<射撃ニュース6月>

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(測量作業中の男性、クマに襲われる:岩手)
13日午前10時10分ごろ、盛岡市根田茂の山林内で、滝沢市の会社員の男性(56)がクマに襲われたと一緒に入山した同僚男性が119番通報した。男性は左腕や背中にけがを負い、盛岡市の県高度救命救急センターに運ばれたが命に別条はない。盛岡東署によると、男性は同僚2人と測量のため入山し、別々の場所で作業。木を伐採中にクマに襲われた。その後、自力で歩いて同僚に助けを求めた。勤務先の東栄測量(盛岡市)によると、男性はクマよけの鈴とスプレーを携帯。持っていたハンマーを振りかざすなど抵抗したところ、クマは去っていったという。
(クマに襲われ男性負傷:山梨)
14日午前5時半ごろ、都留市金井の山のふもとで、64歳の男性が、鳥獣駆除のために仕掛けたわなを確認しにいったところ、クマに襲われた。地元の猟友会は「『立ったら自分より大きい』と言っていた。振り向いた瞬間に、クマが木の裏から出てきた感じだと思う。『一瞬の出来事だった』と言っていた」と話した。男性は、両腕などをかまれていて、負傷したまま自力で山を下りたあとに病院に運ばれたが、軽傷だという。警察は、周辺をパトロールするとともに、防災無線などで、地元の住民にも注意を呼びかけている。
(クマに襲われ44歳男性けが:栃木)
13日午前7時35分ごろ、栃木県佐野市の奈良部山から下山した群馬県明和町新里、無職、実川正史さん(44)から「登山中にクマに襲われ、けがをした」と119番があった。実川さんは頭と両腕に引っかかれた傷があるが、命に別条はないという。佐野署によると、実川さんは12日午後5時ごろ、佐野市飛駒町の山中の登山道を1人で歩いていてクマに遭遇した。山で夜を明かし、朝になって携帯電話の電波が届くところまで自力で下山して通報した。
(クマに襲われ?比内地鶏350羽死ぬ:秋田)
警察によりますと、10日夜から11日朝にかけて、秋田県大館市の養鶏場がクマに襲われたとみられ、ビニールハウスの中で飼育していた比内地鶏350羽が死にました。そのうち30羽はかまれた痕があり、320羽がクマに踏まれるなどした圧死とみられています。この養鶏場から200メートルほど離れた場所では、8日にクマ3頭が目撃されていました。大館市では、去年も比内地鶏やニワトリを飼育する養鶏場が被害に遭っています。
(イノシシにかまれ70歳女性けが:兵庫)
13日午後9時40分ごろ、神戸市東灘区岡本2丁目の住宅街の路上で、近くに住むパートの女性(70)がイノシシに尻をかまれ軽傷を負った。東灘署によると、女性は帰宅途中にイノシシを発見し、背後から写真を撮ろうとした際、突然振り向いて襲いかかってきたため、逃げる際に尻をかまれた。イノシシは体長約70センチで、山の方に走って逃げたという。
(京大学生寮にイノシシ逃げ込み捕獲:京都)
13日午後4時40分ごろ、京都市左京区岡崎徳成町で「イノシシが道路を走っている」と車で通りかかった男性から京都府警に通報があった。イノシシは自転車に衝突し、60代男性が右足に軽傷。イノシシはその後、京都大学の熊野寮に逃げ込み、学生と地元猟友会メンバーに捕獲された。川端署や京都市によるとイノシシは体長1メートルほど。寮1階の廊下にいたところを、学生らが数人がかりで取り押さえた。イノシシはその後猟友会によって市内の山中に放されたという。現場は平安神宮に近い住宅街。市内では先月7日、東山区の「ウェスティン都ホテル京都」のロビーに体長1・1メートルのイノシシが逃げ込み、捕獲されていた。
(クマが小屋の米ぬか食べる:岩手)
12日、山田町の住宅にある作業小屋で「米ぬか」がクマに食べられる被害があり、町が周辺に警戒を呼び掛けています。クマが現れたのは、山田町豊間根の農業・木村良一さん(69)の作業小屋です。12日午後4時ごろ、体長140センチのほどのクマ1頭が袋に入った米ぬかを食べているのを木村さんが見つけました。クマは西側の山林に逃げ、けが人はいませんでした。周辺は住宅地で、保育園や中学校もあり、町や警察が警戒を呼びかけています。地元の猟友会は、クマがまた現れるとみて、作業小屋に監視カメラとドラム缶式の罠を設置しました。木村さんによりますと、この場所では3年前にもクマ2頭が駆除されているということです。
(列車とクマが衝突:長野)
12日午後6時35分ごろ、長野県大町市平のJR大糸線南神城―簗場駅間で、南小谷発信濃大町行きの普通列車(2両編成)が線路上でクマと衝突し、停車した。列車に損傷はなく、乗員乗客約30人にもけがはなかった。長野県警大町署とJR東日本によると、ぶつかったクマは体長約1・6メートル、体重約150キロの成獣。その場で死んでいるのが確認された。地元の猟友会らによって約2時間後に線路上から撤去されるまで、後続の上下線計4本が運休するなどして、約100人に影響が出た。同署は「現場付近はクマが出没する地域ではあるが、列車と衝突するのは大変珍しい」としている。
(特急列車が相次いでシカと衝突:滋賀)
13日午後8時15分ごろ、滋賀県長浜市のJR北陸線新疋田(しんひきだ)-近江塩津間を走行中の上り特急「サンダーバード44号」と下り特急「しらさぎ61号」がそれぞれシカと衝突し、緊急停止した。乗客計約200人にけがはなかった。JR西日本によると、この影響で上下線計8本が最大34分遅れ、約500人に影響した。
(人を襲ったクマの特定へDNA検査:秋田)
県内では連日クマの目撃が相次いでいます。クマに人が襲われる被害も出ていて今年はこれまでに1人が死亡し2人がけがをしました。県は現場に残された毛やフンのDNAデータを集めて、クマを特定しようと試みています。クマのDNAの検査は、県立大学のバイオテクノロジーセンターで進められています。県が県立大学に依頼したもので、クマが人を襲う被害が去年から相次いでいることを受け今年度、初めて実施されています。県内では今年これまでに大仙市や仙北市などでクマに襲われて1人が死亡し2人がけがをしています。8日にはクマが民家の外壁などを壊す被害もありました。3月末から11日までの2か月半ほどで、警察に寄せられたクマの目撃情報は202件。過去最多となった去年の同じ時期に迫る勢いです。人が普段生活している場所での目撃情報も多数あり、各地で捕獲に向けてオリが設置されています。県立大学では現在、オリにかかったクマのDNA検査が行われています。このクマは、先月仙北市で女性がクマに襲われ死亡したあと設置した檻にかかったクマで、犠牲者に残されたクマの毛と仮にDNAが一致した場合、人を襲ったクマを特定できることになります。県はDNAのデータを蓄積してクマの生態の把握や今後被害が起きた際の対策に活用していくことにしています。
(クマ目撃情報相次ぐ:兵庫)
兵庫県の姫路・西播磨地域で今年、クマの目撃や痕跡の確認が相次いでいる。4月以降、自治体などに市民らから寄せられた情報は27件。人が襲われる被害はないが、姫路市は安全に配慮し、夏休みに予定していた小学生の林間学校を中止するなど影響が出始めている。姫路・西播磨の5市6町に4月以降、寄せられたクマの情報は、姫路市14件▽宍粟市8件▽神河町2件(うち1件は死骸)▽たつの市1件▽上郡町1件▽佐用町1件。同町では5月13日午後3時ごろ、北東部の八重谷峠で1頭の目撃があった。姫路市では昨年度、15件の情報が寄せられたが、本年度は既にそれに迫る状況となっている。5月だけで10件あり、山間部の夢前町内に加え、書写や北平野、白国など市街地に近い場所でも見掛けられた。県姫路農林水産振興事務所によると、県内に生息するのはツキノワグマ。同事務所は「姫路はここ数年で目撃が増えている。西播磨のクマは氷ノ山周辺に生息するが、区域が広がっているかもしれない」と分析。繁殖期に入り、雄が雌を求めて広範囲に行動する傾向もあるという。こうした事態を受け、姫路市小学校長会は、小学校69校が毎年7、8月に書写山円教寺で行う林間学校の中止を決定。同寺周辺で情報が相次いでいるため、児童の安全確保を優先した。林間学校の中止は異例といい、校長会長の菊本俊一・安室小学校長は「楽しみにしていた児童らに申し訳ない」と話した。各校は保護者の意見や要望を聞き、林間学校に代わる行事を検討するという。
(クマ出没相次ぐ、注意呼びかけ:岩手)
宮古市で撮影された親子とみられるクマの動画がテレビ岩手の投稿サイト、「ケンミンリポーター」に寄せられた。県内では、今年もクマの目撃情報が相次いでいて、県などが注意を呼びかけている。車のヘッドライトに浮かび上がるのは3頭のクマ。親子だろうか?「最初、面白半分で『映ったら面白いね』っていった感じで撮っていたんだけど、いざ、こうカメラ構えて黒い物体が横切った時は『はぁっ』」。動画を撮影した宮古市・老木の永洞知保実さんはこう話す。先週・金曜日の夜、母親の運転する車の助手席に座って市街地へ向かっていた。自宅近くでは、この1か月程、クマの目撃情報が相次いでいる。永洞さんは試しにスマートフォンを構えていた。すると、本当に目の前にクマが。あわてて撮影した。撮影した場所は、宮古の市街地から車でおよそ15分離れた道路。近くには集落や公園もある。あたりは動物の通り道になっているのか、クマのほか、シカも度々目撃されているという。永洞さんは、「ここが、崖になってるんだけど、この崖から多分降りてきたと思うんだけど、私がちょうどカメラを回した時にはここら辺から横切る感じで、このガードレールを越えていった」。3頭のクマは、ガードレールを越えて、畑や田んぼが点在する閉伊川の河川敷に姿を消した。永洞知保実さんは「夏場になってくると、畑の農作物を食べに来るかもしれないのでちょっと怖い」。岩手県によると、県内では今年度に入ってから、4月1か月だけで126頭のクマが出没している。相次ぐ出没を受けて初めての警報が出された去年の同じ時期より、8頭減っているが今月7日までに7人がケガをしている。県自然保護課の小笠原誠総括課長は「まあ、鈴とかラジオとか、あと複数の人で行動するとかして、声を出しながら行く。クマよけのスプレーあるんだけども、そういったものがあると、非常に有効だといわれておる」。県によると、ことしは去年より子連れのクマが多く出没しているが、山にエサの少なくなる夏場は、里におりてくるケースが増えるものと見られる。注意が必要。
(ニホンジカ、生息域拡大で調査へ:栃木)
ニホンジカの生息域が県東地域へと拡大傾向にあることを受け、県や市町、猟友会などは9日、「県東地域ニホンジカ対策協議会」を設立し、初会合を開いた。協議会は今後、同地域内で生息状況調査に乗り出す。協議会は国や県、県内10市町(大田原、矢板、那須塩原、那須烏山の各市、益子、茂木、市貝、塩谷、那須、那珂川の各町)のほか、各森林組合や猟友会支部で構成する。県林業センターによると、那須塩原、大田原、那須の2市1町で2015年4月からこの日までに、シカの目撃が32件あった。県東地域への侵入や目撃・捕獲情報が増加傾向にあるという。また、シカは一夫多妻であるなど繁殖力が強く、根茎類を除く様々な作物を食べることから、初会合で同センター職員は「農業や林業、高山植物などの生態系に被害を及ぼす」可能性を指摘した。これを受け、協議会は7月から、2市1町の森林内などに計30基のセンサー付きカメラを設置し、シカの生息状況を調査することを確認した。
(猟師の育成強化へ:大分)
県鳥獣被害対策本部の会議が12日、大分市で開かれ、猟師の確保に向けて自衛隊や警察のOBらを対象にしたセミナーを開催するなど、取り組みを強化していくことを確認しました。県は2011年に市町村や猟友会などで作る県鳥獣被害対策本部を立ち上げ、連携強化を進めています。12日は今年度初めての会議が開かれ、県の担当者が年度ごとの被害額の推移などについて説明しました。また、新たな取り組みとして、猟師の確保に向け自衛隊や警察のOB、大学生を対象にしたセミナーを開催するほか、狩猟免許の手数料を免除することが報告されました。県内では2016年度の被害額が、2億2500万円と、前の年に比べて4200万円減少していて、県は2024年度までに1億5000万円以下に抑えたい考えです。
(クマ2頭目撃:青森)
13日午前、むつ市関根の市道沿いで親子と見られるクマ2頭が目撃された。現場の近くには住宅もあり、畑が荒らされる被害が毎年発生しているということで住民たちは警戒を強めている。市や警察は現場付近をパトロールするとともに注意を呼びかけている。
(クマ出没、注意呼びかけ:神奈川)
厚木市七沢の県自然環境保全センター・自然観察園付近で13日朝、ツキノワグマとみられる動物が目撃され、市は近隣住民に警戒するよう呼び掛けた。周辺の小中学校では、下校時に消防などが見守り活動を実施した。
(クマ、公園で目撃相次ぐ:秋田)
横手市は13日、クマの目撃が相次いでいるとして、横手公園の遊歩道を20日まで立ち入り禁止にすると発表し、遊歩道の入り口14カ所に立ち入り禁止看板を設置した。車道は視界が良くクマとの急な遭遇の可能性は低いとして、通行可能。
(クマの目撃相次ぐ、登下校に付き添いも:秋田)
秋田県横手市の城跡に整備された観光名所で市の中心部に面する横手公園では、今月8日以降、クマを目撃したという情報が相次いで寄せられ、市は捕獲用のおりを仕掛けるとともに、13日から公園の広い範囲を立ち入り禁止にしています。公園から南におよそ1キロ離れた横手南小学校では14日朝、教職員が通学路に立って見守る中、子どもが保護者と手をつないで登校する姿や車で送って来てもらう姿が見られました。孫に付き添ってきた女性は「公園が立ち入り禁止になっているので心配している。早くクマが捕まってほしい」と話していました。この小学校では当面、休み時間などに児童を外で遊ばせない対応も取るということです。一方、市によりますと、公園のすぐ近くの高台ではクマのねぐらと見られる場所が見つかり、複数のクマが生息している可能性があるということで、市は注意を呼びかけています。
(ゴルフ場内にクマの痕跡:栃木)
14日午前7時半ごろ、佐野市飛駒町のゴルフ場・足利カントリークラブで、OBゾーンのスギに鋭利な爪のようなものでえぐられたような新しい痕跡が見つかり、近くではクマのものとみられる足跡が発見された。佐野署は、クマが出没したとみて警戒している。同ゴルフ場の近くには小学校があるほか、12日には、同地内の奈良部山で登山客がクマに襲われ重傷を負っている。
(“新世代”、人里に順応・続々と市街地出没)
各地で熊やイノシシによる人的被害が、後を絶たない。昨年、熊襲撃で4人の死者が出た秋田県では今年4月以降、熊が畑や民家に出没。イノシシも全国各地で市街地に現れ、けが人を出している。背景に、人里にある食べ物の味を覚えた“新世代”の野生獣が増えつつあることが指摘されている。秋田県仙北市で5月下旬、山中でタケノコ採りをしていた60代女性が熊に襲われて死亡した。秋田市では8日、熊が蜂蜜を求めて民家付近まで出没し、家の外壁が壊された。9日には、鹿角市の山林で熊に腹部を食べられたとみられる、死んだ子牛が見つかった。県内では、熊の目撃情報が5月までに113件を数える。4、5月の捕獲頭数も23頭と昨年と同水準で、県は出没警報を発令。人里近くでの被害増加を警戒する。「人里と森との境界が曖昧になり、生息域が広がっている」(自然保護課)と話す。宮城県栗原市では5日、農作業中の70代の女性が襲われ頭部に切り傷を負い、転倒して腰の骨を折る事故も発生した。西日本でも遭遇が目立つ。和歌山県では4月から6月2日までで出没が6件あり、畑などでも目撃されている。専門家は、熊は学習能力が高く、農作物の味を覚えて畑に食べに来るなど人の生活圏に適応しているとみる。中には集落に居着く熊もおり、春はタケノコ、次に畑のソバや大豆を食べて、長期間畑付近から離れない場合もあるという。発情期を迎えた熊が多いことも、被害が相次ぐ要因と考えられる。日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長は「2013、15年の秋にドングリが豊作で、14、16年に出産ラッシュだった」と言う。特に、14年生まれで3歳の“ベビーブーム熊”が発情期を迎え、緊張状態にあるという。「山中にいる人を熊と間違えて攻撃的になる。この状態は夏まで続く」(米田理事長)とみる。6月下旬までは冬眠明けの熊への注意が必要で、子熊が「ギャーギャー」と鳴く声が聞こえたら、その場から立ち去ることが大切だ。遭遇を防ぐには鈴が有効とされるが、材質の薄い鈴では効果が不明で、鐘状で厚い素材でできたよく響く鈴が有効だという。体に複数の鈴を着けるようにする。遭遇した場合は、熊が嫌がるトウガラシ成分が入った熊スプレーが有効という。イノシシも頻繁に出没している。京都市のホテルでは5月上旬、ロビーに侵入して暴れ、男性従業員が軽傷を負った。長野市では同下旬、JR長野駅近くの市街地で60代男性が襲われ牙で太ももを刺された。神戸市でも近年、イノシシが市街地に頻繁に出没し、人を襲っている。市によると、通行人が持った買い物袋の食べ物を狙う例が目立つ。ごみ出しで指定日時を守らない人がいるため、市街地に食べ物があると覚えたことが要因とみられる。捕獲や追い払いの強化、餌付け行為の禁止などで被害は減っているが、16年度の負傷者は14人に上る。熊やイノシシによる被害が増えているのは、野生獣の生息域が人里近くに広がり、遭遇しやすくなったのが一因だ。「人食い熊」や「新世代獣」などと言われるが、積極的に人を襲うようになったのではなく、農作物や食品残さの味を覚えるようになったため。畑の農作物や街の生ごみなどは、高カロリーで魅力的なごちそう。人里は居心地良い場所だと思われてはいけない。防護柵の整備や住民ぐるみの捕獲対策を取り、餌をなくすことが重要だ。
(シンポ「これからの森林(もり)づくりとシカ対策」:岐阜)
近年、ニホンジカは生息数を増加させ、その分布を全国各地に拡大し、農林業被害や生態系への影響、交通事故を引き起こしています。日本全体でニホンジカの生息数を管理するためには、農地などの被害地域だけではなく、森林での生息地における管理も重要になります。しかし、諸外国のシカ類の管理と比べ、日本の森林地域でのニホンジカへの対策は後れを取っています。そこで本シンポジウムでは、森林でのニホンジカの管理に注目し、行政の方針や先進的な取り組み事例を紹介します。
(鹿肉料理挑戦:三重)
県産鹿肉を使ったジビエ料理の特別授業が12日、伊勢市河崎1の伊勢調理製菓専門学校であった。卒業生で、ジビエ料理を提供するフレンチ料理店「ミュゼ ボンヴィヴァン」(津市)シェフの出口直希さんを講師に「煮込んだ鹿と野菜のグラタン」など3種類の料理を学んだ。
(環境とジビエ、微生物との共生:東京)
このイノシシは本当に害獣だったのか。土壌環境が良い畑の作物がイノシシに荒らされないのは何故か。食べること、料理をすることと真摯に向き合い続ける中で見えてくる、その食材が育った環境。料理家ハンターガール井口和泉ならではの視点で、食材から始まる環境への気付きについてお話いただきます。
(ジビエレストランにワニ・ダチョウ・イノシシのロースト:東京)
