<射撃ニュース1月>

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(農作物の鳥獣被害、4年連続減少)
農林水産省がまとめた2016年度の野生鳥獣による農作物被害は、前年度より5億円少ない172億円だった。減少は4年連続。調査を始めた1999年度以降で最も少なく、ピークだった10年度(239億円)より3割減った。農水省は、駆除や防護柵の設置などが一定の効果を上げたとみている。被害額が多いのは、シカ56億円、イノシシ51億円、カラス16億円、サル10億円など。都道府県別では、北海道の44億円、福岡の7億円、長野の6億円などが多かった。西日本は前年度を下回る府県が多かったが、東北や関東では増えた都県も目立った。北海道や宮崎は被害額が前年度より1億円以上減った。エゾシカの被害が大きい北海道は毎年度、10万頭以上を捕獲し、16年度の推定生息数は10年度の約3分の2にまで減ったという。農地を囲む防護柵は、農水省の補助金で設置された分だけで、16年度までに全国で地球1・7周分、約6万7千キロにおよんでいる。
(住宅街にクマ出没:青森)
むつ市仲町の住宅街に19日夜、クマ1頭が出没した。クマは体長約1mで県道を横断し近くの資材置き場に入った。雪上には住宅の方に向かってクマの足跡が続いていた。これまでのところクマは見つかっていない。むつ市や警察が注意を呼びかけている。
(サル被害急減、対策奏功:福岡)
ニホンザルによる農作物被害に悩む小倉南区で、サルの目撃件数が2017年12月時点までに26件と、多かった14年の2割程度(同月比)に減っている。行政と住民らが検討会を開き、連携して被害防止に取り組んでいることが奏功したとみられる。一方、サルの生態に詳しい専門家は群れが一時的に減っても、個体数が増える可能性を指摘する。「久しぶりにクリを出荷できました」。同区呼野の農家、下沢繁道さん(68)は顔をほころばせた。下沢さんは副業でクリを栽培しているが、これまで9月初旬になるわせのクリの被害が集中。7年前から、わせのクリは全てサルに食べられてきた。ところが昨年9月は被害はゼロ。約300キロを出荷した。小倉南区役所などによると、同区では10年ほど前から隣接する香春町などを回遊するとみられるサルによる被害が目立つようになり、タマネギやトウモロコシを食べられるなどの被害が出ている。被害を受け、北九州市は13年にサルの生態に詳しい大学教授や地元住民8人で構成する検討会議を発足し、対策に乗り出した。助言を受けて捕獲したメスザルに発信器を装着し、動きを監視。さらに嘱託の“パトロール”職員一人が同区内を巡回。発見次第、花火で追い払ったり、サルの出没場所などを住民にメールで知らせ、追い払いの協力を仰いだりしている。その結果、同年実施した調査では推定約130匹の群れが現在は分裂、50匹と20匹のそれぞれの群れに落ち着いた。17年度はサルの目撃件数も減少した。17年4~12月の累計は26件で、前年度の69件から急減。12月時点で最も多かった14年度の106件に比べると2割程度の水準にとどまっている。市鳥獣被害対策課によると、ピーク時の13年度に150万8千円だった農業被害額も17年度は最低になる見通し。同課は、花火の追い払いでサルが人里を敬遠するようになったほか「山の食物だけで暮らしていける個体数に落ち着いたのではないか」と分析する。一方で、サルの生態に詳しい山口県下関市の梅光学院大の田中俊明教授(動物行動学)は「一時的にサルの個体数が減っても、群れが分裂してかえって増えたり、数頭のグループが多数できてゲリラ的に集落を襲ったりする例もある。今後も監視や追い払いが必要だ」と指摘している。
(鳥獣目撃情報アプリ運用半年:長野)
岡谷市は、昨年6月から試験運用を始めた「鳥獣目撃情報アプリ」に、市民から寄せられた動物の目撃数などの状況を初めてまとめた。同11月までの約半年で77件の投稿があり、カモシカが最も多かった。農作物被害が報告されているほか、民家近くで目撃されていることが分かった。市は情報を農作物の被害防止や住民の安全確保に役立ててもらいたい考えだ。同アプリは、野生鳥獣を見掛けた場合、スマートフォンなどで動物の種類、場所、日時などの情報を投稿してもらい、地理情報システムを使って地図上に表示する仕組み。現在地が分からなくてもGPS(全地球測位システム)の機能を利用すれば自動的に場所が特定され、情報を共有することができる。市農林水産課のまとめによると、目撃された動物はカモシカが26件で最も多く、次いでサルが22件、小動物(タヌキやキツネ、ハクビシンなど)が9件、その他の動物(ヘビや鳥類)が7件、イノシシが6件、シカが5件など。地区別では、川岸が33件、岡谷が27件、湊が5件、長地が3件、近隣などの市外が9件だった。農作物被害は17件あった。同課は「民家に近い場所でのサルとカモシカの目撃が多い状況」とし、目撃した場合は同課へ連絡するよう求めている。また、併せて市のホームページで公開した地図には被害箇所の半径500メートル以内の地域を円で囲ってあり、特に川岸地区の夏明、新倉の付近の人は注意するよう呼び掛けている。同課はこれらの情報を活用して被害防止に役立てることを期待。「効果的な防除対策や見積もりについても相談してもらえれば。獣害対策の補助もあるので活用してほしい」としている。同アプリについては来年度から本格運用していきたい考えで、これまでの投稿数などから「一定の関心があることが分かった」(同課)と手応えを感じている。
(イノシシ被害根絶「兵糧攻め」:神奈川)
イノシシなどを寄せ付けない農地づくりに向け、専門家や地域住民と対策に取り組んでいる大磯町は13日、今年度の対策地区である虫窪と黒岩、西久保の住民らと虫窪老人憩の家で被害防止に向けた話し合いを行った。町では、元近畿中国四国農業研究センターの井上雅央さん(68)を迎えた講習会を2015年度から開催。虫窪など3地区でも昨年6月から、営農家らが電気柵の正しい設置方法などについて実践と座学を通して知識を深めてきた。最終回となったこの日は、県の鳥獣被害対策支援センターが昨年11月にドローンで撮影した画像を使い、地区に分かれて食害の発生地点やイノシシの侵入経路などを確認した。井上さんは、防風樹ややぶを刈り込んで見通しを良くし、イノシシの潜み場をなくす▽落下した果実や不要な収穫物などを放置しない、などの「鉄則」を再度呼び掛けた。参加住民は、夜間しか電気柵に通電していなかったり、収穫後の畑から柵を外してしまったりする人がいることなど、改善すべき問題点を発表し合った。「地域ぐるみの意識改革が必要だ」「電気柵に使う乾電池の交換費用もばかにならない。町で補助してもらえないものか」など、今後の活動に向けた意見や要望も相次いだ。井上さんは、罠を仕掛けて捕獲するよりも餌場の根絶が重要であると強調。「イノシシは食えないところには住めない。根気強い兵糧攻めを続ければ、イノシシは寄り付かなくなる」と言葉に力を込めた。
(100頭のモンキードッグを訓練:長野)
