<射撃ニュース9月>

9/28
(獣害対策の電気柵7台盗難:三重)
志摩市浜島町南張の水田で、イノシシなどの獣害対策で設置されていた電気柵機7台とバッテリー6個(計約35万円)が盗まれていたことが26日、分かった。設置者の南張農産(同市)の西井繁喜社長(69)は「今年は獣害がひどかった。そのうえ盗難に遭うなんて、ふんだりけったりだ」と肩を落としている。鳥羽署は窃盗事件として捜査を始めた。
(休耕田メガソーラー、獣害抑止も:京都)
京都府宮津市で大規模な太陽光発電事業が始まった。金下建設、オムロンフィールドエンジニアリング、京セラの3社でつくる「宮津太陽光発電合同会社」が市内3地区で計5メガワットのメガソーラーを運用し、8月から関西電力に売電している。高齢化で耕作できない田畑が増える中、地元は獣害の抑止にも一定の効果を期待している。26日に同市由良地区の発電施設で完成式が開かれた。休耕地などを地権者から借り受けて今年1月に着工、現在は京都丹後鉄道由良駅の周辺で4.1ヘクタールにわたり太陽光パネルが広がっている。由良では高齢化などの影響で耕作できない田んぼが増え、茂みに獣が住み着いて獣害が頻発するなど地域の課題になっていた。発電施設によって山と里の境界が開け、イノシシやクマを遠ざける効果が期待される。合同会社は地権者に土地の賃貸料を支払い、地元に発電施設の草刈りを委託する意向だ。栗田トンネルの由良側に0.8ヘクタール、大江山スキー場の駐車場周辺にも1.8ヘクタールの設備を稼働させている。総事業費は15億円。8月1日から関電に1キロワット時当たり24円で売電を始めた。収入は年間1億2000万円、20年間で24億円を見込む。年間で一般家庭1100世帯分の電力をまかなう程度の発電を想定している。今後は市とも連携してエネルギーの地産地消を目指すという。
(安全なシカ肉提供を:北海道)
個体数管理で捕獲したエゾシカの有効活用を進める道は27日、食用シカ肉の安全性を高めるために必要な内臓検査に関する講習会を釧路保健所で開いた。今年度から新たに始めた講習で、処理施設の担当者らが安全性を左右する検査の重要性などについて理解を深めた。より安全・安心なシカ肉を提供するため、疾病排除の知識を深めてもらおうと、道が新たに企画した。道内7カ所で実施し、昨年度からスタートした「エゾシカ肉処理施設認証制度」の普及も促す。
(イノシシ対策、電気柵などに補助金:栃木)
イノシシによる農作物被害を防止するため、那須町は10月から電気柵などの整備を対象に補助金を支給する。町内で農産物を生産販売する農家や法人、団体のほか観光事業者も補助の対象。捕獲と合わせ鳥獣被害を防ぐ考え。27日の定例記者会見で発表した。鳥獣侵入を防ぐ電気柵や防護柵の購入費の3分の2以内を補助。上限は個人が20万円で、法人や団体は30万円。町によると、観光事業者も補助対象とするのは県内で初めてという。ミニゴルフ場などから被害の報告があるほか、キャンプ場が客への被害を懸念しており対象に加えた。
(ツキノワグマとの共存へ自然林回復を:岡山)
岡山県では今年11月15日~12月14日、17年ぶりにツキノワグマの狩猟を一部(上限30頭)解禁する。これを受け9月23日、岡山市で市民や県猟友会の関係者らが出席して「クマ狩猟再開問題を考える緊急集会」(一般社団法人・日本熊森協会主催)が開催された。集会で講師を務めた同協会(兵庫県西宮市)の森山まり子会長(69)は、「狩猟を解禁してクマを殺処分しても、基本的な解決策にはならない」とした上で「人工林が放置され生態系が崩れた奥山が荒れている。クマは奥山から追い出されている」と、人工林から自然林回帰の必要性を強調した。集会で来岡した森山会長に狩猟解禁の是非、今後の保護活動などについてインタビューした。―岡山県のツキノワグマは環境省のレッドリスト(絶滅のおそれのある地域個体群)に記載され、2000年に狩猟を禁止した。その後は保護の効果もあってツキノワグマの推定生息数は16年度調査で205頭(中央値)と、調査を始めた12年度比で2倍弱まで回復している。11月からの狩猟解禁をどう受け止める。兵庫や岡山県では実際にクマの猟を経験したハンターはほとんどいない。岡山県の銃猟による捕獲目標は30頭というが、全国的に猟友会会員が大幅に減少しているなかで、目標が達成できるかどうか危ぶむ声もある。兵庫県の場合、昨年は140頭の目標に対し、実際には4頭しか捕獲できなかった。狩猟期間中にハンターの誤射による死亡事故もあった。クマはイノシシとは全く習性が違うので、猟に手慣れたハンターでも簡単ではない。環境省は若手ハンターの育成のため全国で「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を開催しているが、キャッチフレーズは「すごいアウトドア」「あなたの知らないハンティングの魅力」など、まさにスポーツ感覚で動物の殺傷を呼び掛けている。しかし、クマの狩猟は基本的に非常に危険だと言うこと周知すべきでないか。日本熊森協会では環境省に抗議しているが、ツキノワグマを保護する立場の環境省がこうした感覚で狩猟を推進するのはどうかと思う。近く岡山県を訪ね銃による狩猟解禁の中止を要請する予定だ。―銃による狩猟目標頭数は推定生息数から出てきた数字。妥当なのか。増えたから殺処分し頭数を間引きするという考え方自体に抵抗感があるが、まず推定生息数について問題を提起しておきたい。推定生息数は過去12年間の出没件数、再捕獲数、エサとなるドングリなどの堅果類生育状況などのデータをもとに、統計手法を使って割り出した数値。岡山県の場合は2016年度で102~359頭(16年末現在)の幅で数値を出し、その中央値を取って205頭としている。クマの1頭のテリトリーは一般的には40ヘクタールぐらいともいわれ、すみかの自然林が年々減少する中で、本当に205頭のクマが生きられるのか。岡山県が調査を依頼した民間専門調査機関は、兵庫県でも同じ手法で推定生息数をカウントしたが、その後日本熊森協会からの指摘を受け、兵庫県は推定生息数を修正した経緯がある。推定生息数がもとになって目標管理頭数が設定され、狩猟による殺処分頭数が決まるわけだから、生息数の数字は極めて重要。データをコンピューターに打ち込んで、均一的に生息数を割り出すのはあまりにも軽率で、推定生息数の調査をもっと慎重に行うべきだ。捕りすぎて再び絶滅の危機に逆戻りすることを懸念している。―2016年度に岡山県内ではツキノワグマの出没が237件報告され、41頭が捕獲されている。調査を始めた2000年度に比べ、出没件数は約5倍に急増している。その要因は何なのか。確かに出没件数の増加と生息数の増加は相関関係がある。しかし、本来のすみかである自然林の奥山を追われ、人里近くに出没するケースが増え、人目に触れる機会が増えていることも無視できない。クマが山を下りてくるのは奥山でえさの確保が厳しくなっているためだ。例えば西日本でブナ、ミズナラのドングリが大不況だった年の2010年度は、岡山県下で199件の出没件数があり、61頭の捕獲が報告されている。当時としてはいずれも突出した数字。なぜクマが奥山を追われているのか。長いスパンで考えると、スギやヒノキの植林の手入れが行き届かなくなり、結果荒廃した人工林には日が差さず低木や下草が生育しにくく、砂漠化が進行している。森の構成要件は植物と動物と微生物で成り立っている。その中のどれ一つが欠けても森は荒廃してしまう。草や低木が無ければ昆虫類が住めず、虫媒花が育たないから森の砂漠化が進んでいるのが現状だ。私たちの活動は森の生態系の頂点に立つツキノワグマの保護を通して、水源の確保や自然災害を防ぐ森の本来の姿を取り戻すことが目的。森の劣化の背景は国の人工林政策が大きな原因をつくっている。日本熊森協会で毎年クマの生息調査を行っており、今年9月初めにも岡山県の西粟倉村で調査を行った。西粟倉村は村内の森林の85%が人工林で、クマのえさ場になる自然林は激減している。森の劣化のスピードが速いのに驚いている。20年来調査している地元の若杉天然林(約83ヘクタール、氷ノ山後山那岐国定公園)でも、なかなかクマの行動痕跡を見つけられない。奥山を追われ人里近くに出ていかざるを得なくなったクマの事情も考えてほしい。過疎化などで里山が荒廃し、クマが里山まで下りてきて果実などを捕食し、ニホンジカを捕食しているケースが目撃されていることから、えさの調達手段が多様化していることも考えられる。―2016年度に県内では1万2000頭余りのシカが捕獲され、有害鳥獣として殺処分されている。捕獲頭数は4年連続で1万頭を超え、15年度の推定生息数は7万400頭弱と言われている。もしシカの死肉がえさとして常態化すれば大変なことになるのでは。クマはもともと雑食動物だが食料の98%は植物、めったに生きた動物などは襲わない。非常に臆病な性質で人に突然出会ったとき、驚いて人を払いのけて逃げようとして人身事故につながるケースが多い。人を食料捕食として襲うケースはめったにない。ところが最近はシカの死肉を捕食するケースが報告されている。シカが有害鳥獣として狩猟で射殺された後、そのまま山に捨てるケースが多いと聞いている。イノシシに比べ、シカは肉の販売流通が限られるため、行政から駆除の助成金をもらい、死骸はそのまま山に穴を掘って埋めるケースが多いようだ。兵庫県では昨年約4万5000頭のシカが猟で射殺されたが、死骸を持ち帰ったのは1000頭余りに過ぎない。ほとんどは山に埋められていると聞く。クマは嗅覚がイヌの数十倍、あるいは数百倍とも言われ、山に埋められたシカの死骸を見つけるのはいとも簡単だ。