西池袋のジビエレストラン「Bistro&Cafe AQUA」は6月1日、新しいジビエメニューとしてワニ・ダチョウ・イノシシの提供を始めた。北海道函館直送のエゾ鹿肉の料理をメインで提供している同店。ローストのメニューは、塊で仕入れた肉を毎日、店のオーブンでじっくり焼き上げ提供している。今まで提供していた「エゾ鹿のロースト」(1,780円)と「鴨のロースト」(1,580円)に加わり、「猪のロースト」(2,580円)、「ダチョウのロースト」(2,980円)、「ワニのロースト」(2,280円)の提供を開始。「ジビエロースト5種食べ比べ」(3,800円)も用意する。イノシシの肉について店主の朝妻さんは「当店は国産の猪のみを使う。他店で臭いと食べられなかった方にお薦め。食感は豚肉に近いが脂に甘みがあり歯応えがしっかりしている」と話す。ダチョウ肉については「体脂肪燃焼やエネルギー増大の成分が多く、食感は牛に近い。もちろん臭みもなく、非常に低カロリー」とし、ワニ肉は「淡白でしっかり歯応えのある鶏肉に近い。コラーゲンやDHAが非常に豊富な高級食材。当店では香りも楽しめるようローズマリーなどで香草ローストにしている」という。

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(シカ駆除の弾あたり、猟友会男性大けが:島根)
10日午前8時50分ごろ、出雲市の山林で市内に住む78歳の男性がニホンジカを散弾銃で撃ったところ、シカの後方にいた山根安夫さん(80)に弾の一部があたりました。山根さんは弾が右腕を貫通していて重傷ですが、命に別状はないということです。2人は猟友会のメンバーで、10日は朝からニホンジカの駆除作業中でした。現場は林道の下ののり面で、木や雑草が生えていて見通しが悪く、出雲警察署が事故の原因を調べています。
(シカ処理加工施設:宮城)
狩猟で仕留めたシカを解体し、食肉として処理加工する施設が石巻市小積浜に建設される。今夏、牡鹿半島を主会場に行う芸術や音楽の総合祭「リボーンアート・フェスティバル」(RAF)事業の一環。鹿肉はジビエ(狩猟で得た野生鳥獣を使った料理)など地元食材のレストランや芸術作品を展示する施設「牡鹿ビレッジ」で提供する予定だ。上棟式が5月26日に現地で行われ、地元住民とRAF関係者が地域に役立つ場となることを期待した。施設は農作物の食害や自動車との接触事故など被害が深刻化するシカの駆除を進めるとともに地域資源として活用していくのが目的。一般社団法人リボーンアートフェスティバル=石巻市中央二丁目=出資の子会社が、震災前の住宅地で現在は市有地となっている土地を借りて整備し、完成後も運営する。建物は木造平屋の吹き抜け構造。延べ床面積は約92平方メートルで、食用加工設備や冷蔵冷凍設備を配備し、7月上旬の稼働を目指す。上棟式には地域住民やRAF関係者ら約40人が出席した。神事や餅まきで工事の安全とRAFの成功、地域の発展を願った。RAFは7月22日―9月10日に開催。鹿肉は、RAFが同市荻浜に整備する地元食材を使ったレストランや「牡鹿ビレッジ」のほか、全国各地の飲食店などへの提供を予定する。鮮度を維持し食肉として加工するには適切な処理が必要で、これまで食肉用に加工しないシカは地中に埋めるなどで処理されていた。同事業で狩猟や加工を担う県猟友会石巻支部の小野寺望さん(49)は「施設が稼働すれば、ジビエ食材として有効に活用していける。鹿肉を全国に届け、次世代につなぐ事業に育てていきたい」と話していた。月に約30頭の加工処理を計画しているという。小積浜区区長の阿部長一さん(66)は「食害などの拡大を防ぐとともに、人の往来が生まれ、地域産業として半島全体の活性化を目指してほしい」と期待を寄せていた。
(子牛襲われ死亡、クマか:秋田)
9日午後0時10分ごろ、秋田県鹿角市十和田大湯地区の牧場で、生後間もない子牛1頭が、腹部をえぐられた状態で死んでいるのが見つかった。クマが食べたとみられる。鹿角署によると、同日午前10時5分ごろ、牧場を所有する同市の60代の男性が、牛を放牧している山林内で体長約1メートルのクマ1頭を目撃し、同市役所に通報した。連絡を受けた同署員や地元猟友会のメンバーが目撃情報があった場所付近を確認したところ、死んでいる子牛1頭(40万円相当)を発見した。腹部が食べられており、周辺にはクマの足跡が残されていた。同署はクマが、生まれたばかりで十分に身動きがとれない状態の子牛を狙った可能性があるとみて、詳しい状況を調べている。同地区では昨年5~6月、タケノコ採りの男女4人が相次いでクマに襲われて死亡しており、今年も目撃情報が相次いでいる。NPO法人日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦理事長は「この地域では以前も、牛がクマの被害に遭う事故が発生したと聞いている。『子牛を襲ったクマがまた人間を襲うのではないか』と過敏に恐れる必要はないが、入山の際には十分な警戒が必要だ」と注意を呼びかけている。
(木の上にクマ、射殺処分:福島)
10日午前10時5分ごろ、北塩原村桧原字剣ケ峯の雑木林で木に登っているクマを目撃した、と近隣住民女性から猪苗代署に通報があった。同署によると、同11時35分ごろ、地元猟友会を中心とする村有害鳥獣駆除隊が、体長85センチの雄のツキノワグマ1頭を射殺した。けが人はいなかった。現場は村役場合同庁舎の東側で、裏磐梯中と裏磐梯小まで国道459号を挟んで約100メートルの地点。クマが木から下りず、周囲に観光客が多いことから村が射殺を判断した。駆除に参加した地元猟友会の男性(67)は「小さいクマなので、近くに母グマやほかの子グマがいる可能性がある。人里に近づきやすくなるので、残飯などのごみを外に置かないで」と注意を呼び掛けている。
(クマ捕獲用のオリを設置:秋田)
県内では9日もクマの出没が相次ぎました。横手市の中心部、横手公園で再びクマが目撃され、地元猟友会が駆除を試みるなど、周辺は物々しい雰囲気に包まれました。さらに鹿角市では、クマに襲われたとみられる子牛の死がいも見つかっています。引き続き警戒が必要です。8日に続き、9日もクマが目撃された横手市の横手公園。午前10時ごろ、パトロールしていた市の職員が、公園の茂みで動物が走るような音を聞きました。市は地元猟友会などと連携して公園を一時封鎖し、追い込み作戦を試みました。公園の周りには、クマが歩いたとみられる「けもの道」やクマの糞がいくつも見つかりました。しかし、クマの姿は見あたらず。捕獲するためのオリを設置しました。午後2時半ごろには、再びクマが目撃されたとの情報が寄せられました。クマは発見には至っていません。警察や市、それに猟友会では、注意を呼びかける看板を設置したほか、周辺のパトロールを強化するなど対策を進めています。
(クマ出没相次ぐ、警戒続く:秋田)
クマの出没が相次ぎ警戒が続いている横手市の横手公園では、11日朝にかけても目撃が相次ぎ、市や警察では警戒を強めています。横手警察署の調べによりますと10日午後6時ごろ、横手公園近くの羽黒町の市道でクマ1頭が目撃されました。11日午前6時ごろには公園内を散歩をしていた女性が、噴水前でクマ1頭を目撃し警察に通報しました。いずれも体長は60センチほどでした。横手公園では9日、クマの目撃が相次ぎ、糞なども見つかったため公園を封鎖して捕獲を試みましたがクマは見つかりませんでした。横手市や警察は、公園内のパトロールをするなどして警戒を呼びかけています。
(銃猟資格者6割減、人材発掘へ来月研修:和歌山)
イノシシやシカによる農作物の食害が後を絶たない中、県が狩猟免許所持者の養成に本腰を入れている。県内の免許所持者の全体数は4000人前後で横ばいだが、このうち、繁殖力の強い成獣を仕留めやすい銃猟の免許所持者は過去20年間で6割減の約1600人に落ち込む。県の取り組みで銃猟を手掛ける新規ハンターは増えつつあるが、高齢層の大量引退に伴う減少に追い付いておらず、県は裾野の維持・拡大を目指す。
(「若者の狩猟離れ」が深刻化)
クマの目撃情報や被害が相次いでいる。5月27日には秋田県仙北市で61歳の女性が襲われる被害が発生し、6月3日にも福島県会津若松市の中心部でクマの目撃があった。人の住む場所でクマが目撃された場合、市町村は各地域の猟友会に駆除依頼をする。会員がクマを射殺することで人間や民家、畑などの被害を食い止める訳だが、その猟友会が今、深刻な人手不足と高齢化に悩んでいる。猟友会は、銃やわな、網などの狩猟免許保持者による団体で、野生鳥獣の駆除や保護に取り組んでいる。環境省の発表では、狩猟免許の取得者数は1976年の約51万8000人をピークに減少傾向にあり、2014年にはおよそ19万4000人と40万人も減っている。高齢化も深刻で、免許取得者のうち半数以上が60代以上。20代はごく僅かだ。大日本猟友会専務理事の浅野能昭さんは会員数減少の理由を「自然保護の潮流と銃規制強化の影響」と話す。キジ、カモなどの野生生物は狩猟対象として見るのが一般的だったが、1971年の環境省設立を機に、世の中が動物の保護・保全といった視点に変化していったという。銃は、免許の取得から所持申請まで手続きが煩雑で、新たに持つ人が少ないのだそうだ。狩猟免許は散弾銃やライフル銃などの「第一種銃猟免許」、空気銃の使用を許可する「第二種銃猟免許」、「わな猟免許」、「網猟免許」の4種類に分かれている。どの免許を取得するかは自由だが、かつては第一種・二種の免許取得者が最も多く、狩猟免許取得者の9割以上を占めていた。それが今や、半分程度にまで落ち込んでいる。会員の減少と高齢化がこのまま進めば、効果的なクマの駆除が出来なくなる恐れもある。警察官の持つ拳銃では威力が弱いため、クマの射殺は不可能だ。手負いにすれば反撃される危険性がある。「猟銃を使って一発で仕留めるのが、最も安全な駆除方法。我々にしかできない仕事です」と、浅野さんは猟友会の活動意義を強調する。近年ではジビエ料理が浸透し始めたこともあり、鹿やイノシシなどは仕留めた後売られるケースもあるが、クマは規制上、肉も毛も売買されることはほとんどないそうだ。会員数減少を重く受け止めた猟友会や自治体は、会員獲得に乗り出している。秋田県は2013年から狩猟免許の試験日を休日に設定し、平日働いている人が受験しやすいようにした。翌2014年からは若者に狩猟の魅力を伝えるための特別フォーラムを実施し、年配の猟友会会員にやりがいを話してもらったり、ジビエ料理の試食を開催したり、社会貢献性の高さをアピールしたという。その甲斐あってか狩猟免許合格者数は年々増加し、昨年2016年には108人と3桁を超えた。県自然保護課の担当者は「辞める人のほうが多いので猟友会の人数はすぐには増えない」と言うが、「若い人は増えつつある」と、吉報であることは間違いないようだ。大日本猟友会も2013年に「目指せ!狩りガール」というウェブマガジンを作り、女性への訴求に取り組んだ。統計を取っていなかったためキャンペーンの効果を正確に把握するのは難しいものの、2015年に全国で1183人だった女性会員は、翌年には1571人と約400人増えている。猟友会には、増え続けるシカやイノシシの数を適正化することで、農作物や植物への被害を食い止め、生態系を維持するという役割もある。駆除に対する報酬が無い市町村も多いため、活動はほとんどボランティアのようなものだが、興味のある人は、免許取得を検討しても良いかもしれない。
(わな捕獲技術の向上を、初心者猟師向けパンフ:香川)
県は、初心者のイノシシ猟師に向け、捕獲技術などを伝える2種類のパンフレットを作成した。県内のイノシシは増加傾向とされるが、近年出没が増えている市街地近くでは猟銃を使いづらい場合もあり、わなによる捕獲技術の向上を狙う。「イノシシ捕獲技術プログラムVer.2」(A4判25ページ、5000部)は、わなの特徴から餌付け方法などを解説。
(狩猟免許、狩りガール急増で最多:奈良)
奈良県内で狩猟免許を取得している女性が2016年度末時点で62人と、過去最多に上っていることが、県への取材で分かった。ハンター不足による鳥獣被害が取り上げられたり、野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理が注目されたりしている中、狩猟に関心を寄せる「狩りガール」が急速に増えているとみられ、狩猟免許取得者を増やそうと取り組む県の担当者も「思った以上で、うれしい驚き」と喜ぶ。県内を含め、山に囲まれた紀伊半島内陸では古くから狩猟が盛んだ。県によると、記録が残る1979年度以降の県内の狩猟免許取得者数は、81年度には3368人を数えたが、その後は減少傾向となり、2000年代半ばには1600人台に落ち込んだ。60歳以上の割合が現在7割弱と高齢化も進んでいる。一方、ここ数年は2000人近くまで増え、盛り返しの兆しが見える。中でも注目されるのが女性ハンターの顕著な増加だ。00年代前半までは一貫して10人未満だったが、11年度に15人となり、13年度は25人、さらに14年度には34人。男性に対する割合こそまだ低いが、急増ぶりが目立つ。全国でも13年度に2600人超の女性が免許を取得した。環境省が狩猟フォーラムを各地で開催するなど、県も含めた行政は鳥獣被害防止の一環で若手ハンターの育成に取り組んでいる。ジビエ(野生鳥獣肉)の普及も狩猟への関心が高まる背景のようだ。奈良女子大の狩猟サークルに所属する大学院生、竹村優希さんは「地域に関する研究で野迫川村に行った際、狩猟のことを知って興味を持った。他大学にはジビエや狩猟をゼミ活動に取り入れている所もある」と話す。県猟友会の上田光彦会長は「もっと女性に興味を持ってもらい、若手ハンターの増加につなげたい。女性ハンターの横のつながりも作っていきたい」と話した。
(防げイノシシ被害、県が5カ年計画:茨城)
イノシシによる農作物被害が後を絶たないため、県は捕獲目標数を増やす。前期計画より2千頭多い年7千頭の捕獲を目指し、本年度から5カ年の「第6期イノシシ管理計画」を策定した。
(伊豆大島で野生の「キョン」増加、都が駆除強化へ:東京)
東京の伊豆大島で、シカ科の特定外来生物「キョン」が野生化して増加し、島の特産物であるアシタバなどを食べる被害が広がっていることから、東京都は駆除に力を入れることにしています。キョンは、中国南東部などに生息するシカ科の特定外来生物です。伊豆大島では島にある公園で飼育されていましたが、昭和45年の台風の接近により壊れた柵の間から10数匹が逃げ出して野生化し、その後、増加したということです。都によりますと、現在、島におよそ1万3000匹が生息しているものと見られ、およそ8000人の島の人口を大きく上回っています。増加とともに島の特産物であるアシタバやツバキを食べる被害が広がり、都は業者に委託して、昨年度2000匹余りを捕獲するなど駆除を続けていますが、農作物への被害は収まる気配はないということです。このため都は、ことし秋をめどに新たに業者や町民などからなる捕獲チームをつくり、キョンの駆除に力を入れることになりました。東京都は「生息数が増加傾向にあるのでゼロに向けて努力したい。また、これを機に、特定外来生物の扱いなどに一層気をつけたい」話しています。
(コウノトリ、守れなかった悔しさ:島根)
雲南市大東町で今年3月、国の特別天然記念物・コウノトリのペアの巣作りを確認してから観察の中心になったのは、雲南市教育委員会だった。市教委文化財課長、山崎修さん(52)は「サギの駆除で実弾を使っているとは知らなかった。猟友会への注意喚起まで思いが及ばなかった」と吐露する。「サギと間違えるはずがない」「もう雲南市には旅行に行かない」。市役所にも電話やメール、フェイスブックで多くの意見が寄せられた。今月2日までに市教委文化財課に届いたメールだけで110件以上。ほとんどが痛烈な批判だった。「意見には全て目を通している。まだ現在進行形で、振り返って考えるゆとりがない」と山崎さん。巣作りをしたコウノトリを気遣って、地元住民は、こいのぼりの掲揚や草刈り機の使用を一時期控えた。
(雲南コウノトリ、「弁解できない事故」:島根)
「コウノトリをなぜ死なせたのか」「鳥の種類を間違えるような人間に銃を持たせるな」--。雲南市で国の特別天然記念物・コウノトリがハンターの誤射で死んだのを受けて、県猟友会には県内外から多くの批判や苦情が寄せられた。留守番電話のメッセージが録音しきれないほど殺到した日もあったという。「絶対に起こしてはいけない事故を起こしてしまった。一般の人は銃を持つことができない。どんな理由を付けても弁解することはできない」。県猟友会副会長で、松江市猟友会長の細田信男さん(70)は、県や雲南市を訪れて謝罪し、再発防止策を説明した。県猟友会は5月24日、出雲市内で緊急役員会議を開いた。
(高山帯にシカ監視カメラ増設:奈良)
北アルプス・上高地(松本市安曇)へニホンジカが侵入している問題で、林野庁中信森林管理署(同市)は、岐阜県境の標高二千メートルを超す高山帯など計十数カ所に自動撮影カメラを八月にも設置する。監視体制の強化により、上高地への侵入・移動経路を把握してシカによる高山植物の食害防止対策に役立てる計画だ。同管理署が自動撮影カメラの設置を予定している高山帯は、岐阜県境の西穂山荘南にある「きぬがさ池」周辺(標高二、一八〇メートル)や焼岳の北にある中尾峠(二、一〇〇メートル)、同市安曇島々(しましま)から上高地に入る徳本(とくごう)峠(二、一三五メートル)など。東西からの上高地侵入路があると予測される地点だ。上高地内では、明神池の北東や徳沢園の北、横尾山荘の北などで梓川沿いの複数カ所に設置する計画。蝶ケ岳への登山口がある徳沢園周辺への設置は、登山道沿いに侵入してくるシカを警戒した対応とみられる。同管理署が、シカの侵入に対応して自動撮影カメラの設置を始めたのは二〇一四年度。初年度は四カ所で雄二頭、一五年度は十カ所で延べで雄五頭がそれぞれ撮影された。二年とも夏に設置して年内にデータを回収したが、三年目の一六年度は初めて十二月に設置して翌年六月に回収する「越年監視」に変更。場所も十二カ所に拡大した。春から夏にかけて上高地に入るシカの侵入経路を確認するのが目的で、近く回収する画像データに期待が寄せられる。同管理署にはシカの目撃情報や鳴き声、ふんの確認情報も寄せられている。本年度のカメラ設置場所は、これらの情報と一六年度の画像データを合わせて最終決定する。同管理署の岩塚伸人・総括地域林政調査官は「カメラは昨年度の十二カ所以上になる見通し。上高地の被害は初期段階だが、シカの絶対数が増えれば被害は深刻化する。時期を絞った簡易囲いわなによる捕獲も将来的な課題になる」と話している。
(シカ生息確認へ、カメラ設置:佐賀)
佐賀県内では生息していないとされていたニホンシカの目撃情報が相次いだことを受け、県は9日、3月に目撃された伊万里市木須町の採石場周辺など5地点に17台の監視カメラを設置した。シカの個体を確認するとともに行動範囲や生息の痕跡を調べ、農産物や山林への影響を食い止める。シカは食欲が旺盛で、あらゆる農産物に食害をもたらすだけでなく、食料が不足し始めると樹皮をはがし立ち枯れさせて山林を荒らすこともある。伊万里市での目撃情報に続き、5月上旬には佐賀市大和町松瀬の山間部でも登山客からの情報が寄せられた。監視カメラは、動いた物を感知すると自動的に撮影してSDカードに記録し、夜間も撮影できる。県や市の農林担当者がシカのものである可能性がある足跡やふん、木の葉や新芽をかじった痕跡があった地点を巡回し、近くにある木の幹などに手のひらサイズのカメラをくくりつけた。県伊万里農林事務所の桑原宏司副所長は「シカの個体数が増え過ぎると、農地にも出てきて大きな被害をもたらす可能性もある。今のうちに対策を打ち、人間とシカがすみ分けして適切な環境を維持したい」と話した。
