:福井)
福井市中央1丁目の中央大通りの歩道にある花壇で、カラスによって花が株ごと掘り返される被害が相次いでいる。土中の餌を探すためで、被害は300株を超える。管理する福井県はテグス(釣り糸)を張って被害防止に努めているが、完全には防ぐことができず頭を悩ませている。被害が発生しているのは、通り沿い南側約300メートルにある花壇16カ所。県職員や地元商店街の店主らがパンジーやビオラを年2回約3千株ずつ植えている。近くで飲食店を営む男性(48)によると、カラスが株を掘り返し引っこ抜く様子が目撃されている。被害は毎年ある程度発生しているが「今年は例年に増してひどい。特にここ2週間は被害が目立つ」という。植栽活動に参加しただけに「せっかくきれいにしたのに残念」と肩を落とす。県土木事務所によると、カラスは土中の虫を目当てに掘り起こしており、餌の少ない冬季の被害が多い。テグスで対策を施しているが、カラスが触れた衝撃で外れてしまうことがあるという。同事務所の担当者は「テグスは一番効果があるが、どうしても全ては防げない」とため息を漏らす。掘り起こされた株は、定期的に埋め戻していきたいとしている。
(冬場の集客、ジビエ料理で:岐阜)
中津川市の「やさか観光協会」(吉村俊広会長)が、イノシシの肉を使ったハンバーグの商品化を目指している。冬場の観光客誘致や有害鳥獣対策などを狙い、吉村会長は「地元の飲食店でそれぞれ特色あるメニューにしてもらい、観光客が食べ歩きを楽しめるようにしたい」と意気込んでいる。やさか観光協会は、山口、坂下、川上地区の観光業者ら約130人が加盟している。山がちのため、冬場に観光客が減少するのが、長年の課題だ。一方、3地区は、イノシシによる農作物への被害が年によっては総額100万円を超え、深刻化している。地元猟友会の会員が駆除をしているが、捕獲されたイノシシの処理などに頭を痛めていた。同協会では、猟友会の会員からイノシシを買い取ることで、会員がイノシシを捕獲しやすくするとともに、その肉を使った地元グルメを作ることで、二つの課題を解消しようと、昨秋から取り組んできた。従来のイノシシ料理には焼き肉や鍋物があったが、肉が硬いことや、特有のにおいで女性から人気がなかったことから、女性にも食べやすいハンバーグを思い立ったという。ハンバーグの商品化に関しては、同市坂下の道の駅「きりら坂下」のレストランに協力してもらった。先月16日、猟友会の会員や飲食店関係者ら約30人をきりら坂下に招いて、試食会を開いた。参加者からは「臭みもなく、軟らかくておいしい」「限定商品でメニューにしたら面白い」などと好評だった。同協会では、イノシシの脂が乗った冬季限定の商品を目指している。吉村会長は「観光客の誘致だけでなく、地域の活性化にもつながれば」と期待している。
(シカ肉、給食に活用:静岡)
南伊豆町は9日、地元で捕獲されたシカの肉を調理したラザニアを町内の小中学校(全5校)の学校給食で提供した。子どもたちにジビエ(野生鳥獣の肉)に親しんでもらい、資源の有効活用につなげるとともに、食害の問題なども知ってもらう狙いがある。同町によると、ジビエの学校給食は県内では珍しいという。同町は、ヒジキやイセエビなど地元の食材を使った「ふるさと給食の日」を毎月実施している。今月のふるさと給食の日である9日にシカ肉を取り入れたのは、昨年7月の移動知事室で、同町蝶ヶ野で野生獣肉処理センターの運営会社「森守」(黒田利貴男社長)を視察した川勝知事が「給食に使ってみては」と持ちかけたのがきっかけという。黒田社長も同月、南伊豆東小で講師を務め、6年生に農林産物に被害を及ぼすシカやイノシシの肉を販売する会社を設立した経緯について説明している。こうした経緯もあり、同町は、シカ肉がたんぱく質や鉄分など栄養に富み、子どもたちの食育にもつながるとして、森守のシカ肉を使った給食の提供を決めた。この日のラザニアは、ひき肉にしたシカ肉をニンニクやケチャップなどで味付けし、マカロニやチーズなどを加えてオーブンで焼いたもの。小学校3校、中学校2校の児童生徒551人、教職員86人の計637人分が、南中小など小学校2校の給食室で作られ、他校に配食された。南中小6年の加畑翔悟君(12)は「初めて食べたが、臭みがなく、しっかり調理されていておいしかった」と話した。
(ジビエ料理、猪肉味噌が好評:三重)
ジビエ料理の推進で害獣による農作物被害を軽減しようと、県立伊賀白鳳高(伊賀市緑ケ丘西町)の生徒が考案したイノシシを使った「猪肉味噌(ししにくみそ)」のレシピが人気を呼んでいる。滋賀県のホテルがパスタ料理に採用したところ、完売状態が続くなど既に商品化した例もある。同校は「関心のある企業や飲食店に無償で公開します」とレシピの活用を呼び掛けている。
(冬の風物詩「鹿寄せ」始まる:奈良)
ホルンの音色でシカたちを呼び寄せる冬の風物詩「鹿寄せ」が9日朝、奈良市の奈良公園で始まった。奈良地方気象台によると、この日の奈良市は正午に2センチの積雪を記録、最高気温も3・3度と低く、飛火野(とびひの)が白銀に染まる中、シカが集まる光景に観光客らがカメラを向けていた。奈良市観光協会が企画する「冬の奈良大和路キャンペーン」の一環として開催。奈良の鹿愛護会の宇津木謙一さん(28)がナチュラルホルンでベートーベンの「田園」の一節を演奏すると、約100頭のシカが一斉に林の奥から駆け寄った。奈良市の無職、野本寛一さん(80)は「雪が降ると、風情が出ていい。シカと人間の交流が見られるのも日本の文化という感じがして、すばらしい」と話していた。
(警察官、訓練中に実弾を発射:岡山)
岡山県警は9日、岡山西署地域課の男性巡査(27)が、署内で射撃訓練中に誤って拳銃の実弾1発を発射した、と発表した。事件現場や犯人の映像が壁に映し出され、モデルガンで拳銃の構え方などを確認する訓練だったが、「反射的に拳銃を取り出して撃ってしまった」と話しているという。けが人はなかった。県警によると、9日午前10時5分ごろ、岡山市北区の岡山西署2階にある宿直室で射撃訓練中、男性巡査が右ポケットに入れていたモデルガンを使用せず、右腰のホルダーから実弾入りの拳銃を取り出し、発射したという。弾は壁を貫通し、約8・5メートル先の隣接する会議室の壁で止まった。県警の規定では、訓練には課長級以上の警察官が責任者として立ち会い、訓練前に拳銃の実弾の有無を確認することになっている。しかし、この日の訓練には指導役の男性警部補(55)しかおらず、実弾の有無の確認も怠っていたという。

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(死んだ野生のカモから鳥インフルウイルス:東京)
東京都は7日、足立区で死んだ野生のオナガガモ1羽から鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。今後、環境省がウイルスの遺伝子検査を実施し、高病原性によるものかどうか確認する。都によると、今月3日足立区内でオナガガモ1羽が死んでいるのが見つかり、国立環境研究所で検査したところ、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応を確認。環境省は死んだ野鳥が見つかった場所の半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定するとともに、北海道大学に検体を移送して、猛毒の高病原性ウイルスであるかどうかを検査する方針を決めた。昨年11月以降、国内では7道府県の養鶏場と、20道府県で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されている。関東では、茨城県と栃木県で計64羽の野鳥の感染が報告されているが、東京都内では今回が初めて。
(イノシシ対策、ハンター養成へ講座:千葉)
イノシシなどの有害鳥獣捕獲の担い手として狩猟免許の取得者を増やすため、県は県射撃場(市原市)で3月12日に開催する「新人ハンター入門セミナー」の参加者を募集している。県内では、野生鳥獣による農作物被害が深刻化する一方、狩猟者は高齢化などで減少傾向にある。入門セミナーは、狩猟に興味を持つ若者や女性に狩猟免許を取得してもらおうと、県が企画した。当日は猟銃を使う様子を見学するほか、模擬銃で猟銃の操作も学ぶ。狩猟免許の取得方法の説明や、ジビエ(野生鳥獣肉)の試食なども実施する予定だ。参加無料。対象は県内在住の狩猟免許未取得者か狩猟経験のない狩猟免許取得者。定員30人で、定員を超えた場合は未取得者を優先して抽選で決める。県ホームページの「ちば電子申請サービス」で、23日までに申し込む。
(鳥獣被害減、県が捕獲目標:和歌山)
