<射撃ニュース3月>
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(巡回中の皇宮護衛官と猟友会員、イノシシに「逆襲」されけが:奈良)
15日午前9時半ごろ、奈良市雑司町、宮内庁正倉院事務所の敷地内で、皇宮警察の男性護衛官(46)と猟友会の男性(65)がイノシシに襲われ、軽傷を負った。奈良県警奈良署などよると、イノシシは体長123センチで、捕獲され、殺処分された。2人は足や腕をかみつかれるなどしたという。事務所によると、2月ごろから目撃情報が相次ぎ、15日朝から捕獲のため敷地を巡回していた。
(東北の鳥獣農作物被害額下がらず、自治体対策急ぐ)
東北で鳥獣による農作物の被害額が下がらない。6県の2016年度の被害額は15年度比4%増の14億5千万円。全国の被害額が4年連続で減っているのとは対照的だ。イノシシなど害獣の生息地域は過疎化や高齢化に伴って拡大していて、被害がさらに広がるとの危機感も強い。各自治体も18年度予算で対策費を大幅に上積みするなど対策を急ぐ。東北6県の被害額は東日本大震災直後で、被災農家で農地の管理が十分にできなかった12年度に22億円にはね上がったのを除き、直近10年ほど15億円前後で推移している。13年度と16年度を比較すると全国の被害額は14%減ったが、東北は6%減にとどまる。1990年代のデータと比較すると、例えば宮城県では15年度は、91年度の約7倍の地区でイノシシが狩猟捕獲されている。被害額は93年度440万円だったのに対して16年度は9157万円だった。農林水産省東北農政局は「被害額だけでなく、鳥獣の生息地域の広がりに危機感を覚える」とも指摘する。イノシシの被害は05年度で2県の約30自治体だったのに対して、15年度には4県の80近い自治体で確認された。過疎化で人がいなくなり、耕作放棄地が広がって身を隠すやぶも増えるなどしていることが背景にある。自治体は捕獲数を増やしたり、防護柵を拡大したりといった対策費を18年度予算案で上積みする。宮城県は増えすぎた害獣の個体数の調整などに前年度7割増の1億550万円を計上した。害獣の生息域の北上で被害地域が広がる岩手県では、農作物被害を防止するための防護柵の設置などを支援する事業費を同17%増の2億1500万円を計上している。仙台市は18年度から「有害鳥獣対策実施隊」を設ける。猟友会会員らに市の非常勤特別職員として捕獲などにあたってもらう仕組みで、全国でも導入が進んでいる。猟友会の高齢化による担い手の減少も鳥獣被害拡大の一因になっており、報酬なども支給して加入促進を図る。生息域拡大が急に進み、まだ深刻な被害を受けていない地域では、防護柵設置などの対応が円滑に進まない場合もある。行政の補助金を活用できるものの農家の自己負担分があり「なぜ被害が出ていないのに設備投資が必要なのか」と反発される例もあるという。被害を減少に向かわせるには、国や自治体と農家の危機意識を共有していく取り組みも必要になりそうだ。
(熊の目撃情報:宮城)
14日午前6時頃、津山町柳津字小麻地内で県道を横断し、山に入る姿が目撃されました。屋外では音の出るものを身に着けるなどの対策を行い、十分に注意してください。
(沼島でイノシシ初撮影、海を渡って上陸か?:兵庫)
兵庫県南あわじ市の離島・沼島で、イノシシの姿が初めてカメラで捉えられた。海を渡って上陸したとみられ、これまでにもイノシシとみられる足跡や目撃情報はあったが、撮影例はなかった。農業被害も出ており、わなを仕掛けているが、警戒心が強く捕まっていない。イノシシの姿は、山中に仕掛けたわなの近くで撮影された。動くものに反応して自動撮影するカメラを、地域おこし協力隊員が設置。2月11日午後8時すぎにカメラ前を横切る姿が捉えられ、翌12日午前0時すぎにも同じ個体とみられるイノシシが写っていた。3月に入って画像に気付いたという。「捕獲作戦」を指導する猟友会員によると、しっかりとした毛並みから、子どもでなく成体とみられる。1頭だけかどうかは分かっていない。沼島は、淡路島本島から3~4キロ離れていて潮の流れが速く、泳いで渡った人はいないとされる。もともと獣類はいなかったというが、イノシシは泳いで渡ったとみられる。人が襲われる被害は出ていないものの、2月末からは民家近くの畑が荒らされ始めた。法で定められた今シーズンの狩猟期間は3月15日で終わるが、同16日以降も、有害鳥獣の駆除として許可を得た上で捕獲作戦を続ける予定。
(カワアイサ、ドローンで追放:長野)
魚を餌とする鳥・カワアイサから諏訪湖のワカサギを守る対策会議が13日、諏訪湖漁協(諏訪市)であり、小型無人機「ドローン」を使った新たな追い払い策の検討を始めた。昨年末の会議で、講演した水産研究・教育機構の坪井潤一さんから爆音スピーカーを搭載したドローンによる追い払いについて提案があったことを受け、諏訪広域ドローン協力会の横山真副理事長(46)=諏訪市=に講師を依頼した。
(カラスの大群、2倍に急増:佐賀)
佐賀市中心部に近年、カラスの大群が飛び回り自治体関係者を悩ませている。特に秋から冬にかけて急増し、ユーラシア大陸から越冬のために渡ってくる「ミヤマガラス」がねぐらに利用していると見られる。同市は箱わなで駆除を試みるが、抜本的な改善には至らず知恵比べが続く。なぜこんなに多いのか。「カァー、カァー」。今月初めの夕刻。佐賀市の県庁周辺の上空を大勢のカラスが旋回し、電線や木に止まり始めた。一帯はまさにカラスの森。路上には多くのふんが落ち、歩行者が避けながら行き交う姿があった。市環境政策課によると、市内には年間を通じてくちばしが太い「ハシブトガラス」と、細いくちばしが特徴の「ハシボソガラス」が生息し、10月上旬から翌年3月下旬にかけてミヤマガラスが飛来する。夕方の時間帯に中心市街地に集まるカラスは昨年10月が1日当たり5416羽(前年同期比872羽増)だったが、今年2月は同1万1090羽(同647羽増)に上り、ミヤマガラスの飛来時期は約2倍に増えている。大群の理由について専門家の見方はさまざまだ。佐賀大農学部の徳田誠准教授(生態学)は「猛禽(もうきん)類などの天敵が少なく、ねぐらになる木が多いからではないか」と推測する。県庁近くには神社や公園があり、カラスが身を隠せる樹木が多い。一方、佐賀野鳥の会は「郊外に佐賀平野が広がり、えさが豊富にある。建物の排熱による暖気を好み、夜に羽を休めようと寄ってくるんだろう」と指摘する。住民からは「道路が汚いので清掃してほしい」「ごみ置き場が荒らされている」と相談が相次ぐ。市は2014年度から水とパン、おとりを入れた箱わなを9月から翌年3月にかけて中心部の4カ所に設置し、16年度は757羽を捕獲した。県もカラスが止まらないように木の枝に針金を巻き付け、剪定(せんてい)作業をするが、すぐに別の木に移ってしまう。市環境政策課は「なぜ多いのかが分からず対策が難しい」と困り果てており、「住民に迷惑がかからない範囲で箱わなを増やすことを検討する」としている。
(野生の味に舌鼓、ジビエ料理試食会:岐阜)
郡上産のシカとイノシシを使った「地美恵(じびえ)料理」の試食会が十五日、郡上市大和町の総合結婚式場勝美屋で開かれ、市や商工会、猟友会関係者ら約五十人が野生の味を楽しんだ。郡上調理師会大和、白鳥両支部から九店が参加。「鹿肉のロール白菜」「猪肉(ししにく)のシチュー」など計十三点を並べ、出来たてを試食してもらった。和風料理八屋の蜂谷泰裕さん(44)は、「春の鹿肉五目ちらしずし」を作った。肉はミンチにして炒めており、すし飯やタケノコとのバランスがとれた上品な味わい。餃子(ぎょうざ)飯店の松森渉さん(40)は「猪肉餃子」を調理し、普段使っている豚肉とはまた違う強い味を打ち出すことに成功した。試食した人たちは、和、洋、中華のプロが手間をかけて仕上げた料理を食べ、「全くくせがなく、言われないと獣肉とは分からない」と驚いた様子。郡上は丹波篠山、伊豆天城山と並ぶイノシシの三大産地に数えられることから、地元の里山保全組織「猪鹿庁」の興膳健太さん(35)は「来年はイノシシ肉の初競りなどを企画し、ジビエ料理で地域を盛り上げたい」と意欲を見せた。県内は農林業の獣害が目立つことから、シカ、イノシシの駆除が各地で行われている。県によると、二〇一六年度の捕獲数は有害鳥獣駆除や狩猟を合わせて計約二万三千頭に達している。試食会を共催した郡上やまと獣肉利活用推進協議会の松森勇会長は「人間の都合で動物の命を絶っているのだから、ジビエとして少しでも役立てていきたい。衛生的に獣肉を処理できる施設が整備されれば、店でも本格的に提供できるようになると思う」と話していた。
(キョン、ジビエいかが:千葉)
野生動物による農業被害は県内で増え続ける一方、ハンターは高齢化や成り手不足といった課題を抱えている。ジビエ料理は人気となっているが肉の供給量は足りていないのが現状だ。そうした中、若手ハンターの育成や、捕獲した野生動物の肉の有効利用に君津市などを拠点として力を注ぐ会社がある。房総半島で大繁殖する小型のシカ「キョン」のジビエ化にも乗り出した。埼玉県飯能市に本社を置く「プロット」。猟師仲間が集まり2010年に設立された。イノシシやシカなど野生鳥獣の捕獲のほか、「猟師工房」の店舗名で食肉加工や販売を行う。16年に2カ所目となる解体工場の稼働を君津市内で開始。イノシシ肉はペットフード用に加工しているが、来月から県内6カ所目となる食肉加工にも参入する。施設長の澤田昌利さん(41)は「鳥獣被害を無くし、ほとんど廃棄されている動物の肉を流通に乗せ、ジビエの価格破壊を起こしたい」と話す。そのほかイノシシやシカの肉以外の部位として、骨をラーメンスープのだし用や大型犬のおやつ用として提供。内臓を堆肥(たいひ)化する実験なども行っている。猟師工房は今月10日、キョンの肉の商品化にも乗り出した。3頭分の肉は発売日に売り切れたという。特定外来種で繁殖力の高いキョン。県内の推定生息数は02年の約50倍の約5万頭。県も駆除に取り組むものの捕獲数は少なく食用としての流通経路も確立されていない。猟師が捕獲しても埋めてしまうことが多いという。澤田さんはキョンの味を「風味がよく、焼いたロースが特に軟らかくておいしい」と語る。現状では不定期入荷だが、捕獲技術を確立し本格的に販売したい考えだ。猟師工房は若手猟師の育成のため「猟師学校」を運営するほか、ジビエバーベキュー大会や解体教室などのイベントも開催している。猟師学校の生徒、岸井悠士さん(38)は東京都内在住だが「将来は瀬戸内海の島でジビエ料理の店を経営するのが夢」と語る。しかし通常の賃貸マンションやアパートでは猟銃保管を貸主から許可されない場合も多く、ワナ猟は仕掛けた場所を定期的に見回る必要がある。澤田さんは「君津や木更津などは首都圏が通勤圏。若者に魅力を感じてもらって移住してもらい、まずはワナ猟から始め、『仕事から帰ってきてワナを見る』ようなライフスタイルもいいのでは」と提案している。
(シカ肉のペット食考案:山梨)
早川町草塩のジビエ(狩猟肉)処理加工施設を運営する「YAMATO」(望月秀樹社長)は、シカを使ったペットフードを考案した。併設する直売所やインターネットで販売している。
(鹿手袋の地域サロン「シカテカフェ」が3周年:埼玉)
さいたま市南区で鹿手袋自治会館(南区鹿手袋6)を使って毎月開催されている地域のサロン「シカテカフェ」が3月18日の開催で3周年を迎える。毎月第2日曜に開催している同カフェは、コーヒーだけでなく、マッサージやワークショップなどその都度さまざまな出店があり、地域の人が気軽に参加できるイベントも同時に開催している。3月18日は3周年を記念して、コーヒーなどのドリンクは無償サービス。会場では焼き菓子の販売、手相占いのほか、目玉企画として家庭で使わなくなった品を参加者が持ち寄り、好きなものを自由に持ち帰れる企画「シカテイクフリー」も行う。運営するのは同エリア在住の「コミュニティアーティスト」の佐藤真実さん。本職はデザイナー。「もともと地域に何も縁がなく、ただ生活するには便利な場所としか思っていなかった」と言う。そんな中で東日本大震災が起こり、地域での孤立や孤独を何とかしたいと思い、趣味だったコーヒーを使い、近所の集会所の一室を借りてお茶会を始めた。佐藤さんは「最初は特に告知もせず趣味程度で始めたが、だんだんと周知されはじめ、老若男女さまざまな人が来てくれるようになった。私だけでなく、遊びに来てくれた人たち同士がつながるきっかけにもなっているのを感じることができる」と話す。「地域のサロンは個人でも気軽に始められるので、さまざまな地域いろいろな人に開催してほしいと思う。3周年を迎え、いつもよりちょっとにぎやかに開催するので、ぜひ参加してほしい」と来場を呼び掛ける。

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(クレー射撃協会、障碍者部会の加盟承認)
