<射撃ニュース9月>

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(鳥獣被害防止特措法の基本指針、自民が改正案を了承)
自民党の鳥獣被害対策特別委員会などは8月30日の会合で、農水省の提示した鳥獣被害防止特措法に基づく基本指針の改正案を了承した。昨年の法改正で捕獲鳥獣のジビエ活用を目的に加えたことを受け、基本指針では野生鳥獣肉の安全性確保や捕獲から処理までの安定供給体制の構築、ジビエに携わる人材育成などで国と地方公共団体に努力を求めた。捕獲を支援する鳥獣被害防止総合対策交付金は不正受給を防止するため、捕獲の確認方法を見直す。同省では、イノシシを捕獲した証拠写真で、場所や角度を変えて撮影し、1頭を複数頭に見せかけるという不正受給を確認。そのため、証拠写真では捕獲獣の向きを右向きに統一し、スプレーなどを使った個体へのマーキングも徹底する。証拠部位は尾に統一する。10月をめどに改正し、来年4月から施行する見通しだ。
(逃げても熊が追ってきた、男性負傷:栃木)
11日午前11時25分ごろ、栃木県佐野市役所から県警佐野署に「男性が熊に襲われた」と通報があった。同署によると、午前11時5分ごろ、同市飛駒町の山林で、キノコ採りに来ていた群馬県太田市の無職男性(73)が林道入り口の木の上に熊がいるのを発見。車を置いた場所まで走って逃げたが、熊に追い付かれ、もみ合った際、あごや右腕、下腹部にすり傷を負った。全治1、2週間の軽傷とみられる。男性が手当てを受けた診療所から同市に連絡があった。熊は体長1・2メートル程度だったといい、すぐに走り去った。同署は付近の小学校や猟友会に連絡し、周辺を警戒している。現場は栃木、群馬両県の県境から約1キロの山林で、周辺に住宅はない。
(クマの出没相次ぐ:長野)
木曽郡南木曽町で8日、50代の男性がわなにかかったクマに麻酔銃を撃ったところ、暴れて男性に襲いかかった。男性は太ももなどをかまれたが、命に別条はないという。また9日午前8時ごろ、木曽郡木曽町日義の木曽川右岸の山中で、近くの無職男性(77)が熊に襲われ、けがを負った。命に別条はない。木曽署によると、木曽町の男性は1人でキノコ採りに入って熊と遭遇。左太ももや右腕、顔などをかまれたり、ひっかかれたりした。男性は自力で帰宅。家族が119番通報し、男性はドクターヘリで松本市内の病院に運ばれた。同署員や町職員などが探したが熊は発見できなかった。町は防災行政無線で注意を呼び掛け、男性が襲われた付近にわなのおりを設置した。近くの女性(80)は「周辺で猿は時々見るが、熊の話は聞いたことがなかった。不安だ」と話した。
(車とクマが衝突、けが人なし:新潟)
11日午後6時半ごろ、五泉市下戸倉の県道で、五泉市の30代男性が運転する乗用車がクマ1頭と衝突した。男性にけがはなかった。五泉署によると、クマは体長約1・5メートル。現場から民家まで約500メートル。クマは車と衝突後、山中に逃げた。
(クレー射撃世界選手権、石原は26位で予選敗退)
クレー射撃の世界選手権は7日、モスクワで女子スキート予選が行われ、石原奈央子(古峯神社)は26位で上位6人で争う決勝に進めなかった。
(スキート混合団体、日本勢は予選敗退)
クレー射撃の世界選手権は10日、モスクワで行われ、スキート混合団体で日本勢は予選を突破できず、折原梨花(文星芸大)折原研二(那須国際射撃場)組は16位、石原奈央子(古峯神社)井川寛之(モダルビル管理)組は36位だった。
(クマか、養鶏場の飼料タンクが壊れる:秋田)
13日朝早く、大館市の養鶏場で、飼料の入ったタンクが壊され、中に入っていた比内地鶏のえさが散乱しているのが見つかりました。警察では、爪あとなどから、クマによるものとみて付近の警戒にあたっています。被害があったのは、大館市比内町中野にある養鶏場です。大館警察署の調べによりますと、13日午前5時45分ごろ、この養鶏場を管理していた作業員が、えさを保管していたタンクが倒れて周囲にえさが散乱しているのに気付き、警察に通報しました。倒れたタンクには、およそ5トンの乾燥トウモロコシが入っていました。タンクが置かれていた場所から10メートルほど離れた場所にあった鶏舎には、比内地鶏1000羽がいましたが、無事でした。倒れていたタンクには、クマのものと思われる爪跡が残されていたことや、養鶏場の敷地に複数の足跡が残っていたことから、警察はクマによる被害とみて、大館市と連携して付近をパトロールしています。
(連日クマ出没:岐阜)
7日午前7時40分ごろ、岐阜県高山市高根町中洞の中洞公民館付近で、「クマがいる」と住民から、市高根支所を通じて高山署高根駐在所へ通報があった。署員や猟友会員らが駆け付けた際、クマは公民館の隣の空き家付近にしゃがみこんでいたが、猟友会員に向かってきたため、会員が射殺した。けが人はいなかった。署によると、ツキノワグマの雌の成獣。体長は約120センチで体重は推定約70キロ。現場は20戸ほどの民家がある集落。公民館付近の2世帯が一時避難した。同市内では6日も奥飛騨温泉郷栃尾の栃尾小学校でクマが校庭の木に登っていたため、猟友会員が射殺した。
(白神山地、核心地域にニホンジカ:青森)
世界遺産白神山地の核心地域で8月にニホンジカが撮影されていたことが13日分かった。周辺での目撃はこれまであったが核心地域での確認は初めて。青森県は11月から世界遺産地域以外の場所でワナや銃による捕獲を実施しシカの数を減少させる方針。
(クマ目撃、どこから来た?:秋田)
11日午後6時20分ごろ、秋田県大潟村字方上の大潟富士近くでクマが道路を横切ったと村内の男性が村に連絡した。村は防災行政無線と緊急災害情報メールで村内に注意を呼び掛けた。12日午前8時から村や消防団、猟友会が集まり対応を協議する。村は八郎湖残存湖に囲まれた干拓地。2009年5月、残存湖を泳いで渡ったとみられるクマ2頭が目撃され、開村後初のクマ出没と騒ぎになった。今回のクマ目撃はそれ以来。
(クマが泳ぐ姿を撮影:山形)
山形県内の川をクマが泳いで渡る姿を視聴者が撮影した。撮影した男性に当時の状況を聞いた。川を泳ぎ、岸に上がる1頭のクマの映像はことし7月12日午後5時ごろ、視聴者によって撮影されたもの。クマが目撃されたのは戸沢村を流れる最上川、撮影したのは金山町の会社員・柿崎涼介さん(28)。これまで2~3度、最上川を泳ぐクマを目撃したということだが、撮影に成功したのは初めてという。13日、クマを撮影した現場付近まで案内してもらった。柿崎さん「川を眺めていたら突然大きなゴミ袋が流れてきて(最上川は)結構ゴミ袋が流れてくることがあるので、そのゴミ袋をよく見ると沈んだり浮いたりしておかしいなと思って、よく見たらクマが泳いでいる姿だった」クマは、川幅100メートルから150メートルほどの最上川を右岸から左岸に方向に泳ぎ切り、国道47号側の山林に消えていった。撮影は、泳ぎ渡る後半の様子という。柿崎さん「『あっまたクマ出たな』って言うよりは、今回は『あっ泳いでる』っていうびっくりの方が大きかった」県によると、ことし8月末現在のクマの目撃件数は去年より106件少ない384件となっている。また、人的被害は、去年より1件少なくことし8月に尾花沢市で、猟友会の男性が、捕獲されたクマを檻から出した際に襲われ右腕をかまれた1件となっている。柿崎さん「動画も子グマだと思うんですけど、近くに親グマがいないかなととっさに考えた。子グマと親グマが一緒にいる時は親グマは気が立っているので、そういう時は近づかなくようにはしないといけない」キノコ狩りなどで山に入る機会が多くなる今月から11月にかけて例年クマの目撃が増える時期となり県では、山に入る際に音の出るものを用意するなどのクマ対策を呼びかけている。
(ツキノワグマ目撃、付近に住宅街:大阪)
大阪府は13日、同府箕面市彩都粟生南(さいとあおみなみ)3丁目の水路沿いでツキノワグマが目撃された、と発表した。けが人の情報は無いが、付近には住宅街が広がり、大阪大学箕面キャンパスや小学校も近くにあることから、府は注意を呼びかけている。府動物愛護畜産課によると、ツキノワグマは12日午後1時半ごろに目撃され、13日になって動画とともに府や箕面市に情報提供があったという。1日と5日にも、今回の発見場所から5~8キロ離れた大阪府茨木市内で、体長1メートルほどとみられるツキノワグマの目撃情報があった。府は動画を確認し、体の大きさなどから同じツキノワグマだった可能性が高いとみている。府によると、ツキノワグマは京都や兵庫、和歌山など近隣府県に生息。大阪府は生息地域ではないが、全国的に出没地域が拡大しており、夏から秋にかけて行動が活発になるという。発見場所は大阪モノレール彩都西駅の南西約400メートル。府内では2014年6月に箕面市と同じ府北部の豊能町で初めて野生のツキノワグマを捕獲。同年以降この地域で目撃情報が府に寄せられるようになり、京都や兵庫など近隣府県のクマの生息地域の南下が指摘されていた。
(クマ出没の現場を公開:北海道)
子グマが目撃されたとして、きのうから臨時閉園されている札幌市南区の滝野すずらん丘陵公園で、目撃された現場が報道陣に公開されました。きのうから臨時閉園されている滝野すずらん丘陵公園。公園を囲むように設置された柵の下には、クマのものとみられる足跡や土を掘った跡などが見つかっているほか、近くの別の柵にはクマのものとみられる体毛も付着していました。また、おとといには園内に設置されたセンサーカメラが柵の外側を歩くクマを撮影しています。ただ、いずれの痕跡も職員が目撃したクマのものかは確認されておらず、札幌開発建設部は「安全を確認するまでは閉園を続ける」としています。
(民家車庫の前にクマ:秋田)
12日午後9時10分ごろ、秋田県五城目町富津内富田の民家敷地内にクマがいるのを、車で通り掛かった60代女性が見つけ、五城目署に届け出た。同署によると、女性が町道を走行中、左側の民家敷地内にある車庫の前に体長約1メートルのクマがいるのを目撃。クマは北側の富津内川の方へ向かったという。現場は道の駅五城目から南東に約1キロの山あいの集落。
(市街地にサル出没:三重)
十一日、津市の中心街にサルが迷い込んだ。市職員らが数時間にわたり捕獲を試みたが、サルはビルによじ登って逃げ続け、姿を消した。市によると、最初に目撃されたのは同日午前九時ごろ。西丸之内の病院付近にいるのを、薬局の従業員が見つけた。通報でパトロールを始めた市職員と津署員が午前十時ごろ、津市役所付近で発見した。サルはお城公園付近のビル屋上に逃げ込み、十五人が屋上と地上からタモやネットで捕獲しようとしたが、津地裁方面に逃げた。市農林水産政策課によると、逃げたのは体長七〇センチほどのニホンザルで、群れからはぐれたオスザルの可能性が高いという。
(ヒグマ目撃、道北で多発:北海道)
道北各地でヒグマの目撃が相次いでいる。警察署に寄せられた2017年の目撃情報は6日までに232件を数え、昨年の241件を月内にも上回る勢いだ。高速道路を横断したり、駅構内に出没したほか、特急列車との衝突事故も発生している。道警旭川方面本部によると、ふんや足跡、食害を含む情報は今年、8月末までが224件で、9月に入ってからの6日間で8件増えた。クマは冬眠する12月ごろまで活動するため、過去10年で最多だった15年の268件を上回る可能性もある。目撃場所の大半は郊外の畑や道路沿いだが、高速道路や鉄道施設に現れたケースも。比布町内の道央自動車道で今月1日、クマが車線を横断。8月27日はJR宗谷線蘭留駅(無人駅)構内に出没。名寄市の風連駅付近や枝幸町の市街地付近でも出没が相次ぐ。増毛町の暑寒別岳では8月20日、下山中の女性がクマに遭遇し、逃げる際に崖から転落する事故もあった。人が襲われた報告はないが、今月5日には美深町内の宗谷線で特急列車がクマと衝突して、後続の列車計3本に最大4時間の遅れが出た。
(我が物顔のイノシシやシカ、鳥獣被害は全国に)
