<射撃ニュース12月>
12/28
(野生イノシシ感染83頭に:岐阜)
岐阜県は27日、同県坂祝町と同県可児市の山中で26日に見つかった野生イノシシ計2頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認された野生イノシシは83頭となった。県によると、わなにかかっているのを地元猟友会が見つけ、27日に県の検査で陽性が確定した。周辺ではこれまでにも感染した野生イノシシが発見されている。

(豚コレラ2頭目、禁猟区域を拡大:愛知)
家畜伝染病「豚コレラ」が拡大している問題で、愛知県は26日、新たに同県犬山市栗栖大平で死んでいた野生イノシシ1頭の感染を確認したと発表した。同県での感染確認は2例目。見つかったのは体長約1メートルのオスで、24日昼ごろに市に連絡があった。岐阜県境から南に約500メートルの山中で、22日に確認された1例目の発見場所から北に約9キロ。県の遺伝子検査で確定した。また、愛知県は26日、犬山市の1例目の発見場所から半径10キロ圏に入る名古屋市守山区と瀬戸市を新たに狩猟禁止区域に指定すると発表した。来年1月6日から3月15日まで。愛知県は既に、岐阜県でのイノシシの感染確認を受け、県境の犬山、春日井、小牧市を狩猟禁止区域に指定している。

(増え続けるシカ・イノシシ:山形)
県内でニホンジカの目撃件数とニホンイノシシの捕獲頭数が急増している。本県では以前、絶滅したとされていたが、絶滅のおそれがある野生生物を分類した「県レッドリスト」を今年改訂し、「絶滅種」から除外。生息数や生息地域が広がることで、生態系への悪影響、農林業や人への被害が広がると懸念されている。県みどり自然課によると、ニホンジカは、本県で大正期に捕獲されたという記録を最後に絶滅したと考えられてきた。2009年に車にはねられたとみられる死骸が見つかり、存在が確認され、その後は増加傾向にある。県外から移動してきたと推測され、15年に目撃件数が30件を超え、17年は41件、今年は11月末時点で既に66件となり、09年以降で最多となった。目撃場所は県内のほぼ全域に及ぶ。県が10~15年度の出現場所を調査したところ、周囲に森林があり、比較的平らな耕地や近くに道路、河川がある場所が多かった。以前はオスの目撃が多かったが、最近はメスも増えている。生息範囲を広げる際、最初はオスが新たな地域に侵入するといい、繁殖して頭数が増えていくことが危惧されている。これまで人への被害は報告されていないが、今年9月には鶴岡市の県道で車と衝突するなど、各地で事故も相次いでいる。生息数が増え続ければ、農林業や人への被害が拡大する恐れがあることから、県は予定を前倒しして来年度、ニホンジカの管理計画を策定したうえで、本格的な対策に乗り出すことにしている。被害がより深刻なのがイノシシだ。県園芸農業推進課によると、17年度のイノシシによる農作物被害額は約5090万円。最多のカラス(約1億1940万円)の半分ほどだが、前年度の約2630万円から倍近くになった。稲や飼料作物を食べられる被害が多い。イノシシも明治末期に県内では絶滅したと推定されていた。だが、02年に捕獲され、その後、増え続けている。捕獲頭数は15年度の230頭に対し、昨年度は888頭と約3・9倍に。今年度は11月末時点で388頭だが、イノシシの狩猟期間は3月末までと長く、これから捕獲数が多くなるという。被害対策は全国的な課題だ。農林水産省のまとめによると、17年度の被害額はシカが55億2700万円、イノシシが47億8200万円と、野生鳥獣の1、2位を占める。国は、生態系や農林業などに深刻な被害を及ぼしているニホンジカとイノシシを23年度までに半減させる目標を掲げている。「指定管理鳥獣」として、交付金を出して都道府県が行う捕獲を支援している。県は今年、哺乳類などを分類したレッドリストを改訂。ニホンジカとイノシシはこれまで「絶滅種」としていたが、生息数が増えていることなどから、保護の対象ではなくなったとして指定から外した。県は、イノシシの侵入を防ぐ電気柵の設置を補助したり、今年度から鳥獣保護区の一部でニホンジカやイノシシを狩猟できるようにしたりするなどの対策を実施してきたが、なかなか追いつかないのが現状という。県みどり自然課の担当者は「生息範囲が広がり、今まで出なかった場所に現れるなど被害が広がっている。これ以上の被害を防ぎたい」と話している。

(ニホンジカ目撃急増で対策前倒し:山形)
山形県内でニホンジカの目撃情報が急増していることから、県は2021年度までに策定するとしていた管理計画を前倒しし、19年度中に策定することを決めた。シカによる農作物被害はまだ確認されていないが、シカは食性が幅広く、繁殖力も強いため、森林の生態系に悪影響を及ぼす恐れがある。県は「被害防止に向けて早期に対応したい」(みどり自然課)と話す。県によると、県内のシカは1919年の捕獲を最後に絶滅したとされてきたが、2009年に大石田町で目撃されて以降、徐々に目撃件数が増え、今年は11月末現在で66件と過去最高となった。県内で18年9月末までの約10年間で目撃されたシカは最も多かった鶴岡市で51頭、小国町で32頭、米沢市で16頭、新庄市で14頭、尾花沢市、遊佐町で各13頭-と、主に秋田、福島、新潟各県との県境自治体に集中している。シカは県外から侵入したとみられていて、山形大などが09~12年に行った県内で交通事故死したシカの遺伝子解析調査によると、県内のシカは、北関東以西、岩手県の五葉山、宮城県の金華山などからの侵入の可能性が指摘されている。近年は小さな群れでの行動が見られる上、雌のシカの件数も増加していて、県は爆発的な増加を警戒。これまでセンサーカメラの設置や鳴き声を利用した調査を行ってきたが、個体識別や具体的な生息域の把握には至っておらず、捕獲も年に数頭にとどまっている。県は今後、専門家らでつくる県特定鳥獣保護管理検討委員会で意見を聞きながら、策定内容を詰め、20年度から計画に基づいた管理を目指す。委員会の委員を務める山形大の江成広斗准教授(野生動物管理学)は「県内でシカが多くいる地域の特定や森林への影響などを調査した上で、県民の理解を得ながら策定内容を詰めていく必要がある」と話している。

(動物との衝突急増、悩める鉄道)
シカなどの野生動物と衝突したことによる鉄道のダイヤの乱れが増えている。国土交通省によると、この10年で3・5倍。個体数の増加が背景にあり、2時間あまりで動物4頭との衝突に見舞われた路線もある。遅れや車両故障による経済的損失は大きく、鉄道各社は対策に知恵を絞っている。6月6日夜、三重県と和歌山県を結ぶJR紀勢線の遅延情報がインターネット上で話題になった。「午後6時46分、鹿が列車に当たった影響、8時14分、鹿が列車に当たった影響、8時44分、猪いのししが列車に当たった影響、9時4分、鹿が列車に当たった影響で一部の列車に遅れが発生」2時間強の間に、三重県尾鷲市など1市2町の線路上で動物4頭が4本の列車に立て続けに衝突したのだ。JR東海によると、衝突が多いエリアでは速度を落として運転しているが、事故を防ぐのは難しいという。国交省によると、全国の鉄道で動物の衝突などが原因の運休や30分以上の遅れは、昨年度616件に上った。近年増加傾向にあり、2008年度の176件から3倍超となっている。衝突する動物の多くはシカだ。環境省によると、本州以南の16年度の個体数は推定272万頭。06年度から100万頭以上増えている。急激な増加は、毎年子ども1頭を生む高い繁殖力に対し、ハンターの数が追いついていないことが理由だ。1970年度には全国に約53万人いたが、高齢化などで2015年度は約19万人に減っている。シカの生態に詳しい立正大学の須田知樹教授(野生動物学)は「生息域が拡大し、山林から人里に出てきてしまうケースが増えたと考えられる」と話す。衝突は東京都内でも発生している。立川市と奥多摩町を結ぶJR青梅線では昨年度35件あり、今年度も11月末時点で18件発生。同線は東京行きもあり、直通する通勤時間帯の中央線に遅れが出たこともある。ある鉄道会社は、衝突が引き起こすダイヤの乱れや車両の修理などで年間数千万円の損失が生じることもあると説明する。

(冬なのにクマ出没か:北海道)
夏場にクマの出没が続いた北海道島牧村で今月、再びクマの目撃や足跡の発見が相次いでいる。村が26日までに把握した出没情報は6件で、夜間の外出や野外での干し魚作りなどを控えるよう住民に警戒を呼びかけている。村によると、26日朝、大平地区の国道229号沿いの駐車場にある公共トイレ近くで、成獣とみられる幅約16センチの足跡が見つかった。付近では13、15日にも足跡が見つかった。本目地区では7日に1頭が目撃され、25日には民家脇で足跡が発見された。