(「シカ目撃」情報相次ぐ:山口)
住宅や交通量の多い宇部市南部で昨年から今年にかけて、シカの目撃情報が相次いでいる。生息数、生息域の拡大により、親元を離れた雄が市街地にまで行動範囲を広げているようだ。市農林振興課によると、霜降山や日の山には既に生息しているとみられる。
(イノシシ目撃相次ぐ:長野)
長野市篠ノ井などで11日、イノシシの目撃情報が相次いだ。警察によると目撃されたのは体長90センチ前後で、午前11時半までに長野市篠ノ井を中心に6件寄せられた。けが人は確認されておらず、イノシシは茶臼山の方向へ逃げて行ったという。
(鳥獣害を国会議員視察:福井)
自民党の農林漁業有害鳥獣対策検討チームが十一日、イノシシやシカによる農作物被害が深刻化している福井県若狭町の山間地を視察、被害状況や地域に与える影響の大きさなどを確認した。地元からは有害鳥獣の捕獲後の処理について、焼却施設の建設を求める要望が上がった。視察には宮路和明座長をはじめ、本県選出の高木毅衆院議員、松村龍二参院議員ら五議員が訪れた。捕獲隊や町担当者の案内で同町能登野など三カ所を視察。おりに掛かった状態のイノシシや、山ぎわに一帯に設置された電気さくなどを見て回った。JA三方五湖会館での意見交換会には、行政やJA関係者ら約百人が参加。嶺南六市町の被害状況などが報告された。各市町からは▽捕獲や処理費の増加に伴う財政支援▽高齢化で減少している狩猟者の育成対策―などの要望が挙がった。 また、捕獲した鳥獣について「環境面からも、現在の埋設処理より焼却が最善。広域的に利用できるような施設建設をお願いしたい」との要望が相次いだ。二○○六年の統計では、嶺南では若狭町で農作物の被害額が最も多く、約一千万円にのぼる。イノシシとシカは各約千頭ずつが捕獲され、処理費用に三千三百万円を要したという。
(ミロクが中間決算、欧州向け猟銃好調:高知)
高知県南国市の株式会社ミロクは6月9日、2017年4月中間連結決算を発表した。主力の猟銃事業が好調であることに加え、付加価値の高い工作機械の販売増で、純利益は前年同期比115・1%増の4億8700万円になった。売上高は、14・1%増の65億1800万円。このうち猟銃事業は上下二連銃がヨーロッパで好調で、前年上期に発生したライフルの試射弾の入荷遅れもなく、11・0%増の40億7300万円。工作機械は1台当たりの単価が高いガンドリルマシンの販売が奏功し、10・4%増の13億2千万円。自動車関連は2016年1月から製造している3Dドライ転写ハンドルが押し上げ、33・3%増の11億3200万円となった。
(ジビエ加工施設が竣工:長野)
泰阜村は、昨秋から着工していた左京百年公園近くのジビエ加工施設が完成し、9日に現地で竣工式典を開いた。村が同村猟友会(森下操会長)に運営委託し、1日当たり最大5~6頭の解体処理能力。将来的には年間シカ200頭、イノシシ50頭の解体を目指し、質の良い肉処理加工で県内外へ販売展開する方針だ。同村田本の旧製材所を取り壊して建設した。木造平屋建ての延べ床面積約65平方メートル。搬入した個体を解体し剥皮・洗浄・内臓摘出する「解体室」や個体を食肉用に加工する「加工室」、適正温度で管理し熟成させる冷蔵室や冷蔵庫が完備される。県林務部鳥獣対策・ジビエ振興室の佐藤繁室長によると、同様のジビエ加工施設の竣工は県内で30カ所目となり、市町村営での建設は初めて。銃弾などの金属片が購入していないかを検査する金属探知機の導入は珍しく「より安全安心な加工品の提供を行うことができる」と話す。建設費は約3160万円で、うち1140万円を国の2016年度鳥獣害防止総合対策交付金でまかなった。同猟友会によると、東京の飲食店など関東・関西方面に販路を見出し、村内外に広く販売していく。会員が当番制で常駐し、加工品を同施設で直接販売することもできる。施設専任でシカの有害獣の皮を利用した商品開発「けもかわプロジェクト」に携わる井野春香さん(29)は「これまで自家処理していた肉を、安心した商品として販売できることに感謝したい」と話した。村は品質の信頼性を高めるため、県と信州ジビエ研究会が行う「信州ジビエ認証制度」にも申請する予定。来賓も含め約70人が出席した式典で松島貞治村長は「まずは村内で捕れたシカの50%の有効活用を目指したい」として販路開拓に注力する考えだ。
(小豆島ジビエをおいしく:香川)
香川県小豆島で急増しているイノシシやシカの獣肉加工場の建設を、文筆家でイラストレーターの内澤旬子さん(50)が計画している。島には獣肉をさばく施設がなく、捕獲された多くが捨てられてきた。内澤さんは「おいしく食べてもらい、小豆島ジビエを広めたい」と寄付を募っている。内澤さんは、口にする肉がどう作られているのか、世界中を巡ってルポした「世界屠畜(とちく)紀行」の著者。2014年に東京から小豆島に移住し、わな猟と銃猟の免許を取得。有害鳥獣として島の猟仲間や自身がしとめたイノシシやシカを解体して食べてきた。小豆島でイノシシが増えたのは最近のことだ。小豆島町によると、江戸時代には集落を守る「しし垣」が張り巡らされていたが、明治時代に豚コレラの流行などで絶滅したとされる。しかし、08年に海を渡るイノシシが撮影され、翌年には実際に島内で捕獲された。その後は増える一方で、昨年度の捕獲頭数は1687頭に上る。被害は島の特産のオリーブにも及んでいる。しかし、島には食品衛生法に基づいた食肉処理などができる施設がない。ジビエとして流通させられず、9割以上がごみとして埋められてきた。内澤さんは、島で塩づくりをしている猟仲間の蒲(かば)敏樹さん(38)らと小規模な加工場を造ることを計画。工事費や冷蔵冷凍設備の購入に約250万円かかるため、3月にネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。目標は解体の技術研修費なども含めて300万円で、期間は6月30日まで。寄付には3千~5万円の5コースあり、獣肉の優先販売や内澤さんのイラスト原画のプレゼントといった特典がある。5月末現在、約260人から230万円あまりが集まった。内澤さんは「小豆島のイノシシやシカは脂がのっていてうまい。交流のある東京のレストランで1頭丸ごと食べる会などを企画したい」と話す。10月ごろに加工場を完成させ、許可などを得て来年2月ごろに試験販売を始めたいという。

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(サル出没、小学生の足をつかむ:福島)
いわき市でサルの目撃情報が相次ぎ、小学生がサルに掴まれる被害も出ている。「小学校の通学路にもなっていて車通りも非常に多いこの場所で、下校中の児童2人がサルに足を掴まれたということです」児童がサルに足を掴まれるなどしたのは、いわき市小名浜の住宅街。おとといの午後3時ごろ、下校中の児童2人が、背後から近寄ってきたサルに足をつかまれ、軽い引っかき傷を負った。いわき市では、4月からの2か月間に約170件のサルの目撃情報が相次いでいて、市では、同一のサルが動き回っているとみて、付近の学校に注意を呼びかけている。
(クマが民家の外壁を壊す:秋田)
県内では、連日クマの目撃情報が寄せられています。8日は横手市の高校近くにクマが出没しました。さらに秋田市河辺の民家では、クマによって外壁などが壊されているのが見つかりました。住民が当時の状況を語りました。クマが現れたのは、秋田市河辺の桃ノ木沢地区にある民家です。住民は「泥棒だと思った。」「ガタンガタンガタンっていう音と、こっちのほうが金づちでバリンバリンバリンっていう叩くような音がした。それがずっと続いた。15分間。」と、当時の状況を語るのは、この家に住む佐々木文子さん。午前2時すぎに異様な音で目を覚ましたといいます。明け方になって佐々木さんが外を確認すると、木製の外壁が破壊されているのを見つけました。クマは近くの蜂の巣を狙ったとみられています。一方、横手市では、横手城南高校の校舎裏の斜面でクマ1頭が目撃されました。斜面は隣接する横手公園の一部で、クマは横手城の方向に立ち去ったということです。クマの目撃情報を受けて横手市では横手公園の3か所にクマへの注意を呼びかける看板を設置しました。横手市農林整備課の桐原稔さんは「人が集まる公園ですから、立て看板を建てておかないと。」と話しました。警察では横手市や地元猟友会と連携して現場周辺のパトロールを行い、公園の利用者や付近の住民などに注意を呼びかけています。
(クマ出没相次ぐ:北海道)
石狩市内で6、7の両日、クマの出没が相次いだ。けが人は出ていないが、市や道警などは注意を呼び掛けている。北海道猟友会札幌支部石狩部会によると、1頭のクマが移動しているとみられる。6日朝、船場町のゴルフ場「札幌ベイゴルフ倶楽部」のコースのバンカーで、クマとみられる幅15センチの足跡が発見された。同日夜にも、ゴルフ場付近の道路沿いのやぶにクマがいるのを車で通りかかった男性が見つけた。現場は石狩中から東に約2キロの地点。7日も目撃が続いた。午後、近くを流れる石狩川の対岸の北生振にある民家納屋に、クマがいるのを近くの住民が発見、札幌北署に通報した。同署によると、体長は約1・5メートルで、南東側のささやぶに逃げていったという。
(ヒグマ基本計画、市街地侵入防止に重点:北海道)
札幌市は、ヒグマの市街地への侵入抑制策を中心とした「さっぽろヒグマ基本計画」(2017~21年度)を初めて策定した。市などの調査により、市街地周辺で繁殖、定着しているクマが多数確認されており、市街地への出没が懸念されている。計画は、人の生活圏とクマの生息域を分ける「ゾーニング(区域分け)」の考えを導入し、ゾーンごとの対応をまとめた。市は15年から酪農学園大(江別)、道立総合研究機構(札幌)と合同で市街地周辺のクマの生息調査を始めた。16年は過去に出没のあった手稲、西、中央、南、豊平、清田の6区で、市街化区域から約4キロ圏内の山林の25カ所にカメラを設置し、計33頭を確認した。生息域が市街地周辺に迫りつつあるため、計画は市街地への侵入抑制策に重点を置いた。ゾーニングは人間が生活する住宅街などの「市街地」、山林に接した小規模な集落や農地がある「市街地周辺」、クマの生息域の「森林」の3ゾーンに分類した。特に市街地と森林の間に位置する「市街地周辺」を、緩衝帯として重要と位置づけた。ごみ出しルールの順守を呼び掛けるほか、農地や家庭菜園への電気柵の普及、クマが隠れやすい茂みの伐採を進めるなどして、市街地にクマが近づきにくい環境をつくる。出没時の対応としては、基本的に不要な捕獲はしないこととした。環境管理担当課は「市街地に引き寄せない対策ですみ分けを進め、クマとの共生を目指したい」としている。計画はA4判のパンフレット2冊にまとめた。取り組みの考え方を示した「方針編」と、具体的な対策を盛り込んだ「手引き編」がある。区役所などで無料配布しているほか、市のホームページにも掲載している。
(動物型ロボットかかし、里山巡回しクマ威嚇:秋田)
クマによる人的被害が県内で相次ぐなか、秋田県立大システム科学技術学部の斎藤敬(たかし)准教授(47)=医療工学=が里山などを自動巡回し、クマなどの鳥獣を威嚇して寄せ付けない「動物型ロボットかかし」の開発に取り組んでいる。「これまで培った技術で人の命を助けたい」と、今年度内の実用化を目指している。「ガシャ、ガシャ、ガシャッ」。大きな機械音をたてながら、8本の足が前後に素早く移動する。さらに上部のステンレス製の伸縮アームは、上方に最大2メートルまで伸びる。この足とアーム部分はそれぞれ特許を取得している。見た目も動き方も“未知の生物”のようだ。リモコンで操作していた斎藤准教授は「動物は予測できない動きや音を嫌うため、近づいてこない」と説明する。このロボットの名称は「しろやぎ」。以前所属していた研究室で飼っていたヤギにちなんだ。ヤギに近づけてみると、普段は物音に動じないにもかかわらず、驚いて足踏みをしたり、首をふったりした。「おとなしいヤギが反応したのだから、クマなどにも効果があるはず」と語る。専門は元々、細胞や神経などの研究。その後、神経の情報伝達によって義手や義足を制御する技術開発に着手し、屋根の雪下ろし用や航空機産業用ロボットなどにも挑戦してきた。原点は、少年時代から好きな機動戦士ガンダムやマジンガーZなどのロボットアニメという。県内で昨年からクマに人が襲われる被害が相次ぎ、「自分の技術が役立つのでは」と本格的な実用化に向け、一念発起。インターネットでのクラウドファンディングで約250万円を集め、量産に向けて地元企業と提携を進めている。現在新たに試作機を手掛けている最中で、「多くの人たちに届くには、コスト削減が必要」として、特注のパーツを極力減らすつもりだ。コストを下げても質にはこだわりたいという。集落や里山などの斜面をスムーズに移動できるよう、転倒防止のモーターや車輪を取り付け、機能性を追求する。「最終的には、高齢者向けの電動シニアカー程度の大きさで、無人で巡回できるようにしたい」と意気込んでいる。
(ジビエ助成に2事業者選ぶ:岡山)
岡山県は7日、ジビエ(狩猟肉)の加工品開発や販路開拓に挑む事業者への補助制度で、飲食店経営のアールイーエヌ・コンセプト(岡山市)と高梁川流域のまちづくりに取り組む一般社団法人・水辺のユニオン(倉敷市)の2事業者を選んだ。アールイーエヌ社は本年度中に新見市内で捕獲したイノシシの肉を使って新メニューを開発し、岡山市中心部の飲食店7店で提供する予定。新メニューのPRイベントも同市内の大型商業施設で開催する。水辺のユニオンは、新見市のイノシシ肉を使用した缶詰2種類の開発に取り組む。独自のパッケージデザインを施し、東京で開かれる商談会などに参加して販路開拓を図る。補助額はいずれも最大で70万円。県は4月から助成先を募り、応募した12事業者から計画の実現性や話題性を考慮して選んだ。
(鹿革の伝統工芸「甲州印伝」で財布製作:兵庫)
神戸・元町商店街の革小物店「スタジオキイチ」(神戸市中央区元町通6)の片山喜市郎さん(34)が、害獣とされるニホンジカの革と山梨県の伝統工芸「甲州印伝」を組み合わせた財布とカードケースの製作に協力し、販売を始めた。若者好みのスタイリッシュなデザインを施した商品。片山さんは「歴史ある伝統工芸に携われて光栄。神戸の工芸品をアピールするヒントになれば」としている。片山さんは昨年、神戸市が主催する商品開発の勉強会「ものデザインコラボLAB(ラボ)」に参加。講師を務めた大阪市のデザイナー金谷勉さんを通じて、農業被害などが問題となっているシカの駆除対策と伝統工芸を活用した山梨県の取り組みを知り、財布製作の依頼を受けて快諾した。「甲州印伝」は、鹿革に漆で模様付けをして加工した、山梨で江戸時代から続く工芸品。山梨県内で捕獲されたニホンジカをなめした後、片山さんが縫製し、山梨・甲府市の工芸士山本裕輔さん(34)が漆付けを手がけた。鹿革での縫製に初めて取り組んだ片山さんは「革にふかふかとした厚みがあって手触りが良く、長く使える素材」と評価し、山本さんは「伝統工芸も今後は、素材の出どころや製作の工程が分かりやすい商品が求められる。その一助になれば」と説明する。デザインはシカが描かれた「ペイズリー」のほか、鹿子や迷彩柄の3種類で、金谷さんが担当した。真っ白でおしゃれなイメージを前面に出し、従来の甲州印伝の愛用者層より若い30~40代をターゲットにしているという。9日から販売を始める第1弾では、財布(3万2400円)とカードケース(1万6200円)各40個を売り出す。鹿革の安定供給などが課題になるというが、秋ごろには色違いの商品を販売予定だ。片山さんは「伝統工芸や害獣対策について考えさせられる事業に協力できた。神戸でも類似の取り組みができたらおもしろい」と期待している。
(高校生がシカ肉レシピを考案:和歌山)
日高川町西原の日高高校中津分校(池田尚弘校長)では、シカ肉をPRして町の観光につなげようと、新たなレシピ作りを行っている。7日には2年生32人が地域おこし協力隊の村越拓也さん(27)とともに試作品作りを行い、4品が完成。考案したメニューは7月から有田川町にある飲食店で販売を予定しており、利益を得ることで働くことの意義も学習する。同校のゲストティーチャーとなっている村越さんが本年度の取り組みとして「生徒たちが実際に利益を得ることで働くことの意義を学んでほしい」とし、学校と協議。狩猟免許を持っておりシカ肉の加工も行う村越さんが肉を提供し、生徒が考案したレシピを飲食店で販売し利益を得ることで、仕事のやりがいを学んでもらおうと実施を決めた。レシピは生徒たちが7班に分かれ、インターネットなどを使って考えた。7日には、考案してきたローストビーフや餃子、串焼き、ピザ、ライスボールなどを調理。村越さんにアドバイスしてもらいながら味付けや焼き加減など試行錯誤しながら完成。全員で試食し、味など納得いく料理としてピザと肉巻きおにぎり、餃子、お茶漬けの4品を選んだ。販売に協力してくれるのは同校教諭の友人で、有田川町野田で多国籍料理を提供しているバル「サカズラ」の三葛心店長。生徒が考案したレシピから店で提供できるものを選び、7月からメニュー化。生徒のレシピの商品が注文された場合、売り上げの一部を学校に還元。学校では売り上げでスポーツ備品などの購入を検討。またバルでの売り上げが好調だった場合、日高川町内の飲食店、またイベントでの出店販売など、新たな展開も考えている。
(地域課題解決、若い力で:富山)
南砺市南蟹谷地区のイノシシによる農作物被害やギンナンの収穫量減少といった地域課題に取り組んでいる県立大の学生が八日、現地を訪れ、住民たちから現状を聞いた。今後も市職員や住民と連携し、解決に向けた具体策を探る。県立大は文部科学省の地(知)の拠点整備事業(COC)の一環で地域貢献に力を入れている。同市とは四月に包括連携協定を結んでおり、工学部の福原忠教授に学ぶ一年生の有志が、南蟹谷地区の地域課題解決に取り組んでいる。この日は十一人の学生が訪問。イノシシ対策として地区内に設置されている電気柵や、特産のギンナン畑を見て回った。その後、近くの公民館で意見交換会が行われ、電気柵に伸びた雑草が触れて漏電する問題について、学生たちは「自動草刈り装置を設置」「雑草の繁殖を抑えるカバープランツ(被覆植物)を栽培」などの提案をした。学生は七月に電気柵の設置、十~十一月にギンナン収穫の手伝いをする予定。同地区自治振興会の西村信三会長(68)は「高齢化で人手が足りないので助かる。自然豊かな場所で学生にも学んでもらえたら」と話している。

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(農作業中の女性クマにかまれる:宮城)
5日午前9時20分ごろ、宮城県栗原市栗駒松倉小屋敷の畑で、農作業をしていた女性(79)がクマに襲われ、後頭部をかまれたり、転んだ際に腰の骨を折るなどのけがをした。若柳署によると女性は意識があり、命に別条はないという。現場は栗駒山に近い里山で、本年度の県内でのクマによるけが人は2人目。県自然保護課によると、本年度はクマの出没件数は5月25日現在で109件。クマの目撃情報は8月に向かって増えるといい、県や若柳署は注意を呼び掛けている。県内では5日午後4時半ごろ、加美町宮崎南でクマ1頭が目撃された。
