<射撃ニュース4月>

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(山菜取り中クマに襲われケガ:宮城)
25日午前11時過ぎ大和町宮床の笹倉山の山中で泉区の73歳の男性が一人で山菜取り中クマに襲われた。肩、腕、手の3ケ所をかまれた鎌で追い払い自力で下山。クマは体長1・5メートルほどで子グマ2頭を連れていたという。今年度クマによる人身被害は初。
(男性クマに襲われる:岩手)
25日午前、山田町の山林で60歳の男性がクマに襲われ大けがをしました。命に別状はありません。25日午前11時頃、山田町山田の山林で一人で草刈り作業をしていた無職の外舘哲さん60歳がクマに襲われました。外舘さんは近くの作業小屋にいた人に助けを求め病院に運ばれましたが、顔と左手に大けがをしました。意識ははっきりしていて、命に別状はないということです。これから山菜採りなどのシーズンを迎えるため警察は山に入る際は鈴を付けることなど注意を呼び掛けています。
(クマに襲われ70代女性重傷、猟友会が射殺:岐阜)
25日午後7時50分ごろ、岐阜県高山市石浦町で、「人がクマに襲われた」と110番があった。県警高山署によると、同町に住む無職女性(73)が自宅玄関前で頭や首をかまれて重傷を負ったほか、女性の次女(47)と近くに住む会社員男性(40)が尻や左脚などをかまれて軽傷。クマは同9時ごろ、地元猟友会の会員が射殺した。同署によると、クマは同市石浦町6のコープぎふ飛騨支所付近の路上でジョギング中の男性を襲った後、北東に約160メートル離れた民家の玄関先で母娘の2人を襲った。クマは民家の脱衣場に閉じ込められ、射殺された。クマはツキノワグマのメスの成獣。体長約1メートル10、体重120キロ。同市はクマ出没を受け、市役所内に対策本部を設置。消防無線で「なるべく外出を控えてください」などと周辺住民に周知した。射殺されたクマ以外にも子グマの目撃情報があるといい、同署が警戒を続けている。現場は市役所から南約3.5キロの住宅や田んぼが混在する地域。近くのガソリンスタンドの店員は「うちのすぐ裏。救急車やパトカーが集まり、騒然とした雰囲気になった」と話した。同県内では2014年11月、高山市で農家の男性が自宅近くのリンゴ畑でクマに襲われて死亡した。16年6月には、飛騨市宮川町洞の池ケ原湿原で男性が襲われ、顔や右肩、胸などを爪でひっかかれて切り傷を負った。
(保護者や住民ら、登下校見守り:岐阜)
高山市石浦町で二十五日夜、ツキノワグマが人を襲い、三人が重軽傷を負ったことを受けて、市や高山署は二十六日も対応に追われた。子グマ一頭がいたとの目撃情報があり、市民に注意を呼び掛けたほか、住民らは児童の見守りを強化。署員のパトロールも続けられた。クマは二十五日午後八時ごろ、同市石浦町五、六の路上や民家に出没し、多数の警察官や猟友会員などが駆けつけた。民家内でクマが殺処分され、運ばれた午後十時ごろまで、周辺は騒然とした雰囲気に包まれた。地元の山王小学校では同日夜、事件を知らせるメールを保護者に送信。二十六日は通学路に保護者や住民、教職員らが立ち、児童の登下校を見守った。この日朝、現場付近では背中に「スクールサポーター」と書かれたオレンジや赤色のジャンパーを着た保護者、教職員らに付き添われ、児童が集団で登校した。二十六、二十七日は児童を集団下校させるほか、児童が身に付けるクマよけの鈴もPTAと協力して準備しているという。毎日、登校を見守っている近所の主婦甲(かぶと)文枝さん(59)は「住宅地でクマが出たことに驚いた。子どもたちが被害に遭わないように、しっかり活動したい」と話していた。高山署は当面の間、児童生徒の登下校時にパトロールし、地元の猟友会も警戒を強めるという。
(クマと乗用車が衝突、運転の男性「反対車線まではじかれた」:北海道)
北海道の比布町で24日夜、男性の運転する乗用車がクマと衝突し、大きく破損する事故がありました。窓ガラスが割れ側面がへこんだ軽自動車。そしてボンネットの近くにはクマの毛が挟まっています。「黒い塊が見えたのでよく見るとクマだった」(車を運転していた鷲見博之さん)24日午後6時ごろ、旭川の会社員・鷲見博之さんが比布町の塩狩峠を走行中、道路わきから飛び出してきた体長2メートルほどのクマと衝突しました。「ぶつかった衝撃で方向変わってそのままずっと、反対車線まではじかれた」(車を運転していた鷲見博之さん)鷲見さんは「これまでに現場付近でシカは見たことはあったが、クマを目撃したのは初めて」と話していました。
(シカ侵入防止用ネット盗難相次ぐ:大分)
佐伯市内では今月になって、2か所でシカの侵入を防止するネットが盗まれているのが見つかったほか、去年から今月にかけ、同様の被害が4件相次いでいます。盗まれたネットはあわせて700m以上被害額はおよそ70万円にのぼり、警察が捜査しています。
(イノシシ駆除、初日不発:沖縄)
宮古島市は26日、有害鳥獣駆除を実施した。城辺長間~浦底地区の北海岸を中心にイノシシの猟銃駆除に当たったが、終日の風雨で視界が悪く、初日は不発に終わった。ただ、イノシシとみられる個体を複数頭目視しており、一帯に生息していることを確認した。猟銃駆除は27日も行う。午前7時から駆除作業を始めた。市の職員25人と県猟友会石垣、竹富両地区のメンバー15人の計40人態勢で取り掛かった。現場に着くと、駆除指定区域に狩猟犬を放った。イノシシを追い詰めて猟銃で仕留める作戦だ。ほどなくして狩猟犬が追い回している様子を確認したが、雨風の影響で視界や音が遮られ、猟友会会員が撃つ散弾が命中することはなかった。ただ、狩猟犬がイノシシ1頭をかみ殺したという情報はある。初日は駆除することができなかったが、子連れの個体を含めて複数頭を目視しており、イノシシとみられる個体が生息していることは確認することができた。市農政課の松原直樹課長は「結果はゼロ。雨の影響で視界が遮られたほか、風が強く、逃げるイノシシの位置を音で確認することが困難だった」と初日を振り返った。その上で「子連れの個体が歩いているのを目視している。猟友会の話ではかなりの頭数がいることも否定できない」とした。27日の駆除は「天候が気になるが、きょうと同じように万全な態勢で駆除に当たりたい」と引き締めた。27日も長間~浦底の北海岸一帯で駆除を行う。市は指定区域周辺の住民に対し注意を呼び掛けている。猟銃駆除は前年度から実施している。昨年6月に駆除した検体はDNA鑑定の結果、イノシシであることが判明。市は、繁殖している可能性もあるとみて危機感を強めている。
(イノシシ排除戦略策定へ、避難区域12市町村:福島)
東京電力福島第一原発事故により避難区域が設定された県内12市町村で深刻化しているイノシシ被害の対策として、有識者でつくる県の専門家チームは平成29年度内にイノシシ排除広域緊急戦略を策定する。26日、三春町の県環境創造センター交流棟(コミュタン福島)で開かれた第2回鳥獣被害対策会議で県が示した。専門家チームは溝口俊夫県野生動物調査専門官と羽澄俊裕鳥獣対策専門官、小寺祐二宇都宮大准教授の3人で構成する。南相馬市と浪江町で行うイノシシ駆除の実証実験のデータをはじめ、12市町村の被害状況などを踏まえて排除技術や人材育成の手法を盛り込む。さらに、12市町村の担当者らはイノシシの生態や被害対策について月1回程度研修し、来年1月までに市町村ごとの駆除の実施計画を策定する。会議には国や県、12市町村などから約90人が出席。小寺准教授がイノシシ被害の現状などを説明した。
(子グマ、住宅街間近に:滋賀)
高島市今津町弘川の宮の森公園隣の阿志都弥(あしづみ)神社前などで26日、子グマの目撃が相次いだ。約100メートル北と東は住宅街で、市は広報車を出して注意を呼びかけ、県の許可を得て捕獲オリを大供地区に設置した。
(「クマ」目撃、体長1.5メートル:福島)
23日午後2時ごろ、福島市土湯温泉町の林道でクマ1頭を目撃したと、40代の男性から福島署に通報があった。同署によると、クマは体長約1.5メートル。男性が乗用車で通行中に林道を横切ったクマを目撃したという。同署は現場周辺を警戒、住民に注意を呼び掛けている。
(ツキノワグマ出没、県が注意呼びかけ:岩手)
県内で、冬眠から覚めたツキノワグマの目撃情報が寄せられ始めている。25日には、山田町の山林で除草作業をしていた男性がクマに襲われ、鼻の骨を折るなど大けがをする被害も出た。山菜採りなどで山に入る機会も増えることから、県は被害防止に向け、注意を呼びかけている。県自然保護課によると、2016年度の県内のクマ出没件数は3070件に上り、現在の調査方法になった12年度以降では最多。うち人的被害は17件19人に上った。
(農業被害急増、「頭数抑制」管理計画を策定:新潟)
全国各地でニホンジカによる農林業被害が相次ぐ中、県内でもシカ被害が出始めている。他県に比べればまだ被害は少ないが、県は「被害が深刻化する前に対策を打つ必要がある」として先月、頭数抑制に向けた管理計画を初めて策定。5月には有識者らによる検討会を開き、捕獲について具体的な方策を練る方針だ。ニホンジカは1980年以降、全国的に生息数が増加。県内では明治期以降ほとんど確認されなかったが、温暖化による少雪や、長野県や福島県での生息の過密化の影響で県境の山脈を越えて流入し、90年ごろから増え始めたとみられている。
(ニホンジカの被害を防止、白神山地でわな設置:青森)
青森、秋田両県にまたがる世界自然遺産・白神山地が将来、ニホンジカに荒らされるのを防ぐため、林野庁は25日、周辺地域にわなを設置した。近年、目撃情報が増加。放置すれば遺産内にある貴重なブナの原生林を食い荒らされる恐れがあり、わなが捕獲手段として有効かどうか確かめる。わなは高さ1.3メートル、幅0.8メートル、奥行き1.8メートルのおりで、遺産地域から北西約12キロの青森県深浦町と、西約7キロの秋田県八峰町の国有林に1台ずつ設置した。周辺には、シカを誘い込む餌をまいた。昨年も設置したが、捕獲はできなかった。今年はセンサーを導入し、おりに入った動物の大きさや熱に反応して出入り口が閉まるようにした。捕獲に成功すれば胃の内容物や遺伝子型などを調べ、生態の解明を進める。林野庁の津軽白神森林生態系保全センターの寺田治男所長は「シカは餌が少なくなる秋以降、活発に動き回る。わなの有効性を確かめたい」と話した。環境省によると、ニホンジカは白神山地周辺に生息していなかったが近年は目撃が増え、2016年度は前年度比1.6倍の44件に上った。
(山菜採り中クマに注意:富山)
