<射撃ニュース2月>
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(米銃器大手レミントンが破産申請へ、債務再編中も事業は継続)
世界で最も古い歴史を持つ銃器メーカーの1つである米レミントンが連邦破産法11条の適用申請を計画していることが13日までに分かった。計画によると、スポーツ射撃用の銃器を製造するレミントン・アウトドア・カンパニーは、債務再編中も事業を継続する。破産申請を通じ、同社の7億ドルの債務縮小が可能となり、傘下の子会社には1億4500万ドルの新たな資本が投入されるという。レミントンは声明で「取引先への支払い、従業員の賃金と手当て、顧客サポートなどのサービスは滞りなく継続する」と述べている。現在レミントンを保有する米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントの広報担当者は12日、リストラが完了した時点で保有権を手放す意向を明らかにした。拳銃メーカーのスミス&ウェッソンを抱えるアメリカン・アウトドア・ブランズやスターム・ルガーといった企業が競合する米銃器業界は、トランプ大統領の就任決定以降、売り上げの低迷に直面している。オバマ前政権下の2016年、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏が当選すれば銃規制が進むとの懸念から、銃の販売は記録的水準に跳ね上がった。全米ライフル協会(NRA)が支持するトランプ氏の勝利でそうした懸念は和らいだものの、その後、銃器の売り上げは落ち込んだ。レミントンは、製品の不具合や手掛けたライフルが銃乱射事件に使用されたことなどをめぐる複数の訴訟も抱えている。
(処理施設は年約1000万円の赤字:静岡)
増加したイノシシやシカによる農作物の食害対策として注目される野生鳥獣肉(ジビエ)料理。精肉の市販に必要な専用の食肉処理施設の稼働率が低かったり、赤字続きだったりするケースが各地で相次いでいる。猟師が持ち込む鳥獣の質が安定しないことなどが理由。食文化として定着するまでの道は険しい。「害獣を活用できればと思ったが、こんなはずではなかった」。富山県高岡市で処理施設を運営する食肉販売会社「にくまる」の米山晴隆社長は、ため息をついた。平成27年に静岡県の補助金100万円を利用するなどし、計約500万円で施設を開いたが、処理実績は2年余りでイノシシ8頭のみ。狩猟期に入った昨年11月15日以降も閑散としたままだった。開設当初こそ猟師の注目を集めたものの、持ち込まれるのは、サイズが小さく、銃弾で可食部が大きく傷ついたものが目立った。買い取りを断ることが増え実績は伸び悩んだ。最適な大型の雌は猟師が自家消費するケースも多いとみられる。苦戦は民間だけでない。伊豆市が約5800万円をかけ、23年に開設した処理施設「イズシカ問屋」。28年度は計約千頭のイノシシとシカを処理し、精肉約1800万円を売り上げたが約1千万円の赤字だった。市は「全部売っても赤字。だから行政がやっている」と話す。農作物の食害を防ぐには捕獲意欲の維持が不可欠。猟師からの買値は下げにくく、売値を上げれば、消費拡大に水を差す。開設後数年で民営化する目標は達成できないままだ。厚生労働省によると、ジビエ処理施設は29年5月現在で全国に630カ所あり、1年間で78カ所増えた。ただ多くは処理数が年50頭以下だ。日本ジビエ振興協会(長野県)の藤木徳彦理事長は「大半の施設で採算が取れていない」と分析する。藤木理事長は、腹部を撃たないことなどを「消費者との間にいる施設が猟師に指導するべきだ」と指摘。ジビエ定着には「大手外食産業も巻き込んだ流通拡大が必要」と話している。
(ジビエ利用、鹿が最多)
農水省は、鹿やイノシシなど野生鳥獣の肉(ジビエ)について、利用量の調査結果を初めて公表した。2016年度の利用量は1283トン。獣種は鹿が最も多く、北海道での利用が最多だった。政府は調査結果を基に課題を洗い出し、19年度までに利用量を倍増させる方針だ。政府は17年、深刻な農作物被害の削減につなげるためジビエ利用量を増やし、19年度には倍増させる目標を打ち出した。詳しい利用量は把握できていなかったため、同省は鹿やイノシシなどを扱う全国の食肉処理施設を対象に調査を進めていた。利用量を用途別に見ると、食肉処理施設が食肉として飲食店などに販売したものが1015トンで、全体の8割を占めた。獣種では鹿(665トン)が最多で、イノシシ(343トン)が続いた。次いで多かったのは、ペットフード向けに販売された150トン。処理加工施設の職員が捕獲し、自家消費したものが84トンあった。ジビエ利用量を都道府県別に見ると、エゾシカのジビエ利用が盛んな北海道が503トンで群を抜いて多かった。次いで、ぼたん鍋が有名な兵庫県(117トン)、鹿のジビエ利用が多い鳥取県(63トン)となった。ジビエ利用された野生鳥獣は8万9230頭・羽。このうち鹿は5万5668頭、イノシシは2万7476頭で、捕獲頭数(15年度)に対してそれぞれ10%、5%だった。比較的遅れているイノシシの利用拡大が課題の一つと言えそうだ。食肉販売や食肉処理の代行など、食肉処理施設がジビエで得た金額は30億3000万円。食肉販売額が28億9300万円で、鹿が14億8300万円、イノシシが13億7100万円だった。
(ジビエ調査、てこ入れ必要な地域も)
農水省は、鹿やイノシシなど野生鳥獣の肉(ジビエ)について、2016年度の都道府県別の利用実態をまとめた。ジビエ利用された野生鳥獣が最多だったのは北海道で2万9189頭・羽と全体の3割を占めた。獣種別では、鹿の利用頭数は北海道、イノシシは兵庫県が最多。一方、鹿やイノシシによる農作物被害が大きいがジビエ利用が進んでいない地域もあり、てこ入れが必要となる。調査では、野生鳥獣を扱う全国の食肉処理施設を対象に、鹿やイノシシの他、熊や鳥類などの利用量を聞いた。ジビエ利用された野生鳥獣が最多だったのは北海道。兵庫県(6452頭・羽)、和歌山県(4326頭・羽)と続いた。北海道に加え、近畿や中部地方で比較的進んでいる。一方、農作物被害が大きいが、ジビエ利用が進んでいない地域もある。例えば、鳥獣による農作物被害額(16年度)が全国2位だった福岡県は1222頭・羽、全国8位だった山口県は998頭・羽にとどまった。今回の調査結果を獣種別に見ると、鹿の利用頭数が最も多いのは、エゾシカの利用が盛んな北海道。2万8026頭で、全体の5割を占めた。長野県(3356頭)、兵庫県(3202頭)が続いた。イノシシの利用頭数が最多だったのは、「ぼたん鍋」発祥の地とされる兵庫県の3235頭。熊本県(2453頭)、和歌山県(2113頭)が続いた。熊は長野県(63頭)、アナグマは鹿児島県(164頭)、カモやキジなどの鳥類は新潟県(2277羽)が最多だった。政府は、年間172億円(16年度)にも上る鳥獣による 農作物被害を減らそうと、ジビエの利用を推進する。16年度に1283トンあった利用量を19年度に2566トンに倍増させる目標を掲げる。
(大日本猟友会が自民党で狩猟のつどい:東京)
大日本猟友会(佐々木洋平会長)は1月31日、鳥獣害対策や野生鳥獣の肉(ジビエ)への理解を深めようと、都内の自民党本部で「第2回自然と農山村を守る狩猟のつどい」を開いた。フレンチシェフによるジビエ料理の試食会や模擬銃を使った猟銃体験を実施。党の鳥獣捕獲緊急対策議員連盟の会長でもある二階俊博幹事長など多くの国会議員が参加した。
(イノシシ捕獲、1頭7000円の奨励金:京都)
イノシシの出没が相次いでいる京都市は4月から、猟友会会員が1頭を捕獲するごとに7000円の奨励金を支給する方針を決めた。捕獲頭数を増やし、市街地への進入を防ぐ狙いがある。京都市では、市街地でのイノシシの出没件数が2016年度はゼロだったが、17年度は6件に急増。昨年12月には、京都・東山で5頭が出没し、うち2頭が学校の敷地に入り、生徒らが避難する騒ぎになった。奨励金は、市の駆除依頼を受けた猟友会の会員(約290人)が対象で、国の交付金(1頭あたり最大8000円)に上乗せして支給する。これにより、市は18年度の捕獲頭数を16年度の約1・5倍の600頭に増やしたい考えだ。
(通行人にエアガン発砲、少年ら3人逮捕:兵庫)
神戸市長田区で2月1日早朝、車に乗った男にエアガンの弾を撃たれて通行人のお年寄りが顔にけがをした事件で、兵庫県警捜査1課と長田署は4日までに、傷害容疑でいずれも同区に住む大工の男(20)ととび職の少年(18)、無職少年(16)の3人を逮捕した。3人の逮捕容疑は共謀し、1日午前6時前、同区本庄町2の路上で、走行中の軽乗用車からエアガンの弾を数発撃ち、歩いていた男性(78)の顔面などに軽傷を負わせた疑い。同署によると、3人は遊び仲間。大工の男ととび職の少年は「ふざけてやってしまった」などと容疑を認め、無職少年は「分からない」と容疑を否認しているという。目撃情報などから、事件で使われたとみられる軽乗用車と大工の男らを割り出した。車内からはエアガンが見つかったという。同署によると、大工の男は、同じ1日朝に中央区と兵庫区で起きたエアガンの発射事件でも関与をほのめかす供述をしているという。
(イノシシの処理は発酵、分解で:福島)
東京電力福島第一原発事故後、捕獲数が急増するイノシシの処理方法が課題となる中、環境省は14日、駆除後のイノシシを発酵させて分量を減らす実証実験の様子を報道陣に公開した。県によると、県内のイノシシの捕獲数は昨年度約2万6000頭で、事故前の約7倍に上っている。駆除後も埋設する場所が足りず、焼却炉に入れるにも解体の負担が大きくのしかかる。同省が浪江町で進める実験では、駆除したイノシシを、堆肥たいひとおがくずを混ぜた「発酵床」に入れて、分解させている。今回は1月25日にイノシシ4頭を、次いで今月8日にも2頭を、同じ発酵床(7トン)に入れていた。この日は、発酵後1週間と3週間の両者を掘り返して比較。発酵前57キロだったイノシシは1週間後38キロに、25キロだったのは3週間後12キロにまで減り、職員がスコップで簡単に切断できる状態になっていた。実験は今月末まで続く。
(わなで捕まらない「奈良のシカ」、方法再検討へ:奈良)
県は昨年11月、市東部の住民らを対象に、ニホンジカの食害についてアンケートを実施。田畑を持つ回答者の7割以上が2016年度は15年度以前より悪化したと回答しており、被害を実感している農家が多いことが分かったという。 県奈良公園室は「被害を防ぐため、わなの種類や餌のまき方を工夫し、捕獲を続けたい」としている。 奈良公園一帯のシカは「神鹿」として大切にされており、1957年の天然記念物指定では、当時の市全域が対象とされた。
(伊万里市営射撃場の鉛汚染、大型沈砂池設置に遅れ:佐賀)
伊万里市大川内町の市営散弾銃射撃場に大量の鉛散弾が放置されている問題で、市は13日、専門家らによる環境対策検討委員会を開いた。水質汚染を防ぐための大型沈砂池の設置について、用地取得に手間取り当初の計画より遅れているとの見方を示した。大型沈砂池は射撃場に隣接する民有地に設け、雨水をため込んで鉛成分を除去する役割がある。市は2017年度中に用地を取得する予定だったが、名義上の土地所有者が亡くなっているため、相続者の特定に時間を要したという。市は「用地取得を急ぎ、18年度中には設計に入りたい」としている。委員会では、17年7月(雨期)と11月(乾期)に実施した水質調査の結果も報告された。表流水は調査地点6カ所のうち、7月3カ所、11月1カ所で健康保護に関する環境基準を超える値が出た。地下水は2カ所で調査し、いずれも基準値内に収まっていた。その後、大川内公民館で地元住民と専門家が初めてとなる意見交換をした。農作物への影響に関して質問を受けた専門家の1人は、「鉛が農作物に吸収されるという事例は聞いたことがない」などとした上で、「安全には安全を重ねた方がいい」と答えた。委員会の開催は1年ぶりで、次回は未定。
(アライグマ専用わな、県が共同開発:埼玉)
農作物を荒らすアライグマを捕獲しようと、県農業技術研究センター(熊谷市)が、アライグマ専用の箱わなを新潟県のメーカーと共同開発した。昨年末に特許を申請しており、今年4月以降に、販売開始する予定という。アライグマによる県内の昨年度の農作物被害額は1610万円に上っており、捕獲の効率が上がると期待されている。わなは縦50センチ、横30センチ、奥行き50センチで、中に水道管のパイプを加工した筒形の仕掛けが入っている。アライグマが筒の底にある餌を取ろうと前脚を突っ込むと、入り口が閉まる仕組み。手先が器用で、穴に前脚を突っ込んで餌を捕る特性を利用したという。従来の箱わなでは、ネコやタヌキも捕獲されてしまうという課題があったが、新しい箱わなの仕掛けには、ネコやタヌキはアライグマほど深く前脚を突っ込めない。これまでに行われた実証実験で、アライグマ以外が捕獲されたことはないという。アライグマは北米や中南米が原産で、日本ではペットとして飼われていたものが逃げたり、捨てられたりして野生化。雑食性で天敵がなく、強い繁殖力がある。2005年には特定外来生物に指定され、県内でも06年度以降、アライグマに農作物を食い荒らされたり、家屋にすみ着かれたりする被害が多く確認されるようになった。県は07年に「県アライグマ防除実施計画」を定め、わな猟免許を持たない自治体職員でも研修を受けて市町村に登録すれば、箱わなを設置し捕獲できるようにした。昨年からは研修の対象を農業を行う市民にも広げた。こうした取り組みの結果、捕獲頭数は16年度には5000頭を超えた。アライグマによる県内農作物の被害額は11年度の2560万円をピークに減少傾向にあるが、昨年度の被害額は1610万円に上り、県内ではイノシシ(4440万円)、シカ(1681万円)に次いで3番目に多く、鳥獣全体の被害の1割強を占める。市街地でも屋根裏にすみ着いて糞尿ふんにょうで家を汚すなどの被害もあったという。同センターの担当者は「他の動物の錯誤捕獲を防いで効率が上がる。県内被害の減少につなげたい」と話している。
(ジビエカー講習に50人:高知)
有害鳥獣として捕獲したシカやイノシシの有効活用を目指し、高知県は9日、移動式解体処理車「ジビエカー」を使った講習会を高岡郡梼原町広野の町健康増進センターで開いた。県内の猟友会や自治体の担当者ら約50人が解体処理を見学した。
(イノシシ肉の出荷・検査方針見直し:千葉)
県は5日、県産イノシシ肉の出荷・検査方針を平成25年1月の制定以来約5年ぶりに大幅に見直した。捕獲場所で処分する際に必要とされた市町職員らの立ち会いを廃止し、ハンターらがすぐに食肉処理施設に持ち込めるという手続き簡素化が見直しの柱。イノシシ肉の流通促進と、捕獲数増加による食害防止の“一石二鳥”を狙う考えだ。県農地・農村振興課によると、有害鳥獣による農作物などへの被害額は、平成24年度の約3億8600万円から、28年度は約4億6500万円へ増加。うち約55%の約2億5700万円がイノシシ被害だ。イノシシの食肉流通量が増えれば、駆除の活発化につながる可能性もある。そこで県では、イノシシの利活用目的でジビエ(狩猟で捕獲した獣)料理の普及に力を入れる。ただ、そもそも捕獲段階で、流通につながりにくい規制があった。捕獲イノシシの食肉処理に当たり、市や町の職員の立ち会いが必要というのがそれ。ハンターが仕留めても行政職員の捕獲現場到着に時間がかかり、「食肉としての利用を諦め、埋めることもあった」(県農地・農村振興課)。そこで今回、手続き簡素化となった。この見直しとともに、県は、駆除したイノシシの利活用目的でジビエ料理の普及に力を入れる。1月26日から約1カ月間、本県と東京都内の計47店が参加して開催中の「房総ジビエフェア2018冬」もその一環。6~7年前から君津市産イノシシを使う船橋市の仏料理店「ビストロコマ」オーナー、生駒広平さん(38)は「県産肉は処理が丁寧。素材の味を生かすよう心がけている」と話し、優良食材と太鼓判を押す。ただし、有害鳥獣の処理頭数に占めるジビエ食材の流通割合はまだ少ない。県によると、28年度に県内で捕獲されたイノシシは2万8599頭で、食肉として流通するのは340頭分。君津市など県内5カ所の処理施設の処理能力は約780頭分だが、約4割にとどまる計算だ。解体従事者不足などが原因という。食材にならないイノシシを土に埋めるだけでなく、他の利用法を探る動きも。富津市は昨年12月から、イノシシを圧力容器で加水分解、肥料などに変える実験を始めた。約3時間で獣肉120キロが数分の1の重さの肥料などに変わるといい「実験結果を踏まえて導入を進めたい」(同市農林水産課)。関係機関の新活用法効果にも期待が集まる。
(イノシシとの“いたちごっこ”いつまで:兵庫)
