<射撃ニュース12月>
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(国有林で銃猟禁止、道内すべてに拡大:北海道)
恵庭市でエゾシカ猟のハンターの誤射により林野庁職員が死亡した11月の事故を受け、林野庁北海道森林管理局は11日、来年1月から道内のすべての国有林での銃猟を目的とした入林を禁止すると発表した。都道府県単位で一般狩猟者の国有林の立ち入りを禁止するのは異例だ。国有林での誤射死亡事故は、鹿児島・屋久島でヤクシカの有害捕獲にあたっていたハンターが林野庁職員を死亡させた1998年の事故以来。石狩管内では10日から入林禁止となっており、範囲が拡大する。禁止期間は来年1月15日~3月31日。今季、道に狩猟者登録(猟銃一種)をしているハンターは約7千人で、5割強の約3900人が銃猟目的の入林届を提出していた。一般の銃猟は禁止されるが、有害鳥獣捕獲などの許可捕獲は続ける。道内の昨年度のエゾシカの捕獲数(速報値)は12万頭で、狩猟が3万7千頭、許可捕獲が8万3千頭。銃猟禁止がエゾシカの生息数に与える影響について、林野庁は「国有林内での捕獲は12万頭のうち7%ほど。影響は少ない」とみる。道内の国有林は約304万ヘクタールで森林面積の55%。広大な国有林内でエゾシカを捕獲できるのは林道やその周辺に限られ、冬は積雪でさらに条件が厳しくなる。ハンターの中には「国有林はエゾシカの格好のすみか。もっと捕らなくてはいけないのだが」という疑問の声もある。

(猟銃の許可証偽造、県警不祥事:大分)
猟銃の所持許可証を偽造し申請者に渡していたなどとして、県警は12日、有印公文書偽造・同行使の疑いで豊後大野署生活安全課の20代男性巡査長を大分地検に書類送検し、減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にしたと発表した。「上司の許可を受けるのが面倒だった」などと説明しているという。県警は逃走や証拠隠滅の恐れがないとして逮捕せず、名前は公表していない。送検容疑は9月下旬、豊後大野市民から申請のあった「猟銃・空気銃所持許可証」を更新する際、署長の決裁など必要な手続きを取らずに県公安委員会の公印を押して偽造、交付した疑い。6月中旬には自分で購入した前署長名の印鑑を別の許可申請書類に押し、保管した疑いもある。上司が10月に書類を点検し、不備に気付いた。県警によると、巡査長は2017年度から同署で猟銃や風俗営業などの許認可事務を担当。「交付の期日が切迫して偽造した」と認めている。他にも2017年12月以降、計13件の申請手続きなどで不適切な処理が確認されたという。県警は監督責任を問い、署長ら上司4人を同日付で本部長訓戒などの処分にした。各署には業務管理を徹底し、再発防止に努めるよう文書で通達した。会見した姫野次生首席監察官は「県民に深くおわび申し上げる」と謝罪。石川泰三本部長は「極めて遺憾。指導教養を徹底する」とのコメントを出した。

(豚コレラ防疫作業が完了:岐阜)
岐阜県は11日、飼育していたイノシシが豚コレラに感染した同県関市の猟犬訓練場で、殺処分したイノシシの死骸埋却や施設の消毒などの防疫作業が完了したと発表した。作業完了に伴い、県が訓練場から半径3から10キロ圏内の養豚施設4カ所に豚の出荷などを禁じた搬出制限は、新たな発生が確認されなければ29日午前0時に解除となる。4カ所はいずれも県畜産研究所(同県美濃加茂市)で5日に豚コレラが判明した際、同様の制限が設けられた区域の中にあり、既に出荷はしていない。県は11日、同県関市、八百津町の山中で9日に見つかったイノシシ計2頭が豚コレラに感染していたと発表した。

(国有林での誤射死亡事故受け講習:北海道)
恵庭市の国有林で11月に北海道猟友会会員の男が起こした猟銃の誤射による死亡事故を受け、同会札幌支部は12日、札幌市内で支部会員を対象とした講習会を開き、猟銃による事故防止の手順を確認した。約300人が参加した。斎藤羊一郎支部長が模擬銃を使い、目視で獲物か人か確実に確認してから発砲することや、獲物に逃げられたら弾を抜くことなどの基本動作を説明。「絶対に起きてはならない悲惨な事故。初心に帰って再発を防いでほしい」と呼び掛けた。事故は11月20日、林道を巡回していた北海道森林管理局恵庭森林事務所の男性職員(38)が、同支部会員の自営業の男にエゾシカと間違えて撃たれ、死亡した。

(イノシシに襲われ男性1人大けが:愛媛)
13日午前8時ごろ、松山市平井町にある三熊野神社近くで、道路を歩いていた近所に住む60代の自営業の男性が、突然イノシシに襲われた。男性は、肋骨を折るなどの大けがをして、病院で治療を受けた。病院から通報を受けた警察が、被害者から話を聞くなどして調べを進めているが、男性を襲ったイノシシは体長1メートルほどあったということだ。他に被害は確認されていないが、イノシシは見つかっておらず警察では、付近の住民に注意を呼びかけている。

(猛暑で餌不足?イノシシ出没急増:岐阜)
有害鳥獣が人里に出没する問題で、東濃地域では比較的被害が少なかった岐阜県多治見市でも、このところ捕獲される野生のイノシシの数が急増している。一昨年度までは1年間で160~180頭程度だったが、昨年度は225頭に増加。本年度は11月末時点で300頭を突破した。豚(とん)コレラが美濃加茂市でも確認されこれまで以上にイノシシの動きに関心が集まる中、市担当者は「畑を荒らされる被害が増えてきたが、具体的な対策はあまりない」と頭を悩ませる。これまでは市境付近の中山間地に出没することが多かったが、最近は市街地を除く市内全域で捕獲されるようになった。市農業委員会によると、有害鳥獣駆除目的のイノシシの捕獲は市猟友会の捕獲隊に依頼している。市内約70カ所に箱わなを設置し、5人の男性隊員が週2日、イノシシが捕まっていないか巡回する。1頭駆除するごとに市から同会に報償費8千円が支払われる。市は本年度当初、年間250頭の駆除を想定していたが、捕獲数の増加を受けて12月議会に250頭分の報償費200万円を追加する一般会計補正予算案を提出した。同会の伊藤暢男会長(71)によると、夏場には1日に10頭を捕獲した日があったといい、「イノシシの数自体は以前と変わっていないはず。猛暑の影響で餌が不足して山を下りてくるようになったのだろう」と推察。「22歳の時に猟友会に入会したが、これだけの数のイノシシが捕まることは今までにない」と話す。隊員は50~70代の中高齢者が占め、人数も少ないため捕獲規模を拡大することは難しい。人への被害はないものの、収穫直前のスイカやトウモロコシなどの食害が深刻化しつつある。市は田畑の周りに電気柵を整備したり、町内会を通じて市民に注意を呼び掛けたりしているが、効果はいまひとつ。知恵を出し合って有効な対策を考える必要がある。

(イノシシ被害深刻化、昨年度1億円超える:石川)
この秋も、県内各地の市街地でイノシシの出没が相次いだ。各市町の猟友会などが駆除にあたっているが、昨年度の農作物被害は総額1億円を超えるなど被害は年々深刻化。識者は「行政主導の対策が急務」と指摘している。イノシシは西日本を中心に分布していたが、近年は生息範囲が拡大。現在は県内のほぼ全域で野生のイノシシが確認されている。県自然環境課によると、2016年度の県内のイノシシは推定約1万9000頭だった。捕獲数は、最も古い記録が残る1954年度は5頭で、その後も年10頭ほどで推移していた。

(クマ対策、電気柵6キロ:北海道)
定例村議会が11日開会し、藤沢克村長は一般質問で、7月末から秋にかけ住宅地で相次いだクマ出没に関して、対策として山林から住宅地への進入を防ぐための電気柵を同村原歌町から千走地区までの約6キロにわたって設置する方針を明らかにした。来年度の村予算編成で予算措置を検討する。藤沢村長は「民家周辺にクマを寄せ付けないような対応をしていきたい」と述べた。

(獣害、現状を知って:高知)
鹿やイノシシなどによる食害について学ぶ授業がこのほど、高知工科大(香美市土佐山田町宮ノ口)であった。本山町の猟師、岡本英活さん(51)と食害に詳しい県立伊野商業高校教諭、谷川麻紀さん(52)が登壇し、学生約220人を前に食害の現状について語った。地域の自然環境などについて学ぶ授業の一環。

(鳥獣害対策を強化へ:福井)
あわら市は七日、有害鳥獣の捕獲を市へ申請する手順や許可後の捕獲おりなどの運用に関する集落向けマニュアルを作成する方針を示した。主にイノシシを想定し、狩猟期間が終わる年度末までに作成、講習会も開催する。新年度は鳥獣害対策室の発足や、金津地区鳥獣害対策協議会の体制強化にも乗り出す考えで、法令を順守した安全・迅速な捕獲体制の構築を目指す。市議会一般質問で、山川知一郎議員(無会派)の質問に対し、城戸橋政雄副市長が答えた。市によると、狩猟期間を除く四~十月を「有害鳥獣捕獲期間」として、県猟友会の金津、芦原両支部におりの設置や補殺などの業務を委託。おりは、金津地区を中心に三十四集落でつくる同協議会が、設置を希望する集落へ貸し出している。狩猟期間中も、市は農作物被害などがある場合、集落の希望に応じて捕獲おり設置を認めてきたが、今年はおりの安全点検作業を実施したため、十一月以降は協議会が貸し出しを中止。関係者から運用の適正化を求める提案もあり、協議を進めていた。有資格者以外が捕獲おり周辺にまき餌をしたり、市町の許可を受けないままおりを設置したりしている事例が県内で散見される、との県警による指摘も以前からあり、マニュアルには「捕獲隊員である猟友会所属メンバー以外は捕獲おりを稼働させない」「集落で捕獲隊の補佐役を選任し、必要な講習を受けさせる」などを明記する。問題の背景には、狩猟関係者の高齢化やイノシシの生息域の急激な拡大がある。有害鳥獣による市内の農作物被害額は二〇一三年度の八百一万円から、一七年度には千三十万四千円に増加。JA花咲ふくい内に置かれた協議会事務局もJA職員一人が常駐するのみで対応しきれなくなっているという。

(シカ衝突抑止へ実験:岩手)
JR山田線と釜石線で、列車とシカの衝突が頻発している。山田線では本年度、9月末までの衝突件数が108件に上り、前年度同期を65件も上回った。こうした中、JR東日本などは民間企業と協力し、年内をめどに山田線で蜂の羽音や臭いを使った動物対策装置の実証実験を始める。JR東日本では初の試みで、衝突抑止へ効果が注目される。装置は広島県福山市の養蜂業はなはな(清水秀幸社長)が開発。同社などによると線路脇に配音、配臭管を設置し、再現したスズメバチの羽音や体臭を約2メートル間隔で開けた穴から流す。シカなどの野生動物に近くに蜂がいると誤認させ、近寄らせないようにする。実験は宮古市川井の山田線陸中川井駅周辺で実施。年内にも約500メートル区間に装置を設置し、来年3月まで稼働させた結果を基に導入の可能性を探る。清水社長は「蜂は野生動物にとって危険な存在。実際、身近に存在しているので動物も慣れにくい」と自信を示す。

(ヒグマとどう付き合う:北海道)
札幌の市街地でも頻繁に現れるようになったヒグマと人がどう付き合うかを考えるフォーラム「都市のクマとヒト」が8日、札幌市北区のエルプラザで開かれ、約200人が参加した。札幌のNPO法人北海道市民環境ネットワークが主催し、活発に意見交換した。酪農学園大の佐藤喜和教授(47)は、札幌の市街地周辺は親子や若グマなど弱い個体の生息域で、少なくとも約30頭を確認したと説明。「駆除で減っていたが、今は身近な存在。たまたま今年出没が多かったのではない」と指摘。クマの暮らす世界最大の都市が札幌であり「市街に近づかせないよう草を刈って通り道を遮り、ごみを厳しく管理するなどし、あつれきを防げるのでは」と話した。のぼりべつクマ牧場(登別市)で長年飼育に携わった前田菜穂子さん(70)はアイヌ民族の教えを紹介。「良いクマは保護し、街に何度も現れ人や畑を襲う悪いクマは駆除する、という判断を行政が取り入れるべきだ」と訴えた。

(獣害対策で地域活性化を:兵庫)
獣害対策による地域の活性化について考える「第1回獣がいフォーラム」が14、15の両日、兵庫県篠山市黒岡の市民センターを中心に開かれる。全国各地の現場視察やジビエ料理体験なども催される。市や丹波農林振興事務所、篠山市猟友会などでつくる実行委員会が初めて開催する。地域内外の関係者が協力し、野生動物を「地域にとってプラスの存在」と考える「獣がい」の可能性を探ることがねらい。14日はイノシシを「山くじら」と名付けて町の魅力づくりに取り組む島根県美郷町職員や鳥獣害対策を高校生の目線で実践している下伊那農業高校(長野県)、篠山の食肉販売店「おゝみや」の大見春樹社長ら計6人が事例を報告し、今後の展望を話し合う。その後、実践例、資源活用、新たな担い手の3テーマで分科会も行われる。15日午前は狩猟体験、獣害対策の現場視察、シカの解体とジビエ料理作りなどの体験が市内各地で催される。市民センター内には両日、狩猟シミュレーターの体験会や捕獲わななど、道具にも触れるコーナーが設置される。

(カラス撃退へ、音波作戦:山梨)
甲府市が長年悩まされている「ある問題」の解消へ向けた取り組みについてです。甲府市役所の屋上には、夕方になるとカラスの群れができ、鳴き声やフンの害に周辺の住民は悩まされています。新たな対策として甲府市は音波を使うカラス撃退作戦を13日、スタートさせした。「甲府市の屋上で撃退作戦が始まりました、特殊な音波を使ってか、カラスは寄ってきていません」(記者)。このカラスを撃退するために甲府市が用意したのは、音波発振機です。地震が発生する時の前兆の音を利用した装置で、東京の情報通信設備会社が開発しました。甲府市役所の屋上には、7年前から夕方になるとカラスの群れができ、フンの害や鳴き声による騒音に市民は悩まされてきました。その数はおよそ2000羽。これまで鷹やフクロウの模型を吊るしたり、レーザーをあてたりする対策を取りましたが、効果は一時的だったため、「音」を利用した撃退作戦を実行することにしました。「カラスがビルに止まらないで、なるべく山間地へ本来の姿に戻ってほしい」(甲府市農林振興室佐藤敦室長)。発振する音波に人体への影響はなく、音量はおよそ80デシベルで、走行する列車内に相当します。甲府市は周辺住民の苦情がなければ、13日から来年2月末まで午後4時半から7時半にかけて音波の発振を続け、効果を検証することにしています。

(カラスへの餌やり禁止へ:富山)
富山市は、7日に開かれた市議会本会議で、カラスへの餌やりを禁止する条例案を来年3月定例会に提出する考えを示した。富山県によると、条例が制定されれば県内初。全国では奈良市で施行されている。富山市中心部では、カラスの騒音やふんに関する苦情が多く寄せられており、市は昨年度、2000羽以上を捕獲するなど対策を進めている。しかし、中心部を流れる松川沿いなどでカラスに餌をやっている人の目撃情報が複数寄せられているといい、市は被害を減らすには餌やりを禁止する条例が必要と判断した。条例が成立すれば、市は数か月の周知期間を設けた後に施行する考え。

(カラスやムクドリの生息状況調査へ:新潟)
カラスとムクドリによる県内の農作物被害額が2008年度~17年度の10年間で計13億8732万円に上ることが3日、県への取材で分かった。ごみの食い荒らしやふんなどによる生活環境被害も報告されており、県条例ではカラス(ハシボソガラス、ハシブトガラス)とムクドリを「特定野生鳥獣」に新たに加えて管理対象とした。県は今後、生息状況を調べて効果的な捕獲方法などを検討する。県農産園芸課によると、カラスによる農作物被害額は10年間で計10億8864万円。08年度の2億191万円以降、減少傾向ではあるが、17年度も8059万円の被害があった。被害はスイカや野菜を中心に果樹などでもみられ、新潟地域や魚沼地域に多い。一方、ムクドリは計2億9868万円。ほぼ横ばい傾向が続いており、17年度は2936万円の被害だった。果樹がほとんどを占め、17年度の地域別では新潟地域が大半。農作物の鳥類被害ではカラスとムクドリが75%を占める。また、県環境企画課によると、カラスは新潟市を中心に県内12市町村でごみの食い荒らしや住民への威嚇などが報告され、ムクドリは見附市など5市村で集団化によるふんや鳴き声などの被害があるという。カラスとムクドリは県議会9月定例会で「特定野生鳥獣の管理及び有効活用の推進に関する条例」の一部を改正し、管理強化対象に追加した。県は来年度以降、捕獲方法を検討するため、被害の大きい場所でねぐらや巣の調査をする方針。市町村や集落などを対象に生態や被害防止対策を学ぶ研修会も行う予定だ。県環境企画課は「具体的な生息実態を明らかにして効果的な対策を検討したい。市町村や関係団体との協力を進めていきたい」としている。