(「亥」年前に大物イノシシ捕獲:岡山)
岡山県吉備中央町竹荘の山中で、農業石井保直さん(68)=同町=が体長1・6メートル、体重150キロ超の雄イノシシを捕まえた。県猟友会によると、めったにお目にかかれない大物で、来年の亥(い)年を前に話題を呼んでいる。イノシシは仲間6人と8日に行った猟で、猟犬が追い詰めたところを待ち構えていた石井さんが仕留めた。セメントを混ぜる時に使うトレーに載せて6人がかりで運搬。計量の際、最大150キロまで測定できるはかりの針は一気に振り切れたという。一般的に捕獲されるイノシシの体重は60キロ前後とされ「150キロ超は珍しい」と県猟友会。肉は仲間と分け合い、石井さんは家族3人でステーキにして味わったという。狩猟歴約50年の石井さんは「これほどの大物は初めてで、一足早く福が巡ってきた気分。脂の乗ったジューシーな肉もいただき、来年も1年間、元気に過ごせそう」と話している。

(演習場で有害鳥獣を捕獲へ:大分)
玖珠、九重両町猟友会は、陸上自衛隊日出生台演習場内で有害鳥獣を捕獲する。

(「シカには濃い口しょうゆ」害獣のわな猟伝授:群馬)
せっかく育てた農産物を畑に現れた野生のシカやイノシシに食べられる。そんな被害を減らそうと、群馬県はわなを仕掛けて害獣を捕獲する「わな猟」の普及に乗り出した。わな猟免許の取得を後押しし、捕獲の確率を上げるプロのコツも伝授。あきらめず害獣と戦う担い手を増やそうとしている。「シカをおびき寄せるにはしょうゆ、しかも最も効果があるのは濃い口です」。前橋市内の赤城山の旅館で15日に開かれたわな猟の免許取得者向け講習会。参加者はふと顔を和ませたが、すぐに真剣な様子でメモを取り始めた。こうしたシカの塩分補給は、わな猟の教科書ではなかなか学べない習性の一つだ。講師は自然環境研究センター(東京)の担当者。県の委託を受けてシカを捕獲するプロだ。器具の選び方は「人のにおいを残さないよう短時間で設置できるものを」と指導し、実際に害獣の脚をくくって捕まえるわなを見せながら、逃げられにくい置き方を示した。畑を荒らすイノシシに悩まされている前橋市大前田町の男性(64)は「どんな道具がいいのか学べてよかった。これでイノシシを捕まえられそう」と満足そうだった。わな猟の普及に県が取り組むのは害獣による農作物被害が一向に減らないからだ。県内でのシカとイノシシによる被害額は2009年度から9年連続で1億円を超える。畑を守るのに害獣を撃つ猟銃を所持するのは手間で、「自らの畑を守るためにわなを設置したい」という専守防衛派の農家も多い。そこで県は13年度からわな猟に特化した免許取得の支援を始め、17年度の取得者は過去最多の2253人にまで増えた。ただ、害獣との“知恵比べ”となるわな猟は経験に基づく独特の技術と知識が求められる。県によると、個人がわな猟で捕獲している害獣の数は、猟銃による駆除数に比べて少ないのが現状だ。今回の講座は「わなを仕掛けたが思うように捕獲できない」との声を受け、プロの技を伝承するために県が今年度初めて開催した。まずイノシシやシカなどの行動特性を知り、わなの実物を使いながら取り付け方法を学ぶという充実の内容にした。県自然環境課は「今年度からは18、19歳の免許試験の手数料5200円を無料にしており、狩猟ができる若者も育てていきたい」と話している。

(北限のニホンザル、冬季調査:青森)
下北半島に生息する国天然記念物「北限のサル」の冬季調査が、青森県むつ市の脇野沢・湯の川地区と大畑・薬研地区で30日まで続けられている。NPO法人ニホンザル・フィールドステーションが市の委託を受け、全国から研究者や学生を招いて毎年夏と冬に実施している。群れの生息エリア、個体数など基礎データを収集するのが目的で、今回も約50人が調査に協力している。報道陣には25日、脇野沢地区の瀬野川上流であった調査が公開された。「A87―a群」という群れが生息するエリアで、同NPO法人事務局長の松岡史朗さんら3人が、サルの首につけた発信器の電波をアンテナで拾いながら群れに接近した。今年5月に生まれたとみられる子ザルを背中に乗せた母ザル、繁殖行動を示すつがいなど、20匹ほどが沢を渡り移動するのが確認された。松岡さんによると、北限のサルの調査は長年にわたって行われてきた。個体数の増加で一時、ひどい食害にさらされた脇野沢地区ではモンキードッグの導入などで被害が減った。その一方、最近はむつ市中心街から3キロほど北の宮後地区で被害が出ており、「調査結果は猿害(えんがい)対策に生かせると思う」と松岡さんは話している。

(ジビエ食べてスタンプラリー:高知)
シカやイノシシなど野生の鳥獣肉(ジビエ)料理を食べてもらおうと、高知県長岡郡大豊町内の飲食店6店がスタンプラリー「おおとよジビエ」を開いている。期間は来年2月11日まで。抽選で5千円相当の町特産品セットなどが当たる。町商工会や店舗でつくる「おおとよジビエ実行委員会」の主催で、2回目。シカやイノシシの肉を使ったハンバーガーや焼き肉定食、ハンバーグ、ロースト肉など、各店の趣向を凝らした料理が楽しめる。スタンプは3、4、6個で1口応募できる。6店舗制覇して応募すると「おおとよジビエマスター認定証」がもらえる。台紙は道の駅「大杉」などで手に入る。

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12/26
(ジビエ利用27%増、食用12%増、ペットフードは2.5倍)
2017年度のシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の利用量が1629トンと、16年度比で27・0%増えたことが農林水産省の調査で分かった。健康志向の高まりに加えて、加工施設の増加が農村を悩ます野生鳥獣の有効利用につながった。だが取引単価が下がったため、販売額は約4%増にとどまっており、農村への経済的還元の拡大が課題となりそうだ。

(豚コレラ、ワクチン使用検討:岐阜)
岐阜県は25日、農家として2例目となる豚コレラが、関市の養豚場で発生したと発表した。農家での発生は9月以来となり、飼養施設では6例目。これまでの発生農場で最も飼養頭数が多く、県は同日、飼養していた約7500頭の殺処分を始めた。来年1月3日までの防疫措置の完了を目指す。豚コレラ発生の拡大を受け、農水省は、野生のイノシシに対するワクチン使用の検討に入った。発生農場は、3例目と4例目が発生した施設の搬出制限区域内(発生農場から3~10キロ)にある。同区域内の農場は、出荷する豚の遺伝子検査が義務付けられており、23日に1頭から異常が見つかった。翌24日にさらに4頭を検査したところ、25日に2頭が陽性だと分かった。殺処分は25日に始まったが、頭数が多いことから県は初めて、自衛隊の災害派遣を要請。政府は、首相官邸危機管理センターに情報連絡室を設置。関係省庁の円滑な情報共有を進める。農水省は、野生のイノシシに使うワクチンは、餌として与える海外製を検討している。これまでにこのワクチンを使った国があるとして、情報収集・分析を進める。

(イノシシ大暴れ2人けが:神奈川)
25日午前、小田原市内の住宅街の半径約1キロの範囲でイノシシの出没が相次いだ。体長は120センチ前後で、歩行中の高齢者に接触するなど2人が軽いけがを負った。市は防災無線などで注意を呼び掛けている。市環境保護課によると、同日午前9時半ごろから、同市中里のカラオケ店付近や、近隣の酒匂、国府津の各地区で相次いでイノシシが目撃された。ユーコープ国府津店付近では、70代女性の手押し車に接触し、女性が転倒。頭部に軽傷を負い、救急搬送された。午前10時すぎには国府津地区の蓮台寺で、僧侶の男性(63)が玄関先でイノシシと遭遇。引き戸を閉めたところ、イノシシが室内に侵入してきて足に軽いけがを負った。イノシシは男性が持っていたカバンを奪い、中身を物色。さらに室内の洗い場付近で数分間暴れて山林方面に逃げたという。玄関のガラスの一部が割れたほか、境内の通路にはイノシシの血が付いた足跡が点々と残っており、市はそれまでに車と衝突するなどして、負傷したとみている。小田原署には目撃情報や「ガラスが壊された」といった連絡など4件の110番通報があった。僧侶の男性は神奈川新聞の取材に「目が合ったので引き戸を閉めたら鼻先で強引に開けてきた」と驚いた様子で話していた。