兵庫県が2年連続で全国最多と判明したイノシシによる人身被害。事故が相次ぐ神戸市は、餌付け行為を禁ずる規制区域を指定し、悪質な違反者名を公表できる条例をつくった。年中無休の相談ダイヤル開設や、夜間パトロールの委託費など有害鳥獣対策に年1億円超をつぎ込み、被害は減少傾向にあるが、依然として全国で群を抜いて多い。イノシシとの“いたちごっこ”は続いている。神戸市は2002年、全国初となる「イノシシ条例」を施行。その後、東灘、灘、中央区の一部を規制区域とし、啓発を続けてきた。だが、13年度からの5年間(17年度は11月末まで)で、けががなかった事案を含めた市集計の被害は、年平均36・8件(負傷者22・6人)に上る。特に14年度は被害が多発した。同年6月には、女子中学生や取材中の男性カメラマンらが襲われ、年度を通じて45人が負傷。被害の総数は65件に上るなど、異常な事態となった。市は14年末、餌付けを繰り返す人の名前を公表できる改正条例を施行。ただ、これまでのところ公表には至らず、4人への口頭指導にとどまる。餌付け行為を職員が現認した上で口頭指導▽繰り返す場合は勧告書を交付して公表-の手順を踏むが、「ネコとは違いイノシシの餌付け情報は寄せられにくい」(市農政部)という。指定日時を守らないゴミ出しも、餌付けと同じ悪影響をもたらしている。六甲山は多くが国立公園に含まれ、鳥獣保護区に指定されるため狩猟ができない。登山客らに配慮し、銃を使った有害鳥獣捕獲を許可していない事情もある。市は「鳥獣相談ダイヤル」を設けて実態を把握するなど対策を強化。13年度に4800万円だった有害鳥獣対策費は17年度、1億2600万円に上る。各地の自治体も対策に追われる。16年度、全国で2番目に多い6件(9人)の人身被害があった香川県は業者に委託して捕獲態勢を強化。16、17年度で各3件(3人)の被害が出た広島県は「なぜ出没するのか調査中。さらなる対策を考えたい」と頭を悩ませる。神戸市は、イノシシに出合った時の対処法として、ゆっくりと後ずさりする▽買い物袋など食料の入ったものを手放す▽写真を撮ったり、石を投げたりせず、刺激しない-を挙げる。
(クマ捕獲上限年126頭、生息数増推定1050頭:石川)
県内で生息するツキノワグマが千五十頭と推定され、年間捕獲上限を百二十六頭に定める県の管理計画案がまとまった。これまで推定生息数は八百頭で、捕獲上限を九十六頭としてきた。今回は幼獣を含めたほか、生息数そのものが増えているため、推定数、上限数ともに見直された。計画案は二〇一八年度から四カ年。県は人が活動する地域では捕獲を重ね、里山林などでは間伐などで環境を整備し、人身被害をなくす。白山、大日山などの保護地域では個体数の維持を目指す。推定生息数は県が一六、一七年に奥山で春に定点観察し、目撃や捕獲の件数など加味して割り出した。年間捕獲頭は環境省のガイドラインで、八百頭以上で安定的に生息する地域で推定生息数の12%としている。ツキノワグマは国際的には希少動物だが、国内では分布が広がり、人的な被害が出ている。県内では〇四年と一〇年に大量出没。一六年に七尾市能登島、能登町などで初めて目撃され、生息域の拡大が懸念されている。〇一年に六人がけがをしたほか、〇四、一〇、一四年にもそれぞれ五人が被害を受けた。県は案に対する意見を三月十三日まで募っている。案は県自然環境課をはじめ県小松県税事務所(小松市)、県中能登総合事務所(七尾市)、県奥能登総合事務所(輪島市)で入手できるほか、県のホームページでダウンロードできる。推定生息数は、富山県内で千二百九十頭、福井県北部で四百~七百六十頭、岐阜県の白山、揖斐地区で六百四十四頭となっている。これらは石川のクマと同じように白山・奥美濃の地域個体群とされ、年間捕獲数も同じように推定生息数の12%となっている。
(雪の中、狩猟の現場を見学:兵庫)
雪が残る兵庫県宍粟市北部の山岳地帯で銃猟を見学する催し「ベテラン猟師とゆく! 豪雪地帯の狩猟体験」が11日、同市一宮町草木地区周辺で行われた。県内外から12人が参加し、寒さに震えながら猟の現場に触れた。狩猟を通じて田舎暮らしを紹介し、移住につなげてもらおうと、地元のまちおこし団体「More繁盛」が初めて企画した。参加者らは、犬を使って獲物を追い出す方法などをベテラン猟師から聞いた後、道端に約20センチの雪が残る標高約550メートルの草木ダム周辺へ。5班に分かれて猟師と一緒に待機し、獲物が現れるのを待った。この日は薄日が差したものの日中も氷点下の寒さ。車道脇の雪の上には数日以内に歩いたシカの足跡がたくさん残っていたが、約2時間待っても獲物は現れなかった。参加者らは足跡でシカの大きさを見分ける方法なども習った。猟の後は近くの公民館に集まり、温かいシシ汁が振る舞われた。林業や狩猟に興味があるという京都府亀岡市の女性(25)は「仕事として狩猟をしてみたいので、ヒントになった」。好奇心で訪れた姫路市林田町の男性(35)は「知らない世界が見られて面白い。シシ汁も最高においしい」と笑顔だった。
(シカ被害の解決に向けたシンポジウム:神奈川)
NPO法人「小田原山盛の会」(小田原市堀の内)は2月24日、「箱根山地シカ問題の解決に向けて~丹沢・箱根山地からみえてきたもの~」を市内の「生涯学習センターけやき」で開催する。神奈川県もり・みず市民事業支援補助金交付事業の一環として、2015年度から神奈川県の助成により箱根山地のシカ生息状況の調査を行ってきた「小田原山盛の会」。シカの増加による影響は年々加速し、稜線のササ食い、下層植生の劣化、新植苗木や農業被害が顕著になってきていると懸念。新植地では、樹皮・頂芽食いで成林が危ぶまれる事態になっているとし注視している。シンポジウムでは、現状の報告と、問題解決ための方法などについて論議する。当日の第1部は「箱根山地の現状報告」。「シカのホットスポット、オスジカの分布、シカの胃内容物の分析」と題して仙石原野生鳥獣クリニックの柏木聰院長(小田原山盛の会)、「林業被害の実態・森林植生の劣化・アオキ墓場の紹介」と題して川島範子さん (小田原山盛の会)、「丹沢・箱根山地から見えてきたもの」と題して元東京農工大学森林生物保全学研究室、第2回丹沢大山学術調査副団長の古林賢恒さんが報告する。第2部は、古林さんが司会を担当し、「箱根山地シカ問題の解決に向けて」をテーマとした総合討論を行う。パネリストとして、神奈川県として箱根山地や定着防止地域の対策を進めている羽太博樹さん(神奈川県自然環境保全課)、静岡県でのシカの状況に精通している大場孝裕さん(静岡県農林技術研究所)、箱根山地における環境省委託事業に詳しい濱崎伸一郎さん(野生動物保護管理事務所)が登壇する。「小田原山盛の会」副理事で事務局の川島さんは「今回のシンポジウムで、たくさんの方にシカ問題と箱根の現状を知っていただきたい。シカにより被害を受けた丹沢のようにならないよう、有効な捕獲体制の確立を官民一体となって実施する必要がある。皆さんの理解と協力を」と呼び掛ける。
(ジビエ処理移動可能施設、実証へ:岐阜)
岐阜県は、野生鳥獣の肉(ジビエ)の1次処理ができる機能を備えた移動可能な「サテライト施設」の開発に取り組んでいる。2016年度に試作機を製作し、17年度は実証試験を行う。解体施設や自走式のジビエ解体車両の導入に比べ、コストが低いのが特徴。処理施設までの持ち込み時間の短縮も可能で、同県認定の「ぎふジビエ」として流通ができ、同県ジビエの有効活用や猟師の手取り向上にもつながりそうだ。サテライト施設は高さ2・75メートル、幅1・8メートル、奥行き3・64メートルの車輪取り付け可能なコンテナタイプ。自動車でけん引できるように、フレームにアルミを使い、軽量化した。県内で木製トレーラーハウスなどを手掛けるモールデック社(同県各務原市)に委託して製造。同社は秋から1台325万円(税別)で受注生産を始めた。同施設には個体を検査する前室、床に触れることなく解体できる作業室、零下10度以下で保存できる冷蔵室を完備。血抜きや内臓摘出などの1次処理が可能。鹿なら3、4頭、大型イノシシも収容できる。県は、郡上市に試験的に設置。16年度は7頭の解体利用があった。県は、県産ジビエの認知を高め、消費拡大のため「ぎふジビエ」として流通させている。そのガイドラインでは、県認証施設に持ち込んで処理するまでの目安が約1時間としている。しかし、山中で捕獲した場合、施設まで1時間以内に持ち込むのは難しいのが実態だ。サテライト施設があれば、猟師は1次処理を従来よりも早く行える。“1時間の壁”をクリアしやすくなり、ジビエの安定確保とともに、猟師の手取りアップにもつながることが期待される。同対策室は「高価な車両を1台導入するより、低コストな簡易施設を複数設置する方が効果がある。実証試験を通じて改良を重ね、商品化できるレベルに持っていきたい」と意気込む。同県の鹿の年間捕獲数は1万7000頭、イノシシは1万5000頭(いずれも14年度)。県鳥獣害対策室は「ガイドラインに沿って処理されたものは、そのうちの5%に満たないのではないか」と指摘する。
(囲いわなでシカ駆除を、8年で150個設置:高知)
シカによる森林の食害を減らそうと、四国森林管理局森林技術・支援センター(高知市丸ノ内1丁目)が開発したシカ用の小型囲いわなが好評だ。狩猟免許が要らず、安価で運びやすいことが好まれ、8年間で約150個が県内外で設置された。同センターは「人工林の再造林にはシカが最大の敵。民間にもできるだけ普及させ、個体数を減らしたい」としている。
(タケノコ、サルやシカの食害も確認:山梨)
主にイノシシによるものとされてきた南部町のタケノコの食害について、サルやシカによる被害も深刻化していることが県森林総合研究所の調査でわかった。これは8日の県森林総合研究所の研究成果発表会で明らかにされた。研究所によると、2014年から南部町のタケノコが生える竹林に監視カメラを設置したところ、イノシシだけでなく、サルやシカもタケノコを食べている姿が確認された。監視カメラの映像で、サルやシカが荒らしていたことが判明したことで、研究所は早急に食害対策の見直しを呼びかける考えだ。
(シカにかまれる外国人が増加、8割は中国人:奈良)
2018年2月11日、環球網は、春節に奈良にシカを見に行く人に注意を呼びかける記事を掲載した。記事は「多くの訪日中国人観光客にとって、日本の古都・奈良は必ず行くべき場所の1つになっている。なぜなら、奈良には東大寺、唐招提寺、春日大社といった著名な古跡があるほかに、有名なシカの街だからだ。ただ、日本メディアの報道によると、今年のシカは少々気性が荒いようである」とした。そのうえで、奈良公園が発表したデータで、今年度(17年4月から18年1月末まで)に同公園でシカにかまれるトラブルが164件発生しており、昨年度(16年4月から17年3月まで)の総件数よりすでに46件多く、過去最多を更新したと紹介。負傷者の79%は外国人で、外国人のうち83%が中国人だと説明している。また、シカが観光客をかむ理由について同公園が「観光客がせんべいをシカに与える際、写真を撮るために鹿をじらせすぎて怒らせるケースが目立つ」とコメントしたことを伝えた。そして、奈良を訪れる外国人観光客の増加に伴い、奈良県ではスマートフォンへの映像配信、せんべいの売店に多言語の注意書きを掲示するといった対策をとる予定であるとした。
(竹島でのアシカ猟支出計算書見つかる:島根)
韓国が不法占拠している竹島(島根県隠岐の島(おきのしま)町)をめぐり、島根県は9日、戦前に同島周辺で行われていたアシカ猟に関する支出をまとめた計算書が見つかったと発表した。猟に対する課税額や竹島の使用料などが記載され、県は「国や県などが当時、自国領として竹島に行政権を行使していたことを示す重要な証拠になる」と評価している。計算書は、隠岐の島町が手がける調査の一環で、旧西郷町(現隠岐の島町)で海産物商を営んでいた家の子孫宅から見つかり、昨年5月に内容が確認された。隠岐の漁業者が昭和14年5~7月、竹島に渡って行(おこな)ったアシカ猟に要した支出を用紙2枚に記載。支出内容をみると、県税として6円、県税付加税として5円34銭の記載があった。同県は当時の条例でアシカ猟に課税し、漁獲高の1・5%を徴収。県税付加税は、旧五箇(ごか)村(現同町)が竹島のアシカ猟に課税していた。猟の期間中、官有地だった竹島で寝起きしていたため、同島の使用料として4円70銭を支払っていた。島根県竹島対策室は「竹島でのアシカ猟に対する課税の事実という行政権の行使が確認できるなど、貴重な発見だ」としている。
(ジビエPRイベント:大分)
シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を食材にする「ジビエ」をPRするイベントが12日、大分市のJR大分駅前であった。ジビエを使った串焼きの販売や鍋料理の振る舞いなどがあり、家族連れらでにぎわった。県や県内の市町、県猟友会などでつくる「大分ジビエ振興協議会」(昨年11月設立)主催の初のイベント。
(熟成エゾシカ肉堪能:北海道)
北見市などで捕獲されたエゾシカ肉を使った料理を楽しむ「北見エゾシカフェスタ」(実行委主催)が10日、北見市のオホーツクビアファクトリーで始まった。エゾシカ肉の消費拡大につなげる狙いで毎年開催している。同日は北見市内や札幌市などから、事前に申し込んでいた約250人が来場。北見近郊で捕獲されたシカのロース肉やモモ肉を使った料理など20種類が提供された。
(高校生シシ鍋創作レシピ大会:大分)
野生鳥獣を使ったジビエ料理の中でも代表的な「シシ鍋」の創作レシピ大会が、日田市の昭和学園高調理室であった。「ひたジビエ」普及に務める市ジビエ推進協議会が高校生を対象に初めてオリジナル鍋のレシピを募ったもので、日田高3年生チーム(2人)と昭和学園高調理科2年生チーム(4人)の2作品がグランプリに輝いた。学校給食への導入も検討する。
(ぎふジビエ、召し上がれ:岐阜)
ジビエ(野生鳥獣肉)料理の魅力を伝える「森のごちそう ぎふジビエフェア2018」が、岐阜県内外のレストランなど36店舗で開かれている。28日まで。シカやイノシシなどの肉の有効利用を図ろうと、「ぎふジビエ」としてブランド化を推進する県が企画。岐阜市内で先月開かれた「ぎふジビエ料理コンクール」の出品料理のほか、炭火焼きや鍋料理、ハンバーグなど各店舗が創意工夫を凝らしたオリジナル料理が提供される。期間中、参加店舗でジビエ料理を注文するともらえるシールを2枚、専用はがきに貼って応募すると、抽選で20人にぎふジビエ商品がプレゼントされるキャンペーンもある。
(「ジビエ」、県内ではどこに?:岡山)
シカやイノシシなど、狩猟で捕獲された野生鳥獣の食肉を意味するジビエ。岡山県内では、道の駅や直売所、食肉店などで手に入る。吉備中央町の農家グループによるアンテナショップ「加茂川ふるさと交流プラザ」(岡山市北区奉還町)では、同町で捕獲されたイノシシの冷凍肉を通年で販売する。一番人気はスライス(180グラム690円)で、「鍋やしょうが焼きなどにぴったり」と島袋昌子店長。他に焼き肉用(170グラム760円)、炒め物向けの細切れ(180グラム440円)がある。岡山県は昨年、ジビエ販売店やジビエメニューを提供する料理店を紹介する「おかやまジビエガイド」を作成。
(タカでカラス撃退:石川)
商店街や民家へのカラス被害に対し、羽咋市は十三日、タカを使った追い払い事業を始めた。住民の長年の要望に応える形で予算化し、県内外でカラスの撃退に効果を上げている小松市の鷹匠(たかじょう)吉田剛之さん(45)に依頼。当面は三月まで、食物連鎖の頂点に立つタカを放つことでカラスの追い払いを図る。羽咋市では、千羽以上のカラスがJR羽咋駅に近い羽咋神社境内をねぐらとし、周辺住民は季節によってはほぼ毎日、路面に落ちたふんを洗い流す作業に追われている。二十年来の悩みで、サーチライトを照らしたり、花火で音を出したりと対策をしたが解決に至らず、今回は切り札的な策との期待もかかる。初日は、カラスがねぐらに帰り始めた午後五時近くから追い払いを開始。吉田さんが、羽を広げると一メートルほどになるタカを手に動いた。神社の林や周辺の電線に群れて止まっている場所に、吉田さんが近づくだけで、カラスは恐怖感を含んだ鳴き声を上げ、タカを放つと逃げ惑うように移動する姿が見られた。神社周辺の町会長が見守り、川原町の鎌口良和町会長(64)は「周辺住民はカラスのふんや、夏場の臭いに長年悩まされてきた。小さな子を威嚇することもあり、効果が上がることを期待している」と話した。吉田さんによると、一定期間繰り返すことで、カラスが危険を認識して別の場所に移動する。JR金沢駅や金沢市中央卸売市場などで効果を上げ、現在は、要望を受けても数カ月待ってもらっている状況という。市は市街地を見渡せる市役所屋上から観察を続け、効果を確認する。吉田さんは「少しでもお役に立てるよう結果を出したい」と話している。タカは犬を嫌がるため、作業をする日の午後四~六時ごろは、神社周辺の犬の散歩は控えてほしいという。
(シカと電車の事故を防げ!「シカ踏切」を知っていますか?)