(線路のシカ、猟友会が移動:兵庫)
11日午前5時50分ごろ、兵庫県豊岡市城崎町来日のJR山陰線玄武洞-城崎温泉間で、豊岡発城崎温泉行き快速列車が、線路上にシカ1頭が倒れていたため停車した。シカは生きていたため、JR西日本福知山支社の依頼を受けた地元猟友会が線路から移動し、約1時間40分後に運転を再開した。上下4本が部分運休、特急を含む8本に遅れが出るなど約千人に影響した。乗客1人にけがはなかった。同支社によると、約6時間前に近くの線路で回送列車とシカが接触していた。兵庫県北部や京都府北部など同支社管内の路線ではシカとの接触が年間千件以上起きているという。

(中央本線が動物と衝突:神奈川)
JR東日本八王子支社や津久井署によると、13日午後8時25分ごろ、中央本線上り線が藤野―相模湖間でイノシシとみられる動物と衝突した。乗客らにけがはなかった。影響で、上下線が甲府-高尾間で運転を見合わせたが、午後10時ごろまでに全線で運転を再開した。

(町中に2頭のイノシシ出没:福岡)
北九州市内の交通量の多い道路に2頭のイノシシが現れ、近くで働く内田宏喜さん(74)が撮影した。9日午前10時ごろ、小倉南区湯川でイノシシが道路を横断したり住宅の敷地内に入ったりしていた。内田さんからの通報を受けた警察官が動きを見守ったが、被害はなく姿を消した。現場は国道と県道が交わる交差点近くで、近くには幼稚園もある。内田さんは「この辺りでイノシシが出たのは聞いたことがない。事故や子どもたちのけがにつながらないか心配」。

(サル出没、目撃相次ぐ:大阪)
大阪市北区の繁華街「北新地」周辺で8日、サルの目撃情報が相次いだ。これまでけが人は確認されていないという。大阪府警によると、午前10時40分ごろ、同区大淀中で、通行人から「大型のサルが1匹いる」と110番があった。その後も、複数の目撃情報が相次ぎ、午後3時20分ごろには、同区曽根崎新地にある繁華街「北新地」で、通報を受けて現場に駆けつけた天満署の警察官がビルの壁を登ったり電線の上を走ったりするサル1匹を目撃した。

(サル目撃:大阪)
11日15時20頃、鶴見区緑地区でサルの目撃情報が寄せられました。昨日から守口市と旭区・城東区と目撃情報がありました。サルを見つけても近づいたり食べ物を見せることは危険ですので絶対にしないでください。

(意外と知らないイノシシ:福井)
来年の干支にちなみ、農業被害や「ぼたん鍋」など、人との関わりが深いものの意外と知られていないイノシシの生態を紹介する企画展「亥(い)-意外と知らないとなりの獣-」が、福井市足羽上町の市自然史博物館で開かれている。来年1月27日まで。骨格標本や剥製など同博物館が所蔵するイノシシに関する資料約50点を展示。骨格標本では、首周りの筋肉で重い頭を支えていることや木の根など固いものを食べるため下あごの骨の形がシカなどとは違っていることなどを説明している。春はタケノコ、秋はイモや木の根、冬はドングリなど季節ごとの食べ物、ブタがイノシシを家畜化し、その起源は約1万年前までさかのぼることなど、生態や人との関わりを紹介。同市内や越前町の10カ所で自動撮影カメラを使った調査結果、昭和40年に県猟友会から寄贈された体長が1メートルを超えるイノシシの剥製なども展示されている。出口翔大学芸員は「イノシシといえば害獣のイメージが強いが、知られていない部分が多い。こうした機会に生態をもって知ってほしい」と話している。

(来年も大猟を、鉄砲まつり:埼玉)
小鹿野町飯田の八幡神社で8、9の両日、例大祭「鉄砲まつり」が開かれた。大猟祈願や猟師の試し撃ちが起源ともいわれ、秩父地域の祭りでは1年の最後に行われる。9日夕の「お立ち」と呼ばれる神事では、氏子らに引かれた2頭の神馬が参道を駆けると、参道の両脇に並んだ地元猟友会と火縄銃保存会の会員計40人が、空に向けて一斉に空砲を放った。大音響と硝煙の中、15段の石段を神馬が上り切ると、参道を埋め尽くした観客からは歓声があがった。

(ジビエ手軽に“初体験”)
ジビエをもっと身近に-。農作物を食べ荒らす食害対策などで捕獲されたシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の有効活用を図るため、外食業界団体の日本フードサービス協会が、全国の飲食店でジビエ料理を提供する「全国ジビエフェア」を来年2月10日まで開催している。今夏に続く第2弾で、1千店以上が参加。ジビエを食べたことのない若者らに“初体験”をしてもらうことで新たな需要を生み出そうと、外食チェーンがハンバーガーやコロッケ、カレーなど手軽に食べられるメニューを開発し提供している。「ファストフードとしては新たなチャレンジ。この機会にぜひともジビエに挑戦してほしい」ハンバーガーチェーンのロッテリア(東京都新宿区)は、大分・熊本県産の鹿肉を使った「ジビエ 鹿肉バーガー(BBQ&チーズソース)」(税込み720円)を1月31日から全国138店で限定販売する。同24日には都内の銀座クリスタルビル店と大分県内5店で先行発売。同社マーケティング課リーダーの小島啓太さんは幅広い人に食べてもらいたいと期待する。商品開発にあたっては、鹿肉100%ではなくパン粉や香辛料を加えたハンバーグタイプのパティとスパイスの効いたソースを採用。初めての人にも食べやすくしながら、ジビエらしい野性味も感じられる味わいに仕上げた。小島さんは「高タンパク低カロリーでヘルシーなジビエは、新たなカテゴリーとして非常に魅力的な食材」と語り、“定番化”の可能性も感じている。すき焼としゃぶしゃぶの老舗、人形町今半(東京都中央区)がフェア開始の今月10日に売り出したのは、「鹿肉コロッケ」(税込み140円)。総菜を扱う都内5店舗で、各1日20個限定で販売している。同社精肉惣菜部サブマネージャーの阿南英明さんは「ジビエを初めて食べたという人を増やし、新たな需要を生むことでジビエの有効活用に貢献できれば」と、狙いを語る。人気メニューの「すき焼コロッケ」と同じ甘みのあるタレで粗びきにした鹿肉を味付けし、「食べやすさ」にこだわった。阿南さんは「まずはコロッケを足がかりに、メニューの幅を広げていければ」と、意欲をみせる。「カレーハウスCoCo壱番屋」を滋賀県内でフランチャイズ展開するアドバンス(同県長浜市)は、11店舗で「近江日野産 天然鹿カレー」(税込み927円)を提供。同社総務部長の川森慶子さんは「県内でシカによる食害が深刻化するなか、地域に貢献したいと考え、9年前に鹿肉カレーを開発した」と振り返る。地元では人気メニューとなっており、需要が創出されたことで狩猟が活発化し、食害防止の効果が表れているという。全国ジビエフェアでは、ホームページで参加店の料理を紹介。食べた料理の写真を投稿しアンケートに答えると、食事券を抽選でプレゼントするキャンペーンを実施している。

(「美々鹿肉缶詰工場展」:北海道)
苫小牧市美術博物館は15日から、企画展「美々鹿肉缶詰工場展」を開く。1878(明治11)年、植苗村美々(現苫小牧市美沢)に設置された官営の缶詰工場にまつわる写真や史料を紹介。短期間で閉鎖に至った経緯や先史時代から続くシカとの関わりを歴史、考古学の両面から探る。会期中は、学芸員による展示解説会や缶詰製作体験会なども予定している。来年3月3日まで。野生のエゾシカを原料に初年度7万缶以上を生産するなど、順調なスタートを切った同工場。鹿肉缶詰は国内外の博覧会で好評を得るなど輸出品として大いに期待されたが、原料不足などで経営不振に陥り、わずか数年で閉鎖となった。企画展は今年、工場設置から140年の節目に当たるのを記念し、5章立てで展開。第1章は市内で発掘されたシカの骨を素材にした道具類など計約100点を並べ、シカが先史時代から人間の生活にとって重要な資源だったことを伝える。第2章は、図面を基に復元した缶詰工場の模型などを展示し、工場建設の経緯に触れる。第3章は、古文書などから和製缶詰の国内外の評価を中心に回顧。第4章は工場の閉鎖に至るいきさつ、第5章は工場閉鎖後の植苗地区について紹介するという。展示解説会は歴史編を15日、来年1月6日、2月3日、3月3日(各日午前11時から)、考古編は15日、来年1月27日、2月24日、3月3日(各日午後2時から)に開く。缶詰製作体験会は24日と来年1月14日、2月11日、3月2日(各日午前10時~11時)に実施。各日先着20人。解説会、製作体験共に予約不要で無料だが、当日有効の観覧券が必要となる。「苫小牧が古くからシカ猟の盛んな土地だったことを知ってほしい」と、同館の考古担当学芸員岩波連さん(30)。歴史担当学芸員の佐藤麻莉さん(30)も「展示を通して市史にも記されなかった研究の成果を発表する。多くの人に足を運んでほしい」と話している。

(カラスやアライグマが立派な料理に:愛知)
愛知県豊田市の山間地で、女性猟師が営むジビエ料理店が1周年を迎えた。ここで提供されるのは鹿やイノシシだけでなく、カラス、アライグマ、ヌートリア……。農作物を荒らすとして駆除される鳥獣を活用したいという思いに理解が広がり、客足は順調だという。築約150年の古民家を利用した「山里カフェMui(ムイ)」(豊田市北小田町)。12月のメニューは「鹿のソースカツ丼」(税込み千円)や、イノシシのハンバーグと鹿のカツ、グラタンを組み合わせたジビエプレート(同1300円)。在庫次第で、カラスのアヒージョ(同600円)やアライグマのモモ焼き(同千円)、ヌートリア丼(同)を追加したり、入れ替えたりできる。店主の清水潤子さん(47)は5年前、稲作体験で訪れた豊田市足助地区の人たちが獣害に悩まされていることを知った。散弾銃などを使える第1種の狩猟免許を取り、猟友会に入って有害鳥獣の駆除に加わるようになった。だが駆除した動物の大半は土に埋められていた。「命を奪う以上、無駄なく利用したい」。調理師免許を持っていたこともあり、当時暮らしていた刈谷市から移り住んで店を開いた。仕留めた鳥獣は、片っ端から食べてみた。泥臭かったり苦かったりしたカワウとムクドリ、タヌキ、一部のウミガモを除き、ほとんどを食材にした。「血抜きや内臓の取り出しなどの下処理を手早くきちんとすれば、おいしく食べられます」と清水さん。カラスなどは街中のごみをあさる姿がイメージされるが、利用するのは山間部の鳥獣に限っている。

(極上ジビエが自宅に:岡山)
農作物に深刻な被害をもたらすため害獣として捕獲されるイノシシやシカ。しかし、そのうち食肉利用されるのは1割にも満たず、ほとんどは処分されてしまうという。尊いイノシシやシカの命を美味しく料理してきちんと食べることで、生きとし生けるものの「命をつなぐこと」をしていきたい。そんな想いから生まれた岡山の地方創生プロジェクトがクラウドファンディング『【岡山から全国へ】ジビエクイーンがお届けする、極上ジビエをご自宅で!』をスタートした。クラウドファンディングを行なっているのは、ジビエの素晴らしさを料理を通して伝える活動に励む、岡山のジビエクイーンこと中川妙子さん。「全国の岡山のジビエ料理は日本一美味しいと伝えたい」「ジビエを食べるキッカケにしてほしい」との想いから、ハムやソーセージなどの加工品にして、全国の人に届ける今回のプロジェクトを立ち上げた。そもそもジビエは狩猟によって取られた肉で、家畜ではないので量産はできない。捕れたときしか料理として出すことはできないので、「一般流通は難しい」というのが一般的な認識だった。しかし、この度、様々な人の協力を得て、誰でも手軽にジビエを食べることができるように加工品にすることが可能となったのだという。「ハムやソーセージなどの加工品にすれば、手軽にジビエを手にとってもらえる」と思っていたところ、本場ドイツのソーセージコンテストで、初の世界一を受賞した日本人を師匠に持ち、自身もドイツで金賞を受賞している福池匡洋さんという70年以上続く老舗の肉屋の3代目がハム・ソーセージの加工を引き受けてくれたため、全国へ届けることができるようになったのだそう。イノシシやシカを、ただ害獣として嫌い、駆除されるだけの存在から、「感謝できる存在にする」ことを使命とする同プロジェクトの支援返礼品は、ボルドーのスペシャルワイン(シャートー・フラン・ラルティグ2014)・BIGジビエソーセージ(猪1本/鹿1本)・オリジナルコーヒー塩 ・オリジナル無添加ピクルス ・ジビエハムスライス1Pがセットになったプランなどがラインナップ。

(高校生がシカ肉PR:高知)
ジビエの活用や魅力をPRしている高知商業高生がこのほど、高知県香美市土佐山田町の日曜市で、シカ肉を使ったカレーパンとジャーキーを販売し、人気を集めた。生徒は同市物部地域で捕れたシカ肉を活用。9日は、総合マネジメント科2、3年の15人が、カレーパン200個とジャーキー25個を1時間半ほどで売り切った。

(ジビエ広めたい:兵庫)
淡路市多賀の和食店「淡路島 鼓や」が、淡路島で獲れる野生のイノシシやシカを使った新メニューの提供を始めた。どちらもジビエの代表格でありながら、食の宝庫といわれる島では農作物を荒らす“天敵”。店主の原田兼次さん(51)は「そこを逆手に取って、将来は『淡路島ジビエ』として名物にしたい」と夢を描いている。提供を始めたのは「淡路whiteぼたん鍋」(税別3500円、2人前から・要予約)と「淡路鹿ミラノ風カツレツ」(同900円)、両方が楽しめるセット(同2500円、要予約)の3種類。原田さんは平成10年に同店をオープンして以来、タイやハモ、淡路牛など地元産食材を使ったうまいもんを提供。メディアにもたびたび登場している。そんななか、契約農家や常連客から「イノシシの被害に困っている」という話を聞いたのは、2年ほど前のこと。淡路島でイノシシを食べる習慣はごく限定的で、原田さんも「硬くて獣臭が強そう」との先入観から敬遠していた。転機となったのは昨年春、イタリア留学中の長男(22)から届いた「ジビエを食べた。むちゃおいしかった」という写真付きのメール。さっそく島内の食肉業者からシシ肉を取り寄せ、鍋にして食べたところ、歯応えの良さと脂身のうまさに感激。その後、三田市のぼたん鍋の名店などにも足を運び、すっかり魅力にはまってしまった。そうして商品開発を決意し、淡路市の千年一酒造の酒かすと、丹波とは一味違った白みそをベースにしたダシで、シシ肉とタマネギ、キノコなどを食べる「whiteぼたん鍋」を開発。さらに、南あわじ市ではシカの被害がより深刻なことも知り、シカ肉もメニューに取り入れることにした。ぼたん鍋は、10月末に行われた「淡路ええもん うまいもんフェア」で振る舞ったが、試食した人は「こんなにおいしいとは」「甘めのだしと合っている」と好評だったものの、やはり最初から手に取るのを拒む人もいたという。今年夏には狩猟免許を取得するなど、ジビエに本腰を入れる原田さん。「南あわじ市出身の僕が、地元で獲れるこんなおいしい食材を避けていたとは…。獣臭なんてとんでもない。シシ肉の脂身はくどくないし、シカの赤身は味わいがありながらさっぱりしている。ぜひ皆さんも口にしてほしい」と話している。今後は、島内でジビエを提供する店との連携を模索しながら、将来は「淡路島ジビエ」として開発プロジェクトを立ち上げたいそうだ。

(栄養満点ジビエ料理:静岡)
食肉への利用が少ない野生鳥獣の肉(ジビエ)の価値を知ってもらおうと、料理教室が、浜松市浜北区の商業施設で開かれた。スポーツ栄養士が栄養価を説明し、調理して二品を試食した。野生鳥獣による農作物への被害は全国で年間二百億円で推移。各地で捕獲強化を図っているが、食肉としての利用は進んでいない。環境省の調べでは、二〇一七年度はイノシシとシカは百十二万頭を捕獲したが、利用は8%にとどまった。主催の県西部農林事務所の資料によると、イノシシ肉の鉄分は豚肉の四倍でビタミンB12は三倍。シカ肉に含まれるアミノ酸の一種は、脳機能の向上や、疲労・ストレスの軽減に効果があると報告されているという。この日の講師は日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士の中野恭子さん(43)=藤枝市。栄養的特徴や食肉になるまでを説明。シカ肉ハンバーグとイノシシ肉のカツレツの調理の仕方を話した。参加した県西部の二十人は、北遠地区で捕獲されたイノシシとシカの肉をこねたりオリーブオイルで揚げたりして、皿に盛り付けて味わった。調理方法を知りたいと参加した中区の自営業河島美紀さん(44)は「思っていたより簡単に調理できた。高価なのと、なかなか手に入りにくいのが難点かな」と話した。

