<射撃ニュース5月>
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(遺体、猟友会男性と判明:和歌山)
和歌山市小倉の紀の川で10日に発見された男性の遺体について、和歌山県警岩出署は11日、司法解剖の結果、地元猟友会に所属する同県岩出市内の男性(73)と判明したと発表した。溺死とみられるという。また11日午前9時10分ごろ、和歌山市直川の紀の川で水面に浮いている男性の遺体が見つかった。同署は行方不明になったもう1人の男性とみて、身元の確認を急いでいる。2人は4日、岩出市の紀の川でカワウの有害駆除中に行方不明になっていた。

(サルの出没情報:宮城)
15日午前9時頃から数回にわたり、津山町柳津字平形(ひらかた)地内の国道45号線でサルの出没情報がありましたので屋外では十分に注意してください。なお、サルを目撃した場合は、絶対に近寄らず、すぐに警察(110番)に通報をお願いします。

(赤城山でクマ捕獲:群馬)
13日午後3時ごろ、前橋市富士見町赤城山の山林で、クマ1頭が有害駆除用のわなにかかったと、地元猟友会から市職員に連絡があった。市赤城森林事務所によると、クマは体長約1.2メートルのツキノワグマ。捕獲した場所の近くに民家や集落はなかった。

(ツキノワグマ殺処分:神奈川)
秦野市名古木(ながぬき)の弘法山ハイキングコースの近くで十四日、雄のツキノワグマ一頭(体長一四二センチ、体重四五・五キロ)がイノシシやシカ用のわなにかかり、県が殺処分した。通常は麻酔で眠らせ山奥に放つところ、クマ用のわなではないため麻酔銃を手配するまでに逃げ出す恐れがあり、緊急対応で射殺した。ハイカーの目撃情報で現場に駆け付けた市農産課の井上和久さん(54)が同日午後、コースから二十メートル離れたやぶにいるクマを確認。クマはその後、わなに前脚がかかり、動けなくなった。市内のハイキングコース近くでの目撃は本年度初めて。市によると、クマは出没する年としない年が交互に訪れ、今年は出没年に当たる。井上さんは「遭遇時は背中を見せず、クマに向き合ったままゆっくり後退してほしい」と呼び掛けている。丹沢山地のツキノワグマは推定三十~四十頭おり、県は絶滅危惧種に指定。二〇〇八年度以降、三件の人身被害がある。死亡者はいない。 

(市街地でクマ捕獲:北海道)
15日午前10時5分ごろ、斜里町ウトロ香川の集合住宅付近にヒグマ1頭がいるのを知床財団の職員が目撃し、斜里署に通報した。同署と同財団によるとクマは体長約1メートルの雄で、1歳前後とみられる。現場周辺は住宅やホテルが建つ市街地で、クマは集合住宅から200メートルほど離れた国設知床野営場近くの木の上に逃げた。同財団職員が麻酔銃でクマを眠らせて捕獲、知床国立公園内の山林に放した。同財団によると、クマは現場周辺の電気柵の下に穴を掘って現れたとみられる。現場周辺ではクマの目撃情報があり、14日から同財団がパトロールしていた。

(またクマ目撃、猟友会など捜索:福島)
10日午後0時45分ごろ、福島県福島市飯坂町字笠松の市道でクマ1頭を目撃したと、車で通り掛かった女性から110番通報があった。福島北署によると、クマの体長は約1メートル。同署と猟友会、同市などが捜索、やぶの中に入るクマを目撃したため、鳥獣駆除用の花火で威嚇するなどしたが、その後は見つからなかった。現場は福島交通飯坂温泉駅から北西約1キロの場所。周辺には学校や幼稚園、住宅など立ち並ぶ。4日には500メートルほど東側の摺上川でクマが目撃されたばかりで、佐藤嘉則県猟友会福島北支部長は、場所や見た目などから「同じクマではないか」としている。近くの飯坂小や大鳥中は保護者に一斉メールを送り、付き添いや集団での下校を実施した。

(クマ捕獲、仕掛けたわなにかかる:福島)
11日午前8時50分ごろ、福島市飯坂町字大門の竹林でクマ1頭を目撃したとして、隣接する民家の庭にいた男性から110番通報があった。地元猟友会が付近におりのわなを仕掛けたところ、同日午後5時ごろ、おりに入ったクマが発見された。現場は大鳥中の校庭から東に約100メートルの竹林。付近では、4日に飯坂温泉街を流れる摺上川で、10日に今回の現場から500メートルほどの市道でクマが相次いで目撃されていた。捜索に協力した佐藤嘉則県猟友会福島北支部長によると、捕獲されたのは体長約1メートル、体重35~40キロ程度の雄のツキノワグマ。4、10の両日に現れたクマと似ているものの、別のクマの可能性もあるため、今後も警戒が必要としている。捕獲されたクマは12日朝に麻酔を打ち、同市飯坂町茂庭の山中に放すという。クマの目撃を受け、大鳥中は体育の授業を屋内に変更したほか、部活動を中止し、一斉下校を行った。近くの飯坂小でも保護者に一斉メールを送り、付き添いや集団での下校を実施した。

(熊捕獲で普段の登校風景戻る:福島)
先週、住宅地に出没した熊が捕獲された福島市飯坂町の小学校では、きょうはいつもの登校風景が戻った。「熊が捕まってから初めての登校です。子供たちはほっとした表情を見せていいます」福島市飯坂町の住宅地では、今月4日から熊が相次いで目撃されていたが、11日に猟友会が仕掛けた檻でようやく捕獲された。地元の小学校では、保護者などが児童の登下校の見守りを続けていたが、きょうからは普段通りの登校風景が戻った。児童は「ちょっと安心」地元の人は「また別の熊が来ないといいなと思っています。それだけです。でも、一安心しました」これからの時期は熊の活動が活発になることから、猟友会などでは引き続き注意を呼び掛けている。

(捕獲のクマ、山へ戻す:福島)
福島市飯坂町で11日に捕獲されたクマは12日朝、県境近くの山中に戻された。同町では今月に入り、温泉街の摺上川や学校周辺などでクマの目撃が相次ぎ、11日も学校近くの竹林に現れたため、市と猟友会がおりのわなを仕掛けて捕まえた。クマは体長103センチ、体重34キロの雄のツキノワグマで、2歳ぐらい。おりの中を動き回っていたが、麻酔で眠り込んだところを、市職員と猟友会員らがトラックで運び、山に戻した。クマの捜索に協力してきた佐藤嘉則県猟友会福島北支部長は「自然の中で元気に暮らしてほしい」と話していた。

(入浴中の30代女性クマ目撃:福島)
11日午後7時30分ごろ、会津若松市東山町湯本でクマ1頭を目撃したとして30代女性から110番通報があった。会津若松署によると、女性が付近の温泉の大浴場で入浴中、川の対岸にある崖から落下するクマを見たという。同署によるとクマは体長約30センチメートルで子どものクマとみられる。

(クマ目撃相次ぐ、山菜採り注意を:山形)
3月以降、県内でツキノワグマの目撃情報が7日現在、27件に上ることが、県のまとめで明らかになった。昨年同期に比べて4件多いペース。暖かくなるとともに、山菜採りに出かけてクマに襲われるなどの人的被害が予想され、県は注意を呼び掛けている。県みどり自然課によると、クマが目撃されたのは米沢市や酒田市など9市町村。西川町では4月21日、猟友会の50代男性がクマの駆除中に襲われ、頭や手足に重傷を負った。クマは気温が上がる5月以降に活動が活発化するため、目撃数が増える。東北芸術工科大の田口洋美教授(狩猟文化)によると、5~6歳のクマは6~7月上旬の交尾期を前に興奮状態になり、山で遭遇すると人を襲う危険がある。また、3~4歳の若いクマは山で餌を得る力が弱いため人里に下りてくることがある。70~80センチと小柄だが、人が悲鳴を上げるなど刺激すると驚いて襲ってくる場合があるという。県はクマの被害を防ぐため、猟友会が実施する「春季捕獲」で補助金64万円(1頭あたり4000円、160頭分)を出し、春の捕獲許可数を昨年の147頭から204頭に増やした。2017年度当初の生息頭数は約2600頭とみられ、21年度末までに約2000頭に減少させることを目標にしている。県みどり自然課は「出合い頭のクマとの遭遇が最も危険。音の出る物を携帯し、事前に自分の存在をクマに知らせることが大切。もしクマを見つけたら速やかに離れてほしい」と話す。具体的な対策として、ラジオや鈴、笛、撃退スプレーを携帯する▽出合ったら背を向けずにゆっくり後退する▽餌となる食品・生ゴミを放置しない--などを挙げる。ホームセンターなどではクマ対策グッズを扱っている。「DCMホーマック南館店」(山形市)には、唐辛子などが主成分のクマよけスプレーや鈴などが並ぶ。先々週からグッズの売れ行きは上がっており、大野秀和店長は「春や秋の山菜採りの季節に買われるケースが目立つ」と話す。

(クマの仕業か、米ぬか食い荒らす:山形)
87歳の女性が8日朝、建物の中に置いていた米ぬかの紙袋1つ、およそ20キロ分が無くなっていることに気づき、警察に届け出た。小屋の周辺からはクマの足跡や糞が確認されたという。届け出を受け、地元猟友会は9日、現場近くにおりを設置した。

(電車がイノシシ2頭はねる:兵庫)
10日午後11時10分ごろ、神戸市東灘区本山北町5の阪急電鉄神戸線岡本-芦屋川間の踏切で、神戸三宮発梅田行き普通電車がイノシシ2頭をはねて停車した。乗客約200人にけがはなかった。同電鉄によると、乗務員らが死んだ1頭を撤去し、約10分後に運転を再開。その後、けがをしたもう1頭が線路内で見つかり、地元猟友会のメンバーらが約20分かけて駆除した。事故の影響で上下計8本が運休したほか、上下計22本が最大54分遅れ、約1万1千人に影響した。

(工場内にクマ侵入:石川)
16日朝、金沢市の山間部にある工場の敷地内に、クマ1頭が侵入しているのを従業員が見つけた。クマは倉庫の中にいるということで、金沢市などが捕獲に向けた対応を進めている。クマが出没したのは金沢市釣部町にある「石川ライト工業」の工場の敷地内。16日午前5時50分頃、「クマが1頭、工場内にいる」と、この会社の従業員から警察に通報があった。警察によると、クマは体長1メートルほどの成獣とみられている。クマは現在、工場の倉庫の中にいるということで、金沢市の職員が麻酔銃を用意するなど捕獲に向けて対応を協議している。今のところ、けが人などの情報は入っていないという。

(東北道にクマ、乗用車と衝突か:栃木)
15日午後8時10分ごろ、東北自動車道下り線を利用した乗用車の男性が、白河インターチェンジの料金所職員に、動物のようなものと衝突したと届け出た。県警高速隊によると、那須町豊原乙の同下り線の道路脇ののり面で、高速道路管理隊員が横たわっているクマを発見した。体長は約1メートルほどという。

(高校周辺でクマ目撃:新潟)
胎内市長橋の開志国際高校周辺で、14日から体長約1メートルのクマが相次いで目撃されている。15日午前6時半すぎには同校敷地内のごみ捨て場をあさろうとしているクマを職員が発見した。新発田署は近隣住民に注意を呼び掛けている。クマが出たのは、校舎1階の食堂の外にあるごみ捨て場。クマは職員に気付き、山手に逃げて行ったという。15日午後5時前には、同校から約650メートル離れた田んぼで目撃された。14日にも同校から約420メートル離れた民家の裏手の木に登るクマを通行人が発見した。

(「ツキノワ」ないクマ、広葉樹の上でスヤスヤ:秋田)
ツキノワグマの特徴の白い斑紋が胸の部分にない珍しい個体を、自然生態写真家の江川正幸さん(64)=八峰町在住=が撮影した。江川さんによると、町内の二ツ森の山林で先月29日夕、約250メートル先の広葉樹に上って眠るクマを発見。体長は1・3メートルほどで、30分ほどして目を覚ますと、幹に体をこすり付けてマーキングしてから木を下り、フキの葉を食べながら姿を消したという。

(学校敷地にクマ:秋田)
10日午後0時10分ごろ、秋田県能代市常盤字堂回の常盤小・中学校(児童35人、生徒23人)の敷地内にクマがいるのを同中学校の女性教諭が見つけ、市教育委員会を通じて能代署に届け出た。当時は児童が給食の準備中、生徒は授業中で、教職員とともに屋内におり、けが人はいなかった。

(今年も入山料徴収せず、クマ出没相次ぐ国有林:秋田)
昨年5月にタケノコ採り中の女性がクマに襲われて死亡した秋田県仙北市田沢湖玉川周辺の国有林を維持管理する「市普通共用林野運営協議会」は10日、昨年に続いて今年も入山料の徴収を行わないことを決めた。クマの出没が収まる気配がなく、加害個体が駆除されたか確認もできていない中で、入山を許可した形になる料金徴収はできないと判断した。同市田沢湖総合開発センターで会合を開き、委員ら13人が対応を協議。今年も市内でクマの出没が相次ぎ、危険な状況は変わっていないことから、「料金をもらうことで入山を許可した形になるが、入山者の安全を確保することができない」として料金徴収を見送ることにした。

(ブロッコリーのカモ食害深刻:徳島)
徳島市の北井上、不動、応神の3地区で、カモによるブロッコリーの食害が深刻化し、生産農家から「死活問題だ」との声が上がっている。被害を防ぐには苗を布で覆う必要があり、市は来シーズンからの購入費の補助を検討している。JA徳島市によると、今シーズン、市内のブロッコリーの作付面積は264ヘクタール。北井上、不動、応神の3地区で約220ヘクタールと8割以上を占め、このうちの約10ヘクタールでカモの食害が確認された。特に深刻なのは北井上地区で、作付面積33ヘクタールの1割を超す4ヘクタールで被害が出た。ブロッコリーは10月から翌年の6月にかけて出荷される。カモは出荷が始まる10月ごろに越冬のため飛来し、翌年3月ごろまで滞在する。例年、カモは主に吉野川河川敷にいるが、今シーズンは生息域を農地に広げ、定植から間もない小さな苗の葉を好んで食べた。1度食べられると株を収穫できなくなることが多い。全国的にブロッコリーの需要が高まり、市内の作付面積は昨シーズンより約40ヘクタール拡大したが、カモの食害や冬場の気温が平年を下回った影響で、5月1日時点の出荷量は前年同期比3%減となっている。JA徳島市北井上支所ブロッコリー部会の関野達也さん(46)は「毎年少なからず被害はあるが、今シーズンは異常だ」。0・6ヘクタールを荒らされた同地区の男性(65)は「被害額は200万~300万円。本当にひどい」と話す。市は国に交付金を申請中で、許可されれば、来シーズンから苗を覆う不織布の購入費の半額を補助する。ただ交付期間は3年間の見通しで、市農林水産課は「市財政は厳しく、交付期間終了後に一般財源から支出するのは難しいだろう」としている。

(ジビエを楽しむ会:岩手)
花巻猟友会(藤沼弘文会長)などは11日、花巻市大通りのなはんプラザで花巻ジビエを楽しむ会を開き、約250人が野生動物の命に感謝しながら珍しい味に舌鼓を打った。ジビエ肉は北海道産などを使用。同猟友会員らが調理したエゾジカのシチューやクマ汁、イノシシのカツなどの肉料理が並び、山菜やチーズも振る舞われた。友人同士で参加した同市南万丁目の会社員梅木春奈さん(26)と同市桜台の会社員佐々木菜子さん(25)は「料理のレパートリーも多いし普段から食べたいくらいおいしい。もっと日常的に食べられる場所が欲しい」と声をそろえた。

