<射撃ニュース6月>
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(県クレー協が不正受給、使途不明500万円か:福島)
県クレー射撃協会が県体育協会の選手強化費数百万円を不正受給していたことが13日、県体協への取材で分かった。県クレー射撃協会が提出した射撃場の使用料や装弾代の領収書が偽造されるなどしていた。県体協の調査では、強化費の実績報告書が保管されている2013(平成25)~17年度の5年間の不正が確認されている。関係者によると、不正受給額は約500万円に上り、使途不明となっているという。県体協によると、実績報告書には射撃場の使用料などのほか、弁当代、交通費などの領収書が添付されていたが、領収書の判子が偽造されるなどしていた。関係者から指摘を受けた県体協が4月から調査。県クレー射撃協会役員らへの聞き取りを行ったほか、領収書の発行元に問い合わせ、不正を確認した。県体協に提出された選手強化計画書に基づく練習などは行われていなかったという。県体協は、強化費の返還請求の準備を進めており、強化費の支給停止などの処分を検討している。県体協の事務局長は「各競技団体と連携し、選手強化に取り組んでいる中での事案で遺憾なこと。現在、返還請求に向け準備している」としている。

(サルと間違え誤射、散弾銃の弾あたり男性重体:千葉)
14日午後4時45分ごろ、千葉県鴨川市小湊で、自宅敷地内の草取りをしていた60代の男性が、すぐ裏手の山林に出没していたサルを駆除しようと猟銃を発砲。山林内にいた近所の70代男性の頭頂部に銃弾が当たり、男性は市内の病院に搬送されたが、意識不明の重体だという。県警鴨川署によると、発砲した男性は千葉県猟友会に所属し、猟銃所持許可を取得していた。署は、周囲に人がいないかよく確認しないまま発砲した可能性があるとみて調べている。

(寄生虫が原因か、シカ刺しで食中毒:和歌山)
和歌山県は13日、田辺保健所管内で今月上旬、野生のシカを解体して刺し身で食べた男性3人(60代2人と70代1人)が下痢や嘔吐(おうと)を発症する食中毒があったと発表した。1人が入院したが、全員回復した。寄生虫が原因とみている。県によると、男性らは2日、猟師から捕獲したシカを譲り受けて解体。その日に自宅で背身や肝臓を刺し身にして3人で食べたところ、3人とも下痢や嘔吐を発症。このうち60代男性は一時入院した。田辺保健所は3人の共通の食事や医師の診断から、シカを生食したことによる食中毒と断定した。県によると、原因物質はサルコシスティス属寄生虫と推定される。この寄生虫の食中毒は、馬肉ではよくみられるが、鹿肉での有症事例は少ないという。

(射撃場鉛汚染問題、隣接民有地を買収へ:佐賀)
伊万里市散弾銃射撃場の鉛汚染問題で同市は11日、隣接民有地(休耕田)の買収費1072万円を6月補正予算案に計上すると発表した。鉛汚染問題の最大の課題は、解決に向けて大きく前進する。鉛汚染の最大範囲は全体で15・8ヘクタール。民有地はその5%の0・85ヘクタールにすぎないが、市は5年前の散弾銃射撃場環境対策検討委員会の発足当初から「市による土壌汚染調査の必要性」を訴えていた。その理由を市は「民有地の汚染は旧射撃場の鉛弾と現射撃場から出ている表流水による複合汚染。だが、旧射撃場を運営していた民間団体の管理者は今はいない」と説明した。これに対し学者委員は「土壌汚染対策法は地権者に調査義務を課している」と、市による調査に強く反対した。民有地の登記簿上の地権者は4人だが、全員が死亡。15筆ある土地は各1筆に複数の相続人が想定された。更に相続人から「耕作を再開するので市が汚染土壌の総入れ替えを」と求める声もあり、行き詰まった。しかし、2年前から地権者側の意向が変化。市は民有地全体を買収して大規模沈砂地を設置する構想を打ち出し、地権者と接触を続けてきた。市によると、全相続人は3グループ(親族)に分かれている。買収について各親族間で話し合いが進んでいるという。市は「買収の金額がないと話が進まない」と、買収費を予算案に計上した。市議会の可決と親族間の話し合いの結果を待って買収交渉に入る。表流水を浄化する大型沈砂地の設置で土壌汚染対策法が求める「汚染の場外拡散の防止」は達成できる。残りは新旧射撃場の鉛の除去。対策法は「鉛の場内封じ込め」も対策として認めている。検討委の方針が注目される。

(クマに襲われ男性けが:秋田)
13日午後5時35分ごろ、秋田市河辺和田の竹林で、伐採作業をしていた近くの会社員の男性(69)がクマに襲われた。秋田東署によると、男性は顔や右腕などを引っかかれ、軽傷。自力で帰宅し、家族が119番通報した。同署と県などは14日、現場付近の住民や学校にチラシを配布した。「一人で山に入らない」「鈴などをつけて人間の存在を知らせる」などと注意喚起した。近くに住む園芸業、藤田静雄さん(67)は「このあたりで人がクマに襲われてけがをしたのは初めて。登下校する子どもへの対応などを考えると、非常に怖い」と話していた。県警のまとめによると、県内でクマによる人身被害は今年4件目。目撃数は13日までに280件で、昨年同時期より49件増えている。県警地域課の担当者は「山には一人で入らないようにしてほしい」と呼びかけている。

(クマがハト小屋侵入、30羽被害:岩手)
宮古市田老、漁業山本源一郎さん(66)方のハト小屋にクマが侵入し、飼育していたレース用のハト約30羽が食べられるなどの被害を受けたことが14日分かった。山本さんは13日午後9時ごろ、飼い犬がほえたため外を確認し、ハト小屋から約1メートルの所に体長約1・5メートルのクマを発見。竹の棒を振り回したり、爆竹を鳴らしたりして追い払おうとしたが、小屋から10メートル以上離れなかった。山本さんは被害を防ぐため穴をふさぐフェンスと木枠を設置した。14日午前0時40分に小屋周辺を見回り就寝したが、約4時間後に確認したところ、金網に穴が開けられ、ハト1羽の死骸があった。ハト小屋は8日にも2カ所に穴を開けられ、ハトが被害に遭ったばかり。山本さんは、穴をふさぎ、わな11個を仕掛けていたが被害を防げなかった。14日にクマが去った後でハトを数えると、約80羽いたハトが8日と13、14日を合わせて約50羽に減っていた。クマに食べられたり、逃げたりしたとみられる。

(シカ首に“矢”が:奈良)
奈良公園で首に矢のようなものが刺さったシカが見つかった。警察は文化財保護法違反の疑いで捜査している。問題の物体。長さは15センチほど。鉛筆の芯に紙が巻かれ、矢として使われた。標的となったのは、あの人気者だ。奈良公園のシカ。13日に1頭が首に刺さっている状態で見つかった。興奮した様子のシカ。無事、公園に帰されたが、一件落着とはいかない。奈良公園のシカは国の天然記念物。こうした行為は文化財保護法違反の疑いもあるというのだ。奈良公園では、14日朝もシカにヘッドロックをして記念撮影をする人たちが。明らかな虐待などでなければ事件化はしにくいというが要注意だ。他にも気になる点が。この矢どこかで見たことがある。今年4月、宮城県石巻市でユリカモメが狙われたときのもので、奈良と同様紙を巻いたように見える。こうした事件ではアーチェリーとライフルを組み合わせたボウガンという銃が使われることがある。奈良のシカも肉を売る目的で被害を受けたことがあった。警察は悪質ないたずらとみて捜査している。

(クマ狩猟解禁日、半月前倒し:岩手)
県環境審議会自然・鳥獣部会(部会長・青井俊樹岩手大名誉教授)は12日、盛岡市内で会合を開き、ツキノワグマの狩猟解禁日を現在の11月15日から同1日に半月前倒しすることを決めた。クマの狩猟解禁日の前倒しは全国でも珍しく、本年度から運用を開始する。期間延長で狩猟者が野山でクマを追い回す、クマに銃声を聞かせる機会が増えると想定。人間の怖さや存在を学習させ、人里への出没抑制を狙う。終了日の翌年2月15日は据え置き、狩猟期間は3カ月から3カ月半に延長される。市町村や関係団体から反対意見はなかった。委員の菅野範正県猟友会専務理事は「11月のクマは冬ごもりに向けて栄養を蓄える期間。里山に出てくることがあり、学習させるには有効だ」と強調する。

(ワナにかかったクマ射殺:岐阜)
13日午前6時半頃、関ヶ原町関ヶ原の伊吹山ドライブウェイのゲートから北東約600メートルの林道沿いで、害獣捕獲用のワナにかかったクマが見つかった。垂井署の発表によると、クマは体長約1メートル、体重約80キロのオス。暴れていたため、ワナを外して逃げる危険があるとして、発見した町有害鳥獣捕獲隊の猟友会員の男性(65)が射殺した。約1時間前には東へ約2キロ離れた同町関ヶ原の八幡池付近で、同隊の別の男性がクマを目撃。山の中へ逃げたといい、射殺したクマとは別の個体とみられる。さらに、池田町の池田山の麓でも同日午前10時40分頃、ふれあい街道を散歩していた男性が子グマ1頭を目撃し、揖斐署に通報した。同町では5月下旬にも子グマの目撃情報が2件あったという。両署は各町の教育委員会を通じ、小中学校に対し、野外活動や登下校などの際、注意するよう通知した。県環境企画課は「今年は、前年に餌が多かったなどの影響から、多数のクマが出没する恐れがある。クマが生息するとみられる場所には立ち入らないようにしてほしい」としている。

(クマ、民家で木に登る:富山)
14日午前8時20分ごろ、砺波市鹿島の路上にクマが歩いているのを住民が見つけ、砺波署に通報した。その後も目撃情報が相次ぎ、同日午後1時58分に市鳥獣被害対策実施隊のメンバーが同市荒高屋の民家の庭の木に登っていたクマを射殺した。けが人はいなかった。市農業振興課によると、射殺されたのは体長107センチ、体高56センチ、体重43キロのメスのツキノワグマ。クマが射殺された民家から約1キロの場所には市立砺波南部小学校があり、下校の時間が迫っていたことなどから、射殺したという。

(庭にクマ、射殺:富山)
十四日午後零時半ごろ、富山県砺波市荒高屋の民家の庭にツキノワグマが入り込み、約一時間半後、猟友会員らで組織する市鳥獣被害対策実施隊の隊員らが、杉の上にいるところを射殺した。砺波署などによると、雌の成獣で体長一〇七センチ、体重四三キロ。午前八時半ごろ、近くの同市鹿島で住民がクマを目撃。署員や市職員らが付近を捜していたところ、市道などを歩き、民家の屋敷林の庭に入るのを見つけた。そばに住宅が並んでいるため、市と署は麻酔銃を使った場合、クマが暴れて非常に危険性が高いと判断。市街地での猟銃によるクマの駆除に関する国の通達に従って署員による安全確保のもとで射殺した。現場はJR砺波駅の南約三キロの県園芸研究所近くで、最も近い山まで庄川を挟んで四キロ以上ある。民家の男性(89)は「窓の外を見たらクマが庭にいた。こんなところに出るとは驚いた」と話した。県自然保護課によると、十三日現在のことしの県内のクマの目撃情報(痕跡確認含む)は三十四件でほぼ平年並み。担当者は「新緑が終わり、山菜や木の実が少なくなる上、六、七月は発情期でもある。経験の浅い若グマが親離れして歩き回り、里に下りてくることもある」と話している。

(クマ出没、小学校で集団下校:宮城)
12日午前8時35分ごろ、仙台市泉区紫山1丁目付近の雑木林で、クマ1頭(体長約1メートル)の目撃情報があった。近くの寺岡小(児童768人)で学年ごとに集団下校したほか、寺岡中(生徒393人)も全校集会で注意を呼び掛けた。目撃現場から南東約800メートルで最寄りの仙台白百合学園中高(生徒560人)は、休み時間に放送でクマの目撃情報を周知した。泉署によると、1日にもほぼ同じ場所でクマが目撃された。

(クマ出没相次ぐ:秋田)
秋田県内で14日、クマの出没が相次いだ。けが人はいなかった。秋田市金足鳰崎字細首の県道では午前10時半ごろ、同市の60代男性が運転する車がクマと衝突、車のバンパーが破損した。鹿角市尾去沢字上山では午後1時半ごろ、尾去沢中学校の敷地内に体長約1メートルのクマがいるのを、車で通り掛かった保護者が見つけた。湯沢市山田字勇ケ岡の介護施設敷地内でも午前10時45分ごろ、40代男性職員が体長約60センチのクマを目撃。能代市桧山字赤館の茶畑や横手市大森町猿田の市道(通称・出羽グリーンロード)などでもクマが目撃された。

(歩道上にクマ:栃木)
戦場ヶ原の歩道上にクマが出没。12日午後7時40分ごろ、中宮祠、戦場ヶ原の歩道、体長約60センチ。

(熊出没注意、観光スポットでも目撃:山梨)
山梨県内各地でクマが目撃されている。4~5月の目撃件数は26件で、記録が残る2013年度以降で最も多くなった。クマは6~7月の繁殖期に相手を求めて動き回るため、県は警戒を呼びかけている。5月31日午前10時頃、富士吉田市新倉の新倉山浅間公園近くのハイキングコース付近に、子グマとみられるクマ1頭がいるのを通りかかった男性が発見した。この公園は、五重塔と富士山を一望できる人気の観光スポット。市は「熊出没注意」のポスターをコース沿いの木に貼り、猟友会員がパトロールを行っているが、クマは見つかっていない。ほぼ同じ時間には、富士吉田市上吉田の市営熊穴団地でも、住民が成獣とみられる体長1メートルほどのクマ1頭を発見。約2キロ離れた小学校2校では、クマが目撃された地域に住む児童の下校に教員が付き添った。市は防災行政無線で住民に注意を呼びかけるなど対応に追われた。6月に入っても、4日午後3時頃には、富士川町鰍沢の川で魚を取って食べているクマが目撃された。5~6日には、甲州市の畑や山林で計3件の目撃情報が寄せられている。山梨県みどり自然課によると、クマは県内全域の山に生息していて、約700頭いると推測されている。6~7月は繁殖期で、相手を求めて動き回るために行動範囲が広くなり、目撃情報が増える。昨年度のクマの目撃件数は122件だが、ほぼ半数の63件は6~7月に集中している。同課の担当者は、「山に囲まれた山梨県では、クマはどこに現れても不思議ではない。不測の事態を防ぐために、クマと接触する機会を少しでも減らすことが重要だ」と話している。

(クマ目撃、過去最多のペース:山梨)
山梨県内各地で熊の出没が相次いでいる。11日にも南アルプス市の県道に現れた。県が確認している今年度の目撃情報は33件35頭(12日現在)で過去最多のペースで推移している。ただ熊は本来おとなしい性格で、県は「見かけても騒いだりして刺激しないでほしい。まずは熊に遭遇しないための対策を」と呼び掛けている。南アルプス署によると、11日午後6時半ごろ、南アルプス市須沢の県道を車で走行していた通行人が体長約1メートルの熊が道路を横断しているのを発見した。県によると、同市では5月28日にも須沢のキャンプ場で目撃情報があったという。甲州市でも12日に目撃情報があり、県内最多の6件もの情報が寄せられている。 県みどり自然課によると、目撃されているのは、いずれもツキノワグマ。昨年度は4人が襲われ、けがをする被害に遭った。一年を通してもっとも目撃が多いのは繁殖期を迎える6~7月で、昨年度の目撃情報の122件のうち半数の63件がこの時期だ。 今年5月末までの目撃情報は26件で、統計を始めた2013年度以降最も多かった昨年度の24件を超えている。目撃場所は13市町村で、県道などの道路が最も多い。今のところけが人は確認されていない。 一方、県によると、ツキノワグマは本来おとなしく、刺激をしない限り攻撃をしてこない動物。狩猟の対象だが、四国地方では絶滅危機にあり、全国的に減少傾向にあるとされる。 県では昨年、「県ツキノワグマ保護管理指針」を策定し、ツキノワグマの捕獲を年70頭と定めるなど保護の方向で動いている。同課は、比較的通行者の多い道の利用を呼び掛けるとともに、「残飯や空き缶が熊を引きつける原因となる。ちょっとした心遣いで熊の有害駆除を減らすことができる」と話している。