野生動物による県内農作物被害が過去6年間、3億2000万円~3億5000万円と高水準を保つ現状に、和歌山県は「10年で被害半減」を掲げ、イノシシとサルの年間捕獲目標数を4月から初めて打ち出す。県農業環境・鳥獣害対策室は「具体的な捕獲数を示すことで、被害額を減らす」と方針を固めた。県は、2007年のイノシシを皮切りに、08年にシカ、13年にサルを対象に管理計画を策定。07年にイノシシの捕獲数は年7000頭だったが、近年は1万3000から1万4000頭に、シカは2000頭前後を1万4000頭まで増やした。それでも、被害額にそれほど変化がなかった。一方、13年に450頭だったサルは、近年1200から1500頭を捕獲し、被害額は5000万円程度で落ちついている。これまでシカのみ捕獲目標数を制定していたが、17年度からの新計画では、捕獲実数を2から3割上回るよう、イノシシ、シカは1万7000頭、サルは1500頭と目標に定めた。鳥獣による農作物被害は深刻で、特に、イノシシ被害は年間1億7000万円と総額の半分を占める。紀の川市で稲作をする男性は「刈り取り間近の田をイノシシに荒らされ、300㌔分の被害を受けました」。中山間地でみかんや柿の果樹被害が多いというJA紀の里は、「捕獲数が増えても、それ以上に繁殖するため、被害がなかなか減らない」と明かす。駆除に当たる狩猟者も高齢化が進み減少が続く。捕獲増には狩猟者増が必須で、県は狩猟免許取得呼びかけを強化。銃免許所持者は年々減るが、わな免許取得者は増える。同室は「捕獲を増やしても被害はなかなか減っていないが、高い目標を定めることで、被害減につなげたい」と考えている。
(イノシシに震える市街地:群馬)
イノシシが群馬県内の市街地に現れ、人に危害を加える状況が頻発していることを受け、県が市街地出没を想定した対応指針をつくり、年度内にも運用を始めることが8日、分かった。市町村や警察などの連絡体制整備をはじめ、役割分担を明確化し、捕獲や追い払いをする際の注意事項をまとめる。危機感を募らせる県は、県民がイノシシに遭遇した場合の行動や通報の在り方、心構えなども盛り込み、万一の場合に生かすよう促す。県鳥獣被害対策支援センターによると、イノシシの捕獲方法や行政間の連絡には統一的なルールがなく、イノシシが関係した人身や物損被害の状況を県で集約できていないことも課題となっている。指針は、県鳥獣被害対策本部がまとめる。行政機関向けには、追い払う際にイノシシの逃げ場を確保しつつ、組織的に取り囲み、学校や高齢者施設などから遠ざけるような行動を呼び掛ける。人が襲われたり、逃げ続ける恐れがある場合、県にも連絡が入る体制を整えて被害統計を取ったり、対策に役立てる。県民の協力や意識啓発が不可欠とし、餌となる生ごみ、果樹や農作物の残りを屋外に放置しないことや、市町村や警察に目撃情報を通報してもらうことも訴える。イノシシの生態や習性に関する情報を盛り込み、身を守れるようにする。関係機関に指針を配布するほか、県ホームページでの公開も検討する。イノシシは基本的に臆病で、市街地には山林から川伝いに動くなどして出没するとみられ、車などを見てパニック状態になるとされる。捕獲を急いで騒いだり、しつこく追い立てると反撃に転じ、人に危害を加えるケースもある。センターは「生態を理解した上で対応する必要がある」と指摘する。イノシシ被害を巡っては、昨年11月に桐生市内の60代男性が襲われて死亡。12月に高崎市貝沢町に出没した1頭が自転車に乗った高校生ら4人に軽傷を負わせた。10月にはJR高崎駅周辺に現れた1頭が逃走後、立体駐車場の屋上から落ちて死ぬ騒ぎもあった。イノシシの市街地出没に関する対応指針は、西日本を中心に整備の動きが出ている。県は、先進事例を参考にして指針づくりの作業を進める。23日には、同センターがイノシシなどが市街地に出没した場合の対応をテーマに、市町村と警察、県猟友会などを集めた講習会を前橋、太田両市で開く予定。
(鳥獣被害対策考える:福井)
ニホンザルなどの鳥獣被害対策について考える研修会が25日、若狭町市場の町歴史文化館で開かれる。県外の事例を紹介し、集落単位で取り組む対策を考える。県内の有害鳥獣による農作物被害額は約1億1700万円(2015年)。サルによる被害はこのうち約2%だが、過疎化などの影響で近年、集落に来て家屋に侵入するケースなどが増えている。県内の約3分の2を占める約2900頭のニホンザルが嶺南に生息し、対策が急務だ。研修会では、集落ぐるみの追い払いがサル対策に効果を上げた三重県伊賀市阿波地域の活動や、イノシシの肉などを使ったジビエ料理のブランド化で地域活性化に取り組む島根県美郷町の取り組みを紹介する。
(イノシシ9頭、「箱わな」捕獲:茨城)
城里町下赤沢の民有地で、イノシシの親子計9頭が鉄製おりの中に餌を置いておびき寄せる「箱わな」にかかり、捕獲された。仕掛けたのは町有害鳥獣捕獲隊メンバーで同町上赤沢の農業、飯村吉伊さん(74)。飯村さんは「一度にこれほど捕まるのは初めて」と話す。下赤沢地区と周辺では、田畑や民家の庭などがイノシシに荒らされる被害が相次いでおり、箱わなを貸し出した町は「イノシシの繁殖が進んでいる」と危機感を募らせる。狩猟歴7年の飯村さんは自ら所有する箱わなに加え、町が貸し出している箱わなも活用して、同地区を中心にイノシシ駆除に取り組んできた。9頭が捕獲されたのは周囲に民家や田畑が点在する林の一角。飯村さんは1月末、この場所に箱わなを仕掛けた。3日早朝に確認したところ、体重約70キロの母親イノシシ1頭と体重15キロ前後の子どもイノシシ8頭がおりの中にひしめき合っているのを見つけた。「目を疑った」ほど驚いたという。箱わなは、おりの内側に張ったワイヤに体重がかかるとすぐに入り口が閉まる仕組み。このため、飯村さんは「(一度に捕獲できるのは)多くても3、4頭。9頭も入るまで閉じなかったのは、偶然が重なった結果だろう」との見方を示す。9頭捕獲について、町職員で有害鳥獣担当のベテラン狩猟者、興野隆喜さん(51)も「かなり珍しい。(箱わな貸し出しの)成果が出たのは良かった」と話す。ただ、気になるのはイノシシの増加だ。今回の母親イノシシは捕獲された子どもイノシシの数から1回で少なくとも8頭を産んでおり、「通常は4、5頭」(興野さん)より多い。加えて鼻が長いことから、興野さんは「多産の豚の遺伝子が入っているのではないか。イノブタ化が進むと、どんどん数が増える」と分析する。町は減少傾向にある狩猟者を確保するため、2014年度から狩猟免許取得費用の全額補助制度を創設。昨年7月には箱わな10個の貸し出しも始めた。後を絶たない農作物の被害防止に向け、イノシシが増えすぎないように駆除に力を入れ、本年度の捕獲数は例年より40頭ほど多い165頭(3日現在)に上る。興野さんは「イノシシとのいたちごっこは続くが、諦めたら終わり。町としても狩猟を支え、地道に捕獲していきたい」と語った。
(ガンマニア再逮捕、空気銃をドイツから輸入:愛媛)
石川、愛媛両県警は7日までに、火薬を詰め発射でき殺傷能力のある空気銃1丁をドイツから密輸するなどしたとして、銃刀法違反と関税法違反の疑いで愛媛県大洲市、無職後藤博文容疑者(63)を再逮捕した。金沢東署によると、後藤容疑者はガンマニアで「鑑賞目的で購入した」と供述。一方で「外国製のガスガンで拳銃という認識はなかった」と容疑を否認している。再逮捕容疑は昨年12月、空気銃1丁をインターネットで注文し、ドイツから輸入するなどした疑い。空気銃は分解された状態で梱包(こんぽう)され、1月中旬に大阪税関で押収された。後藤容疑者は殺傷能力のある空気銃14丁などを所持していたとして、1月17日、銃刀法違反の疑いで逮捕された。
(牡鹿再生カフェで後押し:宮城)
宮城県石巻市の第2回創業ビジネスグランプリの表彰式が5日、市内の遊楽館であり、牡鹿半島でカフェ「はまぐり堂」を営む一般社団法人「はまのね」代表理事の亀山貴一さん(34)が提案した「牡鹿半島における地域資源を活用した次世代型循環ビジネス」が一般部門の最優秀賞を受賞した。亀山さんは受賞者発表で、東日本大震災の津波被害を受けた故郷でカフェを始めた経緯を説明。駆除したシカを使った商品展開など地域再生に向けた事業プランを紹介し、「今後は移住や定住する人を増やすことが必要だ」と訴えた。
(ジビエ拠点、中条に決定:長野)
長野市は7日、直営のジビエ肉解体処理・加工施設を同市中条地区に建設する計画を発表した。ジビエの安定した流通のため市が昨年11月に建設地を募っていた。2019年度に稼働する予定。市によると、建設地は同市中条の「道の駅中条」に隣接する敷地約3000平方メートル。
(ジビエ祭、食べ放題:岐阜)