日本クレー射撃協会は12日、東京都内で理事会を開き、日本障害者スポーツ射撃連盟のパラクレー射撃部会を加盟部会として登録することを承認した。日本協会によると、国際射撃連盟はかねてパラリンピックでのパラクレー射撃の実施を目指している。
(県営ライフル射撃場、国体前にリニューアル:三重)
3年後の三重とこわか国体の準備のため、津市中村町にある県営ライフル射撃場がリニューアルされ、10日、記念式典を開催。鈴木英敬知事がさっそく射撃を体験し、10・4ミリの中心枠に目がけて撃つ同競技の難しさに驚いていた。同射撃場は昭和50年の第1回三重国体前に建設。老朽化したため約2億6千万円かけリニューアルした。約2万1千平方メートルの敷地内で10メートル射場と50メートル射場を再整備。これまでは紙標的しかなかったが、国体基準に合わせ電子標的も備え、射的結果をすぐ電気パネル表示するようにした。式典では、鈴木知事が「地の利を生かして技術を上げ、国体での好成績を目指してほしい」とあいさつ。引き続き、鈴木知事は、10メートル射場での射撃を体験し、直径4・5センチの的を目がけて射撃を試みた。県内で唯一、ライフル射撃部がある県立久居高の選手は満点射撃を披露したが、鈴木知事はなかなか中心に当たらず、「心技ともに集中しないと当たらない」と感心していた。
(南会津町と東京農工大、鳥獣被害防止で協定:福島)
南会津町と東京農工大(東京都)は8日、鳥獣被害防止に向け「野生動物対策に関する包括連携協定」を結んだ。同大が町内で行うニホンジカ調査に対して町が協力し、町の被害対策に役立てる。町内はニホンジカやイノシシなどの鳥獣による農作物被害が深刻化している。協定では、同大の野生動物保護管理学研究室による町内のニホンジカ生息調査について、町職員が支援し、町施設の利用も可能とする。調査結果を基に、町は研究室の協力を得て効果的な被害対策を立てる。協定締結式は8日、町役場で行われた。大宅宗吉町長と研究室の梶光一教授が協定書に署名した。大宅町長は「農地や湿原などで鳥獣被害が多く、住宅地への侵入もある。しっかりとした対策を採るため連携したい」と語った。
(「ペーパーハンター」減らそう:長野)
免許はあっても普段狩猟をしない「ペーパーハンター」を減らそうと県鳥獣対策・ジビエ振興室は10日、長野市芸術館で講演会を開いた。県ハンター養成学校の生徒ら約60人が仕事と狩猟の両立方法などを学んだ。県は、野生動物による農産物の被害を食い止めるためにハンターを増やそうとしている。2014年度に県ハンター養成学校を開設し、これまでの受講者は約240人に上る。しかし、免許取得後に狩猟を続けなかったり、技術が身についていなかったりするペーパーハンターの存在が課題だ。
(ジビエ拡大へ17地区指定、施設導入支援)
農林水産省は9日、野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大に向け、イノシシやシカの捕獲から加工を担う17のモデル地区を指定したと発表した。北海道や兵庫、熊本などで捕獲後の加工や保冷といった施設の整備を支援し、ジビエの安定供給につなげる。17地区は、北海道空知地区、長野市、石川県南加賀地区のほか、岡山県美作地区など。捕獲された鳥獣がジビエとして使われる割合は1割に満たないとされており、外食向けなどへの安定した供給が課題となっている。政府はジビエをビジネスとして軌道に乗せることで、鳥獣による農作物への被害を減らすとともに、地域の所得向上も目指す。
(ジビエ消費拡大、モデル地区に:兵庫)
野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大に向け、農林水産省は9日、シカやイノシシの捕獲から加工、流通までを担うモデル地区として、播磨、但馬、淡路を中心とする「兵庫県内広域」など17地区を指定したと発表した。解体・加工や保冷などの施設整備を支援し、ジビエの安定供給と流通網の構築につなげる。シカ、イノシシは全国で計110万頭(2015年度速報値)が捕獲されているが、衛生管理の難しさなどから食肉としての利用は1割に満たない。国は農村活性化策として19年度までにジビエ利用量の倍増を目指している。兵庫県は、シカ、イノシシの捕獲頭数が県内全域の約8割を占める播磨・但馬・淡路の三大産地を中心に、一定の処理量を確保して流通させる計画。県と20市町、県猟友会、13の企業・団体が事業共同体を組み、解体施設の改修や、鮮度を保つための可動式冷蔵庫の設置を各地で進める。加工したジビエは外食産業や道の駅、学校給食などで普及を図る。県によると、三大産地の16年度のシカ、イノシシの捕獲頭数は計約5万頭だが、ジビエとして処理されたのはわずか640頭。19年度には処理頭数を約7千頭に増やす計画だ。事業規模は約2億2千万円で、うち約1億2千万円は国の交付金を活用する。県鳥獣対策課は「ジビエの印象を変え、捕獲への意欲を高めることで、農作物の鳥獣被害も減らせる」としている。
(政府のジビエ利用モデル地区に選定:長野)
長野市は9日、農林水産省の「ジビエ利用モデル地区」に認定された。市内の中条地区にジビエ食肉処理加工施設などを整備する計画。モデル地区に認定されたことで、整備事業について政府から資金面で支援を受ける。長野市は2018年度予算案にシカとイノシシの食肉処理加工施設や移動式解体処理車などを整備する費用として5億100万円を盛り込んでいる。食肉処理加工施設は19年度に稼働する。年間の処理頭数は600~1000頭を見込む。一連の事業は長野市や地元猟友会などでつくる「長野市ジビエコンソーシアム」が中心となって進める。ジビエ利用モデル地区には全国で17地区が選定された。県内で選定されたのは長野市のみ。
(農水省がジビエ利用倍増計画、猟師の思いは)
農作物などへの被害が深刻化している野生のシカやイノシシは、捕獲しても大半は食用処理されずに廃棄されている。この現状に対し、農林水産省はジビエの利用を拡大しようと、二〇一八年度から「ジビエ倍増モデル地区マスタープラン」をスタートさせ、ビジネスとして安定供給を目指す。だが、日本の野生動物は、こうした産業化の取り組みに耐えられるほど潤沢な資源なのか。猟師の千松信也(せんまつしんや)さん(43)にジビエを取り入れた生活を紹介してもらいながら、プランについて聞いた。
(「エゾシカ注意」アプリ、全道で:北海道)
三井住友海上火災保険はスマートフォン(スマホ)のアプリを使い自動車とエゾシカとの衝突事故を防止するサービスの提供エリアを、全道に拡大する。これまでは根室市だけだった。道内での自動車事故の原因として多いシカとの衝突を未然に防ぎ、安全運転につなげる。アプリは「スマ保『運転力』診断」で、MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下のインターリスク総研(東京・千代田)が開発した。同アプリを起動して運転していると、エゾシカとの衝突事故が多い地域に接近すると運転手に音声で注意を促す。加速や減速など運転能力も診断する。2016年6月から提供を始めた同アプリの利用は無料で、このほど対象地域を道内全域に拡大した。他県ではヤンバルクイナや奈良のシカなどを対象に同様のサービスを展開している。同アプリは全国で75万件以上の利用がある。道内ではエゾシカが絡む交通事故が17年は前年比26%増の2430件発生し、ここ5年間で最も多くなった。
(斜面でシカ滑った、竹で侵入防止対策:和歌山)
和歌山森林管理署(田辺市新庄町)は、のり面の緑化に管理が不要でシカの食害を受けにくい竹を敷き詰めた対策を考案した。シカのひづめが滑って侵入できない仕組み。放置竹林対策にもつながるとして、実用化を目指している。この方法はくくりわなと餌を使った簡単な捕獲方法とともに、林野庁の発表会で最優秀賞を受賞した。
(スマホやカメラを使った最新技術でイノシシ対策:広島)
スマートフォンやカメラなど、最新技術を使って、イノシシなどを捕まえる実験が北広島町川戸でおこなわれます。実験では、オリと、赤外線カメラが用意され、動物を関知するとスマホなどに動画が届き、遠隔操作ができるリモコンのボタンを押すことで、オリの扉が閉まるという仕組みになっています。この実験は、鳥獣被害に悩む農家の要望を受け、JA広島と鳥獣対策のメーカーが企画しました。この方法で、効率的に捕獲できるようになるだけではなく、動画を専門家に分析してもらい、現場に合った捕獲方法のアドバイスをもらうことも期待できます。実証実験は3か月から半年ほどおこなわれ、効果が確認されたら全国に普及していきたいということです。地域によっては高齢化が進み、鳥獣対策には人手が足りない現状。効率的に捕獲できる方法が早く実用化されることを願います。
(釧根でブランド肉続々:北海道)
釧路、根室管内でブランド肉が続々と登場している。農場の大規模化や飼育数の増加で道内でも競争が厳しくなっているためで、各産地が生き残りをかけて餌や水にこだわった生産方法で他産地との差別化を図っている。釧路市阿寒町で養鹿(ようろく)事業を手掛ける北泉開発は、捕獲した野生のエゾシカを専用の牧場で育てて食肉にし、「阿寒もみじ」の名称で販売している。エゾシカ駆除も目的に、2004年に阿寒町に6ヘクタールの牧場を開いた。北泉開発によると、野生のエゾシカの肥育から処理まで一貫して行ったのは道内で初めてという。阿寒湖畔などで捕獲したエゾシカを牧場で半年から1年近くかけて肥育。阿寒町内の食肉加工センターには短時間で運ぶことができ、鮮度を保って敬遠されがちなシカ肉独特の臭みを抑えることができるという。近年は、牛肉より鉄分やタンパク質を豊富に含むことが注目され、市内の保育園や自衛隊でもメニューに採用されている。曽我部元親常務は「おいしく食べればエゾシカによる被害も防げる」と話す。
(ジビエ販売「上世屋獣肉店」が完成:京都)
京都府内有数の豪雪地帯として知られる宮津市上世屋に簡易獣肉解体施設「上世屋獣肉店」が完成した。近くの野山で捕獲したシカやイノシシを解体処理し、ジビエ(狩猟肉)として販売。冬場のなりわいづくりや収入確保につなげる狙いだ。山あいにある上世屋では棚田で米作りなどが行われているが、冬季は2メートル近い雪に覆われ、通年の農業に適さない。出稼ぎする人も多く、地域の過疎化に拍車を掛けていた。小さな共同体を維持していくための方策を模索する中、住民有志でつくる「ドチャック会議」(上世屋定住促進協議会)代表で農家の小山愛生さん(36)が移住前の会社員時代から趣味として狩猟を続けていたことから、ジビエの販売で生計を立てる手段とするため獣肉の解体施設を造ることにした。施設は木造平屋建て約35平方メートルで事業費は約650万円。府や市の補助金を活用した。処理頭数が少なくても黒字化できるようコストを抑え、解体作業台や洗い場、冷蔵庫など最低限の設備で解体から加工まで行う。開設に当たって南丹市美山町で研修を受け、解体技術や商品化のノウハウを学んだ小山さん。「施設の完成をきっかけに狩猟が職業の選択肢の一つになり、移住者の増加につながればうれしい」と話す。
(高校生、ジビエ料理に挑戦:大分)
佐伯市の佐伯豊南高校でジビエ料理教室があった。市内で鳥獣被害が多発していることから、獣肉を使うジビエ料理を普及させて捕獲数を増やそうと、市内の林業関係団体でつくる佐伯地区流域林業活性化センターが初めて開いた。総合学科生活創造系列の2年生22人が参加。県南部振興局の職員が市内での鳥獣被害(2016年度)は約1460万円で、県全体では約2億2500万円に上ることを説明。被害対策として動物を寄せ付けない環境づくりや、捕獲などを集落ぐるみで進める必要があることなどを話した。続いて料理教室。市猟友会の田嶋義生副会長(68)=同市蒲江楠本浦=に教えてもらい、「シシ肉とキャベツのブランデー蒸し」「シカ肉のタレ焼き」「シカ肉のヘルシーサラダ」など5品を作った。完成後は全員で試食した。初めてジビエ料理を作ったという岩崎楓菜(ふうな)さん(17)は「臭みもなく、手軽に作れておいしかった。いっぱい食べて鳥獣被害の減少に貢献したい」と話した。同センターはジビエ料理の普及を目的に、今後、親子料理教室などの開催を検討している。
(クレー射撃育成強化選手に、東京五輪へ弾み:群馬)
クレー射撃トラップの小島千恵美(登利平)が日本クレー射撃協会の育成強化選手に指定された。毎月1度の強化合宿参加が可能となり、目標の2020年東京五輪出場に向けて弾みとなる。「ナショナルチームに入り、ワールドカップ(W杯)で活躍したい」と狙いを定める。昨年10月の全日本女子選手権で、リオデジャネイロ五輪などに出場した中山由起枝、アテネ五輪代表の井上恵ら実力者を抑え2位。育成強化選手の選考会に推薦された。
(玄関先にイノシシ、みんなびっくり:愛媛)
