<射撃ニュース9月>
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(相次ぐクマの出没、報奨金不足でハンター出動できず:北海道)
クマによる被害が相次ぐ北海道島牧村では猟友会のハンターに支払う報奨金が不足し、ハンターが出動できない事態となっています。ゆっくりと歩くクマ。23日午前2時ごろ、島牧村の千走漁港でカメラが捉えた映像です。クマはカメラに気付くと立ち上がり、進行方向を変えて漁港を歩き回った後、山へ走っていきました。この漁港では、先週から漁船が荒らされる被害が相次いでいます。一方、7月から出没が相次ぐクマへの警戒のため、猟友会のハンターに出動1回ごとに3万円を支払う報奨金がかさみ、村は対応に苦慮しています。今月、議会に報奨金1100万円余りを含む補正予算案を提出しましたが、「報酬が高額すぎる」などとして否決されました。ハンターには報奨金が支払われず、出動できない状態が続いています。島牧村・藤沢克村長「7月末からの分もまだ支払いできないなかで要請をかけるわけにいかない。解決の糸口を模索している最中」

(猟友会、イノシシ生態調査:岐阜)
岐阜市内の養豚場の豚が家畜伝染病「豚(とん)コレラ」に感染し、野生のイノシシ五頭への感染も判明したのを受け、市猟友会と市などは二十二日、同市の三田洞と秋沢地域でイノシシの生態調査をした。両地域はイノシシが見つかった場所に近く、県や市などは、調査結果をもとに、感染の拡大防止対策を検討する。市猟友会の会員十二人が両地域に分かれて調査。三田洞地域では、百々ケ峰の松尾池ルートの入山口から山に入り、死骸や足跡がないか確認していった。市猟友会によると、四時間調査をして、衰弱したイノシシや死骸は見つからなかったという。市猟友会の北川康次副会長は「爆発的に感染が拡大していない感じで、一安心した」と話した。市猟友会は二十三日も調べる。県と県猟友会も今月末までに、豚コレラが発生した農場や、死んだ野生イノシシが見つかった場所から半径十キロ圏内を調査する。

(推定2万頭超、豚コレラ拡大阻止:岐阜)
岐阜市の養豚場で、国内で26年ぶりとなる豚(とん)コレラが確認されて間もなく2週間。養豚場周辺では野生イノシシの感染が相次いで判明しており、関係者は養豚場への侵入防止や消費者の不安解消に懸命だ。一方、岐阜県の初動対応の遅れも明るみに出た。今月13日、岐阜市北部の農地にある水路で、体長約1メートルのイノシシが死んでいるのを近くの住民が見つけた。翌14日、県の検査で豚コレラウイルスの陽性反応が出た。豚コレラが発生した養豚場との距離は約7キロで、ウイルスはいずれも同じ型とわかった。その後も18日にかけて養豚場から半径10キロ圏内で4頭のイノシシの死体が見つかり、19日までに豚コレラの感染が確認された。全5頭中2頭のウイルスは同じ型で、残る3頭はまだ検査が終わっていない。このウイルスは海外から侵入した可能性が高いという。岐阜市と市猟友会は22日から、周辺の山中で野生イノシシの生態調査を始めた。イノシシの通り道やエサを食べた跡を探し、生息範囲などを調べるという。県と県猟友会も今月下旬から、より広い範囲でイノシシの生態を調査する。岐阜県によると、県内には推定2万数千頭の野生イノシシが生息している。イノシシの行動範囲は半径約2~3キロといい、今のところ県外の野生イノシシに豚コレラの感染は確認されていない。農林水産省は県に対し、「感染イノシシがいるとすれば生息圏内にとどめておくことが第一。威嚇して生息圏外に移動させて豚コレラの拡大を招かないようにしなければならない」と、猟銃などで刺激しないよう伝えている。県は野生のイノシシが養豚場に侵入するのを防ぐため、豚やイノシシを飼育している県内計51施設に電気柵(高さ約60センチ)の無償貸与を始めた。

(二輪とイノシシ衝突、運転の男性死亡:静岡)
23日午前10時25分ごろ、南伊豆町子浦の国道136号で富士宮市万野原新田、会社員男性(51)のオートバイがイノシシと衝突し、転倒した。男性は胸を強く打ち、搬送先の病院で死亡した。現場は片側1車線で、山が迫った海沿いの連続カーブ。下田署によると、男性は友人と2人でツーリング中だった。先頭を走っていた友人が通り過ぎた後、道路脇にいたイノシシが道路上に飛び出し、男性のバイクとぶつかった。男性は事故直後、意識があり、受け答えにも応じていたが、容体が急変したという。伊豆半島ではイノシシやシカによる獣害が拡大し、通行車両とぶつかる事故も相次いでいる。食べ物が増える秋はイノシシなどの活動が活発になるため、同署は通行上の注意を呼び掛けている。

(クマに頭かまれる、渓流釣りの69歳男性けが:新潟)
9月23日午後2時前、新潟県妙高市二俣で上越市木田3の会社員、森口敏雄さん(69)が熊に襲われた。妙高警察署によると、森口さんは顔面などに傷を負い、上越市内の病院に搬送されたが、意識はあり、命に別状はないとみられる。同署によると、森口さんは妙高市二俣の山中にある川に渓流釣りに来ていた。釣りを終え、川沿いを歩いていたところを熊に襲われたという。森口さんは顔面などに傷を負い、「頭をかみつかれた」とも話しているという。同署ではパトカーなどで住民に注意喚起。同市役所でも防災無線などによる広報のほか、猟友会へも通報した。

(シカよけてトラック20m転落し大破:兵庫)
25日午前0時35分ごろ、兵庫県佐用町口金近、中国自動車道東行きで、島根県大田市の男性(33)が運転するトラックが、車道にいたシカをよけようとして車線左側のガードレールに衝突。トラックはガードレールを突き破り、約20メートル下の河川敷に転落した。兵庫県警高速隊によると、男性は転落前にトラックの運転席から車道上に投げ出されており、顔などに重傷を負ったが、命に別条はないという。男性は「シートベルトをしていなかった」と話しているという。現場は中国自動車道と鳥取自動車道を結ぶ佐用ジャンクション付近。トラックは島根から大阪へ鮮魚を運んでいたといい、車道などに魚が散らばった。落下したトラックは大破し、周囲に部品などが散乱した。

(イノシシと衝突、バイクの男性重傷:兵庫)
27日午後10時20分ごろ、兵庫県神河町新野の県道で、近くの会社員男性(21)が運転するミニバイクが、道路を横切ったイノシシと衝突。男性は鎖骨を折る重傷を負った。

(クマに襲われ男性軽傷:新潟)
26日午前11時すぎ、新発田市貝屋の櫛形山脈麓の林道付近で、キノコ採りをしていた市内の40代男性がクマに襲われ、左手に軽傷を負った。受診した医院が新発田署に通報した。

(熊の目撃情報:宮城)
24日午後1時30分頃、石越町東郷字道場地内(第10行政区)で熊の目撃情報がありました。

(クマ、猟友会員が駆除:長野)
二十五日午前七時十分ごろ、上松町中心部の上松小学校の敷地内に、クマ一頭が入り込んでいるのを職員が発見した。クマは三歳くらいの雄で体長一一〇センチ、体重三〇キロ。五分ほど学校北側の中庭を歩いた後、敷地外に出たという。その後、クマは小学校周辺にいたとみられ、同八時十五分ごろ、駆けつけた木曽猟友会員が小学校東側の敷地外で射殺した。学校は木曽署に通報した後、児童の自宅待機を保護者にメールで通達した。同七時半の段階ですでに全校児童百六十八人の約半数が登校し始めていた。職員らが通学路に立ち、登校する児童たちの安全を確保した。学校では通常より十五分遅れて授業を開始した。近くの住民を含めて、けが人はいなかった。西尾邦彦教頭は「何とか児童の安全を確保できてほっとしている。学校内にクマが出たのは聞いたことがない」と話した。上松小はJR上松駅から約一キロの民家や商店が並ぶ場所にある。

(再びクマ出没、民家のコイ狙う:北海道)
7月末~8月中旬に断続的にクマが出没した後志管内島牧村で今月20日以降、再び相次いで目撃されている。村によると、20日から26日午後5時までに寄せられた出没情報は13件。特定の住宅や漁船での被害が続いており、村は「同じ個体が食べ物などに執着しているのではないか」と見る。26日夜には北海道新聞のカメラマンが、クマの目撃が相次いだ村内の集落近くでクマを撮影した。25日未明、村原歌町の民家敷地内にクマ1頭がいるのを住人の藤田章さん(70)が発見。敷地内のいけすを囲う柵の一部が破損する被害が出た。クマは体長約2メートルで、いけすにいるコイを捕ろうと水面をたたいていたという。藤田さん方では24日夜にもクマが現れ、いけす近くの洗濯機が倒された。藤田さんは「7月末から5回もクマが来てる。早く山に帰ってほしい」と不安げに話した。村は25日、同じクマが再度出没する可能性があるとみて、敷地内に電気柵を設置した。道新のカメラマンは26日午後8時40分ごろ、原歌町の集落から西側に300メートルほどの国道脇でクマを撮影。クマは10分ほど地元猟友会メンバーとにらみ合いを続けた後、山へ消えていった。

(クマが漁港に出現、被害相次ぐ:北海道)
北海道島牧村ではクマの被害が相次いでいます。漁港を歩くクマの姿をカメラが捉えました。ゆっくりと歩くクマ。23日午前2時前、島牧村の漁港でカメラが捉えました。クマはカメラに気付いて立ち上がり、進行方向を変えて約3分間、漁港を歩き回った末に山へ走っていきました。この漁港では今週、エビ漁の餌(えさ)として漁船に用意していたホッケなどがクマに食べられる被害が相次ぎました。住民は23日、村長に対して対策を強化するよう求め、村は「対策を講じるのに経費が足りないが、住民の不安を払拭できるよう検討したい」としています。

(貨物列車がシカと接触:北海道)
21日午前6時10分ごろ、渡島管内森町のJR函館線大沼公園駅―赤井川駅間で、隅田川貨物ターミナル(東京)発札幌貨物ターミナル行き貨物列車(18両編成)がシカと接触し、停車した。運転士にけがはなかった。JR北海道函館支社によると、これにより、函館発札幌行き特急スーパー北斗1本が1時間遅れたほか、普通列車2本が最大約1時間50分遅れ、計約120人に影響が出た。貨物列車に異常はなく、約2時間後に運転を再開した。

(貨物列車とシカ衝突:青森)
青い森鉄道によると、20日午後8時46分ごろ、青森県東北町の乙供-千曳駅間の下り線で、貨物列車とシカが衝突した。この影響で、八戸発青森行きの下り普通列車3本が運転を見合わせ、青森発浅虫温泉行きの上り普通列車1本が運休、青森発八戸行きの上り普通列車3本に最大で44分の遅れが生じた。

(玄関にクマ、帰宅女性に気づき走り去る:山形)
26日午後11時50分ごろ、山形県最上町向町の自宅に帰宅した40代会社員女性が自宅玄関の軒下にクマ(体長約1メートル)がいるのを見つけた。クマは女性の姿に気づき、逃げていった。現場は、町立向町小学校から南へ約200メートルの町役場や住宅がある市街地。女性から連絡を受けた最上町役場は27日早朝から花火による追い払いや防災無線で付近住民にクマへの注意を呼びかけた。町役場によると、市街地へのクマの出没は今年初めてで、昨年も同地区でクマの目撃があったという。町農林課の大場晃課長は「まだ冬眠には早いが、クマは夜間に人里近くに来て、人家にあるカキやクリの木を食べている」と、注意を呼びかけている。