岐阜県加茂郡東白川村越原の道の駅「茶の里東白川」で、炭火で焼いたイノシシ肉やシカ肉などを食べ放題で楽しめる「ジビエ祭」が開かれており、観光客が舌鼓を打っている。予約制で12日まで。同村で捕獲されたイノシシなどを手軽に味わってもらおうと開催。秋から冬の猟期にとれたイノシシのロース肉やもも肉をはじめ、シカのもも肉、飛騨産豚肉、恵那産鶏肉、手作りウインナーを、鉄串に刺して炭火で焼く、ブラジル料理のシュラスコスタイルで提供している。しし鍋やこうじ漬けシカ肉のジンギスカン、サラダバーなどが付いて1人1800円(税込み)。多治見市から夫妻で訪れた70代男性は「くせがなくておいしい。道の駅で手軽に食べられるところがいい」と話していた。同道の駅では、運営会社の新世紀工房(村雲陽司社長)が食肉販売業の許可を受けて、県の「ぎふジビエ衛生ガイドライン」に基づいて肉を管理。猟師の登録、捕獲時の状態、食肉処理施設での解体状況などを個体ごとに記録。商品に2次元コード「QRコード」を貼り付けて消費者が確認できる仕組みを作るなど、販路開拓のための先進的な取り組みを進めている。食肉処理は、食肉処理業の許可を受けた守田精肉店(中津川市付知町)に依頼している。
(イノシシやニホンジカの利用探る:群馬)
鳥獣害対策の一環として、群馬県が新年度、イノシシなどの捕獲後の処理や利用に関する独自指針の策定に乗りだすことが6日、分かった。4月からのニホンジカとイノシシの年間捕獲目標を上方修正するなど、県は対策強化を打ち出す一方、肉や皮革の利用が大きな課題となっている。東京電力福島第1原発事故の影響で野生獣肉の出荷制限が続いているが、加工処理施設を活用して一部解除している他県の事例も参考に、地域振興にもつながる方策を模索する。県はニホンジカとイノシシの推定生息数を見直し、4月から適正管理計画での年間捕獲目標を変更する。それぞれ5500頭を1万頭、7500頭を1万3千頭に増やすが、人身被害が目立つツキノワグマも含め、全県で原子力災害対策特別措置法に基づく出荷制限を受けており、野生獣肉は商用流通できない状況だ。県によると、野生獣肉を使った「ジビエ料理」への関心が全国的に高まる中、県内での捕獲後は埋設や焼却するしかなく、狩猟関係者らから「殺処分をするだけではモチベーションが高まらない」との声も上がっているという。野生獣肉を巡っては、栃木県も全域で出荷制限を余儀なくされているが、同県那珂川町のイノシシ肉専用加工施設で受け入れて厳格な検査を受けると、解除できる仕組みがある。県は、こうした先進事例に着目。新年度は有識者から意見を求めて捕獲から利用までの指針をまとめ、当初予算案でも先進地視察などの関連費用を盛り込む方針だ。原発事故から間もなく6年。県は安全性を確かめるための野生鳥獣に対する放射性セシウム濃度検査のサンプル数を増やしたり、検体採取の範囲を広げることも検討する。
(臭み抑えジビエの評判上々:和歌山)
和歌山市東部に工場を構える食肉販売会社「ミートファクトリー」(北川美智也社長)は2年前から、捕獲された野生のイノシシやシカの肉を使ったジビエソーセージを製造している。地産地消の食材として、飲食店や学校給食の需要があり、評判は上々だ。
(イノシシ肉使い青年部が新商品:佐賀)
佐伯市番匠商工会青年部(近藤弘幸部長、部員20人)が地元産イノシシ肉を使ったケバブサンドを試作した。毎年夏に青年部が中心となって行う番匠商工祭の目玉となるように開発。祭り会場で作りやすく、食べやすいものを目指した。県商工会議所連合会や県商工会連合会が昨年7月、大分市で開いた「地方創生プランコンテスト・プレゼンテーション発表会」に、番匠商工会青年部も参加。35件の応募があり、同青年部の「地域資源であるイノシシ肉を使った商品開発」が最優秀賞を獲得した。青年部ではこのプランに沿って商品開発を開始。佐伯市内でフランス料理店を営む河野辰也シェフの下で試作を繰り返し、最終的にキャベツとタマネギ、イノシシ肉をピタパンに詰めて、サルサソースなどをかけて食べるケバブサンドに決定。7日夜に味付けなどの最後の試作を行った。今後は1個500円で青年部が関わる催しなどでの販売を検討している。

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(鳥獣被害抑止へ、駆除専門「職員ハンター」採用:宮城)
イノシシやニホンジカなど野生鳥獣の増加で拡大する農作物被害に歯止めをかけようと、宮城県が新年度、狩猟専門の職員を採用することが3日分かった。鳥獣駆除を担ってきた猟友会が高齢化で会員不足に直面しており、独自の対策に乗り出す。県によると自前のハンターを配置するのは47都道府県で初めて。有害鳥獣の駆除を専門とする非常勤職員2人を「鳥獣被害対策指導員」(仮称)として雇用する。県は2017年度一般会計当初予算案に関連経費1300万円を盛り込む。銃の取り扱いに慣れた宮城県警のOB職員を採用する方針。イノシシ被害が目立つ県南部の事務所を拠点に週4日間、鳥獣駆除などに当たる。猟友会メンバーと連携し、捕獲したイノシシの処分や食害防止のパトロール、新たなわな設置などを支援する。新年度に猟銃やわな、見回り用の車を配備。狩猟免許の取得や県猟友会への登録などを済ませた上で、早ければ秋にも駆除活動を始める。有効な駆除方法を研究し、各市町村に情報を伝える役割も担う。県内で捕獲されたイノシシの頭数と農作物の被害額は表の通り。県によると、15年度に捕獲されたイノシシは4964頭、ニホンジカは1845頭に上る。5年前に比べてイノシシは2795頭、ニホンジカは456頭増えた。農作物被害も深刻で、12年度以降は1億円を超え、14年度は初めて2億円を突破した。15年度は5年前の2倍以上となる1億3869万円で、16年度も高水準で推移するとみられる。一方で、県猟友会の会員数は落ち込みが著しい。05年度に2218人だった会員は15年度、1508人まで減少。うち約3割の411人が70歳以上で、鳥獣駆除の態勢は先細りが避けられない状況だ。ハンターを継続的に確保するため、県は17年度の実績を考慮した上で、18年度以降も毎年2人ずつ採用する計画を立てている。
(米銃業界苦境、銃・弾薬の販売減:アメリカ)
米国民の銃所持の権利を支持するトランプ氏の大統領就任を受け、銃器や銃弾の販売が落ち込み、関連企業の株価も下落する傾向が顕著になってきた。トランプ大統領の誕生で、より厳しい銃規制の実施が遠のいたと判断し、駆け込み購入が減ったことを反映しているとみられる。銃規制反対派の全米ライフル協会(NRA)は大統領選でトランプ氏を支持していた。昨年11月の大統領選投票日以降、株式上場する銃器メーカー2社の「スターム・ルガー」と「アメリカン・アウトドア・ブランド(旧社名スミス&ウエッソン)」の株価は20%以上も値を下げた。また、大半の銃購入の際に実施された米連邦捜査局(FBI)による犯罪歴有無などの身元調査の件数は今年1月には前年同月比で20%減少。昨年12月は16%減だった。身元調査の件数はそのまま銃器販売の正確な数字に結び付かないが、大体の実情の把握には役立つものとなっている。銃弾の販売も落ち込んでいる。近年の需要は極めて高く製造企業は生産が追い付かず、輸入にも頼っていた。昨年の輸入実績は過去最高水準を記録してもいた。しかし、関連企業は最近、昨年10~12月期の第4四半期の販売は前四半期比で20%下落したと報告していた。
(高齢ハンター、ITが助っ人:徳島)
シカやイノシシなどの鳥獣による農作物への食害が深刻化する一方で、ハンター(狩猟者)の担い手の減少傾向や高齢化に各地の自治体が頭を抱えている。認知能力の低下に伴う誤射事故も続発しており、最新技術も駆使してさまざまなカバー策を模索している。昨年12月、徳島県の山間部にある那賀町。町の関係者が手にした携帯型の端末が、山を隔てて900メートル以上離れた猟犬の居場所を映し出した。猟犬に装着した発信器の電波は通常、障害物が多い山中などでは検知できず、上空に飛ばした小型無人機ドローンを使って位置情報を中継させた。町が実施したのは鳥獣を追う猟犬を追跡、検知する実験だ。少子高齢化やハンター減少に伴って拡大する一方の食害対策として考えたのが、ハンターらを最新技術で援護する方法だった。この日、最初の実験は電波の干渉とみられる失敗に終わったが、2度目で成功。町の担当者は「高齢者にとって、山に入って猟犬を捜す大きな労力の軽減につながる」と手応えを感じていた。高齢化による認知能力低下に伴う事故への懸念も大きい。警察庁のまとめによると、猟銃による死亡事故は2006~15年に全国で52件。うち銃の暴発が25件、獲物との誤認が16件、弾の到達先の不確認は11件だった。那賀町でも15年8月、農道でサルの駆除をしていた70代の男性が誤って隣人の女性(当時82)を死亡させる事故が発生。業務上過失致死罪に問われた公判では「ササが多く、確認しにくかった」と明かした。県内のある高齢男性ハンターは「素早いサルを逃さないように焦って発射することもある」と話す。駆除は高齢ハンターに依頼せざるを得ない状況だ。徳島県によると、県内の15年度の狩猟免許交付者数は約2900人で、かつての半数以下に。60歳以上が7割近くを占め、若手不足は顕著だ。県の担当者は「費用対効果や免許更新などの手間が敬遠の一因かもしれない」と分析する。狩猟者の心構えのほか、銃やわなの扱い方をベテランが学生らを対象に教える講座を定期的に開催。住民に鳥獣の写真をスマートフォンなどで撮影、送信してもらい、出現場所を地図に示して位置の把握や農作物への被害想定に役立てるウェブサイトも構築している。