鳥獣害対策の一策として話題性の高い“モンキードッグ”。慣用句の「犬猿の仲」をまさに狙った対策で、田畑の農作物を荒らすサルを追い払うよう訓練された犬のことだ。農水省によると、全国57市町村で338頭(2015年度)が活躍しているという。「サルを見たら、飼い犬がほえたてて追い払ってくれた」という被害農家の声をヒントに2005年、長野県大町市が全国で初めて事業化した。飼い主からの手挙げ方式で犬の訓練を訓練所に業務委託(訓練費の5分の4を負担)し、これまでに36頭を認定。現在も24頭が現役で、今やモンキードッグは地域を守ってくれる心強い存在だ。
(フン害ハト対策に鷹匠出番:愛知)
長年、ハトのフン害に悩まされている名古屋・栄のオアシス21で十九日、天敵のタカを使ったハトの追い払いが始まった。三月まで週に一、二回、試験的に実施して効果を見る。市によると、市内の都市公園では初めての試み。オアシス21では二〇〇二年の開業当初から、大屋根の「水の宇宙船」の鉄骨にハトが営巣。鉄骨の一部がフンで黒ずみ、景観を損ねているだけでなく腐食の懸念もあることなどから、指定管理する栄公園振興(名古屋市東区)が対策を検討してきた。防鳥ネットなども候補だったが、景観や費用面からタカに白羽の矢が立った。今回は、関西を中心にタカによる野鳥駆除を担うグリーンフィールド中部営業所(岐阜県瑞穂市、本社・大阪市)の鷹匠(たかじょう)佐藤稔さん(49)とタカの粋(すい)=雄、四歳=が担当。佐藤さんが鉄骨に向かって粋を放つと、近くにいたハトやカラスが一目散に空へ逃げていった。佐藤さんはオアシス21について「鉄骨が入り組む構造で、雨風を避けられ、餌をやる人もいる。ハトにとってはとても住みやすい環境」と分析。「難しい現場だが、カラスもかなり騒いでいたのでインパクトはあったと思う」と話した。栄公園振興の担当者は「ハトがいなくなり、よりフォトジェニックで快適に過ごしてもらえる施設になれば」と期待を寄せる。グリーンフィールド社によると、ハトは敵がいなくなるとすぐに元の場所に戻るため、定期的にタカを飛ばす必要がある。タカは人を怖がるため、これまで人を襲ったり、ぶつかったりしたことはないという。同社は一四年度から三重県伊賀市の市営住宅でもハトの追い払いを実施。市によると、一年足らずでハトの数は十分の一以下になった。
(「日本の山とシカ問題」、日本山岳遺産サミット)
山と溪谷社が2010年に立ち上げた「日本山岳遺産基金」では、企業・団体・個人からの寄付を元に、未来に残したい日本の豊かな自然環境や、人と自然の関わりを有する山岳地域を「日本山岳遺産」として認定し、環境保全活動や次世代育成活動を行う団体に対して助成を行っている。また年に一度、「日本山岳遺産サミット」を開催し、当年度の基金の活動の紹介、「日本山岳遺産」認定地の発表、認定団体の活動を紹介するとともに、講師を招き自然環境保護をテーマにした講演を行っている。来る2月25日(日)に行われる「第8回 日本山岳遺産サミット」では、2017年度の全国6箇所の山岳遺産認定地・認定団体の活動紹介に加え、ニホンジカ研究の第一人者である高槻成紀先生をお迎えし、「日本の山とシカ問題」と題した特別講演を行う。
(ハンター案内で山歩き:石川)
ハンターの案内で山を歩き、狩猟に親しむ体験会が二十一日、白山市木滑新の集会所と周辺であり、県内の男女十五人が参加した。県が有害鳥獣捕獲を担う狩猟者の役割や仕事をPRしようと企画した。県猟友会白山支部の沢田昌幸さん(71)らメンバー三人、白山麓で獣肉解体などに取り組む「山立(やまだち)会」の有本勲代表(34)が講師になり、集会所近くにある山を案内した。参加者はかんじきを履いて雪上を歩き、イノシシやウサギなどさまざまな動物の足跡を探した。散策後は集会所に戻り、県内で捕獲したイノシシやシカの肉を味わった。沢田さんは「どんな動物の足跡で、新しいかどうか、どの方向に向かっているか、しっかり観察するのが大切」と説明。「解体や山歩きは思ったよりも時間がかかるので、普段から非常食のチョコレート、懐中電灯などを携帯している。山には自己責任で入るように」と注意を促した。二月十八日にも同様の体験会が宝達志水町である。
(「ジビエサミット」:熊本)
鳥獣駆除に取り組む農家が今後の課題や対策を話し合う「ジビエサミット」が熊本市で開かれた。熊本県が開いたジビエサミットにはおよそ100人が参加してイノシシを捕獲する罠の設置方法や、エサのまき方を学んだ。シンポジウムでは、「わな猟」の免許を持つ高森高校3年の野尻岬さんが「給食のメニューにすればジビエ料理への抵抗感もなくなるのでは」と話した。会場ではイノシシ肉がふるまわれ、ジビエ料理の味を確かめていた。
(ジビエ、PRフェア:奈良)
県産の猪肉や鹿肉などの野生獣肉を紹介するイベント「ならジビエPRフェア」が21日、橿原市のイオンモール橿原で開かれた。県は増えすぎた野生のシカやイノシシを捕獲、食肉加工をして「ならジビエ」としてブランド化する取り組みを行っていて、県民に広く知ってもらおうと、PRフェアが企画された。県によると、県内では、食品衛生法などを順守し、安心・安全にジビエを提供している飲食店が23店舗あるといい、担当者は「『ジビエ』というものを認知してもらい、まず一口食べてもらうことが大切」と話す。フェアでは、橿原市内のフランス料理店「ImagamI」が県内で獲れた猪肉のローストと鹿肉のソースをふんだんにはさんだ「ジビエサンド」を、五條市は柿やジビエを使った「ジビエカレー」を、それぞれ150食振る舞った。橿原市の会社員、西良美さん(56)は「シカ肉を食べるイメージがなかったが、くせがなくとてもおいしかった。またレストランでジビエに挑戦してみたい」と話していた。
(イノシシ料理満喫の1カ月:福岡)
野生鳥獣を食材とするジビエ料理を広めようと、八女商工会議所が2月1日から「八女ジビエマンス」を開催する。28日までの期間中、八女産のイノシシを使った料理を八女、久留米両市の飲食店で味わうことができる。イベントは2013年に「ジビエウイーク」として始まり、6回目。八女市の8店舗と久留米市の5店舗が参加し、イノシシ肉加工販売の「八女ジビエ」が食材を提供する。ボタン鍋、焼き肉、ラザニア…。メニューは各店が特別考案。価格は860~2160円(税込み)。「イノシシ肉はクセがあると敬遠されがちだが、しっかりと下処理し、一流のシェフが調理すれば柔らかくて甘くなる」と担当者。「ジビエのおいしさを知ってほしい」とPRする。
(ジビエであったまろ:京都)
野生の鹿やイノシシの肉「ジビエ」を食材に使った鍋、フレンチなどを提供する「森の京都ジビエフェア」が20日、府北中部6市町の47店で始まる。観光施設や駅などでパンフレットを配っており、2月18日まで「冬のジビエ料理」で地域の魅力を発信する。ヘルシーな食材として注目を集める鹿や丹波地域の特産として知られるイノシシをPRし、地域の活性化につなげようと、府などが企画。肉は府中丹広域振興局が定めた衛生管理基準を満たした施設で加工された「京都中丹認証ジビエ」などを使っている。亀岡、南丹、京丹波、福知山、綾部、舞鶴6市町の飲食店が、名物の「ぼたん鍋」や「もみじ御膳」、炭火焼き、シチュー、カレーなどを用意。丹波栗や地元産野菜、チーズと組み合わせるなど、工夫を凝らした料理も登場する。
(サルはなぜ山を下りる?)