シカの捕食に関してはもう少し追跡調査が必要だが、仮にシカの死肉がえさとして常態化すれば、本来植物を好むクマの生態が大きく変えられることになり、これはこれで深刻な事態になる。シカが増殖した理由も地球温暖化で降雪が減ったことも一因とされている。すべて人間社会の都合で動物たちが被害に遭っている。ツキノワグマと人間が共存する方法は、長い年月がかかるかもしれないが、森林の奥山を守り、人工林を自然林に返すことだと思う。クマは今から30年万年前、人間よりずっと前から日本列島に住みつき、後からやってきた人間に追われて山の奥で暮らし始めた。それを近年、国を挙げての人工林の推進で、山から追われて人里近くに現れてきた。おとなしく奥山で生活しているクマもいるが、今度は銃で撃って奥山から追い出そうとしている。すべては人間社会の都合。クマはかつて中近東からアジアにかけて生息していたが、この約30年間で急速な森の乱開発で、その50%がすでに絶滅したと言われている。日本では北海道でヒグマ、本州、四国、九州でツキノワグマがまだ生息しており、世界からは日本は「奇跡の共存」とさえ言われている。その背景には日本人の自然を敬う精神が受け継がれ、クマなどの野生動物とうまく共存してきた知恵があったからだ。最近は自然とか、先人の知恵がないがしろにされ、自然のサイクルを壊すようなことがたびたび起きている。自然形態が変化している事実を、私たちはクマの保護活動によって国民に警鐘を鳴らしていきたい。―今後の日本熊森協会の活動方針は。私は結果的にわが国の人工林政策は自然サイクルを破壊させた失策だと思っている。当面はツキノワグマの保護に関する法案づくりに向け活動を活発化させたい。2010年には超党派の国会議員(64人)による「奥山保全」議員連盟を発足している。あいにく1年後に東日本大震災が発生したため、その後活動は停滞しているが、法整備に向けて活動を再開したい。人工林を自然林に戻すには600年かかると言われている。長期的には気の遠くなる話だが、地道に自然林を増やしていくしか抜本的な対策はない。熊森協会も今年で発足20周年になり、これまでに日本熊森協会の関連団体「公益財団法人・奥山保全トラスト」が全国で原生林約2000ヘクタールを購入している。熊森協会でも人工林を自然林に戻すトラスト地として、2年前に滋賀県内の荒廃した人工林211ヘクタールを購入した。ツキノワグマと共存することで、人間が自然と共存できる道が見えてくるはずだ。岡山県は昨年の兵庫県に次いで全国で2番目に猟が解禁された。これを契機にクマとの共存を考え、自然を守る運動のきっかけづくりにしてもらいたい。

TOPへ

9/27
(熊に襲われ70歳の男性がけが:長野)
24日午前6時ごろ、上松町小川の山林で、キノコ採りをしていた近くの会社員、久保寺靖彦さん(70)が、熊に襲われた。久保寺さんは顔や頭などを引っかかれて負傷し、木曽町の病院に搬送された。命に別条はない。木曽署によると、現場は木曽川右岸の林道から約300メートル入った地点。久保寺さんは自力で下山して家族に助けを求めた。地元猟友会などが付近を探したが、熊は見つからなかった。県警は、単独での入山を避け、熊避けのために音の出るものを携行して歩くよう呼びかけている。
(シカ追う大型犬2頭、目撃情報:京都)
京都府宇治田原町は25日、同町郷之口の宵待橋周辺で野犬2頭の目撃情報があったとして、防災・防犯情報メールで町民に注意を呼び掛けた。町によると、25日午前7時ごろ、野犬2頭がシカを追い掛けているのを付近を車で通った運転手が目撃した。シェパードのような大型犬で、大津市方向へ走り去ったという。
(豪華寝台列車、シカと衝突:福島)
25日午後7時ごろ、JR東北線豊原(栃木県)―白坂(白河市)駅間の下り線で、豪華寝台列車「トランスイート四季島」が線路に侵入したシカと衝突、現場に停車した。乗務員らが車両を点検し、約45分後に運転を再開した。JR東日本によると、乗客32人にけがはなかった。事故の影響で上下線3本が最大51分遅れた。
(タイワンジカ、在来種と交雑か:大阪)
大阪府岬町でニホンジカとの交雑が確認されたタイワンジカが、隣接する和歌山市沖の無人群島「友ケ島」から数キロ泳いで渡ってきた可能性が高いことが国立遺伝学研究所(静岡県)の調査で明らかになった。タイワンジカは戦後、島へ観光用として持ち込まれ、現在は約50頭が生息。交雑が進めば在来種のニホンジカの特徴が損なわれかねず、環境省は「島を柵で囲うなど対策を検討せざるを得ない」としている。岬町で昨年7月4日、山裾に設置された駆除用わなに若い雌のシカが掛かった。体の模様がニホンジカと異なり、府が同研究所に分析を依頼。ニホンジカとタイワンジカ、大陸由来のアカシカの遺伝子が検出された。野生環境下でニホンジカと外来種の交雑が確認されたのは国内で初めて。由来と疑われた友ケ島のタイワンジカを調べたところ、ニホンジカの遺伝子はなく、アカシカの遺伝子を併せ持つことが判明した。友ケ島は和歌山県と淡路島の間に位置し、大小4島から成る。島の東端から本土まで直線距離で最短1キロで、海域ではシカが泳ぐ姿を漁業者が目撃しているという。シカは10キロ泳ぐ場合もあるといい、同研究所の松本悠貴研究員は「岬町のシカは、友ケ島から渡った個体が本土のニホンジカと交雑し、繁殖したと考えて間違いない」と指摘する。一方、和歌山市は旧日本軍の砲台跡が残り、自然にも恵まれた友ケ島をPRしようと2012年からシカを「トモガシカ」とネーミング。キャラクターを作って案内パンフレットで紹介するなど活用を進めてきた。ただ、環境省近畿地方環境事務所の担当者は「交雑が決定的になれば、島のシカを減らしたり、柵で囲ったりなどの対策が必要になる」とし、市にもシカの観光利用はなるべく控えるよう伝えたという。同省は交雑の広がりなどを調査しており、今年度内にも最終的な結果をまとめる方針。市の担当者は「指摘を受けて今は観光資源として使っていないが、調査結果が心配」と話している。
(若手猟師育成へ体験会:山梨)
県猟友会は10月28日に、若手ハンターの育成を目的とした狩猟の現場体験会を開く。ハンターの高齢化が進み、野生動物による農林業の被害も大きいことから、狩猟の新たな担い手の確保につなげたい考えだ。県みどり自然課によると、2016年度の狩猟免許所持者のうち、60歳以上の割合は61・8%に上る一方、50歳未満は24・4%にとどまる。また、野生動物による農林業の被害額は15年度に5億9700万円に達しており、農作物被害の約8割はニホンジカ、イノシシ、ニホンザルによるものだった。体験会は、北杜市の八ヶ岳山麓で開催。ベテランハンターの狩猟を見学するほか、動物の解体実習などを行う。県内に住む20~50歳未満で、今年度か来年度に狩猟免許の試験を受験する意思がある人、もしくは免許所持者で狩猟経験の浅い人が対象。地域の猟友会に入会することが条件となる。
(ドングリ豊作、クマ出没減る見込みも「注意を」:兵庫)
ツキノワグマが食べるドングリ類が、兵庫県内では今秋、全体的に豊作であることが県森林動物研究センターの調べで分かった。クマの出没は例年より少なくなる見込みだが、ドングリの実りには地域差があり、クマの生息数も増えているため、同センターは引き続き注意を呼び掛けている。ブナ、コナラ、ミズナラの3種について、8月31日~9月13日に249地点で調査。ブナは「並上」、コナラ、ミズナラは「豊」だった。同センターによると、今年4~8月のツキノワグマの目撃、痕跡情報は367件で、前年同期より77件多い。ドングリの実りに伴って出没は減るとみられるが、柿の木などの場所を覚えているクマは再び現れる可能性があるという。同センターは、出没地域では、夕方から朝の外出に注意する▽柿の実を早めに収穫する▽クマを引き寄せる生ごみを屋外に置かない-などを促している。また県は26日、ツキノワグマの狩猟期間を、11月15日~12月14日とすることを正式発表した。狩猟者は事前に安全講習会を受ける必要がある。講習会は、10月21日に和田山ジュピターホール(朝来市)、同22日にのじぎく会館(神戸市中央区)、西播磨文化会館(たつの市)である。
(ミロク、増益:高知)
17年10月期は好調な米経済の影響で上下二連銃、ボトルアクションライフル銃の出荷が伸びる。前年発生した試射弾の入荷遅れの反動もあり増益を確保。18年10月期は海外の景気不安もあるが増益狙う。
(クマ被害防止会議、秋田県の取り組み学ぶ:青森)
秋のキノコ採りシーズンを迎え、青森県は25日、県や県警の関係部署でつくるツキノワグマ被害防止連絡会議の会合を県庁で開き、クマの被害防止対策に積極的に取り組んでいる秋田県自然保護課の泉山吉明専門員が、同県の態勢や人身被害への対応などについて紹介した。
(シカ食害、高山帯に拡大:山梨)
シカの食害が標高2千メートル以上の山岳地帯に広がり、植生や景観を破壊している。県森林総合研究所(富士川町最勝寺)が南アルプスの北岳(3193メートル)周辺を調査して明らかになった。食害を減らすために高山帯(2500メートル以上)よりも低域で行っている駆除を避け、シカが逃避したためだという。高山帯での駆除は容易ではなく、国や県は高山植物を保護する防護柵の設置を進めている。同研究所は県内を約210区画に分轄して調査し、1平方キロメートル当たりのシカの頭数を推計している。北岳周辺は平成17年以降、1~5頭となっている。同研究所の長池卓男主幹研究員は「この10年間に北岳の中心部から半径約5キロ圏内で頭数が増えている」と指摘。「高山植物が食べられたり、踏みつけられたりして植生が破壊され、土壌が露出しているところも出てきた」と食害の進行を懸念する。だが、高山帯でのシカの駆除は難しい。ハンターの登山や変わりやすい天候など、制約が多い。降雪期の冬に、1千メートル台の低山帯に降りてくるシカの駆除も試みたが、降りてこないシカがいることも判明し、食害抑制の効果はなかったという。しかも、北岳周辺の食害の発生場所は虫食い状態で点在しているという。長池氏は「今後、点がつながって面に広がると、景観や植生の破壊だけでなく、土砂崩壊など災害リスクも出てくる」と警告する。北岳では現在、環境省が主導し、3カ所に防護柵を設置した。このうち2カ所は各約1ヘクタール、1カ所は約200平方メートルで、「植生の回復で成果を上げている」(長池氏)という。ただ、これまでの調査地点は登山道から立ち入れる場所に限定され、食害の全体像は必ずしも把握できていない。来年度は小型無人機ドローンによる調査も計画している。長池氏は食害対策について、「行政や研究機関だけでは対応しきれない。県が植生の保護計画を策定し、NPOが実行部隊となるなど民間の協力も必要だ」と指摘する。