(群れをスマホで捕獲、わなを遠隔監視:静岡)
県富士農林事務所は、富士山麓(さんろく)の朝霧高原(富士宮市)で、スマートフォンを使った遠隔操作でシカを捕らえる作戦を始めた。群れごと捕獲することが可能で、従来のくくりわなや銃よりも効率的として手法の確立を目指す。スマホを使った遠隔操作によるシカ捕獲は、県内で初めて。同事務所によると、2015年度の推計で富士山麓の静岡県側にはシカ約2万4000頭が生息すると推計される。約5500頭を捕獲したが、農産物の被害は2155万円に及んだ。21年度に生息数を5000頭に減らす計画だが、シカは繁殖力が強く、駆除が追いつかないのが現状という。山林に2日設置された囲いわなは、5メートル四方で高さ2メートル。センサーとカメラでシカの動きを監視する。周辺にエサを置いておびき寄せ、中に入るとメールや専用アプリケーションでスマホやパソコンに通知する。担当者は映像で確認しながら、群れ全体が入り切った時点で入り口のゲートを落とす。群れを一網打尽にすることで、捕り逃したシカが学習して近づかなくなるのを防ぐ効果があるという。3月4日まで試行的に活用する。同事務所森林整備課の松野照人副班長は「効果を確認できたら、広く県内に紹介し、普及させたい」と話した。
(厚真の猟銃死から6年、情報提供を呼び掛け:北海道)
厚真町桜丘の山林で2011年、安平町の林業作業員新渡戸勝彦さん=当時(45)=が銃弾を受けて死亡した事件は4日、未解決のまま発生から丸6年を迎えた。現場近くでは、苫小牧署の捜査員や地元の猟友会員が付近の住民にチラシを配り、あらためて情報提供を呼び掛けた。事件は2011年2月4日午前9時半ごろに発生。伐採作業中の新渡戸さんが銃弾を受け、倒れているのを同僚が発見した。同僚が現場近くでオレンジ色の上着を着たハンター2人が青っぽいRVで走り去ったのを目撃した。道警はこれまで延べ1万人以上の捜査員を投入したが、事件解決には至っていない。
(クマ対策、人襲う事故急増)
兵庫、京都、岡山、鳥取の4府県は2017年度から、ツキノワグマ対策でタッグを組む。4府県では昨年だけで、クマが人を襲う事故が11件(うち4件は重傷)発生し、過去10年で2番目に多かった。生息数の増加が背景にあるとみられ、府県境を移動するクマの頭数を共同管理し、狩猟解禁の拡大も検討する。対象となるクマは兵庫、鳥取、岡山の県境の「東中国地域個体群」と「近畿北部地域個体群」のうち兵庫、京都をまたぐ西側部分。4府県では昨年、ドングリが不作だったことなどから、山間の集落にクマが出没する事例が多発。昨年4月~12月末に有害獣として捕獲、殺処分されたクマは4府県で計184頭と過去10年で最高だった。このほか4頭は、兵庫県が昨年11月に20年ぶりに解禁した狩猟によるものだった。兵庫県森林動物研究センターによると、クマの行動範囲は100平方キロまで拡大することもあり、県境を越えた移動も確認されている。しかし、クマの生息数の把握は、府県ごとで調査方法もばらばらなため、実態が正確に把握できていない。15年末で940頭と推定する兵庫県は狩猟を解禁したが、鳥取県は狩猟解禁に慎重な姿勢を取るなど、駆除や頭数管理の考え方には温度差がある。こうした現状を受け、4府県は17年度中に、担当者による会合を開き、クマ対策での協議会の設置も検討する。171頭と推定する岡山県は、兵庫の事例を参考に17年度中に狩猟を解禁する方針のほか、京都府でも、狩猟解禁できるよう条件を見直す方向だ。県境をまたいでクマを保護管理する取り組みは山口、広島、島根3県に続き、全国で2番目だが、3県では狩猟解禁による頭数管理は実施されていない。
(放射性物質の検査、縮小の指針案:福島)
福島など東日本の17都県が行っている農林水産物に関する放射性物質の検査について、農林水産省と消費者庁などは2017年度から検査体制を縮小する指針案を作成し、2日に東京都内で開いた市民向け意見交換会「食品に関するリスクコミュニケーション」で提示した。放射性セシウムの残留基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える農産物がほとんどなくなっている状況を受けた方針。指針案では、都県ごとに過去3年間の農産物検査で基準値の2分の1以下になった場合、都県の判断で検査を縮小してもよいとしている。野生の山菜やキノコ、鹿やイノシシといった獣肉など栽培管理が困難な品目は従来通り検査する。この日の意見交換会には消費者団体や福島の農業生産者が出席。「縮小は早すぎる」「検査縮小の目安は、基準値の2分の1以下より厳しい値にすべきだ」という反対意見が多く出た。一方、検査費用が過去5年間で計約40億円かかったことを挙げ「費用はもっと有意義な目的に使うべきだ」との意見も出て、賛否は分かれた。11~15年度の検査結果によると、生産者が栽培管理できる野菜、果物、イモ類、肉類は、最初の2年間に基準値を超えるセシウムが検出された割合は0.1~5.9%だったが、13年からは検出されていない。豆類は15年に0.1%あった。政府は今月17日に大阪市で意見交換会を開き、世論の動向を見極めながら検査体制の縮小の是非を判断する。
(大日本猟友会、自民党で狩猟のつどい:東京)
野生鳥獣肉(ジビエ)料理を食べて農山村を守る。大日本猟友会は1月31日、自民党で「自然と農山村を守る狩猟のつどい」を開いた。玄関前でついたもちと肉を使った料理や、会議室でロースト肉などに舌鼓を打った。農山村では野生鳥獣の被害が増え続けている。対策の一環として野生鳥獣の捕獲数が年々増加する中で、これを地域資源として捉え、ジビエとして有効に活用する前向きな取組みも広がっている。自民党は鳥獣被害対策特別委員会や鳥獣捕獲緊急対策議員連盟が対策を検討し続けるなどで活動を続ける。
(狩猟に関心持って、体験ツアー:長野)
木曽町主催の「狩猟体験ツアー」が五日、同町福島の町有林などであった。降りしきる雪の中、町内外の約十人が猟の場となっている林道を歩き、わなの仕掛け方や野生動物の痕跡の探し方を学んだ。地域住民に狩猟への関心を高めてもらう目的で、初めて開催。木曽猟友会福島支部のメンバー五人と、町の地域おこし協力隊員として有害鳥獣対策に取り組む小野司さん(27)が講師を務めた。町役場では、小野さんが猟に使う道具や狩猟方法を解説したほか、町内で農林業の鳥獣被害額が毎年約千六百万円に上ることも説明した。その後、町有林で約二キロの林道を一時間半ほど散策。野生動物を見つけることはできなかったものの、くくりわなの設置方法、猟銃の種類や使用方法の違いを学び、手作りのシカ汁も味わった。同町の河井珠奈さん(25)は「狩猟は山の生態系を考えながら町の利益を守る立派な仕事だと思った」と感心した様子で話した。三尾秀一支部長は「関心を持ってもらって、一人でも会員が増えれば」と願っていた。
(狩猟の魅力、もっと広がれ:広島)
「狩猟」の魅力を紹介するフォーラムが5日、広島市南区の県立広島産業会館で開かれ、来場者は、画面上の獲物と模擬銃によるハンター模擬体験や、狩猟で得た天然の野生鳥獣の肉を調理した「ジビエ料理」などを満喫した。鳥獣保護管理の未来の担い手を育成するため、環境省が主催。「狩猟のイロハ」と題して、山梨県猟友会青年部の羽田健志部長がテーマトークを開催。足跡などの痕跡から獲物の居場所を特定する「見切り」や、情報を持ち寄り総合的に判断して作戦を立てる「作戦会議」、イヌや勢子に追われた獲物を狙撃する「射獲」など狩猟の具体的な手順を分かりやすく解説した。羽田部長は「狩猟の獲物の重みは命の重み。狩猟をすればイノシシが好きになってくるが、同時に命を奪うことにもなる。そこを真摯(しんし)に受け止め、真剣に考えなければ、狩猟を始めても続けるのは難しい」と訴えかけた。ハンター模擬体験のコーナーでは、来場者が模擬銃を構え、画面上に登場するシカに狙いを定めて発射。センサーが反応し、うまく獲物を仕留めると、大きな歓声を上げていた。またジビエ料理のコーナーでは、珍しいシカ肉やイノシシ肉のソーセージなどが販売され、来場者の長い行列ができた。狩猟を取り巻く環境は厳しく、近年、狩猟者の減少や高齢化などが進む一方、シカやイノシシなどの野生鳥獣による生態系や農林水産業への被害が深刻化している。県によると、野生鳥獣による農作物被害額は、8億円を超えた平成22年度をピークに減少しているが、依然として高い水準が続いており、27年度は4億円強。特にイノシシによる被害が7割を占め、県内全域で被害が報告されているほか、シカの分布域拡大も懸念されている。
(柿の実活用学ぶ研修会:兵庫)
集落にあり余る柿の実を生かす方法を考える「獣害対策現地研修会」が6日、兵庫県篠山市矢代の矢代公民館で開かれた。サルなど野生動物を呼び寄せる放置された柿を少しでも減らすヒントを探ろうと、参加した約30人は熱心に聞き入っていた。同市や同市猟友会などでつくる「同市有害鳥獣対策推進協議会」が主催。柿の木は大切にしている人も多く、簡単には切れないことから、実を役立てることで少しでも放置を減らそうと開かれた。