イノシシがお出迎え―。愛媛県今治市伯方町北浦の赤瀬祝さん(67)方に体長1メートルほど、体重90キロ以上の2頭が飾られ、子どもたちが見学に訪れるなど話題になっている。民家に近づいてこないよう赤瀬さんが仕掛けたわなにかかったり、車と衝突したりして死んでいた2頭を2月下旬に発見。埋葬前に玄関先に置いたところ、間近で見られるのは珍しいと口コミで広がった。赤瀬さんは猟友会などから持ち込まれたイノシシを解体して食肉利用しており、年間50~100頭を扱う。希望する住民らに無料で配っており「かんきつを食べている影響か、すぐに処理すると本当においしい」とアピールしている。
(ジビエ釜飯「ししみそ」限定販売:愛知)
新城市八束穂の道の駅「もっくる新城」は十七日から二日間、野生の鳥獣肉「ジビエ」を使った釜飯を限定販売する。両日にある開場三周年祭に合わせた初めての試み。昨年末から一カ月間募ったレシピコンテストで優秀賞に選ばれた設楽町田峯の会社員杉浦麻里江さん(29)のアイデア「ししみそ釜飯」を具体化する。ジビエの釜飯販売やレシピコンテストは、消費拡大を通じて奥三河で頻発する鳥獣害を抑えつつ、新たな特産物づくりにつなげようと企画した。優秀賞となった杉浦さんのレシピではイノシシのひき肉を使用。奥三河名産の五平餅を意識し、みそや砂糖を入れながらクルミやゴボウとともに炒めた上コメと一緒に炊く。「特徴的なだしがよく出るよう肉をミンチにすることにしました」と杉浦さん。ただレシピを書く試作段階でイノシシの肉が手に入らず「豚肉で代用しました」と苦笑いする。それでも表彰式があった十一日には、もっくるのスタッフがレシピに沿って試作品を用意。杉浦さんは初めて完成品を口にし、「私が作った分よりおいしかったです」とほほ笑んだ。十七、十八の両日は各日十食を限定販売する。価格は八百~千円となる見込み。もっくるの田原直駅長(47)は「食べやすい工夫がしてあったのが高評価でした」と語り、「『新城と言えばこの釜飯』と言われるよう、継続的な販売も考えています」と話している。

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(クマ推計2300頭、従来より大幅増:秋田)
秋田県は6日、県内に生息するツキノワグマの頭数は今年4月時点で2300頭になるとの推計を明らかにした。これまでの目視調査に加え、2017年度に導入したセンサーカメラによる調査の中間結果から算出した。従来の結果と比べて千頭近く多くなった。同課は、今回の結果について「従来の推定数よりも実態に近い結果になったと考えている。今後はこの頭数に基づき、クマの保護管理を進めたい」とした。センサーカメラを使った調査は、19年度までの3年間、県内各地で行う予定。県は目視調査も続ける考えで、両方の調査結果を踏まえて毎年、推定数を算出するとしている。
(カラス7羽から新たに高病原性ウイルス:兵庫)
伊丹市の昆陽池公園で死んでいたカラス5羽から高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)が検出された問題で、県は8日、新たに7羽から同ウイルスの陽性反応が出たと発表した。県によると、同公園では今月1日以降に68羽のカラスの死骸を回収している。
(カラスが鳥インフルエンザ陽性:熊本)
県によると、先月21日に天草市下浦町で見つかったハシブトガラス5羽の死骸のうち1羽からA型鳥インフルエンザウイルス遺伝子の陽性反応が出た。県では、確定検査を実施中であわせて死骸が見つかった地点の半径10キロを野鳥監視重点区域に指定した。
(エゾシカ捕獲へAI使う新型ワナ開発:北海道)
北海道立総合研究機構(道総研)はエゾシカを捕獲する新型の囲いワナを開発する。人工知能(AI)を活用して捕獲しやすい場所を選定。シカの嫌う電気柵を使ってワナに誘導する。2018年度に道北の浜頓別町で実験を始める。牧草の食害を抑制するとともに、人気が高まるジビエ(野生の鳥獣肉)へのシカの利用率向上をめざす。これまで野生のエゾシカを春から秋に捕獲する方法は銃による狩猟以外は確立されていなかった。冬は山にエサが少なく、小さい囲いワナで比較的容易にシカをおびき寄せることができるが、エサの多い春~秋はワナに寄り付かないため。銃を警戒することを学習し、主に夜間に活動する個体も増えているという。新型の囲いワナの開発は18年度からの3カ年計画の中で実施する。全地球測位システム(GPS)を搭載した首輪を野生のシカに装着し、好きなエサ場などシカがよく利用する草地を特定する。仕掛けた定点カメラの画像データをAIで分析して捕獲しやすい場所を選定する。ワナは数十メートル四方をフェンスで囲む。フェンスとは別に長い電気柵を設置してシカが前に進めないようにし、入り口に近づくよう誘導する。より効果的な設置場所やワナの仕組みを探り、できるだけ汎用品を使ってコストを抑えることもめざす。3年間の研究で得られたノウハウはマニュアル化し、シカの食害に悩む地域に技術移転する。研究には酪農学園大学(江別市)も加わり、シカの行動データの提供や分析に協力する。エゾシカの食害は深刻だ。道環境局によると、16年度の野生鳥獣による農林業被害額でシカによるものは全体の8割を占める39億円。そのうち牧草の被害額は半数超の20億円におよぶ。被害額は捕獲や駆除に力を入れたため、ここ数年は減少傾向にあるが、「なおも生息数は多い水準にあり、継続的に対策を進める必要がある」(道環境局エゾシカ対策課)。道内ではハンターも不足。狩猟によるエゾシカ捕獲数が減少する一方、安定した品質の肉を得やすいワナ猟は、ジビエ需要を背景に流通業者の評価が高いという。道にはジビエ関連業者から「もっとエゾシカを捕りたい」との要望も寄せられているといい、食害の防止とジビエ活用拡大の一挙両得をめざす考えだ。
(ゴルフ場、東電と和解成立:宮城)
東京電力福島第1原発事故の影響で食肉用のイノシシ捕獲ができず個体数が増え、ゴルフ場営業に支障が出たとして、白石市の経営会社が政府の原子力損害賠償紛争解決センターに対策費の補償を申し立てた和解仲介手続き(ADR)は、5日までに和解が成立した。和解金額は非公表。東電がイノシシ被害と原発事故との因果関係を認め、対策費の7割を支払う内容。申し立てによると、利用者から「イノシシに荒らされてコース状態がひどい」といった苦情が入り、イノシシよけの電気柵設置などを余儀なくされた。
(春の放鳥、急きょ延期:奈良)
鳥獣保護を目的とする県の秋の放鳥事業で、昨年10月に、県猟友会(中川徹会長)ナンバー2の副会長(会計担当)で鳥獣保護管理員の春田長嗣氏=奈良市二名3丁目=が、県から放鳥委託されたニホンキジの大半を着服していた問題で、県は「事実関係を確認して適切な対応をする」としていたが、発覚から2カ月以上経過しても、いまだに進展がない。こうした中で春の放鳥が、きょう7日に奈良市虚空蔵町の弘仁寺集合で予定されていた。この間、関係者から「真相解明ができないのになぜ実施するのか」と、批判の声があがっていたため、県は6日までに、関係者に対して急きょ、延期の連絡をしていたことが分かった。真相解明が急がれるが、県に対して虚偽の報告をしてきたとみられる正副会長の責任問題去就も焦点となる。県担当者は「(今年に入ってから、キジの着服問題で)1月中に複数の関係者から話を聴いた」といい、中川会長や当事者の春田氏から事情を聞いたかどうかは「答えられない」としている。特に事実関係の内容、認否についても「言えない」としており、極めて形式的だったことがうかがえる。刑事訴訟法239条第2項の「公務員の告発義務」を無視した問題意識の欠如が会員らから指摘されている。
(市街地へあふれる野生鳥獣:福島)
東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県双葉町。JR常磐線双葉駅(奥)近くで、整備中の線路をまたぐイノシシの姿が見られた。作業員は「毎日姿を現すイノシシは人がいても怖がらない」と話した。カフェの軒先で餌をねだり、明るい時間から堂々と線路を横切る動物たち。東京電力福島第1原発事故の避難区域を抱える福島県沿岸部に、サルやイノシシなどの野生鳥獣が頻繁に姿を現している。福島県自然保護課によると、目撃例が最も多いのはイノシシ。住宅への侵入や、農地を掘り起こすなどの被害が出ている。原発事故の影響で肉の出荷が制限され、ハンターも高齢化が進む。駆除が追いつかず“唯一の天敵”である人間の少ない環境が、イノシシの活動を活発にしている。目にするのは在来種だけではない。特定外来生物のアライグマは人が戻らない住宅の屋根裏などに侵入し、ふん尿被害も報告される。福島第1原発周辺の国道6号では、増えた野生鳥獣と車との接触事故が後を絶たない。原発事故から7年。「人を知らず、恐れない世代」(県自然保護課)の動物が増え、町中を闊歩(かっぽ)する光景。避難指示の解除で帰還した住民たちとのあつれきが心配される。
(イノシシ被害防げ、対策研修会:茨城)
イノシシの被害を食い止めようと、県西地域鳥獣被害対策研修会が、桜川市羽田の市大和中央公民館などで開かれた。地域住民や農業関係者ら約50人が参加し、箱わなによる捕獲方法を学んだ。県西農林事務所と同市が主催。県の鳥獣被害対策モデル地区に設定されている本木、犬田、青木、羽田各地区の住民らが参加した。2016年度の同市内のイノシシの捕獲頭数は1125頭で、農業被害は2100万円を超える。研修会では、同市担当者のほか、農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーの相田佳一さんが地域ぐるみで対策に取り組む重要性について講義。「イノシシの繁殖力は高く、対策は私たちの世代では終わらない。長期戦を理解し里山再生と人間活動の活発化をゴールにつなげていく必要がある」と述べた。現地研修として、鉄製おりの中に餌を置いておびき寄せる「箱わな」の設置場所に移動。同アドバイザーの池田治一さんが注意点を解説した。池田さんはイノシシの足跡があるような場所に仕掛けることに加え、餌について「人間が食べる物を好く。天ぷらも有効。リンゴや芋は丸のままだと、おちょこ口で食べられない。さいの目にして置いて」などと強調した。意見交換では参加者から熱心に質問が寄せられたほか、「通年通して猟ができる方法を考えてほしい」「根本的な解決には山をきれいにすることが欠かせない」などの意見が寄せられた。今後、モデル地区の各地区2カ所ずつに箱わなを設置する予定。農地所有者が16年に結成した本木二区本木鳥獣害対策協議会の萩原徳雄会長(74)は「箱わなを扱うのは初めてで、有意義な研修会だった。地域で協力し少しずつ駆除していきたい」と力を込めた。
(優れたイノシシ対策、砺波市鳥獣被害防止協:富山)
砺波市庄川右岸の山沿いの五自治振興会でつくる市鳥獣被害防止対策協議会が七日、イノシシ対策の優れた活動で北陸農政局長賞を受賞した。五自治振興会長が市役所を訪れ、夏野修市長に連携を約束した。雄神、東山見、栴檀野、般若、栴檀山の五地区は、イノシシの被害に手を焼き、連携して対策活動を展開。国や県、市の補助金を活用し、六年間で総延長百八キロに及ぶ電気柵を設けたほか、稲刈り後の二番穂対策の秋耕、やぶなどの草刈り、放置竹林の伐採の集落研修を催して実践。イノシシがすみにくい環境づくりを進めた。稲作を中心にした農産物の被害額はピークだった二〇一四年度の二百三十七万円から本年度は二十二万円に減少。年間捕獲数(二月末現在)は二百三十九頭を数える。市によると、イノシシ対策は個人でするケースがほとんどで、地区の枠を超えた広域連携が高く評価された。
(獣霊供養祭:神奈川)
厚木市小鮎地区獣害対策わな設置協議会(=以下「わな部会」/堀江則之会長)は3月7日、飯山観音長谷寺で獣霊供養祭を行った。2013年のわな部会結成以来毎年開催しており、今年で6回目。供養祭は、森林や農作物の獣害対策として、17年度にわな部会が駆除したイノシシとシカ計42頭を弔う目的で実施したもの。駆除地域は小鮎地区と七沢森林公園内。開会にあたり堀江わな部会長は「生かされ生きる自然循環のバランス維持のため捕獲した、獣霊の御霊に哀悼の意を捧げたい」とあいさつ。わな部会員たちのほか小林常良厚木市長、沼田力(つよし)神奈川県厚木土木事務所長ら23人の列席者が、米山住職の読経にあわせ焼香を行った。わな部会が使うのは、市販品に改良を加えた「くくりわな」。仕掛けを踏むと、重みでバネが閉じて足が挟まる仕様になっている。わなを仕掛けるのは、厚木市が上荻野地区から玉川地区間約25Kmにわたり設置している、獣害防護柵から人里側。わな部会員は、シカやイノシシが通る「けもの道」を探して深さ10cmほどの穴を掘り、くくりわなを埋め戻す。設置後は、誤って人が踏まないよう、わなを仕掛けていることを知らせる札で周知し、毎日確認に向かう。わなを仕掛けた翌日にかかることもあれば、1カ月経ってもかかった形跡がない場合もある。松野正剛わな部会副会長によると「まずは足跡を探すが、仕掛けは経験と勘に頼る部分が多い」という。イノシシとシカともに、1年間の捕獲頭数には制限がある。
(高校生の考えたジビエ料理が学校給食に:大分)