(“手負いのクマ”に警戒呼びかけ:北海道)
道東の白糠町で、6日朝にシカ猟をしていたハンターが遭遇したクマに発砲し命中しました。しかしクマはその場からいなくなり、警察が警戒を呼び掛けています。クマが目撃されたのは白糠町上茶路の国道392号付近の山林です。午前7時前シカ猟をしていた63歳の男性ハンターが、3頭の親子グマと遭遇しました。「エゾシカ猟をしていたハンターは、親子グマと遭遇し、そのうち1頭が向かってきたため発砲したということです」弾が命中したクマはその場に倒れましたが、30分後にハンターが仲間を呼んで戻ってくると、3頭ともいなくなっていたということです。警察は手負いのクマは危険だとして警戒を呼び掛けています。
(牡鹿半島シカ食害増、解体・加工施設が開業へ:宮城)
宮城県の牡鹿半島・石巻市小積浜で、県内初となるシカ専門の解体・加工施設が7月にオープンする。半島ではシカの増加による農林業被害や生態系への影響などが問題となっており、年間300頭を目標に捕獲して増加を抑えつつ、食肉として加工し、飲食店などに卸す。近くの離島・金華山でシカは神の使いとされ、半島では食べる習慣もほとんどなかったが、山を守るために鹿肉普及を目指す。施設は、半島で芸術と音楽と食の祭典を今夏開催する一般社団法人「リボーンアートフェスティバル」(石巻市)などが整備、運営する。延べ床面積約92平方メートルの木造平屋建てで、東日本大震災で被災し、人が住めなくなった元集落地の一部を市から借り受け、すでに着工している。解体・加工設備のほか、将来的には住民や観光客らが集える屋外デッキ、猟犬のドッグランなども設ける。宮城県などによると、シカは離島・金華山で古くから神の使いである「御神鹿」として大切に扱われてきた。半島でも古くから生息してきたが、漁業中心の暮らしの中で食肉として定着せず、1965年から県獣に指定され、生態への影響が大きいメスジカが長年保護されてきた。しかし、温暖化に加え、野犬などの天敵や猟師の減少が影響し、生息数(推定)は2014年に10年前の7割増となる約7900頭に上った。十数年前までは半島以外での目撃例はほぼなかったが、近年は石巻市内陸部や気仙沼市、登米市、南三陸町でも出没し、15年度の農林業被害額は約2900万円に上った。山の植物を食べたり、踏んだりして荒らすほか、シカと衝突した車が破損する例も相次いでいる。宮城県は07年度からメス狩猟を解禁し、15年度から年間1920頭以上の捕獲目標を掲げている。ただ、県猟友会石巻支部によると、地元では肉や皮の需要も少ないため、捕獲した後、土に埋めるケースが多いという。施設では保冷車を現場に回しながら、猟友会が捕獲後に血抜きしたり、内臓を除去したりしたシカを良質な状態で確保し、処理する。施設の運営を担う同法人フードディレクターの目黒浩敬さん(39)は「鹿肉を普及させ、シカ猟を盛んにすれば、山を守り、その伏流水がもたらす豊かな漁場の維持にもつながる。『循環』をテーマに施設を軌道に乗せたい」と話す。猟友会メンバーとして運営に携わる小野寺望さん(49)は「食うための狩りという本来の姿を取り戻したい」と意気込んでいる。
(郊外での捕獲、文化庁が許可:奈良)
シカによる農作物の被害対策として、県が文化庁に申請していた奈良市郊外でのシカの捕獲について、文化庁が許可を決定したことが6日、県への取材で分かった。被害が多い市北東部と南東部の2地区で今年度に120頭の捕獲が認められた。県は7月に捕獲を開始する方針という。
(シカ長距離輸送、採算性確認:北海道)
道は、囲いワナで捕まえたエゾシカを生きたまま300キロ以上離れた肉処理加工施設まで運ぶ長距離輸送モデル事業の結果をまとめた。シカの一時保管場所を設けることで一度に運ぶシカの頭数を増やし、輸送コストを削減。輸送時に負傷したりしないよう工夫することで、肉質の悪化も防ぐことができたという。モデル事業は2015、16年度に計約630万円をかけて行った。15年12月14日~16年2月29日に上川管内中川町内で20頭を捕まえ、オホーツク管内斜里町内の肉処理加工施設まで約350キロを輸送した。16年10月20日~17年1月13日にも日高管内浦河町内で3頭を捕獲し、斜里町内の施設まで約370キロを運んだ。採算性を考えると一度に多くのシカを運ぶ必要があるが、囲いワナでは一度に1、2頭しか捕まえられない。このため、囲いワナの隣に一時保管場所を設け、一定の頭数に達するまで入れておけるようにした。道によると、今回の事業で、囲いワナを除いて一時保管場所の設置や輸送にかかった経費を差し引くと、15頭以上を一度に運ぶことを1シーズンに十数回行えば採算が取れるという。
(公園近くに2日続けクマ出没:秋田)
秋田市金足鳰崎の小泉潟公園近くで7日、クマが相次いで目撃された。付近では2日連続でクマが出没している。
(市街地でイノシシ目撃:富山)
6日夜高岡市の県道の交差点近くでイノシシが目撃されました。市や警察は、7日朝も周辺をパトロールしましたが今のところ捕獲には至っていません。「6日午後6時半ごろイノシシが目撃された現場です。イノシシはこちらから小矢部川方面へ向かって逃げていったということです」 「はじめ犬かと思ったらイノシシ。ちょっとびっくりしましたね」6日午後6時50分ごろ、高岡市米島(よねじま)の県道の交差点近くで「イノシシが歩いているのを見た」と通行人の男性から警察に通報がありました。警察や地元自治会などが近くをパトロールしましたがイノシシの足跡や痕跡は見つかりませんでした。イノシシの目撃から一夜明け、7日朝も、警察が付近のパトロールにあたりましたが、今のところイノシシの捕獲には至っていません。現場は万葉線米島口(よねじまぐち)近くの市街地で、およそ1・5キロ先には能町(のうまち)小学校があります。小学校では6日夜、児童の保護者にメールを送り、注意を呼びかけました。市や警察は引き続き目撃場所の周辺をパトロールし、注意を呼びかけることにしています。
(札幌市街地周辺、クマ33頭生息:北海道)
札幌市の市街地周辺にある山林で広範囲にわたって、少なくとも計33頭のヒグマが生息していることが札幌市、酪農学園大(江別)、道立総合研究機構(札幌)の合同調査で分かった。確認されたうち11頭は子グマで、市街地周辺で多数のヒグマが繁殖、定着している実態が明らかになった。札幌市街地周辺を網羅したヒグマ調査は初めて。調査は昨年5~11月、過去に出没情報があった手稲、西、中央、南、豊平、清田の6区で、市街化区域から約4キロ圏内にある山林全域を対象に行った。25地点に自動撮影カメラを設置し、カメラに写るように有刺鉄線を巻いたくいを打った。カメラの映像や鉄線に絡んだ体毛のDNA鑑定で個体の確認、識別を行った結果、25地点のうち17地点のカメラで33頭が確認された。うち少なくとも7頭は成獣の雌で、合わせて11頭の子グマを連れていた。残りの15頭は性別が分からなかった。調査で見つからなかったクマも含めると、実際の数はもっと多いとみられる。
(クマ襲撃、現場は今:秋田)
「クマの事故があったので危険です。山に入らないで」。1日午前5時頃、女性がクマに襲われた現場付近で、仙北署員が男性に声をかけた。男性はいったん山から出たものの、100メートルほど離れた別の場所から入山し、あっという間に山の奥に消えた。秋田市から来たという男性(65)はこの日、午前5時から10時まで入山し、タケノコ(ネマガリダケ)約20キロを収穫した。秋田市内の直売所に卸しており、約1万6000円になる計算だ。他の山菜なども含めて年間約80万円を稼ぐ。受け取る年金は年に約90万円。男性は「タケノコをとらねば、生活できねえんだ」と嘆く。これまで数え切れないほどクマに遭遇してきた。林道で出会い、尾根を滑って、難を逃れたことも。「何があっても仕方ない。クマじゃなくて山に入る俺らが悪いんだもの」と話す。昨年以降、クマに襲われて死亡した男女5人はいずれもタケノコ採りだった。県自然保護課によると、タケノコはクマの好物でもあり、クマと遭遇する恐れが高いという。ササやぶは見通しが悪く、下を向いて黙々と作業をするため、視野が狭くなりがちだ。ラジオや鈴の音もササの音にかき消されて遠くまで届かないことがある。危険を承知で入山する“プロ”もいる一方、レジャー感覚でタケノコ採りを続ける人もいる。この日、県道を少し走ると、鹿角市との市境には道路脇に数台の車が止まっていた。「玉川周辺は山が広く、タケノコが豊富」。車内で着替えをしていた無職男性(79)は、仙台市若林区から訪れた。定年後、毎年車で秋田を訪れ、山菜を採りながら温泉巡りをするのが楽しみだという。男性は青森市出身で、山菜は大事な保存食。子どもの頃から両親とともに地元でタケノコを採り続けてきた。「毎年、この時期になると、ニョキニョキと生えたタケノコが目に浮かぶ。居ても立ってもいられなくなるんだよ」と苦笑する。入山の際は大きな声を出し、木でやぶをたたいて音を出してから入る。「奥まで行かないようにしている。気を付ければ大丈夫」と語る。県警などは、事故翌日から毎日、現場周辺をパトカーで巡回。休日は現場へ続く国道でチラシを配り、入山自粛を呼びかけている。事故現場を管轄する仙北署の小松伊太郎副署長は「『鈴を持っているから大丈夫』、『奥まで入らないから安心』ということはない。粘り強くクマの危険さを伝えていきたい」と話している。昨年5~6月にクマに襲われたとみられる男女4人が死亡した鹿角市十和田大湯地区。周辺はクマ被害防止のため、看板の設置や道路の通行止めなどが行われている。「去年に比べて売り上げは半減。クマ騒ぎのせいだ」。2日、現場近くで入山者から直接山菜を買い、大館市のスーパーなどに卸している男性(74)は、そう言って頭を抱えた。男性によると、例年、1日に約20人が近くの山林からタケノコを持ってくるが、今年は半分に減ったという。「自分で採りに行くしかないな」。男性はそうつぶやき、山に入っていった。長年の経験があり、クマのふんを見つけたら場所を変えるなどしているため、「クマには襲われない自信がある」という。前日、近くの駐車場に止まっていたのは車数台だけだった。タケノコ採りに来た鹿角市の男性(69)も「例年は駐車場が埋まるくらい人がいる。昨年のクマ騒ぎで今年は訪れる人が激減した」と語った。男性は今年も、昨年被害があった場所と同じ山にタケノコ採りで入っている。毎年約10万円を稼ぐが、今年は趣味で山に入る人が減った影響で、以前より採りやすくなったという。「採り始めて10日だが、すでに去年より採れた。田舎にこんないい小遣い稼ぎは他にない。クマはおっかないがやめられない」という。昨年の事故の影響はスーパーにも及ぶ。鹿角市十和田大湯地区の山菜採りから直接タケノコを仕入れているスーパー「せきや」(秋田市)では、入荷量が2割程度減っているという。消費者の需要は高く、担当者は「自分で採ったりお裾分けでもらったりする分が手に入らなくなり、スーパーに買い求める人が増えた」と語った。一方で、「タケノコの量は例年と変わらない」と話す業者もいた。山菜加工業者「岩船屋」(鹿角市)では毎日、10人~15人ほどの山菜採りから買い取っているが、社長の岩船勝広さん(56)は「昨年の鹿角の現場近くで採る人は減ったようだが、うちに持ってくる人の中には八幡平や八甲田山に場所を変えている人もいる」と説明した。県内では今年、大仙市や羽後町でも山菜採りをしていた人がクマに襲われてけがをしている。県立大の星崎和彦准教授(46)(森林生態学)は「過疎化した中山間地域などでは、クマが人里近くで活動しやすくなっており、クマの生息域が広がっているとみられる」と指摘した上で、「北東北の山はどこでもクマに襲われる恐れがあり、被害にあった場所を避ければ安心というわけではない」と警鐘を鳴らしている。
(相次ぐクマ出没、専門家「入山控えて」:北海道)
全国的にクマの出没が相次ぎ、山に入る際は一層の注意が必要だ。道内でも今年4月、釧路管内標茶町の山林で山菜採り中の男性がクマに襲われ、大けがをした。クマよけ用の鈴が効かない個体もおり、専門家は入山を控えるよう呼び掛けている。道警釧路方面本部によると、十勝管内の今年の目撃件数は5月末までで14件(前年比3件減)。釧路管内は19件(同2件減)、根室管内は8件(同1件減)と減少傾向にある。ただ、4月16日には標茶町で、山菜採りで入林した男性が親子グマ3頭に襲われ、頭部を負傷した。男性は熊鈴を2個持ち歩いていたが、迷彩服を着用していたという。釧本では「鈴を付けるほかにも、目立つ服装で人間の存在を知らせて」と呼び掛ける。クマの生態に詳しい帯広畜産大学の栁川久副学長によると、5、6月は冬眠から覚めたクマが新たな縄張りを求め、活動範囲を広げる時期。事実、十勝管内では2年前のこの時期、音更町木野の市街地でもクマの出没が相次いだ。狩猟でのシカの残骸などが山に残り、それを餌とするクマの個体数は増えているという。被害を防ぐにはクマに遭わないことが大前提だ。栁川副学長は入山自体を控えるようにも呼び掛け、「川沿いが(クマの)移動の通り道になっており、河畔林や防風林などに近づかないこと」とする。山菜採りなどで入山する場合は「複数人で会話するなど、音を出しながら自分たちの存在を知らせることでクマは逃げていく」と助言する。入山前は道や市町村のホームページでクマの出没情報などをチェックし、万が一、クマに遭遇した場合は「距離を保ちながら慌てずに後ずさりすること」としている。
(イノシシ・シカ捕獲最多:栃木)
栃木県は6日、有害獣類であるイノシシやシカの捕獲頭数が2016年度は過去最多となったと発表した。イノシシは15年度に比べ76%増の1万3442頭、シカは25%増の8735頭を捕獲し、いずれも目標より多くなった。農林業への獣害が広がっているため、官民が連携して対策を強化する。イノシシは平地で主に稲や野菜などの農作物に、シカは山中でスギやヒノキの林などにそれぞれ被害を与える。獣類による農作物被害額は16年度が前年度比5%増の3億200万円で、うち51%がイノシシによるものだった。16年度のシカによる林業被害は幼木が多く、金額では5%減の2億1000万円だったが、面積では40ヘクタールと11%広がった。栃木県は年間の捕獲目標数をイノシシでは1万頭、シカでは7400頭と定め、狩猟を促している。シカの生息域が従来いなかった県東部の標高の低い山中にも広がっていることから、9日に官民が集う「県東地域ニホンジカ対策協議会」を立ち上げ、生息域拡大や林業被害を防ぐ対策を練る。
(カラス被害5000万円超:富山)
富山市の呉羽丘陵で生産される「呉羽ナシ」のカラスによる昨年の被害額が、2年連続で5000万円を超えたことが分かった。過去5年で最も低かった2013年と比べると、約2000万円の増加。6日の県議会農林水産委員会で、県が報告した。県によると、カラスによる農作物への被害は、イノシシなど主要鳥獣による被害の半分近くを占め、その大半が呉羽ナシへの被害。一五年は五千四百四十万円(百四十九トン)、一六年が五千六百四万円(二百五トン)だった。生産者は被害を防ごうと、一四年から、つやを消した黒色ワイヤを果樹園に張るなど対策を講じてきた。整備前の実証試験で、ワイヤを張った場所では被害が八割減ると証明されたが、被害が高止まりしていることに、県農村振興課の担当者は「ワイヤを張ったところは被害が減少したが、対策をしていない所にカラスが動いた可能性がある」と推測する。ワイヤ対策の資材費には国の交付金を充てることができ、これまでに作付面積百三十八ヘクタールのうち三七・九ヘクタールに設置。二〇年度までに七六・八ヘクタールに拡大して対策を強化する。果実に黒い斑点ができる「黒星病」は一昨年に深刻な被害をもたらしたが、今年五月中旬の発病率は、5・1%で昨年並みにとどまった。呉羽ナシの生産を巡っては、担い手不足の問題も深刻化し、作付面積は昨年までの十年間で三十ヘクタールも減少。生産者は三百四十二戸から二百九十一戸に減った。担い手の高齢化も進み、六十歳以上の生産者が占める割合は五割から七割に増えている。
(ナシ畑にカラス対策:富山)
県議会は6日、経営企画(筱岡貞郎委員長)、厚生環境(向栄一朗委員長)、農林水産(瘧師富士夫委員長)の3委員会を開いた。カラスによる呉羽梨の被害を防ぐため、県は2020年までに富山、射水両市のナシ畑の55%に相当する76・8ヘクタールに黒色のワイヤを張り巡らせる。
(ドローンでサル追い払え:岐阜)
「犬猿の仲」を利用して農作物を守れるか――。県は今年度、小型無人機「ドローン」に猟犬の鳴き声を発するスピーカーを取り付けて、サルを追い払う実証実験に乗り出す。実証実験は、郡上市で秋頃に予定。スピーカー付きのドローンを農村で飛ばし、サルを山奥へ追いやることができるかを試す。スピーカーから流す音声は、猟犬の犬種などによって、複数のパターンを用意。猟師などの専門家と一緒に実験結果を検証し、最も効果のある鳴き声を選んで、実用化を目指すという。県内の鳥獣による農作物被害額は減少傾向にあるものの、昨年度は2億7883万円に上る。このうち、サルの被害額は4885万円を占め、イノシシに次いで2位。県は2015年度、移動や設置の簡単なサル専用の囲いワナを開発して普及を図ってきたが、深刻な状況が続いている。県が15年度に行った調査では、県内にはサルが約4000~5400匹いるとみられる。駆除を進めると個体数が減り過ぎる懸念もあるため、生息域の移動を進めたいという。県鳥獣害対策室の酒井明彦室長は「里山に慣れたサルを、少しでも山奥に追いやることができれば」と話した。
(尾瀬で20年ぶり総合学術調査)
新潟と福島、栃木、群馬の4県にまたがる尾瀬国立公園で、約20年ぶりとなる第4次の総合学術調査が始まった。地形や生息する動植物のリストの作成といった基礎研究も65年ぶりに実施し、ニホンジカによる被害や地球温暖化の影響を把握し、今後の保全に役立てる。調査は平成31年3月までの3年間の予定。ミズバショウの群生地として知られる同公園には本州最大の高層湿原、尾瀬ケ原がある。近年は夏に見頃を迎えるニッコウキスゲのニホンジカによる食害が目立ち、湿原の掘り起こしなどの獣害も増えている。前橋市の尾瀬保護財団(理事長・大沢正明群馬県知事)が今回、学術研究者ら50人が参加する調査団を結成。尾瀬ケ原や周辺に生息する動植物のほか、小型無人機「ドローン」で上空から植生分布も調べ、尾瀬沼の水草の環境の変化などの把握に努める。調査が始まった5日、群馬県片品村の鳩待峠で調査団長を務める名古屋大の坂本充名誉教授は「ドローンを使った調査で尾瀬ケ原をデータベース化したい」とあいさつ。この日は、同峠付近から尾瀬ケ原に下る登山道周辺で植物を調べる様子を報道陣に公開した。動植物の基礎研究は、昭和25~27年の第1次調査以来となる。調査結果は動画や画像に解説を加え、インターネットで公開する。
(牛の放牧で農地再生、鳥獣被害の抑止を:福井)
福井農林高校の生徒たちが牛の放牧を始め、雑草を減らすことはもちろん、農地再生やイノシシ被害の防止を研究しています。牛がいることで、イノシシが現れなくなったということで、今後は鳥獣害の抑止効果を検証するということです。
(獣害対策の切り札は「オオカミ」?)