(捕獲した野生動物供養:愛媛)
愛媛県の宇和島地区猟友会(白滝文雄会長)の第52回鳥獣慰霊祭が11日、宇和島市和霊公園の慰霊塔前であり、宇和島、鬼北、松野の3市町計8支部の会員や行政関係者約40人が、捕獲した野生動物を供養した。

(2017年度鳥獣被害対策優良活動表彰:滋賀)
滋賀県蒲生郡の日野町猟友会は、県内外のフランス料理店や大手外食チェーン「CoCo壱番屋」、町内外の学校給食など約70の取引先にシカ肉を提供している。販路をしっかりとしたことで、狩猟意欲も増加。2014年に675万円だったシカの被害額は2016年には78万円と、大幅に減少した。販路拡大のきっかけは、「京都フランス料理研究会」との出合いだった。猟友会がジビエの普及に向けて模索する中、県の職員が仲介。2008年、両会は手を組み「日野鹿を広める会」を結成した。京都をはじめ滋賀、大阪も含めた約40人の料理人が、猟友会からシカ肉の提供を受ける。

(イノシシ被害増、対策実施隊結成:静岡)
県全体の面積の60%以上が中山間地域の静岡は、野生のイノシシやシカによる農林作物への被害が多い。県によると、2016年度の被害額は4億1932万円。そうした中、藤枝市は4月に地元猟友会と連携し、「市鳥獣被害対策実施隊」を結成した。結成後、隊の捕獲作業に同行させてもらった。取材当日の捕獲場所は、市内の潮(うしお)山。志太猟友会の久住英樹さん(74)ら10年来の顔なじみというメンバー6人に猟犬2匹の構成だ。現地ではまず山を囲むように分かれ、携帯電話や無線で連絡を取り合いながら、山の様子を慎重に探る。「ため池の近くは、(イノシシの)子連れが歩いているぞ。足跡がある」「そこに犬を連れて入ってみよう」といったやり取りが聞こえる。その後、全員集合して段取りを相談する。「やっぱり2匹いそうだ」「別々に(山を)下るかもしれんな」。地面に石で図を描きながら、イノシシの動きを予想する。いよいよ、メンバー2人が猟犬とともにイノシシをすみかから残る4人が待ち構える場所へ追い立てる。しばらくすると、記者から少し離れた場所から「パン」という音がした。すると、尾根の上で待機していたメンバーが1匹を捕獲したとの連絡が入った。ちょうど同じ時、記者のそばにいた久住さんが物音に反応し銃を構えた。尾根の方向から枯れ木を踏む音が迫ってくる。そして、茶色い塊が迫ってくるのが見えた。体長約150センチのイノシシだ。久住さんは銃を構え、引き金を引く。しかし、弾はイノシシをわずかにそれたようで、あっという間に姿を消してしまった。約30分後、久住さんの無線に別のメンバーから連絡が入った。「寝かせた(仕留めた)ぞ」。市に報告するための写真を撮影し、捕獲したイノシシはさばき、参加したメンバーで均等に分けて持ち帰った。久住さんらはJAなどと連携し捕獲したイノシシなどの肉の活用法を探るが、衛生面などでハードルが多く、一般に流通させるのはまだ難しいという。後日、久住さんがイノシシ料理をふるまってくれた。「これがくん製で、こっちがシシ鍋。焼き肉もある」。獣臭さはほとんどなく、身が締まっている。人とイノシシの関わりを考えながらかみ締めた。県地域農業課ホームページは県内でイノシシやシカ肉が購入できる店舗や、県内のレストランなどで考案された獣肉を用いたレシピを公開している。また藤枝市は、鳥獣被害対策のDVD鑑賞会を町内会単位で行っている。希望する場合は町内会長を通じて市農林課へ連絡する。

(“マイナー競技”の魅力知って:佐賀)
県体育協会は、競技人口の少ないスポーツを子どもたちが体験し、その魅力を実感する「チャレンジ・スポーツ教室」(西日本新聞社など後援)を、来年2月まで県内各地で開いている。幼児から高校生までを対象に、飛び込みやライフル射撃など21競技22種目の教室に参加できる。2023年に県内で開かれる国体に向け、選手の発掘や強化を進めて競技力向上を図ろうと、14年から行っている。教室では競技の基本や楽しさを教え、子どもに興味のある種目に継続的に取り組んでもらうきっかけをつくる。教室は5月~来年2月の土、日曜日と祝日に県内の競技場や体育館などでそれぞれ1~3回あり、1回1~3時間ほど。一部の競技は県外が会場となる。一人で何種目でも体験することができ、ほとんどが参加無料だが、スキーは参加費や道具のレンタル代が必要。幼児と小学生は保護者が同伴する。開催日や時間、対象年齢、定員は競技によって異なり、2週間前までに予約が必要(新体操とボウリングは既に締め切り済み。馬術は9月1~30日の期間内に予約)。競技内容や申込先が記載された開催要領と参加申込書は体協で配布しており、ホームページでも入手できる。体協は「多くのお子さんに『あまり知られていなくても面白いスポーツがある』と理解してもらうことで、競技を始める子が一人でも増えてほしい」と参加を呼び掛けている。

(シカが広葉樹を食い荒らし:兵庫)
人里に出没するシカやクマなど野生動物を山へ戻すことなどを目的にドングリ類など広葉樹林を育てる兵庫県の事業が、シカに食い荒らされる事態が頻発している。2016年度までの11年間に整備した137カ所(318ヘクタール)のうち、2割で生育不良が判明した。野生動物と共生する森を守ろうと、県は再植林事業を設け、地元住民もパトロールに奔走している。野生動物の生息地作りのための広葉樹植林は、国が06年度に森林・林業基本計画に盛り込んでいる。県も同年、県民緑税などを財源に、スギ・ヒノキの人工林を伐採した後にミズナラやブナなどの広葉樹を植えたり、広葉樹林を間伐して成長を促したりする事業を始めた。シカはスギ・ヒノキの植林に対しても、早くから被害を与えていた。広葉樹でも食害が予想されたため、県は植林地を網柵で囲む費用を助成。森林所有者に適切な管理も求めた。だが、台風や大雪で柵が破損するなど、シカの侵入を防ぎきれないのが実情だ。住民が懸命に守る森もある。宍粟市で2ヘクタールに6000本の広葉樹を植えた東河内生産森林組合では、針金を織り込んだ網柵(高さ1・2メートル)で植林地を囲み、内部にも細かい間仕切りを設置した。シカが侵入しても被害を最少面積に抑える工夫だ。月1回の見回りで柵が食いちぎられたり、シカが絡まったりしているのを見つけると、補修に走る。長野豊彦組合長(72)は「以前に広葉樹を植えた場所はシカに食い荒らされた。繰り返したくない」と力を込める。こうした取り組みを支えようと、県は昨年度、広葉樹を再植林する費用を全額助成する事業を設けた。県豊かな森づくり課は「広葉樹林は土砂崩れなど災害防止にも役立つ。諦めることなく植林を続けたい」と話している。森林総合研究所多摩森林科学園の小泉透研究専門員の話 全国ではスギやヒノキの人工林が伐採期を迎えており、新たな植樹ではシカの食害が大きな障害となる。対策として捕獲の強化が必要だ。広葉樹の植林は全国でも広がる途中で、兵庫県の取り組みは先駆的なだけに失敗も含めて参考になる。

(クマ出没想定し遭難救助訓練:秋田)
クマ生息地での山岳遭難を想定した救助訓練が15日、秋田県鹿角市の花輪スキー場で行われた。警察や消防、地元猟友会などから約50人が参加。クマによる人身被害を避けながら遭難者を救出する手順を確認した。山菜採りシーズンの本格化を前に、関係機関の連携を確認しようと市遭難対策委員会が開いた。訓練は、山菜採りのため入山した夫婦のうち夫の行方が分からなくなったほか、別の場所では男性が斜面で滑落したとして、2件の遭難が同時に発生したという想定。県警ヘリ「やまどり」と県防災ヘリ「なまはげ」が出動、市消防本部が小型無人機ドローンを飛ばした。

(鳥獣被害の現状学ぶ:静岡)
川根本町の本川根中は15日、町内の鳥獣被害の現状や猟について学ぶ体験教室を同町東藤川の南アルプスジビエ牧場などで開いた。町について学ぶ同校の「まるごと体験」の一環。1年生10人が参加し、町猟友会の会員3人が講師を務めた。猟友会員は、シカやイノシシなどによる農作物の町内の被害額は年間約4000万円に上ることや、毎年数百匹の鳥獣を捕獲していることを紹介した。生徒たちは動物の足跡が残るけもの道も見学し、ベテラン会員の殿岡邦吉さん(69)が動物が通りそうな場所を見極めながら手際よくわなを仕掛ける様子を実演した。昼食には鹿肉やシシ肉のバーベキューを楽しんだ。殿岡さんは「猟は命を取るということ。猟を楽しむよりは、被害を減らそうとやっている」と説明。近所で鳥獣被害の話を聞いたことがあるという男子生徒(12)は「わなは、いろいろなことを知らなければ仕掛けられないのだと知った」と話した。

(イノシシ被害を防げ、捕獲専門チーム始動:富山)
イノシシやニホンジカが県内で増える中、猟友会のベテランと県の研修で捕獲技術を学んだ修了生でつくる「県捕獲専門チーム」が十五日、県内で活動を始めた。高度な技術を習得したメンバーが、専門的な捕獲活動に当たる。チームの発足は初めて。大山地区(富山市)と南砺地区(南砺市)で活動する二チーム。捕獲や解体技術などを学ぶ二年間の県の研修を終えた修了生を中心に、三十~七十代のメンバーそれぞれ九人ずつでつくる。任期は一年。チームはワイヤを使った「くくりわな」などでイノシシなどを捕獲する。両チームとも、イノシシとシカ合わせて四十頭の捕獲を目指す。富山市東福沢の福沢公民館でこの日、従事者証の交付式があり、両チームのリーダーが代表して従事者証と安全ベストを受け取った。大山地区の山下学さんと南砺地区の中川敬介さんは「学んだことを生かし、チーム一丸となって捕獲事業に取り組む」と決意の言葉を述べた。大山地区のチームは早速、近くの山で活動を開始。動物の足跡や獣道などを探し、わなを仕掛ける場所を下見した。途中にはイノシシが食べたとみられるタケノコの痕跡も見つかった。同地区リーダーの中川欣一さん(72)は「山間部や山裾の農地は柵をしないと全滅の状態。これ以上増えないように、最低限度の目標は達成したい」と意気込んでいた。両チームは六月にわなを仕掛ける。県内では二〇一六年、イノシシは四千三百六十頭、ニホンジカは百二十二頭が捕獲されている。

(2017年度鳥獣被害対策優良活動表彰:滋賀)
滋賀県蒲生郡の日野町猟友会は、県内外のフランス料理店や大手外食チェーン「CoCo壱番屋」、町内外の学校給食など約70の取引先にシカ肉を提供している。販路をしっかりとしたことで、狩猟意欲も増加。2014年に675万円だったシカの被害額は2016年には78万円と、大幅に減少した。販路拡大のきっかけは、「京都フランス料理研究会」との出合いだった。猟友会がジビエの普及に向けて模索する中、県の職員が仲介。2008年、両会は手を組み「日野鹿を広める会」を結成した。京都をはじめ滋賀、大阪も含めた約40人の料理人が、猟友会からシカ肉の提供を受ける。

(シカの集団が女子大に:奈良)
13日午前6時、奈良公園に近い奈良市中心部に50頭近いシカの集団が現れた。専門家によると、奈良公園の草は踏み荒らされて美味しくないため、シカは、絶好のえさ場になっている奈良女子大学の草を目指していたという。シカは臆病で先頭につられて走る習性があるため、偶然、複数の群れが一緒になり、50頭になったとみられている。けが人はいなかった。

(キツネ、姫路駅前に出没増える:兵庫)
兵庫県のJR姫路駅前にキツネが出没している。野良猫のために置かれた餌を目当てに現れ、近づいても恐れる様子はない。専門家は、生ごみなどを求めて市街地へ出てきた可能性を指摘する一方、キツネの生息域は詳しくは分かっていないという。キツネ君、一体どこから来たの?4月上旬の深夜、駅前の大通りを横切るキツネを見つけ、後を追うと公園に入った。茂みにいた野良猫を追い払い、誰かが置いた餌をむさぼる。食べ終わり、逃げ去ると思いきや近寄って来て、揚げ句に砂場で丸くなってくつろいだ。姫路市立動物園によると、キツネは国内の野山に広く分布し、人里近くでも繁殖。市内では姫路城周辺をはじめ年間10件ほどの目撃情報があり、近年増えているといい、その範囲も広がっているとみられる。同市飾磨区内では昨年、ジョギング中の女性がキツネに似た動物につきまとわれる事案があった。兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の横山真弓研究部長によると、県内ではキツネに関する本格的な調査がなく、生息分布は不明。ただ、イノシシなどと同様、容易に食物が得られる市街地に誘い出されている可能性があるという。「攻撃してくることも想定され、屋外に餌になるものを放置しないでほしい。見かけたら、人を怖がるようしっかり追い払って」と呼び掛ける。

(有害鳥獣死後処理、微生物にお任せ:福井)
大野市や九頭竜森林組合、地元猟友会などでつくる市鳥獣害対策協議会が、イノシシなどの死骸をおがくずに付着する微生物の力で分解処理する装置を導入した。市などによると、おがくずを使った有害鳥獣の死骸分解装置は国内初。捕獲数増加により死骸の解体や運搬の負担が大きくなっており、駆除関係者の作業軽減が期待される。装置は同市木本にある同組合の空き工場に二台を導入。横七・二メートル、縦一・二メートル、高さ一・四メートルの鋼鉄製直方体で、内部が発酵槽になっている。おがくずを入れて加水し、死骸をそのまま投入。ヒーターで内部を約六〇度に保ち、かくはんすることで微生物が死骸を急速に分解する。体重四五キロのイノシシなら、六日で骨だけになるという。中日本高速道路グループの「中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋」がサービスエリアのペット専用施設などに導入しているバイオトイレの技術を応用し、北海道のバイオトイレメーカーが製造した。事業費は約五千四百万円。イノシシ専用と、シカやカワウ、カラスなど向けに分けて運用し、イノシシは年間四百頭の処理を見込んでいる。おがくずは森林組合が提供する。市内ではイノシシの捕獲数が二〇一二年度の百三頭から毎年、百頭前後で推移していたが、一七年度は二百三十九頭と急増。死骸は廃棄物処理施設「ビュークリーンおくえつ」(南新在家)の動物用搬入口に持ち込んでいるが、体が大きいと解体しなければならず、駆除関係者から負担減を求める声が上がっていた。現地で施設の稼働式が行われ、協議会の黒田宗雲会長や岡田高大市長ら関係者約四十人が出席。岡田市長は「捕獲頭数が増える中で死骸の後処理は大変。負担軽減に貢献してもらえれば」と期待を寄せた。

(アユ放流、広瀬川で稚魚4万7000匹:宮城)
広瀬名取川漁協は14日、アユの稚魚約4万7000匹を広瀬川に放流した。組合員約20人が仙台市青葉区の牛越橋など8カ所を回り、宮城県加美町の民間施設で養殖した稚アユを川に放した。稚魚は体長10センチ前後、重さ平均約10グラム。昨年秋、秋田県の阿仁川でアユを採取し、岩手県大船渡市でふ化させ、約半年かけて育てた。夏には約20センチの大きさに成長するという。最近はアユを狙うカワウが増え、地元の猟友会と駆除に取り組む。金子賢治組合長(81)は「子どもたちがアユ釣りを楽しめるよう川の清掃活動にも力を入れ、水環境を守っていきたい」と話す。漁協は15日まで計約20万匹の稚魚を広瀬川と名取川に放流する。