今月20日、高岡市でクマによる人身被害が出たことを受けて、県が緊急の対策会議を開きました。県は、4月と5月の人身被害の8割以上が山菜採り中に発生しているとして、山を訪れるときの対策の徹底を呼びかけました。ツキノワグマ緊急対策会議には、県の自然保護課の職員や各市町村の関係者などおよそ60人が出席しました。県によりますと、去年は、クマの目撃情報や痕跡に関する情報が前の年のおよそ2倍となる300件にのぼったということです。これは、クマのえさとなるブナやミズナラが不作で、クマがえさを求めて人里まで足を伸ばしたためとみられます。今年に入ってからは、県内で25日までに11件クマが目撃されていて、このうち、高岡市福岡町五位では、今月20日、山菜採りをしていた男性が帰宅途中に体長およそ1・6メートルのツキノワグマ1頭に襲われました。男性はクマに襲われた際に、自身の顔を手で守ろうとして、左手の指の骨を折る大ケガをしました。県によりますと、2004年以降の4月と5月でクマによる人身被害は9件発生していて、このうち8件が山菜採り中の被害でした。これからの時期は山菜採りなどで山を訪れる機会が増えることから、専門家は注意を呼びかけています。県は、山菜取りなどで山を訪れる際には県のホームページに掲載している、クマの目撃や痕跡情報などをまとめた「クマップ」を活用するよう呼びかけています。
(1500戸が停電、カラスの巣が電線に接触:新潟)
26日午後4時半前、新潟市江南区松山、大渕、蔵岡などで計1482戸が停電し、約1時間後までに全て復旧した。カラスの巣が高圧線に接触したことが原因。
(カラスの営巣活発化:北海道)
苫小牧市内では今年も4月に入り、樹木や電柱へのカラスの営巣が相次いでいる。繁殖期を迎えたカラスは攻撃的になるため、市は「巣やひなにむやみに近づかないで」と注意を喚起している。市環境生活課には、1日から26日までに街路樹や住宅の敷地内での営巣に関し、19件(前年同期比11件減)の相談が寄せられている。人間が巣やひなに近づくと、威嚇するように鳴く、そばをかすめるように飛ぶ、くちばしで電線をたたく、小枝を落とすなどの威嚇行動を取るためだ。巣を撤去された親ガラスは警戒心を強め、翌年さらに攻撃的になる場合もあり、同課は「庭木の枝を剪定(せんてい)するなど、巣作りをされにくい環境づくりも必要」と説く。一方、電柱への営巣も多発しており、北海道電力苫小牧支店によると、今月は26日時点で152件(同20件増)の巣を撤去。営巣はごみ捨て場の近くで目立つという。市街地での営巣は、巣材に針金ハンガーなど金属が交じる材料を用いる場合が多く、同支店は「配電設備と接触して停電が発生する場合もあるので、見つけたら連絡してほしい」と呼び掛けている。
(カラス営巣で漏電恐れ:北海道)
カラスの巣作りが本格的になる時期を前に、北海道電力が警戒を強めている。電柱に作るカラスの巣が電線に触れることで、漏電につながる恐れがあるため。同社帯広支店では「カラスの巣らしきものを見つけた際はすぐに連絡を」と呼び掛けている。カラスの巣作りは3月半ばごろから始まり、ゴールデンウイーク前後にピークを迎える。餌がある場所を選ぶため、ごみステーション付近の電柱に多く営巣する特徴がある。巣の材料として木の枝のほか、ハンガーや針金などの金属類も使うため、こうした金属が電線に触れることで漏電し、停電につながる恐れがある。昨年の十勝管内は営巣が原因で停電したケースはなかったものの、全道では約10件の停電が発生した。同支店では工事会社の協力も得て毎年50~60カ所の巣を撤去しており、撤去後には風車や針山状に延びた器具などを電柱上部に取り付けて営巣防止を図っている。約20年前から対策を始め、これまで管内の電柱約18万2000本のうち約1000カ所に防止器具を設置。実際は対策を施した電柱に営巣するカラスもいるものの、早めの対策で営巣を防ぐことができるという。同支店では今年に入り、市内を中心に約10件の巣を撤去した。同支店配電グループの野村洋一副長は「停電防止のためにも、カラスの巣を見つけた際は遠慮なく連絡をしてほしい」と話している。
(鳥獣被害対策の防護柵は地球1周半)
総設置距離は5万9000キロ、地球1周半――農作物の鳥獣被害対策の防護柵は全国にそれだけある。2015年度の設置状況を農水省がまとめた。シカやイノシシなどによる農作物の被害が深刻化し、政府も対策に力を入れている。そうした助成も一定の効果を挙げているようで、15年度の農作物被害総額は176億円と、1999年の調査開始以降で最低に。「助成も含め、鳥獣対策は毎年、当初予算で95億円、補正で10億~30億円が安定的に配分されています」(農水省鳥獣対策室)鳥獣対策に悩める地方自治体も予算をつけている。鳥獣被害は簡単に解決する問題ではない。この先50年、100年続く可能性もある。「言い換えれば、確実なニーズがあるということです。政府や自治体の補助金もあり、手堅いマーケットといえる。たとえば防護柵は『日亜鋼業』『前田工繊』が2強。漁網大手の『日東製網』は漁網の技術を応用し、軽量化した鳥獣防止ネットを製品化。猟銃メーカーでは『ミロク』が挙げられます。対策グッズを販売する『DCM』『コーナン商事』などのホームセンター株にも要注目でしょう」(大手証券会社関係者)「古野電気」のGPSを利用した狩猟発信機ドッグナビ。犬の首輪に着けると位置と周囲の音が確認できる。狩猟に大活躍だ。「ALSOK」は警備で培ったノウハウを生かし「鳥獣わな監視装置」を販売している。獲物が捕獲されると設置者にメールで連絡が来る仕組みになっている。忘れちゃいけないのが最近人気の“ジビエ”。「JR東日本」の子会社、バーガーチェーンのベッカーズでは、捕獲した野生の鹿肉バーガーを期間限定で販売しているが、毎年好評だ。今のところジビエビジネスが大手へ広がる動きは見られないが、今後、処理施設などの環境が整えば、ジビエ関連銘柄が増える可能性もある。「鳥獣対策関連をメーン事業とする上場会社は限定的ですが、安定した事業を抱えていると評価していいでしょう。また、各社、研究開発にも力を入れているはず。対策に効果的な新製品が出るタイミングは、狙い時かもしれません」(前出の大手証券会社関係者)いろいろな可能性を秘めた市場だ。

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(クレー協会、初の外国人コーチ招聘へ)
日本クレー射撃協会は24日の理事会で、初の外国人コーチとして元アイルランド五輪代表コーチのケビン・キルティ氏とアゼルバイジャンのエミン・ジャファロフ氏を非常勤で招聘すると報告した。年4、5回の指導を予定しており、6月20~23日に神奈川県伊勢原市で行われる合宿が最初となる。2020年東京五輪の射撃競技の運営責任者となるスポーツマネジャーとして、国際射撃連盟で審査委員長を務めるピーター・アンダーヒル氏が就く方向であることも報告した。同氏は12年ロンドン五輪でスポーツマネジャーを担当した。
(クマの人身被害受けてパトロール:富山)
20日午後0時45分ごろ山菜採りをしていた高岡市五十里東町(いかりひがしまち)の無職、北野義雄(きたの・よしお)さん(69)がクマに襲われ、左手指の骨を折るなど大けがをしました。現場周辺では21日朝、高岡市の職員と有害鳥獣駆除隊員によってパトロールが行われました。クマは今も捕獲されておらず、隊員らは近くの住民に外出を控えるよう呼びかけていました。警察によりますとクマは体長およそ1,6メートルの成獣とみられ、今月17日には現場から5キロ圏内でクマの目撃情報があったということです。また、今回の人身被害を受けて県はツキノワグマ出没警報を出し、今月25日に緊急対策会議を開く予定です。
(猟友会員を非常勤公務員に:兵庫)
兵庫県篠山市は、市猟友会の会員69人を、非常勤特別職の公務員である鳥獣被害対策実施隊員に任命した。同隊の制度は本年度から導入され、任期は1年間で更新制。同会の松本崇三郎(そうさぶろう)会長ら役員がこのほど市役所を訪れ、酒井隆明市長から任命書を受け取った。任命は1日付。これまでシカやイノシシなど農作物に被害を与える動物について、市は民間団体である同会と委託契約を結び駆除を任せていた。公務員として活動してもらうことで、継続的な被害防止を担保できることになる。また、被害が起こった際、農家、行政、猟友会が情報を素早く共有できるため、効率的な活動につながる。
(狩猟免許等新規取得補助:兵庫)
神戸市では、農作物や生活環境に被害を及ぼすイノシシ等の有害鳥獣の捕獲を、兵庫県猟友会の市内各支部に所属する有害鳥獣捕獲班員に依頼して実施しています。減少・高齢化が進む有害鳥獣捕獲班員を増やすための緊急対策として、新たに狩猟免許を取得した後、捕獲班のある猟友会支部に加入して市の「有害鳥獣捕獲実践研修」に参加すること等を条件に、市が狩猟免許等新規取得に係る費用を補助します。
(鳥獣被害対策隊、隊員は市職員74人:埼玉)
飯能市は18日、市職員74人でつくる鳥獣被害対策隊を結成した。同市ではイノシシやシカ、アライグマなどが農産物を食い荒らすなどの被害が増加し、2015年度の被害額は1775アールで4435万円。被害報告は13年度の155件から、16年度は454件に増えた。これまで猟友会に捕獲を依頼し、16年度は562頭を捕まえた。農家の防除施設設置に対し費用の半額(上限3万円)の補助も実施している。だが、被害が減らないことから職員を対象に公募して隊を結成することにした。74人中、狩猟免許所持者は5人。免許がない人は免許を持つ職員を補助し、希望者には免許を取得してもらう。被害の情報収集や電気柵設置といった防除策の支援などにもあたる。
(猟友会員減少に対策を:秋田)
昨年5月から6月にかけて、クマに襲われ男女4人が死亡した秋田県で19日、県や市町村の有害鳥獣対策などの担当者ら約60人が出席して被害防止連絡会議が開かれた。捕獲や駆除を担う猟友会員が減少しており、対策が必要との認識で一致した。県生活環境部の高橋能成次長は「これからクマの活動が活発になる。関係機関一体となって被害防止策を進めたい」とあいさつ。県や一部自治体の担当者から「高齢化に伴って猟友会員が減っている」との声が相次ぎ、会員増へ向けて対策を強化する必要性が指摘された。会議終了後、県自然保護課の高松武彦課長は「クマの活動範囲が年々広がっている。猟友会への助成などを通じて狩猟の魅力を伝える場をつくり、会員の確保を進めたい」と前向きな姿勢を示した。会議では、クマの目撃情報を示した地図をホームページに掲載している県の取り組みや、目撃情報があった場所に注意喚起する看板を立てる県警の活動なども報告された。
(カメラ導入、精度向上:秋田)