(「ヒガンバナの里」、シカに食い荒らされる:広島)
観光スポットになっている三次市吉舎町の「ヒガンバナの里」がシカに食い荒らされ、例年の2割程度しか花が咲いていない。今年は春先シカに葉を食べられたためという。地元では、網を張るなど対策を講じることにしている。
(猿出没情報、メールで配信:新潟)
長岡市は9月から、栃尾地域のサル出没情報をメール配信するサービスを開始した。同地域では農作物を食べられるなどサルによる被害が増えており、対策を求める声が上がっていた。市は「出没情報を共有し、地域での対策に活用してほしい」と呼び掛けている。市によると、栃尾地域では2013年ごろからサル被害が深刻化し始めた。農作物を荒らされるほか、民家侵入もあったという。市は、電気柵などサル対策を進める新発田市を視察。これを参考に、16年9月から、発信器によるサルの行動範囲の調査を始めた。群れの中心となりやすいメスを捕獲、5匹に取り付けた。調査により上塩、東谷、西谷の3地区で群れが確認された。これに合わせて、栃尾地域の住民などでつくる「長岡市鳥獣被害対策実施隊」が月25日間ほど、地域を巡回。発信器の反応があった集落を市に報告してきた。メール配信は対策実施隊の情報を基に、4日から始まった。26日現在、36人の住民が登録している。畑を荒らされる被害が相次ぐ長岡市来伝では、ロケット花火で追い払うなど地道な取り組みを続けているが、被害は減らない。無職姉崎さとさん(71)は、「今まで畑を見張り続けて、ストレスだった。メールで近隣に気配がないことが分かるだけでもほっとする」と話す。無職佐藤久さん(62)は「メールはサル対策の最初の一歩。リアルタイムで群れの位置を把握するなど、行政には一層踏み込んだ対策も期待したい」とした。市は「メール情報を基に、少しでも被害の軽減を図りたい」としている。ことしの配信は11月30日まで。来年5月をめどに再スタートする。
(営農再開へ「ドローン」調査:福島)
葛尾村は26日、日大工学部と小型無人機「ドローン」を活用したまちづくり協定を締結した。ドローンで集めた情報を営農再開などに生かし、地域復興を目指す。原発事故による避難指示が昨年6月に一部を除き解除された同村で、ドローンを使うことで村職員の作業を効率化させ、より多くの情報を得ることが狙い。具体的にはイノシシの生態系や河川の流れ、橋の老朽化具合などの実態調査をドローンを使って行い、農業復興や防災力強化につなげる。同大もドローンの調査に学生を参加させることで、産業を担う人材育成を進めていきたいと考えている。村民向けのドローン教室や小、中学生を対象とした体験会の開催なども検討されている。締結式は同村役場で行われ、篠木弘村長と出村克宣学部長が協定書を交わした。篠木村長は「営農再開につなげたい」、出村学部長は「ドローン技術を復興に役立てたい」と述べた。
(ジビエ活用で災いを福となす:)
人口最少の鳥取県が「とっとりジビエ」の全国ブランド化を目指している。シカやイノシシなどによる農作物の被害が全国的に拡大する中、侵入防止柵の設置など守りの姿勢から一転して、捕獲した野生鳥獣の肉(ジビエ)を地域資源として活用するのが狙い。人口減少時代を迎え、中山間地を中心にした地域社会の崩壊・消滅が懸念される中、近年、大きな社会問題となっている「所有者不明の土地の増加」を見るまでもなく、事態打開には発想の転換こそ欠かせない。その意味でも「とっとりジビエ」の今後に注目したい。昨年3月、環境庁が発表した資料によると、2013年度末現在、北海道を除く本州以南に生息するイノシシは推定98万頭、シカは305万頭、農作物の被害額は約200億円。イノシシは2年前に比べほぼ横ばいだが、シカは1989年の調査開始以来、約30年で10倍に増えた。現在の捕獲率で行くと23年度のシカの生息数は453万頭まで増え、目標の半分に抑えるには捕獲数を現在の2倍以上にする必要があると報告されている。当の鳥取県の昨年の捕獲数はイノシシが1万1970頭、シカが7274頭。前年に比べ20から45%増え、被害も55%増の8990万円に上っている。解体処理によるジビエなどの利用率は15%。北海道の17%に次いで高く、一昨年2月には「地方創生への道 迷惑ものが資源に変わる」をテーマに第一回日本ジビエサミットも鳥取市で開かれた。鳥取市やその周辺を中心にした同県東部には昔からジビエを食材に使う伝統があり、“ジビエ活用の先進の地”でもある。鳥取市や隣の八頭町、若桜町などでジビエを提供する24店舗や食肉処理の営業許可を持つ7施設が中心となって5年前に「いなばのジビエ推進協議会」を設立、「森の厄介者を地域のお宝に!」、「鳥取の森の贅沢」などの宣伝文句でジビエの消費拡大に取り組んでいる。県内には公設、民間合わせ計12ヶ所(全国では172ヵ所)の解体処理施設があり、利用率もこの5年間で2・5倍に増えた。中でも八頭、若桜両町のシカやイノシシを引き受ける「わかさ29(にく)工房」は高い解体処理技術で全国に知られ、たまたま訪問した9月初旬、30分ほどの間にシカ2頭が相次いで軽トラックで持ち込まれ、ワイヤーでつり下げバーナーで表面の毛を焼いた後、瞬く間に解体処理され、河戸健代表は「県外からの見学者も多いが、一様に技術の高さに驚いて帰られます」と語った。同県は、かつて「スタバはないがスナバ(砂場)はある」の“名言”で県の知名度をアップさせた平井伸治知事を先頭に「食のみやこ鳥取県」を目指しており、ジビエを使った和食料理の普及や地域おこしに向けた日本財団との共同プロジェクトのひとつとして小中学校の給食に実験的にジビエを取り入れるなど全県的な普及を目指している。とっとりジビエは処理技術とともに「肉質が良い」と首都圏のイタリアンレストランなどにも好評。ただしシカを例にとると、ジビエとしての利用は血抜きをした後、2時間程度が限界。それ以上はペットフード用に回すか埋設や焼却処分されている。捕獲した以上、やはり有効利用されるべきで、今後、処理加工施設や保冷車を備えた移動式処理車などの整備が課題となる。ジビエを活用する動きは高知市や富山市、長野県下諏訪町、兵庫県佐用町、山梨県早川町など全国各地に広まっており、鳥獣被害防止特別措置法により各自治体の被害防止計画を支援している農水省も鳥獣利活用推進支援事業を立ち上げ、今年1月には東京都内で第1回のジビエ料理コンテストを開催した。フランスやイタリアなどジビエ料理の本場では、運動量が豊富で自然の恵みを餌として育ったジビエが牛や羊など飼育された動物以上の高級食材、貴族の伝統料理として定着しているという。わが国でもジビエを提供する店は首都圏だけで既に800店を超え、今後も確実に増える勢いにある。少子高齢化が進む縮小社会の新しい未来を開くには、マイナス要因をプラスに転化する工夫こそ必要。前述した土地問題にしても何の手も打たなければ所有者不明の土地はさらに増え国土は荒廃する。しかし、公益的な活用に道を拓く受け皿づくり、法整備が進めれば、新たな地域おこしの資源として活用できる可能性も増える。ジビエのさらなる可能性を切り拓くためには若手ハンターの育成や捕獲・処理、加工・調理、販売まで衛生管理面の強化、販路の整備・拡大まで幅広い取り組みが必要になるが、鳥取県の試みが少しでも全国に広がるよう期待する。
(ジビエ、地産地消で:愛媛)
公明党の石田祝稔政務調査会長は24日、今年5月から稼働を始めた松山市内の獣肉処理加工施設「高縄ジビエ」を訪れ、関係者と意見交換を行った。雲峰広行、山瀬忠吉の両市議が同行した。同施設は、捕獲したイノシシやシカを有効利用するため、猟師や農家など民間で出資・設立。捕獲活動、食肉処理、野生鳥獣肉(ジビエ)の販売まで手掛ける。捕獲すると解体前にインターネットで販売し、大都市を中心に出荷している。同施設の小崎武志副代表は、全国の加工施設で冷凍庫や排水浄化設備など設備投資が大きな負担になっていると指摘。農林水産省が施設整備や人材育成の費用を補助する来年度のモデル事業について、「ジビエの地産地消を進める絶好の機会にしたい」と述べた。石田氏らは「四国では野生鳥獣対策が大きな課題だ。こうした取り組みを後押ししたい」と語った。
(イノシシを楽しみつくす、食&体験イベント:東京)
10月17日(火)19:30~、阿佐ヶ谷ロフトAにて、血わき「肉」踊る! イノシシと狩猟づくしの120分今まさに「ジビエ黎明期」を迎えるニッポン。ジビエ料理を扱う店やイベントは増えてきたものの、ここまで「イノシシ」を堪能できる企画が他にあっただろうか――。来春に開業予定の専門店、『猪骨(ししこつ)ラーメン』がプロデュースする「実食祭」の第3弾が急遽開催決定!フードの肉は、すべてイノシシ。自分で解体した部位を焼いて食べられる「セルフ解体体験&BBQ」や、狩猟専門誌の編集者・佐茂規彦氏を招いての狩猟実体験エピソードなど、まさに「血沸き肉踊る」120分!