(傷ついたムクドリを保護、飼い続けると違法?)
傷ついた動物を見つけ、それを保護するのは尊い行為だが、保護した野鳥はそのまま飼育し続けても良いのだろうか?弁護士の竹下正己氏が回答する。モト冬樹さんが、すずめを保護し、飼育しているのが判明して東京都から違法であるとの指導を受けたようです。実は私も傷を負った野生のムクドリの稚鳥を飼っています。いくら違法だと指摘されても、ムクドリ一羽を飼育したぐらいで生態系が崩れるとは思えませんが、飼い続けると法で罰せられますか。鳥獣保護法が動物の保護や管理、狩猟の適正化について規定しています。この法律の「鳥獣」とは鳥類又は、ほ乳類に属する野生動物です。野生のムクドリは鳥獣保護法の「鳥獣」になり、その中でも狩猟できる種類の鳥です。鳥獣保護法8条は鳥獣の捕獲、卵の採取、これらの損傷を禁じています。ただし、例外があり、学術研究の目的、鳥獣の保護又は管理の目的(個別の動物の保護や管理ではなく、生態系全体の保護や管理のことです)、動物園などでの展示、愛玩のための飼養、伝統的な祭礼行事等への利用などで捕獲等をすることの許可を得た場合の他、鳥獣保護区域や休猟区以外の狩猟可能区域で、法に定める方法で行なう狩猟もできます。また、農業や林業をする上で、やむを得ないモグラやネズミの捕獲等が許可なくできます。こうした例外に当たらない鳥獣の捕獲は鳥獣保護法違反として、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金で処罰されます。ご相談の許可がないムクドリの捕獲は違法になり、処罰される可能性があります。愛玩目的で捕獲の許可を受けるには飼養の実績があることなどが必要で、なかなか大変ですし、許可申請は捕獲等をしようとする者がするのであり、すでに飼養しているあなたが受けることはできません。このように、野生動物の捕獲が厳しく制限されているのは野生動物を野生の状態においておくのがベストという考えに基づいているからです。傷ついた野生動物を保護したら、役所と相談して動物園や保護団体に引き取ってもらうのがよいでしょう。前述したように、この法律は環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす恐れのある、ドブネズミ等のネズミは対象外としていますので、その捕獲は支障ありません。

(北米・北欧・韓国で「狂鹿病(CWD)」の猛威)
1986年にイギリスで最初に発生し、一般的には「狂牛病」と呼ばれた「牛海綿状脳症(BSE)」のことを覚えている人は多いだろう。後にはヒトにも感染し、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こすことが判明。2001年には日本国内でも見つかり、人々を戦慄させた。これは「伝達性海綿状脳症(TSE)」、別名「プリオン病」と呼ばれる致死性の伝染病だ。異常プリオン(感染性タンパク質)が体内に入ると、脳がスポンジ状に変わり、行動異常や運動失調などの神経症状を起こして、遂には死に至る。そのプリオン病が、今度は世界のシカの間でじわじわと広がりつつある。厚生労働省は4月13日、フィンランドの野生ヘラジカにおいて、シカ科動物のTSEである「慢性消耗性疾患(CWD)」の発生が伝えられたと発表した。そこで各都道府県知事に対し、フィンランド産のシカ科由来動物原料を使用しているかどうか、製造販売業者に自主点検を指導する旨を通知。対象となるのは、医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、再生医療等だ。もしそうした製品を扱っていることがわかった場合は、速やかに厚労省に連絡した上で、今後の製造販売を当面見合わせるよう通達した。また、農林水産省もCWDの侵入防止に万全を期すため、フィンランドからのシカ科動物およびシカ科動物由来の畜産物の輸入を停止した。なお、過去には同国からの輸入はなかったという。シカ科由来の動物原料とは、どんなものに使われるのだろうか?たとえば、バイオ医薬品を製造する時は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、水牛、シカ、カモシカなどの反芻動物の細胞や組織の抽出物を原材料として使うことがある。また、シカから取れる麝香(じゃこう:ジャコウジカの雄の袋状腺嚢の分泌物)、鹿茸(ろくじょう:シカの幼角)、鹿鞭(ろくべん:シカの陰茎~睾丸)などには薬効が認められ、生薬として利用されている。さらに化粧品では、シカ脂の保湿性を活かしたボディケア、ヘアケア用品などがある。一方、今回の通達には含まれない健康食品では、シカの血や骨、腱、胎盤抽出物のプラセンタなどを配合したサプリメントもある。主にニュージーランドで盛んに生産され、美容や健康を志向する人たちの間で人気だ。シカ慢性消耗性疾患(CWD)はこれまで、米国、カナダ、韓国、ノルウェー、フィンランドで発生が確認されており、日本における発生例はまだない。1967年、米国コロラド州で、ミュールジカの原因不明の疾患として初めて報告され、1978年にプリオン病であることが明らかになった。カナダでは1996年、米国から輸入された個体から侵入したと考えられており、現在までにアメリカの24州とカナダの6州で発生が確認されている。北米のCWD発生地域では養鹿場で感染シカが見つかり次第、殺処分や隔離が行われてきたが、野生個体群での汚染地域は拡大傾向にある。韓国では2001年、カナダから輸入されたアメリカアカシカで報告され、以降、6州で86例の発生が確認されている。2016年にはノルウェーの野生のトナカイで報告され、4地域で22例の発生を確認。政府はCWDを根絶するための措置として、昨年から野生のトナカイ約2000頭の群れの殺処分を開始した。そして今回のフィンランドでは、ヘラジカに1例が確認されている。ウシのBSEが「異常型プリオン入りの飼料」を食べることで感染が広がったのに対し、シカのCWDは血液、唾液、尿、糞からも感染性が確認されている。つまり、シカからシカへの「水平感染」による感染経路が、自然界で成立していると推測される。また、原因となるCWDプリオンは、BSEと同じように、脳や脊髄、眼球などに多く蓄積するが、心筋や骨格筋にも蓄積するという報告がある。ちなみに今のところ、CWDがヒトに感染することを示す証拠は見つかっていない。しかし最近の研究では、遺伝的に最もヒトに近い「マカク属」のサルに感染したアメリカアカシカの肉を与えたところ、CWDへの感染が認められている。また、北欧で見つかったヘラジカの病原体については、トナカイや北米のシカで確認されたものとは型が違うことがわかっている。従って、人獣共通感染症の可能性については、従来のCWDの研究結果とはまた異なるかもしれない。こうしたことから、可能性は低いものの「BSEのプリオンが人間に感染するように変化したように、CWDプリオンでも同じことが起こらないとは言えない」と専門家らは警鐘を鳴らす。日本では現在、CWD発生国からのシカ科動物とシカ科動物由来畜産物の輸入を停止。さらに発生国原産のシカ科由来原料を、医療品、医療用具等に用いることも禁止している。もともと日本では、医薬品や医療機器に使われる動物由来原料のトレーサビリティは、かなり厳重にチェックされてきた。だからその部分では、怖がりすぎる必要はないかもしれない。しかし、これらの国から来たシカ類の飼育経験がある施設があることを考えると、国内でCWDが発生する可能性はゼロではない。万が一発生すれば、野生のシカからシカへの平行感染が起きるため、制圧はほぼ不可能になる。プリオンは通常の消毒や滅菌が効かず、確実に汚染処理するには完全焼却以外にない。日本では多くの観光地でシカたちが愛されてきた一方で、農産物の食害が問題になり、駆除と有効利用法が各方面から検討されだした。また、最近はジビエブームが起き、シカ肉を口にする人も増えてきた。それを思えば、人獣共通感染症としてのCWDの拡大は、決して遠い世界の話ではなくなる。政府には万一に備えた体制を整えてもらう一方で、狩猟に携わる人や私たち消費者も、この問題を注視していくべきだろう。

(鳥獣対策の人材育成、「全国のモデル」めざす:北海道)
北海道江別市の酪農学園大学は、講座を受講するとエゾシカ協会が認証する「シカ捕獲認証レベル1」の受験資格が取得できるカリキュラムを導入した。鳥獣被害対策に貢献できる人材を育成するのが狙い。認証を取得できれば、環境省が進める野生動物の個体管理に関する人材登録制度の審査の一部が免除される。行政やJAなどの就職活動でもPRできるとみている。同認証は鹿の生息地域・生息数を把握し、農産物の被害などを減らすには、どのくらいの駆除をすべきかなどを計画するのに必要な知識を得た人が取得できる。鳥獣害に悩む地域などでの役割が期待されている。対象となる科目は、同大学環境共生学類野生動物学コースの3年生が受ける「野生動物生態学」や「野生動物管理学」など6科目だ。鹿や熊、鳥といった野生動物の生態や被害、個体管理について学ぶ。通常は、資格を得るために同協会が設けた講座を受講しなければならないが、同大学の対 象科目を修得すると、筆記試験や実技試験などで取得できるようになる。試験的に始めた昨年度は7人が受験資格を得ており、5月下旬に受験する予定だ。今年度は、14人が対象となる授業を受ける。同大学は昨年度、講義の一部を修得すると鳥獣管理技術協会が認定する「鳥獣管理士」の受験資格を得られるようにするなど、関係機関との連携を強化している。同大学は「日本では、野生動物を管理するシステムが発展途上の段階。今後も教育を充実させて、全国のモデルとしたい」とする。

(ジビエ処理施設開所:佐賀)
基山町特産のエミューやイノシシを解体する「基山町ジビエ解体処理施設」の開所式が12日、同町営キャンプ場グラウンドに建設された同施設であった。行政関係者や町議、地元区長、生産者ら約60人が、念願の施設オープンを祝った。同施設は木造平屋建て床面積約40平方メートル。洗浄室や解体処理室、食肉処理室、包装室を備え、イノシシとエミューの2ラインがある。ジビエ(野生鳥獣肉)の洗浄、脱羽から脱皮、解体、枝肉処理、パッキング、冷凍までの食肉処理が施設内でできる。町内でエミューを飼育する「きやまファーム」が指定管理者となっており、一般の人も1時間千円(町外の人は2千円)で利用できる。事業費は2931万円。開所式では、松田一也同町長が「町内の飲食店の協力でエミュー祭りが開かれるなど、活動は進んでいる。今後もいろいろな人の協力を得ながらプロジェクト成功を目指したい」とあいさつ。式典後、出席者は施設内を見学。同施設で処理したエミューやイノシシ肉の試食会もあり、来場者はヘルシーなエミュー肉のおいしさを堪能した。同町内では2014年から耕作放棄地などを活用してエミューを飼育。現在は約1万7千平方メートルで、340匹を飼っている。エミュー肉の市場価格は1キロ6千円ほどで、町内外の飲食店などに販売。今後はさらなる販売ルート拡大を図るという。

(クマ退治、できるかな?:長野)
長野県軽井沢町で活動するベアドッグ(クマ対策犬)を飼育・訓練する同町のNPO法人「ピッキオ」は16日、4歳の雌「タマ」が今春出産した子犬6匹を公開した。ベアドッグの出産は「国内初」といい、普及の第一歩として期待を寄せる。犬種はクマの追い払いに適した「カレリアン・ベアドッグ」。タマは3月31日から4月1日にかけて雄1匹と雌5匹を出産。16日のお披露目では6匹がタマと共に暮らす小屋から勢いよく飛び出し、元気に走り回った。ベアドッグは、人が住むエリアに近づくクマにほえて山へ戻らせたり、嗅覚でクマの居場所を伝えたりする職業犬。主に米国で用いられ、日本ではタマを含むピッキオの2匹だけが活動する。6匹はクマや人に対する反応を見る適性テストを6月に受ける。ハンドラー(飼育士兼訓練士)の田中純平さん(44)は「何匹が実際に活躍できるか楽しみ。育成に全力を尽くす」と話した。

(カラスの巣作り盛ん、電柱からの撤去依頼続々:北海道)
千歳・恵庭市内でカラスの巣作りが盛んになり、北海道電力千歳ネットワークセンター(旧千歳支社)に、電柱に作られた巣の撤去依頼が相次いでいる。今年度の苦情などは13日現在32件で、前年同期を上回るペースで推移。電柱への営巣は停電や火災の原因にもなるため、同センターは市民に情報提供を呼び掛けている。カラスは3~7月に繁殖期を迎え、樹木や電柱に営巣する。同センターによると千歳・恵庭市内には電柱が約2万8000本あり、そのうち営巣の事例が多い変圧器が設置されたものが約1万3000本。担当者は「市街地、郊外に限らず、どのエリアにも巣がまんべんなく作られている」と説明する。巣には金属製のハンガーなどが使われ、それらが電線に触れてショートすることも。千歳市内で今年度、カラスの営巣による停電が1件あった。鳥獣保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)では原則、産卵後の卵やヒナは撤去できないが、電柱に作られた巣は危険性が高いことから、市から許可を得た作業員が撤去している。同センターに寄せられた撤去依頼や苦情などは2015年度が54件、16年度が42件、17年度は40件だった。今年度は既に32件に達し、前年度同期比7件の増加。担当者は「今年度増加した原因は分からないが、巣作りが盛んな7月ごろまで数字は伸びるのでは」とみる。同センターは、風で回転するカラスよけの器具などを、営巣の実績やふん害報告に基づき、変圧器つきの電柱に取り付けてきた。しかし、取り付け済みの電柱は約1~2割と言い、「頭が良いカラスは器具のない電柱を的確に選んで営巣する」と嘆く。電柱の巡視を定期的に行っており、「停電防止には市民からの連絡がかなり有効な手段になる」と協力を呼び掛けている。