日田市の高校生が考案したジビエ料理が6火、市内の小学校の給食に登場し子どもたちに好評だったようです。日田市はジビエの消費拡大に向けて、高校生を対象にした料理コンテストを今年1月に開催しました。グランプリに輝いたのは、昭和学園高校の「野菜たっぷりミルクカレー鍋」。牛乳でイノシシ肉の臭みを消し、カレー味に仕上げた点が評価されました。6日はカレー鍋が光岡小学校をはじめ市内12校の給食に登場し、児童はおいしそうにジビエ料理を頬張っていました。あさって8日には市内の中学校と支援学校あわせて7校の給食で、同じメニューが提供されることになっています。
(シカ革製品、駆除「供養」:徳島)
三好市の山間部・祖谷地区で有害鳥獣として駆除されたシカの皮を、県産の藍で染めた革製品のインターネット販売を同市出身の映画監督、蔦哲一朗さん(33)が始めた。財布や小物などさまざまな商品を扱っており「手触りの良い品々から獣害の現状も知ってほしい」と話している。蔦さんの祖父は、かつての強豪、県立池田高の野球部元監督、故蔦文也さん。自身は「日本の秘境」と呼ばれる祖谷地区が舞台の映画「祖谷物語-おくのひと-」で厳しい自然の中での人間の生きざまを描き、海外の賞も獲得した。

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(猛吹雪、車救援で出動の男性死亡:北海道)
発達した低気圧の影響で北日本や北陸は2日も荒れた天気となった。死者が出たほか、各地で交通の乱れが相次いだ。北海道では1日に猛吹雪となった影響で動けなくなった車を助けようと、苫小牧市の林道に入ったロードサービス会社の20代男性従業員が同日夜、行方不明となった。捜索していた道警などは2日未明、付近の林で男性を発見、搬送先の病院で死亡を確認した。道警によると、死亡した男性は他の従業員と計3人で、林道で動けなくなった車の救援に向かった。現場近くで自分たちの車も動けなくなり、会社に応援の除雪車を要請。除雪車が到着しないため徒歩で捜す途中、行方不明になった。NHK札幌放送局によると、ロードサービス会社に救援を求めたのはNHK苫小牧支局の男性記者(27)で、シカを狩猟するため休暇中に1人で林道に行っていたという。ロードサービス会社の他の従業員も一時不明となったが、NHK記者とともに無事保護された。苫小牧署によると、現場は道道から林道を数キロ入った地点で、1.5メートル近く新雪が積もっていた。NHK札幌放送局は「救助に来た方が亡くなったのは痛恨の思いで、心よりお悔やみ申し上げる。ご迷惑をおかけした関係者の皆様におわびする」とのコメントを出した。伊達市でも1日、風力発電用の風車の除雪に向かった男性(49)が一時行方不明となり、同日夜に付近で保護された。北海道は2日も暴風雪が続き、JRが特急約40本を含む約300本の運休を決めた。東北新幹線や山形新幹線、秋田新幹線でも運休が相次いだ。日航と全日空は2日、北海道や東北地方を発着する便を中心に、計110便以上を欠航にした。北海道の日本海側を中心に各地で最大瞬間風速20~30メートルを観測。2日朝までの24時間に、多い所で50センチを超える雪が降った。
(害獣活用、各地で苦戦:兵庫)
増加したイノシシやシカによる農作物の食害対策として注目される野生鳥獣肉(ジビエ)料理。精肉の市販に必要な専用の食肉処理施設の稼働率が低かったり、赤字続きだったりするケースが各地で相次いでいる。猟師が持ち込む鳥獣の質が安定しないことなどが理由だが、食文化として定着させようと、各地で取り組みが続いている。「害獣を活用できればと思ったが、こんなはずではなかった」。富山県高岡市で処理施設を運営する食肉販売会社「にくまる」の関係者は、ため息をついた。2015年に県の補助金100万円を利用するなどし、計約500万円で施設を開いたが、狩猟期に入った昨年11月15日以降も閑散としたままだった。開設当初こそ猟師の注目を集めたものの、持ち込まれるのは、サイズが小さく、銃弾で可食部が大きく傷ついたものが目立った。買い取りを断ることが増え実績は伸び悩んだ。最適な大型のメスは猟師が自家消費するケースも多いとみられる。苦戦は民間だけでない。静岡県伊豆市が約5800万円をかけ、11年に開設した処理施設「イズシカ問屋」。16年度は計約千頭のイノシシとシカを処理し、精肉約1800万円を売り上げたが約1千万円の赤字だった。市は「全部売っても赤字。だから行政がやっている」と話す。農作物の食害を防ぐには捕獲意欲の維持が不可欠。猟師からの買値は下げにくく、売値を上げれば、消費拡大に水を差す。開設後数年で民営化する目標は達成できないままだ。厚生労働省によると、ジビエ処理施設は17年5月現在で全国に630カ所あり、1年間で78カ所増えた。ただ多くは処理数が年50頭以下だ。日本ジビエ振興協会(長野県)の藤木徳彦理事長は「大半の施設で採算が取れていない」と分析する。藤木理事長は、腹部を撃たないことなどを「消費者との間にいる施設が猟師に指導するべきだ」と指摘。ジビエ定着には「大手外食産業も巻き込んだ流通拡大が必要」と話している。
(イノシシに襲われ3人けが:愛知)
3日午後、愛知県蒲郡市で、3人がイノシシに襲われてけがをしました。午後3時ごろ、蒲郡市で「人がイノシシにかまれた」と通報がありました。また、イノシシを目撃したという情報が複数、警察に寄せられました。警察によりますと、1人がイノシシにかまれて病院に運ばれたほか、2人がイノシシに接触するなどしてけがをしているということです。イノシシは地元の猟友会によって捕獲されました。警察は3人のけがの程度や当時の状況などを調べています。
(カラスが大量死、インフル陽性反応:兵庫)
県は1日から2日にかけ、伊丹市内の昆陽池から回収したハシボソガラスの死骸を簡易検査した結果、A型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たと相次いで発表した。高病原性かどうか、鳥取大で検査する。1日に15羽が死んでいるのが見つかり、検査した6羽のうち5羽が陽性反応を示した。また、2日にも同じ場所で15羽が死んでおり、検査した7羽すべてが陽性反応を示した。環境省は大阪府内にまたがる周辺10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定。県によると、同圏内には小学校など7カ所で家きん類を飼育しているという。
(ライフル射撃場、11月着工へ:群馬)
群馬県は、安中市で新設整備を進めるライフル射撃場について、11月ごろに着工すると明らかにした。ライフル射撃場の整備には、平成30年度当初予算案で8億8500万円超を計上。有害鳥獣の捕獲担い手を確保・育成するため、県クレー射撃場(安中市中宿)に併設させる予定だ。31年度中のオープンを目指し、整備を加速させる。県によると、県内の狩猟免許取得者数は、昭和56年度の9788人をピークに、平成28年度には4159人まで減少。わな免許取得者数は増えている一方、散弾銃やライフル銃などを使う第一種銃猟免許取得者数は、ピーク時の5分の1程度にまで減った。県は、ライフル射撃場新設について「鳥獣被害軽減には、長期的な視点に立った捕獲の担い手確保、育成をすることが重要だ」と説明し、27年度から地域住民への説明会を実施するなどして現在、実施設計を進めている。地域住民の要望を踏まえ、防音壁を現在の高さ6・5メートルから8メートルにかさ上げするほか、鉛散弾を定期的に回収する方針だ。
(射撃場の鉛汚染、遅れる解決:佐賀)
伊万里市・腰岳(こしだけ)中腹の市散弾銃射撃場一帯で、鉛弾による汚染が表面化して15年。専門家や市幹部でつくる検討委員会は討議を重ねるが、対策は遅々として進まない。土壌の入れ替えを求めた近くの地権者4人も、実現を見ないまま、稲田の汚染を苦にしながら亡くなった。長期化の原因はどこにあるのか。射撃場は鉄製の門扉に鎖が巻かれ、赤字で「立入禁止」とある。斜面下の田んぼ8500平方メートルは耕作者が絶え、人の背丈ほどの雑草がツタを絡め、茂る。その休耕田の下の斜面に、大型の湯船ほどの鉄製の枡(ます)がある。市が2013年に設置した。比重の大きい鉛は沈み、上澄みを斜面に流す仕組みだが、下流の住民によると、大雨の日は濁った水があふれ出す。市の推計では一帯に堆積(たいせき)する鉛分は57トン。仁丹を少し大きくしたような鉛玉はいまも無数にある。雨水に溶け出し、下手の土壌や水を汚染してきた。2月13日、委員会の学識者たちと下流住民の話し合いがあった。住民の一人が「鉛はどれぐらいまで口にしても大丈夫か」と尋ねると、ある委員が稲作への影響を念頭に「鉛が植物に吸着されるなど聞いたことがない」と否定。他の委員も同調する一幕があった。ただ、鉛の害は許容量以前の問題だ。水質汚染が問題になった東京・築地市場の豊洲移転問題にも詳しい熊本一規・明治学院大教授は「国際的なリスク評価機関が、鉛は微量でも人体に影響があるとして、許容量を設けるべきではないと評価している。農水省も同じ立場だし、鉛のある環境の農作物に鉛が含まれる可能性も指摘している」として、検討委メンバーの不見識だと批判する。この問題を取材してきた地元ケーブルテレビの大鋸あゆり記者は「住民の許容量の発想は、元をたどれば11年6月に『直ちに人体に被害はない』とした市幹部の発言にある」と指摘。問題解決の先送りを許す気分を生んだと振り返る。その春、佐賀大が休耕田から基準の13倍を超す鉛を検出、市の調査でも同様の値が出て、議論が沸騰しかけた矢先の発言だった。とはいえ、下流の川の汚染を知った県が、市に恒久対策を助言した03年以降も8年にわたり営業を続けさせた射撃場は休止(11月7月)に追い込まれた。塚部芳和市長も「14年度に、鉛弾の除去作業を始める」と表明した(13年3月)。だが13年8月の第1回検討委で、「鉛弾の回収責任はどこにあるか不明。もしかしたら一般廃棄物かも」といった発言も飛び出し迷走が始まる。10月の第2回会合で産業廃棄物であることが確認されたが、解決の道筋を託された検討委は第3回(14年2月)のあとは第4回(15年3月)。2年おいて第5回(17年1月)。環境基準を超す調査結果を確認しては、次年度の調査手法の確認・提案をするということを繰り返している。熊本教授は「法解釈の無知など専門家の責任は重い。行政がそれに便乗し対策を遅らせている。地権者が求めたように土壌を入れ替えるしかない。放置の現状は違法だ」と批判する。今年2月に1年ぶりにあった第6回会合では、現在の枡よりはるかに大きい沈砂池の造成に向け民有地の買収方針が確認された。その沈砂池も、3年前の第4回で、事務局から設置方針が打ち出されたものだ。塚部市長の4年前の市長選のマニフェストに「解決もあと一歩」とある。改めて解決への「障害」を尋ねると、地権者の相続人との協議の困難さを挙げた。鉛弾の回収に億単位の金がかかるとも強調する。大鋸さんは「ようやくここまでこぎつけたとも言えるが、地権者はコメを市場にも出していたことを苦にして『元の土壌に戻して』と訴えながら死んだ。その無念に一刻も早く報いてほしい」と話している。
(農作物の鳥獣被害額が10%増:石川)
農林水産省北陸農政局は、県内の鳥獣による2016年度農作物被害額を発表した。被害額は、15年度比10%増の9295万円となり、2年ぶりに増加に転じた。中でもイノシシによる被害が全体の約9割に当たる8106万円(15年度比15%増)を占めた。また能登地方の被害が、加賀地方を2年ぶりに上回った。鳥獣別の16年度被害では、イノシシに次いで、カモ(1010万円)、カラス(72万円)の順で多かった。イノシシの被害では、田んぼを荒らしたり、収穫前の米を食べたりするものが目立った。近年は、能登地方で、イノシシの生息域が一段と広がっており、侵入を防ぐ電気柵などが設置されていない地域が多いことから被害が著しかった。鳥獣被害の推移を地域別でみると、能登地方は13年度は1400万円で、加賀地方(3500万円)より少なかったが、14年度には能登地方が4700万円に増え、加賀地方(4500万円)を超えた。15年度は加賀3800万円、能登3300万円だったが、16年度は、能登が4500万円となり、加賀(3600万円)を再び上回った。このほか、北陸農政局管内の石川、富山、福井、新潟県の鳥獣による農作物被害額の合計は5億1877万円で、15年度から2%減った。県別では〈1〉新潟2億3913万円〈2〉富山9917万円〈3〉石川〈4〉福井8752万円――の順だった。なお全国の被害額は計171億円に上っていた。
(シカ食害、ITで監視:岩手)