(市街地、シカ占拠?:京都)
京都の市街地に、シカが頻繁に現れている。食害防止の目的で昨年度、市内で捕獲されたのは1108頭で、その5年前(268頭)の4倍超。今年4月にはバイクとぶつかり、男性が死亡する事故も起きた。山中のえさが減り、草を求めて街に下りてきたとみられている。京都市北区の世界遺産・上賀茂神社近くで4月6日未明、新聞配達中の原付きバイクの男性(69)が倒れているのが見つかった。そばでシカがうずくまり、まもなく起き上がって立ち去ったのを通行人が目撃。バイクにはシカの体毛が挟まっており、衝突したとみられる。男性は頭を強く打っており、翌朝死亡した。京都市によると、市内での捕獲は山間部が7割、市街地が3割ほど。市街地でも山間部でも個体数が増えたとみられ、2016年度の生息数は、10年前の1・7倍の1万4千頭と推定する。京都府の担当者は「耕作放棄された田畑が増え、林業も衰退したことで、シカが山里で安心して暮らせるようになったことが大きい」とみる。市街地に現れるのは暗い時間帯。京都市左京区で新聞販売所を営む男性(46)は朝刊を届ける作業の際、冬以外はほぼ毎日、冬でも週の半分くらいシカを見かけるといい「近づいても、クラクションを鳴らしても、ぎりぎりまで逃げない」とため息をつく。

(サル出没相次ぐ:熊本)
熊本市内の中学校などで13日、野生のニホンザルとみられるサルの目撃情報が相次ぎ、県警や熊本市職員が注意を呼びかけている。熊本南署によると、13日午前8時15分ごろから午後2時過ぎまでに、熊本市西区田崎などで5件の目撃情報が市民から寄せられたという。同市南区近見の日吉中では午後0時40分ごろ、教員が校舎の2階の空き教室の水槽の前にサルがいるのを発見。教員が近づくといったん廊下から校舎外に逃げた。しかしすぐに教室に戻ったため、教員が追うと、再び逃げていった。近見では一夜明けた14日も午前10時5分ごろ、サルが目撃されたという。熊本市は捕獲などはせず、山の方へ追い立てて戻す方針。同市農業支援課鳥獣対策室の担当者は「ニホンザルは群れから離れるときに市街地を通ることがある。サルに出合った時は不用意に近づかず、えさをあげたり大声で刺激したりしないようにしてほしい」と住民に呼びかけている。

(ヒグマ上陸の島対策手探り、106年ぶり:北海道)
ヒグマが生息しない北海道・利尻島で、足跡が見つかってから13日で2週間。専門家は106年ぶりに上陸したと確認し、雄1頭が交尾期に雌を求めて対岸から約20キロ泳いだと指摘する。地元自治体には「殺さないで」との電話やメールが多数寄せられ、人への危害の恐れが高まっていないことから、当面は駆除しない方針。手探り状態で対策を検討している。「人間よりはるかに大きく、怖くて逃げ帰った」。釣りで海岸を訪れて足跡を発見した安達功さん(64)は不安そうに振り返った。5月30日、道北部の日本海に浮かぶ人口約4600人の島で、幅約15センチの足跡が見つかった。連絡を受けた利尻富士町職員は「言い伝えでしか知らず、いたずらかと思った」と明かす。その後も島の林道などで足跡やふんが次々と見つかり、調査した道立総合研究機構の間野勉部長は5月末~7月初めが交尾期のヒグマが泳いできたと推測。「冬眠明けで体脂肪が残っており、海流や水温の条件が整えば可能だ。ホッキョクグマは100キロ以上泳ぐとの研究もあり、ヒグマが腹を決めて数十キロ泳いでも不思議はない」と話す。島の利尻町と利尻富士町では小学校の集団登下校を実施。両町はヒグマが人里に近づかないよう、ごみを収集車が来る直前に出すよう呼び掛けるなどしている。間野部長は「雌がいないと分かれば泳いで帰るのではないか」と推測するが、島民や観光客からは駆除を望む声も。ホームセンターではクマよけの鈴が100個以上売れたという。田村祥三利尻富士町長は「こんなことは初めてで対策を学んでいきたい。注意喚起と情報収集を徹底し、生活や観光への影響を最小限にとどめたい」と話した。

(獣類の農作物被害13%減:栃木)
県がまとめた県内の二〇一七年度の獣類による農作物被害額は、過去最高だった前年度と比べ13%減の二億六千三百万円だった。被害額はここ数年、高止まりの傾向にあり、県は警戒している。鳥類を含めた鳥獣による被害額は前年度比12%減の三億三千六百万円。このうち獣類による被害額は、一三年度二億一千八百万円、一四年度二億七千二百万円、一五年度二億八千七百万円と年々増え、一六年度には初めて三億円の大台を超え、過去最高額の三億二百万円だった。一七年度は、前年度を下回ったものの、依然として高い水準にある。県経営技術課は「被害額は減少したが、高止まりで、予断を許さない。このまま減り続けると安心はできない」と受け止める。被害額を獣類別にみると、イノシシが55%と突出。ハクビシン15%、シカ14%と続いた。作物別では、イネがトップで、野菜、果樹、イモ類などにも被害があった。同課によると、イノシシは、イネをはじめ何でも餌にすることから、被害額は最も高くなるという。獣類の捕獲数は、シカが前年度比12%増の九千七百八十四頭、ハクビシンが同26%増の四百八十三頭。イノシシは、過去最多だった前年度に比べ35%減の八千六百九十二頭。イノシシの捕獲数の減少は、好物のドングリが比較的豊作だったことから、エサを求めて人里で行動する範囲が広がらなかったためとみられる。

(狩猟免許に満額補助:佐賀)
佐賀県太良町は本年度から町民が狩猟免許を取得する際にかかる経費に対し満額を補助している。イノシシやアライグマなど有害鳥獣の被害低減が目的。担当課は「捕獲頭数は増えているが、猟友会員が少なく、裾野を広げたい」としている。町によると、イノシシの捕獲数は昨年度572頭だった。一方で猟友会員は減り負担が大きくなっている。特に近年は有明海沿いの大浦地区で頻繁に出没が確認されるようになった。町内の猟友会員は昨年3月現在で37人、うち大浦は7人と少ない。免許取得費用や猟友会費、狩猟税、保険などわな猟で約4万円かかる初期経費がハードルになっていたため、補助金を交付する方針を決めた。取得者にはわなの貸し出しも行う。10人程度の申請を想定、合格後に町から経費分が支払われる。

(GPS首輪でサルの行動域調査へ:和歌山)
県が来月から日高、由良、広川の3町を対象エリアに、県内で初めて「GPS首輪」を活用したニホンザルの行動域調査を実施する。捕獲したサルにGPS首輪を装着して再び山に放った上で位置情報を把握し、捕獲檻などを効率的に設置できるようにするのが目的。日高地方では鳥獣被害の中でサルが最も深刻となっており、ICT(情報通信技術)を使った新たな対策として注目される。計画によると、サル被害が深刻な3町のエリアでモデル的に実施。GPS(全地球測位システム)の機能が付いた首輪とアンテナ、タブレットPCがセットになっており、首輪をはめられたサルがどのように移動するのかが、タブレットの地図上で確認できるシステムとなっている。費用は首輪15万円、アンテナ13万円、ダブレットPC12万円。首輪は、来月中にも日高と由良の両町内で仕掛けた箱わななどで捕獲したサルに装着。サルは群れで行動するが、オスは、はぐれる恐れがあるため、メスザルに首輪を着けて、群れ全体の行動を把握する。調査は3つの群れを対象に行う予定で、それぞれの群れのメスザル1匹ずつに首輪を装着する。行動域の調査は8月から来年2月まで。さらにことし10月から来年2月まで、GPSのデータを基に群れの行動を予測し、見通しのよい場所で目視による個体数も調査する。これらの調査は、日高振興局職員や関係町の職員が協力して行う。県は同じ調査を別の群れを対象に専門業者にも委託して実施する。調査終了後、首輪は遠隔操作で外すことが可能。非火薬方式を採用している。新事業の詳細は、11日に日高郡町村会応接室で開かれた日高地域鳥獣被害対策本部会議の中で説明があった。前年度の日高地方鳥獣害被害についても報告があり、農作物被害総額は4633万4000円。前年度に比べ185万3000円(3・8%)の減少となっているが、まだ深刻な状況。特にサルの被害額は1724万6000円で全体の35・8%を占めており、最も多い。日高振興局農林水産部では「GPSの測位回数は一日8回で、1年の調査で3000箇所の位置情報が把握できる。これを使ってわなを仕掛けて効率的に捕獲し、農作物被害の軽減に努めたい。うまくいけば他の地域でも活用したい」と話している。

(イノシシ被害への対策学ぶ:山形)
県の2018年度「地域ぐるみで行う鳥獣被害対策支援事業」のモデル地区になっている長井市上伊佐沢の上地区で10日、第1回の研修会が開かれた。住民や猟友会メンバー計40人が参加し、地区でも近年増えているイノシシ被害への対策について、専門家の講義などを通じて理解を深めた。上地区公民館では、埼玉県農業技術研究センター鳥獣害防除研究チームの古谷益朗担当部長が被害の現状や要因を紹介した。「農産物の廃棄は無意識な餌やり」「遊休農地などは安全なすみかになる」などと指摘し、動物の餌場や隠れ場の撤去が不可欠なことを強調した。市販の撃退グッズの中には効果が現れないものもあると明かし、「誤った情報や推測で行動するのは危険だ」と語った。畑を囲む柵の設置については「イノシシへの最高の嫌がらせ」と有効性を強調した上で「外側に人が歩くコースを作って朝夕に1周するのもいい」とした。駆除や被害防止の設備に頼るだけではなく、動物に人の姿や痕跡を見せて、遠ざけることの重要性を説いた。参加者は、実際に被害に遭った畑も確認した。上地区の佐藤裕太郎地区長(67)は「自家用野菜を栽培する住民が多いこともあってか、これまで対策の意識は高くなかった。本腰を入れたい」と話した。研修は計3回を予定。今後は実際に畑に柵を設置するなど具体策を学ぶ。

(クマから身を守る方法を考える講習会:秋田)
クマから身を守る方法を考える講習会が14日、秋田県能代市常盤の常盤小・中学校(八代英樹校長、児童35人、生徒23人)で開かれ、生態や対処法に理解を深めた。先月10日に同校敷地内にクマが出没したことを受け、注意喚起しようと同校が企画した。講師を務めた山本地方連合猟友会理事の大高博康さん(68)は、山に自生するクマの好物を紹介する一方、昨年、人里ではこれまで食害が報告されていなかったエダマメやソバの実が荒らされたと指摘。「山奥にいたクマが近年、人の生活圏に押し寄せてきている。(餌の)味や場所を覚えると何度でもやって来る」と強調した。

(クマ近くに、対策徹底して:秋田)
クマによる人身被害を受け、秋田東署などは14日、秋田市河辺和田地区で、被害の再発防止に向けた啓発活動を行った。同地区では13日、竹林に入った男性(69)がクマに襲われ、顔などを負傷し、病院に救急搬送された。同署は地元猟友会員や、県、同市の担当者らと合同で現場周辺の住宅や学校などを巡回。人身被害の発生を知らせ、〈1〉一人で山に入らない〈2〉知らない山に入らない〈3〉笛や鈴、熊(よけ)スプレーを身に付け、人間の存在を知らせて歩く――といった注意事項を記したチラシを配った。今回の現場は、住宅や畑が点在する高台で、山奥ではなく、クマの生息域が人里に近づいている実態をうかがわせた。14日には現場近くの河辺小児童らが、同署員らが見守る中、集団下校した。チラシを受け取った自営業の男性(67)は「昨日、救急車の音を聞いたが、クマに襲われたなんて思いもしなかった」と顔をこわばらせ、「山へ入る時や農作業中はラジオの音を流し、警戒したい」と話していた。

(坂網猟:石川)
藩政期から加賀市に伝わるカモの伝統猟法「坂網猟」の記録映画が完成した。夕暮れ時に鴨池から飛び立つカモにY字の網を投げて捕らえる豪快な猟だが、関係者からは継承を危ぶむ声が相次ぐ。昭和三十年代には四万~五万羽が越冬のため鴨池に飛来したが、現在は千羽に届かない日もあるという。周辺で銃猟の禁止区域が広がり、カモが分散した。二十六人いる猟師も高齢化が進み、大半が六十~八十代。晩秋からの三カ月に猟期が限られ、獲物も少ないとあっては若い人が二の足を踏むのも分かる。同じような猟法でも、洗練された料理法が伴うのは全国でも加賀の坂網猟だけという。大聖寺藩の歴史とも結び付く貴重な地域資源であり、何とか守りたい。どこかに妙案がないものか。

(怪しい動きでクマ撃退、8本脚ロボ開発中:秋田)
秋田県内では今年も春先からクマの目撃が相次ぎ、人身被害も4件(13日午後6時現在)発生している。県民を脅かすクマに科学技術で対抗しようと、秋田県立大の斎藤敬准教授(医療工学)の研究グループが、8本脚でガシャガシャと迫る動物型のロボットの開発に取り組んでいる。深刻な人口減で、クマを追い払う狩猟者の担い手が不足する中、自然界ではお目にかかれない“怪しい追撃者”がクマ対策の切り札となるか注目される。「怪しい動きに、クマは恐れをなすはずだ」――。斎藤准教授が開発を急いでいるのは「動物型ロボットかかし」だ。現在は試作段階で動きを確認。全長約60センチ、高さ約25センチの本体から伸びた8本の脚で、ガシャガシャガシャガシャ……と耳障りな金属音を鳴らして動き回る。折りたたみ式で最長約2メートルに達するステンレス製アームを伸び縮みさせて威嚇する“必殺技”を繰り出し、クマを追い払うという仕組みだ。斎藤准教授は、義手や義足の機能性を高めるための人工神経の研究に打ち込んできた。これまで培った技術を応用したのが、動物型ロボットかかし。多脚歩行型のロボットに、高齢者の歩行などを補助するロボットアームを組み合わせた構造で、今後は大型化を図りクマ対策に向けた“実戦配備”を目指す。県内では4月、北秋田市の山林でクマの生態調査などにあたっていた猟友会員がクマに頭部をかまれるなどして負傷。5月にも東成瀬村の山林で、クマの警戒にあたっていた猟友会員がクマに襲われ、顔にけがを負うなど人身被害が相次いでいる。環境省によると、過疎化などの影響で治山管理や狩猟の担い手が減って、人とクマの領域の境界があいまいになり、クマを山へと追い返す力が弱っているのが課題という。斎藤准教授は「ロボットの見慣れない姿に、クマは『謎の生物』として恐れるはずだ。人が危険な目に遭うことなく、獣害を防ぐ手段としたい」と狙いを説明する。日本クマネットワーク代表を務める石川県立大の大井徹教授(動物生態学)は「動物は普段見ない物を警戒するが、慣れが生じるので、ロボットも進化、変化させていく必要がある」と課題を指摘する。