(公園近くでサル出没:宮崎)
25日午前10時ごろ、宮崎市下北方町の平和台公園近くの民家にニホンザル1匹が出没し、住民の女性と駆け付けた警察官を威嚇して逃げた。午後にも同じとみられるサルが再び現れ、玄関の格子戸を激しく揺さぶるなどした。同市内では10月下旬にもサルが目撃されており、市などは注意を呼び掛けている。住民の40代女性によると、サルは庭先に座っていた。110番通報で駆け付けた警察官が追い払おうとすると、枝が折れるほど木を激しく揺さぶって逃げたという。午後1時半ごろにも現れ、玄関の中にいた女性に突進。格子戸に飛び付くと、激しく揺さぶって威嚇した。しばらく周囲をうろついて姿を消した。女性は「とにかく怖かった。公園の森にすんでいるのではないか」と話した。市フェニックス自然動物園によると、ニホンザルは興奮すると襲ってくる。遭遇した場合は、「目を合わせない」「静かに遠ざかる」「カメラやスマートフォンを向けない」などの対応が必要だという。また、「自分より弱いと分かると襲いやすいため、女性や子どもは特に注意してほしい。居着くようなら大きな音で山に追い返すなど地域ぐるみの対策や、場合によっては捕獲も必要になるのではないか」と指摘した。

(イノシシ駆除へ地域猛進:宮城)
イノシシによる農作物の被害が相次いでいる栗原市一迫大川口地区で、住民有志らが一斉にわな免許を取得し、駆除に取り組んでいる。今冬から活動を始め、既に3頭を捕獲した。地域を挙げて、わな猟に乗り出す試みは宮城県内でも極めて珍しいとみられる。メンバーは「食害に悩む他地域が『自分たちも頑張ろう』と思えるよう、実績を上げたい」と意気込む。「今回のは、かなりでかいな」「こんなのが畑に来ていたら大変だった」今月19日、同地区の民家の作業場。集まったメンバーが体長約1.5メートル、重さ90キロ超のイノシシを長机に乗せ、解体作業に取り掛かった。これまで捕獲した中で最も大きい。ナイフを扱う表情は真剣そのものだ。メンバーは46~76歳の農家や林業従事者ら14人。いずれも今秋、免許を取った。10月には全国組織の大日本猟友会に入会し栗原南支部長崎分会を組織。現在は地域内に、くくりわな約50個と箱わな5基を設置する。きっかけは農村で深刻化する農作物の被害だった。5年ほど前に確認され始めたイノシシによる被害は2016年に急増。畑の芋類や山のタケノコなどを食い荒らされる被害が相次いだ。中でも農家を悩ませたのが臭気。イノシシは田んぼに寝転がるのを好むため、稲に特有の臭いが付く。「たちが悪いことに出荷時は臭みが出ないが、炊いてから悪臭を醸すことが多い」(メンバー)。顧客から苦情が来た農家もいた。「地域を挙げてイノシシ駆除に乗り出そう」と有志数人が今春、地域の会合で提案。集落に免許取得を呼び掛けるチラシを配って回り、現在のメンバーが集まった。近くで活動する同支部一迫分会の指導を受け、獣道の見つけ方や、わなの設置ポイントの選定方法を学んだ。わな作りを担う石森博さん(70)は「最初に捕獲した時は高揚した。地域課題を解決する道が開けたと思った」と振り返る。市によると、15年に約7万円だったイノシシによる市内の農業被害額は16年に約68万円、17年は約175万円に増加。18年は11月現在、既に過去最高の約177万円に達した。市の担当者は「来年は亥(いのしし)年だが、地域では厄介者。頭が痛い」と話す。長崎分会が活動できるのは狩猟期の3月末まで。通年でわなを設置できるようになるには、一定の経験を積んで行政の許可を得る必要がある。分会では今後、できる限り早く通年で活動できるよう行政側に要望する予定だ。分会長の大内武義さん(66)は「暖かくなればイノシシはさらに活発になる。農地の荒廃は集落の荒廃につながる。主体的に活動し、農村を維持していきたい」と力を込めた。

(鳥獣被害状況:岡山)
岡山県のまとめによると、県内では2017年度に2万3010頭のイノシシが捕獲されました。これは過去最多だった前年度からは5%減りましたが、過去2番目に多い数字です。またシカやサル、カワウなどを含めた17年度の農林水産被害額は2億8947万円で、前年度に続き3億円を下回りました。いずれも狩猟者の登録が増えていることなどが要因とされています。野生生物を捕獲、処分するのは人間のエゴだという見方があります。もちろん生物多様性を守ることや、命を尊重することが大事なのは言うまでもありません。ただ、出没地域が広域化する中で保護政策に偏れば、農作物だけでなく、人にも危害が及ぶ可能性が高まります。今回のイノシシの大捕物もまた、野生生物の管理と保護のバランスをどう取るべきか改めて考えさせられるニュースでした。 

(放棄地対策、エミュー飼育:福島)
福島県北塩原村が鳥獣害や耕作放棄地の対策としてエミューの試験飼育に乗り出した。2017年度に初めて産卵に成功し、18年度はふ化に挑戦する。卵や肉、皮などほぼ全ての部位が活用できる上、観光資源にもなり得ることから、村は新たな産業の一つとして期待。今後、飼育や6次産業化ができるかを含め、検討していく。ダチョウに次ぐ世界で2番目に大きい鳥類で、成鳥で1・8メートルほどになる。気性は穏やかで、雑食。寒暖の差にも強い。村の耕作放棄地は17年度、高齢化や後継者不足などで142ヘクタールと、全農地の約2割まで増加。課題解決へ、村が16年3月に包括連携協定を結んだ東京農業大学が、飼育のノウハウを持つエミューの導入を同村に提案。猿やイノシシの追い払い効果や耕作放棄地の解消につなげる狙いがある。16年7月から雄6羽、雌6羽のひなを導入し、試験飼育を始めた。同村の江川澄子さん(71)は、作付けをしていなかった水田70アールに小屋を建て、飼育する。くず米や鶏の餌を朝晩2回与える。江川さんは「管理は餌と水をやるだけで楽。人には襲い掛かってこないし、顔もかわいいので、観光に人も来るのではないか」とみる。村は、冬の平均積雪量約2メートルの豪雪地帯だが、冬も小屋の外に出て、寒さにも強いという。エミューの卵や肉、内臓は食用になり、骨は鶏がらに似たスープが取れる。卵の殻は厚くエッグアートに、皮は高級素材の一つとして財布やバッグに、羽根はアクセサリーや寝具、衣料品に利用できる。脂肪は1羽当たり約6リットルのオイルが精製でき、スキンケア商品などに活用できるという。村は「活用法はいろいろある。新たな村の産業になれば」(農林課)と期待する。

(よさこいジビエコンテスト募集中:高知)
県内で捕獲した野生鳥獣を有効活用しようと、県はジビエを使った新商品のアイデアを募集する「よさこいジビエコンテスト」を企画した。昨年度、県内で捕獲された野生鳥獣はイノシシとシカがそれぞれ約2万頭にのぼっているが、食肉として流通しているのは2%しかない。コンテストは県がジビエを有効活用するアイデアを募集しようと初めて企画した。募集するのは「商品開発部門」と「ジビエ普及部門」で、いわゆるジビエ料理にこだわらず、角、キバ、皮を使った新商品のアイデアやジビエの普及を進めるイベントも募集している。募集期間は来年1月31日まで。

(道の駅でしし汁サービス:静岡)
浜松市天竜区大川の道の駅「天竜相津花桃の里」は2019年1月3日午前10時から、イベント「新春感謝祭」を同駅で開く。19年の干支(えと)にちなみ、地元猟師が捕獲したイノシシを入れたしし汁を来場者に無料で提供する。しし汁は、区内のジネンジョなどを食い荒らす害獣として駆除されたイノシシを利用。同道の駅によると、豊かな山の幸を食べたイノシシの肉は脂が乗って美味という。串いもや五平餅も販売する。駅職員の藤本正広さんは「しし汁で力を付けて、イノシシのように来年を駆け抜けてほしい」と話した。