(ロープウェイ山頂駅付近でクマ目撃:栃木)
26日午前8時20分ごろ、那須ロープウェイ山頂駅の北西約400メートル、登山道上。体長約1メートル。

(クマ目撃:栃木)
23日午後6時ごろ、出流原町の山林。体長約1・5メートル。国道293号寺久保町入口交差点北側。

(サル追跡「いつまで…」:静岡)
牧之原市は26日、野生とみられるサルの出没が相次ぐ新庄地区の遠渡区公民館で、対策会合を開いた。住民6人が負傷してから1週間を迎え、箱わなに加え、麻酔銃を使用した捕獲の検討を始めた。会合には市や県、牧之原署、御前崎市や地元関係者ら15人が出席した。牧之原市職員がサルの出没場所や時間帯などを説明。麻酔銃での捕獲も協議した。麻酔銃の使用に詳しい民間の野生生物調査会社に協力を求めるという。同社がサルの行動確認を1週間程度続ける間に、麻酔銃の使用許可を県に申請するなど準備を進める。実際に銃を用いる場合の住民への周知や安全確保の徹底を確認した。「基本的には箱わなでの捕獲が良い」との意見も出たという。サルの出没場所に変化が見られるため、設置している箱わなの位置や餌の変更を検討する。市のまとめでは、9日と19日に計7人がサルに襲われ負傷した。実態として、かまれたり引っかかれたりした住民の数はさらに膨れ上がる。遠渡区の区長(67)は「麻酔銃でも何でも使って早く捕まえてほしい」と切実な思いを話す。地頭方小の新庄地区の児童は、保護者の送迎で登下校している。「いつまで続くのか」との声が漏れる中、ある市職員は「この地域からサルが離れてくれると一番いいのだけれど…」とつぶやいた。

(サル目撃情報2件:栃木)
宇都宮市北部で22日、サルの目撃情報が相次いだ。宇都宮中央署によると、午前7時20分ごろ、同市徳次郎町で60代男性が自宅の蔵の前にいるサル1匹を目撃し110番。同10時50分ごろには、同市石那田町で男性が自宅敷地内にいるサル1匹を目撃し、通報した。警察官や地元猟友会が捜索したが発見はできなかった。

(「クマの大量出没年」冬眠前のエサ探し活発化か:群馬)
群馬県内のクマ出没情報が、今年4~8月の累計で484件となり、過去2番目に多かったことが県の集計でわかった。今年は「クマの大量出没年」にあたるとされる。秋の行楽シーズンは冬眠前のクマのエサ探しが活発化する時期と重なるため、県は一層の注意を呼びかけている。県内には、推定約1000頭のクマが生息している。県自然環境課によると、今年4~8月の出没情報の累計は2012年同期の548件に次ぐ件数となった。今年は8月だけで106件を数えた。クマの出没件数は山中のエサの実りと関連しているとされ、隔年で多くなる傾向があるという。12、14、16年も8月は100件を超えていた。前橋市では今年4、5月に住宅地でクマの足跡が見つかったり、未明に目撃されたりした。市は警戒にあたる際の対策として約3メートル四方に捕獲網が飛び出す器具を3台購入。市職員や猟友会のハンターが使えるように備えている。県は、クマに遭遇した際の対処法をホームページで紹介。「紅葉の季節で山に入る機会が増える。クマに遭遇しても落ち着いて行動してほしい」(自然環境課)と呼びかけている。

(害獣ハンター”絶滅危機”:熊本)
イノシシなどの有害鳥獣を駆除するハンターの高齢化と、後継者不足が深刻だ。熊本県甲佐町鳥獣駆除隊も例外でなく、隊員23人の平均年齢は70・2歳。隊の存続を危ぶむ声もある。現状を知るため、隊の活動に同行した。9月中旬の午前8時。同町上早川の山裾に、オレンジ色のベストと帽子を身に着けた隊員7人が集まった。2人は80代、1人は70代。最年長の吉富昭弘さん(85)が「猟銃も持ってきたバッテン、最近は当たらんタイ。でもこれが生きがいだけんな」と笑う。作戦会議もそこそこに隊員はあうんの呼吸で持ち場に散った。「何十年も同じメンバーでやっているから」と隊のイノシシ・シカ班長、松永博文さん(69)。元町総務課長で、ハンター歴四十数年のベテランだ。班は猟犬で獲物を追う「勢子[せこ]」とイノシシの逃げ道で猟銃を構える「マチ」で構成される。松永さんは勢子。自宅で飼っている猟犬11匹のうち、この日は経験豊富な太郎(雄、6歳)や俊足の十兵衛(雄、2歳)など7匹を連れてきた。山の中腹まで軽トラックで移動し、猟犬を放つと勢いよく駆けだした。竹笛は「戻れ」の合図なのに、数匹の姿が見えない。松永さんが「最近は区長の仕事が忙しくて訓練が十分にできない。なかなか戻ってこない犬もいる」と苦笑した。その後もイノシシの足跡を探して山深く分け入り、やぶをかき分けた。倒れた竹をハードル競技のようにまたいだり、くぐったりして歩みを進めた。山に入って2時間。自分はどこを歩いているか分からないが、隊員は「子どもの頃から山で遊んでいる。甲佐の山は、だいたい分かる」。各地の害獣被害は、高齢者の経験によって軽減されているのだろうと思った。遠くで犬が激しくほえた。「オコシ(見つけ)たかな」。松永さんが耳を澄ました直後、何かが右から左に向かって猛スピードで駆け抜けた。「シカだ」。10メートル先で起きた一瞬の出来事だった。結局、この日の収穫はイノシシの幼獣1匹だったものの、隊員たちは6時間、山の中を駆け回った。最も若い福永武晴さん(45)から見れば「年齢を感じさせない先輩たち」だが、松永さんも11月で70歳。「やっぱり体力は落ちている。若い頃は急斜面を駆け上がってイノシシを追い掛けていたけど、今はできない」と肩を落とす。松永さんは、後継者不足に強い危機感を抱く。声を掛けても関心を示してくれない若者たち。道具や猟犬の飼育に費用がかかるほか、家族の理解が得られにくいことが背景にあるとみている。「若い人は入ってくれないし、自分もいつまでできるか分からない。あと5年したら隊の活動が成り立たなくなるのではないか」。松永さんの表情が険しくなった。

(シカ捕獲数急増、広島から生息範囲拡大か:島根)
島根県の県央地域でニホンジカの捕獲数が増えている。大田市、川本、美郷、邑南3町での捕獲数は2008年度にはゼロだったが、17年度には110頭に急増した。県は、県央地域内にある国立公園で、希少な植物群が自生する三瓶山の自然環境に悪影響を与える懸念があるとして、山麓で初めての出没状況の把握調査を25日夜に実施した。県によると、県央4市町でのニホンジカの捕獲数は、14年度46頭▽15年度91頭▽16年度108頭-と増えた。三瓶山がある大田市内での目撃情報も増加傾向にある。

(イノシシの侵入、奥羽山脈で防げ:山形)
山形県はイノシシ被害を防止するため狩猟可能な区域を新たに設定する。山形市から天童市にかけての宮城県との県境で狩猟を解禁する。これまでほとんど見られなかったイノシシによる農作物などの被害がここ数年、急増している。生息域が東北南部から北へ広がるなか、奥羽山脈を越えて侵入するイノシシを防ぐ狙いだが、畑に柵を設置するのが急務との指摘もある。11月から山形市の蔵王地域の北側約5000ヘクタールについて、これまで禁止していたイノシシ、ツキノワグマ、ニホンジカを狩猟できるようにする。県が作る鳥獣保護管理事業計画のなかで保護区域の見直しをした。全国では鳥獣被害の約3割をイノシシが占めるが、これまで東北では大きな問題とはなっていなかった。ところが、近年、太平洋側南部から生息域が拡大。山形県では10年前までほとんどなかった被害が、2017年度は水稲などに5000万円以上発生し、鳥獣被害総額の1割近くを占めた。捕獲頭数も17年888頭と急激に増えている。被害は奥羽山脈沿いの自治体に多く、県は狩猟区域を20年にはさらに北側の東根市まで広げ、計7720ヘクタールで狩猟ができるようにする。ゴルフ場のグリーンや公園を荒らす被害も出ており、今夏から山形市内でICT(情報通信技術)を使った捕獲試験も始めている。一方、農作物を荒らされないよう、県は地域住民が主体となって柵を設置するといった「地域ぐるみで行う鳥獣被害防止対策支援事業」を開始。18年度は大江町三郷地区など4カ所で実施している。野生動物の生息数を調査している山形大学の江成広斗准教授は「かつては東北にも広く分布していて、森林開発などでいなくなっていたが、農村部の高齢化や人口減で生息域が広がっている実態がある」と指摘。「日本海側の鶴岡市でも今年から被害が顕著で、今後はさらに被害が大きいシカの急増も懸念される」という。こうした現状を受け江成准教授は「電気柵の設置など西日本では当たり前の対策を、農業指導の一環で普及させる必要がある」と話している。

(利尻で確認のヒグマ、ハチミツで誘い出せ:北海道)
106年ぶりにヒグマの存在が確認された宗谷管内利尻島の利尻、利尻富士両町や宗谷総合振興局は27日、クマが依然、島内にとどまっているかどうかを調べるため、クマをハチミツでおびき寄せて自動撮影する仕掛けを島内の林道2カ所に設置した。島内では5月下旬にクマの足跡が見つかり、その後、固定カメラでクマの姿が撮影されたが、7月12日に見つかったふんと足跡を最後に2カ月以上、痕跡が途絶えている。仕掛けは、ハチミツが入った容器をクマの前脚が届かない木と木の間の高さ約4メートルにぶらさげてあり、クマが近づくと体温を感知してカメラが作動する。計5台のカメラを10月4日まで、約1週間設置して調べる。秋が深まり、クマは冬眠を控えて活動が活発になる時期。関係機関は10月中に会議を開いて今後の対応を協議する予定で、振興局は「結果をふまえて今後の態勢を検討したい」としている。

(ツキノワグマ、大量出没なさそう:長野)
県鳥獣対策・ジビエ振興室は、今秋のツキノワグマの出没予測を発表した。全県的には餌となる木の実などが一定程度あることから、「クマの大量出没の可能性は低い」としつつ、「地点や木ごとにばらつきが大きく、クマの行動範囲が広がる可能性があり、キノコ狩りなどで入山する際は遭遇の危険がある」と注意を呼びかけている。

(ドングリ少なく、クマ出没に注意:兵庫)
冬眠前のクマのえさになるコナラやブナといったドングリの今秋の実り具合を兵庫県が調べた結果、例年より少ないことが分かった。クマがえさを求めて人里へ出てくる恐れがあることから、県は警戒を呼びかけている。県森林動物研究センターが8月29日~今月11日、ブナ、コナラ、ミズナラの3種類について県内の計254地点を調査。その結果、実り具合は6段階の判定基準で下から3番目の「並作下」で、例年より少ないという。昨年は上から2番目の「豊作」だった。昨年度の県内のツキノワグマの目撃・痕跡情報件数490件は、過去5年で最も少なかった。一方、今年度は8月末までに382件で、同時期まででは過去2番目の多さという。