(コブハクチョウ「絶滅」危機:兵庫)
兵庫県伊丹市が昆陽池公園で飼育しているコブハクチョウが、鳥インフルエンザに相次いで感染し、「絶滅」の危機に直面している。先月13日以降、20羽が死亡し、5日時点で生存しているのは5羽。一時は公園内に150羽おり、街のシンボルとして市民に親しまれてきただけに、「何とかこの冬を乗り切ってほしい」などの声が上がっている。コブハクチョウは外来種で、市が1963年、観賞用として計10羽を山口県宇部市から購入。当初は市内の別の池で飼育していたが、73年、昆陽池公園の整備完了に伴い、48羽に増えたコブハクチョウを全て昆陽池に移した。昭和50年代には約150羽にまで増え、市のシンボルとしても定着。80年に制定された市旗にデザインされたほか、下水道のマンホールにも、カモとともに泳ぐ姿が描かれている。ただ、近年は30羽ほどに減り、池の一部を石垣で囲んでつくった給餌池(約3000平方メートル)で飼育。減少は近親交配などが理由とみられ、今年1月初旬には25羽となっていた。昆陽池は元々、渡り鳥の飛来地で、給餌池に野鳥は自由に入れるが、これまで野鳥もコブハクチョウも、鳥インフルエンザで死んだと確認された例はなかった。ところが、今年は1月13日に2羽が死んでいるのが見つかり、簡易検査で陽性反応が出た。14日以降も感染が相次ぎ、16日には残る19羽を野鳥と接触しないように、ネットで囲ったケージに隔離。それでも、感染は止まらず、19日までに8羽となった。市は県から「全て殺処分するべきだ」との助言も受けたが、市民の「ハクチョウを残して」という声を受け、20日、8羽について簡易検査を実施。全て陰性だったため、経過を見ることにしたが、24日までに3羽が死んだ。これまでに死んだ20羽のうち、14羽を確定検査に回したところ、全てから毒性が強い高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された。市によると、コブハクチョウはほかの鳥に比べ、鳥インフルエンザの感染リスクが高いとされるが、以前、全国的に感染が広がった時は無事だったという。今後、冬場に野鳥と隔離するための設備を設けることも検討するが、外来種の増加には慎重な意見も根強く、新たにコブハクチョウを購入するかは未定。担当者は「今は生き残っている5羽の保護に全力を尽くしたい」と話している。
(鳥インフルエンザ:佐賀)
毒性が強い高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)が、杵島郡江北町の養鶏場で見つかった。県内での発生は2年ぶり、2例目で、飼育されていた鶏約6万9千羽と、卵68万3千個を処分する事態になった。全国的に鳥インフルエンザの感染が広がり、警戒を強めているさなかだっただけに、養鶏農家の動揺と落胆も大きいようだ。今回の江北町は今シーズン、全国10例目で、九州では宮崎県川南町、熊本県南関町、宮崎県木城町に続いて4例目となる。感染を封じ込めるには、初動の段階でいかに素早く対応するかがポイントになる。県は自衛隊に派遣を要請し、発生農場から半径3キロ圏を鶏や卵の移動制限区域に、3~10キロ圏を搬出制限区域に指定した。さらなる広がりを防ぐために、幹線道路や農協支所など16カ所には消毒ポイントも設けている。4日の午前10時に養鶏農家から通報を受けて、緊急立ち入り検査や簡易検査を経て、午後3時には対策本部を立ち上げている。行政や農協、自衛隊など各機関が連携して当たっており、2年前の教訓が生かされているようだ。鳥インフルエンザは感染ルートが特定されていないが、シベリアなどからの渡り鳥がウイルスを持ち込むと考えられている。きちんと管理されている家きんに限れば、今回が10例目の感染だが、これが野鳥となると昨年11月以降、すでに20道府県で200例以上が確認されている。つまり、野鳥の間でウイルスが広がっている状況がうかがえる。海を越えて大陸から持ち込まれるとなれば、国内だけでなく、海外にも目配りしておく必要があるだろう。韓国は例年、日本よりも早い時期に鳥インフルエンザが流行する傾向があるが、今シーズンは鶏やアヒル、ウズラに感染が広がり、すでに3200万羽以上を処分したという。これは深刻な状況だ。九州の場合は、アジアに近い立地だけに、一層の警戒が欠かせない。例えば、鹿児島県出水市には国内最大のツルの越冬地があるが、ここでもナベヅルやカモ類などから、すでに30例のウイルスが検出されている。自由に飛び交う野鳥がウイルスを持ち込むと想定すると、対策が取りにくい。防鳥網に穴がないか、入り込める隙間がないかをもう一度点検したり、人や車両が出入りする際には消毒を徹底するなど、地道な防疫を続けるしかない。気がかりなのは、風評被害が出ないかである。国内では、鶏肉や卵を食べた人が感染した例はない。そもそも鳥から人への感染が非常にまれな上、日本では移動制限が徹底しており、感染した鶏肉や卵が市場に流通することはないからだ。消費者が情報不足から過剰反応しないよう、きめ細かな情報発信を求めたい。鳥インフルエンザの感染は、養鶏農家や行政だけの問題ではない。私たち市民としても、野鳥の死骸を見つけた場合は、触らずに近くの保健所に速やかに知らせるなど協力はできるだろう。子どもたちへの周知も急ぐべきだ。正しく情報を共有し、事態の早い収束へ力を合わせたい。
(溝ぶたでイノシシ侵入阻止:徳島)
畑を柵で囲い、出入り口に、歩きづらいよう加工したグレーチング(溝ぶた)を設けることでイノシシの侵入を防げることが、徳島県立農林水産総合技術支援センターの実証試験で分かった。週当たり20頭近くの侵入が確認されていたセンターの果樹園で設置から2年間の侵入数はゼロ。センターは獣害の深刻な地域での活用を勧めている。グレーチングは縦3メートル、横2メートルで、鉄製のバーを格子状ではなく、斜めに交差させることで、ひづめのあるイノシシやシカが歩きづらいよう工夫している。グレーチングメーカーのダイクレ(広島県呉市)が開発した。センターは2015年2月、上板試験地の約1ヘクタールの果樹園を高さ1メートルの柵で囲い、人や車の出入り口に深さ8センチの溝を掘ってグレーチングを設置した。設置前の14年10月中旬から15年1月上旬まで延べ196頭のイノシシが畑の外側で監視カメラにより撮影され、うち90頭が侵入した。設置後は侵入ゼロが続いている。センターによると、県内では獣害の増加に伴い、畑を電気柵などで囲うケースが増えている。出入り口にゲートを設置すると通行が不便になる。グレーチングなら人や車が自由に出入りでき、こうした課題を解決できる。ダイクレによると、上板試験地と同規模のグレーチングを設置すると、100万円程度かかる。実証試験を行ったセンターの小池明上席研究員は「設置には土木工事を伴うため、今後は公共工事として農道や集落全体を防護柵で囲い、出入り口にグレーチングを設けるといった利用法が考えられる」と話している。
(射撃体験に興奮:神奈川)
伊勢原市内上粕屋の県立伊勢原射撃場で1月28日、ビームライフル射撃体験教室が行われた。ビームライフル射撃とは、光線の出る銃で標的をねらう射撃スポーツで、ライフル射撃の入門として普及されている。この体験教室は、射撃場のある市内で子どもたちに体験をしてもらおうと、市が定期的に開催しているもの。当日は午前の部・午後の部合わせて70人が参加。子どもたちは初めて触る大きな銃に興奮しながら、集中して的を狙った。体験を終えた子どもたちからは「最初は難しかったけど、ちゃんと真ん中に撃てて楽しかった」と笑顔がこぼれた。また、教室には伊勢原高校ライフル射撃部も協力。子どもたちの手をとりながら優しく指導する様子が見られた。
(87歳ハンター、イノシシ年間48頭捕獲:栃木)
県猟友会日光支部会員の滝栄(たきさかえ)さん(87)=沢又=は、県内屈指の高齢ハンターながら、昨年1年間でイノシシ48頭を捕獲し、狩猟関係者を驚かせている。半世紀にわたり第一線で活躍を続け、独自に作った「足取りわな」を使い、市内農作物の食害防止に貢献している。同支部は「80歳以上でこれだけイノシシを捕獲するのは全国でも珍しいのでは」と話している。滝さんは、1968年に狩猟免許を取得。シカを含め年間平均90頭以上を捕獲し、2014年には自身最多の約130頭を駆除した。同年には有害鳥獣駆除関係で初めて市政功労賞を受賞した。狩猟のこつは「動物の警戒を避け、わなを獣道の脇に設置する。自然環境を変えないため草木の一本も取らない」と語る。「イノシシの嗅覚は犬以上に敏感。服装にも気を付けている」と徹底している。3年前から農作物被害が深刻な山口で、イノシシの駆除に取り組む。約10年前から、使い慣れている「足取りわな」を山林など計15カ所に設置し、昨年は7頭を捕獲した。3年間で計30頭以上を駆除し、食害をほぼ沈静化させたという。
(鳥獣害防止など研究成果を発表:佐賀)