(高校生、イノシシ肉でカレー:富山)
氷見高の生徒がイノシシ肉を使ったカレーの缶詰を試作した。氷見市と連携協定を結ぶ名城大農学部との共同研究の一環で、魚介ベースのだしで煮込んで、かたい肉をやわらかくして食べやすくした。農業科学、海洋科学、ビジネスの3科の生徒が協力し「極味(ごくみ)猪(ちょ)~氷見(びみ)口カ哩(かれー)」と名付けた。11日は名城大の小原章裕学部長が試食した。氷見市はイノシシの農業被害が深刻な問題になっており、市内の捕獲数は増加の一途となっている。一方、イノシシの活用は進んでおらず、生徒が加工品の研究を思い立った。イノシシ肉入りカレーは、農業科学科食品製造班の3年生6人が5月から取り組んだ。チャーシューの製造から始め、かたさが残る肉をやわらかくできないか実験した。炭酸水やみそ、サラダ油に漬け込み、検討を重ねた。その後、海洋科学科の生徒がチャーシューを利用したカレーを製造、缶詰にした。ビジネス科の生徒がネーミングとイノシシのイラストが入ったラベルを作成した。小原学部長は肉がやわらかくなっている点を評価し、大学で分析するとした。農業科学科の畑尻将太さんと宮下凌也さんは「試行錯誤の連続だったが、一つの製品としてできてうれしい」と話した。氷見市と名城大農学部は昨年11月連携協定を締結し、氷見高には活動拠点となる名城大氷見市連携推進センターが農業実習棟に設けられている。

(鳥獣撃退「雷神システム」開発:愛知)
イノシシやサル、カラス、ムクドリなどの鳥獣被害に悩む農家の助けになろうと、安城市桜町の稲徳煙火製造所と静岡市葵区の鳥獣威嚇装置製造業クラフト・ユーコンが協力し、撃退装置「雷神システム」を開発した。操作が煩雑な電子装置は使わず、高齢者でも扱いやすい仕組みが特徴だ。雷神システムは雷のような音を発生させて鳥獣を追い払う。音を出すために爆竹を用い、半径約二百メートルで効果がある「怒缶(どかん)」と、ロケット花火を使って三百メートル先まで音を響かせる「種子島」の二種類がある。種子島はステンレス球の下部に、四十発のロケット花火をセットする台を取り付けた。火種の蚊取り線香をタイマー代わりに利用。線香に着火しておくと、燃え終わる数時間後に花火の一発目が発射。花火同士は綿製ロープでつながれており、火が十五~二十分かけてロープを燃え進むと次の花火が飛ぶ仕組み。四十発が発射し終わるまで計十三時間ほど。球の中を花火が「ピーッ」と不規則な音を出して飛び回る。怒缶も発火が進む仕組みは同じだが、爆竹が爆発する「パン、パン」という音だけで追い払う。装置全体を六~八メートルのステンレス棒の上に固定して使う。これまでに装置を試した農家十軒からは「食害が減った」「サルやイノシシが来なくなった」と、効果を評価する声が寄せられている。雷神システム開発はユーコンの津村正好代表(68)が二十年前、鳥獣が嫌う電子音を使って追い払う機器について相談を持ちかけられたのがきっかけとなった。当時は、電子音の発生機器を製作。高齢者には操作が難しく、鳥獣が電子音に慣れてしまうと撃退効果が薄れる難点があった。三年前、国内で唯一、ロケット花火を製造する稲徳煙火の専務稲垣裕紀さん(53)と知り合った。稲垣さんは花火を使った鳥獣害対策に取り組んでいたが、鳥獣被害が多い夜間にわざわざ花火に点火しに行く手間が必要となる悩みがあった。そこで両者が協力して開発を始め、取り扱いが簡単で人手もかからない雷神システムを考えた。

(大型獣を狩る悲喜こもごも:服部文祥)
待ち伏せで鹿を仕留め、なんとなく呼吸のようなものがわかり、忍び猟でも仕留められるようになっていった。ちょうど鹿が増えはじめ、有害獣として認識された頃と重なったのも追い風だった。そこそこ獲れるようになったある時、鹿を食料に山に登れるのではないか、とふと思った。サバイバル登山の冬バージョンである。サバイバル登山と狩猟の経験に、現代登山の意義が融合し、身体的にも限界に近い活動となれば、この発想は私以外には考えつかないものといえる。となれば、その発想は、そのまま私の人格かつ存在意義である。もう試さないでいるままにはできない。それは自分から逃げることだと登山者は考えるからだ。鹿を食料にした冬のサバイバル登山は苦労はしたものの、そこそこうまくいった。単独猟も板につき、仕留める獲物の数も増え、シーズンに単独で20頭ほど獲るまでになった。肉を食べ続けるために自分で殺生を体験するというのが、狩猟をはじめたときの目標だった。目的は達成され、自分が知らなかったことを知り得た。一番の経験は味である。若くて健康な個体を、あまり走らせないでうまく捕獲し、適切に処理すると、その肉はそれまでの人生で食べたどの食べ物をも超えた、旨(うま)みと良質の食感にあふれており、殺生にまつわるマイナス面を忘れるほどだった。一方で、経験が増えるほどに、命を巡る問いはより深くなり、答えは遠のく感じもした。食べるために生き物を獲るというのは興味深い体験であるが、同時に命を奪うのはけっして気持ちのいいことではない。「生きるために殺す」ということには解消できない矛盾がある。狩猟行為は大きく三つのことから成り立っている。「追う、仕留める、解体する」の三つである。なかでも「追う」までが不確定要素にあふれた狩猟の中心をなす部分であり、時間も労力もほとんどがそこに注がれる。森に入って闇雲に歩けばケモノに出会えるわけではない。出会う機会を増やすために狩猟者は獲物の痕跡を探して、観察し、過去から現在と未来を想像する。獲物の行動を予想するために、狙われる側のケモノになってみる。相手の気持ちになって感じ、考え、行動し、ときには人間を警戒する。関東近辺で単独猟を行う場合、主な獲物は鹿なので、私は鹿になろうと努力する。足跡、フン、食痕、寝た跡などから情報を集めて、鹿の気持ちになって、鹿の行動を考える。そんな考察を続けていくと、当然ながら獲物に親近感を持つようになる。動物行動学の世界では、動物にも情動があるというのは常識になっている。狩猟者も狙っているケモノの生態を知り、獲物の気持ちを想像することで、大型獣の中に我々と変わらない情動の存在を確認するようになる。ケモノたちが人間と変わりない存在だと感じるようになっても、狩猟者の目的はそのケモノを撃ち殺すことである。笹原でじゃれ合う鹿の親子に銃を向け、引き金を引く。そして考える。自分の中ではケモノと人間の存在に違いはない。だが、人間相手なら凶悪犯罪であることが、なぜケモノ相手には許されるのか。いくら考えても答えは出てこない。少なくとも私の中に納得する答えはない。

(日本人にとって「ジビエ文化」とは何か)
冬支度が始まるこの時期、飲食店の季節メニューにお目見えするようになったのが、シカ、イノシシなどを使ったジビエメニューだ。野生動物を食べるジビエ文化は、日本人にとって古くて新しい習慣である。なぜ「古くて新しい」のか。まずは新しさのほうから考えたい。ここ数年、ジビエを出す店が増え、ブームが到来している。報道が目立ち始めたのは2013年。朝日新聞ではこの年、10月19日の生活面で「ジビエ シカ肉身近に」と題する記事で、カレーハウスCoCo壱番屋やベッカーズといったファストフードチェーン店でシカ肉料理が提供されていることを報じた。また、11月17日の首都圏版でも「ジビエ食欲の秋」と題する記事を出している。その中で、シカ肉バーガーを監修した長野県茅野市のレストランオーナーシェフで、日本ジビエ振興協議会代表の藤木徳彦氏が「普及の課題として肉の価格の高さや調理の工夫不足、流通の問題などを挙げた」。どちらの記事も、背景にある獣害問題に言及している。野生動物が農作物を食い荒らすといった獣害の深刻さを伝える報道も、同じ頃から全国紙で紹介されるようになった。ジビエは今、日本において、獣害問題と切り離しては語れないのだ。人気の高まりを受け、2014年にはぐるなび総研が選ぶ「今年の一皿」に、ジビエ料理が選出された。「今年の一皿」は、同社がぐるなびのユーザーと会員に対するアンケートをもとに、メディア関係者が審査して選ぶもので、その年の世相を映し、かつ後世に残したい「食」であることが条件。この年が最初の選定で、2015年にはおにぎらず、2016年はパクチー料理、2017年には鶏むね肉料理が選ばれている。2014年にジビエ料理が選ばれたのは、厚生労働省が「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」を作成したことで、提供が本格化したことなどが理由。従来はジビエ料理の伝統があるフレンチなど洋食店が中心だったが、飲食店経営の株式会社夢屋が東京で「焼きジビエ罠」の1号店を2013年2月に開くなど、居酒屋や焼き肉店が増えた。ぐるなびに登録されているジビエ料理を出す居酒屋・焼肉・ホルモン・鉄板焼きの店は、2015年11月から2018年11月までの間に、全国で約2.5倍にも増加している。ジビエと従来の家畜肉との味の違いは、どこにあるのだろうか。家畜は毎日安定的に飼料を与えられ、小屋などで飼われるため、肉の脂肪分が多い。霜降り牛などあえて脂肪分を増やす飼育法を行っている家畜もある。生産性を上げるため、例えば豚肉なら数ヵ月で出荷するなど、飼育期間も短い。そうして提供される肉は、若くて脂肪分が多いため身が柔らかく脂身のジューシーさが売りになる。一方、ジビエは山中を駆け回って自ら餌を探してきた動物を捕獲するので、あっさりした赤身が中心になる。しかし、適切に処理・調理されたジビエは、かたくて食べにくいとは限らない。噛み応えがあると同時に、味わい深さもある。そして、肉の種類、部位、個体により、多彩な味わいが楽しめる。さらにジビエ通は「同じシカやイノシシでも、ものによって味が違うから面白い」と語る。ジビエは、私たちが「肉」とひとくくりに理解しがちなものを、魚介類と同様、多様な生き物の筋肉であることを気づかせてくれるのだ。消費者の側から見たジビエブームは、日本人の肉食文化の成熟が背景にある。同じ頃、熟成肉、そして赤身肉もブームになっている。それは肉そのもののうま味を感じたい、という欲望の表れに加え、多彩な食べ方が求められるようになったからと考えられる。タヌキを捕まえてタヌキ汁にするといった昔話で伝えられるように、日本でジビエを食べてきた歴史は家畜飼育よりずっと長い。肉食は表向き1871(明治4)年まで禁止されていたが、人々はこっそり肉を食べてきた。1832年に書かれた『江戸繁昌記』には、江戸・麹町に獣肉を出す店があったことが書かれている。しかし、貴重なものだったこともあり、肉食文化はそれほど発展はしなかった。肉食が解禁された近代以降に増えた肉料理のバリエーションは、ほとんどが洋食や中華が発想のもとにある。しかも、生産量が少ないため、相変わらず庶民にとっては高根の花で、特別なときにしか食べられない時代が続いた。文化として成熟する余裕がなかったのである。国を挙げて食糧増産に力を入れた戦後、畜産も盛んになった。鶏肉や豚肉が安くなり、牛肉も増えていく。そのおかげで、高度成長期以降に生まれた世代にとって、肉は日常の食べものになる。1970年代末からグルメブームも始まり、フランス料理やイタリア料理などに親しむ層も増える。それから約30年。近年はリーズナブルなビストロも増え、肉の食べ方も多彩になってきた。そういう中で生まれたのが、熟成肉、赤身肉、そしてジビエのブームなのである。ジビエを気軽に食べられるようになるには、いくつもの問題を解決しなければならない。特に大きいのが、狩猟者の減少と高齢化問題だ。環境省の調査によれば、2015年時点での全国における狩猟免許所持者数は19.0万人で、1975年の51.8万人の3分の1強にまで減少している。そのうち約3分の2の12万人が60歳以上である。野生動物を保護する時代が続いたことに加え、猟師が減り、高齢化が進んだことにより、獣害は増えてきたのだ。獣害の報告はシカとイノシシが中心。2017年度の二ホンジカの捕獲頭数は58万6800頭、イノシシは53万3900頭に及ぶ。ジブリ映画『もののけ姫』にも描かれているとおり、イノシシはもともと西日本を中心に生息していたが近年、北上が進む。2018年1月18日の朝日新聞夕刊記事によれば、2010年代になって山形、岩手、秋田などでもイノシシによる農作物の被害が出ている。流通ルートの確立もまた課題だ。長年牡丹鍋としてイノシシ肉を飲食店や旅館などで提供してきた兵庫・丹波篠山などを除けば、加工、流通させるルートが確立されているところが少ない。しかし、仕留めた動物をジビエとして活用するには、加工処理をする施設と、技術を持った人の存在が不可欠である。すばやく血抜きと内臓の処理をしなければ、肉に臭みが移ってしまうからだ。流通ルートの確立に向けて、農業関係者、商社、飲食店などを結ぶ展示会を企画・主催したのが、一般社団法人日本能率協会だ。長年農業イベントを主催してきた日本能率協会は、イベントに来場する農業者に対するアンケートを行っており、昨年「鳥獣被害に悩んでいる」という声が急増したことから、展示会を企画した。担当者の中野健太郎氏は「高齢の生産者からは、年1回しか収穫できない作物を作っていて、収穫直前に被害を受けると作る意欲を失う、離農したといった声を聞きます」と話す。そこで、各方面へのヒアリングを開始。「鳥獣対策を行う農水省や企業の方に話を聞くと、捕獲したほとんどが現場で廃棄されている。生産者という川上から外食・小売りという川下まで、マッチングできたら、ジビエ活用の流れが見えることがわかりました」と中野氏。11月20日~22日、東京ビッグサイトで開かれた「第1回鳥獣対策・ジビエ利活用展」では、全国から7,759人が来場。出展者は、ジビエ加工のレシピを考案する食品企業や、罠の企業など15の企業や団体。その中で、捕獲をEメールで知らせる罠や、狩猟者に猟犬の位置を知らせる携帯用端末など、ITを活用したシステムが目立っていた。広大で足場が悪い山中での狩猟をサポートするITシステムの登場で、狩猟の現場が変われば、新しい狩猟者が増えるかもしれない。それに加えて、各地に加工場が生まれ、流通システムが確立し、適切な調理法を行うシェフが増える。そうなったときにはじめて、日本にはジビエ文化が本当に定着したと言えるのだろう。平成の終わりに盛り上がったジビエブームが、次の時代に定番化することを期待したい。

(ジビエを分かった気でいませんか?)
狩猟が解禁され、本格的にジビエシーズンが始まっています。日本では11月15日から2月15日までが狩猟解禁期間です。ジビエにあまり馴染みのない日本でも、期間限定といった特別感、野鳥や野獣の力強い味わいに惹かれ、コアなファンがいます。ジビエは味がしっかりしているのでワインとのマリアージュも楽しめるでしょう。ジビエとは何でしょうか。一般社団法人日本ジビエ振興協会の公式サイトには以下のように説明されています。「ジビエとは狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉(フランス語)で、ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化です。その昔フランスなどでは、ジビエを使った料理は自分の領地で狩猟ができるような、上流階級の貴族の口にしか入らないほど貴重なものでした。そのためフランス料理界では古くから高級食材として重宝され、高貴で特別な料理として愛され続けてきました。そこでは、動物の尊い生命を奪う代わりに肉から内臓、骨、血液に至るまで、全ての部位を余すことなく料理に使い、生命に感謝を捧げようという精神が流れています。山野を駆け巡り大空を舞った天然の肉は、脂肪が少なく引き締まり、栄養価も高い、まさに森からの贈り物。力強く生命力に溢れた冬季限定のごちそうです。」昔はフランスであれば貴族しかジビエを口にできませんでしたが、今の時代であれば、誰でもジビエを口にすることができます。ジビエは「力強く生命力に溢れた冬季限定のごちそう」であり、「森からの贈り物」であるとは、ジビエの口福を体験したことがある人であれば、誰しもが思うことではないでしょうか。ジビエにはどのような種類があるのでしょうか。「日本で有名なジビエといえば、捕獲数や被害の多いシカ、イノシシが挙げられますが、実は狩猟の対象となっている野生鳥獣は全てジビエとして定義されます。シカ、イノシシ、野ウサギをはじめ、山鳩、真鴨、小鴨、尾長鴨、カルガモ、キジ、コジュケイ、最近話題のカラス、またフランスでは狩猟禁止で貴重なタシギ等の鳥類や、ヌートリア、ハクビシンといった珍しい動物も含まれます。」シカは比較的多くの日本人が食したことがあるジビエでしょう。フランス料理が好きであれば、マガモ、山バト、山ウズラ、イノシシ、野ウサギあたりは味わったことがあるかもしれません。国によって事情が異なるのも興味深いところです。例えば、ニホンライチョウは日本では天然記念物になっているので狩猟できませんが、フランスではライチョウの狩猟に制限はありません。反対に、ヤマシギは日本では狩猟が制限されていませんが、フランスでは保護鳥に指定されているので、狩猟することができないのです。自然の野生鳥獣の命をいただくという特徴から、その土地によって狩猟できるジビエは違っています。一時期に比べれば、ジビエブームは落ち着いたように感じますが、以前に比べればだいぶ浸透してきたように思います。ジビエが広く伝わるようになったのは、2014年からぐるなびが毎年発表している「今年の一皿」の影響も大きいのではないでしょうか。最初となる2014年の「今年の一皿」に「ジビエ料理」が選ばれたからです。選定理由は以下の通り。「農林水産省が6次産業化を推進する一環として、国産ジビエ(シカ、イノシシなど食用に供する野生鳥獣)の利用促進のための情報発信と資源の有効活用に向けた取組みを展開する中、今年になって、厚生労働省がそれらの狩猟から消費に至るまでの各工程において、安全性確保のための取組みに関する「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」を作成したことで、ジビエ料理の提供が日本でも本格化した。・コンビニエンスストアやファーストフードなどの大きな流通チャネルでもシカなどが食材として使用され、急速に一般消費者の間に浸透した「ジビエ元年」。今後、更に普及してゆくであろうことを考え、新たな日本の食文化の誕生として選定。」国がジビエを提供する枠組みについて指針をだしたことを背景として、飲食店や流通の動きが活性化したり、消費者が安心して食べられるようになったりと、ジビエが日本人にとってより身近に感じられるようになったことが大きいのではないでしょうか。