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12/24
(豚コレラ、愛知でも確認:愛知)
愛知県は22日、同県犬山市で捕獲された野生イノシシ1頭が、家畜伝染病「豚(とん)コレラ」に感染していたと発表した。岐阜県内で9月以降、豚やイノシシの飼育施設のほか、野生イノシシに感染が広がっているが、愛知県内で確認されたのは初めて。愛知県によると、岐阜県可児市との境から約5キロの山中で19日、体長100センチの雌がわなに掛かっているのを地元猟友会が捕獲した。県の遺伝子検査で21日に陽性判定が出て、22日に国の検査で確定した。ウイルスの型は岐阜県内で確認されたのと同じだった。愛知県は22日までに半径10キロ以内の養豚場など3施設を立ち入り調査したが、異常はなかった。愛知県は、捕獲場所から半径10キロ以内をイノシシの調査対象区域に指定。新たに名古屋市守山区と瀬戸市で狩猟を禁止する方向で調整している。また来年1月31日までに県内の全養豚農家247件を立ち入り調査する。岐阜県内では、これまでに県や岐阜市の施設を含む5施設で感染が確認され、野生イノシシは79頭で陽性判定が出た。愛知県との県境から約100メートル、今回の捕獲場所から約7キロの山中でも見つかっている。感染拡大を受け、愛知県はイノシシの発見場所から10キロ圏内の犬山市や小牧市、春日井市で狩猟を禁止したほか、猟友会の協力で野生イノシシの捕獲検査を行っていた。

(工業団地でエゾシカ捕獲開始:北海道)
道は22日、工業団地の苫小牧東部地域(苫東)で、道内の工業地帯では初めて、特例でエゾシカの猟銃捕獲を実施した。苫東内の一部で道路を封鎖し、ハンターが車上から銃で撃つ「モバイルカリング」方式で狩猟。道が委託する鳥獣捕獲事業者「大新」(苫小牧)のハンター17人が、1週間前から牧草などで餌付けしたエゾシカを、車で約1・6キロに渡って移動しながら銃で狙い撃ち、雌1頭を捕獲した。胆振総合振興局によると、苫東は民有地でほぼ平地のため、今回は点在する段丘に向かって銃を撃てる場所を狩猟地に選定。同振興局は「安全を徹底し捕獲を進める」としている。

(有害鳥獣のみ駆除のはずが、銃声で湖岸の水鳥まで消え中止:滋賀)
滋賀県草津市が市北西部の琵琶湖近くで行った散弾銃による有害鳥獣駆除が湖岸の水鳥に影響を及ぼし、1月の駆除計画を中止したことが21日までに分かった。発砲音で、対象外の水鳥まで岸に寄りつかなくなったといい、市は「湖岸の生態系に影響があると想定できなかった」と釈明。同市はコハクチョウなど渡り鳥の飛来地として知られ、環境団体からは「慎重にしてほしい」と声が挙がっている。市農林水産課によると、市内では12~2月にかけてカラスやカルガモ、オオバンなどにムギの新芽が食べられる被害が急増している。昨年度は防除音を発する機器を3台購入して駆除実験を行ったが「効果がなかった」ため、今年初めて冬場の銃猟に乗り出した。対象は志那町や下物町など9町の田園地帯。大半が鳥獣保護区であるため県と市の許可を得た上で、県猟友会栗太支部に委託した。12月4、11、18日の3日間でカラス、カルガモ、オオバン計81羽を駆除した。だが、発砲音は湖岸で羽を休める渡り鳥を驚かせた。環境ボランティア団体「草津湖岸コハクチョウを愛する会」によると、志那町周辺の岸の水鳥が一日中、沖に逃げたままだったという。市は「湖岸の野鳥までいなくなるとは思わなかった」と認識の甘さを認め、1月に3日間予定していた銃猟の中止を決めた。実弾を使った駆除そのものを不安視する声も。オオバンが多く生息する平湖(ひらこ)(同町)は平日も釣り人が訪れており、同会の吉岡美佐子理事長(71)は「事故が起きないか心配。鳥も人も安心して過ごせる場所を守ってほしい」と話す。市は「農業被害を見過ごす訳にはいかないが、今後、実施時期や場所を検討したい」とする。

(クマ対策、「脱捕獲」へ前進:秋田)
秋田県内では昨年度、全国でも突出して多い800頭を超すクマが捕獲され、殺された。人里での相次ぐ出没や人身被害の増加が数字を押し上げた。その場しのぎの捕獲でなく、出没の原因を絶とう――。クマ対策は今年度、「脱捕獲」へと大きく変わった。「予防対策で少しでも捕獲数を減らし、個体数にダメージを与えないようにしたい」。3月の県環境審議会の自然環境部会で、県の担当者はこう話した。部会では、人とクマがすみ分ける「ゾーニング」に取り組む方針などを盛り込んだ、クマの保護管理計画の変更案が承認された。そして今年度、県は大館市や鹿角市、北秋田市などの6地区をゾーニングのモデル地区に指定した。また、市町村が人とクマとの「緩衝帯」を整備する場合、県に補助金を申請できるようにした。緩衝帯とは、下草を刈ったり木を伐採したりして見通しをよくして、クマの生息域と人の暮らす場所を分けるエリア。13日現在、湯沢市や東成瀬村など13市町村で23カ所、計53ヘクタールが整備された。県は「今年は全県でクマの出没が少なく、効果の検証はこれから」と言うが、取り組んだ地区ではクマの目撃件数や農作物被害が大幅に減っているという。やればできる、ということだろう。クマとの「すみ分け」や共生は、今に始まったテーマではない。昔のように山奥にとどまらず、餌を求めて人里に出没する「新世代」のクマ対策の必要性は、2000年代前半から全国で指摘されていた。島根県や兵庫県はいち早く、集落ぐるみの鳥獣対策を指導する専門員を配置した。今年度から秋田県でゾーニングを指導する岩手大学の青井俊樹名誉教授は「秋田では、駆除以外の対策が非常に遅れていた」と指摘する。捕獲上限などの根拠となる推定生息数の算出が、東北で唯一、目視調査だけで行われてきたのもその一つ。1千頭余とされていた生息数は、カメラを使った新しい推定方法の導入で、今年は2300頭に増えた。かつての推定生息数に従い、県内では8年間、クマの冬の狩猟が自粛されてきた。その間に猟友会の会員が高齢化し、技術が引き継がれなかったという話も聞く。県は来年度にも、鳥獣対策の専門員の導入を含め、中長期的なクマとの共生をどう進めるかを検討する場を設けたいとしている。イノシシやシカによる被害も広がり始めた。遅れを取り戻すだけでなく、鳥獣害の予防対策の最先端をめざさなければならない。

(豚コレラ、イノシシ検査施設整備:岐阜)
岐阜県内で家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染が広がっている問題で、県は21日、旧県中央家畜保健衛生所(岐阜市今嶺)を再整備して野生イノシシ専用の検査施設とするほか、防護柵の拡充や獣医師増員など計約3・5億円分の追加防疫対策を行うと明らかにした。国にも予算や人員の支援を求めていく。同日開いた県家畜伝染病防疫対策本部員会議には小里泰弘農林水産副大臣も出席、県の防疫態勢に「大きな油断があったと言わざるを得ない」と苦言。県内の養豚業界や県議会が求めるワクチン接種については「今はその段階にない。接種すると清浄化に時間を費やし、全国に影響がある」と否定的な考えを示した。県は新たな防疫対策として、監視対象12農場でチェック表を作り立ち入り検査の確認を強化。旧県中央家畜保健衛生所を野生イノシシ専用の検査施設として再整備し、豚の検査と切り離すことで人の交差による感染防止を図る。稼働開始は来年1月中旬の予定。態勢強化に伴い、獣医師25人を増員。狩猟禁止エリアでの市町村の有害鳥獣捕獲を増やすため、イノシシ1頭当たり通常の倍額の1万5千円を市町村に交付するほか、感染イノシシの移動を防ぐ防護柵を延長約32キロに設置することも決めた。会議後には、学者や獣医師らを集めた有識者会議を初めて開催。委員長の岐阜大学大学院連合獣医学研究科の浅井鉄夫教授ら委員7人と県幹部、県猟友会や県養豚協会の幹部らが意見交換した。