野生鳥獣による被害が日本列島に広がっている。農作物被害こそ減少しているものの、被害が広域化しているためだ。野生鳥獣を捕獲する担い手の不足が大きな要因。日本経済新聞社が47都道府県を対象とした調査では、ICT(情報通信技術)を活用したシステムや従来の仕組みを改良した「新兵器」を導入する動きが全国に広がっていることが明らかになった。農林水産省によると、野生鳥獣による農作物被害額は毎年200億円程度で推移、10年度の239億円から15年度に176億円と減少した(図表1)。しかし、農村環境課の田中健一鳥獣対策室長は「農地が耕作放棄地となった場合は農産物被害額から除かれる。確かに数字は減少しているが、手放しでは喜べない」と明かす。都道府県へのアンケート調査でも、「年々減っている」は全体の3分の1にあたる16県。「年々深刻になっている」(11都府県)と「あまり変わらない」(6県)の合計、17都府県と拮抗した。「深刻になっている」と答えた11都府県に理由を尋ねると「鳥獣害の広域化」を挙げた自治体が9つに上る。同じ設問で「その他」を選んだ自治体の具体的記述からも「ここ数年は被害は横ばいだが、数年前まで県内で確認されていなかったニホンジカなどの被害増が懸念されている」(青森県)など、被害の広域化を指摘する声が多い。各都道府県が悩んでいる野生生物を複数回答で選んでもらったところ、トップはイノシシ、次いでカラス、ニホンジカ、サル、アライグマの順だ(図表2)。最も悩んでいる野生動物を1つだけ選んでもらったところ、23都府県がイノシシ、9府県がニホンジカを選んだ。鹿児島県のように「イノシシとニホンジカの両方に悩んでいる。一つに絞れない」など、全国でイノシシとニホンジカと苦闘している姿が改めて浮かび上がった。ただ現場では、捕獲する担い手不足が深刻化している。有害鳥獣駆除の最前線に立つ猟友会だが、1978年に42万人を超えていた会員数はその後は右肩下がりが続く。15年度こそ37年ぶりにプラスに転じたが16年度も横ばい、会員数はピーク時の4分の1の10万5000人となった。会員数だけをみると下げ止まりに思えるが、網・わな猟免許取得者の増加による部分が多く、いわゆる銃猟免許取得者(ハンター)は激減している。そのハンターも「50代はまだ若造。主力は60代以上」といわれる世界。高齢のため狩猟に出ない会員も増えている。自治体も担い手確保に向けた施策に取り組んでおり、「狩猟免許の受験機会の拡大」「捕獲技術の研さん」などが目立つ(図表3)。「わな猟スキルアップ講習会」(岡山県)、「農業高校での野生鳥獣に関する授業」(岩手県)、「狩猟体感バスツアー」(青森県)など都道府県と猟友会が組んだ独自の取り組みが加速。最近では狩猟やジビエに興味を持つ女性が目立つようになり、「狩りガール」という言葉も生まれている。担い手不足を補おうと新技術導入も広がっている。導入状況を尋ねたところ、「導入済み」で最も多かったのが「遠隔監視のためのシステム」。次いでエサによりゆういんされたシカを狙撃する「誘因狙撃」、「個体数・獣種判別システム」、「首くくりわな」など。これに対し「導入を検討中」で最も多かったのが「ドローン」で11都道府県があげた(図表4)。鳥獣害対策にドローンを既に導入しているのは、埼玉・広島・山口の3県(開発・実証も含む)。広島県では「カワウ対策として県内全域で導入。繁殖状況の確認、ビニールひも張り、テグス張り、追い払いに活用している」という。導入済みの技術で都道府県の間から挙がった具体名で最も多かったのが、「クラウドまるみえホカクン」だ。三重県農業研究所、鳥羽商船高等専門学校、半導体などの設計・開発会社のアイエスイー(三重県伊勢市)が、農水省の研究予算を使い共同で開発した。ネットワークカメラを使って複数の大型おりやわなの内部のライブ映像をパソコンやスマートフォンへ配信。この映像を見ながら捕獲ボタンを押すと自動でわなが作動し捕獲できる。獣の侵入をセンサーが感知するとメールで通知、捕獲した獣の餌付け状態などの監視も可能だ。エサの置き方、捕獲のタイミング、管理の仕方など、「これまで個人のコツとされてきた捕獲の技術などを見える化したことが、支持につながったのではないか」(開発者の一人、山端直人・兵庫県立大学教授)。導入費用は96万円、年間の運用コストは11.4万円(いずれも税抜き、おり・わな部分は含まず)。先進技術のなかでユニークなのが、JA木更津市(千葉県木更津市、梅沢千加夫組合長)が導入した北海道生まれのオオカミ型ロボット「スーパーモンスターウルフ」だ。全長65センチ、高さ50センチで全身を人工の毛皮でおおわれたこのロボットは、野生動物が近づくと赤外線センサーが感知して発光ダイオード(LED)照明を埋め込んだ目が炎の色に点滅し首が動く。同時に内蔵スピーカーから最大出力が90デシベルのオオカミのほえ声、銃の発砲音、猟犬の声など48種類の威嚇音が出る。静かな地域では1キロ以上も鳴り響くという。金属・精密機械加工の太田精器(北海道奈井江町)が、北海道大学、東京農業大学との共同研究指導により約7年間かけて開発した。7月11日から木更津市矢那地区の水田に設置しているが、「これまでたびたび出没していたイノシシの姿が一切見られなくなった」(梅沢組合長)という。
(捕獲不正は尻尾で防げても、鳥獣被害対策はイタチごっこ)
イノシシやシカなど野生鳥獣が田畑を荒らす農作物被害。それに乗じた不正が相次いでいる。捕獲頭数を水増しする補助金詐取だ。イノシシやシカを捕獲した場合、1頭につき農水省から最大8000円が交付されるが、これとは別に市町村が上乗せする場合も多い。鹿児島県霧島市では2013~16年度のイノシシやシカ、カラスなどの捕獲偽装の不正受給申請は29人の計241万円。兵庫県佐用町の猟師2人も14~16年度の事業で計44万円を不正受給していた。手口はこうだ。「1頭のイノシシの角度を変えて写真を数枚撮り、複数頭分を申請するなどの事例がありました。また、市町村によって捕獲を確認する部位が違うため、1頭を複数申請する不正も考えられ、確認する部位をシッポに統一する方向で検討しています」(農水省・鳥獣対策室)例えば、シカの捕獲確認をA町ではシッポ、B町では下あごで確認するとなると、1頭で複数申請できる。1頭に1本しかないシッポに統一すれば、水増しを防げるというわけだ。再び日本でオオカミを山林に放ち、シカやイノシシを駆除するという構想を検討している武貞誉裕添田町議(福岡県)がこう言う。「不正は良くないことだし、対策も必要。シッポに統一すれば、水増し防止には効果があるでしょうが、根本的な解決になっていません。捕獲は、労力、経費の割に、報酬が少なく割に合うものではない。それも不正が起きる要因でしょう。そういう捕獲に頼っている限り、いつまで経っても鳥獣被害は解決しない。対症療法的な対応にしか見えません」イノシシやシカが増えるのは、天敵オオカミが不在だから。日本では100年以上前に絶滅している。オオカミを山林に放ち、シカやイノシシを駆除できた成功例が海外ではあるという。日本でも真剣に検討すべきかもしれない。
(「人なれ」サル対策に捕獲おり:長野)
人間を恐れない「人なれ」が進む駒ケ根高原のニホンザル対策で、駒ケ根市有害鳥獣駆除対策協議会は地元地区や駒ケ根市猟友会と連携し、出没が相次いでいる駒ケ根高原に捕獲おりを新たに設置した。人なれが進み、害を及ぼす可能性が高くなっているサルを駆除することが目的。追い払いについても、引き続き地域と効果的な仕組みづくりを目指し協議していく。駒ケ根高原一帯では近年、サルの出没が増加。観光地で人に接する機会が多いため「人なれ」が進んでいるのが特徴で、県は加害レベルを最高水準の「レベル4」に位置付け、同市の今年度の捕獲上限値を昨年度までの50頭から100頭に引き上げている。今回設置した捕獲おりは、5メートル×5メートル、高さ2.5メートルの大きさ。地元に選定を依頼し、頻出している駒ケ根高原の太田切川沿いのうち、観光客などの目に付かない民有林内に設置した。協議会は有効な防除対策には捕獲だけでなく追い払いが不可欠としており、地元の北割一区、北割二区をモデル地区に、住民主体の組織的な仕組みを構築したい考え。事務局の市農林課は「農産物の収穫時期を迎え、被害も増える時期。少しでも被害の軽減につながるよう、地域と連携して対策に努めたい」としている。
(協議会発足しアライグマ対策:青森)
青森県弘前市で年々生息域が広がっているとされる野生獣の一つがアライグマだ。2004年に市内で初めて確認されて以降、農作物の食害や家屋への侵入など被害が増え続け、市は2008年に地元猟友会、JA、県など関係機関と「鳥獣被害防止対策協議会」を発足した。成獣のアライグマは気性が荒く、力も強いため、強度と耐久性に優れる箱ワナを導入して本格的な捕獲活動を進めている。
(狩猟のリスク再確認、猟友会が安全講習会:兵庫)
兵庫県の篠山市猟友会が狩猟活動中に事故を起こしたことを受け、会員に安全な狩猟をしてもらうための講習会が12日夜、同市網掛の四季の森生涯学習センターであった。鳥獣被害対策実施隊員に任命されている約50人が出席し、事故の未然防止対策の重要性を学んだ。事故は7月に起こり、会員の発射した弾が別の会員に当たり軽傷を負った。同隊員は非常勤特別職の公務員でもあるため、安全確保などが徹底されるまで当面の間は銃器による駆除活動を中止している。会合では、篠山署員が過去の事故例について「周囲の確認をしないまま発射してしまった」「獲物を見つけて興奮し、気を取られてしまった」など当事者の証言を紹介した。県猟友会の中澤明吉副会長は「人間はミスをする生き物である」という前提に立って、日常的・継続的にリスク低減に取り組む重要性を説明。はやる気持ちを抑えて余裕を持ち、常に「人がいるかもしれない」と想定することや、仲間との位置関係を十分に把握する必要性などを挙げた。その上で「狩猟に出る直前に、再度全員で注意点を確認することが大切で、面倒だと思っては絶対にいけない」と強調した。
(ツキノワグマの対処法を専門家が伝授)
ツキノワグマに襲われる被害が相次いでいる。先月には、山口県の養蜂場で男性が襲われ、今月6日には岐阜県の小学校校庭に現れ、猟友会が射殺する騒動に。記者も7月に長野県の山里をドライブ中に遭遇した。クマを追いかけて半世紀近くの「日本ツキノワグマ研究所」米田一彦理事長に聞いた。「2000年以降、ツキノワグマに襲われる人身事故発生数が急激に増えています。過疎化で里山から人が減り、クマの生息地域が広がっていること、ハンターの高齢化で駆除が追いつかないことなどが原因です」一年のうち9月と10月が最も事故が多い。越冬・出産に備えクマの食欲が旺盛になっている上、レジャーで入山する人間も多いからで、今こそ要注意だ。クマに襲われないためにはどうすればいいか?「エサとなるクリやブナの木の近く、ササなどの茂みに近づかないこと。出合い頭が一番怖いので、谷の曲がり角は特に注意してください」昔からクマよけとして知られる「クマ鈴」は有効だが、神社の鈴のようにガラガラと低い音で鳴る物はクマには聞こえない。チリンチリンと高い音で鳴る鈴がベター。それでも万が一遭遇したら?「クマとの距離が20メートルなら、まずじっとしていることです。もしクマが向かってきたら、大声で威嚇します。絶対に背を向けて逃げてはいけません。距離が5メートルなら、手や荷物などを振り回して自分を大きく見せるといい。クマは、自分より大きな生き物が脅威なのです」目の前まで来て襲ってきたら、「クマ撃退スプレー」が一番効果的。持っていなければ、実は「死んだフリ」も有効なのだという。「地面にうつぶせになって腹部を、両手を首の後ろに回して頚部を守ります。名付けて“うつぶせ首ガード法”。噛まれたりしても力を抜いて、クマが立ち去るまで我慢してください。下手に反撃するよりは、命が助かる確率が高いのです」立ち去ったら速やかに救護を求めよう。山に入るときは、携帯電話とクマ鈴、そしてクマ撃退スプレーが必須だ。
(ドローン、アプリで鳥獣対策:長野)