システム開発などを行う福島県会津若松市のEyes,JAPAN(アイズジャパン、山寺純社長)は28日、大船渡市盛町の大船渡テレワークセンターに実証拠点となるフィールドラボを開設した。同社が開発した画像認識技術などを活用したカメラでシカを識別し、食害被害防止につなげる。2018年度内の実用化を目指している。シカ識別システムは17年度、同市の地方創生総合戦略の取り組みの一環として研究が始まった。ITで地域課題の解決を目指す試作品を製作し、その技術を活用した地元住民による起業につなげる狙いがある。実用化を目指すカメラは、画像認識技術と人工知能を組み合わせて同社が開発。人工知能にシカの画像や動画で特徴を記憶させ、シカと他の動物を識別できるようにする。将来的にはシカの通り道や囲いわななどにカメラを設置し、シカが通過した日時を猟友会に情報提供したり、シカがわなにかかった時にのみ扉が閉まるようなシステムを開発していく。同社の研究への参画は、同センターを運営する大船渡市の地域活性化総合研究所主席研究員の福山宏さん(54)との縁で実現した。社員は同センターに常駐せず、本社で識別システムの精度を高める研究などを進め、実地調査は同研究所のメンバーや地域おこし協力隊が担う。
(鳥獣害情報、クラウドで一元管理:兵庫)
兵庫県は2018年度から、地理情報システム(GIS)を活用した鳥獣害対策に乗り出す。鹿やイノシシの捕獲場所やわなの設置状況など、県内の鳥獣害に関する情報を地図データに落とし込み、クラウドで一元管理する。データを集積することで、効率的な対策の検討などに役立てる狙いだ。猟師が捕獲した獣種や場所などをリアルタイムで加工業者と共有することで、食肉利用の促進にもつなげたい考え。18年度予算に、新規事業として4180万円を盛り込んだ。県内では、農家や地域住民らによる防護柵の設置や計画的な捕獲などが奏功し、鳥獣害による農林業関係の被害額は減少傾向にある。県によると、10年度に9億7400万円だった被害額は、16年度は5億3100万円にまで減った。一方、被害や対策状況などの情報は地域ごとに管理されている場合が多く、県全体で一つにまとめられていなかった。新たに構築するシステムでは、地域ごとの対策や捕獲の状況を、地図上にデータとして反映し、一括管理する。被害の多い場所などの情報を積み上げていくことで、効果的な対策の糸口を探る。農家や猟師、加工業者らもアクセスできるような仕組みを検討する。捕獲したイノシシや鹿などを食肉処理する場合、鮮度が大事になるため、リアルタイムで情報を共有することで、食肉としての利用もスムーズになると見込む。システムは19年度からの運用を目指す。県は「今まで、被害状況や対策は点の情報だった。まとめて把握することで、有効な対策も見つけやすくなる」(鳥獣対策課)と狙いを話す。
(シカ捕獲に最新技術、遠隔操作のおり設置:兵庫)
有害鳥獣による農作物被害防止に向け、情報通信技術(ICT)を利用した対策の検証に乗り出した養父市と関西電力などが5日、同市八鹿町三谷の山間地にシカの捕獲用おりを設置した。監視カメラによる観察で分析した最適ポイントで、同市は効果が認められれば増設を検討する。同市などは先月23日、同町内の3カ所にシカ用の監視カメラを設置。地元猟友会メンバーのスマートフォンなどの情報端末に送られた映像をもとに、現れたシカの頭数を調べた結果、おりを設ける適所として今回の場所を選んだ。おりは4メートル四方で、高さ約2メートル。この日午前、設置作業が行われた。周囲に置かれた侵入感知センサーがシカの接近をメールで通知し、おりの中に相当数のシカが入ったことを映像で確認後、猟友会がスマホなどを遠隔操作し、出口をふさいで捕獲する仕組みだ。同市によると、平成28年度は狩猟期を含めて約4千頭のシカを捕獲したものの、農林業の被害額は約2850万円に及んだ。検証は31日まで実施。同市環境推進課は「ICTの活用で効率的な捕獲が期待できる。今回の検証を通して課題と成果を分析し、今後の取り組みにつなげていきたい」としている。
(鳥獣被害防止で地域貢献、対策推進協に大臣賞:兵庫)
鳥獣による農作物への被害防止に取り組み、地域に貢献しているとして、行政やNPO法人、猟友会などでつくる兵庫県の「篠山市有害鳥獣対策推進協議会」が、農林水産大臣賞を受けた。関係者が1日、市役所で会見を行い、住民も一体となった活動に高い評価を受けたことに対し、喜びを語った。各地で問題となっている鳥獣被害対策の先進事例を広めようと、同省が実施。被害防止部門と捕獲鳥獣利活用部門があり、同協議会は前者に応募した。2008年に発足した同協議会には、専門家が運営するNPO法人も入り、綿密な対策を取ってきた。篠山ではサルによる被害が多いが、捕獲だけでなく共生も重視した計画的な個体数管理を実施。実現のため、専門家が集落で出前講座や研修会を行うなど住民の意識向上に力を入れてきた。また、サル監視員が発見した際、住民に位置情報をメールで連絡するなどして、連携を取りながら対応していることも全国ではあまり例がないという。このほか、情報通信技術を用いた大型捕獲檻や、近隣5市町と連携した広域的な取り組みも評価された。NPO法人「里地里山問題研究所」の鈴木克哉さん(42)は「捕獲するだけの団体が多い中、『ささやまモデル』を全国的に広めたい」、酒井隆明市長は「素晴らしい賞をもらい感激している。専門家や住民の皆さんの協力のおかげ」と話した。
(クマ出没104件:石川)
今年度、金沢市内でのクマの目撃・痕跡情報の件数が2月末現在で104件に上り、過去5年で最多だった2014年度の120件に近いペースで増えていることが、市の調査でわかった。専門家は「残飯などの管理を徹底すべきだ」と指摘している。同市は今年度、県立大と連携してクマの出没などに関する調査を進めており、3月末までに調査結果をまとめ、被害防止に向けた対策を打ち出す方針だ。同調査は、近年、市街地近くでクマが相次いで目撃されていることを受け、市と県立大が今年度初めて実施。調査に関する会合が1日、金沢市内で行われ、その中間報告が発表された。 中間報告によると、昨年5~12月、クマの出没地域や活動の範囲を確認するため、市街地に隣接する森林の中など約18平方キロ・メートルに赤外線カメラを計54台設置し、出没したクマを撮影。期間中に74枚の写真でクマが確認され、成獣になる前のクマが多数を占めたという。過去の目撃情報や、これまでに捕獲した24頭の個体から、出没しやすい環境や食性などの調査結果も報告された。県立大生物資源環境学部の大井徹教授(動物生態学)が、捕獲したクマの胃から柿やイチョウなどが見つかった結果を紹介し、「ドングリ類などの自然物を主なエサとしているが、人が育てた果樹や残飯など人由来の食物に依存している傾向も認められる」と説明した。近年、クマの捕獲が減少傾向にあることや、人による手入れ不足で里山の生態系に変化が生じている影響などで、クマの行動範囲が市街地近くまで広がったと考えられるという。大井教授は「不用意にクマを市街地近くに引きつけないよう、これまで以上に残飯や廃棄する農産物などの管理を徹底すべきだ」と指摘した。市森林再生課の仙石正美課長は「調査を生かしながら新年度以降の対策に反映させたい」と話した。
(市民のすき狙うカラス:長野)
ムクドリの騒音被害に悩んでいた長野市で、今度はカラスの集団による生ごみあさりやふん害が表面化し、住民や市が対策に追われています。知恵が働くカラスはごみ収集日に集積場所に集まり、生ごみを食い散らかして街角はごみ捨て場のような状態に。生ごみの臭いが広がったり、清掃の手間がかかり市民を困らせています。ごみにネットをかぶせるなどの対策を進めていますが、カラスは上空から偵察、市民のうっかりやすきを狙って急降下するため、油断できない状態が続いています。カラスの被害はこれまで農作物を中心に注目されてきました。長野市の2017(平成29)年度から3か年の鳥獣被害防止計画によると、カラスによる被害額は、2015年度で果樹(リンゴ、ブドウ、ナシ)の182ヘクタール、野菜の約8ヘクタールを合わせて約1280万円。これは、一方で騒がれているイノシシによる田畑の被害約1230万円、二ホンジカ被害約1000万円を上回って鳥獣被害額でトップを占めます。ところがカラスはムクドリと同様、市街地への進出を進め、ここ数年は街の中のふん害や生ごみあさりが目立つようになりました。市は農作物の被害対策として2017年度から3年間でカラスを1500羽捕獲する目標を立てていますが、市街地でのカラスのゲリラ活動はほぼ想定外。このため長野市は市街地でのカラス対策として、(1)生ごみは水切りをして新聞などに包み、市の指定した袋に入れる、(2)ごみは収集日の当日に出す、(3)可燃ごみ全体を覆うカラスよけのネットを使用する――などを市民に呼び掛けています。カラスよけの黄色いネットは、住民自治協議会の申請に基き購入費の2分の1以内、5000円を限度に市が補助しており、今年度はすでに100枚以上のネット購入を対象にしました。効果があるために普及を図っており、「ネットのすき間からごみ袋を引き出されないように、丁寧にかぶせてほしい」と市生活環境課。ごみ対策以外では、剪定(せんてい)した枝や草、ビニール、針金などは巣の材料としてカラスに持ち去られる恐れがあるので、放置しないで処分などするよう注意。農作物対策などではカラスが嫌がる音や光を出して退散させる方法も紹介し、音や光は頻繁に変えるよう工夫を呼び掛けています。市の担当者は「カラスは、天敵のいない住み心地の良い市街地に移ってきているなどと言われているようです。頭が良く、ごみ収集の曜日も覚えているのかと思わせるほど」。上空から餌となる生ごみなどを探して偵察し、人の姿が見えなくなると10数羽で急降下して一斉にごみをあさる姿は異様です。長野市ではこれまで市街地の樹木で夜明かしするムクドリの鳴き声の騒音被害などもひどく、爆竹などを使った対策を実施してきました。ムクドリの農作物被害は、長野県で5000万円近く(2006年度)あり、山梨、神奈川など近県に比べ数倍に上ります。
(スーパーモンスターウルフ量産へ:北海道)
イノシシなどから農作物を守るために、千葉県のJA木更津市が昨夏から市内に設置したオオカミ型ロボット「スーパーモンスターウルフ」が効果を上げている。米や栗の食害が減り、県外でも好評という。ロボを作った太田精器(北海道奈井江町)は4月から量産を始める。JA木更津市は昨年7月11日、実証実験として同市矢那地区の水田にロボ1台を設置。稲刈り後の9月13日には地区内の栗林に置いて効果を試してきた。水田の中にはイノシシの食害などに毎年遭って収穫を断念する田もあったが、昨年はヤブに接した所で少し食害があった程度だった。約3トンの栗が採れる栗林の収穫量は近年、イノシシの食害で2トン弱に落ち込んでいたが、昨年は2トン以上の収穫があったという。県外では、北海道や山梨県など計7カ所で試験的に設置。農地以外でも、ゴルフ場でコースの掘り返しがなくなった、高速道路のインターチェンジでシカの侵入が減ったといった声が寄せられているという。一方で、「時間が経てば動物が慣れてしまうのでは」との疑念を持たれることも多い。オオカミの姿で威嚇するという手法が「子供だましだ」とからかわれることもあったという。これに対し、同社の太田裕治社長は「ロボの前身として音と光だけの装置を7年前につくったが、慣れたという話はない。オオカミの姿に似せたことで、イノシシなどに『天敵がいる』とすり込ませることもできる」と反論する。JA木更津市はロボの効果を認め、県内の販売元になることを引き受けた。先月26日には近隣市の農業担当者ら約50人を対象に、動画などを用いて実験の結果を説明した。4月には10台を購入して市内の農家に貸し出す予定だ。梅沢千加夫組合長は「ロボの首を360度回るようにしたり、レールを使って移動できるようにしたりするなど、さらに機能を向上させた『ウルトラスーパーモンスターウルフ』を作って欲しい」と期待している。
(カラス対策にドローン:長野)
諏訪市は市街地のカラス対策として来年度、「鷹匠(たかじょう)」に加え、小型無人機(ドローン)による追い払いを試験的に取り入れる。効果を確認した上で活用したい考え。1日に開かれた市議会3月定例会一般質問で小林佐敏氏の質問に大舘道彦経済部長が答えた。ドローンにカラスに対して忌避効果がある特殊なシートを貼ったり、プレートをぶら下げたりして飛行し、追い払う。ドローンの普及啓発を推進するNPO法人諏訪広域ドローン協力会(諏訪市)の提案を受けて検討を進めてきた。時期や実験場所は今後詰めるが、大舘部長は取材に「ドローン協力会の皆さんと協力して取り組み、カラスに対する効果を検証したい」と述べた。市は昨年12月、大阪市の業者に委託し、諏訪湖畔に猛禽(もうきん)類を放ってカラス対策の効果を検証した。同部長は「諏訪湖畔からカラスがしばらくの間いなくなり、鷹匠による追い払いの有効性はあった」とした。一方でカラスのふんや生ごみの食べ散らかしの被害は上諏訪駅周辺で目立つようになった。鷹匠による追い払いは交通費や滞在費も掛かる。
(イノシシ肉の頂点競う:岐阜)