室山泰之著。野生動物が農地にやってきて作物を食い荒らす被害が全国的に問題になっている。本書はニホンザルを取り上げ、被害発生のメカニズムと、人間と動物が共生する方法を考察する。対策の主体はあくまで農家自身でなくてはならず、行政は科学的な根拠に基づく支援をせよというのが著者の主張だ。問題を放置すれば市街地での野生動物の出現が常態化する恐れもあるとして、都市住民も関心を持つべきだと説く。
(猪は驚くほど速く鋭い「気取(けど)られたら負け」)
先日、サンケイスポーツ(東京版)にヤクルトの新人合同自主トレの話題が掲載された。ドラフト4位・塩見外野手(JX-ENEOS)が帝京大時代に野球部の練習場が神奈川・相模原市内の山間部にあり、「昼休みに野生の猪を追い回していた」というもので、いかに足が速いのかを伝える記事だった。ただ「卒業までに捕まえることはできなかった…」というオチはつくのだが、当然だ。猪は驚くほど速い。先日、100キロ級の猪を逃した話を書いたが、その逃げ足は想像を絶する。ベテランのIさんも「走ってる獣なんか、そうそう狙ってあたるもんじゃないよ」という。われわれのグループは今季、まだ猪を捕獲できていなかった。1月14日、いつもの山から少し外れたポイント。ほどなくして、無線にOさんの声が飛び込んできた。「狙ったんだけどよ、横っ飛びで走り去っていきやがった」「血のり(血痕)はねえか?」「多少あるみたい、ちょっと追いかけてみる」鹿は体のどこかに当たれば、大抵は倒れる。しかし猪は固い皮に覆われ、その下には分厚い脂肪をたくわえている。前足を貫通しても走り去ったヤツもいると聞く。数分後、別のハンターの声で「こっちに倒れていますよ」と連絡が入る。射撃地点から数十メートル離れた地点で息絶えていた。腹部に1発くらっているが、射手の前から走り去ったほどの生命力を改めて感じる。40キロほどの雌、これが今季グループの猟で獲れた最初の猪だった。この日は雄鹿と1頭ずつ。しかし、新人猟師は残念ながら、また捕らえられなかった。「動物ってのは人間とは比べものにならないくらい鋭いんだよ。“いた”と思って首を回したらもう“気取(けど)られる”んだ。そうなったら負け。力んで構えて“いただいた”と思うときほど逃げられる。ボーッと待っているときの方が獲れる確率は高いかな」Hさんの経験談は、いつも勉強になる。確かに…。これまで何度か獣に出くわし、目があったが逃げられる。銃を構えたとたんに走り出す。「撃ちたい…」。多分、新人猟師はそんなオーラを出しまくっているのかもしれない。それじゃ、獣に“気取られる”わけだ。

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(弘前でクレー射撃、25年青森国体:青森)
2025年に本県で開催される第80回国民体育大会に向けた県準備委員会の第3常任委員会が15日、青森市内で開かれた。競技会場地市町村第2次選定状況が示され、弘前市でクレー射撃を実施するなど7競技について開催予定地が内定した。第2次選定までに、毎年実施の正式競技36競技、隔年実施のクレー射撃、特別競技の高校野球の計38競技のうち、33競技の開催地が内定。競技の開催地は19年度の中央競技団体による視察を経て正式決定する見込み。クレー射撃は弘前市の弘前クレー射撃場に内定。
(求むキョン捕獲人、県が任期付き職員募集:千葉)
県南部で増加している特定外来生物「キョン」の被害を食い止めようと、県は民間から捕獲の専門家を採用する。イノシシやニホンジカなどの有害獣を管理・捕獲する人材と合わせて、三年間の任期付き職員を一人ずつ、二十六日まで募集する。獣害対策で専門職員を雇うのは、二〇一六年度のカミツキガメに次ぐ。副課長より低い副主幹級以下の職位で、今年四月からの任用を予定する。キョンはシカの仲間で、中国や台湾に生息。県自然保護課によると、かつて勝浦市にあった動植物園から逃げ出し、野生化したとみられる。一五年度末で推定五万匹弱が生息。〇七年度の三千四百匹と比べて十五倍ほどに急増した。農業被害のほか、花壇の花を食べられた、鳴き声がうるさいといった生活被害が出ている。県は一七年度から定点カメラの設置や、捕らえたキョンの首に衛星利用測位システム(GPS)を取り付け、行動パターンを調査するなどの対策を開始。さらに捕獲技術を確立するため、大学などでほ乳類について学んだ人材を求める。イノシシの農業被害は一六年度で二億五千七百万円。被害対策の人材育成や普及活動、地域と一体となって取り組みを進めるコーディネーターを募る。
(イノシシ被害、列島を北上:秋田)
イノシシが日本列島を北上している。これまでは西日本や関東などで深刻な農業被害が起きてきたが、冬を越せずイノシシが生息できないとされていた東北北部でも被害が出てきた。最前線の秋田県では、この数年で被害や目撃情報が北部にも広がっている。しかし、対策は難しいのが実情だ。「クマ、タヌキはよく見かけるけど、イノシシは初めて。また来るべか」秋田県北部、北秋田市の山あいの集落。昨年5月下旬にジャガイモ畑を荒らされた女性(77)は不安がる。初めはニホンカモシカの被害と思ったが、足跡からイノシシとわかった。農林水産省などによると、イノシシは全国に約94万頭が生息するとみられ、2015年度の農作物被害は計約51億円に上った。獣類による被害額の36%を占め、シカ(42%)に次いで多い。最も被害が大きい九州で約15億円、中四国で約12億円、関東で約9億円。東北は約2億円とされる。秋田県などによると、イノシシは冬に30センチ以上の積雪が70日以上続く地域では越冬できないとされる。かつて生息域の北限は宮城県とされ、青森、秋田、岩手、山形は空白地域だった。しかし、山形、岩手で10年ごろから被害が出始め、秋田県では12年2月に南部の湯沢市で初めて確認された。以後、秋田県内での目撃情報は増え、16年度は延べ42頭に上った。今年度も昨年末までに延べ35頭を数える。農作物の被害も昨年度初めて発生。今年度はすでにイモ類、水稲など11件となっている。