動物は、鉄道の大敵である。もちろん、かわいい犬やネコが線路上に逃げ出して大わらわ、みたいなほのぼのエピソードのお話ではない。文字通りの大敵、列車の安全すら脅かしかねないケモノたちのお話である。北海道エゾシカ衝突事故は毎年2000件以上。と、こう言われてもピンとこない人もいるだろう。実は、山野を走るローカル線では、野生動物と衝突して運転ダイヤが乱れる事象が多発しているのだ。特に深刻なのは、北海道。北の大地を走る鉄道にとって、降り積もる雪以上に厄介なのが“エゾシカ”だ。群れをなして原野を駆け抜ける彼らが、しばしば列車の進路を阻んで衝突……。そんな事故が、毎年2000件以上起きているという。こうした動物との衝突は北海道に限ったことではなく、山間部を通る路線ならば日本全国どこでも起きている。都会では人身事故がダイヤ乱れの厄介者だけれど、人の少ない田舎では野生動物が厄介者なのだ。衝突する野生動物は、クマにイノシシ、たぬきにハクビシンといろいろだけれど、特に困りものなのがシカ(エゾシカ含む)だ。理由はよくわからないけれど、シカは鉄分を補給するために線路の近くにやってくるらしい。それこそ鉄でできているレールをペロペロなめたり、レールと車輪の摩擦から線路際に飛び散った鉄粉をなめたり。それが、列車との衝突という悲劇を生んでいるのである。もちろん鉄道会社もこの事態をほったらかしているわけではなくて、あれこれと対策を練っている。最も原始的な対策が、徐行運転&警笛。北海道のローカル線に乗れば、民家のひとつも見えない原野を警笛を鳴らしつつゆっくり走る場面によく出くわすが、これこそシカ対策のひとつだ。他にも、動物接近を防ぐための柵を設けたり、シカの天敵であるライオンの糞の成分を線路に散布したり、挙句の果てに車両にクッションを取り付けてシカを線路外へ押し出そうとしたり。また、2015年には、“鉄に引き寄せられる”というシカの性質に目をつけて、日鐵住金建材が鉄分を含んだシカ誘引剤「ユクル」を開発している。が、これらの取り組みもなかなか目に見える成果には繋がらず、シカとの衝突事故は増える一方。そこで、切り札的に登場したのが近畿日本鉄道と京三製作所が開発した「シカ踏切システム」である。このシステム、昨年11月末に幕張メッセで開かれた「鉄道技術展」にも出展されて注目を集めていた。京三製作所の担当者によると「鉄道の安全運行を守りつつ、シカなどの動物にも配慮したもの」だとか。「カメラを設置してシカの動きを探ってみると、シカが通る場所、獣道はだいたい決まっているんです。いわばシカの踏切。そこを防止ネットなどでシャットアウトしてしまう手もありますが、それではシカの生息場所が分断されるなど生態系にはマイナスの影響を及ぼします。そこで、列車が通るときにだけシカが嫌がる超音波を放出。つまり、この超音波がシカにとっての遮断機のような役割になり、衝突の危険性を下げることができるというわけです」(京三製作所)これならば、列車がこない時間帯にシカたちは存分にレールをなめなめできるし、はねられるリスクも低下。もちろんダイヤが乱れたりすることも少なくなるのだ。このシステム開発にあたっては、動物の生態の専門家にも協力を求めたという。導入はシカのよく通る獣道に超音波出力装置を設置するだけ。実際に2016年に近鉄大阪線の東青山駅付近で導入が開始され、シカの線路侵入を前年の17件からわずか2件にまで減らすことができたという。「単にシカが線路内に入らないようにすればいいわけじゃない。シカの通り道を残して、さらに鉄分補給もできるようにすることで、鉄道の安全とシカの安全を共存させる。それがこのシカ踏切システムの目的です」(京三製作所)山の中で列車を止める厄介者たる野生動物たち。彼らの侵入をただ防ぐのではなく“共存”を図るというまさしく画期的なシカ踏切。なんだか、犬やネコが逃げ出したエピソードに匹敵するほのぼの話にも聞こえてくる。こうした取り組みが広がれば、列車の安全もシカの安全も守れて、みんなハッピーになれそうだ。
(葉ニンニクで鳥獣害対策:神奈川)
鳥獣害対策として、試験的に秦野市の菖蒲と堀西の2カ所で葉ニンニクの栽培が行われている。2月1日からはこの葉ニンニクの認知度を高め、消費者の需要を広めようと葉ニンニクを使った餃子も商品化された。葉ニンニクは、球根部分を食べる一般的なニンニクと異なり、葉と茎部分を食べる品種。シカやイノシシなどによる農作物の食害にあいにくい「被害低減作物」と言われており、増加している鳥獣害対策のひとつとして、神奈川県も導入試験を実施しているという。菩提で葉ニンニクを栽培している諸星一雄さんは、7年前から鳥獣害対策として被害低減作物の栽培を開始した。菩提は鳥獣による被害が多く、対策費用も膨大にかかることから、これに代わるものを探していた。初めは一般的なニンニクを育てていたが、収穫に時間がかかり効率も悪く、神奈川県農業技術センターに相談したところ、葉ニンニクの存在を知ったという。2015年から葉ニンニクの栽培を始めた諸星さん。植え付けから約3カ月で収穫でき、収益率への期待もできる。収穫時期は12月から3月頃までで、「はだのじばさんず」に出荷している。生産開始から3年を迎え、出荷は順調に進んでいるものの消費者の認知度では劣り、十分な消費が見込めないために大量生産にも踏み切れない現状がある。また、葉物であるため長くは持たず、諸星さんは加工して使用できる方法を探していたという。そんな折、同じ上地区に事務所を構え、餃子等の生産・販売を行う(株)つかさの穐山(あきやま)孝彦社長がJAはだの上支所で葉ニンニクの存在を知った。諸星さんに詳細を聞き、ニラの代わりに葉ニンニクが使えるのではないかと新たな餃子を試作。昨年末、はだの都市農業支援センターが主催した試食会で「十分な市場性がある」と評価されたことから本格的に商品化することが決まった。「葉ニンニク餃子」と名付けられ、2月1日から(株)つかさの直営店である「菖蒲庵」(曽屋687の40)のほか、はだのじばさんず、JAはだの特産センター秦野店、渋沢店で販売を開始している。
(オオカミロボ試験導入へ:福岡)
添田町は、シカやイノシシによる農林業被害対策として、オオカミを模したロボットを試験的に導入する経費約10万円を2018年度一般会計当初予算案に計上する。町は「被害を防ぐ切り札になれば」と期待している。導入するのは、北海道奈井江町の精密機械部品加工会社「太田精器」が、ヒグマやエゾシカ対策として開発した「スーパーモンスターウルフ」(全長65センチ、高さ50センチ)。赤外線センサーで動物の接近を感知すると、目の位置に仕込んだ発光ダイオード(LED)が赤く点滅、首を左右に振って威嚇する。同時に、オオカミがほえる声や人の声、銃声など50種類以上を不規則に発し、追い払う仕組みになっている。動物の習性について、北海道大や東京農大の専門家から助言を受け、約7年前に開発に着手。7道県の自治体や団体に計9台を貸し出して効果を検証しており、今春からの量産化を目指している。太田裕治社長は「音の種類を多くすることで、動物が慣れないようにした。実証実験でも動物が近寄らなくなり、想像以上の効果を上げている」と話す。添田町の鳥獣捕獲頭数は16年度、シカ314頭、イノシシ244頭で、いずれも12年度の2倍前後に増えた。農林業の被害額も16年度、4590万円に上っている。当初予算案は3月町議会に提案する。可決されればロボット1台を設置する農地を決め、効果が確認できれば導入を進める方針。寺西明男町長は「被害対策はいろいろと試してみたい。野生動物と人間の共生を実現したい」と話している。
(ヒロミの「クレー射撃の腕前」に驚きの声)
2月3日放送の『炎の体育会TV』(TBS系)に、タレントのヒロミ(52)が出演。圧巻のクレー射撃の腕前を披露し、視聴者に衝撃を与えたようだ。この日の放送で、ヒロミは現役選手とのクレー射撃対決に挑戦。射撃歴は20年以上と明かしたヒロミは、現在も定期的に射撃場に通っており、その腕前は芸能界随一だという。そんなヒロミの対戦相手は、2017年のクレー射撃「全日本女子選手権大会」の優勝者である木吉りよ選手。東京オリンピックの強化指定選手でもある木吉選手と、ヒロミが真剣勝負を行うことになった。クレー射撃とは、15メートル先から「左・右・真ん中」のいずれかの方向に飛び出す、直径11センチのクレーを、散弾銃を発射して撃ち落とす競技。番組では、渋谷のスクランブル交差点の端から、向こう端のCDやDVDのディスクを狙うようなイメージだと説明されていた。今回の対決のルールは、10回の射撃で何回クレーを撃ち落とせるかを競うというもの。まず第1射目は、先攻の木吉選手、後攻のヒロミがともにクレーを撃ち抜くことに成功。ヒロミは「1発目って本当に緊張する」と言いながら、安堵の表情を浮かべていた。そこから2人の対決は、思いもよらない展開に。現役女子最強といわれる木吉選手を相手に、芸能人のヒロミは一歩も引かず、9射目を終えた段階で“8対7”と、ヒロミのビハインドはわずか1点。そして最後の10射目、先攻の木吉選手がクレーを撃ち落とし、その時点でヒロミの敗北が決定。結果は9対7で木吉選手の勝利となった。勝利した木吉選手は「ふだんは味わえない緊張感が味わえた」とホッとした様子。一方のヒロミは、テレビで撃つ機会があまりないと前置きしながら、「俺はDIY(日曜大工)だけじゃないんだぞ、というところが見せられたかな」とコメント。続けて「自分の気持ちの中では、東京オリンピックを目指してはいるんですよ」と、クレー射撃への本気度をアピールした。全日本優勝選手を、あと一歩まで追いつめたヒロミの健闘ぶりに、視聴者は驚いたようだ。放送後、ネットには「ヒロミの腕前は、すごいとしか言いようがない」「ヒロミって何でもできるんだな。趣味が多くて人生楽しそう」「DIYもすごいと思ったけど、今回のクレー射撃を見て、また衝撃を受けた!」といった、ヒロミのクレー射撃の実力を称賛するコメントが続出していた。
(秋田県に対する「クマ殺し過ぎ」という批判の是非)
イギリスで動物愛護団体の活動家と養豚場などの飼育業者たちが対立している。愛護団体は畜産農家を「殺戮産業」と罵倒し、農場の関係者は「動物愛護を謳いながら、殺害脅迫状を送るとは語るに落ちている」と唖然としているという。イギリスのこうした対立とは違うが、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に分類されるツキノワグマを、秋田県が推定生息数の6割に相当する数を捕殺したことに対し「やり過ぎだ」という批判が上がった。批判したのは『日本熊森(くまもり)協会』(本部:兵庫県、会員:1万7000名余)で、昨年10月「根絶殺害に近い」と秋田県の佐竹敬久知事に有害駆除と冬の猟の中止を強く求める要望書を提出した。しかし、秋田県にも言い分がある。「昨年12月末までの捕殺数は817頭ですが、このうち767頭は住宅地や農地への出没による『有害駆除』です。すべて住民の要請に応えた結果で、人的被害は死者1名、重傷者が5名、死傷者数は計20名に上っているのです」(県庁詰め記者) 環境省のまとめによると、秋田県の捕殺数は今年度(昨年10月末時点)全国最多だ。昨年度も全国最多の476頭で、この10年で唯一2年続けて300頭以上に達しているという。 「ただ、県によると全生息数の6割も捕殺していないそうです。県の目視調査では、実際に推定生息数をはるかに上回るクマがいると推測されています。今春に生まれるクマも合わせれば、もっと多いはずで、大量捕殺が今年度だけであれば、影響は少ないと県では見ているのです」生息実態に応じて捕らえたクマを山へ帰す『放獣』や、クマが里山に下りないように山奥の自然保護、クマのエサになる果樹や生ゴミなどを人の生活圏で放置しない。こういった地道な活動がクマの捕殺を減らすために有効な手段だろう。
(報道されない五輪「負の側面」シンポジウム:東京)
「メディアは「頑張れニッポン!」という報道ばかりで、五輪の本質を伝えていない。」こんな怒りを抱く市民らが、平昌五輪開会にあわせてシンポジウムを開いた。タイトルは「東京五輪を考える」。約2時間にわたり、報道されない「五輪の問題点」をテーマに議論した。主催したのは、練馬区在住の研究者やアーチストなどでつくる「練馬・文化の会」。スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんが基調講演をし、現在の五輪は、選手の人間性や平和への理念を置き去りにし、国家主義や過度な商業主義に走っていると批判した。練馬区で教育問題に取り組んできた中川信明さんは、東京都教育委員会が2年前からオリンピック教育に力を入れていることを報告。公立の小・中・高等学校で学習読本が配布され、算数でオリンピックを扱うなど取り組みが進んでいるという。練馬区内では、陸上自衛隊朝霞訓練場で射撃競技が開催されることに触れ、子どもたちが応援旗の制作や、案内係としてボランティアに動員されることを心配している。中川さんは「子どもたちが射撃競技への間接・直接的に動員されるのであれば、銃や戦争文化に巻き込むことになる」と危機感を強めた。
(大画面でクレー射撃が楽しめる大人の遊び場:東京)
2017年11月3日にオープンしたクレー射撃を楽しめるバー『Clay Shooting & Bar CLAY’S(クレー シューティング & バー クレイズ)』です。場所はJR中野駅から徒歩8分。巨大モニターを使ったクレー射撃シミュレーターで、実践さながらの体験ができます。カルチャーの発信地でもある中野にふさわしい、大人の遊び場の誕生です。“クレー射撃”といっても、馴染みの無い方も多いのではないでしょうか。クレー射撃とは、もともと貴族の遊びをルーツとするヨーロッパ発祥のスポーツです。1900年には、オリンピックフランス大会の公式種目に選ばれました。そして現在も、国体やオリンピックの公式種目として熱い人気を誇る競技です。しかし、費用と環境面で敷居が高いのも事実。そこで、オーナーは「もっと競技人口を増やしたい。」とクレー射撃を体験できるバーをOPENされました。今ではクレー射撃協会の関係者や経験者はもちろん、初心者の方まで来られるようになったそうです。クレー射撃となれば、男性のイメージが強いですが、女性のお客様も多く来店されています。店内に設置されている、業界日本初の“クレーシューティングシュミレーター”は、一般社団法人クレー射撃協会監修のもと作られたもの。オリンピック選手や海外の軍隊がトレーニングで使っているほど高性能なのだとか。競技種目と、初級から上級までのステージを選択できるそうです。最初は初級コースから始めてみましょう。常時インストラクターが待機しているので、撃ち方やルールが全く分からなくても、丁寧にレクチャーしてもらえますよ。実際の射撃場では25発で2,500~3,000円ほどかかるそうですが、こちらでは25発500円とリーズナブルです。自分の名前とIDを登録することで、成績など記録が残るシステムになっています。記録が伸びていくのが楽しみになりますね。シミュレーターのモニターは150インチで迫力満点。クレー射撃だけではなく、TVやプロジェクターと繋いだり、サッカーのライブビューイングなどのイベントにも使えるそうです。またカラオケも導入されており、150インチの大画面で歌えるお店は日本でも同店だけです。大画面を前に気持ちよく歌い上げてみてはいかがでしょうか。店内はカウンターが10席とテーブルが25席。広々とした空間なのでパーティーや飲み会などにもおすすめです。内容や予算の相談にのってもらえとのことなので、まずはお気軽にお問合せください。
(西表島で遭遇したリュウキュウイノシシ)
まだ、猟の現場のことが頭から離れない。1月28日に今季最後の猟で成果を挙げられないまま終わり、2月1日からプロ野球のキャンプで沖縄に来ている。仕事だから仕方ないとはいえ、2月15日の猟期ギリギリまで山にいられたら楽しいのに、と考えている。ことしの沖縄は異例の寒さで、山を上り下りしていたときのほうがよほど、汗をかく。そんなことが頭をよぎっていた10日、グループのKさんから電話がきた。「お忙しいですか?」「いえいえ。ところで先週4日の猟はどうでした?」「リーダーのIさんが、犬が追い込んだ大きい猪を仕留めました。ちなみに私は小さいのに逃げられました」「そうですか、うらやましいですね」「11日がグループの猟の最後です。ほかの方は15日までやりますが、私は仕事があるので」「また次の猟期によろしくお願いします」電話を切った後、どのくらいの猪だったのか想像していた。実は前日9日、沖縄で猪に出会っていた。われわれの猟場の千葉とは遠く離れた西表島。プロ野球のキャンプは定期的に休みの日があり、なんとか原稿を仕上げたら、自由になる時間がある。気の合う他社の記者2人と、石垣港から高速船で45分。もちろん有名なのは特別天然記念物の「イリオモテヤマネコ」だが、在来種の「リュウキュウイノシシ」がいるという。食べさせる店があるということで、行ってみると炒めたシシ肉と赤紫米のセット。なかなかおいしい。店の人の聞いてみると、やはり増えているのだという。同時に交配したイノブタもいて農業被害もあるそうで本土に似た状況があるようだ。「どういう、狩猟が多いのですか?」「主にワナですね。ただサトウキビ畑に入ってしまうと、銃を使うこともあります」思わず取材してしまうのは職業病。店の前に猪が数頭いた。ちょっと小さいので、うり坊かと思ったら、その後に同島にある野生動物保護センターに行ってみると、ニホンイノシシより小さいのだと分かった。店の前にいたのは成獣のようだ。狩猟をやっていなかったら、そんなことを知ることもない。イリオモテヤマネコも車にひかれる例があることも知った。南の島で学ぶことがある。

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(鳥獣対策費1.5倍に増額:宮城)
イノシシやニホンジカなど野生鳥獣の増加による農作物の被害拡大を抑止するため、宮城県は新年度、対策予算を約1.5倍に増額し、個体数の調整に向けた独自の駆除事業などを強化する。2018年度一般会計当初予算案に前年度当初比約1億2000万円増の約4億円を計上する見通し。生息域の変化を踏まえ、捕獲エリアも広げる。県によると、16年度の農作物被害額は1億6129万円で、県内31市町村の272ヘクタールに及ぶ。被害額は14年度の2億994万円をピークに15年度は1億3870万円に減少したが、再び増加の兆しが表れている。当初予算案では、農林水産と環境生活の両部でそれぞれ約3億円(約8000万円増)、約1億円(約4000万円増)を計上し、捕獲や処理施設の整備、侵入防止対策を進める。県内市町村の猟友会などが16年度に捕獲した頭数(速報値)はイノシシ8330頭、ニホンジカ2263頭。12年度比でイノシシは約6150頭、ニホンジカは約1020頭増えた。県による16年度の捕獲数はイノシシ18頭、ニホンジカ150頭だったが、捕獲用わなの設置や昨年初めて2人採用した狩猟専門職員の拡充などで、県自ら捕獲数の増加に乗り出す。県北部で近年増えているイノシシや沿岸部に生息するニホンジカなどの個体数をより適切に管理するため、県は捕獲エリアも拡大、頭数の調整を急ぐ。