(オオカミロボ設置、害獣よけ半年かけ効果検証:福岡)
シカやイノシシによる農林業被害を防ごうと、福岡県添田町は12日、オオカミに似せた害獣撃退装置「モンスターウルフ」1台を同町津野の水田脇に試験導入した。オオカミの鳴き声や「撃て、撃て」といった人間の声など57種類の音声を不規則に発し、動物を追い払う。町は今年度の一般会計当初予算に関連費10万円を計上し、半年間かけて効果を検証する。装置は全長65センチ、高さ50センチで、北海道奈井江町の精密機械部品加工会社「太田精器」が開発した。赤外線センサーで動物の接近を感知すると、目の部分の発光ダイオード(LED)が赤く点滅し、首を左右に振って威嚇する。同社の太田裕治社長や町職員らが、地元の農家、木戸則夫さん(70)が所有する約3500平方メートルの水田脇で設置作業を行った。近くには録画用のカメラを置き、シカやイノシシの出没状況を記録する。効果が確認できれば本格的に導入を進める方針。木戸さんは「稲は収穫前に約3分の1がイノシシの被害に遭う。モンスターウルフの声は迫力があるので、被害が減ることを期待している」と話していた。

(イノシシ肉がカレーに:愛知)
カレーハウスCoCo壱番屋を展開する「ワイズ」(名古屋市中区)が、愛知県豊田市産のイノシシ肉を使ったレトルトカレー「とよた里山 猪肉(ししにく)和風カレー」を開発した。包装箱のデザインには地元の足助高が協力。有志の生徒らが、同市新盛町の集会所で商品発表会を開いた。昨年8月に発売したキーマカレーに続くジビエカレーの第2弾で、市内の獣肉加工施設「山恵(やまけい)」も協力した。今回は、高圧で軟らかく煮込んだイノシシ肉を、和風だしで仕上げたルーに加えた。包装箱には、生徒が発案したイノシシのかぶり物を着たキャラクター「いのりん」が描かれている。発表会で、同高3年の生徒(18)は「まろやかな味でイノシシ肉も軟らかくて、たくさん食べたくなる。カレーを通じて多くの人にジビエを知ってもらいたい」と話した。

(秋の狩猟肉(ジビエ)ディナー:山梨)
日本初のグランピングリゾート「星のや富士」では、2018年9月1日~11月30日、屋外ダイニングでダッチオーブンを使った体験型の食事「秋の狩猟肉ディナー」を提供します。当ディナーは、狩猟肉の「鹿肉」と「猪肉」を使用し、季節ごとの特徴を生かしたコース料理です。秋は、猟師のライフスタイルをコンセプトにしており、猟師の習慣に倣って鹿肉のモツを使用したモツ煮や、きのこなどの山の幸を豪快に加えた猪のすき焼きなど、秋の味覚をワイルドに味わうことができるメニューを提供します。

(皮使って“ジビエ家具”:岐阜)
岐阜県高山市の家具職人、牧野泰之さん(48)が地元の猟師と連携し、イノシシや鹿の革製品の商品化を進めている。飛騨高山地域の野生鳥獣の肉(ジビエ)の皮を加工し、クッションや椅子などの家具に利用する。昨年から生産を始めた飛騨牛の革製品と合わせて「HIDA Leather(ヒダレザー)」のブランド名で、売り出す計画だ。同市内には解体処理施設が複数あり、肉の活用は進む一方、骨や皮の多くが廃棄されている。これまでナラ材や飛騨牛の革など、地元の素材で家具を作ってきた牧野さん。「地域の資源を有効利用したい」と狩猟関係者に声を掛け、皮を提供してもらうようになった。試作では高山市の猟師、今井猛さん(68)がさばいたイノシシと鹿の皮を県外の業者に委託し、なめし加工した。現時点で、染料なしで革を白く仕上げる「白なめし」と、黒系、茶系の3種類を試作。今後は、クッションや椅子に使う予定だ。牧野さんは「野生ならではの色むらや傷も魅力。飛騨の新たな特産にできるよう、事業を練っていく」と意気込む。

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(有害鳥獣駆除解体補助金、過大請求468万円:鹿児島)
鹿児島県阿久根市は8日、2013~16年度にイノシシやシカなどの駆除・解体費として市内2団体に支給した補助金のうち、計約468万円分が過大請求されていた、と発表した。不正確な出動日数や補助対象外の廃棄分が含まれていたことが原因だという。両団体は、市に過大受領分を全額返還した。市によると、両団体は市有害鳥獣捕獲協会と市内で解体処理施設を営む社団法人「いかくら阿久根」。「不適切な支出がある」との報道を受け、市は3月から調査を開始。その結果、両団体が出動日数を正確に記録せず推計で報告したり、実際は解体せずに廃棄処分した頭数も含めたりするなどして過大請求していたことが発覚したという。過大請求の内訳は、「出動経費」=延べ926日分(95万円)▽「捕獲謝金」=1頭分(6000円)▽イノシシやシカの解体に対する「イノシカ肉流通対策事業」補助金=152体分(372万円)。両団体兼務の牧尾正恒会長(75)は「出動日数の正確な記録は困難で推計するしかなかった。廃棄処分も請求できると思っていた」と釈明した。再発防止策として、市は「出動経費」を廃止し、解体時に市職員が施設に出向くことなどを決めた。17年度の同補助金のうち適正申請と確認できない1900万円分は支出を凍結した。

(泳ぐクマ、本土から海渡る?:宮城)
宮城県気仙沼市の離島・大島で5月下旬、これまで島に生息していないと考えられていたクマの目撃情報があった。翌日には気仙沼湾を泳ぐクマを市民が撮影しており、海を渡って本土から上陸した可能性がある。目撃情報を受け、県と市は今月、島で児童や生徒らを対象にした説明会を初めて開き、クマに遭遇した際の対応を教えるとともに、ワナを設置するなど、警戒を強めている。気仙沼署などによると、5月23日正午頃、島の東部に位置する廻舘地区付近で、近くの福祉施設職員がクマ1頭を目撃し、通報した。本土と大島を結ぶフェリーの乗り場から1キロにも満たない地区で、畑が広がるほか住宅も点在している。市が目撃情報を受けて周囲の調査を始めると、付近でクマの後ろ足とみられる足跡とフンが見つかった。市農林課によると、大島でのクマの目撃情報は「これまで記録にない」ため、島民もクマに関する知識が乏しいという。危機感を強めた市と島民は、今月4日にクマに関する説明会を開催。島の小中学校の児童・生徒や島民が出席し、市や県の担当者がクマの活動が活発になる朝夕は一人で出歩かないよう注意を呼びかけた。また、市はドラム型の捕獲用のワナを目撃現場周辺に設置し、児童・生徒は集団登下校を続けている。県気仙沼土木事務所によると、大島と本土を結ぶ「気仙沼大島大橋」は建設途中で開通しておらず、本土側には人の背丈より高いフェンスを設置しているため、担当者は「クマも容易には侵入できない」と推測する。ただ、開通後に野生動物が入り込むと不安がる島民もいる。クマ目撃の翌日には、船で釣りに出かけた同市の男性(66)が、気仙沼湾を泳ぐクマを目撃した。流木かと思って30メートルほどの距離まで近づくと、黒いクマが水面から大きな顔を出して犬かきをしていたという。男性は「海でクマが泳いでいるなんて初めて見た。大きくておっかなかった」と振り返る。八木山動物公園(仙台市太白区)によると、波の強さや距離にもよるが、ツキノワグマは泳げるといい、担当者は「木の実や果樹などクマのエサが多いと、島に居座ってしまうかもしれない」と話す。市農林課は「もしクマに遭遇しても、大声を出してクマを驚かせてはいけない。背を向けずに、クマから目線を離さないよう、後ずさりで距離を置いて逃げるように」と注意喚起している。

(山中で男性がクマに襲われ軽いケガ:新潟)
長岡市の山中で8日朝、男性がクマに襲われ、背中をひっかかれて軽いケガをした。被害にあった男性は「子どもがぶつかったような感じだった」と話した。男性がクマに襲われたのは、長岡市田之口の山の中だ。クマに襲われたのは、近くの集落に住む漆間正伍さん(73)。8日午前8時40分ごろ、漆間さんがのこぎりで木を切っていたところ、後ろからクマがぶつかってきて背中を爪でひっかかれたという。漆間さんは「子どもがどーんとぶつかったような感じだった」と話した。クマは体長1メートルほどで、そのまま山をおりて逃げて行ったという。漆間さんはその後、自力で自宅へ戻り警察に通報。病院へ行ったが、ケガは軽傷だった。クマが出た周辺では、地元の猟友会などがパトロールを行った。猟友会によると、いまは冬眠からさめたクマが活発に動きまわる時期だという。山にはクマを捕獲するオリが設置された。県内ではことし4月から7日までにクマの目撃情報が178件あり、2人がケガをしている。猟友会などは、山へ入る際はラジオなど音の出るものを持っていき、人がいることをクマに知らせるなど対策をとるよう呼びかけている。

(クマか、小屋荒らされ冷蔵庫被害:岩手)
10日、岩手県花巻市で民家の小屋が荒らされ、米を保管している冷蔵庫が壊されている被害が見つかりました。現場の状況からクマによるものと見られています。10日午後6時すぎ花巻市高松の農業中屋敷ミツ子さん67歳から「自宅の小屋がクマに荒らされたようだ」と警察に通報がありました。警察が現場に向かったところ木造一部2階建ての小屋の1階部分で米を保管する冷蔵庫が壊され、中に入っていた米袋およそ30袋のうち数袋に穴が開いていました。中屋敷さんが所有する軽乗用車のボンネットなどにクマの手形のような痕跡があったほか、近くではクマの目撃が相次いでいることから警察はクマによる被害とみて注意を呼び掛けています。中屋敷さんは9日早朝から10日の夕方まで外出していてクマはその間に小屋に入ったとみられています。

(会社敷地内にクマ、地元猟友会が駆除:秋田)
7日午後2時45分ごろ、秋田県鹿角市十和田末広字白根方の建築資材会社敷地内で、同市の50代男性経営者がクマを目撃し、市役所を通じて鹿角署に届け出た。駆け付けた地元猟友会員が、約100メートル西の林で約1時間後にクマを駆除した。同署や市によると、クマは体長約1メートルの雌。この会社の敷地には昨年7月にもクマが現れ、駆除されている。

(イノシシ出没、警察などが捕獲:新潟)
長岡市でイノシシが出没した。付近には小学校や保育園があることから、警察や長岡市、地元の猟友会などが捕獲にあたった。イノシシは約1時間後にロープを使って捕獲され、その後死んだ。

(クマ出没:宮城)
7日午前8時ごろ、仙台市太白区茂庭の太白山付近の市道でクマ1頭が目撃された。茂庭地区では6日にも、住宅地に近い企業の敷地内でクマ2頭が目撃されており、関係機関は警戒を強めている。7日に目撃されたクマは体長約1メートルで、市道から山中へ入っていったという。仙台南署は付近でパトカーを巡回させるなどした。両日の現場に近い人来田小では6日、一部の児童が集団下校したが、7日も2~5年の児童が一斉下校し、教員が学区内を巡視した。市環境共生課は「住宅地に出没する可能性もある。見つけたら近づかず、すぐに連絡を」と呼び掛けている。

(クマ出没:宮城)
7日午前7時50分ごろ、宮城県利府町森郷新太子堂の水田でクマ1頭の目撃情報があり、近くの利府小(児童582人)と利府中(生徒471人)で集団下校や一斉下校を実施した。両校とも屋外の授業を中止し、小学4年以上は授業を繰り上げた。中学校の部活も中止となった。

(クマ出没、住宅地で1頭目撃:宮城)
8日午後8時25分ごろ、宮城県富谷市成田6丁目で、住宅の庭から体長約1メートルのクマ1頭が道路に出てきたのを車で通行中の男性が発見し、110番した。大和署によると、クマは反対方向の沢に去ったという。現場は仙台北部道路の南で、住宅団地の北東端。同署がパトカーで巡回し、市と連携して注意を呼び掛けた。

(クマ出没相次ぐ:秋田)
秋田県内で10日、クマの出没が相次いだ。けが人はいなかった。県警によると、午前10時15分ごろ、秋田市下新城笠岡字堰場で、県道を横断する体長約1メートルのクマを農作業中の40代男性が目撃した。現場の約100メートル北には下新城小学校がある。

(住宅街にクマ足跡:北海道)
紋別市内潮見町5の住宅敷地で6日夕、クマの足跡が見つかった。発見現場から約500メートル先にある潮見小では7日、登校時に保護者が児童を送迎し、一斉下校した。付近では4、5月にも同じ個体とみられるクマのふんが発見されており、紋別署や市はパトロールするとともに、住民への注意喚起を強めている。猟友会によると、足跡は15センチほどで、2~3歳の若いクマ1頭とみられる。ごみステーション付近にあったが、中にごみはなかった。今月6日、住民から通報があり足跡と確認した。潮見小では7日の登校時、保護者らが学校まで車で送った。下校時は児童が数人で帰るようにし、保護者の迎えの車が並んだ。1年と2年の子が通う落石町のパート遠藤麻祐子さん(35)は「子どもたちに何かあったらと思うと怖い。早く見つかってほしい」と不安げに話した。同校は15日まで一斉下校を続ける予定。

(クマ出没相次ぎ駅伝コース変更:秋田)
秋田県北秋田市の北欧の杜(もり)公園周辺でクマの出没が相次いでいることを受け、県高体連県北支部陸上競技部会は8日までに、同公園で22日に開催する県北総体駅伝競走大会のコースを変更することを決めた。大会は例年、公園内の林を通り抜けるサイクリングコースで実施していたが、参加校の指導者からクマ対策を求める意見が3年ほど前から上がるようになり、先月の部長会議で見通しの良い公園中央部に周回コース(1周約2・5キロ)を設けて行うことにした。

(神社駐車場近くにクマ出没:新潟)
2018年6月8日午前5時30分頃、上越市大豆の春日山神社駐車場近くの県道で、体長120cmほどのクマ1頭が道を横切るのを散歩していた男性が目撃し、上越市役所に通報した。市によると、被害の報告は寄せられていない。クマが出た場所は春日山神社駐車場に近く、住宅地から100mほどの場所。市では近くの小中学校、保育園に連絡したほか、警戒を強化し、付近の住民に注意を呼びかけている。

(クマの移動経路調査:福島)
クマの目撃情報が相次ぐ会津若松市で7日、福島県と市はクマの移動経路と考えられる湯川河川敷などを調査した。県では、クマが身を潜めることができる河川敷の草の刈り払いなどを検討する。東山地区の湯川周辺では、調査に区長らも参加した。その後、県職員らは湯川に沿って阿賀川方面に向けて移動し、市街地のクマ目撃地点などを見回った。市によると、5月のクマの目撃件数は35件となり、昨年同月の9件を大幅に上まわった。市は、寄せられた目撃情報をもとに、防災情報メールで市民に出没場所、時間などを知らせ、注意を呼び掛けている。

(利尻島、クマメス探し?:北海道)
106年ぶりに海を泳いできたヒグマが上陸したと見られる北海道の利尻島で7日、関係機関や警察などがヒグマ対策連絡会議を開いた。5日までに島内7カ所でフンと足跡が見つかり、専門家は大型の雄1頭が島内にいるとの見方を示した上で、繁殖目的で雌を探して島に渡った可能性を示唆した。クマに詳しい道立総合研究機構環境科学研究センターの間野(まの)勉部長はフンなどの調査から「島内でフキやセリなどを食べていると見られる」と説明。警戒心が強く、人に近づかないよう行動しているほか、雌が島内にいないと分かった場合、北海道本島に戻る可能性もあると指摘した。利尻島から対岸の稚内市までは最短でも約20キロある。利尻富士、利尻両町の調査で、先月27日にフンがあったことがわかり、ヒグマは少なくとも10日間以上島内にいると見られるが、目撃例やゴミを食い荒らすなどの被害は出ていない。会議では島民や観光客らに注意喚起し、人里に現れた場合に備えて捕獲準備を進めることなどを確認した。利尻富士町の田村祥三町長は「最初にクマが出たと聞いた時は冗談と思った。一刻も早く島外に出てもらえれば」と願い、「ヒグマへの知識や経験が皆無なので、道など関係機関の協力を得たい」と語った。