100年以上前に絶滅したとされていた青森県でも昨年8月、秋田県境に近い深浦町で確認された。北上の理由について、秋田県自然保護課は「温暖化の影響で積雪が減り、東北でも越冬しやすくなったことが一番大きい」と推測。被害拡大を食い止めようと今年度、5年間の「特定鳥獣管理計画」を施行し、捕獲を強化することにした。狩猟免許の取得や銃の購入への助成、狩猟者の育成に力を入れる。しかし、対策は難しい。1990年代中ごろから増え、生息域も県東部から西部へ広がった東北南部の福島県。昨年度の農作物被害は約9500万円に上り、獣類全体の56・5%を占める。同県農業総合センターの木幡栄子主任研究員は「初期の農作物被害を、クマやカモシカによるものと思い込んだのが失敗。対策が後手に回ってしまった」と悔やむ。岩手県でも目撃が相次ぎ、農業被害が増えている。担当者は「わなを仕掛けても、なかなかかからない。猟友会の高齢化や人手不足に加え、技術的な課題も大きい」と頭を抱える。イノシシ被害の対策に詳しい中央農業研究センター(茨城県つくば市)の仲谷淳専門員は「青森ではイノシシ形の土偶が出土し、秋田には『猪』の付く地名が残るなど、昔は東北にもイノシシがいた可能性がある」と指摘。「江戸時代以前、東北ではイノシシによる被害が深刻になり、排除したのではないか。農業が盛んな東北にイノシシが戻ってくれば、大変な被害が出る恐れがある。共存か徹底的な排除か。地域の将来像をもとに、今何をすべきか早急に考えるべきだ」と警鐘を鳴らす。
(「射撃訓練の助成費」存続の意向示す:山梨)
県の行政評価アドバイザーが一部廃止の判断を示した射撃訓練への助成費について県は存続させる意向を示した。外部による行政評価は県の事業などの妥当性を見極めるもので、毎年、担当者から聞き取りなどを行い審査している。18日は、県議会に今年度の評価内容が示され鳥獣保護管理人材の確保・育成事業として拠出されている射撃訓練の助成費について「事業が管理捕獲従事者の増加に結び付いていない」として廃止の意見が出たことなどが説明された。これについて県は、大型獣の狩猟訓練ができる射撃場が県内にない現状を踏まえ、助成をを継続する考えを示し理解を求めた。
(シカ襲う野犬2頭、再び目撃:京都)
京都府宇治市と宇治田原町の境界に近い山中にある府民スポーツ広場(久御山町飛び地)付近の道路で、シカを襲う野犬とみられる犬2頭が目撃された。府山城北保健所などによると14日午後1時半ごろ、通行中の男性が、シカにかみついているような焦げ茶色の中型犬1頭と、別の1頭の犬を目撃したという。宇治市では2017年6月にも、シカを襲う野犬が目撃されている。
(獣害軽減へ「ジビエカー」:静岡)
JA大井川は、管内(藤枝、焼津、島田市、川根本町)の獣による農作物被害軽減やジビエの利活用促進などに向けて、獣肉移動解体処理車(ジビエカー)の導入を検討している。静岡県や管内市町と調整し、2019年度中の実現を目指す。1次処理をした枝肉を扱う2次加工施設を整備するための勉強会も、行政と連携して進めていく方針。同JAによると、管内では2016年度にイノシシ約2200頭やニホンジカ約600頭が捕獲されている一方で、年々獣による農作物の被害などが拡大している。ジビエカーは冷蔵設備を備えており、導入によって捕獲場所の近くまで移動し解体処理ができるため迅速な1次処理と枝肉を冷やしながらの搬送が可能で、鮮度を保つことができる。ただ、導入には自動車での営業許可申請が可能となるよう、県に食品衛生条例上の取り扱いを定めてもらう必要があるなど、クリアすべき課題もあるという。15、16の両日には、藤枝市のJA大井川本店で、ジビエカーを利用した解体処理の実証試験を行った。実証試験は2日間で約200人の行政や猟友会の関係者、同JA役職員らが集まり、日本ジビエ振興協会の関係者から説明を受けながら解体の様子を見学した。同JAの池谷薫組合長は「県と各市町、JAが一体となって明るい未来に向けた挑戦をしていく。獣害を減らしジビエが利活用できる体制をつくっていきたい」と意気込んだ。
(ニホンジカの捕獲数が5倍に:山梨)
食害が深刻なニホンジカについて県などは昨年度、10年前の約5倍の1万4243頭を捕獲したことが分かった。わな猟の促進や補助金で捕獲体制を強化したためで、捕獲頭数は過去最高。野生鳥獣による昨年度の農林業被害は6億8200万円で、半数近い3億円がシカによる被害だった。環境省は県内のシカの適正生息数を4700頭としているが約7万1000頭が生息すると推測されていて、県は今後も個体数管理に努めるとしている。
(犬のほえる声でシカとの接触事故防止:)
日本の研究者たちは、列車と動物の接触事故を防ぐため、列車に犬のほえる声やシカの鳴き声が流れるスピーカーを取り付けた。朝日新聞の報道よると、この試みは線路で列車と接触して死亡する動物の数を減らそうと、犬のほえる声とシカの鳴き声を組み合わせてスピーカーで流し、シカを追い払うというものだ。鉄道総合技術研究所(RTRI)によると、シカの鳴き声を3秒間流して注意を引き、その後20秒間犬のほえる声を流せば逃げていくという。RTRIの研究者たちがシカが線路に集まる深夜の時間帯に実験を行ったところ、目撃数は半数に減ったという。効果があると証明できれば、将来的にはシカの出没地点で自動で音を発する装置を設置する計画だが、「沿線に民家がある場所では流さない」としている。シカは鉄分を摂取するため線路に引き寄せられている。車輪と線路の接触で生じる切りくずを目当てにシカは線路をなめることが分かった。シカの食餌上の習性ゆえに、容赦なく突進してくる何十トンにも及ぶ車両とを引き離すため絶え間ない努力が注がれている。以前にはライオンの排泄物を線路に吹き付けるという案があったが、雨で洗い流されてしまうとして断念した。2017年度グッドデザイン賞を受賞した近畿日本鉄道従業員、匹田雄史さんの案は超音波がシカの線路横断を制御する「シカ踏切」で、列車が走っていない時はシカが線路に侵入できるようになっている。試行したところ、周辺地域でのシカ死亡事故は劇的に減少した。日本の国交省によると2016年の列車とシカの衝突事故は613件あり、毎回列車の運行に30分かそれ以上の遅延が発生していたという。しかし、「ワンワンクラクション」は犬と鉄道が手を取り合った最初の例ではない。奈良県中部のケーブルカーには犬や猫の形をした車両があり、さらにはピアノやケーキをテーマにした車両もある。