(「人食いグマ」3頭生存か:秋田)
秋田県鹿角市の山林で、タケノコ採りの男女4人が相次いでツキノワグマに襲われて死亡し、遺体の一部が食べられていた衝撃的な事件から間もなく2年になる。現地で追跡調査を続けてきたNPO法人「日本ツキノワグマ研究所」の米田一彦理事長(70)は、人の体を食べていた5頭のうち、今年も3頭が生き残った可能性が高いとみている。鹿角市以外にも、同様の事故・事件が危惧される地域が東日本に5か所あり、十分に注意してほしいと呼びかけている。本格的な山菜採りシーズンを前に、米田理事長に緊急報告してもらった。今年4月中旬から事件現場を踏査してきたが、雪解けが早いことや子連れグマが見られるなど、2年前の2016年の春と状況が似ている。16年の5月下旬から6月上旬にかけ、秋田県鹿角市十和田大湯の熊取平くまとりたいと田代平たしろたいの2地区でタケノコ採りに入山した人たちがクマに襲われ、4人が死亡し、4人が重軽傷を負った。十和利山とわりやま(標高990メートル)の南麓に広がる酪農地帯で起きたことから、私はこの事件を「十和利山クマ襲撃事件」と呼んでいる。戦後最悪のこの獣害事件で特に重大だったのは、死亡した4人全員がクマによる食害(人間を食べること)を受けていたことだ。事件の概要は次のようなものだ。タケノコ採りシーズン中の16年5月21、22、30日に60~70歳代の男性がクマに襲撃され、遺体で発見。6月10日には70歳代の女性がクマに襲われ、遺体で見つかった。4人の遺体にはクマに食べられた痕があった。女性が遺体で発見された6月10日の第4現場付近では、体長1メートル30、体重70キロの雌グマが射殺された。胃の中から人体の一部が見つかったことから、4人を殺害したのはこのクマだという見方もあった。が、クマの社会では体の大きな雄が優位にあり、第4現場近くを移動する大型のクマが目撃されていたため、私はこのクマこそが“主犯”ではないかと推測。鹿角市の頭文字をとって「スーパーK」と名づけ、行方を追っていた。現地で追跡調査と聞き取り調査を行った結果、第2現場(5月22日)で男性を襲ったのはスーパーKと名づけた若い雄グマではなく、その母グマで、当時、子連れだった「大きな赤毛の雌グマ」(推定体重120キロ)と推測。それ以外の3人はスーパーKが殺害したと結論づけた。スーパーK(推定4歳、84キロの雄グマ)は16年9月3日に田代平で駆除(捕殺)された。人間を襲撃し、食害したクマはこの2頭を含め、計5頭いたと考えられる。人を襲い、食べたクマは、再び人間を襲う危険性がきわめて高い。では、その後、生き残った3頭のクマはどうしているのだろうか。現地で追跡調査を続け、17年秋の段階で、大きな赤毛の雌グマの生存を確認している。同年7月30日から8月5日まで田代平の南端地域でしばしば目撃し、9月27日にも目撃している。赤毛は10歳以上の高齢の雌グマにみられる特徴で、外見から老齢化が進んでいるように見受けられた。今年春に出産したとすると、高齢個体であり、消耗している。過去の殺害・食害経験がよみがえり、人を襲うかもしれない。危険な状況だ。さらに、第3現場(5月30日)と第4現場で食害し、他に3人を襲って2人に軽傷を負わせた体長90センチの雄グマは、17年秋まで、田代平の北部と、隣接する青森県新郷村迷ヶ平まよがたいの間にあるキャンプ場や駐車場など、人の出入りが多い場所にもしばしば現れた。毛の艶も良く、すこぶる健康そうだった。最後に目撃した時点で、体長110センチほどに成長していた。額の左側に古傷のあるこの雄グマが、3頭の中で最も危険なクマだと私は考えている。また、第3現場で食害し、6月30日に男性に重傷を負わせた「気性の激しい雌グマ」は生き残った。私は今年の4月24日に田代平で、放置されていた生の大豆を食べている様子を実際に観察した。「気性の激しい雌グマ」については今年も生存を確認したが、大きな赤毛グマ(スーパーKの母親)と額の左側に古傷のある雄グマについては昨年の秋以降、目撃していない。が、駆除(捕殺)されたという話は聞いていないので、生き延びた可能性は高い。今年も厳重な警戒が必要だ。この地域で、なぜ、あのような重大事件が発生したのか。主な原因として、〈1〉13年と15年にドングリ類が豊作で、クマの出産が進み、一時的に子連れの母グマや子別れ直後の若いクマが多くなった〈2〉事件の3年ほど前からタケノコ(ネマガリダケ)が不作で買い取り価格が上昇し、採取者が増加していた〈3〉酪農家の減少とともに、跡地利用のため事件の7年ほど前から、この地域に大豆、ソバ、コムギの畑が大規模に出現していた――ことがあげられる。特に問題となるのは、〈3〉の大規模な大豆、ソバ、コムギ畑の出現だ。クマたちが大豆やソバ、コムギに依存し、一年中、同地に居ついて離れない状況になっていた。クマは容易に餌が取れる場所にとどまる性質がある。この地でクマたちは、4月中ごろの越冬終了後から木々の葉芽や花芽を食べ、雪解けの早い斜面や沢筋などで草の若葉を採食する。5月半ばから6月中ごろまではタケノコを食べ、その後、クワの実やヤマザクラの実を食べる。7月10日ころから大豆の若葉や花芽を食べはじめ、8月半ばまで続く。その間、ソバの花芽やムギも食べ、8月末からはシウリザクラの実やドングリ類を採食する。問題は、9月中ごろから大豆畑にクマの足跡が増える点だ。収穫期に規格外の小さい豆は畑に大量に捨てられるため、多くの動物を養っている可能性がある。ただ、「生の大豆」には有害成分が含まれているため、クマたちが実際に食べているのかどうか、追跡して調べてみた。16年と17年の秋には、その様子は観察できなかったが、18年4月24日に田代平で、生大豆の山の前に座って豆を食べているクマを発見し、30メートルまで接近して撮影することができた。このクマには胸の月の輪模様の左側が通常より40%ほど短いという特徴があり、気性の激しいあの雌グマだとわかった。秋に硬い生大豆を食うのではなく、春に水分を吸って「ふやけて膨れた」生大豆を食べていたのだ。この豆は水分にさらされ、有害成分が減少しているのかもしれない。このクマたちは一年中、この地域から離れずに暮らしているのだ。事件が起きた熊取平と田代平では、今年も5月1日から11月まで、市道2本と林道が閉鎖される。この入山規制により、山菜採りの人たちは監視や指導がそれほど厳しくない、事件現場周辺の青森県新郷村迷ヶ平、青森県田子町四角岳、秋田県小坂町の十和田湖外輪山の南側などに集中するようになるだろう。このエリアも危険地帯なので、十分に注意してほしい。事故の発生傾向からみると、この秋田県鹿角市周辺以外でも、クマによる事故が連綿と続く地域が、東日本に少なくとも5か所ある。このような地域には、攻撃的なクマの系統が存在するのではないかと考えられる。注意を促す意味も含め、概要をお伝えしたい。〈1〉鹿角市に接する旧田沢湖町玉川(現・仙北市田沢湖玉川)地区 昨年5月27日に61歳の女性が襲われ、死亡した。襲ったクマは、秋田県の捕獲調査から判断して、生き延びているとみられる。この件は、食害もない偶発的な事故だが、現場は私が以前から、重大事故が発生する恐れがあるとして注意を呼びかけていた地域だった。発生場所は国道341号の最高標高地点で、周囲は残雪に覆われているが、この地域だけが火山性の地熱のため雪が早く消え、クマが好むタムシバ(コブシに似たモクレン科の木)が密に繁茂し、タケノコも早く出始めるからだ。私が秋田県庁に在職していた1983年6月24日に、この場所から近い旧田沢湖町大深沢でタケノコ採りの女性(当時48歳)がクマに襲われて死亡。遺体は「顔面挫創、両上肢の広範な挫滅創」を負っていた。襲撃されたときに、同行の男性2人は木に登って助かっている。その後、トドマツの上で40キロの雌グマが射殺され、胃の中から人間の肉片や女性の着ていたシャツが見つかった。ただ、この雌グマはまだ小さく、女性を殺害したクマは別の大型のクマだったのではないかと私は推測している。〈2〉青森県田子町東部 13年10月24日、田子町遠瀬の四角岳でキノコ採りの男性(当時56歳)が体長1メートルのクマに襲われて重傷を負い、ヘリコプターで搬送された。この若いクマは攻撃性が際立っていた。その後、昨年5月30日にも、同じ田子町遠瀬で男性(当時47歳)が体長約1メートル50のクマに襲われ、全身を引っかかれて足を骨折している。この2例は同一のクマの可能性がある。十和利山クマ襲撃事件の発生原因を探るべく多数のタケノコ採りの人たちから事情を聞いたが、田子町東部では危険なクマとの遭遇事故が続いていたことを知った。タケノコ採りの合間に座ってパンを食べていると、クマが20分もの間、近くに居座って離れなかったという事例が2件あった。食料の入ったリュックサックが消えたり、クマと引っ張り合いになったりしたケースも5例あった。〈3〉秋田県・鳥海山北麓 この地域では過去3件の死亡事故が発生し、うち2件では食害を受け、もう1件も食害の疑いがある。1993年5月29日に旧由利町東由利原(現・由利本荘市)でワラビ採りの女性(当時64歳)が後頭部挫傷で発見され、背中、ふくらはぎがかみ取られていた。2000年6月3日には旧矢島町鳥海山(現・同市)の山林で、タケノコ採りの男性(当時62歳)が全身に爪痕がある状態で発見された。遺体の周辺にはクマの足跡が多数あった。07年6月13日、にかほ市象潟町小滝でタケノコ採りの男性(当時63歳)が全身をクマにかまれ、右足は切断された状態で見つかった。そばにいたクマに向け猟友会員が発砲したが、クマは逃走した。〈4〉福島県・会津地方 会津地方では、2001年から16年までの間に計72件のクマによる人身事故が発生。このうち、5件が死亡事故という非常に危険な地域だ。特に、会津美里町西本の明神ヶ岳みょうじんがたけ東面では、1頭のクマによる「一撃多殺」事故が起きる恐れがある。最近では、13年5月27日に山菜採りの男性(当時78歳)が襲われて死亡。翌28日に捜索隊の警官2人を含む4人が、遺体のそばにいたクマに襲われ、重軽傷を負う事故が起きている。遺体には食害があった。明神ヶ岳周辺では、クマによる事故がこれまでに6件発生。昨年5月2日には同町松岸地区の山林で山菜採りをしていた男性が、遭遇したクマに襲われて近くの沢まで約10メートル引きずられ、右足をかまれて重傷を負う事故があった。この二つの事故は、同一のクマによる可能性が高い。〈5〉新潟県と長野県にまたがる妙高高原地域 20世紀末から、新潟県の旧妙高高原町と旧妙高村(ともに現・妙高市)、隣接する長野県信濃町ではクマによる事故が多発している。特に、女性や女性を含む家族が襲われ続けたが、2004年に「150センチ、157キロの雄グマ」が射殺されてからは事故が減少した。ただし、危険性は残っており、十分な警戒は必要だ。これから本格化する山菜採りシーズンの注意点として、まずは、クマと遭遇しないようにすることを挙げたい。事前に入山地域のある市町村のホームページなどからクマの出没情報を入手し、入山するかどうかを判断してほしい。山間地では携帯電話が通じない場所も多く、複数の人が組んで入山し、互いに助け合えるようにしたい。現地でクマの糞ふんや足跡、食べた跡などを見たら、無理をせず、すぐに下山することだ。これまでのさまざまな事例からみて、日本海側でのタケノコ採りではラジオの使用はやめたほうがいい。太平洋側では年間を通してラジオは効果があるだろう。他に、釣り鐘型の鈴、爆竹、ロケット花火も有効だ。クマに襲われたときには、「首をガードして地面に伏せる」ほうがいい。ザック、スコップなど振り回せるものがあれば、振って体が大きくなったように見せるのも手だ。最も効果がある道具は、トウガラシの辛み成分の濃縮液を噴霧する「クマ撃退スプレー」だ。アメリカ人女性が考案した、クマにも人間にも安全性が高い道具だ。発射したら、ただちに現場から脱出することだ。私はクマに襲われたとき、4回使用したが、露出した皮膚が30分ほどひりひりする程度で、呼吸困難はなく、目にもまったく影響がなかった。知り合いの新聞記者は、大きなクマに2メートルの至近距離から襲われそうになったが、このスプレーを使用し、撃退した。「クマ撃退スプレー」は登山用品店やインターネット通販などで簡単に入手できる。クマが出没する危険性のある山に入山する際には、ぜひ携行してほしい。秋田県では、2016年度に476頭、17年度には前年度の1.7倍にものぼる834頭のツキノワグマが捕獲・駆除(捕殺)された。秋田県のように、不幸にして死亡事故が発生するとクマの過剰な駆除が起きる。「農家を助け、クマも助ける」活動を行ってきた私には、人に被害が出たことにも、クマの過剰駆除が起きたことにも胸が痛んだ。十和利山クマ襲撃事件の発生後、2年間を費やして、事件の全容を見極めようと関係者の聞き取り調査とクマの追跡調査を続けてきた。このほど、後世にこの事件を伝えるべく、『人狩り熊』(つり人社)としてまとめ、出版することができた。被害者の家族がいま、どのような状況に置かれているのかを、ぜひ知ってほしい。協力いただいた多くの関係者に、お礼を述べたいと思う。

(鹿の解体処理、担い手に:鳥取)
鳥取県智頭町の赤堀広之さん(27)は4月、鹿の解体処理施設「ちづDeer’s」を町内で開業した。もともと狩猟に縁のない生活を送っていたが、獣害に悩む住民の声を聞き「若い自分がやるしかない」と一念発起。今では「町にジビエ(野生鳥獣の肉)を新しい食文化として定着させたい」と奮闘している。町ではイノシシ、鹿の農林業被害が深刻で、2017年の捕獲頭数は鹿964頭、イノシシ64頭に上る。ただ、捕獲に当たっているのは高齢者がほとんど。赤堀さんは地元の住民が困っていることを聞き、24歳の時にわな猟の免許を取得した。地域では「鹿は脂身が少なく、おいしくない」という印象が強く、食べずに埋めることが多かったという。住民からは「しっかりした処理施設で、ジビエとして活用できないか」と町に要望が出ていた。地域で数少ない若手の赤堀さんがわな免許を取ったことを機に、町は施設の担い手として白羽の矢を立てた。初めは戸惑った赤堀さんだったが、「生まれ育った町のためになるなら」と引き受けた。ジビエ先進地の同県若桜町で半年間修業し、多い日は1人で8頭を処理。経営ノウハウや衛生管理を身に付けた。施設は県や町の支援を受け自宅裏に完成。町長ら約100人が駆け付けた竣工(しゅんこう)式で「町を活性化するために頑張ります」と力強く宣誓した。「将来の夢は、鹿肉を日常的に食べる食文化に育てること。気軽に食べてもらえるよう、バーベキューセットなど販売方法も模索していきたい」。まずは、年500頭の処理を目標に掲げている。

(鹿肉ペットフード開発:兵庫)
尼崎の「一心水産」が4月1日、兵庫県産ニホン鹿を使ったペットフードの販売をスタートした。国産鮮魚を主な原料とする「漁港産直ジャーキー」など、無添加・無着色の自然派ペットフードを製造・販売する同社。西宮・鳴尾浜の水産会社の一部門として2014年に事業を開始し、独立・分社化して2017年に尼崎に本拠を構えた。同社が開発した「ナチュラルランド」シリーズに使用する鹿肉は、兵庫県の山間部で狩猟・捕獲されたニホン鹿。現地で一次加工した肉を仕入れ、菌の繁殖を防ぐため丁寧に手作業で酸性水洗浄し、部位別にカット。ジャーキーは8時間以上かけて乾燥加工し、生肉製品はマイナス60度で冷凍・エイジングを行う。社長の畑部博彦さんは「おととしに養父(やぶ)市の猟友会から相談を受け、検討を始めた。鹿肉は高タンパクで低カロリー、スーパーフードと言ってもいい食材。兵庫県が狩猟肉の活用に本格的に乗り出し、仕入れルートが確実になり商品化が実現した」と話す。国内各地で鹿の生息地が過密化し、森林生態系や周辺の農作物への被害が深刻化している。一方で、頭数調整のために捕獲された鹿の多くはジビエとして活用されることなく地中に埋められるなどの処理がされているという。兵庫県行政機関が把握している頭数としては、捕獲数約4万4千頭に対し、活用頭数は10%にも満たない約3900頭とされる(2016年度)。県内では、鹿肉処理加工施設や飲食店などが協働しジビエ料理をPRする「ひょうごニホンジカ推進ネットワーク」や、関連企業の連合体「兵庫県シカ・イノシシ丸ごと1頭活用コンソーシアム」創設といった動きが広がっている。同社はその2組織に加盟している。畑部さんは「本来、肉食である犬・猫たちには理想的な食材。ジャーキーは1日1回おやつに与えると歯垢除去できてオーラルケアにもなる。生肉は貴重な食物酵素を含み、食欲が落ちて固い物が食せなくなってきたシニア犬にもお薦め。ローフードに慣れないうちは表面だけ軽く加熱して与え、少しずつ慣れさせて」と話す。