神埼清明高の生徒たちによる研究成果発表会が4日、神埼市中央公民館で開かれた。全校生徒や地域住民ら約500人を前に、1年生から3年生までの生徒約70人が、鳥獣害の防止策や職業選択などこの1年間に研究した内容を発表した。校内で行った予選を勝ち抜いた16組が発表した。同校の畑も被害に遭っているカラスの害を防ごうと考えた3年生のペアは、市役所を通じて区長40人にアンケートを取って対策を練り、釣り糸で囲む方法が最も安価で効果的との結果を導き出した。職種や学歴による生涯年金の差異を調べた、3年生の2人は「特に1、2年生に伝えたい」とし、「勉強を頑張ると、将来職種の選択肢が増え、高収入を得るチャンスが生まれる」と訴えた。来場した姉川区長の宮地忍さん(67)は「みんな一生懸命だった。ここまで仕上げるのは大変だったろうと思う」と感心していた。
(盛岡城跡の桜にカラスの模型設置:岩手)
盛岡城跡公園の管理を行うNPO法人緑の相談室(盛岡市内丸)は、野鳥のウソによる食害から桜の花芽を守るために、今年からカラスの模型の設置を行っている。同公園にはソメイヨシノを中心にエドヒガンやサトザクラなど約200本の桜の木があり、春には花見の名所として多くの市民や観光客が訪れる。一方で、冬になると野鳥のウソが飛来し、桜の花芽が食べられてしまう状況にある。ウソはソメイヨシノを好んで食べるため公園内の桜の多くが食害に合い、特に2013年と2015年は多くの花芽が食べられ、花の数が少なくなった。こうした状況から、桜の花を守るために同法人ではウソ対策を進めてきた。今年は以前から行っている反射テープによる鳥よけに加え、カラスの模型を初めて設置。模型による対策は他県の桜の名所でも取り入れられている方法で、効果があることから導入を決めた。公園内8カ所に模型をつるし、本物のカラスが飛んでいるように見えるように工夫を凝らした。併せて同法人では1日に4回公園内の見回りを実施し、ウソの姿があった場合は爆竹を用いた対策を行っている。同公園内では今年1月下旬からウソによる食害が確認されている。今のところ被害は少ないが7本ほどの木に食べられた形跡があり、同法人の担当者らは警戒を強めている。担当者は「春を楽しみに待っている人がたくさんいる。皆さんをがっかりさせないためにも、今の時期からの対策が大切。すでに被害があり心配だが、どうやら今年飛来した群れの数は少ないようだ。今後もしっかり見守っていく」と意気込む。
(ジビエ直売所オープン:愛知)
獣害対策で捕獲したシカやイノシシの食肉加工施設「ジビエの森」(設楽町津具)に四日、直売所がオープンした。開店と同時に訪れたのは、設楽町田口で旅館を営む中野圭吾さん(45)。「これまでは事前に予約しなければ購入できなかった。便利になり助かります」と話し、シシ鍋などに用いるイノシシ肉を購入した。ジビエの森は、地元の農林業者らが二〇一五年四月に開設。レストランなどに食肉を供給してきたが、販路拡大に向けて小売りも始めた。販売品目は食肉と加工品のハム、ベーコン、川魚、シカの皮、地元特産のトマトジュースなど。水、土、日曜の週三日、午前十時から午後四時まで営業する。三月末までの限定営業だが、売れ行きが良ければ延長も検討するという。
(ジビエ料理を給食に:和歌山)
県内で捕獲、処理された野生鳥獣肉「わかやまジビエ」への理解促進や、学校給食での活用推進を目指し、県や県教育委員会主催の「学校における食育推進研修会」が2日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれ、食育に関する講演の他、ジビエ料理の試食会が初めて行われた。食育の推進と充実を図る学校教育関係者対象の研修で、県内の栄養教諭や学校栄養職員ら約80人が参加した。研修会では、文部科学省健康教育・食育課の横嶋剛食育調査官が「学校における食育の推進について」のテーマで講演し、学習指導要領の改訂に伴う食育推進の動きについて紹介。多様な暮らしに対応した食育や健康寿命の延伸、食文化の継承などを重点課題とする「第3次食育推進基本計画」を解説し、学校給食における地場産物活用の目標値について、平成32年度に30%以上を掲げていることなどを話した。食に関する指導の充実については、給食を活用した食育の取り組みにふれ、給食の時間には配膳や準備を通じて食事マナーを、献立から産地や栄養について指導することを提案。栄養教諭の授業への関わり方、食育教材の活用事例も紹介し「人や学習内容をつなげる計画的食育を推進していきたい」と述べた。ジビエ料理試食会では、同ホテルの佐藤喜久一郎総料理長が考案した、シカ肉のハヤシライスやチンジャオロース、イノシシ肉とコンニャクの土手煮、ジビエソーセージのかき揚げなど8品のメニューが並んだ。宮下和己県教育長は「和歌山の歴史という側面からもジビエを盛り上げ、県全体で利用する活動を進めていければ」とあいさつした。参加者はそれぞれ興味のある料理から取り分け、ジビエの献立メニューを味わいながらアンケートに記入した。参加した栄養士(24)は「どれもおいしかったが、調理の手順が複雑なものもあり、給食として実現するには難しい料理もあった」と話していた。
(「イズシカめんち」PR:静岡)
静岡県立大(静岡市駿河区)の食品栄養科学部フードマネジメント研究室が、鹿肉を使ったメニューの開発に力を入れている。シカによる農産物の食害問題を広く知ってもらうとともに、鹿肉の有効利用につなげる狙い。新たな商品として2月、伊豆産の鹿肉の入ったメンチカツ「イズシカめんち」を静岡市清水区の飲食店で発売した。「イズシカめんち」は、伊豆産の鹿肉「イズシカ」を100%使用、地元で採れたワサビやシイタケを加え、さっぱりと食べられる。しょうゆベースとソースベースの2種類のたれを用意し、それぞれ伊豆産のワサビの茎を添えて風味を出している。同研究室と共同で開発に携わった静岡市清水区の飲食店「ごはん屋さくら」(伊藤忠雅店主)で販売している。新たな鹿肉のメニューは「気軽に食べられる」「比較的安価に手に入る切り落とし肉を使って調理できる」という点からメンチカツに決まった。伊藤店主は「他の肉や脂は使わず、イズシカだけで作りたかった。試行錯誤した結果、炒めたタマネギを混ぜることで水分を補い、獣臭さを抑えることに成功した」と語る。「イズシカめんち」を考案した同研究室の市川陽子准教授は、2011年から県が進める鹿肉の有効利用に関する調査チームに加わり、研究に取り組んできた。鹿肉の肉まんを開発し、同大の文化祭で販売したほか、シカの捕獲方法で肉の特性がどう変わるかに関する研究成果を日本調理科学会で発表したりしている。市川准教授は「シカの食害問題を広く知ってもらうため、イズシカめんちを文化祭や各地のイベントでも販売したい」と意気込む。
(ジビエの観光資源化なるか:奈良)
増えすぎた野生のシカやイノシシを捕獲し、食肉加工して「ならジビエ」としてブランド化する取り組みが県内で始まった。ジビエ(野生鳥獣の肉)を地域の特産品としてPRする動きは全国的に広がっているが、奈良には「シカを食べることへの抵抗感が強い」という特有の事情もあるという。新たな観光資源として県内外に売り込めるか、注目されている。背景にあるのは、全国で問題となっている野生鳥獣による農産物被害だ。農林水産省の調査では、県内の平成26年度の農産物被害は約2億500万円。ここ10年近く、2億円前後で推移している。県は捕獲頭数を増やすなどの対策を進めており、27年に捕獲したニホンジカは8495頭で過去最高を記録。イノシシも6613頭で過去2番目の多さだった。これまで、捕獲した害獣は焼却処分などしていた。だが、「ジビエとして有効活用できれば地域振興にもつながる」と、県は28年度から県内で捕獲したニホンジカとイノシシの肉を「ならジビエ」としてブランド化する事業を開始。ならジビエを提供する飲食店の登録制度も始まり、2月1日現在、フレンチレストランや旅館など県内15店が登録している。1月にはシカとイノシシをあしらったならジビエのマーク=イラスト=も完成。登録店などに表示することで、浸透を図りたい考えだ。山が多い奈良だが、意外にもジビエはこれまで一般的ではなかったという。県担当者は「山間部の人は食べるが、県内にはジビエ用の食肉加工施設が少なくて、ほとんど市場に出回ることはなかった」と話す。また、県が昨年県内でジビエ料理を提供する複数の飲食店に行った聞き取り調査では、「(奈良公園のある)奈良市内では、鹿肉への抵抗感が強い」といった奈良ならではの消極的な回答もあった。県の担当者は「将来的には肉質によってランク付けするなど価値を高め、『山の幸』として推していきたい」というが、活路をどこに見いだすか。ならジビエ登録店のフレンチレストラン「Lami Denfance ala maison(ラミ ダンファンス アラ メゾン)」(五條市)では、鹿肉のローストやイノシシ肉の自家製スモークハムなど、さまざまなジビエのメニューをそろえる。地域振興に協力しようと、27年に同市が開設したジビエ専門の食肉処理加工施設「ジビエール五條」から肉を仕入れ、提供している。ただ、オーナーシェフの片山英樹さん(55)は、「ジビエは野生なのでクセが強い。それが好きな人もいるが、誰でも食べたい食材ではないのが悩ましいところ」。ヘルシーさや珍しさがうけ、東京や大阪ではジビエ専門店ができるほどの人気だが、地元の人には「駆除した害獣」のイメージが強く、あまり人気がないという。片山さんは「地元でたくさん消費するのは難しい」と指摘する。だが、五條市は柿農家が多いことから、野生のイノシシやシカは高カロリーの柿を食べているため、実は脂がのっておいしいのだという。片山さんは、「奈良特有のジビエの魅力をブランドとして都会の消費者に売り込む。県外への発信こそ消費拡大の道だと思う」と話した。