シカ、イノシシ、サルなどの野生鳥獣による農林業被害が深刻化する中、獣害の抑制や生態系の保護などのため、日本では絶滅したオオカミを復活させようと真剣に活動する団体がある。東京農工大の丸山直樹名誉教授(74)が会長を務める「日本オオカミ協会」(本部・静岡県南伊豆町)だ。全国に13支部があり、約600人の会員がオオカミに対する偏見をなくす啓発活動などを続けている。「本気で考えているとは思えない」という根強い反対意見があるのも事実だが、「オオカミを日本に再導入するための具体的な準備を進めていきたい」と丸山会長は意欲的だ。3月初旬に大阪市内で開かれた日本林業同友会の第63回通常総会。特別講演会に招かれた丸山会長は「オオカミ再導入によるシカ森林被害抑制の可能性について」と題して講演し、集まった林業関係者らにオオカミの復活を力強く説いた。シカなどによる多大な林業被害に悩む関係者らは、丸山会長の話に真剣に耳を傾けた。講演で丸山会長は、日本では100年以上前の明治38年に奈良県で確認されたのを最後にオオカミが絶滅したと説明。その理由として「一般的には伝染病に罹った、北海道で放牧されていたヒツジやウマを守るため駆除されたなどと言われているが、それほど単純なものではない」と話し、明治政府が「人畜に有害な蛮獸(ばんじゅう)で文明開化の邪魔者」として政策的に駆除したことが大きいと説いた。さらに、江戸時代の鳥獣保護策が破棄されて野生鳥獣の乱獲時代が続き、オオカミの餌となるシカやイノシシが減少し、オオカミが絶滅に追い込まれたのだという。オオカミの絶滅後も狩猟が盛んに行われていたため、シカやイノシシなどの増加は抑えられていたが、近年になって、農山村の人口流出▽猟師の減少や高齢化▽動物愛護精神の普及-などでシカ、イノシシなどが急増。近年は年間の農作物被害が約200億円に及ぶ状況になっている。「それだけでなく森林などの自然生態系、生物多様性に及ぼす影響は破壊的だ。シカの食害でササが山から消えたという話も珍しくはない。シカに植えたばかりの苗木の葉や幹がかじられ、林業に大きな被害も出ている」。丸山会長の熱弁に会場の林業関係者らは真剣な表情で聞き入った。日本オオカミ協会は、東京農工大で野生鳥獣の研究をしていた丸山会長がオオカミの復活を目指して平成5年に設立。生態学的な見地に立った普及活動や講演会、国内外での調査研究などを実施している。平成28年には日本各地で「日米独オオカミフォーラム」を開催し、3カ国の専門家によるシンポジウムや子供を対象としたイベントなども開いた。「オオカミは獸害対策の切り札になり得る。自然の生態系を復活させ、自然調節に任せるという考えだ。オオカミだけでは効果は出ないかもしれないが、狩猟や天然林の復活などと組み合わせれば、シカなどの増え過ぎを食い止めることは可能」と丸山会長。実際に米ではイエローストーン国立公園を含む北部ロッキー山地でオオカミ復活事業が実施され、シカの仲間のエルクの増加を抑える効果があったという。「日本でも実施方法さえ間違わなければ同様の効果が期待できる」と丸山会長は自信を示す。同協会は、米での成功例をモデルケースに、国内の一定の地域にオオカミを再導入。十分に管理しながらオオカミの繁殖を促し、広い範囲での生態系の回復を目指す。丸山会長は「賛同者も増えてきており、実現に向けた取り組みを進めたい」と、海外でオオカミ導入に成功した地域の調査など、具体的な動きを加速したいと話す。オオカミの復活には専門家を含めて根強い反対意見があり、丸山会長はそれも認識している。中でも大きいのが「オオカミは人を襲う」という間違った考えだという。「『赤ずきん』など童話のイメージが強くて、一般の人はオオカミは恐くて悪い獣と思い込んでいる。実際のオオカミは臆病で、人を襲うことはめったにありません」と強調する。こうした「赤ずきんちゃん症候群」を払拭するため、丸山会長や同会のメンバーらは講演会活動などで「赤ずきんちゃんは作り話。オオカミは人を襲いません」と繰り返しているが、「根強い恐怖感をなくすのは難しい」と頭を悩ませる。一方、専門家の間で指摘されるのが「そもそも獸害対策の効果があるのか」という意見。引き合いに出されるのが、沖縄や奄美大島でのハブとマングースのケースだ。毒ヘビ・ハブを退治する目的で導入されたマングースが実際はハブを食べず、ヤンバルクイナやアマミノクロウサギなどの島固有の希少種を食べていた。その結果マングースはハブ対策の切り札から、有害鳥獣へと転落してしまったという。それ以外にも、「外来種のオオカミを国内に導入することはむしろ生態系の破壊につながる」「管理するというが、オオカミが人や家畜を襲うことを完全に防げるのか」などの反対意見があり、「そんなことを本気で考えているのか」という専門家もいるほどだ。丸山会長は「反対意見には事実誤認も多い」と反論し、「獸害は日を追って深刻化しており、対策は待ったなしだ。やみくもに反対するのではなく、どうすれば安全にオオカミを導入できるかを真剣に考える時期に来ている」と断言する。確かに、早期のオオカミ再導入は課題が多く危険ともいえるが、行政も獸害に対する有効な対策が見いだせない現状を考えると、少なくとも検討に値する議論ではあると感じた。
(鈴やラジオを怖がらない、「新世代クマ」の恐怖)
秋田県仙北市の山中で5月末、女性が血を流して死亡しているのが発見された。遺体の状況からクマに襲われたとみられるが、クマよけ用の鈴を付けていたにもかかわらず被害に遭った。昨年は関東や関西地方の住宅地にもクマが出没しているが、惨劇を回避するにはどうすればいいのか。国道から30メートルほど入った山林で見つかった秋田県の女性(61)の遺体には頭部や腕、肩など上半身を中心に引っかかれたような傷が複数残されていた。女性はクマよけ用の鈴を2個付けており、鳴らしながら山に入っていたという。仙北市と地元住民で作る協議会は例年、市内の山林で1000円の入山料を徴収しタケノコ採りを許可していた。市の担当者は「今年も1日から山林を解放する予定だったが、逆に山に入らないよう呼びかけることになった」と話す。本州と四国の一部に生息するツキノワグマは、オスで最大1・5メートル、体重は60~100キロ程度。走るスピードは時速50キロに達し、鋭いツメで垂直の壁もよじ登る。出没地域は東北だけにとどまらない。5月には強盗致傷容疑の男らが栃木県内の山中に逃げ込んだところクマに遭遇、追跡中の警察と挟み撃ちになり逮捕された。昨年5月には、神奈川県相模原市の国道沿いのラーメン店のドアにクマが体当たりする騒動も。兵庫県でも昨年、集落にクマが近づくケースが増え、狩猟禁止を解除した。野生動物の生態・行動に詳しい元近畿大教授で宇部市ときわ動物園園長の宮下実氏は、クマによる事故が続発する理由を「里山が失われたため」だと指摘する。「昔は、農家が管理する里山がクマの住む山と、人間の住む街との『緩衝地帯』の役割を果たしていたが、現在はタケノコなどクマの好物を残したまま放置されている。タケノコ採りに出かけた人が事故に遭うのは、かつての里山がほとんどだろう」駆除にあたるハンターの高齢化や減少も問題だという。宮下氏は「クマは、鉄砲の音や火薬、ワナに使われる鉄のにおいなど自然にないものに敏感で恐れを抱く。こうしたものに触れる機会が減ったことで、人間とクマが遭遇する機会が増えているのかもしれない」と話す。宮下氏は、事故を避けるにはクマの生息地に立ち入らないことが一番だというが、「山菜採りなどを行う場合は、クマよけの鈴の音が常に鳴るように腕に取り付けるなど、自分の存在をクマに知らせ続けることだ」とアドバイスする。鈴やラジオの音を恐れない「新世代クマ」が登場しているとの見方もある。秋田県自然保護課は「クマは学習能力が高いので、人間が持っているリュックサックの食べ物を食べるなどしたことで、鈴の音を聞いて逆に人間に近づくクマも例外的にいるようだ。一度人間を襲ったクマはまた襲うとも言われているので、過去に被害があった地域は要注意だ」としている。昨年事故が起きたのもまさにいまの季節。注意しすぎても損はない。
(吉兆?白いキジ:兵庫)
兵庫県加東市下滝野、農業田中資敏さん(65)が自宅近くで、白いキジの撮影に成功した。専門家によると、遺伝子の突然変異で色素が失われる「アルビノ」の個体とみられる。田中さんは「白いキジに出合うのは初めて」といい、近所でも「珍しい」と話題になっている。5月下旬の夕方、農作業をしていた田中さんが100メートルほど離れた農地の草むらで動く白い何かを発見。すぐに自宅へ戻り、趣味で持っている望遠レンズ付きデジタルカメラを持ち出して約50メートルの距離から撮影。カメラのモニターで写真を拡大すると、雄のキジだった。全長約70センチとみられる。写真を確認した県立人と自然の博物館(三田市)の専門家は「雌とつがいになっているようだ。雌はあえて奇抜な雄を選んだことになり、非常にユニークな現象。繁殖していたらかなり珍しい」と関心を寄せる。田中さんによると近隣にはキジが多いといい、白いキジはその後もたびたび目撃しているが、人の気配を感じるとすぐに逃げるという。「もう少し近寄れたら、いい写真が狙えるのに」と田中さん。白いキジは吉兆との言い伝えもあることから「何か幸せなことでもあれば」と期待している。
(信州ジビエの料理、名古屋で7月にPR:長野)
県などは、名古屋市千種区のイタリア料理店「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ・ナゴヤ」で七月一~十五日に「信州ジビエキャンペーン」を開く。県産シカ肉を使ったパスタなど二種類が提供される。信州ジビエは県内や首都圏で提供されることが多く、中京圏でのキャンペーンは初めて。七月一日にJR各社や県などが展開する観光イベント「信州デスティネーションキャンペーン」が始まるのに合わせた。提供されるのは、高山村のシカ肉を使ったミートボールのパスタ「ポルペッティ入りトマトソース」と煮込み料理「ストゥファート・ポレンタ添え」の二品。三千八百円~六千八百円のディナーコースで選ぶことができる。メニューを考案した辻本達哉料理長は「試しに使った信州ジビエは鮮度がとても良かった。臭みが少なくて食べやすく、テリーヌなどにしてもおいしい」と評価。シカ肉料理と分かりやすい二品に絞り「一般にはまだまだ食べることの少ないシカ肉だが、気軽に食べる機会になればいい」と話す。同店は人気シェフ落合務さんがオーナーシェフを務める東京・銀座のイタリア料理店の支店。県鳥獣対策・ジビエ振興室の担当者は「有名店で信州ジビエのファンになり、県内を訪れた際にも店で味わってくれる人が増えれば」と期待している。
(大物害獣狙い、省エネ罠:徳島)
イノシシ、シカなどの野生動物による農作物被害が広がる中、小松島市間新田町の杉本辰男さん(65)が開発した特殊な罠わなが評判を呼んでいる。一般的な罠と違い、「体重30キロ以上」など捕まえたいサイズを調節できるのが特長で、甚大な被害を与える“大物”のみを狙える。近年は農家やハンターの高齢化が進み、獣害対策にも〈省エネ〉が求められており、杉本さんは「労力を減らせる効果的な罠。農家や農地を守る手助けをしたい」と話す。従来の罠では、被害の影響が少ない子どものイノシシや猟犬、キツネなど区別なく掛かり、取り外すにも労力がいることから、40年以上の狩猟歴を持つ杉本さんが「大物だけを狙えないか」と考え、開発した。罠は、土の表層に埋めて使用する。動物が罠の踏み板に脚を置くと、重みで仕掛けたワイヤが外れて動物の脚に巻き付き、捕まえる仕組み。踏み板に取り付けたストッパーの強度を変えることで、動物の重さに応じて仕掛けが作動する。特許取得済みで、2016年秋の県発明コンテストでは最優秀賞の知事賞に輝いた。杉本さんは狩猟期間の16年11月~17年3月、小松島市などの獣道で、30キロ以上の重さで仕掛けが動くように設定した罠を設置し、いずれも大物のイノシシとシカ20頭を捕獲した。2月上旬には、丸々と太った80キロと100キロのイノシシ2頭が掛かったという。業界紙やインターネットの口コミで存在を知った全国の農家などから問い合わせが相次いでおり、これまでに数十組が売れている。環境省などによると、全国の狩猟免許所持者(2014年度)は2005年度に比べて1万人減り、19万4000人。一方、被害額は同期比でほぼ同じ約191億円。近年は200億円前後で推移する。杉本さんは「獣害対策は継続することが重要で、手間や労力を減らす必要がある。効果的な罠が、徳島や日本の農業を守る力になればうれしい」と話す。ハンターの減少に伴い、獣害対策の〈省エネ〉化が各地で進む。動物の力を借りた対策も注目の一つだ。山口県萩市では「犬猿の仲」の言葉のごとく、犬でサルを追い払う対策「モンキードッグ」が行われる。同市は「農家が飼うペットの犬に、サル退治を担ってもらおう」と、専門的な訓練を施した結果、被害額が減少した。一方、滋賀県では、山と耕作地の間に設けた草地に羊などを放牧。「身を隠せない広い空間を嫌う」というイノシシなどの習性を利用し、草が食べられ見通しがよくなると、動物が山から下りてこなくなったという。関係者は「草刈りをする労力だけでなく、家畜に餌をやる手間も省ける。さらにのどかな景観も得られ、『一石三鳥』です」と話す。
(マタギ料理の居酒屋開店:東京)
居酒屋「半兵ヱ」などを展開する外食チェーンのドリームリンク(秋田市)は、東京・新橋に秋田県北秋田市のアンテナ店「秋田県阿仁のマタギ屋敷」を開いた。山中で狩猟を行う「マタギ」の料理を提供し、観光情報も発信する。JR新橋駅から徒歩2分のビルにオープンした。店舗面積は約190平方メートルで、カウンターやテーブルで計74席。クマ肉やキノコ、山菜などを使った「マタギ料理」のほか、きりたんぽ鍋やハタハタ、比内地鶏などの秋田料理を提供する。県内33蔵の地酒も用意し、年商8000万円を目指す。北秋田市阿仁地区(旧阿仁町)はマタギ発祥の地で知られる。同市阿仁猟友会などが協力し、店内にはマタギの衣装や古民家の民具などをあしらった。ドリームリンクはこれまでに東京・神田に「秋田県由利本荘市うまいもの酒場」、同・浜松町に「んだんだ 秋田県全25市町村うまいもの酒場」などを開いている。今後も自治体と連携し、首都圏で秋田をPRする。
(ジビエハンター:京都)
狙いを定め、猟銃の引き金を絞る。ズドンという音とともに衝撃が肩に食い込む。全身の血液がドクドクと脈打つ。仕留めたシカは皮をはぎ取り、肉を傷つけないよう丁寧にさばく。捕獲した野生鳥獣を食材としたジビエ料理が注目されている。シカやイノシシを“森の恵み”として食べることが、農産物の獣害対策にもつながるからだ。にこやかな笑顔からは猟銃を持つ姿を想像するのは難しいが、林利栄子さん(29)=京都市西京区=は数少ない女性のジビエハンターだ。農山村と都市の橋渡しを目指すNPO法人「いのちの里 京都村」(上京区)の事務局長。
(シカ食害の現状、絵本に:山梨)
南アルプスで深刻化するニホンジカの食害について知ってもらおうと、南アルプスユネスコエコパーク県連絡協議会が、啓発絵本を制作した。主人公の少年が被害の現状を知り、問題意識を高めていく内容で、同協議会は「絵本を読んで関心を持ってもらいたい」としている。絵本のタイトルは「どうでもいい」。少年は当初、ニホンジカの増加や食害に無関心だったが、畑を荒らされて落胆する農家の様子などを見るうちに、「ぼくにもなにかできることがあるのかな」と意識が変わっていく。巻末では、ニホンジカが増えている原因なども解説している。絵本はフルカラー30ページで、約2000部を作成。南アルプス、韮崎、北杜、早川の4市町の図書館など公共施設で無料配布している。同協議会の担当者は「絵本をきっかけに、近くの山で起きている問題に目を向けてもらいたい」と話している。

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(クマに襲われ女性重傷:新潟)
3日午前10時45分ごろ、新潟県妙高市樽本の山中で、「山菜採りで妻がクマに襲われた」と男性から119番があった。救急隊が駆け付けたところ、長野県須坂市の70代女性が重傷を負っており、ヘリコプターで長野市の病院に運ばれた。女性に意識はあるという。新潟県警妙高署と消防によると、女性はクマよけの鈴を持っていた。現場は新潟・長野の県境にある斑尾高原の山中で、数キロの範囲にホテルやゴルフ場があり、同署は注意を呼び掛けた。女性は同日午前9時ごろから、現場付近で夫と山菜を採っていた。道路から山中に入ったところ、近くの穴から出てきたクマに襲われ、左側頭部や両手をかまれたという。
(シカ捕獲用わな発注収賄、市主任を起訴:北海道)
北海道紋別市のエゾシカ捕獲用わなの発注を巡る加重収賄事件で、旭川地検は2日、紋別市都市建築課主任、菅原豪容疑者(47)を加重収賄罪で起訴した。起訴状などによると、菅原被告は農政林務課主任だった2014年1~2月、エゾシカ捕獲用の囲いわなを購入する指名競争入札を実施したように装い、石狩地方の狩猟用資材販売業者と約300万円で契約し、見返りに業者社長から現金98万3500円を受け取ったとされる。地検は菅原被告の認否を明らかにしていない。贈賄罪の公訴時効(3年)は成立している。同市の宮川良一市長は「厳正に対応を行う」とコメントを出した。加重収賄罪は、公務員が賄賂を受け取るなどの収賄罪に加え、不正な行為をしたり、すべき行為をしなかったりした場合などに罰則を厳しくするために適用される。
(ライフル射撃協会、新会長:東京)
日本ライフル射撃協会は3日、東京都内で開いた総会、理事会で任期満了に伴う役員改選を行い、定年により退任した坂本剛二会長の後任として松丸喜一郎副会長(63)を選出した。任期は2年。副会長には、新しく理事に選ばれた日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部長の橋本聖子参院議員(52)が就任する。
(ジビエ後押しへ、12地区に処理拠点)
政府は、野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用拡大に向け、流通体制の整備に乗り出す。狩猟現場と消費をつなぐ公営の食肉処理施設を設けるのが柱。複数の市町村で捕獲した鳥獣の買い取りから精肉加工、在庫調整、販売まで一手に引き受け、飲食店や小売店への安定供給を目指す。全国の12モデル地区で先行して取り組み、2019年度にはジビエの利用量を倍増させたい考えだ。ジビエの利用が伸び悩む一因には、供給が安定しないことがある。現在は猟友会などが営む約500の食肉処理施設が、飲食店や小売店に対して個別にジビエを販売しているが、小規模だったり販売が狩猟期に限られたりするのが課題となっている。そのため農水省は、ジビエの安定供給につなげようと流通体制の整備に踏み切る。18年度に全国のブロック単位で設けるモデル地区に、それぞれ市町村が運営する食肉処理の拠点施設を開設。近隣市町村の狩猟者や食肉処理施設から、鹿とイノシシを年間1000頭以上買い取って、飲食店や小売店にまとまった量をいつでも販売できる体制を整える。新たな用途である、ペットフードや飼料向けの販売も重視する。拠点施設は、周年での供給を支えるため、大型の保冷設備を備えて在庫調整ができるようにする。飲食店などに在庫情報も提供し、継続して消費してもらえるよう働き掛ける。良質なジビエの提供に向け、①日本ジビエ振興協会が考案したロースやバラなどの部位を明確にした加工基準「カットチャート」の活用②衛生管理に関する第三者認証の取得――にも取り組む。狩猟現場への支援にも力を入れる。野生鳥獣を食肉として利用するには、捕獲してから短時間で食肉処理施設に運び、放血や内臓摘出をすることが不可欠。施設から離れた山奥で捕獲した鳥獣はこうした条件で不利なため、捕獲場所で処理できる「移動式解体処理車」や小型保冷車の導入に助成し、ジビエの増産を目指す。モデル地区は今冬から公募を始め、18年度予算で所要の事業費を計上する方針だ。同省は「ジビエの流通をビジネスとして軌道に乗せ、農村の所得増大につなげたい」(鳥獣対策室)と説明する。政府は、ジビエの販売を農村の経済成長の起爆剤としたい考え。菅義偉官房長官が議長を務める関係省庁会議を4月に立ち上げ、わずか1割にとどまる食肉利用をてこ入れするための大胆な戦略作りを指示。これを受けて、同省はジビエの流通体制の整備方針をまとめた。
(ジビエ学ぶ動画公開、ネット講座)