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(国有林銃猟を禁止、石狩森林管理署管内:北海道)
恵庭市の国有林で11月、猟銃の誤射で北海道森林管理局恵庭森林事務所の男性職員(38)が死亡した事故を受け、石狩森林管理署は6日、同署管内(石狩管内全域と後志管内の一部)の国有林について10日以降、銃猟での入林を禁止することを発表した。同管理局によると、道内の国有林で誤射を受けて入林禁止の措置をとるのは初めて。入林禁止は、事故の影響で国有林内での調査業務などに遅れが生じていることから、作業をする職員の安全を確保するのが目的。今季の可猟期間は来年3月末までで、入林禁止の解除は業務の進捗(しんちょく)をみて判断するという。同署は林道の入り口などに順次、立ち入り禁止の看板を設置している。同管理局も6日、狩猟者に安全確認の徹底や法令順守を呼びかける通知文をホームページ上に掲載。同管理局保全課は「他の管理署管内の国有林についても、安全を第一に考え、入林制限を含めた対策を検討していきたい」としている。銃猟については、北海道猟友会も道内で趣味目的の狩猟について年内の自粛を決めている。また国有林での自粛は来年3月末まで続ける方針。一方、国有林は食害や車などとの衝突事故が問題視されるエゾシカの生息地でもあり、捕獲ができないことで被害が拡大するのを懸念する声もある。

(シカ生肉を食べた人が献血、輸血患者感染の報告も)
ウイルスに汚染された野生鳥獣の肉(ジビエ)などを摂取して急性肝炎を起こすE型肝炎の患者数が過去最多となっている。国立感染症研究所によると、2018年(11月25日まで)は407人。感染症発生動向調査が始まった1999年以降で400人を超えたのは初めて。シカの生肉を食べた人が献血し、その血液を輸血した患者がE型肝炎ウイルスに感染したケースも報告されており、患者報告数が多い自治体は警戒を強めている。

(眞子さま、外交団を鴨場で接待:千葉)
冬の恒例行事となっている外交団鴨場(かもば)接待が7日、千葉県市川市の宮内庁新浜鴨場であった。秋篠宮家の長女眞子さまが、スペインやチェコ、ペルーなど16カ国の大使や夫妻らの接待にあたった。眞子さまは大使らとともに網でカモ猟を行い、その後、カモの足に飛来調査用の標識を付けて放鳥した。眞子さまはカモが無事に飛んでいくと、ホッとしたような表情を見せた。通訳無しで大使らと談笑し、写真撮影にも応じていた。外交団鴨場接待は毎年11~12月、約5回にわたって日本駐在の外国大使らを招いて実施されている。

(獣害対策が障害者の仕事に)
地域課題の解決と障害者の工賃増をどちらも目指そうと、獣害対策に取り組む社会福祉法人が出てきている。広島県福山市の共働福祉会(戸田榮次理事長)は、10月からイノシシ被害対策プロジェクトを開始した。岡山市の金曜会(安井直人理事長)は、イノシシ皮を使った商品を製造・販売している。広島の共働福祉会が獣害対策に取り組むきっかけは、2016年、障害者多機能事業所「久松共働センター」の敷地内にイノシシが出没し、給食用の野菜を食い荒らしたり、夜の駐車場で職員が身の危険を感じたりしたことだった。行政に相談しても対策は取ってくれず、猟友会がないため捕獲も頼めない。自分たちで何とかするしかないと考え、ホームセンターで買ってきた防護柵を50メートルにわたり設置した。被害を食い止めた同会は、県内で農作物の獣害が4億円もあり、その7割がイノシシ被害であること、福山市で獣害が10年前の200倍に増えていること、家庭菜園を諦める高齢者が多いことなどを知り、地域貢献で獣害対策に取り組むことを決意。就労継続支援B型事業で柵の設置、助成金申請の代行、各種情報提供などを行うプロジェクトを立ち上げた。立ち上げに際しては、獣害対策で有名な國くに頭とう敬市・割石地区鳥獣被害対策協議会代表にアドバイザーを依頼。柵の設置方法などを学び、現場の監修役を務めてもらった。柵の設置は、(1)設置エリアの草を刈る(2)柵が20センチ程度埋まる溝を掘り柵を埋める(3)柵に支柱を取り付け番線で固定するーーといった手順。柵の種類はワイヤーメッシュ柵、電気柵などあるが、障害者が扱いやすい幅2メートル×高さ1・2メートルのメッシュ柵を主に使用。設置場所は畑や田んぼに限定し、危険が伴う山の作業はしない。設置にかかる費用は柵1枚分が1000円(人件費込み)。市の助成金を使うことで100メートルの柵を5万円程度で設置できる。現在は、プロジェクトのPRと訓練に重点を置いており、職員と利用者3人がこれに当たっている。アドバイザーの國頭氏は「知的障害があっても柵の設置は十分できる」と太鼓判。戸田理事長は「目指すは福山市内の獣害ゼロ。地域貢献を第一に考えた取り組みで、活動を通じて地域との協力、信頼関係を築いていきたい」と話している。岡山の金曜会は2013年から、イノシシの皮を使った名刺入れやペンケース、巾着などの製造を始めた。きっかけは、岡山県が獣害対策と障害者の工賃増という課題解決を目指すモデル事業で、イノシシ皮製品の開発・製造を行う「KIBINO」プロジェクトを立ち上げ、県セルプセンターから縫製作業に実績のある同会に打診があったことだ。同会は旭川荘、吉備の里の2法人と一緒にプロジェクトに参加。現在は生活介護事業所「わくわく祇園’s」で、年間10頭分のイノシシ皮製品を作っている。染色されたなめし革を仕入れ、レーザー彫刻機で切断、針穴を開け、利用者が縫い上げる。今はまだ工賃増にまで結びついていないが、今後に期待しているという。このほか全国には、駆除された鹿肉を使って、佃煮やペットフードを製造・販売している法人もある。獣害は各地で増えており、山間部にある法人にとっては、他人ごとではない。地域課題の解決と工賃増を目指す社会福祉法人の獣害対策は、始まったばかりだが、大きな可能性を秘めているようだ。

(豚コレラ感染防止へ、イノシシ捕獲調査始める:愛知)
愛知県は6日、県境の岐阜県可児市で5日に豚コレラに感染した野生イノシシが確認されたのを受け、発見場所から10キロ圏内で捕獲された野生イノシシ全頭を来月1日まで検査すると発表した。5日に確認されたイノシシは、県境から約100メートルの可児市の山中で見つかった。対象となるのは愛知県犬山市の一部で、地元猟友会が山際に仕掛けたわなで捕獲したイノシシを調べる。愛知県では9月に岐阜県で豚コレラが確認されて以降、県内で見つかった14頭を検査しいずれも陰性だった。

(繁華街にイノシシ、猟友会が捕獲:広島)
5日午後9時半ごろ、広島市中区立町の立体駐車場「グランドパーキング21」にイノシシが入り込んだ。駆けつけた広島県警広島中央署員らが入り口を封鎖して上層階に追い込み、地元の猟友会のメンバーが午後11時50分ごろに捕獲した。現場は同市中心部の繁華街で周辺は一時、騒然となった。同市によると、捕獲したイノシシは体長約130センチ、重さ約100キロの雄。県警によると、5日午後9時10分ごろから同市南区と中区で「イノシシがいる」という通報が24件相次いだ。目撃されたイノシシは周囲にぶつかったりして血を流し弱っている様子だった。最後は猟友会のメンバーが刃物で仕留めたという。けが人はなかった。中区の大学生、荒田夏輝さん(19)は「(アーケード街の)本通りをイノシシが走っていて、危ないと思い通報した。びっくりした」。イノシシが自転車とぶつかるのを見たという佐伯区の団体職員、岡田昭俊さん(67)は「自転車の女性に『大丈夫か』と声を掛けたが、けがはなさそうだった。こんな街中でイノシシとは」と驚いていた。封鎖された駐車場に車を止めていた東区の会社員、増本真由美さん(50)は「まさかイノシシのせいで車が出せなくなるとは。利用料金も上がるし、帰るに帰れません」と困った様子だった。

(突進イノシシ、パトカーで阻止:島根)
6日午前8時40分ごろ、松江市八幡町の路上で、近くの高齢女性に突進しようとしたイノシシに巡回中の小型パトカーが「体当たり」した。助けが間に合わないと判断した警察官が機転を利かせて被害を食い止め、女性にけがはなかった。松江署などによると、イノシシは体長1メートル、体重80キロ以上の雌で、市道脇の田んぼから出没。50メートル先を歩いていた80代女性の背後から迫っており、現場を通り掛かった才原雅司巡査部長(29)=竹矢駐在所勤務=が「このままだと女性を助けるのは難しい」と考え、パトカーをUターンさせて押し飛ばしたという。イノシシは衝突後、死んだ。

(有害鳥獣解体処理施設:広島)
駆除したイノシシなどの有害鳥獣を解体処理する広島県世羅町内初の施設が、同町京丸に完成した。来年1月半ばをめどに稼働する。これまで捕獲した人が自分で埋めるなどして処理していた負担を軽減し、駆除を促す。

(狩猟の世界、リアルに)
野生動物を追い、仕留め、時に食らう。ハンターとしての人間の本能を駆り立てるような狩猟マンガが注目を浴びている。最近は、狩りに挑む若い世代も増加。ジビエ(野生鳥獣の肉)料理ブームとともに、こうしたマンガの影響を指摘する声もある。「自宅周辺でもイノシシやシカをほぼ毎日見る。食害を一農家の問題にしてはいけないと思っていた時、知り合いの編集者から依頼をもらったんです」月刊誌「電撃マオウ」(KADOKAWA)で『罠わなガール』を連載する緑山のぶひろさんは振り返る。わな猟免許を持つ女子高生・千代丸が友人のレモンとともに、様々な罠を使って、畑を荒らす動物を捕まえる物語。福岡県在住の緑山さんの実家はコメ農家で、自身もマンガ家をやりながら農作業を手伝う。鳥獣被害に苦しんだ末、わな猟免許を取るに至った実体験も反映されている。「個人の駆除には限界があるので、地域で協力して被害を減らしていく。そうした僕の理想を作品の中で描きたかった」千代丸とレモンはともに免許が取得できる最低年齢の18歳だ。JK(女子高生)と罠師の異色のかけ合わせは、命のやり取りを丁寧に描く狙いもあった。例えば、シカを解体するエピソードは1話分のページを割いた。食肉になる過程を見た2人の細かな心情を追うためだ。「たとえ駆除目的でも、殺して終わりにはしたくない。読者と同じ目線に立つには、素直な感情を表現できる若い女性キャラクターの方がよかった」環境省の統計によると、狩猟免許の所持者数は減少傾向だが、40代以下は実際に増えている。同省担当者は「狩猟を題材にしたマンガやテレビ番組の影響もある」と分析する。テレビアニメ化されている『ゴールデンカムイ』(野田サトル、集英社)もその一つだろう。明治時代の北海道と樺太(現サハリン)が舞台の冒険譚たんだが、ヒグマやトドなどの野生生物を狩り、アイヌ料理に舌鼓を打つシーンが登場し、狩猟マンガとしても楽しめる。日本古来のハンターを描いた作品も復刊され話題を呼んでいる。『マタギ』(矢口高雄、ヤマケイ文庫)は、秋田県北の山里で活躍した職業猟師「阿仁マタギ」が主人公。1970年代に発表された名作だ。そもそもブームの火付け役となったのが、2011年に「イブニング」(講談社)で連載が始まった『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』だ。作者の岡本健太郎さんは岡山県在住。愛用の銃を手に野山を駆けめぐる日々を描く。こちらは『罠ガール』と違って食べるための狩猟だが、実はマンガのために始めたという。「エッセーマンガが好きで、いつかやりたかった。猟師という肩書が加われば、作品の趣も変わると思った」と岡本さん。野生動物との攻防だけでなく、自ら試したジビエ料理のレシピも紹介。ベテラン猟師の奥義や免許の取得方法なども解説し、狩猟のハウツー本のようだ。ただ、「狩猟の担い手を増やす意図はなかった」という。趣味で狩猟する人が増えていることも、「実際にやるのは大変。だからこそ読者の代わりにやってみる感覚だったので驚きです」。16年末に始まった新シリーズ『山賊ダイアリーSS』では、ヤスやモリを手に、海で魚突きなどにも挑んでいる。「動いている動物を捕って食べるのは、日本でできるアウトドアの最高峰。今年3回目の銃免許の更新でしたが、狩猟が面白いという気持ちは今も続いています」

(信州ジビエマイスター講座の受講者募集:長野)
あなたも、おいしいジビエ料理を提供し、その魅力を発信しませんか-。長野県林務部は、平成31年1月24、25両日に長野市の長野調理製菓専門学校で行われる信州ジビエマイスター養成講座の受講者を募集している。講座内容としては、シカ肉の部位別の特徴を講義したり、下処理の方法を実演したりするほか、衛生的な観点から加熱処理の重要性などを教授する。筆記や実技の試験も行われる。応募に当たっては、調理師や栄養士などの資格を有し、飲食店など食品にかかわる仕事に就いていることなどを条件としている。ジビエ料理をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とかで積極的に情報発信することも求めている。

(よさこいジビエコンテスト:高知)
高知県は、「よさこいジビエコンテスト」を企画し、捕獲した野生鳥獣を有効活用するアイデアを募集している。「商品開発部門」と、イベントを通した「ジビエ普及部門」の2部門あり、来年1月末まで受け付ける。県内のシカ、イノシシの捕獲数はともに増加傾向にあるものの、肉の利用率は約2%にとどまっており、有効活用へ初めて企画した。商品開発部門はジビエを使った料理のレシピや、皮や角を生かした商品案を募集。普及部門は、イベント案を募る。審査結果は2月中旬に発表。両部門を通じた最優秀賞に7万円、各部門の優秀賞に各3万円が贈られる。