(日光悩ます野生のサルたち、ロケット花火で対抗:栃木)
世界文化遺産の日光東照宮などで知られる観光地、栃木県日光市の中心市街地がサルなど野生動物の被害に悩まされている。土産物店や住宅に入り込んだり、花壇を荒らしたり。観光客に危害を与えないかも心配され、市は「ロケット花火」などで対抗策をとっている。被害が出ているのは東武日光駅から東照宮など世界文化遺産の社寺へと続く国道119号沿い。1年を通じて国内外からの観光客が絶えず、商店や食堂が並ぶ日光を代表する通りだ。近くで美容室を営む坂本正子さん(66)は一昨年、家の中の仏壇の果物をサルにごっそり食べられた。昨年8月には、朝のゴミ出しで外に出た時に2頭のシカを見つけた。シカは花壇の草花を食べており、その様子をスマートフォンで撮影した。坂本さん宅周辺ではシカやサルは一昨年から急激に増え始めたという。市観光協会によると、花壇は観光地・日光を盛り上げようと地元の人たちが設置したものだった。シカやサルは東照宮や日光二荒山神社などの観光名所にも出没。サルが土産物店で店頭の食べ物を物色することも頻繁にあるという。今のところ観光客への大きな被害はないというが、観光客の中にはえさを与える人もいる。市観光協会の塩谷弘志事務局長は「観光客の荷物を奪ったり、けがをさせないか心配だ」と話す。市の環境美化委員の吉新(よしあら)佐紀子さん(68)も「国道を早朝から横断しているから交通事故も心配。周辺住宅の網戸はサルによって大半が壊されている」と指摘する。
(タイワンザル根絶に15年、行政とサルの壮絶な知恵比べ:和歌山)
生態系に重大な影響を及ぼす恐れがあるとして、駆除の対象となっていた特定外来生物「タイワンザル」について、和歌山県は昨年末に根絶の完了を宣言した。同県を含む紀伊半島はニホンザルの生息地として知られており、タイワンザルとの交雑が進むとニホンザルの種を保てなくなるため、県は平成14年に「捕獲作戦」をスタートした。ところが、敵も“さる者”で、巧みに逃げ回るサルの前に作戦は難航。両者の根比べは15年もの時を要することになった。長年、和歌山県を苦しめてきたタイワンザル。その名の通り、台湾原産の外来種でニホンザルより尻尾が長いのが特徴だ。県内では、昭和30年代に和歌山市南東部から海南市北東部に広がる大池地域に定着したとされる。和歌山市内の私立動物園が閉園した際に逃げ出したサルがそのまま野生化したとの説がある。このタイワンザルをめぐる問題が表面化したのは平成10年。県内でサルによる農産物の被害が相次ぎ、県がニホンザルの分布調査を実施したところ、タイワンザルの生息が確認され、さらにニホンザルとの交雑が進んでいることが判明。大池地域に定着している数は、170~200頭と推計された。「このままでは紀伊半島のニホンザルがいなくなってしまう」。危機感を抱いた県は捕獲して安楽死させる方針を決定した。ところが、動物保護の面で県内外から反対意見が寄せられるなどして物議を醸し、県は最終的に県民約千人にアンケートを実施。安楽死に6割強が賛成したことから、14年に捕獲作戦をスタートさせた。作戦は、ミカンなどの餌が入った巨大なオリにサルを誘い込んで一網打尽にするという内容で、当初は3年での根絶完了を予定していたという。だが、作戦の初期には捕獲されていたサルたちも次第に警戒するようになり、おびき出すためオリ周辺にまいていたエサだけを食べられてしまうケースも出てきた。「まさにサルとの根比べ、知恵比べだった」。県自然環境室の担当者はこう振り返る。サルは雌を中心に群れを形成することから、雌に電波発信機を装着して群れの動きを探るなど、あの手この手で捕獲を続けた。こうした取り組みの結果、県は24年4月までに366頭を駆除。その後は新たなサルの出現は確認できず、5年のモニタリング期間を経て、昨年12月下旬にようやく、タイワンザルの根絶完了を宣言した。駆除のために約5千万円の費用もかかったという。タイワンザルのようなケースを防ぐため、県では30年度までに県内に生息する外来種を調査し、リストを作成する方針。同室の担当者は「まずはどのような外来種がいるのか、しっかりと把握したい。紀伊半島の生態系を後世に残していくために、あらゆる方策を尽くしていく」と強調している。
(川に逃げ道を求めたイノシシ:石川)
古都・金沢の市街地にイノシシが相次いで出没。大捕物となりました。大学の職員が撮影した映像では、大学の職員が「さすまた」を手に現場に駆け付けます。12日、金沢市の川の近くにイノシシが出没しているのを大学の職員が発見。市内ではこの2日前にも2頭が出没しています。警察や猟友会が捕獲を試みますが、イノシシは川の中に入って泳いで逃げます。最後は捕獲されましたが、その際に溺れて死んでしまったということです。
(サル出没で騒然:愛知)
18日にサルが現れたのはJR名古屋駅から西に4キロほどの住宅街で、住宅のベランダに入り込み、じっとして動かない様子も見られました。サルは夕方になって一時、小学校の屋上に逃げ込みましたが、再び住宅街に移動し、警察が警戒にあたりました。名古屋市などは「サルを見掛けても刺激しないように」と注意を呼び掛けています。
(サル目撃、警察が注意を呼び掛け:愛知)
17日、名古屋市中村区でサルが目撃され、付近では18日朝から、警察が警戒にあたり注意を呼び掛けている。中村区内で17日に目撃されたサルは、18日も、ほぼ同じ場所で目撃された。近くの小学校では、児童が集団登校する中、教師や保護者らが安全を確認するため付近の様子を見守っていた。保護者は「こんな住宅街にサルが出るなんて信じられなかった」「子どもたちにサルの危害が加わらなければいいなと思った」などと話していた。サルが出没した中村区の地域では、朝から警察が警戒にあたり、サルを見かけたら絶対に近づかないよう注意を呼び掛けている。