(鹿捕獲わなセンサー、実証実験へ:長野)
伊那市は今年度、ニホンジカなどの農林業被害対策の一環で開発を進めているわなセンサーの実証実験を新たに富県地区で始める。わなの作動を感知して無線で通知する仕組みで、わなの見回りの負担を軽減し、捕獲数の増加につなげる狙い。これまでの実験を踏まえ、さらなるセンサーの改良、実証実験を通じて実用化を目指す。市耕地林務課によると、わなセンサーは動物がわなにかかると、わなとワイヤでつながった端末の端子が外れ、携帯電話などに通知される。おりにも使うことができる。伊那市有線放送農協が運用する無線通信規格「LoRaWAN(ローラワン)」を活用。低電力で広範囲に対応できる特徴がある。わなの見回りは狩猟従事者の負担が大きく、効率化が課題だった。市はローラワンを活用して地域課題を解決するアプリの開発イベント「伊那ハッカソン」でわなセンサーのアイデアが出されたことをきっかけに昨年度、導入に向けた検討会を設置し、本格的な検討を始めた。地元猟友会の協力を受け、今年度は手良地区に30台を導入し、実証実験を実施。東京都内の企業に委託し、試作機の開発や通信状況の検証を進めてきた。同課によると、現在の試作機はイヤホンジャックに差し込んだプラグが抜けると発信する仕組みだが、プラグが折れる可能性があるため、マグネット式に改良する考えという。今回の実証実験では、富県地区を対象に105台を導入する計画。改良によってコストを抑え、量産化、実用化につなげたい考えだ。市は12月補正予算にわなセンサー実証実験業務委託料として500万円を計上。わなセンサーの製作、実証実験を含めて近く伊那市有線放送農協に発注する予定だ。同課は「わなの見回りの労力が大変なため、わなの数を増やせない現状がある。センサーの導入によって効率化し、わなの数を増やせれば捕獲数を増やすことができる」と期待している。

(「わな」にシカ、遠隔通知:長野)
公立諏訪東京理科大学(長野県茅野市)などの産官学研究グループは21日、シカなど鳥獣による農産物の食害を防ぐため、次世代の無線通信技術を活用した捕獲システムを開発し、実証試験を始めたと発表した。遠隔地で捕獲できたかどうかを確認できる。わなの状態を毎日確認する作業を軽減できる可能性があるとして、実用化を急ぐ。開発したシステムは、わなに加速度センサーが付いている。捕獲されると振動が発生するため、その情報を検知し、全地球測位システム(GPS)位置情報と合わせて送信する。発信器は「LPWA」という次世代の無線通信技術を使っており、低消費電力で長距離の送信が可能。市役所に受信機があり、インターネットを経由してパソコンや携帯電話などで確認する。

(猟期外に害獣捕獲:京都)
全国の農産地で鳥獣被害が続く中、JAグループ京都は狩猟期間以外で捕獲活動を実施し成果を上げた。被害が多いこの時期に対策を求める農家の声が強く、行政と地元住民と連携して取り組んだ。同グループは組合員による狩猟免許の取得も積極的に進めており、鳥獣対策の先行例として注目されている。鳥獣被害は深刻だ。農林水産省によると、野生鳥獣が原因の農作物の被害額は減少傾向にあるとはいえ近年、200億円前後で推移している。全体の7割はシカとイノシシ、サルが原因だ。森林の被害面積は年間約7000ヘクタール(2016年度)に達し、約8割はシカによるものとみられている。

(JR内房線、イノシシはね一部運休:千葉)
富津市萩生のJR内房線竹岡駅構内で22日午後10時半ごろ、安房鴨川発千葉行き上り電車(6両編成)が、線路に進入してきたイノシシとみられる動物をはねた。乗客らにけが人はいなかった。JR千葉支社によると、下り1本が運休し、上下4本が最大約45分遅れ、乗客およそ1200人に影響した。

(クマまだ冬眠せず:石川)
二十三日正午ごろ、小松市木場小学校から東に二百メートルほどの山林にクマがいるのを、グラウンドで野球の練習をしていた児童の保護者が見つけた。クマは体長一メートルほどで山林の中に消え、学校が市に通報した。市農林水産課によると、市内でクマが目撃されるのは九月二十日以来、三カ月ぶり。冬眠を始める時期には個体差があり、十二月になっても冬眠しないクマもいる。同課の担当者は「クマの冬眠には気温が影響する。暖冬の影響では」と話した。

(ジビエ料理体験会:福岡)
添田町落合の町立落合小学校で20日、わな猟免許や調理師資格のある地域おこし協力隊3人が5・6年生12人を対象にシカ肉のジビエ料理体験会を開いた。シカはイノシシなどと共に苗木や作物を食い荒らす有害鳥獣で、駆除が課題となっている。食肉処理施設を運営する町が駆除後の有効活用を図るジビエブランド化推進事業の一環で、初めて実施した。

(イノシシ料理味わい共生考える:山形)
山形市のフレンチレストランで来年2月9日、イノシシ肉を使ったフランス料理を食べながら人と野生動物との関係を学ぶ講座が開かれる。山形県内で捕獲数や農作物被害が急増しているイノシシについて理解を深めてもらおうと、野生動物の調査や環境教育活動を行っている「やまがたヤマネ研究会」が企画した。会場は山形市小白川町1丁目の「ダイニング ヘリアン」。小学5年生以上を対象に島根県で捕獲されたイノシシ肉を使ったシチューのパイ包み、サラダ、ノンアルコールのシャンパン、デザートを提供する。冒頭、研究会の中村夢奈代表(34)がスライドや動画を使ってイノシシの生態や行動について説明。食事を取りながら国や全国の自治体の農作物被害対策を学んだ後、県内で必要となる対応などについてグループで話し合う。講座は午前9時半からと午後1時半からの2回。それぞれ2時間で定員は15人。受講料は1人1500円。申し込みは来年1月26日まで。他に絶滅危惧種の鳥類の貴重な羽や骨を観察しながら羽標本作りを体験する講座、ジビエ(野生鳥獣肉)とハーブを使ったソーセージ作りの講座をそれぞれ2月2、16日に開催する。いずれも研究会が開催する「やまがたのいきもの学」の一環。中村代表は「イノシシは来年の干支(えと)でもある。料理を楽しんでもらいながら野生動物との関係を考えるきっかけになれば」と話す。

(イノシシの魅力、食べて知る亥年:千葉)
来年のえとのイノシシにちなんで、千葉市動物公園(若葉区)はイノシシ肉を使ったうどんや鍋を園内の飲食店で1月2、3日に限定販売する。同園は「食肉の利用が進んでいないイノシシを味わってもらうとともに、野生動物との共存を考える機会にしてほしい」と呼び掛ける。イノシシ料理は、園内3カ所で1日20~30食を限定販売する。森のレストランでは、濃いしょうゆ味のつゆにゆずをのせた「猪肉(ししにく)うどん」(800円)、中央売店では野菜たっぷりの「いのしし鍋汁」(350円)、ふれあい動物の里BBQコーナーではイノシシ肉100グラムの盛り合わせ「いのししプレート」(500円)をそれぞれ提供する。イノシシ肉は、茂原市農政課の協力を得て、駆除したイノシシ2頭(約30キロ)を使う。料理は9時半の開園から販売し、なくなり次第終了となる。

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12/21
(豚コレラ感染、イノシシが最初か:岐阜)
農林水産省は18日、岐阜県で5例が発生している豚コレラについて専門家による検討会を開き、野生のイノシシが最初に感染し、県内の養豚場などに広がったとの見解をまとめた。これまでは1例目となった養豚場が発端だった可能性が高いと説明していたが、イノシシ以外に感染経路が考えられないため、見解を変更した。1例目の養豚場では9月に感染が確認されたが、農場主からの聞き取りなどから8月上旬にはウイルスが侵入していたと分析。海外から旅行者などが違法に持ち込んだ食品に豚コレラのウイルスが含まれ、行楽地などで廃棄された食品をイノシシが食べたことで感染した可能性を指摘した。

(野生イノシシ感染78頭に:岐阜)
岐阜県は19日、同県可児市の山中で18日に見つかった野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。感染が確認された野生イノシシは78頭となった。県によると、わなにかかっているのを地元猟友会が見つけ、19日に県の遺伝子検査で陽性が確定した。発見場所は愛知県との県境から約700メートルで、周辺ではこれまでにも感染イノシシが見つかっている。

(クマ駆除態勢構築を:島根)
島根県浜田市三隅町河内の雑木林で、わなにかかったツキノワグマが暴れて猟友会会員ら3人が軽傷を負った事故で、周辺では17日も登下校時間帯に関係者が見守り活動を実施した。地元の猟友会会員からは、複数のハンターによる行動義務付けや射撃練度の向上といった、クマの駆除に向けた態勢構築を急ぐべきだといった声が相次いでいる。3人を襲った体長約1.5メートルのクマは山中に逃げており、同日も目撃情報はなかった。16日には現場から北西約3キロの同町黒沢で、雄のツキノワグマ1頭(体長1.4メートル)が、おりのわなにかかっているのが見つかり、殺処分された。島根県西部農林振興センターは別の個体とみている。