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(“立てこもりクマ”麻酔銃で捕獲:石川)
白山市の住宅街で9日早朝、熊が出没し、民家に逃げ込んだ。捕獲まで約9時間の大捕物となったが、けが人はなかった。市が住民に注意を呼びかけている。白山市によると、9日午前5時25分ごろ、同市大竹町の男性から「熊を見た」と白山署に通報があった。同6時ごろには同署員や市林業水産課職員が駆けつけ、付近の捜索を開始した。熊は同8時ごろ、近くの松田健一さん(74)方の納屋に侵入、母屋の屋根裏に逃げ込んだ。当時、屋内に人はいなかった。建物内に入ったことから捕獲作業は難航。市は正午過ぎから、外壁に穴を開けて麻酔銃を発射し、約10発が命中した。熊は午後2時半ごろに捕獲され、殺処分された。熊は雄で体長約90センチ、体重35キロ。白山市教委は同日、近くの市立明光小の集団登下校に教諭を付き添わせた。松田さんは「けが人が出なくて良かった」と安堵(あんど)の表情。近隣の女性(75)は「こんなところに熊は出ないのに……」と困惑していた。市林業水産課によると、市内での熊の捕獲は例年「基本的にゼロ」という。同課の牧口啓課長は「冬眠を終えた熊は、餌を探すため市街地に出没しやすい。熊が付近に現れたら、人は屋外に出ず、戸締まりをしっかりしてほしい」と話している。熊の活動シーズンに合わせ、県自然環境課は注意点をまとめたリーフレット「クマにご注意!」を作製し、各市町やJAなどに約1500部を配布した。同課によると、県内に生息するツキノワグマは約1050頭。目撃情報は近年、増加傾向にあり、2015年以降は年200件前後が寄せられる。担当者は「昔のように里山がなくなり、山と街が近くなった。残飯や生ゴミに味をしめて人家の近くに定着してしまう熊も多い」と話す。人間が襲われる事故も毎年のように発生。先月末には、金沢市内の山林で山菜採りをしていた70代の男性が熊に襲われ重傷を負った。リーフレットでは、人家近くのやぶや生ゴミなどが熊を引き寄せると説明。また、山に入る際は、鈴やラジオなど音の出る物で熊を遠ざける▽ゴミは持ち帰る▽暗くなる前に山を下りる--といった注意事項を挙げたうえ、熊に遭遇した場合は慌てず、刺激しないよう静かに立ち去るよう呼びかけている。同課は「春先から夏ごろまでは冬眠明けの熊が活発に活動する。山菜採りの季節だが、事故を防ぐためにも熊と遭遇しない工夫をしてほしい」としている。

(紀の川で男性遺体を発見、猟友会の不明者か:和歌山)
10日午前8時20分ごろ、和歌山市小倉の紀の川で、水面に浮いている男性遺体を捜索していた猟友会の会員が発見した。岩出署によると、上半身は裸で目立った外傷はなかった。岩出署は遺体が4日に紀の川でカワウの駆除中に行方不明になっている地元猟友会の男性2人のうち1人の可能性があるとして、身元の確認を進めている。

(クマ誤捕獲、山中に放す:三重)
県は9日、熊野市新鹿町の山中でイノシシ捕獲用のおりにツキノワグマが入っているのが見つかったと発表した。県は条例でツキノワグマを希少動物として保護しており、クマに電波発信器を付けて同市飛鳥町の山中に放獣した。県獣害対策課によると、クマは4~5歳の雄で、体長約1メートル、体重52キロ。8日朝、おりを設置していた住民が見つけ、市を通じて県熊野農林事務所に通報した。県などは発信器を付けるなどの放獣作業を済ませ、9日午前10時半ごろ、人家から2・5キロ以上離れた山中に放した。県と市は今後約1週間は1日2~3回、付近をパトロールして発信器からの電波を調べ、クマが集落などに接近していないか確認する。県内のクマの誤捕獲は、同市で2016年10月にあって以来という。

(麻酔吹き矢でシカ駆除:北海道)
稚内市街地に出没するエゾシカに苦慮する市は9日、吹き矢によるエゾシカの駆除を報道関係者に公開した。麻酔薬を仕込んだ吹き矢による捕獲作業は昨年秋に続き2回目で、矢の命中率を高めるために、前回の2倍の約1・8メートルの吹き矢を使った。市内では、市街地にも頻繁にシカの群れが出没しており、家庭菜園の食害やふん害が問題になっている。そこで市は、猟銃が使えない街中でも駆除作業を行うために吹き矢を導入。試験的に実施した昨年秋は3日間で3頭を捕獲した。今回は8日に捕獲作業を開始。長い筒を使い、飛距離を約5メートルから7、8メートルに延ばした。シカの毛が短くなり、矢が刺さりやすいこの時季を選んだ。初日は北地区で1頭の捕獲に成功した。

(「キョンハンター」採用難航:千葉)
特定外来生物「キョン」を駆除する千葉県の専門職員の採用が難航している。1月に任期付き職員として公募したが、応募資格や選考基準の壁が高く採用者はゼロだった。県は応募資格を緩和し、9日から再募集する予定で「農協やNPO法人にも声をかけ、人材を募りたい」(県環境政策課)という。キョンはシカに似た動物で、主に勝浦市や鴨川市など房総半島の南部で繁殖している。県の推計では、2015年度末時点の生息数は4万9500頭と11年度末の3倍に急増。野菜や果物を食い荒らす被害が相次いでいるほか、住民から「鳴き声がうるさい」などの苦情が寄せられている。キョン対策の専門職員を初めて公募した1月はワナ猟免許の保有を応募条件としたほか、キョン対策に関する論文提出も求めた。しかし、国内では「千葉と伊豆大島にしかキョンは生息しておらず、専門家はきわめて少ない」(同)。応募は1件にとどまり、採用にも至らなかった。今回の再募集は応募資格を「免許取得見込み」に緩和したほか、論文のテーマも害獣全般に間口を広げるなどハードルを下げた。

(体長1メートルのイノシシ出没:宮城)
9日午前8時25分ごろ、宮城県栗原市若柳川南堤通の住宅地の空き地にイノシシ1頭がいると、若柳署に通報があった。同署や市によると、イノシシは体長1メートルほど。署員と市職員ら10人が駆け付け、近隣の住民らに注意を呼び掛けた。署員らは捕獲は試みず、住宅の敷地などに逃げ込まないよう遠巻きに警戒。午前11時ごろ、イノシシは迫桜高の農場を抜け、田んぼが広がる南西方向に逃げた。けが人や住宅への被害はなかった。空き地は国道398号沿いで、迫桜高の北側約300メートル。近くにはホームセンターやスーパーがある。

(クマ、学校付近や住宅地で目撃相次ぐ:宮城)
9日午後1時45分ごろ、宮城県気仙沼市茗荷沢の市道で、体長約1メートルのクマ1頭を目撃したと気仙沼署に通報があった。現場は新城小の南隣で、同校は帰宅時間の遅い5、6年生を集団下校させた。当面、同校は見守りを強化し、単独での登下校を避けるよう指導する。遠藤弥生校長は「保護者、警察の協力を受けながら、子どもたちの安全を守りたい」と話した。宮城県富谷市では9日、住宅地近くでクマの目撃情報が相次ぎ、夕方までに計7件が寄せられた。大和署が現場付近を警戒し、市とともに注意を呼び掛けた。午前10時25分ごろ、富谷市あけの平2丁目の市道沿いを歩く体長約1メートルのクマ1頭を車で通行中の男性が発見。午後2時すぎから3時すぎにかけては同市鷹乃杜4丁目、同市富谷大清水、同市富谷唐竹沢で、いずれも体長約1メートルのクマ1頭を見たとの連絡が入った。目撃地点は国道4号を挟んで数百メートルの位置に近接しており、同じ個体の可能性もあるという。一帯では、夕方にも同様の目撃情報が3件相次いだ。

(クマ出没相次ぐ:北海道)
冬眠明けのクマが活発に活動する時期を迎え、苫小牧市内でクマの出没が相次いでいる。市によると、今年のクマの目撃情報は8日現在、前年同期比4件増の6件で、このうち5件が苫小牧東部地域(苫東)に集中している。いずれも人にけがはなかったものの、今後も山菜採りなどで入山した人がヒグマと遭遇する危険性があり、市や苫小牧署は注意を呼び掛けている。市によると、4月24日に市柏原の林道で、苫東の工業団地を管理する株式会社苫東(市柏原)の社員が子グマを目撃。その後も今月5日までに苫東内の林道や市道で4件の目撃情報が寄せられた。5日には市西部地域の市樽前の林でも通りかかった人がクマらしき動物の鳴き声を聞いた。市はいずれの場所にも立て看板を設置し、住民にクマに気を付けるよう促している。苫東地域でクマの目撃が相次いでいることについて北海道猟友会苫小牧支部は、シカが春に苫東地域内の湿地で出産するため、子ジカを狙ってクマも出没すると指摘。荒木義信支部長は「クマは人間を見ると逃げるので必要以上に怖がる必要はないが、見つけたら必ず警察などに通報してほしい」と話す。

(鳥取砂丘にツキノワグマの足跡:鳥取)
鳥取市の鳥取砂丘で1~3歳とみられるツキノワグマの足跡が見つかったことが9日、分かった。市が明らかにした。市の担当者は「把握している限り、砂丘でクマの足跡が発見されるのは初めて」としており、周辺のパトロールを強化するとしている。市によると、午前11時ごろ、観光客から「8日午後、大きな動物のものとみられる足跡を見つけた」と市に通報があった。県が調べたところ、ツキノワグマのものと判明。砂丘の中心部から外れた林との境目付近から、海の方へ向かって約50~60メートル続いていた。付近の山から下りてきたとみられる。

(クマ、山間部で目撃情報:大阪)
8日午後1時半ごろ、高槻市出灰の山間部で通行人から「1頭が道路を横切った」とクマの目撃情報があった。同日、府動物愛護畜産課が発表した。ツキノワグマとみられるという。同課によると、クマは体長1・2メートルほどで、通行人にけがはなかった。府内で生息情報はないが、京都府や兵庫県との境付近に出没することがあるという。今年度の目撃情報は初めて。同課は山に入る時は鈴など音が鳴るものを身につけるよう呼びかけている。

(カラスの巣が原因か、一時停電:山梨)
8日夜、甲斐市で電線が燃え約1500軒が一時停電する火事があった。カラスの巣が原因とみて調べている。韮崎警察署によると、8日午後10時20分ごろ、甲斐市西八幡の電柱から火が出ていると消防に通報があった。火は約1時間後に消し止められたが、甲斐市の西八幡で約1200軒篠原で約300軒が一時停電した。東京電力によると、電柱にはカラスの巣があり、巣に使われていた金属が電線に接触しショートしたとみて詳しく調べている。春先はカラスが電柱などに巣を作りやすいため、東京電力も管内をパトロールしているが、毎年2、3件ほどのトラブルが発生しているという。

(カワウの生息数3割減、有害鳥獣の捕獲上限撤廃が効果か:栃木)
河川に漁業被害などをもたらすカワウの2017年度の県内の生息数(推定)は前年度から約35%(901羽)減の1682羽と大幅に減少したことが、7日までに県自然環境課のまとめで分かった。1627羽だった05年度以来の水準。有害鳥獣捕獲の上限数を撤廃し、捕獲数(有害鳥獣捕獲と狩猟)が増加したことが影響したとみられる。漁業関係者からは引き続き被害対策を訴える声が上がっており、県は本年度、11年ぶりにカワウの保護管理指針を改定する。県によると、カワウは1989年の渡良瀬遊水地内の谷中湖完成以降、本県に定期的に飛来するようになり、生息域が拡大。県内の適正生息数は1千羽とされるが、2006年度に2千羽を突破し、16年度には過去最高の2583羽が確認された。カワウが捕食したアユなどの魚類が市場に出た場合の「捕食金額」は、生息数が1500羽の場合で年間約2億1600万円とされる。被害拡大を受けて、県は適正生息数を保つために設けていた有害鳥獣捕獲の上限を16年度から例外的に撤廃。捕獲数が増加し、17年度は県漁業協同組合連合会(県漁連)が把握する分だけで過去最高の1778羽に上った。県は本年度、11年ぶりに保護管理指針を改定する。被害を与える個体数の半減を目指す国の指針を参考として、ドローンなどを活用した新たな駆除技術の検証結果を反映させる方針だ。

(爆発音で追い払え、クマの大量出没に県が新対策:秋田)
秋田県内でのクマの大量出没を受け、県は本年度から新たな人身被害防止対策に取り組んでいる。爆発音でクマを追い払う「動物駆逐用煙火」を初めて導入するほか、クマの出没地点を地図に示す「ツキノワグマ情報マップ」をスマートフォンでも確認できるようにするなど機能を拡充。被害減少の効果が期待される。動物駆逐用煙火は、クマを人里から遠ざけるため県が取り入れる。県内では昨年、有害駆除などによるクマの捕獲数が過去最多の829頭に上り、猟友会員の負担が増えていることから、少しでも軽減する狙いもあるという。長さ約20センチで、中間部分に火薬の入った球体(直径3センチ)が付いている。先端の導火線に火を付けて投げると、10秒ほどで爆発し、大きな音が鳴る仕組み。煙火の取り扱いは火薬類取締法で規制されており、実際に使用するには、日本煙火協会の講習会に参加して「煙火消費保安手帳」を取得する必要がある。

(ジビエ活用、留意点紹介:富山)
イノシシの捕獲頭数が増える中、県は捕獲者と飲食店向けに、ジビエ(野生の鳥獣肉)の取り扱いの留意点をまとめた冊子を2種類作った。市町村や猟友会、飲食店などに配布し、ジビエの有効活用を促す。野生獣肉の衛生管理の指針を示す「県獣肉の衛生管理及び品質確保に関するガイドライン」を基に作成した。絵を多用して簡潔に読みやすく仕上がっている。捕獲者向けの冊子は、捕獲から獣肉処理施設へ持ち込むまでの注意事項を説明。銃弾が腹部に被弾したイノシシは、消化器官の内容物に含まれる病原菌による汚染の危険性があることなどに注意を促す。食用に向かないものを確認するためのチェックリストもある。A4判の全八ページ。二千五百部を作った。飲食店向けの冊子は肉を調理し、提供する際のポイントを紹介。肉の中心部を八五度で一分以上加熱し、生肉の提供を控えるよう呼び掛ける。A4判の全四ページで二千部を用意した。県農村振興課によると、県内の獣肉処理施設は五カ所あり、昨年度は四千頭以上が捕獲されたにもかかわらず、施設に持ち込まれたのは百頭余り。獣肉の有効活用が課題となっている。冊子は同課のホームページで入手できる。同課担当者は「捨てていた獣肉がもっと使えるようになれば」と期待する。 

(東北電力、カラス対策に万全:宮城)
カラスの営巣が盛んになる3月から5月頃にかけて、東北電力では電柱の巡視を強化している。東日本大震災による津波で、太平洋側の沿岸部では電柱が流され、営巣除去作業も減っていたが、復興が進むにつれて作業件数は増加。同社宮城支店エリアでは2015~17年度の3年間で、震災前の水準より多い年平均約2400個の巣を除去した。巣の材料が配電設備に接触すると停電事故を引き起こすこともあるだけに、カラス対策に万全を期している。「撤去作業に入ります」。復興作業が行われ、工事車両が行き交う仙台市宮城野区の一角。高所作業車に乗り込んだ塩釜営業所配電技術サービス課の社員は、先端に切削具がついた棒状の工具を使い、電柱上に作られたカラスの巣を、ものの数分で除去した。

(野良猫?ノネコ?、片や愛護片や駆除:鹿児島)
世界自然遺産への登録をめざす鹿児島県・奄美大島で、環境省が近く猫の捕獲を始める。人間が島に持ち込み野生化したもので、環境省は、島固有のアマミノクロウサギなどの希少動物を襲い、生態系に影響がある、と説明する。捕まった猫の多くは殺処分される可能性が高く、疑問の声もある。独自の生態系と絶滅危惧種が数多く生息する生物多様性から、自然遺産への登録をめざす「奄美・沖縄」(鹿児島県・沖縄県)。だが、諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)は持続可能性に疑問を呈し、登録延期を勧告した。奄美大島の山林では2008年以降、環境省が設置したカメラに複数回、猫がアマミノクロウサギなどの希少種をくわえる姿が撮影されている。山林内の猫は2014年度時点の推計で600~1200匹。ハブ対策として持ち込まれたマングースとともに生態系を壊すとして、自然遺産登録に向けた課題の一つとされてきた。環境省と地元自治体は今年3月、猫の「管理計画」を公表。生け捕り用のわなを50~100個設置する予定だ。捕まえた猫は島内5市町村で作る「奄美大島ねこ対策協議会」が管理する施設で1週間ほど飼育。その間に飼い主を募るが、引き取り手がなければ殺処分する。環境省の番匠克二・希少種保全推進室長は「年300匹以上捕獲する必要があるが、人慣れしていないので多数のもらい手が現れるという希望は持ちにくい」という。動物愛護法では飼い主のいない、いわゆる野良猫でも「愛護動物」とみなし、みだりに殺したり傷つけたりすれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科される。野良猫の殺処分をしている自治体もあるが、駆除を目的とする野良猫の捕獲に法的な根拠があるわけではない。一方、「ノネコ」は鳥獣保護法で有害鳥獣として駆除できる野生動物とされているが、野良猫とノネコの間に法令による明確な線引きはない。