TOPへ

9/25
(山林で男性がクマに襲われる:長野)
24日午前6時ごろ、木曽郡上松町の山林内で、一人でキノコ採りに入っていた近くの久保寺靖彦さん(70)がクマに遭遇し、顔を引っかかれるなどしてけがをした。命に別条はないという。
(クマの出没相次ぐ、車との事故も:新潟)
今月21日、村上市で軽自動車がクマと衝突する事故があった。村上市では22日も別の場所でクマの足跡が見つかっていて、警察はクマに注意するよう呼びかけている。警察によると、21日午後10時36分ごろ、村上市宮ノ下の国道7号を、軽自動車を運転し府屋方向に走っていたという50歳の男性から、クマに衝突したと通報があった。男性はクマに気づいてよけようとしたが、車の左の前の部分と衝突。バンパーや後ろのドアがへこんだ。その後、クマは道路を横断し、東の方向に走り去ったという。車を運転していた男性にケガはなかった。また、22日正午ごろ、この現場から5キロほど離れた村上市大関では、20センチほどのクマの足跡が10数個見つかったと届け出があった。栗の実をクマに荒らされた形跡もあったという。村上市役所と猟友会は、畑の近くにクマを捕獲するための罠を仕掛けるとともに、周囲の住民にクマに注意するよう呼びかけている。
(ツキノワグマによる農作物被害相次ぐ:秋田)
農園のブドウやモモなどがツキノワグマに食い荒らされる被害が、秋田県北部を中心に相次いでいる。収穫後に放置された農作物に引き寄せられるケースが多い。実りの秋を迎え、自治体の担当者は「出荷しない農作物を廃棄する場合は地中深くに埋めるなど、管理方法を見直してほしい」と呼びかけている。鹿角市によると、7月ごろからクマによるとみられる食害が発生、これまでに70件以上が確認された。夏場はナシやトウモロコシ、9月に入るとモモやブドウなどの果物が狙われている。特に小ぶりだったり、傷がついたりしたために出荷しない果物を放置すると狙われやすい。クマがエサのありかとして認識し、何度も襲う例が多いという。市は報告を受けると現場付近にわなを仕掛け、半分程度は捕獲に成功しているが、担当者は「被害が途切れない」と頭を抱える。だが、対策を講じていた農園でも被害に遭う例がある。8月中旬、同市花輪でリンゴやモモを栽培する男性(69)の果樹園では、モモの木の枝3本が折られ、地面に果物を食い散らかした形跡があった。「クマの仕業だ」と直感した。以前も毎年のようにクマの食害に遭っていたが、数年前、市が設けたわなで捕獲された。さらに天敵であるオオカミの臭いを発する機器を備え付けた。「しばらくの間、被害がなかったので油断していた」とうなだれた。「今はリンゴの収穫が最盛期なので心配。電気柵などは費用の負担が大きく設置できない」と不安を口にした。県水田総合利用課によると、県内でクマとみられる農作物被害は2010から15年は90から180件程度で推移していたが、16年は360件に急増。今年は198件(8月25日現在)で前年同期比でやや減少しているものの、15年以前と比較すると1年間の被害件数を既に上回っている。地域別では北秋田市や鹿角市周辺で全体の9割近くを占める。クマの生態に詳しい県立大の星崎和彦准教授によると、15年は母グマの餌となるブナの実が豊作だった。子連れのクマの目撃例も多く、個体数が増えた可能性がある。「親離れした若いクマが行動範囲を広げる時期で、里山に下りて好物の果物を狙っているのでは」と推測する。一方、今年はブナの実が凶作となる見通し。エサ不足によって農園を襲う可能性もある。星崎准教授は「鉄砲音を鳴らす装置などで効果が得られるとは言い切れず、確実な対策はないのが現状。まずクマをおびき寄せないことが必要」と話している。
(河川敷のシカは捕獲しない方針:大阪)
20日から大阪市東淀川区の淀川河川敷に居着いているシカ。22日も淀川と大川の合流地点、淀川大堰の上流付近に姿を見せました。国土交通省の淀川河川事務所は、出没する可能性がある約2.4キロの範囲で河川敷道路を通行止めにしています。シカには帰巣本能があり、本来人に危害を加えることはないため、いまのところ捕獲はしない方針だということです。
(鳥獣被害現況調査、ドローンで食害調査:神奈川)
小型無人機「ドローン」を使った農作物の鳥獣被害現況調査が22日、相模原市緑区名倉の相模川右岸近くであった。ドローンで空撮した映像でイノシシ、サル、シカの食害や作付け状況を調べ、鳥獣の隠れ場所を追跡して地上での対策に初めて役立てる。
(鳥獣被害対策でハイテクかかし導入:長野)
赤外線センサーでサルなどを感知し自動でつぶて(土玉)を発射するハイテクかかしが、飯田市北方の三和観光農園(伊藤公平社長)に導入され、効果を発揮している。ハイテクかかしは、北方の三笠エンジニアリング(伊本政芳社長)が開発した「畑の番人ロボ」。同農園の伊藤さん(76)は数年前に農業新聞で開発を知り、実証試験などに協力してきた。昨年秋に完成品が誕生すると真っ先に購入した。3月から6月ごろにかけて3カ月間、囲い網のないブルーベリー園に設置。その後、番人ロボをリンゴ園に移したところ、ブルーベリーに鳥の被害が出るようになり、初めて被害防止の効果に気づいた。同農園は面積が広く、山に近いこともあり以前からサルなどの被害に遭うことが多かった。「20匹ほどの集団で来てあっという間に1、2本の木を全部食べてしまう」(伊藤さん)ほどだった。電気柵を設けたり、サルを発見したら追い払ったりと苦労していたが、番人ロボ設置箇所周辺では被害がなく「今年は楽をさせてもらっている」と喜んだ。番人ロボは、鳥追いにロケット花火を打つのを自動化できないかとの発想から、三笠エンジニアリングで開発が始まり、改良を重ねてきた。180度を旋回しながらセンサーで動物を感知し、4種類の音と超音波、LED点灯で威嚇(いかく)し、土玉のつぶてを自動発射する。資格取得者に限り、安全確認してリモコン操作で花火を発射することもできる。30万円以上と高額だが、小型の廉価版や鳥追い専用機などの関連商品も開発した。ハイテクかかしは全国的にも珍しくテレビなどで取り上げられることが多い。10月19日放送のNHK「所さん大変ですよ」でも紹介される予定だ。開発に関わってきた熊谷民雄さん(62)は「この番人ロボはサルやイノシシを目的に作ったが鳥にも効果があると聞き驚いた。つぶて発射前の自動音声による警告や動きが効いたのではないか」と話していた。
(「男鹿半島はクマ生息適地」と専門家:秋田)
これまで「クマはいない」とされてきた秋田県男鹿市で17日に1頭のクマが目撃された。初出没とみられ市や関係機関は対策を急いでいるが、「どう対応すればいいのか」と戸惑いの声も上がる。県や専門家は「再び出没する可能性がある」とし、危機意識を持って駆除体制を整備するとともに、市民も注意を払うよう警鐘を鳴らす。クマが目撃されたのは男鹿半島の北側に当たる同市野石字申川(さるかわ)。同日午後4時40分ごろ、国道101号を車で走行していた女性が、道路を横断するクマを見つけた。11日には、男鹿市と同様にクマは生息していないとされる大潟村でも1頭が目撃されている。本県のクマの事情に詳しいNPO法人・日本ツキノワグマ研究所(広島県)の米田(まいた)一彦理事長によると、県内ではクマの生息域が広がり、若いクマが環境の良い場所を求めて移動しているとみられる。
(240軒停電、カラスの営巣が原因:栃木)
東京電力栃木総支社によると22日午後6時20分ごろ、宇都宮市天神1、2丁目、本丸町、南大通り2丁目、簗瀬1丁目で約240軒が停電し約1時間後に復旧した。同社によると、電柱にカラスが営巣し、針金が電線に接触したことでショートしたという。宇都宮中央署は復旧まで、交差点2カ所で警察官が交通整理を行った。
(空を覆うカラスの大群に住民困惑:新潟)
新潟市では先月から度々、ある鳥の大群が押し寄せて住民を困惑させています。空を飛ぶこの無数の黒い影はカラスの大群です。こちらは新潟市内で、21日の夕方に撮影された映像です。撮影者によりますと、カラスの大群が何回にも渡って押し寄せ、1時間ほど居座っていたということです。専門家によりますと、これだけの数が集まるのはめったにないということです。宇都宮大学雑草と里山の科学教育研究センター・竹田努博士:「見た感じでは、数千羽はいると思います。この時期はカラスの子どもが巣立ち始める時期。どこに行っていいのか分からないという不安感があるので、とにかく集まって一緒に行動しようと」餌(えさ)が豊富になり、カラスの数が増えていることから、近年、大群が目撃されやすくなっているといいます。
(ジビエで中山間地振興:静岡)
浜松市で捕れたジビエの料理を体験したり、猟師の話を聞いたりできるイベント「天竜ジビエフェス」が10月1日、中区のコミュニティー施設サーラプラザ佐鳴台で初開催される。「ジビエで中山間地域振興を」と市民有志が企画した。天竜区の猟師やきこり、飲食店主らでつくる実行委員会が主催する。同区で里山カフェ「クライネスカフェ」を営む戸村由香さんが仲間に呼び掛け、「市街地へ行って直接ジビエの良さを伝えよう」と開催に乗り出した。料理体験では、家庭でシカ肉のローストを作る方法を教えるほか、ジビエ料理を提供する。同区春野町のジビエ加工施設「ジミート」で解体した肉を使う。猟師やジミートの天野進代表の話を聞くセミナーも開く。シカ革を使ったアクセサリーやシカ肉のドッグフードなど、ジビエ関連商品の紹介スペースは入場無料。料理体験とセミナーは有料で事前申し込みが必要。
(鹿肉と猪肉の専門酒場:神奈川)