東北6県で昨年度、ツキノワグマの出没が7000件を超え、市街地でも目撃事例が目立った。秋田県内では鹿角市で山菜採りの男女4人が相次いでクマに襲われ、死亡する事故が起きた。出没件数の増加や事故の背景には、臆病とされるツキノワグマが人を恐れない「新世代グマ」に変容しつつあると指摘する専門家もいる。クマを巡る環境や社会の変化を探るとともに、被害防止に向けた県内の取り組みを紹介する。パソコンの画面に、前脚を広げて立ち上がるツキノワグマの姿がくっきりと映し出された。秋田県が本年度、クマの個体数推定調査のために山林に設置する自動撮影の「カメラトラップ」のセンサーカメラが捉えた映像だ。カメラトラップは、県内では県立大生物資源科学部の星崎和彦准教授(46)=森林生態学=が2014年から研究を進めている。餌の入ったペットボトルを木の間に渡したロープからつり下げ、クマが近づいた瞬間、クマによって模様の形と大きさが異なる胸部の月の輪紋を撮影。月の輪紋によって個体を識別し、付近の生息数をコンピューターで計算して推定する。県は本年度、県内の森林約80カ所にカメラを設置し、3年かけて全県を調査する計画だ。県がクマの個体数推定調査を始めたのは1984年。県内を3キロ四方の網の目で区切った1415区画のうち、クマが生息すると考えられる180区画を県猟友会の協力を得て足跡などを目視で調べ、生息数を推定してきた。昨年4月の県内の推定生息数は1015頭。県が「種の保存に適切」とする1000頭とほぼ同数だった。ところが、有害駆除などによる捕獲頭数は昨年、過去最多の476頭に上り、「推定生息数の1割まで」と定めた県の捕獲上限を大幅に上回った。県猟友会の会員からは「生息数はもっと多いはずだ」と調査方法の有効性を疑問視する声が上がっていた。県の野生鳥獣保護管理対策検討委員も務める星崎准教授はカメラトラップによる調査を「見落としがある目視調査よりも、実態に近い生息数が推定できるはずだ」と話す。由利連合猟友会会長の農業松田美博さん(76)=由利本荘市=は「生息数が正確に把握できれば、春先にクマを事前に捕獲するなどの被害軽減策が取れる」と歓迎する。個体数推定調査にカメラトラップなどの新手法を導入する点で、秋田は研究者不足などを理由に東北の中でも遅れていた。岩手県は2009年にDNA鑑定を、福島県は12年にカメラトラップをそれぞれ導入。両県とも、昨年4月で3000頭近く生息していると推定された。人とクマが共存するために、より正確な個体数調査は欠かせない。岩手、福島両県では、どちらも従来の推定調査よりも実態に近い数を把握できるようになったとされる。秋田でも、カメラトラップ導入は、その第一歩となるはずだ。
(追い払いロボに期待:秋田)
最長7メートルになるステンレス製の腕を伸縮させ、ガシャガシャと音を立てて4本の脚で移動する。動きも音も派手なロボットは、秋田県立大システム科学技術学部の斎藤敬准教授(47)=医療工学=が、クマなど鳥獣被害の軽減を目指して開発に取り組む「動物型ロボットかかし」だ。実用化後は1人乗りの電動シニアカー程度の大きさを想定し、集落や農地周辺、里山を無人で巡回する。その行動は、マタギがクマを銃で威嚇して追い返す「追い払い」に近い。斎藤准教授は「予測不能な音と動きが野生鳥獣には効果的なはずだ」と自信を見せる。屋根の雪下ろし用ロボットなどを手掛けてきた斎藤准教授は昨年、クマによる被害の多発を受け、「自分の技術を生かしたい」とロボットかかしの開発を始めた。地元企業の協力を得て、本年度中の試作機の完成を目指す。クマによる被害防止にロボットを活用しようという取り組みの背景には、有害鳥獣捕獲を担っている狩猟者の減少がある。県内の狩猟免許取得者はグラフの通り。2015年は1986人と、8800人以上いた1974年の4分の1以下にまで落ち込んだ。うち約7割は60歳以上と、高齢化も進む。「狩猟は人のテリトリーを主張する行為。その機会が減れば、クマは人を恐れなくなり、『新世代グマ』になる」。クマの生態に詳しいあきた森づくり活動サポートセンターの菅原徳蔵さん(65)は、人と鳥獣の境界が曖昧になり、クマが里山近くにまで生息地を広げている現状を指摘する。減り続ける狩猟者数に、関係団体も手をこまねいているわけではない。県と県猟友会は若い世代に狩猟の魅力を伝えるフォーラムを開催し、県内の一部自治体は免許取得費を助成する制度を設けているが、課題の解消には至っていないのが実情だ。クマの出没が相次いだ昨年、県内の狩猟者からは「出動要請があっても人手がない」と悲鳴にも似た声が上がった。ロボットかかしの実用化には、農作物の被害に悩む農家などから、畑に近づくクマが減るとの期待が寄せられている。一方で、狩猟関係者の中には、実際に効果があるかどうか懐疑的な見方もある。全国最速で少子高齢化が進む秋田では今後、狩猟免許取得者が飛躍的に増えることは考えにくい。「安全に人とクマのすみ分けを図る」(斎藤准教授)ために、狩猟者とロボットかかしが役割を分担する。そんな光景が見られる日は、そう遠くないかもしれない。
(「奈良のシカ」捕獲へ:奈良)
奈良市内で国の天然記念物「奈良のシカ」による農作物被害などが相次いでいるとして、奈良県は21日、シカの捕獲計画を初めて文化庁に申請した。天然記念物の捕獲を禁じた文化財保護法の例外とする「現状変更」の手続きで、6月にも認められる見通し。奈良市東部の山間部で7~11月、数十頭を狩猟するという。奈良公園(奈良市)一帯に生息するシカは古くから春日大社の「神鹿しんろく」として大切にされ、1957年に天然記念物に指定。当時の奈良市一円が保護エリアとなった。だが近年、市東部を中心に稲や野菜、タケノコなどの食害が相次ぎ、農家から対策を求める声が上がっていた。県は昨年3月、4段階の保護・管理エリアを設定。奈良公園から離れた地域のシカは保護対象外とし、頭数管理の計画策定を進めていた。
(クマ警戒を、年々早まる出没時期:岩手)
ツキノワグマが冬眠から覚め、活動を始めた。県内のクマは、餌となるブナの実が2015年度に豊作だったため数が増えているとみられる。一転して凶作だった16年度は極端な餌不足となり、クマが人里に多く出没した。今年も凶作となる恐れがあるほか、里山の減少などの影響もあり、関係者は引き続き山菜採りなどで入山する際の注意を呼びかけている。17日は花巻市内の農協施設で関係者ら約25人が出席して市ツキノワグマ対策連絡会議を開き、出没時の連絡態勢などを確認。花巻猟友会の藤沼弘文会長が「家畜の餌は屋内にしまい、クマが潜みやすい水路脇の刈り払いなどを徹底すれば、クマが下りてくることが減る」と呼びかけた。県ツキノワグマ保護管理検討委の由井正敏委員長(東北鳥類研究所所長)によると、県内はブナの実が豊作だった13、15年度に雌の栄養状態が良くなって出産が増え、クマが増えているとみられる。クマは春ごろに出産し、約1年半で親離れすることから、出産が増えた16年春生まれのクマは7月ごろに親離れする。県によると、16年度の県内のクマの出没件数は3056件(2月末時点)に上り、比較可能な12年度以降で最多。人身被害は17件19人で、うち9件が7月までの被害だった。出没時期は年々早くなっている。
(クマ相次ぎ出没:北海道)
23日午前8時50分ごろ、網走市北浜の濤沸湖畔にある濤沸湖水鳥・湿地センター付近で野鳥観察をしていた男性が、約1・5キロ先の対岸にクマ1頭がいるのを望遠鏡で見つけた。男性の連絡を受けた同センター職員が網走署に届け出た。同署と網走市によると、クマが出没したのは市実豊の湖南西側にある湿地帯。目撃した男性によると、クマは湖岸を東に向かって歩いていた。市職員が付近を探したところ長さ12センチ、幅12センチの足跡が見つかり、その大きさからクマは2~3歳とみられるという。21日にも付近でクマが目撃されており、市などは両日とも同じ個体とみている。
(カラスいたずら、阪急電車に遅れ:大阪)
19日朝、阪急淡路駅(大阪市東淀川区)の京都線の架線に、ハンガーが引っかかっているのを電車の車掌が見つけた。車掌は「カラスがハンガーを引っかけた」と説明。京都線の上下258本が遅れ(一部区間運休)、約10万3000人に影響が出た。
(森林整備しクマ出没抑制:秋田)
東北6県で昨年度、ツキノワグマの出没が7000件を超え、市街地でも目撃事例が目立った。秋田県内では鹿角市で山菜採りの男女4人が相次いでクマに襲われ、死亡する事故が起きた。出没件数の増加や事故の背景には、臆病とされるツキノワグマが人を恐れない「新世代グマ」に変容しつつあると指摘する専門家もいる。クマを巡る環境や社会の変化を探るとともに、被害防止に向けた県内の取り組みを紹介する。能代市二ツ井町荷上場の森林の一角。森の手前側は木の密度が低く、奥に比べると明るさが感じられる。昨年11月、二ツ井地区製材協同組合(秋田県藤里町)が手を入れたためだ。暗闇を好むツキノワグマが生息しにくい環境にしようと、やぶ化した木や、実がクマの好物となるミズナラなどの広葉樹を伐採。代わりにスギの苗木を植えるなどして、約1.21ヘクタールの森を整えた。整備に当たっては、秋田県の「森づくり県民提案事業」を活用した。森の整備を企画した同組合事務局で丸上木材(藤里町)の武田英文社長(72)は「林業に携わる者として、できることを考えた」と狙いを話す。県内では、人口減少や林業従事者の減少などに伴い、人が森に入る機会が減った。休耕地も拡大し、里山近くではやぶ化している。県内の耕作放棄地面積はグラフのように増加しており、1990年の1775ヘクタールから、2015年には9530ヘクタールと、5倍以上になった。日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦理事長(69)は「中山間地の荒廃によって『里山の奥山化』が進んだ」と指摘。クマの生息域が広がったことで「集落近くまでクマが近づきやすくなった」とみる。人を恐れないとされる「新世代グマ」が増えつつあるとされる中、クマが里山に出没するのを抑制するには、森と集落の間に「緩衝帯」を整備し、クマと人間のすみ分けを図ることが急務になっている。新潟県南魚沼市などは自治体を挙げて緩衝帯整備に取り組み、農作物などの被害抑制に効果を発揮している。秋田でも昨年、県が秋田市雄和椿川の県立中央公園周辺で雑木を伐採して緩衝帯を整備した。ただ、「(県有地以外では)森林所有者の了承が得られない場合が多い」(県森林整備課の担当者)と、面積を広げるには限界がある。そのため、県は地域住民らが主体となって森林を整備してもらおうと、森づくり県民提案事業の活用を推進する。本年度は、新たに能代市檜山での「母体共有林野管理組合」の事業も採択した。林業を通して森林や里山の変化を見てきた丸上木材の武田社長は「クマによる被害の増加は、森林の手入れを怠ってきた人間側の問題でもある」と語る。少子高齢化と過疎化が進む中、放置された森をどう整備していけばいいのか。クマとの共生は、地域集落をいかに維持していくかという問題でもある。
(ニホンジカ急増、富士川以西も管理捕獲:静岡)
静岡県は2017年度、狩猟規制を緩和するなど、静岡県内で急増するニホンジカ対策を強化する。農林業や自然植生への被害防止、生態系のバランス維持を目的として個体数管理を担う「第二種特定鳥獣管理計画」(17~21年度)に基づき、伊豆、富士地域で実施していた管理捕獲を富士川以西地域にも広げるほか、11月からの狩猟期間延長や雄ジカの捕獲頭数制限解除などを行う。管理計画では、21年度の伊豆、富士地域の目標生息頭数は各5千頭。個人が登録して行う狩猟、被害軽減を目的に市町の許可を得て実施する有害捕獲、県の委託を受けた事業者が管理計画に基づき行う管理捕獲で、個体数を調整する。17年度の管理捕獲の目標は伊豆地域は5500頭、富士地域は3千頭。これに加えて、天竜や安倍川上流など、富士川以西の密度が高い地域でも200頭を目標に実施する。県はこれまで農林業被害が大きい伊豆、富士地域のみ管理捕獲を実施してきたが、近年、富士川以西でもニホンジカの増加が確認されていた。16年度は猟銃が11月15日~2月15日、わな猟が11月1日~2月末だった狩猟期間については、11月1日~3月15日に延長する。狩猟者1人当たり雄ジカは1日1頭という捕獲制限もなくす。直径12センチを超えるくくりわなの使用禁止についても、期間などの条件を付けて解除する。15年度の推定生息頭数は、伊豆地域で3万2千頭、富士地域で2万4千頭。県は伊豆で04年度、富士で12年度から管理計画に基づく個体数調整を行ってきたが、顕著な減少傾向は見られなかった。県自然保護課は、すでに無制限になっている雌ジカの管理捕獲を優先しつつ、雄も駆除。生息密度の観察や狩猟者育成など総合的な対策を実施する。県によると、15年度の県内の野生鳥獣被害額は4億8962万円。シカによる被害は2億138万円で、前年度より約6千万円増加している。