(狩猟体験で鳥獣被害知って:静岡)
伊豆市、市観光協会中伊豆支部、シダックスなどでつくる「中伊豆農山漁村振興推進協議会」は2019年2月16、17の両日、干支(えと)の「亥(いのしし)」にちなみ、観光を通じて有害鳥獣被害を学ぶ「中伊豆狩猟体験ツアー」を同市中伊豆地区などで行う。同市によると、イノシシやシカなどによる17年度の市内の農林産物被害額は4099万円に上る。ツアーは全国的にも被害が深刻化している実態を多くの人に知ってもらおうと企画した。1泊2日の日程で猟友会会員によるわなの設置や、市食肉加工施設「イズシカ問屋」を見学する。ジビエのバーベキューも楽しむ。わな設置場所を下見した同協議会事務局の園屋恵美子さん(40)は「狩猟の現場を訪れ、そもそもなぜ狩猟が必要なのかなど、人間と自然の共生を考える機会にしてほしい」と話している。

(有害鳥獣捕獲隊、駆除で成果:佐賀)
今年結成された上峰町の有害鳥獣捕獲隊が、イノシシなど農家の生活を脅かす野生動物の駆除で活躍している。これまでイノシシ10頭のほか、アライグマ、アナグマなどを捕獲。捕まえた動物は食肉処理して地域住民に味わってもらっており、食害被害に頭を悩ませていた農家などから感謝の声が上がっている。町内では、北部の鳥越地区や屋形原地区を中心にイノシシが何度も目撃されており、農作物に被害が出ていた。民家のすぐ近くで見つかることも多く、住民からは「いつかかまれそうで怖い」などと不安の声が町役場に寄せられた。また近くの運送会社では止めていたトラックの配線がかみ切られるなどの被害が発生し、損害額は数百万円に上るという。このような状況を受け、町は駆除を計画したが、以前は町内に狩猟免許保持者がおらず、町は県猟友会三養基支部に駆除を依頼していた。ただ同支部も会員の高齢化で人材の確保が厳しく、駆除が進まない状況が続いていた。このため町は、2017年度に狩猟免許取得などへ補助金制度を創設。免許取得費用や狩猟者登録の手数料、猟友会費などを全額補助するほか、狩猟に必要な猟銃の購入を半額(上限20万円)補助している。現在、この制度を使って狩猟免許を取得したのは20代~40代の町民4人。町が提携した鳥栖市のわな会社で研修を受け、イノシシなどの捕獲に取り組んでいる。捕れたイノシシは食肉処理して、被害に遭った農家などに配布。今後は町内のイベントなどで町民に味わってもらう計画で、町担当課は「おいしいイノシシを食べることを通じて有害鳥獣駆除の必要性をPRし、捕獲隊への参加を呼び掛けていきたい」としている。

(ツキノワグマ、1頭捕獲:岡山)
岡山県は18日、ツキノワグマ猟の狩猟期間(11月15日~12月14日)に、美作市内の山中で1頭が捕獲されていたことを明らかにした。

(逃走のイノシシ捕獲、通報から約8時間後:岡山)
20日午前7時半ごろ、岡山市北区平野の住宅街で、イノシシを目撃したと複数の通報が警察にあった。猟友会員らが捕獲を試みたが、イノシシは北東へ逃走。約8時間後の午後4時ごろ、付近の田んぼの中の用水路に追い込まれ、捕まったもよう。

(シカ出没、目撃相次ぐ:山梨)
甲府市によると、18日午前10時20分ごろ、甲府市地方卸売市場東側のアパートの敷地内で、作業中だった市職員がシカを発見した。付近ではシカの目撃情報が相次いで寄せられ、南甲府署の警察官と市職員が住宅街や付近の土手を探したが、発見には至っていない。シカはオスで、日曜日から市内でたびたび目撃され、近くの国母小学校は集団下校の措置をとった。甲府市は19日以降も情報が寄せられれば捜索するということで、見つけた場合はすぐに警察や市役所に連絡してほしいとしている。

(先進地知床にクマ対策学ぶ:北海道)
島牧村内の有志がクマ対策の「先進地」、オホーツク管内斜里町の知床財団を視察した報告会が19日、村生活改善センターで開かれた。村内では7月末から秋にかけ、住宅地にクマが相次いで出没。村民ら約30人が、今後も出没する可能性があるクマとどう向き合うのかを考えた。視察は11月7~9日に実施。村内の若者らで地域おこしについて考える会「しまこまき設計室」の吉沢茉耶代表(36)や村地域おこし協力隊の平岡譲さん(36)、村職員ら7人が、クマ対策を考えようと赴いた。報告会で吉沢代表は、クマ対策について「被害を出したクマを殺す目的ではなく、人に被害を及ぼさないようにするために、クマの知識を深め、地域全体が関わるようになれば」と指摘した。生ごみや干し魚を食べたクマが再び人の食物を得ようとする危険性があることから、クマを誘引しないようにする工夫が必要だと訴えた。

(奈良公園に道路横断防止柵:奈良)
シカと車の衝突事故を防ごうと、奈良県は20日、奈良市の奈良公園内に、シカが道路を横断しないための柵の設置作業をした。約2カ月間の実証実験で、事故が減るのかなどを検証する。シカの飛び出しによる事故が多発する4カ所の道路沿いに約80個の柵を設置。柵は木製で幅約2メートル。シカが跳び越えにくいよう高さは約80センチにした。周辺には東大寺や春日大社があるため景観に配慮し、格子のようなデザインを採用した。県奈良公園室によると、シカが車との接触で骨折するなどの事故が年間100件以上発生している。

(クマと共存、全国の支援で:北海道)
ヒグマにごみが荒らされないよう頑丈にした新型ごみステーションを、オホーツク管内斜里町ウトロ地区に導入しようと、知床財団がインターネットで費用を集めるクラウドファンディング(CF)を始めた。同財団職員は「知床で導入を進め『クマと人間の共存』への意識も高めたい」と話す。新型は網走市の清掃会社シティ環境と知床財団が共同開発し、鉄製で高さ130センチ、幅165センチ、奥行き90センチ。全体がメッシュ状の従来品と違い、クマが爪を引っかけられないよう全面を鉄板で覆い、亜鉛メッキでさびにも強い。押されても倒れないよう重さ約900キロのコンクリートの基礎に取り付け、開閉部のレバーは、クマの手が入らない覆いの下から操作する。CFは3日に開始し3基分の購入費と設置費に当たる160万円が目標。来年1月末までに達成すれば、町内を囲う電気柵ではクマの侵入を防ぎきれない海岸線の住宅に設置する考え。

(ジビエサミット開催:徳島)
近年、捕獲した野生鳥獣を地域資源として食肉などに活用する動きが全国的に広まっているが、さらなる利用拡大に向け捕獲個体の搬入や解体処理における衛生管理が課題となっている。イベントでは、拡大に向けた施策や衛生管理の情報、課題解決に成果を上げている各地の取組事例を紹介する。開催は来年1月24・25・26日の3日間、会場は徳島県の徳島グランヴィリオホテルなど。国産のイノシシ肉・シカ肉を使った「ジビエ料理コンテスト」や、講演・セミナー方式でソムリエの田崎真也氏による基調講演「国産ジビエの楽しみ方」などが開かれるほか各種セミナーが予定されている。

(ジビエお節、ご賞味あれ:鳥取)
「おいし猪(いの)おせち」はいかが──。来年のえと「亥(い)」に合わせ、鳥取県内の日本料理店3店舗が県産イノシシの野生鳥獣の肉(ジビエ)を使った料理を盛り込んだお節を考案し、予約受け付けを始めた。県調理師連合会「惣和会」が協力した。企画した県は「12年に1度のチャンス。高品質なイノシシ肉の魅力を発信したい」(食のみやこ推進課)と売り込む。「おいし猪(いの)とっとりジビエおせち」として売り出す。限定400個のお節を販売する鳥取市の仕出し板前亭ちくまは、イノシシ肉のミンチを、県オリジナルナガイモ品種「ねばりっこ」などとあえて焼いた「猪(いのしし)の松風」や「猪肉やわらか煮」を考案。価格は4段3万3000円など。米子市の割烹(かっぽう)きさらは、限定50個で「猪のつくね」「味噌(みそ)煮込み」入りのお節を提供する。価格は3万円(税別)から。鳥取市の四季彩かしもは、イノシシ肉のミンチをゴボウやみそなどとあえて焼いた「猪の松風」をお節に盛り込み、注文を受け付ける。価格は3万円。県は、2019年を県産イノシシのPRの1年と位置付け、1月13日~2月28日には、東京都内の鳥取・岡山のアンテナショップでも鳥取県産イノシシ肉料理の提供を計画する。県中西部の調理師団体や猟友会、自治体などで構成する、ほうきのジビエ推進協議会は、革を使ったお守り入れやカレンダーも作成し、料理と合わせて県産イノシシをアピールする。