(クマ出没時の連携確認:宮城)
クマの目撃情報が相次いでいることから大和署は8日、緊急対策会議を同署で開いた。県と管内4市町村の担当者十数人が集まり、クマ出没時に連携して対処する姿勢を確認した。砂町朗署長が「今年は住宅地で頻繁に目撃されており、住民の安全確保を図る必要がある」と述べ、人身被害の防止を最優先に対応する方針を示した。同署によると、管内のクマの目撃情報は7日現在、富谷市22件、大和町17件、大衡村7件、大郷町3件の計49件。夏から秋にかけて増える傾向があるといい、「住民らへの注意喚起が必要だ」との発言があった。合同会社「東北野生動物保護管理センター」(仙台市青葉区)の宇野壮春代表による講話もあり、ツキノワグマの生態を学んだ。

(シカ食害防ぐGPS首輪、今秋導入:静岡)
ニホンジカの農産物被害を抑えるため、県は今秋から、シカに衛星利用測位システム(GPS)発信機付きの首輪を装着して行動範囲を把握する取り組みを始める。七日に県庁で開かれた鳥獣被害対策推進本部会議で報告された。県農林技術研究所が開発した。円柱の給餌器に首輪を仕掛け、シカが餌を食べようと器具に頭を入れると首輪がはめられる。ニホンジカの生息が多い西伊豆地域で、十一~十二月に十カ所ほど設置し、生息域や行動パターンを分析して捕獲につなげる。県によると、ニホンジカの生息数は減少傾向にあるが、特に伊豆、富士地域で多い。二〇一七年度の推定生息数は伊豆で二万七千匹、富士で二万三千匹。一方で捕獲数は毎年増えていて、一六年度は伊豆で一万一千匹、富士で五千匹だった。また一七年度のニホンジカの農林産物への被害額は八千百万円で、前年度比四千五百万円減。野生鳥獣全体では三億三千万円で、前年度比九千万円減だった。

(GPS首輪でサルから農作物守れ:岡山)
サルによる農作物被害が岡山県内で広がる気配を見せている。県などは本年度、衛星利用測位システム(GPS)を活用した特殊な首輪をサルに取り付け、群れの移動経路やねぐらを把握する行動域調査に本格着手。効率的な捕獲や追い払いにつなげる狙いだ。県鳥獣害対策室によると、2017年のサルによる農作物被害額は鳥類を除くとイノシシ、シカに次ぐ2080万円。減少基調とはいえ、目撃頻度や被害エリアは県西部、赤磐市周辺など年々拡大しているという。赤磐市惣分地区では、サルの群れがタマネギや大豆を食い荒らす被害が相次ぐ。地元自治会は今春、鉄砲のような音で追い払う装備も導入した。代表の森茂昌さん(74)は「路上でサルに遭遇することもあり、住民は不安」と訴える。サル被害の抑止につながるか―。GPSによるハイテク調査への期待が高まる。本年度からサルの群れの行動域調査に乗り出す岡山県と県農林水産総合センター(赤磐市神田沖)。背景には、サル被害防止の難しさがある。サルは木登りが得意で知能が高いため、一般的な防護柵では侵入を防げないことが多く、警戒心の強さと行動範囲の広さから捕獲用のわなにも掛かりにくい。ロケット花火で追い払うこともできるが、出没のタイミングや頻度が読みづらく、農家らは対応に苦慮しているのが現状だ。群れが頻繁に通る場所やねぐらを特定できれば、狙いを絞ってわなを設置して捕獲の確率を高めたり、周囲の木を伐採することでサルの警戒心を高めて集落に近寄らないよう行動を制限したりすることができるという。調査は、ターゲットとなる群れに属するサルを一度捕獲した後、通信やメモリー機能付きの首輪を着けて解放。群れに戻ったサルの位置情報を数時間刻みで把握し、群れの動きを地図データ上に表示する仕組み。被害が目立つ新見、高梁、井原、赤磐、美作の5市で、今夏をめどに調査対象とする群れをそれぞれ一つずつ決めて着手。季節ごとの群れの動きを把握するため、期間は約1年とし、首輪は調査終了時に遠隔操作で外して回収する。県の本年度当初予算に機器購入費など約350万円を計上しており、全額国の交付金を充てる。調査に先立ち、同センターは昨年度、井原市井原、芳井地区で実証実験を実施。地元の猟友会と獣医師に協力を依頼し、捕獲したサルを麻酔で眠らせて首輪を装着。サルの動きを把握するのには十分な約8割の位置情報を取得できた。全国では、徳島県立農林水産総合技術支援センター(同県石井町)が2014年、徳島市など3市町村にまたがる165匹の群れに対して同様の調査を実施。取得データを基に自治体が捕獲おりを設置したところ、年間捕獲頭数は5~6倍に増え、群れの規模を100匹程度に抑えられたという。岡山県鳥獣害対策室は捕獲目標や防護対策などを盛り込んだ保護管理計画を本年度中に策定する方針。「被害が続けば農家の営農意欲低下につながりかねない。総合的な対策に力を注いでいく」としている。

(イノシシ捕獲初の減少:山口)
イノシシによる農作物の被害が深刻な山口県周防大島町で2017年度の捕獲数が前年度比で約20%減少した。同町で生息が確認された02年度以降、減少したのは初めて。町は、防護柵による対策が一定の成果を上げたとする一方、「1年では生息数が減ったとは言い切れない。今後の捕獲数を注視したい」と警戒を続ける。

(カワウによる漁業被害が減少:群馬)
野鳥のカワウによる県内の漁業被害が2017年度は1億700万円となり、過去10年間で最も深刻だった15年度から約4割減少したことが、県の推計でわかった。高性能の空気銃を使い、カワウの群れが危険を察知して移動しないように駆除する方法が功を奏したとみられる。一時は1100羽を超えていた推定個体数も、県が適切とする600羽程度に落ち着きつつある。県内最大の集団繁殖地(コロニー)がある、みどり市の高津戸ダム。5月中旬の朝、体長80センチを超える数十羽のカワウが水面で盛んに魚を捕っていた。アユなどを好み、1日で体重の4分の1にあたる約500グラムを食べる。周辺の漁業権を持つ両毛漁業協同組合にとっては厄介者だが、中島淳志組合長は「最近は群れが減り、被害も少なくなった」と話す。県によると、県内では館林市と富岡市で1982年に初めてカワウの飛来が確認され、徐々に繁殖した。年3回の調査の平均値で示す推定個体数は2013年度、統計を取り始めた05年度以降で最多の1154羽にまで増加。ただ、野鳥保護の観点から大量駆除はできず、15年度には漁業被害は過去最多の約1億8800万円に上った。この頃まで、カワウの駆除は花火などで大きな音を出したり、ハンターが猟銃で撃ったりしていた。しかし、カワウは警戒心が強く、危険を察知するとコロニーを移し、別の場所で再び漁業被害をもたらしていた。そこで県は16年度から、国内最大のコロニーだった琵琶湖(滋賀県)での駆除実績を持つ動物調査会社「イーグレット・オフィス」(同県米原市)に捕獲事業を委託。同社はあらかじめ対象の個体数を決め、射程が長く、発砲音が小さい空気銃で1羽ずつ駆除する手法を採った。静かに少しずつ駆除することで、コロニーの移動を防ぎながら個体数を減らす効果があるという。16、17年度は、県内有数のコロニーがある高津戸ダムと南陽台(高崎市)で実施し、計844羽を捕獲した。その結果、17年度の推定個体数は過去最少の666羽となり、漁業被害額も16年度から2年連続で減少している。県鳥獣被害対策支援センターの中里見信章センター長は、「一定の成果が出ている。大事なのはカワウの数ではなく、漁業被害を減らすこと。生態系に適切な捕獲、調整を続けていきたい」としている。

(猟友会の裾野広げたい:長野)
飯伊連合猟友会(会員708人)は9日、狩猟とクレー射撃について学ぶ講座を飯田市の飯田国際射撃場で開いた。野生鳥獣対策を担う狩猟者の確保を狙いに2008年から毎年開いている。昨年からは、講座の企画や運営を45歳以下の会員でつくる「南信州hunter'S(ハンターズ)」が担っており、今年は過去最多の38人が参加した。ハンターズは現在29人が所属。同猟友会事務局によると、免許を取得した会員が狩猟を続けられるための環境づくりが課題といい、若手同士の交流を通じて意識や技術を向上させ、狩猟者の確保につなげようと活動している。今回企画した講座は、参加者の裾野を広げる狙いで、野生鳥獣肉(ジビエ)やスポーツ射撃などに関心がある人が親しみやすい内容にした。この日は、南信州地域振興局林務課が飯田下伊那地域の野生鳥獣被害の現状、銃やわなの免許制度などを説明。続いて、ハンターズのメンバーがクレー射撃を披露したり、参加者が鹿の解体やわなの設置を体験したりした。鹿の皮を剥いだ会社員宮手法彬(のりあき)さん(30)=飯田市=は「思ったよりも皮が柔らかくて難しかった。見たり触ったりすると(狩猟が)楽しそうだと感じた」。ハンターズ代表の下岡直輝さん(38)=喬木村=は「安全に楽しく続けるためにも同世代の仲間を増やしたい」と話していた。

(シカ食害、アジサイロード無惨:京都)
天王山にある酒解神社(京都府大山崎町大山崎)境内で地元住民団体が手入れしてきた「アジサイロード」のアジサイが、シカの食害に遭っている。例年、6月中旬から見頃を迎えるが、今年はつぼみのうちにほとんどの花芽がシカに食い尽くされてしまった。栽培に取り組んできたメンバーは「きれいな花を楽しんでもらおうと手入れしてきたのに悔しい」と肩を落としている。アジサイロードは同神社境内の三社宮から本殿までの約100メートル。昨年は約150株が咲き誇り、色とりどりの花が登山客らの目を楽しませた。地元住民でつくる「つばき・アジサイを植え育てる会」が、剪定(せんてい)や挿し木をして毎年手入れし、数を増やしてきた。同会メンバーが異変に気付いたのは5月下旬の活動日。シカが届かない高い位置のものと一部の品種を除いて多くの株の花芽や葉が食われてしまっていた。以前にも被害はあったが気にならない程度で、ここまでひどいのは初めてという。町によると、近年、シカの頭数や山中での目撃が増え、3年ほど前から、イベントで植樹したサクラやコナラの苗木の食害が深刻化しているという。植樹の際には防御ネットを苗にかぶせるなどして対策している。ハイキング中の後藤潤平さん(80)=島本町=は「毎年立派なアジサイが咲くのを心待ちに登るのに、まさかシカに食われるなんて。ガクアジサイだけ被害がないのはおいしくないからかな」と不思議そうにしていた。同会メンバーの倉内香兜人(かつと)さん(73)=大山崎町大山崎=は「登山客の人も楽しみにしてくれているので残念」と話していた。同会は今後、予防策を検討していくとしている。

(シカ50頭が突然、市街地を爆走:奈良)
古民家が軒を連ねる奈良市の住宅街を、ひづめの音を響かせて爆走するシカの大群-。5月中旬の早朝、国の天然記念物「奈良のシカ」のうち約50頭が突如、奈良公園を離れ、群れをなして市街地を走り出した。その模様はツイッターに動画でアップされ、瞬く間に全国のユーザーに拡散、ニュースにもなり話題を集めた。地元の人もあまり目にしたことがないシカの“奇行”。原因は何だったのか。5月13日午前6時ごろ、近鉄奈良駅と奈良女子大を結ぶ通りで驚きの事態は起きた。同大生活環境学部2年の田中菜穂さん(19)はアルバイトに行くため駅に向かって歩いていると、交差点を曲がって近づいてくるシカの姿が見えたという。「最初は4、5頭だった。また草を食べにきたのかと…」。奈良公園に近い大学の構内でシカが草をはむ姿は、学生たちにとっておなじみの光景だ。ところが、いつもとは違い、曲がり角からわき出るように現れたのはなんと数十頭。これには、ただ驚くばかりだった。「とにかく動画を撮らなきゃ」。身の危険を回避するように道の端に逃げ、慌ててスマートフォンを取り出した。あっけにとられながら撮影した15秒間の動画をツイッターにアップしたところ、大きな反響があった。テレビを中心にメディアもこの動画を取り上げ、「奈良のシカ 暴走映像」として有名になった。「ちょっとぐらいは話題になるかなと思ったけど、まさかこんな騒ぎになるとは…」。リツイートの通知はひっきりなし。テレビ局からの取材依頼も殺到し、動画の再生回数は140万回を超えた。一躍、時の人になった田中さんは「私が戸惑っているのを見て、友達は笑ってました」と振り返った。シカの群れはどこに向かったのだろう。午前6時半ごろ、奈良女子大近くの目撃現場から南西約200メートルの市道沿いで、パトカーに乗っていた警察官2人が北に向かうシカの群れを見ている。また、別の学生は同7時ごろ、奈良女子大の正門から大学構内に入っていく10頭以上の群れを目撃している。それにしても、驚くべきはその数だ。田中さんが撮影した動画には、50頭近くが映っている。大学の近くで生花店を営む男性(43)は「(群れは)多いときでも7、8頭。それ以上は見たことがない」と驚く。シカとなじみの深い地元住民にとっても、予期せぬ事態だったようだ。なぜ群れをなして駆けだしたのか。奈良公園内でシカの保護施設「鹿苑(ろくえん)」を管理運営する一般財団法人「奈良の鹿愛護会」の職員は「動画を見ると、周囲を落ち着きなく見回している。何かに驚いて走り出し、見知らぬ場所に迷い込んだのではないか」と指摘する。シカはリーダー格の一頭が常に周囲を警戒し、危険を感じると仲間を率いて走り出す習性があるという。映像からシカの大群にはオスとメスが混在していることも分かった。発情期である9~11月ごろを除けば、子育てに参加しないオスはメスとは別に群れを作るのが一般的。職員は「人のいたずらか犬に驚き、複数の群れが一緒に逃げた可能性が高い」と推測する。今回の一件ではけが人や事故などは報告されておらず、シカの群れも無事に奈良公園に戻ったとみられる。だが、一歩間違えればどうなったことか…。古来、「神の使い」としてあがめられてきた奈良のシカ。昔の人たちはどうやってシカと共存してきたのか。奈良の鹿愛護会の臨時研究員は「江戸時代中期ごろは、各町内に木戸が設置され、シカの行き来を制限していた」と話す。人が通行する際だけこれを開け、シカが自由に歩き回らないようにしていたらしい。こうした木戸は本来、防犯用だったが、奈良では町の事情に即した独自の用途で活用されていたようだ。また、新薬師寺(奈良市)の近くでは「ばったり戸」と呼ばれる高さ約2メートルの扉を設置し、シカが奈良公園外に極力出ないようにコントロールしていたという。もっとも、住民とのトラブルが全くなかったわけではない。「シカの角で人がケガをしたという事例や農作物の被害が、行政や愛護会の資料に記録として残されている」(同研究員)。時を経て最近は、鹿せんべいをあげるのをじらした揚げ句、シカにかまれるなどの被害に遭う外国人観光客が後を絶たない。愛護会の担当者は「人に慣れているとはいえ、シカはあくまで野生動物。予想外の行動を取ることもあるので、節度を持って付き合っていくことが大切」と訴える。一方、奈良女子大の近くに昔から住んでいるという女性(72)は「このあたりにシカがいるのは当たり前のこと。観葉植物を食べられたら追い払うけどね」と、あまり気にした様子はなかった。今回の一件はネットがもたらしたニュースといえそうだが、シカと人が一緒に住む古都・奈良ならではの出来事は多くの人にどう映ったのだろう。