(今年最初のクマ対策会議:富山)
富山市がツキノワグマの出没傾向や対策について話し合う会議を開きました。狩猟にくわしい関係者は、「今年は奥山に雪が多く残っており、クマがえさを求めて雪のない山あいまで降りてくる可能性がある」として、注意を呼びかけています。この会議は、山菜採りやハイキングなどで山を訪れる機会が増えるのを前に、富山市が毎年この時期に開いているものです。24日は、県の自然保護課や猟友会、警察などおよそ30人が出席し、県自然保護課の担当者が去年1年間のクマの出没状況について報告しました。それによりますと、去年のクマの目撃・痕跡件数は前の年のおよそ2倍となる300件でした。人身被害も3件ありました。これは、クマのえさとなるブナやミズナラが不作で、クマがえさを求めて人里へと足を伸ばしたためとみられます。また、今年に入って県内では、24日までに11件クマが目撃されています。今月20日、高岡市福岡町では、山あいで山菜取りをしていた男性がクマに襲われ、指の骨を折るなど大ケガをしました。今後のクマの出没見通しは、どうなのでしょうか。狩猟経験が豊富なベテランハンターで構成される富山市の鳥獣被害対策実施隊は、この冬の積雪が多く、奥山の雪どけが遅れていることを懸念しています。「山には去年よりも雪がかなり残っている。山の下のほうにいけば雪はとけていて、クマのえさとなるクサツキがあって、クマが下りてこないか心配」(鳥獣被害対策実施隊八尾支部・平井部長)クマは『わらび』や『ぜんまい』などの山菜も食べることから、これらのえさを求めて山あいまで下りてくる可能性があるということです。
(昨年度、ツキノワグマ出没増える:福井)
二〇一六年度に県内でツキノワグマの出没が確認されたのは三百四十八件で、過去五年間では一四年度(六百五十三件)に次いで多かった。県が二十一日、県庁で開いたツキノワグマ出没対策連絡会で明らかにした。県自然環境課によると、一六年度は前年度より六十八件多かった。月別では十月(六十七件)が最も多く、六月(六十一件)、七月(五十件)と続いた。人身被害は二件二人で前年度から倍増した。これまでの統計によると、人身被害は三~八月には山菜採りで山に入った際、九~十二月はクマが住宅地などに下りてきた際に多く発生しているという。連絡会には県や市町、県猟友会などの関係者が出席。県の担当者は、冬眠から覚めたクマは食べ物を求めて活発に行動すると説明し、山に入る際には「鈴やラジオなどで大きな音を出す」「子グマを見たら、近くに母グマがいるのでそっと立ち去る」などの注意事項を周知するよう求めた。
(JR東日本、シカよけ排障器を試験導入:岩手)
JR東日本盛岡支社はこのほど、シカよけの排障器を設置した車両を試験的に導入した。主に釜石線や東北本線で運用されている。発表によると、キハ100系気動車1両に排障器を設置。シカなどが接触した場合も車両の床下に巻き込みにくい形状にした。これにより運転再開が早くなるという。盛岡支社エリアのJR各線では、ニホンジカ・カモシカと列車の接触が多数発生している。2007年度は87件だったが、2014年度には359件に増加。2016年度は263件だった。とくに釜石線での接触が多く、2016年度は全体の約6割(162件)を占めていた。
(シカにGPS付け行動記録:奈良)
国天然記念物「奈良のシカ」を交通事故から守ろうと、奈良県はGPS(全地球測位システム)機器による行動調査を始めた。GPSを装着した雌3頭の動きを1年間記録し、交通量の多い車道を横断しているかなどを確認して事故防止策の検討など保護施策に役立てる。保護団体「奈良の鹿愛護会」の頭数調査(昨年7月)によると、奈良公園周辺に鹿は1455頭生息。交通事故は年間131件(一昨年7月~昨年7月)発生し、81頭が死んだ。一方で農作物被害も深刻で、奈良県は奈良公園から同心円状に「重点保護地区」「準重点保護地区」「保護管理地区」「管理地区」に分け、エリアごとに保護と頭数管理を使い分けている。今回は観光客に親しまれている奈良公園(重点保護地区)の鹿の行動を調査。雌の成獣3頭の首に重さ500グラムのGPSを装着した。雌を選んだのは雄に比べて比較的行動範囲が狭く、行動パターンを把握しやすいためで、今後は雄の調査も検討する。結果は2018年度にも策定する保護管理計画に反映させる。奈良県奈良公園室は「季節ごとの鹿の行動を細かく記録し、事故の未然防止に役立てたい」と話している。
(26年ぶり、子熊を人工飼育:長野)
須坂市動物園が、生後3カ月ほどのツキノワグマ2頭の飼育を始めた。1月に老衰で死んだツキノワグマの「花子」が、1991年に園にやって来たとき以来、26年ぶりの子熊の人工飼育となる。県によると、2頭は今春、鹿などの有害鳥獣駆除で上田市内の山に入った猟友会員らが目の前に飛び出してきた母熊をやむなく射殺、巣穴にいたところを保護されたという。担当飼育員の羽生田実さん(56)によると、当初は2頭とも衰弱していたが、今は体重が3倍近い約3キロに増え、すくすく育っている。市動物園では、2015年に推定27歳で死んだ「大助」、この1月に推定25歳で死んだ花子とも、羽生田さんが飼育を担当した。今回は雄を「ケン」、雌を「メリー」と命名。羽生田さんは「大助や花子と同じように、ケンとメリーも動物園の人気者になってほしい」と願っている。今後は2頭とも、天気が良い日に展示スペースに出して飼育する予定という。
(国有林の伐採6割増、ドローンでシカ対策)
四国森林管理局は21日、2017年度の国有林の伐採面積(間伐を除く主伐部分)を四国全体で約560ヘクタールと前年度比6割増やす事業概要を発表した。ドローン(小型無人機)を新たに20機導入してシカ対策に生かしたり、360度カメラで撮影した映像を立木販売に使ったりするなど、新技術の導入を進める。木材の供給では、入札による立木販売で前年度比36%増の21万9千立方メートル、製品(丸太)販売で同3%増の17万6千立方メートルを計画する。製材工場などとの協定に基づいて販売する製品は、前年度比1割増の12万3千立方メートルを予定している。全販売量の7割を占める。林業の低コスト化に向けて、木材搬出を効率的にできる列状間伐を増やし、植栽が容易なコンテナ苗の導入率を約7割に高める。主伐から植え付けまでの作業の一括発注も進め、将来はコストを現状より2~3割削減する目標を掲げた。成長が早く強度が高いヒノキ科の早生樹・コウヨウザンの試験伐採や育成研究に取り組む。徳島県の剣山周辺で、四国で絶滅が危惧されるツキノワグマの生息調査をNPOなどと連携して実施する。
(イノシシの目撃情報:長野)
23日午後0時半ごろ、長野市吉田の路上で通りかかった男性から「イノシシを目撃した」と警察に通報があった。体長約30センチの子どものイノシシとみられ、警察が探したが午後6時半現在見つかっていない。けが人の報告はない。長野市吉田では17日にも子どものイノシシの目撃情報があり、20日には刃物のようなものを持った不審者が目撃されていて、住民たちが警戒を強めている。
(イノシシに警戒:長野)
長野市吉田の住宅地で17日に体長約30センチのイノシシ1頭が目撃され、付近の小学校では職員などが警戒に当たった。警察によると、新たな目撃やけが人の情報は入っていないという。
(ニホンザル、外来種との交雑対策:千葉)
房総丘陵に生息する在来種のニホンザルを保全しようと、県は第4次管理5カ年計画(2017~21年度)で、外来種のアカゲザルとの交雑種対策に乗り出す。05年からアカゲザルの捕獲に着手しているが、交雑種への対応を本格化させる。ニホンザルの群れの中に、交雑種がどれくらいいるかを把握した上で、具体策を考える。鴨川市や南房総市の北部から市原市南部までの房総丘陵では、ニホンザルが三十~五十頭ごとの群れで行動しているとされ、〇五年時点で四千百頭いた。頭数管理を目的に、毎年九百~千頭ほど捕獲されているが、増え続けている可能性がある。アカゲザルは、東南アジアなどに生息。体長がニホンザルと同じくらいの五〇~六〇センチほどで、赤黄色っぽく、長い尻尾が特長。一九七〇年以降にニホンザルの生息域から十キロ以上離れた南側の南房総市や館山市で見つかった。観光施設の閉鎖に伴って施設を逃げ出し、野生化したとみられ、二〇〇八年に五百~六百頭が確認されている。両種のサルとも、オスは別の群れに入り込む習性があり、県内で交雑種は一九九〇年代に発見された。二〇〇八~一一年に捕獲した個体の遺伝子分析では、二千三百六十二頭のうち三十八頭が交雑種と判明。全体の1・6%だった。今年二月には富津市の高宕山(たかごやま)自然動物園で、飼育されていたニホンザル百六十四頭のうち、三分の一の五十七頭が交雑種であることが分かり、殺処分された。県は、交雑種が増えて生態系に悪影響を与えることから、交雑種の対策を、ニホンザルの適正な管理や、農作物の被害対策とともに進める。まず市町村と協力して、農家へのアンケートやサルが出没した日時や場所を記録したカレンダーを二年かけて作製。ニホンザルの群れの行動域や農作物の被害状況から、守るべき保全群、部分的な調整を図る調整群、排除する必要がある排除群などを定める。同時に、捕獲した個体の遺伝子分析や目視による調査を通じて交雑種がどのくらいいるかを把握する。それらを基に、環境審議会の鳥獣部会ニホンザル小委員会で検討するなどして、防護柵の設置や里から山への追い払い、捕獲といった対策を考える。ただ、ニホンザルの群れの中にいる交雑種をどう捕獲するかや、交雑割合が高まっている場合など、対策が難しい面もある。
(電線トラブル防止へ、カラスの巣を撤去:長野)
カラスの巣による電線のトラブルを防ぐため須坂市で24日、巣の撤去作業が行われた。作業が行われたのは須坂市の幹線道路沿いだ。高さ14メートル、ビルの4階部分に相当するところにカラスの巣があり、中部電力の作業員が高所作業車を使って取り除いていた。カラスは3月から6月にかけて繁殖のため巣作りの季節を迎える。今年、電柱に作られた鳥の巣が原因の停電は中部電力管内で6件発生している。カラスの巣の撤去作業は6月末まで続く予定。
(ジビエ活用へ補助制度:岡山)