(キノコ採りの事故多発、滑落やクマ遭遇:岩手)
キノコ採り最盛期の県内で23日、愛好者の滑落やクマとの遭遇、遭難が相次ぎ、1人が死亡、1人が重傷を負った。山中は日没が早く寒暖差も大きいため、専門家らは無理をしない早めの行動を推奨。体調不良や天候の急変、クマの被害などあらゆる事態を想定し、山を侮らない万全の備えを呼び掛けている。宮古署によると、午前7時45分ごろ、宮古市老木の山林で、知人2人とキノコ採りをしていた同市の男性(60)が牛伏沢沿いの斜面を歩いていて足を滑らせ、約5メートル下の沢に転落。石などに頭を強く打ち付け、現場で死亡が確認された。死因は脳挫傷。同署によると、男性は現場付近に何度も入り、慣れた山だった。午前11時ごろには、八幡平市松尾寄木の山林でキノコを採っていた盛岡市の男性(69)がクマに襲われたと、同行の知人男性(52)が通報。顔を引っかかれて鼻を骨折するなどの重傷で、盛岡市の県高度救命救急センターに搬送された。

(ツキノワグマ目撃増:神奈川)
ツキノワグマの出没が全国各地で相次ぐ中、県内でも目撃や痕跡の情報が多く寄せられている。10日現在、50件に達し、2017年度の年間件数(47件)を既に超え、過去最多だった16年度(112件)をも更新しそうな勢いだ。

(豚コレラ発生受け、臨時会議:石川)
岐阜市の養豚場で家畜伝染病の豚コレラが発生した問題を受け、関係部局を集めた臨時の会議が25日、金沢市役所で開かれ、イノシシの死骸を確認した場合、豚コレラを疑って早急に市農業水産振興課に連絡することを確認した。会議では、県による農家への立ち入り検査で、異常のないことが確認されたと、報告された。県は農家に対し、衛生管理の徹底を求めたという。金沢市内に養豚場はないが、県内では農場17戸で計2万1000頭の豚を飼育している。県内では約1万9000頭(2016年度末現在)の野生イノシシが生息しているとされ、金沢市内でも昨年度、1699頭のイノシシが捕獲された。

(豚コレラ、ジビエに影:岐阜)
岐阜市の養豚場の豚が家畜伝染病「豚(とん)コレラ」に感染した問題で、地元のジビエ(野生鳥獣肉)業界が揺れている。周辺の野生イノシシで感染が拡大し、岐阜県が、捕獲されたイノシシを食肉処理施設で受け入れるのを自粛するよう全県で要請したためだ。有害獣の駆除と、地域おこしの一石二鳥を狙った「ジビエ」が全国でブームとなる中、感染の動向次第では影響が広がる可能性もある。「これからという時だったのに」。同市の隣、岐阜県山県市の猟師で食肉加工施設代表の臼井勝義さん(65)は落胆する。市内で捕れた鳥獣肉を広く売り出そうと、七月に「ジビエ山県」ブランドを立ち上げた。自宅敷地内のプレハブに設けた食肉処理施設で解体。岐阜市内の居酒屋に出荷し、県内外の飲食店からの問い合わせも相次いだ。ところが、岐阜市内の養豚場周辺で九月十四日以降、死んだイノシシ五頭の感染が判明。県は有害獣として捕獲されたイノシシの処理施設での解体や、食用としての利用自粛を求めた。臼井さんは当面、在庫の肉で乗り切るつもりだが、自粛が長引けば、シカと並ぶ目玉のイノシシ肉は底をつく恐れがある。十一月には新たな狩猟シーズンが始まるが、入荷できない可能性も。「秋のイノシシ肉は脂が乗っておいしい。取引先も増やしたのに、販売できないなら断るしかない」と話す。県は二〇一三年度、県内で捕獲され、衛生面などの要件を満たした施設で処理されたイノシシやシカの肉を「ぎふジビエ」に認証する制度を創設。「ジビエ山県」も対象になった。登録された食肉処理施設は二十カ所余に上る。こうしたジビエ振興策は、豚コレラに水を差された形だ。豚コレラは人に感染せず、感染したイノシシの肉を食べても人体に影響はないとされる。自粛要請について、県は「猟師が感染したイノシシを施設に持ち込む過程などで、服や車に付着したウイルスが広がる恐れがある」と説明。自粛解除のめどは立っていない。同県高山市の食肉処理施設「ジビエ飛騨高山」は岐阜市から離れているが、今井猛代表(68)は「風評被害が出るだろうし、早めに全県で自粛するのは仕方ない」と語る。全国百六十の自治体、法人などでつくる一般社団法人「日本ジビエ振興協会」(長野県)の担当者は「感染が広がらないことを願うしかない」と語った。

(くくりわな猟の技術学ぶ:和歌山)
深刻化する野生鳥獣による農作物被害の対策として、わな猟の技術を学ぶ研修会が、和歌山県内各地で開かれている。県農業環境・鳥獣害対策室が2011年から毎年開いている。同室によると、狩猟免許の新規取得者は12年度は166人で、わな免許はそのうちの141人。16年度には狩猟免許全体が250人、わなが189人といずれも増えており、17年度も増加傾向にある。野生鳥獣による農作物の被害が相変わらず多いためで、とりわけ猟銃よりも手軽なわな猟を始める人が多い。わな猟は手軽とはいえ、取り扱いは難しく、研修は、現場で役立つ知識や技術を習得してもらうのが狙い。21日には上富田町朝来の町役場などであり、わな猟免許を取得したばかりの田辺・西牟婁の狩猟者ら31人が受講した。講師を務めたのは野生鳥獣対策連携センター(兵庫県)の七條知哉さんで、箱わな、くくりわなの捕獲技術を説明した。箱わなについては、適切な設置場所、餌を選ぶ必要性を強調し、より確実に捕獲する方法を具体的に紹介。くくりわなについても特徴や注意点を挙げながら、設置場所や設置方法を説明した。狩猟の際、転倒や転落事故が多いことから、足元の注意や日中での作業など安全に心掛けることも呼び掛けた。

(若手農家がハンター組織:熊本)
イノシシによる農作物被害が深刻化する中、熊本県内の若手農家らが自衛組織「くまもと☆農家ハンター」を結成し、多彩な活動を展開している。メンバー自ら狩猟免許を取得し、情報通信技術(ICT)を駆使。箱わなによる捕獲を続けながら、電気柵など防御の普及に取り組み、捕獲したイノシシ肉の活用や骨や皮などの堆肥(たいひ)化も模索する。目指すはイノシシ対策を通じて地域の「希望の星」になることだ。農家ハンター結成のきっかけは同県宇城市の洋ラン農家、宮川将人さん(40)が収穫直前のデコポンをイノシシに食べられた農家から「怖いから畑に行きたくないし、やる気もなくなった」と聞いたことだった。離農に直結する被害の深刻さを痛感した宮川さんは「高齢化して減り続ける猟師任せにせず自分らの地域は自分らで守ろう」と同市でミカンなどを栽培する稲葉達也さん(40)らに呼びかけ、2016年4月に設立した。現在のメンバーは県内で農業を営む20~40代の約100人。インターネットで寄付を募るクラウドファンディングで購入した箱わな40基を使って駆除を続けている。全員が農業を営みながらの活動だけに割ける時間は限られる。そのため、効率的に捕獲できるよう導入したのが通信機能付きセンサーカメラ。スマートフォンで箱わな周辺の映像が見られ、イノシシがわなに入って扉が閉じるとメールで通知が届く。最初はほとんどわなにかからなかったが、改良を重ねたところ捕獲数が増え、今年は既に150頭を超えた。8月末に宇城市で開いたミーティングにはメンバーだけでなく、大学やIT企業、電子機器メーカー、農林水産省、ジビエ(野生鳥獣肉)業界の関係者など全国から約80人が参加。足音を分析してイノシシの分布密度を把握する研究や、イノシシの骨や皮などを米ぬかと混ぜて発酵させ堆肥化するシステムなども紹介された。会はこうした技術を実用化して捕獲を増やし、イノシシ肉の販売や骨、皮などの堆肥化を地域の産業に育てることを目指す。現在は死んだイノシシをそのまま土に埋めているが「それでは申し訳ない。ちゃんと利用してあげたい」(宮川さん)という。宮川さんは「イノシシ対策を通じて若手農家がキラキラ輝き、困っている人たちに頼られる地域のリーダーになっていくのが最終目標。捕獲、防御、加工から販売まで全てやり、経済的にも続けられる熊本モデルを確立して全国に広めたい」と意気込んでいる。

(伊豆沼にマガン初飛来、平年より1日遅く:宮城)
ラムサール条約登録湿地、伊豆沼の南側にある水田(登米市迫町)で21日朝、冬の渡り鳥マガンが初飛来した。飛来を確認した公益財団法人の県伊豆沼・内沼環境保全財団によると、平年と比べて1日遅く、昨年より7日遅いという。飛来が確認されたのは、マガンの成鳥7羽、幼鳥4羽の計11羽。稲の刈り取りが終わった水田で、落ち穂をついばんでいた。伊豆沼と内沼は国内有数の渡り鳥飛来地で、環境保全財団によると、昨シーズンはガン、カモ、ハクチョウなど9万羽以上が確認されている。高橋佑亮研究員は「例年、11月に飛来のピークを迎える。今シーズンも例年並みの渡り鳥が見られそうだ」と話していた。

(光のアーチで山里元気に、イノシシ柵利用:佐賀)
佐賀県伊万里市東山代町川内野地区の田んぼに24日夜、イノシシの防護柵を利用したイルミネーションがともされた。普段は真っ暗な山里にカラフルな光の帯が浮かび上がった。10月末まで点灯する。山に囲まれた川内野地区はのどかな風景が広がるが、田んぼに巡らされたイノシシの防護柵が残念ながら景観を損ねている。それを逆転の発想で地域おこしに生かそうと、住民らがイルミネーションを企画した。7月の豪雨で土砂崩れの被害を受けた地元を元気づけたい思いもある。イルミネーションは農道に沿って200メートルにわたり設置され、アーチ型の門やハートや動物をかたどった飾りがある。設置場所までの道には、市内の酒造会社から譲り受けたカップ酒の瓶420個を使った灯籠も並ぶ。点灯式には地区外からも大勢の人が駆け付け、写真撮影などを楽しんだ。地元の平川好範さん(68)は「見慣れた風景が見事に変わって、よその国におるごたる。地元を盛り上げようという気持ちも伝わって元気が出た」と話していた。

(カラス対策装置に注目、新商品発表会:栃木)
宇都宮商工会議所の会員企業に新商品、新サービスの発表の機会を設ける合同発表会が宇都宮市内で開かれた。会員のベンチャー企業や中小企業の販路拡大を目的に、平成27年から定期的に開催しており、今回で7回目。新たな発想の事業に注目を集めるベンチャー企業も登場し、今後の展開が期待される。今回は審査で5社を選考。発表会は今月10日、同会議所(宇都宮市中央)で開かれた。今回、商品や事業を発表したのは、カラス被害対策装置を開発している「クロウラボ」▽九尾の狐(きつね)から着想したいなりずしを販売する「唐金(からかね)カンパニー」▽ホームページ制作、マーケティングの「ハッスルウェブ」▽仮想現実(VR)体験ができる飲食店「クロスリアリティー」▽ソフトウェア開発の「数学屋ほん舗」-の5社。注目を集めたのは、クロウラボ。宇都宮大でカラスの生態を研究してきた塚原直樹社長がカラス被害の防止システムを開発。市のふるさと納税を活用した市内の起業家支援事業にも選ばれている。また、ハッスルウェブは、上級ウェブ解析士の佐々木邦雄社長が人工知能で完全自動化のウェブサイトで集客するシステムを開発。国内でも初めてのシステムといい、低コストで圧倒的な効果を発揮するとアピールした。クロスリアリティーは、VRの普及を目指し、同市池上町でVRサロンを運営。ゲームだけでなく教育や安全体験、観光、医療など幅広く活用してもらうため、セミナーも計画している。会員の情報交換の場として、多くの会員企業が5社の発表を聞き、連携を模索する動きもある。同会議所の佐藤佳正専務理事は「これまでに36社が発表し、販路拡大や新商品開発につながった。今回もさらなるビジネスチャンスにつながれば」と期待を寄せている。