県内自治体が最新の技術を使った鳥獣被害対策に取り組んでいる。伊那市はドローン(小型無人機)による鳥獣の検知を進め、岡谷市は目撃情報を地図上で更新するアプリを公開した。捕獲した鳥獣を活用する選択肢も広がっており、小諸市はシカ肉をドッグフードの材料に使い始めた。鳥獣による農作物への被害が後を絶たない中、自治体は対策と活用を強化する。伊那市はニホンジカによる農作物への被害が相次いでいることから、産学官で作る「新産業技術推進協議会」で鳥獣対策を議論してきた。ドローンでシカを検知し、行動範囲などを把握する生態調査などが検討されている。同市はドローン技術の募集や認知を図るため、10月18~21日に同市長谷の鹿嶺高原で初めて開催するドローンイベントで「鹿検知コンペティション」を開催する。ドローンを使い、高原に設置されたシカの実物大の模型をいかに正確に速く検知できるかを競う。優勝チームには100万円を授与する。鳥獣駆除を事業化したいベンチャー企業などの参加を促す考えだ。県によると、県内の16年度の被害金額は6億1879万円。15年度では6億4180万円と北海道(46億3017万円)に次いで全国2位だった。ドローンなどの最新技術の活用は、省力化しながら農作物被害を減らす有効な手段といえる。岡谷市は6月、鳥獣の目撃情報を地図上でリアルタイムに更新できるアプリを公開した。アプリで目撃した鳥獣の種類と場所、コメントを書き込むとネットの地図上で更新される。住民や行政機関が鳥獣の出没情報を共有して、対策にも活用する。鳥獣を捕獲した後の活用にも工夫が広がっている。小諸市はシカ肉をドッグフードにし、今月から同市内で発売した。地元の特産品にするためにふるさと納税の返礼品にも加えた。同市は鳥獣対策を強化したことでニホンジカの捕獲数が16年は310頭と11年比6倍になった。捕獲したシカの処分費用が膨らんでいるため、シカ肉を商品化して持続的な鳥獣対策につなげる。
(ライチョウに新たな危機、捕食者侵入や高山植物食害)
国指定の特別天然記念物で絶滅危惧種「ニホンライチョウ」の生息環境が、危機的な状況に追い込まれている。捕食者の高山帯への侵入や温暖化による高山環境の変化、シカやサルなど大型草食動物による高山植物の食害が要因とされる。環境省や県が近年、対策に乗り出しているが、効果が現れるには至っていない。標高2857メートルの常念岳山頂で、ニホンザルの群れを目の当たりにしたのは8月中旬のこと。多くの登山者は「かわいい」などと口にし写真撮影に興じている。だが、3千メートル級の山の頂上にサルがいることは、極めてまれな光景なのである。北アルプスで、ニホンライチョウがニホンザルに捕食されているのが国内で初めて確認された-。ライチョウの生息実態を調査している中村浩志信州大名誉教授らが平成27年8月に発表した調査結果は衝撃的だった。中村教授によると、ニホンザルは約20年前に、餌となるハイマツの実を求め、標高の高い地域に侵入し始めた。サルのほかにも、キツネ、テン、カラスなどが生息域を拡大し、高山帯に現れるようになったという。環境省は平成26年に「第一期ライチョウ保護増殖事業実施計画」を作成。今年度から、ライチョウの捕食者とされるキツネやテン、カラスの捕獲に乗り出した。県自然保護課も28年から、ライチョウを捕食する習慣を持ったサルの群れが生息する東大天井岳周辺で、サルの追い払い事業を始めた。県から委託された環境調査会社の担当者や、民間ボランティアのライチョウサポーターズが同山域をパトロール。サルを見つけ次第、声などによる追い払いを行う。一部のサルにはGPS(衛星利用測位システム)を付けて行動を確認する。中村教授は、先月15~17日にかけて、ライチョウのひなの生育状況を調査するため同山域に入り、3日間で計16羽の雌と計36羽のひなを確認した。雌1羽当たりのひな数は2・25羽。孵化(ふか)して約2カ月後とみられることを勘案すれば「まあまあの数字」という。中村教授が代表を務める「信州ライチョウ研究会」のまとめによると、昭和54、56年の調査では、燕岳~蝶ケ岳の山域で82のつがいを確認したが、27年には40のつがいしか見つからなかった。ライチョウが絶滅の危機に直面している証左だといえる。中村教授は「サルは基本的には草食の動物。ライチョウを捕食する習性がほかのサルの群れにも広がらないよう、群れを早く追い払う必要がある」と指摘する。サルだけでなく、キツネやカラスが高山帯に現れるようになったのは、人的な要因が大きく関係している。登山道の脇に捨てられた生ごみやラーメンの残り汁に寄ってくるためだ。県自然保護課では、今年度、登山者のマナーを啓発するチラシを新たに作成。山小屋などに配布して、注意を呼びかけることにしている。ニホンライチョウは国指定の特別天然記念物で絶滅危惧種。1980年代まで国内に3千羽程度が生息していたが、2000年代初頭には2千羽弱に減少したと推測される。国内では、県内の北アルプス(乗鞍岳など)や南アルプス、御嶽山と、新潟県の火打山の高山帯で生息が確認されており、中央アルプスや八ケ岳はすでに絶滅している。環境省は平成27~28年度に乗鞍岳で22個のライチョウの卵を採集し、大町山岳博物館などで人工繁殖に取り組んでいる。
(木の実不作か、クマへの厳重な注意を呼びかけ:新潟)
この秋はブナなどの木の実の不作が予想されることから、県は「クマが早い時期から人里に出てくる危険性が非常に高い」として、厳重な注意を呼びかけている。県は毎年、ツキノワグマの秋の主なエサとなるブナやコナラなど5種類の木の実の生育を、県内373地点で調査している。ことしの調査では、県全体で、ブナが凶作から不作、ミズナラとコナラが不作から並作と判定された。この結果を受け、県は、「ことしは山の奥でのエサ不足が予想され、早い時期から人里にクマが出没する可能性が非常に高い」として、厳重な注意を呼びかけている。ことしのクマの目撃情報は、先月までですでに546件にのぼり、統計がある2006年度以来、2番目の多さとなっている。また、クマに襲われケガをする被害も3件発生している。県は、紅葉狩りやきのこ採り、レジャーなどで山に入る際は、厳重に注意をすることや、人里でもクマのエサとなり得る不要な果実や農作物は早めに処理することなどを呼びかけている。
(サル、4割減らす:神奈川)
神奈川県は頻発するニホンザルによる農作物や生活被害の軽減を狙い、2022年3月までに県内生息数を現状から4割減らすことを決めた。地域・群れごとに新たに捕獲目標を設定。行動域が住宅に隣接し、生活被害の恐れがあるなど、9群200頭強については、被害軽減策が取れないなどとして、初めて「根絶」へと踏み込んだ。適正な管理を徹底し、ヒトとの住み分けを図る。県内では山間部を中心に、農作物を食い荒らす被害以外に、住居に侵入したり、物品を略奪したりといった生活・人身被害も増加傾向にある。2015年は計739件と、08年比3倍弱の水準となっている。県は各地域の被害状況などに応じて、捕獲目標を毎年定めてきた。しかし、個体数を調整できず「被害を思うように軽減させることができなかった」(県自然環境保全課)。新たな目標では「適正な生息域や環境で地域の個体数を管理する」との考え方を導入。計画的に生息域を山へと押し戻す「追い上げ」や、捕獲を実施するほか、被害防除対策や、生息環境の整備も進める。県によると、県内のサルは、16年12月時点で25群952頭。14群(723頭)について、追い上げ目標エリアを設定、生息域、規模の管理に取り組む。このうち11群については頭数も削減していく。小田原市や箱根町の鉄道沿線などに出没し、生活被害が多発している西湘地域の18頭の群れは、追い上げる場所がなく管理困難と判断。全頭捕獲し、群れを根絶させる。丹沢地域の8群(計204頭)についても、他の群れと行動域が重複、追い上げた場合にエサの奪い合いになり人里に出没する頭数が増える可能性もあることなどから、根絶対象とした。捕獲は、従来ワナの使用が原則だったが、除去目標を立てたエリアを中心に、銃器の使用も本格的に開始する。「サルは学習能力が高く、ワナでは全頭捕獲は難しい。効率的な捕獲には、一定の距離を保ったまま、目視で照準が定められる銃器使用が極めて有効」(同課)あわせて市町村と協力し、サルを近づきにくくする環境整備を推進する。農地の野菜・果実の取り残しや放棄を適正に処分したり、電気を使用した防護柵の設置支援などに取り組む。人の生活圏と森林の境界部にも、広域防護柵の設置を進めていく考えだ。
(ミロクは年初来高値を更新:高知)
ミロク<7983.T>が続伸し年初来高値を更新。前週末8日の取引終了後に発表した第3四半期累計(16年11月~17年7月)連結決算が、売上高96億7100万円(前年同期比9.7%増)、営業利益10億1900万円(同61.6%増)、純利益8億7600万円(同2.3倍)となり、営業利益が通期計画の9億7000万円(同10.6%増)を上回って着地したことが好感されている。猟銃事業で主力の上下二連銃およびボルトアクションライフル銃の販売が欧米市場で引き続き順調だったほか、8月の大型設備更新に伴う生産停止を見越した5月への前倒し生産を行ったことが寄与した。また、工作機械事業で高価格製品の販売が伸長したことも貢献した。なお、17年10月期通期業績予想は従来見通しを据え置いており、前述の営業利益のほか、売上高124億円(前期比3.8%増)、純利益7億円(同23.4%増)を見込んでいる。
(植生を野生鳥獣から守れ:長野)
伊那市有害鳥獣対策協議会は10日、ニホンジカなどの侵入を防ぐ防護ネット約100メートル分を、中央アルプス山麓の同市西春近諏訪形の貝付沢周辺に設置した。2015年度から作業を進めていて、設置済みと合わせた総延長は約1・5キロに。土砂流災害の防災・減災に向けて植樹されている沢上流部の一角を、ぐるりと囲う格好となった。同協議会は今後、食害の被害の有無などをチェックし、設置効果を検証していく。2006年7月の豪雨で土石流が発生し、大きな被害が出た貝付沢。地元住民でつくる「諏訪形区を災害から守る委員会」(酒井久委員長)がケヤキなどの広葉樹を植え、災害に強い山づくりに取り組んできた。ただ、鹿や猿などに苗を食べられるといった食害が起こっている。同協議会は貝付沢周辺を、ニホンジカをはじめとする野生鳥獣対策モデル事業の実施場所に設定。15年度から防護ネットの設置や有害鳥獣の捕獲を進めている。この日は、市や同委員会、西春近自治協議会などの関係者ら約20人が参加。3メートル間隔で打ち込んだ支柱に、防護ネットを取り付けた。参加者らは「鹿による被害は減ってきているようだが、イノシシの侵入が目立つ。今回の囲い込みで防止できれば」と期待。協議会事務局の市耕地林務課は「植生を野生鳥獣から守る体制が整った。効果を検証し、ひき続き捕獲に力を入れていきたい」としている。
(鹿肉ペットフード事業が軌道に、活用率98%超:長野)
有害鳥獣として駆除したニホンジカを有効活用するため、鹿肉をペットフードに加工して販売する小諸市の事業が、新たな野生鳥獣対策として注目されている。捕獲した鹿の大半はこれまで、焼却処分されていたが、命を無駄にせず、処理経費の削減にもつなげようと同事業を導入した。2年目となる今年は、本格的に商品製造を開始し、捕獲した鹿のほぼ全てがペットフードとして活用されている。小諸市は、県内の多くの自治体と同様、ニホンジカなどによる農産物の食害といった農林業被害が深刻化している。このため、平成23年度には、地元の猟友会に捕獲を依存してきた態勢を改めようと、市職員でつくる「実施隊」を結成し、被害防止に取り組んできた。市によると、鹿の捕獲頭数は、22年度の48頭から、28年度には310頭に増えた。頭数が増大したのに伴い、22年度は914万円だった有害鳥獣による被害額が、28年度には139万円に減少したという。捕獲した鹿は、焼却処分されるか、市内の動物園でライオンの餌にされるケースが多く、焼却処分には、1頭当たり1万~1万5千円の経費がかかっていた。鹿肉は、低カロリーで高たんぱくなため、食肉の需要が高い。ただ、人間の食用にするには、品質を維持するために素早い処理が必要になる。ペット向けなら、処理時間をこれほど気にせずに済むため、市は昨年、県内の自治体で初めて、鹿肉をペットフードにする事業に乗り出した。市は、地方創生交付金などを財源に約6千万円費やし、処理・加工施設を整備。施設には、精肉用の金属探知機や放射性物質検査機を備え、安全面にも配慮した。加工作業は食肉処理会社に委託し、最大で年間700~800頭を処理できる。事業の初年度に当たる昨年度は、捕獲した310頭のうち、276頭分の食肉をペットフード用の原料として、委託した県外の専門業者が加工した。焼却処分の経費が省かれた上、ペットフードの販売で採算性も見込めることから、農林水産省の「鳥獣被害対策優良活動表彰」で大臣賞を受賞したほどだ。29年度は生産態勢が整備されたため、自前の施設で加工まで行い、オリジナルブランドも開発。8月下旬から販売している。9月4日現在、市内で捕獲された133頭と、隣接する軽井沢町内で捕獲され、市内に持ち込まれた111頭の計244頭のうち、捕獲時の状態が悪くて使えなかった3頭を除く、241頭分の食肉が、ペットフードに活用されたという。活用率は98・7%に上る。ペットフードは犬用のみで、鹿肉100%の「鹿肉ジャーキー」と、鹿肉と寒天水を混ぜた「鹿肉ウエットフード」の2種類。「KOMORO PREMIUM(コモロプレミアム)」というブランドで、市内外のペットショップや動物病院で扱われている。市のふるさと納税の返礼品にも利用し、寄付金は野生鳥獣保護管理事業に充てる。市農林課の担当者は「人間の都合で奪った命を捨てるのはためらいがある。持続的で効果的な野生鳥獣対策を続けていきたい」と話している。