ジビエ(狩猟肉)の活用応援します―。岡山県は県内で捕獲したイノシシ、シカを有効活用するため、加工品の開発や販路開拓に取り組む事業者などへの補助制度を設けた。5月17日まで助成先を募集している。補助対象は県内の市町村や食肉処理業者、農林業団体などで、1件当たり最大70万円。イノシシ・シカの肉や皮を使った新料理や加工品の開発、ジビエ試食会の企画などを想定している。本年度一般会計当初予算に関連費140万円を計上しており、数件程度を選ぶ予定。両動物の県内捕獲数は増加傾向にあり、2015年度はイノシシが約2万頭、シカは約1万4千頭。これらによる農作物被害額は計1億8887万円(15年)に上り、ジビエの有効活用を後押しすることで駆除促進や新商品開発につなげる。県鳥獣害対策室は「ジビエの魅力を多くの人に知ってもらえるような、斬新なアイデアを寄せてほしい」としている。
(「ジビエ」省庁会議で報告:兵庫)
鹿肉のペットフードを製造販売している「EGサイクル」(丹波市山南町南中)の前川進吉社長が4月27日、首相官邸で開かれる野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大を協議する関係省庁の対策会議に出席する。初回の5日に続いて2回目。今回は5分間、発言する場があり、前川社長は「初回は鹿肉が高価だという意見が多く出たので、その原因と解決策を提示したい」と話している。菅義偉官房長官を議長、山本有二農相を副議長とする「ジビエ利用拡大に関する関係省庁連絡会議」。環境省、厚労省も出席する官邸主導の会議を数回開き、2018年度予算案に反映する方針。前川さんは食用に回さない部位をペットフードに活用することで鹿肉の有効活用率を上げながら、ペットにとって栄養価が高く安全安心なフードを開発し続けている取り組み内容を報告する。また、課題として、狩猟期間外の有害駆除期間に原材料の供給が不安定であることを挙げ、「移動式解体処理車」の有効性を話すとともに、捕獲鳥獣残さの産業廃棄物処理経費の軽減や、イノシシに加え、シカも飼料に活用できるようにすることなどを提案するという。
(シバザクラの名所がシカの食害で維持断念:京都)
京都府福知山市長尾の国道176号沿いでシバザクラを育てる住民グループ「花の郷長尾」(小高数眞代表)は、長年続けてきた維持、管理を今年でやめる決断をした。近年、シカによる食害で花の付きが悪くなったうえ、メンバーの高齢化で世話が出来にくくなったためで、小高代表(70)らは「わたしたちの力ではどうしても管理できなくなりました。本当に残念です」と肩を落とす。地区の玄関口を花で美しくしようと、01年に集落に向かう南側入り口付近の平地と斜面の約1・7㌃にシバザクラを植栽したのが始まり。その後エリアを広げ、1万株ほどに増やしてきた。毎年4月中ごろに開花。「福知山花の十景」にも選ばれ、市内外から多くの人たちが見に訪れて、シバザクラの名所となっていた。シカの食害は以前からあったが、ひどくなったのは昨年から。植栽地の周りに電気柵などを設けているものの、今年は冬の豪雪の影響で柵が壊れ、3月ごろにシカが侵入し、新芽を食べ荒らした。斜面の植栽地は、シカが上り下りして株が掘り起こされ、土がむき出しになっている所もある。またグループのメンバーの高齢化が進み、草刈りや苗栽培、植栽などの維持・管理作業が難しくなってきた。このためグループ内で話し合い、今年で管理をやめることを決めた。美しい景観を保つことが出来なくなるため、福知山市などに、花の十景からはずしてもらうよう要請した。新しく管理してもらえる団体などがあれば、続けてほしいと願っているが、グループでは、平地の部分だけでも自分たちで細々と植栽などをしていくことが出来ないか模索している。小高代表は「観光バスが立ち寄ったこともあり、これまでたくさんの人たちに見に来ていただきましたので、管理を終えるのは残念でなりません。どなたか続けてやろうという方がおられるとありがたいです」と話している。
(米寿でクレー射撃、狙うは「生涯現役」:石川)
津幡町加賀爪の会社役員武田杉雄さん(88)が今年、クレー射撃競技を始めて60年の節目を迎えた。県クレー射撃協会に所属し、国体出場経験もある県内最高齢選手の武田さんは、23日の県大会でも正確な射撃で子や孫ほど年が離れた選手と渡り合う実力を披露。26歳で左目の視力を失いながらも競技に打ち込み、今も毎週加賀市内に通って練習を欠かさない米寿は「生涯現役や」と意気込んだ。武田さんは、津幡町内で鉄工所に勤めていた20代の頃、散弾銃でカモやキジの狩猟を始めた。26歳の時、仕事中に金属破片が左目に当たって視力を失ったが、それによって射撃の技術向上への情熱が湧き上がり、28歳の時に猟師仲間とクレー射撃のトラップ競技を始めた。クレー射撃は、散弾銃で空中を飛ぶ円盤形の標的(クレー)を撃ち落とす競技で、武田さんは、100枚中95枚の標的を撃ち落とすほどの腕前に上達。38歳だった1966(昭和41)年の第21回国体(大分国体)に県代表として出場した。65年の岐阜国体などでも県代表に選ばれたが、仕事の都合で辞退した。武田さんは、かつて七尾市や羽咋市にあった射撃場で練習を重ねてきた。年齢を重ねても、集中力を高めて引き金を引き、標的を撃ち落とす爽快感を求めて競技のめり込んだ。2003年12月に加賀市分校町の加賀散弾銃射撃場が県内唯一の射撃場となっても、片道約60キロを自分で運転して毎週通い、後輩と2~3時間の練習を続けている。23日に同射撃場で行われた日本クレー射撃協会第1次石川公式大会では、35人が2部門で熱戦を繰り広げた。トラップ競技Cクラスに出場し、標的100枚中47枚を撃ち落として15位だった武田さんは「標的を落とすと気持ちいい。真剣に取り組むだけ成績が良くなる競技なので、もっと練習したい」と笑顔を見せた。
(島のイノシシ生息調査:愛媛)
イノシシが島にどうやって渡り、爆発的に増えたのかを調べた愛媛大大学院、武山絵美准教授(43)の論文が農村計画学会のベストペーパー(論文)賞に選ばれた。学会の今年度春期大会で受賞した武山さんは「イノシシは知ることが大切。これからも地域の皆さんと対策を共有したい」と話す。受賞論文は「瀬戸内海における海を越えたイノシシの生息拡大プロセス 愛媛県松山市全有人島を対象とした聞き取り調査に基づく考察」。昨年6月の農村計画学会誌に発表した。
(鹿肉の販路拡大狙う:埼玉)
埼玉県秩父市や小鹿野町の商工業者が加入する西秩父商工会などは秩父地域で捕獲した鹿の肉の販路を拡大する。品質管理を徹底した鹿肉として東京都内のフランス料理店を中心に、現在の約3倍の100店舗への納入を目指す。皮革製品も新たに開発し、関連商品の品ぞろえを広げる。鹿による害獣被害の抑制とともに、捕獲した鹿の有効活用を進める。同商工会や小鹿野町、地元観光団体などでつくる「ちちぶのじか活性化協議会」がこのたび、秩父産鹿肉の特徴や部位を紹介するリーフレットを作製した。都内の飲食店を中心に配布し、鹿肉の取り扱いを働きかける。同協議会によると、秩父産鹿肉の年間売上高は現在、800万円程度で、取扱店舗は都内と埼玉県内を合わせて三十数店。都内を重点的に開拓し、早期に100店舗への拡大を目指す。西秩父商工会は2013年から、地元の猟師や食肉処理業者と連携し、鹿肉の品質を高める事業に取り組んでいる。具体的には、わな猟で捕獲した鹿のみを扱い、放血から1時間以内に処理施設に納入する。臭みの元となる部位を取り除くため、臭みが肉に移らないのが特徴という。野生鳥獣肉を食材とするジビエ料理が全国的に定着しつつあり、同協議会は「品質の高さで他地域の鹿肉との違いを打ち出せる」と期待する。秩父産鹿肉の都内での人気が高まれば、地元で鹿肉を提供する飲食店や旅館などへの波及効果も期待できる。肉以外の部位を使った商材の開発にも本格的に取り組む。外部のデザイナーと組み、鹿革を使ったキーケースや定期入れなどの試作を進めている。秩父地域の道の駅や鉄道駅付近の商業施設などで、今年度中の販売を目指す。県内の農林業への害獣被害は深刻さを増している。埼玉県によると、15年度のニホンジカの捕獲頭数は前年度比3割増の約2500頭。生息範囲も広がっているとみられ、15年度の林業の被害面積も3割増の33ヘクタールとなった。同年度の農作物の被害額は14億円弱に上る。県は3月、今後5年間のニホンジカの個体数の管理や被害対策などを盛り込んだ鳥獣管理計画をまとめた。シカの猟期を1カ月延長するほか、雌シカの捕獲頭数を無制限にする。捕獲頭数が増えれば、供給可能な鹿肉も増えることが予想される。
(農水省の食堂にジビエ料理:東京)
農林水産省内の食堂に24日、野生鳥獣肉(ジビエ)料理が期間限定で登場した。野生鳥獣は各地で農作物に深刻な被害をもたらしているため、ジビエ料理の普及で対策に弾みをつけたい考えだ。ジビエ料理のメニューは、長野県茅野市のシェフ藤木徳彦さんが監修した愛知県産のシカ肉を使ったメンチカツ。ごはんと汁物、アジフライなどが付いて650円で、28日までランチに1日40食を提供する。期間中は一般にも食堂を開放する。5月8日から12日までは省内の別の食堂で1日20食、シカ肉を使ったカレーを700円で提供する。
(ジビエ人気:佐賀)
最近「ジビエ」という言葉をよく耳にする。カモやウサギ、シカ、イノシシなど狩猟でとった野生鳥獣の食肉を意味するフランス語である。欧州貴族の伝統料理として発展し、フランスでは最高級食材だ◆日本でも注目されているが、新しい食文化でもない。縄文遺跡からは獣肉の骨が多く出る。殺生を禁じる仏教の影響で、肉食禁止令がたびたび出されたが、庶民はひそかに食べており、明治以後は牛肉食が流行となる◆そのジビエの利用を広めようと、政府が旗を振り始めた。先日、首相官邸で民間有識者らを交えた関係省庁連絡会議の初会合も開かれた。狩猟や捕獲で野生鳥獣による農作物被害を減らし、中山間地域の所得アップにつなげる試みである。被害額は全国で年200億円にも上るから頭が痛いことだ◆ところが捕獲されたシカの食肉利用は約1割で、残りは捨てられている。特にやっかいなイノシシは一晩で作物を食い荒らすと農家も対策に困っており、佐賀県内の自治体では電気柵に頼るだけでなく、捕獲し肉を利用する動きが活発になっている◆江戸後期の風俗書『江戸繁昌記』によれば、「ももんじ屋」といわれた獣肉店ではカワウソやクマ、オオカミまで扱っていて、人々の食欲に驚く。野趣あふれる肉がごちそうとなり、山間部のご苦労が減るなら言うことはない。
(「害獣」を革バッグに:香川)
イノシシやシカなど野生動物による農地や山林での食害は地方共通の深刻な悩みだ。これらの肉をジビエ料理に活用しようという動きは各地で広がるが、皮はほとんど捨てられている。そんな現実を知り、疑問を抱いた上杉新は2016年に香川県小豆島に移り住み、島内の「害獣」から革製バッグを生み出す事業に挑戦し始めた。

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(猟銃で撃たれたクマ反撃、猟友会男性かまれ重傷:石川)
15日午後3時15分頃、金沢市奥新保町にある医王山の山林で、石川県猟友会金沢支部に所属する無職男性(74)がクマにかまれて重傷を負い、同市内の病院に搬送された。金沢中署や県危機対策課などによると、男性は同日午前8時頃から、市から委託された同支部のメンバー約30人とともに、医王山でクマの駆除をしていたという。男性が猟銃でクマを撃って近づいたところ、突然襲われ、顔や両手足をかまれた。近くにいた同支部の男性が119番した。クマは成獣とみられ、そのまま山中へ逃げた。県内で人がクマに襲われたのは今年初めてで、昨年は2件あったという。