(中心部でサルが目撃される:愛知)
16日午前7時半ごろ、西区名駅の住宅や事務所が立ち並ぶ一角にサル1匹が現れ、その様子を男性が撮影していました。男性の車にはサルのものとみられる足跡がくっきりと残っています。サルを目撃した人は「車を止めて中で身支度をしていた。そうしたらドスンという音が後ろでしたので、ひょっとして追突されたのかと思って見たら何もいなくて、車を降りてみたらそこにサルがいた」と話しました。区役所などは「サルを見かけても近づかないように」と注意を呼び掛けています。
(ジビエ料理フェア、最多の40店参加:高知)
シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理のおいしさをPRする「よさこいジビエフェア」が15日、高知県内で始まった。フェアは捕獲した鳥獣の有効活用に結びつけようと2014年から県が企画し、今回は過去最多の40店舗が協力する。3月14日まで。40店舗の一押しメニューや価格を紹介するパンフレット=写真=を作成した。ジビエの基礎知識や栄養素、鳥獣被害の状況についても記載した。2万5000部作成し、道の駅や観光案内所などで無料配布する。掲載店でジビエ料理を注文し感想などを書いて応募すると鹿肉ソーセージなどがあたるアンケート企画も実施する。県鳥獣対策課の担当者は「原料の安全性や料理の技術の高い店を選んだ。フェアをきっかけにぜひジビエを味わって」と話す。
(山の恵みを残らずいただく取り組みが進む)
今注目の食材「ジビエ」とは、狩猟によって得たシカやイノシシなどの野生鳥獣の食肉を意味するフランス語だ。ジビエはフランス料理界では古くから高級食材として重宝されてきたが、日本でも食べられる機会が増えてきている。日本では近年、農地を荒らすシカやイノシシが急増しており、電気柵を畑の周りに張り巡らして農作物を守る対策と並行して、害を及ぼす野生動物の捕獲も行っているという。地元の猟友会に依頼して捕獲されたシカやイノシシは、従来、一部の利用を除いて、そのほとんどが埋葬されていたが、それらを有効活用する取り組みが進められている。このジビエ活用の取り組みの一例が、政府インターネットテレビで紹介されている。和歌山県古座川町こざがわちょうでは、猟友会によって捕獲されたイノシシやシカを処理するための処理加工施設を設置。捕獲されてから2時間以内の新鮮なうちに処理できるようにしているのだ。獣臭いイメージのあるジビエだが、捕獲後すぐに血抜きして食肉処理を行えば臭みがなくおいしく食べられるという。また、調理方法の検討を進めたところ、モモ肉や背ロースはとれる量が少なくて手軽に食べることができないため、他の部位を集めたミンチ肉の活用を普及させようと、地元のパン屋がジビエバーガーを考案。「里山のジビエバーガー~紀州備長炭の炭火焼きハンバーグ古座川町の清流鹿72%使用~」だ。このジビエバーガーは「とっとりバーガーフェスタ2016」で行われた全国ご当地バーガーグランプリで第1位を獲得した。さらに同町のジビエの取り組みは、政府が行っている「ディスカバー農山漁村むらの宝」の2017年度特別賞ジビエグルメ賞も受賞した。栄養価が高く脂肪が少ないジビエは、体づくりや栄養管理に配慮している格闘家などからも注目される食材になっている。最近では、一部の飲食店やスーパーでは常時店頭に並べるところも増えてきている。日本でもジビエが食卓で普通に食べられる日は、それほど遠くないかもしれない。
(国会議員ら伝統のカモ猟体験:千葉)
皇室伝統のカモ猟に国会議員らを招待する行事が16日、千葉県市川市の宮内庁新浜鴨場であり、関健一郎衆院議員(比例東海)も初めて参加した。国会議員27人は、独特のカモの捕獲方法についてビデオを見た後、3班に分かれ順番に網でカモ猟を行った。捕獲したカモは国際鳥類標識調査に協力し種類や性別などを記録した上で足に標識をつけ放鳥した。関氏は「皇室の伝統行事にお招きいただいたことを大変光栄に思う。今後も素晴らしい日本の伝統を後世に引き継ぐ一員としてより一層精進していきたい」と語った。鴨場は、江戸時代中期に各大名家の社交場として設置された。時代ともに存続が難しくなり、現在は新浜鴨場と埼玉鴨場(埼玉県越谷市)で、宮内庁が保存する唯一の伝承猟として野生の鴨を傷つけず捕獲する技法を守っている。
(ジビエとワインの魅力紹介:山梨)
シカ肉など県産ジビエの品質を保証する県の認証制度が始まり飲食店関係者に活用を促すセミナーが開かれた。やまなしジビエ認証制度は狩猟や有害鳥獣駆除で捕獲されたシカ肉などの消費拡大を促すため県がその品質を保証する制度。17日は東京国際大学の伊藤匡美教授が講演し、「認証制度を活用しジビエのブランドイメージを県内外にPRすることが大切だ」と話した。会場では甲府富士屋ホテルのシェフが腕によりをかけて作ったジビエ料理4点と県産ワインが紹介され参加者が試食した。県の担当者は「飲食店に活用を促すとともに県産ジビエの魅力を全国へ発信したい」と話している。
(「さっぱりしておいしい」、ジビエとワインの試食会:山梨)
シカ肉を使った料理とそれに合うワインを提供する「やまなしジビエ料理と山梨ワインの試食会」が17日、甲府市湯村の甲府富士屋ホテルで開かれ、小林晃・洋食料理長が考案した4品と県産ワインが提供された。「やまなしジビエ認証制度」がスタートし、今冬から県内で狩猟したシカ肉が「やまなしジビエ」として本格的に流通している。試食会は、シカ肉のおいしさと県産ワインの相性の良さをPRする目的で、県内の料理人や農業関係者が参加した。提供されたのは「鹿もも肉のポトフ」「鹿もも肉のラグーパスタ」「鹿ロース肉のロースト 石和柿のピュレ添え」「鹿ロース肉のカツレツ バルサミコ酢ソース」の4品と、それぞれに合う県産のワイン。小林料理長は「さっぱりしたシカ肉と合うように、若いワインを選んだ」。参加者からは「思っていたほどの臭みもなくさっぱりして食べやすい」「脂が少ないので健康に良い感じがした」といった声が聞かれた。