(箱わな、組み立ても移動も簡単:和歌山)
印南町鳥獣被害防止対策協議会(尾曽紀文会長)は従来品より軽く、組み立て・解体が簡単な獣害対策用のパイプ連結式箱わな「楽おり」を導入した。大きさは縦1㍍、横2㍍、高さ1㍍で、連結部がパイプになっており、従来の箱わなと比べて軽量。組み立て・解体が簡単にできるため、捕獲場所を変えやすくなっている。25日に納品され、説明会に尾曽会長や町内各猟友会の代表者らメンバーが出席。業者から組み立て方法を教わった。今後、猟友会で使っていく。費用は2基合計21万8160円で、一部にJA紀州の鳥獣被害対策支援事業を活用。「楽わな」の導入は日高地方初という。

(プロ伝授、イノシシ調理法:岡山)
真庭市中島の県立真庭高校久世校地で20日、第1回ジビエ料理講習会があり、課題研究でジビエ商品の開発に取り組む食品科学科の2年生4人が、料理人からイノシシ肉のさばき方やソース作りを学んだ。鹿肉を使ったフレンチなどを提供している真庭市中のレストラン料理長、小野寿秋さん(43)を講師に招き、8月に市内で捕獲された体長80センチ前後のイノシシ2頭を使用。生徒たちは小野さんに教わりながら、モモや前脚、背ロースなど部位ごとに切り分け、モモ肉はミンチ状にしてトマトやタマネギと一緒に煮込み、ミートソースを作った。味付けには、4人がイノシシ肉を使って開発した発酵調味料も使用。10月にハンバーグ作りを習った後、市民を対象にした試食会を検討しており、白石健人さん(16)は「肉と骨を切り離すのが難しかった。ジビエ料理を多くの人に知ってもらえるよう頑張りたい」と話していた。

(国産イノシシ皮でブランド立ち上げへ:茨城)
城里町の地域おこし協力隊として活動する瀬川礼江(ゆきえ)さんが「イノシシ革ブランドsangrie(サングリエ)」の立ち上げを目指し、資金支援を呼び掛けている。瀬川さんは土浦市出身。都内に就職したが、「生まれ育った茨城県という地域の中で頑張ってみたい」と城里町の地域おこし協力隊へ応募。2016年4月にから同隊の一人として活動している。就任後、狩猟免許と猟銃狩猟所持許可を取得し、猟友会に交じりイノシシの解体に立ち会うようになる中で、次第に解体後にごみ袋に入った皮が気になるようになったという。「『捨てるだけではなく、何かできることはないか』と考えるようになった」と瀬川さん。活用法を試行錯誤し、たどり着いたのは、イノシシの「皮」を「鞣(なめ)し革」にするという方法。「柔らかい」「濡れに強い」、銃創や生活傷といった「市販革では味わえない風合い」、「厚みの割に軽く、丈夫」という特徴を生かし、「新しい革の楽しみ方ができる」素材としての活用だけでなく、狩猟や有害鳥獣捕獲についての情報を発信できると確信したという。瀬川さんはこれまでの活動の中で、イノシシを革に仕上げる「皮についた獣脂を除去する」という工程を、町役場の車庫やキャンプ場の敷地を利用し作業していたが、人通りの多い場所での作業が難しいこと、水道の有無、自宅アパートでは保存等が難しいことなどから、突発的な皮の提供にも応じられる物件を探していた。元鮮魚店の貸し出しの目処がついたことから、工房兼作業場としての改装費用をため、クラウドファンディングで支援者を募ることにした。クラウドファンディングは、75万円を目標に7月20日に開始。2,000円・3,000円・4,600円・5,600円・7,050円・2万5,000円・5万円・15万円・20万円(2コース)の10コースを用意する。工房や作業場の整備完了後は、革になった後の物作り体験や皮の裏の獣脂除去体験など革になる前の作業の体験を計画。瀬川さんは「獣害と言われるイノシシと狩猟や有害鳥獣、ハンターといったなかなか接点のない事象だが、少しでも興味がある人が体験や商品を通してアクセスしやすいような活動につなげたい」と話し、「クリエーターの素材選びの選択肢の一つとしてもっと浸透させたい。私の作る革と茨城県で活躍するクリエーターや会社を通して茨城県の魅力も伝えられたら」と期待を寄せる。支援は現在、クラウドファンディングサイト「Makuake」を通じて呼び掛けている。クラウドファンディングは10月15日まで。

(鳥獣をペットフードに:静岡)
ペットフード用の野生鳥獣加工施設「DEER BASE IZU(ディア・ベイス・イズ)しかまる」が静岡県伊豆市に開業した。これまで食肉として活用されなかった小型の鳥獣をペット用ジャーキーなどに加工する。捕獲した個体の有効活用や捕獲者の負担軽減につなげる。伊豆半島ではイノシシやシカが農作物を荒らす獣害が拡大している。伊豆市営の食肉加工施設「イズシカ問屋」は30キログラム以下の個体は食肉に向かないとして買い取りをしていない。加工するのは捕獲頭数の約4割で、それ以外は捕獲者が処分する必要がある。新施設は年間400頭の処理能力を持つ。「しかまる」の高山弘次代表は「捕獲者の負担を減らせば、捕獲を推進でき、農作物被害の軽減につながる」と話している。

(本格ジビエラーメンを自宅で堪能:愛媛)
愛媛県今治市の「猪骨(ししこつ)ラーメン」が、9月25日から「猪骨 塩ラーメン」自宅用セットの通信販売を開始。素材となるイノシシは、その大三島や近隣の島の野生イノシシ。地元の猟師さんたちが、罠を仕掛けて獲っているものです。解体も、専任スタッフが島内にある食肉処理場で一体一体手作業で丁寧に行っており、嫌な臭みは一切ありません。実際に食べてみると、ほんのり甘くてコクがある上品なスープにびっくり。“荒々しい”“匂いがキツイ”というイノシシのイメージをくつがえす美味しさです。滋味とでも呼べるようなじっくりとした旨味が、身体をやさしく包み込みます。「これが本来のイノシシの持ち味。捕獲後の処理を手早くきっちり行えば、嫌な臭いは一切ないんですよ」と、店主の吉井涼さんは語ります。

(先人の獣害封じ「シシ垣」:高橋春成氏)
農家が大切に育てた作物を食い荒らす野生のイノシシやシカ。このところ市街地にも堂々と現れるようになり、被害は膨らむばかり。対策として田畑の周囲に金網や電気柵を張り巡らしているが、古くから獣害に悩む地域では木や竹の柵、石積み、土塁などで「シシ垣」を築いてきた。私は地理学の視点からその遺構を調べ、保存と活用に取り組んでいる。人類とイノシシは縄文時代以前から付き合ってきたが、シシ垣の歴史も古い。13世紀の鎌倉時代の文献に登場し、猪垣や鹿垣、猪鹿垣(いずれもシシ垣と読む)などと記載された。現在も遺構が残るのは江戸時代にできた土塁や石垣がほとんど。城郭建築などで土木技術が進み、長さ10キロ超のシシ垣がいくつも築かれた。遺構は群馬や栃木など北関東から沖縄までの山麓によく見られる。東日本は土塁、西日本は石垣が多いようだ。イノシシは積雪が苦手で寒冷地にはあまり生息しないため、東北、北陸、山陰はシシ垣が少ない。温暖な地域でも高知や熊本、鹿児島にはほとんど見られない。下級武士が鉄砲を所持したまま農村に郷士として住んでいたので、狩猟が盛んで害獣が駆除されていたと推測する。私は子供の頃から動物好きで、大学の卒業論文にはイノシシと人間のかかわりを選んだ。その後、全地球測位システム(GPS)を付けて放したイノシシを追いかけて生態を調べ、被害対策につながる研究をしてきた。イノシシが現れると猟場が荒れるからと警戒する猟師がいれば、彼らをかたくなに憎む農家もいる。昔の人々のイノシシとの向き合い方を学び、その知恵を生かせないだろうか。そう考え、生態調査で知り合った人々や、各地でシシ垣を調査していた郷土史家らと約15年前に「シシ垣ネットワーク」を立ち上げた。シシ垣は人里と山を隔てるように、村落の山際に築かれた。高さは平均1~2メートル。土塁や石垣の上に、木や竹で柵を加えたところもある。シカやイノシシが飛び越えないように上部を反らせるなど工夫してある。イノシシはシシ垣に沿って行ったり来たりする習性があるので、落とし穴を掘って捕獲もした。昔の人々は生態をよく観察していたようだ。中でも、瀬戸内海の小豆島は大規模だ。江戸後期に島内の村々が協力し、長い年月をかけて総延長120キロものシシ垣を完成させたとされる。自然の崖や海岸をうまく活用している。小豆島は農繁期とイワシの漁期が重なっており、夏場には製塩も営んだ。忙しい期間が長いから、夜通しでイノシシを見張るよりもシシ垣の方が効率的だと考えたのだろう。完成後、そうめんやしょうゆの生産が伸びたという。沖縄のシシ垣はサンゴを使っているから、白っぽくて印象深い。本島北部の国頭村(くにがみそん)では「ウーガチ」とよばれる共同のシシ垣が明治後期に構築された。平たく大きなテーブルサンゴを上部に設置し、忍び返しのようにして侵入を防いだ。大雨でも壊れないように水門を設けるなど、細部にも気を配っている。江戸期には各藩の補助などがあったものの、シシ垣を設けるには莫大な費用と労力、時間がかかった。台風や水害、地震で一部が崩れる場合もあり保守が欠かせない。それでもシシ垣を築くのは、飢饉(ききん)が頻発する当時の農村で、獣害が死活問題だったからだ。シシ垣の遺構が残る地域に研究者らが集まる「シシ垣サミット」を2008年から毎年開催している。第1回は私の地元、滋賀県守山市で開き、土石流対策を兼ねた比良山系の珍しいシシ垣などを視察した。11回目の今年は、12月に愛知県指定文化財の万足平のシシ垣がある岡崎市で、小学生でも参加できるプログラムを準備している。シシ垣は人と獣がぶつかる最前線といえ、遺構からは当時の人々の息づかいが伝わってくる。だが貴重な遺構も崩れたままヤブに埋もれ、道路整備や住宅開発で取り壊されている。一方、イノシシは人里を闊歩(かっぽ)し、海を渡って生活圏を広げている。現代において野生動物とどう折り合いを付けるのか、生きるとはどういうことか。シシ垣を通じて考えていきたい。