(ジビエカー、全国初の導入:高知)
捕獲したイノシシやシカなどの有害鳥獣を有効に活用しようと、檮原町が、移動式のジビエ(野生鳥獣肉)解体処理車「ジビエカー」を全国で初めて導入した。処理場まで遠く、これまで廃棄せざるを得なかった捕獲獣をその場で解体、冷蔵運搬することが可能。業界内で「夢のような車」との声が上がっている。檮原町では昨年度、ハンターらが農作物に被害を与えるイノシシやシカを約1500頭捕獲。その数は2008年度の約10倍に膨れ上がっており、自家消費されるもの以外の大半が山中に捨てられているという。ジビエカーは箱型の荷台を備えた2トントラック(全長約6・5メートル)で、1台2175万円。
(水上ドローンで食害防げるカモ:徳島)
徳島県特産のレンコンをカモの食害から守ろうと、徳島大大学院の三輪昌史准教授(47)=機械工学=が「水上ドローン」を開発した。遠隔操作でレンコン田の水面を滑走させ、カモを追い払う。カモの接近を感知し、自動的に緊急発進(スクランブル)させるシステムも開発中だ。水上ドローンは長さ約90センチ、幅約50センチ、重さ約3キロ。小型の無人飛行機ドローンの技術を応用し、市販のボディーボードに、プロペラのついた電動モーター2基を搭載した。あぜ近くに水上ドローンを浮かべ、カモが舞い降りると、風切り音を立てて発進。広さ数十アールのレンコン田の水面を、最高時速約60キロの速さで滑走する。「機体」が軽くて軟らかい発泡ポリスチレン製のため、万が一、人やカモに衝突しても、けがをする危険性は低いという。徳島県は西日本最大のレンコン産地。農林水産省の統計(2016年)では、作付面積530ヘクタール、収穫量7210トンと、いずれも茨城県に次いで全国2位だ。ただ、ここ数年、秋から春にかけて飛来するカモの食害が深刻化している。徳島の主産地、鳴門市の農家は「近くの池から飛んできたカモが育ったレンコンをばりばり食べる。食い散らされて出荷できないことも」。約30アールのレンコン田で、年間約80万円の被害が出たこともあるという。深刻化の一因には、国の特別天然記念物コウノトリの保護策がある。地元では近年、コウノトリがたびたび営巣。今春は3羽が巣立った。県は誤射などを防ぐため、コウノトリの巣の一帯を鳥獣保護区に指定。レンコン田に張り巡らされていた防鳥ネットも、コウノトリが引っかからないよう、農家が使用を自粛していることから、レンコン田がカモにとって良好なエサ場となっている。水上ドローンは実用レベルに達し、食害が特に深刻化する冬場に向けて、ドローンを扱う徳島大学のベンチャー企業「MMラボ」(徳島市)が販売する。ただ、カモはドローンで追い払っても、しばらくすると戻ってきてしまう。人間による遠隔操作では限界があるため、現在、あぜ道に赤外線センサーなどを設置し、カモの飛来を感知すると、水上ドローンが自動的に発進するシステムを開発中。カモの鳴き声を感知して自動的に追尾する方法も検討しているという。三輪准教授は「レンコン農家のために、技術面でカモとの知恵比べをサポートしたい」と話している。
(害鳥対策にタカ活躍:石川)
男性の腕からタカが勢いよく飛び立った。翼を広げると約1メートル。威嚇すると福井駅前の繁華街から小鳥が次々に逃げていった。巧みに操るのは石川県小松市の鷹匠(たかじょう)、吉田剛之さん(45)。2013年、狩りに使うタカを調教し害鳥を追い払う会社を小松市に設立。深刻化する繁華街の害鳥対策に11羽の相棒と奮闘している。もともとはペットショップなどを経営する石川県の会社で働いていた。05年、福井市のペットショップで野生のハヤブサを保護し、世話をしたのがきっかけで「猛きん類を飼ってみたい」と思うように。翌年、米国などに生息するタカをペットとして約30万円で購入した。09年にNPO法人日本放鷹協会(岐阜)へ入会。12年に試験に合格し、協会が定める鷹匠の認定を得た。仲間から「海外で害鳥駆除にタカを使っている」と聞き、「自分もやってみよう」と13年に40歳で脱サラし独立。12年に新たに購入し、今も主力で活躍する「九十九君」とともに起業した。現在「社員」は11羽に増えた。近年、各地の繁華街で害鳥被害が深刻だ。天敵から狙われにくい市街地にハトやスズメ、カラスなどが数千羽単位で集まり、近隣住民らがふんや鳴き声の騒音で悩まされている。吉田さんはこれまで、自治体や企業の依頼で愛知県一宮市や金沢駅前など、全国各地で害鳥を駆除してきた。福井駅周辺では、08年ごろからムクドリが急増。住民からの苦情を受け県が14年、吉田さんに依頼した。ムクドリが飛来する夏から秋にかけて約2週間に1回の頻度で寝床の街路樹にタカを飛ばし、危険な場所だと認識させた。県によると、ピーク時の約4千羽から3年間で20羽まで減った。タカを飼い始めた当初は、呼んでも帰ってこないことがあったが「思い通りに飛んでくれると心が通じていると感じる」と吉田さん。「1600年以上の伝統を誇る鷹匠の技術を後世に残したい」と後継者の育成も視野に入れる。
(マタギの山刀人気、多様な使い方に注目:秋田)
全国でクマの出没や被害が相次ぐ中、東北地方の伝統的な狩猟集団でクマやシカなどの野生動物を狩る「マタギ」が使う短刀「山刀」が売れている。北秋田市の鍛冶職人、西根登さん(69)が熟練の手作業で作る「一本物」の評判はインターネットで拡散し、売り上げは年々増加。木の枝打ち用や包丁として使え、アウトドアを楽しむ人にも人気だ。
(シカの尿使用禁止へ、消耗病感染防ぐため:アメリカ)
ニューヨーク州のアップステートで、シカの尿が病原菌を媒介する恐れがあるとして問題になっている。シカの尿は狩りをする際、他の野生動物を引きつけるために使用されている。しかし、シカの唾液や尿に含まれる異常プリオンたんぱく質が、狂牛病に似た脳がスポンジ状になる慢性消耗病(CWD)を引き起こすため、州ではこのほど、シカの尿を使った狩りを禁止する条例案が提出された。CWDはシカやムースの間で年々感染が広がっている。50年ほど前にコロラド州で初めて感染例が報告されて以来、米国政府は感染拡大を抑えようとさまざまな取り組みを実施してきた。これまで24州およびカナダで感染例が報告され、ニューヨーク州でも2005年にCWDに感染したシカの群れが発見された。その際は、シカに餌を与えることや汚染地域で捕獲したシカの死骸の持ち込み、養鹿場への新たな家畜の輸入などが禁止された。中西部のウィスコンシン州は、感染を防ぐために汚染地域にいるシカの殺処分も行っている。人間への感染も懸念されるとして、ニューヨーク州では狩猟に使うシカの尿の販売なども禁止する見通し。狩猟家などからは、「狩りがしにくくなる」といった反対の声が上がっているが、州環境保護局のバジル・セゴス局長は「野生動物の生態系を守るためにもこの条例は必要だ」と話している。今月15日まで、州は条例に関する意見を一般市民からも募集している。

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(シカ駆除の散弾銃が民家に:山梨)
5日午前7時15分ごろ、山梨県道志村内の畑で、同村の無職男性(70)がシカ駆除のため発射した散弾銃の弾が、誤って約100メートル離れた民家2階の窓のガラス戸と軒先に命中した。3人が在宅していたが、1階におり無事だった。大月署によると、男性は猟友会員。自分の畑でシカを見つけ、1人で駆除していた。現場は個体数調整の捕獲許可区域。同署は民家に撃つことなどを禁じた鳥獣保護法違反(狩猟の制限)の疑いもあるとして、男性から事情を聴くなど詳しい状況を調べている。
(男性が熊に襲われけが:福島)
7日朝、会津美里町で、農作業をしていた男性が熊に襲われ、頭などにけがをした。7時20分頃、会津美里町赤留の畑で農作業をしていた64歳の男性が、体長1メートルほどの熊に遭遇した。男性がその場から逃げようとしたところ、熊に覆いかぶさられるように襲われ、頭を引っかかれるなどのけがをした。クマに襲われた男性は「仰向けに倒れて、その時に熊に頭と腕を引っかかれて。びっくりした、怖かった。まさかこんな近くまでとは」その後、男性が抵抗したところ、熊は近くの山のほうへ逃げたという。現場は民家が立ち並ぶ集落で、警察や町が付近の住民に注意を呼びかけている。
(小学校の校庭にクマ、猟友会が捕殺:岐阜)
6日午前11時半ごろ、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷栃尾の市立栃尾小学校で、クマが校庭にいると110番通報があった。高山署によると、体長約1メートルのオスのツキノワグマで、連絡を受けた地元の猟友会の男性3人が、校庭の木に登っていたクマを捕殺した。児童64人と教職員15人は校舎内に避難していて、けがはなかった。校庭を横切って走るクマを目撃した栃尾小の松井健治教頭(50)は「とても速くて、最初は犬かと思った」と振り返った。クマが現れた時間帯に、栃尾小では13日にある運動会の予行練習が校庭で予定されていたが、雨で中止になっていた。松井教頭は「本来なら児童や職員が校庭に出ていたが、雨が降ってくれて本当によかったです」と胸をなで下ろした。
(住宅街にシカで大捕り物:愛媛)
6日午後、松山市の住宅街で体長1メートルほどのシカ1頭が見つかり、畑や住宅を逃げ回った末、およそ2時間後に警察などによって捕獲されました。6日午後2時すぎ、松山市姫原の住宅街にシカ1頭がいるのを近くにいた人が見つけ、市に通報しました。市から連絡を受けた警察や地元の猟友会のメンバーおよそ20人が現場へ向かい、住宅街の中にある畑でシカを見つけました。警察官たちは網を準備して捕獲しようとしましたが、シカは突然走り出し、近くの住宅に逃げ込みました。追いかけた警察官が住宅の塀と屋外にある給湯器の間に挟まれ身動きができなくなっているシカを発見し、網をかけたうえで足を縛り午後4時すぎに捕獲しました。松山市によりますと、捕獲したシカは体長1メートル10センチのオスで、今後、猟友会が山あいに放すということです。現場は、愛媛県庁から北におよそ3キロの松山市中心部に近い住宅街で、けが人はいませんでしたが大捕り物となり、現場は一時騒然としました。松山市農林水産課の高橋一成担当課長は「人的被害がなくて安心した。松山市内でも年に数回、シカやイノシシが見られ、今後住民の安全対策などを検討したい」と話していました。
(列車とクマが衝突:福島)
4日午後7時10分ごろ、会津若松市河東町広野のJR磐越西線広田―東長原間で、会津若松発郡山行きの上り電車が線路上にいたクマと衝突した。乗客約90人と乗務員2人にけがはなかった。
(小学校近くにサル50匹、集団下校:滋賀)
6日午後1時20分ごろ、滋賀県東近江市今堀町の市立布引小学校の近くに約50匹の猿が出没し、教員が市役所職員を通じて東近江署に通報した。猿は付近の木などを走り回り、約10分後に駆け付けた同署員や市職員が爆竹やロケット花火で午後3時ごろまでに追い払った。けが人はなかった。
(今年のクマ目撃、県内千件超える:秋田)
秋田県内でツキノワグマの出没が増え続けている。今年、県警に寄せられたクマの目撃件数は6日午後5時までに1003件に達した。統計が残る2005年以降で千件を超えたのは初めて。昨年に続き過去最多を更新する異例の状況は、市民の暮らしにも影響を及ぼし始めている。秋田市下北手宝川の川村範子さん(65)は3日夕、自宅裏にあるお堂を物色するクマを脱衣所の窓越しに見つけた。間もなくもう1頭が現れ、鉢合わせした2頭は共に山林へ立ち去っていったという。駆け付けた秋田東署員が確認すると、扉や天井板は無残に壊されていた。現場は山あいの集落だが、周囲には数十軒の民家が集まる。その日の早朝にもお堂周辺をうろつくクマ1頭を目撃していた川村さんは「これまでも集落周辺でクマを見たという話は聞いているが、これほど近くに出るとは-。いつまた出くわすかと思うと気軽に外に出ることもできない」と表情をこわばらせた。