今年2月、今話題のジビエをリーズナブルに味わえる「鹿肉と猪肉の専門酒場」が京浜急行線弘明寺駅の目の前に誕生した。その名も「野生」。害獣駆除で廃棄される命をどうにかできないか…そんな思いから立ち上げた同点では、主に南伊豆で捕獲された鹿と猪の肉を提供している。人の手が一切加えられることなく育った鹿や猪は、高タンパク低カロリーで繊維質も多い。「蝦夷鹿タタキ」で味わえば、牛肉よりも歯ごたえがあり、噛むほどにうまみが増すのがわかるだろう。「猪すじ煮」は一見豚肉のようだが、脂のしつこさはない。ほろほろでとけるような柔らかさに、つい箸が進む。罠で捕獲したのち猟師の手で素早く下処理されているため獣臭さは一切なく、タン刺、ユッケ、ステーキとどんな調理でも鹿と猪本来の風味を楽しめる。

TOPへ

9/22
(ジビエ“農村産業”に)
農水省は2018年度、野生鳥獣の肉(ジビエ)の利活用の拡大に向け、鳥獣の捕獲から肉の流通までを円滑に進めるモデル地区づくりに乗り出す。全国12カ所程度を設定し、大規模な加工処理施設や捕獲現場で解体処理できる車両の整備、人材育成などの費用を助成、ジビエの販売で利益を上げる体制を農村で構築する。19年度にジビエの利用量倍増を目指す。捕獲した野生鳥獣のうち、ジビエとして利用される個体数は1割程度にとどまっているのが現状で、利用量を増やすには捕獲後、運搬から処理までの衛生管理を徹底し円滑に進められるかが大きな課題だ。保冷・搬送設備の導入の他、捕獲や食肉処理、流通など各事業者の連携が必要になる。同省は18年度予算概算要求に盛り込んだ「ジビエ倍増モデル整備事業」で、こうした環境が整った地区をつくる。従来の鳥獣被害防止対策と合わせ、17年度から58%増の150億円を要求した。同事業では衛生管理を徹底し、解体処理や精肉に加工できる施設整備を支援する。地域の狩猟者や周辺の処理施設からも鹿やイノシシなどを集めて、まとまった量を飲食店などに安定供給できる中核施設に位置付け、ジビエの販売をビジネスとして軌道に乗せる。捕獲現場に出向き、車内で解体処理できる「移動式解体処理車」も整備する。モデル地区での連携を強化するため、行政や加工施設、流通業者、狩猟者らでつくる協議会の運営も後押しする。鳥獣の捕獲や解体処理、ジビエの販路開拓など、各段階での技能を向上させる研修会の費用も助成、人材育成につなげる。政府はジビエの販売を農村の経済成長の起爆剤にしようと、菅義偉官房長官を議長とする関係省庁会議を4月に設立。同会議の指示を基に農水省はジビエの流通体制の整備方針をまとめており、今回の事業で方針を具体化させた。
(ジビエ活用を、農水省が相談窓口)
農林水産省は、エゾシカやイノシシなど野生鳥獣肉(ジビエ)の活用に関する問い合わせに答える相談窓口を開設した。ハンター、自治体、ジビエを使いたい飲食店などから相談を受け、地域と流通・飲食業との連携を後押しする。12日に開設し、電話やメールで相談を受け付けている。処理施設を建てる場合の支援制度、販売先の探し方、肉の処理方法などの相談に一元的に対応する。ジビエに携わる企業の役員など民間専門家14人も協力し、相談内容に応じて農水省を通じて助言する。専門家が現地を訪問して指導を行うことも予定している。
(准教授が熊に襲われけが:山形)
14日午前6時55分ごろ、山形県米沢市万世町刈安の米沢スキー場で、工学院大准教授の橘完太さん(43)=東京都新宿区=が体長約1メートルの熊に襲われ、顔や左腕をかまれた。米沢署によると、首などにひっかき傷を負ったが命に別条はないという。熊は小熊とみられる。橘さんは学会のため米沢市を訪れ、景色を見るため1人で散歩中に熊と遭遇した。宿泊先のロッジに電話で助けを求め、経営者が119番通報した。熊は山の方向に逃げていったという。
(烏骨鶏と比内地鶏が被害、クマか:秋田)
秋田県鹿角市花輪字明堂長根の鶏小屋で、烏骨鶏(うこっけい)と比内地鶏計16羽が食い殺されているのを所有者の70代男性が見つけ、15日に市役所を通じて鹿角署へ届け出た。小屋の周りにあった足跡から、クマによる食害とみられる。
(男鹿にクマ初出没:秋田)
17日午後4時40分ごろ、秋田県男鹿市野石字申川の国道101号でクマが目撃された。男鹿署によると、同署管内でクマが目撃されたのは初めて。市総務課も「はっきりした記録はないが、これまで市内でクマの目撃情報を聞いたことはない」としている。同署によると、市内の60代女性が同市五里合方向から三種町方向に国道を走行中、体長約1メートルのクマ1頭が左から右に道路を横断したという。現場は男鹿風力発電8号風力発電所から約250メートル。近くに民家はない。「男鹿半島・大潟ジオパークガイドの会」会員で男鹿の自然に詳しい夏井興一さん(77)=同市船川港金川=は「これまで男鹿半島にクマはいないといわれてきた。ついに現れたか、という思いだ。どのようなルートで来たのかが気になるし、すみ着いて繁殖することが最も心配だ」と話した。
(秋田新幹線、クマと衝突:秋田)
2017年9月16日、秋田新幹線「こまち3号」(7両編成)がクマと衝突し、緊急停車した。場所は、秋田市の大張野駅と大仙市の羽後境駅の間。線路上を横切るように現れ、急ブレーキをかけたが間に合わなかった。乗客約200人にけがはなかった。クマはそのまま姿を消したという。「こまち3号」は徐行運転で近くの駅に向かい、点検を行った後、35分遅れで運転を再開した。
(河川敷に野生の雄ジカ、現場周辺が通行止めに:大阪)
20日午前5時ごろ、大阪市淀川区西中島2の淀川右岸河川敷で、通行人の男性から「大きいシカが1匹いる」と110番があった。駆け付けた大阪府警淀川署員がシカを発見し、河川敷から出ないように警戒したが約2時間半後に見失った。午後4時45分ごろには東淀川署員がシカを確認。約2時間後に再び見失った。東淀川署によると、シカは体長約1.3メートルで、角があり雄の成獣とみられる。けが人などの情報はないといい、市などが対応を協議している。
(河川敷にクマ出没:長野)
十九日午後三時五十分ごろ、松本市笹賀の下二子橋南側の奈良井川河川敷で、クマ一頭を目撃したとの一一〇番通報があった。松本署員らが現場に駆け付けて捜索したが、クマは逃走したとみられ、発見されていない。同署や市は警戒を呼び掛けるとともに、目撃された付近をパトロールして警戒にあたる。けが人などはいない。同署などによると、目撃されたクマは体長約一メートルで、成獣とみられる。奈良井川河川敷内にいるところが発見され、その後も河川敷内で目撃情報があった。捜索には同署員のほか、市職員や猟友会員らもあたった。市は二十日、捕獲おりを現場付近に設置する。クマの目撃情報を受け、現場近くの信明中学校は生徒の下校時、現場付近で教職員らが付き添った。二十日の登校時は、信明中と開明小学校などは教職員を通学路に配置し、児童・生徒らの安全を確保する。
(クマ出没これからピーク、パトロールの徹底を確認:富山)
富山市のクマ対策会議が開かれ、県や猟友会がパトロールの徹底を確認しました。会議には、富山市内の猟友会や警察などおよそ30人が参加しました。会議では今月下旬から来月中旬まで県内ではクマが一年で最も多く出没する時期を迎えることから県や猟友会と一体となり、パトロールや山間部の住民への注意喚起を徹底することを確認しました。富山市によりますと、今年に入って、市内でクマが目撃されたのは57件と去年一年間の目撃件数をすでに上回っており、6月には八尾の山間部で人的被害も出ています。これまでの目撃情報の多くは山間部ですが、今年はクマの好物であるブナが、「不作」の地域もあり、これからエサを求め平野に近い地域でも出没する恐れがあるということです。
(17年ぶり解禁されるツキノワグマ狩猟:岡山)
ツキノワグマの出没件数の急増を受け、岡山県は11月15日~12月14日の期間、ツキノワグマの狩猟を17年ぶりに一部解禁する。
(鳥獣被害26%減:宮崎)
県は21日、県内の2016年度のシカやイノシシなど野生鳥獣による農林業被害が、前年度比26%減の4億5891万円だったことを明らかにした。被害額の減少は4年連続で、集落ぐるみの対策や防護柵の整備が進んだことなどが要因とみられる。
(効率良く財政負担も減少、鳥獣加工処理施設:福岡)
福岡県宗像市は、野生鳥獣による農作物被害に悩む近隣の3市町(福津市、宮若市、岡垣町)とタッグを組み、2013年2月に共同施設「宗像市外2市1町鳥獣加工処理施設」を建設・稼働した。同施設には各市町の猟友会のメンバーが捕獲した野生鳥獣が持ち込まれ、専門スタッフが解体・加工と残さ処理に対応する。稼働から4年が経過するが、搬入実績は順調に伸び、昨年度は猪を中心に鹿、アナグマ、鳥類など4市町から計1337頭羽が持ち込まれた。
(設置後イノシシ捕獲数3倍に:香川)
香川県高松市は鳥獣被害対策を強化して、2012~2016年度の5年間でイノシシによる被害を半減させた。原動力になったのは、市内の猟友会を中心に結成した高松市鳥獣被害対策実施隊。地域一体となった捕獲体制を構築したことで、目に見える成果が表れた。この間のイノシシの年間捕獲数は500頭から1600頭に増加した。市はイノシシの被害が特に多い地区で、イノシシの個体数調整と市街地に出没した場合の捕獲を実施隊のメンバーである猟友会に依頼し、捕獲を実施。いつ現れるか分からない野生鳥獣に迅速に対抗する。
(有害鳥獣「緩衝帯」に耕作放棄地:岡山)
9月定例岡山県議会は20日、一般質問を続行。渡辺英気(自民、倉敷市・都窪郡)、波多洋治(同、岡山市北区・加賀郡)、山田総一郎(公明、倉敷市・都窪郡)、渡辺吉幸(自民、津山市・苫田郡・勝田郡)の4氏が県政全般をただした。県は、将来的に営農を継続する見込みのない水田について、イノシシやシカといった有害鳥獣を集落に寄せ付けないための「緩衝帯」としての活用を支援する考えを示した。渡辺吉幸氏が耕作放棄地の抑制に向け、急傾斜などで集約化が難しい水田の活用策を聞いた。上原毅農林水産部長は「鳥獣との緩衝帯にすることも選択肢の一つ。所有者や地域の意向を踏まえ、造林や緩衝帯整備に要する経費を補助するなど必要な支援をしたい」と答えた。具体的には、対象農地の所有者らが希望すれば、下刈りや枝打ちなどの補助制度を紹介する方針。県によると、山林と集落の間に広葉樹を植えたり、雑木を取り除いたりして手を加えると、鳥獣が警戒して寄り付かなくなる効果が期待できるという。