(シカ肉ドッグフード8種類商品化:徳島)
ペットフード製造販売のティー・ツー(美馬市)が、県西部で捕獲されたシカの肉や骨を使ったドッグフードを開発し、販売を始めた。シカ肉はタンパク質が豊富で脂質が少ない特長があり、愛犬の健康を気遣う飼い主にアピールする。猟師の収入を増やし、地域の課題として深刻化している有害鳥獣被害の抑制にもつなげたい考えで、2019年3月末までに月商150万円を目指す。「SIKARON(シカロン)」の商品名で、ジャーキー(100グラム、税込み1080円)、サイコロステーキ用冷凍もも肉(200グラム、1780円)など8種類を展開する。シカ肉をミンチにして県産米粉と混ぜ合わせ、刻んだ鳴門ワカメなどを入れて焼き上げたクッキー(300グラム、1780円)などもある。着色料や添加物は使っていない。ティー・ツーは、美馬市脇町でカフェを営む望月泰樹さん(40)と、中学の同級生だったシステム保守会社社長松村哲州(まさくに)さん(40)=東京都中央区=が2月に設立した。2人は共に兵庫県出身。05年に望月さんが徳島県内に移住した縁で、今回の事業に発展した。野生鳥獣肉(ジビエ)料理に使われるのはシカ1頭の8%ほどしかないことから、余った肉や心臓、骨などをドッグフードとして活用できないかと考えたという。美馬、三好、阿波の各市にある解体処理施設と契約し、捕獲されて1時間以内に運び込まれたシカの肉や骨を施設から買い取り、美馬市脇町の工場で加工する。5月に望月さんのカフェ「ラヴィングカフェ」で店頭販売を始めたほか、インターネットショップもオープンした。近く同市内で委託販売も始める。今後は商品を30種類まで増やし、海外への販路拡大も視野に入れて市場調査を行う。工場での地元雇用も予定している。ティー・ツーの社長を務める松村さんは「愛犬の健康増進とともに、有害鳥獣駆除や高齢化が進む猟師の所得向上などにつなげ、地域の活性化に貢献できれば。徳島ブランドとして世界に発信していきたい」と話した。

(駆除した鹿で革製品:徳島)
徳島県三好市の祖谷地区で有害鳥獣として駆除された鹿の皮を県特産の阿波藍で染め、県内の革工芸作家が仕上げる革製品の地域ブランドが今年、立ち上がった。地区の猟師や、藍を染料に加工する県内の藍師らが連携し、未活用だった鹿革を地域資源に育てようと奮闘している。

(千葉でスナメリ、神奈川でシカ、秋田でクマ3倍の恐怖)
関東大震災、阪神大震災、そして東日本大震災……それらの発生前に観測された“奇妙な現象”が今年、関東を中心に日本各地で観測されているという。5月7日には千葉県習志野市にある谷津干潟で、イルカの一種であるスナメリの死骸が発見された。スナメリは絶滅危惧種に指定されており、千葉県で見つかったのは初めてのことだ。イルカやクジラの座礁と大地震との関連は、かねてから指摘されている。東日本大震災の7日前、茨城県・鹿島灘の海岸に50頭以上のカズハゴンドウが打ち上げられていたのをはじめ、国内では2001年以降、10頭以上の鯨類の集団座礁が10件記録されている。そのうち3か月以内に震度5を超える地震が発生したのは7件だった。京都大学名誉教授で魚類学者の中坊徹次氏がいう。「イルカやクジラは音に非常に敏感です。潜水艦のソナーのような仕組みで、自分が出した音波の跳ね返りで距離を測り、障害物や仲間にぶつからないようにしている。大地震が発生する前に海底から発せられる低周波振動や音などによってイルカやクジラの感覚器がおかしくなってしまい、座礁してしまったのかもしれない」陸上に目を移すと、昨年から今年にかけて、全国でシカやクマの目撃例が急増している。神奈川県相模原市では中心部の住宅街にシカが出没。秋田県ではツキノワグマの目撃件数が昨年の3倍を超えるペースとなっており、県が注意報を発令した。過去には2004年の新潟県中越地震前にも日本海側でクマが大量発生。2011年3月の長野県北部地震の前にも、震源地近くではクマ、シカ、イノシシ、アライグマなどの出没が相次いだ。東京農業大学教授で獣医師の太田光明氏がいう。「研究によれば、哺乳類は地震発生前に何らかのストレスを感じていることがわかってきている。茨城県畜産試験場の乳牛の乳量データを解析したところ、東日本大震災の2週間ほど前から通常の乳量に比べ2割程度減少していました。クマなど野生動物の出没については、ドングリの不作など別の原因がある可能性も大きいでしょうが、地震の前兆を察知しての異常行動であることは否定できない。中国ではイグアナ、亀など普段あまり動かない生物をウオッチして地震予知に役立てようとしている。1975年の海城地震では、事前に動物の異常行動を察知して住民を避難させ、被害を最小限に抑えたことが知られています。アジア諸国は動物を利用した地震予知を真面目に研究している。全く行なっていないのは日本くらいです」

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(クマ、森に帰せない:三重)
いなべ市北勢町川原で先月二十九日にイノシシのわなにかかったツキノワグマは、地元で放獣する場所が見つからず、一時的に岐阜県高山市の牧場に預けられることになった。ツキノワグマは県の絶滅危惧種に指定されているため、県のマニュアルでは地元の森に帰すことになっているが、住民は「危険で絶対認められない」と反発している。クマは推定十歳、体長一・四メートル、体重九四キロのオスで、同種の中でも大きい。県内のツキノワグマは大台町以南を中心に生息し、奈良、和歌山両県と合わせても百八十頭ほどにとどまるため、県は希少種として保護。マニュアルでは誤ってわなで捕獲しても殺処分できず、同じ市町内の人家から二キロ以上離れた場所に放すことになっている。県が現在のマニュアルを制定した背景には、今回の捕獲現場の近くで二〇一五年に同様にツキノワグマが捕獲された際の失策がある。県はクマを滋賀県内に放し、近くで女性がクマに襲われ重傷を負った。後に女性を襲ったのは別のクマと判明したが、他県に放った手法が批判を浴びた。このため県は県内放獣を徹底。捕獲地から遠くに放つと、遺伝的に違いがあるクマと交雑する恐れがあるため、生態系保護の観点から、同じ市町内と定めた。一方、いなべ市獣害・ブランド対策室は「山深い県南部と違い、いなべ市にマニュアルを適用するのは無理だ」と主張する。川原地区に隣接する山は狭く数キロで岐阜県に達するため、担当者は「現実には放せる場所がない」と指摘する。近くに工業団地があり民家も多い。息子(5つ)と公園で遊んでいた女性は「子どもの安全を思うと捕まえたクマを放つなんて考えられない」と不安を訴える。クマの希少性を重視する県に対し、人を襲う猛獣と考える住民が多い地元の意思疎通はうまくいっていない。自治会長の男性は「牧場に引き取ってもらったのでもう終わった話」と強調。預けるのは半年以内の契約で、県はその間に放てる場所を見つける方針だが、男性は「先の説明は受けていない」と話す。県獣害対策課は「いなべ市を通じて説明している」と述べるが、市側は「県が説明すること」と食い違っている。さらに市の担当者は、川原地区の集落と隣接する岐阜県ではツキノワグマは狩猟対象になっているのに、三重県側では殺処分が認められていない矛盾も指摘する。「県のマニュアルは北勢の実情を反映していない。半年の間に改訂し放獣しないで済むようにしてほしい」と求めている。

(クマに襲われ男性大けが:岩手)
1日午前、八幡平市細野の山林で、山菜採りをしていた盛岡市の無職、小笠原武雄さん67歳がクマに襲われました。小笠原さんは顔や足をひっかかれ、顔の骨を折るなどの重傷を負いました。小笠原さんはクマに襲われたあと、自分で車を運転し八幡平市内の病院に向かいその後、盛岡市の病院に救急搬送され手当を受けました。命に別状はないということです。小笠原さんを襲ったクマは、現在も見つかっておらず、地元の猟友会が現場付近でパトロールを行うとともに、警察が現場周辺で山菜採りをしている人に、クマに注意するよう呼びかけました。近くに住む人によると現場付近は、以前からクマの目撃が多くある場所です。警察によると今年、県内でクマによる人的被害はこれで3件目です。警察は山に入る際は必ず複数で行動すること、ラジオやクマよけの鈴を持っていくなど、対策を呼びかけています。

(男性が襲われ重傷:富山)
5日午後1時10分ごろ、立山町の立山ケーブルカー・美女平駅から約200メートル離れた建設会社の工事事務所に、近くに住む写真家、高橋敬市さん(67)が「熊に襲われてけがをした」と助けを求めた。男性は顔面骨折などの重傷を負い、ドクターヘリで富山大学付属病院に搬送された。上市署や同町消防本部によると、現場は事務所からさらに山奥で、高橋さんは「(襲われてから)自力で約15分歩いてきた」と話しているという。ツキノワグマに遭遇し、爪で引っかかれたと見られる。同署によると、今月に入って、現場付近で熊の目撃情報もあることから、観光客などに注意を呼びかけている。

(イノシシ男性を襲う、逃走後に捕獲:香川)
4日午前11時ごろ、高松市勅使町で、業務のため付近を歩いていた市内の団体職員の男性(45)がイノシシに襲われた。男性は何度も追突され、両手足などに擦り傷を負った。高松南署などによるとイノシシは逃走したが、同日午後3時前に同市円座町で捕獲された。県によると、イノシシによるけが人は今年に入って初めて。男性を襲ったイノシシは雄で、体長約1メートル14センチ、体重35キロ。目撃した近くの会社員、寒川慎之介さん(43)は「黒っぽいものが走っていると思ったら、イノシシが襲いかかっていた。棒を持って助けに行った時には逃げていた。この辺りで見たのは初めてなので驚いた」と話していた。現場には通報を受けた高松南署員や高松市職員、県猟友会のメンバーらが駆け付け、足跡などをたどってイノシシを捜索。午後3時前に同市円座町で、待ち伏せしていた市職員に向かって突進してきたところを捕まえた。同署には男性が襲われる時間帯よりも前に、現場の北側を東西に走る国道11号をイノシシが渡っているとの通報が寄せられていた。県猟友会によると、国道11号のさらに北に位置する浄願寺山から降りてきた可能性があるという。香川県みどり保全課によると、県内のイノシシの出没件数は2016年度、270件に上り、9人がけがをした。同課は住宅地などにイノシシが近づいてこないよう、生ごみを前夜のうちに出すのを控えたり、家庭菜園を柵で囲ったりするよう助言している。また、万が一遭遇してしまった場合は威嚇や刺激することは避け、目を合わせたまま後ずさりするほか、塀や植え込みなど少しでも高いところに逃げるべきだとしている。

(サル出没、小学生がケガ:広島)
4日午前7時45分頃、福山市今津町で登校中の小学生2人がサルにひっかかれ足首などに軽いけがをした。サルの体長は約120センチ。隣の尾道市でも先月28日からサルの目撃情報が22件相次いでおり警察などが注意を呼びかけている。

(養鶏場をクマが襲い食い荒らし:宮城)
宮城県警遠田署は2日、同県涌谷町小里の養鶏場の鶏がクマ1頭に襲われ、10羽以上が死んだと発表した。同署や養鶏場の男性所有者によると、同日午前5時半頃、養鶏場の金網フェンスが剥がされ、鶏3羽が食い荒らされているのを男性が発見。午前10時半頃には、養鶏場の外の草むらでクマが10羽前後の鶏を襲っているのを男性の妻が見つけた。目撃されたクマは体長約1メートル。同署は同町と連携し、周辺住民にパトカーや防災無線で注意を呼びかけている。

(サクランボがクマに食い荒らされる:山形)
クマによる食害が発見されたのは、村山市白鳥の山の中にあるサクランボ畑だ。警察の調べなどによると、1日午前9時ごろ、所有者の男性が畑を訪れたところ、2本のサクランボの木が折られ、収穫間近の「紅さやか」およそ15キロが食い荒らされていた。

(頭に矢、サル捕獲:滋賀)
1日午後2時45分ごろ、滋賀県彦根市野田山町で、住宅資材加工メーカーの工場から「矢の刺さったサルがいる」と市を通じて県警彦根署に連絡があった。サルは頭に矢が刺さった状態で、工場にある倉庫の中を動き回り、約2時間後に市職員や署員らに捕獲された。けが人はなかった。同署は何者かが放った矢がサルの頭に刺さった可能性があるとみて、鳥獣保護法違反容疑も視野に捜査している。同署や市によると、サルは左耳から右耳にかけ、長さ約35センチの矢が貫通していた。捕獲後に衰弱したため、安楽死させることが決まったという。 

(会社倉庫内にクマ、射殺:宮城)
6日午前11時半ごろ、仙台市太白区茂庭人来田東の日本郵便輸送東北支社の敷地内へクマが入っていくのを通行人の女性が目撃、110番した。仙台南署によると、約5時間後、駆けつけた地元猟友会のメンバーが倉庫内でクマを発見、射殺した。ほかに1頭いたとの目撃情報があり、市が付近に警戒を呼び掛けている。けが人はいない。市によると、殺されたのは雄のツキノワグマで体長約70センチ。もう1頭は体長約50センチだったという。現場はJR東北線太子堂駅の西約7キロで、北側に住宅地が広がり、付近に東北自動車道仙台南インターチェンジがある。

(熊1頭射殺:長野)
2日、伊那、上田、長野の各市で熊の目撃が相次ぎ、伊那市では1頭が射殺された。いずれもけが人はいない。各市は市民向けの安全メールや防災行政無線で注意を呼び掛けた。午後4時ごろ、伊那市西箕輪羽広の仲仙寺北側の林に仕掛けられていたわなに体長約1メートルの熊がかかっているのを地元猟友会員が見つけ、射殺した。同市西箕輪や隣接する上伊那郡南箕輪村では5月下旬から熊の目撃情報が相次ぎ、この日も3件の目撃情報があった。市は猟友会に委託して5月下旬から市内4カ所にわなを仕掛けていた。市耕地林務課は、射殺した熊は「これまで目撃されていた熊と同一ではないか」としている。一方、午前10時45分ごろ、長野市信更町氷ノ田の県道長野信州新線で「子熊1頭が道路を歩いていた」と、近くの住民から市役所に連絡があった。午後5時40分ごろには、上田市秋和の林道に体長80センチほどの熊がいた―と通行人から自治会を通じて市森林整備課に連絡があった。

(各地でクマ目撃、駆除:北海道)
道内で2日、各地でクマの目撃が相次ぎ、オホーツク管内津別町や夕張市では各1頭が駆除された。いずれもけが人はいなかったが、道警が注意を呼びかけている。午後2時20分ごろ、津別町最上の林で、クマ1頭がいるのを車で走行中の女性が目撃。猟友会のハンターが近くのビート畑で駆除した。美幌署によると、クマは体長約1メートル。また午後3時20分ごろ、夕張市沼ノ沢の畑にクマ1頭がいるのを、近くの男性が見つけ、ハンターが駆除した。栗山署によると、クマは体長約1・2メートル。約200メートル先に民家があった。

(小学校で首のないカラスの死骸発見:神奈川)
相模原市の小学校で、「カラス2羽の死骸がある」と市教育委員会の職員から警察に通報があり、警察官が駆けつけたところ、小学校のグラウンドで、首のないカラス2羽の死骸が発見された。警察は、鳥獣保護法違反の疑いで捜査している。

(障害者クレー射撃、腕競う:島根)
上下肢などに障害がある人を対象としたクレー射撃の全国大会「第1回パラクレー射撃大会」が3日、島根県雲南市大東町山王寺の島根大東クレー射撃場で開かれる。世界的に同競技のパラリンピック正式種目化を目指す機運が高まる中、日本障害者スポーツ射撃連盟・パラクレー射撃部会が、国内での競技普及と技術力向上を図る狙いで企画。1日は同射撃場で公式練習があり、選手が本番に向けた調整に汗を流した。

(民間射撃場整備秋にも具体策:山梨)
県猟友会は4日、甲府・恩賜林記念館で定期総会を開いた。後藤斎知事が出席し、民間射撃場を活用した練習環境の整備内容を今秋をめどにまとめる考えをあらためて示した。