(鳥獣被害対策研修会、野生シカから農作物守れ:宮城)
石巻地方ではニホンジカによる農作物被害が深刻化している。県内の被害額は平成28年度が1300万円で、このうち石巻地方を含む東部管内は830万円と60%以上を占める。狩猟による捕獲は進んでいるが、肝心の被害額やエリアは拡大の一途をたどる。1日にJAいしのまき農業情報センターで開かれた県主催の「本年度東部管内鳥獣被害対策(ニホンジカ)研修会」では畜産・鳥獣害対策の専門家など3人が講演を行い、効率的かつ適切な被害対策に向けたポイントを伝えたほか、シカ肉を使ったジビエ料理の試食も実施した。シカによる県全体の農業被害額は平成25年度が1464万円、26年度1846万円、27年度1560万円と震災前と同じ水準で推移している。石巻市内では震災前も牡鹿半島を中心に農作物の食害や自動車への接触事故が多発していたが、震災後は行動範囲が稲井、飯野川地区などの内陸地域まで及び、農家の悩みの種となっている。これに歯止めをかけるため、県は28年度から金華山など離島を除く石巻市と女川町を対象に、狩猟で年間1920頭以上捕獲することを目標とした「県ニホンジカ管理計画」を実施。稲井、飯野川両地区では昨年、ニホンジカ対策協議会が立ち上げられるなど地域全体の士気も高まりつつある。これらにより、28年度の被害額は1346万円と例年と比べやや減少するなど一定の効果は得られたが、依然として高い金額で推移している。研修会は、被害減少に向けシカ対策の正しい知識を習得する目的で開いた。県や2市1町、JAの関係者、対策協議会、猟友会などから約70人が出席した。講師は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に所属する畜産・鳥獣害対策の専門家江口祐輔さん、東北野生動物保護管理センター研究員の関健太郎さん、稲井地区ニホンジカ対策協議会会長の岡良一さんの3人が務めた。このうち江口さんは、「シカの行動特性と被害対策」と題して基調講演した。江口さんは全国のイノシシとシカの捕獲数と農作物被害面積の関係をグラフで紹介。9年度は約20万頭が捕獲されたが、国の方針で捕獲強化が行われ、26年度の捕獲数は約113万頭と約6倍に伸びた。だが肝心の農作物被害面積はどちらも約5万8千平方メートルと変わっていないことを指摘し、「単なる鳥獣捕獲は農作物被害減少にはつながらないと頭に入れてほしい」と前置きした。そして「農作物被害を減らすには3つのステップを順に踏む必要がある」と話し、①野菜の残渣(ざんさ)などシカの誘因物となる餌を田畑に放置しないこと②電流柵などで田畑を隙間なく効果的に囲うこと③適切に捕獲すること―を挙げた。「①、②の徹底でシカを飢餓状態にできる。ここで初めて檻などを使ったわな猟が有効に働く」と語った。音や光、悪臭などのシカ避け対策は「意味がない。むしろ“ここにおいしい餌があるよ”という誘引剤にしかならない」と使用を控えるよう呼び掛けた。また②に関しては、「柵の高さは150センチ程度で十分。手足の骨折が致命的となる野生動物は命の危険に瀕した時以外は滅多に飛び越えない。むしろ下からくぐり抜けられない工夫が必要。また柵の網目は10センチ四方の正方形が好ましい」など細かくアドバイス。地域ぐるみで環境整備を行う大切さを強調した。昼食時には、シカのもも肉の炭火焼きや、シカミソのリゾットなどジビエ料理の試食が行われ、参加者たちはシカ肉の味を確認しながら、産業資源としての道も模索していた。
(燃えないごみから散弾銃の実包14発:三重)
伊賀南部環境衛生組合は2月1日、伊賀南部クリーンセンター(伊賀市奥鹿野)に収集された燃えないごみから、未使用の散弾銃の実包(長さ約6センチ、直径約2センチ)14発が見つかったと発表した。散弾は一般ごみとして処分できず、許可を受けずに破棄すれば火薬類取締法に抵触することから、名張署が捜査を始めた。この日午前8時50分ごろ、ごみの中身を検査していた組合の臨時職員男性(66)がポリバケツ(直径約30センチ、深さ約26センチ)の中に入ったビニール袋を破いたところ、実包をみつけた。ごみは昨日名張市内から収集したもの。ビニール袋は他のビニールごみと混入された状態だったという。火薬類の処分には知事の許可が必要で、未使用の実包は通常、火薬店などで回収してもらう必要がある。同組合では「見つけられずに破砕機に入っていれば、引火して爆発する可能性もあった。扱いにも免許が必要なものなので、適切に処理してほしい」と話した。
(狩猟中、イノシシにかまれ男性重傷:茨城)
30日午前9時半ごろ、石岡市山崎の山林で、イノシシが捕獲わなに掛かっているのが見つかり、土浦市若松町、職業不詳、男性(67)が猟銃で仕留めようとしたところ、イノシシに両足を複数回かまれ重傷を負った。
(サイクリングロードでイノシシに2人襲われる:茨城)
茨城県つくば市沼田のサイクリングロード「つくば霞ケ浦りんりんロード」で1月28日、利用者ら2人が相次いでイノシシに襲われ、けがをした。イノシシが同一かどうかは不明。つくば北署はパトカーで周辺住民に注意を呼び掛けた。署によると、午前10時半ごろ、自転車の同市国松の男性(70)が後ろからイノシシ(体長約1m)に襲われた。降車して逃げようとしたがもみ合いになり、右手の親指をかまれて切断するなどの重傷を負った。約40分後には付近を散歩していた同市筑波のパート従業員の女性(73)も似たような体形のイノシシに襲われ、右手の薬指をかまれた。いずれも、イノシシは逃走した。
(「許可頭数超える熊捕獲」自然保護団体が猟友会会員を刑事告発:東京)
青梅市の都猟友会青梅地区の男性会員が、許可された捕獲頭数を超えるツキノワグマを補殺したとして、自然保護団体「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は1日、鳥獣保護法と銃刀法違反にあたるとして、青梅署に告発を申し入れた。青梅署は1月31日に同協会から告発状の写しを受け取った。内容を精査し、受理の有無を判断する。告発状などによると、平成28年11月10日、青梅市内の山林で男性会員は、都からツキノワグマ1頭の有害捕獲許可しか受けていないにも関わらず、スギの木に登っていた3頭のツキノワグマの親子を射殺した。3頭のうち2頭は、許可も法定除外理由もない捕獲であり、「猟友会会員の行為は違法」としている。同年は山林の実りが大凶作であり、熊の目撃情報が相次いでいたことから、猟友会員が駆除隊として出動。当時、現場には猟友会会員9人がいたほか、2人の青梅市職員が同行していたという。協会の調査などによると、市職員が「子熊は撃たないように」と念を押したにも関わらず、男性会員が3頭の親子熊を補殺。男性会員は市の聞き取りで「熊が向かってきたから撃った」と証言したが、協会は「実際は山の中で木の上に逃げていた無抵抗の3頭の熊を射殺したのは明らか」としている。青梅市の担当者は産経新聞の取材に「市に監督責任があるのは承知しており、都からの指示を待って、再発防止策などについて猟友会を指導していきたい」と話している。ツキノワグマは都で絶滅危惧種に指定され、補殺禁止措置が取られている。これを受け、協会は1日、保護対策の強化を都側に申し入れた。
(ツキノワグマの狩猟期間、来季から延長へ:岩手)
県内でクマの出没や被害が相次いでいることを受けて、岩手県はツキノワグマの狩猟期間を来シーズンから2週間早める方針を決めました。県内では現在、銃を使ったツキノワグマの狩猟期間が11月15日から翌年2月15日までの3か月間と定められています。しかし近年クマの出没や人的被害が相次いでいることから、去年6月の県環境審議会自然・鳥獣部会で狩猟期間の延長を求める意見が出されていました。県はこれを受けて来シーズンから3年間、狩猟の解禁を2週間早めて11月1日から2月15日までとする方針を打ち出し、6日の自然・鳥獣部会で報告しました。期間延長の目的について県は「早い時期からハンターが野山で追い回したり銃声を聞かせたりすることでクマに人間への恐怖心を植え付け、人里への出没を抑制するため」と説明しています。
(移動処理車普及へガイドライン)
捕獲したシカやイノシシなどの野生鳥獣をその場で肉にできる移動式解体処理車(ジビエカー)を普及させようと、厚生労働省がガイドライン作りに着手したことが25日、分かった。国が統一基準を作ることで、ジビエの利用拡大に弾みをつける。27日に鹿児島市内で開かれる「日本ジビエサミット」で原案を発表する。ジビエカーは、日本ジビエ振興協会(長野県茅野市)と長野トヨタ自動車が共同開発。2トントラックの荷台を改造し、車外洗体エリア、解体室、保冷室などを設けた。解体室で内臓摘出など枝肉にするまでの1次処理を行った上で、5度以下に保たれた保冷室で保管。製品化するための2次処理施設まで衛生的に運ぶことができる。ガイドラインの原案によると、現在、解体室で行っている皮を剥ぐ作業を車外洗体エリアでするよう求めるほか、獲物1頭当たりの洗浄に必要な水の量を規定する方針だ。2月以降にパブリックコメントを実施した上で、3~4月をめどに自治体宛てに通知を出す。
(イノシシ肉骨粉、肥料利用を解禁)
農水省は、イノシシの骨や内臓を乾燥、粉砕した「肉骨粉」について、肥料としての利用を解禁した。国内で初めて牛海綿状脳症(BSE)が確認された2001年以降禁止されていた。イノシシを食肉利用する際、骨や内臓など利用しない部位を処分する手間や費用が負担となっているが、肥料として利用できることで、負担軽減が期待できる。動物の肉骨粉は、主に飼料やペットフード、肥料に利用されてきたがBSE発生以降、全面的に利用が禁止された。BSEの原因とされたためだ。同省はこれまでに、イノシシの肉骨粉は安全性に問題はないと判断し、14年にペットフード利用、16年に豚や鶏の飼料利用を解禁してきた。肥料利用は禁止されてきたが、昨年12月に解禁した。捕獲前に死亡しているなどの異常なイノシシを使わないこと、銃弾を確実に除去すること、鹿など他の野生鳥獣と分離した工程で処理することなどが条件となる。先に解禁したペットフードや豚や鶏の飼料としての利用は、認知度不足もあって進んでいない。だが、肥料利用は、肉骨粉はリン酸を多く含み、良質な肥料になることもあり、大きな需要が期待できる。同省は「今回の解禁で、これまで捨てていた部位が有効利用できる」(鳥獣対策室)とし、広くPRしていく考えだ。政府は、年間172億円(16年度)にも上る農作物被害の低減へ、鹿やイノシシの捕獲を進めるとともに、食肉利用を広げて地域の所得向上につなげる目標を掲げる。一方、骨や内臓など食肉利用しない部位の処分にかかる手間や費用が事業者の負担となっていた。
(最新囲いわなでサル3頭捕獲:和歌山)
印南町鳥獣被害防止対策協議会(尾曽紀文会長)が、印南原の南畑地内に設置したサルの大量捕獲が可能な囲いわなで29日、初めて捕獲が確認された。JA県域企画応援事業の補助を活用し、昨年11月に導入した最新タイプのわな。一度に3頭の捕獲に成功し、農作物への被害防止へ、今後も期待されている。29日、現場を訪れた地域住民が、わなに入ったサルを見つけ、役場へ連絡。オス1頭とメス2頭が入って出られなくなっていたという。囲いわなは「組立移動式サークルM」という最新式で、広さ4×6㍍、高さ2・4㍍の大きさ。天井が全面オープンタイプのためサルが入りやすく大量捕獲に適している。上部に返しがあって檻の中から外へ逃げられないようになっており、印南原でサルによる農作物への被害が出るなか、特に被害が大きい南畑地内へ試験的に1基を設置していた。協議会ではサルの群れの居場所や行動域を把握するため、3頭のうち、群れに戻るとされているメスの1頭に発信機を付け、山に放す予定。あとの2頭は処分する。囲いわなはそのまま同じ場所に設置しておく。
(サル目撃10件以上:福井)
福井市北部の河合地区や円山地区などで二十九日昼から三十日朝にかけ、サルの目撃情報が住民から十件以上、相次いで市に寄せられた。人的被害は出ていないというが、市有害鳥獣対策室は「サルを見かけたら複数人で追い払って」と注意を呼び掛けている。同室によると、サルは体長五〇~六〇センチの成獣で、目撃されたのは同一の個体とみられる。最初の目撃情報は二十九日午後一時ごろ、同市山室町の河合小学校付近で、午後四時三十分ごろには約六キロ南の同市西開発三の開発グラウンドで発見された。市は三十日朝、前日に情報が途絶えた開発グラウンドから、福井署員と共に巡回を開始。午前七時五十分ごろ、同市原目町の藤岡グラウンドでサルが近くの山に入っていくのを確認して以降は、情報は寄せられていない。大東中学校(同市北今泉町十)の藤井雅之教頭(56)は、三十日午前七時すぎに学校前で歩いているサルを目撃し「きょろきょろと見回していた」と驚いた様子で話した。
(厚岸町で「モバイルカリング」開始:北海道)
道東の厚岸町で29日、ハンターが車で林道を移動しながら、エゾシカを撃つ「モバイルカリング」が報道陣に公開されました。これはエゾシカによる食害を減らそうと、2011年度から道が行っているものです。モバイルは「移動」、カリングは「間引き」という意味で、林道を閉鎖して行われます。エゾシカをおびき寄せようと、林道わきにあらかじめ牧草を置いていましたが、初日の捕獲はゼロでした。釧路総合振興局は「今年は雪が少なく、他の餌もあるため、餌付けの牧草に集まりにくいのでは」と話しています。モバイルカリングは厚岸町のほか、浜中町でも行われ、それぞれ5日間の猟を予定しています。捕獲されたエゾシカは、食肉として活用されます。
(脳を破壊する「ゾンビ鹿病」、人間にも感染する恐れあり:アメリカ)
北アメリカに生息する鹿が神経系を侵す謎の病によって命を落としている。専門家は、この謎の病気が人間にも感染するようになるのではないかと懸念している。慢性消耗病(CWD)、またの名を”ゾンビ鹿病”というこの病気に感染した鹿は、脳みそがスポンジ状になり、体重が減る。感染して2年ほどすると、目がうつろになる、よだれが出る、肋骨が浮き上がる、頭や耳がうなだれる、同じところを繰り返し歩行するといった症状が現れ始める。このような症状は数日間で終わることもあれば、1年以上続くこともあるが、最後には死んでしまう。慢性消耗病は1976年にコロラド州フォートコリンズで初めて確認された。以降、アメリカ24州、カナダ、韓国、ノルウェーにおいて野生での感染症例が認められた。この病気はプリオンを介して動物同士で感染する。プリオンとは、誤って折りたたまれた状態(ミスフォールド)のタンパク質で、他のタンパク質にもミスフォールドを引き起こす。プリオン病は特定の種にしか感染しない傾向があるが、進化によってそうした制限を克服することもある。プリオンの感染経路は直接接触によるものばかりではない。ニューヨークタイムズによると、患畜と死骸が植物や土壌を汚染し、プリオンはそこで数年あるいは数十年も留まる。この病気が人間に感染したという報告はなく、感染した肉を食べることで人間に感染するという証拠も見つかっていない。このことから、人間と鹿の間には”種の障壁”が存在することが窺える。しかし、最近の研究はこれについて警鐘を鳴らしている。米コロラド州立大学プリオン研究センターのマーク・ザベル博士らは、慢性消耗病に感染したマカク(オナガザル科)を発見し、肉を介して霊長類にも感染することを初めて確認した。この病気が人間に感染したという報告はなく、感染した肉を食べることで人間に感染するという証拠も見つかっていない。このことから、人間と鹿の間には”種の障壁”が存在することが窺える。しかし、最近の研究はこれについて警鐘を鳴らしている。米コロラド州立大学プリオン研究センターのマーク・ザベル博士らは、慢性消耗病に感染したマカク(オナガザル科)を発見し、肉を介して霊長類にも感染することを初めて確認した。
(輸血によるE型肝炎感染で死亡、国内初)
日本赤十字社は、多発性骨髄腫の80代女性が輸血用血液製剤によってE型肝炎ウイルス(HEV)に感染し、劇症肝炎で2017年に死亡していたことを厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(血液事業部会運営委員会)で2018年1月31日に報告した。これを受けて厚労省は2月1日、「輸血用血液製剤の使用時の安全確保措置の周知徹底について」と題する通知を都道府県宛に出し、注意を呼びかけている。死亡事例を報告した日本赤十字社によると、献血者はシカの生肉を食べたことでHEVに不顕性感染していたとみられる。輸血によるHEV感染症例は2002~2016年で計23例が報告されているが、そのほとんどは軽症で経過し、死亡の報告は国内初。輸血でE型肝炎が広がる可能性を以前から指摘し、研究をしていた筑波大学医学医療系消化器外科・臓器移植外科講師の大城幸雄氏は「患者が高齢であったこと、抗癌剤治療によって肝機能が低下していたことなど複数の要因が重なり、死亡につながったと考えられる」と話す。日本赤十字社はこれまで血液製剤のHEV混入検査を、E型肝炎患者が多い北海道のみで実施していた。今回の死亡事例を受け、再発防止策として今後全ての献血血液に対してHEVスクリーニングを導入する予定だ。ただし、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に加え、HEVも検出できる試薬(4価NAT試薬)の開発には1~2年程度かかる見込みで、しばらくはHEVスクリーニングが行われていない血液製剤が流通し続けることになる。厚労省の通知では、患者への輸血前後に必要に応じて肝炎ウイルスマーカー検査などを行うことを求めている。HEVの検査方法やHEV陽性者の治療方針については、肝疾患診療連携拠点病院などの肝臓専門医に相談することも考慮するよう促している。大城氏は「輸血後に原因不明の肝機能異常が生じた場合は、E型肝炎の抗体検査を行うべき」と話している。IgA抗体を用いたHEV感染の検査は2011年に保険適用されている。
(捕獲まだ16頭、手法の改善検討:奈良)
県は6日、農作物への被害防止のため奈良市東部の郊外で昨年7月末から行う国天然記念物「奈良のシカ」の捕獲で、今年1月末現在の捕獲数が16頭と明らかにした。予定通り3月15日まで続けるが、上限とした120頭は大きく下回る見通し。県は捕獲効率を高めるため、農作物の被害が多い時期に前倒しすることや手法の改善が必要との見解を示した。
(イノシシ猟の規制緩和、ジビエ普及へ:千葉)