イノシシ肉の魅力を発信する「日本猪(いのしし)祭り」が岐阜県郡上市八幡町吉野のホテル郡上八幡で開かれた。全国各地のイノシシ肉を食べ比べする「利き猪(しし)グランプリ」には14県26カ所の食肉処理施設から出品があり、ジビエ(野生鳥獣肉)や狩猟に関心の高い約150人が味わって投票した。若手狩猟者らでつくる「猪鹿庁」のメンバーや郡上市内の猟師らでつくる実行委員会が、狩猟者側からジビエの活用を盛り上げようと企画し、2回目。県内からは郡上市や関市、高山市、加茂郡八百津町の計6施設が出品した。モモ肉のスライスが地域名を伏せて提供され、参加者は色や脂の乗り、風味の違いを楽しみ、好みの肉に投票した。26品のうち8品が決勝に進み、審査員10人が評価。グランプリは岡山県吉備中央町の施設が選ばれた。県勢は昨年に続いて八百津町の施設「五宝の滝」が準グランプリに選ばれた。施設責任者の久保田豊さん(38)は「八百津の山の豊かさで良い肉ができたと思うとうれしい」と喜んでいた。ジビエの歴史や可能性を探る講演もあった。
(亥年に初せり、ジビエPR:岐阜)
里山めぐり利き猪(いのしし)実行委員会は4日、郡上市で開いた第2回日本猪祭りの中で、来年度に「イノシシの初せり」を計画していることを報告した。有名な大間のマグロ初せりのように品質のいい肉を高値で買ってもらい、イノシシ肉のPRにつなげたい考えだ。干支(えと)が亥年(いどし)となる2019年の実現を目指す。同イベントはイノシシの魅力を生産者側から発信するのが目的。今回は次年度開催に向けて参加者らが案を話し合う作戦会議を設け、冒頭に同委がイノシシの初せりの計画を報告した。興膳健太委員長は「肉をどう集めるかなど課題はある。皆さんの協力をお願いしたい」と要望した。作戦会議では、ジビエ(野生鳥獣の肉)を盛り上げるため、スタンプラリーやソムリエ育成などのアイデアが出た。イノシシの熟成肉の試食や、バーベキューでの調理法も実演した。3日には、全国のイノシシ肉を食べ比べる「利き猪グランプリ」を開催。グランプリには、岡山県吉備中央町の加茂川有害獣利用促進協議会が輝いた。
(シカ丸ごと1頭活用策:兵庫)
兵庫県内のシカの捕獲頭数は2016年度4万3682頭。うち処理頭数は3884頭と、8・9%が処理加工施設に回された。しかし、実際に食用のシカ肉として利用されているのは「1、2割しかない」(県鳥獣対策課)といい、ほとんどが消費用に生かされていないのが現状だ。こうした事態を受け、県は15年度から「シカ丸ごと1頭活用作戦」と題した施策を展開。需要や供給が安定しない食用シカ肉だけに頼るのではなく、皮や骨、角などをペットフードや皮革製品に活用する手法を探っている。担当者は「シカも大切な地域の資源。命をいただいている以上、全ての部位を使わせてもらうのが筋」と語る。県は21年度の処理頭数の目標値として、16年度の約2・5倍に当たる「1万頭」を掲げる。県内にある11の処理加工施設のうち、特に丹波や姫路の施設は2千頭規模の処理能力を誇る。こうした施設の稼働率を高めるため、シカを持ち込んだハンターに1頭2千円を支給するなどの支援策を実施。担当者は「現時点だと施設の黒字化は難しい。地域資源を生かすためにも、シカ肉の文化を広めていきたい」としている。シカと同様、農林業に甚大な被害を及ぼしているイノシシについては、16年度に目標の1万5千頭を上回る1万9648頭を捕獲。18年度からは新たに報奨金制度などを設け、目標数も2万頭に引き上げた。地域資源としてシカを利活用したグルメやグッズをPRするイベント「文鹿祭(ぶんかさい)」がこのほど、神戸市中央区の生田神社で開かれた。訪れた人たちは、高タンパクで低カロリー、鉄分も豊富なシカ肉に舌鼓を打った。イベントはシカ肉処理加工施設や飲食店などでつくる「ひょうごニホンジカ推進ネットワーク」が主催し、4回目。兵庫県が後援している。会場にはシカ肉を使ったハンバーガーやカレー、ピザなどのシカ肉料理を扱う飲食店や、シカ革を使ったかばんや衣類を販売する店などが並んだ。シカ肉を原料としたドッグフード店も出店し、さまざまな活用法が紹介された。生田神社会館では、映像を使った狩猟の疑似体験コーナーも設けられた。同区の主婦(33)はシカ肉を使ったどて煮を味わい「もちもちした食感でヘルシー」と満足した様子。「都会に住んでいると獣害のことを知らない。食べながら学べるいい機会になった」と話した。
(ジビエ料理で誘客、プロジェクト今春始動:福島)
奥会津地方の有志はジビエ(狩猟肉)料理を新たな観光誘客の目玉にするプロジェクトを今年春に始動させる。生態系に配慮した狩猟で鹿や熊など野生動物の食害を抑えるとともに命や食の大切さを伝える。野生鳥獣の肉は東京電力福島第一原発事故に伴い国の出荷制限、県の自家消費自粛が続く。将来的な解除を見通し、準備を先行させる。日本の原風景と称される奥会津の山々には熊や鹿、イノシシなどが数多く生息する。「高級食材として珍重されるジビエは観光の呼び水になる」。三島町の早戸温泉にある、つるのIORIカフェ店長で調理師と栄養士の資格を持つ小松今日子さん(45)は、豊かな食材を地域振興につなげられないかと構想を練る。出荷制限の解除に向け、できることから準備に入ろうと、第1弾として狩猟で捕らえた獣の解体や食肉加工のできる施設の整備を目指す。今年春にも利用に適した空き家が三島町内にないか調査に乗り出す。金山町のマタギ猪俣昭夫さん(67)が協力する。自然との共生を重んじながら40年以上狩りをしている。野生鳥獣のうち、鹿は尾瀬国立公園をはじめ全国的に繁殖数が増えた。奥会津でも10年ほど前から増加傾向にある。樹木などの食害は農作物への被害のほか、土砂崩れの一因となる可能性があるという。県によると、野生鳥獣の肉への各種制限解除の見通しは立っていない。猪俣さんは金山町の山中で年間10頭ほどの鹿を捕らえ、町の放射性セシウムの簡易検査を受けている。原発事故直後から10ベクレル前後で推移し、今季測定したものは8~18ベクレルだった。食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えたことはないという。山を守るマタギの後継者育成も中山間地域の課題の一つ。かつて金山町だけで40人ほどいたが、猪俣さんの所属する町猟友会の会員は現在10人で、高齢化も進む。「狩猟肉を買い取ってもらえる仕組みができれば後継者も増えるはず」と期待を寄せる。尾瀬国立公園で駆除した鹿革を製品化している南会津町の「おぜしかプロジェクト」の小山抄子さん(53)も加わり、獣の革を使って新たな特産品を開発する予定だ。奥会津の魅力が詰まった新たな地域おこしに関係者も注目している。
(狩猟現場の実態は?)
約3週間のプロ野球キャンプ取材から一時帰京すると、1通のはがきが来ていた。「狩猟者登録証および猟銃用火薬類無許可譲受票返納のお知らせ」。日本は一部地域を除き11月15日から2月15日が猟期。終了すると、30日以内に前出の書類を返さないといけない。必須ではないが、ハンターは基本的に居住地域の「猟友会」に加盟する。誤射などに対応する保険に加入するほか、狩猟には不可欠な「登録証」を代行して申請してもらえるメリットがある。登録は都道府県ごとに必要で、猟に出る場合は記章を付け登録証を携行しないといけない。よく聞かれるのは「費用はどのくらいかかるの?」という話だ。登録証の申請は火薬を使う銃の第1種が1万6500円、空気銃のみは5500円、網猟・わな猟は8200円。ちなみに1都道府県ごとの登録のため、1種で千葉県と茨城県に登録すれば1万6500円×2、わな猟もやるハンターはプラス8200円かかる。これに保険、猟友会費などもあって1種で1県だけでも3万円は覚悟する。シカやイノシシの農業被害は全国で約200億円といわれる。大日本猟友会の統計資料によると、1975年に51万7754人だった狩猟免許所持者(第1種、2種、網・わな計)は、2014年には19万3762人に激減。所管の環境省はハンターを増やすため、この狩猟税の軽減や廃止を求めているようだが、政府の反応は鈍い。ハンターを増やせば被害が減るかは不明だ。費用だけでなく、高齢化も課題にある。参加させてもらっているグループは60代以上が中心で、大先輩は「10年後には誰もいなくなる」とこぼす。新聞記者は他人の話を聞いただけで知ったかぶりする悪癖がある。自分で経験して初めて知ることがあまりに多い。現場でしか知り得なかった実態は、いずれこのコラムで書こうと思う。ところで、最後の出猟から約1カ月。獲れなくてもあの高揚感が頭をよぎる。帰京後、お世話になっている東京都内の銃砲店で雑談をしていると、キャンプで訪れていた沖縄・石垣島の話になった。「うちのお客さん、石垣で駆除をやってるよ」「えっ!? そうなんですか。西表島でイノシシ見ました。来年やってみたいなぁ…」「島も最近は交配がすすんじゃってるみたい。イノシシは石垣島から泳いで渡るらしいよ」「すごい…」知らないことばかりで勉強になる。それにしても完全な“猟ロス”に陥ってしまったらしい。
(ジビエ肉焼き店オープン:福岡)
福岡・警固に昨年11月29日、ジビエ専門肉焼き店「ジビエ罠 手止メ 警固」がオープンした。同店は自社マニュアルで「厳選」したジビエを熟練の焼き手が炭火で焼き提供するスタイル。東京を中心に22店舗の飲食事業を展開する「夢屋」(東京都渋谷区)が運営する。店舗面積は約13坪。席数は、カウンター13席テーブル16席の合計29席。メニューは鹿・イノシシ・キジなど4種類の肉がセットになった「先ズの『ひととおり』」(1,129円)、数種類のジビエ肉が入った「じびえカリィ」(780円)、鹿とイノシシの合いびきミンチを使った「つくね」(3本・450円)、「エゾシカユッケ」(680円)のほか、ジビエ肉を部位ごとに注文することもできる。客単価は3,000円~4,000円。飲食事業部罠部門統括の中尾健児さんは「今、糸島に処理加工場を建設中でその旗艦店として警固に出店した。ジビエが初めての方や抵抗感をお持ちの方にも厳選された当店のジビエを食べていただきたい。将来的にはジビエが食事として気軽に選んでもらえるような存在になれば。」と話す。
(地域おこし協力隊員、シカを初捕獲:千葉)
野生獣による農作物の被害を減らそうと、鋸南町が昨年11月に委嘱した地域おこし協力隊員2人が初めてシカの捕獲に成功した。丹精込めて育てたスイセンの食害に悩んでいた農家は「捕獲してもらってよかった」と喜んでいるという。2人は黒沢徹さん(50)と伊藤哲生さん(44)。同町小保田の農業、福原みち子さんの畑近くに2月上旬、くくりわなを仕掛け、同13日にオスのシカ1頭を捕獲した。体長約1・3メートル、体重約50キロの成獣だった。今月1日には2頭目のメスのシカ(体重約50キロ)も捕獲した。福原さん方では農作物とニホンスイセンを栽培しているが、数年前からシカがスイセンを食べる被害が深刻化。黒沢さんと伊藤さんは昨年11月に地域おこし協力隊員(有害鳥獣対策担当)を委嘱され、町に移り住んだ。これまで町主催の「狩猟エコツアー」の運営を支援していた。

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(シカが道路走る:福井)
福井県坂井市春江町針原で2月25日夕にシカが出没し、遭遇した市内の男性が市道上を走っている姿を撮影した。県自然保護センターによると、シカが山際や川沿いから離れた平野に出没するのは極めて珍しいという。25日午後5時20分ごろ、春江病院南側の市道で車を運転中の福井大教育学部教授の水沢利栄さん(58)がシカを発見。車を止めスマートフォンで撮影した。シカは最初は西へ向かっていたが、急に東へ向きを変え、その後見失ったという。水沢さんは「嶺南ではよく出没すると聞いているがまさか春江で出るなんて」と驚いている。シカは体高約1メートルでニホンジカの雌とみられる。現場は田園地帯と住宅街の境目付近。県自然保護センターの松村俊幸所長は「大雪で餌を求めて平野に来たのでは」と話している。23日未明にも坂井市でシカの目撃情報が市に寄せられていた。シカはまだ捕獲されておらず、市は「おそらく同じシカではないか。シカは人を襲うことはない。もし見つけたら、脅したりせず速やかに市に通報してほしい」と話している。
(森林・市街地周辺・市街地に分けクマ対策:秋田)
秋田県は、クマの出没が多い地域でクマの生息域と人間の生活圏などを三つのゾーンに区分する「ゾーニング管理」の指針を近くまとめ、2018年度から県内全域で本格導入する。行政や住民の役割を明確化するもので、クマ被害の新たな防止策として期待されている。佐竹敬久知事が23日の県議会一般質問で明らかにした。県内では17年、クマに襲われた死傷者が過去最悪の20人に上るなど、被害が深刻化。今年に入っても冬期間の目撃数が増加傾向にあるなど、春先以降のクマ被害が懸念されている。指針では、森林ゾーンへでは入山者にクマ対策装備を徹底してもらう▽市街地周辺ゾーンでは、農家に廃棄農産物を放置しないよう求め、行政は電気柵を設置▽市街地ゾーンでは、住民に家庭ごみの適切な処理をしてもらう--など、ゾーンごとに行政や住民が行う役割を明確にする。
(鳴き声合成、シカ退散:東京)