(ジビエ振興、おせち料理も開発:鳥取)
来年のイノシシ年に向け、鳥取県のジビエ(野生の鳥獣肉)関係者がイノシシ肉を巡る新たな振興策を始める。大山町はイノシシ肉の活用を促そうとジビエ解体処理施設を新設。北栄町の解体処理施設は品質をアピールする目的で鳥取県版HACCP(危険度分析による衛生管理)の認定を取得する。料理人の組織はイノシシを使ったメニューづくりも進める。大山町は5500万円を投じて、主にイノシシを解体処理する「大山ジビエ工房」を整備し、11月30日にお披露目式を開いた。地元の猟友会有志でつくる団体が指定管理者として運営を担う。当初は年間約200頭を処理し、県中西部のスーパーや飲食店などを中心に約650万円の販売を見込む。竹口大紀町長は「町内でイノシシ被害が増えているが、食肉処理は進んでいなかった。肉として流通させ、ハンターの収入増にもつながる持続可能な仕組み作りを目指す」と話す。日本猪牧場(北栄町)は県が衛生管理手法を認定するHACCPを取得する。17年6月に県内のジビエ解体処理施設として初めて認定を取得した「わかさ29工房」(若桜町)に次いで2例目。同工房はシカ肉のみの認定で、イノシシ肉としては県内初となる。県の補助も活用し、金属探知機や冷蔵設備のほか洗浄機材など総額約800万円を投じて設備を新設した。徳岡憲一代表は「いかに製品に自信があっても、取引相手に伝わるかどうかは別問題。販路を広げるためにもHACCP取得でより信頼性を高めたい」と話す。鳥取のジビエ振興は県東部でシカ肉を中心としたブランド化が先行していたが、イノシシを軸に振興を図ろうと中西部の料理人やハンターらが2月に「ほうきのジビエ推進協議会」を設立。これまで主に県内のイベントでイノシシ料理の試食などを行ってきた。同協議会は19年1月に東京・新橋にある県のアンテナ店で行われるジビエフェアでイノシシメニューを紹介するなど県外での販路開拓も進める。革製品など加工品の開発も目指す。荻野裕子コーディネーターは「来年は大きなチャンス。良質な鳥取産イノシシを東京や大阪などの都市部でも浸透させたい」と話す。県内の若手和食料理人らで構成する研究会「惣和会」はイノシシメニューを開発する。第1弾として県内3店舗がイノシシ肉を使ったおせち料理を販売する。鳥取市の「板前亭ちくま」では、おせち向けに2品を開発した。同会の相談役も務める知久馬孝敏社長は「飲食店だけでなく給食や家庭向けのメニュー開発も進めて需要拡大を支援したい」と話す。中国地方は全国でもジビエの活用が進む地域だ。農林水産省の2017年度「野生鳥獣資源利用実態調査」によると食肉処理施設によるジビエの食肉販売量は鳥取が北海道、兵庫に次いで都道府県で3位だった。広島と岡山もトップ10入りした。各地で鳥獣害対策と同時にジビエ振興が進んでいるが、それでもイノシシやシカの多くが廃棄処分されている。先進地の鳥取でさえ、捕獲鳥獣のジビエとしての活用率は17年度が24.7%。16年度の15.3%から伸びているが、大半は土に埋めて処理している。鳥取県食のみやこ推進課の塗師木太一課長は「今後も販路拡大やブランド化を進めて利活用を増やしたい」と話す。

(優しい味のシカ肉缶詰:鳥取)
鳥取市のイタリア料理店「ペペネーロ イタリア館」が地元産シカ肉の缶詰を完成させた。店の味を知る客6人が商品化に参加。インターネットで資金を集めるクラウドファンディングからパッケージのデザインまで関わり、試行錯誤を重ねた。缶詰を発案した店の料理人、木下陽平さん(42)は「鳥取の上質なシカ肉を広めたいという思いが同じだった」と話す。ペペネーロは木下さんの父、龍雄さん(66)が昭和55年に創業。当時からシカ肉がメニューに載ることはあったが、野生鳥獣肉を意味するジビエという言葉は浸透しておらず、客からも受け入れられていなかった。

(「鹿肉まん」いかが:長野)
根羽村の複合観光施設「ネバーランド」が「鹿肉まん」=写真=の販売を始めた。村産のジビエ(野生鳥獣肉)を活用し、信州の味を楽しんでほしいと考案。肉がぎっしり詰まっていて好評といい、店長の菊池暁(あきら)さん(37)は「将来は他のジビエ肉も利用していきたい」と意気込んでいる。ネバーランドの解体・加工施設で村内で捕獲された鹿肉を下処理。「しっかり血抜きし、臭みも少なく食べやすい」(菊池さん)といい、1個250円(税込)で販売している。イノシシ肉を使った鍋やカツ丼なども試作中だ。中京圏からの観光客が多い土地柄、菊池さんは「信州の南の玄関口から魅力を発信していきたい」と話している。

(イノシシ毛皮、縁起物に:富山)
畑を荒らし、農業被害をもたらすイノシシ。昨年度の県内の捕獲頭数は過去最多だったが、活用されずに処分される場合が多い。イノシシの有効活用を図るため、中央農業高校の生徒が六日、来年の干支(えと)にちなみ、イノシシの毛皮を使った正月飾りを富山市東福沢の同校で制作した。県によると、県内のイノシシ捕獲頭数は昨年度は五千二百六十五頭で、農業被害額は七千二百五十万円。いずれも過去最多だった。食肉として利用されることは多いが、毛皮は硬くて加工しづらいため、ほとんどが利用されずに焼却処分されているという。現状を知った武部尚美教諭が「有効活用する方法を考えられないか」と、イノシシの生物活用を学ぶ授業に取り入れた。同校初めての取り組みで、地元の猟友会から譲り受けたイノシシを園芸デザイン科三年の山本幹太さん(18)、笠間咲李(えみり)さん(18)の二人とともに十一月になめす作業をした。六日は乾燥させた毛皮をカッターやはさみを使ってイノシシの形に切り抜いた。木の枝や富士山をかたどったフェルトなどと一緒にボードに貼り付けて正月飾りを完成させた。山本さんは「分厚くて皮を切るのが大変だった。肉だけでなく皮を使った製品も広がったらいい」と話し、笠間さんは「イノシシの味が出たいいものができた。野生生物というとマイナスイメージがあるが、こんなふうに活用できると知れてよかった」と笑顔を見せた。

(狩猟場面生々しく:長野)
狩猟に取り組んできた東京の写真家、幡野広志さん(35)の写真展「いただきます。ごちそうさま。」が御代田町の浅間縄文ミュージアムで開かれている。ニホンジカやイノシシなどの狩猟場面を捉えた作品34点とシカの頭骨や角を展示している。24日まで。広告写真に携わった幡野さんは2012年に狩猟免許を取得し、鉄砲で野生動物を狙ってきた。しかし、昨年11月に末期がんが判明し、やめざるを得なくなったという。

(息災願い肉の争奪戦:千葉)
鳥獣から農作物を守る願いを込めて行う神事「ししきり祭」が5日、君津市清和市場の諏訪神社(石井昭平宮司)で行われた。神事の最後に、食べれば無病息災の御利益があるという肉を奪い合う慣例があり、老若男女が争奪戦を繰り広げた。作物を荒らすイノシシやシカを11月26日から10日間かけて狩猟し、最終日の12月5日に獲物を神前に供えたのが始まりとされる。農耕の神を祭る諏訪神社の信仰の一つで、いつから始まったかは不明だが、少なくとも江戸時代には行われていたという。御狩祭(みかりさい)とも呼ばれ、県の記録選択文化財に指定されている。現在は鶏肉を使い、社家(しゃけ)という神事に立ち会う家の主人がかみしも姿で肉をとりわけ神前に奉納。肉の入ったおけが社殿の外に運ばれふたが解かれると、待ち構えていた住民の争奪戦が始まり、おけはあっという間に空になった。

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(趣味目的の狩猟を年内自粛:北海道)
恵庭市の国有林で11月、猟銃の誤射で北海道森林管理局職員の男性(38)が死亡した事故を受け、北海道猟友会は4日、全71支部の会員約5300人を対象に、年内は道内での趣味目的の狩猟を自粛すると決めた。自粛中に各支部で会員対象の事故防止講習会を開き、安全対策の徹底を図る。同会によると、自粛は全ての動物の狩猟が対象。誤射現場が国有林であったことから、国有林での自粛は来年3月末まで続ける。自粛中も市町村などの依頼を受けて行う有害鳥獣駆除は行う。1967年の同会設立以来、狩猟を自粛するのは初めてという。

(イノシシ出没、女性が指をかみ切られる:兵庫)
兵庫県芦屋市の住宅街で通行人の無職女性(86)の左手薬指をかみちぎったイノシシが、別のパート女性(60)にも衝突して右手中指を打撲する軽いけがを負わせていたことが4日、芦屋署への取材で分かった。同署などによると、イノシシは4日午前10時すぎに無職女性を襲った後、約600メートル先の路上でパート女性のウエストポーチにかみつき、衝撃で女性の手がイノシシの体に当たったとみられる。イノシシは体長約1.1メートルの雌。午前9時ごろに阪急芦屋川駅周辺で目撃され、南方向に移動したとみられる。2人を襲った後に署員や猟友会メンバーら数人が取り囲んで刺股や警棒を使って取り押さえ、刃物で刺して捕獲した。イノシシは死んだ。

(エゾシカ捕獲、わなで急増:北海道)
江別市の鳥獣被害防止対策事業の中で、農業被害が最も大きいエゾシカの捕獲数が、ここ数年で大きく伸びている。2016年度までゼロだった市の捕獲実績が17年度で19頭、18年度は11月末までで49頭に跳ね上がった。市は「くくりわな捕獲に注力したことが奏功した」と話している。2017年度の市の農畜産物鳥獣被害は面積27・6ヘクタール、被害額676万円。16年度の同81・9ヘクタール、同1281万円から面積で3分の1、被害額はほぼ半減した。18年度も減少を見込む。被害の減少はエゾシカ対策が進んだことが大きい。江別も道内の例に漏れず、エゾシカによる被害が、アライグマ、キツネ、カラスなど他の害獣と比べ、群を抜いて大きい。16年度ではエゾシカ被害の金額が851万円に達し、被害全体の66%を占める。野幌森林公園というエゾシカ生息地があり、市内の農家は長年、被害に苦しんできた。平地が多いため銃の使用禁止区域も多く、農家などの関係者は「銃砲が使いづらく捕獲は難しいと半ば諦めていた」という。

(電車接触のシカ、乗客が撤去作業:東京)
東京都あきる野市のJR五日市線武蔵五日市―武蔵増戸間で10月、電車とシカが接触した際、乗客に死骸の撤去作業への協力を依頼し、手伝わせていたことが4日、JR東日本への取材で分かった。電車のパンタグラフは架線から降ろさないまま作業した。JR東は、機器類に絶縁措置が取られており、感電の危険性はなく安全は確保されていたと説明。「今回は適切な判断だったが、今後は極力お客様に要請することにならないよう努めたい」としている。JR東によると、10月18日午後6時50分ごろ、武蔵五日市発立川行き普通電車が走行中、線路内に進入したシカと接触し、停車。乗客5人が手伝った。

(県営公園、検査なくミニブタ2頭処分:岐阜)
豚(とん)コレラが発生した岐阜県で、県営の「ぎふ清流里山公園」(同県美濃加茂市)が飼育していたミニブタ2頭を、公園を管理する事業者が検査のないまま感染予防目的で殺していたことが、分かった。農林水産省は「適切に管理していれば殺す必要はない」としており、家畜伝染病予防法に基づく殺処分には当たらず、動物愛護法に抵触する恐れがある。関係者によると、公園は指定管理者制度で運営されており、管理事業者が十一月二十二日、「確実な防疫のため処分したい」と電話で県に相談。県は「やむを得ない」と判断し、二十七日夜に地元の獣医師が安楽死させて園内の敷地に埋めた。事業者は、県内で野生イノシシの感染が確認され、養豚場が近くにあることや公園には不特定多数の人が出入りすることを懸念したとみられる。処分には複数の県職員が立ち会った。県は事実関係を大筋で認めているが「積極的に公表する事案ではない」としている。二頭は展示・観賞用として飼われていた「とん吉」と「とん平」で、地元の子どもたちにかわいがられていた。処分を知らされた住民は「健康なのに殺される理由が分からない」と悲しんでいる。豚コレラは九月に岐阜市内の養豚場での発生が判明。その後、六十頭以上の感染イノシシが見つかり、先月十六日には岐阜市畜産センター公園でも豚の感染が確定した。

(クマ足跡、市街地3キロ歩く:北海道)
3日午前6時半ごろ、山部中(大場八仁校長)の敷地内にクマ1頭の足跡が残っているのを用務員が見つけ、市を通じて富良野署へ通報した。市職員や猟友会が調べたところ、足跡は山部東町の山部神社付近から市街地の国道、JR根室線の踏切を渡り、同校と隣接する養護老人ホーム「寿光園」や基線へ達し、再び国道を通って空知川で消えており、3キロにわたり続いていた。富良野署によると、人畜への被害などはない。足跡は横幅16センチで、2日夜から3日朝にかけて付けられた。雄の成獣とみられる。

(日光のシカ被害:栃木)
巨岩と激流が織り成す渓谷美で知られる栃木県日光市の龍王峡をこの秋訪ねた。鬼怒川の流れは文字通り暴れ竜をほうふつとさせ、晩秋の山は見事に色づいていた。峡谷沿いの散策路には光が差し込み、林の奥まで見通せてすがすがしい。だが程なくして林の景色に違和感を覚えた。下草や幼木が少なく、乾いた落ち葉ばかりが地面を覆っていたからだ。生い茂る木は人の背丈まで樹皮がはがれていた。潤いを失った「乾いた森」のように見えた。それがニホンジカの仕業と分かったのは帰りの道中。山あいの家々がシカの食害に遭わないよう畑にネットを何重も張り巡らせ、農作物を守っていることに気付いた。日光市によると、市内では農林業被害が相次ぎ、シカの通り道に仕掛ける「くくりわな」などで年間約4千頭を捕獲。これらの多くは東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響で食用にできず、廃棄処理にも手を焼いているという。世界自然遺産の白神山地でも先月上旬、本県側の緩衝地域内で初めてシカが確認された。周辺での目撃数は増加傾向にあり、環境省東北地方環境事務所は「貴重なブナ林が食い荒らされることが懸念される」と語る。一方、高齢化の影響でハンターが減り、駆除は難しくなるばかりだ。だからといって手をこまねいていては、「緑のダム」ともいわれる潤いに満ちた森が変容してしまいかねない。人里への生息域拡大を防ぐ意味でも、捕獲に向けた体制づくりは急務だ。

(イノシシの目撃が相次ぐ:香川)
2日夜、高松市中心部でイノシシの目撃情報が相次いだ。高松北署によると午後7時40分ごろ、同市本町にある高松琴平電気鉄道の本町踏切付近で体長1メートルほどのイノシシ3匹がいるのを同社の電車の運転士が発見。イノシシはその場から姿を消した。

(イノシシ2頭が国道を横断:沖縄)
国頭村半地の国道58号で11月26日午前11時ごろ、イノシシ2頭が横断しているのが確認された。内陸部の山側から国道を横切り、歩道付近を歩き回った後、再び横断して山に戻ったという。目撃した山川勇さん(64)=大宜味村=が車内から撮影した写真では、大きさからイノシシの子どもとみられる。山川さんによると、10月ごろにも、イノシシ1頭を走行中の車から目撃している。山川さんは「1カ月前に目撃した時、急ブレーキを踏んだ。最近、付近で小さいイノシシ2、3頭が出没していると他の人からも聞いた。対策が必要ではないか」と語った。山川さんが26日に撮影した写真では、人が乗った停車中の自転車の前を2頭が横切り、山に戻るところも確認できた。

(サルと農作物守る戦い:兵庫)
ニホンザルの被害を防ぐため、兵庫県内でも防護柵の改良に加え、花火を使ったり、“犬猿の仲”のイヌで追い払ったりして対策に知恵を絞る。県内のサル出没地域のうち、香美町などの4市町では2010年から順次「サル監視員」を配置。メスに取り付けた発信器の位置を探り、サルの接近状況を住民に携帯電話のメールなどで知らせている。サルの侵入を防ぎ、農作物を守る防護柵の改良も進む。香美町で開発された、支柱にも通電する「おじろ用心棒」の普及に県などが力を入れている。県外では、サルが柵に登れないよう支柱がしなる「猿落君(えんらくくん)」を滋賀県が開発し、鳥取県もワイヤ網と電気柵を組み合わせた「シシ垣くん」を実用化している。篠山市などでは、家庭の飼い犬を「サル追い犬」として訓練する取り組みが始まり、県内でこれまでに49匹が認定されている。兵庫県鳥獣対策課は、撃退のこつを「サルになめられないこと」と強調。「サルは学習能力や記憶力が高い。地域と行政が一体になって、人里は怖いと覚えさせる必要がある」としている。

(サルの“勢力図”判明:兵庫))
ニホンザルの繁殖期を迎え、今年も兵庫県内各地で目撃情報が相次いでいる。神戸・阪神間の繁華街や住宅街でも出没しており、神戸市では10月以降、41件の通報があった。サルたちはどこに生息しているのか。兵庫県の10年以上に及ぶ調査の結果、その全体像が把握され、計約950匹とされる県内のサルたちの“勢力図”も判明しつつある。県は2004年から県内のニホンザルの生息調査に着手。捕獲したサルに発信器を付けるなどして群れの数や構成、活動範囲などを調べてきた。県森林動物研究センター(丹波市)によると、これまでに生息が確認されているのは丹波、但馬、淡路、西播の6エリア9市町。洲本市や佐用町のモンキーパークで餌付けされているグループも含めると、13~14群おり、推定で945匹がいるという。生息場所が離れ、互いに交流する機会は少ないが、ほとんどの群れが断続的に人里に出没し、農作物や民家などを荒らしている。16年度の県内の農業被害額は576万円に及んだ。餌付けされていない野生サルの最大勢力は、朝来市と神河町にかけて生息する「大河内・生野」の群れだ。3群から成り、推定数は224匹。12年度ごろに朝来市南部で勢力を拡大したものの、集落側の追い払い対策が実り、近年は被害も沈静化しつつある。一方、“悪行”が止まらないのは第2勢力の篠山エリア。農業被害の金額は2年連続で県内ワーストを記録した。新たな5群目も確認され、活動範囲は京都府にまで及ぶ。人慣れをしているため、追い払ってもすぐに集落に戻ってきてしまうのが特徴という。香美町(美方)では昨年、群れが分裂し、子ザルを含む15匹程度が鳥取県へと集団移住したことが判明。理由は不明だが、12匹の小勢力が残り、絶滅も危惧される。最も気性が穏やかとされる淡路島のサル。餌を仲間で分け合う場面もみられるといい、センターの森光由樹(よしき)主任研究員は「餌付けで十分に食べ物があることも影響しているのでは」と推測する。ニホンザルの群れは通常、オスの「ボスザル」ではなく、有力なメスを中心に行動し、オスは4、5歳になると生まれた群れから離れ、伴侶を探す旅に出る。住宅街などに出没するサルはこうした旅の途中のハナレザルが多いという。同センターでは、群れごとの分析の結果、佐用町のグループのみが岡山県を由来とする系統だったことを確認。それ以外の丹波や但馬のサルはいずれも京都系統だった。森光研究員は「今は県内の群れが孤立化してしまっているが、かつてはもっと多くの群れが生息していたはず。絶滅を避けるためにも、人里に近寄らないようにしつつ共存を目指すことが重要だ」と話している。