(有害鳥獣駆除不正問題、否認の1人告発へ:鹿児島)
鹿児島県霧島市の有害鳥獣駆除報償費の不正受給問題で、市は不正受給が疑われながら認めていない1人について、今月中に詐欺容疑などで県警に告発する方針を明らかにした。6日の市議会で中村満雄市議の質問に答えた。認めていない1人に対し市は、これまで数回聞き取り調査を実施したが、最終的な事実確認ができず、このままでは結論を得られないと判断した。近日中に最終の聞き取り調査をした上で告発に踏み切るという。市は、この1人について不正が疑われる件数などは明らかにしていない。これまでに市が確認した不正受給は2013年度からの4年間で252件。総額は241万8200円に上る。29人が同じ個体の写真を使い回すなどして虚偽申請していたが、市は「実際は行っていない捕獲をでっち上げたものは確認できなかった」としている。地元の市猟友会幹部は「警察は29人の不正についても悪質なケースがないかなど調べ、うみを出し切ってほしい」と話している。一方、不正を認めた市議が、不正の疑いがあった他の捕獲隊員の説得工作を市職員から依頼され、職員から不正頭数の間引きを容認されたと主張していることについて、市は「職員と面会するよう隊員に話してほしいとは頼んだが、間引きを容認して説得するよう依頼した事実はない」と否定した。
(くくりわな、安全対策を:富山)
県は、イノシシなどの捕獲に使う「くくりわな」の安全管理マニュアルを策定した。わなにかかった動物が人を襲うケースが起きているためで、こうしたマニュアルの策定は全国的に珍しいという。6日に富山市内で開いた野生動物の被害防止対策会議で市町村の担当者らに示した。くくりわなは、わなを踏んだ動物の脚をワイヤで巻き付け、捕獲する装置。箱形のわなより軽く、手軽に設置できる。県内でもイノシシの個体数の調整や、農作物への被害防止などを目的に広く使われている。ただ、わなにかかったイノシシやツキノワグマが人を襲う例もたびたび起きている。今年6月には、富山市でわなにかかったツキノワグマが暴れてわなが外れ、猟友会の男性が顔に大けがをする事故があった。マニュアルでは、わなの準備段階や設置後など、状況に応じた安全対策を明記した。現場責任者や緊急時の連絡役などを決め、毎日2人体制でわなを見回ることなどを示している。ツキノワグマが捕まった場合には、周りに他のクマがいないかを確認するなどの注意点も挙げている。県自然保護課は「今後も現場の声などを聞き、より良いマニュアルにしていきたい」としている。県は6日、ツキノワグマの主食となるドングリの実り具合について調査結果を発表した。ブナは全県で「不作」、ミズナラとコナラは県東部で「並作」、県西部で「不作」だった。調査地点の一部は「凶作」もあり、県は、山裾の集落などでは、餌を求めて出没するクマに警戒するよう呼びかけている。
(シカ衝突事故防げ、猟友会がマップ作成:山梨)
列車とシカが衝突する事故が県内で相次ぐ中、JR身延線が走る峡南地区の猟友会が、沿線でのシカの出没状況を図にまとめた。メンバーが捕獲に役立て衝突事故の減少を目指す。JR東海によると身延線では昨年度電車がシカとぶつかる事故が114件起きていて、遅延などの影響もたびたび発生している。こうした事故を減らそうと、峡南猟友会は昨年度の事故や目撃件数をもとに身延線沿線のシカなどの出没状況を図にまとめた。作成した図は特に出没が多い身延町の塩之沢駅から南部町の井出駅までの区間が対象。出没頻度を「危険1」から「危険3」の3段階に分けてシカのイラストで表示しているほか、出没しやすい場所の近くにある施設名なども掲載している。猟友会では作成した図を基に出没しやすい場所に罠をしかけるなどして列車とシカの衝突事故の減少につなげるという。峡南猟友会は今月8日に会合を開いてメンバーに図について説明し活用を呼びかけることにしている。
(鳥獣対策最前線:福島)
東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が解除された福島県内の地域で、イノシシなどの野生鳥獣が暮らし再生の妨げになっている。避難中に動物のねぐらと化した生活圏をいかに元に戻していくか。駆除と処分、前例のない侵入防止策に挑む最前線を歩いた。おり型のわなの中、黒い影がせわしなく動き回る。イノシシだ。「入っている」「成体だな」。周囲の空気が張り詰めた。福島県浪江町の住宅地近くのあぜ道。民家から100メートルと離れていない。8月上旬、住民で組織する有害鳥獣の駆除隊に同行した。隊長の田河晴幸さん(56)がおりの前で手早く猟銃を構える。イノシシが威嚇するように跳び上がる。が、狩猟歴30年のベテランは動じない。「パン」乾いた発射音が響き、白煙が上がる。イノシシが倒れる。突っ張った足がけいれんしている。素早く、隊員が巨体をおりから引きずり出す。体長などを測定し、軽トラックの荷台に積み込む。かつてはタンパク源として珍重されたが、放射性物質を含んでおり、食用に回せない。「引き金を引く瞬間は申し訳ないの一言。食べてあげることが供養になるのに」。田河さんがつぶやく。「でも、これは故郷を守る戦いなんだ」浪江町は原発事故後、全住民が避難を強いられた。今春に一部の避難指示が解除されたとはいえ、自宅に戻った住民は少ない。街から人の気配が消えている間、荒れた河川敷はイノシシのねぐらに変わり、民家周辺は格好の餌場となった。避難指示解除後も、状況が大きく改善したわけではない。「親子連れだな。ずいぶん来ている」。宅地を巡回していた隊員が足元に目を落とす。空き地や生活道路に大小の足跡が刻まれている。人の領域とは思えない数におののく。町内では2016年度、659頭が捕獲された。前年より400頭近く増えた。加えて、アライグマなど小型動物の増加も懸念材料になっているという。営農再開が遅れていることもあり、イノシシによる食害はそれほど深刻ではない。しかし、真の被害は生活圏への侵入そのものにある。町の担当者は「安心できる環境でなければ、住民帰還は進まない」と危機感をにじませる。福島県によると、16年度の捕獲は全県で推計1万6000頭を超えた。原発事故前の4倍以上。うち3割を浪江町を含む相双地方が占めた。各地の駆除隊からは、徐々にイノシシの捕獲が難しくなっているとの声が上がる。わなの仕組みを学び、巧妙に仕掛けをかわしている可能性があるという。住民側も餌を工夫するなど知恵で対抗を試みている。福島県富岡町の駆除隊を率いる坂本正一郎さん(69)は「気を抜けば個体数が増えかねない。警戒は緩められない」と力を込めた。
(鳥獣対策最前線:福島)
東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が解除された福島県内の地域で、イノシシなどの野生鳥獣が暮らし再生の妨げになっている。避難中に動物のねぐらと化した生活圏をいかに元に戻していくか。駆除と処分、前例のない侵入防止策に挑む最前線を歩いた。バーナーから噴き出す炎がイノシシを包み込む。剛毛に覆われた体があっという間に焼け焦げる。1時間ほどで炉内には骨しか見えなくなった。相馬市などが市内に整備したイノシシの専用焼却炉。一度に120キロ投入できる。東京電力福島第1原発事故の影響で出荷規制が続き、駆除した肉は市場に流通させられない。滞留する死骸の処理を担うため、昨年春に稼働した。敷地内には巨大な一般ごみの焼却プラントがそびえる。処理能力は桁違いの日量40トン以上。炉内の温度は施設の大小で大差はない。それでも専用炉の存在意義は大きいという。「一般炉は窯全体を温めてごみ自体の燃焼を促す仕組み。大型動物の死骸はよほど細かく解体しなければ焼き尽くせない」。運営に当たる相馬方部衛生組合の職員が説明する。体重が100キロを超えることもあるイノシシの解体は大きな労力と手間が要る。解体作業ができない駆除隊もある。専用炉があるのは福島県内では相馬に限られ、複数の自治体が埋設でしのいでいる。南相馬市は原町、小高両区のそれぞれ1カ所に埋設している。あくまで「一時的な対応」とするが、最終処理のめどが立っているわけではない。市は放射性物質をモニタリングするなど安全確保に努めている。今のところ汚染は確認されていないが、住民の不満は強い。山林に用地を確保した小高区と異なり、原町区は周辺に宅地が広がる。生活者にとって2500頭もの土中の死骸は迷惑物でしかない。地元の西山良雄区長(75)は「将来どうなるかは誰も分からない。確実に撤去してほしい」と訴える。大熊町も埋設している自治体の一つ。町の大部分は帰還困難区域で、国の指導によって高濃度に汚染された死骸は域外に持ち出せない。上下水道も復旧しておらず、現地での解体も現実的ではない。担当者は「処分施設の建設を国に要望している。『出口』が決まれば駆除計画も立てやすくなるのだが…」と打ち明ける。どの埋設場所もいずれは死骸で満杯になる。別の地点を選定しても住民合意が得られる保証はない。対応に苦慮する福島県内の被災地では、新たな方策を模索する動きも出ている。原発周辺に位置する双葉郡8町村でつくる双葉地方広域市町村圏組合は、微生物を使う処理を年内にも始める。死骸を特別な微生物とおがくずなどとまぜて減容化する手法だ。まずは富岡町に実証設備を新設し、技術の有効性を確かめる。焼却が不要になる程度に分解することを目指す。自治体関係者の一人は「最終処分の幅が広がれば処理が円滑に進む」と実証の行方に期待を寄せる。
(県内イノシシ捕獲数最多2.4万頭:岡山)
岡山県がまとめた2016年度の鳥獣捕獲実績によると、イノシシは過去最多の2万4211頭、シカは過去3番目に多い1万2009頭だった。
(鳥獣害対策にドローン活用)
近年、野生鳥獣による農作物被害額は毎年約200億円で推移しており、被害による営農意欲の減退、耕作放棄の他、車両との衝突事故、家屋や文化財の破損、希少植物の食害等、生活環境や生態系への被害も発生している。鳥獣被害は一昔前までは農村・山村の問題であったが、今や住宅地にも頻繁に出没し、人に危害を加えたり、列車に衝突したりとニュースで取り上げられることも珍しくなくなってきた。平成25年12月には環境省と農水省が連携し、特に被害の大きいニホンジカやイノシシの生息数を10年後に半減する目標を設定。環境省では平成26年に鳥獣保護法を改正し、自治体が行う捕獲事業への支援を開始し、捕獲を行う事業者の認定制度を創設するなど、「捕獲対策の強化」と「捕獲の担い手の育成・確保」に取り組んでいる。喫緊で問題を抱えているのはやはり、過疎化で人口が減少している農村地区。鳥獣害対策に割く人材の確保にも限界があり、その被害と対応に四苦八苦しているのが現状だ。そんな影響を受けて近年では、ドローン型ロボットやGPSなどの技術を駆使した鳥獣害対策が注目を集め、今後の実用化に向け企業各社、各自治体の協力の下、研究が進んでいる。神奈川県では、全地球測位システム(GPS)で猿の群れの位置を把握、人里に下りてきたニホンザルを小型無人機「ドローン」で威嚇して山林に追い返すシステムを、安曇野市の無線機器製造会社「サーキットデザイン」が横浜市の電子機器商社と共同で開発している。最高時速約70キロであらかじめ指定されたコースを自動で周回飛行し、ニホンザルの群れをセンサーで感知すると、威嚇して人里を離れた山林へと誘導する。威嚇手段は「音波や低空飛行での接近など、なるべく猿がかわいそうでない方法」(開発担当者)を検討しているそう。技術的な問題は以前に比べ格段に進歩してきているが、まだ問題が多いのが実情だ。特に野生生物の高い学習能力は高い障壁となっているようで、一度反応した仕掛けにも慣れてしまう可能性がある等、容易ではない。開発担当者からは「里山の人口が減少する中、人と獣のすみ分けを維持する新たな手段になれば」など期待の声が挙がっており、技術力を駆使して自然との共生を図っている。本来動物は古来よりその土地に住んでおり、豊かな自然の象徴でもある。対立ではなく共生の道を模索し続けることは、後から住み着いた人間の責務でもあろう。