(高校生考案の「いのししカレー」:鳥取)
倉吉市の倉吉農業高校で、生徒たちが加工した商品などを販売する「のうこう市場」が19日開かれ、新商品の「いのししカレー」が登場した。イノシシ肉が入ったレトルトカレーは、生徒たちが商品化を考えて地元のシェフや食品会社とも協力し、約2年かけて完成させた。イベントではイノシシ肉ウインナー入りのカレーパンと共に販売された。開発にあたった食品科・食品コースの生徒は、若者が食べてもおいしいと感じるように、自分たちで何度も味見をするなどして試作を繰り返したという。「いのししカレー」は来年1月下旬頃から鳥取県内のみやげもの店などで販売される予定。

(美食家たちが注目する「国産ジビエ」とは?)
狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉を意味するフランス語、ジビエ。ヨーロッパでは貴族の伝統料理として発展し、世界中の美食家たちが楽しむ高級食材として知られ、現在の日本では、鳥獣被害対策の解決のひとつとして国産のジビエが注目されています。そんな中、「国産ジビエ」をテーマに11月下旬、公益財団法人 日本食肉消費総合センター主催のもと、「ソーシャル&ヘルシー 国産ジビエ シンポジウム」が開催されました。「料理人にとってジビエはおいしいから食べるものですが、実はジビエを食すことは、捕獲した鳥獣を消費することになり、国内の鳥獣対策の面でも意義のあることです。農作物を荒らす鳥獣をおいしく食べられる食材に変えることで、獲(と)った命を無駄なくいただき、人の命の糧にすることができます」と、一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事の藤木徳彦氏は語りました。続いて、麻布大学名誉教授の押田敏雄氏が、ジビエの現状と今後の展望について講演。「鳥獣による被害は農業だけに止まりません。草地や飼料畑を荒らし、時としては家畜のエサを盗食することもあります。シカやイノシシは個体によってはヒトにも感染するような結核菌などを保有する可能性もあり、イノシシから豚へ感染する豚コレラも心配です。また被害対策には多額の費用がかかります。有害鳥獣を捕獲すること、捕獲した鳥獣がジビエとして利用拡大されることが今、求められています」ジビエ利用拡大の推進施策について講演をした農林水産省 農村振興局 農村政策部 鳥獣対策・農村環境課 鳥獣対策室長 尾室義典氏は、安全な供給、安定的な供給、そして普及に力を入れる政府の取り組みを紹介。「本年5月に国産ジビエ認証制度がスタートするとともに、安全で良質なジビエを安定供給するモデル地区も現在全国に17地区整備しているところです。日本のジビエはまだまだこれからですが、今後ますます発展するよう政府も支援しています」と、語りました。そして「話題の国産ジビエをもっと知ろう!」というテーマで行われたパネルディスカッションでは、基調講演で登壇した藤木徳彦氏に加えて、捕獲、処理、流通など各方面の有識者が参加。国産のジビエは、現在はどのような方法で捕獲されているのか、また捕獲された後、衛生面でどのような取り組みが行われているのか、さらには供給ルートにはどのようなものがあるのかなど、国産ジビエの現状を深く理解するためのトークが活発に行われました。まずは、国産ジビエの魅力と可能性についての理解を深め、食べることでおいしさを実感することが重要です。そのおいしさや食材としての魅力を家族や友人などに伝えてファンを増やすことで、国産ジビエの社会的意義が深まると言えるでしょう。

(シカの密猟犯、刑務所で「バンビ」を繰り返し見なさい:アメリカ)
ミズーリ州のデイヴィッド・ベリー・ジュニア受刑者は、禁錮1年の刑期中、最低1カ月に1回、「バンビ」を鑑賞することが義務付けられた。ベリー受刑者は今年8月、シカを殺して頭部のみを持ち帰り、その他の部分は放置したとして、家族2人と共に逮捕された。ミズーリ州で起きた密猟事件としては最大規模のものだという。ロバート・ジョージ判事はベリー受刑者に対し、不法なシカ猟に対して禁錮刑に加え、刑期中に「ウォルト・ディズニーの映画『バンビ』を2018年12月23日以前に最初の1回、それ以降は最低1カ月に1回、視聴すること」と言い渡した。1942年製作の「バンビ」は、猟師に母親を殺された子ジカのバンビを主人公とした、森の生き物たちを描いた作品だ。地元紙スプリングフィールド・ニュース・リーダーによると、この密猟事件については複数州をまたいだ捜査が数カ月間続き、受刑者と父親、弟の合計3人が逮捕された。不法に殺されたシカの総数は分かっていないが、ローレンス郡の保護区域職員アンディー・バーンズ氏によると、「数百頭」という規模になる可能性がある。ベリー受刑者は野生生物の不法殺害の罪で有罪となり、ローレンス郡刑務所に1年服役する。また、銃所持の保護観察違反でバートン郡刑務所に120日服役する。一方、父親と弟は、ミズーリ州野生生物保護委員会から狩猟免許を取り消された。

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12/17
(佐世保散弾銃乱射11年、犠牲者の冥福祈る:長崎)
8人が死傷した佐世保散弾銃乱射事件は14日、発生から11年を迎えた。現場となった佐世保市名切町のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」では、従業員が犠牲となった水泳インストラクターの女性=当時(26)=と漁網製造業の男性=当時(36)=の冥福を祈った。運営するルネサンス(東京)によると、午前9時ごろの朝礼で、従業員8人が1分間黙とうをささげた。遺族や当時を知る会員らが事件を思い出さないよう、例年通り献花台は置かなかった。現場近くに住む会員の男性(70)は「今日で11年だということは知らなかった。3年前から利用しているが、事件について思い出すことはない。当時は驚いたし、悪いニュースで佐世保の名前が全国に広まって悲しかった」と振り返った。事件は2007年12月14日夜、クラブに男=当時(37)=が侵入して散弾銃を乱射。2人が死亡し、小学生の女児を含む6人が負傷した。男は15日朝、市内の教会敷地内で散弾銃を使って自殺した。

(17年度のジビエ利用、27%増)
2017年度のシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の利用量が1629トンと、16年度比で27.0%増えたことが15日、農林水産省の調査で分かった。健康志向の高まりに加えて、加工施設の増加が農村を悩ます野生鳥獣の有効利用につながった。だが取引単価が下がったため、販売額は約4%増にとどまっており、農村への経済的還元の拡大が課題となりそうだ。畑を荒らす野生鳥獣による農作物の被害額は年間約200億円に上る。農水省はジビエ需要拡大に伴う捕獲量の増加で、農作物被害の軽減と農村の所得増の一石二鳥を狙っている。

(カモ猟の男性に散弾銃の弾当たり軽傷:茨城)
16日午前9時ごろ、茨城県笠間市福原の山林で、カモ猟をしていた同県桜川市の無職男性(70)の右太ももに、狩猟仲間で、東京都新宿区の飲食業男性(46)が撃った散弾銃の弾が当たった。軽傷で命に別条はない。笠間署は誤射とみて、詳しい状況を調べている。署によると、飲食業男性がカモに向かって撃った数発のうち、少なくとも2発が無職男性に当たった。発砲した当時、2人は50メートルほど離れていた。2人は同日午前7時ごろから、ほかの仲間3人とカモを撃ちに来ていた。

(わな外れ、クマに襲われる:島根)
15日午前9時頃、島根県浜田市三隅町の雑木林で地元の男性3人が、イノシシ用のわなにかかっていたツキノワグマ(体長約1メートル50~1メートル60)を殺処分しようとしたところ、わなが外れた。3人はクマに襲われ、けがを負った。県によると、3人のうち、地元猟友会の男性(65)が腕や足をかまれるなどして入院、浜田市の男性職員(59)と県西部農林振興センターの男性職員(57)も体をひっかかれるなどした。いずれも命に別条はないという。猟友会の男性が散弾銃を3発発射したが、クマは山へ逃げた。

(県内5例目の豚コレラ感染:岐阜)
岐阜県可児市にある岐阜県農業大学校で、豚コレラ感染が新たに確認されました。岐阜県内の飼育施設での豚コレラ感染は、これで5例目です。岐阜県によりますと、食欲が低下するなどの異常が見られた豚3頭を検査したところ、1頭の豚コレラ感染が確認されたということで、県は検査した3頭以外の10頭を殺処分した他、施設の消毒作業も行います。岐阜県内では野生のイノシシでも74頭の豚コレラ感染が確認されています。