千葉県は5日、イノシシの捕獲・狩猟に関する規制を緩和した。捕獲したイノシシにとどめを刺す際の自治体職員らの立ち会いを廃止し、ハンターが食肉加工施設に持ち込むまでの手間や時間を省略する。食用に回るイノシシを増やし、人気が高まっているジビエ(野生の鳥獣肉)の安定供給につなげる。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、国と県は2013年1月から野生イノシシの安全管理を強化。地元の市町と加工処理施設の職員が捕獲現場に出向き、イノシシの血抜きや引き渡しが適切に行われているかどうか点検する手法を取り入れた。16年度に県内の加工処理施設に持ち込まれたイノシシは340頭で、処理能力全体の4割程度にとどまる。これまでハンターはイノシシを捕獲するたび、地元市町や施設との煩雑な調整を迫られるため「イノシシ肉の処理加工件数が伸び悩む一因になっていた」(県農地・農村振興課)。5日からはイノシシ猟に携わるハンターの狩猟地域や住所、連絡先を記した「捕獲者台帳」を作成し、各地の処理加工施設が管理。台帳に登録されたハンターはイノシシの捕獲や1次処理など現場での作業を1人で行えるようになる。狩猟の規制緩和後も放射性物質の全頭検査は継続する。
(夜間銃猟スタート、100頭捕獲目指す:和歌山)
ニホンジカによる農林業への被害を食い止めようと、和歌山県が猟友会に委託して実施している夜間銃猟が今シーズンも始まった。和歌山県内では、シカがミカンなどの果樹の皮などを食べる被害が相次いでいることから個体数の抑制が喫緊の課題となっている。今シーズンは田辺市や古座川町、紀美野町などの5地区で実施し、100頭の捕獲を目指すという。和歌山県鳥獣害対策室によると、シカは県中南部に数多く生息するほか、北部にも分布。生息頭数は、推計で約5万4千頭に及んでいる。シカはミカンの木の皮や新芽を好んで食べるため、木が枯れてしまうほか、水稲を踏み荒らされることもあり、28年度のシカによる農林業の被害額は7千万円にも達したという。県では、年間1万7千頭以上のシカの捕獲を目標に設定しているが、28年度の捕獲数は約1万6千頭に止まっており、捕獲数の向上が急務となっている。今シーズンで3年目となった夜間銃猟も捕獲数の向上を図る取り組みの一環として実施。シカは人が活動する昼間は警戒して身を潜めているが、夜間は餌を求めて活動するため、捕獲の機会を得やすいという。今シーズンは、紀美野町旧美里地区▽日高町原谷地区▽田辺市龍神村南東地区▽同市木守地区▽古座川町池野山地区-の5地区で夜間銃猟を実施。実施期間は1月30日~3月下旬の約2カ月間で、地区ごとに1~2週間間隔で各5回程度を目指す。時間帯は日没から午後10時ごろまで。事前に近隣住民に周知して安全確保の徹底を図るほか、射手は講習を受け、技術試験に合格した熟練者が務める。また、捕獲したシカは食肉などとして有効に活用するという。同室の担当者は「適切な安全管理を行い、事故がないように気をつけたい。取り組みを通じて捕獲数の向上につなげていけたら」と話している。
(新田恵利、100kg級のイノシシが車に追突:静岡)
元おニャン子クラブでタレントの新田恵利が23日にアメブロを更新。ドライブ中に100kg級のイノシシに追突されたことを明かした。21日に車で西伊豆に出かけたという新田。昼頃に夫の運転で海沿いの国道を走っていると、突然大きなイノシシが現れたという。「慌てて旦那はハンドルを切り、真正面からの衝突は避けたものの、イノシシは左の後部あたりに体当たり!!」と、その時の様子を振り返った。パニックになった夫が車を止めようとするも、再度体当たりしてくる恐れがあり「ダメー!止まったらダメ!!見えなくなるまで走って!」と叫んだという。しばらく走ってから車の様子を見ると、後輪のタイヤ近くの部分の塗装が剥がれ損傷していたといい「100kg近くあっただろう、大きなイノシシだったもんなぁ~」「あーあ 修理に20万円コース??」と、損傷した部分を指さしながら泣き顔の写真を公開した。
(市役所前でエゾシカ“食事”:北海道)
根室市中心部で26日、エゾシカが歩き回る姿が見られた。市によると午前9時半すぎ、市役所前でハマナスを食べる2頭が目撃された。2頭はその後、隣の根室振興局の前庭に移り、監視に駆けつけた市職員や根室署員を横目にのんびり草をはむなどした。記者がカメラを向け続けていると迷惑だと言いたげな視線を投げかけてきて、ほどなく2頭は車が途切れるのを待って国道44号を走って渡った。市職員と署員が追ったが、2頭は住宅地内の沢に入り込み、姿が見えなくなったという。市中心部ではシカがまれに見られる。
(シカ事故防止、オオカミの模型設置:北海道)
釧路署は2017年12月15日に釧路市広里の外環状道路で発生した車両同士の正面衝突による死亡交通事故を受け、釧路外環状道路中央インターチェンジ(IC)の本線に獣害対策の「オオカミ模型」の設置を検討している。今後、道路を管理する釧路開発建設部釧路道路事務所と協議し進めていく予定。
(クマ対策の担い手に「実施隊」:秋田)
秋田県鹿角市鳥獣被害防止対策協議会(会長=大森誠・市農林課長)は30日、クマ対策などの担い手を将来にわたって確保するため、「鳥獣被害対策実施隊」を設置する方針を承認した。来年度から、市猟友会の会員(54人)らが隊員となり、有害駆除や見回りなどに当たる。実施隊は鳥獣被害防止特措法に基づき市町村が設置。隊員は自治体の非常勤職員として活動する。▽活動費の8割を国が特別交付税措置▽隊員は猟銃(散弾銃)所持期間が10年を超えていなくても、有害駆除の場合はライフル銃を使用できる―といった優遇策を受けられる。県水田総合利用課によると、県内では22市町村が実施隊を設置済み。鹿角市以外で未設置の秋田市と男鹿市も検討中という。
(シカ集中駆除で166頭捕獲:京都)
一般社団法人京都府猟友会(奥田定雄会長)は昨年3月から12月までの間、京都府福知山市下豊富地区内の姫髪山周辺で、シカを対象に集中的な駆除を実施した。周辺では約400頭のシカが生息していたとみられるが、今回の駆除で頭数が半数近くに抑制できた。これまでシカによる食害に困り切っていた地元自治会などから、府猟友会に感謝状が贈られた。姫髪山周辺にはニホンジカが多く生息。周辺では田畑の作物が荒らされ、姫髪山のふもとにあり紅葉で有名な長安寺では、もみじの苗木が食い荒らされるなど大きな被害が出ている。駆除は2016年度に創設された府の「指定管理鳥獣捕獲等事業」で実施。生息個体数に対して捕獲が十分に進んでいない地域を対象にする施策で、地元から捕獲要望が高い姫髪山周辺と綾部市内の四尾山周辺の区域が実施区域に選ばれた。姫髪山では府猟友会が委託を受け、福知山支部など32支部の中から高い狩猟技術を持っているメンバー約25人が猟銃とわなを使い、166頭を駆除した。また駆除の際、姫髪山北西部にあたる上川口地区方面にシカが追われ、民家近くに逃げ込まないように、山際のJR山陰線沿いに設置されたフェンスの破れも補修した。駆除の結果、姫髪山周辺ではシカの目撃数が減少。特に長安寺境内では激減した。19日には篠尾新町のサンプラザ万助で感謝状の贈呈式があり、奥田会長(77)に、下豊富自治会長会・農区長会(連名)、上川口自治会長会などからそれぞれ手渡された。下豊富自治会長会の荒川修会長(69)は「最近はシカが民家近くまで現れ、大変な被害に悩まされてきました。多数のシカを駆除していただき、本当にありがたい」と感謝していた。奥田会長は「地元の人たちに喜んでもらえ、よかった。府内はシカが増えて困っているところが多いので、今後もそうした場所に出動したい」と話していた。今回の駆除で山の地図作りや案内役など、リーダー的役割を務めた福知山支部の下元照男支部長(69)は「地元の方々の理解と協力がなければ、これだけの成果は出ませんでした。今後も市内で駆除を頑張りたい」と語った。
(一般向けに銃やわな講習会:福島)
県は21日、東京電力福島第1原発事故の被災地で増加する野生動物の被害を減らそうと、狩猟免許を持たない一般向けに銃やわなの扱い方の講習会を福島市内で開いた。野生動物の被害は復興の足かせになっており、狩猟の役割や魅力を知ってもらいハンターを増やすのが狙い。講習会は21日にあり、男女約10人が参加。狩猟の関連法令を学んだ後、模擬銃を使って画面に映されたイノシシを撃つシミュレーターで、銃の扱い方を体験した。講師役の免許所持者が効果的なわなの仕掛け方なども解説した。参加した福島市の女性(31)は「ジビエ(野生鳥獣肉)に興味がある。講習会で免許を取る気持ちが強くなった」と話した。県内では原発事故で避難指示が出た沿岸部を中心に、無人となった民家や田畑をイノシシなどが荒らす被害が相次いでいる。一方、県内の狩猟免許所持者は1981年度の約1万8千人から、2015年度は約4600人に減少。60歳以上が約7割で高齢化も進む。
(女性から見た農業や農村、体験発表:長野)
諏訪地方の女性農業者などが集う「第5回 農ガールのつどい」(諏訪地区農村女性団体連携会議など主催)が25日、原村中央公民館で開かれた。農業や観光などに関わる女性を中心に約60人が参加し、女性の視点で発見した諏訪地方の農業や農村の魅力について意見を交わした。三つの体験発表があり、原村に移住して3年目で、原村猟友会所属の大山真裕さんは「命に生かされるということ」と題して発表した。新聞記事で有害鳥獣として駆除された鹿がただ廃棄されていることを知り、猟友会に入ろうと決意。初めて鹿の解体を目の当たりにしたときは「せつないがそれが命をいただくということ。スーパーに並ぶ肉も同じ。私にできることは1頭でも多く命のサイクル(食すこと)に入れることだと思った」と語った。飯山市のやよい農園園長の滝沢弥生さんは「飯山で始めた農業と米粉の魅力」、茅野市地域おこし協力隊の田子直美さんとクリスティーナ・ナンニーニさんは、2018年中の設立を目指す茅野版DMOについて紹介した。発表の後は参加者と発表者の意見交換・交流会もあった。
(「動物注意」看板設置:愛知)
野生のシカやイノシシなど大型獣と走行車両との接触事故が増加していることから県新城設楽建設事務所は、新城市作手地区の幹線道路に「動物注意」の看板を4カ所に設置した。昨年1年間、市内全体でシカとの事故は少なくとも65件あり、同地区でも増加している傾向があることから新城猟友会(佐藤勝彦会長)が要望していた。設置した場所は同市作手清岳地内の国道301号と同作手黒瀬地内の県道岡崎設楽線沿い。それぞれセンターラインがある片側1車線道路で事故現場近くの左右に「動物注意」と書かれた縦140㌢、横55㌢のものを設けた。昨年1年間でシカとの接触事故は県新城設楽建設事務所によると県道で53件、新城市農業課によると市管理の道路で12件あった。また同猟友会作手地区の鈴木康弘地区長によると道路から離れた場所で死んでいたシカの駆除件数も前年より多かったという。市内では大型獣から農業被害を防ごうと防護柵を設けている。畑がある道路沿いにも設置されているが、看板を設置した場所近くの事故現場は民地の雑木林で防護柵はなかった。2014年9月に事故に遭ったという作手田原の会社員男性(59)は、国道301号で午後9時ごろ走行中に左前方から飛び出してきたシカと接触。ヘッドライトを破損した。「まさかガードレールを飛び越えてきたとは」と振り返った。今年に入っても先月23日未明に豊栄地内の国道301号で接触事故に遭った作手高里の女性は前面のバンパーなどを破損。「徐行していてもぶつかってきた」と話した。鈴木地区長は「事故はほとんど同じような場所で起きている。シカを避けようとして縁石や壁などに衝突するケースも考えられる。注意や徐行などを呼び掛けていくには今後、地域と猟友会、行政で連携して対策を練るしかない」と話し、事故件数の把握など情報共有の必要性を訴えた。
(ICT活用わな、効果的に:静岡)
静岡県東部農林事務所は1日、ICT(情報通信技術)を活用した囲いわなの効果的な使い方を学ぶ研修会を長泉町内で開いた。野生鳥獣対策連携センター(兵庫県)岡山支社の阿部豪支社長が講師を務めた。沼津市や御殿場市など周辺市町やJAなんすん、猟友会のメンバーら約30人が長泉町東野八分平のゴルフ場を訪れ、2017年6月に設置され、現在までにシカ2頭を捕獲した囲いわなを見学した。阿部支社長は「わなの周辺に別の構造物があるとシカは寄り付きたがらない」と指摘。シカを囲いわなに入れる方法として「餌の位置を少しずつわなに近づけて、わなの存在に慣れさせれば囲いの中に入れさせやすい」と説明した。ICTを活用した囲いわなは、監視システムを使った遠隔操作で入り口の開閉ができるため、動物を群れで捕獲することができる。
(ハンター講座の定員を4倍に:千葉)
シカやイノシシなどの野生動物による農作物への被害が深刻化する中、有害鳥獣捕獲の担い手となるハンターを育てようと、県は2月17日に県射撃場(市原市)で「新人ハンター入門セミナー」を開催する。初開催した昨年は、30の定員に約300人が応募するなど反響を呼んだ。今年は定員を120人に拡大して募集している。高齢化などによるハンター不足も鳥獣被害の一因だとして、狩猟を始めるきっかけにしてもらうことを狙う。当日はベテランハンターらとの交流のほか、実射やわな猟の見学なども体験できる。県内産イノシシを使った「猟師メシ」の試食もある。狩猟免許を持っていない18~49歳で、昨年のセミナーに参加していない人が対象。
(イノシシ肉の出荷・検査方針見直し:千葉)
県は5日、県産イノシシ肉の出荷・検査方針を平成25年1月の制定以来約5年ぶりに大幅に見直した。捕獲場所で処分する際に必要とされた市町職員らの立ち会いを廃止し、ハンターらがすぐに食肉処理施設に持ち込めるという手続き簡素化が見直しの柱。イノシシ肉の流通促進と、捕獲数増加による食害防止の“一石二鳥”を狙う考えだ。県農地・農村振興課によると、有害鳥獣による農作物などへの被害額は、平成24年度の約3億8600万円から、28年度は約4億6500万円へ増加。うち約55%の約2億5700万円がイノシシ被害だ。イノシシの食肉流通量が増えれば、駆除の活発化につながる可能性もある。そこで県では、イノシシの利活用目的でジビエ(狩猟で捕獲した獣)料理の普及に力を入れる。ただ、そもそも捕獲段階で、流通につながりにくい規制があった。捕獲イノシシの食肉処理に当たり、市や町の職員の立ち会いが必要というのがそれ。ハンターが仕留めても行政職員の捕獲現場到着に時間がかかり、「食肉としての利用を諦め、埋めることもあった」(県農地・農村振興課)。そこで今回、手続き簡素化となった。この見直しとともに、県は、駆除したイノシシの利活用目的でジビエ料理の普及に力を入れる。1月26日から約1カ月間、本県と東京都内の計47店が参加して開催中の「房総ジビエフェア2018冬」もその一環。6~7年前から君津市産イノシシを使う船橋市の仏料理店「ビストロコマ」オーナー、生駒広平さん(38)は「県産肉は処理が丁寧。素材の味を生かすよう心がけている」と話し、優良食材と太鼓判を押す。ただし、有害鳥獣の処理頭数に占めるジビエ食材の流通割合はまだ少ない。県によると、28年度に県内で捕獲されたイノシシは2万8599頭で、食肉として流通するのは340頭分。君津市など県内5カ所の処理施設の処理能力は約780頭分だが、約4割にとどまる計算だ。解体従事者不足などが原因という。食材にならないイノシシを土に埋めるだけでなく、他の利用法を探る動きも。富津市は昨年12月から、イノシシを圧力容器で加水分解、肥料などに変える実験を始めた。約3時間で獣肉120キロが数分の1の重さの肥料などに変わるといい「実験結果を踏まえて導入を進めたい」(同市農林水産課)。関係機関の新活用法効果にも期待が集まる。
(ジビエサミット開催:鹿児島)
狩猟で捕まえたシカやイノシシなど野生動物の肉「ジビエ」の消費拡大を図る「第4回日本ジビエサミット」が、鹿児島市のかごしま県民交流センターであった。狩猟関係者や流通、飲食業者など全国から約900人が集まった。ジビエの普及を目指す日本ジビエ振興協会が主催し、県内での開催は初めて。農林業被害の原因として駆除される有害鳥獣を有効活用しようと、講演やパネルディスカッション、現地視察など各種イベントが企画された。サミットには企業や団体のブースも設けられ、県立鶴翔高(阿久根市)の生徒も参加。授業の一環で開発し、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」でも提供されたシカ肉の加工商品などをPRした。同校1年の本蔵千華さん(16)は「多くの人にジビエのおいしさを知ってもらい、食材を余すことなく利用してほしい」と話した。
(駆除イノシシの資源化テーマに:島根)
島根県津和野町で有害駆除されているイノシシの資源化をテーマにした「ジビエ学習」が26日、同町日原の日原小学校であった。同日に町産イノシシ肉を使ったメニューが給食で提供されたのに合わせた取り組みで、肉のブランド化に取り組んでいる町集落支援員の栗原紗希さん(29)らが講師を務め、3年生15人が捕獲方法や急速凍結装置(CAS)を使った鮮度保持の取り組みなどを学んだ。同町産のイノシシ肉の活用は、栗原さんが、2015年に町が導入したCASを使い、鮮度の管理などに従事。町内の料理店で食材として活用され、用途が拡大している。この日は、町内の全6小中学校の給食でイノシシ肉を使ったカレーライスが約500食分、提供されるのに合わせ、町がジビエ学習を企画。いずれも狩猟免許を持つ栗原さんと有害鳥獣担当の町農林課職員、吉川健太さん(23)が講師を務めた。吉川さんは、町内に狩猟免許を持った人が112人おり、3人に1人は70歳以上であることや、生息数と捕獲量のバランスを取りながら、畑の作物を守るため、わななどで捕獲していると説明した。栗原さんは、ハムやカルビ丼など肉の使途を紹介し、「皆さんは給食センターの人たちのおかげで、イノシシ肉を食べられる」と呼び掛けた。児童たちは、町が用意したイノシシのはく製も見学。石田星成(せな)君(9)は「猟師の人がいて初めて、イノシシが食べられると分かった」と話した。
(ジビエ振興へ担い手育成:千葉)