全国で生息範囲を広げているシカと列車との衝突事故を防ごうと、鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)はシカの習性を利用し、仲間に危険を知らせる鳴き声とシカが嫌う犬の鳴き声を組み合わせた「忌避音」を作った。列車からシカを遠ざける効果があり、試験では目撃回数が約45%減ったという。実証実験を経て、来年度の実用化を目指す。鉄道総研によると、シカは仲間とのコミュニケーションで13種類の鳴き声を使い分け、仲間に危険を知らせる場合は「ピヤッ」という甲高く短い声を出す。試しに聞かせたところ、周囲を警戒して一斉に鳴き声の方向に顔を向けたという。しかし、その場からは逃げないため、「ピヤッ」という3秒間の音の後に、シカが嫌う犬の「キャンキャン」という鳴き声を20秒間つなげて忌避音を作った。JR北海道の協力で、2016年1から2月に列車のスピーカーから忌避音を鳴らし続けたり、鳴らさなかったりしながら計約1760キロの区間を走行する実験をした。100キロ当たりに換算すると、鳴らさない場合のシカの目撃回数は13.6回だったのに対し、鳴らした場合は7.5回だった。鳴らすと約45%、目撃回数が減ったことになる。また、忌避音を聞いた約200メートル先のシカの群れが一斉に遠ざかる様子も確認されたという。環境省などによると、山間部の過疎化などが原因で、シカは14年度までの36年間で北海道、東北、北陸地方を中心に生息域を約2.5倍に拡大した。個体数も15年度は推計で304万頭に上り、10年間で倍増している。シカと列車との接触事故も頻繁にあり、JR北海道によると、北海道では16年度だけで1777件起きている。事故があると、車両の安全確認をするためにダイヤに遅れが生じたり、車両が損傷したりする。JR各社は侵入防止柵を設置したり、シカの嫌いなにおいのする忌避剤を使ったりしているが、効果は限定的だった。鉄道総研の担当者は「研究を重ね、少しでも接触事故を減らして安定輸送につなげたい」と話している。
(オリにかかるとスマホで操作、食害鹿の捕獲進む:兵庫)
農家を悩ませる鹿の食害対策として、兵庫県立大(兵庫県丹波市)と三重県農業研究所(松阪市)による同県伊賀市阿波地区での捕獲実験が、大きな成果を上げている。防護柵の切れ目に罠わなのオリを置いてカメラで監視し、かかると、スマートフォンで遠隔操作をして入り口を閉じる仕組み。こうした柵と捕獲の併用が奏功し、3年2か月で440頭捕らえ、農業被害はほとんどゼロ。同研究所などは「対策の切り札になる」として県内外にPRしていく。阿波地区7集落のうち、子延、下阿波の2集落は、レタスなどの葉物野菜が全て鹿に食べられ、年800万円に上る深刻な被害が出ていた。集落を防護柵で囲うと被害は減ったが、河川や道路などで柵が途切れる箇所があり、そこから鹿の侵入が続いていた。同研究所などは農林水産省の研究費補助を受け、2集落の計約150平方キロで2014年の夏から年末にかけて、オリ(5メートル四方、高さ2メートル)を設置した。太陽光発電で24時間稼働するカメラが、インターネットで県職員や地元の獣害対策委員ら6人のスマホに、8基のオリの様子をライブ映像で届ける。鹿がオリに近づくとスマホの警告音が鳴り、映像を見ながらボタン操作をすると、入り口を閉じて捕獲できる。同研究所などは、複数のオリをスマホで一元管理するこの仕組みを「クラウドまるみえホカクン」と命名。オリの中に干し草などオトリの餌を置くなど、日常の管理は地元住民が担当。捕獲した鹿は、同市山畑の「いがまち山里の幸利活用組合かじか」(中森秀治組合長)が食肉に加工する。子延の獣害対策委員長、芝田喜比古さん(69)は「ほとんど鹿の被害がなくなった」と言い、下阿波の男性(71)も「レタスや菜種が全滅して農業を諦めたが、捕獲の効果が表れ、野菜作りを再開した人もいる」と喜ぶ。阿波地区での実験は18年度末で終了するが、地元の同地区住民自治協議会が管理して捕獲を続ける方針という。実験を主導した同大自然・環境科学研究所の山端直人教授は「柵で囲って鹿を遠ざけるだけでは、獣害対策は不十分。捕獲もして頭数を減らせば大きな効果が上がることが証明された」と話している。
(捕獲した有害鳥獣の処理施設整備へ:兵庫)
兵庫県新温泉町は26日、2018年度当初予算案を発表した。有害鳥獣として捕獲したイノシシやシカの処理施設を整備し、農林業の被害軽減を図る。駆除した有害鳥獣はこれまで、狩猟者が埋めるなどしてきた。新施設は狩猟者から受け入れた死がいを微生物で分解する。このほか畜産業や観光業などの振興施策も進め、地域活性化を目指す。
(四国のツキノワグマ守れ、日本熊森協会が山林取得:徳島)
四国で唯一ツキノワグマが生息する剣山山系の生息環境を保全するため、自然保護団体「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は27日、那賀町境にある高知県香美市の民有林24ヘクタールを取得した。人工林化された山林を落葉広葉樹林に戻し、クマの餌場や移動経路を確保する。今後も周辺の山林の取得を続け、個体数の増加につなげる。日本熊森協会が取得したのは、香美市物部町の標高670~1340メートルの山林。スギやヒノキを伐採し、広葉樹を植林するなどして落葉広葉樹林化を図る。購入費は会員からの寄付金(金額は非公表)を充てた。四国のツキノワグマは人工林化や捕獲の影響で個体数が減少し、生息域は現在、剣山周辺に限られている。生息しているのは10~20頭程度とみられ、環境省の「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている。協会は、クマの個体数が減少した一因として、人工林が広がりクマの餌場が少なくなったことを挙げる。これまでに全国各地で計225ヘクタールの人工林を取得し、落葉広葉樹林帯の回復を進めている。四国での取得は初めて。協会は「個体数を増やすためには生息地の拡大が急務。四国のクマを保全するために今後も山林取得を進めたい」としている。
(害獣対策で捕獲したシカの有効活用をPR:兵庫)
農作物被害を引き起こしているシカを捕獲した上で地域資源として活用しようと、シカ肉料理や加工品をPRするイベント「文(ぶん)鹿(か)祭(さい)」が27日、生田神社(神戸市中央区)で開かれた。県内で捕獲したシカは年間約4万5千頭に上るが、9割が廃棄処分されており、有効活用の必要性をアピールした。県内の精肉業者や飲食店などでつくる団体が主催。約15業者がブースを出店し、シェフらが腕を振るったハンバーガーやコロッケ、カレーなどのシカ肉料理の屋台が並んだ。主催団体によると、シカ肉は牛肉に比べて高タンパク・低カロリーであっさりとした味わいが特徴。イベントの料理はワンコイン(500円)前後で手軽に楽しめるとあって、昼食時には地域住民らでにぎわった。料理以外にも皮を使ったかばんや靴といった皮革製品、これまでは廃棄されていた部位を活用したドッグフードなども販売。模擬銃を使った狩猟体験コーナーや、シカの生態についてのパネル展示もあった。4回目を迎えた文鹿祭は県も後援している。背景には、農作物被害を防ぐため捕獲したシカの処理問題がある。県などによると、シカによる農林業への被害額は減少傾向にあるものの平成28年度で5億3千万円に上った。年間の捕獲数は4万5千頭程度だが、ほとんどは廃棄処分しており、食肉や加工品などに有効活用できているのは1割程度という。県は有効活用を推進しようと、27年度から「シカ丸ごと1頭活用大作戦」を展開。捕獲したシカの加工処理業者に冷凍庫や運搬車の整備費用などを補助している。30年度は冷凍庫を積んだ回収トラックの運営支援を新たに盛り込み、当初予算案に29年度の3倍近い約1億7千万円を計上した。主催団体の入舩郁也会長は「官民連携を進め、害獣として捕獲されたシカを活用する循環モデルを構築したい」と話している。
(四国のツキノワグマ、保全へ本腰)
いまや十数頭とも言われ、絶滅寸前の四国のツキノワグマを、50年後に100頭に――。全国のクマ研究者や自然保護NGOがタッグを組み、保全活動に乗り出した。絶滅してしまったとされる九州の二の舞いは避けられるか。朝もやが残る森にクマが現れ、樹上に仕掛けられたハチミツをまさぐる。別の1頭も近づいてきた。研究者や学生ら約320人でつくる日本クマネットワーク(JBN)が昨年8月18日朝、徳島県の剣山(つるぎさん、1955メートル)周辺で撮影に成功した動画だ。徳島、高知両県にまたがる広葉樹林帯に7~9月、44台のカメラを置いて自動撮影を試みたところ、うち1台に計8回、クマが映っていた。四国では1970年代まで高知県西部の四万十川流域にもクマが生息していたが、85年を最後に記録は絶えた。環境省は96年時点で剣山周辺の生息数を多くて数十頭と推定しているが、最近10年間で確実に把握できた個体は十数頭だけだ。クマは基本的に植物を食べ、ブナやミズナラなどの落葉広葉樹林を好む。冬眠を控えた秋に、これらの実であるドングリを大量に食べるためだ。だが、林業が盛んな四国では戦後、スギやヒノキといった針葉樹の人工林が拡大し、今は森林の6割超を占める。針葉樹の皮をはいでなめる習性があるクマは害獣とされ、70年代まで自治体も駆除を奨励した。ただ、数の減少で86~87年に高知、徳島両県がクマの捕獲を禁止した。林業の不振で人工林の拡大も止まった。それでもここ30年、クマが増えている傾向はない。やはり森林開発が盛んだった九州ではクマの保全策が講じられないまま、環境省は2012年に絶滅と判断した。「四国まで絶滅させるわけにはいかない」。JBNは昨年から、日本自然保護協会(東京)、四国自然史科学研究センター(高知県)と手を組み、保全活動をスタートさせた。絶滅を回避できる最少の数とされる100頭が目標だ。当面のポイントは、現地調査を通じた現状分析だ。JBN副代表の佐藤喜和(よしかず)・酪農学園大教授は「正確な頭数や生息範囲、繁殖や死亡実態を詳しく調べ、数が増えない原因を明らかにしたい」と言う。もう一つの重点は地元への働きかけだ。日本自然保護協会が今年1月に徳島、高知両県の500人を対象に実施した意識調査では、四国にクマがいることについて52%が「何も思わない」と回答した。人身事故や、農林業被害が出ないことを望む声も目立った。佐藤さんは「地元の人が『押しつけ』と思うようでは保全は成功しない。地域の利益につながるような共存のあり方を住民や自治体と考えたい」と話す。日本には北海道にヒグマ、本州と四国にツキノワグマがいる。ツキノワグマは胸の白い三日月状の模様が特色。体長1・0~1・5メートル、体重は40~130キロほどで、個体差や体重の季節変動が大きい。世界に8種いるクマの中では中型だ。ツキノワグマは西アジア~北東アジアに広く分布するが、JBNメンバーの山崎晃司・東京農業大教授によると、ほぼすべての国・地域で減少している。島では本州、四国以外に台湾と中国・海南島しかおらず、面積では四国が最小だ。環境省のレッドリストは四国、紀伊半島、東中国、西中国、下北半島(青森県)のツキノワグマを「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定。JBNの14年の調査では、四国を除く地域でクマが分布域を広げている傾向がみられた。
(酪農学園大学のカリキュラムが「シカ捕獲認証レベル1」:北海道)
酪農学園大学(北海道江別市)環境共生学類ではシカの捕獲や管理に関する知識や技術を習得した人材育成に努めており、2017年度から一般社団法人エゾシカ協会とのカリキュラム連携をスタート。このたび、環境共生学類野生動物学コースで開講されている「野生動物生態学」や「野生動物管理学」など特定の科目を修得することで、同協会が実施している「シカ捕獲認証レベル1」の受検資格を取得できるようになった。全国各地でニホンジカによる農林業被害や生態系の乱れなどが未だ深刻な状況にある。こうした中、一般社団法人エゾシカ協会は2015年から「シカ捕獲認証」制度を実施。安全性・法令・食肉衛生・動物福祉に考慮した個体数管理のためのシカの捕獲または管理を実践できる人材を認証することを目的として運用している。認証には2つのレベルが設けられており、レベル1(DCC1)では主に知識、レベル2(DCC2)では技術について認証する。これまではこの資格を取得しようとした場合、通常の授業科目とは別個に同協会の講習(36時間の室内講義と6時間の実習)に参加する必要があった。今後は、酪農学園大学で通常開講している授業を受講することでレベル1の受検資格が得られるようになる。
(カラス営巣での停電防止へ巡回:四国)
四国電力はカラスの営巣による停電防止のため巡回監視を強化する。カラスは2月中旬から5月下旬までが繁殖期で電柱に巣をつくることが多い。材料として運んだ金属製ハンガーや木の枝が高圧線に接触すると漏電などを引き起こすことがある。四国電は電柱に巣を見つけたら連絡してほしいと呼びかけている。四国電管内で2017年にあったカラス営巣を起因とする停電は20件あった。巣の撤去は1万7906件に上る。予防策として同社は傘の骨組みのような営巣防止装置「アンブレラボーン」を取り付けるなどしている。
(シカ肉、全国2位は「鳥取県」?)