(シカの解体ショー:神奈川)
蛯名市内中央の「ショットバーアスパラ」でこのほど、南足柄猟友会が狩猟したシカの解体ショーが行われ、その後参加者はジビエ料理を楽しんだ。鳥獣からの農作物被害を減らそうと活動する同会。メンバーの高齢化などを要因に将来に向けた「ハンター確保」の課題を抱える中、狩猟活動を多くの人に知ってもらおうと実施した。当日は解体体験や試食のほか、現役猟師との交流やスライドショーを通しての現場紹介などが行われた。同会に所属する女性は「こうした機会を通して、ぜひ多くの方に興味を持ってもらえたら嬉しい」と話していた。
(GPS活用し生態解明、キョン防除“作戦”:千葉)
千葉県内で約5万頭も生息するとみられる特定外来生物「キョン」の根絶へ、県環境審議会鳥獣部会の小委員会は本年度の防除実施方針を了承した。これまで生態が分からず効果的な防除方法を模索してきたが、今回新たに、GPS(衛星利用測位システム)発信器を活用し生態解明を目指す。自動撮影カメラを用いた誤捕獲防止にも乗り出すほか、従来の生息数推定法より精度の高い手法で個体数を推定し、自治体ごとの捕獲目標も設定するという。キョンは中国南東部や台湾に分布するシカ科の小型草食獣。県内では勝浦市にあった観光施設「行川アイランド」から逃げ出したと考えられている。小委員会での報告によると、2016年3月末時点で4万9526頭(中間値)が生息。06年度の約3400頭から14倍以上に急増し、生息範囲も広がっている。頭数増加により、農業被害は増加の一途で、16年度は132万円(被害面積1・1ヘクタール)に及んだ。繁殖力が強く、捕獲した雌を調べると、0~1歳の幼獣でも3~6割が妊娠。繁殖拡大を食い止めるには雌の捕獲が急務だが、警戒心の強い雌は捕獲しにくく、生態解明が急務だった。県は本年度から捕まえた個体(主に雌)にGPS発信器を装着して放ち、生態を調べる方針。また、いすみ市では住宅地での出没が多く、捕獲用のわなで猫などペットを誤って捕まえてしまう可能性もあり、20台の自動撮影カメラを設置。キョンが多く猫が少ない、効果的なわな設置場所を探す。さらに、これまではふんの数などで個体数を推計していたが、正確性が課題だった。そこで、17年3月末時点の推計からより精度が高い推定方法「階層ベイズ法」に切り替え。将来予測も行い、自治体ごとの捕獲目標を提示するという。
(クマ出没多発、何が起きているのか:滋賀)
クマによる農作物や人への被害が全国で報告されるなか、滋賀県でも今年に入ってクマの目撃情報が急増している。県によると、4~8月の目撃件数は前年比約2倍の111件。なかでも県北西部の比良山系ふもとに位置する高島市は6割強の68件を占め、単純平均すると、ほぼ2日に1度の割合でクマが目撃されている。同地域のクマは県レッドデータブックで「希少種」に指定されるほど個体数が少ないとされる。にもかかわらず頻繁に人里に現れるクマ。いったい何が起きているのか。9月のある朝、高島市今津町大供の山すそにある住宅街に住む男性(75)が、妻と車に乗り出かけようとしたときだった。住宅街の出口付近の道路脇に「何か黒い物体がある」のに気付いた。物体は二つで、それぞれ足や顔らしきものが見える。よく見ると、体長約1メートルと50センチほどの2頭のクマだった。2頭はこちらをじっと見ていた。「私もクマも、すっかり固まってしまった」。一瞬後、クマはきびすを返し、雑木林へ姿を消した。男性は「普段よく散歩する道。車に乗っていたからよかったが、歩いているときに鉢合わせしたら、と思うとぞっとする」と振り返った。目撃談は春ごろから相次いでいる。6月22日には同市新旭町の県道で、同市の女性職員が運転する公用車が道路右側から飛び出してきたクマと衝突した。一部始終はドライブレコーダーに記録されており、映像を見ると、はね飛ばされたクマはすぐに起き上がり、猛スピードで走り去った。翌日には同市今津町椋川で、民家の裏庭にあった米ぬかを食べていたクマを住民の男性が発見。男性は木刀で威嚇し、追い払った。5月下旬には、住宅街の公園の滑り台で遊んでいた女児が「下にクマがいた」と連絡。ほかに、「子グマが自宅の横のクヌギの木を登り、親グマがその様子を見守っていた」と話す男性(74)もいた。クマは人間の生活空間に頻繁に出没しており、幼稚園に通う子供を持つ主婦(34)は「春先は何回も市などから注意の呼びかけがあったが、その後は特になかったので、今でも出没していると知りびっくり。子供がいるので怖い」と心配する。なぜ今年はクマがよく現れるのか。市などの調査では、出没場所で何かを食べた形跡はなく、食料を求めて人里に下りてきたクマばかりではなさそうだという。県によると、県内に生息するクマは前年からほぼ横ばいで推計約200頭。長浜市など県東部と、高島市など県西部に生息する個体群に大別される。ただ県西部の個体群は環境省の定める個体数水準で4段階のうち数が少ない方から3番目の「危急地域個体群」にあたり、県レッドデータブックでも「希少種」に指定されるなど、数は少ないという。こうした実態や目撃情報、出没場所から、市などは少数のクマが何度も出没し、居場所を求めて徘徊(はいかい)しているのではないかとみている。原因として、クマの研究者などでつくる「滋賀県ツキノワグマ第一種特定鳥獣保護計画検討会」は「里山の環境の変化が背景にある」と分析する。クマは非常に臆病な性格で、身を隠すうっそうとした草木が生い茂る環境を好むとされる。かつては人が山に手を入れていたことから、人の居住域の近くはクマが嫌う見通しの良い林となっており、居住域とクマの生息域の緩衝帯となっていた。ところが産業構造や暮らしの変化で人が山に入らなくなってからは、クマが身を隠しやすい林が人里近くまで広がり、クマの行動域が人の居住地域に及ぶようになったと考えられるという。県はクマを「第1種特定鳥獣」に指定し保護対象としており、狩猟の自粛を要請しているほか、人に危害を与える危険があるなどの理由による捕獲も最小限に抑えている。平成24年度以降の捕獲数は計11頭で、そのうち特に危険性があるなどとして殺処分されたのは3頭。県が定めた県内全域での年間捕殺数の上限(29頭)を大きく下回る。今年も目撃件数急増の一方で人的被害はなく、今のところ危険が増大している状況ではなさそうで、保護して山に返すという方針がとられている。ただ、27年5月にはクマの目撃情報がほとんどなかった同県多賀町で女性がクマに襲われ、重傷を負った。保護の推進で個体数が増加した場合、被害が起きる可能性もある。居住域の接近で今後もクマと遭遇する機会は増えそうだが、どう対応したらいいのか。クマへの注意を呼びかける県のパンフレット作製に参加した奈良教育大の鳥居春己特任教授は「クマの行動は人間の都合で止められない。もはやクマは身近にいる存在であると認知し、つきあい方を考えることが重要だ」と“共存”を訴える。今夏、クマが出没した高島市内の集落に住む男性は話す。「昔は薪を採ったり、炭を焼いたりするため頻繁に山に入り、クマとの遭遇は珍しくなかった。クマは恐怖の対象ではなく、鉢合わせしたら『知らんふり』すれば大丈夫と親から子へ教えられてきた。今の人はクマを知らなさすぎることが、恐怖心をあおっているのではないか」今後、冬眠前の秋を迎え、クマの活動は活発化が予想され、目撃情報はさらに増えそうだ。居住地域は近づく一方だが、クマへの対処の仕方は模索が続く。
(クマ出没、里山で平年秋より増加の恐れ:福井)
クマが冬眠に入る時期(今月~11月)を迎え、福井県は今秋以降、里山(平野部)で平年よりも出没数が増える可能性があるとの見通しを示している。ドングリ(堅果類)の作柄状況から大量出没の可能性は低いものの、里山での生息数が増えているためという。4~8月の出没(目撃・痕跡・捕獲)件数は281件で、前年同期の190件を上回り過去最多(平成16年度以降)となっている。冬眠に入る時期はクマの活動が活発化することから注意が必要で、各集落での柿や栗の実の早期収穫や撤去、人家周辺の生ごみの撤収などの対策が必要と呼びかけている。県によると、4~8月の出没状況は281件で、すでに25年度以降の同期を上回っている。小浜市や高浜町、おおい町など嶺南で124件(前年度同期72件)と多く、福井・坂井75件(44件)、丹南61件(53件)などと増えている。今月7日現在の出没は288件にのぼり、捕獲数は60頭(前年度同期41頭)。人身事故も1件起きている。県が8月9日~9月1日にドングリの実のつき具合を調査した結果、ブナとミズナラは県全体で「不作」だったが、過去の大量出没年(18、22、26年度)に比べ作柄は良好。奥越の大野市ではブナが並作や豊作の地点もあった。コナラは「並作」だった。このため奥越を除く地域での出没が増え、嶺南や丹南、越前市などの里山に生息するクマの出没が多くなる可能性があるとしている。県はこのほど17市町の担当者ら関係者を県庁に集めツキノワグマ出没対策連絡会を開くなど、被害防止対策を強化している。
(クマ人里に出没、北信増加の恐れ:長野)
県鳥獣対策・ジビエ振興室は15日、今秋のツキノワグマの出没予測を発表した。「全県的に大量出没の可能性は低い」としつつ、クマが餌とするドングリなどの実りが悪かった北信地方では「人里への出没が増える可能性がある」と指摘した。
(クマの餌、ドングリ並作:岐阜)
岐阜県は15日、ツキノワグマの主な餌となるドングリの実り具合を「並作」とする予測を発表した。餌不足によるクマの大量出没の可能性は低いとみられるが、県は「凶作の地域では行動範囲が広くなるため注意が必要」と呼び掛けている。県によると、8月18日から今月8日まで、県内5圏域の26地点の指標木を調査。ブナ、ミズナラ、コナラとも県全体の平均は「並作」だった。地域別では、ブナが岐阜圏域の北部で大凶作。ミズナラは岐阜、飛騨圏域の北部、コナラは中濃圏域の南部と飛騨圏域の北部でそれぞれ凶作だった。