千葉県は野生の鳥獣肉(ジビエ)の安定供給をめざし、担い手の育成を加速する。イノシシやシカを捕らえるハンターの入門講座の定員を3倍に増やす。解体処理方法を教える講習会は2月に初めて開く。捕獲頭数などの狩猟規制も2017年度から緩和した。ジビエ振興に携わる人材を育て、有害鳥獣の駆除と新たな名物料理づくりの一石二鳥をめざす。県は若年層や女性を対象にした「新人ハンター入門セミナー」を2月17日に催す。17年3月に続いて2度目の開催で、今回は定員を120人と初回の3倍に増やす。現役のハンターが狩猟や解体方法について説明するほか、光線銃を使った模擬体験などを予定している。前回のセミナーには定員の8倍近い応募者が殺到した。応募窓口を務める県自然保護課の担当者は「ジビエへの注目が集まり、一般の方々の鳥獣捕獲に対する関心も高まっているようだ」と話す。今回も応募が定員を超えた場合は抽選とする。県内で狩猟免許を持つハンターは高齢化が進んでおり、セミナーを通じて新たな担い手候補を育成する。イノシシやシカを食用にするには厳しい衛生管理ルールがあり、ハンターを増やすだけでは消費拡大は難しい。県は加工に必要な知識を普及するため、食肉加工業者やハンターらを対象にした「野生鳥獣肉処理衛生管理講習会」を2月に初めて開く。県内はジビエの加工処理のノウハウを持つ人材が少なく「消費拡大へのボトルネックとなっていた」(県農地・農村振興課)。講習会は2日間の日程で衛生管理ガイドラインや法令を学ぶほか、イノシシの解体現場を見学する。有害鳥獣の駆除を加速するため、狩猟規制も大幅に緩和した。これまではニホンジカの狩猟対象地域を県内9市町に限っていたが、17年度から県内全域に拡大。1人あたり年間20~40頭としていた捕獲上限も撤廃した。県内の有害鳥獣による農業被害は増加基調が続いており、16年度は4億6539万円と前年度に比べて19%増えた。そのうちジビエの主力品目であるイノシシ、ニホンジカは合計で2億8022万円と被害全体の6割を占める。県はイノシシやシカの捕獲から食肉加工まで一連の工程に携わる人材を増やし、ジビエの安定供給体制を構築するねらいだ。ジビエ需要が高まれば「食材」となる有害鳥獣の捕獲に弾みが付くほか、新しい名物料理として訪日外国人(インバウンド)を含む観光客誘致につながる期待がある。千葉県は野生の鳥獣肉の消費拡大を目的とした「房総ジビエフェア」を26日から2月25日まで開く。千葉県内や東京都内から47店舗が参加し、県内で捕獲したイノシシやシカを使った料理を販売する。消費者が県内産のジビエに触れる機会を増やし、県内外での認知度向上をめざす。フェア開催は2016年夏、17年冬に続いて3回目。洋食や和食、中華料理など84種類の料理をそろえた。参加店で対象料理を食べた客には、房総ジビエの加工品や千葉県産のブランド水産物などを抽選で贈る。24日にはフェア開幕に先立ち、SNS(交流サイト)で積極的に情報を発信する若い女性らを招き、代表的な料理の内覧会を県庁内で開催。イノシシ肉の黒ビール煮込み、鹿肉のローストなど5品目を披露した。イノシシ肉のテリーヌを試食した滝川伸輔副知事は「繊細な味わいで、スパークリングワインや辛口の白ワインにぴったり」と太鼓判を押した。
(中国原産「キョン」急増、GPSで追跡:千葉)
千葉県南部で急増し、農作物や花を食い荒らすシカ科の特定外来生物「キョン」の獣害対策に県が本腰を入れ始めた。いまだ謎が多い生態を解明するために捕まえたキョンにGPS装置を付けて追跡調査を行うほか、捕獲担当の任期付き専門職員の募集も始めている。14年間で約50倍と爆発的に頭数が増えたキョンによる被害の根絶に向け、効果的な一手となるか注目される。県自然保護課などによると、キョンは勝浦市にあったレジャー施設「行川アイランド」(平成13年閉鎖)が輸入したが、飼育されていた個体の一部が脱走し野生化したとみられる。閉鎖直後の推定頭数は14年度が1千頭だったが、19年度3400頭、27年度末には4万9500頭に。県のほか生息地のいすみ市や鴨川市、勝浦市などが罠を仕掛けるといった方法で駆除しているが、28年度の捕獲数は計2400頭で、増加を食い止めきれない。同課は急増の理由を「熊やオオカミのような天敵となる肉食獣がいないうえ、房総半島は温暖でえさも多いため」と分析。加えて、キョンの驚異的な繁殖力も問題となっている。キョンの雌は生後半年ほどで妊娠でき、出産直後から発情期となるなど特定の繁殖期を持たず、1年を通して繁殖可能。2歳前後からしか妊娠や出産ができない同じシカ科のニホンジカなどに比べ、旺盛な繁殖力を持つ。頭数増加に伴い、山間部から畑や住宅地などへの侵入も目立つ。県環境政策課によると、「花壇の花が食べられた」「夜中の鳴き声がうるさい」といった住民からの苦情も増えている。キョンによる農作物などの食害額も28年度は130万円相当にのぼった。千葉県南部で急増し、農作物や花を食い荒らすシカ科の特定外来生物「キョン」の獣害対策に県が本腰を入れ始めた。いまだ謎が多い生態を解明するために捕まえたキョンにGPS装置を付けて追跡調査を行うほか、捕獲担当の任期付き専門職員の募集も始めている。14年間で約50倍と爆発的に頭数が増えたキョンによる被害の根絶に向け、効果的な一手となるか注目される。県自然保護課などによると、キョンは勝浦市にあったレジャー施設「行川アイランド」(平成13年閉鎖)が輸入したが、飼育されていた個体の一部が脱走し野生化したとみられる。閉鎖直後の推定頭数は14年度が1千頭だったが、19年度3400頭、27年度末には4万9500頭に。県のほか生息地のいすみ市や鴨川市、勝浦市などが罠を仕掛けるといった方法で駆除しているが、28年度の捕獲数は計2400頭で、増加を食い止めきれない。同課は急増の理由を「熊やオオカミのような天敵となる肉食獣がいないうえ、房総半島は温暖でえさも多いため」と分析。加えて、キョンの驚異的な繁殖力も問題となっている。キョンの雌は生後半年ほどで妊娠でき、出産直後から発情期となるなど特定の繁殖期を持たず、1年を通して繁殖可能。2歳前後からしか妊娠や出産ができない同じシカ科のニホンジカなどに比べ、旺盛な繁殖力を持つ。頭数増加に伴い、山間部から畑や住宅地などへの侵入も目立つ。県環境政策課によると、「花壇の花が食べられた」「夜中の鳴き声がうるさい」といった住民からの苦情も増えている。キョンによる農作物などの食害額も28年度は130万円相当にのぼった。
(鳥獣被害の対策推進:熊本)
県は2月を初めて「鳥獣被害防止対策強化月間」として指導や啓発を進める。県内の鳥獣被害は昨年度、約5億円に上り、田畑の周囲に柵を設置するなどの対策を呼びかけて被害を減らす狙い。県によると、鳥獣ごとの被害は▽イノシシ2億7241万円▽鹿1億649万円▽カラス6747万円--など。
(イノシシ対策条例提出へ:茨城)
県内各地でイノシシが人に危害を加えたり、農作物を荒らしたりする被害が相次いでいることを受け、県議会会派のいばらき自民党は、イノシシを中心とした野生鳥獣の被害防止対策に関する条例案を27日開会予定の第1回定例会に議員提出する。県によると、イノシシ対策に関する条例は新潟県に次いで全国で2例目だという。県農村環境課によると、イノシシによる農作物被害額は増加傾向にあり、平成28年度は約1億1千万円で、捕獲頭数は前年度比34%増の8117頭だった。イノシシによる被害で最も多いのが稲で約6割を占める。次いでいも類、野菜、果樹と続く。これまで県北地域や筑波山周辺の中山間地域が被害の中心だったが、近年は行方市や鉾田市など平野部での捕獲や目撃も増えている。イノシシの生息数(推計)は今後も増加が予測されており、有効な対策を打ち出せなければ、農業算出額全国2位の「農業大県」にとって大きな痛手になり得る。また、被害は農作物にとどまらない。1月28日にはつくば市沼田の「つくば霞ケ浦りんりんロード」で、男女2人が相次いでイノシシに襲われ、指を切断するなど重軽傷を負った。このほかにも住宅地や道路で目撃情報が相次いでおり、県民の身体や財産を守るためにも対策の強化が急務となっていた。条例案は県が策定している「イノシシ管理計画」とほぼ同内容だが、被害防止対策に関する施策の策定と実施、市町村への必要な支援を「県の責務」としている。被害防止のため財政上の措置や防止対策の公表も求めている。具体的には捕獲者(ハンター)の確保や必要な知識と技術向上の研修▽わな見回り省力化などに情報通信技術の活用▽食肉や毛皮の有効活用促進▽捕獲時の事故防止-などの施策の推進が盛り込まれている。条例の対象となる「指定野生鳥獣」にはイノシシに加え、ハクビシンも指定。カワウやカモ類、アライグマなどの野生鳥獣の被害については条例とは別の規則で定める。条例案をまとめた自民党県連政調会長の常井洋治県議は「イノシシの被害に遭うと、農家が営農意欲を失い、耕作放棄地が増える悪循環になってしまう」と懸念を示し、「県全体で危機意識を共有し、問題に立ち向かっていきたい」と強調している。
(有害鳥獣の処理施設完成:岡山)
庄原市が庄原工業団地(是松町)に整備していた有害鳥獣の解体処理施設が完成した。当面はイノシシのみを受け入れ、肉を買い取って駆除促進を図る。肉は市内の道の駅やレストランに販売し、ジビエ料理の普及にもつなげる方針。施設は市のバイオ研究施設(鉄骨平屋、約100平方メートル)を改装。肉のスライサーや冷凍庫、体内に残る銃弾を確認する金属探知機など備える。29日から稼働し、市や県猟友会庄原支部などでつくる協議会が運営する。イノシシは皮や内臓を取り除いて精肉やペットフードの原材料に加工。買い取り価格は1キロ200円(ペットフード用は50円)に設定している。有害鳥獣としてではなく、狩猟期間(11月15日~2月末)に捕獲したものも別料金(1キロ最大千円)で買い取る。26日、関係者約30人が出席し竣工(しゅんこう)式があり、木山耕三市長、同支部の岸昇支部長(73)らがテープカットして完成を祝った。同市の有害鳥獣による2016年度の農作物被害は約1600万円。うちイノシシ被害が8割を占める。市は年間390頭程度の受け入れを見込む。市林業振興課は「これで処理に悩むことなく捕獲できる。肉も市の新たな特産品になるよう販路を広げたい」と話している。
(鳥獣被害、ドローンで調査:神奈川)
公明党の鈴木秀志、佐々木正行の両神奈川県議は16日、県が相模原市緑区の名倉地区で行った、ドローン(小型無人機)を使った鳥獣被害対策のための画像撮影を視察した。栄裕明、南波秀樹の両市議も参加した。県内で農作物などへの野生鳥獣被害が続く現状に神奈川県は昨年4月、「かながわ鳥獣被害対策支援センター」を設置し、同地区など県内6カ所を「重点取組地区」に指定、有害鳥獣の生息状況や被害実態、地域環境などを調査し、対策を立案・実行している。同地区は山梨県境に近い山間地域。自治会長を務める野崎好夫さんによれば、一昨年から被害が深刻化。昨年4月には作付けしたジャガイモの9割以上がイノシシによって被害を受けたという。インストラクターの操作によって飛び立ったドローンは、10分ほどの間に4K映像のカメラで約3ヘクタールの地区内を撮影。イノシシが掘った跡などを捉えた精密な画像は百数十枚に上った。県の担当者によれば、同じ情報を担当者が踏査して把握しようとすると数時間かかり、ドローンの使用でスピーディーに状況が把握できるという。栄市議は「人家の周りをクマが歩いたと住民が恐怖を語っていた。迅速な対策につなげてほしい」と要請。県議会の場でドローンを活用した鳥獣被害対策を訴えた鈴木議員と、同センターの設置を提案した佐々木議員らは「住民の皆さんの安全と安心に向けた取り組みを続けたい」と語っていた。
(ドローン活用で獣害阻止:長野)
小型無人機「ドローン」や自動運転車など新産業技術の活用を探っている伊那市の白鳥孝市長は二十三日、ドローンを使った有害なニホンジカ探索と、その捕獲を連動させた事業に、二〇一八年度から取り組みたい考えを明らかにした。同市は昨年十月、ドローンの活用を幅広く考える「ドローンフェス」を開き、その中で鹿を探索する技術を競うコンペを催した。この日、市役所で開いた定例記者会見で、白鳥市長は「同じ内容を繰り返しても意味が無い。実用化していく必要がある」と話し、地元猟友会と協力してドローンによる探索を捕獲につなげる形で事業を検討するとした。同市内では、新産業技術関連の事業として▽ドローンによる物流実験▽自動運転車の実証実験準備▽ドローンを活用した松くい虫被害計測▽次世代無線通信方式を使い地域課題解決策を探る催し「ハッカソン」開催▽情報通信技術を使った遠隔授業-などが進められている。 
(南ア開拓の父・竹沢長衛の猟銃、伊那に戻る:長野)
南アルプス開拓の父とされる竹沢長衛(一八八九~一九五八年)が、山梨県南アルプス市の山小屋にのこした狩猟用鉄砲が、保管されていた同県の甲府地検から伊那市に引き渡され、市は二日、長衛の地元である同市長谷の長谷公民館で報告会を開いた。山案内や山小屋建築、登山道開設を手掛けたほか、クマ打ちの名手で「熊長(くまちょう)さ」とも呼ばれた長衛愛用の鉄砲には、筒を短く切るなど、山や猟を知る人ならではの工夫がみられる。鉄砲は長さ八十三センチで村田銃と呼ばれる型。長衛と親交のあった同市高遠町の矢沢章一さん(89)によると、標準の村田銃は百十センチ余りだが、撃つ際に素早い動作ができ、持ち運びに疲れない-といった理由で、本人が職人に頼んで切ってもらったという。照準を合わせる筒先の突起「照星」には、狙いやすいように、独自で小さな刻みも入れている。銃は二〇一一年、長衛が建築した「長衛小屋」(南ア市)の建て替え時に、床下で見つかった。小屋は南ア市所有で、関係者が山梨県警南ア署に銃を届けた。直後から伊那市が、同署や、その後に移された甲府地検などに銃の受け渡しを求めていた。昨年十二月に許可され、同市に引き渡された。報告会には、長衛の五男の星野五六さん(73)や、長衛祭実行委員長で銃の保管箱を作った唐木真澄さん(73)、白鳥孝伊那市長らが出席した。会場で、長衛と一緒に猟に出掛けた経験や、銃の解説を披露した矢沢さんは「じいさん(長衛)にまた会えたような感激がある。銃は、南ア開拓者の生活を代表するものとして貴重です」と話していた。市は同日から、鉄砲を長谷公民館内の資料室で保管・展示している。
(高校生、地域で役立つ研究活動:三重)
「地域で真剣に取り組んでいる獣害問題に、僕たちの研究が少しでも役に立てば」。名張西・名張青峰高校(名張市百合が丘東6番町)科学部の部員4人が、学校周辺で猿やイノシシなどの出没情報を観察・分析し、そのデータをインターネットで公開するなどの活動に取り組んでいる。部長で2年の笠井康陽君(17)、3年の髙木唯輔君(18)、1年の天川翔弥斗君(16)と早川諒君(15)の4人は、中学の時から生物や科学に興味があったといい、同部顧問で生物学専攻の竹内竜馬教諭(35)の指導で、主に獣害と防災の問題に取り組んでいる。獣害については、まずニホンザルの追跡調査から始めた。青蓮寺から比奈知地区までの"縄張り地帯"に生息する集団の雌個体に取り付けられた首輪中の電波発信機を頼りに、車に積んだ受信アンテナで電波をキャッチしながら追跡。出没データは、NPO法人「サルどこネット」が運営する、猿の出没情報を閲覧できるサイトに掲載している。「猿に100、200㍍まで近づかないと受信できないので、車載アンテナと指向性のあるアンテナを併用して追跡しています」と笠井君は話す。また、野生動物が通る獣道にセンサーカメラを2台設置し、イノシシ、タヌキ、キツネ、アライグマなどの動きを映像で記録。そのデータによれば、昨年のイノシシの出没件数は一昨年の約5倍と急増し、活動時間も、従来は夜間中心だったものが、最近は昼間にも出没しているという。設置場所が小中学校の通学路に近いこともあり、地域への注意喚起も行っている。こうした研究成果はこれまで、「三重生物研究発表会」や「日本動物学会」で発表し、表彰を受けてきた。竹内教諭は「野生動物の駆除が目的ではなく、野生動物と人間の生活圏を住み分け、互いに共存しながら幸せになれればと考えています」と活動の目的を説明する。
(さまようクマ:秋田)
今月9日、県庁の自然保護課にクマの捕殺に関する抗議の電話が入った。日に5、6件の電話が1週間ほど続き、メールや手紙も15件寄せられた。きっかけは全国紙の記事だった。「クマ800頭捕殺、悩む秋田/推定生息数の6割」。県が県内に生息すると推定したクマ1429頭のうち、およそ6割が有害駆除などで捕殺されたとして、県外の動物愛護団体の批判を軸に報じる内容だった。「かわいそう。殺さないで」「残酷だから秋田の物は一切買わない。あきたこまちも稲庭うどんも買わない」。電話は多くが女性で、県外の人が大半を占めた。「秋田の人は野蛮だ」というメールもあった。「クマ憎しで無差別に殺していると捉えている人が多いように感じた。『6割』という数字が一人歩きしてしまった」と同課職員は振り返る。
(四国のツキノワグマの新たな生息地を確認)
公益財団法人日本自然保護協会は、2017年から、日本クマネットワーク、四国自然史科学研究センターと協力して、絶滅の危機にある四国のツキノワグマの保護活動を進めています。この度、2017年度に実施した調査結果から、四国のツキノワグマの新たな生息地を確認したことが日本クマネットワークから発表されました。また、ツキノワグマの生息地である徳島県と高知県での絶滅危機の認知度は34%であることがわかりました。これらは、これまでにツキノワグマの生息が確認されていない2,000平米を越える広域に44台のセンサーカメラを設置した現地調査と、徳島県と高知県の500人に実施したインターネットアンケートの結果です。詳細は、日本自然保護協会も共催する1月28日開催のシンポジウムで報告されます。
(かみ応え最高、おいしい:福井)
小浜市の今富小学校で二十三日、学校給食にシカ肉入りのカレーが提供された。野生動物の肉を活用するジビエ給食の普及に市は力を入れており、来月にかけて内外海(うちとみ)、中名田、国富の各小学校や小浜第二中学校でも準備する。小浜市は高齢化する狩猟の担い手確保を目指し、二〇一四年から一部小学校で提供を始めた。シカやイノシシによる獣害被害が進む里山と、川を通じて山の養分が流れ込む海の関係についても見つめ直し、ジビエをテーマに環境学習も進める。給食に向けて、今年は美浜町の食肉加工施設から約十五キロのシカ肉を仕入れた。今富小では初の提供で、児童や教職員ら約三百人が味わった。アユ漁師や猟友会員から話を聞き、学校近くを流れる南川と山林環境のつながりについて学んだ。シカ肉について、四年生の上前隼人(はやと)君(10)は「かみ応えがあっておいしかった」と話した。
(ジビエフェア、食べてほしいけど品不足:千葉)
農作物を食い荒らす野生鳥獣を有効活用する「ジビエ料理」を広く味わってもらおうと、県は約五十の飲食店で多彩な料理を提供する「房総ジビエフェア」を、二十五日まで開いている。ジビエの消費拡大には捕獲後の食肉処理数を増やす必要があるが、フェアでも供給が行き渡らず課題が浮き彫りになった。フェアに先立ち、県庁食堂で先月二十四日に開かれたジビエメニューの試食会。滝川伸輔副知事が五十人以上の参加者を前に、イノシシのカレーやすき鍋、シカ肉のベリーソースなどの五品を食べ、「食べ慣れていない人に」「メタボなオジサンにお勧め」と食レポした。三回目となるフェアには東京都内の二店と、県内の四十七店が参加する予定だった。ところが直前になって二店が取りやめた。理由は品不足で、食肉加工施設から食肉を入手できなかったためだ。県の担当者は「供給が少なくフェアを最後まで続けられるか」と心配する。県内には捕獲した鳥獣を食肉加工する施設が、勝浦市や君津市、大多喜町などに計五つあるが、二〇一六年度のイノシシの処理数は三百四十頭。目標の七百八十頭に対する稼働率は四割にとどまる。同年度に県内で捕獲した約二万八千頭(病気や子どもで処理できないものも含む)に占める割合だと1%しかない。大人のイノシシの体重は三〇~六〇キロほどで、そのうち肉になるのは半分以下。供給が少なく価格も高止まりしている。フェアの参加店からは、「二週間手に入らないこともある」と入手不足とともに、「豚肉の五倍する」「牛肉より高い」など価格面の不満の声が聞かれた。処理数が少ないのは、鮮度保持のため仕留めた後すぐに解体するルールがあり、処理施設に近い場所でしか市場向けのイノシシを確保できないためだ。さらに福島第一原発事故後に、国などが義務付けている検査体制の厳格化がある。加工施設が引き取る際に施設と市町の職員が、わななどの捕獲場所での仕留め作業に立ち会う必要があるうえ、放射性物質の全頭検査が義務付けられている。県ではこれまで千頭以上を検査しているが、二〇一三年二月~一四年一月に四頭から基準値を超える放射性物質が検出されて以降は、検出がないという。県はハンターの入門セミナーを今月十七日に開くなど鳥獣害対策を強化しているが、捕獲後の有効活用が進まず、多くが埋設処分されている。県は処理数の増加に向けて、五日から立ち会い業務を廃止。捕獲者台帳に記入することで捕獲場所を確認できるようにした。