(一部地域でエサの木の実凶作、秋はクマ出没に警戒必要:富山)
これから秋が深まるにつれて、県内で心配されるのが、クマの出没です。県は、先月調査したクマのエサとなる木の実(きのみ)の生育状況を公表しました。それによりますと、一部の地域では凶作となっていることから、クマがエサを求めて人里(ひとざと)まで降りてくる恐れがあるということです。県内での調査では、エサとなる木の実が凶作の年に決まって、平野部に大量出没してきたクマ。今年の秋も、地域によっては、警戒が必要だといいます。今年、これまでに県内で発生したクマによる人身被害は、平年並みの3件。いずれも命に別状はないケガでした。3件の被害は、クマの活動エリアである山間部で起きたものですが、これから11月にかけては、平地に近い地域でも出没の恐れがあるのです。「山のエサの状況が大きく関わってくるので、特に県西部を中心に注意する必要があるかなと思います」6日開かれた県の対策会議。県が先月調べたクマのエサとなる木の実の生育状況が、示されました。「凶作」の年にクマが大量出没してきたブナとミズナラについては、県内全域で見ると、「不作」か「平年並み」となっています。しかし、地域ごとに細かく見てみると、県西部を中心に「凶作」となった地点もあることから、県では、山のふもとなど、平野部に近い地域でもクマの出没に警戒するよう呼びかけています。「結局クマは食べ物を求めて(人里に)出るので、誘引物となる柿を早めに除去することで、クマを寄せ付けないとことが重要かと思います」
(夢の「ジビエカー」初の本格導入:高知)
捕獲したイノシシやシカなどの有害鳥獣を有効に活用しようと、高知県檮原町が、移動式のジビエ(野生鳥獣肉)解体処理車「ジビエカー」を全国で初めて導入。処理場まで遠く、これまで廃棄せざるを得なかった捕獲獣をその場で解体、冷蔵運搬することが可能。業界内で「夢のような車」との声が上がっている。檮原町では昨年度、ハンターらが農作物に被害を与えるイノシシやシカを約1500頭捕獲。その数は平成20年度の約10倍に膨れ上がっており、自家消費されるもの以外の大半が山中に捨てられているという。ジビエカーは箱型の荷台を備えた2トントラック(全長約6・5メートル)で、1台2175万円。日本ジビエ振興協会(長野県)と長野トヨタ自動車が共同開発し、鳥取県や宮崎県などで実証実験が行われてきた。本格導入は檮原町が初めてだ。最大でイノシシやシカ5頭分の枝肉を冷蔵・冷凍保管できる冷蔵室や、皮や内臓を取り除いて殺菌できる解体室を完備。捕獲現場に出向いてすぐに1次処理できるため鮮度が保たれ、臭みの少ない良質な肉が得られる。来年3月には町内にジビエ専用の食肉処理施設も完成予定。ジビエカーと連動すれば年間400~500頭を食肉用に加工、出荷できる見込みだ。同町の矢野富夫町長は「山に捨てていたものが収入に変わり、雇用も生まれる。地域は活気づくだろう」と期待する。
(シカ食害、ジビエ料理に生かす:鹿児島)
「もも肉とロースをいただきます」。鹿児島県阿久根市の食肉処理施設「いかくら阿久根」を訪れたのは鹿児島市の和食店の料理長。ここのシカ肉は質が良いと聞きつけ、初めてやって来た。「9月からのメニューに使いたいと思って」。計3キロで8100円。真空パックの冷凍肉を手に笑顔を見せた。農作物に被害を与えるシカの肉を食肉として活用する施設は開設から4年。野生の鳥獣肉を食材に使う「ジビエ」料理への関心の高まりもあり、今では料理人たちが直接買い付けに来ることも珍しくはなくなった。口コミで広がった一般客からの注文も多い。農業が盛んな阿久根はミカン科最大のボンタンが特産。「市の木」でもある。最盛期には約550戸の栽培農家がいた。それが今や約30戸。後継者不足が主な原因だが、背景には、シカの食害もあった。「地元の特産品がなくなるという危機感がきっかけでした」。施設を設置、運営する一般社団法人の牧尾正恒会長(74)が振り返る。シカやイノシシは狩猟免許を取得した農家などの猟友会員が駆除する。焼却や埋設には相当な手間がかかる。そこで、廃棄しないで済むようにと食肉処理を思い立った。「どうせなら安心・安全、そして高品質を目指したい」と、国内のジビエ先進地、和歌山県などを視察。銃による猟を、わな猟に転換、食肉としての品質を落とさない現場での取り扱いを周知し、殺処分後1時間以内の搬入を呼び掛けた。施設の衛生設備は食肉加工メーカーと同水準。枝肉の消毒、包丁の滅菌器保管のほか、解体作業室の床を洗う水の殺菌効果引き上げにまでこだわった。市も単独事業で1頭につき2万円を助成、運営を支えた。地元猟友会によるシカの捕獲数は2012年の166頭から15年には916頭へ。イノシシも合わせると近年は1200頭前後で推移し、その9割を食肉処理している。全国的には逆に9割が廃棄されているのが現状という。シカやイノシシは近年、温暖化の影響や狩猟家が減ったため増加。環境省によると、シカは13年度、全国で305万頭(北海道を除く)と推定され、25年前の10倍になっている。農林水産省によると農作物の被害額はピークの11年度83億円に達した。九州は宮崎、鹿児島、福岡3県が特に多い。農水省は08年に制定した鳥獣被害防止法に基づき対策に乗り出し、捕獲者に1頭につき8千円を補助するなどし、11年度比で頭数を半減させることを目指す。全国でのシカの捕獲数は14年度、10年前の3・4倍の59万頭に達したが、食肉として生かす資源化は進んでいない。農水省は食肉を安定的に流通させるため、施設の認証、肉の表示法など共通ルールの策定を検討している。福岡県では先月、処理施設を持つ糸島市、宗像市、添田町、みやこ町が協議会を設立。商品規格の統一などで連携して流通促進を目指している。飲食店がジビエ料理を提供する福岡県主催のジビエフェアは5年目を迎える。「硬い肉というイメージが変わった、といった声をよく聞く」と県担当者は手応えを感じている。食肉利用の先進的な団体として注目される「いかくら阿久根」は毎年、和歌山市の専門業者の講習を受け、解体技術の向上に余念がない。地元の消費拡大にも取り組み、学校給食への提供や料理教室も開く。地元の県立鶴翔(かくしょう)高校はシカ肉を使った料理を開発するなど広がりも見せている。一方で大量の商品が求められる商社の注文は辞退しているという。「基本は地産地消」と牧尾会長。「シカ肉は低カロリー、高タンパクの健康美容食。ぜひ鹿児島に食べにきて」と、ジビエの本場鹿児島の実現を思い描いた。
(安心安全シカ肉提供:北海道)
道はエゾシカの個体数管理と有効活用を目的に道産シカ肉のブランド化を推進している。昨年度のシカ肉処理施設認証制度に続き、今年度は、より安全安心な肉の提供を目的とした初めての疾病排除講習会を事業化。開催を予定している道内7振興局のトップを切って5日、根室振興局で行われた。講習会ではエゾシカの内臓検査の必要性や肝臓などの部位別の症例について解説された。
(野生イノシシは地域の資源だ:島根)
里山に住んでいる私は、地元のおじいちゃんおばあちゃんに、昔は山道を歩いて学校に通っていた、帰りが遅くなると提灯を灯して帰った、なんて話を聞くことがあります。いつか、尋ねたことがありました。「猪や熊に遭遇したりはしないんですか?」。すると、笑ってこう返されたのです。「そんなもん、昔はちっとも出なかったよぅ」。日本で畑が荒らされたり、家畜がやられるなどの鳥獣害が深刻になったのは、じつはここ30年程のこと。人間が、山や畑の管理をしきれなくなり、山と集落の境目が曖昧になった結果、野生動物は安易に食料調達ができる人里に降りてくるようになりました。農家さんにとっては生活に関わる深刻な問題。ときには人間に危害が及ぶこともあり、全国的に、対策が急務とされています。そんな中、鳥獣害対策の先駆的な取り組みを行なっていることで知られるのが、島根県美郷町の「おおち山くじら生産者組合」です。美郷町では中山間地の課題であるはずの猪の増加を逆手にとり、地域資源として活用する仕組みを10年以上前から構築してきました。
(内堀のシカ、前脚けが:愛知)
名古屋城内堀で飼育しているホンシュウジカ2頭のうち1頭が両前脚の蹄ひづめ付近などをけがしたため、治療を開始した。シカは4日に捕獲され、完治まで約2か月かかるという。名古屋市名古屋城総合事務所の発表によると、2頭は1991年、和歌山城(和歌山市)内の動物園から譲り受けたシカの子孫。いずれもメスで、けがをしたのは体長約1メートル40で、6~9歳とみられる。8月3日、シカが不自然な走り方をしているのに事務所職員が気がついた。獣医師が診断すると、両前脚の蹄付近に炎症を確認した。シカは小屋に隔離され、治療を受けている。治療を担当する「大高いきものクリニック」の柿添裕香院長によると、両前脚の蹄付近に炎症があり、左の蹄付近の関節は脱臼し、皮膚が破れて骨が見えるなど重傷という。原因は不明。5日は、患部を洗浄し消炎剤の注射を打つなどの治療がされた。当分は毎日、治療が行われる。同事務所管理課の加藤嘉一課長は「市民に長年親しまれてきた存在なので、無事に元気になってほしい」と心配している。

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(鳥獣捕獲「尾」で証明、補助金不正でルール統一)
有害鳥獣の捕獲頭数を水増しして報告し、補助金をだまし取る不正が各地で相次いでいることを受け、農林水産省は、各自治体がそれぞれ定めている補助金申請時のルールを統一する方針を固めた。捕獲個体の証拠写真を撮影する際、体の向きを統一し、提出する部位は「尾」に限定することで、同じ1頭を複数頭に見せかける手口などを防ぐ。来年4月から適用する。鳥獣による農作物被害は年間200億円近くに達し、同省は2012年度から、シカやイノシシなど1頭あたり8000円の捕獲補助金を自治体を通じて支給している。補助金申請時には、証拠写真や鳥獣から切り取った牙や耳などを提出する必要があるが、細かなルールは自治体の判断に任されている。
(ニホンジカ、初の減少)
環境省は、本州以南に生息する野生ニホンジカの推定生息数を発表した。2015年度末で約304万頭と、データのある1989年度以降初めて減少に転じた。国などが進めてきた捕獲政策の効果などが出たとみられるが、全国では依然として農業などに深刻な被害が続いている。調査結果によると、生息数は89年度以降、一貫して増加し、2014年度にはピークの約315万頭(89年度の約11倍)に達した。一方、15年度の捕獲数が過去2番目に多い約45万頭だったほか、自然減なども加わって減少に転じたと考えられる。生息数は捕獲頭数や生息密度調査などから推計した。一方、北海道にいるエゾシカは、道が独自に推計しているため、今回の結果の対象外となっている。シカの食害などによる全国の農作物被害額は、08年度以降は約50億円を超え、ピークの11年度は82億円を突破。15年度も約60億円になった。農家の営農意欲をそぐ原因にもなっている。環境省は23年度に約125万頭まで減らす目標を掲げる。現状の約2倍の捕獲が必要であるばかりか、今の捕獲数では再び増加の恐れもあるという。環境省鳥獣保護管理室の担当者は「高齢化などで少なくなっているハンターの増加などに努めたい」と話した。
(全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等の結果について)
環境省は、鳥獣保護管理法に基づく指定管理鳥獣捕獲等事業の推進に向けて、全国的な生息状況の動向を把握するため、統計手法を用いて、全国のニホンジカ及びイノシシの個体数の推定等を実施した。平成27年度末の、全国(本州以南)のニホンジカの推定個体数は中央値約304万頭となり、増加が止まり減少に転じている可能性があることが明らかになった。また、平成27年度末のイノシシの推定個体数は中央値約94万頭となり、減少傾向であることが明らかになった。環境省は今後も手法の改良を重ねながら毎年継続的に実施し、「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」に定めた目標の進捗状況の確認に活用する等により、環境省では順応的な管理を進めていくこととしている。
(麻酔銃でシカ捕獲試験、成果は1頭:北海道)