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9/20
(豚コレラ、イノシシも陽性:岐阜)
岐阜市内で見つかった野生イノシシの死骸から、家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の陽性反応が出た。感染拡大を防ぐため、県は猟友会に協力を求めながら里山周辺でのパトロールを強化した。「新たな展開になってきた。さらに緊張感を持って取り組んでほしい」。十四日午前九時、緊急で開かれた県家畜伝染病防疫対策本部の本部員会議。古田肇知事は、厳しい表情で迅速な対応を指示した。豚コレラは、豚とイノシシに感染する。これまでは豚が大量死していた養豚場の半径十キロを野生イノシシのパトロール範囲にしていたが、県内全域に拡大した。養豚場や死んだイノシシが見つかった場所の周辺で、山際の道に車を走らせ、監視の目を光らせた。県内に二十七支部ある猟友会には、県から死骸を見つけた際には報告するよう依頼があった。農林水産省からも県内で捕獲したイノシシの検体を採取するよう要請があった。県猟友会によると猟期は十一月一日からで、それまでは、狩猟ではなく農作物被害を防ぐための有害捕獲の許可を得て、わなを仕掛けている。県猟友会の大野恵章(やすふみ)会長(73)は「死んだイノシシがいたら、一切触らないで市町村に連絡するように伝えた」と話す。捕獲の際は、ビニールやゴム手袋を二重に着け、作業後は長靴を消毒するよう要請した。「臨戦態勢で感染拡大を防ぐよう対応したい」と話した。

(ジビエ関係者に不安、野生イノシシに豚コレラ:岐阜)
岐阜市内の養豚場で「豚(とん)コレラ」の感染が確認されてから5日たった14日、養豚場の外で野生イノシシの感染が明らかになった。防疫態勢を敷いている中で迎えた新たな局面。どこまで感染が広がっているのか。目に見えないウイルスは感染経路も分からないまま。事態の早期収束を願う畜産関係者、住民、行政は不安を抱えながら警戒を強め、成り行きを見守っている。岐阜市内で豚コレラに感染した野生のイノシシが見つかり、ジビエ(野生鳥獣肉)を提供する料理店や加工処理施設、猟師に不安が広がった。本巣市の猟友会員らで組織し、2016年に市内に加工施設を立ち上げた「里山ジビエ会」の近藤正男代表理事は「事業が軌道に乗り始めたときなのに」と肩を落とす。14日朝から食肉の出荷を自主的に停止。出荷先からの問い合わせも相次ぎ、対応に追われた。「この状況が続けば、閉鎖するしかなくなる」と嘆く。一年を通じ、イノシシ肉などを提供する山県市長滝の郷土料理店「かたつむり」。店主の清水滋人さん(63)は「人が食べても影響はないとされているのに、客から『食べても大丈夫か』と尋ねられた」と明かし「行政や報道機関は消費者に安全と伝えてほしい」と求めた。食肉処理設備を備える加茂郡八百津町の料理旅館「五宝の滝」は保健所の助言を受け、収束するまでは入荷を取りやめることにした。「何かあってからでは遅いから」と店長の久保田豊さん(38)は不安を漏らす。猟期開始を11月15日(わなは1日)に控えた猟師にも衝撃を与えた。県猟友会の大野恵章会長は「大変な事態。取り返しのつかないことになるかもしれない」とショックを隠さない。現在は有害駆除として捕獲や捕殺は行っており、情報や検体を県に提供するよう会員に呼び掛けている。猟師歴45年という大野会長は「イノシシは縄張りを大切にする。雌は子育てで移動が少ない時期だが、雄は一晩で30~40キロを移動することもある」と指摘し、感染の広がりを懸念する。郡上市の猟師は「イノシシは体の汚れを落とす『ぬた場』を共有する。11月に狩猟が始まると、イノシシは移動を余儀なくされる可能性もある」と話した。

(クマ捕獲や出動、1千万円超す:北海道)
島牧村の定例村議会が12日開会し、本年度一般会計補正予算案を賛成少数で否決した。7月末から出没が相次いだクマの捕獲や出動への報奨金1156万円を村が計上したところ、複数の村議から「住民理解を得られない」との反対意見が出た。報奨金は村の交付要綱に基づき算出し、クマの捕獲奨励金は1頭9万5千円。猟友会の要望を受け2013年度に1万5千円から7万5千円になって以来、年5千円ずつ増えている。村によると、他町村は共和町10万円、寿都1万円、黒松内3万円など。出動報償費は島牧が1人1回3万円(緊急駆除要請時)で、寿都は1回1万4600円、共和は年70万円で猟友会に委託している。

(死んだ野生のイノシシは豚コレラ陰性:滋賀)
県は19日、大津市瀬田大江町の水路で死んでいた野生のイノシシについて、豚コレラウイルスの感染を確認した結果、陰性と発表した。

(鶏舎の中でクマに襲われ男性軽傷:富山)
17日午後6時ごろ、富山県小矢部市菅ケ原の養鶏場で、養鶏場を運営する会社の役員の男性(47)=同県高岡市=が鶏舎の中から出てきたクマ2頭に遭遇、うち1頭に襲われ、顔や腕に軽傷を負った。小矢部署によると、2頭はツキノワグマの親子とみられる。鶏舎の出入り口が壊れており、男性が修理するため、鶏舎に近づこうとしたところ、親グマに襲われた。2頭は現場から逃げ、同署や小矢部市が周辺住民に注意するよう呼び掛けている。

(野生のサルが住宅街に出没、女性襲い6人重軽傷:静岡)
19日午前8時ごろ、静岡県牧之原市新庄の遠渡区公民館近くで、近所に住む女性6人が野生のサル1匹に次々と襲われた。1人がサルに押された際に転倒し、手首骨折の重傷。5人は引っかかれたり、かまれたりして足などに軽傷を負った。牧之原市によると、サルは体長約60~70センチで、群れから離れた雄の成獣とみられる。現場近くで8月28日以降、「サルを見た」との通報が市に複数件寄せられており、関連を調べるとともに、近隣住民に注意するよう呼び掛けている。

(スキート男子は予選落ち、射撃の世界選手権)
射撃の世界選手権は14日、韓国の昌原で行われ、クレー・スキート男子の予選で井川寛之(モダルビル管理)は66位、横内誠(横内商店)は80位、折原研二(那須国際射撃場)は85位に終わり、上位6人による決勝進出はならなかった。

(熊の目撃情報:宮城)
18日午後5時40分頃、登米市津山町柳津字幣崎地内(入沢行政区)で熊の目撃情報がありました。

(普通列車がイノシシと衝突:大分)
JR九州によると、19日午前10時9分ごろ、日豊線西屋敷から立石間で上り普通列車(佐伯駅7時48分発中津行き)がイノシシと衝突し、現地確認を行った。この影響でダイヤ乱れが発生している。

(実りの秋、クマに警戒:秋田)
ツキノワグマによる農作物被害が後を絶たない。県警によると、今年の食害は34件に上った。秋は冬眠に備えて栄養を蓄えるため、エサを求めて里に下りてくる可能性がある。県などは「実りの秋を迎えるので、十分警戒を」と呼び掛けている。

(クロスボウでサルの頭に矢を放つ:滋賀)
滋賀県彦根市野田山町の工場で6月、頭に矢が刺さった状態のサルが見つかった事件で、サルに矢を放ったとして、滋賀県警彦根署が鳥獣保護法違反の疑いで同市内の無職の男性(68)を書類送検していたことが県警への取材でわかった。6日付。書類送検容疑は、自宅の庭にいたサルに向かって、クロスボウ(洋弓銃)で矢を放ち、野生動物を捕獲しようとしたとしている。

(クレー射撃の強化指定選手、「東京五輪とその先目指す」:三重)
クレー射撃で、日本オリンピック委員会の強化指定選手に認定されている、伊賀市上野西日南町の会社員、脇屋昴さん(28)。昨年、全日本選手権で優勝、国民体育大会で準優勝するなど活躍を続けている。クレー射撃とは、散弾銃を用いて空中を飛ぶ素焼きの皿(クレー)を撃ち落とすスポーツ競技。脇屋さんが取り組む種目「スキート」は、クレーが1枚、あるいは2枚同時に射出される。1枚に対して1発、2枚同時の場合は2発撃つ。8か所の射台から順に1ラウンド25枚を4ラウンド行い、撃破した枚数で勝敗を決める。脇屋さんは20歳で射撃を始めた。狩猟を始めようと思い免許を取得し、散弾銃所持許可を得た。その際、実技試験で初めてクレー射撃を体験し「面白い」と競技にのめり込んだという。広島県呉市出身だが、今年5月に「トップアスリート就職支援事業アスジョブみえ」の制度で伊賀市の上野ガスに入社、仕事と競技を両立しながら2020年の東京五輪や21年の三重とこわか国体を目指している。4月から10月までのシーズン中は、ほぼ毎週公式大会に出場。試合の無い時は同市蓮池の県上野射撃場で練習する。3年前からは、昨年国体で優勝した折原研二さん(45)の指導を受けに栃木県まで通うこともあるそうだ。「昨年初めての海外試合(アジア大陸選手権)に参加した経験が大会優勝に大きく生きた」と脇屋さん。国内予選で選ばれ、3月にメキシコ、4月に韓国であったワールドカップにも参加した。10月に福岡で行われる全日本選手権での2連覇が次の目標だ。「クレー射撃は技術と経験が生き、年齢を重ねても続けられるスポーツ。東京五輪も、その次も、そのまた次も目指す。常に挑戦し自分の可能性を試したい」と力強く語った。

(これじゃ猟師は増えっこない!?)
有害駆除を除けば猟師は夏にすることがない。いや、射撃場で練習はできるので、この夏の暑さで怠けていただけか…。所属する地元猟友会から「狩猟者登録を行います」という、はがきが届いた。9月某日、昨年と同じく千葉県の狩猟者登録を申請。あとは11月15日の狩猟解禁日を待つばかりだ。ライフルや散弾銃など火薬を使った銃は「第1種銃猟」と分類され、1県につき1万6500円の「狩猟税」がかかる。手数料が1800円、これに大日本猟友会、東京都猟友会、地元猟友会の会費が合わせてもろもろ1万円、さらにハンター保険が加わり総額は約4万円に上る。ちなみに、空気銃なら狩猟税は5500円、罠・網猟はそれぞれ8200円。他県に申請を出せばその分、負担は増える。狩猟税は目的税で「鳥獣の保護」に充てられることになっている。申請すると「狩猟登録証」「狩猟者記章」「ハンターマップ」の3点セットが配布されるが、ハンターの手元にくるのはこれだけ。どう見積もっても原価は1000円もしないから、残りが環境や鳥獣の保護に充てられるのは結構なことなのだが、その使途の明細は明らかにされていない。ある銃砲店の店主は「高いのは確か。具体的に何に使ったのか分かれば、まだ納得のしようもあるのに」と話す。しかも全都道府県の税額は一律。「狩猟できる場所が何倍もある北海道と、限られた場所しかない東京都が同額というのもおかしい」と疑問を呈する。農林水産省のデータによると、野生鳥獣による農業被害は毎年200億円。これに対し、高齢化により狩猟免許の所持者は1975年の51万7754人をピークに、2015年には19万100人にまで減った(環境省)。一時期、狩猟税の減免もしくは撤廃も検討されたが、「財源確保ができない」として見送られている。先日の申請時に「ことしから猟を始めます」という女性を見かけた。近年は女性ハンターが微増しているといわれるが、全体の減少傾向は変わらない。所持許可を取って銃を買い、ロッカーなど規定の装備をそろえ、狩猟免許を取得するまでに数十万円。そこからさらに4万円を払うのは、新たにハンターになろうという若い人にはかなりハードルが高い入り口だ。有害鳥獣を駆除して森林環境の保護や、農業被害を防ぎたいとアピールしても、これではハンター人口が増えるはずもない。考慮すべき政治的課題だと思うのだが…。サラリーマン猟師にも4万円はやっぱり…痛い。