(中山らがアジア大会代表)
日本クレー射撃協会は4日、東京都内で理事会を開き、今夏のジャカルタ・アジア大会の代表としてトラップ女子の中山由起枝(日立建機)、スキートは男子が横内誠(横内商店)と折原研二(那須国際射撃場)、女子は石原奈央子(古峯神社)と折原梨花(文星芸大)の5人を承認した。

(来年11月に20位以内で五輪代表に)
日本ライフル射撃協会は2日、東京都内で理事会を開き、2020年東京五輪の代表選考に関し、9月の世界選手権やその後のワールドカップ(W杯)で上位に入って日本に与えられる出場枠を獲得した選手が、来年11月の世界ランキングで20位以内に入っていれば代表とすることを決めた。また、今夏のジャカルタ・アジア大会代表も決定し、松田知幸(神奈川県警)、小西ゆかり(飛鳥交通)ら男女計13人が選ばれた。

(熊の目撃情報:宮城)
4日午後5時15分頃、登米市迫町新田字番屋地内で熊の目撃情報がありました。

(駅前にニホンザル:宮城)
6日早朝、女川町の中心部にニホンザルが現れた。複数の町民が目撃し、町役場にも情報が寄せられるなどちょっとした話題になった。サルは体長80センチ前後とやや大きめ。目撃した人によると、女川駅前周辺をゆっくりと歩いていたという。午前6時ごろ、その姿を同町の遠藤蒼吉さん(19)が撮影した。遠藤さんは新聞配達中に路上のサルを見つけ、持っていたスマートフォンで急いでシャッターを切ったという。同町でサルが目撃されるのは珍しく、産業振興課では群れから離脱した「離れザル」ではないかとみている。石巻地方ではニホンザルの生息地として金華山が有名。ごくまれに平野部でも目撃されることがあるが、警戒心が強く俊敏なため、写真に収められるケースは少ない。

(猟友会員がクマ目撃か:滋賀)
3日正午ごろ、彦根市善谷町の山中で、有害鳥獣一斉駆除中の県猟友会員が「クマのような動物を目撃した」と市に連絡した。市によると、動物がいたのは善谷町の集落から約700メートル米原市方面に分け入った山中で、体長などは不明。市はふもとの市立鳥居本小・中学校や自治会などに周知したほか、山に入る際はラジオや鈴の携行を呼びかけている。

(イノシシ出没、警察などが捕獲:新潟)
6日午前、長岡市でイノシシが出没する騒ぎがあり、警察などが捕獲に当たった。イノシシは用水路を泳いで逃げたあと、約1時間後に捕獲された。イノシシが出たのは、長岡市高畑町の用水路だ。警察によると6日午前7時55分ごろ、近くに住む住民から「用水路にイノシシがいる」と通報があった。警察が駆けつけると、用水路を泳ぐ1頭のイノシシを発見した。付近には小学校や保育園があることから、警察や長岡市、地元の猟友会などが捕獲にあたった。イノシシは約1時間後にロープを使って捕獲され、その後死んだ。イノシシは体長約1メートル30センチで、2歳から3歳のオスとみられている。ケガをした人などはいなかった。猟友会によると、気温が高くなるこの時期は水を飲みに山から降りてくるイノシシも出てくるということで、警察は目撃したらすぐに通報し、絶対に近づかないでほしいと注意を呼びかけている。

(クマ目撃情報:岩手)
2日午後3時ごろ、久慈市川崎町のアンバーホール駐車場でクマ1頭が目撃された。体長は不明だが、同ホール付近では5月31日にも子グマの目撃情報があったばかりで、市などが警戒を強め注意喚起している。2日は通報を受けた久慈署員が付近を巡回し、久慈地方猟友会のメンバーらで構成する市鳥獣被害対策実施隊員が茂みなどを捜索。日没まで発見できず、市は同駐車場南東の茂みにわなを仕掛けた。市林業水産課の谷崎勉課長は「クマの餌となる残飯などを外に置かないでほしい。外出の際は茂みに近づかず、ラジオや鈴など音の出る物を持ち歩いてほしい」と注意を促す。

(クマ出没注意:神奈川)
厚木市内七沢で5月21日と23日、25日にクマの目撃情報があった。市農業政策課鳥獣対策係に昼の12時30分頃、匿名の男性から市内七沢大釜弁財天付近で子グマの目撃情報の入電があった。続いて午後1時30分頃、同じ人から七沢の川久保橋付近で再び目撃情報が寄せられた。23日には玉川地区玉川分署東側の畑付近で子グマが、25日には不動尻から三峰山への山道脇の沢でも目撃されている。市では警察とともにパトロールをしたが、クマを発見することはできなかった。同課によると「この時季は例年目撃情報が寄せられる。ただ今回は人里に近いので注意が必要」と話す。発見に至らなかったので、現在は様子を見ている状態という。神奈川県内では、今年度に入って5月15日の時点で、7件の目撃・錯誤捕獲情報があった。昨年2017年度は64件中、厚木は七沢で1件、16年度は193件中、七沢・飯山・上古沢・岡津古久で15件、15年度は79件中、七沢・飯山・上荻野で4件の目撃情報や錯誤捕獲、捕殺があった。県猟友会厚木支部の安藤忠幸支部長によると「クマが活発になる時季で、例年目撃情報が寄せられている。元々クマの生息している場所だが、どんどん人里へと下りてきているのは気になる所。会はいつでも出動できるようにスタンバイしている」と話している。

(シカ悠々、市中心部に群れ:北海道)
釧路市中心部に1日朝、エゾシカの10頭ほどの群れが現れ、ぬさまい公園(幣舞町)や旧日銀釧路支店(大川町)敷地内を悠々と歩く姿が見られた。午前7時40分ごろ、高台のぬさまい公園内にいた群れは、柵を跳び越えて北側の斜面へ。花時計の横を通って下り、ロータリー内の道路を渡った。その後、旧日銀釧路支店の正面玄関前を堂々と通った。

(イノシシ出没、パトロール強化へ:石川)
かほく市の住宅地で6日午前、イノシシが出没し、市や警察が注意を呼びかけている。出没したのは、かほく市七窪にある自動車学校の駐車場だ。イノシシは体長1メートルほどで成獣と見られている。6日午前11時前、市に通報があり、警察などが駆けつけたところ、イノシシは、駐車場から崖の方に移動し、その後、線路のある山側に逃げていったという。現場は住宅地で、麻酔銃などの使用も難しく市などは、周辺のパトロールを強化していきたいとしている。

(イノシシの出没:佐賀)
1日午後6時ころ、唐津市神田の長松小学校付近の畑に、体長1メートルほどのイノシシ2匹が出没しています。 民家付近に出没する可能性もありますので、十分注意してください。5月30日午後3時ころ、武雄市西川登町の西川登駐在所付近で 小型のイノシシ1匹が出没しています。 近くに親イノシシがいる可能性もありますので、十分注意して下さい。

(「クマ」目撃8件相次ぐ:福島)
会津若松市で5日、午前7時25分ごろから午後4時40分ごろにかけ、クマの目撃情報が8件相次いだ。会津若松署によると、同市一箕町松長で午前7時25分ごろ、体長約1メートルのクマが目撃されたのをはじめ、住宅や学校などが多い一箕町地区で午前中、計3件のクマ目撃の情報が寄せられた。目撃場所の近くには松長小などがあり、同小ではパトカーが通学路を警戒する中、全校児童が保護者や職員らに付き添われて集団で下校した。同小の渡部健教頭によると「課外活動は中止した。不要な外出を控え、6日は1人で登校しないよう指導した」という。市は目撃現場付近にクマへの注意を呼び掛ける看板も設置した。そのほか、同市では東山町の畑と山林、大戸町の国道118号、真宮新町の阿賀川河川敷、湊町の双潟橋付近でクマの目撃情報があった。いずれもけが人はいなかった。

(神社でクマ目撃:秋田)
秋田県内で5日、クマの出没が相次いだ。けが人はいなかった。秋田東署によると、午前4時15分ごろ、秋田市太平中関字八幡野の若宮八幡神社境内で、散歩をしていた同市の60代男性が体長約1メートルのクマを目撃。クマは神社裏の山林に入っていった。

(クマ出没相次ぐ:秋田)
県内で3日、クマの出没が相次いだ。けが人はいなかった。由利本荘署によると、同日午前1時ごろ、秋田県由利本荘市松本字小及位野の大内小学校近くを車で通り掛かった同市の30代女性が、クマ2頭を目撃した。同校の北約50メートルの国道105号を1頭が横断し、同校の北約150メートルの市道脇ののり面を1頭が歩いていたという。体長はそれぞれ約70センチと約1メートル。同校はこの日、休校日で、イベントなども行われなかった。

(クマの目撃情報相次ぐ:長野)
県内各地でクマの目撃情報が相次いでいる。県のまとめではクマの大量出没は、ドングリなどの出来に合わせて4年ごとに繰り返されていて、今年はその年に当たる。4月の目撃情報は20件で去年に比べて9件多く、大量出没の年の4月の平均を5件上回っている。県などはクマと遭遇しないために、鈴やラジオなど音の出るものを持ち歩くよう呼び掛けている。

(国道横切るクマを撮影:山形)
1日午後2時50分ごろ、大蔵村南山の国道458号で道路を横切るクマを目撃し撮影した。村中心部から肘折温泉に向かって国道を走行中、10メートルほど先に道路を横切る体長約1.5メートルのクマを目撃した。成獣とみられ、巨体を揺らしてのそのそと歩いていた。シャッターを切っていると、道路左側の林に姿を消した。肘折温泉の商店の男性は「目撃現場は葉山に向かうクマの通り道になっている。もうじき山の奥にも餌になる山菜がたくさん出るので、出没は減るだろう」と話していた。

(山林でクマ目撃:栃木)
31日午後6時10分ごろ、那須塩原市上塩原の山林、体長約1メートル。

(駅周辺でクマの目撃相次ぐ:新潟)
30日夜から31日朝にかけて、胎内市中条地域の中心市街地にクマの目撃情報が相次いだ。新発田署と市は中条駅周辺などを警戒に当たった。けが人はいない。30日は午後7時すぎに、中条駅から約700メートルにある八田の農道で体長約1メートルのクマを通行人が目撃し、新発田署に通報した。31日午前6時半すぎには、駅から約100メートル離れた表町の県道脇で、同じクマとみられる1頭が目撃された。

(ニホンカモシカが出没:宮城)
東松島市大塩の工業団地「グリーンタウンやもと」内に2日、国の天然記念物のニホンカモシカ1頭が姿を見せた。団地内で働く佐藤欣央さん(49)がスマートフォンのカメラ機能を使って姿を収めた。同日午前6時45分ごろ、出社した佐藤さんが建物内に入ろうとしたとき、物音に気付いて茂みに目を凝らしたら体長1メートルを超すニホンカモシカを発見。すぐに車に戻ってスマートフォンを手にし、10メートルほど離れた先から写真を撮った。「これまでタヌキやキジ、野ウサギを見たことがあるが、カモシカは初めて。人馴れしているのかカメラを向けても逃げず、じっとこちらを見ていた」と佐藤さん。社長を呼びに社屋に入り再び戻ったところ、カモシカの姿は消えていたという。佐藤さんは「里山の中でエサを探しているうちに団地内に入り込んだのだろうか。周囲に道路や民家もあるので、事故やトラブルがなければいいが」と気にかけていた。

(「クマ、まだ島内に」:北海道)
ヒグマが生息していないとされる宗谷管内の利尻島でヒグマの足跡やふんが相次いで発見されたことを受け、道立総合研究機構環境科学研究センターの間野勉自然環境部長が6日、島内に入り現地を調査した。新たなふんが5日に発見されたことなどを踏まえ「クマはまだ島内にいると考えられる。状況をみながら警戒態勢を検討するべきだ」と強調した。間野部長は同管内利尻、利尻富士両町内のふんが発見された4カ所と、足跡とみられる痕跡が見つかった1カ所を調査。5日に利尻町仙法志(せんほうし)地区の林道で見つかったふんは、臭いなどから1~2日以内のものとみられるという。島を出た形跡は見つかっていないため、登山や山菜採りには十分な注意が必要としている。

(クマ目撃情報相次ぎ、全面閉鎖:福島)
県は8日まで、クマの目撃情報が相次ぐ会津若松市湊町の会津レクリエーション公園を全面閉園とする。9日以降は安全が確認できれば全面閉園を解除する。県は、車両巡視や園内のスピーカーを使ったクマよけのBGM放送、捕獲用の箱ワナ設置などの対策を講じる。問い合わせは県会津若松建設事務所へ。

(ツキノワグマ捕獲上限を38頭に:岡山)
岡山県は、昨年17年ぶりに狩猟を解禁したツキノワグマについて、今年は捕獲頭数の上限を38頭に設定した。県内で推定生息数が増加したことを踏まえ、昨年より8頭増やした。県によると、県内のツキノワグマ生息数は昨年末時点の推定で254頭と前年より38頭増えており、国のガイドライン(推定生息数の12~15%)に基づき捕獲上限を算定。狩猟期間は昨年と同じ11月15日~12月14日で、集落近くに出没した場合に県の許可を得て殺処分する「有害捕獲」も含めてカウントする。ツキノワグマ猟は2000年度に個体群保護のため全面禁止したが、近年は県北部で出没が相次ぎ、人的被害防止に向けて昨年から解禁した。しかし同年は、クマ猟の経験者が少ないこともあり捕獲は1頭にとどまった。県自然環境課は昨年に引き続き、猟友会や市町村担当者らを対象にした安全講習会を予定。「狩猟者の育成に努め、個体保護と頭数管理をバランスよく進めたい」としている。

(県猟友会、猟の技術継承へ:山梨)
県猟友会青年部(羽田健志部長)は3日、富士吉田市内の山林で、狩猟免許取得を目指す人や若手ハンターを対象にした狩猟体験会を開いた。

(鳥獣被害対策実施隊を新設:秋田)
クマ対策などの担い手確保に向け、秋田県男鹿市は鳥獣被害対策実施隊を新設した。1日に市役所で委嘱状交付式を行い、市内2猟友会の44人を隊員に委嘱した。県水田総合利用課によると、県内25市町村で実施隊が設置されていないのは同市のみだった。実施隊は鳥獣被害防止特措法に基づき市町村が設置。男鹿市では隊員は市の非常勤特別職として活動し、1人当たり年4千円の報酬が支払われる。隊員は▽狩猟税が非課税▽負傷した場合は公務災害が適用される▽猟銃(散弾銃)所持期間が10年を超えていなくても、有害駆除の場合はライフル銃を使用できる―といった優遇策を受けられる。

(77歳女性がわな猟師に:兵庫)
6月4日から兵庫県の狩猟試験の出願が始まるなか、77歳の蘆田朝子さん(丹波市青垣町東芦田)が、昨年同試験に合格し、わなの狩猟免許を取得した。今年度から有害鳥獣駆除活動を始める。自身の畑や山をシカから守ったり、近所や知人宅で悪さをする小動物を捕まえたいとの思いから免許を取った。「小型のわなでイタチの1匹も取り、青垣の猟友会のみなさんに手伝ってもらって狩猟期にはシカの1頭でも捕獲できれば」と意気込んでいる。県猟友会事務局は、「高齢で免許を取る男性はあるが、女性でその年齢は珍しい」と話している。

(ニホンジカ捕獲計画案、白神周辺で銃猟追加:青森)
有識者による県ニホンジカ管理対策評価科学委員会(委員長・藤田均青森大学名誉教授)が4日、県庁で開かれ、2017年度に初めて行ったニホンジカ捕獲事業の18年度実施計画案を県が示した。白神山地周辺地域(鯵ケ沢町、深浦町、西目屋村)では捕獲手法に銃猟(忍び猟)を追加。開始時期を約1カ月早め、一度に複数頭の捕獲が期待できる囲いわなも導入することを盛り込んだ。関係機関との合意形成などを経て9月に計画案を決定する。