(シカ肉の竜田揚げ味わう:和歌山)
和歌山県産品の利用拡大を図る取り組みとして17日、古座川町一雨の明神小学校と明神中学校で、保護者を招いた給食試食会「親子DE(で)給食」があった。両校合同のランチルームで児童18人と生徒14人、保護者約20人がジビエ料理を味わった。県農林水産部と県教育委員会が、本年度から5カ年で取り組んでいる「学校給食での和歌山産品利用拡大戦略アクションプログラム」の一つ。県の推進する「わかやまジビエ」のおいしさと安全、安心に対する保護者の理解促進を図ることを目的とした給食試食会として実施した。提供したのは県産のシカ肉。メニューはシカ肉の竜田揚げの他、ご飯やみそ汁、煮物など。児童生徒は保護者や教職員と一緒に会話しながら給食を楽しんだ。古座川町では「古座川ジビエ振興協議会」を2014年12月に発足させて以降、有害鳥獣をジビエとして売り出すことに取り組んでいる。16年1月からは町内3小学校と明神中の給食に月1回程度、ジビエを使ったカレーライスやシチュー、ピラフなどの料理を出している。小学6年の山口ひなたさん(12)は「親子で食べられてよかった。ジビエ料理の中ではジビエバーガーが一番好き。竜田揚げも臭みがなくておいしかった」、中学2年の大西ひなたさん(13)は「(古座川町のジビエの取り組みは)地元の物を最大限に生かしていていいと思う。今日もすごくおいしかった」と話した。
(ジビエ食べて命に感謝:和歌山)
野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理を通して、動物による農作物被害や山の恵みについて学んでもらおうと、和歌山県は本年度から小中学校で県内で捕れたイノシシやシカの肉「わかやまジビエ」に関する出前授業を行っている。今回は県内9校でジビエ食材を使った調理実習と、皮革を使ったクラフト作りを実施。12日は和歌山市立中之島小学校(馬場秀典校長)で6年生41人が調理実習に取り組んだ。児童は県畜産課からイノシシやシカの増加状況、柵作りや狩猟などの対策の取り組みについて話を聞いた後、山の恵みと命に感謝して調理実習をスタート。同市片岡町のフランス料理店「JOY味村」のオーナーシェフ味村正弘さんら県調理師会の料理人が指導し、児童はイノシシとシカのソーセージを使ったポトフとリンゴのサラダを作った。初めは味村さんの実演を見学。リンゴの皮をむく素早い手さばきには「すごい」と感嘆の声が漏れた。児童はポトフの具材を切ったり、肉の臭いを消すため香草を束ねたブーケガルニを作ったり、アドバイスを受けながら調理を進め、教室には食欲をそそるコンソメの匂いが広がった。神崎有里江さん(12)は「最初は動物を狩るのはかわいそうだと思ったけど、農家を守るためなら仕方ないと思う。無駄にせず食べるのならいいかなと思った」、阪野妃菜さん(12)は「普通のソーセージと違って外がパリパリしておいしかった。ジビエ料理はおいしくできたと思う」と話した。
(ジビエ料理、高校生対象に教室や講習会:大分)
イノシシやシカ肉を使ったジビエ料理に親しんでもらおうと、日田市の高校生を対象にした行事が市内2カ所であった。生徒は市獣肉処理施設(市内上津江町)で加工された肉を使い、味や食感を確かめた。12日、「ジビエ料理教室」が昭和学園高校であった。日田市、玖珠郡の行政や林業関係機関でつくる大分西部流域林業活性化センターと県が企画した。同校調理科3年生20人が参加。野菜ソムリエやフードコーディネーターの資格を持つ市内の料理研究家原田京子さん(56)の指導でしし汁、シカ肉コロッケ、シシ肉のユズみそ、韓国風のり巻きの計4品を調理した。佐々木琉那(るな)さん(18)は「肉が硬くならないよう火加減に気をつけた。ジビエは手軽に作れることを多くの人に知ってほしい」と話した。上城内町の桂林公民館で12月下旬にあった講習会は、市や猟友会などでつくる「市ジビエ推進協議会」が主催。昭和学園、日田両高校の16人が参加した。生徒は同施設の処理過程を学習。ロースとバラの薄切りを焼いて食べ、ぼたん鍋、すき焼き風鍋、トマト鍋も味わった。16人中5人はジビエを食べるのが初めてで、昭和学園2年の穴井麻衣さん(16)は「臭みがなくて軟らかかった」と話した。生徒は1月下旬までに独自のしし鍋レシピをグループごとに考案。優秀賞に選ばれたレシピは2月のイベントで振る舞われる。協議会は学校給食のメニュー化も検討する。県によると、昨年度、日田市と玖珠郡での有害鳥獣捕獲頭数はイノシシが約3500頭、シカが約4600頭。柵やわなの設置で、被害額は約4400万円と前年度比約330万円減った。ジビエは牛や豚などと比べて認知度が低く、価格も高めなことから消費量が伸びていないという。
(イノシカバーガー、高校生開発:埼玉)
皆野町大渕の県立皆野高校商業科の2年生13人がマーケティングの授業で、同町の新井武平商店、小鹿野町の肉の宝屋、秩父市の菓子工房橋本と連携し、イノシシやシカの肉を使ったジビエのハンバーガーを開発した。21日午前11時半から、長瀞町の宝登山神社の境内にあるヤマブ宝登山売店で50個を販売する。商業高校の同校は2013年度から県立秩父農工科学高校などと連携し、商品開発に取り組んできた。本年度は初めて、同校単独で地元の企業3社と連携し、商品開発に着手。生徒は意見を出し合い、助言を受けながら、街頭で市場調査なども実施した。昨年の8月と11月には試作品も作り、試行錯誤を重ねてきた。ジビエを使ったハンバーガーはイノシシとシカの肉を4対6の比率で使い、レタスやキャベツ、マヨネーズ、デミグラスソースも使用。同校卒業生でもある菓子工房橋本代表の橋本誠さん(54)が調理して完成させた。15日には同校で試食会が行われ、生徒たちは「臭みや匂いがない」「ジビエと分からないほど、おいしい」と笑顔を見せた。「激推イノシカバーガー」と名付けた完成品は2月17日に秩父市の矢尾百貨店、3月4日にみなの美の山さくらマラソンが開かれる皆野町役場のほか、市内にある道の駅ちちぶや地場産センターなどでも販売予定。価格は500円(税込み)で、生徒たちが販売する。サブリーダーの藤原カンナさん(17)は「秩父の鳥獣被害を減らせるようにたくさん売り、地域に貢献したい」と意気込む。橋本さんと同校卒業生で肉の宝屋を営む内田俊夫さん(46)は「ものづくりや商品販売の大変さを知ってもらえれば」と話していた。