日本ジビエ振興協会は30日、野生鳥獣の肉(ジビエ)について幅広く学べるインターネット講座を公開した。野生鳥獣の捕獲から精肉加工、販売までのノウハウを専門家が指導する内容で、10分程度の動画を35本用意。空いている時間に、手軽に閲覧して学習できる。8月末までに申し込めば無料となる。狩猟者らジビエに関わる人の利用を広く呼び掛けている。政府が今月まとめた、ジビエの利用拡大に関する対応方針の一つ。講座は「ジビエビジネス入門」と題し、内閣府の補助事業で設けた。さまざまなネット講座を紹介するポータルサイト「地方創生カレッジ」で申し込む。ジビエの品質向上や安定供給に向け、狩猟者らの育成につなげる。東京国際大学商学部の伊藤匡美教授が講師となり、①ジビエ流通の条件と課題②解体処理・加工・流通のポイント③生産・販売を軌道に乗せた優良事例④ジビエビジネスの展開――の四つのテーマに沿って解説する。動画は計35回あり、テーマ別に公開して小テストを行い、合格すると別のテーマの新たな動画が閲覧できるようになる仕組みだ。自民党ジビエ議連の石破茂会長も登場し、ジビエの利用拡大への思いを語るという。動画は1本当たり10~20分で、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末でも閲覧できる。一つのテーマ当たり2、3時間で学習できる。最終試験で60点以上とれば、ジビエに精通した証しとして受講者に「修了証」を発行する。同協会は「講座を通じて、狩猟者に捕獲の仕方や衛生管理について再確認してほしい。ジビエを広く知ってもらうきっかけにもしたい」と期待する。
(クマ目撃情報、市が学校に伝えず:福島)
福島県会津若松市中心部で31日未明から朝にかけ、クマの目撃が相次いだ。市は県警から危険情報の提供を受けていながら市教育委員会へ報告せず、現場一帯に15校以上ある小中高校では通学時間帯の子供たちに安全対策を施すことができなかった。市の担当者は「対応が不十分だった」と陳謝し、今後は市教委などへの速やかな情報提供を徹底させる考えを示した。会津若松署の発表によると、最初の目撃は午前0時45分頃、同市本町の諏方すわ神社の境内で。次いで、同2時40分頃には約2キロ南西の住宅街で近隣住民が目撃。さらに同4時半頃に約1・5キロ南東の工業団地内で見かけた。同9時頃には西隣の公園で目撃され、同10時頃に地元ハンターによって射殺された。クマは体長約1メートル30、体重約60キロのオスの成獣で、目撃された一連のクマと同じ個体とみられる。けが人はなかった。計4回の目撃情報は通勤通学時間帯まで相次ぎ、その都度、同署から市側に電話で報告されていた。にもかかわらず、市の担当者は市教委へ伝えなかった。その結果、小中学校の始業時間(午前8時5~15分)になっても学校側に伝わらず、子供や保護者たちは危険情報を知らされないまま通常通り通学していた。周辺小学校の校長は「全校児童が登校を終えてから、新聞社の取材で危険だったことを知った。登校時間帯の対応が最も重要だったのに」と憤った。県教委の担当者も「直ちに対応しなければならない話だ。学校に伝わらなかったのは問題だ」と苦言を呈した。市農林課は同日、市役所で経緯を説明した。市は夜間・早朝に学校近くでクマが目撃された場合の対処について、ルールを設けていないという。市教委に連絡しなかった理由は、「3回目の目撃情報後、警察とパトロールをした。目撃情報も途絶えたので、安全が確保されたと思った」とした。しかし、実際にはその後4回目の目撃があった。取材に対し、同課の一条芳浩課長は「対応が不十分だった。今回のケースを反省する」と述べ、今後は他部署と協議して新たなルール作りを進めるという。
(熊の目撃情報:宮城)
1日午後6時36分頃、登米市東和町米川字新土手前地内で熊の目撃情報がありました。屋外では音の出るものを身に着けるなどの対策を行い、十分に注意してください。
(クマ目撃情報が相次ぐ:福島)
会津若松市中心部の本町の神社で午前0時30分ごろ、通行中の男性がクマ1頭を目撃、通報した。同6時30分ごろには同市大戸町大川で別のクマとみられる1頭が目撃された。同市中心部では5月末にも目撃情報があった。会津坂下町で午前11時ごろ、野外活動中の小学5年生3人がクマ1頭がいるのを目撃した。児童ら約200人が、野外活動を中止した。下郷町では午前5時30分ごろ、男女川付近で1頭が目撃された。福島市町庭坂で午後2時50分ごろ、農業男性(49)が梨畑を歩くクマ1頭を目撃し、通報した。クマは体長約1メートルで、同4時ごろ、目撃場所から約500メートル離れた町庭坂字北原の畑で、猟友会が梨畑で目撃されたとみられるオスのクマを駆除した。
(イノシシ6頭を駆除:沖縄)
官民一体となったイノシシの駆除作業が成果を挙げ始めている。市と民間は1日までに、足にワイヤーを巻き付けるタイプのわなでイノシシとみられる個体6頭を捕獲し、駆除した。4月下旬の猟銃駆除は悪天候の影響で不発だったが、城辺北海岸を中心に設置したわなに雄1頭、雌5頭がかかった。猟銃駆除の際に敷いたネットを使った包囲網が奏功した。本格的な駆除を開始した前年度からの駆除頭数は20頭に達した。宮古島には本来生息しないイノシシだが、昨年6月に捕獲した検体のDNAはイノシシだった。市は繁殖している公算が大きいとみて危機感を強める。市は前年度より、県猟友会石垣、竹富両地区のメンバーを迎え入れ、狩猟犬を使った駆除を実施。同年度は7頭を仕留め、わなにかかった個体を含めて計頭の駆除を行った。今年度は4月26、27両日に猟銃駆除を実施したが悪天候の影響で視界と音が遮られ、複数の個体を確認しながらも不発に終わった。ただ、市の職員と民間の有資格者が仕掛けた約40基のわなにかかった。わなはイノシシの足跡が確認できた地点に設置。わなにかかるとワイヤーが足に巻き付く仕掛けになっている。猟銃駆除の際、市が張り巡らせたネットで一定程度生息範囲が狭められていることも奏功し、この1カ月間で6頭を駆除した。個体の5頭が雌ということも大きい。うち1頭は身ごもっていたという。市と民間は引き続きわなによる捕獲を実施していく。市農政課は「引き続きわなを仕掛け、イノシシを駆除したい。農作物被害が出ている以上、全頭駆除に向けて取り組んでいく」としている。秋には再び猟銃駆除を実施する予定だ。イノシシは、サトウキビやイモなどの農作物を食い荒らしているものとみられる。市によると、サトウキビの新植夏植え圃場でも被害が出ており、土を掘り返して苗ごと食べてしまうという。地中のイモも、同様に食べられている。
(鹿と接触し緊急停車:三重)
6月1日午後9時40分ごろ、伊賀鉄道伊賀線の伊賀神戸駅発上り列車が猪田道駅から桑町駅に向かう途中の伊賀市四十九町地内で線路内にいた鹿と接触し、緊急停車した。乗客と乗員にけがはなく、車両の安全を点検した数分後に運転を再開した。同鉄道によると、鹿に気付いた運転士が警笛を鳴らし、急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。列車が鉄道敷地内に侵入した野生動物との接触事故は2015年度が鹿16件、イノシシ1件の計17件。昨年度は鹿20件、イノシシ4件の計24件で、「件数が年々増えている」という。5月30日には上野市行上り列車が伊賀神戸‐比土間で鹿と接触後、上林‐丸山間でイノシシに接触する事故が起きている。
(運転中にクマ目撃:福島)
4日午後5時40分ごろ、会津若松市大戸町の国道118号を車で走っていた男性(34)がクマ1頭を目撃し、会津若松署に通報した。同署によると、クマは体長約1メートルで、国道沿いの山林から阿賀川方面に逃げたという。4日正午ごろ、西会津町野沢の県道で、運転中の男性がクマを目撃した。喜多方署によると、体長約50センチで、山林に入っていったという。
(クマ目撃9件:北海道)
道内は週末の3、4日、各地でクマの目撃情報が相次ぎ、道警には4日夜までに2日間で計9件の通報があった。千歳市内では4日午前10時40分ごろ、千歳JAL国際マラソンコースから約100メートル東側の山林で、歩いて観戦に向かっていた男性が体長約80センチのクマ1頭を目撃した。マラソン大会には9653人が出場。目撃場所は千歳市泉沢の山林で、100メートル東側に住宅地がある。大会実行委によると、最終ランナーの通過後で、競技への影響はなかった。3日は北見市留辺蘂町、上川管内東神楽町、宗谷管内枝幸町で、4日は千歳以外に十勝管内音更町、美唄市、オホーツク管内小清水町で目撃された。芦別市では両日とも、芦別川岸付近で目撃された。小清水町のクマは体長約2メートルで、町道に座り込んでいたという。
(乗用車とクマ衝突:秋田)
3日午後7時25分ごろ、秋田県上小阿仁村仏社の県道で、同村の30代男性が運転する乗用車がクマと衝突した。車のバンパーとボンネットが破損し、クマは死んだ。男性にけがはなかった。
(クマ目撃、横断的に情報共有:福島)
会津若松市中心部で5月31日にクマの目撃が相次ぎ、市役所の連絡に不備があり学校への情報提供や市民への注意喚起が不十分だったことを踏まえ、市は1日、市役所内部で横断的に情報を共有し、学校などに速やかに連絡する新体制をつくり運用を始めた。新体制では、通学時間帯前にクマの目撃情報があった場合、農政部や市教委が中心となり、市立小中学校や幼稚園・保育園、県会津教育事務所、私立校に伝達する。連絡を受けた学校は、地域の関係団体などと協力して見守り態勢を強化する。同市では1日、農村部の大戸町上雨屋と大戸町上三寄南原でクマの目撃が1件ずつあった。南会津町長野字向山の国道121号、須賀川市小中字上台の山林でも目撃が1件ずつあった。
(クマ除け鈴、専門家が効果に警鐘)
クマに殺傷される事故が昨年相次いだ東北地方で、今年も人的被害が続発している。秋田県仙北市では5月下旬、被害を防ぐ定番とされてきた「クマよけ」用の鈴を身につけていた61歳の女性が襲われ、失血死した。専門家は、クマに音への耐性がついていたり、逆に音がクマをおびき寄せたりしている恐れを指摘する。「鈴やラジオなど人工的な音を出せばクマは寄ってこない」という常識は、通用しなくなりつつあるのか--。秋田県警によると、女性は5月27日早朝、タケノコ(ネマガリダケ)を採るため友人と入山。途中で別れた後、山懐を走る国道から約30メートル離れた樹林内でクマに襲われたらしい。女性には頭や顔、左腕などにひっかき傷やかまれた痕があった。女性は鈴を2個身につけていた。しかし、クマの生態に詳しい秋田県立大の星崎和彦准教授(森林生態学)は、鈴をつけていてもクマと遭遇した例がいくつもあるといい、「そもそも鈴の音が聞こえる範囲には限りがある」と指摘。県警の担当者も「山菜を採るためしゃがんでいれば鳴らない」と鈴への過信に警鐘を鳴らす。秋田では5~6月、ネマガリダケ採りが盛んで、鈴のほか大音量のラジオを流しながら山に入る人も多い。しかし、星崎准教授は「近年はクマが車のエンジン音など人工音を聞く機会が増えている」と語り、音への警戒心が薄れている可能性を指摘。一方、NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県廿日市市)の米田(まいた)一彦理事長は「ラジオの音に気付いたクマが人間に寄ってきたという事例が複数ある」と警告。音を聞いたクマが、餌となる物があると考え、おびき寄せられている可能性があるというのだ。環境省によると、昨年ツキノワグマやヒグマなどに襲われたとみられる死傷者は全国で105人で、5割超が東北地方に集中。うち秋田県は昨年5~6月に鹿角市で男女4人が死亡するなど、岩手県と並ぶ全国最悪の19人で、目撃件数も872件と10年前と比べて8倍以上に増えた。今年も仙北市で死亡した女性のほか、青森、岩手、宮城、北海道などで負傷者が相次ぐ。米田理事長によると、東北地方の今年の傾向として、2013年と15年に母グマの餌となるブナやドングリの実が豊作だったため、生まれた子グマが順調に成長し、個体数が増えた可能性がある。今はちょうど子グマが独り立ちし活発に活動する時期で「遭遇する可能性は高い」とみる。仙北市は死亡事故を受け、入山許可に当たる入山料の徴収をやめ、入山自粛を訴える。星崎准教授は「入山するならば、必ず複数人で離れず、声を出しながら行動して」と呼びかけている。
(クマよけの鈴つけて被害:北海道)
ことし4月、北海道標茶町の山林で、山菜採りをしていた54歳の会社員の男性がヒグマに襲われ、右肩の骨を折る大けがをしました。男性は当時、人がいることをクマに知らせるため、クマよけの鈴を3つ、身につけたうえで、口笛を吹きながら山菜を採っていたことが警察への取材でわかりました。男性によりますと、草むらの中で何かが動く音が聞こえたため振り返ったところ、10メートルほど離れた場所に2頭の子グマを連れたヒグマ1頭が立ち上がっていて、木に登って逃げようとしたところ、襲われたということです。ヒグマの生態に詳しい北海道立総合研究機構環境科学研究センターの間野勉自然環境部長は「クマよけの鈴を身につけても遭遇してしまうことはあるので、周囲に十分注意するとともに、クマが出る場所の周辺には立ち入らないようにすべきだ」と指摘しています。秋田県仙北市でも、先月、クマに襲われて死亡したと見られる女性が、クマよけの鈴を身につけていたものの被害に遭っていたことがわかっています。
(クマ被害防止、絶対安全な対策なし:秋田)
秋田県仙北市田沢湖玉川でタケノコ採りをしていた女性がクマに襲われ死亡した事故から、3日で1週間を迎えた。女性は安全対策としてクマよけの鈴を身に着けていたものの、山中に1人でいるところを襲撃されたとみられる。山菜採りシーズンが続く中、専門家からは「これをやれば絶対安全だといえる対策はない」との指摘もあり、県は引き続き入山自粛を呼び掛けている。事故は5月27日、玉川温泉から約1キロ北東の国道341号沿いの山林で発生。県警によると、被害に遭った同市の女性(61)は知人と2人で入山したが、離れた場所でタケノコを探していたところをクマに襲われたとみられている。県はクマとの遭遇を避けるための対策として、鈴や笛などを使って人間の存在をクマに周知することを呼び掛けている。だが、県自然保護課によると、鈴は人の動きが止まると鳴らないほか、音の小さなものだと十分な効果が得られないことがあるという。
(農家悩ます「奈良のシカ」、訴え50年超:奈良)
奈良公園周辺の農家を半世紀以上にわたり悩ませてきた国の天然記念物「奈良のシカ」の対策が、やっと動きだす。農業被害を食い止めようと、奈良県は7月にも奈良市内の一部地域で捕獲を始める。農家と鹿のあつれきが長かった同市には、「奈良市鹿害阻止農家組合」が存在。闘いの結果、ようやくこぎ着けた鹿の捕獲に、組合員は期待する。この他にも、全国各地で天然記念物の鳥獣による農業被害が出ており、農業関係者は対応に苦慮している。「奈良のシカ」は、春日大社の神の使い「神鹿(しんろく)」とされる。県によると、文化財保護法に基づく保護の対象となっている2005年合併以前の旧市内に、約4000頭が生息する。同法では農家は鹿を追い払うことしかできず、農業被害は水稲を中心に野菜、果樹などで深刻だ。過去には鹿害に苦しむ地元農家が、行政などを相手取り損害賠償請求を起こしている。「追い払いだけで鹿害を防ぐことは不可能に近い」と訴えるのは、鹿害阻止農家組合の組合長、福井甚三さん(65)だ。組合は地元農家が1964年に結成。JAならけん田原支店に事務局を置き、旧市内10地区の農家約400戸が所属する。県知事へ鹿害対策の要望書を提出するなど、被害抑制策を求めてきた。福井さんは植木の生産者。高さ約2メートルの防護柵を設置しても、鹿は跳び越えて進入する。樹皮に角をこすりつけ、新芽を食べたり枝を折ったりされ、年間被害額は平均40万円。多い年では数百万円に膨らむという。奈良教育大学の渡辺伸一教授によると、旧市内で設置した防護柵は87年からの18年間で総延長約28キロ、市が負担した費用は約1億8000万円。それでも、「農地全体を囲めず、被害を抑えられない」(福井さん)と言う。県の農業被害アンケートで、13年度までの5年間で鹿による「被害が増えた」と回答した旧市内を含む県北部の農家は7割超。JA支店長で水稲農家の浦隆之さん(59)は「柵の費用負担もあり、農家は我慢の限界を超えている。鹿を捕獲し、一刻も早く負担を軽くしてほしい」と切実だ。県は現在、文化庁に捕獲のための現状変更許可を申請中。認められれば、同公園や春日大社がある中心部の「重点保護地区」、世界遺産の春日原生林がある「準重点保護地区」などを囲む郊外の「管理地区」184平方キロで捕獲できる。期間は11月までの予定。県奈良公園室は「農家と鹿のあつれきをなくし、共生を図りたい」と話す。全国で天然記念物に指定されている鳥獣による農業被害が後を絶たない。北海道に生息する特別天然記念物タンチョウは、環境省によると、飼料用の牧草やトウモロコシをついばんだり、麦畑を踏み荒らすことなどが報告されている。牛舎に入り、牛の餌を食べる例もある。本州と九州に生息する特別天然記念物カモシカも、一部では捕獲するものの、原則的に捕獲ができない。被害の多い岐阜県の農業被害額(16年度)は894万円に上り、地元農家は手を焼いている。一方、青森県では、下北半島が生息地の天然記念物「北限のサル」を捕獲し一定の成果を上げている。農作物の被害だけでなく、農家を威嚇する例などが増えたため、県は文化庁の許可を得て04年から捕獲を開始。県によると、同半島の4市町村での農業被害は16年度89万9000円で、最も多かった01年度(751万4000円)に比べ8分の1以下に激減した。個体数が回復していることが前提だが、天然記念物でも捕獲してはならないと規則で縛らず、あらゆる選択肢を設け、それを実施可能にする必要がある。そういう意味で「奈良のシカ」の捕獲に踏み切ったのは評価できる。
(クマ襲撃現場近くの林道を封鎖:秋田)
秋田県羽後町で5月31日に男性がクマに襲われてけがをした事故を受け、同町は2日、事故防止のため、事故現場近くの林道を立ち入り禁止にした。同町によると、このような目的で町内の林道を立ち入り禁止にするのは初めてという。この日は町職員や地元猟友会のメンバーら計10人が参加。事故現場となった同町西馬音内堀回の山林にクマ捕獲用のオリを1台置いて、オリの中にえさとなる蜂蜜などを仕掛けた。その後、事故現場につながる林道の入り口にロープを張って林道を封鎖した。ロープには「人身被害発生区域」「檻おり設置中により進入禁止」と書かれた看板を取り付けた。町の担当者は「危険が潜んでいるので入山は自粛してほしい」と話していた。
(イノシシ処理施設整備へ:宮城)
宮城県川崎町は本年度、東京電力福島第1原発事故後にイノシシが増えている現状に対応するため、有害駆除したイノシシを解体処理する施設を町内に整備する。処理の方法をこれまでの埋設から解体、焼却へと変え、高齢化が進む町猟友会の負担を軽くする狙いもある。施設の建設予定地は小野地区にある国営みちのく杜の湖畔公園南側の町有地。建物は広さ68平方メートルの鉄骨平屋で、解体したイノシシを保管する冷凍庫を備える。近く着工し、完成は9月中旬、稼働の開始は10月上旬になる見込み。猟友会の会員は駆除したイノシシを施設に持ち込み、大きいもので100キロ程度あるイノシシを10~15キロ単位に解体。冷凍保管した後、角田市内の焼却施設に運ぶ。町内で捕獲したイノシシの頭数の推移はグラフの通り。2002年に町内で初めてイノシシが目撃されて以降、徐々に増えていたが、原発事故後、現在も続く県内全域でのイノシシ肉の出荷制限の影響などで急増した。畑の農作物を食い荒らされたり、田んぼの水路を壊されたりする被害の報告も後を絶たない。駆除したイノシシはこれまで、猟友会の会員が町所有の山中に埋めていた。60代が中心で、80代もいる会のメンバーにとって、大きな穴を掘って、重いイノシシを運び入れる作業はかなりの重労働だ。数十キロ以上あるイノシシをそのまま焼却処理しようとしても燃えにくいため、解体処理施設を求める声が高まっていた。仙南地域の2市7町で有害鳥獣の処理施設を設けるのは、白石市と蔵王町に続き3カ所目。町農林課の担当者は「イノシシの処理作業を効率化できる分、駆除や見回りに労力を割いてもらうことができる」と期待する。
(溺れるシカを協力して救助:長野)
2日午後、長野市の住宅街の用水路に突如、野生のニホンジカが現れた。溺れていたため、地元の人や消防隊員らが「救助」した。長野市篠ノ井岡田に住む小幡彰緒さん(66)は午後2時ごろ、近所の用水路の中にシカを見つけた。野生のシカが出没する場所ではないが、幅2メートルほどの用水路はこの日、水位が高く、流れも速かった。シカはみるみるうちに下流へ流された。小幡さんはシカの両耳を手で押さえながら、消防へ連絡。駆けつけた長野市消防局の隊員が同3時すぎ、シカにロープを巻いて、数人がかりで引き上げた。衰弱していたが、息はあった。「驚いたけど、助かってよかった」と小幡さん。市いのしか対策課によると、シカは推定2歳のメスで体長約120センチ。上流から流されてきたとみられるという。市内ではシカによる農業被害が急増している。ただ、救助されたシカは悪さをしたわけではないこともあり、山へ返された。
(イノシシ居場所探索、ドローン活用デモフライト:富山)