(動物用わな特許取得、2倍の速さでイノシシ捕獲:福島)
伊達市霊山町の農業菅野栄元(よしもと)さん(76)はワイヤを使った動物用わなで特許を取得した。ワイヤの輪に動物が足を踏み入れた際、固定するまでの時間を大幅に短縮するアイデアが認められた。東京電力福島第一原発事故発生後に増えたイノシシを捕獲する「新たな戦力」として期待される。菅野さんは2002(平成14)年にユアテックを定年退職後、友人の勧めで狩猟の免許を取得した。原発事故後、イノシシが増え、従来のわなでは容易に捕獲できなくなっていると感じ、改良に取り組んだ。従来のわなは、ワイヤの片側を固定し、固定されていない側を引くことでイノシシの足を捕らえる。しかし、輪が縮まる前に足を抜き、逃げる場合も多いという。菅野さんの改良わなは、輪になったワイヤの両側が同時に縮まるため捕獲にかかる時間が短い。理論的には2倍の速さで絞まる。実際に仕掛けたところ、従来品よりも捕獲率が良いという。県内ではイノシシに田畑が荒らされる被害が深刻化している。菅野さんは「農作物の被害を少しでも減らしたい」と話し、商品化に興味を持つ事業者を求めている。特許取得には県知財総合支援窓口が協力した。担当した桐生正人さん(58)は「『目からうろこ』のアイデア。商品化を支援したい。イノシシ被害を減らすために活用できる」と話している。

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(イノシシ駆除で発砲、同行の市職員がけが:熊本)
2日午後6時35分ごろ、熊本県玉名市築地の下四十九池近くで、イノシシ駆除をしていた玉名市役所の30代の男性職員が、同行者が散弾銃を発砲した際に額にけがを負い、病院に搬送された。意識はあるという。玉名署によると、職員はイノシシが出たという通報を住民から受けて、同日午後6時20分ごろから同僚職員2人と、同市三ツ川の無職男性(76)の計4人でイノシシ駆除にあたっていた。男性がイノシシに向け散弾銃を撃ったところ、近くにいた職員が額にけがをしたという。病院搬送時、額に異物が残っていたが、頭蓋骨(ずがいこつ)は貫通していなかった。散弾銃の弾かどうかは確認できていないという。現場はJR玉名駅の北西約2キロ。集落に接して農地や池、林が広がる一帯。署は経緯などについて男性らから話を聞いている。

(猟友会の2人、駆除中に行方不明:和歌山)
4日午後5時50分ごろ、岩出市の猟友会の男性から岩出署に「紀の川で有害鳥獣を駆除していた猟友会の2人が帰ってこない」と通報があった。同署は2人が川に流された可能性があるとして捜索している。同署によると、2人は同市に住む69歳と73歳の男性。同日午前5時半ごろから同市船戸の岩出橋周辺の紀の川で、猟銃を使ってカワウを撃ち、同8時20分ごろから手こぎボート(長さ約3・6メートル、幅約1・1メートル)で回収していたらしい。2人が乗っていた軽トラックは河原で見つかり、猟銃2丁は同署が回収した。しかし、2人は潜水隊を出すなどしての捜索でも見つからず、ボートも無人で流されていたという情報があるものの、所在は不明だという。

(山菜採りの男性、クマに襲われ大けが:岩手)
5日午前9時ごろ、大槌町金沢の山林で山菜採りをしていた、釜石市鵜住居町の男性(81)がクマに襲われた。男性は頭や顔に大けがを負い、ドクターヘリで盛岡市の岩手医大付属病院に運ばれた。県内市町村によると、クマによる人身被害は今季初とみられる。釜石署によると、男性は同日午前5時ごろ自宅を出発し、1人で山菜採りをしていた。襲われた後は自力で逃げ、車と徒歩で約2時間かけて下山。最寄りの民家に助けを求めた。

(尾根の向こうにクマ、登山者と鉢合わせか?:秋田)
秋田県仙北市田沢湖の乳頭山(烏帽子岳、1478メートル)で4月下旬、雪原を歩くツキノワグマと登山者一行が尾根を挟んで鉢合わせしそうになり、その様子を秋田市御野場のアマチュア写真家柏谷勉さん(74)が撮影した。柏谷さんは山頂から下を眺めていた午前10時半すぎ、南側の雪原に1頭のクマがいるのに気付いた。クマは20分ほどうろうろと歩き回りながら尾根筋に近づいていった。同じタイミングで尾根の反対側から十数人の登山者一行が歩いてきて、尾根を挟んで20メートルほどまで接近。柏谷さんが「クマがいるよー」と何度も叫ぶと、登山者らが気付き、クマも遠ざかっていった。

(山周辺でクマ目撃:北海道)
旭川市と比布町は6日、両市町にまたがり、道内有数のカタクリの群生地として知られる突哨山でクマの目撃情報があったため、四つある登山口を閉鎖した。地元猟友会や警察は、パトロールするなど警戒を強めている。同日午前8時ごろ、比布町の「村上山公園口」付近の登山道に体長約1メートルのクマ1頭がいるのを、歩いていた男性が目撃し、旭川中央署比布駐在所に通報した。連絡を受けた両市町は同日昼までに「村上山公園口」と、旭川市の「突哨山口」「カタクリ広場口」「扇の沢口」の四つの登山口を閉鎖した。解除時期は未定。

(温泉街の川に「クマ」:福島)
4日午後0時40分ごろ、福島県福島市飯坂町字十綱町の摺上川でクマ1頭を目撃したと、観光客から110番通報があった。けが人はいなかった。福島北署によると、クマの体長は約1メートル。駆け付けた警察官がクマを確認し、猟友会福島北支部のメンバーらと一緒に追跡した。クマは最初の目撃現場から川を泳いで渡るなどしながら約500メートル上流に移動し、その後姿を消した。山の方に戻ったとみられる。現場は旅館やホテルが集まる温泉街。同署が周辺をパトロールして注意を呼び掛けた。また、飯坂温泉旅館協同組合は加盟各施設に文書で注意喚起した。

(クマ目撃相次ぐ:福島)
福島県内で6日、クマの目撃情報が相次いだ。▼午前8時45分ごろ、会津若松市湊町赤井の背あぶり山山頂近くの県道を車で走っていた70代男性が「クマ1頭を目撃した」と会津若松署に通報があった。同署によるとクマは体長約1.5メートル。▼午後1時45分ごろ、会津美里町尾岐窪字向の農道で「クマ1頭を目撃した」と近くで農作業中の60代男性が会津若松署会津美里分庁舎に通報した。同署によるとクマは体長約50センチ。通報した男性は「農道を歩いている動物らしきものを発見し、確認しようと軽乗用車で近づいたら、小グマが山林の方へ跳びはねながら逃げていった」と語った。▼午後2時15分ごろ、北塩原村桧原字雄子沢原の国道459号でクマを目撃したと、車を運転していた女性から110番通報があった。喜多方署によると、体長約1.5メートル。▼午後4時55分ごろ、猪苗代町蚕養字沼尻山甲にある宿泊施設の従業員から山林にいるクマを目撃したと、猪苗代署に通報があった。同署によると、クマは体長約1メートル。

(クマ目撃相次ぐ:福島)
伊達市と猪苗代町で5日、クマの目撃情報が警察署に寄せられた。▼午後6時30分ごろ、伊達市梁川町大関の畑で住民が目撃した。伊達署によると体長は約1メートルで山林に入っていったという。▼午後5時45分ごろ、猪苗代町大道西の国道459号を車で通行中の男性が道路を横切る2頭を目撃したと猪苗代署に通報した。同署によると、いずれも体長約1メートルで、山林に入っていったという。

(斜面を歩くクマ目撃:福島)
4日午後4時30分ごろ、北塩原村桧原字南黄連沢山の国道459号で、通行人が斜面を歩くクマ1頭を目撃したと、知り合いの男性通じて喜多方署大塩駐在所に通報した。同署によると、クマの体長は約1メートルで、その後の行方は分からないという。

(2日連続クマ目撃情報:青森)
五所川原市前田野目地区で6、7日、クマなど野生動物とみられる目撃情報が続いた。人的被害や農作物などへの影響はないが、市などは7日、目撃場所周辺に看板を設置したほか、市のホームページなどで注意を呼び掛けている。市によると、6日午前9時30分ごろ、同市前田野目字犬走のリンゴ畑に体長1メートル程度のクマがいるのを住民が発見。7日には午前8時20分ごろ、前田野目公民館付近でクマらしい生き物がいたのを住民が目撃した。

(また熊の足跡、「川の上流に登っていった」:群馬)
2日午前9時半ごろ、群馬県前橋市富士見町で、住人から「畑に熊の足跡がある」と警察に通報があり、市の職員が調べたところ、2日のものとみられる新しい熊の足跡が見つかりました。さらに、午後4時半ごろ、足跡があった現場近くで「川伝いに上流に登っていく熊を見た」との目撃情報もあったということです。付近では先月から熊の目撃情報が相次いでいて、警察や前橋市は熊を見つけても近づかないよう注意を呼びかけています。

(クマへの注意、改めて喚起:山形)
山形県は4月27日、県庁でクマ対策チームの会議を開いた。ツキノワグマが冬眠から覚め、活動が活発になる時期となることから、出没時の対応を確認した。県によると、ツキノワグマは県内全域に分布し、2016年4月時点の推定生息数は約2600頭。目撃件数は10年以降、16年の575件がピークで、17年は471件だった。ほぼ毎年、人身被害も出ている。会議では、今年の目撃件数が4月24日現在で前年同期比3件増の14件であることや、4月21日に西川町で捕獲活動中の人が襲われて重傷を負ったことが報告された。また、捕獲による個体数調整▽生息状況調査▽里山荒廃の防止▽新規狩猟者の確保・育成▽捕獲・追い払い・電気柵の設置▽入山者・学校への注意喚起などを申し合わせた。県は「山菜採りで山に入る時は音が鳴るものを持って人の存在を知らせ、エサとなるゴミは持ち帰ってほしい」と呼びかけている。

(捕獲クマの半数以上、県土の約6%に集中:秋田)
県内で過去2年間に捕獲されたツキノワグマの半数以上が、県土全体のおよそ6%の地域に集中していたことがわかりました。県自然保護課によりますと、県土を3キロ四方に区切った1415の区域のうち、2016年度と昨年度2017年度に5頭以上のツキノワグマが捕獲されたのは、83の区域で、合わせて666頭です。県全体で2年間に捕獲されたツキノワグマは1310頭で、県土全体のおよそ6パーセントに半数以上が集中していたことになります。また、5頭以上が捕獲された83の区域の中には、県がこれまでクマの生息域と推定していなかった大館市、能代市、三種町、五城目町の合わせて5つの区域が含まれていました。県では、集中する要因の分析を進めることにしています。

(クマ出没で、見回り活動継続:群馬)
群馬県前橋市富士見地区などでクマの目撃が相次いでいる問題で、県警や市は2日、同市富士見町米野の畑で新たな足跡を確認した。市教委は周辺の小中11校に警戒を促し、8日まで登下校時の保護者の付き添いや教職員らによる見守りを続けることを決めた。市や市教委によると、足跡は午前8時ごろ、県道渋川大胡線の北側約800メートルの畑で見つかった。午後4時半ごろには前橋白川小の100メートルほど東にある川沿いでも目撃情報が寄せられたが、市環境政策課は「イノシシの可能性もある」としている。

(イノシシ集団、連日掘り返し:愛知)
ツツジなど花の名所で知られる愛知県豊田市の県緑化センターで、芝生広場の大半が掘り返されて荒れ地のようになっている。「犯人」はイノシシ。今年度、4基の捕獲用おりを設置するなど対策に乗り出した。管理する愛知公園協会によると、イノシシは、土中のミミズや昆虫を狙って侵入し、芝生を掘り返して穴を開けているという。10年ほど前から出現していたが、昨年春以降、毎夜のようにイノシシの集団が現れるなどして、被害が一気に拡大した。センター(48万平方メートル)に17カ所計4万7千平方メートルある芝生広場の大半が被害に遭った。計7500平方メートルは修復が必要で、今は各所に立ち入りを禁止するロープが張られている。「最初の頃は掘り返される度に職員が手作業で戻していましたがきりがなくなり、もうお手上げです。芝生の張り替え工事だと誤解する方もいますが、イノシシの仕業だと聞くとみんな驚きます」と西村継博所長。対策として今年度、捕獲用のおりを新たに4基設置し、侵入を防ぐ網や柵も巡らす。予算は芝生の修復工事も含めて計900万円。同センターには、日本庭園やバラ園などがあり、隣接する昭和の森と合わせ、年間約100万人が訪れる。

(有害鳥獣の駆除学ぶ:佐賀)
上峰町の有害鳥獣対策講習会が1日、野生獣類捕獲技術研修センター(みやき町)であった。行政関係者や農業者、地域住民、狩猟免許所持者ら11人が、狩猟と有害鳥獣駆除の違いやわなの構造などについて知識を深めた。上峰町は昨年11月、狩猟免許取得費用に補助金を出すなど、有害鳥獣駆除に力を入れている。講習会は有害鳥獣の「捕獲駆除隊」発足に向け、関係者の知識や技術の向上を目指そうと開き、今後も月1回程度実施する予定。同町と連携協定を結ぶ捕獲用品開発製造の「三生」(鳥栖市)の和田三生社長が講師を務めた。講習会では、和田社長が狩猟と有害鳥獣駆除の違いについて、「有害駆除は農業や林業に被害があった場合の緊急避難的な捕獲で、短期間で終息させるのが大事」などと説明。わなの性能に加え、それを使う人の技術力が重要だと強調した。また、同社が開発・製造したイノシシや小動物用の箱わなを見学。参加者はわなの構造や、動物がかかった時の器具の動きなどを興味深く観察した。自ら狩猟免許を取得し、講習にも参加した武広勇平町長は「箱わなの種類が数多くあるなど知らないことばかり。有害鳥獣の被害軽減に向け、駆除のICT化などにも取り組みたい」と話した。上峰町内の狩猟免許所持者は現在5人。イノシシやカラスによる農作物への被害が増加しているほか、水路や法面の破壊も問題となっており、町によると被害額は年間数百万円に上るという。

(絶滅危惧植物確認、「獣害対策の成果」:京都)
国や京都府から絶滅の危険が大きい種に指定されている植物「キンラン」が、京都市西京区の嵐山国有林でこのほど確認された。近年はシカの食害の影響もあり、ほとんど見られなくなった花で、森林保護に当たる関係者は「獣害対策の成果」とみて喜んでいる。キンランはラン科の多年草。5月上~中旬ごろに小指の先ほどの小さな黄色い花を咲かせる。菌と共生する性質があり栽培は難しく、環境省の絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)や、府の絶滅危惧種に指定されている。嵐山国有林を管理する林野庁の京都大阪森林管理事務所(上京区)によると、同国有林で今回、通常は入山が禁止されている区域で1輪が見つかった。嵐山ではシカが近年急増し、植物の新芽を根こそぎ食べるように。同事務所などは2016年度から捕獲を始め、2年間で計10頭を捕えた。その結果、一時的に山からシカがいなくなり植生が復活したとみられる。また、昨年10月の台風21号で100本を超える倒木があり、山中に日光が届くようになったことも要因の一つと考えられる、という。府レッドデータブックの執筆者の1人で、同志社大非常勤講師の光田重幸さんは「これまで嵐山では見たことがない。もし山で見つけても見守ってほしい」と話す。近くでは、同じく府の絶滅危惧種のギンランも数輪確認でき、同事務所は電気柵で花を囲い、保護に努める。「シカの捕獲も地元と協力して続け、森林の環境を保全していきたい」としている。