(クマ目撃の公園、23日に再開へ:北海道)
子グマのような動物が目撃され12日から臨時閉園となっていた札幌市南区の国営滝野すずらん丘陵公園について、札幌開発建設部は23日に再開すると発表した。クマが掘ったとみられる侵入防止柵の下の穴を埋め立てたほか、職員による巡回強化や監視用のセンサーカメラを44台に増設するなどし、安全確保に努める。同園事務所の平井篤夫所長は「利用者に早く安心して来園してもらえるように安全管理を徹底したい」と話した。
(威力強い“違法エアガン”輸入・販売か:東京)
通信販売会社社長の梁家明容疑者(29)は去年11月、インターネットを通じて、都内に住む60歳の男に人にけがをさせる威力を持つ準空気銃を1万8000円で販売し、男が違法なエアガンを所持するのを手助けした疑いなどが持たれています。警視庁によりますと、梁容疑者は会社を設立した去年4月から先月までの間に、少なくとも60人に73丁の準空気銃や模造拳銃を販売していました。主に台湾製や中国製のエアガンを輸入していたということです。これまでに3500万円以上を売り上げていて、「威力の強い違法なエアガンは販売していません」と容疑を否認しています。
(女子高生ハンター誕生:熊本)
イノシシやシカなど有害鳥獣の駆除・捕獲を担うハンターの高齢化が進む中、高森高3年の野尻岬さん(18)=高森町=が狩猟免許を取得した。県自然保護課によると、高校生の取得は県内初で、「若者が狩猟に興味を持つきっかけになれば」と期待している。野尻さんは、8月に行われたわな猟の狩猟免許試験に臨み、合格した。狩猟免許は網猟、わな猟、第1種銃猟(ライフル銃、散弾銃など)、第2種銃猟(空気銃)の4種類に分けられ、銃猟は20歳から取得可能。裾野を広げるため、網猟とわな猟は2015年に18歳以上に緩和された。受験のきっかけは、高校生がビジネスプランを考えるイベントへの参加。熊本地震の復興に向け、昨年11月から南小国町で3度開かれた。野尻さんは、ジビエ(鳥獣肉)を生かした高森町の活性化計画を5カ月かけて作成。鳥獣の解体処理施設を町内に建設することや、解体や冷凍保存ができるジビエカーの導入など自分の将来の目標を盛り込んだ。今後、プランを町に提案する。野尻さんは「実家の山のスギもシカに皮をはがされて立ち枯れの被害に遭い、何とかしようと思った。家庭の食卓にシカやイノシシ料理が並ぶこともあるので、ジビエ料理も身近だった」と話す。免許取得は目標実現への第一歩。会社経営のために、大学に進学し、法律や経済などを学ぶことも考えている。同課によると、県内の狩猟免許所有者は15年度5016人と、約40年前に比べ約6200人減。しかし60歳以上は6倍近くに増え、全体の69%を占める。一方、女性は71人に達し、5年間で1・5倍。同課は「農家の女性が有害鳥獣から畑を守るために取得しているのでは」と分析する。野尻さんは今冬にハンターとしてデビューし、20歳を迎えたら銃猟免許も取得する予定だ。「阿蘇のジビエとして売り込められれば、復興支援にもつながる。町の一大産業にしたい」と意気込んでいる。
(赤外線ドローン用いた野生動物の調査・分析サービス)
スカイロボットは13日、赤外線サーモグラフィカメラを搭載したドローンで野生動物を調査・分析するサービスを10月1日より開始すると発表した。近年多発する野生動物による農作物の被害や人間への危害に対し、ドローンを活用してデータの蓄積から調査・分析、撃退に至るまでを実施する。あくまでも動物保護の観点から、高性能ドローンを用いた「やさしい」害獣防止を行うという。具体的にはカメラを搭載したドローンによる空撮により、データを蓄積し、AIを活用した分析・予測を行う。撃退方法としては、田畑に野生動物が近づくと、ドローンから超音波や苦手なニオイを発して撃退するという。ドローンに爆竹音やサイレンを鳴らす装置を付け、退散を図ることも可能としている。夜間や草木の隙間など可視光カメラにて認識できない場合は、赤外線サーモグラフィカメラを活用。農家や自治体のみならず、山菜狩りの高齢者や登山者にも配慮したサービスを実現する。スカイロボットは産業用ドローンを開発・販売するドローンベンチャー。「わたしたちロボットは人を助けます」をスローガンに、人命救助や家屋調査、清掃発電など、人間にとって過酷な環境で活躍するロボットを提供してきた。これまでも動物監視システムはあったが、野生動物に電波発信器を装着するなど、従来の電波技術により発信機が大きく重いことが、動物愛護の観点からも適していなかった。スカイロボットが開発した追跡システムでは、ドローンを活用することで動物に配慮されたものになっているという。天然素材を用いたにおい液封入ボールも開発しており、2019年には商用化を予定。ドローンから発射してマーキングとして有用な役割を果たすことを目指している。ドローンを活用した害虫・害獣駆除の実験や活用は研究機関やベンチャー企業により、さまざまな形で行われている。佐賀大学とオプティムが共同開発した「アグリドローン」は、上空をパトロールして殺虫剤を散布したり、殺虫器をぶらさげて駆除するなど、無農薬環境下での活躍が期待されている。他にも、ドローンによるニホンザル追い払い支援ロボットの開発、ドローン世界最大手の中国DJIによる日本でのシカ個体数調査など、ドローンを活用したこうした動きには枚挙にいとまがない。一方で、害獣駆除は動物愛護の観点も見過ごすことはできず、非常に慎重さが求められる領域であることも事実である。また、地方自治体と企業による開発・運営費用に対する考え方の相違、現地高齢者とITの相性など、普及に向けての不安視される点も多い。とはいえ、人間では手に負えない問題をサポートできるのがドローンの強みであることから、一つ一つ課題をクリアして、人間にとってかけがえのないプロダクトになることを期待していきたい。
(イノシシ被害モ~たくさん、天草市が牛放牧:熊本)
イノシシによる農産物の食害を防ごうと、天草市が6月から、農地の周辺にある耕作放棄地で牛を放牧している。牛に雑草を食べてもらうことで見晴らしを良くし、警戒心の強いイノシシが近づかないようにする。イノシシの農地への出没が減るなど効果が出ているといい、市は手応えを感じている。市によると、イノシシが稲や果樹などを食べる被害は2016年度、市などに届け出があった分だけでも約176トン、被害額約3000万円に上る。これを受け、市は、牛の放牧による対策事業を実施することにした。同市亀場町の8か所計2・9ヘクタールで、牛用の転落防止柵の設置やダニ対策の野焼きを行った上で、地元の畜産農家が育てている牛を放牧する計画だ。市は、事業が行われている同町の宇土春登集落に放牧地事前整備費などとして100万円(3年分)を交付した。6月に黒毛和牛2頭を3500平方メートルに放牧したところ、腰の高さまであった草を食べ尽くし、イノシシが畑に出没することがほぼなくなった。耕作放棄地の有効活用につながる上、餌やふん尿処理の費用の削減のほか、ストレス軽減で牛の発育が良好となるなど、農家にとってもメリットがあるという。中村五木市長は「イノシシが減っているわけではないが、山の中に追い込むことで里山を守り、農地を保全する効果がある」と話している。市は今後、同事業を他地区にも広げていく予定。
(犯人はカラスが運ぶ「針金ハンガー」!?:滋賀)
大津市のJR東海道線瀬田-石山間で7月26日夜に発生した架線切れトラブルで、JR西日本は14日、電圧の異なる2本の架線が何らかの金属を介して接続され、ショートしたのが原因と推定されると発表した。カラスが巣作りに使う針金ハンガーを落とした可能性もあるとみている。JR西によると、現場は電気系統を切り替えるエアセクション区間で、切断は2カ所に及んでいた。架線の断面などから、最初に約35センチ離れた並行する2本の架線を何らかの理由で置かれるなどした金属が不完全につないでしまい、異常な電気が流れて高熱を帯び、溶けるなどして切れたとみられる。2本の架線をつないだとみられる金属は見つかっていない。その後、新快速電車が通過。パンタグラフが切れた架線を巻き込み、その架線が、約50メートル先のパンタグラフに電気を供給するトロリ線を接触の衝撃で切断させたと推定されるという。JR西は、点検時にエアセクション区間を重点的に確認する対策を講じるとしている。このトラブルでは、復旧に約9時間を要し、運転再開が27日朝までずれ込み、約6万2千人に影響した。
(カラス対策、ドローンと音声で誘導実験:山形)
ふん害などに市民の苦情が絶えない街中のカラスを音声や小型無人機ドローンで移動させる実験が山形市中心部などで行われ、仲間の鳴き声などを聞かせて目標地点へ誘導することに成功した。実験に当たった山形市は「カラスを集団で移動させる手段として、新たな可能性が見えてきた」と手応えを語っている。実証実験は、総合研究大学院大学(神奈川県葉山町)の塚原直樹助教(動物行動学)らが協力し、市中心部と郊外の2カ所で実施された。このうち市中心部で13日にあった実験は、市役所周辺に集まるカラスの集団を約200メートル離れた県郷土館「文翔館」に誘導するのが目標。午後6時半ごろ、市役所前の樹木に止まった数十羽のカラスに向け、オオタカの声やタカと争うカラスの声を流すと、カラスは一斉に鳴いたり、周囲を旋回したりし始めた。続いて文翔館周辺のスピーカーから、カラスがねぐらに入る際に発する鳴き声を流すと、数十羽が順次、同館敷地内に移動した。仲間がねぐらに戻る声を聞き、より安全と考える方向へ移動したとみられる。塚原助教は「予想以上にうまくいった。初の試みだったが、鳴き声によるカラスの制御が可能になるかもしれない」と語った。郊外での14日の実験では、スピーカーを搭載したドローンを使い、タカと争うカラスの鳴き声を空中から聞かせた場合のカラスの反応を探った。ドローンを追い掛けるなど期待していた反応は見られず、数十羽のカラスは散り散りに飛び去った。塚原助教はドローンの塗装や音声の種類を変えたりして、引き続きドローンを活用したカラス対策を探る。実験は市が昨年11月に仙台市と締結した連携協定に基づく事業。両市はドローンを使ったビジネス創出を目指していることから、山形市が活用策の一つとしてカラス対策に着目した。