(拳銃1丁・実弾139個を密造した疑い:兵庫)
拳銃や実弾を密造したとして、神戸地検は4日、兵庫県姫路市青山南4丁目の会社員栗田優煇容疑者(23)を武器等製造法違反の罪で起訴した。起訴状によると、栗田容疑者は2014年4月~16年1月ごろ、自宅で単発式拳銃1丁を組み立て、実弾139個を製造したとされる。県警が今年10月に銃刀法違反の疑いで逮捕し、その後、銃器や実弾製造に絡む容疑で再逮捕していた。県警によると、同容疑者は市販の金属部品や鉄板を加工。火薬は花火から取り出していたという。動機については「拳銃に興味があった。観賞用として造った」と供述したという。

(ジビエの店、狩猟免許持つ店主が開店:千葉)
「串焼き小野田」(船橋市本中山3)が下総中山駅近くにオープンして3カ月を迎える。オープン日は9月3日。同店店主は、船橋在住16年になる小野田貴光さん。リクルートのグループ会社に勤務し、学生時代に経験した飲食店でのアルバイトの楽しさから「40歳になったら自分の店をオープンしたい」とずっと考えていたという。40歳で会社を退職して出店の準備に取り掛かり、キャンプや登山などのアウトドアの趣味を生かし、ジビエ料理というコンセプトを固めた。小野田さんは狩猟免許を持ち、定期的に南房総の山などに仲間たちと狩りに行くという。木のぬくもりを感じさせる約11坪の店内は、全27席。うち12席が掘りごたつの座敷席。外壁には小野田さんが所属する猟友会会長からオープン記念にプレゼントされたというイノシシのはく製、店内には小野田さん自身が仕留めたという鹿の角が飾られている。ジビエ料理は「鹿バラ串」(210円)が最も人気だという。狩猟仲間を通じ仕入れルートを確保していることから、他のジビエ料理店よりもリーズナブルな価格で提供できるという。日本酒などアルコールも種類豊富に取りそろえ、店内を完全禁煙としている点が女性からの支持を集め、来店客の約半数が女性客だという。店内完全禁煙は、1児の父でもある小野田さんの強いこだわりの一つ。自身の育児経験や、子連れでお酒を楽しむ場に行くことが難しくストレスを感じていた妻の姿を見て、「子連れでも気軽に入れるお店にしたかった」と言う。「ジビエ料理というと、遠路はるばる山奥まで出かけなければ食べられないというイメージを持っている人も多い。うちの店でもっと身近にリーズナブルに楽しんでほしい」と小野田さん。

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(クマに襲われ飼育員死亡:茨城)
茨城県取手市野々井の住宅敷地内で2日午前10時半ごろ、アルバイト飼育員盛宗一郎さん(56)が、世話をしていたクマに襲われた。盛さんは全身をかまれたり引っかかれたりしており、病院に搬送されたが約9時間後に死亡した。取手署によると、クマはオスのツキノワグマで、全長は130センチ、体重は110キロ(推定)。この家に住む男性(70)が県の許可を得て飼っており盛さんに世話を依頼していた。クマは縦約6メートル、横約2・6メートル、高さ約2・1メートルのオリの中で1頭のみ飼育されていたが、盛さんが鍵を開けておりの中に入った際に襲われたとみられる。盛さんは後頭部や左肩などに深い傷を負っていたという。近所の住人が「助けて」との叫び声を聞き、男性宅へ向かったところ、盛さんが意識不明の状態で血を流して倒れているのを発見し、119番した。取手署は男性がクマを飼い始めた経緯や、盛さんの当日の餌やりの手順が適正だったのかなど、詳しい経緯を調べている。

(イノシシ、通説誤り)
「積雪三〇センチ以上が七十日を超えると、イノシシは越冬できない」-。こんな通説が独り歩きしているが、専門家は四十年前の調査結果が誤って伝わった「都市伝説」だと否定する。実際、北陸では今年二月、豪雪に見舞われたが、いまも目撃は相次いでいる。専門家は「被害を抑止するには、正しい認識が必要だ」と指摘する。「いまだに過去の調査結果が誤って広まっている」。鳥獣害対策に詳しい農業・食品産業技術総合研究機構の中央農業研究センター(茨城県)の仲谷淳専門員が通説の基となったと指摘するのは、一九七八年度の環境庁(当時)によるイノシシの分布調査だ。調査では西日本を中心に生息が確認されたが、積雪三〇センチ以上が七十日を超えた地域での生息率はわずか3・3%。報告書には「多雪地帯でイノシシの生息が認められないのは、まさしく自然的分布制限要因としての積雪が主に原因しているため」と記された。イノシシの生態に詳しい長岡技術科学大の山本麻希准教授によると、明治、大正期に猟銃が普及し、農家が多数捕獲した。さらに昭和初期まで頻繁に豚コレラが発生し、北陸や東北地方で絶滅したため、調査時に雪深い地域で生息が確認されなかった。山本准教授は積雪四メートルを超える新潟県十日町市でイノシシの生息が確認されたことを挙げ、「たまたま調査時にイノシシがいなかっただけ。豪雪地でも越冬できる。この説は都市伝説」と指摘する。その後、北陸などで再び確認されるようになったが、「五六豪雪」と呼ばれる八一(昭和五十六)年、石川県加賀市内で餓死したイノシシが見つかったこともあり、「積雪が続けば、脚が短いイノシシは餌が食べられずに死ぬ」との説につながったとみられる。石川県で平成以降(二〇一六年まで)、積雪三〇センチ超えが七十日以上あったのは、九一、九五、二〇〇六、一一、一二、一五年の計六回に上る。それでもイノシシは近年、生息域を広げ、個体数も増え続けているのが現状。捕獲数は〇〇年度と比較すると一六年度は三十倍以上に。農作物が荒らされる被害も歯止めはかからず、被害額は一七年度、初めて一億円を突破した。仲谷専門員は「誤解をうのみにしたままでは対策が後手に回り、被害を食い止めることはおろか拡大する」と指摘。山本准教授も「しっかり鳥獣対策を学んだ職員を配置することが大事。鳥獣対策は人づくりなんです」と話す。「雌を捕獲しなければ、増殖に歯止めがかからない」。イノシシの生息調査で今年、石川県能登地方を視察した山本准教授はそう指摘する。県内の捕獲は箱わなが主流だが、わなにかかるのは警戒心の低い子どもがほどんど。母親は学習し、わなに近づかなくなる。イノシシの繁殖力は高いため、「母親を一頭取り逃がすだけで、一年で四、五倍になってしまう」とも。成獣の雌や加害獣などを識別し、計画的な捕獲の必要性を訴える。電気柵の管理が甘い現場もあり、山本准教授は「住民任せでなく、行政がしっかり管理しなければ効果は発揮しない」と強調する。

(ジビエ利用量27%増加)
食肉処理施設が平成29年度に処理した野生鳥獣のジビエ利用量は1629tで、前年度に比べ27%増加した。このうち、食肉としての販売目的で処理したジビエ利用量は1146tで、前年度に比べ12.9%増加し、鳥獣種別ではシカが814tで22.4%増加、イノシシが324tで5.5%減少、その他鳥獣が8tで14.3%増加した。また、ペットフードの利用量は373tで前年度に比べ148.7%増加した。食肉処理施設が処理した野生鳥獣の解体頭・羽数は9万6907頭・羽で、前年度に比べ8.6%増加した。鳥獣種別では、シカが6万4406頭で15.7%増加、イノシシが2万8038頭で2.0%増加、その他鳥獣が4463頭・羽で26.7%減少した。食肉処理施設で処理して得た金額は31億4700万円で、前年度に比べ3.9%増加した。このうち、食肉の販売金額は29億1900万円で前年度に比べ0.9%増加、鳥獣種別ではシカが16億4000万円で10.6%増加、イノシシが12億4700万円で9.0%減少、その他鳥獣が3200万円で17.9%減少した。

(生え始めシカ角、漢方薬に:鳥取)
生え始めの軟らかいシカの角「鹿茸ろくじょう」に、軟骨成分の「コンドロイチン」やコラーゲンが豊富に含まれているとする研究成果を、鳥取大の田村純一教授(有機化学)らのグループがまとめた。漢方薬や、再生医療製品などに活用できる可能性があるといい、田村教授は「捨てていた部位が地域の新たな資源になるかもしれない」と期待している。シカの肉はジビエ、皮は皮革製品に使われるが、廃棄される部位が多いのが現状だ。県は4年前、田村教授に「害獣として駆除しているシカの活用法を考えてほしい」と依頼。田村教授も、春から秋に急成長するオスジカの角に「ほかの動物でこんなスピードで育つ部位はない。面白いものが見つかるのでは」と着目し、研究を始めた。研究では、若桜町で捕獲されたシカの鹿茸を先端部、中間部、基底部などに分割し、それぞれの組成を分析。硬くなる「骨化」が始まる前の先端部に近くなるほど、成長に必要なコンドロイチンが豊富に含まれていることを突き止めた。サプリメントなどに使われるサメの軟骨でも、コンドロイチンの含有濃度は最大で100グラム中1800ミリ・グラム程度なのに対し、鹿茸の先端部では最大で6000ミリ・グラム近くに達したという。中国や韓国では、シカの角が漢方薬として珍重され、数十万円で取引されるものもあるという。韓国で飼育するニホンジカの鹿茸と比較分析を行ったところ、コンドロイチンの含有量などに大きな差はなかった。田村教授は「ほかの成分も比較する必要はあるが、日本から輸出することもできるのでは」と話す。一方、グループの一員の清水克彦准教授(分子生物学)はコラーゲンについても調べ、鹿茸の組織重量の15~20%に及ぶことを明らかにした。重いやけどなどの治療に使う人工皮膚は、牛の表皮の下にある「真皮」のコラーゲンなどから作られる。鹿茸から抽出したコラーゲンの性質が、牛真皮由来のコラーゲンと遜色ないことも確認しており、鹿茸で代用できる可能性があるという。今後は同じく害獣とされるイノシシの研究に取り組むことも検討しているという。田村教授は「害獣が地域おこしの宝になるような結果を見つけたい」と意気込んでいる。

(豚コレラ問題で禁猟区域を拡大:岐阜)
岐阜市などの養豚場の豚や野生イノシシに家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染が広がっている問題で、岐阜県は11月30日、狩猟の禁止区域に瑞浪市の一部や土岐市の一部、加茂郡七宗町などを加え、計23市町にまたがる地域に拡大すると明らかにした。7日から禁止するが、県猟友会などには早期自粛を求める。11月29日に加茂郡八百津町和知で野生イノシシの感染が確認されたため。同区域内では野生鳥獣肉(ジビエ)の利用も自粛とする。岐阜市椿洞、同市大洞、可児市西帷子の3地区だったイノシシの調査対象区域に、八百津町の発見場所から半径10キロ圏内を加え、区域内での調査捕獲を継続。区域内14農場では1日2回の報告などの監視を続ける。市畜産センター公園(岐阜市椿洞)での豚の感染を受けた市堆肥センター(同)の営業自粛は1日に解除。周辺農場の搬出制限などは順次、解除する。JAぎふ堆肥センター(同市佐野)は2日に自粛を解除する。市が立ち入り検査し、堆肥原料に豚の死骸が混入していたとする国の調査報告を検証する。再開時期は未定。

(野生イノシシ感染62頭に:岐阜)
岐阜県は2日までに、同県各務原市で11月30日に見つかった野生イノシシ2頭が豚コレラに感染していたと発表した。感染が確認されたイノシシは62頭となった。県によると、1頭は山中のわなにかかっており、もう1頭は山の麓で死んでいるのが見つかった。いずれも県の遺伝子検査で1日に陽性が判明した。周辺ではこれまでにも感染イノシシが見つかっている。

(畜産センターの豚コレラ感染は「岐阜市の対応に不備」:岐阜)
岐阜市畜産センター公園の豚が家畜伝染病「豚(とん)コレラ」に感染した問題で、県は三十日、県の指導と市の防疫対応についての緊急点検結果を公表した。市の豚舎の衛生管理に対する意識が低かったと指摘した。同日の対策会議で県と市の検証チームが報告した。市は豚コレラに関する対応マニュアルがなく、同公園の運営が市の都市建設部、農林部と指定管理者の民間業者の三者にまたがっていたため、役割が不明確だったと指摘した。その結果、衛生管理基準が守られなかった。県については、他の養豚場よりも多く立ち入り検査をして指導していたものの、同公園で十一月十六日に発生する前の十月二十一日と十一月十日に豚が一頭衰弱死していたことから「立ち入り検査などによる確認をしておく必要があった」とした。対策として県は、各養豚場を指導する際は詳細な記録を残し、必要に応じて文書で指導するようにして対処すべき措置を具体的に示す。感染イノシシが近くで見つかり豚への感染の危険性が高まっている場合は、防鳥ネットの設置など小動物対策を指導。観光農場については飼育頭数を必要最小限にするようアドバイスする。このほか、同公園に併設する堆肥センターの運営自粛を一日に解除するほか、一例目が発生した養豚場が堆肥を搬入していたJAぎふ堆肥センターについても、二日に運営自粛を解除する方針を決めた。JAのセンターについては国と県、市による立ち入り検査を実施し、堆肥に豚の死骸を混ぜていたかどうかを検証する。

(捕獲イノシシ、放射性セシウム国基準超検出:秋田)
県は27日、湯沢市で捕獲されたイノシシの検体から、国の基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。県内の野生鳥獣から基準値を超える放射性物質が検出されたのは初めて。健康被害は確認されていないという。県によると、今月19日に同市秋ノ宮地区と、25日に同市小野地区で捕獲された計3頭。

(白神山地でニホンジカ:秋田)
環境省東北地方環境事務所によりますと、11月3日の午後3時40分ごろ、藤里町粕毛の二ツ森登山道近くの緩衝地域に設置していたセンサーカメラが、斜面を歩くオスのニホンジカ1頭を撮影しました。核心地域までは、650メートルほどの地点です。

(ツキノワグマ注意報、30日で終了:秋田)
県は1日から発令していた「ツキノワグマ出没注意報」を、30日で終了すると発表した。県自然保護課によると、県内ではクマによる人的被害が8月13日以降、発生しておらず、10月の目撃件数は14件で、過去10年平均の4割程度にとどまった。ただ、12月は冬眠を控えたクマが栄養を蓄えるため捕食活動を活発化させる時期でもあり、県は引き続き注意するよう呼びかけている。

(「人手不足の集落で猟を」都会からハンター募る:岐阜)
獣害対策に手をこまねいている山村と、ワナ猟に興味を持つ都市の住民をつなぐ試み「クラウドハンター」が24、25の両日、岐阜県郡上市大和町上栗巣の山林で初開催された。東京、大阪、名古屋などから15人が参加。25日には山林内で獣道を探してワナを仕掛け、監視用のカメラを設置した。同市で里山保全事業を担うグループ「猪鹿庁いのしかちょう」の興膳健太さん(36)が「狩猟免許はあっても活動場所のないペーパーハンターや、狩猟やジビエに興味のある都会人に体験の場を提供し、高齢化で猟の人手が足りない集落を応援しよう」と考案し、先月から求人サイトで参加者を募った。千葉県白井市の会社員女性(50)は「自然体験とおいしい肉が楽しみ」と参加。初日には、ガイダンスやワナの説明を受けるなどした後、懇親会で地元住民から農作物の獣害状況を聞いた。25日は1人2個のくくりワナを持って山林に入り、ベテラン猟師から「斜面や倒木をまたぐ場所は、獣の足に体重が乗って、かかりやすい」などの説明を受けて、ワナを埋めた。ワナの近くにカメラを設置し、獣が近くを通ったり、ワナにかかったりすると、映像がリアルタイムで参加者のスマートフォンに送られる。女性は「気になって、仕事ができないかも」などと語っていた。12月9日には再び参加者が集まり、捕獲できたシカやイノシシの肉で「謝肉祭」を開く。