(ジュラルミンケースごと「花火」盗難:神奈川)
神奈川県警相模原署は相模原市中央区で、特殊撮影用の火薬約400グラムを含む花火約25発など(合計約3万8千円相当)が盗まれる被害があったと14日、発表した。署によると、13日午後11時半ごろ、同区矢部1丁目のファミリーレストラン駐車場に駐車していた花火師の男性(38)から「花火がなくなった」と110番通報があった。盗まれたのはジュラルミンケースに入った火薬50グラムを含む花火が2発、30グラムが6発、15グラムが5~7発などで、ケースごと盗まれたという。ケースには点火装置も入っていたが、使用には専門知識が必要で、ライターやマッチなどでは着火しないという。14日午後3時半ごろ、東京都町田市内の路上で、散歩中の男性が、ケースを見つけ、警察に届け出た。花火や点火装置などすべてが入ったままだったという。署の担当者は「ジュラルミンケースだったので、金目のものが入っていると思って盗んだのではないか」と話している。

(スポーツ界の「ドン」や「女帝」の存在、プラスに働くことも)
日本体操協会強化本部長の塚原千恵子氏と夫で同協会副会長の塚原光男氏、日本ボクシング連盟前会長の山根明氏、さらには日本レスリング協会の栄和人前強化本部長による伊調馨選手へのパワハラ騒動など、今年のアマチュアスポーツ界は“横暴な権力者”の問題で揺れ続けている。五輪競技には、体操やボクシングほど“キャラ”は濃くないにせよ、それぞれ「権力者」と呼べる人物がいる。ただし「ドン」や「女帝」の絶対君主ぶりが、常にマイナスに働くわけでもない点も興味深い。元日本バレーボール協会会長(2013~2015年)で羽牟クリニック院長の羽牟裕一郎(はむ・ゆういちろう)氏が語る。「バレーボール界には1972年のミュンヘン五輪で、男子初の金メダルをもたらした松平康隆監督というカリスマがいました。松平さんはその後、協会の専務理事や会長を歴任し、30年間にわたってバレーボール界に君臨し続けた。日本国内でワールドカップやグラチャンバレーといった主要大会が開催されるようになったのも、松平さんの功績です。2011年に松平さんが亡くなった後は、会長不在が続くなどバレーボール協会は混乱した。実際に私が会長をしている間、体育会系の組織をまとめるうえで、“松平さんのような豪腕があればなぁ……”と思うことはままありました」柔道の上村春樹氏(講道館館長、柔道連盟元会長)やフィギュアの城田憲子氏(日本スケート連盟元理事)、クレー射撃の高橋義博氏(日本クレー射撃協会会長)など、一度は失脚してもなお影響力を維持できるのは、「替えがきかない」ほどの力を持っているからだろう。3月に起きたレスリングのパワハラ騒動でも同じことが起きている。栄強化本部長が退任したにもかかわらず、当初、栄氏とともに批判の矛先が向いたレスリング協会会長の福田富昭氏は一切の引責をしていない。「福田氏はJOCの名誉委員で、2020年の東京五輪組織委員会の評議員も務めるアマチュアスポーツ界の重鎮。その人脈や渉外力でレスリングを発展させてきた功労者でもあり、彼に代わる人がいないんです」(レスリング協会関係者)アマチュアスポーツに詳しいジャーナリストの折山淑美氏が語る。「運営資金不足に陥った時、各所の人脈を生かして協賛企業を募ったり、五輪競技から外されそうな時に政治力で回避できることもある。『一人のカリスマ』の存在によって解決することは確かにあるんです。もちろん、行きすぎた独裁は組織も人も疲弊させるだけ。トップにはその“ギリギリのバランス”を見極める力が求められている」ドンは必要悪──それもまた真実かもしれないが、現在はその「悪しき面」ばかりがエスカレートしている状況にある。

(人里迫るイノシシ、駆除しておいしく供養:福岡)
人口約7万1千人。福岡市のベッドタウンとして成長してきた福岡県太宰府市には、豊かな自然も残されている。山の緑を楽しみながら暮らせるが、近年、人里近くにまで出没するイノシシの被害に悩まされるケースが増えている。やむを得ず駆除した命を、供養代わりにおいしくいただくお店も現れている。太宰府市の橋本公二さん(77)は、市に委託され、仕事の合間にイノシシの駆除を手がけている。6日、猟に同行した。現場は同市大佐野の山林。金属製の箱わなの中に、体長1メートルのオス、メスの2頭がいた。近くには人の出入りする建物がある。「こんなところにまで」。人間の生活圏のすぐ近くにまで野生動物は迫ってきている。箱わなは高さ約1メートル、奥行き約1・7メートルの檻(おり)だ。中のぬかみそなどを食べようとイノシシが入ると、入り口が閉まる仕掛けだ。橋本さんは「電気止め刺し」を取り出した。長さ約1・7メートルの棒の先に鋭い刃物が付いており、バッテリーから電流が流れる仕組みだ。「これで感電させます」。住宅地に近いので猟銃は使わない。腹部に突き刺した瞬間、イノシシの身体が硬直した。そのまま20~30秒。2、3度繰り返し、最後は念のために狩猟ナイフで心臓を刺した。「かわいそう、という人もいるだろう」と橋本さん。「でも駆除は誰かがやらなければいけないこと。被害を受けた農家から『田んぼに入ってくる。何とかして』とよく言われる」市は地元猟友会メンバー5人と農事組合にイノシシなど有害鳥獣の駆除を委託している。四王寺山や宝満山周辺などに、約85台の箱わなが仕掛けられているという。駆除すると成獣1頭なら7千円が交付される。市内では昨年度、イノシシによる被害が稲作だけで約65万円に上った。ため池ののり面を掘り返すといった被害があり、市民の安全も脅かされているという。「住宅街に出てきて危険」などと訴える電話が5~8月だけで16件あった。その都度、市産業振興課の大田清蔵さん(64)は現場に向かう。昨年度は243頭を駆除した。4年前の2013年度は196頭。大田さんは「おそらく生息数は増えている。だからエサを求めて人間の近くに出てくるようになったのでは」とみる。駆除したイノシシは山に埋めて処分されるほか、ジビエとして料理に出す飲食店もある。太宰府市内山のそば店「宝満茶屋 新山公」。「シシ鍋とカレーのセット」が運ばれてきた。鍋には肩ロースなどが使われている。臭みはなく、軟らかい。カレーは骨と肉を約6時間煮込んだスープに8種類のスパイスを加える。繊維状になった肉にスパイスがからみ、深いコクがある。昨年冬から「シシそば」などとともにメニューに載せた。店主の時任裕史さん(40)は知人のハンターからイノシシ肉を分けてもらい、店を共同経営する土居誠太朗さん(48)とすき焼きにしてみた。「かなりおいしくて、驚いた」以来、ハンターがイノシシを駆除するたびに解体の手伝いに出かけるようになった。手伝う代わりに肉を分けてもらっている。イノシシ料理が10食近く注文される日もある。土居さんは「適切にさばいたイノシシ肉は、牛やブタよりよほどうまいですよ」。時任さんは「食べることで供養になれば」と話す。

(急増するキョン、捕獲数増と経済効果狙え:千葉)
勝浦市で2001年に閉園した大型観光施設「行川アイランド」の跡地活用計画が動き出した。太平洋を臨む宿泊型リゾート施設に生まれ変わる予定で、地元では従業員の雇用や宿泊客による経済効果に期待が高まっている。一方で、行川アイランドから逃げ出したとされる特定外来生物「キョン」の県内での生息数急増には歯止めがかからない。中国南部や台湾に生息するシカ科の草食獣で、体高は最大約50センチ、体重は同約10キロ。県南部を主なすみかにしており、生態系のバランスが崩れて病害虫の発生など日常生活に悪影響が出始めている。いすみ市内では家庭菜園や農作物が荒らされている。県自然保護課によると、県内の推計生息数は01年度末に約千頭だったが、増え続けて11年度末に約1万8100頭、17年度末に約3万5900頭に達した。県と自治体は駆除に取り組み、01年度の捕獲数17頭から11年度に1203頭になり、17年度は3475頭を記録。しかし、メスは早ければ生後半年前後で妊娠し、同1年~1年2カ月程度で初出産するため、捕獲数を上回る勢いで増加している。いすみ市農林課などによると、捕獲ペースが上がらないのには、狩猟者の高齢化のほか、アニメ映画の「バンビ」のような愛らしい姿が狩猟者の気持ちをそぐ-といった背景がある。また、農業被害額がまだ少ないのも要因。17年度、同市内のキョンによる農業被害額は57万円で、同1494万円でワーストのイノシシ対策に施策のウエートが置かれる現状にある。イノシシなどに比べ、捕獲後の利用法が確立していないこともネックとされる。だが、キョン肉は台湾で高級食材として扱われ、角や骨は漢方薬として珍重されているという。中国でも食用で、革は殺菌作用があるといい、楽器などを拭くセーム革、山梨県の郷土伝統工芸品「甲州印伝」の材料として日本へ輸入されている。こうした価値に、いすみ市内で狩猟体験ツアーなどを提供する会社社長の石川雄揮さん(41)が、同市地域おこし協力隊員時代に目を付けた。16年にキョンの革を約15分で剥ぐ方法を考案し、国内で初めて純国産キョン革を製作。同市が貴重な革を使用した乳児靴作製講座を企画すると、予約ですぐに満員に。関心の高さが浮き彫りとなった。御宿町公民館で今夏にあったイベントでは、元料理人の石川さんが講師を務めてキョン料理を振る舞った。脂が少ない赤身の肉は高タンパク低カロリー。低温で調理して、リンゴとヨーグルト、梅ドレッシングを混ぜた特製ソースを掛けて提供した。牛肉のような食感で、参加者は「軟らかく、さっぱりしている。おいしい」と高評価。石川さんも「店で出せる味」と太鼓判を押す。宿泊型リゾート施設が完成すれば、新たな観光需要が生まれる。その元となった施設から逃げ、地域の農地などを荒らす“迷惑者”も、革製品やグルメといった特産品に変えれば注目を浴び、経済効果はもちろん、駆除も進むはずだ。この「課題解決型プラン」を実現させるには、活用に向けた取り組みへの支援が欠かせない。

(鹿との事故100件超、「鹿飛び出し注意」公用車に:奈良)
国の天然記念物「奈良のシカ」がはねられる事故を減らそうと、奈良市は「鹿の飛び出し注意」と書かれたステッカーを公用車約100台に貼り付けた。観光地の奈良公園(同市)には約1400頭のシカが生息。今年6月までの1年間で交通事故は129件。黄色いステッカーには英語と中国語も併記する。奈良のシカは、公園内にある世界遺産・春日大社の神の使いとされている。事故を起こしてバチが当たらないように、運転には気をつけないと。