(「房総ジビエフェア2017冬」:千葉)
最近、野生鳥獣の肉「ジビエ」が注目を集めているが、千葉県は、県内で捕れたイノシシやシカなどの新鮮な肉料理を味わえる「房総ジビエフェア2017冬」を2月26日(日)まで開催している。千葉県では野生動物による農作物被害が深刻化しており、県内で捕れた野生動物の肉を新たな食ブランド「房総ジビエ」として有効活用するのがねらい。千葉県農林水産部の発表によると、期間中は千葉県内で45店舗、東京都内で5店舗の計50の店で、それぞれオリジナルのシカとイノシシの肉料理が味わえる。参加店は、フレンチ、イタリアンをはじめ、和食、中華など幅広いジャンルとなっており、「房総ジビエ」の新たな美味しさを発見できる絶好の機会だ。各店のメニューを見ると、「イノシシ肉とクルミのパイ包み」「イノシシ肉の赤ワイン煮込み」「イノシシ肉ミートソースの手打ちパスタ」「シカモモ肉の煮込みソースのパスタ」「ヘルシーなシカ肉の煮込み」「イノシシ肉の時雨煮」などが並ぶ。フェア期間中、参加店に設置したアンケートに答えると抽選で千葉県産品が当たるプレゼント企画も行なっている。50店舗の名前と場所など詳しいことは千葉県農林水産部のウェブサイトでわかる。
(シカのジビエ料理で最優秀:和歌山)
和歌山県田辺市上芳養出身でフランス料理店シェフの更井亮介さん(27)が、第1回ジビエ料理コンテスト(国産ジビエ流通規格検討協議会主催)のシカ部門で最優秀賞に選ばれた。
(ジビエ料理競うコンクール開催:福岡)
野生のイノシシとシカの肉を使ったジビエ料理のコンクールが4日、福岡市の食文化スタジオであった。捕獲した有害鳥獣の活用を広げようと県などが初めて開催。書類審査を通過した6人(一般部門3人、学生部門3人)が自分のレシピを料理して腕を競った。県内で捕れた肉を使い、1時間以内に調理。ホテルの料理長など審査員5人が味や独創性、普及性を採点した。一般部門1位は小郡市の中願寺歩さん(39)の「イノシシ肉のケフタ」。香辛料を生かしたミートボールを煮込んだ料理で、中願寺さんは「家庭でも作りやすい料理を意識した」と話した。学生部門1位は福岡キャリナリー製菓調理専門学校の吉田茂樹さん(31)が作ったシカ肉のハンバーグとローストだった。イノシシやシカの肉は近年、大手スーパーや道の駅など販売場所が増えている。県はレシピ集を作成し、周知する予定。また、4日から県内の飲食店61店でジビエ料理を提供する「ふくおかジビエフェア」も始まった。3月5日まで。

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(射撃場整備計画、中間まとめ承認:山梨)
整備計画が凍結されている県立射撃場について、関係者や外部の有識者らで検討する委員会が31日、県庁で開かれた。「現時点で、県が施設整備する必要性まで判断するのは難しい」として、代替方策や民間射撃場の活用の可能性を含めて県に検討を求める中間とりまとめを承認した。当初、同委が射撃場整備の方向性を年度内にまとめる予定だった。しかし、中間取りまとめを受けて県が検討作業に入るため、来年度にずれ込む見通しとなった。31日の同委では、ライフルやクレー射撃の競技団体側からは改めて県に整備を求める声が上がった。森一博委員長(山梨大大学院准教授)は終了後、取材に対して「施設整備の是非の判断には至らなかった。県による検討を踏まえ委員会で改めて議論したい」と述べた。
(二階氏が模擬銃構えPR:東京)
自民党の二階俊博幹事長は31日、野生動物の狩猟やジビエ(野生鳥獣肉)料理の普及を図る党本部でのイベントに出席した。中山間地域の振興が目的。二階氏は展示された模擬銃を手に取って、記者団や関係者に向けるなど、刺激的なPRを繰り広げた。イベントには菅義偉官房長官や公明党の井上義久幹事長らも参加。二階氏は、周囲から「永田町にもいろんな人がいる」と声が掛けられると、模擬銃を手に取っておどけた。菅氏は「鳥獣をうまく活用し農家の所得を増やすことが重要だ。全国に運動を進めたい」とあいさつした。
(「解体車」の可能性探る:愛知)
田畑などを荒らすシカやイノシシの駆除、活用が各地で課題となるなか、捕らえた獣をその場で解体し、新鮮な野生動物肉「ジビエ」にできる「ジビエ解体車」が注目されている。実証実験に同行すると、ジビエの流通量をもっと増やせる可能性がみえてきた。長野県境にある愛知県設楽(したら)町。零下10度近くに冷え込んだ1月下旬の朝、解体処理施設「奥三河高原ジビエの森」のスタッフ鈴木秀夫さん(65)のスマホが鳴った。「シカがかかった」。猟師からだ。鈴木さんはジビエ解体車のハンドルを握り、約40キロ離れた同県豊川市へ。標高約800メートルの山のふもとで地元猟師の大竹清次さん(84)と合流し、獲物がかかったわなに向かう。雑木林で、立派な角が生えたオスジカが人の気配を察して暴れ回った。右前脚にくくりわなが巻き付いている。棒で頭をたたき、倒れたシカの胸を鈴木さんが素早くナイフで刺した。シカをそばの解体車まで運び、ウィンチで持ち上げると重さ52キロ。荷台の解体室につるし、鈴木さんが中に入って扉を閉める。内臓を取り出して、皮をはぐ。約20分後、シカは枝肉に様変わりし、保冷室へ移された。「冷蔵できるので、今まで無理だった遠くの地域からでも傷めずに運べるようになった。命あるものなので大事にしないと」ジビエの森は2015年4月からシカとイノシシを解体処理し、ジビエとして販売している。処理は食品衛生法に基づく許可施設で行う必要がある。鮮度を考えて生きた状態で猟師から買い取り、すぐに設楽町の施設に戻って解体してきた。季節によるが車で1時間ほどの範囲で捕れたものだけが対象で、16年4~12月で214頭を処理した。今回、解体車で一部の処理ができる許可を取り、1時間30分離れた現場からも運べるようになった。解体車はNPO法人「日本ジビエ振興協議会」(埼玉県)などが昨年、1台1800万円かけて開発。使い勝手や衛生面を調べるため長野、鳥取、福岡、宮崎で実証実験をしてきた。2トントラックがベースで荷台で解体処理できる。動物をつるして洗える解体室と衛生管理のための中間室、保冷室を備える。現在は1台だけだが17年度から販売も検討されている。ジビエの森の事業設計担当、村松敏仁さん(43)は「地元で解体車を購入し、正式に導入したい。処理頭数が増えれば、販売価格を下げられる」と話す。鳥獣関係統計によると、狩猟や農作物の被害防止などの目的で行政の許可のもと行われる有害鳥獣捕獲などで13年度はシカ約50万頭、イノシシ約45万頭が捕獲された。野生鳥獣による農作物被害は年間約200億円。森林の下草が食べ尽くされるなどの生態系への影響も深刻だ。一方、味わい深く、最近人気のジビエを扱う飲食店は近年急増している。シカ肉のハンバーガーなどを提供するチェーン店も出てきたが、農林水産省によると、捕獲されたシカのうちジビエとして流通したのは1割程度とみられる。原因は流通面だ。野生動物肉を販売するために解体する体制が整った食肉処理施設は農水省の調べで全国に183カ所。だが、捕獲場所の近くに処理施設がない地域や、獣がうまく集まらず年間数十頭しか処理できていない施設がある。処理施設の稼働率が悪いと単価が上がり、販売先を見つけにくい。販路を十分に確保できず、処理したジビエが余る施設も。チェーン店などから安定発注があれば稼働率を上げられるが大量発注に応える肉を常に確保できるとも限らない。現状を踏まえ、日本ジビエ振興協議会はジビエの新しい「規格」を検討している。規格に合う肉を複数の施設が提供できる体制をつくれば、飲食店側が一つの施設に頼らずに仕入れやすくなる。農水省鳥獣対策室の担当者は「ジビエの流通量が増えることで価格が下がる。扱う飲食店を増やすことも含め、両面から支援していきたい」という。
(シカ生息状況調査、「ドローン」で追え:島根)
県猟友会などは先月24~27日、邑南町瑞穂地区でシカの生息状況を調査するため、赤外線カメラを搭載した小型無人機「ドローン」を活用した実証調査をした。大雪の影響でシカの姿を確認できなかったが、ウサギやタヌキなどの小動物が映像で判別できたという。今後、瑞穂地区を重点的に調べてシカの習性や生息数を割り出し、結果を踏まえて別の場所でも調査を広げる。