赤外線カメラを付けたドローン(小型無人飛行機)を飛ばし、イノシシの居所を把握し全滅に追い込もうという実験が28日、被害が深刻な富山市山田清水地区であった。サーモグラフィーカメラによる実験では、イノシシらしき動物が確認できなかった。デモフライトは、赤外線サーモグラフィーなど画像システムのトップメーカー、フリアーシステムズジャパンが行った。発案したのは、イノシシの農作物被害に悩まされている地元の農業アドバイザー、谷上健次さん(70)。地元の猟友会や近隣の営農組合、自治振興会、JA山田村などから約30人が集まりデモフライトの行方を見守った。作戦は①ドローンに赤外線カメラを付け、上空から赤外線を照射してサーモグラフィーでイノシシの居所を探索②猟友会メンバーがその場所を取り囲み一斉射撃で個体数を減らす――というもの。実験は、ドローンが地域一帯の山林を約1時間半ほど飛びイノシシを確認できるかどうかを探ったが、イノシシらしき動物は確認できなかった。富山市猟友会の小林忠行会長は「木の葉が落ちた冬場なら使えそうだ。役員会に諮ってみるが、まだ問題点は多い」と話した。谷上さんは「被害は深刻なだけに、あきらめずに今度は夜に実験してみたい」と、語った。ただ猟友会が「使えそう」と判断しても、1セット200万円と高額な機器の調達、維持、管理、運営方法など数多くの課題が残されている。
(来たれ新規狩猟者、自治体が免許費用など補助:秋田)
クマやイノシシなどの野生鳥獣の生息域が拡大して社会問題化する中、駆除などの担い手となる狩猟者の減少を食い止めようと、秋田県内の自治体で狩猟免許取得などにかかる費用を補助する動きが広がっている。昨年度までに実施済みの7市町村に加え、本年度は新たに4市町が実施。県も市町村に上乗せする形で補助を検討しており、6月県議会に提出する補正予算案に関連予算を盛り込む方針だ。県によると、狩猟免許取得者が実際に狩猟する場合、県に毎年登録する必要がある。県内では大半の登録者が県猟友会に加入しており、クマに人が襲われた時などには、市町村が地元猟友会に有害駆除を依頼している。わなの知識や銃を持った狩猟者は野生鳥獣への対応に不可欠だが、県内の登録者は最多だった1974年の8865人から減り続け、昨年度は1648人まで減少。高齢化も顕著で60歳以上が7割以上を占め、担い手不足が深刻化している。
(サル追い払い犬に認定書:兵庫)
農業被害をもたらすニホンザルの群れを山に追い返す篠山市認定の「サル追い払い犬」に、同市乗竹の親川昌範さん(64)の愛犬「リキ」(雄、3歳)が加わり、親川さんに3日、認定書が贈られた。同市は、対策に取り組む集落をロケット花火の購入費助成や、専門家による出前講座などで支援。同市日置の城東多目的グラウンドで、平野斉副市長が「犬による追い払いは効果的。リキも一役も二役も買ってほしい」と、親川さんに認定書を手渡した。リキは、「座れ」「待て」「伏せ」など親川さんの指示に従い、昨年6月からの訓練成果を披露した。「追い払っても繰り返しやって来て困っていたが、4月にリキに追い払わせてからは来なくなった。おとなしくて人懐っこい性格だが、サルには力強く向かって行く」と親川さん。認定犬は2010年の制度開始から29頭目で、活動しているのは14頭。この日は先輩の認定犬6頭も集まり、活動成果を訓練士に見せた。市は、追い払い犬を募集中で、養成費は市が全額負担。
(熊が人を襲うとき:秋田)
新聞は「クマの出没相次ぐ」と連日報じているが、クマはクマで「ヒトの出没相次ぐ」と警戒しているかもしれない。最新刊の「熊が人を襲うとき」(り人社)を読みながら、そんなことを思った。著者の米田(まいた)一彦さん(69)は元秋田県庁自然保護課職員で、NPO法人・日本ツキノワグマ研究所の理事長。「人間と、その人間よりはるかに強いクマが共存するためには、クマの生き方をよく知ることだ」と話す。新著ではツキノワグマによる人身事故の実態を、戦前から現在までの新聞記事を手掛かりに明らかにしている。集めた記事は全国紙、地方紙合わせて1993件、7年がかりの労作だ。読んでみて、クマの行動は単純に類型化できないと知った。例えば、安全だと思われがちな幼(よう)グマ(前年の冬眠中に誕生した生後16カ月前後のクマ)も母グマが背後にいれば人を襲うことがある。5、6月は親離れ訓練中で攻撃性が強く、しかも無駄に長くかみ続けたり抱きついたりするので重傷になりやすい。ひと昔前の記事は「クマに食われた」と表現がストレートだったが、近年は遺族感情に配慮して事故を広報する警察も新聞社も表現をぼやかしがちだ。結果的に悲惨さが伝わりにくくなったとの指摘には考えさせられる。事故防止策も挙げているが、最も大切なのはクマと出合わない努力をすること。鈴にしてもガラガラという低音では効果が薄く、「チーンと心に染みる鈴の音」がクマにはよく聞こえるそうだ。
(クマ対策グッズ、売れ行き好調:秋田)
昨年に続き今年も県内でクマによる被害が相次ぐなか、クマ対策グッズの売れ行きが大きく伸びている。関係者は「入山者の危機意識が高まっているのでは」と分析。昨年4人が死亡した鹿角市など一部では入山者が減る傾向にあるといい、県などは入山自粛など啓発活動をさらに強化する方針だ。秋田市のアウトドアショップ「ICI石井スポーツ秋田店」では、クマ対策として7種類の鈴や、撃退スプレーを用意している。定番の鈴は、1000~2000円程度が売れ筋。クマが敏感とされる高音域のものが人気という。
(シカの角、三味線に:北海道)
三味線愛好者で音更在住の会社経営牧野孝二さん(64)は、自身が所有する津軽三味線を「エゾシカ仕様」にモデルチェンジした。糸巻きのグリップ部分にエゾシカの角を使用した。猟友会に所属してわな猟も行う牧野さんは出来栄えに満足し、「駆除されたエゾシカを有効に活用できた」と話している。三味線の糸巻きには、黒檀(こくたん)や象牙が使われることが多い。象牙については、1990年のワシントン条約の下で国際取引は原則禁止に。現在も国内での流通はあるものの、希少な材料となっている。こうした背景から、音更町内の猟友会に所属している牧野さんは、「象牙の代わりにエゾシカの角を使ってみたらどうだろうか」と発案。知人であるキリヤ和楽器店(帯広)の米澤武代表(54)に相談したことがきっかけでエゾシカモデルの検討が始まった。相談を受けた米澤さんは昨年末から制作に着手し、4月末に完成させた。密度の高い象牙と異なり、エゾシカの角は中央部がスポンジ状になっていて強度が弱いため、加工には頭を悩ませた。そこで黒檀とつなぎ合わせ、グリップ部分にエゾシカの角を施した。生まれ変わった三味線を受け取った牧野さんは「角を使うと見栄えがいい」と笑顔。「音質は変わらないが観賞用にしたい」と大切にしている。米澤代表は「このような発想はなかった。初めてなので作るのに試行錯誤したが、面白いものができた」としている。
(夢の職人「極めたい」:埼玉)
ガシャン、ガシャン…。黒光りした重厚そうな空気銃があっという間にバラバラになる。内蔵されたわずか数センチの針金のような部品が目に留まった。「ここが折れてますね」。修理を始めて五分で、故障の原因を突き止めた。加須市北下新井の銃砲店「豊和精機製作所」に勤める高橋七海さん(22)は国内でも珍しい、銃の修理を専門で行う女性ガンスミス(銃工)だ。昨年七月にこの世界に飛び込んだばかりの新人だが、同製作所の佐藤一博社長は「細かい故障にも気付く勘の良さに加え、仕事も丁寧。素直にすごいと感心します」とそのセンスの良さを絶賛する。高橋さんは高校卒業後、千葉県内の大学に進学したが二年生の時に退学した。「職人のような仕事をしたい」と漠然と思っていたが、具体的な夢はなく、都内でアルバイトをしながら過ごしていた。そんな生活が一年ほど続いた時、狩猟免許を持ち、豊和精機製作所の常連だった父秀弥さんから「ガンスミスにならないか」と声をかけられた。聞き慣れない仕事にちゅうちょしたが目指していた職人になれると思い、入社した。それまで銃に触れたこともなく、最初は戸惑いの連続だった。銃の組み立て、分解はもちろん、多岐にわたる部品の名前もわからなかったが、佐藤社長の指導のもと、めきめきと実力を伸ばした。全国から届く銃の故障箇所は千差万別だ。所有者からは「弾が狙ったところにいかない」「感触がおかしい」など抽象的な依頼が多いうえ、使用していた標高や気温などでも部品の劣化具合に差がある。しっかりと原因を特定し、適切に修理しなければ、使用者の命まで危険にさらすだけに高橋さんは「確実に直さなきゃいけない」と神経をとがらせる。佐藤社長は「予算をオーバーしちゃうくらい銃の隅々までチェックするほどです」とまな弟子の仕事っぷりに目を細める。職人として腕を磨く一方、今年の夏には狩猟免許を取得するための試験にも挑戦する。ガンスミスを続けていくうえで狩猟免許は必要ないが、実際に獣を撃つことで、依頼主にとってどんな銃が最良なのかを知るためだ。「どんな注文にも応えられるようなガンスミスになりたい」。銃の所有者が減り続けるなど決して業界の未来が明るいわけではない。それでも高橋さんは「極めたい仕事。必要とされる限り続けたい」と目を輝かせている。
(獣害対策に猟友会は不向き?狩猟と有害駆除の違いを考える)
このところ獣害関係で取り上げられることの増えた猟友会。有害駆除の最前線に立つ組織として期待を集めているのだが、よろしくない事件も次々と報道され始めた。 奈良県の猟友会では、総額約2900万円の使途不明金が出たことが発覚した。5月に心不全で亡くなった73歳の前会長が流用していた疑いが持たれている。鹿児島県霧島市では、ハンターがイノシシなど有害鳥獣の捕獲数を水増しして、報償金をだまし取った疑いが出ている。2013年度からの3年間で、不正受給は少なくとも300件以上とみられ、その額は数百万円に達すると思われる。報償金の受給には、写真付きの報告書のほか個体の尾と耳の現物を提出するのが普通だが、同じ個体を別の角度で撮影して複数の個体に見せかけるほか、尾と耳は、駆除ではなく猟期に捕獲したものを保存しておき提出するという手口らしい。ほかにも猟友会の会員が報償金申請に、虚偽報告していたケースは全国で発覚しており、問題は広がりそうだ。さらに駆除個体を山林内や河川敷で解体して埋めずに放置するケースも報告されている。腐乱して周辺環境に悪影響を与えるだけでなく、クマなどの餌になり誘引してしまうと言われる。なぜ、こんな事件が発生するのか。改めて整理したい。そもそも猟友会とは何か。基本的には、狩猟愛好者の団体だ。市町村レベルの地域の猟友会があり、それをまとめた都道府県猟友会、そして全国組織の公益団体である大日本猟友会というような構造になっている。狩猟愛好者と記したとおり、本来は趣味の団体なのだ。ハンターの加入は任意であり、専門的な教育や訓練を受けるわけでもない。そのうえ地域の猟友会はたいてい任意団体で、会計も不明朗になりがちだ。大日本猟友会は、組織の役割として狩猟の適正化や共催事業、野生鳥獣の保護などを掲げている。しかし今注目されているのは、有害駆除の担い手としてだろう。増えすぎた野生鳥獣を駆除するには、狩猟のできる人が必要であり、その適格者のほとんどが猟友会の会員なのだ。それに有害駆除は、役場からの依頼がなければならない。現状は、依頼先のほとんどが猟友会になっている。狩猟と有害駆除は別物という声は強い。狩猟は、たとえば巻狩などは複数のハンターが獲物を追いかけて仕留めることを楽しむわけだが、1日中山を駆けずり回って仕留めるのは1頭か、せいぜい2頭。しかし有害駆除は、もっと効率よく獲物を仕留めなければならない。また出没情報に合わせて平日でも急遽動員がかかることもよくある。猟友会にとって、有害駆除は仕事を休んで出動するボランティアなのだ。趣味のハンティングとは別の社会貢献に近い。また狩猟ではなくワナにかかった獲物の処理を頼まれることも多い。これは楽しくもない作業だ。それでいて命あるものを殺すことへの世間の白い目もある。それでも地域のためにと思って出動しているのだ。加えて銃の所持や資格維持の手続き、犬の飼育……など経費も手間もかかる。風向きが変わったのは、獣害がひどくなる中で報償金の額が膨れ上がったことだろう。最近まで鹿1頭で5000円にもならなかった報償金がどんどん値上げされ、自治体によっては2万円、3万円近いところもある。国からも補助が出るようになったからだ。これなら利益が出ると駆除に積極的になる人も少なくない。ただし駆除の数を増やすため容易に捕れる場所を選びがちだ。それは必ずしも被害の多い地域とイコールではない。それに駆除個体の処理に手間がかかる。報償金申請のための写真撮影などに加えて、仕留めた個体を処理施設に運ぶか、埋没する義務がある。また最近とみに期待されているジビエ(野生鳥獣肉)も、野外で解体したものを売買するのは食品衛生法に触れるから止めねばならない。一方で駆除を依頼する自治体の立場から見ると、あまり厳しく不正がないかチェックすると猟友会との関係が悪くなり、肝心の有害駆除に出動してくれなくなることを心配する。そんな背景が不正を産むのだろう。猟友会は、あくまで狩猟愛好者の会であり、有害駆除はボランティアであるという原点に還ると、有害駆除の主戦力には向いていないのかもしれない。2015年の改正鳥獣保護法では、環境省が認定事業者制度を設け捕獲の専門事業者を認定する制度も創設された。獣害対策を進めるためには、猟友会とは一線を画した明確な義務と責任を負って役割を定めたビジネスとして駆除事業を担う専門家を養成し、プロの組織を設立することも考えるべきだろう。猟友会と上手く棲み分けた方がお互い禍根を残さないのではないか。

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(クマ襲撃、男性被害:秋田)
羽後町西馬音内堀回の山林で5月31日、山菜採りをしていた湯沢市の男性(67)がクマに襲われ、顔などにけがをした。県内ではクマに襲われた事案が5月だけで3件に上り、うち1人が死亡。県などの関係機関は発生した現場付近の警戒体制を強化しているが、山菜採りのピークを迎えて山林への入山者は多く、担当者は「事前の対策には限界がある」と頭を抱えている。
(クマに襲われ男性けが:青森)
30日、田子町遠瀬の山でタケノコ採りの男性が突然クマに襲われ、右足の骨を折るなどの大けがをした。クマに襲われたのは三戸町川守田の自営業の男性47歳。クマは体長1m50cm位で男性が抵抗したところ逃げて行った。警察が注意を呼びかけている。
(イノシシわなから逃がす?原発避難の町で続発:福島)
東京電力福島第1原発事故の避難指示が3月末に一部解除された福島県浪江町で、民家や畑を荒らすイノシシなどを捕獲するために仕掛けたわなが、何者かに外される被害が相次いでいる。2016年度には3件発生。故意に逃がしたとみられ、町の担当者は「興奮した動物が市街地に迷い込めば、帰還した住民を襲う恐れもある」と警戒、県警にも相談している。原発事故で住民が避難した地域では、イノシシなどの野生動物が活動範囲を人の生活圏に広げ、被害が後を絶たない。浪江町は地元猟友会の協力を得て捕獲隊を結成し、16年度はイノシシ659頭、外来種のアライグマ95頭を捕獲した。
(害獣駆除の証拠写真「同じ個体では?」、報奨金不正続々)
イノシシやシカなど農作物を食い荒らす有害鳥獣の捕獲頭数を水増しするなどして国や自治体の報奨金をだまし取る不正が後を絶たない。確認方法を厳しくすれば狩猟者の手間が増えて捕獲が減るという見方もあり、ジレンマに悩む自治体も多い。鹿児島県霧島市で昨年7月、市が任命した捕獲従事者が提出した証拠写真を確認していた市職員が、1頭の個体の写真を使い回して2頭捕獲したように見せかける偽装に気づいた。市は2013年度以降の報告書や写真などを検証し、30日に結果を発表した。発表によると、捕獲従事者29人による252件分(報奨金計約241万円)を虚偽報告と認定。29人を捕獲従事者の資格停止処分にした。前田終止(しゅうじ)市長は会見で「虚偽を見抜けなかったことは誠に遺憾で、心よりおわび申し上げる」と陳謝した。市ではイノシシやシカ1頭あたり1万2千円(国の補助金含む)などを支給。狩猟者は捕獲場所や日時などが記された看板と個体が写った写真のほか、両耳やしっぽの現物を提出する必要がある。捕獲関係者によると、不正の手口は、裏返して撮影して異なる個体と偽ったり、報奨金が出ない時期に捕った個体の耳などを冷蔵保存して提出したりするもの。市の担当者は「対策には自信を持っていた。あまりに想定外だった」。今後、写真の撮影方法を厳しくし、確認にあたる担当者も1人から2人以上に増やす。兵庫県佐用町でも狩猟者2人が14~16年度に鳥獣害防止ネットにかかるなどしたイノシシとシカ計34頭を、報奨金の対象となる箱わなで捕まえたと虚偽申告したことが発覚。昨年12月に約27万円を返還した。農林水産省は4月、国の補助金を受け取る自治体に確認方法を報告するよう指示。不十分と判断すれば指導も行う予定だ。確認方法に統一的な基準はなく、同省は「自治体の担当者による現地確認が基本」とするが、「手間がかかって現実的ではない」との声も出る。各地の自治体は確認方法に頭を悩ませる。エゾシカによって毎年1億円超の被害に悩む北海道釧路市。昨年の報奨金は国の補助金込みで1頭1万円だった。個体と日付入りの写真、しっぽの提出を義務づけていたが、霧島市などの不正を受け、6月から胴体の定位置にペンキで日付を入れて撮影してもらうことにした。革製品に使うことも考えて控えていたが、「より正確に確認できる対策が必要だと考えた。ただ、今でさえ『負担だ』との声はあり、捕獲数が減る懸念はある」と話す。山陰地方のある町はしっぽの確認のみで、イノシシ1頭あたり町費で1万5千円を支払う。担当者は「正直、不正は簡単にできる。見直すべきだと思うが、猟友会に信じていないと思われて関係が悪化しないか心配だ」と打ち明ける。島根県の旧邑智(おおち)町(現在の美郷町)は水増し疑惑が浮上し、00年にしっぽだけの確認から現地確認に切り替え、合併後も続ける。昨年度の捕獲はイノシシとサルで約700匹。捕獲場所の近くにいる職員が曜日や所属部署にかかわらず出向くなどして全て確認したという。町職員の安田亮さん(49)は「税金を使う以上、行政側が手間を惜しまずに不正がない仕組みを作るのは当然のこと。現地確認で問題点も迅速に把握でき、きめ細かな対策につなげられる」と話した。農水省によると、農作物の鳥獣被害は15年度、約176億円。国は23年度までにシカとイノシシを11年の約425万頭から半減させる目標を掲げる。ただ、狩猟者の減少などで目標達成は危ぶまれている。国は駆除を加速させようと12年度から一定の条件を満たす市町村にシカやイノシシなど1頭の駆除につき最大8千円を補助する制度を開始。独自の報奨金を設ける自治体も多い。シカ1頭で国庫補助合わせて3万円弱が支払われるところがある一方、捕獲数が急増して予算確保に苦しむ自治体も出ている。岐阜大野生動物管理学研究センターの鈴木正嗣教授は「報奨金は捕獲意欲の維持など一定の意義はある」としながらも「報奨金を目的とする捕獲は容易に捕れる場所で行われることなどもあり、必ずしも被害防止とイコールではない。行政は過度に期待せず、科学的な根拠に基づいて実効性の高い駆除のあり方を常に模索するべきだ」と話した。
(おりでクマ捕獲、女性襲ったのとは別のクマか:秋田)
クマに襲われたとみられる女性が死亡した秋田県仙北市で、30日朝、林の中に設置したおりに大人のクマ1頭が捕獲されているのが見つかりました。女性が襲われたとみられる場所からはおよそ40キロ離れていて、地元の猟友会は別のクマの可能性が高いとみています。30日午前6時40分ごろ、秋田県仙北市の景勝地、抱返渓谷の入り口から西におよそ1キロの雑木林で、設置されたおりにクマが入っているのが見つかりました。地元の猟友会によりますと、大人のオスのツキノワグマで、体長およそ1メートル20センチ、重さがおよそ80キロあるということです。この地域では、近くに住む人からクマの駆除を求める要望が寄せられ、仙北市や猟友会が今月15日からクマを捕獲するためのおりを設置していたということです。仙北市では今月27日、クマに襲われたとみられるタケノコ採りの女性が死亡しましたが、その現場からはおよそ40キロ離れていて、猟友会は、今回捕獲されたのは別のクマの可能性が高いとみています。捕獲された場所に近い景勝地には、この時期多くの観光客が訪れ、人や農作物に被害が及ぶおそれがあることから、猟友会はクマを駆除しました。秋田県によりますと、昨年度、県内で駆除されたクマは456頭で、統計が残っている最近の40年余りの中で最も多いということです。
(クマ目撃、1頭駆除:福島)
福島県会津若松市の中心部で31日、クマの目撃情報が相次ぎ、地元猟友会の会員が同日午前10時ごろ、同市門田町飯寺の会津若松勤労者運動公園北側にいた1頭を駆除した。会津若松署によると、同日午前0時45分ごろ、同市本町の諏方(すわ)神社境内で、散歩中の40代夫婦が1頭を見つけた。その後、門田町飯寺の住宅街、門田町工業団地の工場、勤労者運動公園で目撃された。同署によると、駆除されたクマは体長約1.3メートル。目撃されたのはいずれも同程度だが、別の個体の可能性も否定できないという。人や農作物などへの被害はない。諏方神社は市役所から西に約800メートルの住宅街にあり、病院や高校などが隣接する。駆除された場所は神社から南西約3キロで住宅地に近い。神社近くの50代女性は「周囲に山林はなく、こんな住宅街にクマが出るなんて驚いた」と話した。
(市道にクマ:秋田)