(『第2回ジビエ料理コンテスト』表彰式:東京)
辻調理師専門学校(大阪市、校長:辻芳樹)は、国産ジビエ流通規格検討協議会に協力して実施している「第2回ジビエ料理コンテスト」の表彰式を、2月15日(木)14時より、エコール 辻 東京にて開催いたします。本コンテストは、ジビエの正しい知識や調理技術を普及させるための活動の一貫として実施するものです。プロ・アマ問わず多くの方から、国産ジビエ(イノシシまたはシカ)の肉を利用した栄養豊富で美味しく安全なオリジナルレシピを募ることで、多くの方に食材としてのジビエに関心を深めていただき、日常的な食材として普及していくことを目的としています。第2回目となった今回は、「家庭料理部門」と「給食アイデア料理部門」の2部門でレシピを募集し、合わせて227レシピの応募がありました。審査では、応募レシピからジビエに関する知識や調理の安全性、栄養価を高める工夫などを読み解き、それぞれの部門から1名ずつに「農林水産大臣賞」「農林水産省農心振興局長賞」「国産ジビエ流通企画検討協議会会長賞」が贈られます。表彰式当日は、受賞作品の試食も予定しております。
(「さとやま交流会~たき火でジビエ料理~」:埼玉)
さいたま緑の森博物館(通称、みどり森)は狭山丘陵の一角に位置し、豊かな雑木林や水辺が広がり、かつての武蔵野の面影が色濃く残されている。雑木林や湿地を含む里山の景観そのものを野外展示とし、自然散策路が整備され、身近な自然のすばらしさを実感できる。同博物館では、20~40歳代向けのイベント「さとやま交流会」を年3回ほど実施している。2月25日のさとやま交流会のテーマは「たき火でジビエ料理」。冬まっただ中の緑の森博物館で、たき火をしてジビエ料理を作りながら過ごす。シカやイノシシ、クマは生息していない狭山丘陵でなぜジビエ料理? その意外な理由はイベントのなかでタネ明かしされる。また、昼食の後は、落葉した雑木林の中を散策する時間もあり。
(ロッテリアでエゾ鹿バーガー:北海道)
ロッテリアは、北海道で農林業への食害が深刻なエゾシカの肉を使った「エゾ鹿バーガー」の発売を数量限定で始める。2月1日から、札幌市や旭川市の道内7店舗で購入できる。赤ワインやりんごを用いた濃厚なデミグラスソースで高たんぱく、低カロリーなシカ肉の「あっさりとしつつ、野性味も感じる」本来の味を引き立てた。値段はシングル800円、ダブル1000円。5日には「さっぽろ雪まつり」も開幕し、担当者は「道外の人にもぜひ味わってほしい」。ハンバーガーのように観光客の心をギュッと挟み込んで離さず、食害対策と一石二鳥になるか。
(シカ肉のイメージ覆す料理:山梨)
全国的に数が増え、農作物などの食害が問題となっているシカ。その肉は栄養価が高く、食材としての活用が期待されているが、「硬い」「獣臭い」などのイメージを持たれがちなのも事実。そんなシカ肉のイメージを払しょくし、山梨県産ワインと合うことを知ってもらおうと、県は1月中旬、シカ肉とワインに関するセミナーを初めて開いた。
(高校生がジビエバーガー:埼玉)
埼玉県皆野町の県立皆野高校商業科の生徒が、秩父地域の企業と連携し、シカとイノシシの肉を使った「ジビエバーガー」を開発した。1月21日に同県長瀞町の宝登山神社で販売したところ、販売開始2時間前から長い行列ができ、用意した50個はわずか10分で完売。同校2年の内海愛奈さん(17)は「絶対に売れ残ると思ったが、早くてびっくりした」と驚いていた。ジビエバーガーは、マーケティングの授業で生徒13人が意見を出し合い、鳥獣被害に悩む地域に貢献できるものを考案。子どもからお年寄りまでが食べやすいハンバーガーを作ろうと、同校のOB、OGらが働く企業の協力も得て、試作を続けた。1個500円(税込み)で、バンズには秩父産そば粉を一部使用。販売も授業の一環で、生徒自身が行う。内海さんは「改良を重ねて、ジビエ独特の臭みもなくなり、肉も軟らかくておいしく仕上がった」とPRする。今後は2、3月の土日などに販売する計画で、次回は2月17日に秩父市の矢尾百貨店で予定している。売り上げの一部は地域の鳥獣害被害の防止に役立てる方針で、同校2年の強矢海都さん(17)は「被害の実態も知ってもらい、地域も元気になれば」と語った。
(森の京都ジビエフェア:京都)
農地を荒らす有害鳥獣として捕獲したシカ、イノシシの肉を、自慢の料理などとして飲食店・精肉店が提供する「森の京都ジビエフェア2018冬」がスタートした。今回は舞鶴、福知山、綾部の中丹3市に加え、南丹市、亀岡市、京丹波町からも初めて参加し、多彩なメニューが味わえる。2月18日まで。府の中丹広域振興局(舞鶴市)、南丹広域振興局(亀岡市)と、森の京都DMO(同)の主催。
(猪鹿餃子を開発、商品化:静岡)
伊豆市の伊豆総合高土肥分校の商業科3年生9人が開発した「猪鹿餃子(いのしかギョーザ)」が、長泉町の食品製造会社により商品化された。代表生徒らが5日に市役所を訪れ、菊地豊市長に報告した。猪鹿餃子は生徒たちが商品開発の授業を通じて考案。市の食肉加工施設「イズシカ問屋」のイノシシ肉と鹿肉を使用し、土肥地区で増加する中国人観光客に合わせて水ギョーザに仕上げた。鹿肉とイノシシ肉の配合を調整し、肉を軟らかくする成分のあるマイタケを加えるなどの工夫も凝らした。昨年11月から市内のイベントに3回出店し、いずれも100食を完売。同校からの相談を受けた市産業振興協議会の仲介で、食品製造会社「東平商会」が生徒のレシピ通りに商品化した。代表生徒の新田優輔さんと出川遥陽さんが菊地市長に商品を披露し、考案した経緯などを紹介。試食した菊地市長は「おいしい。需要があるはず」と高評価。新田さんは「商品化までできると思わなかった」、出川さんは「9人で力を合わせて取り組んできて良かった」と感想を語った。商品は今後、業務用や土産用などとして販路を模索する。
(加賀グルメにメンチカツ、イノシシ肉とブロッコリー使用:石川)
加賀市内の肉グルメを集めた市観光交流機構の「加賀ブッチャーズフェス」は28日、片山津温泉の砂走公園で行われた。「市特命かがやき大使」の歌手グッチ裕三さんが、市内で捕獲されたイノシシの肉で開発したメンチカツがお目見えし、用意した1千個が売り切れる人気ぶりだった。メンチカツは加賀市産ブロッコリー入りで、タマネギの甘みがきいたジューシーな味わいが特徴。1個300円で、将来的には市内の各店舗で提供できるようにし、加賀の食べ歩きグルメとして定着させる。フェスでは精肉店など15店舗がコロッケや串カツ、から揚げなどを扱った。片山津温泉観光協会の「湯あがり祭り×ガールズボム!!」も開かれ、アイドルグループなどが出演し、グッチ裕三さんは3温泉など市の魅力を盛り込んだ市のテーマソングも発表した。
(「いのししドン」いかが:岐阜)
岐阜県高山市清見町牧ケ洞の道の駅「ななもり清見」のレストラン「味彩七杜」は、地元で捕獲されたイノシシの肉を使った冬季限定の料理を提供している。丼「いのししドン」(1350円、税込み)と、みそ味の「いのしし鍋」(1550円、同)。捕獲数の多いイノシシを食用に活用しようと、2年前に考案した。肉は、県の衛生指針に基づいて解体処理を手掛ける地元の「飛騨ジビエ清見」から仕入れる。レストランを運営する「七杜」の滝上耕平社長(72)は「臭みもなくヘルシーで、今が一番おいしい時季」と話す。同店は県の「森のごちそうぎふジビエフェア」に参加している。同フェア参加の2店舗でジビエ料理を食べると抽選で20人にジビエ商品が当たる。28日まで。
(高校生ジビエ料理を競う:大分)
有害鳥獣として捕獲されたイノシシ肉を有効活用しようと、日田市の高校生が考案したジビエ料理の味を競う「ひたジビエ レシピグランプリ」(市ジビエ推進協議会など主催)が、同市の昭和学園高で行われ、“料理人の卵”たちによるアイデアメニューが並んだ。5グループが、レシピやコンセプトを事前に提出。1月28日のコンテスト当日、市内で加工されたイノシシ肉を使って、鍋10人分を2時間以内に調理した。市学校給食センターの栄養教諭やフードコーディネーターら6人の審査員が、味や独創性などを採点した。最優秀賞には、ロール白菜やギョーザが入った「日田満喫鍋~青春のつけダレと共に~」(ミトコンドリア)と「野菜たっぷりミルクカレー鍋」(SGCD4)の2品が選ばれた。ミトコンドリアの中島美里さん、村井加奈子さん=いずれも日田高3年=は「ミンチにして野菜と交ぜた食べ応えのある料理。選ばれてうれしい」と笑顔。SGCD4の甲斐寛人さん、梶原颯(はやて)さん、中川隼斗さん、中嶋直也さん=いずれも昭和学園高2年=は「ジビエ料理が苦手な人にも食べてもらえるように心掛けた。水を使わず牛乳と野菜がたっぷり入ってマイルドに仕上がった」と話した。最優秀賞の2品は、4日に日田市のパトリア日田で開催される「日田の木と暮らしのフェア」で200人に振る舞われる。レシピは、小中学校の給食に活用される予定。
(「八女ジビエマンス」開催:福岡)
八女商工会議所(福岡県、山口隆一会頭・隆勝堂フーズ)は2月1日から、八女地域の名物、イノシシ肉料理を地元飲食店で味わえる期間限定の食のイベント、「八女ジビエマンス」を開催している。ジビエとは野生鳥獣の食肉のこと。同イベントは、ジビエをもっと身近においしく味わってほしいとの目的で毎年開催しているもので、今年で6回目となる。今回は、八女と久留米地域の飲食店15店が参加。定番の鍋料理「ボタン鍋」をはじめ、「ジビエ焼肉」「猪肉ベーコンのカルボナーラ」「イノシシロースカツ」「いのししチャーシュー麺」など、各店が趣向を凝らしたオリジナルメニューを用意。八女の旬の味覚を堪能できるイベントだ。開催期間は28日まで。
(食べて獣害理解を:滋賀)
ジビエ料理を通して獣害や耕作放棄地の問題への理解を深めてもらうイベント「西浅井ジビエ村」が2月4日、長浜市西浅井町大浦の西浅井運動広場体育館で開かれる。長浜市地域おこし協力隊員の山瀬鷹衡さん(31)ら旧西浅井町出身の20~30代の若者6人でつくる「ONE SLASH(ワンスラッシュ)」などが主催。
(夜道に現れるシカ対策で地元に貢献:山梨)
山梨県南都留郡富士河口湖町での点火系チューニングなどを手掛けるT.M.WORKSは、オートサロン会場に鹿撃退装置「鹿ソニック」を出展していました。「鹿ソニック」は、地元へ貢献したいという思いから開発されたのだそうです。「河口湖周辺、実は鹿がかなり頻繁に現れます。実際に鹿に衝突したケースや、鹿にヒヤッとしたことのあるという方は少なくないのです。鹿は小さくないですから、衝突すればクルマもダメージを受けますし、最悪の場合、けがをすることも十分あり得るのです。私たちは自動車関連のビジネス、特に電装関係を手掛けていますので、そんなノウハウも生かしながら、地域のそんな事情にお役に立てないか?そんな思いで作ってみました。威嚇したり、不快な音を出すというのではなく、鹿が聞きなれない音波を発生させ、近寄らせないようにするというのが説明としては正確かもしれませんね。当初の効果はまずまずと言えるのではないでしょうか。」と紹介してくださいました。自動車は工業製品であり、人間社会の文明の利器ではありますが、地域性を反映したきっかけから生まれた「鹿ソニック」。地域地域ごとにこうした対策を講じることも大切なことかもしれませんね。正式には近日発売というこの「鹿ソニック」。すでに同じ悩みを抱えている遠方のユーザーからも引き合いが来ているのだとか。鹿に遭遇しなければ、クルマと衝突する鹿も減るということ。野生動物の生息エリアが、森林が荒れたことで狭まり、追いやられるケースも少なくない昨今。駆除する、撃退する以前に「近づけない」対策は大切かもしれませんね。」また最近こちらも全国的に問題になっている誤操作による異常発進による事故。それを防止する装置も展示されていました
(女性ハンター、救世主となるか:茨城)
田畑の農作物を荒らすイノシシが増える一方で、県内のハンターの数は減り続けている。そんななか、城里町では女性4人が狩猟免許を取得。町は女性ハンターの協力も得て、駆除した獣肉をジビエ料理に活用する地域活性化案を練っている。「狩りガール」は救世主となるのだろうか。
(越前水仙ピンチ、獣害で出荷ゼロ:福井)
日本水仙の三大群生地の一つ越前海岸で、水仙の獣害が深刻な状況になっている。福井県南越前町河野地区では、シカやイノシシによる被害が年々拡大し、2年連続で出荷本数0本という事態に。侵入防止のネット設置は追い付かず、常陸宮家への献上水仙の用意にも一苦労した。被害は主要産地の越前町、福井市越廼地区にも広がり、景観や観光面への影響も出始めている。JA越前たけふや南越前町によると、河野地区で獣害が顕著になったのは5、6年前。出荷本数は2008年度の11万本から減少し続け、14年度は9千本、15年度は1千本、16年度は0本になった。
(増え続けるニホンジカの実態を知ろう:東京)
山岳団体自然環境連絡会が3月11日に「第2回山岳自然環境セミナー」を開催。近年、日本列島の各地でニホンジカ(以下「シカ」と表記)の個体数が急激に増加し、その生息域が高山・亜高山帯にまで拡大し、山岳地の生態系に深刻な影響与えている。シカの被害として、森林の衰退、希少植物の消失、土壌の浸食などが発生し、わが国の豊かな生物多様性を守るうえで一刻も放置できない問題となっている。今回のセミナーは、ヨーロッパにおける狩猟管理、我が国の狩猟者育成の取り組みなどを紹介し、山岳地におけるシカ問題の緊急性を強く訴えるとともに、被害対策の促進をはかることを目的として実施。自然保護、野生動物との共生を考える良い機会となるよう、多くの登山愛好者の参加が望まれている。
(アスリートたち、クレー射撃・周成超選手:奈良)
高速で飛ぶ皿型の標的「クレー」(直径約10センチ)を散弾銃で撃ち落とすクレー射撃。少年時代から競技を続ける県クレー射撃協会の周成超選手(43)は2016年、岩手県で開かれた国体に初めて出場し、クレーの進路を予測するのが難しいとされる種目「トラップ」の個人戦で優勝した。易しくできることはやめ、あえて困難に挑む姿勢で実力を伸ばしてきた。周選手は、華僑4世としてマレーシアで生まれた。射撃と出会ったのは11歳の時。友人の父親らに誘われて猟に出掛けた際、木々から突然飛び出したハトを一瞬で撃ち落とす姿に目を奪われ、銃の扱いを教えてもらった。2004年ごろに仕事で日本に移住。その頃は、撃つ場所を変えながら一定方向に飛ぶクレーを狙う種目「スキート」で上級者になっていたが、発射されるまでクレーの飛ぶ方向が分からないトラップに友人の勧めで初めて挑戦した。命中したのは25枚中たったの3枚。あまりの難しさに最初は嫌気が差したが、持ち前のチャレンジ精神に火がついて転向した。多い時は2日に1回ほどの頻度で射撃場に足を運び、年間2万5000~3万発を撃つほどのめり込んだ。命中率が徐々に上がり、最近ではレベルが高い海外の大会でも決勝に進出できるようになった。現在の夢は再来年に迫った東京五輪にマレーシア代表として出場すること。「とても厳しい目標だと思うが、クレー射撃は私にとって人生みたいなもの。頑張って目指したい」
(アスリートたち、クレー射撃・周成超選手:奈良)
高速で飛ぶ皿型の標的を散弾銃で撃ち落とすクレー射撃に少年時代から親しみ、国内トップレベルで活躍する周成超選手(43)=県クレー射撃協会所属。ドイツの医療機器メーカーに勤めて海外を飛び回る傍ら、海外の大会や練習に積極的に参加することで、本場の技術や情報を身につけている。個人競技としての性格が強いクレー射撃だが、「1人では成長できない。情報を共有するコミュニティーが必要」と断言。厳しい銃規制で競技の普及が遅れている日本で練習するだけでは、海外の選手と渡り合うことができないと感じている。そのため、年に数回は米国のコーチの元に通い、国際大会にも頻繁に出場している。好例として挙げるのがイタリアの射撃場だ。日本と違って夜間も営業しており、闇夜の中でライトに照らされるクレーを撃つことで、より難しい状況で練習ができる。「クレーを目で追うだけでなく、無心で軌道を感じる力をつけることができた」と練習の充実ぶりを振り返る。また、居合わせたイタリア人から銃身にテープを貼る工夫や、日光の条件に合わせた眼鏡の選び方を教わった。日本クレー射撃協会によると、協会に所属する選手は約2000人で、特に若い競技者が少ないという。周選手は「日本では銃は人を傷つけるイメージが強いが、そうではない。見学だけでも面白いので、射撃場に足を運んでみて仲間に加わってほしい」と呼び掛けている。
(イノシシ1頭1万8千円、鳥獣駆除に奮闘する女性猟師のメッセージ:愛知)