(アライグマ、容姿と裏腹に「極悪」:福井)
民家の屋根裏にすみかを作る害獣、アライグマの生息域が、福井市内で拡大している。数年前までは主に市西部で捕獲されていたが、近年は民家に住み着くなどの被害が市内全域で発生。市は捕獲従事者を養成するなど駆除を進めているが、繁殖力の強さに追い付いていないのが現状で「餌とすみかを与えないで」と市民に呼び掛けている。5日には本年度の従事者養成講習を開く。アライグマは北米原産で雑食性。生態系に悪影響を及ぼすため、国が特定外来生物に指定し、駆除を呼び掛けている。同市では1995年に初確認。県猟友会高志支部に駆除を委託している。市が地区ごとの捕獲数の統計を取り始めた2012年度には、国見、鷹巣など市西部が多かったが、15年度には東部まで拡大。昨年度は最多の104匹で、09年度の46匹と比べ倍増。本年度も最多ペースとなっている。市有害鳥獣対策室の担当者は、拡大の要因として餌となる生ごみ、柿の実や農作物の放置を挙げる。本来ならば餌の少ない冬に一定数が自然淘汰(とうた)されるが、「秋に冬を越える体力を蓄えてしまう」(同対策室)。本年度に松本地区で捕獲された個体は、民家の庭に放置されたペットフードを食べに来ていた。本来木の上にすむアライグマにとって「民家の屋根裏は格好のすみか」。農作物被害より、民家にすみ着く住宅環境被害が多く全体の8割以上を占める。ふんや尿で板が腐り、天井が抜ける被害も出ている。近年増えている空き家がすみかとなり、拡大に拍車を掛けている可能性も高いという。同対策室は「軒下などの侵入経路をふさいで」と呼び掛けている。市は個体数減を目指し09年から、市民対象に捕獲専門の従事者養成講習を毎年開催。これまでに310人が受講、43人が従事者として登録し捕獲に当たっている。本年度の講習は5日午後1時から、市園芸センターで開く。同対策室の担当者は「市内にアライグマが出没することをまだ知らない市民も多い。あらためて周知を図っていきたい」と話している。
(イノシシ出没:佐賀)
佐賀県警鳥栖署によると、31日午後3時40分ごろ、佐賀県上峰町坊所の井手口交差点付近に、イノシシ1頭(体長約1.5メートル)が出没しているとの情報があった。同署は「不用意に近づかないで」と呼びかけている。
(ハンター夫婦、宍粟に移住:兵庫)
狩猟好きが高じて兵庫県明石市から宍粟市山崎町に移住した夫婦が、仕留めたシカの肉を直売するビジネスを始めて1年が過ぎた。まだまだ家計は大変だが、販路は徐々に拡大。小学1年の子どもを育てながら、狩猟ざんまいの充実した新生活を楽しんでいる。2015年12月に同町須賀沢に転居した安田太さん(45)、優子さん(46)夫婦。明石では太さんがトラック運転手、優子さんは公務員として働いていた。2人とも仕事に区切りをつけ、新天地でハンター専業の生活を始めた。
(「シカ料理」列車、来月運行:静岡)
伊豆箱根鉄道は3月10、17日の2日間、地酒と伊豆市で捕獲したシカの料理などを楽しむ特別電車「イズシカトレイン」を駿豆線で運行する。農林業で食害を及ぼすシカを地域振興に生かす試み。今月6日に予約を始める。伊豆半島では野生のシカによる特産のワサビ、山菜類などの食害が深刻な状態にある。捕獲増につなげるため、同市では地元関係者が加工肉「イズシカ」の普及を目指す。同社は、この取り組みを支援するため、2011年から毎年、特別電車を運行している。料理はローストと竜田揚げ、生ハムのほか、特産の天城軍鶏の塩焼きとアマゴ料理など。同市にある伊豆半島唯一の酒蔵・万大醸造の日本酒などを用意する。三島駅発は午後6時半。約2時間40分で修善寺駅間を往復する。参加費は3980円。定員は各日90人で予約制。同鉄道は「車内ではイズシカをテーマにしたクイズ大会も行う。シカ肉は鉄分が豊富で、低脂肪、高たんぱくで女性客の注目度が高い。伊豆の食を堪能してもらいたい」としている。
(ジビエ料理でスタンプラリー:岡山)
イノシシやシカのジビエ(狩猟肉)を扱う飲食店や精肉販売店などを巡るスタンプラリー(岡山県備前県民局など主催)が、岡山、倉敷、赤磐市、吉備中央町の店舗で行われている。2月28日まで。和食やフレンチ、居酒屋などの飲食22店(一部はすでに終了)と、精肉や加工品の販売12店が参加。このうちの2店を利用して応募すると、イノシシの皮革製品や備前地域の特産品セット、協賛店の食事券が、抽選で計24人に当たる。2月18、19日にJAびほく・かよう青空市(吉備中央町吉川)で開かれるシシ肉祭りも対象になっている。参加店を紹介した応募はがき付きのリーフレットを、県備前県民局管内の市役所や町役場などで配布。県のホームページからも入手できる。スタンプラリーは、ジビエの消費拡大を図ることで有害獣であるイノシシやシカの駆除を促進し、農作物被害を軽減しようと毎年冬に行っている。今回で4回目。
(「ふくおかジビエフェア」、飲食61店が参加:福岡)
福岡の飲食店で2月4日から、「ふくおかジビエフェア」が開催される。イノシシやシカを食肉として活用し、地域の特産品として広く知ってもらおうと福岡県が2013年2月に設立した「ふくおかジビエ研究会」が主催する同イベント。フランス料理店「エパヌイ」(福岡市中央区大名1)、和食店「高砂まるや」(高砂2)、フランス料理店「ビストロ&ワインUEYAMA」(今泉2)など福岡県内の飲食61店舗が参加。各店舗が考案したジビエ料理を期間限定で提供する。
(ジビエ、食通もうなる:大分)
日田市ジビエ推進協議会(江崎五郎会長)が主催するジビエ料理の試食会が27日、三隈川に浮かべた屋形船であり、和食やフランス・イタリアなどの凝った料理が、旅館・ホテル、飲食店関係者らの舌をうならせた。
(命をいただく:北海道)
豊頃町大津にあるエレゾ社のラボ(工房)内。圧倒的な「力」がその場所にはあった。なぜなら「命をいただく」ということが、そのラボの中で体現されていたから。ラボには今朝撃ったばかりのエゾシカが運ばれる。運ばれるとすぐに、つるし、皮をはぎ、内臓を取り出し、解体されて、肉になる。肉は熟成され、出荷を待つ。出荷できない部位は、丹念に切り取られ、加工品の原材料になる。社長の佐々木章太さんは言う。「われわれは食物連鎖の長。だから、敬意を持って肉をいただく。一片たりとも無駄にしたくないんです」冷えたラボの中で、ほんの数時間前まで野山を駆け回っていただろうシカからは、もうもうと湯気が出ていた。佐々木さんの言葉を頭の中で反すうしてみると、不思議と「かわいそう」という感情は出てこなかった。後ろ足の大きな塊がまな板の上に運ばれる。手際よく入れられる包丁は、肉を「切る」というよりも「はがす」という表現がしっくりきた。そして、見覚えのある鮮やかな赤色の塊に変身を遂げた。一連の工程を見て肉になったそれは、「美しい」とさえ思える存在感を放っていた。エゾシカは大地を走り、野山の大自然を餌とする。究極のオーガニック食材ともいえる。それもあってか、最近は「ジビエ」として都心でブームになりつつある。「命をいただく」ことは、その他のどんな家畜でも同じ。食物連鎖の長であること。感謝していただきたい。
(恵方巻き、イノシシ肉はいかが?:千葉)
管理栄養士で「千葉伝統郷土料理研究会」会員の上田悦子さん(66)=市原市在住=が同市の調理師会から依頼され、イノシシ肉を使った恵方巻きを考案した。「イノシシ肉に対する先入観を払拭(ふっしょく)してもらい、多くの人に食べてもらえるよう普及を続けていきたい」と話している。
(スーパー、ジビエ販売開始:大分)
2月1日より、イオン九州(株)とマックスバリュ九州(株)で、大分県内で捕獲されたイノシシ肉のジビエ(天然の食肉)が販売開始となる。取り扱い店舗は大分県内の「イオン」、「マックスバリュ」の7店舗。大分県内では年間で約3万頭のイノシシが捕獲されているが、ほとんどが有害鳥獣として廃棄処分されている。両社は、このイノシシを食用として活用することで、地域の特産品・観光資源に発展させ、地域の活性化につなげたい考え。また、イノシシなどの有害鳥獣の捕獲促進による農林業被害の軽減にも期待を寄せる。イノシシ肉は高タンパク、低脂肪、低カロリーに加え、ビタミンやコラーゲンも豊富であるなどの特長がある。
(シカ油せっけん販売へ:京都)
西山酒造場(兵庫県丹波市市島町中竹田)がシカ油入りの洗顔せっけんを作った。自然素材の安心感が売りで、4、5日に同酒造場で開催する搾りたての日本酒直売会場で販売する。全国から来場客がある直売会向けに丹波らしいものとして企画。同市柏原町柏原のシカ肉料理専門店「無鹿」の協力で、同酒造場で作っている米油の洗顔せっけんに、シカの油、発酵させた米ぬかや酒かすを配合した。馬油入りせっけんをヒントに、開発した崔懿(さいい)さんは「保湿感もあり、有機無農薬の安心感が特徴です」と話している。1個千円。販売は40個。

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