(山菜採り中にヒグマに襲われ男性けが:北海道)
16日午前8時すぎ、北海道東部の標茶町の山林で山菜採りをしていた男性が「クマに襲われてけがをした」とみずから警察に通報しました。警察と消防が駆けつけたところ、山の中で54歳の会社員の男性が血を流して動けなくなっているのが見つかり、ヘリコプターで釧路市内の病院に運ばれました。警察によりますと、男性はヒグマにひっかかれるなどして頭やあごにけがをしましたが、意識ははっきりしているということです。現場は、国道から5キロほど山に入ったところにある林で、近くに民家などはなく、男性は隣の鶴居村から1人で訪れ、山菜採りをしていたということです。ハンターなどが周辺の山中を捜索しましたがヒグマは見つからず、標茶町は現場につながる林道を通行止めにしたうえで、注意を呼びかける看板を設置しました。春先のこの時期は冬眠から目覚めたヒグマが食べ物を求めて活動が活発になることから、北海道環境生活部は山に入る際にはできるだけ複数で行動するほか、熊よけの鈴などを携帯するよう呼びかけています。
(夜間銃猟、ニホンジカ54頭を捕獲:和歌山)
県は12日、昨年度の「夜間銃猟」でニホンジカ54頭を捕獲したと発表した。全国で初めて実施した2015年度よりも実施区域を増やし、頭数が9倍に増えた。ただ目標の120頭には届かず、県の担当者は「取り組みを検証して今年度も継続したい」としている。
(クマ出没情報、ネットで公開:宮城)
仙台市はインターネット上で「クマ出没情報マップ」の公開を始めた。市に寄せられたツキノワグマの目撃情報を基に、出没場所を確認することができる。市は「出合い頭の事故に遭わないよう、マップを活用してほしい」と呼び掛けている。市の地理情報システム「せんだいくらしのマップ」を活用し、クマが目撃された場所を地図上に足跡マークで表示。縮尺は2万分の1~64万分の1の6段階で、出没した日時や頭数、体長などの詳細情報を見ることができる。市内では2016年度、クマの目撃件数が例年の2~4倍に当たる402件に上った。6年ぶりに発生したクマによる人身事故も5件と突出して多かった。これまで市はメール配信サービスでクマの出没情報を周知していたが、目撃件数の急増を受けて「市民に分かりやすく、できるだけ早く情報を伝える必要がある」(環境共生課)とマップの開発に取り組んだ。冬眠から目覚めたクマが餌を求めて活発に活動する時期に入り、今年の市内のクマ目撃情報は3月15日の太白区鈎取御堂平付近を皮切りに、既に6件が寄せられている。市環境共生課は「クマは早朝や日没後の薄暗い時間帯に活動する。山菜採りなどに行く際は事前にマップで出没情報を確認し、鈴やラジオで音を出して自分の存在を知らせるなど注意してほしい」と話す。
(クマ出没注意の看板、県職員「自腹」:福島)
福島県県自然保護課に勤務していた40代男性職員が個人の判断で看板製作を発注、本来は県費で支払う看板20枚分の費用約29万円を自ら負担して業者に支払っていた。県が13日発表した。県によると、男性職員は昨年10月、県内各地でクマが出没していることから注意を呼び掛ける看板の製作を企画。福島市の業者と随意契約を結ぶための書類を作成したが、上司から業者選定の理由が不十分だとして書類を修正するよう指示を受けた。しかし男性職員は書類を修正せず、上司の決裁も得ないまま看板を発注。周囲に相談できず、職員自らの負担で費用を支払ったという。2016年度予算の決算事務の確認作業で今月11日に判明した。県は、男性職員が契約事務に不慣れだったことや業務多忙などが原因としている。県庁で記者会見した生活環境部次長らは「内部チェック体制が十分に機能していなかった」として謝罪した。ほかの職員を含め、類似の事案はないという。県は看板の費用を改めて県費で支払う。支払いを受けた業者が個人負担分を男性職員に返還する。
(高校敷地にカラス死骸、近くの中学でも:兵庫)
兵庫県警須磨署は17日、神戸市須磨区の私立高グラウンドで16日朝、カラスの死骸が見つかったと発表した。9日には、約100メートル離れた市立中で、木の枝に刺さったカラスの頭部が見つかっており、須磨署は警戒を強化し、建造物侵入などの疑いで調べる。須磨署によると、16日に見つかったカラスは、陸上競技用トラックに放置されていた。頭部から背中に、人為的に傷つけられたような痕があった。午前7時ごろ、生徒が見つけ、教諭を通じ110番した。
(イノシシ急増、処分に苦慮:福島)
県内のイノシシ捕獲頭数が急増し、地元自治体や狩猟者が捕獲後の処分に苦慮している現状が、県の調査で分かった。2015(平成27)年度に捕獲したイノシシ1万5467頭のうち、衛生的に最適な焼却処分は全体の37%に当たる約5800頭にとどまる一方、残り約9600頭は土に埋設処分された。東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された地域を中心にイノシシ被害が深刻化する中、捕獲後のイノシシを処分する用地の確保や衛生環境整備などが、市町村の大きな負担になっている。「大きいと100キロ近い重さになるイノシシを解体するのは大変。解体が不要な焼却炉があったら楽だな。うちの方にも建たないかな」。伊達地方衛生処理組合の焼却施設でイノシシを焼却するため、1頭当たり30~40分かけて解体している県猟友会桑折支部長の後藤忠郎さん(62)に徒労感が漂う。鳥獣の保護および管理ならびに狩猟の適正化に関する法律に基づき、捕獲したイノシシを穴を掘って埋めるのは重労働で、用地確保の問題もある。年間40頭ほど捕獲する後藤さんは「埋める場所がないから、焼却を選んでいる」。しかし、焼却するにも夏場はイノシシが腐りやすく、処理が滞ると悪臭に悩まされる。後藤さんがうらやむのは、相馬市と新地町でつくる相馬方部衛生組合が同市に建設し、16年4月に稼働したイノシシ専用の焼却炉。イノシシを解体せずに焼却でき、バグフィルターで放射性物質の飛散も防ぐ。稼働後の1年で、冷凍庫に保管されていた15年度捕獲分も含め約830頭を焼却。今後も年間600頭のペースで焼却する計画だ。捕獲後の処理が問題となり、猟友会の駆除意欲の低下に拍車を掛けていたとする相馬市の担当者は「処分に悩む必要がなくなり、駆除意欲の活性化につながった」と説明する。解体せずにイノシシを焼却できるのは両市町と、高い焼却能力の施設を持つ福島市のみ。35市町村は事前に解体して一般廃棄物の焼却施設で焼却するか、埋設している。焼却施設を使わず埋設している市町村もある。県はイノシシによる農業被害や人的被害の未然防止に向け、年間1万7000~1万8000頭を捕獲、19年度までに生息数を5200頭に減らす目標を掲げる。16年度の実績は集計中だが、目標を上回る2万4000頭が捕獲されたとみられる。捕獲数は11年度の約3千頭の約8倍に膨らむ。捕獲対策が軌道に乗る一方、多くの市町村が処分に頭を悩ませる。専用の焼却施設や微生物による分解処理装置の導入を検討する市町村も出てきているが、一般的に「迷惑施設」と見られがちな処理施設の建設には住民の理解が必要で、慎重な対応を迫られているのが現状だ。県自然保護課は「出口ベースの処分をどうするか。市町村と一緒に考え、問題解決に汗をかいていきたい」とする。
(有害鳥獣駆除、猟師を育成:岩手)
県内ではこの10年間で、ツキノワグマやニホンジカなどの野生動物による農業被害が約3倍に増えた一方で、有害鳥獣を駆除する狩猟者の登録数は約3割減になっている。狩猟免許を取っても、実際に銃やわなで狩りをしたり、獲物を解体したりする自信がなく二の足を踏んでいる人がいるとみられる。県や県猟友会は初心者向け研修会を開き、猟師の育成を進めている。環境省によると、2016年度の県内のクマ出没件数は3064件(今年2月現在)。全国で最も多く、2位の長野県(1707件)を大きく上回っている。クマに襲われてけがをする人的被害も発生し、16年度は19人が重軽傷を負った。公共施設周辺や通学路などにクマが出没した場合は、猟師らがパトロールや捕獲を行っている。県などによると、15年度の野生動物による農業被害は約4億200万円で、05年度の約2・9倍に増えた。シカによる被害が2億1700万円と最多で、ハクビシン3100万円、クマ2500万円と続く。シカによる被害を減らすため、県は捕獲目標を年間1万頭以上とし、狩猟期間も通常よりも2か月長く設定している。有害鳥獣を駆除する猟師の役割は増しており、試験を受けて狩猟免許を新規に取得した人の数は近年200人を超えている。しかし、実際に狩りをするために狩猟者登録をした人は15年度2664人で、05年度3830人の約7割にとどまった。県は、狩猟経験が浅い初心者向けの研修会を14年度から実施している。今年1月下旬に奥州市江刺区の米里地区センターなどで開かれた「捕獲の担い手スキルアップ研修会」では、免許取得後3年以内の人を中心に、定員40人を上回る56人が参加した。研修会では、ベテラン猟師がわなの使い方やシカの解体方法などを説明。参加した奥州市江刺区の会社員今野大輔さん(30)は「実際の現場を見られるので貴重な機会」と話した。県猟友会専務理事の菅野範正さん(73)は「猟師への関心は高まっているが、狩猟免許を取った後、どうすべきか分からない人も多い。猟の方法を伝えていく必要がある」と意義を語った。県は「狩猟は単なる趣味にとどまらず、農業被害の抑制につながる。今後も狩猟者の育成に取り組みたい」としている。
(キョン、観光資源化模索:千葉)
房総半島で深刻化する小型のシカ「キョン」の大繁殖。14年間で約50倍に増え、約5万頭が生息しているとみられる。県は駆除計画を立て、地元猟友会と協力して対策を取っているが、体長約1メートル、体重10キロと小型のうえ、2015年度の捕獲数は2187頭と少なく、食用としての流通経路も確立されていない。そんな中、捕獲数の増加につなげようと、狩猟体験ツアーやキョンの革を使った加工品の製作という試みも始まっている。
(キョン大繁殖、14年で50倍:千葉)
中国や台湾に住む小型のシカ「キョン」が、千葉県勝浦市など房総半島で急増している。同市の観光施設から逃げ出して野生化したとみられ、県によると推定生息数は2002年の約1000頭から16年は約4万9500頭と、14年間で約50倍に増えた。ゴルフ場や民家近くに頻繁に出没し、農業被害も続出。旺盛な繁殖力に捕獲が追いつかず、関係者は頭を悩ませている。
(中心部にシカ出没、県警が出動:徳島)
徳島東署などによると、13日午前7時10分ごろ、徳島県庁南側の県道を走る雌のニホンジカを通行人が目撃し、110番した。署員が周辺を探したものの見つからず、同8時20分には南昭和町5の山城橋北詰め付近から御座船川に飛び込んだと再び通報が入った。その後、泳いでいるシカが確認され、署員がロープを投げ入れるなどして救助を試みたが難航。近隣住民が船を出して引き上げたものの、すでに息絶えていた。最初に通報した小松島市南小松島町5の会社経営、麻植義樹さん(53)は「街中でシカに出くわすとは思わなかった」と驚いた様子。鳥獣対策を担当する県消費者くらし政策課は「春になると餌を求めて活動的になるので、山間部から市街地に迷い込んだ可能性がある」としている。