市街地近くで麻酔銃を使ってエゾシカを捕まえる道内初の試みが31日、オホーツク管内斜里町ウトロ地区で行われ、体重97キロの雌のシカ1頭を捕獲した。約30人で臨んだ割に成果は乏しく、本格的な実施には課題も残った。エゾシカなどの有害鳥獣は2015年施行の改正鳥獣保護法で、住宅が集まる市街地に近くても知事の許可を受ければ麻酔銃での駆除が可能になった。町は、花壇などでシカの食害が相次いでいたウトロ地区の一部で今年5~9月末の間に捕獲する許可を受け、第三セクター知床財団に委託して駆除を実施した。
(高速で乗用車とイノシシ衝突、炎上し運転の男性軽傷:富山)
29日午後10時20分ごろ、富山県氷見市の能越道で、乗用車がイノシシに衝突しました。車はそのはずみで中央線を越えて対向車線ののり面に乗り上げ、車両の前方部分から出火し、全焼しました。「事故があった現場は里山の中を通る道路で、動物注意を促す道路標識が設置されています」この事故で、車を運転していた石川県七尾市の21歳の男性が軽いけがをし、能越道は1時間40分にわたって通行止めになりました。車にはねられたイノシシは死にました。現場は、氷見市の山間部で警察によりますと、29日は、この周辺で他にもイノシシと接触する事故が確認されているということです。
(クマに襲われ夫婦重軽傷:岩手)
31日夜遅く、岩手県雫石町の住宅にクマが現れ、70代の夫婦が顔をひっかかれるなどして重軽傷を負いました。クマが現れたのは雫石町長山の農業、高畑章さん75歳の住宅です。警察によりますと、高畑さんは31日午後11時半ごろ、勝手口からガサガサという音がしたため見に行ったところ、成獣のクマ1頭と出くわしました。高畑さんは右足の太ももをかまれて軽傷。いっしょに見に行った妻のヤス子さんは、引っかかれるなどして顔の骨を折る重傷を負いました。クマは2人を襲った後、その場から走り去ったということです。住宅の勝手口付近には、牛のための飼料を置いていたということで、それを狙ってクマが現れたと見られます。現場は雫石町東部の住宅が点在する地域で、町では付近に捕獲用のワナを設置したほか、警察と猟友会で夕方から夜間を中心に見回りをして、警戒を呼びかけることにしています。
(イノシシ襲撃、男性けが:大阪)
3日午前7時半ごろ、豊能町川尻の府道で、サイクリングをしていた茨木市の男性(52)がイノシシに両足や尻など計4カ所をかまれた。軽傷とみられる。豊能署によると、イノシシに気付いた男性は自転車で逃げたが追いかけられた。通行人が119番した。
(60歳の男性、渓流釣り中にクマに襲われ負傷:秋田)
1日午後4時20分頃、秋田市太平山谷の太平川で渓流釣りをしていた同市の会社員男性(60)がクマに襲われた。男性はかまれるなどして頭頂部と左耳を負傷したが意識はあるという。秋田東署の発表によると、クマは体長約80センチ。クマがやぶから出てきたため、男性が驚いてあおむけに転倒した際に襲われた。男性は自ら近くの民家に逃げ込んで助けを求め、住人が通報したという。
(クマと接触、軽乗用車のバンパー壊れる:秋田)
4日午後0時40分ごろ、秋田県上小阿仁村南沢の国道285号で、青森市の20代男性の軽乗用車が道路を横切ってきたクマと接触した。車はバンパーが壊れた。男性にけがはなかった。
(クマ、モモなど食い荒らす:秋田)
秋田県鹿角市で4日、クマによるとみられる食害が相次いで確認された。鹿角署が注意を呼び掛けている。同市十和田大湯字吹越の果樹園では同日午前5時半ごろ、モモ約100個が食い荒らされているのを、所有する70代男性が見つけた。
(街中にシカ、猟友会が捕獲:北海道)
JR岩見沢駅そばの市コミュニティプラザ(有明町南)地下1階に8月30日夜、シカ1頭が侵入し、捕獲される騒ぎがあった。けが人などはなかったが、中心市街地でのシカ出現に市民らは驚いていた。同日午後7時50分ごろ、同プラザ内のテナント職員が地下の出入り口付近にシカがいるのを見つけた。道猟友会岩見沢支部の4人が駆け付け、ネットを使って約2時間後に捕獲した。市などによると、シカは体重約100キロの雄で3~4歳と推定される。同プラザには屋外から地下につながる階段があり、夜間は金属製の柵でふさいでいるが、シカは柵を破って侵入。自動ドアを通って建物内に入ったが、すぐ出たという。地下には事務所などが入っているが被害などはなかった。
(クマ目撃情報でPA閉鎖:岐阜)
中日本高速道路は、クマが目撃されたとして、岐阜県飛騨市にある東海北陸道上下線の飛騨河合パーキングエリア(PA)を4日午後6時半から閉鎖した。閉鎖は5日午前9時半までを予定している。同社の担当者によると、クマの目撃情報によるPA閉鎖は珍しいという。同社と県警高速隊によると、4日午後2時55分ごろ、上り線からPAに入る道路上で、清掃員の女性が体長75センチほどのクマを目撃。クマはすぐにPA裏にある山の斜面を駆け上がっていった。地元猟友会などが近くを調べたが、見つからなかったという。
(イノシシ目撃情報が相次ぐ:青森)
青森県で絶滅したとされていた野生のイノシシが8月に確認された深浦町内で目撃情報が相次いでいたことが31日、分かった。映像で確認されたイノシシが水田を踏み荒らしていたことも新たに判明。県内では、ニホンザルによる農作物被害に加え、繁殖力が高いニホンジカの目撃情報も増えており、県は隣接する秋田県などと連携して鳥獣対策を検討する。
(イノシシ、夏も注意:香川)
高松市峰山町の峰山公園付近で8月下旬、イノシシが計10頭捕獲された。イノシシの目撃情報は年々増えているが、これまでは秋になってからがほとんどだった。「夏場にこれほど大量に捕獲されるのは珍しい。他にも生息している可能性がある」として、市は近隣住民らに注意を呼びかけている。
(海を泳ぐイノシシ、映像でとらえる:長崎)
イノシシが海を泳いでいます。長崎県新上五島町の沖合でダイビングをしていた視聴者がボートの上から撮影しました。町では毎年1000から2000頭のイノシシが、田畑を荒らすため捕獲されています。泳ぐイノシシの情報は町内では珍しくはないそうで、撮影した湯川真理さんも今回が2回目の目撃でした。前回見たのは10年前。湯川さんは「初めて見た時は驚きましたがイノシシが泳ぐのは本当なんだと思いました」と話していました。以前、泳ぐイノシシを救出しようとした人が危ない目に遭ったという話しを聞き、岸にたどりつくまで見守ったということです。
(ヒグマ、ダンプで仮眠中の女性と遭遇:北海道)
1日昼すぎ、釧路町内の林道で、市内に住む40代のトラック運転手の女性がヒグマに遭遇した。クマは何度もダンプカーの回りをうろつき、女性はフロントガラスをひっかく姿も撮影。刺激を与えないようそのまま放置したところ、10分ほどで姿を消したという。
(学校近くの公園でクマ目撃:岩手)
31日午後8時半過ぎ、宮古市西ヶ丘の市道を車で走行中の男性が、西ヶ丘団地近隣公園に向かって歩いている、2頭のクマを目撃し警察に通報しました。クマは親子と見られけが人などの被害はありませんでした。クマが目撃された公園の周辺は、山を切り崩してできた住宅団地で、これまでもたびたびクマが出没しています。近くには仮設住宅や千徳小学校、宮古西中学校もあり、1日朝は登校時間に合わせて、通学路に立った住民らが、普段呼びかけている交通安全とともに、クマへの注意を呼びかけました。また警察もパトカーで付近を巡回して警戒にあたりました。
(クマ狩猟11月解禁、17年度上限は134頭:兵庫)
兵庫県は4日、2017年度のツキノワグマの狩猟期間を、16年度と同時期の11月15日~12月14日とする方針を明らかにした。狩猟者1人当たり原則1頭とし、上限を134頭と設定する。今年4~7月に寄せられた目撃、痕跡情報は、308件と同時期の過去最多を記録。人や農作物の被害が懸念されており、狩猟により個体数の増加に一定の歯止めをかける。4日の有識者らによる県環境審議会鳥獣部会で、県の方針が認められた。ツキノワグマを巡っては16年度、5年ぶりに人身被害があり、3件が発生。17年度も既に2件が起きている。16年度の目撃、痕跡情報は、過去3番目に多い978件に上った。北播磨や丹波地域など、これまで情報が少なかった地域でも、目撃が多くなっている。県は1996年度、県内で絶滅の恐れがあるとして狩猟を禁止したが、生息個体数が基準の800頭を超えたとして、2016年度に狩猟を20年ぶりに解禁。4頭が仕留められた。県は16年度の生息個体数を897頭と推定。17年度に狩猟できる上限を、15%に当たる134頭とし、農作物や人身被害の出る恐れのある個体を捕まえる「有害捕獲」による頭数も含める。親子グマは認めない。狩猟には、事前に安全講習会や射撃訓練を受けることを条件とする。
(クレー射撃選手権、日本人選手は予選敗退)
クレー射撃の世界選手権は2日、モスクワで行われ、女子トラップ予選で稲本りよ(大阪府協会)は21位、井上恵(ナスタジャパン)は47位に終わり、上位6人による決勝に進めなかった。また男子トラップで日本勢は予選を突破できず、大山重隆(大山商事)は44位、大川明久(大川火薬銃砲店)は136位だった。
(中心部にクマ続々、ハンター見回り:北海道)
北見市中心部の住宅街などで、30日までにヒグマの出没が相次いで確認されている。同市によると、市中心部などでヒグマが確認されたのは初めてで、連日、猟友会のハンターが一帯を見回るなど、緊迫した雰囲気に包まれている。同市によると今回、ヒグマは28日午前0時頃、同市南町1付近の市道で初めて目撃され、フンも見つかった。同日午後8時頃、桜町7の常呂川の堤防付近でも目撃され、30日午前8時20分には光葉町中ノ島公園近くの砂利道で、猟友会員が10~15センチの足跡を発見。29日午後4時の見回り後に残されたらしい。体長約1メートルの同一の若い成獣とみられ、同市は、現場付近に看板を設置し、広報車で注意を呼びかけている。目撃地そばの市立南小は28日に児童を集団下校させたほか、父母に送迎を要請するプリントを配布。教員も通学路を巡回している。
(迷惑カラス、ドローンと音で誘導実験へ:山形)
山形市は今月、ふん害への市民の苦情が絶えないカラス対策として、音声とドローンによってカラスを誘導する初の実証実験に取り組む。ドローン活用は昨年11月に仙台市と締結した連携協定に基づく事業の一環。これまで鷹匠(たかじょう)による追い払いや箱わなでの捕獲などを試みたが、いずれも決定力に欠け、効果は限定的だった。今回は動物行動学の知見も活用し、カラスの反応をうかがう。実証実験は今月中旬、カラスがねぐらとしている市中心部と、郊外の農村部の2カ所で実施。全国各地で音などによるカラス対策に取り組んでいる総合研究大学院大学(神奈川県葉山町)の塚原直樹助教(動物行動学)らが協力する。市中心部では、山形市役所周辺のスピーカーからカラスが嫌がると思われる音声を、約100メートル離れた県郷土館「文翔館」敷地のスピーカーからは好むと思われる音をそれぞれ流し、カラスがどう移動するか調べる。郊外ではスピーカー搭載のドローンを飛ばし、カラスの集団にさまざまな音声を聞かせ、反応を観察するという。塚原助教はカラスの声のサンプルを、2000以上集めてきた。今回はその中からカラスが嫌がる音声として猛禽(もうきん)類を警戒したり、争ったりする際に発する鳴き声、カラスが好む音声としてねぐらに帰る際に発する鳴き声などを使う。市によると、カラスのふん害は、特に市中心部で住民から多く苦情が寄せられている。市は箱わなによる捕獲に加え、花笠まつりの前など年に数回、郡山市から鷹匠を招いて、タカなどの猛禽類による追い払いをしてきたが、効果はいずれも長続きせず、新たな対策を模索してきた。市は仙台市との連携協定に基づき、ドローン活用によるビジネス創出を目指している。今回は、塚原助教の紹介にも仙台市が関わった。山形市の担当者は「今回の実験で効果が確認されれば、仙台市ともぜひ成果を共有したい」と話す。
(天敵タカで害鳥駆除:長野)