(南禅寺の刺激臭、動物撃退用スプレーか:京都)
今月2日に京都市左京区の南禅寺で刺激臭が発生し4人が救急搬送された騒ぎで、市の委託業者が同寺周辺で動物撃退用のスプレーを噴霧したことが原因となった可能性のあることが7日、分かった。市などによると、市街地にイノシシやシカが頻繁に出没していることを受け、市が1日に東京都の業者に同寺周辺の山裾にある防護柵の点検を委託。業者は2日午前11時10~20分ごろ、同寺方丈の東側約50メートル地点で、イノシシが寄りつかないよう動物撃退用のスプレーを噴霧したという。市は「市街地近くで刺激の強いスプレーを使うことは不適切」として、業者を指導した。京都府警が業務上過失致傷の疑いで作業員と業者を調べている。刺激臭により、2日午前11時半ごろ、境内にいた観光客や職員ら24人がのどや目の痛みを訴え、このうち女性4人が救急搬送された。

(カラスの営巣、電柱に多発:北海道)
釧路、根室管内で、子作り中のカラスが電柱に巣をつくる事例が今年多発している。北海道電力釧路支店によると、4月25日現在で昨年同期を大きく上回る157件を撤去し、まだまだ増加している。釧路支店は撤去数の道内上位で、もともと営巣の多い地域。撤去費用もばかにはならないが、営巣に伴う停電も発生しており、同支店では「見掛けたらすぐに連絡を」と協力を求めている。

(繁殖期のカラスに用心:神奈川)
横須賀市は、春先から夏にかけて増加する繁殖期のカラスの被害について、注意を呼び掛けている。住民から接触トラブルも報告されている中で、市は初めて、カラスの生態を紹介するパンフレットを発行し対処法などを示している。3から8月にかけて繁殖期を迎えるカラス。先月23日に発生した大規模な停電についても、カラスが巣を作ろうとした際に送電線に接触したことが原因とみられている。住宅地やまちなかを生息地としているため、住民とのトラブルも多い。昨年度、市に寄せられた相談は60件。主に「ゴミを食い散らかされた」「攻撃された」などが報告されているという。特に5、6月は子育ての時期にあたり、親鳥が子どもを守ろうと敏感だ。市自然環境共生課は「原則カラスが人間を攻撃することはないが、雛や卵に近づいたりしたときに警告のメッセージを発することも」と話す。また、ゴミを食い散らかされる問題ついても「収納ボックスやネットがない所を集中して狙っているようだ」と分析する。

(停電1300戸、最長1時間40分:山口)
2日午前11時40分ごろ、山口市の市役所本庁舎周辺や小郡下郷の計約1320戸で、最長約1時間40分にわたり停電が発生した。中国電力によると、雨にぬれたカラスの巣や街路樹が電線に接触したことが原因とみられ、偶然同じ時間帯に発生したという。中電によると、小郡下郷の停電は午前11時42分に起きた。電柱にあったカラスの巣が雨水を含み、電線に接触したため、約500戸が停電した。その数分前には、山口市の後河原、中河原両地区でも停電が発生。電線の下の街路樹のぬれた枝が電線の防護カバーの継ぎ目に潜り込み、約820戸に影響が出た。山口署によると、周辺では市役所前など2カ所の交差点で信号が消え、警察官が交通整理をした。

(各地で停電相次ぐ、原因はカラス)
先週、神奈川県横須賀市や宮城県仙台市で大規模な停電が起きるトラブルがあった。いずれの停電もカラスが引き起こしたとみられている。この時期に多いというカラスによる停電。一体どういうことなのだろうか?埼玉県春日部市の駅近くにあるゴミ集積所。そこにはエサを食い散らかすカラスが。その近くの電柱には、カラスの巣が確認できる。今はカラスの繁殖期。周辺の電柱には別の巣も。よく見てみると無数のハンガーと木の枝を複雑に組み合わせ、作られていることがわかる。さらに、都内でもハンガーが大量に使われたカラスの巣を発見。高くて見晴らしのいい場所に巣を作る習性があるため、電柱などに巣を作ることが多いという。実は今、このカラスの巣による停電が各地で相次いでいる。先月、宮城県仙台市では3516戸が停電。この前日、山形市でも147戸が停電した。なぜ停電が起きるのだろうか?東京電力によると、巣に使われる木の枝や針金ハンガーなどが電線などに触れて停電を起こすという。2日の取材では、巣からこぼれたハンガーが電線にひっかかっているのがわかる危険な巣も。しかし繁殖期のため、ハンガーを集めるカラスがあちらこちらに出没している。さらに、賢さがよくわかる映像も。ベランダに干されたTシャツ。そこにカラスが現れ、くちばしを使ってTシャツの半分を落とし、カラスは物干しざおへ。そこからTシャツを落とし、ハンガーだけを持ち去る様子が映されていた。なぜ、ハンガーを巣作りに使うのだろうか?専門家は――鳥類学に詳しい東京大学・樋口広芳名誉教授「カラスは色のきれいなものが好きなんです。(ハンガーは)青とか赤とか白とかでね。だから好んで持って行く。頑丈ですから」木よりも丈夫なため、ハンガーを巣の基礎部分に好んで使うという。今は卵がひなにかえる時期で、巣には親鳥からエサをもらうひなたちの姿が。この時期に人間が近づくと、我が子を守ろうとする親カラスから威嚇されるという。近所の人「年配者の方とか翼で頭、傷つけられるもんね」「攻撃的なことがあると怖いなって感じます」カラスが攻撃的になるシーズンだが、停電を防ぐため、板橋区では、道路が封鎖され、ひなが巣にいないことを確認しながら、飛び出したハンガーが落下しないように、丁寧に1本ずつ取り外していく作業が行われた。そして30分後、かごに収まりきらないほどの山盛りになったハンガーが。作業員によると、こうした撤去作業は板橋区と隣の北区だけでも今年に入って36件にのぼるという。東京電力は、電柱にカラスの巣を見つけた場合は連絡をしてほしいとしている。

(ゴルフ場守る紀州犬、獣害対策:三重)
三重県桑名市のゴルフ場で、2匹の紀州犬がサルやシカなどを追い払ってコースを守る「獣害対策犬」の訓練を続けている。三重や和歌山にまたがる熊野地方が発祥とされる天然記念物の紀州犬は、古くから猟犬として活躍してきた。2匹はゴルフ客をもてなすマスコット犬としても人気。今年はいぬ年でもあり、関心が高まっている。もうすぐ5歳の雄のチャッピーと雌のピコは、約4年前に「東建多度カントリークラブ・名古屋」にやってきた。芝を掘り起こすイノシシや、花壇や森を荒らすシカ、サルの被害に悩まされていたため、勇猛さと忠実さを兼ね備えた紀州犬を飼うことになった。子犬の頃から育成を担っているのは施設管理班主任の加藤工善さん(47)。犬の訓練は素人だが、ゴルフ客が帰った後、1匹ずつ交代でリードにつないでコースを巡回する。リードを徐々に長くして自由に動き回れる範囲を広げてきた。「目標は放し飼い」で、名前を呼べば確実に戻ってくるよう特訓中だ。.

(クマと山の恵みに感謝:山形)
狩猟をなりわいとする「マタギ」の文化が残る小国町小玉川地区で4日、クマの供養や山の恵みの感謝を示す「小玉川熊まつり」が行われた。同地区では、約300年前から、猟の安全や豊猟を願う神事が続けられている。クマ狩りの模擬実演では、現役のマタギ十数人が、クマ役を誘導し仕留めるまでの一連の流れを披露した。その後、クマの毛皮を掲げた祭壇前で、山の恵みなどに感謝する神事が執りおこなわれた。会場では、今春仕留めたクマの肉を使った名物「熊汁」が約550杯用意され、来場者が舌鼓を打っていた。60年以上のマタギ歴を持つ地元の伊藤慎太郎さん(76)は「近年はクマの目撃も多い。今年も安全な猟が願えて良かった」と話した。

(E型肝炎ウイルスショック「ジビエ料理」安全な食べ方)
ジビエブームに対応策が迫られている。今年1月、輸血用の血液製剤からE型肝炎ウイルス(HEV)に感染し、80代の女性が昨年死亡していたことが報じられ、血液製剤供給元の献血者がシカの生肉を食べたことで血液製剤が“汚染”されていたことが原因とみられる。ブームのジビエ(野生鳥獣)料理に警鐘を鳴らす事態は、害獣を食肉に変えようと奮闘する地域の人々にとっては死活問題。ジビエの安全な食べ方の普及が急務となっている。多発性骨髄腫の治療を受けていた80代女性が昨年7月、輸血用血液製剤でHEVに感染、3か月後に劇症肝炎で死亡したとの事例が今年1月末に日本赤十字社から発表された。HEV混入による死亡例は世界で初めてだという。抗がん剤治療による肝機能の低下も劇症肝炎発症の要因とみられる。この血液製剤の供給元の献血者からは、女性と同じ型のウイルスが検出された。献血者はE型肝炎を発症していないが、献血の2か月前にシカの生肉を食べたことで感染したとみられる。日赤によると、HEVの輸血による感染が特定されたのは23例(2002~16年)でどれもブタ、イノシシ、シカ等の内臓生肉を6か月以内に食べた献血者が主な経路と想定されている。HEVは主に経口感染だが、半数は原因不明。ジビエのほか、市販の貝類(ムール貝、カキ、ヤマトシジミ)や、意外なところではベリー類(ストロベリー、ラズベリー)からも検出報告がある。HEV検査は現在、北海道のみで実施され、国内で採血された献血血液に対する検査の早期導入も進むが、早くとも2年はかかる見込みだ。安全と思われた献血からの感染事例は衝撃的で、シカ肉が持つE型肝炎のリスクに驚いた人も多い。そもそも、シカは草食で“クリーン”な生き物と思われている。しかし「シカがイノシシの糞や死骸を食べた目撃情報もある。野生なので、どこでどんな生活をしているかはわからない」とは鹿児島県阿久根市のジビエ解体処理施設「いかくら(猪鹿倉)阿久根」の奥平和夫さんだ。同社では、捕獲されたイノシシやシカを解体処理し、持ち込んだ希望者には食肉(内臓は焼却)にして返している。ジビエで地域おこしをしようと試食会を開催するなど、施設は消費普及に努めている。背景には、特産のボンタンをはじめとする農作物を荒らす害獣の被害がある。「害獣が根こそぎ掘るから、果樹は一度被害を受けただけで死んでしまう。農家は後継ぎがいないし、荒らされたら廃業だ」(奥平さん)ジビエの消費拡大は里山の自然を守ることと地続き。E型肝炎リスクの風評が広まることは地域の人々にとっては死活問題だ。奥平さんは「E型肝炎防止には生肉を食べないこと。冷凍もダメ」と強調する。冷凍すると寄生虫は死滅するが、ウイルス類は解凍と同時に活発に動きだす。とにかく加熱が必須だ。東京都福祉保健局ではジビエの「十分な加熱調理」を「中心部の温度が75度で1分間以上、またはこれと同等以上の効力を有する方法」と定義している。自然派志向もあってジビエ料理は全国的にも大人気だが、生の「シカ刺し」を提供する店も存在する。「安全な調理法を知らない店が少なくない」(奥平さん)ジビエそのものは自然育ち。「抗生物質も入ってないし、安全で高品位の食べ物。おいしく、安全に食べたほうがイノシシやシカも喜ぶと思う」(奥平さん)。それに尽きる。

(道の駅にシカ肉のご当地グルメ:北海道)
根室市内の道の駅スワン44ねむろ(市酪陽1)は、5月の月替わりメニュー「44ランチ」に「エゾシカエスカ」を採用し、1日から館内のレストランで販売している。根室のご当地グルメ「エスカロップ」のトンカツをエゾシカ肉に替えてアレンジした「エゾシカエスカロップ」。根室産のエゾシカ肉をサクサク衣で覆い、タケノコ入りバターライスの上に載せ、特性デミグラスソースで仕上げた。同駅スタッフは「根室で生まれたご当地グルメの、根室ならではの新メニューを味わってほしい」と呼び掛けている。

(県立とべ動物園に普及啓発看板を設置:愛媛)
「四国のクマ」を守ろう―。絶滅の危機にある四国のツキノワグマの現状を知ってもらおうと、日本自然保護協会(東京)などがこのほど、愛媛県立とべ動物園(砥部町上原町)に普及啓発看板を設置した。園とともに「身近な動物として、もっとクマのことを知ってほしい」と訴えている。

(鉄砲打ちの春の風物詩、年に1度の“召集令状”が今年も来た)
“召集令状”は、もちろん今年もやってきた。「4月×日、○○警察署で一斉検査を行います。所定の用紙に必要事項を記入の上…」大きめの封筒の送り主は居住地の所轄警察署。春の風物詩ともいえる「銃砲全国一斉検査」は、銃を持つ者に課せられた年に1度の義務。競技用、狩猟用の散弾銃やライフル、空気銃はもちろん、建設用の鋲撃ち銃も検査の対象だ。許可証に記載の銃番号を照会、銃の長さなどを計測して違法な改造はないかを調べる。車検のようなものではあるが、最大の違いは、きちんと目的通りに使用しているかの確認だ。3年使用実績がなければ「眠り銃」として、許可取り消しの理由になる。昨年までは標的射撃、つまりクレー射撃用の1丁だったが、狩猟用を入手したため計2丁分の書類も書かないといけない。いつ、どこの射撃場で何発消費したか、狩猟には何度行ったか、残弾数を記入、銃をしまうロッカーの配置図と写真…。提出書類をそろえるも大変だが、警察署に銃を持ち込むのも大変なのだ。複数所有者が一度に持ちきれず、1丁を車に置いて検査会場に向かったことで「放置」とみなされ所持許可を取り消された例があるという。当日は6丁、7丁と所持しているベテランもいて、ゴルフの手引きカートのようなものに載せて持ち込んでいた。某署6階の会議室が検査場。開始の午前9時少し前に行くと、すでに3人が待っていた。銃砲安全協会に4000円の会費を支払い、記載内容の確認、計測を終えたら最後は面談。いつもお世話になっている担当の警察官で、話は早い。警察官「結構、猟に出てますね」記者「なかなか捕らえられませんけど…」警察官「きょうは仕事大丈夫でした?」記者「今からデーゲームに向かいます」警察官「それはご苦労さま。これで終了です」およそ20分。毎年のこととはいえ、これが終わるとホッとする。銃の扱いに関しては安全第一、法令遵守なのである。銃の許可を取るまでの苦労を考えたら、このくらいどうってことない。