(イノシシ出没、小学校は警戒:長野)
長野市吉田の住宅地で17日に体長約30センチのイノシシ1頭が目撃され、付近の小学校で18日、職員などが警戒した。警察によると午前11時現在、新たな目撃やけが人の情報は入っていない。
(住宅地で「クマ」目撃情報:福島)
16日午前5時ごろ、会津若松市東山町石山字院内の住宅地で「クマを1頭目撃した」と新聞配達員の男性(72)が会津若松署に届け出た。けが人はいなかった。同署によると、クマの体長は約1.2メートルで近くの山に入ったという。目撃現場は会津武家屋敷の南にある住宅地。同署などは注意を呼び掛けている。
(市街地、サル目撃が相次ぐ:福島)
12日午後2時ごろ、郡山市富久山町の国道288号交差点付近で住民らが野生とみられるサルを目撃した。県の県中地方振興局によると、サルは空き家の2階のベランダ周りを移動していたという。郡山北署などが捕獲を試みたが、逃げられた。現場はJR郡山駅から北に約2キロ離れた住宅街。同市では、5日から市内を流れる逢瀬川沿いの市街地で目撃情報が相次いでおり、同局は注意を呼び掛けている。現場付近の新聞店に勤める男性は「(サルは)おびえて逃げているようだった。この辺りでサルを見るのは珍しい」と話した。
(情報共有し食害防げ:宮崎)
シカによる農作物などへの食害を防ごうと、西都市と西都地区猟友会、西都児湯森林管理署は7日、シカ被害対策に関する協定を結んだ。猟友会への迅速な情報提供や、わなの無償貸与などを通じ、より即効性のある捕獲を目指す。
(ヌートリアも捕獲対象に:山口)
宇部市は今年度から3か年を期間とする3次鳥獣被害防止計画に、初めてヌートリアを捕獲対象に加えた。 県自然保護課によると、県内では09年度に山口市阿東で初めて見つかり、15年度には山口市の288匹を最多に341匹を捕獲。農業被害は水稲を主に、14年度に2万5000円、15年度に25万円が報告された。
(クマ注意、活動本格化へ:石川)
冬眠から覚めたツキノワグマの目撃情報が、県内でこの数日間に出始めた。例年4月から活動を始め、目撃情報も増えていく。5月の大型連休ごろには、特に警戒心の強い生後数カ月の子どもを連れた親子グマが動き始める。15日には金沢市の医王山で、県猟友会の男性がクマに襲われ重傷を負う事故も発生した。県などは山菜採りや登山時に注意するよう呼び掛けている。県自然環境課によると、県内のクマの推測生息数は七百~九百頭。年々増加し、昨年六月は能登島でも目撃されるなど、分布域が広がっている。県内で目撃がないのは珠洲市と輪島市のみ。山仕事などで山林に人の手が入ることが減り、クマのすみやすい環境が増えたためとみられる。特に五~六月は、親から離れたばかりの幼いクマがこれまでと異なる範囲を行動したり、まだ少ない食べ物を求めて都市近郊のサクラの実を食べに来たりする。同課嘱託職員の野崎英吉さんは「学習経験もなく、人を恐れない」と危険性を指摘する。昨年の目撃情報は二百四十六件で、四月の十件を皮切りに、六月が最多の七十六件だった。年間の目撃情報数にはばらつきがあるが、餌となるブナやミズナラ、コナラなどが大凶作だった二〇〇四年には千六件に上り、行動範囲が一気に広がった。今年は四月下旬からブナなどの花の調査を始め、八月下旬からさらに実の付き具合を確認し、豊凶状況やクマの動きを調べる。昨年はブナが凶作で、県は二年ぶりにクマの出没注意情報を出した。県は十五日の事故を受け、十六日に現地のビジターセンターに注意を呼び掛けるチラシを貼った。これからの季節に山林に入る場合は存在を知らせ、緊急時に助けを呼べるよう、二人以上で行動することを勧めている。
(今年も撤去しま巣:石川)
カラスの営巣期を迎え、北陸電力が今年も、電柱にできた巣の撤去作業に追われている。営巣が停電につながるおそれがあるためで、北電では「見つけた場合は情報提供を。カラスに取られないよう金属製ハンガーなどを屋外に放置しないで」と呼びかけている。金沢市浅川町で13日、高さ約12メートルの電柱上に作られた巣を、作業員が高所作業車を使って撤去した。北電のまとめでは、昨年、営巣期にあたる2~5月に撤去したカラスの巣は管内で1万6539個。そのうち県内での撤去は、10年前の倍以上にあたる5713個に上った。撤去した中には、木の枝だけではなく、針金やハンガーなどを使って作った巣もあった。針金などが電線に接触してショートするなどして、付近を停電させるケースも昨年は15件(うち県内で4件)あった。北電では、カラスが近寄らないように電柱に樹脂製の針山やテグスなどを設置してきた。今年からは新たな対策として、カラスが嫌がるにおいを発する薬剤を使用している。だが、カラスは見晴らしのいい場所に巣作りをする傾向があり、完全に防ぐことができないばかりか、一度撤去した場所で再び作られるケースもあるという。
(カラスの巣を電柱から撤去:秋田)
東北電力秋田支店は、カラスが電柱に作った巣による停電を防ごうと、巣の撤去作業を進めている。巣に含まれる金属製のハンガーや鉄くずなどが電線に触れると停電の原因となるため。ただしカラスもすぐに巣を作り直すため、いたちごっこの状況が続いている。同支店は「電柱に巣を見つけたら、早めに連絡してほしい」と呼び掛けている。
(泳ぐイノシシ、謎に迫る:滋賀)
海や湖を泳いで島々を渡るイノシシについて研究している守山市の高橋春成さん(65)が、「泳ぐイノシシの時代―なぜ、イノシシは周辺の島に渡るのか?―」(四六判、170ページ)を出版した。「新天地」を求めて、迫る波をも厭いとわない生態に迫る興味深い内容で、高橋さんは「苦もなく泳いで広範囲に移動しており、もはや山の動物ではない。人間の営みが大きな影響を与えていることも知ってもらえたら」と語る。3月末に奈良大教授を退任した高橋さんは、生物地理学が専門。大学生の頃からイノシシやシカといった野生動物と人々の暮らしの関係を研究してきた。泳ぐイノシシは1980年代から国内で目撃されており、最長15~20キロに及ぶ「遠泳」も確認されている。この結果、生息域が広がり、住み着いた島々では農作物や果樹が食い荒らされ、住民や行政が手を焼いている。5章で構成する著書では、実態調査に加え、アメリカやフィンランド、シンガポールといった諸外国の事情も記した。2013年6月に西日本の165市町村から寄せられたアンケートから、イノシシが単独または複数で海や湖を泳いで渡った島名と時期、被害状況もまとめた。その結果によると、泳ぎ着いたとされる島の数は110か所で、うち有人島は98か所。分布は沖縄県の慶良間諸島を含め広範囲に及び、農作物の被害は72の有人島でみられた。湖は琵琶湖のみで、住民が暮らす近江八幡市の沖島、信仰や観光の島である長浜市の竹生島で確認された。沖島では09年秋に上陸を試みるイノシシが初めて目撃され、畑のサツマイモが掘り返されるといった被害が相次ぐ。捕獲檻おり設置などの対策が進むが、頭数減には更なる取り組みが求められている。泳ぐイノシシが増えている要因として高橋さんは、耕作放棄地の増加や集落の過疎化の影響を指摘。山から沿岸部へ生息地が伸びたところで、新たなすみかと餌を求めてイノシシが泳ぎ始めたと分析する。対策として、島と島の垣根を越えて地域ぐるみで情報交換を密にし、高齢化や人口流出が進む島々での様々な支援を挙げている。高橋さんは「正しい知識を持ち、過剰な繁殖を防ぐ必要がある」と指摘している。
(カモシカの魅力、剥製などで紹介:三重)
カモシカの魅力を紹介する企画展「カモシカ☆パラダイス」が15日、津市の県総合博物館「MieMu(みえむ)」で始まった。欧州のシャモア、北米のシロイワヤギ、中国のターキンなど世界のカモシカの仲間8種類の剥製や全身骨格のほか、昭和47年の日中国交正常化の記念に贈られ、日本中にパンダブームを巻き起こしたジャイアントパンダの剥製も登場した。展示品の多くは、菰野町の御在所岳山上に存在したカモシカ専門動物園「日本カモシカセンター」の所蔵品。平成18年の閉園後、旧県立博物館(現在の県総合博物館)に所蔵品が寄贈されて10年となり、改めてカモシカの多面的な魅力を知ってもらおうと今回の展示が企画された。カモシカは実はシカではなくウシ科で、見晴らしの良い斜面を好むといった生態や、県内での生息状況や保護の取り組みなどが紹介。カモシカの毛皮や骨に触れることができるコーナーも設けられた。
(サルの「離島」防止へ監視員:宮崎)
国の天然記念物で、イモ洗い行動をするニホンザルの生息地として知られる宮崎県串間市の幸島(こうじま)周辺に砂が堆積(たいせき)し、対岸と陸続きになった。市は、サルが歩いて「離島」するのを防ぐため、9日から監視員による見張りを始めた。周囲約3・5キロの幸島には現在約100匹のサルが生息する。島と対岸の間は200~300メートル離れ、最大水深5メートルほどの海が隔てている。京大野生動物研究センター幸島観察所などが観察を続け、60年以上に及ぶ「家系図」があり、全て個体識別されてきた。幸島観察所や市によると、例年北側の石波海岸から冬場の風で運ばれた砂が幸島周辺にたまるが、夏から秋にかけての台風が海岸方面に押し戻すというサイクルが繰り返されてきた。しかし昨年宮崎県を襲った3回の台風では砂が十分に押し戻されず、冬ごろから幸島と陸側の距離が徐々に縮まってきたという。3月中旬の大潮の干潮時には歩いて行き来できるようになった。こうした事態に串間市は、サルが島から離れるのを防ぐとともに、観光客らがエサを与えないよう周辺を見張ることにした。監視員は市が委託する地元住民で、1日2人ずつで計6人。大潮の時期を中心に陸続きになる昼間の時間帯に2~5時間、監視する。人への恐怖感を植え付けないようサルを追い払うための棒などは持たない。夜間も陸続きになるが、これまでの習性からサルは島内で眠るため監視はしない。市は陸続きが解消するまで監視員を置く予定で、今年度の当初予算に監視員配置費として50万円を計上した。台風シーズン後も状況が改善されない場合は新たに補正予算を計上する方針。今のところ砂を除去する計画はなく、台風の到来をひたすら待つ構えだ。幸島観察所の鈴村崇文さん(42)によると、過去にも陸続きになったことはあるが、今回は特に砂の量が多いという。「人間が与えたエサになれると、島に戻らなくなる恐れがある」と心配する。串間市生涯学習課の宮田浩二・文化係長は「幸島のサルは日本を代表する貴重な文化財で、島外に出さないことが私たちの使命。今年の台風に期待したい」と話している。
(畑を荒らすイノシシに情報戦で挑む:島根)