(動物と向き合う、最新技術)
人工知能(AI)や、あらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT」といった技術を、希少な生物の保護や有害鳥獣の駆除に役立てようという取り組みが始まっている。人が担っていた労力がかかる作業を効率化したり、負担を軽くしたりすることで、調査の充実や駆除の促進などにつなげる試みだ。農作物を荒らすイノシシなど有害鳥獣の捕獲の現場では、「IoT」技術の導入が進む。静岡県伊豆市は今春、わなの作動を長距離無線通信で通知するシステム「オリワナシステム」を導入した。市内10カ所に設置した箱わなにイノシシなどがかかると、わなに取り付けられた子機から通知が出て、市役所屋上の親機を経由して市職員のスマートフォンに届く仕組みだ。中継機を増設することで、山奥のわなからも通知が受け取れる。同市農林水産課によると、通知がないわなは後回しにするなど、見回りの負担軽減につながっている。通知があったわなにはあらかじめ複数人で向かえば、捕獲した動物を時間をかけずに市営の食肉加工場に運ぶことができ、ジビエとしての活用もしやすい。有害鳥獣の駆除を担う狩猟者や農家の減少や高齢化は全国的な課題だ。「オリワナシステム」を開発した「フォレストシー」(東京都江東区)によると、昨秋の販売開始から40以上の自治体が導入した。時田義明社長は「有害鳥獣は捕まえたいが、わなの管理が大変という声を聞く。解決するのはIoTしかないと考えた」と話す。

(加害レベル高いサルの群れは駆除:岡山)
岡山県は、ニホンザルによる農作物被害や生息範囲の拡大を受け、初めて策定する「管理計画」(2019年度から3年間)の素案をまとめた。市町村と連携し、農作物や生活環境への「加害レベル」が一定水準以上の群れは駆除する方針。

(狩猟免許合格、3年連続100人超:青森)
銃やわなを扱う狩猟免許の2018年度青森県内試験合格者数は146人で、3年連続で100人台に達したことが、県への取材で分かった。最近では女性の合格者が2桁を数え、ニホンジカやアライグマなどの鳥獣から農作物を守るために農家が免許を取得するケースも増えているという。

(猟師に女性、若者増:高知)
高知県内各地で、シカやイノシシなどの野生鳥獣被害が後を絶たない。2017年度の被害額は農業を中心に約1億8千万円。対策の要になる猟師数は右肩下がりで、高齢化も深刻だ。そんな中、狩猟免許を所持し県猟友会に所属する女性会員は101人(17年度)に達し、北海道に次いで全国で2番目に多い。40歳未満に限れば猟師人口は増加傾向で、“新しい層”の狩猟熱がじわり高まっている。

(わなの獲物、メールで通知:神奈川)
イノシシやシカによる農作物被害が増える中、捕獲用のおりに動物が入るとメールで知らせる装置の利用をNTTのグループ企業が広げようとしている。県内では秦野、伊勢原市内の農家などで利用されているという。これまで携帯電話の電波が届くエリアに限られていたのを、無線と組み合わせて携帯のつながらない山中でも使える新製品を、来春をめどに売り出す。「鳥獣わな監視装置 みまわり楽太郎」と名付けられた、NTTPCコミュニケーションズ(東京都)の装置。箱わなは、金属製のおりに餌を仕掛け、動物が入ると扉が落ちて閉まる。そばの立ち木などに装置を設置して扉とひもで結んでおく。扉が落ちるとひもが引かれて装置が作動し、わな設置者などの携帯電話にメールが届く仕組みだ。利用料金は、わなの様子を撮影した写真が一緒に届くタイプが2年間で24万円、写真なしが同13万2千円。2年経過後は更新料2万円で1年間継続利用できる。箱わなに限らず、わなを仕掛けた際は、動物がわなにかかったかどうかを毎日見回る必要がある。だが、自宅から離れたわなを毎日見回るのは体力的にも負担になるため、動物がわなにかかったことを知らせる装置が開発された。同社だけでなく、複数のメーカーが製品化しているという。同社ではさらに、携帯電話の電波が届く場所に親機を設置し、離れた山中のわなに子機を設置して親機と電波で結ぶことで、携帯電話が通じないところでも利用できる新製品を開発、来春から販売する。秦野市寺山の農業、山岸勉さん(63)は、5年ほど前から、自宅から400メートルほど離れた山林のそばに箱わなを据えて同装置を使用。「ここはイノシシにタケノコなどを掘られてしまう。2年ほど前には、たて続けに5、6頭かかったこともある。この装置で毎日見回らなくて済むようになった」と話し、監視装置の便利さを実感している様子だった。

(イノシシの目撃相次ぐ:香川)
2日夜、高松市の中心部にイノシシが3頭出没しました。けが人はいませんでした。2日午後7時40分ごろ、ことでん本町踏切付近で、電車の運転士がイノシシ3頭を線路内で見つけました。電車は徐行し、警笛を鳴らしてイノシシを追い払ったため影響はありませんでした。また、同じころに高松三越や丸亀町商店街でも相次いで体長約1メートルのイノシシが目撃されています。今のところ、イノシシによるけが人の情報はありません。

(イノシシの出没について:佐賀)
小城警察署からのお知らせです。1日午後6時ころ、小城市牛津町勝の江津ヶ里公民館付近において、体長1メートルくらいのイノシシ1頭が出没しました。

(市街地にサルが出没:愛媛)
28日松江市の市街地にサルが出没した。午前11時前、松江市学園2丁目の「にじいろ保育園」近くにあるマンションの駐車場を走り抜けるサルを日本海テレビのカメラが捉えた。サルの出没を受け松江市では、職員が急きょパトロールを行うなど対応をとった。

(アライグマが街に、警察官と対峙も:愛知)
29日午後7時すぎ、名古屋市中区新栄の繁華街に少なくとも3匹のアライグマが姿を現しました。少なくとも3匹のアライグマが現在、確認されているという。今のところ人への危害などはないというが、アライグマは気性が荒く、かまれる恐れがあるため地元の猟友会が罠を仕掛けるなどして捕獲にあたるという。

(増加するサルの農作物被害、最新のおり見学:岡山)
最新のおりでサルの被害に備えます。岡山県吉備中央町でサルから農作物を守るためのセミナーが開かれ、参加者が対策法や捕獲方法を学びました。近年増加するサルの農作物被害の防止に向けて備前県民局が初めて開いたもので、地元の農家や猟師など約70人が参加しました。岡山県吉備中央町の今年4月から10月までのサルの捕獲数は35頭で、去年の同じ時期と比べて16頭増えています。開発中の、センサーで中に入ったサルやイノシシを感知できる捕獲おりです。参加者は最新の遠隔操作を用いたおりを見学しました。

(獣害に「スーパーモンスターウルフ」を試験導入:香川)
イノシシなどによる獣害を減らそうと、香川県は音と光で野生動物を追い払う装置「スーパーモンスターウルフ」を試験導入した。「太田精器」(北海道奈井江町)が、野生動物の天敵とされたオオカミを模して2016年に開発した。その鳴き声や散弾銃の発砲音など計57種類の音声を最大90デシベルで発し、目はLED光で赤く点滅。赤外線センサーが感知すると威嚇を始める。近年、市街地近くでもイノシシによる被害が目立ってきた香川県。「えたいの知れない動物」(同社)が、文字通り目を光らせる。

(「オオカミ型ロボ」畑守る:兵庫)
オオカミ形のロボットで、農作物を荒らすイノシシを追い払う実証実験が、兵庫県淡路市で行われている。全身を毛に覆われ、動物が近づくと、赤外線センサーで感知して音を発したり、目や足元に仕込んだ発光ダイオード(LED)が点滅したりして威嚇。発する音はオオカミの鳴き声やイノシシの悲鳴、人間のおどす声など50種類以上にのぼる。ロボットは北海道の企業が開発した「スーパーモンスターウルフ」。淡路市では8月に実証実験を始めた。来年3月まで、市内の7地区に2体を置き、イノシシ撃退の効果を確かめる。ロボットの近くで農作業をしていた女性(78)は「田んぼやタマネギ畑が荒らされて困っているので、効果が上がってほしい」と話した。

(「大山ジビエ工房」完成:鳥取)
鳥取県大山町が同町羽田井に整備を進めていた獣肉解体処理施設「大山ジビエ工房」が完成し30日、現地で竣工(しゅんこう)式があった。12月1日に稼働し、年間200頭のイノシシを食肉に加工して販売。野生鳥獣肉(ジビエ)としての特産化を目指す。町内では2016年度589頭、17年度350頭のイノシシが捕獲されたが自家消費は少なく、大半は捕獲者が土に埋めて処分してきた。

(ジビエフェスタ開幕:和歌山)
農作物に被害をもたらす野生のイノシシやシカなどの肉「ジビエ」を用いた料理を提供するイベント「わかやまジビエフェスタ」が1日、県内の飲食・宿泊施設約50店舗で始まった。参加店舗の一つ、和歌山市深山の宿泊施設「休暇村紀州加太」でも早速、ジビエの美食に舌鼓を打つ人の姿がみられた。来年2月末まで。平成23年度から開催されているイベントで、今回は県内の飲食店や宿泊施設など59店舗が参加。県内で捕獲された野生のイノシシやシカ肉を提供し、各店舗では、和食からフレンチ、イタリアンまでさまざまな趣向を凝らしたメニューが並ぶ。来年1月や2月からメニューを提供する一部店舗を除く約50店舗ではこの日、イベントがスタート。休暇村紀州加太では、シカのすね肉をセロリやタマネギ、ポルチーニ茸などとともにじっくりと赤ワインで煮込んだ「鹿すね肉の赤ワイン煮込み」(1200円)を提供した。やわらかく煮込まれたシカ肉は臭みが少なく、野菜ベースでさっぱりとした煮汁に肉汁のうまみが加わり、付け合わせのパンとの相性も抜群の逸品。ジビエ料理を初めて食べたという日高川町の団体職員、古山洋子さん(30)は「クセが強い肉を想像していたけれど、すごくやわらかくクセも少なくておいしかった」と笑顔で話した。同施設では、ジビエ料理の他にも有田みかんで熊野牛のスペアリブを挟んだご当地バーガー「熊野牛・みかんバーガー」(来年2月末まで)も期間限定で販売し、話題を集めている。施設の担当者は「紀淡海峡を眺めながら和歌山の食材で和歌山の魅力をさまざまな人に感じてもらい、寒い冬に身も心も温まってほしい」と話した。

(ジビエグルメマップ:大分)
大分ジビエ振興協議会(事務局・県森との共生推進室、TEL 097-506-3876)は、イノシシやシカ肉の料理店や販売店50店を掲載した「大分ジビエグルメマップ」を作製した。県民向けに11月下旬から配布している。大分県のイノシシとシカを合わせた捕獲数は7万4724頭(2015年度調査)で、北海道(15万937頭)に次いで全国2位。県は、国が選定した17の「ジビエ利用モデル地区」の1つとして大分ジビエ振興協議会を立ち上げ、安全で良質なジビエの提供を推進している。マップ製作は事業の一環で「ジビエ県」でありながらこれまでほとんど流通してこなかったイノシシやシカの肉の利用拡大を目的としている。四つ折りA4判サイズ。表面に料理を提供する22店、裏面に肉や加工品を販売する24店とインターネット販売の4店を掲載した。各店舗の住所や電話番号を含めた基本情報と、県内での位置や詳細な地図、主なジビエ料理や販売品などを写真付きで紹介。ジビエの説明や栄養価、部位の特徴なども記した「コラム」を併載した。料理は薫製、パテ、うどん、鍋、焼き肉、カレー、ラーメンなど。販売品は生肉、ソーセージ、ハムなどの加工品。各店舗とも保健所の食肉処理業の許可を受けた食肉処理施設から仕入れた食材を使っている。県森との共生推進室によると、イノシシは赤身も脂身も味わい深く、シカは低カロリー、高タンパクで鉄分も多い。「イノシシは鍋料理などの食文化がありなじみやすいが、加熱料理の対象とされていなかったシカ肉を食べる機会はあまりなかったはず。マップを利用して店で食べたり家庭で料理したりして、ジビエの魅力を味わってほしい」と呼び掛ける。初版は3000部。11月22日から掲載店舗、森との共生推進室(県庁8階)、各地方振興局などで配布している。今後、道の駅や各種イベントなどでも配る予定。県のホームページからもダンロードできる。

(イノシシ食べるイベント:香川)
香川県東かがわ市の農産物直売所「五名ふるさとの家」で2日午前10時~午後2時、獣害対策で捕獲されたイノシシを食べるイベントが開かれる。農作物を荒らすためイノシシは駆除されており、「無駄なく命をいただこう」と開催。丸焼きの他、肉を使ったカレーライスやカレーうどんなどイノシシ尽くしとなる。

(高級カモ肉増産:青森)
農事組合法人、銀の鴨(青森県新郷村)は高級カモ肉を増産する。今夏までに同県おいらせ町から新郷村に移転拡張したところ、肉質がさらに改善したことがわかった。カモが運動しやすい設備が奏功したといい、感染症の恐れも低い立地で増産体制が整ったと判断。移転前より約10倍の年間3万羽の出荷を目指し、首都圏の高級レストランなどの需要に対応する。設備の老朽化や鳥インフルエンザのリスクも考慮し生産環境の良い場所への移転を検討していた。2年前から移転準備を開始。国の補助金やみちのく銀行の融資などをもとに約2億円をかけて今夏までに設備を完成させた。移転先は新郷村の中心から北の山あい。周囲には人家もない。畑中司代表理事は「空気と水が清浄で肥育環境は向上した。人もほとんど訪れない場所で鳥インフルエンザのリスクは低減した」と話す。おいらせ町に比べると標高も高く、カモ舎の天井も高くしたことで、カモの本能の飛ぼうとする羽ばたきが活発になり、餌の消費が増加、成長が速まったという。その結果、従来3カ月かかっていた肥育期間が2週間短縮され、肉質も従来より軟らかくなった。出荷価格も品質向上で移転前より約2倍の1羽1万円もあるという。カモはフランス原産の高級品種「バルバリー種」で、採卵から孵化(ふか)、ヒヨコから出荷できる成鳥まで一貫して肥育に関わる。独自の配合飼料を用いた肥育や、うまみを引き出す解体・熟成の独自技術で「鴨肉で重要な風味のよい」(同代表理事)カモ肉を生産している。同組合は1986年に「畑中農場」として創業。品質の向上へ注力し、創業者の畑中氏はカモ料理を食べ歩くなど研究を重ねた。1994年、皇太子ご夫妻の「ご結婚の儀」で使用されたことなどから知名度は高まったが、需要に対応できない状態が続いていた。畑中氏は「我々が出荷しているものは『作品』。店の料理法に適した高品質のカモ肉をつくっている」といい、さらに品質を高める考えだ。

(畑違いの会社員、獣害対策の誘引材開発)
列車との衝突事故や農業への被害……。増えすぎたシカによる問題の解決に、畑違いの鉄鋼建材メーカー社員が乗り出しました。午後8時すぎ、6頭ほどのシカの群れが画面に現れた。場所はJR山陽線の線路にほど近い岡山県の山中。地面に目を凝らすと、巨大なキャラメルのような物体が見える。シカたちは代わるがわる、実に7時間にわたってその物体をなめ続け、去っていった。縦と横の長さが16センチ、高さが10センチで重さ5キロ。物体の正体は、日鉄住金建材(東京)が開発した、世界初のシカ専用の誘引材「ユクル」だ。アイヌ語でシカを意味する「ユク」と「来る」を掛けて名付けた。映像が示すとおりの抜群の誘引力と愛らしい見た目が評価され、2016年度のグッドデザイン賞を受賞した。新規事業を手がける部署で開発リーダーを務めた。きっかけは10年暮れ、『シカと衝突急増 JR悲鳴』との新聞記事を目にしたことだった。増えすぎたシカが引き起こす問題。農業や林業にも大きな被害が出ていた。「商売に結びつくかは未知数だったが、現代の根深いテーマに引かれた。しかもまだ誰も解決できていない。ならば自分が一番乗りになろうと」シカが増えたとしても、線路に入らなければ事故は起きない。なぜ、線路に侵入するのか。大学教授にも10人以上あたったが疑問は解けなかった。そこで12年春から、岐阜県の山中の線路周辺に自動撮影できる赤外線カメラを15台設置。シカが何時に、どこを通って線路に入り、どれだけ滞在していたかを徹底的に記録した。