シカ肉やイノシシ肉を使うジビエ料理。フランス語が語源で当地では高級料理としてもてはやされ、日本でも主に山間部で古くから親しまれてきました。しかし今、日本の里山は増えすぎたシカやイノシシによって荒らされ、農作物などの被害額は年間約200億円に上るとされています。その「鳥獣害対策」や地域活性化策としてもジビエが期待される中で、さらに注目を集めているのが愛知県で「狩りガール」「ハンター女子」とも呼ばれる女性猟師の清水潤子さんです。愛知県豊田市。言わずと知れた自動車生産の街ですが、背後には岐阜や長野にまたがる広大な丘陵地を抱えています。その奥深い山間地の一つである「足助(あすけ)」地区。幹線道路からさらに奥へと入り込んだ、典型的な里山の風景にたたずむ一軒の古民家が、清水さんの「狩り」の拠点です。「地元の人がいくつか物件を紹介してくれたんですが、せっかくならすぐ側をイノシシが走り回っているようなところがいいと思って」と、清水さんはにっこりと微笑んで、少しひんやりとする玄関の土間を通してくれました。古民家は築150年で、柱や梁を残しながら内部を改装。囲炉裏のある居間と台所を使って、清水さんがジビエ料理をふるまう「山里カフェMui」を2017年12月にオープンしました(同月1日から22日までの約3週間開店。その後は道路凍結時期のため2018年3月18日まで休業)。最初は単に人が寄って来られるスペースをつくって、私の『メッセージ』を伝えようと思ったんです。それで地元の起業支援のプロジェクトに応募しようとしたら、『食べられる場所の方がいい』とカフェを提案されました。すでにリフォームは進んでいたんですが、慌ててカフェになるように修正して……」きゃしゃな見た目からは想像がつかない大胆なエピソードを披露する清水さん。「狩り」の合間に手づくりするメニューは、猪肉のスライスをごはんにたっぷりのせた「猟師丼」や、北海道まで遠征して獲ったエゾシカのロースト肉などを盛り付けた「ジビエプレート」など、これまた豪快です。それらを通して伝えたい「メッセージ」とは何なのでしょうか。新潟県長岡市で生まれた清水さんは、もともと農業に関心がありました。会社員である現在の夫と結婚して、10年ほど前に長野県売木(うるぎ)村で募集していた農業体験に参加。月1、2回の米づくりに夫婦で5年間ほど通い続けていると、「愛知の足助でも募集している」という話を聞きつけました。さっそく現地に足を運んで米づくりをすることにしますが、ここで“運命の出会い”が。足助の田んぼで地主と昼食をとっているとき、目の前をイノシシがさあっと走り抜けたのです。鳥獣害については知っていたけれど、間近にイノシシが走る姿を見ることはありませんでした。あっけにとられる清水さんを前に、地主は獣害の深刻さを訴えながら「イノシシを捕ってくれないか」と言い出します。清水さんは戸惑いつつ、その場でネット検索をしてみると、狩猟免許試験の案内が見つかりました。「免許、とってみようか」もともと夫婦で「資格マニア」だったという清水さんは、夫と顔を見合わせてこう決断しました。狩猟免許は都道府県が窓口となって認可される国家資格。「網」と「わな」、そして「銃(第一種、第二種)」という、猟で使う道具に応じてそれぞれに免許があります。銃はハードルが高いため、清水さん夫妻はまず「網」「わな」を取ることにしました。試験は関連法令や猟具の取り扱い、鳥獣の生態などに関する知識を問う筆記試験のほか、視力や運動能力に関する適性試験、猟具を適切に扱えるかどうかの技能試験があります。清水さんはそれらの内容を猟友会の講習に通うなどしながら学び、2014年8月に「網」「わな」の免許を取得、「狩りガール」への第一歩を踏み出すことになったのです。全国的に広く普及している狩猟方法は「わな」の中でも「くくりわな」。直径12センチほどの円筒形のパイプを地中に埋め、シカやイノシシがパイプを踏むとバネの力でワイヤーを足に絡ませる道具です。市販のものもありますし、駆除のために支給されることもあります。清水さんもまずはこれに挑戦しました。山中にくくりわなを仕掛けて、様子を見て回ります。かかっていました。大きなイノシシが。足をわなで絡めとられて、動けなくなっています。ただ、そのままでは捕獲できません。ヤリで「止める」、つまりとどめを刺す必要があります。清水さんは教えられたままに、イノシシののどをヤリで突き刺しました。血しぶきが飛び、自分にもかかってきます。全身が「返り血」でべっとりの状態で、何とか獲物を引き渡して処理してもらうことはできましたが、放心状態となった清水さん。「その日は一晩中、眠れませんでした。いきなりやめようかと思いました。でも、こんな仕事だからやれる人が少なくなっている。『お前がやってくれないと困る』という地元の人の声に押されて、続けることにしました」当時をこう生々しく思い返す清水さんですが、「それも、慣れてくるんです」とけろり。「今は血が飛び散らないように突けるようになりましたし、電気ヤリも使えるようになったので、すごくやりやすくなりましたよ」と平然と言える頼もしさを身に着けました。一方、「はこわな」と呼ばれる方法は、文字通り箱状のオリに獲物を閉じ込めるわな。昔から行われている狩猟の定番ですが、オリが古いとイノシシが壊して外に出てきてしまうこともあります。清水さんもそうした場面に出くわすことになり、わなを扱えるだけでは「危ない」と思うようになりました。そこで射撃場にも通うようになり、1年半後に「銃」の免許も取得したのです。銃は狩猟免許を持ったうえで、銃刀法に基づく「所持許可」を地元の警察署を窓口に都道府県の公安委員会から認められなければなりません。この過程では本人の心身の状態はもちろん、家族を含めた周囲の身辺調査をされることもあります。「だから、家族の理解や同意が欠かせない。ここで猟師になるのを断念してしまう人が多いんです」と清水さんも強調します。銃は購入した後もメンテナンスや訓練に通う費用で月10万円ほどの出費がかさむそうです。時間やコスト、社会生活上の負担も考えると、やはりハードルは高いと言わざるを得ません。しかし、清水さんはこうした数々の試練を乗り越え、ハンターとして地元に溶け込んでいきました。地域では「巻き狩り」と呼ばれる集団の猟が盛んに行われます。十数人がチームを組み、イヌを連れた「迫子(せこ)」と呼ばれる猟師を中心に、獲物を囲い込んでいく狩猟法です。足助では平均60歳ぐらいの猟師たちが、今は「LINEのグループ」で情報交換しながら、巻き狩りに繰り出すそうです。清水さんも銃の免許を取得して初めての巻き狩りに誘われ、さっそくイノシシを追い込みました。体格のよいイノシシが、自分の方に向かって突進してきます。距離はすぐ1メートルぐらいの至近に。「撃たないと自分が死ぬ」そう思った瞬間、とっさに1発。バーン…。当たりはしましたが、急所は外したのかイノシシはまだ止まらず、仲間の支援もあって合計3発を撃って仕留められたそうです。誰かが外したら、近くの誰かがフォローする。まさにチームワークのたまものです。こうして年60回ほどの巻き狩りにも参加しながら、ハンターとして自立していく清水さん。これまでは夫婦で暮らす刈谷市から足助や隣町の設楽(したら)町に通ってきましたが、この春には足助の古民家へ職住の足場を完全に移すと決めています。主にわな猟をするため登録している設楽町からは、イノシシ1頭当たり1万円、ニホンジカ1頭で2万円が「有害鳥獣捕獲奨励金」として支給され、そこに国の「鳥獣被害防止緊急捕獲等対策事業報奨金」も1頭当たり8,000円が加算されます。清水さんは現在、月に平均15頭ほど捕獲しており、前述の経費などを差し引いても、サラリーマンの夫との共働きとして「収入はそれなり」だと言います。さらに今季は「カフェ」の収入も加わりました。3週間で来店してもらったのは延べ117人。環境や地域貢献に関心のある人のほか、アスリートが何人も訪れてきたそうです。「高タンパク・低脂肪」のジビエはアスリート向きの食事で、「街中より安くジビエを食べられる」との評判を聞きつけて、わざわざ足を運んできたとか。そんな意外な現実にも可能性を感じながら、清水さんは「収入や経済力以上に得るものが大きい」と話します。「駆除以外の狩猟で獲ったものは、いわゆる『自家消費』。みんなで分け合って食べます。それ以外にも地元のおばあちゃんが『いつもありがとう』と言って畑の野菜などをどーんとくれますから、食べるものには困りません。とにかく地元の人が喜んでくれるのがやりがいです」鳥獣被害は愛知県でも深刻化してきており、カラスやサルを含めて最近の農作物被害額は約5億円(2016年度、愛知県農業振興課)。イノシシだけでも毎年1億円前後の被害が出ています。「1億円があれば、福祉や子育てなど違うところに使われてほしい」県も民間と組んで処理施設を整備したり、ジビエ普及のネットワークづくりを支援したりと対策に乗り出していますが、こうして「女子目線」で訴え、活動できる清水さんの存在は貴重です。イベントや学校の授業などにも積極的に顔を出し、「ハンターになりたい」「ジビエのカフェを開きたい」という相談も歓迎しています。女性猟師として好奇の目で見られたり、動物愛護団体から抗議を受けたりするのはリスクでもあるはずです。しかし、それを承知で踏み込んだ“けもの道”を、清水さんは突き進む覚悟ができているようです。
(山に銃声響くも鹿は斜面から姿を消す・・・)
谷を見下ろす斜面の中腹、そこが1月21日の自分の持ち場だった。配置につくや否や、銃声が響く。無線に「雄鹿、仕留めました」とKさんの声が入る。うらやましい…。待つこと約1時間、谷底に2つの影が走る。鹿だ。距離は約50メートル、その方向はIさんの持ち場で、記者は狙えない。ほどなく、Iさんがそのうちの1頭を見事に仕留めた。前週は獲物の姿さえ見られなかった。狩猟には運も必要だと自分に言い聞かせていただけに、撃てない距離を通過する鹿をうらめしく見送った。その数分後だ。斜面の上、木立に枯れ葉を踏む音が聞こえる。一気に心拍数が上がった。約20メートル先に鹿の姿をとらえた。目線が合う。にらみ合いは数秒続いただろうか。ゆっくりと銃を構え、引き金に指をかける。心臓の音が耳の中に響いている。興奮しているのが自分でも分かる。「ドーン!」山に自分の放った弾丸の銃声が響く。しかし…無情にも鹿は斜面を横切るように姿を消した。「すみません、外しました」運も大切だが、腕はもっと重要。Kさんは雄鹿に続き、雌も仕留めた。狙いを外さない。Iさんの仕留めた鹿を谷から引き上げながら、猟の厳しさを諭された。「外したら、どっちに逃げたかをすぐ無線で伝えなきゃ。謝る必要もないし、恥ずかしいことなんかないんだよ。みんなで狙っているんだから、次の人が撃てるようにすることが大事だ」この日は鹿3頭、雌の猪1頭。まずまずの猟果だが、われわれのグループはまだ、今季猪を2頭しか捕らえていない。去年までは圧倒的に猪の捕獲が多かったという。鹿に比べ猪の方が多産で、数も増えているはず。Hさんは「山にエサがなくなっているんだろう。山より、むしろ里山とか人家の近くに出ているみたいだ」という。山を下りると、リーダーのIさんは以前から目星をつけていた場所に向かった。人家はすぐ近くだが「アシ(足跡)がベタベタある、いるぞ」。翌週の猟場が決まった。2月1日からはプロ野球のキャンプで東京を離れざるをえない。次回、この新しいポイントが自分には今季最後の猟になる。何としても1頭は仕留めたい。気持ちがはやる。
(シーズンラストの猟果・・・)
朝から気持ちがはやっていた。2018年1月28日。これが、今季最後の猟だったからだ。猟期は2月15日までだが、2月1日からのプロ野球春季キャンプは“球界の正月”。サラリーマンの野球記者である以上、行かないわけにはいかない。昨年11月15日の猟解禁以降、いくつか制約もあったが出猟すること7度。猪も鹿も逃している。何とか1頭でも仕留めたいという欲求だけが支配していた。この日の集合場所は、初めて挑む場所。われわれのグループは今季、猪を2頭しか仕留めていない。リーダーのI社長が目星をつけていた場所だ。ところが、犬の反応が悪い。結局、移動していたらしく、場所をいつもの山に移した。すると尊敬するベテランHさんがいきなり、鹿2頭をハント。なおも、2頭。1人で4頭を仕留めてこの日は終了した。残念ながら、記者は獣の姿さえ見ることなく、最後の日は終わりを迎えた。「こういうものには、ツキのある人がいるんだよ。次のシーズンはきっと獲れるよ。獲物の前で獲れたつもりで写真撮ろうか?」とKさん。「いや自分で獲れたときにお願いします。次のシーズンは頑張ります」新聞記者として、虚報はできない。12月に撃ち損じ、かすり傷を負ったまま逃げた100キロ超とみられる、大きな猪が頭に浮かぶ。「白鯨」か「老人の海」の気持ちというと、ちょっと格好付けすぎか…。そんなとき、無線にSさんの声が飛び込んできた。朝から気持ちがはやっていた。2018年1月28日。これが、今季最後の猟だったからだ。猟期は2月15日までだが、2月1日からのプロ野球春季キャンプは“球界の正月”。サラリーマンの野球記者である以上、行かないわけにはいかない。昨年11月15日の猟解禁以降、いくつか制約もあったが出猟すること7度。猪も鹿も逃している。何とか1頭でも仕留めたいという欲求だけが支配していた。この日の集合場所は、初めて挑む場所。われわれのグループは今季、猪を2頭しか仕留めていない。リーダーのI社長が目星をつけていた場所だ。ところが、犬の反応が悪い。結局、移動していたらしく、場所をいつもの山に移した。すると尊敬するベテランHさんがいきなり、鹿2頭をハント。なおも、2頭。1人で4頭を仕留めてこの日は終了した。残念ながら、記者は獣の姿さえ見ることなく、最後の日は終わりを迎えた。「こういうものには、ツキのある人がいるんだよ。次のシーズンはきっと獲れるよ。獲物の前で獲れたつもりで写真撮ろうか?」とKさん。「いや自分で獲れたときにお願いします。次のシーズンは頑張ります」新聞記者として、虚報はできない。12月に撃ち損じ、かすり傷を負ったまま逃げた100キロ超とみられる、大きな猪が頭に浮かぶ。「白鯨」か「老人の海」の気持ちというと、ちょっと格好付けすぎか…。そんなとき、無線にSさんの声が飛び込んできた。猪を追う犬が姿を消したのだ。グループの犬は全員で探すのがオキテ。捜索が始まった。首輪につけた無線から犬と猪の鳴き声が聞こえる。川の上流へ向かっていくと、山の方で鳴き声が聞こえる。一緒に向かったTさんと道なき道どころか、まるで垂直に見える山肌をかき分けて登る。足はつりそう…急な激しい運動で肺まで痛くなってきた。日頃の運動不足がうらめしい。次の尾根の向こうにいると思ったところで鳴き声が消えた。どうやら犬も疲れたようで、飼い主の元に戻ったようだ。ホッとしたが、犬歯が歯茎ごとねじれ痛々しくはれている。犬も必死、同時に猪もまた生き延びようと必死なのだ。学ぶことばかりのファーストシーズンだった。正直、悔しい…。ただ、ぶっつけ本番で臨んで、そんな簡単にいかないのも当然といえば当然だ。オフ期間は自分の銃の癖、特性を確かめ、準備をしないといけない。沖縄の地でキャンプに励むプロ野球選手たちを見て、自分にも練習が必要なことを実感している。
(女性猟師、下町酒場の聖地で一杯:東京)
山に分け入り、仲間と獲物を追う女性猟師が東京にいる。しかも、仕留めた山の恵みを自分のレストランで客に振る舞っているという。最近、増加傾向にあるとされる女性ハンター。厳しい猟場を離れて一息つく酒場はどんなところか。ちょうど冬場は狩猟シーズン。お薦めの店を一緒に訪ね話を聞いてみた。一杯つきあってくれたのは竹林久仁子さん(42)。世田谷区の喜多見でジビエ(野生鳥獣の肉)やカレーを売りにする「ビートイート」を営む。近場のお店と思いきや、電車を乗り継ぐこと1時間以上。京成立石駅(葛飾区)近くにご指定の「二毛作」はあった。立石といえば大衆酒場の聖地。さすが猟師、山の中で一日中獲物を待ち続けることもざらという竹林さんにとっては、電車で移動することぐらい朝飯前なのだろう。L字型のカウンター、湯気をあげるおでん鍋。ここは立石、女性猟師に似合うのは日本酒か、と妄想していたら「お薦めの白ワインをお願いしまーす」と竹林さん。やってきたのはオーストリア産のグラスワイン(860円)。「ずっとお酒が飲めなかった」というが、たしなむにしてもどんなワインでもいいわけではないようだ。20代のころから飲むと体調を崩した。2015年3月に店を開業、客のためにお酒は置いていた。飲める人がうらやましくて昨年、恐る恐る店のワインを口にしてみると「あれ、おいしいって。なぜか体は大丈夫だったんです」。試したのは、いわゆる自然派ワイン。はっきりとした定義はないが、ブドウを有機農法や無農薬で育てるだけでなく、添加物を極力排した製法のワインを指す。そんな自然派ワインを数多く取りそろえている居酒屋があることを、知人に教えてもらった。それが二毛作だった。竹林さんは「ここなら安心して飲める。確かに遠いけれど、距離はさほど問題ではないんです」。メニューを眺めていると、店長の日高寿博さん(41)が「せっかくなので普段とは違った食べ方で」。魚のすり身を揚げた「下町の味 フライ」(2枚460円)を、おでんにして出してくれた。衣がだしを吸い込んで、おいしさが倍増だ。竹林さんは「おいしいものを一番知っているのはお店の人。ここに来たらほとんどお任せです」。自分の店でも自ら仕留めたシカ肉や先輩猟師から仕入れたクマ肉など、仕入れ状況を見ながらコース料理を提供している。「自然が相手なので、とれた分しか出せなくても仕方がないと思っています」。自然派ワインを機に、日本酒も少しいけるようになった。店員さんお薦めの熱かん(860円)を酌み交わしていると、竹林さんの店の知り合いが続々、やってきた。1人で店を切り盛りしながら北海道や群馬へ泊まり込みで猟に出かけるため、飲みに行く機会は限られている。呼びかけに応じていつもの二毛作に顔を出してくれた。「ここを勝手に家族だと思っています。立石で飲めるなんて、私も大人になったなぁ」。竹林さんのお店はカウンター6席の小さなお店。ツキノワグマのビリヤニ(インド風炊き込みご飯)や、エゾシカとイノシシのローストなど野生動物の肉を堪能できる。10年ほど前の交通事故を機に食生活を見つめ直し、より自然に近い食材を求めるようになった。ただ、野菜やスパイスと違って理想の食肉はなかなか手に入らなかった。「ならば自分でとりに行こうと」。それで猟師になった。2015年に狩猟免許を取得したが猟は想像以上に過酷だった。最初の猟でシカを狙ったが、恐怖心で銃口がぶれ獲物に当たらない。「店の食材を確保しなければ」と気負えば気負うほど、無駄な動きが増えるのか動物は目の前には現れない。まだ見習いという竹林さんは「先輩や師匠のハンターは山に溶け込んでいる。動物の生態を知り尽くし、足跡やフンを見れば動物の動きを判断できる」それでも竹林さんも経験を重ねるうちに感覚が鋭くなっていくのを実感している。シカの群れのにおいを感じ取り、今では自分でも仕留められる。シカ肉は自分の店で扱うほか、時折開いている料理教室の食材として使うこともある。猟のたびに山の状況は変化し、獲物もそんなに簡単にとれるわけではない。ただ、竹林さんの足は山へと向かう。「風やにおい、気配を感じながら狩猟し、お店で食べてもらう。原始的なやり方だけど、自分が納得できるのはこのやり方なんです」
(田んぼがイノシシ被害、わな猟を始めた男性:高知)
4年前、収穫前の稲が一晩で荒らされてしまった。犯人はイノシシ。その悔しさから、わな猟を始めた男性が徳島県つるぎ町にいる。手作りの檻(おり)で捕獲したイノシシは3年間で200頭を超えた。近所の人たちにはイノシシのぼたん鍋を振る舞っている。同町貞光の農業、栗本新二さん(54)。サラリーマン経験の後、20年ほど前から約20アールの水田を耕作し、ネギも栽培している。4年前の秋の朝、田んぼで目を疑った。田は掘り起こされ、丹精込めて育てた稲は無残になぎ倒されていた。「イノシシの運動会の後のような光景」。稲は全滅だった。
(クマ傷つけず追い払え:長野)
人とクマの共存を目指すNPO法人のピッキオ(軽井沢町)は、クマを傷つけずに追い払う訓練を受けた犬「ベアドッグ」の繁殖プロジェクトに着手した。米国の団体から雄犬を借りてピッキオの雌犬と交配し、ベアドッグを継続的に育てる。3~4月の誕生を見込み、2019年5月ごろから現場で活用する予定。

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