(早期のシカ対策を:秋田)
白神山地の本県側世界遺産地域巡視員会議が14日、秋田県八峰町八森の町文化交流センターファガスで開かれ、近年目撃が相次ぐニホンジカについて、出席者から国などに被害防止の具体策を早期に講じるよう求める声が上がった。ニホンジカは11月、本県側緩衝地域としては初めて藤里町の二ツ森登山道近くで雄1頭が確認された。環境省東北地方環境事務所は、青森県西目屋村で6月に幼獣1頭が撮影された点を挙げ、「近くに繁殖地があるとみて警戒している。遺産地域周辺で満遍なく確認されている状況だ」と説明した。

(クマとのすみ分けはかる「ゾーニング」が効果:秋田)
人とクマのすみ分けを図る「ゾーニング」が効果を上げている。相次ぐクマの人里への出没を防ごうと、県は今年度、モデル6地区を指定。来年度はさらに増やしたい考えだが、取り組みには地区の住民全体の理解が欠かせない。ゾーニングには、電気柵の導入のほか、木の伐採や下草の刈り払いで見通しをよくし、クマの生息域と人の暮らす場所を隔てる「緩衝帯」の整備、クマのエサとなる果樹などの誘引物の除去といった出没の予防対策などがある。そのうち、電気柵の導入で成果を上げているのが大館市の中山地区だ。地区はリンゴや梨などの果樹栽培が盛んで、集落の大半が専業農家だが、近年、クマによる食害に悩まされていた。自治会長の石垣勝敏さん(69)によると、被害が出始めたのは10年ほど前。クマは果実だけを食べるカラスなどと違い、枝を折るために影響が大きい。夜間に畑にラジオの音を流すなどの対策を試みたが、効果はなかった。猟友会に有害駆除を依頼したが、捕獲数は少なかった。そうした中、地区のある農家が昨年、初めて電気柵を導入。周囲の畑に大きな被害が出る中、被害ゼロの成果を上げた。そこに市が今年度、電気柵を導入する農家に10万円を上限に半額の補助を始めたことで、地区のほとんどの農家が導入。「ほぼ100%の効果が出ている」という。計160アールでリンゴ、梨を栽培する石垣さんは、電気柵の導入に14万円かかったが、半額の7万円の補助を受けた。「クマに枝が折られれば、再び収入を上げるまでに4、5年かかる。これで被害がなくなれば安い」。また、これまでは畑に入る度に爆竹を鳴らすなどクマへの恐怖を感じていたが、「落ち着いて農作業ができるようになった」と話す。こうした取り組みを後押ししようと、県は今年度、中山地区のほか、鹿角市、北秋田市などの計6地区をゾーニングのモデル地区に指定した。モデル地区には、対策をアドバイスする専門家を派遣。専門家と地域住民が、ともにクマの出没原因を調べて対策を検討し、計画を立て、自治体が補助金の紹介などをして計画の実現を後押しする。今年度、モデル地区に派遣された岩手大学の青井俊樹名誉教授(野生動物管理学)は「『最も効果的な対策は駆除』という誤った考えは、まだ主流。なぜ被害が出るか知ったうえで元を断つことが、被害対策やその継続につながる」と話す。ゾーニングを行うには、地区の住民全体の理解が欠かせない。「緩衝帯」を設けるには、一定の範囲を刈り払いしないといけない。耕作放棄地の管理も必要だ。個人宅の果樹の木が誘引物になっていることもある。木を切るには、持ち主の同意がいる。県は来年度、モデル地区を拡大したい考えだが、ゾーニングの実践に積極的な地区はまだ少ない。担当者は「高齢化や過疎化が進む中、自分の集落は自分で守るという意識を、どう醸成するかが課題」と話す。

(はぐれザル、住宅地に迷い込む:秋田)
秋田県仙北市の神代地区や白岩地区の住宅地で今月6日以降、サル1匹の目撃情報が約20件相次ぎ市に寄せられた。被害は確認されていない。市によると、6日に同市田沢湖卒田の国道46号沿いに座っている姿が目撃され、10~12日には住宅地で道路を歩いたり、木を登ったりしている姿が目撃された。いずれも1匹で、同じサルとみられるという。市は「もし現れても餌をやったり、むやみに近づいたりしないでほしい」と注意喚起している。

(「獣害」価値に転換を:兵庫)
野生動物により、人や農産物などに被害が出る獣害を「害」と捉えず、地域課題とともに解決して活性化に結びつけ、新しい価値化を考える初めての「獣がいフォーラム~多様な担い手が未来を創る」が14、15の両日、篠山市黒岡の篠山市民センターで開かれた。篠山市や市猟友会、丹波農林振興事務所などでつくる実行委が主催。初日は市内外から約200人が参加した。

(狩りする乙女、増殖中)
女性のハンターが増えているという。ジビエがブームになり、狩猟を題材にした漫画も登場。興味を持つ機会は広がっても、動物の命を奪う行為にはある種の厳しさが伴う。彼女たちは猟に何を求めるのだろうか。新米女性ハンターの猟に同行した。都内のスポーツジムで働く渡辺優衣さん(25)は昨年から猟を始めた。11月下旬の休日が、この猟期2回目の出猟日だ。まだ薄暗い早朝から支度にとりかかった。「銃の所持許可証、弾は……」。装備を1つずつ確認し、仲間との集合場所へ。猟場は茨城県土浦市の山林。5人のチームでキジを狙う。犬をやぶに放ち、キジが飛び立つのを待った。「出たぞ」。高野隆さん(68)が叫ぶ。渡辺さんの表情から笑顔が消えた。続けざまに数発の銃声。外した。キジが飛び去っていく。この間わずか数秒。周辺には民家や農作業する人もいる。「悔しいけど安全第一。深追いはしない」高野さんは渡辺さんの「師匠役」。昨年の初出猟以来、送迎や技術指導を引き受けている。「これ、何の葉か分かるか」「犬に付いてないと獲物撃てないぞ」。ほかのメンバーも渡辺さんに猟のあれこれを教えていた。犬も含めた仲間との連携、奥山に分け入るイノシシ猟で交わす無線の声、肉を分け合うときの充実感。仕事でもスポーツでも味わえない非日常が猟場にはある。渡辺さんは「仲間との一体感が大きな魅力」と話す。狩猟免許と銃の所持許可を取得しても先導者なしで猟を始めることは難しい。「丁寧に指導してくれる高野さんが居なかったら、猟をここまで好きにならなかった」。渡辺さんの場合、弾の購入などで通っている銃砲店で働く高野さんに弟子入り。同行する猟場で少しずつ仲間を増やしてきた。狩猟にはときに「残酷だ」とする視線も向けられる。自分の手で生き物を捕り、食べる――。意識するしないにかかわらず狩猟とは命と向き合う行為である。だから、渡辺さんは「ただの遊びだとは考えていない」。狩猟者は40年前の4割程度まで減り、高齢化も進む。一方で野生鳥獣による農作物や人への被害は増加。狩猟界の担い手として女性を取り込む動きが各地で活発だ。石川県に本拠を置く「狩女の会」では北海道から鹿児島県まで47人の女性が活動中。代表の長田富士子さん(48)が「女性が猟をしやすい環境をつくりたい」と2016年に設立した。和歌山県猟友会も10月、女性部を立ち上げた。北詰俊三事務局長は「ハンターの減少は深刻な問題。女性に興味を持ってもらえるよう取り組んでいく」と意気込む。クレー射撃を始めたころ、猟をするつもりはなかった渡辺さん。今は「もっと深く猟のことを知りたい」と考えている。猟場でイノシシやシカの被害に悩む人たちを初めて目の当たりにし「少しでも助けになりたい」という使命感も芽生えてきた。都会で働く若い女性と山野を知り尽くした老練のハンター。狩猟を介したちょっと不思議な人間関係は今後、もっと広がっていくかもしれない。2015年度時点の狩猟免許所持者は19万人で、女性はこのうち4千人。全体の2%程度にとどまり、数としてはまだ少ないものの、05年度の1200人からは大幅に増えている。ただ、狩猟の現場では「女性が増えている実感がない」と語る人が少なくない。免許取得後も銃の所持許可は別に取る必要があり、警察の審査は非常に厳しい。また、銃を使わないワナ猟も含め、土地勘と経験を持つ指導者に出会えないことも出猟への間口をせばめている。大日本猟友会の浅野能昭・専務理事は「免許を取ったものの実際に出猟するにはどうしたらよいか分からないという人は多い」と話す。同会ではハンターになるまでの過程を紹介するホームページを開設するなど、女性ハンターの支援に力を入れている。

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