(ジビエを地域おこしに活用?:奈良)
五條市では、農作物を荒らすイノシシやシカの肉「ジビエ」を売り出して、地域おこしに活用しているって聞いたよ。イノシシやシカの精肉のほか、2016年からはジビエのカレー、昨年からはジビエの薫製も販売しています。ジビエは、市のふるさと納税の返礼品72点の中でもベスト10位に入る人気商品です。
(ジビエ料理たっぷり、名物弁当販売:岡山)
岡山県鏡野町の名物弁当「やま弁」シリーズで、冬季限定「マタギ」の販売が13日、土日祝日限定で町内の道の駅などで始まった。2月25日まで。シカやイノシシ肉などジビエ(狩猟肉)料理がたっぷり入った3種類を提供している。山里の季節の味を手軽な弁当で観光客らに味わってもらおうと、平成22年秋から販売開始となった「やま弁」は好評で、季節(春・秋・冬)で内容を変えながら販売。狩猟集団「マタギ」をイメージした冬バージョン弁当は、イノシシやシカ肉がメイン食材となっている。イノシシ肉のショウガ焼きや角煮、シカ肉のハンバーグやミルフィーユカツ、炊き込みご飯やちまきなど、野趣あふれるジビエ料理を楽しめる。地元の山菜を使ったかき揚げや蒸し物、あえ物なども添えられた弁当は3種類あり、製造を手がける「鏡野やま弁友の会」所属の飲食店ら3業者が趣向を凝らして仕上げた。同友の会の片田八重美代表は「鏡野の雪景色と温泉を楽しみながら、ボリューム満点の山里の味を満喫してほしい」とアピールしている。
(シェフの卵、ジビエ料理に挑戦:富山)
農作物に被害を与えるイノシシの有効活用につなげようと、富山調理製菓専門学校(富山市)で17日、調理講習会が開かれ、同校の学生約20人がイノシシ料理の調理法を学んだ。富山市内のイタリア料理店「クオーレ」のオーナーシェフでジビエ料理を提供する杉浦健一さん(49)が講師を務め、イノシシのミートソースパスタとフライパン焼きに挑戦した。調理技術科1年の山口未裕さん(18)は「生肉は臭いがあり、不安もあったが、うまく調理できた。肉そのもののおいしさが感じられるので、自分の店を持ったら出してみたい」と話していた。講習会は県の主催で、市内で捕獲されたイノシシの肉が使われた。
(「シシ食い」無病息災:熊本)
玉名市滑石の滑石諏訪神社で17日、伝統の「シシ喰[く]い祭り」があり、氏子らがイノシシ肉を使った料理を食べて五穀豊穣[ほうじょう]と無病息災を祈った。祭神の建御名方神[たけみなかたのかみ]が農作物を荒らすイノシシを退治し、その肉を村人に分け与えたとの伝承に由来する祭り。地元の五つの区が交代で節頭(世話役)を務め、守り続けている。神事の後、節頭渡しと呼ばれる引き継ぎ式があり、おはらいを受けたイノシシの肉が、今年の当番の下区から来年の塩浜区など各区に配られた。続いて区ごとの祭り。神社のある上区では、裃[かみしも]姿の代表者4人がおわんの酒を飲み干す儀式に挑み、喝采を浴びた。祭りの後の直会[なおらい]では、イノシシ肉を甘辛く煮た総菜が住民に振る舞われた。宮総代の大野義弘さん(71)は「珍しい風習を残す祭りを、これからも大事にしたい」と話した。
(「シカの角」の不思議探る:神奈川)
麻布大学いのちの博物館は1月27日(土)、同館で一般向けセミナー「シカの角のふしぎ」を開催する。午後1時から3時。参加無料。動物の本格的な骨格標本など様々な研究資料を展示する同館では、「地域の博物館」として、一般来館者向けの参加型セミナーを定期的に企画している。今回のテーマは、現在会期中の企画展「シカの角のふしぎ」(1月27日まで)にちなみ「シカ」。当日は、同大獣医学部の南正人准教授の講演と、実際にシカの角に触れ計測する実習体験が同館の高槻成紀上席学芸員により行われる。「シカにとって角はとても大事なもので、角の立派さで順位が決まり、メスを多く確保できます。この機会にぜひご参加下さい」と同館。
(鹿肉をドッグフードに:静岡)
西伊豆町宇久須でペットホテルを営む川辺寿明さん(60)、亜希子さん(43)夫妻が鹿肉を使ったドッグフード「ホーンズ」を販売している。2人は狩猟免許を所有し、狩りから解体、加工まで全てを行う。ペット看護士の資格も持つ亜希子さんの細やかな健康相談によって購入者のほとんどがリピーターに。農作物の食害に悩む住民の姿を見詰め、「地域に貢献したい」と意気込む。行楽で訪れていた同町の豊かな自然に魅力を感じ、2015年に横浜市から移住した。地元住民との交流が進むにつれて農作物の食害の深刻な現状を知り、16年に狩猟免許を取得。当初は肉を自家消費していたが、動物の尊い命を無駄にしないようにと、17年6月に商品化した。解体した肉をゆでて細かく切り、パック詰めする。自宅周辺の山中に設置したくくりわなを毎日見回り、掛かっていたら仕留めてすぐに解体、加工し、鮮度を保つ。動物が好きでペット看護士を志した亜希子さんは、今でも駆除するときに葛藤があるというが「頭数が多すぎるのはシカにとっても人間にとってもいいことではない」と言い聞かせている。市販のドッグフードに比べて脂肪分が10分の1以下で添加物を使っていないため、病気やアレルギーのあるペットでも安心して食べられるという。亜希子さんは販売後も小まめに健康状態を確認し、飼い主からはペットの体調改善を喜ぶ声も寄せられた。町産業建設課によると、町内の猟友会員は70、80代が中心で高齢化が顕著。担当者は「農作物被害の抑制とともに、ジビエ商品の販売によって町のPRにつながる」と期待する。亜希子さんは「現在の保存方法は冷凍しかない。災害時でも対応できる製法を考えたい」と抱負を語った。

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