(新・尾瀬ビジョン公表、シカ食害対策強化)
環境省は11日、福島、群馬、新潟の3県などでつくる尾瀬保護財団(理事長・大沢正明群馬県知事)が檜枝岐村の尾瀬沼ヒュッテで開いた尾瀬サミットで、尾瀬の強みを生かしたエコツーリズムや会員制交流サイト(SNS)による情報発信などを柱とする「新・尾瀬ビジョン」を公表した。入山者の減少やニホンジカの食害などの直面する課題に対応するため、2006(平成18)年に策定したビジョンを12年ぶりに改定した。人口減少やレジャーの多様化による「山離れ」を背景に、尾瀬の入山者数は1996年の約65万人をピークに減少が続き、昨年は約28万人と半数以下になった。震災と原発事故の影響で福島側からの入山者は減少、日帰り利用の増加や高齢化も目立つ。こうした状況に対応するため、若い世代など新たなファンを増やす取り組みを盛り込んだ。耕作放棄地の増加や狩猟者の減少に伴うニホンジカの食害も深刻化していることを踏まえた対策強化も明記した。同財団副理事長の内堀雅雄知事はサミット後、新ビジョンについて「利用者を増やすことによって、尾瀬の自然を守ることにつなげていくという取り組みが必要。構造的な登山客の減少や震災、原発事故の風評を払拭(ふっしょく)し、適正な利活用を促進したいという思いが根源にある」と述べた。

(イノシシとシカ捕獲数、過去最多の4644頭:長崎)
定例長崎市議会は11日、一般質問を続行、5人が登壇した。高山雄彦水産農林部長が昨年度、農作物などを食い荒らすイノシシとシカの捕獲数が過去最多の4644頭だったことを明らかにした。有害鳥獣対策として、本年度も防護柵のワイヤメッシュ柵を設置する方針を示した。野口達也議員(市民ク)の質問に答えた。市によると、イノシシやシカの捕獲数は2015年度までは約2500頭だったのが、16年度は約4100頭と急増。今年7月末時点では、昨年同期と比べ1・4倍の1557頭が捕獲されている。一方、イノシシが市街地に出没したり、家庭菜園を荒らしたりする生活環境被害を含む相談件数と農業被害額はともに減少。16年度は1005件約4858万円、17年度は696件約4146万円だった。高山部長は、被害が減少していることに対し、市が少なくとも08年度から実施しているワイヤメッシュ柵設置などの対策によって「着実に効果が表れている。関係機関と連携しながら被害軽減に努めたい」と述べた。柵は17年度までの7年間で651キロが整備済み。対策事業として本年度一般会計当初予算で約7400万円。さらに一般会計補正予算案に約674万円追加する費用を上程している。

(今治島しょ部のイノシシ被害対策、獣医学生とタッグ:愛媛)
岡山理科大獣医学部(愛媛県今治市いこいの丘)の学生が、地域貢献や実践的な学習を目的に今治市島しょ部のイノシシ被害対策へ調査、研究を始めた。このほど、伯方島や大三島を訪れ痕跡調査や処理施設を見学、懇親会で住民らと交流した。

(飛騨地域、クマ出没恐れ:岐阜)
県が19日発表したドングリ類(ブナ、ミズナラ、コナラ)の今年度の豊凶予測調査結果によると、飛騨地域が大凶作、または凶作となった。ドングリ類を餌にするツキノワグマが9月~12月に、飛騨地域で餌を求めて人間の生活圏に出没する可能性があるとして、注意を呼びかけている。予測調査は、県内26地点の指標木で行われ、飛騨地域は、コナラが北部で大凶作、ブナとミズナラが南部、北部とも凶作となった。県全域ではブナは凶作、ミズナラとコナラは並作。西濃北部ではミズナラとコナラが、中濃北部ではミズナラがそれぞれ大豊作の指標木もあった。ツキノワグマの出没件数は、県下全域でブナが大凶作、ミズナラとコナラが凶作となった2014年度が、最多の1446件を記録した。翌年度からは凶作か並作が続き、年間400件台で推移している。県では、山林に入る際などは十分注意するとともに、生ゴミなどを田畑に放置しないよう呼びかけている。

(クマの人身被害防止へ注意通知:岩手)
県は19日、ツキノワグマの人身被害を防ぐため、住民に注意を促すよう全市町村に通知した。秋はキノコ採りなど入山機会が増え、冬眠前に餌を求めて人里に出没するクマもいるため、遭遇の危険性が高まるとして、注意を呼び掛ける。住民に対して入山時の注意を促すほか、クマが誘われる生ごみの適切な処理や、利用しない庭先の果樹を早めに摘み取るなど人里での対策の周知を求めた。県によると、本年度のクマによる人身被害は8月末現在で9件。山菜採りで野山に入った高齢者が被害に遭うケースが多い。県はクマの出没増を受け、本年度の狩猟期間(11月1日~2月15日)を半月延長した。

(カラス撃退に、音で誘導:山形)
山形市はカラスの被害に悩まされている。実験は、「タカの鳴き声」などカラスの嫌がる音を流して、カラスを一度、追い払う。そして、別の場所で、カラスが安全だと認識する「ねぐらに入るときの鳴き声」を流し、誘導する。実験では、カラスの嫌がる音が流れると、市役所周辺にいたカラスは一斉に飛び立ち、カラスが安全だと認識する音が流れている方向に誘導されていた。市は、実験は成功したとしている。

(ドローンでカラス撃退、警戒され空振りに:山形)
市街地に集まるカラスを排除しようと、山形市は19日、小型無人機ドローンなどを使った実証実験を2カ所で展開した。飛行機型ドローンの実験ではカラスが警戒し寄り付かず空振り。一方、猛禽(もうきん)類の声をスピーカーから流して市役所から一定距離の場所への誘導には成功した。昨年に続いて2年目の取り組み。カラス被害対策に取り組む宇都宮市の「CrowLab(クロウラボ)」の塚原直樹社長(39)と、コンピューター科学が専門のシンガポール国立大の末田航リサーチフェロー(41)が協力した。ドローンの実験は市西部の市農業振興公社周辺で実施。カラスを人里から離すため、長い距離を誘導することを目標にしている。今回はハシボソガラスが寝床へ戻る声と、テリトリーを侵された時の威嚇の声の2種類を用意。音を出すドローンに追随したり、攻撃したりするしぐさを期待したが、ハシボソガラスの警戒心は予想以上で姿を見せることはなかった。夕方からは、市役所周辺でスピーカーから発する音声による誘導実験に取り組んだ。市役所東側の街路樹に集まるカラスに向けてオオタカの鳴き声などを流し、ねぐらに戻るカラスの鳴き声が流れる文翔館の方に行くことを確認した。塚原社長はドローンの実験について「もっと工夫が必要」と振り返る一方、誘導実験では「昨年に続いて成功。予想通りの成果だった」と喜んだ。

(カラスが巣作り?ハンガーで電線ショートし停電:栃木)
14日午前3時10分頃、栃木県栃木市の境町、沼和田町、大平町の3地区計1114世帯で停電し、約1時間10分後に復旧した。東京電力パワーグリッドは、同市大平町土与の電柱で、カラスが巣作りに使った金属製ハンガーによりショートを起こし、火災が発生したのが原因とみている。栃木署の発表や同社によると、火災が起きた電柱では、器具のゴム製カバーが焼けていた。電柱の高さ約12メートルの場所に、木の枝の代わりに一部、金属製ハンガーを使って作られたカラスの巣があり、ハンガーが電線に触れてショートしたとみられる。

(鳥獣被害が3割減、ジビエ利用も増:鳥取)
鳥取県は2017年度の野生鳥獣による農作物被害が前年度比3割減の約6332万円だったと発表した。餌となる山のドングリが豊作で、イノシシや熊による人里での稲や果実への被害が少なかったことが要因だと分析している。県鳥獣対策センターによると、イノシシが約5102万円(前年度比26%減)で被害額の大半を占め、鹿約302万円(同27%増)▽カラス約172万円(同34%減)▽熊約125万円(同82%減)▽ヌートリア約67万円(同45%減)と、鹿以外は大きく減少した。捕獲された頭数はイノシシ5583頭(前年1万1970頭)、鹿は6707頭(同7274頭)でそれぞれ減少した。そのうち食用の「ジビエ」やペットフードに利用されたのは計3036頭で過去最多だった。捕獲頭数に対する解体処理数の割合を示す利用率も24.7%(前年15.3%)で過去最も高くなった。県は県産ジビエの認知度が高まり、需要の拡大が利用率増につながったと成果を強調する。一方、これまで鹿による被害は東部に集中していたが、近年は中部にも広がりつつあるなど生態系の変化がみられるという。同センターは「(鳥獣の侵入)防止柵整備や猟師育成などを通して、被害抑制や生態系の安定に努めていきたい」としている。

(鳥獣被害13%減、対策効果か:宮崎)
県は20日、シカやイノシシなどの野生鳥獣による2017年度の県内農林業への被害額が、前年度比13%減の3億9854万円だったと明らかにした。減少は5年連続。防護柵の設置や捕獲など、対策が効果を上げたとみている。

(ママ猟師奮闘中:大分)
ママは猟師―。竹田市刈小野の阿南有香さん(34)は2人の女児がいる「狩猟女子」。8月に狩猟免許を取得し、鳥獣害対策とジビエの消費拡大に奮闘している。市内飛田川出身。会社員を経て、2013年に農業(ミニトマト栽培)を始めた。市内ではシカやイノシシが増え、農作物の被害が深刻化。対策に悩むうちに猟師になろうと決意した。今年1月、有害鳥獣の駆除、加工をする「竹田オーストリッチファーム解体・販売所」=飛田川=の吉良富伯(とみのり)代表(76)に「弟子入り」。地元猟友会メンバーにもアドバイスをもらい、山に入るようになった。国家資格の狩猟免許に挑み、鳥獣の生態や猟具、法令を問う筆記、視力や運動能力、技能試験をパス。箱わなと銃を扱えるようになった。解体する際の返り血にも動じることはなく、狩猟歴50年以上の吉良代表は「狩猟から解体まで1人でする女性は少ない。とても頼もしい」と成長に期待する。阿南さんはまんじゅうなどを生産販売する「あじさい農産加工所」(刈小野)でも働き、食品衛生責任者の免許を持つ。築70年の自宅を5月にリフォームし、シカシチューやイノシシ肉のギョーザなどジビエ料理を友人に振る舞うことも。「ジビエは高タンパクと低脂肪が注目されている。消費拡大にも取り組みたい」と意気込んでいる。

(ジビエむすびを期間限定販売:静岡)
県内でおむすびや弁当などを製造販売している天神屋は「生姜(ショウガ)が香る森のジビエむすび」(税込み180円)を9月30日(日)まで、限定販売している。ジビエは狩猟で得られる天然の食肉で販売は日本フードサービス協会主催の全国ジビエフェアの一環。全国約250店、県内75店が期間限定でジビエ料理を提供している。同協会によると、ジビエは高たんぱく低カロリーでビタミン、鉄分、亜鉛といった体に必要な栄養素が多く含まれ、健康や美肌などに効果があるという。フランス料理では古くから高級食材として重宝され、高貴で特別な料理として愛され続けている。一方、国内では野生鳥獣が増えすぎ、農作物や樹皮、高山植物などを食べたり、田畑を荒らしたりする被害が発生し、農林業や自然保護の大きな問題になっている。農作物の被害は年間200億円に上り、就農意欲の低下や耕作放棄地の増加をもたらし、結果として野生鳥獣のすみかの拡大につながっている。同協会では、狩猟や捕獲されたシカやイノシシを廃棄することなく、食肉としての有効活用を推進。飲食店での提供や加工品としての販売、環境保全活動などを通じて鳥獣外対策を推進し、地域活性化へ貢献しようとフェアを開催している。