(ニホンジカ捕獲目標、前年と同数53頭:青森)
青森県は4日、県内で目撃例が相次ぐニホンジカの具体的な捕獲策を盛り込んだ2018年度の「県指定管理鳥獣捕獲等事業実施計画」の素案を公表した。捕獲目標を17年度と同じ53頭(三八地域45頭、白神山地周辺地域8頭)とした上で、17年度は箱わなによる猟のみだった白神山地周辺では新たに銃猟を追加するなど、より効果的な捕獲に努める。

(止まらぬクマ被害、狩猟者の育成急務:秋田)
秋田県内の自治体が、相次ぐツキノワグマによる被害への対策に追われている。昨年はクマの目撃件数が最多を記録し、人身被害も続いた。集落の過疎化による里山の荒廃などが要因として指摘され、人間社会との共生を巡る駆け引きが続いている。県によると2017年度の目撃件数は前年度比434件増の1303件に上った。人身被害は19件20人。いずれも過去最多だった。少子高齢化と過疎化が進み、耕作放棄地や荒れた里山が増えた。生態系のバランス維持の役割を担う狩猟者も減少。これらを背景にクマの生息域が拡大したことが、目撃数増加などの一因とみられる。鹿角市では16年5~6月、山菜採り中の男女4人がクマに襲われ死亡した。市は山菜シーズンに合わせ、現場周辺の市道を通行止めにし山林の入り口にバリケードを設置。私有地にもロープを張るなどして入山規制を続けている。入山者が減ったためか、例年10件ほど発生する山菜採り中などの遭難事故は昨年は1件だけだった。だが市農林課は「クマの目撃件数の増加は、人間と遭遇する機会が増えている証拠だ」と神経をとがらす。鹿角署は5月、ウェブ上の地図にクマの出没箇所を随時更新する独自の取り組みを始めた。山に入る際は目撃現場に近づかないよう注意を促すが、県警幹部は「相手が動物だけに動きは読めず、確実な被害防止には入山自粛しかない」と言う。北秋田市の国指定遺跡「伊勢堂岱(いせどうたい)」では16~17年、クマの出没が相次ぎ、2年連続で一般公開を中止した。17年7月に見回り中の職員がクマに襲撃され、本格的な対策に乗りださざるを得なかった。遺跡南側の杉林約3万平方メートルを伐採して緩衝地を整備し、本年度は公開しているエリアの周囲約1キロに電気柵を設置。クマなどの動物を捉えるとメールで職員に知らせるネットワークカメラを3台導入した。市とガイドボランティアの連絡体制強化を図る安全マニュアルも作成し、ハードとソフトの両面で臨む。しかし市教委生涯学習課は「文化財敷地内でのクマ対策は全国でも例がなく、手探りの状態。改善を重ねていくしかない」と悩む。有害駆除などを目的にした17年度のクマの捕獲数は、県によると過去最多の834頭(16年度は476頭)に上った。木の実の凶作により餌を求めたクマが人里に出没し、農作物被害や住民に危害を加える危険性が高まったことが要因だ。止まらないクマ被害を受け、県内の狩猟免許取得者は増加傾向にある。12年度には30人に届かなかったが、17年度は188人が狩猟資格を得た。県全体の狩猟者数はピーク時の2割以下である1691人(17年度)に激減しているものの、免許取得者が増加に転じたことは、クマの被害対策を進める上では光明と言える。こうした状況を踏まえ、県は狩猟者の人材育成の一環として、由利本荘市の県総合射撃場で実技訓練の機会を設ける方針。散弾の鉛による土壌汚染対策などを講じた上で、20年度内の運営開始を目指している。県自然保護課は「生態系のバランス維持には狩猟者の存在が不可欠。市民生活の安全確保と動物保護の在り方を模索したい」と語る。

(北ア北部の食害防げ、検討会議が被害調査へ:長野)
県や環境省、大北地域の3市村、研究機関などでつくる「北アルプス高標高地野生鳥獣被害対策検討会議」は4日、大町市の県大町合同庁舎で初会合を開いた。県北アルプス地域振興局が、北ア北部の高山植物の食害を防ぐ狙いで各機関に呼び掛けた。野生鳥獣の生息域や被害状況を情報共有し、対策を進める。数年前から北ア北部の標高2500メートルを超える高山帯で、ニホンジカやイノシシ、熊、ニホンザルの目撃が増えていた。この日の会議では、5月25日に白馬岳でイノシシ1頭を目撃したとの報告があった。今後、現地調査をして被害状況を把握する。座長に就任した信州大山岳科学研究所の泉山茂之所長(動物生態学)は、野生鳥獣が高山帯に出没する理由について「高密度で生息する山麓を離れ、良質な食べ物を求めて高山帯にすみ始めている」と指摘。委員からは「高標高地だけではなく、山麓での動きを早く把握することも対策につながる」との意見が出た。北アのニホンジカ対策を巡っては、環境省などが、富山・岐阜両県などを含む地域を対象に「中部山岳国立公園野生鳥獣対策検討会」(事務局・環境省中部山岳国立公園管理事務所)を開いている。

(クマ、目撃最多ペース:山梨)
山梨県内でクマの目撃情報が相次いでいる。5月は23件の通報があり、4、5月の2カ月間で計26件。記録が残る2013年以降では最多ペースとなっている。観光スポットや小中学校周辺でも目撃されており、地元自治体は注意を呼び掛ける看板を設置した。

(市街地にサル出没、目撃相次ぎ警戒:広島)
広島県福山市でサルの目撃情報が相次ぎ、小学生がケガをする被害も出ている。市役所の職員がサルを発見し、あの手この手の捕獲作戦を行ったが、結局、山の中に姿を隠し見失ってしまった。広島県福山市では4日、登校中の小学生2人がサルにひっかかれ軽いケガをした。

(干潮時に道、幸島サル:宮崎)
芋を洗う「文化ザル」が生息することで知られる宮崎県串間市の離島・幸島こうじまで、大潮前後の干潮時のみに現れる約200メートルの「砂の道」が4月から再び確認できるようになった。潮が引いた時間帯は対岸の本土側と陸地続きになるため、監視員たちがサルが島外に出ないよう見守っている。市によると、砂の道は昨年3月頃から陸とつながるようになった。同年8月の台風で砂が洗い流されて陸までつながらなくなったが、今年4月から再びつながるようになったという。幸島は生息する約90匹のニホンザルとともに島全体が国の天然記念物に指定されている。しかし、砂の道を通って対岸に渡ったサルが住民を襲ったり、農作物を食い荒らしたりする恐れがあるため、市は4月以降、砂の道ができる時間帯には監視員を配置。サルを追い返したり、観光客が渡らないよう注意を呼びかけたりしている。サルを研究している京都大野生動物研究センター幸島観察所の鈴村崇文さん(43)は「人も歩いて渡れる状態だが、もしサルを見かけても遠めで静かに見守ってもらいたい」と話している。

(重要文化財がカラス被害:愛知)
国の重要文化財に指定された富部(とべ)神社(名古屋市南区呼続)の本殿がカラスの被害に遭っている。ヒノキの皮を使った屋根が巣の材料としてついばまれた。抜本的な対策が見つからず、名古屋市教育委員会など関係者が頭を悩ませている。市教委などによると、富部神社は1606(慶長11)年、当時の清洲城主・松平忠吉(徳川家康の四男)の命令で造営された。1957年に国の重要文化財に指定された本殿は全体に弁柄漆が塗られ、彫刻類は鮮やかな彩色が施されており、江戸時代初期の特徴を示す。屋根はヒノキの皮を重ねて敷き詰める伝統的な檜皮葺(ひわだぶき)だ。狙われたのは、屋根のヒノキの皮。カラスは繁殖期の3から4月、盛んに巣作りする。木の枝を使うケースが多い中、本殿の近くでヒノキの皮で作られた巣が見つかった。神社から相談を受けた市教委は、文化庁や有識者と対策を協議した。大きな音を鳴らして近付かせない手法を検討すると、「数週間でカラスは慣れる」との意見が出た。釣り糸を網のように屋根の周りに張り巡らせたり、ブルーシートで屋根を覆ったりすることも考えたものの、外観を損なうため困難という。市の許可で神社のカラスを捕獲できるが、市都市農業課は「生ごみなどの餌が街にあふれている限り、他の個体がやってくる」とみる。有効な手立てが見つからない現状で市教委は、本殿の所有者である神社に対応を委ねている。神社側は「騒がれたくない」と取材に応じなかった。文化庁は重要文化財の被害の全容を把握していない。神社仏閣が集中する京都府を中心に野生生物を調査している関西野生生物研究所の川道美枝子代表によると、全国で動物による文化財被害が相次いでいる。屋根がカラスについばまれたり、柱をアライグマやハクビシンにひっかかれたりする事例が目立つ。川道代表は「貴重な文化財を守れず恥ずかしいとの思いからか、所有者が被害を公表しない傾向が強い」と話す。重要文化財は富部神社のように私有物であることも多く、所有者に修復や維持の費用負担が生じる。川道代表は「国が率先して被害の予防を進めるべきだ」と提言する。

(害獣から農園守る、電気柵設置:奈良)
桜井市立朝倉小学校(山本眞介校長、児童数155人)の農園(約200平方メートル)を管理する朝倉台里山クラブの坂口幹彦代表(72)や菅原克博・自治会長(63)、岡田光司・PTA会長(49)らが、害獣から農園を守ろうと、電気柵を設置した。5月初旬に2年生が丹精込めて栽培していたイチゴが害獣に食べられてしまった。悲しむ子供たちを見て、収穫期を迎えるジャガイモなども被害に遭わないようにと対策を取った。被害後、市から捕獲の檻(おり)4個を借りて農園に設置したが、ハクビシン1匹を捕らえただけで、アライグマは檻を壊し脱走した。今後、イノシシが出没するため、PTAの支援を受けて農園の周辺に長さ約60メートルの電気柵を設けた。菅原自治会長は自分の畑にも電気柵を設置して効果が出ているといい、「農園でも大丈夫」と話す。電気柵は高さ20センチと40センチの位置に2本の線が張られ、ソーラー発電・蓄電システムに対応している。害獣が活動する夜間にだけ電気が流れる。農園を管理して5年になる坂口代表は「子供たちが夏野菜を楽しく栽培し、収穫時の笑顔が楽しみ」。山本校長は「地域と共にある学校作りのため、連携を大切にしていきたい。子供たちも感謝し喜んでいる」と話している。

(携帯電話から「害獣駆除わな」を操作:徳島)
徳島県は、携帯電話を使って遠隔監視や操作ができる有害鳥獣駆除用のわなを民間企業と共同開発した。おりに獲物が入ると携帯電話に画像が送信され、メールで指示を出すとゲートが閉じる仕組み。近く市販される予定で、県は、初心者でも安全で負担が小さく、食害の低減につながると期待している。開発したわなは、おりのゲートを閉じるセンサーを改良し、通信機能付きセンサーカメラを組み合わせた。おりにシカやイノシシが入ると、センサーカメラが反応して写真を撮り、携帯電話やパソコンにメールを自動送信。狩猟者は、ニホンカモシカなど狩猟対象外の動物ではないことを確認した上でメールで指示を送り、ゲートを閉じるセンサーを起動させて捕獲する。県立農林水産総合技術支援センター(石井町)と鳥獣害対策商品を扱うアイエスイー(三重県)が共同で考案し、2017年9月から18年2月まで美馬市や那賀町の山中で実験を繰り返して実用化した。遠隔監視により山奥のわなを毎日見回りする負担が軽減されるほか、捕獲後、速やかに解体すれば、品質の高い野生鳥獣肉(ジビエ)として販売できるメリットがある。7月の発売を予定し、価格は20万円超になる見通し。おりの中の様子を動画で確認できる類似商品は約100万円で販売されており、低コスト化を実現した。開発に携わったセンター資源環境研究課の藤井栄主任は「わな猟は技量が求められるが、このわなは初心者でも使いやすい。警戒心が強く、わなにかかりにくい成獣の捕獲やジビエ利用の促進につながれば」と話している。

(野生シカ、捕獲システムを商品化へ)
シカやイノシシなどによる農作物の被害が問題になる中、関西電力などが情報通信技術(ICT)を活用し、スマートフォン(スマホ)などの携帯端末で鳥獣を監視・捕獲するシステムを開発した。狩猟の担い手の負担軽減や効率的な捕獲につながるとして、自治体向けに商品化を進める方針。また、このシステム開発は、電力会社は当たり前に所有する電柱を生かしたアイデア募集で得た提案がきっかけ。イノベーション創出の新たな形として注目される。システムを開発したのは関電と、同社の子会社で携帯電話事業を手がけるケイ・オプティコム。両社は2~3月、兵庫県北部の山間部に位置する養父市でシカの捕獲実験に取り組んだ。仕組みはこうだ。まず、電柱などに取り付けたシカの監視カメラの映像を、専用アプリをダウンロードした猟師のスマホなどの端末に配信する。その後、餌におびき寄せられたシカが捕獲用の柵に入ると、端末に通知が届く。猟師がアプリ上のボタンを操作すると、遠隔で柵の入り口をふさぐことができる。捕獲頭数などのデータもインターネット上で管理できる。実験では、2月23日に同市八鹿町三谷地区の3カ所に監視カメラを設置し、姿を現した8頭の群れの行動パターンを分析。3月5日に畑の一角に4メートル四方の鉄製の柵を仕掛け、同月12~30日に体重19~57キロのシカ5頭(雄1頭、雌4頭)を捕獲した。うち2頭は猟師が殺処分し、市内の料理店で食肉に加工された。関電の担当者は「しょっちゅう出没していたシカを確実に捕らえられた。狙いを定めて捕獲ができたのは大きな成果だ」と話す。現在は実験結果を分析し、商品化に向けたシステムの改良を進めているという。シカをはじめとした野生鳥獣による被害は近年、各地で深刻化している。28年度の全国の農作物被害額推計は約172億円に上り、このうちシカによる被害は約3割で最多を占めた。27年度現在、本州以南で25年前の約10倍となる304万頭が生息しているという。国は35年度までに126万頭に減らす目標を掲げているが、50年前に約50万人いた狩猟免許の所持者は近年、20万人前後と減少。狩猟の担い手不足や高齢化により、捕獲が追いつかなくなる懸念が生じている。シカをはじめとした野生鳥獣による被害は近年、各地で深刻化している。28年度の全国の農作物被害額推計は約172億円に上り、このうちシカによる被害は約3割で最多を占めた。27年度現在、本州以南で25年前の約10倍となる304万頭が生息しているという。国は35年度までに126万頭に減らす目標を掲げているが、50年前に約50万人いた狩猟免許の所持者は近年、20万人前後と減少。狩猟の担い手不足や高齢化により、捕獲が追いつかなくなる懸念が生じている。ところで、関電はなぜシカの捕獲を試みたのか。背景には、28年4月の電力小売りの全面自由化以降の競争激化で、電力供給を中心とした従来のビジネスモデルからの転換を迫られている事情がある。関電は同年6月、社内にイノベーション(革新)の機運を醸成することを目的とした部署を新設。社外のアイデアや資源を積極的に取り入れることで、電力分野にこだわらない新規ビジネスの創出につなげる狙いがある。シカを捕獲するシステムの開発も、この部署が同年11月に開いた一般参加のビジネスアイデアコンテストがきっかけだった。管内に約270万本ある電柱を事業に生かすヒントを求めたところ、「鳥獣対策に使える」という提案があり、着想を得たという。関電幹部は「電力会社の常識では思いつかない発想にこそ、大きな可能性が秘められている」と話す。関電は平成28年6月、電力事業以外に新たな収益部門を作ることを目的として経営企画室内にイノベーション推進グループを新設。ベンチャー企業などとの協業を加速させてきた。グループはこれまでに有害鳥獣の捕獲システムの開発につながるアイデアコンテストを実施したほか、「ドローン」の操縦訓練などの事業展開を実現させている。