30日午前7時20分ごろ、秋田県大仙市協和境字境の市道にクマがいるのを、散歩していた50代男性が見つけ、大仙署に通報した。同署によると、クマは体長約1メートルで、北側の林の方へ立ち去ったという。民家まで約80メートル。同市協和船岡の山林では今月9日、山菜採りをしていた70代男性がクマに襲われ重傷を負った。その後も協和地区でクマの目撃が相次いでいることから、市は30日、同地区内に捕獲用のおりを設置することを決めた。住宅地付近の山林などに来月5日以降に設置するとしている。
(イノシシ出没、近くの保育園や小学校で警戒:新潟)
新潟県上越市寺町2の高田大谷保育園北側にある高田別院周辺で2017年5月30日午前5時頃、近隣住民が体長1mほどのイノシシ1頭を目撃し、上越警察署に通報した。保育園のほか、付近の高田西小学校では児童の通学時間を控えていたことから、警察署員や市職員が午前6時30分から約2時間にわたり、子供たちの安全を確保しようとパトロールにあたった。被害は確認されておらず、イノシシは発見されていない。
(クマ目撃情報:山梨)
1日午前10時半ごろ、韮崎市一ツ谷の韮崎中央公園付近で、散歩していた人がクマ1匹を目撃したと市役所に届けた。同市によると、現場は同公園とJAりほく本店を結ぶ細い道沿い。 同市は防災無線で住民に注意を呼びかけている。
(クマ目撃、今月7件:栃木)
県内では今月に入り、ツキノワグマの目撃が相次いでいる。県と県警によると、29日現在、少なくとも7件で、うち6件は日光市だった。27日には秋田県の山林で、タケノコ採りをしていた女性(61)がクマに襲われて死亡しており、県は注意を呼びかけている。今年最初の目撃は、今月6日午前11時40分頃。日光市鬼怒川温泉滝のロープウェー付近で、体長約1メートル50のクマが山の斜面を歩いていると通報があった。この付近では、7日と9日にも同じ時間帯にクマが歩いているのを、観光客が目撃している。29日には、日光市中宮祠の第一いろは坂にある休憩スペースと、鹿沼市下粕尾の大越路トンネル出口付近で、それぞれクマが目撃された。県自然環境課によると、過去には那須や県南でも捕獲事例があり、担当者は「山菜採りなどで山に入る際は、鈴などで自分の存在を知らせて」と呼びかけ、県警も目撃地周辺でパトロールを強化している。
(また住宅街にクマ:青森)
29日午後、むつ市金谷2丁目の遊歩道でクマが目撃された。むつ市では5月18日以降、住宅街や小学校の近くなど市街地でクマの目撃が6件相次いでいる。去年は市街地だけでクマの目撃情報が128件相次ぎ、2年続けて相次ぐクマの目撃に警戒を強めている。
(クマ画像、商標登録知らず入山自粛チラシに:秋田)
仙北市田沢湖玉川の山林で60代の女性がクマに襲われ死亡したとみられる被害を受け、市が入山自粛を促すために作製したチラシに、札幌市の会社が商標登録したロゴ画像が無断使用されていたことがわかった。市は画像を削除したチラシに差し替え、配布済みチラシを回収している。チラシはA4判で、200枚作製した。
(鳥獣駆除、指導徹底を:東京)
雲南市で子育て中だった国の特別天然記念物・コウノトリの雌(5歳)がサギと間違った地元猟友会員に誤射された事故を受け、公益財団法人・日本野鳥の会(東京都)が、環境省と県に有害鳥獣駆除での指導の徹底を求めて申し入れをした。ハンターの野鳥識別能力の向上などを求めている。申し入れ書では、このほか、種類ごとに駆除期間や駆除数を設け、原則2人以上で駆除するといった駆除手法の改善や、安全上の観点から水平方向で撃たないなどの指導の徹底を求めた。申し入れについて、県鳥獣対策室は「まずは狩猟免許の試験や更新時、識別能力の向上を含めた周知を図る。駆除手法も今後、市町村と協議しながら決める」としている。2人以上での駆除は、県猟友会が再発防止策で、複数での駆除を盛り込んでいる。一方、環境省鳥獣保護管理室は事故後、全都道府県に注意を促した。日本野鳥の会は「雲南市のようなことがほかでも起きかねない。誤って他の種が撃たれないよう、再発防止に向けて指導してもらいたい」としている。
(コウノトリ誤射、再発防止策を提出:島根)
雲南市に飛来した国の特別天然記念物・コウノトリのペアの雌がハンターの誤射で死んだ問題で、県猟友会は再発防止策をまとめた。会員が単独で捕獲活動をしないことや、研修を通じて希少鳥獣に対する理解を深めることなどを盛り込んでおり、県と同市に26日、文書を提出した。
(シカ捕獲「減少傾向」:長野)
南アルプス食害対策協議会は5月31日、総会を伊那市役所で開いた。飯田、伊那、富士見、大鹿の構成4市町村の猟友会に委託して2016年度に南アルプス域で捕獲したシカの頭数について、事務局は474頭だったと報告。予算や活動時間などは各年度で異なるが、1157頭に上った13年度をピークに捕獲数は減っており「生息数も減少傾向にあるとは考えられる」としている。シカの捕獲業務委託は11年度から開始。昨年度は8~2月の委託期間中に、飯田市が53頭、伊那市が31頭、富士見町が39頭、大鹿村が351頭を捕獲した=グラフ参照。他にくくりわなを用い、伊那市長谷の猟友会が林道南アルプス線沿いで16頭を、南信森林管理署職員が南ア地域で88頭を捕った。今年度も引き続き捕獲に力を入れる方針。信州大農学部に委託して食害の実態調査も続け、シカ除け柵の設置で植生保護を図る。同林道沿いで取り組む外来植物の除去活動は歌宿の上方まで範囲を広げて継続する考えだ。会長に再任された白鳥孝伊那市長は「素晴らしい成果を上げてもらっている。引き続き連携して食害対策をお願いしたい」と農学部や猟友会などに感謝。シカの生息数が増えているとみられる中アにも触れ、「南アと同様に個体調整を本格的にやっていかなければ、中アの高山植物も同じ憂き目に遭ってしまう」と懸念を示した。今年度は協議会設立から10年となり、来年2月に活動報告会と併せて記念シンポジウムを開く計画でいる。
(クマ出没マップ作製、ネットで公開:青森)
県は県内のツキノワグマの目撃や人身被害があった場所を、インターネット上に記した「クマ出没状況マップ」の公開を始めた。パソコンやスマートフォンなどで閲覧でき、目撃や被害があれば随時更新していく。県自然保護課は「山に入る際の一つの目安として活用してもらいたい」と利用を呼び掛けている。マップは検索大手グーグルの地図サイト「グーグルマップ」を利用目撃場所を青色食害発生場所を緑色、人身被害発生場所を赤色で表記しており、拡大も可能。今後は県警や関係機関から情報を受けて、その都度、場所を更新していく。
(有害鳥獣捕獲隊、12人に辞令:佐賀)
イノシシやカラス、アライグマなどの有害鳥獣の捕獲作戦を指揮する「有害鳥獣捕獲隊」の辞令交付式が30日、伊万里市役所であった。里山を荒らし、ナシをはじめとする特産の果樹に被害を与える難敵の封じ込めに一丸となる決意を固めた。有害鳥獣による2015年度の県内農業被害額は約1億7500万円(県生産者支援課)。うち市内は約16%にあたる2786万円と、被害多発地域に分類される。イノシシが水田を荒らすほか、ナシをカラスがつつくなどの被害が出ている。また、今年に入って市内の山中でニホンジカが目撃されるなど、新たな脅威も迫りつつある。捕獲隊は、地元猟友会会員の地区代表12人で結成される。年間24回の集落パトロールのほか、生産者や地域住民の目撃情報を受けて出動し、捕獲や追い払いを行う。昨年度はイノシシを前年比約700頭増の4523頭を捕獲するなどの成果を挙げた。交付式では、塚部芳和市長が「いたちごっこの様相を呈しているが、少しでも農作物の被害減少につながれば」と激励。隊長に任命された武重道隆さん(69)=木須町=は「昨年の捕獲の効果もみられるが、気を抜かないようにしたい。隊員の高齢化も心配されるので、若い人の狩猟免許取得を促すことも考えたい」と話した。
(イノシシ被害対策を:茨城)
筑波山や周辺地区のイノシシによる農作物被害、民家被害を減少させようと、筑波山周辺の区長らによる「筑波山麓区長会」のメンバー7人が30日、つくば市役所を訪れ、イノシシ被害の防止対策を求め、五十嵐立青市長に要望書を手渡した。五十嵐市長は「皆さんからの知恵をいただき、できる限りの事をしたい」と取り組み推進を約束した。要望書は、筑波山麓とその周辺エリアでイノシシ被害が深刻化していることから、行政で被害防止対策を取りまとめ、国や県の補助を活用して対応してほしいと求めている。同区長会加盟の9地区の区長らが連名で作成した。同市環境課によると、市内のイノシシ捕獲頭数は昨年度1年間で112頭。2011年度の34頭に比べると3倍以上に増えている。12年度に82頭に激増して以降、13年度から昨年度まで100頭以上で推移。捕獲は猟友会筑波支部会員の8人で行っている。主に被害を受けたのは水稲で、昨年度1年間の被害面積は94アール。筑波山麓の小田、北条などにある農家8軒が総額103万3千円の被害に遭ったという。区長らは「耕作放棄地が増えたことでイノシシが住みやすい環境になっている」「農作物だけでなく道路、石垣、墓地の被害も大きい。構造物被害も相当なものだ」などと深刻な状況を説明した。市は今年度、イノシシによる農作物被害を減らす目的で「市鳥獣被害防止計画」を策定する。市農業政策課によると、今後は同計画の推進に向けた協議会を立ち上げる。また市は今年度から、捕獲した人に対する支援金「イノシシ捕獲報奨金」を設け、猟期の11から3月までの間、捕獲1頭当たり1万円の補助を出す。
(サル被害深刻で大型捕獲柵1基設置へ:山口)
下関市は、サルの被害が深刻な豊北町に、新たに大型の捕獲柵1基を設置することにした。これは、30日に行われた補正予算に関する会見の中で前田市長が明らかにしたもの。下関市には、豊北町と豊田町にそれぞれ一か所ずつ、サル用の大型捕獲柵が設置されている。しかし、サルの被害は年々増加していて地区住民を悩ませている。下関市では大型捕獲柵には、一定の効果が期待できるため、特に被害が深刻な豊北町に新たに1基設置するための補正予算を6月議会に提案することにした。大型捕獲柵は1基、およそ160万円。可決されれば、県の補助も得て8月にも大型捕獲柵を設置する予定。大型捕獲柵を巡っては、5月初め、豊北町の自治会連合会が、新たに3基の設置を市長に要望していた。要望を行った、豊北自治会連合会の岩本憲慈会長は「1基の設置でもありがたい、サルの被害が減れば農家の耕作意欲も高まる」と話していた。
(ドローンを活用したサル撃退作戦:大分)
ニホンザルによる農業被害が相次いでいる大分市の田ノ浦地区で小型無人機・ドローンを活用したサルの追い払い作戦が30日から始まりました。サルの人形が装着されたドローン。大分市が農作物被害を減らそうと新たに導入したもので、サルが嫌がるような威嚇の声や赤い光を発します。30日は特産のビワの出荷が始まった田ノ浦地区の2か所でドローンを飛ばして農作物を荒らしているサルがいないかを偵察しました。大分市内では昨年度、サルによる農作物の被害額が220万円に上っています。特に高崎山に近い田ノ浦地区は群れから離れたサルがビワやイチジク、ミカンなどを荒らす被害が深刻となり、これまでもワナの設置や鷹匠の投入など様々な対策が実施されてきました。30日の飛行でサルの姿は確認されませんでしたが、サルを追い払うための音や光も正常に機能し、操作性に問題がないことが確認されました。市は今年度ドローンを使った追い払い作戦をおよそ20回実施する予定で、その後、効果を検証した上で、ドローンの機能強化や台数を増やす方針です。
(食害ザルドローンでサルか:大分)
大分市は30日、野生ニホンザルの餌付けで知られる高崎山自然動物園周辺の農作物を荒らす「離れザル」対策として、小型無人機ドローンで追い払う実証実験を始めた。市によると、九州では珍しい取り組みで、効果や課題を検証して本格活用を目指す。ドローンは市が1機160万円で購入し、地元企業に操縦や管理を委託した。サルを怖がらせようと、機体にサルの縫いぐるみを取り付け、仲間が捕まったように見せかけ、サルの悲鳴のような声や警報音を出しながら飛ぶ。初日はサルが畑に出没する早朝に実験。人の気配を警戒したのか、サルは姿を見せなかったが、ドローンは高度を変えながら軽快に飛び回った。少ない人数で広範囲に飛ばせるのも利点で、市林業水産課の職員は「効果的な使い方を実験で探りたい」と話した。実験場所の高崎山の東側では、寄せ場で餌を食べる群れを抜けたサル約100匹が生息し、畑のビワやイチジクが食い荒らされる被害が出ている。フェンスや電気柵は効果がなく、2016年度のサルによる農産物被害は市全域で78件、約220万円だった。
(災害時ドローン活用協定:高知)
嶺北森林管理署と高知県嶺北地域4町村、嶺北広域行政事務組合消防本部は5月31日、嶺北森林管理署のカメラ付き小型無人航空機「ドローン」を活用した災害活動支援協定を結んだ。災害時に自治体の要請を受けてドローンを飛ばし、被害状況の把握に当たる。森林管理署と自治体の協定は全国2例目で、複数町村にまたがる広域協定は初。平時には、操縦技術の向上や観光資源の発信なども期待されている。協定を結んだのは高知県長岡郡大豊町、本山町、土佐郡土佐町、大川村。四国森林管理局(高知市)は2016年までに、管内7署全てにドローンを導入。嶺北森林管理署は3機保有し、災害森林調査や、シカの防護柵と捕獲わなの見回りに活用している。実践や講習会で署員の操縦技術も向上。4月にドローンを導入した大川村職員らに署員が指導するなど、活用態勢が整ったことから、台風シーズンを前に嶺北地域での連携を呼び掛けた。この日の締結式では、今西芳彦本山町長が「嶺北地域は9割が森林で急峻(きゅうしゅん)、もろい地質」とした上で「深層崩壊などの大規模災害では、ドローンによる状況把握が有効ではないか」などと述べた。式の後は本山町本山の広場でデモ飛行を実施。ドローンからの映像をモニターで確認した役場や消防関係者は「映像が鮮明」「(人の)捜索にも使える」と感想を話していた。嶺北森林管理署の川久保康史署長は「災害時には初動の状況把握を担い、平時は空撮による観光資源PRにも活用してもらえれば」としている。
(キョン捕獲チーム結成、名称募集:東京)
東京都環境局は26日、伊豆大島において増加している特定外来生物「キョン」の捕獲チームを、今秋をめどに捕獲業者や町民で結成することを発表。チーム名を都内在住者から募集することとなった。キョンは偶蹄目シカ科で体高40cmほどの中型犬くらいの大きさ。原産地は中国南東部など。キョンの伊豆大島での野生化は、1970年秋に大島公園で飼われていた十数匹が台風で壊れた柵の間から逃げ出したことから始まったとされている。1973年8月には野外での繁殖が、2013年には全島での生息が確認された。大島町の特産物であるアシタバ、ツバキなどを食べて被害を及ぼしているほか、絶滅危惧種のキンランなども食べることから生態系にも影響を与えている。大島においては2006年に生息調査を実施し、2007年度から防除実施計画に基づく防除事業を行っている。キョン捕獲チームの名称募集の応募資格は都内在住・在勤者で、応募作品1点ごとに郵送もしくはメールで申し込める。応募期間は6月1日から7月20日まで。9月中旬ごろに結果発表する。また、チームのロゴマークは、大島町の小中高生から各学校を通じて募集する。
(ミツマタに熱視線、獣害防止など研究:京都)
京都府福知山市夜久野町畑の今里地区に群生し、住民が紙幣の原料として出荷しているミツマタが注目されている。シカが食べないとされることから獣害防止に役立てたり、墨をつくったりする研究が始まった。府の「地域産業資源」にも認定された。住民たちは「過疎が進む地域の活性化につながる」と期待する。夜久野町には明治時代から和紙原料のミツマタを栽培した記録があり、今里地区では約100ヘクタールに自生する。住民らは「みつまた特産研究会」をつくり、昨年、紙幣の原料として原木約3トンを岡山県真庭市の加工業者に出荷した。今年は大雪で出荷ができなかったが、休耕田でミツマタの試験栽培を3月から始めた。福井県越前市の越前和紙の組合からも和紙原料としての皮の出荷を求められているという。こうした取り組みを知った京都府立大の細矢憲教授(58)=高分子化学=は、シカが嫌がる成分を抽出し、紙やロープに染み込ませることで獣害防止に活用できないか検討を始めた。また、綾部市の黒谷和紙の原料コウゾを使って開発した墨づくりをミツマタでも応用できないか、研究を進めている。「地域産業資源」に認定されたことで、新商品やサービスの開発に国からの支援が得られる道も開けた。同研究会事務局の中島俊則さん(73)は「夜久野町で加工所の建設を検討したい。職を確保して若者移住につなげたい」と意気込む。
(ジビエ・ビジネスの光と影、獣害対策の切り札となるか:兵庫)
ジビエ(野生鳥獣肉)が注目を集めている。政府もジビエ利用拡大の旗を振り、各地で事業化の動きが目立つ。獣害を引き起こすシカの駆除をジビエの普及によって促進しようという発想だ。その最前線に位置する兵庫県丹波市で、シカ肉の販売・流通を手掛ける丹波姫もみじに到着したのは3月上旬の朝だった。柳川瀬正夫社長に話を聞こうと思った途端、事務所の前に軽トラが止まった。荷台には大きなニホンジカ。胸が赤く染まっている。さっそく社員が集まって、食肉処理場に運び込む。重さを量ると70キロを超えた。「これは大物だな」。そんな声が響く。持ち込んだ人によると、畑に仕掛けたくくりワナに掛かっていたのだそうだ。まだ仕留めて30分と経たない。その後も次々とシカが運び込まれた。猟期中は1日10頭以上持ち込まれるという。「もっとも多い日は26頭だったかな」というのは、解体を担当する足立利文さん。1頭の皮を剥ぎ内臓を抜くまで10分くらいだという。その後冷蔵室で約1週間熟成させてから肉の部位を切り分ける。丹波姫もみじの昨年の処理数は、約1800頭にのぼる。ニホンジカ専門の処理施設としては日本最大級だ。ジビエブームに乗って急成長か……。「全然、利益は出ません。一時は廃業を考えたくらいです」意外や柳川瀬社長の口調は重かった。シカ肉ジビエの現状はどうなっているのか。
(ジビエでペットフード:千葉)
千葉市中央区でフレンチレストラン「天使の隠れ家」を経営する植村孝光さん(36)が、ジビエ(野生鳥獣肉)を使ったペットフードの開発に取り組んでいる。ジビエ料理への注目が高まる中、通常メニューでは使えない部位を有効活用するのが狙いで、7月頃からペットとともに来店した客が注文できるようにする予定だ。植村さんは千葉市出身で専門学校で調理師免許を取得後、都内のレストランなどで腕を磨いた。10年ほど前から「天使の隠れ家」で働き始め、2014年にオーナーになった。店の個性を打ち出そうと、オーナーになって間もなく、県内で狩猟されたシカとイノシシを使ったミートローフやパテの提供を始めた。しかし、解体業者から購入する肉には、硬いスジや血合いが多いときで1割程度含まれており、料理には使わずに廃棄していた。昨年夏、捨てていた部位を有効に使えないか考え、煮込んでペースト状にしたものを飼い猫に与えたところ、おいしそうに食べた。ペット仲間に協力を仰いで試作したペットフードを与えてもらったところ、軒並み好評だったことから、ペットとともに来店した客に提供することを決めた。開発はまだ続いているが、ジビエを小さいブロック状にしてオーブンで乾燥させたものを提供することを検討している。植村さんのアイデアは今年2月、金融機関などから優遇措置が受けられる「中小企業経営革新計画」の承認を県から受けた。植村さんは「新たなペットフードとして、ジビエの有効活用が広まってほしい」と話している。
(シカ肉ソーセージ発売:兵庫)
シカ肉を加工、販売する兵庫県朝来市和田山町宮内の「鹿工房ロス・カサドーレス」が、但馬産シカ肉で作ったソーセージの販売を始めた。「肉そのもののうま味を味わってもらいたい」と無添加にこだわった一品。「高タンパク、低カロリーでヘルシーなシカ肉の『入門編』として、子どもや高齢者にもお勧めしたい」と呼び掛けている。同工房は、吉原剛史さん(42)と高田尚希さん(37)の2人が昨年5月に開設。わなにかかったシカを仕入れ、とどめを刺した後の血抜きの徹底や1時間以内の前処理、冷蔵庫で数日寝かせて赤身を熟成させるなど、厳格な手順を踏んで解体処理している。その肉質はプロのシェフからも高く評価され、但馬や神戸、大阪にあるフランス、イタリア料理店など30店近くに卸している。ソーセージは、豊岡市出石町の食肉加工業「但馬の郷」に製造を依頼。「安心して食べられるものを」との思いから、発色剤や着色料などは一切使わず、シカ肉と肉を詰める羊腸のほか、牛脂と塩やハーブだけで作っている。湯煎などをして調理すると、「パリッ」という食感とともに肉汁があふれ出る。2人は「自然環境で育った健康なシカの肉は、添加物なしでも十分においしい。サラダや、ビールのおつまみにもぴったり」とPRする。味は塩のみで味付けした「プレーン」と「5種のハーブ入り」の2種類。いずれも90グラムで税込み450円。冷凍保存で約1年もつ。朝来市和田山町玉置の「めぐみの郷和田山店」や同市多々良木の「道の駅あさご」で販売している。

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