山あいの小さな集落では、鳥獣害対策に頭を悩ませることが多い。自家消費のために小さな農園を営んでいるような家庭も多く、売り物を作る農家のように積極的に防護策にコストや手間を投じたがらないという事情もある。そうした地区のひとつ、島根県益田市二条地区。山口との県境にある益田市の中山間部にある小さな集落だ。ここもイノシシやサル、シカの被害に悩まされていたが、猟師と地域住民が協力し、情報共有を進めることで効果的な対策を展開しているという。同地区を訪ね、話を聞いてきた。話を伺ったのは、益田市二条地区に住む竹田尚則さんだ。本業は測量士で、2000年に同地区に事務所を構えて開業している。祖父の代から猟師で、竹田さん自身も狩猟に必要な免許や道具を持ち、実際に猟に出ることもある。多くの猟師が獲物を自家消費するが、竹田さんは食肉処理業と食肉販売業の許可も得ており、自分や仲間が獲ったイノシシやカモ等の肉の販売も手がける。「じいさんの代から猟師をしよるが、四半世紀前くらいからイノシシが増え始めて、環境が変わってきた」(竹田さん)。害獣駆除の状況について尋ねると、竹田さんはこう話し始めた。畑の被害が増え始めた当初は、被害を出すイノシシを殺すために猟師が駆り出された。竹田さんの父親も、イノシシ退治に協力を惜しまなかった。「けど、どうも無駄な殺生しよるなあという気がしてしかたなかった。家畜以外の食肉処理、販売業の許可を持っとるけん、できるだけ命を無駄にせんよう食肉販売を始めたけど、そもそも殺す数を減らすことも考えんといけんと思うとった」(竹田さん)。害獣とは、人に害をなす獣という意味だ。人里に被害を出さなければ、他の野生動物と同様、駆除する必要はなくなる。「被害があるけん殺せという考え方から、防除を重視して被害が出んようにする。そうすればイノシシもサルも害獣じゃなくなる」と竹田さんは言う。しかし、その考えを浸透させ、さらに実行に移して効果を生み出すのは簡単ではなかった。防除の考えを浸透させるのが難しいのは、ITに少しでも知見のある読者なら想像がつくだろう。セキュリティ対策にコストが回らないのと同じことだ。被害にあってからイノシシを撃ち殺すのは、効果が見えやすい。一方で防除がうまく機能しているかどうか、その効果を実感してもらうのは難しいのだ。「1年目は全然浸透せんかった。道具だけあっても正しい使い方がわからんし、効果がわからんことに金やら手間やらかけてくれん。まず使い方の手本と効果を見せんといけん」(竹田さん)。竹田さんらは、公民館裏に電気防護柵の見本を設置した。また、実証に協力してくれた人たちの畑にも同じように防護柵を設置して、時を待った。そしてある日、近隣の畑が荒らされ、手塩にかけた作物をほとんど食い散らかされる被害が発生する。電気防護柵を設置した畑だけは、無事だった。一目でわかる効果に、被害を受けた人たちが次々と電気防護柵を設置し始めた。実証に協力してくれた畑や公民館裏の防護柵は、正しい設置例としても活用されるようになった。「イノシシが悪い、サルが悪いと言うだけじゃなく、被害が出るのは自己管理が足りんからという風に少しずつ意識を変えてもらった。そうした上で、次は二条地区にイノシシやらサルやらが近寄らんようにする作戦に取りかかった」(竹田さん)。重要なことは、野生動物の住む世界と人間の住む世界との境界をはっきりさせることだという。具体的には、野生動物が入り込もうとしたら煙火や威嚇射撃で追い返すこと、人が管理していない果樹をなくすこと。野生動物の動きを知らなければ効果的な対策を打てないこれらの作戦において重要なのは、情報戦略だ。そこで取り入れられたのが、kintoneだった。イノシシやシカなどを追ってきた猟師たちは、野生動物の動きを経験的に知っている。自分だけが知っている狩場の情報は、従来他人に教えるものではなかった。しかし二条地区の害獣被害をなくすためという目的のため、猟師たちは団結を進めていた。「イノシシやらシカやらは、ワタリと呼ばれる尾根づたいに移動しよる。その場所をベテラン猟師は知っとるけど、若い猟師には教えんのよ。自分で経験して学ぶものやけんな。それを、二条地区では全部明らかにしてもらえた。猟師の後継者が減ってきたことへの危機感もあったと思うけど、害獣被害を減らすっちゅう目的のために協力してくれたんやな」(竹田さん)。野生動物の移動経路だけでは、まだ情報が足りない。イノシシやサルが今どこにいるのかという情報と組み合わさって、始めて大きな武器になる。目撃情報を地図に落とし込み、それぞれの動物の移動経路と組み合わせて見れば、次に出没する場所を予測できるようになる。「明日あたりうちの地区を通るなっちゅうことがわかれば、煙火やら鉄砲やら準備して追い返すことができる。これを繰り返せば、あいつらは危ない地域を避けるように移動経路を変えよるんよ。最後は、うちの地区を通らんようになるはず」(竹田さん)。この作戦が効果を上げるためには、情報の数と精度、そして共有のスピードが求められる。「紙の地図に情報を集めても、それは過去の情報の集約にしかならん。今の情報をすぐに見えるようにせんといかん」と竹田さんは言う。Kintoneが力を発揮しているのが、この場面だ。地域住人には、動物の目撃情報や鳴き声を聞いたという情報を積極的に挙げてもらう。それを竹田さんらがkintoneに集約して、猟師が対応する。各公民館のモニタで気軽にチェックできるようにしてあるので、近隣の畑の持ち主も、重点的に対策すべきタイミングがわかり、防除の効率も高まった。「まだ実証期間で、今年(2017年度)から徹底的にやっていこうと言うとるけど、もう効果は出始めとる。うちの地区の被害が減った代わりにこれまで被害の少なかった地区に影響が出始めた。動物がうちの地区を避けて移動経路を変え始めたっちゅうことよ」(竹田さん)。もちろん、自分の地区の被害がなくなればそれでいい、という訳ではない。今は近隣地区からも手法を学びに来る人が増えた。その場合は手法や知見を惜しみなく公開しているという。防除を徹底するエリアが増えれば増えるほど、人間の住む世界から野生動物を追い出して山の周りに包囲網を築ける。実績を広めて、情報共有を含めた協力体制が大切だ。「近隣地区から援助の要請があっても、対応しやすうなった。GPSで情報が上がって来て地図に表示されれば、自分の知らん山でもスマートフォンの地図だけで行けるようになったけんな」(竹田さん)。こうした活動に携わっている猟師は、竹田さんを含めてみなボランティアだ。自分たちの地区を守り、近隣地区にも協力し、手弁当で鳥獣害対策を進めている。情報を自分だけの物にせず共有し、情報を活用して対策を打ち続けていかなければ、いずれは自分たちの身に被害が降りかかるとわかっているから、猟師も危機感を持って取り組んでいるのだという。Kintoneによる移動経路追跡だけではなく、猟師としての技術継承も活発化しているとのこと。かつては長年かけて自分で掴み取るものとされた狩場の情報や狩猟のコツなども、年配の猟師が若手猟師に包み隠さず教えるようになった。おかげで、3年はかかると言われるわな猟で、1年目の若手が獲物を捕らえることもできたそうだ。「行政が必死になっても、地区の人が情報やら対策やらの重要性を知らんと、効果的な対策なんかできん。逆に行政に頼ろうっちゅう考えを捨てて自分らで地区を守らなって考えるようになれば、情報も共有するし、自然と協力体制もできてくる」(竹田さん)。情報共有にITは便利だけど、大仰なものも特別な機能もいらない。高齢化が進む猟師でも使える柔軟性、小さな自治体でも導入できる手軽さの方が重要だ。その点でkintoneは二条地区の要件にマッチしたのだろう。もちろんITは鳥獣害対策の一部を担っているに過ぎないが、「情報を共有すれば効果を高められる」という実績を地域の人々に実感してもらう入り口としても機能したのではないかと、竹田さんの話を聞きながら考えさせられた。
(狩猟家がジビエ販売:三重)
野山を駆けるシカをわなで捕らえ、丁寧に処理した肉は臭みや雑味がない。津市の狩猟家、古田洋隆さん(62)が、肉質にこだわったジビエ(野生鳥獣肉)を販売している。「害獣といえども命をもらうからには、無駄にせずおいしく食べてもらいたい」と猟に使うわなを独自に考案した。自らを「罠師」と称し、技術の伝承にも意欲を見せている。古田さんは祖父から3代続く猟師で、シカが増えた40代から猟で生計を立てている。銃やおりではなく、わなを使うのは獲物を極力傷めないためだ。細い獣道を見つけ、どの方向から、左右どちらの足で地面を着くかまで考えて仕掛ける。特製のわなはばね式で、円状にしたワイヤを地中に埋め、獲物が足を踏み入れると跳ね上がり縛る。ナイフで心臓の血管だけを切り、体内の血を抜ききる。自宅に併設した解体場でさばき、血管に残る血や骨髄などをきれいに取り除く。下処理を徹底することが、風味を良くし鮮度を維持するために大事だという。「わなの技術も、私がさばいたジビエのおいしさも世界一」と胸を張る。シカを中心にイノシシ、アナグマなど年間平均で300頭を捕まえる。東京や大阪の高級レストランなど全国に肉を供給、海外からの要望もある。シカ肉料理を出す津市のレストランのオーナーシェフ出口直希さん(40)は「古田さんにしかできない仕留め方で、完璧な血抜き。肉は澄んだ味わい」と太鼓判を押す。「猟の継承の道筋を作るのが私の使命。技を伝えないと対策は進まない」。害獣が米や豆などの農作物を食い荒らすだけでなく、車と衝突する交通事故も頻繁に起こす現状を危ぶんでいる。自治体などから依頼を受け、わなや解体の技術を教えた。今後は全国各地に足を運ぶつもりだ。昨年、次女、愛さん(23)が猟を始め、今年は結婚予定の男性とわなの免許を取るという。「長い道のりだが、プロとして一日も早く活躍できるよう一緒に歩んでいきたい」
(イノシシに高級「缶」:島根)
ジビエ食品の製造販売会社「クイージ」(東京都)の美郷支店(美郷町乙原)は、美郷町などで捕獲されたイノシシ肉を使った缶詰の新商品「おおち山くじら缶」(3種類)を発売した。精肉としての活用が難しい部位を黒ビールやスパイスで煮込み、高級レストランのような味わいに仕上げたという。同支店は旧乙原保育所を活用し、昨年2月から東京都内の企業の依頼で同町産のイノシシ肉などを使った缶詰製造を手がけてきた。都内レストランのシェフのレシピに基づき、具材の大きさやいためる時間などを細かく定めている。当初は野菜の水分量が産地や季節で異なるため、味を安定させるのに苦労した。試行錯誤を重ね、1日最大200個を生産できるようになり、自社ブランドとして発売した。肉は夏場にすねや肩、冬場はすねや腕などボタン鍋で使われにくい部位を活用する。3月に発売した新商品は、スパイスやトマトなどと煮込んだスパイス煮込み(200グラム、税別920円)、肉に焼き目をつけ、いためたタマネギや黒ビールなどで仕上げた黒ビール煮込み(同、同1070円)、大きくカットした肉や野菜が特徴のポトフ(440グラム、同1170円)。スパイス煮込みはショートパスタや白米に合い、黒ビール煮込みはヒヨコ豆を加えてもおいしく、ポトフは調味料が塩だけのため自然なうまみを楽しめるという。美郷支店の石崎英治支店長(39)は「イノシシの味を堪能できるように、無添加でシンプルな味わいに仕上げた。低利用部位でもおいしく食べられることを知ってもらいたい」と話している。

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