(タカで鳥インフル対策:愛知)
市街地の木をねぐらにするムクドリのフンや鳴き声が各地で問題となっており、豊橋市はムクドリの天敵のタカを使って追い払い作戦を展開。ムクドリを追い払う大きな効果を上げている。豊橋市日色野町の養鶉(ようじゅん)業・塩野谷商店の塩野谷和昭さん(43)でも、大事なウズラを鳥インフルエンザからまもろうと、タカを使って害鳥の追い払いを行うためタカのピーちゃんの調教を始めた。ピーちゃんは、6月25日に名古屋市内のふくろうカフェから購入した推定8カ月の雌。調教は、夫人の里美さん(42)の協力で餌を与える午後8時過ぎから塩野谷さん夫婦の自宅で行っている。タカは鳥類の食物連鎖の頂点に立つ鳥類が最も恐れる存在。現在は室内の調教で、餌をもらうために人間に従うようにさせるタカの本能を引き出す訓練を行っている。屋外の調教を経て、来年秋以降の害鳥を追い払う鳥インフルエンザ対策に期待を寄せている。養鶉や養鶏農家がタカを使っての野鳥駆除や鳥インフルエンザ対策を行うのは全国的にも珍しく、その効果が注目されている。塩野谷さんは「ハトやカラスなどの害鳥はタカの襲撃には慣れることはなく効果が期待され、近隣の野鳥によるふん公害にも役立つのでは」と話し、心配される鳥インフルエンザ対策としての秘密兵器に期待を寄せている。
(駆除イノシシ、生ハムに:愛媛)
田畑を荒らすイノシシを駆除し、食肉にして販売する取り組みに、上島町のハンターらが力を入れている。8月には県や町が進める獣害対策の一環で、初の加工食品として生ハムを業務用で販売を始めた。11月からは個人向けの通販も行う予定で、関係者らは「獣臭さがなく、うまみ豊かな肉を知ってほしい」と意気込んでいる。瀬戸内海に浮かぶ離島の上島町では10年ほど前、周辺の島から海を泳いで渡ってきたとみられるイノシシが確認された。その後、かんきつ類を中心に食い荒らされる被害が増加。町によると、2016年度は田畑約8000平方メートルが被害に遭い、290頭を捕獲したという。捕獲されたイノシシは、一部が食用として個人消費されてきたが、ほとんどが焼却処分されてきた。その肉を有効活用しようと、町が12年にイノシシの加工処理施設を設置。現在はハンターら約20人でつくる「町獣肉処理加工会」が年間約150頭を処理し、販売などしている。イノシシやシカなど野生動物の肉は「ジビエ」と呼ばれ、欧州では一般的に親しまれている。最近では日本でも、低カロリーで高たんぱくの食材として人気が高まっている。同会では、肉のうまみを引き出すため、冷蔵庫で10~14日間熟成させて出荷。主に町内などで流通し、学校給食でも使われているが、「今までにない、付加価値の高いものを作ろう」と生ハムを作ることにしたという。フランス料理人で、16年の世界料理オリンピックで銅メダルを獲得した神原佳考よしたかさん(40)の監修で、商品化を実現した。豚肉を使った生ハムに比べ、うまみが濃厚という。8月末に今治市内で開かれた県内の料理人ら約130人が集まった懇親会で試食してもらったところ、「イノシシとは思えないほど、くせがない」などと好評だったという。町獣肉処理加工会の尾野村孝会長(70)は「肉に臭みが残らないよう十分に血を抜き、加工に適したものだけを使っている。今後も高い評価を得られるよう、品質の向上に力を入れたい」と話している。
(児童がご当地サンド:北海道)
新得の富村牛小中学校(八幡達也校長、児童生徒14人)の小学生7人が15日、地元食材をふんだんに活用した「シカ肉ドリームベニスンサンド」と「関牧ジャージーサンド」の調理に挑戦した。児童オリジナルの“ご当地サンド”を完成させた。同校は昨年4月、自然に恵まれた地域の特色や特産グルメを考案する「トムラバーガープロジェクト」を立ち上げた。今回は第2弾として、昨年の「トムラバーガー」をさらにおいしく発展させた。生活科・総合学習授業として山の交流館とむらで調理が行われ、プロジェクトには、道内で唯一ジャージー牛を肉牛として生産販売する関谷牧場(関谷達司代表)や、養鹿(ようろく)と加工販売するドリームヒル・トムラウシ(古川金右・武藤栄次両代表)が協力し、地域住民も参加した。十勝産のパン粉や学校農園で育てたミニトマトも活用。児童は、白ごまと黒ごまを入れたパン生地を作った後、フライパンを使って丁寧にシカ肉を焼き上げた。ジャージー牛はローストビーフに仕上げ、オーブンでふんわり焼いたサンドに具材を挟み、児童がタマネギやニンニクをすって作った和風簡単ソースやタルタルソースを添えた。オリジナルの袋に収め、2種類のサンド各50個が完成。中学生と地域住民30人を招いたにぎやか試食会を開き、6年の男子児童は「肉を切るのがむずかしかった。肉がジューシーでおいしい」と満足げに頬張った。協力した保護者の藤原清乃さん(45)と武藤奏和さん(37)も「プロ顔負けのものができた」と喜んだ。八幡校長は「身近な食材から作り、食べるというトムラウシならではの総合学習だった」と評価していた。
(学校農業クラブ全国大会:長野)
上伊那農業高校(南箕輪村)畜産班の生徒10人が、第68回日本学校農業クラブ全国大会(10月25、26日、岡山県)に北信越代表として出場する。同校では一昨年に次いでの出場で、畜産班としては初めて。生徒たちは「最優秀賞を目指したい」と意気込んでいる。農業クラブ全国大会は、農業系の高校で学ぶ生徒たちが研究発表や意見交換、技術競技会を行う大会。上農高はプロジェクト発表のIII類「ヒューマンサービス」の部に出場する。同校畜産班は6年前から伊那市富県新山地区の住民と交流を行っており、同地区で有害鳥獣として駆除されたシカ肉の活用方法を模索。これまでの取り組みを「Dear Deer~鹿が結んだ地域の輪」と題して発表する。生徒たちは駆除されたシカの約8割が埋設処理されていることを知り、シカ肉を地域資源として活用できないかと考えた。鹿肉ジャーキーにすることを思いつき、販売に必要な食肉製品製造業の営業許可も取得。商品を「でぃあでぃあ」と名付け、販売にこぎつけた。畜産班班長の生物科学科3年、金井智靖さん(17)=南箕輪村田畑=は「ここまで来れたのは支援していただいた新山地区の皆さんのおかげ。全国大会ではこれまでの思いを力いっぱい発表したい。いずれは新山地区に食品加工所ができ、地域の活性化につながれば」と話していた。
(鹿やイノシシの頭蓋骨で作った「スマホ用スピーカー」:岡山)
岡山県鏡野町の稲作農家、竹下桂輔さん(48)が手掛ける、有害鳥獣として駆除された鹿やイノシシの頭蓋骨で作った「スマートフォン(スマホ)用スピーカー」が注目を集めている。地元猟師から譲り受け、土に埋めて白骨化させた頭蓋骨の内側を彫り、音が響くように加工。上側に開けた穴にスマホを差し込むと、独特な丸みを帯びた音が聞こえる。骨の質感を生かすため、仕上げに透明なラッカーを塗り、桜やクルミの木で台などを作った。東京でドラマーとして活動した経験がある竹下さんは2008年にUターン就農した後、鳥獣被害の大変さを実感。「駆除に貢献したい」と考え、昨年製作と販売を始めた。インターネットで写真を公開したところ、海外からも反応があるという。価格は1万5000円から。竹下さんは「地元の目玉商品にしたい」と期待を込める。
(ジビエの活用推進、高校生が革製品を販売:長野)
ジビエの利活用を推進しようと下伊那農業高校アグリサービス科生産流通コース(飯田市鼎名古熊)の三年生十九人が十七日、同市川路の天龍峡温泉交流館「ご湯っくり」でシカや牛の皮を使ったクラフト製品を初めて販売した。生徒は「罪もないのに殺され、利活用されずに埋められているという現実を知ってほしい」と訴える。県内には約二十万頭のシカが生息しているとされ、そのうち年間約六千頭が殺される。その後、革製品などに利活用されるのは三百頭ほどだという。生徒たちに現状を知ってもらおうと、同市北方の革職人木下英幸さん(44)が作り方を指導。六月からベルトや名刺入れ、スマートフォンケースなど約十種類、計百点ほどを製作し、生徒たちが考えたオリジナルの焼き印も施した。初めての製作、販売にもかかわらず多くの人でにぎわい、プロジェクトリーダーの平栗裕大さん(17)は「予想以上に大盛況」と驚いた様子。来年も開催を検討しており、「動物の命をいただいているという思いを継承したい」と意気込んだ。このほか、ジビエカレーの販売やレザークラフトの製作体験もあった。カレーは販売から一時間ほどで完売する人気。埼玉県から来た六十代の夫妻は「ジビエはなじみがないけれど、おいしかった」と満足した様子だった。売り上げの一部は、緑の募金に寄付し、森林整備などに活用する。
(キジ養殖センター、食用肉の本格出荷開始:鹿児島)
鹿屋市串良町細山田の「日本キジ養殖センター小倉」が、キジ肉の出荷を本格的に始めた。放鳥用の飼育の傍ら、生産から加工、販売までを手がける6次産業化を目指し、生産に励んでいる。日本キジ養殖センター小倉は小倉均さん(68)、直樹さん(33)親子が営む。放鳥の需要が減ってきたため、食用としての本格出荷を8月に始めた。鹿屋市串良町細山田と同市笠之原町で食肉用と放鳥用合わせて約2800羽を飼育する。広い放飼場で走り回らせ、ストレスを与えないように工夫しているという。食肉用は8カ月以上飼育して出荷。解体処理場も新設した。直樹さんは「ニホンキジが国鳥であることや食べられることはあまり知られていない。生産量をもっと増やし、キジの知名度を上げ、食べる文化を復活させたい」と力を込める。

TOPへ