狩猟で捕獲した野生の鳥獣を食材として楽しむ「ジビエ」もすっかり定着してきた。居酒屋などでもジビエメニューとしてシカ肉やイノシシ肉、鴨肉などを楽しむことができる。そんな国内のジビエ利用実態を示す初めての調査結果、「野生鳥獣資源利用実態調査(平成28年度)」が2018年2月9日、農林水産省によって発表されている。イノシシ肉やシカ肉のジビエ利用量(トン)が都道府県ごとに報告されているのだが、シカ肉は北海道が400トンという圧倒的な量を誇り、それに次ぐ第2位が47トンで鳥取県となっているのだ。調査の内訳を詳しく見ると、主な食肉として「イノシシ」「シカ」「その他(クマやアナグマ、鳥類)」が挙がっており、各項目の47都道府県の販売量が確認できる。データを見る限り傾向としては東北地方ではあまり販売実態がなく、中部以西、近畿・中国・九州に販売量が多い県が集まっている印象だ。都道府県ごとのデータでは、北海道はイノシシがいないとされているためシカ肉のみ。イノシシ肉では兵庫の60トンがダントツで、次いで熊本42トン、和歌山26トンとなっている。シカ肉では冒頭に挙げた北海道、鳥取に続き、長野が34トンだった。当然ながら山林が豊かだと思われる地域がよく販売しているようだが、なぜ鳥取県でシカ肉なのだろうか。広島出身の記者のイメージでは山陽・山陰はイノシシが多い印象だ。地元でもイノシシ料理を提供するお店が少なくない。逆にシカ肉についてはあまり印象がない(当たり前だが宮島のシカは食べない)。そもそも、「鳥取名物といえば、そうシカ肉」......というイメージはなく、どちらかといえば海産物。面積的にも北海道や長野県よりも小さな鳥取県にシカが多いなにか特別な理由があるのか。Jタウンネットは2月26日、鳥取のジビエ振興に関わっている商工労働部兼農林水産部の食のみやこ推進課に取材を行ったところ、担当者は次のように話してくれた。「鳥取県に特別野生のシカが多いというデータはないかと思います」担当者によると、鳥取から出荷されるほぼすべてのシカ肉は県東部、兵庫との県境に位置する若桜町(わかさちょう)で捕獲されたものだという。ただし、若桜町にシカが多いというわけではない。「首都圏などでジビエとしての需要が高まり、それに応えるためにさまざまな取り組みを行い、鳥取のシカ肉が高く認知されるようになったためではないでしょうか」そう、鳥取でイノシシ肉とシカ肉を合わせたジビエ利用量は59トンに達するが、自家消費量は4トンほど。大半はジビエの材料として他県に出荷しているのだ。「いなばのジビエ推進協議会」といった団体も立ち上げ、県を挙げて積極的にジビエの出荷に取り組んでいる。「ハンタースクールで若手のハンターを育成するのはもちろん、ジビエの品質を左右する処理技術の研究も日々行い、衛生管理の独自認証を設けるなど食肉としての価値を高めるための工夫をしています。自画自賛になりますが、こうした取り組みおかげで鳥取のシカ肉は全国で高い評価をいただき、東京の一流店の食材としても活用されているほどです」特に処理の速さがジビエの味を左右する重要な要因ということもあり、若桜町にはジビエ加工処理施設を設け、素早くかつ高い処理技術で食肉化できるような体制を整えているという。「県東部ではシカですが、県中西部ではイノシシ猟が盛んです。今後はさらにイノシシ肉の出荷にも力を入れていきたいと考えています」ぜひとも鳥取のシカ肉を味わいたいところだが、残念ながらネット販売などはされておらず、基本的には各地の料理店に販売されている。どうしても家で味わいたいという人は、鳥取市内にあるスーパー「サンマート」で購入することが可能だ。
(大手銃販売チェーンが規制強化:アメリカ)
大手銃販売チェーンのディックス・スポーティング・グッズは28日、殺傷力が高いライフル銃や大容量の弾倉の販売を完全に取りやめることや、21歳未満には銃を一切販売しないことなどを発表しました。その理由として「子どもたちは我々の未来であり、我々が安全を守らなければいけない」としています。また、小売最大手のウォルマートも、21歳未満への銃の販売をできるだけ速やかにやめる方針を発表しました。高校での銃乱射事件以降、デルタ航空、ユナイテッド航空やレンタカー大手のハーツなどが銃規制に否定的なNRA=全米ライフル協会への優遇措置を取りやめるなど、銃規制強化に向けた世論が高まっています。
(銃愛好家、留守なら安全:アメリカ)
米国の銃規制強化に反対する有力ロビー団体、全米ライフル協会(NRA)の年次会合が開かれている期間中は、銃でけがをして入院する人の数が20%減少するとの研究結果を、米ハーバード大のチームが1日付の米医学誌に発表した。毎年春に銃の展示即売会と共に数日間にわたって開催され、8万人以上の愛好家が参加する人気イベント。この間は地元で狩猟や射撃練習する人が減るのが理由らしい。NRAは共和党のトランプ政権の支持団体。17人が犠牲になった米南部フロリダ州の高校乱射事件を受けて、企業がNRAとの関係を断つなど風当たりが強まっている。
(「いしかわジビエ料理フェア」始まる:石川)
会場には、イノシシ肉を使ったキッシュをはじめとするフランス料理のほか、和食や中華料理までさまざまなジャンルの料理が並び、関係者が舌鼓を打っていた。県によると、去年県内で捕獲されたイノシシはおよそ7700トン。そのうち食用として加工されたのは1割に留まり、消費の拡大が課題になっている。一方、ことしはこのフェアへの協賛店舗が去年より33店舗多い88店舗に拡大していて、ジビエ料理の浸透が期待されるという。「いしかわジビエ料理フェア」は、県内88の店舗で開催され、一部を除き、3月30日まで行われる。
(ジビエもっと:鳥取)
中部地区でのジビエの活用を広めようと、鳥取県と県調理師連合会(知久馬惣一会長)は28日、関係者を招いた意見交換会と試食会を三朝町で開いた。捕獲や解体処理、飲食など各分野の団体、事業者らが情報交換し、イノシシ肉を使ったジビエ料理を堪能した。
(シカ肉料理ふんだんに:北海道)
西興部村養鹿(ようろく)研究会(中原慎一会長)主催の「シカ肉パーティー」がホテル森夢で開かれた。村内外から参加した約200人が西興部産エゾシカをふんだんに使った料理を楽しんだ。村内の養鹿場でエゾシカの飼育と有効活用に取り組む同会が、ホテルの協力を得て毎年開いている。24日のパーティーでは冒頭、中原会長が「シカ肉が村の特産品として定着し、うれしい。シカ肉料理の多彩な魅力を味わってほしい」とあいさつ。テーブルには、しゃぶしゃぶやバラ肉を使ったシチュー、カツレツなどホテルのシェフが腕を振るった7品が次々と運ばれ、参加者は「おいしいね」といいながら笑顔でほおばった。
(レストランでシカ肉「イズ鹿そぼろ丼」提供:神奈川)
芦ノ湖畔にある「箱根関所 旅物語館」(箱根町箱根)のレストランで3月1日、伊豆のシカ肉を使用した「イズ鹿そぼろ丼」の提供が始まる。伊豆箱根鉄道グループが運営する「箱根関所 旅物語館」。箱根芦ノ湖遊覧船や伊豆箱根バスの発着場に隣接するため多くの観光客でにぎわいを見せている。江戸時代をイメージした館内には、箱根の名産品や民芸品を取りそろえている。今回提供する「イズ鹿そぼろ丼」は伊豆鹿の肉の旨みを生かして食べやすくするため「そぼろ」にして提供。同館の阿部彰治さんは「伊豆の鹿を食べてみてほしい。ヘルシーだけど食べ応えが抜群」とアピール。「ご飯との相性もなかなか。味わってもらえれば」と呼び掛ける。
(山小屋みたいな店内で天然ジビエを薪焼きで堪能:大阪)
大阪・天満に、3月1日(木)「薪焼きジビエバル YAMAGOYA」がオープン! まるで山小屋のような店内で鹿やイノシシを薪焼きで味わうことができると、オープン前から話題のお店。同店で提供されるジビエは、いずれも徹底した下処理や品質管理が行われているものだけ。また、一度も冷凍されていない生肉が半頭のまま仕入れられるため、うま味が凝縮された新鮮な肉をいただけます。臭みも少ないため、今までジビエに苦手意識を持っていた人やジビエ初心者も、この機会にぜひトライしてみては。
(ベアドッグ「タマ」おめでた:長野)
軽井沢町の委託で、ツキノワグマ対策にあたるNPO法人ピッキオは2月27日、メスのベアドッグ(クマ対策犬)タマが妊娠したと発表した。26日、かかりつけ動物病院のエコー診断で、少なくとも2頭の妊娠がわかったという。4月上旬の出産予定だ。ピッキオは次世代ベアドッグの出産、育成に向け「繁殖プロジェクト」に取り組んでいる。タマは、アメリカのベアドッグ育成機関からやってきた、パートナーのオス犬リオと1月下旬から2月上旬まで過ごした。ピッキオの広報担当者は「母子ともに健康で、出産が成功するよう祈りたい」としみじみと語った。
(手柄も失敗も肉も皆で分かち合う:東京)
「東京でも野生の鹿や猪(いのしし)が食べられる」と聞けば、意外に思う人も少なくないだろう。激増した鹿による森林被害を食い止めたいと、3年前に狩猟免許を取得した。昨年末に念願だった銃砲所持許可を得て、この2月、ハンターとして初出猟を果たした。朝暗いうちに家を出て、向かったのは東京都檜原(ひのはら)村。犬を使った伝統的な巻狩(まきがり)を行う檜原大物クラブ(平野公一代表)の猟に参加させていただいた。狩猟への理解促進と後継者育成を図ろうと数年前から村外のハンターや見学者も積極的に受け入れている同クラブは、猟歴半世紀以上の大ベテランから「狩りガール」までが集う、活気あふれる猟友会だ。まずは参加者十数人が一堂に会して持ち場を決め、それぞれ「タツマ」と呼ばれる配置につく。初心者の私もいきなりひとりタツマに配され、緊張しつつも、照準の練習などをしながら獲物を待つ。静寂に包まれた雪の杉木立に、時折リスだけが元気に動き回っている。と、視界の片隅に動くものが…雄鹿だ! てっきり獲物が出てくる前には犬が鳴くとばかり思っていたので油断していた。銃を構え安全装置を外して…とモタモタやっているうちに、鹿は姿を消した。後刻、先輩方から「タツマに立ったら決して気を抜いてはいけない」とご指南を受ける。この日を含め3回出猟したが、私が獲物を見たのはこのときだけ。貴重なチャンスを逃したという自覚は回を重ねるごとに深まった。撃ち損じても、解体した肉の分け前にはあずかることができる。目分量ながら分けっぷりの均等さには驚いた。なんでもこれが「山分け」の語源とか。それだけおのおのが等しく責任を負っているということなのだろう。メンバー最若手の平野佑樹さん(29)は「みんなに撃たせてもらっている」と話した。手柄も失敗も肉も皆で分かち合う。獲物の心臓の一部は山の神への感謝の印として小枝に刺してささげる。「クラブハウス」で猪や鹿料理の数々に舌鼓を打ちながら、いつしかそんな村落共同体の原風景を見るような檜原大物クラブそのものにも魅せられていた。

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