松本市は、カラスやハトなどによる農作物への食害や市街地などでのふん害を減らそうと、天敵のタカで害鳥を追い払う対策に乗り出す。市議会九月定例会に、関連の費用五十五万円を盛り込んだ二〇一七年度一般会計補正予算案を提出。タカの飼育や訓練の専門家「鷹匠(たかじょう)」に依頼し、ふん害に悩まされている同市笹賀の市公設地方卸売市場で年内にも試験的に実施する。県鳥獣対策・ジビエ振興室によると、「県内でタカを使った害鳥対策は初耳」という。市内ではカラスやハト、ムクドリ、スズメなどによる農作物への食害が発生しており、一六年度の被害金額は二千五百四十九万円。市街地でもふん害や鳴き声による騒音被害に悩まされてきた。市はこれまで、各地域の猟友会の協力で農村部では駆除してきたが、市街地などでは猟銃を使えず、対策が難しかった。タカを導入するのは、害鳥の群れの近くで頻繁に飛ばすことで脅して追い払う効果が、県外の自治体の取り組みとして報告されているため。「鷹狩り」の要領で、駆除の効果も期待できるという。江戸時代の松本の城下町には鷹匠がおり、松本城北側には「鷹匠町」の旧町名もあることなどから、市耕地林務課の担当者は「城下町の松本らしい方法でもある」と期待する。タカによる対策は、市公設地方卸売市場で効果があれば、農村部や市街地でも実施する方針。担当者は「農作物への被害が少しでも減り、今後市街地などでの害鳥対策としても適用していけたら」と話している。
(クマ捕殺で感謝状:岐阜)
高山市石浦町で4月、住民3人がクマに襲われた被害で、クマを捕殺した地元猟友会で組織する「市高山地域鳥獣被害対策実施隊」に対し、高山署の大江康成署長が感謝状を贈った。感謝状を贈呈されたのは、同隊会長の宇津宮宏行さん(61)、隊員の都竹惣次郎さん(70)、今井猛さん(67)の3人。
(農水省、ジビエ普及へモデル地区)
農林水産省は野生の鳥獣肉(ジビエ)の食利用を促すため、捕獲から搬出、加工まで一連の作業を手がけるモデル地区を設ける。全国で12カ所程度を選ぶ。ジビエを安全に食卓に届けるには、捕獲後すみやかに加工処理する必要がある。先進的な地域の取り組みを強化するとともに、山間部の活性化に向けて全国的な普及につなげる。2014年度のイノシシとシカの捕獲頭数は合計約110万頭。多くはその場に埋めたり、焼却したりしており、食利用は1割程度とみられる。と畜と加工処理が同じ場所で行われる牛・豚と異なり、捕獲後の搬出に時間がかかるため、鮮度の維持が難しい。農水省は18年度からモデル地区で、移動式の解体処理車や保冷車を導入し、捕獲した鳥獣の鮮度を保ったまま運び出せるようにする。今年度末にも自治体や業者を募り、事業費の半額を補助する。周辺に精肉や包装などを手がける加工処理場もつくり、厳しい衛生管理を求める小売りや外食との取引を増やす。
(ジビエ流通モデル構築支援:長野)
農林水産省は31日、県内でも課題となっている鹿やイノシシの肉(ジビエ)の利用増を目指し、2018年度に新たな事業を設けて流通モデルの構築を図る地区を支援する方針を固めた。捕獲した現場近くで解体でき、肉の鮮度保持に効果がある「移動式解体処理車」の導入支援などが柱。捕獲から解体、加工、流通まで一連の作業を手掛けるモデル地区を全国で12カ所ほど選び、事業費を補助する。同年度の予算概算要求に関連費用を盛った。解体処理車は、日本ジビエ振興協会(茅野市)が昨年夏に全国で先駆けて開発し、これまでに高知県檮原町でも導入されている。同協会の車両は、狭い山道でも走れるよう2トントラックをベースにしており、後部には解体室があり、手洗い器や解体器具の殺菌設備なども備え、枝肉を冷蔵室で低温保管できる。同協会の車両を利用した信州富士見高原ファーム(諏訪郡富士見町)で実務を担当する戸井口裕貴さんは「現場で効果的に運用でき、可能性は大きいと感じた」と話している。農水省によると、鹿とイノシシは14年に全国で約110万頭が農作物や林産物の被害防止や狩猟目的で捕獲されたが、大半は山中に埋めるか焼却し、ジビエ利用は推計で1割程度にとどまっている。山中から麓の解体施設に搬出するまでに時間がかかり、肉の鮮度が落ちるのが一因。解体処理車は捕獲場所の近くで処理でき、導入の支援に力を入れる。農水省は「ジビエ倍増モデル整備事業」として、猟友会や食肉処理加工業者、流通業者、市町村などが連携した取り組みを支援する方針。解体処理車のほか、保冷車や処理加工施設の整備に対し、事業費の半分を上限に交付金を出す。ジビエの利用に適した捕獲法を狩猟者が学ぶ講習会の費用なども支援する。政府は5月、ジビエの利用量を19年度に倍増させる目標を決定。農水省は「農林業被害対策の一層の進展と農村地域の所得向上を図る」(農村環境課)としている。
(焼却処分していたニホンジカをドッグフードに商品化:長野)
長野県小諸市役所は、生態系被害や農林業被害の軽減を目的として駆除されたニホンジカを、ドッグフードとして加工し販売することを開始しました。これまで、駆除されたシカの多くは焼却処分されており多額の処理費用がかかっていました。また、人間の都合により奪った命をゴミとして処分することには大きなためらいもあります。「鹿曲輪(shika-kuruwa)プロジェクト」と名付けられた本取組は、駆除されたシカの命を無駄にせず有効活用し処理費用を削減することで、更なる野生鳥獣対策につなげていきます。なお、鹿肉の加工にあたっては、衛生管理の整った「小諸市野生鳥獣商品化施設」にて、放射線量検査・金属探知機検査・オゾン水殺菌処理・高温加工処理など責任を持って行い、安全・安心なドッグフードとして提供します。小諸市では、ニホンジカによる農作物被害や生態系被害が深刻化している一方、駆除を実施する猟友会員は減少し、捕獲が実施できなくなる恐れがありました。そこで鳥獣対策の構造を根本的に改め、捕獲従事者を「猟友会」から非常勤公務員からなる「実施隊」へと変更することで捕獲数を増やし、被害を減らすことに成功しました。こうした構造強化は駆除費用の増大につながり、その費用捻出のために駆除個体の有効活用、商品化の流れがありました。この「捕獲体制の確立から商品化までの一連した野生鳥獣対策」は、農林水産省による鳥獣被害対策優良活動表彰において、平成28年度の農林水産大臣賞を受賞しました。捕獲体制の整備・強化等の対策により、小諸市内でのニホンジカの捕獲数は5年間で約6倍と大幅に増加しました(平成23年53頭→平成28年310頭)。しかしながら、捕獲数が増えれば増えるほど駆除個体処理方法が問題となりました。ニホンジカの駆除個体を焼却処分するには高額の費用がかかるほか、農林業(生態系)被害軽減のためとはいえ、シカの命を奪い廃棄物として処分することにはためらいもあります。そこで課題解決につながる取り組みとして、平成27年度に地方創生交付金を活用して駆除個体を解体・加工する「小諸市野生鳥獣商品化施設」を整備するとともに、駆除個体をドッグフード等の商品へと加工する「小諸市野生鳥獣商品化事業」をスタートさせました。この事業は、これまでの「多額の費用を使って駆除し、多額の費用を使って燃やす」という非生産的な野生鳥獣対策から脱却し、「駆除したシカを良質な商品へと生まれ変わらせ、持続的で効果的な野生鳥獣対策を実施する」ことを目指した取り組みです。商品は、安心・安全を第一に作られています。このため、使用するシカは全て放射線量検査・金属探知機検査・オゾン水殺菌処理・高温加工処理を行っています。また、商品化施設は、ヒトの食用としても販売できる「食肉処理業」「食肉販売業」の認定を保健所から受けています。商品の原材料は鹿肉のみ。新鮮な鹿肉を乾燥させ、専用機器にて殺菌した安全・安心な商品です。商品の原材料は鹿肉と寒天水。無添加・無着色・アレルギーの原因となりえる穀物類を一切含みません。商品化にともない、「小諸市野生鳥獣商品化施設」で製造されたドッグフード「KOMORO PREMIUM」を小諸市のふるさと納税の返礼品に追加しました。ふるさと納税申込みサイト「ふるさとチョイス」からお申込みいただけます。納税により納められた寄附金は、「野生鳥獣保護管理事業」に充てられることから、納税をとおして、自然環境保護や生態系保持の取り組みを応援していただくことが可能です。小諸市へのふるさと納税をとおして、野生鳥獣との共存を目指した街づくりにご協力をお願いいたします。
(鳥獣被害は食べて防ぐ、道の駅で県産イノシシ肉販売:香川)
道の駅源平の里むれ(高松市牟礼町)で、高松市内で捕獲したイノシシ肉の販売が始まった。買い物客は、スタッフに調理法を聞くなどしていた。近年、イノシシによる農地や住宅地への被害が増え問題となっており、高松市は今年度から新たな鳥獣被害防止計画に取り組む。これまでの「捕獲」や「防護」に加え、「捕獲鳥獣の食肉(ジビエ)利活用と需要喚起」を推進することになった。同道の駅は市の呼びかけに応じるとともに、イノシシ肉を地域資源として捉え、新しい地域の特産物として広く普及することを目指し販売を開始した。イノシシ肉は、高松市神在川窪町に処理加工施設を完備する「四四肉販讃岐」(野田和人代表)が、五色台で捕獲したイノシシを丁寧に処理し卸す。低カロリーでヘルシーなイノシシ肉は、滋養食品としても注目を集めている。同施設職員の長谷川旭さんは「害獣として扱われるが、きちんと処理・加工すれば本当においしい。ぜひ味わってほしい」。
(女性シェフ、シカで地域課題を解決:高知)
高知市の中心部にあるジビエ料理専門店「Nook's Kitchen(ヌックスキッチン)」。シンプルな調理法でシカやイノシシのおいしさを引き出す料理が人気を集め、週に3日の営業日は予約でほぼ満席。県外や海外からも客が訪れる。オーナーシェフを務めるのが、長年海外で料理人として過ごし、ジビエの魅力を知り尽くした西村直子さんだ。全国の森林でシカによる食害が深刻化する中、県内のさまざまな場所でジビエ料理の普及に貢献してきた西村さんに「シカ=害獣」という発想はない。「大切にしているのは、『シカはおいしい』という価値を消費者と共有すること」と語る。
(小学生が育てた稲が獣害で特別授業:兵庫)
各地で稲刈りが本格化する中、兵庫県丹波市立竹田小学校(同市市島町中竹田)で4日、米作や獣害をテーマにした授業があった。当初は5年生21人が田植えをし、刈り取る予定だった稲が、シカに荒らされたため行われた特別授業。児童は米作りの難しさや食卓に上るまでの手間、農家を悩ませる獣害について、あらためて感じていた。同小では毎年、5年生が近所の西山酒造場の水田で稲作に挑戦し、今年も2アール分で酒米「兵庫北錦」を手作業で田植えをした。しかし収穫が迫った8月下旬、電気柵を突破され、シカやイノシシに穂先や稲穂を食べられてしまったという。授業では同酒造場の桜庭真理さんから、山と人里の中間地帯だった里山がなくなったことが獣害の背景にあり、1本の稲穂に約70粒実る米が食卓に上る白米になるまで、脱穀や精米など多くの手間が掛かっていることなどが説明され、児童は真剣に聞き入っていた。児童は机に配られたもみ殻をむいて玄米にする「もみすり」も体験し、女児(10)は「みんなで一生懸命育てたお米だったからショックでしたが、動物が畑を荒らす理由やお米を育てる大変さがよく分かりました」と話していた。
(高校生、うまいもん甲子園へPR:岐阜)
美濃加茂市の加茂農林高校の生徒たちが3日、同市蜂屋町の東海環状自動車道美濃加茂サービスエリア(SA)で、オリジナル料理の「いのちあ・バーガー」を利用客に無料で振る舞ってPRした。この料理は、地元産のイノシシ肉や、シソ科の植物の種「チアシード」などを使ったライスバーガー。耕作放棄地や、鳥獣害対策で捕獲されたイノシシの有効活用を研究する同校森林科学科の三年生七人が考案し、八月に名古屋市で開かれた高校生の料理コンテスト「ご当地!絶品うまいもん甲子園」東海北陸大会で準優勝した。十一月に東京である全国大会には、全国八地区の各優勝校と、インターネット上の一般投票による敗者復活戦で一位となった学校が出場。その投票が四~十日に行われるのを前に、広く応援を呼び掛けようと、生徒らは学校で二十個を作ってSAに運び、手作りチラシを添えて配った。「市の新しい名物に」と期待を寄せる藤井浩人市長も駆け付けて生徒らと一緒にアピール。親子五人で一個を分け合った愛知県岡崎市の小学四年生新実幸真君(10)は「すごくおいしい」と笑顔でほおばっていた。全国大会に出場したメニューは大手コンビニチェーンで商品化される予定。チームリーダーの高橋亨さん(17)は「肉の軟らかさや味付けにこだわった自信作。全国に広めたい」と意気込んでいた。

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