(飲食店でジビエ活用を:徳島)
徳島県産の野生鳥獣肉(ジビエ)の普及に向け、県などでつくる阿波地美栄推進協議会は19日、飲食店を対象にしたシカ肉料理の講習会を徳島市庄町のホシザキ四国テストキッチンで開いた。フランス料理店や洋食店、居酒屋など12店の17人が参加。フランス料理店「アターブル」(東京)のオーナーシェフ中秋陽一氏が、ミートソースとマッシュポテト、チーズをグラタン皿に敷き詰めて焼いた「アッシパルマンティエ」、シカ肉のミンチを使った「シカのコンソメとフォアグラのフラン」の2品を作り、調理のポイントを説明した。北島町の洋食店「カリーナ」の山田安弘さん(49)は「シカ肉は今使っていないが、淡泊な味がどんな料理に合うのか考えたい」と話していた。県は、県内で捕獲されたシカやイノシシの料理を提供する「うまいよ!ジビエ料理店」に現在28店を認定している。より多くの飲食店にジビエを活用してもらおうと講習会を企画した。

(県産シカ料理、家庭でも:鳥取)
鳥取市弥生町の老舗イタリア料理店「ペペネーロ イタリア館」が、県産シカ肉を使った料理の缶詰を考案した。鳥取はシカ肉販売量が北海道に次ぐ全国2位で、県はイノシシ肉なども含めた野生鳥獣肉「ジビエ」のブランド化を推進している。缶詰は10月に販売開始予定で、同店シェフの木下陽平さん(42)は「家庭でも楽しめる缶詰で、鳥取のジビエのおいしさを広めたい」と話す。県では、農作物や森林に被害を及ぼすとして駆除したシカやイノシシなどの肉を食肉として活用する取り組みを2012年度から本格化。食肉処理の研修会を開いたり、県内や首都圏などでジビエ料理を出すイベントを催したりしてPRに努めてきた。取り組みの結果、ジビエの利用が進み、若桜町などに専門の食肉処理施設ができた。県産ジビエは県内外に販売されるようになり、農林水産省の調査では、16年度の食肉としてのシカ肉販売量は47トンで、北海道(400トン)に次いで全国2位。ジビエ全体の販売量も59トンで北海道(402トン)、兵庫県(89トン)に続いて3位だった。本場イタリアでは料理にジビエを使うことが多いことから、ペペネーロでは1980年の開店以来、地元産のシカ肉を使ったステーキやハンバーグなどの料理を提供。県が実施するジビエ料理イベントにも参加するなどしてきたが、近年の県の取り組みを料理のプロとしてさらに支援しようと、家庭でも使いやすい缶詰でジビエ料理の浸透を図ることにした。缶詰の料理は、シカ肉のミートボールにトマトソースをからめた「ポルペッティ」、すね肉を県産の梨ジャムと北条ワインで煮込んだ「ブラッサート」の2種類。木下さんが考案し、スパイスの種類や量を調節して、6か月かけて味付けを工夫した。販売に向けた準備は、知人でウェブページ製作会社代表の大森誠さん(41)、鳥取大農学部4年の児玉莉奈さん(21)らが協力。缶詰のラベルをデザインしたり、通販サイト作成を担当したりしている。発売までの経費を集めるためにインターネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)も企画しており、20日頃からCFサイト「FAAVO(ファーボ)鳥取」で寄付の受け付けを始めるという。シカ肉料理の缶詰は、1個90グラム入りで1100円(税別)。県がジビエ活用を推進し、猟師や食肉処理業者が努力してきたおかげで、鳥取のジビエの質は格段に上がってきたといい、木下さんは「昔はジビエといえば独特のクセがあると思われていたが、県産のシカ肉は軟らかくて臭みもない。鳥取の新しい魅力として、シカ肉のおいしさを伝えていきたい」と意気込む。

(廃材利用し鳥獣対策:徳島)
野生動物による貴重な植物の食害を防ごうと、吉野川市美郷穴地の「ほたるの里・花の山野草園」を経営する橘本文夫さん(72)=美郷下浦=が、廃材などを使って「鳴子」と「ししおどし」を手作りした。今年8月に設置して以降、被害は出ておらず、お金を掛けない対策が効果を上げている。園には絶滅危惧種のクマガイソウやシコクカッコソウなど珍しい植物が約50種ある。橘本さんによると、10年ほど前からシカやイノシシ、サル、アナグマが出没し、新芽を食べたり、土を掘り返したりして食害が深刻化。フェンスで囲ったものの効果はなく、鳴り物で追い払うことにした。長さ約2メートルの竹を加工して手作りした「ししおどし」は遊歩道沿いに設置。わき水を利用し、満水になるまで竹が動かないよう磁石で固定しているほか、ラッパ形の筒を備えて音が広がるよう工夫している。 「鳴子」は一斗缶と竹で3個作り、運搬用のモーターで揺らして音を出す仕組み。人けのない夜間や未明に、タイマーで動かしているという。にぎやかな音にするため、鳴子に小さな金属球も複数付けた。園は、多くの植物が見頃を迎える毎年4月中旬から約20日間オープンし、期間中は約600人が訪れている。橘本さんは「動物を傷つけず、自然とうまく共存することが大事。今後も工夫を凝らして来園者をがっかりさせないよう努めたい」と話している。

(注目のジビエ食べて“一石三鳥”、外食業界がフェア)
シカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の消費拡大を図ろうと、外食業界団体の日本フードサービス協会が、ジビエ料理を提供する飲食店を紹介する「全国ジビエフェア(夏)」を30日まで開催している。12月から来年2月にかけて冬のフェアも実施する。野生鳥獣が農作物などを食べ荒らす食害が深刻化する中、捕獲されたシカやイノシシを有効利用すると同時に、地域振興につなげるのが狙い。山野を駆け巡るシカやイノシシの肉は高タンパク低カロリーのヘルシーな食材としても注目されており、まさに“一石三鳥”。同協会ではジビエを提供する飲食店を増やし消費拡大につなげたい考えだ。「初めて食べた人は誰もが『こんなに軟らかいんだ』と驚く。スパイシーで嫌な臭みのない野性味がエゾシカの特徴」同フェアに参加するイタリアン「ミア・アンジェラ 霞が関」(東京都千代田区)の棟方信喜料理長(43)は、エゾシカの魅力をこう語る。同店の人気メニュー「北海道産天然エゾシカのロースト」はまさに腕によりを掛けた一品だ。軟らかい内モモの塊肉を使用。しょうゆで下味を付け、フライパンで表面をローストし、火を止めて10分間ほど休め、余熱で芯まで火を通す。その後、オーブンで3、4分焼き上げる。「火の入れ方が繊細で難しい」切り分けると、鮮やかな赤身のレアで、肉汁があふれ出す。北海道産の野菜を添え、山わさびのソースでいただく。北海道出身の棟方料理長は「エゾシカをもっと身近な食材にしたい。農作物の被害が減り、北海道の新たな特産品にもなり、好循環が生まれる」と、消費拡大の意義を強調する。同フェアに参加している飲食店は全国約270店。本格フレンチから和食、カレー、ハンバーガーとメニューは豊富だ。ホームページで参加店の料理を紹介し、食べた料理の写真を投稿しアンケートに答えると、食事券を抽選でプレゼントする。参加店を対象とした講習会や食材サンプルの無償提供も行い、メニュー開発を支援している。現在ジビエは、ヘルシーな上に、メニューのバリエーションも増えることから、魅力的な食材として利用する外食店が増えている。農林水産省によると、シカやイノシシによる農作物の被害額は平成28年度で172億円に上り、森林の被害も深刻だという。食害対策として、捕獲頭数は増加しているが、ジビエとして有効利用されているのは全体の7%程度にとどまる。食肉として処理加工する施設が不十分なほか、流通経路も整っておらず課題は多い。農水省は今年5月、衛生管理などを適切に行っている処理施設を認証する「国産ジビエ認証制度」を導入するなど、良質なジビエの安定供給を後押ししている。同協会は「農業関係者と連携し外食チェーンなどが安定的に利用することが需要の創出につながる」とし、官民一体で需給の拡大に取り組む重要性を指摘している。

(県産ジビエ、気軽に食べて:静岡)
全国の飲食店など271店舗で30日まで開催されている「全国ジビエフェア」(日本フードサービス協会主催)に、県内の82店が参加している。鳥獣被害対策に取り組む県や販路拡大を進める食肉施設の後押しで、参加店舗数は都道府県別で最多。シカやイノシシなどの肉を使った多彩なジビエ料理を各地で味わえる。川根本町上長尾の和彩食堂あけぼのでは、「川根ジビエ餃子」を開発した。シカまたはイノシシのひき肉を使ったあんが詰まった一品で、川根茶入りのラー油みそや川根ゆずポン酢につけて味わうのが同店流。フェア終了後も提供を続けるという。静岡市葵区のイタリア郷土料理店「オステリア ティアロカ」は、香辛料をきかせたイノシシ肉の皮なしソーセージを、レモンの葉で包んだ一品を提供。南イタリアの郷土料理を県産ジビエでアレンジした。他店でも「ジビエコロッケ」や「シカハンバーグ」などこだわりの創作料理がそろう。フェア開催に合わせ、藤枝市の食肉施設「尾州真味屋総本舗」は、飲食店への参加呼び掛けや申し込みをサポートした。県地域農業課も7月に研修会を開催してジビエ肉の安全な提供法を指導した。同課担当者は「ジビエを知ってもらい、多くの人に気軽に食べてもらえるきっかけになれば」と話す。

(害獣対策、ジビエ食べて学ぶ:神奈川)
松田町は有害獣対策の一環として、29日に町北部の寄地区で開催する広域防護柵の設置や修繕を学ぶ講習会と、シカなどの解体体験会の参加者を25日まで募集している。

(有害鳥獣対策実施隊で唯一の女性隊員として活動する:神奈川)
農作物被害を軽減するため、2015年に発足した愛川町の有害鳥獣対策実施隊。メンバー26人のなかの紅一点だ。気温が高い夏は同隊の活動はひと休み。9月から活動が再開し「毎週日曜日に山に入っている」という。シカやイノシシをはじめとする有害鳥獣の捕獲や生息状況調査など、活動は多岐に渡る。生まれは富山県。東京農工大学を卒業後、国土保全を担う林野庁に入庁した。霞が関で1年間勤務してから、山形、石川、小笠原、山梨など全国各地に赴任。そのなかで、乱れる生態系やハンターの高齢化など、有害鳥獣を取り巻く環境を目の当たりにした。「自分にも何かできないか」と思い立ち、2014年に狩猟免許を取得。女性ハンターとして一歩を踏み出した。水泳と登山の経験があり、体力は十分。ハンターになった当時は北海道で勤務していたため、畑を荒らすネズミから巨大なエゾシカまで対峙した。冬の海で船に揺られ、網を破るトドを射止めたことも。「自分でもまさか銃を持つようになるとは思ってもいなかった」。最初は罠猟を考えていたが、先輩ハンターの勧めに押し切られた。「ハンターになったことで、生き物の大切さをより実感するようになりました」と、表情を引き締める。現在の住まいは厚木。夫が三増でキノコ栽培を始めたことで愛川町の鳥獣被害を知り「経験を活かせたら」と、今年度から同隊へ。「愛川では猟犬を使うなど、北海道との違いがあるので、今は勉強中です」と謙虚にほほ笑む。夫と大学生の息子の3人家族。今も平日は霞が関に通い、日曜日は山で獲物を追う。「女性でもハンターができる姿を見てもらいたい。そして、男女を問わず若い人にもっと入ってきてもらえたら」と展望を語る。

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