(獣害対策の電気柵、スマホで電圧確認:長野)
鳥獣害防止機器製造販売の協和テクノ(須坂市)は、シカやイノシシなどから農作物などを守る電気柵の電圧を、スマートフォンやパソコンで確認できる新システム「EfMoS Jr.(エフモスジュニア)」を開発した。電気柵は、通常一~二キロほどの長さのものを複数設置する。動物の突進などで破損し漏電することがあるため定期的な見回りが必要で、運営する住民組織などの負担が大きいのが課題となっている。同社では地元住民の要望を受け、二〇一二年ごろからシステムを開発してきた。新システムは、一四年に完成した旧型の改良版で、一基あたり約八十万円かかった機材費を十七万円程度に抑え、運用費も軽減した。電気柵に接続した電圧計の計測データを、市販のモバイルルーターを介して専用のインターネットサイトに表示するシステムで、設置場所に行かなくても確認できる。見回りの負担が減り、破損にも素早く対応できる。専用サイトは、複数の電気柵の電圧を一覧で表示できるほか、一時間ごとの電圧の推移も見られる。須坂市では、市内の電気柵約八キロで新システムを使用しており、電気柵を管理する同市農林課の林厚武(あつむ)さん(65)は「いつでも見られて本当に便利」と喜ぶ。同社の飯川暁則社長(46)は「管理の大変さを軽減できれば」と話す。

(鳥獣対策、群馬企業挑む:群馬)
シカやイノシシ、カラスなど全国的に鳥獣による被害が絶えないなか、鳥獣を寄せ付けない装置を独自開発して注目を集める企業が群馬県にある。分厚いものづくりの基盤があることに加え、自然環境にも恵まれた土地柄を生かして開発した商品で、販路を全国に拡大し、オンリーワンの地位を確立している。コンクリート製造の赤城商会(渋川市)は地面に置いてシカやイノシシが侵入するのを防ぐ直径約8センチの六角形の穴が空いたマットを開発した。「わたれませんLIGHT」の名前で近く販売を始める。動物は足をケガするのを恐れるため、はまって抜けなくなりそうな小さな穴を警戒する性質があるという。材料は紫外線や温度変化に強く、自動車のバンパーなどに使われる特殊樹脂。幅約90センチ、奥行き約80センチのマットを数枚組み合わせて、家や農地の入り口に置き、フェンスや電気柵の開口部から動物が侵入するのを防ぐ。マットの重さは1枚20キロ程度で施工も簡単。マット6枚を組み合わせた標準的な仕様で、40万円程度での販売を予定している。六角形の穴で獣害を防ぐ効果は、2012年から販売する先行商品「わたれません」で立証済みだ。基本的な形状は同じだが、こちらは鋳鉄が素材。U字溝の上に置いて施工する。これまでに32件、累計5000万円程度を販売したが、設置には重機が必要で1カ所あたりの費用は工費込みで約200万円。発注元はほとんどが自治体で、個人で導入するのは難しかった。同社の永井明社長は「同様の商品を手がける企業は全国でもほとんどなく、今後もさまざまな商品を開発していきたい」と意欲を示す。精密板金加工を手がけるモハラテクニカ(高崎市)は超音波で鳥獣を撃退する装置を開発し、問い合わせが相次いでいる。製品名は「ユーソニック」。10年ほど前に販売を始めたベーシックな「4SP」はスピーカー4台を備え幅24センチ、重さ8.5キロで1台約40万円。装置から約80メートル先まで効果があるという。茂原純一社長は「鳥獣害に悩む農家から相談を受けたのがきっかけで始めた」と話す。小型軽量タイプや、反射板を使って超音波を上方に飛ばすタイプなど4種類あり、累計で約700台を販売した。新車にカラスがいたずらするのを防ぐため、大量に導入している自動車メーカーもある。また、2年前から近畿日本鉄道が採用する「シカ踏切システム」は列車運行時間だけ超音波を出して動物を寄せ付けないシステムだ。現在開発中なのはドローンに搭載するタイプ。猟友会員の高齢化や人手不足に対応し、山中にいるシカを猟師が待ち構える場所まで追い込む。撃退装置の売り上げは年間約3000万円と、年商の6%程度だが「小規模なものを除き、同様の製品を造っている会社は聞いたことがない」(茂原社長)と話す。群馬県によると、2016年度の野生鳥獣による農林業被害額は前年度比11.4%減少の約6億1000万円。侵入防止柵の設置や、捕獲体制の強化などで減少傾向が続いているが依然として無視できない金額だ。全体の被害が減少する一方、ブナやミズナラの実が不作だったことからクマによる被害は増えたという。農林業以外にも自動車と野生動物が衝突したり、鳥類が太陽光発電施設を壊したりする例もある。野生鳥獣による実際の被害額はさらに膨らむことになる。前橋市ではこの春、赤城山麓の富士見地区でクマが目撃される例が相次ぎ、市は警戒を深めている。市街地に近いエリアでも野生動物と無縁ではなく、被害を減らしながら共生していくための取り組みは重要性を増している。

(ジビエはおいしい、自然との調和考える時:群馬)
日本人は天然モノが好きだ。魚やキノコなど、やっぱり養殖より天然モノ! とこだわる一方で「食肉界の天然モノ」ジビエに対してそのようなイメージを持っている人は多くないようだ。自分が猟師になり、自分たちでとった肉を食べることが生活の一部になったいま、単純にもったいないと感じる。群馬には現在推定3万頭のシカが生息しており、イノシシなどとともに農林業に被害をもたらす害獣とされ、それぞれ年間約1万頭の捕獲目標が設定されている。2016年度の群馬県における野生鳥獣による農林業への被害額は6億円にのぼった。しかし、ハンターが捕獲した肉が一般に流通するのはまれで、全国でも9割以上が廃棄されている。ヨーロッパなどでは野生鳥獣の肉は「ジビエ」と呼ばれ、貴重かつ高級な食材として珍重されている。近年は日本政府も野生動物を駆除するだけでなくジビエなどへ利活用するよう推進している。安全な獣肉を流通させるためのガイドラインも整備され、獣肉専用の食肉解体施設が必要などの項目が設定された。しかし獣の肉は個体や捕獲時期により品質にバラツキがあり、いつ何頭とれるかも分からないので、事前に販売ルートをしっかり確保できない場合、施設を新設し採算にのせるのは簡単ではないという。安定した品質と量で供給される家畜の肉に慣れた消費者に、そういったジビエの特徴を理解してもらうのにもまだ時間かかる。最近は数百万円で作れる解体施設を開発する人も出てきたが、全国的にはまだ捕獲しても持っていく施設がない地域がほとんどだ。群馬県では原発事故後に設定された出荷制限がまだ解除されていないといった難しい事情もある。適正に処理され、食材に合う方法で調理されたジビエは本当においしい。多くの人にそのようなジビエを食べてもらいたいものだ。農耕と畜産により、食べやすい食物が安定して供給できるようにならなければ、人類がここまで繁栄することはなかっただろう。米も野菜も、野生に生えていた植物を人間が長い時間をかけて改良を重ねた栽培植物で、野生時代のものとは違った存在になっているという。動物を家畜として効率的に育て利用できるシステムがなければ、多くの人が毎日手軽にお肉を食べられるようにはなっていないだろう。そのような知恵こそが人間の力の源だと思う。しかし一方で、山にいる野生動物が、野菜を育てるのに邪魔だと駆除され、利用されることなく捨てられる現状は、文明のゆがみの表出のように思う。この現状に対し、自然と人との関わりをより良いバランスにする新しい仕組みを作れるような知恵が、今の私たちには求められているのではないだろうか。

(ジビエ普及へ、準備会発足:愛知)
シカ肉やイノシシ肉などの「ジビエ」の消費を拡大させるため、愛知県内のネットワークが本格的に動き出しました。「愛知ジビエ振興協議会(仮称)」設立準備委員会の初会合を6月1日、名古屋市内で開催。豊田市など山間部の食肉加工業者や猟師から、名古屋の都心のレストラン関係者まで、幅広いメンバーが「愛知のジビエ」普及に向けて顔をそろえました。ジビエは狩りで捕獲して食用にする野生動物を指すフランス語。日本ではシカやイノシシが「ジビエ料理」の素材として親しまれてきました。しかし、近年は里山に人が入らなくなった代わりにシカやイノシシ、あるいはカラスなどが増加し、ふもとの田畑を荒らす「鳥獣害」が深刻化。その被害規模は全国で年間約176億円(2015年度、農林水産省調査)とされています。北部に広大な森林を抱える愛知県でも鳥獣害被害は約4.3億円。イノシシだけでも、ここ5年ほどで毎年1億円前後の被害が生じています。こうした獣害対策と、過疎化が進む山間部の地域活性化としても注目されているのがジビエなのです。愛知県は2010年度から「愛知産ジビエ」の消費拡大施策を展開。翌年度から県内でジビエ料理コンテスト「ジビエ・グルメ・グランプリ」やジビエ料理店を回るスタンプリラリーを開いたり、ジビエ肉の処理加工施設の整備を促したりしてきました。消費拡大のためには山間部と都市部との「ネットワーク化」が欠かせません。愛知県では豊田市の「奥三河」地方と豊田や豊橋の市街地、そして名古屋エリアとをいかに結ぶかがカギとなります。そこで、名古屋市にあるまちづくり支援などのNPO「ボランタリーネイバーズ」が、昨年度から本格的なネットワークづくりを提唱。今までもジビエ料理コンテストなどを運営してきたこともあり、豊田市のジビエ業者や名古屋市の調理師、飲食店関係者らに呼び掛けた結果、計3回の意見交換会を経て「協議会」の設立を目指すことで合意しました。これを受けて、今年度から設立準備委員会が立ち上がったのです。名古屋市中区で開かれた初会合には、意見交換会で趣旨に賛同した26の団体などから18人が出席。ボランタリーネイバーズの大西光夫理事長、愛知県農林水産部の担当者らは進行役やオブザーバーとして参加しました。世話人代表で広告代理店「三晃社」の松良宗夫顧問がこれまでの取り組みなどを報告した後、県の担当者が今年度の県の予算や取り組みについて説明。ジビエに関するフォーラムや商談会、PRイベントを委託事業で開きながら、協議会の設立に向けて後押しをする方針を示しました。また、農水省が先月発表した「国産ジビエ認証制度」についても紹介。全国的なジビエの消費拡大のため、新たに設けた衛生管理基準や流通規格、トレーサビリティー(食品がどのような移動をたどったか把握できること)などを適切に守る食肉処理施設を認証し、表示ラベルを用いて消費者に安全・安心をアピールするなどと説明しました。しかし、これに対しては出席者から「気持ち的にはやらなければと思うが、コストや手間の増加に耐えられるだろうか」「同じ飼育環境で育てている牛や豚と同じような規格化が、ジビエでは当てはめにくい」などと不安を感じる声も上がりました。県の担当者は、さらに国の情報を収集する必要があるとの認識を示しました。協議会は一般社団法人としての発足を目指し、今後は定款の作成などを進めて、年内に設立総会を開催。年明けから定款認証などの申請手続きに入り、来年3月に法人設立というスケジュールで動きます。宣伝広報活動は今から積極的に進めることも確認。名古屋駅前のビル街や栄のホテルなどでジビエのイベントを計画している参加者もあり、宣伝や連携などの協力が呼び掛けられました。大西理事長は「こういう協議会があるよ、一緒にやろうと、組織をつくりながら興味のある人を呼び込みたい。名駅などで、ここに行けばジビエの店がいくつもあるという拠点ができればいい」と話していました。夏ごろにはホームページも作成するそうです。私も昨秋、ネットワーク立ち上げのPRを兼ねて県が主催した愛知産ジビエ料理の発表会に参加。フランス料理のシェフが腕をふるったイノシシ肉の赤ワイン煮込みやシカ肉の備長炭焼きなどをおいしくいただきました。特別企画として「カラス料理」も。奥三河産のハシボソカラスの胸肉が「ハチミツ焼き」にされたり、揚げ物の「フリット」や東南アジアの串焼き「サテ」風になったりしていました。しっかり臭みを抜いて味つけされていたため、言われてみなければカラスとは分からない、やや硬めの「鶏肉」の食感。他の参加者も「ぜんぜん大丈夫」と口に。とにかく注目度や意外性は抜群でした。県内の一部では「ココイチのカレー」にイノシシ肉を使うコラボも進んでいます。愛知ならではの「味噌味」などの独自性も打ち出して、全国のジビエ産地と勝負することになるかもしれません。ネットワーク化も含めて、今後の展開が楽しみです。

(ジビエはおいしい、自然との調和考える時:群馬)
日本人は天然モノが好きだ。魚やキノコなど、やっぱり養殖より天然モノ! とこだわる一方で「食肉界の天然モノ」ジビエに対してそのようなイメージを持っている人は多くないようだ。自分が猟師になり、自分たちでとった肉を食べることが生活の一部になったいま、単純にもったいないと感じる。群馬には現在推定3万頭のシカが生息しており、イノシシなどとともに農林業に被害をもたらす害獣とされ、それぞれ年間約1万頭の捕獲目標が設定されている。2016年度の群馬県における野生鳥獣による農林業への被害額は6億円にのぼった。しかし、ハンターが捕獲した肉が一般に流通するのはまれで、全国でも9割以上が廃棄されている。ヨーロッパなどでは野生鳥獣の肉は「ジビエ」と呼ばれ、貴重かつ高級な食材として珍重されている。近年は日本政府も野生動物を駆除するだけでなくジビエなどへ利活用するよう推進している。安全な獣肉を流通させるためのガイドラインも整備され、獣肉専用の食肉解体施設が必要などの項目が設定された。しかし獣の肉は個体や捕獲時期により品質にバラツキがあり、いつ何頭とれるかも分からないので、事前に販売ルートをしっかり確保できない場合、施設を新設し採算にのせるのは簡単ではないという。安定した品質と量で供給される家畜の肉に慣れた消費者に、そういったジビエの特徴を理解してもらうのにもまだ時間かかる。最近は数百万円で作れる解体施設を開発する人も出てきたが、全国的にはまだ捕獲しても持っていく施設がない地域がほとんどだ。群馬県では原発事故後に設定された出荷制限がまだ解除されていないといった難しい事情もある。適正に処理され、食材に合う方法で調理されたジビエは本当においしい。多くの人にそのようなジビエを食べてもらいたいものだ。農耕と畜産により、食べやすい食物が安定して供給できるようにならなければ、人類がここまで繁栄することはなかっただろう。米も野菜も、野生に生えていた植物を人間が長い時間をかけて改良を重ねた栽培植物で、野生時代のものとは違った存在になっているという。動物を家畜として効率的に育て利用できるシステムがなければ、多くの人が毎日手軽にお肉を食べられるようにはなっていないだろう。そのような知恵こそが人間の力の源だと思う。しかし一方で、山にいる野生動物が、野菜を育てるのに邪魔だと駆除され、利用されることなく捨てられる現状は、文明のゆがみの表出のように思う。この現状に対し、自然と人との関わりをより良いバランスにする新しい仕組みを作れるような知恵が、今の私たちには求められているのではないだろうか。

(猪(ちょ)コレート:石川)
半球形のおしゃれなチョコレートをかみ砕くと、口から鼻に抜ける独特の風味。「鼻の中にイノシシがいる!」と目を丸くする家族に、思わず笑ってしまった。白山市の中山旅館が作った「ジビエショコラ」。細かく砕いたイノシシ肉と、自家製米を練り込んだ一風変わった菓子だ。工夫の一つが、脂身が少ない部位の肉を使っていること。脂身が少ない肉はレストランなどで人気が低いというが、それゆえに脂肪分が多いチョコと相性が良いという。猟師でもあるオーナー中山明設さん(65)は「肉を捨てたくない。まだまだアイデアはあるので、さらに磨きをかけたい」と語る。味わう際は、山の恵みを余さず使う心意気に思いをはせ、かみしめてほしい。きっとイノシシを感じられる。

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