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(「クマ出没」警戒中の猟友会男性、襲われ顔負傷:秋田)
秋田県内では1日、東成瀬村の山林でクマによる人身被害が1件発生し、秋田、大館、鹿角の各市の民家や農地の周辺では目撃が相次いだ。今年に入り、クマの目撃件数(4月末時点)は前年同期の2・6倍で推移している。山歩きや山菜採りなどで県民らが山林に入る機会が増えるこの時期は、冬眠を終えたクマも活発に動き出す。県や自治体で安全対策を進めるとともに、警戒を呼びかけている。横手署の発表によると、1日午後5時50分頃、東成瀬村椿川の山林で地元猟友会の60歳代男性がクマに襲われた。周辺でのクマの目撃情報を受け、男性は猟友会の仲間2人とともに警戒にあたっていたところ、体長約1・2メートルのクマと遭遇。襲われて顔を負傷した。被害に気づいた仲間がクマを狙撃したが、その後の行方は分かっていない。男性は横手市内の病院に救急搬送され、治療を受けている。4月22日には北秋田市の山林でクマの生息調査にあたっていた地元猟友会員の男性が額の辺りをかまれるなどし、同29日にはにかほ市の竹林でタケノコ採りをしていた男性が腕を爪でひっかかれ、それぞれ負傷している。県警のまとめによると、県内では今年に入ってクマの目撃が42件(4月末時点)に上り、前年同期(16件)の2・6倍となっている。県は「ツキノワグマ出没に関する注意報」を発令中だ。

(狩猟ビジネス参入を、担い手確保へ多角講習:千葉)
イノシシやシカによる農作物被害が深刻化する中、有害鳥獣を捕獲する新たな担い手を確保しようと、君津市は先月28日、同市大山野の周南公民館で、全12回の講習会「狩猟ビジネス学校」を初開催した。捕獲者は高齢化しているのが現状で、ジビエ(野生鳥獣肉)を活用した狩猟ビジネスのモデルや実践法を紹介し、参入者を増やす狙いだ。市農政課によると、野生鳥獣の捕獲や販売といった狩猟ビジネスを展開する株式会社「プロット」(埼玉県飯能市)に事業を委託し、来年3月までに月1回開催する。鳥獣の解体法やくくりわなの作り方、ジビエカフェの運営など、狩猟ビジネスを多角的に学べる全国的にも珍しい取り組みという。事業費は約240万円。千葉県内2番目の市域に広い山林地帯を抱える君津市では2016年度、有害鳥獣による農作物被害が県内最多の約4700万円に上り、イノシシやシカなど5千頭以上が捕獲された。市内には三つの獣肉処理加工施設があり、市はジビエ料理の振興にも注力して被害の減少を目指している。だが、捕獲者の多くは猟友会のメンバーや、自らの農地を守るため捕獲資格を取った農家らで、高齢化が進む。捕獲数に応じて市や国から補助金が出るが、これだけでは生計は立てられず、担い手確保のハードルになっているという。そこで市は、野生鳥獣を有効活用する狩猟ビジネスへの参入を促し、捕獲を“なりわい”にしてもらおうと講習会を開催した。初回の28日は、県内外から訪れた20~70代の男女約50人が参加。3班に分かれてシカを解体したり、同社が運営する「猟師工房」の事業を学んだりした。大分県豊後大野市から受講した看護師の佐藤栄佑さん(29)は「ジビエのビジネスに興味がある。ゆくゆくは起業できれば」と真剣な面持ちで解体作業に加わった。猟師工房の原田祐介代表(45)によると、狩猟ビジネスは、定年後の地域貢献や40代半ばの脱サラを考えている会社員、大学の狩猟部に所属する若者など、興味を持つ人が増えているという。原田代表は「個人で何とかしようと思っても小規模で限りがある。地域ごとに狩猟ビジネスができる土壌を作り、行政とともに狩猟に関する雇用の創出に取り組みたい」と講習会の意義を語る。県内で16年度に捕獲されたイノシシのうち、ジビエ料理に利用されたのは約1%と活用が進んでいない課題もあり、「捕ってもうまく食肉に替える仕組みができていない。田舎で捕って都会で売る仕組みを作りたい」と原田代表は意気込む。同課は「将来的に捕獲を継続させるためには今から従事者を育てないと。仕事として若い人たちが担ってくれれば」と期待した。次回は5月19日に開催(申し込みは同月7日まで)。第3~12回は全て受講できる人を優先的に参加者を募集する(締め切りは6月8日)。受講料は各回3千円から。

(クマ出没か:島根)
4月30日午後9時ごろ、松江市東出雲町揖屋の山陰道高架橋の下の市道を車で通りかかった市民から、クマらしき動物を1頭目撃したとの通報が松江署にあった。体長約1メートルで、道路を横断し竹やぶに入って行ったという。地元猟友会などが1日、現地調査をしたがクマは発見できず、市は注意を呼びかけている。

(道路でシカ目撃:栃木)
1日午前10時50分ごろ、下古山の道路。1頭。通行人が体長約1メートルの角の生えたシカを目撃した。

(サルの目撃情報:熊本)
熊本東署によると、2日午前7時ごろから同11時20分ごろまでの間、熊本市東区若葉5丁目から秋津1丁目までの範囲で、サルの目撃情報があったという。サルは体長60~70cmくらいで、いまだ捕獲されていない。同署は猿を見つけたら猿を刺激せず、110番通報または熊本東署への連絡を呼びかけている。

(サルの目撃情報相次ぐ:石川)
羽咋市では、連休前からサルの目撃情報が相次いでいる。市では、サルに近づかないよう住民に注意を呼びかけている。羽咋市内で相次ぐサルの出没。4月28日、邑知潟に近い鹿島路町で撮影されたサルの画像をみると、民家の屋根に1匹でたたずんでいる姿が。羽咋市によると4月19日から30日までに6回サルが目撃されている。市では、目撃されているサルはすべて同じ個体であり、群れからはぐれて人里に下りてきたものとみている。今のところ、サルによる被害は報告されていないが、羽咋市では、サルを目撃しても決して近づかないよう住民に注意を呼びかけている。

(今年も入山規制:秋田)
鹿角市は1日、クマによる人身被害の防止に向け、2年前に死傷者が出た同市十和田大湯地区で入山規制を始めた。同地区で市道、林道、私道から山林への入り口約50か所を通行止めとした。入山規制は、2016年5~6月、山菜採り中にクマに襲われたとみられ、6人が死傷した人身被害を受けた措置で、昨年に続いて実施する。市職員らが通行止めの看板とバリケードを設置する作業を行った。本格的な山菜採りシーズンを控え、市は「奥山はクマの生息地。入山しないのがベスト」としている。

(クマが例年より早く活発化:石川)
28日に金沢市でクマに男性が襲われる被害が発生するなど、ことしはクマの動きが早くから活発化している。なぜ早まっているのだろうか。専門家に話を聞いた。金沢市湯涌地区では4月28日、近くの山中で山菜採りをしていた男性が子グマに襲われ、大けがをしている。警察などに見守られながら登校する児童たち。周辺の人からは不安の声があがっている。去年1年間にクマが目撃された件数をみると、5月から7月に集中して目撃されているのが分かる。県によると、中でも、ことしは目撃情報が例年よりも1、2週間ほど早いという。なぜこの時期から動きが活発化しているのか。専門家は、3月にあたたかい日が続き、雪解けが早く進んだ分、行動範囲も早く広がったとみている。山に入ったときに、クマとの遭遇を防ぐためには、鈴や笛などを使って、クマに人がいることを知らせることが大事だという。

(猟師が仕留めた熊肉でカレー:秋田)
秋田県大仙市と同市協和地域の事業者が「きょうわ縁結びグルメ」と銘打ち、共同で開発している加工品やレストランのメニューが充実してきた。同地域の魅力を発信しようと2年前に始めた事業。イワナ、蜂蜜など地元の食材を使っているのが特徴で、酒のつまみにぴったりの品やスイーツのほか、4月には「熊カレー」も登場し商品は計12品となった。熊カレー以外は道の駅協和などで購入できる。市協和支所の担当者は「行楽で協和を通った際には、ぜひ立ち寄り購入してほしい」と話している。同地域には国道13、46号が通りJRの駅もあるが、「地域に人の流れを生み出せていないのが現状」と同支所担当者。これまで少なかった協和ならではの商品を生み出し、誘客を図ろうと取り組みはじめた。「熊カレー」は「協和温泉四季の湯」のレストランで提供(税込み1080円)。地元猟友会員が仕留めたクマの肉が入っている。同地域はクマの出没多発地域で駆除件数も多い。クマを「山からの贈り物」として大切に扱いたいとの思いから、肉を使ったメニューが生まれた。下処理をしっかりすることで独特の獣臭さは少ない。ジャガイモやニンジンなどの野菜も協和産にこだわった。

(屋久島のジビエ料理店が1周年:鹿児島)
鹿肉料理専門店の「ハンターショップ ちーぞー」が5月5日で1周年を迎える。2000年から屋久町猟友会に所属する現役ハンターの日高陽三さんが、「鹿肉のおいしさを多くの人に知ってもらいたい」と開いた同店。仕留めたシカは島内の解体精肉所にいったん納め、精肉されたモモ肉を使う。ランチタイムのみの営業で、猟友会の会員や近くの官公庁の職員が多く訪れる。提供するのは、ニホンジカの亜種であるヤクシカの料理。メインは、鹿肉のナポリタン風、竜田揚げ丼、カレーライスの3種類(以上400円)。300円増しで、鹿汁とサラダ、デザート、ドリンクバーのセットにできる。店内では、ヤクシカの頭蓋骨(1万円~)なども販売。狩猟関係の専門書やフリーペーパーも取りそろえ、屋久島の狩猟の情報を発信する。60代の会員が中心の屋久町猟友会において、40代の日高さんは若手。屋久町猟友会の事務も担当しており、ヤクシカや狩猟に関する質問も随時受け付けている。1周年を機に週3日営業から週4日営業に変更した。

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(山菜採りの男性、クマにひっかかれ腹部かまれる:石川)
28日午前8時45分頃、金沢市湯涌田子島町の山中で、山菜採りをしていた石川県白山市の70歳代の無職男性がクマに襲われ、顔面や腹部などを負傷した。男性は金沢市内の病院に搬送されたが、命に別条はないという。金沢中署や金沢市が注意を呼び掛けている。同署の発表によると、男性は前から襲ってきたクマに、顔面や左手をひっかかれ、腹部をかまれた。男性は約15分後に自力で110番した。猟友会や同署員らが付近を捜索したが、クマは山奥に逃げたとみられ、発見には至っていない。市は同日、現場付近の1か所に捕獲用のオリを設置し、ホームページで注意を呼び掛けている。現場はJR金沢駅から南東約15キロ・メートルで、高尾山の麓にあたる。石川県の集計によると、県内では昨年、4月と12月に人がクマに襲われる事案が発生した。同市森林再生課によると、市内では今年、27日までにクマの目撃情報は4件あるが、負傷者が出たのは初めて。同課の担当者は、「山菜採りなどで山中に入る時は、複数人でグループを作り、ラジオや鈴などで音を出して行動してほしい」と呼び掛けている。

(タケノコ採り中、クマに襲われ男性軽傷:秋田)
29日午前10時半ごろ、にかほ市馬場字冬師山の山林でタケノコ採りをしていた同市院内の男性(87)がクマに襲われ、左腕を爪で引っ掛かれる軽傷を負った。にかほ署によると、男性は友人と2人でタケノコを採っており、顔を上げたところ突然、体長約1・5メートルのクマ1頭に襲われた。男性が大声を上げると、クマは北側の方向へ立ち去った。男性はクマよけの鈴を身に着けていたという。

(山林でクマ目撃、タケノコ掘りに来ていた男性:福島)
28日午前8時5分ごろ、二本松市下川崎字岡田の山林で、タケノコ掘りに来ていた男性がクマ1頭を目撃したと、二本松署に通報した。男性にけがはなかった。同署によると、クマは体長約1.5メートル。同署や市が現場周辺に注意を呼び掛けた。

(クマ1頭を目撃:北海道)
4月29日午後6時ごろ、根室市豊里の道道に架かるサンコタン橋近くの牧草地で、市民がクマ1頭を見つけ警察に通報した。現場は根室半島の先端に近く、クマが目撃されるのは珍しい。市などは注意を呼び掛けている。

(クマ目撃相次ぎ登下校見守りへ:群馬)
30日午後0時40分ごろ、群馬県前橋市富士見町原之郷の原小付近でクマ1頭が目撃された。前橋署や地元の猟友会のメンバーらが付近を捜したが、見つかっていない。同市はメール配信システム「まちの安全ひろメール」で注意を呼び掛けている。同市富士見町周辺ではクマの目撃情報が相次いでおり、市教委は原小や時沢小など近隣の小中学校の保護者に対し1、2日の登下校時の見守りへの協力を依頼した。市教委などもパトロールを予定している。

(クマ目撃情報、付近の学校で見守りや警戒:群馬)
27日午前3時25分ごろ、前橋市日輪寺町の国道17号上武道路の側道で、クマが1頭いるのを通行中の男性が見つけ、110番通報した。けが人などの被害は確認されていない。同市では21日にも富士見町時沢で目撃情報があった。群馬県警前橋署は「絶対に近づかず、すぐに市や警察署に通報してほしい」と呼び掛けている。市赤城森林事務所が地元の猟友会と連携して捜索し、同署がパトロールしている。目撃された場所に近い南橘中は、生徒の登校時間帯に職員が通学路付近を車でパトロールした。桃川小も見守りや警戒を行い、下校時は複数で帰るよう指導した。

(クマ1頭を目撃:秋田)
28日午前10時20分ごろ、秋田市仁別の太平山リゾート公園テニスコート付近にクマがいるのを、同市の50代男性が見つけ110番した。

(ライフル銃を積んだ盗難車保管の男性、不起訴:茨城)
競技用ライフル銃を積んだ盗難車をヤードと呼ばれる解体場で保管していたなどとして、昨年12月に盗品等保管と銃刀法違反の両容疑で現行犯逮捕された土浦市の男性(43)について、水戸地検は不起訴処分(容疑不十分)とした。

(有害鳥獣被害対策実施隊に猟友会員を任命:岡山)
井原市は、年々深刻になっているイノシシなど有害鳥獣による農作物被害の対策強化を図るため、猟友会員47人を「市鳥獣被害対策実施隊」に任命した。住民からの報告・相談に迅速に対応し、追い払いや駆除に当たる。

(早池峰山シカ生息密度急上昇、食害も増加:岩手)
東北森林管理局は26日、花巻、宮古、遠野の3市にまたがる早池峰山(1917メートル)で、ニホンジカの生息密度が高まり、貴重な高山植物がある区域への進入が進んでいる実態を公表した。昨年度行った生息状況調査の結果、2011年度と比べて生息密度が5・5倍に急上昇。食害も増えており、現状のまま放置すれば、高山植物など植物が無くなる恐れもある。調査は昨年の夏から秋に実施。山頂を中心に1万2千ヘクタールを30区域に分け、生息密度や食害状況、希少植物への被害を調べた。ふんの数を基に調べた平均生息密度は1平方キロメートル当たり8・2頭。11年度調査は同1・5頭だった。自然植生に目立った影響が出ないとされる密度、同3~5頭を大きく上回る。前回ゼロだった区域で新たに確認されたのは13区域。小田越(おだごえ)登山口東側は同25・7頭、河原の坊登山口付近は同10・2頭。鶏頭山の北側も密度が上がり、山頂の北側、南側ともに増加傾向にある。

(伊勢堂岱遺跡のクマ対策:秋田)
クマの出没により昨年6月から一般公開を中止していた北秋田市の国指定史跡・伊勢堂岱遺跡が、今月21日から公開を再開した。電気柵や緩衝地帯を設けるなどクマの侵入を防ぐ対策を講じ、見学者の安全確保に努めたという。文化財を巡るクマ対策は全国でも例がなく、同遺跡がモデルケースとなる可能性がある。同遺跡は、世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」の17構成遺跡の一つ。遺跡南側が山林に接しており、2016年5月からクマの目撃が相次いでいた。昨年7月には見回り中の市教育委員会職員が襲われて負傷する人身被害も発生。2年連続で一般公開を中止する事態になったことから、市は専門家や関係機関で組織する検討会を立ち上げ、文化庁とも協議しながら安全対策を進めていた。

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