(青色ポット再利用でイノシシ撃退:群馬)
県立利根実業高校(沼田市栄町)生物生産科生物資源研究部のイノシシから農作物を守る研究が、第11回群馬銀行環境財団教育賞の高校の部で最優秀賞に選ばれた。廃材の青い園芸用樹脂製ポットを再利用した防護柵でイノシシの侵入を防ぐユニークな取り組みが評価された。同部は利根沼田地区がイノシシなどにより年間1000万円以上の被害を受けているのを受け、2010年から研究を開始。イノシシの生態や行動を学びながら、昭和村にある同校演習林で廃材のロープや軍手を使った防護柵、トウガラシ由来の刺激物などを使い、イノシシの侵入を防ぐ実験を続けてきた。15年にイノシシは目の構造上、青色を警戒すると仮説を立て、青いポットをロープに連ね、イノシシの目線と同じ地上30センチほどの高さに設置する防護柵を考案。比較のため設置した赤色ポットの柵には入ってくるものの、青色ポット柵は3年間、成獣の侵入は確認されていないという。ポット柵は電気柵や防獣フェンスに比べ、安く簡単に設置できる利点がある。同部はさまざまなイベントに参加して研究成果を発表し、関係機関に資料提供するなどしてポット柵の普及に力を入れている。利根実で開かれた授賞式には1、2年生約40人が参加。群銀沼田支店の小田川裕哉支店長から、代表の狩野志帆さんと野村泉さん(いずれも2年)に表彰状が手渡された。3年の高山七星(ななせ)さんが「大変光栄。後輩が引き継ぎ、さらに発展させてほしい」と謝辞を述べた。

(天敵でカラスを追い払え:愛媛)
カラスによるごみの散乱や糞(ふん)害に頭を悩ます松山市は、カラスの天敵・タカを活用した巡回パトロールを初めて行った。巡回は来年3月までに、日没と日の出の時間帯に約3時間ずつ8セット行い、効果を確かめる。冬場を迎えた松山市中心部の繁華街では例年、カラスによるごみの散乱や糞害が著しくなる。対策に苦慮する同市はタカ(ハリスホーク)を使う追い払い対策に着目した。日没が近づいた29日午後5時前。タカ匠歴7年の安井寛さん=兵庫県川西市=が、市役所別館の屋上からタカを放つと、周辺にカラスが徐々に集まり始め、やがて空を覆うほどに。「ガー、ガー」と鳴きながら集団でタカに接近戦を仕掛け威嚇した。しかし、タカは逃げずに泰然とやり過ごしていた。午後6時前、安井さんはタカを腕にのせ、同市二番町などの飲食店街を巡回パトロール。寝床になっている電線上のカラスを発見するとタカを放つ。その都度、カラスは逃げ、一時的な効果は実証された。翌朝はごみをあさりに来るカラス対策で巡回。カラスの多くはゴミが置いてある道路まで下りてこず、電線に止まったままで、タカを警戒しているようだった。安井さんによると、最初はカラスの縄張りにタカが存在することを、集団全体に認識させ、次に不意に襲わせることでカラスに恐怖感を抱かせ、追い払うという。松山市での1回目について、「初日でかなり良い感触を得た。効果は出ているが、繰り返しが大事」と話した。同市環境モデル都市推進課によると、冬場は1千羽以上のカラスが大群で市中心部に飛来する。毎年、市民から10~20件の苦情が寄せられる。これまでもカラスに光を当てる照射器を使ったり、ごみ集積場所のパトロールを行ったりしているが、効果は今ひとつという。「タカの活用はごみのない美しいまちづくりに向け、カラスを分散させるのがねらい。根本的な対策は、路上にごみを出す人に、バケツやネットなどでごみが荒らされないよう工夫してもらうことが大事」と市民のモラル向上を呼びかけている。

(ジビエカレーいかが:富山)
砺波市徳万の「お食事処うえの」の上野忠幸代表(53)が県産イノシシ肉を煮込んだカレーに、イノシシやシカのカツをトッピングする「ジビエカレー」など新メニューを試作した。12月7日から販売を開始する。新メニューでは、カレーの上に、サイコロ状のイノシシ肉やイノシシかシカ肉のカツを載せる。29日に同店で開いた試食会では、住民や知人らが「臭みがない」「シカ肉が柔らかくなっている」などと話した。上野さんはイノシシ鍋にシカ肉を加えた「イノシカ鍋」も試食会で提供した。メニューの開発には料理学校の総合カレッジSEO(砺波市)と砺波商工会議所が協力した。レシピのアイデアを出したSEOの瀬尾和子校長は「イノシシ肉のだし汁とカレーの味がよく合っている」と評価した。中山間地にある「うえの」は昨年、初めてイノシシ鍋とイノシシ丼、イノシシうどんを商品化した。今年はより食べやすくするため、カレーを考案した。

(クマがすめる森を:兵庫)
森林の保全や再生を目指す日本奥山学会(西宮市分銅町)の研究発表会が2日、関西学院大大学院司法研究科模擬法廷(市上ケ原一番町)であった。環境省レッドリスト2018で「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている四国のツキノワグマの現状や四国の山林の状況を研究者が発表した。7月に予定されていたが、西日本豪雨のため延期されていた。NPO法人四国自然史科学研究センター(高知県須崎市)の谷地森秀二センター長(51)が記念講演。

(狩猟テーマパークが密猟の削減に力貸す:中国)
英紙フィナンシャル・タイムズは22日、「中国の狩猟テーマパークが密猟の削減に力を貸す」とする記事を掲載した。記事によると、中国では銃の所持は禁止されているが、湖北省にある「太子山狩猟文化主題公園」では一般客にも有料で銃を貸し出し、パーク内で狩猟体験を行えるようにしている。パークを設立した劉漢民(リウ・ハンミン)さんは、「私たちは違法な狩猟行為の減少に尽力している」と話すが、動物愛護団体などから苦情や反対が来るため大規模な宣伝は行っていないという。それでも今年の建国記念日(国慶節)の大型連休には大勢の客が訪れた。中国では、国内観光は海外旅行と比べて地味な存在だった。だがマイカー保有率の上昇や、高速道路や高速鉄道のネットワークが充実するに伴い、ここ10年は2桁成長が続いている。国内観光への投資額は2020年に2兆元(約32兆6000億円)に達する見込みとなっている。パークを利用した32歳の男性は「ハンティングは初めて体験したが、とても刺激的だった」と話している。9人で2時間体験して料金は3000元(約5万円)だったという。

(単独猟で鹿を狩る:服部文祥)
山を歩くとどうしても音が出る。生命は現象だと宮沢賢治も福岡伸一も言っているが、同時にもちろん物体でもある。代謝する物体であるが故に、食べ物を求めて渉猟する。だが歩けば獲物に気取られてしまう。こちらがじっとしていれば気がつかれない。だがそれでは獲物に近づけない。誰かこっちに追い出してくれれば……、それでは巻き狩りだ。単独忍び猟で獲物を狩りたい。だが狩猟をはじめて数年は(おそらく目をギラギラとさせ過ぎていて)うまく獲物に近づけなかった。向こうから獲物を近づけさせることができないだろうか。私は鹿の足跡の多いケモノ道の交差点のようなところを同定し、待ち伏せしてみることにした。ケモノ道の交差点を見渡せるヤブの斜面に、ダウンジャケットを着込んで座り続けた。音を立てないように魔法瓶のお茶を飲み、音の出ない袋に移してあったパンを齧り、小便は膝立ちでそっとした。太陽が当たりはじめて、震えも止まり、私はいつしか眠っていた。がさがさと藪(やぶ)を踏む音で目が覚めた。半信半疑だった待ち伏せ場所に本当に大型獣がやってきたらしい。身動きせずにお腹に載せてあった銃を持ち直し、腹筋を使ってそっと体を起こした。音は左側から聞こえていた。目だけで左を見て、ゆっくり首を回した。目の隅に鹿のようなものが見えた。樹の間に立っている。心臓が高鳴る。今の体勢では撃てない。そっと体を左に向けていった。鹿が異変に気がつき、私を凝視していた。動きを止めて待っていると、鹿が目線をそらした。そっと銃を上げ、安全装置を解除した。ふたたび鹿が私を見た。引き金を引いた。銃声と同時に鹿は斜面をくだっていった。沸騰するような集中が急激に冷めていく。完全に照準が合う前に引き金を引いた自分の行動が正しかったのか自問していた。あれしか方法はなかったのか。反省しても後悔しても、もう遅い。撃ったら、(当たった自信がなくても)獲物が立っていた場所に必ず行けという小菅村の師匠の教えどおり、私は鹿が立っていた場所に向かった。待ち伏せで鹿を引き寄せられるということがわかっただけでも大きな前進だ。鹿の立っていた場所に行くと、地面を蹴った跡が残っていた。それをすこし辿(たど)ると、赤いものが目についた。紅葉した落ち葉の切れ端かと思って手を伸ばすと、柔らかく湿り気がある物体だった。よく見るまでもなく鹿の肉片だ。ふたたび頭に血がのぼった。どこかに弾が入っている。仕留めるチャンス。いや、回収するのが責任だ。足跡を追うと血も飛んでいた。焦って進んで血痕を見失い、何度も行ったり来たりした。濃い笹ヤブの中に入り、抜け出すと視界が広がった。小沢に雌の鹿がしゃがんでいた。銃を上げると鹿は斜面を登り出したが、力がなかった。私は狙いを付けて引き金を引いた。狩猟をはじめて三シーズン、私はようやく単独猟で鹿を仕留めることができた。冬の日は傾き、解体して、その日の内に下ろす時間はなかった。内臓を出し、鹿を樹に吊(つ)るして、焚火(たきび)を熾(おこ)した。仕留めた鹿の横で私は朝を待った。

(「ジビエ」需要の開拓・創出で地域の活性化へ)
11月15日から狩猟も解禁となりましたが、近年、シカやイノシシなどによる農作物への被害が増加して各地で深刻な問題となっています。一方で野生鳥獣の食肉「ジビエ」は栄養価やヘルシーさが注目され取り扱う飲食店も徐々に増えており、政府も積極的に「ジビエ」振興に取り組むなか、地域資源として地域の活性化やインバウンドを含む観光振興にも寄与するものとしても捉えられますが、現状や課題から今後の地域活性化について考えてみたいと思います。以前、伝統野菜を中心とした地域食材の取材で、「桜島大根」の生産地である鹿児島県の桜島を訪ねた際に、「この島では人口よりイノシシの頭数のほうが多いくらいの地域なので、畑が荒らされて困る」という声を。また、「京たけのこ」で有名な京都府長岡京市では、「イノシシはたけのこの良しあしを見分ける優れた臭覚があるため、美味しいたけのこが食べつくされる」という生産者の方の苦しい胸の内を聞いたことがあります。環境省によれば前年に引き続き減少傾向とはいうものの、2016年度末のニホンジカの生息頭数は約272万頭、イノシシは約89万頭です。2013年の「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」において2023年までに半減することを目標としましたが、鳥獣被害は営農意欲の減退や耕作放棄・離農の増加、さらに森林の下層植生の消失等による土壌流出、希少植物の食害、車両との衝突事故などの被害ももたらしており、数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしています。最新のデータでは鳥獣による2017年度の農作物被害について、被害金額が約164億円で前年度に比べ約8億円減少、被害面積は約5万3千haで前年度に比べ約1万2千ha減少、被害量が約47万4千tで前年に比べ約1万3千t減少しています。主要な獣種別の被害金額については、シカが約55億円で前年度に比べ約1億円減少、イノシシが約48億円で前年度に比べ約3億円減少、サルが約9億円で前年度に比べ約1億3千万円減少しているといいます。このような野生鳥獣の被害を踏まえて「鳥獣被害防止特措法」が施行されましたが、国ではこの法律により現場に最も近い行政機関である市町村が中心となって実施する野生鳥獣に対するさまざまな被害防止のための総合的な取り組みを主体的に行うことに対して必要な支援をしています。なお、全国の市町村(1,741)のうち、鳥獣による被害が認められるのは約1500で、被害防止計画が作成された市町村数は2018年4月現在で、1,479市町村に上ります。また、農作物への被害が増えるのに対して狩猟免許の所持者数は年々減少し、猟友会など猟師の高齢化も進んでいましたが、2006年を底にここ10年ほどは徐々に新規の免許取得者が増加傾向にあります。特に20代から30代の若い世代のハンターが急増して免許所持者のうち39歳未満に占める割合はこの10年で約2倍となって10%を超えてきました。早稲田大学をはじめ全国の大学にも狩猟サークルが生まれ、若手ハンターが増えているという明るい話題もあります。さて、日本で「ジビエ」といえば、シカ、イノシシ、クマ、野ウサギ、マガモ、キジなどですが、はるか昔から地方ではマタギや猟師がクマ、シカやイノシシなどを捕獲して鍋などで食べる食文化がありました。一般的に「臭い、硬い、まずい」ともいわれていましたが、「ジビエ」がフレンチやイタリアンで注目されるようになったのは1990年代半ばからで、欧州からの輸入が本格化するとともに、国産「ジビエ」を取り扱う飲食店も徐々に増えていきました。イノシシ肉は豚肉に比べ鉄分が4倍、シカ肉は高タンパク質低脂肪で鉄分も多く、栄養価やヘルシーさが注目されている食材です。野生鳥獣が田畑を荒らす農作物の被害が後を絶たず、このことが影響して離農してしまう生産者もいるほどですが、現在、政府は野生鳥獣の捕獲から処理加工までの流れを整備し、良質な「ジビエ」を供給する体制づくりを進めていますので、野生鳥獣を利用して今後、農村地域では所得向上にも寄与するものとして注目されています。「ジビエ」の消費推進に当たっては、消費者から信頼される食品であるために、流通する「ジビエ」の安全性の向上及び透明性の確保を図ることが必要ですが、農林水産省は適切な衛生管理に取り組む食肉処理施設を認証する「国産ジビエ認証」制度が2018年5月に制定され、認証を受けた処理加工施設で生産された製品に認証マークを表示するルールを規定しています。これにより安全・安心に食べられる仕組みづくりで消費拡大を図る意向です。環境省の調べではニホンジカとイノシシで年間約112万頭が自治体や猟師らによって捕獲されていますが、食用になるのは約1割にも満たないといいます。大半は活用されずに埋設や焼却されるという実態があります。少しでも多く食用として利活用されなければなりませんが、その際に必須なのが処理加工施設です。農林水産省の調査によれば、国内における野生鳥獣の処理加工施設数は2015年6月時点で、以下の35都道府県の172ヵ所です。政府はモデル地区の指定や狩猟者の育成、流通体制の確立などを目指すとともに2019年度には「ジビエ」の消費量を倍増する考えといいます。野生鳥獣を捕獲・加工し、「ジビエ」として供給することは農作物の被害を減らせると同時に、食肉の利活用により新たな収入源になる可能性もあります。「ジビエ」産業の振興・推進によって、地域での雇用や特産品、観光資源、新たな食文化の創出にもつながることが期待されています。農林水産省では、「ジビエ」利用に取り組む地域を支援するためにさまざまな施策を講じていますが、「ジビエ」に関わる事業者や地方公共団体等からの相談や問い合わせに官民連携で対応する「ワンストップ相談窓口」を2017年9月に開設したほか、「ジビエ」に関する情報を発信するWEBサイト「ジビエト」を開設し、「ジビエ」料理を提供するレストランや体験ツアーなど地域のイベント、オリジナル動画なども紹介しています。また、「ジビエ」利用の拡大に当たってはシカやイノシシの一定規模の処理頭数を確保し、食品衛生管理の徹底に取り組みつつ、捕獲から搬送・処理加工、販売がつながってビジネスとして持続できる安全で良質な「ジビエ」の安定供給を実現することが重要ですが、先導的モデルとなる取り組み等を定めたマスタープランを策定した17地区を「ジビエ利用モデル地区」として2018年3月に選定しています。なお、本格的な稼働は2019年度になるようです。モデル地区では長野市や美作地区のプランのように、一次処理することができる特装車の移動式解体処理車「ジビエカー」が導入されることで、捕獲現場付近まで駆けつけてから止め刺しを行い、直ちに処理を行うことが出来るので、肉の劣化を抑えることができるようになります。近隣に獣肉処理施設のない地域や運搬に手間かかる地域では捕獲後に廃棄されてしまうものも多いだけに、シカ、イノシシの利活用率向上が期待されます。「ジビエ」は流通体制の不備や不要な部位が多いことから豚肉などよりも高くなる価格が課題ですが、今後、消費者に対して特有の味や栄養価など「ジビエ」の価値をよりアピールしていく必要があるでしょう。最近ではフレンチやイタリアンのレストランだけでなく、居酒屋やハンバーガー店、カレー店、外食産業など「ジビエ」を使用した料理がメニュー化される例も顕著ですし、狩猟解禁の期間中に学校給食で提供される学校も増えています。また、販路や消費が増えていくなかで、安全で良質な「ジビエ」を提供していくためにも安定的な捕獲や供給とともに猟師のスキル向上も重要です。猟師が持ち込む肉質が安定しないことも大きな課題ですが、腹部を狙わないなど腕を磨くだけでなく、高度な処理技術を伝えていけるハンターの養成講座などの野生鳥獣の被害対策とは別な取り組みも強化していかなければビジネスとしては難しいものがあるかもしれません。2014年からNPO法人として活動を始め、2017年には一般社団法人化した日本ジビエ振興協会では、捕獲した野生鳥獣をおいしく安全な食肉として利用するために必要な技術や情報を周知するとともに、鳥獣被害に苦しむ地域が「ジビエ」料理の普及により活性化することを目指しているといいます。セミナーや現地視察のプログラムから成る「日本ジビエサミット」が毎年1回開催されていますが、2019年1月には徳島で行われる予定です。

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